古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アントニー・ブリンケン

 古村治彦です。

 私が著書『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(2021年)で取り上げ、最近になって、ヴェテランのジャーナリスト歳川隆雄氏が記事で取り上げた、ワシントンに本拠を置くコンサルティング会社ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社についての記事をご紹介する。ジョー・バイデン政権には、ウエストエグゼク社出身者が数多く入っており、代表格としては、アントニー・ブリンケン国務長官、アヴリル・ヘインズ国家情報長官、イーライ・ラトナー国防次官補などがいる。共和党のドナルド・トランプ政権時代には、こうした人々は、ウエストエグゼク社で働き、クライアント企業の問題解決のために活動していた。ウエストエグゼク社のクライアントは公表されていないが、創設者のミシェル・フロノイ元米国防次官(バラク・オバマ政権)と国防産業との関係が密接で深いために、国防産業の各企業がクライアントになっていると考えるのが自然だ。
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ミシェル・フロノイ

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林芳正外相(当時)との夕食会にて(一番奥・2022年)
 ウエストエグゼク社とバイデン政権の関係については、今年に入って、ウエストエグゼク社の現役の幹部社員が米国防総省戦略資本局のコンサルタントとして、兼職して働くことになり、「この兼職は大丈夫か、倫理上の問題はないのか」「利益相反問題は大丈夫か」という声が上がった。ウエストエグゼク社のクライアントが米国防総省から仕事を受けるというようなことが起きる場合、兼職のコンサルタントがその地位を利用して、有利な契約を結ぶというようなことが起きるのではないかという懸念がある。

 ここでポイントは米国防総省に新たに新設された戦略資本局という部局の存在である。この戦略資本局創設の目的は、「動きの鈍い連邦官僚機構(federal bureaucracy)と、ベンチャーキャピタルの支援を受けた最先端の仕事(cutting-edge work)をする民間企業とを結びつけること」「国家安全保障にとって極めて重要なテクノロジーに対する民間投資を拡大させる」となっている。国防に関わる重要な武器はハイテク化が進んでいる。武器開発、武器の基礎となる技術開発は政府だけで担えるものではない。民間部門も参加しなければならない。官民連携、官民協調を調整し、促進するのが戦略資本局ということになる。そこに、ウエストエグゼク社のコンサルタントが、ウエストエグゼク社に在籍のままで特別政府職員として入ったということはそうした関係構築、調整のためということになる。
 軍産複合体(military-industry complex)という有名な言葉(ドワイト・アイゼンハワー大統領が退任演説で使った)がある。アメリカ軍と民間国防企業が結びつき、肥大化し、税金を食い物にするということは第二次世界大戦後の冷戦期からずっと続いている。現在は、中国を標的として、アメリカ軍と民間国防産業は無図美月を深めている。また、官民協調は、中国の特徴でもあり、それを模倣しようとしている。バイデン政権は、日本研究の泰斗故チャルマーズ・ジョンソンが通産省研究を行って発見した、「産業政策」を採用している。アメリカの国防分野における「産業政策」の推進役がウエストエグゼク社ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

回転ドアを通じて実現するかもしれない「偉大な三人組」(A Revolving-Door Trifecta

-本日の重要ポイント:国務省で同じことが繰り返されるかもしれない。

ロバート・カットナー筆

2023年8月25日

『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌

https://prospect.org/blogs-and-newsletters/tap/2023-08-25-revolving-door-trifecta/

現在、ホワイトハウスで国家安全保障会議インド太平洋担当調整官(White House coordinator for Indo-Pacific Affairs at the National Security Council)を務めるカート・キャンベルが、国務副長官(deputy secretary of state)に就任する可能性があると報じられている。これは、グローバルな貿易政策が国内の産業や労働の目標に役立つことを望む人々にとっては、あまり良いニューズではない。

キャンベルはヴェテランである。彼は2013年までオバマ政権下で東アジア・太平洋担当国務次官補(assistant secretary of state for East Asian and Pacific Affairs)を務めたが、その後政府を離れ、様々な企業をクライアントに持つコンサルティング・ロビイング会社「ジ・アジア・グループ(The Asia Group)」を設立した。キャンベルは政府とのコネクションやアクセスを利用して、クライアントたちの利益に貢献した。キャンベルは、現在のアメリカでは廃案となっているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定、Trans-Pacific Partnership)の強力な推進者であった。このTPPは表向きには貿易取引の促進の仮面をかぶった、企業の希望リストに過ぎないものだった。
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カート・キャンベル

もしキャンベルが国務副長官に指名され、承認されれば、革命的な経歴を持つ他の2人の外交政策高官に加わることになる。本誌が既に報じているように、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、キャンベルと同じく、民主党がホワイトハウスから離れている間、企業コンサルタントとして有利なキャリアを積んでいた。主な顧客はウーバーだった。
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ジェイク・サリヴァン

外交政策に関する回転ドア三人組の最後を飾るのは、トニー・ブリンケン国務長官だ。ブリンケンは、ジョー・バイデン政権に、イーライ・ラトナー国防次官補(インド太平洋担当)を含む12人以上の高官を送り込んだコンサルティング会社「ウエストエグゼク(WestExec)」社の共同設立者兼マネージング・パートナーだった。本誌のジョナサン・ガイヤー編集長(当時)がウエストエグゼク社に関するこの見事な調査記事で書いているように、この会社のクライアントは「技術や防衛において物議を醸すような利害関係を持っており、その元コンサルタントが現在設定し実行する立場にある政策と交錯している」。
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アントニー・ブリンケン

このような回転ドアのパターンは、明示的・黙示的な利益相反(conflicts of interest)という点で十分に悪質である。もっと陰湿なのは、国家の安全保障について、経済的な概念よりも軍事的な概念に重きを置くメンタリティを強化することだ。米国企業や投資銀行家の利害が絡む経済的な深い問題を追及するよりも、狭義の軍事・技術問題に目を向けたタカ派的な対中外交政策を構築する方が簡単なのだ。

キャンベルは当初、中国をグローバル貿易システムに参加させることが、より民主的で市場志向の国家(more democratic and market-oriented nation)への移行(transition)を促進するという見解を共有していた。現在は、狭義の国家安全保障に関しては、対中国タカ派(China Hawk)となっている。

しかし、キャンベルの貿易に関する見解や、労働者中心の経済を構築するというバイデノミクス(Bidenomics)の国内的な願望との関連性には、並行した進化は見られない。これは、提案されているインド太平洋経済枠組(IPEFIndo-Pacific Economic Framework)のようなイニシアティヴの詳細が、輸出規制に関するバイデンの大統領令の詳細と同様に、まだ非常に未確定であるためだ。

キャンベルにはもう一つ、ホワイトハウスとの深いつながりがある。彼はバイデン政権の国家経済会議議長であるラエル・ブレイナードと結婚しており、ブレイナードもまた、貿易に関する見解は新潮流というよりはむしろ旧態依然としたリベラル派である。つまり、この政権の中心は、通商政策を国内経済政策と緊密に結びつけることから離れている。

必要なのはもっと異論を唱えることであり、自分の意見を強めるための、エコーチェンバーを増やすことではない。悲しいことだが、異端児(outliers)はトランプ政権時代に企業コンサルタントとして働いていなかった人々だ。例えば、キャサリン・タイ米通商代表(U.S. Trade Rep)は、古い企業版自由貿易を取り壊す必要性に厳しい。しかし、タイはクラブのメンバーではない。

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ペンタゴン(米国防総省)が民間部門と提携することに関する倫理上の厄介な諸問題(The thorny ethical issues of the Pentagon partnering with the private sector

―企業コンサルタントと米国防総省顧問を同時に務めることは法律上問題ではないのか。

ジョナサン・ガイヤー筆

2023年4月28日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/politics/2023/4/28/23698006/pentagon-investing-capital-ethical-gray-areas-consulting

※ジョナサン・ガイヤーは『ヴォックス』誌で外交政策、国家安全保障、世界情勢の記事執筆を行っている。2019年から2021年まで『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌に勤務し、編集長としてジョー・バイデン、ドナルド・トランプ両政権の外交政策ティームを取材した。

ここ数年、連邦政府内で、情報機関や軍事機関が次々と新設されているが、その最大の目的は、動きの鈍い連邦官僚機構(federal bureaucracy)と、ベンチャーキャピタルの支援を受けた最先端の仕事(cutting-edge work)をする民間企業とを結びつけることである。

いくつかの軍事機関や情報機関がベンチャー・キャピタル・オフィスを立ち上げ、ジョー・バイデン大統領のティームが実行しているCHIPS法(半導体関連法)は、アメリカのハイテク製造部門を発展させるための官民パートナーシップを前提としている。

公益と企業利益の境界線が曖昧であることを考えると、こうした努力は倫理的な問題を引き起こす可能性がある。そして、最近のキャリア上の動きが、そのような問題を物語っている。

今週、弁護士のリンダ・ロウリーは、米国防総省に新設された戦略資本局(Office of Strategic CapitalOSC)に非常勤のコンサルタントとして勤務することを発表した。彼女はリンクトイン(LinkedIn)に、「国家安全保障を支援するために、新興の最先端技術(emerging and frontier technologies)に民間資本を誘致し、その規模を拡大する」ことに貢献できることに、いかに興奮しているかを投稿した。

しかし、際立っていたのは、ロウリーがウエストエグゼク・アドヴァイザース社(WestExec Advisors)という、ハイテク企業や防衛関連企業を扱うワシントンの巨大なコネクション・コンサルタント会社での民間部門の仕事を辞めないということだ。戦略資本局の仕事は、ウエストエグゼク社が提供するサーヴィスと酷似している。現在、彼女は民間部門と公的部門で同時に働いていることになる。

ロウリーの兼職は厄介事に見えるが違法ではない。バラク・オバマ政権の倫理担当トップを務めたウォルター・シャウブは私の取材に対して、「企業の顧問に国防に関する仕事をさせることは、国民の利益を最優先するための理想的な方法とは思えない」と答えた。
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リンダ・ロウリー

「私は異なる組織で同時に働くことになるが、それぞれの組織は異なる問題を取り扱っており、利益相反(conflicts of interest)が起きるとは想定していない。しかし、利益相反が起こらないように細心の注意を払う」と、LinkedInで、シャウブの発言に対して、このように投稿した。(私はロウリーとウエストエグゼク社に対してコメントを求めたが、回答は記事執筆時点で得られていない)。

時代遅れの安全保障法が、何百人もの命を奪ったのかもしれない。

米国防総省はその原則を繰り返し、ロウリーが具体的な投資決定に携わることはないと述べた。

米国防総省の広報担当者は声明の中で、「こうした職員たちは、我が国の重要技術への民間部門の投資に関して情報を拡散し、奨励するという米国防総省の役割に関連する、広範な政策議論に貢献するために雇用されている。米国防総省の倫理担当官は、特別政府職員(special government employees)に対し、倫理規則に関する明確なガイドラインを提供し、特に利益相反を回避する方法を教えている」と述べた。

しかし、政府倫理の専門家によれば、こうした政策協議の中で利害の対立が生じなかったことを確認するのは難しいということだ。ロウリーのように「特別政府職員(special government employees)」として雇用する場合、国民への情報開示は少なくて済む。より広く言えば、ロウリーが活動しているグレーゾーンは、民間企業と政府を結びつけることが何を意味するのか、利益を得るのはアメリカ国民なのか企業なのかという、より大きな問題につながっている。

核心的な問題は、ロウリーの兼任が特別なことなのか、それとも今日の政府のあり方を代表するものなのかということだ。戦略資本局によれば、特別政府職員として採用された職員は、ロウリー以外には1人しかいないと発表している。しかし、政府全体で実質的な役割を担うこうした任命者が増えていることは、同様の問題を引き起こす可能性がある。

民間企業とのつながりに油を差すような(grease connections)役所が増え、政策立案者だった人間たちが政府を離れると回転ドアを利用して企業コンサルティングに参加し続けるので、この問題は今後も起こり続けるだろう。

●政府が民間部門の助けを求める時(When the government seeks the private sector’s help

2022年12月、米国防総省は戦略資本局を創設した。この部局の目的は、国家安全保障にとって極めて重要なテクノロジーに対する民間投資を拡大させるというものだ。

多くの新しい軍事技術の最大の消費者となるのは、もちろん政府であることが多い。しかし、米国防総省との契約には何年もかかることがあるため、新興企業が連邦政府の官僚機構に入り込むのに苦労することも多い。それは「死の谷(valley of death)」と呼ばれ、過去20年間、新興企業が米国防総省に入る際に直面するハードルを克服するために、様々な新しい部門が設計されてきた。これはまた、2017年にアントニー・ブリンケンと共同でウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社を設立したオバマ政権下の米国防総省の高官を務めた、ミシェル・フロノイが幅広く研究してきた重要な政策分野でもある。

2019年、フロノイは、アメリカが技術的優位性(tech superiority)を維持する方法についての記事を共同で発表した。この記事の中で一つの提案を行っている。それは、「政府は、重要な技術や資源の供給者を民間資本につなげる手助けをすることもできる」というものだ。これは、戦略資本局の目的と同じだ。

2024年度米国防総省予算で、バイデン政権は戦略資本局への資金提供として1億1500万ドルを求めており、最終的には融資や融資保証などの金融ツールを利用して関心のある新興企業を後押しすることになる。初年度は主に研究で構成される。リンクトインによると、現在オフィスの一員としてリストアップされているスタッフはほんの一握りだという。投資ツールを展開する新たな当局を模索する中で、同局は中小企業庁の投資プログラムと提携した。

戦略事務局の背後にあるアイデアは新しいものではない。陸軍と空軍における投資の取り組みと、2015年に発足したインキュベーターである国防技術革新ユニット(Defense Innovation UnitDIU)を基盤としている。国防技術革新ユニットが支援して数十億ドルの成功を収めた新興企業の中には、軍事技術企業の「アンドゥリル」社がある。

3月末にシリコンヴァレー銀行が破綻した際、多くの軍事技術系新興企業が経済的ストレスに晒された。プレスリリースによると、戦略資本局は「米国防総省や他の政府の同僚と積極的に協力し、国家安全保障コミュニティを擁護」し、「危機に対する国家安全保障関連の影響を常に監視」していた、ということだ。

●政府と民間企業で同時に働くことの何が問題か(What’s off about working for government and the private sector at once

官民パートナーシップは成功を収めているが、倫理的な問題を引き起こす可能性がある。

利益相反が主要の懸念事項である。そのため政府職員は勤務先、投資先、顧客、資産を申告で開示し、倫理担当官や上司と連携してえこひいき(favoritism)を避け、自身の経済的利益に影響を及ぼす可能性のあるプロジェクトに携わらないようにする。

民間部門と密接な関係を持ち、政府の請負業者を雇用する職務は特に問題を引き起こす。国防技術革新ユニットのCFOによると、2018年から2022年までに国防技術革新ユニットのディレクターを務めていたマイケル・ブラウンは、非倫理的な雇用や契約に関与していたとされている。これらの苦情は米国防総省監察官によって立証されず、昨年ブラウンは潔白を証明された。しかし、この出来事により、ブラウンはバイデン政権下での米国防総省の幹部への指名を受けられなかった。

リンダ・ロウリーのような非常勤職員は「地雷(landmines)」となる可能性がある。

ロウリーは、ジョー・バイデン大統領のホワイトハウスの科学技術政策事務局(Office of Science and Technology Policy)に勤務していた。彼女が退職し、2022年にウエストエグゼク社に入社した際、ウエストエグゼク社は、「リンダの豊富な知識ベースを活用し、クライアントが戦略的機会を活用できるよう支援する」と述べた。ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社は、大手ハイテク企業、大手銀行、主要な軍事請負業者(military contractors)、新しい防衛技術の新興企業などをクライアントに持つ。ウエストエグゼク社は、「プライヴェート・エクイティや多国籍企業と新興テクノロジー」を結びつけることを専門としてきた。

ロウリーが特別政府職員(special government employeeSGE)に指定されたことで、彼女はクライアントを公にすることなく、政府とウエストエグゼク社で同時に働くことができるようになった。

特別政府職員とは、365日のうち130日以内しか働かないという人を指す。パンデミック(世界的大流行)の規制の中で官僚機構がゆっくりと動いていた新型コロナウイルスの初期には、特別政府職員の活用は合法的だったのかもしれない。そして、特定の問題に対して技術的な知識が必要とされる場合には、役に立つ分類でもある。2011年から2013年まで政府倫理局の局長代理を務めたドン・フォックスは、「特別政府職員オプションの大きなメリットの一つは、他の方法では得られないような人材を、限られた期間だけ集めることができる」と言う。

しかし、この特殊な特別政府職員の役割は、政府請負業者として働く、連邦政府の諮問委員会の委員を務めるなど、民間部門のアドヴァイザーが通常果たす可能性のある他の役割よりも透明性が低い。セントルイスにあるワシントン大学のキャスリーン・クラーク教授(法学)は、「後者はより倫理的な保護措置があり、公開会議の要件など、より透明性が高い。この種の特別政府職員には当てはまらない」と述べている。

米国防総省広報官は、「特別政府職員に指定された職員は、広範な政策協議に職務を限定され、特定の投資に関する協議には参加しない」と述べた。

しかし、監視団体「リヴォルヴィング・ドア・プロジェクト」のジェフ・ハウザーは、この特別政府職員の役割は政府の権限を搾取的に利用することになるのではないかという懸念を持っている。ハウザーは私の取材に対して、「あなたが政府で取り組んでいる決定について、特定の結果に継続的な関心を持つ団体に雇用され続けているという事実を無視するには、人間の頭脳の中に防火壁を作ることが必要であり、そんなことは不可能だ」と答えた。

直近のデータが利用な暦年である2021年には、約1600名の特別政府職員たちが国防長官事務局で働いていた。

複数の専門家によれば、注目されるような採用のために特別政府職員を使いすぎることは、政府の倫理執行に対する信頼を損なう可能性がある。この呼称を使用した最も著名な人物は、バイデン政権におけるアニタ・ダンだ。アニタ・ダンは大統領上級顧問としてホワイトハウスを出入りし、短い任期の間、クライアントや金銭的利害関係の公表を避けていた。次期国務省報道官のマット・ミラーは、ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、ホワイトハウスの通信担当官として働いていた特別政府職員だったと見られる。

この傾向はおそらくドナルド・トランプ政権ではより顕著で、国務省のウクライナ特使カート・フォルカーのような著名な人物が任命された。ホワイトハウスのエメット・フラッド弁護士は特別政府職員としてスタートし、後にフルタイムに変更された。アイルランド特使を務めていたミック・マルバニーは、この指定を受けて働いていた。しかし、トランプ政権の大胆かつ前例のない倫理的不正行為によって、バイデン政権における厄介な力学を曖昧になるということがあってはならない。

2013年から2017年まで、オバマ政権下で政府倫理局を率いていたシャウブは、ロウリーは潜在的な対立を緩和するために積極的な透明性対策を取ることができると指摘する。大きな懸念は、既にバイデン政権と数多くのつながりを持つウエストエグゼク社が、同社に関連する仕事を政府機関で行っている人物タイルことで、極めて有利な立場に立つのではないかということだ。

現在は政府監視プロジェクトにいるシャウブは私の取材に対して、「ロウリーは、ウエストエグゼク社の仕事におけるクライアントを公表し、また政府での仕事について情報公表することもできる。もちろん、それは自発的な情報開示になるだろう。世論は厳しく当たることになるだろう。政府は国民に、この人事によって利益相反は起きないという、具体的な保証をする義務がある」と語った。

官民で同時に兼職をしているのはロウリーだけではない。ニュー・ビスタ・キャピタルの航空宇宙・防衛部門の投資家を務めているカーステン・バートク・トゥー(Kirsten Bartok Touw)も、戦略資本局のアドヴァイザーを務めている。
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カーステン・バートク・トゥー

米国防総省の戦略資本局は新設の部局のため、その仕事の責任が明確ではない可能性がある。米空軍事績法務顧問を務めた経験を持つドン・フォックスは私の取材に対して、「役割については定期的に最新情報を知りたいと思う。全く新しい職務やオフィスでは、これが反復的なものになる可能性がある」と語った。新しい部局の業務範囲は変化する可能性がある。

現在の倫理法や主要な改革の多くは、ウォーターゲート事件後に生まれ、トランプ政権はその限界と執行を試した。フォックスが言うように、「一般の人々の認識は、ある意味、全てだ」ということである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 私は2021年5月、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)を出版した。ジョー・バイデン政権が発足して4カ月ほど経過した時期だった。この本を実際に企画したのは2020年12月、書き始めたのは2021年1月頃のことだった。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 私はバイデン政権が発足する時点で「ヒラリー・クリントン政権でありかつ、第三次バラク・オバマ政権だ」と判断し、その顔触れについて調査するうちに、コンサルティング会社「WestExec Advisors」社の存在に行きついた。そして、この会社出身の人物たちが多くバイデン政権に入っていることに驚いた。そして、詳細にそれぞれの人物たちの名前を挙げて、バイデン政権がどのような政策を採用するかを予測した。それは「中国とロシアに戦争を仕掛ける」ということだった。実際にはロシアがウクライナに侵攻するという形になったが、世界は「戦争状態」になってしまった。

 今回、講談社の運営するウェブサイト「現代ビジネス」で連載を持っている、歳川隆雄というアメリカ政治ジャーナリストの大ヴェテランが、「WestExec Advisors」社の存在に注目する内容の記事を掲載した。その内容は、拙著の内容とほぼ同じだ。ここで日本人らしく、謙譲の美徳を発揮して、「おこがましいことだが」「光栄なことに」と書くべきだろうが、そういう取って付けた言葉がいらないほどに、同じである。それは、拙著をお読みくださった読者の皆さんもそのように判断されるだろう。拙著には人物の経歴や顔写真も入っているので、大変親切な内容になっている。

 拙著が出ても、あまり大きな反響はなかった。それは私の影響力のなさということがある。歳川隆雄氏のような著名な方が取り上げれば、少しは日本国内で話題になるだろう。そして願わくば、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』にも注目してもらえることを願う。「何を言うか、ではなく、誰が言うか」という言葉もある。歳川氏の記事の内容に興味を持ち、より詳しく知りたいと思われる方は、是非拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』をお読みください。

(貼り付けはじめ)

●「米バイデン政権「国務副長官」の後任は…政府要職を占めるコンサル出身者のからくり」

歳川隆雄

2023年9月2日

現代ビジネス

https://news.yahoo.co.jp/articles/7744b80ba025f3964822e13a3ff4810de0320930?page=1

https://news.yahoo.co.jp/articles/7744b80ba025f3964822e13a3ff4810de0320930?page=2

■国務副長官に二人の候補

 米バイデン政権のウェンディ・シャーマン国務副長官が728日に退任後、同ポストは空席だった。だが、今週になって米ワシントンの政界雀の間で後任の国務副長官候補の名前が話題になっている。

 最有力候補とされるのは、カート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官である。米リベラル系メディアThe American Prospect(825 日付オンライン記事)が報じた。米誌ビジネス・ウィークの元コラムニストで、80歳現役のロバート・カットナー氏が寄稿した。

 818日にメリーランド州のキャンプデービッド(大統領の山荘)で行われた日米韓首脳会談の共同声明とりまとめからロジスティックまで統括したのがキャンベル氏だ。

 もう一人の候補は、ジョー・バイデン大統領のスピーチライターであるジョン・ファイナー大統領次席補佐官である。バイデン氏がオバマ民主党政権副大統領時代の国家安全保障担当補佐官だったイーリー・ラトナー国防次官補(インド太平洋担当)と共にバイデン氏を支えたことは周知の通り。

 日本でも馴染みが多く「知日派」として知られるキャンベル氏だが、2013年にコンサルティング会社「アジアグループ」を設立し、中国進出を目指す防衛関連企業やIT企業に助言を行うなどビジネス志向が強すぎるとの指摘もあったことが思い起こされる。それ故に、上院での人事承認が難航するとの懸念が少なくない。

 ここで筆者が注目するのはThe American Prospectのカットナー氏の寄稿文だ。同記事には次のような件がある。《彼は政府とのコネクションやアクセスを利用して彼らの利益に貢献した。キャンベルは基本的に貿易利益の仮面をかぶった企業の希望リストであった。今は廃案となったTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の大きな推進者でもあった。もし国務副長官に指名され、承認されれば、キャンベルは回転ドアの経歴を持つ他の2人の外交政策高官に加わることになる》。

■政府要職を占めるコンサル出身者

 かなりショッキングな内容だ。この「他の2人」とは、バイデン大統領の最側近であるアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)その人である。「えぇ~ブリンケンとサリバンもその手合いなの?」という声が聞こえてきそうだ。

 詳細を極めた同誌調査報道によれば、注目すべきはワシントンに本拠を置くコンサルティング会社WestExec Advisorsの存在である。そして同社の共同設立者がブリンケン国務長官であり、国防総省でインド太平洋政策を担うラトナー氏もまた同社出身というのである。早速、英語版ウィキペディアでWestExec Advisorsを検索し、そして驚いた。

 共同設立者・パートナーとして最初に写真付きで名前が記述されていたのはミシェル・フロノイ元国防次官(政策担当)である。もちろん、オバマ民主党政権時代だ。その他、幹部として名前を連ねているのはジョン・ブレナン元米中央情報局 (CIA)長官、ビンセント・ブルックス前在韓米軍司令官(退役陸軍大将)、エリック・グリーン元米NSCロシア担当上級部長、エミリー・ホーン元大統領特別補佐官(広報)、ダニエル・ラッセル元国務次官補(東アジア・太平洋担当)、ビクラム・シン元国防次官補代理(南アジア担当)など歴代民主党政権の要路を占めた人物の名前が続く。CIAを含む16の米情報機関を継活するアブリル・ヘインズ国家情報長官もまた同社出身である。

 そして肝心なのは、ブリンケン氏、フロノイ氏に加えて、セルジオ・アギーレ元駐国連米大使首席補佐官、ニティン・チャダ元国防長官上級顧問の4人が2017年の同社創設メンバーであることだ。確かに、米国では4年に1回の政権交代時に「人材の回転ドア」と呼ばれる政府と民間の人材交流が実施される。それでも政府元高官と、せいぜい有力シンクタンク幹部の入れ替えが一般的だったと思う。

 日本では想像外の政府要路への人材供給システムなのだ。米国は「情報先進国」であるが、ふと頭に浮かんだ言葉は最近メディアで頻繁に見かける「忖度」と「便宜供与」であり、「情報リーク」と「機密流出」である。如何お考えだろうか――。

歳川 隆雄(ジャーナリスト)

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(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今年の5月、ジョー・バイデン大統領の国内政策担当大統領補佐官・ホワイトハウス国内政策会議議長を務めた、スーザン・ライスが退任した。ライスは外交政策の専門家として知られ、バラク・オバマ政権では国家安全保障問題担当大統領補佐官と米国連大使を務めた。2つの役職は共に閣僚級のポジションだ。オバマ政権下での国務長官就任が確実視されていたが、2011年のリビア・ベンガジ事件についてテレビ番組に出演しての発言で大きな批判を浴び、連邦上院の人事承認が必要な役職に就くことが不可能になった。
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バラク・オバマとスーザン・ライス
 ジョー・バイデン政権が発足し、ライスは国内政策担当大統領補佐官・ホワイトハウス国内政策会議議長に起用された。ライスは大学院時代から外交政策畑一筋であったため、国内政策担当に起用されたことは驚きをもって迎えられた。ライスは国内政策担当大統領補佐官・ホワイトハウス国内政策会議議長として、新型コロナウイルス感染拡大阻止、学生ローン救済問題、糖尿病患者に必要なインシュリンの上限額設定、移民問題、南部国境問題などを担当した。よりはっきりと書けば、副大統領格として政権内部を取り仕切った。政権発足から2023年2月までバイデン大統領の首席補佐官となったロン・クレインとスーザン・ライスはオバマ政権下においてエボラ出血熱対応でタッグを組んだ間柄であった。バイデン政権の国内問題はライスが対応したということになる。カマラ・ハリスにはそうした能力がないということは分かっていたから、スーザン・ライスが起用された。スーザン・ライスが退任と言うのは国内問題についての一応の対応が終わったという政権内の判断もあるだろう。

そして、後任にはニーラ・タンデンが起用された。タンデンは国内政策の専門性を持ち、ビル・クリントン政権時代からホワイトハウスで働いていた。ファースト・レイディだったヒラリーの国内政策担当補佐官を務めた経験を持つ。また、オバマ政権下では医療保険制度改革(オバマケア)で重要な役割を果たした。バイデン政権では大統領上級顧問(医療保険制度・デジタル担当)、大統領秘書官を務めてきた。
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ニーラ・タンデンとジョー・バイデン

  ニーラ・タンデンはヒラリー派のど真ん中の人物であり、カマラ・ハリスとの関係も深い。タンデンは自身が設立メンバーとなり2003年に創設されたシンクタンク「アメリカ進歩センター(Center for American ProgressCAP)」において2011年に所長となった。このCAPはヒラリー派の牙城である。タンデン自身も「クリントン・ロイヤリスト(Clinton Royalist):ヒラリー・クリントンの忠実な支持者」と『ニューヨーク・タイムズ』紙に報道されたことがある。

そして、カマラ・ハリス副大統領の妹であるマヤ・ハリスが研究員を務めていた。タンデンとハリス姉妹にはインド系という共通点もある。CPAという場所と妹を通じて、ヒラリー・クリントンとカマラ・ハリス副大統領はつながっている。そのキーパーソンがニーラ・タンデンである。

カマラ・ハリスはバイデン政権一期目のここまで、目立った仕事はさせてもらえない。南部国境問題を担当させてもらったが、うまくいかなかった。国内政策担当大統領補佐官がスーザン・ライスということで、ライスに対して批判は集まったが、ハリスはほぼ無視されている状況だ。批判さえされないというのは、「好き嫌い」を超えての「無関心」ということになる。ハリスは透明人間のような存在感だ。ライスが退任し、タンデンが国内政策担当大統領補佐官・国内政策会議議長就任で、ハリスの存在感が増すことになるだろう。より正確に言えば、ヒラリーの代理人として行動するということになるだろう。
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ヒラリー・クリントンとマヤ・ハリス
 タンデンはバイデン政権発足時にホワイトハウス行政予算管理局長に指名された。この役職は連邦上院の人事承認が必要だ。タンデンはツイッター上で共和党を攻撃していたが、それだけでなく、同じ民主党内の進歩主義派や保守派を揶揄し批判した。そのために、人事承認を得られずに、就任は否決された。「タンデンはヒラリー派の重要人物だ」ということで、人事が否決させたことも考えられる。そのタンデンがバイデン政権で重要な役職に就くことになった。
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カマラ・ハリスとヒラリー・クリントン(若い頃)

今回の人事について考えられることは、バイデン政権二期目はヒラリー色が強まるということだ。スーザン・ライスはベンガジ事件によって国務長官就任の可能性を断たれた。ベンガジ事件はヒラリー・クリントン国務長官(当時)の失策であったにもかかわらず、だ。そのため、ライスにはヒラリーのために働く気などない。ヒラリー色が強まる、ヒラリー院政と言うべきバイデン政権二期目に付き合う義理などない。アントニー・ブリンケン米国務長官、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官もバイデン政権一期目で退任するだろう(サリヴァンが国務長官に就任する可能性は残っているが)。大統領の任期8年間を全うするというのは大変なことだ。外交政策分野の重要な役職でヒラリー系の人物たちがバイデン政権二期目になって登場してくるということになると、2024年からの世界は不安定化するということになる。それまでにウクライナ戦争は停戦しておかねばならない。また、世界に不安定をもたらす要素をできるだけ減らしておく必要もある。

 宣伝になって恐縮だが、ここに出てくる人物たちは全て拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げている。バイデン政権について理解するためには拙著は非常に有効であると自負している。今からでもぜひ読んでいただきたい。

(貼り付けはじめ)

スーザン・ライスがバイデン大統領の国内政策担当大統領補佐官を退任(Susan Rice to step down as Biden domestic policy adviser

アレックス・ガンギターノ筆

2023年4月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/3966064-susan-rice-to-step-down-as-biden-domestic-policy-adviser/

ジョー・バイデン大統領は月曜日、スーザン・ライス国内政策担当大統領補佐官が退任すると発表した。

ライスはバイデン政権発足当初から補佐官を務め、銃乱射事件から学生ローンまで、政治色の強い国内問題を数多く担当した。バイデン大統領は声明の中でライスの功績を称揚し、「スーザン・ライスほど能力が高く、アメリカ国民のために重要な事績を成し遂げようとする決意に満ちた人物は存在しない」と述べた。

バイデンは続けて次のように述べた。「リーダーとして、また同僚としてのライスを際立たせている要素は、彼女が自分の役割に真剣に取り組み、緊急性と粘り強さをもたらすこと、行動と結果に対する彼女の方向性、そして彼女がこの仕事に取り組む誠実さ、謙虚さ、ユーモアである」。

バイデン大統領はライスの退任日がいつになるかは明言しなかったが、NBCは彼女が5月26日にホワイトハウスを去る予定であると報じた。

バイデンがこれから選挙モードに突入し、早ければ火曜日にも再選を表明すると見られている中でのライスの補佐官退任発表となった。

バイデン政権の移民問題や南部国境の危機への対応には批判が集まっている。またジェフ・ザイアントが新しい大統領首席補佐官が就任してわずか数カ月後に、ライスの退任が発表された。NBCによると、ライスとザイアントは高校時代からの知り合いだということだ。

ライスはオバマ政権時代に国家安全保障問題担当大統領補佐官と国連大使を務めた。バイデンは声明の中で、ライスの外交政策における経歴に触れ、彼がライスを国内政策最高責任者に指名した当初は人々を驚かせたと述べた。

バイデンは、ライスが国家安全保障問題担当大統領補佐官と国内政策担当大統領補佐官の両方の役職を担当できる能力を持つ唯一の人物であることを指摘した。

バイデンは、医療保険制度改革法(オバマケア)の拡大、国家精神衛生戦略への取り組み、インシュリン費用35ドルの上限設定、銃乱射事件削減への取り組み、警察改革の推進、マリファナへの新たなアプローチの設定、学生の債務救済、移民制度への取り組みなど、彼女の功績に感謝した。

バイデン大統領は「功績を挙げれば切りがないが、どれもスーザンなしでは実現不可能だっただろう」と述べた。
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スーザン・ライスがバイデン大統領の国内政策担当大統領補佐官を退任(Susan Rice to Step Down as Biden’s Domestic Policy Adviser

-ライスはバイデン政権でより政局化されている諸問題のいくつかを監督してきた。それらの問題の中には銃規制、学生ローン救済、移民が含まれる。

ゾラン・カンノ=ヤングス、アイリーン・サリヴァン筆

2023年4月24日

https://www.nytimes.com/2023/04/24/us/politics/susan-rice-biden.html#:~:text=WASHINGTON%20%E2%80%94%20Susan%20Rice%2C%20President%20Biden's,Ms.

ワシントン発。ジョー・バイデン大統領の国内政策担当大統領補佐官であったスーザン・ライスは、移民問題、銃規制、学生ローン救済など、バイデン政権下で、最も政治問題化された諸問題のいくつかに対処してきたが、来月退任するとホワイトハウスが月曜日に発表した。

バラク・オバマ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官や国連大使を歴任したライスは、ホワイトハウスがアメリカ南部国境での不法移民の越境をめぐる圧力に直面し、バイデン政権が国境捜査官による移民追放を許可したトランプ時代の公衆衛生法第42条を解除する準備を進める中で退任する。

ライスの補佐官としての最後の勤務日は5月26日だ。

ライスの在任中、インシュリン価格の上限設定、医療保険の拡大、超党派の銃制度改革の可決など、立法面での功績が目立った。しかし、彼女はまた、移民問題や他の分裂問題に対する政権のアプローチについて批判を浴びた。

本『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週、ライスのティームに対しては移民児童労働危機の拡大を示す証拠を繰り返し示されていたと報じ、その中には複数のスタッフが人身売買の兆候が増加していると警告した2021年のメモも含まれていたと、内部事情に詳しい関係者が暴露する内容も含まれている。

退任が発表された後にインタヴューを受けたライスは「児童労働や移民の児童労働に関するシステム上の問題について私たちは報告を受けたことはなかった。私はそのことを報告するメモを目にしたことはない」と述べた。

ライスは、当初から補佐官としての勤務は2年間にすると予定していたという。

ライスは「勤務期間もだいたい2年半くらいになる。もし2年半くらいになるなら、夏前に退任して、夏を楽しみ、家族と一緒に過ごしたり、ちょっと旅行したりする時期にしようと考えていた」と語った。

バイデン大統領は、国内政策会議をリードする役割にライスを指名したことで多くの人々を驚かせた。この会議は、国家安全保障会議に比べてより規模が小さく、名前もよく知られていなかった。2020年の大統領選挙においては、ライスはバイデンの副大統領候補として名前が挙がっていたし、これまでの経歴から国務長官と関係がある役職に就く可能性があった。

しかし、2012年にリビアのベンガジにあるアメリカ公使館がテロ攻撃を受け、4人のアメリカ人が死亡した事件への対応をめぐって共和党の攻撃の的となっていた。この論争により、彼女が連邦議会の承認を必要とする役職に就ける可能性は低くなった。

「ライスはバイデン大統領が国内政策担当に選んだことに驚いていた」とロン・クレインは述べている。クレインはバイデン大統領の前首席補佐官であり、政権移行期間中にライスに電話をかけてこのニューズを伝えた人物である。

クレインは次のように述べている。「彼女は、“あなたも知っているでしょう、私は国内政策の専門家じゃないのよ”と言っていた。私は“そのことは分かっているよ、スーザン、しかし、私はこれまで君がホワイトハウスで働いてきたことを見ていて、困難な問題にも対処して、仕事をやり遂げることができる人だと知っている”と答えた」。

月曜日、バイデン大統領はライスの業績を称えた。

バイデンは声明の中で、「国家安全保障問題担当大統領補佐官と国内政策担当大統領補佐官の両方を務めた唯一の人物として、スーザンの公的な職における業績は歴史に残るものだ」と述べた。

ライスの退任を最初に報じたのは、NBCニューズであった。

ライスは、自動保育ややホームヘルス分野の補助員への投資など、バイデン大統領の気候変動・社会支出パッケージの全てを議会で法案通過させられなかったことを後悔していると述べた。ライスは、メンタルヘルスの問題を含む様々な問題への取り組みについて誇りに思うと語った。彼女は「もし私たちがそうした問題に懸命に取り組まなければ、より厳しい問題が起きたことだろう」と述べた。

複数の政府関係者は、ライスが2022年1月に警察改革の大統領令の初期草案が流出し、警察組合の支持を危うくした後、警察組合との交渉に没頭した時のことを記憶している。彼女は、警察による殺人に関して人種間格差について言及することを譲らないことを明らかにした、と複数の当局者が語った。警察組合は結局、バイデン政権が殺傷力の行使に関する部分の文言を変更したことに満足し、支持を表明した。

ライスはバイデンを長年にわたりよく知っている。オバマ政権の国家安全保障問題担当補佐官を務めた時、彼女のオフィスは副大統領のオフィスと非常に近く、お手洗いの場所が一緒だった。ライスは、バイデンが当時彼女のオフィスを「アポなし(unannounced)」訪問することが多く、そのことを気に入っていたと述べた。

国境管理問題のバイデン政権のアプローチに関して、民主党と共和党両方が激しく批判し、ライスはその批判に耐えてきた。最近、ニュージャージー州選出のボブ・メネンデス連邦上院議員(民主党)は、政権のアプローチによって、バイデン大統領は「亡命者否定大統領(asylum denier in chief)」になったと述べ、ライスが制限的な強制措置の背後にいると非難した。

移民の権利擁護団体であるナショナル・デイ・レーヴァラー・オーガナイジング・ネットワークのパブロ・アルバラードは「ライス補佐官の在任中は、移民の権利と人権に関するホワイトハウスの悪しき決定が次から次へと下された」と述べている。

ライスは月曜日、移民問題は「純粋に強制執行だけで対処できるものではない」と述べた。

ライスは「私たちは法を執行する責務を担っている。しかし、同時に、正当な保護ニーズや難民申請をしている人々の主張を聞き、彼らのケースを法的に判断することを可能にする義務もある」と述べた。

※ゾラン・カンノ=ヤングス:バイデン政権のホワイトハウスで、国土安全保障と過激主義を含む国内問題と国際問題を幅広く担当するホワイトハウス特派員。2019年に国土安全保障担当の特派員として『ニューヨーク・タイムズ』紙に入社した。

※アイリーン・サリヴァン:国土安全保障省担当のワシントン特派員。AP通信で働いた経験を持ち、調査報道の分野でピューリッツア賞を受賞している。

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バイデン大統領は二―ラ・タンデンを新しい国内政策担当大統領補佐官に指名(Biden names Neera Tanden as new domestic policy adviser

アレックス・ガンギターノ筆

2023年5月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/3990218-biden-neera-tanden-domestic-policy-adviser/

ジョー・バイデン大統領は金曜日、退任するスーザン・ライスの後任として、ニーラ・タンデンを国内政策担当大統領補佐官に指名すると発表した。

タンデンはバイデン政権下で大統領上級顧問とホワイトハウス秘書官の2つの役職を務めてきたが、後任にステファニー・フェルドマンが就任する。フェルドマンは長年バイデンの補佐官を務めており、大統領次席補佐官兼ホワイトハウス国内政策上級顧問を務めている。

バイデンは声明の中で、「ニーラ・タンデンが引き続き、経済的流動性や人種的公平性から医療、移民、教育に至るまで、私の国内政策の立案と実施をこれから推進することを発表でき、それを嬉しく思う」と述べた。

タンデンは、ホワイトハウスの3大主要政策会議のいずれかを率いる史上初のアジア系アメリカ人となる。タンデンは、センター・フォ・アメリカン・プログレスとセンター・フォ・アメリカン・プログレス・アクション・ファンドの会長兼CEOを務めた経験を持つ。

バイデンは政権発足当初の2021年、タンデンを行政管理予算局長に指名した。彼女は、アメリカ進歩センターでの仕事に端を発した論争の中で、連邦上院民主党の中道派からの任命支持が得られず、指名を取り下げた。彼女は、ミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(共和党)を『ハリー・ポッター』の登場人物ヴォルデモートに例えるなど、危険なツイートをしていた。

タンデンは以前、オバマ前大統領の下で医療保険制度改革担当の上級顧問を務めていた。

バイデンは声明の中で「タンデンは、医療保険制度改革法(オバマケア、Affordable Care Act)の策定に関して重要な役割を果たし、クリーン・エネルギー補助金や効果の高い銃制度改革など、私のアジェンダの一部となった主要な国内政策の推進に貢献した。ニーラは実績を積む過程で、彼女が国内政策担当大統領補佐官として監督することになる重要なプログラムのいくつかに関して知識と経験を蓄え、その洞察力が私の政権とアメリカ国民に大いに貢献すると確信している」と述べた。

タンデンは大統領選挙における選挙運動にも携わっており、国内政策担当大統領補佐官への昇格は、大統領が再選を目指して動き出した1週間後のことだ。彼女はオバマ・バイデン大統領選挙キャンペーンで国内政策担当部長、ヒラリー・クリントン大統領選挙キャンペーンで政策担当部長を務めた。

バイデン大統領は先月、ライスが国内政策担当大統領補佐官から退任すると発表した。ライスは政権発足当初から国内政策担当大統領補佐官を務め、銃規制から学生ローンまで政治問題化した諸問題に対処した。

フェルドマンはバイデンが副大統領時代にバイデンの下で働いた。オバマ政権が終了後にはデラウェア大学で働き、その後2020年の大統領選挙でバイデン陣営に参加し、そして、ホワイトハウスで働くようになった。バイデンはフェルドマンについて、「もっと長く働いてくれて、最も信頼できる補佐役の一人」と述べている。

バイデンは更に金曜日、ザイン・シディクを国内政策会議の筆頭副議長に昇格させると発表した。シディクは以前、経済流動化担当大統領次席補佐官を務めた。
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バイデンが国内政策担当大統領補佐官にニーラ・タンデンを指名(Biden names Neera Tanden as his domestic policy adviser

-タンデンはスーザン・ライスの後任となる。ライスは今月末に政権から離れる予定となっている。

アダム・キャンクリン、エリ・ストコロス筆

2023年5月5日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2023/05/05/biden-to-name-neera-tanden-as-his-domestic-policy-adviser-00095566

ジョー・バイデン大統領は金曜日、ニーラ・タンデンが次のホワイトハウス国内政策会議議長を務めると発表した。

タンデンは、長年にわたり民主党側の有能な人物として活躍してきた。今月末に政権を去る予定のスーザン・ライスの後任として補佐官に就任する。タンデンはこの1年半、ホワイトハウスの上級顧問や秘書官(staff secretary)を務めてきた。政権発足当初は行政管理予算局(Office of Management and Budget)の責任者に指名されたものの、連邦上院の反対でこの人事は流れてしまった。

バイデンは人事交替発表の声明の中で次のように述べている。「ニーラは、実力を蓄積していく過程で、彼女が国内政策担当大統領補佐官として監督することになる重要なプログラムに関わってきた。その洞察力は、私の政権とアメリカ国民に貢献してくれると確信している」。

さらにホワイトハウスは、オバマ政権時代から長年バイデンの補佐官を務めているステフ・フェルドマンがタンデンの後任として秘書官を務めると発表した。

バイデンは再選キャンペーンを準備しているが、彼の再選はインフラ整備、気候、ヘルスケアにまたがる一連の国内政策の成果を効果的に実施できるかどうかにかかっている。こうした重要な状況下で、タンデンは国内政策担当大統領補佐官に起用されることになった。ライス議長下の国内政策会議は、来週から解禁されるトランプ政権時代の厳格な国境政策である公衆衛生法第42条を置き換えるための政権の戦略を考案する際にも中心的な役割を果たしていた。

タンデンは民主党の政策サークルで豊富な経験を持ち、以前は進歩主義的なシンクタンクであるセンター・フォ・アメリカン・プログレスを運営していた。また、オバマ政権では医療保険担当の高官を務め、医療保険制度改革法(オバマケア、Affordable Care Act)の策定に貢献した。

彼女の起用は共和党側、そして、攻撃的だった彼女のツイッターアカウントの標的になっていた民主党側の各連邦議員からも不安視されそうだ。

彼女の攻撃的なツイートが原因で、共和党やジョー・マンチン上院議員(ウエストヴァージニア州、民主党)は、タンデンの行政管理予算局長指名に強固に反対したのだ。国内政策会議議長の役割は連邦上院の承認を必要としない。

タンデンにコメントを求めたが返事はなかった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン政権になってから、アメリカ外交はうまくいっていない。アフガニスタンからの撤退がうまくいかず、大きな混乱を引き起こした。その後は、ウクライナ戦争が起きたが、ウクライナ戦争ではロシアに対する経済制裁を主導して、早期にロシアを経済的に屈服させて、あわよくばロシアの現体制を崩壊させようという「捕らぬ狸の皮算用」が見事に失敗した。ウクライナ戦争が長期化する中で、アメリカはウクライナの勝利の可能性はないと分析しているが、戦争を止めることができないでいる。至極当たり前のことだが、ロシアはアメリカの言うことを聞かない。ウクライナとロシアの間を仲介できるのは、中国だけだ。

 更に言えば、中東地域に関しては、中国が得点を挙げた。中国の仲介で、長年の敵同士であったサウジアラビアとイランが国交正常化を行うと発表した。これで中東地域で核兵器を持つ3カ国である、イラン、イスラエル、サウジアラビアのバランスが崩れた。サウジアラビアとイスラエルはアメリカの同盟国としての関係を持っていた。イスラエルとサウジアラビアは共にイランを敵としていた。その関係のバランスが崩れた。イスラエルは孤立することになる。サウジアラビアが西側陣営から離れつつあるというのは、アメリカにとっての大きな痛手となる。産油量を増やして石油価格を下げて欲しいというアメリカの懇願をサウジアラビアは無視した。

 バイデン政権は「デモクラシー」「人権」といった価値観を押し出した外交を展開している。そして、対中強硬姿勢を取っている。これでは転換期の国際政治を渡っていくことはできない。民主政体フェスなるイヴェントにお金を出して、アントニー・ブリンケン米国務長官が出席しているようでは、現実的な外交はできない。「清濁併せ吞む」ということができなければ、新興の「西洋以外の国々(the Rest)」とやり合うことはできない。

 考えてみれば、現在のアメリカ外交を牛耳っているのが、共和党系のネオコン派と民主党系の人道的介入主義派である以上、どうしようもない。リアリストたちが入らねば現状は変わりようがない。国務省の上級幹部たちが入れ替わるためには、バイデンが選挙で落ちて、大統領でなくなるか、バイデンが考えを変えて、自発的に1期目と2期目で人員を入れ替えるかしかない。バイデンとバイデン政権の最高幹部たちはどんな手段を使ってでも今度の大統領選挙に勝利するだろう。なぜならば、そうしないと自分たちの犯罪が明らかにされて逮捕されてしまうからだ。彼らは一蓮托生の犯罪でつながった人々だ。バイデン政権が2期目の4年間も続くということになれば、世界の不幸もまだまだ続くということだ。その間に、ネオコン派や人道的介入主義派が暴発して、最後のひと勝負、大博打をかけるかもしれない。それが核兵器を使用する戦争であったり、米中露での戦争になったりする可能性もある。現状だって既に第3次世界大戦に入っていると言っても過言ではない。悲観的な妄想で済めばそれはそれで良いことだが、それくらいに悲観的になっておく必要がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンの国務省にはリセットが必要だ(Biden’s State Department Needs a Reset

-政権の外交は、時間を無駄にする民主政治体制についての議論を除けば、うまくいっていない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年4月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/04/01/biden-blinken-state-department-democracy-summit/

アメリカの外交機関、特に国務省(Department of State)がリソース不足に陥っていることは、広く認められている真実だ。この真実は、国務省または米国国際開発庁(United States Agency for International DevelopmentUSAID)の予算を、国防総省または各種情報諜報機関に割り当てられた予算と比較すると特に明らかになる。アメリカの壮大な世界的野望を考慮に入れると、それは更に明白になる。大統領の時間、そしてアントニー・ブリンケン国務長官などの閣僚の時間は、全ての中で最も希少なリソースであることも自明のことだ。

これが事実なら、なぜジョー・バイデン政権は第2回民主政体サミット(Summit for Democracy)に時間を割いたのだろうか? バイデン大統領やブリンケン国務長官ら最高幹部たちが、このトークフェスに費やした時間だけではない。このようなイヴェントを開催することで、他の問題に対処するために使えたかもしれない何百時間ものスタッフの時間が浪費されてしまったのだ。

私がこの問題を提起したのは、外交をアメリカ外交政策の中心に据えると宣言して発足したバイデン政権であるが、その最初の2年余りを振り返ると、外交的成果がほとんどないからだ。プラス面で言えば、アメリカの同盟諸国は、ドナルド・トランプ前大統領やマイク・ポンペオ前国務長官よりもバイデンやブリンケンに親しみを感じており、政権の初期の失態(2021年のAUKUS潜水艦取引でフランスを不必要に無視したことなど)を快く許してくれていることが挙げられる。しかし、そうした外交関係者からの印象が改善されたことを除けば、バイデン政権の外交記録は印象に残るほどの成果を挙げていない。

問題の一部は、バイデンとバイデン政権が受け入れている「民主政治体制対独裁政治体制(democracy vs. autocracy)」という枠組みにある。私は誰よりも民主政治体制が好きだし、一部の人よりもずっと好きだ。しかし、この二項対立(dichotomy)は、アメリカの外交に解決よりも多くの問題を引き起こす。アメリカは、世界の民主政体国家よりも数が多く、大国間の対立が激化すればするほどその価値が高まる独裁的な政府と、より効果的に協力することができないのである。「アメリカは偽善者だ」という非難に晒され、ワシントンの民主的な同盟諸国もあまりやる気を起こさないように見える。その一例を示す。ヨーロッパの指導者たちは、独裁的な中国との経済的利益を守るために北京に足を運び続けているが、これは民主政治体制対独裁政治体制という図式とは大きく矛盾する行動である。同様に、ほぼ民主的なインドのナレンドラ・モディ首相は、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の国家安全保障補佐官の1人と会談したばかりだ。

一方、バイデン政権の他の課題は未解決のままだ。バイデンは、前任者が愚かにも放置したイランとの核取引に再び参加すると言って就任した。しかし、バイデンは逡巡し、延期した。結果として、イランの立場は強まり、新たな核取引の実現は不可能であることが明らかになった。その結果はどうか? イランはこれまで以上に核兵器開発能力の獲得に近づいている。そして、バイデン政権も世界も必要としない中東における戦争発生のリスクを高めている。

更に悪いことに、バイデンとブリンケンは、中東の複数の同盟諸国から繰り返し屈辱を味わっている。エジプト政府は、アメリカが提起している人権問題を日常的に無視する一方で、アメリカの経済援助を懐に入れ続けている。バイデンは、反体制派ジャーナリストのジャマル・カショギを殺害したサウジのムハンマド・ビン・サルマン王太子を失脚させるという選挙公約を覆した。「世界中が目撃した」サウジアラビアとの手打ちをもってしても、サウジにエネルギー価格の緩和に協力させることも、ウクライナ侵攻後のモスクワに圧力をかけるよう説得することもできなかった。さらに不吉なことに、サウジアラビアは中国の習近平国家主席に近づき続けている。今週、サウジアラムコは中国と2つの新しい石油関連投資案(製油所建設を含む)を発表したし、最近のサウジアラビアとイランの緊張緩和(デタント)を仲介したのはアメリカではなく中国だった。中国やサウジアラビアが自国の利益のために行動することを責めるつもりはないが、これらのことをアメリカ外交の勝利と見なすことは難しい。

バイデンとブリンケンには、現在のアメリカとイスラエルとの関係の危機に直接の責任はない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の「司法改革」案がその最大の原因だが、イスラエルに対する彼らの軟弱な態度が、ネタニヤフ首相に「このままでいい」と思わせた可能性がある。バイデンとブリンケンは、最初からイスラエルに愛想を尽かしていた。アメリカ大使館をエルサレムに移転するというトランプ大統領の決定を覆さず、パレスチナ人のための領事館を再開するという再三の約束も果たさず、ヨルダン川西岸を植民地化しようとするイスラエルの継続的な取り組みに「懸念」を表明するいつもの軽い表現しかしなかった。バイデンとブリンケンは、イスラエルがますます懸念を高める行動からアメリカを遠ざけようとしている。そして、その代わりにアメリカのイスラエルに対する「鉄壁の(ironclad)」関与(コミットメント)に関するいつもの決まり文句を繰り返し、二国共存解決という神話上の生き物(mythical creature)を信じ続けていることを表明し続けた。ネタニヤフ首相が、アメリカからの支持を危うくすることなく、イスラエルの民主政治体制に対する論争的な攻撃を進めることができると考えたとしても不思議ではない。今週初め、バイデンがようやく穏やかな批判を口にしたとき、ネタニヤフ首相はすぐに、イスラエルは自分自身で決断を下すと答えた。これこそ、無条件の支持で得られる外交的影響力ということだ。

一方、アメリカは世界の平和の担い手(global peacemaker)としての役割を放棄しつつあるようだ。かつて軍備管理(arms control)を最優先し、エジプト・イスラエル和平条約、ベルファスト協定(Good Friday Agreement)、バルカン戦争の終結を仲介したアメリカは、現在のところ、紛争を終わらせることに関心がなく、たとえ最終的に死や破壊が増え、エスカレートするリスクが続くとしても、自分たちに有利な側を勝たせることに関心がある。クインシー・インスティテュートのトリタ・パルシが先週指摘したように、「アメリカは誠実な平和主義の美徳を諦めてしまったようだ。今日、我が国の指導者たちは、永続的な平和を確立するためというよりも、紛争において『わが方』の立場を有利にするために調停を行っている」と述べている。

アメリカ外交は、中国への対応にも失敗している。2021年にブリンケンが表明した政権の対中政策は、アメリカが「競争的であるべき時は競争的に、協力的であるべき時は協力的に、敵対的でなければならない時は敵対的になる(will be competitive when it should be, collaborative when it can be, and adversarial when it must be)」というものだ。しかし、1番目と3番目の項目が中心となって、共通点を見つけ、ますます激しくなる安全保障上のライヴァル関係を管理する努力は、ほとんど行われていないのが現状だ。もちろん、その責任の一端は北京にあるのだが、この重要な米中二国間関係をどのように管理し、改善していくかについて、創造的な考えを示す兆候はほとんど見られない。

しかし、悪いニュースばかりではない。日本やオーストラリアなど、既存のアジアのパートナーとの関係強化に向けたアメリカの努力は、中国の思慮の浅い主張にも助けられ、うまくいっている。しかし、先端チップの輸出規制やアメリカのデジタル産業への助成を通じて中国を弱体化させようとするバイデン政権の幅広い取り組みは、これらの同じパートナーに大きなコストを課すとともに、近隣での将来の衝突に対するアジアの懸念を高めている。また、バイデン・ティームは、インド太平洋地域で経済的影響力を強める中国への効果的な対抗策を打ち出すことができなかった。トランプ大統領が2017年にTPP(環太平洋経済連携協定)を破棄するという思慮の浅い決断を下したのはバイデンの責任ではないが、その代わりに昨年ようやく打ち出した「インド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Framework)」は、アジアの大部分から小粒だと広く正しく思われている。

バイデン政権の初期の外交的成功の1つは、ジャネット・イエレン財務長官が、多国籍企業に対するグローバルな最低税額を設定するための多国間協定を交渉したことだった。これにより、多国籍企業が低税率のオフショア・ロケーションで利益を申告して税金を回避するのを防いだ。イエレン長官の功績は称賛に値するが、この法案は現在のところ、米連邦議会で瀕死の状態にあり、施行されない可能性がある。そして、バイデン政権のより成功した国内のイニシアティヴ、特にインフレ削減法は、これらの措置がアメリカの国内産業を、自国ではなく同盟諸国の費用で促進していると見なす、アメリカの同盟諸国との間で深刻な摩擦を引き起こした。

「ちょっと待て」という読者の皆さんからの声が聞こえてきそうだ。モスクワの行動を非難する偏った国連総会での投票は言うに及ばず、ロシアの違法なウクライナ侵攻に対する欧米諸国の対応をまとめる上で、アメリカ外交が果たした重要な役割はどうだろうか? それは、アメリカが復活し、外交官たちが完璧に仕事をこなしていることの証明ではないのか?

その答えは「イエスであり、ノーだ」となる。一方では、バイデンと彼のティームは、侵略に対する欧米諸国の協調的な対応を主導してきた。これは必ずしも容易なことではない。しかし、戦争が終わるまではこうした努力を終えることはできないし、この努力の最終結果は不確実だ。ロシアがドンバスの一部または全部を支配し、ウクライナの人口が減少し、大きな被害を受けたまま戦争が長引いたとしても、外交政策上の大きな成果には見えないというのが残酷な現実である。そうならないことを願うのは当然だが、その可能性を否定することはできない。

悲しいことに、バイデン政権は、少なくとも部分的には自作自演(own making)の問題に見事に対処している。ウクライナ戦争の根源はバイデンの大統領就任より前にあったのだが、バイデンもブリンケンも戦争がすぐに起こるとは考えなかった。彼らは、ロシアがウクライナの動向を現実的な脅威と見なしていることを認識せず、戦争を回避するためにできる限りのことをした訳でもない。アメリカ政府関係者(過去と現在の両方)は、アメリカや欧米諸国の政策がこの悲劇を引き起こした、またそのための役割も果たしたということを徹底的に否定してきた。しかし、イギリスの歴史家ジェフリー・ロバーツが『ジャーナル・オブ・ミリタリー・アンド・ストラティジック・スタディーズ』誌で最近述べたように、証拠を冷静に見てみると、そうではないことが分かる。以前にも述べたに、「プーティンは戦争に直接の責任があるが、西側諸国は非難されるべきでないということもない」のだ。

アメリカとヨーロッパの同盟諸国が、ロシアの安全保障上の懸念にもっと真剣に、創造的に対処しようとし、「ウクライナはいつかNATOに加盟する」という頑なな主張を止めていれば、戦争を回避できたかどうか、確実にそうだったとは言えない。私は、ロシアが予防戦争(preemptive war)を始めたこと(国際法上違法な行為)やそのやり方について、非難を免れると主張するつもりはない。しかし、この戦争が世界に及ぼす影響、とりわけウクライナに及ぼす影響を考えると、アメリカがこの戦争を阻止するためにあらゆる手段を講じなかったことは、これまで以上に批判されてしかるべきだろう。

しかし、アメリカの外交官たちの不甲斐なさは、彼らの責任ばかりではないだろう。アメリカの世界的な野望は非常に大きいため、多くの問題は十分な注意を払うことができず、ましてやトップに立つ人々の時間、エネルギー、関与を引き出すことはできないだろう。そして、ワシントンの目標が大きく広がれば広がるほど、それらの間のトレードオフを調整し、明確で一貫した優先順位を維持することは難しくなる。これは、私たちが外交政策の抑制を主張し続ける理由の一つである。アメリカの外交政策は、重要なことをより少なく、よりよく行うことで、より成功するのである。

それでは民主政治体制サミットの話に戻ろう。たとえ出席基準に一貫性がなく、問題のある民主政体諸国(フランス、イスラエル、ブラジル、インド、アメリカなど)が民主政治体制の美徳を讃えるために集まるという特異な構図を見逃したとしても、この努力から何が得られるかは明らかではない。第1回目のサミットでは、20年近く続いている民主政体の下降傾向を覆すことはできなかった。それでは、第2回目のサミットで何を達成できるのだろうか? 1944年のブレトンウッズ会議、1991年のマドリッド会議、2015年のパリ気候会議がそうであったように、有力者が一堂に会することは、何か即効性があり、具体的に実行できることがあれば意味がある。同様に、バラク・オバマ政権が開催した4回の核サミットでは、政権が当初掲げた目標の全てに到達したわけではないにせよ、世界中の核物質の管理を改善し、既存の核物質の備蓄を削減するための様々な合意など、具体的な成果が得られたと言える。

私の知る限り、民主政体サミットはそのようなささやかな成果にすら遠く及ばないだろう。民主政治体制の未来は、話し合いの場を増やすことで救われるものではない。世界の民主政体諸国が、国内外の市民のためにより良い結果を出せるかどうかにかかっている。成功には多くの努力が必要であり、最も裕福な民主政体国家であっても、時間や資源が無限にあるわけではないのだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 このブログでもご紹介したが、ピューリッツア賞受賞のヴェテランのジャーナリストであるシーモア・ハーシュが自身のウェブサイトに論稿を発表した。その内容は、昨年9月に爆発事故を起こして稼働できなくなった、ロシアとドイツを結ぶノルドストリーム・パイプラインについて、爆破はアメリカ軍が、ジョー・バイデン政権の最高幹部たち(アントニー・ブリンケン国務長官、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官など)の共同謀議による作戦立案とバイデン大統領の命令を受けての攻撃だったというものだ。

 今回は、ハーシュがドイツのジャーナリストであるファビアン・シードラーのインタヴューに答える形で記事が出た。ドイツは自分たちがノルドストリーム爆破の直接の被害者であるから関心が高いはずだ。しかし、いまのどいつのショルツ政権ではアメリカに対して、ほんのちょっとでも抗議をすることなどできもしないだろう。日本はその点で同じだ。

 ショルツ政権の副首相・経済・気候保護大臣であるロベルト・ハーベック、外務大臣であるアンナレーナ・ベアボックは共に緑の党から出ているが、彼らは対中、対ロシアに対して強硬である。原発が稼働停止するドイツでロシアからの天然ガスはエネルギーにおける命綱であるはずだが、彼らは喜んで命綱を切断し、国民に塗炭の苦しみを味合わせる。「それがSDGsよ」「なんてエコな暮らし」と言いながら、耐乏生活、窮乏生活をさせるのだ。これは私の推測だが、彼らはアメリカによるノルドストリーム爆破に了承を与えていたのではないかとすら思えてしまう。

 バイデン政権は犯罪政権である。しかし、ノルドストリーム爆破をバイデン政権が実行したことは報道されないし、明らかにされないだろう。バイデンの寿命はそこまで長くないだろうが、爆破に関わったブリンケン、サリヴァン、ヌーランドはこれからある程度の期間は生きるだろうし、アメリカ政治の枢要に参画するだろうから、彼らを犯罪者にはできないということに短期的にはなるだろう。しかし、流れが逆転するということもある。アメリカの覇権が崩れ始めて、これまでのアメリカの犯罪が暴かれる際には彼らは当事者として逮捕されるだろう。そうしたことが起きないために(少なくとも短期的には)、彼らは何が何でもバイデンの大統領選挙再建に突き進む。

 それでも、バイデンの再選に暗雲が立ち込めている。それはアメリカ経済の失速から崩壊の可能性が高まっていることだ。アメリカで「経済のことならトランプだ」という機運が高まれば、バイデンの再選も難しい。バイデンが選挙に落ちるようなことがあれば、アメリカ政治、アメリカ政界は大混乱に陥る可能性がある。

(貼り付けはじめ)

シーモア・ハーシュ:アメリカがノルドストリーム・パイプラインを破壊した(Seymour Hersh: The US Destroyed the Nord Stream Pipeline

シーモア・ハーシュとのインタヴュー

インタヴュアー:ファビアン・シードラー

2023年2月15日
『ジャコバン』誌

https://jacobin.com/2023/02/seymour-hersh-interview-nord-stream-pipeline

先週、高名な調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュは、ロシアからドイツへ天然ガスを輸送するために利用されてきたノルドストリーム・パイプラインの破壊はアメリカの責任だと主張する内容の論稿を発表した。

2022年9月26日、ロシアからドイツに到るノルドストリーム天然ガスパイプラインが、バルト海において複数回の爆発によって広範囲に破壊された。先週、賞を受賞した経験を持つ調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュが、1名の匿名の情報源からの情報を基にした論稿を発表した。その内容は、バイデン政権とCIAに爆発の責任があるというものだ。

ハーシュは1970年にピューリッツア賞を受賞した。授賞理由は、アメリカ兵が非武装の市民を300から500人殺害したミライ虐殺事件の報道で果たした役割であった。ハーシュは『ジャコバン』誌のために、ファビアン・シードラーに最新の記事で取り上げた疑惑とCIAと国家安全保障部門がアメリカの外交政策に及ぼす影響について話した。

ファビアン・シードラー:

最初にあなたの発見について詳細にご説明いただきたい。あなたの情報源からの情報から、正確に何が起きたか、誰が関与したのか、この行為の裏にある誘因は何か?

シーモア・ハーシュ:

私は行っていることは明らかなことを単純に説明しているに過ぎない。それは単に語られるべき物語に過ぎない。2022年9月下旬、8個の爆弾が爆発するはずだった。6個はバルト海のボーンホルム島付近の水面下、やや浅いところで爆発した。その爆発でノルドストリーム12の4本の主要パイプラインのうち3本を破壊した。

ノルドストリーム1は、長年、非常に安い価格でドイツにガス燃料を供給してきた。そして、両方のパイプラインが爆破され、なぜ、誰がやったのかが問題になった。2022年2月7日、ウクライナ戦争を前に、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ドイツのオラフ・ショルツ首相とホワイトハウスで記者会見し、「ノルドストリームを止めることができる」と発言した。

シードラー:

ジョー・バイデンの正確な文言は、「もしロシアが侵攻してきたら、ノルドストリーム2はなくなる。私たちはパイプラインに終止符を打つ」というものだ。そして、このプロジェクトがドイツの管理下にあることを踏まえ、具体的にどのようにそれを行うつもりかという記者団からの質問に対して、バイデンは、「私たちはそれを行えることだと約束できる」とだけ答えた。

ハーシュ:

バイデン政権の国務次官であるヴィクトリア・ヌーランドは、2014年に彼らがマイダン革命と呼ぶものに深く関与しており、その2週間前に同様の言葉を使用した。

シードラー:

パイプラインの撤去は、バイデン大統領によってもっと前に決定されていたということになる。あなたの記事によると、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンが、統合参謀本部、CIA、国務省、財務省から新たに結成されたタスクフォースの会議を招集した2021年12月から時系列で、最初から話を整理している。サリバンは、ノルドストリーム・パイプラインを破壊するための計画を立案する意図を持っていたのだ。

ハーシュ:

このタスクフォースは当初、この問題を研究するために12月に召集された。彼らはCIAなどに呼び寄せられ、極秘のオフィスで会議を持った。ホワイトハウスのすぐ隣に、行政府庁舎と呼ばれるオフィスビルがある。そこは地下トンネルでつながっている。その最上階に、大統領情報諮問委員会と呼ばれる外部顧問の秘密グループの会議場がある。私はホワイトハウスの人々に、私が何かを知っていることを知らせるために、このことを報告したに過ぎない。

会議は、ロシアが戦争を仕掛けてきたらどうするのかという問題を検討するために招集された。ウクライナ戦争の3カ月前、2022年のクリスマス前のことだ。ハイレヴェルなグループだった。おそらく違う名前だったと考えられるが、私はただ「省庁間グループ」と呼んでいる。正式な名前があったのかどうかは分からない。CIAと通信を監視・傍受する国家安全保障局、資金を供給する国務省と財務省、そしておそらく他にもいくつかのグループが関与していた。その他に、統合参謀本部も参加していた。

制裁や経済的圧力の強化といった可逆的なものから、爆発物など不可逆的なものまで、ロシアを止めるために何をすべきかを提言するのが彼らの大きな仕事だった。情報源を守らなければならないので、特定の会議について具体的に話したくない。何人が会議に参加していたのか分からない。私の言っていることが理解できるだろうか?

シードラー:

論稿の中で、2022年初頭、 CIAの作業部会がサリヴァンンの省庁間グループに報告し "パイプラインを爆破する方法がある" と提言したと書いているが?

ハーシュ:

彼らは方法を知っていた。アメリカでは「機雷戦」と呼ばれているものを理解している人たちがいた。アメリカ海軍には、潜水艦に入るグループと、原子力工学に関する司令部があり、機雷戦司令部も存在する。機雷こそは非常に重要であり、熟練した鉱夫がいるのです。機雷戦従事者の訓練で最も重要なのは、フロリダの田舎にあるパナマシティという小さなリゾート地である。

そこで非常に優秀な人材を育成し、活用している。機雷戦従事者はとても重要な存在だ。港への入港を妨害したり、邪魔なものを吹き飛ばしたりすることが可能なのである。ある国の海底石油パイプラインが気に入らなければ、それも爆破することができるという訳だ。いいことばかりではないが、彼らはとても秘密主義である。ホワイトハウスにいたグループにとって、パイプラインを爆破できることは明らかだった。C-4と呼ばれる爆発物がある。これは非常に強力で、特に使用量が多いと壊滅的だ。水中ソナー装置を使って遠隔操作することができる。水中ソナーは非常に低い周波数の信号を送る。

2022年1月初旬には、ホワイトハウスにそのことが伝えられた。2週間か3週間後に、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官が「できる」と言ったのだ。これは1月20日のことだったと考えられる。そして、大統領もオラフ・ショルツ独首相と一緒にいる場所で、2月7日に「できる」と言った。ショルツは具体的なことは何も言わず、曖昧な態度に終始した。しかし、もし私がドイツ議会で公聴会を開催できるとしたら、ショルツにこう質問するだろう。「バイデン大統領からパイプライン爆破について聞いたか? その時、なぜ彼が爆破できると確信したのか話をしたか?」

まだ計画は具体的には存在しなかったが、爆破能力があることは分かっていた。

シードラー:

作戦においてノルウェーはどのような役割を果たしたのか?

ハーシュ:

まず、ノルウェーは海洋大国であり、地下エネルギーも保有している。また、西ヨーロッパ諸国やドイツに販売できる天然ガスの量を増やすことを強く望んでいる。そしてそれを実現し、輸出量を増やしている。従って、経済的な理由から、アメリカと一緒にこうどうするということになったのではないか? また、ロシアに対する嫌悪感も根強く残っている。

シードラー:

論稿の中で、あなたはシークレットサーヴィスとノルウェー海軍が作戦に参加し、スウェーデンとデンマークは説明こそ受けたが全ては教えられなかったと書いている。

ハーシュ:

私に言わせれば、「伝えなかったのは、伝える必要はなかったから」ということだ。つまり、自分がやっていることを相手も知っていて、何が起こっているのかも理解しているのに、誰もイエスと言わないということだ。私はこの問題に関して情報源と一緒に真剣に取り組んだ。要するに、この任務を遂行するために、ノルウェーは適切な場所を探さなければならなかった。パナマシティで訓練を受けていた潜水士達は、重い潜水タンクを使わずに、酸素と窒素とヘリウムの混合物だけで水深300フィート(約90メートル)まで到達できる。

ノルウェーは、バルト海のボーンホルム島沖に水深260フィート(約78メートル)の場所を見つけ、そこで活動できるようにした。そこまで到達したらゆっくり戻ってこなければならない。減圧室があるノルウェーの潜水艦「ハンター」を使用した。4本のパイプライン爆破に送られた潜水士はわずか2名だった。

バルト海を監視している人たちにどう対処するかという問題もあった。バルト海の監視は非常に徹底しており、公開されている情報も多いので、そのための担当者を34人用意した。そして、私たちが行ったことは実にシンプルなことだ。地中海とバルト海を管轄するアメリカ海軍第6艦隊は、21年前から毎年夏にバルト海でNATO加盟諸国の海軍のための演習(バルト海作戦)を行っている。そして、海軍の空母や大型艦船を動員する。非常にオープンなものだ。ロシアは確かにそのことを知っていた。私たちは公の場で爆破作戦を実行した。そして、このバルト海でのNATOによる作戦では、歴史上初めて新しいプログラムが実施されました。10から12日間の期間をかけて、地雷を落として発見する演習を行う予定を組んでいた。

いくつかの国が機雷作戦ティームを派遣し、あるグループが機雷を落とすと、自国の別の機雷作戦グループがそれを捕捉して爆破する。だから、爆破するまでにはある時間があったのだが、その間にノルウェー軍は深海潜水士を回収することができた。2本のパイプラインは1マイルほど離れて走っており、少し土の下にあるが、到達するのは難しくないし、彼らは作戦を実行した。爆弾の設置には数時間しかかからなかった。

シードラー:

それは2022年6月のことか?

ハーシュ:

そうだ。6月に入って10日過ぎた頃、演習の最後に爆破を実行する予定だったのだが、最後の最後でホワイトハウスがナーヴァスになった。バイデン大統領は、実行することが怖いと語ったのだ。そして、いつでも爆弾を落とせるように、いつでも遠隔操作で爆弾を落とせるようにと命令した。レイセオン製の通常のソナーを使って作戦実行。上空を飛行し、シリンダーを落とす。低周波の信号を送る。フルートのような音で、様々な周波数を発することができる。しかし、心配だったのは、水中に長く放置しておいて爆弾が作動しないことだった。そのため、グループ内では適切な手段を見つけようとパニックになり、実際には他の情報機関にも問い合わせる必要があった。論稿ではそのことは書かなかった。

私は、ブリンケンやその他の政権幹部たちが思慮深い人間ではないと考えている。

シードラー:

そして、その時に何が起きたのか? 彼らが爆弾を設置し、遠隔地からコントロールする方法を見つけた・・・。

ハーシュ:

ジョー・バイデンはパイプラインを爆破しないと決定した。それは6月上旬のことだった。当時はウクライナ戦争が始まって約5カ月だった。しかし、9月になって、バイデンは爆破を決断した。

あることをあなたに教えよう。作戦にかかわった人々、つまりアメリカのために能動的な活動を行う人たちは、大統領の命令通りにする。彼らは当初、これは交渉に使える便利な武器だと考えていた。

しかし、ある時点で、ロシアが侵攻した後で、パイプライン爆破作戦が完了すると、爆破作戦を実行した人々にとって、これはますます嫌なものになった。彼らはよく訓練された人々で、最高レヴェルの秘密情報機関に所属している。彼らはこのプロジェクトに背を向けた。彼らは、これは非常識なことだと考えた。そして、原爆投下の1週間後、あるいは3、4日後、彼らが命令されたことを実行した後、多くの怒りと敵意が生まれた。これは私が取材してあきらかになったことだ。

そして、もう1つ言っておきたいことがある。アメリカやヨーロッパでパイプラインを建設している人たちは、何が起こったかを知っている。私は今重要なことを話している。パイプラインを建設する会社を経営している人たちは、この話を知っている。私は彼らから話を聞いた訳ではないが、彼らが爆破事件について知っていることはすぐに分かった。

シードラー:

それでは昨年6月の状況に戻ろう。ジョー・バイデン大統領は爆破作戦を直接行わず、延期するように決定を下した。それなのに、どうして9月になって作戦を実行したのか?

ハーシュ:

アンソニー・ブリンケン米国務長官は、パイプラインが爆破されて数日後の記者会見の席上で、プーティンから経済的にも、そして軍事的にも大きな力が奪われてしまったと述べた。ブリンケンは、「ロシアがパイプラインを武器化することができなくなったことでもあり、これは大きな機会となった、それは、ロシアがつまり、今回の戦争において、西ヨーロッパ諸国がアメリカを支援しないように強制することができなくなったのだから」と述べた。西ヨーロッパがこれ以上戦争に付き合わないようになることを恐れたのです。その時にやろうと思ったのは、西側諸国にとって戦争がうまくいっていないこと、そして冬が来ることを恐れていたのだと思う。ノルドストリーム2はドイツから制裁を受けているが、アメリカは厳しい冬になってドイツが制裁を解除することを恐れていた。

シードラー:

あなたのお考えでは、その裏側にはどのような動機があったと言えるだろうか? アメリカ政府がパイプラインに反対した理由は様々だ。ロシアと西ヨーロッパ、特にドイツとの結びつきを弱めたいから反対した、という人もいる。しかし、アメリカ経済と競合するドイツ経済を弱体化させるためでもあったとも考えられる。ガス価格の高騰で、企業はアメリカに移転し始めている。アメリカ政府がパイプラインを爆破した場合、その動機についてあなたはどのように考えるか?

ハーシュ:

彼らはよく考えていないと思う。奇妙に聞こえるかもしれないが、私は ブリンケンをはじめとする政権の一部の人たちが深い考えを持った人たちだとはとても思えない。アメリカ経済には、私たちがより競争力を持つという考えを好む人たちが確かにいる。私たちはLNG、液化ガスを極めて大きな利益で売っている。これはアメリカ経済にとって長期の景気浮揚策になる、と考えた人たちもいたことだろう。

しかし、あのホワイトハウスでは、常に再選に執着し、戦争に勝ちたい、勝利を得たい、ウクライナに何とか魔法のように勝ってほしいと思っていたのだろうと私は考える。

ドイツ経済が弱くなれば、私たちの経済にとって良いことかもしれないと考える人もいるかもしれないが、それはおかしな考えだ。私は、基本的に、私たちはうまくいかないものに深く食い込んでしまったと考える。戦争はこの政府にとって良い結果をもたらすことはないだろう。

シードラー:

この戦争はどのように終結すると考えるか?

ハーシュ:

私が何をどう考えるかは重要ではない。私に分かっているのは、この戦争が思い通りにならないこと、そして、この先どうなっていくのか分からないということだ。大統領がこのようなことを望んでいたのなら、私はそのことに恐怖を感じている。

そして、この作戦を行った人々は、バイデン大統領がドイツの人々に何をしているのか、うまくいっていない戦争に対して罰を与えていることに気づいていると信じていた。そして長い目で見れば、これは大統領としての評判だけでなく、政治的にも非常に不利になることだろう。アメリカにとって汚点となることだろう。

CIAは王冠のために働くのであって、憲法のために働くのではないと理解されている。

つまり、ホワイトハウスは状況が自分たちにとって悪くなると考えていた。ドイツや西ヨーロッパ諸国が武器を提供しなくなり、ドイツの首相がパイプライン稼働を再開かもしれない。ホワイトハウスは常にこうした事態を恐れていた。私にはドイツのオラフ・ショルツ首相に質問したい事項がたくさんある。例えば、2月に大統領と一緒にいたときに何を知ったのか、ということなどだ。この作戦は大きな秘密で、大統領はこの作戦遂行能力について誰にも話してはいけないことになっていた。でも、彼は喋ってしまうのだ。話したくないことも話してしまう人だ。

シードラー:

あなたの話は、欧米諸国のメディアでは、ある程度の抑制と批判をもって報道された。あなたの評判を貶めるために攻撃したり、匿名の情報源は1つだけであり、それでは信頼に足る話ではないと主張したりする人々がいる。

ハーシュ:

私が情報源について語ることなどあるだろうか? 私はこれまで匿名の情報源を元に多くの記事を書いてきた。もし誰かの名前を明らかにしたら、彼らは解雇されるか、最悪、投獄されるだろう。厳しい法律がある 私は誰についても暴露したことなどない。もちろん、この記事のように、情報源はあくまで情報源であると書いている。そして長年にわたって、私が書いた記事はいつも受け入れられてきた。この記事には、『ニューヨーカー』誌で一緒に働いていた時と同じレヴェルの熟練したファクトチェッカーを起用した。当然の話として、私に伝えられた不明瞭な情報を検証する方法はたくさんある。

それに、私に対する個人攻撃は本質を突いていない。バイデンはこの冬、ドイツに厳しい冬を過ごさせることを選んだ。アメリカ大統領は、ドイツがウクライナ戦争に協力的でない可能性よりも、エネルギー不足のために、ドイツの人々が厳しい寒さの中で生活するのを見たいのだろう。私にとっても、作戦に参加した人たちにとっても、これは酷いことだ。

シードラー:

ロシアだけでなく、西側の同盟諸国、特にドイツに対する戦争行為と受け止められる可能性があることもポイントだ。

ハーシュ:

単純に考えてみよう。この作戦に関わった人々は大統領が短期的な政治的目標のためにドイツを冷遇することを選んだと見ており、それが彼らを恐怖に陥れたと言えるだろう。これは、アメリカに強烈な忠誠心を持つアメリカ人についての話だ。CIAでは、私が論稿で述べたように、彼らは王冠のために働き、憲法のために働かないということが理解される。

CIAの長所は、米連邦議会で自分の主張を通せず、誰も耳を貸さない大統領が、ホワイトハウスのローズガーデンの裏庭をCIA長官と散歩して、8000マイル(約1万2800キロ)離れたところで誰かを傷つけることができる、ということだ。CIAのセールスポイントについては、小唄内容であるため、私は問題視している。しかし、そのCIAでさえ、勝ち目のない戦争を支援するためにヨーロッパを冷遇することを選んだことに愕然としている。パイプライン爆破は極悪非道な行為だと私は考える。

シードラー:

論稿の中であなたは攻撃の計画は米連邦議会に報告されなかったと述べている。秘密作戦の場合でも連邦議会に報告しなければならないそうだが。

ハーシュ:

米軍の多くの部署に対しても報告はなされなかった。他の政府機関の幹部たちも知っておかねばならないことであったが、情報提供はなされなかった。作戦はどこまでも秘密で実行された。

シードラー:

バルト海沿岸の船舶や航空機に関するオープンソースインテリジェンス(OSINT 訳者註:公表されているデータを収集し、分析する諜報活動)の評価に携わっている人々から、「9月26日やその前の日に爆発地点で直接検知されたノルウェー機はない」という批判もあった。

ハーシュ:

本格的な秘密作戦はOSINTを考慮し、それに対処するために実行される。私が言ったように、この問題に対処する人が任務に就いていた。

シードラー:

あなたの職業において勇気はどのような役割を果たすのか?

ハーシュ:

真実を伝えることに何か勇気が必要であろうか? 私たちの仕事は恐れることではない。そして時には醜くなることもある。私の人生にもそのようなときがありました。理解してもらえると思うが、私はそのことについて話さない。脅迫されるのは、私のような人間ではなく、私のような人間の子どもだ。酷い目にあったこともある。しかし、気にしないことだ。ただ、自分のやるべきことをやるだけだ。

※シーモア・ハーシュ:ピューリッツア賞受賞のアメリカの調査報道ジャーナリスト。

※ファビアン・シードラー:ベルリンを拠点とするジャーナリスト。著書に『巨大マシーンの終焉:衰退しつつある文明の概略史(The End of the Megamachine: A Brief History of a Failing Civilization.)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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