古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:ウラジーミル・プーティン

 古村治彦です。

 5月に米中首脳会談、中露首脳会談が北京で実施された。その後、習近平中国国家主席の7年ぶりの北朝鮮訪問、平壌(ピョンヤン)での北朝鮮の最高指導者である金正恩委員長との首脳会談が実施されるという報道が出た。その後、本日8日から習主席による訪朝が実施されると発表された。習近平訪朝の報道が出た後、中国が北朝鮮を自分の陣営、影響圏にとどめておくことを重要視しているという分析が多く出た。それについてはこのブログでもすでにご紹介した。北朝鮮は国際政治の中で、独自の立場を築きつつある。ロシアにはウクライナ戦争への派兵と戦死傷者を出すということで、朝露関係は「血の盟約」に格上げとなった。ロシアからは石油や技術支援を得ることが可能になった。中国への依存度を減らすことに成功した。中国としてこれは困る。北朝鮮が行動の自由を得て勝手な行動を行うことは、予測不可能性が高まり、東アジア地域の安全環境にとってマイナスだ。先日の中露首脳会談で、中国の習近平国家主席はロシアのウラジーミル・プーティン大統領に、北朝鮮との関係について一種の「警告」を発しただろうと私は考えている。

 重要なことは、中朝首脳会談は、習近平国家主席が北朝鮮を訪問する形になるということだ。米中首脳会談、中露首脳会談はドナルド・トランプ大統領、ウラジーミル・プーティン大統領が北京を訪問するという形になった。それに対して、習近平国家主席が北朝鮮までわざわざ足を運ぶという形を取ることで、北朝鮮側の字損信を満足させるということになる。しかし、その代償としては、北朝鮮に対しては厳しい「警告」もあるだろうと私は考えている。もちろん、自分の陣営にとどめるために、支援の約束もするだろうが、「誰が北朝鮮をこれまで支えてきて、国家として存続することを助けてきたのか」ということを金正恩委員長にしっかりと理解させることが最優先事項となるだろう。

中国が見放してしまえば、北朝鮮は国家として存続することができない、もちろんそんなことになれば、北朝鮮は自暴自棄になって何をするか分からないのではあるが、最終的には中国人民解放軍が北朝鮮の人民を「解放」するために国境を越えて侵攻し、現体制の転換、金王朝の打倒を強引に行うということも示唆するだろう。そういうことはしたくないから、核兵器保有までは認めてやるが、それ以上、暴れるようなことはするな、分かっているなということを確認するための中朝首脳会談となるだろう。金正恩委員長も馬鹿ではない。外交に関して軌道修正を行うということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

中国は北朝鮮を自分の陣営にとどめる必要がある(China Needs North Korea on Its Side

-もう筋実施されると見られる習近平国家主席の平壌訪問は7年ぶりとなる。

デン・イーウェン筆

2026年5月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/27/xi-jinping-kim-jong-un-china-north-korea-visit/

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北京の天安門広場で、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩委員長が並んで歩いている(2025年9月3日)

韓国メディアは最近、中国の警備・儀典担当者が既に平壌入りして、準備を進めていると報じ、習近平国家主席が5月下旬か6月上旬に北朝鮮を訪問する可能性があると伝えた。

中国は訪問を正式に発表していないが、今回の訪問は長らく待たれており、習主席の視点からすれば必要不可欠だ。北京と平壌は、表向きは緊密な関係にあるものの、水面下では両国関係はしばしば緊張状態にある。中国は北朝鮮の核保有国としての地位を完全には認めておらず、北朝鮮における影響力をロシアに奪われることを懸念している。

習主席が最後に平壌を公式訪問したのは2019年6月で、7年近く前のことだ。パンデミックによる3年間を除いても、これは長い空白期間であり、その間、習主席は韓国を含む多くの国を訪問している。キューバやヴェネズエラの首脳をはじめ、ここ数週間でドナルド・トランプ米大統領やウラジーミル・プーティン露大統領など、多くの外国首脳が中国を訪問している。平壌にもプーティン大統領やヴェトナムのト・ラム大統領など、多くの賓客が訪れている。

外交儀礼の空白自体が政治的なシグナルとなる。そして、北朝鮮が世界から極めて閉鎖的であるため、中国と北朝鮮の外交は本質的に異例である。中朝両国は共産主義国家であり、相互支援の歴史を持ち、北朝鮮は中国にとって唯一の正式な条約同盟国であるものの、「血で結ばれた(forged in blood)」友情は見た目以上に脆い(fragile)。

習近平国家主席の訪朝が長らく遅れていることは、北朝鮮が事実上の核保有国(a de facto nuclear-armed state)となったという現実を北京がまだ完全に受け入れていないことを反映しており、これが中朝関係の深化を阻む大きな障害となっている。

北朝鮮は既に核兵器を保有しており、一方、中国の長年の外交政策は朝鮮半島の非核化(the denuclearization of the Korean Peninsula)である。北朝鮮の金正恩委員長にとって、核兵器は体制の安全保障を究極的に保証するものであり、小国としての運命を免れ、アメリカと交渉するための唯一の切り札(nuclear weapons are the ultimate guarantee of regime security and North Korea’s only bargaining chip to escape the fate of a small state and negotiate with the United States)である。金委員長に核兵器放棄を求めることは、体制の安全保障を放棄させることに等しい。北京にとって、北朝鮮を核保有国として公然と認めることは、中国が長年堅持してきた核不拡散の立場を損ない、韓国、日本、その他諸国からの連鎖反応を引き起こす可能性がある。

北京はかつてアメリカと協力して北朝鮮に核開発計画の放棄を迫ったが、これは中朝両国関係を悪化させた。その結果、中朝関係は長年にわたり極めて悪化した。最終的に、北京は北朝鮮の核兵器保有を暗黙のうちに容認せざるを得なくなった。つまり、朝鮮半島の非核化を原則として強調し続けながらも、実際には北朝鮮が核保有国であることを認めざるを得なかった。

中国の外交用語には依然として「朝鮮半島の非核化」という言葉が使われているが、もはや中朝関係の中心的なテーマではない。北京は、朝鮮半島の平和と安定、政治的解決、アメリカの軍事的抑止力への反対、そして北朝鮮の正当な安全保障上の懸念への尊重をより重視するようになっている。この変化は重要である。これは、北京が平壌との関係を重視し、米日韓安全保障同盟への対抗を非核化という目標よりも優先させていることを示している。

習近平国家主席の訪朝は、新たな協議の機会となる。北京は、北朝鮮の核問題を中国と北朝鮮の首脳レヴェルの交流を阻害する要因としてこれ以上容認できないと認識したのかもしれない。中朝両国関係は、北朝鮮の事実上の核保有という現状を踏まえて再構築される必要がある。

習主席の訪朝はまた、中国が北朝鮮を自国の戦略的緩衝システム(its own surrounding strategic buffer system)に再び組み込むことを意味するだろう。現在、日米韓の安全保障協力が深化し、日中関係が極めて悪化している状況下で、北朝鮮の中国にとっての戦略的価値は高まっている。核武装した北朝鮮は、もちろん中国にとっても潜在的な脅威ではあるが、日本にとってはより差し迫った脅威であり、北京にとっては切り札となる。

習近平はプーティン大統領のことも念頭に置いている。金正恩がモスクワに接近したのは、中国をロシアに取って代わらせたいからではなく、北朝鮮の安全保障を保証してくれる後ろ盾が必要だからだ。プーティン大統領はまさにその支援を提供する用意がある。しかし、ロシアが北朝鮮に提供できるのは軍事・安全保障面での支援だけであり、1980年代から1990年代にかけて中国が追求し、中国当局が長年北朝鮮に受け入れるよう働きかけてきたような、完全な発展の道筋を示すことはできない。

中国が北朝鮮との距離を保ち続ければ、北朝鮮はますますロシアに接近し、最終的には朝鮮半島における支配的な地位を失うことになるだろう。こうした現実を踏まえ、中国は習近平の訪問を利用して、経済的・安全保障上のインセンティヴを提供することで、北朝鮮を北京主導の軌道に引き戻そうとするだろう。

さらに、習近平の訪問は、豆満江河口と羅津・先峰経済特区へのアクセスを開放し、中国東北部の経済を活性化させることも目的としている。かつて中国の工業地帯として栄えたものの、長らく停滞状態に陥っている中国東北部の復興は、長年にわたり議論されてきたものの、いまだに本格的に始動していない。

人口減少や制度の停滞など、その理由は多岐にわたるが、周辺地域との関係も無視できない。中国東北部は北朝鮮と国境を接しており、北朝鮮の長期にわたる閉鎖政策が、真の意味での国境を越えた交流や貿易の機会を阻んできた。もし中朝関係が改善し、北朝鮮が限定的な形で開放政策を実施し、豆満江の河口が開放され、羅津港と羅先経済特区が再び活発化すれば、中国東北部は朝鮮半島、ロシア極東、そして日本海を結ぶ新たな繋がりを築き、新たな未来を切り開く可能性を秘めている。プーティン大統領の最近の中国訪問において、習近平国家主席との共同声明で再び豆満江問題と北朝鮮との協議の必要性が言及されたことは、この問題が依然として完全には解決されていないことを示している。

金正恩委員長には、習主席の訪問を歓迎する独自の理由がある。プーティン大統領は既に国内における王朝的権威(dynastic authority)を固めているものの、国外からの承認も必要としている。北朝鮮訪問は既に安全保障面で大きな支持を得た。しかし、中国の重要性は異なる。今日のロシアは、戦争と制裁に苦しみ、国力が衰退している大国である。一方、中国は世界第2位の強国である。

北朝鮮が真に発展を望み、政権の安定を維持するためには、依然として大国である中国の援助と支援に頼らざるを得ない。習近平国家主席の訪朝延期が続くということは、中朝関係がそれほど強固ではなく、金正恩の個人的権威が習主席の全面的な支持を得ていないことを意味する。したがって、金正恩委員長は習主席を盛大に歓迎することで、自身の権威にさらなる正当性を加える必要がある。

そして、北朝鮮が将来的に門戸を開放し、国際社会に復帰したいのであれば、孤立国家(a pariah state)の瀬戸際に立たされているモスクワではなく、北京を必要とする。特に、金正恩委員長がアメリカとのルートを開設し、トランプ大統領との首脳会談を再び開催し、アメリカの制裁の一部解​​除を実現したいのであれば、北京の仲介と安全保障の提供が必要となるだろう。

習主席の北朝鮮訪問は、金正恩委員長が中国を迂回してトランプ大統領と直接接触し、将来のトランプ大統領との首脳会談から中国が排除されることを北京が恐れていることの表れだと指摘する人もいる。習近平国家主席が北朝鮮を訪問すれば、トランプ大統領へのメッセージを伝える可能性は確かにある。しかし、北京が将来の米朝交渉から中国が排除されることを恐れているというのは誇張である。北朝鮮はそのようなことはしないし、そもそもできない。金正恩委員長とトランプ大統領の過去2回の会談では、中国は排除されなかった。むしろ、金委員長はシンガポールでトランプ大統領と会談する前に、まず北京で習主席と会談した。

今日、金委員長が北京を迂回して単独で行動することは、さらに困難になっている。北朝鮮はアメリカを信用しておらず、金委員長もトランプ大統領を信用していない。2019年のハノイ首脳会談の失敗は、金委員長にとって痛恨の出来事であり、教訓となった。彼はすでにトランプ大統領の土壇場での要求や突然の方針転換を経験している。ヴェネズエラやイラン、そしておそらくキューバでの経験を踏まえれば、小国は大国の支援、核兵器、あるいはその両方を必要とするという確信をさらに強めるだろう。彼がアメリカとトランプ大統領を信用しているだろうか?

習近平国家主席の訪朝は、核問題をめぐる中朝両国間の対立が完全に解消されることを意味するものではない。しかし、両国は現実に基づいた、より現実的な二国間関係を構築するだろう。中朝両国は伝統的な友好関係を引き続き重視する。北朝鮮は引き続き中国の保護と支援(China’s protection and assistance)を必要とし、北京は引き続き北朝鮮を自国の交渉材料(its own bargaining chip)として必要とする。それぞれが必要なものを得ることで、相互の実用的な関係(a relationship of mutual pragmatism)は長く続く可能性がある。

※デン・イーウェン:中国の作家・学者

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 2026年5月14日から15日にかけて米中首脳会談、20日に中露首脳会談が北京で実施された。アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領が北京を訪問し、習近平中国国家主席が出迎える形となった。20世紀の第二次世界大戦後の世界を二分し、冷戦を戦った超大国である米露(旧ソ連)の最高指導者たちが21世紀の覇権国となる中国を訪問したことは歴史の皮肉である。中露首脳会談後、今度は中朝首脳会談の話が出てきた。習近平主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と会談を持つということだ。トランプとプーティンを北京に来させた習近平がわざわざ北朝鮮を訪問するというのは、北朝鮮と金正恩委員長を尊重しているという外形を取りながら、中身は厳しい対処を行うということではないかと私は考えている。
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 それは、「北朝鮮は誰のおかげで存続できているのか」ということを改めて認識させるということだ。最近でいえば、ロシアと北朝鮮の接近ぶりが際立つ。北朝鮮はウクライナ戦争に北朝鮮人民軍を派遣し、多数の戦死者と負傷者を出している。その代わりにロシアから武器開発や資源などの支援を受けている。北朝鮮とロシアは北朝鮮の核開発でも旧ソ連時代から協力関係にある。ロシア(旧ソ連)は北朝鮮を中国に対する一種の牽制要員として利用している。しかし、実際に北朝鮮が国家として存続できているのは中国からの支援が大きい。そもそもが朝鮮戦争で鴨緑江まで追い詰められた北朝鮮に中国が人民義勇軍による支援を行ったことで、38度線付近まで押し返すことができた。中国側の膨大な死傷者や武器の犠牲があって北朝鮮の存立は守られた。北朝鮮のロシアへの接近は中国を苛立たせる。北朝鮮がロシアと接近することで中国の影響から脱しようという動きは中国としては許せないことになる。そのために、あくまで北朝鮮のメンツをつぶさない形で、北朝鮮に釘を刺すということになる。
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 中朝露の関係が今は中国とロシアが接近していることで二等辺三角形になっている。これでは下がぐらつくことで関係が安定しない。あくまで正三角形にならねばならない。そのための動きであると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

習近平国家主席がトランプ退任後を見据えて外交攻勢を加速させている(Xi’s Flurry of Post-Trump Diplomacy

-中国の習近平国家主席は異例かつ重要な北朝鮮訪問の準備を進めている可能性がある。

リシ・イエンガー筆

2026年5月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/22/xi-north-korea-putin-trump-beijing-visit/

中国の習近平国家主席は、ドナルド・トランプ米大統領と(多額の費用をかけずに[without breaking the bank])北京での初会談を行った(breaking the ice)わずか数日後、より長年のパートナーとの関係に目を向けた。

習主席は火曜日、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領を北京に迎え、実質的でより友好的な会談を行った。中露両首脳は、中国とロシアの「永遠に続く友情(everlasting friendship)」をテーマにした写真展に出席し、原子力エネルギーからヒョウ、パンダ、サルなどの保護に至るまで、あらゆる分野で「協力を深化させる(deepen cooperation)」ことを誓う長文の共同声明を発表した。また、トランプ大統領が提案したゴールデンドームミサイル防衛システムを「戦略的安定に対する明白な脅威(clear threat to strategic stability)」と名指しし、米露核兵器条約(新戦略兵器削減条約[New START])の失効を容認したトランプ大統領の「無責任な政策(irresponsible policy)」を非難した。

しかし、この包括的な会談は、全く予想外という訳ではなかった。習近平国家主席は、プーティン大統領の中国公式訪問が25回目であることに触れ、中露両国が築いてきた緊密なパートナーシップを強調した。

しかしながら、習主席はプーティン大統領の訪問に続き、さらに稀で重要な外交的行動を計画している可能性がある。複数の報道によると、習主席は数日中、早ければ来週にも北朝鮮を訪問する準備を進めているという。中国は公式には訪問を発表しておらず、在ワシントン中国大使館もコメントを拒否している。

もし実現すれば、習主席の北朝鮮訪問は、中国の最高指導者となって2度目、そして7年ぶりとなる。中朝両国は何十年にもわたり緊密なパートナーシップを築いてきた。北朝鮮の貿易のほぼ全ては中国とのものであり、北朝鮮は中国が相互防衛条約(a mutual defense pact)を結んでいる世界で唯一の国である。

しかし、北朝鮮とロシアの緊密化、特にウクライナにおけるロシアの戦争への軍事支援は、中国の立場をやや後退させている。北朝鮮の金正恩委員長とプーティン大統領は2024年に独自の相互防衛条約を締結した。

ワシントンのブルッキングス研究所の上級研究員で、SK-コリア財団韓国研究講座担当のアンドリュー・ヨーは、「習近平国家主席は、モスクワと平壌の強固で深まる関係にあまり乗り気ではないという見方がある。北朝鮮に対する影響力を失うリスクがあるため、中国は自国の存在感を維持したいと考えている」と述べている。

ヨー続けて次のように述べている。「中国は不安定性(instability)も懸念している。独自の路線を歩む北朝鮮にロシアの兵器や技術が渡れば、不安定化を招く可能性がある。中国が最も恐れているのはまさにその点であり、だからこそ北朝鮮が自国の勢力圏(orbit)に留まるようにしたいと考えている」。

中国が北朝鮮との関係強化を図る動きは、昨年1年間で勢いを増している。昨年9月には習近平国家主席が北京で行われた軍事パレードに金正恩委員長(プーティン大統領も同席)を迎え入れた。また、王毅外相も先月、北朝鮮の首都平壌を訪問し、金委員長と会談した。その中で、中朝両国が「主要な国際問題および地域問題について意思疎通と連携を強化する」必要性を強調した。

北朝鮮外交に関心を示す最近の訪問客は、プーティン大統領だけではない。トランプ大統領は政権復帰後、2019年の金委員長との歴史的な会談を再現したいと繰り返し示唆してきた。昨年、トランプ大統領は何度か金委員長と「会いたい」と述べ、先週、北京で習主席と北朝鮮問題について話し合ったことを記者団に明らかにした(ただし、会談内容の詳細は明らかにしなかった)。

しかし、北朝鮮はトランプ政権1期目、金正恩委員長がトランプ大統領と3度会談した時よりもはるかに自信に満ち、強硬な姿勢を見せている。この自信は、ロシアからの支援に加え、サイバー攻撃で数十億ドル相当の仮想通貨を奪取し、国際的な制裁を乗り切るための資金源としていることも一因だ。バイデン政権の国家安全保障会議で東アジア・オセアニア担当上級ディレクターを務めたミラ・ラップ=フーパーは、こうした状況も平壌と北京の関係に影響を与えるだろうと指摘する。

ラップ=フーパーは次のように語っている。「北朝鮮はここ2年間、ここ数十年で最も自信に満ち、制約の少ない立場にある。近年、北朝鮮にはほとんど焦りの兆候が見られない。北朝鮮が望んでいるのは、中国との関係をより強固なものに再構築することだろう。つまり、北朝鮮はもはや従属的なパートナー(a junior partner)や副官(a sheriff’s deputy)のような存在ではなく、中国・ロシア間のパートナーシップにおいて、より対等な立場に立つことを目指している」。

一方、中国の野心ははるかに広範で、よりグローバルなものだ。習近平国家主席の活発な外交活動は、世界における中国の地位と国際社会における台頭を示すシグナルを送るためだ(彼は将来のアメリカ軍の北京訪問についても強硬な姿勢を示している)。

オバマ政権、第一次トランプ政権、バイデン政権を通じて、国家安全保障会議や国務省などでアジア担当の政府高官や外交官を務めたダニエル・クリテンブリンクは、「ここで重要なのは、中国が世界の舞台でリーダーシップを発揮しようとしていることであり、個々のやり取りに焦点を絞りすぎるのは避ける必要がある」と述べた。

現在、ワシントンに拠点を置く地政学コンサルティング会社であるアジア・グループのパートナーを務めるクリテンブリンクは、3月の北京訪問時にその雰囲気を肌で感じたと述べ、トランプ大統領とプーティン大統領による相次ぐ首脳会談によってその思いはさらに強まったと述べた。クリテンブリンクは次のように述べている。「中国の自信はかつてないほど高まっている。国際情勢が中国に有利に働き、中国の時代が到来し、中国はそのチャンスを活かさなければならないという確信を持っている。こうした変化の多くは不安を掻き立て、混乱を招くものだが、それでも中国指導部からは公私ともに、中国はこれらの課題全てに対する解決策を持っており、その解決において中国が中心的な役割を果たすだろうというメッセージが伝わってきたように感じた」。

習近平国家主席の平壌訪問は、主に二国間関係の強化とロシアとの関係調整を目的としたものとなるだろうが、同時に、中国が不可欠なグローバルプレーヤーとしての地位を確立しようとする、より広範な動きの一環でもある。

ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター所長ライアン・ハスは次のように述べている。「2026年前半、北京は世界外交の中心地(the center of gravity for global diplomacy)となった。北京は、国際秩序の維持に努める予測可能な主体として自らを位置づけている。中国は、世界の舞台で外交的影響力を蓄積するために、アメリカとの対比を巧みに利用している」。

※リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@iyengarish.bsky.socialXアカウント:@Iyengarish Instagram: @iyengar.rishi

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(終わり)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 日中関係は冷え込んでいるという表現が生温いほどに悪化している。2025年11月の高市早苗首相の不要な台湾に関する発言から、すでに半年ほどを経過し、改善の努力は続けられていると思うが、成果は見られない。これは、近衛文麿首相の「爾後国民政府を対手(あいて)とせず」並みの日中関係における重大なマイナス発言として、後世の歴史家たちから評価されるだろう。あの時に謝って撤回しておけばここまでのことにはならなかった。高市首相は国益を毀損した首相である。


 米中首脳会談(5月14~15日)、中露首脳会談(5月20日)が行われ、ここで、日本の「新型軍国主義(Neo-Militarism)」について、中国の習近平国家主席が警告を発したという報道がなされている。米中首脳会談では議題に出る予定ではなかったのに、習主席が激しい言葉遣いで日本の新型軍国主義を非難したことに、アメリカ側が驚いたということだ。トランプ大統領は北朝鮮の脅威があるので日本の防衛費は増加しているという趣旨の発言をしたということだが、そもそも、どうしてアメリカ大統領が日本の弁護をしなければならないのかと大いに不満を持ったと思う(実際にはアメリカが大幅増額を要求しているのであるが)。「アメリカが増額するように命令しているからですよ」とはいくらトランプ大統領でも言えなかったようだ。「日本はあなたのところの属国だ。しっかり管理をしてくれなければ困る」ということになったようだ。トランプ大統領は帰りの飛行機から高市首相に15分間電話をしたそうだが、その内容は伝わっていない。「まぁ何とかとりなしておいたから」と言ったと考えられるし、「少しはおとなしくしろ」と言った可能性もある。

 中露首脳会談後の共同声明では、日本の「新型軍国主義」への非難の言葉が記載されている。米中首脳会談での話はあくまでメディアによる取材で出てきた話であるが、中露首脳会談の共同声明はきちんとした証拠となる。中国とロシアが日本の「軍国主義」傾向に警戒感を持っているということを公に示した。国連常任理事国で、日本の隣国である中国とロシアがそのような態度となっている。この状況は非常にまずい。これで日本国内に核武装の機運が高まるということになれば、国連憲章第53条や第107条にある「敵国」認定される可能性もある。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を発動してくれて、日本が攻撃されることはないだろうが、今の日本は非常に危うく外側からは見えている。

 中国側が使う「新型軍国主義(xin xing jung guo zhu yi)」という言葉は、新型コロナウイルスの中国語訳である「新型冠状病毒(xin xing guan zhuang bing du)」を連想させる。ある意味では、ここに救いがある。「日本は新型軍国主義ウイルスに感染している状態で病気なのだからその治療をすれば元に戻る」と中国側は見てくれていると考えることもできる。

 日本は少子高齢化が世界で最も進み、経済力は衰え、国力研究会に今更研究をしてもらわなくても国力は大きく衰退している。日本は21世紀の「東亜病夫(sick man of East AsiaDōngyà bìngfū)」である。この言葉は19世紀末に衰退していた清朝に対して使われた言葉である。病気から目を逸らすために、病気の痛みや苦しさから目を逸らすために、「排外主義」や「過激なナショナリズム」に走り、果てには核武装を言い出す人たちが出てくる。それを外側から煽り立てる勢力がいる。現在のような状況が続けば、日中間の不測の事態、思いがけない武力衝突の可能性が高まるばかりだ。日本が東アジアと世界の不安定要因にならないためにも現在のような極右的志向を改めることが重要だ。
 しかし、日本人は全体として新型軍国主義というウイルスを避けるための「免疫システム(immune system)」である「知性」や「思考力」が極端に低下している。このウイルスとの戦いに勝てるかどうかは甚だ悲観的にならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で日本の「再軍備」を激しく非難した(Xi Jinping railed against Japan’s ‘remilitarisation’ at Donald Trump summit

-習主席は、アメリカの同盟国である日本の防衛費増額を批判する際に、激しい口調で発言した。

デメトリ・セヴァストプロ(ワシントンDC)、ジョー・リーヒー(北京)、レオ・ルイス(東京)筆

2026年5月25日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/70e922b3-c423-40f2-9c9d-1c64a38e026b?syn-25a6b1a6=1

北京で行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、習近平中国国家主席は高市早苗首相に対し、日本の「再軍備(remilitarisation)」を激しく非難した。会談に詳しい7人の関係者が明らかにした。

習主席は日本について語る際、声を荒げ、感情的(vocal and agitated)になった。首脳会談前には中国側との協議で日本問題が取り上げられていなかったため、アメリカ政府当局者たちは驚いた。複数の関係者によると、習主席の激しい非難は、2日間にわたる首脳会談の中で最も白熱した場面(the most heated part)だったという。

習主席が高市首相と日本の防衛費増額を厳しく批判した後、トランプ大統領は、北朝鮮の脅威の高まりを理由に、日本はより積極的な安全保障姿勢を取る必要があると応じた。トランプ大統領が、日本の最大の安全保障上の懸念事項である中国について、同じ文脈で言及したかどうかは不明である。

元ホワイトハウス対日担当高官のクリストファー・ジョンストンは、習主席の日本に対する「辛辣なアプローチ(caustic approach)」と、トランプ大統領の米中関係安定への願望を利用しようとする試みは、安全保障における自立を目指す日本の姿勢を改めて裏付けるものだと述べた。

「習近平の自己認識の欠如は驚くべきものだ。彼自身の行動が、より強力な日本の台頭を加速させている」とジョンストンは述べた。

「中国の反日的なレトリックは、自国国境の外では支持を得ていない。・・・東京は、オーストラリア、フィリピン、そして韓国を含む地域全体のパートナー諸国との安全保障関係を強化している。これらの国々は皆、『再軍備(remilitarizing)』を進める日本よりも、攻撃的な中国をはるかに懸念している。」

日本は毎年発表する防衛白書において、北朝鮮よりも中国の脅威を優先的に挙げてきた。2023年以降、中国の軍事活動と対外姿勢を「最大の戦略的課題(greatest strategic challenge)」と位置づけている。2026年版防衛白書の草案では、中国による近年の軍事的強硬姿勢の高まりに焦点を当て、北京とモスクワの軍事協力の深化に「深刻な懸念(serious concern)」を表明している。

北京と東京の関係は、昨年11月、高市首相が台湾への中国の攻撃は日本にとって「存立の危機(existential threat)」となり、自衛隊の派遣を正当化する可能性があると発言したことに対し、中国が激しく反発して以来、急激に悪化している。高市首相の発言は政策変更を意味するものではないものの、中国からの非難を招いた。

中国はその後も日本に対する攻撃を繰り返し、レアアースの軍民両用輸出制限といった具体的な措置と、言葉による攻撃を織り交ぜながら攻撃を続けている。中国外務省は金曜日、日本が2025年までに防衛費を9.7%増額したと発表した。

中国外務省は続けて、「日本の防衛予算は14年連続で増加しているにもかかわらず、日本の右派勢力は依然として防衛費増額を声高に要求している。これは、日本の『平和国家(country for peace)』という仮面が剥がれ落ち、新軍国主義(neo-militarism)へと傾きつつあることを改めて示している」と述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界第2位の軍事費支出国である中国は、昨年、防衛費を7.4%増の3360億ドルに引き上げた。これは31年連続の増額となる。一方、日本の防衛費は620億ドルだった。

高市首相は台湾に関する発言後、トランプ大統領やアメリカ政府高官からほとんど支持を得られなかった。この状況は、米中首脳サミットを前に、トランプ大統領が日本についてどのような発言をするのかという不安を東京にもたらした。

トランプ大統領はワシントンへの帰路、エアフォースワン機内から高市首相に電話をかけた。しかし、ホワイトハウスと日本政府は、大統領が高市首相に何を話したかについて詳細を明らかにしていない。

習近平国家主席との首脳会談について、あるアメリカ政府高官は、トランプ大統領が「日本国民への深い敬意と高市首相との親密な個人的関係を強調した(emphasised his deep respect for the Japanese people and his close personal relationship with Prime Minister Takaichi)」と述べた。

この高官はさらに、「アメリカ代表団は、在日アメリカ軍の大規模な駐留について中国側に改めて注意を促した(The US delegation reminded Chinese counterparts about the large US military presence in Japan)」と付け加えた。

日本政府は、トランプ大統領による同盟諸国への関税賦課から、イラン核戦争によって対中米軍事抑止力が弱体化しているとの懸念まで、日米同盟の現状について不安を抱いている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は土曜日、アメリカが今月、日本に対し、中国への「反撃(counterstrike)」力として日本が2024年に発注したトマホークミサイル400発の納入が大幅に遅れる可能性があると伝えたと報じた。

トランプ大統領が北京で、台湾への140億ドル規模の過去最高額の武器売却案は中国との交渉において有効な「交渉材料(negotiating chip)」になると述べたことを受け、同盟国やパートナー国はワシントンの台湾への関与について懸念を表明している。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は金曜日、中国が、アメリカが台湾への武器売却案を承認するかどうかを明確にするまで、国防総省の政策担当高官(国防次官)であるエルブリッジ・コルビーの北京訪問を保留していると報じた。

在米中国大使館は習近平国家主席の発言についてコメントしなかったものの、日本の「右派勢力(right-wing forces)」が「地域平和の基盤を・・・揺るがそうとしている()shake the...foundation of regional peace」と非難した。

駐米中国大使館はさらに、「日本はまず何よりも、台湾に関する誤った言動を改め、無謀な再軍備の動き(reckless remilitarisation drive)を止め、良き友好関係(good neighbourliness)と友情(friendship)平和的発展(peaceful development)という正しい軌道に戻り、具体的な行動によってアジア諸国や世界の信頼を得るべきだ」と付け加えた。

日本の首相官邸はコメントを拒絶した。

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習近平氏、高市首相に言及し激高…中国外務省は否定

5/25() 18:15配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b59e21248db3cac7208c4a5c9920c91eaec724f

 【ワシントン=栗山紘尚】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、北京で14~15日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、高市首相が「再軍備」を進めているとして声を荒らげて激高したと報じた。複数の関係者からの情報として伝えた。

 報道によると、習氏は会談で日本の防衛費増額の取り組みが話題になった際、口調を強めた。トランプ米大統領は日本の防衛強化策について、北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「日本は積極的に防衛力強化を進めざるを得ない」と擁護したという。2日間の会談で、「最も緊迫した場面」だったと伝えている。

 報道について、中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は25日の記者会見で「中米首脳会談については、既に発表している。報道は中国が把握している内容とは異なる」と否定した。

 トランプ氏は3月に高市首相と会談した際、「習氏との会談では、日本を称賛するつもりだ」と話していた。習氏は今月20日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者発表でも「軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」と日本を批判した。

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中露が共同声明で「再軍備加速」と日本を名指し批判 プーチン氏、2日間の訪中終え帰国

5/21() 11:34配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/69fe43d836f28814268b07ea0cbe4dcf09759a7b

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は20日夜、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が同日の会談後に署名した「全面的戦略協力のさらなる強化と善隣友好協力の深化」に関する共同声明の内容を伝えた。共同声明は「日本で加速する『再軍備』が、地域の平和と安定を深刻に脅かしている」と主張し、日本を名指しして批判した。

中国は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に対日姿勢を硬化させており、ロシアと対日圧力でも連携を強化する可能性がある。

共同声明は、中国が主張する「新型軍国主義」という言葉も使い、日本側に「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第二次大戦の全ての結果を認める」ことを求めた。日本で非核三原則の見直しを求める意見が出ていることに触れ、「日本の右翼勢力の容認できない野心と極端な挑発行為」への「警戒」を表明した。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃に関しては、「国際法などに違反し、中東情勢の安定を甚だしく損なう」との認識で一致した。名指しを避けつつも米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。

ロシアが侵略したウクライナに関する問題については、「対話と交渉を通じた解決策の追求を継続することを支持する」と表明した。

新華社は、「世界の多極化と新型国際関係」に関する共同声明の内容も伝えた。中露両国で「多極世界と、より公正な新型国際関係の形成に向けた共通ビジョンの構築を継続する」としている。

プーチン氏は20日夜、2日間の中国訪問日程を終えて帰国の途に就いた。同日夜には習氏とプーチン氏が北京の人民大会堂でお茶を飲みながら会談した。中国外務省によると、習氏は、中露関係について「高い質の発展を続け、さらなる高みへ至ると信じている」と強調した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は2022年2月24日の開戦から丸4年が過ぎようとしている。停戦の兆しは見えていない。戦線は膠着し、打開策は今のところない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は自身が二期目の大統領になれば24時間以内に停戦させると豪語したが、1年が経過しても戦争は終わっていない。アメリカとヨーロッパ諸国、日本などの西側諸国はロシアに対して制裁を加え、ウクライナに支援を行っているが、屁のツッパリにもなっていない。ウクライナが本気で停戦に臨まない程度に助けながら、戦争を続けさせている。なんと残酷なことだろう。トランプ大統領はアメリカのウクライナ支援に批判的であったが、政権発足後は支援を続けている。

 こうした中で、ヨーロッパ諸国の中で、アメリカに交渉の仲介を任せていても埒が明かないので、直接自分たちでプーティン大統領と交渉しようという動きが出ている。アメリカは頼りにならないということだ。アメリカに任せていては自分たちもいつまでもお金を出し続けねばならない。それは馬鹿げたことである。

更に言えば、ヨーロッパ諸国はロシアと完全に切れている訳ではないということを以下の論稿で知り、呆れるばかりだ。ヨーロッパの多くの企業はロシアでビジネスを続けており、ロシアからの資源も買っているということだ。それでいて、表ではロシアを非難し、ウクライナを助けるとしているが、決して軍隊を送ったり、強力な武器を送ったりはしていない。表向きの言葉だけは立派で勇ましいが、ヨーロッパ諸国はロシアと完全に切れてしまえば、自分たちの経済にも影響が出ると懸念して、自分たちで抜け穴を作り、ロシアとの関係を継続している。日本企業に対してロシアでのビジネスを行うなという圧力をかけてきて、自分たちはビジネスを続けている。ヨーロッパ諸国の見かけだけは立派だが実際の汚さには呆れ果てるしかない。口だけ勇ましいだけの役立たずである。

 それでも、アメリカ型よりならないと気づくだけでもまだましである。日本はアメリカに従属し尽くしてそのようなことを考えつくことすらできない。そして、アメリカの奴隷を続けて、悦に入って喜んでいる。ヨーロッパはその点では日本よりは優れている。比べる基準が低すぎるのでk褒められてもうれしくないだろうが。

 戦争をここまで長引かせたことを反省し、一日でも早く平和と安定が戻すことはヨーロッパ諸国に課せられた義務であり、世界に対する責務である。アメリカが全く頼りにならない今、ヨーロッパが動くのは当然のことだ。

(貼り付けはじめ)

ヨーロッパはウラジーミル・プーティン大統領への依存の準備を進めつつある(Europe Is Getting Ready to Pivot to Putin

-ヨーロッパの指導者たちはアメリカの圧力に直面しロシア大統領への働きかけを検討している。

アンシャル・ヴォ―ラ筆Anchal Vohra

2026年2月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/06/europe-russia-putin-trump-pivot-detente/

ヨーロッパの高官たちは『フォーリン・ポリシー』誌に対し、1月にスイスのダヴォスで開催された世界経済フォーラムに出席した際、アメリカ側とウクライナ和平交渉の現状について協議する時間があると考えていたと語った。しかし、実際には、グリーンランドをめぐるNATO加盟国との軍事衝突を回避することに集中せざるを得なかった。

その後、ヨーロッパではプランBの必要性が議論されている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領とイタリアのジョルジア・メローニ首相は共に、ヨーロッパが特に安全保障上不可欠な事項において、アメリカへの依存をゆっくりと、しかし確実に減らそうとする中で、ロシアとの直接交渉を追求している。

エマニュエル・マクロン大統領は2025年12月下旬、ヨーロッパはロシアと「適切に協議するための適切な枠組みを見つける(find the right framework to talk properly)」必要があると述べ、アメリカがロシアとウクライナの和平交渉を主導する中で欧州が後部座席に座っている現状は「理想的ではない(not ideal)」と述べた。

「ウラジーミル・プーティン大統領と話すことはまた有益になるだろう」とマクロンは付け加えた。メローニは、ロシア大統領と話す「時が来た(the time has come)」と考えていると述べた。メローニは、「ヨーロッパが現場の二者のうち一方とだけ話せば、貢献できる範囲が限られてしまうのではないかと懸念している」とも述べた。

主要問題に関するEU加盟27カ国の合意形成を担う欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は、1月27日、フォーリン・ポリシー誌を含む少数の記者団に対し、アメリカ主導の協議を阻害する可能性のある並行プロセスは支持しないものの、ヨーロッパは必要であればロシアと交渉する用意ができていなければならないと述べた。

ヨーロッパの戦略転換は、ドナルド・トランプ米大統領自身によって引き起こされた。トランプ大統領は、ヨーロッパの安全保障に直接関わる和平案を策定する中で、ヨーロッパを交渉の場から排除しただけではない。ロシア・ウクライナ戦争に関するトランプ大統領の28項目の和平提案は、ロシアを世界経済に再統合することを提案し、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、西ヨーロッパへのロシアのエネルギー供給の流れを回復することを約束した。

専門家たちはフォーリン・ポリシー誌に対し、トランプ政権の最初の計画は、パリ、ブリュッセル、ベルリンとの事前協議なしに、ロシアがヨーロッパに保有する凍結資産をアメリカとロシアの企業に利益をもたらすプロジェクトに活用することをモスクワに約束していたようだと語った。

ヨーロッパは岐路に立たされている(at a crossroads)。ロシアとの取引をトランプに委ね、結果に確信を持てないままにするか、それとも現実的なアプローチを取り、関係がかつてないほど悪化しているに中ではあるが、プーティン大統領に直接働きかけるかだ。

ウクライナ侵攻とNATO領土への脅威となるドローンの継続的な使用の後、ロシアとの関係回復というアイデアをヨーロッパは快く思わないかもしれないが、いかなる取引においてもこれが避けられない結果となる可能性があることを認識している。そして、彼らは既にその可能性を示唆している。トランプ政権の28項目の計画に対する最初の反応として、ヨーロッパ諸国が支持する提案は、経済関係に関する条項を書き換え、ロシアは「徐々に(progressively)」世界経済に再統合されると述べている。

EUによる制裁で起きる経済的締め付けと、管轄権下にある数十億ドル規模のロシアの凍結資産は、ヨーロッパ諸国にとって重要な交渉材料となる。つまり、EUは独自の合意を締結できる。しかし、ヨーロッパ諸国は、段階的かつ限定的な救済措置、つまりロシアの行動改善に対する段階的な報酬を望んでいる。プーティン大統領との交渉でトランプ大統領が譲歩するような形での譲歩ではない。

貿易専門家たちは、EUが潜在的な合意において有利な条件を模索する一方で、多くのヨーロッパ諸国はロシアとの貿易関係を完全に断絶しておらず、公式発表と実際の経済政策の間に深刻な乖離が生じていると指摘している。

制裁を含む国際貿易法の遵守について企業や個人に助言を行うダルシャク・S・ドラキアは、フォーリン・ポリシー誌に対し、EUのこれまでの戦略は「離脱(exit)」というよりは「ロシアとのビジネス関係の一時停止(“more of a pause” in business relations with Russia)」を反映したものだと述べている。ドラキアは、交渉が加速するにつれ、「アメリカとヨーロッパのビジネス界は、貿易関係の再開に大きな期待を抱いている(there is a lot of hope in the business community in the U.S. and in Europe that trade ties can be resumed)」と付け加えた。

ロシアによるウクライナ侵攻にもかかわらず、数千ものヨーロッパ企業がロシアから撤退しなかった。その理由として、法的障壁、現地での雇用義務、そして利益率を挙げた。ロシアにおける外国企業を追跡するプロジェクト「リーヴ・ロシア(Leave Russia)」によると、2300社以上の外国企業が何らかの形でロシアに残ることを決定した一方、完全に撤退したのはわずか547社だった。EU加盟国の中では、ロシアに残ることを選択した企業、あるいはまだ完全に撤退していない企業の中で、ドイツ企業が最も多く、377社だった。一方、撤退したのはわずか83社だった。フランスはドイツに次いで、完全に撤退した企業はわずか39社だった。一方、147社は何らかの形で事業を継続している。イタリア企業は140社以上が現在もロシア国内で事業を継続しているが、完全に撤退したのはわずか8社だった。

キエフ経済大学の開発副部長であり、「リーヴ・ロシア」プロジェクトの責任者でもあるアンドリー・オノプリエンコは、フォーリン・ポリシー誌に対し、ロシアで依然として事業を展開している多くの企業は「評判や倫理上の懸念よりも経済の継続性を優先し、EUの制裁目標への政治的整合性よりも、契約、株主の利益、法的複雑さといった観点​​から意思決定を行っている」と述べた。

オノプリエンコは続けて、「この傾向は、商業的インセンティヴが、完全な撤退を求める政治的要請を上回り続けていることを示唆している」と述べた。

EUの限界は長らく露呈しており、既存の制裁措置に様々な例外を認め、ロシア企業への対応は遅々として進んでいない。本格的な戦争勃発以降、EUは19の制裁措置を打ち出してきたが、そのたびに対象国を増やし、圧力を強めてきたものの、完全には行き届いていない。

ドラキアは次のように述べた「ヨーロッパはロシアの銀行への制裁から始め、その後、エネルギー輸入への制裁を徐々に強化してきた。これは主に、全てを尽くすこと、そしてロシアをイランや北朝鮮のような完全な禁輸国にしないことが目的だった。政治的には見苦しいが、ロシアを孤立させてのけ者(a pariah state)にするのではなく、何らかの圧力をかけ続けられるよう、統合を維持することが狙いだった」。

しかし、EUが課した財政的圧力は抑止力としては不十分だった。おそらく、ヨーロッパがロシア経済に数十億ドルもの資金を注ぎ込み続けたためだろう。スウェーデンのマリア・マルマー・ステネルガルド外相によると、EUは2022年以降、ロシアに輸入代金として3110億ユーロ(3667億ドル)を支払い、同期間にウクライナに1870億ユーロ(2205億ドル)の援助を行っている。

EUはパイプラインによるガス輸入を大幅に削減したが、液化天然ガス(LNG)輸入は2021年の20%から翌年には15%に減少したものの、2024年には戦前の水準まで回復した。2025年には、EUは依然としてLNG総輸入量の13%をロシアから輸入していた。

EUは依然としてロシアからの肥料輸入に依存している。EU全体の肥料輸入量に占めるロシアの割合は2025年第3四半期に13%に低下したが、ロシアは依然としてEU第2位の供給国だ。また、ロシア製の鋼板は依然として現地子会社を通じてEU内で販売されている。

ウクラインスカ・プラウダ紙の調査によると、ロシアのオリガルヒであるウラジミール・リシンが主権を握るノボリペツク・スティール(NLMKは、複数のヨーロッパ諸国に鋼板を輸出し続けている。ウクラインスカ・プラウダ紙は、ノボリペツク・スティール(NLMK)はロシアの防衛サプライチェインに深く関わっており、ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルの製造会社を含むロシアの防衛部門の少なくとも22の施設に供給していると報じた。ノボリペツク・スチールとリシンはいずれもEUから制裁を受けていない。

ロシア・リーヴキャンペーンのオノプリエンコは次のように述べた。「ノボリペツク・スティール(NLMK)はEU理事会の制裁基準を満たしていないと判断された可能性がある。大手鉄鋼メーカーはEU諸国に経済的な足跡を残しており、雇用やヨーロッパのサプライチェインへの相互影響なしに単純な制裁を課すことは困難だ」。

ノボリペツク・スティール(NLMK)の関係者は匿名を条件にフォーリン・ポリシー誌の取材に応じ、EUは子会社が操業するベルギーなどの国々で雇用喪失の可能性に対する圧力に晒されていると語った。

さらに、ロシアのエネルギー大手ルクオイルは、これまでのところEUによる全面的な禁輸措置や資産凍結を免れている。前述のドラキアは次のように述べた「アメリカはルクオイルに全面的な制裁を課しているが、EUはルクオイルの子会社1社のみに制裁を課しており、ルクオイル自身には制裁を課していない。多くのヨーロッパ諸国がエネルギー需要をルクオイルに依存しており、EUは構成国や加盟国に過度の圧力をかけたくないのかもしれない」。

ルクオイルとノボリペツク・スティール(NLMK)に関する質問に対し、EU報道官は制裁に関する協議は機密扱いであり、加盟国の裁量に委ねられていると述べた。「制裁は加盟27カ国が全会一致で採択したものであり、EUは公にコメントすることはできない」。

フランスはイギリスと共にいわゆる有志連合(a so-called coalition of the willing)を率いており、将来の和平を監視するためにウクライナに部隊を派遣する意向表明に署名した。しかし一方では、フランスのエネルギー企業EDFの子会社であるフラマトムは、ロシアの国営原子力企業ロスアトム傘下のTVELとの合弁事業を推進し、ドイツで核燃料棒を製造しようとしている。

EU報道官は、「現在、ロスアトムは制裁対象リストに含まれていない」と付け加えたが、EUはロスアトムを含むロシアの原子力関連製品・技術へのアクセスを制限している。EUのカヤ・カラス外相は2025年8月、ヨーロッパ委員会を代表して、ヨーロッパ議会において、「ヨーロッパ委員会は、ロシアからの原子力輸入を段階的に、秩序正しく、かつ安全な方法で廃止することに尽力している」と述べた。

要するに、ヨーロッパ諸国はロシアからの輸入を遮断しようと試みたものの、依然として依存状態が続いている。制裁措置を講じる際には意見が分かれ、代わりに地域経済を優先する特例措置を設けている。多くのヨーロッパ企業はモスクワとのつながりを維持し、関係を再開することを望んでいる。EUとロシアの関係は、ロシアがウクライナに侵攻する前の、より希望に満ちた時代、つまり貿易によってプーティン大統領の強権的な傾向を抑制できるとヨーロッパが信じていた時代に戻ることはないだろう。しかし現状では、ヨーロッパは既に地域の強権国家と繋がりを持っており、経済的な譲歩は近いうちに避けられないものとなるかもしれない。

アンシャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とするフォーリン・ポリシー誌コラムニスト。ヨーロッパ、中東、南アジアについて執筆している。『タイムズ・オブ・ロンドン』紙で中東を担当し、アルジャジーラ・イングリッシュとドイチェ・ヴェレのテレビ特派員も務めた。以前はベイルートとデリーを拠点に、20カ国以上の紛争や政治を報道してきた。Xアカウント:@anchalvohra

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 古村治彦です。

 「勢力圏(sphere of influence)」という考え方がある。これはある国が自分の国がある地域や周辺において、優先的に影響力を行使して支配するという考え方だ。アメリカのモンロー主義は「孤立」を強調されるが、実際には、「アメリカは南アメリカを影響圏として、スペインやイギリスの影響力を排除して支配する。ヨーロッパには関心を持たない」ということであり、南米を支配するための原理原則であった。南米を支配するために棍棒外交も採用して、武力的に介入することもできるという考えでもある。ロシアはソ連時代も含めて、自国の周囲に緩衝地帯(buffer zone)、衛星諸国(satellite states)を作り、本国ロシアを守るという考えを持っている。
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 現在の世界は、アメリカの一極支配(unipolar dominance)が崩れつつある。アメリカを中心とする西側諸国(the West、ジ・ウエスト)と中国とBRICSを中核とする西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)に分かれている。アメリカは世界から撤退して、西半球(Western Hemisphere)を勢力圏として押さえるということになる。アメリカと中国の間にある太平洋をどうするかであるが、アメリカはハワイやグアムまで退くということになる。日本や台湾を嫌がらせのようにして、空母のようにして中国の沿岸に張り付ける形になっているが、これもやがて終わっていく。アメリカに日本にアメリカ軍を駐留させるだけの力がなくなり、日本にもそれを支えるだけの経済力がなくなり、日本の軍事力もそれを支える経済力も低下していくことになる。アジアと西太平洋は中国の勢力圏ということになる。ロシアは隣接する各国への影響力を維持するだろうが、それも中国との協力関係を維持しながらということになる。

 勢力圏内であれば、協力は何をしてもよいということにはならない。そんなことをすれば、勢力圏自体が崩壊する。強国を「脅威」と見なす各国が合同して、強国に対峙することになる。さらに、圏外の強国に支援を求めるという動きも出てくるだろう。南アメリカ最大の強国はブラジルであり、ブラジルはBRICSの一角を占めている。アメリカが南アメリカから「西側以外の国々」の影響を排除することはできない。

 アジア地域は共存共栄の勢力圏を目指すべきであり、中国は実際にそのように動くだろう。アメリカと違って馬鹿ではない。ヨーロッパが進出してくる前のアジアの状態に戻るということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

勢力圏とは何か-そして何でないか(What Spheres of Influence Are—and Aren’t

-国際政治において最も誤解されている概念の一つが力によって戻ってきている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/19/sphere-influence-trump-venezuela-donroe-doctrine/

最近、「勢力圏(spheres of influence)」について多くの議論が交わされているが、これは主にアメリカの最新の「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」、ドナルド・トランプ政権によるヴェネズエラでの最近の行動、そしてグリーンランドの占領に向けた新たな試みに対する反応だ。大国は自国の「近隣地域()neighborhoods」において誰にも邪魔されることのない影響力を行使すべきだという考えは、ドナルド・トランプ米大統領の信念とも一致している。彼は、強国の強力な指導者が世界を統治し、国際法や普遍的な道徳原則、その他の理想主義的な考えを気にすることなく、互いに取引を行うべきだと考えている。

残念なことに、勢力圏を支持する人も反対する人も、世界政治におけるその位置づけを十分に理解していない可能性がある。現実の世界では、勢力圏は廃止できる時代遅れの慣行でもなければ、大国間の競争を最小限に抑える効果的な方法でもない。むしろ、勢力圏は国際的な無政府常態(international anarchy)の必然的な結果であると同時に、国際的な無秩序状態が生み出す競争インセンティヴに対する不完全な解決策でもある。

大国勢力圏構想に対する反対意見のほとんどは規範的なものであり、批評家たちはそのような取り決めは本質的に不公平だと主張する。主権国家の世界では、各国は国際法の下で平等な地位を享受している(例えば、国連憲章第2条を参照)。したがって、強国が経済的または軍事的強制力によって弱い隣国に大きな支配力を及ぼすことは、本質的に間違っていることになる。例えば、ウクライナのNATO加盟への傾倒(将来の正式加盟の可能性も含む)をロシアが懸念する理由があるかもしれないと認識している人々でさえ、そのような決定はNATOとキエフの判断に委ねられるべきであり、ロシアの拒否権(veto)に左右されるべきではないと主張する。この見方に立てば、中国がアジア諸国に対しアメリカや台湾から距離を置くよう圧力をかけること、あるいはアメリカが(最近の「国家安全保障戦略」にあるように)「私たちの半球(西半球)外の競争国が西半球に軍事力やその他の脅威となる能力を配置したり、戦略的に重要な資産を所有・管理したりする能力を否定する(deny non-Hemispheric competitors the ability to position forces or other threatening capabilities, or to own or control strategically vital assets, in our Hemisphere)」と宣言することなどは、同様に不当である。こうした批判者たちは、全ての国が自らの判断で自由に連携すべきであり、強力な隣国には、誰と貿易し、誰から投資を受け、誰と軍事協力できるかを指図する権利はないと主張する。

そのような規範に支配された世界に住めたら素晴らしいだろうが、このヴィジョンは到底現実的ではない。勢力圏は国際政治において繰り返し出現する特徴であり、それを完全に排除できる可能性は低い。ホワイトハウス補佐官スティーヴン・ミラーが世界政治のいわゆる「鉄則(iron laws)」について無知な大言壮語をするのを鵜呑みにする必要もなく、強大な国家は自国の領土周辺で何が起きているかに常に敏感であり、自国の安全保障を強化すると信じる方法で周囲の状況を形作るために、自らの持つ力を利用するだろうことを認識すべきである。

勢力圏が生じる理由は3つある。第一に、大国は通常、遠隔地の大国よりも自国の近隣地域に強い関心を持つ。そして自国に近い地域で不利な動向が勢いを増すのを防ぐため、リスクを冒しコストを負担する意思が、遠隔地の大国が同じ動向を支援する意思よりも強い。後述するように、遠方の大国は他の大国に近い地域に重要な利益を有する場合もあるが、その利益は通常小さく、防衛のために多大な資源を犠牲にする意思も通常低くなる。2015年に私が主張したように、これがウクライナを西側の自由主義圏に組み入れようとする試みが危険であった理由の1つだ。ロシアは私たちよりも(ほとんどのウクライナ人よりもという訳ではないが)ウクライナを気にかけており、したがって私たちとは異なる方法でエスカレートする意思があったはずだ。同じ論理で、アメリカが本当に動揺しているときに、ロシア、中国、イランからの支援がラテンアメリカ諸国にとってほとんど役に立たない理由も説明できる。この事実は、大国による干渉が正当または道徳的であることを示すものではないが、なぜそのような干渉が起こるのかを理解する上で役立つ。

第二に、ヨーロッパ連合(EU)、アメリカ・メキシコ・カナダ貿易協定、そして東アジアにおける中国の経済的影響力が示すように、グローバル化の時代においても、貿易は依然として地域的に集中する傾向がある。その結果、地域最大の経済大国は、近隣諸国の選択に対して相当な(無限ではないものの)影響力を持つのが一般的である。なぜなら、近隣諸国は、支配的な大国が自国の市場へのアクセスを拒否したり、主要輸出品を制限したりする可能性のある措置を講じた場合の経済的影響を考慮しなければならないからである。

第三に、軍事力を自国に近い場所に展開することが容易であるため(そして、遠方の大国が遠方の国を支援することはより困難であるため)、大国は反抗的な近隣諸国に対してより説得力のある軍事行動の脅しをかけることができる。例えば、ロシアがラテンアメリカ、中東、アフリカに50万人以上の兵士を輸送し、維持することはほぼ不可能であるが、隣国ウクライナには(困難を伴うものの)同数の部隊を配備することが可能であり、実際に配備している。

世界政治において勢力圏が頻繁に見られるという認識から、批評家の一部は、勢力圏について、世界を組織化し、大国間の対立を緩和する潜在的に有用な手段と捉えている。大国が互いの勢力圏を認め、尊重することに合意すれば、潜在的な利益相反(conflicts of interest)は減少し、それぞれの大国の安全保障は強化されるはずだ。理論上は、大国が境界線の位置について合意し、それぞれの勢力圏において「互いに尊重し合う(live and let live)」ことを約束すれば、それぞれが自らの地域を自由に管理できるようになり、潜在的な摩擦点(points of friction)は減少するはずだ。

歴史が示しているのは、私たちはこの処方箋にある程度懐疑的な見方をしているようだ。主張者たちは、このアプローチの成功例として、冷戦時代のヨーロッパ分断を挙げるかもしれない。何世紀にもわたる戦争の繰り返しの後、ヨーロッパはアメリカとソ連がそれぞれ大陸の半分を支配し、互いに抑止力となり、従属諸国(clients)を統制していたため、平穏を保っていた。 NATOとワルシャワ条約機構の直接衝突は計り知れないほどの破壊をもたらすことは誰もが知っていたため、双方とも相手の領域に過度に干渉することに警戒していた。

しかし、この例は一見するほど説得力があるようには思えない。1950年代(特にベルリンの壁が建設される前)のヨーロッパは、危機が繰り返し発生していただけでなく、核兵器を保有する2つの超大国(two nuclear-armed superpowers)が「鉄のカーテン(the Iron Curtain)」を挟んで睨み合っていたという事実に、平和は大きく依存していた。ヨーロッパが2つの対立圏(rival spheres)に分断されていたことで、開戦の可能性は低かったかもしれないが、冷戦(the Cold War)下の競争は依然として激しく、どちらの側も、相手が自らの勢力圏で優位な影響力を行使する「権利(right)」を完全には認めていなかった。もしアメリカ人がそうしていたら、ロナルド・レーガン大統領がベルリンでソ連の指導者たちに「この壁を壊せ(tear down this wall)」と演説することは決してなかっただろう。

さらに言えば、諸列強帝国(great-power empires)の初期の歴史は、誰が異なる地域に支配的な影響力を及ぼすかについて相互合意(mutual agreement)によって平和を確保しようとすることの難しさを如実に示している。様々な植民地大国(colonial powers)は海外に帝国を築く権利を認め、時には世界のどの地域が誰のものであるかについて暫定的な合意に達したものの、こうした取り決めは流動的であり、時に激しい論争を巻き起こした。イギリスとフランスは、北アメリカにおける支配的な影響力をめぐって争い(最終的にはどちらにもならなかった)、アフリカ、中東、南アジア、太平洋におけるそれぞれの植民地領有権をめぐって繰り返し衝突した。したがって、歴史が示すように、地図上に線を引いて各列強の領域を画定することは、問題の解決に長くは続かないだろう。

今日ではどうだろうか? 一方で、諸大国は確かに国益を有しており、特に自国領土に近い地域においては、これを無視して自国の戦略を策定するのは愚かな行為である。後知恵(hindsight)で言えば、アメリカの指導者たちは、旧ソ連に隣接する地域で政治的連携を再構築しようとする試みは逆効果になると警告した多くの声に耳を傾けるべきだった。そして、もし遠く離れた大国がアメリカ本土付近で同様のことを行おうとしたら、自分たちはどう反応するだろうかと自問すべきだった。他者の感受性(sensitivities)に配慮することは、道徳的な放棄ではなく、単に賢明な国家運営に過ぎない。

しかし他方で、勢力圏モデルを採用することで世界政治を平和化しようとしても、大国間の競争に終止符を打つことはできない。その理由は次の通りだ。

始めに、大国は自国地域内では相当な経済的影響力を持っているものの、今日の世界経済は高度に、そしておそらくは不可逆的にグローバル化しており、世界中の生活水準は、製造品の複雑なサプライチェインと、世界中から流入する原材料や食料資源に依存している。その結果、様々な地域を外部の経済力から完全に遮断することは(かつてのスターリン主義ロシアのように)、誰もが著しく貧しくなることなしには実現不可能だ。もしアメリカがラテンアメリカ諸国による中国製品の購入、原材料や大豆の輸出、そして切望されている中国からの投資の受け入れを阻止できると考えるなら、同等の価値を持つ代替品を提供するか、地域全体の人々の怒りを募らせるかのどちらかを迫られるだろう。同じ原則は、中国が東アジアにおいて外部勢力を排除する経済秩序を押し付けようとする試みにも当てはまる。そしてこれは、非常に深刻なコストを負わない限り、ライヴァル大国の影響力を自国の領域から排除することはできないことを意味する。

さらに、たとえ全ての主要国がそれぞれの領域を何らかの形で正式に承認したとしても、彼らは互いに警戒を強め、力と優位性を競い合うことになるだろう。そして、たとえ潜在的なライヴァル国に自国に近い地域への関心と資源を集中させるためだけでも、他の領域への様々な形での干渉に誘惑されるのは避けられないだろう。これが、ヨーロッパやアジア(そして程度は低いがペルシャ湾岸地域)における地域覇権国(regional hegemons)の台頭を阻止しようとアメリカが繰り返し試みてきた中心的な論理であり、こうした覇権国が台頭するには、時にアメリカの積極的な介入(active U.S. intervention)が必要だった。アメリカの指導者たちは、ヨーロッパやアジアにおける覇権国は、自らの領域内では誰にも挑戦されず、西半球を含む世界中でより自由に介入できるだろう。そして、この可能性はアメリカが長らく享受してきた「無料の安全保障(free security)」を低下させるだろうと理解していた。ライヴァル関係にある諸大国が互いの領域に干渉し始めると、たとえそれが限定的なものであっても、各国は警戒感を抱き、反発する可能性が高い。そのため、互いに譲り合い、ライヴァルの領域に介入しないという合意は、特に力のバランスが変化し、魅力的な新たな機会が生まれる場合には、極めて脆弱であることが判明する可能性が高い。

加えて、東ヨーロッパにおけるソ連の経験や、アメリカとラテンアメリカ諸国との関係史が示唆するように、大国の勢力圏内にある弱小国家の中には、その優位性に憤り、それを弱める方法を模索する国も出てくる。これは、遠方のライヴァル大国に介入の機会を与え、優位な大国を不利な立場に追い込むことになる。例えば、アメリカは1953年、1956年、1968年といった時期に、ワルシャワ条約機構加盟国の反乱軍をほとんど支援しなかった。また、1962年のキューバ危機を除けば、ソ連はフィデル・カストロ率いるキューバやサンディニスタを支援するために大きなリスクを冒すことはなかった。むしろ、米ソ両国は主に、ライヴァル国が弱い隣国に高圧的な干渉を行っていることを強調することで、プロパガンダの得点を稼ごうとした。そして、大国が自国の勢力圏内の反体制勢力を弾圧しなければならない状況では、こうした種類の正統性を失わせる動きが必ず起こるのである。

この状況はまた、勢力圏が最も効果的に機能するのは、それがほとんど目に見えない時、支配的な大国が近隣諸国を従わせるために多くのことをする必要がなく、自らの役割を本質的に善意あるものとして見せることができる時であることを私たちに思い出させる。とりわけ、だからこそトランプ政権は、「私たちの(our)」半球に自らの意志を押し付けると豪語しながらも、他国の資源や領土を支配したいという願望を公然と宣言している。これは外交上の失策であり、半球内でさらなる反感を醸成し、大国同士がアメリカを危険なならず者(a dangerous rogue)と描写するための十分な材料を与えることになるだろう。

最後に、たとえ中国、アメリカ、ロシア、そしておそらく他の12カ国が互いの勢力圏を認め、尊重することを約束したとしても、アフリカと中東は現在、どの大国の勢力圏にも入っていない。そのため、大国が富、力、影響力を求めて競争できる場所は依然として多く存在し、各大国が争っている地域への安全な通信回線を確立し、他の地域へのアクセスを拒否しようとするため、ある地理的領域での競争は他の地域にも波及する傾向がある。

結局のところ、世界が能力の大きく異なる独立国家に分断されている限り、勢力圏は国際情勢の不可避的な特徴であると同時に、平和を促進することにとっては、頼りない手段でもある。より平穏で繁栄した世界を築きたいのであれば、まずは他国の勢力圏に挑戦することは危険な試みであることを認識する必要がある。しかし、それだけでは終わらない。安定した平和の構築は、少数の世界指導者が地図を取り出して誰がどこに何を得るかを決めるだけでは到底できるものではない。たとえ今日、何とか合意に至ったとしても、将来、互いの地域的宗主権(regional suzerainty)の主張に挑む、微妙な、あるいはそれほど微妙ではない試みを含め、優位性を競い合うことを止めることはできない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争はアメリカの仲介による停戦交渉が続いている。ウクライナ戦争は2026年2月24日を過ぎて継続していると、満4年となり、5年目に入る。ウクライナ、ロシア両国の国民にとっての苦痛が長期間続くことになる。トランプ政権は、2026年2月24日に一般教書演説(the State of the Union Address)を予定している。ここまでに停戦交渉をまとめて、一般教書演説で大々的にアピールしたいところだろう。

 ウクライナ戦争は、ロシアとウクライナの戦争であるが、ウクライナのバックにはアメリカとヨーロッパの西側先進諸国という「大応援団」がいて、ロシア対西側諸国という構図になっていた。ロシアは戦術核兵器使用(ウクライナだけに限定せず)を示唆したことで、西側諸国の腰が引けた。ウクライナにロシアを本気で怒らせない程度の攻撃しか許さない状況になった。

 そもそも西側諸国はウクライナに軍事支援や軍事顧問団派遣を行い、ロシアを挑発してきた。ロシアがその挑発に乗ってしまったという面はある。西側諸国はロシアが挑発に乗ってきたところで、経済制裁を発動してロシアを締めあげてやろうとしており、実際に経済制裁を行ったのだが、意図に反して、ロシアは屈服しなかった。ウクライナからロシアを完全に追い払うには、西側諸国が自分たちも危険を冒して、血を流す覚悟、最終的には地上軍派遣を行わねばならないところまで進んだが、もちろん、西側諸国にそのような意図も度胸もない。ロシアは西側以外の国々からの支援を受けて、守りを固めて、戦争を継続している。ウクライナはどうしようもない状態になっている。さらに、ウクライナ国内の状況もばれつつあり、はっきり言って、見た目はヨーロッパだが、中身は昔の第三世界の国のようなもので、腐敗と汚職の蔓延した国家である。そのような国に重要な武器を渡して、それをアメリカの敵対国や敵対勢力に横流しでもされたら目も当てられない。いくらお金を注ぎ込んでも、そのお金が政府高官たちの贅沢な生活に消えてしまうが、それくらいはまだましであるということになる。

 西側諸国がウクライナ支援に対して及び腰なのは、ロシアを怒らせたくないということと、ウクライナ国内の腐敗と汚職の問題があることが原因だ。アメリカをはじめとする西側諸国の支援が足りないなどと言っても、支援したくてもできない事情がある。ウクライナ戦争は西側諸国の間違った戦略のために起きた災厄である。ウクライナの一般国民が一番の犠牲者である。一日も早い停戦の実現を望む。

(貼り付けはじめ)

ジョー・バイデン政権のウクライナへの長い影(Biden’s Long Shadow Over Ukraine

-バイデン政権はウクライナに対してほぼあらゆる面で失望を与え、今日に至るまで戦争を形作ってきた。

エイドリアン・カラトニツキー筆

2025年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/05/biden-war-ukraine-russia-putin-zelensky-military-aid/

2022年夏の終わり、ウクライナはウクライナ南部で大規模な反撃を開始した。11月11日、この作戦の結果、ヘルソン市とドニエプル川西側のロシア占領地域全てが解放された。

ウクライナ軍がヘルソンに復帰したという高揚感の中、包囲網に閉じ込められていたロシア軍の驚異的な脱出劇はほとんど注目されなかった。数週間にわたり、前線強化のために派遣された精鋭部隊を含む推定2、3万人のロシア兵と大量の軍事装備が、フェリー、桟橋、そしてウクライナ軍が事前に一部通行不能にしていた橋を使って、ドニエプル川を越えて安全に撤退した。ウクライナ軍は撤退に先立ち、この橋をロケット砲で攻撃していたが、ロシア軍の主力が渡河した数週間後、この脆弱な隘路への砲撃をほぼ停止した。戦争研究所のロシアティームを率いるジョージ・バロスは『フォーリン・ポリシー』誌に「ヘルソンから秩序正しく撤退したことは、戦争全体を通してロシアにとって最も成功した軍事作戦だった」と語った。もしこの部隊が壊滅するか降伏を強いられていたら、それは戦争の転換点となり、全世界の前で晒される、クレムリンにとっての大きな屈辱となっただろう。

最近、ウクライナ政府高官数名と背景について話をする機会があり、これらの出来事について新たな知見が得られた。第一に、この撤退は、屈辱的な敗北がロシアの戦術核による反撃を誘発するのではないかとアメリカが懸念する中で行われた。第二に、ウクライナは河川を越える距離まで到達できる弾薬が不足しており、これはアメリカがウクライナに供給する弾薬の種類と量を厳しく制限していたことが理由だ。ロシア軍の驚くほど妨害のない撤退の真相は、戦争終結後も長らく秘密のままとなる可能性があるが、ヘルソン周辺での出来事は、ウクライナの攻撃が戦争中ずっと、アメリカをはじめとする西側諸国からの兵器の流入とその使用制限によって厳しく制限されてきたことを象徴している。

ドナルド・トランプ大統領は、ロシアとウクライナの紛争をしばしば「バイデンの戦争(Biden’s war)」と呼んでいる。ジョー・バイデン前大統領がロシアのウクライナ侵攻の個人的な責任を負っているというトランプ大統領の主張はもちろん誤りだ。責任はロシアのウラジーミル・プーティン大統領にあるのであり、トランプ大統領も主張しているように、バイデンやウクライナにあるのではない。トランプ大統領を除くほとんどの人が知っているように、プーティン大統領は長らくウクライナの正統性(legitimacy)に疑問を呈しており、少なくとも2014年にクリミア侵攻とドンバス占領というロシア初の領土獲得を開始して以来、その領土を渇望してきた。プーティン大統領の野望の大きさを考えれば、全面戦争に突入するのは時間の問題だった。

しかし、これは全く異なる意味でのバイデンの戦争である。今日に至るまで、この侵攻は、バイデン政権がウクライナにいつ、どのように武器を供給するかという決定、そしてアメリカが軍事援助をてこ入れしてウクライナの戦争遂行を制約した方法によって、大きく形作られてきた。ホワイトハウスのこれらの決定は、ロシアの侵攻の輪郭を大きく決定づけた。ウクライナの現在の軍事態勢、支配地域、そして増大している民間人および軍人の犠牲者数は全て、バイデン政権がウクライナの戦争遂行方法に課した制限によって大きく形作られており、その制限は今日まで続いている。

確かに、バイデンのウクライナにおけるレガシーは、ネガティヴなものだけではない。バイデン政権の多大な支援と、キエフを支援する国際連合の形成における彼の成功がなければ、ウクライナは領土の約80%を維持できなかっただろう。ロシアの侵攻を衰弱させるほどに減速させることもできなかっただろう。もしトランプが政権を握っていたら、キエフを支援するよりもモスクワとのビジネス取引を優先したかもしれない。しかし、バイデンの過剰な慎重さとウクライナの戦闘方法に対する厳しい制約は、2022年秋のウクライナの急速な反撃の停滞にほぼ確実に寄与し、そして今日に至るまでロシアが戦争を終結させ、自国が出す以外の条件で和解を求める圧力をほとんど感じていないという事実にもつながっている。

バイデンはウクライナの運命を深く憂慮しており、NATO同盟諸国とその他の民主政治体制国間の結束、負担分担、支援の調整、そして協力を巧みに形作った功績は、高く評価されるべきだ。実際、ヨーロッパ各国の首脳が最近示した強い結束、そして8月18日に大統領執務室で行われたトランプ大統領との会談で最も劇的な結束は、バイデンの非常に効果的な連合構築の成果である。

しかし、バイデン陣営の失策、そしてウクライナ軍への支援における過剰な慎重さは、誠実な評価を免れるべきではない。

最初の失策は、バイデンが副大統領を務めていたオバマ政権時代の遺産であるが、2021年3月に政権発足からわずか数週間後に始まったロシアによるウクライナ国境での大規模な軍事力増強の過程で、バイデンがウクライナへの大幅な武器供与を拒否したことだ。ウクライナは、トランプ政権初期に供与された対戦車兵器を補強するための新たな兵器を強く​​求めていたにもかかわらず、バイデンは何もしなかった。

ワシントンが2億ドルの控えめな武器パッケージを送る準備をした後も、バイデンはプーティンとの緊張の高まりを恐れて援助の送付を遅らせた。2021年12月中旬のNBCニューズの記事によると、バイデンは「緊張を緩和するための外交努力のための時間を増やす」ために援助を差し控えることを決めた。『ワシントン・ポスト』紙の信頼できる情報源による報道によると、アメリカの情報機関はその時にすでにロシアがウクライナへの全面攻撃の準備をしていると結論付けていたため、援助の遅延はこのようにして多くの重要な数週間にわたって続いた。バイデンの遅延の結果、2022年2月にロシアが攻撃するまでに、比較的わずかな援助パッケージの一部しか移送されなかった。バイデンが事実上、ロシア・ドイツ間のノルドストリーム2・ガスパイプラインとアフガニスタンからの屈辱的なアメリカの撤退を支持したことと相まって、クレムリンはこれら全てをワシントンの弱さと決意の欠如のシグナルと見ざるを得なかった。

さらに、戦争の初期段階では、バイデン政権はウクライナ軍がロシア軍に対して短期間で敗北すると確信していたため、多額の援助を控えていた。政権の誤った評価は、バイデン政権の国家安全保障ティームが信頼するロシア専門家サミュエル・シャラップによっても主張されていた。彼は『フォーリン・ポリシー』誌で「西側諸国の兵器はウクライナに何ら影響を与えない」と主張した。アメリカ側との協議に関わったウクライナ政府の元高官は、バイデンの消極的な姿勢は、少なくとも部分的には、タリバンが数十億ドル相当のアメリカ製兵器を押収したことが影響していると考えていると私に語った。バイデンはロシアがすぐにウクライナを制圧すると考えており、そのため、アメリカ製兵器がプーティンの手に渡ることを恐れていたようだ。

現実は全く異なっていた。トランプ政権初期に提供された対戦車ジャヴェリン、イギリス製の対戦車NLAW、そしてウクライナ独自の兵器(国産兵器とソ連時代の装備の混合)に加え、ヴァレリー・ザルジニー将軍率いる士気の高い防衛部隊による大胆な戦闘作戦により、ウクライナは苦境を克服し、ロシアを当初奪取した領土の多くから追い出すことができた。ウクライナの予想外の成功は、バイデン政権とNATO同盟諸国がようやく懸念の一部を克服し、支援を強化する機会をもたらした。

しかし、ウクライナは大きな成功を収めたにもかかわらず、バイデンと彼のティームは戦争中、事実上あらゆる場面でウクライナを失望させた。彼らは重要な兵器を渡さず、過剰な警戒からキエフの生存をかけた戦い方を著しく制限した。

バイデン政権の核エスカレーションへの懸念は、その後数年間のアメリカによる支援を形作る上で決定的な役割を果たした。こうした懸念を認識したクレムリンは、頻繁な脅しによって巧みに国民の懸念を煽った。これは、ソ連時代の戦略家たちが「反射的統制(reflexive control)」と呼んだ、敵対者の思考を形作るための一種の心理戦の典型例である。バイデン政権は、オバマ政権のロシアの「エスカレーション優位(escalation dominance)」理論の派生型、すなわちロシアはいつでも紛争をエスカレートさせてアメリカの援助を無効化できるという考えを信じていた。2014年からオバマ政権の任期満了となる2017年まで、この理論はキエフへのアメリカの致命的な軍事支援を拒否する根拠となった。

ロシアは戦争初期に戦術核兵器の使用を検討していたかもしれないが、ウクライナ側は喜んでそのリスクを負うつもりだった。1年間の激戦、ロシアの戦場での大敗(占領地の大規模な喪失を含む)、そして西側諸国からの新型兵器の供与を経て、エスカレーションの脅威は(かつて存在した限りでは)後退していた。その時点で残っていたのは、ウクライナによる戦争遂行の実効性を抑制するというアメリカの一貫した政策だけだった。この政策の運用は、ボブ・ウッドワードの著書『WAR 3つの戦争(War)』で明らかにされている。同書は、2022年10月21日のやりとりを報じている。その中で、ロイド・オースティン国防長官はロシアのセルゲイ・ショイグ国防長官に対し、「私たちは特定のことを行わないよう注意してきた。(中略)私たちが提供した兵器の使用方法については、一定の制限を設けている」と述べている。オースティンのこの言葉は、ウクライナの戦争遂行に対するバイデン政権のアプローチの本質を明らかにしており、この政策は今日まで続いている。

ロシアの主要な戦略的パートナーである中国が、プーティン大統領が核兵器使用の選択肢に訴えることはないという強い兆候を示した後も、アメリカの牽制は続いた。ウクライナのある高官は私に、習近平国家主席がプーティン大統領に対し、核兵器使用の選択肢は容認できないと明確に伝えたと中国側がウクライナ側に伝えたと語った。プーティン大統領が中国の支援への依存度を高めていることを踏まえると、この情報はウクライナ当局者に、ロシアが核兵器使用のリスクを冒さないと確信させた。しかし、ワシントンは、キエフの戦争遂行能力を劇的に強化する可能性があった主要兵器の移転を、一貫して遅らせたり、遅々として進まなかったり、あるいは完全に反対したりした。

2023年1月末までに、ロシアによる戦術核兵器の使用が差し迫っているというアメリカの懸念は、ある程度和らいだ。ウクライナがハリコフとヘルソンを解放するという戦場での見事な活躍を受け、西側諸国は大型戦車を含む新たな兵器支援を約束した。しかし、多くの物資の搬入は依然として遅延していた。しかし、ロシア軍後方の軍事目標および兵站目標を攻撃するための深層攻撃兵器を求めるウクライナの要請は、バイデン政権時代を通じて常に無視されてきたように、依然として無視されたままであった。

バイデン政権がウクライナに適切な武器を提供することに消極的だった歴史的記録は衝撃的だ。ウクライナが当初HIMARS多連装ロケット砲を要請したが、2022年夏まで回答が得られなかった。しかも、要請が出されたのは、人口約45万人の戦略的に重要な港湾都市マリウポリが、凄惨な包囲攻撃で街がくすぶる廃墟と化した後にすぎなかった。マリウポリ近郊の集団墓地は、ウクライナの民間人および軍人の死者が数万人に上った可能性があることを示している。キエフがパトリオット防空システムを求める要請も、ロシア軍がウクライナの都市の民間人を標的に継続的かつ残忍な攻撃を行ったにもかかわらず、2022年の大半の間、回答が得られなかった。なぜ当時、純粋に防御用の兵器ですら禁止されていたのかは、バイデンと当時の国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンの秘密のままである。

最初のエイブラムス戦車がウクライナ軍に到着したのは、ロシアの侵攻から1年半以上経った2023年9月になってからだった。そして、2023年5月にキエフに長距離ストームシャドウミサイルを供給すると発表したのは、ワシントンではなくロンドンだった。アメリカによるATACMSと呼ばれる長距離ミサイルの納入は、2023年10月にようやく始まった。当時でさえ、これらのミサイルは射程距離を制限するように改造されており、ロシア領内の軍事目標への使用は制限されていた。例えば2024年夏、ウクライナは国境からわずか100マイル内側にあるロシアの主要爆撃基地の1つへの攻撃許可を懇願したが、結局拒否された。この制限が部分的に解除されたのは、2024年11月になってからだった。

また、バイデン政権はキエフに対し、ウクライナの主権領土内であっても、特定のロシア軍・兵站施設を攻撃しないよう圧力をかけたようだ。『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、アメリカはクリミア半島のロシア空軍基地と、ロシア軍にとって重要な補給路であるケルチ海峡橋へのウクライナ軍の攻撃に反対している。この記事ではまた、アメリカがクレムリンの要請により停止した、未公表のウクライナ軍による作戦についても言及している。

さらに、バイデン政権は戦争中ずっと、アメリカとウクライナだけでなく、ヨーロッパの同盟諸国にも恣意的なレッドラインを引いた。同盟諸国は、戦車、長距離ミサイル、ヨーロッパ所有のF-16戦闘機など、特定の兵器の提供を差し止められた。しかし、これらの制限が遅れて解除されると、これらの戦闘機はロシアの攻撃に対するウクライナの防空防衛の不可欠な要素となった。

ハドソン研究所のルーク・コフィーが述べているように、「遅延はクラスター弾、戦車、歩兵戦闘車、そしてATACMS(対空ミサイルシステム)の提供に影響を与えた。アメリカは最終的にこれらのシステムすべてを承認したが、その決断の遅れはウクライナに多大な損害を与え、積極的対応ではなく事後対応を強いることとなった」。言い換えれば、バイデンはウクライナに対し、背中に片手を縛られた(one hand tied behind its back)状態でロシアと戦うことを強いた。

アメリカの限定的な援助はロシアの侵攻をやっと抑える程度ではあったが、ウクライナが国家として存続することを確かに保証した。こうした状況下で、ウクライナは、自国の長距離ミサイルを含む、これまで供給が認められていなかった兵器の開発と量産を徐々に開始した。また、強力な戦闘用ドローン産業の台頭にも時間を稼ぎ、戦場は一変した。

ウクライナ自身の技術革新にもかかわらず、バイデン政権によるロシアへの攻撃制限は、爆撃機攻撃に利用される飛行場など、ロシア国内の軍事施設やインフラ施設への攻撃能力を非常に限定的なものにしていた。2024年には、バイデン政権はキエフの国産兵器の使用さえも細かく管理し、ロシアの石油精製所へのドローン攻撃を中止するようウクライナに圧力をかけた。ウクライナはこれに従い、爆発力は大きいものの戦略的な影響は小さい燃料貯蔵庫への攻撃に切り替えたようだ。トランプ政権下では、この制限は撤廃され、ウクライナはロシアの製油所に対して非常に効果的なドローン作戦を開始した。その結果、ロシアの大部分が燃料不足に直面している。この作戦の成功は、石油インフラへの攻撃が、バイデン政権が想定していたようなレッドラインではなかったことを証明している。

バイデン政権の制限は軍事的にはほとんど意味をなさず、むしろ著しい不均衡を生み出した。ロシアのミサイルとドローンがウクライナの都市で電力、暖房、水道の供給を停止させた際、ウクライナには同様の対応を行う能力がほとんどなかった。ロシアの攻撃は今日まで衰えることなく続いており、民間人が殺害され、数千ものウクライナの学校、教会、病院、アパート、オフィスが壊滅した。これらの攻撃の一方的な姿勢は、バイデン政権の制限が今もなお及ぼしている影響を如実に示している。

バイデン政権の慎重なアプローチは、アメリカにも政治的な遺産を渡すことになった。武器の漸進的な供給と厳しい使用制限によってウクライナで生じた膠着状態は、新たな「永遠の戦争(forever war)」の恐怖を生み、トランプに近い共和党員からの反対を強め、2024年の選挙戦においてトランプを有利に導いた可能性が高い。

MAGA保守派の間でウクライナへのアメリカからの支援を縮小すべきだという機運が高まっていることを念頭に、共和党の連邦下院議員マイケル・マコール、マイク・ロジャース、マイク・ターナーは2024年1月に詳細な報告書を発表し、武器制限の解除を求め、バイデン政権は戦争終結を確実にする計画を策定していないと警告した。議員たちは「戦争の初日以来、バイデン大統領がウクライナへの重要兵器の提供をためらい、それがウクライナの勝利を遅らせてきた」と非難した。さらに彼らは、ウクライナの勝利への道筋は「(1)必要かつ迅速なウクライナへの重要兵器の提供、(2)プーティン政権への制裁の強化、(3)凍結されたロシアの国家資産(3000億ドル)のウクライナへの移管」が必要だと主張した。

トランプも2025年8月にトゥルーソーシャルに「バイデンはウクライナに反撃をさせず、防衛だけをさせた。その結果は一体どうなったんだ?」と投稿し、この批判を繰り返した。しかし、バイデン政権下でウクライナの戦闘行為に対して課された制約の大部分は、トランプ政権下でも依然として有効である。実際、ウォール・ストリート・ジャーナルが2025年8月23日に報じたように、トランプ政権はウクライナによるロシア国内への長距離対空ミサイル(ATACMS)発射をひそかに阻止した。すべての兵器輸送の費用をヨーロッパまたはウクライナが全額負担することを義務付けるアメリカの新たな政策下でも、これらの購入のほとんどは、種類、数量、使用方法において依然として厳しく制限されている。

バイデン政権が恣意的なレッドラインを課さず、クレムリンによる核恐怖の煽動に操られることもなければ、マリウポリは陥落しなかったかもしれない。ウクライナは2022年の反攻作戦の勢いを確実に維持し、ロシア軍が陣地を固める前にさらに多くの領土を解放できただろう。ウクライナはヘルソンで撤退するロシア軍とその装備に屈辱的な敗北を味合わせることができただろう。ウクライナ市民に毎夜死をもたらすロシアの爆撃機と空軍基地を破壊できたはずだ。ロシアの戦争マシーンにとって最重要の資金源である石油・ガス産業は麻痺状態に陥っていた。そしてクレムリンはとっくの昔に交渉の席に着き、勝ち目のない戦争からの脱却を迫られていたかもしれない。

その代わりに、バイデンが形作ったウクライナ戦争はトランプ政権下でも継続している。トランプが戦闘終結に向けた精力的な試みで一定の功績を認められる一方で、特使スティーヴ・ウィトコフの拙劣な取り組みが示すように、成功の見込みは薄い。永続的な平和を実現するには、プーティンを交渉のテーブルにつかせる必要がある。そのためには、トランプはまずウクライナが自力で効果的に戦えるよう支援し、バイデンの戦争(Biden’s War)を終わらせる必要がある。ヨーロッパの資金援助(凍結されたロシア資産の活用を含む)、アメリカと同盟諸国の武器の制限なき使用(モスクワやサンクトペテルブルクの標的攻撃能力を含む)、強力な二次制裁を伴うこうした戦争こそが、紛争終結への最短ルートである。

※エイドリアン・カラトニツキー:大西洋評議会上級研究員、ミュルミドン・グループ創設者。著書に『戦場としてのウクライナ:独立からロシアとの戦争へ(Battleground Ukraine: From Independence to the War with Russia)』がある。

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 古村治彦です。

 2026年2月24日で、ウクライナ戦争は満4年、5年目に進む。アメリカの仲介による停戦の動きは進んでいない。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領は共に、アメリカ側から提案される条件に同意していない。プーティン大統領は慌てて停戦をする必要がない状況であり、できるだけ良い条件を引き出すための「熟柿(じゅくし)作戦(Waiting for the right moment)」を展開している。柿が熟れて自然と落ちてくるまで待つということになる。

 ゼレンスキー大統領は追い込まれている。西側諸国からの支援を受けて、戦線を維持しているが、支援もいつまで続けてもらえるか分からない。既に国土の6分の1を失い、多くの死傷者を出している。ウクライナ政府の非効率性や腐敗も、世界中からの注目もあって、白日の下に晒されている。このような状況であったなら、ウクライナ軍が敢闘し、ロシア軍の進行を阻止し、ロシア軍が慌てていた戦争の初期段階で、停戦交渉を行った方が良かったということになる。その後も大反攻(great counter-attack)を企図したが、それも失敗した。支援したアメリカ軍やイギリス軍の将官たちから、「そんなものが成功するはずがない」と批判されていながら、反攻作戦を強行し、失敗した。ロシア軍は守りを固めつつ、ウクライナを攻撃している。戦線は膠着している。ゼレンスキーは八方塞がりになっている。
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 ウクライナ軍はドローン戦闘機を使っての攻撃も行っているようだが、その効果も限定的である。そのようなゲリラ戦に毛が生えたような攻撃で、ロシア軍を押し戻すということは不可能である。既に勝負は決している。これ以上は徒に犠牲を増やすだけである。狂信的なナショナリズムや精神力で戦争を維持することが得策とは言えない。はっきり書けば、ウクライナ以外の国々は「早く停戦交渉のテーブルに着いて、少しでも良い条件の停戦を勝ち取る方が良いのに」と考えている。ウクライナ国民にとっては残念なことだと思う。しかし、国際政治は残酷な面を持つのもまた事実だ。平和を回復して、今度こそ、公明正大な政府を構成し、その恵まれた肥沃な大地から立ち上がって欲しい。

 そして、私たちは、ウクライナの状況をしっかり観察し教訓を得て、日本がそのような状況に陥らないように動くことが肝要だ。しかし、私は、日本国民全体がそこまでの賢さと能力を持っているかという点について、残念なことであるが悲観的になっている。

(貼り付けはじめ)

ウクライナのドローン攻撃は問題にはならない(Ukraine’s Drone Attack Doesn’t Matter

-残念なことだがこの派手な作戦は根本的な現実を変えるものではない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年6月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/09/ukraine-war-drone-attack-spiderweb-russia-air-bases/

ウクライナによるロシア奥地の空軍基地への劇的で衝撃的な無人機攻撃「蜘蛛の巣作戦(オペレイション・スパイダーズ・ウェブ、Operation Spider’s Web)」は、2022年にロシアが違法な侵攻を開始して以来、この戦争を特徴づけてきたいくつかのテーマを浮き彫りにしている。これはウクライナの回復力(resilience)、創造性、そして大胆さ(audacity)を示す好例であり、これらはモスクワを幾度となく驚かせてきた資質である。また、この作戦はロシアの国家安全保障・情報機関の無能さ(incompetence)と油断(complacency)を暴露した。彼らは、ウクライナが100機以上の殺傷能力を持つ無人機と遠隔操作装置をロシア領土の奥深く、戦略爆撃機が配備されている空軍基地の近くに密輸しようとした試みを予測も検知もできなかった。ロシアの戦場での戦闘能力は戦争初期から向上しているが、国家安全保障体制は依然として脆弱である。

しかしながら、「蜘蛛の巣(スパイダーズ・ウェブ)」の報を受けて多くの観測者が感じた当然の満足感は、ロシアの侵攻に対する効果的な対応策を練る努力を損なってきたいくつかの誤りをも反映している。優れた戦術的革新(tactical innovations)も、戦力や決意の非対称性(asymmetries in forces or resolve)、そして効果的な全体戦略の欠如(the absence of an effective overall strategy)を補うことはできない。開戦から3年が経過した現在も、キエフとその支援者たちは、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領の戦争目的を阻止し、戦闘終結を説得するための説得力のある計画を依然として欠いている。プーティン大統領の決意は今回の事件によって揺るぎないように見え、ドナルド・トランプ米大統領に対し、ロシアは報復する決意であると明言したことは、まさにその言葉通りだった。

さらに重要なのは、ウクライナの攻撃の戦術的独創性に目を奪われて、その戦略的重要性の無さに目をつぶるべきではないということだ。ドローン攻撃は斬新であり、戦争のあり方、そして今後のあり方を既に変えているが、結局のところ、それは航空戦力のもう一つの形態に過ぎない。たとえ非常に効果的な空爆であっても、それだけで戦争に勝利することはほぼない。しかし、航空戦力(ドローンを含む)は地上部隊の作戦において重要な役割を果たす可能性がある。

戦略的な観点から、これらの問題を最もよく研​​究をした、ロバート・ペイプは、1991年に著した『勝利のための爆撃:戦争における航空戦力と強制(Bombing to Win: Air Power and Coercion in War)』を出版した。ペイプは、航空戦力は民間人を懲罰したり、敵の戦略資産を危険に晒したり、敵の指導部を失脚させたり、敵の戦争目的を達成するための軍事力を奪ったりするために使用できると主張した。彼の事例は、最初の3つの戦略では敵を降参させることはほとんどなく (たとえば、民間人を爆撃すると、敵が戦争遂行をさらに強く支持するようになる傾向がある)、航空戦力は他の軍事資産と組み合わせて使用​​して敵軍を打ち破り、戦略目標を達成できないことを敵に示す場合に最も効果的であることを示した。

この観点から見ると、最近のウクライナのドローン作戦は、純粋に戦術的な観点からは確かに印象的であったものの、本質的には脇役的であり、本筋ではなかった。この点において、これは、同じく予想外で当初は成功したものの戦況を変えることができず、その後完全に逆転したクルスク近郊へのウクライナの侵攻と類似している。12機以上の戦略爆撃機を破壊したとしても、ロシアがウクライナへの進撃を継続したり、ウクライナの都市に対してミサイルや無人機による追加攻撃を実施したりする能力に、実質的な影響を与えることはないだろう。

確かに、この作戦はウクライナの士気を高め、ウォロディミール・ゼレンスキー大統領の人気を高め、ロシアに将来的な同様の作戦を阻止するための資源投入を迫っていることは間違いない。ロシアの国家安全保障エリートの間で、この戦争の賢明さとプーティン大統領の戦略に対する疑念が高まったのではないかと期待する声もあるが、プーティン大統領の権力基盤が揺ぐ、もしくは、戦争に反対するエリートや国民がプーティン大統領の考えを変えるような兆候は見られない。もしそうなれば素晴らしいが、計画を立てる材料としては薄っぺらなものに過ぎない。

この状況は、ウクライナとその支援諸国を、戦争開始以来直面してきたのと同じ難題に直面させる。すなわち、ウクライナの地政学的立場(Ukraine’s geopolitical alignment)を存亡の問題と見なし、最低限の戦争目的としてウクライナが西側の防壁となることを阻止することを掲げる、数的に優位な敵をどう打ち破るかという課題である。ウクライナ国民は祖国防衛のために並外れた犠牲を払ってきたが、戦略的パートナー(ジョー・バイデン前米大統領を含む)のいずれも自分たちの軍隊や領土を危険に晒す意思を示していない。この非対称性を踏まえ、キエフと西側諸国は代わりに、ウクライナの不屈の精神(Ukrainian grit)、西側の財政・物資支援、そしてロシアに対する厳しい経済制裁(economic sanctions)の組み合わせが、最終的にモスクワに方針転換を促すことを期待してきた。

それはまだ起こっていない。現時点では、そうなる可能性はますます低くなっているように思える。2022年秋のウクライナの攻勢は戦況を覆すことはできず、その後の2023年夏の反攻(ウクライナを支援・支援する西側諸国によって装備・訓練された新設旅団が投入された)は、多大な犠牲を伴う大失敗に終わった。前述の通り、クルスクへの侵攻は当初成功したものの、戦争の軌道を変えることも、キエフに有効な交渉材料を提供することもなかった。ロシア軍は多大な犠牲を払いながらも、ゆっくりと前進を続けている。戦場の情勢が概ねプーティン大統領に有利に進んでいる現状では、トランプでさえプーティン大統領には戦争を終わらせる動機がほとんどないことに気づき始めているようだ。

戦争終結への希望は、相互に受け入れられる解決策を見出すことを特に困難にする政治勢力との闘いにも直面しなければならない。キエフとモスクワは戦争以前、ほとんど互いを信頼していなかったが、今や全く信頼していない。プーティン大統領は、開戦前からロシア国境付近におけるNATOの存在を致命的な危険と見なしていた。フィンランドとスウェーデンの参加、そしてNATOによるウクライナへの支援は、プーティンの懸念を間違いなく高めた。同時に、ロシアの行動は近隣諸国にロシアの将来の意図に対する懸念を一層深めさせ、ロシアへの譲歩を躊躇させている。ロシアと西側諸国間の安全保障のディレンマ(security dilemma)は、開戦前よりも今の方が深刻化しており、安定的で相互に受け入れられる解決策の策定はより困難になるだろう。そして、お馴染みのサンクコスト(sunk cost)の誤謬を忘れてはならない。あるロシア兵が最近『ニューヨーク・タイムズ』紙に次のように語った。「私たちは皆疲れ果てており、家に帰りたい。だが、将来、それらの地域のために苦労しなくて済むように、全ての地域を奪取したい。そうでなければ、兵士たちは皆、無駄死ということになるではないか?(have all the guys died in vain?)」。こうした感情はウクライナにも間違いなく存在している。

戦争のこの時点で、正しい答えがあると過信すべきではなく、完璧な結果を得ることは過剰な期待ということになる。しかし、新たな兵器や戦術、あるいは「蜘蛛の巣(スパイダーズ・ウェブ)」のような大胆だが本質的に限界のある作戦に期待を託すのは、単なる希望的観測に過ぎない。むしろ、ウクライナにロシアに不釣り合いな損害を与える能力を与え続けること、そしてモスクワを抑止し安心させる中央ヨーロッパの将来の安全保障体制を真剣に構想し交渉することこそが、戦争を終結させ、ウクライナの残存部分を保全する唯一の方法だ。これは宥和政策(appeasement)ではない。ロシアの現状打破(undermining the status quo)への関心を低下させ、その試みが失敗に終わることを確信させるような安全保障体制の交渉に前向きであることを意味する。

残念ながら、特にトランプ政権のこの問題への不安定な対応と、多くのヨーロッパ諸国に対する根底にある敵意を考えると、西側諸国の指導者たちがこの方針を追求するのに十分な団結力、決意、そして想像力を持っているとは到底言えない。結局、ウクライナの運命を決めるのはこうした政治的要因であり、戦術的には素晴らしいが戦略的には無関係な英雄的防衛軍の努力ではない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしています。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されています。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いです。

 国際政治は大国間の駆け引きの場となっている。ウクライナ戦争もまさにそうなっている。アメリカが仲介者の形で停戦に向けて、ロシアとウクライナとチャンネルを持って交渉を続けている。停戦交渉の内容はロシア寄りの内容になっており、ウクライナは受け入れられないと反発している。ウクライナはウクライナ軍の善戦を認めるとしても、実際には厳しい状況が続いている。アメリカやヨーロッパ諸国の支援を受けて戦争を継続できているが、大きな成果を上げるまでには至っていない。既に戦争開始から4年近くが経過している。これまでにロシア軍を撃退するような大戦果を収めることができていない。現状維持が精いっぱいのところだ。ウクライナ戦争について、アメリカが支援を削減すれば、ウクライナは戦争どころではない。
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(左から)キース・ケロッグ、ドナルド・トランプ、スティーヴ・ウィトコフ

 アメリカではキース・ケロッグがウクライナ担当特使となっているが、現状ではほぼ存在感がない。そして、来年1月での辞任の意向を示している。ウクライナ寄りの立場での発がんが多く、ロシア側がケロッグを忌避している状況では、交渉の仲介者にはなれない。中東担当特使のスティーヴ・ウィトコフがウクライナ戦争の仲介にあたっている。ウィトコフはロシア寄りだという批判も多く、停戦が進まないのはウィトコフの無能のせいだという主張もある。しかし、現実を考えてみると、ウクライナには気の毒であるし、かわいそうではあるが、ロシア寄りの停戦条件にならざるを得ない。そもそもがウクライナを西側が対ロシア挑発の最前線にしてしまったという根本原因がある。西側諸国はウクライナのNATO加盟もEU加盟も認めてこなかったのに、軍事支援だけは行ってきた。これはいざとなれば、ロシアを挑発して、ロシアを暴発させて、ウクライナを攻撃させて、ロシアを返り討ちにするという考えでのことだった。失敗してもウクライナを切り捨てれば済む、そのために、NATO加盟もEU加盟も認めなかった。大きな誤算は、ロシアを暴発させたので、シナリオ通りにロシアを国際決済システムから締め出して経済的に締めあげたらすぐに降参すると思っていたら、ロシアはそれを見越してすでにドルを使わない決済方式を準備していたということだ。そして、西側以外の国々(the Rest)がロシアを支援したことだ。ウクライナ戦争は西側の敗北であり、敗北の責任は挙げて西側諸国にある。

 トランプ政権とウィトコフはこのことを理解している。それでも、仲介は進めるべきだ。停戦を進めるべきだ。ウィトコフだけでは厳しいようならば、中東での和平に功績があった、トランプの女婿ジャレッド・クシュナーを裏方、交渉役として使うべきだ。大事なことは一時的でもよいので停戦をすることだ。ウクライナには現状での停戦受け入れを基本線にするしかない。そして、ウクライナは危機的状況を好機に変えるために、国家体制や政治文化を大きく変化させる必要がある。戦争中でも汚職がはびこる国に未来はない。

(貼り付けはじめ)

米特使が「ロシアに助言」 与党から解任論―トランプ氏は擁護

時事通信 外信部202511300706分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025112900267&g=int#goog_rewarded

 【ワシントン時事】ロシアのウクライナ侵攻終結を巡り、対ロ交渉を担う米国のウィトコフ中東担当特使への批判が強まっている。ロシア高官との通話内容を伝えた米通信社の報道をきっかけに「ロシア寄り」の姿勢が浮き彫りになったためだ。トランプ米大統領は擁護しているが、与党共和党議員からも解任を求める声が出ている。

 「(トランプ氏を)平和の男だと尊敬していると伝えるんだ。そうすれば良い電話(会談)となる」。米ブルームバーグ通信は25日、ウィトコフ氏とロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)が10月14日に行った電話協議の詳細を報じた。

 ウィトコフ氏は5分超にわたるやりとりで、ウクライナのゼレンスキー大統領が10月17日にホワイトハウスを訪れる予定に触れ、これより前に米ロ首脳の電話会談を行うことを提案。トランプ氏をたたえるほか、ウィトコフ氏とウシャコフ氏が和平案を作成するという提案をプーチン氏が行うよう「助言」していた。

 米ロ首脳は10月16日に電話会談を行い、ハンガリーで会談することで合意。トランプ氏は「進展があった」と評価し、協議は首尾よく終わった。対照的に厳しい状況に置かれたのはゼレンスキー氏。トランプ氏はそれまで前向きな姿勢を見せていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」の供与に応じなかったばかりか、17日の会談は「怒鳴り合い」(英メディア)の険悪な雰囲気に包まれた。

 米メディアによれば、ウィトコフ氏は10月下旬、プーチン氏に近いドミトリエフ大統領特別代表を南部フロリダ州マイアミに招き、トランプ氏の娘婿クシュナー氏も交え、侵攻終結を目指す新たな和平案を作成。ウクライナが東部2州を割譲し、北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念することなどロシアに有利な内容が盛り込まれた。

 トランプ氏は40年近い付き合いのあるウィトコフ氏に厚い信頼を寄せる。同氏は政権発足以降、ロシアを5回訪れてプーチン氏と会談した。だが、不動産業界出身で外交経験には乏しい。老練なプーチン氏に取り込まれていると不安視する専門家が多い。

 トランプ氏は今月25日、ウィトコフ氏の通話内容について記者団に問われると「普通の交渉だと聞いている」と擁護。和平案協議のため、ウィトコフ氏を再びロシアに派遣し、プーチン氏と会談させる考えも表明した。

 しかし、ロシア寄りの姿勢を見せるウィトコフ氏に対し、トランプ氏を支えるはずの共和党議員には懸念が広がる。ベーコン下院議員はX(旧ツイッター)上で「ロシアに肩入れしているのは明らかだ」と述べ、ウィトコフ氏の解任を主張。外交に明るいルビオ国務長官に対ロ交渉を任せるべきだと訴える声も出ている。

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トランプ氏娘婿に再び脚光 ガザ和平交渉の行方左右も

時事通信 外信部202510151243分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025101400660&g=int

 【ワシントン時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を導いたとして、トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏(44)が再び脚光を浴びている。第1次政権で大統領上級顧問を務め、イスラエルとアラブ諸国の関係を正常化する「アブラハム合意」をまとめた人物で、その存在は和平交渉の行方を左右しそうだ。

 「ジャレッドがとても助けてくれた。本当に特別なことを成し遂げてくれた」。トランプ氏は13日、イスラエル国会での演説で、パレスチナ自治区ガザの和平に向けた「第1段階」の合意を巡り、クシュナー氏の貢献をたたえた。

 第2次政権発足後、ガザの和平交渉はトランプ氏側近のウィトコフ中東担当特使が主導した。だが、バイデン前政権の協力で実現した1月の停戦合意は長続きせず、戦闘が再開すると外交経験のないウィトコフ氏に代わり、豊富な中東人脈を持つクシュナー氏に白羽の矢が立った。

 米メディアによれば、クシュナー氏はトランプ氏が9月に発表した20項目の和平計画の立案を担い、人脈をフル活用してアラブ諸国からの賛同を取り付けた。イスラエルとハマスの間接交渉にも加わり、イスラエルの攻撃再開を認めないとするトランプ氏の確約をウィトコフ氏と共にハマス幹部に直接伝え、第1段階の合意へとこぎ着けた。

 第2次政権では政府のポストに就かず、アラブ諸国から巨額の資金を調達して投資ファンド会社を運営するクシュナー氏の関与を問題視する見方もある。だが、トランプ氏が以前言及したガザの観光開発構想もクシュナー氏の発案とされ、トランプ氏への影響力は小さくない。

 停戦発効に伴い人質が解放され、今後の焦点はハマスの武装解除やガザの戦後統治などを巡る交渉に移る。「ついに中東に平和が訪れた」と高らかにうたうトランプ氏だが、ガザ情勢安定化はクシュナー氏の手腕が成否のカギを握る。

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ブロンクスのメッテルニヒ(The Metternich of the Bronx

-ウィトコフの外交は大きく失敗したが、彼は今後も重要な役割を果たす可能性が高いだろう。

エイドリアン・カラトニツキー筆

2025年6月20日

『フォーリン・ポリシー』

https://foreignpolicy.com/2025/06/20/steve-witkoff-trump-putin-russia-war-negotiations-diplomacy-peace-cease-fire-ukraine-iran-israel-hamas/

2025年6月2日にウクライナとロシアの担当者たちがイスタンブールで第2回停戦協議を行った際、真剣な交渉は行われないことは明らかだった。ドナルド・トランプ政権の和平合意への期待に応えることを切望するウクライナは、国防相を筆頭とする高官級代表団を派遣した。しかし、ロシアは中級以下の外交団を派遣したにとどまった。新たな捕虜交換への扉を開いたこと以外、会談は進展をもたらさなかった。クレムリンは、ウクライナの服従条件として、3年間変更されていない、条件を提示した。これには、ロシアによる占領下のウクライナ国内の5地域への支配権の承認(recognition of Russian dominion over five occupied Ukrainian regions)、ウクライナによる追加領土の割譲(the cession of additional territory by Ukraine)、ウクライナの中立(Ukrainian neutrality)、そして事実上の軍の非軍事化(the de facto de-militarization of its armed forces)が含まれていた。

ヨーロッパの代表団は和平プロセスへの支持を表明するためにイスタンブールを訪れたが、アメリカは出席しなかったことが注目された。これは、アメリカが交渉における主要な役割から疎外されていることを物語っている。これは和平プロセスへの高まる期待とは程遠く、ドナルド・トランプ米大統領がロシアのウラジーミル・プーティン大統領も出席するならイスタンブールに同席する用意があると示唆した5月の最初の会談に寄せられた期待からは明らかにかけ離れている。

トランプは長年、プーティンとの特別な関係を誇示し、ウクライナ和平を主要な外交政策目標としてきたが、ワシントンの不在は、政権の外交、そしてロシア・ウクライナ戦争への全体的なアプローチの失敗を如実に物語っている。この失敗は、無能な交渉、ロシアの真の野望への理解不足、そしてプーティンのシグナルの読み間違いの結果である。この失敗は最終的にはトランプの責任であるが、クレムリンへの彼の主要特使であるアマチュア外交官スティーヴ・ウィトコフの影響力によって、事態は深刻に悪化している。

ウィトコフが重要な外交分野に進出したことは、第2次トランプ政権における最大の驚きの1つだった。昨年11月まで、ウィトコフは外交政策プロセスから遠く離れた場所にいた。彼が最初に公職に就いたのは、トランプの大統領就任委員会の共同議長だった。しかし、2024年11月12日、トランプ大統領はウィトコフを中東担当の特使として初めて国際関係に携わるよう任命した。当初、退任するジョー・バイデン政権の同意を得て、ウィトコフはイスラエルとハマスと交渉を行った。トランプ大統領の就任後、ウィトコフの役職はアメリカ政府の正式なものとなった。

ウィトコフはトランプとは40年もの間見知ってきた。そして、トランプの熱心な支持者であり、友人であり、ゴルフ仲間でもある。特に、ウィトコフは、2021年1月6日の暴動後のトランプの最も困難な時期、そして2024年初頭にニューヨーク市で重罪の有罪判決に直面した際に、トランプに寄り添い、精神的に支え続けた。

ニューヨークのブロンクス生まれのウィトコフは、ニューヨーク市ロングアイランドのホフストラ大学で学び、弁護士のキャリアを積み、不動産開発と投資へと転身し、億万長者となった。共産主義崩壊後のロシアで財を成したソ連出身のレン・ブラバトニクとしばしば提携し、ウィトコフはニューヨーク、マイアミ、カリフォルニアに重点を置いた膨大な米国不動産ポートフォリオを構築した。彼の会社はロンドンでのいくつかの注目度の高い投資を中心に国際的な事業活動を行っていたが、ポートフォリオ全体のごく一部を占めるに過ぎない。ウィトコフは海外ビジネスの経験が不足しており、それがトランプがアメリカの外交政策の実施に起用した他のビジネスリーダーたちとは根本的に異なっている原因だ。

ウィトコフの最初の外交活動は、ハマスとイスラエルの紛争における停戦と人質解放の確保に焦点を当てたものだった。バイデン政権、第一次トランプ政権、そしてオバマ政権で外交政策の高官を務めたブレット・マクガーク(Brett McGurk)と緊密に連携し、ウィトコフはトランプ大統領就任のわずか数日前に短期合意を仲介することに成功した。60日間続いた合意は失効し、紛争は継続したが、ヴェテラン外交官と次期大統領の側近というタッグはうまく機能し、ウィトコフの評判は高まった。

中東での成功後まもなく、ウィトコフの職務範囲は劇的に拡大し、ロシアとイランとの直接交渉も担当することになった。歴史に名を残す外交官、例えばオーストリア帝国のクレメンス・フォン・メッテルニヒ(Klemens von Metternich)やアメリカのヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)を除けば、複数の重要な国際交渉の責任を1人の高官が担うことは稀なことだ。

それでも、トランプ大統領と個人的な繋がりを持ち、直接アクセスできる人物を任命することは、過去に成功を収めてきた。アブラハム合意をめぐる交渉では、トランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナーが中心的な役割を果たし、中東情勢に長年精通した経験豊富なアドヴァイザー陣を頼りにしていたため、この手法は特に効果的だった。

しかし、ロシア問題になると、ウィトコフは方針を転換した。アメリカ政府の専門家陣と緊密に協力する代わりに、実質的にワンマンショーのようなやり方で交渉を進めた。物議を醸したのは、モスクワのアメリカ大使館やワシントンの国務省との実質的な関わりを避けたことだ。トランプ大統領が過去にしてきたように、プーティン大統領との会談でもアメリカ人の通訳や議事録作成者を起用しなかった。クレムリンの通訳に頼ったことで、プーティン大統領の原文のニュアンスを汲み取るという前例のない決断は、外交政策の専門家から広く批判された。

さらに、交渉開始から数カ月間、ウィトコフはウクライナ側と一切接触していなかった。ロシアとウクライナ、そして両国の長く苦い歴史についてほとんど無知だったウィトコフが単独で交渉に臨んだことは、ウクライナの正当なレッドライン(red lines、越えてはならない一線)に関する知識をほとんど、あるいは全く持たないままクレムリンに到着し、プーティン大統領の主張やシグナルを評価するための文脈を全く持たないままだった。

ウィトコフはトニー・ブレア元英首相やビル・クリントン元米大統領など、様々な立場から助言を求めたが、地域情勢に関する知識不足と外交の進め方に対する不慣れさが、数々の失策につながった。経験豊富な交渉担当者が曖昧な発言をし、静かに交渉を進めるのとは異なり、ウィトコフは交渉の現状について頻繁にコメントし、「大きな進展(significant progress)」があると断定的かつ大胆に主張することが多かったが、それは往々にして実現しなかった。同様に重要なのは、ロシア側の主張に同調し、ロシア側が譲歩に応じるという証拠を一切示さずに、一方的かつ先制的な譲歩を公然と提示する傾向が、ウィトコフ自身の外交を損なわせた点である。ウィトコフと他の政権当局者らが発表したこれらの一方的な譲歩には、アメリカによるウクライナのNATO加盟拒否、ウクライナへのアメリカからの援助の大幅削減、そしてウクライナはロシアの領土獲得を認めるべきとの宣言が含まれていた。

確かに、トランプは戦争の多くの側面においてロシアの路線を踏襲している。ロシアとの交渉状況を誇大宣伝し、停戦は目前に迫っており、より恒久的な和平につながるだろうと幾度となく示唆してきた。しかし、こうした発言と並行して、ロシアの好戦的態度や強硬姿勢に対する不満も時折口にしてきた。一方、ウィトコフはそうではない。プーティン大統領に取り入り、大規模な新たな共同投資パートナーシップを宣伝し、ロシアが和平に向けて大きく前進する用意があると称賛すれば、平和が訪れると信じているようだ。

ウィトコフがロシアとの交渉において中心的な役割を果たしたことは、別の弊害ももたらした。トランプとの個人的な親密さから、プーティン大統領の意図に関するウィトコフの評価は、より冷静な専門家の評価よりも重視されるようになった。こうしてウィトコフは、アメリカとの貿易と投資という漠然とした約束でプーティン大統領を中国との同盟から引き離せるという、トランプの疑わしい確信を強めてしまったのだ。

ウィトコフがロシア、ウクライナ、そしてこの戦争に関する自身の見解を最も詳細に説明したのは、3月21日に放送された、プーティン政権下のロシアを繁栄の模範と称賛し、ウクライナを「独裁政治(dictatorship.)」と嘲笑することで知られる、悪名高い反ウクライナ評論家であるタッカー・カールソンとのインタヴューの中でのことだった。このインタヴューは、ウクライナ、プーティン、そしてロシア政権の本質に関するウィトコフの驚くべき無知を露呈した。

ウィトコフは、ロシアが大規模な軍事攻撃を続け、発言の数日前にウクライナの都市で民間人を攻撃していたにもかかわらず、「30日間の停戦はそう遠くない」と楽観的に示唆した。

さらに、ヴィトコフ氏はプーチン大統領を「悪人(bad guy)」ではなく「慈悲深く(gracious)」「偉大な(great)」指導者だと擁護した。ウィトコフ特使は、1万人以上のウクライナ民間人の死、1000万人もの人々の避難、ウクライナ民間人や捕虜の即決処刑を行ったロシア軍兵士や傭兵の不処罰、そして国際刑事裁判所が発行したプーティン大統領逮捕状に記載されているウクライナの子供たちの拉致という戦争犯罪に対するプーティン大統領の責任について、無関心、あるいは認識していなかった。

さらに驚くべきことに、ウィトコフは戦争に関するロシアの決まり文句を無批判に繰り返している。2月にはCNNに対し、「戦争は起こる必要がなかった。挑発されたのだ。必ずしもロシアが挑発したとは限らない」と語った。彼は、ロシアが占領した地域(名前は思い出せなかったが)は「ロシア語圏」であるとカールソンに伝えてロシアの主張を補強し、これがモスクワへの忠誠の証であり、ロシアによる併合の正当な根拠であることを示唆した。

実際には、2014年以降、被占領下のドンバスからウクライナに逃れたウクライナ人の数は、ロシア統治下に留まったウクライナ人の数を上回っている。ロシア語を話すウクライナ人とウクライナ東部の住民は共に、ウクライナの戦闘部隊に多数参加している。また、2014年のロシア侵攻以降の世論調査では、ロシア語圏のウクライナ東部および南部の住民が、ロシアへの併合または統一の考えを断固として拒否していることが一貫して示されている。

ウィトコフはさらに、戒厳令と報道検閲の下で行われ、ジュネーブ条約に違反し、中立的な国際選挙監視団を排除し、逮捕、拷問、処刑への恐怖が蔓延する中で行われた、ロシアによる併合に関する偽りの国民投票の正当性を認めているように見受けられる。ウィトコフはまた、ロシアが望んでいるのは現在保有している領土だけであり、新たな領土を併合したり、残りの地域を破壊したりする意図はないと主張した。プーティン大統領がそのような発言をしたという証拠はない。

まとめると、ワシントンの特使ウィトコフはロシアの領土主張に信憑性を与えようと躍起になっていたが、その主張はロシアの野心とウクライナの現実を全く考慮していないものだった。

トランプ大統領の就任後、アメリカは急速にウクライナ支援国としての役割を放棄し、中立的な仲裁者(neutral arbiter)の役割を担うようになった。ウィトコフの外交、戦争の解釈、そしてロシアの主張への反論は、中立の域を超え、少なくとも部分的にはアメリカの立場をクレムリンの立場に沿わせる方向に進んだ。これはNATO加盟国に警戒感を与え、ヨーロッパは米ロ交渉とは無関係にウクライナを支援するに至った。

ウィトコフの任務―ロシア・ウクライナ間、イスラエル・ハマス間、そしてイラン-は、どの外交官にとっても大きな課題となるものだろう。しかし、迅速な打開策を約束したウィトコフの大胆な発言は、進展の欠如を浮き彫りにするだけだった。外交活動を開始して約半年になるが、ウィトコフの実績は乏しい。ロシア・ウクライナ問題では交渉は行き詰まり、イスラエル・ハマス問題では膠着状態に陥り、イラン情勢の悪化で交渉は頓挫した。

ウィトコフの外交は見事に失敗したものの、彼は今後もアメリカ外交において重要な役割を担う可能性が高い。結局のところ、ウィトコフの関与は、トランプが望む「ピースメイカー(peacemaker)」と「平和探求者(peace seeker)」のイメージを一層強化するものであり、こうした役割によって、伝統的な国家安全保障を重視する共和党とMAGAの孤立主義者との間の溝を跨ぎながら、アメリカが世界と関わっているという印象を与えることができる。同様に重要なのは、ウィトコフがロシアの行動と意図に関する有害なほど誤った解釈を強化し、交渉による和平の可能性を低下させていることである。

マイケル・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官の人事変更を受けて、トランプがウィトコフを同職に検討しているのではないかという憶測が飛び交った。ウィトコフはこれまで、不用意な譲歩、逆効果な外交、専門家顧問の解任、そして国際情勢に関する表面的な知識といった実績を残してきたため、このような任命はアメリカにとって計り知れない災難となるだろう。結局、ウィトコフの誤った外交官としての役割は、公務員、諜報専門家、外交官コミュニティ(トランプ氏が軽蔑的に「ディープステート(the “deep state”)」と呼ぶもの)の役割が、国際情勢について浅い知識しか持たない個人工作員で代替できないという事実を強調している。

※エイドリアン・カラトニツキー:大西洋評議会上級研究員、ミュリミドン・グループ創設者。著書に『戦場としてのウクライナ:独立からロシアとの戦争まで(Battleground Ukraine: From Independence to the War with Russia)』がる。

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(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権は「変容した」と言うしかない。トランプの急激な変わり身は周囲を置き去りにしている。就任してすぐの、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との会談の厳しい態度、JD・ヴァンス副大統領の厳しい叱責は、ウクライナ戦争の停戦を促す効果があると当時の私は考えていた。ヨーロッパ諸国、特にイギリスは「口だけ番長」で、武器も金も人も出さずに、ウクライナを焚きつけるだけ、ほとんどがアメリカの金で戦争が行われてきた。トランプはこの状況を変えるだろうと考えていた。
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2025年も残り2カ月を切った。また年を越える。ウクライナ戦争は勃発以来、4年目であり、来年の2026年2月24日を過ぎても戦争が継続していれば、5年目に突入ということになる。ロシア政治や経済、国際関係の専門家たちは、ロシアは人員と戦費の関係で戦争を続けられないと4年間も言い続けた。月報のように「もうすぐロシアはギヴアップ」と言い続けてきた。アメリカとヨーロッパ諸国に比べて、圧倒的に経済面で脆弱なはずのロシアが戦争を継続し、奪取した地域を維持している。この戦争はウクライナの負けではなく、西側諸国の負けということになる。トランプはこの西が諸国の負けを確定させながらも、ロシアとの「ディール(deal、取引)」によって、ある程度の利益を確保できると私は考えていた。しかし、状況はどうもそうなっていない。
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ドナルド・トランプとイギリス国王チャールズ三世

 ヨーロッパ、とくにイギリスがトランプを取り込むことに成功したと考えている。関税交渉をうまく片付け、史上初の米大統領として2度目の国賓招待ということで、トランプを手懐(てなず)ける(tame)ことに成功したのかもしれない。イギリスの狡猾さと外交力は、実力を失って久しい21世紀になっても侮れない。「現代のビザンツ帝国と言うべきだろう。ヨーロッパは、ドナルド・トランプ、習近平、ウラジーミル・プーティンによるヤルタ2.0体制の構築を阻止し、ヨーロッパ防衛にアメリカを関与させ続けることに成功した。トランプの「変容」「変わり身」は、ポピュリズムの敗北を意味する。私たちはこのことを冷静に見つめ、分析しなければならない。

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トランプとヴァンスがヨーロッパについてどれほど不快な態度を取ったとしても、彼らは率直な真実を語っている(No matter how distasteful we find Trump and Vance over Europe, they speak a blunt truth

-アメリカは最悪のタイミングと最悪の言い方を選んだが、再編を求めるのは正しい。

サイモン・ジェンキンス筆

2025年2月21日

『ザ・ガーティアン』紙

https://www.theguardian.com/commentisfree/2025/feb/21/donald-trump-jd-vance-europe-us-realignment

ここ最近、右翼勢力でいるのは大変だ。ドナルド・トランプについて何か良いことを言う必要がある。それは困難だ。彼はウクライナ戦争を始めたのはキエフであり、その大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーを「独裁者(dictator)」だと考えている。しかし、JD・ヴァンスはどうだろうか? アメリカ副大統領は、「言論の自由(free speech)を後退させている」ヨーロッパの「内部からの脅威(threat from within)」は、ロシアや中国からのどんな脅威よりも深刻だと考えている。彼らは正気を失っている。他に何を言うことがあるだろうか?

答えは数多くある。ジョン・スチュアート・ミルは「物事について、自分の側しか知らない人は、そのことについてほとんど何も知らない(he who knows only his own side of the case knows little of that)」と警告した。私たちは、彼らの主張に賛成するか否かに関わらず、理解しようと努力しければならない。

確かに、彼らは嘘つき(mendacious)で偽善的(hypocritical)だ。トランプは、ゼレンスキーが「選挙を拒否している(refuses to have elections)」と主張し、「各種世論調査では非常に低い支持率だ(very low in the polls)」と主張しているが、最近の世論調査では依然としてウクライナ国民の過半数の支持を得ている。「内部からの」言論の自由への脅威(the threat to free speech “from within”)に関しては、AP通信はメキシコ湾を「アメリカ湾(Gulf of America)」に改名することを拒否したためホワイトハウスのブリーフィングから締め出され、トランプ大統領の友人であるイーロン・マスクはCBSの「嘘つき(lying)」ジャーナリストは「長期の懲役刑に値する(deserve a long prison sentence)」と考えている。

トランプ・ヴァンスは、世界を善と自由へと導くという、神から与えられたアメリカの宿命について、半世紀にもわたって合意に基づいた曖昧な言い回しをしてきた。平和と戦争、移民問題、関税問題など、彼らはアメリカの利益のみを追求していると主張している。なぜアメリカは、自衛できないヨーロッパを守るために毎年数十億ドルもの費用を費やす必要があるのだろうか? なぜ遠く離れた国々に武器を与えて隣国と戦わせたり、途方もない額の援助を困窮するアフリカに注ぎ込んだりする必要があるのだろうか?

もし世界の他の国々が失敗してきたとしたら、アメリカは2世紀半もの間自由で豊かであり続けてきたのだが、それは世界の問題だ。アメリカはこの50年間、地球上の生活を向上させようと巨額の資金を費やしてきたが、率直に言って、それは失敗に終わった。外交儀礼(diplomatic etiquette)などどうでもいい。

ウクライナに関してはもうたくさんだ。ウラジーミル・プーティン大統領はアメリカを侵略するつもりはなく、西ヨーロッパを侵略する意図もない。もしヨーロッパがそうではないふりをし、ウラジーミル・プーティンの敵を擁護し、彼に制裁を与えて激怒させたいのであれば、ヨーロッパだけでそうすることができる。

NATOはヒトラーとスターリンの産物だ。ヨーロッパ防衛の費用をアメリカに負担させるための単なる手段に過ぎなかった。だが今は違う。米国防長官ピート・ヘグセットは「アメリカはもはやヨーロッパの安全保障の主要な保証者(the primary guarantor of security in Europe)ではない」と述べた。これで核抑止力も形骸化した。

実際には、こうした主張は目新しいものではない。ただし、これほど露骨に政権によって表明されたことはこれまでなかった。様々な形で、それらは1世紀以上にわたるアメリカのアイソレイショニズム(Isolationism)の表層下に潜んでいた。選挙に勝つため、ウッドロウ・ウィルソンは第一次世界大戦について「私たちとは無関係であり、その原因は私たちに及ばない(one with which we have nothing to do, whose causes cannot touch us)」と断言した。フランクリン・ルーズベルトも第二次大戦について同様の約束をした。彼はアメリカの母親たちに「何度でも繰り返すが、あなた方の息子たちは外国の戦争に送り込まれることはない(again and again and again, your boys are not going to be sent into any foreign wars”. Neither kept his word)」と約束した。どちらもその言葉を守らなかった。

ヴェトナム戦争時のように、戦争中はアメリカ世論も愛国的になる。しかしそれ以外は一貫して反介入主義的(anti-interventionist)だ。ケネディは「地球規模の犠牲(global sacrifice)」を訴え、「アメリカがあなたのために何をするかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを問え(ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man)」と訴えたかもしれない。だがそれは主に外国向けの美辞麗句に過ぎなかった。

トランプ・ヴァンスが今、西ヨーロッパ諸国に伝えているのは「本気になれ(get serious)」だ。冷戦は終わった。ロシアが西ヨーロッパ占領を望んでいないことは周知の事実だ。この脅威は、賢明な大統領ドワイト・アイゼンハワーが「米軍産複合体(military-industrial complex)」と呼んだ連中が作り上げた幻想に過ぎない。彼らは恐怖から利益を搾り取ることに長けている。キア・スターマーが本当に「防衛を優先する(to give priority to defence)」つもりなら、自らの保健・福祉予算を削減して賄えばよい。だが彼は本当に脅威を感じているのか、それとも単に聞こえが良い言葉を言っているだけなのか?

ジョー・バイデンはキエフへの支援の程度に細心の注意を払った。今こそ脱出の避けられない瞬間だが、それに先立って非常に困難な停戦が必要となるだろう。ワシントンからの実質的な保証がなければ、キエフの最終的な敗北以外に道は開けない。ウクライナは、南ヴェトナムにおけるアメリカの再来となる可能性もある。

トランプ・ヴァンスは、冷戦の大部分を支えてきた陳腐な言葉(platitude)、こけおどし(bluff)、そして不当利得(profiteering)の混合物の実態を、最小限の配慮で暴露することを決断した。1989年のNATOの勝利は、より微妙なニュアンスを持つ多極世界への移行の必要性を示唆していたが、それは決して適切に定義されることはなかった。

トランプ・ヴァンスが言うように、再編は切実に必要だ。しかし彼らがそれを表明したタイミングと方法は最悪の選択だった。私たちは彼らに好きなだけ無礼に振る舞えるが、彼らにはアメリカの民主政治体制が味方するだろう。

※サイモン・ジェンキンス:『ザ・ガーディアン』紙コラムニスト。

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『人類を不幸にした諸悪の根源 ローマ・カトリックと悪の帝国イギリス』
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※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 一昨日(2025年6月29日)、中国政府が、9月3日に実施する戦勝80周年記念の軍事パレードに、アメリカのドナルド・トランプ大統領を招待する意向であるという報道が出た。このパレードにはロシアのウラジーミル・プーティン大統領も出席する予定と報じられており、トランプが出席するということになれば、北京の地で、習近平、トランプ、プーティンの「三帝会談」が実現する可能性もある。「ヤルタ2.0」と言っても良い。戦勝80周年記念パレード開催に合わせて、上海協力機構(SCO)首脳会談も実施される予定で、こちらに参加する首脳たちも戦勝80周年記念式典に参加する予定だ。上海協力機構にはイランが参加しており、イランがどのクラスの首脳を出席させるかによるが、アメリカとイランとの間の最高首脳クラスの接触ということも考えられる。
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 アメリカと中国は、トランプ関税の発表以来、緊張関係が続いている。しかし、両国は、第二次世界大戦の戦勝国で、国連安保理(the United Nations Security Council)の常任理事国(permanent members)である。これにロシアも加わる。私は、これまでの著作で、世界構造は大きく変化しつつあり、「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)対西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の対立構造になっていると書いた。そうした中で、西側諸国を率いるアメリカと、西側諸国以外の国々のリーダーとなっている中国とロシアは、日本とドイツをはじめとする枢軸国(the Axis)に勝利して、国際秩序を成立させたという「共通点」を持っている。連合国(the Allied Powers)と枢軸国の色分けの地図を見てもらうと分かるが、ユーラシアの両端(ドイツと日本)と戦った中国とロシア、大西洋と太平洋の2つに面しており、大西洋からヨーロッパ、太平洋からアジアで、ドイツと日本を圧迫し、撤退させ、ロシアや中国を支援したアメリカという構図を改めて認識すべきである。
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中国はアメリカとの関係修復のために、日本に対する戦勝記念というカードを利用してきた。トランプ大統領とアメリカ政府が招待に応じることはないだろうが、トランプは何をしてくるか分からない。

 現在、日本国内で排外主義と歴史修正主義、復古主義が勢いを持っている。日本会議系・統一教会系に影響された故安倍晋三元首相支持の勢力がおり、それが国民民主党や参政党へと流れている。こうした人々は自分たちが危険な火遊びをしていることに気づかない。国内にしか目が向かないからだ。現在の世界秩序の中で、日本は「敗戦国であり、世界の秩序に逆らったという前歴を持ち、頭を下げて国際社会に復帰させてもらった存在」である。ドイツも同じだ。この枠組みを変更しようという動きが大きくなれば、「国際社会に弓を引く」という解釈をされかねない。日本は中国とロシアと国境を接している。この両国に付け入る隙を与えてはならない。慎重に、かつ低姿勢で事を進めていかねばならない。今回の中国の動きでそれを改めて認識しなければならない。

(貼り付けはじめ)

【独自】中国、閲兵式にトランプ氏を招待 9月、抗日戦勝記念で方針

6/29() 21:00配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/8fd7bcfe96026e4780c2431f506ca056fb98d101

 【北京共同】中国政府は93日に北京の天安門広場周辺で行う「抗日戦争勝利80年」記念の軍事パレード(閲兵式)にトランプ米大統領を招待する方針を固めた。また今年で創設80年の国連の総会が9月に米ニューヨークで開かれるのに合わせて、米政府が中国の習近平国家主席の訪米を提案したことも分かった。関係筋が29日、明らかにした。

 両首脳が対面で会談すれば第2次トランプ政権では初めて。軍事パレードにはロシアのプーチン大統領が参加する見通し。トランプ氏も参加すれば米中ロ首脳が共に「対日戦勝」を祝うことになり、日本にとっては大きな懸念事項になる。

 関係筋によると、トランプ氏自身は訪中に意欲を示しているため、軍事パレード参加にも前向きな姿勢だと中国側は分析している。ただルビオ米国務長官ら政権の要職に就いている多数の対中強硬派が反対するとみている。

 国連総会に合わせた習氏訪米について、中国側はメディアの前でトランプ氏と激しい口論になったウクライナのゼレンスキー大統領の二の舞いになることを警戒している。
=====
中国が第二次世界大戦終結80周年記念軍事パレードを9月3日に開催(China to hold military parade Sept. 3 for 80th anniv. of end of WWII

共同通信(KYODO NEWS ) 2025年6月24日

https://english.kyodonews.net/news/2025/06/41e9f30a4b57-china-to-hold-military-parade-sept-3-for-80th-anniv-of-end-of-wwii.html#google_vignette

中国は火曜日、第二次世界大戦終結80周年を記念し、93日に北京の天安門広場で軍事パレードを開催すると発表した。習近平国家主席が式典で演説を行う予定だ。

国営新華社通信によると、1937年から1945年にかけての抗日戦争における勝利を記念するこのパレードでは、「無人情報システム、水中戦闘部隊、サイバー・電子戦力、極超音速兵器といった新型戦闘能力を披露する(display new-type combat capabilities such as unmanned intelligent systems, underwater combat units, cyber and electronic forces and hypersonic weapons)」という。

ロシアのウラジーミル・プーティン大統領もこの式典に出席するとみられている。習近平国家主席は5月、モスクワで行われたヨーロッパにおける第二次世界大戦終結80周年記念式典(ロシアでは戦勝記念日)と赤の広場で行われた軍事パレードに参加した。

中国は今秋、北京近郊の天津でロシアも参加する上海協力機構(the Shanghai Cooperation OrganizationSOC)首脳会議を主催する予定で、加盟諸国の首脳たちは北京で行われる戦勝記念日の式典に出席する見込みだ。

この地域機構には現在、中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシの10カ国が加盟している。

戦後80周年を記念する行事の一環として、中国は、日本との本格的な開戦のきっかけとなった1937年の盧溝橋事件(the Marco Polo Bridge Incident)を記念する式典を7月7日に、同じ1937年に日本軍による南京大虐殺(the massacre in Nanjing)の犠牲者を追悼する式典を12月13日に開催すると発表した。

北京市南西部の石橋(盧溝橋[Lugou Bridge]としても知られる)付近で発生した日中両軍の小競り合い(a skirmish)は、1945年に日本が連合国(the Allied Powers)に降伏するまで続く本格的な紛争(a full-scale conflict)へと発展した。

中国は、旧南京(江蘇省)で日本軍が30万人以上を虐殺したと主張している。一方、日本の歴史家たちは、中国の民間人と兵士の死者数を数万人から20万人と推定している。

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