古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウラジーミル・プーティン

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ウクライナ戦争は現在も継続中であるが、大きな展開は見られない。そうした中で、トランプ政権が発足して、サウジアラビアで、アメリカとロシアによる停戦に向けた交渉が行われている。その場にウクライナはいない。私がこれまでの著作で書いてきているように、残念なことであるが(悲しいことであるが)、ウクライナはその交渉には参加できない。

ウクライナ戦争はアメリカがウクライナに代理で行わせた戦争であり、当初の目論見通りに進まず(ロシアが早期に手を上げると思っていた)、完全に失敗した中で、トランプ政権になって、停戦に向けた動きが始まっている。ウクライナは米露間で決まった条件を飲むしかない(多少の変更はできるだろうが)。そして、それを飲まないということになれば、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、アメリカによって失脚させられるだろう。気の毒なのはウクライナ国民であり、ロシア国民だ。早く戦争が止まれば助かった命は多くあっただろう。アメリカと西側諸国の「火遊び(NATOの東方拡大)」によって、貧乏くじを引かされたのはウクライナ国民だ。

 停戦の条件はどうなるか分からないが、現状のままということになる可能性が高い。そうなれば、ウクライナは東部4州が独立するということになり、国土を失うということになる。ウクライナと西側諸国が「勝利」で終わるということはないだろう。そうなれば、「誰のせいで、誰の責任で、このような失敗をしてしまったのか、どうして戦争が起きてしまったのか」という話は当然出てくるだろう。

 下記論稿にあるように、責任の所在について色々と考えが出てくるだろうが、そもそも論で、西側諸国全体に責任を期する考えは大っぴらに出てくることはないだろう。アメリカとヨーロッパ諸国が、実際にウクライナを支援する意図はないが、ロシアを刺激し、ロシアに手を出させて戦争を起こさせて、打撃を与えるというような、稚拙な考えで、ウクライナの軍事部門だけを支援した結果が現在である。しかし、そのようなことを言えば、アメリカとヨーロッパ諸国のエスタブリッシュメントに責任が及んでしまうので、そのようなことは言えない。だから、もっと小さな、枝葉末節なことを言って、煙に巻いてしまおうということになるだろう。武器を与える与えないというのは、ウクライナ戦争において重要な要素ではある。しかし、それよりも重要な論点がある。

 アメリカをはじめとする西側諸国(the West)の失敗と減退をウクライナ戦争は象徴している。そして、日本に住む私たちが得るべき教訓は、西側諸国の火遊びに巻き込まれず、決して戦争を起こさないということだ。

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「ウクライナを失ったのは誰か?」についてのユーザーガイド(A User’s Guide to ‘Who Lost Ukraine?’

-長期にわたる議論にどのように備えるか。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年1月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/01/08/users-guide-to-who-lost-ukraine/

ロシアのウクライナ戦争がどのように、そして、いつ終結するのか、正確なところは誰にも分からないが、その結末はキエフとその西側諸国の支持者にとって失望となる可能性が高い。そうなれば、次の局面では誰が責任を負ったのかをめぐる激しい論争が繰り広げられるだろう。参加者の中には、悲劇的な出来事から真摯に学びたいという思いから行動する者もいれば、責任を回避したり、他者に責任を転嫁したり、政治的な利益を得ようとしたりする人もいるだろう。これはよくある現象だ。ジョン・F・ケネディの有名な言葉がある。「勝利には100人の父親がおり、敗北は孤児だ(Victory has 100 fathers, and defeat is an orphan[訳者註:勝利の際にはたくさんの人が自分のおかげだと名乗り出るが、敗北の際には自分が原因だと名乗り出る人はいない]」。

この思想戦(this war of ideas)が勃発するのを待つ必要はない。なぜなら、いくつかの対立する立場は既に存在しており、他の立場は容易に予測できるからだ。ここで、それらの詳細な評価を示すつもりはない。このコラムは、戦争がなぜ起こったのか、そしてなぜ私たちの大多数が期待したようには進まなかったのかという、対立する説明をまとめた便利なチェックリストに過ぎない。

論点1:ウクライナが核兵器を放棄したのは間違いだった。一部の専門家によると、最初の大きな誤りは、ウクライナに旧ソ連から継承した核兵器を、実効性のない安全保障上の保証と引き換えに放棄させたことだ。もしキエフが独自の核兵器を保有していれば、ロシアの軍事介入を心配することなく、自らが望む経済協定や地政学的連携を自由に追求できたはずだというのがこの論点の趣旨だ。この論点は、最近ビル・クリントン元米大統領によっても引用されているが、ロシアは2014年にクリミアを占領したり、2022年に核兵器を保有するウクライナの残りの地域に侵攻したりする勇気はなかっただろう、なぜならそのようなことをするリスクが大きすぎるからだという主張である。この論点には技術的な反論(つまり、ウクライナが核兵器を保有していたとしても、使用できたかどうかは明らかではない)もあるが、それでもなお、検討に値する反事実的仮定(a counterfactual worth pondering)である。

論点2:ウクライナのNATO加盟招請は、戦略上極めて重大な失策だった。1990年代、洗練された戦略思想家たちが、NATOの拡大は最終的にロシアとの深刻な問題につながると警告したが、彼らの助言は無視された。こうした専門家の一人であるイェール大学の歴史家ジョン・ルイス・ギャディスは1998年に次のように述べている。「国務省は、NATOの新規加盟国が誰になるかを決めるまでの間、モスクワとの関係は正常に進展すると保証している。おそらく次は豚でも空を飛べるぞとでも言おうとするだろう(Perhaps it will next try to tell us that pigs can fly)」。ブッシュ政権が2008年のブカレスト首脳会議でジョージアとウクライナのNATO加盟を提案した際、アメリカ政府内からの警告は強まったが、加盟への機運を断ち切ることはできなかった。ロシアの抗議活動と安全保障上の懸念は軽々しく無視され、キエフと西側諸国間の安全保障上の結びつきが着実に強まったことで、最終的にロシアのウラジーミル・プーティン大統領は2022年に違法な戦争を開始するに至った。

この見解によれば、要するに、拡大論者がロシアの懸念の深さを理解せず、モスクワの反応を予測できなかったためにウクライナが侵略されたということになる。この主張は、ウクライナの最も熱烈な支持者にとっては忌まわしいものだ。彼らは、プーティン大統領はNATOが何をしようと遅かれ早かれ攻撃してきたであろう、なだめることのできない侵略者だから戦争が起きたのだと主張する。しかし、戦争が起きた理由に関するこの説明は論理的に一貫しており、それを裏付ける十分な証拠もある。こう言ってもロシアの行動を少しも正当化するものではないが、西側諸国の指導者たちはNATOの東方拡大(expanding NATO eastward)を始めた時点で、モスクワが何か酷いことをする可能性を考慮すべきだったことを示唆している。彼らはおそらく自らの行動が戦争の可能性を高めたことを認めることはないだろうが、他国を支援しようとする西側諸国の善意の努力が裏目に出るのはこれが初めてではないだろう。

論点3:NATOの拡大速度が遅すぎた。この論点は論点2の裏返しである。真の誤りはNATO拡大の決定や、後にウクライナに加盟行動計画の策定を要請したことではなく、キエフをより早く加盟させ、自衛手段を提供できなかったことだと主張する。この論点は、キエフが北大西洋条約第5条の保護と西側諸国の直接的な軍事支援の見込みを享受していれば、モスクワは軍事行動を取らなかっただろうと想定している。少なくとも、NATOは2014年にロシアがクリミアを占領した後、ウクライナの軍事力拡大をより迅速に支援すべきだった。そうすれば、将来のロシアの侵攻を抑止または撃退する上で、ウクライナはより有利な立場に立つことができたはずだ。この見方では、NATOの優柔不断さ(そして、バラク・オバマ政権がウクライナへの実質的な軍事支援に消極的だったこと)が、キエフを最悪の立場に追い込んだ。モスクワはキエフの西側への傾きを存亡の危機と見なしていたが、ウクライナはロシアの予防戦争(a Russian preventive war.)に対する十分な防御手段を欠いていたのだ。

論点4:西側諸国は2021年に真剣な交渉に失敗した。ウクライナが西側諸国(the West)への接近を着実に続ける中で、危機は2021年に頂点に達した。ロシアは3月と4月にウクライナ国境に軍事力を動員した。アメリカとウクライナは9月に新たな安全保障協力協定(a new agreement for security cooperation)に署名し、ロシアは軍備を強化し、12月にはモスクワがヨーロッパ安全保障秩序(the European security order)の抜本的な改革を求める2つの条約案を発表した。これらの条約案は真剣な提案ではなく、戦争の口実と広く見なされ、アメリカとNATOはロシアの要求を拒否し、控えめな軍備管理案を提示したにとどまった。その結果、米露両国はウクライナの地政学的連携について真剣な交渉を行うことはなかった。ロシアの要求全体が受け入れられなかった可能性もあるが、この見解は、アメリカとNATOはそれらを「受け入れるか、拒否するか」の最後通牒(a take-it-or-leave-it ultimatum)ではなく、最初の試みと捉えるべきだったと主張する。もしワシントン(そしてブリュッセル)がモスクワの要求の一部(全てではないが)についてもっと妥協する姿勢を持っていたら、この戦争は避けられ、ウクライナは多くの苦しみから逃れることができただろうか?

論点5:ウクライナとロシアは共に戦争を早期に終結させなかったために敗北した。後知恵(hindsight)で言えば、ウクライナとロシアは共に、戦争開始直後に終結していればより良い結果になっていただろう。この論点の1つは、2022年4月にイスタンブールでウクライナとロシアの両国は合意に近づいたものの、西側諸国が提案された条件に反対したため、最終的にウクライナは合意から離脱したというものだ。もう1つの論点は、2023年まで米統合参謀本部議長を務めたマーク・ミリー退役大将の主張と関連付けられることもある。それは、ハリコフとヘルソンにおけるウクライナの攻勢がロシアを一時的に不利な状況に追い込んだ後、ウクライナとその支援諸国は2022年秋に停戦を推進すべきだったというものだ。戦争を早期に終結させようとする努力が成功したかどうかは分からないが、戦闘が終結し、特に条件がキエフにとって不利なものであれば、これらの論点は再び注目を集めるだろう。モスクワがその侵略行為に対して支払った莫大な代償を考えれば、2022年初頭に交渉によって合意に達していた方がモスクワにとってもずっと良かったかもしれない。

論点6:ウクライナは背後から刺された。当然のことながら、ウクライナ国民と西側諸国の最も熱烈な支持者たちは、キエフへの支援が不十分で、そのスピードも遅く、支援内容にも制限が多すぎると長年不満を訴えてきた。もしキエフがロシアの凍結資産(Russia’s frozen assets)に加えて、エイブラムス戦車、F―16、パトリオット、ATACMS、ストームシャドウ、砲弾などをもっと多く受け取り、これらの兵器を自由に使用することができていたなら、ロシアは今頃決定的に敗北し、ウクライナは失った領土を全て取り戻していただろう。この見解は、西側諸国の強硬派(hard-liners)を今回の惨事の責任から見事に免責するものだ。問題は彼らの助言が間違っていたのではなく、十分な熱意を持ってそれに従わなかったことにあると示唆しているからだ。結果として、今後、様々な方面から、いわば、陰謀(dolchstoss、ドルクストス)の復活とも言える批判が聞かれることが予想される。

論点7:それはキエフの失敗だ。ウクライナ人がロシアの手によって耐え忍んできた苦しみを考えると、結果を自らの戦略的ミスのせいにするのは無神経であり、残酷ですらある。とはいえ、戦後、何が間違っていたのかを評価する試みには、2023年夏のウクライナ軍の不運な(ill-fated)攻勢(西側諸国の評論家の多くが不可解にも成功すると確信していた)と、戦術的には成功していたものの戦略的には疑問視されていた、2024年夏のクルスク侵攻が間違いなく含まれるだろう。ウクライナ軍は英雄的に戦い、印象的な戦術的創意工夫(impressive tactical inventiveness)を見せたが、戦後の批評家たちは、内部腐敗による戦力の消耗、防衛体制の構築に十分な努力を払わなかったこと、そしてキエフが若い世代を戦闘に動員する意欲、あるいは能力がなかったことに焦点を当てるだろう。

論点8:これは現実政治(realpolitik)だ。プーティン大統領をはじめとするロシア人は、この戦争をアメリカ主導によるロシアの弱体化維持のための執拗な努力の一環と見ているが、西側諸国の中には、ウクライナはロシアを長期にわたる莫大な費用を伴う戦争に巻き込むための単なる犠牲の駒に過ぎないと考える人もいるのではないかと思う。これはまさにマキャベリズム的な見方で、NATOの拡大とウクライナ加盟はモスクワを激怒させ、最終的には軍事的対応を引き起こすことを西側諸国のエリート層(特にアメリカ人)が理解していたことを示唆している。もし戦争がウクライナを越えて拡大せず、西側諸国の軍隊が介入しなければ、はるかに裕福な西側諸国はウクライナを長期間戦闘に引き留め、ロシアを徐々に疲弊させていくことができるだろう。同様の戦略は1980年代のアフガニスタンでソ連に対して効果を発揮しており、ロシアが最近シリアとモルドヴァで後退していることは、それが効果を上げていることを示唆している。私自身、この説明には大きな疑問を抱いているが、時が経てばアーカイブから何が明らかになるのか興味がある。

論点9:他の全てが失敗したらトランプのせいにする。ジョー・バイデン米大統領はある意味で幸運だった。アフガニスタンの終盤とは異なり、ウクライナの決着は他の誰かの監視下で起こるだろう。結果がウクライナに不利になれば、批評家たちは責任の一部を次期大統領のドナルド・トランプに押し付けるだろう。トランプは自分が弱いと思われ、結果の責任を負わされることを恐れ、これまで示唆してきた以上の支援をウクライナに与えるかもしれないが、バイデンほどの言論的、物質的な支援は行わないだろう。もしウクライナがロシア占領下の4州とクリミアを永久に失うか、新たな凍結紛争(frozen conflict)に巻き込まれることがあれば、トランプの政敵は喜んで彼に責任を負わせるだろう。

ウクライナで何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかを健全かつ公平に議論すれば、正しい教訓を学び、将来に向けてより良い行動を選択できるだろう。しかし、過去の失敗から正しい教訓を学べる保証はない。このコラムの常連の読者の皆さんは、私がこれらの様々な議論の中でどれが最も説得力があると考えているか既にご存知だろうが、ここでの私の目的は誰かを責め立てることではない。今は、このコラムを切り取って、非難の矛先が向けられ、激しい論争が始まるのを待ちたい。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ブルースカイ・アカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 日本でも一部の極端な主張する右派の人々が核武装論を振りかざしている。その馬鹿さ加減は救いようがないが、ある意味では、彼らは「平和ボケ」の「幸せな」人々である。実際に核兵器を持ち、自国の国民を危険に晒すことになるかしれないということを死ぬほどの苦しみで悩み、考え抜く、超大国の最高指導者や最高指導層の苦しみに思いが至らない、なんとも単純で、幸せな頭の構造をしていて、何よりも想像力と思考力が圧倒的に欠如している。私はここまで書きたくはないのだが、書かざるを得ないほどの惨状を呈している。

 下に掲載した論稿を読めば、核兵器は使用できない平気であり、核戦争を戦ってはいけない戦争であることがよく分かる。「核戦争は決して戦ってはいけない」という言葉を残したのは、タカ派で知られるロナルド・レーガン大統領だ。ソ連を悪の帝国として、冷戦に勝つために、軍拡競争で仕掛けた、レーガン大統領でさえも、核戦争は勝利できない、相手を殺すために、自分を殺すことになる、自分を殺さねば相手を殺せないということがよく分かっていた。

 ウクライナ戦争は既に3年以上が経過ししている。この間に、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領は核兵器使用を示唆する、脅迫的な言動を行った。それに対して、アメリカのジョー・バイデン政権は抑制的な態度を取った。ウクライナを使って「火遊び」をしていたアメリカにしても、核兵器使用、核戦争だけは絶対に避けねばならないということはコンセンサスとして持っていた。それで、ウクライナに戦闘機支援などを行わらず、しかし、多額の軍事援助を行うという最悪の選択を行い、戦争が長引き、ウクライナの人々と国土が大きく傷つくことになった。

 ドナルド・トランプ政権はウクライナ戦争の停戦に向かって動いている。考えてみれば、ロシア側はバイデン政権下では停戦のための交渉に乗ってこなかった。トランプになって、大きく動き始めた。これだけでもトランプ政権発足の意義は大きい。このように書く人は日本では多くないだろうが。

 核兵器が登場し、日本の広島と長崎で実際に使用されて以降、核兵器が自国への攻撃や戦争を抑止する効果を持たず、自国の国民を危険に晒す「無用の長物」となっている。日本は核武装等するべきではない。全く意味を持たない。日本が核武装をする、正確にはアメリカによって核兵器を持たされる時には、中国との直接衝突、日本への核攻撃をさせたいという意図がある時だ。アメリカに中国からの核攻撃を受けないために、弾よけにするためだ。中国に対する核攻撃は日本がやったことで、日本が被害を受けるという形にしたいとアメリカが考えれば、日本に核兵器を持たせることになるだろう。だから、私たちは何があっても、核兵器を持ってはいけない。日本が核兵器を持てば、日本の存亡の危機が高まる。用心して慎重に動かねばならない。

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プーティンが終末をもたらすという脅威(Putin’s Doomsday Threat

-ウクライナでキューバ・ミサイル危機の再発を防ぐにはどうすべきか

グレアム・アリソン筆

2022年4月5日

『フォーリン・アフェアーズ』誌

https://www.foreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-04-05/putins-doomsday-threat

ロシアのウクライナ侵攻が頓挫し、その勢力が東部の戦場に軸足を移したことで、戦争は新たな、より暗く、より危険な局面を迎えつつある。マリウポリはその未来を予見させる。ロシアの都市グロズヌイを「解放する(liberate)」ために爆撃して瓦礫と化し、シリアの独裁者バシャール・アル=アサドとともにアレッポを破壊したウラジーミル・プーティンは、大量破壊に対して道徳的な遠慮がないことは確かだ。更に、ウクライナでの戦争は今や紛れもなくプーティンの戦争であり、ロシアの指導者プーティンは、自分の政権や命さえ危険に晒すことなく負ける訳にはいかないことを知っている。そのため、戦闘が続く中で、彼が不名誉な撤退(an ignominious retreat)をするか、暴力のレヴェルをエスカレートさせるかの選択を迫られた場合、私たちは最悪の事態に備える必要がある。極端な話、その事態には核兵器も含まれるかもしれない。

ロシア軍が罪のない一般市民を凄惨な方法で殺害しているという証拠が増加していくにつれて、アメリカとヨーロッパの同盟諸国は、戦争を拡大させる危険性のある方法で介入するよう、高まる圧力に直面している。ジョー・バイデン米大統領は、世界的な連合(a global coalition)を動員し、世界がかつて経験したことのないほど包括的で痛みを伴う制裁措置をロシアに科している。バイデン大統領は、プーティンとその支持者たちを事実上追放し、西側世界の多くで彼らを「社会的に排除された人々(pariahs)」にした。アメリカはNATO加盟の同盟諸国と一緒に、勇気をもって自由のために戦っているウクライナ人に大量の武器を供給している。しかし、多くのアメリカ人は、地球上で最も強力な国家の国民として、バイデン政権にこれ以上何ができるのかと問いかけていることだろう。既に識者や政治家たちの間では、ウクライナの上空に飛行禁止区域を設定したり、ポーランドのMiG29をキエフに譲渡したりするようバイデンに求める声が上がっている。

しかしながら、これらの要求が考慮していないのは、冷戦の中心的な教訓である。核保有超大国の軍隊(military forces of nuclear superpowers)が、互いに相手を数百、数千人殺したり、殺す可能性のある選択肢を真剣に検討したりする熱い戦争(a hot war)に巻き込まれた場合、そこから核戦争がもたらす究極の世界的大惨事(the ultimate global catastrophe of nuclear war)に至るまでのエスカレーションは驚くほど短い可能性がある。教科書的な事例は、1962年のキューバ・ミサイル危機である。

アメリカの偵察機が、ソヴィエト連邦が核弾頭ミサイルをキューバに密かに持ち込もうとしているのを捕捉したとき、ジョン・F・ケネディ米大統領は即座に、この行動は許されないと判断した。彼は、ディーン・ラスク国務長官が「目をそらさずににらみ合う(eyeball-to-eyeball)」と評したソ連のニキータ・フルシチョフ首相と対決した。これは米海軍による、キューバの海上封鎖(a naval blockade of Cuba)から始まり、ミサイル基地への空爆という脅迫の最後通牒(an ultimatum threatening air strikes on the missile sites)で終わった。歴史家たちは、これが歴史上最も危険な瞬間であったことに同意している。 13日間の終わりに近づいた静かなひととき、ジョン・F・ケネディは弟のボビー(ロバート)・ケネディに個人的に、この対立が核戦争に終わる可能性は「3分の1」だと考えていると打ち明けた。その後数十年間に歴史家が発見したものは、その可能性を少しでも高めるものではなかった。もし戦争が起こっていたら、1億人のアメリカ人とそれ以上のロシア人の死を意味していたかもしれない。

この危機で学んだ教訓は、それ以降の数十年間、核兵器に関する国家運営(nuclear statecraft)に活かされてきた。60年もの間、同じような対立がなかったため、核戦争が起こるということは、専門家たちの多くにとってほとんど考えられないことであった。幸いなことに、バイデンと政権の主要メンバーたちはよく分かっている。プーティンの挑戦に対応するための戦略を分析検討する中で、ロシアの国家安全保障戦略には、相手が核兵器を使用していない、あるいは使用すると脅していない場合でも、特定の状況下では核兵器を使用することが含まれていることをバイデン政権の主要メンバーたちは知っている。彼らは、ロシア軍がドクトリンとして「エスカレートからデスカレートへ(escalate to deescalate)」と呼ぶ、ロシアとその同盟諸国に対する大規模な通常の脅威に対抗するために戦術核兵器を使用することを予見したドクトリンを実践しているロシアの軍事演習を調査研究している。

従って、専門家のほとんどがプーティンの「あなた方の歴史上経験したことのない結末(consequences you have never experienced in your history)」という暗い脅しや、ロシアの核戦力を「特別戦闘準備態勢(special combat readiness)」に置くことを単なる妨害行為と見なしているのに対し、バイデンのティームはそうではない。例えば、プーティンが通常戦場で自軍が大敗を喫したと判断した場合、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領を降伏させるために、ウクライナの小都市の1つに戦術核兵器(低収量の爆弾だが、それでも壊滅的な結果をもたらす)を使用する可能性は否定できない。もしアメリカがこれにある種の対応をすれば、キューバをめぐる対立以上に危険な核のチキンゲーム(chicken game)が展開されることになる。

●対立が如何にして核戦争にまで深刻化するか(How Confrontations Go Nuclear

1962年の力学はどのようにして核戦争にまで結びつくものとなったのだろうか? この危機を分析したアナリストたちは、アメリカの都市を焼却することになった可能性のある、もっともらしい道筋(plausible paths)を10以上挙げている。最速の1つは、当時ケネディでさえ知らなかった事実から始まる。ケネディと側近たちにとって核心的な問題は、ソ連がアメリカ大陸を攻撃できる中・超中距離核ミサイル(medium- and intermediate-range nuclear missiles)をキューバに設置するのを阻止することだった。しかし彼らは、ソ連が既に100発以上の戦術核兵器をキューバに配備していることを知らなかった。更に言えば、そこに配備された4万人のソ連軍は、攻撃された場合にそれらの兵器を使用する技術的能力と認可の両方を持っていた。

例えば、あの致命的な危機の12日目に、フルシチョフがケネディの最後の解決策の提案をきっぱりと拒否したと想像してみて欲しい。ケネディは、ソ連がミサイルを撤退すればアメリカはキューバに決して侵攻しないと誓うという取引を提案し、それにフルシチョフが拒否すれば24から48時間以内にキューバを攻撃するとの非公式の最後通牒(a private ultimatum)を与えていた。ケネディは否定的な反応を予想して、その時点で、キューバ島のミサイルを全て破壊する爆撃作戦を承認していた。また、この直後に侵攻し、攻撃を逃れた兵器を確実に除去することになっていた。しかし、アメリカ軍が島に上陸してソ連軍と交戦したとき、アメリカ軍司令官たちは存在を知らなかった戦術核兵器の標的になっていた可能性が高い。これらの兵器は、彼らを島に輸送したアメリカの船を沈没させただろうし、おそらく侵略者が来たフロリダの港にも打撃を与えただろう。

その時点で、フルシチョフは、アメリカ本土に弾頭を運ぶ能力を持つソ連の20基のICBMに燃料を補給し、発射準備を整えるよう命じていただろう。ケネディは、その時、とんでもないディレンマに直面していただろう。ソ連の核兵器に対する先制攻撃を命じることもできただろう。その攻撃では、ソ連は数千万人のアメリカ人を殺害するのに十分な核兵器をまだ残している可能性が高い。あるいは、ソ連の完全な核兵器による攻撃に対してアメリカが脆弱な状態になり、1億人以上のアメリカ人の死を招く可能性があると知りながら、攻撃しないこともできただろう。

幸いなことに、ロシアのウクライナに対する戦争がいかに恐ろしいものになったとしても、核爆弾でアメリカの都市が破壊されるという結末を迎えるリスクは、ジョン・F・ケネディ(JFK)が3分の1には遠く及ばない。実際、私の判断では、100分の1未満であり、おそらく1000分の1に近いだろう。プーティンのウクライナ侵攻が1962年のミサイル危機の続編になっていない主な理由は2つある。第一に、プーティンは、NATO加盟諸国の領土への侵入や攻撃などのレッドラインを超えることを避けるなど、アメリカの重要な国益を脅かさないよう細心の注意を払っている。第二に、バイデンは最初から、ウクライナで起きていることがより大きな戦争の引き金になることを許さないと決意していたからだ。

●先制的な抑制(Preemptive Restraint

プーティンの挑戦に対するバイデンの対応は、アメリカの国益に関する揺るぎない戦略的明確さ(unblinking strategic clarity about American national interests)を示している。彼は、ウクライナの力学が、もし誤った対応をすれば核戦争につながるという真のリスクを理解している。また、アメリカはウクライナに重大な利益を持っていないことも知っている。ウクライナはNATO加盟国ではなく、したがって、ウクライナに対する攻撃をアメリカに対する攻撃であるかのように防御するというワシントンからの第5条の保証はない。よって、バイデンがウクライナをめぐってロシアとの戦争に突入することは、アメリカの外交政策における最悪の、そしておそらく最後の大きな誤りとなる可能性がある。

それを防ぐための決定的な努力として、ロシア軍がウクライナを包囲する中、バイデンはアメリカ軍をウクライナでの戦闘に派遣することは「選択肢にない(not on the table)」と明言した。12月8日の記者会見で、彼は「アメリカがロシアに対抗するためにアメリカ一国で武力を行使するという考えは、今のところあり得ない(The idea that the United States is going to unilaterally use force to confront Russia [to prevent it from] invading Ukraine is not in the cards right now)」と宣言した。それ以降、バイデン陣営は繰り返しその点を強調してきた。プーティンの犯罪がいかに悲痛なものであろうと、ウクライナを守るためにアメリカ軍を派遣することはロシアとの戦争を意味する(No matter how heart-rending Putin’s crimes, sending U.S. troops to defend Ukrainians would mean war with Russia)。その戦争は核戦争へとエスカレートする可能性があり、ウクライナだけでなく、ヨーロッパ、ロシア、アメリカの国民も犠牲者となるだろう。要するに、バイデンが述べたように、アメリカは「ウクライナで第三次世界大戦を戦うつもりはない(the United States “will not fight the third world war in Ukraine”)」のだ。

連邦議会におけるバイデンの批判者たちは、現在、彼の慎重さがプーティンの侵攻を招いたと主張している。共和党のトム・コットン連邦上院議員は、「バイデンの弱腰な宥和政策(weak-kneed appeasement)がプーティンを刺激した」と発言している。アメリカにジョージ・W・ブッシュのような強い大統領がいたら、侵攻は決して起こらなかっただろうとコットンと彼の同調者たちは主張する。反事実は複雑だ(Counterfactuals are complicated)。しかし、この場合、少し歴史を応用すれば大いに役立つ。

2008年のプーティンによるグルジア侵攻について考えてみよう。ブッシュ大統領の当時、グルジアの展開はロシアの侵攻前のウクライナの展開と概ね似ていた。当時、ロシアの支援を受けた分離主義者たち(Russian-backed separatists)と対峙するグルジアの取り組みは、プーティンにとって容認できない脅威とみなされていた。その年のNATOサミットでブッシュ政権はグルジアとウクライナをNATOに急遽加盟させようとしたが失敗した後、勇気づけられたグルジアのミヘイル・サアカシュヴィリ大統領は、離脱した南オセチア州を厳しく取り締まった。プーティン大統領がロシア軍にグルジア侵攻を命令してこれに応じたとき、彼はブッシュ大統領がアメリカ軍を戦争に派遣する用意があることに疑いを持っていなかったことは確かだ。何しろ、彼はブッシュ大統領が2003年にイラク侵攻に13万人の兵士を派遣し、さらにアフガニスタンに数万人の兵士を派遣するのを見ていた。こうした証拠は、ブッシュ大統領の強気な態度(Bush’s bravado)がプーティン大統領を抑止するどころか、主にサアカシュヴィリ大統領の無謀さ(Saakashvili’s recklessness)を助長し、それが今度はプーティン大統領の侵攻の口実となったことを示唆している。

ロシアの侵略者がグルジアの首都に近づくと、ブッシュ政権は更なる選択に直面した。予想通り、政権の一部のメンバー、特にディック・チェイニー副大統領の補佐官たちは、ロシアによるグルジア占領を阻止するためにアメリカ軍を派遣するよう求めた。大統領が議長を務めた国家安全保障会議の特別会議(a special National Security Council meeting)で、国家安全保障問題担当大統領補佐官のスティーヴン・ハドリーは、「グルジアをめぐってロシアと戦争する用意はあるか」という質問を直接投げかけた。大統領は会議の参加者全員に、各自の答えを出すよう求めた。ハドリーは後に「私は、軍事的対応の可能性について、全員にカードを見せてほしかった」と述べた。そうしなければ、後に、グルジアのために戦う用意はあると主張したものの却下されるかもしれないと分かっていたからだ。テーブルを囲んで議論すると、チェイニー、コンドリーザ・ライス国務長官、ボブ・ゲイツ国防長官を含め、誰も賛成票を投じる意向を持っていなかった。アメリカはグルジアの援助に向かうことはなく、戦争は2週間以内に終わった。

●多くの大統領が示す1つの前例(A Precedent with Many Presidents

示唆に富むこととして、バイデン政権とブッシュ政権が採った選択は、同様のディレンマに直面した他の全ての米政権が採った選択と一致している。1948年にソ連がベルリンへの高速道路を封鎖したとき、ハリー・トルーマン大統領はアメリカ軍に戦わせるという軍司令官の提案を拒否した。ドワイト・アイゼンハワー大統領は、1956年のハンガリー動乱(1956 Hungarian uprising)を防衛するために米軍を派遣しないことを選んだが、これは1968年の「プラハの春(1968 Prague Spring)」の際、リンドン・ジョンソン大統領がチェコスロバキアで繰り返した決断である。ケネディはベルリンの壁を建設するソ連軍を攻撃することを拒否した。そして1984年、ソ連領空に誤って侵入した民間旅客機をソ連が撃墜し、現職連邦下院議員を含む52人のアメリカ人が死亡したときも、ロナルド・レーガン大統領は同様にエスカレートを拒否した。どのケースでも、国家の存亡に関わるような重大な国益が明確でなければ、そのリスクを冒す覚悟はなかった。

前任者たちと同様に、バイデン大統領、マーク・ミルリー統合参謀本部議長、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、そして政権の他の人々は、キューバ・ミサイル危機で起こったことについて読んだだけでなく、核の危険を身をもって体験できるように設計された模擬戦争ゲーム(simulated war games)にも参加していた。彼らは、ジョン・F・ケネディ大統領とテーブルを囲み、自分たちの家族を殺すかもしれない核攻撃を引き起こす可能性があることを知っている選択について議論した人々の役を演じた。「単一統合作戦計画(Single Integrated Operational PlanSIOP)」とは、1960年代初頭に考案されたアメリカの核戦争に関する一般的な計画で、アメリカの核兵器が必要となった場合の発射手順や標的の選択肢を示したものだ。バイデンと彼の上級顧問たちは、アメリカの戦略核戦力はロシアを地図上から消し去ることができるが、そのような対立の最後にはアメリカも消滅してしまうという事実を把握している。こうして彼らは、ロナルド・レーガンが有名な短い言葉で捉えた深遠な真実を理解している。「核戦争に勝つことはできないし、決して戦ってはならない(“A nuclear war cannot be won and must never be fought”)」。

 

 

レーガンの2つの命題は、暗唱するのは簡単だが、戦略的思考に組み込むのは難しい。アメリカが世界最強の軍隊を持ち、ロシアを墓場にできるほどの核戦力を有しているにもかかわらず、レーガンの最初の指摘は、その戦争の終わりにはロシアもアメリカを完全に破壊していたであろうことを思い起こさせる。誰もそれを勝利とは呼べない。この状態は、冷戦時代の戦略家たちによって相互確証破壊(mutually assured destructionMAD)と呼ばれ、強力な核兵器を持つ敵同士の総力戦(all-out war)は核兵器による狂気の沙汰ということになった。テクノロジーは事実上、アメリカとロシアを切っても切れない双子のような関係にした。どちらか一方が他方を殺すことはできても、同時に自分が殺されることなしに殺すことはできない。

レーガンの警告の後半部分は更に理解しにくい。核戦争は「決して戦ってはならない(must never be fought)」ということだ。プーティンのロシアが今日どれほど邪悪で危険であろうとも、アメリカは戦争をせずにロシアを倒す方法を見つけなければならない。冷戦中、ソ連との戦争を避けるということは、そうでなければ全く受け入れられないであろう、ソ連と戦うためのアメリカの取り組みに対する制約を受け入れることを意味した。これには、ソ連が東ヨーロッパの捕虜となった国々を占領し続けることを誰もが目にできる限り続ける一方で、アメリカはそれらの共産主義政権への支持を弱めるためにできる限りのことをすることや、誤算や事故(miscalculations or accidents)による戦争につながるリスクを高める可能性のある特定の兵器システム(例えば中距離核戦力)を配備しないことで米ソ両国が合意する妥協点に達することなどが含まれていた。

特に今日のワシントンの熱気の中では、レーガンが中距離核戦力全廃条約に署名した際、『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストだったジョージ・ウィルが「道徳的な軍縮を加速させているだけで、実際の軍縮はその後に続く(accelerating moral disarmament—actual disarmament will follow)」と非難したことを思い出すと役に立つかもしれない。当時の指導的保守派知識人ウィリアム・バックリーは、レーガンのINF合意を「自殺協定(suicide pact)」と呼んだ。そのような批判について、レーガンは次のように書いている。「私のより急進的な保守派の支持者の中には、私がロシアとの交渉で我が国の将来の安全保障を犠牲にしようとしていると抗議する者もいた。私は彼らに、自分たちが不利になるような協定には署名しないと保証したが、それでも彼らから多くの非難を受けた。彼らの多くは、核戦争は『避けられない(inevitable)』ので、それに備えなければならないと考えていたと私は確信していた」。

●他の手段による戦争(War by Other Means

キューバ・ミサイル危機から得た数多くの教訓の中で、バイデン政権にとって今後数週間のうちに特に重要となりそうなものがある。キューバ・ミサイル危機のわずか数カ月後、ジョン・F・ケネディ大統領が最も重要な外交演説で述べたように、「何よりも、核保有国は、自国の重要な利益を守りつつ、敵国に屈辱的な撤退か核戦争かの選択を迫るような対立を回避しなければならない(Above all, while defending our own vital interests, nuclear powers must avert those confrontations which bring an adversary to a choice of either a humiliating retreat or a nuclear war)」。もしプーティンがこの2つの選択肢しか選べないとしたら、前者を選ぶ保証はない。バイデンはプーティンにそのような選択を迫ることを慎重に避けてきたが、事態は今、ロシアの指導者プーティンがそのような岐路に立たされたと見なしうる方向に向かっている。現地での戦争の事実が、この戦争に負けるか、戦術核攻撃でウクライナ人と世界に衝撃を与える以外に選択肢を残さないのであれば、彼が後者を選択することに賭けるのは愚かなことだ。

これを防ぐために、バイデンと彼のティームは、事態が急速に行き詰まりに向かっているのを受けてJFKがしたことを見直すべきだ。アメリカによる海上封鎖は、ソ連がキューバにミサイルを持ち込むのを阻止することには成功したものの、ソ連が既にキューバで対米ミサイル発射の準備をしているのを阻止することはできなかった。こうして危機の最後の土曜日、ケネディのアドバイザーたちは、攻撃するか、キューバのソ連ミサイル基地を既成事実として受け入れるか、2つの選択肢しかないと彼に告げた。ケネディはその両方を拒否した。代わりに、彼は次の3つの要素から成る想像力豊かな代替案を考案した。それらは、ソ連がミサイルを撤去すればキューバを侵略しないと約束する公式な取引、フルシチョフがその申し出を受け入れなければ24時間から48時間以内にキューバを攻撃すると脅す非公式な最後通牒、そして危機が解決した後の6カ月以内にトルコからアメリカのミサイルを撤去することを約束する秘密の魅力的な追加要素(sweetener)である。

ウクライナでプーティンに同様の出口(off-ramp)を設けるために必要となる複雑な多層的交渉と外交では、アメリカと同盟諸国は、1962年のケネディとその助言者たち以上の想像力を必要とするだろう。しかし、バイデンと彼のティームがこの難題に立ち向かうとき、彼らはJFKの最も素晴らしい時間にインスピレーションを見出すことができるだろう。

※グレアム・アリソン:ハーヴァード大学ケネディ記念行政大学院ダグラス・ディロン記念政治学教授。著書に『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ(Destined for War: Can America and China Escape Thucydides’s Trap?)』がある。

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 アメリカでは11月末の感謝祭(Thanksgiving Day)のあたりから、ホリデーシーズンに入るという感じで、一年を振り返るということも行われる。世界での大きな出来事から個人的な出来事まで、色々なことがあった。私で言えば、昨年末ギリギリに『』を刊行し、それがご縁になって、佐藤優先生との共著『』を出すことができた。来年も著書が出せるように、それが皆様のお役に立つ者であるように精進したい。より個人的なことは差し控えるが、大病もせず(慢性的な病気はあるがその状態が悪化せず)、大きな怪我もせずというのはありがたいことだったと思う。

 2024年は世界各国で国政レヴェルの選挙が実施された。思い出せるだけでも、台湾、インドネシア、インド、フランス、イギリス、日本、アメリカといった国々で選挙が実施され、指導者が交代することになった国もある。なんと言っても、アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選し、『』の内容から「トランプ当選を当てましたね」と言われたのは大きかった。また、共和党がホワイトハウス、連邦上下両院、連邦最高裁、アメリカの行政、立法、司法の三権を握ることになった(クアドルプル・レッド状態)。2025年からの第二次ドナルド・トランプ政権がどのようになるか、注目される。

 世界での戦争は2024年中に終わる可能性はない。ウクライナ戦争と中東での戦争は、小休止という状態であるが、正式な停戦には至っていない。この状態で2025年を迎えることになりそうだ。

 私は以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿で、世界で核兵器が使用されなかったことは最低限のことであるが、良かったということに同意する。それは多くの人もそうだと思う。ロシアにしても、イスラエルにしても、核兵器を使うということは、ハードルがとても高いことであるが、可能である。それでも、状況が深刻化しても、核兵器使用はなかった。核兵器を使用すればよいという主張がなかった訳ではない。地域紛争においては核兵器を使用しないという前例の積み重ねも重要だ。それがモラル面でのハードルになり、抑止力になる。もっとも、非常に脆弱なものではあるが。

 このブログは2025年も続くか、なんとなく日本のホリデーシーズンに入った感もあるので、このような文章を書いた。

(貼り付けはじめ)

2024年で感謝すべき10の理由(10 Reasons to Be Thankful in 2024

-何はともあれ、今年、世の中には感謝すべきことがいくつかある。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年11月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/11/28/thanksgiving-10-reasons-thankful-geopolitics-governance-human-rights/

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ワシントンのホワイトハウスで感謝祭の七面鳥「ピーチ」に恩赦を与えるジョー・バイデン米大統領(11月25日)

今日はアメリカでは感謝祭(Thanksgiving)であり、この時期には感謝の気持ちをリストアップするのが私の習慣となっている。残念なことに、今回はその作業にもう少し努力が必要だ。

中東での紛争は、何千人もの罪のない人々の命を犠牲にし、アメリカの評判を落とし、将来のトラブルの種をまき続けている。ウクライナにおけるロシアの戦争は期待外れの結末に向かいそうだ。多くの国でポピュリストが台頭し、現代社会が直面する困難な課題に対する解決策をほとんど示さないまま、分裂と疑念(division and suspicion)をまき散らしている。地球は熱くなり続け、気候危機への対策は停滞している。

アメリカの有権者は、犯罪者を次期大統領に選んだばかりだ。彼は今、国民から金をむしり取り、自分たちを富ませようとする忠誠者、蓄財家、変わり者で構成される政府をせっせと任命している。いい時代ではないか?

それでも私は、ほろ苦いものもあるが、今年感謝すべき10の理由を見つけた。

(1)アメリカの選挙は異議を唱えられなかった(1. The U.S. Election Was Not Challenged

11月5日に行われた米大統領選挙の結果は、私が望んだものではなかったが、結果をめぐる長期にわたる揉め事や、選挙を盗もうとする別の努力に終始しなかったことに感謝している。もしドナルド・トランプ次期大統領が敗北していたら、彼と共和党は結果を覆そうとあらゆる手を尽くしたに違いない。しかし、民主党は、悲しい心で、しかし見事な潔さで結果を受け入れることで、その気品と合衆国憲法への関与を示した。トランプ2期目は国にとって良いことではないかもしれないが、秩序ある平和的な権力移譲(orderly and peaceful transfer of power)は行われた。

(2)(非常な) 老兵の退場(2. Out With the (Very) Old Guard

民主党について言えば、何十年もの間、民主党を支配してきた老人支配政治(gerontocracy)がついにその舞台を譲ることになり、私は感謝している。ジョー・バイデン大統領、ナンシー・ペロシ連邦下院議員、チャック・シューマー連邦上院議員、ステニー・ホイヤー連邦下院議員、クリントン夫妻、その他何人かが、理想よりも数年遅れて日没へと向かうのを見るのは残念でならない。これらの人々は、政治家としてのキャリアの中で良いこともしたし、それは私たちも感謝すべきことだが、アメリカ国民との関係が希薄になる中で権力にしがみついたことも事実だ。新しい血と新しいアイデアが必要な時だ。

新鮮な思考がアメリカの外交政策にも及ぶことを願っている。アントニー・ブリンケン国務長官やジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官を含むバイデンチームは、リベラルな覇権(libera hegemony)という失敗した戦略を少し手直しして復活させようとした。時代遅れの信念や政策にしがみついた結果、ウクライナやガザ地区で悲惨な結果を招いた。こうした考え方が今後のアメリカの外交政策に与える影響は少ない方がいい。

(3)有権者が見逃したソフトランディング(3. The Soft Landing That U.S. Voters Missed

バイデン政権の外交政策ティームの全員がひどいパフォーマンスだったわけではない。ジャネット・イエレン財務長官、ジャレド・バーンスタイン経済諮問委員会委員長、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が新型コロナウイルス不況後のアメリカ経済を管理していたことに感謝している。彼らは多くの識者があり得ないと想定していた「ソフトランディング(soft landing)」を成し遂げた。もちろん彼らの実績は完璧ではなかったが、もっと悪くなる可能性もあった。

有権者がバイデンの功績を高く評価しなかったのは残念だが、その理由の1つは、バイデンが高齢のため、一般市民に説明することができなかったことだ。不平等と住宅費の上昇に対処するためのより大きな努力は助けになっただろうが、これらの問題を解決するための真剣な対策が連邦議会を通過したり、地方の障壁を乗り越えたりすることはなかった。アメリカの有権者は11月5日に感謝の念を抱かなかったのは明らかだが、私は感謝している。

(4)生殖の自由の反撃(4. Reproductive Freedom Battles Back

トランプ陣営の明らかな女性差別、安全な妊娠中絶を事実上不可能にするプロジェクト2025の計画、女性の身体以外のあらゆるものを規制緩和しようと急ぐ連邦最高裁の判例を無視する姿勢を考えれば、今年の選挙がリプロダクティブ・フリーダム、女性の健康、そして、ジェンダーの権利にとってより広範に何を意味するのか、多くの人々が落胆したのは当然である。

しかし、選挙戦の様相はまったく暗澹たるものではなかった。女性の健康と権利を守るための投票イニシアティヴは、それが検討されていた10州のうち7州で可決され、中絶の権利を支持する候補者が、トランプ大統領を支持した州を含む重要なレースで勝利した。ささやかな慰めかもしれないが、今年はもらえるものは何でももらうつもりだ。

(5)大量破壊兵器のタブーは守られてきた(5. The WMD Taboo Held Up

核兵器を保有する国々が関与する暴力的な紛争が継続・拡大しているにもかかわらず、大量破壊兵器(weapons of mass destructionWMD)が使用されることなく今年も1年が過ぎたことに、私たちは感謝しなければならない。しかし、私たちの感謝は、核兵器、そしておそらく他の大量破壊兵器の敷居が低くなっているという知識によって和らげられるべきである。アメリカを含むいくつかの国の強硬なタカ派は、核兵器の使用について公然と語り始めている。来年の感謝祭のリストにこの項目を入れられればいいのだが、年々その可能性が低くなっているのが心配だ。

(6)国際刑事裁判所の逮捕令状(6. The ICC Arrest Warrants

国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)が政治的圧力に屈することなく、ハマス軍最高責任者のモハメド・デイフ(彼はもう生きていないかもしれない)、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ギャラント元イスラエル国防相に逮捕状を発行したことに感謝したい。この逮捕令状は、戦争犯罪や人道に対する犯罪を命じたり犯したりした人間が、国際社会から特別扱いされ、制裁を受ける可能性があることを示す希望的な兆候である。

私は、リアリストとして、このような措置が一部の指導者の悪行を止めるものではないことを認識している。しかし、執行メカニズムが弱いか存在しない、食うか食われるか(dog-eat-dog)の国際政治においても、国家は政府が罪のない市民に故意に過度の残虐行為を加えることを阻止しようとすることはできる。今回の逮捕状によって、ハマスやイスラエルの指導者たちが選んだと思われる暗い道に向かわないよう、将来の指導者たちが何人かでも説得されるのであれば、私たちはそれにも感謝しなければならない。

(7)公務員(7. Civil Servants

政治家や専門家たちは、お役所仕事で社会を窒息させ、私たちに自分たちの好みを押し付けていると思われる政府関係者を批判するのが大好きだ。彼らは格好の標的だが、多くの場合、不十分なリソースを使いながら、私たち全員の状況をより良くするために毎日働いている、ほとんど献身的でほとんど政治に無関心で組織的に低賃金の何千人もの公務員なしでは社会は機能しない。

アメリカは、このような人々が、イデオローグや日和見主義者から指示を受ける忠誠者やハッカーに取って代わられるとどうなるかを発見しようとしているのかもしれない。この戦略は他の国ではあまりうまくいっておらず、今後数年で公共サーヴィスが劇的に低下すれば、アメリカ人は満足しないだろう。私が間違っていればいいと思う。今のところは、トップに任命された人たちの気まぐれや愚行にもかかわらず、公的機関の運営を維持してきた専門知識と献身に感謝することにしよう。

また、ジョシュ・ポール、アネル・シェリーン、ハリソン・マンといった政府関係者にも特別な感謝の意を表する。彼らは出世主義(careerism)よりも道徳と原則を優先し、バイデン政権によるイスラエルの虐殺に対する非良心的かつおそらく違法な支援に抗議して辞任した。もし彼らの上司の何人かが彼らの例に倣っていれば、アメリカの政策はより建設的な方向に舵を切ったかもしれない。

(8)著述家たち(8. Authors

幸運なことに、私は仕事上、たくさんの本を読む必要があり、私を教育し、挑戦し、インスピレーションを与え、楽しませてくれた多くの著述家に毎年感謝している。全員に言及することはできないが、ステイシー・E・ゴダード、エリン・ジェン、シーピン・タン、スティーヴ・コル、カルダー・ウォルトン、アダム・シャッツ、ジェイムズ・ゴールドガイアー、ダニエル・チャーデル、ヴィクトリア・ティンボア・フイ、ノーム・チョムスキー、ネイサン・ロビンソンに簡単に感謝の意を表したい。私は彼らが書いた全てに同意する訳ではないが、その全てに多くの価値があると感じた。

そして、ナターシャ・ウィートリーに特別な応援を送りたい。著書『国家の生と死(The Life and Death of States)』は、オーストリア=ハンガリー帝国の終焉と近代国家制度の創設のめくるめく歴史であり、法制史、哲学、法学などの多くの学問分野の並外れた組み合わせとなっている。決して軽い読み物ではないが、非常に読み応えがあり、深く考えさせられる内容だった。

軽めの作品としては、故ポール・オースター、ジュリアーノ・ダ・エンポリ、バリー・アイスラー、ボニー・ガーマス、そして特にジョージ・スマイリーを完全に満足のいく形で甦らせるという不可能に近い偉業を成し遂げたニック・ハーカウェイの作品に喜びを見出したことに感謝している。私の読書人生を豊かにしてくれた上記の全ての人々に感謝する。

(9)希望の光か?(9. A Silver Lining?

これは時期尚早かもしれないが、第二次トランプ政権が、敵対者たちが警告していた無能で執念深い、そして過度の傲慢さを示しているという初期の兆候に対して、暫定的に感謝の意を表したいと思う。はっきり言っておくが、私はアメリカに悪いことが起こることを望んでいる訳ではない。私の心配は、いずれにせよそれらが起こるのではないかということだ。

これが引き起こすであろう問題や、多くのアメリカ人が耐えることになる苦しみを私は喜ばないが、トランプ、イーロン・マスク、ロバート・F・ケネディ・ジュニア、そしてその他の人々が最終的に多大な損害を与えるのであれば、むしろそうするほうが良いと思う。それは迅速かつ誰の目にも明白だ。そうなれば、他の非自由主義的な独裁者たちがやったように、トランプとその手下たちが権力を維持するために選挙制度を再配線する前に反発が始まるかもしれない。興味がある方のために付け加えておくが、私は間違いであると証明されることを嬉しく思うし、物事がそのように進むのであれば喜んでそれを認めるつもりだ。

(10)個人的な幸せ(10. Personal Blessings

私は幸運にも今学期をウィーンの人間科学研究所 (IWM) のゲストとして過ごすことができた。考えたり書いたりするのにこれ以上良い環境はない。とても良いホストをしてくれたミーシャ・グレニー、イワン・クラステフ、そしてIWMのスタッフに感謝する。最後に、たとえあなたがコメントで私に課題を与えてくれた読者の一人であっても、このコラムを読むことを選択した全ての人に、私は深く感謝し続ける。

そして、以前はトゥイッターとして知られていた地獄のサイトに代わるサイトがあることに特に感謝している。今後は、@stephenwalt.bsky.social で私をフォローして欲しい。素晴らしい感謝祭になりますように!

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「Bluesky」アカウント:@stephenwalt.bsky、「X」アカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 ウクライナ戦争は2022年2月に始まってもうすぐ3年が過ぎようとしている。初期段階でウクライナ軍が善戦してロシア軍の進撃を止め、西側諸国がロシアに経済制裁を科して戦争は早期に集結するかと思われたが、結局、ロシアは経済制裁を受けても持ちこたえ、戦争は継続している。

西側諸国はウクライナに支援を続けているが、そのほとんどはアメリカが負担している。ウクライナ戦争停戦を訴えて当選した、ドナルド・トランプ次期大統領が正式に就任するのが2024年1月20日で、それ以降、ウクライナ戦争の停戦協議は本格化すると考えられる。現状は、ウクライナは東部や南部で奪われた地域を奪還できていないが、ロシア領内クルスク州の一部を占領している。地図を見てもらえれば分かるが、ロシアにとっては喉に刺さった小骨程度のことであるが、やはり、ここを奪還できるかどうかということは重要になってくる。ウクライナとしてはクルスク州を取引材料にして、ロシアから何らかの条件を引き出したいところだ。
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 ロシアとしては、停戦協議にはクルスク州を奪還してから応じたいところだ。アメリカの支援が切れる今年1月以降に攻勢をかけて、ウクライナ軍をロシア領内から撤退させ、それから停戦交渉をするということになる。また、自分たちで攻勢をかけなくても、トランプ大統領に停戦協議に応じたいが、クルスク州を奪還しない限り無理だと言えば、トランプ大統領が、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に圧力をかけてウクライナ軍を撤退させるということも外交交渉で出来るだろう。

 停戦後に、平和維持活動として、ポーランドとフランスがウクライナに将兵4万人を派遣するという計画があるという報道もある。ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナのNATO加盟の必要性を訴え、NATO加盟まで、外国の軍隊の駐留を求めるという発言があった。これはロシアを非常に刺激する発言であり、ポーランドとフランス両国の軍隊がウクライナに4万人も駐兵するということはロシアにとって受け入れがたいことだ。ウクライナとしては逆に、外交交渉の材料として、NATO加盟と外国軍隊の駐留を取引材料に仕える可能性もある。ここで重要なのはポーランドである。ポーランドは中欧の大国であるが、同時に、歴史的にヨーロッパ全体に不安定要因ともなる国家である。ポーランドは、反ロシアという点ではウクライナと共闘できるが、ウクライナの南西部ポーランド国境地帯ガリツィア地方には実質はカトリック教徒のユニエイトがおり、ウクライナとの関係が深い。ポーランドがウクライナ南西部の支配を狙っている可能性がある(ロシアがウクライナの頭部を持っていったんだから自分たちもという考え)。
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 ウクライナ戦争の停戦交渉はロシアの占領地域はそのままという現状を認めるところが前提となり、ウクライナのNATO加盟を認めるかどうか、外国軍駐留を認めるかどうかというところになるだろう。軍事同盟ではないEU加盟については、ロシアも認められるところがあるだろう。しかし、EU側が負担増大を懸念してウクライナの加盟を認めない。トランプ次期大統領がNATOからの脱退も示唆しており、NATOの力が弱体化し、西側諸国の国力も低下している中で、ウクライナは西側とロシアの間で両天秤をかけるという柔軟な動きが必要となってくる。

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●「ポーランドとフランス、軍派遣を協議か 戦闘終結後のウクライナに」

毎日新聞 2024/12/12 09:37(最終更新 12/12 09:37

https://mainichi.jp/articles/20241212/k00/00m/030/036000c

 ポーランドのメディアは11日、同国とフランスが、ロシアとの戦闘終結後のウクライナで平和維持活動に当たる4万人規模の外国軍派遣の可能性を協議していると報じた。フランスのマクロン大統領は12日にポーランドの首都ワルシャワでトゥスク首相と会談する予定で、議題に上るとみられる。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、自国の安全を保証するには北大西洋条約機構(NATO)加盟が必要だとした上で、加盟までの間、外国軍が駐留する案を検討していると述べていた。

 マクロン氏とゼレンスキー氏は7日、トランプ次期米大統領を交えた3者会談をパリで行っており、こうした案を議論した可能性もある。

 フランスのルモンド紙は11月、フランスと英国が欧州各国からのウクライナへの派兵を議論していると報じた。米メディアによると、トランプ氏の政権移行チームでは、ロシアとの戦闘を凍結し非武装地帯が設けられた場合、欧州諸国が警備を担う案が浮上している。(共同)

 

 

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ウクライナのクルスク侵攻がもたらす地政学的チャンス(The Geopolitical Opportunity of Ukraine’s Kursk Offensive

-ウクライナのクルスク侵攻はワシントンに対して、より賢いアジアへの意向(pivot to Asia)を示す道となる。

A・ウェス・ミッチェル筆

2024年8月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/15/kursk-ukraine-russia-offensive-incursion-china-asia-us-geopolitics-strategy/?tpcc=recirc062921

写真

ウクライナのロシアへの奇襲侵攻の中、破壊された国境検問所を通過するウクライナの軍用車両(2024年8月14日)

現在、クルスク地方で進められているような、ウクライナのロシア本土への侵攻は、アメリカの地政学的課題を順序立てて解決するという広範な戦略の一環として、戦争をより迅速に終結させる好機である。ロシアの侵攻2日目に私が『フォーリン・ポリシー』誌に書いたように、このような順序立ての戦略は、中国、イラン、ロシアとの同時かつ多方面にわたる戦争を回避するための最良の選択肢である。ウクライナ人が最近の成果を強固なものにし、おそらくそれを土台にするのに必要な手段を与えることで、ワシントンはキエフがモスクワを交渉のテーブルにつかせるのを助け、西側諸国が再武装する時間を稼ぎ、アメリカがインド太平洋に関心を移すのを可能にするチャンスがある。しかし、そのためには、ジョー・バイデン政権が、ウクライナによるアメリカ製兵器の使用制限を撤廃し、紛争の明確かつ達成可能な最終状態を定義する必要がある。これはリスキーではあるが、中国かイランが二正面戦争でアメリカと対峙するまでウクライナに援助を垂れ流すという選択肢よりは望ましい。

クルスク攻防戦がチャンスを生み出すには、この攻防戦が2022年以降のウクライナのロシア侵攻作戦とどう違うのかを理解する必要がある。第一に、ウクライナで最も優秀で西側で訓練された部隊を含む少なくとも5個旅団(brigades)の要素に加え、戦車、大砲、無人機、戦闘機が関与しており、規模がはるかに大きい。

第二に、今回の侵攻は過去の侵攻よりもはるかに深い。詳細は確認されていないが、ウクライナ側は国境のロシア側にある70以上の村、鉄道路線、重要なガス中継ハブ、合計1000平方キロメートル(386平方マイル)以上を支配しているようだ。第三に、ウクライナ側は急襲(raid)に成功しても立ち去るどころか、更に兵力と装備を投入し、侵攻を強めているようだ。

まだ多くのことがうまくいかない可能性がある。1つは、ロシア軍が攻撃している他の戦線からウクライナの兵力を引き離す可能性があることだ。モスクワはクルスクへの新戦力の投入を遅らせているが、ロシア軍にはまだ多くの予備兵力がある。

それにもかかわらず、この侵攻によってロシアの意外な弱点が明らかになった。ロシアの国境はほとんど守られていなかった。ウクライナ軍は戦略的な奇襲を仕掛け、敵国に戦争を持ち込み、ウクライナに必要な士気を高めた。ウラジーミル・プーティンは今、この攻撃を厄介なものとして軽視し、徴兵制(政治的に不人気な行動)と国内治安部隊、そして再配置された少数の前線部隊でやり過ごすか、あるいはウクライナ人を退去させ、より大規模な再配置で国境の残りの部分を強化するかというディレンマに直面している。つまり、ウクライナの橋頭堡を封じ込めることはできても、追い出すことはできそうにない。

数的劣勢にもかかわらず、ウクライナ側が地歩を固める可能性は十分にある。これまでのところ、この戦争では、陣地戦(positional warfare)における攻撃よりも防御の方が思いのほか有利であることが明らかになっている。秋の雨季を間近に控え、ウクライナ軍は容易に離脱できないような強固な突出部を形成できる可能性がある。今後、ロシア側は、ウクライナの長くて、穴だらけの国境を監視するために、より多くの軍隊を配備することを避けられないだろう。

このような事態は戦略的に重要である。それは、これまでロシアが勝利のセオリーとしてきた、戦争を長引かせることが、より大規模でおそらくより強力な紛争当事者であるロシアに有利に働くという考えに疑問を投げかけるからだ。クルスク作戦が最終的に失敗したとしても、現在の膠着状態を逆転させ、ウクライナが相対的に有利になるようなウクライナの戦略を描くことができる。プロイセンの軍事理論家カール・フォン・クラウゼヴィッツが19世紀に記したように、「軽く保持された、あるいは無防備な地方の占領は、それ自体が有利であり、この有利さが敵に最終的な結果を恐れさせるのに十分であれば、それは平和への近道と考えることができる」。もしキエフが小規模でもロシアの国境地帯を占領し、保持することができれば、モスクワは自国の領土において、西側の制裁によってこれまで耐えてきたことよりも重大な痛手を被る可能性を考慮しなければならなくなる。

これらは全て、より広範なアメリカの戦略に影響を与える。私は以前から、ウクライナにおけるロシアの戦争に対するアメリカの最適なアプローチは、中国が台湾に対して準備するよりも速い時間軸で、ロシアに代理敗北を与える機会として利用することだと主張してきた。過去2回の国家防衛戦略で、アメリカは複数の主要な相手と同時に戦争する準備ができていないことが明らかになった。ロシアの継続的な侵略に対して集中的かつ規律ある方法で資源を使うことで、アメリカはヨーロッパに対するロシアの脅威を弱め、その上でインド太平洋における抑止力を強化するための余地(bandwidth)を確保するチャンスがある。

問題は、アメリカが敵国ほど時間をうまく使えていないことだ。ウクライナ戦争が始まって以来、アメリカの国防予算は比較的横ばいで推移している。中国はこの時間を利用して、自国の銀行業界を制裁から守り、エネルギー供給をアメリカが混乱させにくいルートへと方向転換し、台湾近辺に攻撃部隊を増強し、アメリカとの核バランスを達成する努力を加速させている。イランはこの間、国防予算を増やし、中東全域の代理勢力に軍備を提供し、核兵器開発期間をほぼゼロに縮めてきた。

敵国が24時間体制で武装している一方で、アメリカは自国の防衛産業基盤を、ウクライナを支援できる状態にまで引き上げるのに苦労している。国防総省の推計によれば、アメリカは毎月8万発の155ミリメートル榴弾砲の砲弾を生産する予定だ。ウクライナが防衛陣地を維持するだけでも月に少なくとも7万5千発が必要であること、そして1990年代半ばには、アメリカが月に80万発以上の砲弾を生産していたことを考えるまでは、この数字は印象的だろう。オランダと同規模の経済規模を誇るロシアは現在、アメリカとヨーロッパを合わせた量の3倍の弾薬を生産している。最近の試算によると、アメリカがウクライナに提供したパトリオットミサイル迎撃機、ジャヴェリン対戦車システム、スティンガー防空システムの在庫を補充するには、現在の生産レヴェルで5年かかるという。

ヨーロッパの状況は更に悪い。高飛車な美辞麗句を並べ立てながらも、ほとんどのNATO諸国は、戦争を抑止するための必須条件である戦争への備えについて、中途半端な努力しかしていない。再軍備への意欲を好転させると宣言したにもかかわらず、ドイツは過去2年間、国防予算の不足を容認してきた。最近ではウクライナ支援を半減させ、2025年の国防予算はドイツ国防省が要求した額ではなく、インフレを補うのがやっとというわずかな増額にとどめた。2022年と2023年のNATO首脳会議で、西ヨーロッパの同盟諸国がNATOの東側に師団規模の部隊を配備すると約束し、その後、東側の防空を改善すると約束したが、実現されていない。最近の報告書によれば、ヨーロッパには長期にわたる紛争を遂行するための「備え、産業能力、サプライチェーン、雑誌の充実度、兵站、質量、資源、そして特に『戦う意志(will of fight)』が欠けている」という。

要するに、ワシントンとその同盟諸国は、ロシアの侵攻という衝撃を受けてからの時間を賢く使わなかったが、敵対国は賢く使ったということだ。2年以上前から、主要先進諸国との長期にわたる紛争にどのような規模の努力が必要かは明白であった。それにもかかわらず、アメリカもその同盟諸国も、そのような事態に備えるために必要な準備に近いものは何もしてこなかった。

このような背景から、クルスク侵攻のようなウクライナのロシアへの侵攻は戦略的な意味を持つ。もしウクライナ側が、ロシアの小さな地域さえも危険に晒すことができることを証明できれば、時間さえかければ、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領に、キエフにとってより有利な条件で交渉のテーブルにつかせることができるかもしれない。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、これが作戦の目的だと明言している。プーティンは、「敵は将来的に交渉の立場を改善しようとしている」と発言し、それを認めた。

東ヨーロッパ戦争の最終段階で領土が果たしてきたユニークな役割を強調するのは価値があることだ。過去において、ロシアが戦争後に不利な条件を達成できなかったのは、相手がロシアの領土を保持していたときだけである。例えば、1921年のポーランド・ソヴィエト戦争終結時、ソヴィエト・ロシアはポーランド軍がソ連領の一部を占領した後に西進を終了した。これとは対照的に、フィンランド・ソヴィエト冬戦争では、フィンランド軍がほとんどの軍事戦に勝利したにもかかわらず、ソヴィエト領土を占領することができなかったため、フィンランド領土の大部分を割譲して終結した。

言い換えれば、ウクライナにとって領土は、ロシアに対する制裁緩和やその他の経済的インセンティヴよりも価値のある、最も重要な影響力なのである。したがって、西側諸国の目的は、ウクライナにとって可能な限り最良の条件で、できるだけ早く戦争を終結させる方法として、ゼレンスキーがロシアの領土を保持するのを支援することであるべきだ。

そのためには、バイデン政権はこれまでやりたがらなかった2つのことを実行する必要がある。第一に、戦場での優位性を維持するために必要な武器をウクライナに提供し、キエフがそれらの武器を使用する方法に対する制限を撤廃すべきである。これにはリスクがない訳ではなく、ロシアはNATOやアメリカを直接脅かす形で紛争をエスカレートさせて対応する可能性がある。しかし、これらのリスクは、代替案のリスクと対比させて考慮する必要がある。例えば、ヨーロッパが安定する前にアジアを優先しようとする試みや、イランに対する先制攻撃など、より劇的で危険な試みである。おそらく最悪は、現在の漸進的な路線を継続することであり、その場合、アメリカの軍事備蓄が枯渇した瞬間に台湾に対する中国の動きでアメリカ政府に直面する可能性があり、おそらくそれ自体がさらにエスカレートする可能性を秘めたシナリオとなるだろう。

第二に、ワシントンは戦争に対する明確で達成可能な政治目標を定義する必要がある。その目標は、2022年2月までのウクライナの国境内に主権を回復し、独自の外交政策を担当し、経済的に実行可能で軍事的に強力になることである。それは本質的に価値がある。また、将来のロシアのヨーロッパ侵略に対する防波堤(breakwater against future Russian aggression)として機能する可能性もあり、それによってアジアにより重点を置くというアメリカの目標を支援する。

これらの線に沿ってアメリカの目標を定義することは、バイデン政権の曖昧で不安定な戦争アプローチを放棄することを意味する。バイデン大統領は、最終目標について、ロシアの体制転換(regime change)であると繰り返し示唆した。明らかに達成可能ではないことに加えて、このような、アメリカの目標を組み立てると、戦場で交渉が望ましい地点に達したときにアメリカがウクライナを支援することが困難になる。外交とは、侵略に直面したときの降伏や甘い合理性のことではない。むしろ、クラウゼヴィッツが書いたように、それは国家が「敵軍を殲滅するよりも目標に向かうより短い道(shorter route to the goal than the destruction of the opposing armies)」を見つけるための重要な媒体である。

制限のない軍事援助の拡大と最終目標の明確化という両方の点で、ワシントンとその同盟諸国は緊迫感を持って行動する必要がある。時計の針はアメリカに不利に働いている。時間が賢明に活用されていないという単純な理由で、順序決定戦略は2022年当時よりもリスクが高まっている。しかし、配列決定のリスクは、代替手法のリスクよりも依然として低い。配列処理には、おそらく最後の一押しが必要となる。

だからこそ、ウクライナ人を助けると同時に、複数の大国が敵対する戦争でアメリカ軍を支援できるよう防衛産業基盤の整備を急ぐという、2つの側面からアプローチすることが重要だ。また、ワシントンがヨーロッパの同盟諸国に対し、戦争に備えて現在行っている以上のことを行うよう働きかけることも重要だ。そうでなければ、得られるのは短い猶予だけで、アメリカが戦争を抑止するためにアジアでの態勢を強化することはできない。

戦略は固定されたものではなく、状況に応じて決まる。アメリカとその同盟諸国は現実と差し迫った選択に目を覚ます必要がある。アメリカが真剣に戦争の準備を始めない限り、実際には一度に一つ、あるいはもっと悪いことに複数の戦争を同時に戦わなければならないことになるかもしれない。

A・ウェス・ミッチェル:「ザ・マラソン・イニシアティヴ(The Marathon Initiative)」代表。トランプ政権でヨーロッパ・ユーラシア担当国務次官補を務めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2022年2月に始まったウクライナ戦争は2年半を超えて、戦況は膠着している。この表現は定型のようになってしまっている。ウクライナが状況を自分たちに有利にする方法は今のところない。西側諸国は支援を続けているが、実質的にウクライナを助けている訳ではない。ウクライナを使ってロシアに出欠を強要しているだけのことだ。一番損をしているのはウクライナ国民ということになる。本当に助ける気があるのなら、西側諸国が連合軍を作って、ウクライナで実際に戦えばよい。しかし、それをやればロシアもまた戦争の段階を引き上げて、最悪の場合には核戦争ということになりかねない。ロシアからの反撃を受けないで、ウクライナが自分たちに有利な状況を作るという不可能な目標を立てて、惰性で戦争を続けているだけのことだ。
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 以下の記事は紹介しようと思いながら、紹介してこなかった、スティーヴン・M・ウォルトによる古い記事だ。今年の8月にウクライナはロシア領内への攻撃を行い、小さい部分であるが、占領をしている。これも条件交渉の材料になるということになるが、あまりにも小さい部分で、その効果は大きくないように思われる。また、「ロシア領内に侵攻」という言葉のインパクトはあったが、実質は表面をちょっとひっかいたという程度のことで、大勢(たいせい)に大きく影響しなかった。ここがウクライナのできる限界点ということになるだろう。

アメリカ国民は、「ウクライナ戦争を止めさせる」と主張するドナルド・トランプを大統領に選んだ。アメリカが資金を出さなければ、ウクライナは戦争を続けることはできない。資金が枯渇する前の段階で、ウクライナは停戦交渉に応じなければならない。なぜなら、戦えなくなってからの交渉では、無条件降伏に近い形になってしまうからだ。ここのタイミングはトランプ政権が正式発足してから数カ月の間で実施されることになるだろう。トランプがロシアのウラジーミル・プーティン大統領に「ウクライナの話も少しは聞いて条件を組んでやってくれ」と求めることになるだろう。アメリカはウクライナ支援を続け、ロシアへの正妻も行っている関係上、仲介者として不適任となれば、中国の習近平国家主席が仲介に乗り出すということも考えられる。ウクライナ戦争が終結して、地域が安定すれば、世界的な物価高にも好影響をもたらすことになるだろう。

 私は2022年3月から、このブログで早期停戦を主張してきた。ウクライナ軍がロシア軍の進軍を阻止した時点で、ウクライナ軍の英雄的な行動の効果を使って、色々な条件を付けられると考えていた。しかし、実際には戦争は長引き、犠牲者は増え、ウクライナは国土の20%を失った。まだ条件を交渉できるうちに、停戦交渉を行うべきだ。

(貼り付けはじめ)

ウクライナによるクルスク攻勢の先が見えない意味(The Murky Meaning of Ukraine’s Kursk Offensive

-短期的な成功が必ずしも長期的な効果をもたらすことにはならない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年8月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/28/ukraine-kursk-offensive-war-ceasefire-russia-meaning/

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ウクライナがロシア西部のクルスク地方に攻め込んだ後、クルスクでウクライナの攻撃によって破損した建物を見る地元ヴォランティア(2024年8月16日)

ウクライナのロシアへの奇襲反攻(surprise counteroffensive)は、戦争の重要な転換点なのか、無意味な枝葉の行為なのか、それともキエフ側の戦略的失策なのか? 短期的にはほぼ成功しているが、重要なのは中長期的な視点である。西側の対ロシア政策全般、特にウクライナ戦争に対して、より広範な意味を持つのだろうか?

2022年2月にロシアが侵攻して以来、戦局は何度も一進一退を繰り返してきた。そのため、ある程度の謙虚さは必要である。ほとんどの戦争がそうであるように、能力面でも決意面でも、両方の側の限界点(breaking point)がどこにあるのかを正確に知ることは不可能であり、第三者が新たな展開にどう反応するかを予測することも難しい。そうではあるが、ウクライナのクルスク地方への侵攻がウクライナの運命に大きな好影響を与えると考える理由はほとんどない。

確かに、この攻撃は既にキエフに明らかな利益をもたらしている。ウクライナの士気を大いに高め、キエフが大きな敵との消耗戦に巻き込まれ、勝つことも長引くこともできないという懸念を払拭するのに役立った。戦争を再び表舞台に押し上げ、西側諸国の支援強化を求める声を強めた。ロシアの情報と準備態勢に重大な欠陥があることを露呈し、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領を困惑させたかもしれない。しかし、この侵攻によってプーティン大統領の決意が弱まったとか、ドンバスでのロシアの前進が鈍ったという兆候はない。

ウクライナが戦場でいくつかの成功を収めているのを見るのは心強いが、この作戦が戦争の結果に影響を与える可能性は低い。良い面としては、この攻撃ではウクライナ側の見事なイニシアティヴと驚くべきレヴェルの秘密作戦が示され、そのため侵攻軍が不十分な数の訓練を受けたロシアの守備兵に直面したのである。ある意味、この攻撃は2022年秋にハリコフで成功したウクライナ軍の反撃に似ていたが、これもまた戦術的な奇襲を達成し、数で劣り経験の浅いロシア軍と対峙した。

残念ながら、これらのエピソードから、1年前のウクライナの攻勢を阻止したような、十分な準備と人員を整えたロシアの防衛力に対してウクライナが地歩を固めることができるかどうかはほとんど分からない。更に言えば、クルスクの作戦では、ロシア軍よりもウクライナ軍の損失が大きくなる可能性があり、これはウクライナにとって維持できる交換比率ではない。クルスク戦線での最近の成功をもって、欧米諸国の追加援助でウクライナがドンバスやクリミアを奪還できると結論づけるのは大きな間違いだ。

なぜなら、この2つの国家はまったく異なる状況に直面しているからだ。双方とも多くの兵力と装備を失ったが、ウクライナの方がはるかに多くの領土を失っている。公表されている報告によれば、ウクライナは現在、ロシア領の約400平方マイルを占領し、およそ20万人のロシア人をこれらの地域から避難させている。この数字は、ロシアの総面積の0.0064%、人口の0.138%に相当する。対照的に、ロシアは現在ウクライナの約20%を支配しており、戦争によってウクライナの人口の35%近くが避難を余儀なくされていると言われている。キエフが最近占領した領土にしがみつくことができたとしても、交渉の切り札にはならないだろう。

ウクライナの運命は、クルスク作戦によってではなく、ウクライナで何が起こるかによって決まる。重要なのは、戦場で犠牲を払い続ける意志と能力、ウクライナが他国から受ける支援のレヴェル、そして最終的にウクライナの未占領地域を無傷のまま安全に残す協定が結べるかどうかである。そのためにも、アメリカとヨーロッパはウクライナを支援し続けるべきだが、この支援は、停戦と最終的な和解を交渉するための真剣で感傷的でない努力と結びつけられるべきである。残念なことに、アメリカの高官たちは、たとえ親密な同盟国であっても、その同盟国がアメリカの支援に依存しており、停戦が明らかにアメリカの利益になる場合であっても、停戦に同意させる方法を忘れてしまっているようだ。

クルスク攻防戦は少なくとも2つの問題を提起しているが、そこから正しい教訓を引き出すことが重要だ。最初の、そして最も明白な教訓は、ロシアの限られた範囲と圧倒的な軍事的パフォーマンスを思い起こさせるものだ。2022年以来、タカ派はプーティンがロシア帝国、ひょっとしたらワルシャワ条約機構を復活させることに執念を燃やしており、ウクライナは既存の秩序に対する新たな攻撃を開始する前の第一歩に過ぎないと説得しようとしてきた。この戦争におけるロシアの度重なる失策、そして成功したロシアの前進でさえも氷河期のようなスピードで進んでいることを考えると、ロシアがヨーロッパの他の地域に対して深刻な軍事的脅威をもたらすと信じることができるだろうか? 脅威を煽る人たちは、ウクライナへの支持を強めるためにこの厄介者を利用してきたが、恐怖戦術に頼ることは通常、戦略的判断を誤らせることにつながる。

第二に、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領を含む何人かの論者たちは、キエフがロシアへの侵攻に成功したことは、ウクライナの活動に対する既存のレッドラインやその他の制限を破棄すべきであり、西側諸国(the West)はウクライナが望む形でロシアに戦いを挑むことを許すべきだと示唆している。ウクライナ軍がロシアのエスカレーションを誘発することなく、ロシア領土に侵入できるのであれば、それはプーティンが張り子の虎(paper tiger)であることの証明であり、彼の以前のエスカレーションの脅し(核兵器への言及を含む)は、今やブラフであり、そのブラフが破られたことを意味する。

このような主張は、ウクライナにもっと良い武器を持たせ、その使用制限を解除させるためのものであり、ウクライナの指導者たちがこの考えを推し進めることを責めるつもりはない。しかし、ウクライナが何をしようとエスカレーションの危険はないという主張は断固として否定されるべきである。実際、ウクライナがロシア領内への侵攻を決断したのは、自国にとって不利な流れを逆転させるための危険な試みと見ることができる。これとは対照的に、プーティンはドンバスで自軍が勝利している場合、エスカレートする動機がない。ロシアがエスカレートする危険性があるのは、モスクワが壊滅的な敗北に直面した場合だけだ。

問題は、現在進行中の戦争がエスカレートする危険性だけではない。私たちは、戦闘を終わらせるための真剣な外交的努力を避けながら、おそらく到達不可能であろうと公言されている戦争努力を援助することに道徳的に問題がないかを自問すべきだ。現在の政策がもたらすであろう結果は、明白な政治的目的もなく、より多くの人々が死ぬということだ。ロシアとウクライナの戦争に交渉による解決を求めることは、自己利益と道徳(self-interest and morality)が一致した事例の1つである。ウクライナの最近の軍事的成功は、ウクライナが生き残ることはできても勝つ見込みのない高価な戦争を長引かせる口実としてではなく、真剣な停戦交渉を開始する機会としてとらえるべきである。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

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