古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 国際関係論

 古村治彦です。

2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 サミュエル・ハンティントンの主張した「諸文明間の衝突(Clash of Civilizations)」論は、発表してから数年後に、911同時多発テロ事件が発生して注目を浴びた。中華文明と西洋文明の対立ということは、現在の「西側諸国(the West)対それ以外の国々(the Rest)」にもつながる。

 しかし、世界はそれほど単純ではないというのが下に掲載した論稿の主張だ。世界をこのように単純に切り分けることはできない。様々な文明や文化はお互いに重なり合い、影響を与え合い、発展している。こうした多様性を無視した議論は排外主義に陥る。そうした排外主義が衝突を生み出し、最悪の場合には戦争に至ることもある。排外主義を克服することこそが文明的な営為である。しかし、世界の多くの地域で、このような文明的な営為が後退している。

サミュエル・ハンティントンが「日本文明」という言葉を使ったことで、「日本は凄いんだ」「日本は偉いんだ」という主張がなされるようになった。しかし、下に掲載した論稿には次のように書かれている。「これは、本書が1990年代初頭に執筆されたこと、当時日本が台頭する超大国として広く認識されていたことによる副産物である(a byproduct of the book being composed in the early 1990s, when Japan was widely perceived as a rising superpower)」。これは言い換えるならば、1990年代初頭の日本は世界第2位の経済大国として台頭しており、サーヴィスで1つの文明としてハンティントンは取り扱ったが、現在からみれば、これは現実に即していないということである。1990年代前半の日本の世界のGDPに占める割合は現在の中国と同じ程度で(17%程度)、アメリカにとっても脅威であった。一人当たりのGDPも高かった。それから30年後、日本は世界第5位、GDPの割合は5%程度、必然的に一人当たりのGDPも下がり続け、先進国のレヴェルからずり落ちてしまうところに来ている。「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉もあるが、日本が貧乏になってしまって、「日本文明」という言葉も「茶番」のような扱いになっている。日本の文化が海外の人々から好かれているということとは根本的に別の話だ。日本は文明ではない。文明は社会システム、文化は生活様式を指す。日本は中華文明の1つの形態(社会システム)でしかなく、それは数千年前からそうだったということだ。生活様式は環境に合わせて独自の変化を遂げている。しかし、朝鮮半島や中国と似ている部分も多い。

(貼り付けはじめ)

文明の衝突を売り込む方法(How to Sell a Clash of Civilizations
-サミュエル・ハンティントンの有名なテーゼの矛盾は同時にその力でもある。

ニック・ダンフォース筆

2025年6月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/27/samuel-huntington-clash-of-civilizations-civilizational-state/

サミュエル・ハンティントンの『文明の衝突と世界秩序の再構築』は1996年の出版以来、世界的な影響力を持ち、ワシントンから北京に至るまでの指導者たちに引用されている。ハンティントンの主張は、彼が定義する世界の主要文明、すなわち文化、宗教、人種のカテゴリーが混在する文明間で、地政学的な紛争がますます増加するというものだ。批判者たちが指摘するように、ハンティントンの主張はナンセンスだ。

ハンティントンの思想は、彼の文明概念は全く首尾一貫しておらず、混乱していて、「曖昧(mushy)」であり、世界紛争の断層線(fault line)を意味のある形で説明できないと主張する人々から激しく批判され、嘲笑されてきた。しかし、もしかしたら、それがハンティントンのポイントなのかもしれない。

シリア内戦やロシアのウクライナ侵攻といった近年の主要紛争が、ハンティントンの文明区分間のものではなく、その内部で発生したというだけではない。区分自体が地図上に点在している。イスラム教やヒンドゥー教といった文明は広範な宗教的アイデンティティを持つ一方、正教(キリスト教の一派として)は独自のアイデンティティへと昇華されている。一方、東アジアは、中国文明、仏教文明、そして単に日本文明という、曖昧な形で分断されている。これは、本書が1990年代初頭に執筆されたこと、当時日本が台頭する超大国として広く認識されていたことによる副産物である(a byproduct of the book being composed in the early 1990s, when Japan was widely perceived as a rising superpower)。

最後に、「アフリカ」という広義の区分は、粗雑な地理的カテゴリーであると同時に、さらに粗雑な人種的カテゴリーを想起させる。政治学者アンジャリ・ダヤルが指摘するように、ハンティントンの文明は、ボルヘスが架空の中国百科事典で描いた動物の想像上の区分に少し似ている。「(a)皇帝の所有物、(b)防腐処理された、(c)飼いならされた、(d)乳飲み豚…(k)極細のラクダの毛の筆で描かれた、(l)などなど・・・」である。

残念ながら、支離滅裂な概念も、誤った解釈をすれば強力な概念となり得る。ハンティントンの区分の曖昧さこそが、紛争を政治的目的に沿うように枠組みづけるためのレトリック技法として最適である。人間の文化は複雑で絶えず変化しており、宗教、芸術、言語、歴史、そしてイデオロギーといった無数の繋がりが重なり合って成り立っている。

文明に関するレトリック(civilizational rhetoric)は、評論家や政治家に、この構造を切り刻み、自らのアジェンダに最も適した方法で作り変えるための柔軟性を与えている。ある日、ロシアは西洋に挑戦するスラブ国家であった。次の日、ウラジーミル・プーティンはキリスト教文明を多くの敵から守っている。西洋では、人種差別的な恐怖がイデオロギー的な恐怖へと再構成され、ハンティントンの冷戦後の世界では、文明の分断(civilizational divides)として再構成された。黄禍論(Yellow Peril)は赤い中国(Red China)へと、そしてそれは「中国的」世界(“Sinic” world)へと変化した。かつて私たちは常に東アジアと戦争状態にあったが、今や東アジアは常に私たちの文明の敵(civilizational foe)となっている。

文明に関するレトリックの柔軟性は、他にも利益をもたらす。それは、「西洋文明(Western civilization)」を守ることに尽力する連合を維持し、西洋を根本的に世俗的(secular)と考える人と西洋を根本的にキリスト教的(fundamentally Christian)と考える人を結びつける一方で、西洋を根本的に白人的(fundamentally white)と考える人を庇護してきた。

そして、この柔軟性(malleability)こそが、ロシア、中国、インド、トルコといった国々が自らを「文明国家(civilizational states)」として再ブランド化することで、ナショナリズムを一段と高めることに役立ってきた。

文明の曖昧さは、その言葉自体の進化に端を発している。当初は、他社会にも自国の下層階級にも適用できる、普遍的な洗練の基準を指していた。しかし、時が経つにつれ、文明は独自の伝統や価値観を持つ個別の文化単位を指すようになった。ゲーム「シヴィライゼーション」で最もよく表現されているこの概念は、多様な文化を名目上は平等であるかのように提示していた。

しかし、この概念は階層構造から完全には逃れられなかった。文明という用語で語る人々は、ほとんどの場合、自分たちの文明が道徳的または技術的に最も進歩していると考える。一方、他の文明は富や地政学的な力によって順位付けされる。また、ゲームのように、たとえ文字や建築のモチーフが異なっていても、全ての文明は最終的に西洋が開拓した道を辿ると考える人も多くいる。

必然的に、文明の中には他の文明よりも文明化されたものがある。1893年の教室の地理図に描かれたこの美しいイラストを考えてみよう。文明は尖塔で築かれるかもしれないし、パゴダや玉ねぎ型のドームで築かれるかもしれない。しかし、尖塔のある文明は前面に出て、工場がたくさんあるように見える。

こうした根深い排外主義(chauvinism)のおかげで、自国の優位性に絶対的な自信を持ち続けながら、異なる文明を行き来することが容易になる。とりわけプーティンは、この点を巧みに利用している。プーティンはウクライナ侵攻を正当化するためにロシア文明という概念を持ち出したことで悪名高いが、これは彼が用いる数多くの文明の組み合わせの1つに過ぎない。ロシアは、ギリシャへの働きかけで強調されているように、正教文明の守護者(the defender of Orthodox civilization,)であり、セルビアへのロシアからのアピールの定番であるスラブ文明の守護者(the defender of Slavic civilization)でもある。

もちろん、プーティンの野望はこうした限定的な文明的アイデンティティをはるかに超えている。広く報道されているように、ロシアは共通のキリスト教文明的アイデンティティを掲げることで、欧米諸国の右翼運動や福音派運動(right-wing and evangelical movements)に浸透してきた。2013年にプーティンは次のように述べたと伝えられている。「ヨーロッパ大西洋岸諸国の多くは、西洋文明の基盤を構成するキリスト教的価値観を含め、自らのルーツを実際に拒絶している。彼らは道徳的原則、そしてあらゆる伝統的アイデンティティ、すなわち国民的、文化的、宗教的、そして性的アイデンティティさえも否定している」。

イスラム教徒が疎外感を抱かないように、ロシアの文明に関するレトリックは彼らにも通じるものがある。ロシアの外交官たちは、西側諸国では西洋文明のキリスト教的ルーツを擁護する一方で、トルコにおいては共通のユーラシア的アイ​​デンティティを訴えてきた。ユーラシア的価値観の文化的・歴史的基盤は、ステップや強大な国家といった漠然としたものになりがちだが、西洋の覇権に対する共有された敵意(a shared hostility toward Western hegemony)の中にその根拠を見出す。

トルコは、文明に関するレトリックの矛盾した可能性を受け入れてきたもう1つの国である。オスマン文明の継承者を自称するトルコは、国内では民族的・宗教的ナショナリズムを一層強化しつつ、世界に対してはより包括的な姿勢を示すことができる。例えば、911事件の余波で、トルコとスペインは協力して文明同盟(the Alliance of Civilizations)を立ち上げ、アル・アンダルスとオスマン帝国の異宗教間の遺産を称賛したが、1492年や1915年の壊滅的な宗派間の暴力については一切触れなかった。

同様に、イスタンブールは2010年のヨーロッパ文化首都(European Capital of Culture)に立候補し、歴史的な教会、シナゴーグ、モスクを多数紹介する洗練されたビデオを作成した。そして選出された後、レジェップ・タイイップ・エルドアン政権は付随する助成金をモスクの修復のみに充てた。

こうした機会主義的な再構成(opportunistic reframings)は全く新しいものではない。歴史上の帝国はしばしば複数の形で自らを定義してきた。清帝国は、チンギス・ハンの遺産の継承者、東南アジアの人々にとっては「転輪王(wheel-turning king)」に率いられた仏教王朝、そして、中国本土においては儒教の伝統の継承者という立場を同時に主張することができた。オスマン帝国もまた、イスラム教の「カリフ(caliph)」と「ローマ皇帝(Caesar of Rome)」に加えて、中央アジアにおける「カーン(khan)」の称号を主張した。さて、このゲームの文明版は、支配者自身を超えて、その時点で最も強力または有用であるアイデンティティの観点から国全体を左右するようになった。

実際、「文明国家(the civilizational state)」の台頭が盛んに喧伝されているにもかかわらず、この用語はより排他的な形態のナショナリズムを推進する人々によって用いられる傾向がある。例えば、インドを「文明国家」と宣言する与党インド人民党(Bharatiya Janata Party)の指導者たちは、現代インド文化に貢献する多様な宗教的・言語的影響を称賛しようとしている訳ではない。それどころか、彼らはヒンドゥー至上主義を優先するために、その多様性を意図的に排除しようとしているのだ。

ヨーロッパとアメリカ合衆国では、「西洋文明」という概念が、対立する文化的排外主義(cultural chauvinism)を融合させる一因となってきた。この旗印の下、イスラム教徒の統合を啓蒙主義の世俗主義への脅威(a threat to Enlightenment secularism)と非難する新無神論者は、イスラム教徒の移民を十字軍の新たな戦線と見なすキリスト教原理主義者と結束する可能性がある。啓蒙主義やキリスト教の実際の歴史に特に関心がないのであれば、キリスト教は常に他に類を見ないほど世俗的であったと主張することで、この矛盾を解消しようとすることもできるだろう。あるいは、実際には白人について口に出さずに白人について語ることが本当の目的なら、スティーヴ・キング元下院議員が「他人の赤ん坊で私たちの文明を取り戻すことはできない」とツイートした際に念頭に置いていた「西洋文明」の犬笛ヴァージョン(dog-whistle version)に頼ることもできる。

究極的に言えば、文明に関するレトリックは、公然と受け入れることが歴史的な複雑性を伴う国々にとって、新たな形の民族ナショナリズムを提供する。例えば、人種のるつぼイデオロギーを持つアメリカ合衆国(the United States with its melting pot ideology)、対立する各国のナショナリズムを抱えるヨーロッパ連合諸国(European Union states with their rival nationalisms)、共産主義に触発された多国籍国家構造を持つロシアと中国(Russia and China with their Communist-inspired multi-national state structures)、多様なポスト植民地主義の遺産を持つインド(India with its diverse post-colonial inheritance)、そしてナショナリズムが伝統的に世俗的であったトルコ(Turkey, where nationalism was traditionally secular)などである。今や、文明という名のもとで、これら全ての国々のナショナリストたちは、自らが好む言語的、宗教的、文化的アイデンティティ(their preferred linguistic, religious, and cultural identities)を何の弁明もなく祝福することができる。

「西洋文明(Western civilization)」は、その最も熱心な主導者たちにとって様々な意味を持つが、「西洋民主政治体制(Western democracy)」を意味することはあまりない。実際、これらの国々において、文明という概念を最も熱心に受け入れてきたのは、包括的民主政治体制を明確に拒否する人々であった。この用語自体は、やや時代錯誤的で、やや階層主義的であり、20世紀リベラリズムの普遍的な志向とは正反対である。むしろ、驚くほど再現性の高い権威主義モデル(surprisingly replicable model of authoritarianism)に、各国特有の解釈を与えている。

この意味で、ハンティントンの文明区分を地図上に表したり、その矛盾を指摘したりすることは本質を見失っている。文明の観点から見ると、どこに線を引くかよりも、線を引くという行為そのものが重要だ。狂信的排外主義(chauvinism)、これこそがポイントなのである。

※ニック・ダンフォース:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。Xアカウント:@NicholasDanfort

(貼り付け終わり)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 


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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 高市早苗という人物は、これまで20年以上、いや30年近く政治家をしていて、基礎基本を学んでいないことが明らかになった。私は趣味で落語を聞く。プロの落語の世界では、落語家は何かネタを高座にかけるためには、真打の落語家に習って、お稽古をつけてもらって、最終的にその真打の前でやって、高座にかけて良いという許可を得てからという手順を踏む。勝手にCDDVDを見て、見よう見まねで覚えてやるのは、アマチュアでは許されるが、プロでは許されない。これは、「型」を伝承するためだ。まずは「型どおり」にやる。それをしているうちに、個性が出てくる。自分の勉強の成果が出てくる。この手続きがなければ「型なし」である。

 以前に、佐藤優先生との対談のあとがきで取り上げたが、「守破離」という言葉がある。佐藤先生がこの言葉を私に教えてくださった。「学問的な基礎がなければ、ただの言いっぱなしになる」ということだった。この守破離という言葉は、落語協会の2階にある広間(理事会や落語会が開かれる)に飾られている。「守破離」とは、「剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。『守』は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。『破』は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。『離』は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階」(『大辞林』から)という意味だ。

高市早苗首相は保守派の論客として、お勇ましい主張を長年放言し続けてきた。故安倍晋三首相に登用され、重職を歴任した。その間に、傲慢さを身につけたようだが、プロとしての振舞いを学ぶことを怠ったようだ。首相になってからの高市首相は答弁が不安定で、言うべきではないことを言ってしまう、これまでの主張とは異なることを次々と答弁してしまう、午前3時から多くの人々を動かして準備をしなければ、答弁することがおぼつかない、既に弱音を吐くということになっている。「存立危機事態」についての答弁はその最たる例だ。具体的なケースや国名を挙げるという最悪の答弁を行った。首相としては非常に危うい。高市首相がおもねったドナルド・トランプ米大統領は高市首相の肩を持たなかった。トランプはプロの政治家として当然の行動を取った。赤っ恥なのはアマチュアの高市首相だ。
 高市首相は首相になって初めて現実に直面し、首相の地位の重さを実感し、恐れおののいていると見られる。高市首相の不安定さは日本の国益を損なう。日本のため、高市首相ご自身の健康のため、短期での退陣を期待したいところだ。
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高市首相、台湾有事巡る発言「撤回するつもりない」-中国側は反発

氏兼敬子、ジェームズ・メーガ

20251110 12:57 JST 更新日時 20251110 18:58 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-10/T5HMMAKK3NY800

・中国の駐大阪総領事が反発の投稿、日本政府は「不適切」と抗議

・最悪のケースを想定、政府統一見解として出すつもりはない

高市早苗首相は10日、台湾有事が日本の集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした自身の7日の国会答弁を撤回しない考えを示した。

 高市首相は7日の衆院予算委員会で、台湾有事に関し存立危機事態にあたる具体例を問われ、戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうるケースだと考えると答弁。これに対し、中国の駐大阪総領事はSNSに首相への脅しとも受け止められる投稿をしていた。

 10日の予算委では、「どのような事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合的に判断すると答弁している」と語った。政府の従来の見解に沿っており、「特に撤回・取り消しをするつもりはない」と述べた。

 7日の自身の発言については、「最悪のケース」を想定したと説明した上で、「政府統一見解として出すつもりはない」と語った。今後の反省点として、特定のケースを明言することは慎むとも述べた。立憲民主党の大串博志氏への答弁。

駐大阪総領事

  中国の薛剣駐大阪総領事は9日、X(旧ツイッター)で、「『台湾有事は日本有事』は日本の一部の頭の悪い政治屋が選ぼうとする死の道だ」と投稿した。

 産経新聞によると、同氏は別の投稿で「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない」と書き込んだ。この投稿は現在、確認できなくなっているという。

 削除された投稿についてコメントを求めたところ、中国外務省の林剣報道官は10日の記者会見で、この投稿は「台湾を中国から切り離そうとする誤ったかつ危険な発言への対応だ」と述べた。

 林氏は、「一部の日本の政治家やメディアがこの投稿を意図的にあおり、混乱を招き、注意をそらそうとするのは無責任だ」と指摘。高市氏の7日の発言については、「台湾海峡への武力介入の可能性を示唆している」と批判した。

 大阪の総領事館に繰り返し電話をかけたが、応答はなかった。  

 米国のグラス駐日大使はXへの投稿で、薛氏は高市首相と日本国民を脅しにかかっていると指摘。「中国政府は『良き隣人』を口癖のように繰り返すが、全く実態が伴っていない」との見方を示した。

 木原稔官房長官は10日午前の記者会見で、薛氏の投稿について「趣旨は明確ではないものの、中国の在外公館の長の言論として極めて不適切と言わざるを得ない」と指摘。日本政府として中国側に抗議したことを明らかにした。

 先週の首相答弁については、「従来の政府の立場を変えるものではない」と述べた。台湾を巡る問題に関し、日本政府の従来からの一貫した立場として「対話により平和的に解決されることを期待する」と語った。

安全保障関連法

 2015年に成立した安全保障関連法では、密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し日本の存立が脅かされる存立危機事態と政府が認定すれば、自衛隊が集団的自衛権を行使できる。歴代政権は、具体的にどのような状況がその対象となるかについて明示することを避けてきた。

 インディアナ大学ハミルトン・ルーガー・スクールで日本の政治と安全保障を専門とするアダム・リッフ教授は、高市氏の発言について、台湾有事の際に特定の行動を取るという約束と受け取るべきではないとの見方を示した。

 リッフ氏は、高市氏の発言は「明確な立場の変化というよりも、日本政府内で議論され、多くの政治家や識者が公の場でも指摘してきた一つの可能性を率直に認めたものと理解するのが適切だ」と述べた。

=====
トランプ氏、中国批判回避 駐大阪総領事投稿問われ「同盟国も」と話題すり替え

産経新聞 11/11() 16:46配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/84e0006ee77e5f8f7f9564873cc2776308275366

【ワシントン=坂本一之】トランプ米大統領は10日のFOXニュースで、高市早苗首相の台湾有事を巡る答弁に対する駐大阪中国総領事のSNS投稿について中国は「友人」かと問われ、正面からの回答を避けて中国を批判しなかった。トランプ氏は1030日の米中首脳会談で台湾問題は協議していないとしており、習近平国家主席との関係悪化を避けたとみられる。

司会は、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が高市氏の答弁を受けて「首を斬る」とSNSに投稿したことを説明し、中国は「米国の友人とはいえないですよね?」と尋ねた。

これに対し、トランプ氏は「多くの同盟国も友人とはいえない」と述べ、「同盟国は中国以上に貿易で米国から利益を得てきた」と主張。貿易不均衡問題に話題をすり替えて回答を避けた。

支持層から反対の声が上がる大量の中国人留学生の受け入れについて問われると、問題視しない姿勢を示した。海外留学生を通し「世界とうまくやっていきたい」と語り、中国に直接言及しない形で友好関係を構築していく意向を示した。

トランプ氏は「習氏ととても良好な関係を築いている」と強調。一方で、関税圧力や軍事力を基にした「強固な立場から交渉する」ことで良好な関係が築けると主張し、自分は中国に強硬だとも訴えた。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権は、各国からの輸入に高関税を掛ける政策を発表し。世界を混乱に陥れた。この高関税はアメリカの輸入業者に打撃を与え、消費者は物価高に苦しむことになった。私は、この高関税政策は、アメリカの製造業回帰に向けた第一段階と考えていた。しかし、現状は製造業の拠点づくりは進まず(数年単位のプロジェクトで当たり前だ)、ドルの価値は下がっているが、そこまでではない。やはり物価高もあり、強いドルで輸入品を買わねばならないということもある。
donaldtrumpxijinping2025001

 そうした中で、対中強硬姿勢を見せていたトランプ政権も、中国との妥協、合意をすることになった。アメリカが中国に頭を下げた格好である。レアアースの輸出制限がよほど厳しかったようだ。

※独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構のウエブサイト↓

https://www.jogmec.go.jp/publish/plus_vol29.html?mid=hp250515
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上記のページには、各資源について、どの国がどれだけ生産し、どれだけ精製しているかを示すグラフが出ている。このグラフに今回のアメリカと中国の貿易に関する合意の理由が明らかに示されている。グラフを見れば、重要資源とレアアースの分野においては、アメリカは中国に大きく後れを取っていることが分かる。レアアースの輸出制限をされてしまうのはアメリカにとって死活問題なのである。日本が石油を禁輸されてしまうようなものだ。下に掲載した論稿には具体的な国名が出てくるが、中国とインドネシアの名前が出てこない。これでは何の意味もないということもグラフを見れば明らかだ。

 ロシアは国際的な決済システムから除外されているのに、石油を輸出して外貨を稼いでいる。ロシア経済は破綻しなかった。それはロシアが資源大国であると同時に、ドルを使った国際決済システム以外に、金を使った決済を行えているからだ。ドルを基軸とするアメリカ中心の世界は終わりつつある。

 アメリカは今頃になって重要資源とレアアースの確保に躍起になっている。ドルを吸って買って来ればよいという石油で行えたシステムは機能しない。重要資源とレアアースの世界は中国が支配する世界である。アメリカは頭を下げるしかない。私たちはこのことをよくよく拳拳服膺する必要がある。

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【解説】 トランプ氏の一連のレアアース合意、中国による世界的支配を変えられるのか

BBC NEWS JAPAN

20251030

スランジャナ・テワリ・アジアビジネス担当編集委員

https://www.bbc.com/japanese/articles/c0jd9ywzql1o

中国が長年、支配的な立場を保っているレアアース(希土類)の分野での供給を確保しようと、アメリカのドナルド・トランプ大統領がアジア歴訪中、次々と合意文書に署名している。

合意は、日本、マレーシア、タイ、ヴェトナム、カンボジアと結んだ。規模や内容は相手によって異なり、具体的な影響を評価するにはまだ早い。しかしいずれも、電気自動車やスマートフォンなど、先進的な製品の製造で不可欠となっている鉱物の入手方法を多様化させる取り組みを、合意の中身として含んでいる。

合意はまた、アメリカがパートナー各国のレアアース取引を、アメリカとの間だけに限定することを狙っている。このことは、トランプ氏が中国の習近平国家主席との重要な会談を前に、レアアースをめぐって中国への依存度を小さくしたいと思っていることをはっきり示している。

これらの合意は、いずれは中国のレアアース支配を脅かすかもしれない。ただ専門家らは、そうなるまでには何年もかかり、多くの犠牲を伴うだろうとしている。

英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)環境社会センターのパトリック・シュローダー上席研究員は今週の論説で、「オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパなどの地域で新たな採鉱場、精製施設、加工工場を建設するには、(中国に比べて)はるかに高い資本コスト、厳しい環境規制、費用のかかる労働力とエネルギーの投入が必要になる」と指摘した。

それでも今回の動きは、米中対立の転換点となる一歩だ。

中国は現在、世界のほぼすべてのレアアースの加工を支配している。このことが、アメリカとの貿易戦争において、習氏に強大な力を与えている。両国は、関税やTikTokの米国事業の売却など、さまざまな問題で合意を目指している。そうしたなか、中国が最近、輸出を規制したことで、レアアースの供給が減っている。

この輸出規制は、欧米やアジアの製造業の拠点で、これまでもみられた不安を引き起こしている。これは、世界のサプライチェーンが、揺れ動きの大きい米中関係の影響をいかに受けやすいかを示している。

トランプ氏は、今週のアジア歴訪を開始する前にすでに、オーストラリアと85億ドル規模の合意を成立させた。レアアースの加工などに関して、産業レベルでの協力と共同投資を約束した。

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相がホワイトハウスを訪れた際、トランプ氏は、「今から1年ほど後には、重要鉱物やレアアースが取れすぎて、どうしていいかわからなくなるだろう」と述べた。また、「値段は2ドルになる」と述べ、供給の急増に伴って価格が急落するとの見方を示した。

 

トランプ氏が提示した時期も価格も非現実的だ。だが、重要鉱物を欲しているアメリカにとって、オーストラリアが重要なパートナーであることは間違いない。

 

米シンクタンクの戦略国際問題研究所のグレイスリン・バスカラン氏とケサリン・ホーヴァス氏は、最近の小論文で、オーストラリアを「地球上で最も広範で豊富な鉱物資源を誇る、クリスマスツリーのように輝く周期表」だと表現した。

 

イルカ・リソーシズなどいくつかの豪企業は、すでに精製施設を建設している。同社は今年、BBCの取材で、政府の支援なしでは財政的にほぼ不可能だとした。

 

トランプ氏がクアラルンプールのコンベンションセンターで、署名した文書を掲げて見せている。後ろには米国旗が見える画像提供,Getty Images

画像説明,タイとの間で署名した合意書を掲げるトランプ米大統領(26日、マレーシア・クアラルンプール)

アメリカが日本との間で結んだ重要鉱物に関する合意は、レアアースの供給と生産を強化する内容だ。また、レアアースをめぐる協調投資と備蓄の計画、供給ショックに対処する緊急対応グループについても触れている。

東南アジアの小規模経済圏との合意は、詳細がはっきりしない。マレーシア、タイ、ヴェトナム、カンボジアの各国は、アメリカのレアアースに対するアクセスの拡大と、米企業を中国企業より優遇する輸出ルールに合意した。アメリカへの出荷を妨害しないという約束や、中国系ではない企業による現地での加工や投資を奨励するという約束も、合意には含まれている。

 

ただ、マレーシアおよびタイとの合意は、拘束力のない「基本合意書」(MOU)だ。これは関係国の政治的な変化に耐えられるのだろうか?

まだ取り上げられていない大きな問題に「規制」がある。環境破壊の可能性を考慮すると、これは特に重要だ。レアアースをめぐるビジネスは、採掘だけでなく、加工までダーティーだ。採掘、浸出、熱分解、精製のすべてで放射性物質が発生する。中国での影響については多くの記録があり、他国が積極的に乗り出したくなる産業ではないことを示している。

中国を除いて、世界で最も多くのレアアースを供給しているのが、豪企業のライナス・レアアースだ。精製の一部はマレーシアに頼っており、同国では長年にわたり、規制をめぐっていくつかの問題に直面している。

トランプ氏は、日本やオーストラリアといったアジア太平洋地域の大国を投資に参加させ、レアアースの供給をめぐるアメリカのコントロールを拡大する可能性を手に入れた。確固たる基盤に立って、非常に重要な習氏との交渉に30日に臨むことになる。

とはいえ、中国がレアアース加工の約7割を占めているのは事実だ。追いつくには、膨大な資本、強力な環境法、技術の専門性が必要だ。一つの加工工場を建設するだけでも、設計からフル生産までは何年もかかる。オーストラリアは長い間、レアアースの生産拡大に真剣に取り組んできたが、工場はまだ稼働していない。

中国はこの地域で決して黙っていることはない。世界2位の経済大国の中国との貿易は、日本を含むすべての国にとって不可欠となっている。中国がもつ影響力(特に東南アジアでの影響力)を、アメリカは軽視することはできない。

レアアースのサプライチェーンは多様化と変革が必要だ。協力と投資の約束は手始めではあるが、前途は長く、曲がりくねっている。
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ホワイトハウス「中国がレアアース規制停止」 米中合意の詳細公表

日本経済新聞 2025112 10:01

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0202J0S5A101C2000000/

米ホワイトハウスは1日、1030日に開いた米中首脳会談での合意内容の詳細を公表した。レアアースなど重要鉱物の輸出規制を「中国側が事実上撤廃する」と強調。「米国の労働者、農家、そして家族を最優先とする大きな勝利」だとアピールした。

米中が共同でまとめた文書ではなく、米国が独自に作成した説明資料「ファクトシート」の形式で発表した。ホワイトハウスは米中の約束事項を列挙したが、中国側の説明と食い違う可能性もある。

レアアース新規制「中国が施行停止」

ファクトシートによると、中国は109日に発表したレアアース(希土類)の新たな輸出規制を停止する。

新たな輸出規制は、中国産のレアアースをわずかでも含めば海外製品でも輸出時に中国政府の許可が必要だったり、レアアースの製錬ノウハウの国外提供を規制したりする内容。一部は施行前だった。

これらについて、ホワイトハウスは「中国が世界規模での施行を停止する」とした。

ホワイトハウスは中国が、重要鉱物であるガリウムやゲルマニウム、アンチモン、グラファイトの輸出許可を出すとも説明した。「20254月と2210月に中国が導入した輸出規制の事実上の撤廃を意味する」と主張した。

米戦略国際問題研究所(CSIS)はガリウムが「米国の主要な防衛サプライチェーンにおいて並外れた重要性を持つ」として、中国の輸出規制に警鐘を鳴らしていた。

オランダ半導体ネクスペリアの輸出再開

オランダに本社を置く中国資本の半導体メーカー、ネクスペリアの半導体については「世界各国に流通できるよう(中国が)適切な措置を取る」とも明記した。

同社の半導体は、オランダとの対立を背景に中国が輸出を一時停止し、ホンダのメキシコ工場が操業を一時停止するなど影響が広がっていた。米中合意を受け、中国商務省も1日、ネクスペリアの半導体の輸出を条件付きで解禁すると発表した。

米国は、中国当局が米テクノロジー企業に対する独占禁止法違反などの調査を「終了する」とも説明した。

中国当局は、米エヌビディアや米半導体大手クアルコムによる第三国企業の買収が、中国独禁法が定める手続きに違反したとして調査を始めたばかりだった。中国側が調査を終了すれば、米各社は違反を問われなくて済む可能性がある。

「中国がフェンタニルの原料輸出対策強化」

ファクトシートの説明によると、中国は合成麻薬フェンタニルの流入対策として、麻薬に用いられる可能性がある化学物質の北米向け輸出を停止する。

麻薬原料は代替となる物資も多いため、輸出停止の対象とした物質以外も管理を厳しくすることで米中は合意した。

中国側は3月以降に導入した鶏肉や小麦といった米国製品への報復関税も停止する。報復として導入した非関税障壁もすべて「停止または撤廃」するという。

中国が米国産の大豆を2025年にまず1200万トン以上輸入し、2628年にも少なくとも年2500万トンを購入することを約束したと明記した。

米国はフェンタニル関税引き下げ

米国側はフェンタニルの流入対策が不十分だとして中国に課した20%の追加関税のうち10%1110日から引き下げる。レアアースの輸出規制に対抗して示唆していた100%の追加関税も発動を見送る。

米国は中国企業に対する事実上の禁輸措置となる「エンティティーリスト」の対象を大幅に拡大する措置や、中国船からの入港料の徴収措置もそれぞれ1年延期する。

入港料については、中国側も報復措置として米国船から徴収する方針を示していたが、米国側が1年延期を決めたことで中国側も報復措置を「撤廃する」(ホワイトハウス)という。

米国の入港料を巡っては、中国船以外に日本の自動車運搬船も徴収対象になっていた。自動車運搬船の容積1トン当たり46ドルの入港料を、1210日以降に本格的に徴収する予定だった。

ファクトシートでは、日本の自動車運搬船からの入港料徴収も併せて延期となるかどうかはまだ明確になっていない。今後、連邦官報や米税関・国境取締局(CBP)の通達で詳細を公表するとみられる。

(八十島綾平、ワシントン=高見浩輔)

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重要鉱物でトランプ大統領のご機嫌を伺う国々(The Countries Courting Trump With Critical Minerals

-日本からパキスタンまで、取引は続いている。

リシ・イエンガー筆

2025年10月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/28/trump-critical-minerals-deals-rare-earths-list-japan-china/

ドナルド・トランプ米大統領は、重要鉱物がどこにあろうともその発見に躍起になっており、世界中の国々がそれらの供給に名乗りを上げている。

重要鉱物とレアアース(critical minerals and rare earths)は、和平協定から関税の脅威(peace deals to tariff threats)まで、トランプ大統領の第2期における外交政策の多くの柱となっている。その理由は明白だ。アメリカ地質調査所(U.S. Geological SurveyUSGS)がアメリカの安全保障に不可欠とみなす約50種類の鉱物は、ミサイルや戦闘機を含む多くの先進軍事技術に不可欠な原材料である。問題は、レアアースと重要鉱物の生産と加工の大部分を中国が占めていることであり、中国は貿易交渉においてこの締め付けをますます武器として利用しようとしている。

いくつかの国が、ワシントンのこうした優位性への対応を支援し、同時にトランプ大統領の支持を得ることで自国にも利益をもたらすべく、動き出している。

●日本(Japan

トランプ大統領は10月28日、日本の新首相であり、女性初の首相でもある高市早苗と会談し、レアアースおよび重要鉱物に関する協力に関する暫定合意に至った。

この合意に基づき、ワシントンと東京は、共同採掘投資、重要鉱物埋蔵量の地理的位置特定に関する協力、相互備蓄(joint mining investments, cooperation on geolocating critical mineral reserves, and mutual stockpiling)といった措置を通じて、両国それぞれおよび共同の重要鉱物供給の確保に向けて協力していく。

●マレーシア(Malaysia

トランプ大統領は大統領復帰後初のアジア歴訪で、まずマレーシアを訪れ、東南アジア諸国連合(Association for Southeast Asian NationsASEAN)首脳会議に出席した。マレーシアは、アメリカへの複数の投資約束とアメリカ製品に対する関税障壁の削減を約束する代わりに、貿易協定を締結した。

この協定には、アメリカとマレーシア両政府間の重要鉱物に関する覚書が含まれており、両国は「重要鉱物の代替市場を開拓」し、「世界の重要鉱物サプライチェーンの多様化を支援する」ために協力していくと表明した。

●タイ(Thailand

タイは、トランプ大統領がアジア歴訪中に重要鉱物協定に署名した2番目のASEAN加盟国となった。両国は枠組み貿易協定の締結に向けた交渉を継続している。

両政府間の覚書によると、アメリカ政府とアメリカ企業はタイの重要鉱物サプライチェインの発展を支援し、「タイの重要鉱物セクターの競争力向上」に貢献し、アメリカ企業にタイの重要鉱物への優先的なアクセスを与える可能性がある。

●オーストラリア(Australia

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相も、重要鉱物資源をトランプ大統領のご機嫌取りとして利用し、2025年10月のワシントン訪問時に、アメリカがオーストラリアの重要鉱物資源とインフラへのアクセスを拡大する協定に署名した。

この協定の一環として、両国は今後6カ月間で重要鉱物プロジェクトに30億ドルを共同投資し、ホワイトハウスによると推定530億ドル相当の鉱物の採掘を目指す。国防総省はまた、ガリウム鉱石を採掘するため、西オーストラリア州に先進的な精錬所建設への投資を行う。

「今から約1年後には、重要鉱物とレアアースがあまりにも大量に存在し、どう扱えばいいのか分からなくなるだろう」とトランプ大統領は記者団に語った。

●ウクライナ(Ukraine

重要鉱物は、トランプ大統領の最も困難な外交努力の1つであるロシアとウクライナの戦争終結交渉に絡んでいた。

2025年2月、トランプ大統領は、アメリカが既にキエフに提供した援助に対する補償として、ウクライナ産の5000億ドル相当の鉱物資源の提供を要求した。ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は以前、アメリカの指導者トランプをなだめ、キエフの戦争遂行への支持を将来的に維持するため、アメリカにウクライナ資源へのアクセスを提供する用意があると示唆していた。しかし、ゼレンスキー大統領は「国を売る(sell our country)」ことはできないと明言し、トランプ政権の当初の提案には同意しなかった。

トランプ大統領がホワイトハウスでゼレンスキー大統領を叱責した悪名高い事件から数カ月後の4月下旬、ウクライナとアメリカは、リチウムやチタンなどの重要鉱物の100以上のウクライナ鉱床への優先的なアクセスをアメリカ企業に与える協定に署名した。

●コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo

重要鉱物資源が豊富なアフリカ大陸の中でも、コンゴは際立っている。この中央アフリカの国は、タンタルとコバルトの世界最大の供給国であり、金や銅といった他の資源も豊富に埋蔵している。中国は長年にわたり、コンゴをはじめとする鉱物資源の豊富なアフリカ諸国に足場を築いてきた。歴代のアメリカ政権は、この優位性を打破しようと試みてきた。

トランプ大統領の最新の試みは2025年6月、コンゴと隣国ルワンダの間で数カ月にわたって続いていた軍事衝突を終結させる合意の仲介役を務めたことだ。この合意には、重要鉱物資源に関する両国の協力が含まれており、安全保障の保証と引き換えに、アメリカがこれらの鉱物資源へのアクセスを拡大する道が開かれている。

しかし、複数のアメリカの連邦議員たちの反対を受けている合意内容については、現在も交渉が続いており、和平合意自体も依然として不安定な状況にある。

●パキスタン(Pakistan

アメリカ政府の高官たちは数カ月にわたり、パキスタンの膨大な重要鉱物資源へのアクセスに関心を示してきたが、2025年9月初旬、パキスタンはついにその意向を表明した。パキスタン政府は、アメリカ企業U.S.ストラテジック・メタルズと5億ドルの契約を締結し、アンチモンや銅などの鉱物資源へのアクセスを認めた。

パキスタンは2025年10月初旬、これらの鉱物資源の最初の出荷をアメリカに引き渡した。この南アジアの国における重要鉱物・金属資源の埋蔵量は、推定23万平方マイル(約57万平方キロメートル)以上に及ぶ。これはイギリスの国土の2倍以上の面積に相当する。

●予想以上(Above and beyond

トランプ大統領は、やや型破りな方法で鉱物資源のパイのより大きな部分を掌握しようと試みてきた。2025年7月には国防総省がアメリカのレアアース採掘会社MPマテリアルズの筆頭株主となり、最近ではトランプ政権がカナダの重要鉱物企業2社の株式を取得した。

重要鉱物は、大統領就任当初、グリーンランドを買収あるいは武力行使によって支配するという執念を抱かせた重要な要因でもあったが、最終的には実現しなかった。

※リシ・イエンガー:『』誌スタッフライター。アカウント:@iyengarish.bsky.social Xアカウント:@Iyengarish Instagram: @iyengar.rishi

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 第二次ドナルド・トランプ政権は「変容した」と言うしかない。トランプの急激な変わり身は周囲を置き去りにしている。就任してすぐの、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との会談の厳しい態度、JD・ヴァンス副大統領の厳しい叱責は、ウクライナ戦争の停戦を促す効果があると当時の私は考えていた。ヨーロッパ諸国、特にイギリスは「口だけ番長」で、武器も金も人も出さずに、ウクライナを焚きつけるだけ、ほとんどがアメリカの金で戦争が行われてきた。トランプはこの状況を変えるだろうと考えていた。
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2025年も残り2カ月を切った。また年を越える。ウクライナ戦争は勃発以来、4年目であり、来年の2026年2月24日を過ぎても戦争が継続していれば、5年目に突入ということになる。ロシア政治や経済、国際関係の専門家たちは、ロシアは人員と戦費の関係で戦争を続けられないと4年間も言い続けた。月報のように「もうすぐロシアはギヴアップ」と言い続けてきた。アメリカとヨーロッパ諸国に比べて、圧倒的に経済面で脆弱なはずのロシアが戦争を継続し、奪取した地域を維持している。この戦争はウクライナの負けではなく、西側諸国の負けということになる。トランプはこの西が諸国の負けを確定させながらも、ロシアとの「ディール(deal、取引)」によって、ある程度の利益を確保できると私は考えていた。しかし、状況はどうもそうなっていない。
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ドナルド・トランプとイギリス国王チャールズ三世

 ヨーロッパ、とくにイギリスがトランプを取り込むことに成功したと考えている。関税交渉をうまく片付け、史上初の米大統領として2度目の国賓招待ということで、トランプを手懐(てなず)ける(tame)ことに成功したのかもしれない。イギリスの狡猾さと外交力は、実力を失って久しい21世紀になっても侮れない。「現代のビザンツ帝国と言うべきだろう。ヨーロッパは、ドナルド・トランプ、習近平、ウラジーミル・プーティンによるヤルタ2.0体制の構築を阻止し、ヨーロッパ防衛にアメリカを関与させ続けることに成功した。トランプの「変容」「変わり身」は、ポピュリズムの敗北を意味する。私たちはこのことを冷静に見つめ、分析しなければならない。

(貼り付けはじめ)

トランプとヴァンスがヨーロッパについてどれほど不快な態度を取ったとしても、彼らは率直な真実を語っている(No matter how distasteful we find Trump and Vance over Europe, they speak a blunt truth

-アメリカは最悪のタイミングと最悪の言い方を選んだが、再編を求めるのは正しい。

サイモン・ジェンキンス筆

2025年2月21日

『ザ・ガーティアン』紙

https://www.theguardian.com/commentisfree/2025/feb/21/donald-trump-jd-vance-europe-us-realignment

ここ最近、右翼勢力でいるのは大変だ。ドナルド・トランプについて何か良いことを言う必要がある。それは困難だ。彼はウクライナ戦争を始めたのはキエフであり、その大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーを「独裁者(dictator)」だと考えている。しかし、JD・ヴァンスはどうだろうか? アメリカ副大統領は、「言論の自由(free speech)を後退させている」ヨーロッパの「内部からの脅威(threat from within)」は、ロシアや中国からのどんな脅威よりも深刻だと考えている。彼らは正気を失っている。他に何を言うことがあるだろうか?

答えは数多くある。ジョン・スチュアート・ミルは「物事について、自分の側しか知らない人は、そのことについてほとんど何も知らない(he who knows only his own side of the case knows little of that)」と警告した。私たちは、彼らの主張に賛成するか否かに関わらず、理解しようと努力しければならない。

確かに、彼らは嘘つき(mendacious)で偽善的(hypocritical)だ。トランプは、ゼレンスキーが「選挙を拒否している(refuses to have elections)」と主張し、「各種世論調査では非常に低い支持率だ(very low in the polls)」と主張しているが、最近の世論調査では依然としてウクライナ国民の過半数の支持を得ている。「内部からの」言論の自由への脅威(the threat to free speech “from within”)に関しては、AP通信はメキシコ湾を「アメリカ湾(Gulf of America)」に改名することを拒否したためホワイトハウスのブリーフィングから締め出され、トランプ大統領の友人であるイーロン・マスクはCBSの「嘘つき(lying)」ジャーナリストは「長期の懲役刑に値する(deserve a long prison sentence)」と考えている。

トランプ・ヴァンスは、世界を善と自由へと導くという、神から与えられたアメリカの宿命について、半世紀にもわたって合意に基づいた曖昧な言い回しをしてきた。平和と戦争、移民問題、関税問題など、彼らはアメリカの利益のみを追求していると主張している。なぜアメリカは、自衛できないヨーロッパを守るために毎年数十億ドルもの費用を費やす必要があるのだろうか? なぜ遠く離れた国々に武器を与えて隣国と戦わせたり、途方もない額の援助を困窮するアフリカに注ぎ込んだりする必要があるのだろうか?

もし世界の他の国々が失敗してきたとしたら、アメリカは2世紀半もの間自由で豊かであり続けてきたのだが、それは世界の問題だ。アメリカはこの50年間、地球上の生活を向上させようと巨額の資金を費やしてきたが、率直に言って、それは失敗に終わった。外交儀礼(diplomatic etiquette)などどうでもいい。

ウクライナに関してはもうたくさんだ。ウラジーミル・プーティン大統領はアメリカを侵略するつもりはなく、西ヨーロッパを侵略する意図もない。もしヨーロッパがそうではないふりをし、ウラジーミル・プーティンの敵を擁護し、彼に制裁を与えて激怒させたいのであれば、ヨーロッパだけでそうすることができる。

NATOはヒトラーとスターリンの産物だ。ヨーロッパ防衛の費用をアメリカに負担させるための単なる手段に過ぎなかった。だが今は違う。米国防長官ピート・ヘグセットは「アメリカはもはやヨーロッパの安全保障の主要な保証者(the primary guarantor of security in Europe)ではない」と述べた。これで核抑止力も形骸化した。

実際には、こうした主張は目新しいものではない。ただし、これほど露骨に政権によって表明されたことはこれまでなかった。様々な形で、それらは1世紀以上にわたるアメリカのアイソレイショニズム(Isolationism)の表層下に潜んでいた。選挙に勝つため、ウッドロウ・ウィルソンは第一次世界大戦について「私たちとは無関係であり、その原因は私たちに及ばない(one with which we have nothing to do, whose causes cannot touch us)」と断言した。フランクリン・ルーズベルトも第二次大戦について同様の約束をした。彼はアメリカの母親たちに「何度でも繰り返すが、あなた方の息子たちは外国の戦争に送り込まれることはない(again and again and again, your boys are not going to be sent into any foreign wars”. Neither kept his word)」と約束した。どちらもその言葉を守らなかった。

ヴェトナム戦争時のように、戦争中はアメリカ世論も愛国的になる。しかしそれ以外は一貫して反介入主義的(anti-interventionist)だ。ケネディは「地球規模の犠牲(global sacrifice)」を訴え、「アメリカがあなたのために何をするかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを問え(ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man)」と訴えたかもしれない。だがそれは主に外国向けの美辞麗句に過ぎなかった。

トランプ・ヴァンスが今、西ヨーロッパ諸国に伝えているのは「本気になれ(get serious)」だ。冷戦は終わった。ロシアが西ヨーロッパ占領を望んでいないことは周知の事実だ。この脅威は、賢明な大統領ドワイト・アイゼンハワーが「米軍産複合体(military-industrial complex)」と呼んだ連中が作り上げた幻想に過ぎない。彼らは恐怖から利益を搾り取ることに長けている。キア・スターマーが本当に「防衛を優先する(to give priority to defence)」つもりなら、自らの保健・福祉予算を削減して賄えばよい。だが彼は本当に脅威を感じているのか、それとも単に聞こえが良い言葉を言っているだけなのか?

ジョー・バイデンはキエフへの支援の程度に細心の注意を払った。今こそ脱出の避けられない瞬間だが、それに先立って非常に困難な停戦が必要となるだろう。ワシントンからの実質的な保証がなければ、キエフの最終的な敗北以外に道は開けない。ウクライナは、南ヴェトナムにおけるアメリカの再来となる可能性もある。

トランプ・ヴァンスは、冷戦の大部分を支えてきた陳腐な言葉(platitude)、こけおどし(bluff)、そして不当利得(profiteering)の混合物の実態を、最小限の配慮で暴露することを決断した。1989年のNATOの勝利は、より微妙なニュアンスを持つ多極世界への移行の必要性を示唆していたが、それは決して適切に定義されることはなかった。

トランプ・ヴァンスが言うように、再編は切実に必要だ。しかし彼らがそれを表明したタイミングと方法は最悪の選択だった。私たちは彼らに好きなだけ無礼に振る舞えるが、彼らにはアメリカの民主政治体制が味方するだろう。

※サイモン・ジェンキンス:『ザ・ガーディアン』紙コラムニスト。

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(終わり)
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stephenfeinberg101
スティーヴン・フェインバーグ

 第二次ドナルド・トランプ政権の国防総省の実質的な管理者である国務副長官のスティーヴン・フェインバーグは、トランプ人事である。フェインバーグは、日本でも有名な投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメント社の創設者であり、CEOを務めていた。サーベラスの経営者時代に、軍事関連のテック企業に多額の投資を行っていた。このトランプ人事もまた、これまでの軍産複合体の動きをけん制する動きということも言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

不正な軍事作戦に関与した億万長者が国防総省次期副長官に指名される可能性(Billionaire tied to shady military ops could be no. 2 Pentagon pick

-スティーヴン・フェインバーグの防衛投資にはカショギ殺害犯のサウジアラビア人訓練を行った企業も含まれる。

ニック・クリーヴランド=スタウト筆

2024年12月5日

『レスポンシブル・ステイトクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/stephen-feinberg/

ドナルド・トランプ次期大統領は、プライヴェートエクイティ業界の億万長者であるスティーヴン・フェインバーグ氏を国防副長官に選んだと報じられている。人事承認されれば、フェインバーグは事実上、米国防総省の最高執行責任者(COO)となり、米国防総省の日常業務を監督することになる。

地獄の門を守る三つ首の犬にちなんで名付けられたプライヴェートエクイティ会社サーベラス・キャピタル・マネジメント社(Cerberus Capital Management)の共同創業者兼CEOであるフェインバーグは、『ピッチブック』誌によると、650億ドル以上の資産を運用している。

フェインバーグはトランプへの大口献金者でもあり、2016年の大統領選挙の数日前にトランプと提携する政治活動委員会(PAC)に97万5000ドルを寄付し、2020年にはさらに100万ドルを寄付するなど、同様の偉業を成し遂げている。フェインバーグは、大統領情報諮問委員会(Intelligence Advisory Board)の委員長として、情報機関の見直しを主導する役割を担うという評価を受けた。

フェインバーグは、精力的な国防長官候補ピート・ヘグセスとは正反対の、合理的な隠遁者(logical reclusive)という立ち位置だ。ヘグセスは政敵によるスキャンダルを主張しているが、これに悩まされているフォックス・ニューズの司会者である彼は、トランプ大統領の指名候補の中で最も厳しい人事承認手続きに直面している。水曜日には、ヘグセスが共和党連邦上院議員全員の承認を得られない可能性があり、トランプ大統領が後任を探している可能性があるとの報道が浮上した。こうした状況から、米国防総省ナンバー2の地位の重要性はますます高まっている。

フェインバーグはこの比較を喜んでいるかもしれない。それは、連邦議会で彼が理にかなった選択肢に見えることを意味するかもしれない。しかし、連邦議員たちは、サウジアラビアの暗殺部隊を訓練した企業を監督し、彼が新たに長官に就任する予定の機関を欺いた経歴を精査し、防衛分野における彼の株式保有に起因する利益相反の問題を提起すべきだ。

トランプがファインバーグを指名する可能性が高まったことで、サーベラスの防衛ポートフォリオにスポットライトが当たることになる。サーベラスは防衛分野に広く網を張っており、防衛試験システム(defense test systems)、軍用機訓練(military aircraft training)、軍用車メーカー(manufacturers of military vehicles)、極超音速実験データ(hypersonic test data)、外国軍訓練(foreign military training.)に関わる各企業に多額の投資を行っている。このように広範囲に及ぶため、一部の監視組織や利益相反の専門家たちは、フェインバーグが自分の利益よりもアメリカの利益に気を配っていることを確認したがっている。

政府監視プロジェクトの国防情報センター所長、グレッグ・ウィリアムズ氏は本誌に、「私にとっての最大の懸念は、フェインバーグが慣例に倣って保有株を全て売却するかどうかだ。サーベラス・キャピタル・マネジメントのCEOを長年務めた彼にとって、それは大きな出来事となるだろう」と語った。

実際、サーベラスの投資先はほぼどこにでもある。このプライヴェートエクイティ企業のポートフォリオには、装甲車の価格をつり上げ、米海兵隊から5000万ドルをだまし取ったナビスター・ディフェンス社(Navistar Defense)が含まれている。今年初め、サーベラスはトランスディグム社(Transdigm)を買収した。トランスディグムは極超音速技術を扱う企業で、米国防総省の監察官が、あるケースでは金属ピンに対して9400%の超過利潤を得ていたことを明らかにした。

2020年に買収されるまで、サーベラスの防衛ポートフォリオの目玉は、中央アメリカの麻薬戦争に航空機を供給し、イラク、リベリア、アフガニスタンでアメリカが支援する各国の軍隊の訓練を行っていたダインコープス社(Dyncorps)だった。

おそらく最も憂慮すべきは、サーベラスの子会社であるティア1グループ社が、2018年に『ワシントン・ポスト』紙の記者ジャマル・カショギを殺害したサウジアラビアの暗殺部隊のメンバー4人を訓練していたことだ。ティア1グループは、国務省の承認を得て、カショギ殺害の前の2014年から2017年にかけて、サウジアラビア国民に対し、射撃、迎撃、監視、近接戦闘の訓練を行っていたと報じられている。

2020年、トランプ大統領はサーベラス幹部のルイス・ブレマーを米国防総省の別のポストに指名した。ブレマーの指名によって、人事承認公聴会は緊迫した状況になった。ティム・ケイン連邦上院議員(ヴェージニア州選出、民主党)はサーベラスとサウジアラビアの関与についてブレマーを厳しく追及した。ケイン議員は当時、「連邦上院議員は、ジャマル・カショギ殺害に関与したとされるサウジアラビア人を訓練する上でティア1が果たした役割について、私の質問に回答を受ける権利がある。答えが得られるまで、この指名について先に進めるのは不安だ」と述べた。

フェインバーグの指名が承認されれば、連邦議員たちも同様の疑問を投げかける可能性が高い。

アラブ世界民主政治体制協会(Democracy for the Arab World Now)のアドボカシー・ディレクターであるレイド・ジャラーは本誌とのインタヴューで次のように述べた。「トランプ次期大統領がティア1グループと関係のある人物の指名を検討していることは懸念される。これは、ジャマル・カショギ殺害と我が国の外交政策に関して、説明責任が欠如しているという憂慮すべきメッセージだ」。

「レヴォルヴィング(回転ドア)・ドア・プロジェクト」の上級部長ジェフ・ハウザーは本誌との電話会談で、フェインバーグは現在の資産をできるだけ早く売却することが期待されるものの、以前の会社に関する決定には関与しない可能性が高いと説明した。ハウザーは「米国防総省の幹部の一員として、彼が以前の会社に関する決定を下すことはほぼ避けられないだろう」と述べた。

ハウザーはまた、サーベラスの幅広い弁護ポートフォリオが、皮肉なことに、フェインバーグを利益相反の容疑からほぼ免責する可能性があると説明した。「倫理の世界では、利益相反が大きければ大きいほど、自ら忌避する必要は少なくなるという理解がある。そして、もしフェインバーグが忌避する必要が生じたとしても、ハウザーは「トランプ政権への忠誠を示すことにあらゆるインセンティヴを持つ倫理担当官から免除を得ることができる」と説明した。連邦政府職員になれば、元雇用主に関わる決定には少なくとも1年間は関与しないことが求められているが、トランプ政権は利益相反が決定の完全性に影響を与えないと判断した場合、免除を認めることができる。

2017年、フェインバーグとブラックウォーター社の創業者エリック・プリンスは、トランプ政権に対し、アフガニスタンにおけるアメリカ軍ではなく請負業者に頼るよう圧力をかけようとした。伝えられるところによると、フェインバーグはCIAに作戦の完全な管理権限を与え、準軍事組織(paramilitary units)は「軍よりも監視が緩くなる」と強調した。ちなみに、この提案は彼の企業にとって利益となるはずだった。

たとえフェインバーグが保有株を売却したとしても、根深い請負業者優先のイデオロギーから撤退することは不可能だ。

スティムソン・センターの研究員であるジュリア・グレッドヒルは、本誌への書面声明で、「国防副長官には、1兆ドル近い予算を抱える機関の財務上の決定に利害関係を持つ人物ではなく、最高レヴェルの指導者に懐疑的な人物が必要だ。軍需産業にとって、この回転ドアは回り続けている」と説明した。

レイド・ジャラーは議員たちに対し、フェインバーグが国防総省のナンバー2の職にふさわしくない理由を挙げるよう求めた。ジャラーは、「政治資金、外国政府との関係、甚だしい人権侵害、傭兵や殺し屋の訓練のいずれであっても、この指名はきっぱり拒否されるべきだ」と述べた。
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