古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:イラン戦争

 古村治彦です。

 アメリカ連邦下院で、イラン戦争終結を進める決議案が可決された。法的拘束力を持たせるためには連邦上院での可決が必要で、更にドナルド・トランプ大統領が拒否権を行使するということが考えられるため、実際にアメリカ連邦議会がイラン戦争を終結させるということはできない。これは象徴的な動きではあるが、アメリカ国内のイラン戦争反対の声を代表している動きでもある。

 トランプ大統領の支持率、そして、イラン戦争に対する支持率はともに低下し、40%台ギリギリ、もしくは割り込む状態になっている。支持率の平均を見ると、何とか40パーセント台に乗っているが、いつ30%台に下がるか分からない。それでも、朝鮮戦争時にハリー・トルーマン、スキャンダルが発覚したリチャード・ニクソン、イラク戦争が長期化し人気が低迷したジョージ・W・ブッシュ(バカ息子)時代には20%台を記録したこともあり、トランプ大統領はまだ高いと言えるが、歴代最低に近い方に位置し、厳しいことに違いはない。
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ドナルド・トランプ大統領の支持率
 イラン戦争に対する支持率も時間の経過とともに低下している。開戦当初は不支持率が高いとは言いながら、まだ拮抗していた。それが時間の経過とともに差が大きくなっていった。トランプ大統領は開戦直後に数週間で終わると豪語していたが、その数週間後で戦争は終わっていないことから、不支持率は上昇のペースを速めた。ガソリンや食料の価格上昇の第一の原因がイラン戦争ということで、アメリカ国民の過半数は戦争を支持していない。また、トランプは海外での戦争を行わないということを公約していたために、「裏切られた」という反感も大きいだろう。大統領の支持率と不支持率、戦争への支持率と不支持率はどちらも差が大きくなり、グラフで見ると、よく言われる「ワ二の口」状態になっている。
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イランに対する軍事行動の支持率
 連邦議会では共和党が上下両院で過半数を握っている状態であり、彼らはトランプを支持することで選挙に勝とうという計算を持っている。しかし、トランプの任期がここまで下がれば、トランプの岩盤支持層がいるレッドステイト(共和党優勢州)以外の議員たちにとっては、トランプを支持し続けることは危険でもある。今年11月の中間選挙の予想は今のところ、民主党が有利となっている。

 連邦下院共和党指導部は引き締めを図り、トランプ大統領の戦争権限を縛ることはイランを利することになるという論法を用いて、決議案の否決を目論んだがうまくいかなかった。連邦上院では決議案が可決する可能性は低いが、こうした動きが出て、採決にまで至り、実際に議案が可決されるというのはあまりないことで、イラン戦争に対するアメリカ全体の「嫌気」「拒否感」が大きいことが示されている。トランプ大統領にとっては国内からも停戦、和平に向けた圧力を受けていることになる。イラン攻撃失敗はトランプにとっては致命傷となる大失策であったということは間違いないところだ。

(貼り付けはじめ)

連邦下院はイラン戦争終結決議案を可決しドナルド・トランプ大統領に異議を唱える(House passes resolution to end Iran War, challenging Trump

マイク・リリス筆

2026年6月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5908560-iran-war-resolution-house/

Link copied

アメリカ連邦下院は水曜日、ドナルド・トランプ大統領にイラン戦争の終結を強制する議案を可決した。これは、連邦議会の明確な承認なしには戦争は違法であると主張する民主党と憲法原理主義者(constitutional purists)にとっての勝利となった。

賛成215票、反対208票で議案は可決された。共和党議員4名、トーマス・マッシー議員(ケンタッキー州)、ブライアン・フィッツパトリック議員(ペンシルベニア州)、トム・バレット議員(ミシガン州)、ウォーレン・デビッドソン議員(オハイオ州)が、民主党議員全員とともに賛成票を投じた。

この法案は同時決議(a concurrent resolution)と呼ばれるもので、法的効力(the force of law)を持つかどうかについては依然として議論が続いているため、今回の可決は象徴的な意味合いが強い。また、たとえ連邦上院でも可決されたとしても、トランプ大統領は議案の正当性(the authority of the measure)を争うだろう。

それでも、今回の採決はイラン戦争をめぐる政治闘争において重要な進展であり、3カ月以上も続き、世界経済を揺るがし、終結の見通しが立たないこの戦争を連邦議会が公式に非難したことを意味する。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は次のように語っている。「これは非常に力強い結果となった。連邦上下両院がこれを違法な戦争(an illegal war)と宣言する段階に近づいている。これは非常に大きなことだ」。

ハフマン議員は「彼(トランプ)のやっていることはますます容認できないものになっている」とも述べた。

今回の投票は、中間選挙が近づくにつれ、共和党連邦議員の間でトランプ大統領に主要な問題で反抗する姿勢が強まっていることも浮き彫りにした。すでに多くの共和党議員は、ホワイトハウスの舞踏場周辺の警備に10億ドルを投じるというトランプ大統領の要求に反発している。また、トランプ大統領が提案した18億ドルの「兵器化」基金(“weaponization” fund)に対する共和党の反対の波を受け、トランプ政権当局は今週、この計画を完全に撤回したと発表した。

戦争権限に関する議論も同様の様相を呈している。

連邦上下両院の戦争反対派は過去3カ月間、戦争終結決議案の可決を何度も試みたが、トランプ大統領派の共和党支持者によって阻止されてきた。しかし先月、状況は一変した。連邦上院は独自の戦争権限決議案を上程した。これは、トランプ大統領がルイジアナ州共和党予備選でビル・キャシディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)を破ることを支援したわずか数日後、キャシディ議員が賛成票に転じたことがきっかけとなった。連邦上院での最終採決がいつ行われるかは不明だ。

連邦下院では、水曜日の採決は戦争反対派が終結を目指した4度目の試みとなった。最初の3回の戦争権限決議案は共和党の一部の支持を得たものの、多数派を占める連邦下院でトランプ大統領の支持者の反対を覆すには至らなかった。マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)の背後では、ほとんどの共和党議員が、この紛争は戦争のレヴェルには達しておらず、したがって連邦議会の承認は必要ないと主張している。

共和党指導部は、紛争の最中にトランプ大統領の手足を縛ることは、アメリカの安全保障を犠牲にしてテヘランのイスラム政権を強化することになると警告している。

しかし、紛争が国内でますます不人気になるにつれ、共和党の防衛線は崩れつつある。この変化は、圧倒的に戦争を支持する共和党支持層の中では起きていない。しかし、無党派層は戦争が長引くにつれて紛争に幻滅しており、2026年11月の中間選挙で議席維持を目指す共和党連邦議員にとって、これは警告信号(a warning sign)となっている。

こうした世論の変化の大きな要因は経済的なものだ。戦争は直接的に世界的な貿易混乱を引き起こし、ガソリンや一部の食料品といった国内生活必需品の価格高騰を招き、あらゆる層の有権者に影響を与えている。(ガソリン価格は先週若干下落したものの、全米自動車協会によると、水曜日の1ガロンあたりの平均価格は4.26ドルで、1年前の3.14ドルから​​上昇している。)

こうした物価上昇は、連邦議会の民主党議員たちも見過ごしておらず、選挙運動中にトランプ大統領が掲げた2つの主要公約、すなわち海外紛争回避(to avoid conflicts overseas)と労働者階級の生活費削減(to cut costs for working-class people)を放棄したとして、あらゆる機会にこの問題を取り上げ、トランプを攻撃してきた。

「ドナルド・トランプの無謀で費用のかかる選択戦争(war of choice)は、特にガソリン価格の上昇によって、一般市民に数百ドル、場合によっては数千ドルもの負担を強いている」と連邦下院少数党(民主党)院内総務ハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は火曜日、連邦議事堂で記者団に語った。「この戦争、この無謀で費用のかかる選択戦争は、今日にも終わらせなければならない」。

共和党議員の中には、戦争終結を支持する決定の大きな要因として、戦争権限法そのものを挙げている者もいる。1973年のこの法律は、大統領に国防の名の下に、連邦議会の承認なしに軍事作戦を開始する権限を与えている。その期間は60日間で、さらに30日間延長できる。この期間は5月初旬に終了し、共和党議員の一部はトランプ大統領に対し、テヘランに対する軍事力行使の継続を連邦議会で承認するよう要求した。

連邦下院外交委員会の民主党筆頭委員であるグレッグ・ミークス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が提出したこの決議案は、戦争権限法に大きく依拠している。戦争権限法を引用し、トランプ大統領に対し、「宣戦布告またはイランに対する軍事力行使に関する連邦議会の明確な承認がない限り」、テヘランとの「敵対行為(hostilities)」から全てのアメリカ軍を撤退させるよう指示している。

この決議案は「同時執行(concurrent)」とされており、連邦上下両院の承認は必要だが、大統領の署名や拒否権行使のためにホワイトハウスに送られる必要はない。これは、連邦上院の戦争権限法案(「共同」決議[a “joint” resolution])とは対照的だ。この議案はトランプ大統領の署名を経て成立し、署名されれば法律としての効力を持つ。トランプ大統領は、もし議案が成立に至ったとしても拒否権を行使すると予想されている。

ホワイトハウスは、ミークス決議案を法的根拠に基づいて却下し、行政権限に対する「違憲な立法拒否権(unconstitutional legislative veto)」であると主張した。政権はまた、トランプ大統領が4月初旬に停戦を呼びかけたことで紛争は終結したとして、実務的な観点からもこの決議案に異議を唱えている。

ホワイトハウスは先月、ミークス法案に反対する公式文書(行政政策声明)の中で、「現在、アメリカ軍を撤退させるべき敵対行為は存在しない」と記した。「2026年2月28日に始まった敵対行為は、2026年4月7日に大統領が命じた停戦によって終結した」としている。

水曜日に行われた別の採決では、連邦下院はトランプ政権が反対する別の法案、すなわちロシアとの戦争が続くウクライナへの支援法案も可決した。その法案は、いわゆる「委員会審査省略動議(a discharge petition)」と呼ばれる、あまり知られていない手続き上の策略によって本会議に提出された。提出請願は、連邦議会を支配する共和党指導部が反対する法案を採決に付すために218人の署名を必要とする。

先月、カリフォルニア州選出の共和党員で現在は無所属のケヴィン・カイリー連邦下院議員が218人目の署名を提供し、連邦下院共和党議員団を二分するこの問題について、今週後半に採決が行われることになった。

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アメリカ連邦下院がトランプへの批判としてイラン戦争停止決議案を可決(US House votes to halt Iran war, in rebuke to Trump

2026年6月3日

クワシ・ギャムヒ・アシエドゥ(ワシントンDC発)筆

BBC

https://www.bbc.com/news/articles/cj6pldg39deo

アメリカ連邦下院は、ドナルド・トランプ大統領によるイランへの軍事行動の継続を阻止する議案を可決した。

賛成215票、反対208票で可決されたこの議案は、2月に始まったイラン戦争への反対を公然と表明した共和党議員4名が民主党議員側に加わったことで成立した。これは、連邦議会の承認を得ていないと批判されているトランプ大統領の戦争権限(war powers)を抑制しようとする連邦下院の4度目の試みとなる。

この連邦下院決議(the House resolution)は、共和党が多数を占める連邦上院の承認を得る必要がある。たとえ連邦上院で可決されたとしても、イランに対する軍事行動を完全に抑制できる可能性は低い。

トランプ大統領は議案に拒否権(veto)を行使できる。大統領の拒否権を無効化するには、連邦上下両院で3分の2以上の賛成が必要となる。

連邦上院は、過去7回の否決を経て、5月に同様の決議案を上程したが、本会議での採決には至っていない。

連邦下院では、共和党のトーマス・マッシー、ブライアン・フィッツパトリック、トム・バレット、ウォーレン・デビッドソンの各議員が、民主党議員側と連携し、水曜日の決議案を可決した。以前は同様の法案に反対票を投じていたメイン州選出の民主党所属の議員ジャレッド・ゴールデンは、今回は賛成票を投じた。

ミシガン州選出の共和党所属の連邦下院議員であるトム・バレットは、「連邦議会のみが宣戦布告を行い(declare war)、私たちはそれを厳重に守らなければならない」と述べた。トランプ大統領からの報復(retribution)を懸念しているかと問われると、バレット議員は「私は良心に従って正しいと思うことに投票し、その結果を受け入れる覚悟がある」と答えた。

水曜日のこの採決は、トランプ大統領が率いる共和党内の分裂を示す最新の兆候となった。数日前には、連邦議会の保守派議員の反発を受け、トランプ政権は政治的同盟者たちへの18億ドル規模の「反兵器化」基金("anti-weaponization" fund)の計画を撤回せざるを得なかった。

連邦下院外交委員会の民主党筆頭委員であるグレゴリー・ミークス議員は、今回の採決を「トランプ大統領によるイランでの違法かつ多大な犠牲を伴う戦争に対する、超党派による重要な非難であり、戦争を終結させるための第一歩だ(a significant bipartisan rebuke of President Trump's illegal and costly war in Iran and the first step toward ending it once and for all)」と評した。

ミークス議員は、トランプ大統領は戦争の目的を達成できなかっただけでなく、国内の燃料価格を高騰させ、イランの核開発問題に対する外交的解決をさらに困難にしたと述べた。

「本日、この決議案が可決されたことは、重要な転換点(a significant turning point)を示している。それは、中東で終わりなき戦争を望まない有権者の声に耳を傾ける共和党議員が増えているということだ」と決議案の共同提案者であるミークス議員は述べた。

アメリカとイスラエルは2月28日にイランへの攻撃を開始した。イランはこれに対し、イスラエルと湾岸のアメリカの同盟諸国を攻撃し、世界の海上輸送にとって重要な航路であるホルムズ海峡を事実上封鎖した。

4月、アメリカはイラン沿岸を行き来する船舶に対する海上封鎖を実施すると発表した。

アメリカとイランは4月8日に暫定的な停戦合意(an initial ceasefire agreement)に達した。

しかし、この合意にもかかわらず、アメリカはここ数日イランを攻撃し、イランはアメリカの同盟国であるクウェートへの攻撃で報復した。トランプ大統領は採決を前に、戦争終結に向けた交渉は「非常に順調(going very well)」に進んでおり、早ければ今週末にも合意に至る可能性があると改めて主張した。

「私たちはこれまで、そして昨夜もイランをかなり強く攻撃した」とトランプ大統領は水曜日にホワイトハウスで記者団に対し、イランへの攻撃について言及した。「私たちが別の理由で強い行動をとったため、イランはやや挑発されたと言い、報復したのだろう」。

トランプ大統領はさらに、政権幹部のほとんどが「人々を殺害することなく」合意によって紛争を早期に終結させたいと考えていると付け加えた。

「理論的には、彼らは合意文書に署名する寸前だ。実際、私たちは彼らと非常に良好な関係を築いている」

(貼り付け終わり)

(終わり)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を罵倒したという報道についてはすでにご紹介した。「狂っている」「何をやっているんだ」「ますます嫌われるぞ」ということを使ってはいけない言葉「fuck」を交えて浴びせたということだ。もっとひどい内容もあったのではないかと推察される。トランプの一連の発言は、「お前にはすっかり騙された」「イランが、イスラエルがレバノン攻撃を停止しないと和平交渉をしないと言ってきている、俺たちの邪魔をするな」という気持ちがよく出ている。

 トランプがここまで感情を爆発させたのは、今回のイラン攻撃、イラン戦争が完全に失敗、大失敗、大失策だということを認めており、和平交渉もうまくいっていない、イスラエルのせいでさらに状況が悪くなるということを認識しているからだ。さらに「ますます嫌われるぞ」というのは国際ツ的な孤立を危惧しており、アメリカがイスラエルと一緒に孤立することは望ましくないということも考えの中にあったということだろう。

 トランプが融通向けであること、自分の過去の発言や行動には全く縛られずに、くるくると態度を変えるということは世界中の人々が目撃し、そのような人物だと認識している。従って、「私は間違った判断をした」という言葉もさらっと言ってしまえるだろう。しかし、そのためには、「自分を間違いに導いた主要な責任者を差し出す」ということが必要になる。スケープゴートについて言及し、「こいつのせいなんだ、こいつが悪いんだ、こいつに責任があるんだ」ということが言えなくてはならない。犠牲の羊の候補者は、アメリカ側では、ピート・へぐセス米国防長官、外国では、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。へぐセス長官は、イスラエルのネタニヤフ首相がイラン攻撃を売り込んだ際に、トランプ政権の閣僚たちが不安を感じ、反対する中で、前のめりで賛成した。イラン攻撃後に、トランプが「ピート、君がやれと言ったよな」と記者会見で発言したこともある。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はなんと言っても、ホワイトハウスまで出向いて、トランプ大統領と閣僚たちを前にして、1時間にわたり、イラン攻撃のメリットをプレゼンしたという事実がある。イスラエルだけではイランへ大規模攻撃をすることができない。アメリカを巻き込めるかどうかがカギだったが、それに成功した。しかし、イラン攻撃、イラン戦争自体は失敗だった。トランプとしては、ネタニヤフ首相に責任をかぶせることが良い選択肢となる。

 トランプ大統領としてはイスラエルを切り捨て、イランと和平を結び、中東地域から出ていきたい。イスラエルは既に中東地域のイスラム教国のいくつか(代表格はUAE)を取り込んでいる。ここにアメリカとイスラエルの分裂線がある。イスラエルはアメリカに見捨てられたらどうしようもない。アメリカにしがみつこうとするだろう。それならば、アメリカが支援し続けるためには、落とし前をつけてもらおう。それはネタニヤフ首相を退陣させろ(汚職で逮捕するかどうかはイスラエル国内で話し合って判断しろ)ということになるだろう。イスラエル国内で反米感情が沸き上がることも考えられる。しかし、根本に立ち返るならば、極右勢力を政治の主流に据えないということになり、イスラエル国内政治が浄化されねばならないということになる。これは日本も同じような状況である。

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トランプは自分が大失敗したと認めるべきだ(Trump Should Just Admit He Screwed Up

-イラン戦争は明白に間違いだった。なぜそう言わないのか?

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年5月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/28/trump-iran-war-mistake-admit/

アメリカとイランの間で噂されている和平合意の詳細、あるいはそもそも合意が成立するかどうかも不明だが、3桁のIQを持つ者なら誰でも、イスラエルとアメリカが戦争を始めた時点でとてつもない大失敗(a colossal blunder)をしたことを理解している。アメリカとイスラエル両国が掲げた目標は1つも達成されていない。イラン政権は崩壊せず、核兵器を放棄せず、ミサイルとドローンの能力はそのまま維持されている。イランは、近隣諸国に甚大な被害を与えたいと思えばいつでもホルムズ海峡を封鎖できることを実証した。ドナルド・トランプ米大統領とピート・ヘグセス米国防長官が過去3カ月間繰り広げてきた自慢話や威勢のいい発言は、くだらない大言壮語(hot air)に過ぎなかったことが暴露された。

和平合意が成立すれば、トランプ政権はこの豚に大量の口紅を塗りつけ、一種の戦略的勝利(strategic victory)だと主張するだろう。しかし、納得する人はほとんどいないだろうし、こうした努力はトランプ大統領とその取り巻きの追従者たちを滑稽に見せるだけだ。この大失敗を成功と偽る説得力のある方法はどこにもない。彼らがそうしようとすればするほど、妄想に取り憑かれているように見えるだろう。

そこで私は考えた。もしトランプ大統領が自分の大失敗を認めたらどうなるだろうか? 大失敗を認めることは彼の得意分野ではないが、その点では彼だけではない。政治家は、たとえ誰の目にも明らかな大失敗であっても、大失敗を認めることはほとんどない。ましてや重要なこととなるとなおさらだ。例えば、ボリス・ジョンソン元英首相はブレグジットを擁護し続け、マイク・ポンペオ元米国務長官は、イラク侵攻(2003年)と第一次トランプ政権のイラン核合意破棄(2015年)は賢明な判断だったと今も主張している。

こうした明らかな大失敗を認めようとしない姿勢は、少々不可解だ。誰もが知っているように、完璧な人間など存在しないし、外交政策は不確実なものであり、どんなに綿密に練られた計画でも失敗する可能性がある。トランプよりも賢明で衝動性が低い指導者であっても(もっとも、トランプを基準にするのは低いのではあるが)、全てを完璧にこなせる指導者など存在しない。また、ほとんどの人は、失敗したときは、大失敗を認め、経験から学び、同じ大失敗を繰り返さないようにすることが最善策だと学ぶ。当然のことながら、高額な代償を払い続ける指導者は、いずれその代償を支払うことになるだろう。しかし、概して職務を立派に遂行し、時折の過ちを認める勇気を持つ当局者は、国民が彼らの最善の努力を認め、その誠実さを評価すれば、より人気が高まるかもしれない。

しかし、この道を選ぼうとする指導者はほとんどいないようだ。独裁者は特に間違いを認めることを嫌がる。なぜなら、彼らの権力は通常、個人崇拝(cults of personality)と、自分たちが絶対無謬であるという幻想(the illusion that they are infallible)を維持することに依存しているからだ。しかし、民主政治体制の指導者でさえ、たとえ些細な間違いでも認めれば、反対派がすぐに攻撃してくることを知っているため、在任中は間違いを認めることをためらう。例えば、ジョン・F・ケネディはピッグス湾事件の失敗について全責任を負い、バラク・オバマはトム・ダシュルを米保健福祉省長官に任命した初期の決定(ダシュルの脱税が発覚して裏目に出た)を認め、ロナルド・レーガンはイラン・コントラ事件が間違いだったことをほぼ認めた。しかし、このような瞬間は稀だ。2004年にジョージ・W・ブッシュ米大統領が最初の任期中に犯した間違いを思い出すように求められたとき、彼は1つも挙げることができなかった。政治家が失敗を認めるのを見たいなら、たいていは回顧録が出るまで待たなければならないが、それでも期待外れに終わるかもしれない。

しかし、トランプは政治家としてのキャリアを通して規範を壊し続け、そのテフロンのような耐性はレーガンさえも凌駕する。考えてみて欲しい。彼はかつて「五番街で人を撃っても支持者を失うことはない(he could shoot someone on Fifth Avenue and not lose any voters)」と豪語した人物だ。そして残念なことだが、この発言は彼の最も的確な言葉の1つであることが証明されている。近年のアメリカ大統領の中で、カメラの前で大失敗を認め、そして前に進むことができる人物がいるとすれば、それはトランプだろう。実際、彼は過去にそうしたことがあるが、過去の反省の態度が本心からのものだったかどうかは疑問だ。

そして、それはそれほど難しいことではないかもしれない。トランプはまず、イラン問題が長年にわたり厄介な問題であり、歴代大統領も解決できなかったことを人々に思い出させることから始めればよい。彼は、この問題をきっぱりと解決したかったと主張し、もう一度爆撃すれば効果があると考えた十分な理由があったと説明できるだろう。イランの政権が不人気で、年初にデモの波を鎮圧せざるを得なかったことを指摘することもできる。この計算は大きく間違っていたことが判明したが、トランプ流の典型的なやり方で、何事も100%確実ではないと人々に思い出させ、自分の仕事は難しい決断を下すことだと述べ、様々な方面から受けた悪い助言のせいで間違いを犯したと非難することができるだろう。ここで彼は、トランプの好戦的な態度がトランプに何の利益ももたらさず、アメリカとイスラエルの両方でますます不人気になっているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を非難することができるだろう。ネタニヤフがどれほど評判を落としているかを考えると、彼をスケープゴートにすることは、この時点でトランプの人気を高めることさえあるかもしれない。

トランプは、自身の意図は称賛に値するものであり、今回の策略は価値のある賭けだったと主張した後、この一件から多くを学んだと述べ、前任者たちと対比させるだろう。彼の声が聞こえてくるようだ。「眠そうなジョー・バイデンとは違い、彼は何事にも考えを変えず、同じ失敗を繰り返すばかりだった。私は常に学び続け、適応力のある、非常に安定した天才だ」。そして、ホワイトハウスの物議を醸している舞踏室プロジェクトなど、別の話題に移るだろう。

トランプが、数々の失策を重ねてきた2期目における最も深刻な失態に対して、このようなアプローチを取ると期待できるだろうか? 正直に言って、そうは思わない。トランプは、過去に時折、大失敗を認めてきた(たいていは、無能な任命者を解任せざるを得なくなった時だが)。しかし、重大な失敗を認めることは、彼の権力のオーラを損ない、より多くの人々が公然と彼に反抗するようになり、偉大な大統領として記憶されるという彼の夢(his dream of being remembered as a great president)を打ち砕くことになると、彼は考えているのだろう。たとえそれが今となってはどれほど可能性が低くなっているとしても諦めていないだろう。トランプの支持基盤であるMAGA支持者たちは今後も彼を支持し続けるだろうが、数カ月後には彼らだけがトランプの頼みの綱となるかもしれない。

紛争終結を遅らせることで、トランプは敗北寸前の状況から勝利の幻想を無理やり掴み取ろうとしているが、これはアメリカとその同盟諸国が被っている苦痛をさらに増幅させ、トランプ自身の評判にもさらなるダメージを与えている。彼が自らの失敗を認め、前に進む方が皆にとって良いだろう。しかし、高齢の親から車の鍵を取り上げた経験のある人なら誰でも知っているように、頑固な高齢者はしばしば自分の利益を理解できないものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ウォルトは『新地政学(The New Geopolitics)』の著者。これは今日の世界を生き抜くために活用すべき最も重要な概念を解説した、全5回のニュースレター形式のマスタークラスだ。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は4月上旬に一時的に停戦が合意され、その後、停戦が延長されている状況だ。アメリカやイランによる小規模な攻撃は実施されているが、大規模な攻撃の再開には至っていない。アメリカとイランによる和平交渉は継続されており、アメリカ側が少しずつ条件を緩めている、譲っているという状況である。イラン側はホルムズ海峡を握っており、これが世界経済に深刻な影響を与えており、アメリカ側にとっても厳しい状況になっている。数週間で戦争は終わり、イランの政権転覆、もしくは体制転換までつながるという甘い目論見で戦争を始めたドナルド・トランプ大統領にとっての致命的な失策となり、また、アメリカにとっても国力や存在感、影響力を毀損するほどの重大な出来事ということになるだろう。

 アメリカ軍は世界第一の規模と戦闘力を持っており、予算額でいえば、世界第2位から第10位までの9カ国の予算の合計総額を一国で上回る規模を誇っている。アメリカ軍は最強であるということは世界の「常識」であった。それが崩れつつある。アメリカは弱い相手、確実に圧勝できる相手を選んで戦争を仕掛けて軽く勝ってきたが、少し骨のある相手となると途端に弱くなるということが今回のイラン戦争で明らかになった。また、ウクライナ戦争への支援もあり、アメリカは装備面で不安を持っていることも明らかにされた。あれだけの防衛予算がありながら、武器や装備に不安があるということも驚きであった。イラン戦争ではイスラエルやペルシア湾岸諸国のアメリカ軍基地に攻撃が加えられ、被害が出た。「アメリカ軍があっても屁のツッパリにもならんではないか」ということにもなっている。

 ドナルド・トランプ大統領はアメリカが世界から撤収する、西半球(南北アメリカ大陸)に戻る、21世紀型のモンロー主義であるドンロー主義を打ち出していた。2026年1月のヴェネズエラ攻撃やキューバに対する非人道的な封鎖は批判されるべきだが、ドンロー主義としては筋が通っている。しかし、イラン攻撃に関してはトランプの主張と矛盾している。イラン戦争と中東地域の不安定は、イスラエルの利益となる。トランプは「アメリカ・ファースト」ではなく、「イスラエル・ファースト」の選択をし、失敗してしまった。トランプを失敗させる方向に誘導したイスラエルの洗脳力は大したものだと言わねばならない。

 しかし、イラン戦争はトランプとアメリカにとって墓穴ということになる。国力を毀損し、世界を混乱に陥れ、信頼を失い、世界帝国、世界覇権国の地位からの陥落を内外に印象付けた。イラン戦争の影響は数年の間続くだろう。その間にアメリカはますます衰退していくだろう。日本政府、高市早苗政権はイラン戦争がすぐに終わると見込んで、無策で大事な3月、4月、5月を過ごした。その付けをこれから支払うことになるだろう。アメリカ追従一辺倒が、これからの時代に以下に危険かということを私たちは痛みの中で学んでいくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

イラン問題はトランプにとっての最大の失敗となる可能性がある(Iran Could Be Trump’s Greatest Failure

-多くのことが恐ろしいほど間違った方向に進んでいる―そして、事態はまだ終わっていない。

ラヴィ・アグラワル筆

2026年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/18/iran-war-trump-foreign-policy-failure-energy-crisis-military/

先週北京で行われた華やかな式典の中、ドナルド・トランプ米大統領は、習近平中国国家主席にワシントンとテヘラン間の和平合意の仲介を依頼できると期待していた。しかし、それは実現しなかった。中国も、ロシアを除くほとんどの国と同様に、戦争の終結を望んでいるだろう。しかし、イランの新指導者たちは、相手が明らかに逃げ腰になっているチキンゲーム(a game of chicken in which their opponent has long made it clear that he wants to chicken out)を楽しんでいるように見える。

テヘランは、私たちと同じようにニューズの見出しを読んでいる。そして、トランプ大統領にとってこの戦争が破滅的(disastrous)になるという証拠は増え続けている。現時点で、戦争がどのように終結しようとも、トランプ大統領、アメリカ、そして世界経済全体にとっての苦痛は、しばらくの間続くことになるだろう。それは一体何のためであろうか?

それでは、イラン攻撃によって何が得られたのかを見てみよう。最高指導者アリ・ハメネイ師を含む主要指導者が殺害された。イランの空軍と海軍は壊滅的な打撃を受け、ミサイル発射能力も低下した。しかし、得られたのはここまでだ。イランの政権は依然として存続しており、より若く、より復讐心に燃える新たな指導者が誕生した。『ニューヨーク・タイムズ』紙がアメリカの情報機関の評価に基づいて発表した衝撃的な報道によると、イランは戦前のミサイル備蓄量の70%、移動式発射機の70%を依然として保有しており、ホルムズ海峡沿いのミサイル基地の90%以上を運用可能な状態で利用していることが明らかになった。この最後の点は、イランが将来いつでも世界で最も重要なエネルギーの要衝であるホルムズ海峡を通る航行を妨害し続けることができることを意味する。テヘランはミサイルでイスラエルやアメリカのペルシア湾岸の同盟諸国を攻撃することも依然として可能である。そして最も驚くべきことに、イランは依然として高濃縮ウランを保有している。もし戦争の目的の1つが、テヘランが核爆弾を開発できないようにすることであったとすれば、その目的は達成されていない。

一方、米国防総省は損失の算定に追われている。『ワシントン・ポスト』紙の調査によると、イランは中東地域のアメリカ軍基地15カ所で217棟の建造物を損傷させた。CNNは、バーレーン、クウェート、イラク、アラブ首長国連邦、カタールにある少なくとも9カ所のアメリカ軍基地がイランの攻撃により「甚大な被害(significantly damaged)」を受けたと報じた。これらの施設の再建には数年と数十億ドルの費用がかかる。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、アメリカは現在進行中の戦争の激戦期に、パトリオット防衛ミサイルの半分から60%(ウクライナがロシアとの4年間の戦争で使用した数よりも多い)とトマホークミサイルの3分の1をイランとの交戦に使用した。費用はさておき、これらのミサイルは製造と補充に最大4年かかる。もしアメリカが別の戦場、例えば台湾防衛に投入された場合、戦力は大幅に低下した状態で戦闘に臨むことになるだろう。そして、人命の損失も忘れてはならない。これまでの戦闘で少なくとも13名のアメリカ軍兵士が死亡し、400名以上が負傷した。遺族はただただ、なぜこのような事態になったのかと問い続けるしかないだろう。

ここでソフトパワーの代償について語るのは少々無粋に思えるかもしれないが、国内的あるいは国際的な合意なしに戦争を遂行すれば、ホワイトハウスは他国が戦争を始めたことを非難する際に、規範や規則を持ち出す余地が少なくなるという点を考慮する価値はある。アメリカは他国の指導者の処刑を命じることを常態化させてしまった。

そして、エネルギー危機もある。アメリカのガソリン価格は昨年同時期と比べてほぼ50%上昇している。商用車が使用するディーゼル燃料は59%も上昇した。明白な理由は戦争だ。ホルムズ海峡の封鎖によって、それまで供給過剰だった市場が圧迫された。以前にも書いたように、ヨーロッパやアジアではその影響はさらに深刻だ。パキスタンやフィリピンなどの国々は、エネルギー節約のため、公務員の勤務時間を短縮し、大学を閉鎖している。世界第5位の経済大国であるインドでさえ、先週、14億人の国民に対し、燃料消費量を削減し、金(きん)の買い占めをやめるよう要請した。これだけでも十分悪い状況だが、最悪の事態はまだこれからだ。アメリカが石油輸出を拡大し、戦略石油備蓄を取り崩していなければ、エネルギー価格は今頃もっと高騰していたはずだ。国内需要が減少している中国も、膨大な石油備蓄を使い果たしている。ワシントンが輸出を削減したり、北京が備蓄ではなく市場に供給し始めたりすれば、価格は急騰する可能性がある。いつものように、最も大きな打撃を受けるのは小規模経済国だろう。

他の商品も深刻な不足に見舞われており、世界全体に様々な波及効果が及ぶことが予想される。ホルムズ海峡は、平時であれば世界の原油と天然ガスの5分の1を輸送するだけでなく、世界の肥料供給量の5分の1、ヘリウム供給量の3分の1も担っている。世界的な食糧危機と、ヘリウムを必要とする半導体の不足は、すでにエコノミストたちの来年の予測に織り込まれている。危機が長引けば長引くほどコストは増大する。

世界経済の成長はすでに鈍化している。4月、国際通貨基金(IMF)は成長率予測を3.4%から3.1%に下方修正した。本日発表される新たな予測では、さらに0.3ポイントの下方修正が必要となるだろう。IMFは、エネルギー供給が正常に戻らなければ、来年の成長率は2%まで低下すると予測しており、このシナリオはますます現実味を帯びてきている。この事態を客観的に捉えるために、1980年以降、世界の経済成長率が2%を下回ったのはわずか4回しかないことを指摘したい。また、1950年以降、世界経済が景気後退に陥ったのは、2008年の世界金融危機と2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックの2回だけだ。もしイラン戦争がこれら2つの予期せぬ衝撃に並ぶ事態になれば、トランプとアメリカにとって、歴史的なオウンゴールとなるだろう。

アメリカの同盟諸国へのコストも考慮に入れるべきだろう。トランプ大統領は、ホルムズ海峡の強制的な再開と機雷除去のために、ヨーロッパのNATO同盟国に協力を求めた。しかし、支援が得られないことに気づくと、支援を要請したことを否定した。率直さで知られていないドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、アメリカはイランによって「屈辱を与えられた(humiliated)」と述べ、トランプ大統領を激怒させ、すでに緊張状態にあった両国関係をさらに悪化させた。ペルシア湾岸諸国では、アメリカに自国領土に軍事基地を建設するよう要請した国々が、なぜ自ら進んで標的になったのかと疑問を抱いている。例えば、カタールは戦前の天然ガス生産量に戻るには数年かかる見込みで、今年の経済成長率は8.6%のマイナスになると予測されている。ショックに耐える力が限られているアジアの同盟諸国は、アメリカが国際舞台でならず者国家なのではないかと疑問を抱いている。しかし、アメリカの敵対諸国は、この戦争を別の視点で見ている。中国は、アメリカ軍が過負荷状態に陥り弱体化したことを喜んでいるだろう。そして、ロシアはこの紛争の明白な勝者となり、開戦以来、月間石油収入を倍増させている。

トランプ大統領は、戦争をさらに強化するという選択肢を公然と検討している。しかし、それは以前にも増して不確実な利益と、はるかに大きな潜在的な苦痛を伴うだろう。この状況から抜け出す方法としては、外交が望ましいが、そもそもなぜ戦争を始めたのかという疑問が残る。これは、先週のトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談に立ち返る。もしあなたが北京の指導者だったら、最大の長期的競争相手が致命的な過ち(a catastrophic mistake)を犯している最中に、その邪魔をしたいと思うだろうか? 私はそのように考えない。

※ラヴィ・アグラワル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長Xアカウント:@RaviReports

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ドナルド・トランプのイラン戦争はオウンゴール(Trump’s Iran Own Goal

-イラン戦争は強硬派を勢いづかせ、重要な海上輸送路を封鎖し、ロシアの勢力を拡大させた。

ファリード・ザカリア筆

2026年4月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/03/trump-iran-war-israel-united-states-military-nuclear-weapons-missiles-winners-losers/

アメリカ・イスラエルとイランの戦争が始まって2カ月が経過した現在、現状を改めて確認しておく価値がある。2月末に戦争が始まる前のイランとその周辺地域の状況は以下の通りだ。

昨年6月、イランの核濃縮施設は、ドナルド・トランプ大統領の言葉を借りれば、アメリカとイスラエルの空軍によるステルス爆撃機と3万ポンド(約13.6トン)のバンカーバスター爆弾を用いた12日間の爆撃作戦によって「完璧に完全に破壊された(completely and totally obliterated)」。イスラエル国防軍司令官もトランプ大統領の意見に同意し、「私たちはイランの核開発計画を何年も遅らせた。ミサイル計画についても同様だ」と述べた。イスラエル原子力委員会もこの結論を改めて表明し、イランが核物質を入手しない限り、「この成果は無期限に続く」と付け加えた。そして、イランが核物質を入手することは積極的に阻止されていると強調した。

2024年にイスラエルが行った複数の空爆作戦により、イランの軍事力は大幅に弱体化していた。これらの作戦では、イスラム革命防衛隊の主要幹部が殺害され、防空システムが破壊され、弾道ミサイル施設が攻撃された。イスラエルはまた、イランの最も強力な同盟民兵組織であるヒズボラを激しく爆撃し、その指導部を複数殺害した。多くの分析によれば、ヒズボラの軍事力は壊滅的な打撃を受けた。イスラエルは既にガザ地区のハマスを壊滅させていた。さらに、シリア政府を支援していたイラン系民兵組織に対するイスラエルの作戦は、2024年12月のシリア政権崩壊の一因となった。

言い換えると、イランは軍事的に非常に劣勢な状況にあった。加えて、経済も制裁強化と腐敗した政権によって崩壊寸前だった。イランが近隣諸国、ましてや約6000マイル離れたアメリカにとって脅威であると主張する者はほとんどいなかった。トランプ大統領は水曜日、事実上これを認め、「アメリカは必ずしもそこにいる必要はないが、同盟諸国を支援するためにそこにいる」と述べた。注目すべきは、ヨーロッパやアジアの同盟諸国は事前に相談を受けておらず、多くの国が戦争に反対の声を上げている点である。

実際、報道によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプ大統領にこの戦争を説得したのは、イランが差し迫った脅威だったからではなく、イランのかつてない弱体化が政権交代を迫る好機となったからだという。そうでなければ、トランプ大統領が開戦直後の短い声明を、イラン国民に立ち上がって政権を打倒するよう呼びかける言葉で締めくくった理由は何だろうか? ネタニヤフ首相も自身のメッセージで同様の呼びかけを行った。

これまでのところ、イランに壊滅的な打撃を与え、既に脆弱な軍事力を弱体化させたこと(このような一方的な戦いでは予想できたことだが)を除けば、望まれた成果はほとんど得られていない。イランの政権は崩壊していない。主要な指導者は交代したが、その内容は悪化している。核兵器開発を禁じたことで知られる86歳のアリ・ハメネイ師は殺害され、息子が後を継いだ。息子は父親よりも強硬派と言われている。概して、常に好戦的だった革命防衛隊は勢力を拡大しているように見えるが、これは戦時下においては当然のことと言えるだろう。

47年間にわたるアメリカ・イラン間の緊張関係の中で、数々の脅威にもかかわらず自由航行を維持してきたホルムズ海峡は、トランプ大統領が「はるかに理性的(much more reasonable)」と評する新指導部によって封鎖されている。トランプ大統領は、あと数回の爆撃の後、イランが自国の石油を輸出したがるため、海峡は「自然に(naturally)」開通するだろうと述べている。これは状況を誤解している。海峡は閉鎖されていない。イラン産原油は自由に、特に中国に向けて流れている。戦争の結果、イランは紛争前と比べて、日々の原油販売で約2倍の収入を得ている。さらに、タンカー1隻あたり200万ドルという通行料を徴収し続ければ、テヘランは毎月数億ドルもの追加収入を得ることになる。これは軍事力の再建に十分な額であり、それ以上の利益をもたらすだろう。

アメリカの湾岸同盟諸国は、戦争前よりもはるかに不安定で緊張した環境に直面している。彼らのビジネスモデルは、平和、安定、そして経済統合を必要としている。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子は、近代化という野心的な計画を推進するために地政学的な緊張を緩和しようと、2023年にイランとの関係を修復した。しかし現在、石油輸出が停滞し、地域が安定のオアシスへと向かう道筋から紛争のるつぼへと転落したことで、こうした進展はすべて危機に瀕している。

勝者がロシアであるのは明白だ。原油価格の高騰とアメリカによる制裁解除により、ロシアは毎月数十億ドルもの追加収入を得ることになる。ウクライナは必要な武器が中東地域に転用されるため、損失を被る。ヨーロッパはエネルギーコストの高騰に苦しむ一方、トランプ大統領はNATOにアメリカが起こした戦争への参加を要求し、従わなければ脱退すると脅迫している。(NATOは防衛同盟であり、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、イラク戦争には参加していないことに留意すべきである。)アメリカが中東地域の新たな紛争に巻き込まれ、アジアへの関心を失うことで、中国は利益を得る。一方、北京はグリーンテクノロジーへの巨額投資によって、この戦争の多くのコストから守られており、世界からはより責任感があり、混乱を招かない超大国(a more responsible, less disruptive superpower)として認識されている。

もちろん、状況は変わる可能性がある。戦争は予測不可能(unpredictable)だ。しかし、これまでのところ、これほど多くのコストを費やして、これほど少ない利益しか得られなかったアメリカの軍事行動はかつてあっただろうか?

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最近では『革命の時代(Age of Revolutions)』を著した。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria
(貼り付け終わり)

(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して怒りを爆発させ、罵倒したという報道が出た。イスラエルがレバノンへの攻撃を激化させていることに対して、イラン側がそのようなことが続けば停戦交渉は続けられないとアメリカが側に伝えたことがきっかけで、トランプの怒りが爆発したということのようだ。ネタニヤフ首相に電話をかけて、「狂っている」「何をやってやがるんだ」ということをおよそ外国の指導者に対しては使わない、使ってはいけない「fuck」という言葉を交えて、激しく罵ったということだ。ネタニヤフ首相は「OKOK、全てをうまくやるから」と宥めたが、レバノンの首都ベイルートへの攻撃は中止せざるを得なかったようだ。
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トランプ(左)とネタニヤフ

 このブログでも、そして、『ザ・フナイ』2026年7月号の拙稿でも紹介したように、2026年2月28日からの、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃は、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に売り込んで実現したものだ。トランプは、ネタニヤフの巧言に乗せられて、重大な決断をしてしまった。政権の最高幹部たちはこぞって反対意見を述べ、止めようとしたが、トランプは突き進んだ。JD・ヴァンス副大統領は明確に反対意見を述べたが、その内容が現在そのまま起きている(ホルムズ海峡の封鎖や世界経済への影響、トランプ大統領の支持率低下など)。

 イラン戦争が思い通りの結果にならず、石油価格の上昇を招き、それがアメリカの一般国民の生活にも影響を与えている。トランプ大統領の支持率は40%を切り、不支持率は50%代後半まで上昇している。現状では2026年11月に実施される中間選挙で共和党は敗北を喫し、トランプは力を失うということになる。イランとの停戦合意は現状を打破し、状況を改善するための最善の方策である。再攻撃をちらつかせているが、再攻撃をすれば、停戦交渉はさらに困難になる。再攻撃をするならばイランを政権転覆・体制転換まで追い込むまでやる必要があるが、そんな力はアメリカ軍にはない。

従って、何としても停戦交渉をまとめたい。しかし、イスラエルが邪魔をしてくる。それを分かってイランが圧力をかけてくる。こうした思い通りにいかない状況でトランプが爆発してしまったということになる。政治の世界では「騙される方が悪い」ということになる。ネタニヤフの口車に乗ってイラン戦争を始めてしまったトランプが悪い。しかし、トランプとしては、「ネタニヤフの野郎が俺を騙して、嵌めて、こんな状況にしてしまった」「イランの言うことを聞かなくちゃならない屈辱、これは全てネタニヤフが悪い」ということになる。

 重要な点として、トランプは「イスラエルが国際的に孤立しつつある」ということをきちんと理解している点が挙げられる。イスラエルはガザ地区への過剰な報復攻撃から、イラン攻撃、レバノンへの過剰な攻撃を実施している。それも全て「自衛」を理由にし、批判を「反ユダヤ主義」というラベリング、レッテル貼りで封殺する。しかし、実態は狂信的極右による攻撃に過ぎない。これはイスラエルの安全を高めることにはならない。イスラエルは国際的孤立など望むところだというくらいになっている。トランプがネタニヤフに「狂っている(crazy)」という言葉を使ったが、この言葉は現在のイスラエルを形容する言葉ということになる。

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「俺がいなければお前は刑務所に」 トランプ氏がネタニヤフ氏罵倒か

毎日新聞 2026/6/2 10:20(最終更新 6/2 10:49

https://mainichi.jp/articles/20260602/k00/00m/030/028000c

 トランプ米大統領は1日、イスラエルのネタニヤフ首相と、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの代表者それぞれと電話協議し、双方に交戦停止を求めたと明らかにした。これに先立ち、イランがレバノンでの戦闘激化を理由に米国との停戦交渉を中断すると表明しており、米政権がイラン側に配慮したとみられる。トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「イランとの協議は速いペースで続いている」と投稿した。

 イスラエルと親イランのヒズボラの戦闘を巡っては、4月中旬に発効した停戦合意が形骸化しており、米イランの停戦協議のネックとなっている。イスラエルは最近、レバノンへの攻勢を強めており、ネタニヤフ氏がベイルート南郊への攻撃計画を発表していた。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏は電話協議でネタニヤフ氏を「今や誰もがお前を嫌っている」「完全に狂っている」「俺がいなければお前は刑務所に入っていた」などと罵倒し、強い不満をあらわにしたという。トランプ氏とネタニヤフ氏はこれまでも度々電話協議をしているが、アクシオスは米政府高官の話として、今回はトランプ氏の2期目就任以降では最悪レベルのものだったと報じた。

 一方、ネタニヤフ氏はトランプ氏との協議後、X(ツイッター)に「イスラエル軍はレバノン南部での作戦を計画通り実施する」と投稿しており、レバノンでの緊張緩和につながるかは不透明だ。

 トランプ氏は1日、米ABCニュースの電話取材に応じ、停戦のためのイランとの「覚書」について、今後1週間程度でまとまるとの見通しを述べた。まだ交渉中の点があり、合意には至っていないとも説明した。【ワシントン平野光芳、エルサレム松岡大地】

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「あんたは全く持って狂っている」:トランプ大統領がネタニヤフ首相に電話会談を行いレバノンに関して激怒("You're fucking crazy": Trump fumes at Netanyahu in call on Lebanon

バラク・ラヴィド、マーク・キャプト筆

2026年6月1日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/01/trump-netanyahu-israel-lebanon-call

ドナルド・トランプ大統領は月曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会ダインを行い、レバノンにおけるイスラエルの軍事行動のエスカレーションについて、罵詈雑言を浴びせた。アメリカ政府当局者2人と、会談内容を知る別の情報筋が『アクシオス』誌に明らかにした。

●なぜこれが重要なのか:月曜日、イランはイスラエルのレバノンにおける行動を理由に、アメリカとの交渉を打ち切ると脅迫した。情報筋2人によると、トランプ大統領は電話会談でネタニヤフ首相を「狂っている(crazy)」と呼び、恩知らず(ingratitude)だと非難した。また、イスラエルによるベイルート攻撃計画を止めた(put the brake)。

●舞台裏:あるアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相に対し、レバノンの首都ベイルートへの爆撃を実行すれば、イスラエルは国際社会でさらに孤立するだろうと伝えた。

・情報筋2人によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相が投獄されないように尽力したと主張したと述べた。これは、ネタニヤフ首相の汚職裁判におけるトランプ大統領の支援を指している。

・トランプ大統領のネタニヤフ首相への発言を要約して、ある当局者は「あんたは全く持って狂っている。俺の助けがなかったらあんたは刑務所に入っていただろう(You'd be in prison if it weren't for me)。俺があんたを救ってやったんだぞ。今や誰もがあんたを憎んでいる。この(レバノン攻撃)せいで誰もがイスラエルを憎んでいる」と述べた。

・電話会談の内容を知る別の情報筋によると、トランプ大統領は「激怒(pissed)」しており、ある時点でネタニヤフ首相に「一体全体、あんた何をやっていやがるんだ?」と怒鳴ったという。

●ニューズの中心:アメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はヒズボラがイスラエルに向けて発砲していること、そしてイスラエルが自衛する必要があることを認識していたものの、ここ数日、ネタニヤフ首相の対応が不均衡にエスカレートしていると感じていたということだ。

・ベイルートへの脅威に加え、イスラエルはレバノン南部での地上作戦を拡大している。

・別のアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はイスラエルがレバノンで多数の民間人を殺害したことを懸念しており、ヒズボラの司令官1人を排除するためにイスラエルが建物を破壊したことに反対していたという。

●現状:あるイスラエル政府当局者は、ベイルートのヒズボラ標的への攻撃計画はもはやないとアクシオスに語った。

●文脈読解:トランプ大統領とネタニヤフ首相は過去に何度か緊迫した電話会談を行ってきたが、イラン問題や他の問題については緊密に連携してきた。あるアメリカ政府当局者は、今回の会談はトランプ大統領が政権復帰後、ネタニヤフ首相と行った電話会談の中で最も険悪なものの1つだったと述べた。

・トランプ大統領の怒りは、ネタニヤフ首相がレバノン情勢をエスカレートさせたことで、イランとの交渉が破綻する恐れがあったことに起因していると見られる。

・電話会談後、トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に、イランとの協議は「速いペースで進展している最中だ(continuing, at a rapid pace)」と投稿した。

●もう1つの側:ネタニヤフ首相は電話会談後、声明を発表し、ヒズボラがイスラエルへの攻撃を停止しなければイスラエルはベイルートの標的を攻撃するとトランプ大統領に伝え、その間もイスラエルはレバノン南部での作戦を継続すると述べた。

・「私たちの立場は変わらない」とネタニヤフ首相は声明の中で書いている。

・別のアメリカ政府当局者は、実際にはトランプ大統領が電話会談でネタニヤフ首相を「圧倒した(steamrolled)」と主張した。「ネタニヤフ首相は電話で、『OKOK、とにかく全てきちんと処理する』と述べた」とこの当局者は語った。

・ネタニヤフ首相官邸はコメントの要請に応じなかった。

●注目点:アメリカとイランが交渉中の覚書には、レバノンでの戦闘終結を求める内容が含まれていると情報筋はアクシオスに語った。これは、以前トランプ大統領とネタニヤフ首相の間で行われた緊迫した電話会談の原因となったものだ。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカは輝ける国家だった。第二次世界大戦後の世界において、たとえソ連を中心とする社会主義陣営に住む人々であっても、アメリカの余裕のある豊かな生活は憧れの的だった。アメリカに対する憧れを形作ったのは「ソフトパワー」だった。
 「ソフトパワー」について、下記論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは、「ナイはソフトパワーを「魅力の力(the power of attraction)」と定義した。つまり、他国が模倣し、関係を築き、その先導に従いたくなるような資質を備えていることで、他国を望むように動かす能力(a nation’s ability to get others to do what it wanted)のことである」と書いている。
 具体的には、アメリカ発の映画やテレビドラマ、小説、出版物、絵画、演劇、商品(コーラやジーンズ)、音楽、芸能などに振れることでアメリカを知り、アメリカに憧れた。読者の皆さんそれぞれに考えてみても、各世代でアメリカから影響を受けているということになるのではないかと思う。私の個人的な体験でいえば、子供の頃に田舎の映画館で見たアメリカ映画、「スーパーマン」や「E.T.」、「バックトゥザフューチャー」などを今でも覚えている。映画のお供は映画館の近くにあるマクドナルドで、持ち帰りで買ってもらったハンバーガーとコーラだった。1984年のロサンゼルス・オリンピックも楽しみで見ていた。小学生の頃だったが、日米経済摩擦があり、日本製品が世界で人気だということを知り、誇らしかったことを覚えている。大人たちからは「日本は資源がないから、資源を輸入して、自動車や冷蔵庫なんかを作って、それを外国に買ってもらってお金を稼いでいるんだよ、アメリカが一番買ってくれる国なんだよ」と教えられた。アメリカは良い国なんだと子供心に思ったことを覚えている。
 こんな単純なアメリカ感は成長すれば持たなくなるものだが、「三つ子の魂百まで」で、アメリカへの憧れはあり、最終的にはアメリカ留学までさせてもらうことになった。子供の頃にテレビで見たロサンゼルス、オリンピックのメイン会場であるLAコロシアムを訪問した時は感動した。
 しかし、輝けるアメリカはなくなりつつあり、憧れのアメリカという虚像がなくなって、裸のアメリカが見えてくると、アメリカへの親近感が薄れ、反発が大きくなっている。現在の第二次ドナルド・トランプ政権のヴェネズエラ攻撃、キューバ封鎖、イラン戦争は、むき出しの欲望の発露であり、親米感情を削り取るものだ。また、アメリカ国内のインフラの劣化や分裂などもまた、アメリカへの憧れを生み出すものではない。これはもう覆い隠しようがない。トランプは逆にそれをさらけ出し、欲望をむき出しにすることで、アメリカ人と世界の人々にアメリカの厳しい現実を伝え、何とか対応しようとしている姿を見せている。「アメリカを再び偉大に」という言葉の前提は「現在のアメリカは偉大ではない」ということだ。そして、「再び」偉大になるかと言われて、素直にそうなると答えられる人はほぼいないだろう。
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アメリカのソフトパワーの終焉(The End of America’s Soft Power)
-アメリカは自分の国際的な強みの1つを放棄してしまった。
スティーヴン・M・ウォルト筆
2026年5月4日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/05/04/trump-soft-power-usa/
ドナルド・トランプ政権の外交政策における最も顕著な特徴の1つは、選択された目標(the chosen ends)ではなく、好まれる手段(preferred means)にある。それは、アメリカのハードパワー(hard power)に対する絶対的な自信と、故ジョセフ・ナイが「ソフトパワー(soft power)」と呼んだものに対するほぼ完全な軽視である。ナイはソフトパワーを「魅力の力(the power of attraction)」と定義した。つまり、他国が模倣し、関係を築き、その先導に従いたくなるような資質を備えていることで、他国を望むように動かす能力(a nation’s ability to get others to do what it wanted)のことである。ハードパワーを多く持つ国は、武力や威嚇、あるいは援助や保護の提供によって他国を強制できる。一方、ソフトパワーを多く持つ国は、他国が自国に憧れ、自国の理念に賛同し、あるいは自国をファッショナブルで成功しており、さらには「イケてる(hip)」と見なすことで、より大きな影響力を享受できる。
私のような素晴らしいリアリストは、ハードパワーの重要性を軽視するようなことなどない。むしろ、確固たるハードパワーによる裏付けなしにソフトパワーを多く持つことは困難だ。しかし、ウラジーミル・プーティンのロシアが示したように、ハードパワーは豊富でもソフトパワーはほとんど、あるいは全くないという状況もあるだろう。理想的には、国家はハードパワーとソフトパワーの両方を豊富に持つことが望ましいだろう、それは、ソフトパワーが豊富であれば、他国は自然と自国の意向に従うようになり、ハードパワーを頻繁に使う必要がなくなるからだ(Ideally, a state would like to have a lot of both, because having a lot of soft power means others will be naturally inclined to do what you want and you won’t have to use your hard power very often)。ナイは、アメリカのハードパワーとソフトパワーの組み合わせが、国際社会との関係において大きな優位性をもたらすと確信していた。これが、彼がアメリカの将来に楽観的で、衰退を予測する人々に懐疑的だった理由の1つだ。しかし、長いキャリアの終盤には、彼でさえアメリカの国際的な魅力の衰退を懸念し始めていた。
トランプ政権2.0では、ハードパワーさえあれば十分だという考え方が、至るところで見られる。政権は関税の脅威を利用して貿易相手国に一方的な経済協定を強要し、最高裁判所がそれらを無効とする判決を下したにもかかわらず、その努力を続けると誓っている。政権は6カ国以上で軍事力を行使し、カリブ海と太平洋で麻薬密輸容疑者を殺害し続けている。殺害されている人々が誰であるかが明確ではなく、全員が実際に麻薬密売に関与していることを証明できず、これらの行動が違法薬物の入手可能性にほとんど、あるいは全く影響を与えないことを政権も認めている。ドナルド・トランプ大統領は繰り返し他の世界の指導者を弱腰だ(being weak)と非難し、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領には「切り札がない」のでロシアと取引すべきだと述べ、キューバの一般市民をさらに困窮させ、最終的には政権を降伏させることを目的としたキューバ封鎖(a blockade on Cuba)を課した。最後に、そして決して軽視できない点として、イラン政権はすぐに崩壊し、私たちにとって好ましい政権が誕生するだろうという誤った前提に基づき、外交を放棄し、不必要かつ一方的なイランに対する戦争を開始した。
この強大な力への執着で最も驚くべき点は、その行使を隠蔽したり、正当化したり、弁明したりする努力がほとんどなされていないことである。ほとんどの国は時折、悪事を働く。大国は特にその傾向が強いが、通常は規範的な正当化(normative justification)というヴェルヴェットの手袋で、その凶暴な拳(mailed fist)を隠そうとする。しかし、トランプ政権はそうではない。確立された規範を破り、相手に苦痛を与える機会があれば、まるで、喜びを感じているかのようだ。大統領がイラン文明の根絶を脅迫したり、国防長官が国際法を無視し、アメリカ軍は敵に「容赦しない(no quarter)」(これは戦争犯罪に相当する)と豪語したりする時、彼らの目的は説得(to persuade)ではなく威嚇(to intimidate)、誘引(to attract)ではなく強制(to compel)にあることは明らかだ。彼らのモットーは、「最強であるということは、決して謝る必要がないということだ(Being the strongest means never having to say you’re sorry)」ということのようだ。
この強大な力への崇拝(veneration)は、かつてアメリカを他国にとって魅力的な存在にしていた制度や政策を組織的に弱体化させる努力と並行して行われている。米国国際開発庁(the U.S. Agency for International Development)はイーロン・マスクとDOGEの活動によって突然解体され、世界中の何百万人もの人々の命を危険に晒し、アメリカを恣意的で無関心な国に見せた。政権はヴォイス・オブ・アメリカの放送ネットワークを閉鎖しようとしたが、裁判所と連邦議会の異例の反対によって阻止された。マルコ・ルビオ米国務長官は60以上の国際機関から米国を脱退させ、数十の外交ポストを空席のままにしておき、主要な国際サミット会議にアメリカ代表を派遣しなかった。移民税関執行局(Immigration and Customs Enforcement)による暴力的な強制捜査と無実の抗議者の殺害は、アメリカの醜い側面を世界に露呈させ、かつてはアメリカの威信とソフトパワーの最も目立つ象徴の1つであった高等教育への継続的な攻撃は、アメリカの大学を外国人留学生にとって魅力のない留学先にした。こうした措置は学界の収益に打撃を与えるだけでなく(それが狙いなのかもしれないが)、アメリカで教育を受ける外国人留学生の数を減らすことにもつながる。通常、アメリカ留学は留学生を以前よりもさらに「親米(pro-America)」へと導く経験だからだ。これらの要素を総合的に考えると、なぜ中国の国際的なイメージが高まり、アメリカのイメージが低下しているのかが理解できるだろう。
トランプ政権によるアメリカのソフトパワー優位性への組織的な攻撃に気づいたのは、私が初めてではない。不可解なのは、なぜ政権幹部が事態を認識していないのかということだ。彼らは、ハードパワーへの過度な依存(overreliance on hard power)、つまり他国を傷つけるための軍事力行使(the use of military force)を、稀で遺憾な必要事案ではなく、称賛すべき行為として扱うことが、気まぐれで復讐心に燃え、潜在的に脅威となるアメリカとの協力を他国が望まなくなるということを理解していないのだろうか? 「酢よりも蜂蜜の方が多くのハエを捕まえられる(you can catch more flies with honey than with vinegar)」という古い格言(old adage)を聞いたことがないのだろうか?
ここから私の考えを書いていく。
第一に、トランプ大統領をはじめとする政権幹部は、世界を強者[the strong](「勝者[winners]」)と弱者[the weak](「敗者[losers]」)に二分し、弱者とのいかなる妥協も失敗とみなしている。そのため、自慢をしたり、見栄を張ったり、たとえ些細な批判や反対意見に対しても容赦しない態度を取ったりする傾向が見られる。カナダやデンマークといった、アメリカに忠実な国々への無思慮な攻撃は言うまでもない。ピート・ヘグセス国防長官が「戦士の精神(warrior ethos)」や「致死性(lethality)」の喜びについてマッチョな発言をしたり、スティーヴン・ミラー大統領次席補佐官が歴史の「鉄則(iron laws)」が強者の支配を正当化すると宣言したりしたことは、おそらくこの考え方の最も明白な例だろう。しかし、権力者は他人に何をすべきかを指示し、従うことを期待できると信じているのは、彼らだけではない。思い出して欲しい。彼らは、スターであるというだけで女性を虐待しても構わないと豪語した大統領によって任命されたのだ。この(不)道徳な世界では、ルールは他人のためのものなのだ。
第二に、トランプとその支持者たちは熱烈な愛国者だと主張しているものの、自分たちが率いようとしているこの国を好きではないようだ。MAGAのスローガンを考えてみよう。「アメリカを再び偉大にすることが必要だと信じるなら、今のアメリカが偉大だとは思ってはいけない(If you believe it’s necessary to make America great again, you must not think it’s great today.)」。象徴的な国旗を振り回す彼らの行動は、トランプとその取り巻きがこの国について好き、あるいは尊敬している点がいかに少ないかという点で驚くべきものだ。彼らはほとんどのメディアを嫌い、ほとんどの人気芸能人を軽蔑し、民主党員(共和党員よりも人口に占める割合が大きい)を憎み、権力分立や法の支配を嫌い、この国で生まれていない市民(生まれている市民の中にもいる)を疑い、科学をほとんど尊重せず、大学を敵視し、影の「ディープステート(deep state)」が今もなお軍隊、外交団、そして多くの政府機関を蝕んでいると確信している。トランプはホワイトハウスさえ好きではなく、それをけばけばしい帝国の記念碑に作り変えたいと思っている。彼らはアメリカが深刻な状況にあると信じているため、この国の永続的な特徴が他国にとって魅力的である可能性を想像しにくいのかもしれない。
第三に、トランプとその支持者たちは、政権が結んだ見せかけの和平協定や暫定的な貿易協定など、あたかも成果であるかのように見せかけることができる即効性のある解決策を好む一方で、海外からの支持を得るための忍耐強く長期的な努力を避けている。トランプたちは、人々の間に良好な関係を築くことよりも、他国の指導者と取引をすることの方に興味がある。良好な関係は徐々に利益を生み出し、彼らが退任した後になって初めてその恩恵が完全に実現する可能性があるからだ。2028年以降に政権を去る自分たちにとって、次世代の留学生を獲得することなど誰が気にする必要があるだろうか?
もしこれがあなたの世界観であれば、ソフトパワーの重要性を軽視し、ハードパワーに頼るだろう。しかし、アメリカ人はもっと賢明であるべきだ。アメリカの外交政策史における最大の成功のいくつかは、かつての敵国を含む他国と建設的かつ寛大に協力し、自国の社会の好ましくない側面を是正することで、国際的なイメージを高めてきた結果だ。例えば、マーシャルプラン、NATO、公民権運動、慎重な貿易自由化の推進、そして冷戦を終結させドイツを統一した、厳しくも最終的には平和的な交渉などが挙げられる。対照的に、アメリカの外交政策における最大の失敗のいくつか(例えば、ヴェトナム戦争、イラクとアフガニスタンにおける終わりのない戦争、リビアにおけるムアンマル・カダフィの追放、そして現在のイランにおける混乱)は、十分なハードパワーがあれば成功が保証されるという考えから生じた。
アメリカには依然として多くの魅力的な特質があり、外国政府や国民は、国家としての理想としてのアメリカと、最悪の指導者たちの行動を区別することができてきた。しかし、アメリカの政治生活がますます粗野で腐敗し、ハードパワーが繰り返し悪用される一方でソフトパワーが衰退していくならば、この2つを切り離しておくことははるかに困難になるだろう。
※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social、Xアカウント:@stephenwalt
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 イラン戦争は、停戦合意が大詰め段階だとドナルド・トランプ大統領が発表しながら、同時に「合意を急がないように」と述べたと発表し、トランプらしさ全開で状況が進んでいる。アメリカとしては、イランの政権転覆(体制転換)が望めない中で、核兵器開発につながるウラン濃縮の廃棄を求めている。イランとしては、戦争の被害の賠償と体制の保証、ホルムズ海峡の管理権を求める。イスラエルとしては、中東地域の混乱が続けば良いということなので、和平は静観しているようだ。イスラエルは、既にUAEという「魚の小骨」をイランの喉(ペルシア湾)に刺すことに成功しているので、これ以上のことは望んでいないだろう。
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 下記論稿において、著者ファリード・ザカリアは、イスラム革命後のアメリカは、イランについてディレンマを抱えてきたと指摘している。それは「イランの体制を転換させるのか、イランの政策を転換させるのか」ということだ。

 イランの体制を転換するためには、アメリカはイランに対して軍事攻撃をするしかない。しかし、それは実態としては不可能であった。今でもそうだ。今回のイラン戦争は、規模で見れば大規模な戦争ではない(犠牲となった人たちには非常に申し訳ない表現になってしまって心苦しいが)。範囲も期間もそこまでではない。しかし、ペルシア湾、ホルムズ海峡というチョークポイントがそこに含まれることで、世界規模で影響を受け、大きくなってしまった。逆に、ホルムズ海峡がなければイランはここまで持ちこたえることはできなかっただろう。アメリカはイランほどの大国を攻撃して体制転換させるほどの力をすでに失っている。第二次世界大戦の時期とはもう違う。しかし、公式的には、イランとの国交はないし、外交関係はない。

 しかし、アメリカとイランは実際には交渉はしなければならないし、イランは国連にも加盟している。実質的には国家として認めている。しかし、外交関係はない。それでも、バラク・オバマ大統領時代には核開発に関して合意が結ばれた。建前とは違うのだ。今回、イラン側がアメリカ側に体制の保証を求めている。これをアメリカ側が認めてしまうと、アメリカは建前が崩れてしまう。国家として認めてしまうことになる。それはそれでアメリカにとっては良いことかもしれないが、今回のイラン戦争の失敗はこの点にある。「イランと交渉して、体制保障をしてしまわねばならない」ことで歴史は動くが、アメリカの建前は崩れる。これこそがアメリカの敗北である。このアメリカの敗北を世界に喧伝してしまうことになってしまう。アメリカ帝国の崩壊をここに明白に示すことになる。アメリカの終わりの始まりということになる。

(貼り付けはじめ)

ワシントンが解決を拒むイランに関するディレンマ(The Iran Dilemma Washington Refuses to Resolve

-アメリカの政策において2つの目標が半世紀近くにわたり対立し続けている。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/08/iran-war-united-states-nuclear-weapons-regime-change-donald-trump-foreign-policy/

世界で最も強力な国家が、経済制裁と軍事攻撃によって荒廃した、はるかに小さく弱い国家に対して、なぜ思い通りにできないのだろうか? イラン戦争におけるアメリカの抱える問題を理解する最も簡単な方法は、ゲーム理論(game theory)を用いることだ。ドナルド・トランプ大統領はイランと「チキン」ゲーム(a game of “chicken”)を仕掛けた。まるで2台の車が互いに真っ直ぐに突進し合うようなものだ。このような状況では、一方の存亡に関わる利害が他方の利害がはるかに低い場合、利害の大きい方がたいてい勝つ。イラン政権にとって、負ければ政権が崩壊し、国民が虐殺される可能性が高い。一方、ドナルド・トランプ大統領にとっては、マール・ア・ラーゴでの週末が台無しになる程度だろう。イラン側がこのチキンゲームでハンドルを握りしめることを厭わない理由が容易に理解できる。

しかし、アメリカがイランへの対応にこれほど苦しんでいるのには、トランプ大統領と今回の拙速な戦争(ill-conceived war)だけではない、より広範な理由がある。イランでイスラム政権が樹立されて以来、アメリカはイランに対して相反する態度(two minds)を取り続けてきた。一方では、人質解放から核兵器制限に至るまで、アメリカが解決を望むいくつかの課題があった。他方では、単に交渉するだけでなく、政権を打倒したいと考えている。この2つの姿勢の間には、半世紀近くにわたってアメリカの外交政策を貫いてきた緊張関係が存在する。ワシントンはイランの特定の政策を変えたいのか、それともイランそのものを変えたいのか?(Does Washington want to change certain policies of Iran or does it want to change Iran?

ワシントンがテヘランと交渉すれば、ギヴ・アント・テイクがあり、必然的に双方の譲歩(concessions on both sides)があり、敵対関係はいくらか緩和される。何よりも、アメリカ政府はイランと関わることで、イスラム共和国に一定の正当性を与え、真剣な交渉相手として扱い、国際舞台でイランを代表する存在として認めることになる。しかし、この容認は一部のアメリカのエリート層にとっては受け入れがたいものだった。彼らは、イラン・イスラム共和国は非合法であり、存在すべきではなく、ワシントンがイランに対して取るべき唯一の政策は、イランを打倒することだと考えているからだ。それでも、ワシントンが望むものの中には、イランでしか実現できないものもある。だからこそ、ロナルド・レーガン大統領でさえ、公にはイランの聖職者たちを非難しながらも、密かに彼らと交渉していた。

トランプ大統領のイラン政策には、ほぼ毎日、矛盾した態度が見られる。あるソーシャルメディアの投稿では、イラン文明を破壊し、47年にわたる悪行に終止符を打つと脅迫する一方で、同じ日に別の投稿では、イランとの交渉が進展していると述べている。トランプ大統領は交渉に臨み、イランとの合意に楽観的な姿勢を見せたかと思えば、交渉の合間にテヘランとの戦争を始め、イラン国民に政府打倒を促す。そして1週間も経たないうちに、イランが要求に応じれば明るい未来が待っていると約束する。

アメリカはソ連に対しても同様に矛盾した態度をとっていた。1917年に共産党がロシアを掌握すると、ワシントンはソ連との国交を断絶し、小規模ながらソ連打倒を試みたことさえあった。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領がソ連の存在を認め、モスクワと大使を交換するまでには、それから約16年もの歳月を要した。この緊張関係は第二次世界大戦後に再び表面化した。1970年代、ヘンリー・キッシンジャーのソ連との交渉政策は、悪の帝国(evil empire)の地位を強化するものとして右派から激しく非難された。キッシンジャーは常に、アメリカはソ連とはイデオロギー的に対立しているものの、核兵器管理(the control of nuclear weapons)など、モスクワとの合意なしには解決できない国益も抱えていると主張した。

イラン問題におけるキッシンジャーの立場に相当するのが、バラク・オバマ大統領である。オバマ政権は、イランに別の政権を望むかもしれないが、アメリカの国益に対する最大の脅威(ソ連の場合と同様、核兵器問題)に対処するためには、現政権と向き合わなければならないと判断した。イラン核合意は、イランの外交政策における最も危険な要素を無力化(neutralize)するための試みであり、実際にその目的は達成された。しかし、多くの右派にとって、その代償は、ある意味でイラン政権を正当化(legitimized)してしまったことだった。トランプ大統領はアメリカを核合意から離脱させたが、これはハサン・ロウハニ大統領の失脚とテヘランの強硬派の復権を招き、彼らはイランのウラン濃縮計画を加速させた。そしてトランプ大統領は再び同じディレンマに陥った。合意を結ぶべきか、それとも毅然とした態度を取るべきか?(Does he make a deal or take a stand?

現時点で、トランプ大統領が合意を望んでいることは明らかだ。しかし、合意に至れば、イラン・イスラム共和国が47年間求め続けてきたもの、つまりアメリカ国内の最も強硬な勢力からも無制限の承認(unqualified acceptance)を得ることになるかもしれない。テヘランにとって、それは多くの譲歩に値するほどの大きな報酬となるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最新刊に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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 古村治彦です。

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 アメリカとイスラエルによる攻撃から始まったイラン戦争は正式な最終和平が達成されずに3カ月が過ぎようとしている。4月7日にパキスタンの仲介により、2週間の一時停戦が合意され、4月22日からは停戦が継続しているが、お互いにホルム海峡を封鎖し合い、にらみ合っている状況だ。5月24日には、60日間の停戦合意間近という報道が出た。アメリカのドナルド・トランプ大統領は再攻撃を検討しているが、ペルシア湾岸諸国が攻撃をしないように依頼しているという報道も出ているが、アメリカはウクライナ戦争も抱え、思うように武力行使ができない状況にある。
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 イラン戦争に関しては、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカのドナルド・トランプ大統領に戦争を「売り込んで」、トランプをやる気にさせて始まったことは、このブログですでにご紹介した。イスラエルにとっての最大の利益は「イランを弱体化させること」であり、中東地域を一種の混乱状態にすることで、自分たちに攻撃を向けないようにして、「目立たない」うちに、「パレスティナ処分」を行うということだ。それが現在はうまくいっている。アメリカを中東地域から撤退させないで、泥沼に足を取られるようにするということにも成功した。さらには、「保険」として、ペルシア湾を挟んでのイランの隣国UAEを味方に引き入れ、依存させ、イランと敵対させることで、「喉に刺さった魚の小骨」のようにすることにも成功した。イスラエルはペルシア湾に対イラン橋頭保(bridgehead)を確保したと言える。

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ:UAE(アラブ首長国連邦)のOPEC離脱は中東地域の不安定化を助長する↓ https://suinikki.blog.jp/archives/90508844.html

 しかし、アメリカと中東諸国にとっては良い迷惑である。平和と安定がなければ、ビジネスもうまくできない。石油が輸出できなければ、他に主要な産業がないは干上がってしまう。他の産業として、金融や観光を発展させようとしてきたが、これらの産業分野こそは平和と安定が必須条件となってくる。危険な場所に投資はしないし、人は観光に行こうとは思わない。中東諸国が石油を売って儲けたお金(ドル)でアメリカへの投資も行われていた訳だが(ペトロ・ダラー体制)、この投資の流れが細くなれば、アメリカの利益にもならない。このように考えると、イラン戦争はアメリカの国益には適わない。そのことを痛感し、じりじりとしているのがトランプ大統領だろう。一日も早い停戦と和平達成こそがイスラエル以外の世界にとって望ましいことだ。

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イラン内戦はアメリカの国益にはならない(An Iranian Civil War Is Not in America’s Interest

-イスラエルは政権崩壊(regime collapse)による混乱を歓迎するかもしれない。しかし、アメリカとその同盟諸国は歓迎できない。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/06/iran-civil-war-united-states-allies-regime-collapse/

「ジャズの即興演奏による政権転覆(Regime change by jazz improvisation)」。イラン研究の権威であるカリム・サジャドプールは、トランプ政権がイランとの戦争で用いた戦略をこう評した。残念ながら、これはワシントンから発せられる、散漫で、変化に富み、不確実なアプローチを最も的確に表現した言葉と言えるだろう。

トランプ大統領はこの戦争を、イラン国民に政府打倒を呼びかけることで開始した。おそらく彼は、政権が即座に崩壊すると想定していたのだろう。しかし、そうならなかったため、わずか1、2日で方針転換した。政権内部の潜在的な指導者への対処を検討し始め、ヴェネズエラへのアメリカの介入を模範とすべき「完璧な(perfect)」事例だと称賛した。なぜなら、ヴェネズエラへの介入は政権転覆とは程遠く、逮捕したのはたった2人だったからだ。ピート・ヘグセス国防長官は、この戦争が「政権転覆[体制転換]戦争(regime change war)」であることを明確に否定し、側近のエルブリッジ・コルビーも同様の見解を示した。両者とも、目標はイランの軍事力を弱体化させることだけだと述べていた(昨年6月、ステルス爆撃機を含む12日間の爆撃で、イラン軍の多くはすでに「壊滅(obliterated)」していた)。しかしその後、事態は一転し、ドナルド・トランプ大統領はイランとイラクのクルド人指導者に接触し、イランの軍事力を弱体化させるためではなく、テヘラン政権の転覆、ひいてはイランの国境線の変更さえも視野に入れ、戦闘に参加するならば支援を約束した。トランプ大統領は現在、イランの「無条件降伏(UNCONDITIONAL SURRENDER)」なしには合意はあり得ないと宣言している。

つまり、目標は政権交代ではない―ただし、時折そうなることもある。

しかし、この戦争で最も危険な要素は、主役がサックス奏者のように即興で行動していることではない。戦争を遂行する2国が、それぞれ異なる、そしておそらく相容れない目的を持っていることだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にとって、この戦争の目的は明らかにイスラム共和国の破壊である。彼は、この戦争が40年来の夢の集大成であることを認めた。また、この機会を利用してヒズボラを根こそぎ排除しようとしている。

イスラエルの軍事戦略は、的確かつ巧みに実行され、その目標に完全に合致している。イスラエルの攻撃は、イラン指導部を壊滅させ、軍事力を弱体化させ、指導部施設を攻撃し、さらには警察施設までも標的にしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じたように、イスラエルはイランの抑圧的な国家体制を組織的に破壊し、政権崩壊の危機をもたらしている。そして、現状のままでは、イスラエルは目的を達成する可能性が高い。そうなれば、イラン国内に権力の空白が生じ、反乱を招く恐れがあるが、ほぼ確実に内戦へと発展するだろう。誰が権力を握ろうとも、この政権は必ず抵抗するだろう。ここで適切な具体例は、10年以上内戦に苦しみ、数十万人が死亡し、数百万人が難民となったシリアである。

トム・フリードマンが指摘したように、イランは容易に崩壊する可能性のある国だ。クルド人、アルメニア人、アゼルバイジャン人など、近隣諸国と繋がりを持つ民族集団が多数存在する。彼らはこれまで平和的に共存してきたが、歴史が示すように、バルカン半島からイラクに至るまで、秩序が崩壊し力の空白(a power vacuum)が生じると、人々は部族集団に引きこもり、他者への信頼を失う。そして、こうして内戦が始まるのだ。この戦争を煽る要因は、イラン政府が、いかなる新政府や新勢力に対しても戦う覚悟のある、武装した献身的な兵士を多数擁しているという事実である。革命防衛隊は推定20万人規模で、さらに数十万人規模の準軍事組織であるバシジも存在する。そして、約40万人の正規軍も存在する。サダム・フセインの軍隊がアメリカの侵攻後に崩壊し、その多くが反乱軍として再び姿を現したように、革命防衛隊も別の装いで戦い、いかなる新政府も国を支配できないようにするだろうと想像できる。リビアでは、カダフィ政権崩壊から14年以上経った現在もなお、国全体を掌握する単一の勢力は存在しない。国家を破壊することは、再建するよりもはるかに容易なのだ。

イスラエルにとって、これはおそらく受け入れられる結果だろう。最大の敵を排除できたのだから、イラン(とレバノン)に混乱が生じても仕方がない。シリア内戦は、イスラエルが、イスラエルと戦うことを使命とする主要なアラブ国家と対峙しなくてよくなったため、実際にはイスラエルの安全保障を向上させた。しかし、イラン内戦はアメリカの国益にはならず、石油、物資、資金、そして人々の自由な往来を可能とするために、地域の安定と予測可能性に依存しているアメリカの最も緊密なアラブ同盟国にとっても国益にはならない。

ワシントンは、イランを内戦に陥れることなく、この戦争で得た成果―武装解除され、牙を抜かれたイラン―を確実に維持する方法を見つけ出す必要がある。

成果を強化し、この戦争を終結させる方法はまだ残されている。いつものように、カタールは仲介者として有益な役割を果たすことができるだろう。しかし、時間は刻々と過ぎている。いずれこの戦争は転換点(a tipping point)に達し、誰もその波及効果(the spillover)を制御できなくなるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最近では『革命の時代(Age of Revolutions)』を著した。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 ドナルド・トランプ大統領は融通無碍だ。自分の過去の行動や決定、発言に縛られない。これはトランプの強みだ。謝ることはしないが、これは違うと思えばさっと行動を変える。これだと発言や決定に信頼性を欠くことになるが、この柔軟性は事態をそこまで悪化させない。この柔軟性はほかの政治家ではなかなか持てない。

 ドナルド・トランプ大統領は中国を批判し、実際には極端な高関税政策など、厳しい対応を行ってきた。米中貿易戦争という言葉は、第一次トランプ政権の頃から使われている。中国もアメリカに対して厳しい対応を取るということを行ってきた。同時に、製造業での優位を確保し、最先端分野、AI(人工知能)、量子コンピュータ、ドローン、電気自動車などの分野でアメリカと肩を並べ、追い抜くというところまできた。また、レアアース分野における優位性も確保していた。そして、第二次トランプ政権で、このレアアースの優位性を利用して、アメリカに対抗し、アメリカからの譲歩を引き出した。

 今回の米中首脳会談では、具体的な内容はあまり伝わっていないが、中国側が「建設的戦略的安定性(constructive strategic stability)」の堅持で合意した。米中はお互いに緊張関係を欲しないし、競争と協調をミックスした関係を望んでいる。台湾問題にしても、武力衝突までエスカレーションすることを両国が望まない。アメリカにも、台湾にも、日本にも、そして、中国にも、米中日台湾の間で武力衝突をしたい、させたいと狂信的に望む人間や勢力がいる。しかし、実際には、トランプもアメリカも中国戦争をしたいとは望まないし、できない。そんなことをすれば、アメリカの衰退が加速し、国家が立ち行かなくなるからだ、そして、世界の敵と認定されてしまうからだ。

 トランプは対中強硬姿勢から見事に、華麗に変身した。トランプ政権内には対中強硬派が多く入っているが、親分が以前は白と言っていたが、今は「これは黒だよな」と言ったら、「そうですね、真っ黒ですよ」と答えるのが子分だ。裏では「何を言ってやんでぇ」と思っていたとしても、だ。トランプ政権の間は中国に融和的な姿勢とならざるを得ない。それが嫌ならトランプ政権から離れねばならない。トランプは根っからのビジネスマンであり、「金にならない」「損になる」ということを嫌うという本能で生きている。その本能が正しく機能して、中国に対して融和的になっているというのは、それだけで大きな価値があるということになる。そして、対中強硬姿勢を馬鹿みたいに続けるほど馬鹿ではないということだ。それでは、日本の指導者、高市早苗首相はどうだろうか。その答えは明らかだ。

(貼り付けはじめ)

トランプの対中政策における実用主義は歓迎する(Trump’s China Pragmatism Is Welcome

-北京とのライヴァル関係は避けられない。経済の断絶(economic rupture)は壊滅的な事態を招くだろう。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/18/trump-xi-meeting-china-united-states-economics-trade-great-power-competition/

このコラムの読者の皆様さんは、私がドナルド・トランプ大統領の2期目の外交政策を支持してこなかったことを知っている。グリーンランドの併合やカナダの併合をちらつかせたり、一方的に関税を急激に引き上げたり、イラン戦争の失敗に終わったりと、トランプは無謀で(reckless)、混乱させ(chaotic)、深刻な不安定化(deeply destabilizing)をもたらしてきた。しかし、ある重要な分野、すなわち米中関係においては、彼は正しい直感(the right instincts)、そしておそらくは正しい政策さえも持ち合わせているのかもしれない。

トランプが最近、中国の習近平国家主席と会談した際、普段はなかなか見られない一面が見られた。彼は敬意を払い、ほとんど恭順を示し(almost deferential)、二人の個人的な親密さを強調しようと努めていた。一方、習主席は終始形式的で(formal)、規律正しく(disciplined)、決して温かみのある様子を見せなかった。この非対称性は、実態をよく示している。

トランプ氏は権力に執着している。イデオロギーや価値観よりも、彼は影響力と支配力という観点から物事を考えている。トランプはヨーロッパの同盟諸国を侮辱するが、それは彼らが依然としてアメリカの軍事的保護とアメリカ市場へのアクセスにどれほど依存しているかを理解しているからだ。トランプ氏は弱点を見抜き、それを巧みに利用する(Trump senses weakness and exploits it)。

しかし、中国に関しては、ワシントンの多くの人々が未だに感情的に受け入れられずにいる事実をトランプは理解するようになった。それは、北京が経済、技術、産業、軍事において独自の強大な力を持っており、それを効果的に行使できるということだ。従って、トランプは、好戦的な姿勢(belligerence)から、ライヴァル関係と協力関係(rivalry and cooperation)が複雑に絡み合った関係へと変化した。この関係こそ、まさに今求められているものなのかもしれない。

トランプ氏の今回の訪問を、2021年にアンカレッジで行われたバイデン政権関係者と中国側関係者の初会談と比較してみよう。アメリカ側はテレビ中継で、人権問題、サイバー攻撃、国際秩序を巡って中国を激しく非難した。中国側の外交官たちも同様に激しく反論した。それは真剣な外交的対話というより、ケーブルニューズでの罵り合い合戦(a cable news shouting match)に過ぎなかった。

多くの中道派民主党連邦議員たちは、「中国に弱腰だ(soft on China)」と見なされることを恐れている。そのため、彼らはしばしば過剰なレトリックを用い、極端な表現を使い、象徴的な対立をエスカレートさせる。ジョー・バイデン大統領は、トランプ政権の対中関税に懐疑的な姿勢を示し、撤廃を約束したにもかかわらず、ほぼ全ての関税を維持した。また、バイデンは大統領として中国を訪問したことはなく、習近平国家主席をワシントンに招待することもなかった。

バイデン陣営は、トランプ政権が最初に主張した、中国の新疆ウイグル自治区における行為は大量虐殺(ジェノサイド、genocide)に当たるという主張を支持した。ジェノサイドという言葉は、ホロコーストや1994年のルワンダ虐殺のような、組織的な大量虐殺(extermination campaigns)を想起させる。中国の新疆ウイグル自治区の刑務所や再教育キャンプは残虐で恐ろしいものであり、数十人の学者がウイグル族に対する中国の行為をジェノサイドと呼んでいる。しかし、『エコノミスト』誌が指摘したように、それは多くの人がこの言葉を思い浮かべたときに連想するものとは異なる。

トランプの最大の強みは、右派からの攻撃を受けないことだ。2016年の大統領選挙後、彼は北京を激しく非難し、製造業の雇用喪失、貿易不均衡、そしてアメリカの産業衰退の責任を中国に押し付けて政権を握った。ある意味、これは「ニクソン大統領が中国へ向かった」というよりは、リチャード・M・ニクソン大統領よりも右派に位置する超タカ派のロナルド・レーガン大統領がソ連へ向かったという構図に近い。トランプが同様の方向転換を成し遂げられる可能性があるのは、彼の支持層が彼の先導する方向に従うからに他ならない。トランプがイランへの軍事介入を支持する姿勢を示した途端、多くのMAGA支持者がいかに迅速に態度を翻したかを見れば明らかだ。

なぜ中国とのより協調的なアプローチが理にかなっているのだろうか? それは、中国はソ連ではないからだ。ある指標によれば、冷戦終結時のソ連経済規模はイタリアよりも小さかった。一方、中国は世界第2位の経済大国であり、120カ国以上にとって最大の貿易相手国であるだけでなく、電気自動車やバッテリーからドローン、先端製造業、人工知能に至るまで、幅広い分野で技術大国としての地位を確立している。製造業の生産高は、米国、日本、ドイツを合わせた額を上回る。

このような国に対して本格的な冷戦を仕掛けようとすれば、世界が既に分断されていたソ連との闘争とは全く異なるものになるだろう。冷戦を仕掛けることは世界経済そのものを崩壊させることを意味する(It would mean tearing apart the global economy itself)。アメリカの消費者は物価上昇と供給ショックに直面するだろう。アメリカ企業は世界最大級の市場へのアクセスを失うだろう。大学は多くの優秀な学生を失うだろう。危険は単なる経済的苦痛にとどまらない。それは、敵対する2つの技術・地政学的ブロックが生まれ、対立が激化するという事態を招くことになるだろう。

もちろん、アメリカと中国はライヴァル関係にある。二極化した世界(a bipolar world)において、それは避けられないことだ。米中両国は今後数十年にわたり、経済、軍事、戦略のあらゆる面で競争を繰り広げるだろう。しかし、ライヴァル関係は必ずしも完全な断絶(total rupture)を意味するものではない。ヘンリー・キッシンジャーは亡くなる数週間前、私に次のように語った。「米中両国の指導者は、1914年に国家主義的な競争が結果を顧みずに追求された結果、世界秩序を根底から覆す世界大戦が勃発したことを心に留めておくべきだ(leaders of both countries should keep in mind how in 1914, nationalist competition pursued with no concerns of its consequences led to a world war that upended the entire global order)」。

人工知能、サイバー戦争、核兵器の時代において、協力関係を維持することはこれまで以上に重要だ。米中両国は激しく競争しながらも、核兵器の安定(nuclear stability)、AIの安全性(AI safety)、パンデミック(pandemic)、金融危機(financial crises)といった分野で、可能な限り取引、対話、協力関係を維持すべきである。冷戦時代、ワシントンとモスクワは激しい敵対関係の最中でも軍備管理交渉を継続した。それは、米ソ両国が制御不能なライヴァル関係が破滅的な結果を招くことを理解していたからだ。

それは今日においても変わらない。そして、もしトランプが、哲学(philosophy)というよりはむしろ本能的(instinct)な理由から、この基本的な現実を認識するに至ったのだとすれば、少なくともこの問題に関しては、彼の実用主義(Pragmatism)は理にかなっていると言えるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 日本の経営コンサルタントの草分けである故船井幸雄先生が創設された船井本社が発行する月刊誌『ザ・フナイ』(出版はビジネス社)に論考を掲載していただきました。

今回の『ザ・フナイ』2026年7月号(2026年6月1日発売予定)は、アメリカ建国250周年(7月4日が建国記念日)にちなみ、「建国250周年の黙示録 アメリカ帝国の崩壊とトランプの蹉跌(さてつ)」をテーマにするということで、論稿の寄稿をご依頼いただいた。師である副島隆彦先生が毎月『ザ・フナイ』に論考を掲載しており、今回、お口添えをいただいた。副島先生と『ザ・フナイ』編集部に厚く御礼を申し上げます。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 私は、「トランプとネタニヤフが始めたイラン戦争の後始末 JD・ヴァンス副大統領が『アメリカ・ファースト』の灯を灯す」という題で論稿を寄稿し、掲載していただきました。

 私の論考の内容は、アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が主導し、2026年2月28日に開始されたイラン戦争(現在は一時停戦中だがホルムズ海峡は封鎖中)について、攻撃決定までの内幕、JD・ヴァンス副大統領が主導している和平交渉までを、資料にもどいて描き出した。そして、トランプの後継者はヴァンスであり、ヴァンスこそがアメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内問題解決優先主義)を引き継ぐことも合わせて書いている。
 ヴァンスを拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体』(ビジネス社)で取り上げたピーター・ティールがしっかりと支えており、2028年の大統領選挙に向けて動いていることはこのブログでもすでにご紹介している。ブログと合わせてお読みいただければ、皆さまにアメリカ政治の理解を深めていただけるものと著者として確信を持っている。

 是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年5月1日、アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)から離脱を表明した。OPECは1960年に設立された石油の生産量や価格を石油関連巨大資本(メジャー)から守るための国際組織であり、現在は9カ国で構成されている。OPECを主導しているのはサウジアラビアである。UAEOPEC内では2位の生産量を誇っていたが、離脱した。これによって、生産量や輸出先などを決定する自由裁量が増加することになる。
 UAEは経済多様化を進めており、石油以外の金融、観光、運輸、再生可能エネルギー、不動産などの石油以外の経済分野がGDPの約75%を占めるまでになっている。その象徴がドバイである。現在のイラン戦争ではイランからの攻撃に晒されてしまったが、世界を代表する金融センターとなっている。UAEは石油に頼る必要がない経済になっているので、OPECの「ご近所づき合い」をしなくても済むことになった。

 OPECの「ご近所づきあい」をしなくてよくなったことで、OPECは石油生産に関して、自身で決められる自由裁量を欲するようになった。OPECを支配しているのはサウジアラビアであり、サウジアラビアの意向で物事が決まる。そうなると、UAEの望むとおりにならないことも出てくる。UAEは豊富な埋蔵量を背景にして現在よりも生産量を増やすことを望んでいるが、サウジアラビアは価格の高値維持を望む。ここで利害が一致しないことで、サウジアラビアとの対立ということまで起きている。
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 そして、今回のイラン戦争である。UAEはイスラエルとの国交正常化を行っており、アメリカ軍基地も存在するために、イランからの攻撃の標的となった。ホルムズ海峡封鎖の影響も大きい。UAEはホルムズ海峡の外側にフジャイラという石油積み出し港があり、ここからホルムズ海峡封鎖の影響を受けずに、石油を輸出することができる。イラン側はフジャイラを攻撃したが、これはUAEを反イラン、親イスラエルへと動かすことになった。中東地域において新たな火種ということになる。しかも、UAEはイランとペルシア湾を挟んでの隣国である。ペルシア湾とホルムズ海峡における不安定な状況が新たに起きるということになれば、たとえイラン戦争が停戦となっても、中東地域における不安定状況が残り続ける。そうなれば、アメリカ軍は容易に撤退することはできない。UAEをイランから守るという役割を放棄することはできない。中国に肩代わりということも現在のところ考えにくい。
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 UAEが石油を増産して、石油価格が低下してくれればありがたいが、UAEとイランの関係の悪化は気がかりだ。もちろん、UAEは馬鹿ではないので、ドバイを危険に晒すようなことはしないだろうが、イランとの関係悪化はペルシア湾、ホルムズ海峡、中東地域における緊張と不安定化をもたらす。それを歓迎する国がある。イスラエルだ。イスラエルはUAEをイランに対する抑えの駒として使えることになる。イスラエルがUAEに接近しているという内容の記事を明日、ご紹介する。中東情勢は複雑怪奇、である。

(貼り付けはじめ)

UAEOPEC離脱の真の意味(The Real Meaning of the UAE’s OPEC Exit

-地政学的な再編は、石油市場だけにとどまらない、はるかに深い意味を持つ。

アミール・ハンジャニ筆

2026年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/01/uae-opec-exit-meaning-oil-middle-east/

アラブ首長国連邦(UAE)が5月1日にOPECOrganization of the Petroleum Exporting Countries、石油輸出国機構)を脱退する際、それは単に組織を放棄するのではなく、もはやOPECが自国の利益に合致しないと宣言することを意味する。この違いは重要である。アブダビの脱退は、単一の不満に対する反応ではなく、3つの要因が重なり合った結果である。すなわち、イラン・イラク戦争、サウジアラビアとの対立の激化、そして長年にわたり進められてきたワシントンとの戦略的再編である。

アメリカとイスラエルによるイラン戦争は、UAEを予想もしなかった形で最前線国家(a front-line)へと押し上げた。イランは、アブダビが数十年にわたりワシントンと戦略的に連携してきたことを理由に、UAE領土への攻撃を正当化した。この連携は、2024年にアメリカがUAEを「主要防衛パートナー(major defense partner)」に指定したことで正式なものとなった。イランの攻撃はフジャイラの工業地帯を直撃し、ジェベル・アリ港を揺るがし、ドバイのスカイラインを煙で覆った。UAEはこの打撃をほぼ単独で受け止めた。湾岸協力会議(GCC)加盟国は連帯を示したが、アラブ首長国連邦(UAE)大統領顧問のアンワル・ガルガシュが月曜日の湾岸諸国影響力フォーラムで指摘したように、彼らの政治的・軍事的対応は「歴史上最も弱いもの(the weakest historically)」だった。OPECの発表前夜に公に表明されたこの不満は、不吉な兆候となった。

イランとの紛争は、歴史的な規模のエネルギーショックを引き起こした。イランによる湾岸諸国のインフラへの攻撃とホルムズ海峡の航行への脅威によってサプライチェーンが寸断されたため、OPECの総生産量は3月に27%減の1日あたり2079万バレルにまで落ち込んだ。その結果生じた供給量の減少は、わずか1ヶ月で1日あたり788万バレルにも達し、1973年の石油禁輸措置や1991年の湾岸戦争をも上回った。世界の原油と液化天然ガスの約5分の1が通過するホルムズ海峡は、現在、激しい攻防にさらされる要衝となっている。このような状況下で、相当な余剰生産能力を保有し、長年にわたりその拡大に投資してきたアラブ首長国連邦(UAE)は、極めて重要な地政学的価値を持つ資産を保有している。生産割当制と合意形成型のガヴァナンスを特徴とするOPECに留まることは、もはやアブダビの利益を適切に代表できない集団的枠組みに、その資産を従属させることを意味する。こうした観点からすれば、離脱の論理は合理的であると言える(The logic of exit is, in that light, rational)。

しかしながら、今回の離脱のタイミングと方法は、より根深い問題、すなわちサウジアラビアとの長年にわたる対立の結果をも反映している。湾岸地域の安定の要と称されるリヤドとアブダビの関係は、石油の支配権をめぐる根本的な問題をめぐり、長年にわたり静かに亀裂を生じさせてきた。

この対立の根源は、2016年にロシアとOPECプラスが結成されたことに遡る。当時、UAEは自国に割り当てられた生産枠が、急速に拡大する生産能力を反映していないと感じ始めた。2020年の新型コロナウイルス感染症による価格競争では、サウジアラビアが主導して大幅な減産を実施し、この溝はさらに深まった。アブダビは、生産量増加に多額の投資を行ってきたにもかかわらず、サウジアラビアの減産は不当な負担だと考えた。2021年までに、UAEはサウジアラビアが支援する生産量拡大を公然と拒否するようになり、最終的にアブダビに日量365万バレルというより高い基本生産枠を与えることで決着がついた。この妥協は意見の相違を表面化させただけで、根本的な解決には至らなかった。

その後、緊張関係はより構造的なものへと発展した。サウジアラビアは、財政均衡と「ビジョン2030」プロジェクトの実現のために、ブレント原油価格が1バレル80ドル近辺で推移することを必要としており、供給管理と高価格維持に強い関心を持っている。一方、ドバイが金融、物流、航空のグローバルハブとして機能し、経済の多角化をはるかに積極的に進めてきたアラブ首長国連邦(UAE)は、高価格の底値への依存度が低い。アブダビが石油部門に求めるのは価格管理ではなく、生産量の最大化、つまりアブダビ国営石油会社(ADNOC)の生産能力拡大に投資された数十億ドルの収益である。これらは単なる政策嗜好の違いではなく、経済モデルの違いと言える。UAEのエネルギー大臣は火曜日、アブダビが離脱を発表する前にリヤドに相談すらしていなかったことを認めた。この事実こそが、両国関係の現状を如実に物語っている。 OPECの絶対的なリーダーであるリヤドは、プレスリリースを通じてこの離脱を知った。

この物語におけるワシントンの役割も同様に重要である。アブラハム合意、イスラエルとの安全保障パートナーシップの深化、アブダビを湾岸諸国にとって不可欠な同盟国として位置づけること、これらは全て、アメリカがUAEから手を引いた場合に政治的にも戦略的にも大きな代償を払うことになるよう仕向けるためのものだ。この賭けは今まさに試されており、ワシントンは対応策を講じたようだ。スコット・ベセント米財務長官は、OPECの発表に先立ち、アブダビへの緊急ドルスワップ協定を公に支持した。長年、OPECはアメリカ軍の保護を悪用していると批判してきたドナルド・トランプ米大統領は、事実上、アブダビが離脱するための外交的後ろ盾を与えたことになる。UAEが自由に生産したいという願望と、トランプ政権がより多くの石油を低価格で世界市場に供給したいという願望が一致しているのは偶然ではない。構造的に言えば、これはワシントンとアブダビの間で何年も前から進められてきた利害の一致なのだ。

UAEはまた、中国との関係を巧みに利用してきた。アブダビのハリド・ビン・ムハンマド・アル・ナヒヤーン王太子の最近の北京訪問は、数々の経済協定を生み出した。また、UAE当局は、ドル流動性が逼迫した場合、一部の石油取引を人民元建てで価格設定する可能性を示唆している。これは、2023年にサウジアラビアが行った戦略と同様のもので、アメリカがリヤドとの外交関係を加速させるきっかけとなった。アブダビは中国に軸足を移しているのではなく、中国を利用してワシントンからより有利な条件を引き出そうとしている。UAEの政府系ファンドは依然として、アメリカとヨーロッパの資産に圧倒的に偏っている。北京のシグナルは、軸足の転換ではなく、ワシントンに対し、アブダビとのパートナーシップを当然のことと考えてはならないという警告として、慎重に調整された交渉材料と解釈するのが適切だろう。

それでは、OPEC自体にとって、今回の離脱は何を意味するのだろうか? その損失は深刻であり、中期的には存続に関わる可能性もある。UAEは、今回の離脱以前はOPEC全体の供給量の12%を占める、OPEC3位の産油国だった。アンゴラは割当量をめぐる争いを理由に2024年に離脱した。カタールは2019年に脱退した。それぞれの離脱は特異な事例として捉えられたが、その累積的なパターンは、アブダビをも巻き込んだ戦略的乖離という同じ力によって、カルテルが内部から空洞化していく様相を呈している。サウジアラビアはOPECの組織構造と、それを主導する政治的意思を維持しているが、歴史的な供給混乱の時期に、規模が縮小し能力が低下した組織を率いることは、控えめに言っても困難だろう。リヤドは今後、構造的に弱体化したOPECを率いていくことになる。

イラン核戦争は湾岸諸国を統一するどころか、むしろ既存の断層線(fault line)に沿って分裂させた。イエメン政策、経済競争、そしてワシントンとテヘランとの関係管理に関する異なる判断など、様々な面で意見の相違が加速している。この分裂は、湾岸諸国がイランに対して取った全く異なる姿勢にも表れている。戦前のアメリカとイランの核交渉を主催し、地域で最も一貫した仲介役を務めてきたオマーンは、イランの攻撃が自国領土を直撃しているにもかかわらず、外交を呼びかけ続けている。イランと広大なガス田を共有し、歴史的にテヘランとの関係を維持してきたカタールは、共存を強調し、外務省は両国が「人類の未来において隣人となる(will be neighbors for the future of humankind)」と述べている。サウジアラビアも、イランの攻撃を受けているにもかかわらず、同様に緊張緩和を望む姿勢を示しており、サウジアラビアの経済変革計画を脅かす戦争を警戒している。

アラブ首長国連邦(UAE)は単独で強硬路線(the hard line)を貫き、賠償(reparations)、ホルムズ海峡の無条件再開(he unconditional reopening of the Strait of Hormuz)、そしてイランの国力の全面的な縮小を要求している。OPECからの離脱は、アブダビをリヤドだけでなく、より広範な湾岸諸国の合意からも切り離す地政学的姿勢の結果である。UAEは、カルテルの一員としてではなく、主権国家として行動することが自国の利益に最も資すると結論付けた。この判断が正しかったかどうかは、戦争がどのように終結し、そこからどのような地域構造が生まれるかにかかっている。OPECの決定が明確に示しているのは、共通の制度と統一された利益という虚構の上に築かれた旧来の湾岸諸国間の協定はもはや存在しないということだ。

※アミール・ハンジャニ:クインシー責任ある国家運営研究所の理事であり、ニューヨークに拠点を置く戦略アドバイザリー会社KARVのパートナーである。Xアカウント:@ahandjani

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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