古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:エルブリッジ・コルビー

 古村治彦です。

高市早苗首相が通常国会冒頭で衆議院を解散し、総選挙が実施された。2026年2月8日に投開票が行われ、自民党が選挙前よりも118議席増の316議席(小選挙区は249議席、比例代表は67議席)を獲得した。閣外協力の日本維新の会は2議席増の36議席(小選挙区は20議席、比例代表は16議席)となった。与党側は352議席となった。与党側の議席占有率は75.7%となった。戦時中の1942年の衆議院議員選挙(通称は翼賛選挙)では大政翼賛会の推薦候補381名(定数466)が当選し、大政翼賛会の議席占有率は約81.7%となったが、今回の選挙の自民党と日本維新の会はそれに迫る勢いとなった。
2006japaneselowerhouseelection20260208results001
2026japaneselowerhouselectionreuslts20260208002

選挙前に連立与党から離脱した公明党は、立憲民主党と新党となる中道改革連合を結成した。中道改革連合は123議席減の49議席(小選挙区は7議席、比例代表は42議席)となり、大惨敗を喫した。比例名簿で公明党出身者が上位に来ていたために、小選挙区で敗退した立民系の大物議員たちは比例での復活もできず、議席を失った。公明系は選挙前よりも4議席増えて28議席となった。立憲民主党全体がほぼ消滅(148議席から21議席に)したということになる。

国民民主党は28議席で1議席増となり、善戦したということになる。小選挙区絵8議席は、中道の7議席を上回る成果だ。比例代表の20議席はやや埋没感があったということになるだろうが、中道の大惨敗に比べて大善戦、勝利と言えるだろう。しかし、与党側が圧倒的な議席数を有する中で、独自色を出して戦うということは厳しくなるだろう。昨年に自民党との連立という話があった時に乗っていればどうだったかということも含めて、これから情勢の検討や方針策定が行われるだろう。

参政党とチームみらいは小選挙区での議席獲得はならなかったが、比例代表で二桁の議席、参政党は15議席、チームみらいは11議席の獲得となった。2025年の参議院選挙から続く流れで両党ともに勢力を伸ばしたが、参政党の勢いはスローとなり、チーム未来の勢いは増している。共産党は議席を8議席から半減させて4議席、れいわは選挙前の8議席から1議席に減らした。どちらにとっても厳しい戦いだった。社民党は議席獲得ならずで、党の存在もこれから厳しい状況となる。保守党も議席獲得に届かなかった。減税・ゆうこく連合は1議席獲得となったが、原口一博氏は落選した。

 今回の選挙での敗北者は立憲民主党であった。他の二桁議席を獲得している政党は、公明党を含めて議席を伸ばしている。立憲民主党は旧民主党時代から執行部に入っていたような大物議員たちが軒並み小選挙区で落選し、比例代表でも復活できなかった。立憲出身の比例代表復活者たちの多くは自民党の候補者が全員当選した上に議席が余る形で配分された人たちである。立憲民主党が消滅し、他の政党で議席を分け合ったという形になる。

 立憲民主党代表を務め、中道改革連合の共同代表を務めた野田佳彦は、旧民主党時代に続いて、二度目の100名を超える同僚議員たちを落選させた指導者となった。私は野球好きであるが、日本のプロ野球史上で最多勝利数を誇り、長く南海ホークスを率いた鶴岡一人氏は「指揮官が無能だと部隊は全滅する」という発言を残している。鶴岡市は戦時中に将校として部隊を率いた経験を持つ。その経験から出た言葉だ。野田佳彦元首相に拳拳服膺して欲しい言葉だ。旧民主党時代に「花斉会」などという、自民党の派閥を真似たおままごとの派閥気取りで党内闘争をもてあそび、「国民の生活が第一」路線を裏切った、蓮舫氏をはじめとする野田佳彦元首相を祀り上げた政治家たちも今回の大惨敗の責任がある。

野田氏と共に中道改革連合成立を主導した安住淳共同幹事長は小選挙区で落選し、比例復活もできなかった。野田氏と共に現実路線・保守路線を走り、左派・リベラルを切り捨てた。野田・安住コンビは自分たちが政界のヴェテランで、政治工作の匠だと増長し、結果として公明党を助け、自分たちは消滅の道を進んだ。公明党の方が一枚も二枚も上手であった。二度の大惨敗の責任を取って、野田・安住コンビは政界から永久に消え去り、自分たちの失敗の日々を思い返しながら、表舞台に一切出てこないでひたすら反省の日々を送ることこそが肝要だ。立憲民主党は立憲主義を捨て去り、「民主党」を復活させて、権力闘争のおままごとに耽溺した。理念を忘れ、現状追認こそが保守の途だとばかりに野田・安住コンビの復活を許したことは、所属した政治家たち全員の責任でもある。

 現状の選挙制度(小選挙区比例代表並立制)によって、議席のスイングが大きくなることは、小泉旋風、民主党大勝でも経験したことであるが、自民党のこれほどの大勝は史上初めてのことだ。自民党だけで衆議院の議席の3分の2以上を占めた。自民党だけで総得票数の3分の2を占めた訳ではない。比例代表で見れば、約36.7%である。小選挙区での得票数を合わせても50%を超えてはいないだろう。
2026japaneselowerhouseelectionprvotes001

高市早苗首相の「人気」に促されての小選挙区・比例代表での大勝利となった。「高市首相は頑張っている」「高市首相は変えてくれる」という有権者の「期待」が集まった結果ということもできるだろう。しかし、そもそも考えてみれば、この「失われた30年」のほとんどを自民党や与党として過ごした。議席を多く獲得してきた。しかし、結果として、日本は少子高齢社会となり、GDPの成長率は低く、実質賃金も下がるばかりだ。この結果を招いたのは自民党であるのに、自民党に票が集まり、野党が議席を減らされる結果となっている。日本の有権者は現在の衰退状況を野党の責任だと考えている。もちろん、野党の責任もあるだろうが、自民党はずっと与党で、やりたいことをやって来た。消費税を上げることだってできた。思想家の内田樹先生はXのポストで「自民党は“議席が足りない”ので、野党に足を引っ張られてやりたいことが出来ない」という主張をして人々を納得させていると述べている。それに人々が納得しているということだ。今回、自民党だけで3分の2の議席を獲得した。これ以上の議席はない。野党は邪魔のしようがない。是非、やりたいことをやって、衰退状況を改善し、国民生活を少しは良くしてもらいたいものだ。この議席数で、やりたいこともできずに、衰退も止められないのなら、自民党は民主政治体制(デモクラシー)には向かない政党である。解党してしまった方が良い。

 このブログでも紹介したが、選挙期間終盤に、アメリカのドナルド・トランプ大統領が高市早苗首相を支持するという内容をSNSに投稿した。これは明確な内政干渉であり、独立国に対しての非礼である。しかし、このことについて起こっている人たちはほぼいなかった。日本人は自分たちがアメリカの属国に住んでいて、アメリカに奉仕することが存在意義である奴隷であるということを芯から理解している人たちということになる。高市早苗首相はさしずめ奴隷頭である。トランプは次のように考えるだろう。「俺の一声で、高市は大変な勝利を収めた。俺はアメリカよりも日本で人気がある。日本がアメリカの51番目の州だったら、大統領選挙で1億票は日本から俺に票が入ったんだが」。

 高市首相はトランプからの選挙干渉、内政干渉のお礼を早速SNSにポストした。しかし、さすがにまずいと進言を受けたのか、現在は削除している。何もやましこともなく、まずくもなければ、堂々とポストしたままにすればよいが、さすがに全世界に「内政干渉、選挙干渉をしていただいてありがとうございます」と発信するのは日本の指導者がアホであることがばれるということになったようだ。日本国内だけだったら何も問題視されなかっただろうが。しかし、インターネット時代だ、既に画像は保存されている。加筆します。削除されていなかった。猶更よくない。

 takaichigratitudetotrumpxpost20260209001

 選挙期間中の1月28日、アメリカの国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー国防次官が訪日し、防衛省を訪問した。コルビー次官の訪日の目的は日本に防衛予算の対GDP比5%とへの引き上げを「要求(と書いて実質は厳命)」することだ。コルビーについては、これまで拙著において詳しく紹介している。彼は著書の中で「3%」を要求していた。国防次官になって「3.5%」を要求し、当時の石破茂政権に拒絶されている。石破政権は恒例の日米の外務大臣・国務長官、防衛大臣・国防長官による「2プラス2会談」をキャンセルした。高市早苗政権は防衛費増額に前向きどころか、前のめりである。2026年は約9兆円、約1.5%であるが、補正予算で更に防衛予算を増加させたいとしている。衆議院議員の任期は4年であり、高市首相はこれ以上の議席数はさすがに望めないだろうから、任期ギリギリまで次の選挙はしないだろうから、その間に防衛予算増額を続けていく。5%ももうすぐだ。倍の倍の倍のファイトだ。3月の訪米時に何らかのシグナルを出すだろう。
elbridgecolby20260128001
elbridgecolbyjapanesedietmembers20250430001

 防衛予算が対GDP比5%になるということは、30兆円規模になるということだ。社会保障や教育予算を削ると言っても10兆円、20兆円を浮かすということはできない。そうなれば、国債発行か、増税しかない。私たちはこの10兆円、20兆円(その多くはアメリカからの武器、装備品を買うために使われるが)を収めるために働いて、働いて、働いて、働いてまいらねばならない。私は「愛国増税」と呼んでいるが、このアメリカのために奴隷のように働くことは「愛国的行為」となるだろう。日本国民はそのことを選んだのだからどんな増税にも耐え抜く覚悟を持たねばならない。一度増えた予算はなかなか減らすことはできないということも覚えておかねばならない。

 予算規模がどんどんと拡大していくということになれば、やはり国債発行は避けられないとなり、インフレと円安は進む。金利も上昇していく。増税だけではなく、円安とインフレ、金利上昇によっても私たちは手許のお金を吸い取られることになる。金利上昇となれば、住宅ローンの返済額も増加する。変動金利で数十年という人たちにとっては頭が痛い問題だ。それに教育費ということものしかかってくる。少子化で学校に入りやすくなっているかと思えばそんなことはなく、教育はまさに「地獄の沙汰も金次第」となっている。高等教育がこのような状態になれば、社会階層の固定化は進む。新しい階級が出現する。それもこれも私たちが選び取ったことである。

 最後に、中国が攻めてくる、攻めてくる論であるが、そのようなことはない。日本は攻めるだけの価値もない国だ。奴隷労働に向いている若者の数は減少し、その若者たちは体力がない。老人たちに奴隷労働させようにも、膝が痛い、腰が痛いで働けない。資源はない。そもそも放っておいたら、どんどん毎年100万人ずつ減っていく国だ。こんな国を攻めて何の意味があるだろうか。ただ、怖いのは、日本の暴発だ。実際に戦争をしても、日本は短期間で敗北してしまうだけだが、中国側に被害が出るのが困る。静かに消え去ってくれれば良いが、勝手に国内で不満を貯めて、自分たちが悪いのに、「中国が悪い」と逆切れしている。そんな頭のおかしい連中と関わりたくないが、攻撃してくるならば打ち払うしかないということになる。アメリカに「もう少しちゃんと躾をしてくれないと困るじゃないか」と言うしかない。日本はその程度の国だ。残念なことであるが。

 日本国民の多くが「中国が日本をいじめる」「日本に嫌なことをする」という幼稚園のお教室内での子供たちの喧嘩並みのことを言っている。「中国との関係は良くならなくてよい」と答える人も多くいる。戦後日本の国民は太平洋戦争での無残な、悲惨な敗北を受けてもう少し賢かった。今でも多くの賢い国民がいるが、そうではない人たち、考えの足りない極医的な人たちの声と行動力に引きずられている。1956年に当時の経済企画庁が発表した経済白書には「もはや戦後ではない」という有名な言葉が使われた。この言葉は本当は、中野好夫の文章のタイトルだそうだ。私はこの言葉を借りて、「今回の選挙はこうして、これまでの戦後が終わり(もはや戦後ではない)、新しい戦前が始まった」と主張したいと思う。

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 2025年1月20日に第二次ドナルド・トランプ政権が発足した。あと3週間ほどで1年が経とうとしている。トランプ政権は、ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争の停戦を期待されていたが、ウクライナ戦争については停戦に至らずに2025年を終えようとしている。イスラエル・ハマス紛争は紆余曲折、途中でイランとの紛争もありながら、一応の停戦が実現した。トランプ政権はナイジェリアのイスラム国勢力へのミサイル攻撃や、ヴェネズエラの船舶への攻撃と圧力を強めている。これは、「西半球(Western Hemisphere)」はアメリカの勢力圏だという「モンロー主義」に基づいた行動だ。西半球から反米的矢要素と中国やロシアの影響を駆逐しようという動きだ。これは「ヨーロッパからは撤退する」ということでもある。問題はアジアである。中国がアメリカの強力なライヴァルとなっているが、既にアメリカが単独で中国を楽にいなして勝利するということはできない。中国はアメリカと直接軍事的にぶつからないようにしながら、アメリカの弱体化を待っている。そして、最終的にはアメリカに対して無理せずに勝利を収めるという方向を定めている。トランプ政権も中国には強硬姿勢を取っていない。その代わりに、対中強硬姿勢を強めているのは、日本の高市早苗政権である。その裏には、エルブリッジ・コルビー米国防次官がいる。最新刊でも書いたが、コルビーが圧力をかけて、日本の防衛予算増額を進め、東アジアの不安定化を演出している。日本政府は「東アジアの安全保障環境の悪化」ということを言うが、悪化の一番の要員は日本であり、高市早苗首相の存在である。高市首相の支持率が高いという点で、日本国民に失望している。戦後80年の営為は、このようなアホナ国民しか生まなかったということになる。

 下記論稿は、第二次ドナルド・トランプ政権における外交政策において重要な人物たちを紹介している。私としては、最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)で取り上げた、J・D・ヴァンス副大統領とダン・ドリスコル陸軍長官の関係である。下記論稿には、「またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた」と書かれている。ドリスコル長官については拙著をお読みいただきたいが、ヴァンス副大統領とはイェール大学法科大学院時代からの友人で、軍歴を持ち、ヴァンスが連邦上院議員を務めていた時には補佐官となっている。また、あまり目立たないところで、メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)やスージー・ワイルズ大統領首席補佐官が裏で影響力を持っているということは意外だった。

 来年のアメリカ政治を見ていく上でも参考になる記事なので、是非お読みいただき、できれば繰り返し読むようにしていただきたい。

(貼り付けはじめ)

トランプ2.0の重要な外交政策プレイヤーたち(The Key Foreign-Policy Players of Trump 2.0

-第二次トランプ政権が1年目の節目を迎える中、主要政策に影響を与えているのは誰か。

『フォーリン・ポリシー』誌

2025年12月22日

https://foreignpolicy.com/2025/12/22/trump-administration-key-players-witkoff-miller-hegseth-rubio-bessent-vance/?tpcc=recirc_more_from_fp051524
donaldtrumpforeignpolicy001

ドナルド・トランプ米大統領が第二期目の最初の100日を終えた時、私たちは彼の外交政策の推進役と受動役のリストを公開した。この論稿は、就任初期に最も影響力のある側近として台頭した人物と、脇に追いやられた人物を検証した内容となっている。

大統領就任から約1年の節目が近づくにつれ、そのリストの良い面を改めて検証することにした。その結果、第二期トランプ政権では第一期に比べて人事異動が比較的少なかったことを反映して、その好調さは概ね維持されていることが分かった。また、過去8カ月間で政権内での影響力を拡大した高官も数名存在する。

以下は、トランプの外交政策を形成し、そして発信することに貢献した人物たちのリストだ。

(1)スティーヴ・ウィトコフ(Steve Witkoff)、サム・スコーヴ筆
stevewitkoffdonaldtrump001
ドナルド・トランプ大統領の親友で、億万長者の不動産開発業者スティーヴ・ウィトコフは、中東問題からロシア・ウクライナ紛争に至るまで、幅広い案件を手掛け、大統領の最重要外交交渉担当者として台頭してきている。外交経験は乏しいものの、ウィトコフはロシアで拘束されていたアメリカ人教師の釈放決定(2025年2月)をはじめ、いくつかの成果を上げている。また、ウィトコフはトランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーと共にガザ地区での停戦交渉にも成功し、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を契機に始まったイスラエルとハマス間の紛争を事実上終結させた。

しかし、ロシア・ウクライナ戦争の終結となると、ウィトコフはほとんど成功していない。2025年8月には、トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領との間で行われた和平首脳会談(アラスカ)は、合意なく終了した。ブダペストで予定されていた新たな首脳会談も、ロシア側の譲歩(concessions)の用意がないことが明らかになったため、頓挫した。

ウィトコフは、ロシアとウクライナとの新たな外交ラウンドを主導しており、これはウィトコフとクシュナーが28項目の和平案を共同で作成することから始まった。この取り組みがどれほど成功するかは不透明だ。ウクライナとそのヨーロッパの同盟諸国が当初の案に難色を示したため、既にいくつかの項目が提案から削除されており、ロシアも妥協の用意がないことを改めて示唆している。

ウィトコフの経験不足は、数々の失策や論争を招いている。2025年8月には、ロシアのウクライナ問題における交渉姿勢を誤解し、ロシアが大幅な譲歩を提示しているとウィトコフは主張したとみられるが、実際にはそうではなかった。これがアラスカ首脳会談の失望を招いた結果の一因となったと報じられている。また、2025年11月下旬には、ウィトコフとプーティン大統領の側近との会話の記録が流出し、ウィトコフがロシアに対しトランプへのロビー活動の方法について助言していたとみられることから、辞任を求める声が高まった。

(2)マルコ・ルビオ(Marco Rubio)、ジョン・ホルティウィンガー筆
marcorubiodonaldtrump001
トランプ大統領の二期目の最初の100日間、マルコ・ルビオ国務長官はしばしば脇に追いやられているように見えた。特にウィトコフが、通常はアメリカ外交官のトップである国務長官が担う役割を担い、様々な主要課題に関する協議の陣頭指揮を執るよう繰り返し指名されたことがその要因だ。しかし、ルビオは現在、政権内で最も影響力のあるメンバーの1人であり、トランプ大統領が彼を信頼していることは明らかだ。12月初旬、トランプ大統領はルビオがアメリカ史上「最高の国務長官」として記憶される可能性があると述べた。

ルビオは国務長官に加えて国家安全保障問題担当大統領補佐官も務めており、ヘンリー・キッシンジャー以来、両方の役割を兼任する初の人物だ。また、ルビオは米国公文書保管担当官代理でもあり、2月から8月末までは、アメリカ国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSIDA)の解体を監督する間、アメリカ国際開発庁の長官代理を務めた。

トランプからの称賛の言葉や数々の肩書きを越えて、ルビオの政権内での影響力は、ラテンアメリカで進行中のアメリカ軍の作戦にも顕著に表れている。2025年9月初旬に始まり、これまでに80人以上が死亡したラテンアメリカ地域での麻薬密売船とされる船舶への一連の攻撃は、ヴェネズエラの政権交代を促すためのより広範な取り組みの一環と広く見なされており、ルビオはこの取り組みの原動力となっていると考えられる。

ルビオの影響力はロシア・ウクライナ交渉でも顕著に表れており、ロシアの意図をより信頼する傾向にあるウィトコフとトランプ氏に対し、ルビオはロシア懐疑派(Russia-skeptical)としてバランス役として行動している。例えば、2025年10月、トランプ大統領とプーティン大統領の電話会談後、トランプ大統領はルビオに、ハンガリーのブダペストでプーティン大統領と今後開催される首脳会談の詳細を詰める任務を与えた。しかし、ルビオがロシアの同僚と会談した後、計画されていた首脳会談は突然中止された。

そして先月(11月)、ルビオは、ウィトコフとクシュナーによる当初の28項目の和平案がモスクワに過度に有利とみなされたことを受けて、ヨーロッパにおけるアメリカの同盟諸国の不安を和らげるのに貢献したと報じられている。ルビオはトランプ政権において、ヨーロッパとキエフの懸念をより深く考慮するよう働きかけ、和平案はウクライナにとってより受け入れやすい形に修正されたと評価されている。

ウクライナ和平交渉については依然として多くの不透明な点が残っているが、ルビオは依然として議論の中心にいる。

(3)ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)、ジョン・ホルティウィンガー筆
petehegsethdonaldtrump001
ピート・ヘグゼス国防長官は、兵士の殺傷能力の向上に重点を置くことで、軍に「戦士の精神」を取り戻すことを誓った。その取り組みの一環として、彼は国防総省、そしてより広範なアメリカ軍における大規模な改革を監督してきた。これらの中には、メディアへのアクセス制限、多様性・公平性・包摂性(diversity, equity, and inclusion)に関する取り組みの廃止、トランスジェンダーの入隊禁止といった物議を醸す措置も含まれている。ヘグゼス長官はまた、自身の肩書きを「戦争長官」に変更し、国防総省を「戦争省」に改称する動きを見せているが、この名称変更には連邦議会の承認が必要となるため、まだ正式には発表されていない。

ヘグゼス長官のトランプ政権における影響力は、彼が巻き込まれた数々の重大スキャンダルからも測ることができる。最初の事件、いわゆる「シグナルゲート」として知られる3月の事件では、ヘグゼスはメッセージアプリ「シグナル」上で、イエメンのフーシ派に対するアメリカ軍の作戦に関する機密計画について、他のアメリカ政府高官とのグループチャットで議論した。このグループチャットには、著名なジャーナリストも不注意にも含まれていた。国防総省監察官による最近の報告書によると、不正行為を否定しているヘグゼスは、自身の行動によって軍人を危険にさらすリスクを負っていたことが明らかになった。

国防長官は、9月2日にカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶に対して行われた作戦についても厳しい視線に晒されている。この事件では、アメリカは最初の攻撃で生き残った2人の男性に対して、追い打ちの2度目の攻撃を行い、2人とも殺害したが、批判者たちはこれを戦争犯罪(a war crime)に相当すると指摘している(ただし、ほとんどの法律専門家は、麻薬密輸船とされる船に対するアメリカの作戦全体が違法であるとしている)。ヘグセス国防長官が直接2度目の攻撃を命じたのか、それとも作戦を監督した特殊部隊司令官が国防長官の指示に従って行動しただけなのかなど、事件の詳細については未解決の問題が残っている。トランプ政権は、これまでに攻撃の対象となった船が麻薬密輸に関与していたという主張を裏付ける証拠を公には一切提示していない。

ヘグセスをめぐる論争は、国防長官としての彼の任期も長くは続かないのではないかという憶測を呼んでいるが、彼は依然として謝罪もせず、反抗的な態度を崩していない。12月初旬の演説で、ヘグセスは船舶攻撃を擁護し、トランプ大統領は「我が国の国益を守るために、適切と判断すれば断固たる軍事行動を取ることができるし、また取るだろう」と述べた。

しかし、一部の共和党員でさえもこの攻撃について国防長官を批判していることから、ヘグセス長官がこの嵐を乗り切ることができるかどうかは、まだ分からない。ヘグセスは陸軍州兵の退役軍人であるが、国防長官に就任するまでは政府での経験がなく、トランプ政権の閣僚の中で最も不適格な人物の1人と見なされていた。一方、トランプは、ヘグセスがこの職務に不向きであると内部から指摘されても、反論することを止めたと報じられている。

(4)JD・ヴァンス(J.D. Vance)、レイチェル・オズワルド筆
jdvancedonaldtrump201
J・D・ヴァンス副大統領は、連邦上院議員時代の実績の通りに、政権内で発言力を持つ存在として台頭し、大西洋横断関係においてアメリカの寛大さや保護主義を緩和し、国内外で強硬な反移民政策を主張している。

今年初め、ヴァンス副大統領は、大統領執務室を訪問した、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアとの戦いにおけるアメリカの支援への感謝が不十分だと公然と非難した。またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた。

ヴァンス副大統領は、トランプ政権第二期の初めにミュンヘン安全保障会議で注目を集める演説を行い、長年のヨーロッパの同盟諸国が移民の受け入れを過剰に受け入れ、台頭する極右ポピュリスト政党への包摂性に欠けていると非難し、ヨーロッパに衝撃を与えた。ヴァンスはまた、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の「正当性を失わせようとしている」として、ドイツ政府を繰り返し批判してきた。ドイツ情報機関はAfDを過激派グループに指定しており、一部のドイツ政治家はAfDの活動禁止を求めている。

自分の考えを伝える手段としてXポストをよく利用する副大統領は、最近、カナダの政治指導者たちを痛烈に批判し、「移民の狂気」と称する行為によって多様性を推進することで、カナダの生活水準を損なっていると非難した。

ウクライナ防衛のためにワシントンがどれだけの費用を負担すべきかといった問題に関して、ヴァンスが示す孤立主義的な見解と、西側諸国の民主政治体制国家の内政に積極的に介入しようとする姿勢は、ホワイトハウスが今月初めに発表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」に典型的に見られる、極めて取引的でしばしば一貫性のない「アメリカ・ファースト」の外交政策を象徴している。

(5)エルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby)、レイチェル・オズワルド筆
elbridgecolbyjdvance001
elbridgecolbyjapanesepoliticians20250430001
(左から)小泉進次郎防衛相、玄葉光一郎衆院副議長、小野寺五典元防衛相、コルビー、小野田紀美経済安保担当相(2025年4月30日、ワシントンDCにて)
米国防総省の政策責任者が、エルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)の就任後8カ月でこれほどの影響力を発揮するのは異例だ。これは、彼の上司であるヘグゼスが国防総省規模の官僚組織運営の経験がほとんどないこと、そしてヘグゼスがコルビーの官僚的影響力を弱めるはずだった多くの上級将官を解雇したことが一因となっている。

国防次官就任前、第一次トランプ政権で国防次官補(戦略担当)を務めたコルビーは、対中強硬派として知られ、ヨーロッパを犠牲にしてインド太平洋地域におけるアメリカ軍資源の優先を主張してきた。それでもなお、ウクライナへの武器輸出の一部の一方的停止や、広く支持されているオーストラリア・イギリス・アメリカの防衛連携の見直し再開といった行動を含め、コルビーが自らの政策を実行に移す際の精力的な姿勢は、多くの人々を驚かせた。

連邦議会の民主党と共和党は共に、コルビーがルーマニアから800人の兵士を撤退させるという国防総省の最近の決定など、監視責任を果たすために必要な基本的な防衛関連情報を隠蔽していると非難している。コルビーと連邦議会防衛監視当局者との間で高まる超党派的な緊張は、その多くがアメリカによるヨーロッパ・中東への軍事的関与維持を支持する立場にあることから、公の場へと波及している。その結果、コルビーの事務所に指名された複数の連邦政府上級職員候補者の任命が、連邦議会からの十分な支持を得られないまま停滞している。

(6)スティーヴン・ミラー(Stephen Miller)、レイチェル・オズワルド筆
stepehnmiller201
スティーヴン・ミラーは、ホワイトハウスで外交政策の実務に携わる立場ではないものの、トランプ大統領の大統領次席補佐官として、積極的かつ包括的な反移民政策の実行における信頼できる窓口として、アメリカへの移民を送っている多くの国々との二国間関係に直接的な影響を与えてきた。

ミラーは、難民、亡命希望者、一時的保護ステータスまたは人道的仮釈放中の者、H-Bヴィザの専門職労働者、季節労働者、そして特に不法移民労働者に対する政権の厳しい取り締まりを公に訴えてきた。2025年11月にワシントンで、今年初めにアメリカ政府から正式な亡命を認められたアフガニスタン人男性が州兵2人を射殺する事件が起きた後、ミラー氏は、2021年にアフガニスタンがタリバンに陥落した後、多数のアフガニスタン国民のアメリカへの移住を許してきた政策の終結を、痛烈かつ外国人排斥的な言葉で訴えた。

ミラーはまた、ルビオと緊密に協力し、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の追い落としを目指す政権の取り組みを支援してきたほか、カリブ海と東太平洋の麻薬密輸船とされる船舶に対するアメリカのミサイル攻撃を強く擁護してきた。

(7)ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)、リシ・イエンガー筆
jaredkushnerdonaldtrump201
トランプ大統領の義理の息子であるクシュナーは、第二次政権では表舞台に立つことは少なく、第一次政権のような正式な「特別補佐官(special advisor)」の役職も担っていない。しかし、クシュナーはウィトコフと共に、トランプ政権が今年行った2つの主要な外交交渉に取り組んだ。

10月初旬には、20項目からなるガザ和平合意の最終決定を支援するためイスラエルを訪問し、11月には単独でイスラエルのネタニヤフ首相と交渉を続けた。また、12月初旬にはモスクワでプーティン大統領と数時間にわたり対面し、その後にゼレンスキー大統領と2時間にわたる電話会談を行ったと報じられている。この電話会談では、ウクライナにおけるロシアの戦争終結に向けた、現在も継続中の交渉の進展が追求された。

ウィトコフと同じく、クシュナーも自身の事業における利益相反について懸念が持たれている。彼の企業は、中東地域でアラブ湾岸諸国と数十億ドル規模の取引を行っており、ガザ地区の戦後における彼の役割について疑問が持たれている。

しかし、ガザ和平合意が発表された直後、クシュナーは(再びウィトコフと共に出演した)、テレビ番組「60ミニッツ」でのインタヴューで、こうした懸念を一蹴した。「人々が利益相反と呼ぶものを、スティーヴと私は世界中で培ってきた経験と信頼関係と呼んでいる」とクシュナーは述べた。

(8)スコット・ベセント(Scott Bessent)、キース・ジョンソン筆
scottbessentdonaldtrump201

スコット・ベセント米財務長官は、歴代の前任者の多くと同様、政権の外交政策における中心的な役割を担う人物の1人となっている。そして、トランプ政権第二期目の2年目には、その役割はさらに大きな影響力を持つものになる可能性がある。

ベセント長官は、トランプ政権の貿易戦争(trade wars)について真っ先に批判してきた。長年、関税や貿易障壁に対して合理的な懐疑論を唱えてきたウォール街のヴェテランにとって、これは意外な役割かもしれない。しかし、ベセント長官は今、他国の行動を強制するために輸入税を引き上げることの賢明さを認めている。トランプ政権の数々の貿易戦争は目的を達成していない。アメリカの貿易赤字は今年最初の8カ月間で昨年よりも大幅に拡大し、ヨーロッパ、中国、イギリスとの「貿易合意(trade deals)」は未だに最終決定ではなく、あくまでも願望段階にとどまっている。しかし、少なくとも彼らには強力な応援団がもう1人いる。

ベセントは、2025年12月初旬に行われた会談を含め、中国との進行中の貿易交渉においても主導的な役割を果たしてきた。ワシントンと北京は、貿易休戦(trade truce)を貿易合意のようなものに変化させようと模索を続けている。これは重要な意味を持つ。なぜなら、トランプ政権にとって、中国は国家安全保障上の課題というよりも、はるかに経済的な課題だからだ。

ベッセントはまた、アメリカの国家統治術(U.S. statecraft)をトランプの政治的目的に利用することにも尽力してきた。特に、イデオロギー的な同盟国であるアルゼンチンへのアメリカの救済は、数十億ドル規模の賭けであり、いずれ報われる可能性もある。

しかし、既に強力な影響力を持つ米財務長官ベセントは、来年さらに影響力を強める可能性がある。トランプは依然として、新議長の任命を含む連邦準備制度理事会(FRB)の改革を計画している。その結果、大統領はケヴィン・ハセットを大統領経済担当補佐官に指名し、ベセントを財務長官と大統領補佐官の兼任をさせる可能性がある。そうなれば、トランプ政権の政治課題を支配するであろう、アメリカの国内および海外の経済政策の立案者となる可能性が出てくるだろう。

■特別賞(HONORABLE MENTIONS

(9)メラニア・トランプ(Melania Trump)、クリスティーナ・リュー筆
melaniatrumpdonaldtrump201
メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)は、ロシア・ウクライナ戦争という重要な例外を除けば、外交政策の注目を浴びないように避けてきた。スロヴェニア出身のメラニア夫人は、ロシアに拉致された数千人ものウクライナの子供たちとその家族の再会を促進する外交努力に積極的に関与してきた。ウクライナ政府は、ロシアが2022年2月に本格的な侵攻を開始して以来、少なくとも1万9000人のウクライナの子供たちを拉致して、強制移送したと非難している。ロシア政府は、この行動は子供たちの安全確保が目的だったと主張している。

メラニア夫人は子供たちの解放を公に求め、プーティン大統領に手紙を書いたと彼女は述べ、その手紙は夫である大統領が個人的に届けたとしている。最終的に、彼女はロシアの指導者と直接連絡を取り、数カ月にわたって裏でやり取りしたと2025年10月に述べている。

注目すべきは、トランプ自身の発言が、メラニア夫人がこの戦争について、夫であるトランプ大統領に助言を与え、時にはプーティン大統領に対する彼の見解に異議を唱えたことさえ示唆していることだ。「家に帰ってファーストレディに『実は今日、ウラジーミルと話した。素晴らしい会話ができた』と言ったら、『えっ、本当に? ウクライナの別の都市が攻撃されたばかりなのに』と言われた」とトランプは7月に大統領執務室で振り返った。

(10)スージー・ワイルズ(Susie Wiles)、クリスティーナ・リュー筆
susiewilesdonaldtrump201
大統領首席補佐官として、スージー・ワイルズはトランプ大統領の側近の中核的存在であり、権威ある存在でもある。しかし、彼女は主に影で活動し、舞台裏で重要な役割を果たしてきた。ワイルズがアメリカの外交政策を指揮して注目を集めることは滅多にないが、トランプ大統領は彼女の影響力を称賛し、「世界で最も力のある女性」と公に称賛してきた。

トランプ大統領は7月、「彼女はたった一本の電話だけで国を壊滅させることができる」と明言した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプという人物が常に人々の注目を集めるのは、それが不動産開発業者として大成功して巨万の富を築いても、テレビ番組の有名人になっても、そして大統領になっても(しかも2期)、「融通無碍」であるからだ。その点では一貫している。変化を恐れない。「あの時と言っていることが違うじゃないか」「やっていることがでたらめだ」と非難されても、そうした批判に苦しむことなく、言動や姿勢を軽々と変更する。それがトランプの強さである。そんなことに苦しんでいても何にも物事が進まない、良いことはないということをトランプは分かっているようだ。最たる例は、エプスタイン文書公開をめぐる態度だ。選挙期間中は公開を主張し、政権を担ってからは、パム・ボンディ司法長官からトランプの名前があったという報告もあり、「顧客名簿のようなものない」「公開しない」と姿勢を変え、それに支持基盤の有権者たちから反発を受けると「弱虫ども」と批判した。それが再び、公開に姿勢を変えた。

 外交政策の面では、ウクライナ戦争をすぐに終わらせると主張してきたが、現在、先週終結の目途は立っていない。戦争勃発後、満4年となる2026年2月24日に何か動きがあるかもしれないと考えるが、ロシアは戦争継続可能な状況で、ウクライナが大反抗をすることができない中で、状況が膠着し、無駄に時間だけが過ぎており、死傷者が増えていく。ウクライナ国内のヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の支持率も下がっており、停戦の潮時ではないかと思う。トランプ支持の有権者たちはウクライナ支援に否定的であったが、トランプは大統領就任直後の会談ではゼレンスキー大統領を叱責したが、その後の会談ではウクライナ支援の継続を発表した。ここでも、トランプの融通無碍さが発揮されている。

 トランプの「融通無碍さ」は学術研究の対象になりにくいが、後の歴史家たちがどのような評価をするのかが楽しみだ。私のトランプに対する評価は「衰退するアメリカ帝国の墓堀人」である。

(貼り付けはじめ)

トランプが支持基盤を裏切り続ける理由(Why Trump Keeps Betraying His Base

-専門家集団(The Blob、ザ・ブロブ、既成の外交政策エリートや広範な官僚機構、学識経験者、シンクタンクなどの総体)が帰ってきた-そしてトランプ政権の外交政策の二転三転の理由を説明する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年7月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/07/21/trump-betray-base-foreign-policy-epstein-putin-ukraine-iran-syria-war/
donaldtrumpmarjorietaylorgreene001

ドナルド・トランプ米大統領は2025年3月4日、ワシントンの米連邦議会議事堂で上下両院合同会議の演説を終えた後、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員にキスをした

トランプ政権とMAGA派支持者にとってこれは奇妙な瞬間だ。私が言っているのは、ジェフリー・エプスタインのスキャンダルのことではない。このスキャンダルは、この奇妙な政治カルトの少なくとも数名のメンバーに、深刻な欠陥を抱えた指導者トランプへの奴隷的な忠誠心を疑問視させるに至った。むしろ、トランプの外交政策における最近の転換について述べている。それは、彼がこれまでとってきた立場とは明らかに異なるものだ。

トランプは、2024年の大統領選で約束したように、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と合意し、ウクライナ戦争を「24時間以内(within 24 hours)」に終結させるどころか、ウクライナへのアメリカの援助を永久に停止するどころか、今やキエフへの軍事支援を増強すると約束し、さらにはウォロディミール・ゼレンスキー大統領にモスクワへの直接攻撃を促した(この助言は、このストーリーが発覚後、撤回された)。トランプはバイデン政権時代のようなレヴェルの支援を約束しておらず、この新政策が続くかどうか疑問視する十分な理由もあるが、それでもこれは衝撃的な変化であり、以前は忠実なMAGA派だった扇動的な連邦下院議員マージョリー・テイラー・グリーンやトランプ元側近のスティーヴ・バノンなどから厳しい批判を招いている。

同様に、エルブリッジ・コルビー国防次官などの当局者が長らく主張してきたように、ヨーロッパから手を引いてアジアに急激に軸足を移すのではなく、トランプはNATOへの新たな愛着も表明している。中東問題も放棄していない。イスラエルのやりたいことを何でもさせている(これは最近の歴代米大統領たちがしてきたことだ)。しかし先月、イスラエルの要請でイランとの戦争に突入し、アメリカ軍にイランの核開発計画を廃棄する試みとして爆撃を命じたが、失敗に終わった。ビル・クリストルなどトランプ支持者ではないネオコン派は当然ながら大喜びしたが、タッカー・カールソンなどかつてのトランプ支持者は落胆した。最後に、トランプは最近、NVIDIAが中国への最新チップ販売を再開することに同意した。これは、輸出規制によって中国の技術進歩を抑制しようとした過去の試みから手を引いていることを示唆している。

トランプが新人だと言っているのではない。彼は依然として経済に疎く、関税戦争(tariff war)に固執し、中国とのバランスを取るためにアメリカが必要とする主要同盟諸国との関係を依然として損なっており、かつて優位に立っていたアメリカの科学界を骨抜きにし、一流大学を弱体化させようとする、息を呑むほど愚かな試みを続けている。中国の指導者たちは、きっと大喜びしているに違いない。科学技術の優位性が世界覇権の鍵となる時代に、トランプ政権は一方的な軍縮行為(act of unilateral disarmament)に手を染めている。

トランプは、個人的に敵とみなした者への復讐を続け、認知能力の低下の兆候が顕著になりつつあり、アメリカ史上最も腐敗した政権を平然と率いている。高齢であるトランプが別人のようになることはないだろう。しかし、彼の最近の行動は、彼が約束した外交政策や支持者が期待していた外交政策とはかけ離れている。

こうした変化をどのように説明できるだろうか? 少なくとも3つの可能性が考えられる。

明白な説明の1つは、トランプが外交政策の「ブロブ(Blob)」を抑え込もうとしたにもかかわらず、再びトランプを打ち負かしているということだ。私の前著で述べたように、外交政策のエスタブリッシュメントはトランプの最初の任期中、政府の仕組みを理解しておらず、エスタブリッシュメントを打破するための明確な戦略も、自身のヴィジョンを忠実に実行に移す忠実な官僚集団も持たなかったため、トランプの努力の大半を阻んだ。したがって、貿易政策を除けば、アメリカの外交政策の本質はトランプの最初の任期中、ほとんど変化しなかった。いつも通り、トランプは自身の多くの失敗をいわゆる「ディープステート(deep state)」のせいにし、もし次の機会があれば改善すると誓った。

今回、トランプは、ピート・ヘグゼス国防長官のような写真映えする忠実な支持者や、マルコ・ルビオ国務長官やトゥルシー・ギャバード国家情報長官のような簡単に操れる日和見主義者たち(easily manipulated opportunists)を、閣僚の主要ポストやその他の影響力のある役職に任命することで、専門家集団を克服しようとした。

しかし、主要省庁のトップに従順な部下を置くことは、トランプの期待通りには機能していない。第一に、トランプは部下に明確で一貫性のある、一貫した指示を与えることができない、無能な管理者だ。第二に、多くの人が懸念していたように、ヘグセスは資格も能力もない無能な行政官であり、度重なる失態を犯し、彼のオフィスは機能不全に陥っていると、元側近は語っている。ルビオはネオコン的な傾向が強いイデオローグで、上司に逆らうことはしないものの、危険な方向に導こうとするだろう。

さらに言えば、元司令官たちを解任し、多くの文民職員を解雇することで主要機関の人員が不足し、効率が低下することはあっても、残留した人々の世界観を変えることも、トランプの本能に反する可能性のある政策の推進を阻止することもできない。結局のところ、専門家集団に対抗するには、大統領は賢く、経験豊富で、知識豊富な人材を重要なポストに多く配置し、彼らと協力して、異なる原則を反映した一貫した戦略を策定する必要がある。大統領にはこの目標を達成する機会が2度あったが、いずれも失敗に終わった。

別のより納得のいく説明は、トランプが現実に適応しているだけだというものだ。プーティンとの友好関係は、ロシアの指導者に対する自身の影響力をそれほど強めておらず、プーティンがトランプの意向で戦争を終わらせるつもりもないことにも気づいた。トランプは、プーティンは邪悪な指導者であり、決定的に打ち負かすべきだとするジョー・バイデン前大統領の見解には賛同しないだろうが、プーティンは最終的な勝利を確信している限り真剣に交渉しないだろうと認識し、バイデンのアプローチに近づいている。ウクライナへのアメリカの援助再開は、プーティンに合意を迫る圧力となるはずだが、トランプが約束している援助の規模は、その目的を達成するにはおそらく不十分だろう。それでも、この解釈では、トランプの最近の態度の変化は、彼が学びつつある証拠であり、ディープステートの影響力の残存を示すものではない。

中東についても同様のことが言えるだろう。バイデンと同様に、トランプもイスラエルに本格的な圧力をかけるつもりはなかった。だからこそ、ガザ地区に対するジェノサイド的な戦争は、アメリカの積極的な支援を受けて今もなお続いている。イランは、トランプとルビオが要求する核濃縮能力の放棄に決して同意するつもりはなかった。外交が凍結されていたため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、空爆によってイランの核開発計画を完全に排除し、イスラエルの地域的優位を確固たるものにできるとトランプを説得することに成功した。

しかしながら、この戦争はこれらの目的を達成することができず、イスラエルは依然としてこの地域で真の覇権を確立するには小国すぎる。しかし、この確かに寛大な解釈によれば、トランプは地域の情勢の進展に合わせてアメリカの政策を現実的に調整し、長期にわたる空爆作戦や地上軍のプレゼンスの増強を求める声に抵抗していたと言えるだろう。

中国に関して言えば、トランプ大統領と補佐官たちは、北京との全面的な経済戦争はアメリカ経済に甚大な打撃を与えるものの、中国の技術進歩を阻止することはできないと認識していたのかもしれない。もしそうであれば、NVIDIA製チップの輸出禁止を解除し、何らかの暫定的な貿易協定を交渉することは理にかなっていると言えるだろう。

この説明が正しく、トランプが変化する状況に適応しようとしていると信じたい。しかし、そこにはある程度の一貫性と戦略的ヴィジョンが暗示されているが、その内容は見極めが難しい。イスラエルによるガザ地区住民の殺害を支援し、フーシ派、レバノン、シリアへの爆撃をイスラエルが望む時に許しても、アメリカやイスラエルの安全保障は強化されない。イランへの爆撃は、イランの指導者たちに、潜在的な核兵器国のままでいるのではなく、核爆弾へと突き進むよう促す可能性が高い。ウクライナにパトリオットミサイルシステムやその他の兵器をさらに送っても、戦場の状況やプーチティンの政治的計算は変わらない。そして、政権は両陣営が受け入れ可能な政治的解決策を提示することも、解決策がないことを認めて歩み寄ることもしていない。(トランプ大統領は今年初めに後者の選択肢をほのめかしたが、最終的には撤回した。)確かに、トランプ大統領のホワイトハウスは(全ての大統領がそうであるように)出来事を考慮して政策を修正したが、そのさまざまな対応の背後にある十分に練られた戦略を見るにはかなり目を凝らさなければならない。

残る選択肢は3つ目のものだ。トランプ大統領の外交政策における最近の変化は、主に大統領のエゴによるものだ。ウクライナへの武器供与を増やしているのは、ウクライナの独立に新たな決意を固めたからではなく、プーティン大統領のせいで自分のイメージが下がったからだ。NATO事務総長マーク・ルッテから中世の廷臣並みのおべっかを浴びせられた後、NATOは問題ないと判断した。中東で無意味な戦争に突入したのは、結果に関わらず、何かを爆破すれば自分が主導権を握っているように見えるからだ。

トランプ大統領の関税に対する断続的なアプローチも、この説明と完全に一致している。彼が関税を好むのは、皆の注目を自分に釘付けにできるからだ。関税は上がったり下がったりし、一時停止されたりしてまた導入される。そのたびにメディアは大騒ぎし、再びトランプについて語り始める。

『フィナンシャル・タイムズ』紙のジャナン・ガネーシュをはじめとする一部の観察者たちは、トランプの一貫性や首尾一貫した世界観の欠如と、自身のイメージへの執拗なこだわりこそが、MAGA支持層に共通する教条主義的な過激主義(the doctrinaire extremism)よりも好ましいと考えている。なぜなら、関税と貿易赤字への執着を除けば、真の政策的信念や深く根付いた政策志向が欠如しているため、必要に応じて方針転換が容易になるからだ。

私はそうではないと考える。トランプは国益(the national interest)と彼の個人的利益(personal interest)を切り離すことができず、人材を見極める目も依然として乏しく、おべっかに弱いことでも知られているため、トランプ政権下でのアメリカの外交政策は、これまで以上に不安定で、内部的に一貫性がなく、逆効果になっていることが証明されている。

ワシントンは、かつて唯一の超大国だった頃は(様々な愚行[follies]で多大な代償を払ったとはいえ)これで済んでいたかもしれない。しかし、今日の世界情勢ははるかに容赦ない。大国としての歴史上、最も手強い競争相手と対峙している現代において、衝動的で気まぐれな指導者が、能力ではなく忠誠心で選ばれた部下に命令を下すようなことは、成功への道筋とはなり得ない。

アメリカ人は、ドイツ首相オットー・フォン・ビスマルクが「神は酔っ払い、愚か者、そしてアメリカ合衆国のために特別な摂理を持っている(God has a special providence for drunkards, fools, and the United States of America)」と言ったとされる言葉が正しかったことを願うしかない。アメリカはまさにそれを必要としているだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

2025年10月21日に臨時国会が召集されて、首班指名選挙が実施される。現在のところ、自民党の高市早苗総裁と国民民主党の玉木雄一郎代表の名前が報道で取り沙汰されているが、自民党と日本維新の会、国民民主党での協議が続いている。高市早苗首相誕生の可能性が高いと見られている。自民党はNHK党や参政党も取り込む動きを見せている。このような重要な政権に関する動きを誰が指揮し、誰がパイプ役、調整役を務めているのか、全く見えてこない。麻生太郎副総裁なのか、義弟の鈴木俊一幹事長なのか、全く分からない。自民党の新執行部は脳内お花畑の素人集団であり、先行きは極めて不安である。
 以下に、高市早苗総裁選出の前後に出た、海外での紹介記事を紹介する。「ガラスの崖(glass cliff)」「サッチャー・ルール(Thatcher rule)」という概念が紹介されており興味深い。ガラスの崖は、危機的状況において、目くらまし的に女性をリーダーに据え、危機を回避出来たら御の字、失敗したら「だからやっぱり女性は駄目だ」と男性が留飲を下げるということであり、サッチャー・ルールは、保守勢力の中核的な保守的価値観を強固に守る女性の方が出世しやすいということである。高市総裁は、ジェンダー平等や保守的な価値観の改革ではなく、保守的でかつ好戦的な態度を見せることで、「男社会」を勝ち抜いた女性ということになる。女性初の自民党総裁であるが、本質的に女性が直面している不平等とは戦わない。なぜなら、男性中心、男性優位の極右的な価値観を最優先するからだ。

 麻生太郎元首相の傀儡であり、旧安倍派復権政権となる高市政権は、アメリカの国益に資するための対米隷属内閣となる。具体的には、日本の防衛予算の対GDP比を既に決定している2%から3.5%に引き上げることが至上命題となる。石破茂政権ではエルブリッジ・コルビー国防次官からの要求を蹴ったことが報じられている(時事通信2025年6月21日付記事「米、日本に防衛費3.5%要求 反発で2プラス2見送りか―英紙報道」)。防衛予算は現在のところ、対GDP比1.3%程度であるが、これが約2.5倍になると、予算の他の科目、例えば、社会保障や教育を削る、もしくは大増税を行う必要が出てくる。高市政権は対外的な脅威を過剰に演出し、「愛国増税」のようなことを仕掛けてくるだろう。国民生活は破壊される。

 日本の先行きは不安が大きい。高市政権がもたらす厄災が可能な限り小さくなることを願うしかない。
(貼り付けはじめ)
日本初の女性首相は強硬派でなければならない(Japan’s First Female Prime Minister Has to Be a Hard-Liner

-もし彼女が今週の総裁選で勝利すれば、高市早苗の超国家主義的な政策(ultranationalist agenda)は地域を揺るがすことになるだろう。

ミン・ガオ筆

2025年10月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/02/sanae-takaichi-japan-first-female-prime-minister/

土曜日に行われる自民党総裁選挙では、高市早苗が日本初の女性首相となる可能性が高まっている。高市は、国際舞台における進歩とジェンダーの可視化(progress and gender visibility)を力強く示したと言えるだろう。しかし、彼女の政治の本質、師である安倍晋三元首相によって形作られた、極めて硬直した超保守主義的なイデオロギー(a rigidly ultraconservative ideology)は、与党自民党の根深い保守的かつ家父長的な構造を解体するどころか、むしろ強化する方向に作用している。このように、高市の首相就任は、進歩的な飛躍というよりも、女性が日本で真の権力を獲得するには、自民党の最も深く、最も伝統的な理念への「過剰な忠誠心」(an “over-loyalty” to the LDP’s deepest, most traditional impulses)を示すしかないのかどうかという、重大な試金石となるだろう。

世界的に見ると、日本は依然としてジェンダー平等において外側に置かれている立場(outlier)にある。2025年の世界ジェンダーギャップ指数では、日本は148カ国中118位と、G7諸国の中では最下位に位置しており、懸念されている。この格差は、主に女性の政治参加が著しく不足していることに起因している。石破茂内閣がそれを如実に物語っている。2024年10月、新政権はわずか2人の女性閣僚を任命しただけだった。これは、前政権の5人から大幅に減少したことになる。高市個人の成功は稀有かつ華々しい例外であり、彼女の個人的な成功が真に実質的なジェンダー改革につながるのか、それとも表面的な進歩の象徴に過ぎないのかという疑問を提起する。

この動きは「ガラスの崖(glass cliff)」という概念と密接に符合しているようだ。これは組織の危機や衰退期に、女性(およびその他の周縁化された集団)がハイリスクで不安定な指導的立場に昇格させられる現象を指し、彼女たちを目立つ存在としながらも、避けられない失敗に対して脆弱な立場に置く。例えばオーストラリアでは、2025年5月、保守政党である自由党が史上最低の支持率を記録した時期にスーザン・レイが党首に任命された。この人事は政治評論家たちから「ガラスの崖」シナリオと見なされた。彼女は選挙展望が著しく低下した崩壊状態の党を引き継ぎ、失敗するか、単に将来の男性後継者のために党を安定させる役割を課されたのである。

同様に、高市の台頭は自民党が長期にわたる国民の不信感に直面した直後に起こった。二度の選挙敗北により、自民党は国会での多数派を失ったまま政権維持に苦戦しており、次期党首は分裂した国会を引き継ぐだけでなく、国家予算や経済対策を含む重要法案を可決するため野党との交渉という重大な課題も背負うことになる。強硬派の女性(a hard-line woman)という「非典型的な」候補を推すことは、変化とイデオロギー的揺るぎなさを同時にアピールするという自民党の差し迫った必要性に合致する。もし高市が最終的に党や経済の安定化に失敗した場合、現在の少数与党体制と受け継いだ経済的逆風を考慮すればその可能性は高いが、自民党の保守的で男性中心の既得権層は、彼女の失脚を利用して「女性はトップリーダーシップに適さない」という既存の固定観念を強化し、根強い男性優位の階層構造を集団的非難から効果的に守ることになりかねない。

韓国初の女性大統領となった朴槿恵の歴史的前例は説得力に富む。朴元大統領の保守的で世襲的なリーダーシップは、進歩的な政策の推進や、韓国におけるジェンダーギャップの解消に向けた持続的な取り組みに繋がることはほとんどなかった。実際、朴元大統領の波乱に満ちた任期は政治スキャンダルに彩られ、最終的には家父長制が色濃く残る政治体制における女性リーダーシップの脆弱性を改めて浮き彫りにした。高市にとって、自民党の歴史修正主義と伝統主義への揺るぎないイデオロギー的関与(a nearly non-negotiable ideological commitment to the LDP’s historical revisionism and traditionalism)は成功の不可欠な前提条件(prerequisites)であり、彼女のジェンダー・アイデンティティは改革の使命というよりも、むしろ戦略的な資産となった。高市の成功は、ジェンダー平等の躍進ではなく、ましてやフェミニズムの躍進ではなく、保守的な同化の勝利として解釈されるべきである。実際、彼女は保守的な支持と政策方針ゆえに、反フェミニスト的な政治家と見なされてきた。

高市パラドックスの核心は、女性としての政治的優位性(political ascendancy as a woman)と、日本における女性の平等と自立に具体的に役立つ法改正への強硬な反対(fierce opposition to legal changes that would tangibly benefit women’s equality and autonomy in Japan)という、根本的な矛盾にある。高市は、男系男子による皇位継承法制度(the male-only royal succession law)の断固たる擁護者であり、夫婦が選択的に選択できる法改正(legal changes to allow married couples the option to retain separate surnames)に強く反対している。

高市が選択的夫婦別姓制度に反対する根拠は、こうした改革が伝統的な家族の価値観を修復不可能なほど損なうという信念にある。彼女は長年、家族の結束を維持し、将来の子孫の混乱を防ぐために、現行の姓制度を維持すべきだと主張してきた。1980年代以降、民法改正を求める夫婦別姓運動は国民の間で支持を強めてきた。しかし、こうした勢いにもかかわらず、現行制度は依然として既婚女性の95%以上が結婚時に職業的および私的なアイデンティティを放棄することを強いている。したがって、高市氏の立場は単なる個人的な信念を反映しているのではなく、権力を求める女性はまさに女性の平等を最も制約する構造を守らなければならないという自民党の期待を体現している。

高市氏の立場に内在する皮肉は明白である。彼女自身、公職において旧姓を使用するという職業上の自律性を享受しているのである。彼女は、選択的二重姓法(optional dual-surname law)は戸籍制度(family registry system)と国家(国民)統合(national unity)への直接的な脅威であり、個人の自由や男女平等よりも制度的・人口統計的硬直性を優先する保守派の考えであると主張している。

このイデオロギーへの固執は、日本と高市政権を国際的な人権についての関与と直接かつ即時的に衝突させる。国連のジェンダー問題に関する最高機関である女子差別撤廃委員会(Committee on the Elimination of Discrimination Against WomenCEDAW)は、日本の男女別姓強制法と男子のみを定めた皇室典範(the male-only Imperial House Law)を差別的であると繰り返し明確に非難し、日本政府に対し国際的なジェンダー規範に沿うよう改正するよう求めてきた。CEDAWの総括所見は、これらの法律が制度的なジェンダー不平等を永続させていると繰り返し強調している。高市の政治綱領は、事実上、CEDAWとの継続的な緊張を確実なものにしており、彼女の政権の家族とジェンダーに関する政策は今後も厳しい国際的監視に直面し、CEDAWのジェンダー平等の精神に反することを保証している。

高市が伝統的かつ保守的な価値観に固執していることは、単なる好みではなく、自民党内での彼女の政治的信用と権力の揺るぎない基盤となっていると言えるだろう。彼女の権力基盤は、主に彼女のキャリアを支えた安倍首相の後援とイデオロギー的遺産、そして自民党の超保守派中核の政治的動員によって形成されている。この中核は、強力な超国家主義圧力団体である日本会議(the powerful ultranationalist pressure group Nippon KaigiJapan Conference)の影響を強く受けている。日本会議は、2010年代半ばに監視が強化されるまで、主流メディアからほとんど注目されていなかった。

日本会議は、伝統的な家族価値観の回復、歴史修正主義の正常化(日本の戦時下の東アジア「解放[liberation]」を称賛し、戦前のように天皇を崇拝すること)、そして軍隊再建のための憲法第9条改正を含む包括的な修正主義的アジェンダを積極的に提唱している。高市早苗の過去および現在の政策姿勢、例えば「慰安婦(comfort women)」や戦時中の強制労働に関する外国の主張に対抗するため「歴史外交(history diplomacy)」の戦略的強化を提唱したこと、夫婦別姓制度への反対、靖国神社への定期的な参拝などは、この組織の影響圏内における忠誠心のリトマス試験紙になっている。

彼女の強硬なイデオロギー的姿勢は、日本の安全保障姿勢に決定的に及ぶ可能性がある。前回、2021年の総裁選挙挑戦時には、軍事費の大幅増額を主導的に提唱した。今回は国防強化と憲法改正による自衛隊の完全な合法化を主張している。これらの立場は「安倍ドクトリン(Abe Doctrine)」と密接に合致し、国家の主張と防衛拡大に焦点を当てた、強硬で断固とした男性的な日本国家像(masculine image of the Japanese state)を必然的に世界に投影するものである。

超国家主義を助長したとして国際社会の厳しい監視を受けていた安倍首相が、「ウィメン・シャイン」構想を(Women Shine initiative)通じて「ジェンダー重視の外交(pro-gender diplomacy)」を唱えたのと同様に、高市も同様にジェンダー・エンパワーメントの言説を、特に総裁選において採用してきた。これには、現金給付を伴う減税といった現実的な提案や、閣僚人事における「北欧的」な男女比(a “Nordic” gender balance)で国民を「サプライズ(オドロイテ)(surprise)」という注目すべき公約が含まれる。重要なのは、現代の「北欧基準」である閣僚人事(the modern “Nordic standard” for cabinet balance)でさえ、スウェーデンのような国に代表されるものであり、現在のクリステルソン内閣は当初、総勢24名のうち11名を女性閣僚に任命した(女性閣僚比率は約45.8%で、ほぼ男女比が同数である)。しかし、この計算された政策転換は、強硬な政策内容を隠蔽するためのソフトパワー・レトリックの戦略的な展開(a strategic deployment of soft-power rhetoric)である可能性が高い。

高市のナショナリズムの中核を成す憲法改正(constitutional revision)、明白な防衛計画、そして歴史修正主義(historical revisionism)は、即座に外交摩擦(diplomatic friction)を引き起こす可能性が高い。高市はここ数日、日本は「重要な隣国(important neighbor)」である中国と良好な関係を維持すべきとの見解など、物議を醸すいくつかの話題について発言を和らげる兆候を見せているが、中国と韓国の両国では既に超国家主義者、あるいは「安倍首相の女性版(the female Abe)」と広く見られている。

議論の対象となっている靖国神社への彼女の定期的な参拝は、特に扇動的である。靖国神社は、第二次世界大戦でA級戦犯として起訴された人々を含む、240万人以上の日本の戦没者を祀っている。北京とソウルは、こうした行動を日本の歴史修正主義の公式な承認と解釈し、戦後処理(postwar settlements)を揺るがすものと見ている。最近、フジテレビで首相として参拝するかどうかを問われた高市は、明確な表明を避け、「戦犯の刑は執行された(carried out)」ため「もはや犯罪者ではない(no longer criminals)」と述べ、「どこにいても手を合わせたい(still want[s] to put my hands together in prayer … from wherever I am)」と続けた。彼女の発言は、外交上の発火点(a diplomatic flash point)を戦略的に回避しながらも、戦没者への敬意を払い続けるという彼女の強い意志を強調したものと広く見なされている。したがって、高市政権は、地域和解(regional reconciliation)よりも国家主義的な記憶を優先する人物によって日本が率いられているというシグナルを送ることになるだろう。

さらに、高市は、領有権を公に主張したり、物議を醸したりしている「竹島の日」行事への閣僚出席を主張するなど、紛争の的となっている独島・竹島に関する最近の発言で韓国の感情を刺激しており、当選後にこれらの発言を実行に移せば、韓国との即時、厳しい外交的対立を招くことになるだろう。

この特定の島嶼紛争にとどまらず、高市の「台湾有事は日本にとっての有事である(a Taiwan contingency is a contingency for Japan)」という安倍首相の宣言に同調する高市の強硬な外交姿勢は、既に北京から意図的な挑発行為であり、安定への直接的な脅威(deliberately provocative and a direct threat to stability)とみなされている。中国はこの姿勢を、領土保全(territorial integrity)という中核的利益を直接侵害するものであり、日本が戦後の平和主義(postwar pacifism)を放棄し、地域の紛争において積極的な自己主張を展開する政治的シグナルであると捉えている。しかしながら、高市の外交政策と安全保障政策は、現在の自民党少数与党政権と「平和主義」を掲げる公明党との連立政権によって制約を受ける可能性が高い(However, Takaichi’s foreign-policy and security agendas are likely to be constrained by the current minority government of the LDP and its coalition with the “pacifist” Komeito party)。

これらの理由から、高市が首相に就任する可能性は、日本における実質的な男女平等の実現に向けた画期的な勝利(a landmark victory for substantive gender equality in Japan)というよりも、むしろ自民党の政治的な回復力と保守的な中核の強さ(the LDP’s political resilience and its conservative core)を示すものであると言える。高市の台頭は、自民党の硬直した組織体制の中で女性が権力を握る最も現実的な道は、党綱領の最も家父長的かつ国家主義的な要素(the most patriarchal and nationalist elements of the party’s platform)を揺るぎなく、完全に受け入れることであることを、おそらく最も如実に示している。もしそれが成功すれば、高市のリーダーシップは、ジェンダーに基づく改革よりもイデオロギーの同化が勝利したことを示すものとなるだろう。

※ミン・ガオ:ルンド大学(スウェーデン)歴史学部東アジア研究者。日本、韓国、中国に関する現代および歴史的な問題についての幅広い著作を持つ。

=====
新たな総裁選挙が迫る中、日本の真のボスたちは現状を見つめ直す(As Another Leadership Election Looms, Japan’s Real Bosses Take Stock

-名目上の指導者たちは党の権力構造において二次的な存在だがそのシステムは揺らぎを見せ始めている。

ウィリアム・スポサト筆
2025年9月30日
『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/09/30/japan-ishiba-prime-minister-elections/

今月、石破茂首相が辞任したことで、政府は新たな混乱に陥った。混沌とした世界秩序に対し、日本政府は安定した対応を求められているまさにその時期に混乱が起きた。

石破は、7月の参議院選挙における与党・自民党の惨憺たる結果の責任を取るため、辞任すると述べた。これは、2009年の衆議院選挙で敗北し辞任した麻生太郎元首相や、同様に惨憺たる選挙結果を受けて最初の任期を終えて辞任した安倍晋三元首相など、多くの歴代首相の足跡を辿るものだ。日本の政治において、このような後退は永続的なものではない。安倍首相は2012年に首相に返り咲き、約8年間の在任期間を経て、日本史上最長の首相在任期間を記録した。

日本の指導者たちはまるで回転ドアのように交代を繰り返しているように見える。ほとんどの首相は、他の世界の指導者たちが誰と対峙しているのかさえ分からないうちに退任してしまうからだ。しかし、これは日本にとって新しい現象ではなく、時に有益な場合もある。

例えば、自民党は1955年の結党以来、過去70年間のうち約64年間、いわゆる「合意に基づく一党支配(consensual one-party rule)」の下で政権の座を維持してきた。自民党のやり方は、世論調査で支持率が急落した党首を容赦なく追放することだ。支持率の基準値は定められていないものの、30%を下回ると危険水域(a danger zone)とみなされる。石破の最新の支持率は、7月の選挙後、21%から30%の間で推移している。

この決定は、戦後日本の政治を支配してきた自民党にとって、依然として混乱を招いている。党は10月3日と4日に党員投票を実施し、自民党議員に加え、各地方の党員代表も参加する。有力候補は、いずれも2024年の総裁選で総裁選に敗れた常連の顔ぶれだ。

高市早苗前経済安全保障担当大臣がトップに立っているが、強い国家主義的見解を持つ彼女は、最も物議を醸す選択肢となるだろう。彼女は麻生太郎をはじめとする党右派の有力者たちから支持されており、安倍首相の側近でもあった。こうした支持を受け、昨年9月の自民党総裁選では石破に僅差で次点となった。

一方、高市は、第二次世界大戦の責任を日本に押し付けるべきかどうかという歴史修正主義的な立場や、過去の日本の公式謝罪に対する批判などから、党内穏健派(the more moderate parts of the party)からも強い嫌悪感を持たれている。彼女が首相に選出されれば、日本初の女性首相となり、「サッチャー・ルール(the “Thatcher rule”)」、つまり女性は左派よりも右派からトップに上り詰める傾向があるという考え方を体現することになる。

もう一人の有力候補は、自民党議員の「新世代(new generation)」を代表する小泉進次郎農相だ。しかし、彼は少なくとも一つの伝統的な要素、すなわち政治王朝(political dynasties)を継承している。44歳の小泉はテレビ映りが良く、非常に人気のある父である小泉純一郎元首相の恩恵を受けている。小泉元首相は、安倍首相と並んで、平均2年の任期を超えて首相を務めた数少ない日本の元首相の一人だ。

小泉進次郎は、5月に突然の米不足に見舞われた直後に農水大臣に就任し、高い注目を集めた。米価高騰は、既にくすぶっていたインフレに拍車をかけ、米が文化において神聖な役割を担う日本にとって、感情的なレヴェルで大きな衝撃となった。

有力候補として、内閣官房長官の林芳正と、与党のヴェテランである茂木敏充が挙げられる。穏やかで温厚な林は、元外務大臣で、英語も堪能(日本のエリート層では珍しい)であり、カントリークラブで活躍する頼れる人物として、穏健派の代表格となるだろう。同じく元外務大臣の茂木は、より闘争心が強く、ドナルド・トランプ米大統領とその側近たちと渡り合うには最適な人物と目されている。

しかし、日本では集団指導体制(a system of collective leadership)において、首相自身はそれほど重要ではないという見方もある。集団指導体制では、主に党内の派閥(factions within the party)を率いて権力を握る、舞台裏にいる実力者たち(figures behind the scenes)が、領袖に忠実な議員たちで構成される派閥を率いていた。森喜朗元首相と麻生元首相は、支持率の急落を受けてわずか1年で辞任したが、不名誉な辞任にもかかわらず、辞任後も相当の権力を握っていた。

さらに、政治権力の変動が激しい中で、日本の高級官僚たちは、いわゆるアメリカの「ディープステート」(U.S. “deep state”)も羨むほどの権力を握ってきた。第二次世界大戦後、日本を経済大国(an economic powerhouse)へと変貌させた功績は、第一線で政策を立案したティームにある。

しかし、自民党は現在、この戦後モデルが危機に瀕している兆候に直面している。有権者たちが上からのリーダーシップを受け入れる意欲が低下している。これは、日本の国会である参議院の議席の半分を争った7月の選挙で顕著に表れた。参議院は衆議院に比べて力を持っていないが、世論の指標と捉えられることが多い。

この低迷により、宗教色の強い連立政権を組む公明党の支持を得ても、自民党は両院で過半数を獲得できない状態となった。与党は現在、参議院248議席中121議席、衆議院465議席中わずか220議席しか保有しておらず、政権維持は困難を極めている。他党との何らかの協力関係の構築が不可欠となっている。

同時に、自称「日本ファースト(Japan first)」を掲げる参政党の台頭により、ポピュリズムの台頭も見られるようになった。参政党は参議院で議席を2議席から15議席に増やし、今回の選挙での比例代表候補の得票率も12.6%と好調だった。

自民党の内紛はこれまで、同性婚や平和主義の立場を撤廃あるいは弱体化させるべきかどうかといった社会・政治問題に大きく焦点が当てられてきたが、今回の選挙戦の焦点は明らかに経済だ。ジョー・バイデン前米大統領が指摘したように、物価上昇率が賃金上昇率を上回っていると考える国民は、怒りの有権者となる可能性が高いだろう。

日本の小売物価上昇率は2.5~3.5%程度だが、凶作と政府の過剰生産抑制策により米価がほぼ倍増したため、7月の食料品インフレ率は7.6%に達し、日々の家計に非常に大きな影響を与えている。日本では食品の60%が海外から輸入されており、急激な円安(外国人観光客にとっては恩恵)が大きな原因となっている。

提案されている解決策は、根本的な問題に取り組むのではなく、政府が負担すべきでない資金をばら撒いて打撃を和らげるというものだ。

物価上昇による痛みを和らげるために、所得税の減税、10%の消費税の一部軽減、あるいはその他の補助金を講じるという考えは、7月の選挙で主要政党の主要政策課題となった。日本の巨額の政府債務問題に目を向けていた石破茂率いる自民党は、この分野での大胆な公約を最も躊躇し、一時的な現金給付を限定的にしか提供しなかった。これが党の低迷の主な原因と見られていた。

これに対し、今回の自民党総裁選挙の候補者全員が何らかの対策を公約しており、財政ハト派(a fiscal dove)の高市は最も野心的な提案をしている。彼女は出馬表明の際に、所得税控除と現金給付を組み合わせた対策を講じ、所得基準を引き上げると述べた。

彼女はこうした対策の財源について具体的な説明を避けたが、これは既に先進国の中で最大規模となっている日本の政府債務水準に更なる負担をかけることになるだろう。国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は、日本の総債務残高をGDP比236.7%と推定しているが、これは2020年のピーク時の約260%からは減少している。財政余地を見出した政治家たちは、長期的な影響を顧みず、これまで通り、その余地を埋めようとするだろう。

ドイツ銀行東京支店チーフエコノミストの小山健太郎は「補助金の増額は財政拡大につながり、インフレ率を上昇させる可能性がある。家計の購買力は一時的に改善するかもしれないが、高インフレが定着しているため、この効果は長くは続かないだろう」と述べた。

これは、日本銀行が2024年3月以降に「ゼロ金利」政策(“zero interest rate” policy)から段階的に金利を引き上げる計画にも影響を与える可能性が高い。この政策は、数十年にわたるデフレ圧力から経済を脱却させるために策定されたものである。為替レートは厳密には日銀の管轄外であるが、金利上昇に伴う円高は、輸入コストの低下を通じてインフレ圧力をいくらか緩和するのに役立つだろう。

戦略や防衛問題はあまり目立たないが、日本は決して手をこまねいているわけではない。安倍首相の約9年間の任期が2020年に終了して以来、3人の短期政権を経験したが、日本は「志を同じくする」国々(“like-minded” countries)との関係構築に熱心に取り組んできた。これは使い古された表現であるが、世界中のアメリカの同盟諸国がワシントンからの混乱に直面し、独自のネットワーク構築に奔走していることを示している。

最近の例としては、イギリス海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズを筆頭とする機動部隊が、日本を含むアジア地域に8カ月間展開したことが挙げられる。イギリスとイタリアは、日本国旗を掲げるだけでなく、アメリカの軍装備品への依存からの脱却を図るため、イタリアと戦闘機プログラムで提携しています。

近年、このような協定が相次いで締結されています。日本は、オーストラリア、イギリス、アメリカを連携させるAUKUS(オーカス)プロジェクトの非公式パートナーだ。また、アメリカ、オーストラリア、インドを連携させる四カ国安全保障対話(the Quadrilateral Security Dialogue)にも参加している。この3カ国は、それぞれ独自の緊張関係を抱えている。

日本は、この地域の他の国々、特に中国との対立を抱えるフィリピンを支援している。これには、1980年代から1990年代にかけて海上自衛隊が使用した中古フリゲート艦の移転も含まれると見込まれている。また、オーストラリアが次世代フリゲート艦の建造を巡る入札で、日本は意外な落札者となったが、契約交渉はまだ続いている。

日本では、政権が交代しても、このような戦略的取り組みの方向性が変わることはほぼない。国内の政治的混乱にもかかわらず、日本は依然としてアジアおよび世界においてある種の安全な避難場所を提供している。前例と安定を重んじる国が、突然トランプのような方向転換(a Trumpian detour)をするリスクは低いように思われる。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリスト。2015年から『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿している。ロイター通信と『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で勤務し、20年以上にわたり日本の政治と経済を取材してきた。彼はまた、カルロス・ゴーン事件とその日本への影響に関する2021年の本の共著者でもある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

古村治彦です。
 2025年10月10日、不注意によって転倒し、左手薬指を脱臼し、2025年10月16日に靭帯の縫合手術を受けました。11月発売の新刊のゲラの修正も同時に行っておりました。現在、パソコンのキーボードを打つのが不自由な状態で、ブログの更新が滞りがちになります。まことに申し訳ございません。歩き慣れた道での転倒で、油断もあったと思いますが、筋力低下や柔軟性の低下で足が上がらないということもあったと思います。回復に務めつつ、筋力の維持のためのトレーニングも行ってまいります。皆様におかれましても、お気を付けください。

 第二次トランプ政権の「国家防衛戦略(National Defense StrategyNDS)」の策定が進められている。以下の記事で重要な点は、政権幹部たちは不法移民や麻薬売買対策といった国内問題、国土防衛を最優先し、対中強硬姿勢を改めるという考えを持っており、それに対して、アメリカ軍の制服組、職業軍人たちが懸念を持っているということだ。

 アメリカの国力では中国との戦争を戦うことはできないし、世界の警察官となって世界を管理することはできない。そうなれば、国内に引き上げていくのが当然だ。そうなると、アメリカ軍の規模は縮小される。結果として、将官やポストの数は減らされる。巨大官僚組織であるアメリカ軍はそれを受け入れることはできない。また、国防予算も縮小され、「軍産複合体」の原資も減っていくことになる。

 私の新著のテーマは「軍産複合体」である。現在、アメリカで起きている「新・軍産複合体づくり」の動きを詳述している。今回の動きはその一環だ。是非、新刊を読んでみて欲しい。

(貼り付けはじめ)

国防戦略草案に懸念表明 米軍首脳、対中より国内問題優先で―報道

時事通信 外信部202510011413分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025100100671&g=int

 【ワシントン時事】9月30日付の米紙ワシントン・ポストは、トランプ政権が策定中の「国家防衛戦略」の草案に関し、米軍首脳が深刻な懸念を表明したと報じた。中国抑止を重視するこれまでの路線を変更し、不法移民や麻薬流入など国内問題を優先しているためだという。

 報道によると、懸念を表明したのは制服組トップのケイン統合参謀本部議長を含む複数の米軍最高幹部。ケイン氏はヘグセス国防長官やコルビー国防次官(政策担当)に「非常に率直に意見を述べた」とされる。

=====

対中より本土防衛優先か トランプ政権の次期国防戦略―米

時事通信 外信部202509081750分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025090600301&g=int

 【ワシントン時事】米政治専門紙ポリティコ(電子版)は5日、国防総省がトランプ政権の安全保障政策の指針となる「国家防衛戦略」で、対中国よりも本土防衛を優先する方針を打ち出す見通しだと報じた。次期国防戦略は早ければ10月にも公表されるという。

 同紙が関係者の話として報じたところによると、8月下旬にヘグセス国防長官に提出された国防戦略の草案は、中国やロシアへの対抗ではなく、本土と周辺地域での任務を最優先に位置付けた。中国抑止を重視するこれまでの路線を変更するもので、関係者は「米国と同盟国にとって重大な転換になる」と述べた。

 トランプ大統領は1月の就任後、不法移民対策でメキシコとの国境に兵士を配備したほか、「治安維持」名目で国内の大都市に州兵を派遣。麻薬流入阻止を掲げ、カリブ海で麻薬密輸船を攻撃した。

 第1次トランプ政権が2018年に発表した国防戦略は、「対テロ」から中ロとの大国間競争へと重心を移した。バイデン前政権下の22年の戦略も同じ路線を継承しつつ、対中国をより前面に押し出した。

 次期戦略は国防総省ナンバー3のコルビー国防次官(政策担当)が策定を主導している。世界規模で米軍の配置を見直す文書も公表する予定という。

=====

ピート・ヘグゼス国防長官の新たな国防総省戦略にアメリカ軍最高幹部たちが懸念を表明(Military leaders voice concern over Hegseth’s new Pentagon strategy

-統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍を含む複数の高官からの批判は、ピート・ヘグゼス国防長官がアメリカ軍の優先順位を再編する中で表明された。

ノア・ロバートソン、タラ・コップ、アレックス・ホートーン、ダン・ラモース筆

2025年9月29日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/national-security/2025/09/29/hegseth-national-defense-strategy-trump-dissent/?nid=top_pb_signin&arcId=6PCTHCEQF5GUTIHZD344XKXWBM&account_location=ONSITE_HEADER_ARTICLE

アメリカ軍最高幹部たちはトランプ政権の次期国防戦略(forthcoming defense strategy)について深刻な懸念を表明しており、ピート・ヘグゼス国防長官が火曜日にヴァージニア州において、最高幹部たちを異例の会議に招集する中で、国防総省内での政治指導部と制服組指導部の間の分裂(a divide between the Pentagon’s political and uniformed leadership)が露呈したと現職および元職の当局関係者8人が明らかにした。

統合参謀本部議長のダン・ケイン大将を含む複数の高官たちからの批判は、ヘグゼス長官がアメリカ軍の優先事項を再編する中で出された。国防総省は本土への脅威認識に重点を置き、中国との競争を縮小し、ヨーロッパとアフリカにおける米国の役割を重要視していない。

ドナルド・トランプ大統領は、クワンティコ海兵隊基地で開催される将軍と提督が急遽招集されたこの会合に出席する予定だ。制服組の指導者たちは大量解雇や、戦闘指揮系統と軍階級の抜本的な再編を懸念しているが、ヘグゼス長官は軍の基準と「戦士の精神(warrior ethos)」について演説するとみられる。

国防総省が資源の優先順位付けを行い、世界各地にアメリカ軍を配置する主要な指針となる国家防衛戦略(National Defense StrategyNDS)をめぐる議論は、トランプ政権の型破りな軍事アプローチの中で舵取りを迫られる軍高官にとって、新たな課題となっている。

編集プロセスに詳しい関係者たちは、他の人々と同様に匿名を条件に、デリケートな審議について語った。彼らは、大統領の極めて個人的で、時に矛盾する外交政策へのアプローチを考えると、この計画は近視眼的で、的外れである可能性があると感じており、不満が高まっていると述べた。

国防総省のショーン・パーネル報道官は、機密文書の内容や、文書の編集プロセスで懸念が提起されたかどうかについてコメントを控えた。

パーネル報道官は、「ヘグセス国防長官は、トランプ大統領の常識的な『アメリカ第一主義、力による平和』政策(America First, Peace Through Strength agenda)の推進に焦点を絞った国家防衛戦略の策定を指示した。このプロセスはまだ進行中だ」と述べた。

国防総省政策局内のトランプ大統領の政治任命職員(中には、ヨーロッパと中東に対するアメリカの長年の関与を批判してきた当局者も含まれる)が戦略を起草し、現在最終編集段階にある。

この草案は、世界各地の戦闘司令部から統合参謀本部に至るまで、軍の指導者に広く共有されているが、関係者3人によると、その中には、この計画の優先事項が、世界中の危機に対応するために設計された部隊にとってどのような意味を持つのか疑問視する者もいた。

複数の関係者によると、起草過程で反対意見が出るのはよくあることだが、この文書を懸念する当局者の数、そして批判の大きさは異例だ。

事情に詳しい2人の関係者によると、ケイン統合参謀本部議長はここ数週間、国防総省の幹部たちに懸念を伝えていたという。

「ケイン統合参謀本部議長はヘグセス長官に非常に率直なフィードバックを与えた」と2人のうちの1人は述べ、国防総省の政策責任者であるエルブリッジ・コルビーも議論に参加していたことを指摘した。この人物は「ヘグセス氏が国家防衛戦略の重大性を理解しているかどうかさえ分からない。だからこそ、ケインはあれほど努力したのだと思う」と述べた。

2人目の関係者は、ケイン統合参謀本部議長が国家安全保障戦略(NDS)において、紛争において中国を抑止し、必要であれば打ち負かすための軍の整備に引き続き重点を置くよう働きかけてきたと述べた。

ヘグセス長官と政策当局者たちは、国防総省がヨーロッパから一部部隊を撤退させ、司令部を統合する意向を示しているが、これは特にロシアによるウクライナ戦争や、最近のNATO領空への度重なる侵攻を受け、同盟諸国の一部を不安に陥れる形となっている。長年にわたり、国防総省の戦略は、国の最善の防衛策は海外で強固な軍事同盟を構築・維持することであるという考えに基づいてきた。

第二次トランプ政権内で、この海外重視アプローチを批判する人々は、国内の利益を守るどころか、外国での多額の費用がかかる戦争にアメリカを泥沼に陥れていると主張している。トランプ大統領のこれまでのアプローチは、同盟諸国に自国の防衛費増額を促すことに重点を置いており、時には国内の防衛費増額を訴えている連邦議会共和党の国防強硬派を疎外することもあった。

トランプ大統領はイエメンとイランで爆撃作戦を実施してきているものの、その主な焦点はアメリカ本土に近い任務への軍の増強にある。

トランプ大統領の指揮下で、国防総省は今年、カリブ海で麻薬密売容疑者たちを攻撃し、南部国境にアメリカ軍と武器を配備した。また、州兵と海兵隊をアメリカの各都市に派遣し、国外追放活動を支援し、大統領が「制御不能(out of control)」と呼ぶ都市犯罪の抑制に努めた。これらの国内派遣の一部は、現在裁判で争われている。

トランプ大統領は週末、ソーシャルメディアでオレゴン州ポートランドへの部隊派遣を命じ、ポートランドで散発的な抗議活動を引き起こしている移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)の職員を守るため、部隊に「全力(full force)」を行使することを認めた。ヘグセスは日曜日、オレゴン州兵へのメモで、この任務には約200人の州兵の連邦化(federalizing)が含まれると述べた。

複数の関係者によると、新戦略に対する内部からの批判の多くは、中国が急速な軍備増強を続け、アメリカ軍関係者が太平洋におけるアメリカの優位性を低下させていると警告しているにもかかわらず、国家防衛戦略の草案がアメリカ本土への脅威を強調していることに向けられている。

文書には依然として中国に焦点を当てた部分も相当数あるが、それらはアメリカにとって最大の敵国との世界的な競争というよりも、台湾攻撃の脅威に大きく集中していると5人の関係者は述べている。コルビーは長年、アメリカ軍は中国の侵攻リスクへの備えができていないと警告し、ワシントンに対しこの問題への注意と資源の集中を求めてきた。

ある元当局者は、この戦略について「十分に検討されていないのではないかという懸念がある」と述べた。

この文書の論調は過去の戦略よりもはるかに党派的(partisan)であり、ヘグセス長官の演説と同様のレトリックで、バイデン政権がアメリカ軍の衰退を招いたと述べていると、計画に詳しい2人の関係者は述べている。

一方、ヘグセス長官はアメリカ軍の改革を主導しており、米軍を統括する約800人の将軍と提督を20%削減し、アメリカ軍の戦闘部隊の指揮系統を再編することを約束している。ヘグセス長官は既に、チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア統合参謀本部議長やリサ・フランケッティ海軍作戦部長など、高官を解任している。これらの解任では、不釣り合いなほど多くの女性が解任されている。

『ワシントン・ポスト』紙が3月に初めて詳細を報じた国防総省の暫定防衛戦略には、台湾と本土防衛への同様の重点が含まれており、両方の優先事項を満たすために世界の他の地域で「リスクを負う(assume risk)」よう国防総省の指導者に促すまでになっている。

この暫定文書は、国内外で軍人をより積極的な役割で活用するという新たな戦略にも示唆を与えていた。文書によると、ヘグゼス国防長官は国防総省に対し、「国境封鎖、不法な大量移民、麻薬密売、人身売買、その他の犯罪行為を含む侵略行為の撃退、そして国土安全保障省と連携した不法移民の国外追放に重点的に取り組む」よう指示した。

=====

国防総省の計画は中国の脅威よりも国土防衛を優先する(Pentagon plan prioritizes homeland over China threat
-これは北京への抑止力を重視した第一次トランプ政権からの大きな転換を示すものだ。

ポウル・マクリーリー、ダニエル・リップマン筆

2025年9月5日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2025/09/05/pentagon-national-defense-strategy-china-homeland-western-hemisphere-00546310

国防総省の高官たちは、国防総省がアメリカ本土と西半球の防衛を優先するよう提案している。これは、長年にわたり中国の脅威に焦点を当ててきた軍の任務からの、際立った転換だ。

先週、ピート・ヘグセス国防長官の机に届いた最新の国家防衛戦略(National Defense Strategy)の草案は、北京やモスクワといった敵対諸国への対抗よりも、国内および地域的な任務を優先していると、報告書の初期ヴァージョンについて説明を受けた3人の関係者が述べている。

この動きは、ドナルド・トランプ大統領の最初の任期を含む、近年の民主党政権と共和党政権の、北京をアメリカ最大のライヴァルと呼んだ状況からの大きな転換となるだろう。また、中国の指導部をアメリカの安全保障に対する脅威と見なす、両党の対中強硬派を激怒させることも予想される。

「これはアメリカと複数の大陸にまたがる同盟諸国にとって大きな転換となるだろう」と、草案について説明を受けた関係者の1人は述べた。彼は「アメリカの古くからの、信頼されてきた約束に疑問を持たれている」と発言した。

この報告書は通常、政権発足時に公表されるため、ヘグセス長官は計画に変更を加える可能性がある。しかし、多くの点で、この転換は既に起こりつつある。国防総省は、ロサンゼルスとワシントンDCの法執行機関を支援するため、数千人の州兵を動員し、アメリカへの麻薬の流入を阻止するため、複数の軍艦とF-35戦闘機をカリブ海に派遣した。

今週、アメリカ軍は国際水域(international waters)でヴェネズエラのトレン・デ・アラグア・ギャングの構成員とみられる11人を殺害したとみられる。これは、軍による非戦闘員殺害への大きな一歩となる。

国防総省はまた、メキシコとの南部国境に軍事化ゾーン(a militarized zone)を設定し、軍が民間人を拘束できるようにした。これは通常、法執行機関(law enforcement)の任務である。

この新たな戦略は、中国への抑止力を国防総省の最重要課題としていた、トランプ政権初期の2018年国家防衛戦略の重点を大きく覆すものとなるだろう。

この文書の冒頭には「中国とロシアが、自国の権威主義モデル(authoritarian model)と整合した世界を構築しようとしていることは、ますます明らかになっている」と記されている。

報告書について説明を受けた、共和党のある外交政策専門家は、この変化は「トランプ大統領の対中強硬姿勢とは全く一致していないように思える」と述べた。この専門家も、他の専門家と同様に、微妙な問題について匿名で話した。

トランプ大統領は、北京に莫大な関税を課すことや、モスクワでの軍事パレードで北朝鮮の金正恩委員長とロシアのウラジーミル・プーティン大統領と会談した後、習近平国家主席がアメリカに対して「陰謀を企てている」(“conspiring against” the U.S.)と非難するなど、中国に対して強硬な姿勢を示し続けている。

国防総省の政策責任者であるエルブリッジ・コルビーがこの戦略を主導している。彼はトランプ大統領の最初の任期中に2018年版の策定に重要な役割を果たし、より孤立主義的な政策を強く支持してきた。長年対中強硬派として活動してきたコルビーだが、アメリカを対外的な関与から切り離したいという点では、JD・ヴァンス副大統領と意見が一致している。

コルビーの政策ティームは、今後予定されている世界情勢の見直し(世界各地におけるアメリカ軍の駐留場所を概説する)と、アメリカと同盟諸国の防空体制を評価し、アメリカのシステムの配置場所に関する提言を行う戦域防空ミサイル防衛の見直しも担当している。国防総省は、早ければ来月にも両見直しを発表する予定だ。

国防総省報道官は、この見直しについてコメントを控えた。ホワイトハウスもコメント要請に応じなかった。

これら3つの文書は、多くの点で相互に関連している。ある関係者によると、それぞれの文書は、同盟諸国に対し、自国の安全保障に対する責任をより強く負うよう求めることを強調する一方で、アメリカはより国土に近い取り組みを強化するという。

同盟諸国は、この国際情勢見直し(global posture review)の影響を特に懸念している。なぜなら、この見直しによってアメリカ軍がヨーロッパや中東から撤退し、重要な安全保障支援プログラムが削減される可能性があるからだ。

国防総省当局者とヨーロッパ各国の外交官たちは、国防総省のバルト海安全保障イニシアティヴ(ラトヴィア、リトアニア、エストニアの防衛および軍事インフラ整備を支援するため、年間数億ドルを助成している)が今年資金を失うという『フィナンシャル・タイムズ』紙の報道を確認した。

ある外交官は、このイニシアティヴの資金はアメリカ製兵器の購入に充てられ、「強力な支持を受け、主要能力の開発を加速させ、ハイマース(HIMARS)のようなアメリカ製システムの取得を可能にしてきた」と指摘した。

NATO同盟諸国は、ヨーロッパに駐留する約8万人のアメリカ軍兵士の一部が今後数年間で撤退するとの見方を強めている。しかし、各国の影響の受け方は異なり、最終的にはトランプ大統領の気まぐれに左右されることになる。

水曜日にポーランドの新大統領がホワイトハウスを訪問した際、トランプ大統領は、アメリカはポーランドから軍を撤退させるつもりはないと述べた。しかし、アフリカ大陸の他の地域では軍の削減を検討していることを認めた。

「むしろ、ポーランドに兵力を追加するつもりだ」とトランプ大統領は述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 2025年6月21日、ドナルド・トランプ大統領はアメリカ軍に命じて、アメリカ空軍の戦闘機にイラン国内の核関連施設3カ所を攻撃させた。中東情勢は緊迫化を増すが、イランがアメリカを攻撃する力はない。イスラエルに対するミサイル攻撃が反撃の柱になるだろう。アメリカとイスラエルは中東地域において完全な敵役となった。イスラエルのイラン攻撃には、中国やロシアが

ヨーロッパ(ウクライナ)、中東(イスラエル、イラン)ときな臭くなっているが、アジア地域は安定し、世界経済のエンジンとなっている。アメリカのトランプ政権は、日本をはじめとするアジア諸国に防衛費の増額を求めている。日米間では、日本の国防費の対GDP比をアメリカ並みの3.5%にせよと求めたという報道が出た。そして、ついには、5%にせよという無茶苦茶な要求まで出た。現在が1.8%程度だが、その2倍、3倍にせよという要求だ。日本の国民生活や経済のことなど何も考えていない。それは当然のことで、アメリカの属国である日本からは搾り取れるだけ搾り取るのがアメリカの国益だ。正確には、アメリカにとって唯一の「競争力のある」製造業である軍事産業の利益である。現在でも重税で苦しんでいるが、日本国民はさらに増税で苦しめられることになる。
usdefensebudgetaspercentageofgdp1940-2025
 アメリカは世界最大の防衛費を誇り、最強の軍隊を保有している。防衛費の対GDP比を見てみると、最近になって減少させている。4%を切って、3%台になっている。防衛費もアメリカにとって重い負担になっている。この負担を他に押し付けようというのがアメリカの魂胆でもある。そのターゲットが日本である。日本を中国に対する「番犬」にしようということになる。米国防総省序列第3位の国防次官(政治担当)のエルブリッジ・コルビーの著書は日本でも翻訳が出ているが、日本に「大軍拡」を求めている。それは中国に対する抑止のためだが、アメリカと中国が直接廠とすることは想定しない。ウクライナやイランに比べて、中国は国際社会における存在感が桁違いだ。そこは伸長にならねばならないが、日本に「汚れ仕事」をやらせることで、いざとなれば、「日本が暴走しただけで、自分たちは関係ない、それどころか、日本は米中両国で抑えねばならない」ということになって、日本は切り捨てられることになるだろう。

日本は戦争をしてはいけない。戦争につながる動きにも敏感にならねばならない。アメリカは日本を戦争に巻き込もうとしている、いや、正確には日本を捨て駒にしようとしている。そもそも防衛費を現在の3倍、4倍ににしたら、国民生活は困窮の度を深める。庶民からはこれ以上搾り取れないとなったら、後は富裕層や大企業から取るしかない。「皆さんが安心して金儲けができるためのショバ代ですよ」ということで、増税することになるだろう。海外に逃げることも許されないだろう。私たちは戦後体制についてよくよく再考しなければならない。
(貼り付けはじめ)
防衛費GDP比5%要求 米政権、日本含むアジア同盟国に

時事通信 外信部202506220747分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062200115&g=int

 【ワシントン時事】トランプ米政権は日本を含むアジア太平洋の同盟国に対し、防衛費を国内総生産(GDP)比5%に増やすよう要求した。国防総省のパーネル報道官が21日、取材に明らかにした。日本政府は2027年度に防衛費をGDP比2%に引き上げる方針だが、トランプ政権は大幅な積み増しを迫った格好で、日本国内でも増額に関する議論が熱を帯びそうだ。

 パーネル氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国がGDP比5%の防衛費目標を協議していると指摘。「中国の大規模な軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発を考慮すると、アジア太平洋地域の同盟国が欧州の水準とペースに迅速に追いつくべきなのは当然だ」と強調した。

 また、「これはアジア太平洋地域の同盟国の安全保障上の利益だ。アジアの同盟国とのより均衡の取れた、より公平な負担分担は米国民にとっても利益となる」と主張。「トランプ大統領のアプローチは、この常識的な考えに基づくものだ」と理解を求めた。

=====

●「トランプ米政権が日本に防衛費GDP35%要請か 英紙報道、3%から引き上げ」

産経新聞 2025/6/21 06:40

https://www.sankei.com/article/20250621-EVLR2GBOLFIJHE7ABJZUI7V6F4/

【ワシントン=坂本一之】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は20日、トランプ政権が日本の防衛費に関し国内総生産(GDP)比で35%に引き上げることを求めたと報じた。日米関係筋は35%への引き上げ要請について「聞いていない」としている。トランプ政権は北大西洋条約機構(NATO)加盟国にGDP5%を求めていて、オーストラリアには35%を要求するなどアジア太平洋地域の同盟国にも増額を求めている。

同紙によると米側は当初、日本の防衛費に関しGDP3%を主張していたが、最近になって増額規模を引き上げて35%を要請。国防総省ナンバー3として政策立案を担うコルビー政策担当次官のアイデアという。

日本側は、71日に米国で予定していた日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)開催を取りやめたとしている。

コルビー氏は3月、議会の公聴会で日本の防衛費について「少なくともGDP3%を可及的速やかに支出すべきだ」と主張していた。

ヘグセス国防長官は5月末にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ対話)で、NATO5%を「新たな模範」としアジア太平洋地域の同盟国にも増額を呼び掛けていた。同会議に合わせて開いた米豪防衛相会談では、オーストラリアに35%への引き上げを求めている。

国防総省のパーネル報道官は20日、アジア太平洋地域の同盟国の防衛費について「中国の大規模な軍事力増強や北朝鮮の核・ミサイル開発を考えると、欧州の防衛費の水準に追いつくよう迅速に対応することは常識的だ」と述べた。

=====

米、日本に防衛費3.5%要求 反発で2プラス2見送りか―英紙報道

時事通信 外信部202506210839分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062100227&g=int

 【ワシントン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は20日、トランプ米政権が日本に対し、防衛費を国内総生産(GDP)比3.5%に引き上げるよう要求したと報じた。もともとの要求は3%だったため、日本側は反発し、7月1日で調整していた外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の開催を見送ったという。

 報道によると、米国防総省ナンバー3のコルビー国防次官(政策担当)が最近、3.5%目標を求めた。要求拡大が日本側の「怒りを買った」とされる。

 7月20日に参院選の投開票が見込まれることも、2プラス2開催見送りの一因となった。日本側は2プラス2開催が参院選に与える影響を懸念した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

trumpnodengekisakusencover001

『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 マイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任(更迭)・国連大使転身に関する優れた分析記事を以下に掲載する。韓国の進歩主義派・リベラルの有力紙『ハンギョレ新聞』に掲載されている。是非、アクセスしてお読みいただきたい。韓国や中国の新聞は記事の日本語訳を掲載している場合が多く、韓国語や中国語ができない読者にとっては非常にありがたい。

 以下に記事では、マイク・ウォルツ大統領補佐官の更迭は、ウォルツが政権内で、イラン攻撃などの強硬な意見を主張し続けたために、他の政府高官たちと衝突したということが書かれている。そして、その背景には、共和党内部の外交政策分野における3つのグループの存在があり、それぞれで角逐しているということだ。3つのグループについて、以下の記事から以下に引用する。

(引用はじめ)

(略)トランプ氏が2016年の共和党大統領候補の選出によって米国の保守陣営に勢力を伸ばして以来、政府と共和党では対外政策をめぐり覇権主義者(primacist)、優先主義者(prioritizer)、抑制主義者(restrainer)という3グループが角逐してきた。抑制主義者や優先主義者の位置づけがさらに固まったと言えるだろう。

伝統的な共和党の主流路線である覇権主義者は、米国が世界的な指導力と軍事力を維持でき、維持し続けなければならないとする立場だ。上記のとおり、これらの人々は第2次トランプ政権発足後にほとんどが排除されたうえ、ウォルツ氏の更迭によって決定的な打撃を受けた。しかし、共和党内では依然として勢力を保っている。優先主義者は、中東と欧州から米国の介入と役割を撤退させ、中国への対処に集中すべきだとするグループだ。抑制主義者は、海外における米国の軍事介入を可能な限り縮小し、自制すべきだとする立場だ。

(貼り付けはじめ)

 この3つのグループ分けは、現在、国防総省序列第3位の国防次官(政策担当)によって提唱されたものだ。私はこれまで、アメリカの外交政策分野について、2つのグループ、介入主義(Interventionism)とリアリズム(Realism)という分け方をしていたが、現在では、このグループ分けが取り上げられるようになっている。しかし、大筋ではほぼ同じだ。

 マイク・ウォルツは覇権主義者のグループで、このグループは第1次トランプ政権に多くが参加していたが、第2次トランプ政権ではもともと少なく、それがマイク・ウォルツ補佐官の辞任(更迭)で決定的になったということだ。優先主義者(対中強硬派)と抑制主義者が主導権を握った形であるが、優先主義者は対中強硬姿勢を強めようとしているが、これはうまくいっていない。ドナルド・トランプ大統領の考えに近いのは抑制主義者であり、覇権主義者グループが勢力を落とす中で、今度は優先主義者と抑制主義者の争いになることが予想される。厄介なのは、優先主義者と抑制主義者の間の違いが曖昧になっていることだ。

 大きく言えば、優先主義者も抑制主義者もどちらも抑制主義ということになる。「中国と戦争をすることまでは望んでいない(そんなことはできない)」という優先主義者は多い。彼らは中国の拡大を抑制することを目標にしているが、トランプ高関税での失態で明らかになっているように、中国を封じ込めることはもはや不可能である。優先主義者が画策をして、中国からアメリカに何かを仕掛けるように仕向けようとすることも考えられるが、中国はそれに乗ることはないだろうし、中国とアメリカの緊張が高まることで、経済的にもアメリカも相当な損失を出すことになる(既に出ている)。

 アメリカと中国が「仲良く喧嘩する」という関係を築くことで、世界は安定する。世界の大きな流れは世界覇権国の交代へと向かっている。アメリカをできるだけ穏やかに退位させて、中国をできるだけスムーズにその座に就ける。これが理想であるが、現実はそのようにいかないだろう。

(貼り付けはじめ)

●「伝統的な米国タカ派の没落…「トランプ主義者」だけが残る」

登録:2025-05-06 09:34 修正:2025-05-06 11:05

https://japan.hani.co.kr/arti/international/53118.html

[チョン・ウィギルのグローバル・パパゴ]  

米国の対外政策、トランプ主義を深化

マイケル・ウォルツ前大統領補佐官(国家安全保障担当)が先月30日、ホワイトハウスの閣議に参加した際の様子。1日、米国のドナルド・トランプ大統領はウォルツ氏を更迭して国連大使に指名する計画を明らかにした。米国の軍事介入に積極的なウォルツ氏の更迭でトランプ政権における伝統的タカ派の位置づけはさらに縮小されることになった=ワシントン/UPI・聯合ニュース

<チョン・ウィギルのグローバル・パパゴとは

「パパゴ」は国際公用語のエスペラント語で「オウム」の意味。鋭い洞察力と豊富な歴史的事例を備えたチョン・ウィギル先任記者が、エスペラント語で鳴くオウムとなって国際ニュースの行間をわかりやすく解説します。>

 

[何が起きているのか]

 米国ホワイトハウスのマイケル・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)が更迭されたことによって、ドナルド・トランプ政権内では、米国の海外軍事介入を主張する伝統的タカ派の影響力がよりいっそう縮小されることになった。

 ウォルツ氏の更迭は、同氏がイランに対する軍事攻撃など伝統的なタカ派の見解を主張し、米国の軍事海外介入に懐疑的なトランプ大統領の対外政策の哲学に反したためだと、ワシントン・ポストが3日報じた。特に、ウォルツ前補佐官は2月初め、米国を訪問したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と事前に面会し、イランに対する軍事攻撃案を協議し、トランプ大統領の怒りを買ったと同紙は報じた。()ウォルツ氏は3月初め、米軍によるイエメンのアンサールッラー(フーシ派)に対する攻撃を議論する国家安全保障チームの高官たちが参加する民間の通信アプリ「シグナル」のチャットルームに、誤ってアトランティック誌の記者を招待した「シグナル・ゲート」をきっかけに退陣の圧力を受けていたが、トランプ大統領は同氏の更迭を拒否していた。同紙は、ウォルツ氏更迭の背景には、彼が任期当初から米国の海外軍事介入を好む伝統的タカ派の見解を主張し、ホワイトハウス内外で他の官僚らと衝突していた点にあると指摘した。(ハンギョレ54日付)

Q.「シグナル・ゲート」の当事者であるウォルツ氏がとうとう更迭された。トランプ氏の対外政策を後押しできなかったのが理由だったのであれば、シグナル・ゲートのときに更迭しておけばもっと格好がついたのではないか。

 

A.トランプ氏がシグナル・ゲートでウォルツ氏を更迭するとなると、国家の機密セキュリティーがずさんだったことを自ら認めることになり、都合が悪い。トランプ氏は2016年の大統領選挙の際、民主党のヒラリー・クリントン候補が国務長官を務めていた際に私用の電子メールを使ったとして猛攻撃を浴びせた。しかし、シグナル・ゲートは、ヒラリー氏の私用電子メールの使用よりひどいセキュリティー事故だ。これを認めたくなかったのだ。ただしシグナル・ゲートは、米国の海外軍事介入を主張する伝統的な共和党タカ派の見解を持ったウォルツ氏に対するトランプ氏の信任を決定的に失わせたようだ。

 

Q.ところでウォルツ氏はなぜ、トランプ氏とその支持層の不満を集めたのか。何を主張したのか。

A.トランプ氏は政権1期目の際には、伝統的な共和党主流の人物たちを外交安全保障チームに起用した。国務長官のレックス・ティラーソンに続きマイク・ポンペオ、国防長官にはジェームズ・マティス、大統領補佐官(国家安全保障担当)にはハーバート・マクマスターに続きジョン・ボルトン、ホワイトハウス首席補佐官にはジョン・ケリーなど、共和党主流の要人もしくはネオコンを起用した。彼らは国際秩序における米国の責任と覇権を重視し、そのためには米国の海外軍事介入もためらわなかった。第1次トランプ政権内で「大人の軸」と呼ばれた彼らは、対外政策でトランプ氏と衝突し、最終的には全員辞任した。事実、トランプ氏が強引に進めた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談が実を結ばなかったのは、ボルトン氏らの妨害が原因によるものだった。

 トランプ氏は、国際秩序維持に米国が責任を負い、費用を支払う必要があることに同意しない。そのため、米国の海外軍事介入には懐疑的だ。これは、トランプ氏を支持する米国の中下流層の白人が主軸である「米国を再び偉大に(MAGA)」陣営の見解だ。そのため、トランプ氏は大統領再選後、外交安全保障チームをトランプ主義者でほぼ固めた。就任前から息子のトランプ・ジュニア氏はネオコンを政権から排除すると公言していた。実際にトランプ氏は、入閣が期待されていたマイク・ポンペオ氏やニッキー・ヘイリー氏らはあえて起用しないと発表した。かわりに、国防長官にフォックス・ニュースの司会者出身で熱烈なMAGA支持者であるピート・ヘグセス氏、国務長官には共和党タカ派からトランプ忠誠派に転向したマルコ・ルビオ氏を起用する一方、ホワイトハウスと国防総省・国務省の実務官僚や幹部もトランプ主義者で固めた。

 陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の隊員を務め、ジョージ・ブッシュ政権の官僚出身のウォルツ氏は、今回の事件前から、トランプ氏の路線に反する見解を示しており、対立があったと報じられた。シグナル・ゲートの直後にウォルツ氏がアフガニスタンとシリアからの米軍撤収に反対し、米国によるウクライナ防衛を支持するなど、トランプ氏の現在の外交・安全保障政策に反していた事実が、敵対者によって暴露され広められた。ウォルツ氏は、共和党内でトランプ氏を最も強く非難した政敵であるリズ・チェイニー前下院議員とは安全保障関連の法律の制定で一緒に仕事をしており、2016年の大統領選挙の際に「トランプを阻止すべき」と発言している動画などが拡散された。トランプ氏としては、第1次政権のときに起用した伝統的な共和党主流あるいはタカ派の人たちとの対立を再現させまいとして、ウォルツ氏を更迭したとみるべきだろう。

Q.トランプ氏が就任からわずか100日ほどで、最高の要職である大統領補佐官(国家安全保障担当)を更迭したのは、それだけトランプ氏の対外政策が混乱していることを物語っているのではないか。

A.そうみなすこともできるが、米国の保守陣営や対外政策において、トランプ氏とMAGA陣営の掌握力が確固たるものになっているという側面の方が重要だと思われる。トランプ氏は政権1期目のときは、ほぼ任期終了近くまで共和党主流派の人物たちを起用して頼りにした。しかし今回は、任期初めからすべての政権閣僚と実務官僚をトランプ主義者で固め、伝統的な観点でみれば穏健派とも言えるウォルツ氏までも切った。

 ウォルツ氏の更迭前に、すでに外交・安保分野では粛清が進められていた。トランプ氏は4月初めに、国家安全保障局局長であり、サイバー司令部司令官であるティモシー・ホーク空軍大将、国家安全保障局のウェンディ・ノーブル副局長、国家安全保障会議(NSC)内の国際機構局長ら局長級4人など、少なくとも10人の外交・安保の高官を解任した。トランプ氏はホーク局長を解任した当日に「われわれはいつでも人を交替する」としたうえで、「われわれが好まなかったり、利益を得ようとしたり、他人に忠誠を尽くそうとする人たち」が対象だと述べ、この解任が粛清作業であることを示唆した。

 特にトランプ氏は、側近であり極右の陰謀論者であるローラ・ルーマー氏に会った後、ルーマー氏の助言で粛清を進めたと、米国メディアは報じている。ルーマー氏はXなどのソーシャルメディアで、ホーク将軍と副局長のノーブル氏はトランプ政権に非協調的であり、忠誠心が足りなかったと主張した。ルーマー氏はマーク・ミリー前統合参謀本部議長を反逆者だと主張しているが、ホーク将軍はミリー氏によって起用され、ノーブル副局長はトランプ氏の批判者であったジェームズ・クラッパー前国家情報局長と近い関係という点も問題にされた。

Q.ならば、ウォルツ氏の更迭はトランプ政権の外交・安保チームがトランプ主義者一色に変わる変曲点になるのだろうか。

A.トランプ氏が2016年の共和党大統領候補の選出によって米国の保守陣営に勢力を伸ばして以来、政府と共和党では対外政策をめぐり覇権主義者(primacist)、優先主義者(prioritizer)、抑制主義者(restrainer)という3グループが角逐してきた。抑制主義者や優先主義者の位置づけがさらに固まったと言えるだろう。

 伝統的な共和党の主流路線である覇権主義者は、米国が世界的な指導力と軍事力を維持でき、維持し続けなければならないとする立場だ。上記のとおり、これらの人々は第2次トランプ政権発足後にほとんどが排除されたうえ、ウォルツ氏の更迭によって決定的な打撃を受けた。しかし、共和党内では依然として勢力を保っている。優先主義者は、中東と欧州から米国の介入と役割を撤退させ、中国への対処に集中すべきだとするグループだ。抑制主義者は、海外における米国の軍事介入を可能な限り縮小し、自制すべきだとする立場だ。

 抑制主義者の代表的人物としては、米国の情報機関を総括する国家情報局長に起用されたトゥルシー・ギャバード氏、JD・バンス副大統領、ランド・ポール上院議員、スティーブン・バノン元ホワイトハウス首席戦略官、北朝鮮担当特使と言えるリチャード・グレネル特使らがいる。優先主義者としては、理論的リーダーであるエルブリッジ・コルビー国防総省政策次官、ジョシュ・ホーリー上院議員が代表格だ。コルビー氏は在韓米軍を北朝鮮抑止でなく中国との対決に回すべきだとまで主張している。

Q.優先主義者や抑制主義者の勢力拡大が対外政策に及ぼす影響は何か。

A.優先主義者と抑制主義者は、トランプ氏のMAGA運動が勢力を拡大するなかで、自分たちを「米国第一主義の保守現実主義者」だと称する勢力が分化していったとされる。そのため、優先主義者と抑制主義者の境界は実際にはあいまいだ。優先主義者の理論的リーダーであるコルビー氏は、米国は中国に集中すべきだが、台湾をめぐって中国との戦争まで辞さないとする考えには懐疑的な抑制主義者だという点によく表れている。

 特に国防総省では、マイケル・ティミノ中東担当副次官補をはじめ、ジョン・アンドリュー・バイヤーズ南アジア及び東南アジア担当副次官補、オースチン・ダーマー戦略担当副次官補、コルビー次官のシニアアドバイザーを務めるアレクサンダー・ベレズ=グリーン氏など、優先主義者と抑制主義者を行き交う人たちが、中心的な実務官僚に配置された。ウォルツ氏の更迭は、これらの者たちの影響力をさらに強化するとみられる。しかし何より、対外政策においてはトランプ氏本人の独走がよりいっそう進むのは明らかだ。トランプ氏にとっては、対外政策の決定と執行を調整する国家安全保障担当の大統領補佐官とNSCの必要性がいっそう下がったためだ。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

(貼り付け終わり)

(終わり)
trumpnodengekisakusencover001

『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

ここしばらく、ブログの更新が滞りまして、申し訳ございません。10月に刊行予定の新刊の準備をしており、少し落ち着いたので更新します。今後ともよろしくお願いいたします。

 今回は、共和党のドナルド・トランプ前大統領が今年の大統領選挙で勝利し、第二次政権が誕生した際に、外交分野で政権(ホワイトハウス)や各政府機関で、交換を務めると予想される人物たちの横顔と考えを網羅する記事を紹介する。

 トランプの基本線は、「アメリカ・ファースト(America First)」と「アイソレイショニズム(Isolationism)」である。これまでの記事でも何度も書いているが、「アメリカ・ファースト」は「アメリカがナンバーワンだ、最高の国だ」という意味ではなく、「アメリカ国内問題解決を最優先にしよう」ということだ。また、「アイソレイショニズム」は「孤立主義」ではない。アメリカが孤立する訳がない。そうではなくて、「海外のことに何でも首を突っ込むことは止めよう」ということだ。トランプは「アメリカは海外のことに介入しすぎて、国内問題の解決が後回しにされた。それを止めよう」と訴えているのだ。下に掲載する記事で紹介されている人物たちは、トランプのこうした考えを実現するための人々である。是非注目していただきたいと思う。

(貼り付けはじめ)

トランプの外交政策に影響を与える人物たち(Trump’s Foreign-Policy Influencers

-2024年共和党大統領選挙候補を形作る11人の世界観を紹介する。

『フォーリン・ポリシー』誌スタッフ

2024年8月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/26/trump-foreign-policy-influencers-us-election-china-trade-nato-ukraine/

ドナルド・トランプ前米大統領がホワイトハウス獲得で再び勝利した場合、彼の外交政策はどのようなものになるだろうか? 共和党の候補者であるトランプは、ロシアとウクライナの戦争を1日で終わらせることができると豪語するなど、しばしば思いつきで行動する。トランプはまた、ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」のような政策屋による文書について、政治的に都合が悪くなると、すぐに距離を置く。

しかし、選挙戦の騒ぎを脇に置いて、トランプ政権2期目の外交政策アジェンダの可能性を測る1つの方法は、彼の周辺にいる主要な国家安全保障に関する思想家たちをプロファイルすることである。彼が耳を傾けるアドヴァイザーは誰か? 前大統領の現在の世界観を動かしている思想の源は何なのか?

以下のリストは、11月5日までの数日間、数週間の便利なガイドとして考えてほしい。その前に、いくつか免責事項について述べたい。以下のリストは、重要度順ではなく、アルファベット順となっている。国家安全保障問題担当大統領補佐官や国務長官など、特定の役割のために名前が挙げるものでもない。トランプ大統領の外交政策決定に重要な影響を与える可能性のある人々の見解や考えを説明するのがベストだと考えたからだ。そして最後に、この試みの精神は、最近のワシントンでよく行われている室内ゲーム[parlor game](もちろん、誰もトランプが何をするか正確に知っているとは主張できない)に、何らかの質感を加えることである。

(1)エルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby
elbridgecolby001
エルブリッジ・コルビーは、かつてそうであったし、そして、第二次トランプ政権の国防高官になる可能性のある人物である。ヨーロッパ、NATO、ロシアから、そして増大する中国からの挑戦へと力を完全にシフトすることを提唱する、ワシントンで最も声高で、おそらく最も理路整然とした発言者である。

コルビーはトランプ政権で国防副次官補を1年以上務め、アメリカのアジアへの軸足移動(U.S. pivot to Asia)を遅ればせながら強化することに貢献した。その後、他のトランプ政権のヴェテランたちとともに、大国間競争に焦点を当てたワシントンのシンクタンク、マラソン・イニシアティヴ(Marathon Initiative)を共同で設立した。もし彼が将来のトランプ政権で再びチャンスを得ることができれば、そして彼の名前が別の国防職や国家安全保障会議の役職に候補として浮上しているならば、彼は自分の最も重要な点をはっきりと主張することになるだろう。それは、「アメリカの最大の問題はロシアではなく中国だ(China, not Russia, is America’s biggest problem)」ということだ

コルビーは、一連の論稿、著書、スピーチの中で、アメリカが限られた防衛資源を使い、敵対的な覇権主義国がアジア太平洋地域で台頭するのを防ぐべきだという主張を長年にわたって展開してきた。中国は既に多くの小さな隣国を経済的に屈服させ、南シナ海などで地域の安全保障を削り続けている。しかし、本当の試練は台湾である。つまり、中国が武力で台湾を再統合しようとすれば、アメリカやおそらく日本との衝突を意味し、成功すれば、世界で最も重要な経済地域である環太平洋地域(Pacific Basin)全体を中国が支配することになる。

コルビーの考えは、第二次世界大戦の最中に、ニコラス・スパイクマンによって書かれたアメリカの大戦略のオリジナルの青写真の一つに対するタイムリーな復権である。しかし、スパイクマンのオリジナルの考えはひっくり返り、今やヨーロッパではなく、アジアがアメリカの経済的、政治的重心(center of gravity)となっている。中国によるアジア地域支配は、アメリカの将来の見通しと行動の自由を厳しく制限することになるだろう。

コルビーにとっての問題の一つは、将来の上司となる可能性のある人物が、時には中国に対して十分に敵対的になることを厭わない一方で、完全に取引好き(transactional)でもあり、トランプは既に、台湾の自治権を取引材料にする(barter away)意向を示していることだ。コルビーのような現実主義的タカ派は、決して変化しない重要な方向性を持つ(true north)ことのない外交政策に対して不快感を抱く傾向がある。

もう一つの問題は、たとえそれが戦争の最中にウクライナを放棄することを意味するとしても、限られたアメリカの資源を、いつか来るであろう中国との大規模な戦いのためだけに使うようコルビーが声高に繰り返し主張してきたことは、クレムリンの悪党たちの主要な目的であるということだ。ロシア国営テレビはコルビーの外交政策の優先事項を応援している。

将来のトランプ政権や将来のカマラ・ハリス政権においても、連邦議員たちはいずれにせよ、アジア限定の防衛戦略を支持しない可能性が高い。連邦議会の委任を受けた国防検討委員会(defense review panel)は今年7月、アメリカはヨーロッパとアジアの両方において、重大な利益を守る準備をすべきだと主張した。

-キース・ジョンソン筆

(2)フレッド・フライツ(Fred Fleitz
fredfleitzdonaldtrump001
フレッド・フライツはアメリカの国家安全保障コミュニティの長年のメンバーであるにもかかわらず、4年間ワシントンを混乱させたトランプ主導の反体制的な「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again、MAGA)イデオロギーの熱心な支持者である。フライツは第一次トランプ政権にも参加しており、大統領選挙で、国家安全保障に関する前大統領の数少ない最高顧問の1人として頭角を現した。

フライツはキース・ケロッグとともに、トランプが再選された場合には、ウクライナ戦争を終わらせることを目的としてトランプが検討する計画を起草した。この計画には、ウクライナとロシアに交渉のテーブルに着席するように促し、現在の戦線での一時停戦を仲介することが含まれており、和平交渉中も停戦は維持されることになる。次期トランプ政権は、一方では交渉に応じなければ、アメリカの援助を打ち切ると脅してウクライナに圧力をかけ、他方ではロシアに対して、和平交渉に応じなければ、アメリカはウクライナへの軍事援助のレヴェルを引き上げると脅して圧力をかけるだろう。この計画は、フライツを始めとする、トランプの周辺にいる人物たちが政権に加わった場合、トランプ大統領のウクライナ政策がどのようになるかを示す、これまでで最も詳細なプレビューとなる。

フライツは、ティーム・バイデンが政権を握った際に、ワシントンでMAGAの活動を継続させるために2021年に設立されたシンクタンクである、アメリカ・ファースト政策研究所(America First Policy Institute)のアメリカ安全保障センターの副所長を務めている。彼は右派ニューズチャンネル「ニューズマックス」の常連コメンテーターであり、『オバマ爆弾:危険で増大し続けている国家安全保障上の詐欺(Obamabomb: A Dangerous and Growing National Security Fraud)』と『来るべき北朝鮮核の悪夢:オバマの「戦略的忍耐」を逆転させるためにトランプがしなければならないこと(The Coming North Korea Nuclear Nightmare: What Trump Must Do to Reverse Obama’s ‘Strategic Patience’)』の著者でもある。

フライツは過去の発言や、反対派が非主流派やイスラム教嫌悪者と呼ぶ極右団体や反移民団体との関係を巡り物議を醸してきた。彼は後に、過去の関係者の一部から距離を置いた。

フライツは、CIA、国防情報局、国務省、連邦下院情報委員会の共和党側スタッフなどの仕事を転々としながら、20年以上にわたり、アメリカ政府の中で過ごしてきた。ジョージ・W・ブッシュ政権では、ボルトンが軍備管理担当国務次官だったときに彼の首席補佐官を務め、その後、ボルトンがトランプ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したときには、国家安全保障会議の首席補佐官を務めた。

ボルトンはその後、トランプと公然と決裂したが、フライツは依然として、トランプ周辺に残り続けている。トランプが勝利した場合、誰が政権のスタッフになるかは明らかにしていないが、共和党関係者の多くは、フライツはリストのトップに掲載されていると考えている。

-ロビー・グラマー筆

(3)リック・グレネル(Ric Grenell
ricgrenelldonaldtrump001
2018年にドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領に信任状を提示してから数時間以内に、トランプ大統領の新駐ベルリン大使リック・グレネルはツイッターで、イランと取引しているドイツ企業に対し「直ちに事業を縮小する()wind down operations immediately」よう要求した。そこから外交関係は悪化した。

政治任命を受けたグレネルが、ドイツの比較的小さい国防費を理由に、ドイツからアメリカ軍を撤退させ、ロシアのエネルギーへの依存度を高めるノルドストリーム2・パイプラインに制裁を科すと脅迫したため、ドイツ政府との意見の相違が公に報道された。ドイツ連邦議会のヴォルフガング・クビツキ副議長は一時、アメリカが「依然として占領国(still an occupying power)」であるかのように振る舞っているとグレネルを非難した。

この懲罰的な外交上のアプローチは、ベルリンの温厚な政治勢力を恐怖に陥れた可能性がある。しかし、大使が上司のメッセージを伝える能力で評価されるとすれば、グレネルは有能な歩兵(foot soldier)だった。その後、彼はバルカン半島特使および国家情報長官代理に任命されたが、コソヴォ政府を崩壊させたとして非難された。彼は、同性愛者であることを公にした人物として、初の閣僚レヴェルの役職に就いた。

ハーヴァード大学ケネディ行政大学院を卒業したグレネルは、多くの著名な共和党議員のスポークスマンを務めた後、2000年にジョン・マケイン元連邦上院議員の大統領選挙に参加した。マケインは後にトランプ氏の最も熱心な批判者の一人となった。

2001年から2008年にかけて、グレネルは、後にトランプ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官となるジョン・ボルトンを含む4人の国連大使の下で、米国連代表部の広報部長を務めた。

トランプ大統領就任のかなり前から、グレネルは好戦的なツイートで知られていたが、将来の上司のツイートと同様に、ジャーナリストを攻撃したり、著名な女性民主党員の容姿を嘲笑したりすることが多かった。

トランプ政権の何人かの高官が不名誉な任期の終わりに、前大統領と決別したが、グレネルは忠実であり続けた。『ニューヨーク・タイムズ』紙の最近の報道によれば、2020年の大統領選挙後、グレネルはその主張に根拠がないことを知りながら、投票結果への異議申し立てを支援するためにネヴァダ州に派遣されたという。

グレネルは政権を離れて以来、トランプ大統領の特使を務め、世界中を旅し、極右指導者たちと会談し、グアテマラにおいてもそうだったが、米国務省の活動を貶めてきた。その忠誠心こそが、彼が将来のトランプ政権で外交政策の上級職に就く可能性を高めている。

グレネルは、3月にポッドキャスト「セルフ・センタード」に出演した際、国務長官には、「タフ(tough)」で「クソ野郎(son of a bitch)」である必要があると語った。

-エイミー・マキノン筆

(4)キース・ケロッグ(Keith Kellogg
keithkelloggdonaldtrump001

マイケル・フリンが、駐米ロシア大使との会話について嘘をつき、トランプ政権の1期目開始からわずか22日で国家安全保障問題担当大統領補佐官の職を解任されたとき、キース・ケロッグはフリンの後任として最初に検討された人物の1人だった。彼はその職に就けず、三ツ星陸軍将軍のHR・マクマスターがその職に就いた。その代わりにケロッグはマイク・ペンス副大統領に助言する役割を果たし、国家安全保障会議の首席補佐官を務めた。

これらの役割の中で、ケロッグはトランプ大統領の任期の最も重要な瞬間のいくつかに巻き込まれた。ケロッグは、トランプ大統領がウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領にバイデンの捜査を促した2019年7月の電話会談では、「何も間違ったことも不適切なこともなかった」と聞いたと述べた。そしてケロッグは、2021年1月6日、まだトランプ支持の暴徒が連邦議会議事堂から排除されている最中に、ペンスに2020年の選挙を「今夜」認定するよう非公式に促した。それでもケロッグは、2023年8月にはペンスよりもトランプを支持し、ペンスが「政治工作(political maneuvering)」と自分のイメージ作りに集中していると批判した。ペンスは2023年10月に大統領選挙から撤退し、トランプを支持していない。

それ以来、ケロッグは、ワシントンで待機中のホワイトハウスと見なされている親トランプのシンクタンクであるアメリカ・ファースト政策研究所のトランプ大統領の国家安全保障ブレイン・トラストの主要メンバーになろうとしている。ケロッグはヴェトナム戦争退役軍人で、2001年9月11日にアルカイダがボーイング757を国防総省の西側に突っ込ませた際、国防総省で三ツ星陸軍大将を務めていたが、親ウクライナであると同時に親NATOでもある。しかし、その両方に対してトランプ大統領の有名な影響力を発揮するつもりだ。ケロッグは、ロシアによるウクライナへの全面侵攻を「1日」で終わらせるというトランプ大統領の公約を裏付けようとしており、キエフが交渉のテーブルにつくことを拒否した場合には、アメリカのウクライナへの軍事援助を削減する一方、交渉のテーブルにつくことを拒否した場合には軍事援助を増額する計画を立てている。クレムリンは交渉を拒否した。

7月にワシントンで開催されたNATO首脳会議でヨーロッパ当局者たちが、トランプの内通者を追及した際、ケロッグはアメリカの同盟諸国との会談に出席した元当局者の1人だった。しかし、彼らが受け取ったメッセージは、彼らが聞きたかったものではなかったかもしれない。ケロッグは、同盟の国防支出目標を達成していないNATO諸国はワシントン条約に違反していると述べた(トランプ大統領は今年初めの選挙集会で、同盟の支出目標であるGDPの2%に達していないNATO同盟国を守らないと脅した)。

-ジャック・ディッチ筆

(5)ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer
robertlighthizerdonaldtrump005
トランプ政権で好感を務めた人たちの中で、政策に大きな影響力を持ち、それを維持しているメンバーはほぼいない。しかし、トランプ大統領の下で通商代表を務め、現在は顧問に就任し、おそらく将来の財務長官に据えられるであろう、ロバート・ライトハイザーは、特に貿易に関する彼の過去回帰的な(back-to-the-past)ヴィジョンを通じて、バイデン政権が新たに見出した貿易戦争志向を形成するのに役立つほど影響力のある経済的発言者となっている。

ライトハイザーは貿易問題に精通したヴェテランの法律家であり、ロナルド・レーガン政権で公務員としてのキャリアをスタートさせた。彼は、貿易と経済に関するトランプのちぐはぐな考えを、多少なりとも首尾一貫した政策に変えた。トランプがホワイトハウスへの復帰を目指して選挙戦を繰り広げている今、ライトハイザーは、彼が最初に追求した政策をさらに推し進めようとしている。

鉄鋼、アルミニウム、そして多くの中国製品に対する有名なトランプ関税は、ライトハイザーのヴィジョンの結実であり、彼はまだ始まったばかりである。彼は、アメリカの消費者や企業が輸入するものに対する税金を上げれば、輸入が減ると信じている。理想的な世界では、それによってアメリカの企業もより多くのものを製造し、輸出するようになるだろう。

退任後の著書や著作に記されている彼の将来に関する計画には、アメリカの輸出入の帳尻を合わせるために、より多くの国々(実際には全ての国々)に対して、より高い関税を課すことが含まれている。結局のところ、彼の目的は、現在バイデン政権が好んでいる生ぬるい部分的な「リスク回避(de-risking)」よりも、中国からの完全な「デカップリング(decoupling)」にはるかに近づくことである。

ライトハイザーや、ピーター・ナヴァロ(7月に刑務所から釈放された)のようなトランプ大統領の他の有力な貿易問題アドヴァイザーにとっては、雪崩を打つような関税と好戦的な通商政策が、彼らの掲げた目的を何一つ達成しなかったことは、ほとんど気にすることではない。トランプやライトハイザーのような関税タカ派の最大の関心事である貿易赤字は、彼らの監視下で拡大した。アメリカの輸出は縮小し、製造業の雇用も(新型コロナウイルス感染拡大もあって)減少した。

友人や同盟諸国による報復関税(retaliatory tariffs)は、アメリカの海外貿易の選択肢を狭め、反中連合の見通しを弱めた。輸入税によって消費者物価は上昇した。中国は、そもそも貿易戦争を引き起こした略奪的な経済行動を一切緩和せず、実際、独自のターボチャージャーを備えた輸出主導の産業政策(export-driven industrial policy)を、まさにアメリカの経済活性化(economic rejuvenation)の中心に据えてきた。

しかし、ライトハイザー自身が主張しているように、間違ったコースにある船を正すには時間がかかる。おそらく今回は、同じ古い治療法が劇的に異なる結果を生み出すだろう。

-キース・ジョンソン筆

(6)ジョニー・マッケンティ(Johnny McEntee
johnnymcenteedonaldtrump001

2020年の夏、トランプ大統領が再選を目指していたとき、ホワイトハウスから国防総省の職員たちに、第二次トランプ政権での役職を評価するため、2人の職員と面接をするようメールが届いた。ホワイトハウスが国防総省に対する自己主張を強め、国防総省内で辞任が相次いだことが注目された。職員たちはこの面接をトランプへの忠誠心を試すものと考えた。

この電子メールの背後にいるのは、ホワイトハウス大統領人事局長のジョン・マッケンティだった。コネチカット大学ではかつて、クォーターバック(一般受験で入学した)だったマッケンティは、政権初年度は大統領の「付き人役(body man、ボディーマン)」を務めた。マッケンティは、ギャンブル捜査による身元調査に不合格だったとして、2018年にジョン・ケリー大統領首席補佐官によって解雇されたが、2年後に復帰し、今度は強力な人事局の責任者となった。

ワシントンでは人事は政策であるとよく言われる。トランプの初期任命の多くは、伝統的な共和党の外交政策グループから来ており、標準的なMAGA陣営よりも国際的、貿易支持、NATO支持、同盟寄りだった。トランプ大統領が、自身のアジェンダを遅らせたとされるワシントンの「ディープステート」を指弾している中で、ジョン・ケリー大統領首席補佐官、HR・マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官、ジム・マティス国防長官、レックス・ティラーソン国務長官は、トランプ大統領の就任から最初の2年間、外交政策の主な主導権を握る「大人の枢軸(axis of adults)」を形成し、外交政策の舵取りを担ってきた。

しかし、マッケンティは政権後半になると、MAGAが承認した人物をトップの仕事に就かせる手助けをすることになる。彼はマーク・エスパー国防長官(当時)の解任を含む、トランプによる国防総省幹部の配置転換を指揮した。また、国防総省の最高政策委員会をトランプの側近で固めようとした。もしトランプが勝利していたら、マッケンティはトランプが計画した「スケジュールF」改革(planned “Schedule F” reforms)を実施する上で重要な役割を果たしただろう。この計画では、実質的に終身雇用トラックの政府職を、随意契約の職員に変えることになっていただろう。

それ以来、忠誠度テストはトランプの世界では標準的な慣行となった。マッケンティは現在、保守系シンクタンクのヘリテージ財団に在籍し、次期大統領に「ディープステートと対峙する(confront the Deep State)」ことを求めるプロジェクト「プロジェクト2025(Project 2025)」の先頭に立って活動している。トランプの任命候補者リストに記載して欲しい場合は、電話番号を送信し、トランプへの忠誠心が主な前提となる詳細なアンケートに記入する必要がある。

-ジャック・ディッチ筆

(7)クリストファー・ミラー(Christopher Miller
christophermiller006
クリストファー・ミラーは文字通り、2020年11月にトランプ大統領の国防長官代理に任命された後、初期の段階でいくつかの失敗を犯した。まず、彼は階段を上って国防総省に入る途中でつまずいた。そしてその2日後、国立米陸軍博物館で初の演説をしようと立ち上がったとき、準備していた演説を席の下に忘れてしまった。

それは、おそらく国防総省長官がこれまで行った中で最もワイルドな2カ月の歴訪の調子を整えた。トランプ大統領はエスパーの後任としてミラーを国家対テロセンターから異動させ、国防長官代行に就任させた。トランプ大統領は、各ネットワークが大統領選挙でバイデンの勝利を決定してから48時間も経たないうちに、エスパーが解任されたとツイートで発表した。

元グリーンベレーのミラーは、バイデンの就任式に先立ち、国防総省から野心的なレイムダック的な議題を与えられた。国防総省はアフガニスタン、シリア、ソマリアからアメリカ軍を2カ月以内に撤退させる任務を負っていた。

ミラーは、2021年1月6日の連邦議会議事堂でのトランプ支持派の暴動を鎮圧するための州兵の派遣を、国防総省が違反を認識してから3時間以上も承認しなかったことで広範な批判にさらされた。ミラーは後に、アメリカ軍を派遣することで南北戦争以来「最大の憲法上の危機(the greatest Constitutional crisis)」が生じるのではないかと懸念していたと述べた。ミラーはまた、暴動を引き起こしたトランプには責任があるとも述べたが、再びトランプ氏の下で働く可能性を明確に排除はしていない。

トランプ大統領は昨年12月のインタヴューで、ラジオ司会者のヒュー・ヒューイットに対し、ミラーと国防総省での短期間の勤務について、「ミラーは本当に優秀で、とても良い人だと思った」と述べた。

-ジャック・ディッチ筆

(8)スティーヴン・ミラー(Stephen Miller
stephenmillerdonaldtrump006
スティーヴン・ミラーは、第一次トランプ政権を通じて、大統領の強硬な、そして非常に物議を醸す移民政策の急進的な立案者として名を馳せた。もしトランプ大統領が11月に勝利すれば、アメリカの政策を徹底的に見直し、移民を取り締まるための抜本的な新たな提案を既に概説しているミラー氏に再び大きく依存すると広く予想されている。

ミラーは当時、トランプ大統領の上級顧問兼スピーチライティング責任者として、大統領の政策の形成に極めて重要な役割を果たした。ミラーは、ゼロ・トレランス(zero tolerance)として知られる家族離散政策や、イスラム教徒が多数を占める複数の国からアメリカへの旅行や難民の再定住を禁止する、いわゆるイスラム教徒の入国禁止(Muslim ban,)など、トランプ政権の最も物議を醸した計画の一部を推進した。伝えられるところによると、ミラーは難民受け入れ数の削減を推進するだけでなく、アメリカ南部国境を封鎖するために軍隊を派遣することも望んでおり、中国人に対する学生ビザの禁止を提案したとされる。

ミラーは、他の側近たちが大統領に自制を促したと伝えられる状況でも、トランプ大統領のより強硬な立場を奨励したことで知られている。2019年、法律擁護団体である南部貧困法律センターが公開した一連の電子メールの流出により、ミラーが個人的に白人至上主義者の見解を宣伝していたことが明らかになり、批判を浴びた。ミラーと保守系ニューズサイトのブライトバート・ニューズの間で交わされた電子メールは2015年と2016年に遡る。

現在、ミラー氏は正式な法律訓練を受けていないにもかかわらず、「覚醒した、意識の高い企業(woke corporations)」に対する法廷闘争に多くの時間を費やしている。2021年に彼は、バイデン政権とケロッグやスターバックスを含む民間企業の慣行に異議を唱えることに重点を置いた保守的な法律擁護団体であるアメリカ・ファースト・リーガル財団(America First Legal Foundation)を設立した。 「アメリカ・ファースト・リーガルは、人種と性別に基づいてアメリカ人を罰する差別的雇用慣行に違法に従事しているアメリカ企業の責任を追及している」とこの財団は主張している。

ミラーは11月にトランプがハリスを破れば、アメリカの移民政策を全面的に見直すと公言している。ミラーは、ニューヨーク・タイムズに対し、「トランプ大統領の決意を少しでも疑う活動家は、重大な間違いを犯している。トランプ大統領は連邦政府の膨大な権限を解き放ち、最も壮大な移民弾圧を実施するだろう。移民法活動家たちは何が起こっているのかを理解することはできないだろう」と述べた。

トランプ大統領の2期目の可能性の下で、アメリカは難民プログラムの停止やイスラム教徒の渡航禁止の一部ヴァリエーションの再導入など、移民取り締まりを目的とした政策を劇的に拡大するだろうとニューヨーク・タイムズは報じている。ミラーは、トランプ大統領は公共の職場を徹底的に強制捜査し、大量国外追放を実施し、国外追放を待つ人々を拘留するための「広大な収容施設(vast holding facilities)」を建設することを構想していると語った。トランプはまた、児童到着者に対する延期措置(Deferred Action for Childhood ArrivalsDACA)プログラムの終了にも熱心であるとミラーは述べた。

ミラーは今年初めにポッドキャストのインタヴューで、右翼パーソナリティーのチャーリー・カークに対し、「この世界で何が起こっても気にしない。トランプ大統領が再選されれば、国境は封鎖され、軍隊が配備され、州兵が動員され、不法滞在者は帰国するだろう」と述べた。

-クリスティーナ・リュー筆

(9)ロバート・オブライエン(Robert O’Brien
robertobriendonaldtrump005
トランプ大統領は就任してから2年間で、3人の国家安全保障問題担当大統領補佐官を任命したが、最終的に、そのうちの1人に落ち着いた。それが、ロバート・オブライエンだ。オブライエンは、トランプ大統領の残りの任期中、ずっとその地位にとどまった。

ロサンゼルスの弁護士であったオブライエンは、人質問題担当特使としてホワイトハウスでの任務を開始した。彼は、トランプ政権が海外で不当に拘束されたアメリカ人を休場から救い出すことを優先する中で、トルコやイエメンの刑務所からアメリカ人を解放する手助けをした。

ニューヨーク・タイムズによると、オブライエンは同盟国であるスウェーデンに働きかけて、ラッパーのイェ(旧名カニエ・ウェスト)の要請を受け、アメリカ人ラッパーのエイサップ・ロッキーを釈放させた。ロッキーは暴行罪で有罪判決を受けていた。

オブライエンは国家安全保障問題対等両大統領補佐官として、前任者たちよりもかなり経験が浅かった。彼は控えめで忠実であることを証明し、大きな論争もなくトランプ政権の任期までその職責を務めた。

2020年の大統領選挙後、オブライエンはトランプ政権の高官として初めて、不本意ながらもバイデンの勝利を認めた。「もしバイデン・ハリス組の勝利が決まれば、そして明らかに今はそのように見えるが、私たちは国家安全保障会議から非常に専門的な移行を行うことになるだろう。それは間違いない」とグローバル・セキュリティ・フォーラムのオンライン会議で語った。

オブライエンは、前大統領との親密な関係を維持しており、トランプが大統領執務室に復帰した場合には、上級職に抜擢される可能性が高い。

今年6月に出版された『フォーリン・アフェアーズ』誌の論稿の中で、オブライエンは将来のトランプ外交政策の輪郭について書いている。それは、「トランプ流の力による平和の回復(A Trumpian restoration of peace through strength)」である。オブライエンはインド太平洋地域への海兵隊全体の展開やアメリカ空母の大西洋から太平洋への移駐など、インド太平洋地域での強固な態勢を整えるよう求めており、中国が最大の焦点となっている。

オブライエンはまた、1992年以来、アメリカでは実施されてこなかった核兵器実験を再開するように主張した。オブライエンは、「ワシントンは、1992年以来初めて、単にコンピューターモデルを使用するだけでなく、現実世界において新しい核兵器の信頼性と安全性を試験する必要がある」と述べている。

-エイミー・マキノン筆

(10)カッシュ・パテル(Kash Patel
kashpateldonaldtrump001

カシュ・パテルはトランプ大統領在任中、軍歴がないにもかかわらず、連邦下院情報委員会の無名スタッフから大統領首席補佐官を経て、政権最後の数カ月で国防長官代理まで、隆盛の如く出世した人物である。パテルは当時下院情報委員会委員長だったデヴィン・ヌネス連邦下院議員の補佐官として、トランプ陣営が遊説中にロシア政府当局者と不適切な接触を行ったという告発に異議を唱える取り組みの中心となった。

パテルは、法執行当局がトランプ陣営の元補佐官カーター・ペイジの通信監視の許可を求めた際に不適切な行為をしたと主張する物議を醸した2018年のメモの執筆者だったと伝えられている。民主党はこの文書公開の決定を司法制度に対する党派的な攻撃だと非難したが、後に裁判所はペイジに対する監視令状の一部が不当であると認定した。

パテルは、国家安全保障会議でテロ対策上級部長を務めた後、2020年に国家情報長官上級顧問として国家情報長官室に異動し、トランプ前大統領による情報機関への攻撃にとって不可欠な存在となった。情報諜報コミュニティは、2016年大統領選挙へのロシアの干渉活動に関する調査文書の機密解除を求めている。

『アクシオス』誌の報道によると、トランプ政権の衰退期に、前大統領はヴォーン・ビショップCIA副長官を解任し、後任にパテルを据えることを検討していたということだ。報道によると、ジーナ・ハスペルCIA長官(当時)が抗議して辞任した場合(彼女は抗議のために辞任すると脅した)、広大な情報機関のトップにはパテルか別のトランプの周辺人物が任命されていたことだろう。

トランプが大統領執務室に復帰した場合、パテルは重要かつ上級の役割を果たす可能性が高い。2023年12月にスティーヴ・バノンのポッドキャストに出演した際、パテルは第二次トランプ政権がジャーナリストを標的にし、訴追するだろうと語った。パテルは、「はい、私たちはアメリカ国民について嘘をつき、ジョー・バイデンによる大統領選挙の不正操作を助けたメディアの人々を追いかけるつもりだ。私たちはあなたたちを追いかけるつもりだ。刑事的であれ、民事的であれ、我々はこうした問題を解決するだろう」と述べた。

パテルはまた、「国王に対する策謀(The Plot Against the King)」というタイトルの児童書も執筆している。これはロシアに関する調査を修正主義的に描いたおとぎ話で、その中でパテルはドナルド国王が「ルソニア人(Russonians)と協力しなかった」ことを王国に知らせる魔法使いとして登場する。

-エイミー・マキノン筆

(11)マイク・ポンぺオ(Mike Pompeo
mikepompeodonaldtrump006
マイク・ポンペオは、任期を通じて、無作法で気まぐれな、トランプ大統領と強力な関係を維持した数少ない閣僚の一人だった。トランプはカンザス州選出連邦下院議員として比較的無名だったポンペオを引き抜き、CIA長官に抜擢した。アメリカ最高の情報機関の長官として、ポンペオはトランプ大統領と北朝鮮の最高指導者金正恩との直接会談の基礎を築くために極秘に北朝鮮を訪問し、その後に外交分野に進出した。

2018年、トランプはレックス・ティラーソン国務長官を解任すると、後任にポンペオを据えた。ポンペオはティラーソン時代と異なり、外交分野に「威勢(swagger)」を取り戻すことを誓って国務省に入った。ヴェテラン外交官の中には、そのことに安堵する者もいれば、共学する者もいた。国務長官在任中、ポンペオは、例えばトランプに関する第1回弾劾公聴会や、ハラスメント、失政、国務省のトランプ大統領任命者に対する監視機関の調査を含むその他のスキャンダルの最中に、国務省と対立することになったときでも、トランプの最側近であり続けるように細心の注意を払っていた。

ポンペオはカリフォルニア州出身で、ウエストポイントの米陸軍士官学校を首席で卒業し、陸軍士官として勤務し、その後、ハーヴァード大学のロースクールに通った。彼は1990年代にカンザス州に移り、トランプ政権に参加する前の2011年から2017年までカンザス州第4選挙区の連邦下院議員を務めた。トランプの退陣が選挙で決定された後、他のトランプ政権高官たちは、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件や選挙不正に関するトランプの明らかに虚偽の主張を非難したが、ポンぺオはそうした避難に参加しなかった。

ポンペオは一時、大統領選挙に立候補することも考慮したが、フロリダ州知事ロン・デサンティスやサウスカロライナ州元知事ニッキー・ヘイリーなど、トランプに対する他の共和党の挑戦者たちと同じくらい全国的な知名度や資金を増やすことができなかったため、早い段階で選挙戦から撤退した。ポンぺオは6月、中規模テクノロジー企業の支援を目的とした新たなプライベートエクイティ会社をヴェテラン投資家たちと設立した。

ポンペオは依然としてトランプや側近たちと緊密な関係を維持しており、共和党内部関係者の多くは、トランプが再選されれば、ポンぺオは国防長官など政権最高幹部の最有力候補になると考えている。

トランプの周囲人物の中で、ポンペオは最も率直にウクライナを擁護する人物の一人だ。ポンぺオは4月初旬にキエフを訪問し、フォックスニューズに対し、ウクライナを武装して軍事的に強化することが「前進するための最も低コストの方法(least costly way to move forward)」であると語った。多くのヨーロッパ各国の当局者たちは、ポンペオの閣僚ポストへの任命はウクライナと北大西洋条約機構(NATO)にとっては良いことであり、ロシアにとっては悪い知らせになると考えている。

熱心なタカ派であるポンぺオは、トランプ大統領のイラン核合意離脱の主な推進者であり、現在では主に超党派の支持を得ている、前大統領の中国に対する力強いアプローチの立案者でもあった。

-ロビー・グラマー筆

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ