古村治彦です。

今回は、2013年11月8日に発売されました副島隆彦先生の『説得する文章力』(KKベストセラーズ、2013年)を皆様にご紹介いたします。

 この『説得する文章力』は、副島先生が文章の書き方を具体的な文例を使って教えるという本です。副島先生はこれまで130冊以上の本を出版されましたが、「文章の書き方を教える」という内容の本を今回初めて出されました。

 この本を読んで私が感じたことは、「文は人なり」「神は細部に宿る」ということです。

 私も弟子の一員として、副島先生に指導していただいております。しかし、正直に申し上げまして、この本のようにまとまった形で教えていただいたことはありませんでした。この本を読んでみて、「あの時に厳しく言われたことはそういうことだったのか」と改めて気付いたことがいくつかありました。

 その中でも特に気づかされたのは「断定する、逃げない、曖昧な言い回しをしない」ということの大切さです。これらは、副島先生が文章を書かれる場合に最も大切にしている点です。これは副島先生の考え方、生き方にも通じています。先生は自分で考えたことを人々に伝えようとして「説得(persuasion)」をしようとし、そこで逃げずに人々に対峙してきました。それが文章となり、私たちを惹きつけてやまないのです。まさに「文は人なり」です。


 私は、人生の途中まで学界で生きていきたいという大きな希望を持っていました。今でもその希望を棄て去れないでいます。しかし、自分の能力の限界もあり、その方向には進まないという決心をしました。しかし、それでも、滲み出てくるのが「大論文を書きたい」「難しいことを書きたい(そして頭が良い人だと思われたい)」という思いです。大学院教育では意外なことにあまり文章指導はありません。難しい専門用語をつなげて文章にしていけばとりあえずOKという感じになります。私は学界に生きるという希望を捨てた身ですが、それでもなかなか難しく、回りくどく、揚げ足を取られない書き方の癖が抜けません。ここは自分自身との闘いの最前線になると思います。

 「神は細部に宿る(God is in the details)」という言葉があります。「何事も細かな小さな部分までおざなりにせずに大事にしなければならない」という意味で使われますが、「芸術作品などの細かい部分にこそその作品の真骨頂がある」という意味でも使われることがあります。副島先生は人々を説得するために「細かい部分」に至るまで、「これで読んでくれる人に分かってもらえるだろうか」と考え、推敲を加え、赤ペンで訂正を施します。更には、本書の中で時々出てくる先生の若い時のお話は読者の皆さんにとっても興味深いものであると思います。先生が「ライター(安い報酬で文章を書く人は”百円ライター”と揶揄されたそうです)」になるかどうかの選択の話、自分がどのようにして物書きになったのかの話は皆さんにとって面白く感じられる部分であると思います。

 『説得する文章力』、是非、手にとってお読みいただきたいと思います。宜しくお願い申し上げます。

(終わり)