古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 国際関係論

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 パレスティナの飾築を実効支配しているハマスによって2023年10月7日にイスラエルが攻撃を受け、それに対する報復でガザ地区に大規模な攻撃が実行されている。イスラエルとイランの間でのミサイル攻撃の応酬もあった。その後、一時的な停戦が実現したが、再び状況は悪化している。ガザ地区では生活環境は悪化し、攻撃は続いている。イスラエルはイラン国内を空爆し、核開発関連施設を破壊し、イラン革命防衛隊の司令官と参謀総長などの最高幹部を殺害している。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエルの極右勢力に支えられているが、国民の支持率は低下している。そうした中で、起死回生の策がイランに対する空爆だった。

 イスラエルは国際社会を信頼せず、自国の防衛のためにはあらゆる犠牲を強いる。こうした点では北朝鮮に類似している。それは、あまりにも排他的な、選民思想的な原理が国家にあるからだろうと私は考えている。

 ガザ地区に関して言えば、私たちは歴史の授業で習ったゲットー(ghetto)を類推することができる。中世以来のヨーロッパの各都市に存在した、ユダヤ人たちが強制的に居住させられた地域である。ナチスドイツの侵略によって、各国のゲットーには厳しい抑圧がなされた。そうした中で、1943年にワルシャワ・ゲットー蜂起(Warsaw Ghetto Uprising)が起きたが、ナチスドイツによって鎮圧されたが、その方法は過酷なものだった。私たちは、ガザ地区の現状からワルシャワのゲットーを思い起こす。ユダヤ人が建国したイスラエルが、ゲットーの惨劇を繰り返す。「歴史は繰り返す(History repeats itself)」という言葉があるが、これはあまりにも皮肉なことである。人権や自由といった価値観を世界に拡大することを標榜するアメリカをはじめとする西側諸国は今回の事態に対してあまりにも無力だ。それどころか、ガザ地区の状況に対する批判を抑圧している。

 現在のガザ地区の状況は西側諸国の偽善と国際政治の野蛮さを改めて明らかにしている。そして、人間の愚かさを暴露している。
(貼り付けはじめ)
ガザ地区がいかにして西洋の神話を打ち砕いたか(How Gaza Shattered the West’s Mythology

-この戦争は、第二次世界大戦後の共通の人間性に対する幻想(post-World War II illusions of a common humanity)を露呈させた。

パンカジ・ミシュラ筆

2025年2月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/02/07/pankaj-mishra-world-after-gaza-book-israel-war-global-order-history/

1943年4月19日、ワルシャワのゲットー(Ghetto)にいた数百人の若いユダヤ人が、入手できる限りの武器を手にナチスの迫害者たちに反撃した。ゲットーにいたほとんどのユダヤ人は、すでに絶滅収容所(extermination camps)に強制送還されていた。彼らの指導者の1人であったマレク・エデルマンが回想しているように、闘士たちはいくらかの尊厳(dignity)を取り戻そうとしていた。彼は次のように書き残している。「最終的には、私たちの番が来たときに、私たちを虐殺させないということだった。死に方を選ぶだけのことだった」。

絶望的な数週間が過ぎ、抵抗者たちは圧倒され、そのほとんどは殺害された。蜂起の最終日に生き残った者の中には、ナチスがガスを注入した司令部地下壕で自殺した者たちもいた。下水管を通って脱出できたのはほんの数人だけだった。その後、ドイツ兵はゲットーをブロックごとに焼き払い、火炎放射器を使って生存者たちを煙で追い出した。

ポーランドの詩人チェスワフ・ミウォシュは後に、「美しい静かな夜、ワルシャワ郊外の田舎の夜にゲットーから悲鳴が聞こえた」と回想している。

「この悲鳴には鳥肌(goose pimples)が立った。何千人もの人々が殺害される時の悲鳴だった。その悲鳴は、焚き火の赤々とした輝きの中から、無関心な星々の下から、都市の静寂な空間を通り抜け、植物が労を惜しまず酸素を放出し、空気が芳香を放ち、人が生きていてよかったと感じる庭園の慈悲深い静寂の中に入っていった。この夜の平和には特に残酷なものがあり、その美しさと人間の罪が同時に心を打った。私たちは互いの目を見なかった」。

占領下のワルシャワでミロシュが書いた詩「カンポ・デイ・フィオーリ」は、ゲットーの壁の横にあるメリーゴーランドを想起させる。メリーゴーランドに乗る人たちは、遺体の煙の中を空に向かって進み、その陽気な曲が苦悩と絶望の叫びをかき消す。カリフォルニア州バークレーに住んでいたミロシュは、アメリカ軍が何十万人ものヴェトナム人を空爆し、殺害している間、その残虐行為(atrocity)をアドルフ・ヒトラーやヨシフ・スターリンの犯罪と比較していた。「もし私たちが同情することができ、同時に無力であるならば、私たちは絶望的な憤りの中で生きているのだ(If we are capable of compassion and at the same time are powerless, then we live in a state of desperate exasperation)」とミロシュは書いている。

イスラエルによるガザ地区殲滅(annihilation of Gaza)は、西側民主政体諸国によって提供され、何百万もの人々にこの精神的試練(psychic ordeal)を何カ月も与えた。政治的悪(political evil,)の行為の自発的目撃者である彼らは、時折、生きていることは良いことだと考えることを自分自身に許しながら、イスラエルによって爆撃された別の学校で娘が焼け死ぬのを見る母親の悲鳴を聞いた。

ホロコースト(shoah)は数世代にわたるユダヤ人に傷跡を残した。1948年、ユダヤ系イスラエル人は生死を分ける問題として国民国家の誕生(birth of their nation state)を経験し、その後、1967年と1973年にも、アラブの敵による絶滅論のレトリックの中で再び経験した。ヨーロッパのユダヤ人がユダヤ人であるという理由だけでほぼ完全に消滅したという知識とともに育った多くのユダヤ人にとって、世界は脆弱(fragile)に見えざるを得ない。その中でも、2023年10月7日にイスラエルでハマスや他のパレスティナグループによって行われた虐殺と人質事件は、ホロコースト再来への恐怖を再燃させた。

しかし、歴史上最も狂信的なイスラエルの指導者たちが、蹂躙、死別、恐怖という遍在する感覚(an omnipresent sense of violation, bereavement, and horror)を利用することに躊躇しないことは、最初から明らかだった。イスラエルの指導者たちは、ハマスに対する自衛の権利を主張したが、ホロコーストの主要な歴史家であるオメル・バルトフが2024年8月に認めたように、彼らは最初から「ガザ地区全体を居住不可能にし、その住民を衰弱させて、死に絶えるか、その領土から逃れるためにあらゆる可能な選択肢を模索するようにする(to make the entire Gaza Strip uninhabitable, and to debilitate its population to such a degree that it would either die out or seek all possible options to flee the territory)」ことを目指したのである。こうして10月7日以降、何十億もの人々がガザ地区に対する異常な猛攻撃を目の当たりにした。その犠牲者たちは、ハーグの国際司法裁判所(the International Court of Justice in The Hague)で南アフリカを代表して弁論したアイルランドの弁護士ブリネ・ニ・グラレイに言わせれば、「世界が何かしてくれるかもしれないという絶望的な、今のところむなしい希望のために、自分たちの破壊をリアルタイムで放送していた」のである。

世界は、より特定すれば西側は何もしなかった。ワルシャワ・ゲットーの壁の向こうで、マレク・エデルマンは「世界の誰も何も気づかない(nobody in the world would notice a thing)」ことを「大変に恐れて(terribly afraid)」いた。ガザ地区ではそのようなことはなく、犠牲者は処刑される数時間前にデジタルメディアで自分の死を予言し、殺人犯はTikTokで自分たちの行為をさかんに流した。アメリカやイギリスの指導者たちが国際刑事裁判所や国際司法裁判所(he International Criminal Court and the International Court of Justice)を攻撃したり、『ニューヨーク・タイムズ』紙の編集者が社内メモで、「難民キャンプ(refugee camps)」、「占領地(occupied territory)」、「民族浄化(ethnic cleansing)」という用語を避けるようスタッフに指示したりと、西側の軍事的・文化的ヘゲモニー(the West’s military and cultural hegemony)の道具によって、ガザ地区のライブストリーミングによる情報発信は日々、見えないように、読めないようにされていった。

毎日が、自分たちが生活している間に、何百人もの普通の人々が殺され、あるいは自分たちの子どもが殺されるのを目撃させられているという意識に毒されるようになった。ガザ地区にいる人々、しばしば有名な作家やジャーナリストからの、自分や自分の愛する人が殺されようとしているという警告や、その後に続く殺害の知らせは、肉体的にも政治的にも無力であるという屈辱をより募らせた。無力な暗示された罪の意識に駆られ、ジョー・バイデン米大統領の顔をスキャンして慈悲の兆し、流血を終わらせる兆しを探そうとした人々は、不気味なほど滑らかな硬さを発見した。あれやこれやの国連決議、人道支援NGOの必死の訴え、ハーグの陪審員たちによる厳罰、そして土壇場でのバイデンの大統領候補交代によって喚起された正義の希望は残酷なまでに打ち砕かれた。

2024年末までには、ガザ地区の虐殺の現場から遠く離れた場所に住む多くの人々が、悲惨と失敗、苦悩と疲労の壮大な風景に引きずり込まれたことを、遠くからではあるが感じていた。これは、ただ傍観する者にとっては大げさな感情的負担に思えるかもしれない。しかし、ピカソが空からの攻撃で殺されながら叫ぶ馬と人間を描いた「ゲルニカ(Guernica)」を発表した際に引き起こされた衝撃と憤りは、ガザ地区で撮影された、父親が首のない我が子の遺体を抱く一枚の写真の影響だった。

戦争はやがて過去のものとなり、積み重なった恐怖の山は時とともに平らになるかもしれない。だが、ガザ地区では、負傷した身体、孤児となった子供たち、瓦礫の町、家を失った人々、そして、あちこちに漂う大量の死別意識と存在の中に、この惨劇の痕跡が何十年も残るだろう。そして、狭い海岸地帯で何万人もの人々が殺害され、重傷を負うのを遠くから無力に見守り、権力者の拍手喝采や無関心を目撃した人々は、心の傷と、何年も消えないトラウマを抱えて生きていくことになるだろう。

イスラエルの暴力を、正当な自衛なのか、厳しい都市環境での正当な戦争なのか、民族浄化や人道に対する罪なのか、という論争は決して決着がつかないだろう。しかし、イスラエルの一連の道徳的、法的違反行為の中に、究極の残虐行為の兆候を見出すことは難しくない。イスラエルの指導者によるガザ地区撲滅に向けた率直で決まりきった決意、ガザ地区でのイスラエル国防軍(Israel Defense ForcesIDF)による報復が不十分であることを国民が嘆くことで暗黙のうちに容認していること、犠牲者を和解不可能な悪と同一視していること、犠牲者のほとんどが全くの無実で、その多くが女性や子供だったという事実、第二次世界大戦での連合軍によるドイツ爆撃よりも比例して大きい破壊の規模、ガザ地区全体の集団墓地を埋め尽くす殺戮のペース、そしてその方法が不吉なほど非人格的(人工知能アルゴリズムに依存)かつ個人的(狙撃手が子供の頭を2発撃ったという報告が多い)であること。食料や医薬品へのアクセスの拒否、裸の囚人の肛門に熱い金属の棒が挿入されること、学校、大学、博物館、教会、モスク、さらには墓地の破壊、死んだり逃げたりするパレスティナ女性の下着を着て踊るイスラエル国防軍兵士に体現された悪の幼稚さ(puerility of evil)、イスラエルにおけるそのようなTikTokインフォテインメント(訳者註:情報[information]と娯楽[entertainment]の合成語)の人気、そして自国民の絶滅を記録していたガザ地区のジャーナリストの慎重な処刑。

もちろん、産業規模になった虐殺に伴う無慈悲さは前例がないわけではない。ここ数十年、ホロコースト(the Shoah)は人類の悪の基準を定めてきた。人々がそれを悪と認識し、反ユダヤ主義(antisemitism)と戦うために全力を尽くすと約束する程度は、西洋では彼らの文明の尺度となっている。しかし、ヨーロッパのユダヤ人が抹殺された年月の間に、多くの良心が歪められたり、麻痺したりした。非ユダヤ人のヨーロッパの多くは、しばしば熱心に、ナチスのユダヤ人攻撃に加わり、彼らの大量殺戮のニューズでさえ、西洋、特にアメリカでは懐疑的かつ無関心に迎えられた。ジョージ・オーウェルは、1944年2月になっても、ユダヤ人に対する残虐行為の報告は「鉄のヘルメットから豆が落ちるように(like peas off a steel helmet)」人々の意識から跳ね返ったと記録している。西側諸国の指導者たちは、ナチスの犯罪が明らかになってから何年もの間、大量のユダヤ人難民の受け入れを拒否した。その後、ユダヤ人の苦しみは無視され、抑圧された。一方、西ドイツは、ナチス化からほど遠いものの、ソ連共産主義に対する冷戦に加わりながら、西側諸国から安易な赦免(cheap absolution)を受けた。

記憶に残る中で起きたこれらの出来事は、宗教的伝統(religious traditions)と世俗的な啓蒙主義(the secular Enlightenment)の両方の基本的前提、つまり人間は根本的に「道徳的(moral)」な性質を持っているという前提を揺るがした。人間には道徳的性質がないという、腐った疑念が今や広まっている。冷酷さ、臆病さ、検閲の体制下での死や切断を間近で目撃した人々はさらに多く、あらゆることが起こり得ること、過去の残虐行為を覚えていても現在それが繰り返されない保証はないこと、そして国際法と道徳の基盤がまったく安全ではないことを衝撃とともに認識している。

近年、世界では多くの出来事が起こっている。それらは、自然の大災害、財政破綻、政治的激変、世界的パンデミック、征服と復讐の戦争などである。しかし、ガザ地区に匹敵する災害はない。これほど耐え難い悲しみ、困惑、良心の呵責(grief, perplexity, and bad conscience)を私たちに残したものはない。これほど、私たちの間での、情熱と憤りの欠如、視野の狭さ、思考の弱さ(lack of passion and indignation, narrowness of outlook, and feebleness of thought)を恥ずべき形で証明したものはない。西洋の若者の世代全体が、政治とジャーナリズムの長老たちの言葉と行動(そして無作為)によって道徳的に大人に成長させられ、世界で最も豊かで最も強力な民主政体国家の支援を受けた残虐行為を、ほぼ独力で認識せざるを得なくなった。

パレスティナ人に対するバイデンの頑固な悪意と残酷さは、西洋の政治家やジャーナリストたちが提示した多くのぞっとするような謎の1つに過ぎない。西側諸国の指導者たちにとって、10月7日の戦争犯罪の犯人を追及し、裁きを受けさせる必要性を認めながらも、イスラエルの過激派政権(an extremist regime in Israel)への無条件の支援を差し控えることは簡単だっただろう。それなのに、なぜバイデンは存在しない残虐行為のヴィデオを見たと繰り返し主張したのか? 元人権弁護士の英首相キール・スターマーは、イスラエルにはパレスティナ人から電力と水を差し控え、停戦(cease-fire)を求める労働党員を処罰する「権利がある(has the right)」と主張したのはなぜか? なぜ、西洋啓蒙主義(the Western Enlightenment)の雄弁な擁護者であるユルゲン・ハーバーマスは、自称民族浄化主義者たち(avowed ethnic cleansers)の擁護に飛びついたのか?

アメリカで最も古い定期刊行物の1つである『ジ・アトランティック』誌が、ガザ地区で約8000人の子供たちが殺害された後、「子供たちを合法的に殺すことは可能だ(it is possible to kill children legally)」と主張する記事を掲載したのはどうしてか? イスラエルの残虐行為を報道する際に西側主要メディアが受動態に頼り、誰が誰に、どのような状況下で何を行っているのかが分かりにくくなっているのはなぜか(「ダウン症のガザ地区在住男性が孤独死(The lonely death of Gaza man with Down’s syndrome)」というのが、障害のあるパレスティナ人男性にイスラエル兵が攻撃犬を放ったというBBCの報道の見出しだった)? なぜアメリカの億万長者たちが大学キャンパスでの抗議活動者への容赦ない弾圧を促進するのに協力したのか? 親イスラエルの合意に反抗しているように見えるという理由で、学者やジャーナリストたちが次々と解雇され、芸術家や思想家がプラットフォームを追われ、若者が就職を妨げられたのはなぜか? なぜ西側諸国は、ウクライナ人を悪意ある攻撃から守り保護しながら、あからさまにパレスティナ人を人間の義務と責任の共同体(the community of human obligation and responsibility)から排除したのか?

これらの疑問にどう対処するかに関わらず、私たちは直面している現象を正面から見つめざるを得ない。それは、西側の民主政治体制国家が共同で引き起こした大惨事(a catastrophe jointly inflicted by Western democracies)であり、1945年のファシズムの敗北後に生まれた、人権の尊重と最低限の法的・政治的規範に支えられた共通の人間性という必要な幻想(the necessary illusion that emerged after the defeat of fascism in 1945 of a common humanity underpinned by respect for human rights and a minimum of legal and political norms)を破壊したのだ。

※パンカジ・ミシュラ:インドのエッセイスト、小説家。『怒りの時代: 現在の歴史(Age of Anger: A History of the Present)』、『帝国の廃墟から:アジアを再構築した知識人たち(From the Ruins of Empire: The Intellectuals Who Remade Asia)』など、その他数冊のノンフィクションおよびフィクションの著書がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年6月7日にロサンゼルスで始まった、米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発(6月6日)に対する抗議活動、抗議デモは一部が過激化し、暴力行為や器物損壊、略奪が行われるようになり、ロサンゼルスのカレン・バス市長はダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令を出した。トランプ大統領は州兵と海兵隊を派遣した。トランプ大統領の決定に対して、かりいふぉるニア州のギャヴィン・ニューサム知事とバス市長は反発し、この措置が辞退を悪化させており、挑発的だと批判している。死者が出ていないのは幸いだが、負傷者や逮捕者が出ている。

 「ノーキングス」という組織団体が、抗議活動を全米に拡大することを計画し、参加を呼び掛けている。ニューヨークやシカゴ、シアトル、サンフランシスコなどのアメリカの大都市での抗議活動が計画されている。テキサスでも予定されているが、テキサスのグレッグ・アボット知事は州兵の派遣を明言している。暴力や器物損壊、略奪にまで至らないことを祈るのみだ。

 下記記事にあるが、ロサンゼルスの抗議活動には、「プロ暴徒(professional rioters)」と呼ばれる人間たちが参加して、事態を悪化させたようだ。CNNの記事には次のようにある。「しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという」。アメリカで常に暴動が起きて、それに乗じて略奪が行われている訳ではないが、そのような機会を狙う、もしくは醸成して、略奪行為を行うことを仕組む人々がいるようだ。今回の抗議活動もそのようなプロ暴徒によって利用されてしまったということのようだ。
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 今回の抗議活動で目立つのは、このブログでも取り上げたが、メキシコや他の中南米の国々の国旗を振り回す姿だ。このことはアメリカのメディアでも取り上げられている。私が書いたように、そのような行為は、一般のアメリカ国民にとって受け入れがたいことになるし、「盗まれた土地」についての議論になれば、大きな矛盾を抱えていることが明らかになる。共和党内部の反トランプ派の連邦下院議員で、カリフォルニア州選出のデイヴィッド・ヴァラダオ議員の主張が穏健なアメリカ国民の考えに近いだろうが、メキシコ国旗を振り回してアメリカ連邦政府の関連施設を取り囲む姿は、このような穏健な考えを持つ人々を強硬な態度にしてしまう可能性はある。

 ヴァラダオ議員はカリフォルニア州でも農業が盛んな地域の選出である。カリフォルニア州の農業にとって不法移民は、低賃金の厳しい労働を支えてくれる貴重な存在だ。不法移民たちがいるので、食品価格が抑えられているということも言われている(これによって海外との競争力も保たれることになる)。穏やかに、犯罪に関わらないで、労働にいそしんでいる不法移民はお目こぼしで、犯罪傾向の強い、もしくは既に犯罪をしてしまった不法移民から逮捕・強制送還せよ(捕まえやすいところで大量に捕まえて実績アピールをしても仕方がない)ということになるだろう。カリフォルニア州では州独自の休日として、3月31日の「シーザー・チャヴェス・デー」がある。これは、労働運動家であり、ヒスパニック・コミュニティのリーダーとして活躍した、シーザー・チャヴェスを記念する日だ。チャヴェスは10代から農場労働者として家族を支え、1962年に全国農場労働者協会(NFWA)を結成し、1966年に米国農場労働者連合(UFW)に拡大した。農業関連労働者の組織化を進めた人物だ。彼自身は不法移民ではないが、このように、アメリカの農業において、ヒスパニック、そして不法移民は重要な存在となっている。

 不法移民対策について議論があり、抗議活動があることは良いことであるが、それがプロ暴徒なる存在に利用されてしまっては本来の意義が見えなくなってしまう。また、下記記事にあるように、「ノーキングス」は、抗議活動の目的を、ICEに対するというよりも、「腐敗は行き過ぎだ」として、トランプ政権自体に向けるようになっている。これにメキシコ国旗が振られるようなことが起きれば、内戦(civil war)に、メキシコが後押ししているという印象を持たれて、「内政干渉(intervention)」や「侵略(invasion)」ということになってしまう。これは非常に危険な状態ということになる。アメリカの分断は深刻な状態を迎えている。

(貼り付けはじめ)
●「ロサンゼルスで抗議しているのはどんな人々なのか」

CNN日本版 2025.06.10 Tue posted at 18:50 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35234069.html

(CNN) エストレラズル・コーラルさんは週末、ロサンゼルス中心部にある勾留センター外での抗議活動に連日参加し、数十人の移民らへの正義を求めた。これらの移民は、武装した移民税関捜査局(ICE)の職員に勾留されている。装甲車両に乗った職員らは、中南米系の多い市内のオフィスを標的にしていた。

コーラルさんによれば、平和的なデモが数時間続いた後、州兵が反撃を始めた。コーラルさんはソーシャルワーカーで、主に住居や適切な書類を持たない住民のために活動している。

「彼らは催涙ガスをこちらへ投げてきた。私たちは言われたとおりにしていただけだった」「それで人々は本当に動揺し、怒った。そこから事態がエスカレートしたと思う」

8日の日暮れ時、CNNの特派員はデモが暴力に変わる様子を記録した。デモ参加者の一部は自動運転車に放火。幹線道路の高架下に逃げ込んだ警官隊に石を投げる参加者もいた。交通はデモ行進で封鎖されていた。別の参加者らはスプレーで法執行機関に反対するスローガンを連邦政府の建物に書いていた。ロサンゼルス市警によると、8日には少なくとも21人が逮捕された。

米政権は不法移民を強硬に取り締まっているが、1992年以降で初めて米国市民に対し州兵を派遣するとしたトランプ米大統領の決定は即座に反発を招き、やがて暴力へと発展した。

実際のところ、抗議デモは異なる集団に別れていたようだった。一方は適切な書類を持たない人々の保護を目的とする進歩派の住民。それに対しもう一方のデモ参加者は、街を暴力的な混乱に引きずり込もうとしているように見えた。

■「ララサ」を守る

米国内の「ララサ(メキシコ人や先住民)」の権利擁護に取り組む団体、ウニオン・デル・バリオは、ICEをはじめとする各機関に対抗する取り組みを称賛。広報担当者はソーシャルメディアへの声明で、ロサンゼルスのコミュニティーには「拉致や家族の引き離しから人々を守る道徳的権限と普遍的権利がある」と主張した。

「この数日で起きているのは破壊行為や犯罪行為ではなく、政府に対する抵抗運動だ。政府は我々の父や母、妻、夫、子どもたちを拉致している」「人々は家族や同胞に対する深い愛と正義感からこうした行動に出た」と、広報担当者は述べた。

しかし、ある郡当局者は8日の様子を、ロサンゼルスでの「最も危険な夜の一つ」だったと振り返った。

ロサンゼルス市警のジム・マクドネル本部長は、警官らへの暴力的な攻撃を非難すると同時に、平和的な抗議を行った昼間の人々と暴力を扇動した夜の人々とを区別する見解を示した。

警察幹部のある情報筋はCNNの取材に答え、8日夜に集まった群衆については情報分析が行われていることを明らかにした。

分析の結果、抗議デモ参加者の多くは最近の移民摘発を動機としており、連邦政府によるロサンゼルスへの州兵派遣にも不満を抱いていることが分かった。

しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという。

■暴力の負担は弱い立場のコミュニティーへ

ICEの職員がパサデナ・ホテルの従業員を取り調べていることを知り、全米日雇い労働者ネットワーク(NDLON)の共同執行取締役を務めるパブロ・アルバラード氏は抗議デモの呼び掛けを開始した。パサデナにある弱い立場の移民のコミュニティーを守るためだった。

「パサデナでは大勢の人が集まり、メッセージを声高に叫んだ。我々は装甲車や覆面姿の男たちがコミュニティーへやって来て人々を連れ去り、家族をばらばらにするのを望まないと、明確に伝えた」(アルバラード氏)

ただ同氏が付け加えたところによると、摘発への反応として暴力が市全体に広がり、本来の目的が汚されたとも感じたという。

「暴力が発生するたび、最も弱い立場にあるコミュニティーが代償を支払う。暴動で焼き打ちに遭うのは、決まって所得の低いコミュニティーの店舗だ」(同氏)

デモ参加者の怒りは理解できるが、暴力の言い訳にはならないとアルバラード氏。「誰かを襲撃しなくても、必要なメッセージを発することはできる」と訴えた。

■混乱に巻き込まれた家族

焼け焦げた自動運転車や落書きされた建物から数区画離れた地点では、週末の移民摘発で拘束された人々の家族が9日午前に記者会見を開いた。家族らは愛する人々をICEの拘留センターから釈放するよう求めた。

親族の写真を貼ったプラカードを握りしめ、一人ずつマイクの前に立ち、拘留された人々の権利の保護と法的手続きの尊重を呼び掛けた。

ジュリアンと名乗る若い女性は、父親が足かせで拘束され、ICE職員に連れ去られた光景を見て家族全員が精神的なショックを受けたと訴えた。とりわけ障害を持つ4歳の弟にとっては衝撃が大きく、父親について繰り返し尋ねる弟には「お父さんは仕事をしている」と答え続けているという。

冒頭のコーラルさんは、再三催涙ガスを浴びせられても抗議には足を運ぶと語る。誰かが自分たちのために立ち上がっていることを拘束されている人々に伝えたいからだという。

それでも連日唐辛子スプレーを吸い込んだ後、武装した州兵の列と対峙(たいじ)した8日には、自分の国で一体何が起きているのかという思いに駆られた。

州兵らは抗議デモの現場にそぐわない武器を携帯していたが、「私たちは一歩も引かなかった。『威嚇されてたまるか』という気持ちだった」とコーラルさんは振り返った。
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全米に広がるICE(移民税関捜査局)の襲撃に対する抗議活動Protests of ICE raids spread across US
アシュリー・フィールズ筆

2025年6月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5343883-protests-of-ice-raids-spread-across-us/

ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの抗議活動が全米に広がり、複数の団体が土曜日にデモを開始する予定だ。これは、大統領の79歳の誕生日にワシントンDCで行われる軍事パレードと時期を合わせたものだ。

「ノーキングス(No Kings)」と「50501」は、ニューヨーク、ペンシルヴァニア、ウィスコンシン、テネシー、フロリダ、アラバマ、ジョージア、カリフォルニアなど、幅広い州で抗議活動を主催するために提携している。

テキサス州オースティンでも抗議活動が予定されており、グレッグ・アボット知事(共和党)は州兵の出動を表明している。

これらの抗議活動は、ロサンゼルスでの移民・関税執行局(ICE)の捜査に抗議する最初のデモに続くものだ。デモの一部は器物損壊につながり、トランプ大統領はカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)とロサンゼルスのカレン・バス市長(民主党)の反対を押し切って州兵の出動を要請した。

国防総省は今週、700人の海兵隊員をロサンゼルスに派遣した。ニューサム知事はこれを挑発的(provocative)だと批判した。

この戦いは法廷闘争に発展し、現在では全米各地で新たな抗議活動を引き起こしているようだ。

「彼ら(トランプ政権)は私たちの裁判所を無視し、アメリカ人を国外追放し、街頭から人々を追い払い、私たちの公民権を侵害し、公共サーヴィスを削減した。腐敗は行き過ぎだ。王座も、王冠も、王もいない(No thrones. No crowns. No kings)」と、議活動の主催者はウェブサイト上の声明の中でこのように述べた。

主催者たちは、土曜日までの数日間にZoom会議を開催し、トランプ大統領による不法移民取り締まりに対抗するための計画、準備、そして街頭での動員を進めている。

「ノー・キングス」は、トランプ大統領が陸軍創立250周年を祝う大規模な軍事パレードを行う際、ワシントンで抗議活動を行う代わりに、フィラデルフィアでイヴェントを開催すると発表した。

「この記念パレードを重心の中心に据えるのではなく、私たちは他のあらゆる場所で、その日のアメリカの物語となる行動を起こす。全国のコミュニティで人々が結集し、ストロングマン政治(strongman politics)と腐敗(corruption)に反対する」と「ノーキングス」はウェブサイトに掲載している。

「そうした理由から、『ノー・キングス』はワシントンDCではイヴェントを開催しない。その代わりに、フィラデルフィアで大規模な中心となる行進と集会を開催し、市民主導の私たちの運動と、ワシントンで行われる費用がかさみ、無駄が多く、非アメリカ的な(un-American)記念日パレードとの明確な対比を示す」

トランプ大統領は、ノースカロライナ州フォートブラッグでの演説でデモ参加者を「動物(animals)」と呼んだが、その前に、ソーシャルメディアへの投稿で、ワシントンでの軍事パレードを妨害しようとする抗議者には「非常に大きな力(very big force)」が向けられると述べた。

トランプ大統領は兵士たちを前にして、「彼らは動物だが、他国の国旗を誇らしげに掲げている。アメリカ国旗は掲げていない。ただ燃やしているだけだ。たくさんの国旗が燃やされているのを見たか?」と述べた。

「燃やしていたのは、私たちの国の人間でも、私たちの国を愛する人間でもない。アメリカ国旗を燃やす者は1年間刑務所に入るべきだ」とトランプ大統領は続けた。

彼の発言は、ロサンゼルスで数日にわたって行われたデモと大規模な抗議活動の後になされた。
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カリフォルニア州選出の共和党連邦議員がドナルド・トランプ大統領の移民政策に反対(California Republican pushes back against Trump immigration enforcement

エミリー・ブルックス筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5342298-california-republican-valadao-trump-immigration-enforcement/

共和党穏健派のデイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、ドナルド・トランプ政権によるカリフォルニア州での移民執行措置に反発している。

ヴァラダオ議員はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で「カリフォルニア州全域で継続中の米移民・関税捜査局(ICE)の活動について、私は依然として懸念を抱いており、トランプ政権との対話を継続し、長年にわたりこの渓谷で平和に暮らしてきた勤勉な人々よりも、既知の犯罪者の国外退去を優先するよう強く求めていく」と述べた。

この発言は、ロサンゼルスの一部地域で発生した移民執行措置に対する抗議活動で発生した暴力行為をヴァラダオ議員が非難した後に出されたものだ。

「私はアメリカ合衆国憲法修正第1条に定められた平和的な抗議活動の権利を支持するが、ロサンゼルスで発生している暴力行為(violence)と破壊行為(vandalism)は容認できない。人々を守り、状況を再びコントロールするために尽力している法執行官たちを支持する」とヴァラダオ議員は述べた。

ヴァラダオ議員は、農業が盛んな、競争の激しい選挙区を代表している。彼は、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件後、トランプ大統領の弾劾に賛成票を投じた残り2人の共和党下院議員のうちの1人だ。トランプ大統領はこれに注目し、昨年夏の2024年大統領選期間中に連邦下院共和党議員たちに演説した際に、ヴァラダオを特に名指しし、「私は彼を一度も愛したことがない」と述べた。

ヴァラダオの発言は、トランプ政権の移民執行措置と、地元民主党指導者の反対を押し切って行われている抗議活動に対応するために州兵を派遣したトランプ大統領の措置を、共和党指導部が概ね擁護している状況とは大きく異なる。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、抗議活動と移民逮捕を、トランプ大統領の減税と歳出優先事項の中で「大きくて素晴らしい法案」を可決する理由として挙げた。この法案には、移民執行措置と強制送還への予算の大幅増額が含まれている。

ジョンソン下院議長は記者会見で次のように発言した。「移民・関税局(ICE)の収容能力拡大に450億ドル、そして毎年少なくとも10億件の強制送還を実施するために、航空輸送と陸上輸送に144億ドルを予算計上する。これはかなり長期間にわたって実施する必要があるだろう。彼らはあまりにも多くの人々を入国させている。私たちは危険な不法移民から対策を始める。そして、カリフォルニアの暴徒と政治家たちがまさに守ろうとしているのは、まさに彼らなのだ」。

しかし、抗議者や民主党からの反対の多くは、トランプ政権が暴力犯罪で有罪判決を受けておらず、犯罪歴もない人々を逮捕し、国外追放しているという事実に集中している。

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メキシコ国旗がロサンゼルスの抗議活動のシンボルに:知っておくべきこと(Mexican flag becomes L.A. protest symbol: What to know

エリザベス・クリスプ筆

2025年6月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/5340119-mexican-flag-protests-la-trump/

緑、白、赤の縞模様のメキシコ国旗は、ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの継続中の抗議活動が週末にロサンゼルスで勃発し、抵抗の象徴(an emerging symbol of resistance in ongoing protests)としてどんどん存在感を増している

メキシコ国旗を掲げる抗議活動参加者たちが、炎が燃え盛る中で、タクティカルギア(装備品)を身に着けた警察官たちが立ちはだかっている。この様子の写真や動画がオンラインや既存メディアで拡散し、トランプ大統領政権の主要メンバーたちの怒りを買っている。

特に目立った映像の1つは、覆面をしたメキシコ国旗の旗を持った人がダートバイクに乗り、炎上する車の周りをぐるぐると回る様子だ。

ヴァンス副大統領は土曜日、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」に「外国国旗を掲げた反乱分子たち(insurrectionists)が移民執行官たちを攻撃している一方で、アメリカの政治指導者の半数は国境警備を悪(evil)と決めつけている」と書き込んだ。

トランプ大統領の最側近の補佐官で移民問題強硬派のスティーヴン・ミラーは日曜日、ソーシャルメディアにメキシコ国旗を振る抗議者の複数の画像を投稿し、ロサンゼルスでの混乱を「反乱(insurrection)」と表現した。

ミラーはXへの投稿で、「外国人が外国国旗を振り、反乱を起こし、不法な外国侵略者を追放しようとする連邦法執行機関を妨害する様子を、何と表現するのが正しいのか」と述べている。

ミラーは別の投稿で、「たくさんの外国国旗を見てみよう。ロサンゼルスは占領されている地域だ」と付け加えている。

(1)抗議活動はどのように起きたか(How protests got here

移民人口が多く、民主党の牙城であるロサンゼルスでは、数千人が街頭に繰り出し、トランプ政権による大量不法移民国外追放の一環として、金曜日に約40人の逮捕者を出した連邦移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)の職場への強制捜査に抗議した。

トランプ大統領は、カリフォルニア州で高まる抗議活動を鎮圧するため、週末に2000人の州兵を派遣した。ホワイトハウスによると、州兵は60日間、あるいはピート・ヘグゼス国防長官が撤退を命じるまでロサンゼルスに派遣される予定で、今後数日中に数百人の海兵隊員が援軍として派遣される可能性がある。

トランプ大統領は日曜日のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、政権関係者たちに対し「ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じる(take all such action necessary to liberate Los Angeles from the Migrant Invasion, and put an end to these Migrant riots)」よう指示したと述べた。

トランプ大統領は「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう(Order will be restored, the Illegals will be expelled, and Los Angeles will be set free)」と付け加えた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、日曜に勃発した警察官と抗議者との間の緊張の「無秩序なエスカレーション(chaotic escalation)」はトランプ大統領の軍隊派遣のせいだと非難し、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は、自身の反対を無視して軍隊を派遣した連邦政府を州が訴えると述べた。

(2)メキシコ国旗が振られる(Mexican flags fly

過去の移民抗議活動では、デモ参加者たちに対し、アメリカの価値観への支持を象徴するため、アメリカ国旗を掲げるよう促してきた。

しかし、メキシコ国旗、他のラテンアメリカ諸国の国旗、そしてアメリカ国旗をあしらったメキシコ国旗の画像がロサンゼルスの抗議活動の中心となり、トランプの支持者たちから頻繁に非難の的となっている。

『アリゾナ・リパブリック』紙のコラムニストであるフィル・ボアスは今年初めの記事で、メキシコ国旗を振る抗議活動は彼らの主張に反する行為になっている可能性があると警告した。

ボアスは2025年1月にトランプがホワイトハウスに戻った直後にICE反対デモが勃発した際に次のように書いている。「若者のエネルギーと熱意は理解できるが、フェニックスとロサンゼルスのラテン系コミュニティの冷静な判断力を持つ人々は、若い抗議活動家たちへの介入を望むかもしれない。MAGAの顔にメキシコ国旗を振るのは気分がいいかもしれないが、MAGAではない多くのアメリカ人にとって、それがどれほど嫌悪感を抱かせるかを理解しきれていない」。

しかし、移民抗議活動で他国の国旗を見ることは、人々を団結させる共通の行為だと反論する人もいる。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙のコラムニストであるグスタボ・アレジャノは2025年2月に次のように書いた。「抗議活動で外国の国旗を振るのは良いトラブルだ。勇敢な人々が団結し、混乱しか理解しない最高司令官(大統領)に毅然と立ち向かうための合図だ」。

(3)メキシコが対応し国外追放を認める(Mexico responds, acknowledges deportations

メキシコの指導者たちは月曜日の記者会見で、金曜日のロサンゼルス移民税関捜査局(ICE)による捜査で42人のメキシコ人(男性37人、女性5人)が拘束されたことを認めた。4人は国外追放されたという。

メキシコのフアン・ラモン・デ・ラ・フエンテ外相は、「ロサンゼルスの収容施設に収容されているメキシコ人の状態を監視するため、引き続き訪問を続ける」と述べた。

メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は、抗議活動における暴力行為を非難したが、デモ参加者に退去は求めなかった。

「メキシコ系コミュニティに対し、挑発(provocations)に載せられることなく、平和的に行動するよう求める」とシャインバウム大統領は述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 今年4月2日にドナルド・トランプ大統領が高関税政策(トランプ関税、解放記念日関税とも呼ばれる)を発表し、アメリカと中国との間で「貿易戦争(trade war)」が勃発した。これにより、アメリカ国債の金利が急上昇し、慌てたトランプ政権側では、スコット・ベセント米財務長官を中心にして(ウォール街の意向もあって)、譲歩を行い、トランプ関税の実施の90日間の停止を発表し、中国との間で貿易交渉を行っている。しかし、膠着状態にあるようだ。

 6月5日に、ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席が電話会談を行った。1時間半の会談だったそうだが、通訳が間に入っての会談だったと推測されるので、実質は1時間弱くらいのものだっただろう。中国側は中国人留学生の学生ヴィザに関する懸念を伝え、トランプ大統領は中国人留学生を歓迎すると述べたようだ。アメリカの大学は大きなビジネスになっている。中国人留学生は重要なお得意様だ。彼らは巨額の授業料収入をもたらす。さらに大学のある地域(多くは大学しか産業がない)にとって重要な消費者となる。また、趙一流大学にとっても頭脳明晰、才能あふれる留学生たち(特に大学院生)は貴重な存在だ。アメリカ人学生が自然科学系を忌避する中で、中国人留学生は貴重な戦力である。これは、最先端のテック産業にとっても、人材確保の面で極めて重要なことだ。トランプ政権内の対中強硬派にとっては痛しかゆしの面がある。

トランプ政権にとって、極めて重要なのは、レアアースの中国からの輸入である。下記論稿に以下のような記述がある。「4月の貿易摩擦激化の際に導入されたレアアース元素と磁石に関する新たな輸出管理制度を引き続き利用し、アメリカへの輸出を制限している。フォードを含む、中国のサプライチェインに大きく依存している防衛・自動車分野の大手アメリカ企業は、深刻な危機に直面している」。中国からのレアアースが規制されると困るのは、防衛産業だということだ。最大の仮想敵国である中国からのレアアースがないと、アメリカは戦争ができないというのは何とも皮肉な状況だ。こうして見ると、トランプ政権は中国に譲歩をしなければならない。米中貿易戦争をしてしまうと、アメリカにとって最後の頼みの綱である軍事にも支障が出てきてしまうのだ。
 下記論稿では中盤あたりに次のような興味深い記述がある。「トランプ大統領の楽観的なトーンは、習近平国家主席と中国に対して一貫して温かくオープンな姿勢を示してきた一方で、政権の他の部署は意図的なものか、あるいは一貫性のなさ(disjointedness)からか、より強硬な政策を追求してきたという、お馴染みの力関係(a familiar dynamic)を反映している」。トランプ政権は第1知事政権でもそうだったが、米中貿易戦争を行い、それが行き過ぎて、トランプ大統領がトップダウンで抑えるということがあった。トランプ政権内の対中強硬派は大局観に欠け、行き過ぎてしまう傾向があるようだ。そのために、トランプを煩わせることがある。今回もトランプがトップダウンで行き過ぎを押さえようとしている。
(貼り付けはじめ)
ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席が電話会談で沈黙を破る(Trump and Xi Break the Silence With Phone Call

-両首脳は難題の進展を主張したが、その言葉が現実に反映されるかどうかは未知数だ。
リリ・パイク筆

2025年6月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/05/trump-xi-jinping-phone-call-trade-tariffs-student-visas-china/

木曜日に行われたドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の1時間半に及ぶ電話会談は、レアアース輸出から中国人学生ヴィザに至るまで、多くの難題を解決したかに見えたが、現実は言葉通りの複雑なままだろう。

この電話会談は、トランプが2期目の大統領に就任して以来、両首脳の間で初めて公に知られている会談となった。その前に行われた5月初旬のスイスでの貿易担当高官協議は予想外の成功を収め、米中両国の貿易ティームは、トランプ大統領が引き起こした4月の貿易摩擦で高水準にまでエスカレートした関税を撤回することで合意した。アメリカは関税率を145%から30%に、中国は10%に引き下げた。米中両国はまた、より大規模な貿易協定の交渉のため、追加関税の賦課を90日間停止することにも合意した。

ジュネーブでの会談から数週間後、予想通り明るい雰囲気は薄れ、米中両国は相手の弱点を突く姿勢を続けた。ワシントンは、ファーウェイ製チップと、アメリカ製半導体および航空技術の中国への輸出に新たな制限を課した。一方、中国はジュネーブでアメリカに対する非関税措置の撤廃に合意していたものの、4月の貿易摩擦激化の際に導入されたレアアース元素と磁石に関する新たな輸出管理制度を引き続き利用し、アメリカへの輸出を制限している。フォードを含む、中国のサプライチェインに大きく依存している防衛・自動車分野の大手アメリカ企業は、深刻な危機に直面している。

トランプ大統領にとって、レアアース問題は明らかに電話会談の最優先事項となった。電話会談後のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、トランプ大統領は勝利を宣言した。「レアアース製品の複雑さに関する疑問はもはや存在しないはずだ」。

しかしながら、中国側の発表ではこれらの鉱物については一切触れられていなかった。

アジア・ソサエティ政策研究所の国際安全保障・外交担当副所長ダニエル・ラッセルは記者会見で、トランプ大統領の発言は「不可解なほど不透明で、具体的な成果を示唆していない」と述べた。この電話会談が実際にアメリカへの鉱物資源の流入再開につながるかどうかは、今後数週間、中国の港湾で確認する必要がある。

北京側も、言葉の上ではあるが勝利を手にした。中国側の発表では、「アメリカは中国人学生のアメリカ留学を歓迎する」と述べられていた。これは、先週マルコ・ルビオ国務長官が「中国人学生のヴィザを積極的に取り消す(aggressively revoke visas for Chinese students)」と発表し、中国人学生コミュニティを混乱に陥れた状況からの大きな転換となるだろう。トランプ大統領は木曜日、ホワイトハウスを訪問したドイツのフリードリヒ・メルツ首相との記者会見で、この方針転換を認めたようで、「中国人学生が来るのは問題ない。率直に言って、彼らを受け入れるのは私たちにとって光栄だ(Chinese students are coming—no problem. It’s our honor to have them, frankly)」と述べた。

これらの発言がどのように政策に反映されるのか、あるいは、そもそも反映されるのかについては、依然として未解決の問題である。

米中両国の声明や発表の全体的なトーンは、両最高首脳が互いを招き合うなど、概ね肯定的だった。特にトランプ大統領は「非常に良い電話会談だった(very good phone call)」と述べ、この傾向を強く支持した。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の中国ビジネス・経済担当上級顧問兼理事会議長スコット・ケネディは、本誌に対し、この動きは中国の戦略の有効性を示していると述べた。「中国は非常に効果的な経済手段を見つけた。トランプ大統領にはこれを肯定的に捉える様々な理由がある(China’s found an economic tool that really bites, so the president has got a variety of reasons to frame this in a positive light)」とケネディは述べた。

トランプ大統領の楽観的なトーンは、習近平国家主席と中国に対して一貫して温かくオープンな姿勢を示してきた一方で、政権の他の部署は意図的なものか、あるいは一貫性のなさ(disjointedness)からか、より強硬な政策を追求してきたという、お馴染みの力関係(a familiar dynamic)を反映している。
両超大国は、電話会談で双方が設定することに合意した次回の貿易協議で、トランプ新時代における両国の関係をテストし続けることになるだろう。
しかし、北京の発表には、アメリカに対し中国へのいかなる干渉や妨害行為も停止し、台湾問題には慎重に対処するよう求めるなど、より多くの警告が含まれていた。ケネディは、この発表にはアメリカへの「微妙な皮肉(subtle dig)」も含まれていると指摘し、電話会談はトランプ大統領の要請で行われたと指摘した。これは、ワシントンが北京の譲歩を懇願している兆候を示している。

より広範な貿易協定の実現には依然として大きな課題が存在し続けている。具体的には、中国の輸出依存型経済モデル(China’s export-dependent economic model)とトランプ大統領の製造業回帰への意欲(Trump’s desire to reshore manufacturing)との間の対立だ。スコット・ベセント米財務長官は5月にジュネーブで、米中両国は「一緒にバランスを取り戻す(rebalance together)」ことができると述べたが、専門家たちは今後、長く困難な交渉の道のりが待ち受けていると見ている。米中両国は、第1次トランプ政権の任期中に貿易協定を締結するまでには何年もかかったが、中国は最終的にこの協定を遵守しなかった。

※リリ・パイク:『フォーリン・ポリシー』誌記者。Blueskyアカウント:@lilipike.bsky.social X: @lili_pike

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 泥棒政治(kleptocracy)という言葉がある。この言葉の意味について、オックスフォード辞典には、「権力(力)を使って国家の資源を盗む人間によって支配される社会もしくはシステム(a society or system ruled by people who use their power to steal their country's resources)」と書かれている。簡単に言えば、政治家や政治家以外の存在が大きな力、権力を持ち、自分が有利になるように、税金を使ったり、国家機構を動かしたりすることだ。汚職・腐敗(corruption)とも言える。独裁国家で横行しており、支配者が大規模な宮殿を建設したり、在宅三昧の生活をしたりということは私たちもテレビや新聞の報道を見てきた。

 ドナルド・トランプが大統領に再選されて、アメリカも泥棒国家になる、トランプが権力を濫用して、三権分立を脅かして汚職がしやすくする、税金で自分の私腹を肥やすという主張が出ている。トランプは既に65億ドル(約9500億円)の資産を保有している。それを今更もっと増やしたいということで、大統領の地位を利用するということは考えにくい。子供たちや孫たちの多くは自分にはビジネスの才能がないということは分かっていて、この財産をうまく受け継いで生きていこうとしているだけのことだ。イヴァンカと夫のジャレッド・クシュナー、まだ大学生のバロン・トランプについてはこれから分からないが。トランプが叩き上げで、違法すれすれ、時には違法なことに手を染めながら、下品だなんだと馬鹿にされながらも、ビジネスを行い、成功して財産を築いていった姿に、私は田中角栄を重ねる。

 小室直樹は『田中角栄の呪い: 角栄を殺すと、日本が死ぬ』(光文社、1994年)の中で、汚職には構造的汚職と人格的汚職の2種類があり、田中角栄の汚職は構造的汚職だと主張した。構造的汚職は社会構造やシステムがどうしても汚職を起こしてしまうようにできていて、各個人の清廉さや意志の強さ、心がけではどうしようもない。そして、人格的汚職は、個人の欲望が引き起こす汚職だ。私が子供の頃の1980年代、田中角栄は裁判の被告人であり、大悪人という報道のされ方だった。しかし、現在はどうだろうか。田中の前に田中なし、田中の後に田中なしという感じで、非常に評価が高まっている。戦後日本の政治家の評価ランキングがあれば、悪くても2位、1位は確実ではないかと思われる。

田中角栄と同時代の政治家たち、とくに派閥の領袖クラスを考えてみれば、清廉潔白でした、お金は全くありませんでした、という政治家がいるだろうか。中曽根康弘や福田赳夫、三木武夫、大平正芳がどうやってあんな大人数の派閥を維持できたのか。彼らもまた構造的汚職に手を染めていたはずだ。そして、彼らは捕まらなかった。それには色々と背景があるだろうが、彼らも風向きが変われば逮捕されていただろう。

 話が大きく逸れたが、トランプによってアメリカが泥棒政治になるという心配をする前に、アメリカもまた構造的汚職ではないのかということを考えるべきだ。民主党のヒラリー・クリントンがウォール街から多額の献金を受けたり、講演を行って多額の謝礼を受け取ったりしていたことはどうなのか、巨大企業がロビイストを通じて、民主、共和両党に影響を与えることはどうなのか。私は、ロビー活動については、民主政治体制にとっては必要悪だと考えてきた。しかし、2016年のトランプの大統領選挙当選を受けて、それでよいのだろうかと考えてしまうことになった。

 下記論稿では、トランプが行政権力を強め、立法(連邦議会)と司法(裁判所)を弱めようとし、反対派を弾圧するというようなことが書かれている。そして、アメリカは泥棒国家からの立て直し方法を世界に教授してきたが、自分たちがその方法を実践することになるとはと嘆いている。私は、まず、アメリカが構造的汚職システムになっていたのではないかということを点検することから始めるようにお勧めしたい。

(貼り付けはじめ)

アメリカは泥棒政治国家なのか?(Is America a Kleptocracy?

-富裕層、貧困層、そしてその間の層の全ての人々の生活がどのように変わる可能性があるのか​​を紹介する。

ジョディ・ヴィットリ筆

2025年3月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/03/25/america-kleptocracy-trump-musk-corruption/?tpcc=recirc_trending062921

大きな変化が起こりつつある時、私たちは操作マニュアルを探し求める。そこには新たな生活様式と未来への新たな期待が生まれるだろう。急速に深刻化するアメリカ合衆国の腐敗状況も例外ではない。

昨年11月のドナルド・トランプ大統領の当選と、就任以来の制度面および人事面での急速な変化は、アメリカ国民を新たな政治的領域へと追いやった。特に、腐敗防止のための制度や規範は崩壊しつつある。パム・ボンディ司法長官は司法省に対し、犯罪カルテル関連事件の捜査を優先するよう指示し、タスクフォース・クレプトキャプチャーとクレプトクラシー・アセット・リカヴァリー・イニシアティヴを閉鎖した。トランプ大統領自身も、海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices ActFCPA)の新たな捜査および執行を6カ月間停止するよう命じた。

これらの動きは、アメリカ企業による国内ではなく海外での汚職行為に焦点を当てているが、他の汚職防止基準も急速かつ重大な圧力にさらされている。トランプ政権は、ウォーターゲート事件後に政府機関における不正管理や権力乱用を独立して監視する機関として設置された監察官(inspectors general、インスペクター・ジェネラル)を少なくとも17人、そして司法省の幹部職員数名を解雇した。大統領はまた、汚職の摘発と処罰において重要な役割を担う連邦取引委員会(Federal Trade CommissionFTC)や証券取引委員会(Securities and Exchange CommissionSEC)といった機関の独立性を損なう大統領令も発令した。

一部の人々にとって、これらの変化は新政権に伴う通常の政策転換をはるかに超えるものだ。新しい語彙を必要としているように思える。例えば、「カキストクラシー(kakistocracy、最も不適格または無能な市民によって統治される社会)」という言葉は、エコノミスト誌の2024年年間最優秀単語に選ばれるまで、ほとんど知られていなかった。評論家たちは、トランプ大統領就任式で最前列の席に座るテック企業の幹部たちを、アメリカの新たな寡頭政治家と呼んでいる。ジョー・バイデン大統領は国民に向けた退任演説で、「アメリカで寡頭政治が形成されつつある(an oligarchy is taking shape in America)」と警告した。また2月には、バーニー・サンダース連邦上院議員が、トランプ政権が「この国を急速に泥棒政治(a kleptocracy)へと向かわせている」と述べ、さらに悲惨な表現を用いた。これらの言葉は、定義上も実際上も、一体何を意味するのだろうか? そして、もしあるとすれば、アメリカの今後の政治秩序に正確に当てはまると言えるものはどれなのだろうか?

最初に求められる定義は、腐敗(corruption)そのものの定義である。腐敗は、アメリカ人やアメリカの伝統に反すると見なされる政権の構成要素であるにもかかわらず、近年、あらゆる政治的立場で頻繁に言及されている。トランプ大統領は2月にホワイトハウスで大統領顧問のイーロン・マスクと共に「私は選挙運動で、政府は腐敗している、そして非常に腐敗している、と訴えてきた」と述べた。実際、いわゆる「ディープステート(deep state)」の官僚機構における汚職の根絶は、1月に大統領令によって設置された政府効率化省(the Department of Government EfficiencyDOGE)において、マスクが表明した目標の1つである。マスクは、DOGEのティームが連邦政府から金銭を受け取っていた「知られた詐欺師(known fraudsters)」を発見したことや、米国国際開発庁(the U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)を含む官僚機構で働く一部の人々が「キックバック(kickbacks)」を受け取っていたことを非難している。

連邦政府の支出に不正や無駄遣いが全く存在しないと主張する人はほとんどいないだろう。昨年、米国会計検査院(the U.S. Government Accountability OfficeUSGAO)は、連邦政府が詐欺によって年間2330億ドルから5210億ドルの損失を被っており、過去20年間で政府機関が約2.7兆ドルの不適切な支払いを行っていたと推定した。年間6兆ドル以上を支出する組織としては、この数字は莫大だ。しかし、アメリカ政府で記録されている詐欺事例は、腐敗のレヴェルに達しているのだろうか?

汚職に普遍的な定義はないが、擁護団体トランスペアレンシー・インターナショナルが定義する最も一般的なものの1つは、「私的利益のために、委託された権力を乱用すること(the abuse of entrusted power for private gain)」である。例えば、USAIDに関してマスクがこの言葉を正しい意味で使うには、USAIDの職員や請負業者が、有利な契約を与える見返りに賄賂や贈り物を受け取るなど、私的利益を得るために与えられた権限をどのように利用したかを示さなければならない。職務の範囲内で政策を実施するために政府から正当な権限を与えられた給与を受け取ることは、「委託された権限の乱用(abuse of entrusted power)」や「私的利益(private gain)」には当たらず、汚職とは認められない。

汚職には様々な種類がある。現在、最も問題視されているのは、大規模汚職である。大規模汚職とは、公的機関が支配エリートのネットワークによって共謀され、私利私欲のために公的資源を盗むことである。賄賂(bribery)、恐喝(extortion)、縁故主義(nepotism)、えこひいき(favoritism)、縁故主義(cronyism)、司法詐欺(judicial fraud)、不正会計(accounting fraud)、選挙詐欺(electoral fraud)、公共サーヴィス詐欺(public service fraud)、横領(embezzlement)、影響力売買(influence peddling)、利益相反(conflicts of interest)など、様々な行為が含まれる。

汚職を防ぐシステムを解体することで、トランプ政権は将来、大規模な汚職への扉を開くことになるのではないかと懸念されている。マーク・ポカン連邦下院議員は、連邦政府の契約(少なくとも52件、7つの政府機関と継続中)を持つ特別職員としてのマスクの状況は「汚職にまみれている(ripe for corruption)」と批判し、昨年の選挙でトランプや他の共和党員を支援するために少なくとも2億7700万ドルを寄付したマスクのような特別職員がそのような契約を獲得することを禁止する法案を提出する予定だ。2月の『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説記事で、元財務長官5人は、DOGEの「政治的アクター(political actors)」がアメリカの決済システムにアクセスすることに懸念を表明した。彼らは、このアクセスは、これまで個人または党派の利益追求を防ぐために超党派の公務員によってのみ管理されていたシステムのセキュリティを危険にさらしていると指摘した。(マスクは2月、ポッドキャストの司会者ジョー・ローガンに対し、DOGEの職員は「連邦政府職員と同じ審査プロセスを受けている(go through the same vetting process that those federal employees went through)」と語った)。

大規模な汚職とは対照的に、市民が病院、学校、警察署などで賄賂やその他の便宜を求められる際に遭遇する、ささいな汚職がある。ポップカルチャーには、ドラマ「ザ・ソプラノズ」のように、腐敗した警官や公務員を描いた物語が溢れていますが、運転免許証の更新や子供の公立学校への入学手続きで、ちょっとしたご褒美をこっそり渡さなければならないという経験をしたアメリカ人はほとんどいない。しかし、古い諺にあるように、「魚は頭から腐る(a fish rots from the head down)」のだ。大規模な汚職が蔓延すると、下級職員は、多くのアメリカ人にとって新しい方法で賄賂を要求する大胆さを増す可能性がある。

泥棒政治は、腐敗、たとえ大規模な腐敗であっても、全く新しいレヴェルへと引き上げる。泥棒政治(クレプトクラシー)には、「泥棒による支配(rule by thieves.)」以上の明確な定義はない。大規模な汚職と同様に、泥棒政治は、政治、ビジネス、文化、社会、そして犯罪組織のエリート層が緊密に連携し、賄賂、恐喝、その他の破壊的な行為に関与するネットワークを形成する。しかし、泥棒政治には、大規模な汚職よりも際立った特徴がいくつか存在する。

第一に、泥棒政治における大規模な汚職は体系的であり、深くネットワーク化され、自己増殖的である。複雑で莫大な利益をもたらす汚職計画を仕掛けることも一つの手だが、複数のネットワークを通じた大規模な汚職の流れを何年も何十年も継続させるように制度を変革することは、泥棒政治の手段とは全く異なる次元の行為である。

第二に、泥棒政治の影響は長期的な政治的・社会経済的結果を歪める。大規模な汚職計画はエリート層に数十億ドルもの富をもたらすかもしれないが、それが十分に大きな経済規模で発生した場合、一般市民に必ずしも大きな影響を与えるとは限らない。泥棒政治においては、歪曲は甚大であるため、一般市民は生活への影響を無視することはできない。

第三に、泥棒政治ではない国々では、大規模な汚職スキャンダルは、それが日常茶飯事ではないため、良心に衝撃を与え、注目を集める可能性がある。泥棒政治におけるこのような大規模な腐敗は、異常事態ではなく、国家の統合目的であり、中核的な機能である。スキャンダルはあまりにも急速に、あまりにも広範囲に、あまりにも大規模に発生するため、多くの国民は対応できない無力感を感じている。

一般的に、寡頭支配者(oligarchs)と呼ばれる主要エリートは、泥棒政治を支えている。寡頭制(oligarchy)とは、古代ギリシャ語のオリゴイ(oligoi、「少数(few)」)とアークヘイン(arkhein、「支配する(to rule)」)に由来する。アリストテレスは、寡頭政治を「財産を持つ者が政府を握ること(when men of property have the government in their hands)」と表現した。アリストテレスの定義によれば、寡頭政治とみなされるためには、富裕層が、より多くの人々を犠牲にして自分たちの富と権力を守るために、政府に影響を与えることができなければならない。

この用語は、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領の側近である莫大な富を持つ内部関係者を指すことが多いが、一部の学者は、ロシアの「オリガルヒ(oligarchs)」と呼ばれる人々は厳密にはこの定義を満たしていないと主張する。なぜなら、これらの人々は明らかに潤沢な資金を持っているものの、内政や外交に実質的な影響力をほとんど持っていないように見えるからだ。学者のイリヤ・ザスラフスキーは、莫大な富を持ちながらも実際の政治的影響力を持たない彼らを「クレムリガルヒ(kremligarchs)」と呼んでいる。

民主的な泥棒政治国家(democratic kleptocracies)は、またしても政治権力の異なるモデルを提示している。ハンガリーでは、ヴィクトル・オルバン首相率いる与党フィデス党が、議会、裁判所、官僚機構、そしてメディアへの支配権を強固なものにしてきた。元駐ハンガリー米大使のデイヴィッド・プレスマンは、ハンガリーの体制を「虚無主義的な腐敗の温床(embrace of nihilistic corruption)」と総括した。例えば、オルバン一族や側近と関係のある企業は、政府調達契約において非常に有利な機会を得ている一方で、関係のない企業は事業運営能力が制限されている。一方、ハンガリーはヨーロッパの中心に位置しているにもかかわらず、報道機関の活動は著しく制限されており、2021年には数少ない独立系ラジオ局の一つが放送停止に追い込まれるに至った。

全ての泥棒政治国家はそれぞれ独自の特徴を持ち、もしアメリカの泥棒政治が実現したとしても、ハンガリー、イラン、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヴェネズエラといった国々の泥棒政治とは異なる形で機能するだろう。しかしながら、泥棒政治には共通の特徴があり、アメリカ独自の形態が既に出現しつつある兆候も見られる。

学者のマイケル・ジョンストンは、各国における泥棒政治の運営方法を分類しようと試み、4つの主要な腐敗症候群(syndromes of corruption)を特定した。アメリカ合衆国は、彼が「影響力市場(Influence Markets)」と呼ぶ、世界の民主的な良き統治のリーダーたちのグループに該当する。

「影響力市場」とみなされる国で、本格的な泥棒政治になった国はこれまで存在しない。影響力市場では、小規模な汚職は稀で、大規模な汚職は投獄、新たな法律の制定、選挙での敗北につながる可能性がある。ただし、合法的なロビー活動や選挙資金と、あからさまな汚職の区別については、しばしば大きな論争が起こる。これらの国々は、確固たる民主的な規範を有し、個人の自由を保障し、人権を擁護し、独立した裁判所やその他の執行機関を有している。国家は、比較的クリーンで専門的、かつ政治的に関与しない公務員制度によって運営されている。

アメリカ合衆国は、国際システムにおいて卓越した影響力市場を持つ国だ。世界の準備通貨、世界有数の経済力、そして最大級の軍事力を誇る。当時理解されていた腐敗防止の制度や規範は、建国の父たちによって憲法に明記されたか、あるいはその後まもなく制定された。これには、チェックとバランス(checks and balancesのシステム、報酬条項(emoluments clauses)、権利章典(Bill of Rights)、そして議員が代表する選挙区や州に居住する義務(the requirements for representatives to live in the districts and states that they represent)などが含まれる。1977年には、アメリカ合衆国は海外腐敗行為防止法(the Foreign Corrupt Practices ActFCPA)によって他国の政治家への賄賂を違法とした最初の国となったが、トランプ大統領は同法の施行停止を命じた。

影響力市場でもある大国が泥棒政治に陥った場合、何が起こるかを示す歴史的モデルは存在しない。アメリカが泥棒政治に陥れば、少数の勝者が莫大な利益を得ることになるだろう。確かに、不平等は今に始まったことではなく、いくつかの研究がアメリカにおける社会流動性(social mobility)が長年低下していることを示している。それでもなお、泥棒政治への傾斜と抑制と均衡の減少は、憂慮すべき傾向をさらに悪化させるだろう。2023年には、米国には1050人の億万長者がおり、その総資産は5兆ドル近くに上る。2024年第3四半期には、米国人の上位1%が49兆2300億ドルの家計資産を保有しているのに対し、下位50%の家計資産はわずか3兆8900億ドルにとどまっている。アメリカが泥棒政治に陥れば、既に不均衡となっている上位1%の富に加え、億万長者の数も増加する可能性が高い。

泥棒政治においては、寡頭支配者への優遇政策アクセスと露骨な汚職によって、調達価格が上昇し、公共サーヴィスがさらに民営化され、些細な手数料が蔓延する。その結果、公共道路が有料道路に変わり、航空会社からホテル、クレジットカード会社に至るまで、あらゆる企業が手数料や追加料金を積み上げることになる。トランプ政権による消費者金融保護局(the Consumer Financial Protection BureauCFPB)の閉鎖と、その調査活動の停止は、その前兆となる可能性がある。

寡頭支配者たちが課税を回避できるようになると、貧困層と中流階級への税負担は重くなる。関税は、主に供給者ではなく消費者が負担する税金であるため、この傾向の典型となる。食料品への関税による価格上昇は、特に貧困層に大きな打撃を与える。2023年、アメリカの世帯の最低所得層は税引き後所得の33%を食料品に費やしたが、最高所得層ではわずか8%だった。

社会保障制度、特に最貧困層向けの制度は、泥棒政治によってますます縮小、資金不足、あるいは全面削減されている。最近可決された連邦下院予算案は、主に富裕層に恩恵をもたらしたトランプ大統領の2017年の減税を延長し、10年間で2兆ドルの支出削減を目指している。これには、メディケアとメディケイドの財源を監視する連邦下院委員会が決定する8800億ドルの削減が含まれる。自身も莫大な富を持つハワード・ラトニック商務長官が最近、社会保障、メディケイド、メディケアは「間違っている」と発言したことは、さらなる懸念材料だ。これらの制度の削減を示唆する共和党大統領はトランプが初めてではないだろうが、退役軍人省の数百件の契約削減案を含む初期の動きは、現政権の削減が前任者よりも深刻かつ広範囲に及ぶ可能性を示唆している。

政治化された機関、特に法執行機関は、盗賊政治を維持するために不可欠です。ペルーの元独裁者オスカル・ベナヴィデスは、「友のためには全てを、敵のためには法を(For my friends, everything; for my enemies, the law)」と述べた。例えば、ヴェネズエラとロシアの企業は、政府の敵対者となれば税務警察の介入(the tax police)、莫大な税金、そして破産を招くことを熟知しており、IRSの武器化は全ての企業にとって脅威となる。リチャード・ニクソン大統領は、IRS長官に約200人の民主党員の「敵リスト(enemies list)」を監査対象として提供し、捜査対象者を選出し、場合によっては投獄することを意図していたにもかかわらず、監査を実施するどころか、そのリストを保管していた。IRS長官は監査を実施するどころか、そのリストを保管していた。最近のIRS長官代理の辞任、確定申告シーズン中の6700人の試用期間中の職員の解雇、そしてDOGEによるIRSおよびその他の納税者情報へのアクセスの試みも、こうした政治化の兆候を示している。

今後、他の大統領令や政策が実施されれば、米国は泥棒政治へとさらに傾く可能性がある。最も重要なのは、2020年10月にトランプ政権下で制定されたスケジュールF[Schedule F](現在はスケジュール・ポリシー・キャリア[Schedule Policy/Career]と呼ばれている)である。これはジョー・バイデン政権によって撤回された後、トランプ政権2期目の初日に大統領令によって再制定された。この大統領令は、公務員を雇用保護の少ない雇用グループに分類することを可能にし、150年にわたる公務員制度改革の成果を損なうものである。この大統領令が実施されれば、米国は19世紀に蔓延したスポイルズ・システム(spoils system、猟官システム)へと逆戻りすることになるだろう。

こうした様々な大統領令や指令、問題のある人事、司法省の権限委譲、独立機関の弱体化、そして公務員の予算削減と牙を剥く行為の結果、米連邦政府諸機関を私利私欲のために改変しようとする人たちが、まさに権力の座に就いている。さらに、こうした動きが矢継ぎ早に開始されることで、州、裁判所、市民社会、そしてジャーナリストが効果的に対応することが困難になっている。これは、トランプ前大統領顧問のスティーヴ・バノンが唱えた「この一帯を糞で溢れさせろ(flood the zone with shit)」という有名な命令がまさに実行に移されたと言えるだろう。

泥棒政治体制下のジャーナリストたちは、名誉毀損法が歪められ、権力者がメディア、市民社会、さらには不正行為を報道する可能性のある一般市民に対して戦略的訴訟を起こして沈黙させやすくなっている可能性があるため、さらに制約を受ける。DOGE職員たちが特定される報道に対するマスクと政権の対応は、この初期の例である。言説(narrative、ナラティヴ)は他の方法でもコントロールできる。アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが『ワシントン・ポスト』紙を所有していることや、マスクがXを所有していることが最も注目を集めるが、シンクレアの約200のネットワークなど、アメリカ国内の地方メディア局を保守派が所有していることも、親トランプのメッセージを形成する重要な手段となっている。グローバル化した世界では、高品質でしばしば高尚なメディアは、お金と時間とそれにアクセスする意思のある人々に引き続き提供されるだろう。セルゲイ・グリエフとダニエル・トレイスマンが著書『スピンの独裁者』で指摘しているように、このメディアの存在は、政権が実際にはそれほど権威主義的ではないことを証明すると同時に、有料購読であることが多い国際的な報道を読むグローバリストのエリートたちをスケープゴートにすることにも役立っている。

2010年の「シチズンズ・ユナイテッド」判決以来、連邦選挙運動への無制限のダークマネー流入を許したため、法的に「汚職(corruption)」を構成する要素は大幅に制限されている。しかしながら、近年で最も憂慮すべき判決はトランプ対合衆国(2024年)である。この判決は、大統領の行動が何らかの形で公務に関連している限り、大統領に驚くべき免責特権を与えた。また、大統領の行動が捜査対象となる範囲も制限している。連邦事件の関係者を恩赦できる権限と相まって、トランプをはじめとする将来の大統領は、アメリカ政府を意のままに操る法的裁量を大きく拡大している。

ダークネットの麻薬市場を運営し、仮釈放なしの終身刑を宣告されていた暗号通貨カルトヒーローであるロス・ウルブリヒトへの恩赦、そして人身売買やマネーロンダリングなどの容疑でルーマニアで捜査を受けているアンドリュー・テイトとトリスタン・テイトの出国許可を求めるトランプ政権の圧力は、不吉な兆候と言える。質問に対し、トランプはルーマニアが渡航禁止措置を解除した決定について何も知らないと述べた。フロリダ州司法長官が、最近送還された兄弟が容疑を否認しているにもかかわらず捜査を開始したことは、より前向きな兆候だ。トランプの大統領令は、2つの法律事務所(うち1つは元特別検察官ジャック・スミスが代理人を務める)を標的としており、法の支配(rule of law)をさらに弱めるものだ。

ビジネスを自由にするという約束にもかかわらず、泥棒政治は経済に大きく介入せざるを得ない。結局のところ、市場に任せっぱなしでは、経済的利益が特定のグループに行き渡ることを保証することはできない。例えば、統治の行き届いた国では、調達契約(a procurement contract)は最も良い入札を行い、実績のある企業に渡る。しかし、泥棒政治では、ほとんどの調達契約は、最も資格のある人材ではなく、適切なネットワークを持つ企業や適切な賄賂を支払った企業に渡る。

泥棒政治による国家による経済掌握の最もよく記録された例は南アフリカだ。司法委員会は、ジェイコブ・ズマ前大統領とその他の政府関係者がグプタ家と共謀し、ズマ家の一員や友人を雇用しながら、政府や国有企業から有利な契約を獲得できるようにしていたことを明らかにした。この法外な契約は経済から数百億ドルを吸い上げ、連邦予算に大きな穴を開けた。 2018年のズマ大統領辞任以来、腐敗と腐敗の残滓の1つに、電力網の混乱があり、結果として、それが経済成長全体を阻害している。

この点において、アメリカ合衆国は南アフリカには遠く及ばない。そして、アメリカ合衆国は過去にも、自由民主政治体制国家としての地位を放棄することなく、しばしば理想の達成に至らなかった。しかし、アメリカ人は、自らの純資産と社会的ネットワークが、自らの権利やサーヴィスへのアクセスをますます左右しているかどうかを観察するだけで、自らが泥棒政治に陥っているかどうかを判断できる。

アメリカはすでに経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も不平等な国であるため、泥棒政治における富裕層の生活はほぼこれまで通り、あるいは改善される可能性さえある。富裕層は、私設警備員や塀に囲まれたコミュニティの陰に隠れることができる。子どもたちは質の高い私立学校に通い、民間のスポーツクラブでテニスやサッカーに興じることができる。医療保険や医療ケアは、お金を払える人、あるいはそうしてくれる雇用主がいる人は、すでにほとんど利用できる。一部の裕福なコミュニティは、質の高い警察や消防署、その他の社会サーヴィスを維持することができる。お金を払えない人々や、たまたまこうした恵まれた郊外のインクのシミのように点として離れた場所(ink spots)に住んだり、その近くで働いたりしない人々にとっては、公共サーヴィスのために利用できるパンくずは減り続け、治安も悪化していくだろう。

寡頭支配者たちに対抗して団結する反対勢力は、泥棒政治にとって最大の脅威であるため、分断統治戦略(a divide-and-conquer strategy)を維持しなければならない。2024年の大統領選挙では、トランプは黒人やラテン系有権者の支持率を高め、白人有権者の支持率はほとんど動かなかった。しかし、トランプの初期の決断の多くは、分極化を再燃させるように設計されているように見える。例えば、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件に関連した罪で起訴された1500人以上の人々を大々的に恩赦したことは、国をまとめるためのものとは到底思えない。現在進行中の軍幹部の粛清は、明らかに多様性(diversity)、公平性(equity)、包摂性(inclusion)の取り組みに関連した解雇もあり、さらに分裂を招いている。特に注目すべきは、チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア統合参謀本部議長、海軍作戦部長、空軍副参謀長、陸・空軍・海軍のトップ法務官たちの解雇である。ハリー・トルーマン大統領やバラク・オバマ大統領を含め、将軍が解雇されたことは過去にもあったが、ブラウンの場合は明確な理由もなく、明らかな業績不振を指摘することもできなかった。実際、ピート・ヘグセス国防長官は以前、黒人であるブラウンが肌の色が理由でその地位を得たのではないかと疑問を呈していた。

このような行動が集団で行われ、本格的な泥棒政治に発展するかどうかはまだ分からない。しかし確かなことは、泥棒政治は偶然の機会ではなく、意図的な戦略であるということだ。偶発的な泥棒政治は存在しない。その結果、脱泥棒政治化dekleptification)の研究によれば、ある社会を脱泥棒政治化するのに最適な時期は、その社会のルールや制度が流動的なときであり、アメリカでは今がその時期である。通常、脱泥棒政治化の窓は最長で2年間開いているが、このアメリカの例は動きが非常に速いため、対応できるのは数年ではなく数カ月かもしれない。

裁判を通じた市民社会の行動は、これまでで最も効果的な対抗手段であった。良き統治を目指す市民社会団体のコンソーシアムであるデモクラシー・フォワードなどの団体は、退役軍人や教師、一般市民の権利のために訴訟を起こしている。同様に、各州(特に青い州[訳者註:民主党優勢州])も訴訟を起こしており、その中にはトランプ大統領が付与した政府効率化省(DOGE)の権限が違憲であると主張するものも含まれている。

世界中の人々が泥棒政治のネットワークと戦い、しばしば成功を収めてきた。ということは、自国の戦略や戦術を発展させる一環として、懸念するアメリカ人が適応できるような、脱泥棒政治化の教訓の宝庫があるということである。米国国際開発庁(USAID)の『脱泥棒政治化ガイド』は、脱泥棒政治化の方法について最もよくまとめられたものと考えられている。この文書はもうオンラインでは公開されていないが、反汚職コミュニティは再び一般に公開するよう取り組んでいる。このガイドブックが唯一のものとは言い難い。スルジャ・ポポヴィッチは、セルビアで「Otpor!」というグループの創設に貢献し、スロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の独裁政治を非暴力で崩壊させることに成功した。それ以来、ポポヴィッチは「応用非暴力行動・戦略センター」を通じて、成功した非暴力戦略も公表している。これらは、数多くある世界的な情報源のうちの2つに過ぎない。何十年もの間、アメリカ人は他国の国民に自国の政府の立て直し方を教えようとしてきたが、そろそろ立場を逆転させる時かもしれない。

大規模な汚職に関しては、アメリカ人には金ぴか時代も含め、反撃の歴史がある。セオドア・ルーズヴェルトのような献身的な反腐敗改革者を探し、そして選出し、アイダ・B・ウェルズやアイダ・ターベルの汚職の暴露(muckraking、マックレイキング)を再活性化し、座り込み(sit-ins)、抗議行進(protest marches)、ボイコット(boycotts)、その他の抵抗(resistance)行為の戦術に再び取り組むことができる。これらは結局のところ、アメリカの歴史を通して公民権運動の特徴であった。

※ジョディ・ヴィトリ:ジョージタウン大学外交学部実務教授、国際政治・安全保障部門共同部長。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ロサンゼルスで、米移民・関税執行局(ICE)の一斉摘発が実施され、それに抗議するために連邦政府施設前に人々が集まり、反ICE抗議デモが実施された。参加者の一部が先鋭化し、高速道路を封鎖したり、連邦政府施設に対して侵入を試みようとしたりという行動に出た。地元警察が沈静化させようとしてもうまくいかず、トランプ大統領は州兵をロサンゼルス市内に派遣した。州兵は通常であれば州知事の指揮下に入り、治安維持や災害対応に従事するが、戦時では大統領の指揮下に入り、予備部隊としてアメリカ軍を支援する形になる。今回は大統領令で派遣されたが、これに対して、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルスのカレル・バス市長が、事態を悪化させるだけだと非難している。

 抗議者たちが物を投げたり、メキシコや他の中南米諸国の国旗を振り回したりという様子、警察の機動隊が催涙弾を発射したり、抗議者を拘束したりしている様子から、「映画の『シビル・ウォー』を見ているようだ」という感想がインターネット上に多く出ている。トランプ大統領は「現状はまだ反乱(insurrection)の状態までには至っていない」と述べている。

 私が現場の映像を見ていて、これは非常に危険だと感じたのは、抗議者たちの中に、メキシコ国旗や他の中南米諸国の国旗を掲げ、振り回している人たちが多くいたことだ。このような行為がなされれば、アメリカ国内では、「不法移民の一斉検挙に抗議する人たち」が「外国から支援を受けているのではないか、非アメリカ的(un-American)ではないか」という印象を持たれると、一般国民の間に支援は広がらない。それどころか、「彼らは外国の侵略を企図し、支援しているのではないか」ということまで考えられるようになれば、地域間や国民間の分断は深刻になる。

 カリフォルニア州は、元々はメキシコ領で、米墨紛争の後、1850年にアメリカ領になった。人口をどんどん増やしているヒスパニックたちの中には少数であるが、「いつかはメキシコ領に」「アメリカのお金でインフラを整備させて、人口で過半数になったらメキシコ領に」などと主張する人たちもいる。私がロサンゼルスに居住していた2000年代、1862年にメキシコがフランスとの戦争で勝利した日を記念する「シンコ・デ・マヨ(Cinco de Mayo、5月5日の意味)」となると、ロサンゼルスの一部地域の高校で、アフリカ系アメリカ人学生とヒスパニック系の学生たちが衝突するという事件も起きていた。アフリカ系アメリカ人からすれば、勢力を伸ばすヒスパニック系が気に入らないところに、他国のお祭りで盛り上がるということでスイッチが入ってしまうということであった。

 マイノリティの間でも、色々と分断がある。非常に繊細な問題である。不法移民がいることで、カリフォルニア経済は回るという側面もある。肉体的に厳しい農作業や建設業などに、不法移民が安い賃金で従事することで、食料価格や住宅価格が抑えられるということはある(インフレでそれも厳しいが)。しかし、トランプ大統領が訴える製造業の国アメリカの復活ということであれば、彼を支持したアメリカ人たちは、昔のように厳しい労働に従事しなければならない。外国からの安い製品に頼らずに、自分たちで物品を製造しなければならない。それが可能かどうかは甚だ疑問であるが、トランプを選んだのだから、このようになる。

 違法移民について、かわいそうというだけでは済まない。アメリカもそして先進諸国各国も、国力が衰え、支援をすることは難しい。国境の守り(国境警備の強化と高関税)はトランプ政権の柱である。そして、この問題はアメリカの地域間の分断をますます深刻化させるだろう。

(貼り付けはじめ)

ニューサム知事がカリフォルニア州は州兵派遣の件でドナルド・トランプを訴えると述べ、ホーマンに対して自分を逮捕しろと挑発(Newsom says California will sue Trump over National Guard, dares Homan to arrest him

サラ・フォーティンスキー筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/regulation/court-battles/5339718-california-lawsuit-trump-national-guard/

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)は、米連邦政府による移民強制捜査に抗議するロサンゼルスの抗議活動を鎮圧するため、州兵を派遣したトランプ政権を月曜日に提訴すると発表した。

日曜日夜に出演したMSNBCのインタヴューで、ニューサム知事は、この訴訟は、トランプ大統領が州の同意なしにカリフォルニア州兵を連邦軍化して派遣したこと、つまりアメリカ史上ほとんど前例のない措置に異議を唱えるものだと説明した。

ニューサム知事は「ドナルド・トランプは、今夜あなた方がテレビで見ているような状況を作り出し、さらに悪化させた。いわば、火に油を注いだ。州兵を掌握すると発表したときから、彼は火に油を注いでいる。これは違法行為であり、不道徳であり、違憲行為だ」とMSNBCで述べた。

ニューサム知事はさらに「そして、私たちは明日、訴訟を起こしてこの主張を検証するつもりだ」と付け加えた。

この訴訟について詳しく質問されたニューサム知事は、トランプ大統領の大統領令には「特に(国防総省が)行ったこととして、州知事と調整しなければならないと記されている。彼らは州知事と調整したことはない」と述べた。

ニューサムは、これまでも様々な緊急事態に対応するために、州兵を派遣してきたと指摘した。

ニューサムは、「地方の法執行機関と相互援助システムで協力することに何の問題もない。しかし、そこには手順があり、プロセスがある。彼はそれを気に留めなかった。そして最悪なのは、彼が完全に嘘をついたことだ」と述べた。

ニューサム知事は、トランプ大統領が日曜日にトゥルース・ソーシャル(Truth Social)に投稿した、州兵が「素晴らしい仕事をした」という投稿を指摘した。ニューサム知事は、当時州軍は配備すらされていなかったと述べた。

ニューサムは「まるでジョージ・オーウェルが描いた世界のようだ。国民に嘘をついて、違憲で違法な行為をしているだけだ。今回のことはトランプの仕業だ。我々はそれを片付けようとしている」と付け加えた。

インタヴューの後半で、ニューサム知事は、国境問題対策責任者のトム・ホーマンが、もしニューサム知事やロサンゼルス市長のカレン・バス氏が知事の活動を妨害した場合、逮捕の可能性も否定しないと示唆したことについて質問された。

ニューサムは「私を追いかけて、逮捕しろ。さっさと終わらせよう、タフガイ。そんなことはどうでもいい。でも、自分のコミュニティは大事だ。このコミュニティが大事だ」と述べた。

ニューサム知事は次のように述べた。「奴らは一体何をしているのか? 彼らは大人になるべきだ。彼らはもう終わりにすべきだ。そして私たちは反撃する必要がある。はっきり言って申し訳ないが、ああいう大言壮語には飽き飽きだ。だからトム、私を逮捕してみろ。さあ行こう」。

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ホーマンが、カリフォルニア州政府高官たちがICEの捜査を妨害した場合、逮捕される可能性があると警告を発した(Homan warns California officials can be arrested if they disrupt ICE raids

エルヴィア・リモン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339287-trump-national-guard-california-immigration-protests/

国境問題責任者トム・ホーマンは日曜日、トランプ大統領がロサンゼルスで進行中の移民抗議デモを鎮圧するため州兵を派遣したことを受け、カリフォルニア州政府高官たちが「一線を越える(cross the line)」場合、逮捕や起訴に直面する可能性があると警告した。

トランプ大統領は、デモ参加者との2日間にわたる衝突を受け、州および市の指導者たちが支援を求めていないと述べているにもかかわらず、少なくとも2000人の州兵に対し、移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)職員への支援を命じた。

ホーマンは、トランプ大統領の命令は法執行官を守るためだけでなく、「このコミュニティを守るため(protect this community)」でもあると述べた。

ホーマンは日曜日夜に放送予定のNBCニューズのジェイコブ・ソボロフのインタヴューを受け、その中で、「この街ではICE職員に対する非難が高まっており、誰かが重傷を負うのは時間の問題だ。私たちは支援を要請しており、職務を遂行し、今後もその職務を継続していく」と述べた。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルス市のカレン・バス市長(両者には民主党)は、トランプ大統領の州兵動員決定を批判し、緊張が高まるリスクがあると警告した。両者はまた、トランプ大統領が州兵の「素晴らしい仕事(a great job)」について、ロサンゼルスに部隊が到着する前に投稿していたことを日曜日に指摘した。

ソボロフが、ホーマンが過去にトランプ大統領の執行活動の邪魔をする者を逮捕すると脅迫していたのは、ニューサム知事とバス市長に向けられたものなのかと尋ねると、ホーマン氏は「誰に対してもそう言う(say that about anybody)」と明言した。

ホーマンは、「違法外国人を故意に隠匿し、かくまうことは重罪だ(It’s a felony to knowingly conceal and harbor an illegal alien)。法執行機関の職務を妨害することも重罪だ(It’s a felony to impede law enforcement from doing their job)」と述べた。

ホーマンは、バス市長が「まだ一線を越えた(crossed the line yet)」とは考えていないと述べたが、必要であれば「司法省に訴追を要請する(we will ask DOJ to prosecute)」と付け加え、司法省に言及した。

ホーマンは「私たちが言いたいのは、我々の警官を攻撃する者を容認しないということだ」と付け加えた。

日曜日の朝、ニューサム知事はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、連邦政府が「カリフォルニア州兵を乗っ取ろうとしている(taking over the California National Guard)」のは「見せ物が欲しいからだ(they want a spectacle)」と主張した。

ニューサム知事は「見せ物を与えてはならない。決して暴力を用いてはならない。平和的に声を上げよう」と付け加えた。

NBCニューズのインタヴューで、ホーマンはニューサム知事の発言を激しく非難し、「週にとっての恥(an embarrassment for the state)」と呼んだ。

ホーマンは次のように述べた。「私はこの知事を全く尊敬していない。彼の政策のせいで、罪を犯した外国人が毎日この州を闊歩している。知事が私のことをどう思っているかなど気にしない。私は人気投票をしているわけではない」。

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ロサンゼルスで警察が「違法な」集会を宣言し緊張が高まる(Tensions rise in Los Angeles as police declare ‘unlawful’ assembly

コリン・メイエン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339627-protesters-arrested-in-la-tensions-rise/

日曜日の午後、ロサンゼルスでは警察が高速道路で抗議者たちと衝突し、メトロポリタン拘置所前での別の抗議活動を「違法(unlawful)」と宣言したことで緊張が高まった。

一日だけで数十人のデモ参加者が逮捕された。ドナルド・トランプ大統領が 「暴徒化した暴徒(insurrectionist mobs)」に対抗するために軍を派遣するという異例の決定を下したため、約300人の州兵が市内に配備された。

抗議者たちは、トランプ政権によるロサンゼルス市内への移民強制捜査に反発し、午後3時半頃から101号線高速道路を封鎖した。警察官は群衆に向けて催涙ガス弾などの弾丸を発射し、午後5時までに高速道路の封鎖を排除した。その後も数百人が周辺の道路に残留し続けた。

午後3時過ぎ、ロサンゼルス市警察(LAPD)は、アラメダにある市内刑務所前で活動していた別の抗議者集団を違法とし、逮捕活動を行っていると発表した。

ロサンゼルス市警察は「アラメダ地区2番街とアリソ通りの間の地域で“違法集会(An UNLAWFUL ASSEMBLY)”が宣言された。“解散命令(A DISPERSAL ORDER)”が発令された。逮捕者も出ている」とソーシャルプラットフォームXに投稿した。

CNNは、警察官たちが抗議者を殴ったり押したり、閃光弾や催涙ガスを群衆に向けて発射する様子が見られたと報じた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、トランプ大統領による州兵派遣の決定を強く非難し、平和的な対応を取らない抗議者たちに対し警告を発した。

バス市長は「ロサンゼルス市民が平和的に抗議活動を行う憲法上の権利は、常にわしたちの手で守られる。しかしながら、暴力、破壊、そして器物損壊は、私たちの街では容認されない。責任がある人たちは、完全な責任を問われることになる」とXに投稿した。

バス市長は後に、日曜日の混乱は「政権によって引き起こされた(provoked by the administration)」と述べた。

ダン・ボンジーノFBI副長官も、午後になって緊張が高まる中、警告を発した。

ボンジーノ副長官は「もし今夜、暴力を選択するなら、このメッセージはあなたに向けたものとなる。私たちは、既に多くの逮捕者を出しているだけでなく、連邦職員への暴行に関するあらゆる手がかりを捜査・追及していく」とXに投稿した。

23人の民主党所属の州知事全員が日曜日の午後、数十年も適用されていなかった法律を用いてカリフォルニア州の州兵を連邦軍化するというトランプ大統領の決定を非難する声明を発表し、この対応は不必要であり、事態をエスカレートさせるものだと主張した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の知事室は日曜日、ピート・ヘグセス国防長官に書簡を送り、市内への軍部隊派遣命令の撤回を求めた。

トランプ大統領は日曜日午後、キャンプ・デイヴィッドに向かうエアフォースワンに搭乗する前に記者団に短時間語った。大統領は大統領別荘で軍幹部と面会する予定だが、会談内容については明らかにしなかった。

国家安全保障上の危機に際して大統領の権限を拡大する反乱法(the Insurrection Act)を発動するかどうか記者団に問われると、トランプ大統領は、今回の抗議活動(the protests)はまだ「反乱(insurrection)」には当たらないと述べた。

しかし、その直後、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、抗議者たち(the protesters)を「反乱暴者の集団(insurrectionist mob)」と表現した。

「クリスティ・ノーム国土安全保障長官、ピート・ヘグゼス国防長官、パム・ボンディ司法長官に対し、関係省庁および機関と連携し、ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じるよう指示する」とトランプは投稿した。

トランプは更に「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう」と書いた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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