古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウクライナ戦争

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争が始まり、2年以上経過している。アメリカ連邦議会が最近、ウクライナ支援のための9兆円の予算を承認可決し、ジョー・バイデン大統領が署名して法律となった。ここまで、ウクライナは西側諸国の支援を受けながら戦争を継続しているが、苦戦を続けている。ロシアは最近になって、ウクライナ東部での攻勢を強めている。ウクライナへの支援が強化される前に、要衝を押さえておくという考えであろう。

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ウクライナ戦争の戦況

 国際社会の動きで言えば、西側諸国(the West、ザ・ウエスト)がウクライナを支援する一方で、西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)はウクライナへの支援に消極的である。国連の場でも、国連総会におけるロシアに対する非難決議でも、西側以外の国々から反対、棄権が多く出た。西側諸国としては、西側以外の国々にウクライナ支援に賛成、積極的に参加してもらいたいところだ。しかし、グローバル・サウス諸国は、「自分たちには自分たちの問題があって、そちらの方の優先順位が高いのは当然だ」ということになる。インドを例に取ると、インドは経済成長著しい状態にあるが、そこで問題になるのは、資源高、特に石油価格の高騰である。インドは、アメリカとも同盟関係にあるが、ロシアからの安い石油を輸入している。インドにしてみれば、「他人の不幸を喜ぶ」ということになるが、これは、国際関係においては当然のことだ。

 西側諸国が西側以外の国々からの支援を受けようと思えば、手厚く支援をしなければならない。日本のODA外交はその一環である。西側以外の国々は、自分たちの有利な立場を利用して、より多くの支援を引き出そうとする。そのような動きをする。「狡猾、ズルい」という感覚を持つかもしれないが、繰り返すが、これは国際関係の実態である。そのような中を私たちは生きていかねばならないが、何よりも重要なのは、最悪の事態、戦争にならないようにすることだ。

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グローバル・サウスにとってウクライナが優先課題ではない理由(Why Ukraine Is Not a Priority for the Global South

-貧困諸国は徐々に、「私たちの優先事項があなた方にとってより大きな意味を持つようになるまで、あなた方の優先事項が私たちにとってより大きな意味を持つことはないだろう」と言い続けている。

ハワード・W・フレンチ筆

2023年9月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/09/19/unga-ukraine-zelensky-speech-russia-global-south-support/

 

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領がニューヨークでの国連総会で演説を行うために国連ビルに到着(2023年9月19日)

今週、世界の指導者たちが年次国連総会のためにニューヨークに集まる中、彼らの演説のテーマの多くは非常に予測可能なものであるため、儀式化された国際的な議論の一部として理解される可能性がある。

気候変動と地球温暖化を防止する必要性についての議論が交わされ、その中には、海面上昇によって近い将来消滅する危険性のある小規模な島嶼諸国の指導者たちの感情的な訴えも含まれる。前時代のグローバリゼーションが後退しているように見える今、国際貿易に対する開放性を維持することが求められるだろう。権威主義的国家は、不干渉と強者による弱者の主権の尊重を求める常套句を繰り返すだろう。そしてもちろん、特定の地域であれ世界規模のものであれ、平和の促進を求める、真剣な声も上がるだろう。

一方、豊かな西側諸国からすれば、ロシアのウクライナ戦争ほど重要で大きな話題はないだろう。今年、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ウクライナの領土を吸収しようとする2年来のロシアの動きを食い止めようとする自国の努力に対する、アメリカや国際的な支援を強化する目的で、アメリカを訪問した

ウクライナの指導者ゼレンスキーの、国連への出席、そして今週後半にはワシントンでジョー・バイデン米大統領と会談する予定であることは、キエフとロシアの対立の国際的側面をまれなほど明確に浮き彫りにしている。それは、しばしばグローバル・サウスと呼ばれる地域の指導者多数が国連に到着した時期と一致するからである。

これまでの数カ月間、アメリカとヨーロッパの政治家や外交官たちは、グローバル・サウス諸国の政治家や外交官たちに対し、ロシアの侵略を非難する上で、原則として西側に肩を並べるよう懇請してきた。そしてほぼ同じ期間、西側諸国の当局者たちは、彼らの訴えに対する反応が弱かったことに困惑、落胆、悔しさを表明してきた。

このため、世界の貧困国や中所得国がなぜ明らかな大国の侵略事件にこれほど無関心なのかという問題は、魅力的かつ重要な問題であるにもかかわらず、これまで貴重なほとんど明確な思考の対象になってこなかった問題となっている。

一般的な見方では、グローバル・サウスの国々がロシアを批判することに消極的であるのは、弱者が長年採用してきた古くて論理的な戦略によるものだと思われている。つまり、いくつかの国々、例えば西側諸国に支配されているのであれば、より自由に動ける場所を手に入れるため、支配されている国々のライヴァル諸国を応援するというものだ。これは典型的なバランシング(balancing)であり、貧しい国々はロシアに対してだけでなく、過去数十年間の目覚ましい台頭の中で、中国に対しても同様のことを行ってきた。自分が弱ければ、パートナーを望むものだ。一般的に言えば、パートナーは多ければ多いほど喜ばしい。彼らがあなたの好意と支持を求めて競い合えば、猶更のことだ。彼らがいなかったら、何十年にもわたって国際システム、つまり、アメリカと西ヨーロッパを支配してきた勢力と手を組むことになるだろう。

この説明には真実が存在しているが、十分とは言えない。問題の核心に近づくためには、国際関係をめぐる標準的な言葉のいくつかを探らなければならない。グローバル・サウス(global south)はその1つであり、少しの精査にも耐えられない。他の人々が指摘しているように、このレッテルの下に日常的にまとめられている国々の多くは、特に南というわけではなく、イデオロギー的、経済的、民族的、言語的、あるいは人種的なものであれ、他の一貫した特質をほとんど共有していない。私は毎年春に大学でグローバル・サウスをテーマにした授業を担当しているが、毎年この命名法の問題に悩まされている。

ところで、西側諸国(the West)も、それ自体、あいまいで不正確な造語であり、注意深い思考にはあまり耐えられない。報道では、西側とはアメリカと東に拡大しつつある西ヨーロッパだけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、そしてしばしば日本、イスラエル、韓国、アパルトヘイトの時代には白人支配の南アフリカも含むと日常的に理解されてきた。

しかし、西側として知られるこの便宜的な用語の下にひとまとめにされている国々の苦境と同様に、広く使われているもう一つの用語がある。それは「発展途上世界(developing world)」です。ここでの問題は、不正確さ(imprecision)と言うよりも、婉曲表現(euphemism)だ。私たちが発展途上国に属する国について話すとき、それは実際に発展していることを前提としているが、多くの人にとっては実際にはまったくそうではない。西側諸国はロシアのウクライナ侵攻に反対する支持を集めようとする一方で、発展途上諸国の無理解や西側諸国に対する信頼の欠如を嘆くこともある。

しかし、その理由の1つ、そしておそらく最も重要な理由は、チラチラと見えている。この軽率な言葉の使用は、「発展途上(developing)」諸国の多くが経済的静止状態、もっとひどい場合は停滞と経済後退に陥っているという現実を見えなくしている。ここで、作為的な国の集まりとは対照的な、ある真の地理的地域が明らかに際立っている。それはアフリカである。

世界の多くの国が、一人当たり GDP だけでなく、人間開発、長寿、環境福祉、社会福祉などの指標を含む他の多くの点でも、「先進(developed)」諸国にますます後れをとっているのは事実だ。しかし、アフリカは明らかに人間の緊急事態(human emergency)であるにもかかわらず、それ以外のものとして扱われてきた。ブルームバーグ・ニューズによる最近の報道では、アフリカ大陸の相対的な窮状が印象的に記録されており、この報道ではアフリカが過去10年間にどのように地位を失ったかが数多く記録されている。

西側諸国は、主に短期的な、利己的な目的のために、アフリカに対して選択的ではあるが弱めの注意を払っている。その中で最も明白なのは、人口の点で、世界で最も急速に成長している大陸からの大規模な移民のスピードの減速と、イスラム過激派との戦いである。これらの目的はどちらも、西アフリカにおけるフランスの崩壊しつつある立場の中心となっている。西アフリカではつい最近まで、フランスはサヘル地域の旧植民地に対して並外れた影響力を保っていたが、元植民地で属国であった国々が、怒りをもって、古い形のパートナーシップを放棄するのを目にするだけのこととなった。

これは長い間、フランスが「協力(cooperation)」と呼んでいたもので、実際にはアフリカ諸国政府への財政、外交、安全保障上の支援を意味し、移民を食い止め、宗教的反乱勢力と戦うことを優先していた。もちろん、世界基準で極端に貧しい人々の生活水準も含め、これらの国々の経済を向上させるための持続的で公的な説明責任を果たす努力は、ほとんど道端に置き去りにされてきた。

これは本末転倒の措置ではなかったか、と問われる時期が来ている。移民と原理主義者のテロと反乱を引き起こし続けているのは、貧困(poverty)と持続的な低開発(persistent underdevelopment)が原因ではないか? これがフランスとアフリカの旧植民地だけに関係する状況だと考えるのは怠慢ということになるだろう。以前にも書いたように、ガーナは西アフリカ「協力」の成功例として何度も取り上げられてきたが、同様に繰り返し壊滅的な債務危機(crushing debt)に見舞われてきた。ガーナが、安定の防波堤(bulwark of stability)であり、しばしば西洋型の民主政治体制(Western-style democracy)として想像されているものの模範とされてきた、この地域において、現在、状況が再び悪化しているのだ。

ガーナの問題(低・低中所得国の他の経済不振諸国の問題と同様)の責任の一部は、間違いなく自国の政府と、公務員の汚職や肥大化した国家(bloated state)に関連した問題にある。しかし、同様に、私たちの国際システムには、貧しい人々や弱い人々の足を引っ張り、軽視し、彼らの発展の努力を妨げる長年の構造的な問題が存在するのは間違いない。しかし、世界の富裕層はむしろ他のことについて話したがるだけだ。

この現実に正面から向き合う代わりに、ヨーロッパ諸国とアメリカ(西側諸国)は最近、世界の貧しい人々の同情と協力を求める外交政策の優先事項をもう1つ付け加えた。それは、ロシアに奪われた領土を取り戻すためのウクライナの戦いである。ウクライナがロシアに奪われた領土の支配権を取り戻す戦いである。しかし今、アフリカだけでなく、グローバル・サウス(成長していない国々を意味する)でも、私たちは曲がり角に来ているようだ。貧困層が富裕層に対して、「私たちの優先事項があなた方にとってより大きな意味を持つまで、あなた方の優先事項が私たちにとってより大きな意味を持つことはない」と言うケースが増えているのだ。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり海外特派員を務めた。最新作に黒人として生まれて:アフリカ、アフリカの人々、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War.)』がある。ツイッターアカウント:@hofrench

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 下に紹介しているシェンゲン協定(Schengen Agreement)とは、ヨーロッパ諸国間で国境での審査や検査なしで国境通過を許可する協定だ。加盟している国(ヨーロッパの国)の国民であれば、加盟している国々の間を自由に往来できる。日本のパスポート所有者であれば、それに近い形で往来ができる。ヨーロッパ連合(European UnionEU)の加盟諸国とほぼ重なるが、EUに加盟していなくてもシェンゲン協定に加盟している国があるし、逆にEUに加盟していながら、シェンゲン協定には加盟していない国もある。

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シェンゲン協定に関するヨーロッパの現状

 今回ご紹介している論稿では、「ヨーロッパ諸国の間での武器や装備品の軍事移動が自由にできるようにすべきだ」という内容だ。ヨーロッパはEUNATOという枠組みでまとまっている(加盟していない国もあるが)。両組織共に、大雑把に言ってしまえば、「対ソ連(現在は対ロシア)でまとまる」ということになる。ロシアが戦車部隊と先頭にして退去として押し寄せてくるというイメージがあるようだ。

 それが、2022年2月からのウクライナ戦争で現実のものとなるかもしれないとヨーロッパ諸国で懸念が高まった。また、ロシアがウクライナ戦争への参戦はロシアに対する敵対行為となり、核兵器による攻撃の可能性も排除しないということになって、ヨーロッパ諸国、特に西ヨーロッパの先進諸国は及び腰となった。ウクライナが戦闘機をはじめとする、より効果の高い、より程度の高い武器の供与を求めているのに、西側諸国は、ロシアからの核攻撃が怖いものだから、ウクライナの要請を聞き流している。ヨーロッパ諸国の考えは、「自分たちにとばっちりが来ないようにする、火の粉が降りかからないようにする」というものだ。

 ヨーロッパ諸国はまた、アメリカの力の減退、衰退を目の当たりしている。そこで、「これまではアメリカに任してきたし、本気で取り組む必要がなかった、対ロシア防衛を本気で考えねばならない」という状況に追い込まれた。ロシアはヨーロッパの東方にあり、もし戦争となれば、ロシアに隣接する、近接する国々の防衛をしなければならないが、これらの国々は小国が多く、とても自分たちだけでは守り切れない。そこで、西ヨーロッパからの武器や装備人の支援が必要となる。しかし、これが大変に難しい。
 ヨーロッパはEUとして一つのまとまりになっているが、それぞれの国の制度が個別に残っているので、道路や鉄道の規格が異なるために、武器を陸上輸送するだけも大変なことだ。軍事移動の自由がかなり効かない状態になっている。まずはそこから何とかしなければならないということになる。

 今頃になって慌てているヨーロッパ諸国、NATOはお笑い草だが、ロシアが西ヨーロッパに手を出すと本気で心配して慌てだしているのは何とも哀れだ。経済制裁を止めて、エネルギー供給を軸にした以前の関係に戻れば何も心配はいらない。そのうちにこう考えるようになるだろう、「アメリカがいるから邪魔なんじゃないか」と。ヨーロッパのウクライナ戦争疲れからアメリカへの反発が大きくなっていくかもしれない。

(貼り付けはじめ)

「軍事シェンゲン圏」時代が到来(The ‘Military Schengen’ Era Is Here

-ヨーロッパ共通の軍事的野心の第一歩は自由な移動について理解することである。

アンチャル・ヴォーラ筆

2024年3月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/04/europe-military-autonomy-nato-schengen/

2024年1月下旬、ドイツ、オランダ、ポーランドの3カ国は、3カ国の間に軍事輸送回廊(military transport corridor)を設置する協定に調印し、ヨーロッパ全域の軍事的流動性(military mobility)を向上させるという、長い間議論されてきたがほとんど追求されてこなかった目標に大いに弾みをつけた。ドイツ国防省のシェムティエ・メラー政務次官は、この回廊によって軍事移動が「真の軍事シェンゲン圏(true military Schengen)への道を歩むことになる」と述べた。ヨーロッパの政策立案者たちが、シェンゲン圏内の人と商業物資のヴィザなし移動を、ヨーロッパ全域の軍隊と軍事装備の移動に適応させるというアイデアを浮上させたのは、これが初めてではない。しかし、このアイデアは現在、明らかに勢いを増している。

軍事シェンゲン圏構想が浮上したのは、ロシアによるクリミア併合の後だった(2014年)。ロシアによるクリミア併合から10年、ウクライナへの侵攻から2年が経過した今、ヨーロッパはロシアのウラジーミル・プーティン大統領が更に西側への軍事行使に踏み切る可能性に備える必要があることを認識しつつある。ヨーロッパの軍事関係者たつは、冷戦で学んだ教訓を掘り下げている。その中には、軍の機動性に関する具体的な教訓も含まれている。

しかし、複数の専門家、外交官、軍関係者が本誌に語ったところによると、その進展は望まれているよりもはるかに遅れている。ポーランドのNATO常任代表であるトマシュ・シャトコフスキは本誌に対し、「ルールの自由化は誰もが支持している。しかし、問題は2015年以来、私たちはそれについて話し続けてきたということだ」。彼らは、ヨーロッパは冷戦時代の緊張が戻ってきた可能性があることを認めており、ヨーロッパ諸国が兵員や物資を効果的に移動させるには「長い道のり(long way to go)」があると述べた。

ヨーロッパにおける軍事ミッションに関連するあらゆるものの通過には、官僚的なハードルから決定的な遅れの原因となるインフラのギャップまで、さまざまな障害がつきまとう。バルト三国であるエストニアのヨーロッパ連合(European UnionEU)議員で、外務委員会の副委員長を務めるウルマス・パエトは、軍事的機動性を10段階の中で3段階でしかないと評価し、現在、バルト三国に物資を送るには「数週間から少なくとも1週間以上」かかると述べた。

書類仕事は煩雑で大変だ。様々な国の様々な省庁から、時には国内の様々な地域から、いくつもの承認を得る必要がある。ほとんどの道路や橋は民間用に建設されたものであり、重い軍事機材の重量に耐えられるとは考えられない。中央ヨーロッパの燃料パイプラインは東部諸国に伸びていないため、燃料供給の遅れが長期化すれば、決定的な要因となりかねない。更に言えば、旧ソ連諸国の鉄道の軌間はヨーロッパの鉄道の軌間とは大きさが異なり、戦時に数千人の兵員や装備を列車から別の列車に移すことは、さらに時間のかかる作業となる。

軍事シェンゲン圏の最初の提唱者であり、この言葉を作ったと思われる、NATO司令官を務めたベン・ホッジス中将は、少なくともここ数年、軍事移動性について議論が盛り上がっているのは良いことだと評価している。ホッジス司令官は最近のミュンヘン安全保障会議に出席し、本誌の取材に対して、「現在、様々な国の様々な政府機関の閣僚たちが軍事シェンゲン圏について話しているのを聞くようになっている」と語った。

ホッジス元司令官は、危機に際して迅速に行動する能力は、軍事抑止ドクトリンの重要な部分であると述べた。彼は更に、軍隊が動員され、迅速に移動する能力は、敵にとって目に見えるものでなければならず、そもそも攻撃することを抑止するものでなければならない、と述べた。

ホッジスは「私たちは装備や兵力だけでなく、迅速に移動し、予備部品を供給し、燃料や弾薬を保管する能力など、真の能力を持たなければならない。ロシアに私たちがそうした能力を持っていることを理解させる必要がある」と述べた。

ホッジスは、ドイツ、オランダ、ポーランドの合意は素晴らしいスタートだと称賛し、このような回廊は他にも数多く検討されていると述べた。ブルガリアのエミール・エフティモフ国防長官は、同盟諸国はギリシャのアレクサンドロウポリスからルーマニアへの回廊と、アドリア海からアルバニアと北マケドニアを通る回廊を優先すべきだと述べた。

ホッジスは続けて、「彼ら(同盟諸国)はギリシャからブルガリア、ルーマニアまでの回廊を望んでいる。これら全ての回廊の目的は、インフラの面でスムーズなルートを確保するだけでなく、税関やすべての法的なハードルを前もって整理しておくことだ」と述べた。

ドイツ、オランダ、ポーランドの回廊は多くの構想の中の最初のものであり、ボトルネックを特定して解決し、将来の回廊のモデルとなる可能性があると期待されている。匿名を条件に本誌の取材に応じたあるドイツ軍幹部は、この回廊ではあらゆる問題を調査すると述べた。この軍幹部は、ドイツでは各州、つまり連邦州が領土内を通過する軍隊や危険な装備について独自の法律を定めているため、平時においては当局が連邦手続きを円滑化することも可能になると述べた。戦争時には、回廊は「単なる通り道以上のもの(much more than a road)」になるだろうと彼は付け加えた。

上述の軍幹部は「危機発生時にはおそらく10万人以上の兵士が出動するだろう。移動を停止し、休憩し、スペアパーツを保管する倉庫や燃料保管センターにアクセスできる場所が必要となるだろう。そのようなシナリオには、戦争難民の世話をするための取り決めも必要になるだろう」と述べた。

これは、3カ国の間でさえ難しいことだ。20数カ国の加盟国間の協力、特に武装した兵士や危険な機械が関係する協力には、更に数え切れないほどの規制が課されることになる。前述のウルマス・パエトは、「防衛は、『国家の権限(a national competence)』であり、各国は共有したいものを共有する」と述べた。軍事的な荷重分類があり、重戦車の重量に耐えられる橋がどこにどれだけあるかといったような重要なインフラの詳細については、各国はなかなか共有しない。

ヨーロッパ外交評議会(European Council of Foreign Relations)というシンクタンクの防衛専門家であるラファエル・ロスは、インフラの必要性に関するカタログは存在しないと述べた。ロスは「どこにどのようなインフラが必要なのか、明確になっていない」と本誌に語った。ヨーロッパ政策分析センター(Center for European Policy AnalysisCEPA)が2021年に発表した報告書によると、欧州では高速道路の90%、国道の75%、橋の40%が、軍事的に分類される最大積載量50トンの車両を運ぶことができる。ウクライナの戦場でロシアを相手にステルス性を証明したレオパルド戦車やエイブラム戦車は、重量がかなりある。

ホッジスは次のように語っている。「レオパルド戦車の重量は約75トンで、エイブラムス戦車はもう少し重い。これらの戦車のほとんどは、重装備輸送車(heavy equipment transportersHETs)の荷台に載せられて輸送され、HET1台あたりの重量は約15トンから20トンだ」。CEPAは、トラック、トレーラー、重戦車の組み合わせは120トンをはるかに超える可能性があると指摘し、軍事的移動に適したインフラはほぼ存在しないことになる。

EUは、軍民両用インフラに資金を提供する必要性を認めており、既に95件のプロジェクトへの資金提供を承認している。ポーランド大使とホッジスはともに、EUのインフラ資金調達手段であるコネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(Connecting Europe FacilityCEF)に割り当てられた資金が65億ユーロから17億ユーロに削減されたことを懸念していると述べた。

CEFを通じて資金提供される国境を越えた鉄道プロジェクト「レイル・バルティカ(Rail Baltica)」は、ヨーロッパの鉄道網をリトアニア、エストニア、ラトビアのバルト三国まで拡大する計画で、2030年までに機能する予定だ。しかし、資金面での懸念が現地のニューズで報じられている。更に、フランス、ベルギー、そしてドイツでさえも、ヨーロッパの集団的自衛権にGDPの大きな部分を費やすことが多い東ヨーロッパ諸国への中央ヨーロッパパイプラインの拡張に費用をかけることに強い抵抗がある。

EUの防衛協力を調整するヨーロッパ防衛庁は、陸空の移動に関する官僚的プロセスの標準化と事務手続きを簡素化するための共通フォームの開発に取り組んでいる。しかし、これは25の加盟国によって合意されているものの、これらの「技術的取り決め(technical arrangements)」を国内プロセスにまだ組み込んでいない加盟国は消極的である。

EUの27カ国、NATOの30カ国以上の全加盟国を合意に導くのは大変に困難だが、リトアニアのヴィリニュスで開かれた前回のNATO首脳会議以来、ホッジスには希望を抱くことができる理由がある。昨年7月、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は3つの地域防衛計画(regional defense plans)を発表した。ストルテンベルグ事務総長は、北は大西洋とヨーロッパ北極圏、中央はバルト海地域と中央ヨーロッパ、南は地中海と黒海における抑止力を計画・強化すると述べた。これらの計画によって、NATO加盟国は正確な防衛要件を評価し、それを各同盟国に配分し、その過程で具体的な後方支援の必要性を理解することができる。ホッジスは、これが「ゲームチェンジャー(game changer)」となることを期待している。

※アンチャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』誌コラムニストでヨーロッパ、中東、南アジアについて記事を執筆中。ロンドンの『タイムズ』紙中東特派員を務め、アルジャジーラ・イングリッシュとドイツ国営放送ドイチェ・ヴェレのテレビ特派員を務めた。以前にはベイルートとデリーに駐在し、20カ国以上の国から紛争と政治を報道した。ツイッターアカウント:@anchalvohra

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行いたしました。ウクライナ戦争についても詳しく分析し、『週刊ダイヤモンド』誌2024年3月2日号で、佐藤優(さとうまさる)先生に「説得力がある」という言葉と共に、ご紹介いただいております。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争についてはあらゆる角度からの多種多様な論稿や記事が発表されている。今回ご紹介する論稿は、ロシア内戦介入戦争(シベリア出兵)についての著作を基にして、ウクライナ戦争との比較を行っている。日本ではシベリア出兵(Siberian Intervention)で知られるロシア内戦介入戦争(Allied intervention in the Russian Civil War)は、1917年にロシア革命(10月革命)で成立したボリシェヴィキと、ロシア帝国存続を目指す反ボリシェヴィキである白系ロシアによるロシア内戦に第一次世界大戦の戦勝諸国が介入した戦争を指す。日本もアメリカなどと共に、シベリア地方に出兵し、一部を占領した。ロシア内戦は白系ロシアの敗北、ボリシェヴィキの勝利で終わった。
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 今回のウクライナ戦争では、ウクライナに侵攻したロシアに対して、西側諸国がウクライナに資金や軍事装備を支援している。ウクライナ戦争については、ロシア側をボリシェヴィキ、ウクライナ側を白系ロシアに見立てている。この類推(アナロジー、analogy)がそのまま正しいと、ウクライナが戦争に負けることになる。

 この記事の著者セオドア・バンゼルは、ウクライナを勝利に導くためには、「西側諸国が、明確な長期戦略を策定し、緊密な連携を継続し、自国民に訴えかけることで国内の支持を強化することを続けることだ」としている。残念なことだが、バンゼルの挙げた条件を西側諸国が実行することはほぼ不可能だ。

まず、長期戦略を策定することが既にできていない。戦争の落としどころ、最終目標を決めてそれに向かって進むということができていない。場当たり的に、その場しのぎでウクライナに支援を与えているが、ざるに水を入れているようなもので、その効果は薄れ続けている。西側諸国が緊密な連携をしているということもない。取りあえず、金と適当な武器をウクライナに与えているだけ、誰(どの国)が音頭を取っているかもよく分からない。ヨーロッパの諸大国はアメリカ任せ、自分のところにとばっちり(ロシアからの攻撃、最悪のケースは核攻撃)がないようにしているだけのことだ。西側諸国の国民の間に「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」が蔓延し、アメリカ国民の過半数が「ウクライナにはもう十分してやった」と考えているほどだ。これでは支援継続は難しい。

 こうしてみると、結局、ロシア内戦介入戦争と同様に、ウクライナ戦争は西側諸国の敗北ということになる。いまさら言っても詮無きことではあるが、長期戦になる前に、ウクライナは良い条件で停戦できるときに停船をすべきだった。私は2022年3月の時点でこのことを述べている。こうして見ると、人間は賢くない。謙虚に歴史から学ぶという姿勢が重要である。

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西側諸国による最後のロシア侵攻からの大きな教訓(The Big Lesson From the West’s Last Invasion of Russia

-ロシア内戦への連合国の介入が今日のウクライナについて教えてくれること。

セオドア・バンゼル筆

2024年33

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/03/the-big-lesson-from-the-wests-last-invasion-of-russia/?tpcc=recirc_latest062921

ほぼ全員がミシガン州出身だったとは言え、アメリカ軍兵士にとってロシア北部は厳しい寒さに感じられたに違いない。1918年9月4日、4800人のアメリカ軍が北極圏からわずか140マイルしか離れていないロシアのアルハンゲリスクに上陸した。その3週間後、彼らはイギリス軍やフランス軍とともに、そびえ立つ松林や亜寒帯の湿地帯の中で赤軍(Red Army)との戦いに突入した。最終的に、2年間の戦闘で244人のアメリカ兵が死亡した。アメリカ軍将兵の日記には、最初の遭遇戦の悲惨な様子が描かれている。

「私たちは機関銃の巣に突っ込んで早々に退却した。[ボリシェヴィキはまだ激しく砲撃してくる。私の分隊のペリーとアダムソンは負傷し、銃弾は私の両肩を撃ち抜いた。ひどく疲れ、腹が減った。他の隊員もそうだ。この攻撃で4人が死亡、10人が負傷した]

これらの不運な魂は、ロシア内戦への連合国による介入という、広大かつ不運な事態の一端に過ぎなかった。1918年から1920年にかけて、アメリカ、イギリス、フランス、日本は、バルト海からロシア北部、シベリア、クリミアに数千の軍隊を送り込み、反共産主義の白系ロシアに数百万ドルの援助と軍事物資を送った。これは20世紀における外交政策の失敗の中でも最も複雑で忘れられがちなものの1つであり、アンナ・リードの新著『厄介な小さな戦争:ロシア内戦への西側の介入(A Nasty Little War: The Western Intervention Into the Russian Civil War)』では、鮮明にかつ詳細に語られている。

リードが参戦した将兵たちの個人的な日記と並行して見事に織り成す紛争の詳細は、しばしば別世界のように感じられる。日本軍はロシア極東のウラジオストクを占領した。当初は連合国の中で最もタカ派介入支持者だった、気まぐれなフランスはウクライナ南部の占領を主導し、ムイコラーイウ、ヘルソン、セヴァストポリ、オデッサといった読者にはおなじみの都市をめぐって赤軍と争った。 6万人の軍隊を含む介入に最も多くの資金を投入したイギリスは、迫りくるトルコ軍からバクーを守り、バルト三国でボリシェヴィキに対して海軍の破壊活動を行い、最終的には黒海の港から白人を避難させ、ロシアの周縁部全域を徘徊していた。赤軍の猛攻撃の前に崩壊した。

リードの優れた著書に漂う不穏な疑問は、西側諸国が歴史を繰り返す運命にあるのかということである。介入(intervention)は失敗に終わり、目を凝らして見ると、今日のウクライナへの介入も、物資、人的資源、政治的意志が無限に湧き出るように見える広大で断固としたロシアを前にすると、同様に無駄に見えるかもしれない。アメリカ連邦議会共和党の極右派、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相、ドナルド・トランプ元米大統領たちはそう信じ込むだろう。ロシア介入中にロシア北部の連合国軍のイギリス軍司令官エドマンド・アイアンサイドが語った絶望感は、「ロシアはあまりにも巨大なので、息が詰まるような気分になる」というものだった。

しかし、歴史的な反響が強いにもかかわらず、この2つの介入の違いは、その類似点よりも示唆に富んでいる。綿密な研究は、おそらく更に大きな問いを投げかけている。対外介入を成功させる条件とは何か? 確かに連合国は失敗を犯したが、公平を期すなら、失敗の大半は自分たちの手に負えないことが原因だった。最も制限的な要因は、白系ロシアの同盟者たちが無能かつ有害だったことだ。白系ロシアは反ボリシェヴィキの社会主義者と無能な元ツァーリ将校からなるバラバラのグループで、根っからの大ロシア独裁者(Great Russian autocrats)だった。白系ロシアはロシア国民の支持を得られず、また決定的なことに、ウクライナ人からバルト人に至るまで、少数民族の宝庫である帝室主義(Tsarist)ロシアをロシアの庇護下に置こうとしていた。

今日のウクライナの置かれた状況ははるかに有利だ。アメリカとヨーロッパ諸国は、目もくらむような道徳的明快さとの闘いにおいて、ヴォロディミール・ゼレンスキー政権のウクライナにおいて統一された断固たる支持者たちを擁している。ロシア経済は戦時中の状況にあるかもしれないが、全体として見ると西側諸国ははるかに多くの資源を手元に持っている。そして、この任務、つまりやる気に満ちたウクライナを敵対的な侵略から守るということは、世界最大の国の政府を打倒するという試みに比べるとはるかに野心的ではない。実際、この2つの介入を冷静に比較すれば、当時の西側諸国の首都のように今は衰えつつある自国の政治的意志が邪魔にならない限り、西側はウクライナを最後までやり遂げるという決意を強めるはずだ。

対外介入に欠かせないのは、明確で達成可能な目的、信頼できる現地の同盟者たち、攻撃可能な敵国、物質的手段、そして最後までやり遂げる政治的意志である。連合軍のロシアへの介入は、ほとんどすべての面で致命的に欠けていた。

リードの物語で最も印象的なのは、連合国軍がロシアで一体何をするつもりだったのかがしばしば不透明なことだろう。確かなことは、全ての西側諸国政府がボリシェヴィズムを嫌悪し、その膨張主義的で感染力のある可能性を恐れていたということだ。しかし、それ以上の戦略や目的はほとんど共有されていなかった。実際、西側諸国の軍隊は当初、ドイツ軍の手に渡ることを恐れたロシア北部と東部の鉄道と連合軍の軍事倉庫を警備するために派遣された。しかし、1918年11月にドイツが降伏した後、状況は少し複雑になった。ジョージ・F・ケナンがその名著『介入の決断(The Decision to Intervene)』の中で述べているように、「アメリカ軍がロシアに到着して間もない頃、ワシントンが考えていたアメリカ軍がロシアに駐留するほとんど全ての理由が、歴史によって一挙に無効にされた」のである。

現地にいた熱心なイギリス軍将校たちは、ウィンストン・チャーチル陸軍長官のような国内のタカ派閣僚に後押しされ、気まぐれなロシアの冒険を擁護して自らの政治資金をほとんど使い果たしてしまったが、すぐに積極的に介入して赤軍と戦うイニシアティヴを確保した。ウクライナ南部など他の地域では、現地の白軍を支援する任務が明確であったが、フランスは一連の挫折と反乱に見舞われたため、すぐに意気消沈し、1919年4月に帰国の途に就いた。

この曖昧さを象徴するのが、ウッドロー・ウィルソン大統領が1918年7月に個人的に書いたメモに書かれたアメリカ軍介入の指示である。ウィルソン大統領はこの決断に苦悩し、「ロシアにおいて、何をするのが正しく、実行可能かについて分かるために血の汗を流している」というのが特徴的だった。ウィルソンはメモの冒頭で、軍事介入は「ロシアの現在の悲しい混乱を治すどころか、むしろ助長する」と警告し、シベリアで活動するチェコ軍団を支援するためと、「北方でロシア人組織が組織的に集まるのを安全にする」ためにロシア北部に米軍を派遣することを約束した。これらは明確な内容とは言い難い。

アメリカ軍将校たちは、これらの指示を疑わしそうに受け止めた。シベリアで8000人の将兵たち(doughboys)を指揮していたウィリアム・グレイブス大将は、アメリカが紛争に関与していることに明らかに懐疑的であり、ウィルソンの指示を赤軍と戦うのではなく鉄道の警備のみを許可するものと解釈していた。グレイブス大将は後に回想録の中で、ワシントンが何を達成しようとしているのか全く分からなかったと書いている。これは全て、シベリアでのより介入寄りのイギリスの同僚たちとは反対の考えであった。彼らは代わりに、白軍の恐ろしく無能な「最高支配者(supreme ruler)」アレクサンドル・コルチャク提督を積極的に支援した。アレクサンドル・コルチャック提督はロシア黒海艦隊の元司令官であり、内陸のシベリアの奥地で、不得意な陸戦を展開していた。ちなみに、コルチャック提督を現ロシア大統領ウラジーミル・プーティンは熱烈に支持している。

ここから白系ロシアの話に移る。おそらく、外国介入、特にウクライナとロシア内戦の両方に対する西側介入のような野心的な介入の必須条件は、現地の同盟国である。それは、西側諸国によるリビア介入後の混乱と、バルカン半島への介入の成功との違いだ。この点で白系ロシアは惨めな失敗を喫した。

どこから始めたらいいのか分からない。コルチャックの他にも、ロシア南部で白軍を率いていた無能なアントーン・デニーキン将軍がいた。彼は、自分の監視下で白軍が行ったウクライナのユダヤ人に対するおぞましいポグロムについて、連合国政府に対して嘘を言ってごまかした。また、11の時間帯にまたがるロシアの全周囲を網羅する、ありえないほど広大でバラバラの戦線で活動する以上に、複雑怪奇な白軍の派閥は、基本的に軍閥(warlords)として行動し、忠誠心や協調性はほとんど存在しなかった。

白系ロシアにとって致命的だったのは、首尾一貫した、あるいは説得力のあるイデオロギーが存在しなかったことだ。アントニー・ベーバーは、彼の素晴らしいロシア内戦史の中で、白系ロシアの敗因を政治的プログラムの欠如と分裂的性質の両方にあると指摘している。「ロシアでは、社会主義革命家たちと反動的君主主義者たちのまったく相容れない同盟は、共産主義者の独裁一本やりにほとんど歯が立たなかった」。

これら全てを赤軍と比較してみる。彼らはモスクワとサンクトペテルブルクの工業の中心地を支配し、より強力な国内通信網を使って内外に活動した。このおかげでレオン・トロツキー政治局員、リードによれば、彼は「洞察力があり、決断力があり、限りなく精力的という、天才に近い戦争指導者として開花した」、白軍がロシア東部と北部から前進する中、劣勢な前線を強化するために装甲列車に飛び乗ることができた。ボリシェヴィキは、破滅的な経済政策を実施し、国内でテロの第一波を引き起こしたにもかかわらず、士気が高く、少なくともその時点では地元住民たちにある程度のアピールをする明確なイデオロギーを持っていた。

そして根本的に、彼らの意志は白系ロシアや西側諸国よりもはるかに強かった。第一次世界大戦の荒廃の後、連合国政府はボルシェビズムの蔓延を恐れたが、疲弊した国民を巻き込むことはできなかった。この点で、歴史的な反響は最も厄介である。国民の支持は当然のことながら低迷し予算は逼迫した。1919年、イギリスの『デイリー・エクスプレス』紙が、今日のアメリカ共和党のレトリックを利用して次のように述べた。「イギリスは既に世界の半分の警察官であるが、全ヨーロッパの警察官にはなれない。東ヨーロッパの凍てつくような平原は、イギリスの擲弾兵一人の骨にも値しない」。シベリアとロシア南部での白系ロシアの挫折は、棺桶に釘を打つようなものだった。当時も今もウクライナでは、介入に対する外国の政治的支持は、戦場での勢いの感覚に最も依存していた。

外交政策立案者たちの仕事は、自分たちがコントロールできるものとコントロールできないものを区別することだ。同盟諸国、地理、敵の脆弱性など、有利な条件を直観できる限り、戦略と目標、政治的意志の動員、努力を支援する資材の提供、調整など、自分たちが管理できる事柄に焦点を当て、同盟諸国とそれらを最適化することが課題ということになる。

現在、西側諸国の首都に蔓延している悲観論にもかかわらず、今日のウクライナ戦争は、ロシア内戦中に連合諸国が直面した状況とは異なり、政策立案者たちが望むことができる、より好ましい状況のいくつかを提示している。白系ロシアと異なり、ウクライナは価値ある有能な同盟国であり、意欲の高い国民を背景に領土を守るために戦っている。ウクライナの大義は正義にかなったものであり、二項対立の特質を西側諸国の国民に容易に説明できる。プーティン大統領の勝利への個人的な意志は強い一方で、ロシア社会を全面的に動員することへの躊躇とその行動を見れば、彼が国民に求めることの限界を感じていることは明らかだ。ロシアの人的資源と物資はウクライナよりも多いが、ウクライナの武装と戦闘を維持するために必要な量は完全に管理可能である。現在連邦下院の共和党極右派が停止させている、アメリカからの600億ドルの補助金は、その見返りに比べれば微々たるものである。ウクライナを擁護することで西側の価値観を擁護する。ロシアを戦略的な落とし穴にはまり込ませ、NATOの東側面の残りの部分を脅かすロシアの能力を低下させる。そして大西洋横断同盟を強化する。現在、西側諸国の首都は、1918年当時に比べてはるかに団結しており、各首都間の防衛連携も強固になっている。彼らはウクライナの終盤戦に対する共通の感覚を鋭くすることはできるが、紛争が何らかの交渉による解決で終わることは誰もが知っている――問題は誰の条件によるものか、である。

もしアメリカとその同盟諸国が、ロシア内戦への西側の介入の落とし穴を避けることができれば、つまり、明確な長期戦略を策定し、緊密な連携を継続し、自国民に訴えかけることで国内の支持を強化することができれば、プーティンに打ち勝つ可能性は十分にある。このような好条件を考えると、長期的な成功への主な、そしておそらく唯一の障害は、この仕事をやり遂げる政治的意志があるかどうかである。

※セオドア・バンゼル:ラザード社地政学顧問会議議長兼執行委員。駐モスクワ米大使館政治部門、米財務省で勤務した。

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(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界政治について詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。


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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 バブル経済崩壊以降、日本は経済成長のない国となった。この状態が30年も続いている。英語の「generation」、日本語では世代と訳すが、これは約30年を意味する。一世代、経済成長がないということになる。1990年代に生まれて、現在20代中盤から30代中盤の若い人たちは、日本が縮小する時代を生きてきた人たちだ。日本はデフレーション(物価の継続的な低下)の中にある。

 そうした中で、安倍晋三政権下、日本銀行は異次元の量的緩和を行い、日本国債を引き受けて、日本銀行券(紙幣)を発行し、現金を市中に流そうとしてきた。市中に流れる現金の量が増えれば、物価が自然と上がる、そうすれば経済成長ということになる、というものだった。日本銀行の黒田東彦総裁(当時)は就任当時、2年間で2%の物価上昇を実現すると宣言したが、それを達成することができないままで、日銀総裁を退任した。現在の植田和男総裁も2%の物価上昇を目標として掲げている。

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 世界的に見ると、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、経済活動が復活する中で、ウクライナ戦争が起き、更にはパレスティナ紛争も始まった。結果として、石油や食料品の輸入価格が高騰し、物価は上昇することになった。これは政府の考えていた道筋とは違うだろうが、とりあえず物価は上昇した。
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しかし、一般国民の給料や報酬は実質的には下がっており、生活は苦しい。物価の上昇率よりも給料の上昇率が高ければ生活は楽になるが、その逆だと生活は苦しくなる。現在の状況は、給料が上がらずに、物価が高いという状況だ。統計で見れば、物価は下がっているが、実質賃金も下がり続けている。このような状況は厳しい。

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 何よりも給料が上がることが重要であるが、それができないということであるならば、生活者としてはデフレの方がありがたいということになる。そのような考えが出ないようにするために賃上げを伴ったインフレが実現することを望む。

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日本はついにインフレーションに突入した。それについて誰も喜んでいない(Japan Finally Got Inflation. Nobody Is Happy About It.

-25年間続いたデフレーションの後、物価上昇に一般国民は怒っている。

ウィリアム・スポサト筆

2024年1月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/15/japan-economy-inflation-deflation/?tpcc=recirc_latest062921

過去25年間、日本の中央銀行と政府は、経済成長の足かせとみなされてきたデフレーション圧力(deflationary pressures)を終わらせることに共通の大義を見出してきた。そして今、それは成功しつつある。しかし、人々はそれを好まない。

標準的な経済理論によれば、高レヴェルの財政赤字(high levels of deficit spending)と超低金利(ultra-low interest rates)は、ほぼ必然的にインフレ率の上昇につながるはずであり、通常、ほとんどの経済にとって問題となる結果となる。しかし、日本は、持続的な物価と賃金のデフレーションという、逆の問題のリスクの代表的な存在となっている。

ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、日本銀行(Bank of JapanBOJ)の行動を強く支持した。バーナンキは、まだFRB理事に過ぎなかった2003年5月、日本金融学会での講演で、「デフレ問題に対処することは、日本経済に実質的・心理的な利益をもたらし、デフレを終わらせることは、日本が直面している他の問題を解決することをより容易にする」と述べた。危機に瀕しているのは日本経済の健全性だけでなく、「かなりの程度、世界の他の国々の繁栄でもある」とバーナンキは言った。彼が後にFRB議長として、2007年から2008年にかけての世界金融危機後に大規模な量的緩和(quantitative easingQE)プログラムを提案した理由の一つは、アメリカにおける同様のデフレの罠(deflationary trap)に対する彼の懸念だった。

これを達成するため、日銀はまず超低金利を試み、それが失敗するとゼロ金利、そして最終的にはマイナス金利を導入した。さらに、成長が見込まれる中小企業に融資する銀行への特別資金供給や、融資を一定額増やした銀行への資金供給など、融資を奨励するさまざまな制度が設けられた。貸出促進策は、主に2つの障害にぶつかった。1つは、日本の銀行は資金を必要としない企業にしか資金を貸したがらないこと(日本の大企業は巨額の現金を保有している)、そして、このような低金利では、融資の開始とサーヴィシングにかかるコストが利払いの利益を上回ってしまうことである。

2013年、安倍晋三首相によって日銀総裁に任命された黒田東彦は、周囲から好かれる人物だった。大蔵省出身で中央銀行内ではアウトサイダーだった黒田総裁は、逆風に警戒心を持っていた。黒田総裁は、日銀のバランスシートを倍増させることで、2年以内に2%のインフレを実現すると約束した。

FRBQEを超え、日本はQQEを導入することになる。QQEとは、量的緩和に質的(qualitative)という考え方を加えたもので、国債だけでなく、よりリスクの高い資産も買い入れることを意味する。その結果、バランスシートは大幅に拡大し、事実上、毎年予算総額の約30%に相当する政府の安定した財政支出を現金化することになった。黒田総裁の10年間の任期中にバランスシートが4倍以上に膨れ上がったにもかかわらず、賃金上昇が物価上昇を促すという「好循環(virtuous cycle)」のアイデアは黒田総裁の在任中ほとんどずっと実現せず、消費者物価指数はゼロ近辺にとどまった。

変化は起きたが、それは中央銀行の政策によるものではなかった。その代わり、主に最近の世界にとってのナンバーワンのゲームチェンジャーによるものだった。それは、新型コロナウイルス(COVID-19)である。輸入コストの上昇とサプライチェーンの混乱により、世界標準から見れば小幅なレヴェルではあったが、物価上昇が経済のほぼ全ての分野で目に見えるようになった。2023年1月までに消費者物価指数は4%跳ね上がり、1981年以来の高水準となり、日本銀行が設定した目標の2%を大きく上回った。この中で、外国人観光客が再び東京や京都の中心部に押し寄せたため、ホテル価格は急騰し、63%上昇した。日本の買い物客にとっては、食品メーカーがコスト上昇を隠そうとするため、「シュリンクフレーション(shrinkflation)」という形で多くの影響が出ている。東京の中心部では、コーヒー1袋がまだ4ドル前後で売られている。大手食品包装会社の昨年の収益が33%急増したのも不思議ではない。

その結果、労働力の減少、良好な経済成長、技能不足が給与を高騰させる中、停滞していた賃金がようやく動きの兆しを見せ始めた。 2023年10月の賃金は前年比1.5%上昇し、春季労使交渉で組合員は平均3.6%の上昇を記録した。

では、なぜ皆が喜んでいないのか? 現実は、この2つの成長の道筋によって、インフレ調整後の実質賃金が着実に低下しているのだ。政府の数字によれば、実質賃金は2023年11月まで20ヶ月連続で減少し、前年同月比で3%の減少を記録した。

マネックスグループのグローバル・アンバサダーであり、日本で最も有名なエコノミストの一人であるイェスパー・コールは、「国民は愚かではない。30年にわたるデフレは終わりを告げたが、日本国民は望むようなインフレを手にしているのだろうか?」と語った。

実際、デフレは日本が相対的に貧しくなるにつれて、政策立案者を歯ぎしりさせたが(技術職のなかには、現在の日本よりヴェトナムの方が給料の良いものもある)、物価が毎年1%前後下落する一方で給料が小幅に上昇するサラリーマンにとっては好都合だった。新しいシナリオはもっと複雑だ。インフレ経済下で働く労働者が証言しているように、賃金はほとんどの場合、小売価格よりもゆっくりと上昇する。黒田総裁が誕生する前の2012年、ある日銀関係者は、中央銀行がデフレを阻止しようとしているにもかかわらず、国民はデフレを好んでいるという調査結果が出たと内々に語っていた。

物価上昇による価格ショックは、岸田文雄首相にとって不本意な打撃である。岸田首相は明確な理由もなく信任の危機に直面している。岸田首相とジョー・バイデン米大統領は、その点ではお互いを同情できるに違いない。

昨秋、政府の支持率が「危険水域(danger zone)」の30%(党が首相として新たな顔を模索する前兆となる数字)を下回ったとき、岸田氏は補助金を提供して政府が持っていない現金を配り始めた。これはエネルギーや公共料金の高騰による影響を抑えるためだった。しかし、これさえも裏目に出て、人気回復を狙っているのではないかとの疑念が出てきた。

コールは、「国民が不満に思っているのは、岸田首相は常に支出を増やしているが、国民がお金を使うためのプログラムがないことだ。日本人はお金に対して合理的で、散財したりはしない」と述べている。

2021年10月に就任した岸田首相は現在、ほとんどの世論調査で20%をわずかに上回る支持を得ており、回答者の3分の2が岸田政権を支持しないと答えている。これにより、通常であれば、与党自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)を実質的に支配する党の長老たちによって解任される機会が出てくるだろう。これは1955年の党創設以来のモデルであり、結党以来以来、6年間を除いて自民党が政権を維持するのに役立った。

しかし、岸田首相はしばらくの間生き残るかもしれない。一連のスキャンダルの最新のものには、違法な資金調達の可能性を巡る自民党の他の幹部も関与しており、潜在的な後継者層の縮小に影響を与えている。また、そもそも岸田首相が首相になった理由の1つは、党内のリベラル派とタカ派の両方を満足させる明確な後任もいないということだ。

もう1つの未解決の問題は、岸田首相、あるいは後継者が実際に25年間にわたるデフレ圧力に終止符を打つことができるかどうかだ。最新のインフレ統計は物価上昇の鈍化を示しており、2023年11月のコアインフレ率(生鮮食品価格を除く)はわずか2.5%上昇と、16カ月ぶりの低水準となった。これは消費者にとっては朗報かもしれないが、一部のエコノミストは、経済が本当に自律的な賃金・物価上昇に向けて舵を切ったのか、あるいは新たな数字が景気後退につながる消費者の低迷を示しているのかどうかについて懐疑的な見方をしている。焦点は今春の労働組合の賃金交渉であり、労働者と政府の両者は、少なくとも現時点では、賃金引き上げによって最終的に労働者がインフレを上回ることができると期待している。この費用を支払わなければならない企業はあまり熱心さを示していない。

しかし、一部のエコノミストは依然として懐疑的だ。野村総合研究所のエコノミストで元日銀理事の木内登英は11月の報告書で、「来春交渉での賃上げは予想される水準に達しないと考えている」と述べた。このため、日銀はマイナス金利の変更を控える可能性があると述べた。他の先進国がインフレ率の急上昇を受けて金融引き締め政策に切り替えている中、日本は依然として超低金利を維持する唯一の国である。

同時に木内は、量的緩和をあまりに長引かせることは、利回りをゼロかそれ以下に保つために国債を購入する日銀のバランスシートが増え続けることを意味すると指摘する。これは、将来金利が上昇した場合、膨大な保有資産の価値が急落するため、日本銀行の財務状況に対するリスクを高めることになる。バランスシートは今や日本の年間GDPを上回っており、その影響は深刻なものになる可能性がある。もしそうなれば、政府は救済を余儀なくされるだろう。しかし政府はすでに、日本銀行を使って自国の金融の行き過ぎを補填している。

平均的な日本人にとって古き良きデフレの日々を懐かしむようになってしまう。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリスト、2015年から『フォーリン・ポリシー』の寄稿者を務めている。20年以上にわたり、日本の政治と経済を追いかけており、ロイター通信と『ウォールストリート・ジャーナリスト』紙に勤務していた。2021年にカルロス・ゴーン事件とそれが日本に与えた衝撃についての共著の本を刊行した。
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が発売になりました。年末年始でお忙しい時期だと思いますが、書店にお立ち寄りの際には是非手に取ってご覧いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ジョー・バイデン政権の外交政策において重要なのは、ウクライナ支援と対中封じ込め政策だ。最近ではそれらに加えて、中東紛争(イスラエルとハマスの紛争)も入ってきている。この記事が書かれた段階では、中東紛争は起きていなかったので、ウクライナ支援と対中封じ込め政策が中心となっている。私は2023年12月27日発売の最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で、これらについて書いているので、そちらも読んでいただきたい。

 重要なことは、バイデン政権の外交政策コミュニティが分裂しているということだ。対中姿勢について、強硬派と宥和派がいるということだ。このことも『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で書いたが、バイデン政権の対中強硬派は、カート・キャンベル米国務副長官(アメリカ連邦上院による人事承認はまだ)である。キャンベルは、現在、ホワイトハウスに設置されている、国家安全保障会議(NSC)インド大洋担当調整官を務めている。キャンベルが国務省ナンバー2の国務副長官に就任することになるが、その前任は、ウェンディ・シャーマンであり、シャーマンは対中宥和派であった。国務省には今年亡くなったヘンリー・キッシンジャー元国務長官系列の外交官たちがおり、対中強硬姿勢に反対しているが、それを制圧するというのがキャンベルの国務副長官人事である。

 バイデンはウクライナ支援も出厳しい状況に立たされている。ウクライナ支援については、アメリカ国民の過半数が「既に十分にしてやった。これ以上は必要ない」と考えている。連邦議会共和党内にも反対論が根強い。連邦下院ではウクライナ支援を切り離しての、イスラエル支援が可決された。バイデンとしては、パッケージとしてウクライナ支援とイスラエル支援をやりたいところだが、それは難しい状況だ。ここで舵取りを間違うと、来年の大統領選挙にも影響が出る。

 バイデンの外交政策の行きつく先は、同盟諸国とパートナー諸国を動員することである。ウクライナ支援とイスラエル支援をヨーロッパ諸国と日本にやらせるということである。イギリスは狡猾なので口だけで、何もしない方向で、負担を他の国々に回す。結局、ドイツと日本が貧乏くじを引かされる。第二次世界大戦の敗戦国にそうした役割を押し付ける。しかし、世界は良い悪いは別にして、第二次世界大戦後の新しい秩序に向かいつつある。2024年はそのような新しい方向への兆候がより明らかになる年になる。

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バイデン・ドクトリンは存在するのか?(Is There a Biden Doctrine?

-第46代アメリカ大統領の外交政策に驚くべき成績がついた。

ラヴィ・アグロウアル筆

2023年2月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/02/02/biden-doctrine-russia-china-defense-policy/

ジョー・バイデン米大統領の就任一期目の中間点を記念し、本誌『フォーリン・ポリシー』は20人の専門家に、ロシアや中国との関係、さらには国防、民主政治体制、移民などの問題についてバイデン政権の実績を採点するよう依頼した。評価は A-(マイナス) から不合格までの範囲で行われた。しかし、より広範に見て、彼の政権の課題を定義する方法はあるのか? バイデン・ドクトリン(基本原則)は存在するのか?

私は洞察を得るために、まったく異なる視点を持つ専門家たちに話を聞いた。ナディア・シャドロー(Nadia Schadlow)はドナルド・トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務め、現在はハドソン研究所の上級研究員である。スティーヴン・ワートハイム(Stephen Wartheim)はカーネギー国際平和財団の上級研究員で、いわゆる永久戦争(forever wars)を終わらせることを長年提唱している。意外なことに、ワートハイムはシャドローよりもバイデンの外交政策、特に中国政策に批判的だった。それはバイデンがドナルド・トランプ前大統領の中国政策をころころと二転三転させたからなのだろうか?
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ナディア・シャドロー
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スティーヴン・ワートハイム

それを知るには、続きを読む必要がある。このインタビューはFP Liveの一環として行われた。購読者はこのページ上部のビデオボックスでインタビューの全容を見ることができる。以下はその要約と編集である。

フォーリン・ポリシー:テーブルにカードを置いてみよう。スティーヴン、もしバイデン政権の外交政策を採点するとしたら、どう評価するか?

スティーヴン・ワートハイム:イェール大学ロースクールで、私は成績をつける必要がないので、これは私にとって慣れない経験だ。評価は分かれるだろう。困難な状況下で実行しているという点では、バイデン政権にはB+という良い評価を与えたい。A-(マイナス)に上げても納得できるところもある。

しかし、アメリカの外交政策がアメリカ国民のニーズやアメリカの国益に応えることができる軌道に乗ったかどうかという点については、私は、Cくらいの低い評価を与えたい。

バイデン政権は、特に中国との関係に関して、私たちをこのような状況に追い込む上で、ポジティブな役割よりもネガティブな役割を果たしたと思う。バイデン自身は大統領として、またアメリカ軍最高司令官として立派な資質をたくさん持っていると思うが、ドナルド・トランプ大統領から受け継いだ政策よりも戦略性に欠け、コストがかかり、リスクの高いアメリカの外交政策を後継者に手渡す危険性がある。

ナディア・シャドロー:採点が非常に主観的なものであることが、この試みの素晴らしいところだ。ジョー・バイデン政権の対中アプローチについては、私はB+に近い点数をつけたいと思う。一方、外交政策の他の多くの側面については、おそらくCをつけると思う。多くの場合、人権政策であれ、エネルギー政策であれ、気候変動関連政策であれ、美辞麗句が多く、美辞麗句と実際の実行との間にギャップがあるからだ。

フォーリン・ポリシー:スティーヴン、バイデンの外交政策に明確なドクトリンがあるか?

スティーヴン・ワートハイム:カーター・ドクトリンやトルーマン・ドクトリンのような、アメリカの死活的利益(U.S. vital interests)を表明し、その死活的利益を実現するためにアメリカが何をするつもりなのかを示す、厳密な意味でのドクトリンは存在しない。

バイデンの全体的なヴィジョンについての質問には、私は「2人のバイデンの物語」だったと言いたい。最初の年、バイデンは永久戦争を終わらせようとし、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が言ったように、普通のアメリカ人の日常生活をどのように向上させるかによって全ての決定を判断することを目指す、アメリカ国民、あるいは中産階級のための外交政策を推進した。

それと、ロシアがウクライナに本格的に侵攻した、ほぼ1年前に登場したバイデンとはまったく異なるものだ。バイデン・ドクトリンは、自由世界(free world)の防衛、特に独裁的で修正主義的な諸大国(autocratic and revisionist powers)、すなわち中国とロシアに対する防衛を重視しているようであり、新たな国家安全保障戦略にはそのヴィジョンが反映されていると思う。バイデンがこうした課題に関連して使っている「自由世界」という言葉が、特に冷戦時代の概念であることは注目に値する。それは、アメリカの同盟諸国やパートナー、そして場合によっては同盟諸国やパートナーではない人々を非自由主義勢力による侵略から守ることとして、否定的に定義されている。それが今、私たちがいるところだ。

フォーリン・ポリシー:その通りだ。あなたは過去に、世界を民主政治体制国家と独裁主義国家に分断されたものとして見るのではなく、ウクライナの戦争をより良い枠組みでとらえるには、主権(sovereignty)について語るべきだと指摘していた。

ナディア、トランプ前政権の戦略において重要な役割を果たした人物として、バイデン・ドクトリンというものが存在するかどうか、あなたはどう考えるか?

ナディア・シャドロー:バイデン・ドクトリンは存在しないと思う、そしてそれを定義するのは非常に難しいだろう、というスティーヴンの意見に同意する。ドクトリンが存在しないのは、時系列的な理由というよりも、むしろ政権内の根本的な分裂のためだ。 バイデン政権内には中国に焦点を当てている人たちがいるが、彼らは世界を競争の場、他の大国やライヴァルとの競争の場として見ていると私は主張する。しかしその後、気候や地球規模の問題を物事の最優先に据える、より伝統的な進歩的で左翼的な政策に固執する人がさらに多くいる。これらすべての問題は国家レヴェルで始まり、実際には国家レヴェルでのみ解決できるものだ。つまり、バイデン政権の大部分が、世界を望む通りすることに固執していることが分かる。

フォーリン・ポリシー:ロシアとウクライナに焦点を移そう。ナディア、バイデン政権がこの1年半ほど、この危機をどのように管理してきたか、あなたはどう感じるか? あなたならどう違った行動を取っただろうか?

ナディア・シャドロー:危機はバイデンが大統領になる前から始まっていた。2014年を出発点とするならば、バラク・オバマ政権はウクライナの防衛力を強化し、ロシアによるこれ以上の侵攻を阻止するか、ウクライナ人によるこれ以上の侵攻を阻止する手助けをするかの選択を迫られていた。そして、その選択をしなかった。

トランプ政権は2017年、ウクライナへのジャヴェリンの提供を再開した。バイデン政権は、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との話し合いで状況が変わることを期待して、これらの防衛兵器の提供を停止することを決定した。つまり、これは2022年2月よりも前のことだった。

バイデン政権は、ロシアによるこの残忍な侵略から自国を守るために必要な武器をウクライナ人に提供するという正しいアプローチを採った。しかし、このアプローチの漸進性には問題があると思う。大統領はおそらく30回ほど、ドローダウン権限(drawdown authorities)と呼ばれるものを行使している。この漸進主義は、ある種のシグナルを発している。兵器を送るという強みを損なう。ロシア側に再編成の時間を与えることになる。例えば、最近発表された戦車派遣の場合、その決定が実際に実施されるのは1年後になる。私たちは、ロシアが計画を立て、適応できるような状況を作っている。戦車派遣が1年遅れたからといって、現地の作戦状況が変わるわけではない。つまり、一連の複雑なシグナルがあるわけだ。

フォーリン・ポリシー:スティーヴン、あなたは違う見方をしている。あなたの感覚では、政権はウクライナを支援する熾烈で団結した連合を実際に構築している。それについて説明して欲しい。

スティーヴン・ワートハイム:これまでのところ、バイデン政権のウクライナ・ロシア政策への対応に対する私の評価は、肯定的なものの方が多い。政権がロシアとの安定的で予測可能な関係を追求したのは正しかったと思う。今となっては馬鹿げているように聞こえるが、それは後知恵の恩恵を受けているからだ。アジアにおける安全保障の課題を考えれば、そうした優先順位を設定しようとすることは理にかなっていた。バイデンが大統領に就任した時、彼は侵攻が起こると理解するとすぐに調整し、情報を公開し、世界の同盟諸国に何が起こるかを準備させるという驚くべき仕事をした。確かに、現在の戦争の状況を見れば、私はウクライナに戻らず、ウクライナを支援せず、ウクライナが失った領土の一部を奪還できるようにすることはないだろう。

私が抱いている懸念は2つある。一つ目は、私たちは本当にどこに向かっているのか、ということだ。バイデン政権は、この戦争における私たちの目標がどこにあるのか、はっきりさせていない。最近の報道では、ウクライナはクリミアを危険にさらし、この戦争の一環としてクリミアを解放する可能性がある。ウクライナがそれを望んだ場合、バイデン政権がどう対応するかは正確には分からない。しかし、その場合のエスカレーションのリスクは非常に大きいので、この戦争の一部としてテーブルに載せるべきではない。私は、ウクライナが自国の理由からそのようなことを望まないだろうと楽観視しているが、これは非常に危険な状況になりかねない。

私はバイデンが第三次世界大戦の可能性について警告したことを賞賛する。彼はリスクを理解している。彼はかなり早い段階で飛行禁止空域を拒否した。彼はエスカレーションのリスクについてはかなり冷静だ。そしてそれに関して、私は彼の功績を認める。しかし私は依然として、西側諸国が送っている実際の軍事支援だけでなく、ある種のレトリックのエスカレーションがあるのではないかと懸念している。バイデン政権は、独裁者の侵略に対抗する民主政治体制を支持するという観点から、ウクライナへの支持を非常に重んじてきたと思うが、それは当然、中国との緊張の高まりを意味し、人々が台湾をウクライナの観点から見るようになっている。これらは、おそらくグローバル・サウス(global south)のウクライナ側に魅力を感じる多くの国にとって実際に不快な枠組みである。なぜなら、本当に危機に瀕しているのは、主権国家に対するロシアの侵略であり、最も基本的な事項の侵害であることを彼らは理解していると思うからである。国際関係のルールと国連憲章における武力行使の禁止は、ウクライナが民主政治体制国家であるかどうかに関係なく当てはまる。

フォーリン・ポリシー:確かに、世界中の多くの国では実際にはそうではないが、私たちは民主政治体制と独裁政治体制を明確にさせる問題として考えるという罠に陥る可能性がある。

ナディア、あなたが政府にいた時、トランプ政権はNATOや同盟構築とまったく異なる関係にあった。それは変化した。アメリカはヨーロッパ諸国やNATOとの関係をどう見ているか?

ナディア・シャドロー:スティーヴンの指摘に戻るが、これはどのような結末を迎えるのだろうか。ウクライナとロシアにも大きな発言権があることを忘れないで欲しい。すべてはアメリカが主導している訳ではない。エスカレーションはロシアの選択にも大きく関係している。

トランプ政権時代、彼は同盟諸国に対し、国防費を増やし、その能力を向上させることに非常に厳しかった。また、石油や天然ガスをロシアに依存しているドイツに対しては非常に厳しい態度をとった。しかし、この2つの問題に関しては、正しい姿勢だったと考えている。

ロシアの侵略で我々が目にしたのは、例えばドイツのような場所では、NATOに非常に懐疑的だったヨーロッパ人の一部が、突然同盟の価値について全く異なる見解を持つようになったということだと思う。それもまた、世界の現実、権力の現実、軍事力の重要性に目が開かれたという事実によって動かされた。それでは、米欧関係の外交はよりスムーズになったのだろうか? スムーズになった。しかし、私は、そこにある基本的なもの、プラス面とマイナス面、そして緊張の両方は前政権時代にも存在し、現在でもある程度は存在していると主張したい。バイデン政権の電気自動車補助金に対するヨーロッパの反発で、私たちは今それを目の当たりにしている。

何年もの間、同盟関係には常に緊張感と協力関係があった。トランプ前政権において、メディアの多くが言うほど劇的に同盟関係が悪化していったとは思えない。

フォーリン・ポリシー:ナディア、あなたはこの対談の冒頭で、バイデン政権の中国政策をかなり高く評価すると言っていた。それは何故か?

ナディア・シャドロー:バイデンの中国専門家(アジア・中国ポートフォリオを担当しているグループ)の大半は、中国をアメリカにとって長期的な戦略的競争相手と見ていると思う。中国は自国の体制内だけでなく、対外的にもイデオロギーや権威主義を推進しようとしているからだ。中国共産党の支配という中国の内部目標と、マルクス・レーニン主義イデオロギーとの間に関連性があると見ている。イデオロギー的な脅威でもある。テクノロジーは、この種の政治経済システムを実現する重要な手段であり、中国の並外れた軍事的近代化を可能にするものだと考えている。そのため、アメリカに危害を加える可能性のある中国のシステム開発を遅らせると同時に、アメリカが内部で行うべきことを進めようとする政策を練り上げてきた。彼らは中国をアメリカにとって長期的な戦略的脅威とみなしている。私もそれには同意する。その根拠はたくさんある。

フォーリン・ポリシー:ナディア、私はこのイデオロギーの戦いについても書いたが、世界の他の国々の多くは同じような分裂を見ていない。彼らは2つの巨大な貿易相手国が激しく対立するのを見たくないと考えていると思う。彼らは半導体産業に対する制裁を目の当たりにしており、自国の経済や企業への二次的な影響を懸念している。あなたは指摘しているが、世界の他の国々が役に立たないと考えているイデオロギーの隔たりをどうやって乗り越えるのか、あなたはどのように考えているか?

ナディア・シャドロー:それは私たちに有用だ。その理由は何が問題なのかを理解する必要があるからだ。それに基づいて一連の政策を策定する必要がある。とはいえ、実際には他国にそのような枠組みを押し付けてはいないと思う。サウジアラビアとはきちんとした関係を築いているし、中国とも強い関係を築いている。対外政策において、特定の路線をとることを各国に強制しているとは思わない。私たちは、たとえばファーウェイを自国の技術に取り入れることが危険だと考える理由を説明している。採掘が行われている多くのアフリカ諸国において、アメリカの労働慣行が中国の労働慣行よりも優れている理由を主張し、事例を示している。しかし、これに同意しないからといって、パートナーシップの輪から追い出すような例はあまり見られない。シンガポールとは非常に良好で強固な関係を築いている。シンガポールが中国やアメリカとも強い関係を持たなければならないことは、私たちも長い間認めてきた。だから、私たちは友好の輪から人々を排除している訳ではないが、他国に対して、経済的な関係であれ、技術への投資であれ、このような関係が長期的にどのような意味を持つのかを適切に伝えているのだと思う。

フォーリン・ポリシー:例えば、半導体へのアクセスに対する制裁では、結局のところ、企業や国を巻き込む一連の要件が下流に存在することになる。

スティーヴン、あなたは過去にこのFP Liveで米中関係の行く末を心配していると発言した。あなたはアメリカの自制をもっと強めるべきだと主張してきた。そのことについて聞かせて欲しい。なぜ心配しているのか? バイデン政権は何を間違えていると思うか?

スティーヴン・ワートハイム:中国と競争することに問題はない。中国に対して競争的なアプローチを採用すべきだ。四極安全保障対話(Quadrilateral Security DialogueQUAD)を活性化させることは、おそらくプラスだと思う。この地域で起きている多くの変化、例えば日本が軍事大国化を画期的に計画していることなどは、北京が行っていることが大きな原因となって起きていることだが、私たちアメリカもそれを助長する役割を果たしている。こうした進展の中には、前向きなものもある。私たちは中国の本質について明確な目を持つべきであるが、最終的に私たちがたどり着きたいのは、競争的な共存関係の場(place of competitive coexistence)だと思う。

ナディアが示唆したように、バイデン政権はこの件に関して2つの考えを持っている。冷戦を避けたい、共存したいというが、それは対中発言における捨て台詞のようなもので、政策においてもますます後回しにされているように見える。私たちは各国に選択を迫っている。私たちの軌道を離れ、私たちとの関係を断ち切りたいのか、そうでないのか。そして、彼らはそれを選択していない。しかし、私たちはそうした選択を強制している。それが、半導体制裁のような制限を科している理由だ。彼らは自発的にやっている訳ではない。それが本当に国益にかなうのであれば、そうすることに問題はない。しかし、そうでないことが心配だ。二次的、三次的な影響が心配だ。

私が特に懸念しているのは、バイデン大統領の台湾に関する発言だ。それは彼のスタッフのせいではないかもしれないが、重要なことだ。そして、私の見解は、確かに抑止力(deterrence)の問題はあるが、安全保障のスパイラルの問題も抱えており、中国政府の越えてはならない一線に忍び寄って越えようとすると、台湾を巡る紛争が起きるのではないかと心配している。だからといって中国政府がそのような状況で行動するのが正しいとは言えないが、私たちは慎重に行動する必要がある。

ロシアに関しては第三次世界大戦のリスクをよく理解しているように見える大統領は、台湾には独立を宣言する能力があることを示唆するような失言をすることで、何度も「一つの中国(One China)」政策を劣化させてきた。それは本当に台湾が決める問題だ。抑止力という点でさえ、何の得があるのか私には分からない。私は、ヤマアラシ防衛戦略(porcupine defense strategy)によって台湾の自衛能力を高めようとするのは正しいと思う。それは理にかなっている。しかし、かなり危険な方法で北京を困らせることはない。

※ラヴィ・アグロウアル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長。ツイッターアカウント:@RaviReports

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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