古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治について2つの章で詳しく分析しました。2024年はアメリカ大統領選挙もあり、アメリカ政治にとって重要な年になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

著書『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(2021年、秀和システム)と『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(2023年、徳間書店)で取り上げた、ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の創業者にして、元米国防次官(国防総省ナンバー3)ミッシェル・フロノイが書いた重要な論稿をご紹介する。この論稿のもう1人の著者であるウェンディ・R・アンダーソンは、ビッグデータ分析業であるパランティア社の上級副社長を務めている。パランティア社は、フロノイが創設した、コンサルティング会社ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の顧客だ。現在、アメリカ政府の国家情報長官(Director of National IntelligenceNDI)を務める、アヴリル・ヘインズは、ウエストエグゼク社在職中に、パランティア社のコンサルタント業務を行っていた。パランティア社の技術は、アメリカ政府の各情報・諜報機関と国防総省の対テロ対策に使用されている。パランティア社と国防総省は高度技術の提供契約を結んでいる。ウエストエグゼク社とジョー・バイデン政権にかかわる人脈については是非拙著を読んでいただきたい。

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ミッシェル・フロノイ

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アヴリル・ヘインズ

 民間のアトランティック・カウンシルが、アトランティック・カウンシルの国防技術革新採用委員会を設置し、中間報告書を発表した。この報告書を取りまとめたのが、ミッシェル・フロノイとウェンディ・R・アンダーソンだ。

彼女たちが取りまとめた内容は、以下の通りだ。国防総省が中国との競争に対応するために法的制限の緩和や予算データの改善を求めており、連邦議会にも新しいデジタル「ダッシュボード」の導入を提案している。国防総省内の官僚的なプロセスを合理化し、新たな兵器計画の立ち上げを促している。国防総省が技術革新を迅速に導入する能力不足に言及し、国防総省がソフトウェアの開発や取得において問題を抱えていると報告書で指摘している。

報告書は、連邦議会が主導する予算編成と計画プロセスに焦点を当て、国防技術革新ユニット(Defense Innovation UnitDIU)の役割拡大や運用実験との連携を強調している。アメリカのソフトウェアの優位性を活かすためには、国防総省全体で革新的なソフトウェアを採用し、従来の取得システムを超える必要がある。国防総省のチーフ・デジタル・AI局(CDAO)の設立や戦略資本局の活用を提案し、中国の脅威に対抗するためにソフトウェアの取得を加速させることが不可欠であると述べている。アメリカの戦闘力を維持するために、国防総省がソフトウェアの活用に注力する必要があり、議会と指導者が行動を起こすことが重要だ。そのためには連邦議会とホワイトハウスの指導力が必要だと主張している。

 国防総省は中国に対抗するために、最先端技術を導入して、アメリカ軍を増強すること、そのためには、国防総省により柔軟な予算運用が必要であり、そのためには国防総省により権限を持たせるべきだということになる。そして、民間の最先端技術開発を行っている各企業との協力関係を強化するということになる。これは、アメリカの「新・軍産複合体」づくりの一環であり、アメリカの産業政策の一環でもある。中国と対抗するために、アメリカは官民を挙げての「総動員」体制を取るということになる。

(貼り付けはじめ)

報告書では、「連邦議会は国防総省に武器や物資購入と予算編成の面で柔軟性を与えるべきだ」と主張(Congress should give Pentagon more flexibility in buying, budgeting, report urges

-マーク・エスパー元国防長官とデボラ・リー・ジェイムズ元空軍長官が共同議長を務めるアトランティック・カウンシルの国防技術革新採用委員会が報告書を発表し、国防に関する武器や物資取得を加速させるために政府の国防以外の諸機構における改革を奨励している。

シドニー・J・フリードバーグ・ジュニア筆

2023年4月12日

『ブレイキング・ディフェンス』

https://breakingdefense.com/2023/04/congress-should-give-pentagon-more-flexibility-in-buying-budgeting-report-urges/

ワシントン発。国防総省を改善するための動きは連邦議会から始まる。これこそが、マーク・エスパー(Mark Esper、1964年~、59歳)元国防長官(トランプ政権)とデボラ・リー・ジェイムズ元空軍長官が共同議長を務めるアトランティック・カウンシルの委員会の中心的主張である。

本日発表された委員会の中間報告書は、国防総省が中国と競争するために必要なスピードと規模で新技術を導入する前に、立法府は年度途中でのプロジェクト間の資金組み替えから新興企業との契約に至るまで、様々な分野で法的制限を緩和しなければならないと主張している。また、国防総省の年次予算要求において、より詳細でない予算データを連邦議会が受け入れることも求めている。

その見返りとして、連邦議会は新しいデジタル「ダッシュボード」を手に入れ、国防総省のアドヴァナ取得分析から最新のプログラム情報に直接アクセスできるようにする、というものだ。

報告書はまた、新たな兵器計画の立ち上げに必要な多くの公式要件を生み出す、悪名高い官僚的な、統合能力統合開発システム(Joint Capabilities Integration and Development System JCIDS)プロセスを回避して合理化するなど、国防総省自身が実行できる内部改革を促している。 ジェームズは本日、これらの勧告の1つである防衛技術革新ユニット(Defense Innovation Unit)の強化が既に先週国防総省によって実行されたことを指摘した。しかし、報告書でなされた10の広範な勧告のうち、9つは少なくとも、連邦議会における太陽を必要としている。

エスパーは本日午後の報告書発表の席で、「技術革新に関しては、アメリカは世界のリーダーである。私たちは世界の羨望の的だ。この国に技術革新の問題はない。しかし、国防総省がこの先端技術を迅速に導入する能力は、極めて不十分である。問題はそこにある」。

リーも同様に次のように述べた。「アメリカ合衆国には技術革新の問題がないということではない。しかし、国防総省内では技術革新の導入に関する明らかな問題を抱えている」。

国防総省が、重要な技術を試作品やパイロット・プロジェクトの段階から、官僚的ないわゆる死の谷(valley of death)を越え、大規模な製造と配備にこぎつけるのに苦労していることは、一般的な理解である。しかし、報告書の処方箋の中には、国防総省が直接関与しないものも含め、明白とは言い難いものもある。

例えば、報告書は連邦議会に対し、国防総省がよく利用するが運営はしていない、中小企業庁の中小企業技術革新研究(Small Business Innovation ResearchSBIR)助成金プログラムを改革するよう求めている。現在SBIRは、上場企業やヴェンチャーキャピタルからの出資が50%以上の小規模企業には申請を認めていない。しかし報告書は、この2つの条件によって、特にソフトウェア分野の研究開発新興企業の多くが除外されていると主張している。「これらの企業にSBIR補助金での競争を認めないことで、国防総省は産業基盤の中で最も技術力のある一角の技術競争を制限している」と報告書の著者は書いている。

しかし、報告書の提言の大部分は、議会が主導する予算編成と計画プロセスに焦点を当てたものである。エスパーとジェームズは序文で、5人のプログラム・エグゼクティブ・オフィサー(Program Executive OfficersPEO)に、各PEOが監督する複数の調達プログラム間で資金をシフトする権限を与えるパイロット・プロジェクト案を紹介している。これには連邦議会の承認が必要である。

報告書はまた、現在1700を超えるBLIPEが存在する小規模なプロジェクトが、予算内で独自の予算項目とプログラム要素を持つようになり、国防当局がそれらの間で資金を自由に移動できるようになった。この場合、国防総省は事前に許可を得なければならない現在のシステムではなく、30日以内に連邦議会に資金を戻すことができる。どちらの変更も、失敗したり行き詰まったりしたプロジェクトから、より将来性のある、あるいは緊急性の高い他のプロジェクトに資金を移動させることを、より簡単にかつ迅速にするものである。

なお、エスパーとジェームズは報告書の序文を書いたが、本文を書いた訳ではないし、必ずしも全ての項目を支持しているわけでもない。そのため、小さな字で 「本中間報告書に示された分析および提言は執筆者個人の見解であり、必ずしも委員会の見解を反映するものではない」と断り書きが入っている。

これらの執筆者は、シンクタンク所属の研究者で元国防総省高官からコンサルタントに転身したホイットニー・マクナマラ、MITREのソフトウェア取得専門家であるピーター・モディリアーニ、ジョージ・メイソン大学の研究員時代に委員会のために働いたが、その後連邦上院軍事委員会のスタッフになったエリック・ロフグレンである。

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決定的に重要なこの10年間においてアメリカのソフトウェアの優位性をどう活かすか(How to leverage America’s software advantage in the decisive decade

ミッシェル・フロノイとウェンディ・R・アンダーソンは、この新しい論説記事の中で、国防総省がソフトウェアの開発と取得を加速させる方法についてのヴィジョンを述べている。

ウェンディ・R・アンダーソン、ミッシェル・A・フロノイ筆

2023年6月13日

『ブレイキング・ディフェンス』

https://breakingdefense.com/2023/06/how-to-leverage-americas-software-advantage-in-the-decisive-decade/

アトランティック・カウンシルは今年4月、国防総省とそのパートナー機関が技術取得のスピードアップを図るために取るべき措置を取りまとめた新しい報告書を発表した。以下の論説では、その報告書の執筆者の2人、ミシェル・A・フロノイとウェンディ・R・アンダーソンが、ソフトウェア取得をめぐる問題をどのように解決すべきかについて、さらに詳しく述べている。

ジョー・バイデン大統領の国家安全保障戦略(National Security Strategy)は、2020年代を「決定的に重要な10年間(decisive decade)」と呼んでおり、ウクライナにおけるロシアの侵略や台湾に対する中国の脅威の増大によって、そのことが強調されている。しかし、アメリカの国家安全保障に必要な多くの主要防衛装備計画(major defense acquisition programs)は、今後10年間で実現される予定はなく、各軍は2030年代まで、これまでのレガシー・プラットフォームに依存し続けることになる。

このギャップを埋める1つの方法は、国防総省全体で革新的なソフトウェアを採用し、活用することである。ソフトウェアは、アメリカ軍が既存のプラットフォームから新たな能力を引き出すと同時に、信頼できる安全な意思決定のスピードと資源配分の効率を高めるのに役立つ。

しかしながら、大規模で精巧な兵器システム用に設計された現在の取得システムは、ソフトウェア開発や「サーヴィスとしてのソフトウェア(software as a service)」モデルの活用に最適化されていない。また、従来の国防総省のソフトウェア取得は、しばしば苦痛を伴うほどの時間がかかり、エンドユーザーから切り離され、到着時には時代遅れになっている。

国防総省のソフトウェアへの取り組み方について、レガシー・システムを超える時が来た。今後、国防総省は、軍がソフトウェアを迅速に実戦投入し、テストやユーザーからのフィードバックによって継続的に改善できるようなプロセスを導入すべきである。ソフトウェアを多用するシステムは、運用上のニーズや脅威が発生した場合に対応できるよう、迅速に更新されるべきである。

ここ数年、いくつかの進展があった。国防革新会議(Defense Innovation Board)と国防科学会議(Defense Science Board)の両方が、ソフトウェア取得への新たなアプローチを求めており、その結果、ソフトウェア取得経路(software acquisition pathway)が創設された。2022年には、キャスリーン・ヒックス国防副長官が国防総省ソフトウェア近代化戦略(Department of Defense Software Modernization Strategy)に署名し、今年3月には実施計画が承認された。ソフトウェア取得経路は、迅速かつ反復的な能力提供を可能にするため、ソフトウェア開発に安全性テストを統合することで、従来の官僚主義的な障害を克服しようとするものである。

しかし、これはまだ有意義な形で実施されていない。今こそ、現在の勢いを利用して、ソフトウェアの採用を数十のプログラムから省庁の隅々まで確実に拡大する時である。

これが、私たちがアトランティック・カウンシルの「国防技術革新採用委員会(Commission on Defense Innovation Adoption)」に参加している理由の一つだ。先月、同委員会は、国防総省が最先端技術を採用し、運用ソリューションを迅速かつ大規模に戦闘員に提供する能力を加速させるための10の提言を強調した中間報告書を発表した。

最初の提言のひとつである国防技術革新ユニット(Defense Innovation UnitDIUの役割拡大は、既に部分的に実施されている。4月、ロイド・オースティン国防長官は、DIUを同長官直属に昇格させた。これは有望なスタートである。私たちの報告書は、DIUが国防総省全体でソフトウェアを含む商用技術の効果的な採用と拡大のための中心的な接点として機能するよう、適切な資源を確保することを勧告している。

DIUは、ソフトウェア取得経路のような既存の権限を活用するための組織的な擁護者となり、営利企業が国防総省とビジネスを行う方法を知るための調整機関となることができる。DIUはまた、サーヴィスおよび防衛機関が、商用ソリューションを購入するための方法を活用し、可能な限り共通技術を活用するよう努めるべきである。同時に、多くのソフトウェア企業が国防総省とビジネスを行う際に直面する障壁(クラウド環境へのアクセス、データ権利契約、施設や職員のクリアランスの確保など)を減らすことも重要である。

また、運用実験を獲得成果に結びつけることも極めて重要である。有望な技術が演習で実証されても、取得が遅れたり、まったく取得されなかったりすることが発生することが多い。アメリカ議会は、環太平洋合同演習や、その他の合同演習・サーヴィス関連演習のような、新しい技術やソフトウェア・アプリケーションをテストすることを目的とした主要な演習で実証される、運用上適切で成熟した商用技術のスケーリングのための資金を承認するよう勧告する。この資金は、有望なソリューションのより迅速な生産と実戦配備を可能にするため、連邦議会が提供したより柔軟な取得権限を採用するよう訓練され、インセンティヴを与えられた人員を擁するプログラム実行局または組織に向けられるべきである。

アメリカ会計検査院(Government Accountability OfficeGAO) は、国防総省のチーフ・デジタル・AI局(CDAO)は省全体のAI取得戦略を策定すべきであり、軍サーヴィスもAI取得プロセスをナビゲートするための独自のガイダンスを策定すべきであると述べている。

この資金は、民間資本を活用して生産と規模拡大を支援することができる、新設の戦略資本局(Office of Strategic Capital)を通じた融資保証の利用とマッチングされるべきである。この提言は、今日戦闘指揮官が直面している深刻な作戦上の課題に対する重要な解決策の獲得を劇的に加速させるために利用できる。

革新的なソフトウェアの取得を加速させることは、この10年間、アメリカの戦闘力を維持する上で極めて重要である。現在の課題は、アメリカの民間部門がこの技術の生産に苦労していることではなく、国防総省がこの技術を迅速かつ効果的に活用するのに苦労していることである。中国が2027年までに軍事近代化計画を完了させることを目指しているため、時間は限られている。幸いなことに、ソフトウェアの採用は、議会と国防総省の指導者が今行動すれば、実質的な進展を迅速に実現できる分野の一つだ。

ウェンディ・R・アンダーソン:パランティア社上級副社長(連邦政府、国家安全保障担当)。故アシュトン・カーター元国防長官首席補佐官を務めた。

※ミッシェル・A・フロノイ:ウエストエグゼク社共同創設者・経営パートナー。元国防次官。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 現在のアメリカのバイデン政権における複数の重要閣僚は一つのコンサルタント会社の出身だ。それは「ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)」という。その代表がミシェル・フロノイ(Michèle Flournoy)元国防次官だ。これまでアメリカの国防長官に女性が就任したことはない。女性初の国防長官になるならこの人だとずっと言われてきたのがミシェル・フロノイだ。フロノイが代表を務めるウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社からジョー・バイデン政権に重要閣僚が多く入っている。詳しくは拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただきたい。バイデン政権とアメリカの外交政策について理解するにあたり、本書はお役に立てるものと自信を持っている。以下の記事はロシアによるウクライナ侵攻に関する発言をまとめたものだ。こちらも是非お読みいただきたい。

(貼り付けはじめ)

元国防次官がウクライナ紛争を乗り切るための企業へのアドバイスを語る(How A Former Under Secretary Of Defense Is Advising Companies To Navigate Ukraine War Disruptions

スティーヴン・エリルリッチ筆

2022年3月8日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/stevenehrlich/2022/03/08/how-a-former-under-secretary-of-defense-is-advising-companies-to-navigate-ukraine-war-disruptions/?sh=561db783b54d

「物事はより良くなる前にはより悪くなる(Things will get worse before they get better)」。オバマ大統領の下で国防次官を務め、クリントン大統領の下では国防次官補代理を務めたミシェル・フロノイは、クライアントからロシアのウクライナ戦争について尋ねられた時、まずこのような助言をするそうだ。

現在、ボストンコンサルティンググループと提携し、企業の役員や民間企業に助言を行っている、ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)の共同設立者兼マネージングパートナーであるフロノイは、1945年以来ヨーロッパで最大の地上戦に至った経緯と、今後数ヶ月から数年の間に企業が行うべき難しい選択について企業が理解できるよう日々取り組んでいる。

『フォーブス』誌とのインタヴューの中で、フロノイは、よくある誤解として、弾丸や迫撃砲が飛んでこなくなれば、いつでも元の状態に戻るという考えをすぐに否定する。実際、戦闘が終わった後も、課題はずっと続くという。フロノイは「紛争が解決するにはかなりの時間がかかるし、その後もプーティンのせいで多くの制約や制裁が残るだろう」と述べた。

フロノイは、この紛争がこれほどまでに難航するのは、プーティン側の一連の失策と間違った思い込みが、彼を泥沼に陥れたからだと言う。中でも、アメリカとヨーロッパの同盟諸国が、ロシアの金融部門と中央銀行に対して前例のない制裁措置を科したことで、厳しい統一的な対応をとることを予測できなかったことが大きい。フロノイは「NATOが見せた結束の度合いにプーティンはショックを受けたのだろう」と述べた。

フロノイはまた、プーティンの「近代的な」ロシア軍への誤った信頼も指摘しており、おそらく「イエスマン」に囲まれているために、彼は2014年のウクライナ南東部のクリミア半島の併合と同様の迅速な勝利を期待するようになったのだ。

最後に、そしておそらく最も重要なことは、ウクライナの人々の意思を否定したことである。フロノイは「彼は自軍を過大評価し、またウクライナ軍と、ウクライナ国民が冷戦終結後に経験した民主政治体制と自由のために戦おうとする度合いを過小評価した」と発言した。

これらのことは、ロシア、特にプーティンが否定的な結果、または膠着状態に陥る可能性があることを意味する。実際、従来の常識では、ロシア軍の規模の大きさから、最終的にはウクライナを敗北させると考えられてきたが、フロノイは必ずしもそうとはならない可能性を示唆している。フロノイは「現在、アメリカのロシア軍アナリストの間では、ロシア兵がキエフを包囲することはできないかもしれないとの憶測が流れている」と発言している。たとえ主要都市が陥落しても、ロシア軍に対抗するための十分な資金と洗練された抵抗軍が存在するとフロノイは予想している。

今日の紛争と歴史的な類似点を探すとき、多くのアナリストは1938年のドイツのスデーテンランド侵攻を、宥和政策(appeasement)の危険性を示す教訓として見ている。しかし、フロノイは、第二次世界大戦中のロシアのウクライナ侵攻を、1942年のヒトラーのロシア侵攻になぞらえて、別の見方をする。フロノイは、ロシアのウクライナ侵攻を、1942年のヒトラーのロシア侵攻になぞらえ、「あれは過剰拡張(オーヴァーリーチ、overreach)で戦争に負けたが、彼はそのことを知らなかった」と述べた。

フロノイは、プーティンも同じ傲慢さに屈したと言う。フロノイは次のように発言した。「ウクライナ東部や、ロシアの勢力圏を再構築するために使ってきたグレーゾーン戦術を超えるつもりだという過信(overconfidence)だ。今、私は通常の軍事力を使って他の国を侵略しようとしている。これは戦略的誤算や過剰拡張の典型的なケースとして歴史に残るだろう」。

しかし、ウクライナの支援者たちはロシアの苦戦を心強く思うかもしれないが、投資家や経営者、その他の利害関係者が心配する理由もまた存在する。紛争が解決しないまま長引けば長引くほど、制裁はより厳しくなり、ウクライナの統治は、それがどういう形であれ、より困難になる。

そうなると問題は、プーティンがどう対応するかである。また、この偶発事故(misadventure)がプーティン個人に大きな影響を与える可能性もないとは言えない。フロノイは「確率の低い出来事だ。しかし、事態が進行するにつれ、ロシア国内の抗議運動が増え、オリガルヒの間で不満が増えれば、プーティンは大統領の座から追われ、場合によっては声明を失う可能性もある」と述べた。

フロノイは、このロシアの冒険主義(adventurism)が世界最大のホットスポットの一つである台湾に与える影響についても、クライアントに助言を与えている。中国がロシアを見習い、1949年の共産主義革命以来、北京の大きな目標である台湾を武力で制圧しようとするのではないか、と多くのアナリストが考えている。

しかし、フロノイは、ロシアの挑戦と評判の大暴落が、そのような侵略がすぐに起こる可能性を低くしていると考えている。台湾の蔡英文総統と会談し、台湾の人々がウクライナの意志の強さに心を動かされたと語ったばかりだ。

加えて、中国の立場からフロノイは、習近平国家主席が国際的に孤立してしまうことに監視を持っていないと指摘している。フロノイは更に、中国がロシアと緊密な関係を築き、経済的な結びつきを強めていると思われているが、それに惑わされないことが重要であると指摘する。実際、ウクライナ戦争は両国関係を冷え込ませることになりかねないと指摘する。「今、彼らは制裁の効果を弱めようとこれまで以上の努力を傾けている。しかし、最終的には、これが、プーティンにとって、うまくいかなければ、習近平は、距離を置く方法を見つけることになると考えている」とフロノイは述べた。

台湾はアメリカにとってウクライナよりもはるかに大きな貿易相手国であり、今日の経済にとって不可欠な半導体などのハイテク製造に携わっているため、この分析は投資家にとっては多少の安心材料になるかもしれない。

しかし、アジアで事業を展開する投資家や企業は、ウクライナで起きていることと無縁でいられると考えるべきではない。フロノイは最後に、ロシアの制裁対象機関に協力する中国の銀行や企業に影響を与えかねない二次的制裁に注意するよう、クライアントたちに助言を与えた。これらの企業は、関連する制裁違反の罪を犯すことになり、最終的にアメリカの罰則に直面することになりかねない。アメリカの経済戦争に決して好意的でない中国は、おそらく報復措置を取るだろう。

フロノイは「私たちは、多くのクライアントが、中国でのビジネスに関するリスク管理とリスク軽減の戦略を練っています」と述べた。

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瀬戸際にあるロシアとウクライナ:ミシェル・フロノイとの対話(Russia and Ukraine on the Brink: A Discussion with Michèle Flournoy

2022年2月15日

ウィルソン・センター

https://www.wilsoncenter.org/event/russia-and-ukraine-brink-discussion-michele-flournoy

■概説(OVERVIEW

ロシアがウクライナとの国境に兵力を集め続ける中、アメリカとNATOは起こる可能性がある紛争を抑止するための選択肢を検討する。ウィルソン・センターは、ミシェル・フロノワ元国防次官との対話を開催し、ウクライナの現場状況の詳細、抑止力の見通し、そしてこの危機がアメリカの安全保障上の利益に与える影響について検討した。

■重要なポイント(Key Takeaways

ウクライナ東部、ベラルーシに駐留しているロシア軍、黒海のロシア海軍部隊は、ヨーロッパが戦争の瀬戸際にいることを示唆している。特殊作戦や空挺部隊投入も視野に入っている。外交的な打開策と危機の緩和の可能性はますます遠のいている。

バイデン政権は、ロシアの偽旗作戦の可能性を示す情報などを積極的に共有し、ロシアの偽情報や作為的な挑発の影響を軽減することを政策として決定した。アメリカはまた、外交と潜在的制裁への統一的アプローチを確保するため、連合軍と欧州の同盟諸国の結束を強化することに重点を置いている。

このシナリオにおける「真の成功」とは、プーティンが成功するはずがない、あるいは侵攻のコストが高すぎると、前もって説得することである。ロシアがウクライナに侵攻した場合、成功とは、ロシア軍を撤退させ、ウクライナに民主的に選出された政府を復活させることによって、クレムリンがウクライナを永久にロシアの軌道に乗せるのを阻止することである。

■抜粋(Selected Quotes

●プーティンがウクライナに侵攻したら何が起こるか?(What Can We Expect to See if Putin Invades Ukraine?

「私たちはこれらを異なる時間枠で考えることが本当に重要だと私は考えている。短期的に見れば、ロシアが軍事力をフルに発揮すれば、ウクライナはそれを止めることができないだろう。ロシアは戦術的な勝利を収め、キエフを包囲し、政府に大きな圧力をかけ、もしかしたら政府を転覆させることもできるかもしれない」。

しかし、それは終わりではなく、始まりに過ぎない。今、彼らはそこにいて、より長いゲームとして考えなければならない。まず、ウクライナの人口のわずか10%が戦うと決めたとしても、それはとんでもない抵抗軍になるだろう。そして、西側諸国は、少なくとも何カ国かは、その抵抗を可能な限り支援することは間違いないだろう。エネルギー、金融、旅行、輸出規制、保険業界への制裁など、大規模な制裁が実施され、ロシア船やロシアの輸送が妨げられ、貿易は通常通りできなくなるだろう。

「結果として、非常に重い経済的負担と、完全な外交的孤立が生じるだろう。NATOEUが会合を開き、プーティンは世界のどこでも歓迎されなくなることが予想される。北京で習近平と会談することを除いてということになるが。つまり、これは長期戦だ。プーティン対西側諸国という構図になれば、きれいな図式にはならないし、プーティンにとって勝ち目のないゲームになる。私は、そのような初期の頃を経験し、ウクライナでこの侵略が繰り広げられるのを見る必要がないことを望むが、私は、プーティンが最終的に目的を達成するとは思いません。21世紀において、権威主義的な政府が、主権国家を転覆させることができ、それが不完全な民主政治体制であっても、民主政治が成功することを誰も望んでいない」。

●アメリカとNATOにとって、ロシア・ウクライナ危機からの脱出を成功させる道筋はどのようなものになるだろうか?(What Does a Successful Avenue Out of the Russia-Ukraine Crises Look Like for the U.S. and NATO?

「本当の成功は、プーティンが成功しないこと、あるいはコストが高すぎることを前もって納得させ、状況を緩和する方法を見つけ、プーティンと交渉することだ。しかし、その可能性はますます低くなっている。もし彼が戦争を始めれば、ウクライナをロシアの軌道に永久に乗せることを阻止することが成功の鍵になると考える。そして最終的には、シナリオ通りに彼の軍隊を撤退させ、ウクライナの人々が選んだウクライナ政府を復活させることだ」。

「私たちは現在の状況からでも、現在の危機からでも多くのことを学ぶことができる、そのような教訓がたくさんあると私は考えている。ヨーロッパのエネルギーのロシアへの依存を減らすために、もっと努力する必要があります。欧州のエネルギー面でのロシアへの依存を減らすことにもっと力を入れる必要があるし、アメリカやパートナー諸国におけるサイバーの回復力にももっと力を入れる必要がある。また、バイデン大統領が検討対象から外した通常兵力の投入だけでなく、他の抑止手段についても考える必要がある。そして、どうすれば誤算を避けることができるのか、真剣に考える必要がある。まだ話していないことですが、もし戦争が進めば、ロシア軍とNATO軍が互いに直面することになります。NATO軍は実際に参戦する意図を持っていないとは思う。しかし、ロシアがバルト海の空域に侵入したり、黒海で何かが起きたりすることを想像してみて欲しい。事故の余地、誤算の余地があり、そのようなことがエスカレートにつながらないよう、細心の注意を払わねばならない」。

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元国防省トップが、ロシアが原発を押収したのは「極めて無責任」と発言(Former top defense official says Russia 'extremely irresponsible' in seizing nuclear plants

マイケル・シュニール筆

2022年3月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/sunday-talk-shows/597080-former-under-secretary-for-defense-says-russia-was-extremely

元米国国防次官ミシェル・フロノイは日曜日、ロシア軍がウクライナの原子力発電所を占拠した方法について、「極めて無責任」であると述べた。

フロノイはCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」でキャスターのジェイク・タッパーにこの出来事について質問された際、「私の最大の懸念は、原子力発電所を砲撃するという信じられないほど無責任な方法を取ったことだ」と述べた。

フロノイは更に「実際に格納容器が破損して放射性物質が放出されなかったのは、まさに幸運としか言いようがない。だから、彼らはこの件に関して極めて無責任だ」と発言した。

オバマ政権下で3年間務めた元国防次官フロノイは、ロシア当局が「重要なインフラ、エネルギー、暖房用ガス、水、食料を支配し、再びウクライナ人を包囲下に置き、彼らの意志を挫こうとしている」と述べた。

ロシアは金曜日にウクライナのザポリジャー核施設を掌握した。同施設の訓練センターで火災が発生した。しかし、国連の監視機関である国際原子力機関(IAEA)は、この火災によって大気中に放射能が放出されることはなかったと発表している。

その数日前、モスクワは1986年に致命的な原発事故が起きたチェルノブイリ原発の敷地を占領した。

国防省高官は金曜日、記者団に対し、モスクワ軍がザポリジャー原子力発電所を占拠した後、アメリカはロシアの目先の「意図」に「深い懸念」を抱いていると述べた。

在ウクライナ米国大使館は、ロシアによる原発攻撃は「戦争犯罪(war crime)」だと述べた。

「原子力発電所を攻撃することは戦争犯罪である。プーティンはヨーロッパ最大の原子力発電所を砲撃し、恐怖の支配をさらに一歩進めた」と米国大使館は金曜日にツイッターに投稿した。

ロシア軍は現在、ウクライナの別の原子力施設に迫っていると報じられている。

リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国連大使は国連安全保障理事会で、ウクライナ国内で2番目に大きいとされるユジノウクライナ原発にロシア軍が漸進して近づいていることを明らかにした。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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