古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アメリカ海軍

 古村治彦です。

 

 前回は、アメリカ軍で行われている綱紀粛正についての記事をご紹介しました。アメリカ海軍史上最大の汚職実験「太っちょレオナルド」スキャンダルについて、更には、日本の横須賀を母港とする空母ロナルド・レーガンの乗組員の麻薬使用と取引についての記事をご紹介しました。アメリカ海軍では2010年ごろから「太っちょレオナルド」事件の内定を開始したそうですが、大規模な捜査が行われるようになったのは昨年からで、このスキャンダルの関連で横須賀での麻薬使用と取引の事件も捜査されることになりました。


 軍隊は独自の司法組織があり、軍法で統制されていますが、どうしても甘くなったり、示威的な運用になってしまうのは、戦前の日本の陸軍や海軍を見ても分かることです。五・一五事件では犬養毅首相を暗殺したのに誰も死刑にはならず、二・二六事件では裁判非公開で、主な参加者たちは死刑、しかし、彼らを焚きつけた将官級の判決では容疑はほぼ認められながら無罪という理不尽なことになりました。

 アメリカ海軍の綱紀粛正が本格化したのがトランプ政権就任後すぐということになりましたが、中国でもここ数年、人民解放軍に対する厳しい綱紀粛正が行われています。人民解放軍の最高級の将官たちが次々と逮捕されました。また、今年に入って、中国の習近平主席は、「死を恐れるな」という激しい言葉遣いで訓示を行いました。これは、金もうけや汚職ばかりが蔓延してたるみ切った人民解放軍に対して、「お前たちの本来の仕事は人民のために死ぬことなのだ」ということを明確に示しました。

 

 米中両国の軍に対して、両国ともに綱紀粛正をはかっています。これは両国ともに軍がたるみ切っているということが言えると同時に、両国ともに軍に対して高度な任務を要求する可能性があるということでもあります。アメリカは陸軍や海兵隊がアフガニスタンでの緊張度の高い任務を行っていますが、海軍はこれまで緊張度の高い任務はありませんでした。しかし、それでたるみ切った海軍に対して綱紀粛正が本格化しています。

 

米中両国は「仲良く喧嘩をしている」という状態ですので、両軍が衝突するということは考えにくいということになります。アメリカ海軍と中国人民解放軍にとって緊張度の高い困難な任務とは限定的な北朝鮮攻撃なのではないかと考えられます。北朝鮮攻撃に備えておけ、心づもりをしておけ、いつまでも惰眠をむさぼっているんじゃないぞ、ということなのだろうと考えられます。


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米軍の北朝鮮爆撃は6月! 米、中が金正恩体制破壊を決行する日


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●「死を恐れるな」─中国・習主席、人民解放軍に対し異例の激励

 

201815 19:19 発信地:上海/中国

http://www.afpbb.com/articles/-/3157535

 

15 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は3日、自国軍に対し、アジアにおける地政学的な緊張が高まる中、戦備を整え、国家防衛に当たっては死を恐れてはならないと激しい言葉で訓示した。

 

 国営新華社(Xinhua)通信によると、習主席は同国北部の河北(Hebei)省に置かれた人民解放軍の中部戦区を視察した際、数千人規模の兵士らを前に、「苦難も死も」恐れてはならないと演説。

 

 さらに、ハイテク兵器の研究を強化して「実戦訓練」を実施するよう促し、「新時代の共産党および国民から課せられる任務を遂行するため、常に戦備を整えて臨戦態勢を取り、必ず勝利できる強力な精鋭部隊の創設」を求めたという。

 

 世界最大の軍隊に対する習氏の訓示内容は、翌4日夜になって公表された。国営メディアは、習主席から全軍へ向けられた異例の演説と報じている。

 

 習氏は昨年10月の中国共産党大会で、過去数十年間で最も強力な指導者としての地位を固めた。今回の演説や、多数の兵士や戦車を前にした画像には、絶対的指導者という新たに打ち出したイメージを強化する狙いがあるとみられている。(c)AFP

 

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中国、人民解放軍の元制服組トップを汚職で起訴

習近平の綱紀粛正政策の一環か

 

201646日(水)1033

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4843.php

 

 4月5日、新華社によると、中国人民解放軍の軍事検察院、汚職容疑で昨年7月に党籍を剥奪された同軍中央軍事委員会の郭伯雄元副主席(写真)を起訴する方針だ。米ワシントンで2006年7月撮影(2016年 ロイター/Yuri Gripas

 

中国人民解放軍の軍事検察院は5日、汚職容疑で昨年7月に党籍を剥奪された同軍中央軍事委員会の郭伯雄元副主席(74)を起訴する方針だ。新華社が報じた。郭氏は軍制服組の元トップだった。

 

軍事検察院は汚職捜査が完了したことを声明で明らかにし、郭氏について「自分の立場を悪用して他者の昇進や異動に便宜を図り、直接または親族を通じて間接的に巨額の賄賂を受け取った」と非難。「郭氏はすべてを自白した」と説明した。

 

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 古村治彦です。

 

 昨年からアメリカ海軍では不祥事が続いているようです。日本ではアメリカ海軍のイージス艦が民間船舶とぶつかって乗組員が死亡する事故が起きました。また、今月に入って、横須賀のアメリカ海軍の兵士が麻薬使用と麻薬取引の曜日で捜査を受けているようです。麻薬取引では地元の人々に麻薬を売ったということですが、日本人に売ったのかどうかは分かりません。しかし、アメリカ海軍を通じて、麻薬が日本国内に持ち込まれるというのは大きな問題です。アメリカ海軍基地には日本の警察権は及ばない訳ですから、アメリカ軍がきちんと綱紀粛正をしてくれないと、麻薬が持ち込まれやすくなってしまいます。

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ロナルド・レーガン

 また、アメリカ海軍では、海軍史上最大規模の汚職事件も起きているようです。「太っちょレオナルド(Fat Loenard)」汚職事件と呼ばれています。マレーシアの建設業者が米軍からの契約を取ろうとして、米海軍の将官たちを接待し、賄賂を渡していたそうです。レオナルドは総額で3500万ドル(約38億円)の契約を成立させていたそうです。

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 この史上最大のスキャンダルで数百名の米海軍関係者、提督と呼ばれる准将以上の将官たちも捜査を受けているそうですが、大部分は不起訴になったそうです。これは自公の問題もあり、かつ、アメリカ海軍の情状酌量が過大ではないのかということが言われています。

 
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 今回の日本駐屯のアメリカ海軍兵士の麻薬容疑も綱紀粛正の一環で行われているようです。日本は巨額のお金をアメリカとアメリカ軍に貢いでいるのですから、せめて綱紀粛正くらいはしっかりしてくれないと困りものです。軍隊の腐敗は亡国への一歩とも言える重大案件でもあるのですから。

 

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アメリカ海軍は日本駐在の兵士たちを麻薬に関する容疑で捜査中(Navy investigating sailors in Japan over alleged drug activity

 

ブランドン・コンラディス筆

2018年2月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/defense/373367-navy-investigating-sailors-in-japan-over-alleged-drug-activity

 

アメリカ海軍は、日本に駐在している複数の兵士たちを、麻薬の使用と取引の疑いで調査している最中だ。

 

アメリカ海軍第七艦隊の報道担当官は日曜日、アメリカ海軍犯罪捜査部が横須賀に駐在している兵士たちにかけられている容疑について捜査中であることを認めた。横須賀はアメリカ海軍空母ロナルド・レーガンの母港である。

 

報道官は声明の中で次のように語っている。「アメリカ海軍は麻薬使用を全く許容しない。また、兵士、軍属、家族の間違った行為を含むすべての容疑をきちんと調査する。今回の捜査は現在進行中であり、これ以上のコメントを行うことは不適切であろうと考える」。

 

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は金曜日、複数のアメリカ海軍関係者がLSD、エクスタシー、その他の麻薬の使用と取引に関連して捜査を受けていると報じた。

 

アメリカ海軍の兵士たちは麻薬を地元の人々に売却した容疑がかけられており、日本の捜査当局も捜査に参加している、とウォールストリート・ジャーナル紙は報じた。

 

アメリカ海軍第七艦隊の報道官はウォールストリート・ジャーナル紙の記事に掲載されている詳細については真偽を認めなかった。

 

麻薬に関する容疑は昨年からアメリカ海軍が取り組まざるを得ない最新の問題となっている。アメリカ海軍は太平洋で起きた複数の深刻な衝突事故と大規模な汚職スキャンダルへの対応を苦慮している。汚職スキャンダルの中には、マレーシアの業者「太っちょレオナルド」に関するものも含まれている。

 

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「太っちょレオナルド」汚職事件の捜査は60名の提督に拡大('Fat Leonard' corruption probe expands to 60 admirals: report

 

レベッカ・キール筆

2017年11月6日

http://thehill.com/policy/defense/358924-fat-leonard-corruption-probe-expands-to-60-admirals-report

 

アメリカ海軍は「太っちょレオナルド」汚職スキャンダルと呼ばれる汚職事件の捜査を行っている。捜査対象は少なくとも60名の提督にまで拡大している、と『ワシントン・ポスト』紙は報じた。

 

総計で440名の現役と退役の関係者たちが現在捜査を受けている、とワシントン・ポスト紙は報じている。ワシントン・ポスト紙はアメリカ海軍に質問状を出し、それに対する対応を記事に掲載している。

 

「太っちょレオナルド」スキャンダルはアメリカ海軍史上最悪の汚職事件である。事件の中心には、マレーシア人の建設業者レオナルド・グレン・フランシスがいる。レオナルドは豪華なパーティー、高価な贈り物、売春婦のあっせん、その他の賄賂を多くのアメリカ海軍士官たちに与え、その見返りとして、レオナルドの企業「グレン・ディフェンス・マリーン・エイジア・カンパニー」が魅力的な契約を勝ち取るために機密情報を受け取っていた。

 

アメリカ司法省は既に28名を刑事事件で訴追している。その中には2名の提督が含まれている。レオナルドはアメリカ海軍将官への贈賄と3500万ドル以上のアメリカ政府の公金詐取で有罪を認めており、現在、判決を待っている状態だ。

 

現役、退役を含む60名の提督たちが現在捜査を受けているが、この数は昨年アメリカ下院軍が捜査した将官の数の約2倍だ、とワシントン・ポスト紙は報じている。

 

アメリカ海軍の取扱件数は増加している。これは司法省が民間法廷で訴追できない事件をアメリカ海軍に任せているからだが、これが軍内部の司法システムをむしばんでいる可能性があるとワシントン・ポスト紙は報じている。

 

 

アメリカ海軍は新たに5名を軍法に照らして刑事訴追したと海軍側の文書を引用してワシントン・ポスト紙は報じている。この中には提督は含まれていない。

 

アメリカ海軍関係者はワシントン・ポスト紙の取材に対して、レオナルドに関連する汚職事件で捜査を受けた230名は罪を犯していないとして無罪となっている。その多くはレオナルドから食事に招待され、贈り物を受け取っている。しかし、アメリカ海軍はこれらの人々の行動の状況に対して情状酌量を与えている、とワシントン・ポスト紙は報じている。

 

倫理ルールもしくはその他の規則を破った40名については行政的な処分を受けたが、これは刑法犯罪には適用されない処罰を受けたことを意味する、とワシントン・ポスト紙は報じている。

 

レオナルド事件に関しては、多く場合、軍法に定められた時効もあり、アメリカ海軍はより厳しい処分を行えなかった、とワシントン・ポスト紙は報じている。重大犯罪のほとんどの時効は5年である。アメリカ海軍関係者はワシントン・ポスト紙の取材に対して、「捜査を受けた中で最も古い事件は1992年に発生したものだが、ほとんどの事件は2004年から2010年に発生したものだ」と答えた。

 

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