古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 米中関係

 古村治彦です。

 中国がこれから世界覇権国(hegemony)となるという予想が多く出ている。超大国(superpower)となっていく過程を私たちは目撃しているということになるだろう。米中関係はとかく対立的に描写され、「中国が台湾に侵攻する場合にはアメリカは台湾を助けるのか」「米中戦争はいつ起きるのか」という「中国脅威論」に基づいた言説がふりまかれている。そして、「中国脅威論」に基づいて、日本の防衛費増額、そのための増税が行われている。この「中国脅威論」はアメリカ発の言説である。

 「中国が明日にも日本に攻めてくる」という煽動的な言葉は全く実態を伴っていない。中国が日本を攻撃することのメリットは何なのかということを冷静に考慮していない。中国が日本を屈服させることは軍事力を使わなくても簡単なことだ。日本経済の中国異存はどんどんと大きくなっている。中国の経済力を使えば日本を屈服させることなど簡単なことだ。また、中国が日本を占領して国民を奴隷化するなどということも起きない。こんな年寄だらけの国、腰が痛いの膝が痛いのと泣き言ばかりで奴隷労働もできない年寄ばかりの国を占領する意味などない。

 中国は対日本となると、ナショナリズムが先に来て強硬な姿勢になるが、これは東アジア近現代史を振り返れば仕方のないことである。特に第一次世界大戦時の「二十一か条の要求」以来、第二次世界大戦で日本が惨敗するまでの30年ほどは中国にとっては精神的に、また物理的に大きな屈辱を与えた。もともと日本を下に見ていたということからその屈辱感が大きくなったというのは中国の勝手ではないか、ということも言えるが、それでもなお、中国本土を戦場にした日本という事実は消えない。

そうしたことから、日本に対して冷静になれない部分が出てくるのは仕方がない。しかし、中国は外交的には冷静かつ抑制的であり、協調的である。そして、中国は現在の国際関係を大きく変更させようと自発的に動いているとは言えない。変化に対応しつつ、大きな変更、中国を中心とする国際秩序に関しては「時期尚早」という姿勢を崩していない。国際関係が変化しつつあるのは、アメリカの国力の衰退、ヨーロッパ諸国の経済的縮小という、これまでの主役たちの変化の都合である。世界経済の成長のエンジンである中国と東南アジアの好循環と西側諸国の悪循環によって世界は変化に直面している。

これに対して「中国脅威論」が出てくる。中国脅威論は突き詰めると、「中国がアメリカに取って代わる」ために、戦争を起こすということになる。「覇権交代を目指して戦争が起きる」というのは覇権戦争(hegemonic war)と国際関係論では呼ばれる考え方だ。この戦争は成功する場合もあり、失敗もある。失敗例としてはドイツが挙げられる。覇権国に都合の良い国際秩序を変更するために、挑戦する国(力を伸ばしている国)が出てくるということだ。現代で言えば、それは中国ということになる。しかし、中国は自分から戦いを挑むことはない。そして、騙されて戦争を仕掛ける、もしくは戦争に巻き込まれるということがないようにどっしりと構えている。西側諸国が中国に依存しながら、衰退して養分を中国に送り続けるという状況をできるだけ続けるのが中国の戦略だ。「熟柿(柿が熟して自然に落ちるまで待つ)」戦略ということになる。

 自分たちが衰えていく一方で、どんどん力と存在感を増していく国が出てくれば、それは「脅威」に見える。これを過剰に宣伝して回っているのがアメリカということになる。問題はアメリカだということになる。

(貼り付けはじめ)

アジア地域における中国の覇権について心配するのは止めよう(Stop Worrying About Chinese Hegemony in Asia

-アメリカの抱える恐怖は不合理であるだけでなく、自己達成的予言(self-fulfilling prophecy)となる可能性がある。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年5月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/05/31/stop-worrying-about-chinese-hegemony-in-asia/

アメリカとアジアのパートナー諸国は、表向きは中国がインド太平洋地域における地域覇権国(regional hegemon)になるのを防ぐため、インド太平洋地域のパワーバランス(balance of power、力の均衡)を維持したいと考えている。彼らは、北京が近隣諸国を徐々に説得することで、アメリカから距離を置き、中国の優位性を受け入れ、重要な外交政策問題で北京の意向に従うようになることを懸念している。例えば2018年、ジェームズ・マティス米国防長官(当時)は、「中国は既存の世界秩序を書き換える長期的な計画を抱いている。明朝が彼らのモデルであるように見えるが、より強硬なやり方で、他国を朝貢国家にし、北京に屈服させることを要求している」と発言し、警告を発した。ラッシュ・ドーシやエルブリッジ・コルビーといった元米政府高官や、私自身も含め、アメリカの大戦略について執筆している著名なリアリストたちも同様の主張をしており、中国は「世界をリードする大国(leading global power)」になりたいと公言し、南シナ海やその他の場所でも現状を変えようとしていることから、こうした懸念は正当化されるように見える。

この見解の意味するところは悩ましいものだ。中国が積極的にアジア地域の覇権国家になろうとしており、アメリカがそれを阻止しようと躍起になっているのであれば、世界最強の二国間での直接衝突を避けることは難しいだろう。

しかし、こうした懸念は正当化されるのだろうか? 中国がアメリカをアジアから追い出し、真の地域覇権国になることができれば、中国はより良い方向に向かうかもしれないが、その目標はおそらく中国には達成できないものとなるだろう。中国がアジア地域の覇権を握ろうとすれば、失敗する可能性が高く、その過程で中国(および他国)に甚大な被害をもたらすだろう。したがってアメリカは、この見通しを完全に否定することはできないとしても、比較的楽観的に見ることができる。よって、アメリカとその同盟諸国は、インド太平洋におけるパワーバランスを維持するために努力するとしても、その努力が中国の指導者たちに、「明らかなリスクがあるけえども覇権を狙うべきだ」などと思わせないようにしなければならない。

●地域覇権が望ましい理由(Why Regional Hegemony Is Desirable

強大な国家が、地域の覇権国家(すなわち、その地理的範囲内で唯一の大国)になりたがる理由は、容易に理解できる。近隣に他の大国がなければ、地域覇権国が自国の領土への直接攻撃を恐れる理由はほぼ存在しなくなる。このように周囲を支配する大国は、封鎖やその他の形の圧力に弱いということはなくなり、影響圏内の弱小国からの恭順を、直接支配していなくても期待することができる。また、地域内における危険がないため、地域の覇権国家は、それが必要または望ましいと思われる場合、世界の他の地域に力を注ぎやすくなる。

アメリカの歴史はこうした利点をよく示している。アメリカは、他の諸大国から2つの巨大な海によって隔てられており、彼らの争いの多くから隔離されている。この「自由な安全保障(free security)」が、アメリカの指導者たちに多大な自由裁量権(enormous latitude)を与えた。他国で紛争が勃発しても中立を保つことができたし、それが望ましいと思えば、自国から遠く離れた場所で「選択戦争(wars of choice)」を戦うこともできた。ヴェトナム、イラク、アフガニスタンのように、こうした遠方への介入が失敗した場合、アメリカは自国の安全保障を深刻な危険に晒すことなく、最終的に撤退することができた。

中国の指導者たちは、インド太平洋で覇権を握ることができれば、中国はより安全になると考えているに違いない。アメリカが多くの近隣諸国と密接に連携しない、また、この地域全体に強力な軍事力を駐留させることがなくなれば、北京の恐怖は小さくなる。東アジアと東南アジアの限られた海洋地理と北京の対外貿易への大きな依存を考えれば、これは重大な懸念である。心配すべき地域の危険が少なくなれば、北京が望めば、他の地域に力を及ぼすことも容易になる。

アメリカがこのような事態の発生を防ぎたい理由も、これと同じ要因から説明できる。20世紀初頭に大国となって以来、アメリカはヨーロッパと東アジアにおける大枠でのパワーバランスを維持し、いずれかの国がいずれかの地域を支配することを防ごうとしてきた。アメリカの指導者たちは、ヨーロッパやアジアの覇権国家がいずれアメリカと同等かそれ以上の経済力や軍事力を持つようになることを懸念してきた。もはや地域の脅威など気にせず、アメリカがそうしてきたように、他の地域に介入することを選ぶかもしれない。この種のライヴァルは、西半球の国家と同盟を結び、ワシントンの注意を自国に集中させるかもしれない。ヨーロッパやアジアにおける地域覇権を阻止したいという永続的な願望こそは、アメリカが最終的に2つの世界大戦に参戦した理由であり、長い冷戦の間、両地域にかなりの軍事力を保持した理由である。

したがって、もし地域覇権が容易に確立可能であれば、中国の指導者たちがそれを望み、アメリカの指導者たちがそれを阻止するために全力を尽くすことは、戦略的に理にかなっているかもしれない。しかし、一見魅力的に見えるこの目標が、実は達成困難で不可能かもしれない、蜃気楼(mirage)のようなものだとしたらどうだろうか? もしそうなら、北京がこの目標を追求するのは愚かなことであり、ワシントンはそれを阻止するためにもっと慎重なアプローチを取ることが可能となる。

●地域覇権確立が(ほぼ)不可能な理由(Why Regional Hegemony Is (Nearly) Impossible to Achieve

地域覇権は理論的には望ましいものかもしれないが、歴史が示唆するように、つかみどころのない目標である。ジョナサン・カーシュナーが指摘するように、近代にはさまざまな大国が地域覇権を目指したが、そのうちの1つを除いては全て失敗に終わっている。フランスはルイ14世とナポレオン・ボナパルトの時代に失敗し、ドイツは両世界大戦で決定的な敗北を喫した。アメリカだけが、その地域で唯一の大国となることに成功した。要するに、現代世界では成功率は20%にも満たないのである。

更に言えば、その失敗は単なる些細な失敗ではなかった。ナポレオン戦争で100万人以上のフランス人が命を落とし、ボナパルト・ナポレオンは南大西洋の孤島に流刑となった。ナポレオン戦争ではおそらく100万人のフランス人が命を落とし、ボナパルトは南大西洋の孤島で流刑生活を送った。ドイツは両大戦で甚大な被害を受け、40年以上にわたって2つの国に分裂した。日本は第二次世界大戦で爆撃を受け、原爆で2つの都市が破壊され、外国の占領者によって政治秩序(political order)が作り直された。地域の覇権国家になることは望ましいことかもしれないが、覇権国家になろうとすると、ほとんどの場合、国家の安全性は高まるどころか、むしろ低下する。

覇権主義が失敗する主な理由は2つある。第一に、防衛的リアリストが長い間強調してきたように、大国には脅威に対して均衡を保とうとする強力な傾向がある。強力な国家が近くにあり、その軍事力が他国に対して力を誇示するために調整されているように見え、修正主義的な野心を抱いているように見える場合、近隣の大国は通常、その国家を抑止(deter)または打ち負かす(defeat)ために団結する。覇権国家になろうとする国が戦争を始めることによってその目的を明らかにすれば、均衡行動はさらに顕著かつ効果的になる。

地域覇権に対する第二の障壁はナショナリズムだ。ナポレオンがスペインを侵略した時に発見したように、ソ連とアメリカがともにアフガニスタンで学んだように、そしてモスクワが現在ウクライナで思い知らされているように、地元住民は侵略者を撃退するために多大な犠牲を払う。一時的に征服された国であっても、覇権を狙う勢力のくびきを振り払おうと躍起になることはよくある。20世紀におけるヨーロッパの植民地帝国の消滅は、ナショナリズムの教義の普及がいかに外国の支配に対する抵抗を強めてきたかを更に物語っている。

このような傾向が繰り返される中で、アメリカは唯一の例外である。アメリカは現代における唯一の地域覇権国である。他の覇権国家は、強大でよく組織化された複数の国民国家からの協調的な反対に直面したが、アメリカは他の大国から海を隔てていたため、他の大国と戦ったり、均衡連合に打ち勝ったりすることなく、北米全域に拡大することができた。先住民は抵抗しようとしたが、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気にかかりやすかったために弱体化し、多くの緩く組織された部族や国家に分裂した。アメリカの拡大に対する先住民の反発は19世紀後半まで続いたが、先住民部族は乗り越えがたい集団行動の問題と人口減少に直面し、やがて抗いがたい人口潮流に押し流されていった。わかりやすく言えば、アメリカは運が良かったのだ。

●中国は地域覇権国になることは可能か?(Could China Become a Regional Hegemon Today?

アメリカが西半球を支配し、他の大国を排除できた条件は、今日のアジアには存在しない。中国は近隣諸国のどの国よりも強いかもしれないが、そのうちの数カ国は中国の力を牽制できる可能性を秘めた主要産業大国であり、世界のもう1つの大国であるアメリカは、その防衛を支援することを約束し続けている。インドの人口は中国より多く年齢も若い。中国の近隣諸国の多くはすでに、より精力的にバランシング(balancing)を行っている。国防予算は急増し、オーストラリア、インド、日本は互いに、またアメリカとも協調している。中国の覇権確立に対する恐怖心が強ければ強いほど、こうした対応はより活発になるだろう。

加えて、インドは既に核兵器を保有しており、日本や韓国もいざとなれば核抑止力(nuclear deterrent)を獲得する可能性がある。東京とソウルの政府関係者は以前から、いざとなれば核抑止力を保有することも現実的な選択肢だと考えていることを明らかにしており、自国の抑止力を保有することは、中国が自国を威嚇する能力を更に制限することになる。従って、中国が近隣諸国により多くの核兵器を保有させたくないのであれば、その野心を制限し、そのような措置は不要とすべきである。

また、中国の習近平国家主席が「アジアの問題を運営し、アジアの問題を解決し、アジアの安全を守るのはアジアの人々のためだ(it is for the people of Asia to run the affairs of Asia, solve the problems of Asia, and uphold the security of Asia)」と示唆しても、アジアの諸大国は動じることはないだろう。このような発言は明らかに、アジアにおけるアメリカの役割を正当なものではないと思わせることを意図している。しかし、「アジア」というアイデンティティを共有することで、個々の国家の自己利益が優先されるという信念は、近代のナショナリズムの力を無視したものである。ナショナリズムは、中国はもちろん、インド、韓国、日本、オーストラリア、ヴェトナムでも強力な力を持っている。これらの国家のどれもが、国家の自主性(national autonomy)よりも北京への従属(subordination)を好むとは考えにくい。

最後に、現代の監視・通信技術は、国家が脅威となる大国を特定し、防衛的対応を調整することをはるかに容易にしている。中国がアジアで覇権を握ろうとすれば、偽装することは不可能であり、その脅威に晒された国家は、懸念を共有し、資源を出し合い、迅速に集団的対応をとることができる。ロシアのウクライナ侵攻に対する西側の迅速かつ活発な対応が示すように、共通の危機に直面した国々は、必要な時に驚くほど迅速に行動することができる。

●地域覇権が選択肢にないのならどうだろうか?(If Regional Hegemony Is Not an Option, What Then?

中国が地域覇権を握る見込みが限定的だとしたら、米中両国は何を争う必要があるのだろうか? アメリカと中国はそれぞれ、何億人もの愛国心にあふれた国民が暮らす広大な国である。両国の経済規模は大きく、洗練されており、どの国も外部勢力(outside power)の首を絞めるようなことはできない。両者を隔てるのは巨大な海であり、どちらも相手国への侵攻を成功させることはできない。共存は単に望ましいことではなく、不可避のことなのだ。

しかし、中国の指導者たちは、他の覇権国家がたどったような危険な道を選ぶ可能性もある。地域のパワーバランスが自国に有利に大きく傾き、近隣諸国を虐めて中立に導くことができ、一度や二度の勝利でその後の抵抗が不可能になり、アジアの他の国々がやがて中国の優位を正当なものとみなすと考えれば、覇権主義追求のリスクは(たとえ無策であっても)高まるだろう。最悪の場合、中国の指導者たちは、一時的に地域の覇権を握るのに有利な状況にあると自らを納得させ、同時に、この機会を捉えなければ、パワーバランスが決定的に不利になることを恐れることになる。このような希望的観測とパラノイアの組み合わせは、予防戦争(preventive war)の教科書的な条件であり、これはまさに20世紀前半にドイツと日本の指導者たちが確信を持った論理であり、結果として両国を大失敗に導いたのである。

アメリカとアジアのパートナー諸国にとっての意味は明確だ。一方では、効果的なバランシングを阻害し、「覇権獲得が成功するかもしれない」という誤った結論を北京が出さないように、様々な要因を軽減するよう努めるべきである。しかし同時に、アメリカとその同盟諸国は、中国の独立や領土保全を脅かしたり、中国共産党の権威を失墜させたり、中国経済を破綻させたりしようとはしていないことを明確にする必要がある。中国の指導者たちが、たとえ成功する確率が低くても覇権を追求するしかないと結論づけることのないよう、安心感を与える必要がある。

一貫したメッセージが不可欠である。ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官とジャネット・イエレン財務長官の最近のスピーチは、アメリカの輸出規制やその他の経済措置の範囲と目的について北京を安心させることを明らかに意図したものだったが、NATOにアジアにおける戦略的役割を与えようとする努力や、今月初めのG7首脳会議後に発表されたより対立的な閉会声明は、緊張を高めずにはいられない別のシグナルを送っている。

過去3世紀の間に複数回にわたり、いくつかの大国は自国の安全保障のために、近隣諸国に対する支配的地位を確立する必要があると結論づけて行動した。これらの試みは、1回を除いて全て大失敗に終わった。中国がこのような試みをするのは賢明ではないが、アメリカとその同盟諸国も、自らの行動が知らず知らずのうちに、リスクの高い覇権獲得が最善の選択肢であると北京に思わせていたとするならば、同様に賢明ではないだろう。

※本論稿は、シンガポール国立大学アジア研究所のアジア平和プログラムの協力のもとに発表された。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。最終回です。

(貼り付けはじめ)

2020年、新型コロナウイルス感染拡大の到来により、特にトランプがウイルスを「中国ウイルス」と呼ぶことを主張し、感染拡大の起源が地政学的な疑惑の対象となったため、米中関係はさらに崩壊した。中国は、いわゆる「戦狼(wolf worrier)」外交の斬新な新しい形で米中外交関係を更に汚染し、パンデミックの最初の発生の誤った対応を非難し、ウイルスがウクライナのアメリカのバイオラボで発生したという奇妙な陰謀説を広めた。数か月後、北京は香港に対する抜本的な取り締まりを開始し、住民が香港から逃れようと奔走する中、狂乱の大規模な脱出を引き起こし、ワシントンに敵対的な感情を更に根付かせた。

戦略国際問題研究所の上級顧問であるスコット・ケネディは、「2020年は、中国に対して絶え間なく行動を起こした年となった。中国の人々は新型コロナウイルス感染拡大、個々の行動への対応、全体的なトーンのため、非常にタカ派になりやすかった」と述べている。

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2021年3月18日、アラスカ州アンカレッジで行われた米中会談のオープニングセッションで、中央外交委員会弁公室の楊潔篪主任(左)と中国の王毅外相(左から2番目)と向き合いながら発言するアントニー・ブリンケン米国務長官(右)

アラスカ州アンカレッジにあるキャプテンクック・ホテルの会議室で、新任のアントニー・ブリンケン米国務長官と王毅外相(当時)が向かい合って座り、補佐官たちと米中国旗が並んでいた。新型コロナウイルス対策としてフェイスマスクを着用していたが、誰も笑っていないのは明らかだ。

バイデンが大統領に就任して2カ月も経たないうちに、ブリンケン、ジェイク・サリヴァン大統領国家安全保障担当補佐官をはじめとするバイデン側近の一団が、政権として初めて中国当局者と正式に対面するためにアラスカを訪れていた。中国の国営メディアは、この会談を、トランプ時代のページをめくる機会として描いていた。アメリカ側も含め、ほとんどの人が、この会談は慎重に振り付けられた挨拶という典型的な形式を踏むと予想していた。

その代わり、花火が打ち上げられた。中国のトップ外交官である楊潔篪は、アメリカ側がテーブルに持ち込んだ不満に対して激怒し、米中関係を「前例のない困難な時期(period of unprecedented difficulty)」に突入させたとワシントンを非難した。

楊潔篪は「中国の首を絞めるようなことはできない」と述べた。ブリンケンは守りに入り、北京が「世界の安定を維持するルールベースの秩序を脅かす(threaten the rules-based order that maintains global stability)」行動をしていると非難した。

楊潔篪は中国の聴衆を相手にした。バイデンはトランプではないが、アンカレッジでの外交対決は、双方がリセットボタンを取り違えていることを示す最も明確な兆候だった。

バイデンは、トランプの外交政策の残滓を覆すことを誓った。しかし、中国への対応という点では、バイデンの立場は前任者と驚くほど似ている。関税や、新疆ウイグル自治区での北京の犯罪を大量虐殺とするバイデン政権の宣言など、トランプ大統領の遺志を継いだ多くの主要な備品は、依然としてしっかりと存在している。ある面では、バイデンは更に進化している。

国家安全保障会議元部長ポール・ヘーンルは次のように語っている。「多くの人が、バイデン政権が誕生していかにタフであるかに驚いた。バイデン政権は、共和党が民主党よりも中国に対して厳しいと主張することを望んでおらず、超党派のアプローチを維持したいと予測していた」。

バイデンの大統領就任から2年、中国のハイテク部門に対する徹底的なキャンペーンが展開され、中国の半導体産業をターゲットにした懲罰的な新しい輸出規制を発表し、現在はファーウェイのアメリカ国内サプライヤーとの関係遮断を検討している。台湾では、中国が侵攻してきた場合、軍事的に台湾を防衛するとの発言を受けて、共和党と民主党の議員がバイデンの側に結集した。

これらの即席の発言は、何十年にもわたる米国の「戦略的曖昧さ(strategic ambiguity)」のドクトリンに対しての疑問が出るようになった。現在、そのドクトリンは非常に曖昧であるため、中国の台北に対する砲撃が開始された場合にアメリカが何をするかについて混乱しているのは中国人だけではない。

そのため、関係は不安定な状態に陥っている。ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター部長であるチェン・リーは次のように語っている。「危険な状況ですが、そうは言っても、中国、台湾、アメリカの3者はみな、その危険性を認識していると考えている。必然性はないが、負のスパイラルに陥っている。それは、相互に強化された恐怖、そして敵意によって引き起こされる」。

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台湾付近で中国の軍事活動が活発化した後、軍事訓練で照明弾が発射され、警備に当たる台湾の兵士たち

連邦議会で超党派の支持を得ているものを見つけるのは難しいが、2022年9月下旬、連邦上院外交委員会の議員たちは台湾政策法でそれを実現した。

この法律は、後に大規模な国防政策法案の一部として形を変えて通過したが、起草当時は米台関係の最も包括的な見直しの一環と考えられており、連邦議会が台湾への支援を倍増させるという北京への警告となった。連邦議員たちは最終的に、台湾政策法の最も論争的な提案の1つである、台湾を非NATOの主要同盟国として正式に指定することには至らなかったが、台湾の武器調達のために最大20億ドルの融資を用意することになった。最初の法案は17対5の賛成多数で連邦上院委員会を通過したが、少数の反対派の中にはバイデンの連邦議会における最も重要な同盟者たちも含まれていた。

バイデンの同盟者でありながら繁多に回った民主党所属のマーフィー連邦上院議員は次のように述べている。「これまでの台湾政策は成功の核心であり、今がそれを破棄する時ではない」と述べた。台湾政策法の支持者たちは、「一つの中国(One China)」政策を廃止するのではなく、明確な安全上の保障を作り出すものでもないと言うだろう。それは技術的には正しいが、実質はそうではない。私たちの多くが必要ないと思っている時に、全く新しい台湾政策を打ち出すことになるだけのことだ」。

誰に聞くかによって、これはハト派の最後のあがきか、あるいは民主党の中国政策における中道派と進歩派の間の亀裂の始まりかのどちらか、という2つの解釈が出てくる。

コーネル大学教授のワイスは、ワシントンにおける中国のコンセンサスの出現が、集団思考(groupthink)を助長していると警告する。ワイスは次のように述べている。「このような一般的なコンセンサスに対して、あまり多くの疑問を投げかけることは政治的に有利ではないし、キャリア的にも賢明とは言えない。そのため、この戦略は私たちをどこへ連れて行くのか? どこに向かっているのか? どうすれば、私たちが進んでいる有害な軌道を曲げることができるのか?」。

連邦下院中国特別委員会は、今後数か月で、中国の影響力とアメリカとの関係を調査するため、この議論を形作る原動力となる予定だ。ギャラガー委員長は、委員会の最優先事項の1つは、「中国共産党率いる中国とのこの新しい冷戦に勝つ(win this new cold war with Communist China)」ために必要な長期投資に焦点を当てることだと述べた。

マーフィー議員は次のように述べている。「ソ連との対立に使った用語を、中国との対立に使うことはできない。ソ連との対立で使った用語を、中国との対立に使うことはできない。ソ連との貿易関係は事実上ゼロだった。しかし、現在のアメリカにとって、最重要の貿易関係は中国とのものだ。だから、冷戦の戦士や冷戦愛好家たちが、ソ連と競争したように中国と競争できると考えていることを心配している。同じことではない」。

それにもかかわらず、この呼び名が定着しているのは、おそらくアメリカ人にとって、他の超大国との緊迫した時代を表す唯一の表現方法だからだろう。

シカゴ国際問題評議会の上級フェローで、情報機関の東アジア担当だったポール・ヒアは、「米中関係の悪化を新たな冷戦に例えることのリスクは、自己成就的予言(self-fulfilling prophecy)になるということだ」と指摘している。ヒアは更に「これを冷戦と呼ぶ時、基本的には『そうだ、私たちは実際的な闘争に従事しており、一方だけが勝つことができる』と言っているようなものだ」と述べた。

しかし、コンセンサスは高まりつつあり、習近平は自らの野心に固執しているように見え、変化の余地をほとんど残していない。習近平の中国共産党総書記としての3期目は2027年に終了する。

アジア・ソサエティのシェルは「足を動かさない相手とは踊れない。中国はまだ踊りたいとは思っていない」と語った。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

※クリスティアン・ルー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。ツイッターアカウント:@christinafei

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ワシントンにある有名なシンクタンクである戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の副理事長を務めたマイケル・グリーンがシドニー大学アメリカ研究センター(U.S. Studies CentreUSSCCEOに転身したのが今年3月のことだった。これは都落ちの感がある異動であったが、別の面で考えれば、対中封じ込めのために、オーストラリアを取り込むため、最前線にグリーンが移動したということも言えるだろう。今年3月1日には、グリーンは、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げた、ミッシェル・フロノイ、ミーガン・オサリヴァンらと台湾を訪問している。グリーンはジャパンハンドラーズであるとともに、対アジア外交専門家として活動している。このブログでもマイケル・グリーンの動きは既にご紹介している。
micheleflournoymichaelgreenvsitingtaiwan512
右端がマイケル・グリーン、隣はミッシェル・フロノイ

※「20220610日 ミッシェル・フロノイ創設のウエストエグゼク社がテネオに買収される予定:ミッシェル・フロノイがバイデン政権入りするのではないかと考えられる」↓

http://suinikki.blog.jp/archives/86261152.html

 マイケル・グリーンの論稿では、アメリカは対中強硬姿勢で、民主党と共和党、ジョー・バイデン大統領(民主党)が率いるホワイトハウスと共和党が過半数を握る連邦下院が協力するということになるということだ。アメリカ社会の分断は深刻になっている。政治の世界でもなかなか一致点が見いだせない。そうした場合、外に敵を作って、団結するということはよくあることだ。ドナルド・トランプ政権で始まった米中貿易戦争路線を、ジョー・バイデン政権も引き継いでいる。そして、中間選挙で共和党が連邦下院で過半数を握っても大丈夫、対中強硬路線は引き継がれるということがマイケル・グリーンの主張だ。アメリカがまとまるには外敵をつくるしかないというのは、如何にアメリカ社会の分断が深刻化しているかを物がっている。

(貼り付けはじめ)

アメリカ中間選挙の結果は、国家安全保障にとって正味のプラスになる(U.S. Midterm Results Are a Net Plus for National Security

-トランプ主義が縮小する中、国際主義の共和党(internationalist Republicans)は中国、防衛、貿易でバイデン政権に圧力をかけるだろう。

マイケル・J・グリーン筆

2022年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/11/us-midterm-election-republicans-biden-national-security-foreign-policy-defense-china-house-committees/

2022年の中間選挙の直前、私は『フォーリン・ポリシー』誌上で、共和党が連邦下院で勝利しても、アメリカの対中戦略競争にとって悪いことばかりではないと論じた。それは、共和党が国防費や貿易政策に対して注意を払い、バイデン政権のインド太平洋における同盟中心戦略(alliance-centric strategy)を中心に幅広い超党派的な支持を集めているからである。最終的な結果は数日から数週間は分からないにしても、実際の結果はそれ以上に良さそうだ。確かに、連邦下院共和党はハンター・バイデンや議員を退くリズ・チェイニー連邦下院議員を追及するかもしれない。そして、一般的には、バイデン米大統領の弱さを示し、アメリカの同盟諸国には連邦議会が機能不全に見えるような、パンとサーカスを共和党の支持基盤に提供するかもしれない。しかし、共和党が連邦下院の重要な委員会を支配することで、人々は表面に出てくる騒ぎを楽しむにしても、バイデン政権のタカ派と現実主義者が助かるという事実は変わらない。ケーブルテレビでジャコバン裁判を見ながら、外交政策の専門家たちは、作家のマーク・トウェインがドイツの作曲家リチャード・ワーグナーの音楽について言ったことを思い出すことだろう。それは、「そこまで酷いことはない(It's not as bad as it sounds)」だ。

まず、前回の論稿で評価分析したように、連邦下院の国防、国際関係、通商の主要委員会と小委員会のリーダーたちは、いずれも国際主義者で現実主義者(internationalists and realists)であり、国防への資源投入を推進するとともに、原子力潜水艦と先進防衛力を構築する豪英米協定(Australia-U.K.-U.S. agreementAUKUS)など、能力構築や同盟諸国との野心的な構想の進捗状況を精査することになろう。これは、多くの政策分野、特に貿易と抑止力拡大が、政権内の左翼保護主義者たち(left-wing protectionists)と軍備管理信者たち(arms control purists)の妨害に直面するバイデン政権を律するものである。

しかし、それに加えて、選挙の結果によって、共和党が連邦下院を支配し、連邦上院はこの原稿を書いている時点ではまだ未決定であることが予想され、中国との戦略的競争に向けた政権の組織化努力をより促進することになるだろう。

第一に、ドナルド・トランプ前米大統領とトランプ主義全般の縮小は、アメリカの民主政治体制が崩壊しているという有害なシナリオと戦っている海外のアメリカの外交官たちを助けることになる。例えばオーストラリアでは、最近、アメリカの選挙に関する報道がオーストラリアの国政選挙の報道を凌駕しているほどだ。2021年1月6日の暴動、選挙否定論、民主的な規範に対するトランプの非道な攻撃、民主的な選挙プロセスを制限しようとする過激派の運動という醜い光景をオーストラリア人たちが無視することは非常に困難だった。中国の脅威が同盟諸国をアメリカに接近させている今、友好国の政府が民主政治体制の方向性を見失ったかのようなアメリカへの依存を強めることを考えるのは不安であり、ワシントンの外交政策の急変は大統領選挙1回で起きる可能性がある。

先月発表された、アメリカ研究センターの調査では、オーストラリア国民の約半数がアメリカの民主政治体制の方向性について、「非常に懸念する(very concerned)」と答えている。これは、欧米諸国の同盟が共通の脅威(common threat)だけでなく共通の価値観(common values)に基づいている場合の問題点である。中国の公式な対米シナリオでは、中国のモデルよりも民主政治体制とその原則を強く支持する調査結果があるにもかかわらず、民主政治体制は最良の政府形態ではないことの証拠として1月6日の事件を定期的に取り上げている。中間選挙はこのシナリオを変え、世界中でアメリカの外交官の仕事を容易にする可能性が高い。投票率、当選者の多様性、中絶権に関する連邦最高裁の判決に対する反発、そして特にトランプ派の候補者が世論調査で劣勢だったことは、ワシントンの責任者が共和党と民主党のどちらを好むかにかかわらず、アメリカの友人にとって心強いものになる。

第二に、連邦下院での共和党の勝利の規模は、防衛と貿易に関してバイデン政権を後押しするために関連委員会に力を与えるにはちょうど良いと考えられるが、アメリカの関与(engagement)と長期戦略(long-term strategy)を弱めることを求める破壊者たちを更に増やすほど圧倒的なものではないだろう。もしケヴィン・マッカーシー連邦下院議員が連邦下院議長に選出されれば、ウクライナへの支援を削減しようとしたり、NATOに対するアメリカの関与(commitment)に疑問を呈したりする議員たちは、予想以上に少なくなるであろう。連邦上院を民主党が握れば、「アメリカを再び偉大にする(Make America Great Again)」派の国家安全保障分野での行き過ぎた行動を更に封じることができるだろう。連邦議会での戦略的競争に対する超党派の強い支持は、アメリカ研究センターなどの調査によるアメリカ国民の感情を反映しており、それが中間選挙の結果によって裏付けられた。

このことは、バイデンが率いるホワイトハウスが共和党の支配する連邦下院との取引を行うことができるとか、アメリカの同盟諸国がアメリカ政治の極端な部分を心配するのをやめるとか、極端な部分がなくなるとか、そういうことではない。しかし、過去3回の国政選挙(2018年、2020年、2022年)を貫くパターンがあるとすれば、選挙地図には反トランプの強い壁があり、連邦議会は、選挙の度に、最重要な外交政策問題について、分裂よりも統一された形になっているのだ。

※マイケル・J・グリーン:シドニー大学アメリカ研究センター所長、戦略国際問題研究所上級研究員、東京のアジア太平洋研究所名誉研究員。ジョージ・W・ブッシュ(息子)政権の国家安全保障会議のアジア担当幹部スタッフを務めた。ツイッターアカウント:@DrMichaelJGreen

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共和党の中間選挙勝利がアメリカの中国戦略を活性化させる(A Republican Midterm Win Will Boost U.S. China Strategy

-バイデン政権の中国政策の下でアメリカ国民を団結させるためには、ホワイトハウスと連邦議会の分裂が本当に必要なのかもしれない。

マイケル・J・グリーン筆

2022年10月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/31/us-midterm-elections-republicans-china-biden-trade-geopolitics-strategy/

来週の米中間選挙を前にして、両極化(polarization)が進んでいることは、バイデン政権にとって決して良い兆候ではない。世論調査の通り、共和党が米連邦下院の過半数を握れば、バイデン政権に対する党派的な攻撃の奔流が繰り広げられるだろう。2021年1月6日の事件を調査する委員会は解散し、ジョー・バイデン米大統領の息子、ハンター・バイデンは調査され、バイデンは弾劾手続きに直面する可能性がある。また、フォックスニューズの司会者タッカー・カールソンと彼のクレムリンへの崇拝に従う共和党の一部グループは、ウクライナへの資金提供を阻止すると脅迫するだろう。連邦議会による監視の目が厳しくなるのは歓迎すべきことだが、例えば、アフガニスタン撤退の失敗を検証するなど、ホワイトハウスにとっては苦痛であり、アメリカの指導力を懸念する同盟諸国にとっては不安なことだろう。

しかし、中国との競争に関する限り、バイデン政権の戦略でアメリカ国民を団結させるためには、政府の分裂が本当に必要なことかもしれない。なぜなら、共和党は民主党政権に対して、中国との競争において重要な2つの柱である防衛(defense)と貿易(trade)の公約を実現するよう求める傾向があるからである。同時に、米連邦議会と一般的なアメリカ国民は、中国という課題に立ち向かうという点では、他のどんなことよりも一致しているという事実が、潜在的な分裂を和らげることになるだろう。

歴史的な先例を考えてみよう。1994年の中間選挙に向け、ビル・クリントン政権は医療保険制度改革などの野心的な国内政策に政治的資源の大半を費やしていた。国防費は長期にわたって減少傾向にあり、外交政策は日本との保護主義をめぐる戦いや中国に対する最恵国待遇(most-favored nation status)をめぐる内輪もめに陥っていた。共和党が連邦下院を支配し、当時のクリントン大統領の国内政策が実質的に阻止された後、クリントンは国家安全保障にその努力と政治的資源を集中させた。日本との争いは急停止し、1996年には当時の橋本龍太郎首相が、北朝鮮や台湾など地域の有事に対処するために日米同盟を初めて強化・拡大する共同宣言を出し、わずか数年前まで酷い状態で漂流していた同盟を拡大させた。また、共和党が支配する連邦下院は国防費の削減を撤回し、アメリカ軍予算を着実に増加軌道に乗せた。2010年、バラク・オバマ大統領(当時)の最初の中間選挙で共和党が民主党から連邦下院と連邦上院を奪い、超党派連合が誕生し、オバマ政権が2011年に環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific PartnershipTPP)の枠組み合意文書に署名したときと同じことが起こった。この12カ国の貿易・投資協定は、2017年にドナルド・トランプ政権が協定から離脱しなければ、アジアにおける戦略的バランスを変化させることになっただろう。

懐疑論者たちは、「国防と貿易に前向きな共和党はもはや存在しない、つまり2016年にドナルド・トランプが大統領に当選した時に破壊された」と主張するだろう。確かに、共和党の支持層は貿易協定に懐疑的で、党内の「アメリカを再び偉大にする(Make America Great Again)」派からは危険な国内問題優先主義的な主張(isolationist voices)が出ている。しかし、中国との競争について、連邦議会ではかつてないほど超党派的な意見が交わされているのも事実だ。実際、中国との競争については最近のワシントンでは数少ないコンセンサスのある分野である。今年8月にCHIPS法(CHIPS and Science Act)を連邦議会で可決成立させたのは超党派の議員たちであり、その内容は、アメリカの半導体産業を活性化し、同盟諸国からの投資をアメリカに呼び込み、半導体開発をめぐる競争で中国に対する自由世界の優位性を維持するために、バイデン政権に500億ドル規模の予算を提供するというものだ。人工知能のような新興技術を支配するために。その法案の最初の作成者は、保守派でインディアナ州選出の共和党議員であるトッド・ヤング連邦上院議員であり、ニューヨーク州選出のリベラルなチャック・シューマー連邦上院議員が共同提案者となった。中国の脅威は、実に奇妙な仲間の、呉越同舟の枠組みを生み出している。

連邦下院司法委員会の委員長になると予想されるフリーダム議連所属のポピュリスト、共和党のジム・ジョーダン連邦下院議員は、弾劾審問やFBI・司法省への攻撃で見出しを独占するだろうが、国防、外交、貿易を管轄する委員会は、レーガン時代の国際主義者の指揮下に置かれることになるであろう。連邦下院軍事委員会の委員長に、共和党のマイク・ロジャース連邦下院議員が就任すれば、原子力潜水艦の建造や最先端技術の軍事力利用での協力に関する豪英米協定(通称AUKUS)のような同盟諸国との取り組みを遅らせている官僚的障害(bureaucratic obstacles)を取り除くよう米国防総省に働きかけることが予想される。委員会の共和党議員たちは1兆ドルを超える国防予算について話しており、周辺部の国内問題優先主義者(アイソレーショニスト)の声がどうであれ、インド太平洋のための軍事力の強化を図る可能性が高い。連邦下院貿易委員会の共和党筆頭委員であるエイドリアン・スミス連邦下院議員は、農産物輸出州であるネブラスカ州の出身であり、貿易に関する惰性的な習慣を克服し、アジアで新しい取引を行い、市場を開放するよう、バイデン政権に働きかけることは間違いないだろう。連邦下院外交委員会の共和党筆頭委員であるマイケル・マッコール連邦下院議員は、米国司法省の元テロ対策タスクフォースリーダー、連邦下院国土安全保障委員会委員長という確かな国家安全保障上の信条を持つ人物である。中国の強圧に対抗するため、より強固な同盟関係の構築を明確に打ち出している。

アメリカ国民は、同盟関係の強化、技術競争の加速、より野心的な通商政策も支持している。私が所長を務めるシドニー大学アメリカ研究センター(USSC)の依頼で実施した新しい調査の結果は、シカゴ世界問題評議会、戦略国際問題研究所、ピュー研究所など他の機関による調査結果を補強するもので、アメリカ国民が日本、オーストラリア、韓国との同盟関係を強く支持していることが明らかになった。2年前に行われたUSSCの世論調査と比較すると、これらの同盟がアメリカをより安全にしていると考えるアメリカ国民の割合は14ポイントも上昇している。ロシアのウクライナ侵攻や核の脅威、中国の台湾海峡での妨害行為などを受けて、アメリカ国民は同盟が単なる国際的な善意やワシントンの足かせではない、アメリカ自身の安全保障のためのものだと認識したということだろう。中国との完全な経済的分断(デカップリング)を支持するアメリカ人は20%に過ぎないが、アメリカ、日本、オーストラリアでは、自国が経済的に中国に依存しすぎていると考え、中国製でないスマートフォンにかなり高い金額を支払っても良いと考えており、中国と競争するために民主的同盟諸国の技術革新を支持する人が過半数を占めている。

貿易に関しても、共和党が支配する連邦議会は、予想以上に政権を後押しする可能性がある。バイデンを支持する有権者の過半数は、アメリカはTPPのような貿易協定に参加すべきだと答え、トランプを支持する有権者の大多数は参加すべきでないと答えているが、アメリカ国民全体の3分の2は、「アジアとの貿易と投資を拡大することが重要だ」という意見に同意している。数カ月後にスミス議員が連邦下院貿易小委員会の委員長を務めることになれば、より野心的な貿易政策を求める彼の主張がアメリカ国民に支持されていることに気づくだろう。スミス議員はおそらく、消極的な米国通商代表部に対して、「貿易協定」や「TPP」と呼ばれない限り、「インド太平洋経済枠組み」(単なる対話に過ぎない空想上の名称)を実質的なルール設定のための協定にするように働きかけるだろう。

このことは、アメリカ政治におけるポピュリズム(populism)、分極化(polarization)、ポスト真実の言説(post-truth discourse)の台頭が戦略的帰結をもたらさないことを論じるものではない。ヨルダンによるアメリカ政府機関への焼き討ち攻撃は、国防、外交、貿易に関する立法を行う委員会の平凡で手間のかかる仕事よりも、世界中で確実に注目を集めるだろう。海外の人々は、今回の中間選挙について懸念を持って見ている。USSCの調査によると、日本国民とオーストラリア国民の4分の3が、米中間選挙を自国にとって重要だと考えており、オーストラリア国民の半数はアメリカの民主政治体制の現状を憂慮しているという。しかし、もしバイデンが予想通り連邦下院を、そしておそらく連邦上院も失うことになれば、バイデン政権はインド太平洋における中国との競争について、連邦議会が新たな機運を高めていることに驚くかもしれない。どちらかといえば、最近の連邦下院共和党指導部の公約から判断すると、バイデン政権は連邦議会が中国を追いかけようとする熱意を抑えなければならないかもしれない。バイデンは、このような機会を捉え、中国とインド太平洋の戦略の欠けている部分(ミッシングピース)を埋めるべきである。

※マイケル・J・グリーン:シドニー大学アメリカ研究センター所長、戦略国際問題研究所上級研究員、東京のアジア太平洋研究所名誉研究員。ジョージ・W・ブッシュ(息子)政権の国家安全保障会議のアジア担当幹部スタッフを務めた。ツイッターアカウント:@DrMichaelJGreen

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領の側近であるジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が、中国側のカンターパートである楊潔篪中国共産党中央政治局委員・中国共産党中央外事工領導弁公室主任とローマで7時間にわたって会談を行った。この会談はロシアによるウクライナ侵攻の前から予定された会談であったが、図らずも今回、米中の外交関係のトップ高官による話し合いでウクライナ情勢が取り上げられることになった。
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楊潔篪とジェイク・サリヴァン

今回アメリカ側の代表者となったジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官については拙著『アメリカ政治の秘密』『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げているので、ここで詳しい人物紹介はしない。中国側の代表者である中国共産党中央外事工領導弁公室主任を務める楊潔篪(ようけっち、Yang Jiechi)は最年少で駐米中国大使を務めて、英語に関して全く問題ない中国にとっての対米人材のトップの人物である。娘はアメリカの名門校からイェール大学を卒業している。反米的な発言を刷ることでも知られているが、冷静な知米派外交官だ。

 両者の会談は7時間も続いたということで、ウクライナ情勢だけが議題ではなかったということになるが、やはり最重要の議題はウクライナ情勢だろう。アメリカ側は、中国がロシアを支援することをけん制し、中国は原則論を述べ、速やかな停戦を求めたということになる。ロシアは中国に対して支援を求めるということはこれまでの関係上、まあ自然なことだ。中国としては軍事物資の支援はさすがに慎重になるだろう。ウクライナへの人道支援を行っていることから、ロシアの一般国民への人道支援という名目で、民生用の食料や医薬品の提供に留めるのではないかと思う。

 重要なことは、ジェイク・サリヴァンがバイデン政権の中で、対中チャンネルのトップの位置にいるという点だ。サリヴァンは対中共存派であり、直接対決をせずに、うまく付き合っていくべきだという考えを持っている。米中間が外交チャンネルをオープンにして、話し合うということが、これからの世界の動きを決めていくということで、新しい形になっていくだろう。ヘンリー・キッシンジャーが敷いた「G2」路線ということになる。中国としてもロシアに対してはある程度のところで矛を収めるようにと諭しているだろう。ロシアとしても後ろに中国がいるのといないのとではこれからの動きが変わってくるので、中国の意向を無視することはできない。世界は米中二極(bilateral)体制の確立へと進んでいる。

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●「楊潔篪氏、ウクライナ情勢に対する立場述べる 米大統領補佐官と会談」

2022315 12:34 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]

新華社

https://www.afpbb.com/articles/-/3395053

315 Xinhua News】楊潔篪(Yang Jiechi)中国共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任は14日、イタリアの首都ローマで米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談し、その中でウクライナ情勢について中国の立場を詳しく述べた。

https://www.afpbb.com/articles/-/3395053

 楊潔篪氏は次のように指摘した。ウクライナ情勢の今日の事態は中国が願わないものだ。中国は一貫して各国の主権と領土保全を尊重し、国連憲章の趣旨と原則を順守することを主張している。中国は和平交渉の推進に尽力しており、国際社会はロシアとウクライナの和平交渉が早期に実質的成果を収めることを共同で支持し、情勢の迅速な鎮静化を図るべきだ。各国は最大限の自制を保ち、一般市民を保護し、大規模な人道危機を防がなければならない。中国はすでにウクライナに緊急人道援助を行っており、今後も引き続き努力する。

 楊潔篪氏は次のように表明した。ウクライナ問題の歴史的経緯、原因と結果、根源を整理し、各国の合理的懸念に対応すべきだ。将来を見据え、共同・総合・協力・持続可能な安全保障観を積極的に提唱し、関係各方面の対等な対話を奨励し、安全保障の不可分性の原則に従って、均衡、有効、持続可能な欧州安全保障の枠組み構築を探り、欧州と世界の平和を守ることを呼び掛ける。

 楊潔篪氏は、事実でない情報を流し、中国の立場をねじ曲げ、中傷するいかなる言動にも断固反対すると強調した。(c)Xinhua News/AFPBB News

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報告:ロシアがウクライナとの戦争を戦いながら、中国に軍用食品支援を求めた(Russia requested military food aid from China amid war with Ukraine: report

モニク・ビールズ筆

2022年3月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/598200-russia-requested-military-food-aid-from-china-amid-war-with-ukraine

今回の問題について取材源2名がCNNの取材に対して、「ロシアは、アメリカで“ミールズ、レディ・トゥ・イート”として知られている食料を含む、包装された非生鮮性の軍用食品の提供を中国に要求した」と述べた。

情報筋の1人はCNNに対し、中国がこの要求に応じる可能性があるのは、それが致命的ではない支援であり、西側を刺激するような状況であるためだと語った。

ある西側政府の関係者とアメリカ外交官もCNNに対し、中国がロシアに軍事・財政支援を行う意向を示したという情報を持っていると述べた。

しかし、CNNは、中国が実際にその援助を行うかどうかはまだ不明である、と報じている。

ロシアから中国への要請は、ロシアの侵攻に対する全体的な準備態勢と、専門家が言うロシアの攻撃の進展を妨げている後方ロジスティックス問題をめぐる疑問を提起している。

CNNは、公開されている報告書や報道では、ロシア軍では特定の物資が不足しているため、ロシア軍が食料品店に押し入って食料を調達している様子が示されていると報じた。

一方、ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はローマで、中国がロシアを支援した場合の「潜在的な影響と結果(potential implications and consequences)」について中国側に警告を発した。

バイデン政権のある幹部は、サリヴァンと中国側との会談後のブリーフィングで記者団に対し、「私たちは現時点で中国のロシアとの連携に深い懸念を持っており、サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はそうした懸念と、ある行動がもたらす潜在的な影響や結果について率直に述べた」と述べた。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官はまた、サリヴァンが、中国がロシアに「制裁違反や戦争努力の支援(violates sanctions or supports the war effort)」となる軍事支援やその他の支援を行った場合、「重大な結果(significant consequences)」に直面すると示唆したと述べている。

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報告:ロシアが中国からの軍事装備を求めている(Russia seeking military equipment from China: report

オラフィミハン・オシン筆

2022年313

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/europe/598041-russia-seeking-military-equipment-from-china-report

複数の報道によると、モスクワのウクライナ侵攻が続く中、ロシア政府の複数の高官たちが中国政府の高官たちに対して、軍事装備の入手について接触したということだ。

アメリカ政府関係者は『ワシントン・ポスト』紙と『ニューヨーク・タイムズ』紙に武器取引の可能性を伝えたが、ロシアがどのような兵器を要求したか、詳細は明らかにしなかった。

ニューヨーク・タイムズは、世界の多くがロシアを孤立させようとしている中、ロシアにとって重要な同盟国となっている北京からの追加的な経済支援についても、モスクワが要求していると報じた。

ロイター通信によると、ワシントンの中国大使館の広報担当者は、モスクワからの支援要請について「聞いていない」と述べたということだ。

ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は今週、中国共産党中央外事工領導弁公室主任を務める楊潔篪と会談する予定だが、日曜日、中国はロシアが世界的な制裁に対処するための物質的支援を提供しないよう警告した。

サリヴァンはCNNの取材に対して、「私たちは北京に対し、大規模な制裁逃れやロシアへの裏付け支援には絶対に結果が伴うと、直接そして内々に伝えている」と語った。

サリヴァンは更に「私たちはそのようなことを許さないし、世界のどの国からも、どの場所からも、この経済制裁からロシアへの命綱が投げられることを許さない」とも述べた。

『ワシントン・ポスト』紙によると、ロシアのアントン・シルアノフ財務相は日曜日のテレビインタヴューで、ロシアの金と外貨準備の一部が中国通貨であることを打ち明けたということだ。

シルアノフ財務相はインタヴューの中で「西側諸国が中国に対して、相互の貿易を制限するためにどのような圧力をかけているかを注視しいている」と述べた。

シルアノフは続けて「しかし、中国とのパートナーシップは、西側市場が閉鎖される環境下でも、これまで達成した協力関係を維持するだけでなく、拡大することも可能だと思う」とも述べた。

ウクライナへの侵攻を開始して以来、ロシアは西側諸国から制裁を受けており、制裁の程度がエスカレートしている。アメリカとイギリスの両国政府は最近、ロシアの石油、天然ガス、石炭の輸入を段階的に停止すると述べている。

アメリカ政府関係者の中には、危機的状況が続く中、ロシアは一部の死類の弾薬が不足していると話す関係者もいるとワシントン・ポストは報じている。

元米国インド・太平洋軍顧問のエリック・セイヤーズはワシントン・ポストの取材に対して、「北京がウクライナでのモスクワの戦争を支援するために何らかの軍事的援助を提供しているとすれば、米中政策への波及効果は甚大なものになるだろう」と述べた。

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サリヴァンは中国政府高官たちとの会談の中でロシアに関する懸念を表明(Sullivan raises Russia concerns in meeting with Chinese official

モーガン・チャルファント筆

2022年3月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/598140-sullivan-raises-russia-concerns-in-meeting-with-chinese-official

ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、月曜日に行われた米中当局者の長時間の会談で、中国のロシアとの連携について懸念を示したと、あるバイデン政権幹部が語った。

米中当局者はローマで7時間会談し、ロシアのウクライナ侵攻を一部取り上げたと同高官は述べた。サリヴァンは、中国共産党中央外事工領導弁公室主任を務める楊潔篪に対し、中国がロシアを支持した場合、重大な結果に直面する可能性があると警告したということだ。

バイデン政権関係者によると、この会談は激しく率直なものとなり、ウクライナ侵攻の中でロシアが中国に軍事・経済支援を求めたとの報道を受けたものとなった。この高官は、これらの報道について直接言及することを避けた。 

この政権高官は「私たちは現時点で中国がロシアと連携することに深い懸念を抱いており、サリヴァン大統領補佐官はそうした懸念と、ある行動がもたらす潜在的な影響や結果について率直に語った」と会談後のブリーフィングで記者団に語った。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、サリヴァンが中国側に対して、中国がロシアに「制裁違反や戦争努力の支援」となる軍事的またはその他の支援を提供した場合、「重大な結果(significant consequences)」に直面することになると伝えたと述べた。しかし、崎報道官はそれらの「結果」について具体的な情報を提供することを避け、アメリカの同盟諸国と調整されるだろうと述べた。

サキ報道官は月曜日、サリヴァンと楊潔篪の会談の日程は、ロシアが約3週間前にウクライナに侵攻する前から計画されていたと語った。それにもかかわらず、今回の会談はウクライナを攻撃したロシアに対して、アメリカが国際的な圧力をかけ続けようとしている、タイムリーで差し迫った瞬間に行われた。

ホワイトハウスの発表によると、この会談では「様々な問題」が取り上げられ、ロシアのウクライナ侵攻について「実質的な議論(substantial discussion)」が行われたということだ。

また、サリヴァンと楊潔篪は、「米中間の開かれたコミュニケイション・ラインを維持することの重要性を強調した」という。

複数のバイデン政権関係者は、ロシアとそのウクライナ侵攻に関連する中国の行動を注視していくと述べた。

今回の会談は、バイデン大統領が2021年11月に中国の習近平国家主席と行った会談のフォローアップとして計画され、北朝鮮や台湾付近での中国の挑発的な行動についても取り上げられた。 

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アメリカ、中国の政府高官たちがロシア・ウクライナ戦争について会談を持つ予定(US, Chinese officials to meet in Rome over Russia-Ukraine war

ジョセフ・チョイ筆

2022年313

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/598028-us-chinese-officials-to-meet-in-rome-on-monday-to-discuss-impact-of

中国とアメリカの政府高官たちが月曜日にローマで会談を持つ予定になっている。両者はロシアのウクライナ侵攻とその世界規模での安全保障に与える衝撃について議論を行うことになる。

国家安全保障会議のエミリー・ホーン報道官は声明の中で次のように述べた。「月曜日、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家安全保障会議の高官たちがローマに向かう。サリヴァンは、アメリカと中華人民共和国との間のコミュニケイションのラインを維持する継続的な試みの一環として、中国共産党政治局員であり、中国共産党中央外事工領導弁公室主任を務める楊潔篪と会談を持つ予定だ」。

ホーン報道官は続けて「「両者は、両国の競争を管理するための進行中の取り組みについて話し合い、ロシアのウクライナに対する戦争が地域および世界の安全保障に与える影響について議論する」と述べた。

ローマ滞在中、サリヴァンはイタリアのマリオ・ドラギ首相の外交顧問であるルイジ・マッティオーロとも会談し、「プーティン大統領の選択戦争に対する強力で統一された国際的対応の調整」について話し合う予定だ。

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、中国に対して、欧米とモスクワ(北京の最も近い同盟国)の仲介役を務めるように求める声が高まっている。中国はこれまでロシアの行動を非難することはせず、紛争当事者双方に自制を呼びかけてきた。

欧米諸国によるロシアへの厳しい制裁措置を受けて、中国がロシア経済への支援に乗り出すのではないかという見方もある。ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン国家安全保障問題対東大雨量補佐官は日曜日、経済制裁の影響を打ち消すためにロシアを支援しようとする国には影響が及ぶと警告した。

サリヴァンはNBCの「ミート・ザ・プレス」に出演し、「私たちは北京だけでなく、世界中の全ての国に対して次のように明言したい。もし彼らが基本的にロシアを救済することができる、我々が科した制裁を回避する方法をロシアに与えることができると考えるなら、彼らは全く別の結果を得ることになるだろう。私たちは中国であろうと他の国であろうと、ロシアの被る損失をロシアが挽回できるようにはさせないからだ」と語った。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)が発売になりました。全国の大型書店に置いてあります。是非手に取ってお読みください。アマゾンにもブックレヴューが掲載されています。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 バイデン政権は大規模なインフラ整備を行おうとしている。その財源として、大企業への税率引き上げと富裕層への増税を考えている。しかし、それだけでは到底間に合わない。そこでどうしても出てくるのが国債発行だ。現在のところ、物価上昇率も低く、インフレ懸念も少ないので、国債発行で資金を調達して、インフラ整備を行う、そのことが引いては、中国との競争に打ち勝つことにつながるということである。

 今回ご紹介する記事は、「バイデンは中国が改革開放以来、成功させてきたインフラ整備を真似たいと考えている。しかし、それは不可能だ」という内容だ。その理由は、そもそも論として、中国は市場経済に転換して数十年で、土地の価値が上昇し、それを担保にして、資金を調達してインフラ整備を行ってきた。これが資本主義発生期から勃興期の、原資蓄積というものなのだろう。この方式が限界に近付きつつあるというのが記事の筆者の認識であるが、アメリカはそれができない。アメリカは国債の信頼性でお金を集めるしかない。

 しかし、ここで面白い現象が起きる。アメリカ国債を買っているのは誰か。それは中国と日本とサウジアラビアだ。中国の資金で、中国に打ち勝つために、インフラ整備を行うということになる。中国にしてみれば、アメリカが景気回復することで、時刻の対米輸出も回復するのだから、アメリカには頑張ってもらいたいという考えもある。日本にしても、アメリカに貢ぐことでアメリカが景気回復して、アメリカがけん引する景気回復の波に乗ることができる。こうしたメカニズムが機能するためには、アメリカ国債が安定していなければならない。

 米中は激しく対立している。しかし、米中はある意味では運命共同体だ。この点を見落として、お勇ましく、「中国と戦うぞ(だけど日本一国では駄目だからアメリカの尻馬に乗って)」と言っているようでは、いざという時にはしごを外される、「日本が悪いよね」と共通の敵、スケープゴートにされる可能性もある。馬鹿の一つ覚えみたいに「中国の脅威」をお題目のように唱え続けているだけでは駄目だ。常に2つ、3つのプランを持っていなければならない。

(貼り付けはじめ)

バイデンは中国のインフラ建設の奇跡を真似たいと望む(Biden Wants to Replicate China’s Infrastructure Miracle

-しかし、彼にそれを実現することは不可能だ。その理由を説明する。

ユーコン・ファン、ジョシュア・レヴィ筆

2021年55

『フォーリン・ポリシー』誌

MAY 5, 2021, 3:58 PM

https://foreignpolicy.com/2021/05/05/china-infrastructure-debt-land-prices-biden/

今年(2021年)3月、ジョー・バイデン大統領は、アメリカ国内のインフラの修理と新設のために2兆ドル(約220兆円)を超える規模の投資を行うと発表した。しかし、バイデンは、表向きは国内政策についての演説を行ったのだが、実際には外交政策、「中国との世界規模での競争」という挑戦について語っていたのだ。これは荒唐無稽なことではない。ワシントンでは、民主、共和両党は共に中国の台頭に懸念を持っている。中国の支配という幻影によって、バイデンは自身の政策に対する支持を構築することになる。

中国の怒りはアメリカ、インド、ブラジルにとっていつものことだ。そして、他の新興諸国は中国に追いつくことを夢見ている。しかし、これら新興諸国の野望は、機能不全に陥った都市部での各種サーヴィス、古くなった交通システム、停電が多い電力供給システムなどによって、成就できないようになっている。これらの国々にとって、中国との競争は、新しいインフラ建設に投資することを意味する。

しかし、アメリカ政府はこれら新興諸国と同じ悩みを抱えている。それはそのような投資のためのどのように資金を確保するかというジレンマに陥っている。バイデンの提案については、財政上の実現可能性について疑念が高まっている。バイデンは、その財源について、キャピタルゲインの税率の引き上げ、相続税の新設、税金回収システムの改善で賄うとしている。これらは根強い反対、もしくは実現性の制限に直面する。

一方、中国の経済構造と金融メカニズムは根本的にアメリカのものとは大きく異なる。中国のインフラ投資について見れば、アメリカで模倣することがどれほど困難なことかということが明らかになるだろう。

中国の一人当たりの収入はアメリカの7分の1である。そして、中国の財政、金融システムはアメリカに比べてほとんど洗練されていない。しかし、中国は経済状態を変更させるための資源を見つけることができる。中国国民の過半数は近代的な巨大都市に住んでおり、高速鉄道と高速道路のネットワークが中国全土を覆うようになっている。そして、中国の世界的な大企業は、他国の競争相手と激しい競争を行うようになっている。中国はこうしたことが可能であったが、その理由は高い投資レヴェルを維持するために必要な資金を中国政府が保有できたからだ。実際のところ、こうしたインフラなどへの投資は30年の間、中国のGDPの約40%を占めてきた。対照的に、アメリカにおける投資は約20%である。中程度の収入である国々がアメリカに追いつこうとして行う公共事業への投資は25から30%となる。

中国のインフラ投資の模倣がバイデンの提案の中でどれほど重要かということについて、これまで述べてきた指摘は議論を促進している。しかし、ここに根本的な疑問が生じてしまう。それは、世界各国の政府が中国ほどではないインフラ整備計画を立案しても、税率を引き上げたり、資本市場から資金を引き出そうとしたりしても、それらのための財源を確保することができないのに、中国はあれほど大規模なインフラ投資のための財源をどのようにして確保することができたのだろうか?

中国が採用した方法はあまり理解されない方法であった。中国が社会主義経済から市場経済へと移行した時期、開発のために、土地の隠された価値を引き出したことで、中国政府は成功を収めたのだ。改革開放前の社会主義時代には、中国の土地は、所有権も使用権も国家に帰属していたので、商業利用に制限があった。住居用そして商業用の財産市場が確立し始めたのは1990年代後半であった。この時期、中国政府は住宅を私有化し、商業利用のために土地のオークションを開始した。

この政策の結果、市場が商業的価値を確立しようとしたことで、土地を基にした財産価格は急上昇した。土地の一部を名義上所有していた人々、各世帯、各企業、各地方政府は突然、自分たちの財産の価値が急上昇するという幸運に恵まれた。中国の住宅用土地価格指数で見ると、2004年から2017年までに土地の価値は8倍になった。ロシアの財産市場でも同様のことが起きた。ソヴィエト連邦崩壊と住宅地の私有化が始まって以降、財産価値は急上昇した。1990年から1996年までに、モスクワの土地価格は12倍も増加した。

土地価格の急上昇によって、地方政府や市政府は、地方政府金融制度(local government financing vehiclesLGFVs)と呼ばれる制度を確立することができた。この制度では、資金を集め、インフラに投資することができた。国有企業から転換した各企業や地方政府金融制度は、上級の政府による保証を受け、土地財産を担保にして借金をしたり、新しい債券を発行したりできた。そうして各企業や各地方政府は発電所から地下鉄まで、あらゆるものを建設することができた。

銀行や企業の債権市場における利率の上昇よりも土地価格の上昇率の方が高ければ、借り手は資金を借りて、以前に借りた借金の返済にその資金を回すことができる。しかし、このようなメカニズムは永久に機能するということはない。土地価格の上昇は続くかもしれないが、土地価格が均衡点まで到達する時、利率の上昇率を上回る上昇率を保つことはない。若い世代は資金の使い道について前の世代よりもより多くの選択肢を持つので、前の世代に比べて貯金をするということは少ない。そうなると、利率は上昇する。更に言えば、政府によるインフラ計画に対する投資のリターンは小さくなっていく。政府のインフラ投資計画は、公正の面、そして戦略的な面の理由によって、より内陸部へと進んでいく。そして損失が出る可能性はどんどん高まっていく。 従って地方政府金融制度による借り入れは、北京の中央政府の負債レヴェルに関する懸念を受けて、より金額が小さくなっていく。インフラ投資の拡大ペースはこれから落ちていくことになるだろう。

世界中で、財産市場は何世紀前からではないが、数十年間から既に存在していた。これが意味するところは、各国政府は、中国の現在の指導部が市場改革によって手に入れることができた、「棚からぼた餅」式の利益を手にすることはできないだろうということだ。

バイデンにとって、税金を引き上げることができないとなれば、インフラ投資のほとんどには新たな借金が必要ということになる。バイデンは不動産などの財産を担保にすることはできず、アメリカ財務省の信頼性を担保にするしかない。アメリカ国債に依存することで、アメリカの地方政府はインフラを建設し、また既存のインフラの修理を行うチャンスを手にすることができるということだ。そして、中国が他の西洋諸国と同法に金融上の限界に直面することで、アメリカと中国との差は縮まっていくだろう。

不安定なインフレ圧力は確かに存在する。しかし、信頼性の高いアメリカ国債に大きく依存することは、中国の土地を基にした資金調達法と同様にうまくいくだろう。しかし、アメリカ・ドルが事実上の国際規模での準備通貨の地位から転落しているならば、アメリカ国債に大きく依存する方法にもまた最終期限が設定されることになる。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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