古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:カマラ・ハリス

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。

 アメリカでは来年の2026年に連邦上下両院の選挙が実施され(大統領選挙の間に行われるので中間選挙と呼ばれる)、2028年には大統領選挙が実施される。現職のドナルドトランプ大統領は任期制限で立候補できないので、新大統領が誕生する。

最新の世論調査の結果では、共和党側では、JD・ヴァンス副大統領が大きなリードを取ってトップになっている。民主党側では、このブログでも何度もご紹介してきたピート・ブティジェッジ前運輸長官が1位になっている。前回の大統領選挙で敗れたカマラ・ハリス前副大統領は、昨年の同様の世論調査の結果では、ハリスが大きくリードして1位だったことを考えると、ハリスの支持が下がっていると見るべきだ。これらのことは、拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)で書いている。
※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ
「2024年12月2日付 2028年米大統領選挙候補者は誰になるのかという話が早くも出ている:共和党はJD・ヴァンス次期副大統領が有力、民主党は多くの名前が出ている状況」
<a href=" https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html "> https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html </a>

 『トランプの電撃作戦』でも書いたが、カマラ・ハリスは2026年のカリフォルニア州知事選挙出馬を模索している。州知事選挙に関する世論調査の結果では、ハリスがトップになっている。2026年の州知事選挙に出馬して当選して州知事になれば、2028年の大統領選挙には出ることができない(1期目の途中での出馬は批判が多く出るだろうし、続けての選挙は物心両面で不可能だろう)。しかし、カリフォルニア州知事の2期目途中の2032年ならば可能性が出てくる。ハリスは2032年でもまだ60代なので、大統領選挙を狙える。
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 2028年の大統領選挙でハリスが出ないとなれば、民主党は有力者不在ということになる。今のところ、トップとなっているピート・ブティジェッジは弁舌爽やかでまだまだ若いが、同性愛者というところがどうしてもネックになる。3位につけたギャヴィン・ニューサムはカリフォルニア州では人気が高いが、ロサンゼルスでの山火事や暴動への対応などで印象が良くない。大統領選挙での激戦地域となる中西部の各州の知事であるジョシュ・シャピロ(ペンシルヴァニア州)とグレッチェン・ウィットマー(ミシガン州知事)はまだ知名度が上がっていない。こうなると、共和党側のJD・ヴァンス副大統領が大統領本選挙で勝利する可能性が今のところ高いということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:2028年大統領選挙において共和党の明確なトップランナーはヴァンスだ(Vance is clear front-runner for GOP nod in 2028: Poll

ジャレッド・ガンス筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372037-vance-is-clear-front-runner-for-gop-nod-in-2028-poll/

金曜日に発表された世論調査によると、2028年共和党大統領候補指名争いで、JD・ヴァンス副大統領が他の候補者を大きく引き離し、最有力候補となっている。

エマーソン大学世論調査によると、ヴァンス副大統領の支持率は46%で、これに次ぐのはマルコ・ルビオ国務長官の12%、フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)の9%だった。無所属のロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が5%で続き、クリスティ・ノーム国土安全保障長官とニッキー・ヘイリー元国連大使はそれぞれ2%だった。

他の6人の支持率は1%以下で、回答者の17%は態度未定、4%はリストにない人物を希望すると回答した。

これは、エマーソン大学が11月に実施した、2028年共和党予備選挙を想定した世論調査と比べて、ヴァンスの支持率が向上したことを示している。この調査では、ヴァンスの支持率は30%と、デサンティスが5%、2024年共和党大統領候補のヴィヴェック・ラマスワミの3%と比べてわずかにリードしていた。

回答者の半数は、当時、誰かを支持するかは未定だと回答していた。

エマーソン大学世論調査のエグゼクティブ・ディレクターであるスペンサー・キンボールは声明の中で、ヴァンスが最有力候補としての地位を「確固たるものにした」と述べ、共和党支持の男性有権者と60歳以上の有権者の52%から支持を得たと指摘した。

トランプ大統領は、2028年の共和党候補者として誰が後継者になるかについてある程度言及しているが、特定の候補者への支持を表明することは避けている。2月にフォックス・ニューズのインタヴューで、ヴァンスを後継者と宣言するのは「時期尚早」だとしながらも、自身と他の候補者は「非常に有能」だと述べた。

先月、NBCの「ミート・ザ・プレス」のインタヴューで、トランプ大統領はヴァンス副大統領とルビオ国務長官を、自身が率いる「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」運動の将来のリーダー候補として挙げた。

トランプは、「(ヴァンス氏は)素晴らしく、聡明な人物だと思う。マルコも素晴らしい。他にも素晴らしい人はたくさんいる」と語った。

今回の世論調査は6月24日から25日にかけて、共和党予備選挙の有権者416人を含む登録済み有権者1000人を対象に実施された。共和党支持者の回答の誤差は4.8ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスがカリフォルニア州知事選立候補者および候補予定者たちに2桁のリード(Harris holds double-digit lead over declared, potential California governor candidates: Poll
ジュリア・ミュラー筆

2025年7月2日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/campaign/5382192-kamala-harris-lead-california-governor-candidates-poll/

カリフォルニア州知事選挙への出馬を検討しているカマラ・ハリス副大統領は、2026年の知事選挙を想定すると、ハリス氏の支持率は2桁のリードを保っていることが、最新の世論調査で明らかになった。

カリフォルニア大学アーバイン校社会生態学部の最新データによると、ハリスは他の立候補を表明している候補者や噂されている候補者たちと比較した場合、24%の支持率を獲得した。

実業家から政治家に転身し、来年の知事選への出馬を検討していると報じられているリック・カルーソは9%の支持率で次点となった。

ハリスがリードしているにもかかわらず、カリフォルニア州民の40%が、任期制限(3期前)を迎えるギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の後任としてどの候補者を支持するかまだ決めていないと回答した。

しかし、ハリス前副大統領と一般的な共和党員のどちらを支持するかという質問では、ハリスの支持率はさらに高く、それぞれ41%と29%の支持率を獲得した。

今回の世論調査によると、ハリスはカリフォルニア州民の間で11%の好感度を獲得しており、これは調査対象となった候補者の中で最も高い数値である。

2024年の大統領選挙で敗北したハリスの今後の動向に政界は注目している。

ハリスは、カリフォルニア州知事選挙への出馬を真剣に検討していると報じられている。カリフォルニア州は、ハリスが以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた州だ。彼女は夏の終わりまでに出馬の是非を判断すると伝えられており、その間、知事選の候補者たちには幾分か冷ややかな反応が出ている。

カリフォルニア州副知事のエレニ・クナラキス氏(民主党)と州教育長のトニー・サーモンド氏(民主党)は、2023年から出馬している。民主党側では、ケイティ・ポーター元下院議員(カリフォルニア州)、元米国保健福祉長官のザビエル・ベセラ氏、元州議会議長のトニ・アトキンス氏、元州会計監査官のベティ・イー氏、元ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサ氏も出馬を表明している。

California Lt. Gov. Eleni Kounalakis (D) and state Superintendent of Public Instruction Tony Thurmond (D) have been running since 2023. Also in the ring on the Democratic side are former Rep. Katie Porter (Calif.), former U.S. Health and Human Services Secretary Xavier Becerra, former State Assembly Speaker Toni Atkins, former state Controller Betty Yee and former Los Angeles Mayor Antonio Villaraigosa.

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官(民主党)は2月、知事選挙への出馬を取り止める決断を下し、『ポリティコ』誌に対し、ハリスの立候補は「民主党の整理を行い、新規開拓になるだろう」と述べた。

ハリスは2028年大統領選挙の初期の世論調査でも、民主党の最有力候補として浮上している。しかし、エマーソン大学の最新データによると、ハリスの大統領選挙への再出馬への支持はここ数カ月で低下しており、2028年大統領選挙の有力候補の中では、ピート・ブティジェッジ元運輸長官に次ぐ2位となっている。

エマーソン大学はトゥルードット(Truedot)と提携し、州全体で2つの世論調査を実施した。1つ目はハリスへの好感度に関する質問を含み、5月27日から6月2日にかけてカリフォルニア州の成人2143人を対象に調査した。2つ目は知事選投票に関する質問を含み、5月29日から6月4日にかけてカリフォルニア州の成人2000人を対象に調査した。誤差は、1つ目の調査が2.9ポイント、2つ目の調査が3.6ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスは2028年の大統領選挙で支持率低下が予測されている(Kamala Harris sees support drop in potential 2028 horse race: Poll

ジュリア・ミュラー筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372074-support-for-harris-declines-new-poll/

2028年大統領選挙の理論上の候補者争いにおいて、カマラ・ハリス前副大統領への支持が低下していることが世論調査で明らかになった。ハリスは次の政治的行動を検討している。

エマーソン大学世論調査の最新調査によると、ハリスは2028年の大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中で2位につけており、民主党予備選の有権者の13%から支持を得ている。16%のピート・ブティジェッジ前運輸長官にわずかに及ばなかった。

民主党支持者たちのうち、まだ決めていないと回答した人が最も多く、23%だった。ハリスに僅差で次ぐのは、任期制限にかかるカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)で12%だった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)がそれぞれ7%の支持を得て上位5位に入った。

最新の数字は、回答者に2028年の候補者の支持を記入させたエマーソンの11月の調査とは大きく異なっている。2024年大統領選の数週間後に行われたこの調査では、ハリスの支持率は37%で、次いでニューサムが7%、ブティジェッジが4%、シャピロが3%だった。さらに35%は未定だった。

2024年の大統領選挙での敗北を受け、ハリスの今後の動向をめぐって憶測が飛び交っている。

ハリスは、以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた。ハリスは、カリフォルニア州知事選への出馬を真剣に検討していると報じられている。この不透明感は知事選挙の行方を左右する要因となっており、ハリスは出馬の是非を判断する期限を夏の終わりに設定していると言われている。

同時に、2028年初頭の世論調査では、ハリスが再び大統領選挙に立候補した場合、民主党の最有力候補となることが繰り返し示されている。カリフォルニア州知事公邸への出馬は2028年大統領選挙への出馬を阻む可能性があるが、ハリスはあらゆる選択肢を検討していると報じられている。

ハリスは今春、カリフォルニア州で開催された黒人女性のためのリーダーシップ・サミットで、「私はどこにも行かない(I’m not going anywhere)」と述べた。

一方、2028年大統領選挙の共和党候補者の中では、世論調査によると、ヴァンス副大統領が明確なリードを保っており、共和党予備選の有権者の46%の支持を得ている。未決定はわずか17%だった。

ヴァンスに続いたのは、マルコ・ルビオ国務長官(12%)、そして2024年予備選挙でトランプと戦ったフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)(9%)だった。

2028年大統領選挙の一般投票では、有権者は二大政党に分かれ、一般民主党候補と一般共和党候補をそれぞれ42%ずつ支持した。さらに16%は未決定だった。

無党派層では、一般民主党候補が37%、一般共和党候補が29%で、未決定は34%だった。

6月24日、25日に実施された今回の世論調査は、アメリカの登録済み有権者1000人を対象に実施され、誤差は3ポイントだった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年は選挙の年だった。世界各国で選挙が実施された。アメリカ、イギリス、フランス、インド、インドネシア、日本などで選挙が実施され、イギリスでは政権交代が起きた。しかし、日本人である私たちにとって関心が高かったのは、自国内の与党である自民党の総裁選挙で石破茂氏が総裁に選ばれたことと首相となった石破氏がすぐに仕掛けた総選挙で自公連立政権が衆議院で過半数割れとなり、少数与党になったことと国民民主党が躍進したことである。そして、これらの次としては、アメリカの大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破り、大統領に返り咲いたことだ。共和党は連邦議会上下両院で過半数を獲得し、更には連邦最高裁の判事構成でも保守派が過半数を占める状態となり、「クオドルプル・レッド(quadruple red)」状態になった。

 アメリカ大統領選挙の結果は、トランプが激戦州を全て制し、かつ、得票総数でもハリスを上回った。民主党は惨敗であるが、ブルーステイトを中心に支持は根強い。トランプ嫌いの人々もまた、アメリカには多くいる。それは当然のことだ。私がこのブログで論稿を紹介しているハーヴァード大学教授のスティーヴン・M・ウォルトもその一人だ。彼は、民主党内の介入主義派や共和党のネオコンを厳しく批判してきた。国際関係論においては、リアリズムという立場を取っている。リアリズムの立場からすると、トランプのアイソレイショニズムやアメリカ・ファーストの方が支持しやすいと考えられるが、ウォルトは選挙の前に、ハリス支持を表明した。アメリカの高名な知識人がどのように考えていたかを示すためにも、彼の論稿を紹介したい。

 ウォルトは下の論稿の中で、トランプの一期目の政権の外交を厳しく批判している。まとめると、「トランプが大統領だった際の彼の行動は、リアリストとしての資質を欠いていた。彼は粗野なナショナリストであり、北朝鮮、中国、ロシアとの外交の失敗に直面している。さらに、彼は「永遠の戦争」を終結させることなく、無謀な軍事行動を続け、アブラハム合意は中東での混乱の原因となっている。トランプの外交政策は、イランとの合意破棄やパリ協定の撤回などを通じてアメリカの国益を損ねており、リアリストとして支持されるべきではない。トランプは、あた、有能な人材を雇うことに興味を示さず、忠実な部下を求める傾向があるため、政府の機能に問題が生じる」ということである。また、経済政策についても、ハリスの方がよく分かっているという主張を行っている。

 ウォルトのトランプ批判についてはおそらく正しい。ウォルトは冷静な分析と判断をしている。トランプになったからと言って、バラ色の未来がアメリカに待っている訳ではない。トランプが実施するであろう関税の引き上げと不法移民の大量送還や厳しい国境政策によって経済はダメージを受ける可能性が高い。インフレが起きて、利上げを迫られて、景気が冷え込む可能性もある。しかし、人々はトランプを選んだ。ウォルトのやったような分析や判断は折り込み済みだろう。それでもなお、民主党、ジョー・バイデンとカマラ・ハリスの行ったことよりも、「少しはまし」になるだろうということでトランプが選ばれた。しかし、トランプにとってもできることは少ない。4年間の任期は長いようで短い。この間をうまく取り繕って、次にバトンを渡すということになるだろう。そもそもアメリカにとってできることは既に限られている。そして、衰退は既に止められない状況になっている。その衰退の速度を弱めることがこれからのアメリカにとって大事なことになる。

(貼り付けはじめ)

カマラ・ハリスはリアリストではない。しかし、とにかく私は彼女に投票する(Kamala Harris Is Not a Realist. I’m Voting for Her Anyway

-今年の選挙におけるリアリストの唯一の選択はトランプを拒絶することだ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年10月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/16/kamala-harris-realist-trump-election/?tpcc=recirc_trending062921

現時点では、アメリカには数十人の未決定有権者しか残っていないかもしれないのだから、正しい投票をするよう説得するコラムを書くことは無意味かもしれない。しかし、選挙が激戦州の数票の差で決着するかもしれないことを考えると、できる限りのことをしておかなければ後味が悪い。そこで、私がカマラ・ハリスに投票する理由と、あなたもそうすべき理由を説明しよう。

私のようなリアリスト・抑制主義者(realist/restrainer)は、ドナルド・トランプやJ・D・ヴァンスに傾倒していると思うかもしれない。特にバイデンやその同僚たちのガザ地区やウクライナ戦争、その他の外交問題への対応に失望していることを考えればそう思うのも当然だ。ハリスはそれらの政策に責任を負っていないのであるが、機会を与えられても、それらの政策が間違っていたと言うことを拒否してきた。彼女の主要な外交政策アドヴァイザーであるフィリップ・ゴードンはアメリカの力の限界や、私たちのイメージ通りに地域全体を作り変えようとすることの愚かさについて賢明なことを書いてはいるが、ハリス自身の外交政策に対する見解が、ワシントンのコンセンサスから外れたものであったり、国際問題に対するリアリスト的な見方を反映したものであったりする気配はない。対照的に、トランプとヴァンスは、ヨーロッパとアジアの同盟諸国に、自国の防衛に関してもっと負担して欲しいと言い、ウクライナでの戦争を終結させるべき時だと考え、外交政策の「専門家たち(ブロブ、Blob)」を軽蔑とまではいかないまでも懐疑的に見ている。だから自称リアリストたちは彼らに熱狂するのであり、私が彼らと同じ考えを持っていると結論づけるのは簡単だろう。

では、なぜ私はトランプとヴァンスの厄介な欠点を無視し、前庭にトランプとヴァンスの看板を立てないのだろうか? その理由を数えてみよう。

第一に、トランプが大統領だったときに何度も指摘したように、彼はリアリストではなく、トランプ大学から教育を受けるのと同じように、彼から賢明な外交政策を学ぶことはできない。彼は粗野なナショナリストであり、一極主義者であり、彼を最もよく表す「イズム」はナルシシズム(narcissism)である。そのため、北朝鮮の金正恩委員長、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領とのリアリティショー的な首脳会談は失敗に終わった。彼は最初の任期中に「永遠の戦争(forever wars)」を終結させることなく、国防総省に必要以上の予算を与え、気に入らない指導者を殺すために外国にミサイルを撃ち込むことに完全に満足した。彼は衝動的で、粗野で、不注意で、明確な戦略を立て、それを貫くことができなかった。大々的に宣伝されたアブラハム合意は、評論家たちが警告していたように、現在中東を混乱させている大虐殺の土台を築くのに役立った。(大統領が無資格の娘婿に不安定な地域で外交官をやらせるからこうなったのだ)。

そして、忘れてならないのは、トランプはイランに包括的共同行動計画からの離脱による核開発再開を許し、パリ協定を放棄し、環太平洋経済連携協定(TPP)を破棄してアジアの同盟諸国に喧嘩を売ることで、中国とのバランスを取ろうとする努力を弱めたことだ。このような外交政策は、まともなリアリストなら支持すべきではない。また、リアリストなら、分断の種をまき、アメリカ人に互いを恐れろと言うことが、国を強くする最善の方法であり、ましてや国を偉大にすることだとは考えないだろう。しかし、それこそがトランプがそのキャリアを通じて、そして特に今回の選挙戦で行ってきたことなのだ。

トランプのビジネスキャリアが長い無能の記録であることを考えれば、どれも驚くべきことではない。その特徴は、巧みな取引や抜け目のない経営ではなく、度重なる破産、騙されて食い物にされた顧客、終わりのない訴訟、そして重罪の税金詐欺の長い歴史である。彼の支持者たちは、最初の任期で自分の部下を信頼することを学んだと主張するが、残念ながら、彼は才能を見極めるのが下手なことが証明されている。彼の最初の国家安全保障問題担当大統領補佐官は1カ月も持たず、トランプは任期中で更に3人、複数の国務長官と国防長官を使い果たした。トランプ大統領のホワイトハウスにおけるスタッフの離職率は過去最高レヴェルであり、トランプ大統領と直接仕事をした何十人もの人々が、トランプ大統領にもう一度チャンスを与えることに断固反対している。

もちろん、トランプは政府で働く有能な人材を雇うことに興味がある訳ではなく、自分の決定がどんなに馬鹿げていても、違法であっても、自分の言いなりになってくれる忠実な人材を求めている。彼の専門知識蔑視は、彼が何も知らない科学へのアプローチに特に顕著に表れている。この盲点は、新型コロナウイルスのパンデミックに対する彼の対応や、気候危機を否定し続ける姿勢を見ても明らかだ。ハリスは、気候が大きな問題であり、温室効果ガスの排出を制限し、すでに経験している影響に適応するためにもっと努力する必要があることを理解している。フロリダ州の住民の方々にはご注意いただきたい。

憲法を守ると宣誓し、職務に有能で国民への奉仕に尽力する人物を任命する代わりに、トランプは行政府に個人として変人を配置したいと考えている。これは極めて深刻な問題だ。なぜなら、自分たちが何をしているのかを理解し、政治的圧力に弱い、よく訓練された有能な人材が大勢いない限り、複雑な現代社会を運営することはできないからだ。私が話しているのは、財務省、国立気象局、連邦準備制度、連邦航空局、国土安全保障省、日常生活が依存している様々な送電網、IRS、食品医薬品局、行政、そして私たちの社会が機能することを可能にするその他の全ての機関を運営する公務員のことだ。

これらの機関は完璧だろうか? いや、誤りを犯しやすい人間で構成された組織が完璧であるはずがない。無知で意地悪な大統領の腐敗した取り巻きが責任者であれば、これらの組織がない方が良いのだろうか? そうではない。アメリカは何十年もの間、主要な公共機関への資金が組織的に不足しており(そのため、政府のパフォーマンスはしばしば期待外れに終わっている)、トランプは(そして彼のために「プロジェクト2025」を起草した過激派は)この問題を更に悪化させようとしている。必要なサーヴィスを全て購入できる富裕層は困らないだろうが、それ以外の人々にとっては、アメリカはますます不快で非効率な場所になるだろう。

第三に、トランプ大統領の対外経済政策へのアプローチは悲惨なものになることが予想される。貿易赤字を縮小することも、中国の経済政策を変えることもできず、アメリカ経済の一部の部門にかなりの損害を与えた。トランプは今、関税を2倍、3倍に引き上げると約束している。現在でも彼は、外国製品に対する関税はアメリカの消費者に対する税金であり、外国の輸出業者が私たちに支払うペナルティではないことを理解していない。(馬鹿げた国境の壁の費用を払うのはメキシコではなく、アメリカの納税者であるということと同様だ)彼が提案する関税は、インフレを再燃させ、基軸通貨としてのドルの魅力を低下させ、アメリカの輸出企業に損害を与えるだろう。私の身勝手な考えではなく、『フィナンシャル・タイムズ』紙のマーティン・ウルフの簡潔で破壊的な評価を見て欲しい。ハリスは経済政策で私が望むことをすべてやるとは限らないが、何十年も拒否されてきた通商政策へのアプローチを採用するつもりもないだろう。

より重要なことは、トランプは今回の選挙で、アメリカの民主政体に真の脅威をもたらす唯一の人物であるということだ。我が国の政治システムには欠点もあるが、それでもほとんどの国民に多大な自由を与えており、改革と刷新(reform and renewal)が可能である。トランプのキャリア全体、とりわけ政治家としてのキャリアを見れば明らかなように、彼は法の支配(rule of law)を軽んじており(前科持ちで性犯罪者であることが確定していることを考えれば、驚くにはあたらない)、憲法秩序(constitutional order)を守ることにまったく関与していない。ハリスが当選すれば、間違いなく私が反対することをするだろうが、権威主義的なシステムを押し付けたり、2028年の再選に敗れても退任を拒否したりはしないだろう。トランプはすでに後者をやろうとしているし、前者もやりたがっているようだ。

私が大げさに言っていると思うだろうか? 私は2016年当時、トランプがもたらす危険性を過小評価していたことを告白するが、証拠が積み重なるにつれて見解を改めた。最も明確な兆候は、トランプが誰を尊敬しているかを見れば分かる。彼は、エイブラハム・リンカーンやFDR、ネルソン・マンデラのような人物ではなく、ウラジーミル・プーティン、ビクトル・オルバン、ムハンマド・ビン・サルマン、ベンヤミン・ネタニヤフのような独裁者であり、彼と同様にルールや規範を軽んじている人物である。プーティンは彼らと同じようにチェック・アンド・バランスに無関心でありたいと考えており、もし彼の思い通りになれば、時計の針を戻すことは容易ではなく、不可能になるかもしれない。ひとたび民主政治体制が独裁に崩壊すれば、それを取り戻すのは困難で不安定なプロセスだ。

トランプは才能あふれる詐欺師(gifted con man)であるため、過去30年間にアメリカで起きたいくつかの変化に対する不安を利用して、多くの一般人を惑わすことができたとしても、それほど驚くことではない。驚くべきは、高学歴で大成功を収めた人々の中に、トランプは自分たちの味方であり、自分たちを裏切ることはないと考えている人々が大勢いることだ。私はピーター・ティールやイーロン・マスクのような人々をそのように考えているが、彼らはアドルフ・ヒトラーをコントロールできると考えていたナイーヴで生意気なドイツの政治家たちを思い出させる。トランプについてはっきりしていることがあるとすれば(それは変幻自在のヴァンス[the shape-shifting Vance]についても同じようなことが言えるようだ)、自分の利益になると思えば誰であろうと裏切るということだ。ボリス・ベレゾフスキーやミハイル・ホドルコフスキーのようなロシアのオリガルヒは、プーティンをコントロールでき、自分たちの富が報復から守ってくれると考えていた。もしあなたがハイテク業界の億万長者で、トランプが信頼できる同盟者だと考えているなら、マイク・ペンス前米副大統領に起きたことを反省したほうがいい。そしてこの警告は、彼の集会に行き、彼が自分たちのために何かしてくれると純粋に思っているように見える全ての人々にも当てはまる。

だから11月5日には、ハリスに一票を投じるつもりだ。奇跡を期待している訳ではないが、彼女は過去30年間、アメリカの外交政策がいかに大きく舵を切ってきたかを理解し、新たな方向に舵を切り始めるかもしれない。私はすでにトランプのショーを見たが、続編はオリジナルよりも更に悪いものになるだろう。私のようなリアリストにとって、これは簡単な決断だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 私たちは民主政治体制国家に生きている以上、これからも、選挙を何度か経験するだろう(不慮の事故などで亡くなることもあるが)。なかなか難しいが、政治家や候補者に質問をするという機会を得ることもあるだろう。れいわ新撰組は街頭や集会で質疑応答を行っているが、あまり他の党では見かけないにしても(勉強不足で知らないことがあるのはあらかじめお詫びします)、個人の演説会などに行けば質問することができるだろう。

 重要なことは、「何を知っているか」ではなく、「どのように決定を下すか」ということだ。以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿にあるように、小さな国の首都の名前やミサイルの名前などを聞くことはあまり意味がない。もちろん、知識が多いのは素晴らしいことだが、私たちは、クイズの優勝者を自分たちの指導者に戴く訳にはいかない。クイズの優秀な回答者になるためには相当な苦労と頭脳明晰さが求められるだろうが、政治家や指導者に求められる最重要の資質という訳ではないだろう。

 私たちが政治家や候補者に質問する際には、「どのように考えるか」「どのように結論を出すか」ということを重視すべきだ。政治家は、最後は決断である。韓国で起きた戒厳令布告失敗で言えば、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は結果として失敗した訳であるが、彼の決断はどうだったのかということで評価される。そして、政治は結果が全てである。その点で、尹大統領は政治家としては失敗したということになる。現実の世界は、あらかじめ解答がある訳ではない。また、完全な情報が与えられる訳ではない。不完全な情報の中で、自身の経綸、論理性に基づいて、政治家は決断を下す。その方法や過程を知ることが重要になってくる。有権者として、もし私たちが政治家に質問できる機会がある場合に、政治家の「考え方(結論の導き出し方)」を知るということが重要になるだろう。そういう質問をすることは難しいかもしれないが、以下の論稿は参考になる。そして、以下の論稿の内容は、私たちが、政治状況を判断する際にも役立つと考える。

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ハリスとトランプがまだ問われるべきいくつかの質問(The Questions Harris and Trump Still Need to Be Asked

-アメリカ大統領選を取材するジャーナリストのための虎の巻(cheat seat)を公開する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年9月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/09/17/kamala-harris-trump-election-debate-foreign-policy-questions/

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ペンシルヴァニア州フィラデルフィアで行われたカマラ・ハリスとドナルド・トランプの討論会(2024年9月10日)

アメリカ大統領選挙候補者討論会が終わり、ハリス陣営とトランプ陣営を取材する記者たちはおそらく通常の活動を再開するだろう。今後数週間のうちに、数少ない幸運な記者たちが2人の候補者に外交政策について質問する機会を得るかもしれない。私はジャーナリストでもメディアの専門家でもないが、世界政治とアメリカの外交政策について多少は知っているつもりでいる。ここでは、アメリカが外の世界とどのように対処すべきかについて、どちらかの候補者の見解を探る機会を得た場合、報道陣は何をすべきか(そしてすべきでないか)について、いくつか考えてみたい。

選挙戦の最後の数週間で興味深い洞察を引き出すのは容易ではない。カマラ・ハリス副大統領は、ジョー・バイデン大統領のウクライナとガザ地区への対応を擁護しなければならない、あるいは少なくともそこから大きく逸脱してはならない、という不運な立場にある。そのためには、巧みな身のこなしが必要であり、無難な短い言葉の巧みな使い方(sound bites)や曖昧な決まり文句に固執する誘惑にハリスが抗うのは難しいだろう。ドナルド・トランプ前大統領に関しては、彼に何を聞いても時間の無駄かもしれない。しかし、2016年にマギー・ハバーマンとデイヴィッド・サンガーが示したように、綿密なインタヴューによって候補者が重要な外交政策問題についてどのように考えているかが明らかになり、彼らが何を信じているのか、何を正しく直感しているのか、そして何を明らかに理解していないのかが明らかになることがある。

そのような現実を踏まえて、もし私がいくつかの質問を投げかける機会を得たとしたら、どのような質問をするかをこれから挙げていく。

第一に、候補者がいかに世界のことを知らないかを明らかにする(と思われる)ことで、候補者を困惑させることを主目的とした、ありがちな「やらせ」質問(“gotcha” questions)は省く。大統領候補にタジキスタンの外相やアジア開発銀行の頭取の名前を尋ねたり、国際決済銀行の仕組みを説明させたりするのは馬鹿げている。私は世界政治の研究を生業としているが、私も同僚の多くも、この種の雑学コンテストではうまくいかないだろう。もっと重要なのは、何百人もの世界的指導者の名前や、その他の難解な詳細を思い出すことができたとしても、候補者の世界の仕組みに関する基本的な見解や、現在のアメリカの利益、あるいはそれらの利益を促進すると考える政策については何も分からないということだ。

「トリヴィアル・パースート」の外交政策版をプレイする代わりに、私は各候補者に最も尊敬する外国の指導者とその理由を尋ねるだろう。少なくとも1人の名前を思いつかなければ、それは憂慮すべきレベルの無知か、過度にアメリカ中心の世界観のどちらかを示唆している。質問の後半も重要だ。どのような資質や業績があって特定の指導者を尊敬するようになったのかを知ることで、彼ら自身の優先順位や価値観がどのようなものなのかをよりよく知ることができる。

同様に、悪名高い「午前3時の電話(3 a.m. phone call)」(訳者註:2008年の大統領選挙民主党予備選挙でヒラリー・クリントンが流したCM)や通常の危機シナリオの数々にどう対応するかも質問しない。中国による突然の台湾攻撃、中東での全面戦争、アメリカへの大規模なサイバー攻撃、友好的な外国政府の暴力的転覆、その他多くの恐ろしい可能性にどう対処するか、大統領選に立候補している誰も知らないというのが明白な真実なのだ。なぜか? なぜなら、ほぼ全ての状況で最終的に何を決断するかは、事前に特定できない多くの詳細によって決まるからだ。大統領になれるほど賢い人なら、そんな質問に答えようともしないはずだ。

仮説的なシナリオで彼らが何をするかを質問する代わりに、私は彼らが問題をどのように考えて解決するかを探ることにもっと興味がある。たとえば、中国が台湾に封鎖を実施した場合、アメリカは対応策を講じる際に何を達成しようとすると考えるか? この状況に対する私たちの関心は何だろうか? また、直ちに生じる可能性のある機会やリスクは何だろうか? 彼らは諜報機関、北京の米大使、国家安全保障会議の中国・台湾担当上級部長、あるいは統合参謀本部議長にどんな質問をするだろうか? どのような選択肢を検討したいと考えるか? また、様々な選択肢の中から選択するためにどのような基準を使用するか? 他にどのような要因 (同盟諸国の意見、競合する約束など) が彼らの決定に影響を与える可能性があるか? 候補者が思いつくであろう困難な状況でどのような行動をとるのかを正確に知る必要はないが、彼らがアメリカの国益を前進させる対応をどのように選択するのか、少しでも知りたいと思っている。

両候補がNATOについてどう考えているかは既に分かっている(ハリスは大ファン、トランプはそうではない)ので、それについて聞いても意味がない。同様に、アメリカとイスラエルとの関係について一般的な質問をしても、興味深いことは何も見えてこない。大統領選挙に立候補している人なら誰でも、イスラエルへの「鉄壁の(ironclad)」関与などについて話すことを知っている。しかし、もし私がトランプにインタヴューするとしたら、パレスティナ人をアブラハム合意から外したのは間違いだったのか、ハマスが2023年10月にイスラエルへの攻撃を開始した理由の1つはパレスティナ人の排除であったのかと質問するだろう。もし私がハリスにインタヴューするとしたら、イスラエルが停戦を求めるアメリカの声に逆らっているにもかかわらず、何十億ドルもの追加兵器をイスラエルに与えることが、なぜアメリカの利益につながるのか説明してもらいたい。彼女は、この政策がアメリカ人をより安全にし、繁栄させ、世界中で尊敬されるようになると考えているのか? それはどのようにして実現されるのか?

次に、実績のある2人(1人は大統領として、もう1人は副大統領として)を相手にしているのだから、私はそれぞれの候補者に、自分の大統領としての実績と相手の大統領としての実績を比較するよう求める。しかし、自分の行動を擁護し、ライヴァルを批判するよう求めるのではなく(それは安易すぎる)、自分の記録を批判し、自分が打ち負かしたい相手について何か肯定的なことを見つけるよう求める。トランプ大統領には、1期目に犯した外交政策上の最大のミスを教えてもらい、そこから学んだことがあるとすれば、それは何だったのかを明らかにするよう求めるだろう。彼は、自分の大統領としての実績はアメリカ史上最高のものであり、ミスはまったくなかったと主張するかもしれないので、私ならリストを用意する。貿易赤字を更に悪化させた対中関税、イランを包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of ActionJCPOA)から離脱させて核爆弾に近づけようとした決断、どこにもつながらない北朝鮮の金正恩委員長とのリアリティショー的な首脳会談、アフガニスタンでの永久戦争(forever war)を終わらせることができなかったこと、ロシア大使に機密情報をうっかり漏らしてしまったこと、他の民主政体諸国家の指導者たちとの険悪な関係。そのうえで、バイデンが外交政策で行ったことのうち、彼が同意したものを挙げてもらうことにする。

ハリスにも同じ扱いをする。トランプの外交政策の行動のどのような側面が正しかったか? 彼の最大の成功は何か? 対照的に、バイデン政権の最大の外交政策の失敗は何か? トランプの場合と同様に、彼女が質問をはぐらかそうとした場合に備えて、私は提案できる可能性の便利なリストを用意する。バイデンも同様の戦略に従い、ある意味では更に踏み込んだことを考えると、トランプが通商問題で中国に厳しく対応したのは正しかったのだろうか? 彼女はバイデンのティームがガザ地区を上手く取り扱ったと考えているのだろうか? バイデンが2020年の選挙戦期間中に約束したように、なぜアメリカはイランとのJCPOAに再参加しなかったのか? バイデンとアントニー・ブリンケン国務長官は、ロシアのウクライナ侵攻を阻止したり、ウクライナの多大な苦しみやさらなる領土の喪失を免れて戦争を迅速に終結させたりする可能性のある合意に達するためにもっと努力すべきだったのだろうか? アメリカ政府が多くの独裁者と協力する必要があり、時には一部の民主政体同盟諸国と大きな問題を抱えていることを考慮すると、民主政治体制と独裁主義を明確に区別することがアメリカの外交政策を組織するための最良の枠組みなのだろうか? これらのことなどを質問する。

民主、共和両党とも、開放的だが管理された貿易の利点を忘れてしまったかのようだ。特にトランプは、関税は他国に課税する手段であり、国をより豊かで生産性の高いものにする簡単な方法であるという、長い間信じられていなかった考え方に熱中している。両候補に次のように質問したい。比較優位の法則(law of comparative advantage)が何であるか知っているか? また、それに基づいて外交経済政策を考えているか? (もし彼らがデイヴィッド・リカードについて言及していたらボーナスポイントだがそれは期待しない)。

最後に、各候補者に外交政策上の最優先課題を質問したい。今後4年間で外交政策の主要目標を1つだけ達成できるとしたらそれは何か? 気候変動を食い止めることか? 有意義な中東和平合意の交渉か? 「抵抗の枢軸(axis of resistance)」にくさびを打ち込むことか? 戦略的軍備管理への真剣な取り組みの再開か? ロシアをウクライナから撤退させること、あるいはメキシコの暴力的な麻薬組織への対処を支援することか? 国連安全保障理事会の改革か? 数え切れないほどの可能性があり、たとえ彼らが真実を語ったとしても、就任後にそれを実行するとは限らない。外交政策に不意打ちはつきものであり、最善の計画が予期せぬ出来事によって覆されることはよくあることだ。信じられないなら、ジョージ・W・ブッシュに2001年9月11日の外交政策がどうなったか聞いてみればいい。しかし、私は、候補者たちが、もし可能であれば我々をどこへ導きたいのか、そしてどのようにそこに到達できると考えているのかを知りたい。

これが私のアドバイスだ。この文章を読んで、どちらの陣営も私に電話をかけてきて、選んだ候補者と一対一で話をしようとはしないだろう。しかし、もしあなたが現役のジャーナリスト、ポッドキャスター、トークショーの司会者で、そのような機会があれば、私の提案をぜひ使って欲しい。どこで入手したかは言う必要はない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年の大統領選挙も終了し、第二次ドナルド・トランプ政権の顔触れが固まった。来年1月にいよいよトランプ政権が正式に発足する。そうした中で、早くも2028年大統領選挙についての世論調査が実施されている。「どの候補者がふさわしいか」という内容で世論調査が実施されている。共和党では、JD・ヴァンス次期副大統領が有力であるが、有権者の半分が「分からない」と答えている。民主党では、カマラ・ハリス副大統領が有力と見られているが、その他にも有力候補として様々な名前が出ている。それぞれ以下に貼り付けるグラフの通りだ。
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 民主党では、カマラ・ハリスは気の毒だった論が出ていることはこのブログでもご紹介している。ジョー・バイデンがとても再選を目指せるような状況ではなかったのに、選挙戦での居残りを引っ張ってしまって、ハリスにスイッチするのが遅くなり過ぎたという論が出ている。また、バイデンがハリスへの協力に消極的だったとも言われている。そうした中で、 7400万票を獲得したハリスが次回も出るべきだという意見は大きい。一方で、女性の候補者が連敗したことで、女性候補者は厳しいのではないかという意見も出ている。ハリスは自身の選択肢を幅広く残しておきたいと考えているようだ。カリフォルニア州知事で経験を積んで60代後半で大統領選挙に再チャレンジということも考えているようだ。
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カマラ・ハリスとジョー・バイデン

 民主党内では、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマーとカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサムが2028年の大統領選挙有力候補と見なされてきた。ニューサムは、リベラルなカルフォルニア州の知事として人気が高いが、全米が保守化している中で、どれだけアピール力があるかが分からない。カマラ・ハリスもカリフォルニア州司法長官、州選出の連邦上院議員の経験しかなかったこともあり、青い壁の各州での伸びはなかった。長い経歴と豊富な経験を持ち、更にペンシルヴァニア州出身だったジョー・バイデンは地上戦で勝つことができたが、カリフォルニア州の経験しかないハリスやニューサムでは厳しいだろう。

ウィットマーは民主党にとって重要な「青い壁(blue wall)」の各州(ペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州)の一角の知事を務めている。これは、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロにも言えることだが、「青い壁」の奪還が2028年の民主党にとって最重要課題となる。そのことを考えると、2028年の大統領選挙は、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事、ペンシルヴァニア州のジョシュ・シャピロ知事が手を組む形で戦うのが最上の選択であると考えられる。共和党側はJ・D・ヴァンスが有力だろうが、この4年間でどのように遇され、経験を積んでいくかで、これから先が大きく変わることになるだろう。

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カマラ・ハリスの次はどうなるか?(What’s next for Kamala Harris?

ジュリア・ムラー筆

2024年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5005513-whats-next-for-kamala-harris/

ドナルド・トランプ次期大統領に対して敗北をしたことで、ホワイトハウスから退出する準備をしているカマラ・ハリス副大統領の次の行動をめぐって疑問が起きている。

初期の世論調査では、民主党員はハリス副大統領が2028年の大統領選に再び立候補することを望んでいるようだ。しかし党内には、ハリス副大統領が別の役職(手始めにカリフォルニア州知事公邸)を目指すか、トランプ2期目に対する抵抗勢力を強化するために選挙政治以外の道を追求する可能性があると推測する人たちもいる。

民主党系ストラテジストのケイト・メーダーは次のように述べている。「彼女にはまだ長いキャリアが待っている。彼女はこの国の政治家としてはまだ若いし、人々は彼女が次に何をするのか本当に楽しみにしていると思う。なぜなら彼女の周りには非常に強力な支持者がいるからだ。それは選挙後も続くと思う」。

選挙当日は民主党にとって痛ましい夜となった。国の大部分が右傾化する中、トランプは激戦州の全てを席巻し、民主党の拠点に進出し、共和党は来年のワシントンでの三極の権力を掌握する道を開くために連邦上下両院を確保した。

しかし、共和党のライヴァルに2024年の選挙戦伝敗北を受け入れるスピーチで、ハリスは、急浮上した選挙戦を「促進した戦い(the fight that fueled)」を決して止めないことを強調した。

退任する副大統領となるハリスの年齢は60歳で、「まだ闘志を燃やしている(still has a fight in her)」とメーダーは語った。彼女は「それが公共政策となるのか、民間部門となるのか、戦いの場はまだ分からない」とも述べた。

セントルイス大学ロースクールの名誉教授で、副大統領職に関する専門家であるジョエル・ゴールドスタインは、ハリスは、近年の歴史上、大統領選に挑戦して落選し、その後それぞれ異なる道を歩んだ数少ない副大統領の一人であると指摘する。リチャード・ニクソンは1968年にホワイトハウスにカムバックする前にカリフォルニア州知事選に出馬して落選し、ヒューバート・ハンフリーは連邦上院議員に復帰した。アル・ゴアは環境保護活動に専念し、ノーベル平和賞を受賞した。

ゴールドスタインは次のように語っている。「だから、彼女には多くの様々な選択肢がある。 彼女が大統領政治で積極的に活動し続けたいのであれば、それは確かに彼女に開かれたことだと思う。もしそれが彼女の望む道であればそこに進めるだろう」

左派シンクタンク「サードウェイ」の共同設立者であるジム・ケスラーは、「もし彼女が2028年の大統領選に出馬すると決めたら、最初は有力候補としてスタートするだろう。絶対的な有力候補とは思わないが、間違いなくトップでスタートし、資金を集めることができ、有権者に知られ、トランプとの短い選挙戦で非常に良い結果を残した人物ということになるだろう」と述べた。

しかし、2028年の候補者リストには、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)、ミシガン州知事グレッチェン・ウィトマー(民主党)、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロ(民主党)、運輸長官のピート・ブティジェッジなど、民主党の新星が既に名を連ねている。このような候補者層の厚さを前にして、ハリスが今年の勢いを取り戻すのは難しいかもしれない。

民主党系ストラテジストのフレッド・ヒックスは「彼女が2028年の予備選挙で勝つのは難しいだろう。今から予備選挙までの期間は長すぎる。出馬予定、あるいは出馬する可能性が高い人が大勢控えている」と述べている。

その代わり、ハリスの地元カリフォルニア州では、トランプ次期政権に対する民主党優勢(青い州、bule-state)の抵抗の砦としてすでに注目されているハリスに、また新たな道が開けるかもしれない。

ニューサムは州知事の任期制限があるので、2026年の任期満了時に再選を目指す資格はない。

カリフォルニア大学バークレー校政治研究所と『ロサンゼルス・タイムズ』紙が今月行った世論調査によると、カリフォルニア州の有権者の半数近くが、2026年の知事選にハリスが出馬した場合、ハリスを支持する可能性があると回答している。

そうすることで、彼女は「任期後半のトランプ主義に対抗する格好のポジション」に就くことができるとヒックスは語った。ニューサムの事務所は、カリフォルニア州当局が州法に関して、「トランプ対策(Trump-proof)」する用意があると述べており、州司法長官も同様に、物議を醸すトランプ政策に抵抗するために警戒している。しかし、知事も司法長官も22026年に投票が行われる。

ハリスは今年、ホワイトハウスの選挙キャンペーンを行うにあたり、カリフォルニア州での検事としての経験をアピールした。彼女はサンフランシスコ地方検事、そして州司法長官を歴任し、女性初、アフリカ系アメリカ人初、そしてアジア系アメリカ人初の検事と州司法長官として歴史に名を残した。彼女は2017年に連邦上院議員に当選し、バイデン政権に加わるまで進歩主義派の牙城を代表する人物であった。

知事(任期4年)として出馬すれば、ハリスは2028年の大統領選挙の候補から外れる可能性が高いが、必ずしも彼女が再び大統領執務室に挑戦しないことを意味する訳ではないとヒックスは述べている。ヒックスは2032年の選挙に出る可能性を指摘し、その時点でも、20歳以上年上のトランプやバイデン大統領と比較してハリスの年齢がまだ若いことを強調した。

しかし、ハリスがどの道を選ぶにせよ、「彼女は民主党のトランプ抵抗勢力の顔になれるし、なるべきだ」とヒックスは主張した。

弁護士で民主党系のストラテジストでもあるアブー・アマラは、カリフォルニア州知事選、大統領選への再出馬、あるいは市民団体の世界へ足を踏み入れることも、全てハリスのテーブルの上にあるように見えると語った。しかし、「最大の目標は、彼女が前進するにあたり、柔軟性を保つことだ」とアマラは述べている。

アマラは更に「この質問のもう一つの部分は、彼女が自分の政治的キャリアの頂点に何を望んでいるのかということだ」と語った。

そして、2024年に事態が落ち着くにつれ、専門家たちはハリスが民主党の探求活動に介入し、選挙戦で何が起こったのかを自身の物語を語るのではないかと予想している。たとえば、2016年にトランプに敗れた後、クリントンは『何が起きたのか?(What Happened)』という適切なタイトルの回想録で自身の選挙戦を記録した。

アマラは次のように述べている。「今後8カ月から12カ月の間は、何が起こったのかを整理するための期間になると思う。講演であれ、本を書くことであれ、何が起こったのかについてのハリスの理解を明らかにすることを期待している。民主党は、様々な説や理論をめぐって喧々諤々と議論することになるだろう。しかし、彼女から直接話を聞くことは重要だと思う」。

専門家も民主党の関係者たちも、選挙日からわずか数週間、ホワイトハウスが変わる2カ月前では、ハリスの将来を水晶玉のように覗き込むのは時期尚早だと強調した。しかし、2024年以降に党が再建される際、退任する副大統領はこのゲームに残り、党のチェンジメーカー的存在であり続けるだろうというのが一致した予測だ。

メーダーは、「彼女は休息をとり、次のステップについて考える十分な時間を確保するべきだと思う。彼女は、民主党が切望しているリーダーシップや次世代のリーダーシップに関して、彼女が提供できるものがあることを、民主党と国民に証明したと思う。それでも、彼女が次に何をするかは、まだ分からないと思う」と述べた。

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民主党員をランク付けする:民主党が次に大統領候補として指名するかもしれない人々(Ranking the Democrats: Here’s who the party could nominate next as president

エイミー・パーネス筆

2024年11月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5013304-democrats-2028-presidential-contenders/

民主党はカマラ・ハリス副大統領が、ドナルド・トランプ次期大統領に敗れて、傷を癒している最中であるが、既に2028年の大統領選挙で誰が党を率いるかに注目が集まっている。

それは、間口が大きく開いているように見られる戦いだ。

確実なのは、憲法で2期までと制限されているため、トランプ自身が投票に参加しないことだ。共和党の次期大統領候補としては、JD・ヴァンス次期副大統領が有力視されている。

民主党には候補者が多く出てくる可能性があり、党内でも何を重視するかで意見が分かれている。

民主党の一部は、党は次の大統領選挙に向けて新しい血を注入し、再出発する必要があると主張している。

別の人々は、今月初めに7400万票がハリスに投じられたことを指摘し、ハリスはもう一度大統領の座を狙うに値すると主張している。

ある民主党系ストラテジストは、「2016年と同様、私たちは少し道に迷って、舵を失っている状態だ。今後何がしたいのかよく分かっていない」と述べた。

確かなことは、混戦だということだ。

現在、早い段階ではあるが、ハリス、ジョージア州のラファエル・ワーノック連邦上院議員、メリーランド州のウェス・ムーア知事、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事、ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事まで名前が挙がっている。

これから有力な候補者たちを見ていく。

(1)カマラ・ハリス(Kamala Harris
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民主党は少なくとも大部分において、敗北の責任をハリス氏に押し付けていない。

最も多くの批判を受けているのは、7月に選挙戦から撤退し、ハリス副大統領を支持したバイデン大統領だ。

多くの民主党員は、ハリスがバイデンから受け継いだレースは、多くの点で、もし彼女が当初候補者としてのレースとは違ったと述べている。

ハリスに近いある人物は、「多くの点で、これはまだジョー・バイデンのレースだった。最終的に彼女が候補者になったとはいえ、必要なときに彼と距離を置くという作戦が取れなかったことを含め、彼女には多くの制約があった」と語った。

同時に、再出馬を切望する人々によると、ハリスは短いレース期間でも印象的なキャンペーンを実行できることを示したという。

副大統領の政治的本能も成長し、今では10億ドルの選挙運動を展開した人物のような理解と経験を備えている。

また、知名度(name recognition)もある。今週発表されたエマーソン・カレッジの世論調査では、ハリスは2028年の他の候補者候補をリードしている。

確かに、ハリスが候補者になることはないだろうし、競争的な予備選を勝ち抜くこともないだろうと考える理由はいくつもある。

ジェンダーの問題もある。民主党が過去2回、女性を大統領候補の旗手に指名したとき、候補者はトランプに敗れた。民主党の中にも、別の方向に進みたいと考える人たちはいるだろう。

ハリスもまた、10億ドルを投じた選挙戦を率いて敗れた。そして、彼女のキャンペーンは完璧とは言い難いものだった。2024年に負けたのと同じ候補者を2028年に選ぶのは愚かだと考える民主党員もいる。

ハリスもまた、選択肢を広げておきたいと盟友たちに語っている。大統領選に再出馬しないのであれば、カリフォルニア州知事選への出馬は容易だとも言われている。

(2)ギャヴィン・ニューサム(Gavin Newsom
gavinnewsom551
バイデンが選挙戦から撤退するずっと前から、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサムは、大統領が再選に立候補しないことを決めた場合に備えて、自らを候補者候補として位置づけていた。

多くの意味で、ニューサムはトランプに対抗する民主党の防波堤となった。

バイデン政権を通じて、ニューサムはトランプ大統領やフロリダ州知事ロン・デサンティス氏(共和党)と対戦したが、これは共和党の顔を殴る指導者を望んでいた民主党にとって喜ばしいことであった。

ある民主党系ストラテジストは「彼は戦いに身を投じており、民主党は一発逆転を狙っている」と述べている。

ニューサムは資金を集めることができるだろう。彼は全国的に知られており、人口の多い民主党優勢州を率いている。

彼は自らをトランプ抵抗運動の一員と位置付けており、すでに「次期トランプ政権に直面してカリフォルニアの価値観と基本的権利を守る」ためにカリフォルニア州議会の特別議会の開催を求めている。

カリフォルニアの民主党員は大統領選挙で総選挙に勝てるのか? アメリカの歴史上、それはまだ実現しておらず、多くの民主党議員が疑念を抱いている。

しかし、ニューサムが2028年の最有力候補であることは間違いない。

(3)グレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer
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ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマーは、以前から有力な大統領候補と見なされてきた。

民主党の中には、今回の大統領選挙の候補者指名争いについて、もっとオープンなものであれば、ホイットマーがより強力な総選挙候補であったかもしれないと考える人たちもいる。

2024年にはハリスが、2016年にはヒラリー・クリントンがトランプに敗れているため、2028年にはウィトマーはジェンダーに関する疑問に直面することになる。

民主党系ストラテジストであるクリスティ・セッツァーは、「次の候補者は、常に前回の候補者についての審判を受けることになる」と語っている。

セッツアーは「ハリスは誰もが望んでいたよりもはるかに良いレースをしたと思うが、明らかな結論は、私たちは有色人種の女性や女性が出馬すべきではないということだ。残念だが、違う分析をしている人がいるとは思えない」と述べた。

ウィトマーのファンは、ミシガン州知事は民主党が競争力のある「青い壁(blue wall)」の州で勝てるだけでなく、政策課題も成功させられるという証拠だと指摘する。

ウィトマーは2020年のバイデンの伴走者(副大統領候補)の最有力候補だったが、それ以来、彼女の立場は政治的スターとして上昇した。

連邦政府の選挙資金報告書によると、彼女はまた、自身のスーパーPACである「Fight Like Hell PAC」のために数百万ドルを集め続けている。

ここ数カ月でウィットマーと話したことのある、ある民主党関係者は、「彼女は本物(real deal)だ」と語った。

(4)ジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro
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ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロは、ハリスがペンシルヴァニア州で敗北したとは言え、民主党のホワイトハウス喪失からより強い立場に浮上した。

シャピロはミネソタ州知事ティム・ウォルツに次いで、ハリスの副大統領候補として第二候補と広く見られており、シャピロが青い壁(blue wall states)で変化をもたらしたかどうかについては今後疑問が残るだろう。

ある民主党の大口献金者は「その結果がどうなるかは分からないが、彼がそのことで多くの注目を集めたことは確かだ。そして、私たちの多くは、彼にはいつかもっと上の選挙に出馬する素質があると考えている。彼には確かな重みがある」と述べた。

シャピロは全国的な知名度を高める一方で、州内では堅実な支持率を維持している。

しかし、世論調査によると、知名度を上げるにはまだ課題があるようだ。今週発表されたエマーソン・カレッジの世論調査では、シャピロを支持すると答えた人は全体のわずか3%だった。

(5)ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg
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2020年の大統領選に出馬して以来、ピート・ブティジェッジ運輸長官は民主党の将来を担う人物だと言われてきた。

42歳になるブティジェッジは、バイデンの運輸長官としての在任期間は必ずしも順調ではなかったが、民主党員たちは次々、彼は間違いなくバラク・オバマ元大統領以来の党最高のコミュニケーターだと主張している。

大勢の観衆の前でも、またフォックス・ニューズの番組でも余裕のある彼は、トランプに群がる労働者階級の男性を取り込むために党がもっと努力する必要があると言う民主党にとって魅力的な存在だ。今のところ、彼は民主党の大半の候補者を引き離している。

(6)JB・プリツカー(JB Pritzker

バイデンが6月の討論会で惨敗した後、イリノイ州知事JB・プリツカーは、イリノイ州知事の地元であるシカゴで開催された大会での予備選で、候補者指名を狙うかもしれないと多くの人が考えていた民主党員の一人だった。

ハイアット・ホテル・チェーンの後継者であるプリツカーは、選挙資金を簡単に、しかも迅速に蓄えることができる。

彼はまた、民主党にとって魅力的な可能性のある一連の立法上の実績も持っている。

彼は州の最低賃金を15ドルに引き上げる法案に署名した。また、リプロダクティブ・ライツ(reproductive rights、生殖に関する権利)法案にもいくつか署名している。

コロラド州のジャレッド・ポリス知事とともに、「民主政治体制を守る知事(Governors Safeguarding Democracy)」と呼ばれる民主党知事連合の結成に貢献した。

民主党はまた、今月初めにトランプ氏が当選した翌日、プリツカーがトランプを追及したことを称賛している。

プリツカー「イリノイ州民の自由と機会と尊厳を奪いに来るつもりなら、幸せな戦士はやはり戦士であることを思い出して欲しい。皆さん、人々のために、そして、私を通じて、戦いをやり遂げて欲しい」と述べた。

(7)アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez
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民主党が党の将来について語るとき、35歳のニューヨーク選出の連邦下院議員の名前は常にトップに出てくる。

民主党は以前から、オカシオ=コルテスの「でたらめ(BSBullshit)を切り裂き、ありのままを語る」能力に感銘を受けてきたと別の民主党系ストラテジストは語っている。

「彼女は雑音を切り抜けることができ、ワシントンのように話すことはない」と述べている。

民主党は、オカシオ=コルテスは若い有権者たちを惹きつけるだろうし、2018年に連邦下院議員に当選して以来続けているように、ソーシャルメディアやポッドキャスト、その他のオンラインツールを使うこともほとんど問題ないだろうと言う。

オカシオ=コルテスは、かつてはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を含む進歩主義派と連携していたが、その後はより中道的な候補者を支持している。

それでも、民主党の一部有権者たちは、オカシオ=コルテスは依然として党の左派の代表であり、彼女がより高い役職を目指した場合、不利になる可能性があると述べている。

彼女と「スクワッド(squad)」は、あまりに早く、あまりに強くプッシュし始めた。「ワシントンDCはそんな風にはいかない。我が党もそうではない。私たちは基本に戻る必要がある」と最初のストラテジストは語っている。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙が終わって3週間ほどが経過した。結果は共和党のドナルド・トランプ前大統領(次期大統領)が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って二回目の当選を果たした。トランプは選挙人312人(一般得票約7700万票、約49.9%)、ハリスは選挙人226人(一般得票約7400万票、約48.3%)という結果になった。トランプにとっては選挙人だけではなく、一般得票でも勝利し、圧勝、完勝ということになった。一度敗れた前大統領が再び勝利を収めたのは100年以上ぶりのことだった。

 前回は民主党のジョー・バイデン前副大統領(当時)が選挙人306名(一般得票約8100万票、約51.3%)で、共和党のドナルド・トランプ大統領(当時)を破った。トランプの獲得した選挙人は232名(一般得票約7400万票、46.8%)だった。この4年間で民主党はどうしてここまで票を落とすことになったのかということを、民主党自身が詳しく分析しているだろうが、各メディアでも出口調査の結果を基にして分析している。

 何よりも重要な原因となったのは、中絶問題を一番の争点として訴えて、経済問題を訴えることができなかった、アピールできなかったということになる。

民主党の支持基盤である、若者たち、ヒスパニック系、アフリカ系での支持を伸ばせなかった。ここに尽きるようだ。生活に密着する問題、インフレ問題について、バイデン政権も対策を行っていたが、それをアピールできなかったこと、更には生活実感として、そのような対策の効果を実感できなかったということである。インフレが直撃するのは所得が低い人々であり、そうした人々は、元々は民主党支持であったが、民主党がそうした人々の生活実感を救い取れなくなっている、また、都市部の中間層からエリート層が支持基盤となっているというところが大きい。また、有権者全体として、「経済問題はやはり、経営者出身のトランプだ」という感覚がある。

 文化的、価値観に関する問題で選挙を戦って勝てることもあるが、アメリカで生活に不安を持つ人々、明日の生活もどうなるか心配している人々、家賃高騰のために車上で生活することを余儀なくされている人々は直近の生活問題を解決することを望む。生活が安定しなければ、社会的な問題について考えることはできない。民主党はそうした生活実感を取り戻すことができるかどうか、ここが重要になってくる。

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2024年大統領選挙について出口調査が語っていること(What the exit polls say about the 2024 election

ダグラス・ショーエン、カーリー・クーパーマン筆

2024年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/4993162-trump-victory-exit-polls/?tbref=hp

ドナルド・トランプ次期大統領の選挙での勝利から2週間近くが経過したが、民主党員も専門家たちも、トランプが300人以上の選挙人を獲得するために、どのようにして7つの激戦州全てを席巻したのかを理解しようとしている。

出口調査はトランプ大統領の勝利の背後にある最大の理由を明らかにしている。有権者たちはカマラ・ハリス副大統領と民主党の左派によった綱領(left-leaning platform)を拒否した。この綱領は経済をほとんど無視しながら進歩的な社会問題に力を入れるものだった(doubled down on progressive social issues while largely neglecting the economy.)。

その代わりに、経済や移民問題といった生活に密着した台所テーブルに関する諸問題(kitchen table issues)に焦点を当てたトランプは、中絶の権利に焦点を当てたハリスや民主党よりも、特にハリスが勝利するために必要とした若年層、ヒスパニック系、黒人有権者に対して大きな効果を発揮した。

言い換えるならば、出口調査は、民主党が主要な有権者の間でさえ、意向を正しく読み取ることに失敗したことを示している。彼らは、2024年は2022年に似ていると想定していた。2022年は、中絶の権利をめぐる争いがインフレへの懸念をかき消し、全米で民主党を押し上げた。

しかしながら、CNNの2022年、2024年の出口調査によると、2022年には全米の有権者たちにとって中絶(27%)が2番目に重要な問題であったのに対し、2024年には14%だけが重要な問題だと答えただけだった。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、その時点までに、ヒスパニック系が多数を占める郡は2020年と比べてトランプの支持率が13ポイント、アフリカ系アメリカ人が多い郡は3ポイントも上昇しており、これは主にトランプが選挙運動の目玉とした経済への懸念によるものだと言われている。

ハリスと民主党が明確な経済政策を打ち出せなかったことは、この2つの票田(ヒスパニック系とアフリカ系アメリカ人)に特に大きなダメージを与えた。実際、ヒスパニック系有権者の40%が、経済が自分の投票にとって最も重要な問題であると答えており、CNNによれば、これは全米の有権者全体よりも8ポイント高い。

経済が最重要課題であると答えたヒスパニック系有権者のうち、3分の2(67%)がトランプに投票したのに対し、ハリスに投票したのはわずか32%であった。

更に言えば、経済を最重要課題とした20%の黒人有権者のうち、トランプはその4分の1強(26%)の票を獲得し、黒人有権者全体における支持率の2倍に達した。

ペンシルヴァニア州やアリゾナ州のようないくつかの激戦州の中では、ヒスパニック系の支持率が2020年と比べてトランプはそれぞれ27ポイント、10ポイント改善した。これが決定的だったようだ。

そのため、ヒスパニック系有権者を詳しく見ると、民主党のメッセージ発信(messaging、メッセージング)がいかにずれていたかが浮き彫りにされる。

ハリスと民主党全体は、トランプ大統領の移民排斥のレトリックに大きく傾倒したが、ヒスパニック系有権者の10人に7人以上(71%)は、ユニドスの出口調査によれば、より厳しい国境警備政策を支持している。

これと同様に、2022年の中間選挙では中絶(28%)がヒスパニック系有権者の最重要課題であったが、CNNによれば、今年同じことを答えたヒスパニック系有権者は2分の1以下(13%)であった。

同様に、伝統的に民主党の信頼できる有権者である若い有権者も、ハリスと民主党のメッセージ発信には動かなかった。ニューヨーク・タイムズの分析によると、「18~34歳の人口が多い」郡は、トランプ支持に6ポイント動いた。

特に30歳未満の有権者について見ると、ハリスはこれらの有権者の支持を勝ち取ったものの、彼女の獲得した11ポイント差は、4年前のバイデンの24ポイント差の約半分にとどまった。

ペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州といった「青い壁(Blue Wall)」の州と呼ばれる各州では、民主党はハリスが選挙人270人を超えることを期待していたが、若い有権者のシフト(移動)はさらに顕著だった。

エジソン・リサーチ社によれば、2020年と比較して、30歳未満の有権者はミシガン州で24ポイント、ペンシルヴァニア州で18ポイント、ウィスコンシン州で15ポイントもトランプにシフトした。これらは激戦州7州全てで最大の動きとなった。

中間選挙とは異なり、大統領選挙はほぼ常に経済と現政権をめぐる国民投票(referenda)であり、ハリスが苦戦したのはまさにここだった。

タフツ大学の世論調査によれば、30歳以下の有権者が今回の選挙の争点として挙げたのは、中絶よりも経済であり、その割合はほぼ4対1(40%対13%)となった。

ハーヴァード大学ケネディスクール政治学研究所の世論調査ディレクターであるジョン・デラ・ヴォルペが指摘するように、「私が実施した初期のフォーカス・グループから、トランプ政権下では若年層の財政が良くなるという生得的な感覚(innate sense)があった」ということだ。

興味深いことに、外交政策が経済、移民、中絶といった問題よりも関心が低いことが多い中、中東戦争に対する一貫した立場を明確に打ち出せなかったハリスは、ミシガン州のアラブ系有権者とペンシルベニア州のユダヤ系有権者からの支持を失った。

アラブ系アメリカ人の人口が多い都市であるミシガン州ディアボーンでは、トランプが得票率42%、ハリスの36%で僅差で勝利したが、これは2020年のバイデン大統領と比べてハリスは33ポイントも得票率を下げたことになり、これは驚異的な低下となった。多くの住民は、ハリスがイスラエル支持だと感じ、それに反対した。

逆に、ペンシルヴァニア州の世論調査によれば、ハリスがジョシュ・シャピロ州知事を副大統領候補に選ばなかったことは、CNNのヴァン・ジョーンズのような一部の民主党員でさえも、反イスラエルの進歩主義派をなだめるための努力だと非難しており、ハリスはペンシルヴァニア州を失った可能性がある。

ハリスはペンシルヴァニア州のユダヤ人票を48%対41%で獲得した。しかし、『ニューヨーク・ポスト』紙は、彼女がシャピロを選んでいたら、2倍以上の差をつけて勝っていた可能性が高いという世論調査を報じた。ユダヤ系有権者が有権者の3%を占めており、トランプが13万票弱の差で勝利した、この州では、これは大きな失敗だったかもしれない。

ミシガン州とペンシルヴァニア州でのハリスの苦戦は、彼女の選挙戦を悩ませた核心的な問題を象徴している。彼女は大統領になるための政策課題を明確に示すこともなく、不人気なバイデン大統領と自分を切り離して定義することもなかった。

より大きなスケールで見れば、全米および激戦州の世論調査は、ハリスと民主党のより深い問題を明らかにしている。有権者が、食卓に食べ物を並べられるかどうかや、管理されていない南部国境の脅威よりも、中絶のような問題を優先してくれることを期待し、手遅れになるまで間違った問題を優先したのだ。

ポジティヴに捉えれば、民主党の敗北の大きさと世論調査は、2026年、そして2028年に民主党がどのように立ち直ることができるかの明確な道筋を示している。とはいえ、民主党がこの地図に従って、経済中心の中道主義を発展させることを選択するかどうかは重要である。綱領を強化するか、その代わりに左寄りの社会問題に力を入れるかは見ていかねばならない。

※ダグラス・E・ショーン、カーリー・クーパーマン:ニューヨークに拠点を置く世論調査会社「ショーン・クーパーマン・リサーチ」の世論調査専門家兼パートナー。共著として『アメリカ:団結するか、死ぬか(America: Unite or Die)』の共著者である。

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選挙後のカマラ・ハリスとジョー・バイデン

 アメリカ、特に民主党界隈では、「カマラ・ハリスは気の毒だった」という主張が出ている。私もその通りだと考える。佐藤優先生との対談『』は期せずして、「カマラ・ハリスの敗北分析」のようになったが、私たちが話していた内容が現在、カマラ・ハリスの敗北分析で言われている。

 それでも、ハリスには気の毒な面が多かった。まず、選挙活動が実質3カ月ほどに限定された。ジョー・バイデンの高齢問題について注目が集まり、選挙戦からの撤退の声が大きくなったのが今年6月で、それまでは大統領選挙は無風状態で、トランプが有利という展開になっていた。大統領選挙候補者討論会で、一気にバイデンへの不安が噴出し、民主党側は火消しに躍起になっていたが、そのうちに、バイデンを諦めさせることが必要ということになり、バラク・オバマに「何とかしてくれ」という声が集まり、彼が引導を渡す形になったようだ。それが今年7月のことで、1カ月もの間、ぐずぐずしていたことになる。そして、「副大統領のカマラが良いのではないか」という空気づくりがなされて、「カマラ待望論」が無理やりつくられた。

 そもそも、カマラ・ハリスは大統領選挙の候補者になるほどの資質を持った人物ではない。以下の論稿でネイト・シルヴァーが書いているように、「誰かの代わりになるくらいのレヴェル」であって、連邦上院議員でも彼女の資質だと持て余すくらいだと思われる。バイデンがハリスを副大統領に選んだのも、自分を脅かさないくらいの人物ということもあったと思われる。ハリスにとって大統領選挙候補者は荷が重すぎたということになる。そもそも、2020年の大統領選挙民主党予備選挙では、カマラ・ハリスは早々に撤退している。有力候補という見方をされていたのに、支持率が伸びなかった。民主党自体がカマラ・ハリスの資質について最初から見切っていた。自分の能力よりも上の仕事をさせられるのは気の毒なことである。

 7月末からカマラ・ハリスは選挙運動を始めることになったが、選対は「居抜き」のような形で、それにバラク・オバマが自身の選対のスタッフだった人たちに声をかけて急ごしらえで整えられたものだ。これではまず一体感が出ない。バイデンのために一生懸命頑張ってきたというスタッフたちにとっては、「なんで能力もないカマラのために働かねばならないのか、自分はバイデンを大統領にするために頑張っている」ということになり、士気が上がらない。「トランプの大統領就任を阻止する」だけでは士気は上がらない。

 更に言えば、バイデンは全く協力的ではなかったということも言えるだろう。バイデンはハリスの選挙運動にほとんど関わらなかった。「現政権の失敗と彼女とを結びつけるのはよくない」という言い訳はできるが、ハリスが副大統領である以上、バイデン政権を背負わねばならないのは当然だ。従って、バイデンは「自身の後継者」としてカマラ・ハリスを支援しなければならなかったが、それができていなかった。結果として、民主党側は盛り上がりに欠けた戦いになった。また、ハリスの候補者指名についても、結局、党の「ボス」たち、エスタブリッシュメントが空気づくりをして、手続きをすっ飛ばして決めてしまったことで、「非民主的」という批判を受ける口実を与えることになった。

 カマラ・ハリスは負けるべくして負けた。まさに「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」ということになる。

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ネイト・シルヴァーがバイデンは「代わりの人レヴェル」の候補者カマラ・ハリスに対して「何の助けも」しなかったと発言(Nate Silver says Biden did ‘no favors’ for ‘replacement-level’ candidate Harris

アシュレイ・フィールズ筆

2024年11月15日

『ザ・ヒル』誌

by Ashleigh Fields - 11/15/24 10:57 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/4993995-nate-silver-says-biden-did-no-favors-for-harris-bid/

世論調査専門家のネイト・シルヴァーは、ジョー・バイデン大統領が今夏の大統領選からの撤退前後に「彼女に手を貸さなかった(did her no favors)」ため、トランプ次期大統領に敗北したハリス副大統領に「大きな同情(a lot of sympathy)」を抱いていると述べた。

シルヴァーは金曜日に自身のウェブサイトに投稿し、ハリス副大統領が在任中に注力したことについて、「おそらく民主党が最も苦手とする国境問題や、ホワイトハウスがおそらく進展がないと分かっていたであろう投票権問題など、バイデンはハリスに厳しい課題を与えた」と書いた。

シルヴァーは「バイデンは、討論会のスケジュールを空白にし、9月11日以降、ハリスが最も得意とする討論会であったにもかかわらず、何も予定を入れなかった。最後まで、バイデンは彼女のメッセージを踏みにじった」と書いた。

しかし、シルヴァーは、この感情がハリス候補に対する一部の肯定的な見方を歪め、彼女は 「代替レヴェルの政治家(replacement-level politician)」であり、トランプを打ち負かすには「平均か平均より少し上(average or slightly above average)」の人物が必要だったと述べた。

シルヴァーは、11月の投票での民主党の連邦上院議員候補者たちに比べてハリスの成績が劣っていたことを挙げ、「人々はハリスの立場に対する同情を、彼女が良い候補者だったことと混同していると思う」と書いた。

シルヴァーは「計算してみると、ハリスは民主党上院候補と比べて、平均2.6ポイント、中央値で2.4ポイント下回った」と書いている。

シルヴァーによれば、ハリスの劣勢の理由には、メッセージ発信の問題、バイデンとの差別化を「拒否(refusal)」したこと、2020年の最初のホワイトハウスを目指した予備選挙と、2024年の直近の千四の間で彼女のスタンスが変化したことなどが含まれるという。

シルヴァーは「彼女は今回の選挙戦で中道(the center)に軸足を移そうとしたのだろうが、なぜ以前の立場を捨てたのか、彼女の政策課題が実際にどのようなものなのかについての説明が不足していたため、せいぜい不器用な努力をしているだけのことだった」と書いている。

それでも、シルヴァーは、バイデンが選挙戦を続けていれば負けていただろうと主張し、内部世論調査でトランプが400人の選挙人を獲得したとの報道を引き合いに出した。

シルヴァーは「バイデンが選挙戦から撤退したとき、バイデンは全米世論調査の平均でドナルド・トランプに4ポイント差をつけられていた。最終的な票差は、良くなるどころか、悪くなっていたと思う」と書いている。

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 今回の大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領に圧勝、地滑り的勝利ということになった。大きいのは、一般得票数でもトランプがハリスに勝利したことだ。2016年の選挙では、選挙人獲得数ではトランプが勝利したが、一般得票数ではヒラリー・クリントンが勝利した。2020年の選挙ではジョー・バイデンがトランプに対して、選挙人獲得数、一般得票数で勝利した。人口が多い都市部を持つ州は民主党優勢州であり、ここで民主党の候補者が圧勝するので、一般得票数が多くなるということがあった。しかし、今回は、民主党優勢州でハリスは勝つには勝ったが、ヒラリーやバイデンに比べて得票率を減らしている。トランプは共和党優勢州ではハリスに圧勝している。こうしたことがあり、ハリスは一般得票数でもトランプに敗北するということになった。
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 やはりアメリカ国民のインフレ疲れ、生活の不安ということが原因であろう。特に低所得者層にとってこの問題は深刻だ。給与や年金が高い中間層以上には耐えられるものでも、こうした人々にとっては生きるか死ぬかの問題である。インフレ率はジョー・バイデン政権で下がってきていたが、生活者の実感としてはかなり厳しいということがある。私たちは、テレビ番組などで有名人たちがハワイに行ってラーメンが何千円もしたとか、朝食を食べるだけで1万円近くしたという話を聞いて、「なかなか海外旅行にも行けなくなったな」と嘆くばかりだが、実際にそこで生活している人たちにとっては死活問題だ。それが今回の選挙で明らかになった。

逆に言えば、トランプ政権はインフレ対策と雇用創出で思い切った施策を行わねばならない。トランプはもう次の任期は狙えないとなれば、子の大統領任期では、イングレ対策と雇用創出、更に、後継者づくりということを主眼に置くことになる。トランプの後継者となり得るのは現在のところ、JD・ヴァンス次期副大統領だ。

 今回の選挙ではラテンアメリカ諸国出身の人々、男性はラティーノ、女性はラティーナと呼ばれるが、ラティーノの間でトランプへの支持が増えている。彼らにとっては、不法移民対策がもっと重要なテーマとなったようだ。彼ら自身も移民、もしくは移民の家族出身であり、本来であれば、不法移民に対して寛容であるとも思われるが、不法移民に対して否定的な選択をしたということは、不法移民に関連しての地域の治安の悪化や財政負担の問題が大きくなっているということが挙げられる。これは彼らの生活の実感である。

 民主党は人々の生活の実感に鈍感になっている。そのことが今回の選挙、大統領選挙だけではなく、連邦上院議員選挙、連邦下院議員選挙で明らかになった。これをポピュリズムだと簡単に片づけて、見ないふりをしていては民主党に未来はない。アメリカの人々は生活の実感を持って政治に怒りを持ち、このような判断を下した。民主党はこれをしっかり受け止めねばならない。

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民主党優勢州の結果はハリスと民主党にとって残酷な夜を浮き彫りにしている(Blue state results underscore brutal night for Harris, Democrats

ジュリア・ミュラー、ジャレッド・ガンズ筆

2024年11月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4977596-democrats-lose-midterms-2024/

全米の有権者は火曜日にカマラ・ハリス副大統領と民主党が主張した内容を拒否し、この結果は党による大規模な内省(soul-searching)の引き金となっている

ドナルド・トランプ次期大統領は前回勝利した州でハリスとの差を広げたが、一部の民主党の優勢州での差も縮小した。

2020年にジョー・バイデン大統領が16ポイント差で勝利したニュージャージー州では、水曜日の夜、ハリスが5ポイント弱の差でリードしていた。前回バイデンが23ポイント差で勝利したニューヨーク州では、火曜日にはハリスが約11ポイント差で勝利した。

『ワシントン・ポスト』紙の追跡調査によると、国内の約3000の郡のほとんどが火曜日に右方向(トランプ)に移動した。

世論調査専門家ネイト・シルヴァーの分析によると、ニューヨーク市の5つの行政区は全て右にシフトしており、場合によってはトランプの得票率が11ポイントも上昇した。

ハリス副大統領はシカゴ、ボストン、フィラデルフィア周辺の郡でバイデンの2020年の数字を下回った。ヒューストン周辺のテキサス州ハリス郡では、バイデンが約14ポイント差で勝利したが、ハリスはわずか5ポイント差で勝利した。

ハリスは民主党優勢州のメリーランド州で簡単に勝利したが、それでもその差は縮まって23ポイントだった。前回の選挙でバイデンはトランプに33ポイント差で勝利した。

イリノイ州は1990年代初頭以来、民主党の大統領候補は2桁の差で投票してきたが、ハリスはわずか8ポイント程度の差で勝利する見込みになっている。

トランプは多くの民主党優勢州でスコアを伸ばしただけではない。彼は共和党優勢州でもスコアを伸ばした。

トランプ氏は2020年にきわめて強力な共和党優勢州のアラバマ州で25ポイント差でバイデンに勝利したが、今回の選挙ではそのリードを30ポイント以上に広げた。

アイオワ州では、信頼性の高い世論調査でハリスが3ポイント差で驚くべき優位性を示した数日後、トランプが快勝した。最新の数字によると、トランプは約13ポイント差をつけてリードしており、アイオワ州での過去の成績を上回っている。

トランプは2016年と2020年の大統領選挙で一般得票数で敗れた。水曜日夜の時点で、トランプは2024年の一般得票数で勝利するのは確実と見られている。トランプはハリスに500万票近くの差を付けており、驚くべき逆転となった。

ハリスの困難な一夜は、民主党上院議員候補がモンタナ州とオハイオ州で苦戦して敗北し、ペンシルヴァニア州とネヴァダ州でもさらに2敗する危険があったため、投票結果に影響を及ぼした。ウィスコンシン州とミシガン州の連邦上院の他の民主党候補者2名が熾烈な競争を勝ち抜いた。

選挙翌日、民主党は敗北の原因が戦術的、戦略的決定なのか政策上の問題なのかを議論した。

民主党系のストラテジストのジョン・ライニッシュは、選挙戦の特殊な状況を考慮するとハリスは「できる限りの最善を尽くした」と主張し、再選活動から早期に撤退しなかったバイデン大統領の責任を非難した。

一方、民主党系のストラテジストのフレッド・ヒックスは、民主党がバイデン大統領を非難することに反対した。ヒックスは、新型コロナウイルス感染症時代からのインフレという逆風により、2024年に現職大統領が勝利するのは困難だっただろうと述べた。

ヒックスはまた、共和党と中道派の有権者にとって最大の2つの問題、移民とインフレに関してハリスがバイデンから距離を置くのに苦労したとも語った。 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、ブルーカラー層の有権者が大挙して民主党から離れていることを指摘し、民主党は労働者階級を見捨てたと主張した。

「最初、白人労働者階級だったが、今ではラティーノ系アメリカ人や黒人労働者もそうなっている」とサンダースは声明で述べた。彼は、「民主党指導部が現状を擁護する一方で、アメリカ国民は怒り、変化を望んでいる。そして彼らは正しいのだ」と続けた。

トランプ大統領はウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州、ミシガン州の「青い壁(blue wall)」3州を全てひっくり返し、前回の選挙では全てバイデンに敗れた。

また、バイデンが2020年に勝利を収めたジョージア州を逆転し、ネヴァダ州でも勝利して激戦区の連勝記録を伸ばした。前回もバイデンが勝ったアリゾナ州では、水曜午前の時点で5ポイント弱の差で勝利していた。 

選挙前の世論調査では、多くのアメリカ人にとって経済が最重要課題であることも示されており、火曜日の投票では、バイデンよりも経済にうまく対処するというトランプ大統領の公約にほぼ同意していることが示された。

このことは、ハリスが中絶の権利と、2020年の選挙を覆すためのトランプの行動を考慮してトランプが代表していると彼女が述べた民主政治体制への脅威に焦点を当てすぎたのではないかという疑問を引き起こした。

サフォーク大学政治研究センター所長のデイヴィッド・パレオロゴスは、中絶の権利について「一部の有権者にとっては非常に重要な問題だったと思うが、全体としては第一位や第二位の問題ではなかった」と述べた。

ヒックスは、共和党がインフレと移民を攻撃していることと、民主党がこれらの問題についてより良い主張を提案できなかったことが原因だと主張した。

ヒックスは次のように語った。「この件で民主党を沈めたのはインフレと移民の双子(twins)だった。そして、トランスジェンダーの学生がスポーツに参加し、税金がそこに投じられるという社会問題を持ち出すと、それはまさにインフレのポイント全体にまで及ぶが、民主党はそうしなかった。具体的には、ハリス陣営はそれを克服できなかったようだ」。

ライニッシュによれば、民主党は広く中道派の有権者に届く適切なメッセージを磨いておらず、「ここ数年で左派がどれだけ遠くまで行ったか」に不満を抱いた民主党支持層の一部を疎外しているということだ。

共和党系ストラテジストであるジョシュア・ノボトニーは、トランプは多くの人々を惹きつける「ブランド(brand)」であり、将来的には再び選挙に出馬することはないため、共和党がこれまでに得た利益を更に拡大できるかどうかが懸念材料だと述べた。

ノボトニーは、次期副大統領のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)が新しい共和党の「後継者(heir)」と見られるが、将来の成功への最善の道は、制限された政府と減税というより古い理想と共和党の共和党の理念、トランプ大統領時代の「ポピュリズム傾向(populism streak)」を結びつけることだと述べた。

ノボトニーは「もし彼らがそれらを変えることができていれば、昨日彼らはかなりうまくやったと思うが、私たちがそれらを変え続けることができれば、それが勝利のレシピだと思う。 それが起こるかどうかは、私たちがどのような候補者を擁立するかに大きく左右されると思う」と述べた。

民主党は今後数カ月をかけて何が問題だったのか合意することに努め、有権者が2026年の中間選挙、そして2028年に再び中間選挙に戻るべき理由について説得力のあるメッセージを打ち出すよう努めるだろう。

ヒックスは、今後は民主党が経済メッセージを洗練させ、非大卒有権者、中年有権者、男性有権者といったトランプ大統領の主要層の支持を得るべく努力する必要があると述べた。

ヒックスは「今日は次の選挙サイクルの初日だ」と語った。

=====
トランプはラティーノ系からの支持を基盤にして勝利への道を整える(Trump builds on Latino support, helping pave way to victory

ジュリア・マンチェスター、キャロライン・ヴァキル筆

2024年11月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4977774-trump-gains-latino-voters/

ラティーノ系とヒスパニック系の有権者の間でのトランプ次期大統領のパフォーマンスは、前大統領が重要な投票層に進出したことにより、投票日の共和党にとって最も明るい材料の1つとなった。

プエルトリコやラテンアメリカ出身者について人種差別的なジョークを飛ばすコメディアンをフィーチャーした集会でトランプが受けた反発にもかかわらず、トランプ前大統領はこうした人々の間で支持を拡大しているようだ。トランプはプエルトリコ人が多く住むフロリダ州中部のオセオラ郡を僅差で1ポイント以上の差をつけて逆転した。これに対し、2020年にジョー・バイデン大統領が14ポイント近くの差をつけてオセオラ郡で勝利し、2016年にはヒラリー・クリントン元国務長官が25ポイント近くの差をつけて勝利した。

アリゾナ州全体ではヒスパニック系人口が目立つユマ郡とサンタクルーズ郡でトランプ元大統領が2020年の成績を上回っているように見えたが、州内での票数はまだ集計中だ。

CNNの出口調査によると、ハリス副大統領がラティーノ系有権者の間でトランプに52%対46%で勝利しており、このグループ内でトランプを上回ったが、差は一桁となった。2020年の得票率はバイデンが65%だったが、トランプは32%だった。

今回の選挙で最も注目に値するのは、トランプがラティーノ系男性でハリスに12ポイント差をつけて勝利したことだ。これは、バイデンが23ポイント差で同グループの支持を集めた2020年以来、驚異的な35ポイントの差となった。そしてハリスはラティーナ系女性の間で大差で勝利し、トランプを22ポイント上回ったが、わずか4年前には、バイデンが獲得した39ポイントの差と比べると、歴然とした違いがある。

トランプ陣営の上級顧問ダニエル・アルヴァレスは次のように語った。「ドナルド・J・トランプ大統領がヒスパニック系有権者から歴史的な支持を得たのは、コストの削減、経済の回復、アメリカの繁栄の回復、国境の確保、国内外の安全など、私たちのコミュニティにとって最も重要な問題について決して揺るぎなかったからだ。トランプ大統領が勝利演説で述べたように、今こそ仕事に取り掛かり、アメリカ国民のために奉仕すべき時だ」。

ラティーノ系有権者の一部が共和党に傾きつつあるという警告の兆候は、民主党にとって長年にわたって明らかであった。2022年、共和党はフロリダ州の投票圏、特にキューバ人やプエルトリコ人コミュニティで実績を上げた。ロン・デサンティス知事(共和党)は、キューバ系アメリカ人の68%、プエルトリコ人の56%を含むフロリダ州のラティーノ系投票の58%を獲得した。

そして、2024年の選挙に向けた世論調査では、トランプはラテン系有権者の間で、特に若いラティーノ系男性の間で有望な兆しを見せていた。

ラティーノの投票行動や傾向を専門とする共和党のストラテジストであるマイク・マドリッドは、「孤立した若いラティーノ男性により浸透しているが特に注目だ」と述べている。

マドリッドは「若いヒスパニック系男性だけでは、オセオラ郡はひっくり返せない」と述べた。

マドリッドは、ラティーノ系有権者の大きな変化は、「より長期的な、世代的な軌跡(longer-term, generational trajectory)」の一部であると主張する。

マドリッドは「非白人で労働者階級のポピュリスト的な有権者という新しいタイプの有権者が出現している」と述べた。

共和党は、このスイングは経済や移民などの問題で共和党に向かう動きであると同時に、民主党の政策に対する拒絶だと主張している。

ある共和党系ストラテジストは「例えば、テキサス州南部に行って、それらのコミュニティに入ってみると、実際、不法移民の流入については長年の懸念があった。なぜなら、不法移民が実際に彼らのコミュニティに流入するからである」と述べ、ラティーノ系住民が、学校選択や中絶などの問題について右派への傾斜の兆しを見せていると付け加えた。

3月に発表されたピュー・リサーチ・センターの調査によると、アメリカ在住のヒスパニック系住民の75%が南部国境を越える移民数の増加を「大きな問題または危機(major problem or crisis)」と述べ、74%が政府の対処に対して批判的だと答えた。またこの世論調査では、51%が南部国境への対処が大統領と連邦議会にとって最優先事項であるべきだと答えていることも明らかになった。

前述のストラテジストは、「この傾向は以前から存在しており、共和党にとってありがたいことに、民主党はそれを認識できず、歴史を通じてその価値を評価することができず、率直に言って、彼らは党内のほとんどの少数派を同じように扱ってきた。彼らはテキサス州やアリゾナ州のヒスパニック系有権者を黒人有権者の穴埋め要員として扱った」と述べた。

このストラテジストは「それは連合ではない。それは怠惰であり、人々が自分たちを支持して当然なんだと見なしている」と続けて述べた。

アリゾナ州民主党の元幹事長DJ・クインランは、それはさらに単純であると示唆している。ラティーノ系とヒスパニック系の有権者たちは、他の主要な投票ブロックと同じ傾向の影響を受けている。

クインランは次のように説明した。「ドナルド・トランプ勝利の物語を、より多くのラティーノ系アメリカ人が彼に投票するという物語として伝えることに焦点を当て、起きている全体的な広範な社会的傾向に目を向けないのは大きな間違いだ。全体的に広範な動きがあったが、それは何よりも誤った情報と経済的不安によって主に動かされていると私は言いたい」。

クインランは「私自身もラティーノ系アメリカ人として、トランプ政権が傾いていると思われる多くの政策、つまり、特に医療費負担適正化法の廃止や、明らかに大量国外追放などの政策によって、ラティーノ系アメリカ人が不釣り合いなほどの深刻な影響を受けるのではないかと心配している」と語った。

コメディアンのトニー・ヒンチクリフがプエルトリコを「ゴミの浮島(floating island of garbage)」と呼び、ラティーノ系アメリカ人について下品なジョークを飛ばした先月下旬、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの大規模な集会の後、トランプ大統領のラティーノ系コミュニティに対する立場は不安定になったと多くの人が信じていた。リック・スコット連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を含む共和党員たちは、この発言をすぐに非難したが、トランプと選挙陣営はヒンチクリフから距離を置いた。

ハリス陣営はこの論争を利用して、既に進行していたラティーノ系有権者への働きかけを強化した。しかし最終的には、この論争はこの有権者グループに大きな影響を与えなかったようだ。

トランプ前大統領への大口献金者であるダン・エバーハートは、「全国的に見て、ラティーノ系有権者に起こったことは驚きだと思う。これはアメリカ政治のパラダイムシフトであり、潜在的には今回の選挙よりも大きな変化だと思う」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙が終わり、共和党のドナルド・トランプ前大統領の当選、民主党のカマラ・ハリス副大統領の落選の理由について様々な報道が出ている。CNNは出口調査の結果を2016年、2020年、2024年と比較して分析する記事を出している。
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 この記事によると、中南米出身の人々(男性はラティーノ、女性はラティーナと呼ぶ)はトランプ支持が増えており、男性ではトランプ支持が過半数となったということだ。マイノリティは民主党支持というのがこれまでの常識であったが、ラティーノ男性のトランプ支持の理由の詳細な分析がこれから待たれるところだ。

 大学の学位の有無と居住地域の差は大きい。大学の学位を持っている人たちはハリス支持(民主党支持)、持っていない人たちはトランプ支持(共和党支持)であり、居住地域では地方部はトランプ支持、都市部はハリス支持、郊外地域は激戦という構図になっている。大学の学位を持っている人たちの収入が比較総体的に高いことを考えると、所得た高ければハリス支持、低ければトランプ支持となることが容易に推定される。アメリカの分断は大きくなる一方だ。これは日本にとって対岸の火事ではない。日本でも格差社会から分断へと進みつつあるように思われる。

 人々は経済問題を最大のテーマと考えていた。インフレと生活費の高騰を何とかして欲しいというのが人々の願いだった。ジョー・バイデン政権が発足以来、アメリカのインフレ率は下がっている。2021年には7%、2022年には6.5%、2023年には3.4%、2024年には2.4%だ。しかし、それが生活の実感として感じられなかったというのはバイデン政権にとっても、カマラ・ハリスにとっても不運だった。そして、人々が4年前に比べて生活が苦しいということになって、他のどの問題よりも経済問題を重視した結果がトランプ支持となった。トランプにとっては雇用創出が最大のテーマとなる。

 そして、アメリカ大統領選挙の最大のテーマは「トランプ」そのものということになる。トランプ支持者のほとんどは、トランプを好み、トランプを支持している。一方で、ハリス支持者の一定数は、別にハリスでなくてもよく、トランプが嫌だ、トランプの対立候補だからハリスを応援するという消極的支持である。これでは選挙戦に熱が入らない。私は拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも、バイデン支持の一定数が消極的支持であることを指摘した。民主党は力強い人物を擁立できなかったことが敗北につながったと言えるだろう。

 私は『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始めるでも述べたが、こうしたアメリカの分断は2016年のドナルド・トランプの大統領選挙初当選以前からはじまっていたと指摘したい。「トランプがアメリカの分断を生み出したのではなく、アメリカの分断がトランプを生み出した」と書いた。バラク・オバマ政権下で既に始まったと見ている。あの時の多幸感(euphoria)と熱狂(enthusiasm)は、今から考えると、日本における小泉純一郎政権誕生の時とよく似ている。こうした熱狂の後には焼け野が原の光景が広がっていたというのは日米共通の実感かもしれない。

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トランプの3回の選挙の解剖:アメリカ人は2016年・2020年と2024年に比べてどのように移動したのか(Anatomy of three Trump elections: How Americans shifted in 2024 vs. 2020 and 2016

-出口調査は分断された国家を明らかにしている

ザカリー・B・ウォルフ、カート・メリル、ウェイ・マレー(CNN)筆

2024年11月6日(アップデート:2024年11月7日)

CNN

https://edition.cnn.com/interactive/2024/politics/2020-2016-exit-polls-2024-dg/

ドナルド・トランプ大統領が歴史的なカムバックを演じ、2度目の大統領選に勝利すると予想されている。トランプが投開票に参加した3回連続の選挙で、この国の政治がどのように変化したかについて、いくつかの重要なポイントがある。

2016年、2020年、2024年のCNNの出口調査結果は、景気低迷(sour economy)がいかにカマラ・ハリス副大統領の足かせとなったか、中絶の権利への支持(abortion rights)が高まったにもかかわらず、ハリスが女性の支持をいかに押し上げることができなかったか、そしてラティーノ男性が特にトランプに引き寄せられたことを明らかにしている。

2024年の選挙におけるCNNの出口調査には、投票日に投票した人、期日前投票や不在者投票をした人の両方を含む数千人の有権者へのインタヴューが含まれている。その範囲により、今年の選挙における有権者の人口動態や政治的見解を理解するための強力なツールとなる。そして、彼らの調査結果は、最終的には最終的なベンチマークである選挙結果そのものに対して重み付けされることになる。それでも、出口調査は依然として世論調査であり、誤差の余地はある。つまり、出口調査は、正確な測定値(precise measurements)ではなく推定値(estimates)として扱う場合に最も有効だ。出口調査の数字が最終的な選挙結果に合わせて調整される前は特にそうだ。

2024年の出口調査データは引き続き更新され、以下のグラフに自動的に反映される。

●女性はハリスに傾き、男性はトランプに傾く(Women lean toward Harris, and men lean toward Trump

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女性有権者におけるハリスの優位性は、ジョー・バイデン大統領やヒラリー・クリントン元国務長官のいずれも上回らなかったが、中絶問題で女性有権者を動員しようとしていたことを考えると、副大統領にとっては厄介な兆候となった。トランプは男性の間で優位性を維持した。

●ラティーノ男性はトランプを支持(Latino men embraced Trump

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ラティーノ系有権者、特に男性は、2016年以来、トランプに傾倒している。今年、初めてラティーノ男性がトランプの支持に傾いた。 2020年にはバイデンが23ポイントの差で支持を獲得し、2024年にはトランプが支持を獲得した。ラティーナ女性は依然としてハリスを支持したが、その差はクリントンやバイデンよりも小さかった。

ハリスは黒人男女の間で強いリードを維持した。白人男性におけるトランプのリードは小さくなった。

●教育における分裂は大きくなっている(The educational divide grows

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大学の学位を持たない白人有権者は長年トランプの支持基盤(base of support)を代表しており、それは今も変わらない。大卒の白人の有権者の間に変化が起きている。2016年には僅差でトランプを支持したが、2024年にはハリスが勝利し、男女双方で意見が分かれた。ハリスは大卒の白人女性に約15ポイント差で勝利し、バイデンとクリントンの両者を上回った。一方、ハリスはあらゆる教育レヴェルの有色人種の有権者の支持を一部失った。

●若い有権者はトランプに移動する一方で、トランプは高齢有権者たちの支持を失う(Younger voters shifted toward Trump, while he lost ground with senior voters
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民主党は、最年少有権者層の支持を一部失った。このグループは圧倒的に民主党に投票している。しかし、ハリスはまた、伝統的に共和党寄りのグループである最年長有権者の間で支持を伸ばした。興味深い変化となった。

●トランプはアメリカの地方部で力を取り戻す(Trump regained power in rural America

Voted for the Democrat

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トランプは2020年に地方での支持をいくらか失ったが、2024年には地方で完全な支持を取り戻した。都市部では依然として民主党支持が堅調だった。郊外は選挙を左右する激戦区であり続けた。

●有権者は経済について不満を持っている(Voters are sour on the economy
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2020年、経済が良好な状態にあるかどうかについて有権者の意見は二分されたが、2020年のアメリカ国民の生活に影響を及ぼしていた猛威を振るったパンデミックを考えると信じられないことだった。2024年には有権者の約3分の2が経済状況は悪化していると回答した。この心境の変化はトランプに利益をもたらした。

●自分たちの家族が落伍していると報告する人々が増えている(More people report their family has fallen behind

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党派が、自分たちが支持する人物がホワイトハウスにいるかどうかに基づいて、自分たちの立場が改善したかどうかを主張するのは当然だ。今年、大きな変化が起こった。2020年、有権者のわずか約5分の1が、4年前よりも悪い状況だと答えた。今年は有権者のほぼ半数が、4年前よりも状況が悪くなったと答えている。トランプが圧倒的に勝利した。

●より多くのアメリカ人は中絶の権利を支持している(More Americans support abortion rights

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これらのグラフでは十分に語られていないものの1つは、中絶に関する会話がどのように変化したかということだ。2016年のロウ対ウェイド事件では、全てのアメリカ人女性が中絶する憲法上の権利を保障された。2024年には、連邦政府の権利は消滅し、トランプが最高裁判事の議席に貢献した保守派多数派によって剥奪された。2020年にはアメリカ人の約半数が、全て、またはほとんどの場合において中絶は合法であるべきだと答えた。 2024年には、アメリカ人の約3分の2が、全て、またはほとんどの場合において中絶が合法であるべきだと考えている。しかし、彼らはその支持を必ずしも大統領への投票に結び付けた訳ではなかった。中絶はほとんどの場合合法であるべきだと主張する人の約半数がトランプを支持した。

●トランプは穏健派に食い込んだ(Trump made inroads with moderates

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トランプ時代にリベラル派と保守派は党派的な立場をさらに深めた。穏健派は2024年でも民主党候補を支持しているが、その差は2020年よりも小さい。

●トランプは選挙において支配的な人物だ‘Trump is the dominant figure in the election

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対立候補よりも自分が選んだ候補者を支持して投票すると回答した人々はトランプに二分され、これは支持者の間でのトランプの人気の表れだ。反対運動により動機付けられた人々は主にハリス陣営にいた。全体として、有権者の約4分の3は、ライヴァルに反対するためではなく、主に候補者を支持するために投票していると述べた。

●トランプ大統領は新たな有権者を巻き込んだ(Trump engaged new voters

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トランプの選挙戦略は、普段は政治プロセスに参加しない、政治性向の低い有権者を動かすことを中心に構築された。バイデンが若年有権者を獲得した2020年とトランプが獲得した2024年の間に劇的な変動があったため、それが功を奏した。しかし、最初の投票を 2020年よりも2024年に行ったと報告した有権者の割合が少なかったという事実には、重要な背景がある。

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 アメリカでトランプが新大統領として選出され、日本では石破茂首相が総選挙を終えて、予算成立を目指すことになる。国内政策、対外政策は共に思い通りに進むものではない。それは、多くの要因が影響してくるからだ。国内政策であれば、政党、省庁、地方自治体、利益団体などが絡むし、対外政策では国家や国際機関が絡む。国内政策と対外政策はお互いが影響し合う。これによって非常に複雑な状況になり、予想通り、思い通りにいかないことがある。

 今回ご紹介するのはスティーヴン・M・ウォルトの記事で、選挙の時に発表される綱領(platform)はあてにならないというものだ。言われてみれば確かにそうだという内容になっている。ウォルトの主張をまとめると以下のようになる。

選挙で発表される綱領は、政権を取った場合に実現したい政策を発表するものだ。今回の大統領選挙での共和党、民主党の綱領の対外政策の部分は総花的ということだ。党の綱領は理想を示すものである一方、実現が難しい高邁な目標を掲げることが多く、実行可能な政策とのギャップが存在する。

実際の対外政策は選挙戦の公約とは異なる可能性がある。それは、大統領は外交政策において広範な裁量権を持っているため、選挙時の発言に縛られることはない。歴史的に見ても、選挙戦での公約と政権発足後の実際の政策には乖離が見られることが多く、過去の例としてクリントンの対中政策やバイデンの経済政策や対イラン外交のケースが挙げられる。

当選後の状況や出来事が予測不可能であるため、どのような事態が発生するかは事前に計画することが難しい。だから、次期大統領が具体的に何を行うかは、党綱領を見ても明確には分からない 最終的に、党綱領は党の目指す方向性を示すものではあるが、次期大統領がどのような課題に直面し、どのように対応するかは、党綱領ではなく、実際の政治的状況によって決まる。

 今回の大統領選挙ではドナルド・トランプが当選した。トランプが何をやるのか不安を募らせている人たちが多くいるという報道もなされている。トランプが何でもかんでもできるということはない。そのための権力分立(separation of power)である。そして、対外政策においても彼の思い通りにはいかない。それが政治の現実である。いたずらに不安を煽って、トランプに対する敵愾心を刺激する報道や主張こそはアメリカの分断・分裂を即死することになる。まずは落ち着いて現実を見ることだ。現実は理想通りに、また悪い想像通りには進まない。

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外交政策について、アメリカの政党は力を持っていない(On Foreign Policy, U.S. Parties Don’t Have the Power

-なぜ大統領選挙の公式綱領に注目するのは間違いなのか?

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年8月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/26/republicans-democrats-conventions-platforms-2024-election-trump-harris-foreign-policy/

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2008年8月25日、ワシントンDCに掲げられた民主党(ロバ)と共和党(ゾウ)のシンボルマーク

アメリカの共和党と民主党は大統領候補を選出した。そのプロセスの一環として、彼らはまた、11月に勝利した場合に何を支持し、何を提案するかを述べた公式声明、いわゆる党綱領を発表した。ドナルド・トランプJD・ヴァンスがどのように行動したかの兆候を探してそれらを調べたくなる誘惑に駆られる。または、カマラ・ハリスとティム・ウォルツが統治することになるが、両方を読んだ上での私からのアドバイスは、「気にしないこと」だ。少なくとも外交政策に関して言えば、どちらの文書も2025年以降に何が予想されるかについてはあまり語っていない。

確かに、この2つの文書は全く異なるものだ。共和党の綱領はトランプ大統領の言葉のサラダであり、深刻な綱領的な声明というよりも、他国との関係を統治したり管理したりするための青写真(blueprint)どころか、彼の支離滅裂で奇妙に大文字のツイートのようなものだ。それは彼のおなじみの不満に満ちたテーマのほとんどを呼び起こすが、それは役に立たないほど曖昧であり、おそらくそれがポイントだ。これは、トランプ大学の古い広告の1つである詐欺の政治ヴァージョンだ。

対照的に、民主党の綱領は長くて、真面目で、理屈っぽくて、ちょっと退屈で、どの大統領も守れそうもないほど多くの公約を掲げている。ジョー・バイデン大統領の外交政策の成果をバラ色の目で評価し、良い点(同盟諸国との関係改善など)を強調し、ウクライナやガザ地区への対応を肯定的に描くために狂ったように回転している。ハリスが当選した場合に何をするかということについては、それほど多くを語らないという事実を除けば、注目に値するだけの十分な内容がここにはある。

それでは、これらの文書をどう解釈すればいいのだろうか? 始めに、党綱領とは何か、どのように交渉されるのかを理解することが重要だ。党綱領とは、党内で誰が十分な政治力を持ち、自分たちの意見を文書で表現できるかを反映したものである。共和党の場合、2024年の綱領を見れば、かつては誇り高く原則的な政治組織であったものを、トランプがほぼ完全に支配していることが分かる。

民主党の場合は、主要な利益団体や利害関係者、特に大口献金者の外交政策に対する主要な関与を反映している。だからこそ、バイデンの明らかに複雑な記録を肯定的に捉え、「中産階級の雇用を海外に移転させ、サプライチェーンを空洞化させ、労働者を大切にする代わりに企業のCEOに報酬を与え、包括的な経済成長を生み出せなかった(let middle-class jobs move offshore, hollowed out our supply chains, rewarded corporate CEOs instead of valuing workers, and failed to generate inclusive economic growth)」貿易政策を否定している。「永遠の戦争(forever wars)」を否定する一方で、あらゆる地域が重要である世界を描き、アメリカは「世界の舞台でリードし続けなければならない(must continue to lead on the world stage)」と主張している。リベラルな覇権主義そのものだ。

それでは、なぜこれらの発言を真に受けてはいけないのか? 第一の、そして最も明白な理由は、大統領は外交政策に関して莫大な裁量権(enormous latitude)を持っており、選挙戦に勝つため、あるいは献金を集めるために書かれたものには拘束されないということだ。大統領は、大口献金者やその他の利益団体が望むことを単純に無視することはできないが、特に再選にこだわる必要のない任期初期には、それらに縛られることはない。予算を通過させ、国内政策を承認させるためには議会での支持が必要だが、外交・国防政策で大統領が何をするかはほとんど大統領次第である。

更に言えば、重要な外交政策の決定は、綱領委員会や連邦議会の有力議員たち、著名な知事や党委員長によって行われることはない。その代わりに、大統領への忠誠心や大統領の世界観との適合性を主な理由として選ばれた側近や被任命者の小さなインナーサークルが決定することになる。例えば、バーニー・サンダース連邦上院議員はバイデンの2020年の当選に貢献したが、彼の側近でバイデン政権において重要なポストに就いた者はおらず、外交政策に関する彼の意見は一貫して無視された。バラク・オバマ前大統領が2009年にライヴァルだったヒラリー・クリントンを国務長官に任命することで党の結束を図ったのは事実だが、彼は彼女に力と権限をあまり与えず、代わりに自身のホワイトハウス補佐官と国家安全保障会議に主要な外交政策の決定と実行を委ねた。

第三に、党の綱領では聞こえがよく、選挙戦では有利に働く主張や立場も、選挙が終わって政権が発足すると違って見えることが多い。例えば、1992年の選挙戦で民主党のビル・クリントン候補は、中国の人権侵害に目をつぶっているとして現職のジョージ・HW・ブッシュ大統領を繰り返し批判したが、政権に就いてみると、北京に対する自らの影響力は限られており、この問題を軽視する方が理にかなっていることが分かった。同様に、2020年の民主党の綱領は、ドナルド・トランプ大統領が関税に依存し、2015年のイランとの核合意を放棄したことを厳しく批判していたが、ジョー・バイデンはトランプ時代の経済制限の多くをそのまま維持し、テヘランとの包括的共同作業計画(Joint Comprehensive Plan of Action with Tehran)に再び参加するという選挙公約を果たすことはなかった。

政党綱領はまた、過大な約束と過小な実現によって誤解を招く。綱領は、政党が達成すると信じ込ませたい事柄の願望リスト(wish list)であるため、これらの目標を実現するのを困難にする政治的障害を軽視したり省略したりする。前述したように、大統領は外交政策の遂行においてかなりの個人的権限を持っているとはいえ、反対政党はもちろんのこと、凝り固まった官僚組織(特に国防総省)や利益団体、ロビー団体、メディアからの反発に対処しなければならない。時間と政治資金は有限であるため、党綱領に盛り込まれた高邁な目標のいくつかは、完全に放棄されないまでも、必然的に後回しにされてしまう。

しかし、党の綱領がほとんど無視されるべき最も重要な理由は、候補者が大統領に就任した後に何が起こるかを、どんな選挙運動も予測することができないということだ。あるいは、元イギリス首相ハロルド・マクミランが、政治家にとって最も困難なことは何かとの質問に「出来事だ、親愛なる君、出来事だよ」と皮肉を込めて答えたと伝えられている。アメリカは非常に強力だが、世界的に重要なアクターはアメリカだけではない。ジョージ・W・ブッシュ前大統領は9月11日の同時多発テロが起きるとは思っていなかったし、バラク・オバマはアラブの春(Arab Spring)に目を奪われ、ドナルド・トランプは新型コロナウイルスに困惑し、ジョー・バイデンの外交政策はウクライナと中東の戦争に乗っ取られた。

11月に誰が勝利しても、それぞれの党の綱領でさえ言及されていないいくつかの大きな問題に直面することは間違いなく、それらにどう対応するかについての指針を得るためにこの文書を掘り起こす人は誰もいないだろう。

私は皮肉を言うつもりはない。党綱領は党が何を目指しているかを明らかにし、信者たちを結集させ、エネルギーを生み出し、明確なメッセージを提示するのに役立つ。しかし、彼らが明らかにしていないのは、次期大統領が2025年1月以降に何をするかということであり、選挙が終わったら誰もこれらの文書を調べに戻らないだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Xアカウント:@stephenwalt
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 アメリカ大統領選挙から時間が経ち、様々な意見が飛び交っている。私が最も信用していないのは「想定通りでしたね」などと述べる人たちで、それは想定ではなく、あなたの希望や願望ではないのかと言いたくなる。想定するにあたってどのようなモデルを作り、どれくらい世論調査の数字データを集め、どれくらいの質的な調査を行ったのかと言いたくなる。今回の選挙結果を「想定通りでしたね」と言えるほど頭脳明晰であるからには、自分の原罪の仕事や学業でさぞや周囲を驚かせるだけの結果を出せているのでしょうね、羨ましい限りですと皮肉を言いたくなる。ここで愚痴を書いても仕方がないが、そのように思ったので書いておく。

 今回、民主党はホワイトハウス、連邦上院の過半数、連邦下院の過半数を失う大惨敗となった。2016年もそうであったが、大統領選挙の一般得票数ではヒラリー・クリントンが上回っていた。「大統領選挙の仕組みが違っていたならねぇ」ということは言えた訳だが、今回は全てにおいてうまくいかなかった。共和党の「赤い波(red wave)」に飲み込まれた形になった。「今回の選挙は民主党が真剣に反省する機会となるだろう」ということは2016年にも言われていたが、結局あまり反省ができていなかったようだ。そして、今回も民主党進歩主義派の重鎮であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)のお説教をもらうことになった。
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 各種世論調査の結果や出口調査の結果から、私たちが今まで習ってきたような「共和党は経営者やお金持ちの党、民主党は労働者やマイノリティの党」という構図は崩れ去り、逆になっている。「共和党は労働者の党」となった。そして、民主党は口先だけはきれいごとを言う、リベラル志向のお金持ちたちが支配する党になった。労働者のための政策をしてこなかったということで、これまで民主党支持だった労働者たち、特に白人労働者が民主党から離れたと言うことは2016年の選挙後に分析されている。そうしたことを私は最新刊『世界覇権国交代劇の真相』で述べている。是非読んでいただきたい。

 民主党内のエスタブリッシュメント派と進歩主義派の対立については拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも詳しく書いている。2016年のサンダース躍進に刺激を受けて登場した、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)をはじめとする若手の議員たちは「ジャスティス・デモクラッツ」を結成し、主流派・エスタブリッシュメント派が支配する執行部と対立している。進歩主義派の若手議員たちは「スクアット(Squad)」と呼ばれている。バラク・オバマ元大統領は若手たちの動きを嫌がって、「銃殺隊(firing squad)をうろうろさせるな」という発言をしたほどだ。オバマは演説がうまくイメージが良いので、リベラル、進歩主義的とみられることもあるが、決してそうではない。それどころか、民主党を支配する大ボスということになっている。ジョー・バイデンに再選を諦めさせたのはオバマの力が大きい。

 民主党がこれから変化していくことは難しい。サンダースの「お説教」も何度目のことだろうか。2016年にヒラリー・クリントンがドナルド・トランプ支持者を「負け犬(deplorables)」と呼んだ。今年の選挙戦の最終版、ジョー・バイデン大統領は「ゴミ(garbage)」と呼んだ。熱心なトランプ支持者たちは元々、(熱心であったかどうかは別にして)民主党支持者だった。そうした人々を負け犬、ごみと呼んでしまうような民主党エスタブリッシュメントに対して、人々は失望と怒りを感じている。その結果が「赤い波」となった。

(貼り付けはじめ)

サンダース:民主党は「労働者階級の人々を見捨ててきた」(Sanders: Democratic Party ‘has abandoned working class people’

アレクサンダー・ボルトン筆

2024年11月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/4977546-bernie-sanders-democrats-working-class/
バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)は水曜日、民主党が労働者階級の優先事項をほとんど無視していると非難し、それが、民主党がホワイトハウスと連邦上院を掌握する力を失った最大の理由だと指摘した。

サンダースは火曜日の選挙結果について声明を発表しその中で、「労働者階級の人々を見捨ててきた民主党が、労働者階級が彼らを見捨てたことに気づくのは、それほど驚くべきことではない」と述べた。

サンダースは「民主党指導部が現状を擁護する一方で、アメリカ国民は怒り、変化を望んでいる。そして彼らは正しい」と述べた。

サンダースの厳しい声明は、ハリス副大統領が一般投票で500万票近くの差をつけられ、民主党はウエストヴァージニア州、モンタナ州、オハイオ州の連邦上院議員の議席を失ったと見られる選挙後、これまでで最も厳しく最も鋭い批判となっている。

民主党と会派を組む無所属のサンダースは、「草の根民主主義と経済的正義(grassroots democracy and economic justice)を憂慮する私たちは、非常に真剣な政治的議論をする必要がある」と述べた。

サンダースは、ここ数十年のアメリカにおける経済的不平等の大幅な拡大、何十万人もの人々を失業させる恐れのある先端技術、高額な医療費、そして何万人もの犠牲者を出したガザ地区での戦争に対するアメリカの支持をそうした議論のテーマに挙げた。

「民主党を支配する大金持ちや高給取りのコンサルタントたちは、この悲惨な選挙戦から本当の教訓を学ぶのだろうか? 彼らは、何千万人ものアメリカ人が経験している痛みや政治的疎外感を理解するのだろうか? 経済的に大きな力を持ち、ますます強大化するオリガーキーに対抗する方法を、彼らは考えているのだろうか?」とサンダースは疑念を表明した。

「おそらくそういうことはないだろう」と彼は自身が提起した疑問に答えて述べた。

連邦上院厚生・教育・労働・年金委員会の委員長であるサンダースは2028年までに連邦最低賃金を時給7.25ドルから17ドルに引き上げるという提案について、今年は一度も採決を行うことができなかった。

サンダースはまた、2021年と2022年に連邦上院予算委員長として、メディケアを拡大し、彼が「住宅危機(housing crisis)」と呼ぶものに対処するための6兆ドルの予算融和案を推進しようとしたが失敗した。

その後、チャック・シューマー連邦上院院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、ジョー・バイデン大統領の「ビルド・バック・ベター」アジェンダの縮小版を中道派のジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州、無所属)と交渉したが、サンダースや他の進歩主義派がバイデンの大統領任期開始時に抱いていた大きな野望には届かなかった。

サンダースとマンチンの間に緊張が走ったのは2021年10月のことで、マンチンは民主党が成立させようとしていたものに制限をかけ、授業料無料のコミュニティ・カレッジを除外しようとした指導者会議で、サンダースがウエストヴァージニア州の中道派であるマンチンに暴言を吐いた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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