古村治彦です。
2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体
最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をお願いいたします。
最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)の第2章では、アメリカの軍産複合体を生み育てた「現在の危機委員会(the Committee on the Present Dange)」について詳述した。同名の委員会はこれまで4回設立され、アメリカの戦後の外交政策や軍事政策に多大な影響を与えた。特に、第一次現在の危機委員会と第二次現在の危機委員会は、冷戦期のアメリカでソ連と共産主義の脅威を声高に主張し、人々にアピールし、軍事予算の増額を行うことに成功した。軍産複合体を肥え太らせるための存在が「現在の危機委員会」であった。第四次現在の危機委員会のターゲットは中国であり、中国の脅威を声高に喧伝することで、軍事予算の増額を狙っている。
日本でも「東アジアの安全保障環境の悪化」、簡単に言えば「中国が怖いぞ、攻めてくるぞ」という大義名分で、国防予算の対GDP比の上昇が決定している。短期間で2%から3%、更には3.5%へと進む。高市早苗政権はアメリカの要求を嬉々として受け入れ、可及的速やかに防衛予算の大幅増額を進めようとしている。「愛国増税」でその財源を賄おうとしている。私に言わせれば、「東アジアの安全保障環境の悪化」の原因は日本であり、高市早苗という人物はその象徴である。結果として、中国からは実質的な経済制裁を受ける状況になっている。この状態が長期間継続すれば、日本経済は悪化していくことになる。
日本にも「現在の危機委員会」のような、中国の脅威を煽り立て、人々の不安に付け込んで防衛予算を増額し、肥え太ろうという勢力がいる。高市早苗という人物もその勢力の一員だ。私たちはそのような過剰な煽り立てに乗じられてはならない。しかし、日本国民の馬鹿さ加減を見れば、騙され続けてもう一度国土を焼け野が原にしてしまうかもしれないという不安感しかない。
(貼り付けはじめ)
アメリカの対中国恐怖キャンペーン(The US Scare Campaign
Against China)
-冷戦時代から現在に至るまで、「現在の危機(present danger)」を誇張する背後にある政治的計算について語る。
デイヴィッド・スキッドモア筆
2019年7月23日
『ザ・ディプロマティック』誌
https://thediplomat.com/2019/07/the-us-scare-campaign-against-china/
成熟した国家運営の指標は、国際的な課題を評価し、慎重さ、冷静さ、そして均衡(proportionality)の取れた対応策を講じる能力である。しかしながら、数十年にわたる世界的なリーダーシップにもかかわらず、アメリカの外交は依然として思春期のヒステリー(adolescent hysteria)に陥りやすい。こうした熱狂的な運動は、冷戦期における過剰な核兵器増強や、ヴェトナム戦争とイラク戦争における悲惨な戦争など、アメリカ外交政策における最も高くつく誤り(the costliest mistakes)を生み出してきた。
この反射的な行動は、国際競争の現実というよりも、むしろ国内政治に関係している。政治学者セオドア・ローウィが指摘したように、アメリカの指導者たちは日常的に外国の脅威を誇張し、提案された解決策を民主政治の束縛から逃れる手段として過大評価している。
ドナルド・トランプ政権による中国に対する警戒的な言辞がその好例である。2018年の国家防衛戦略は、中国の指導者たちが「世界的な優位性を獲得するためにアメリカに取って代わろうとしている」と断言している。マイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官はそれぞれ、大国間の新たな対立の要求に備えさせるため、中国の脅威についてパニック的な評価を発表した。
ローウィに呼応する形で、ディック・チェイニー副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めたアーロン・フリードバーグは最近、トランプ政権が中国との冷戦に向けた国内の支持を動員することに真剣であるならば、「イデオロギー的な観点から挑戦を提起する」必要があると助言した。「アメリカ国民を動かし、動機づけてきたのは、彼らのシステムの基盤となっている原則が脅威にさらされているという認識である」からだ。
ハリー・トルーマン大統領は、1947年3月12日、連邦上下両院合同会議での演説で冷戦勃発の鐘を鳴らし、「空が落ちてくる(sky is falling)」というレトリックの典型を確立した。演説を仕上げる中で、トルーマンはソ連との壮大な闘争に国民をどう結集させるかに苦慮していた。結局のところ、アメリカ国民は国際紛争からの休息と戦前のアイソレイショニズムへの回帰を切望していた。トルーマンはアーサー・ヴァンデンバーグ連邦上院議員に相談し、ヴァンデンバーグ議員から明確な答えを得た。それは、アメリカの価値観に対する共産主義の脅威を強調することで、「国中を恐怖に陥れる(scare the hell out of the country)」必要があるというものだった。
ヴァンデンバーグの助言を受け、トルーマン・ドクトリンはアメリカの新たな世界における役割について包括的なヴィジョンを提示した。トルーマンは「武装した少数派や外部からの圧力による征服の試みに抵抗する自由な人々を支援することが、アメリカ合衆国の政策でなければならない」と述べた。
それは功を奏した。連邦議会はギリシャとトルコへの援助パッケージを承認しただけでなく、冷戦時代の必需品として提案された、はるかに野心的なマーシャル・プランも承認した。
●(常に)現在の危機委員会Committees on the (Ever)
Present Danger
しかし、対立的な外交政策に対する国民の支持をかき立てる任務は、ホワイトハウスだけに委ねられた訳ではない。超党派の外交政策エスタブリッシュメント―ドワイト・アイゼンハワー大統領がかつて「軍産複合体(military-industrial complex)」と呼んだもの―は、重要な局面で軍事費増額への支持を集めるために動員されてきた。これらのグループは、志を同じくする大統領と連携して活動することが多いが、過度にハト派的と見なされる大統領の外交政策に異議を唱えることもあった。
これらの中で最も有名なのは、現在の危機委員会(the Committee on the
Present Danger、CPD)。1950年12月に設立された最初の現在の危機委員会は、国家安全保障の専門家からなる高官グループで構成され、アメリカの国防費を3倍に増額することを求めた戦略計画文書であるNSC-68の勧告に対する議会の支持を求めました。現在の危機委員会メンバーたちによる社説、講演、議会証言、専門家報告書といったキャンペーンを経て、連邦議会は国防費の大幅な増額でこれに対応した。
最初の現在の危機委員会の目的はトルーマン政権の目的と一致していたが、1976年に発足した2番目の現在の危機委員会は、ジェラルド・フォード大統領とジミー・カーター大統領のハト派的姿勢と見なされたことに対抗して設立された。復活した現在の危機委員会は、ソ連との緊張緩和(détente)を弱め、ヴェトナム戦争後の軍事力削減を反転させることを目指した。このグループは報道関係者とのつながりを築き、メンバーを講演ツアーに派遣し、防衛、軍備管理、米ソ関係に関する一連の声明を作成した。
最初の声明は次のように宣言した。「我が国、世界平和、そして人類の自由に対する主要な脅威は、比類なき軍備増強に基づくソ連の支配欲である」。
第二の現在の危機委員会は設立直後に大きな成果を上げた。現在の危機委員会のメンバーたちは、CIAが毎年作成している国家情報評価がソ連の危険性を過小評価していると主張した。こうした批判に憤慨したジェラルド・フォード大統領は、退任間際の大統領は異例の措置を取り、政府外部の保守派防衛専門家たちで構成された「チームB」を任命し、CIAの通常の活動に匹敵する報告書を作成させた。第二の現在の危機委員会のメンバーが中心となったチームBは、ソ連の能力と意図について、CIAの通常の「チームA」が作成したものよりもかなり悲観的な評価を作成した。その後、ジョージ・H・W・ブッシュCIA長官はチームAに対し、「草稿を大幅に改訂(substantially revise its draft)」し、「全ての重要な点でチームBの立場と一致する評価」を作成するよう命じた。1983年のCIAの再評価によると、この出来事が、ソ連の脅威を誇張した一連の扇動的な情報報告書の土台を作ったという。
同様に、カーター大統領は現在の危機委員会メンバーをPRM10と呼ばれる世界戦略レヴューへの参加に招き入れることで、タカ派の批判者を取り込もうとした。また、カーター大統領は現在の危機委員会の幹部メンバーをホワイトハウスに招集し、政権の軍備管理への攻撃を控えるよう訴えた。その見返りとして、カーター大統領はメンバーに対し、ズビグニュー・ブレジンスキー国家安全保障問題担当大統領補佐官とハロルド・ブラウン国防長官への非公開の面会を約束した。
しかし、現在の危機委員会が「幻想に基づく政策を追求し、ソ連が権力と帝国を拡大する一方で、我々は漂流し、不確実な状況に陥っていた(Pursuing a policy built on illusion, we have been adrift and
uncertain while the Soviet Union expanded its power and empire)」と警告する中、保守派からの批判は消えなかった。
SALT II条約をめぐる激しい論争が繰り広げられた。第二の現在の危機委員会のメンバーは連邦上院委員会でSALT IIに反対する証言を行い、479件ものテレビ・ラジオ番組、記者会見、公開討論、有力者への説明会、演説に参加した。委員会は20万部のパンフレットを配布した。批准の見込みが薄れると、カーター大統領は連邦上院での審議から条約を撤回した。元国務長官サイラス・ヴァンスは次のように述べた。「現在の危機委員会がSALTの弱体化に大きく関与していたことは疑いようがない」。
現在の危機委員会の第3期は2004年に誕生し、「アメリカ国民と自由を尊ぶ何百万もの人々の安全を脅かす過激イスラム主義者」に対抗し、アメリカ国民を結集させるという使命を掲げた。100人を超えるメンバーの多くは、イラク戦争の根拠構築に大きな役割を果たした「新アメリカ世紀プロジェクト(the Project for the New American Century、PNAC)」と密接に連携していた。
このグループの最新版(第4)である「現在の危機委員会:中国(the Committee
on the Present Danger: China、CPDC)」は、2019年4月9日にワシントンDCで開催された記者会見で発表され、テッド・クルーズ連邦上院議員、ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長、そしてトランプ大統領の元大統領顧問であるスティーヴ・バノンが発言した。CPDCは、2011年から2017年にかけて国防予算が横ばいだった時期を経て、中国に対する強硬な政策と持続的な軍備増強に対する政治的支持を確立することを目指している。
CPDCは、中国の指導者たちが「世界覇権(global hegemony)」への道を切り開くために、「アメリカを弱体化させて最終的には打ち負かし(weaken and ultimately defeat America)」、「西側諸国の民主政治体制を転覆させようとしている(subvert Western democracies)」と主張している。「数十年にわたるアメリカの誤算、不作為、そして宥和政策(decades of American miscalculation, inaction and appeasement)」の後、CPDCはアメリカに対し、「国家権力のあらゆる手段を動員(mobilizing all
instruments of national power)」してこの課題に立ち向かうよう求めている。中国指導部との妥協を求める人々に対して、CPDCは「共産党が国を統治する限り、中国との共存の希望はない(no hope of
coexistence with China as long as the Communist Party governs the country)」と警告している。
●脅威を過剰に売り込むことの危険性(The Danger of Overselling
Threats)
中国の台頭がもたらす困難な課題にもかかわらず、ホワイトハウスとCPDCから発せられる反中国キャンペーンは、過去の恐怖煽動と比較しても依然として誇張されすぎている。今日、中国がもたらす軍事的・イデオロギー的脅威は、旧ソ連がもたらした脅威と比べれば取るに足らないものであり、中国はかつてのソ連よりもはるかに深く世界経済と国際機関に統合されている。中国は革命の輸出(to export revolution)や既存の国際秩序の転覆(overturn
the existing international order)などではなく、むしろその秩序の改革とその中での地位と影響力の拡大(reform of and greater status and influence within that order.)を目指している。中国の台頭は誇張されているが、内外における課題は過小評価されている。一方、アメリカ自身の継続的な強みは、あまりにも過小評価されがちである。最後に、冷戦時代とは対照的に、アメリカの同盟諸国がアメリカに倣って、中国を弱体化させ封じ込めようとする野放図な試みに走る可能性は低い。
しかし、政治的に見れば、再び「国を恐怖に陥れる(scare hell out of
the country)」ような試みは完全に理にかなっている。軍事費増額を主張する強硬派は、国民の外的脅威に対する認識を増幅させることで国内の支持を得ている。
しかし、こうした定期的な恐怖キャンペーンは真の危険をはらんでいる。最も明白なのは、国際紛争を不必要に悪化させることだ。脅威を誇張するレトリックは、たとえ国内向けに意図されたものであっても、ライヴァル諸国の恐怖を煽り立てる可能性がある。さらに、他国を悪者扱いするレトリックは、妥協が可能な具体的な利益相反(conflicts of interest)という対立の構図を、解決がはるかに困難なイデオロギー対立へとすり替えてしまう。
さらに、国民が完全に動員されると(fully mobilized)、大統領が都合よく恐怖を和らげる必要があると判断したとしても、その恐怖を和らげるのは困難になり得る。冷戦(the Cold War)を善と悪の闘争(a struggle between good
and evil)と定義したトルーマン大統領は、中国国共内戦における共産党の勝利をアメリカは阻止できないと現実的に結論づけたことで、反逆罪(treason)の非難を浴びた。同様に、共産党の白熱した言辞は、ジョセフ・マッカーシー連邦上院議員が赤狩り(a Red Scare)を仕掛け、最終的にアイゼンハワー政権をも標的にすることで政治的影響力を獲得する土台を作った。
現在のところ、アメリカ国民が中国との二元論的な(マニ教的)闘争(a Manichean
struggle with China)に賛同する用意があるという兆候はほとんど見られない。しかし、共産党の歴史が示唆するように、警鐘はしばしば効果を発揮する。最近の米中関係の冷え込みは、米中両国国民に不利益をもたらす深刻な冷え込みへと転じる可能性がある。
※デイヴィッド・スキッドモア:アメリカ合衆国アイオワ州デモインにあるデューク大学政治学部教授。
(貼り付け終わり)
(終わり)
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』





