古村治彦です。
ウクライナ戦争が始まって10カ月が経過している。ウクライナ東部ではウクライナ軍がロシア軍を押し返しているということだが、地図を見れば、ロシア側がまだ東部を一定程度掌握している。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はウクライナの全国土の奪還を目指しているが、ルハンスク州、ドネツク州、クリミア半島を奪還するとなれば、大変な犠牲を払うことが必要とする。
ロシア国内で無人機(ドローン)による攻撃が複数回起きているが、これはウクライナによる攻撃だとされている。ロシア国内にウクライナの協力者、スパイが組織として存在することが分かる。ウクライナのロシア占領地域では、退役軍人会がロシアに対する抵抗運動を組織しているそうだ。そして、一般市民たちも抵抗組織に参加し、協力しているそうだ。こうした人々は、日常生活を送っているふりをしながら、ロシア軍の情報を収集し、それを秘密のネットワークを通じてウクライナ政府に送っているようだ。また、詳しくは書かれていないが、退役軍人会はウクライナの情報当局ロシア軍に対する協力者やロシア側のスパイを摘発するSBUに協力しているようだ。
ウクライナ国民の勇気ある行動は称賛に値する。ウクライナ国民の抵抗を成果につなげる力がウクライナ政府にないというところが残念だ。ウクライナ政府はロシア政府との停戦交渉を拒否しているが、ウクライナ国民の抵抗が継続している間に、できるだけ自分った地に有利な条件で交渉を行い、まとめるということが重要だと私は考える。このことを私は戦争勃発直後から主張してきた。そして、これからも主張し続ける。ウクライナ国民の努力と勇気を無駄にしてはいけない。
この記事を書いているところで、日本語の記事で、ウクライナでは富裕層向けに徴兵逃れを行っている人間たちがいると報じられた。ウクライナは構造的に汚職が蔓延している国であり、そのためにEUに参加できないほどだ。そして、このように「地獄の沙汰も金次第」ということが起きる。ゼレンスキー大統領の国民総動員令、成人男性の出国禁止、野党の解体と財産没収などに対して、国民の側に大きな不満があることも分かる。このような国民の分断という不幸が続くと、ウクライナ国家自体が危機に晒されることになる。こうしたことを停めるためにも停戦が必要だと再度訴えたい。
(貼り付けはじめ)
ウクライナで徴兵逃れ横行 「富裕層にあっせん」
12/9(金) 15:44配信 共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ace7445da6841fea3523120dbfca09e4d57a75b1
ロシアの侵攻を受け、総動員令が出ているウクライナで、徴兵逃れが横行している。富裕層向けに、
兵役免除の証明書入手をあっせんする「脱徴兵ビジネス」に関与する20代男性が9日までに実態を明かした。男性は「武器を手にしたくない人に選択肢を提供している」と正当化するが、抜け穴拡大を恐れる当局は取り締まりに力を入れる。
男性はウクライナ中部の医大生。仲介の依頼があれば、仲間の医師がいる徴兵事務所などで検査を受けてもらい、心臓病などを装った診断書を軍に提出。その後、1週間ほどで兵役免除の証明書、通称「ホワイトチケット」を入手できる。費用は68万~136万円程度。
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ウクライナ側にはロシア国境の裏側(ロシア軍占領地域)で活動する秘密のレジスタンスが存在する(Ukraine Has a Secret Resistance Operating Behind Russian Lines)
-ウクライナの現代のパルチザンは占領を弱体化させるために静かに活動している。
ノーマ・コステロ、ヴェラ・ミロノヴァ筆
2022年11月21日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2022/11/21/ukraine-has-a-secret-resistance-operating-behind-russian-lines/
ウクライナ、キエフ発。キエフ中心部のにぎやかな通りで、黒いパーカーを着た背の高い男がカフェの外に立って、電子タバコを猛烈に吸っている。40代半ばの何の変哲もない男性は、これまでインタヴューを受けたことがなかった。それには正当な理由があった。退役軍人会(veterans associations)の委員長である彼の正式な肩書は、善良な公務員の役割のように聞こえるかもしれないが、ミハイロ(彼の安全を守るためにこの記事の目的で選択された別名)は、パレードやリボンのピン留めからはほど遠いものだ。
ミハイロの仕事は、敵の背後でウクライナのために秘密裏に戦う人々と協力することだ。ミハイロは、ロシア占領地域内のウクライナのパルチザンの主要な戦略家であり、組織者の1
人だ。「彼らが私を殺しても、私の代わりになる人は他にもたくさんいる」と彼はさりげなく言った。そして「私たちは適応し、より創造的にならなければならない。彼らは強いかもしれないが、私たちは頭脳を使う」と語った。
2月24日のロシアのウクライナ侵攻後、休眠状態にあった退役軍人協会が、占領域内でのウクライナ抵抗運動の生命線となった。彼らのネットワークは、ミハイロによれば、2月のロシアの本格的な攻撃の数ヶ月前に配置されていた献身的なヴォランティアに大きく依存していた。「2014年の際には、ロシア人はこれらの地域にとどまるつもりはないと言っていた。ある意味で、ウクライナ国家は準備をしていた」とミハイロは言った。彼は続けて次のように語った。「2014年の退役軍人はこれに参加していたが、今ではほとんど全員が軍隊に戻っている。私たちは、早期に打撃を受けることが分かっていた地域の人々に準備をさせていた。私たちの学校でさえ、私たちは子供たちを心理的に準備させていた」。
当初、政治家たちは、ウクライナの軍事および治安機関の内部の人々が発した大きな警報を無視し、差し迫ったロシアの攻撃に対して様子見のアプローチを取ることを志向した。
しかし、ミハイロのような人々によるロビー活動が成功した後、2021年7月にウクライナ政府は、ウクライナの防衛における民間人の役割を最大化するように設計された、国家抵抗の基本に関する法律を可決した。それは地域に領土防衛グループを設立し、これらの市民防衛グループをウクライナのより広範な治安および軍事機構と結びつけるのに役立たせた。この2月までに、民間人が全国の地域を守ることができるようにするために、武器や訓練を受けていない人々のために、緊急の配送センターが設立された。
ミハイロは、2月24日の攻撃の最初の衝撃の後、ウクライナ国民は、これらの地元の民間防衛ネットワークが互いにつなげ始めたと述べた。ミハイロは次のように語った。「攻撃初日、人々は頭の上からロケットが落下し、標的に対して、正確ではないミサイルが全て着弾したことでショックを受けた。最初の2日間のショックの後、抵抗する必要があることに人々は気付いた。彼らはそれぞれグループに集まり始めた」。
ミハイロのような組織者たちは、ドネツクやルハンスクで経験を積んだ退役軍人が多く、現在はキエフの軍や治安当局と連携している。彼らは当初、情報の流れを調整することに注力し始めた。何が攻撃されているのか、どこに武器が必要なのか、どうやって武器を手に入れるのか、といった情報を把握するのが仕事だった。占領下のスミやハリコフでは、ロシア軍との路上での戦闘が勃発し、防衛ネットワークは、時に負傷したままの元兵士を中心に反撃に出た。ミハイロは次のように語っている。「彼らはRPGなどの武器の使い方を知っている。彼らはソ連軍で訓練を受けたので、ロシアの戦術を知っている。私たちはネットワークを作り、人々をつないだが、彼らはしばしば自分たちのサークルを別々に使っていた。家族ぐるみの付き合いもあった」。
しかし、パルチザンは単に元兵士だけで構成されていたわけではない。公務員、郵便局員、そして猟師までもが、ウクライナのパルチザン運動で重要な役割を果たしたとミハイロは述べている。彼は「森を知る人たちは、私たちに協力したいと言ってくれた。ある人は林業に従事し、ある人は密猟者を捕まえていた。彼らの地域に関する知識は比類なきもので、私たちはロシア軍の動きに関する情報を見つけ、ロシア軍占領地域内の私たちの行動を成功させるために新しい方法を採用するために、彼らと協力した」と語った。
印象的なエピソードとして、国家的大義のために働いた狩猟犬「カバン」のことがある。ロシアがキエフを攻撃し始めたとき、ウクライナ軍は自分たちの立場が非常に弱いことに気づき、地域に存在する資源を活用するようになった。キエフ周辺では、ロシア軍が仮設橋を建設するのを阻止するために、川を氾濫させる計画を立て始めた。ある時、川の水位を大きく上げるためにダムを攻撃しが、その効果があったのかどうかを確認する方法がなかった。
1人の地元の猟師が提供した猟犬カバンは、GoProカメラを装着してロシア領内を移動し、貴重な映像をパルチザンの秘密ネットワークを通じてキエフに送り届けた。飼い主はどのようにしてカバンを敵地から救い出したのだろうか。ミハイロは笑いながら「飼い主が口笛で呼んだら飛んできたよ」と述べた。カバンの行動によって、ウクライナの治安当局は作戦の成功を確認することができた。
パルチザンは、ロシア軍占領地域で利用できる資源は何でも利用した。国境警備隊が持っていた武器を現地の人が回収できるような場所に運んだこともあった。一方、ロシア軍占領地内でウクライナの年金を配っていた女性たちは、ロシアの動静に関する情報を集め始めた。年金資金が底をついても、彼女たちは年金配給と称して家々を回った。
ミハイロは感嘆を込めて「彼女たちは貴重な存在だった」と述べた。このような経路がロシア側に発見されたため、ミハイロさんは、そのこと自体について大まかに話すが、日常で使用されている新たな連絡方法などについては詳しく語ることはない。ミハイロは「多くのパルチザンが殺されたり、拷問を受けたりした。しかし、人々は志願し、行動し続けている。その多くはおばあさん、姉妹、母親たちだ」と語った。
解放されたばかりのケルソン州出身の46歳のイゴールは、ミハイロのパルチザンネットワークの一員だったが、ロシアの動きを撮影していたために敵に拘束され、幸運にも脱出することができた。イゴールはその時の様子を次のように語っている。「私は携帯電話でロシア軍と武器の動きを撮影し始めた。ついに彼らは、私の村の誰かが撮影していることに気づき、検問所を閉鎖して、私たちの携帯電話を調べ始めた。私は写真を削除しましたが、ゴミ箱までは削除しませんでした。彼らが調べると、写真が見つかり、私を連行しようとした。大勢の人が彼らを取り囲み、私の親戚の何人かは彼らにお金とタバコを渡した」。
イゴールにとって、動画を送るための信頼できるネットワークを見つけるのに時間がかかったが、その後、彼の活動を知った養蜂家の父を含む家族や親族が協力を申し出てくれた。
イゴールは次のように述べた。「当初は座標を誰に送ればいいのか分からず、ミコライフ州行政庁に送っていたが、その後、2014年に戦った親戚がいて、その人物がより有効なネットワークを持っていることを知った。ケルソンからミコライフを爆撃し始めたとき、父は恐ろしいと感じ、自分も手伝いたいと考えた。彼はミツバチの仕事をしていたので、ミツバチを飼っている場所や、今忙しいかどうかなど、暗号のようなメッセージを送ってくれた。私たちだけが知っている場所についてメッセージを送ってくれた。人工衛星でも見ることができない、川のそばの景色を見た時もあった。釣りに行ったふりをして、その場所を報告することができた」。
計画レベルでは、ミハイルはウクライナ国内の対反乱活動を行う従来の治安機関であるSBUと密接に連携していることになっていた。SBUはウクライナ政府から正式に任命され、ウクライナ国内に存在するロシアのスパイを探し出し、ウクライナ領内でのロシアの動きを把握する役割を担っている。キエフ市内にあるロシアの武器庫を突き止めたり、リブネにある軍の兵舎の座標と食事時刻を300ドルで売ったウクライナ人コックを発見したりと、ウクライナの治安当局は国内のロシアによる反乱を常に警戒している。ロシアとの国境付近のハリコフ州で情報収集任務に当たっていたSBUのオレクは、「金のためにやることもあるが、それはとても小さなことだ」と話した。
ミハイロは「多くの仲間が逮捕された」と認めた。そして、「いくつかの村では、ロシア人が一軒一軒を訪ね、人々を拷問してネットワークを白状させようとした。退役軍人の名簿を手に入れることもあった。ケルソンでは、政府職員、特に軍人年金受領者のデータベースを全て獲得した」。民間人の犠牲を避けるためにパルチザンが降伏したと複数のウクライナの市長たちが発言したことについて質問すると、ミハイロは「彼らは嘘をついている。それはFSB(ロシア連邦保安庁)のシナリオだ」と明確に否定した。
SBUとその情報将校たちが解放されたばかりのケルソンで反乱活動を始める中、ミハイロはロシア占領地域のパルチザンと活動を続けている。彼らは常に新しい課題に対応し、ロシアの弱点を突くために戦術を変化させている。ミハイロは最後に「プーチンは明らかに歴史書を読んでいない、もし読んでいたら私たちのパルチザンのことを知っていたことだろう。スターリンはパルチザンのついて本当によく知っていた」と述べた。
※ノーマ・コステロ:アイルランド出身のフリーランス・ジャーナリスト。ツイッターアカウント:@normcos
※ヴェラ・ミロノヴァ:ハーヴァード大学訪問研究員。ツイッターアカウント:@vera_mironov
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