古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:アジア

 古村治彦です。

 「勢力圏(sphere of influence)」という考え方がある。これはある国が自分の国がある地域や周辺において、優先的に影響力を行使して支配するという考え方だ。アメリカのモンロー主義は「孤立」を強調されるが、実際には、「アメリカは南アメリカを影響圏として、スペインやイギリスの影響力を排除して支配する。ヨーロッパには関心を持たない」ということであり、南米を支配するための原理原則であった。南米を支配するために棍棒外交も採用して、武力的に介入することもできるという考えでもある。ロシアはソ連時代も含めて、自国の周囲に緩衝地帯(buffer zone)、衛星諸国(satellite states)を作り、本国ロシアを守るという考えを持っている。
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 現在の世界は、アメリカの一極支配(unipolar dominance)が崩れつつある。アメリカを中心とする西側諸国(the West、ジ・ウエスト)と中国とBRICSを中核とする西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)に分かれている。アメリカは世界から撤退して、西半球(Western Hemisphere)を勢力圏として押さえるということになる。アメリカと中国の間にある太平洋をどうするかであるが、アメリカはハワイやグアムまで退くということになる。日本や台湾を嫌がらせのようにして、空母のようにして中国の沿岸に張り付ける形になっているが、これもやがて終わっていく。アメリカに日本にアメリカ軍を駐留させるだけの力がなくなり、日本にもそれを支えるだけの経済力がなくなり、日本の軍事力もそれを支える経済力も低下していくことになる。アジアと西太平洋は中国の勢力圏ということになる。ロシアは隣接する各国への影響力を維持するだろうが、それも中国との協力関係を維持しながらということになる。

 勢力圏内であれば、協力は何をしてもよいということにはならない。そんなことをすれば、勢力圏自体が崩壊する。強国を「脅威」と見なす各国が合同して、強国に対峙することになる。さらに、圏外の強国に支援を求めるという動きも出てくるだろう。南アメリカ最大の強国はブラジルであり、ブラジルはBRICSの一角を占めている。アメリカが南アメリカから「西側以外の国々」の影響を排除することはできない。

 アジア地域は共存共栄の勢力圏を目指すべきであり、中国は実際にそのように動くだろう。アメリカと違って馬鹿ではない。ヨーロッパが進出してくる前のアジアの状態に戻るということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

勢力圏とは何か-そして何でないか(What Spheres of Influence Are—and Aren’t

-国際政治において最も誤解されている概念の一つが力によって戻ってきている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/19/sphere-influence-trump-venezuela-donroe-doctrine/

最近、「勢力圏(spheres of influence)」について多くの議論が交わされているが、これは主にアメリカの最新の「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」、ドナルド・トランプ政権によるヴェネズエラでの最近の行動、そしてグリーンランドの占領に向けた新たな試みに対する反応だ。大国は自国の「近隣地域()neighborhoods」において誰にも邪魔されることのない影響力を行使すべきだという考えは、ドナルド・トランプ米大統領の信念とも一致している。彼は、強国の強力な指導者が世界を統治し、国際法や普遍的な道徳原則、その他の理想主義的な考えを気にすることなく、互いに取引を行うべきだと考えている。

残念なことに、勢力圏を支持する人も反対する人も、世界政治におけるその位置づけを十分に理解していない可能性がある。現実の世界では、勢力圏は廃止できる時代遅れの慣行でもなければ、大国間の競争を最小限に抑える効果的な方法でもない。むしろ、勢力圏は国際的な無政府常態(international anarchy)の必然的な結果であると同時に、国際的な無秩序状態が生み出す競争インセンティヴに対する不完全な解決策でもある。

大国勢力圏構想に対する反対意見のほとんどは規範的なものであり、批評家たちはそのような取り決めは本質的に不公平だと主張する。主権国家の世界では、各国は国際法の下で平等な地位を享受している(例えば、国連憲章第2条を参照)。したがって、強国が経済的または軍事的強制力によって弱い隣国に大きな支配力を及ぼすことは、本質的に間違っていることになる。例えば、ウクライナのNATO加盟への傾倒(将来の正式加盟の可能性も含む)をロシアが懸念する理由があるかもしれないと認識している人々でさえ、そのような決定はNATOとキエフの判断に委ねられるべきであり、ロシアの拒否権(veto)に左右されるべきではないと主張する。この見方に立てば、中国がアジア諸国に対しアメリカや台湾から距離を置くよう圧力をかけること、あるいはアメリカが(最近の「国家安全保障戦略」にあるように)「私たちの半球(西半球)外の競争国が西半球に軍事力やその他の脅威となる能力を配置したり、戦略的に重要な資産を所有・管理したりする能力を否定する(deny non-Hemispheric competitors the ability to position forces or other threatening capabilities, or to own or control strategically vital assets, in our Hemisphere)」と宣言することなどは、同様に不当である。こうした批判者たちは、全ての国が自らの判断で自由に連携すべきであり、強力な隣国には、誰と貿易し、誰から投資を受け、誰と軍事協力できるかを指図する権利はないと主張する。

そのような規範に支配された世界に住めたら素晴らしいだろうが、このヴィジョンは到底現実的ではない。勢力圏は国際政治において繰り返し出現する特徴であり、それを完全に排除できる可能性は低い。ホワイトハウス補佐官スティーヴン・ミラーが世界政治のいわゆる「鉄則(iron laws)」について無知な大言壮語をするのを鵜呑みにする必要もなく、強大な国家は自国の領土周辺で何が起きているかに常に敏感であり、自国の安全保障を強化すると信じる方法で周囲の状況を形作るために、自らの持つ力を利用するだろうことを認識すべきである。

勢力圏が生じる理由は3つある。第一に、大国は通常、遠隔地の大国よりも自国の近隣地域に強い関心を持つ。そして自国に近い地域で不利な動向が勢いを増すのを防ぐため、リスクを冒しコストを負担する意思が、遠隔地の大国が同じ動向を支援する意思よりも強い。後述するように、遠方の大国は他の大国に近い地域に重要な利益を有する場合もあるが、その利益は通常小さく、防衛のために多大な資源を犠牲にする意思も通常低くなる。2015年に私が主張したように、これがウクライナを西側の自由主義圏に組み入れようとする試みが危険であった理由の1つだ。ロシアは私たちよりも(ほとんどのウクライナ人よりもという訳ではないが)ウクライナを気にかけており、したがって私たちとは異なる方法でエスカレートする意思があったはずだ。同じ論理で、アメリカが本当に動揺しているときに、ロシア、中国、イランからの支援がラテンアメリカ諸国にとってほとんど役に立たない理由も説明できる。この事実は、大国による干渉が正当または道徳的であることを示すものではないが、なぜそのような干渉が起こるのかを理解する上で役立つ。

第二に、ヨーロッパ連合(EU)、アメリカ・メキシコ・カナダ貿易協定、そして東アジアにおける中国の経済的影響力が示すように、グローバル化の時代においても、貿易は依然として地域的に集中する傾向がある。その結果、地域最大の経済大国は、近隣諸国の選択に対して相当な(無限ではないものの)影響力を持つのが一般的である。なぜなら、近隣諸国は、支配的な大国が自国の市場へのアクセスを拒否したり、主要輸出品を制限したりする可能性のある措置を講じた場合の経済的影響を考慮しなければならないからである。

第三に、軍事力を自国に近い場所に展開することが容易であるため(そして、遠方の大国が遠方の国を支援することはより困難であるため)、大国は反抗的な近隣諸国に対してより説得力のある軍事行動の脅しをかけることができる。例えば、ロシアがラテンアメリカ、中東、アフリカに50万人以上の兵士を輸送し、維持することはほぼ不可能であるが、隣国ウクライナには(困難を伴うものの)同数の部隊を配備することが可能であり、実際に配備している。

世界政治において勢力圏が頻繁に見られるという認識から、批評家の一部は、勢力圏について、世界を組織化し、大国間の対立を緩和する潜在的に有用な手段と捉えている。大国が互いの勢力圏を認め、尊重することに合意すれば、潜在的な利益相反(conflicts of interest)は減少し、それぞれの大国の安全保障は強化されるはずだ。理論上は、大国が境界線の位置について合意し、それぞれの勢力圏において「互いに尊重し合う(live and let live)」ことを約束すれば、それぞれが自らの地域を自由に管理できるようになり、潜在的な摩擦点(points of friction)は減少するはずだ。

歴史が示しているのは、私たちはこの処方箋にある程度懐疑的な見方をしているようだ。主張者たちは、このアプローチの成功例として、冷戦時代のヨーロッパ分断を挙げるかもしれない。何世紀にもわたる戦争の繰り返しの後、ヨーロッパはアメリカとソ連がそれぞれ大陸の半分を支配し、互いに抑止力となり、従属諸国(clients)を統制していたため、平穏を保っていた。 NATOとワルシャワ条約機構の直接衝突は計り知れないほどの破壊をもたらすことは誰もが知っていたため、双方とも相手の領域に過度に干渉することに警戒していた。

しかし、この例は一見するほど説得力があるようには思えない。1950年代(特にベルリンの壁が建設される前)のヨーロッパは、危機が繰り返し発生していただけでなく、核兵器を保有する2つの超大国(two nuclear-armed superpowers)が「鉄のカーテン(the Iron Curtain)」を挟んで睨み合っていたという事実に、平和は大きく依存していた。ヨーロッパが2つの対立圏(rival spheres)に分断されていたことで、開戦の可能性は低かったかもしれないが、冷戦(the Cold War)下の競争は依然として激しく、どちらの側も、相手が自らの勢力圏で優位な影響力を行使する「権利(right)」を完全には認めていなかった。もしアメリカ人がそうしていたら、ロナルド・レーガン大統領がベルリンでソ連の指導者たちに「この壁を壊せ(tear down this wall)」と演説することは決してなかっただろう。

さらに言えば、諸列強帝国(great-power empires)の初期の歴史は、誰が異なる地域に支配的な影響力を及ぼすかについて相互合意(mutual agreement)によって平和を確保しようとすることの難しさを如実に示している。様々な植民地大国(colonial powers)は海外に帝国を築く権利を認め、時には世界のどの地域が誰のものであるかについて暫定的な合意に達したものの、こうした取り決めは流動的であり、時に激しい論争を巻き起こした。イギリスとフランスは、北アメリカにおける支配的な影響力をめぐって争い(最終的にはどちらにもならなかった)、アフリカ、中東、南アジア、太平洋におけるそれぞれの植民地領有権をめぐって繰り返し衝突した。したがって、歴史が示すように、地図上に線を引いて各列強の領域を画定することは、問題の解決に長くは続かないだろう。

今日ではどうだろうか? 一方で、諸大国は確かに国益を有しており、特に自国領土に近い地域においては、これを無視して自国の戦略を策定するのは愚かな行為である。後知恵(hindsight)で言えば、アメリカの指導者たちは、旧ソ連に隣接する地域で政治的連携を再構築しようとする試みは逆効果になると警告した多くの声に耳を傾けるべきだった。そして、もし遠く離れた大国がアメリカ本土付近で同様のことを行おうとしたら、自分たちはどう反応するだろうかと自問すべきだった。他者の感受性(sensitivities)に配慮することは、道徳的な放棄ではなく、単に賢明な国家運営に過ぎない。

しかし他方で、勢力圏モデルを採用することで世界政治を平和化しようとしても、大国間の競争に終止符を打つことはできない。その理由は次の通りだ。

始めに、大国は自国地域内では相当な経済的影響力を持っているものの、今日の世界経済は高度に、そしておそらくは不可逆的にグローバル化しており、世界中の生活水準は、製造品の複雑なサプライチェインと、世界中から流入する原材料や食料資源に依存している。その結果、様々な地域を外部の経済力から完全に遮断することは(かつてのスターリン主義ロシアのように)、誰もが著しく貧しくなることなしには実現不可能だ。もしアメリカがラテンアメリカ諸国による中国製品の購入、原材料や大豆の輸出、そして切望されている中国からの投資の受け入れを阻止できると考えるなら、同等の価値を持つ代替品を提供するか、地域全体の人々の怒りを募らせるかのどちらかを迫られるだろう。同じ原則は、中国が東アジアにおいて外部勢力を排除する経済秩序を押し付けようとする試みにも当てはまる。そしてこれは、非常に深刻なコストを負わない限り、ライヴァル大国の影響力を自国の領域から排除することはできないことを意味する。

さらに、たとえ全ての主要国がそれぞれの領域を何らかの形で正式に承認したとしても、彼らは互いに警戒を強め、力と優位性を競い合うことになるだろう。そして、たとえ潜在的なライヴァル国に自国に近い地域への関心と資源を集中させるためだけでも、他の領域への様々な形での干渉に誘惑されるのは避けられないだろう。これが、ヨーロッパやアジア(そして程度は低いがペルシャ湾岸地域)における地域覇権国(regional hegemons)の台頭を阻止しようとアメリカが繰り返し試みてきた中心的な論理であり、こうした覇権国が台頭するには、時にアメリカの積極的な介入(active U.S. intervention)が必要だった。アメリカの指導者たちは、ヨーロッパやアジアにおける覇権国は、自らの領域内では誰にも挑戦されず、西半球を含む世界中でより自由に介入できるだろう。そして、この可能性はアメリカが長らく享受してきた「無料の安全保障(free security)」を低下させるだろうと理解していた。ライヴァル関係にある諸大国が互いの領域に干渉し始めると、たとえそれが限定的なものであっても、各国は警戒感を抱き、反発する可能性が高い。そのため、互いに譲り合い、ライヴァルの領域に介入しないという合意は、特に力のバランスが変化し、魅力的な新たな機会が生まれる場合には、極めて脆弱であることが判明する可能性が高い。

加えて、東ヨーロッパにおけるソ連の経験や、アメリカとラテンアメリカ諸国との関係史が示唆するように、大国の勢力圏内にある弱小国家の中には、その優位性に憤り、それを弱める方法を模索する国も出てくる。これは、遠方のライヴァル大国に介入の機会を与え、優位な大国を不利な立場に追い込むことになる。例えば、アメリカは1953年、1956年、1968年といった時期に、ワルシャワ条約機構加盟国の反乱軍をほとんど支援しなかった。また、1962年のキューバ危機を除けば、ソ連はフィデル・カストロ率いるキューバやサンディニスタを支援するために大きなリスクを冒すことはなかった。むしろ、米ソ両国は主に、ライヴァル国が弱い隣国に高圧的な干渉を行っていることを強調することで、プロパガンダの得点を稼ごうとした。そして、大国が自国の勢力圏内の反体制勢力を弾圧しなければならない状況では、こうした種類の正統性を失わせる動きが必ず起こるのである。

この状況はまた、勢力圏が最も効果的に機能するのは、それがほとんど目に見えない時、支配的な大国が近隣諸国を従わせるために多くのことをする必要がなく、自らの役割を本質的に善意あるものとして見せることができる時であることを私たちに思い出させる。とりわけ、だからこそトランプ政権は、「私たちの(our)」半球に自らの意志を押し付けると豪語しながらも、他国の資源や領土を支配したいという願望を公然と宣言している。これは外交上の失策であり、半球内でさらなる反感を醸成し、大国同士がアメリカを危険なならず者(a dangerous rogue)と描写するための十分な材料を与えることになるだろう。

最後に、たとえ中国、アメリカ、ロシア、そしておそらく他の12カ国が互いの勢力圏を認め、尊重することを約束したとしても、アフリカと中東は現在、どの大国の勢力圏にも入っていない。そのため、大国が富、力、影響力を求めて競争できる場所は依然として多く存在し、各大国が争っている地域への安全な通信回線を確立し、他の地域へのアクセスを拒否しようとするため、ある地理的領域での競争は他の地域にも波及する傾向がある。

結局のところ、世界が能力の大きく異なる独立国家に分断されている限り、勢力圏は国際情勢の不可避的な特徴であると同時に、平和を促進することにとっては、頼りない手段でもある。より平穏で繁栄した世界を築きたいのであれば、まずは他国の勢力圏に挑戦することは危険な試みであることを認識する必要がある。しかし、それだけでは終わらない。安定した平和の構築は、少数の世界指導者が地図を取り出して誰がどこに何を得るかを決めるだけでは到底できるものではない。たとえ今日、何とか合意に至ったとしても、将来、互いの地域的宗主権(regional suzerainty)の主張に挑む、微妙な、あるいはそれほど微妙ではない試みを含め、優位性を競い合うことを止めることはできない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 

 第二次ドナルド・トランプ政権で発表された「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」について、昨日に続いて、再び注目したい。今回は、第二次トランプ政権の「国家安全保障戦略」をアジア諸国の観点から分析するとどうなるかという内容の論稿をご紹介する。日本の外交政策を考える上でも非常に参考になる内容だ。

下記論稿では、第二次トランプ政権の「国家安全保障戦略」について、「従来の延長線上ではなく、第二次大戦後と冷戦後に形成された外交政策の広範なコンセンサスからの劇的な決別」を示しているとしている。

今回の「国家安全保障戦略」では、抑制とナショナリズム、そして普遍主義的使命を伴う国際主義の拒否が混ざり合ったMAGAナショナリズムの感情を明確に反映し、伝統的な政治イデオロギーに基づく戦略ではなく、「アメリカ・ファースト」による実利志向の戦略を志向している。これにより、「アメリカの幅広い卓越性という野望」から「国内再生」に重心を移している。これまでの介入志向の外交政策からの転換が図られることになる。

アジアにとっての良い面には次のようなポイントが挙げられる。第一に、「国家安全保障戦略」がインド太平洋をアメリカ外交の優先事項に据え、オバマ世間のピボットや第一次トランプの「自由で開かれたインド太平洋」、バイデンの戦略との連続性を示していることで、単一勢力によるアジア支配に反対する再表明は地域諸国に歓迎されるだろう。第二に、ヨーロッパに対する厳しい批判とは対照的に、アジアに対して形式的な戦略的敬意を示し、インド太平洋と中東へは限定的・選択的な介入を主張している。アジアは批判の外側に置かれている。第三に、超国家的統治やEUの規制主義への批判がある一方で、地域的制度が弱いアジアは国家主権と取引に基づく協力を重視するトランプ的世界観と相性が良く、リベラル国際主義の規範重視が必ずしも歓迎されなかった多くのアジア政府にとって「アメリカ・ファースト」に基づく主権優先の取引主義は理解しやすい。第四に、多くのアジア諸国はトランプが中国を同等の力を持つ競争国と認めつつ互恵的経済関係構築を呼びかける姿勢を歓迎しており、米中の二者択一を望まない広範な感情や、インドのような非同盟国にとっては地域での大国責任拡大の機会となる点も評価できる。  

悪い点を挙げると以下のようになる。第一に、主権と不介入の重視は歓迎されるが、アジアはアメリカが力を行使する誘惑について理解しており、可能だから介入する、国内支持層が要求するから介入するという力の論理は残るため、宣言的自制だけでは介入衝動を抑えきれないという不安を持つ。第二に、トランプの取引志向は従来の商業的取引主義を超え、同盟諸国に巨額負担や有利条件を要求するなど脅迫的側面を伴い、ASEAN首脳会議での条件付けなどは主権尊重とは無関係に力の非対称性を反映しており、アジア諸国は、取引は歓迎しても強制的重商主義には反発する。第三に、アメリカがルールをベースとする国際秩序を放棄すれば、小国の領土保全や弱者保護が損なわれ、広範かつ予測可能なルールを求めるアジアの現実主義的外務官にとって代償が生じるだけでなく、弾圧下の市民社会や反体制勢力も失望する。第四に、トランプの経済重視は商業利益と安全保障の間のトレードオフを深め、米軍優位の維持が困難になる中で米中間の経済的相互依存が亀裂を生み、同盟国に対する防衛負担要求が一部で核選択肢の再検討など極端な反応を誘発する恐れがある。第五に、台湾に関する文言を巡る激論が示すように、意味論的な論争は実際の危機対応に対する明確な指針を与えず、多くは地域情勢や米国内政治次第で変わるため、戦略的不確実性が増している。  

 アジアは中国と対峙しているので、アメリカの対中政策の影響を受けやすい。アジア諸国はアメリカと中国の2つの要素を考慮しなければならない。何よりも重要なのは、アジア地域における平和である。アメリカは中国と戦争をできる段階にない。経済依存や国力を考えると、好むと好まざるとにかかわらず、アメリカは中国と友好関係を維持し続ける「必要」がある。このことを前提にして戦略を考える必要がある。アジアにおける問題は、日本の高市早苗首相と日本の何の考えもない極右勢力である。この戦争をもてあそぶような考えなしがアジアにおける不安定要因となっていることは日本人として恥ずべき事態だと私は考えている。この状態を是正しなければ、日本が取り残されることになる。いや、既に取り残されているようなものであるが。

(貼り付けはじめ)

2025年「国家安全保障戦略」がアジアにとって持つ意味(What the 2025 National Security Strategy Means for Asia

-アメリカ外交政策におけるMAGA革命は良い面と悪い面の両方をもたらしている。

C・ラジャ・モハン筆

2025年12月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/08/2025-us-national-security-strategy-trump-asia-china-taiwan/

ワシントンでは、新政権が誕生するたびに独自のイデオロギー連合が形成され、必然的にアメリカの国家安全保障政策に関する理念を言語化した文書が生み出される。先週、トランプ政権が発表した最新版の国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)も、まさにその伝統に則ったものだ。しかし、より重要なのは、この文書がこれまでの戦略文書とは大きく異なる点である。これまでの戦略文書は、第二次世界大戦後および冷戦後の外交政策に関する幅広いコンセンサスに若干のヴァリエーションを加えたものに過ぎなかったが、今回の文書は、そのコンセンサスから劇的な決別(rupture)を意味している。

この文書が、ドナルド・トランプ米大統領の今後の行動に関する信頼できる指針となるかどうかは定かではない。しかし、この文書が、アメリカと世界との関係に関する国内での議論の進展における重要なマイルストーン(節目)であることは否定できない。この文書は、MAGA 運動の世界観を捉え、変化しつつあるアメリカの雰囲気(mood)を反映している。アジアにとって、この文書は、トランプ政権がインド太平洋をどのように理解し、アメリカの同盟関係をどのように扱い、中国をどのように評価し、地政学的競争の時代におけるアメリカのリーダーシップをどのように想像しているかを明らかにする窓となっている。

まず、「国家安全保障戦略」は、MAGA ナショナリズムの、今やよく知られる感情、すなわち、抑制、ナショナリズム、そして普遍主義的使命を伴う国際主義的世界観の拒絶が混ざり合った(a blend of restraint, nationalism, and the rejection of the internationalist worldview with its universalist missions)感情を明確に反映している。この文書は、「伝統的な政治的イデオロギーに基づくものではない(not grounded in traditional, political ideology)」戦略を求めている。その代わりに、「何よりも、アメリカにとって効果的なもの、つまり、一言で言えば『アメリカ・ファースト』によって動機づけられている(it is motivated above all by what works for America—or, in two words, ‘America First’)」と述べている。

「国家安全保障戦略」は、アメリカの卓越性という広大な野望から、国内の再生に根ざしたより狭い国益の定義へと方向転換を図ろうとしている。ワシントンの説教じみた言動に長らく憤慨してきた外国の政府にとって、この転換は歓迎すべきイデオロギー的再調整(ideological recalibration)を意味する。

しかし、アジアにとって、新たな国家戦略は良い知らせと悪い知らせの両方をもたらす。

第一に、この文書がアジア、あるいは現代の戦略用語で言うインド太平洋(Indo-Pacific)を、トランプ政権の戦略の中核である西半球以外におけるアメリカの外交政策の最優先事項に位置付けていることがプラス材料となる。アジアへの重点は、バラク・オバマ政権のピボット政策(pivot)、トランプ政権初期の「自由で開かれたインド太平洋(free and open Indo-Pacific)」、そして、ジョー・バイデン政権のインド太平洋戦略との連続性を示すものである。中国の台頭とこの地域の持続的な経済ダイナミズムは、これを不可避的なものにしている。同様に重要なのは、アメリカが単一の勢力によるアジア支配に反対するという姿勢を再確認したこと(reaffirmation that the United States will oppose the domination of Asia by a single power)である。これはアメリカの大戦略における長年のテーマであり、国家戦略におけるこの再表明は、中国の勢力拡大を懸念するアジアの各国首脳にとって歓迎されるだろう。

第二に、トランプ戦略は、ヨーロッパに浴びせられる衝撃的なほど厳しい批判からアジアを免れさせている。「国家安全保障戦略(NSS)」は、ヨーロッパの堕落、依存、そして、リベラリズムの行き過ぎを非難する一方で、アジアに対しては、表面上は戦略的敬意を払っている。「国家安全保障戦略」は、ヨーロッパにおいて、衰退から「西洋文明を救う」(“save Western civilization” from decline)ための強力な行動主義(muscular activism)を約束するのとは対照的に、インド太平洋地域と中東への限定的かつ選択的な介入を主張している。これは、トランプがヨーロッパよりもアジアを好むからではない。むしろ、MAGAをめぐるイデオロギー闘争は、本質的には政治的価値観とリベラリズムの未来をめぐる西側諸国内部の内戦(an internal Western civil war)なのだ。アジアは今のところ、この争いの外側に立っている。

第三に、アジアは超国家的統治に対するアメリカの批判を受けにくい。ヨーロッパ連合(EU)の官僚主義的・規制的権力はMAGAの怒りを買っている。地域的な制度的欠陥(regional institutional deficit)を抱えるアジアは、今や国家主権と取引に基づく協力を中心とするトランプ的な世界観とはるかに相性が良いように見える。人権と社会規範を重視するリベラルで国際主義的な姿勢は、常にアジアのほとんどの政府に受け入れられなかった。中国だけでなく、この地域の民主的でありながら根深い国家主義社会を持つ諸国においても同様だ。彼らにとって、「アメリカ・ファースト」イデオロギーによる国家主権の重視、そして世界を独立国家の共同体と捉える考え方は、極めて理にかなっている。

第四に、一部のアジア諸国政府、とりわけ北京は、冷戦後の「ルールに基づく国際秩序(a rules-based international order)」というレトリックについて、長らく不信感を抱いてきた。この言葉は西側諸国の首都では安心感を与えるように響いたが、アジアの一部の国では、ワシントンが、自らが示したルールを必ずしも遵守しなかったこともあり、強制的あるいは偽善的に聞こえた。トランプ大統領のプラグマティズムと国益重視、つまり「コメルツポリティック(kommerzpolitik、通商政策)」としての外交は広く受け入れられている。規範に関するリベラルなレトリックに疑念を抱くアジア諸国は、取引主義(transactionalism、トランザクショナリズム)には抵抗がない。昨秋のトランプ大統領のアジア歴訪中、アジア諸国がトランプ大統領との取引を競い合ったことは、実に示唆的だった。取引主義的なアメリカは、理解しやすく、関与しやすく、交渉しやすい。

第五に、多くのアジア諸国は、トランプ大統領が中国を同格に近い競争国(a near-peer competitor)と認め、北京との「互恵的な経済関係(mutually advantageous economic relationship)」の構築を呼びかけていることを歓迎している。アジアの大部分は、1980年代以降、米中協調体制から多大な恩恵を受けており、新たな冷戦の到来を深く懸念している。ワシントンと北京のどちらかを選ぶことを望まないという広範な感情は、トランプ大統領が中国を近い仲間として再び関与させる姿勢を見せていることに安堵感を覚える。インドのような非同盟国(non-allies)にとって、主要国に地域におけるより大きな責任を担うよう求めるトランプ大統領の呼びかけは、自国の戦略的プレゼンスを高める機会を生み出すことになる。

しかし、この良い知らせは、「国家安全保障戦略」とトランプ外交政策の運用上のダイナミクスにおける懸念材料によって相殺されている。この地域は、機会、曖昧さ、そしてリスクを等しく抱えている。

第一に、トランプが主権と不介入を重視することは歓迎すべきことであるが、アジアは、ワシントンが他国の内政に干渉しようとする構造的な誘惑を痛感している。これは原則からではなく、力から生じる。大国が介入するのは、それが可能であるからであり、そして、しばしば国内の政治的支持層がそれを要求しているからだ。南アフリカとナイジェリアに対するトランプの脅しは、懲罰と強制を求めるアメリカの根強い衝動を浮き彫りにしている。自制を宣言しても、この衝動は消えないだろう。

第二に、アジアではコメルツポリティックが浸透しているものの、トランプは通常の取引主義をはるかに超えている。日本と韓国に巨額の新規投資を要求したが、その条件は恐喝としか思えない。同様に問題なのは、最近の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議において、マレーシアとカンボジアとの貿易協定に課した条件である。これらの取り決めは主権尊重とはほとんど関係がなく、力の非対称性と圧力を反映している。アジア諸国は取引主義を歓迎するかもしれないが、強制的な重商主義(coercive mercantilism)には反発している。

第三に、アメリカがルールに基づく秩序を放棄したことは、アジア諸国の外務省の現実主義者を喜ばせるかもしれないが、この放棄には代償も伴う。アメリカが各国の領土保全を擁護することを拒否すれば、アジアの弱小国は強国のなすがままになるだろう。アメリカがウクライナに対し、和平合意の一環としてロシアへの領土譲渡を迫っていることは、中国の拡張主義に対抗するアメリカの姿勢について、直ちに懸念を生じさせている。アジアの小国は、広範かつ予測可能なルールを求めている。それは彼らがリベラルな理想主義者だからではなく、ルールが弱者を強者から守るからだ。一方、アメリカがリベラルな価値観から後退すれば、弾圧に直面した際に米国の支援を頼りにしてきた反体制団体や市民社会運動は失望するだろう。

第四に、トランプ大統領が中国との経済関係を重視していることは、商業的利益と安全保障上の関与の間の潜在的なトレードオフに対する不安を生み出している。「国家安全保障戦略」は西太平洋における中国の侵略を抑止する必要性を強調しているが、経済的相互依存と軍事的競争の間の緊張は現実のものであり、高まっている。中国の力が増大するにつれて、アメリカの軍事的優位性を維持することはますます困難になるだろう。北京は、アメリカとアジアのパートナーの間に亀裂を生じさせる能力を高めるだろう。トランプ大統領が同盟諸国に国防費増額を要求することで、一部の国は核兵器オプションの見直しを含む極端な解決策に傾く可能性がある。中国が軍事バランスを着実に自国に有利な方向に傾けているという認識が、この地域の不安を増幅させている。

第五に、「国家安全保障戦略」における台湾に関する文言をめぐる激しい議論は、アジアにおける地政学的な断層線がいかに深刻であるかを浮き彫りにしている。しかし、意味論的な議論は、トランプ大統領をはじめとする米大統領が実際の危機においてどのように行動するかについて、ほとんど指針を与えない。多くのことは、その時々の地域情勢とアメリカの国内政治に左右されるだろう。高市早苗首相が中国の台湾攻撃を日本の安全保障と結びつけて発言したことに対するワシントンの反発は、警告の兆候である。トランプ大統領はアジアの同盟諸国にさらなる要求をする一方で、アメリカが何を提供するのかについては、明確な姿勢を示していない。過去の戦略的曖昧さは、関与ではなく不確実性へと変わりつつある。

全体として、アジアはヨーロッパとは異なり、アメリカの戦略の変化に適応するための時間と余裕が十分にあるかもしれない。しかし、アジアが直面する課題はヨーロッパよりもはるかに大きい。ヨーロッパに比べて、ハードパワーの潜在力が限られているロシアとは異なり、中国はアジアにおいて圧倒的な存在感を放っている。この地域の安全保障は、地政学的な競争と経済的相互依存(geopolitical competition and economic interdependence)を特徴とする北京との複雑な関係を、ワシントンがどのように乗り越えていくかに大きく左右されるだろう。アメリカの対中政策における曖昧さは、インド太平洋地域全体に連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。

アジアはこの新たな現実に適応しなければならない。それは、アジアがアメリカの国内政治の軌跡やトランプ主義の戦略的進化に影響を与えるためにできることはほぼないからだ。ヨーロッパ諸国はリベラルな国際主義の復活と大西洋主義の回復を望むかもしれない。しかし、アジアにそのような余裕はない。中国の存在感が大きく、アメリカが国際的な方向性を再定義する中、アジアは自助の戦略(a strategy of self-help)—国家能力の強化、アメリカを超えたパートナーシップの拡大、柔軟な連合の構築—を受け入れねばならない。同時に、「国家安全保障戦略」は、ワシントンが支援する「負担分担ネットワーク(burden-sharing network)」を提唱している。「国家安全保障戦略」は、「商業問題におけるより有利な待遇、技術共有、防衛調達などを通じて、近隣地域の安全保障においてより多くの責任を自発的に引き受ける国々に対し、アメリカは支援の準備を整える」と述べている。アジアはこの提案が提供する可能性について理解すべきである。

C・ラジャ・モハン:『フォーリン・ポリシー』誌のコラムニスト。OP・ジンダル・グローバル大学モトワニ・ジャデジャ・アメリカ研究所の卓越教授、シンガポール国立大学南アジア研究所客員研究教授、インド国家安全保障諮問委員会元メンバー。Xアカウント:@MohanCRaja

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 私は拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)の帯で、「アメリカと日本は友達(TOMODACHI)ではない」と書いた。これは、2011年の東日本大震災発生後に、在日アメリカ軍を中心となって、「トモダチ作戦(Operation TOMODACHI)」なる支援活動を行ったことから由来している。世界各国からの支援について私たちは感謝すべきであるが、アメリカが「トモダチ」という言葉を使ったのが私には何とも違和感があったので、このことをずっと覚えていた。「同盟」と「友達(トモダチ)」は全く異なる。そもそも、国際関係において、国に「友達」は存在しない。自国の利益のために協力するパートナーは存在するが、個人間の友達関係のようなある種のウエットさを持つ関係は存在しない。

 アメリカが日本と日米安全保障条約を結び、アメリカ軍を10万人単位で日本に駐留させているのは(駐留経費は日本負担)、アメリカの国益に資するからだ。「日本が友達だから、損得抜きで守ってあげよう」ということはない。しかも、駐留経費は日本持ちだ。世界規模で見れば、「アメリカが世界の警察(world police)で、世界の平和と秩序を守るために日本にアメリカ軍を駐留させる」という理屈になる。そして、現在では、「拡大を続ける中国を抑えるために、アメリカを中心とするアジア地域の同盟諸国を団結するためにアメリカ軍は存在する」という理屈で、アメリカ軍が日本にいる存在理由になっている。そして、「トランプは内向きで、アメリカを世界から撤退させる、つまり、アメリカ軍を世界から撤退させる方針である。そうなれば、アジアは中国のものになる。それは危険だ」ということが声高に主張されている。果たしてそうだろうか。

 アジアという地域を定義するのは意外と難しい。どこからどこまでがアジアかと言われると、東は日本から東南アジア、ユーラシア大陸のヨーロッパ地域以外というのが一般的な捉え方となるだろう。そして、中国が拡大して云々というのは、主に東南アジア地域と東アジア地域ということになるだろう。ここに、アメリカが存在しているから、中国の拡大を押さえ、アジアの平和を守れるという理屈だ。果たしてそうだろうか。第二次世界大戦後、アジア地域で起きた戦争(朝鮮戦争やヴェトナム戦争)や国内紛争(インドネシアでの架橋虐殺やクーデターなど)を見てみれば、アメリカが当事者(直接的にも間接的にも)となってきた。アメリカがいたからアジア地域の平和が乱されたと言うこともできる。

アジアでは、ASEANという枠組み、更にASEANプラス3(日中韓)という枠組み、中国の一帯一路計画、BRICSという多国間の枠組みが重層的に積み上がっている。この多国間枠組みで、地域の平和と安全を担保しようとしている。「中国を押さえる」というアメリカの意図を、同盟諸国という名の下請け国家にやらせようというのが、アメリカが現在やっていることだ。それに面従腹背で、だらだらとお付き合いをしているのが日本以外の国々だ。

 アメリカの国力の衰退は大きな流れである。いつまでも世界の警察をやってはいられない。撤退の時期が刻々と近づいている。それを何とかしようと色々と画策するのは、「引かれ者の小唄」である。私たちは「アメリカの世紀(American Century)」の黄昏を目撃している。

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アジアは危険なまでに不均衡に陥っている(Asia Is Getting Dangerously Unbalanced

-ドナルド・トランプ政権は依然として注目を集めているが、真の物語は別のところにあるのかもしれない。
スティーヴン・M・ウォルト

2025年4月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/04/01/asia-trump-china-xi-hegseth-japan-south-korea-balance/

現在、アメリカの外交政策を揺るがす混乱の中で、国際政治のより根本的な側面を見失いがちだ。シグナルゲート事件(Signalgate)、ロシア・ウクライナ交渉(the Russia-Ukraine negotiations)、トランプ政権のますます明らかにするヨーロッパへの敵意(the Trump administration’s increasingly obvious animus toward Europe)、迫り来る貿易戦争(a looming trade war)、悪化する米加関係による自業自得の傷(the self-inflicted wound of a deteriorating U.S.-Canada relationship)、そしてアメリカ国内の民主政治体制への組織的な攻撃など、私たちは皆、気を取られている。こうした混乱についていくのに苦労しているのなら、それはあなただけではない。

少しの間、ニューズの見出しから少し離れて、長期的な影響を持つ大きな問題、つまりアジアにおけるアメリカの同盟諸国の将来について考えてみよう。ピート・ヘグゼス米国防長官は、同僚たち(とあるジャーナリスト)にイエメン攻撃計画についてメッセージを送るために安全でないアプリを使うのを止め、アジアの同盟諸国を安心させるために奮闘している。ヘグゼスの経験不足とこれまでの政権の政策を鑑みると、容易な話ではないだろうから、彼の成功を祈る。

つい最近まで、私はこのテーマを、古き良きリアリスト的な勢力均衡・脅威論(good old-fashioned, realist balance of power/threat theory)に基づいた、シンプルで馴染み深く、むしろ安心感を与える物語で説明していた。その物語は、中国が貧困(poverty)、技術力不足(technological deficiency)、軍事力の弱さ(military weakness)から世界第2位の地位へと驚異的な台頭を遂げ、南シナ海の領有権を主張し、国際社会および地域の現状維持(the international and regional status quo)におけるその他の重要な側面を見直そうとする継続的な努力から始まる。

この物語において、これらの劇的な展開は最終的にアメリカと中国の近隣諸国のほとんどを警戒させた。その結果、バランスをとる連合(a balancing coalition)が形成され始めた。当初はアメリカの既存のアジア同盟諸国が中心となり、徐々に他のいくつかの国も加わって拡大していった。この連合の明確な目的は、中国によるこの地域支配(dominating the region)を阻止することであった。その取り組みの主要な要素は、この地域へのアメリカ軍の追加配備、オーストラリア、英国、米国間のAUKUS協定の交渉、アメリカ、韓国、日本の安全保障協力強化のためのキャンプ・デイヴィッド合意への署名、フィリピンに方針転換を促し、アメリカとの関係強化(アメリカ軍のプレゼンス拡大を含む)、インドとの安全保障協力の拡大、そしていわゆるクアッド[QUAD](アメリカ、インド、日本、オーストラリアを含む)の活動継続であった。もう1つの兆候は、台湾に対する地域の支持の強化であり、2021年6月に当時の岸信夫防衛大臣が「台湾の平和と安定は日本に直結している(the

この物語の教訓は明白だ。誰がホワイトハウスに就任しようとも、アメリカとそのアジアのパートナー諸国には同盟関係を継続・深化させる強力かつ明白な理由がある。また、楽観的な結論も導き出されている。すなわち、力のバランスは前述の通り機能し、中国がこの地域を支配しようとする試みは自滅的となるだろう、ということだ。

誤解しないで欲しい。私は自分のシンプルな物語を気に入っており、そこにはかなりの真実が含まれていると考える。しかし、この物語に疑問を抱く理由も増えている。そして何よりも、過度に油断すべきではない。

第一に、中国は手をこまねいている訳ではない。新たな状況に適応し、場合によっては成功を収めている。ディープシーク(DeepSeek)の人工知能モデルの発表は「スプートニクの瞬間(Sputnik moment)」とまでは言えないが、アメリカが中国の技術開発に課そうとしてきた障壁の一部を克服する革新能力を示した。中国は国内の半導体製造能力と量子コンピューティングに多額の資金と労力を注ぎ込み続けており、アメリカが背を向けている多くのグリーンテクノロジー(電気自動車など)で既に優位に立っている。トランプ政権がアメリカの大学を不当な理由で標的にし、アメリカの科学者と外国の研究者の共同研究を困難にし、研究開発への連邦政府資金を削減している中で、中国の大学や研究機関は発展を続けている。アメリカが常に技術の最先端をリードするだろうと考えることに慣れているなら、もう一度考え直した方がいい。

第二に、アメリカにとって最も重要なアジアの同盟諸国の1つである韓国は、弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が2024年12月に戒厳令を布告しようとして失敗に終わった後、政治的混乱に陥っている。たとえ現在の危機が最終的に解決され、安定が回復したとしても、韓国社会は依然として深刻な分極化が続く可能性が高いだろう。野党の李在明(イ・ジェミョン)が最終的に大統領に就任する可能性も十分にある。李は米韓関係に懐疑的で、これまで中国と北朝鮮に対してより融和的なアプローチを好んできた。

第三に、中国は深刻な人口動態問題に直面しているが、日本と韓国も同様だ。台湾の年齢の中央値は44歳、韓国は45歳近く、日本は50歳近くになっている。アメリカは約38歳、中国は40歳を少し超える程度だ。対照的に、インド、インドネシア、フィリピンの人口ははるかに若く、年齢の中央値は30歳未満だ。前者のグループの場合、人口減少と高齢化が進むことで、若い男女を労働力から引き離して軍人にすれば経済の生産性が低下するという理由だけでも、軍事力を大幅に増強することが難しくなるだろう。

そして、集団行動(collective action)の問題がある。たとえ各国が共通の脅威に直面し、互いに協力して対処する明らかなインセンティヴがある場合でも、他国に重労働を委ねたり、最大のリスクを負わせたりしようとする誘惑に駆られる。これはもちろん新しい現象ではないが、今後もなくなることはない。強力な同盟諸国のリーダーシップと持続的な外交によって克服することは可能だが、今後数年間、どちらも豊富に得られるとは考えにくい。

ここでトランプ政権についてお話しする。

Which brings me to the Trump administration.

一方で、ドナルド・トランプ大統領は中国を経済的および軍事的なライヴァルだと述べており、政権の要職には著名な対中強硬派がいる。中国との対峙は、超党派の幅広い支持を得られる数少ない課題の1つでもある。しかし他方では、アメリカのビジネスリーダー(特にイーロン・マスクのような人物)は、中国との衝突によって自国と北京との商業取引が阻害されることを望んでいない。トランプ大統領は過去に台湾防衛に懐疑的な姿勢を示しており、政権が最初に取った行動の1つは、台湾の半導体メーカーTSMCに対し、今後数年間でアメリカに約1000億ドルを投資するよう圧力をかけることだった。トランプ大統領は(実績こそパッとしないものの)自らを交渉の達人だと自認しており、良好な関係にあると主張する中国の習近平国家主席と何らかの取引を成立させたいと考えている。しかし、その際に彼が何を譲歩するかは誰にも分からない。結局のところ、トランプ政権が中国をどのように見ているのか、そしてアジアで何をする(あるいはしない)用意があるのか​​を正確に知ることは難しい

さらに、中国に対抗するという戦略的目標と、同盟国・敵対国を問わずトランプの保護主義的なアプローチとの間には、深刻な矛盾がある。トランプが最初の任期開始時に環太平洋パートナーシップ協定(the Trans-Pacific PartnershipTPP)を破棄して以来、アメリカはアジアに対する真剣な経済戦略を持たず、バイデン政権も同様に戦略を打ち出していない。先日発表された外国製自動車・自動車部品への関税は、韓国と日本に大きな打撃を与えるだろう。これは、両国との戦略的連携を強化する理想的な方法とは到底言えない。北京はこの好機を逃さず利用し、王毅外相は先日、日本と韓国の当局者との会談で貿易と安定の「大きな可能性(great potential)」を強調し、「近い隣国は遠く離れた親戚よりも良い(close neighbors are better than relatives far away.)」と述べた。

トランプとマスクは、重要な政府機関を混乱させ、経験豊富な政府関係者を忠実な人物に交代させ、国家安全保障会議(the National Security CouncilNSC)と国防総省で素人同然の活動を続けている。もし私がアジアにおけるアメリカの同盟国だったら、専門知識の喪失と大統領の気まぐれに対する制約の撤廃を心配するだろう。それも非常に心配する。

最後に、アメリカ政府の基本的な性格が、これまでアメリカとアジア諸国の同盟関係を結びつけてきた絆を弱めるような形で変容しつつあるのかどうかを検討する必要がある。これらの同盟関係は、共通の価値観や制度に依存してきた訳ではない(例えば、韓国、台湾、フィリピンはいずれも長期にわたって独裁政権下にあった)が、近年、アジアにおけるアメリカのパートナー諸国のほとんどが志を同じくする民主政治体制国家であったという事実は、これらの絆を強化するのに役立ってきた。しかし、アメリカ自身が独裁政治体制(autocracy)への道を歩んでいるのであれば、このもう1つの結束の源泉(そして、これまで明確に区別されていた米中の政治秩序も)は失われてしまうだろう。

私はリアリストだが、それでも私のシンプルな物語には一理あると考えている。世界には国家以上の上位存在がない、つまり無政府状態の中にある国家は脅威に対して極めて敏感になる傾向があり、強大で野心をますます強める中国は、近隣諸国とアメリカが協力して北京の影響力を抑制する十分な理由を与えている。強いて推測するなら、アメリカのアジア同盟は存続するだろう。なぜなら、アメリカは中国がアジアで覇権大国(hegemonic power)となることを望んでいないからだ。地域におけるパートナーなしではそれを阻止することはできない。そして、潜在的なパートナーは中国の勢力圏内に居ることを望んでいない。しかし、以前ほどこの予測に自信を持っているわけではない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt
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 古村治彦です。
 ウクライナ戦争によって、ヨーロッパ地域を覆っていた偽善と「西側諸国(the West)対それ以外の世界(the Rest)」という分断が明らかになった。「○○(国名が入る)はウクライナだ」という粗雑な主張が展開され、「防衛のために防衛費の増額と装備の増強が必要だ」「先制攻撃を行えるようにすべきだ」という主張が雨後の筍のように出てきている。他人の不幸に便乗し、他人のふんどしで相撲を取る、なんとも恥ずべき主張だ。
 ウクライナ戦争を契機にして、核兵器保有を主張する政治家たちが北東アジア諸国、具体的には日本と韓国で出てきている。核兵器を保有していることでそれが抑止力となるという考えがその根底にあるが、果たしてそうだろうか。他国が攻撃してきて、進攻してきて、たとえば日本が核兵器を使用することができるだろうか。通常兵器で攻撃してきた相手に核兵器で応酬するというのは「過剰防衛」の謗りを免れない。核兵器は特に先進諸国にとって使えない最終兵器である。また、安全保障のジレンマという考え方がある。ある国(A国)が自国の防衛能力を増強すれば、隣国(B国)はそのことを脅威に感じ、こちらも更に防衛能力を引き上げる。そうなればA国はせっかく防衛能力を高めたのに、安心感が得られずに、更に防衛能力を高めるために無理をする。このような無理が続き、両国ともに破綻するということになる。
 アジア地域、特に東南アジアには東南アジア諸国連合(ASEAN)という素晴らしい枠組みがある。国家制度や経済制度が違う国々が集い、何か問題があれば拙速に断定などをせずに話し合う。このような制度こそが平和と安全を守るために重要だ。北東アジア地域の中国、韓国、北朝鮮、台湾、中国にもこのような枠組みを構築すべきだ。EUNATOのような偽善で過度な理想主義で粉飾された、本質的には戦争を誘発するような枠組みは必要ない。
 今回のウクライナ戦争を教訓は際限なき軍拡競争に走ることではない。外交と地域の枠組みによって平和と安定を守るということであるべきだ。
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ウクライナはアジアに戦争を考えさせる(Ukraine Has Asia Thinking About War
-大規模な紛争の再来はアジア諸国の軍備増強につながる。

ウィリアム・チューン筆

2022年4月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/04/29/ukraine-russia-war-asia-china-military-defense-spending-geopolitics/?tpcc=recirc_latest062921

ロシアによるウクライナ侵攻に伴って、都市の破壊と市民に対する残虐行為が発生した。これによって世界の多くの国々にハードパワーの優位性を再認識させることになった。春。ブランズは『ブルームバーグ』誌に寄稿した論稿の中で、ロシアのウラジミール・プーティン大統領はポスト冷戦時代の考え方、すなわち大規模で暴力的な紛争は過去のものになったという考え方を崩壊させた。

ウクライナ戦争は、アメリカの学者アーロン・フリードバーグがかつて「大国間紛争のコックピット」と呼んだ、「インド太平洋地域が最も不安定な武力紛争のリスクにさらされている」という広範な認識も覆した。ロシアがこれまで土地の強奪や紛争の扇動を何度か行ってきたが、これまでパワーバランス(力の均衡)に大きな影響を与えることはなかったが、制度がしっかりしているヨーロッパは概して安全な場所と見なされてきた。ヨーロッパに比べ、インド太平洋は、EUNATOのような平和や安全を増進する制度がなく、アメリカ、中国、インド、日本、ロシア、朝鮮半島にある韓国と北朝鮮と世界トップ7の軍隊が集結し、南シナ海、台湾、朝鮮半島、尖閣諸島などいくつかの不安定なホットスポットがあって、更に危険な場所であると考えられてきた。

ロシア・ウクライナ戦争の前から、冷戦終結後に衰退した軍事的な国家統治手段がアジアで復活しつつあることは、専門家の間で指摘されていた。これまでアジアでは、地域経済や地域制度の進化に注目が集まる一方で、ヨーロッパと同様に軍事力が地域の力学に果たす役割の重要性が過小評価される傾向があった。

現在、変化が起きつつある。ロシア・ウクライナ戦争は多くのアジア諸国が自国の防衛力の必要性を見直すきっかけとなっている。日本や韓国などのアメリカの正式な同盟諸国は、ロシアがウクライナに侵攻し、米英露が1994年のブダペスト覚書で約束した安全保障に関する合意を踏みにじっているにもかかわらず、アメリカがロシアと敵対することを拒否していることを正確に評価している。ソウルや東京から見ると、アメリカのエスカレートへの懸念は、NATO加盟諸国や日本、韓国といった条約上の同盟諸国を守る義務に優先するように見える。西側諸国の首都がエスカレートを恐れているのなら、なぜ同盟諸国を守ることに消極的にならざるを得ないのだろうか?

ロシア・ウクライナ戦争の前から、日本は中国の急速な軍拡と北朝鮮の核開発への懸念から、既に10年連続で防衛費を引き上げてきた。今、安倍晋三元首相は、ドイツの核シェアリング協定と同様に、日本国内でアメリカの核兵器を受け入れることを検討するよう提案し、古い議論を復活させた。安倍元首相は、ウクライナは1994年に核兵器を放棄したため、より強力で修正主義的な隣国ロシアに対して脆弱になってしまったと主張している。

韓国の防衛態勢の見直しは、韓国内の核兵器保有に対する意欲の高まりを反映している。

安倍首相の提案は、後任の岸田文雄首相によって即座に否定された。しかし、与党の自民党(LDP)内では一定の支持を得ている。自民党の意思決定機関(decision-making body)である総務会(General Council)の福田達夫総務会長は、この議論を「避けるべきでない」と述べた。自民党の高市早苗政務調査会長は、核兵器を持ち込まないというこれまでの鉄則についての議論について「抑制すべきではない」と述べた。自民党以外では、一部の保守系野党も核武装の選択肢を公に出すことを望んでいる。

韓国においても、政策立案者たちはアメリカの「核の盾」に依存し続けられるかどうかを懸念している。ユン・スギョル次期大統領は、韓国とアメリカの同盟関係の強化を公約に掲げ、先制攻撃のための能力開発を目指している。ソ・ウク国防相は、韓国は北朝鮮のミサイル発射台に対する攻撃を「正確かつ迅速に」実施することができると述べた。ユン次期大統領は、1991年に撤去されたアメリカの核兵器を韓国に戻すようアメリカに求める考えだと報じられている。その他の選択肢としては、核爆撃機や潜水艦の韓国への配備を求めることも考えられる。ユン次期大統領はまた、韓国に対弾道ミサイル防衛システムを追加配備すること(過去に中国の怒りを買った措置)や、ドナルド・トランプ前米大統領時代に中断していた年2回の米韓軍事演習(野外訓練を含む)の本格的な再開を要求している。

韓国の防衛態勢の見直しは、韓国において核兵器保有に対する意欲が高まっていることを反映している。今年2月の世論調査では、韓国人の71%が韓国独自の核開発を望み、56%がアメリカ軍による核兵器の再配備を支持している。大統領府政策企画委員会のチョ・ギョンファン委員は、ロシア・ウクライナ戦争は、「本当に危機に瀕している時には、頼るべきは自分の力しかない、自分で自分自身を守るしかないのだ」ということを思い知らされたと述べた。

台湾では、ロシアの侵攻に対するウクライナの執拗な抵抗によって、中国による水陸両用の侵攻のシナリオに新たな光を当てる結果になった。ウクライナの非対称戦法、例えば小型で携帯性に優れた対戦車ミサイル「ジャベリン」や対空ミサイル「スティンガー」は、台湾のアナリストが台湾軍の海・空における同様の戦術を強調するきっかけとなった。あるアナリストによると、トランプ政権発足後、台湾がアメリカから購入した18種類の武器のうち116種類は、高性能戦闘機や軍艦といった大規模なものではなく、こうした非対称能力の強化に重点を置いている武器だということだ。

その他の複数の措置も存在する。台湾のジョセフ・ウー外相は、アメリカの武器取引は更に発表されると述べた。国内では、台湾はミサイルの年間生産量を2倍以上にするつもりである。また、4ヶ月の徴兵期間を1年に延長する計画も存在する。

北東アジア地域に比べ、東南アジア諸国はウクライナ紛争を契機に軍事力を強化する動きは少ない。しかし、それでも、紛争時には外部からの支援よりも自助努力に頼るべきという考え方は、今回の戦争で後押しされているように見える。

シンガポールも戦略環境の変化を痛いほど実感している。リー・シェンロン首相は、ウクライナを自国のモデルと見ている。自国を守ろうとする意志は、「ウクライナ人が持ち続けているもので、この世界で自分たちの安全を守るために、シンガポール人が持たなければならないものだ」と記者たちを前にして語った。この発言は特定の国に向けられたものではないが、シンガポール軍は、島国への攻撃や、シンガポールが依存するシーレーンへの干渉を抑止することを目的としていると広く考えられている。アジアで最も高い一人当たりの国防費により、シンガポールの軍隊は既に東南アジアで最も優れた装備を保有している。

今年3月初め、シンガポールのン・エンヘン国防相は、シンガポール軍(SAF)が情報、サイバー能力、心理的防衛を組み合わせた新しいデジタル・インテリジェンス・サービスを立ち上げ、シンガポール軍をネットワーク化した部隊として再編成すると発表した。この決定はウクライナ情勢が原因ではないが、ロシアがウクライナで展開したようなハイブリッド戦争に対処するためにシンガポール軍を再構築すると述べた。

退任予定のフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領はプーティンを「個人的な友人」と呼んでいるが、ドゥテルテは3月、反米主義だった過去と決別し、ロシア・ウクライナ戦争がアジアに波及した場合にフィリピン軍の事施設の利用をアメリカに提案した。4月21日には、ドゥテルテはフィリピンの国軍と警察に対し、あらゆる事態に「備える」よう呼びかけた。

ヴェトナムは、モスクワとの良好な関係を持っていることから、ロシアを直接非難することを拒否している。しかし、ワシントンの出方次第では、ハノイがアメリカの言いなりになる可能性は十分にある。現在、ヴェトナムはロシア製戦闘機の購入を意図しており、アメリカによる制裁の対象になる可能性がある。フィリピンやインドネシアがロシアの武器購入計画を撤回したのと同じアメリカ制裁法に基づいているのだ。しかし、アメリカはヴェトナムが中国、特に南シナ海で対抗するために軍備を強化することに本質的な関心を持っており、ヴェトナムは安価なロシア製ジェット機を購入する意図を持っている。したがって、アメリカ・ヴェトナム合同軍事演習の再開に関連して制裁が免除される可能性もある。

アジア各国の政府は、アジア地域で戦争がすぐに起こるとは考えていない。しかし、中国は、例えば、南シナ海でグレーゾーンやハイブリッド戦法を用いることで、ロシアのやり方を模倣する可能性がある。南シナ海では、中国は既に自国の領有権主張について、ウクライナに関するロシアと同じような歴史物語を作り出している。アメリカのインド太平洋戦略に対する北京の主張は、NATOにウクライナへの攻撃を強いられたというモスクワの主張とも平行している。3月、中国の楽玉成外務次官は、NATOの拡大が戦争を引き起こしたというロシアの主張を支持し、米国のインド太平洋戦略は「ヨーロッパの東方拡大というNATO戦略と同じくらい危険だ。放っておけば、この地域は "奈落の底に突き落とされる」と述べた。ロシアがウクライナへの攻撃を正当化するために、このようなレトリックを用いたことを考えると、アジア各国の防衛強化への決意は強まっていく。

ヨーロッパは、ハードパワーの現実を残酷なまでに再認識させられた。アジアは、第二次世界大戦後、多くの紛争を経験しているので、そのような再認識は必要ない。しかし、アジアでも、ロシアの侵攻は、将来の紛争に備えるという新たな真剣さを各国政府に植え付ける結果となった。

※ウィリアム・チョン:ISEAS・ユソフ・イシャク研究所上級研究員兼研究所の論説ウェブサイト「フルクラム」編集長。「フルクラム」は東南アジアを専門としている。ツイッターアカウントは@willschoong
(貼り付け終わり)
(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 

 今回は少し古くなりましたが、トランプの大統領選挙当選直後に書かれたアジアの安全保障に関する論考をご紹介します。

 

 この論文では、アジア各国は、アメリカと中国との間でどちらにも偏り過ぎない態度を取るだろうということを書いています。トランプ当選はアメリカの国際社会における衰退を示す現象、大転換であった訳ですが(オバマ大統領の時に既にそれは見えていましたが)、アジア諸国はそれを敏感に感じ取っているようです。

 

 一方、アメリカの覇権がずっと、ずーっと続かないと、それにくっついて美味しい思いをしている日本のエスタブリッシュメントは、アメリカ一択、「中国は嫌い」という感情先行で、アメリカに日本人が貯めた年金資金と新幹線を差し出すということになっています。また、軍事力を増強し、海外にも出ていけるようにして、アメリカの負担を少しでも軽減して差し上げるということもやっており、アメリカ側すれば、「勝手にいろいろとやってくれてありがとう」ということになります。が、「狡兎死して走狗烹らる」です。

 

 アメリカの忠犬を勝手に気取っていても、アメリカ自体が大転換をしたら、ただの邪魔な存在になってしまうということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ大統領の下、アジアのアメリカ同盟諸国はより自力での安全保障を考える可能性がある(Under Trump, U.S. Allies in Asia May Look to Themselves for Security

 

ベンジャミン・ソロウェイ筆

2016年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/11/11/under-trump-u-s-allies-in-asia-may-look-to-themselves-for-security/

 

長年にわたり、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国は密かに、地域の安定と安全保障に関してアメリカ依存から少しずつ脱却する用意をしてきた。バラク・オバマ大統領の外交政策の柱となり、民主党のヒラリー・クリントンが大統領に選ばれた継続されただろう、戦略的なアジアへの「回帰」(“pivot” to Asia)はあったが、アジア諸国の自立に向けた動きは続いた。ヒラリー・クリントンは選挙期間中、環太平洋経済協力協定には反対したが、彼女はアジアへの回帰路線を継続したことだろう。

 

ドナルド・トランプ次期大統領は番狂わせで選挙に当選した。そのために、東アジアと東南アジアのアメリカの外交政策は、ヒラリー当選の場合とは大きく異なることを意味する可能性がある。そして、アジアの同盟諸国の間で既に起きている自立の動きを加速させる可能性がある。

 

リンゼイ・フォードは2015年までオバマ政権の下で4年以上にわたり国防総省の高官たちに助言を行ってきた。リンゼイ・フォードは次のように語った。「アジア諸国は、アメリカの中東での失敗と予算を巡る争いを長年目撃し続けたために、アメリカの指導力は低下していると考え、危険や脅威を避けようと静かに行動している」。

 

アジア・ソサエティ政策研究所のアジア地域安全保障担当部長を務めるフォードは、火曜日の投開票日の後、声明を発表しその中で、「トランプ新政権がこうした恐怖心を払拭するために迅速に行動しなければ、アジア諸国の動きを加速させることになる」と述べている。

 

選挙戦期間中、トランプは、日本と韓国に対して、アメリカとの安全保障に関する協力関係にかかるコストをより多く負担するように求めると発言したり、アメリカの同盟諸国に核兵器を拡散させるというアイデアを発表したりしていた。東シナ海、南シナ海での紛争が激化し、北朝鮮が核兵器を開発し続けている状況で、オバマ大統領は大統領から退任しようとしている。本誌は、フォードに対して、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国が何を期待しているのかについて語ってもらった。

 

今回のインタヴューはEメールのやり取りを通じて行われた。要約と編集を加えている。

 

本誌:地域のアメリカの存在が薄くなっていくことに対して、アジアの同盟諸国がそれに備えていることの最も明白な具体例は何か?

 

リンゼイ・フォード:アジア諸国がアメリカ衰退の危険を回避しようとしていることの明確な証拠は、東南アジア諸国連合に参加している諸国が時に関与している、慎重なバランスを取る動きだ。これは、アメリカと中国の間で、経済的なつながりと軍事的な投資の面で、多様化を図ろうとする行動だ。最近のフィリピンのドゥテルテ大統領とマレーシアのナジブ首相の訪中はその具体例だ。私たちは南シナ海におけるバランスを取る動きも目撃している。アセアン諸国はアメリカ、中国双方にあまりにも近づき過ぎないように注意しながら行動している。

 

本誌:トランプはこうした恐怖感を和らげるためにどうするだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ次期大統領になっても、核の傘というアメリカの拡大した抑止力による関与は揺るがないであろう。日本や韓国のような国々が独自に核開発能力を持つべきだというトランプの初期の発言はアジアの同盟諸国を驚かせた。彼はこの初期の発言から後退するところを公に見せたいとは思わないだろうが、彼は核拡散が誰にとっても最善の利益とはならないこと、アメリカは核攻撃や挑発から同盟諸国を防衛するために投資することを明確にする必要がある。

 

本誌:日本やフィリピンのようなアメリカのパートナーは自国の軍事力を増大させようとしている。このような試みはどのように促進されるだろうか?

 

リンゼイ・フォード:安倍首相の下、日本は、第二次世界大戦が終結してから初めて、より「普通の」軍事大国になろうとして少しずつつま先を水の中に入れつつある。日本は慎重に「自衛」の意味の再定義を進め、軍事力に見当たった役割を果たそうとしてきている。この変化はこれからも促進されるであろうが、この変化にあたって、日本はアメリカの安全保障の傘に依存すべきではなく、自力で立つということを確信しなければならない。私たちは、日本が伝統的に堅持してきた国内総生産1%以内という制限を超えて国防費を増大させていくことを目撃していくことだろう。安倍政権が日本国憲法9条のより根本的な再解釈や変更を進めることを目撃するかもしれない。それに合わせて、自衛隊により「攻撃的な」能力を構築することも考えられる。このような事態の進展は韓国や中国といった近隣諸国に懸念を持たせることになるだろう。そして、中韓両国の軍事予算や姿勢に影響を与える可能性がある。

 

本誌:TPPの崩壊は安全保障に影響を与えるか?

 

リンゼイ・フォード:安全保障の観点から、TPPの崩壊の最大の影響は、アジア地域におけるアメリカの信頼性の喪失ということになるだろう。TPPとシリア問題の事後処理でアメリカが失敗していると同盟諸国やパートナーが見做し、アメリカは約束を守らないという結論に達したら、彼らは、アメリカの安全保障に対する関与と指導力を信頼しなくなるだろう。その結果、アジア地域の同盟諸国の間で、国際安全報賞状の問題、ISや北朝鮮の野心の抑制といった問題に対する対処で、支援のための連合をアメリカが中心となって形成することが難しくなる。

 

本誌:ここしばらくの大統領たちは北朝鮮との間にある外交に関する諸問題に対処することに失敗してきた。トランプのアプローチがどのようになるか、その手掛かりが存在するか?

 

リンゼイ・フォード:現在のアジアの安全保障において、北朝鮮の状況に対処することは最大の問題となっている。そして、次期大統領はすぐにこの問題に対する対処法を発表する必要がある。ドナルド・トランプが既に対北朝鮮計画を策定していることを示す兆候はほとんどない。また、彼自身がこれまで行われた対北朝鮮政策の失敗について理解しているとも考えられない。北朝鮮問題についての簡潔な声明の中で、トランプは中国に対して単に「北朝鮮についてはあなたたちの問題だ」と言うだろうことを示唆している。中国に任せてしまうというアプローチは失敗してしまうだろう。これからの数か月、北朝鮮問題や他の問題で、トランプが創造的な、全く新しい考えを思いつくことに期待するしかない。

 

本誌:台湾はトランプ大統領の下でリスクが増大するだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ大統領の下で、台湾がどのようになるかを予想するのには少し早すぎると思う。台湾はこれまで、アメリカ連邦議会内部で超党派の強力な支援を受けてきた。しかし、アジアの残りの地域のように、台湾も新政権について分析するための時間と、物事がどのように動くかの雰囲気を探る必要だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





 古村治彦です。

 

 今回は、ヘリテージ財団のウェブサイトに掲載された文章をご紹介します。この文章によると、2015年10月にヘリテージ財団の研究員たちが訪日し、早稲田大学でのパネルディスカッションに参加し、防衛省を訪問したそうです。

 

 こうした機会にどういう話があったのかは分かりませんが、「東アジアにおける安全保障環境は悪化している。従って、日本はより大きな負担と責任を負うようにすべきだ」というこの文章の内容から、何となくどういう話があったのかは推測できます。

 

 より厳しい2016年になっていきそうです。

 

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日本におけるエネルギーと安全保障(Energy and Security in Japan

 

ライリー・ウォルターズ(Riley Walters)筆

2015年11月23日

ヘリテージ財団ウェブサイト

http://dailysignal.com/2015/11/23/energy-and-security-in-japan/

 

 今年の10月、ヘリテージ財団所属の研究者たちの代表団は日本を1週間にわたって訪問する機会を得た。同時期、日本はエネルギーの多様性を高めることとアジア地域における安全保障環境の変化と挑戦について専門家たちが知識を得ることが国益の増進につながることが明白な状況であった。

 

日本国際協力センターを通じて、研究者たちは「カケハシ・プロジェクト:ザ・ブリッジ・フォ・トモロー」に参加した。このプロジェクトに参加することで、ヘリテージ財団の研究員たちは多くの官僚や学者たちと会う機会を得た。

 

 東京にある早稲田大学で一連のパネルセッションが開催された。学者と官僚は、日本の安保法制に関する反対の考え、批判を発表した。日本政府は地域と国際的な安全保障におけるより積極的な役割を果たすことが出来るようになり、集団的自衛権を認める法律を成立させた。日本国民の中には、日本を国際的な紛争に巻き込ませてしまう立法における変化について懸念を持っている人々がいる。早稲田でのセッションでも多く表明された考えがこうした懸念を反映していた。

 

 代表団は日本の防衛省を訪問する機会を得た。この時、代表団はアジア地域における安全保障に関して日本が直面する真の懸念を知ることが出来た。中国、ロシア、北朝鮮それぞれによる軍備増強、軍事予算の拡大、戦略的な軍備配置がそうした懸念を引き起こしている。南シナ海における安全保障環境を一例として挙げたい。日本が輸入する石油と天然ガスの3分の2は南シナ海を通っている。この地域は日本の国益にとって重要である。特に2011年以降、エネルギー輸入量が増加している状況でその重要性は増している。

 

2014年、日本の航空自衛隊は東シナ海と北方領域における中国とロシアの航空機の侵犯に対応するために900回以上のスクランブル発進を行った。

 

 アメリカの政府関係者たちは、日本の安全保障政策の変化を長年待ち望み、その変化を歓迎している。そして、この変化のおかげで日米二国関係が強化されるだろうと述べている。「2016年版インデックス・オブ・USミリタリー・ストレングス」に書かれているように、アジア地域の環境は「好ましい」状況にコントロールされてはいるが、アジア地域に駐留するアメリカ軍の装備は時代遅れになりつつあり、厳しい状況になっている。中国とロシアはアメリカの国益にとってのリスクであり続ける。一方で、北朝鮮の脅威は深刻な状況だ。北朝鮮政府は核開発プログラムを継続している。こうした事態に対応して、東アジア地域のアメリカの同盟諸国は、地域の安全保障に対してより大きな責任を共有することが重要になっている。

 

 アメリカと日本は60年以上にわたり同盟関係を堅持している。そして、これからも同盟関係が堅持され続けることは疑いないところだ。アジア・太平洋地域において古くからの、そして新しい脅威が存続している状況で、脅威に対応するためにアメリカと日本がアジア地域にある他の同盟諸国と緊密に協調することが何よりも重要だ。

 

ライリー・ウォルターズ:ヘリテージ財団付属デイヴィス記念国家安全保障・外交政策研究所研究アシスタント

 

(終わり)







 
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