古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:カリフォルニア州

 古村治彦です。

 2024年6月27日に開催された米大統領選挙候補者討論会での、ジョー・バイデンの酷い状態を受けて、民主党内はパニック、お通夜状態になっている。「敗北だ」という雰囲気は理解できるが、ついには、「バイデンが死んでくれなえれば、自分たちが死んでしまう(誇張表現ではあるが)」という言葉まで出てきている。日本でも、リベラル派、民主党びいきのニューヨーク・タイムズが論説委員室から、バイデンに選挙からの撤退を求める内容の論稿を発表したと報じられた。

 ドナルド・トランプ陣営は、リベラル派のCNNが「自分たちを非常に公正に扱った」と高く評価している。トランプ前大統領は通常運転であったが、それだけで、バイデンとのコントラストが大きくなって、「討論会はトランプがバイデンに圧勝」ということになった。民主党側からすれば、「バイデンは高齢ではあるが元気で、トランプをやっつけた」ということにしたかったが、期待以下、最低線以下の最悪の結果となった。討論会中、トランプが何度か、バイデンの発言中に怪訝そうな表情を浮かべ、「何かおかしいぞ」という感じになり、発言を手加減しているように私には見えた。いつもよりエンジンをかけてやってしまうと、「トランプが高齢のバイデンを虐めている」という構図になりそうだったのを抑えたように見える。高齢者はトランプにとっての大事な選挙基盤だ。

アメリカ大統領は、アメリカ軍最高司令官(Commander-in-Chief)であり、やはり体力や活力が必要というのがコンセンサスだ。バイデンのあの弱弱しさでどうやって最高司令官たり得るかといいうことになる。共和党側からは、マイク・ジョンソン連邦下院議長などから、合衆国憲法修正第25条4項の規定に基づいて、バイデン大統領に職務続行不能を宣言し、カマラ・ハリス副大統領が職務代行せよという声が上がっている。この憲法の規定では、副大統領と閣僚の過半数が申し立てれば、大統領の職務続行不能が認められ、副大統領が代行となる。バイデン大統領の討論会の様子は、そのような懸念を引き起こすのに十分であった。

 もう7月で、8月の候補者指名のための全国大会まで1カ月半ほど残されていない。バイデンと交代して候補者となり得る人物の名前が多く出ているが、ここはやはりカマラ・ハリス副大統領しかいないだろう。負ける公算が大きい以上、大事な候補者は民主党としても出せない。カリフォルニア州は民主党の金城湯池であるにもかかわらず、これまで大統領選挙候補者は出てこなかった。かえって、共和党側からカリフォルニア州出身の大統領候補・大統領が出ている(リチャード・ニクソンやロナルド・レーガンなど)。ここは、カマラ・ハリスが民主党初のカリフォルニア州出身の大統領選挙候補者になるというのも良いのではないかと思う。

(貼り付けはじめ)

重要な転換となったトランプ・バイデン討論の5つのポイント(5 takeaways on a pivotal Trump-Biden debate

ジャレッド・ギャンズ、ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル、ブレット・サミュエルズ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745219-five-takeaways-on-a-pivotal-trump-biden-debate/

ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領は木曜日、4年ぶりにアトランタで討論会の舞台で相まみえた。この討論会は大統領選挙の選挙戦において極めて重要な瞬間になった。

90分間の討論会終了までに、左派と右派は共に、この夜がゲームチェンジャー(game changer)となった、バイデンにとって有益な夜ではなかったということで一致したようだ。

両候補は経済、中絶、移民、外交政策をめぐって対立したが、この夜はバイデンのつまずきのスタート(stumbling start)として最もよく記憶されることになるだろう。ホワイトハウスはその原因の一部を風邪のせいだと主張した。

これから5つのポイントを見ていく。

(1)バイデンは彼の年齢に対する懸念の払しょくに失敗した(Biden fails to dispel worries about his age

現在81歳で大統領任期2期目の終わりには86歳になるバイデンは、大統領職をあと4年間続けるための準備ができていないのではないかという有権者の懸念を和らげることが何もできなかった。

バイデンが2024年の選挙戦を通じて直面し続けてきた主な懸念の1つは年齢であり、バイデン陣営が求めていた討論会でのスロースタートぶり(slow start)は6月の討論会を進めるというバイデン自身の決断に疑問を投げかけた。

連邦下院少数党(民主党)院内総務のハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州選出、民主党)の元広報担当のマイケル・ハーダウェイはSNSXに投稿し、「あのような状態で自分のボスを全国テレビ放送に送り出すようなことを私ならしない」と書いた。

バイデンは言葉につまずき(stumbled over)、時には発言が不明確になるなど、いくつかのミスに苦しんだ。彼の声は討論会の間中、ずっとかすれていて(hoarse)、特に静かな調子で討論を始めた。

バイデンがつまずいた最も注目すべき事例の1つは、討論会序盤における、メディケアに関する討論だった。

「私が新型コロナウイルスに対して私ができたことを、全ての人たちに確実に受けられるようにすることだ。失礼、私たちが関係しなければならない全てのことに対処している」とバイデンは時折言葉に詰まりながら発言した。「よろしいか・・・私たちはついにメディケアを完全に打ち倒した(we finally beat Medicare)」と述べた。

トランプ陣営は、バイデンにはあと4年間ホワイトハウスに留まる用意ができていないと主張しようとしてきた。トランプ自身は、このバイデンの言い間違いの機会を利用してバイデンが「メディケアを徹底的に打ち負かした」と述べたことへ反応しようとしたが、止まってしまった。

複数の関係筋が本誌や他のメディアに語ったところによると、バイデン大統領は風邪をひいており、それが「スロー」スタートの理由ということであった。しかし、バイデン大統領の能力についての疑問を払拭するのに、この釈明はバイデンが必要としていたものではなかったことは確かだ。

トランプはひよっこ(spring chicken)ではない。トランプは78歳になったばかりで、二期目を務めれば史上最高齢の大統領となる。しかし、トランプの年齢に関する疑問は、バイデンほどには根強く残っておらず、木曜日の夜の彼のパフォーマンスがこの状況を変える可能性は低かった。

討論会が進むにつれてバイデンの様子は改善し、トランプの様々な発言についてトランプと対立することが増えた。注目に値する例の1つは、2018年に大統領としてトランプが退役軍人を「間抜け」や「負け犬」と呼んだ発言を非難したことだ。これについて、トランプは否定している。

民主党系ストラティジストのジョン・ライニッシュは、バイデンは時間の経過とともに改善したと主張した。

ライニッシュは「大統領は、スロースタートだったが、勢いを取り戻した(picked up stream)。彼のティームは、喉に効く2つの自家製治療薬、ハチミツとレモンについて調べる必要がある」と述べた。

(2)トランプは比較的規律正しく行動した(Trump is relatively disciplined

2020年の大統領選挙選挙戦の最初の討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスは、バイデンに対する度重なる妨害と攻撃的な口調のために酷評された。木曜日にはそのような問題はなかった。

トランプ大統領の回答には、バイデンが国民全員の税金を4倍にする計画があると主張したときのように、誤解を招く発言や虚偽が頻繁に含まれていた。トランプは2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件についての発言最小限にとどめ、2024年の選挙結果を受け入れるかどうかについては曖昧な態度を取った。

しかし、バイデンが特定の話題について蛇行し、時には思考回路(train of thought)がうまく機能しなかったため、過去にトランプを悩ませたような爆発は避け、厳しい試験に合格することができた。

トランプ元大統領の側近と共和党系のストラティジストたちは木曜日の対決に向けて、トランプには自傷行為による傷(self-inflicted wounds)を一切負わせず、その夜の焦点をバイデンに集中させることが責務であると主張した。

マイクをミュートにして、候補者の発言の番ではないときに候補者の声が聞こえないようにしたことも、一部にはトランプに対する助けになったかもしれないが、共和党は夜の終わりまでにトランプの果たすべき使命は達成されたと感じた。

共和党系ストラティジストのフォード・オコネルは本誌の取材に対して次のよう述べた。「トランプにとって、今回の討論会のMVPは、トランプとバイデンの分割画面の視覚的なコントラストだ(split screen visual contrast)。トランプは20歳若くシャープに見えたが、バイデンはぼんやり(dazed)していて、あと4年など務められそうにないように見えた。今夜以降、トランプとバイデンの間で再び討論会が行われる可能性はゼロ以下だ」。

(3)司会者たちはファクトチェックに失敗した(Moderators fail to fact-check

司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーは候補者たちが時間制限を守るように努めたが、討論会の間でリアルタイムでのファクトチェックを行わなかった。これは、専門家の一部から、事前にトランプとバイデンの責任ある発言を引き出すために必要だと主張していたにもかかわらず、ファクトチェックを行わなかった。

討論会の場で行われる主張に異議を唱えないという決定は、候補者たちが真実を拡大解釈して非難の応酬を行う余地を残した。 

これは、トランプにとって有利となった可能性がある。討論会終了後、CNNのファクトチェッカーであるダニエル・デールは、トランプの虚偽主張が少なくとも30件、バイデン側では少なくとも9件あったと主張した。しかし、デールの努力は多くの視聴者が討論を見終えた後に示された。

ある時点で、トランプは先月有罪判決を受けたマンハッタン口止め料事件を通じて、バイデンに対して、「基本的に政敵を追いかけ回した(basically went after his political opponent)」と示唆したようだ。

4年前、2020年の討論会でのトランプ大統領の突飛な主張により、幕が閉まった後に厳しいファクトチェックが行われた。 

バイデン陣営とバイデンの補佐官たちは一晩中、ソーシャルメディアへの投稿でトランプ大統領の発言に関するチェックをシェアし、様々な報道機関は、両候補の動向を把握しようと努めた。

物議を醸した討論会は、両方の候補者を遮断するミュートボタンと、無観客によって部分的に制御された。これは、2020年の騒々しい両者の対決の繰り返しを避けるためのCNNが苦心して決めたものだ。

しかし、司会者らは候補者に任務を遂行させるのに苦労し、虚偽や逸脱の両方に扉を開いた。ある時点で、トランプは保育料の料金に関する質問を無視し、その代わりにバイデンを「史上最悪の大統領(“the worst president ever)」と叩きのめすことに時間を費やした。 

他の専門家たちが批判する中、長年ニューヨーク・タイムズのコラムニストを務めるニコラス・クリストフ氏はSNSXに「CNNの司会者たちがもっとファクトチェックをして、全くの虚偽の発言があった場合には視聴者に知らせて欲しかった。事実を装った虚偽を送信することがプラットフォームにとってどのように役立つのかは分からない」と投稿した。 

一方、保守派コメンテイターのアン・コールターは、司会者たちを「驚くほど素晴らしい」、「まったく不公平ではない」と評価した。

共和党系ストラティジストのブライアン・セイティックは、司会者たちは抑制的なアプローチでスポットライトを避けることに成功したと述べた。民主党系ストラティジストのライニッシュは、司会者がもっと介入すべきだったと述べた。

(4)2020年に行われた灯篭会ではなかったが、個人的・感情的になった(It wasn’t 2020, but it got personal

2020年のトランプとバイデンの1回目の討論会は、会場を支配した混乱と両候補が激しい口論になったことで評価が低かった。

木曜日の討論会はそこまでの緊張レヴェルには達しなかったが、それでも時として個人的・感情的なものになった。

バイデンは討論会の後半で発言を強め、トランプが亡くなった退役軍人について発言したと伝えられていることに言及し、トランプを「間抜け(sucker)」で「負け犬(loser)」と呼んだ。

「彼は四つ星の将軍と一緒に立っていてこう言った、『彼らは負け犬で間抜けの集団だから、あそこ(墓地)には入りたくない』と」とバイデンは語った。バイデンは続けて、「私の息子は負け犬ではない。彼は間抜けではない。あなたが間抜けだ。あなたが負け犬だ」と述べた。

トランプ大統領は、バイデンを「洗脳されている(Manchurian candidate)」と呼び、中国に立ち向かわないとして非難した。

両候補は、様々な政策問題に関して討論する中で、相手が嘘をついた、または真実ではないと非難した。

注目すべきことに、候補者たちは討論会の前後に握手をしなかった。最後にバイデンは妻のジル・バイデン大統領夫人に出迎えられ、トランプはただ立ち去った。

(5)民主党は懸念と不満を高めて夜を終えた(Democrats left the night worried and frustrated

集中力を失い、言葉が出てこないバイデンのパフォーマンスは、討論会が終わる前から民主党をパニック状態に陥らせた。

本誌に記事を寄稿している、民主党系ストラティジストで、オピニオンライターのマックス・バーンズはXに次のように投稿した。「私はバイデン陣営のスタッフでも、バイデンワールドの腹心でもない。バイデンの懸念すべきパフォーマンスについて今、最高幹部レヴェルで話し合いが行われているかどうかは分からないが、今夜バイデンの選挙戦が前進したかのようなふりをするのは政治的不正(political malpractice)となるだろう」。

バーンズは別の投稿で次のように述べた。「2012年にバラク・オバマがミット・ロムニーに対する最初の討論会で大失敗したとき、何がうまくいかなかったのか、それを修正するには何が必要なのかについて真剣に議論することになった。オバマは船の進先を修正した。 同じような話し合いが今すぐ、幹部たちとバイデンとの間で行われる必要がある」。

民主党にとって、今回のCNN主催の討論会は、トランプとバイデンの対照がどのようなものか有権者に示す最初の機会となるはずだった。民主党はバイデンが今年の一般教書演説で示したような活力を発揮してくれることを期待していた。

その代わりに、当初は動きが鈍かったバイデンの討論パフォーマンスが、年齢に対する有権者の懸念を強調する内容となった。

ハリス副大統領の元上級補佐官シモーネ・サンダース・タウンゼントはXに投稿し、「バイデンのスタートは悪かった(皆さん、他に言い方はない)。彼は討論会を通じて改善したが、これはバイデンの支持者たちが期待していたものではなかった。大統領が風邪をひいているようだと指摘するのはもっともだが、討論となると、内容と同じくらいパフォーマンスも重要だ」と述べた。

アリゾナを拠点とする共和党系ストラティジストであるバレット・マーソンは、「#ReplaceBiden(バイデン交代)」というハッシュタグがネット上で流行し始める可能性についてXでつぶやいた。「認知症(dementia)」という言葉もXでトレンドになっていた。

バイデンは、9月に行われるABCニューズ主催の討論会でトランプと対決し、パフォーマンスを大幅に向上させる機会をもう1度得ることになる。しかし、バイデン大統領はそれまでに多くのことを改善しなければならないだろう。

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トランプが集会で討論司会者を称賛:「彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」(Trump lauds debate moderators at rally: ‘They treated me very fairly’

ロウレン・アーウィン筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4747126-trump-lauds-debate-moderators-they-treated-me-very-fairly/

ドナルド・トランプ前大統領は金曜日の集会で、木曜の夜、CNNの大統領選挙討論会司会者のダナ・バッシュとジェイク・タッパーが自分を「非常に公平に(very fairly)」扱ってくれたと思うと述べた。

メディアイトが切り抜いて拡散した映像の中で、トランプはヴァージニア州の聴衆に対して、「昨夜、CNNが私を非常に公平に扱ったと実際に思ったので、CNNを批判すべきではない。2人ともとてもプロフェッショナルだった。ジェイクとデイナ、彼らは私を非常に公平に扱ってくれた」と語った。

トランプ大統領は聴衆に対し、CNNが何年にもわたって自分を虐待していたと語ったが、木曜日にタッパーとバッシュがトランプ氏を「公平に(fairly)」扱ってくれたことは「素晴らしい(great)」と思うと述べた。

リベラル派の一部は、司会者たちが2人の候補者に対してファクトチェックを行わず、それぞれが虚偽の発言を許していたと批判している。

トランプ元大統領は金曜日午後、選挙集会を実施し、バイデン大統領とその不安定なパフォーマンスを批判し、その夜のニューズのテーマになった。バイデンの討論は民主党員の間で広範な不安を引き起こしており、今秋に新たな人物がトランプに対抗できるようバイデンに退くよう求めている。

しかし、バイデンのパフォーマンスを受けて、共和党はCNNと彼らの討論会の進め方を賞賛した。

アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン知事(共和党)はオンラインで、今回の討論会は「公正で有益かつ統制された最高級の討論会(a top-notch debate that was fair, informative and controlled)」だったと述べた。

ハッチンソン知事は「このフォーマットはうまくいった。激しいやりとりがたくさんあるが、視聴者にとってはより見応えのあるものだった。よくやった」と語った。

トランプ元大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニアは、候補者が発言していないときはマイクをミュートにするなどの形式が気に入ったと述べた。

「実は父にとってこのフォーマットが気に入っている。このフォーマットによって、彼を規律正しく集中させ続ける。彼はバイデンの悲惨で失敗した政策について、1つ1つ解体している」とSNSXに投稿した。

ハイテク億万長者のイーロン・マスクもCNNの放送に意見を述べた。

マスクは次のように述べた。「@CNN は討論会の管理について良い仕事をしたと言わざるを得ない。質問は合理的であり、党派に偏らないものだった。どちらの候補者に対しても贔屓が見られなかった。これが国民がメディアに求めていることだ」。

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アクセルロッドが共和党のストラティジストたちに次のように発言:バイデンが交代となったら「あなたたちは問題を抱える」(Axelrod to GOP strategists: If Biden is replaced, ‘you guys are in trouble’

タラ・サッター筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4745498-biden-debate-trump-challenge/

民主党系ストラティジストのデイヴィッド・アクセルロッドは、討論会後のパネルディスカッションにおいて、共和党側のストラティジストたちに対して、もしジョー・バイデン大統領が交代となれば、彼らとドナルド・トランプ前大統領は、「問題(trouble)」に直面するだろうと述べた。

アクセルロッドは木曜の討論会後、CNNに出演し、「何らかの理由で、大統領選挙候補者に変更があれば、皆さんはドナルド・トランプに関して問題を抱えることになる。なぜなら、今夜そこにいた男は人々にインスピレーションを与えるような男ではないからだ」と述べた。その映像はメディアイトが切り抜き映像にして拡散した。

アクセルロッドは続けて「バイデンは、人々が非常に好意的に評価する人物から何も変わっていない。これは納得できることだ」と述べた。

バイデンの討論会でのパフォーマンスは、声がかすれ、言葉に詰まり、党内での懸念を引き起こした。民主党の幹部やコメンテイターたちは討論会後、選挙前にバイデンが辞任することについて議論が行われていると示唆した。

アクセルロッドはCNNのテレビ番組の中で、次のように述べた「実際、この討論会の初めのバイデンの言動や様子にはショックを受けたと思う。彼の声はどう聞こえたか。彼は少し混乱しているようだった。討論が進むにつれて彼は確かに強くなった。どのような結果になるか私にも分からない議論を聞くことになると思うが、彼が続投すべきかどうかについては議論が行われるだろう」。

あるホワイトハウス当局者によると、バイデンは討論会中に風邪を引いており、民主党候補のトップとしてのバイデンの立場をめぐって疑問が渦巻く中、陣営はバイデンを擁護した。

バイデンの補佐官の1人は、「バイデン大統領はこれまでにドナルド・トランプを破った唯一の人物だ。彼はまたやるだろう。ドナルド・トランプは今夜、有権者に自分に投票する理由を何も与えなかった。この問題に関して、アメリカ国民はジョー・バイデンを支持している」と語った。

討論会を視聴した登録有権者を対象としたCNNの即時世論調査では、67%はトランプが勝利したと答え、33%はバイデンが勝利したと答えた。

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スヌヌがバイデンの討論会での酷いパフォーマンスについて「民主党エリート」を非難(Sununu blames ‘Democratic elite’ for Biden’s poor debate performance

ヤシュ・ロイ筆

2024年6月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4746941-chris-sununu-joe-biden-debate-performance-2024-presidential-election/

ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)は金曜日のインタヴューで「民主党エリート」を非難し、討論会でのバイデン大統領のパフォーマンスの低調さは民主党指導部の責任だと非難した。

スヌヌは、ニューハンプシャー州の予備選をスキップし、まずサウスカロライナ州に焦点を当てるという民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の民主党予備選挙序盤の流れに関する決定を強調した。

スヌヌは「ニューズネイションナウ」の司会者であるコネル・マクシェーンに対して次のように語った。「これはジョー・バイデンの失敗ではないことを忘れないようにしよう。これは民主党のエリートの責任だ。彼らは、ニューハンプシャー州の全米で最初に実施される予備選挙をスキップしようとしたし、ジョー・バイデンが問題を抱えていると分かっていながら、大統領選挙の候補者にさせるつもりだった」。

スヌヌ知事は続けて「彼らにはチャンスがあった。彼らが良好な予備プロセスを実行させるのではなく、基本的にゲームをしようとした。そして、こういう結果になった」と述べた。

スヌヌのコメントは、サウスカロライナ州および地元の民主党員からの呼びかけを受け、党の多様な有権者をより代表すると考えられる州(サウスカロライナ州)で、最初の予備選を実施するとした、民主党全国委員会の決定に言及している。スヌヌやニューハンプシャー州の他の政治家たちは、民主党とバイデン大統領のこの決定を非難した。

ニューハンプシャー州での予備選挙では、投票用紙に名前が記載されていなかったにもかかわらず、結家者たちは投票用紙に名前を書き込み、その結果、予備選の勝者と宣言された。それでも州は彼に代議員を与えなかった。

スヌヌは、木曜夜のアトランタでの討論会でのトランプ前大統領のパフォーマンスを称賛し、トランプ前大統領は討論会で「まさにやるべきことをやった(did exactly what he had to do” at the debate)」と述べた。

スヌヌは金曜日、「トランプは有能さを示した。彼は昨夜、強硬になりすぎず、やるべきことを正確にやった。彼は明らかにその部屋にいる唯一の大人だった。バイデンは全くもって酷かった」と述べた。

スヌヌは、民主党が優勢なアメリカ北東部の各州の中で、ただ1人の共和党所属の知事だ。彼は、共和党予備選挙ではニッキー・ヘイリー元国連大使を支持していた。3月にヘイリーが選挙戦から撤退すると、トランプが共和党の候補者となるための道が開かれた。

過去にトランプを「負け犬」と呼んだこともあったが、スヌヌは誰が共和党の候補者になっても糖尿することを示唆していた。

金曜日に行われたインタヴューで、スヌヌ知事は昨年の段階でバイデンを候補者から交代させるように訴えたとし、現段階では、それはもう手遅れだと確信していると述べた。

スヌヌのコメントは、木曜日の討論会でのバイデンのパフォーマンスが酷かったことを受けて、民主党内でパニックが起き、現職のバイデンが選挙から撤退し、8月の民主党全国大会で、オープン・コンヴェンションの開催を許可すべきかどうかの議論が巻き起こったことを受けて出された。バイデンと選対は、大統領はどこにも行かないとし、この呼びかけを拒否した。

スヌヌは、オープン・コンヴェンション開催の要求を「馬鹿げたアイディア」と呼んだ。

スヌヌは次のように語った。「バイデンは候補者に選ばれるだろう。約4カ月で5億ドルを調達しなければならない状況で、誰が彼に代わって選挙戦を行うだろうか? これは難しいことだ。候補者になることができるかもしれないが、バイデンと同じか、名前が知れ渡ればバイデンよりも敗北の程度は低くなるかもしれないが、負けてしまうことになるのだから」。

しかし、バイデンが「2回目の討論会で強さを示し、有能さを出すことができれば、アメリカは、1回目の討論会をバックミラーに戻し、リセットボタンを押すことができるだろう」とスヌヌは付け加えた。

木曜日の討論会の冒頭、バイデンの声はかすれており、バイデンのティームはすぐに風邪のせいだと説明した。金曜のノースカロライナ州での集会中、バイデンの声は正常に戻り、エネルギーも増し、言葉に詰まることもあまりなかった。

司会のマクシェーンは、これからの討論会や集会での好転についてスヌヌに質問した。スヌヌは、テレプロンプターの効力があることを認めながら、そのようなことはないと指摘した。

スヌヌは次のように述べた。「バイデンがテレプロンプターを持っている場合、発言時間の80%で、バイデンは原稿をまとめてテレプロンプターから読むことができる。だから、プロンプターがない状態であれば、私たちは最も当惑させられることになると思う。それが、昨夜私たちが見たものだ。昨夜のジョー・バイデンこそが明らかに本物のジョー・バイデンだ」。

スヌヌ知事は「バイデン大統領のパフォーマンスは多くの人を神経質にさせ、心配させるものとなっている。これが、私たちが経済危機に陥っている理由であり、これが、制御不能な移民危機に見舞われている理由だ」と述べた。

スヌヌは続けて、「アメリカ国民がそのような心配をするのは当然のことで、彼らは変化を望んでいるだけだ」と述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アレックス・ガーランド監督作品「シヴィル・ウォー(Civil War)」(2024年)は、アメリカ社会の分裂と内戦を描いたSF・ディストピア作品のようだ。詳しいないようなまだ分からないが、カリフォルニア州とテキサス州(とフロリダ州)が同盟を組み、中央政府に反旗を翻して内戦状態に入っている、映画の中で名前を明かされていないアメリカ合衆国大統領はファシストとして描かれている、ということは分かっている。この映画は「2024年のアメリカ大統領選挙の後に、アメリカが内戦状態、第二次南北戦争になるのではないか」という、感覚の鋭いアメリカ人たちに不安と共にある種の実感を与えているようだ。

 荒唐無稽な物語にして、「南北戦争のような大規模な内戦は起きない」「現実はもっとちゃんとしている」と思わせようとしながら、映画の基底には、現実感があるのだろうと思う。うまくごまかしながら、何かしらの不安を与えるというのは高等技術であり、それがアメリカ人の神経を逆なでしながら、映画を見ないと済まないという気持ちにさせているということになるだろう。


 カリフォルニア州とテキサス州が連合を組むというのは荒唐無稽のようだが、ワシントンDCとニューヨークに巣食う東部エスタブリッシュメントに対しての反感という点では共通点がある。「アメリカでポピュリズムが跋扈している」という書き方をする人間は多いが、こうした人たちは「大衆迎合主義」の意味で使っているが、アメリカのポピュリズムは、「エスタブリッシュメントによって奪われた政治、デモクラシーを一般庶民・大衆が取り戻そうとする動き」ということである。2016年の米大統領選挙では、共和党からはドナルド・トランプ、民主党からはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)が出て、ヒラリークリントンを苦しめ、最終的には彼女の大統領就任を阻止することに成功した。サンダースの選挙運動からは、民主党進歩主義派の議員たちが生まれ、その代表格がアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)である。トランプとサンダースは水と油のような関係であるが、ポピュリズムという点では共通である。カリフォルニア州とテキサス州が連合するということもあり得る。

 連邦議会でのトランプ派議員たちと進歩主義派議員たちの動きはよく似ている。たとえば、ウクライナ支援に関しては、こうした議員たちは共通して反対している。こうした動きについては、このブログでも紹介している。その中で、「馬蹄理論(horseshoe theory)」を紹介している。政治的なスペクトラムで両端にある「極右」「極左」が近づくということだ。※「2022年08月16日 伝統的な「右と左」「穏健と過激」ではなくポピュリズムによってアメリカ政治を理解する」 http://suinikki.blog.jp/archives/86488603.html

 日本語で言う「南北戦争」は英語では「The Civil War」と言う。「civil war」と言えば、一般的な「内戦」である。ガーランドの映画のタイトル「Civil War」は、「内戦」という意味でもあり、「アメリカの内戦=第二次南北戦争」ということになる。南北戦争(1861-1864年)は、奴隷制度反対の北部と奴隷制度維持の南部の争いで、エイブラハム・リンカーンが奴隷解放の父・英雄というのが教科書通りの定説だ。しかし、実際はそんなに単純なものではない。リンカーンは南部がアメリカ合衆国に留まるならば奴隷制度を維持しても良いと考えていた。南北戦争は勃興する工業中心の北部と、伝統的なプランテーション農業を中心とする南部の経済的な争いが大きかった。奴隷制度はプランテーション経営の根幹であり、それが廃止されれば経営は立ち行かない。また、関税で言えば、北部はアメリカで勃興し始めた興行を守るために保護関税を訴え、南部は競争力のある綿花の輸出のために低い関税を訴えた。そうした違いから南北戦争になった。そして、リンカーンがアメリカで英雄となっているのは、奴隷解放のためではなく、アメリカの連合(Union)を守ったからだ(南部を相当痛めつけることになったが)。

 アメリカ社会の分断・分裂は、第二次南北戦争を引き起こすかもしれない、今年の大統領選挙がそのきっかけになるかもしれない、という漠然とした不安がアメリカ国民の間に存在する。その不安を刺激したのが、現在公開されている「シヴィル・ウォー」だ。優れた小説や映画は時に予言的な役割を果たす。アメリカの分断・分裂は危険水位に達している。

(貼り付けはじめ)

映画「シヴィル・ウォー(Civil War、内戦、南北戦争)」が成功したのは、その中で描かれている政治が荒唐無稽だからだ(‘Civil War’ Succeeds Because Its Politics Make No Sense

-悪夢のようなシナリオは、論理が夢想のように欠如しているがゆえに余計に恐ろしい。

ジョーダン・ホフマン筆

2024年4月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/13/civil-war-movie-review-garland-us-politics-election-trump/

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「シヴィル・ウォー」で主演を務めるキルスティン・ダンスト(中央)

「ここではそんなことは起こりっこない(It can’t happen here)」。これは、1930年代に小説家シンクレア・ルイスがアメリカ政治に忍び寄るヨーロッパ型ファシズム(European-style fascism)を警告するために使い、1960年代にはミュージシャンのフランク・ザッパがカウンターカルチャー(counterculture)の熱狂的な支持者たちに怯えるアイゼンハワー時代の四角四面ぶりを嘲笑するために使い、2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂襲撃事件以来、多くのアメリカ人が自国の安定性を再確認するために使っている常套句だ。アメリカの政治陣営間の対立(animosity)は、私の記憶にある限り、これまでにも増して激しくなっている。しかし、それでは第二次南北戦争(second civil war)が起きるのだろうか?ここではそんなことは起こりっこない。

小説『ザ・ビーチ』(1996年、映画版は2000年)、脚本『28日後...(28 Days Later)』(2002年)、『サンシャイン2057(Sunshine)』(2007年)、映画「エクス・マキナ(Ex Machina)」(2015年)、「アナイアレイション -全滅領域-Annihilation)」(2018年)、「MEN 同じ顔の男たち(Men)」(2022年)、テレビシリーズ「デヴズ(Devs)」(2020年)などを手がけてきた、53歳のイギリス人脚本家兼監督アレックス・ガーランドは、明らかにそう考えていない。しかし、彼の新作「シヴィル・ウォー」は期待を裏切る大胆な作品だ。ジョー・バイデン対ドナルド・トランプの選挙(待てよ、ここでそんなことが起こるのか?)に向けて私たちが夢遊病のように歩くなか、ガーランドの作品はリンカーン・メモリアルの影で武装する「アメリカを再び偉大に(MAGA)」やアンティファ(antifa)の話ではない。彼の大きな芸術的な振れ幅は、スクリーン上で展開されている災難から、アメリカの政治を曖昧にすることだ。そうすることで、内戦の狂気がより鮮明になるのだ。

この映画は、大音量で暴力シーンが執拗なほどに多く含まれる109分間の映画で、2020年後半に脚本が書かれたものだ。当時、アメリカ連邦議事堂に突入することなど、怒りながらポッドキャストをしている人々には全く予想できない時期であった。物語の舞台は「今から数年後」で、アメリカとその大統領(ニック・オファーマンが演じている)は、分離主義勢力の連合(a coalition of secessionist forces)によって窮地に立たされている。このシナリオの経緯や理由は、脚本の適切な位置にある隙間から透けて見えるが、どの時点でも明確な全体像は得られない。信頼できる戦争のための政治理論の欠如は、映画の予告編が公開されて以来、一部の人をイライラさせてきたが(カリフォルニアとテキサスの同盟? なんだそりゃ?)、ニューヨークでのメディア向けの試写会の後、ロビーに数人が集まって、つなげられないいくつかの点について不平を言っていたことを報告したいと思う。敬意を込めて、私は同僚たちに、皆さんは完全に要点を見逃したのだと言いたい。

「シヴィル・ウォー」は、4人の特派員たちに焦点を当てた作品だ。キルスティン・ダンストが演じる主人公リー・スミスは、第二次世界大戦で最も有名な女性写真家の名前もリーであったことをよく知るフォトジャーナリストだ。彼女のそばには、ロイター通信の記者ジョエル(ワグナー・モウラ)がいる。後部座席には、「ニューヨーク・タイムズ紙に残されたもの」で働くヴェテランのジャーナリストであるサミー(スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソンが演じる)と、リーに憧れる新米カメラマンのジェシー(カイリー・スペイニー)が座っており、最前線を観客に説明する脚本家としての役割をうまく果たしている。4人は、ホワイトハウスが崩壊する前にニューヨークからワシントンD.C.へ移動することに決める。ジョエルは大統領の言葉が欲しいし、リーは写真を撮りたい。

これが彼ら登場人物たちのモチヴェーションの全てである。国のあり方について彼らが持つかもしれない政治的意見は、この目標の追求のために転化される。主人公のリーは、「私たちが記録するから、他の人たちが疑問を持ってそれを調べる。これこそがなすべき仕事だ」とまで言っている。「シヴィル・ウォー」にはいろいろあるが、細かい部分での繊細さはない。

彼らのヴァンに乗っての旅は、「地獄の黙示録(Apocalypse Now、アポカリプス・ナウ)」のパトロール・ボートの旅に似ており、神経を逆なでするような残虐行為やシュールな恐怖の描写に遭遇する。(私はIMAXシアターで「シヴィル・ウォー」を耳をつんざくような大音量で見た。) デパートのJCペニーの駐車場で燃え尽きたヘリコプターを見たり、高速道路の陸橋で首を絞められた死体を見たり。派閥同士が、自分がどっちの味方なのか分からないまま殺し合っている。これは、シリアやスーダンの問題を扱った映画を見ている多くのアメリカ人が経験するような混乱である。しかし、お洒落でかわいらしい飾りのクリスマス用品店の外で主人公たちを挟み撃ちにするスナイパーは、明らかに違う印象を与える。

しかしながら、映画の中の混乱をつなぎ合わせようとするのは当然のことだ。分かっているのは、映画の中で描かれている大統領が現在3期目だということだ。この大統領は、ある時点でFBIを解散させ、アメリカ市民への空爆を許可した。赤いネクタイを締め、「史上最大の軍事的勝利」などと大げさな発言をするが(トランプみたい?)、落ち着いて完全な文章で話す(トランプらしくない)。横顔のショットで、映画の中で生を明らかにされないアメリカ合衆国大統領に扮したオファーマンは、アル・ゴア元米副大統領を思い出させた。

主要な分離主義者たちは西部勢力(the Western Forces)、つまり、前述のカリフォルニア州とテキサス州の同盟だ。彼らが掲げる旗は、一見すると普通のアメリカ国旗のように見えるが、星が2つだけ付いている。彼らが武器などをどこで手に入れているのかは不明だ。フロリダ州は彼らの味方だが、ヴェテランジャーナリストのサミーはこれを第二次世界大戦における米英露の同盟(the U.S.-British-Russian alliance)に喩えている。同盟の共通の敵が敗北するとすぐに、次の戦いは同盟間の分裂となるだろう。(また、ポートランドは毛沢東主義者によって制圧されていると言われている。)

主人公で、フォトジャーナリストのリーは「アンティファの大虐殺(The Antifa Massacre)」で有名な一発を浴びて覚悟を決めたということが映画の中で語られる。このちょっとした裏話がいかに曖昧であるかは、「シヴィル・ウォー」らしいところだ。アンティファ(antifa)が虐殺を行ったのか、それとも虐殺されたのか? この映画では、そんなことはどうでもいい。なぜなら、結果は同じだからだ。その結果とは、アメリカ社会の完全な解体である。

大統領については、ムアンマル・アル=カダフィ、ベニート・ムッソリーニ、ニコライ・チャウシェスクと比較される。だから、主人公たち4人がワシントンに行くことは急務となる。しかしながら、戦争のさなかにあるニューヨークからワシントンまで行くのは容易なことではない。(ニューヨークは、停電[power blackouts]や、夜間外出禁止令[nightly curfews]が解除されると誰もが自転車で移動するようになったために自動車が通れなくなっているし、時折自爆テロが起きているにもかかわらず、ある程度安定しているようだ)。南行きのハイウェイは侵入不可能で、「フィラデルフィア近辺」に行くのは自殺行為と見なされる。4人はピッツバーグを経由し、ウェストバージニア州を通る長い回り道をする。ぶら下がった死体の横に描かれた「(Go Steelers!、訳者註:プロアメリカンフットボールのピッツバーグ・スティーラズへの応援)」の落書きもその1つだ。

ガソリンタンク半分の価格は300ドル、カナダドルでの表示だ。他に外国の土地について言及されているのは、グリーンランドとアラスカへの安全な航行の話だけだ。

ある夕暮れの場面では、暴力が見過ごしたような小さな町に主人公一行がいる。カメラが傾き、メインストリートのいたるところに武装したスナイパーが現れる。そして、なぜかピンクのサングラスをかけたジェシー・プレモンスが一行を捕らえ、銃を突きつけるシーンがある。彼のキャラクターは、「シヴィル・ウォー」では典型的な悪役に最も近く、「真のアメリカ」のために戦う、血に飢えた外国人嫌いだ(a bloodthirsty xenophobe fighting for the “real America”)。予測不可能な映画の中では珍しく陳腐なキャラクターではあるが、ハラハラドキドキのシーンが多いこの映画では、このシーンは一番緊迫感がある。

政治的な混乱や実存的なドラマがあっても、この映画が興行的にヒットするかどうかはアクションにかかっている。結末を明かしたくはないが、アクションは、「フルメタル・ジャケット」や「ブラックホーク・ダウン」のような、最も激しい戦争映画作りの一部である。ジャーナリストたちは、過激派が政府を転覆させようとするのと同様に、自分たちにとっての最終的な目標を達成しようと躍起になっている。私はガーランドの他の作品(少々評判の悪い「MEN 同じ顔の男たち(Men)」も)のファンだが、彼の大規模な職人技はここで新たなレヴェルに達している。アメリカ人が観ると動揺してしまうが、「シビル・ウォー」は確かに見事な映画となっている。

もちろん、この映画が実際にはトランプについてのものではないと主張する記事がいくらあったとしても、人々がこの映画について、本当にトランプについてのものであると考えないようにさせることは無理だ。ガーランドと配給会社のA24が、アメリカ社会で激しさを増している言論にガソリンを注いでいるかどうかは、議論の余地があるのは確かだ。今度の選挙が明らかな大敗(clear blowout)以外であれば、暴力が街頭を襲うのではないかと心配したことは否定できない。しかし、この映画の政治という丸い穴に四角い釘を打っているかのような不自然さが不安を煽っているのであり、明らかに良い面を支持すると、その不安を台無しにすることになる。何よりも、ガーランドの「シヴィル・ウォー」は、戦争特派員としてのキャリアが決して私にふさわしい選択肢として存在しなかったということを証明した。戦争についての映画を見ただけでこんなに動揺するのなら、私のノートと私は間違いなく戦場にはふさわしくないということになる。

※ジョーダン・ホフマン:ニューヨーク市クィーンズ在住の映画評論家、エンターテインメント・ジャーナリスト。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 いよいよ3月10日の予備選挙が開始される。ミシガン州とワシントン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、アイダホ州、ノースダコタ州で予備選挙が行われる。配分されている代議員数が多いのはミシガン州、ワシントン州、ミズーリ州だ。現在のところ、各種世論調査で見る限り、ミシガン州とワシントン州ではバイデンがややリード、ミズーリ州とミシシッピ州では大量リード、アイダホ州では接戦、ノースダコタ州は不明ながら前回はサンダースがヒラリー・クリントンに大差で勝利、という状況だ。サンダースにとっては厳しい展開となっている。

 そうした中で、バイデンに対して、予備選挙で戦ったカマラ・ハリスとコーリー・ブッカーからの支持表明があった。バイデンによるサンダース包囲網は厚みを増している。ハリスはカリフォルニア州選出の上院議員で、カリフォルニア州での予備選挙が終わり、サンダースが勝利した後での支持表明となった。これでは予備選挙には役立たないが、ハリスとしてはスーパーチューズデー前に支持表明をすることで、サンダース派からの激しい攻撃を避けたかったということが考えられる。また、ハリスはバイデン自身も述べているように、バイデンが民主党の大統領選挙候補者になった場合の副大統領候補として名前が挙がっている。

 コーリー・ブッカーは「オバマの再来」と呼ばれる政治家だ。ブッカーももしかしたら副大統領候補を狙っているのも知れない。ブッカーはニュージャージー州選出の連邦上院議員でニュージャージー州と隣接するニューヨーク州で人気のある政治家だ。ブッカーのおかげでニューヨーク州を何とか押さえたいというのがバイデンの本音だろう。共に大統領予備選挙を戦ったカーステン・ギリブランド連邦上院議員とニューヨーク市長ビル・デブラシオはニューヨークでは人気がない。ギリブランドは今のところ誰にも支持表明していないが、デブラシオはサンダース支持を表明している。しかし、あまり大きな影響力はない。

 バイデンが足元を固めていく中で、焦点は副大統領選びに移っていく。これからどうなっていくか注目だ。

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カマラ・ハリスがバイデンの大統領選挙を支持(Kamala Harris endorses Biden's presidential bid

ザック・バドリック筆

2020年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486480-kamala-harris-endorses-biden-presidential-bid

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が日曜日朝、ジョー・バイデンの大統領選挙を支持すると発表した。ハリスは、「ジョー・バイデンは、私たちの最良の部分を語り、私たちを理想に向かって進ませてくれる人物」と語った。

ハリスは声明の中で次のように述べた。「この激動の時代に、ジョー以上に私たちの国の舵取りをし、真実を取り戻し、抑制をもつ大統領になる準備ができている人は存在しません。彼は親切な人物であり、人々への心配りを忘れたことはありません。そして、アメリカ国民の声に真摯に耳を傾ける人です」。

ハリスは続けて次のように述べた。「彼はいつも何とか一生軒目に生活を支え、子供たちが学校で安全に過ごしているかを心配している母親たちと父親たちの経験を胸に刻んでいます。そして、自分たちの未来のためにくじけることなく気候変動問題に取り組んでいる若者たちの経験も胸に刻んでいます。私たちはそのことを彼の眼を見ることで分かります。公職でのキャリアを通じて、ジョーは様々な物事を成し遂げ、実現してきました」。

ハリスは昨年末に自身の大統領選挙運動を終えた。そして、彼女以外のほぼ全ての女性候補者たちも選挙戦から撤退した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が先週選挙戦から撤退し、日曜日の時点で選挙戦を継続しているのはトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)だけだ。

ハリスは次の世に書いている。「私たちが考えなければならないことと未来について述べたいことは今言ったことです。しかし、私たちは党と国家のまとまりのために立ち上がらなければなりません。そのためにはアメリカ国民の謙虚さと尊厳を象徴し、最終的にドナルド・トランプを倒せる候補者を押し立てねばなりません」。

ツイッター上に投稿したヴィデオの中で、ハリスはバイデンへの支持を表明した。そして、「私たちにとって現在必要なことは、人々のことに本当に心を寄せ、その結果として人々をまとめることができる指導者です。私はジョーがそれらのことをできると確信しています」。

昨年夏、ハリスとバイデンは民主党予備選挙候補者討論会でやり合った。ハリスは、バイデンが人種差別撤廃に向けたバス通学に反対したことを取り上げて批判した。バイデンは、昨年12月にハリスが選挙戦から撤退した際に、彼女を副大統領候補として考えるだろうと述べた。

バイデンは「彼女はぶれない人物だ。彼女自身、将来大統領になることができる器だ。彼女は副大統領にもなれる。連邦最高裁判所判事にだってなれる。司法長官にも。彼女は才能あふれた人物だ」と述べた。

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コーリー・ブッカーがバイデン支持(Cory Booker endorses Biden

カイル・バラック筆

2020年3月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486552-cory-booker-endorses-biden

コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は月曜日朝にジョー・バイデン前副大統領支持を発表した。バイデンは予備選挙での対抗馬だった人々からの支持を集めている。

今年1月に選挙戦を止めたブッカーはツイートの中で次のように述べている。「憎悪と分断に対する答えは私たちの共通の目的の精神を再び目覚めさせることです」。

ブッカーは次のように述べた。「ジョー・バイデンはただ勝利するだけではありません。彼は私たちに分断ではなく、まとまりをもたらすでしょう。バイデンは大統領執務室に名誉を取り戻し、私たちが直面する厳しい課題に取り組むでしょう」。

ブッカーは「これが、私が誇りを胸にジョーを支持する理由です」と述べた。

先週火曜日のスーパーチューズデーでの印象的な勝利の後、バイデンは多くの支持表明を受けた。その中には、民主党予備選挙で対抗馬だったカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)も含まれている。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジはスーパーチューズデーの直前に選挙戦を終えて、バイデン支持を表明した。同じ穏健派の候補者たちからの支持は先週火曜日の15の州での予備選挙でのバイデンの躍進に貢献した可能性が高い。バイデンはミネソタ州での僅差の勝利はクロウブシャーの支持表明のおかげだと認めている。

ビトー・オローク前連邦下院議員(民主党)もスーパーチューズデー直前にバイデン支持を表明した。

スーパーチューズデー後に選挙戦を終えた進歩主義派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、どの候補をすぐに支持するということはないと述べた。

バイデンは、獲得代議員数でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を僅差でリーとしている。両候補は火曜日に6つの予備選挙に臨む。

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(終わり)

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 古村治彦です。
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 スーパーチューズデーの投開票が始まった。全米14の州と1つの自治領で宣誓済み代議員1344名を争う戦いだ。全宣誓済み代議員数が3979なので、約3分の1の行方が決まる。先に書いておくが、来週のミシガン州がサンダースにとっては極めて重要となる。前回の大統領選挙でトランプに負けたのは、民主党が地盤だと考えていた中西部、五大湖周辺州でヒラリーが勝てなかったからだ。中西部奪還は民主党の悲願である。そのために今回の選挙では中西部に強い候補者を選ばねばならない。中西部出身者であるピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブッシャーが選挙戦から撤退しバイデン支持を表明しているので、バイデンは追い風が吹いている。来週のミシガン州でサンダースが勝てるかどうかが注目される。

 スーパーチューズデーの正式な結果が出るのは時間がかかる。最大の代議員415名が配分されているカリフォルニア州の正式な結果が出るのは日本で明日になるかもしれない。
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 現在までのところ、バイデンが1位となると見られているのは、アラバマ州、アーカンソー州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、テネシー州、テキサス州、ヴァージニア州で、サンダースが1位となると見られているのは、カリフォルニア州、コロラド州、ユタ州、ヴァ-モント州、ブルームバーグが1位となったのは、アメリカ領サモアだ。メイン州では接戦が続いている。

 バイデンは2月29日のサウスカロライナ州での圧勝の勢いとエイミー・クロウブッシャー、ピート・ブティジェッジ、ビトー・オロークといった大統領選挙で戦った人々からの支持表明もあって、急激な状況気流に乗って、サンダース包囲網を形成している。サンダースはこの包囲網に苦しめられた結果となった。南部諸州では元々バイデンは強かったが、さらに勢いがついた上に、サンダースがリードしていたマサチューセッツ州とテキサス州ではバイデンが逆転した形となっている。また、ミネソタ州では地元出身のクロウブシャーが支持率1位を記録していたが、バイデン支持と表明したことで、2位につけ凍てたサンダースを3位のバイデンが追い抜く形になった。
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スーパーチューズデー前の代議員数(濃い青色が選挙で争う宣誓済み代議員数)
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CBSによる代議員配分の途中経過報道
 サンダースは地元ヴァ-モント州で圧勝したが、配分されている代議員数は16だ。カリフォルニア州、ユタ州、コロラド州といった西部諸州で勝利を収めたが、バイデンをどれくらい引き離せるかが注目される。民主党の金城湯池ブルーステイトは、アメリカ東海岸と西海岸であるが、実のところ、両岸でしっくりいかない。西部は東部に対して「気取りやがって」という感情を持ち、東部は西部に対して「あいつらは過激すぎる」と考えている。アメリカの基準では過激な主張をしているサンダースが西部諸州で1位となったのは当然である。東部の人たちは東部の人を選ぶという伝統があるが、サンダースはマサチューセッツで勝てなかった。あいつは東部的ではないと考えられているのだろう。

 ブルームバーグは正式な選挙のデビュー戦となったが、かけたお金を考えると厳しい結果となった。芸能人でも期待の新人でデビューの時に多額の資金をかけたのにうまくいかなかったということがあるが、そのような感じだ。これではあいつはダメだということになり、ますますじり貧のスパイラルに陥ってしまうだろう。撤退もささやかれる。

 ウォーレンは地元マサチューセッツ州で3位に終わりそうということで本格的に撤退論が出てくるだろう。彼女自身は来週のミシガン州も頑張るぞという発信をしているが、どうなるか分からない。

 24名以上の候補者がひしめき合ったアメリカ大統領選挙民主党予備選挙もサンダースとバイデンの2人に絞られることになった。サンダースは若い人々やヒスパニックといった有権者層には絶大な人気があるが、それだけでは選挙に勝てない。バイデンはアフリカ系アメリカ人の人気は高いが、ヒスパニック系の人気が低い。お互いがお互いの弱点をどう克服するか、時間がない中でどのような動きをして支持を拡大させていくか注目される。

 アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で大惨敗、ボクシングで言えばノックダウンされてカウント9まで立てなかったバイデンが復活して猛ラッシュで逆転している状況だ。

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スーパーチューズデーで見るべき5つの州(5 states to watch on Super Tuesday

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485578-5-states-to-watch-on-super-tuesday

大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちは予備選挙において最も重要なスーパーチューズデーを迎える。14の州で投開票が実施され、1300名の代議員が配分される。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)はニューハンプシャー州とネヴァダ州での勝利、アイオワでの引き分けの後に先頭走者としてスーパーチューズデーに進んできた。しかし、ジョー・バイデン前副大統領はサウスカロライナ州での圧勝の後に勢いがついている。

スーパーチューズデーはニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグのデビュー戦ともなる。これまでの3日で、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、大富豪トム・ステイヤーが選挙戦からの撤退を表明し、ブルームバーグにとっては有利な状態で選挙を迎えることになる。

火曜日に注目すべき重要州を見ていこう。

(1)カリフォルニア州

カリフォルニア州はスーパーチューズデーの夜における最大のご褒美ということになる。415名の代議員が配分されている。

サンダースは現在のところカリフォルニア州での勝利が確実視されている。しかし、バイデンはサンダースの支持を削り取る可能性を持っている。

リアルクリアポリティックスは、カリフォルニア州での民主党予備選挙に関する各種世論調査の数字の平均を発表している。それによると、サンダースは2位に17ポイントの大差をつけてリードしている。しかし、バイデンはここ最近の調査で支持率の数字を上げている。

月曜日に発表されたCBSニュース・YouGovの共同世論調査の結果では、カリフォルニア州でのサンダースの支持率は31%だったのに対して、バイデンは19%だった。ウォーレンは18%だった。

ブティジェッジとクロウブシャーを支持していた有権者たちからの支持を得ることで、バイデンは支持を伸ばすことになる。これによって、バイデンは得票率15%の条件をクリアできる可能性が大きくなり、それによってカリフォルニア州で勝利を得られなくても、代議員の配分を受けることができる。

全国民主訓練委員会の創設者であり責任者であるケリー・ディエットリッチは「私たちはもう4、5、6人でポットを分け合うことはありません。私たちは今3人で分け合っています」と述べている。全国民主訓練委員会は選挙に出馬し公職を目指す民主党員を訓練する組織である。

しかし、ブルームバーグはカリフォルニア州でテレビ広告だけでも3600万ドルを投じており、ブルームバーグがどれほどの影響を選挙戦に与えているかを見る必要がある。

民主党系のステラティジストであるブラッド・バノンは次のように語っている。「ブルームバーグはカリフォルニアでうまくいっていないと思いますよ。バイデンがわずか3日前の時の彼と比べて、見違えるように強力な候補者となっている事実があります。バイデンと同じ穏健派の候補であるブルームバーグはこのために支持を減らすでしょう」。

バノンは「ブルームバーグの選挙戦略の1つはバイデンの弱さにつけ入るというものでしたが、バイデンが強力な候補者になってしまっているのです」と述べた。

(2)テキサス州

テキサス州は全米で2番目に多くの代議員が配分されている。その数は228だ。現在のところ、サンダースが支持率でトップだが、カリフォルニア州に比べて、バイデンとの差はかなり小さい。

リアルクリアポリティックスが発表しているテキサス州の支持率の平均では、サンダースがバイデンに6ポイントの差をつけている。

サンダースは、ネヴァダ州での勝利が多くをヒスパニック系有権者によっていたこともあり、テキサス州内のラティーノ共同体の中で強力な支持を固めてそれに依存している。

「ラティーノ・ディシジョンズ・フォ・ウニヴィジョン」社とテキサス大学メキシコ系アメリカ人研究センターの共同世論調査の結果によると、テキサス在住のヒスパニック系有権者の間で、サンダースの支持率は31%だったのに対して、ブルームバーグは23%、バイデンは19%だった。この世論調査の結果はサウスカロライナ州での予備選挙の前に発表されたものだ。

民主党系のステラティジストで、クリントン政権とオバマ政権のホワイトハウスでアドヴァイザーを務めたモー・ヴェラは、テキサス州のような場所で良い結果を得るため、バイデンはヒスパニック系の支持を伸ばさねばならないと述べた。

「トランスペレント・ビジネス」社の役員を務めるヴェラは本誌の取材に対して、「バーニー・サンダースは称賛に値しますね。彼と並びたいと思うなら、バイデンはラティーノの有権者に対して行動を起こす必要があります」と語った。

(3)マサチューセッツ州

マサチューセッツ州は、ウォーレンの選挙結果が振るわないものとなれば、ウォーレンの選挙運動の終焉の鐘となる可能性が高い。彼女の知名度は抜群に高く、マサチューセッツ州を地盤とする進歩主義派の連邦議員の一部から支持表明を受けている。その中にはエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・ケネディ連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が含まれている。しかし、こうした好条件があるにもかかわらず、最近の各種世論調査の結果では、ウォーレンは地元でも支持率を下げている。

土曜日に発表されたサフォーク大学・『ボストン・グローブ』紙・WBZテレビの世論調査では、ウォーレンと同じニューイングランド地方を地盤とするサンダースがマサチューセッツ州で支持率24%を記録しトップとなった。ウォーレンは22%で2位につけた。この差は世論調査の誤差4.4ポイント以内の数字だ。

先週初めに発表されたWBURの世論調査では、2人の差はより大きかった。サンダースの支持率は25%で、ウォーレンは17%だった。この時の調査の誤差は4.9ポイントだった。

ニューハンプシャー州での彼女のパフォーマンスは、マサチューセッツ州でどれくらいうまくやれるかを示すものであった。ニューイングランドの各州はニューイングランドから出ている地元出身の候補者を選ぶことで有名だ。2016年も2020年もニューハンプシャー州ではバイデンが勝利した。

対照的に、同じニューイングランド出身のウォーレンはニューハンプシャー州で、中西部出身のブティジェッジとエイミー・クロウブッシャーに負けて4位となった。

バノンは「ウォーレンは明日マサチューセッツで必ず勝たねばならないと思います。次に進むためにもどうしても勝たねばなりません。自分の地元の州で勝てないのに、有権者に投票してくださいなんてどうして言えますか?」と述べた。

(4)ヴァージニア州

ヴァージニア州はスーパーチューズデーで投開票が行われる州の中で4番目に多い代議員が配分されている。そして、ブルームバーグはヴァージニア州を重視してきた。

ブルームバーグはヴァージニア州を7回訪問した。これはスーパーチューズデーの各州の中で最も多い回数だ。ブルームバーグ選対はヴァージニア州全体に8つの事務所を置いた。その中には共和党が優勢なダンヴィルとロアノケも含まれている。ヴァージニア全体には80名のスタッフが配置されている。

ブルームバーグ選対は、2019年に民主党がヴァージニア州議会で過半数を取り戻したこととヴァージニア州でのより厳しい銃規制に触れ、そのまま民主党がヴァージニア州をコントロールし続ける必要があることを強調している。

2007年にヴァージニア工科大学で起きた銃撃による大量殺人事件が起きて以降、ヴァージニア州の政治においては銃規制が重要な問題となっている。

ブルームバーグの上級アドヴァイザーであるティム・オブライエンは本誌に対して「ヴァージニア州は民主党の将来を示す縮図です。穏健派、進歩主義派、郊外の有権者で構成されています」と述べた。

ブルームバーグは土曜日にヴァージニア州マクリーンの選挙動員集会に参加し、2019年のヴァージニア州での選挙への自分の貢献を強調した。

ブルームバーグは歓声を上げる聴衆を前に「昨年の秋の連邦議員選挙でヴァージニア州から民主党の議員を出すための手助けをするということが大変重要でした。私はその貢献ができたことを今でもとても嬉しく思っています」と述べた。

しかし、各種世論調査の結果を見ると、ブルームバーグはヴァージニア州ではサンダースとバイデンを追いかける展開となっている。サウスカロライナ州での圧勝の後、バイデンはブルームバーグのヴァージニア州での勝利の芽を摘み取る可能性が大きくなっている。

バイデンは最近になってヴァージニア州の民主党の重要な人物たちの多くから支持表明を受けている。テリー・マカフィー元ヴァージニア州知事、ティム・ケイン連邦上院議員、イレイン・ルリア連邦下院議員、ボビー・スコット連邦下院議員は日曜日夜にヴァージニア州ノーフォークで開かれたバイデンの選挙集会に参加し、支持表明を行った。この選挙集会でバイデンはロックスターのような歓声を受けた。

(5)アラバマ州

アフリカ系アメリカ人有権者は、アラバマ州の民主党予備選挙有権者の大きな部分を占める。民主党の背骨だと広く考えられている有権者グループにアピールしたいと考えている候補者たちにアラバマ州は重要である。

「ファイブサーティーエイト」の予想では、バイデンがアラバマ州で勝利する確率は61%だ。

サウスカロライナ州での圧勝の後、バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を固めている。バイデンは日曜日、アラバマ州セルマで開かれた公民権運動の行進を記念するイヴェントに出席し、温かい歓迎を受けた。

民主党系のストラティジストであるジャマル・サイモンズは本誌の取材に次のように答えた。「穏健派のアフリカ系アメリカ人は民主党支持の有権者の大多数を占めていると思いますよ。それが言い過ぎだとすれば少なくとも大きな部分をね。アフリカ系アメリカ人で年齢を重ねていくと、アラバマ州、ミシシッピ州、ジョージア州で民主党の幹部クラスになっていく人が多いんです。こうした人々は穏健派とまでは言えない場合でもとても現実的です。そのためにこうした人々はよりジョー・バイデンを支持するということになるんです」。

サンダースは非白人の若い有権者の支持に頼っているが、サンダースとバイデンはサウスカロライナ州での予備選挙では若いアフリカ系アメリカ人有権者の支持を分け合ったように見られる。アラバマ州においては、進歩主義派の連邦上院議員であるサンダースにとってこれは良い兆候ではないということになるだろう。

サイモンズはサウスカロライナ州を念頭に置きながら、「バーニーは他の州に比べて、あそこでは若いアフリカ系アメリカ人たちの支持を得ることができなかったんですよ、うまくいかなかったんですよ」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補者カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を発表した。支持率が低迷し、政治献金も集まらない中で、資金がなくなって選挙戦が続けられないと発表した。
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 支持率ではトップ3に入る時期もあったが、7月以降は支持率下落が止まらず、第4位の位置をインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジに完全に奪われてしまっていた。挽回は不可能と判断し、早めに撤退ということになった。これで民主党の金城湯池であるカリフォルニア州から民主党所属の大統領が生まれる機会は失われた。民主党はアメリカ東西両海岸地区を支持基盤としているが、ロッキー山脈から西の各州の出身者が大統領になったことはない。共和党で言えばリチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンがいるのに、民主党ではいないのだ。
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 カマラ・ハリスは最初から有力候補として捉えられていたが、自分の立場を明確にできなかったことが選挙戦撤退にまでつながってしまった。検察官、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員としての経歴、非白人のマイノリティとして生まれたが刻苦勉励で這い上がってきた努力と根性、才能といった点が強みとなるはずであった。

 しかし、ハリスはリベラル左派なのか、穏健中道派なのかが最後まではっきりしなかった。手をこまねいているうちに、他の候補者たちが独自の立場を確立していったが、ハリスは最後までどっちつかずの印象を与えるだけだった。

 ハリスはしかしながら、副大統領候補の有力候補となる。特にジョー・バイデン前副大統領とは親しい関係にあり、バイデンが大統領選挙の民主党指名候補になれば、バイデンから指名を受ける可能性がある。バイデンとならば考えを合わせてコンビとしてやっていけるだろう。私は以前から、ハリスがバイデンに副大統領候補になるだろうと書いている。私は、リベラル左派のエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースが組み、一方、バイデンとハリスが組むという形になると考える。ハリスはまた大票田のカリフォルニア州を地盤としているので、彼女の動向、具体的には誰を推薦支持するかで、予備選挙の動きは大きく決まるように思う。そういった点で、ハリスは良い時期に選挙戦から撤退したと思う。ただ次があるかというとそれはないのではあるが、傷が浅いうちに撤退できたと思う。

 ハリスは他の撤退した候補者たちとは違い、これからも動向が注視される人物だ。選挙戦撤退してからの方が注目が集まるという変なことが起きるだろう。

(貼り付けはじめ)

カマラ・ハリスが大統領選挙から撤退(Kamala Harris drops out of presidential race

リード・ウィルソン、ジョナサン・イーズリー筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472820-kamala-harris-drops-out-of-presidential-race-reports

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は火曜日、民主党予備選挙の選挙運動を停止すると発表した。ハリスはひとたびライジングスターであったが、ここ数カ月は選挙戦の状況はどん底になっていた。彼女は政治的才能を維持可能な選挙運動に転換することができなかった。

ハリスが選挙戦に出馬した当初、有力候補と考えられていた。人々の関心を集める生い立ち、演説会など人々の前に姿を現す際の存在感、アメリカ国内最大でかつ最も豊かな州であるカリフォルニア州におけるしっかりした政治献金基盤といった点で有力候補だと考えられた。彼女は出身地のカリフォルニア州オークランドで出馬宣言を行うために集会を開いたがその時には数千人の人々が集まった。しかし、それから11か月後、ハリスは記者団に対して強力な選挙運動を続けるための財政力がなくなってしまったと語ることになった。

ハリスは声明の中で次のように書いている。「私は選挙運動について詳細に評価し、全ての角度から見るように努めた。そして、私の人生において最も厳しい決断を下すことにした。大統領選挙を続けるために必要な財政上の資源がなくなってしまった。私は大富豪ではない。私は自己資金で選挙運動を続けることはできない。選挙戦を続けていく中で、選挙資金集めがどんどん困難になっていった」。

ハリスは続けて「誠実であろうとするならば、私は自分ではできないと考えているのに、それを続けることができると私の支持者やヴォランティアの方々に言うことはできない」と書いている。

これまでの11カ月の選挙戦の中で、ハリスには、当時のバラク・オバマ連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)の辿ったコースである、州レヴェルの公職から連邦上院議員、そしてホワイトハウスへという道のりをたどるだろうと考えられる機会が何度かあった。彼女は若者とアフリカ系アメリカ人有権者が作ったオバマ連合(Obama’s coalition)を再び結集させたいと望んだ。ハリスは今回の予備選挙の候補者たちの中でも傑出した討論をリードする能力を持っていた。

ハリスは堅実な選挙運動を展開した。カリフォルニア州に住むヴェテランのストラティジストを集めたブレイントラスを作った。ストラティジストたちはハリスのこれまでのキャリアで助言を与えてきた人々だった。また、カマラ・ハリスの妹マヤもこのブレイントラストに参加した。彼女は民主党系の政策専門家として実績を積んできた人物だ。ハリスはアイオワ州の活動家の中でも重要な人物たちからの推薦支持を得たし、全米で最初に党員集会が実施される重要なアイオワ州に多くのオーガナイザーを投入した。

民主党系のストラティジストであるが今回の大統領選挙には関与していないダグ・ソーネルは「ハリスは本当に素晴らしい選対を組んでいた。彼女のティームには本当に優秀で、才能あふれる人たちが揃っていた。彼女は本当に素晴らしいスタートを切った。しかし、それが彼女の選挙運動に対して常に高い基準を設定することにもなってしまった」。

しかし、ハリスは初期の熱狂を安定した支持に転換させることに苦闘した。他の候補者たちはイデオロギーな立場を明確にさせ、民主党予備選挙に参加予定の有権者たちにとっての重要な諸問題に対処するための計画を発表することで有権者の支持を集めようとしてきた。その中でハリスは自身の立場をはっきりさせず、選挙戦でのテーマと戦略を色々とつまみ食いしているように思われた。

他の候補者たちはアメリカの医療システムをどのように劇的に改善するかについて自身の立場を選択した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が連邦上院に「メディケア・フォ・オール」法案を提出した際、ハリスは共同提出者となったが、その後、共同提出を取り下げた。討論会の席上、ハリスは民主党内部の分裂線となっている医療システムについての自身の考えを明確にかつ簡潔に示すことができなかった。

ハリスは自分が持つ最善の2つの資産を利用する方法を見つけることができなかった。2つの資産とは、2020年の民主党全国大会に最大数の代議員を送り込む地盤としているカリフォルニア州と厳格な検察官だったという経歴だ。検察官としての経歴は討論会での激しいパフォーマンスと存在感に資するものだ。

討論会の席上、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を激しく批判した。ギャバードはマイノリティと麻薬関連の微罪を犯した人々を過剰に収監したと批判した。ハリスはカリフォルニア州での世論調査で7月に1回だけトップに立った。

ハリスは自身の立場をどのように取るかについて議論を続けたが、他の候補者たちはハリスの周囲の堀を埋めていった。ハリスが取るべき立場を他の候補者たちが取るようになっていったのだ。ジョー・バイデン前副大統領は自分自身を、トランプ大統領を倒せる可能性が最も高い人物と位置付けた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は進歩主義派の代表として、諸政策を次々と発表している。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは選挙戦の初期の段階で人々の支持を集めることが出来た時期を利用して自分自身を中道派の候補と位置付けた。

ハリスはこうした位置づけを試み、失敗した。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは彼女の選挙運動において自分自身の明確な性格付けをすることができなかった。他の候補者たちは自分の立場や立候補の理由を次々と変えていった。選挙戦当初からハリスは検察官としての経歴をどのようにして自分の強みとして利用するかということが分かっていないようだった」。

ハリスは選挙運動において上昇局面をつかむことに苦戦した。ハリスの最大の上昇局面は1回目の民主党討論会にバイデンと対峙した時だった。その後、ハリスは短期間ではあったが政治献金額を伸ばし、世論調査での支持率を上昇させた。しかし、そうした勢いを安定した支持に転換することに失敗した。

ハリスの世論調査での支持率の数字は第1回目の討論会の後に最高を記録した。しかし、その後は継続的に下落していった。8月になって全国規模とアイオワ州での世論調査で支持率が10%を割り、それ以降は回復しなかった。

ハリス選対はボルティモアに本部を置いていたが、選対内部で緊張関係が高まっていった。カマラ・ハリスの妹であり民主党系の政策専門家であるマヤ・ハリスが選対責任者フアン・ロドリゲスとスタッフの人事、支出、政策決定に関して衝突した。有力な支持者たちはカマラ・ハリスに対してロドリゲスを解雇し、コンサルタント・ティームの力を取り上げるように公の場で進言した。

ここ数週間、政治献金の集まりがスローダウンしたことを受けて、ハリスはアイオワ州に持てる力を注ぐと発表し、その他の早期に予備選挙が実施される各州の選挙スタッフを解雇していた。

ハリスは12月の民主党候補者討論会の2週間前に選挙戦を止めたということになる。候補者討論会は2019年12月19日にロサンゼルスで実施予定だ。ハリスは既に参加条件をクリアしていたし、スーパーPACはアイオワ州の各テレビ局の放送時間の購入を始めたばかりだった。

スーパーPACは火曜日、放送時間の購入と保持のキャンセルを開始した。

ライヴァルや支持者たちはハリスが選挙戦からの撤退を発表した後で、彼女に賛辞を贈った。

アイオワ州メイソンシティでの選挙集会に参加直後、バイデンは「彼女は一流の知識人であり、一流の候補者であり、本物の闘士だった。私は彼女の選挙戦撤退について複雑な感情になっている。そのような感情になっているのは彼女が首尾一貫した人物であり、才能に溢れた人物だからだ」と語った。

ハリスは選挙戦から撤退したが、国政レヴェルでの存在感がなくなるということではない。彼女は副大統領候補の有力候補と見られている。スーパーチューズデーの時にカリフォルニア州で予備選挙が実施されるが、それまでにハリスの支持を得たいとどの候補者も望むことだろう。

民主党全国委員会の委員でカリフォルニア州出身のボブ・マルホランドは次のように述べた。「カリフォルニア州民はハリス上院議員を誇りに思うだろう。他の候補者たちにとってカリフォルニア州で支持を伸ばすことは難しい。ハリス議員にとって全国規模で支持を伸ばすことは難しかったが彼女はよく戦った。今回はうまくいかなかったということだ」。マルホランドはハリスの党指名獲得への支持を表明していた。

ハリスはトップ集団の候補者としては初めての脱落者となった。また今週になって3人目の脱落者ともなった。今週はモンタナ州知事スティーヴ・ブロック(民主党)とジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明している。ハリスの連邦上院議員の任期は2022年までとなっている。

火曜日、ハリスが選挙戦撤退を発表した直後、カリフォルニア大学バークリー校政治研究所が『ロサンゼルス・タイムズ』紙に発表した世論調査の結果では、カリフォルニア州在住の民主党支持の有権者の61%がハリスは選挙運動を止めるべきだと答えた。

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ハリスの選挙戦からの撤退を受けてのギャバードの発言:「私は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬します」(Gabbard on Harris leaving race: 'I respect her sincere desire to serve the American people'

レイチェル・フラジン筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472847-tulsi-gabbard-responds-to-kamala-harris-leaving-race-i-respect-her-sincere

大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が、カマラ・ハリス連邦上院議員が火曜日に大統領選挙からの撤退を発表したことを受け、「ハリスのアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思い」を尊敬すると述べた。

ギャバードとハリスは選挙戦でやり合っていた。ギャバードはツイッター上で「選挙戦を懸命に戦ったカマラ・ハリス、彼女のご家族、支持者に心からの敬意を表します」と書いた。

ギャバードは続けて「私たちはいくつかの問題で同意できなかったのですが、私を含む多くの人々は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬することでは一致しています。私は、アメリカが直面する諸問題について対処するために共に働くことを希望しています」と書いた。

ハリスは火曜日、多くの人物が立候補している大統領選挙民主党予備選挙からの撤退を発表した。ここ最近、ハリスは世論調査の支持率の数字と政治献金額の減少に直面していた。

ハリスは声明の中で「選挙運動を続けるために飛鳥な財政的資源がなくなってしまった」と書いている。

ハリスとギャバードはお互いを批判し合っていた。ギャバードは今年初め、「ハリスにはアメリカ軍の最高司令官の資格はない。彼女には外交政策分野での経験がなく、激しい気性で大統領に向かない」と述べた。

ギャバードはハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を批判した。

一方、ハリスはギャバードがフォックスニュースに出演したことを攻撃し、トランプの元首席戦略官のステイ―ヴ・バノンと仲が良いことを非難した。

(貼り付け終わり)

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