古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:カリフォルニア州

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年6月7日にロサンゼルスで始まった、米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発(6月6日)に対する抗議活動、抗議デモは一部が過激化し、暴力行為や器物損壊、略奪が行われるようになり、ロサンゼルスのカレン・バス市長はダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令を出した。トランプ大統領は州兵と海兵隊を派遣した。トランプ大統領の決定に対して、かりいふぉるニア州のギャヴィン・ニューサム知事とバス市長は反発し、この措置が辞退を悪化させており、挑発的だと批判している。死者が出ていないのは幸いだが、負傷者や逮捕者が出ている。

 「ノーキングス」という組織団体が、抗議活動を全米に拡大することを計画し、参加を呼び掛けている。ニューヨークやシカゴ、シアトル、サンフランシスコなどのアメリカの大都市での抗議活動が計画されている。テキサスでも予定されているが、テキサスのグレッグ・アボット知事は州兵の派遣を明言している。暴力や器物損壊、略奪にまで至らないことを祈るのみだ。

 下記記事にあるが、ロサンゼルスの抗議活動には、「プロ暴徒(professional rioters)」と呼ばれる人間たちが参加して、事態を悪化させたようだ。CNNの記事には次のようにある。「しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという」。アメリカで常に暴動が起きて、それに乗じて略奪が行われている訳ではないが、そのような機会を狙う、もしくは醸成して、略奪行為を行うことを仕組む人々がいるようだ。今回の抗議活動もそのようなプロ暴徒によって利用されてしまったということのようだ。
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 今回の抗議活動で目立つのは、このブログでも取り上げたが、メキシコや他の中南米の国々の国旗を振り回す姿だ。このことはアメリカのメディアでも取り上げられている。私が書いたように、そのような行為は、一般のアメリカ国民にとって受け入れがたいことになるし、「盗まれた土地」についての議論になれば、大きな矛盾を抱えていることが明らかになる。共和党内部の反トランプ派の連邦下院議員で、カリフォルニア州選出のデイヴィッド・ヴァラダオ議員の主張が穏健なアメリカ国民の考えに近いだろうが、メキシコ国旗を振り回してアメリカ連邦政府の関連施設を取り囲む姿は、このような穏健な考えを持つ人々を強硬な態度にしてしまう可能性はある。

 ヴァラダオ議員はカリフォルニア州でも農業が盛んな地域の選出である。カリフォルニア州の農業にとって不法移民は、低賃金の厳しい労働を支えてくれる貴重な存在だ。不法移民たちがいるので、食品価格が抑えられているということも言われている(これによって海外との競争力も保たれることになる)。穏やかに、犯罪に関わらないで、労働にいそしんでいる不法移民はお目こぼしで、犯罪傾向の強い、もしくは既に犯罪をしてしまった不法移民から逮捕・強制送還せよ(捕まえやすいところで大量に捕まえて実績アピールをしても仕方がない)ということになるだろう。カリフォルニア州では州独自の休日として、3月31日の「シーザー・チャヴェス・デー」がある。これは、労働運動家であり、ヒスパニック・コミュニティのリーダーとして活躍した、シーザー・チャヴェスを記念する日だ。チャヴェスは10代から農場労働者として家族を支え、1962年に全国農場労働者協会(NFWA)を結成し、1966年に米国農場労働者連合(UFW)に拡大した。農業関連労働者の組織化を進めた人物だ。彼自身は不法移民ではないが、このように、アメリカの農業において、ヒスパニック、そして不法移民は重要な存在となっている。

 不法移民対策について議論があり、抗議活動があることは良いことであるが、それがプロ暴徒なる存在に利用されてしまっては本来の意義が見えなくなってしまう。また、下記記事にあるように、「ノーキングス」は、抗議活動の目的を、ICEに対するというよりも、「腐敗は行き過ぎだ」として、トランプ政権自体に向けるようになっている。これにメキシコ国旗が振られるようなことが起きれば、内戦(civil war)に、メキシコが後押ししているという印象を持たれて、「内政干渉(intervention)」や「侵略(invasion)」ということになってしまう。これは非常に危険な状態ということになる。アメリカの分断は深刻な状態を迎えている。

(貼り付けはじめ)
●「ロサンゼルスで抗議しているのはどんな人々なのか」

CNN日本版 2025.06.10 Tue posted at 18:50 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35234069.html

(CNN) エストレラズル・コーラルさんは週末、ロサンゼルス中心部にある勾留センター外での抗議活動に連日参加し、数十人の移民らへの正義を求めた。これらの移民は、武装した移民税関捜査局(ICE)の職員に勾留されている。装甲車両に乗った職員らは、中南米系の多い市内のオフィスを標的にしていた。

コーラルさんによれば、平和的なデモが数時間続いた後、州兵が反撃を始めた。コーラルさんはソーシャルワーカーで、主に住居や適切な書類を持たない住民のために活動している。

「彼らは催涙ガスをこちらへ投げてきた。私たちは言われたとおりにしていただけだった」「それで人々は本当に動揺し、怒った。そこから事態がエスカレートしたと思う」

8日の日暮れ時、CNNの特派員はデモが暴力に変わる様子を記録した。デモ参加者の一部は自動運転車に放火。幹線道路の高架下に逃げ込んだ警官隊に石を投げる参加者もいた。交通はデモ行進で封鎖されていた。別の参加者らはスプレーで法執行機関に反対するスローガンを連邦政府の建物に書いていた。ロサンゼルス市警によると、8日には少なくとも21人が逮捕された。

米政権は不法移民を強硬に取り締まっているが、1992年以降で初めて米国市民に対し州兵を派遣するとしたトランプ米大統領の決定は即座に反発を招き、やがて暴力へと発展した。

実際のところ、抗議デモは異なる集団に別れていたようだった。一方は適切な書類を持たない人々の保護を目的とする進歩派の住民。それに対しもう一方のデモ参加者は、街を暴力的な混乱に引きずり込もうとしているように見えた。

■「ララサ」を守る

米国内の「ララサ(メキシコ人や先住民)」の権利擁護に取り組む団体、ウニオン・デル・バリオは、ICEをはじめとする各機関に対抗する取り組みを称賛。広報担当者はソーシャルメディアへの声明で、ロサンゼルスのコミュニティーには「拉致や家族の引き離しから人々を守る道徳的権限と普遍的権利がある」と主張した。

「この数日で起きているのは破壊行為や犯罪行為ではなく、政府に対する抵抗運動だ。政府は我々の父や母、妻、夫、子どもたちを拉致している」「人々は家族や同胞に対する深い愛と正義感からこうした行動に出た」と、広報担当者は述べた。

しかし、ある郡当局者は8日の様子を、ロサンゼルスでの「最も危険な夜の一つ」だったと振り返った。

ロサンゼルス市警のジム・マクドネル本部長は、警官らへの暴力的な攻撃を非難すると同時に、平和的な抗議を行った昼間の人々と暴力を扇動した夜の人々とを区別する見解を示した。

警察幹部のある情報筋はCNNの取材に答え、8日夜に集まった群衆については情報分析が行われていることを明らかにした。

分析の結果、抗議デモ参加者の多くは最近の移民摘発を動機としており、連邦政府によるロサンゼルスへの州兵派遣にも不満を抱いていることが分かった。

しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという。

■暴力の負担は弱い立場のコミュニティーへ

ICEの職員がパサデナ・ホテルの従業員を取り調べていることを知り、全米日雇い労働者ネットワーク(NDLON)の共同執行取締役を務めるパブロ・アルバラード氏は抗議デモの呼び掛けを開始した。パサデナにある弱い立場の移民のコミュニティーを守るためだった。

「パサデナでは大勢の人が集まり、メッセージを声高に叫んだ。我々は装甲車や覆面姿の男たちがコミュニティーへやって来て人々を連れ去り、家族をばらばらにするのを望まないと、明確に伝えた」(アルバラード氏)

ただ同氏が付け加えたところによると、摘発への反応として暴力が市全体に広がり、本来の目的が汚されたとも感じたという。

「暴力が発生するたび、最も弱い立場にあるコミュニティーが代償を支払う。暴動で焼き打ちに遭うのは、決まって所得の低いコミュニティーの店舗だ」(同氏)

デモ参加者の怒りは理解できるが、暴力の言い訳にはならないとアルバラード氏。「誰かを襲撃しなくても、必要なメッセージを発することはできる」と訴えた。

■混乱に巻き込まれた家族

焼け焦げた自動運転車や落書きされた建物から数区画離れた地点では、週末の移民摘発で拘束された人々の家族が9日午前に記者会見を開いた。家族らは愛する人々をICEの拘留センターから釈放するよう求めた。

親族の写真を貼ったプラカードを握りしめ、一人ずつマイクの前に立ち、拘留された人々の権利の保護と法的手続きの尊重を呼び掛けた。

ジュリアンと名乗る若い女性は、父親が足かせで拘束され、ICE職員に連れ去られた光景を見て家族全員が精神的なショックを受けたと訴えた。とりわけ障害を持つ4歳の弟にとっては衝撃が大きく、父親について繰り返し尋ねる弟には「お父さんは仕事をしている」と答え続けているという。

冒頭のコーラルさんは、再三催涙ガスを浴びせられても抗議には足を運ぶと語る。誰かが自分たちのために立ち上がっていることを拘束されている人々に伝えたいからだという。

それでも連日唐辛子スプレーを吸い込んだ後、武装した州兵の列と対峙(たいじ)した8日には、自分の国で一体何が起きているのかという思いに駆られた。

州兵らは抗議デモの現場にそぐわない武器を携帯していたが、「私たちは一歩も引かなかった。『威嚇されてたまるか』という気持ちだった」とコーラルさんは振り返った。
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全米に広がるICE(移民税関捜査局)の襲撃に対する抗議活動Protests of ICE raids spread across US
アシュリー・フィールズ筆

2025年6月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5343883-protests-of-ice-raids-spread-across-us/

ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの抗議活動が全米に広がり、複数の団体が土曜日にデモを開始する予定だ。これは、大統領の79歳の誕生日にワシントンDCで行われる軍事パレードと時期を合わせたものだ。

「ノーキングス(No Kings)」と「50501」は、ニューヨーク、ペンシルヴァニア、ウィスコンシン、テネシー、フロリダ、アラバマ、ジョージア、カリフォルニアなど、幅広い州で抗議活動を主催するために提携している。

テキサス州オースティンでも抗議活動が予定されており、グレッグ・アボット知事(共和党)は州兵の出動を表明している。

これらの抗議活動は、ロサンゼルスでの移民・関税執行局(ICE)の捜査に抗議する最初のデモに続くものだ。デモの一部は器物損壊につながり、トランプ大統領はカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)とロサンゼルスのカレン・バス市長(民主党)の反対を押し切って州兵の出動を要請した。

国防総省は今週、700人の海兵隊員をロサンゼルスに派遣した。ニューサム知事はこれを挑発的(provocative)だと批判した。

この戦いは法廷闘争に発展し、現在では全米各地で新たな抗議活動を引き起こしているようだ。

「彼ら(トランプ政権)は私たちの裁判所を無視し、アメリカ人を国外追放し、街頭から人々を追い払い、私たちの公民権を侵害し、公共サーヴィスを削減した。腐敗は行き過ぎだ。王座も、王冠も、王もいない(No thrones. No crowns. No kings)」と、議活動の主催者はウェブサイト上の声明の中でこのように述べた。

主催者たちは、土曜日までの数日間にZoom会議を開催し、トランプ大統領による不法移民取り締まりに対抗するための計画、準備、そして街頭での動員を進めている。

「ノー・キングス」は、トランプ大統領が陸軍創立250周年を祝う大規模な軍事パレードを行う際、ワシントンで抗議活動を行う代わりに、フィラデルフィアでイヴェントを開催すると発表した。

「この記念パレードを重心の中心に据えるのではなく、私たちは他のあらゆる場所で、その日のアメリカの物語となる行動を起こす。全国のコミュニティで人々が結集し、ストロングマン政治(strongman politics)と腐敗(corruption)に反対する」と「ノーキングス」はウェブサイトに掲載している。

「そうした理由から、『ノー・キングス』はワシントンDCではイヴェントを開催しない。その代わりに、フィラデルフィアで大規模な中心となる行進と集会を開催し、市民主導の私たちの運動と、ワシントンで行われる費用がかさみ、無駄が多く、非アメリカ的な(un-American)記念日パレードとの明確な対比を示す」

トランプ大統領は、ノースカロライナ州フォートブラッグでの演説でデモ参加者を「動物(animals)」と呼んだが、その前に、ソーシャルメディアへの投稿で、ワシントンでの軍事パレードを妨害しようとする抗議者には「非常に大きな力(very big force)」が向けられると述べた。

トランプ大統領は兵士たちを前にして、「彼らは動物だが、他国の国旗を誇らしげに掲げている。アメリカ国旗は掲げていない。ただ燃やしているだけだ。たくさんの国旗が燃やされているのを見たか?」と述べた。

「燃やしていたのは、私たちの国の人間でも、私たちの国を愛する人間でもない。アメリカ国旗を燃やす者は1年間刑務所に入るべきだ」とトランプ大統領は続けた。

彼の発言は、ロサンゼルスで数日にわたって行われたデモと大規模な抗議活動の後になされた。
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カリフォルニア州選出の共和党連邦議員がドナルド・トランプ大統領の移民政策に反対(California Republican pushes back against Trump immigration enforcement

エミリー・ブルックス筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5342298-california-republican-valadao-trump-immigration-enforcement/

共和党穏健派のデイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、ドナルド・トランプ政権によるカリフォルニア州での移民執行措置に反発している。

ヴァラダオ議員はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で「カリフォルニア州全域で継続中の米移民・関税捜査局(ICE)の活動について、私は依然として懸念を抱いており、トランプ政権との対話を継続し、長年にわたりこの渓谷で平和に暮らしてきた勤勉な人々よりも、既知の犯罪者の国外退去を優先するよう強く求めていく」と述べた。

この発言は、ロサンゼルスの一部地域で発生した移民執行措置に対する抗議活動で発生した暴力行為をヴァラダオ議員が非難した後に出されたものだ。

「私はアメリカ合衆国憲法修正第1条に定められた平和的な抗議活動の権利を支持するが、ロサンゼルスで発生している暴力行為(violence)と破壊行為(vandalism)は容認できない。人々を守り、状況を再びコントロールするために尽力している法執行官たちを支持する」とヴァラダオ議員は述べた。

ヴァラダオ議員は、農業が盛んな、競争の激しい選挙区を代表している。彼は、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件後、トランプ大統領の弾劾に賛成票を投じた残り2人の共和党下院議員のうちの1人だ。トランプ大統領はこれに注目し、昨年夏の2024年大統領選期間中に連邦下院共和党議員たちに演説した際に、ヴァラダオを特に名指しし、「私は彼を一度も愛したことがない」と述べた。

ヴァラダオの発言は、トランプ政権の移民執行措置と、地元民主党指導者の反対を押し切って行われている抗議活動に対応するために州兵を派遣したトランプ大統領の措置を、共和党指導部が概ね擁護している状況とは大きく異なる。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、抗議活動と移民逮捕を、トランプ大統領の減税と歳出優先事項の中で「大きくて素晴らしい法案」を可決する理由として挙げた。この法案には、移民執行措置と強制送還への予算の大幅増額が含まれている。

ジョンソン下院議長は記者会見で次のように発言した。「移民・関税局(ICE)の収容能力拡大に450億ドル、そして毎年少なくとも10億件の強制送還を実施するために、航空輸送と陸上輸送に144億ドルを予算計上する。これはかなり長期間にわたって実施する必要があるだろう。彼らはあまりにも多くの人々を入国させている。私たちは危険な不法移民から対策を始める。そして、カリフォルニアの暴徒と政治家たちがまさに守ろうとしているのは、まさに彼らなのだ」。

しかし、抗議者や民主党からの反対の多くは、トランプ政権が暴力犯罪で有罪判決を受けておらず、犯罪歴もない人々を逮捕し、国外追放しているという事実に集中している。

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メキシコ国旗がロサンゼルスの抗議活動のシンボルに:知っておくべきこと(Mexican flag becomes L.A. protest symbol: What to know

エリザベス・クリスプ筆

2025年6月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/5340119-mexican-flag-protests-la-trump/

緑、白、赤の縞模様のメキシコ国旗は、ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの継続中の抗議活動が週末にロサンゼルスで勃発し、抵抗の象徴(an emerging symbol of resistance in ongoing protests)としてどんどん存在感を増している

メキシコ国旗を掲げる抗議活動参加者たちが、炎が燃え盛る中で、タクティカルギア(装備品)を身に着けた警察官たちが立ちはだかっている。この様子の写真や動画がオンラインや既存メディアで拡散し、トランプ大統領政権の主要メンバーたちの怒りを買っている。

特に目立った映像の1つは、覆面をしたメキシコ国旗の旗を持った人がダートバイクに乗り、炎上する車の周りをぐるぐると回る様子だ。

ヴァンス副大統領は土曜日、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」に「外国国旗を掲げた反乱分子たち(insurrectionists)が移民執行官たちを攻撃している一方で、アメリカの政治指導者の半数は国境警備を悪(evil)と決めつけている」と書き込んだ。

トランプ大統領の最側近の補佐官で移民問題強硬派のスティーヴン・ミラーは日曜日、ソーシャルメディアにメキシコ国旗を振る抗議者の複数の画像を投稿し、ロサンゼルスでの混乱を「反乱(insurrection)」と表現した。

ミラーはXへの投稿で、「外国人が外国国旗を振り、反乱を起こし、不法な外国侵略者を追放しようとする連邦法執行機関を妨害する様子を、何と表現するのが正しいのか」と述べている。

ミラーは別の投稿で、「たくさんの外国国旗を見てみよう。ロサンゼルスは占領されている地域だ」と付け加えている。

(1)抗議活動はどのように起きたか(How protests got here

移民人口が多く、民主党の牙城であるロサンゼルスでは、数千人が街頭に繰り出し、トランプ政権による大量不法移民国外追放の一環として、金曜日に約40人の逮捕者を出した連邦移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)の職場への強制捜査に抗議した。

トランプ大統領は、カリフォルニア州で高まる抗議活動を鎮圧するため、週末に2000人の州兵を派遣した。ホワイトハウスによると、州兵は60日間、あるいはピート・ヘグゼス国防長官が撤退を命じるまでロサンゼルスに派遣される予定で、今後数日中に数百人の海兵隊員が援軍として派遣される可能性がある。

トランプ大統領は日曜日のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、政権関係者たちに対し「ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じる(take all such action necessary to liberate Los Angeles from the Migrant Invasion, and put an end to these Migrant riots)」よう指示したと述べた。

トランプ大統領は「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう(Order will be restored, the Illegals will be expelled, and Los Angeles will be set free)」と付け加えた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、日曜に勃発した警察官と抗議者との間の緊張の「無秩序なエスカレーション(chaotic escalation)」はトランプ大統領の軍隊派遣のせいだと非難し、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は、自身の反対を無視して軍隊を派遣した連邦政府を州が訴えると述べた。

(2)メキシコ国旗が振られる(Mexican flags fly

過去の移民抗議活動では、デモ参加者たちに対し、アメリカの価値観への支持を象徴するため、アメリカ国旗を掲げるよう促してきた。

しかし、メキシコ国旗、他のラテンアメリカ諸国の国旗、そしてアメリカ国旗をあしらったメキシコ国旗の画像がロサンゼルスの抗議活動の中心となり、トランプの支持者たちから頻繁に非難の的となっている。

『アリゾナ・リパブリック』紙のコラムニストであるフィル・ボアスは今年初めの記事で、メキシコ国旗を振る抗議活動は彼らの主張に反する行為になっている可能性があると警告した。

ボアスは2025年1月にトランプがホワイトハウスに戻った直後にICE反対デモが勃発した際に次のように書いている。「若者のエネルギーと熱意は理解できるが、フェニックスとロサンゼルスのラテン系コミュニティの冷静な判断力を持つ人々は、若い抗議活動家たちへの介入を望むかもしれない。MAGAの顔にメキシコ国旗を振るのは気分がいいかもしれないが、MAGAではない多くのアメリカ人にとって、それがどれほど嫌悪感を抱かせるかを理解しきれていない」。

しかし、移民抗議活動で他国の国旗を見ることは、人々を団結させる共通の行為だと反論する人もいる。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙のコラムニストであるグスタボ・アレジャノは2025年2月に次のように書いた。「抗議活動で外国の国旗を振るのは良いトラブルだ。勇敢な人々が団結し、混乱しか理解しない最高司令官(大統領)に毅然と立ち向かうための合図だ」。

(3)メキシコが対応し国外追放を認める(Mexico responds, acknowledges deportations

メキシコの指導者たちは月曜日の記者会見で、金曜日のロサンゼルス移民税関捜査局(ICE)による捜査で42人のメキシコ人(男性37人、女性5人)が拘束されたことを認めた。4人は国外追放されたという。

メキシコのフアン・ラモン・デ・ラ・フエンテ外相は、「ロサンゼルスの収容施設に収容されているメキシコ人の状態を監視するため、引き続き訪問を続ける」と述べた。

メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は、抗議活動における暴力行為を非難したが、デモ参加者に退去は求めなかった。

「メキシコ系コミュニティに対し、挑発(provocations)に載せられることなく、平和的に行動するよう求める」とシャインバウム大統領は述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ロサンゼルスでの米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発に対する抗議活動が先鋭化し、暴動(riots)にまで深刻化している。その様子は日本でも報道されている。抗議者たちは、プラカードを掲げたり、スローガンを発したりしている。また、デモ行進も行っている。平和的な活動であれば推奨されるべきことであるが、抗議活動参加者の一部が暴徒化している。その様子もまた報道されている。また、ロサンゼルス市警察には略奪(plunderinglooting)の報告が入っているということだ。死者の報告が出ていないことはせめてもの救いだ。

 ロサンゼルス市のカレル・バス市長はロサンゼルスの中心部(downtown)の一部に「夜間外出禁止令(curfew)」を出した。事態は1992年に発生したロサンゼルス暴動(Los Angeles Riots)に近くなっている。1992年の暴動は、白人警官によるアフリカ系アメリカ人男性殴打事件と裁判での無罪判決がきっかけとなった「人種関連暴動(race riots)」である。ロサンゼルス市内の南部は、以前はサウスセントラル(South Central)、現在はサウス(South)と呼ばれているが(サウスセントラルが最悪の印象を与えるので改められた)、マイノリティが多く、貧困や差別などが原因での、治安状況は全米でも最悪の部類だった(今でもあまり改善したとは言い難い)。

1992年の暴動はそこから北に上がってくる形で拡大し、高速道路10号線の付近まで上昇してきた。その付近にはコリアタウンがあり、韓国系アメリカ人たちが経営する商店が略奪の対象となり、韓国系アメリカ人たちは自衛のために武器を取って対峙することになった。ロサンゼルス北部にはビヴァリーヒルズやハリウッドがある。ロサンゼルス市警は高速道路10号線より北を守るために、それから下は放棄したために、コリアタウンまで被害が及んだという説もまことしやかに語られていた。部分的には本当であろうと私は考えている。

 今回の抗議活動は、ICEによる不法移民の一斉摘発に端を発する。そして、興味深いのは、メキシコや他の中南米諸国の国旗が掲げられ、「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」というスローガンが叫ばれていることだ。以下のアドレスには、現地で写真家が撮影した映像がいくつか紹介されている。是非ご覧いただきたい。

Los Angeles Riots: "No One's Illegal On Stolen Land"

https://www.realclearpolitics.com/video/2025/06/10/los_angeles_riots_no_ones_illegal_on_stolen_land.html

 この映像の中にはデモをしている人々がスローガンを叫んでいるシーンがある。先導する女性は次のように言っている。

「盗まれた土地では誰も不法ではない"No one’s illegal on stolen land"

「奪われた土地に不法滞在する者はいない。この街を作ったのは誰なのか、思い出せ。メキシコ人全員、黒人全員だ。私たちが全てを作った。私たちが許さない限り、彼らは来てそれを奪うことはできない("Remember who made this city. All the Mexicans, all the black people. We made all that. They can't come and take it from us unless we let them.")」

人々に力を("Power to the people"

 このスローガンを先導する女性には、ロサンゼルスを作り上げるのに貢献した、白人もユダヤ人もアジア人も全く見えていない。彼女が考えるマイノリティはあまりにもステレオタイプでかつ視野が狭すぎる。ロサンゼルスは、1973年に市政史上初のアフリカ系アメリカ人のトム・ブラッドリー市長を誕生させた。彼は1993年まで市長を務めた。ブラッドリー市長誕生の原動力となったのは、マイノリティ(ユダヤ系、アフリカ系、菱パニック、アジア系など)の力を結集させた虹色連合(Rainbow Coalition)だった。ブラッドリーの名前は、ロサンゼルス国際空港の名前に冠されている。

何とも皮肉なのは彼の在任の最後でロサンゼルス暴動が起きてしまったことだ。それから、アフリカ系アメリカ人コミュニティと韓国系アメリカ人コミュニティの交流が実施されてきたが、人種間の融和というのは非常に難しい。今回の抗議活動でのスローガンでも、その難しさは表出している。これまで何度も書いているが、私はロサンゼルスで人種差別的な扱いをされたことはほぼなかったが(大学にばかりいたというのはあるが)、一度だけ、コリアタウンに住んでいたので、コリアタウンを歩いていて、ヒスパニック系の少年たちが乗った自動車が近づいてきて、パールハーバーがどうこうと叫ばれたことがあった(彼らの乗っていた自動車はホンダ製ではあったが)。差別というと、白人によるマイノリティに対する差別になっているが、マイノリティの間でもまた存在する。

 私は「盗まれた土地では誰も不法ではない」というスローガンを発しながら、メキシコ国旗を掲げるのは何とも矛盾していると考える。そして、これは非常に危険なことだとも考えている。ヒスパニックの人々からすれば、カリフォルニアという土地は、1848年の米墨戦争でアメリカが勝利したのでアメリカが分捕った土地だという思いがある。自分たちはメキシコ人としてここに住んでいたのだという思いがある。しかし、それを言い出したら、南北アメリカ大陸の全国家は盗まれた土地の上にある国家であり、その正統性は消滅する。メキシコもまた血塗られた盗まれた土地に建国された国民国家に過ぎない。私はここに矛盾を感じる。

 また、なぜ抗議者たちは、カリフォルニア州の旗やアナーキストの黒い旗を掲げていないのだろうかというのも不思議だ。「自分たちは先に住んでいた、国家などは関係ない、国家などはなくなってしまえ」ということにならないのだろうかというのが不思議だ。「自分たちはメキシコ人だ、メキシコ人の誇りを捨てない、いつかカリフォルニアをメキシコに復帰させる」という考えならば、メキシコ国旗を掲げるのは分かる。しかし、それをアメリカのほかの地域から見れば、非常に危険である。アメリカ連邦政府の建物に、メキシコ国旗を掲げた一団が突撃する姿は「侵略(invasion)」である。もし、カリフォルニアをメキシコに復帰させたいならば、住民投票を行うことから始めて、アメリカ合衆国に要求する。アメリカ合衆国は憲法で州の分離を規定していない。従って、他州の同意があれば良いが、そうではない場合には、内戦(civil war)という形になる、これに国際社会がカリフォルニアの側に立つというようなことがあれば良いがなければ厳しい戦いになる。メキシコ国旗を振り回しているというのは、突き詰めると非常に危険な行為であると言わざるを得ない。

 アメリカもメキシコもたかだか200年くらい前に国民国家として血塗られた盗まれた土地の上に建国されたに過ぎない。「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」となれば、現在の国民国家体制は崩壊する。しかし、この言葉を叫びながら、メキシコ国旗を振り回すというのは何とも矛盾しており、非常に危険な行為である。

(貼り付けはじめ)

ロサンゼルス市警:月曜の夜に100人以上が逮捕され、警官2人が負傷(LAPD: Over 100 arrests Monday night, 2 officers injured

タラ・サター筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5342977-lapd-over-100-arrests-monday-night-2-officers-injured/

ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police DepartmentLAPD)は、米移民・関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)による逮捕に抗議するロサンゼルス地域の抗議活動が続く中、月曜日の夜に100人以上が逮捕されたと発表した。

LA市警は火曜日のプレスリリースで、「複数の地元法執行機関のパートナーと共に、月曜日にダウンタウン地区で発生した抗議活動と犯罪行為に対応した」と述べた。LA市警によると、同夜、96人が「解散命令違反()Failure to Disperse」で逮捕され、「凶器による暴行(Assault with a Deadly Weapon)」で1人、「逮捕抵抗(Resisting Arrest)」で1人、「器物損壊(Vandalism)」で1人が逮捕された。

ロサンゼルス市警は声明の中で、「警官2人が負傷し、地元の病院に搬送されて治療を受けた後、退院した」と述べ、その後、「略奪(Looting)」で14人が逮捕されたと付け加えた。

カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は最近、ドナルド・トランプ政権の移民強制捜査に対する抗議活動が続く中、トランプ大統領がロサンゼルスに軍を派遣したことは他州への警告だと主張した。

「ポッド・セイヴ・アメリカ(Pod Save America)」の司会者トミー・ヴィエターは、カリフォルニア州知事に対し、「これはただトランプが狂ったカリフォルニアを追いかけているだけだ。他の土地のリベラルと同じだ。自分たちは大丈夫だ」と信じている他の全米の人々へのメッセージは何かと質問した。

ニューサム知事は月曜日の「Pod Save America」で次のように述べた。「これから起こることを予告したい。これから起こることに注意が必要だ」と「つまり、皆さん、皆さんもそう言っているだろう。彼が1月6日の暴動につながる状況を作り出したのは、まさにこれだ」。

ここ数日、トランプとニューサム知事はロサンゼルスの騒乱をめぐって激しく対立している。月曜日、トランプはカリフォルニア州知事の逮捕を支持すると発言し、ニューサム知事はXでこれに対し反応した。

「アメリカ合衆国大統領が現職知事の逮捕を求めた。こんな日がアメリカで二度と訪れては欲しくないと望む」とニューサム知事はX上で述べた。

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ロサンゼルス市長が数日間の抗議活動を受けてダウンタウンの一部に夜間外出禁止令を発令(LA mayor announces curfew for part of downtown after days of protests

エルヴィア・リモン筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5343511-la-mayor-announces-curfew-for-part-of-downtown-after-days-of-protests/

ロサンゼルス市長カレン・バスは火曜日の記者会見で、移民強制捜査に対する抗議活動が5日間続いたことを受け、「破壊行為や略奪を阻止するため(to stop the vandalism, to stop the looting)」、ダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令(a curfew)を発令すると発表した。

夜間外出禁止令は1平方マイル(約1.6平方キロメートル)の範囲で、午後8時から午前6時まで実施される予定だ。バス市長は、住民、通勤者、および許可を得た報道関係者を除き、この命令に違反した人間は警察に逮捕されると述べた。夜間外出禁止令は数日間続く見込みだ。

バス市長は「ダウンタウンに居住または勤務していない人はこの地域を避けて欲しい」と述べた。

バス市長によると、月曜日の夜、ダウンタウンには23の店舗があり、そのエリアには大きな落書きが見られたという。最も激しいデモの多くは、ロサンゼルスのダウンタウンにある連邦政府ビル群の近くで発生しており、その中にはエドワード・R・ロイバル連邦ビル(拘置所兼連邦裁判所)も含まれている。

バス市長は、夜間外出禁止令が出されている地域は、市全体の502平方マイル(約148平方キロ)に比べれば小さいと強調した。

バス市長は次のように述べた。「ここで起きた破壊行為や暴力を軽視する意図でこれを指摘するべきではないと思う。確かに重大な出来事だった。しかし、この1平方マイル(約1.6平方キロ)で起こっていることが、市全体に影響を及ぼしている訳ではないことを知ることは極めて重要だ」。

市長はさらに「抗議活動や暴力行為の映像の中には、これが市全体の危機であるかのような印象を与えるものがあるが、実際はそうではありません」と付け加えた。

夜間外出禁止令は、トランプ大統領が4000人の州兵をこの地域に派遣した中で発令された。

トランプ大統領は、ここ数日間で発生した米移民・関税執行局(ICE)の捜査をきっかけに発生した抗議者と法執行機関の衝突による暴力に対処するために、州兵の派遣は必要だと主張している。

国防総省はまた、連邦政府の建物と職員を守るため、ロサンゼルス大都市圏に700人の海兵隊員を派遣した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロブ・ボンタ州司法長官(民主党)は月曜日、トランプ大統領によるカリフォルニア州兵派遣の決定を「前例のない権力掌握(unprecedented power grab)」だとして、政権を提訴した。

22ページに及ぶ訴状には「我が国と民主政治体制の礎石の1つは、国民が軍政(military rule)ではなく民政(civil rule)によって統治されていることだ」と記されている。

「建国の父たちは、政府は国民に責任を持ち(a government should be accountable to its people)、法の支配(rule of law)に基づき、軍政(military rule)ではなく民政(civil authority)によって統治されるべきであるという原則をアメリカが州国憲法に定めた」と訴状は続けている。

火曜日の記者会見で、バス市長はニューサム知事の「彼のパートナーシップ(for his partnership)」に感謝の意を表し、州および地方の指導者、役人、そして議員たちにも感謝の意を表した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ロサンゼルスで、米移民・関税執行局(ICE)の一斉摘発が実施され、それに抗議するために連邦政府施設前に人々が集まり、反ICE抗議デモが実施された。参加者の一部が先鋭化し、高速道路を封鎖したり、連邦政府施設に対して侵入を試みようとしたりという行動に出た。地元警察が沈静化させようとしてもうまくいかず、トランプ大統領は州兵をロサンゼルス市内に派遣した。州兵は通常であれば州知事の指揮下に入り、治安維持や災害対応に従事するが、戦時では大統領の指揮下に入り、予備部隊としてアメリカ軍を支援する形になる。今回は大統領令で派遣されたが、これに対して、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルスのカレル・バス市長が、事態を悪化させるだけだと非難している。

 抗議者たちが物を投げたり、メキシコや他の中南米諸国の国旗を振り回したりという様子、警察の機動隊が催涙弾を発射したり、抗議者を拘束したりしている様子から、「映画の『シビル・ウォー』を見ているようだ」という感想がインターネット上に多く出ている。トランプ大統領は「現状はまだ反乱(insurrection)の状態までには至っていない」と述べている。

 私が現場の映像を見ていて、これは非常に危険だと感じたのは、抗議者たちの中に、メキシコ国旗や他の中南米諸国の国旗を掲げ、振り回している人たちが多くいたことだ。このような行為がなされれば、アメリカ国内では、「不法移民の一斉検挙に抗議する人たち」が「外国から支援を受けているのではないか、非アメリカ的(un-American)ではないか」という印象を持たれると、一般国民の間に支援は広がらない。それどころか、「彼らは外国の侵略を企図し、支援しているのではないか」ということまで考えられるようになれば、地域間や国民間の分断は深刻になる。

 カリフォルニア州は、元々はメキシコ領で、米墨紛争の後、1850年にアメリカ領になった。人口をどんどん増やしているヒスパニックたちの中には少数であるが、「いつかはメキシコ領に」「アメリカのお金でインフラを整備させて、人口で過半数になったらメキシコ領に」などと主張する人たちもいる。私がロサンゼルスに居住していた2000年代、1862年にメキシコがフランスとの戦争で勝利した日を記念する「シンコ・デ・マヨ(Cinco de Mayo、5月5日の意味)」となると、ロサンゼルスの一部地域の高校で、アフリカ系アメリカ人学生とヒスパニック系の学生たちが衝突するという事件も起きていた。アフリカ系アメリカ人からすれば、勢力を伸ばすヒスパニック系が気に入らないところに、他国のお祭りで盛り上がるということでスイッチが入ってしまうということであった。

 マイノリティの間でも、色々と分断がある。非常に繊細な問題である。不法移民がいることで、カリフォルニア経済は回るという側面もある。肉体的に厳しい農作業や建設業などに、不法移民が安い賃金で従事することで、食料価格や住宅価格が抑えられるということはある(インフレでそれも厳しいが)。しかし、トランプ大統領が訴える製造業の国アメリカの復活ということであれば、彼を支持したアメリカ人たちは、昔のように厳しい労働に従事しなければならない。外国からの安い製品に頼らずに、自分たちで物品を製造しなければならない。それが可能かどうかは甚だ疑問であるが、トランプを選んだのだから、このようになる。

 違法移民について、かわいそうというだけでは済まない。アメリカもそして先進諸国各国も、国力が衰え、支援をすることは難しい。国境の守り(国境警備の強化と高関税)はトランプ政権の柱である。そして、この問題はアメリカの地域間の分断をますます深刻化させるだろう。

(貼り付けはじめ)

ニューサム知事がカリフォルニア州は州兵派遣の件でドナルド・トランプを訴えると述べ、ホーマンに対して自分を逮捕しろと挑発(Newsom says California will sue Trump over National Guard, dares Homan to arrest him

サラ・フォーティンスキー筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/regulation/court-battles/5339718-california-lawsuit-trump-national-guard/

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)は、米連邦政府による移民強制捜査に抗議するロサンゼルスの抗議活動を鎮圧するため、州兵を派遣したトランプ政権を月曜日に提訴すると発表した。

日曜日夜に出演したMSNBCのインタヴューで、ニューサム知事は、この訴訟は、トランプ大統領が州の同意なしにカリフォルニア州兵を連邦軍化して派遣したこと、つまりアメリカ史上ほとんど前例のない措置に異議を唱えるものだと説明した。

ニューサム知事は「ドナルド・トランプは、今夜あなた方がテレビで見ているような状況を作り出し、さらに悪化させた。いわば、火に油を注いだ。州兵を掌握すると発表したときから、彼は火に油を注いでいる。これは違法行為であり、不道徳であり、違憲行為だ」とMSNBCで述べた。

ニューサム知事はさらに「そして、私たちは明日、訴訟を起こしてこの主張を検証するつもりだ」と付け加えた。

この訴訟について詳しく質問されたニューサム知事は、トランプ大統領の大統領令には「特に(国防総省が)行ったこととして、州知事と調整しなければならないと記されている。彼らは州知事と調整したことはない」と述べた。

ニューサムは、これまでも様々な緊急事態に対応するために、州兵を派遣してきたと指摘した。

ニューサムは、「地方の法執行機関と相互援助システムで協力することに何の問題もない。しかし、そこには手順があり、プロセスがある。彼はそれを気に留めなかった。そして最悪なのは、彼が完全に嘘をついたことだ」と述べた。

ニューサム知事は、トランプ大統領が日曜日にトゥルース・ソーシャル(Truth Social)に投稿した、州兵が「素晴らしい仕事をした」という投稿を指摘した。ニューサム知事は、当時州軍は配備すらされていなかったと述べた。

ニューサムは「まるでジョージ・オーウェルが描いた世界のようだ。国民に嘘をついて、違憲で違法な行為をしているだけだ。今回のことはトランプの仕業だ。我々はそれを片付けようとしている」と付け加えた。

インタヴューの後半で、ニューサム知事は、国境問題対策責任者のトム・ホーマンが、もしニューサム知事やロサンゼルス市長のカレン・バス氏が知事の活動を妨害した場合、逮捕の可能性も否定しないと示唆したことについて質問された。

ニューサムは「私を追いかけて、逮捕しろ。さっさと終わらせよう、タフガイ。そんなことはどうでもいい。でも、自分のコミュニティは大事だ。このコミュニティが大事だ」と述べた。

ニューサム知事は次のように述べた。「奴らは一体何をしているのか? 彼らは大人になるべきだ。彼らはもう終わりにすべきだ。そして私たちは反撃する必要がある。はっきり言って申し訳ないが、ああいう大言壮語には飽き飽きだ。だからトム、私を逮捕してみろ。さあ行こう」。

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ホーマンが、カリフォルニア州政府高官たちがICEの捜査を妨害した場合、逮捕される可能性があると警告を発した(Homan warns California officials can be arrested if they disrupt ICE raids

エルヴィア・リモン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339287-trump-national-guard-california-immigration-protests/

国境問題責任者トム・ホーマンは日曜日、トランプ大統領がロサンゼルスで進行中の移民抗議デモを鎮圧するため州兵を派遣したことを受け、カリフォルニア州政府高官たちが「一線を越える(cross the line)」場合、逮捕や起訴に直面する可能性があると警告した。

トランプ大統領は、デモ参加者との2日間にわたる衝突を受け、州および市の指導者たちが支援を求めていないと述べているにもかかわらず、少なくとも2000人の州兵に対し、移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)職員への支援を命じた。

ホーマンは、トランプ大統領の命令は法執行官を守るためだけでなく、「このコミュニティを守るため(protect this community)」でもあると述べた。

ホーマンは日曜日夜に放送予定のNBCニューズのジェイコブ・ソボロフのインタヴューを受け、その中で、「この街ではICE職員に対する非難が高まっており、誰かが重傷を負うのは時間の問題だ。私たちは支援を要請しており、職務を遂行し、今後もその職務を継続していく」と述べた。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルス市のカレン・バス市長(両者には民主党)は、トランプ大統領の州兵動員決定を批判し、緊張が高まるリスクがあると警告した。両者はまた、トランプ大統領が州兵の「素晴らしい仕事(a great job)」について、ロサンゼルスに部隊が到着する前に投稿していたことを日曜日に指摘した。

ソボロフが、ホーマンが過去にトランプ大統領の執行活動の邪魔をする者を逮捕すると脅迫していたのは、ニューサム知事とバス市長に向けられたものなのかと尋ねると、ホーマン氏は「誰に対してもそう言う(say that about anybody)」と明言した。

ホーマンは、「違法外国人を故意に隠匿し、かくまうことは重罪だ(It’s a felony to knowingly conceal and harbor an illegal alien)。法執行機関の職務を妨害することも重罪だ(It’s a felony to impede law enforcement from doing their job)」と述べた。

ホーマンは、バス市長が「まだ一線を越えた(crossed the line yet)」とは考えていないと述べたが、必要であれば「司法省に訴追を要請する(we will ask DOJ to prosecute)」と付け加え、司法省に言及した。

ホーマンは「私たちが言いたいのは、我々の警官を攻撃する者を容認しないということだ」と付け加えた。

日曜日の朝、ニューサム知事はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、連邦政府が「カリフォルニア州兵を乗っ取ろうとしている(taking over the California National Guard)」のは「見せ物が欲しいからだ(they want a spectacle)」と主張した。

ニューサム知事は「見せ物を与えてはならない。決して暴力を用いてはならない。平和的に声を上げよう」と付け加えた。

NBCニューズのインタヴューで、ホーマンはニューサム知事の発言を激しく非難し、「週にとっての恥(an embarrassment for the state)」と呼んだ。

ホーマンは次のように述べた。「私はこの知事を全く尊敬していない。彼の政策のせいで、罪を犯した外国人が毎日この州を闊歩している。知事が私のことをどう思っているかなど気にしない。私は人気投票をしているわけではない」。

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ロサンゼルスで警察が「違法な」集会を宣言し緊張が高まる(Tensions rise in Los Angeles as police declare ‘unlawful’ assembly

コリン・メイエン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339627-protesters-arrested-in-la-tensions-rise/

日曜日の午後、ロサンゼルスでは警察が高速道路で抗議者たちと衝突し、メトロポリタン拘置所前での別の抗議活動を「違法(unlawful)」と宣言したことで緊張が高まった。

一日だけで数十人のデモ参加者が逮捕された。ドナルド・トランプ大統領が 「暴徒化した暴徒(insurrectionist mobs)」に対抗するために軍を派遣するという異例の決定を下したため、約300人の州兵が市内に配備された。

抗議者たちは、トランプ政権によるロサンゼルス市内への移民強制捜査に反発し、午後3時半頃から101号線高速道路を封鎖した。警察官は群衆に向けて催涙ガス弾などの弾丸を発射し、午後5時までに高速道路の封鎖を排除した。その後も数百人が周辺の道路に残留し続けた。

午後3時過ぎ、ロサンゼルス市警察(LAPD)は、アラメダにある市内刑務所前で活動していた別の抗議者集団を違法とし、逮捕活動を行っていると発表した。

ロサンゼルス市警察は「アラメダ地区2番街とアリソ通りの間の地域で“違法集会(An UNLAWFUL ASSEMBLY)”が宣言された。“解散命令(A DISPERSAL ORDER)”が発令された。逮捕者も出ている」とソーシャルプラットフォームXに投稿した。

CNNは、警察官たちが抗議者を殴ったり押したり、閃光弾や催涙ガスを群衆に向けて発射する様子が見られたと報じた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、トランプ大統領による州兵派遣の決定を強く非難し、平和的な対応を取らない抗議者たちに対し警告を発した。

バス市長は「ロサンゼルス市民が平和的に抗議活動を行う憲法上の権利は、常にわしたちの手で守られる。しかしながら、暴力、破壊、そして器物損壊は、私たちの街では容認されない。責任がある人たちは、完全な責任を問われることになる」とXに投稿した。

バス市長は後に、日曜日の混乱は「政権によって引き起こされた(provoked by the administration)」と述べた。

ダン・ボンジーノFBI副長官も、午後になって緊張が高まる中、警告を発した。

ボンジーノ副長官は「もし今夜、暴力を選択するなら、このメッセージはあなたに向けたものとなる。私たちは、既に多くの逮捕者を出しているだけでなく、連邦職員への暴行に関するあらゆる手がかりを捜査・追及していく」とXに投稿した。

23人の民主党所属の州知事全員が日曜日の午後、数十年も適用されていなかった法律を用いてカリフォルニア州の州兵を連邦軍化するというトランプ大統領の決定を非難する声明を発表し、この対応は不必要であり、事態をエスカレートさせるものだと主張した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の知事室は日曜日、ピート・ヘグセス国防長官に書簡を送り、市内への軍部隊派遣命令の撤回を求めた。

トランプ大統領は日曜日午後、キャンプ・デイヴィッドに向かうエアフォースワンに搭乗する前に記者団に短時間語った。大統領は大統領別荘で軍幹部と面会する予定だが、会談内容については明らかにしなかった。

国家安全保障上の危機に際して大統領の権限を拡大する反乱法(the Insurrection Act)を発動するかどうか記者団に問われると、トランプ大統領は、今回の抗議活動(the protests)はまだ「反乱(insurrection)」には当たらないと述べた。

しかし、その直後、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、抗議者たち(the protesters)を「反乱暴者の集団(insurrectionist mob)」と表現した。

「クリスティ・ノーム国土安全保障長官、ピート・ヘグゼス国防長官、パム・ボンディ司法長官に対し、関係省庁および機関と連携し、ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じるよう指示する」とトランプは投稿した。

トランプは更に「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう」と書いた。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 2024年6月27日に開催された米大統領選挙候補者討論会での、ジョー・バイデンの酷い状態を受けて、民主党内はパニック、お通夜状態になっている。「敗北だ」という雰囲気は理解できるが、ついには、「バイデンが死んでくれなえれば、自分たちが死んでしまう(誇張表現ではあるが)」という言葉まで出てきている。日本でも、リベラル派、民主党びいきのニューヨーク・タイムズが論説委員室から、バイデンに選挙からの撤退を求める内容の論稿を発表したと報じられた。

 ドナルド・トランプ陣営は、リベラル派のCNNが「自分たちを非常に公正に扱った」と高く評価している。トランプ前大統領は通常運転であったが、それだけで、バイデンとのコントラストが大きくなって、「討論会はトランプがバイデンに圧勝」ということになった。民主党側からすれば、「バイデンは高齢ではあるが元気で、トランプをやっつけた」ということにしたかったが、期待以下、最低線以下の最悪の結果となった。討論会中、トランプが何度か、バイデンの発言中に怪訝そうな表情を浮かべ、「何かおかしいぞ」という感じになり、発言を手加減しているように私には見えた。いつもよりエンジンをかけてやってしまうと、「トランプが高齢のバイデンを虐めている」という構図になりそうだったのを抑えたように見える。高齢者はトランプにとっての大事な選挙基盤だ。

アメリカ大統領は、アメリカ軍最高司令官(Commander-in-Chief)であり、やはり体力や活力が必要というのがコンセンサスだ。バイデンのあの弱弱しさでどうやって最高司令官たり得るかといいうことになる。共和党側からは、マイク・ジョンソン連邦下院議長などから、合衆国憲法修正第25条4項の規定に基づいて、バイデン大統領に職務続行不能を宣言し、カマラ・ハリス副大統領が職務代行せよという声が上がっている。この憲法の規定では、副大統領と閣僚の過半数が申し立てれば、大統領の職務続行不能が認められ、副大統領が代行となる。バイデン大統領の討論会の様子は、そのような懸念を引き起こすのに十分であった。

 もう7月で、8月の候補者指名のための全国大会まで1カ月半ほど残されていない。バイデンと交代して候補者となり得る人物の名前が多く出ているが、ここはやはりカマラ・ハリス副大統領しかいないだろう。負ける公算が大きい以上、大事な候補者は民主党としても出せない。カリフォルニア州は民主党の金城湯池であるにもかかわらず、これまで大統領選挙候補者は出てこなかった。かえって、共和党側からカリフォルニア州出身の大統領候補・大統領が出ている(リチャード・ニクソンやロナルド・レーガンなど)。ここは、カマラ・ハリスが民主党初のカリフォルニア州出身の大統領選挙候補者になるというのも良いのではないかと思う。

(貼り付けはじめ)

重要な転換となったトランプ・バイデン討論の5つのポイント(5 takeaways on a pivotal Trump-Biden debate

ジャレッド・ギャンズ、ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル、ブレット・サミュエルズ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745219-five-takeaways-on-a-pivotal-trump-biden-debate/

ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領は木曜日、4年ぶりにアトランタで討論会の舞台で相まみえた。この討論会は大統領選挙の選挙戦において極めて重要な瞬間になった。

90分間の討論会終了までに、左派と右派は共に、この夜がゲームチェンジャー(game changer)となった、バイデンにとって有益な夜ではなかったということで一致したようだ。

両候補は経済、中絶、移民、外交政策をめぐって対立したが、この夜はバイデンのつまずきのスタート(stumbling start)として最もよく記憶されることになるだろう。ホワイトハウスはその原因の一部を風邪のせいだと主張した。

これから5つのポイントを見ていく。

(1)バイデンは彼の年齢に対する懸念の払しょくに失敗した(Biden fails to dispel worries about his age

現在81歳で大統領任期2期目の終わりには86歳になるバイデンは、大統領職をあと4年間続けるための準備ができていないのではないかという有権者の懸念を和らげることが何もできなかった。

バイデンが2024年の選挙戦を通じて直面し続けてきた主な懸念の1つは年齢であり、バイデン陣営が求めていた討論会でのスロースタートぶり(slow start)は6月の討論会を進めるというバイデン自身の決断に疑問を投げかけた。

連邦下院少数党(民主党)院内総務のハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州選出、民主党)の元広報担当のマイケル・ハーダウェイはSNSXに投稿し、「あのような状態で自分のボスを全国テレビ放送に送り出すようなことを私ならしない」と書いた。

バイデンは言葉につまずき(stumbled over)、時には発言が不明確になるなど、いくつかのミスに苦しんだ。彼の声は討論会の間中、ずっとかすれていて(hoarse)、特に静かな調子で討論を始めた。

バイデンがつまずいた最も注目すべき事例の1つは、討論会序盤における、メディケアに関する討論だった。

「私が新型コロナウイルスに対して私ができたことを、全ての人たちに確実に受けられるようにすることだ。失礼、私たちが関係しなければならない全てのことに対処している」とバイデンは時折言葉に詰まりながら発言した。「よろしいか・・・私たちはついにメディケアを完全に打ち倒した(we finally beat Medicare)」と述べた。

トランプ陣営は、バイデンにはあと4年間ホワイトハウスに留まる用意ができていないと主張しようとしてきた。トランプ自身は、このバイデンの言い間違いの機会を利用してバイデンが「メディケアを徹底的に打ち負かした」と述べたことへ反応しようとしたが、止まってしまった。

複数の関係筋が本誌や他のメディアに語ったところによると、バイデン大統領は風邪をひいており、それが「スロー」スタートの理由ということであった。しかし、バイデン大統領の能力についての疑問を払拭するのに、この釈明はバイデンが必要としていたものではなかったことは確かだ。

トランプはひよっこ(spring chicken)ではない。トランプは78歳になったばかりで、二期目を務めれば史上最高齢の大統領となる。しかし、トランプの年齢に関する疑問は、バイデンほどには根強く残っておらず、木曜日の夜の彼のパフォーマンスがこの状況を変える可能性は低かった。

討論会が進むにつれてバイデンの様子は改善し、トランプの様々な発言についてトランプと対立することが増えた。注目に値する例の1つは、2018年に大統領としてトランプが退役軍人を「間抜け」や「負け犬」と呼んだ発言を非難したことだ。これについて、トランプは否定している。

民主党系ストラティジストのジョン・ライニッシュは、バイデンは時間の経過とともに改善したと主張した。

ライニッシュは「大統領は、スロースタートだったが、勢いを取り戻した(picked up stream)。彼のティームは、喉に効く2つの自家製治療薬、ハチミツとレモンについて調べる必要がある」と述べた。

(2)トランプは比較的規律正しく行動した(Trump is relatively disciplined

2020年の大統領選挙選挙戦の最初の討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスは、バイデンに対する度重なる妨害と攻撃的な口調のために酷評された。木曜日にはそのような問題はなかった。

トランプ大統領の回答には、バイデンが国民全員の税金を4倍にする計画があると主張したときのように、誤解を招く発言や虚偽が頻繁に含まれていた。トランプは2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件についての発言最小限にとどめ、2024年の選挙結果を受け入れるかどうかについては曖昧な態度を取った。

しかし、バイデンが特定の話題について蛇行し、時には思考回路(train of thought)がうまく機能しなかったため、過去にトランプを悩ませたような爆発は避け、厳しい試験に合格することができた。

トランプ元大統領の側近と共和党系のストラティジストたちは木曜日の対決に向けて、トランプには自傷行為による傷(self-inflicted wounds)を一切負わせず、その夜の焦点をバイデンに集中させることが責務であると主張した。

マイクをミュートにして、候補者の発言の番ではないときに候補者の声が聞こえないようにしたことも、一部にはトランプに対する助けになったかもしれないが、共和党は夜の終わりまでにトランプの果たすべき使命は達成されたと感じた。

共和党系ストラティジストのフォード・オコネルは本誌の取材に対して次のよう述べた。「トランプにとって、今回の討論会のMVPは、トランプとバイデンの分割画面の視覚的なコントラストだ(split screen visual contrast)。トランプは20歳若くシャープに見えたが、バイデンはぼんやり(dazed)していて、あと4年など務められそうにないように見えた。今夜以降、トランプとバイデンの間で再び討論会が行われる可能性はゼロ以下だ」。

(3)司会者たちはファクトチェックに失敗した(Moderators fail to fact-check

司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーは候補者たちが時間制限を守るように努めたが、討論会の間でリアルタイムでのファクトチェックを行わなかった。これは、専門家の一部から、事前にトランプとバイデンの責任ある発言を引き出すために必要だと主張していたにもかかわらず、ファクトチェックを行わなかった。

討論会の場で行われる主張に異議を唱えないという決定は、候補者たちが真実を拡大解釈して非難の応酬を行う余地を残した。 

これは、トランプにとって有利となった可能性がある。討論会終了後、CNNのファクトチェッカーであるダニエル・デールは、トランプの虚偽主張が少なくとも30件、バイデン側では少なくとも9件あったと主張した。しかし、デールの努力は多くの視聴者が討論を見終えた後に示された。

ある時点で、トランプは先月有罪判決を受けたマンハッタン口止め料事件を通じて、バイデンに対して、「基本的に政敵を追いかけ回した(basically went after his political opponent)」と示唆したようだ。

4年前、2020年の討論会でのトランプ大統領の突飛な主張により、幕が閉まった後に厳しいファクトチェックが行われた。 

バイデン陣営とバイデンの補佐官たちは一晩中、ソーシャルメディアへの投稿でトランプ大統領の発言に関するチェックをシェアし、様々な報道機関は、両候補の動向を把握しようと努めた。

物議を醸した討論会は、両方の候補者を遮断するミュートボタンと、無観客によって部分的に制御された。これは、2020年の騒々しい両者の対決の繰り返しを避けるためのCNNが苦心して決めたものだ。

しかし、司会者らは候補者に任務を遂行させるのに苦労し、虚偽や逸脱の両方に扉を開いた。ある時点で、トランプは保育料の料金に関する質問を無視し、その代わりにバイデンを「史上最悪の大統領(“the worst president ever)」と叩きのめすことに時間を費やした。 

他の専門家たちが批判する中、長年ニューヨーク・タイムズのコラムニストを務めるニコラス・クリストフ氏はSNSXに「CNNの司会者たちがもっとファクトチェックをして、全くの虚偽の発言があった場合には視聴者に知らせて欲しかった。事実を装った虚偽を送信することがプラットフォームにとってどのように役立つのかは分からない」と投稿した。 

一方、保守派コメンテイターのアン・コールターは、司会者たちを「驚くほど素晴らしい」、「まったく不公平ではない」と評価した。

共和党系ストラティジストのブライアン・セイティックは、司会者たちは抑制的なアプローチでスポットライトを避けることに成功したと述べた。民主党系ストラティジストのライニッシュは、司会者がもっと介入すべきだったと述べた。

(4)2020年に行われた灯篭会ではなかったが、個人的・感情的になった(It wasn’t 2020, but it got personal

2020年のトランプとバイデンの1回目の討論会は、会場を支配した混乱と両候補が激しい口論になったことで評価が低かった。

木曜日の討論会はそこまでの緊張レヴェルには達しなかったが、それでも時として個人的・感情的なものになった。

バイデンは討論会の後半で発言を強め、トランプが亡くなった退役軍人について発言したと伝えられていることに言及し、トランプを「間抜け(sucker)」で「負け犬(loser)」と呼んだ。

「彼は四つ星の将軍と一緒に立っていてこう言った、『彼らは負け犬で間抜けの集団だから、あそこ(墓地)には入りたくない』と」とバイデンは語った。バイデンは続けて、「私の息子は負け犬ではない。彼は間抜けではない。あなたが間抜けだ。あなたが負け犬だ」と述べた。

トランプ大統領は、バイデンを「洗脳されている(Manchurian candidate)」と呼び、中国に立ち向かわないとして非難した。

両候補は、様々な政策問題に関して討論する中で、相手が嘘をついた、または真実ではないと非難した。

注目すべきことに、候補者たちは討論会の前後に握手をしなかった。最後にバイデンは妻のジル・バイデン大統領夫人に出迎えられ、トランプはただ立ち去った。

(5)民主党は懸念と不満を高めて夜を終えた(Democrats left the night worried and frustrated

集中力を失い、言葉が出てこないバイデンのパフォーマンスは、討論会が終わる前から民主党をパニック状態に陥らせた。

本誌に記事を寄稿している、民主党系ストラティジストで、オピニオンライターのマックス・バーンズはXに次のように投稿した。「私はバイデン陣営のスタッフでも、バイデンワールドの腹心でもない。バイデンの懸念すべきパフォーマンスについて今、最高幹部レヴェルで話し合いが行われているかどうかは分からないが、今夜バイデンの選挙戦が前進したかのようなふりをするのは政治的不正(political malpractice)となるだろう」。

バーンズは別の投稿で次のように述べた。「2012年にバラク・オバマがミット・ロムニーに対する最初の討論会で大失敗したとき、何がうまくいかなかったのか、それを修正するには何が必要なのかについて真剣に議論することになった。オバマは船の進先を修正した。 同じような話し合いが今すぐ、幹部たちとバイデンとの間で行われる必要がある」。

民主党にとって、今回のCNN主催の討論会は、トランプとバイデンの対照がどのようなものか有権者に示す最初の機会となるはずだった。民主党はバイデンが今年の一般教書演説で示したような活力を発揮してくれることを期待していた。

その代わりに、当初は動きが鈍かったバイデンの討論パフォーマンスが、年齢に対する有権者の懸念を強調する内容となった。

ハリス副大統領の元上級補佐官シモーネ・サンダース・タウンゼントはXに投稿し、「バイデンのスタートは悪かった(皆さん、他に言い方はない)。彼は討論会を通じて改善したが、これはバイデンの支持者たちが期待していたものではなかった。大統領が風邪をひいているようだと指摘するのはもっともだが、討論となると、内容と同じくらいパフォーマンスも重要だ」と述べた。

アリゾナを拠点とする共和党系ストラティジストであるバレット・マーソンは、「#ReplaceBiden(バイデン交代)」というハッシュタグがネット上で流行し始める可能性についてXでつぶやいた。「認知症(dementia)」という言葉もXでトレンドになっていた。

バイデンは、9月に行われるABCニューズ主催の討論会でトランプと対決し、パフォーマンスを大幅に向上させる機会をもう1度得ることになる。しかし、バイデン大統領はそれまでに多くのことを改善しなければならないだろう。

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トランプが集会で討論司会者を称賛:「彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」(Trump lauds debate moderators at rally: ‘They treated me very fairly’

ロウレン・アーウィン筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4747126-trump-lauds-debate-moderators-they-treated-me-very-fairly/

ドナルド・トランプ前大統領は金曜日の集会で、木曜の夜、CNNの大統領選挙討論会司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーが自分を「非常に公平に(very fairly)」扱ってくれたと思うと述べた。

メディアイトが切り抜いて拡散した映像の中で、トランプはヴァージニア州の聴衆に対して、「昨夜、CNNが私を非常に公平に扱ったと実際に思ったので、CNNを批判すべきではない。2人ともとてもプロフェッショナルだった。ジェイクとデイナ、彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」と語った。

トランプ大統領は聴衆に対し、CNNが何年にもわたって自分を虐待していたと語ったが、木曜日にタッパーとバッシュがトランプ氏を「公平に(fairly)」扱ってくれたことは「素晴らしい(great)」と思うと述べた。

リベラル派の一部は、司会者たちが2人の候補者に対してファクトチェックを行わず、それぞれが虚偽の発言を許していたと批判している。

トランプ元大統領は金曜日午後、選挙集会を実施し、バイデン大統領とその不安定なパフォーマンスを批判し、その夜のニューズのテーマになった。バイデンの討論は民主党員の間で広範な不安を引き起こしており、今秋に新たな人物がトランプに対抗できるようバイデンに退くよう求めている。

しかし、バイデンのパフォーマンスを受けて、共和党はCNNと彼らの討論会の進め方を賞賛した。

アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン知事(共和党)はオンラインで、今回の討論会は「公正で有益かつ統制された最高級の討論会(a top-notch debate that was fair, informative and controlled)」だったと述べた。

ハッチンソン知事は「このフォーマットはうまくいった。激しいやりとりがたくさんあるが、視聴者にとってはより見応えのあるものだった。よくやった」と語った。

トランプ元大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニアは、候補者が発言していないときはマイクをミュートにするなどの形式が気に入ったと述べた。

「実は父にとってこのフォーマットが気に入っている。このフォーマットによって、彼を規律正しく集中させ続ける。彼はバイデンの悲惨で失敗した政策について、1つ1つ解体している」とSNSXに投稿した。

ハイテク億万長者のイーロン・マスクもCNNの放送に意見を述べた。

マスクは次のように述べた。「@CNN は討論会の管理について良い仕事をしたと言わざるを得ない。質問は合理的であり、党派に偏らないものだった。どちらの候補者に対しても贔屓が見られなかった。これが国民がメディアに求めていることだ」。

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アクセルロッドが共和党のストラティジストたちに次のように発言:バイデンが交代となったら「あなたたちは問題を抱える」(Axelrod to GOP strategists: If Biden is replaced, ‘you guys are in trouble’

タラ・サッター筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745498-biden-debate-trump-challenge/

民主党系ストラティジストのデイヴィッド・アクセルロッドは、討論会後のパネルディスカッションにおいて、共和党側のストラティジストたちに対して、もしジョー・バイデン大統領が交代となれば、彼らとドナルド・トランプ前大統領は、「問題(trouble)」に直面するだろうと述べた。

アクセルロッドは木曜の討論会後、CNNに出演し、「何らかの理由で、大統領選挙候補者に変更があれば、皆さんはドナルド・トランプに関して問題を抱えることになる。なぜなら、今夜そこにいた男は人々にインスピレーションを与えるような男ではないからだ」と述べた。その映像はメディアイトが切り抜き映像にして拡散した。

アクセルロッドは続けて「バイデンは、人々が非常に好意的に評価する人物から何も変わっていない。これは納得できることだ」と述べた。

バイデンの討論会でのパフォーマンスは、声がかすれ、言葉に詰まり、党内での懸念を引き起こした。民主党の幹部やコメンテイターたちは討論会後、選挙前にバイデンが辞任することについて議論が行われていると示唆した。

アクセルロッドはCNNのテレビ番組の中で、次のように述べた「実際、この討論会の初めのバイデンの言動や様子にはショックを受けたと思う。彼の声はどう聞こえたか。彼は少し混乱しているようだった。討論が進むにつれて彼は確かに強くなった。どのような結果になるか私にも分からない議論を聞くことになると思うが、彼が続投すべきかどうかについては議論が行われるだろう」。

あるホワイトハウス当局者によると、バイデンは討論会中に風邪を引いており、民主党候補のトップとしてのバイデンの立場をめぐって疑問が渦巻く中、陣営はバイデンを擁護した。

バイデンの補佐官の1人は、「バイデン大統領はこれまでにドナルド・トランプを破った唯一の人物だ。彼はまたやるだろう。ドナルド・トランプは今夜、有権者に自分に投票する理由を何も与えなかった。この問題に関して、アメリカ国民はジョー・バイデンを支持している」と語った。

討論会を視聴した登録有権者を対象としたCNNの即時世論調査では、67%はトランプが勝利したと答え、33%はバイデンが勝利したと答えた。

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スヌヌがバイデンの討論会での酷いパフォーマンスについて「民主党エリート」を非難(Sununu blames ‘Democratic elite’ for Biden’s poor debate performance

ヤシュ・ロイ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4746941-chris-sununu-joe-biden-debate-performance-2024-presidential-election/

ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)は金曜日のインタヴューで「民主党エリート」を非難し、討論会でのバイデン大統領のパフォーマンスの低調さは民主党指導部の責任だと非難した。

スヌヌは、ニューハンプシャー州の予備選をスキップし、まずサウスカロライナ州に焦点を当てるという民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の民主党予備選挙序盤の流れに関する決定を強調した。

スヌヌは「ニューズネイションナウ」の司会者であるコネル・マクシェーンに対して次のように語った。「これはジョー・バイデンの失敗ではないことを忘れないようにしよう。これは民主党のエリートの責任だ。彼らは、ニューハンプシャー州の全米で最初に実施される予備選挙をスキップしようとしたし、ジョー・バイデンが問題を抱えていると分かっていながら、大統領選挙の候補者にさせるつもりだった」。

スヌヌ知事は続けて「彼らにはチャンスがあった。彼らが良好な予備プロセスを実行させるのではなく、基本的にゲームをしようとした。そして、こういう結果になった」と述べた。

スヌヌのコメントは、サウスカロライナ州および地元の民主党員からの呼びかけを受け、党の多様な有権者をより代表すると考えられる州(サウスカロライナ州)で、最初の予備選を実施するとした、民主党全国委員会の決定に言及している。スヌヌやニューハンプシャー州の他の政治家たちは、民主党とバイデン大統領のこの決定を非難した。

ニューハンプシャー州での予備選挙では、投票用紙に名前が記載されていなかったにもかかわらず、結家者たちは投票用紙に名前を書き込み、その結果、予備選の勝者と宣言された。それでも州は彼に代議員を与えなかった。

スヌヌは、木曜夜のアトランタでの討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスを称賛し、トランプ前大統領は討論会で「まさにやるべきことをやった(did exactly what he had to do” at the debate)」と述べた。

スヌヌは金曜日、「トランプは有能さを示した。彼は昨夜、強硬になりすぎず、やるべきことを正確にやった。彼は明らかにその部屋にいる唯一の大人だった。バイデンは全くもって酷かった」と述べた。

スヌヌは、民主党が優勢なアメリカ北東部の各州の中で、ただ1人の共和党所属の知事だ。彼は、共和党予備選挙ではニッキー・ヘイリー元国連大使を支持していた。3月にヘイリーが選挙戦から撤退すると、トランプが共和党の候補者となるための道が開かれた。

過去にトランプを「負け犬」と呼んだこともあったが、スヌヌは誰が共和党の候補者になっても糖尿することを示唆していた。

金曜日に行われたインタヴューで、スヌヌ知事は昨年の段階でバイデンを候補者から交代させるように訴えたとし、現段階では、それはもう手遅れだと確信していると述べた。

スヌヌのコメントは、木曜日の討論会でのバイデンのパフォーマンスが酷かったことを受けて、民主党内でパニックが起き、現職のバイデンが選挙から撤退し、8月の民主党全国大会で、オープン・コンヴェンションの開催を許可すべきかどうかの議論が巻き起こったことを受けて出された。バイデンと選対は、大統領はどこにも行かないとし、この呼びかけを拒否した。

スヌヌは、オープン・コンヴェンション開催の要求を「馬鹿げたアイディア」と呼んだ。

スヌヌは次のように語った。「バイデンは候補者に選ばれるだろう。約4カ月で5億ドルを調達しなければならない状況で、誰が彼に代わって選挙戦を行うだろうか? これは難しいことだ。候補者になることができるかもしれないが、バイデンと同じか、名前が知れ渡ればバイデンよりも敗北の程度は低くなるかもしれないが、負けてしまうことになるのだから」。

しかし、バイデンが「2回目の討論会で強さを示し、有能さを出すことができれば、アメリカは、1回目の討論会をバックミラーに戻し、リセットボタンを押すことができるだろう」とスヌヌは付け加えた。

木曜日の討論会の冒頭、バイデンの声はかすれており、バイデンのティームはすぐに風邪のせいだと説明した。金曜のノースカロライナ州での集会中、バイデンの声は正常に戻り、エネルギーも増し、言葉に詰まることもあまりなかった。

司会のマクシェーンは、これからの討論会や集会での好転についてスヌヌに質問した。スヌヌは、テレプロンプターの効力があることを認めながら、そのようなことはないと指摘した。

スヌヌは次のように述べた。「バイデンがテレプロンプターを持っている場合、発言時間の80%で、バイデンは原稿をまとめてテレプロンプターから読むことができる。だから、プロンプターがない状態であれば、私たちは最も当惑させられることになると思う。それが、昨夜私たちが見たものだ。昨夜のジョー・バイデンこそが明らかに本物のジョー・バイデンだ」。

スヌヌ知事は「バイデン大統領のパフォーマンスは多くの人を神経質にさせ、心配させるものとなっている。これが、私たちが経済危機に陥っている理由であり、これが、制御不能な移民危機に見舞われている理由だ」と述べた。

スヌヌは続けて、「アメリカ国民がそのような心配をするのは当然のことで、彼らは変化を望んでいるだけだ」と述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アレックス・ガーランド監督作品「シヴィル・ウォー(Civil War)」(2024年)は、アメリカ社会の分裂と内戦を描いたSF・ディストピア作品のようだ。詳しいないようなまだ分からないが、カリフォルニア州とテキサス州(とフロリダ州)が同盟を組み、中央政府に反旗を翻して内戦状態に入っている、映画の中で名前を明かされていないアメリカ合衆国大統領はファシストとして描かれている、ということは分かっている。この映画は「2024年のアメリカ大統領選挙の後に、アメリカが内戦状態、第二次南北戦争になるのではないか」という、感覚の鋭いアメリカ人たちに不安と共にある種の実感を与えているようだ。

 荒唐無稽な物語にして、「南北戦争のような大規模な内戦は起きない」「現実はもっとちゃんとしている」と思わせようとしながら、映画の基底には、現実感があるのだろうと思う。うまくごまかしながら、何かしらの不安を与えるというのは高等技術であり、それがアメリカ人の神経を逆なでしながら、映画を見ないと済まないという気持ちにさせているということになるだろう。


 カリフォルニア州とテキサス州が連合を組むというのは荒唐無稽のようだが、ワシントンDCとニューヨークに巣食う東部エスタブリッシュメントに対しての反感という点では共通点がある。「アメリカでポピュリズムが跋扈している」という書き方をする人間は多いが、こうした人たちは「大衆迎合主義」の意味で使っているが、アメリカのポピュリズムは、「エスタブリッシュメントによって奪われた政治、デモクラシーを一般庶民・大衆が取り戻そうとする動き」ということである。2016年の米大統領選挙では、共和党からはドナルド・トランプ、民主党からはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)が出て、ヒラリークリントンを苦しめ、最終的には彼女の大統領就任を阻止することに成功した。サンダースの選挙運動からは、民主党進歩主義派の議員たちが生まれ、その代表格がアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)である。トランプとサンダースは水と油のような関係であるが、ポピュリズムという点では共通である。カリフォルニア州とテキサス州が連合するということもあり得る。

 連邦議会でのトランプ派議員たちと進歩主義派議員たちの動きはよく似ている。たとえば、ウクライナ支援に関しては、こうした議員たちは共通して反対している。こうした動きについては、このブログでも紹介している。その中で、「馬蹄理論(horseshoe theory)」を紹介している。政治的なスペクトラムで両端にある「極右」「極左」が近づくということだ。※「2022年08月16日 伝統的な「右と左」「穏健と過激」ではなくポピュリズムによってアメリカ政治を理解する」 http://suinikki.blog.jp/archives/86488603.html

 日本語で言う「南北戦争」は英語では「The Civil War」と言う。「civil war」と言えば、一般的な「内戦」である。ガーランドの映画のタイトル「Civil War」は、「内戦」という意味でもあり、「アメリカの内戦=第二次南北戦争」ということになる。南北戦争(1861-1864年)は、奴隷制度反対の北部と奴隷制度維持の南部の争いで、エイブラハム・リンカーンが奴隷解放の父・英雄というのが教科書通りの定説だ。しかし、実際はそんなに単純なものではない。リンカーンは南部がアメリカ合衆国に留まるならば奴隷制度を維持しても良いと考えていた。南北戦争は勃興する工業中心の北部と、伝統的なプランテーション農業を中心とする南部の経済的な争いが大きかった。奴隷制度はプランテーション経営の根幹であり、それが廃止されれば経営は立ち行かない。また、関税で言えば、北部はアメリカで勃興し始めた興行を守るために保護関税を訴え、南部は競争力のある綿花の輸出のために低い関税を訴えた。そうした違いから南北戦争になった。そして、リンカーンがアメリカで英雄となっているのは、奴隷解放のためではなく、アメリカの連合(Union)を守ったからだ(南部を相当痛めつけることになったが)。

 アメリカ社会の分断・分裂は、第二次南北戦争を引き起こすかもしれない、今年の大統領選挙がそのきっかけになるかもしれない、という漠然とした不安がアメリカ国民の間に存在する。その不安を刺激したのが、現在公開されている「シヴィル・ウォー」だ。優れた小説や映画は時に予言的な役割を果たす。アメリカの分断・分裂は危険水位に達している。

(貼り付けはじめ)

映画「シヴィル・ウォー(Civil War、内戦、南北戦争)」が成功したのは、その中で描かれている政治が荒唐無稽だからだ(‘Civil War’ Succeeds Because Its Politics Make No Sense

-悪夢のようなシナリオは、論理が夢想のように欠如しているがゆえに余計に恐ろしい。

ジョーダン・ホフマン筆

2024年4月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/13/civil-war-movie-review-garland-us-politics-election-trump/

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「シヴィル・ウォー」で主演を務めるキルスティン・ダンスト(中央)

「ここではそんなことは起こりっこない(It can’t happen here)」。これは、1930年代に小説家シンクレア・ルイスがアメリカ政治に忍び寄るヨーロッパ型ファシズム(European-style fascism)を警告するために使い、1960年代にはミュージシャンのフランク・ザッパがカウンターカルチャー(counterculture)の熱狂的な支持者たちに怯えるアイゼンハワー時代の四角四面ぶりを嘲笑するために使い、2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂襲撃事件以来、多くのアメリカ人が自国の安定性を再確認するために使っている常套句だ。アメリカの政治陣営間の対立(animosity)は、私の記憶にある限り、これまでにも増して激しくなっている。しかし、それでは第二次南北戦争(second civil war)が起きるのだろうか?ここではそんなことは起こりっこない。

小説『ザ・ビーチ』(1996年、映画版は2000年)、脚本『28日後...(28 Days Later)』(2002年)、『サンシャイン2057(Sunshine)』(2007年)、映画「エクス・マキナ(Ex Machina)」(2015年)、「アナイアレイション -全滅領域-Annihilation)」(2018年)、「MEN 同じ顔の男たち(Men)」(2022年)、テレビシリーズ「デヴズ(Devs)」(2020年)などを手がけてきた、53歳のイギリス人脚本家兼監督アレックス・ガーランドは、明らかにそう考えていない。しかし、彼の新作「シヴィル・ウォー」は期待を裏切る大胆な作品だ。ジョー・バイデン対ドナルド・トランプの選挙(待てよ、ここでそんなことが起こるのか?)に向けて私たちが夢遊病のように歩くなか、ガーランドの作品はリンカーン・メモリアルの影で武装する「アメリカを再び偉大に(MAGA)」やアンティファ(antifa)の話ではない。彼の大きな芸術的な振れ幅は、スクリーン上で展開されている災難から、アメリカの政治を曖昧にすることだ。そうすることで、内戦の狂気がより鮮明になるのだ。

この映画は、大音量で暴力シーンが執拗なほどに多く含まれる109分間の映画で、2020年後半に脚本が書かれたものだ。当時、アメリカ連邦議事堂に突入することなど、怒りながらポッドキャストをしている人々には全く予想できない時期であった。物語の舞台は「今から数年後」で、アメリカとその大統領(ニック・オファーマンが演じている)は、分離主義勢力の連合(a coalition of secessionist forces)によって窮地に立たされている。このシナリオの経緯や理由は、脚本の適切な位置にある隙間から透けて見えるが、どの時点でも明確な全体像は得られない。信頼できる戦争のための政治理論の欠如は、映画の予告編が公開されて以来、一部の人をイライラさせてきたが(カリフォルニアとテキサスの同盟? なんだそりゃ?)、ニューヨークでのメディア向けの試写会の後、ロビーに数人が集まって、つなげられないいくつかの点について不平を言っていたことを報告したいと思う。敬意を込めて、私は同僚たちに、皆さんは完全に要点を見逃したのだと言いたい。

「シヴィル・ウォー」は、4人の特派員たちに焦点を当てた作品だ。キルスティン・ダンストが演じる主人公リー・スミスは、第二次世界大戦で最も有名な女性写真家の名前もリーであったことをよく知るフォトジャーナリストだ。彼女のそばには、ロイター通信の記者ジョエル(ワグナー・モウラ)がいる。後部座席には、「ニューヨーク・タイムズ紙に残されたもの」で働くヴェテランのジャーナリストであるサミー(スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソンが演じる)と、リーに憧れる新米カメラマンのジェシー(カイリー・スペイニー)が座っており、最前線を観客に説明する脚本家としての役割をうまく果たしている。4人は、ホワイトハウスが崩壊する前にニューヨークからワシントンD.C.へ移動することに決める。ジョエルは大統領の言葉が欲しいし、リーは写真を撮りたい。

これが彼ら登場人物たちのモチヴェーションの全てである。国のあり方について彼らが持つかもしれない政治的意見は、この目標の追求のために転化される。主人公のリーは、「私たちが記録するから、他の人たちが疑問を持ってそれを調べる。これこそがなすべき仕事だ」とまで言っている。「シヴィル・ウォー」にはいろいろあるが、細かい部分での繊細さはない。

彼らのヴァンに乗っての旅は、「地獄の黙示録(Apocalypse Now、アポカリプス・ナウ)」のパトロール・ボートの旅に似ており、神経を逆なでするような残虐行為やシュールな恐怖の描写に遭遇する。(私はIMAXシアターで「シヴィル・ウォー」を耳をつんざくような大音量で見た。) デパートのJCペニーの駐車場で燃え尽きたヘリコプターを見たり、高速道路の陸橋で首を絞められた死体を見たり。派閥同士が、自分がどっちの味方なのか分からないまま殺し合っている。これは、シリアやスーダンの問題を扱った映画を見ている多くのアメリカ人が経験するような混乱である。しかし、お洒落でかわいらしい飾りのクリスマス用品店の外で主人公たちを挟み撃ちにするスナイパーは、明らかに違う印象を与える。

しかしながら、映画の中の混乱をつなぎ合わせようとするのは当然のことだ。分かっているのは、映画の中で描かれている大統領が現在3期目だということだ。この大統領は、ある時点でFBIを解散させ、アメリカ市民への空爆を許可した。赤いネクタイを締め、「史上最大の軍事的勝利」などと大げさな発言をするが(トランプみたい?)、落ち着いて完全な文章で話す(トランプらしくない)。横顔のショットで、映画の中で生を明らかにされないアメリカ合衆国大統領に扮したオファーマンは、アル・ゴア元米副大統領を思い出させた。

主要な分離主義者たちは西部勢力(the Western Forces)、つまり、前述のカリフォルニア州とテキサス州の同盟だ。彼らが掲げる旗は、一見すると普通のアメリカ国旗のように見えるが、星が2つだけ付いている。彼らが武器などをどこで手に入れているのかは不明だ。フロリダ州は彼らの味方だが、ヴェテランジャーナリストのサミーはこれを第二次世界大戦における米英露の同盟(the U.S.-British-Russian alliance)に喩えている。同盟の共通の敵が敗北するとすぐに、次の戦いは同盟間の分裂となるだろう。(また、ポートランドは毛沢東主義者によって制圧されていると言われている。)

主人公で、フォトジャーナリストのリーは「アンティファの大虐殺(The Antifa Massacre)」で有名な一発を浴びて覚悟を決めたということが映画の中で語られる。このちょっとした裏話がいかに曖昧であるかは、「シヴィル・ウォー」らしいところだ。アンティファ(antifa)が虐殺を行ったのか、それとも虐殺されたのか? この映画では、そんなことはどうでもいい。なぜなら、結果は同じだからだ。その結果とは、アメリカ社会の完全な解体である。

大統領については、ムアンマル・アル=カダフィ、ベニート・ムッソリーニ、ニコライ・チャウシェスクと比較される。だから、主人公たち4人がワシントンに行くことは急務となる。しかしながら、戦争のさなかにあるニューヨークからワシントンまで行くのは容易なことではない。(ニューヨークは、停電[power blackouts]や、夜間外出禁止令[nightly curfews]が解除されると誰もが自転車で移動するようになったために自動車が通れなくなっているし、時折自爆テロが起きているにもかかわらず、ある程度安定しているようだ)。南行きのハイウェイは侵入不可能で、「フィラデルフィア近辺」に行くのは自殺行為と見なされる。4人はピッツバーグを経由し、ウェストバージニア州を通る長い回り道をする。ぶら下がった死体の横に描かれた「(Go Steelers!、訳者註:プロアメリカンフットボールのピッツバーグ・スティーラズへの応援)」の落書きもその1つだ。

ガソリンタンク半分の価格は300ドル、カナダドルでの表示だ。他に外国の土地について言及されているのは、グリーンランドとアラスカへの安全な航行の話だけだ。

ある夕暮れの場面では、暴力が見過ごしたような小さな町に主人公一行がいる。カメラが傾き、メインストリートのいたるところに武装したスナイパーが現れる。そして、なぜかピンクのサングラスをかけたジェシー・プレモンスが一行を捕らえ、銃を突きつけるシーンがある。彼のキャラクターは、「シヴィル・ウォー」では典型的な悪役に最も近く、「真のアメリカ」のために戦う、血に飢えた外国人嫌いだ(a bloodthirsty xenophobe fighting for the “real America”)。予測不可能な映画の中では珍しく陳腐なキャラクターではあるが、ハラハラドキドキのシーンが多いこの映画では、このシーンは一番緊迫感がある。

政治的な混乱や実存的なドラマがあっても、この映画が興行的にヒットするかどうかはアクションにかかっている。結末を明かしたくはないが、アクションは、「フルメタル・ジャケット」や「ブラックホーク・ダウン」のような、最も激しい戦争映画作りの一部である。ジャーナリストたちは、過激派が政府を転覆させようとするのと同様に、自分たちにとっての最終的な目標を達成しようと躍起になっている。私はガーランドの他の作品(少々評判の悪い「MEN 同じ顔の男たち(Men)」も)のファンだが、彼の大規模な職人技はここで新たなレヴェルに達している。アメリカ人が観ると動揺してしまうが、「シビル・ウォー」は確かに見事な映画となっている。

もちろん、この映画が実際にはトランプについてのものではないと主張する記事がいくらあったとしても、人々がこの映画について、本当にトランプについてのものであると考えないようにさせることは無理だ。ガーランドと配給会社のA24が、アメリカ社会で激しさを増している言論にガソリンを注いでいるかどうかは、議論の余地があるのは確かだ。今度の選挙が明らかな大敗(clear blowout)以外であれば、暴力が街頭を襲うのではないかと心配したことは否定できない。しかし、この映画の政治という丸い穴に四角い釘を打っているかのような不自然さが不安を煽っているのであり、明らかに良い面を支持すると、その不安を台無しにすることになる。何よりも、ガーランドの「シヴィル・ウォー」は、戦争特派員としてのキャリアが決して私にふさわしい選択肢として存在しなかったということを証明した。戦争についての映画を見ただけでこんなに動揺するのなら、私のノートと私は間違いなく戦場にはふさわしくないということになる。

※ジョーダン・ホフマン:ニューヨーク市クィーンズ在住の映画評論家、エンターテインメント・ジャーナリスト。

(貼り付け終わり)

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