古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:イスラエル

 古村治彦です。

 第二次世界大戦から冷戦、ポスト冷戦期まで、アメリカは世界超大国として、国際社会で極めて大きな役割を果たした。日独伊の枢軸諸国との戦争においては、ヨーロッパと太平洋の二正面で日独を撃破し、同時に連合諸国側の兵器庫・工廠(工場)として、食料や武器の支援を行った。冷戦期は、自由主義陣営を率いて、ソ連と社会主義陣営と戦った。結果として、ソ連崩壊によって冷戦に勝利して、ポスト冷戦期は世界唯一の超大国として、安全保障や経済面で世界をリードしてきた。

 世界の歴史にはこれまで帝国(empire)と呼ばれる巨大な存在が出てきた。古くはローマ帝国、モンゴル帝国、大英帝国、そして、現在のアメリカもそれらに匹敵する存在である。世界帝国は世界から収奪することで富を築く。しかし、そのとみのしゅうだつのシステムを維持するためのコストのために衰退し、滅亡する。最も重荷になるのは軍事費だ。世界を支配するためにはどうしても巨大な軍隊を保有しなければならない。大英帝国はこの点で、巨大な陸軍ではなく強力な海軍を保有していたのではあるが。第二次世界大戦後のアメリカ軍は2つの大きな戦争と1つの小さな戦争を同時に戦えるだけの規模を維持してきたが、アメリカの国力低下はそれを許さない状況になっている。同盟諸国への責任の分担はそれを示唆している。

 アメリカが世界の支配者であることの恩恵は富裕層にしかないということを、アメリカの中流以下の一般国民が認識している。それなのに、実際に軍隊に行って死傷するのは自分たちということで、ますます怒りが高まっている。そのような怒りが、「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプ大統領を誕生させた。しかし、トランプ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の洗脳に近い「誘導」によって、イラン攻撃を行い、目論見が外れ、イラン攻撃は失敗に終わってしまった。このことはアメリカ中心の国際社会の構造の大きな変化を私たちの明確に示している。ウクライナ戦争の停戦が進まないことも同様である。「アメリカの終わりの始まり」を迎えた今、アメリカの属国である日本も一緒に沈んでいくか、少しずつ自立していくかを選択しなければならない時期を迎えている。

(貼り付けはじめ)

イランにおけるアメリカの帝国主義的罠(America’s Imperial Trap in Iran

―トランプ大統領の中東地域復帰の決断はかつてイギリスを破滅に導いた戦略的愚行(strategic folly)を彷彿とさせる。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/13/united-states-iran-war-middle-east-imperialism-british-empire/

約15年間、当時の3人の大統領を含む多くのアメリカの指導者たちは、アメリカが中東地域の社会構造改革に深く関与し過ぎていると考えていた。彼らは、より喫緊の課題はアメリカの産業基盤の再建と中国の台頭への対応だと考えていた。しかし今、アメリカは再び、大中東地域における社会構造改革のための戦争を戦っている。そしてイラク、アフガニスタン、リビアと同様に、この戦争も支持者たちが期待するような結果にはならないだろう。

なぜこのようなことが繰り返され続けているのか?

現状を理解するには、過去、つまり近代史においてアメリカに匹敵する世界的な影響力を持っていた唯一の国に目を向ける必要がある。20世紀初頭のイギリスは、世界唯一の超大国だった。1870年における大英帝国の世界総生産(GDP)に占める割合は約25%で、これは今日のアメリカとほぼ同じである。そしてロンドンは世界の金融の中心地だった。クリミア戦争期間中、イギリスはナポレオンのヨーロッパ大陸支配の試みとロシアの南東ヨーロッパへの勢力拡大の試みを阻止した。広大な帝国を統治し、今日のワシントンと同様に国際情勢(international life)の方向性を決定づけたのだ。

1880年代から1920年代にかけての数十年間、イギリスはアジアとアフリカ各地で不安定(instability)、悪質な政権(nasty regimes)、そして力の空白(power vacuums)といった問題への対応に追われた。スーダン、ソマリア、イラク、ヨルダンといった地域に軍隊を派遣し、コントロールを確保した。これらの任務は当時としてはどれも重要に見えたが、結果としてロンドンは世界の辺境地域(peripheral parts of the world)で次々と発生する局地的な危機に翻弄され、多大な犠牲を払うことになった。1920年のイラク反乱鎮圧には10万人を超えるイギリス軍とインド軍、そして数千万ポンドもの費用が要した。当時のイギリスの教育予算総額は、このイラクへの「遠征(excursion)」費用とほぼ同額だった。

イギリスの指導者たちはメソポタミアにおける戦略について熱心に議論を交わしたが、彼らが直面していた真の経済的、技術的な課題を根本的に見過ごしていた。イギリスが中東地域やアフリカの部族と戦っていた頃、大西洋を挟んだアメリカは、世界史上最も先進的な工業経済を静かに築き上げていた。第一次世界大戦後のヨーロッパでは、敗戦国ドイツが着実に産業と高度に機械化された軍事機構を再建した。混沌とした周辺地域に気を取られていたイギリスは、その中核において組織的に追い抜かれていった。時を経て、イギリスは世界の覇権国としての地位を失墜した。

今日のアメリカは、かつての帝国主義の誘惑に再び屈しつつある。中東における真の危機に対応し、その対応に政治的、軍事的、そして道徳的な論理を見出している。しかし、究極的に言えば、大戦略(grand strategy)とは限られた資源の優先順位をつけることである。アメリカは無限の政治資本、時間的余裕、軍事力、そして経済的回復力を持っている訳ではない。テヘランへの空爆、ペルシア湾上空で発射された対ドローン迎撃ミサイル、そして政権当局者がイランの政治的継承の微妙な点について議論する時間は、21世紀を特徴づける真の地殻変動的な課題からエネルギーを逸らすことを意味する。

アメリカにとって最も重要かつ不可欠な役割は、北京とモスクワの修正主義的な野望に対抗し、国際システムを安定させることである。中国は中東地域の泥沼に足を踏み入れるどころか、人工知能、量子コンピューティング、太陽光発電、風力発電、バッテリー、ロボットなどの、世界の勢力均衡を決定づける技術に容赦なく投資している。ロシアは、探知が困難で、撃退が極めて困難なハイブリッド型の政治・軍事戦争を通じて、ヨーロッパの安全保障を混乱させ、西側民主政体を弱体化させることに依然として固執している。モスクワと北京がアメリカの世界秩序の根幹を揺るがす一方で、ワシントンは再び中東地域の治安維持と、その一国の指導者の選出に、血と財産を費やそうとしている。

歴史は、大国が「小規模戦争(small wars)」の魅力に屈することが多いことを示唆している。それは、小規模戦争が、迅速で政治的、道徳的な勝利という幻想を与えてくれるからだ。残念ながら、こうした戦術的な成功は戦略的な利益につながることは稀であり、むしろ長期的な疲弊への第一歩となることが多い。

イランへの介入が成功したとしても、アメリカはイランの運命に深く関与せざるを得なくなるだろう。果たして、今後10年間、アメリカの時間とエネルギーを最も有効に投入すべき分野はイランなのだろうか? イギリスの役割から得られる教訓は明白だ。大国は通常、外国軍に征服されるから滅びるのではない。周辺地域に過剰に手を広げ、中核地域を軽視するからこそ滅びるのである(They fall because they overextend themselves on the periphery while neglecting the core)。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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大英帝国がグアドループではなくカナダをどのようにして選んだか(How the British Empire Chose Canada Over Guadeloupe

-ロンドンはフランスとの戦争の戦利品を獲得したが、アメリカ合衆国を失った。

ダンカン・ウェルドン(イギリスのジャーナリスト・歴史家)筆

2026年2月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/06/british-empire-france-americas-history/

戦争は費用がかさむ事業だ。大同盟戦争(九年戦争、War of the Grand AllianceNine Years’ War)(1688~1697年)の終結までに、イングランドの国家債務は国民所得(national income)の約20%に達した。これは今日の基準からすれば低い数字だが、当時としては憂慮すべき高水準だった。しかし、住宅ローンやその他のローンを組んだ経験のある人なら誰でも知っているように、重要なのは借入の総額(the quantum of the borrowing)だけでなく、そのコストだ。

イングランド(そして1707年のスコットランド合同法以降はグレートブリテン)が支払いを滞納しないことを確約し、議会が必要に応じて税収を増額する能力を示したことで、課税金利は低下し始めた。1750年代の七年戦争(Seven Years’ War)の時期には、イギリス政府はわずか3%の金利で借入を行うことができた。理論上、国家債務(national debt)は「完済(pay off)」するという計画が常に存在した。

18世紀を通じて、財政部門の政府高官たちはしばしば、議会が例えば8%の借入を前提に課税を認めているものの、実際のコストはそれよりも低く、おそらく4%か、5%程度であり、その差額を元金の返済に充てることができると指摘した。1710年代後半、楽観的な当局者は22年以内に全額返済できると考えていた。しかし、この安心感を与える計算は、イギリスとフランスとの長きにわたる断続的な戦争という現実を無視していた。スペイン継承戦争(War of the Spanish Succession)とオーストリア継承戦争(War of the Austrian Succession)の末、七年戦争(1756~1763年)が始まる頃には、政府債務はGDPの約100%に達した。

しかし、イギリスに奉仕するコストは極めて抑えられるものだった。

多額の債務と高金利を抱え、さらなる借入を余儀なくされた国は、一般的に軍事力の低下を招く。しかしながら、18世紀のイギリスは、フランス革命の引き金となった債務よりも高額な債務を抱えていたかもしれない。しかし、制度的な信頼性に基づく低金利(the low interest rates, based on institutional credibility)が、当時のイギリスの債務を決定的に異なるものにしていた。

1750年代におけるイギリスの世界戦争への成功を支えたのは、まさにこの財政的枠組み(financial framework)だった。イギリスは最高クラスの海軍を維持し、財政的に逼迫しているヨーロッパ大陸の同盟諸国に補助金を支給することで、フランスと戦う軍隊を戦場に維持することが可能となった。

イギリスにとって、特に戦争後半においては、七年戦争は真に世界規模の紛争となった。ここで、「イギリス流の戦争術(“British way of warfare)」という、時に物議を醸す概念の起源を探ることは重要だ。九年戦争では、元はオランダ人であったイギリス王オラニエ公ウィリアムは、オランダ共和国が南のより大きな隣国に侵略される可能性を当然ながら懸念し、大陸で直接戦うためにフランドルに大規模なイギリス軍を維持していた。

1700年から1714年にかけて戦われたスペイン継承戦争でも、同様の大陸への関与が見られ、マールバラ公爵はヨーロッパで有名な勝利を収めた。しかし、これはイギリスで必ずしも好評だった訳ではない。海軍の存在を正当化するのは容易だった。それは、海軍は島国を侵略から守るだけでなく、成長するイギリスの権益と海外貿易の保護・拡大にも貢献したからだ。

この問題は、アン女王(ウィリアムとメアリーの後継者)が1714年に子供を残さずに亡くなったことでさらに分極化した。プロテスタントによる王位継承の必要性から、ハノーヴァー公ジョージ1世がイギリス国王に即位し、ドイツにおける元々の領地も維持した。ハノーヴァー朝の最初の数十年間、イギリス議会の議員の一部は、イギリス軍がヨーロッパ大陸におけるハノーヴァー家の権益に奉仕しているように見えることに抵抗感を抱いていた。 1756年から1761年まで内閣の一員であり、実質的にイギリスの戦時戦略の管理者であったウィリアム・ピット(父)に代表されるイギリスの戦争方法は、大規模な軍隊の必要性を軽視し、ヨーロッパにイギリス軍を派遣することに懐疑的であり、その代わりに同盟諸国への財政支援、強力な海軍の維持、敵国の植民地や海外領土の支配権の獲得の重要性を強調した。

この戦略の支持者たちは、イギリスの強み、すなわち海軍力の比較優位(a comparative advantage in naval power)と、同盟諸国を経済的に支援できる財政力(the financial strength to support allies economically)を生み出す海洋文化(a maritime culture)を活用できると主張した。結局のところ、フランスはイギリスよりもはるかに大きな国であり、陸軍に関しては常に優位に立っていた。こうした行動の副産物の一つは、海外のフランス植民地を掃討する機会をもたらした。

これはまさに1750年代のイギリスが辿った道である。ウィリアム・メイクピース・サッカレーの小説『バリー・リンドンの幸運』に描かれているように、小規模なイギリス軍はドイツで戦い、ミンデンの戦いで大きな称賛を得たが、イギリスの戦争活動の大半はヨーロッパ外に集中していた。インドとケベックでの勝利に加え、カリブ海に浮かぶフランス領の島々も占領され、戦争末期にはスペインに宣戦布告し、フィリピンとキューバを併合した。

しかし、これらの獲得物全てを永久に保持することが意図された訳ではなかった。18世紀の政治家たちは、和平交渉(peace talks)はギヴ・アンド・テイクを伴う交渉プロセスであることを認識していた。実際、当時の和平条約の特徴の一つは、しばしば通商条項を含んでいたことだ。勝者は植民地の一部を奪取するだけでなく、かつての敵国が支配する市場において、自国の輸出品に対する有利なアクセスを要求することもあった。

戦争終盤におけるイギリスの目標は、避けられない和平交渉に向けて十分な選択肢を持つために、可能な限り多くの土地を奪取することだった。しかし、スペインとの紛争においては、これは計画通りには進みなかった。18世紀の通信手段は限られていたため、マニラを攻撃したイギリス軍は、戦争の知らせがフィリピンに届く前に攻撃を開始し、その知らせがヨーロッパに届く頃には、既に条約は締結されていた。

しかし、フランスとの避けられない交渉が始まる前に、イギリスでも和平と引き換えにどの戦利品を保持し、どの戦利品を返還すべきかについて、多くの交渉が行われた。1760年から1763年にかけて、現代の私たちからすれば、かなり突飛に聞こえる激しい議論が繰り広げられた。イギリスはカナダを保持するべきか、それともグアドループを保持するべきか? ベンジャミン・フランクリンからカーライル司教に至るまで、様々な人物が書いたパンフレットがこの問いに意見を述べている。

この議論は、見た目ほど奇妙なものではなかった。

カナダは地理的にはるかに広大で人口もはるかに多かったものの、すぐに得られる経済的利益は少なかったように思われる。ビーバーの毛皮貿易は確かに魅力的だったが、グアドループは砂糖の島であり、砂糖は18世紀のヨーロッパで非常に需要の高い高価値商品だった。しかし、グアドループからすぐに得られる経済的利益は、カナダにとっての明確な安全保障上の理由と対比させる必要があった。イギリス自身の北アメリカ13植民地のすぐ北に位置するフランスの植民地を撤去すれば、イギリスの立場が安定するだけでなく、駐屯地運営費用が減って最終的には財政的な節約にもつながると期待された。

議論は時折、激しさを増した。終戦時に政府を率いたビュート伯爵は、『ノース・ブリトン』紙でビーバーの毛皮の魅力を理解していないと非難され、「もし人工的な暖かさを求めるほど親切な女性がいるなら、私たちにはそのための猫や犬がいる。・・・その上、実に愉快な荒々しさで」と皮肉られた。

最終的に、イギリスは砂糖の島がもたらす利益よりも、北アメリカ植民地の安全保障を優先した。しかし、パンフレット戦争において洞察力のある一部の評論家が認識していたように、これは長期的にははるかに逆の結果をもたらすことになる。近代カナダにおける大規模なフランス植民地の存在は、少なくとも、これらの植民地が安全保障をイギリスに頼る明確な理由となっていた。

1760年代のあるイギリス人植民者はこう記している。「畏敬の念を抱かせてくれる隣国が、必ずしも最悪の隣国とは限らない」。フランスの脅威がなくなったことで、植民者たちの動機は変化した。パリ条約以前は、大英帝国の一部であることは多少の負担を強いられたかもしれないが、同時にフランスからの保護という明確な利益も伴っていた。

パリ条約締結後も、イギリスが植民地に帝国統治の重荷を負わせようとしたため、コストは依然として残り、むしろ増加し始めた。しかし、その利益ははるかに疑わしいものだった。グアドループをカナダと交換したことは、結局のところ、イギリスにとって北アメリカを失ったことにつながったかもしれない。イギリスの制度は世界大戦に勝利することを可能にしたが、インセンティヴを理解していなかったため、その勝利は空虚なものとなった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 イラン戦争は膠着状態に陥っている。ホルムズ海峡の閉鎖が解かれなければ、世界経済の混迷は続く。石油価格の高騰や石油由来の物品の不足は続くことになる。現在、表ではパキスタン、裏では中国が米中間を取り持ち、和平の条件を整えている。アメリカとイラン両国はできるだけ自分に有利な条件でと考えているだろうが、落としどころを見つけて、一日も早く停戦合意、和平合意を達成してもらいたいところだ。アメリカはイランの核兵器開発能力の完全廃絶、イランは体制の保証、安全の保証を求めている。ここで問題になっているのは、「アメリカの信頼性の欠如」だ。より正確に言えば、「トランプのする約束の信頼性の欠如」だ。

 トランプは、前政権が行った約束を反故にするということをしてきた。たとえば、第一次政権時、バラク・オバマ政権がイランとの交渉の末締結した核開発に関する合意を放棄した。また、キューバとの間の国交正常化や経済関係正常化についても反故にする決定を行った。トランプはアメリカ政府の継続性を無視し、約束を反故にするということをしてきた。それがここにきて重荷になっている。「トランプが約束したとしてもそれが守られる保証はない」というのは非常に厳しい。しかしそれでもなお、和平交渉は再開され、和平合意は達成されなければならない。なぜなら、アメリカはこれ以上、大規模な攻撃はできないし、実行する意志もない。地上軍を派遣してイラン国内で大規模な戦闘を展開するということはもってのほかだ。

 イランはアメリカ側が音を上げるまで、嫌気がさして、「何でも言うことを聞く」というところを目指しているだろう。中国やパキスタンは「アメリカにも少しは花を持たせないと、現状が続くことはイランにとっても得策ではない」という説得を続けているだろう。そして、アメリカ側に対しては「トランプの信頼性のなさが問題だ」ということは伝えているだろう。そうなれば、「少なくとも外交に関してはJD・ヴァンス副大統領が主導権を握って進めてくれなければ困る」ということになるだろう。「いざとなれば、トランプを座敷牢に閉じ込めてでも」という決意をもって、責任をもって外交運営ができる人物はヴァンスであり、トランプ自身が後ろに引くことで、和平が進むということになる。トランプにとっては不満が募ることになるだろうが、和平がなければ中間選挙の結果もおぼつかず、そうなれば完全に無力化してしまうことになるとなれば、ここは妥協するしかないということになる。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプのレッドラインは今や何の意味も持たない(Trump’s Red Lines Mean Nothing Now

―イランは、虚勢(bluff)、場当たり的な対応(improvisation)、そして服従の儀式(submission rituals)の上に築かれた大統領制の限界を露呈させている。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/27/donald-trump-red-line-iran-war-barack-obama-syria-maga-foreign-policy-middle-east/

バラク・オバマ大統領の退任後、彼の外交政策における最大の誤りの一つは、シリアの「レッドライン(red line)」だったという見方が定説となった。オバマはシリアが化学兵器を使用すれば攻撃すると明言していたが、実際に化学兵器を使用した証拠が出てくると、介入(intervention)の是非を連邦議会に委ね、連邦議会は行動を起こさなかった。

当時、ドナルド・トランプはこれを「大惨事(a disaster)」と呼び、マルコ・ルビオ連邦上院議員(当時、フロリダ州選出、共和党)は「世代を超えて、そしてアメリカの評判を傷つける(generational and reputational damage)」出来事だと非難した。数年後、ピート・ヘグセスは、オバマの外交政策は「支離滅裂な迷路(an incoherent maze)」の一部だと批判した。リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、オバマが自ら引いたレッドラインを無視したことで、世界におけるアメリカの信頼性を失墜させる危険を冒したと説明した。

オバマのレッドラインの二転三転(flip flop)は、イラン・イラク戦争以降に見られる政策決定の模範例と言えるだろう。先週、トランプ大統領はソーシャルメディアに「イランが今この瞬間から48時間以内に、脅威を与えることなくホルムズ海峡を完全に開放しない場合、アメリカ合衆国はイランの様々な発電所を攻撃し、破壊するだろう。まずは最大の発電所から攻撃を開始する」と投稿した。

その後の展開は皆さんがご存じの通りだ。イランはこの脅威に屈することなく、攻撃と海峡封鎖を継続した。トランプ大統領の対応はどうだったか? 急遽方針を転換し、エネルギーインフラに関するあらゆる措置を5日間延期すると発表した。そして、突如として、一晩にして、イランとアメリカが「中東における敵対関係の完全かつ全面的な解決(complete and total resolution of our hostilities in the Middle East)」に向けた「生産的な協議(productive conversations)」を開始したと主張した。イラン側はこうした協議が行われていることを否定した。そして今、トランプ大統領は延期期間をさらに1週間半延長すると発表している。

トランプ大統領の評価が相対評価(on a curve)で行われていることは、もはや明らかだ。関税を130%に引き上げるとか、イラン最大のガス田を爆破するとか、「戦争はほぼ終結した(the war is very complete, pretty much)」などと言っても、これらの発言にはほとんど意味がない。これらは実際のアメリカの政策かもしれないし、そうでないかもしれない。あるいは、1日か1週間だけ政策として通用し、その後変更される可能性もある。戦争はほぼ終結したと発言した直後、トランプは同じ日に「私たちはまだ十分な勝利を収めていない(we haven’t won enough)」「敵が完全に、そして決定的に敗北するまで、私たちは決して諦めない(we’ll not relent until the enemy is totally and decisively defeated)」と断言した。イランの指導者たちと交渉することに同意したものの、彼らが次々と殺されるため交渉できなくなったと述べているが、実際に殺戮を行っているのは紛れもなくトランプ自身の軍隊(そしてイスラエル軍)である。これで全て理解できるだろうか?

トランプの支持者たちは、この矛盾こそが戦略的な天才の所業であり、人々を油断させているのだと主張する。しかし、その政策は様々な理由で変化しているようだ。例えば、株価が下落したり、標的国がトランプを称賛し、金塊を贈呈したりするかもしれない。トランプの最大の強みは、瞬時に方針転換できる柔軟性(he is flexible enough to turn on a dime)と、彼が提案するものなら何でも受け入れる支持基盤(a base that will accept anything he proposes)を持っていることだ。かつては中東戦争に断固反対していたトランプのMAGA支持者の多くは、今や改宗者のような熱狂ぶり(the zeal of converts)でこの中東戦争を信じている。トランプ大統領は敵対行為を終結させたいと明言しているものの、今回の問題は関税問題とは異なり、彼自身が始めたことを止めることができない点にある。イランには投票権があり、現在イランは戦闘継続に投票している。弱体化しているとはいえ、世界経済に打撃を与え、ひいてはアメリカに痛手を与えるだけの軍事力は依然として持っていると判断している。

世界にとって、もはやアメリカの信頼性などというものは存在せず、ただ主人公が危機を巧みに回避し、昨日の発言によって引き起こされた危機を今日の発言で解決できると期待する、奇妙なリアリティ番組のようなものになっている。イランの発電所を破壊すると脅迫する前日、トランプはアメリカがイランに対する軍事作戦を「縮小(winding down)」することを検討していると主張し、ホルムズ海峡の防衛は自分の問題ではなく、海峡を通過する輸入品を扱う他国が対処できると示唆した。また別の時には、他国の助けは必要ないと述べた。かつてビジネスマンたちは政策の不確実性を理由に前政権を非難していたが、今ではトランプの混乱の祭典がほぼ毎週市場を揺るがす中、彼らはこぞってトランプを称賛している。

トランプ大統領は、アメリカの強大な力を弄び、従わない者を罰し、従う者を褒賞することに慣れきっている。そうすることで、彼は数十年にわたって築き上げてきた信頼を、短期的な利益を得るために浪費している。時には、それは彼自身の家族のビジネス上の利益にもつながっている。しかし、イランにおいては、彼は自分のルールに従わない敵対者と対峙しているように見える。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 戦争はどの国にとっても大きな負担となる。世界の超大国であるアメリカでもそれは変わらない。そして、イスラエルにとってもそれは同じだ。イスラエルは人口約1000万人(ユダヤ系が約74%、イスラム教が多いアラブ系が約18%、キリスト教徒やドルーズ教徒が約8%)の比較的小さな国であるが、GDPは約5400億ドル(約87兆円)で世界第20位である(日本は約4.38兆ドル、約690兆円で世界第4位)。一人当たりのGDPは約6万ドルとなり、こちらも世界第20位となっている。ちなみに、日本は約3万4000ドルで世界第24位である。出生率(約2.84)も高いが、これは超正統派ユダヤ教徒の出生率(約6.66)が大きく貢献している。超正統派ユダヤ教徒は労働に従事しない傾向があり(イスラエル国家から補助されている)、兵役も免除されている。イスラエル国内で、超正統派ユダヤ教徒の割合が増えており、そうなれば、労働をせず、兵役にも就かない人が増えることになり、イスラエル国家全体にとって大きな負担となる。

 イスラエルは現在、イランとの戦争状態にあり、さらに、ガザ地区を実行支配するハマス、レバノンのシーア派組織ヒズボラ、イエメンのシーア派組織フーシ派との戦闘も続いている。戦争にはお金がかかる。戦費はイスラエル経済に重くのしかかる。アメリカからの支援やイスラエル以外に住むユダヤ人からの支援はあるにしても、戦争が永久的に続くことはイスラエルにとっては大きな負担である。また、人口が1000万人の国家で、一定数の国民が兵役に就くが、同時に兵役が免除されている超正統派ユダヤ教徒が労働に従事しないということはイスラエル経済や社会にとっては大きな痛手だ。

 さらに、イスラエルにとってはアメリカからの支援が頼みの綱であるが、アメリカ国民、特に若年層を中心にしてイスラエルの政策に反対する割合が増加しているのは懸念材料である。アメリカからの無条件の厚遇をいつまでも期待できるということはない。

 こうして見ると、イスラエルにとって武力による制圧というのは得策ではないということになる。圧倒的な軍事力があり、戦争を続けても、最終的な勝利を得られていないという状況は、人命や資金を浪費しているということに他ならない。イスラエル国内の情勢が大きく変化し、極右勢力が退潮しなければ、イスラエルはその大きな力によって滅亡の途をすすることになりかねない。

(貼り付けはじめ)

イスラエルが戦争で払っている代償(The Price Israel Is Paying for Its Wars

―複数の戦線での戦闘はイスラエルの軍事力、経済、そしてアメリカとの関係に大きな負担をかけている。

デイヴィッド・E・ローゼンバーグ筆

2026年4月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/14/israel-war-hamas-hezbollah-iran-economy-military/

2月28日にアメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まった時、イスラエルはベンヤミン・ネタニヤフ首相が主張する地域大国(the regional power)、ひいては大国(the great power)そのもののように見えた。ネタニヤフの言葉を疑う理由はほとんどなかった。過去2年半の間、イスラエルは宿敵であるハマス、ヒズボラ、そしてイランを事実上打ち負かしたかに見えた。イスラエル国防軍(IDF)は長期戦を遂行できる能力を示し、ヒズボラへのポケベル攻撃のような卓越した技術力を披露し、イランやイエメンのフーシ派への攻撃を通じて地域全体にその力を誇示してきた。そして今、ネタニヤフ首相が「全ての戦争を終わらせる戦争(a war to end all wars)」と豪語した、イランの核・弾道ミサイルの脅威を排除するための最終決戦(a final blow)に乗り出そうとしていた。

6週間後、イランの軍事力は著しく低下し、経済は崩壊、主要インフラは破壊され、主要な政治・軍事指導者の多くが死亡した。しかし、ネタニヤフ首相とトランプ大統領が作戦開始時に掲げた目標は、達成には程遠い状態にある。イランの政権は依然として権力を維持し、濃縮ウランを保有し、弾道ミサイルとドローンを大量に保有していると報じられている。そして何よりも深刻なのは、イランがホルムズ海峡を封鎖できることを示したことだ。一方、ヒズボラはイスラエルの予想をはるかに上回る抵抗を見せ、武装解除の意思を全く示していない。

それでは、この戦争によってイスラエルは以前よりも弱体化したのか、それとも強くなったのか? これは極めて重要な問いである。なぜなら、ネタニヤフ首相はイラン戦争を大勝利と喧伝する一方で、戦いはまだ終わっていないとも述べているからだ。「私たちにはまだ達成すべき目標があり、合意によってか戦闘再開によってか、いずれにせよそれを達成するだろう。・・・私たちは引き金に指をかけている」とネタニヤフは先週、ドナルド・トランプ米大統領による停戦宣言を受けて述べた。

イスラエルの戦後における国力に関する問いへの答えは、イランとヒズボラにも少なからず関わっている。彼らの損失の程度、そして復興・再建能力は、おそらく時間が経つにつれて明らかになるだろう。この不確実性こそが、イスラエルの戦略的課題をより複雑にしている。一方で、イスラエルの資産と能力ははるかに評価しやすく、現状は決して楽観視できるものではない。

イスラエルの国力は主に3つの柱に支えられている。すなわち、圧倒的な軍事力、ますます費用がかさみ、長期化する戦争を支える経済力と国民力、そしてアメリカとの同盟関係である。ネタニヤフ首相はこれら3本の柱を限界まで活用し、さらにその限界を超えようとしているように見える。

軍事:純粋に戦術的なレヴェルでは、イスラエル国防軍は2023年10月7日のハマスによる攻撃以降、数々の目覚ましい成果を上げてきたが、それらは莫大な兵器、人員、そして資金の投入によって達成された。イスラエル銀行の推計によると、イランとヒズボラとの現在の戦争が始まる以前でさえ、他の戦争によってイスラエルの6600億ドル規模の経済に対し、約1160億ドルの直接的な国防費が費やされた。現在のイラン攻撃の費用については議論の余地があるが、110億ドルから180億ドルと推定されている。

たとえイランとレバノンでの作戦が間もなく終結したとしても、イスラエルの国防費は依然として高水準にとどまるだろう。イスラエル軍はガザ地区の半分とシリア南部の広範囲に部隊を配備し続けている。ヨルダン川西岸にも多数の新たな入植地を守るため、さらに多くの兵士が派遣された。ネタニヤフ首相はレバノンとの交渉に渋々応じたものの、レバノン南部にいわゆる「安全保障地帯(security zone)」を設置する構想も示しており、そのためにはさらに多くの地上部隊が必要となる。ネタニヤフ首相はどこからも撤退するつもりはなく、先月「私たちは安全保障の概念を変えた。攻撃を開始し、敵を奇襲するのは私たちだ」と述べた。

イスラエル政府は軍の資源が無限であるかのように扱い、新たな攻勢や占領の拡大を軍に求めている。しかし、それらを遂行するのに十分な人員を確保するための措置は一切講じていない。徴兵制の延長や、超正統派ユダヤ教徒に認められている徴兵免除の廃止に関する法案は未だに可決されていない。人員不足を補うため、予備役兵がほぼ不可能なほど長い期間召集されている。エヤル・ザミル参謀総長は先月、閣僚に対し、約1万5000人の兵員不足を背景に「イスラエル国防軍は崩壊寸前だ(IDF is going to collapse in on itself)」と警告したと報じられている。装備に関しては、イスラエル国防軍の備蓄量や装備の摩耗状況は厳重に秘密にされているが、特に迎撃ミサイルの供給において、問題の兆候が時折表面化している。

経済:過去20年間、イスラエル経済は度重なる戦争に直面しながらも、驚くべき回復力を見せてきた。最近の戦争も例外ではない。2023年のハマスによる攻撃後の数カ月間、そして昨年6月のイランとの12日間の戦争中、GDPは縮小した。そして、現在の戦争でもほぼ確実に再び縮小しただろう。しかし、いずれの場合も経済活動は急速に回復し、戦争によってイスラエルの国防費負担が世界最高水準にまで上昇したにもかかわらず、経済は成長を続けた。

この回復力の一因は、イスラエルの企業や労働者が戦争に慣れ、対処メカニズムを発達させてきたことにある。しかし、政府が財政を健全に保ち、比較的小幅な財政赤字にとどめ、債務(対GDP比)を削減してきたことも同様に重要である。イスラエルのハイテク産業と天然ガス生産は、数十億ドル規模の海外投資を呼び込み、経常収支の黒字を継続的に維持することを可能にしてきた。ガザ紛争勃発以来、アメリカから総額約220億ドルに上る多額の援助を受けてきたことも、経済的な負担を軽減する一因となっている。イスラエルは戦争費用を負担できる経済力を持っている。

しかし、ネタニヤフ首相の政策は、この経済力の限界を試している。膨大な戦闘費用を賄うため、イスラエル政府は概して増税や民間向け支出の削減を避けてきた。これは経済成長を維持するのに役立ってきたが、同時に、イスラエルの公的債務はガザ紛争前のGDP比60%という比較的低い水準から、2026年末には70.5%に達すると予測されるほどに急増した。この債務水準は危険なほど高いとは言えないものの、ネタニヤフ首相は軍事費への支出を止めようとはしていない。今後10年間で国防予算に1160億ドルを追加する計画であり、これはGDPの6%という巨額の国防費を国防に充てることになる。この支出水準は、債務の増加、増税、民間支出の削減などを通じて、経済に重くのしかかるだろう。アメリカ:2023年のハマスによる攻撃は、イスラエルに前例のない規模のアメリカの軍事的、財政的、外交的支援をもたらした。イランへの共同攻撃は、その支援を新たなレヴェルへと引き上げたように見える。しかし、これら全ては、実際にはアメリカ・イスラエル関係の頂点となる可能性もある。

イスラエルの国力を構成する3つの要素全てがますます脆弱になっているにもかかわらず、ネタニヤフ首相はまるで何事もなかったかのように振る舞っている。彼には他に選択肢があるのだろうか?

批判者たちは、ネタニヤフ首相はイスラエルの軍事的成果を外交的合意形成に活用すべきだと指摘する。しかし、ネタニヤフ首相は国家安全保障が絡む合意にはほとんど信頼を置いていないことを示してきた。ある程度、彼の見解は正当化される。レバノンとシリアの政府は約束を履行する力が弱く、イランとハマスはイスラエルの存在そのものにイデオロギー的に反対しており、実質的な合意交渉に応じる姿勢は見られない。

問題は、イスラエルが敵国に対して圧倒的な軍事的優位性を持っているにもかかわらず、彼らを屈服させることができていないことだ。ハマスでさえ、戦前の軍事力と指導部をほぼ全て失い、ガザ地区の半分を支配下に置いたにもかかわらず、屈服を拒否している。したがって、イスラエルは資源が枯渇し、後ろ盾であるアメリカの全面的な支援も得られない中で、終わりのない戦争(forever wars)という不確実な未来に直面する運命にあるように見える。

※デイヴィッド。E・ローゼンバーグ:『ハアレツ』紙英語版経済担当編集員兼コラムニスト。著書に『イスラエルのテクノロジー経済(Israel’s Technology Economy)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 国際社会の構造は大きく変化しつつある。これまでの約600年間、世界を支配したのは西洋諸国、ポルトガル・スペイン、オランダ、イギリス、アメリカであった。そこにはイタリア、フランス、ドイツといった諸大国も存在してきた。現在は「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)」対「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の2つの陣営に分かれている。そのことが明確になったのが、2022年2月からのウクライナ戦争であった。

 第二次ドナルド・トランプ政権発足後から、アメリカは「ならず者国家(rogue state)」のような振る舞いに終始している。ヴェネズエラやイランを直接攻撃しただけではなく、キューバに対しては不必要な経済制裁、グリーンランド領有の野心を明らかにすることなど、相手に関係なく、「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」「気に入らないからぶん殴る」というアニメ「ドラえもん」に出てくるガキ大将のジャイアンのような態度を取り続けている。このような暴れん坊のアメリカに対して、どのような対処法があるのかについて、下記論稿の著者で、国際関係論の大物学者であるスティーヴン・M・ウォルトは6つの方法を提案している。それらは国際関係論の研究の成果でもある。それらについては下記論稿をお読みいただきたい。

 国力を衰えさせながら、野心をむき出しにして自分勝手な行動を取る、老いた超大国となるアメリカに日本はどのように対応すべきかということであるが、大前提として、日本はアメリカの属国であるという事実がある。今まではアメリカの属国として、アメリカの言う通り、アメリカの利益になり、日本の利益になる行動を取ればよかった。しかし、アメリカが変容するならば、日米関係も変容するのが当然だ。対米従属一辺倒から変化しなければならない。アメリカと一緒に泥船に乗って沈む訳にはいかない。

 日本は地理的に見てもそうだが、米中両超大国の間に位置する。経済大国であったの過去の栄光、少子高齢化の最先端を進んでいる。そうした中で、中国との関係も重要である。現在の高市早苗政権が行っている政策派のこの点で最悪と言わざるを得ない。中国との関係改善は喫緊の課題だ。しかし、中国に急接近することも難しい。日本はアメリカの属国である。したがって、重要なことは、アメリカらか少しずつ距離を取りながら、中国に少しずつ近づくということになる。現在が10対ゼロで対米従属一辺倒であるならば、そこを黄金比の1対約0.6、5対3くらいにするというのはどうだろうか。完全に二等分するのではなく、アメリカに寄りながら、中国も立てる。これが間にいる、ミドルパワー国家である日本の生き方ではないかと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

アメリカはならず者国家になった(The United States Has Become a Rogue State

―アメリカを除く世界ができることを挙げていく。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年3月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/26/united-states-trump-rogue-state-iran/

第二次ドナルド・トランプ政権は、私を含め多くの専門家の予想をはるかに超える混乱と損害、そして危険性をもたらしており、イランとの悲劇的なまでに無能な戦争は、その事実を如実に物語っている。その結果、世界中の国々が、ますます暴走するアメリカへの対処法を模索せざるを得ない状況に陥っている。自分に問うてみて欲しい。もしあなたがサウジアラビア、ブラジル、ドイツ、インドネシア、ナイジェリア、デンマーク、オーストラリアなどの指導者だったらどうするだろうか?

なぜこれが難しい問題なのか。アメリカは、たとえ現在、誤った重商主義(misguided mercantilism)、科学や学術界への無分別な攻撃(mindless attacks on science and academia)、あらゆる種類の移民に対する露骨な敵意(overt hostility to immigrants of all sorts)、化石燃料への依存の強化(doubling down on fossil fuel dependence)、無駄な軍事支出(wasteful military spending)、慢性的な財政赤字(chronic deficits)など、いずれはアメリカを弱体化させるだろう政策を追求しているとしても、現在のところは非常に強力な国家だ。しかし今のところ、他国は、アメリカの力が意図的であろうとなかろうと、自国に害を及ぼす可能性があると懸念せざるを得ない。

第二に、私が他の場所で詳しく論じてきたように、アメリカは今や略奪的な覇権国(a predatory hegemon)のように振る舞い、数十年にわたって築き上げてきた影響力を駆使して、同盟国も敵対国も等しく搾取している。ほぼ全ての他国との関係において、このようなゼロサム的なアプローチをとることは、ほとんどの国際機関や規範に対する根深い敵意、意図的な不安定な行動、そして他国の指導者を露骨に軽蔑しながら、そのほとんどから屈辱的な服従と忠誠(demeaning acts of submission and fealty)を期待する傾向を伴う。イラン戦争の余波が地域全体、そして世界中に広がるにつれ、政権が自らの行動が他国にどのような影響を与えるかを理解していなかったか、あるいは単に気にしていなかったかのどちらかが浮き彫りになっている。

そして、これが第三の問題につながる。アメリカの外交政策は今や、大統領をはじめとする極めて無能な官僚たちの手に委ねられている。国際的な影響力は多くの要素に左右されるが、重要な要素の一つは、他国が、自分たちが関わる相手が賢明で、情報に通じており、概して自分たちの行動を理解していると信じることである。現時点で、トランプ政権の上層部で、そのような評価に値する人物はいるだろうか? 少なくとも私には見当もつかない。外交政策の遂行は困難な仕事であり、どの政権も全てを完璧にこなせるというものではない。しかし、この政権は毎週のように自らの目標を掲げながら、自らは無誤謬である(it is infallible)と主張している。

さらに悪いことに、これらの問題点のいくつかは、たとえトランプと全く異なる見解を持つ人物が後任になったとしても、退任後に容易に是正できるものではないだろう。経験豊富な公務員(一部の上級軍人を含む)が退職または解雇され、後任が任命されないか、あるいはトランプに忠実な人物によって取って代わられることで、アメリカの外交政策機構の組織力は空洞化している。

そして、アメリカの政治体制は依然として深刻な分極化状態にあるため、他国もまた、政治の振り子が両極端の間を行ったり来たりするのではないかと懸念せざるを得ない。アメリカ国民はトランプを一度ならず二度も選出しており、再び似たような人物を選ぶ可能性もある。こうした現実を踏まえれば、ワシントンが今日、あるいは民主党大統領の下でどのような約束をしようとも、どの国もそれを信頼できるだろうか?

まとめると、世界の他の国々は、少なくとも今後3年間、おそらくはそれ以上、強力で、おそらく略奪的で​​、極めて不安定なアメリカ合衆国と向き合わなければならないということだ。そうなるとすれば、アメリカ合衆国だけが危険な略奪者(dangerous predator)ではないこと(そして一部の国にとっては、より差し迫った危険が身近にあること)を念頭に置きながら他の国々はどうすべきだろうか。

質問を繰り返す。もしあなたが他国の外交政策を担うとしたらどうするか?

私が考える主な選択肢を以下に挙げる。

(1)バランシング(Balancing

歴史を通じて、強力で危険な国家に対処する古典的な方法は、自国の努力、あるいは他国との連携(あるいはその両方)によって、それらの国家に対抗するためにバランスを取ることだ。ロシアと中国の「無制限パートナーシップ(no-limits partnership)」、北朝鮮がウクライナでロシアに提供した支援、イランが中東地域各地で支援した代理勢力のネットワーク(the network of proxies)、そしてロシアがイランに提供しているとされる情報支援(the intelligence support that Russia is reportedly giving Iran)などに、この傾向が見られる。

一部の国が採用する可能性のあるもう一つの戦略は、「ソフト・バランシング(soft balancing)」だ。これは、強力な国家の目的を阻止するために、外交行動を意識的に調整するものだ。典型的な例としては、2002年の国連安全保障理事会決議案(イラクへのアメリカ軍攻撃を承認するもの)に反対したフランス、ドイツ、ロシアの協調行動が挙げられる。この出来事はジョージ・W・ブッシュ政権に戦争を思いとどまらせるには至らなかったものの、アメリカ(およびイギリス)の孤立を露呈させ、米英両国が最終的に支払う政治的代償を増大させた。

トランプ大統領がデンマークからグリーンランドを奪取すると脅迫したことに対するヨーロッパの対応は、もう一つの明白な例である。これは、強大な国家が望ましくない行動に出るのを阻止するための協調的な外交対応(a coordinated diplomatic response)であり、軍事的要素も含まれていた。カナダのマーク・カーニー首相が1月に、世界のミドルパワー国家が結束し、信頼できない略奪的なアメリカとの協力に依存しない、互恵的な関係(mutually beneficial relations)を築くよう呼びかけた際、念頭に置いていたのは、ソフト・バランシングであったようだ。

トランプ政権は、アメリカのパワーとのバランスを図るためのハードな取り組みもソフトな取り組みも、いずれも弱く、不安定で、大きな成果をもたらさないと見込んでいる。多くの国がアメリカのパワーに対抗するために多大なコストのかかる行動を取ることに当然ながら消極的であること、そして「ソフト・バランシング」の取り組みでさえ大きな集団行動上の問題に直面することを考えると、彼らの見方は正しいかもしれない。しかし、これらの障害は克服できないものではない。特に、アメリカに迎合することが新たな要求を生むだけであったり、他国がアメリカとの緊密なパートナーシップを資産ではなく負債とみなすようになったりすれば、なおさらである。

そして、もう一つのバランシングの形を忘れてはならない。アメリカが自国を攻撃するかもしれないと懸念する国、あるいはアメリカがもはや信頼できる守護者(a reliable protector)ではないと恐れる国は、自国の核抑止力(nuclear deterrents)を獲得することで安全保障を強化しようとするだろう。アメリカの信頼性に対する懸念から、フランスは自国の抑止力をヨーロッパ全域に拡大することを提案しており、韓国や日本といった国々も再び自国の抑止力の必要性を検討している。イランとの戦争、そして比較的慎重なイラン指導者数名の排除は、北朝鮮を模倣して機会があったうちに積極的に核兵器開発に取り組まなかったことが最大の過ちだったと考える国々の立場を強化するだけだろう。

(2)バンドワゴニング(Bandwagoning

多くの現実主義的な学者は、強力な略奪国家に追随することは危険であり、したがって稀であると主張するが、一部の国はこれを最善の選択肢とみなすだろう。特に弱体で脆弱な国は、アメリカと連携して最善の結果を期待する以外に選択肢がないと結論づけるかもしれない。また、アメリカの支援を利用して自国の修正主義的な目的を推進したい国は、喜んでこの流れに乗るだろう。

イスラエル、サウジアラビア、そしてペルシア湾岸の小国は、こうした楽観主義的な行動(opportunistic behavior)の明白な例である。このカテゴリーには、ハンガリーのヴィクトル・オルバン、アルゼンチンのハビエル・ミレイ、フランスのマリーヌ・ルペン、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフといった右派指導者も含まれる。彼らはトランプを、自由主義的民主政治体制や多くの国際規範に対する嫌悪感を共有する、権威とカリスマ性を備えた人物と見なしている。これらの指導者全員(トランプも含む)が、苦戦を強いられているハンガリーのオルバンの再選運動を公然と支持していることは、何ら驚くべきことではない。

しかしながら、気まぐれで略奪的なアメリカに追随することには、それなりのリスクが伴う。例えば、イラン戦争、低迷するアメリカ経済、トランプ大統領の支持率低迷といった失態は、MAGAブランドを汚しており、外国のポピュリストにとってアメリカとの緊密な関係は必ずしも有益とは言えないだろう。

さらに言えば、これらの指導者の多くは、自らを熱烈なナショナリストとして描くことで支持を得ているが、略奪的な外国勢力への長期的な服従とは相容れない。こうした懸念が、フランスの極右政党「国民連合」の実質的な指導者であるルペンが、ここ数カ月の間にトランプ大統領からやや距離を置いている理由を説明しているのかもしれない。

(3)政治的策略(Political manipulation

アメリカとの緊密な関係を維持し、アメリカの力を利用して自国の目的を推進しようとする国々は、自国が望む方向にアメリカの外交政策を誘導するために、一層の努力を重ねるだろう。

ネタニヤフ首相とイスラエル・ロビーの主要組織は、トランプ大統領に最新の戦争開始を説得するのに一役買い、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子はトランプ大統領に地上部隊の投入を促していると報じられている。イスラエルと湾岸諸国がホワイトハウスと連邦議会に武器供給の継続を求めるロビー活動を続けることはほぼ確実であり、トランプ大統領の任期中は、より露骨な影響力行使(ジャレッド・クシュナーやトランプ・オーガナイゼーションへの新たなビジネス取引など)も続くと予想される。しかし、イラン戦争はこれらの国々にとってもリスクとなる。他国のために戦われている戦争と見なされれば見られるほど、戦争が不利な結果に終わった場合の反発リスクは高まる。

(4)分散化とリスク軽減(Diversifying and de-risking

信頼できないパートナーと取引する場合、たとえ多少コストがかかったとしても、そのパートナーへの依存度を下げるのが賢明な策となる。この傾向は、2025年4月にトランプ大統領が報復関税を発表して以来顕著に表れている。その後、アメリカの貿易相手国は、互いに自由貿易協定を締結することで、アメリカ市場への依存度を低減しようと躍起になった。カナダは中国との緊張関係を緩和し、インドネシアやインドと新たな貿易協定を締結した。ヨーロッパ連合(EU)もインドやメルコスールと同様の措置を講じている。

(5)拒絶(もしくは「ただノーという」)(Balking (or “just say no”)

親なら誰でも知っているように、時に非常に弱い立場の国は、要求に頑固に応じないことで、強い立場の国が強制的に従わせる意志や忍耐力に欠けることを期待し、自らの主張を通すことがある。例えば、トランプ大統領がホルムズ海峡の開通に協力するようNATO加盟国に要求した際、加盟国は拒否した。これは、開戦前に相談を受けていなかったこと、トランプ大統領の失策を救済する理由がほとんどないこと、そしておそらく今回の失敗がワシントンに教訓を与えることを期待していたためだ。

あるいは、各国は要求に応じるふりをしながら、実際には行動を遅らせ、予期せぬ複雑な問題を公表し、遵守状況の確認を困難にし、できる限り混乱を招くような行動をとることもできる。この戦略の魅力は明らかだ。ワシントンとの直接対決を避けられるだけでなく、要求に応じることによるあらゆるコストも回避できるからだ。

過去には、他国もアメリカに対して同様の戦術を用いてきた。NATO加盟国は国防費増額を繰り返し約束しながら、毎回目標を達成できなかった。また、イスラエルは入植地の撤去を約束しながら、可能な限りゆっくりと進め、その間に新たな入植地を建設した。トランプ政権は、中国が第一次トランプ政権に交わした経済的な約束を履行したかどうかを検証しようとしていると報じられている(おそらく履行していないだろう)。

世界は広く、忙しく、複雑な世界だ。アメリカのような強大な国でさえ、他国が過去に合意した全ての事柄を把握し、それらが約束通りに履行されているかどうかを判断することは不可能だ。

(6)アメリカの見え方を悪くする(Make the United States look bad

ハードパワー(hard power)は依然として世界政治における主要な通貨だが、強大な国家は、概ね高潔で、ある程度正直で信頼でき、少なくとも時折は世界をより良くしようと努力していると見なされることで、さらに恩恵を受ける。この資質こそ、私の亡き同僚ジョセフ・ナイが「ソフトパワー(soft power)」と呼んだものだ。国家は、他国から魅力的(appealing)で、概ね善意(benevolent)に満ちていると認識されることで、影響力を増す。

したがって、アメリカの敵対国は、アメリカを利己的で攻撃的、危険な国、そして賞賛や模倣の対象ではなく拒絶すべきモデルとして描くことで、そのイメージを傷つけようとあらゆる手段を講じるだろう。中国が長年実践してきたこの戦略の必然的な帰結は、アメリカがつまずき続けるのを傍観し、干渉しないことだ。ナポレオン・ボナパルトが言ったとされるように、「敵が過ちを犯しているときは、決して邪魔をしてはならない(never interrupt an enemy when it is making a mistake)」。

そして、トランプ政権はまさにこの戦略を容易にしているのだ! 単なる疑いだけでカリブ海で船舶を爆破したことを自慢したり、外国首脳の暗殺を支援したり、移民や観光客を虐待したり、十数カ国に渡航禁止措置を課したり、大統領を批判したという許されない罪で外国当局者に金融制裁を命じたり、力こそすべてだと豪語したり、まるで覚醒剤を打ったハムスターのように上下に揺れる関税率を課したり、行き先も定まらないまま世界経済全体に影響を及ぼす戦争を始めたり、リストはどれだけでも続く。

アメリカのイメージが、善意はあるものの時に誤った判断をする世界大国から、無関心で残酷、反射的に不誠実で、自国の利益しか考えない国へと変化するにつれ、ワシントンとビジネスをしたいと願う指導者でさえ、あまり近づきすぎることを警戒するようになるだろう。

アメリカに対抗する様々な戦略は、互いに強化し合う関係にある。強硬な手段であれ軟弱な手段であれ、バランスを取ろうとする国が増えるほど、他国もアメリカから距離を置きやすくなる。アメリカが世界において果たす役割が、広く善意に基づくものではなく、積極的に有害なものと認識されるようになればなるほど、多くの国がアメリカ側に留まることは難しくなり、外国の指導者たちはワシントンに立ち向かうことでより多くの利益を得るだろう。各国が反発すればするほど、他国もそれに追随しやすくなる。なぜなら、超大国(a superpower)であっても、全ての国の些細な反抗行為を把握し、すべてを一度に罰することはできないからだ。

ワシントンの現在の行動に対するこうした様々な対応策から、アメリカ人が学ぶべき主な教訓はここにある。強大な国家であることの大きな利点は、問題に対処する際に、大きな余裕と豊富な資源を活用できることだ。欠点は、一部の国がアメリカの力を自国の利益のために利用しようとする一方で、他の国はそれを懸念し、抑制または制限する方法を模索するということだ。

この理由から、先見の明のある大国は、自国の力を抑制的に行使し、可能な限り広く受け入れられている規範を遵守し、緊密な同盟国でさえ独自の思惑を持っていることを認識し、全ての関係者が利益を得られるような関係構築に努めるだろう。強硬な力を維持することは重要だが、それを柔らかな手袋で包み込むことも同様に重要である。アメリカは過去75年間、概ねこれをうまく実践し、大きな恩恵を受けてきたが、現在の指導者たちはその知恵を急速に捨て去りつつある。

私が20年以上前に警告したように、「もしアメリカが既存のパートナーシップの崩壊を早め、我々を封じ込めることを目的とした新たな関係を生み出すことになれば、私たちは自らを責めるしかないだろう」。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 イラン戦争が始まってもうすぐ2カ月が経過しようとしている。現在は一時停戦となっているが、速やかな停戦に向けて、アメリカとイランの間を仲介しているパキスタンが奔走している。しかし、ホルムズ海峡封鎖一本で世界経済を人質にして勝負しているイランは、アメリカを焦らすだけ焦らして、自国の有利な条件を引き出そうとしている。5月14日と15日のドナルド・トランプ大統領による中国公式訪問までに一定の成果を挙げたい米中両国は、イランとの交渉において共通の利益を持っていると言えるだろう。

 イラン戦争が始まって世界経済は石油価格高騰と物資不足の影響をつけつつある。日本は前回のオイルショックの教訓を活かし備蓄があるが、現在の状況が続けば、厳しい状況は早晩やってくる。日本にとっても早急な停戦が望まれる。アメリカは国内で石油が生産できるので、ホルムズ海峡が封鎖されても影響は少ないというトランプ大統領の発言があったが、アメリカ国内でも石油価格は上昇している。

アメリカでは5月や6月に卒業式(commencement ceremony)があり、夏休みのホリデーシーズンを迎える。移動も多くなり、ガソリン価格や航空機チケット代の上昇は人々の生活を直撃する。ここで人々に不満を持たれてしまうと、大統領の支持率にダメージを与える。何よりも今年は中間選挙が実施される年だ。共和党が連邦下院で過半数を失う可能性が指摘されている。そうなれば、「トランプの応援を受けても選挙に勝てない」ということになり、トランプの影響力や勢力は減退することになる。

 アメリカはウクライナの支援、イスラエルの支援、そして、中東地域に派遣しているアメリカ軍の戦費ということで、巨額の予算が必要となる。それらは増税をして賄うことになるが、増税となれば有権者の反対や不満を増やすことになる。そうなれば国債発行に頼るしかないが、累積した国債はアメリカ政府に重くのしかかる。結局のところ、増税やインフレによって、一般庶民、有権者の生活を直撃することになる。海外での戦争をしないというトランプ大統領の訴えを信じて投票したアメリカの有権者にとっては大きな裏切りである。トランプはイラン戦争開戦の責任を取って実質的な政策運営から引退することが望ましいということになるだろう。それでなくても三期目はないので、中間選挙後は「死に体(lame deck、レイムダック)」状態になる。最後のお勤めは、JD・ヴァンス副大統領にしっかりと引継ぎをして、大統領にさせることだ。

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イラン戦争の経済的コスト:数字で見る(The Economic Costs of the Iran War, by the Numbers

―数百万ドル規模の兵器から原油価格の高騰まで、この戦争がもたらす経済的損失を以下に挙げていく。

マキシーン・デイヴィ、エリ・ウィゼヴィッチ筆

2026年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/13/iran-war-cost-economic-oil-gas-prices-hormuz/

アメリカとイスラエルが2月28日にイランを攻撃して以来、中東地域全域で戦争が勃発した。わずか13日でその被害は甚大だ。

人的被害は甚大である。イラン保健省によると、3月13日時点で少なくとも1444人のイラン人が死亡しており、その中には、アメリカが実行したとみられる小学校への攻撃で死亡した少なくとも168人の子どもも含まれている。イスラエルによるレバノンへの爆撃では600人以上が死亡、80万人以上が避難を余儀なくされた。イランによる地域各地への攻撃、そしてイランの代理勢力であるヒズボラによるイスラエルへの攻撃で、60人以上が死亡、数百人が負傷した。また、アメリカ軍兵士13人が死亡した。

エスファンディヤル・バトマンゲリジ氏は『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿し、「これは単なるペルシア湾での戦争ではなく、第二次世界大戦以来、グローバル経済の拠点となる都市や施設に直接的な影響を与えた初めての紛争だ」と述べた。

原油価格から欠航便まで、この戦争がすでに世界経済をいかに混乱させているかを示す主要な数字を以下に挙げていく。

2026iranwareconomiccost001

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、米国防総省当局者は火曜日、連邦議事堂で行われた連邦議員向け非公開ブリーフィングでこの推計値を示した。この数字には、2月28日以前の数カ月にわたるアメリカの軍備増強費用は含まれていない。

以前のブリーフィングで、国防担当当局者たちは最初の2日間で56億ドル相当の弾薬が使用されたと述べていた。マクドナルド・アモア、モーガン・D・バジリアン、ジャハラ・マティセクによる『フォーリン・ポリシー』誌の分析によると、アメリカは「壮大な怒り作戦」開始後最初の36時間で、推定1250発の防衛・攻撃用弾薬を消費した。

彼らは「消費された弾薬、そしてそれらを製造するために必要な鉱物資源は、西側諸国、特にアメリカにとって防衛産業に関する問題である」と述べている。

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当初は市場の反応が鈍かったものの、国際指標であるブレント原油価格は3月9日の取引時間中に一時1バレル119.50ドルまで急騰し、その後同じ日の中で100ドルを下回った。3月11日以降、価格は3桁台で推移している。『フォーリン・ポリシー』誌のキース・ジョンソンは、「市場はついに、イラン戦争が世界経済に及ぼす脅威の深刻さに気づき始めた」と報じた。

今回の価格高騰は過去1年間で最大であり、イラン、イスラエル、アメリカによる12日間の戦争が行われた2025年6月の高騰を上回った。金曜日現在、原油価格は1バレル100ドル以上で推移している。

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水曜日、国際エネルギー機関(IEA)は、加盟32カ国が市場の混乱緩和と原油価格高騰対策として、12億バレルを超える緊急備蓄原油の放出に全会一致で合意したと発表した。これはIEA史上最大規模の原油放出であり、協調的な放出としては6回目となる。

また、スコット・ベセント米財務長官は木曜日、アメリカが制裁対象となっているロシア産原油を既に海上に積載した状態で各国が購入することを一時的に許可すると発表した。

ジョンソンは、「トランプ政権は、自らが引き起こした戦争の影響を抑制するため、軍事、金融、エネルギーなどあらゆる政策手段を駆使してきたが、今のところ全て無駄に終わっている」と述べた。

アメリカのガソリン価格は平均で1ガロンあたり3.50ドルを超え、昨年同時期より0.50ドル以上高くなっている。
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湾岸諸国からの石油製品と液化天然ガス(LNG)の輸出は戦争によって深刻な打撃を受けており、生産者の収入減は甚大である。コンサルティング会社ウッド・マッケンジーの推計によると、サウジアラビアは戦争開始以来、45億ドルという最大の収入を失ったと『フィナンシャル・タイムズ』紙は報じている。

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世界第2位のLNG輸出国である国営カタールエネルギーは先週生産を停止し、世界のヘリウム市場と肥料市場に波及効果(knock-on effects)をもたらした。

カタールのサード・アル・カービ・エネルギー相はニューヨーク・タイムズ紙に対し、中東地域での戦争は「世界の経済を崩壊させる可能性がある」と警告した。

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イランは3月2日、ホルムズ海峡を通過しようとする船舶は全て攻撃すると初めて宣言した。『ガーディアン』紙の報道によると、それ以来、約500隻の石油・ガスタンカー、500隻のコンテナ船、そして6隻のクルーズ船が海峡の両岸で立ち往生している。

戦争開始以来、ペルシア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾周辺で運航するタンカー、コンテナ船、その他のばら積み貨物船を含む少なくとも2隻の民間船舶がイランの攻撃を受けている。

イランの新最高指導者(supreme leader)モジタバ・ハメネイ師は、就任後初の公式声明で木曜日、「ホルムズ海峡封鎖(blocking the Strait of Hormuz)という手段は、今後も間違いなく使い続けなければならない」と述べた。

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ペルシア湾岸地域で運航する船舶の保険料高騰を受け、アメリカ国際開発金融公社(DFC)は、トランプ政権が海峡を通じたエネルギー輸送の再開を目指す取り組みの一環として、特定の船舶(具体的な船舶名は未公表)に対し海上再保険を提供すると発表した。DFCは、この計画の実施にあたり、米中央軍および米財務省と連携し、保険会社チャブが主導的な役割を担う。

3月11日時点で、中東地域発着便は4万6000便以上が欠航となった。イランは、世界で最も利用者の多い国際空港であるドバイを含む、中東地域の複数の国の空港を標的にしている。ドーハのハマド国際空港は3月1日から6日まで全便の運航を停止し、現在も通常の利用客数のごく一部でしか運航していない。

戦争勃発当初、航空便の運航停止により数十万人の旅行者が地域内で足止めされ、避難活動が困難を極めた。 『フォーリン・ポリシー』誌のサム・スコブ記者は3月10日、米国務省が解雇された職員からの支援申し出を断ったと報じた。

同時に、ジェット燃料価格は原油価格を上回るペースで上昇している。航空会社が運賃値上げや運航便数の削減を発表するにつれ、このコストは世界の消費者に転嫁されることになるだろう。

※マキシーン・デイヴィ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

※エリ・ウィゼヴィッチ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 中東地域で起きている諸問題の多くはイスラエルが絡んでいる。イスラエル建国から拡大、占領という形で中東地域において不協和音を起こしている。現在でいえば、イラン戦争はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が引き起こした戦争である。イスラエル側にも理屈がある。イスラエルが自衛行動を取ることは制限されない。問題は、彼らが自衛という名の下に過剰な攻撃を民間人に加えていることであり、イスラエルへの正当な批判までも「反ユダヤ主義」というレッテルを貼って圧殺、封殺をしようとすることだ。そして、イスラエルの傲慢な態度の源泉はアメリカからの支援がある。アメリカから数兆円の軍事支援を受け、最新の兵器を備えて、中東地域の近隣諸国を圧倒している。核兵器までも開発し保有している。興味深いのは、こうして中東地域最強になりながら、一向に安全が確保されていないことだ。矛と盾をどんなに最新最強にしても、建国以来、安全安心を確保することはできなかった。

 アメリカはイスラエルを支援することを「国是(national credo)」としてきた。第二次世界大戦中にユダヤ人の大規模虐殺を止めることができなかったことが原罪のように突き刺さっている。また、アメリカ国内のユダヤ系アメリカ人がイスラエルを支援するために、その資金力と影響力を行使してきた。彼らは、いくつかの親イスラエル組織を構築し、政治的な活動、ロビー活動を展開してきた。イスラエルに批判的な政治家に対して、落選運動に資金提供をしたり、ユダヤ系が多く住む大都市圏であれば、集団的に相手候補に投票したりすることで落選をさせるなどの行動を取って、影響力を保持し、イスラエルに有利になる政策をアメリカ政府が行うように働きかけてきた。このようなアメリカからの手厚い支援がイスラエルを増長させてきた。

 イスラエルの傲慢と増長が中東地域における諸問題の原因となっている。それであるならば、問題を解決するためには、こうした傲慢と増長を取り去ることが必要である。そのためには、アメリカとイスラエルの間の「特別な関係」を見直し、改善していくこと、他国との関係に近づけていくことが、アメリカとイスラエル両国にとって重要だ。そうしなければ、お互いが抱きつき合ったままで、世界から孤立し、衰退、滅亡の途を進むことになる。

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ガザの平和は長続きしないだろう(The Peace in Gaza Won’t Last

-イスラエルとアメリカの特別な関係が終わることが真の戦争終結のシグナルとなるだろう。

スティーヴン・M・ウォルト

2025年10月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/15/peace-gaza-israel-us-trump-middle-east/

ガザ地区での虐殺が少なくとも一時的に停止し、イスラエル人の人質とパレスティナ人の囚人の交換が行われ、苦しむガザ住民への救援物資がより自由に届くようになったことは、誰もが感謝すべきことだ。当然のことながら、ドナルド・トランプ米大統領は勝利宣言を行い、停戦合意を「新たな中東の歴史的な夜明け(historic dawn of a new Middle East)」と称している。しかし、彼は以前にも同様のことを述べており、歴代大統領の中にもそうした人がいた。彼の言葉が正しいことを願うが、確信は持てない。

今回の合意後、2つの疑問が依然として残っている。1つ目は、言うまでもなく「この合意は維持されるのか?」という点だ。そして、2つ目は、イスラエルと世界の他の国々との関係、特にアメリカとの「特別な関係(special relationship)」が、ついに永続的な平和を実現できるような方向に変化しているかどうかという点である。この2つ目の疑問は、最初の疑問への答えを大きく左右する。

最初の疑問に関して言えば、楽観視するのは難しい。他の批評家も指摘しているように、この「和平案(peace plan)」は、パレスティナ側の参加が最小限に抑えられた、イスラエルを強く支持するアメリカの「仲介者(mediators)」(スティーヴ・ウィトコフとジャレッド・クシュナー)によって作成された。最終的な形は、交渉による解決というよりは、最後通牒(an ultimatum)に近いものだった。この合意は、イスラエルの極右勢力の極端な野望(ガザ地区の併合やパレスティナ住民の永久追放など)の一部を拒否するものの、パレスティナ側には、ハマスの完全武装解除、全てのトンネルの破壊、あらゆる政治活動からの排除、そしてパレスティナ自治政府の抜本的かつ具体的な内容が未定の改革など、困難かつ検証不可能な(impossible-to-verify)一連の調整を求めている。トランプ大統領自身が議長を務める「平和評議会(Board of Peace)」が監督する、まだ特定されていない外部監視機関が、合意の遵守状況を監視し、双方が合意を遵守しているかどうかを判断する。

さらに重要なのは、この合意が全ての困難な政治問題を将来の不特定の時点に先送りし、イスラエルによるヨルダン川西岸地区併合の継続的な試みについては全く触れていない点だ。これは、ルーシーとチャーリー・ブラウンとフットボールの古い物語と同じだ。イスラエルは、パレスティナ側の遵守が不十分だと宣言し、再び圧力を強める(あるいは暴力を再開する)機会をいくらでも得るだろう。

したがって、この計画が成功すると信じるには、国際社会、特にアメリカが、イスラエルに対し、現在の合意を維持し、パレスティナとの長年の紛争に対する公正かつ恒久的な解決策を最終的に交渉するよう、容赦ない圧力(relentless pressure)をかけ続けると信じなければならない。確かに、トランプ大統領はついにイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の引き延ばし戦術にうんざりし、この限定的な合意を受け入れさせたようだ。これは、米大統領が、もし行使する意思があれば、どれほどの影響力を持っているかを示す全てだ。

しかし、ネタニヤフ首相、彼の右派支持者、そしてイスラエル社会自体が、ハマスやその他のパレスティナ過激派が完全に排除されたと確信していたとしても、真の二国家解決案(a genuine two-state solution)や何らかの形の単一国家連邦制(some form of one-state confederation)を受け入れる意思があるという証拠はどこにもない。トランプ大統領の極めて短い集中力、気まぐれな性格、そして細部への無関心さを考えると、一体誰が、この問題が継続的に実行されると真剣に考えているだろうか?

問題はトランプ大統領だけではない。外部勢力は、1956年、1967年、1973年の第四次中東戦争におけるアメリカとソ連の行動、そしてそれ以降のワシントンの幾度にもわたる行動のように、交戦当事者に一時的な停戦を促すことはしばしば行ってきた。しかし、公正かつ永続的な政治的解決を実現するために、十分な時間、注意、そして政治的資本を投入し、あらゆる影響力を行使する意思は決して示してこなかった。だからこそ、オスロ合意、2000年のキャンプ・デイヴィッド首脳会談、2007年のアナポリス会議、不運な結果に終わった中東カルテット(アメリカ、ロシア、ヨーロッパ連合、国際連合)、その他大々的に宣伝された和平構想は全て失敗に終わった。

もしアメリカによる継続的な圧力が必要なのであれば、私の2つ目の疑問が重要になる。トランプ大統領の個人的な意向に関わらず、アメリカとイスラエルの関係は和平の可能性を高めるような方向に変化しつつあるのだろうか?

2023年10月7日の攻撃は、国際社会の目から見てハマスに大きな打撃を与え、イスラエルのジェノサイド的対応も同様にイスラエルのイメージを損なった。イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、その他いくつかの国はパレスティナ国家を正式に承認した。これは確かに象徴的なジェスチャーであるが、人々の意識がどれほど変化したかを物語っている。イスラエルのアラブ世界との関係正常化に向けた努力は停滞している。ここアメリカでは、世論調査で支持の劇的な変化が示されており、イスラエルよりもパレスティナに同情的なアメリカ人が多く、イスラエルの行動はジェノサイド(あるいはそれに近い行為)に当たると考える人が41%、正当化できると考える人はわずか22%となっている。

イスラエルへの支持は民主党支持者と無党派層の間で最も急激に低下しているが、スティーヴ・バノン、タッカー・カールソン、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員といった著名な保守派も厳しい批判を表明している。民主党支持者は人権問題への懸念を強く訴えている一方、保守派は、ますます無法化するイスラエルへのアメリカの無条件の支援(unconditional U.S. support)は「アメリカ・ファースト(America First)」の理念と相容れないと考えている。

特別な関係の直接的なコストは、長い間明らかだった。イスラエルはアメリカから最大の軍事援助を受けている外国であり、アメリカ政府は、イスラエルが一人当たりの所得で世界16位にランクインし、相当数の核兵器を保有する繁栄した国であるにもかかわらず、公式には「質的な軍事的優位性(qualitative military edge)」を維持することを約束している。年間約40億ドルの軍事援助は通常、イスラエル・ハマス戦争中に急増し、アメリカの納税者は約220億ドルを負担した。この無条件の支援こそが、中東諸国の指導者たちが武器、投資、市場アクセスを得るためにアメリカ政府に媚びへつらい続けているにもかかわらず、アメリカが中東諸国の大半で依然として非常に不人気である主な理由である。イスラエルへの無条件の支援は、ワシントンが人権の揺るぎない擁護者であり、したがってロシアや中国などの大国ライヴァルよりも道徳的に優れているという主張を損なうことで、アメリカのソフトパワー(America’s soft power)を低下させている。こうした偽善は、トランプ政権がこうした理想を軽視していることを考えると、彼らにとっては問題にならないかもしれないが、それでもアメリカのリベラルな理想とは相容れない。

また、特別な関係は、人口1000万人にも満たない小国が、世界で最も強力な国の政治生活において、不釣り合いなほど多くの時間を割かれていることを意味する。インド、日本、インドネシア、ナイジェリア、ブラジルといった、より規模が大きく戦略的に重要な国々が占める紙面や放送時間と比較して、この小国が受ける報道量を考えてみて欲しい。オーストリアはイスラエルとほぼ同じ人口とGDPを持ち、多くの国際機関の本部が置かれているにもかかわらず、アメリカ人はオーストリアについて散発的にしか耳にしない。あるいは、この小国に特化したシンクタンクやロビー団体の数、そしてアメリカの政治家がこの国の問題に費やす時間の量を見てみよう。

さらに、この小国に関連する問題は、アメリカのより広範な文化や知的活動に日常的に波及している。現在大学を攻撃している背景には多くの要因があるが、ガザ地区の虐殺と、それを支援したアメリカの役割に抗議する学生たち(その多くはユダヤ人)から生じた、誇張された反ユダヤ主義(antisemitism)の非難によって、その攻撃はさらに激化している。学問の自由、ひいては言論の自由全般に対する攻撃は、イスラエルを批判から守り、特別な関係を維持したいという誤った願望だけによって動機づけられているわけではないが、そうした目的も一部の人々にとっては、その要因の一つとなっている。

最後に、この小さな国にアメリカの大統領がどれほどの時間と注意を費やしているかを見てみよう。ジミー・カーター大統領は1978年のキャンプ・デイヴィッド合意の交渉にほぼ2週間を費やし、ビル・クリントン大統領も同様の試みを行った。しかも、これは首脳会談以外でこれらの問題に費やした時間は含まれていない。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ジョー・バイデンの各大統領は、イスラエル関連の問題に数日、場合によっては数週間を費やした。アントニー・ブリンケン国務長官は在任4年間でイスラエルを16回訪問したが、アフリカ大陸全体への訪問はわずか4回だった。トランプ大統領でさえ、イスラエル問題から距離を置くこと、あるいはイスラエル政策を部下に完全に委任することは不可能だと悟った。大統領、上級顧問、その他の高官がこれらの問題に費やす時間は、アメリカの安全保障と繁栄にとってより直接的に重要な問題に取り組むことができない時間となる。

だからこそ、私をはじめとする多くの人々は、イスラエルの規模と戦略的重要性、そしてアメリカの国益との合致を考慮し、アメリカがイスラエルと正常な関係を築くべきだと繰り返し訴えてきた。正常な関係においては、ワシントンはもはやアメリカとイスラエルの国益が同一であるかのように装うことはなくなるだろう。イスラエルがアメリカにとって望ましい行動をとれば、アメリカはイスラエルを支持するだろう。もしイスラエルがアメリカの意向に反する行動、例えば占領地における入植地の拡大といった行動をとれば、アメリカはイスラエルに強く反対するだろう。

イスラエルは歴史的起源、キリスト教徒による長く悲劇的な反ユダヤ主義の歴史、ホロコーストの遺産、そして非常に紛争の多い地域に位置していることから、通常の国ではないため、通常の関係は意味がないと主張する専門家たちもいるかもしれない。おそらくそうだろうが、2025年においては、イスラエルが「正常(normal)」ではない点は、実際にはアメリカの支援を維持するのではなく、むしろ縮小する理由となる。イアン・ラスティックが最近指摘したように、イスラエルはイスラエルの政治学者イェヘズケル・ドロールの「狂った国家(crazy state)」の定義にますます当てはまるようになっている。狂った国​​家とは、(1)しばしば他者に害を及ぼす攻撃的な目標を追求する、(2)そのような目標に対して極めて過激な関与を示す、(3)不道徳な行為を厭わないにもかかわらず、道徳的優越感を広く示す、(4)そのような目標を追求するために論理的な手段を合理的に選択する能力を持つ、(5)それらを追求するのに十分な能力を持つ、というものである。ラスティックの見解では、イスラエルの現状を決定づける重要な要因の一つは、「アメリカ政権が歴代のイスラエル政府にほぼ無条件の支援を与えてきたこと()has been the nearly unconditional support which American administrations have given to Israeli governments」であり、彼はその原因を「ワシントンにおけるイスラエルロビーの圧倒的な政治力(the Israel lobby’s super-abundant political power in Washington.)」にあると指摘する。

この立場は「反イスラエル(anti-Israel)」と言えるだろうか? 決してそうではない。無条件の支援はアメリカにとって有害で​​あり、イスラエルにとっては災難である。イスラエルは海外からの支持を失い、国内では分裂が深まり、メシア的右派(the messianic right)への傾倒がますます強まり、高学歴で経済的に流動的なエリート層の国外流出に苦しんでいる。「寛容な正常化(benevolent normality)」政策は、たとえそれがAIPAC、アメリカ・シオニスト機構、イスラエルのためのキリスト教徒連合、その他、特別な関係を維持し、イスラエルを現在の窮状に陥れ、何百万人もの不本意なパレスティナ住民に多大な苦痛を与えることを可能にしてきた団体の利益にならないとしても、長期的にはアメリカにとってもイスラエルにとってもより良いものとなるだろう。要するに、永続的な平和を望むなら、イスラエルとのより正常な関係が必要だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日に始まったイラン戦争について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカを巻き込む形で攻撃が始まったことは既にご紹介した。ネタニヤフ首相による「誘導(induction)」にドナルド・トランプ大統領が乗せられてしまったということになる。もちろん、トランプ大統領個人だけではなく、政権内部にもイラン攻撃に賛成する人物たちが揃っていたということはある。下記論稿では次のように書かれている。

(引用貼り付けはじめ)

第二次トランプ政権では、ワシントンは遠隔地での戦争を通じて莫大な富を蓄積するロビイストの巨大なネットワークと、アメリカの覇権維持のために戦争も辞さない新世代のネオコンによって支配されている(Under the second Trump administration, Washington has been gripped by a vast network of lobbyists accumulating immense wealth through remote wars and new neocons willing to go to war to maintain US hegemony

(引用貼り付け終わり)
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マイク・ウォルツ国連大使(左)とマルコ・ルビオ国務長官
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エリオット・エイブラムス

 下記論稿では、「ワイトハウス大統領次席補佐官スティーヴン・ミラー、国務長官マルコ・ルビオ、国連大使マイク・ウォルツ、元国家安全保障問題担当次席大統領補佐官アレックス・ウォン、そして政策担当国防次官エルブリッジ・コルビー」といった人々がネオコンとして名前が挙がっている。ネオコンとして、ジョージ・W・ブッシュ政権で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務め、第一次ドナルド・トランプ政権では、ヴェネズエラとイラン問題の特別代表を務めたエリオット・エイブラムスが創設したシンクタンクのヴァンデンバーグ・コアリションの影響力についても下記論稿では言及されている。下記論稿ではさらに、「ロックブリッジ・ネットワーク(Rockbridge Network)」について軽く振られているが、この団体はかなり重要であるので、このブログで後ほど紹介する。
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ドナルド・トランプ大統領とスティーヴン・ミラー(右)

 第二次ドナルド・トランプ政権の内部で大きな力を持っているのは、スティーヴン・ミラーホワイトハウス大統領次席補佐官兼国土安全保障問題担当大統領補佐官である。第一次政権ではスピーチライターと特別顧問を務めた。強硬な国境政策や不法移民政策を策定し、実行しているのはミラーであるが、このミラーはイスラエルとのベンヤミン・ネタニヤフ首相ともユタ野人同士ということもあり昵懇の間柄だ。ミラーがトランプ大統領のイラン攻撃決定に影響を及ぼしたということは十分に考えられることだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権の内部の動きについてはこれからも随時追いかけ、ご報告する。このブログを継続するためにも、定期的にブログを開きお読みいただきたい。また、著書についてもお買い上げいただきたい。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプの暴走を操る新世代のネオコンたち(The new class of neocons guiding Trump’s rampages

キム・ドンスク筆

2026年4月21日

『ハンギョレ』紙(韓国)

https://english.hani.co.kr/arti/english_edition/e_international/1255216.html

ドナルド・トランプはネオコンを敬遠していたが、トランプ2.0時代において、新世代のネオコンが相当な権力を握っている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、どのようにしてドナルド・トランプ米大統領を説得し、イランとの戦争に踏み切らせることができたのだろうか?

ネタニヤフ首相は、この合意を一気に成立させたのではない。むしろ、それは綿密な計画の成果であり、保守的なシオニストやイスラエル企業の協力を得て、2024年の大統領選挙におけるトランプの立候補を支援するという戦略に基づいていた。この計画の中心は、イスラエルを支持する保守派の政治的影響力を行使し、第二次トランプ政権の外交・国家安全保障ティームに新たなネオコン層を送り込むことだった。

これらの人物は、保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が2024年の大統領選挙前に作成した、第二次トランプ政権を想定した政策綱領「プロジェクト2025(Project 2025)」の執筆者の中にも含まれていた。

トランプが昨年(2025年)1月にホワイトハウスに復帰するとすぐに、ワシントンに拠点を置くシンクタンクであるヴァンデンバーグ・コアリションは、新たな外交政策を提唱する報告書を発表した。その報告書のタイトルは「世紀の取引:中東問題の解決(Deals of the Century: Solving the Middle East)」だった。

この報告書は、トランプの2期目に向けたネオコンのマニフェストとも言えるもので、アメリカはイスラエルへの軍事援助をさらに拡大し、イランに対して根本的に異なる姿勢を取るべきだと主張していた。

これは、トランプの選挙公約で掲げた「海外での軍事冒険はしない(o stay out of foreign military adventures)」というアイソレイショニスト(アメリカ国内問題解決最優先的)な姿勢から脱却させるための、まさに強硬なロードマップだった。

報告書は、アメリカの最優先事項は「イランの核兵器開発計画を抑止すること(deter Iran’s nuclear weapons ambitions)」だと述べ、中東地域における中国の影響力拡大への懸念を表明するとともに、中国をアメリカの主要な敵対国と位置づけるよう促した。要するに、ヴァンデンバーグ・コアリションは、イランと中国がトランプの2期目における主要な外交課題であると強調したのである。

ヴァンデンバーグ・コアリションの報告書は、過去1年間、アメリカ政府の最高レヴェルで繰り返し参照されてきた。特に、ホワイトハウス大統領次席補佐官スティーヴン・ミラー、国務長官マルコ・ルビオ、国連大使マイク・ウォルツ、元国家安全保障問題担当次席大統領補佐官アレックス・ウォン、そして政策担当国防次官エルブリッジ・コルビーなどが、ヴァンデンバーグ・コアリションの提案を実行するための具体的な措置を準備し、トランプ大統領に提示した。

結局のところ、ヴァンデンバーグ・コアリションの戦略的焦点は中国の封じ込め(containing China)にある。報告書の中で、ヴェネズエラ政府をアメリカの勢力圏(sphere of influence)に組み込むことで、ヴェネズエラが足がかりとなっていた西半球(the Western Hemisphere)における中国の影響力を弱めることができると主張している。

アメリカは、外交・軍事資源を他の分野に集中させれば、中東地域などの重要地域における中国の影響力拡大を効果的に抑制できると考えている。これは、中国の世界的な影響力を弱体化させるための多段階イニシアティヴの一環である。一部のアナリストは、トランプ大統領の対イラン攻撃は、北京訪問のための布石だったと考えている。

トランプ大統領の勢力志向の外交政策は、「破壊して取引する(destroy and deal)」という行動様式として体系化され、以前よりも攻撃的で予測不可能なものとなっている。

2021年に設立されたヴァンデンバーグ・コアリションは、介入主義的な外交政策と国防費の増額を提唱している。2025年、この組織はヴェネズエラとイランに関する多数の報告書を発表し、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の逮捕を促し、イランを非難した。

著名なネオコンであるエリオット・エイブラムスは、ヴァンデンバーグ・コアリションの創設者兼会長だ。彼は介入主義(interventionism)の熱烈な支持者であり、中東地域にアメリカに友好的な政権を樹立することが、世界からテロリストを一掃する最善かつ最も確実な方法だと信じている。また、2003年のイラク侵攻を執拗に支持したネオコン運動の中核人物でもある。彼はイラン・コントラ事件への関与で有罪判決を受けた。

バラク・オバマ政権の8年間を通して、エイブラムスは外交問題評議会の上級研究員を務め、その間、オバマの「後ろから導く(leading from behind)」外交政策はアメリカの影響力を弱めていると主張した。

エイブラムスはオバマのキューバとイランとの関係正常化の試みを強く批判し、オバマが敵国に接近していると非難した。イラク戦争の反動が無視できないほど深刻化した後も、エイブラムスはシリア内戦とイスラエル・パレスティナ紛争について持論を展開し続け、イラク戦争後に散り散りになったネオコン勢力を再結集させた。

2019年、第一次トランプ政権に、エイブラムスはイラン・ヴェネズエラ担当米特別代表に任命され、公職に復帰した。エイブラムスはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と特別な関係にある。

私はかつて2007年のAPEC首脳会議でエイブラムスに直接会う機会があった。私が韓国人だと知ると、エイブラムスは「中国、イラン、北朝鮮が連携している以上、アメリカ、イスラエル、韓国は国家安全保障に関して協力する必要がある」と述べた。

トランプが2024年の大統領選挙で孤立主義を唱え、「新たな戦争は起こさない(there would be no new wars)」と主張した際、エイブラムスはヴァンデンバーグ・コアリションに所属する複数のネオコン戦略家を招き入れ、ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」計画ティームに加えた。

エイブラムスは第二次トランプ政権には公式な役職には就いていないものの、舞台裏のアドヴァイザー兼アナリストとして中東政策に関する理論的助言を提供し、影響力を行使している。何よりも、エイブラムスの指導の下、トランプ政権の要職に就く新世代のネオコンたちは、絶大な権力を振るっている。

トランプ大統領の側近の多くは、エイブラムスに同調するネオコンの中に名を連ねている。スティーヴン・ミラー、マイケル・ウォルツ、マルコ・ルビオなどがその例だ。連邦上院では、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)、リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)、トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)が、エイブラムスの政策を支持するネオコンである。

その他、注目すべきネオコンとしては、ジェイミソン・グリア米通商代表、ブライアン・キャバノー(国土安全保障次官候補)、アール・マシューズ(国防総省法律顧問)、モーガン・オルタガス(中東地域担当米国特使代理)、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使などが挙げられる。

ハッカビーの側近であり、イスラエルを熱烈に支持し、MAGA運動の柱としてホワイトハウスで影響力を持つデイヴィッド・ミルスタインは、トランプ大統領が揺るぎない信頼を寄せているFOXニューズの司会者で保守派コメンテーターのマーク・レヴェンの義理の息子でもある。さらに、韓国でよく知られたエルブリッジ・コルビーは、エイブラムスの義理の姉の息子である。

かつてネオコンはアメリカの外交政策に大きな影響力を持っていたが、イラク戦争の惨禍の後、ジョン・ボルトンを最後の生き残りとしてワシントンから姿を消したかに見えた。

しかしながら、彼らはイスラエル中心の中東政策という長年の戦略を擁護することで、トランプ政権の中枢に静かに深く入り込んできた。これらの新たなネオコンは、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト(America First)」の原則と、介入主義への揺るぎない信念を融合させ、新たなタカ派政策を築き上げている。

彼らはもはや、旧来のネオコンが掲げていた民主政治体制の普及というスローガンを唱えていない。代わりに、圧倒的な武力による制圧と取引に焦点を当てることで、第二次トランプ政権の外交・安全保障政策を主導している。価値観(values)よりも実利主義(pragmatism)を優先することで、彼らは敵対国、つまり中国を効果的に無力化する(neutralizing)という目標を設定し、トランプの注目を集めている。

こうした新ネオコンと同盟を結んだネタニヤフ首相が用いているもう一つの戦略は、トランプ一族が経営する企業に巨額の資金を投入することだ。これらの企業の多くは、防衛、人工知能、航空宇宙、バイオテクノロジーといった分野の巨大企業である。

トランプがイランを攻撃し戦争を仕掛ける中、彼の2人の息子は防衛産業への投資で莫大な利益を上げている。次男のエリック・トランプは、イスラエルのドローンメーカーで米防総省の契約企業であるエクステンド社に投資し、この戦争においてドローンの能力がますます重要になるにつれて巨額の富を築いた。

トランプ大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニアは、ドローン部品を製造するスタートアップ企業アンユージュアル・マシーンズの株主兼アドヴァイザーを務めている。アンユージュアル・マシーンズはドローン部品製造のため、米国防総省から6億2000万ドルの融資を受けた。これは国防総省戦略資本局が過去に行った融資の中で最大規模である。

トランプ・ジュニアはまた、「愛国的資本主義(patriotic capitalism)」を推進し、防衛技術系スタートアップ企業に投資するヴェンチャーキャピタル企業である1789キャピタルのパートナーでもある。1789キャピタルは、シリコンヴァレーのヴェンチャーキャピタリストの中でもトランプを支持する億万長者ネットワークであるロックブリッジ・ネットワーク(the Rockbridge Network)の億万長者たちが支援する投資運用会社である。

1789キャピタルは、トランプ大統領の再選直後にトランプ・ジュニアがパートナーとして加わって以来、爆発的な成長を遂げている。1789キャピタルは主に防衛・兵器産業分野に投資しており、アンドゥリル・インダストリーズ、ハドリアン・オートメーション、スペースX、そして米国防総省のパートナー企業である希土類磁石の新興メーカーであるバルカン・エレメンツなどが投資ポートフォリオに含まれている。

トランプ・ジュニアは、物議を醸している予測市場企業ポリマーケットのアドヴァイザーも務めており、主要な外交政策や国家安全保障に関する決定を事前に予測することで巨額の利益を得ていると疑われている。

第二次トランプ政権では、ワシントンは遠隔地での戦争を通じて莫大な富を蓄積するロビイストの巨大なネットワークと、アメリカの覇権維持のために戦争も辞さない新世代のネオコンによって支配されている(Under the second Trump administration, Washington has been gripped by a vast network of lobbyists accumulating immense wealth through remote wars and new neocons willing to go to war to maintain US hegemony)。

ネタニヤフ首相の影響力は、こうした新たな政治情勢の中で発揮されている。これらの人物は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮をまとめて「CRINK」という新しい略語を作り出し、これらの国々を「新たな悪の枢軸(the new axis of evil)」と位置づけている。

韓国では、トランプ大統領の5月の中国訪問が、米朝関係の打開につながるのではないかと期待されている。個人的には、その見通しに不安を覚える。ペルシア湾が炎上している状況が、まるで他人事のように感じられないと言うのは、大げさな反応だろうか。

キム・ドンスク:韓国系アメリカ人グラスルーツ会議議長。

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ドナルド・トランプの熱狂者:スティーヴン・ミラーの恐怖政治の内幕(Trump’s ZealotInside Stephen Miller’s Reign of Terror

―ドナルド・トランプのアメリカについてあなたが嫌悪したり愛したりするもの全てはスティーヴン・ミラーの恐怖共和国についてあなたが憎んだり大切にしたりするものと全く同じだ。

アサウィン・スエブサエング、ニッキ・マカン・ラミレズ、アンドリュー・ぺレズ筆
2025年9月14日

『ローリングストーン』誌
https://www.rollingstone.com/politics/politics-features/stephen-miller-trump-terror-ice-immigration-military-1235426023/

昨年(2024年)11月6日午前3時過ぎ、ヒルトン・ウェストパームビーチ・ホテルの受付近くに立っていた、薄毛で痩せ型の男性ほど、この世で幸せそうな人はいなかっただろう。

ドナルド・トランプは、隣接するフロリダ・コンヴェンションセンターで2024年大統領選挙の開票速報パーティーを終えたばかりで、「史上最も素晴らしい政治的出来事(the most incredible political thing)」と雄弁に語る演説で勝利を宣言した。歓喜に沸く共和党の献金者、選挙スタッフ、将来の政府高官、そして出席者たち(もちろんジョン・ヴォイトも)が、祝賀のためにこの高級ホテルに押し寄せた。

ロビーの正面に立っていたのはスティーヴン・ミラー。トランプが間もなくホワイトハウスの政策決定と行政権限の絶対的な責任者として指名する人物だ。

ミラーは、トランプ政権初期の主要な政策立案者の一人であり、特に大統領による合法移民の抑制政策において重要な役割を果たした。ジョー・バイデン政権の高官たちは、トランプ政権1期目にミラーが移民政策に与えたダメージは今もなお国に重くのしかかっており、バイデン陣営は4年間の政権期間中にその多くを覆すことができなかった、あるいはそうしようとしなかったと語るだろう。

しかし、フロリダでのあの夜、当時39歳だったミラーにとって何かが違っていた。目の前に無限の可能性が広がっていたのだ。

祝賀ムードの中、ミラーはトランプ政権の高官たちと集まり、次々と祝福の言葉をかけてくる熱狂的な保守派有権者や共和党の大物たちに感謝の意を伝えた。彼らは皆、あの夜の勝利はトランプだけのものではなく、ミラー自身の勝利でもあることを理解しており、多くの人がトランプから贈られたミラーの指輪にキスをせざるを得ないと感じていた。

トランプの復権を目の当たりにした瞬間、ミラーの顔に浮かんだ抑えきれない喜びの表情は、未来を見通す者の目を見ていたかのようだった。トランプのトップ補佐官であり、最も忠実な信奉者であり、1期目のMAGA派幹部の度重なる粛清をどうにか生き延びた唯一の側近は、この国が今や自分のものになったことを悟っていた。

喜びにあふれた女性に語りかけるミラーは「素晴らしいことになるだろう」と言った。

トランプの2期目が始まって7カ月以上が経ち、スティーヴン・ミラーは、アメリカ、いや世界でも最も権力を持つ非選出官僚となった。トランプの承認を得て、ミラーは、その階級のアメリカ政府高官としては前例のないほど、国家を自由に運営し、再構築することを許されている。トランプ政権の悪名高い政策を思い浮かべてみてほしい。おそらく、それはスティーヴン・ミラーによって推進されたものだろう。

全てにトランプの署名があるものの、大統領が夜な夜な大統領令を書き、法理論を自らの意のままに操っている訳ではない。そのほとんど全てはミラーの著作(あるいは少なくとも共著)である。ドナルド・トランプのアメリカについてあなたが嫌悪したり愛したりするものはすべて、スティーヴン・ミラーの恐怖の共和国についてあなたが憎んだり大切にしたりするものと同じだ。

ミラーの指導の下、大統領が望めば、政府は適正な手続きを経ずに、あなたやあなたの配偶者を国外の強制収容所に強制送還(あるいは誘拐して身柄を引き渡す)することができる。ホワイトハウスは、人身保護令状(habeas corpus)のような最も基本的な憲法上の権利を剥奪すると繰り返し脅迫することができる。大統領は、最高司令官を苛立たせたか、選挙を盗むのに協力することを拒否した以外に何も悪いことをしていない敵に対して、司法省による刑事捜査を開始することができる。大統領とその側近は、たとえ犯罪歴がなくても、裁判所への定期的な出頭時、教会、子供の学校の前など、どこでもあなたを逮捕することができる。彼らは極めて厳格な移民逮捕「割り当て(quotas)」制度を導入し、大量強制送還ではなく、大量失踪と刑務所や新設された収容所での無期限拘留を主とする体制を確立した。

彼らは連邦法執行機関の大部分を、大統領とそのスタッフの気まぐれで活動する、覆面をした匿名で責任を問われない秘密警察(secret police)へと急速に変貌させた。大統領はいつでも、武装した州兵や海兵隊をアメリカの都市の街路に派遣し、そこを敵地とみなすことができる。政権は、ホワイトハウス西棟から連邦通信委員会に至るまで、言論の自由を抑圧する十字軍(an anti-free-speech crusade)を展開し、メディア、コメディアン、そして老齢のロックスターに対する検閲を政策の最優先事項としている。

「影の国防長官(Shadow Sec Def)」。

「ミラー総理大臣(Prime Minister Miller)」。

「本当の司法長官(The REAL Attorney General)」。

「国土安全保障省のボス(The DHS boss)」。

「ミラー大統領(President Miller)」。

トランプ政権の当局者や大統領およびホワイトハウスに近い他の共和党員は、ミラーがいつか陰で自分の悪口を言われるのではないかと疑心暗鬼になっているが、それでも彼らはホワイトハウス副首席補佐官に付けた非公式の肩書きやニックネームをささやき合っている。

ローリングストーン誌が、元FOXニューズのスターで国防長官を務めるピート​​・ヘグセスについてある政権高官に尋ねたところ、この情報源は自ら進んで「彼はスティーヴン(・ミラー)の言うことを聞いている」と答えた。

国防総省報道官のショーン・パーネルは、ヘグセス長官は「スティーヴン・ミラーと良好な協力関係を築いている。両者はトランプ大統領の『アメリカ・ファースト(America First)』政策の遂行において完全に一致している」と述べた。

●「とんでもない奴」(‘One Intense Motherfucker’

カリフォルニア州サンタモニカで十代だった頃、ミラーは学校で自分と関わりのないハンサムな少年たちを挑発することに何よりも熱中していた。

サンタモニカのリンカーン中学校でミラーと初めて出会ったジェイソン・イスラスは、自分とミラー、そしてもう一人の友人は仲の良いアウトサイダー集団で、中学時代はスタートレックの話をするなど、思春期の男の子らしいことをして過ごしたと語る(イスラスはミラーがカーク船長の大ファンだったことを覚えている)。しかし、1999年の夏、中学2年生から3年生になる頃、状況は一変した。イスラスによれば、ミラーは彼に「もう友達ではいられない」と告げたという。「彼が言ったことの一つは、僕がラテン系の血を引いていることが気に入らないということだった」とイスラスは回想する。

その後数十年、ミラーは成長するどころか、過激な思想をますます強固にしていった。バラク・オバマ政権時代にアラバマ州選出のジェフ・セッションズ連邦上院議員の事務所で広報担当補佐官として働いていた頃、彼は連邦議事堂の保守派の同僚たちから非常に嫌われていた。そのため、他の共和党議員事務所のスタッフは、ミラーが陶器の人形遊びが好きだといった悪意のある噂をでっち上げたり、広めたりしていた。(ホワイトハウス当局者は、彼の連邦議会での活動に関するそのような描写は「不正確で根拠のない噂話」だと主張している。)当時のスタッフは、彼が極右のヘイトサイトを読み過ぎてワシントンの最も過激な沼に足を踏み入れるとどうなるかという、単なる笑い話か、あるいはあまり知られていない教訓話以上の存在になるとは夢にも思っていなかった。

今日に至るまで、状況はほとんど変わっていない。トランプ大統領の政策立案者であり執行者でもあるスティーヴン・ミラーは、3人のトランプの補佐官によれば、いかなる犠牲を払ってでも、自らが「反白人憎悪(anti-white hatred)」「反白人人種差別(anti-white racism)」「反白人差別(anti-white discrimination)」とみなすものを根絶するために、政府の力を駆使することに執着している。

ミラー氏は、軍事戦闘(military combat)、永遠の戦争(forever war)、文化と国土への侵略(invasion against the culture and the homeland)といった、誇張された表現を用いた終末論的な単語(apocalyptic terms)ばかりを用いる。

彼は、収容と大量強制送還のための「キャンプ(camps)」と名付けた、巨大で超軍事化されたネットワークを構築することを切望している。このネットワークによって、アメリカの政治的・物理的な景観が永久に変わることを期待しているのだ。

ユダヤ人であるミラーは、自身のおじから、ユダヤ人の道徳的・政治的価値観を裏切った人物として非難されている。ミラーは長年、1924年移民法に深い敬意を抱いており、アメリカをあの時代に戻したいと願っている。この法律は、ナチスから逃れようとしたユダヤ人がアメリカへの安全な渡航を拒否されたことで、ホロコーストをより悲惨なものにしたことで悪名高い。

2024年の大統領選挙結果が確定した直後、人権団体や移民擁護派は、ミラーがこれから解き放とうとしている猛攻に全く備えができていないと痛感せざるを得なかった。トランプ政権の任命者の中で、彼らを夜も眠らせないほど心配させたのはミラーだった。トランプ政権の次期「国境警備責任者(border czar)」トム・ホーマンが大量強制送還について大々的に語っていたとしても、ミラーに比べれば取るに足らない存在だった。ホーマンの仕事ぶりを知る者にとって、元移民税関執行局(ICE)長官代行は、時折、規則や制限が多少なりとも存在することを認めていた。ミラーのような男にとって、重要な法律とは、彼とトランプが都合よく歪めることができる法律だけだった。

ミラーは、匿名の人種差別主義者のインターネット荒らしが苦痛に満ちた現実世界に具現化し、権力を授けられたような存在かもしれない。しかし、だからといって、彼は自らが唱えるイデオロギーの正当性を心から信じていない訳ではない。彼自身は、自らを勝利の英雄、軟弱なリベラリズムに対する唯一の解毒剤、そして、彼自身や仲間たちが多元的な現実によって不当な扱いを受けていると感じている、寛容な合法・非合法移民に対する聖戦士(a holy warrior against the permissive legal and illegal immigration)だと考えている。

トランプ政権の最高幹部である共和党員にミラーについて尋ねると、賞賛と不安が入り混じった独特の反応が返ってくる。「とんでもない奴だ(One intense motherfucker)」と長年トランプの顧問を務めてきた人物は言う。

友人たちが彼をより穏やかで、親切で、面白い人物に見せようと試みても、たいていは失敗に終わり、偏屈者(a crank)か、これまで出会った中で最も意地悪なオタク(the meanest dork)のように映ってしまう。例えば、ミラーの長年の側近数名によると、ホワイトハウスの最高補佐官である彼は、これまでに出会った中で最も「MAHA(アメリカを再び健康に、Make America Healthy Again)」(マナーの悪い、傲慢な)人物の一人であり、ロバート・F・ケネディ・ジュニア流の食と健康(あるいは反健康)に関するプロパガンダにどっぷり浸かっているという。彼の私生活に関する話を聞くと、控えめに言っても退屈な人物像が浮かび上がる。

ローリングストーン誌に、ミラーに言い寄られたある女性は、2017年頃、デュポンサークル近くのバーで、結婚前のミラーに口説かれた時のことを語っている。その話によると、彼女は服の襟にどこの国名が書いてあるのか(中国とは言わないように)と執拗に聞かれ、保守派の典型的なタイプではないという理由で「グローバリスト(globalist)」だと非難されたという。

ワシントンで彼を奇妙だと思うのは、見知らぬ女性だけではない。長年にわたる緊密な協力関係の中で、トランプ大統領は、まるで核兵器を携えたおしゃべりな意地悪女のように、ミラーの陰口を言うことをためらわなかった。この件を直接知る2人の情報筋によると、トランプは過去に、ミラーの強烈でぎこちなく、時には人を遠ざけるような態度について、他の人に話していたという。

しかし、トランプにとって、ミラーは頼りになる突破口(a useful battering ram)であり、「ロイ・コーンはどこにいるのか?」という長年の疑問に対する政策的な答えなのだ。

ホワイトハウス報道官キャロライン・リーヴィットは次のように述べている。「スティーヴン・ミラーは、トランプ大統領の最も長く仕え、最も信頼されている顧問の一人として、ほぼ10年間務めてきた。大統領がスティーヴンをどれほど尊敬しているかは、私自身が日々目の当たりにしているので、このように断言できる。だからこそ、スティーヴンは政策担当大統領次席補佐官兼国土安全保障担当大統領補佐官を務めている。大統領はスティーヴンと、その実績あるリーダーシップ能力に絶大な信頼を寄せているからだ。スティーヴンは職務を非常に効率的にこなすだけでなく、忠実な同僚であり友人でもある。これに反する意見は、彼をよく知らない人々の根拠のない噂話に過ぎない」。

報道官の声明に加え、トランプ政権はローリングストーン誌に対し、共和党所属の連邦議員たちからの長々とした推薦文リストを送付した。それはまるで、トランプ支持派のリンクトインの推薦欄を彷彿とさせるもので、スティーヴン・ミラーが個人的にも人々に好かれていることを証明するためだった。

例えば、ジョシュ・ホウリー連邦上院議員は、ミラーを「友人(a friend)」と呼べることを嬉しく思うと述べ、「彼はアメリカの家族が繁栄できる未来の実現に深く尽力している」と付け加えた。

スティーヴ・スカリス連邦下院多数党(共和党)院内総務は、「スティーヴン・ミラーは聡明で思慮深く、議員たちの意見や懸念に耳を傾ける時間を惜しまず、常に一緒に仕事がしやすい人物だ」と述べ、「スティーヴン・ミラー氏を親しい友人と呼べることを誇りに思う」と付け加えた。

ホワイトハウスは、トム・コットン連邦上院議員、マイク・リー連邦上院議員、ジム・ジョーダン連邦下院議員からも同様の声明を発表し、報道官は、これらの議員によるミラーへの称賛は全てこの記事に掲載される予定だと述べた。

●「やり遂げる」(‘Get It Done’

トランプ政権のホワイトハウス・ウエストウイングで働く複数の情報筋によると、現在、大統領の側近は形式上はホワイトハウス副首席補佐官だが、トランプ政権の政策責任者として、実際の首席補佐官であるスージー・ワイルズ(トランプの2024年大統領選共同責任者)をはるかに凌駕している。

ミラーは、事実上あらゆる政策と行政措置(特に国内政策関連)に関与し、事実上全ての文書、トランプ大統領の指示、憲法上疑わしい命令、メモに関わっている。ワシントンDC、ロサンゼルス、そしてあなたの街の民主党優勢都市にも迫りつつあるトランプ政権の軍事介入の構図は、ミラーが軽蔑するリベラル派の牙城を制圧するという彼の構想の産物でもある。

「スティーヴンにとっては最高に楽しい仕事だ」とトランプ氏の側近の一人は、アメリカ軍の国内展開を指揮しているミラーの役割について語る。

トランプ政権による多様性推進プログラム、高等教育、そしてトランプが好まない言論の自由に対する徹底的な締め付けは、ミラーの理念を如実に表しており、かつては粗野とみなされていた方法で保守派の「文化戦争(culture war)」を連邦政府の手に委ねるという長年の野望を実現させた。トランプの広範な移民・国境警備政策は、まさに「スティーヴン・ミラー・ショー」であり、スティーヴン・ミラー・プロダクションズLLCが制作し、スティーヴン・ミラー自身が演出を手がけている。

大統領がこれらの国内プログラムを開始するために署名する書類の一枚一枚を、トランプの側近であるミラーは精査し、時には修正を加え、連邦政府機関のあらゆる部署のトランプ政権関係者に、彼自身の言葉を借りれば「やり遂げる(get it done)」と圧力をかける。

彼が省庁や機関の職員を叱責する様子は、もはや悪夢とまではいかないまでも、伝説となっている。トランプ政権2期目が始まって以来、連邦政府で働き、ミラーと直接やり取りをしたことのある2人の情報筋がローリングストーン誌に語ったところによると、ミラーの叱責によって、それぞれ職場で泣いてしまったという。

省庁間の協議において、ミラーは日常的に相手を罵倒し、怒鳴りつけ、職員の職や党内での将来を脅し、同僚の前で屈辱を与えようとしてきた。移民逮捕者数が十分に水増しされていないと感じたり、トランプ大統領の国内政策が少しでも停滞していると感じたりすると、激怒する。彼は長時間労働と、新政権が打ち出す過酷な政策の細部にわたる管理で知られている。2017年以来、共和党上層部では、トランプ大統領のためなら何でも言い、何でもやり、ほとんど誰でも裏切ることを厭わない人物として、そして何よりも大統領との権力関係と近さを維持するために、そうした姿勢を貫いてきた人物として、長年にわたり悪評がつきまとっている。

トランプ政権の最高幹部レヴェルでは、パム・ボンディ司法長官が司法省を、クリスティ・ノーム国土安全保障長官が国土安全保障省を牛耳っているという考えは、あまりにも不完全である。名目上は独立している各省庁は、ホワイトハウスのウエストウイング、つまり実質的にはミラーによって運営されている。

政府関係者の中には、トランプ大統領は州兵や武装した海兵隊を民主党が統治する都市部に派遣できるものの、これらの部隊は従来の法執行活動を行うことはできないと指摘する者もいた。こうした状況に対し、ミラーは政権の弁護士やスタッフに対し、トランプ大統領は彼らにその法的制約を回避する方法を見つけ出し、得られた法的​​理論を報告するよう求めている。

ミラーは、トランプ政権発足当初の数カ月間、非常事態宣言ではなく国内政治目的のために、アメリカ国内へのアメリカ軍派遣を常態化させることを最優先事項としてきた。関係者によると、トランプ大統領とミラーは、これに反対する者を「弱者(weak)」「臆病者(cowards)」「犯罪擁護者(pro-crime)」と見なしているという。

●「私たちは命令に従うしかない」(‘We Just Have to Follow Orders’
トランプ大統領がロサンゼルスでの移民税関執行局(ICE)の作戦を支援するため、州兵と海兵隊を派遣した後、ミラーは、不法移民を市から一掃すれば、残された住民にとってユートピアが生まれると主張した。

「不法移民がいなくなれば、アメリカ国民のためにどれだけの資源が解放されるか、想像できるか?」とミラーはフォックスニューズに語った。「救急外来で列に並ぶ必要もなくなり、ロサンゼルスのひどい交通渋滞もなくなる。健康保険料は下がり、公立学校の教室の規模も縮小する。・・・そして、もし政府の支援が必要になったとしても、第三世界から来た何百万人もの不法移民の後ろに並ぶ必要はない。これは、一般のアメリカ国民の生活の質にとって、まさに大きな恩恵となるだろう」。

2025年7月、ホワイトハウス前で記者団の取材に応じた際、ミラーは「幼い子供を持つ母親(moms with young kids)」を標的にすることが政権の資源の最適な使い方なのかと問われた。それに対し、彼は記者に対し、不法移民のうち何パーセントを滞在させるべきかと問い詰めた。「どの不法移民がレイプや殺人を犯すかを、魔法の8ボールで予知できるとでも思っているのか?」。

ミラーには法律の専門知識はないが、トランプ政権関係者によると、ミラーはトランプが外国人敵対者法(AIEA)を利用して適正手続きを経ずに大量強制送還を行うという策略の首謀者だったという。この計画は、2023年に保守系ラジオパーソナリティのクレイ・トラビスとバック・セクストンとのインタヴューで詳細に語られたものだ。

ミラーはまた、国家による恣意的拘束からの保護という憲法上の基本的権利である人身保護令状の停止を公に示唆した最初の政権関係者でもある。2025年5月にホワイトハウスで記者団に対し、ミラーは「侵略時には人身保護令状の特権を停止することができる。したがって、我々はそれを積極的に検討している選択肢の一つだ」と述べた。もちろん、侵略など起きていない。

ミラーの遺産と、彼が現代社会で果たした役割の真髄を理解したいなら、ペンシルヴァニア通り1600番地(ホワイトハウス)の向こう側を見据える必要がある。トランプの主要な執行者であるミラーを理解するには、彼が全米各地で無数の人々に何をしているのかを理解する必要がある。そして、被害者の話を聞いた時の彼の個人的な、本能的な反応を理解しなければならない。

全米には、トランプとミラーの集団によって引き裂かれた何千もの家族がいる。そのほとんどは、世に出回ることもなく、おそらく耳にすることもないだろう。そのうちの一つが、今年初めにオハイオ州の移民弁護士からローリングストーン誌に伝えられた。ローリングストーン誌はこの話の詳細を確認し、妻、夫、そして3歳の娘には仮名を使用することに同意した。弁護士は、ミラーとトランプ政権が無償で移民支援を行う弁護士を標的にしていることを理由に、身元を明かさないよう求めた。

2020年、「リカルド」(ここではそう呼ぶ)は、ラテンアメリカの故郷を逃れ、アメリカに亡命を求めた。リカルド自身が語るように、彼は故郷で軍隊に所属していたが、汚職や強力な組織犯罪を理由に、もし故郷に留まれば自分に何が起こるか恐れるようになったという。

2025年までに、彼はすでにアメリカで生活基盤を築いていた。妻の「エレン」と幼い娘の「ジェシカ」と共に、オハイオ州コロンバスに暮らしていた。彼は家族を養うために働き、エレンはジェシカの世話をしていた。2人の間には、軽犯罪や暴力犯罪、その他の犯罪歴は一切なかった。しかし、2024年初頭、2人は予定されていた公聴会に出頭したものの、実際には出席せずに帰ってしまった。受付係が誤って、その日の公聴会の予定に入っていないと告げたためだった。このたった一つの不手際誰の言い分にも反するはずのない出来事だったが、トランプ政権2期目の下で、彼らの家族を破滅(doom)へと導くことになった。

今年の6月、リカルドはICE(移民税関執行局)から、地元のICE事務所に出頭するよう求めるテキストメッセージを受け取った。トランプ政権がミラーとトランプによって推進した数々の新政策や逮捕割り当てを前に、彼の弁護士は疑念を抱いた。それでも、リカルドはこの偉大な国を信じていた。彼は自分が犯罪者ではないこと、正しい方法でここに来たかったこと、そして隠すことは何もないことを示したかったのだ。

オハイオ州を拠点とする弁護士は、コロンバス郊外の連邦入国管理局の受付で、建物に入るために列に並んでいた3人家族と出会った。ジェシカとエレンはお揃いの服装で、ジェシカはリボンで結んだおさげ髪にピンクのワンピースを着ていた。弁護士は、ジェシカが父親の頬を触って遊んでいると、父親がフグのように頬を膨らませて笑っていたのを覚えている。

待合室を過ぎると、武装した移民税関執行局(ICE)職員2人が間もなく彼らの両脇に現れ、そのうちの1人が弁護士と家族に、職員には選択の余地がないと告げた。ICEは「ワシントンからの(from Wasington)」指示を受けていると職員は言った。その指示は1月のトランプ大統領就任後に出されたもので、ミラー長官が直接作成した、逮捕・強制送還件数の増加を求める新たな基準と要求(既存の犯罪歴の有無に関わらず)が含まれていた。

職員は、父親にその場で手錠をかけ、連行しなければならないと告げた。「私たちは命令に従うしかない」とICE職員は言った。

スペイン語を話す家族は、最初は何が起こっているのか理解できなかった。夫婦と弁護士はICE職員に家族全員で自主退去させてほしいと懇願し、弁護士が通訳を交えながら、何度もやり取りをしなければならなかった。そうすればアメリカの納税者の負担が軽減されるはずだと彼らは訴えた。

ICE職員は謝罪した。どうすることもできないようだった。

職員たちは、エレンとジェシカが部屋を出られるように配慮してくれた。ジェシカが父親に手錠をかけられる場面を見なくて済むようにするためだ。父親はしゃがみ込み、ジェシカを抱き上げて別れのハグをした。混乱して泣きじゃくるジェシカは、父親の首に腕を回し、体を抱きしめて離れようとしなかった。

2人のICE職員のうち1人が、手続きを進める必要があると家族に告げた。ちょうどその時、エレンはジェシカの腰に手を回し、最初は就学前の幼い娘を父親から引き離すことができなかった。ICE職員の1人は父親の肩に手を置き、もう1人は家族を見守っていた。

「パパ!」少女はスペイン語で叫んだ。「パパに会いたい!パパに会いたい!」。

エレンはついにヒステリックになっているジェシカを部屋から連れ出すことができた。ICE職員がリチャードを連れて行く間も、ジェシカは「パパ、パパ、いやだー!」と叫び続けた。待合室に戻る途中、弁護士は待合室に座っていた移民たちや他の人々の顔を見た。彼らはドアの向こうで何が待ち受けているのか、困惑と恐怖の表情で見つめていた。数カ月後、弁護士はローリングストーン誌にこう語っている。「今でもあの少女の叫び声が耳に残っている」。

エレンとジェシカは荷物をまとめてリチャードの故郷へ向かった。2人は数日中に彼と再会できると期待していた。ところが、トランプ政権はリチャードをルイジアナ州の拘留施設に約2カ月間も拘束し、2人の恐怖をよそに、2人は彼を行方不明にしてしまった。その後、2人は再会を果たしたが、心の傷はまだ癒えていない。弁護士によると、ジェシカは今でも夜中に目を覚まし、「パパ!」と叫ぶという。

現代のどの政権下でも、厳しい移民取り締まりが行われ、胸が張り裂けるような決断が下されてきた。しかし、この話が起こっているのは、トランプ政権とミラーが、ミラー自身が逮捕者数を水増しするためだけに、各州の機関に取り締まり強化を強要しているからだ。

あなたにとって、これは悲しい、あるいは恐ろしいことのように思えるかもしれない。しかし、ミラーにとって、あなたの怒りは実に滑稽なものだ。今年、トランプ政権の側近であるミラーは、非公式の会話の中で、移民家族の「悲しい話(sob stories)」を煽るリベラル派は、ミラーと政府が決して騙されない感情的な「脅迫(blackmail)」を行っていると述べている。彼はそれを笑い飛ばし、再びホラーストーリーの創作に取り掛かった。
(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は開始から2カ月近くが経過しており、現在は停戦状態になっている。ホルム海峡封鎖をめぐり、アメリカとイラン両国は緊張関係にあるが、2回目の和平交渉に向けて、仲介国のパキスタンが動いている。その裏では中国もまたイランとの交渉を行っている。戦争はイランに有利な状況になっており、イランはそう簡単にアメリカに対して譲歩をすることはなく、かなり有利な条件での交渉を求めていると考えられる。それに対して、中国はあまり欲をかくと大きな失敗をするとイランを説得していると考えられる。
bricsmap201
BRICS加盟諸国の地図

 イランに対して、BRICSは積極的な支援をしていないように見える。また、国際的な問題に関して、足並みを揃えて行動していないように見える。しかし、それは当然のことだ。BRICSはもともとゴールドマンサックスが「21世紀において経済成長著しい国々」の総称として発表した言葉であって、それらの国々が自発的に集まったものではない。2009年になって初めて5カ国の首脳会談が開催された。その歴史はまだまだ浅い。これから枠組みを作っていく段階である。しかし、2010年代から、BRICSを中心とする西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)の経済成長や台頭が続き、世界の構造は大きく変わっている。G7よりもG20の枠組みが重要性を増しているのもその証拠である。

 BRICSは軍事同盟や集団安全保障の枠組みではない。それぞれの国家体制も違う。宗教や価値観も異なる。それでも協力できるところから協力し、問題が起きれば話し合いで解決を目指すという、ASEAN(東南アジア諸国連合)スタイルの枠組みである。一種の緩さこそが枠組みの柔軟性と多様性を担保している。これが、アメリカ主導、西側主導になれば、「非民主的な国家は入れない」「近代的、啓蒙主義的価値観を共有しない国家は入れない」という「排除の論理」が先に立つ。西側諸国では「多様性(diversity)」「平等(equity)」「包摂性(inclusiveness)」という「DEI」が尊重されるが、国際関係においてそれらは全く尊重されない。本音と建前の使い分け、西洋支配の継続性のみが重視される。

 建前だけの排除の論理がまかり通る国際秩序はこれから大きく変化していくだろう。西洋支配は終焉に進んでいくだろう。そうした中で柔軟性のある、包摂性の高い国際的な枠組みがこれから拡大していくだろう。BRICSはその中心となっていく。

(貼り付けはじめ)

BRICSはイラン問題で意見が分かれている。NATOG7も同様だ(BRICS Is Divided on Iran. So Are NATO and the G-7.

BRICSは地政学的な同盟ではなくそうであるべきでもない。

オリバー・シュトゥンケル筆

2026年3月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/18/iran-war-brics-nato-g7-economics-security/
写真

2025年7月6日にリオデジャネイロで開催されたBRICS首脳会議に出席したイランのアッバース・アラグチ外相とエジプトのモスタファ・マドブーリー首相

2月28日にアメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始して以来、多くのアナリストがBRICSは幻想に過ぎないと断言している。

イランは2024年に新規加盟国としてBRICSに加わった。しかし、BRICSは紛争に対する統一的な対応を示すことができていない。ブラジルや中国など一部の加盟国はアメリカとイスラエルの攻撃を非難したが、インドは非難していない。南アフリカは態度を保留している。こうしたBRICS批判者にとって、これらの意見の相違は、『ウォールストリート・ジャーナル』紙コラムニストであるサダナンド・ドゥームが先週主張したように、BRICSは一貫性を欠き、「全く無力(utterly ineffectual)」であるというおなじみの結論を裏付けるものとなっている。

しかし、この主張は誤った前提に基づいている。BRICSは安全保障に関する共通の立場を持つ正式な同盟のように振る舞うべきだという前提に立っている。実際には、BRICSは地政学的なブロックではないし、これまでもそうであったことはない。

BRICSは発足当初から、地政学的な優先事項が大きく異なる国々を結集させてきた。ブラジル、ロシア、インド、中国の首脳が初めて会合を開いたのは2009年で、その1年後に南アフリカが加わった。当時でさえ、加盟国は統一された世界観を共有していなかった。ロシア、そして程度は低いものの中国は、特に2014年のロシアによるクリミア侵攻以降、G7や西側諸国への対抗勢力としてBRICSを利用しようと長年努めてきた。一方、ブラジル、インド、南アフリカは、多国間連携戦略を追求してきた。

BRICSは発足当初から西側諸国の観察者から批判にさらされてきた。2011年、『フィナンシャル・タイムズ』紙のフィリップ・スティーヴンスは「モルタルなきBRICSに別れを告げる時が来た(“time to bid farewell” to the “Brics without mortar”)」と宣言した。ジャーナリストのマーティン・ウルフは2012年のインタヴューで、BRICSは「グループではない(not a group)」とし、加盟国には「共通点が全くない(nothing in common whatsoever)」と断言した。他の評論家もBRICSを「ばらばらの四人組(disparate quartet)」「奇妙なグループ(odd grouping)」「寄せ集め(motley crew)」「無作為な集団(random bunch)」と表現し、「やや滑稽な(faintly ridiculous)」構想に基づいていると評している。

中国とロシアが賛成し、ブラジル、インド、南アフリカが反対した近年のBRICS拡大は、こうした矛盾をより顕著にした。2024年にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦が加盟したことで、このグループはさらに多様化し、分裂が激しくなった。イランのドローンがアラブ首長国連邦を攻撃する映像―BRICS加盟国同士の攻撃は、多くの新メンバーの加入によってもたらされた地政学的な対立を如実に物語っている。

『フォーリン・ポリシー』誌のC・ラジャ・モハンが指摘するように、BRICSの拡大はグループ内の結束を弱体化させた。グループが拡大する以前は、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やブラジルのジャイル・ボルソナーロ前大統領のように、西側諸国から経済的あるいは外交的に孤立する恐れのある加盟国にとって、BRICS諸国との関係は外交上の救命ボートとして頼りにできるという利点があった。2014年には、BRICS諸国はロシアのG20継続参加を支持した。5年後、アマゾン熱帯雨林の火災をめぐって西側諸国からブラジルへの圧力が高まる中、中国はボルソナーロ大統領の環境政策を称賛した。

BRICSの拡大は、特に国連安全保障理事会の改革問題において、グループ内の意思決定を麻痺させている。ブラジル、インド、南アフリカは長年、常任理事国入りを目指してきた。しかし、たとえ新たなBRICS加盟国が安保理改革を支持したとしても、その具体的な内容についてグループ内で合意は得られていない。エジプトやエチオピアを含むアフリカ諸国は、自国の議席獲得よりも南アフリカの議席獲得を優先しているように見える表現に抵抗している。

昨年開催されたBRICS外相会議では、参加国代表がグループ史上初めて共同声明で合意に至らず、緊張は頂点に達した。

BRICSは、過去にアメリカがイランに対する攻撃をエスカレートさせた際にも同様の優柔不断な態度を示してきた。昨年6月にアメリカがイランを攻撃した際、BRICSは比較的穏やかな声明を発表し、「深刻な懸念(grave concern)」を表明するとともに、攻撃を国際法違反と非難した。しかし、この声明はワシントンに言及しておらず、特にインドなど一部の加盟国がアメリカとのデリケートな関税交渉を行っていた時期に、ドナルド・トランプ米大統領との摩擦を避けることを意図したものとみられる。

イラン情勢の再燃をめぐるBRICSの分裂は、さほど驚くべきことではなく、特に何かを明らかにしているわけでもない。もし重大な軍事危機をめぐる意見の相違が、ある組織が無能であることの証拠だとすれば、西側諸国の多くの同盟も同じ試練に合格することはないだろう。

NATOG7は、イラン戦争をめぐって意見が分かれている。スペインは、NATOの主要加盟国であるアメリカによる攻撃を国際法違反だと非難している。マドリードはまた、アメリカ軍が共同運営基地を攻撃に使用することを拒否し、ワシントンとの公然とした対立を招き、トランプ大統領からは貿易報復の脅迫を受けている。他のヨーロッパ各国政府も介入に消極的だ。ドイツのボリス・ピストリウス国防相は月曜日、「これは私たちの戦争ではない(This is not our war)」と述べた。

アメリカがカナダやデンマーク領グリーンランドの併合または侵攻をちらつかせた際、NATOG7も統一的な対応を示すことができなかった。2003年にアメリカがイラクに侵攻した際、フランスやドイツを含む複数のヨーロッパ諸国は戦争に強く反対した。国連安全保障理事会の改革といったより根本的な問題についても同様である。ドイツは常任理事国入りを目指しているが、イタリアはこれに反対している。しかし、G7が無力であるとか、崩壊寸前であると考える人はほとんどいないだろう。

BRICSについても同様の分析基準が適用されるべきだ。BRICSは、あらゆる地政学的危機に対して統一的な立場を取るために設立された訳ではない。むしろ、その目的は異なる。BRICSは、主要な新興国が選択的に協調(coordinate selectively)し、地政学的不確実性に対するヘッジを行い(hedge against geopolitical uncertainty)、依然として西側諸国が支配する世界において影響力を高めるためのプラットフォームなのである。

例えば、BRICSは2022年のウクライナ侵攻後、西側諸国がロシアを経済的に孤立させるよう求めたにもかかわらずこれに抵抗した。これは、加盟国が、プーティン大統領が国際法に違反したという西側諸国の評価に異議を唱えたからではなく、ますます不安定化する世界において、経済的・地政学的な選択肢を確保しておきたかったからである。こうした現実的な判断は、グローバル・サウス(the global south)に限ったことではない。アメリカは最近、イラン戦争に関連した原油価格の高騰を受け、ロシアに対する石油関連の制裁を緩和した。

BRICSは設立以来、安全保障よりも経済・制度面の問題に重点を置いてきた。特に、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の改革、新開発銀行(New Development Bank)を通じた開発金融の道筋の構築、そして米ドルへの依存度低減(reducing dependence on the U.S. dollar)といった点において顕著である。BRICS首脳は今年後半、インドで第18回首脳会議を開催し、デジタルインフラと人工知能(AI)分野における協力について協議する予定だ。

こうした取り組みはしばしば進展が遅いものの、多くの新興国が、自国の影響力の増大をより適切に反映するよう世界秩序を適応させようとする共通の関心を示している。さらに、ブラジルや南アフリカといった国々にとって、BRICSはアジアの意思決定者と直接対話できる貴重な場であり、経済的にますます統合が進むアジア地域において、その存在感は際立っている。

このように、BRICSは同盟(an alliance)というよりも外交的な場(a diplomatic space)、つまり、西側諸国の支配に対する懸念を共有する国々が、単一の戦略的アジェンダに縛られることなく、代替案を模索するためのフォーラム(a forum for countries that share concerns about Western dominance to explore alternatives without committing themselves to a single strategic agenda)として機能していると言えるだろう。イランをめぐる現在の対立は、BRICSの本質を改めて示すものに過ぎない。BRICSとは、利害が一致する部分では協力し、一致しない部分では対立する、緩やかでしばしば混乱した国家連合である。

むしろ、イラン戦争はBRICS諸国の多方面にわたる連携と、より大きな戦略的自律性の追求を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。一部の評論家がBRICSの解体を提唱しているのとは裏腹に、これまでBRICSから脱退を決めた国は一つもない。実際、BRICSは大きく成長を遂げている。最近では、トランプが主導する平和評議会(the Trump-led Board of Peace)に加盟したものの、その後参加を停止したインドネシアのような新興国も加わっている。

BRICSという枠組みを誤解しているだけでなく、BRICSに対する批判は、世界政治におけるより根本的な変化を見落としている。世界は、同盟関係によって形成される秩序から、場当たり的な連合、課題別協力、そして短期的な利益とニーズに基づくトランプ流の取引的な関係へと移行しつつある。

イラン核戦争の最初の数週間は、この新たな現実を如実に示している。アメリカがロシアへの制裁緩和を決定すると、つい最近ウクライナの領土保全を認める国連決議への支持を拒否したペルシア湾岸諸国は、イランのドローン攻撃から自国領土を守るため、キエフに軍事顧問の派遣を要請した。その後、トランプ大統領は中国に対しホルムズ海峡の防衛支援を要請したが、中国はこれを拒否した。これらの行動は、長年の原則や同盟関係に基づくものではなく、差し迫った戦略的・経済的ニーズに基づくものだった。

BRICSは決して統一されたブロックにはならないだろう。それは主に、加盟国の利益にならないからだ。ブラジルは、アメリカとの交渉においてBRICSという枠組みを利用して交渉力を高めるのと同様に、アメリカとの関係や、最近締結されたヨーロッパ連合とメルコスール間の貿易協定を利用して、中国との交渉における交渉力を強化している。BRICSは、多くの国が、より細分化され、激動する世界に備えている方法の一つに過ぎない。

※オリヴァー・ストゥエンケル:ワシントンDCにあるカーネギー国際平和財団の民主政治体制・紛争・ガヴァナンスプログラムの上級研究員であり、サンパウロにあるジェトゥリオ・ヴァルガス研究所の国際関係学准教授。Xアカウント:@OliverStuenkel

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は停戦状態となって二週間以上が経過した。その間に和平交渉が行われたが、合意には至らなかった。現在は動きが見えない状況にある。アメリカのドナルド・トランプ大統領は暴言を発したり、引いてみたりと尻尾を掴ませないように、世界を煙に巻いている。和平交渉はいきなり代表同士が会って話すものではない。双方の事務当局、外務担当の職員たちが条件を話し合いながら、叩き台を作っていく。現在はその作業が進められているのだろうが、双方の最高幹部クラスの意向が全く嚙み合わなければ、叩き台作り作業も難航するだろう。

 アメリカとしてはイランの核兵器製造能力を完全に除去したいというところだ。イランは体制の継続保証が欲しいところだ。ここにイスラエルの意向も絡んでくるので、話が複雑になる。また、現状では、イランのほうが有利な立場を保持しているという感じになっている。総合格闘技の試合を見た人は多いだろうが、体格が大きくて強い選手が相手を打撃で倒して上から覆いかぶさったところで、倒された選手が下から関節技や首の絞め技(チョークスリーパーなど)でかえって相手からギヴアップを奪うということがあるが、現状はそれに近い。アメリカとイスラエルの大規模空爆で、イランは大きな被害を受けた(最高指導者アリ・ハメネイ師まで殺害された)が、世界にとって重要なチョークポイントであるホルムズ海峡を封鎖する(絞め上げる)ことで、世界経済とアメリカ経済に悪影響を与え、対抗している。アメリカは戦闘(battle)で勝っているが、戦争(war)には負けているという状態になっている。

このような状況で、イランは簡単に妥協しない。そして、アメリカに消耗を強いて、嫌気がさすまで長引かせることによって、かえってアメリカから妥協や良い条件を引き出すという目論見を持っている。これは、大国と小国の間や宗主国と植民地の間などの、非対称的な戦争において採用されてきた戦略である。事態を打開しようとして、更に強硬な作戦、核兵器の使用や地上軍の投入を行えば、泥沼(quagmire)にはまり、事態は悪化してしまう。そのこともヴェトナム戦争が示している。イラン戦争は開始されるべき戦争ではなかった。そのことはトランプ以外のトランプ政権とアメリカ政府の最高幹部クラスは分かっていたが止められなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の懐柔策と操縦が見事にはまり、トランプ大統領はイラン攻撃を決定した。この経緯については、このブログでもすでにご紹介した。

 トランプは長所である、自分の言葉や過去の行動に縛られない、無反省と定見のなさで、ピート・へぐセス国防長官当たりに開戦の責任を押し付けて更迭し、和平合意にゴーを出すべきだ。そして、外交政策はJD・ヴァンス副大統領に任せるようになって欲しい。その代わり、アメリカと世界は、トランプをあやすために、最高の栄誉や賞賛を与えるということはやるべきかもしれない。ノーベル平和賞を与えるのもその一つの方策かもしれない。

(貼り付けはじめ)

今、イランが主導権を握っている(Iran Is Calling the Shots Now

―テヘランはヴェトナムにおけるホー・チ・ミンの戦略に従っている。

マイケル・ハーシュ筆

2026年4月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/23/iran-united-states-vietnam-trump-oil-war/

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テヘランで行われた式典で、故アリ・ハメネイ師(左上)と新最高指導者モジタバ・ハメネイ師の肖像画の下で敬礼しているイランの男子生徒(2026年4月1日)

イランはまだ「もう一つのヴェトナム(another Vietnam)」ではない。アメリカ軍地上部隊が耐え難いほどの犠牲者を出している訳でもなく、週ごとの死者数を報じる見出しもなく、アメリカ国内の街頭で大規模な反戦デモが起きている訳でもない。そしてもちろん、打ちのめされたリンドン・ベインズ・ジョンソンではなく、現アメリカ大統領ドナルド・J・トランプは、この戦争に参戦してまだ数カ月しか経っていないと誇らしげに語っている。ちなみにヴェトナム戦争については「即座に(very quickly)」勝利できたはずだと豪語している。

しかし、テヘランがドナルド・トランプ大統領にかけている圧力は、ヴェトナム戦争でジョンソン大統領を困惑させた圧力と非常によく似ているように感じられる。具体的に言えば、それは北ヴェトナムの象徴的指導者ホー・チ・ミンが執拗に追求した勝利戦略(the winning strategy)に酷似している。

戦争の早期終結に向けた協議を拒否し、トランプ大統領に停戦を無期限に延長するよう迫ることで(大統領は数日前までは延長しないと断言していた)、イラン指導部(それが誰であれ)はホー・チ・ミンの戦略を踏襲しているように見える。

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クアンチ省近郊のある地域で、ヴェトナム戦争でこの地域で戦死した兵士たちを追悼するアメリカ第一騎兵師団の兵士たちが礼拝を行う野外礼拝堂として利用されている

ホー・チ・ミンと、1960年代に彼の後継者となったレ・ズアンは、西側帝国主義国家であるフランス、そしてアメリカという二つの勢力を打ち破った。彼らは、テヘランが理解していると思われる事実、すなわち、どれほど強力な侵略者であっても、遠く離れた地からの侵略者は、自分たちよりもずっと早く戦争に飽きるということ(Aggressors from far away, no matter how powerful, will tire of war well before you do)を理解していた。ホーは1946年、フランスの植民地主義者たちにこう言い放った。「私たちがあなた方の兵士を一人殺すごとに、あなた方は私たちの兵士を一人殺すかもしれない。しかし、たとえそのような不利な状況でも、あなた方は負け、私たちは勝つだろう」。

そして、テヘランが今トランプ大統領を屈辱に陥れているように、ジョンソン大統領のますます切迫した交渉要請を繰り返し拒否したのも、ホーとレ・ズアンだった。 1967年にジョンソン大統領に宛てた書簡の中で、ホー・チ・ミンは「アメリカの爆撃およびその他のあらゆる戦争行為の無条件停止(the unconditional cessation of U.S. bombing raids and all other acts of war)」が実現するまで交渉に応じるつもりはないと明言し、「ヴェトナム国民は決して武力に屈服せず、爆撃の脅威の下での交渉も決して受け入れない(Vietnamese people will never submit to force, they will never accept talks under threat of bombs)」と付け加えた。

1960年代、ジョンソン大統領は軍事会議でハノイの頑固さを度々非難し、ローリングサンダー作戦から始まった空爆の強化と継続的な爆撃作戦がなぜ北ヴェトナム指導部を交渉のテーブルに着かせることができなかったのかと疑問を呈した。「彼らは決して諦めないだろう(I don’t believe they’re ever going to quit)」と、ある時、ロバート・マクナマラ国防長官に語った。

同様にイランでも、トランプ大統領が「深刻な分裂状態(seriously fractured)」と呼んだ指導部の兆候が見られるものの、モハマド・バゲル・ガリバフ国会議長は、テヘランは「脅迫の下での交渉は受け入れない(not accept negotiations under the shadow of threats)」と宣言した。今週、イランの交渉担当者はトランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領をホワイトハウスで不安げに待たせたままだった。結局電話はかかってこなかった。さらに、イスラム革命防衛隊(IRGC)の指揮官たちよりも穏健派とされるガリバフは、テヘランは停戦を利用して「戦場で新たな切り札を見せる(to reveal new cards on the battlefield)」準備をしていると述べた。

トランプ大統領は4月21日、トゥルー・ソーシャル上で「イラン側からの提案が提出されるまで停戦を延長する(extend the Ceasefire until such time as their proposal is submitted)」と発表した。つまり、イランが主導権を握っているように見えるということだ(Iran now seems to be calling the shots)。

ハーヴァード大学ケネディ・スクールのグローバル・ヴェトナム戦争研究イニシアティヴの共同創設者兼ディレクターであるハイ・グエンは、「ヴェトナム戦争終結から50年、アメリカはイランとの戦争で再び同じ過ちを繰り返している」と述べた。

「ヴェトナム戦争時のヴェトナムと同様に、非対称戦争(an asymmetric war)において、イランはアメリカが想像もできないほどの優位性を持っている」とグエンは私に語った。彼は続けて次のように述べた。「イランは、アメリカが何千トンもの爆弾を投下することはできても、長期戦に耐えるだけの忍耐力がないことを理解している。ヴェトナムの革命家たちと同様に、イランは国家資源に関して多大な犠牲を払ってでも長期戦を戦う覚悟ができているようだ。言い換えれば、イランはアメリカにとってのアキレス腱を理解している(Iran, in other words, understands the Achilles’ heel of the U.S)」。

「これが降伏の姿だ」と元NATO米大使のイヴォ・ダールダーはブログ記事に書いた。「停戦を望んだのはトランプ大統領だった。さらなるエスカレーションをしてしまうと、イランが譲歩しないと悟り、戦争継続(長期化)による経済的・政治的な影響を恐れたからだ。もしトランプ大統領が停戦を無期限に延長するなら、イランはそれで構わない。現状では、あらゆる面で優位に立っているのはイランであり、トランプ大統領ではない。アメリカ大統領に残された唯一の切り札は、望まない戦争を再開することだけだ(The US president’s only card is restarting a war he doesn’t want)。一方、イランは残りの切り札を全て握っている(Meanwhile, Iran holds the rest of the cards)」。

指導部の大部分が壊滅したにもかかわらず、イラン・イスラム共和国はホルムズ海峡へのアクセスを掌握しており、そのコントロールをさらに強めているようだ。今週、複数の船舶を拿捕し、アメリカの海上封鎖をかいくぐって航行している。『フィナンシャル・タイムズ』紙は、貨物追跡会社ボルテクサの情報として、火曜日時点でイラン関連の石油タンカー約34隻が海上封鎖を通過したと報じている。

一方、米国防総省国防情報局長官ジェイムズ・H・アダムス海兵隊中将は、連邦議会証言の中で、イランが「数千発」のミサイルと無人攻撃機を保有していることを認めた。CBSは4月22日、4月8日の停戦開始時点で、イランの弾道ミサイルと発射システムの備蓄の約半分が依然として無傷であり、海峡の混乱に用いられるイスラム革命防衛隊(IRGC)海軍部隊の約60%も同様に無傷で残っていると報じた。

これらの数字は、停戦開始当日に「壮大な怒り作戦は戦場における歴史的かつ圧倒的な勝利だった」と宣言したピート・ヘグセス国防長官の発言と矛盾する。

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左:1964年4月26日、ワシントンで行われた記者会見で発言するロバート・マクナマラ米国防長官。背後には、様々な軍事施設を示すヴェトナムの地図が掲げられている。

右:3月2日、ピート・ヘグセス米国防長官が、ワシントンのペンタゴンで行われたイランにおけるアメリカ軍の軍事行動に関する記者会見で発言している。

実際のところ、現在、ヴェトナム戦争を最も彷彿とさせるのは、ヘグセス長官による日々の戦場での勝利宣言だろう。彼は、ヴェトナム戦争でアメリカが勝利していると国民を繰り返し欺いた「ベスト・アンド・ブライティスト(best and brightest)」マクナマラ元国防長官の漫画版のような存在だ。マクナマラは「死者数(body counts)」などの戦場における消耗戦の統計的証拠を引用することで悪名高かった。同様に、ペンタゴン職員から「愚かなマクナマラ(Dumb McNamara)」というあだ名をつけられているヘグセス長官も、破壊したミサイル、発射装置、艦船の数、そして殺害した指導者の数を挙げることで、イランにおけるワシントンの「決定的な軍事的勝利(decisive military victory)」を数値化することに熱心だ。

しかし、それはもはや1、2カ月前ほど重要ではなくなっている。1969年のヴェトナム和平に関するパリ会談について、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は次のように記している。「私たちは軍事戦争(a military war)を戦ったが、敵は政治戦争(a political one)を戦った。私たちは物理的な消耗戦(physical attrition)を狙い、敵は私たちの心理的な疲弊(psychological exhaustion)を狙った」。

ヴェトナムは、アメリカがヴェトナム国内で十分な消耗戦を成功させるずっと前に、ワシントンにおける敵の疲弊をすでに達成していた。その結果、会談開始時にハノイは妥協を許さない姿勢を取り、キッシンジャー自身も南ヴェトナム陥落前に「和平は間近だ(peace is at hand)」と誤った宣言をするに至った。

The Vietnamese achieved exhaustion of their enemy in Washington well before the Americans

現在、イランでも同様の力学が働いている可能性がある。おそらく主な違いは、イランがホルムズ海峡を封鎖することで、経済攻撃と政治戦争の両方でトランプ大統領を急速に疲弊させようとしている点だろう。特に中間選挙まであと6カ月という時期に、これはトランプ大統領と彼の党に深刻な打撃を与える可能性がある。

「テヘランはハノイと同じ計算をしている可能性が高い。つまり、アメリカの空爆による懲罰を耐え忍び、真剣な交渉を拒否すれば、長期化する決着のつかない戦争(protracted indecisive war)に対するアメリカ国民の支持は徐々に低下し、ワシントンは交渉でより多くの譲歩を迫られることになるだろう」と米海軍兵学校の歴史家ブライアン・ヴァンデマークは述べている。

ヴェトナム戦争は経済的にもジョンソン大統領に打撃を与えた。戦争支出はジョンソン大統領と彼が熱望した「偉大な社会(Great Society)」プログラムにとって財政危機を招き、最終的には高インフレと民主党の壊滅的な選挙敗北につながった。

しかし、イランが握っている支配力(the chokehold)は、かつてホー・チ・ミンが享受していたものよりもはるかに強固で、即座に効力を発揮し、世界中のエネルギー価格を高騰させている。国際通貨基金(IMF)によると、ホルムズ海峡の封鎖は既に史上最悪の石油供給途絶(oil supply disruption)であり、世界的な景気後退につながる可能性がある。

それでも、株式市場をはじめとする各種指数は堅調に推移しており、トランプ大統領は劣勢を示唆する様子を全く見せていない。まるで時間には余裕があるかのように振る舞っている。4月21日のCNBCのインタヴューで、トランプ大統領は第一次世界大戦以降のアメリカの過去の戦争への関与に関する疑わしい数字を羅列し、現在の紛争はまだ「5カ月」しか経っていないと主張した(実際には3カ月程度)。「ヴェトナム戦争はもっと早く勝てたはずだ。もし私が大統領だったら、イラク戦争も私たちが勝利したのと同じ期間で勝てたはずだ。なぜなら、私たちはここで実質的に勝利したのだから」と彼は述べた。

しかし、今のところ、勝利したと言えるものはほとんどないようだ。

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テヘランでイスラエルとアメリカの共同攻撃現場を清掃する作業員たち(4月7日)

大国が小国に侵攻しすぎると、911以降、ワシントン自身も痛感したように、大国が犯す戦略的な過ちはあまりにもよくある。実際、トランプ政権は、地上部隊の派遣を可能な限り避けることで、イラクとアフガニスタンの泥沼化を回避しようとしてきたことを明確にしている。

アフガニスタンでは、アメリカが20年にわたる断続的な平和維持活動の末に撤退する前、タリバンは「あなたたちは時計を持っているが、私たちには時間がある(You have the watches, but we have the time)」とよく言っていた。ヴェトナム、イラク、アフガニスタンに共通するのは、ヴェトコン、イラクのジハード主義者、タリバンといった民族主義的な抵抗勢力は、強力な外国の占領者でさえも、その存続期間を凌駕することが多いという点だ。

前述のグエンが述べたように、「戦後、マクナマラは、アメリカがヴェトナムで敗北した理由の一つは、ヴェトナムが長年にわたり侵略と戦ってきた歴史を理解していなかったことだと述べた」。

昨年6月、トランプ大統領がイランの核施設に対するアメリカ・イスラエル共同作戦に関与した後、こうした紛争に懐疑的なことで知られるヴァンス副大統領は演説で次のように述べた。「私が『トランプ・ドクトリン(Trump Doctrine)』と呼ぶものは至って単純だ。第一に、明確なアメリカの国益を表明する。この場合、それはイランが核兵器を保有してはならないということだ。第二に、その問題を積極的に外交的に解決しようと試みる。そして第三に、外交的に解決できない場合は、圧倒的な軍事力を用いて解決し、長期戦に発展する前にさっさと撤退する」。

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左:リンドン・B・ジョンソン米大統領はヴェトナム戦争に関する演説の準備のためホワイトハウス閣議室の机上の書類に目を通している

右:ドナルド・トランプ米大統領は3月16日、ワシントンDCのホワイトハウス大統領執務室で書類に署名する準備をしている

トランプ大統領は、この件に関して明確な目標について言及しておらず、もし最終的にイランを交渉のテーブルに着かせたとしても、アメリカはバラク・オバマ元大統領が2015年に締結した核合意と同様の妥協を受け入れざるを得なくなる可能性が高まっている。これには、イランが保有する核兵器開発寸前の濃縮核物質(Iran’s nearly-bomb-ready enriched nuclear material)をどう扱うかという問題も含まれる。トランプ大統領が破棄する前の合意では、イランは核物質の98%を国外に搬出することが義務付けられていた。現在、トランプ大統領はイランが核物質を引き渡すと主張し続けているが、テヘラン側はそのような譲歩(concession)は一切していないと述べている。

アトランティック・カウンシルのステラティジストC・アンソニー・プファフ退役米陸軍大佐は「強国の利益が限られている場合、弱い国が強い国に勝つケースはよくある。なぜなら、強い国の方が弱い国よりも先に撤退の限界点(its threshold to quit)に達するからだ」と述べた。

プファフは続けて「今回のやり取りもまさにそうだ。たとえ私たちがテヘランに対して、彼らの視点から見て妥当な要求を提示したとしても、彼らはさらなる譲歩を求めるだろう」と語った

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはどのようにしてアメリカの未来をウォール街に渡し、我々自身と戦争を行ったのか(How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street and At War With Ourselves)』と『何故アメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にしているのか(Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の本の著者でもある。Xアカウント:@michaelphirsh

(貼り付け終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 今回は、イラン攻撃直前に発表された、ファリード・ザカリアの論考をご紹介する。2月末、27日の段階で発表された論稿だ。27日は攻撃の前日、攻撃命令はすでに下されていた。ザカリアはおそらくイラン攻撃命令が下されたことを掴んでいただろう。その前に、既に中東地域にアメリカ軍が展開していたこともあり、イラン攻撃については秒読み段階という手応えもあっただろう。

 ザカリアの主張は、「爆撃と願いは戦略ではない」ということだ。これは、アメリカが明確な戦略的目標を設定して、その実現のために攻撃をするならばいざ知らず、そのようなことがない状況で、攻撃をしても、「後は野となれ山となれ」の状態になって失敗するというものだ。アメリカがイランの核兵器開発能力を排除するということで攻撃するということならば、それは2025年6月の攻撃で成功している。また、イランの弱体化についても、経済制裁なども絡めて実施しており、その効果は出ている。アメリカの情報・諜報機関もイランは核兵器を開発していないという報告を出している。イランの政権転覆、体制転換を目標とするならば、空爆だけでは成功しない。地上軍の侵攻と占領が必要となるが、アメリカ軍は地上軍派遣を実施できない。アメリカ軍がイランに対して地上侵攻を行えば、双方に多大な犠牲者が出る。アメリカ軍は犠牲者が出ることを嫌う世論とも戦わねばならない。アメリカはイランの体制転換、政権転覆を短期的には望んでいなかった。

 アメリカのイラン攻撃は全く意味のないものということになる。イスラエルにとっては、自力ではできないことであるが、アメリカを利用してイラン攻撃をしてあわよくばうまくいってくれると嬉しいという博打としての攻撃で会って、それが今回失敗したことになる。イスラエルとしてはイランの政権転覆、体制転換が望ましいが、自力で行うことは不可能だ。イスラエルが地上軍を派遣することはできない。モサドがイラン国内、イラン政府内に張り巡らしたネットワークを利用して情報を取り、暗殺を実行することはできるが、それが政権転覆、体制転換にはつながらない。

 こうして、合理的に考えれば、イラン攻撃の判断は誤ったものということになる。アメリカのドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はその責任を取る必要があるが、今のところは早期の停戦合意をしなければならない。そのためにJD・ヴァンス副大統領が事態の収拾にあたっている。イスラエルがその邪魔をしようとするという見方もあるが、そのようなことをすれば、イスラエルはアメリカ国民からの支持も失い、亡国の坂道を転げ落ちていくだけのことになってしまうだろう。

(貼り付けはじめ)

「爆撃と願い」は戦略ではない(‘Bomb and Hope’ Is Not a Strategy

―イラン政権が崩壊しなければならないなら、その後に起こる事態の責任はトランプ大統領が負うことになる。そして、それは決して穏やかなものではないだろう。

ファリード・ザカリア筆

2026年2月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/27/iran-united-states-trump-bomb-war/

ドナルド・トランプ大統領は、1時間47分に及ぶ一般教書演説(State of the Union address)の中で、イランについてわずか3分しか触れなかった。これは憂慮すべき事態である。なぜなら、アメリカはイランとの戦争の瀬戸際(the verge of a war)に立たされているにもかかわらず、そのことについて公の場でほとんど議論されていないからだ。トランプ政権は、イラク戦争以来最大規模のアメリカ軍をこの地域に集結させ、2つの空母打撃群と少なくとも150機の航空機を近隣に展開させている。この地域には最大4万人のアメリカ軍兵士が駐留している。それにもかかわらず、軍事作戦を成功させるための核心は、依然として不明確で定義されていない。戦争目的は一体何か?

トランプ大統領は一般教書演説の中で、基本的な目標は、イランに「私たちは決して核兵器を持たない」という秘密の言葉を言わせることだ(those secret words: ‘We will never have a nuclear weapon)と示唆したように思われる。しかし、イランは数十年にわたり、このことを繰り返し述べてきた。イスラム共和国の最高指導者は2003年に核兵器保有を禁じるファトワ(fatwa、宗教令)を発布し、その後も何度もそれを繰り返している。この主張は、バラク・オバマ政権とイラン政府が合意したイラン核合意の冒頭部分で改めて確認されている。トランプ大統領が望むのがこの立場の再確認だけなら、この危機はすぐに終結するはずだ。

しかし実際には、トランプ大統領はそれ以上のものを望んでいる。それは一体何なのか? トランプ政権内部には、イランのウラン濃縮計画の破壊を望むと述べる人物もいる。しかしながら、6月にアメリカがイランを爆撃した際、大統領はイランの核開発計画を「壊滅させた(obliterated)」と声高に繰り返し宣言した。彼は間違いをしてしまったのか? それとも私たちを欺いているのだろうか? もしそうでないとすれば、イランは制裁と禁輸措置の下で、わずか数カ月で核開発計画全体を再構築できたのだろうか? そのため、最初の爆撃よりもさらに大規模な2度目の爆撃が必要になったというのだろうか? そのような主張には到底信頼を置くことができない。

トランプ政権とイランの協議は、主に核問題に焦点を当ててきた。政権はレッドラインを何度も変更してきた。時には、イランのウラン濃縮を容認する可能性があると述べてきた。これは、核不拡散体制の下で全ての国が有する権利だと多くの人が主張している。一方で、マルコ・ルビオ国務長官のような政権高官は、いかなるウラン濃縮も容認できないと述べている。ルビオ長官はまた、イランが弾道ミサイル問題(これは別の問題である)について協議を拒否していることを「大きな問題(big problem)」と指摘した。トランプ政権高官たちは、ヒズボラやハマスといった同盟者へのイランの支援を制限する必要性について言及することもある。そしてトランプ大統領はここ数カ月、政権交代を目標としていることを示唆する発言を繰り返してきた。では、真の目的は何なのか?

イランの核能力を制限することは一つの目標であり、トランプ大統領がかつて指摘したように、昨夏の爆撃によってその目標はほぼ達成された。ヒズボラとハマスは、イスラエルによる壊滅的な攻撃によって、かつての面影を失っている。イラン軍は、空爆で多くの指導者が死亡し、弱体化している。それでは、真の目的は政権交代(体制転換、regime change)なのだろうか? もしそうだとすれば、空爆だけでそれが達成される可能性は極めて低い。地上部隊が実際に侵攻して政権転覆を行うことなしに、政権が崩壊した例は、これまで一つも思い当たらない。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子やアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン大統領など、長年イランの敵対国であった人々が、焦点の定まらない軍事力が制御不能に陥り、中東地域全体を不安定化させる恐れがあるとして、慎重な対応を促していることは、まさにそれを物語っている。

たとえアメリカがイランの最高指導者を含む多くの高官を殺害する壊滅的な攻撃を行ったとしても、最も可能性の高い結果は、イラン軍が社会に対する支配力をさらに強めることである。戦争は、兵士が支配する。聖職者たちは排除され、イランの現在の聖職者と軍人による混合政権は、より一般的な将校主導の政府に取って代わられるかもしれない。しかし、それは自由民主政治体制への道としてはありそうもない。もしイランの民主化(democratization)がトランプ政権の目標であるならば、それを明確に表明し、計画を立て、反体制派を支援し、指導者を探し出し、彼らに支援を提供するべきである。爆撃と願いは戦略ではない(Bomb and hope is not a strategy)。

戦争理論の巨匠カール・フォン・クラウゼヴィッツは、軍事力は明確な政治目標によって導かれなければならない(military might must be directed by a clear political objective)と主張した。明確な目標なしに戦うことは、戦争を目的のない暴力(aimless violence)に変え、その結果が偶然に左右される危険性があるとクラウゼヴィッツは説明した。ワシントンの政策立案者は、立ち止まって単純な問いに答えなければならない。私たちが目指す最終状態は一体何なのか、そして軍事行動はそれをどのように達成するのか? 漠然とした目標―「弱体化(degrade)」「抑止(deter)」「行動変容(change behavior)」―は、任務の拡大を招く。もしイランの核兵器開発を阻止することが目的なら、条件が満たされていることを確認するための査察(inspections)を伴う合意こそが目標となる(そう、まさにトランプ大統領が離脱した合意だ)。もし政権交代(体制転換)が目的なら、ワシントンは事後的な政治的責任を受け入れる包括的な戦略を準備する必要がある。これ以下の対応は、アメリカ軍と数百万人の人々の未来を賭けた賭けに他ならない。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)

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