古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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カテゴリ: 米中関係

 古村治彦です。
※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
  
 中国の若いエリート層(大学生たち)にとって重要なことは、経済の安定だ。若者たちにとって、経済状況の好転は台湾統一よりも重要なことだ。国のことも大事だが、自分の身の回りの生活の方が切実であり、より重要だ。若者たちはよりナショナリスティックではなくなっているということだ。これは、私たちにとっても理解できることだ。

 しかし、アメリカのドナルド・トランプ政権の高関税政策、特に中国を狙い撃ちにした馬鹿げた超高関税政策は、中国に打撃を与えると同時に、中国の若者たちのアメリカへの反感を高め、台湾統一への支持、武力による統一への支持を高める可能性がある。アメリカが反中的な政策を続けるならば、中国国内のナショナリズムを刺激し、国論を硬化させる可能性が高い。これは、東アジアの安全保障環境にとっての大きなリスクとなる。アメリカ国内の対中強硬派であっても、米中戦争を望んでいない。せいぜい、日本が中国に嚙みつくのを見ているという程度のことだ。しかし、不安定な状況はどのような突発的な出来事で、一気に深刻化するかは分からない。米中関係は、トムとジェリーではないが、「仲良く喧嘩をする」ものでなければ、東アジア、アジア、世界全体が大いに迷惑をこうむることになる。
 中国は国内をきちんと管理できるだろうが、アメリカはドナルド・トランプの絶妙なバランス感覚頼りという面がある。トランプ政権内の強硬派が過激な政策を実行に移し、トランプがそれを一時的に止めたり、引っ込めたりということをしている。米中関係は対立しているが、深刻さはない。対話がきちんとなされ、管理された対立という形になることが大事だ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争は中国の若いエリートたちのナショナリズムを高める可能性がある(Trump’s Trade War May Make Elite Young Chinese More Nationalistic

-学生たちは驚くほど台湾に対して無関心だ。

マヤ・ガズダー筆

2025年5月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/21/trump-tariffs-china-trade-war-nationalism-polling/

2025年3月23日に開催された中国開発フォーラムにおいて、李強首相は、個人消費(consumer spending)、技術革新(innovation)、そして外国投資(foreign investment)を重視し、国家経済回復に向けた野心的なロードマップを示した。そのメッセージは明確だった。中国の優先事項は地政学的紛争(geopolitical conflict)ではなく、経済の安定(economic stability)である。多くの若い中国エリートたちにとって、李首相の焦点は、彼ら自身の変化する懸念を反映している。

中国は、新型コロナウイルス感染症後の経済再編が進む中で、成長の鈍化(slowing growth)と若年層の失業率上昇(rising youth unemployment)に苦慮しているが、台湾との統一の緊急性は若いエリートたちの間で薄れつつあるようだ。北京の中国人大学生を対象に行った私の研究によると、党寄り(pro-party)、つまり「赤(red)」の見解から、ますますナショナリスティックな(increasingly nationalistic)「リトル・ピンク(little pink)」になっていると一般的に考えられている若いエリートたちは、実際にはより現実的で内向きになり、戦争や紛争に懐疑的になっていることが示唆されている。これは、私が北京と厦門でインタヴューした労働者階級の中年中国人タクシー運転手たちが唱えるナショナリスティックな見解とは対照的である。

しかしながら、ドナルド・トランプ大統領の絶えず変化する関税政策といったアメリカの新たな政策は、アメリカに対する反感を増大させ、逆説的に防衛的対応としての統一への支持を高める可能性がある。

清華大学の学生たちの意見は習近平国家主席の行動を予見するものではないものの、中国共産党(the Chinese Communist PartyCCP)は、特に過去10年間の経済成長鈍化の中で「愛国教育(patriotic education)」を重視してきたことから、若者の世論醸成に関心を示してきた。

そして、将来の中国共産党指導者となる可能性のあるエリート大学生たち(習近平主席は清華大学の卒業生)と、彼らの態度に影響を与える要因は、アメリカの政策にとって重要な意味を持つ。

2023年春、私はナショナリズムが中国の若者の統一支持を牽引しているという仮説を検証しようと試みた際、北京のエリート大学である清華大学と北京大学の学生たちは、国家の言説に見られる、強まっている強硬姿勢(the growing hawkishness)、つまり、台湾に対する武力行使への意欲の高まりを反映するだろうと予想した。

しかし、私の調査結果は驚くべき現実を明らかにした。学生たちは台湾についてほぼ議論していなかった。

ある学生は、「台湾?そんな話題は重要ではないと思う。地理的にも精神的にも、遠く感じる」と述べた。

こうした考え方は、学生たちに配布された匿名アンケートの結果にも反映されており、140件以上の回答があった。中国が直面している8つの「国内」問題を、緊急性の高いものから低いものの順にランク付けするよう求められたところ、台湾は気候変動(climate change)に次いで最下位から2番目にランクされた。

その他の課題は、緊急性の高いものから低いものの順に、コロナ後の経済回復(post-COVID economic recovery)、社会経済的不平等(socioeconomic inequality)、社会の安定(social stability)、外国直接投資の誘致(attracting foreign direct investment)、汚職対策(combating corruption)、教育の改善(improving education)であった。

一方、私がインタヴューしたタクシー運転手たちは、台湾を国家としての重要性という観点から語り、歴史的な恨み(historical grievances)をしばしば口にした。ある北京の運転手は「私たちが台湾を失えば、私たちは面目を失う(If we lose Taiwan, we lose face)」と言った。しかし、こうした人々でさえ、経済的な懸念は大きな問題となっていた。多くの運転手は、コロナ禍がなかった時代と比べて収入が半減したと語り、学生よりも武力による統一を支持する傾向は強かったものの、最大の懸念事項ではなかった。

学生とタクシー運転手(配車アプリで見つけたのは、主に中年男性のタクシー運転手)の態度の違いは、より広範な世代交代を反映している可能性もある。多くの学生は、両親の世代と比べて台湾に対して「それほどタカ派的ではない(less hawkish)」と感じていると述べた。

中国の若者の意識に関する最近の他の調査も、この反紛争的で台湾に対する無関心な感情を強めており、中国の若者がますますナショナリスティックになっているという一般的な見方とは矛盾している。

ある学生は「私たちの両親は祖先を辿れば台湾とのつながりがあり、中国本土と台湾の交流が盛んだった時代を覚えている。私たちにはそれがない」と言った。他の学生は、中国が計画経済(a planned economy)から脱却したことを例に挙げ、自分たちの世代は経済的に実利的で、イデオロギー的なナショナリズムにあまり動かされていないと主張した。

この見解は人気があるものの、一部の学生は、ハト派的な見解のために、同級生の中では依然として、自分のことを異端者(outliers)だと感じていると認めた。

多くの学生が、キャンパス内やオンラインフォーラムにおいて「政治的に正しくない(politically incorrect)」発言が批判を招く政治環境について語った。ある学生は、「台湾は友人間で話題にされることがほとんどないので、他の人がどう感じているのか、実のところ私には分からない。私たちが目にするのは、オンライン上の投稿や一般のコメントだけだ。最近は武力行使に賛成だと発言する方が政治的に正しいので、戦争に慎重な人が自分の意見を言うことはあまりない」と述べた。

中国開発フォーラムでの李首相の演説は、国内の不安の高まりと、個人消費の拡大の必要性に対する政府の認識を反映していた。世界的な不安定化の高まりにもかかわらず、持続可能な国内経済成長の必要性を強調し、私がインタヴューで繰り返し耳にした「経済難によって若い中国人はより内向きになっている(Economic hardship has made young Chinese more inward-focused)」という認識を強めた。

ある学生は「ゼロコロナ政策はまるで戦時中の政策のようだった。戦争は望んでいないと気づいた」と語った。別の学生は、パンデミック中に経済的困難を直接経験したことで、台湾のような政治的な抽象概念はそれほど重要ではなくなったと説明した。その学生は「うまく暮らしていれば、大局的な見方がしやすくなる」と言った。

ある学生は、統一を「中国にとっての合併と買収(merger and acquisition for China)」と捉え、「統一のコストとメリットを比較検討すると、合理性ではなく政治がこれを推進していることは明らかです。統一に明確なメリットはあまりない」と説明した。

中国の若者の失業率は記録的な高水準で推移しており、都市部の若い中国人(学生を除く統計)の約17%が就職に苦労している。名門大学を卒業したばかりの学生でさえ幻滅しており、多くの人が「横たわる(lying flat)」あるいは「腐らせる(letting it rot)」という、社会的な圧力への受動的な抵抗を表す言葉に捉えられている。このような状況では、台湾をめぐる仮想的な戦争は賢明ではなく、無意味であるように思われる。

中国国内の社会不和(social discord)もこの見方に影響を与えている可能性がある。複数の学生は、2022年11月に清華大学と北京大学が中国で行われた白書抗議運動(China’s White Paper Protests)に参加したことを、中国社会が不安定であり、統一を成功させる準備ができていない証拠だと指摘した。

しかし、統一がアメリカの侵略に対する防衛行動と捉えられると、こうした無関心な感情は消え去った。例えば、台湾が独立を宣言するという仮定のシナリオでは、学生が武力統一を支持する可能性は2倍以上になった。これは、学生が台湾の独立宣言はアメリカの支援に依存していると認識していたためだ。

ある学生は、「台湾海峡の緊張の最大の原因はアメリカであり、台湾ではない。もしアメリカが関与していなければ、統一は時間をかけて平和的に実現するだろう」と述べた。

多くの学生は、台湾を、中国の台頭を抑え込もうとするアメリカの「切り札(card to be played)」の1つに過ぎないと見ていた。香港、チベット、関税と何ら変わらないと彼らは考えていた。

こうした学生の意見は、タクシー運転手たちのよりナショナリスティックな感情を反映するものだった。ある北京の運転手は、1800年代にフランス軍とイギリス軍によって破壊された圓明園を指さしながら、迂回して通り過ぎた。この運転手は「私たち中国人は、あまりにも長い間、外国勢力にいじめられてきた。アメリカのような別の大国が玄関のドアをノックしてきたら、ノックし返さなければならない」と述べた。

中国政府が経済回復を強調していることは、若いエリートたちの考え方と合致しているかもしれない。しかし、今日の中国経済の課題は、2023年の課題とは異なる。その課題とは、主にトランプ大統領による関税と輸出規制の脅威(the threat of tariffs and export controls by Trump)だ。

トランプ大統領が最近、対中関税を90日間引き下げたことは一時的な安堵をもたらしたが、今後の交渉には不確実性がつきまとう。さらに、トランプ政権は依然として、テクノロジーや製造業を含む一部の中国製品への大幅な関税を維持している。これらの関税は、新型コロナウイルス感染症からの回復の鈍化と相まって、消費者信頼感と若年層の失業率をさらに圧迫する可能性がある。

中国の政策担当者たちが引き続き経済成長と国内の安定を優先するならば、中国政府が積極的に統一を推進する可能性は低下するかもしれない。しかし、アメリカの関税はナショナリズムを刺激し、台湾への潜在的な侵略を含む国家主導の行動への支持を高める可能性があります。

今日の若い中国人たちは、台湾との統一を優先事項とは考えていないかもしれない。中国政府が再び経済回復に重点を移すにつれ、若い世代の考え方に同調するようになるかもしれない。しかし、関税、輸出規制、米中関係の緊張といった外的圧力によって、こうした状況は変化する可能性がある。

中国国民がトランプ大統領の対中関税を、アメリカによる台湾独立支援と関連づけて捉え始めれば、アメリカは意図せずして統一への支持を固めてしまうリスクを負う。その中には、本来であれば統一に反対するであろう、理性的で戦争を警戒する若いエリートたちも含まれる。こうした支持は、中国指導部に台湾の主権をさらに圧迫するための国内での隠れ蓑を与えることになるだろうし、あるいは北京が「国旗を掲げて」行動(a rally-around-the-flag moment)を起こすよう誘惑することになるだろう。

米中経済関係は、今後4年間、ますます不安定になる可能性が高い。緊張(そして関税)が高まるにつれ、アメリカ政府当局者にとって、台湾海峡紛争と台湾支援に関して強硬な姿勢を示す誘惑に駆られるだろう。しかし、彼らは貿易に関する言論と台湾に関する言論を区別し、彼らが恐れるまさにその紛争を招かないように注意しなければならない。

緊張が高まる時代において、「若い中国人は台湾のことを気にかけているだろうか?(Do young Chinese care about Taiwan?)」という問いはもはや通用しない。むしろ、「トランプ大統領の関税など、どのようなアメリカの政策が彼らの無関心な考え方を変えることができるだろうか?(What U.S. policy—such as Trump’s tariffs—could change their apathetic mindsets?)」という問いが重要だ。

※マヤ・ガズダー:ワシントンの米国在台湾協会会長特別補佐、台北の米国在台湾協会政治担当を務めた。シュワルツマン奨学金を受けて清華大学で国際問題に関して複数の修士号を取得。Xアカウント:@mayaguzdar

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 今回は、私の最新刊でも取り上げた論稿をご紹介する。短い論稿なので抵抗は少なく読めると思う。論稿の著者グレアム・アリソンはハーヴァード大学教授で、「トゥキュディデスの罠(Thucydides’s trap)」という言葉を世の中に広めた人物だ。国際関係論分野では常陽な学者である。トゥキュディデスの罠とは、「古代アテネの歴史家トゥキュディデスにちなむ言葉で、従来の覇権国家と台頭する新興国家が、戦争が不可避な状態にまで衝突する現象」のことだ。古代ギリシアのペロポネソス戦争は、ギリシア世界を軍事力で制覇し、覇権国家だったスパルタと、海洋貿易で経済力を高めた新興大国アテネとの戦いだ。これを現代に敷衍すると米中両国のことになる。以下に、論稿の内容を要約する。
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グレアム・アリソン

中国が南シナ海や東シナ海において攻撃的な姿勢を強めていることは、単なる現象ではなく、今後の国際情勢における重要な兆候だ。アメリカの「パックス・パシフィカ」の下で、アジア諸国は急速な経済成長を遂げてきたが、中国が世界最大の経済大国として台頭する中で、既存のルールの見直しを求めるのは自然な流れだ。

今後の世界秩序において重要な課題は、中国とアメリカが「トゥキュディデスの罠」を回避できるかどうかである。歴史的に見ても、新興勢力の台頭は既存の大国との対立を引き起こし、戦争に至るケースが多かった。特に、アテネとスパルタの例が示すように、台頭と恐怖が競争を生み出し、最終的には紛争に発展することがある。

中国の急速な台頭は、アメリカにとって脅威であるが、国際関係においてより多くの発言権を求めることは自然なことである。アメリカ自身も過去に同様の行動をとっており、その歴史を振り返る必要がある。アメリカは、他国に対して自国の価値観を押し付けるのではなく、相手の立場を理解し、対話を重視する姿勢が求められる。

中国とアメリカの指導者たちは、歴史の教訓を踏まえ、対立を避けるために率直な対話を行い、互いの譲れない要求に応じるための調整を始める必要がある。これにより、将来的な大惨事を回避するための道筋を見出すことができるだろう。

 米中両大国が直接武力衝突を起こす可能性は今のところ低い。それでも、経済面だけではなく、最先端のテクノロジー開発の面で、激しいつばぜり合いを展開している。それは、この面での勝者が軍事面でも有利になるからだ。しかし、こうした競争は良いとしても、それが武力衝突まで進まないようにすることが重要だ。そのためには、米中両国の指導者たちの対話と交渉が必要だ。取引を重視するドナルド・トランプ政権はその点で、ジョー・バイデン前政権よりもずっと期待が持てる。

(貼り付けはじめ)

太平洋でトゥキュディデスの罠が発動した(Thucydides’s trap has been sprung in the Pacific

-中国とアメリカは現代のアテネとスパルタだとグレアム・アリソンは言う

グレアム・アリソン

2012年8月22日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/5d695b5a-ead3-11e1-984b-00144feab49a

中国が南シナ海や東シナ海の尖閣諸島に対して攻撃的な姿勢を強めていることは、それ自体が重要なのではなく、来るべき事態の兆候として重要なのだ。第二次世界大戦後の60年間、アメリカの「太平洋の平和(Pax Pacifica、パックス・パシフィカ)」は安全保障と経済の枠組み(security and economic framework)を提供し、その中でアジア諸国は歴史上最も急速な経済成長を遂げてきた。しかし、今後10年でアメリカを抜いて世界最大の経済大国になる大国として台頭してきた中国が、他国が築いたルールの見直しを要求するのは当然のことである。

今後数十年の世界秩序に関する決定的な問題は、「中国とアメリカがトゥキュディデスの罠(Thucydides’s trap)から逃れられるか?」どうかだ。歴史家の比喩は、台頭する大国が支配的な大国に対抗するときに米中両陣営が直面する危険を思い起こさせる。紀元前5世紀のアテネや19世紀末のドイツがそうだったように。こうした挑戦のほとんどは戦争で終わった。平和的なケースでは、関係する米中両国の政府と社会の姿勢と行動に大きな調整が必要だった。

古代アテネは文明の中心だった。哲学、歴史、演劇、建築、民主政治体制-全てがそれまでの想像を超えていた。この劇的な台頭は、ペロポネソス半島の既存のランドパウア(land power)であったスパルタに衝撃を与えた。スパルタの指導者たちは恐怖に促され、対応せざるを得なくなった。脅威と反脅威(threat and counter-threat)が競争(competition)を生み、対立(confrontation)を生み、ついには紛争(conflict)に発展した。30年にわたる戦争の末、両国は滅亡した。

トゥキディデスはこの出来事を次のように書いている。「戦争が避けられなくなったのは、アテネの台頭(rise of Athens)と、それがスパルタに与えた恐怖(fear that this inspired in Sparta)のせいである」。台頭と恐怖(rise and fear)という2つの重要な変数に注目してほしい。

新しい勢力が急速に台頭することは、現状を混乱させる。21世紀において、ハーヴァード大学の「アメリカの国益に関する委員会(Commission on American National Interests)」が中国について述べたように、「このような割合の歌姫が、影響なしに舞台に上がることはありえない」のだ。

国家がこれほど急速に、あらゆる面で国際ランキングを駆け上ったことはかつてなかった。一世代の間に、国内総生産がスペインより小さかった国が、世界第2位の経済大国になったのだ。

歴史的な根拠に基づいて賭けをするのであれば、トゥキディデスの罠に関する質問の答えは明白に見えてくる。1500年以降、支配勢力に対抗する新興勢力が台頭した15件のうち11件で、戦争が起きている。ヨーロッパ最大の経済大国としてイギリスを追い抜いた統一後のドイツについて考えてみよう。1914年と1939年、ドイツの侵略とイギリスの対応が世界大戦を引き起こした。

中国の台頭はアメリカにとって不愉快なものだが、強大化する中国が国家間の関係においてより多くの発言権とより大きな影響力を要求することは何も不自然なことではない。アメリカ人、特に中国人に「もっと私たちのようになれ(more like us)」と説教する人たちは、自分たちの歴史を振り返るべきだ。

1890年頃、アメリカが西半球(western hemisphere)で支配的な勢力として台頭したとき、アメリカはどのように行動したか? 後の大統領セオドア・ルーズヴェルトは、次の100年はアメリカの世紀になると絶対的に自信のある(supremely confident)国家の典型だった。第一次世界大戦前の数年間、アメリカはキューバを解放し、イギリスとドイツに戦争で脅してヴェネズエラとカナダでの紛争に関するアメリカの立場を受け入れさせ、コロンビアを分裂させてパナマという新しい国を作った反乱を支援し(パナマ運河建設の譲歩を直ちにアメリカに与えた)、イギリスの支援とロンドンの銀行家たちの資金提供を受けたメキシコ政府を打倒しようとした。その後の半世紀で、アメリカ軍は「私たちの半球(our hemisphere)」に30回以上介入し、アメリカ人に有利な条件で経済紛争や領土紛争を解決したり、受け入れられないと判断したりした指導者たちを追い出したりした。

強力な構造的要因を認識することは、指導者たちが歴史の鉄則の囚人(prisoners of the iron laws of history)であると主張することではない。むしろ、課題の大きさを理解するのに役立つ。中国とアメリカの指導者たちが古代ギリシャや20世紀初頭のヨーロッパの先人たちよりも優れた行動をとらなければ、21世紀の歴史家たちはその後に起こる大惨事(catastrophe)を説明するためにトゥキュディデスを引用するだろう。戦争が米中両国にとって壊滅的である(devastating)という事実は重要だが、決定的ではない。全ての戦闘員たちが最も大切なものを失った第一次世界大戦を思い出して欲しい。

このような結果のリスクを考慮すると、中国とアメリカ両国の指導者たちは、起こりうる対立や火種(flash points)についてもっと率直に話し合う必要がある。さらに困難で苦痛なことに、米中両国は、相手の譲れない要求に応えるために大幅な調整を始めなければならない。

※筆者はハーヴァード大学ベルファー科学・国際問題センター所長。

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(終わり)

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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選した。トランプ政権下、アメリカのトランプ、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領、中国の習近平国家主席との間で「ヤルタ2.0」体制が構築されて、三国協商(Triple Entente)が構築された。今回、トランプ大統領が大統領に復帰するということになり、「ヤルタ3.0」体制となる可能性が高まっている。
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 習近平は「最高指導者(国家主席・中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席)は2期10年(1期の任期は5年)で退く(新たな体制を作る)」という不文律を撤廃して、3期目を務めている(2022年から)。こうなると、習近平はこの3期目の5年間で退くのか、4期目を目指すのかということを考えると、やはり、後継者が誰になるか、後継者がしっかり決まらねば退くことは難しいだろう。今のところ、習近平の後継者というのは明確に決まっていないようだ。

元オーストラリアの首相で政治学者でもあるケヴィン・ラッドの論稿によると、習近平国家主席が退陣した後、中国の長期的なイデオロギーの方向性については、習近平の後継者が彼のイデオロギーを引き継ぐか、あるいはその理念が衰退するかが鍵となる。習近平の「マルクス主義的ナショナリズム」は政治的には左傾化し、外交的には右傾化するが、忠誠を誓う若い世代がより過激化する可能性もある。一方で、習近平思想は過去の毛沢東主義のように衰退する可能性もあるということだ。つまり、誰になるかは分からないが、習近平に忠誠心を持っている人物になるということだ。

 現在の中国共産党中央委員会中央政治局常務委員の7名(チャイナセヴン)の中に「後継者」になりそうな人物はいない。生年で言えば1960年代がその対象になりそうだが、序列第6位で、国務院筆頭副総理である丁薛祥(ていせつしょう、Ding Xuexiang、1962年-)で、彼は習近平の秘書出身で、実力者であるが、国家主席となれないだろう。また、今回の中央政治局政治委員(24名)のうち、国防・航空宇宙産業(中国語では工航天系、jungonghangtianxi)出身者、テクノクラートたちが多くなっている。また、今回の中央政治局政治局員からは共青団が排除され、「習近平派」が多く登用されることになった。
※2022年10月30日 中国共産党第20回党大会人事について https://suinikki.blog.jp/archives/86741740.html
※2022年09月15日 第20回中国共産党大会のキーワードは「宇宙クラブ」 https://suinikki.blog.jp/archives/86587517.html 
今回の第二次トランプ政権の人事を見てもそうだが、「忠誠心」が重要なキーワードになっている。そして、習近平にしても、トランプにしても、自身の唱えた「マルクス主義的ナショナリズム」「中国式社会主義」(習近平)、「アメリカ・ファースト」「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」(トランプ)の後継者を作り出す、キャリアの終盤ということになるだろう。トランプの後継者としては、JD・ヴァンス次期副大統領ということになるだろう。習近平についてはこれからということになるが、1960年代を飛ばして、一気に1970年代生まれが後継者ということになる可能性がある。

(貼り付けはじめ)

ポスト習近平の中国はどのようになるか?(What Will a Post-Xi China Look Like?

-習近平の長期的イデオロギー・プロジェクトの脆弱性についてケヴィン・ラッドが語る。

ケヴィン・ラッド筆

2024年10月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/25/china-xi-jinping-politics-domestic-foreign-policy-ideology-ccp-marxism-future/

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2017年9月5日、福建省アモイで開催されたBRICS首脳会議の記者会見を終えて退席する中国の習近平国家主席

習近平国家主席が退陣した後、中国の長期的なイデオロギーの方向性はどうなるのだろうか? 習近平主席退任の可能性はすぐにはないだろう。しかし、その可能性は、私たちが真剣に考え始めなければならないほど現実的である。実際、習近平がもたらした深い構造的・文化的変化が、次世代の中国指導者の下でも持続するかどうかという核心的な問題に関わる。習近平の「マルクス主義的ナショナリズム(Marxist nationalism)」は、政治や経済では左傾化し、外交では右傾化するのが特徴だが、習近平に忠誠を誓う若い世代が習近平の旗印を引き継ぐにつれて、より過激になる可能性はあるのだろうか? もしくは、「習近平思想(Xi Jinping Thought)」は、1976年から1978年にかけての毛沢東主義(Maoism)が、鄧小平とその後継者たちによって最終的に否定されるまでそうであったように、徐々に衰退していくのだろうか?

ポスト習近平の中国は多くの要因によって形成されるだろうが、その中でも最も重要なのはタイミングである。習近平は、自分の後を継いで党の最高指導部に就任する世代が、習近平のイデオロギー的方向性と熱意を共有できると確信できるまで、政権にとどまりたいと考えるだろう。これには問題がある。習近平は常に、腐敗(corruption)、出世主義(careerism)、イデオロギーの混乱(ideological confusion)を許してきた自分の世代とそのすぐ下の世代を非難している。だからこそ、習近平の党内改革キャンペーンは、個人的・政治的な恐怖と厳しさを植え付けるように設計されている。

習近平はおそらく、前任者の下で政治的権威のある重要な地位に就いた人物を自分の後任として信頼することには慎重であり続けるだろう。習近平はまた、その人物が習近平のイデオロギーと政治プログラムを将来にわたって継続するのに十分な個人的関与を持っているかどうかも疑ってかかるだろう。習近平の本能は、習近平の下で大学教育を受けた若手党幹部が政治的地位を得るまで政権を維持することだろう。習近平の「闘争への挑戦(dare to struggle、敢于斗争、ganyu douzheng)」への絶え間ない呼びかけは、国内の党学校ネットワーク(party school networks)を通じて行われ、特に若い幹部に焦点が当てられてきた。そうすることで、習近平は、過去に横行した物質主義とブルジョワの影響にまだ堕落していない彼らの若々しい理想主義(idealism)に訴えかけている。

しかしながら、将来の党指導部の地位を浄化するこの取り組みは、主に習近平が権力の座に就いた当時は子供だった1995年以降に生まれた幹部に依存することを意味する。しかし、2032年の第22回党大会までに「習世代(Xi’s generation)」はせいぜい37歳で、通常の状況ではかろうじて中央委員の補欠に任命される年齢に達するだろう。その後の2037年と2042年の2回の党大会では、習主席は85歳と90歳になるが、彼らは40代半ばになるだろう。この年齢は、この新興世代の若い中国国家主義者を、政治局のような実際の権威の地位に就かせるのに最適な年齢だ。つまり、このポスト「改革・開放(reform and opening)」世代を党の最高ポストに多数任命するには長い時間がかかるだろう。

習近平が信頼するイデオロギー保守派や個人的な忠誠心を持つ人々は党の上層部にいるだろうが、この若い世代は習近平が現場を離れた後の最大の希望であり、イデオロギー修正主義に対する政治的な防波堤となる。彼らは、習近平の後継者が政権から追放されないようにするために必要な、党中央指導部全体の政治的支持のバラスト(ballast of political support)を提供するだろう。したがって、習近平の任期が長ければ長いほど、習近平の後継者計画(succession plan)は長期的なイデオロギー的継続性を実現できる可能性が高くなる。

習近平以降の中国政治は、今後10年間に展開する地政学(geopolitics)と地経学(geoeconomics)の影響も受けるだろう。対外戦略上、最も重要なのは台湾の行方である。アメリカ、台湾、同盟諸国の軍事力不足、あるいはアメリカの政治的意思の失敗によって、アメリカの抑止力が失敗し、習近平が迅速かつ(比較的)無血で台湾を武力奪取すれば、中国国内政治における習近平の地位は揺るぎないものとなる。習近平は、毛沢東が達成できなかった祖国統一(reuniting the motherland)を成し遂げたことになる。そして習近平は、アジア全域、やがては世界全域でアメリカの地政学的衰退が始まる中、「中国による平和(パックス・シニカ、Pax Sinica)」の新時代という枠組みを打ち立てるだろう。台湾は、中国とより広い地域で、地政学的に重大な転換点と見なされるだろう。

国内的には、習近平が望む政治的継承とイデオロギー的遺産の継続の両方を確保するために、最大限の有利な状況が整うことになる。これとは対照的に、習近平が台湾を武力で解決しようとして軍事的に敗北した場合、習近平が退陣に追い込まれるのは間違いない。このような敗北は、習近平だけが中国を強大にしたという10年以上にわたる公式宣伝(official propaganda)の後にもたらされるものであり、最高レヴェルの国家的屈辱(national humiliation of the highest order)となる。それゆえ、最高の政治的代償を支払う必要がある。実際、政権そのものの正当性が真っ向から問われることになるだろう。

しかし、第3のシナリオは、現段階では、2020年代まで抑止力が維持され、戦争が回避されるというものである。この場合、習近平の長期的な内部後継者計画にとって、台湾はほとんど意味をなさないだろう。

同様に重要なことは、自己主張が強く現状に挑戦することで有名な習近平が最終的に台湾を武力で占領するにはリスクがまだ大きすぎると判断したとしても、その後の後継者がそうする用意があるとは考えにくいということだ。こうした状況下では、長期的な国家統一に向けた代替的な外交枠組みが、北京と台北の間の新世代の交渉で可能になるかもしれない。こうした理由から、国家統一における毛沢東の業績を超え、2049年の中華人民共和国建国100周年までにそれを達成したいという習近平の願望を考えると、習近平の在任期間は台湾をめぐる戦争の可能性に関して危険がピークに達している時期を表している可能性が高い。習政権時代に効果的な抑止力によって台湾問題を解決することは、依然として現状維持支持者にとって最も重要な戦略的課題であり、これが私の前著『避けられる戦争』の焦点だ。

習近平が最終的に退場した後の中国共産党(Chinese Communist PartyCCP)内の支配的な内部政治力学は、おそらく党自体の中にある長年にわたる自然な自己修正プロセスの一部となるだろう。中国共産党はその歴史を通じて、左派と右派、保守派と改革派、孤立主義者と国際主義者の間で揺れ動いてきた。これは「制御と解放(control and releasefangzhou)」の現象である。たとえば、1949年以降の時期には、毛沢東の左派が階級闘争(class struggle)、反地主運動(anti-landlord movement)、集団化された農業(collectivized agriculture)、国有化された産業(nationalized industry)に重点を置いて支配的だった。これは1956年の第8回党大会まで続き、そのとき現実主義者たちは安定した経済発展、貿易、商業を促進するために党の経済的重心を再調整しようとした。毛沢東は1958年に大躍進運動(Great Leap Forward)で報復し、通常の農業生産を犠牲にして工業化を加速しようとしたため、飢餓(famine)が蔓延した。1960年代初頭には鄧小平率いる経済現実主義者が攻勢をかけ、毛沢東は文化大革命(Cultural Revolution)で反撃し、「右派」政敵(“rightist” political opponents)を粛清し、農業と産業の集団化を強化した。これは1976年の毛沢東の死、毛沢東の左翼的誤りの正式な否定、そして鄧小平の35年に及ぶ改革開放時代の開始によって終わり、数十年ぶりに民間部門を再び受け入れた。

習近平は、中国共産党内部におけるこの長い一連の歴史的論争を、「正しい(correct)」党路線(party line)を確立するための内部弁証法的対立(internal dialectical confrontation)、矛盾(contradiction)、闘争の必然的な産物として見ていた可能性が高い。それゆえ、彼は2012年以降、特に2017年以降、鄧小平政権時代に残された経済的・社会的不均衡を是正しようと努力している。習近平の左派イデオロギー・プロジェクトに対する政治的・経済的な機運はすでに手ごわい。しかし、毛沢東の時と同様、習近平指導者が正式に退場するまで、根本的な政治的是正(fundamental political correction)を強いるほどの勢いはないだろう。習近平は間違いなく、自分の後任がどのような暫定指導部であれ、自己修正力が働く危険性を認識しており、より若く、より理想主義的で、より民族主義的な幹部をできるだけ早い時期に党指導部に登用することに拍車をかけている。

しかし、習近平の問題は時間がないことだ。習近平の政治戦略を根付かせるには、90代まで権力を維持し、イデオロギー的に信頼できる若手幹部を十分に登用しなければならないだろう。この戦略に立ちはだかるのは、政治的惰性(political inertia)、官僚的エントロピー(bureaucratic entropy)、そして歴史的に政治的平均に回帰する傾向にある党、これらの根源的な力である。習近平のような屈強な政治家であっても、政治的、経済的、社会的な敵対勢力との長期的な闘いに打ち勝つことは厳しい任務になる。

したがって皮肉なことに、弁証法の達人(the master dialectician)である習近平は、自らが作り出した弁証法的な力によって敗北する可能性がある。習近平が後20年以上持ちこたえられない限り、習近平が去った後、中国がイデオロギー的に極端になる可能性は低い。習近平のイデオロギー的プロジェクトが、現代中国における多くの個人の願望(individual aspirations)、社会規範(societal norms)、そして深い経済的利害(deep economic interests)に反していること、また、少なくともエリートたちの間で、中国が世界の多くからいかに孤立しているかという懸念が生じていることを考えれば、習近平以降の国も、中国現代史の過去の時代と同様、おそらく中央への修正(correction toward the center)を歓迎するだろう。

こうした理由から、より広い世界にとっての課題は、危機(crisis)、紛争(conflict,)、戦争(war)に頼ることなく、抑止力(deterrence)と外交(diplomacy)を組み合わせて習近平時代を効果的に乗り切ることだ。戦争は、その結果がどうでも、想像を絶する規模の死と破壊を生み出すだろう。また、中国、アメリカ、そして世界の政治と地政学を、予測不可能な方法で再定義することになるだろう。そして、世界は二度と同じようにはならないだろう。

※ケヴィン・ラッド:オーストラリア元首相・元外相。アジア・ソサエティ元会長、現在は駐米豪大使。オックスフォード大学で政治学博士号を取得。複数の著書を持ち、代表作に『避けられる戦争(The Avoidable War)』がある。ツイッターアカウント:@MrKRudd

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 世界の構造について大きく分類すると、一極(超大国が1つ)、二極(超大国が2つ)、多極(大国が多く存在する)ということになる。一極の例で言えば、ソヴィエト連邦崩壊後、世界ではアメリカのみが超大国として君臨する状態ということになる。二極は、冷戦期の米ソ、現在の米中ということになる。多極は第一次世界大戦前、第二次世界大戦前のような状況だ。ヨーロッパではヨーロッパの協調ということで、複数の大国が平和を維持するという体制になっていたが、相互に誤解と誤った認識をしてしまうと、平和が破綻するということが起きた。このことから、二極の方がお互いの意図を誤らずに認識できるということで、平和が続くということが言われている。冷戦期は世界各地で戦争や紛争は起きたが、米ソ双方が直接戦い、核戦争まで至らなかったということで、「長い平和(Long Peace)」という評価がなされている。

 一極体制は最も安定しているように見えるが、新興大国が出てくると、不安定さが増す。また、一極体制の支配国、覇権国が安全保障などで、不公平な取り扱いをするということになれば、各国が反感や怒りを持つということもある。アメリカの一極体制は、アメリカが介入した外国からの反感による「ブローバック(blowback、吹き戻し)」に遭った。

 現在の世界は、米中による「G2」体制(Great of Two)となっている。そして、世界は、これから多極化していくという予想も出ている。

下に掲載した論稿の著者ジョー・インゲ・ベッケウォルトは以下のように主張している。

政治家、外交官、国際政治の専門家たちが世界の多極化に関する議論を展開しているが、現実はまだ多極化していない。現在、アメリカと中国のみが経済的、軍事的に大国として存在し、他の国はそのレベルに達していない。インドやロシアも有力候補として挙げられるが、極になるには経済力や軍事力の面で足りていない。

多極化論が人気の理由は、規範的概念としての魅力や対立回避の希望があるからだ。一極、二極、多極体制では行動や政策が異なり、誤解は誤った政策を生む可能性がある。多極化は未来に期待される可能性もあるが、現状では二極化した世界に生きる必要があり、戦略と政策はその状況に応じて考えられるべきだ。

 私は、現在は二極体制であるが、これはあくまで、アメリカがまだまだ強く、中国が弱いというところであり、二極体制の性格がこれから変化していく途中であり、しばらくは多極化しないと考えている。アヘン戦争勃発200周年の2040年、中華人民共和国建国100周年の2049年、この2040年代に中国はアメリカを追い抜くということを考えていると思う。この時期でも米中に匹敵する国は出てこず、それ以降は、中国が大、アメリカが小の二極体制が続くものと考える。その時期には、ヨーロッパ連合、インド、ロシアなどが米中に続く存在となっているだろうが(日本は脱落しているだろう)、世界の重要な決定に関与できるまでは行っていないだろう。短期的(10~30年)、中期的(30~50年)でみれば、米中二極体制が関係性の面で変化を起こしながら、続いていくことになるだろう。二極体制が安定し、平和が続いていくためには、相互の正しい理解と認識が必要ということになる。

(貼り付けはじめ)

いいえ、世界は多極的ではない(No, the World Is Not Multipolar

-新興大国の出現という考えは人気を集めているが、間違っている。そして、深刻な政策の誤りを導くことになるだろう。

ジョー・インゲ・ベッケウォルト筆

2023年9月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/09/22/multipolar-world-bipolar-power-geopolitics-business-strategy-china-united-states-india/

政治家、外交官、国際政治の専門家たちが主張する最も根強い議論の1つは、世界は多極化(multipolar)している、あるいはまもなく多極化するだろうというものだ。ここ数カ月、この議論は国連事務総長のアントニオ・グテーレス、ドイツのオラフ・ショルツ首相、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領によってなされてきた。ヨーロッパ連合(EU)のジョゼップ・ボレル外務上級代表は、2008年の世界金融危機以来、世界は「複雑な多極化(complex multipolarity)」のシステムになっていると主張している。

この考え方はビジネス界でも普及しつつある。投資銀行のモルガン・スタンレーは最近、「多極化した世界を乗り切る」ための戦略文書を発表し、ヨーロッパの名門ビジネススクールであるINSEADは、そのような世界におけるリーダーシップ能力について懸念している。

しかし、政治家、専門家、投資銀行家たちが言うことに反して、今日の世界が多極化に近いというのは単なる神話に過ぎない。

その理由は単純明快だ。極性とは、国際システムにおける大国の数のことだ。そして、世界が多極化するには、そのような大国が3カ国以上存在する必要がある。現在、極を形成できるほどの経済規模、軍事力、世界的な影響力を持つ国は、アメリカと中国の2カ国だけだ。他の大国はどこにも見当たらず、当分の間は見当たらない。人口が多く経済が成長している中堅国や非同盟国が台頭しているという事実だけでは、世界が多極化する訳ではない。

国際システムにおける他の極の不在は、明らかな候補を見れば明らかだ。2021年、急成長を遂げるインドは、力を測る指標の1つである防衛費支出で第3位だった。しかし、ストックホルム国際平和研究所の最新の数字によると、インドの軍事予算は中国の4分の1にすぎない。(そして、中国の数字は一般に信じられているよりも更に高いかもしれない。)今日、インドは依然として主に自国の発展に集中している。インドの外交サーヴィスは規模が小さく、インド太平洋での影響力の重要な尺度である海軍は、過去5年間で5倍の海軍トン数を進水させた中国と比較すると小さい。インドはいつかシステムの極になるかもしれないが、それは遠い将来のことだ。

経済的な豊かさは、権力を行使する能力を示すもう1つの指標である。日本は世界第3位の経済大国だが、国際通貨基金の最新の数字によると、日本のGDPは中国の4分の1以下である。ドイツ、インド、イギリス、フランスという日本に続く、4つの経済大国は、更に小さい。

また、エマニュエル・マクロンや他の多くの人々がそのような主張を精力的に展開してきたとしても、EUは第三極(third polar)ではない。ヨーロッパ諸国には様々な国益があり、ヨーロッパ連合には亀裂が生じやすい。ヨーロッパ連合(EU)のウクライナ支援は一見結束しているように見えるが、ヨーロッパの防衛、安全保障、外交政策は統一されていない。北京、モスクワ、ワシントンがパリやベルリンと対話し、めったにブリュッセルを訪れないのには理由がある。

もちろん、ロシアは国土の広さ、膨大な天然資源、膨大な核兵器の備蓄から、大国になる可能性のある候補である。ロシアは、国境を越えて影響力を持っていることは確かだ。大規模なヨーロッパ戦争を繰り広げ、フィンランドとスウェーデンをNATOに加盟させた。しかしながら、経済規模はイタリアより小さく、軍事予算はせいぜい中国の4分の1に過ぎないため、ロシアは国際システムの第三極にはなれない。せいぜい、ロシアは中国を支援する役割しか果たせない。

多極化を信じる人々の間で広く議論されているのは、グローバルサウスの台頭と西側の地位の低下だ。しかし、インド、ブラジル、トルコ、南アフリカ、サウジアラビアなどの新旧中堅大国(middle powers)の存在は、システムを多極化するものではない。これらの国はいずれも、自国の極となるための経済力、軍事力、その他の影響力を持っていないからだ。言い換えれば、これらの国にはアメリカや中国と張り合う能力がないのだ。

アメリカの世界経済におけるシェアが縮小しているのは事実だが、特に中国と合わせると、依然として優位な立場にある。この二超大国は世界の防衛費の半分を占めており、両国のGDPを合計すると、それから下の経済大国33カ国の合計とほぼ同等となる。

先月ヨハネスブルグで開催されたBRICSサミットでBRICSフォーラムが拡大したこと(以前はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのみだった)は、多極秩序(multipolar order)が到来したか、少なくとも前進しつつある兆候と解釈されている。しかし、ブロックは極(poles)として機能するにはあまりにも異質であり、簡単に崩壊する可能性がある。BRICSは首尾一貫したブロックには程遠く、加盟諸国は国際経済秩序に関する見解を共有しているかもしれないが、他の分野では大きく異なる利益を持っている。協調関係を示す最も強力な指標である安全保障政策では、2大加盟国である中国とインドは対立している。実際、北京の台頭により、インド政府は米国とより緊密に協調するようになっている。

従って、世界が多極化していないのなら、どうして多極化論はこれほど人気が​​あるのだろうか? 国際関係に関する事実や概念を無視するという怠惰なやり方に加えて、3つの明白な説明が浮かび上がる。

第一に、多極化の考えを推し進める多くの人々にとって、それは規範的な概念である。それは、西洋の支配の時代は終わり、権力は分散している、あるいは分散しているべきだと言っている、あるいは望んでいることの別の言い方である。グテーレスは、多極化(multipolarity)を、多国間主義(multilateralism)に修正し、世界システムに均衡(equilibrium)をもたらす方法と見なしている。多くのヨーロッパ各国の指導者たちにとって、多極化(multipolarity)は二極化(bipolarity)よりも好ましい選択肢とみなされている。なぜなら、多極化はルールによって統治される世界をより良く実現し、多様な主体とのグローバルなパートナーシップを可能にし、新しいブロックの出現を防ぐと考えられているからだ。

実際に、多国間枠組は確かに想定通りに機能しておらず、西洋の人々の多くは、多極化の考えをより公平なシステム、多国間主義を復活させるより良い方法、そして、グローバルサウスとの拡大する断絶を修復する機会と見ている。言い換えれば、存在しない多極化を信じることは、世界秩序に対する希望と夢の花束の一部だ。

多極化の考え方が流行している2つ目の理由は、30年にわたるグローバル化(globalization)と比較的平和な状況の後、政策立案者、専門家、学者たちの間で、アメリカと中国の間にある激しく、包括的で、二極化した対立の現実を受け入れることに非常に抵抗感があることだ。この点で、多極化を信じるということは、一種の知的回避(intellectual avoidance)であり、冷戦が再び起こらないようにという願いの表れだ。

第三に、多極化に関する議論はしばしば権力争いの一部である。北京とモスクワは、多極化をアメリカの力を抑制し、自国の立場を前進させる手段と見なしている。アメリカが圧倒的な優位を占めていた1997年に遡ると、ロシアと中国は多極化世界と新国際秩序の確立に関する共同宣言に署名した。中国は今日では大国であるが、依然としてアメリカを主な課題と見なしている。北京はモスクワとともに、多極化という概念は、南半球を喜ばせ、自国の大義に引き付ける手段として利用している。多極化は2023年を通じて中国の外交的魅力攻勢の中心テーマであり、プーティン大統領は7月のロシア・アフリカ首脳会談で、出席した指導者らが多極化世界を推進することで合意したと宣言した。同様に、ブラジルのルラ大統領のように台頭する中堅国の指導者が多極化という概念を推進する場合、それは自国を主要な非同盟国として位置づけようとする試みであることが多い。

極、そしてそれに関する誤解が広まっていること自体が重要なのかと疑問に思う人もいるかもしれない。簡単な答えは、世界秩序における極の数は非常に重要であり、誤解は戦略的思考を不明瞭にし、最終的には誤った政策につながるということだ。極が重要な理由は2つある。

第一に、一極(unipolar)、二極(bipolar)、多極(multipolar)体制では、国家の行動に対する制約の度合いが異なり、異なる戦略と政策が必要となる。例えば、6月に発表されたドイツの新しい国家安全保障戦略では、「国際および安全保障環境は多極化が進み、不安定になっている」と述べている。多極体制は確かに一極や二極体制よりも不安定であると見なされている。多極体制では、大国は同盟や連合を結成して、1つの国が他の国を支配することを避ける。大国が忠誠心を変えた場合、継続的な再編や突然の変化につながる可能性がある。二極体制では、2つの超大国が主にお互いのバランスを取り、主なライバルが誰であるかを疑うことはない。したがって、ドイツの戦略文書が間違っていることを願うべきだ。

極は企業にとっても重要だ。モルガン・スタンレーと INSEAD は、顧客と学生を多極化した世界に向けて準備させているが、二極化したシステムで多極化戦略を追求することは、高くつく間違いとなる可能性がある。これは、貿易と投資の流れが極の数によって大きく異なる可能性があるためだ。二極化システムでは、二大国は相対的な利益を非常に気にするため、経済秩序はより二極化し、分裂する。秩序の種類ごとに異なる地政学的リスクが伴い、企業が次の工場をどこに建設すべきかという戦略を誤ると、非常に高くつく可能性がある。

第二に、明らかに二極化している世界が多極化すると、友好国にも敵国にも同様に誤ったシグナルを送る可能性がある。4月のマクロン大統領の中国訪問中に発せられた発言が引き起こした国際的な騒動が、この点を物語っている。ヨーロッパに帰る途中の機内でのインタヴューで、マクロン大統領はヨーロッパが第三の超大国になることの重要性を強調したと伝えられている。マクロン大統領が多極化について熟考する姿勢は、ワシントンやヨーロッパのフランスの同盟諸国には受けが悪かった。中国側のホストは喜んでいるように見えたが、マクロン大統領の多極化に関する考えを、米中対立で中国を支持するフランスや欧州の姿勢と混同すれば、誤ったシグナルを受け取ったことになるかもしれない。

多極体制は、敵対する超大国が2つある世界ほど、露骨に二極化していないかもしれないが、必ずしもより良い世界につながるわけではない。多国間主義の手っ取り早い解決策ではなく、更なる地域化(regionalization)につながる可能性もある。多極化を望み、存在しないシステムにエネルギーを費やすよりも、より効果的な戦略は、既存の二極体制内で対話のためのより良い解決策とプラットフォームを探すことである。

長期的には、世界は確かに多極化する可能性があり、インドはアメリカと中国に加わる最も明白な候補である。しかし、その日はまだ遠い。私たちは予見可能な将来、二極化した世界に生きることになるだろう。そして、戦略(strategy)と政策(policy)はそれに応じて設計されるべきである。

※ジョー・インゲ・ベッケウォルト:ノルウェー国防研究所中国担当上級研究員、元ノルウェー外務省外交官。

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 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカの有名なシンクタンクである、アメリカ・エンタープライズ研究所から「台湾とコントロールするための中国の3つの方途(China’s Three Roads to Controlling Taiwan)」という報告書が出たのは2023年3月13日だった。
下記アドレスから見ることができる。
https://www.aei.org/research-products/report/chinas-three-roads-to-controlling-taiwan/

 そして、今年5月に『ザ・ヒル』誌にその内容の概略が、報告書の著者であるダン・ブルーメンソールとフレッド・ケーガンによって論稿として発表された。ブルーメンソールは中国専門家として知られ、国務省に勤務した経験を持つ。フレッド・ケーガンは、アメリカのネオコン派の「名家」ケーガン一族に属しており、兄はロバート・ケーガン、義姉は、ヴィクトリア・ヌーランド前国務次官、妻は戦争研究所(Institute for the Study of War)の所長を務めるキンバリー・ケーガンである。フレッドは、2007年のイラクへのアメリカ軍増派作戦(「大波」計画[Surge Plan])の立案者として知られる。アメリカを戦争の泥沼に引き入れた一族の一員だ。

 この報告書の内容は、「中国は武力侵攻などしなくても台湾統一を実現できるということに今気づいた。アメリカは非武力的な方法にも注意をしなくてはいけない」というものだ。

 私は拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』や『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』、このブログで、散々、「中国は台湾に侵攻しなくても統一できるし、現状は既にぴったりとくっついていて、両岸関係は緊密だ」と書いてきた。中国が武力で台湾に侵攻することなど書いてきた。「台湾有事だ」「ウクライナの次は台湾だ」「日本はアメリカと一緒になって台湾防衛のために中国と戦う」といったお勇ましい言論は、為にする言論であって、日本にとって害悪だ。

 私が不思議に思っているのは、昨年に発表した報告書の内容を今年になって論説にまとめて発表したことだ。どうしてこんなことをするのだろうかと考えて、私なりの答えにたどり着いた。それは、彼らの飯の種を何とか確保するということだ。現在のアメリカh、ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争の2つに注目が集まり、お金を出す出さないでお重めしてきた。しかし、共和党系のネオコン派や民主党系の人道的介入主義派の主敵は、中国である。ウクライナ戦争もパレスティナ紛争も先行きが見えない現状では、中国のために割くエネルギーは残っていない。それでは、この人たちは困るのだ。

 だから、バイデンが中国製の電気自動車に100%の関税をかけると発表した時期に、「中国も大変なんだよ」というアピールをするということだ。何とも迷惑な話である。

 中国はアメリカの衰退という大きな政界史的転換期の動乱を乗り越えようとしている。しかし、それが過ぎて安定期に入り、世界覇権国になっていく時期には、少しずつ、自由化や民主化を行っていくだろう。それはしかしまだ10年単位で先の話である。そして、台湾をゆっくりと中国に近づけさせていきながら、中国国内の制度も変更していき、台湾の人々が統一を選べるようにしていくだろう。そこにアメリカが付け入るスキはないし、アメリカが介入して良い問題でもない。もっとも、その頃にはアメリカは力を失っているだろう。

(貼り付けはじめ)

台湾統一を実現するために中国は侵攻する必要はない(China doesn’t need to invade to achieve Taiwanese unification

ダン・ブルーメンソール、フレッド・ケーガン筆

2024年5月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/4657439-china-doesnt-need-to-invade-to-achieve-taiwanese-unification/

アメリカは第二次世界大戦後、最も厳しい国際安全保障環境に直面している。

戦争が続いており、中東においても拡大する恐れがあるにもかかわらず、ウクライナ戦争は激化している。一方、中華人民共和国は近隣諸国への嫌がらせと威嚇を続けており、アメリカ政府は台湾に対する中国の攻撃の脅威をより強く認識している。

台湾の安全保障への関心が高まるのは歓迎されることだが、現在の言論は、中国による台湾侵攻の脅威に焦点を当てすぎている。北京には、台湾に対する現在進行中のハイブリッド戦争作戦(hybrid warfare campaign)をエスカレートさせるなど、侵攻という手段を取らずに統一を強制する他の選択肢がまだある。アメリカの政策は、そのような戦略を抑止したり打ち負かしたりするようには設計されていない。

中国は、主に次の3つの理由により、台湾侵攻よりも限定的な運動行動(limited kinetic action)を伴う政治的・経済的戦争を中心とした、私たちが「戦争に至らない強制作戦(short of war coercion campaign)」と呼ぶ作戦を追求する可能性が高い。

第一に、戦争ではない手段で台湾を併合すれば、中国の他の大戦略目標(Chinese grand strategic objectives)にダメージを与える可能性を大幅に抑えることができる。中華人民共和国の長期的な戦略目標は、包括的な国力を構築し続け、世界を主導する超大国になることだ。そして、国際政治秩序を決定的に再編成し、自らをその中心に据えることを目指している。中国の国家最高指導者の習近平は、台湾を大陸と統一することがこの大戦略の重要な要素であると考えていることは明らかだが、本格的な、そしておそらく、世界規模の戦争を始めることで、中国の地政学的支配への歩みを危険に晒すことを嫌っているのかもしれない。

第二に、政治戦(political warfare)と限定的な運動行動を中心とした、戦争に至らない戦略が成功する可能性がある。台湾の直近の選挙では、国内の政治的分裂が浮き彫りになり、アメリカの支持に対する懐疑的な見方が高まった。このような感情は、台湾が国際的に孤立しているという事実によって更に強化されている。台湾の地位は国際問題において特異なもの(sui generis)であり、世界の諸大国に承認されていない、完全に機能する国民国家(nation-state)である。このことは、台湾の見捨てられてしまうという、理解できる恐怖を中国が操る隙を生み出す。

第三に、戦争に至らない戦略は、中国の戦略的思考とこれまでの行動と一致している。中国の戦闘コンセプトの中には、伝統的な運動論的武力の行使を超える手段を用いて戦争を戦うことの有用性に言及しているものが数多くある。これらのコンセプトは、南シナ海や東シナ海、台湾海峡における中国の「グレーゾーン作戦(gray zone operations)」において定期的に採用されてきた。一般的な成功例からすると、中国は台湾併合作戦において、これらの手段の採用を強化する可能性が高い。

私たちの新しい報告書は、北京が現実的にそのような戦略を達成できることを示している。中国の戦略立案者たちの考え方を採用することで、私たちは、中国が侵略や明白な軍事封鎖(overt military blockade)を行うことなく台湾に対する政治的支配を確立できるような、実現の高い戦争に至らない強制作戦を考案した。

私たちがモデルとした作戦は、台湾の新総統の就任からその一期目までの4年間にわたって実施された。この期間中、中国は米台関係を破壊し、台湾政府の統治能力を低下させ、台湾の抵抗意志(Taiwanese will to resist)とアメリカの台湾支援の意欲を著しく損なうだろう。

私たちは、4年間にわたる絶え間ない中国の空軍および海軍の侵攻、準封鎖(quasi-blockade)、政治戦と工作(political warfare and manipulation)、台湾の重要インフラに対する大規模なサイバーおよび物理的破壊行為(extensive cyber and physical sabotage of Taiwan’s critical infrastructure)、および沖合の島々への致命的な武力が、台湾政府内で「認知的過負荷(cognitive overload)」を引き起こし、台湾国民全体が混乱を感じるようになっている。

このような作戦の過程で、アメリカは中国の情報戦(information warfare)に晒され、特に中国との新たな経済協定の後、台湾は戦争をする「価値がない(not “worth”)」と確信するようになるだろう。アメリカの対応を麻痺させる中国の能力に懐疑的な人々は、2015年以来、ウクライナをめぐるNATOとの決裂につながりかけたロシアの対アメリカ政治戦争に注目していない。特に、中国による苦痛を与える作戦が、アメリカが準備している侵攻の兆候や警告を何ら引き起こさないのであれば、アメリカは中国の強制的な作戦には参加しない可能性が高い。

私たちが想定している作戦では、台湾が混乱に陥り、最強の同盟国から見捨てられたように見えるということになる。中国は「和平(peace)」を申し出る機会を捉え、北京が指示するガイドラインに従って協力する代わりに、強制的な作戦を停止し、ある程度の自治を保証することを約束する。

そして、台湾政府は中国の一部になることを望んでいないにもかかわらず、最終的には中国の望む統一につながるであろう計画に同意することで、国民の苦しみを終わらせることを選択する。

私たちの報告書に概説されているシナリオは、私たちが必然的に起こると考えていることの評価を表している訳ではない。むしろ、戦争による強制という短時間のシナリオが現実的であり、非常に危険であることを示そうとしている。

このような戦略を阻止するために、アメリカ、台湾、そして地域の同盟諸国が取るべき手段はいくつかある。これらの政府は、国際法の下での台湾の主権的権利(Taiwan’s sovereign rights)を明確に示すことから始めなければならない。そうすることで、封鎖や船舶検査体制(shipping inspections regimes)を「内政問題(internal matters)」として正当化する中国の法律戦作戦(lawfare campaigns)に対抗することができる。

台湾とアメリカの両政府は、台湾の対干渉・対破壊工作の法的権限と能力(Taiwan’s counter-influence and anti-subversion legal authorities and capabilities)を向上させるためにも協力すべきである。この協力は、台湾が封鎖や封鎖に類似した経済活動に耐えられるようにするための、より広範な取り組みにも及ぶべきである。

最後に、アメリカ主導の連合は、中国の軍事的威嚇努力を阻止するために政治的、経済的コストを課すべきである。例えば、現在の台湾海峡での中国の空軍侵攻に対する回答は、台湾と国際社会との間の民間航空協力の拡大と、地域の防空体制への台湾の統合の両方であるべきである。

中国政府は、進行中の「グレーゾーン(gray zone)」作戦を強化するなど、台湾の支配を成功させるための多くの方法を持っている。中国は、台湾社会に多大な苦痛を与え、アメリカの介入(U.S. intervention)を阻止するための、戦争強制以外の組織的な作戦において、主に台湾の国際的孤立(Taiwan’s international isolation)と同盟関係の欠如(lack of alliance relations)といった台湾の脆弱性(Taiwanese vulnerabilities)を利用しようとする可能性がある。

中国が威圧的な取り組みを強化しそうな手段に焦点を当てることで、アメリカはそれを克服することができる。

※ダン・ブルーメンソール:アメリカ・エンタープライズ研究所上級研究員。
※フレッド・ケーガン:アメリカ・エンタープライズ研究所クリティカル・スレッツ・プロジェクト部門部長。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカのジョー・バイデン大統領は、中国からアメリカに輸出される電気自動車の関税を100%に引き上げると発表した。電気自動車をめぐり、米中の間は争いになっている。

バイデン大統領が強いドル政策を維持していれば、自然とアメリカからの輸出は高くなり、中国からの輸入は安くなる。関税を引き上げて、国内メーカーを保護するにしても、アメリカ最大の電気自動車メーカーであるテスラは中国との関係は悪くないし、既に進出して一定のシェアを保っている。

アメリカのテスラ(Tesla Motors)のイーロン・マスクは、中国との関係が悪くないどころか、良好である。上海にテスラの工場があり、テスラにとっての最大の市場は中国市場である。テスラのイーロン・マスクにしてみれば、バイデン政権の輸入電気自動車の関税引き上げは、中国からの報復を引き起こす可能性があり、迷惑なことだろう。テスラは電池だけの電気自動車に特化しており、バッテリー関連で制裁されると、テスラにとっては大きな痛手となる。イーロン・マスクがバイデンを支持していないこと、アメリカの三大メーカーが電気自動車で後塵を拝していることから、関税引き上げがやりやすかったということが考えられる。

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 バイデンの関税引き上げは、国家安全保障上の懸念から実施された面がある。アメリカ国内で中国メーカーの電気自動車が「コネクテッド・ヴィークル(connected vehicles)」であり、個人情報の流出やハッキングを警戒している。コネクテッド・ヴィークル「インターネットを介し、さまざまな情報を送受信できる次世代の自動車」のことであり、ジーナ・ライモンド米商務長官は中国製の電気自動車を「車輪のついたスマートフォン」と呼んでいる。個人情報が外国(中国)に流れることを懸念している。また、ハッキングされたり、遠隔操作をされたりして、運転できない状態にされることや、この電気自動車を通じて、政府機関のコンピュータへの侵入されてしまうことを懸念している。アメリカ国内市場で、安価な中国製の電気自動車がシェアを伸ばすことは、こうした懸念を増大させることになる。しかし、他国からすれば、アメリカ製の電気自動車に対して、同様の懸念がある。
 今回のバイデン大統領の措置は経済的な懸念というよりは、安全保障上の懸念の側面が強いということになる。また、政治的に見て、自分の再選に大きな影響がないと判断したものでもあるだろう。

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●「バイデン氏、中国製品国家経済会議分への関税引き上げ 電気自動車は100%に」

2024.05.14 Tue posted at 20:30 JST CNN

https://www.cnn.co.jp/usa/35218904.html

ワシントン(CNN) バイデン米大統領は14日までに、中国からの輸入品のうち、国家安全保障に戦略的な重要性を持つ180億ドル(約2兆8000億円)相当の製品に対する関税を引き上げる方針を明らかにした。

鉄鋼やアルミニウム、汎用(はんよう)(レガシー)半導体、電気自動車、バッテリー部品、重要鉱物、太陽電池、クレーン、医療用品などに適用される。

電気自動車の関税を現行の27.5%から100%と約4倍に引き上げるほか、太陽光パネル関連は50%、他分野の製品は25%とする。

米国家経済会議(NEC)のブレイナード議長は、中国が自国の成長のために他国を犠牲にする戦略を続けていると批判した。

トランプ前大統領は在任中、中国から輸入される3000億ドル相当の製品に追加関税を課した。この措置は4年に1度、効果を検証することが法律で義務付けられている。バイデン政権の新たな関税は、この検証結果に基づいているという。

ホワイトハウス当局者らによると、バイデン政権は政策の優先順位に沿って算定法の見直しも図り、クリーンエネルギー技術に重点を置いた。

中国はこれまでの関税に、高い報復関税で対抗してきた。ホワイトハウスは、中国が今回どのような対抗措置を取るかについての言及を避けた。

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バイデン氏、中国の電気自動車を取り締まる(Biden Cracks Down on Chinese Electric Vehicles

-外国の「コネクテッド・ヴィークル(connected vehicles)」に関する新たな調査は、将来的に北京のハイテク部門に対する措置を可能にする可能性がある。

A new investigation into foreign “connected vehicles” could enable future action against Beijing’s tech sector.

クリスティーナ・リュー、リシ・イエンガー筆

2024年3月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/01/biden-china-electric-vehicles-tech-security-investigation-commerce/

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中国東部の江蘇省にある蘇州港にある国際コンテナターミナルで船への積み込みを待つBYD製の電気自動車(2023年9月11日)

バイデン政権は木曜日、米商務省に対し、中国製の「コネクテッド・ヴィークル(connected vehicles)」がもたらす潜在的な国家安全保障上の脅威を調査するよう命令した。これは、中国との関係のリスクを軽減し、中国のハイテク産業に対して、圧力をかけようとするアメリカの最近の取り組みを示すものである。

ジョー・バイデン米大統領は声明の中で次のように警告している。「これらの電機自動車は、私たちの電話やナビゲーションシステム、重要なインフラ、そしてそれらを製造した企業に接続されている」と述べた。このような自動車は、わが国の市民やインフラに関する機密データを収集し、そのデータを中華人民共和国に送り返す可能性がある」。これらの電気自動車事態は「遠隔操作でアクセスされたり、機能停止させられたりする」とバイデンは述べている。

中国は電気自動車(electric vehicleEV)生産大国に成長し、アメリカとヨーロッパの同盟諸国を動揺させてきた世界の産業内で支配的な地位を築いている。バイデン政権が発表した調査は、テクノロジーへの懸念が米中関係を支配するようになった最新の例であり、車両を対象とした将来のアメリカの措置の基礎を築く可能性がある。

バイデンは続けて次のように述べている。「中国は、不公正な慣行を用いるなどして、将来の自動車市場を支配しようとしている。中国の政策は、私たちの市場に中国製の電機自動車を氾濫させ、私たちの国家安全保障にリスクをもたらす可能性がある。私の目の前でそのようなことが起こるのを許すつもりはない」。

バイデン政権の最新の攻撃は、テクノロジーの未来と未来のテクノロジーの両方をめぐる米中競争の、より広範なエスカレートに当てはまる。半導体チップ(semiconductor chips)、人工知能(artificial intelligence)、対外技術投資(outbound tech investment)に対する行動が最も注目されているが、ワシントンは更に多くの蛇口を閉めようとしているようだ。

コロラド鉱山大学ペイン研究所のモーガン・所長は、本誌に宛てた電子メールの中で、バイデン政権が発表の中で国家安全保障上の必要性を強調したことに触れながら、「これは米中間の現在進行中の貿易戦争の一環のように考えられる」と書いている。

バジリアンは、「確かに、サイバーとデータの面で実際のセキュリティ上の脅威は存在するが、私にとって主な推進力は経済的な闘争のように見える」と付け加えた。

こうした経済的懸念は、アメリカに限ったものではない。ここ数カ月間、安価な中国製電気自動車の流入に対する懸念は、中国政府の主要電気自動車市場の1つであるヨーロッパでも動揺しており、ヨーロッパ議会議員らは、中国政府が国内の電池式電気自動車メーカーに与えた補助金疑惑について調査を開始するまでに至っている。中国政府は、中国の電気自動車に補助金を与えることで、EUの電気自動車メーカーを圧倒しているという疑いだ。中国の電気自動車輸出は過去3年間で851%と爆発的に増加し、中国製のほとんど電気自動車がヨーロッパ市場に上陸した。

アメリカにおける中国製電気自動車の販売は依然として比較的小規模だが、特にバイデン大統領と共和党の対抗馬となる可能性が高いドナルド・トランプ前大統領が、11月の大統領選挙に向けて準備を進める中、アメリカの政治論争でも、ヨーロッパにおけるのと同様の懸念が浮上している。バイデンは先月、全米自動車労働組合がバイデン大統領の再選を正式に支持し、政治的に大きな勝利を確実にした一方、トランプ前大統領は自動車労働者の支持を集めるために選挙期間中、バイデンの電気自動車政策を激しく非難してきた。

そして実際、バイデンは木曜日の声明で、自身の政治的動機を隠そうとはしなかった。バイデンは次のように述べた。「大統領として、私は自動車労働者と、自動車産業に雇用を依存する中流家庭に対して正しいことをすると誓った。今回の措置やその他の措置によって、私たちは、自動車産業の未来がここアメリカでアメリカ人労働者によって作られることを確実にするつもりだ」。

戦略国際​​問題研究所の中国ビジネス専門家イラリア・マッツォッコは、「自動車産業をめぐる政治経済は非常に強力かつ重要だ。中国の電気自動車が先進諸国の主要産業を、非常に破壊的な形で脅かす可能性があるという深刻な懸念があると考えている」と述べている。

複数の米政府高官は、今回の調査は、データをめぐる国家安全保障上の懸念に根ざしていると強調する。ジーナ・ライモンド米商務長官は、「コネクテッド・ヴィークルにアクセスできる外国政府が、国家安全保障とアメリカ国民の個人的プライバシーの双方に深刻なリスクをもたらす可能性があると考えるのは、ほぼ想像力を必要としないものだ」と述べ、電気自動車を「車輪のついたスマートフォン(smart phones on wheels)」と例えた。

ライモンド長官は、「これらの自動車に搭載され、広範囲のデータを取得したり、コネクテッド・ヴィークルを遠隔操作で無効化したり、操作したりできる技術の範囲を理解する必要がある」と続けて述べた。

バイデン政権の今回の発表は、中国やロシアを含む6つの「懸念国(countries of concern)」に対する、アメリカ人の個人データの売却を制限することに焦点を当てた大統領令を発表した翌日に行われた。この大統領令では、ゲノムデータ(genomic data)、バイオメトリックデータ(biometric data)、金融データ(financial data)、個人健康データ(personal health data)、地理位置情報(geolocation data,)、そして個人を特定できる特定のカテゴリーという6つの機密情報のカテゴリーについて概説している。

しかし、データの流れを監督し取り締まることはより難しくなる可能性があり、バイデン政権による最新の規制は、アメリカ市民にとって意図しない結果をもたらす可能性があると、アメリカ自由人権協会(ACLU)は水曜日に警告した。ACLU上級政策顧問コーディ・ヴェンスキは声明の中で次のように述べた。「この大統領令は、政府の干渉を受けずに情報を共有しアクセスする私たちの権利を更に侵食し、消費者たちがプライバシーとセキュリティのニーズに最も適したオンラインサービスを選ぶことを禁じ、プライバシーを保護するどころか、むしろ害する結果になりかねない」。

ヴェンスキは続けて、「私たちのオンライン上の安全を本当に守るために、バイデン政権はその代わりに、私たちに関して収集されるデータの氾濫を食い止め、暗号化のような強力な保護を受け入れる、強固なプライバシー法を可決するよう議会を後押しすることに集中すべきだ」と述べた。

この2つの措置は互いに接近しており、中国のアメリカのテクノロジーへのアクセスを遮断することを目的とした過去数年間にわたる一連の大統領指示の最新のものである。

戦略国際​​問題研究所(CSIS)の貿易・技術専門家エミリー・ベンソンは、「これらの政策を総合すると変化が起こり、新たなパラダイムが生まれる。全体として、テクノロジーがこの新たな経済と国家安全保障の課題の最前線にあるということは、改めて非常に明白な象徴であり、それがすぐに変わる可能性は低い」と述べている。

※クリスティーナ・リュー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。ツイッターアカウント:@christinafei

リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。ツイッターアカウント:@Iyengarish

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。米中関係についても書いておりますので、是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米中貿易戦争はドナルド・トランプ前政権から始まった。制裁的な関税をかける競争を行ったが、こうした状況はジョー・バイデン政権でも変更がない。バイデン政権は対中強硬姿勢という点ではトランプ前政権を踏襲しているということになる。

アメリカ連邦議会は、米中経済安全保障評価委員会という委員会を設置し、中国の経済や貿易に関する評価を依頼したそうだ。そして、委員会は勧告書を発表し、更なる制裁的な対応を行うように勧告している。アメリカ経済は中国経済に依存し、結果として中国をここまで大きくした。そして今頃になって、中国経済や貿易の慣習はおかしいとして、制裁を加えようとしている。

 一方、中国はアメリカ依存からの脱却を目指している。中国は基本的に、アメリカにとっての「工場」として機能してきたが、重要な部品は中国国内で開発できず、「組み立て工場」の地位に甘んじてきた。それでは先はないということを分かっていた。そこで、重要な部品の研究開発を2010年代から始め、その成果が出つつある。そのことを最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で書いた。是非お読みいただきたい。

 アメリカは逆に国内での工業生産を復活させようとしているが、それはうまくいっていない。アウトソーシングしつくしたアメリカ国内に工業生産を復活させる力は残っていない。ウクライナ戦争において、アメリカは大量の武器や装備をウクライナに支援してきたが、そのために、アメリカ軍自体が武器や装備不足に落ちっているが、その回復の見込みは立っていない。厳しい状況だ。

 アメリカは中国に依存すべきではなかった、「アメリカと経済的に接近すれば中国は変化する」という理由付けは間違っていたということになるが、それは今更の話である。それではアメリカはどうすべきなのかということで、アメリカは解決策を見いだせないでいる。中国が一枚上手だったのである。

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米中貿易戦争はヒートアップする可能性が高い(U.S.-China Trade War Could Heat Up

-米連邦議会委員会はバイデンに対して中国との貿易関係を再考するように望んでいる。

ジャック・ディッチ筆

2022年11月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/15/u-s-china-trade-war-wto-sanctions-xi-jinping-biden-trump/?tpcc=recirc_latest062921

米連邦議会が委任した委員会は、バイデン政権に対し、中国が略奪的な貿易慣行に従事しているかどうかを評価するよう求めており、この評価が、最終的に、アメリカが中国との通常貿易関係を永久に停止させることにつながる可能性がある。

もしこの勧告の内容が採用されれば、米中経済安全保障評価委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)が火曜日に発表した連邦議会への年次報告書は、20年にわたる貿易関係をひっくり返し、2つの超大国の間の既に乱れた力学をさらに揺るがすことになるだろう。中国が世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)への加盟を推進する中、2000年に連邦議会が承認したいわゆる恒久的な通常貿易関係を撤回することで、アメリカは中国の輸入品に対する関税を更に引き上げるための舞台を整えることができる。トランプ政権は2019年、様々な中国製品に25%の関税をかけた。

超党派の委員会は、基本的にトランプ時代の中国との経済対決をさらに推奨しており、ワシントンの多くの人々は、ここ数十年のアメリカ国内の製造業の雇用喪失と、アメリカの経済競争力の浸食の原因を中国に求めているのだ。

米中経済安全保障評価委員会委員長で、トランプ政権時代の国務省元高官であるアレックス・ウォンは次のように語った。「これはバイデン政権にも連邦議会にも権限を与え、連邦議会にも、うまくいかない、アメリカの利益に役立たない貿易関係を再調整するためのものだ。この委員会は、米中関係に影響を与えるだろうか? もちろんそうなるだろう。しかし、そこが重要だ。私たちは、対中貿易関係を評価し、適切に再均衡するために、連邦議会とバイデン政権がこの仕組みを検討することを推奨している」。

アメリカはWTOの最恵国待遇貿易規則(WTO’s most-favored-nation trade rules)を広く適用しており、この規則は加盟諸国に対し、他のすべての加盟国に同じ条件を適用するよう求めている。ヨーロッパ連合(EU)やアメリカ・メキシコ・カナダ協定など、自由貿易協定には例外もあるが、アメリカはキューバと北朝鮮を除くほとんどの国に自由な地位を与えている。WTOの規則によれば、アメリカは国家安全保障の例外として、中国の最恵国待遇を取り消すことができる。これはまた、中国が20年来の貿易関係において、その取り決めを守っていないことを認めることにもなる。具体的には、委員会は中国がWTOの誓約に違反し、産業補助金(industrial subsidies)を制定し、知的財産を盗み、保護主義的な政策を実施し、アメリカ企業に損害を与えていることを指摘した。

特恵貿易ステータスの取り消しが決定されれば、連邦議会は貿易関係の再評価を迫られることになる。これまでのところ、バイデン政権はドナルド・トランプ前大統領が最初に導入し、中国政府からの数十億ドルの報復関税につながった一連の関税をほぼ維持している。中国の略奪的な貿易慣行を見直す動きは、この問題への対応が遅れているアメリカの官僚機構を混乱させる可能性もある。『フォーリン・ポリシー』誌は9月、キャサリン・タイ米通商代表部が中国からの輸入品に関する4年間にわたる見直しを来年まとめる予定だと報じた。

しかし、たとえバイデン政権と連邦議会が、ホワイトハウス部局の設置からアメリカのサプライチェーンの強化、対中エネルギー封鎖の実現可能性まで、すべてを網羅する報告書の、39点の広範な勧告の実施を決定しなかったとしても、この報告書は、ワシントンが政治的通路の両側で中国に対してよりタカ派的なスタンスを採用することに拍車をかけている。

2022年10月、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、バイデン政権の国家安全保障戦略を発表したジョージタウン大学でのスピーチで、冷戦後の時代は「最終的に終わった(definitively over)」と宣言した。中国のWTO加盟後、議会法に基づいて設置された委員会は、北京の貿易慣行に対して、より厳しい姿勢を取り、中国が組織的に自国通貨を過小評価し、不公正な貿易慣行に関与することでアメリカの貿易赤字を膨らませてきたという主張を20年近く続けてきた。

一方、中国もアメリカへの経済依存(economic dependence)からの脱却に向けた動きを見せている。 2022年9月の第20回中国共産党大会で歴史的な3期目の任期を与えられた中国の指導者である習近平は、アメリカおよび西側諸国からの輸​​入、特に重要技術に対する中国の依存度を減らすことを目的とした「二重循環(dual circulation)」戦略を推し進めてきた。バイデン政権は、ウクライナへの本格的な侵攻に対抗して、ロシア国内のコンピューターチップを減少させようとしており、半導体生産をアメリカに戻すことを目指すCHIPS法など、最近のアメリカの法律は中国のハイテク分野を脅かしている。報告書はまた、台湾に対する中国の軍事行動に対抗するための制裁やその他の経済措置を検討する常設のアメリカ政府委員会の設置を議会に求めている。

WTOが中国の貿易慣行を取り締まることができない中で、トランプ政権がWTOを意地でも中途半端にしていることもあり、米中経済安全保障評価委員会はワシントンの政策立案者たちに立ち上がるよう働きかけている。

ウォンは、「1999年の投票にさかのぼれば、それは本質的に、このステータスを付与することが私たちの貿易関係を繁栄させるだけでなく、中国との関係全般の改善につながり、中国を国際システムに引き入れ、より大きな安定を生み出すという、アメリカ側の情報に基づいた賭けだった。そして20年後、私たちの賭けがうまくいったのか、それともそれによって私たちが傷ついたのかが強く問われている」と述べている。

※ジャック・ディッチ:『』誌米国防総省・安全保障分野担当記者。ツイッターアカウント:@JackDetsch
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 「中国怖い怖い」「中国が攻めてくる」「中国と戦ってやる(アメリカが戦う前提で)」という浅薄な中国脅威論が日本でも幅を利かせている。これは、中国に関するある一つのイメージに基づいて、事実を冷静に分析することなしに、自分勝手なストーリー作りということになる。外国を知る、外国の知識を蓄積する、データを集め分析するということは大変難しい作業だ。大きな象を数十センチの至近距離から見るようなもので、頭を見るか、鼻を見るか、足を見るかということになって、全体を把握することは難しい。文化が違う国を理解することは難しい。しかし、「難しい、難しい」と言い続けるだけでは、意味がない。私たちは手に入る知識やデータを冷静に、客観的に分析するという技法を獲得しなければならない。

 アメリカは戦後しばらく、ソ連(ロシア)研究に多額の資金を投入し、多くの俊才がソ連研究に参加した。1970年代からは日本研究、そして現在は中国研究に資金と人材を投入している。それでは、どれだけの成果を挙げているのかという話になると、これはなかなか難しい。各分析家、研究家、学者たちがそれぞれの意見を述べているが、その幅も広い。アメリカでも「中国怖い怖い」から「冷静に観察しよう」まで、専門家発で様々な意見が飛び交っている。

 中国の台頭は事実である。経済的にも軍事的にも政治的にも世界の大国になっている。こうした事実を踏まえて、中国を「正しく」怖がるということが必要だ。その際に、まず過激な意見や分析は排除すべきだ。こうした意見や分析はどこか無理が出る。自分たちの願望に基づいたストーリーなので、事実とは合わないところも出てくる。そうした部分を敏感に感じられるようになるべきだ。

 アメリカが中国を正しく怖がることができれば、世界の安定と平和が保たれる。現在のジョー・バイデン政権の外交政策を司る人物たちは、そうしたことができていないようである。だから、世界は不安定になり、平和に対する脅威が高まっている。

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中国をどれだけ怖がるべきか(Here’s How Scared of China You Should Be

-このことはこれから述べる5つの疑問に対する回答による。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年8月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/08/07/china-rise-geopolitics-great-power-scared/

アメリカの大戦略(grand strategy)に関する現在の議論で重要なことは、中国との競争に優先順位を置くべきかどうかという疑問である。アメリカはこの疑問の解決に向けて、どれだけのリソース(資金、人材、時間、関心など)を対中関係に割くべきなのか? 中国はアメリカがこれまで直面したことのない地政学的な最大の挑戦者(脅威)なのか、それとも土台が弱い、砂上の楼閣なのか? 中国への対抗は、他の全ての問題(ウクライナ、気候変動、移民、イランなど)よりも優先されるべきなのか、それとも数ある問題の中の1つに過ぎず、必ずしも最重要ではないのか?

エルブリッジ・コルビーのような一部の専門家にとって、中国対策は最優先事項であり、アメリカの指導者はウクライナやその他の外交問題に気を取られてはならないということになる。私の共著者であるジョン・ミアシャイマーと、ハーヴァード大学での同僚であるグレアム・アリソンも同様に、中国からの挑戦、特に戦争リスクの高まりに懸念を抱いているようだ。最近の米外交問題評議会(Council on Foreign Relations)のタスクフォースは、アジアにおける軍事的トレンドが中国に有利にシフトしていると主張し、特に台湾海峡における抑止力(deterrence)強化のための努力を強化するよう求めた。ハル・ブランズとマイケル・バックリーは、中国のパワーはピークに近づきつつあり、北京が最終的な衰退を食い止めるためにできることはほとんどないと考えている。対照的に、クインシー・インスティチュートの同僚であるマイケル・スウェインとコーネル大学の学者ジェシカ・チェン・ワイスは、私たちは中国がもたらす危険を誇張していると考えており、2つの国家が疑心暗鬼の自己充足スパイラル(self-fulfilling spiral of suspicion)に陥り、最終的にどちらが競争に勝つにしても、両者がより悪い状況に陥ることを心配している。

これらの様々な評価は、最近の中国の将来の進む道筋に関する意見のほんの一例に過ぎない。誰の考えが正しいか、私には分からない。読者である皆さんもそうだろう。これらの専門家の中には、私よりも中国についてよく知っている人もいることは認める。もちろん私にも直感はあるが、真剣に中国を観察している人たちのコミュニティが統一的なコンセンサスを得られていないことに不満を感じている。そこで、公益事業として(そして彼らを少し鼓舞するために)、中国に関する私の大きな疑問トップ5を紹介しよう。これらの質問に対する答えは、あなたがどれだけ心配すべきかを教えてくれるだろう。

第1問:中国経済の未来は明るいのか、暗いのか、それともそれらの中間か?

国際政治におけるパワーは、最終的には経済にかかっている。「ソフト・パワー(soft power)」、個々の指導者の天才性、「国民性(national character)」の重要性、偶然の役割など、いくらでも語ることはできる。簡単にまとめると、国が自国を守り、より広い環境を形成する能力は、最終的にはその国の経済力にかかっているということになる。大国になるには人口が多くなければならないが、同時に相当な富と多様で洗練された経済も必要となる。高度な兵器を大量に製造し、一流の軍隊を訓練し、他国が買い求め、自国民の生活を豊かにする商品やサーヴィスを提供し、世界中に影響力を行使できる余剰資金を生み出すことができるのは、ハードな経済力があってこそということになる。他国から有能で経済的に成功していると認められることは、他国から尊敬され、助言を聞いてもらい、自国の政治モデルの魅力を高める良い方法でもある。

過去40年間の中国の経済パフォーマンスは特筆すべきものであり、大国から脱落するほど中国経済が悪化するとは誰も考えていない。しかし、新型コロナウイルス後の不振が示すように、中国経済は現在、弱まる見込みのない逆風に直面している。高齢化と人口減少が進み、増え続ける定年退職者を支える労働者はますます少なくなっている。若年層の失業率は21%を超え、全要素生産性の伸びは過去10年間で急激に低下している。中国の金融システムは依然として不透明で大幅な債務超過であり、先行成長の主要な源泉である不動産セクターは特に問題を抱えている。これらを総合すれば、なぜ多くのアナリストが中国の長期的な見通しについて悲観的なのか、容易に理解できるだろう。これから述べるように、アメリカの政策と中国の指導者の資質が、これらの問題を更に悪化させる可能性がある。

しかし、中国を空売りするのは危険な賭けということになる。中国の産業は、太陽光発電や風力発電技術など重要なセクターを独占しており、電気自動車産業は他国を凌駕している。世界トップクラスの建設会社のうち3社(年間売上高1位を含む)が中国企業だ。中国は、重要な鉱物や金属へのアクセスを確保するために多大な労力を費やしてきた。中国が将来にわたって主要な経済プレーヤーであり続けると予測するに足る十分な理由がある。大きな問題は、中国がアメリカを追い越すのか、それとも経済力のほとんどの面で永久に遅れを取るのか、あるいは大まかに同程度になるのか、ということだ。その答えが分かれば、どの程度心配すべきなのかが分かるはずだ。

第2問:アメリカの輸出管理(export control)は機能するだろうか?

1つ目の質問にどう答えるかは、ジョー・バイデン政権の対中経済戦争が成功すると思うかどうかにかかっている。中国が先端半導体(および関連技術)にアクセスできないようにすることで、アメリカはこの重要な分野での技術的優位を維持したいと考えている。アメリカ政府高官たちは、こうした措置は狭い国家安全保障上の懸念(ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は「小さな庭と高いフェンス(small yard and high fence)」と表現している)に限定されたものだと主張しているが、本当の狙いは、中国の技術的進歩をより広い範囲で遅らせることにあると思われる。

ここで出てくる疑問は、このキャンペーンが長期的に成功するかどうかということだ。部分的なデカップリング(切り離し)であっても、コストがかからないということはない。このような制限は、アメリカや、アメリカのキャンペーンに協力しなければならない他の国々の技術革新を遅らせることにつながるだろう。技術的障壁が100%有効であるということはなく、この政策は中国に、時間をかけて自給自足を高める大きなインセンティヴを与えることになる。これらの理由やその他の理由から、これらの措置がどれほど効果的であるかについては、十分な知識を持った専門家の間でも意見が分かれている。

1941年に日本に対して行ったように、輸出管理が功を奏した場合、対象となる国家が黙ってそれを受け入れるとは限らないことを忘れてはならない。中国は既にアメリカ企業や同盟諸国に報復しており、その対抗措置はそれだけにとどまらないかもしれない。

しかしながら、重要なことは、このキャンペーンがうまくいくと思っているのであれば、中国がアメリカの優位性や既存の世界秩序に長期的な挑戦をしてくることを心配する必要はないということだ。しばらくはうまくいくかもしれないが永遠には続かない、あるいはいずれ中国や他の主要国で反発を招くと考えるのであれば、もっと懸念すべきである。

第3問:習近平はもう一人の毛沢東なのか、それとももう一人のリー・クワン・ユーなのか?

中国の急速な台頭は、毛沢東支配以後の「集団指導(collective leadership)」の下で始まった。たとえ鄧小平が中国共産党のヒエラルキーの中で「同輩中の首席(first among equals)」であったとしても集団指導体制が堅持されてきた。しかし今日、習近平は毛沢東時代以降初めて、権力を自身に集中させ、毛沢東のようなカルト的な人格崇拝を促進している。そうした人格崇拝においては、彼の思想は完全無欠、無誤謬であり、彼の決定に疑問を呈することは不可能ということになる。

一国の権力を1人の人間に任せきりにすることは、たいていの場合、災いの原因となる。人間は無誤謬ではない。野心的で意志の強い人物が制約を受けることなく活動できるようにすれば、大きな過ちを犯し、長い間修正されない可能性が高くなる。毛沢東の無謀な大躍進政策[Great Leap Forward](何百万人もの死者を出した飢饉を引き起こした)や、文化大革命(Cultural Revolution)で中国が被った被害を考えれば明らかだ。それでもまだ警告が足りないなら、トルコのレセップ・エルドアン大統領の金融政策に対する悲惨な見解や、かつてツイッターとして知られていたソーシャルメディア・サイトでイーロン・マスクが仕切るようになって起きている大混乱の代償について考えてみればいい。

確かに、不利な状況を逆転する、もしくは市場を打ち負かし続け、深刻な誤りを犯すことのないごく少数の人物たちが存在する。ウォーレン・バフェットやリー・クワン・ユーはそのレヴェルに近いかもしれないが、ほとんどの指導者はそのレヴェルに達していない。私が言いたいのは、中国の短期的、中期的な未来は、習近平が自分で思っている半分でも賢いかどうかに大きくかかっているということだ。最近の秦剛前外交部長と軍幹部数名の粛清が思い起こさせるように、習近平は明らかに権力強化の天才である。しかし、彼は新型コロナウイルスの管理を誤り、中国経済で最も輝かしいスターの何人かを貶め、中国の世界的イメージの着実な低下を指揮してきた。そして、権力を手に入れれば入れるほど、彼の政策判断は悪化しているように見える。中国経済の見通しについて弱気な人は、習近平がおそらく終身的に指導者の地位に座り続けるであるという事実を心強く思うかもしれない。

第4問:アジアは効果的にバランスを取るか?

習近平の大きな失敗の1つは、中国の近隣諸国が力を合わせて北京を牽制しようとするのを効果的に阻止しなかったことだ。中国の台頭は他のアジア諸国にとって何らかの懸念材料になるはずだったが、中国の世界的野心を公然と宣言し、「戦狼外交(wolf warrior diplomacy)」を採用し、知覚された侮辱に過剰反応し、台湾や南シナ海で攻撃的なサラミ戦術(訳者註:敵を少しずつ撃滅していく戦術)を採用したことで、問題は更に悪化した。

その結果はどうなるか? インドとアメリカは接近を続け、現在では日本とオーストラリアとともに四極安全保障対話(Quadrilateral Security Dialogue)に参加している。AUKUS協定は、アメリカ、オーストラリア、イギリスの戦略的関係(および安全保障協力)を強化した。日本は防衛費を急増させ、韓国との微妙な関係を修復しつつある。より遠い地域においては、ヨーロッパ連合(European UnionEU)が中国からの投資に魅力を感じなくなりつつあり、ヨーロッパとアジアの世論は中国の国際的な役割に警戒感を強めている。

とは言え、こうした措置の最終的な効果はまだ分からない。以前にも書いたように、アジアにおける均衡する連合(balancing coalition)は集団行動上の重大な問題に直面しており、ヨーロッパはそこで主要な戦略的役割を担う意図を持っていない。これらの国家を隔てる距離は大きく(そのため、遠くで問題が起きれば、一部の国家は引き下がるかもしれない)、誰も中国市場への完全なアクセスを失いたくはないし、韓国や日本のような国々には問題のある過去がある。これらの国の多くは、自分たちがただ乗りしている間、アンクル・サム(アメリカ)に中国に関する問題解決を任せたいと思うかもしれない。これらの国々はまた、アメリカが対立的になりすぎると神経質になる傾向がある。

バランス・オブ・パワー(力の均衡)理論(balance of power theory)、もしくは脅威理論(threat theory)から予想できるが、アメリカとアジアのパートナー諸国は今日、積極的に中国に対してバランスを取っている。もしそうであれば、中国がアジアで覇権(hegemony)を握る可能性はかなり低くなり、戦争のリスクは低下する。そうでない場合は、もう少し心配する必要があるだろう。この場合、アメリカが分裂しかねない連合を率い、やりすぎとやりなさすぎの間のスイートスポットを見つけられるかどうかに、多くのことがかかっている。それに賭けたい人はいるだろうか?

第5問:世界の残りの地域はどうするだろうか?

最後の疑問は、中国そのものについてではなく、世界の他の国々の対応についてである。明確なパターンが出現しつつある。中国を最も懸念するアジア諸国は互いにより接近し、アメリカに引き寄せられつつある。ヨーロッパ諸国の大半は、アメリカの保護に依存しているため選択の余地がなく、しぶしぶアメリカに尽き従っている。南アフリカ、サウジアラビア、ブラジル、そしてその他の国々にとっては、中国とアメリカの対立は、これらの大国が米中両国を翻弄し、米中両国との関係から利益を得るチャンスとなる。

ここで重要な問題となるのは、米中両国のうちどちらがこの新しいゲームを最も効果的にプレイできるかということだ。アメリカは過去30年間、多くの発展途上国において多くの善意を無駄遣いしてきたが、その失敗が中国にチャンスを与えている。しかし、「一帯一路構想(Belt and Road Initiative)」をはじめとする中国自身の行動は、多くの人が期待するようなゲームチェンジャーにはなっていない。アメリカはヨーロッパと東アジア・太平洋地域の大部分の国々と同盟関係を結び、中国はロシアと発展途上国の主要国と同盟関係を結び、その他の中堅国はその間を行き来している。これらのスコアカードの顔ぶれは完璧に一致する訳ではなく、チームを入れ替えた選手もいるだろうが、全体的なパターンは以前見たものと同様となっている。

更にもう1つについて述べる。

また、名前を知られていない選手もいるかもしれない。もし本当に中国について心配したいなら、あるいは脅威を煽ることが仕事の一部なのであるならば、部外者がその真偽を判断することがほとんど不可能なほどの、人々の恐怖心を煽り立てるシナリオにいつでも頼ることができる。1950年代の赤狩り(Red Scare)が典型的な例だ。多くのアメリカ人が、自分たちの社会の中に、愛国的な市民のふりをしながらも、実際には邪悪なクレムリンの支配者に密かに忠誠を誓っている大勢の人々が浸透してきており、蝕まれていると本気で信じていた。そのような懸念は過大で大袈裟だったが、誤りであることを証明する(disprove)ことも難しかった。私たちは他人の内心や忠誠心をどうやって知ることができるだろうか?

このような観点から見ると、中国のハッカーたちがアメリカの重要なインフラに密かに埋め込んだとされるコンピュータ・マルウェアを発見し、除去するためのアメリカの取り組みについて述べた最近の『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事をどう考えればいいのだろうか? 中国のハッカーたちの意図は、将来の衝突の際にアメリカの軍事的な反応を破壊する、もしくは遅らせることだと報じられている。サイバー空間における真珠湾攻撃の懸念は以前からあったが、この記事ではその危険性が非常に現実的であることを示唆している。と言うのも、マルウェアがどの程度効果的なのか分からないし、サイバーセキュリティの専門家がまだ見つけていない、もっと危険なコードがどこかに潜んでいないと100%言い切れないからだ。

しかし、ニューヨーク・タイムズの記事で私が驚いたのは、匿名のアメリカ政府高官たちへのインタヴュー(つまり、公式に許可されたリーク)に基づいているにもかかわらず、中国における同様の取り組みについてほとんど何も語っていないことだ。ある中国政府高官が、自国が直面しているサイバー攻撃について不満を述べているのを引用しているが、そのほとんどが「アメリカから」だと主張している。中国が何年も前からアメリカの重要なインフラにマルウェアを仕込んでいて、国家安全保障局や米サイバー軍司令部にいる資金力のある天才たちが防衛を演じているだけだとは考えにくい。もしそうなら、私たちはもっと大きな問題を抱えることになる。

中国をどのくらい怖がるべきか? 私には分からない。歴史に照らし合わせれば、アメリカは中国からの挑戦に過剰に反応する可能性の方が、過小に反応する可能性よりも高い。しかし、私たちの行動が過剰だと思うか、過小だと思うかは、上記の5つの疑問にどのように答えるかによって、かなりの程度変わってくる。賢明な中国の専門家たちが額を寄せ合い、意見の相違の幅を狭めようとしてくれるのであれば、これほどありがたいことはない。そうすることで、この重要な戦略的問題について、この問題に関心を持つ私たちが、より良い情報に基づいた議論を行えるようになる。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 中国がこれから世界覇権国(hegemony)となるという予想が多く出ている。超大国(superpower)となっていく過程を私たちは目撃しているということになるだろう。米中関係はとかく対立的に描写され、「中国が台湾に侵攻する場合にはアメリカは台湾を助けるのか」「米中戦争はいつ起きるのか」という「中国脅威論」に基づいた言説がふりまかれている。そして、「中国脅威論」に基づいて、日本の防衛費増額、そのための増税が行われている。この「中国脅威論」はアメリカ発の言説である。

 「中国が明日にも日本に攻めてくる」という煽動的な言葉は全く実態を伴っていない。中国が日本を攻撃することのメリットは何なのかということを冷静に考慮していない。中国が日本を屈服させることは軍事力を使わなくても簡単なことだ。日本経済の中国異存はどんどんと大きくなっている。中国の経済力を使えば日本を屈服させることなど簡単なことだ。また、中国が日本を占領して国民を奴隷化するなどということも起きない。こんな年寄だらけの国、腰が痛いの膝が痛いのと泣き言ばかりで奴隷労働もできない年寄ばかりの国を占領する意味などない。

 中国は対日本となると、ナショナリズムが先に来て強硬な姿勢になるが、これは東アジア近現代史を振り返れば仕方のないことである。特に第一次世界大戦時の「二十一か条の要求」以来、第二次世界大戦で日本が惨敗するまでの30年ほどは中国にとっては精神的に、また物理的に大きな屈辱を与えた。もともと日本を下に見ていたということからその屈辱感が大きくなったというのは中国の勝手ではないか、ということも言えるが、それでもなお、中国本土を戦場にした日本という事実は消えない。

そうしたことから、日本に対して冷静になれない部分が出てくるのは仕方がない。しかし、中国は外交的には冷静かつ抑制的であり、協調的である。そして、中国は現在の国際関係を大きく変更させようと自発的に動いているとは言えない。変化に対応しつつ、大きな変更、中国を中心とする国際秩序に関しては「時期尚早」という姿勢を崩していない。国際関係が変化しつつあるのは、アメリカの国力の衰退、ヨーロッパ諸国の経済的縮小という、これまでの主役たちの変化の都合である。世界経済の成長のエンジンである中国と東南アジアの好循環と西側諸国の悪循環によって世界は変化に直面している。

これに対して「中国脅威論」が出てくる。中国脅威論は突き詰めると、「中国がアメリカに取って代わる」ために、戦争を起こすということになる。「覇権交代を目指して戦争が起きる」というのは覇権戦争(hegemonic war)と国際関係論では呼ばれる考え方だ。この戦争は成功する場合もあり、失敗もある。失敗例としてはドイツが挙げられる。覇権国に都合の良い国際秩序を変更するために、挑戦する国(力を伸ばしている国)が出てくるということだ。現代で言えば、それは中国ということになる。しかし、中国は自分から戦いを挑むことはない。そして、騙されて戦争を仕掛ける、もしくは戦争に巻き込まれるということがないようにどっしりと構えている。西側諸国が中国に依存しながら、衰退して養分を中国に送り続けるという状況をできるだけ続けるのが中国の戦略だ。「熟柿(柿が熟して自然に落ちるまで待つ)」戦略ということになる。

 自分たちが衰えていく一方で、どんどん力と存在感を増していく国が出てくれば、それは「脅威」に見える。これを過剰に宣伝して回っているのがアメリカということになる。問題はアメリカだということになる。

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アジア地域における中国の覇権について心配するのは止めよう(Stop Worrying About Chinese Hegemony in Asia

-アメリカの抱える恐怖は不合理であるだけでなく、自己達成的予言(self-fulfilling prophecy)となる可能性がある。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年5月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/05/31/stop-worrying-about-chinese-hegemony-in-asia/

アメリカとアジアのパートナー諸国は、表向きは中国がインド太平洋地域における地域覇権国(regional hegemon)になるのを防ぐため、インド太平洋地域のパワーバランス(balance of power、力の均衡)を維持したいと考えている。彼らは、北京が近隣諸国を徐々に説得することで、アメリカから距離を置き、中国の優位性を受け入れ、重要な外交政策問題で北京の意向に従うようになることを懸念している。例えば2018年、ジェームズ・マティス米国防長官(当時)は、「中国は既存の世界秩序を書き換える長期的な計画を抱いている。明朝が彼らのモデルであるように見えるが、より強硬なやり方で、他国を朝貢国家にし、北京に屈服させることを要求している」と発言し、警告を発した。ラッシュ・ドーシやエルブリッジ・コルビーといった元米政府高官や、私自身も含め、アメリカの大戦略について執筆している著名なリアリストたちも同様の主張をしており、中国は「世界をリードする大国(leading global power)」になりたいと公言し、南シナ海やその他の場所でも現状を変えようとしていることから、こうした懸念は正当化されるように見える。

この見解の意味するところは悩ましいものだ。中国が積極的にアジア地域の覇権国家になろうとしており、アメリカがそれを阻止しようと躍起になっているのであれば、世界最強の二国間での直接衝突を避けることは難しいだろう。

しかし、こうした懸念は正当化されるのだろうか? 中国がアメリカをアジアから追い出し、真の地域覇権国になることができれば、中国はより良い方向に向かうかもしれないが、その目標はおそらく中国には達成できないものとなるだろう。中国がアジア地域の覇権を握ろうとすれば、失敗する可能性が高く、その過程で中国(および他国)に甚大な被害をもたらすだろう。したがってアメリカは、この見通しを完全に否定することはできないとしても、比較的楽観的に見ることができる。よって、アメリカとその同盟諸国は、インド太平洋におけるパワーバランスを維持するために努力するとしても、その努力が中国の指導者たちに、「明らかなリスクがあるけえども覇権を狙うべきだ」などと思わせないようにしなければならない。

●地域覇権が望ましい理由(Why Regional Hegemony Is Desirable

強大な国家が、地域の覇権国家(すなわち、その地理的範囲内で唯一の大国)になりたがる理由は、容易に理解できる。近隣に他の大国がなければ、地域覇権国が自国の領土への直接攻撃を恐れる理由はほぼ存在しなくなる。このように周囲を支配する大国は、封鎖やその他の形の圧力に弱いということはなくなり、影響圏内の弱小国からの恭順を、直接支配していなくても期待することができる。また、地域内における危険がないため、地域の覇権国家は、それが必要または望ましいと思われる場合、世界の他の地域に力を注ぎやすくなる。

アメリカの歴史はこうした利点をよく示している。アメリカは、他の諸大国から2つの巨大な海によって隔てられており、彼らの争いの多くから隔離されている。この「自由な安全保障(free security)」が、アメリカの指導者たちに多大な自由裁量権(enormous latitude)を与えた。他国で紛争が勃発しても中立を保つことができたし、それが望ましいと思えば、自国から遠く離れた場所で「選択戦争(wars of choice)」を戦うこともできた。ヴェトナム、イラク、アフガニスタンのように、こうした遠方への介入が失敗した場合、アメリカは自国の安全保障を深刻な危険に晒すことなく、最終的に撤退することができた。

中国の指導者たちは、インド太平洋で覇権を握ることができれば、中国はより安全になると考えているに違いない。アメリカが多くの近隣諸国と密接に連携しない、また、この地域全体に強力な軍事力を駐留させることがなくなれば、北京の恐怖は小さくなる。東アジアと東南アジアの限られた海洋地理と北京の対外貿易への大きな依存を考えれば、これは重大な懸念である。心配すべき地域の危険が少なくなれば、北京が望めば、他の地域に力を及ぼすことも容易になる。

アメリカがこのような事態の発生を防ぎたい理由も、これと同じ要因から説明できる。20世紀初頭に大国となって以来、アメリカはヨーロッパと東アジアにおける大枠でのパワーバランスを維持し、いずれかの国がいずれかの地域を支配することを防ごうとしてきた。アメリカの指導者たちは、ヨーロッパやアジアの覇権国家がいずれアメリカと同等かそれ以上の経済力や軍事力を持つようになることを懸念してきた。もはや地域の脅威など気にせず、アメリカがそうしてきたように、他の地域に介入することを選ぶかもしれない。この種のライヴァルは、西半球の国家と同盟を結び、ワシントンの注意を自国に集中させるかもしれない。ヨーロッパやアジアにおける地域覇権を阻止したいという永続的な願望こそは、アメリカが最終的に2つの世界大戦に参戦した理由であり、長い冷戦の間、両地域にかなりの軍事力を保持した理由である。

したがって、もし地域覇権が容易に確立可能であれば、中国の指導者たちがそれを望み、アメリカの指導者たちがそれを阻止するために全力を尽くすことは、戦略的に理にかなっているかもしれない。しかし、一見魅力的に見えるこの目標が、実は達成困難で不可能かもしれない、蜃気楼(mirage)のようなものだとしたらどうだろうか? もしそうなら、北京がこの目標を追求するのは愚かなことであり、ワシントンはそれを阻止するためにもっと慎重なアプローチを取ることが可能となる。

●地域覇権確立が(ほぼ)不可能な理由(Why Regional Hegemony Is (Nearly) Impossible to Achieve

地域覇権は理論的には望ましいものかもしれないが、歴史が示唆するように、つかみどころのない目標である。ジョナサン・カーシュナーが指摘するように、近代にはさまざまな大国が地域覇権を目指したが、そのうちの1つを除いては全て失敗に終わっている。フランスはルイ14世とナポレオン・ボナパルトの時代に失敗し、ドイツは両世界大戦で決定的な敗北を喫した。アメリカだけが、その地域で唯一の大国となることに成功した。要するに、現代世界では成功率は20%にも満たないのである。

更に言えば、その失敗は単なる些細な失敗ではなかった。ナポレオン戦争で100万人以上のフランス人が命を落とし、ボナパルト・ナポレオンは南大西洋の孤島に流刑となった。ナポレオン戦争ではおそらく100万人のフランス人が命を落とし、ボナパルトは南大西洋の孤島で流刑生活を送った。ドイツは両大戦で甚大な被害を受け、40年以上にわたって2つの国に分裂した。日本は第二次世界大戦で爆撃を受け、原爆で2つの都市が破壊され、外国の占領者によって政治秩序(political order)が作り直された。地域の覇権国家になることは望ましいことかもしれないが、覇権国家になろうとすると、ほとんどの場合、国家の安全性は高まるどころか、むしろ低下する。

覇権主義が失敗する主な理由は2つある。第一に、防衛的リアリストが長い間強調してきたように、大国には脅威に対して均衡を保とうとする強力な傾向がある。強力な国家が近くにあり、その軍事力が他国に対して力を誇示するために調整されているように見え、修正主義的な野心を抱いているように見える場合、近隣の大国は通常、その国家を抑止(deter)または打ち負かす(defeat)ために団結する。覇権国家になろうとする国が戦争を始めることによってその目的を明らかにすれば、均衡行動はさらに顕著かつ効果的になる。

地域覇権に対する第二の障壁はナショナリズムだ。ナポレオンがスペインを侵略した時に発見したように、ソ連とアメリカがともにアフガニスタンで学んだように、そしてモスクワが現在ウクライナで思い知らされているように、地元住民は侵略者を撃退するために多大な犠牲を払う。一時的に征服された国であっても、覇権を狙う勢力のくびきを振り払おうと躍起になることはよくある。20世紀におけるヨーロッパの植民地帝国の消滅は、ナショナリズムの教義の普及がいかに外国の支配に対する抵抗を強めてきたかを更に物語っている。

このような傾向が繰り返される中で、アメリカは唯一の例外である。アメリカは現代における唯一の地域覇権国である。他の覇権国家は、強大でよく組織化された複数の国民国家からの協調的な反対に直面したが、アメリカは他の大国から海を隔てていたため、他の大国と戦ったり、均衡連合に打ち勝ったりすることなく、北米全域に拡大することができた。先住民は抵抗しようとしたが、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気にかかりやすかったために弱体化し、多くの緩く組織された部族や国家に分裂した。アメリカの拡大に対する先住民の反発は19世紀後半まで続いたが、先住民部族は乗り越えがたい集団行動の問題と人口減少に直面し、やがて抗いがたい人口潮流に押し流されていった。わかりやすく言えば、アメリカは運が良かったのだ。

●中国は地域覇権国になることは可能か?(Could China Become a Regional Hegemon Today?

アメリカが西半球を支配し、他の大国を排除できた条件は、今日のアジアには存在しない。中国は近隣諸国のどの国よりも強いかもしれないが、そのうちの数カ国は中国の力を牽制できる可能性を秘めた主要産業大国であり、世界のもう1つの大国であるアメリカは、その防衛を支援することを約束し続けている。インドの人口は中国より多く年齢も若い。中国の近隣諸国の多くはすでに、より精力的にバランシング(balancing)を行っている。国防予算は急増し、オーストラリア、インド、日本は互いに、またアメリカとも協調している。中国の覇権確立に対する恐怖心が強ければ強いほど、こうした対応はより活発になるだろう。

加えて、インドは既に核兵器を保有しており、日本や韓国もいざとなれば核抑止力(nuclear deterrent)を獲得する可能性がある。東京とソウルの政府関係者は以前から、いざとなれば核抑止力を保有することも現実的な選択肢だと考えていることを明らかにしており、自国の抑止力を保有することは、中国が自国を威嚇する能力を更に制限することになる。従って、中国が近隣諸国により多くの核兵器を保有させたくないのであれば、その野心を制限し、そのような措置は不要とすべきである。

また、中国の習近平国家主席が「アジアの問題を運営し、アジアの問題を解決し、アジアの安全を守るのはアジアの人々のためだ(it is for the people of Asia to run the affairs of Asia, solve the problems of Asia, and uphold the security of Asia)」と示唆しても、アジアの諸大国は動じることはないだろう。このような発言は明らかに、アジアにおけるアメリカの役割を正当なものではないと思わせることを意図している。しかし、「アジア」というアイデンティティを共有することで、個々の国家の自己利益が優先されるという信念は、近代のナショナリズムの力を無視したものである。ナショナリズムは、中国はもちろん、インド、韓国、日本、オーストラリア、ヴェトナムでも強力な力を持っている。これらの国家のどれもが、国家の自主性(national autonomy)よりも北京への従属(subordination)を好むとは考えにくい。

最後に、現代の監視・通信技術は、国家が脅威となる大国を特定し、防衛的対応を調整することをはるかに容易にしている。中国がアジアで覇権を握ろうとすれば、偽装することは不可能であり、その脅威に晒された国家は、懸念を共有し、資源を出し合い、迅速に集団的対応をとることができる。ロシアのウクライナ侵攻に対する西側の迅速かつ活発な対応が示すように、共通の危機に直面した国々は、必要な時に驚くほど迅速に行動することができる。

●地域覇権が選択肢にないのならどうだろうか?(If Regional Hegemony Is Not an Option, What Then?

中国が地域覇権を握る見込みが限定的だとしたら、米中両国は何を争う必要があるのだろうか? アメリカと中国はそれぞれ、何億人もの愛国心にあふれた国民が暮らす広大な国である。両国の経済規模は大きく、洗練されており、どの国も外部勢力(outside power)の首を絞めるようなことはできない。両者を隔てるのは巨大な海であり、どちらも相手国への侵攻を成功させることはできない。共存は単に望ましいことではなく、不可避のことなのだ。

しかし、中国の指導者たちは、他の覇権国家がたどったような危険な道を選ぶ可能性もある。地域のパワーバランスが自国に有利に大きく傾き、近隣諸国を虐めて中立に導くことができ、一度や二度の勝利でその後の抵抗が不可能になり、アジアの他の国々がやがて中国の優位を正当なものとみなすと考えれば、覇権主義追求のリスクは(たとえ無策であっても)高まるだろう。最悪の場合、中国の指導者たちは、一時的に地域の覇権を握るのに有利な状況にあると自らを納得させ、同時に、この機会を捉えなければ、パワーバランスが決定的に不利になることを恐れることになる。このような希望的観測とパラノイアの組み合わせは、予防戦争(preventive war)の教科書的な条件であり、これはまさに20世紀前半にドイツと日本の指導者たちが確信を持った論理であり、結果として両国を大失敗に導いたのである。

アメリカとアジアのパートナー諸国にとっての意味は明確だ。一方では、効果的なバランシングを阻害し、「覇権獲得が成功するかもしれない」という誤った結論を北京が出さないように、様々な要因を軽減するよう努めるべきである。しかし同時に、アメリカとその同盟諸国は、中国の独立や領土保全を脅かしたり、中国共産党の権威を失墜させたり、中国経済を破綻させたりしようとはしていないことを明確にする必要がある。中国の指導者たちが、たとえ成功する確率が低くても覇権を追求するしかないと結論づけることのないよう、安心感を与える必要がある。

一貫したメッセージが不可欠である。ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官とジャネット・イエレン財務長官の最近のスピーチは、アメリカの輸出規制やその他の経済措置の範囲と目的について北京を安心させることを明らかに意図したものだったが、NATOにアジアにおける戦略的役割を与えようとする努力や、今月初めのG7首脳会議後に発表されたより対立的な閉会声明は、緊張を高めずにはいられない別のシグナルを送っている。

過去3世紀の間に複数回にわたり、いくつかの大国は自国の安全保障のために、近隣諸国に対する支配的地位を確立する必要があると結論づけて行動した。これらの試みは、1回を除いて全て大失敗に終わった。中国がこのような試みをするのは賢明ではないが、アメリカとその同盟諸国も、自らの行動が知らず知らずのうちに、リスクの高い覇権獲得が最善の選択肢であると北京に思わせていたとするならば、同様に賢明ではないだろう。

※本論稿は、シンガポール国立大学アジア研究所のアジア平和プログラムの協力のもとに発表された。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。

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 古村治彦です。最終回です。

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2020年、新型コロナウイルス感染拡大の到来により、特にトランプがウイルスを「中国ウイルス」と呼ぶことを主張し、感染拡大の起源が地政学的な疑惑の対象となったため、米中関係はさらに崩壊した。中国は、いわゆる「戦狼(wolf worrier)」外交の斬新な新しい形で米中外交関係を更に汚染し、パンデミックの最初の発生の誤った対応を非難し、ウイルスがウクライナのアメリカのバイオラボで発生したという奇妙な陰謀説を広めた。数か月後、北京は香港に対する抜本的な取り締まりを開始し、住民が香港から逃れようと奔走する中、狂乱の大規模な脱出を引き起こし、ワシントンに敵対的な感情を更に根付かせた。

戦略国際問題研究所の上級顧問であるスコット・ケネディは、「2020年は、中国に対して絶え間なく行動を起こした年となった。中国の人々は新型コロナウイルス感染拡大、個々の行動への対応、全体的なトーンのため、非常にタカ派になりやすかった」と述べている。

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2021年3月18日、アラスカ州アンカレッジで行われた米中会談のオープニングセッションで、中央外交委員会弁公室の楊潔篪主任(左)と中国の王毅外相(左から2番目)と向き合いながら発言するアントニー・ブリンケン米国務長官(右)

アラスカ州アンカレッジにあるキャプテンクック・ホテルの会議室で、新任のアントニー・ブリンケン米国務長官と王毅外相(当時)が向かい合って座り、補佐官たちと米中国旗が並んでいた。新型コロナウイルス対策としてフェイスマスクを着用していたが、誰も笑っていないのは明らかだ。

バイデンが大統領に就任して2カ月も経たないうちに、ブリンケン、ジェイク・サリヴァン大統領国家安全保障担当補佐官をはじめとするバイデン側近の一団が、政権として初めて中国当局者と正式に対面するためにアラスカを訪れていた。中国の国営メディアは、この会談を、トランプ時代のページをめくる機会として描いていた。アメリカ側も含め、ほとんどの人が、この会談は慎重に振り付けられた挨拶という典型的な形式を踏むと予想していた。

その代わり、花火が打ち上げられた。中国のトップ外交官である楊潔篪は、アメリカ側がテーブルに持ち込んだ不満に対して激怒し、米中関係を「前例のない困難な時期(period of unprecedented difficulty)」に突入させたとワシントンを非難した。

楊潔篪は「中国の首を絞めるようなことはできない」と述べた。ブリンケンは守りに入り、北京が「世界の安定を維持するルールベースの秩序を脅かす(threaten the rules-based order that maintains global stability)」行動をしていると非難した。

楊潔篪は中国の聴衆を相手にした。バイデンはトランプではないが、アンカレッジでの外交対決は、双方がリセットボタンを取り違えていることを示す最も明確な兆候だった。

バイデンは、トランプの外交政策の残滓を覆すことを誓った。しかし、中国への対応という点では、バイデンの立場は前任者と驚くほど似ている。関税や、新疆ウイグル自治区での北京の犯罪を大量虐殺とするバイデン政権の宣言など、トランプ大統領の遺志を継いだ多くの主要な備品は、依然としてしっかりと存在している。ある面では、バイデンは更に進化している。

国家安全保障会議元部長ポール・ヘーンルは次のように語っている。「多くの人が、バイデン政権が誕生していかにタフであるかに驚いた。バイデン政権は、共和党が民主党よりも中国に対して厳しいと主張することを望んでおらず、超党派のアプローチを維持したいと予測していた」。

バイデンの大統領就任から2年、中国のハイテク部門に対する徹底的なキャンペーンが展開され、中国の半導体産業をターゲットにした懲罰的な新しい輸出規制を発表し、現在はファーウェイのアメリカ国内サプライヤーとの関係遮断を検討している。台湾では、中国が侵攻してきた場合、軍事的に台湾を防衛するとの発言を受けて、共和党と民主党の議員がバイデンの側に結集した。

これらの即席の発言は、何十年にもわたる米国の「戦略的曖昧さ(strategic ambiguity)」のドクトリンに対しての疑問が出るようになった。現在、そのドクトリンは非常に曖昧であるため、中国の台北に対する砲撃が開始された場合にアメリカが何をするかについて混乱しているのは中国人だけではない。

そのため、関係は不安定な状態に陥っている。ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター部長であるチェン・リーは次のように語っている。「危険な状況ですが、そうは言っても、中国、台湾、アメリカの3者はみな、その危険性を認識していると考えている。必然性はないが、負のスパイラルに陥っている。それは、相互に強化された恐怖、そして敵意によって引き起こされる」。

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台湾付近で中国の軍事活動が活発化した後、軍事訓練で照明弾が発射され、警備に当たる台湾の兵士たち

連邦議会で超党派の支持を得ているものを見つけるのは難しいが、2022年9月下旬、連邦上院外交委員会の議員たちは台湾政策法でそれを実現した。

この法律は、後に大規模な国防政策法案の一部として形を変えて通過したが、起草当時は米台関係の最も包括的な見直しの一環と考えられており、連邦議会が台湾への支援を倍増させるという北京への警告となった。連邦議員たちは最終的に、台湾政策法の最も論争的な提案の1つである、台湾を非NATOの主要同盟国として正式に指定することには至らなかったが、台湾の武器調達のために最大20億ドルの融資を用意することになった。最初の法案は17対5の賛成多数で連邦上院委員会を通過したが、少数の反対派の中にはバイデンの連邦議会における最も重要な同盟者たちも含まれていた。

バイデンの同盟者でありながら繁多に回った民主党所属のマーフィー連邦上院議員は次のように述べている。「これまでの台湾政策は成功の核心であり、今がそれを破棄する時ではない」と述べた。台湾政策法の支持者たちは、「一つの中国(One China)」政策を廃止するのではなく、明確な安全上の保障を作り出すものでもないと言うだろう。それは技術的には正しいが、実質はそうではない。私たちの多くが必要ないと思っている時に、全く新しい台湾政策を打ち出すことになるだけのことだ」。

誰に聞くかによって、これはハト派の最後のあがきか、あるいは民主党の中国政策における中道派と進歩派の間の亀裂の始まりかのどちらか、という2つの解釈が出てくる。

コーネル大学教授のワイスは、ワシントンにおける中国のコンセンサスの出現が、集団思考(groupthink)を助長していると警告する。ワイスは次のように述べている。「このような一般的なコンセンサスに対して、あまり多くの疑問を投げかけることは政治的に有利ではないし、キャリア的にも賢明とは言えない。そのため、この戦略は私たちをどこへ連れて行くのか? どこに向かっているのか? どうすれば、私たちが進んでいる有害な軌道を曲げることができるのか?」。

連邦下院中国特別委員会は、今後数か月で、中国の影響力とアメリカとの関係を調査するため、この議論を形作る原動力となる予定だ。ギャラガー委員長は、委員会の最優先事項の1つは、「中国共産党率いる中国とのこの新しい冷戦に勝つ(win this new cold war with Communist China)」ために必要な長期投資に焦点を当てることだと述べた。

マーフィー議員は次のように述べている。「ソ連との対立に使った用語を、中国との対立に使うことはできない。ソ連との対立で使った用語を、中国との対立に使うことはできない。ソ連との貿易関係は事実上ゼロだった。しかし、現在のアメリカにとって、最重要の貿易関係は中国とのものだ。だから、冷戦の戦士や冷戦愛好家たちが、ソ連と競争したように中国と競争できると考えていることを心配している。同じことではない」。

それにもかかわらず、この呼び名が定着しているのは、おそらくアメリカ人にとって、他の超大国との緊迫した時代を表す唯一の表現方法だからだろう。

シカゴ国際問題評議会の上級フェローで、情報機関の東アジア担当だったポール・ヒアは、「米中関係の悪化を新たな冷戦に例えることのリスクは、自己成就的予言(self-fulfilling prophecy)になるということだ」と指摘している。ヒアは更に「これを冷戦と呼ぶ時、基本的には『そうだ、私たちは実際的な闘争に従事しており、一方だけが勝つことができる』と言っているようなものだ」と述べた。

しかし、コンセンサスは高まりつつあり、習近平は自らの野心に固執しているように見え、変化の余地をほとんど残していない。習近平の中国共産党総書記としての3期目は2027年に終了する。

アジア・ソサエティのシェルは「足を動かさない相手とは踊れない。中国はまだ踊りたいとは思っていない」と語った。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

※クリスティアン・ルー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。ツイッターアカウント:@christinafei

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ビッグテック5社を解体せよ

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