古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 日米関係

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 米穀の小売価格が4000円台となっている現在、国民の不満は高まっている。そうした中で、江藤拓前農水相(2025年5月21日に辞任)が「米を買ったことがない、売るほどある」などと発言したことで、顰蹙を買い、その後の釈明もとんちんかんな状態が続いたことで、石破茂首相は更迭を決断し、小泉進次郎議員を後任の農水相に抜擢した。
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 江藤前農水相の失言については当初、与野党は批判をしながらも、辞任までは必要ない、現状の米の価格の引き下げに尽力せよという考えが大勢を占めていた。それが変わったのが昨日になってからのようだ。以下に下に貼った記事から引用する。

(引用はじめ)

「実は当初、国民民主党の玉木代表は『不適切な発言』としながらも『辞める必要はないと思う』と話していたんです。それだけに、野党第1党の立憲民主党としても国民民主や維新が賛成しなければ、不信任案を出しても否決されるだけ、と様子見だったんですが、国民民主の他の幹部が、『不信任案を出しましょう』と持ちかけたことで、一気に話が進みました」

「ある立憲の幹部は『国民民主がこういう対応をすることはあまりなかった』と話しています。実際、予算や選択的夫婦別姓など、大きな課題で、これまで野党は一致しませんでした。野党が一枚岩になって対応したのは、今の国会では初めてのことです。『野党がまとまれば、大きな力になることが証明できた』と、ある立憲幹部は手応えを感じていました」

(引用終わり)

 今回の江藤前農水相更迭の流れを作ったのは国民民主党であったようだ。これまで愛並みを揃えることができなかった野党は一致結束すれば数では少数与党を上回ることができることをここで示した。他にもっと重要な場面で示すことができたのではないかと批判したくなるが、これが参院選までの政局において重要な要素ということになりそうだ。しかし、国民の批判は大きかったが、江藤前農水相の失言はそこまでのことだったのか、そして、国民民主党はどうして急に「やる気」になったのかということも疑問は残る。そして、今回の極めて政治的な動きは小泉進次郎議員を担ぎ出すための動きではなかったかという考えも出てくる。

小泉進次郎議員の「改革」路線は、国民民主党とは親和性が高い。小泉進次郎議員は昨年の自民党総裁選挙で、大きく支持を落として敗退し、その後、自民党の選挙対策本部長に起用され、衆院選挙に臨み、自公の過半数割れという結果で辞任した経緯がある。小泉進次郎議員が首相になるという話はだいぶ遠のいたが、それでもまだ「将来の総理総裁候補」ではある。ここで米の価格を下げることに成功すれば一気に劣勢を挽回できる。そもそも小泉議員が農水相に就任したくらいで米の価格が下がるなどは考えにくい。政府による施策が効果が出る頃に交代で、成果が出る時の大臣が小泉進次郎であれば、その「手柄」は小泉大臣のものとなる。

 米の価格は急上昇を続けている。その原因は「よく分からない」ということだが、需要に比べて供給が少ないために価格が上がっていると考えるのが自然だ。それでは米は不作かと言えば、ここ数年は「豊作」とは言えないまでも、1993年時のような不作ではなかった。米の流通は複雑だとも言われるが、米を精米して袋詰めして、市場に出すまでには様々な作業が必要であり、現在のコスト高では米の価格が上昇するのは仕方がない面はある。しかし、5キロで3000円台前半が適正という意見もある。
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 小泉進次郎議員を農水相に起用するにあたり、菅義偉元首相の後押しがあったという報道も出ている。神奈川売国連合が動いている。小泉議員を総理総裁候補に復活させることで利益を得るのはアメリカである。小泉議員は「米担当大臣のつもりで」で発言しているが、彼が担当しているのは「米穀」ではなく「米国」である。農林中金100兆円(運用額50兆円・外債運用20兆円)をアメリカに差し出すための「改革」を行う。そのためには、「小泉大臣のおかげで米の値段が下がった」という成功物語が必要となり、そして、これに続くのは「米の値段を吊り上げた戦犯は農協とそれにくっつく農林族議員だ」というプロパガンダだ。私たちはこのことによくよく注意しておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

●「続投から一転…江藤氏の“更迭”なぜ? 小泉新農水相でコメ価格「3000円台」は」

5/22() 6:11配信 日テレNEWS NNN

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e592a8a8367fdac48b0ff0005b55d16628b82f1

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e592a8a8367fdac48b0ff0005b55d16628b82f1?page=2

「コメは買ったことがない」などと失言した江藤農水大臣が事実上、更迭され、後任として小泉進次郎氏が就任しました。なぜ、江藤農水大臣が事実上の更迭となったのか、コメ価格は下がるのか、などについて解説します。

■野党が一枚岩に 今国会で初

藤井貴彦キャスター

「当初、石破総理は続投させる考えでしたが、なぜ一転して事実上の更迭ということに変わったのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長

「ある野党のベテラン議員は、江藤大臣に対する不信任決議案の提出に向けて、『野党がまとまった後、自民党が慌てだした』と話しています」

「実は当初、国民民主党の玉木代表は『不適切な発言』としながらも『辞める必要はないと思う』と話していたんです。それだけに、野党第1党の立憲民主党としても国民民主や維新が賛成しなければ、不信任案を出しても否決されるだけ、と様子見だったんですが、国民民主の他の幹部が、『不信任案を出しましょう』と持ちかけたことで、一気に話が進みました」

「ある立憲の幹部は『国民民主がこういう対応をすることはあまりなかった』と話しています。実際、予算や選択的夫婦別姓など、大きな課題で、これまで野党は一致しませんでした。野党が一枚岩になって対応したのは、今の国会では初めてのことです。『野党がまとまれば、大きな力になることが証明できた』と、ある立憲幹部は手応えを感じていました」

■石破内閣への不信任決議案は

藤井キャスター

「そうなると、夏には参院選もありますし、この先の野党の戦略にも今回の動きは影響しそうですね」

小栗委員長

「まさにその通りで、今後、最大の焦点は、石破内閣への不信任決議案を野党が出すのかどうかです。石破総理はこれまで周辺に、内閣不信任案が出された時点で、つまり国会での採決を待たずに衆議院を解散する意向を示していて、ある自民党幹部は『不信任案が出されたら衆参ダブル選挙になるだろう』と話しています」

「こういうことになると、選挙の準備は整っているのか、勝てる見込みはあるのか、など野党各党の思惑にもズレが出てきます。ただ、今回、野党が足並みをそろえて江藤農水大臣を辞任に追い込んだ実績は重く、立憲のある幹部は『野党のほうが数が多いという事実をもう一度、しっかり活用していかないといけない』と、国民民主のある幹部は『内閣不信任案、出すしかないだろう』と話していました」

「最終的にどうするかは、まだまだ不透明ですが、野党の結束が一歩前進するきっかけにはなったと言えそうです」

藤井キャスター

「『コメは買ったことがない』という一言から政界の大きな動きになってきましたね、李光人さん」

板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー)

「コメの値段が少しずつ上がり始めた時には、ここまで政治が動くことになるとは思っていなかったので、率直に驚きがあります。ただ、自分もごはんは食べますし、皆も毎日食べるよねっていうところが、皆の怒りにつながって、野党が初めてまとまって政治を動かすことになると、食の問題はすごく重大なものだなと思いました」
■「随意契約」で価格下がる? 公平性の問題も

藤井キャスター

「そして、21日に農水大臣に就任した小泉進次郎さんですが、その初日に、総理からコメ5キロの価格を3000円台にというハードルを突きつけられたわけですが、実際にコメの価格は下がるんでしょうか」

小栗委員長

「複数の政府関係者からは『トップがかわって(価格が)下がるならとっくに下がっている』と悲観的な見方も出ています。ただ、石破総理は備蓄米が市場に出回ってないことについて、21日に早速、『随意契約を活用した備蓄米の売り渡しを検討するように』と新たな指示を自ら出しました」

「これまでは競争入札でしたので、どうしても価格が上がりがちでした。これを『随意契約』にするとどうなるのか、コメの流通に詳しい宇都宮大学の松平尚也助教によると、『予定価格を決めて国が事業者と契約を行うので、この価格以下で値段を設定される。そのため、安い価格帯の備蓄米の流通が増えることになる』ということです」

「ただ、『契約する事業者をどう選定するのかという公平性の問題は予想される』と指摘していました」

■小泉氏の「改革に向けた情熱」 “変なことさせない”すでにけん制の声も

藤井キャスター

「その難しい一手を任せる重要なポジションに石破総理が、小泉さんを起用したということになるわけですね」

小栗委員長

「石破総理は、小泉さんの『改革に向けた情熱』を理由の1つにあげています。これまでの農水省の一連の対応に石破総理は『消費者ではなく農家に向きすぎている』と不満を漏らしていて、農政を改革するという点で小泉さんに期待している面もあるようです」

「ただ、小泉さんの過去の農協改革については、自民党内には『結局、改革は進まなかった』という批判的な見方もあります。実際、農水大臣の経験もある自民党のベテラン議員からは『小泉さんには変なことはさせません』と小泉さんの動きをけん制するような声もすでに上がっていて、短期間で結果を出せるのか、小泉さんにとっても石破総理にとっても正念場となりそうです」

藤井キャスター

「コメの価格は、毎週月曜日に発表されます。新大臣の手腕による効果なのか、備蓄米が行き渡り始めた効果なのか、も含めて価格動向に注目したいです」

521日『news zero』より)
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●「コメ価格の下落、備蓄米出回る4月以降か…大手スーパー担当者「大幅な値下がりはないだろう」」

2025/03/15 09:20 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250315-OYT1T50014/

 政府がコメ価格安定を狙い初めて実施した備蓄米の入札は、9割以上が落札され、ひとまず順調な滑り出しとなった。今月下旬にもスーパーなどの店頭に並び、4月以降、販売価格も下がり始めるとみられる。昨夏の「令和の米騒動」以来続いてきたコメ価格の高騰に歯止めがかかるのかが注目される。(経済部 佐藤寛之)

■タイムラグ

 江藤農相は14日夕に開いた臨時記者会見で「胃が痛い思いをしていたが、ほっとした」と述べ、流通の停滞解消に期待感を示した。備蓄されている場所に偏りがあることを踏まえ、全国に均等に流通するよう、集荷業者や卸売業者、小売業者に通達した。

 総務省の小売物価統計調査では、東京都区部のコシヒカリ(5キロ・グラム)の価格は昨年5月から10か月連続で上昇し、今年2月には4363円で過去最高値を更新した。今後の価格について、日本国際学園大学の荒幡克己教授は「小売りや外食は既に高い価格で仕入れており、今回の放出で安い米を仕入れたとしてもタイムラグがある。4月半ばから5月の連休明けに価格は下がるのではないか」と指摘する。

 一方、入札に参加した集荷業者は「競争入札なので、安い金額では応札できなかった」と明かした。大手スーパーの担当者も「大幅に価格が下がることはないだろう」と冷ややかだ。

■不足

 これまで高騰が続いた理由は、市場に出回るコメが不足したことだ。農林水産省によると、2024年産米の生産量は前年より18万トン多い679万トン。一方で、大手集荷業者が生産者から買い集めた量(集荷量)は24年12月末時点で前年より21万トン少なく、今年1月末時点では23万トン減と減少幅が拡大した。生産量が伸びたにもかかわらず、集荷量は減ってしまっている。

 その原因の一つに、高値での売却を当て込み、一部の卸売業者や農家らがコメを抱え込んでいる実態もある。江藤氏は13日の参院農林水産委員会で「正直なところ、新しいプレーヤーが入りすぎて(流通状況が)わからない」とこぼした。

 備蓄米の放出により、流通市場でのコメ不足は和らぐとみられる。転売目当てでコメを押さえていた一部業者らも、価格が低下する前に手放さざるを得なくなりそうだ。

 ただ、農水省が計画通り21万トンの備蓄米を放出しても、コメ価格が大幅に下がるほどの影響があるかどうかは見通しにくい。24年産米は「猛暑の影響から中身がスカスカで、精米した後の量が例年より減っている」(荒幡氏)との指摘もある。
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●「菅元首相「小泉さんにぴったり」 農相就任の決断を後押しか」

5/21() 17:00配信 カナロコ by 神奈川新聞

 小泉進次郎元環境相(衆院神奈川11区)が21日、石破茂内閣の農相に就任した。コメ価格高騰を巡る失言で前任の江藤拓氏が更迭され、米国との関税協議など難問も山積。野党時代の初当選以来、苦難を共にしてきた菅義偉元首相(同2区)が苦渋の決断を後押しした。自民党内には「総裁選への出馬を阻むための入閣要請か」との臆測も飛び交うが、小泉氏本人は「総裁選は二の次、三の次の話。コメの高騰など目の前の生活の危機を突破しないといけない」とくみする気配は皆無だ。

 「誰もが敬遠する時期で、誰もが敬遠する仕事。党の政治改革事務局長など厳しいことを選んでやってきた小泉さんにぴったりだ」。就任打診を報告した小泉氏を菅氏は励ました。自民幹部は「石破総理は断られないように外堀を埋めていた」と推測する。菅氏は神奈川新聞社の取材で「小泉氏への打診前に官邸などから相談があったのでは」と問われ、「任命権者は総理」とけむに巻いた。一方で「(打診は)テレビとかに出る前には知っていたかな」と自らの関わりに含みを持たせ、党内の「石破降ろし」の動きをけん制した。
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●「首相、コメ価格「5キロ3000円台でなければならない」国民民主・玉木氏に 党首討論」

5/22() 7:00配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d5daeae8b7e711b575271d852edd8370397c0c4

石破茂首相は21日の党首討論で、スーパーなどで販売されているコメ5キロ当たりの価格について、「3000円台でなければならない」と述べた。国民民主党の玉木雄一郎代表に答えた。

玉木氏は「コメの値段は必ず下げるのか。どのようにいつまでに5キロいくらまで下げるか」と具体的に質問した。

首相は「どこに、なぜ、どれだけのものが滞留しているのか把握しないと、おまじないを言っても仕方がない。気合で下がるわけでもないので、下げる方針が分からない」と述べた。さらに「コメの供給が安定的になされれば、こんなに価格が上下するはずがない。安定的なコメの供給を必ず実現する」とした上で、「3000円台でなければならないと思っている。4000円台などということはあってはならない」と強調した。時期については「一日も早く実現する」と述べた。

さらに首相は、実現できなかった場合に「責任を取らなければならない」と述べた。「仮に下がらないとするならば、なぜ下がらないかということをきちんと説明するのは政府の責任だ」とも語った。玉木氏は「コメの高騰が続いて1年ぐらいになるが、いまだにその分析か」と批判した。

玉木氏はコメの増産に向けて政策変更をするよう求め、首相は「増産の方向に舵を切れという主張は同意する」と明言した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 今年2024年は世界各国で国政レヴェルの大きな選挙が実施された。ブラジル、インド、インドネシアなどで選挙が実施された。日本では9月の自民党総裁選挙で石破茂が総裁に選出され、首相となったが、10月初旬に衆議院を解散し総選挙が実施され、自公は過半数を割り込んだが、政権維持ができそうな公算が高まっている。アメリカでは大統領選挙と連邦上下両院の選挙が実施され、共和党のドナルド・トランプが大統領に返り咲き、連邦上下両院で共和党が過半数を獲得する勢いとなっている。

 石破首相は総総選挙で自民党の議席を減らしたが、特に安倍派清和会系の議員たちの数を減らしたことで、党内の掌握ができたと考えられる。反石破派は党内野党的な立場となるが、造反することはできない。党を割って新党ということもできない。高市早苗議員たちが党を割って新党という与太話が出ていたが、現在はしぼんでいる。こうした議員たちは自民党にいてこそなんぼであり、自民党から離れたら何の力もない。サラリーマン世界で管理職だ、役員だと威張ってみても、定年退職したらただの高齢者というのと変わらない。政敵を無力化する、排除するというのは世の常だ。安倍派清和会支配の間は故安倍晋三元首相と追随者たちがこの世の春とばかりにやりたい放題であった。そのために自民党が緩み切って弛緩した。今回の総選挙での惨敗はまさに「因果は巡る糸車」ということになる。

 今回の自民党総裁選挙と総選挙は自民党保守本流(突き詰めれば国民の生活が第一)と自民党保守傍流(突き詰めれば国民は国家の駒に過ぎない)の戦いで、保守本流が勝ったと言うことになる。2012年からの我慢に我慢の保守本流側が勝利をしたということになる。岸田前首相からの路線をこれからも堅持していくことになる。田中角栄と大平正芳が冥界で喜んでいるだろう。

 国内政治はこれまでのように、増上慢に、傲慢になった安倍派清和会支配の自民党がやりたい放題であった時代から変わった。何事も交渉して、譲るところは譲ると言うことがなされることになった。自民党議員たちはこれまでのようにふんぞり返り、暴言を吐いて、国会運営も思い通りと言うことはできなくなった。一から頭の下げ方、野党との交渉の仕方を勉強することになるだろう。中途半端に当選回数を重ねてきた安倍チルドレンたちは鍛え直されるくらいでちょうど良い。

 国内政治で忙しくなると、国際政治、外交が疎かになるという心配がある。これは逆手に取れば、「アメリカからの無理な注文に応じられない理由にできる」ということでもある。石破首相が国内政治対応が忙しくて、トランプ前大統領との関係構築が後手に回るという心配(批判)がなされているが、一目散にトランプタワーに行ってトランプに会うことに何の意味があるのか。歯の浮くようなお世辞とゴルフ場での媚びた態度でトランプの起源を取ることが外交と考えているならばそれは間違いだ。石破首相もどこまでできるは分からないが、対米隷属状態の改善と言うことに動くだろう。トランプは交渉の人だ。そして、石破首相がプロテスタントであることは交渉に貢献することになるだろう。詳しくは『世界覇権国交代劇の真相』の佐藤優先生によるまえがきと第一章を読んでいただきたい。

 アメリカが衰退し、トランプはそのための墓堀人ということになる。石破首相は現状についてよく理解している。より現実的な動きを大きくはすることになるだろう。石破首相は国内政治と国際政治においてこれまでの安部派清和会支配時代の澱みを掃除しようとしているのであり、心ある国民は石破首相を応援するべきである。

(貼り付けはじめ)

日本の混迷政治が東アジアの安定を揺るがす(Japan’s Chaotic Politics May Shake East Asia’s Stability

-長らく支配してきた自民党の大敗が東京の計画を不透明なものにしている。

ウィリアム・スポサト筆

2024年10月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/30/japan-election-surprise-liberal-democratic-party-ishiba-komeito-uncertainty/

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総選挙の翌日に石破茂首相を映し出す大型テレビ画面の下を歩く人々(10月28日、東京)

日本で長期にわたり政権を維持してきた自由民主党の選挙での驚くべき敗北は、まさに世界がそれを最も必要としていなかったときに、新たな不安定時代(new era of instability)の到来をもたらした。

石破茂新首相が仕掛けた10月27日の解散総選挙では、自由民主党と、宗教組織の支援を受けた連立政党である公明党が大敗し、衆議院で過半数の議席を確保できなかった。それまで絶対安定多数を享受してきたがそれが崩壊した。自民党は前議会比23%減の191議席を確保した。仏教団体の創価学会が支援する公明党も同様に悲惨な結果となり、25%減のわずか24議席となった。更に追い打ちをかけるように、公明党の党首は自らの議席を獲得できなかった。

過去20年間、農水相や防衛相など影響力のあるポストを歴任し、政治家としてよく知られた石破にとって、今回の結果は特に厳しいものとなった。彼は9月末、この16年の間で、5度目の挑戦にして、ようやく自民党の総裁に選出された。

前任の岸田文雄前首相が、自民党議員たちの不適切な資金集めに絡む政治スキャンダルで責任を取って辞任した後、石破氏が党員投票で総裁に選ばれた。

このスキャンダルは典型的なほどに日本的なもので、他の多くの国、特にアメリカでは通常業務となるような、疑わしい慣行と比較的少額の資金が絡んでいた。この事件では、自民党の調査によって、85人の議員が4年間に5億8000万円(約380万ドル)の資金調達を報告していなかったことが判明した。

このようなスキャンダルは、複雑な規制によってほとんどの人が何かしらの罪を犯している日本では、ほとんど目新しいものではない。安倍晋三首相は在任中、同様のスキャンダルを何度も乗り越え、日本で最も長く首相を務めた。

首相退任後の2022年、安倍元首相は自民党と統一教会(Unification Church)との長年にわたる関係に腹を立てた一匹狼的な犯罪者に殺害されるという悲劇に見舞われた。この殺害事件に対する怒りが広まる一方で、世論は犯人の訴えを支持するようになり、自民党は再調査を開始し、統一教会との関係を放棄せざるを得なくなった。

長い間待ったのではあるが、石破首相の在任期間は長くは存在しないかもしれない。衆議院が新首相を選出しなければならないまでの30日以内に、石破から相殺を交代させるのは物理的、手続き的に困難だが、惨めな成績を受けて、石破が辞任することが予想される。一方、自民党と最大野党の立憲民主党(Constitutional Democratic PartyCDP)の勢力均衡のカギを握る中小政党との密室交渉(backroom negotiations)が始まった。

自民党は11月11日に国会を開き、そこで新首相を選出することを提案している。過半数を獲得する者がいなければ、第2回投票での最大得票者に首相の座が与えられ、弱体化した少数政権(weakened minority government)が誕生することになる。このような政権の安定性を維持するのは難しいだろう。

日本の政治では通常そのようになるのであるが、自民党と立憲民主党の間にイデオロギー的な違いはほとんどない。立憲民主党は、女性が結婚後も自分の姓を保持できるようにすること(自民党には明確な政策がない問題)に賛成し、日本の巨額の政府債務を抑制しようとしながら貧富の格差を縮小するのに役立つ措置を提案している。日本の政府債務は年間 GDPの260%に相当し、世界の主要経済国の中で最高水準となっている。

立憲民主党は議席数を51%伸ばし、148議席に達した。これは215議席の自民党・公明党連立政権にはまだ遠く及ばないが、過半数までは射程圏(striking distance)内だ。立憲民主党は、自民党以外の政党の政治家で現在も政界で活躍している数少ないリーダーの1人である、野田佳彦元首相が率いる政党だ。財務大臣、そして総理大臣として安定した手腕を発揮した野田代表は、特に外交の分野では自民党と同じ政策の多くを追求することが予想される。

しかし、この全ての中でより大きな懸念は、権力争い(jockeying for power)、連立提携の試み(attempted coalition tie-ups)、個人的な対立(personal rivalries)により、日本の存在が大いに役立つはずのときに、世界の舞台から日本がほぼいなくなることだ。

第二次世界大戦後の平和主義(pacifism)と、事実上あらゆる国際問題についての和解と交渉(reconciliation and negotiation)を助言する一般的な外交政策への重点から離れ、日本は今日、増大する近隣諸国(中国、ロシア、北朝鮮)の連合に対抗する最前線国家(front-line state)となっている。

正式な陸海空軍がないにもかかわらず、東京の防衛力増強は、1950年に「警察予備隊(National Police Reserve)」という無難な名称で最初の部隊が創設されて以来、静かに行われてきた。そのペースは2012年から2020年までの安倍政権時代に加速し、最近更迭された岸田首相によって更に加速した。岸田首相は、防衛費を10年間でNATO加盟国の基準であるGDPの2%にまで倍増させると宣言したが、その財源は明らかではない。日本の軍事力は世界で最も有能なものの1つと考えられており、通常トップ10に入る。

日本はまた、アメリカとの戦略的同盟(strategic alliance)を超えて、幅広い国々と防衛関係を形成する連合構築国(coalition builder)となっている。日本人は、日米防衛協力が世界でも最も広範なものの1つであるとよく強調していることに注目したい。

今日、日本は多くの国々と防衛関係を築いている。その中には、南シナ海の支配に向け着実に歩みを進める中国を警戒する東南アジア諸国だけでなく、イギリス、フランス、イタリアといった遠く離れた同盟諸国も含まれている。日本は、東京にNATOの事務所を置くというアイデアさえ推進しようとしたが、消極的なフランスに却下された。

日本もまた、外交政策の発表においてより強い姿勢を示しており、これまでの歴史的寡黙さ(historical reticence)の多くから脱却している。岸田はロシアのウクライナ侵略を即座に非難し、すぐに制裁を発動した。岸田は「これは明らかな国際法違反であり、ウクライナの主権と領土保全を侵害するものである。国際秩序の根幹を揺るがす行​​為として全く容認できない」と述べた。

岸田は後に、日本が懸念する理由を明らかにし、2023年にワシントンを訪問した際に記者団に対し、「ウクライナは明日の東アジアの姿になるかもしれない(Ukraine may be the East Asia of tomorrow)」と語った。これは、中国がモスクワからヒントを得て、そのような中国と台湾の再統一(reunification of China and Taiwan)と呼ばれる計画を進めるのではないかという懸念に明確に言及したものだ。

このウクライナへの支持、そしてアジアにおける同様の侵略に対する懸念の高まりは、誰が政権を獲得しようとも変わる可能性は低い。横浜にある神奈川大学の日本外交政策専門家コーリー・ウォレスは、連立政権の首相には焦点を当てるべき国内問題が山ほどあるというリスクがあると語る。

ウォレスは「日本の石破首相は、国内問題で忙殺されることになり、国際問題でリーダーシップを発揮する余裕がなくなるかもしれない」と述べている。

日本にとっての懸念の1つは、ドナルド・トランプがアメリカ大統領に返り咲く可能性にどう対処するかだろう。日本は、トランプ大統領の最初の任期中、トランプ大統領との衝突を回避できた数少ない同盟国の1つであり、安倍首相が「トランプのささやき屋(Trump whisperer)」になったことが大きく評価されている。お世辞とゴルフ(flattery and golf)を組み合わせることで、安倍首相は気まぐれなトランプ大統領と良い関係を保つことができた。

ウォレスは「石破にはトランプ大統領の懐に飛び込むスキルも関心もないと思う」と語った。

この新米の指導者は、日本の外交・防衛政策について、すでにいくつかの厳しい発言で驚かせている。石破は自民党総裁選に向けた準備期間中に、岸田と安倍が強化に努めてきた日米安全保障関係を再構築したいと述べ、本質的にはより平等である必要があることを示唆した。石破はまた、中国に対抗するためのアジア版NATOの創設も提案した。これがどうやってうまくいくのかという疑問に直面した石破は、後にこれらは長期的なアイデアだと言って撤回した。

元外交官の沼田貞昭は「石破氏はかなり世間知らず(naive)のようだ。彼は防衛専門家と言われているので、問題について知っているに違いない」と述べ、この考えは日本にとって、特に核兵器の分野で多くの問題を抱えていると付け加えた。沼田は「安倍と石破が核共有(nuclear sharing)などの概念について話すとき、彼らは核兵器の使用に関して何を決断する準備ができている必要があるのか​​について本当に明確な考えを持っていたのだろうか? 日本の指導者、政策立案者、国民は核IQを高める必要がある」と述べている。

政治的な駆け引きが進行する中、このような議論は将来に先送りされる可能性が高い。しかし、どの程度先の未来になるかは、ロシア、北朝鮮、中国がそれぞれの同盟関係をどこまで発展させるかによって大きく左右されるだろう。北朝鮮軍のロシアへの派遣は、また新たな緊張の高まりを意味する。日本の首相が誰であれ、早急に準備を整える必要があるだろう。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリストで2015年以来『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿している。ロイター通信とウォールストリート・ジャーナル紙に勤務し、20年以上にわたり日本の政治と経済を取材してきた。2021年にはカルロス・ゴーン事件とそれが日本に与えた衝撃に関する著作で執筆者の1人となった。

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日本の新首相は政治的断層の上に座っている(Japan’s New Prime Minister Is Sitting on a Political Fault Line

-与党である自民党は国力の追求をめぐって揺れ動いている。

トバイアス・ハリス筆

2024年10月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/09/ishiba-japan-ldp-shinzo-abe-militarization/

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東京にある衆議院で本会議に臨む石破茂新首相(10月9日)

石破茂新首相が2018年の自民党(Liberal Democratic PartyLDP)総裁選で当時の安倍晋三首相に挑戦することを決めた瞬間ほど、石破茂新首相の人柄が表れた瞬間はないと言えるだろう。

2018年、安倍首相は2度目に首相に就任してから6年を迎え、支持率に影響を及ぼしたいくつかのスキャンダルにもかかわらず、国内では完全に支配的であり、海外ではますます有名な政治家となっていた。自民党は規則を変更し、安倍首相が3期目(任期は3年間)の総裁選に立候補することを可能にした。これにより、安倍首相は日本で最長の首相職に就くのに十分な期間首相の座に留まることが可能となった。自民党が安倍の再任を拒否するとは考えられなかった。

それでも石破は総裁選への立候補と安倍への挑戦を決意した。石破は2012年9月の自民党総裁選で安倍に逆転で敗北したにも関わらず、かつては安倍に忠実に仕えていたが、安倍首相に対する幻滅はますます高まっていた。石破は、首相の経済計画であるアベノミクス(Abenomics)は主に大企業と大都市に利益をもたらし不平等を増大させる一方で、安倍首相の国家安全保障改革は日本をどのように守るべきかというより本質的な議論を回避していると考えていた。

より根本的な点としては、石破はまた、特に影響力の個人的な使用や権力の濫用に関する確かな非難に直面して、安倍首相の強権的なリーダーシップのスタイルにもがっかりした。石破は安倍首相にこれらの懸念に答えてもらいたいと考え、2018年の選挙戦では「正直と正義(honesty and justice)」をスローガンに掲げて選挙活動を行ったが、安倍首相の同盟者たちはこのスローガンを首相と彼のスキャンダルに対する陰険な攻撃だと認識していた。

石破は予想以上に健闘したが、安倍は予想通り快勝した。

石破は、安倍首相に敵対したために大きな代償を払った。今月首相に就任するまでの8年間、石破氏は閣僚や自民党幹部のポストに就いていなかった。石破は安倍首相の最も熱心な支持者たちから恨み(enmity)を買っており、彼らは石破が安倍首相を裏切っていると非難していた。このことが、2020年の安倍首相辞任後の党首選で石破が3位に甘んじた原因の1つであることは間違いない。

彼は自分の党と歩調を合わせていない人物だったが、それでも安倍首相の重大な誤りであると信じていることに関して自分の見解を曲げることを望まなかった。

それゆえ、石破が党内では友人を持たず、依然として権力を持つ右派に嫌われているという評判にもかかわらず、9月27日にわずか15票差で、安倍首相の最も忠実な側近である高市早苗氏を破り、自民党の総裁に、そして日本の次期首相になったことは驚きだった。

石破と安倍やその追随者たちとの違いは、単なる政策の問題ではない。むしろ、それらは自民党内のより根本的な哲学的分裂(more fundamental philosophical divide)を反映している。

安倍首相は文字通り、たとえ日本国民がそのグループの目標を共有しなかったり、その手法を承認しなかったりしたとしても、日本軍に対する戦後の制約を取り除き、日本を本格的な大国にしようとする党の伝統の継承者だった。冷戦終結後の安倍たちの努力のおかげで、この伝統が党内を支配するようになり、自民党内の他の思想派を脇に追いやったり、包摂したりした。

石破は、そうした対立する系統の1つに属する。彼は1980年代、自民党の悪名高き「影の将軍(shadow shogun)」田中角栄の勧めで政界入りした。田中角栄は、いわゆるロッキード事件に端を発する贈収賄容疑で法的手続きに巻き込まれながらも、圧倒的な政治機構を築き上げた人物である。田中角栄は腐敗した政治機構を築いたことで最もよく知られているが、彼の政治には接待以上のものがあった。

日本の辺境の「雪国(snow country)」の一部である日本海に面した新潟県出身の田中角栄は、この国のどの地域も戦後の経済奇跡から取り残されないようにするという決意を持っていた。田中は、自民党がその権力を使って高速道路、橋、高速鉄道を建設し、故郷のような田舎の僻地で雇用を創出し開発を促進し、列島をつなぎ合わせることを望んでいた。彼は徹底した民主政体信奉者であり、彼のニックネームのもう1つは「庶民の首相(the commoners’ prime minister)」であったが、石破や他の若手政治家たちに対し、有権者の意見や懸念に耳を傾け、彼らの生活をより良くするために国家権力を活用することを優先しなければならないと強調した。

田中派は1970年代から1980年代にかけて自民党を支配したが、田中が法廷闘争に明け暮れ、ますます健康を害していくにつれて分裂し、ついには汚職スキャンダルによって田中の信奉者たち(石破もその1人)が政治改革を求めて自民党を離党し、1993年に自民党を初めて野党に転落させた。

結局、石破は1997年に自民党に戻ったが、その時点で自民党は別の政党になっており、安倍支配をもたらした右傾化(the move to the right)が既に始まっていた。

しかし、自民党が変わっても、石破は田中から学んだ教訓に固執した。党は有権者の声に耳を傾けなければならなかった。日本の最も恵まれない人々や地域の生活をより良いものにしなければならなかった。そして、自民党が大きな変化、例えば日本国憲法の変更や国防費の増額を望むのであれば、有権者がこれらの目標を支持するよう説得するために、懸命に働き、正直に話さなければならなかった。

石破が一貫して自民党で最も人気のある政治家の1人であるのは偶然ではない。

石破が現代の自民党で異彩を放っているのは、田中への愛着だけではない。彼はまた、世界の中で日本が果たすべき役割についても独自な見解を持っている。戦時中、満州での従軍経験から再軍備に深く懐疑的で、冷戦時代にはアメリカからの日本の独立を主張することに熱心だった田中とは異なり、石破は平和主義者(pacifist)ではない。実際、石破は自分のことを「軍事オタク(military otaku)」と呼んでいる。日本の議員としては異例なほど軍事問題に熱心であることを、狂信的なオタク(fanatical nerd)を意味する日本語を使って表現している。

しかし、安倍首相とその支持者たちが国家的大国のプロジェクトの一環として日本の軍備を強化しようとしたのに対し、石破は自国と国民を守ることに関心がある。日本は軍事的脅威から自国を守るだけの能力を持つべきであり、無謀や無策(ecklessness or fecklessness)によって東京を危険に晒す可能性のあるアメリカへの依存を減らすべきである。確かに、石破は日本がアメリカと同盟を結ぶことに反対していないが、核抑止力(nuclear deterrent)の管理も含め、日本が一人前の独立したパートナーになることを望んでいる。

石破が望んでいないのは、日本が自国のために力を競い合ったり、東アジアの軍事バランスだけに集中したりすることだ。そして、軍事力の追求と並行して、中国や韓国、その他の地域大国との関係における外交や通商の重要性を強調し、戦時中の過去について日本がもっと謙虚になることを求めてさえいる。

この哲学的な隔たりは、9月の自民党総裁選挙で明らかになった。石破は日本国民の安全と安心を強調して立候補した。高市のスローガンは「総合的な国力の強化(strengthening comprehensive national power)」だった。これら2つの綱領の間には、戦後の日本の政治において最も永続的な断層(the most enduring fault lines)のいくつかがあり、21世紀においては、相対的な衰退を容認し対応する日本政府と、それを逆転させるために並外れた措置とリスクを講じる日本政府の違いを意味する可能性がある。

石破の今後について楽観視できないのはこのためだ。安倍首相は去ったかもしれないが、安倍派自体が一部の議員の政治資金の移転を隠蔽した資金計画による裏金(slush fund scheme)への参加によって崩壊したとしても、2012年から2022年に亡くなるまで安倍首相が支配していた党内で、安倍の思想とその知的な後継者たちは引き続き大きな役割を果たし続けている。

石破の勝利が彼らの最後の敗北を意味しない。高市は既に次の党首選の準備をしているかもしれない。しかし、石破の反安倍ヴィジョンの高市の親安倍ヴィジョンに対する勝利というよりは、石破の有権者からの根強い人気が議席を守るかもしれないと考えた自民党の弱小議員たちによる日和見的な賭け(opportunistic bet)であり、石破の前任者である岸田文雄による、高市よりも石破の方が自分の遺産を守れるという賭けだったのかもしれない。

従って、石破は勝利したが、依然として党内で孤立している。自民党総裁としての最初の1週間を彼は、アベノミクスへの反対を撤回し、とりわけ岸田前首相が安倍元首相の経済政策を推進したことを理由に、安倍自身の派閥を中心とした選挙資金スキャンダルに関与した自民党議員に対して寛容の姿勢を表明した。石破氏が2018年に声高に拒否した、何が何でも権力を行使するスタイルの政治だ。

これらの妥協(compromises)は避けられなかったのかもしれない。高市とその支持者たちは現在、自民党内で野党を構成しており、石破が安倍路線から大きく逸脱した場合、反乱の有力な火種となる可能性がある。しかし、これらの措置はまた、より民主的な政治を築こうと決意した理想主義的な真実の語り手としての彼の評判を損なう可能性があり、まさにそれが彼が政治に固執し続ける理由であるが、それは首相の職を開始直後に弱体化させるだけでなく、首相の地位を危険にさらす可能性もある。石破が10月27日の解散総選挙で政府の過半数を獲得することを準備している。どの政治家にとっても、特に石破の歴史を持つ政治家にとって、党内で過半数の支持者がいる状況でポスト安倍自民党を新たに構築するのは荷が重すぎるかもしれない。安倍首相の政治的ヴィジョンに引き続き関与している。

しかしながら、石破自身が新しい自民党の追求に失敗したとしても、彼の勝利は日本の与党の中心にある対立を露わにした。安倍首相が国内外で執拗に権力を追い求めた代償に対する自民党の清算は、今後何年にもわたって日本の政治を形作っていくだろう。

※トバイアス・ハリス:アメリカ進歩センター(Center for American Progress)上級研究員。著者に『因習打破主義者:安倍晋三と新しい日本(The Iconoclast: Shinzo Abe and the New Japan)』がある。ツイッターアカウント:@observingjapan

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 先週金曜日に自民党総裁選挙が実施され、石破茂新総裁が選出された。それから週末にかけて、人事構想が報道されるように、明けて9月30日月曜日には、なんと、10月27日に投開票となる、解散総選挙が実施されることが決まった。何とも慌ただしい数日間となった。今回の人事は、安倍派清和会を排除するものとなった。麻生太郎元首相は最高顧問就任の打診を受諾する方向であるという。総裁選挙で子分の河野太郎を見捨てて、結局負けるという大失態を演じた麻生は静かに引退させてもらえずに、晒し者になる。「最高顧問だって()」と鼻で笑われながら、じろじろと見られることになるだろう。菅義偉元首相は副総裁になる。自民党の機構上、副総裁には何の力もないが、肩書だけは立派だ。自民党執行部に入った以上、石破を支える立場ということになり、倒閣運動などをする場合にはその座から去らねばならない。自分の持ち球である小泉進次郎の出来が悪すぎて、半分失敗したようなものだから、しばらくは静かにしているだろう。

 驚きだったのは森山裕議員の幹事長就任、小泉進次郎議員の選対本部長就任である。森山議員が石破新総裁に進言して、早期の解散総選挙が実現したということで、森山幹事長は、選挙を仕切って、石破で勝たせるということに全力だろう。ここで勝利すれば、森山議員の自民党内での影響力も増す。実質的に選対を仕切るのは森山氏だ。選対本部長の小泉進次郎議員は厳しい立場だ。裏金議員や統一教会関係議員の公認をどうするか、で血刀をぶら下げて同僚議員の首を切らねばならないことになる。小泉議員に恨みが集中する。ここをうまく乗り切れば、小泉復権ということになるが、うまくいかなければ、弊履の如く捨てられてしまうだろう。正念場である。

 重要なのは林芳正議員の官房長官続投である。林氏は今回の総裁選挙でも豪雨対策で公務優先し、評価を上げた。岸田派宏池会として林芳正議員が後継者となり、ポスト石破ということになる。官房副長官には青木一彦参議院議員が選ばれた。茂木派は茂木敏光議員が総裁選挙で敗北し、力を失っていく。既に退会している小渕優子議員と青木一彦参議院議員が小渕派経世会(七日会)を再建していく。小渕優子議員は組織運動本部長ということで、自民党の政治運動全般、様々な団体や組織との交渉などを統括する立場となる。ここで、人脈を広げておくこと将来の総理総裁候補となるためには重要だ。

 私が興味を持っていたのは、総裁選挙で小林鷹之代議士を支援した福田達夫議員の処遇だった。安倍派清和会の次期プリンスという位置づけだった。清和会は、岸-安倍系と福田系の2つの流れがあり、昭和時代は特に跡目相続の際に争いが絶えない派閥だった。福田達夫議員は幹事長代行ということで、森山幹事長を支える執行部入りということになった。これは、安倍派との分離を示している。総裁選挙で最下位だった加藤勝信議員は財務大臣に就任。加藤議員の岳父加藤六月は、安倍派の相続争いで、森喜朗に敗れて苦杯をなめたという経験を持つが、これは森喜朗への当てつけかと思うほどだ。

 石破執行部・政権は、裏金問題や統一教会問題を利用しての安倍派清和会弱体化を意図したものだ。それがよく示されている。

(貼り付けはじめ)

●「麻生氏が最高顧問、過去に岸信介氏らの名も 党役員・閣僚人事の全容」

9/29() 21:20配信 朝日新聞デジタル

https://news.yahoo.co.jp/articles/585915f4721464642bb833192781d6c825e1ee9a

 自民党の石破茂新総裁による党役員・閣僚人事の全容が29日、判明した。党最高顧問に麻生太郎副総裁(84)を充て、総務会長には鈴木俊一財務相(71)を起用する。1日に発足する新内閣の閣僚のうち初入閣は13人、女性は2人。いずれも防衛相経験者の岩屋毅衆院議員(67)を外相に、中谷元衆院議員(66)を防衛相に起用する。

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【チャート図】固辞相次ぐ石破人事 船出は分断消えぬまま

■組織運動本部長に小渕氏、小泉氏は選対委員長

 幹事長に内定している森山裕総務会長(79)が29日、都内で麻生氏と会談した。関係者によると、森山氏から最高顧問を打診し、麻生氏は応じる意向を示したという。総裁選の決選投票で高市早苗経済安全保障相(63)を支持した麻生氏を処遇し、党の最高意思決定機関である総務会のトップに麻生派の鈴木氏を充てることで挙党態勢を演出する。過去には首相経験者の岸信介氏や福田赳夫氏らが最高顧問を務めた。

 また、国会対策委員長に坂本哲志農林水産相(73)、組織運動本部長に小渕優子選挙対策委員長(50)を充てる。平井卓也広報本部長(66)は続投する。副総裁に菅義偉前首相(75)、政調会長に小野寺五典元防衛相(64)、選対委員長に小泉進次郎元環境相(43)はすでに内定している。

■文科相に阿部俊子氏、三原じゅん子氏も初入閣

 今回の人事では、裏金問題で政治資金収支報告書の不記載が発覚した議員は起用しない方向だ。

 閣僚のうち外相の岩屋氏、防衛相の中谷氏はいずれも石破氏に近く、防衛政策に詳しい。外交・安全保障を重視する石破氏の姿勢を反映した形だ。石破氏が主張する日米地位協定の改定やアジア版NATO創設の実現に向けた交渉を担当する。

 女性閣僚は、こども政策担当相に三原じゅん子・元厚生労働副大臣(60)、文部科学相に阿部俊子・文科副大臣(65)を起用する。

 総裁選で石破氏の推薦人だった議員が多く登用される。村上誠一郎元行政改革相(72)は総務相、小里泰弘首相補佐官(66)は農林水産相、平将明党広報本部長代理(57)はデジタル相、赤沢亮正財務副大臣(63)は経済再生相、伊東良孝元農水副大臣(75)は沖縄・北方担当相となる。

 法相に牧原秀樹(53)、厚生労働相に福岡資麿(51)、経済産業相に武藤容治(68)、環境相に浅尾慶一郎(60)、復興相に伊藤忠彦(60)、国家公安委員長に坂井学(59)、経済安保相に城内実(59)の7氏が就く。

 安全保障担当の首相補佐官には長島昭久衆院議員(62)が就く。官僚トップの事務の官房副長官は佐藤文俊・元総務事務次官(67)を起用する。政務の官房副長官は橘慶一郎衆院議員(63)と青木一彦参院議員(63)が内定している。

=====

●「森山氏進言受け石破氏、衆院選「10月27日」短期決戦へ決断…立民・野田氏は「ひょう変」批判」

9/30() 6:26配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab?page=2

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab?page=3

[スキャナー]

 自民党の石破茂新総裁が衆院選を「10月15日公示―27日投開票」で行うのは、政権発足の勢いに乗り、短期決戦で勝利を収めたいとの思惑からだ。森山裕新幹事長らも強く進言した。党役員・閣僚人事は総裁選の論功行賞と首相経験者への配慮の色合いが濃く、世論の評価につながるかどうかは不透明だ。(政治部 森藤千恵、阿部真司)

 「新政権の信を問うのはやっぱり早い方がいいと思っている」

 29日のフジテレビの番組で石破氏はこう強調した。

 10月1日に召集される臨時国会の審議については、党首討論を挙げ、「(国民に)判断いただける材料をきちんと調える」と述べた。

 4日の衆参両院での所信表明演説とそれに続く各党代表質問を終えた後、党首討論で野党側との論戦に応じたうえで、衆院解散に踏み切る意向を示したものとみられる。

 石破氏は9日に衆院を解散し、ラオスで10~11日に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で首脳外交デビューを果たしたい考えだ。

ひょう変

 石破氏は総裁選の論戦では、「世界情勢がどうなるか分からないのに『すぐ解散する』という言い方はしない」(9月14日)と語るなど、早期解散に慎重姿勢を示すこともあった。

 衆院解散を巡っては、憲法69条に内閣が不信任となった場合、解散か総辞職を選ぶ規定があることから、解散はこれに限るべきだとの主張がある。一方、憲法7条には内閣の助言と承認による天皇の国事行為の一つとして解散が書かれており、これを根拠にした「7条解散」が定着しているのが実情だ。

 石破氏は元々、首相がタイミングを選べる「7条解散」に否定的で、自身のブログでも「解散は政権の延命や党利党略目的で行われるべきものではない」(2023年6月9日)と指摘していた。

 この日の番組では、石破氏は「国民の審判を経ないまま、新政権ができた。どうですかと判断を求めるのも69条の趣旨には合致する」と説明したが、立憲民主党の野田代表から「全く納得できない。これまでおっしゃってきたことと違う」と、ひょう変ぶりを突っ込まれる場面があった。

メリット

 石破氏が早期解散に傾斜したのは、森山総務会長が幹事長ポストを引き受けるにあたり、衆院選をできる限り急ぐことで、総裁選の盛り上がりを活用できるメリットを説いたことが大きいとみられる。

 岸田首相や菅前首相も森山氏と同じ考えだった。さらに、公明党も来年夏の参院選を見据え、早期の衆院選を求めていたことが石破氏の背中を押した。

 内閣支持率は発足直後に最も高まり、閣僚らの不祥事などで徐々に低下していくことが多い。

 2008年9月に就任した麻生首相は当初、高い支持率を誇ったが、解散のタイミングを逸し、衆院議員の任期満了直前の解散を迫られ、選挙に惨敗して政権交代を許した。

 今の衆院議員の任期満了は25年10月に迫っており、自民党内では「麻生政権の二の舞いは避けたい」との懸念が強い。

 党役員・閣僚に内定した顔ぶれを見ると、石破新総裁と関係が近い議員や、総裁選の決選投票で石破氏支持に回った議員が目立つ。

 「私の政策に真っ向反対と言われると、閣内不一致や執行部不一致が起こるので、なかなかつらい」

 石破氏は29日のフジテレビ番組でこう述べ、自身と考え方が近い議員の起用を重視する考えを示した。

 石破氏の思い入れが強い要所には古くから親交がある同じ防衛相経験者から、総裁選で石破氏の選挙対策本部長を務めた岩屋毅氏が外相、中谷元氏が防衛相、小野寺五典氏が党政調会長に就く。経済再生相の赤沢亮正財務副大臣、デジタル相の平将明・元内閣府副大臣は、旧石破派で長く石破氏を支えてきた面々だ。

 決選投票で石破氏の支持に回った旧岸田派や菅義偉・前首相のグループへの配慮もにじむ。

 一方で、決選投票を争った高市経済安全保障相の取り込みにも気を配った。石破氏は29日の番組で、高市氏について「今まで色んなキャリアを経てきた。党全体、国全体のためであれば起用したい」と語った。

 だが、高市氏は、党の意思決定を仕切る総務会長の打診を断り、距離を置く姿勢を鮮明にした。総裁選で5位となった小林鷹之・前経済安保相も党広報本部長を固辞した。

 そこで石破氏が「挙党態勢」を演出するために頼ったのは麻生副総裁だった。

 幹事長に就く森山総務会長は29日、東京都内で麻生氏と面会し、党最高顧問への就任を依頼し、麻生氏は受諾した。

 唯一、派閥を維持する麻生派(54人)は決選投票で高市氏支持に回ったが、総務会長に鈴木財務相が就き、武藤容治・元経済産業副大臣と、浅尾慶一郎・参院議院運営委員長が初入閣することになった。ただ、旧安倍派からの入閣はゼロで、「のけ者扱いだ」(同派若手)との反発も出ている。

(貼り付け終わり)

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 2024年9月27日に実施された自民党総裁選挙の結果は驚きを持って迎えられた。それは、勝ち目が薄いと思われていた石破茂議員が勝利したからだ。1回目の投票の結果で、石破氏が強いと思われていた党員票で、1票差とは言え、高市早苗議員に負けて、議員票は元々強くないので、「党員票で圧倒できなかったとなると、石破氏の勝ち目はほぼなくなった」と考えた人が多いと思う。決選投票での石破氏の逆転勝利は、1956年の自民党総裁選挙、石橋湛山が岸信介を決選投票で、7票差で破り逆転勝利を収めたことを思い起こさせる。

 昨日、私は決選投票後に、「これまでと違って、どの勢力がどの候補に入れたのかという投票の分析が難しいな」と感じていた。今日になってX(旧ツイッター)上で以下の新聞記事が紹介されている。重要なのは、X上に表示された以下の図である。

「●石破茂氏、議員票呼び込み逆転 3人の「首相」の暗躍」(日本経済新聞、2024年9月28日付)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA26CIB0W4A920C2000000/?n_cid=SNSTW005

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 この図では、菅義偉、麻生太郎の2人の元首相と、岸田文雄首相、それぞれに近い総裁選挙候補者たちを支持した票が決選投票でどのように動いたか、この3人がどのような動きをしたのかを示している。菅義偉元首相は小泉進次郎議員を全面的に支援していたが、小泉議員は3位に沈んだ。党員票では1位を獲得しながら、党員票で、高市、石破両氏に大差をつけられての3位に沈むという結果になってしまった。小泉氏の議論の弱さ、更に言えば、頭脳明晰さに欠ける発言や行動が自民党の党員・党友に見透かされてしまったということだった。菅氏は決選投票で石破議員に乗る決断を下した。小泉敗退のショックを和らげることに成功した。岸田首相は態度をはっきりさせていなかったが、極右・ネトウヨの高市議員には乗れなかっただろう。また、麻生太郎元首相に岸田派に手を突っ込まれ、上川陽子議員を擁立されてしまったことへの怒りもあっただろう。上川議員は当て馬であり、捨て駒だった。上川陽子待望論などは麻生元首相が作り出した、ただの幻でしかなかった。


 問題は麻生太郎元首相だ。麻生元首相は土壇場で、自派の後継者と見られてきた河野太郎議員を見捨てて、高市議員支援を配下の議員たちに指示した。その結果が、高市議員の1回目の投票での1位獲得、河野議員の大惨敗であった。しかし、麻生氏は最後の最後で敗北を喫することになった。石破氏の地方での強さを見誤ったということになるだろう。
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決選投票になれば、党員票は都道府県連票として、各都道府県1票となる。各都道府県単位で見れば、石破氏は過半数の24で勝利を収めていた。更に2つの件で2位を確保し、決選投票になれば26票を獲得できることは決まっていた。高市氏は18票、2位を確保した県は3であった。1回目の党員票では、獲得した票を368票に比例分配する形になる。高市氏は人口の多い大都市部で勝利を収め、石破氏は地方部で勝利を収めた。決選投票では各都道府県1票となる。人口が多い東京都や大阪府でも1票、人口が少ない鳥取県や島根県でも1票となる。決選投票の方式が石破氏に有利に働いたことは間違いない。
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 来年までには行われる総選挙での顔ということを考えると、高市氏は右に寄り過ぎて、中道のやや右の有権者を獲得することはできない。そこにアピールするのは石破氏だという計算を議員たちが行っただろう。そして、同じ有権者層を狙うとしている立憲民主党の野田佳彦代表との戦いでは、石破氏の方が有利であり、潜在的な立憲支持者たちも取り込むことができると考えただろう。立憲は厳しい戦いを強いられることになるだろう。

 自民党は保守本流、地方を基盤とする政党に回帰することを選んだ。保守傍流の安部政治を清算し、少しは変化を見せるだろう。このような土俵際での選択ができるところが自民党の強さである。そして、自民党は見えない民意を汲み取る力を持っているということになるだろう。

(終わり)

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 2024年9月27日午後、自民党総裁選挙が実施された。9名の候補者が出馬して、選挙運動が行われ、投開票が実施された。1回目の投票は議員票(367票)と党員票(367票)で行われた。1回目の選挙の結果は以下の通りだ。
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(1)高市早苗181票(議員票72票;党員票109)

(2)石破茂154票(議員票46票;党員票108票)

(3)小泉進次郎136票(議員票75票;党員票61票)

(4)林芳正65票(議員票38票;党員票27票)

(5)小林鷹之60票(議員票41票;党員票19票)

(6)茂木敏光47票(議員票34票;党員票13票)

(7)上川陽子40票(議員票23票;党員票17票)

(8)河野太郎30票(議員票22票;党員票7票)

(9)加藤勝信22票(議員票16票;党員票6票)

 有力と見られていた、小泉進次郎議員が3位に沈んだ。過半数を獲得した候補者が出なかったために、1位の高市早苗議員と2位の石破茂議員による決選投票が実施された。決選投票は議員票(367票)と都道府県連票(47票)と、議員票の割合が高くなる。決選投票の結果は以下の通りだ。

(1)石破茂215票(議員票189票;都道府県連票26票)

(2)高市早苗194票(議員票173票;都道府県連票21)

無効票:5票
ishibashigeruldppresidentialelection2024001

 選挙の結果、石破茂議員が自民党の新総裁に選出された。そして、首相に指名されることが確実になった。私は、小泉進次郎議員選出が確実という見立てが政治のプロの間でなされていることを知り、絶望していた。更に、最近になって高市早苗議員の人気が急上昇していると報道されて、ますます嫌になっていた。「前門の小泉、後門の高市」で困ったことだなと思っていた。更に、麻生太郎元首相・副総裁が自身の率いる麻生派に1回目の投票で、自派の河野太郎議員ではなく、高市早苗議員に投票せよと促したという報道を見て、ますます嫌になっていた。麻生議員は高市議員が「勝ち馬」になると見ているのだと考え、なんてことだと諦めの気持ちになっていた。

 そうした絶望や諦めの気持ちが大きかった分、決選投票で石破議員が選出された時には、安堵感を持った。もちろん、石破氏が最善の選択肢ではない。しかし、最悪の選択肢を避けることができたというのは日本国にとって何よりのことだった。安倍晋三政治の清算ということがそのまま進められるな、自民党保守本流政治の復活が期待できるなと感じている。しかし、もちろん、石破氏に対する自民党内の反感、拒否感は大きい、党内運営は厳しいものとなるだろう。何か小さな失敗でも倒閣運動も起きるだろう。

 こうして見ると、立憲民主党の野田佳彦新代表選出は何とも悪い選択となった。野田代表は中道から少し右の有権者の支持を狙うと発言した。自民党総裁に、その層にアピール力を持つ石破新総裁が選ばれた。石破氏対野田氏でどちらに勝ち目があるか、と言えば、残念ながら石破氏だろう。野田氏は民主党の介錯人を務めた。最悪の場合、二度目の介錯人を務めることになるだろう。

 麻生太郎議員は晩節を汚す大きな判断ミスを行った。高市議員が勝利していれば、キングメイカーとして存在感を増していただろうが、自派の河野議員を見捨て、勝ち馬にも乗れずという最悪の結果となった。もっと早くに引退しておれば、晩節を汚すこともなかっただろうに、最後の最後でこのようなことになった。麻生派は派内で麻生太郎議員に対する引退勧告を出すべきだろう。84歳という年齢を考えればもう引退してもおかしくない。麻生派の跡目争いということが起きて、麻生派は分裂するだろうが、河野氏にどれだけの議員がついていくだろうか。今回の選挙で人望のなさが露呈した。これからの政治生命も脅かされてしまうだろう。小林鷹之議員は福田達夫議員と中曽根康隆議員の、安倍派と二階派の若手たちの支援を受けてある程度は戦えただろうが、それ以上のことはない。最初から最後まで不思議だったのは、そして今でも不思議なのは、上川陽子議員の人気が上がっていると言われ続けたことだ。一体何だったのか、一種の陽動、当て馬だったのだろうかと考えざるを得ない。

 今回の自民党総裁選挙では、最悪の選択肢を回避することになった。それが何よりの収穫である。自民党が大きく変わることはないし、議員たちがルールを守るということが一番実現困難なことだろう。しかし、最悪の事態を免れた。そのことが大きい。

(貼り付けはじめ)

●「自民新総裁の石破茂氏 元銀行員、安全保障や農政の論客」

9/27() 15:30配信 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6f78ed348ffd0f8d69bda571f1537bcf9847ed4

 5回目の挑戦にして初めて自民党総裁に選ばれた石破茂氏とはどんな人物なのか。

 父は、自治相や鳥取県知事を務めた石破二朗氏。慶応大を卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に勤めていたが、父の死後に田中角栄元首相の勧めで1986年衆院選に自民党公認で出馬して初当選した。

 リクルート事件後につくられた若手議員のグループで中心的役割を担い、選挙制度改革を訴えた。非自民の細川護熙連立政権が誕生した93年に自民党を離党。新生党や新進党に所属し、97年に自民党へ復党した。安全保障や農政の論客として知られ、防衛相や農相を歴任している。

 歴代最長政権を築いた安倍晋三元首相とは距離があったとされ、安倍政権に批判的な発言を繰り返してきた。各種世論調査では「次の首相にふさわしい人」でトップに顔を出す一方、党内の国会議員の人気は高くなく、総裁選では敗退を繰り返していた。

 今回の総裁選は「38年間の政治生活の総決算。最後の戦いに挑む」との思いで臨んでいた。

=====

<独自>自民・麻生副総裁が高市氏支持へ、麻生派議員にも指示 1回目から

9/26() 22:44配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/385a69f027f45a2b77afa8d7d1186ce7c2c9e95f

自民党の麻生太郎副総裁が、総裁選(27日投開票)で高市早苗経済安全保障担当相を支持する意向を固め、岸田文雄首相(党総裁)らに伝えたことが分かった。26日、複数の党幹部が明らかにした。麻生氏はこれまで麻生派(志公会)の河野太郎デジタル相を支援する考えを示していた。麻生派は河野氏や上川陽子外相らに推薦人を出していたが、麻生氏は1回目の投票から高市氏を支援するよう同派議員に指示を出した。

総裁選は高市氏のほか、石破茂元幹事長と小泉進次郎元環境相の3人が激しく競り合う混戦となっている。麻生氏はこのうち、首相在任中に自らに退陣要求を突きつけた石破氏や、関係が良好ではない菅義偉前首相と近い小泉氏支持には難色を示していた。

ただ、党として派閥解消を掲げる中、麻生氏の派閥単位での指示が同派議員に徹底されるかは不透明だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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