古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:エプスタイン・ファイル

 古村治彦です。

 エプスタイン・ファイルで注目を集めているギレーヌ・マクスウェルの父親のロバート・マクスウェルについて、改めて学ぶ。伝記と伝記作家のジョン・プレストンのインタヴューを基にした記事をご紹介する。ロバート・マクスウェルは1991年に「ヨットからの転落事故」で亡くなった。マクスウェルは、イギリスだけでなく、アメリカでもいくつも新聞を所有していたこともあり、世界のメディア王と呼ばれていた。また、イギリス、イスラエル、旧ソ連のトリプルスパイだったという話もあり、死亡後には日本語で本が出ている。

 マクスウェルはチェコスロヴァキア出身のユダヤ人で極貧の中で生まれ育った。十代で、ナチスの侵攻によって故郷を追われ、イギリスに逃げることが出来た。彼の家族は全員がアウシュビッツで亡くなっている。イギリス軍で活躍し、その後は出版社経営をスタートさせて巨万の富を得て、新聞社をいくつも買収して、メディア帝国を築き上げた。同時期に活躍していたルパート・マードックとの争いは語り草になっている。また、政界進出を目指して、下院議員にもなったが、こちらの方はうまくいかなかった。熱心なイスラエル支援者、投資家で、死後はイェサレムにあるオリーヴ山に埋葬されている。その後、彼のメディア帝国は巨額の負債のために崩壊したが、娘ギレーヌのことがなければ、「冷戦期のスパイの大立者の都市伝説」の主人公として語られる人物だっただろう。

 ギレーヌが関係した二人の男性、父ロバート・マクスウェルと恋人ジェフリー・エプスタインは共に、イスラエルとの深い関係を持つユダヤ人で、謎に包まれた死を遂げた。マクスウェルは上流階級から拒絶されたが、エプスタインは卑劣な性的搾取を通じて、上流階級に浸透し、緊密なネットワークを形成した。そのことが暴露されつつある。全容が完全に明らかになることはないだろうが、様々な事実が出てくるだろう。エプスタイン・ファイルは西洋近代600年の築いてきた価値観や制度の陰の部分を象徴するものとなるだろう。光が明るければ明るいほど、陰は暗くなるという。エプスタイン・ファイルはまさに西洋近代の陰と言うことが出来るだろう。

(貼り付けはじめ)

粗末な丸太小屋から世界的なメディア王へ:ロバート・マクスウェルの台頭と転落(From wooden shack to global media magnate: The rise and fall of Robert Maxwell

-30年前の彼の死は未だ謎に包まれているが、イギリス作家ジョン・プレストンの新著が、この英国の新聞社の帝王の驚くべき人生を解き明かす。

ロバート・フィルポット筆

2021年2月23日

『タイムズ・オブ・イスラエル』紙

https://www.timesofisrael.com/from-wooden-shack-to-global-media-magnate-the-rise-and-fall-of-robert-maxwell/

ロンドン発。1991年3月初旬、ロバート・マクスウェルの4階建てヨットがニューヨークに到着した時、彼は権力と影響力の頂点にいたように見えた。推定10億~20億ドルの資産を持つこのイギリス人出版王は、アメリカ最古のタブロイド紙である『ニューヨーク・デイリー・ニューズ』紙の買収を完了させ、世界のメディア市場で宿敵ルパート・マードックに並ぶという夢を実現するためにニューヨークを訪れていた。

その後数日間、数週間にわたり、自称「ボブ・ザ・マックス(Bob the Max)」は勝利の瞬間を存分に味わった。レディ・ギレーヌ号でニューヨークのセレブリティたちをもてなし、毎年恒例のグリディロン・ディナーでワシントンのエリート層と歓談し、湾岸戦争での勝利後、アメリカ軍の帰国を歓迎するティッカーテープ・パレードでコリン・パウエル将軍の隣に立った。

しかし、数ヶ月後、マクスウェルはミステリアスな状況でヨットのデッキから転落した。彼のメディア帝国は莫大な負債の重みであっという間に崩壊し、銀行家たちを寄せ付けまいと必死になって会社の年金基金から何百万ドルも横領していたことが発覚し、彼の評判は永遠に傷ついた。

イギリス人作家ジョン・プレストンによる明確で説得力のある新著『転落:ロバート・マクスウェルのミステリー』の主題であるマクスウェルの成功と転落の物語はシェイクスピアの悲劇を彷彿とさせる。

プレストンは『タイムズ・オブ・イスラエル』紙のインタヴューで、「20世紀において、マクスウェルほど自らのルーツから遠く離れた人物を思い浮かべることはほぼ不可能だ」と語っている。マクスウェルのルーツは、ルテニア(Ruthenia 訳者註:ウクライナ、ベラルーシ、ポーランド東部を含めた地域)地方(当時はチェコスロヴァキアの一部)のソロトヴィノという小さな町にあり、1923年6月、マクスウェルはそこでメーヘルとチャンカ・ホッホ夫妻の9人の子供の長男として生まれた。反ユダヤ主義が蔓延し、一家は極貧生活を送っていた。家は土間と裏手に汲み取り式トイレを備えた2部屋の丸太小屋で、冬には2人の子供が1足の靴を共有していた。

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「レディ・ギレーヌ」として知られた「ダンシング ヘア」(2020年1月)

●数々の嘘、半分の真実、誇張(Lies, half-truths and exaggeration

当時ヤン・ホッホとして知られていた彼は、スロヴァキアのブラティスラヴァにあるイェシヴァ(yeshiva、ユダヤ教神学校)で学んでいた。1939年3月、ナチス・ドイツがチェコスロヴァキアに侵攻し、ルテニアをハンガリーの同盟者たちに引き渡した。ホッホは自分の横鬢(sidelocks、サイドロック 訳者註:正統派ユダヤ人が伸ばしている髪の毛)を切り落とした。これはユダヤ教との象徴的な断絶であり、この断絶は40年以上も癒えることはなかった。そして3カ月後、ウクライナのソロトヴィノを去った。彼は母、父、祖父、3人の姉妹、そして弟に二度と会うことはなかった。兄弟姉妹は一人を除いて全員アウシュビッツで亡くなった。伝記を書いたプレストンは、彼の脱出と彼らの運命が、マクスウェルの生涯を永遠に苦しめたと考えている。

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『転落:ロバート・マクスウェルのミステリー(Fall: The Mystery of Robert Maxwell)』の著者ジョン・プレストン

マクスウェルの初期の人生の多くは謎に包まれている。放送キャスターのマイケル・パーキンソンは、ほぼ半世紀後、この出来事は「真実はしばしばフィクションよりもエキゾティックであるという理論を裏付けるものだ」と述べた。

実際のところ、伝記作家プレストンが詳述するように、このエキゾティックさは、マクスウェルの嘘、半分の真実、そして誇張を好む傾向に大きく起因していた。例えば、ソロトヴィノを去った後、この少年は反ナチス抵抗運動に参加したが、スパイ容疑で捕らえられ、死刑判決を受けた。マクスウェルは後に、裁判に出廷する途中、片腕の看守を制圧し「比較的容易に(relatively easily)」脱出できたと主張している。後に彼が語り直したある回想録では、橋の下に隠れていたところ、「あるジプシーの女性(a gypsy lady)」に助けられ、手錠を外してもらったと語っている。

「この物語は興味深いものだが、多くの疑問を抱かせる」とプレストンは書いている。「当時のハンガリーの刑務所がどれほど逼迫していたとしても、両腕を備えている看守を一人も集められなかったというのは奇妙に思える」。謎めいた「あるジプシーの女婿」は、マクスウェルの初期の記述にも登場しない。「なぜ彼はこれまで彼女のことを言及する価値があると考えなかったのだろうか? 単に忘れ去ってしまったのだろうか?」とプレストンは問いかける。あるいは、彼女は「マクスウェルの想像力のどこか色鮮やかな片隅から、こっそりと舞台に現れたのだろうか?」と疑問を投げかける。

プレストンは「マクスウェルは彼自身の神話(myth)を創造した。そして、彼が自身の神話を創造した理由の一つは、隠れるための一種の煙幕(smokescreen)だったのだ」と述べている。

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ジョン・プレストン著『転落:ロバート・マクスウェルのミステリー』

しかし、これはマクスウェルの真の戦時中の英雄的行為を損なうものではない。「片腕の看守」から逃れた後、彼はベオグラード、ベイルート、マルセイユを経由してイギリスにたどり着いた。Dデイ(ノルマンディー上陸作戦)の3週間後、彼はフランスに向けて出航し、初めての戦闘を経験した後、士官に昇進した。

ウィンストン・チャーチルの演説を聞いて完璧にマスターしたイギリス訛りを身につけ、レスリー・スミス伍長という典型的なイギリス人名を名乗っていたマクスウェルは、後に包囲された連合軍小隊を救出した功績で軍事十字章を授与された。勇敢さと残酷さは混在していた。ある時、彼はドイツの町の町長を冷酷にも射殺し、抵抗を封じ込めた。またある時、彼は既に降伏していたドイツ兵にサブマシンガンを向けた。

それでもなお、プレストンが「生まれながらの策略の才能(natural flair for subterfuge)」と呼ぶマクスウェルの才能23歳までに4回も名前を変えていたは、上司から高く評価されていたことは明らかだった。フランス語、ドイツ語、英語、チェコ語、ルーマニア語、イディッシュ語に堪能な彼は、1944年10月、共産主義蜂起の脅威に関する情報を収集するためパリに派遣された。終戦後、彼はドイツに派遣され、廃墟となったベルリンで英情報部のためにスパイ活動を行った。また、チェコスロヴァキアへの潜入捜査も開始し、これは1940年代から1950年代にかけて続いた。

●メディア帝国の建設(Constructing a media empire

ベルリンと英諜報機関との関係は、後にマクスウェルがメディア帝国を築き上げた二つの基盤を証明することになる。占領下のイギリス軍のために働く中で、マクスウェルはシュプリンガー出版社のオーナーだったフェルディナント・シュプリンガーと出会った。世界最大の科学書籍・学術雑誌出版社であったシュプリンガー出版社は、膨大な量の資料を抱え、戦時中入手できなかった世界中の学者を熱心な読者として抱えていた。

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イギリスの新聞王ロバート・マクスウェルの写真(日付不明)

シュプリンガーにとっての問題―ドイツ国民は海外への大量輸送を禁じられていた―は、マクスウェルにとっては好機だった。膨大な資料の世界的な流通権を確保した24歳のマクスウェルは、大規模な鉄道とトラックを使ってロンドンへ輸送する手配をした。この大規模な物流作戦の資金の大部分は、英諜報機関から提供されたようだ。マクスウェルの死後、ある元諜報員が回想したところによると、MI6が誰かのために事業を買収したのはこれが唯一のケースだったという。これは、マクスウェルの諜報機関とのつながりが利用価値があり、かつ有益であることが証明された最後の機会ではなかった。

1950年代を通して、マクスウェルの事業ネットワークとその旗艦であるペルガモン・プレス(Pergamon Press)は繁栄し、成長を遂げた。

プレストンは「多くの点で、マクスウェルは優れたビジネスマンだった。彼は1950年代に世界最大かつ最も成功した科学雑誌の出版人となりましたが、それは偶然ではなかった」と述べている。

しかし、プレストンが「卑劣で汚い(low and dirty)」戦い方をする傾向と表現するマクスウェルの性癖はすでに明らかだった。例えば1955年、彼が主要事業の一つの資産を剥奪していたことが発覚した。つまり、彼がその事業のために借り入れた融資を、彼の新興帝国の他の事業を強化するために流用していた。これに怒った債権者たちは、英国破産庁に連絡した。これが、マクスウェルが生涯にわたってイギリスの国家体制への恐怖と憎悪、そして彼らが自分を狙っているという感覚を抱くきっかけとなった。

●政治的な役立たず(A political dud

とはいえ、1960年までにマクスウェルはオックスフォード郊外にあるイタリア風の邸宅、ヘディントン・ヒル・ホールに住み、1945年に結婚したフランス人プロテスタントの妻ベティも間もなく9人目の末っ子ギレーヌを出産することになる。マクスウェルはまた、政界進出の準備も進めており、友人たちに「私は首相になることを決めた(I’ve decided to become prime minister)」と高らかに宣言した。

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ヘディントン・ヒル・ホールの外観

しかし、1991年の出来事が示すように、マクスウェルにとって勝利と破滅(triumph and disaster)は常に隣り合わせだった。

マクスウェルの議会でのキャリア―1964年にバッキンガムの接戦区で労働党所属の下院議員に当選―は短命に終わり、輝かしいものもほとんどなかった。ウェストミンスター(イギリスの政治の中心)の社交的で伝統に縛られた世界は、自己アピールばかりで派手な一匹狼マクスウェルには不向きであり、メディアは彼の議会でのパフォーマンスを嘲笑した。1966年の労働党の圧勝で再選されたマクスウェルは、4年後に議席を失い、1974年に議席を取り戻そうとしたが失敗した。

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ロバート・マクスウェル(右)がアムステルダムで開催された世界経済フォーラムでヘンリー・キッシンジャー(中央)とオランダの政府関係者たちと歩いている(1989年4月11日)

●悲劇が何度も何度も襲う(Tragedy strikes again, and again

しかし、マクスウェルにとってさらに悲惨だったのは、より身近なところで起きた二つの悲劇だった。1957年、マクスウェル一家は3歳の娘を白血病で亡くした。4年後、長男マイケルが交通事故で重傷を負い、昏睡状態に陥り、1968年初頭に亡くなった。伝記作家のプレストンが「家族の上に垂れ込め、決して消えることのない恐ろしい暗雲」と表現するこの事故により、マクスウェルは妻や生き残った子供たちとの間に感情的な距離を置くようになった。ギレーヌは3歳になったばかりで、「ママ、私はここにいるの」と母親に告げざるを得ない、そんな状況になった。

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故ロバート・マクスウェルの娘ギレーヌ・マクスウェルがサンタ・クルス・デ・テネリフェ島に停泊中のクルーズ船「レディ・ギレーヌ」上でスペイン当局に対し家族からの感謝を表明するスペイン語の声明文を読み上げている(1991年11月7日)

マクスウェル自身は娘を甘やかし、明らかにお気に入りとして扱うようになったが、妻や他の子供たちは、彼の激しい怒りの矛先を次第に感じ、軽蔑や非難を浴びせるようになっていった。

196910月、マクスウェルはさらなる打撃を受けることになる。アメリカ最年少の億万長者ソール・スタインバーグとの有利な取引が大失敗に終わり、ペルガモン・プレスの取締役会からあっさりと解任されたのだ。マクスウェルは誰のせいにもできなかった。スタインバーグは、新しいビジネスパートナーであるマクスウェルが様々な粉飾会計処理によって利益を水増ししていたことを発見したのだ。

プレストンは、「再び、彼は自らの帝国の一部を別の部分で支えようとしていたのだ」と書いている。

そして、これが最後ではなかった。18カ月後、この失態に関する政府の報告書は、マクスウェルは「上場企業の適切な経営を任せられる人物」ではないと断言した。マクスウェルは、「いわゆるシティのエスタブリッシュメント(so-called City establishment)」による「魔女狩り(witch hunt)」の犠牲者だと反論したが、説得力があると考える人間はほとんどいなかった。

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当時世界一の大富豪だった笹川良一(右)の伝記を出版したペルガモン・プレス会長ロバート・マクスウェル(1980年10月29日)

マクスウェルは失脚したが、まだ終わってはいなかった。追放から5年も経たないうちに、マクスウェルはペルガモン・プレスの経営権を奪還した。

プレストンは「彼は驚くほど早く巻き返した」と語っている。しかし、彼の復帰は策略によって早まった。スタインバーグは、1969年の当初の取引において、マクスウェルがペルガモン・プレスの高収益な米子会社の経営権を維持していたことに気付いていなかった。マスコミが「跳ね回るチェコ人(the Bouncing Czech)」と渾名したマクスウェルは、その後、親会社から資金を事実上枯渇させ、最終的にスタインバーグを屈辱的で多額の費用を伴う撤退へと追い込んだ。

●ノー・マードック(No Murdoch

10年後、サッカークラブとヨーロッパ最大の印刷会社のオーナーとなったマクスウェルは、ついに過去15年間叶わなかった目標である全国紙の買収を達成した。努力が足りなかった訳ではない。1968年にはイギリス最大の日曜タブロイド紙『ニューズ・オブ・ザ・ワールド』紙、1969年には『ザ・サン』紙、そして1981年には『ザ・タイムズ』紙の買収を試みた。しかし、いずれの場合でもマードックを相手にして敗北した。

タブロイド紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドをめぐる争いは特に醜いものだった。ニューズ・オブ・ザ・ワールドの社説欄は「マクスウェル(旧姓ヤン・ルートヴィヒ・ホッホ)がこの新聞の経営権を握るのは得策ではない・・・これはイギリス人が運営するイギリスの新聞だ。このまま維持しよう」と宣言していた。プレストンが今回の本のためにインタヴューしたマードックはこう回想している。「エスタブリッシュメント側が彼を入れないだろうと感じていた(I could smell that the establishment would not let him in)」。

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1989年にアムステルダムで開催された国際経済会議でのロバート・マクスウェル

プレストンも、より広い意味で、マクスウェルがエスタブリッシュメントから軽蔑され、妨害されていると感じていたのは「純粋なパラノイア(purely paranoia)」ではなかったと同意する。

プレストンは次のように述べている。「反ユダヤ主義が蔓延しており、マクスウェルはユダヤ人であることを否定していたものの、誰もが彼がユダヤ人であることを知っていた。彼はアウトサイダーであり、傲慢な成り上がり者とみなされており、人々はそれを非常に嫌っていた」。

1984年、マクスウェルが『デイリー・ミラー』紙(当時、発行部数は『ザ・サン』紙に次ぐ2位)を買収したことが、マードックとの壮絶な闘いの始まりとなり、彼は次第にその闘いに囚われていった。

「かつては、世界で同じ空気を吸っているのは父とマードック氏だけだったような時代もあった」と、マクスウェルの息子イアンはプレストンに語った。

マクスウェルの新聞運営は悲惨なものだった。彼は紙面制作のあらゆる側面に介入し、買収後の最初の6カ月間で自分の写真が100回以上紙面に掲載されるようにした。彼がコストを削減し利益を増やした一方で、ミラー紙とその2つの系列紙は歴史上最も速いペースで読者を失った。

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ロンドンのミラー・グループ・ニューズ・ペーパーズ印刷工場で、名前の分からない印刷工がイギリスの全国紙デイリー・ミラーの第一刷をチェックしている(1991年11月5日)

●「M」の文字と共にあるマクスウェル(Maxwell with an ‘M’

同時に、マクスウェルの富、権力、そして誇大妄想は増大し続けた。ミラー・ビルの隣にある彼の豪邸は、彼が「マクスウェル・ハウス」と名付け、カーペットには「M」の文字が飾られていた。この邸宅は、ロンドンでわずか3軒しかない専用ヘリポートを持つ邸宅の1軒だった。

「狂気じみた自己顕示欲(crazed self-aggrandizement)という点では、マクスウェルは[元アメリカ大統領ドナルド・]トランプの先駆者と言えるだろう」とプレストンは語っている。 1988年に行われたマクスウェルの65歳の誕生日パーティーでは、ロスチャイルド銀行の専務取締役から「10年間で最高のパーティー」と称賛され、3000人のゲストが出席した。ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーからの祝電が送られ、花火が打ち上げられ、「ハッピー・バースデー・ボブ」という言葉がオックスフォードのスカイラインを照らした。

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妻と共にモロッコのタンジールにあるマンドゥーブ宮殿でマルコム・フォーブスと共にいる、モロッコの伝統衣装を身にまとっている新聞王ロバート・マクスウェル(1989年8月20日土曜日)

プレストンは、マクスウェルは「畏敬の念、恐怖、嘲笑が絶えず入り混じった、人々を魅了する人物」となっていたと書いている。

当時、チャールズ王太子は当時のデイリー・ミラー紙編集長に、「実に非凡な人物だ。彼の仕事ぶりはどうだ? 彼は一体どうやって金を儲けているのか?」と質問した。実際、マクスウェルの下で働くのは恐ろしいことだった。彼は執拗に部下をいじめ、辱め、ある土曜日の午前4時に「首席補佐官」という滑稽な肩書きを持つ人物に電話をかけて時間を尋ね、不信感と対立の文化を植え付けた。彼は部下を執拗に追い回し、不忠の証拠を探すために何時間も一人で録音を聞き、さらには尾行までさせた。

イアン・マクスウェルは、ある時、些細な失敗を理由に父親に解雇された時のことを思い出し、その時の感情について、「ありがたい、やっと狂った場所から脱出できる」と思ったと述べている。3カ月後、マクスウェルは息子を以前の半分のサラリーで再雇用した。

●再発見されたルーツ(Rediscovered roots

しかし、富と成功を重ねても、マクスウェルの旺盛な欲望は満たされなかったようだ。不幸の源の一つは40年間ユダヤ教を否定し続けてきたことへの罪悪感だった。

1984年、マクスウェルの友人で率直な実業家ジェラルド・ロンソンは、「どうして突然、あなたはユダヤ人じゃなくなったのか?」と質問した。その後まもなく、ロンソンはマクスウェルとベティをイスラエル訪問に同行するよう誘った。ロンソンのプライヴェートジェットがテルアヴィヴに近づくと、マクスウェルの頬を一瞥すると、彼の頬に涙が流れていた。「何年も前にここに来るべきだったのに(I should have come here years ago)」とマクスウェルは何度も繰り返した。

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産業担当大臣を辞任した直後の当時のアリエル・シャロン国会(クネセト)議員(右)はイェルサレムでイギリス人富豪ロバート・マクスウェル(左)と会談した(1990年2月20日火曜日)

マクスウェルのイスラエルへの新たな熱意は、翌日のイツハク・シャミル首相との会談で、ユダヤ国家であるイスラエルに「少なくとも2億5000万ドル」を投資したいという意向を表明するほどに高まったようだった。プレストンによると、マクスウェルは珍しく、この誓約を守ることを選んだという。

その後4年間、ミラー・グループの利益のおかげで、マクスウェルはイスラエルに数百万ドルを注ぎ込み、新聞社を買収し、ハイテク企業や製薬会社に投資した。そして、その過程でイスラエル経済における最大の個人の投資家となった。マクスウェルはまた、モサドに有益な情報を提供するようになった。ベティにとっても、この訪問は決定的な出来事となった。ホロコーストへの関心が芽生え、やがて彼女はホロコースト研究家として高く評価されるようになる。

「イスラエルはマクスウェルに、他の場所では決して得られなかった、ある種の感情的な帰郷の感覚を与えた」とプレストンは語っている。しかし、マクスウェルのユダヤ教への回帰は「非常に重要だった」とプレストンは述べている。しかし、大富豪の彼はますます過去に悩まされ、家族の運命に対する罪悪感に苛まれていった。

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イギリス・ロンドンにあるミラー・グループ・ニューズ・ペーパーズの本社前でケヴィン・マクスウェル(32歳、左)と兄のイアン・マクスウェル(35歳)が報道陣に対応している。兄弟の父ロバート・マクスウェルは海上において遺体で発見されていた(1991年11月5日火曜日)

ベティは回想録の中で、「ロバート(・マクスウェル)は、もし家にいたら両親と弟妹の命を救えたはずだと確信していた。人生で成し遂げたどんなことでも、家族を救うという、成し遂げられなかったことの代償にはならなかっただろう」と書いている。

マクスウェルの人生の終わり頃、イアンは父親の寝室に入り、父親がかがみ込んでアウシュビッツに到着するユダヤ人たちのドキュメンタリーニューズ映像を熱心に見ていたのを発見した。何をしているのかと質問されると、マクスウェルは「両親を見つけられるか探しているんだ」と答えた。プレストンは「これは本当に胸が締め付けられる話だ」と述べた。

「年齢を重ねるにつれて、過去の出来事が彼の足元をかすめ、彼の功績を嘲笑っているような感覚が湧いてくる」とプレストンは語った。

●財政的な破綻(Financial ruin

過去がマクスウェルに追いつきつつあったのと同様に、銀行家や監査人も彼に迫っていた。彼の財政的破綻への道は1988年に始まった。当時、マクスウェルはアメリカの出版社マクミランを26億ドルで買収したが、これはマクミランの取締役でさえ想定していた価値を約10億ドルも上回る金額だった。買収資金を調達するため、マクスウェルは44の異なる銀行や金融シンジケートから融資を受けた。アメリカでの知名度向上を目論んだ『ニューヨーク・デイリー・ニューズ』紙の買収も同様に誤った判断だった。ニューヨーク・デイリー・ニューズの財政状態は極めて深刻で、オーナーはマクスウェルに6000万ドルを支払って手放したほどだった。

このメディア王の一見常軌を逸した支出の原動力となったものは、ほとんど謎めいていない。プレストンは、「マクスウェルは必死になって、自分がマードックと同じリングに立つ存在であり、同等の実力者であることを証明したかったのだ。しかし、それがやがて、このような恐ろしい勢いを生み出してしまったのだ」と語っている。

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ロンドンのミラー・グループ・ニューズペーパーズのオフィス前にカメラクルーが集まり、ミラー紙の社員がデイリー・ミラーの発行人でオーナーのロバート・マクスウェルが海上で行方不明になったことを伝える声明を読み上げている(1991年11月5日)

マクスウェルはマードックを打ち負かし、尊敬を得たいと願っていたが、どちらも叶わなかった。「マクスウェルは相手のボクサーとリングに上がったと思っていたが、そうではなかった。実際は、同じくハイヒールを履いた柔術家とリングに上がったのだ」とマードックが経営するタイムズ紙の元編集者ハリー・エヴァンスは指摘する。マードックはプレストンに対し、マクスウェルを「詐欺師(crook)」で「全くの道化者(total buffoon)」としか考えていなかったと語った。

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出版王ロバート・マクスウェルの息子ケヴィン(左)とイアン・マクスウェルは1996年9月19日にロンドンの高等法院に出廷した。判事はケヴィン・マクスウェルに対し、この不名誉な大物実業家のメディア帝国崩壊に関連する容疑で二度目の裁判は行わないと判決を下した

マクスウェル自身、彼の家族、そして何よりも彼の従業員にとって、その代償は最終的に悲惨なものとなった。1980年代のバブル崩壊と金利の急騰の中、マクスウェルは負債を抱えた帝国を支え、下落する株価を支えるために、必死に数百万ドルを運用した。資産は売却され、1991年3月には彼の最高傑作であるペルガモン・プレスも売却された。そして、彼は会社の年金基金に段々と手を付けていった。

1991年秋、負債が10億ドルを超え、銀行から返済を迫られると、マクスウェルは心身ともに崩壊寸前の状態になった。不眠症、鬱病、そして体調不良に悩まされ、夜な夜なロンドンのカジノでギャンブルに明け暮れたり、家に閉じこもってジェームズ・ボンド映画を見ながら中華料理のテイクアウトをひたすら貪り食ったりしていた。

プレストンは次のように語っている。「マクスウェルのような大物ギャンブラーにとってさえ、そのストレスは計り知れないものだったに違いない。面目を失う恐怖は非常に強かっただろうし、もちろん、この頃には相談相手もいなかった。家族全員を遠ざけ、妻ともほとんど会話をしていなかった。彼は極めて孤独な男だった」。

●最後の転落(The final plunge

1991年11月1日、レディ・ギレーヌ号で出航した頃には、マクスウェルは窃盗と詐欺が発覚間近であることを悟っていた。年金基金の大きな穴が議題に上がっていたデイリー・ミラー紙の監査委員会と、彼の会社の支払い能力を厳しく追及するであろうイングランド銀行総裁との会合が、5日後に予定されていた。一方、事件の公開という脅しをしていたスイス銀行から「法律違反の疑い(suspected breaches of the law)」の通報を受け、ロンドン市警は出動を控えていた。

そして、マクスウェルに向かって突き進んでいた災難は、ほんの一瞬で収束した。ロンドンで処罰を受けるはずだったまさにその日の午前5時頃、彼はグラン・カナリア島を通過し、テネリフェ島へ向かう途中、ヨットの船尾から転落した。約12時間後、膨れ上がったマクスウェルの遺体はスペイン国家救助隊のヘリコプターによって発見された。

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カナリア諸島サンタクルス島のレディ・ギレーヌ号のデッキに立つ名前を発表していない乗組員たち。英国の実業家ロバート・マクスウェルが全長150フィートのヨットから転落した数日後のことだ(1991年11月7日)

マクスウェルは死亡してから5日後、オリーヴ山の墓地で自ら購入した一区画に埋葬された。ベティは後にこう記している。「英雄の送別式(send-off)であり、国葬(a state funeral)とも言うべきものだった」。シャミール、当時のイスラエル大統領ハイム・ヘルツォク、シモン・ペレスなどが参列した。「国王や男爵たちが彼の玄関口を囲んだ。彼はほとんど神話的な存在だった」とヘルツォク大統領は挨拶した。

しかし、こうした神話はあっという間に打ち砕かれた。死後数週間のうちに、彼の略奪行為の真相―彼の会社から7億6300万ポンドが横領され、その中には年金基金からの4億ポンド以上も含まれていた―が明らかになり、負債も露呈した。「世紀の詐欺師(the Crook of the Century)」という言葉がニューズウィーク誌の表紙に踊った。

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故ロバート・マクスウェルの遺体はイェルサレムのオリーヴ山にあるユダヤ人墓地に埋葬された(1991年11月10日)

これらの暴露は、マクスウェルの死が発表されて以来、メディアを賑わせていた疑問をめぐる憶測を一層煽った。彼は事故で転落したのか、突き落とされたのか、それとも飛び降りたのか? ベティの最初の反応は明白だった。「彼は絶対に自殺しない(He would never kill himself)」とグラン・カナリア島行きの飛行機に乗りながら彼女は断言した。30年経った今も、マードックはマクスウェルが自殺したと確信している。「彼は銀行が迫っていることを知っていて、自分が何をしたのか分かっていた。そして飛び降りたのだ」とマードックは語っている。

マクスウェルが殺害されたという説を否定する一方で(当然のことながら、その責任はモサドに向けられることが多い)、プレストンは、彼が滑って転落したのか、飛び降りたのかについては決定的な証拠がないと示唆する。プレストンは、ある一つの点が明確だという確信を持っている。

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故ロバート・マクスウェルのロンドンのアパートにあった家財道具(1992年1月20日撮影)。1992年2月14日にサザビーズでオークションにかけられた。バスローブから美術品まであらゆる品が出品された。

伝記作家のプレストンは「もし事故だったとしても、驚くほど幸運な事故だったと言えるだろう。彼は生きてイギリスに戻れば、警察、年金受給者、そして銀行家たちから銃殺隊3隊分の刑罰を受けることになると分かっていたのだから」と語った。

マクスウェルが家族と従業員に遺した経済的荒地(wasteland)もまた疑いようがない。4億600万ポンドの負債を抱えた息子のケヴィンは史上最大規模の破産者という不名誉なレッテルを貼られた(ケヴィンとイアンは後に複数の詐欺共謀罪に関して無罪となった)。彼の豪邸とヘディントン・ヒル・ホールの蔵書は競売にかけられた。そして「マクスウェルの年金受給者」の大半は、本来受け取るべき金額の半分しか受け取れなかった。

マクスウェルがデイリー・ミラー紙を買収した直後、デイリー・ミラーの編集者は精神科医である友人と新しいオーナーについて議論した。友人の精神科医は、「マクスウェルは最終的に帝国全体を崩壊させるだろう。何も残らないだろう。・・・ただ灰だけが残るだろう」と予言した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 エプスタイン・ファイルをめぐる連邦議会での激しいやり取りについては、このブログでもご紹介した。エプスタイン・ファイルは既に、アメリカ政治において熱を帯びた戦いの最前線になっている。司法省は未編集の資料を保有しており、連邦議会は被害者の名前などの編集を認めながら公開を求めてきた。そして、今年に入って約350万ページにも及ぶ資料が公開された。それらは編集されたもので、どうしても「加害者の名前が編集されているのではないか」という疑いが付きまとう。

 司法省は、連邦議会の議員たちに司法省の事務所内での未編集の資料の閲覧を認めている。議員たちは全てを見ることが出来る。もちろん、約350万ページの資料を見ることなど不可能だ。それでも民主党側の議員たちの中から、加害の証拠があり、有罪の可能性があるという人物たちの名前が発表されている。これからも、編集された部分から、重大な加害に関与した可能性がある人物たちの名前が出てくるだろう。「○○の名前があった」「■■に加害の可能性がある」ということが取り沙汰されている様子は、戦後アメリカに吹き荒れた、マッカーシズム(McCarthyism)、赤狩り(Red ScareRed Purge)を思い起こさせる。

 司法省がどの議員がどのような検索や調査を行ったかについて記録を取っていることが問題視されている。司法省は、被害者の名前が漏洩しないように、もしもの場合の責任の所在を明らかにするために記録を取っているとしている。一方で、民主党所属の議員たちからは、これは行政権による司法権に対する侵害であるとして批判を強めている。司法省が、議員たちがどのような調査をしたかの記録を取って、それをマスコミにリークなどすれば、議員たちに批判が集まるという危険性もある。

 司法省の主張にも、連邦議会民主党側の主張にも説得力があるが、日ごろは問題視されないことが、粒立てて問題視されるということはそれだけの緊張感があるということだ。民主、共和両党は、中間選挙に向けて、お互いを攻撃しようとし、エプスタイン・ファイルはその攻撃材料となっている。これからファイルの調査が進むことで、展開は大きく変わっていくことも予想される。

(貼り付けはじめ)

民主党が司法省による連邦議員のエプスタイン文書検索追跡を調査開始(Democrats launch investigation into DOJ tracking of lawmakers’ Epstein files searches

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5738162-epstein-files-doj-bondi-house-democrats/

連邦下院司法委員会と監視委員会の民主党所属の連邦議員は、パム・ボンディ司法長官が、ある議員によるジェフリー・エプスタイン事件の未編集ファイルに関する調査の概要を閲覧しているのが目撃されたことを受け、金曜日に司法省に対する合同調査を開始した。

この書簡は、司法省に対し「連邦議員によるエプスタイン・ファイル閲覧の追跡を直ちに中止する」よう求め、連邦議員が閲覧した未編集ファイルを追跡する意図を問う内容だ。

連邦下院司法委員会と監視・政府改革委員会の民主党側トップであるジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出)とロバート・ガルシア連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)と共に、「水曜日、連邦下院司法委員会の公聴会に持参された『バーン・ブック』バインダーのページの写真は、司法省が、多少編集が緩められたエプスタイン・ファイルを閲覧する議員たちを秘密裏に追跡していたことを連邦議会と世界に明らかにした」と書簡に記した。

議員たちは、「私たちが憲法上の監視義務を遂行する中で、連邦議員たちがあずかり知らないうちに、あるいは同意なく行われるこうした監視は、三権分立(separation of powers)の明白な侵害であり、司法省がジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの共謀者、共犯者、そして幇助者を守るために手段を選ばず、被害者とアメリカ国民に正義を否定する姿勢をさらに強めていることの証拠である」と書いている。

司法省立法局(Office of Legislative AffairsOLA)は「秘密裏に連邦議会を監視する活動を行うべきではない」と議員たちは主張した。

写真には、ボンディ氏が「ジャヤパル・プラミラ捜査履歴」と題された文書を確認している様子が捉えられている。これは、司法長官と口論になったワシントン州選出の民主党議員の行動を確認しているように見える。

この写真は、議会で異例の超党派の合意を招き、両党の議員が自らの行動を追跡されることに憤慨した。

このような動きはマイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)から異例の叱責を受けた。

ジョンソン議長は、「連邦議員には当然、それぞれのペースと裁量でそれらの資料を閲覧する権利があるべきであり、誰かがそれを追跡するのは適切ではないと考える。司法省関係者全員に同じ意見を述べたい」と述べ、これが「見落としや漏れ(oversight)」であることを願うと付け加えた。

ボンディ司法長官は水曜日、民主党所属の連邦議員たちに反論するために頻繁にバインダーを取り出し、各議員の選挙区で犯された具体的な犯罪の概要を手元に用意していた一方で、大統領と株式市場のパフォーマンスについては称賛していた。

「ジャヤパル議員は火曜日の朝、この公聴会開始の約23時間前にエプスタイン・ファイルを閲覧していた。その23時間の間に、司法省は彼女の検索履歴を取得し、それを利用して、監督に関する重大な疑問をかわすための党派的な攻撃を準備したようだ。ジャヤパル議員は検索履歴文書の正確性を確認した」と議員たちは書簡に記している。

司法省は金曜日、新たな調査について言及しなかったが、以前の発言については指摘した。

司法省の広報官は木曜日に「司法省は連邦議会に対し、エプスタイン・ファイルの非編集文書を閲覧する機会を与えた。この閲覧の一環として、司法省は被害者情報の漏洩を防ぐためであり、民主党は、検索の監視が司法省に彼らの潜在的な捜査計画に関する洞察を誤って与えている」と主張している。

連邦議員たちは、エプスタイン・ファイルの未編集版を閲覧するよう招請され、月曜日から司法省内の事務所に出向き始めている。

連邦議員たちが出した書簡には、少なくとも12名の民主党所属の連邦議員がエプスタイン・ファイルを閲覧したと記されており、ファイル公開を求める法案の共同提案者である共和党のトーマス・マシー下院議員(ケンタッキー州選出)とナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出)も閲覧した。

エプスタイン・ファイルの閲覧要請書には、司法省が「全議員の閲覧日時」を記録すると記載されていたものの、連邦議員たちの書簡では、連邦議員たちは検索履歴が集計されることを知らされていなかったと書かれている。書簡ではまた、検索履歴の閲覧に何人の司法省職員が関与したのか、そしてボンディ長官が水曜日に連邦下院司法委員会に出席した際、「その準備と出席中に、情報はどのように使用されたのか」についても質問している。

連邦議員たちは、「検索に加えて、連邦議員に関するどのような情報を収集しているのか?」と質問した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD (1)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 パム・ボンディ司法長官は連邦下院での公聴会に出席し、エプスタイン・ファイルについて、民主党所属の議員たちから激しく追及された。ボンディ長官はドナルド・トランプ大統領を護るために奮闘した。300万ページにも及ぶ文書が新たに公開されたが、被害者たちの名前が編集されていないところがあった、もしくは重要な部分で編集がされていたという批判がなされている。被害者たちは、名前が編集されていなかったことについて、「これ以上は騒ぐな」という口封じのための脅しだと批判している。

 民主、共和両党はエプスタイン・ファイルを自分たちにとって有利な武器として使おうとしている。民主党はトランプ大統領と政権最高幹部クラスがエプスタインと親密な関係にあったこと、トランプが大統領選挙期間中にはエプスタイン・ファイルの公開に積極的な姿勢だったのに、政権発足後には消極姿勢に転じたこと、その理由として、トランプがエプスタインと親密な関係にあり、犯罪行為に関係していたということを証明したいと考えていることなどを理由にして、攻撃材料としたいと考えている。

 共和党側は、ビル・クリントンをはじめとする民主党の重鎮たちや、リベラル派の大物、更には、民主党支持の財界人たちの名前を出すことや、民主党政権下では調査が進んでいなかったこと、逆に民主党側がトランプ攻撃のために、被害者たちを利用して政争の具にしようとしているとして反撃している。

 トランプ大統領自身は、エプスタイン・ファイルに関しては「騒ぐほどのものではない」「退屈な事件だ」という態度を取り、大きな騒ぎにはしたくないという姿勢を取っている。これがまた、トランプが自身の関与を隠そうとしているという批判を集めている。

 私はこのブログ書いたが、エプスタイン事件の本丸はイギリス王室やイギリス上流社会ではないかと考えている。さらに、ヨーロッパ各国の政治家や上流社会にも波及しており、もちろん、アメリカの上流階級も含めてだが、「エプスタイン階級(Epstein Class)」が形成されていると考えている。被害者の方々には申し訳ない言い方になるが、ただのセックススキャンダルだと思っていたが、それよりもより深刻な上流階級、「法の支配を受けない、法の上の人々」が犯罪行為を皆でやっていたということであろうと考えている。

 トランプは第二次政権になってから、ヨーロッパ諸国に対して融和的になっている。ウクライナに対してもそうだ。エプスタイン・ファイルの破壊力の深刻さを教えられ、これが破裂すれば、西側諸国は大きなダメージを受けると分かって、エスタブリッシュメントたち、上流階級の人々と何らかの「取引(ディール)」をしたのではないかと考えている。ヨーロッパ各国は王制が多く、エプスタイン事件とのかかわりが暴露されれば、王室や貴族性の廃止論が高まるだろう。もちろん、トランプ自身の身の安全が最優先だから、トランプにまで塁が及ぶようなことにはならないようにするだろう。

 ボンディ長官はこうした状況で、トランプを護るために奮闘している。長官の辞任までも視野に入れて対峙しているだろう。しかし、状況はなかなか厳しいようだ。300ページもの文書の分析は大変な作業となるだろう。そうした中でどのような爆弾が破裂するか分からない。

(貼り付けはじめ)

パム・ボンディ司法長官が出席した連邦議会での公聴会は激しい応酬が占めた:4つのポイント(Fiery exchanges dominate Bondi appearance before Congress: 4 takeaways

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月11日

https://thehill.com/homenews/house/5734303-pam-bondi-judiciary-committee-hearing-epstein/

パム・ボンディ司法長官は水曜日、就任後初めて連邦下院司法委員会に出席し、白熱した公聴会で議員たちと真っ向から対立した。

ボンディ司法長官は、ドナルド・トランプ大統領の敵対者たちに対する進行中の捜査から移民問題まで、幅広い問題について質問を受けたが、最も緊迫した応酬はエプスタインのファイルに関する質問の中で見られた。

ボンディ司法長官は大きなバインダーを手にして座り、議員たちを罵倒する際に何度もバインダーを参照した。それぞれの選挙区で起きた具体的な犯罪を引用したり、株式市場の動向を自慢したりした。

この繰り返しに民主党所属の議員たちから不満の声が上がり始め、ボンディ長官がバインダーを頻繁に参照したため、ある時点でジャレッド・モスコウィッツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は「バインダーのジャレッド・モスコウィッツのセクションをめくってほしい。反対派のスタッフが私に対してどのような情報を提供したのか興味がある」と皮肉を言ったほどだ。

この激しい公聴会に関する4つのポイントを以下に紹介する。

(1)エプスタイン・ファイルをめぐる非難が焦点になった(Finger-pointing over the Epstein files takes center stage

公聴会には、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの被害者11人が出席し(この人たち以外にも出席していた可能性がある)、公開されたファイルにおける大幅な改ざんを非難するシャツを着ていた。議員たちは被害者たちについて繰り返し言及した。

ある場面で、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は、トランプ政権下の司法省(DOJ)とまだ面会していない被害者たちは手を挙げるよう求めた。全員が手を挙げた。

この場面は、公聴会の冒頭でボンディ司法長官が、さらなる虐待事件があれば司法省として全力で対応すると公約していたこととは対照的だった。ボンディ長官は「FBIは皆さんからの連絡を待っている。犯罪行為の容疑は全て真剣に受け止め、捜査する」と述べていた。

ジャヤパル議員は、エプスタインとのメールのやり取りの中で、司法省が彼の側近の身元を隠していたことを明らかにした。このメールは、被害者たちの名前が公開されている別のファイルと並べて表示されていた。議員たちはこのファイルを公聴会のためにぼかしを入れた。

別の事例では、トーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、司法省がファイルの中で「有罪の可能性が高い(likely incriminated)」とされている人物のメールを「私が現行犯逮捕した(of me catching you red-handed)」ためだけに修正したと述べた。

ボンディ長官は、ファイル内の不適切な修正があれば、その改善に努めると述べた。

ボンディ長官は「もし、修正されるべきでない人物の名前が修正されていたら、もちろん改善する。もし被害者の名前が修正されていない場合は、私たちにお持ちいただきたい。修正する。私たちは30日間で数百万ページに及ぶ文書を精査し、修正と修正の修正を繰り返した。私たちのミスの割合は非常に低い」と述べた。

ボンディ長官は、前任者のメリック・ガーランドを引き合いに出し、議員たちが前のバイデン政権下でエプスタイン捜査について説明を求めなかった理由を問いただして繰り返し反論した。

マシ―議員は「メリック・ガーランドについて質問されて嬉しい」と述べた。

マシー議員は「これはウォーターゲート事件よりも大きな問題だ。4つの政権にまたがる問題だ。バイデン政権に遡る必要はない。オバマ政権、ジョージ・W・ブッシュ政権まで遡ればよい。この隠蔽工作は何十年にもわたっており、あなたにはその責任の一部がある」と述べた。

(2)公聴会は嘲笑と激しい応酬で占められた(Taunts and fiery exchanges dominate hearing

エプスタインのファイルに関する様々な質問は、ボンディ長官と議員たちの間で最も激しい応酬を引き起こした。

特に注目すべき応酬の一つは、ボンディ議員がジャヤパル議員から、司法省と面会していないと主張する11人の被害者に対し、「司法省が被害者たちに与えた苦しみについて謝罪する」よう求められたのを拒絶したことだ。

この要求は2人の女性の間で口論に発展し、ボンディ長官は「こんな芝居がかった行動(theatrics)で汚い目に遭うつもりはない」と反論した一方、ジャヤパル議員はボンディ長官が被害者たちを無視していると主張した。

応酬の最後に、ボンディ長官は「プロ意識がない(unprofessional)」と呟いた。

その直後、ボンディ長官がトランプ大統領に反対する者への訴追と、エプスタイン事件に関する訴追の欠如を比較するよう求められ、再び緊張が高まった。ボンディ長官が話している最中、委員会筆頭議員のジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)が口を挟み、ジェリー・ナドラー下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が自分の発言権を取り戻したと主張した。

ボンディ長官は、弁護士で憲法学教授を務めた経験を持つナドラー議員に向かって「あなたは落ちこぼれ弁護士だ。弁護士ですらない」と言い放った。

マシー議員がエプスタイン事件について質問すると、ボンディ長官は「トランプ錯乱症候群(Trump derangement syndrome)」にかかっていると述べ、マシー議員を「失敗した政治家(a failed politician)」と呼んだ。

ダン・ゴールドマン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の質問に対し、ボンディ長官は「あなたは現代の弁護士として、2016年にトランプ大統領を弾劾しようとした時と同じくらいしか優秀ではない」と述べた。

ハンク・ジョンソン連邦下院議員(ジョージア州選出、民主党)は質問の中で、「ここではまるでジキル博士とハイド氏のようなやりとりをしている」と述べ、ボンディ長官が説明を求めると、「つまり、共和党員には優しく、民主党員にはハイド氏のように振る舞うということだ」と付け加えた。

民主党所属の議員たちとのやり取りのほぼ全てにおいて、ボンディ長官は後続の共和党所属の議員たちに時間を割いて発言を求め、しばしば民主党優勢選挙区で起きた犯罪の詳細を述べた。ある場面では、ベッカ・バリント下院議員(ヴァーモント州選出、民主党)が「弱腰だ(weak sauce)」と答えた。

ボンディ長官は、バリント議員が反ユダヤ主義を非難する決議に反対票を投じたと示唆して反論した。

バリント議員は、「そんなことを言いたのか? あなたは本気なのか? ホロコウストで祖父を亡くした女性に反ユダヤ主義について何かを言うのか」と言い放ち、部屋を飛び出した。

ジャスミン・クロケット連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、ボンディ長官が民主党所属議員たちの質問に答えなかったことを非難した。

「私たちが迎えている証人はどういう訳か弁護士でありながら、証言の仕組みを理解していない」とクロケット議員は述べた。

(3)エプスタイン事件と比較したトランプの敵対者への訴追(Prosecution of Trump foes compared to Epstein case

民主、共和両党ともに、ボンディ長官に対し、トランプの敵対者たちに対する多数の事件と捜査について追及したが、それらの問題をどのように進めるべきかについては異なる見解を示した。

ラスキン議員は「あなた方は、アメリカ国民のための司法省をトランプの復讐の道具に変えてしまった。ドナルド・トランプはピザのように訴追を注文し、あなた方は毎回それを実行する」と述べ、軍人が違法な命令を拒否できると指摘するヴィデオ映像を撮影した民主党所属議員6人をトランプ政権が起訴しようとしたが、大陪審(grand jury)が却下したというニューズに言及した。

「またしても大陪審があなた方の復讐工場を閉鎖した。・・・あなた方が大陪審の叡智と憲法に則った愛国心に耳を傾け、あの屈辱を倍増させることを二度としないよう願う」。

ナドラー議員は、トランプ大統領の敵対者たちを訴追することに関心を示していることと、エプスタインの側近たちに関する新たな訴追がないことを対比させた。

ナドラー議員は、「司法省はこれらの加害者を一人も裁きにかけることができていない。それどころか、ドナルド・トランプ大統領の敵と見なされる人たちを執拗に追及している。エプスタインの共謀者のうち、何人を起訴したのか? そもそも何人の加害者を捜査しているのか?」と述べた。

一方、委員会のジム・ジョーダン委員長(オハイオ州選出、共和党)は、元CIA長官ジョン・ブレナンを刑事告発したことについて質問した。

ジョーダン委員長は、「ブレナン長官は委員会に嘘をついた。そして、アメリカ国民は彼が本当に嘘をついたことで起訴されるのかを知りたいと思うだろう」と述べた。

ジョーダン委員長はさらに、2016年の大統領選挙に関する捜査においてスティール文書が果たした役割についてブレナン長官が嘘をついたと非難した。ブレナン長官はいかなる不正行為も行っていないと否定している。

「捜査が進行中であるかどうかは確認も否定もできないが、法の上にある者はいない(no one is above the law)ということは言える」とボンディ長官は述べた。

(4)民主党所属議員たちがボンディ長官に対してトランプとエプスタインの関係について追及(Democrats press Bondi on Trump’s ties to Epstein

複数の民主党所属の議員たちがボンディ長官に対し、トランプ大統領とエプスタインの関係、そして司法省がトランプの行動をどの程度調査したかについて質問した。

ある時点で、テッド・リュー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ボンディ長官がトランプ大統領とエプスタインがパーティーで撮影された映像を示した後、ボンディ長官が宣誓供述書で嘘をついたようだと述べた。

ボンディ長官は「これは全く馬鹿げている」と反論した。「彼らはドナルド・トランプ大統領が成し遂げた素晴らしいこと全てから目を逸らそうとしている。トランプ大統領が罪を犯したという証拠は何もない」と述べた。

リュー議員は、「あなたは宣誓下での(under oath)供述で嘘をついたと思うので、FBI国家脅威対策センターに通報した証人からの別の文書を提示する」と答え、トランプのリムジン運転手がトランプについて語った未確認の主張をまとめた文書を示した。

リュー議員は、「この証人を直ちに尋問する必要がある」と続けた。

「私を犯罪で告発することはできない」とボンディ長官は言い返した。

ゴールドマン議員はまた、司法省が編集した電子メールを示し、編集前のヴァージョンではエプスタインと側近のギレーヌ・マクスウェルが「ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの以前の関係について述べた発言」について話し合っていると述べた。

ゴールドマン議員は、「アメリカ国民が、ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの関係についてどれほど嘘をついているか理解できるよう、このメールの編集前のヴァージョンを公開することお約束してもらえるか?」と質問した。

民主党所属の議員たちはまた、トランプの名前がファイルに何回登場するかについても言及した。特にカシュ・パテルFBI長官が以前、その数は1000回未満だと主張していたことを踏まえると、なおさらその多さを強調する形となった。

モスコウィッツ議員は、聖書と『ハリー・ポッター』シリーズを傍らに置いて座っていた。

「エプスタイン・ファイルにトランプの名前が登場する回数は、神についての本に登場する神の名前よりも多くなっている。ちなみに、これはトランプ版聖書だ。ジェームズ王版ではない」とモスコウィッツ議員は述べた。

モスコウィッツ議員は、「エプスタイン・ファイルの中で、トランプの名前が登場する回数は、ハリー・ポッターの7冊の小説に登場するハリー・ポッターの回数よりも多い」と述べた。

多くの共和党所属の議員たちは、エプスタイン・ファイルについて質問しなかったが、質問した議員たちからはボンディ長官への称賛の声が上がった。

チップ・ロイ連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は「トランプ政権がこの問題を主導し、前政権は沈黙を守っていたと言っても言い過ぎには当たらない」と述べた。しかし、ロイ議員はさらに、なぜ被害者たちの名前が恣意的ではないにしても公表されたのかと問いただした。

しかし、ヘスス・“チュイ”・ガルシア連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党)は激しい非難を行いその中で、ボンディ長官がファイルの取り扱いをめぐって激しい批判を受けていると指摘した。

ガルシア議員は、「これだけのことをした後では、誰もあなたを支持しない。私は民主党の日立のことを言っているのではない」と述べ、共和党が任命した判事たちによる敗北を指摘した。

「あなた方のMAGA支持基盤は、あなた方がエプスタイン・ファイルを隠蔽しているので、あなた方を軽蔑している。なんと皮肉なことか」

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカでは、未成年に対する性的虐待で実刑判決を受け、その後死亡したジェフリー・エプスタインに関するファイルの公開が実施され、300万ページに及ぶ文書や写真などが公開された。これらを精査するだけでも莫大な時間がかかるだろう。被害者の名前は守られるが、その他は公開されるということになっているが、実際には、被害者の名前が公開されるということが起きており、司法省の杜撰な対応に批判が集まっている。もっとも、人員も予算も限りがあるため、このような間違いが出ることは仕方がないことではある。問題は、事件に関わっている人物たちの名前で隠蔽されているものがあるということだ。

 民主党所属のロウ・カンナ連邦下院議員と共和党所属のトーマス・マシー連邦下院銀は超党派で、エプスタイン・ファイルの公開を求めてきた。両議員は司法省まで出向き、2時間だけであったが、ファイルを精査し、6名の「有罪の可能性が高い」人物を突き止めた。そして、カンナ議員は6名の名前を公開した。この6名はエプスタイン事件で訴追されていない人物たちでアリ、カンナ議員がどうして「有罪の可能性が高い」と判断したのかは明確になっていない。

 エプスタイン事件については、このブログでも昨年12月に何度か取り上げた。そして、私は、エプスタイン事件の本丸はイギリスではないかと考えていた。それは、エプスタインの恋人で側近のギレーヌ・マクスウェルの王室やイギリス政界との緊密さがあったからだ。そして、その時に、彼女の父親ロバート・マクスウェルについて、しっかり調べなかったことは私の痛恨のミスであった。「メディア王だったのか」くらいで済ませてしまった。このロバート・マクスウェルは、イギリスのMI6、旧ソ連の旧KGB、イスラエルのモサドのトリプルエイジェント(スパイ)だった可能性が高く、ヨット事故での死亡も怪しい。そして、彼はイスラエルのオリーブ山に埋葬されている。これは、イスラエルへの愛国的な行動をした人物に与えられる栄誉である。さらに、マクスウェルは、日本の笹川良一とも関係が深く、「大英(イギリス)笹川財団議長」を務めている。マクスウェルのイスラエルとの関係をギレーヌが引き継ぎ、アメリカではエプスタインが発展させたということは考えられる。彼がイスラエル・ロビーのために働いたことは間違いない。

 こうして見ると、エプスタイン事件は、超富裕層や有名人たちのネットワークによるセックス・スキャンダルであるが、その奥にはもっと禍々しい何かがあるように思われる。「エプスタイン階級(Epstein Class)」という言葉も出ているようだが、上流階級・超富裕層による何かがあるようだ。このことは、西洋近代500年の理想が崩れ果て、綺麗事を述べている人たちが裏に回れば、酷いことをやり尽くしていたということも言える。光が輝かしいほど影はより暗黒になる。エプスタイン事件は、西洋近代終焉の一つの象徴となるだろう。

(貼り付けはじめ)

ロウ・カンナ連邦下院議員が連邦下院本会議場でジェフリー・エプスタインのファイルに記載されている「有罪の可能性が高い」6名の男性の名前を読み上げる(Khanna reads names of 6 men ‘likely incriminated’ in Epstein files on House floor

レベッカ・ベイッチ、スディクシャ・コーチ筆

2026年2月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5731909-khanna-epstein-files-house-floor/

ロウ・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は火曜日、連邦下院本会議場で、ジェフリー・エプスタイン・ファイルについて、「有罪の可能性が高い(likely incriminated)」とされる6名の男性の名前を明らかにした。

カンナ議員の発言は、司法省がファイルの編集方法を巡り批判を浴びている中で行われた。司法省は、被害者の名前を隠すこと(redactions)ができなかったケースもあれば、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタイン被告とわいせつなメールを交換していた人物の身元を隠蔽したケースもあった。

カンナ議員とトーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、ファイルの公開を義務付ける法案の共同提案者であり、月曜日、司法省の事務所で議員が閲覧できるファイルの非編集版を精査した。2人は記者団に対し、2時間にわたる精査で、ファイルの内容に基づき刑事責任を問われる可能性があると考える6名の名前を確認したと述べ、マシー議員はこれらの6名について「有罪の可能性が高い」と述べた。

カンナ議員は下院議場で6名の名前を明かした後、「私の疑問は、なぜトーマス・マシー議員と私が司法省に出向いて、この6名の身元を公表する必要があったのかということだ。もし2時間で6名の男性が見つかったとしたら、300万件ものファイルにどれだけの男性が隠蔽されているか想像してみて欲しい」と述べた。

「これで私の主張は明確になった。「エプスタイン透明性法(Epstein Transparency Act)」は、FBIのファイルを非公開にすることを義務付けている。しかし、司法省は私とマシー議員に対し、『FBIから送られてきたものをそのままアップロードしただけだ』と述べた。そして、どうなったか? FBIは非公開のファイルを送ってきた。つまり、エプスタイン島に行った、彼の牧場に行った、彼の自宅に行って未成年の少女たちをレイプ・虐待した、あるいは未成年の少女たちが引きずり回されるのを目撃した、裕福で権力のある男性たちの名前を挙げた被害者たちのFBIへの声明文は、全て隠蔽され、非公開にされていた。まるで茶番劇(a farce)だ」

カンナ議員が氏名を公表すると決めたのは、マシー議員が公表するつもりはないと述べ、代わりに司法省がまず「誤りを正す(correct their mistake)」機会を持つべきだと主張した後のことだ。

マシー議員は月曜日に「彼らは自らの宿題をきちんと確認する必要がある」と述べた。

エプスタイン・ファイル透明性法は、主に被害者たちの身元を保護する目的のためのファイルの編集を限定的にしか認めていない。

カンナ議員が下院議場で氏名を公表したことで、6名のうちの誰かが名誉毀損訴訟を起こす意思がある場合、カンナ議員はある程度の保護を受けることができる。

「憲法の言論・討論条項(Speech and Debate Clause of the Constitution)」は、議員が議員としての職務の過程で行った発言について尋問されることを防ぎ、刑事責任と民事訴訟の両方から保護する。

議場では明言しなかったものの、カンナ議員は月曜日、エプスタイン・ファイルへの掲載自体が必ずしも有罪を意味する訳ではないと指摘した。

「これは魔女狩り(a witch hunt)を目的としたものではない。ファイルに誰かの名前が載っているからといって、必ずしも有罪であるということではない。しかし、未成年の少女たちをレイプしたのは、非常に権力のある人物たちだ。エプスタインと(彼の側近であるギレーヌ・)マクスウェルだけではない。未成年の少女たちが連れ回されていることを知りながら、島や牧場、あるいは自宅に現れた人物もいた」とカンナ議員は月曜日に述べた。

トッド・ブランシュ司法副長官は火曜日、マシー議員に反論し、司法省が数ページの修正を解除する対応を取ったにもかかわらず、マシー議員を「スタンドプレー(grandstanding)」だと非難した。

マシー議員は、ソーシャルプラットフォーム「X」上の、大幅な修正が加えられた3つの文書を具体的に言及した。1つは、当初エプスタインと共犯者のギレーヌ・マクスウェルの名前のみが記載されていた20人の非機密リスト、マシー議員がスルタンのように見えると述べている男性とエプスタインとの間で2009年に交わされた電子メールのやり取りである。そして、エプスタインが2019年に自殺した数日後に作成された、共謀者候補に関するFBIのメモも含まれている。

マシー議員の批判を受け、FBIは20人のリストに含まれていた16人の名前を元の状態に戻した。2人の名前は引き続き黒塗りのままで、エプスタインとマクスウェル以外の人物の写真も黒塗りのままとなっている。

ブランシュは月曜日の深夜にソーシャルメディアに、「書類を見れば、メールアドレスが黒塗りされているのが分かる。法律では、メールアドレスに含まれる場合も含め、個人を特定できる情報は黒塗りで処理することが義務付けられています」と投稿した。

ブランシェは「正直になろう、見せかけのスタンドプレーは止めよう」と書いた。

=====

未編集のエプスタイン・ファイルに記載されている6名の男性とは誰か?(Who are the six men named in the unredacted Epstein files?

-民主党所属の連邦下院議員ロウ・カンナは議会演説で、未編集のファイルを見た後6名の男性の身元を明らかにした。

ジョセフ・ゴードン(ワシントンDC)筆

2026年2月10日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/us-news/2026/feb/10/six-men-epstein-files-unredacted

米連邦下院議員ロウ・カンナは、ジェフリー・エプスタインのファイルから個人情報が隠されていた6名の男性の名前を公表した。その中には、FBIが共謀者として指定したとみられる億万長者の小売業王レスリー・ウェクスナーも含まれている。

カリフォルニア州選出の民主党所属の下院議員カンナは、司法省を訪問した後、火曜日の議会演説でこれらの名前を明らかにした。司法省では、カンナとケンタッキー州選出の共和党所属の連邦下院議員トーマス・マシーが2時間かけて未編集の文書を精査した。

カリフォルニア州選出の民主党下院議員カンナは、司法省を訪問した後、火曜日の議会演説でこれらの名前を明らかにした。司法省では、カンナとケンタッキー州選出の共和党下院議員トーマス・マシー議員が2時間かけて未編集の文書を精査した。

カンナ議員が名指しした6名の男性とは、ヴィクトリアズ・シークレットの創設者ウェクスナー、DPワールドのCEOでアラブ首長国連邦の億万長者ビジネスマンのスルタン・アハメド・ビン・スレイエム、そしてニコラ・カプト、サルヴァトーレ・ヌアラ、ズラブ・ミケラゼ、レオニク・レオノフの4名である。

カンナは、これらの人物の不正行為の証拠を提示しておらず、エプスタインに関連する犯罪で起訴もされていない。

カンナ議員は議会演説で「もし2時間で彼らが隠していた6名の男性を見つけたとしたら、300万件のファイルにどれだけの男性を隠蔽しているのか想像してみて欲しい」と述べた。

カンナ議員は、自分とマシーが司法省職員のために黒塗りを特定した際、「彼らは間違いを認め」、身元を明らかにしたと述べた。ファイルの大部分は黒塗りのままだとカンナ議員は述べた。

エプスタインは2008年に未成年者たちへの売春斡旋の罪を認め、13カ月の刑期を終えた。2019年、性的人身売買の罪で裁判を受ける中、ニューヨークの拘置所で自殺した。

エプスタインのファイルに名前が記載されているだけで、有罪を立証することはできない。電子メールのやり取り、連絡先、あるいは悪名高い性犯罪者の資金提供者に関するその他の文書を通して、個人が明らかになる可能性があるからだ。

以下に公開された6名の名前を掲載する。

(1)レスリー・「レス」・ウェクスナー(Leslie ‘Les’ Wexner
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ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)、アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)、バス&ボディ・ワークス(Bath & Body Works)を含む小売帝国を築き上げた88歳のウェクスナーは、自身の投資を担ってきたエプスタインと長年にわたる金銭的関係を維持してきた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙が11月に実施した長期にわたる調査では、ウェクスナーがエプスタインの財政状態を億万長者から富豪へと押し上げた人物とされている。記者たちは、金銭面以外では、「ウェクスナーがエプスタインに与えた最大の価値は、彼に新たな信用と資格(credibility and credentials)を与えたことだった」と記している。

ウェクスナーとエプスタインの関係は既に公に知られており、以前の報道でも氏名が浮上していたが、今回、エプスタインの犯罪行為に関連して刑事訴追はされていないものの、FBIによってエプスタインの共謀者として指定されていたことが明らかになった。

(2)スルタン・ビン・スレイヤム(Sultan Ahmed bin Sulayem
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ドバイを拠点とする実業家であるスレイエムは、80カ国以上で事業を展開する多国籍港湾・物流企業DPワールド(DP World)の会長だ。また、F1を含む世界モータースポーツ選手権を統括する国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長の実弟でもある。

最近公開された文書によると、スルタン・アハメド・ビン・スレイエムは2015年にエプスタインにメールを送り、「2年前」にドバイのあるアメリカ系大学に通う女性と出会い、「今までの人生の中で最高のセックスをした。素晴らしい体だった」と書いていた。

「彼女は婚約したが、今は私の許に戻ってきた」と彼は述べている。

マシー議員はまた、氏名が伏せられていたことから、司法省はスレイエムがエプスタインから「拷問ビデオが大好きだった」と書かれたメールの受信者であったことを確認したようだと述べた。

(3)二コラ・カプト(Nicola Caputo
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ニコラ・カプトという名の男性は、2014年から2019年にかけてヨーロッパ議会でイタリア代表を務め、その後カンパニア州政府で高官職に就いたイタリアの政治家だが、公式に公開された文書にこの人物の記載があることを確認する検証済みの証拠はなく、大手報道機関もこの人物とファイルとの関連を裏付けていない。

(4)サルヴァトーレ・ヌアラ(Salvatore Nuara

この人物が誰なのか、またエプスタインとどのような関係があるのか​​はまだ分かっていない。

(5)ズラブ・ミケラゼ(Zurab Mikeladze

この人物が誰なのか、またエプスタインとどのような関係があるのか​​はまだ分かっていない。

(6)レオニック・レオノフ(Leonic Leonov

この人物が誰なのか、またエプスタインとどのような関係があるのか​​はまだ分かっていない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ジェフリー・エプスタインが引き起こした、未成年に対する性的虐待・搾取問題は、エプスタインが逮捕され、裁判で有罪判決を受け、収監され、死亡(自殺説、謀殺説がある)してもなお、アメリカとイギリスの上流社会、エリート社会に深刻な影響を残している。以下の写真を見て欲しい。これは、2000年に、ドナルド・トランプ大統領の邸宅であるマール・ア・ラーゴでのパーティーでの一枚だ。ドナルド・トランプ(Donald Trump、)とメラニア夫人(Melania Trump)の隣にいる人物はイギリス王室ヨーク公アンドルー王子(Prince Andrew, Duke of York、1960年-、65歳)だ。エリザベス女王にとっての次男、現在のイギリス国王チャールズ3世の弟だ。そして、少し離れたところに小さく男性がジェフリー・エプスタイン(1953-2019年、66歳)だ。
donaldtrumpmelaniatrumpprinceandrewjeffreyepstein2000001
ドナルド・トランプ、メラニア夫人、アンドルー王子、ジェフリー・エプスタイン

 アンドルー王子がエプスタインと共に、未成年者に対する性的な虐待・搾取を行っていたことは明らかになっている(王子側は否定)。また、トランプ自身もそのようなことをしていないと否定しているが、数々の写真や証拠からその主張は虚偽であるとも言われている。エプスタインが遺した記録やファイルは、全部が公開されてしまえばアメリカやヨーロッパの上流社会、エリート社会が崩壊してしまいかねない深刻なものだ。トランプはそのようなファイルは存在していないと否定し、自身の支持者たちから攻撃されている。

 アンドルー王子と妻のサラ(1996年に離婚)については、不行跡で母であるエリザベス2世を散々困らせていたということだ。エプスタインのような怪しい人物たちと平気で交際し、彼らに「イギリス王室、王子と知り合いだ」というお墨付きを与えることになった。イギリス王室はスキャンダルが良く起きる印象がある。その中でも、アンドルー王子は特に話題になる。その内容も軽いものではない。こうなると、わざわざ税金で、王室を「養っている」ことの意味に疑念を持つイギリス国民も多く出てくる。国民に近く、親しみを持たれることは王室にとって重要なことであるが、スキャンダルまみれということになると、その存在まで危険に晒すことなる。イギリス王室廃止論がイギリス国民の間で拡大するのが困るのだ。最近のトランプ大統領に対する、イギリスの最大限のおもてなし、国賓待遇は、エプスタイン・ファイルの公開を止めてくれたことに対する、最大限の感謝ということになるだろう。

 トランプも結局、上流階級の人間で、汚れているアメリカ政治、ワシントン政治を徹底的に掃除するまでには至らないのではないかという疑念が出ている。そして、エスタブリッシュメント、エリートたちを守る方向に舵を切っているようである。ポピュリズムは常に裏切られ、敗北する運命にある。しかし、ポピュリズムは何度でも復活する。

(貼り付けはじめ)

女王のゴシップの全て(All the Queen’s Gossips

-2冊の新刊では、王室にまつわる物語と実際の犯罪が織りなす複雑な世界を探求する。

ジェイムズ・パルマー筆

2025年9月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/09/12/prince-andrew-jeffrey-epstein-queen/

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2024年5月16日、ロンドンのバッキンガム宮殿で、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン版画「統治している女王たち(ロイヤルエディション)連合王国女王エリザベス2世(Reigning QueensRoyal EditionQueen Elizabeth II of the United Kingdom)」を撮影するカメラマン。

ある夜、イングランドの女王がジョニー・キャッシュの夢に現れた。「ジョニー・キャッシュ! あなたは旋風の中のいばらの樹のようなものだ」と彼女は言った。目覚めた後もその言葉は彼の心に残り、その後7年をかけて、彼はそれを終末的な歌『ザ・マン・カムズ・アラウンド』へと昇華させた。

彼の名声にもかかわらず、キャッシュとエリザベス2世は一度も会ったことがなかった。しかし、彼女は、世界中の無数の人々にとってそうであったように、彼の夢の世界において強力な存在感を占めていた。クレイグ・ブラウンの著書『Q:女王をめぐる航海(Q: A Voyage Around the Queen)』は、平凡なものから官能的なものまで、彼女に関する多くの人々の夢を詳細に記している。

これは、伝説的に書きにくい題材にブラウンが取り組む手法の1つである。過去10年ほど、英国随一の風刺作家であり続けているブラウンは、その荒唐無稽なものへの目を伝記にも向け始めた。女王の妹マーガレット王女の混沌とした生涯を描いた著作もその1つで、ありえたかもしれない未来(might-have-beens)、噂の分析(dissection of rumors)、パロディ(parody)、逸話(anecdote)が混在している。

マーガレット王女は豊富な材料を提供した。しかし、姉の生涯の大半が公の場で行われたのに対し、エリザベス自身は職業的に退屈であった。彼女は立憲君主の役割を徹底的に体現し、自らの内面を一切明かさなかった。私生活では、十代の頃に心を奪われた若くハンサムな男性と結婚し、90代後半に二人とも亡くなるまで共に過ごした。公の場で発言する際、彼女は自分自身としてではなく、政府の代表として語ったのである。

本書の副題が示しているように、これはエリザベス自身というより、彼女に対する人々の反応を描いた著作である。彼女は不動の中心的存在であり、その周囲を国際的な変わり者や夢想家たちが巡る。病に伏すマーガレット・サッチャーからセックス・ピストルズ、ルーマニアの独裁者の妻エレナ・チャウシェスクに至るまで、魅力的な逸話が散りばめられている。女王は他人の人生を漂いながら、時折「それはとても興味深いですわね」とか「ご遠方からいらっしゃったのですか?」と口にする。

エリザベス女王の人間味が垣間見える瞬間もいくつかある。例えば、アイルランド共和軍の爆撃で双子の兄弟と祖父母を亡くしたばかりの少年を優しく母親のように扱う場面などだ。ブラウンは、エリザベス女王がコーギーを愛する理由は、この雑多で奔放な小型犬が、エリザベスにはできないような振る舞いをするからだと示唆している。1978年にイギリス政府から公式訪問の一環として栄誉を受けたルーマニアのニコラエ・チャウシェスク大統領のように、明らかな悪人(n obvious bad egg)にナイトの称号を授与しなければならない時も、エリザベスは彼の無作法さ(boorishness)について軽く文句を言う程度だった。彼女はある友人に、ドナルド・トランプ米大統領が「とても失礼(very rude)」で、肩越しにじっと見つめるのを止められないと打ち明けた。(トランプ大統領は、自分が女王と交流したときほど「女王がこれほど楽しんでいる姿を人々が見たことがないほどだった」と宣言した。)

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1982年7月28日、英ノーフォークのビーチでコーギー犬と散歩するエリザベス女王。

ブラウンは以前の著書と同様に、伝記の信憑性の低さに着目している。例えば、1982年にエリザベス女王の寝室に忍び込み、話しかけ始めた失業中の男、マイケル・フェイガンについて、様々な主張がなされていることを列挙している。二人の短い会話には、全く異なる解釈が6つも存在する。

エリザベス女王は、富裕層や有名人であっても、言葉を失う者から狂気じみた行動に至るまで、様々な反応を引き起こした。日本の億万長者で超国家主義者にして、戦争犯罪の疑いもある笹川良一がノーベル平和賞獲得のロビー活動の一環としてガーデンパーティーに潜り込み、彼女に会うために泣き叫びながら足元にひれ伏した際、彼女は「立ち上がってもよろしくってよ(He can get up, you know)」と述べた。

笹川良一は、同じく不誠実な人物であるチェコ系イギリス人実業家ロバート・マクスウェルのゲストとしてそのパーティーに招かれた。マクスウェルの娘ギスレーンは現在、父親よりもさらに悪名高い人物となっている。彼女は後に、彼女の恋人であるジェフリー・エプスタインと、エリザベス女王の次男であるアンドルー王子の関係において、重要な役割を果たすことになる。

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2020年7月1日、ロンドンのショーディッチでのヨーク公アンドルー王子の壁画。王子は、ジェフリー・エプスタインとイギリスの社交界の人物、ギスレーン・マクスウェルとの関係について、厳しい疑惑追及の目にさらされていた。

不名誉な形で王室の職務から解任されたアンドルーは、母親とは正反対の、無分別で精力的なプレイボーイであり、パブで退屈な意見を口にする傾向があった。そのため、彼については書きやすい。イギリス王室に関するより伝統的な書籍は、おべっか使いか、スキャンダルを暴くかの 2つに分類される。文学エージェントであり歴史家でもあるアンドルー・ラウニーの『有資格者:ヨーク家の興亡(Entitled: The Rise and Fall of the House of York)』は、明らかに後者に属し、伝記というよりも、ラウニーが見つけたあらゆる卑劣な話や宮廷のゴシップを駆使してアンドルーを攻撃する、いわば小銃(a blunderbuss shot)のような著作となっている。

その中には、アンドルー王子とエプスタイン、そしてマクスウェルとの関係の程度に関する新たな主張も含まれている。ラウニーによれば、マクスウェルもアンドルーの「たまの逢瀬を楽しむ恋人(occasional lover)」だったという。その関係により、アンドルーは王室の職務のほとんどを失った。それは、エプスタインの犠牲者の1人であるヴァージニア・ジュフレ(彼女が17歳のときに王子と3回寝たと証言している)の証言と写真による証拠がありながら、アンドルー王子が彼女と会ったことをきっぱりと否定したという、悲惨なインタヴューの後だった。イギリスにおけるアンドルー王子の評判は最悪である。この本は、著者が、この本で取り上げた人物が名誉毀損訴訟を起こすことは決してないという確信を持って書いたものである。

ヨーク公アンドルー王子に同情の念を抱くことは難しいが、ラウニーの著書は、情報源のない話でさえ、王室の人々にどれほど簡単に貼りつくかを、意図せずに実証している。エリザベス女王は手出しできない存在であるため、王室の他のメンバーには、さらに簡単にデマが貼りつく。

この本は、アンドルー王子とエプスタインのつながりなど、よく知られた事実と、何十年も前にアンドルー王子を知っていた人物や匿名の元スタッフからラウニーが一度聞いた話とを区別できないという欠点がある。アンドルー王子は13歳になる前に、本当に複数の女性とセックスをしたのだろうか? 彼はハンサムな若い船乗りたちに密かな嗜好を持っているのだろうか? ある元ガールフレンド(彼女の名前はファーストネームのみで言及されている)が主張するように、彼は「2人の女性が同時に施術する4つの手マッサージ」を好んでいるというのは本当だろうか? 彼は、カーテンを開けるためだけに、メイドを自宅の4階に呼び上げているのだろうか?

これらの噂はどれも真実かもしれない。しかし、その全てが真実であるということについては、私は強い疑いを持っている。宮殿のスタッフや王室関係者は、厳密な正確さを陽気に無視する、非常にゴシップ好きな集団だ。1990年代初頭、フィリップ王配の警護担当者から、当時のチャールズ王太子がダイアナ妃よりカミラを好んだ真の理由について聞いた話があるが、それは『フォーリン・ポリシー』の読者の皆さんには伝えられない。その話は真実とは思えなかったが、卑猥でありながら非常に滑稽で、それゆえに魅力的な話だった。
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1988年2月11日、英リヴァプールを公式訪問中のアンドルー王子とヨーク公夫人サラ。この日、夫妻は最初の子供を妊娠していることを発表していた。

ラウニーが得意とするのは、収入と支出の両方に関するお金のことだ。彼は、アンドルー王子と、ファーギーとしてよく知られる元妻サラ・ファーガソンが、結婚後の1986年の合計収入が、必要額よりもはるかに少ないと感じていたことを明らかにしている。アンドルー王子の海軍からの給与とファーギーの出版社の給与は合わせて3万2000ポンド(現在の約16万ドル)だった。しかし、この収入以外に、イギリス政府が公的な支出を賄うために、現在の金額で約25万ドルに相当する金額を、毎年、王室関係歳費として支払っていた。また、複数の住宅も与えられ、かなりの家産も相続していた。

しかし、それでも彼らのニーズには十分ではなかった。ラウニーの記述では、ファーギーは夫よりも好印象で、親切で寛大な友人であるだけでなく、子供向けの本からダイエット・プログラムの広告契約に至るまで、数百万ポンドの収入を生み出す、ある種の前衛的なキム・カーダシアンのような存在として描かれている。だが夫妻の浪費は途方もない規模で、資金源に疑問が集中した。特に2010年、ファーギーが中東の長老であるシェイク(sheikh)に扮したタブロイド記者に対し、元夫への接触権を50万ドル超で売却すると約束する様子が録音された事件後はなおさらだった。

ラウニーによれば、アンドルー王子夫妻がアメリカの金融業者であり性犯罪者でもあるジェフリー・エプスタインと初めて出会ったのは1989年、アンドルー王子が現在主張している時期よりも約 10年も前のことだった。エプスタインとアンドルー王子の関係に関する資料は興味深く、多くの場合新しい情報であり、英国のマスコミに激しい論争を巻き起こしたが、その構成は混沌としており、文脈にも欠けている。ラウニーは、アンドルー王子が単なる友人ではなく、エプスタインと長年にわたる親密な関係にあり、その価値を金融業者であるエプスタインが認識しており、彼を「スーパーボウルのトロフィー(Super Bowl trophy)」と呼んでいたことを明らかにしている。より思慮深い本であれば、エプスタインが活動していたより広範な社会、つまり社会学者アシュリー・ミアーズが著書『極めて重要な人物たち(Very Important People)』で述べているように、性的対象として見なされる若い女性を提供することが、富裕層や権力者間の重要な社会的つながりの形態となっている社会について考察していたかもしれない。

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左から:2000年2月12日、フロリダ州パームビーチのマー・ア・ラゴ・クラブで開催されたパーティーでのメラニア・トランプ、アンドルー王子、グウェンドリン・ベック、エプスタイン。

アンドルー王子は、中東のプレイボーイ、中央アジアの独裁者、アメリカの億万長者、中国のスパイ容疑者など、その世界の人々の多くと親しい間柄だった。エプスタインのスキャンダル以前、彼のライフスタイルの多くは、イギリス政府の暗黙の了解のもとで成り立っていた。イギリス政府は、外国の独裁者たちに好印象を与えるため、アンドルー王子を貿易に関する「特別代表(special representative)」として活用していた。

アンドルー王子が付き合う人々は特に酷いようだが、複数の王室関係者に、どれほど多くの詐欺師や児童虐待者が取り付いているかについては驚くほどのレヴェルだ。ブラウンは、2005年にエリザベス女王の80歳の誕生日に肖像画を描いた、かつて愛されたオーストラリアの芸術家であり歌手でもあるロルフ・ハリスを取り上げている。しかし、その数年後、彼は児童に対する連続性的犯罪で有罪判決を受けた。死後、イギリスで最も多作な性犯罪者の1人であることが明らかになった有名人、ジミー・サヴィルは、チャールズの非公式顧問であり、アンドルー王子の無神経な発言を受けて、王室のための広報ハンドブックを編集した。チャールズの長年の友人であり、精神的指導者でもあった南アフリカ人作家ローレンス・ヴァン・デル・ポストも、死後、14歳の少女を性的虐待した常習的な嘘つきであることが明らかになった。

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1965年12月頃、王室専用列車の中で、窓から手を振る若いアンドルー王子(左)と、別の窓に映るエリザベスと他の3人の子供たち。

エリザベス女王は、この種の不気味な人物や取り巻きをほとんど避けるために、十分な距離感を保っていた。しかし、より依存心が強く、世間に疎い子供たちはそうではなかった。アンドルー王子はさらに一歩進んで、エプスタインのような人物に王室の庇護を与えるだけでなく、セックス、強制、搾取の世界にも参加していた。エプスタインに関する資料がさらに明らかになるにつれて、世界でも最も人脈の広い小児性愛者の1人と親しい他の著名人と同様、アンドルー王子の関与の全容がさらに明らかになるかもしれない。

アンドルー王子の(名前の明かされていない)元側近の1人は、王子が何度も繰り返し読んでいるというお気に入りの本は『リプリー(The Talented Mr. Ripley)』だと主張している。パトリシア・ハイスミスによるこのスリラーは、性的両性具有の社会病質者(a sexually ambivalent sociopath)が、裕福な怠け者を魅了し、そして破滅させるという古典的な作品である。アンドルー王子にとっては、これは一種の戒めとなる物語かもしれない。

※ジェイムズ・パルマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。Blueskyアカウント:@beijingpalmer.bsky.social

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
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