古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:アメリカ軍

 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルのイラン攻撃の最大の誤算は短期間で決着がつくという見通し通りに事態が進まなかったことだ。イランに対して大規模な先制攻撃を行って、最高指導者アリ・ハメネイ師をはじめとする政府の指導部を殺害すれば、イラン政府が機能不全に陥り、イラン国民はこの機会を利用して、政府を打倒するだろうという極めて甘い見通しを持っていたようだ。

私が不思議に思っているのは、世界最高峰の水準を誇るイスラエルの情報諜報機関であるモサドがそのような甘い見通しの基盤となる報告をイスラエル政府最高指導部層に出していたとはとても考えられないのに、どうしてこのような攻撃を行い、目的を達成できていないのかということだ。アメリカ軍はイラン攻撃のリスクは非常に高いという報告をトランプに上げていたが、トランプはそれを無視したというのは分かるが、イスラエル政府内の動きがどうだったのかということはこれから明らかにされるだろう。

 ウクライナ戦争においては、アメリカがウクライナにとっての最大の支援国である。ウクライナ戦争勃発から既に4年以上が経過しているが、膠着状態に陥っている。アメリカが武器支援を行っているが、アメリカでも生産体制が整わず、増産が思うように進まない。結果として、アメリカ軍は既定の武器や装備品の貯蔵量を下回る事態となっている。アメリカ軍制服組トップの統合参謀本部議長のダン・ケイン大将がイラン攻撃はリスクが高いという報告書を出して、イラン攻撃に反対したが、これは、武器や装備品の調達面での不安もあったことが考えられる。アメリカでは理工系に進むアメリカ人学生が少なく、理工系の優秀な学生は多くが中国や韓国、日本のアジアからの留学生が大きな割合を占めていることは知られている。

イランは医学や理工系学生の数が多く、また、女性の高等教育進学率も高い。日本では理工系に進む女性の数は少なく、「リケジョ」という言葉と共にアピールが続けられているが、イランでは「リケジョ」がごく当たり前の存在となっているようだ。また、より良い教育と研究環境を求めて、ヨーロッパやアメリカの一流大学に進む優秀な学生も多い。その結果として、国内の研究水準も高く、エンジニアや研究者の数も水準も高い。そうなると、軍事関連の研究も進んでいると考えるのが当然だし、生産力も高いと見なすべきである。
 アメリカもイスラエルも短期間で片を付けることが出来るという、甘い見通しでイラン攻撃を開始し、最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害するということをしでかしてしまって、イランを本気にさせてしまった。戦争は長期化する可能性が極めて高い。アメリカとイスラエルが圧倒的な軍事力を持ちながら、押されてしまい、閉塞状況に追い込まれている。

(貼り付けはじめ)
開戦から36時間でアメリカ・イスラエルの軍需品は3000個以上消費された(The First 36 Hours of War Consumed Over 3,000 U.S.-Israeli Munitions

-備蓄の補充(replenishing stockpiles)は脆弱な重要鉱物資源の供給チェイン(vulnerable critical mineral chains)に依存している。

マクドナルド・アモア、モーガン・D・バジリアン、ジャハラ・マティセク筆

2026年3月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/05/iran-war-munitions-critical-minerals/?tpcc=recirc_trending062921

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2026年2月28日、海上で「壮大な怒り」作戦遂行中、アメリカ海軍海兵たちが空母USSエイブラハム・リンカーンの甲板上で弾着準備を行っている(アメリカ海軍提供)。

アメリカとイスラエルによるイランに対する軍事作戦の最初の36時間で、3000発以上の精密誘導兵器と迎撃ミサイルが消費され、サプライチェインの重大な脆弱性が露呈した。戦争の行方とその広範な影響については未知数が多いが、一つ確かなことは、弾薬備蓄の補充が必要であるということだ。

鉱物や資材を需要シナリオから分離する、ペイン研究所独自のオープンソース台帳およびデータスクレイピング装備を活用し、コロラド鉱山学校の専門知識を活用した私たちのティームは、紛争の最初の36時間における中東全域におけるイランのミサイル発射とドローン攻撃の回数を控えめに特定した。

グラフ1

イランが中東地域全域に1000発以上の弾頭を発射したことを受け、アメリカ、イスラエル、そして同盟諸国は数多くの迎撃を試みた。スーファン・センターが指摘するように、「イランはアメリカ、イスラエル、そして同盟諸国の防衛資源を枯渇させることに重点を置いた非対称消耗戦(an asymmetric war of attrition)を展開しているようだ」。イランの防空システムがほとんど活用されていないのは、アメリカとイスラエルがイランの防空・指揮統制インフラの大部分を電子的に抑制し、物理的に破壊する上で優位に立っているためと考えられる。

迎撃(interceptions)は概ね成功を収めているものの、そのコストは高額となる。消費された弾頭と、その製造に必要な鉱物資源は、西側諸国、特にアメリカにとって防衛産業上の課題となっている。アメリカ、イスラエル、そして同盟諸国の支出を計算した結果、アメリカはお馴染みの組み合わせに依存していたことが判明した。初期段階の攻撃にはスタンドオフ攻撃ミサイル、レーダーに対する制圧兵器、時間的制約のある目標には地上発射ロケット、そして大量の精密誘導爆弾を投入したのだ。イスラエルの兵器は実用性を重視している(Israel’s arsenal shows a preference for the practical)。つまり、大量生産可能な誘導キットと空中発射弾を大量に保有し、容赦ない出撃率を実現できる航空機と組み合わせるということだ。

これに地域パートナーによる防衛射撃を加えると、洗練された戦闘であると同時に、量も重視するハイエンド戦闘の印象的な様相が浮かび上がる。精密さ(precision)は戦争から質量(mass)を奪ったわけではない。質量は、目に見えない兵器の部分にのみ存在する。

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この分析の目的は、紛争の勃発局面を、軍需品の供給確保の必要性を緊急に示唆するシグナルへと転換することだ。ただし、この初期評価を今後の紛争に直ちに適用することはできないことを認識する必要がある。これは、戦略家や防衛計画立案者がしばしば見落としがちな、ある単純な疑問を提起する。西側諸国はどれほど迅速に軍備を補充できるのだろうか?

緊急の追加資金は必要だが、数十年かけて統合された生産ラインや衰退した鉱物処理能力を即座に回復させることはできない。時間、化学、そして産業物理学によって制約される。ミサイルの投入は単なる資金ではない。鉱物、処理、そして命令によって増強されることのない二次処理能力から始まるサプライチェインなのだ。

統合参謀本部議長ダン・ケイン米陸軍大将が、攻撃前にアメリカ軍の軍需品不足を懸念したことが、ペイン研究所の研究ティームをまさにこの問題に焦点を絞るきっかけとなった。こうした懸念は新しいものではない。紅海におけるアメリカ海軍の作戦は、ミサイルの消耗が交換可能なペースを上回っていることを既に浮き彫りにしており、既に逼迫している防衛産業基盤に更なる負担をかけている。

発射される全ての兵器は交換が必要であり、その交換には原材料(raw material)から精製と加工(refining and processing)、特殊部品の製造(specialized components)、そして最終的に認定生産ライン(finally into certified production lines)へと至る一連のプロセスが必要となる。ボトルネックは必ずしも政治家が考えるような場所にあるとは限らない。最も困難な点は、しばしば人目につかない隅にある。例えば、炉を一つしか持たない下請けサプライヤー、限られた材料に依存するコンデンサ供給、何年もかけて工場を建設しなければ拡大できないロケットモーターの協調製造システムなどだ。

一見単純な兵器でさえ、複雑な製造チェインに依存している。例えば、現代の兵器誘導キットは、中国が支配するレアアース元素からしか製造できない高性能部品に依存している。西側諸国の産業基盤は、原材料の発注、契約締結、資金承認など、いくつかの要素を迅速に増強することができる。しかし、熟練した労働力、適切な工具、そして認定された生産能力を一夜にして生み出すことはできない。

しかしながら、防衛計画は依然として在庫を丸め誤差(a rounding error 訳者註:切り上げ、切り捨てなどで生じる本来の数字とのズレ)であるかのように機能している。抑止力(deterrence)は態勢とプラットフォームの観点から議論されるが、敵対国は異なる指標に注目している。彼らは、ミサイル弾薬庫と弾薬備蓄がどれほど速く空(から)になるのか、そしてそれらを適時に兵站的に補充できるかどうかを知りたいのだ。

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同時進行する圧力に晒される世界において、ペルシア湾岸地域での長期にわたる軍事作戦は、単にそこでの情勢を左右するだけでなく、他の地域における軍事的選択肢をも蝕む。迎撃ミサイルの備蓄が底を尽きた部隊は、別の戦域でより大きなリスクを負うか、防衛を節約せざるを得ない。

これは、アメリカ軍がイランとの次なる交戦が小規模であることを願うべきだ、そして中国が台湾防衛用のアメリカ軍精密誘導弾薬の残存量を計算しないことを願うべきだという、婉曲な表現である。これは極めて深刻な問題だ。戦略国際問題研究所(CSIS)の2023年報告書は、一連の戦争ゲームシミュレーションに基づき、アメリカ軍が中国の台湾侵攻から防衛を試みた場合、主要な弾薬が1週間以内に枯渇すると結論付けている。

だからこそ、対イラン作戦の最初の36時間は重要なのだ。それは西側諸国の産業耐久力(Western industrial endurance)を試すストレステスト(a stress test)なのだ。防衛側が補充ペースを上回るペースで迎撃ミサイルを消費することを強いる作戦は、戦術的に過酷なだけでなく、戦略的にも侵食的である。

ペイン研究所独自のツールを用いて、表2の軍需支出を鉱物代替負担(戦略的に最も脆弱な投入物のキログラム数で表す)に変換した。表3は、消費された兵器の補充に必要な重要物資を示している。私たちの最近の研究では、これらが防衛上最も重要性の高い鉱物であり、平時においても調達が困難であり、危機時にはほぼ不可能であることが示された。

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消費されたものを補充するには、抽象的な規模の生産量の増加だけでなく、中国が供給の大部分を支配している特定の鉱物や材料を大量に必要とする。数量の問題以外にも、加工の集中、生産能力拡大の長期化、二次サプライヤーの脆弱性など、数多くの問題が存在する。

軍需品の膨大な量に加え、高価値資産の喪失は、更なる複雑さをもたらす。カタールのAN/FPS-132とバーレーンのAN/TPS-59という2基のアメリカ製最新鋭レーダーの破壊は、「鉱物資源費」の総額よりも、サプライチェインの極めて脆弱な状況と交換に要する長期にわたる期間が大きな問題となっていることを浮き彫りにしている。

私たちの分析では、AN/FPS-132の場合、レイセオン社は11億ドルの費用をかけて新型レーダーを5~8年で製造する。一方、ロッキード・マーティン社は、インフレ調整後のバーレーン向け有償軍事援助契約に基づき、AN/TPS-59の交換に少なくとも12~24カ月、推定5000万ドル~7500万ドルを要すると試算している。防衛産業基盤にとって最大の課題は、両システムに必要な77.3キログラムのガリウムの調達となる。このガリウムは中国が世界供給量の98%を支配している。これに加えて、テクノロジー分野からの需要が急増している商品である銅も30610キログラム必要となる。

より広い視点から見ると、西側諸国の軍備態勢に関する理論は不完全である。ウクライナ戦争の長期化が既に示しているように、戦争の費用は誤った単位で算出されている。重要な指標は、開戦時に発射台が何基あるかではなく、2日目、20日目、そして、200日目にどれだけの精密兵器と迎撃ミサイルを発射できるか、そして産業がそれらをどれだけ迅速に交換できるかである。これは、戦場の問題を産業の問題に、そして産業の問題を​​鉱物資源と加工の問題に変える。表4は、これらの重要な兵器システムの補充にかかる膨大なスケジュールを示している。

個々のボトルネックがこの補充を遅らせている。例えば、BGM-109トマホークは、ウィリアムズ・インターナショナル社が独占的に製造しているF107ターボファンエンジンに依存している。パトリオットPAC-3の生産は、アメリカ、ペルシア湾岸諸国、そしてポーランドで分担されており、ポーランドは2024年にWZL-1施設でPAC- MSE発射管の生産を開始した。ポパイ・ターボ(射程距離延長型はクリスタル・メイズIIとしても知られる)などの一部のシステムは、限られた在庫から削減されている旧来の資産だ。その他のシステムは深刻な逼迫状態にあり、GBU-57MOPは現在までに約25機しか生産されておらず、ボーイングが唯一の組立業者だ。この兵器は現在、B-2スピリット(わずか20機の機体)による配備のみが認定されています。B-21レーダーは追加の配備プラットフォームとなるが、実戦配備は2027年まで行われない。THAADシステムには特注の迎撃ミサイルが必要だが、これに匹敵する民生用ミサイルはない。これらの複雑な生産プロセスは全て、増産できない重要な鉱物資源に依存している。
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鉱物資源費用は抑止力の代償であり、これは初期費用に過ぎない。記者会見やソーシャルメディアの投稿、あるいは連邦議会公聴会でさえ、これを軽視することはできない。西側諸国の最も高度な兵器は、同時に長く複雑なサプライチェインに最も依存しており、将来の紛争における制約要因は再装填能力となるだろう。対イラン作戦の期間がどうなるかは、今や重要な問題にかかっている。西側諸国(the West)は、その戦略が意味を持つほど迅速に兵器を補充できるだろうか?

マクドナルド・アモア:ペイン公共政策研究所コミュニケイション担当研究員。ペイン研究所で重要鉱物から通常の工業関連の諸問題までの幅広いテーマについて研究している。

モーガン・D・バジリアン:ペイン公共政策研究所部長、コロラド鉱山学校教授。世界銀行エネルギー担当首席スペシャリスト。エネルギー安全保障、天然資源、国家安全保障、エネルギー貧困、そして、国際問題の各分野で20年以上の経験を持つ。

※ジャハラ・マティセク:アメリカ海軍大学研究員、ペイン公共政策研究所上級研究員。見解は海軍大学とペイン研究所のものではなく、マティセク自身のものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ軍は世界最強の軍隊ということになっている。実際には決してそういうことはなく、ヴェトナム戦争では敗退、アフガニスタン戦争やイラク戦争でも結果としては敗退となっている。相手が弱ければ勝つというのは当たり前のことであるが、「勝てる相手としか喧嘩(戦争)をしない」というのは一つの真理である。勝てるつもりで出ていて、予想外の反撃を受けて泥沼化し、敗退するというのが、アメリカ軍の敗北のパターンだ。アメリカ軍は確かに規模が大きく、人員も多く、アメリカの国防予算は1兆ドル、約150兆円以上であるが、国防予算がアメリカにとっては大きな負担となっている。そのために、同盟諸国に防衛予算の増額を厳命し、日本にも対GDP5%のお達しが来ている。高市早苗首相はのりのりで、前倒しでこの厳命に従う。日本国民はアメリカさまの武器を買う奴隷として存在することになる。

 ドナルド・トランプ大統領とピート・ヘグセス国防長官は、アメリカ軍の粛清・粛軍を進めている。今回ご紹介する、ハーヴァード大学教授スティーヴン・M・ウォルト教授の記事は、この動きに対する懸念を表明する内容になっている。トランプとヘグセスが、個人的な好き嫌いや忠誠心の有無で将官たちの昇進や退役について決定をする、人事介入を行うことは有能な将官たちをアメリカ軍から離れさせることにつながり、アメリカの国益を損ねるというのがその主張だ。軍隊が専門性と政治的中立性を堅持する限り、軍隊は政治にとって脅威にならない。しかし、日本の旧軍を見ても明らかなように、政治に関わるようになればそれは亡国へとつながる。政治(政治家)が軍隊を恣意的に利用することも同じである。

 トランプ個人に忠誠を誓う(選挙で選ばれた米大統領に忠誠を誓うこととは違う)ことで、昇進が早まったり、逆にそれをしなければ処分されたりということになれば、それは私兵である。アメリカ軍は国民の税金によって運営されている。トランプの私兵になることは、国民の税金を詐取していることになる。

 私は常々、アメリカの内戦ということ、それが荒唐無稽な夢物語ではないということも述べてきた。トランプがトランプに反対する一般市民に対して攻撃せよという命令を出すような事態も想像される。現在のアメリカ軍がその命令を拒絶するだけの軍隊であるのかどうか、ここはよくよく見ておかねばならない。しかし、懸念の声は既に存在している。

(貼り付けはじめ)

独裁者を目指す人物の軍隊(The Would-Be Dictator’s Army

-アメリカは非常に憂慮すべき退役軍人の日を迎えようとしている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/11/11/veterans-day-trump-military-dictator-army/

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ドナルド・トランプ大統領とメラニア夫人はワシントンDCで行われたアメリカ陸軍の式典の最後に並んで立っている(2025年6月14日)

今日は退役軍人の日(Veterans Day)だ(11月11日)。アメリカ社会における軍隊の役割がどのように悪化しつつあるのかを振り返るには絶好の機会だ。国家のために奉仕し、犠牲を払った人々を称えるこの日に、ドナルド・トランプ政権の制服組(the uniformed services)に対する政策は、軍隊の競争力と能力を損ない、アメリカが長く大切にしてきた軍の専門性と政治的中立(military professionalism and political neutrality)の伝統を終わらせる恐れがある。

先週、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ピート・ヘグゼス国防長官による制服組の上級幹部の粛清(purge)を継続する取り組みについて長文の記事を掲載した。ヘグセスは、高官たちの業績不振の責任を問うことも、職務遂行能力の低い男女を解雇することもしない。女性や黒人であること、独立心の兆候が見られること、あるいは最悪なことに、ドナルド・トランプ大統領が純粋に個人的な理由で彼らを憎んでいることを理由に、彼らを解雇している。一例を挙げると、トランプ大統領は4人の上級将校の昇進を遅らせたり取り消したりしたが、彼らの唯一の罪状は、トランプ大統領が特別な敵意を抱いている元統合参謀本部議長のマーク・ミリー退役大将と緊密に協力していたことだったようだ。

ヘグセスの動きがなぜそれほどまでに懸念されるのかを知りたいなら、政軍関係に関する重要な2冊の本を読むことをお勧めする。1冊目は、サミュエル・P・ハンティントンの古典『軍人と国家(The Soldier and the State)』だ。この著作は、このテーマについてアメリカ人が書いた本の中で、おそらく最も影響力のある本と言えるだろう。当時、アメリカでは大規模で恒久的な平時軍事組織の構想は依然として議論の的となっていたが、ハンティントンは、軍隊が高度に「専門化(professionalized)」されている限り、つまり軍人たちが自分の使命は軍事技術を習得することであり、政治に介入しないことである(to master the military arts but not to interfere in politics.)と理解している限り、大規模な軍隊は民主政治体制への脅威にはならないと主張した。ハンティントンは、脅威の膨張、過剰な支出、軍事力の有用性を過大評価する傾向など、台頭しつつある「軍産複合体(military-industrial complex)」の間接的でしばしば有害な影響を軽視していたと私は考える。しかし、憲法を遵守することを宣誓し、指導者が主に能力に基づいて選出され昇進する、徹底的に専門化された軍隊こそが、軍事クーデターや、軍隊を使って権力を固めようとする大統領に対する最良の保険(the best insurance)であるという彼の意見は正しかった。

2冊目に読むべき本は、MIT教授ケイトリン・タルマジによる素晴らしい研究書『独裁者の軍隊:権威主義体制における戦場の有効性(The Dictator’s Army: Battlefield Effectiveness in Authoritarian Regimes)』だ。タルマジは、独裁者が主に国内の脅威、特にクーデターによる追放の可能性を懸念している場合、権威主義的な軍隊は戦争において非常に不利になる傾向があると主張している。南ヴェトナムやサダム・フセイン政権下のイラクのような国では、この懸念から、権威主義的な指導者は指揮官の選任と昇進において能力よりも忠誠心(loyalty)を重視し、訓練においては外部の敵ではなく国内の危険に焦点を当て、軍内部に分裂を煽り情報の流れをコントロールすることで、指揮官が独裁者の権力を脅かすことを困難にしている。これらの慣行は全て、戦場でのパフォーマンスに悪影響を及ぼす。対照的に、北ヴェトナムのように国内の敵をそれほど懸念していない権威主義政権は、効果的な軍事組織の構築と軍事力の最大化に注力することができる。タルマジはまた、長期にわたるイランとの戦争中のイラクやナチスドイツが侵攻した際のソ連のように、悲惨な外的危機に直面した独裁者は、敗北を回避するために機能不全な慣行を放棄せざるを得なくなることも示している。

これら2冊を合わせると、ヘグゼスの行動(おそらくトランプ氏の全面的な承認を得ている)がなぜそれほどまでに懸念されるのか、その説明に大いに役立つ。トランプ氏とヘグゼス氏が軍事クーデターを懸念しているとは思えないが、行政府の権力を統合し、数百万人の有権者の権利を剥奪し、権力を無期限に維持しようとする野心的で、かつおそらく違法な取り組みに対する国内の反対は明らかに懸念している。そうでなければ、トランプ氏は軍に対し「内部の敵」に焦点を当てるよう指示するだろうか?202116日に失敗した2020年選挙覆しの試みの再現に反対しない組織、あるいはそのような行動を支援するために利用される可能性のある組織へと、米軍を徐々に変貌させていくことは、アメリカの民主主義にとって潜在的に致命的な脅威である。思い出してほしい。トランプ大統領が、20206月に国内の抗議者に対して軍を使うというトランプ大統領の提案にエスパー国防長官が反対したため、一期目のエスパー国防長官を解任したのだ。また、ミリー国防長官に対するトランプ大統領の怒りも、議事堂襲撃前の同様の意見の相違に一部起因している。

Taken together, these two books go a long way toward explaining why Hegseth’s actions (which presumably have Trump’s full approval) are so worrisome. Although I doubt that Trump and Hegseth are worried about a military coup, they are clearly worried about domestic opposition to their ambitious and arguably illegal efforts to consolidate power in the executive branch, disenfranchise millions of voters, and retain power indefinitely. Why else would Trump direct the military to focus on the “enemy within”? Gradually transforming the U.S. military into an organization that would not oppose a replay of the failed Jan. 6, 2021, attempt to overturn the 2020 election, or even into an organization that could be used to support such an action, is a potentially mortal threat to American democracy. Remember: Trump fired first-term Secretary of Defense Mark Esper because the latter had opposed Trump’s proposal to use the military against domestic protesters in June 2020, and his anger at Milley also stems in part from a similar disagreement before the assault on Capitol Hill.

この傾向が続けば、どのような結果が起こり得るだろうか? 第一に、上級将校を能力ではなく忠誠心で選ぶということは、アメリカの兵士、水兵、パイロットが、必ずしも最も知識豊富で経験豊富、そして有能な指揮官に率いられる訳ではないことを意味する。これは一見して良いことではない。第二に、多くの愛国心のある将校は、ますます政治化され非専門的になる環境での勤務を望まなくなり、中には早期に退役を選択する者もいるだろう。その結果、軍からより優秀なリーダーが奪われ、将校団はさらに党派的な方向に傾くことになる(実際、ヘグゼス長官が目指しているのはまさにこれなのかもしれない)。第三に、軍が国内任務(例えば、危険な犯罪者が蔓延していると誤って描写されているアメリカのブルーステート[民主党優勢州]の都市の街頭パトロールなど)を課せられるようになると、深刻な敵に立ち向かう準備は整わないだろう。非武装の船舶を爆破したり、弱い敵に巡航ミサイルを発射したりするのは1つの方法だが、もし強力で対等な力を持つ競争相手を抑止し、必要であれば打ち負かそうとしているのなら、最も優秀な指揮官の何人かを粛清し、組織を不必要な国内任務に転用することは、自傷行為(a self-inflicted wound)の典型である。

しかし、ちょっと待って欲しい。アメリカの近年の戦績は、軍幹部の刷新がずっと前から必要だったことを示唆していないだろうか? アメリカの指導者たちは世界最強の軍隊を誇示したがるが、潤沢な資金を持つこの軍隊も、イラクとアフガニスタンで屈辱的な敗北を喫し、近年は他にも数々の恥ずべき挫折や事件を経験した。ヘグゼス長官は、見せかけだけの、準備不足のプリマドンナかもしれないが、数人の首を切ることで、他の者たちの士気も上がるかもしれない。

もしそうならいいのだが。もしヘグゼス長官が、第二次世界大戦でジョージ・マーシャルが行ったように、明らかに腐敗した、もしくは無能な指揮官を排除し、その決定の根拠を綿密に説明することで、部隊を粛清していたとしたら、それは全く望ましい説明責任の形態と見なすこともできるだろう。しかし、現状は明らかにそうではない。それどころか、明確な理由もなく将校たちは解任され、昇進が拒否されたり、あるいは、たまたまトランプ大統領とヘグゼス長官が思い描く軍人のあるべき姿や信念のイメージに合わないという理由で、解任されたり昇進が拒否されたりしている。

さらに、近年のアメリカ軍の失敗は、イラクとアフガニスタンにおける実りのない「国家建設(nation-building)」の試み、そしてリビアやソマリアにおける、同様に軽率な政権転覆(regime change)の試みなど、主にアメリカ国家の文民指導者たち(the country’s civilian leaders)からほぼ不可能な任務を課されたことに起因する。アメリカ軍は主要地域における侵略抑止に非常に優れており、第一次湾岸戦争で証明されたように、より弱い軍隊を打ち負かし、通常攻撃を逆転させることにも並外れた効果を発揮することができる。アメリカ軍が苦手とするのは、これまで民主的な統治の歴史を持たない貧しい多民族国家を占領し、変革することだが、この任務を得意とした軍隊はこれまで存在しない。元アメリカ軍指導者の中には、文民の同僚たちに自分たちが無意味な任務に派遣されていることを警告しなかったり、真実ではないと知りながら楽観的な進捗状況の評価を伝えたりしたとして非難される者もいるが、ヘグゼス長官の策略ではこれらの問題はどちらも解決されないだろうし、彼が粛清してきた将軍や提督たちが職務に適任ではなかったという証拠もない。

今年の復員軍人の日、アメリカ社会においてアメリカ軍が果たす重要な役割、そしてそれを党派政治(partisan politics)や現政権による権力統合の試みから可能な限り隔離する必要性について、改めて考えてみることをお勧めしたい。もし今年の復員軍人の日が、アメリカ国民が当然の誇りとすべき軍隊、そして国内の自由を脅かすことのない軍隊を持つ最後の日となれば、それは容易に覆すことのできない悲劇となるだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 このブログでも既にお知らせしたが、私は、11月に発刊する新著の準備を行っている。その新著のテーマは「軍産複合体」である。今回は軍産複合体についての理解を深めるために、古い論稿になるが、ご紹介したい。

 軍産複合体(military-industrial complex)という言葉が一般に広まったのは、1961年1月に、ドワイト・アイゼンハワー大統領が退任演説を行い、その中で使ったことがきっかけになった。簡単に言えば、軍と経済界が一体になって、アメリカ国民の税金を蝕むことへの警告であった。アメリカの戦後史は、幾多の戦争によって特徴づけられているが、アメリカを幾多の戦争に駆り立てたのは軍産複合体の存在だった。

 アメリカは巨額の国防予算(日本の国家予算を凌駕する)と巨大なアメリカ軍によって、疲弊している。その重過ぎる負担に耐えられなくなっている。だから、ヨーロッパ諸国や日本に対して負担を求めている。日本はGDP比2%まで国防予算を増額することを既に決定しているが、アメリカは3.5%までの増額を求めている。そうなれば、大規模な増税か、国民生活に直結する予算分野である福祉や教育の予算を削ることになる。そうなれば、国民生活はますます苦しくなり、経済成長は期待できなくなる。

 軍産複合体が国防費増額を煽れば煽るほど、結局のところ、国民生活は苦しくなり、経済成長は出来ず、国益に反する結果になる。勇ましい世迷言を述べている人々には、このことをよく考えてもらいたい。

(貼り付けはじめ)

軍事産業複合体、50年後の現在(Military-Industrial Complex, Fifty Years On

-ドワイト・アイゼンハワー大統領の警告から50年が経過した今も、「軍事産業複合体(military-industrial complex)」は依然として繁栄し、国家の優先事項を決定づけていると、外交問題評議会(CFR)のレスリー・ゲルブは指摘する。ゲルブは、バラク・オバマ大統領が強力な国内経済の構築を国家安全保障上の課題として提唱すべきだと主張している。

インタヴュー対象者:レスリー・H・ゲルブ

インタヴュアー:バーナード・グウェルツマン

2011年1月12日

外交問題評議会(Council on Foreign RelationsCFR)ウェブサイト

https://www.cfr.org/interview/military-industrial-complex-fifty-years

1961年1月17日は月曜日だった。ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は退任演説(farewell address)の中で、台頭する「軍産複合体」(a rising "military-industrial complex")の影響に警戒するよう国民に警告した。軍事・産業・技術・議会の利害が結びついたこの複合体は、アイゼンハワーの警告演説(cautionary speech)以降、著しく肥大化した、と軍事問題アナリストのレスリー・H・ゲルブは指摘する。過去1年間にアイゼンハワーの警告を引用してきたロバート・ゲイツ国防長官は最近、今後数年間で780億ドルの削減を約束したが、ゲルブはこれが実現するかどうか、またどのような削減が行われるかは不明だと述べる。ゲルブは、連邦予算が巨大な軍事力ではなく経済強化に重点を置く必要性を強調し、バラク・オバマ大統領に対し「経済と雇用(economy and jobs)が民主主義の維持、私たちの経済競争力(economic competitiveness)と教育制度の維持、そして世界における軍事的安全保障にとって不可欠である」理由を国民に強く訴えるよう助言すると述べた。

アイゼンハワー大統領の演説当時の軍事予算は、現在の金額と比較するとはるかに少なかったのではないか?

そのように思った方、その通りだ。物価調整後の金額で比較すれば。現在の軍事費は年間約7500億ドルである。これをアイゼンハワー時代の予算を現在の価値に換算すると、約4000億ドル、つまり半分強に過ぎない。この差は極めて大きく、アイゼンハワー大統領は当時ですら軍事費の膨張を警告するために特別な努力を払っていたのだ。

第二次世界大戦中、ヨーロッパで連合軍を率いたアイゼンハワーは、なぜそれほどまでに懸念を抱いたのだろうか?

朝鮮戦争以降、軍事費の飛躍的な増加を求める圧力が既に高まっていたため、アイゼンハワーは国防費の抑制に多大な努力を払わなければならなかった。アイゼンハワーは、自分自身がアイゼンハワーであったので、国防費の抑制に努めることができた。しかし、退任の際には、後継者たちが深刻な問題に直面することを自覚していた。だからこそ、アイゼンハワーは軍産複合体の危険性について警告を発した。

あなたは、1960年代には国防総省の高官、1970年代のジミー・カーター政権下では国務次官補(政治・軍事担当)を務めた。どちらの職務でも軍事支出に関わることになったが、軍産複合体の影響力はどれほど大きいだろうか?

1961年1月にアイゼンハワーが述べた通り、これは本当に重大な問題だ。これは巨大な力であり、単なる軍産複合体にとどまらない。アイゼンハワーはその退任演説でテクノロジーの力についても警告した。つまり軍産複合体と技術複合体(technology complex)が存在するのだが、アイゼンハワーがよく認識していたように、それだけでは終わらない。連邦議会が存在するからだ。実態は「軍事産業テクノロジー連邦議会複合体(the military-industrial-technological-congressional complex)」なのである。

アイゼンハワーの退任演説の原稿では、当初「軍事産業連邦議会複合体(the military-industrial-congressional complex)」と呼んでいた。

その通りだ。軍事費の浪費(それは確かに多い)を一切改善せず、常により多くの支出を求める勢力を合計すれば、予算は増え続ける。第二次世界大戦直後のトルーマン政権とアイゼンハワー政権の支出を実質ドルで比較すると、現在の支出の約半分だった。人々は「GDP比で考えろ」と言って比較を歪めようとする。そうすると、トルーマンとアイゼンハワー政権時代の国民総生産(GNP)はわずか数兆ドルに過ぎなかった。現在はほぼ15兆ドルだ。この基準で比較すると、両政権の軍事予算は巨額に見える。しかしGDP比較は無意味だ。現在のGDPが当時より桁違いに大きいからだ。

軍事費の浪費(それは確かに存在する)を一切是正せず、常により多くの支出を要求する勢力が合わさることで、予算は増え続ける。

あなたはGDPと軍事費について多く執筆している。先ほど議論したこの問題全体を、どう解決すればよいだろうか?

一体どうやってそれを回避できるのか、私には分からない。カーター政権下で私が国務省で政治・軍事問題を担当していたと紹介しもらったが、当時駐イラン米大使だったウィリアム・“ビル”・サリヴァン大使と私は、当時アメリカの同盟国だったイラン国王が経済発展のために資金の一部を使えるように、イランへのアメリカの武器売却を減速させるよう提案した。私たちがその提案をした時、私が言及し、アイゼンハワーも警告していた、この軍産複合体、つまり産業技術と議会の複合体が台頭し、私たちは痛手を受けた。私たちには勝ち目はなかった。イランには使えない兵器を売ってしまった。最新鋭の戦闘機は滑走路に放置され、老朽化し​​ていった

この状況は今も続いているのか?

概ねそう言える。武器輸出はアメリカの巨大な輸出産業だ。私はこれに異論はない。実際、1970年代に国務省に入る前、武器輸出はアメリカの外交政策における主要な手段だと論じた論文を書いた。その後カーター大統領の武器輸出削減政策を実行せざるを得なかった。ご存知の通り、武器販売が国益に反するなら行うべきではない。国益を損なわないなら、もちろん武器を販売すべきだ。軍事関係の構築や輸出促進には有益だが、むやみに武器を売り捌く訳にはいかない。

『フォーリン・アフェアーズ』誌のGDPに関する記事で、あなたはこう書いている。「ワシントンの主な課題は、経済的テーマを軸に外交政策を再構築しつつ、新たな創造的な方法で脅威に対抗することだ。目標は『安全保障(security)』を再定義し、21世紀の現実と調和させることである」。この呼びかけは、ワシントンで何らかの反響を呼んでいるか?

武器輸出が国益に貢献しないなら、行うべきではない。もし国益を損なわないなら、もちろん武器を売ればいい。軍事関係の構築は有益だし、輸出にも良い。だが、むやみに(willy-nilly)武器を売る訳にはいかない。

それは違う。それは一部の人々にとって修辞的な響きを帯びている。オバマ大統領が同じテーマを引用しながら、結局何もしなかった演説を半ダースほど挙げることができる。本論の要点は、単に外交政策に経済的焦点を持つべきだということ、そしてトルーマン大統領とアイゼンハワー大統領が実践したように不可能ではないということだけではない。この二人の大統領は、アメリカ国内経済の構築を国家安全保障の最優先要件とした。彼らは他の全てをこれに従属させるつもりだった。第二に、主要同盟国、すなわち西ヨーロッパと日本の経済を構築するつもりだったし、そして実際にそうした。彼らは私たちのための市場を創出し、同盟諸国を創り出した。そしてアイゼンハワーがジョン・F・ケネディ大統領に政権を引き継いだ頃には、西ヨーロッパ、日本、アメリカの経済力・軍事力・外交力を合計すると、私たちは世界の総力の75~80%を掌握していた。彼らが実現させた政策こそが、私が論じているものだ。

しかし、ソ連崩壊の一因は、ロナルド・レーガンによる戦略防衛構想(スターウォーズ計画)などの巨額軍事支出にあったのではないか?

そのような証拠は全く存在しない。これはネオコンたちの主張だが、旧ソ連から入手した資料、国家安全保障アーカイヴ、回顧録のいずれからも裏付けられていない。ソ連は軍事費の面で私たちと競争しようとは考えていなかった。当時、彼らにはその能力がなかった。つまり、彼らが支出によって経済的混乱に陥った訳ではなく、既に経済的混乱状態にあった。彼らは私たちやレーガン大統領のスターウォーズ計画に対抗しようとしなかった。なぜなら、それが機能しないと考えていたからだ。実際、今日に至るまでミサイル防衛実験のほとんどは失敗している。

ロバート・ゲイツ国防長官は最近、国防予算を780億ドル削減すると発表した。これは重要な発表だったのか?

削減される具体的な金額や内容については、依然として明確ではない。数字を目にするか、専門家が数字を精査し具体的な内容を確かめるまでは何も信用しない。わずか6週間ほど前、『デイリー・ビースト』誌の記事のために同じ数字を調べた際、実質的な国防予算削減どころか、今後5年間で年1~2%の増加を計画している事実を発見したのだ。ゲイツ国防長官は昨年(2010年)5月、アイゼンハワー大統領の故郷であるカンザス州アビリーンを訪れ、アイゼンハワー図書館で演説を行った。ゲイツ国防長官は私が深く敬愛する大統領退任演説の一節を引用し、経済こそが軍事力の基盤であるというアイゼンハワーの主張は正しかったと述べた。当然ながら、誰もが国防予算削減によって経済に貢献するつもりだと結論づけた。しかし私が述べた通り、実際の数値を再検証したところ、削減分は国防総省の他の分野に振り向けられることが判明した。

最近の2週間、ゲイツ国防長官は実際にいくつかの国防費削減のポイントを示唆しているようだが、具体的な規模はまだ分からない。

連邦議会は雇用を維持するために軍事費を高水準に維持することに依存しているようだ。これが大きな要因ではないだろうか?

それは何とも馬鹿馬鹿しいことだ。軍事費は雇用創出において最も非効率的な方法だ。つまり、軍事費で創出される雇用は、例えば同じ金額を道路、橋、高速道路といった国内のインフラ整備に費やした場合よりも少なくなる。

それはどうしてか?

インフラへの支出は労働集約型(labor intensive)だが、国防総省の支出のほとんどは労働集約型(labor intensive)ではなく、技術集約型(technologically intensive)だ。そのため、高度な訓練と知識を持つ人材が必要となる。道路を解体して建設するほど多くの数の人は必要ではない。

もしオバマ大統領が電話をかけてきて、「今後2年間、何をすべきか助言をいただきたい」と言ったら、あなたは何と答えるか?

私は次のように言うだろう。国内経済と雇用を最優先事項にすることばかり言うのではなく、アメリカ国民に、なぜこれが民主政治体制の維持、経済競争力と学校の維持、そして世界における軍事安全保障にとって不可欠なのかを説明すべきだ。経済が本当に崩壊してしまい、今この厳しい決断を下して再建しなければ、私たちの軍事的安全保障までも危うくすることになるのだと国民に伝えて欲しい。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号の、佐藤優(さとうまさる)先生の書評コーナー「名著、再び」で2ページにわたってご紹介いただきました。ありがとうございます。是非お読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 4月10日に岸田文雄首相が国賓待遇でアメリカを訪問し、ジョー・バイデン米大統領と首脳会談を行った。岸田首相の連邦議会での演説では「巧みなジョークで大うけ」という演出がなされた。これだけのおもてなしを受けるためには、お土産にどれくらいが必要なのだろうか、と考えると気が重くなる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争で、ウクライナとイスラエルへの支援をしなければならないアメリカからすれば、唯々諾々とお金を出してくれる日本は移動式金庫のようなもので、首相を呼びつければお金を持ってやってくる、「カモがネギを背負ってやってくる」ということでしかない。今回も「共同開発」「協力」などと言う言葉たくさん並べられたが、それぞれの請求書は東京に送られる。

 日本にとっての最大の懸念は、「アメリカの尖兵となって、中国にぶつけられること」であり、「中国と戦争をしなければならない状態にさせられること」だ。日本では、「中国が攻めてくる、攻めてくる」と声高に叫ぶ考えの足りない人たちが一部にいる。中国が日本に軍事的に侵攻してどのような利益があるのか、よく考えた方が良い。そうした日本人は、「日米安全保障条約があるから、いざとなったらアメリカが一緒に戦ってくれる」などとも言う。それは大きな間違いだ。アメリカは日本と一緒になって戦ってくれない。それどころか、いざとなれば、「日本国憲法があるのに中国と勝手に戦争をした」という理由で、日本を米中共同の敵に祀り上げるくらいの論理構成をしてくるだろう。ここで怖いのは、アメリカの間接的なお墨付きを得て、日本が中国に攻め込ませさせられる(中国とぶつけられる)ということだ。日米防衛協力は、自衛隊をアメリカ軍の下に置いて、好きに使えるようにするということだ。そして、自衛隊がアメリカ軍の尖兵となって(アメリカは自分たちの不利益にならない形で)、中国と戦えるようにするということだ。

 日本の自衛隊は今のところ、正式な形でアメリカ軍の指揮下に入っていない。実質的には入っているようなものではあるが、今のところは、アメリカ軍と協議をしてという形を取って、独立した形になっている。今、テーマになっているのは、「いざとなった時に、話し合いなどをしている時間的余裕などないのだから、いざとなったら、自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入れるということ」である。このような状態になった時に怖いことは、アメリカがシナリオを書いて、日中が衝突するということを起こされることだ。もしくは、中国人民解放軍の一部(アメリカに使嗾されるスパイのような存在)が暴発して、自衛隊を攻撃するという事件を起こすことだ。

 そのようなことが起きるはずがないと考えるのは当然だろうが、そのようなことが起きる危険については可能性についても私たちは考えておくべきだ。日中が戦わないということを基本線にして、物事を組み立てていく。アメリカには面従腹背、中国には実態を説明して何か起きても自制、そしてどうしようもなくなれば、八百長を仕組む、これくらいのことは日本政府に期待したいところだ。

(貼り付けはじめ)

バイデン・岸田首脳会談は新たな防衛協力を確実なものとする(Biden-Kishida Summit Secures New Defense Cooperation

-アメリカと日本は南シナ海における中国の影響力に対抗することを目的としている。

アレクサンドラ・シャープ筆

2024年4月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/10/us-japan-summit-biden-kishida-state-visit-south-china-sea/

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ホワイトハウスにてジョー・バイデン大統領の隣で演説を行う日本の岸田文雄首相

●「壊れることのない」パートナーシップ(An ‘Unbreakable’ Partnership

ジョー・バイデン米大統領は水曜日、日本の岸田文雄首相をホワイトハウスに迎え、二国間の防衛・情報協力を強化するための70項目以上の計画を発表した。今回の数日間にわたって行われた日米首脳会談は、南シナ海における中国の野心や北朝鮮の核開発計画への懸念など、インド太平洋における緊張の高まりに対処することを目的としている。

バイデン大統領は、日米のパートナーシップは「壊れることはない(unbreakable)」と述べ、「2つの偉大な民主政治体制国家の間の記念碑的な同盟(monumental alliance between our two great democracies)」を称えた。

バイデンと岸田はまた、日本の自衛隊との連携を強化するため、日本にあるアメリカ軍司令部の機能向上(upgrading)についても話し合う予定だった。両首脳はまた、アメリカと日本がどのような種類の防衛兵器を共同生産できるかを検討するための「軍産評議会(military industrial council)」の設立も発表した。ロイド・オースティン米国防長官と日本の木原稔防衛大臣は今後数カ月かけて詳細を最終決定する予定だ。

第二次世界大戦での日本の敗北後、日本は軍隊を自衛(self-defense)の目的に限定する平和憲法(pacifist constitution)を制定した。しかし、岸田は前任者の安倍晋三政権下で始まったそのドクトリン(doctrine)からの転換を続けている。2021年の首相就任以来、岸田は殺傷兵器の輸出規制を緩和し、2027年までに防衛費をGDPの2%に引き上げると約束し、反撃能力(counterstrike abilities)を高めるためにアメリカ製トマホークミサイルを購入し、日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)などの安全保障グループの設立を支援した。

岸田首相は「今日、世界はこれまで以上に多くの課題と困難に直面している。日本はアメリカの友人たちと手を携え、共にインド太平洋地域と世界の課題に取り組む先頭に立って進んでいく」と述べた。

首脳会談の中で、バイデンと岸田は、共同月探査計画、人工知能、半導体、クリーンエネルギーに関する研究協力、日本の学校との交流プログラムに参加するアメリカの高校生のための新しい奨学金制度創設を発表した。両首脳の会話の多くは、東京の機密情報保護活動を強化する方法(ways to boost Tokyo’s sensitive intelligence protection efforts)にも及んだ。日本は以前から、中国の挑発行為により対抗するため、ファイブ・アイズ[Five Eyes](オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカで構成される情報諜報ネットワーク[intelligence network])への加盟を目指してきた。

木曜日、岸田首相はアメリカ連邦議会の合同会議で演説する史上2人目の日本の指導者となる。また、南シナ海で繰り返される中国とフィリピンの沿岸警備船との敵対行為について話し合うため、バイデン、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との三者会談にも出席する。バイデンが計画している岸田首相、マルコス大統領との会談の狙いについて、あるアメリカ政府関係者はロイター通信の取材に対して、「台本をひっくり返し、中国を孤立させる(flip the script and isolate China)」ことだと語った。

※アレクサンドラ・シャープ:『フォーリン・ポリシー』誌「ワールド・ブリーフ」欄記者。ツイッターアカウント:@AlexandraSSharp

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バイデンと岸田にとって勝利のヴィクトリーランをするにはまだ早過ぎる(It’s Too Soon for Biden and Kishida to Take a Victory Lap

-日米同盟にはまだ3つの不愉快な疑問が存在する。

ジェニファー・カヴァナー、ケリー・A・グリ―コ筆

2024年4月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/09/kishida-biden-japan-summit-united-states-military-alliance/

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2022年5月23日、東京・赤坂の迎賓館で行われた歓迎式典で、儀仗兵を閲兵するジョー・バイデン米大統領と岸田文雄首相。

4月10日にジョー・バイデン米大統領が日本の岸田文雄首相をホワイトハウスに迎える際、国内で国内政治的課題に直面している両首脳は、日米同盟の強靭さを熱心に宣伝するだろうが、それには当然の理由がある。日米安全保障協力は、日米両国の管理の下で新たな高みに達している。日本は防衛費を増額し、同盟諸国は緊急時対応計画(contingency planning)を深め、軍事演習を強化した。

日米両首脳は、結束のイメージが不一致によって損なわれないよう、茨の道を突き進みたくなるだろう。しかし、喫緊の問題が依然として日米同盟の上に横たわっている。過去3年間の急速な進展にもかかわらず、日米両国は、紛争が発生した場合に信頼できる共闘を行うために必要な、協調的な意思決定プロセスと統合をいまだに欠いている。同盟に弱点があると見なされれば、中国を増長させる危険性があるため、これは憂慮すべきことだ。

日米同盟の最大の脅威により効果的に対抗するために、バイデンと岸田は今度の訪問をきっかけにして、3つの難問に緊急に取り組むべきだ。同盟の指揮統制体制をどのように近代化するか、日本がアメリカの地上配備型長距離攻撃能力を自国内に配備すること(the deployment of U.S. ground-based long-range strike capabilities)を認めるかどうか、認めるとすればどのような条件になるのか、そして在日アメリカ軍、特に沖縄の態勢と再配分をどうするか、である。

ワシントンと東京がこれらの問題に対処する窓口は限られており、それを避ければ避けるほど、抑止力(deterrence)が破綻し、日米同盟が真の危機に備えられなくなるリスクが高まる。

軍事同盟にとって、同盟軍の展開と使用をどのように調整するかほど重大な決定はほとんどない。しかしながら、日米同盟はこれまで決して戦争をするための同盟ではなかったため、基本的な軍事調整メカニズムが欠如している。

過去70年間、日米同盟は2つの異なる指揮系統(two separate command structures)で運営されてきた。日米両国はそれぞれ独立した指揮系統を維持し、同盟国全体の指揮官に権限を委譲することはなかった。朝鮮戦争でそうであったように、日本は主として、アメリカがこの地域で作戦を展開するための拠点であり続け、戦場における同盟国ではない状態が続いたので、この取り決めは機能した。

中国の軍事力がより強力になり、自分たちの権益を主張する態度が強まり、日本自身の能力と役割が拡大するにつれて、この取り決めはもはや同盟のニーズに合わなくなっている。今や日米同盟の成功は、並列作戦(parallel operations)ではなく、統合作戦(combined operations)を実施できるかどうかにかかっている。この時代遅れの構造を更新することが、バイデンと岸田が取り組むべき喫緊の課題である。幸いなことに、彼らは今週、指揮系統関係を見直す計画を発表する予定だ。理想的な世界では、日米両国は韓国の連合軍司令部(Combined Forces Command)のような統一司令部構造(unified command structure)を確立するだろうが、日本国内の法的・政治的制約があるため、日本軍がアメリカ軍の指揮下に入ることはできない。

検討中と報じられている、次善の選択肢は、ハワイを拠点とする米太平洋艦隊(U.S. Pacific Fleet)の四つ星の海軍大将クラスが司令官として率いる統合任務部隊(joint task forceJTF)の下で、2つの国の司令部をより緊密に統合することである。在日アメリカ軍(U.S. Forces JapanUSFJ)は現在、統合作戦司令部(joint operational command)ではない。その代わり、三つ星の海軍中将クラスの司令官は日本との日米地位協定(the Status of Forces Agreement with Japan)を監督する管理的な役割を果たし、作戦を実施する権限は限られている。しかし、提案されているオプションでは、統合任務部隊(JTF)は有事の際にアメリカ軍統合部隊の作戦統制権を握り、日本の自衛隊と調整することになる。

しかし、統合任務部隊(JTF)のオプションは、日米同盟の指揮統制の問題に対する特効薬ではない。例えば、日本の陸上自衛隊に命令を下す正式な権限がないため、統合任務部隊(JTF)司令官は説得によってしか同盟を指揮することができないが、ハワイからではその任務がさらに困難になっている。同盟国の指揮系統が重複することは複雑なだけでなく、しばしば軍事的惨事に終わることもある。たとえば、1940年にはフランス側の代表団が複数の階層構造になっていたため、イギリスの同盟諸国は誰と調整すべきか混乱し、フランスのドイツへの降伏に終わった急速な軍事崩壊の一因となった。

バイデンと岸田は、より合理的なアプローチ、具体的には在日アメリカ軍をアメリカの四つ星の大将クラスが司令官を務める統合作戦司令部(joint operational command headquarters)に移行させることを検討すべきだ。このアプローチでは、在日アメリカ軍を日本の将来の統合作戦司令部(Japan’s future joint operational headquarters)と同居させるかどうかや、両者間の調整をどのように行うかといった問題に日米が取り組む必要がある。しかし、情報共有、適時的な意思決定、密接に統合された作戦の効果的な遂行を促進することができるようになり、現在のモデルから大幅に改善されるであろう。

しかし、紛争時に意思決定を行うためのより効果的な枠組みは、いざというときに同盟軍がどのように共闘するのかについての明確なコンセプトも持っていなければ意味をなさない。日米両国はそのような統合計画に向けて取り組んできたが、アメリカ軍が日本本土において、どのようなシステムを使用できるかという疑問はまだ解決していない。例えば、アメリカ軍の地上発射型長距離ミサイルを日本に配備できるかどうかなどである。これは岸田首相とバイデン大統領にとっての2番目の議題になるはずだ。

アメリカの立場からすれば、日本に配備される、信頼できる地上攻撃能力の第一の目的は、台湾海峡や南シナ海、東シナ海周辺にいる中国の水上艦船やその他の標的を狙い撃ちすることだ。そうすることで、この地域で起こりうる様々な事態において、北京に軍事的勝利を簡単に与えないようにすることである。日本は、独自の地上配備型長距離ミサイル[ground-based long-range missiles](アメリカ製トマホーク400発)の購入を計画しているが、主に、北京が日本本土を攻撃した場合に中国本土を標的にするための反撃能力(counterstrike capability)の一部として使用するつもりである。

自国の作戦上の野心を満たすため(To fill its own operational ambitions)、アメリカは、アメリカが所有し、運用している地上配備型トマホークや、より短距離の精密攻撃弾道ミサイルシステム(shorter-range precision-strike ballistic missile systems)を日本国内に配備することに関心を示している。しかし東京都は、アメリカがミサイルを配備することを容認することには否定的だ。アメリカのミサイルを受け入れると、日本は中国からの報復(retaliation)を受けやすくなる、もしくは、先制攻撃(preemptive attack)を招き、民間人に被害が及ぶ可能性が高まるからだ。

しかし、日本が、アメリカの運用しているミサイルを受け入れるかどうかについて曖昧な態度であることは、同盟国軍が中国の軍事作戦を妨害し、低下させる能力について、複雑に様々な要素が絡み合った、抑止力のシグナルを中国に送っている。日本とアメリカには今後の選択肢がいくつかあるが、時間が最も重要である。ミサイルシステムを配備する場合、アメリカのミサイルは紛争が始まるかなり前に日本に配備する必要がある。なぜなら、ミサイルの運搬は攻撃や封鎖(blockade)に対して脆弱であるからだ。紛争以外でも、緊張が高まる中での配備は誤算(miscalculation)と事態悪化(エスカレーション、escalation)の可能性を高めるだろう。

バイデンと岸田は次回の会談でこの問題を完全には解決できないかもしれないが、そのような展開が受け入れられる時期と場所を定義することで議論を進めることはできるだろう。また、長距離ミサイルシステムの共同生産(co-production)や共同管理(shared management)、あるいは二国間軍事演習に長距離ミサイルを組み込むなど、ある種のローテーション体制など、短期的な代替案も検討すべきである。

岸田とバイデンが取り組むべき最後の問題は、在日アメリカ軍の態勢を、特に沖縄における日本自身の防衛態勢とより緊密に連携させることである。第二次世界大戦後、アメリカは沖縄に大規模な軍事プレゼンスを維持してきたが、沖縄は台湾海峡や南シナ海に近いため戦略的に貴重である一方、日本本土から遠いため脆弱でもある。

アメリカは沖縄でより生存可能で信頼できる戦力の構築を目指しており、沖縄の海兵隊連隊(Marine Corps regiment)を転用するという野心的な計画を進めている。これらのアメリカ軍は、近くに駐留する自衛隊と並行して戦い、対艦ミサイル(anti-ship missiles)や無人機(drones)を装備し、中国が発見しにくく、重要なシーレーンで中国の船舶を狙いやすくなる周囲の島々に迅速に分散することを可能にする。

しかし、日本政治は独自の戦力態勢の変更を推進している。日本との長年にわたる兵力再編計画では、約9000人のアメリカ海兵隊が沖縄からグアムなど他の場所に移動することになっており、日本が新基地建設費の3分の1以上を負担すると決定している。

これら2つの取り組みは相互に作用し、対処すべきリスクを生み出している。たとえ危機の時期であっても、沖縄全土に海兵隊を配備することは、既に中国の攻撃の標的になることを恐れている沖縄県民との緊張を悪化させるだろう。こうした憤りは、アメリカ軍と沖縄県民、さらには沖縄と東京との関係を悪化させ、中国の偽情報(disinformation)が日米同盟と日本国内の結束を損なう隙を生む可能性がある。しかし、アメリカ軍を沖縄からグアムに移転すれば、政治的緊張は緩和される可能性があるが、アメリカ軍は統合作戦に直接貢献できなくなる。

政治的緊張(political tensions)を緩和しながら沖縄のアメリカ軍の態勢を維持するために、アメリカと日本は、沖縄のアメリカ軍基地を、2015年の三沢基地や横須賀海軍基地のように、アメリカ軍と日本の陸上自衛隊の両方が使用する統合基地に転換することを検討すべきである。日本の他の地域。この変更は、統合作戦のための部隊をさらに統合し、アメリカ軍が占領軍であるかのような外観を回避し、日米同盟が互恵協力(mutually beneficial cooperation)に基づいていることをより具体的に伝えることになるだろう。

日米同盟は日米両国の安全保障と防衛の要であり、国内の政治的議論においても重要な役割を果たしている。しかし、その目的に沿うためには、日米同盟は効果的な戦闘力になるために真剣になる必要がある。バイデンと岸田は、今回の訪日をきっかけにこうした対話を開始し、日米同盟が最も差し迫った脅威に立ち向かうために十分な強さと信頼性を持つようにすべきである。

※ジェニファー・カヴァナー:カーネギー国際平和財団アメリカン・ステイトクラフト・プログラムの上級研究員、ジョージタウン大学非常勤教授。ツイッターアカウント:@jekavanagh

※ケリー・A・グリ―コ:スティムソンセンターのアメリカ大戦略再構築プログラムの上級研究員、海兵隊大学のブルート・クルラック記念革新・未来戦争センターの非常勤研究員、ジョージタウン大学の非常勤教授。ツイッターアカウント:@ka_grieco
(貼り付け終わり)
(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)を発売しました。最初から孤軍奮闘、自力で皆さんに本の存在を知っていただくしかない状況です。不貞腐れている時間はありません。矢尽き刀折れるまで続ける所存です。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 大統領選挙終了後からバイデンの大統領就任式の間、そして、現在までトランプ支持者の中でささやかれているのは、「米軍の出動」「米軍の蹶起」である。簡単に言えば、クーデターである。クーデターのためには、兵士だけでは駄目だし、将官だけでも成功しない。縦(階級)と横(部隊数や人数)の広がりが必要である。そして、クーデターを起こすには、大義名分、自分たちの行動を正当化するための理由付けが最重要だ。

 アメリカ軍の内部にどれだけのトランプ支持者がおり、その人々がネットワーク化されて、その階層も上は大将中将から下は二等兵まで幅広くなっているのか、そうしたことは分からない。しかし、「クーデターが必要だ」と考えている人からそれは必要ないとと考える人まで、トランプ支持者が米軍内にいるのは確かだ。軍関係者は共和党支持者が多いと言われている。これまでもこのブログでご紹介してきたが、共和党支持者内のトランプ支持者の割合は高い。そこから敷衍すれば、米軍内のトランプ支持者の数は多いということが推測される。

 米軍幹部や民主党は、米軍内のトランプ支持者を追い出そうとしている。そのために調査をするとしている。米軍の軍人や関係者がどのような思想を持とうがそれは自由だ。それを表面に出さないで、上官の命令に従って粛々と責任を果たしていれば何の問題もない。この表面上は問題のない軍人(トランプ支持の考えを持つ)たちが、スリーパーのように思えるのだろう。ひとたび、何か起これば、この人たちが立ち上がるということを恐れているのだろう。

 調査の範囲が退役軍人にも広がっているというのは、トランプ支持の集会を企画したり、参加したりしている人たちの多くに退役軍人たちがいることを示している。この人たちは、全く軍務や軍の訓練を経験していない一般の人々とは、組織力、行動力、武器使用能力において雲泥の差がある。この人たちの動きを縛りたいということも軍の意向としてあるのだろう。しかし、軍関係のトランプ支持者の全貌を完全に掌握することは不可能だ。そうなれば、軍の最高幹部や民主党は常にスリーパーの影に怯えねばならないことになる。

(貼り付けはじめ)

退役准将が、軍隊内にいる狂信的なトランプ支持者たちを根絶やしにする必要があると発言(Retired brigadier general says Trump loyalists in military need rooting out

ジョフ・コルヴィン筆

2021年1月8日

https://fortune.com/2021/01/08/trump-support-military-capitol-coup-attempt/

連邦議事堂進入事件によって、政権移行に伴って起こると考えられる暴力事件において米軍の将兵の関与があるのではないという疑問が出て来ている。今回の暴動に対してトランプ大統領は現役の将兵を派遣しなかった。州兵はワシントン市長ムリエル・バウザーの要請によって、マイク・ペンス副大統領が命令を出して、それで派遣されたものだ。トランプ大統領は2020年12月の段階で、大統領執務室において、選挙結果を覆すために米軍を使用する可能性について話し合いを持ったと報道されている。この会議に出席したのは、トランプ大統領の初代の国家安全保障問題担当大統領補佐官だったマイケル・フリン退役陸軍中将だった。フリンはテレビ番組に出演し、「トランプ大統領は米軍の能力を利用し、選挙結果が接戦となっている各州に派遣し、選挙をやり直させることができる」と発言した。連邦議事堂進入事件の3日前、存命中の国防長官経験者10名は連名で、『ワシントン・ポスト』紙に論説を発表し、「選挙をめぐる争いを解決するために米軍を関与させること」に反対すると表明した。

これから何が起きるかについて、本誌はトーマス・コルディッツとインタヴューを行う。コルディッツは退役陸軍准将である。コルディッツは陸軍士官学校とイェール大学経営学部で教鞭を執っている。また、ライス大学ドアー記念ニューリーダーズ研究所の運営責任者も務めている。

トランプと軍部との間の関係についての現在のあなたの考えをお聞かせください。

私が大変懸念しているのは、軍隊の中に強力なトランプ支持が長年にわたり存在してきたということです。軍隊に属する人々が保守的、もしくは極めて保守的になる権利は認められています。しかし、軍隊内のトランプ支持者たちは、1月6日の事件について、本来は米軍が可及的速やかに行うべきものであった壮挙だと考えています。トランプ支持者たちが軍隊から排除されている限りはそのようなことは起きません。ですから、彼らの排除は必要なことなのです。私たちは本の数名の人たちの話をしているのではありません。私たちは国防総省全体に数千名は存在する人たちの話をしているのです。これらの人々の多くは自分たちの主張を隠そうともせずに発信し続けるでしょう。特にSNSで発信するでしょう。これは反乱であり、国家に対する犯罪です。米軍の最高幹部たちには、反乱は素晴らしい、もしくは合法だと考える人間たちや秘かにそうした考えを持つ人間たちをいかなる理由があろうとも、排除しなければならない責務があります。

■議事堂進入事件のような状況に関連する軍の原理とは何ですか?

米軍は、民警団法(Posse Comitatus Act・訳者註:1878年の連邦法で、国内の治安維持に陸軍、空軍、州兵を動員することを禁じたもの)によって統制されています。米軍は、アメリカ市民やアメリカの国土に対峙するような使い方はできないのです。法執行目的のために使用することができないのです。米軍統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が、とランプ大統領や周辺が望んだ、米軍の選挙執行活動やその他の活動は不可能だと公式に発表した理由はここにあります。

政権移行に関しては、米軍将兵は誰が大統領になるにしてもその過程に介入しない義務を有しています。米軍の将兵はアメリカ合衆国憲法を支持し、擁護するという宣誓を行っています。アイゼンハワー大統領時代には、米軍の将官が投票を行うことさえ良くないことだと考えられていたほどです。米軍の将官が私的な空間で政治的な発言ができるようになったのはつい最近のことです。将官たちはもちろん投票に行きます。しかし、将官として、政治的に中立であることを保つ責任があり、自分たちの責務を果たす際には政治的中立であることが求められます。その中にはSNSで部下や他の人たちに対して政治的な発言をしないことも含まれます。将官として、自身の好き嫌いを発言することは命令を下すことに等しい行為となるからです。

陸軍在職中に投票はしましたか?

私はキャリアを通じて投票に参加しました。そのほとんど全てが不在者投票でした。私の部下たちは、私が誰に投票したか、私の政治的な考えはどのようなものかを知ることはなかったと思います。軍務に就いている期間、私たちには個人の信条を表明する自由はありません。そして、私たちのために働いている人たちもそのようなことをしないように求められています。これが軍隊にいる人間がいかにして政治的な動きに近づくかということの内容なのです。

士官たちにはリベラルな考え、保守的な考え、それ以外の考えを持つ自由があります。しかし、現在軍隊の内部にあるのは、カルトに近いものです。反乱にはいくつかの段階があり、それは国内で起きるテロリズムです。連邦議事堂の窓を登っていて銃撃された女性は空軍に12年間在職した退役軍人でした。私は彼女がこのような馬鹿げた行為を行うに至った時間は短いものではない、一夕一朝に形成されたものではないと考えます。ですから、今回の事件は重要なのです。

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連邦議事堂進入事件発生後、数千名の将兵がワシントンDCに派遣されている中、国防総省はアメリカ軍内の過激主義について捜査する(Pentagon probes extremism in U.S. military as thousands of troops guard D.C. after Capitol riot

ケヴィン・ブリューインガー、アマンダ・マシアス筆

2021年114

CNBC

https://www.cnbc.com/2021/01/14/pentagon-probing-extremism-in-us-military-after-capitol-riot.html

主要なポイント

・10名以上の民主党所属の連邦上院議員たちが国防総省に対して、米軍内の白人優越主義(white supremacy)の拡大について調査すべきだと主張した。

・ドナルド・トランプ大統領の支持者たちがアメリカ連邦議事堂に進入する事件を起こした時、数千名の州兵がワシントンを防衛していた。

・エミリー・レイニー陸軍大尉は心理作戦に参加していた。ブラッグ基地の司令部が、レイニー大尉の暴動への関与について調査していることを認めた後、レイニーは陸軍から退職した。

木曜日、国防総省の内部調査部門は、先週のアメリカ連邦議事堂に対する進入事件の後、米軍内の過激主義者たちと白人優越主義者たちを排除するために、当局は十分な対策を行っていないと発表した。

数千名の州兵、そのうちには武装した者たちもいたが、彼らがトランプ大統領の支持者たちによる1月6日の議会進入事件の前に、ワシントンの防衛のために派遣されていた。今回の捜査はこの派遣を受けて、今月になって開始された。

国防総省は将官クラスの間での過激主義を排除するために可能な方策は全て実施していると主張したが、今回の内部調査部門の発表はその後になされたものだ。

司法当局は水曜日のジョー・バイデン大統領の就任式で更なる暴力行為がなされる可能性を認めその対処を準備している。司法当局の幹部たちは、過激主義者たちが全国の各州議事堂を攻撃目標にしていることについて懸念を持っている。また、インターネット上では、人々がトランプ支持の集会を組織しようとしている。

プログラムの観察と評価を担当する、アメリカ軍副監察官キャロライン・ハンツは書簡の中で次のように述べている。「今回の捜査の目的は、「国防総省と米軍部隊が、現役の職員や将兵が白人優越主義、過激主義、犯罪ギャングのイデオロギーや原理に参加したり、主張を展開したりすることを禁止している政策と手続きを、どれほど実行しているのかを見極めるものである」。

ハンツは、監察官局は「監督と評価が進めば、目的を見直し、範囲を拡大する可能性がある。そして、私たちは更なる目的の追加や見直しについて国防総省最高幹部たちからの提案を受け考慮することになるだろう」。

民主、共和両党の連邦議員たちは、連邦議事堂進入事件についての捜査を実施し、司法当局による対応を行うように求めている。

木曜日の午後、コネチカット州選出のリチャード・ブルーメンソール連邦上院議員が率いる10名以上の民主党所属の連邦上院議員たちは、米軍内の白人優越主義の拡大を調査するように求めた。

議員たちが米軍監察官代理シーン・オドネルに宛てた書簡の中で次のように述べられている。「米軍上層部内の白人優越主義と過激なイデオロギーの問題は新しいものではない。しかし、連邦議事堂進入事件は、即座に警戒を強めねばならないということを示している」。

書簡では、進入に参加した、もしくは暴力事件が起きる前に近くで開かれていたトランプ支持の集会に参加した、そのような人々の中に、退役軍人、もしくは現役の軍人たちが多数確認された、と記載されている。

議員たちは次のように書いている。「白人優越主義イデオロギーの拡散は米軍にとって危険であり、アメリカの民主政治体制が必要としている安全な軍と市民社会との関係に亀裂が入っている」。

国防総省の諜報部門責任者ゲイリー・リードは水曜日に次のような文章を発表している。「国防総省に在職する我々は、国防総省から過激主義を排除するためにあらゆる手段を採っている。国防総省は米軍関係者全員に対して、優越主義、過激主義、犯罪に関わるギャングやそれらのイデオロギーに積極的に関与することを厳しく戒めている」。

月曜日、タミー・ダックワース連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)は国防長官代理クリス・ミラーに対して、現役のもしくは退役した軍関係者たちが暴動事件に参加したかどうかを調査するように求めた。

ダックワースは、捜査当局によって軍関係者が特定された場合、ミラーは「これらの人々について、統一軍事裁判法(Uniform Code of Military Justice)に基づいて、責任を果たさせるために適切な行動を取らねばならない」と発言した。

ダックワースは州兵の陸軍中佐で退役したが、現役中はイラクに派遣された経験を持つ。ダックワースは「素晴らしい軍律を守るためには、アメリカ軍内に入り込み、我が国の安全保障を脅かしている過激主義者たちを排除することが必要なのである」と述べた。

アメリカ陸軍の心理作戦に関与していたエミリー・レイニー陸軍大尉は月曜日、ブラッグ基地の司令部が彼女の暴動への関与について調査していることを認めた後の月曜日、辞表を提出した。

火曜日に出された声明の中で、陸軍は、FBIと協力して、先週の暴動の参加者の中に陸軍と何らかの関係を持つ人間がいるかどうかを特定するとしている。

陸軍報道官はEメールでの声明の中で、「暴力、市民的不服従、平和への反抗といった活動は、統一軍事裁判法、もしくは州法、連邦法によって罰せられることになるだろう」と書いている。

ワシントンに2万人規模の州兵が派遣されている中、国防総省監察部による調査が行われるということが明らかにされた。この数は現在、イラク、シリア、アフガニスタンに派遣されている米軍将兵の合計数よりも多くなっている。

派遣された軍隊の一部は連邦議事堂警備部とバイデンの就任式を支援する目的を持っている。これらの将兵は武装している。

安全保障上の理由から、州兵部隊と国防総省の幹部たちはどの程度の数の将兵が武装するかどうか、大統領就任式の後に将兵が武装するかどうかを明らかにしていない。

国防総省のある幹部は火曜日、記者団に対して、ワシントンの各行事を支援するために派遣されている州兵の更なる背景調査を行う予定だと発言した。

軍隊が連邦議事堂に多数派遣されている中、ホワイトハウスはトランプ大統領からの声明を発表した。その内容は一期目で終わる大統領の任期期間中に海外に派遣されている米軍章への数を削減するというものだった。

トランプは2016年の大統領選挙で「中東における馬鹿げた終わりのない戦争を止める」と訴えていた。トランプは声明の中で「アメリカ軍はアフガニスタンに19年間も駐屯している」と述べた。

トランプは更に「同様に、イラクとシリアにおける危険度はこれまでで最低となっている。私は終わりのない戦いを終えるためにこれからも努力を続けていく」と述べた。

トランプは加えて、「我が国の軍隊を再建し、軍務に就いている勇敢な男性と女性を支援することは私の無上の光栄だ」と述べた。

ホワイトハウスから米軍の撤退のプレスリリースが出された後すぐにトランプ大統領の声明が出された。トランプ大統領は声明と同じくらいの長さのメッセージを頻繁にツイッターに投稿してきた。トランプ大統領は暴動に対する最初の反応に続き、声明という形で自身の主張を発表している。

連邦議事堂を人々が包囲する直前にホワイトハウスの外で開かれていた集会で、トランプ大統領は、大統領選挙は「盗まれた」と謝った主張を展開していた。連邦下院において民主党と共和党の一部が投票して、トランプ大統領が反乱を使嗾したとして、弾劾を可決した後、トランプ大統領はヴィデオメッセージで暴動参加者たちを非難した。

トランプは水曜日夜に発表したヴィデオメッセージにおいて、「私の真の支持者の中に、政治に関連する暴力を支持する人など一人もいない」と述べた。トランプ支持者たちがトランプ支持の集会からやがて連邦議事堂に移動し、暴動に参加したことについて、自分の発言は適切だったとトランプ派主張している。

民主党側はトランプの有罪に向けて動いており、連邦上院における選挙で大統領の座から引きずり降ろしたいとしている。連邦上院多数党(共和党)院内総務(Senate Majority Leader)のミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、弾劾裁判はトランプがホワイトハウスを去る前までに結審することは不可能だと述べた。これが意味するところは、裁判はバイデン政権成立直後までかかる、ということである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 ミネソタ州ミネアポリス市で警察官が丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドを制圧する際に、膝を首に押し付け、そのまま数分間も圧(の)し掛かり、フロイドが死亡するという事件が起きた。フロイドは「息ができない(I can’t breathe)」と訴え、周囲の目撃者たちも助けるように求めていたが、白人警察官は制圧を続けた。事件に関わった警察官たちは殺人罪で訴追された。

 この事件を受けて全米各地で抗議運動が発生し、抗議活動が過激化し、破壊行為や暴力行為にまで及ぶ者たちが出てきた。また略奪や破壊も行われる事態ともなっている。警察も催涙ガスを発射したり、手荒い対応をしたりということで、対立は激化している。

アメリカにおける人種差別は根深い。私は子供の頃にアメリカは「人種のるつぼ(melting pod)」と習った。これは「アメリカという国に来れば、全ての人々が溶け合って、アメリカ人になる」という意味だったと思う。しかし、現在は「サラダボウル(salad bowl)」という言葉になっている。これは「それぞれの野菜がそのままで魅力を発揮しているように、人種などの違いがありながらも協調していく」という意味だ。しかし、これはあくまで理想論であり、現実はなかなかうまくいかない。

 アメリカでも都市部であれば、様々な人種の人々と触れ合う機会はある。しかし、アメリカでも地方や田舎に行けば、ほぼ白人しかいないという場所も沢山ある。そういうアメリカと都市部のアメリカでは意識や考え方に大きな違いがある。非白人であるために、日常生活で不公平な扱いを受けたり、教育や就業の機会が制限されたりということはまだまだ残っている。そうした状況下で何とか這い上がろうという気概を持てる人は少なくて、諦観が広がる。そうなると非白人共同体で負の連鎖、スパイラルが続くということになる。

 抗議活動はワシントンDCでも行われ、ホワイトハウスの周辺にも多くの人々が集まった。ドナルド・トランプ大統領は地下壕に退避したという報道もあった。そうした人々に対して警察は催涙ガスを発射して鎮圧を試みた。トランプ大統領がホワイトハウスから歩いていける距離にある教会に向かう様子をレポートしていたジャーナリストたちは、空中に浮遊する催涙ガスの残留物によってせき込んでいたということだ。

 こうした中で、トランプ大統領は暴動や略奪、破壊行為に対応するために、アメリカ軍を派遣すると述べた。州兵(national guards)は対外戦争に動員されることもあるが、主にアメリカ国内が活動の場だ。アメリカ軍は警察活動の支援には向かない。そのために、そのような活動は行わないことになっている。ただ、反乱法という法律があり、アメリカ大統領はこの法律が適用されれば、米軍をアメリカ国内に派遣することが可能となる。1992年のロサンゼルス暴動の際にこの法律が適用された。この時、ロサンゼルス北部の高級住宅街を守るために、暴動が始まったロサンゼルス南部(サウスセントラルと呼ばれた、全米でも屈指の治安の悪い地域)と北部の間にあるコリアタウンが犠牲にされたという説がある。略奪者や破壊者に対して、徴兵で軍隊経験のある韓国人移民の男性たちが銃を取って応戦する姿が見られた。白人を守るために、非白人同士が戦わされたという話になる。

 軍隊と警察は共に武器を独占的にかつ合法的に所持し使用することが認められているが、その目的は異なる。軍隊は「国家の独立を守る」が、警察は「市民の安全と財産を守る」、これらが目的だ。軍隊は市民の生命や財産を守ることが主目的ではない。たまたまそのような結果になることが多いが、結局は国家を守る、政府を守るのが仕事だ。トランプ大統領が軍隊の派遣に言及したことの意味は大きい。

 ホワイトハウスの目の前でも激しい抗議活動が行われ、トランプ大統領は一時地下壕に退避したという報道もなされた。単純に怖がったということもあるだろう。しかし、軍隊の派遣がなされるというのは、国家の独立や体制が脅かされる時だ。トランプ大統領は、今回の抗議活動やデモ、略奪や破壊活動が体制への挑戦だと捉えているのだろう。アメリカの「偉大さ」「例外主義(アメリカは他国とは違う)」「デモクラシーの主導者」「世界秩序の保護者」という輝かしい主張は、国内の大きな矛盾、経済格差や人種差別などを基礎にしつつ、それらを覆い隠している。経済格差や人種差別をある程度までゆっくり進めることはアメリカの主流派、白人も受け入れられることだろうがそれを急進的に進めることは「革命」として捉える。

2016年と2020年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で善戦したバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は自身を革命家だと形容した。「民主社会主義者」にして「革命家」はアメリカでは多数派にはなれない。しかし、サンダースが述べていることは、日本やヨーロッパ諸国では何も過激なことではない。アメリカは自由主義、デモクラシー、資本主義を標榜し、世界をリードすると威張りながら、実際には内部に大きな矛盾を抱えている。その矛盾を解決しようという動きが出ると、それを「革命」と糾弾し、その動きを止めようとする。そうこうしているうちにうやむやで終わる。

 新型コロナウイルス感染拡大による社会的、経済的不安が広がる中、古典的とも言える白人警察官による無実のアフリカ系アメリカ人男性の殺害という事件が起きた。アメリカの抱える矛盾を解決しようという動きが出てきた。トランプ大統領はアメリカの抱える矛盾を象徴するような人物だ。彼が身の危険を感じ、軍隊を投入するとまで言及したことは

象徴的な発言である。衰退していくアメリカの叫び、とでも言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

エスパーは命令変更後にワシントンDC周辺にいる米軍将兵の内数百名に帰還を命令(Esper orders hundreds of active-duty troops outside DC sent home day after reversal

エレン・ミッチェル筆

2020年6月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/501232-esper-orders-hundreds-of-active-duty-troops-outside-dc-sent-home-day-after

マーク・エスパー国防長官は、ワシントンDCに入るために準備をしていた現役の米軍将兵数百名をそれぞれの駐屯基地に帰還させている。これは水曜日になされた帰還命令が同日に変更された後、また帰還命令が下された。

国防総省のある幹部は本誌に対して、国防総省は「首都地域に派遣されている現役部隊の一部を自分たちの駐屯基地に戻す決定を下した」ことを認めた。

この幹部は続けて、米軍上層部は「現在の変動の激しい状況を継続的に注視して」おり、首都地域にとどまっている現役部隊のメンバーたちの基地への帰還は「状況次第(conditions-based)」だと述べた。

多くの報道機関が報じているところでは、ノースカロライナ州フォート・ブラッグを基地とする第82空挺師団から派遣された将兵は首都地域に派遣されている1600名の米軍将兵の一部を構成している。この米軍将兵たちは、先週武器を持っていなかったアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドがミネアポリス市警察に殺害された後に発生している市民暴動に対応のために首都地域に派遣されたが、実際には使用されていない。

エスパー長官が将兵の基地への帰還を命じて2日の内に2回の命令変更が行われた。水曜日午前、エスパー長官は派遣されている米軍に基地に帰還するように命令を出した。しかし、同日に行われたホワイトハウスでの会議後に命令を変更した。将兵に対して、更に24時間、「高次の警戒」を保つようにという命令が出された。

首都地域へ派遣された将兵の帰還と命令が更に変更になったのは、ホワイトハウスのメッセージとエスパー長官の発言が異なるものとなった後だ。水曜日、エスパー国務長官は記者団に対して、1807年に制定された反乱法の適用を支持しないと述べた。この法律を使えば、トランプ大統領は、抗議活動に対応するために、現役の米軍将兵を全米に派遣することが可能となる。

トランプ大統領は月曜日、州知事たちが「制圧」をせず、州兵を派遣しないのならば、抗議活動を鎮めるために軍隊を派遣すると警告を発した。しかし、水曜日に録画されたインタヴューの中で、トランプ大統領はこの主張を続けないという姿勢を示唆した。

トランプ大統領は、自身の首席報道官を務めたシーン・スパイサーとのニュースマックでのインタヴューの中で、「状況によるでしょう。州兵の派遣はやらなければいけないということではありません」と述べた。

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国防総省の長はトランプ大統領に反対し、反乱法の適用に反対する(Pentagon chief breaks with Trump, opposes invoking Insurrection Act

レベッカ・キール筆

2020年6月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/500877-us-defense-chief-does-not-support-invoking-insurrection-act

マーク・エスパー国防長官は水曜日、トランプ大統領が、ジョージ・フロイドの死亡事件から発生している全米規模の抗議活動の中で、国内の法の強制(domestic law enforcement)を実行するために米軍を投入することができるようになる法律の適用を支持しないと発言している。

エスパー長官の発言はトランプ大統領の発言と対立するものだ。トランプ大統領は、各州の知事たちがデモ参加者たちを「制圧」しないならば、抗議活動を鎮めるために、現役の軍部隊(active-duty troops)を派遣すると警告を発した。

エスパー長官は水曜日の記者会見に置いて次のように発言した。「私は常に確信し、確信し続けているのですが、州兵はこのような状況下では実際の方の強制を支援するために、国内の自治体や役所を支援することに最も良いパフォーマンスを発揮する存在です」。

エスパー長官は続けて次のように述べた。「私は国防長官としてだけではなく、元兵士、そして元州兵として申し上げています。法の強制の役割に現役の軍部隊を使用するという選択肢は最終手段としてのみ、最も切迫した恐ろしい状況でだけで使用されるべきです。私たちは現在、そのような状況には立ち至っていません。私は反乱法(Insurrection Act)の適用を支持しません」。

フロイドがミネアポリス警察による拘禁行為の過程で殺害された先週から抗議活動は全国各地に拡大している。一人の警察官が8分間にわたりフロイドの首に膝を押し付け上からのしかかった。抗議活動参加者の一部は略奪行為の中、暴力行為を激化させている。

火曜日までに、28州の知事とワシントンDCの市長は、群衆のコントロールを支援させるために州兵の派遣を決定した。州兵総局の発表によると、火曜日の時点で2万400名の州兵が「市民暴動(civil unrest)」に対応しているということだ。

アメリカ軍は通常、アメリカの国土において法の強制を実行することは禁止されている。しかし、1807年に制定された反乱法ではこの禁止を乗りこえることができる。反乱法が最後に使用されたのは1992年のことで、ジョージ・HW・ブッシュ元大統領が、ロドニー・キング事件に端を発する暴動(Rodney King riots)を鎮めるために、カルフォルニア州知事の要請に基づいて適用を行った。

国防総省はいくつかの現役の陸軍部隊がワシントンDC地域に派遣され、必要と見なされればいつでも首都に入るために準備をしているということを認めた。エスパーの反乱法適用反対の発言は、国防総省が陸軍部隊の派遣を認めた後に行われた。

火曜日夜に国防総省首席報道官のジョナサン・ホフマンが発表した声明によると、ノースカロライナ州フォート・ブラッグからの歩兵1個大隊(infantry battalion、訳者註:1個大隊は300名から800名によって構成)、フォート・ブラッグからの憲兵旅団(brigade、訳者註:旅団は複数の大隊で構成)、ニューヨーク州フォート・ダラムからの憲兵1個大隊が「首都地区にある複数の基地にいるが、ワシントンDCには入っていない」ということだ。

ホフマン報道官は続けて次のように述べた。「合計で1600名の将兵は「高次の警戒の中にあるが、合衆国法典第10編の下にとどまっている。そして、修正や地方自治体の施策を支援することには参加していない」。

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催涙ガスが群衆に撃ち込まれる中、トランプ大統領が抗議運動参加者たちを鎮めるためにワシントンDCに軍隊を動員(Trump mobilizes military in DC to quell protests as tear gas fired into crowds

ブレット・サミュエルズ、モーガン・チャルファント筆

2020年6月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/500576-trump-mobilizes-military-in-dc-to-quell-protests-as-tear-gas-fired

月曜日、トランプ大統領は、全米各地で起きている抗議運動を取り締まるために、「連邦政府の全ての資源、文民と軍隊」を動員するだろうと述べた。トランプ大統領は自分自身を「法と秩序の大統領」だと宣言した。この時、警察はホワイトハウスの外に集まった抗議する人々を攻撃的に解散させた。

トランプ大統領はワシントンDCに軍隊を派遣すると述べた。そして、全米各州の知事たちに州兵を派遣して道路を「占拠(dominate)」するように求めた。知事たちがそれを拒否するならば、アメリカの各都市に軍隊を派遣するだろうと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「各市長と知事たちは、暴力が鎮静するまで、圧倒的な法の強制の存在を構築しなければならない。もし都市や州が住民たちの生命と財産を守るために必要な行動を取ることを拒絶するならば、私はアメリカ軍を派遣し、問題を即座に解決するだろう」。

州知事が要請することなしに、トランプ大統領が各州へ巡視のために米軍将兵を派遣する権限をトランプ大統領が持っているのかどうかは即座に明確にすることができなかった。国防総省のある幹部は、トランプ大統領は反乱法(Insurrection Act)を実行することはないと述べた。この法律は大統領にアメリカの国土に軍隊を派遣する力を与えている。この法律は1992年に最後に使用された。この時は、ロドニー・キング殴打事件で起訴された警察官たちに無罪評決が出された後に起きた暴動に対応するためだった。

トランプ大統領はまた、首都ワシントンDCにおいて、「暴動、略奪、破壊行為、暴行、財産の破壊を阻止するために、数千人単位の重武装した兵士たち、軍の将校、警察官を」派遣すると述べた。

トランプ大統領の発言は、ジョージ・フロイドの死亡事件の発生後にアメリカ国内で起きている分裂を促すことになった。トランプ大統領がローズガーデンで演説を行っているが、ホワイトハウスから道一つを挟んで位置するラファイエット公園に数百名の人々が集まり、4夜連続で抗議活動を行った。

トランプ大統領が演壇に立つ直前に大きな爆発音が数発聞こえた。平和的な抗議活動参加者たちに対して警察が催涙ガスを発射した。その前には、ウイリアム・バー司法長官がラファイエット公園への警察の配置について見直しを行った。

ワシントンDCの市長はワシントンDC全体への夜間外出禁止令(curfew)を出したが、午後7時から効力を発する予定だ。州兵は警察を支援するためにワシントンDCに集結している。ニューヨーク市やその他の都市部は無法な抗議活動を封じ込めるために同様の夜間外出禁止令を出している。

トランプ大統領は、ワシントンDCに夜間外出禁止令が出される場合、これは厳しく取り締まられることになるだろうと述べた。

武器を携帯していなかったアフリカ系アメリカ人のフロイドは、1週間前にミネアポリス市警察の拘禁によって殺害された。一人の白人警察官がフロイドの首に膝を押し付け、のしかかったのだ。その時の様子は周囲にいた目撃者たちによって映像として記録されていた。そして、インターネット上で拡散した。そして、アメリカ全土での大きな怒りを引き起こした。

ホワイトハウスのローズガーデンでのトランプ大統領の演説は、アメリカ全土が動揺している中で、トランプ大統領は正式な演説を行うべきか、そうではないかという議論がなされた後に、実施された。

しかし、トランプ大統領の準備された演説ではフロイドの死亡に関しては簡単に触れただけだった。そして、抗議活動を引き起こした警察の暴力については言及しなかった。その代わりに、トランプ大統領は無法なデモ参加者たちに対して、「法と秩序」が勝利するのだと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「 私の政権はジョージの家族に正義がもたらされるように完全に責務を遂行します。ジョージの死を無駄にすることはありません。しかし、私たちは、平和的な抗議活動の参加者たちの正当な叫びが怒りに任せて動く群衆によってかき消されることを許しません」。

トランプ大統領は演説の中で、ここ数日で起きている警察に対する攻撃と商店などに対する破壊行為の具体例を挙げた。抗議活動参加者に対する警察の暴力行為や活動家たちの負傷や死亡事例についてトランプ大統領は言及しなかった。

トランプ大統領は、ホワイトハウスの近くにある、歴史の長い聖ジョセフ教会に対する放火に言及し、この放火や他の事件について、「国内におけるテロ」だと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「私は皆さんを守るために戦います。私は皆さんのための、法と秩序(law and order)の大統領でありますし、平和的な抗議活動参加者の皆さんの仲間です。しかし、ここ数日、職業アナーキスト、暴力的な群衆、放火魔、犯罪者、暴動扇動者、アンティファ(antifa)、その他の人々がこの国を揺り動かしています」。

トランプ大統領は続けて「今回のテロを組織する人々に対しては、厳しい刑法上の罰を受け、刑務所に長期間入ることになる、ということを予め告知しておきます」と述べた。

トランプ大統領は演説終了直後、聖ジョセフ教会に徒歩で向かった。そして、政権幹部たちを従えて、板を打ち付けられた状態の建物を視察した。トランプ大統領は聖書を掲げ、写真を撮影させ、記者団に対しては、ホワイトハウスに向かう途中で、アメリカを「素晴らしく、そして安全な」国として保つと述べた。

抗議活動参加者たちを排除するために発射された催涙ガスの残留物が空気中に漂い、その中でジャーナリストたちはトランプ大統領の教会訪問を取材する中で、咳をしながらレポートしていた。

トランプ大統領は月曜日午前中の電話会議において、知事たちに対して道路を州兵で「占拠」する必要があると述べ、また各州の知事たちのデモに対する初期対応を「弱腰」だと非難した。トランプ大統領の言葉遣いは民主党所属の知事たちの一部からの批判を巻き起こした。こうした知事たちはトランプ大統領が緊張を更に申告させており、状況をさらに悪化させていると警告を発した。

イリノイ州知事JB・プリッツアー(民主党所属)はトランプ大統領との電話の中で、トランプ大統領の言葉遣いについて「大変な懸念を持っている」と述べた。プリッツアーは、ローズガーデンでのトランプ大統領の演説の後に、CNNに出演し、トランプ大統領は、トランプ大統領に熱を下げて欲しいと望んでいる人々からの忠告を聞きたがらないと述べた。

プリッツアーは次のように発言した。「大統領は法と秩序対自分たちの権利のために立ち上がっている人々という雰囲気を作り出したいだけなのでしょう。そして、彼はすぐに人々の諸権利を押さえつけてしまうでしょう」。

ローズガーデンでの大統領の演説は土曜日夜以来、初めてカメラの前で行われた発言である。土曜日の夜、フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地で行われたスペースXの歴史的な打ち上げについて大統領が演説を行ったが、その冒頭でフロイドの死亡と抗議活動について触れた。トランプ大統領はフロイドの殺害を「容易ならない悲劇(grave tragedy)」と呼び、一方で抗議活動の参加者たちが破壊活動を行っていると批判し、アンティファ(antifa)と「いくつもの急進的な左派グループ」による暴力的なデモを非難した。

全米各地でのデモは過去48時間の間に緊張感を高めている。警察は群衆に向かって催涙ガスやゴム弾を発射し、抗議運動の参加者たちの一部は略奪と破壊行為を行っている。

抗議活動は先週から週末にかけて、フロイドが殺害されたミネアポリスで発生し、全米各地に拡大している。こうした中で、トランプ大統領は抗議活動についてコメントを行った。トランプ大統領は初源の言葉遣いについて批判を受けている。共和党の一部からは大統領のツイートは問題解決に役立っていないとしている。

トランプは金曜日午前中、ミネアポリスの抗議運動参加者たちは「暴漢たち」だと述べ、「略奪(looting)が始まれば、射撃(shooting)も始まる」と警告を発した。この言葉は、公民権運動が盛んな時代に、アフリカ系アメリカ人居住地域に対する攻撃的な警察の施策について、白人のマイアミ市警察本部長が使ったものだ。トランプ大統領は先週、この言葉の起源について関知しないと主張した。

週末にホワイトハウス周辺で抗議活動が激化した後、ホワイトハウスにあまりに近づきすぎるならば、デモ参加者たちは「危険な犬たち」と「強力な武器」に直面することになるだろうとトランプ大統領は警告を発した。

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