古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:エネルギー価格

 古村治彦です。

 今年の冬はエネルギー価格の高騰があり、世界各国で厳しい冬になりそうだ。光熱費の高騰により生活が苦しくなる。ウクライナ戦争によって、ロシアに対しては経済生成が発動され、ロシアからの天然ガス輸入ができなくなった。ロシアは天然資源輸出ができなくなれば、経済的に行き詰って戦争を継続できなくなるだろうと考えられていた。しかし、そのような目算は崩れてしまった。非西側諸国によるロシアの天然資源輸入が大きかった。

アメリカや日本をはじめとする先進諸国は産油諸国に石油の増産を求めているが、これはこれまでのところうまくいっていない。サウジアラビアは増産を拒否している。ここにも西洋諸国(the West)対それ以外の世界(the Rest)の対立構造が明らかになっている。ロシアは非西洋諸国、具体的には中国やインドに石油を割安で輸出している。これでお互いにウィン・ウィンの関係を築いている。

ヨーロッパはロシアからの天然資源輸入がなくなり、アメリカからの高い天然ガスを買わねばならず、通常であれば安い夏の時期に買っておいて冬に備える備蓄も全くできなかったことから、厳しい冬になる。偶然見たテレビニューズの取材に対して、「薪を備蓄して冬に備える」と答えていたドイツ国民の声が印象的だった。

 日本でも東京都の小池百合子知事がタートルネックのセーターやスカーフの着用を推奨して話題になった。首元を温めれば暖房の設定温度は低くできるということのようだ。暖房や建物の建材などのエネルギー効率を高めれば、エネルギー消費を減らすことができる。気候変動のためにそうすべきということは長年言われてきたが、今回のウクライナ戦争とそれに影響を受けてのエネルギー価格高騰もあるので、こうした動きを促進しようという主張は出てきている。

 しかし、「言うは易く行うは難し」である。これから建物を全面的に改修するなり建て替えるなりするには多額の資金がかかる。更に言えば、こうした建材の材料費も高騰している。そことの兼ね合いが難しい。エネルギー効率を高めておけば、戦争が終わってエネルギー価格が下がればこれまでよりもエネルギー関連支出が下がるということになるから良いではないかということであるが、戦争でそのような対策が進むというのは何とも皮肉なものだ。

(貼り付けはじめ)

そうだ、私たちはエネルギー需要の削減について話す必要がある(Yes, We Need to Talk About Cutting Energy Demand

-エネルギー供給のみに集中することで、世界は危機に立ち向かうための最も安価で迅速な方法のいくつかを無視している。

ジェイソン・ボードフ、メーガン・L・オサリヴァン筆

2022年6月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/06/29/energy-demand-supply-efficiency-conservation-oil-gas-crisis-russia-europe-prices-inflation/

ドイツは先週、ロシアがヨーロッパへの天然ガス供給を更に制限することで、エネルギー不足が差し迫ることを警告し、エネルギー部門を戦時体制(war footing)に移行させた。冬が到来した時に必要となる在庫を満たすヨーロッパの能力を低下させることによって、ロシアは、ウクライナを征服し、西側諸国の抵抗を断ち切るためのキャンペーンの一環として、エネルギー輸出を武器化するためのレバレッジを高めている。ドイツのロベルト・ハーベック・エネルギー経済大臣は、ガスシステムを政府によるエネルギー配給の一歩手前の「警報」段階までエスカレートさせ、ドイツ国民に対し、消費行動を自発的に変えてエネルギーを節約することで「変化を起こす」よう呼びかけた。

ハーベックは、今日のエネルギー危機に対する解決策として、極めて重要かつ過小評価されていることを指摘した。現在採用されている多くのアプローチとは異なり、効率性を高めることで、ロシアのレバレッジを減らし、エネルギー価格の高騰に対処し、気候変動に対処するための炭素排出を抑制することを同時に実現することが可能となる。実際、サーモスタットの調節や運転時間の短縮から、スマートなデジタル制御や建物の断熱に至るまで、効率と節約の向上は、これらの課題全てに対処する最も迅速、安価、かつ簡単な方法の1つである。エネルギー危機がまだまだ続く中、世界中の政策立案者たちは短期・中期・長期のエネルギー消費の削減をあらゆる戦略の中心に据えるべきだ。残念ながら、ドイツが市民や企業に節電を呼びかけるのは、迫り来るエネルギー不足に対処するために多くの国がとっているアプローチの例外である。

ロシアがヨーロッパ大陸へのガス供給を削減するのではないかというヨーロッパ各国の懸念はここ数週間で現実のものとなった。ヨーロッパの数カ国への選択的な供給削減の後、ロシアはドイツへの主要ガスパイプラインの能力を60%も削減し、他の多くの国への輸出を削減した。ヨーロッパの天然ガス価格は50%以上上昇し、電力価格は2021年12月以来の高水準に上昇した。これを受けて、欧州連合(EU)加盟国10カ国が様々な段階のガス緊急事態を宣言している。

一方、原油価格は、世界的な供給不足、ロシアの輸出抑制、精製能力の限界などを背景に、ほぼ過去最高値の水準で推移している。ガソリンや軽油の価格高騰は、インフレを引き起こし、人々の生活を圧迫し、世界各国政府にとって政治的な頭痛の種となっている。例えば、ジョー・バイデン米大統領は最近、連邦ガソリン税の一時停止を議会に要求した。

石油、ガス、石炭の使用量を削減するには、効率性への投資と需要の節約が最も安価で迅速な方法であることが多い。

今回の危機に対して、各国は石油やガスの代替資源を求め、石炭の利用を増やすことで対応している。最近、液化天然ガス(LNG)を船で供給する米独の長期契約と並んで、ヨーロッパ各国はカタールと同様の契約を結ぼうとしている。ドイツ、オランダ、フィンランド、フランスなどがLNG輸入設備の新設を発表している。LNG輸入基地を1つも持たず、ロシアのパイプラインガスへの依存度を高めているドイツは、現在3基の基地を計画しており、ドイツ政府は最近、基地を建設する間、より迅速にガスを輸入できるようにするため、浮体式貯蔵・再ガス化装置4隻をチャーターしている。オランダは、ガス採掘に起因すると思われる地震によって停止した、最大の陸上ガス田の再開を検討している。ドイツ、オーストリア、イタリア、オランダは、古い石炭発電所を復活させる計画を発表した(ただし、ドイツは不可解にも今年末に最後の石炭発電所2基を停止させる計画で原子力発電所は復活させない)。そして先週、バイデンは石油業界の幹部を招集し、アメリカの石油生産と精製を促進する方法を探ろうとした。

これらの措置は全て戦争によって起きているので嘆かわしいことではあるが、現在の危機への対応としては適切なものだ。本誌にも書いたように、ロシアからのエネルギー供給の多くを喪失しても、消費者に安全で安価な燃料を確保するためには、少なくとも短期的、中期的には、他の化石燃料供給源の活用と更なるインフラへの投資が必要だということは厳然たる事実である。より多くのエネルギー供給を求める動きは、もちろんクリーンエネルギーにも及び、ヨーロッパではゼロ炭素エネルギーへの投資を増やし、その目標を前倒しで達成しようとしている。

しかし、掘削と圧送、製油所の限界への挑戦、数十億ドル規模のLNG施設の建設、ヨーロッパにおけるクリーンエネルギー供給の促進といった努力は、エネルギー使用量を削減するためのより重要なプログラムと対をなす必要がある。再生可能エネルギーの拡大と化石燃料との戦いに注目が集まる中、世界は悲しいことに、エネルギーの最も重要な事実の1つを見失っている。石油、ガス、石炭の使用量を削減し、ロシアのエネルギー資源の輸入の必要性を減らすには、効率的な投資と需要の節約が最も安価で迅速な方法だ(言うまでもなく、二酸化炭素排出量も削減できる)。

国際エネルギー機関(IEA)によると、ヨーロッパの建物で暖房のサーモスタットを摂氏1度(華氏1.8度)調節するだけで、年間100億立方メートルのガス使用を抑えることができるという。ちなみに、バイデンは3月、今年中にヨーロッパに150億立方メートルのガスを供給すると公約している。また、IEAのネットゼロエミッション達成のためのロードマップでは、建物の改修、消費電力の少ない家電製品への切り替え、自動車の燃費基準の引き上げ、産業廃熱回収の改善などの対策を通じて、エネルギー効率が今後10年間で2番目に大きな貢献を果たすとされている。効率化が進むと、その反動でエネルギー使用量が増えることがあるが、これは「リバウンド効果」と呼ばれるもので、効率化と節約による正味の効果は非常に大きく、すぐに利用可能でしかも低コストで利用できる。

確かに、EUのエネルギー安全保障計画(REPowerEU)には、2030年までにEUの2020年の基準シナリオと比較して、効率化のためのエネルギー節約を9~13%に引き上げるという目標が含まれている。例えば、フランスでは、2018年に初めて採用されたアパートの改修と、ガスを使用する効率の悪いボイラーに代わる電気暖房の設置に対する補助金を増やすと発表している。古い建物が多いフランスの建物の改修は、エネルギー使用量削減の可能性が最も高いと専門家は指摘しています。このような努力は、効率性を確保するためのスタート地点に過ぎないにもかかわらず、この危機の中で、ヨーロッパ各国政府は、エネルギー需要よりもエネルギー供給に大きな関心を寄せている。

世界的なエネルギー危機に対する供給中心の対応は、ヨーロッパ以外では更に顕著である。IEAによれば、エネルギー効率化投資の成長率は2022年に鈍化するとされており、2050年までに排出量を正味ゼロにするという気候変動目標を達成するために必要な要素には及んでいない。IEAによれば、「最もクリーンで、最も安価で、最も信頼できるエネルギー源は、各国が使用を避けることができ、一方で市民に十分なエネルギーサービスを提供できるものである」ということだ。世界的な効率化の推進は、気候変動に関する目標を達成するために必要なだけでなく、短期的には、全ての消費国、特にヨーロッパの各消費国がロシアの石油とガスの損失による不足に対処するために、必要なエネルギー供給を解放することができ、また、価格の抑制にもつながる。

現在のように石油採掘とインフラ整備に偏って力を注ぐことは、環境的に悪いだけでなく、半世紀前にエネルギー分野の象徴的存在であるエイモリー・ロヴィンズが警告したように、困難でコスト高になる。1973年の石油危機をきっかけに発表された論稿の中で、ロヴィンズは、世界のエネルギー需要を満たすために、採掘、抽出、産業施設などの大規模プロジェクトという「ハード・パス(hard path)」ではなく、保全、効率、再生可能エネルギーという「ソフト・パス(soft path)」をとるよう、エネルギー分野のリーダーたちに強く求めた。

今日、彼の論稿を読み返すと、ロヴィンズの警告がいかに的確であったか、そしてその警告に耳を傾けていれば、私たちはどれほど幸福になれたか、ということに気づかされる。半世紀前に彼が書いたように、今日、「節約は、通常、政策というより価格によって誘導され、必要であることは認められているが、現実よりも修辞的な優先順位が与えられている」のである。加えて、「優先順位は圧倒的に短期的である」と嘆き、目先の政治的・経済的な不安に応えるために、「積極的な補助金や規制によってエネルギー価格が経済水準や国際水準を大きく下回り、成長が深刻に阻害されないように抑制されている」と指摘した。実際、今日の高値に対応して、政府はエネルギー価格の補助金を出し、燃料税を停止している。市場価格が必要なレヴェルまで上昇しているときに、需要を抑制する努力を怠っているのだ。

また、ロヴィンズは、1976年に気候変動の危険性をいち早く指摘し、「石炭へのシフトは、その時あるいはその後すぐに、地球気候に大きな、そしておそらく取り返しのつかない変化をもたらす」と警告し。彼は「205年のエネルギー収入型経済への橋渡しをするために、化石燃料を短期間かつ控えめに使用する過渡的技術」の利用を提唱しており、これは最近本誌で我々が主張したことである。確かに、原子力発電に断固として反対するなど、ヴィビンズのヴィジョンには問題点も多い。しかし、過去半世紀にわたってエネルギーのリーダーたちが困難な道を選んでこなかったならば、今日のヨーロッパと世界の他の地域は、ロシアのエネルギー供給喪失に対処するためにどれほど良い状態にあっただろうかと考えると反省しなければならない。

エネルギー効率と省エネルギーが、エネルギー使用量と排出量に大きな影響を与えるにもかかわらず、社会や政治の注目を浴びてこなかったのには、多くの理由がある。家主は断熱や改修の費用を負担しなければならないが、借主は光熱費の節約によって利益を得ることが多い。これは経済学者に「プリンシパル・エージェント問題(principal-agent problem)」と呼ばれるものだ。消費者たちは、将来的な総電力コストよりも、家電製品の購入価格に注目する傾向がある。これは、「近視眼的(myopia)」として知られる行動現象である。また、節電の呼びかけは政治的な意味合いが強く、1970年代のエネルギー危機の際、ジミー・カーター米大統領(当時)がカーディガンのセーターを着て犠牲を求めた苦い思い出を呼び起こされる。

「ソフト・パス」を歩むのに最適な時期が数十年前であったとすれば、二番目に最適な時期は今である。効率や節約というと、個人的な犠牲や窮乏を連想する人もいるかもしれないが、より効率的な経済は市民の生活の質を下げる必要はなく、同じかそれ以上の生産高を上げるために、より少ないエネルギーの使用を要求するだけのことなのだ。

サーモスタットの調整など、ささやかな行動の変化が必要な節約もあるが、一人当たりのエネルギー消費量が最も多い国の消費者に、ウクライナ人が命がけで究極の犠牲を払っている時に、消費をもう少しだけ減らすように求めるのは、過大な要求にはならない。今年の冬のヨーロッパのガス危機への対応、燃料費高騰による家計への打撃、ロシアのエネルギー供給停止による経済的打撃など、世界のエネルギー政策指導者は、エネルギー効率の価値を早く再認識し、省エネルギーをロシアの侵略に対抗する強力な武器とすべきであろう。

ジェイソン・ボードフ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア大学気候専門大学院創設学部長、コロンビア大学国際公共問題大学院国際エネルギー政策センター創設部長。国際公共問題担当職業実行教授。米国家安全保障会議上級部長、バラク・オバマ元大統領上級顧問を務めた。ツイッターアカウント:@JasonBordoff

※メーガン・L・オサリヴァン:ハーヴァード大学ケネディ記念大学院国際問題実行部門ジーン・カークパトリック記念教授。著書に『僥倖: 新しいエネルギーの豊富さが世界の政治を覆し、アメリカの力を強化する方法』がある。ジョージ・W・ブッシュ大統領イラク・アフガニスタン担当国家安全保障問題担当大統領次席補佐官、大統領特別補佐官を務めた。ツイッターアカウント: @OSullivanMeghan

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(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 世界規模での食糧価格とエネルギー価格の高騰は続いている。あらゆる商品の値上げが続き、経済はインフレイション状態になっている。好景気の結果としてのインフレイションならば物価上昇率を給与の上昇率が上回り好循環となるが、日本の場合は給料が上がらない中で物価だけが上がるということになり、人々の生活は苦しくなり、社会は不安定になる。社会が不安定になれば、体制に対する不満から騒擾や暴動、戦争が起こりやすくなるというのは歴史が示している通りだ。

社会不安からの騒擾、体制転換について思い出すのは、2011年の「アラブの春(Arab Spring)」と呼ばれた、アフリカ北部、サハラ砂漠以北(Sub-Sahran)の国々で起きた大規模な反政府デモと体制転換にまで行きついた出来事である。アラブの春によって各国の独裁者たちは排除されることになった。非民主的な体制から民主体制へと移行することを「民主化(democratization)」と呼ぶ。

 民主化というのは素晴らしいもののように思われる。確かに独裁体制や王政の圧政から人々が解放され、人々の意思が政治に反映されるということは素晴らしいことだ。しかし、多くの場合、民主化の陰には大国の思惑がある。現代で言えばアメリカの思惑がある。アメリカはデモクラシーのチャンピオンとして、「世界中にデモクラシーを拡散する」という使命を持っているのだと考える人は多い。そして、「世界中が民主国家になれば戦争は亡くなり平和になる」という「民主平和論(democratic peace theory)」という考えが出てくる。しかし、現実はそのようにはうまくいかない。

アラブの春を例に取れば、一般の人々による自発的な、下からの民主化に向けた動きということになっている。しかし、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で明らかにしたように、米国務省とビッグテック(2011年当時にはこの言葉は一般的ではなかった)のツイッターとフェイスブックが関与したものである。計画的なものであった。アメリカは自分たちがみんしゅかしたいと考える国々の社会不安を利用する、もしくは社会不安を引き起こすということをこれまでやってきた。

 今回のウクライナ戦争をきっかけにエネルギー価格や食料価格の高騰が続いている。これらによって対ロシア制裁に踏み切った先進諸国内での人々の生活は苦しさを増している。日本でもあれだけ暑かった夏も過ぎ、朝晩は涼しい、もしくは寒いということになっている。ヨーロッパ諸国では例年天然ガスの価格が安い夏に冬に備えて備蓄するということが行われていたが、今年の夏はそれができなかった。今年の冬がどのような寒さになるかは分からないが、降雪地帯も多いヨーロッパ各国では厳しい冬を迎えることになるだろう。人々は自衛策として薪を貯蔵しているという話も報道されている。

 先進諸国が対ロシア経済制裁を行えばロシアはすぐに屈服するという楽観的な見通しは外れて、先進諸国の国内で不満が醸成され、社会不安が起きるような状況になっている。各国で民主化を起こす前に、自国の政権がどうなるかが分からない状況になっている。アメリカでは大統領を出し、連邦上下両院で過半数を握っている民主党に対して、11月の中間選挙で厳しい判断が下されることになる。

 日本でもあれだけ盤石と見えた自民党に対しての逆風が吹いている。岸田文雄政権の支持率が低迷している。これは、安倍晋三元首相の国葬魏の強行、統一教会と自民党との深い関係、東京オリンピックでの汚職捜査の進展、これらに加えて、人々の生活に不安感が増している状況で冬を迎えるという状況がある。

 ロシアとの関係を維持している新興国や発展途上国は少なくとも天然ガスに関しては、先進諸国よりもずっと有利な立場にいる。現物を握っている方が強いということ、先進諸国の自分たちへの過大評価と西側以外の国々(the Rest)への過小評価が一緒になって現在の状況を作り出している。先進諸国内で政情不安が起きないとも言えない。「他人の心配をしている場合か」ということだ。

(貼り付けはじめ)

食糧価格の高騰で独裁国家が崩壊した時の準備はできているのだろうか?

デイヴィッド・A・スーパー筆

2022年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/3611666-are-we-ready-for-when-dictatorships-implode-over-rising-food-prices/

ロシアがウクライナに侵攻し、世界有数の農業国である2つの国へのアクセスが阻害されたことで、世界中で食料価格が高騰している。戦闘当時両国が輸出していない商品も、入手できなくなった小麦やひまわり油で代用され、より高価になっている。さらに、エネルギー価格も高騰しているため、多くの発展途上国では、食糧が必要な時期に、食糧に使えるお金がさらに少なくなっている。

歴史上、食糧価格の高騰は、安定した専制君主(despots)に対する民衆の反乱を数多く引き起こしてきた。腐敗した政権に異議を唱えれば弾圧を受ける恐れがあった人々が、家族を養えなくなると怯え、捨て鉢になるのである。このような国民の怒りの爆発がいつ起きてもおかしくない状況にある。

残念ながら、私たちの短絡的な政策が、これらの国々の多くで民主化運動を迫害し、しばしば民主化を挫折させる一因となっている。世俗的な民主政体を求める野党の指導者たちは、民衆の反乱を指導し、怒りを前向きな方向に導くことができるだろう。もし私たちがこうした勇気はあるが困難な状況にある、人々を積極的に擁護し始めなければ、いかなる動乱も不寛容な宗教的過激派や、新世代の腐敗した日和見主義の専制君主に乗っ取られる可能性が高いだろう。

10年前の「アラブの春(Arab Spring)」革命は、専制君主制の民主化と近代化(to democratize and modernize)を目指したものと広く受け止められているが、そのきっかけはパン価格の高騰であった。エジプト革命の主要なスローガンは「パン、自由、社会正義(Bread, Freedom, and Social Justice)」であった。失業率が上昇し、食品価格が18.9%に上昇した時期に、国から補助されたパンが不足したことが、人々を街頭に繰り出させることになった。同様の価格高騰は、アラブの春以降、各地で反乱の引き金となった。

豊かな欧米諸国は、発展途上諸国の経済的に不安定な人々にとって食糧価格の重要性を過小評価しがちである。特に抑圧的な政権の下で家族を養うのに苦労している人々は、政治は自分たちにはできない贅沢だと感じているかもしれない。しかし、食糧価格が高騰すると、彼らは街頭に立つしかないと感じるかもしれない。

エジプトほど、ポジティヴな方向にもネガティヴな方向にも導く可能性を秘めた国はないだろう。エジプトは世界のアラブ系人口の約4分の1を擁し、軍事、政治、文化、宗教の分野で重要な役割を担っている。また、エジプトは小麦の輸入大国でもある。

数十年前、アンワル・エル=サダト大統領は、民衆の怒りで政権が倒れそうになった時、パンの値上げを撤回した。それ以来、歴代政権は低所得者層が利用できるように、基本的なパンの価格を低く抑えている。

汚職と新型コロナウイルス感染拡大によってエジプト経済がボロボロになる中、現大統領のアブドルファッターフ・アッ=シシ将軍は昨年、パンの値上げを提案した。批判が殺到し、政府はすぐに撤回した。今となっては、選択の余地はないのかもしれない。この地域の他の政府も同じような状況に置かれている。

レバノンは更に酷い状況だ。名目上はエジプトよりもずっと民主的だが、レバノンの政治は、敵対する外国勢力の代理人として機能する各ブロックによって腐敗したままである。

スリランカでは飢えた人々が通りを埋め尽くし、経済が大きく破綻して食糧を買うことができなくなった。

ギニアの首都ではデモ隊が暴れまわっている。

このように事件を数え上げればきりがない。

このような状況下では、「簡単な」解決策を約束したり、おなじみのスケープゴートを非難したりするデマゴーグが暴徒の先頭に立つことはあまりにも容易である。デマゴーグはもちろん、国民に永続的な救済をもたらすことはないだろうが、それが明らかになる前に、彼らは権力の座を固めてしまうだろう。

エジプトはその典型的な例である。何百万人ものエジプト人が、選挙で選ばれたものの抑圧的で無能なムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)の大統領モハメド・モルシに対して立ち上がった時、シシ大統領は彼らの願望を代弁すると主張し、権力を掌握したのである。何千人もの平和的なムスリム同胞団と世俗的な抗議者たちを殺害し、彼を脅かす可能性のある反対派の人物を投獄または追放した後、シシ大統領は厳しく管理された偽の選挙を実施した。

より良い方法がある。

食糧価格に対する民衆の反乱が、軍事専制主義者たち(miliary despots)とイスラム専制主義者たち(Islamic despots)の間の終わりなき二項対立の新たな局面を引き起こすのではなく、これらの反乱は有意義で持続的な変化のための機会を提供することができるだろう。世俗的で民主的な統治は、経済の成長の可能性を奪っている腐敗を不安定にする可能性がある。また、公的資金を際限のない軍備増強から国民のニーズに応えることに振り向けられるかもしれない。そして、不可避なこととして、無能な人々が大統領官邸に入り込もうとする時、民主的移行(democratic transitions)は、ムバラク大統領やシシ大統領のように長期にわたる損害を与える前に、その扉を開くことができる。

残念なことに、これらの国々の世俗的な民主的な指導者たちが刑務所に収監されたままでは、食糧を求める反乱は良い方向に向かうことはないだろう。

アラブの春デモを遅ればせながら一時的に支援したオバマ政権は、その後ほとんど関心を失ってしまった。ドナルド・トランプ政権も、抑圧的なシシ政権に制裁を加える瞬間があったが、その後、両大統領は結束を固めた。

ジョー・バイデンはより良くできるはずだ。

エジプトの民主活動家でブロガーのアラ・アブデル=ファッタは、アラブの春の重要な指導者だったが、シシが権力を握って以来、何度も投獄されている。彼は現在ハンガーストライキ中で、その健康状態は悪化していると伝えられている。 アル=シシ大統領は、幅広い国民的対話を望んでいると主張するが、アブデル=ファッタのような本物の反対派の声と話すよりも、むしろ投獄しているのである。

バイデン大統領は、シシ大統領に対して、正当な野党の声を投獄する限り、二国間関係の進展は不可能であるという明確なシグナルを送ることができるし、そうすべきである。彼は特に、アブデル=ファッタを釈放し、必要な治療を受けさせるよう主張すべきだ。

投獄された世俗的な民主政体擁護者たちのために立ち上がることはそれだけの価値がある。民主的で豊かなウクライナがロシアやベラルーシの独裁政権に疑問を抱かせるように、自由で民主的なエジプトは、この地域の多くの専制政権を弱体化させるだろう。多くの高学歴者が潜在能力を発揮できるようになったエジプトは、経済の停滞と化石燃料への依存で知られるこの地域において、急速に持続可能な繁栄を達成することだろう。

デイヴィッド・A・スーパー:ジョージタウン大学法学部カーマック・ウォーターハウス記念法学・経済学教授。また、センター・オン・バジェット・アンド・ポリシー・プライオリティーズの顧問弁護士を数年間務めた。ツイッターアカウント:@DavidASuper1

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