古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウエストエグゼク社

 古村治彦です。

 今回は、2021年5月29日発売の新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で詳しく取り上げた最重要人物ミッシェル・フロノイが2017年に発表した論稿をご紹介する。記事の最後にあるフロノイの紹介文に出てくる2つの言葉「国防次官」と「ウエストエグゼク社」がキーワードである。詳しくは是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでもらいたい。
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ミッシェル・フロノイ

 フロノイは2017年に、現在国務長官を務めるアントニー・ブリンケンと一緒にウエストエグゼク社を創設した。ウエスト社はコンサルタント会社であるが、何をやっているのかよく分からない。しかし、下に掲載した論稿を読めば、フロノイとウエスト社が何をやろうとし、何をやってきたかはよく分かる。

 フロノイはロシアからのサイバー攻撃からアメリカの民主政治体制(デモクラシー)を守るために、官民を挙げてサイバー環境の安全を高め、対応能力を向上させるべきだと述べている。「国家安全保障のためのテクノロジー(Tech for Security)」という考えをこの時点で提唱している。この点が極めて重要で、バイデン政権の動向を理解するために必要な考えだ。是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただきたい。

ロシアが2018年の選挙に介入する前にアメリカには戦略が必要だ(America needs a strategy before Russia meddles in 2018 elections

ミッシェル・フロノイ

2017年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/358010-america-needs-a-strategy-before-russia-meddles-in-2018-elections

連邦議会は、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社から経営陣を召喚し、2016年の大統領選挙でのロシアの介入について証言を求めた。連邦上院、下院の両情報・諜報委員会では、ロシア政府がいかにしてSNSの使用者たちのアカウントをハッキングして間違った情報を与えたか、いかにしてアメリカ政治に影響を与えようとしたかについて、厳しい質問がなされた。こうした状況下、私たちは一つの重要なポイントを心に留めておく必要がある。それは、これが単に、フェイスブック社、グーグル社、ツイッター社の個別の問題ではないということだ。それは、国家安全保障上の問題であり、トランプ政権はそのことを認識していないので、アメリカとしての効果的な対応をできていない。

昨年(2016年)、ロシアは、古くからあるKGBの作戦書通りに、アメリカ大統領選挙の結果を与え、アメリカの民主政治体制を棄損するために攻撃を加えた。過去に複数のヨーロッパの国々でも同様の攻撃があったが、アメリカに対するサイバー攻撃によるハッキング、フェイクニュースの拡散、偽情報の拡散、候補者の陣営の情報獲得などの複合的な攻撃は前代未聞の規模となった。

アメリカの選挙に対するロシアの介入についての捜査は継続中であるが、アメリカの諜報部門は、アメリカの有権者たちの疑念と不満を持たせることで民主政治体制への信頼を低下させる、ウラジーミル・プーチンが与しやすいと考える候補者を支援する、最終的にはロシアが国際社会で再び大国の地位を取り戻すといったことがロシア政府の目的であることを明らかにしている。

ロシアの介入は前回の選挙で終わったと考えたい人たちもいるだろうが、ロシアがアメリカに対して情報戦争を仕掛け続けているのはあらゆる証拠が示している。2018年の中間選挙と2020年の大統領選挙について考えてみよう。アメリカの対応がないとなれば、ロシアは思い通りにサイバー攻撃を実施できる。候補者たちのEメールを暴露し、様々なSNSを利用してフェイクニュースと広告を拡散し、投票システムに介入し、選挙の結果の正統性に疑念を持たせることができると様々な可能性を考慮できるではないか?

アメリカにとって緊急で必要なのは、2018年もしくは2020年の選挙でロシアの介入を防ぐための明確な戦略と行動計画だ。そのためには、連邦、州、地方の各レヴェルの政府とテクノロジー企業とメディアの協力が必要で、子の協力には2つの重要な目的がある。一つは、ロシアが仕掛けてくる情報戦争からアメリカを守り、反撃するための能力を向上させることだ。二つ目は、プーチンに将来の介入を思いとどまらせるために、ロシア側へコストを負わせるための戦略を構築することだ。

しかし、トランプ大統領は、アメリカの民主政治体制に対する将来の攻撃を無力化する、もしくは防衛するための能力を向上させるためのアメリカを挙げた努力を行う先頭に立つのではなく、ロシアによる介入を示す諸事実を否定し、それらに反論することに終始している。アメリカの民主政体を守るそのスタートとして、アメリカ政府は選挙に関連するシステムとプロセス全てのサイバー上の安全を強化しなければならない。情報産業の手助けを受けながら、各候補者、選対、そして政党は、 ハッキングされにくいようにしなければならない。そのためには、複数段階での認証を行うなどのサイバー衛生(インターネットの接続環境を良好に保つこと)の改善、複数のアカウントにはそれぞれに別のパスワードを設定すること、Eメールに書く内容に気を付けること、より安全で暗号化されるものがあるならばそちらを使い安全ではない技術を使わないことが重要である。

加えて、州政府と地方政府は選挙の投票インフラの重要な弱点を調べ出し、対応するべきだ。この弱点をロシアは2016年に突いてきたのだ。私たちがまずやらねばならないことは、紙による検証が可能な投票機械を使用することである。ロシアからの攻撃に対する第二線は、選挙結果の監査能力の強化、選挙結果への信頼を向上させるために統計的により厳格な方法を採用することである。米国土安全保障省は安全に関するより厳しい基準の設定を主導しなければならない。連邦議会はこれからの3年間で各州がこの基準を達成することを支援するために予算をつけねばならない。

ロシアの偽情報と「フェイクニュース」に対抗することは、最も困難な作業となるであろう。アメリカにおける根本的な価値観である言論の自由、強力で独立的なメディア、自由で開かれたインターネットという条件下で、ロシアに対抗することは難しい。「フェイクニュース」の影響を減少させるには公共部門と民間部門との間のより緊密な協力が必要となるだろう。フェイスブック社、グーグル社、その他のテクノロジー企業は、自分たちが提供しているプラットフォームの誤った使用に対して適切に対処しなければならない。その具体的な内容は、ターゲットとされている使用者たちへの通知、選挙に出ている候補者たち、選対、政党と協力してインターネット上のネットワークとSNSの安全性を向上すること、フェイクのアカウントを特定し削除する能力の向上、人間が生み出した内容とボットが生み出した内容との区別をつける能力の向上、疑わしい内容の特定と優先性の下降、有料広告の透明性の強化が含まれている。これらの試みは評価され、確立されるべきだ。

私たちは、プーチンがサイバー攻撃と諜報活動をするかどうかを決定する際に慎重に行動するよう、ロシア政府に負担をかけるようにする必要がある。アメリカ政府は、ロシアが我が国の選挙システム、ニューズメディア、SNSを目標にした攻撃を行えないようにすべきだ。私たちは明確な戦略を確立し、深刻なサイバー攻撃への本格的な対応策を複数実行する必要がある。対応策には連邦議会とヨーロッパ連合と協力して対ロシア経済制裁を実行することも含まれる。経済政策を科すことで、大西洋を挟む両岸(アメリカとヨーロッパ)の将来の選挙にロシアが介入すれば相応の代償を支払わせることができる。

まとめると、ロシアは、SNSを民主政治体制への攻撃のための戦場としている。そうではあるが、SNS自体が問題なのではない。実際、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社は、ロシアからの攻撃に対する解決法を確立するための重要なパートナーだ。プーチンは、アメリカ経済で最も革新的な部門であるIT部門には規制が必要だという考えに舌を出して喜んでいることだろう。連邦議会はIT部門に規制を加えたいという誘惑に抗する必要がある。緊急的に必要なことは更なる規制ではない。アメリカ全体での対応策の策定である。テクノロジー部門における革新的な問題解決策の構築によって将来のロシアの攻撃を無力化することである。我が国の民主政治体制と国家安全保障はIT技術に依存しているのだ。

ミシェル・フロノイは2009年から2012年まで政策担当国防次官を務めた。彼女はウエストエグゼク社の共同創設者だ。ウエストエグゼク社(WestExec)はフェイスブックス社を含む多種多様な企業のコンサルタント業務を行っている。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。  

 本日は、私の最新刊の宣伝をいたします。 
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 2021年5月29日に秀和システムから『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を発刊いたします。  

 今年の2月最終週から書き始め、今年の4月上旬に脱稿したものです。現在、最終校の作成中で、その後、最終的に目を通して、印刷へと回ります。  

 本書の表紙やタイトル、帯の推薦の言葉では、師である副島隆彦(そえじまたかひこ)先生にご指導、ご支援をいただきました。ありがとうございます。

 本書では、前半はジョー・バイデン政権の分析、後半はアメリカの分裂に関する分析をしています。第一章では、バイデン政権内のヒラリー・クリントン元国務長官に近い人々に関する分析で、キーワードは「ミッシェル・フロノイ元国防次官」と「ウエストエグゼク社(WestExec)」です。第二章では、政権内のクリントンに近くない人物たち、ジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使、スーザン・ライス国内政策委員会委員長、サマンサ・パワー米国国際開発庁長官を取り上げています。「オバマ政権で最重要閣僚を務めた人物たちがどうして格下の役職に就いたのか」という疑問から分析を始めています。 キーワードは「グレイト・リセット(Great Reset)」です。

 第三章では、アメリカ連邦議会の民主党と共和党内の分裂について分析しています。キーワードは「ポピュリズム(Populism)」です。両党内のエスタブリッシュメント対ポピュリズム派の分裂を分析しています。第四章では、アメリカ社会の変質と分裂について、知識人たちの業績を使って分析しています。「トランプ大統領がアメリカ社会の分裂を生み出したのではない、アメリカの分裂がトランプ大統領を生み出したのだ」というテーマで分析をしています。  

 多くの方々に読んでいただきたいと思います。拡散をお願いいたします。また、手に取ってお読みくださいますよう、よろしくお願いいたします。

(終わり)
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アメリカ政治の秘密
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