古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:カレル・バス

古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ロサンゼルスでの米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発に対する抗議活動が先鋭化し、暴動(riots)にまで深刻化している。その様子は日本でも報道されている。抗議者たちは、プラカードを掲げたり、スローガンを発したりしている。また、デモ行進も行っている。平和的な活動であれば推奨されるべきことであるが、抗議活動参加者の一部が暴徒化している。その様子もまた報道されている。また、ロサンゼルス市警察には略奪(plunderinglooting)の報告が入っているということだ。死者の報告が出ていないことはせめてもの救いだ。

 ロサンゼルス市のカレル・バス市長はロサンゼルスの中心部(downtown)の一部に「夜間外出禁止令(curfew)」を出した。事態は1992年に発生したロサンゼルス暴動(Los Angeles Riots)に近くなっている。1992年の暴動は、白人警官によるアフリカ系アメリカ人男性殴打事件と裁判での無罪判決がきっかけとなった「人種関連暴動(race riots)」である。ロサンゼルス市内の南部は、以前はサウスセントラル(South Central)、現在はサウス(South)と呼ばれているが(サウスセントラルが最悪の印象を与えるので改められた)、マイノリティが多く、貧困や差別などが原因での、治安状況は全米でも最悪の部類だった(今でもあまり改善したとは言い難い)。

1992年の暴動はそこから北に上がってくる形で拡大し、高速道路10号線の付近まで上昇してきた。その付近にはコリアタウンがあり、韓国系アメリカ人たちが経営する商店が略奪の対象となり、韓国系アメリカ人たちは自衛のために武器を取って対峙することになった。ロサンゼルス北部にはビヴァリーヒルズやハリウッドがある。ロサンゼルス市警は高速道路10号線より北を守るために、それから下は放棄したために、コリアタウンまで被害が及んだという説もまことしやかに語られていた。部分的には本当であろうと私は考えている。

 今回の抗議活動は、ICEによる不法移民の一斉摘発に端を発する。そして、興味深いのは、メキシコや他の中南米諸国の国旗が掲げられ、「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」というスローガンが叫ばれていることだ。以下のアドレスには、現地で写真家が撮影した映像がいくつか紹介されている。是非ご覧いただきたい。

Los Angeles Riots: "No One's Illegal On Stolen Land"

https://www.realclearpolitics.com/video/2025/06/10/los_angeles_riots_no_ones_illegal_on_stolen_land.html

 この映像の中にはデモをしている人々がスローガンを叫んでいるシーンがある。先導する女性は次のように言っている。

「盗まれた土地では誰も不法ではない"No one’s illegal on stolen land"

「奪われた土地に不法滞在する者はいない。この街を作ったのは誰なのか、思い出せ。メキシコ人全員、黒人全員だ。私たちが全てを作った。私たちが許さない限り、彼らは来てそれを奪うことはできない("Remember who made this city. All the Mexicans, all the black people. We made all that. They can't come and take it from us unless we let them.")」

人々に力を("Power to the people"

 このスローガンを先導する女性には、ロサンゼルスを作り上げるのに貢献した、白人もユダヤ人もアジア人も全く見えていない。彼女が考えるマイノリティはあまりにもステレオタイプでかつ視野が狭すぎる。ロサンゼルスは、1973年に市政史上初のアフリカ系アメリカ人のトム・ブラッドリー市長を誕生させた。彼は1993年まで市長を務めた。ブラッドリー市長誕生の原動力となったのは、マイノリティ(ユダヤ系、アフリカ系、菱パニック、アジア系など)の力を結集させた虹色連合(Rainbow Coalition)だった。ブラッドリーの名前は、ロサンゼルス国際空港の名前に冠されている。

何とも皮肉なのは彼の在任の最後でロサンゼルス暴動が起きてしまったことだ。それから、アフリカ系アメリカ人コミュニティと韓国系アメリカ人コミュニティの交流が実施されてきたが、人種間の融和というのは非常に難しい。今回の抗議活動でのスローガンでも、その難しさは表出している。これまで何度も書いているが、私はロサンゼルスで人種差別的な扱いをされたことはほぼなかったが(大学にばかりいたというのはあるが)、一度だけ、コリアタウンに住んでいたので、コリアタウンを歩いていて、ヒスパニック系の少年たちが乗った自動車が近づいてきて、パールハーバーがどうこうと叫ばれたことがあった(彼らの乗っていた自動車はホンダ製ではあったが)。差別というと、白人によるマイノリティに対する差別になっているが、マイノリティの間でもまた存在する。

 私は「盗まれた土地では誰も不法ではない」というスローガンを発しながら、メキシコ国旗を掲げるのは何とも矛盾していると考える。そして、これは非常に危険なことだとも考えている。ヒスパニックの人々からすれば、カリフォルニアという土地は、1848年の米墨戦争でアメリカが勝利したのでアメリカが分捕った土地だという思いがある。自分たちはメキシコ人としてここに住んでいたのだという思いがある。しかし、それを言い出したら、南北アメリカ大陸の全国家は盗まれた土地の上にある国家であり、その正統性は消滅する。メキシコもまた血塗られた盗まれた土地に建国された国民国家に過ぎない。私はここに矛盾を感じる。

 また、なぜ抗議者たちは、カリフォルニア州の旗やアナーキストの黒い旗を掲げていないのだろうかというのも不思議だ。「自分たちは先に住んでいた、国家などは関係ない、国家などはなくなってしまえ」ということにならないのだろうかというのが不思議だ。「自分たちはメキシコ人だ、メキシコ人の誇りを捨てない、いつかカリフォルニアをメキシコに復帰させる」という考えならば、メキシコ国旗を掲げるのは分かる。しかし、それをアメリカのほかの地域から見れば、非常に危険である。アメリカ連邦政府の建物に、メキシコ国旗を掲げた一団が突撃する姿は「侵略(invasion)」である。もし、カリフォルニアをメキシコに復帰させたいならば、住民投票を行うことから始めて、アメリカ合衆国に要求する。アメリカ合衆国は憲法で州の分離を規定していない。従って、他州の同意があれば良いが、そうではない場合には、内戦(civil war)という形になる、これに国際社会がカリフォルニアの側に立つというようなことがあれば良いがなければ厳しい戦いになる。メキシコ国旗を振り回しているというのは、突き詰めると非常に危険な行為であると言わざるを得ない。

 アメリカもメキシコもたかだか200年くらい前に国民国家として血塗られた盗まれた土地の上に建国されたに過ぎない。「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」となれば、現在の国民国家体制は崩壊する。しかし、この言葉を叫びながら、メキシコ国旗を振り回すというのは何とも矛盾しており、非常に危険な行為である。

(貼り付けはじめ)

ロサンゼルス市警:月曜の夜に100人以上が逮捕され、警官2人が負傷(LAPD: Over 100 arrests Monday night, 2 officers injured

タラ・サター筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5342977-lapd-over-100-arrests-monday-night-2-officers-injured/

ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police DepartmentLAPD)は、米移民・関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)による逮捕に抗議するロサンゼルス地域の抗議活動が続く中、月曜日の夜に100人以上が逮捕されたと発表した。

LA市警は火曜日のプレスリリースで、「複数の地元法執行機関のパートナーと共に、月曜日にダウンタウン地区で発生した抗議活動と犯罪行為に対応した」と述べた。LA市警によると、同夜、96人が「解散命令違反()Failure to Disperse」で逮捕され、「凶器による暴行(Assault with a Deadly Weapon)」で1人、「逮捕抵抗(Resisting Arrest)」で1人、「器物損壊(Vandalism)」で1人が逮捕された。

ロサンゼルス市警は声明の中で、「警官2人が負傷し、地元の病院に搬送されて治療を受けた後、退院した」と述べ、その後、「略奪(Looting)」で14人が逮捕されたと付け加えた。

カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は最近、ドナルド・トランプ政権の移民強制捜査に対する抗議活動が続く中、トランプ大統領がロサンゼルスに軍を派遣したことは他州への警告だと主張した。

「ポッド・セイヴ・アメリカ(Pod Save America)」の司会者トミー・ヴィエターは、カリフォルニア州知事に対し、「これはただトランプが狂ったカリフォルニアを追いかけているだけだ。他の土地のリベラルと同じだ。自分たちは大丈夫だ」と信じている他の全米の人々へのメッセージは何かと質問した。

ニューサム知事は月曜日の「Pod Save America」で次のように述べた。「これから起こることを予告したい。これから起こることに注意が必要だ」と「つまり、皆さん、皆さんもそう言っているだろう。彼が1月6日の暴動につながる状況を作り出したのは、まさにこれだ」。

ここ数日、トランプとニューサム知事はロサンゼルスの騒乱をめぐって激しく対立している。月曜日、トランプはカリフォルニア州知事の逮捕を支持すると発言し、ニューサム知事はXでこれに対し反応した。

「アメリカ合衆国大統領が現職知事の逮捕を求めた。こんな日がアメリカで二度と訪れては欲しくないと望む」とニューサム知事はX上で述べた。

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ロサンゼルス市長が数日間の抗議活動を受けてダウンタウンの一部に夜間外出禁止令を発令(LA mayor announces curfew for part of downtown after days of protests

エルヴィア・リモン筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5343511-la-mayor-announces-curfew-for-part-of-downtown-after-days-of-protests/

ロサンゼルス市長カレン・バスは火曜日の記者会見で、移民強制捜査に対する抗議活動が5日間続いたことを受け、「破壊行為や略奪を阻止するため(to stop the vandalism, to stop the looting)」、ダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令(a curfew)を発令すると発表した。

夜間外出禁止令は1平方マイル(約1.6平方キロメートル)の範囲で、午後8時から午前6時まで実施される予定だ。バス市長は、住民、通勤者、および許可を得た報道関係者を除き、この命令に違反した人間は警察に逮捕されると述べた。夜間外出禁止令は数日間続く見込みだ。

バス市長は「ダウンタウンに居住または勤務していない人はこの地域を避けて欲しい」と述べた。

バス市長によると、月曜日の夜、ダウンタウンには23の店舗があり、そのエリアには大きな落書きが見られたという。最も激しいデモの多くは、ロサンゼルスのダウンタウンにある連邦政府ビル群の近くで発生しており、その中にはエドワード・R・ロイバル連邦ビル(拘置所兼連邦裁判所)も含まれている。

バス市長は、夜間外出禁止令が出されている地域は、市全体の502平方マイル(約148平方キロ)に比べれば小さいと強調した。

バス市長は次のように述べた。「ここで起きた破壊行為や暴力を軽視する意図でこれを指摘するべきではないと思う。確かに重大な出来事だった。しかし、この1平方マイル(約1.6平方キロ)で起こっていることが、市全体に影響を及ぼしている訳ではないことを知ることは極めて重要だ」。

市長はさらに「抗議活動や暴力行為の映像の中には、これが市全体の危機であるかのような印象を与えるものがあるが、実際はそうではありません」と付け加えた。

夜間外出禁止令は、トランプ大統領が4000人の州兵をこの地域に派遣した中で発令された。

トランプ大統領は、ここ数日間で発生した米移民・関税執行局(ICE)の捜査をきっかけに発生した抗議者と法執行機関の衝突による暴力に対処するために、州兵の派遣は必要だと主張している。

国防総省はまた、連邦政府の建物と職員を守るため、ロサンゼルス大都市圏に700人の海兵隊員を派遣した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロブ・ボンタ州司法長官(民主党)は月曜日、トランプ大統領によるカリフォルニア州兵派遣の決定を「前例のない権力掌握(unprecedented power grab)」だとして、政権を提訴した。

22ページに及ぶ訴状には「我が国と民主政治体制の礎石の1つは、国民が軍政(military rule)ではなく民政(civil rule)によって統治されていることだ」と記されている。

「建国の父たちは、政府は国民に責任を持ち(a government should be accountable to its people)、法の支配(rule of law)に基づき、軍政(military rule)ではなく民政(civil authority)によって統治されるべきであるという原則をアメリカが州国憲法に定めた」と訴状は続けている。

火曜日の記者会見で、バス市長はニューサム知事の「彼のパートナーシップ(for his partnership)」に感謝の意を表し、州および地方の指導者、役人、そして議員たちにも感謝の意を表した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

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 ロサンゼルスで、米移民・関税執行局(ICE)の一斉摘発が実施され、それに抗議するために連邦政府施設前に人々が集まり、反ICE抗議デモが実施された。参加者の一部が先鋭化し、高速道路を封鎖したり、連邦政府施設に対して侵入を試みようとしたりという行動に出た。地元警察が沈静化させようとしてもうまくいかず、トランプ大統領は州兵をロサンゼルス市内に派遣した。州兵は通常であれば州知事の指揮下に入り、治安維持や災害対応に従事するが、戦時では大統領の指揮下に入り、予備部隊としてアメリカ軍を支援する形になる。今回は大統領令で派遣されたが、これに対して、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルスのカレル・バス市長が、事態を悪化させるだけだと非難している。

 抗議者たちが物を投げたり、メキシコや他の中南米諸国の国旗を振り回したりという様子、警察の機動隊が催涙弾を発射したり、抗議者を拘束したりしている様子から、「映画の『シビル・ウォー』を見ているようだ」という感想がインターネット上に多く出ている。トランプ大統領は「現状はまだ反乱(insurrection)の状態までには至っていない」と述べている。

 私が現場の映像を見ていて、これは非常に危険だと感じたのは、抗議者たちの中に、メキシコ国旗や他の中南米諸国の国旗を掲げ、振り回している人たちが多くいたことだ。このような行為がなされれば、アメリカ国内では、「不法移民の一斉検挙に抗議する人たち」が「外国から支援を受けているのではないか、非アメリカ的(un-American)ではないか」という印象を持たれると、一般国民の間に支援は広がらない。それどころか、「彼らは外国の侵略を企図し、支援しているのではないか」ということまで考えられるようになれば、地域間や国民間の分断は深刻になる。

 カリフォルニア州は、元々はメキシコ領で、米墨紛争の後、1850年にアメリカ領になった。人口をどんどん増やしているヒスパニックたちの中には少数であるが、「いつかはメキシコ領に」「アメリカのお金でインフラを整備させて、人口で過半数になったらメキシコ領に」などと主張する人たちもいる。私がロサンゼルスに居住していた2000年代、1862年にメキシコがフランスとの戦争で勝利した日を記念する「シンコ・デ・マヨ(Cinco de Mayo、5月5日の意味)」となると、ロサンゼルスの一部地域の高校で、アフリカ系アメリカ人学生とヒスパニック系の学生たちが衝突するという事件も起きていた。アフリカ系アメリカ人からすれば、勢力を伸ばすヒスパニック系が気に入らないところに、他国のお祭りで盛り上がるということでスイッチが入ってしまうということであった。

 マイノリティの間でも、色々と分断がある。非常に繊細な問題である。不法移民がいることで、カリフォルニア経済は回るという側面もある。肉体的に厳しい農作業や建設業などに、不法移民が安い賃金で従事することで、食料価格や住宅価格が抑えられるということはある(インフレでそれも厳しいが)。しかし、トランプ大統領が訴える製造業の国アメリカの復活ということであれば、彼を支持したアメリカ人たちは、昔のように厳しい労働に従事しなければならない。外国からの安い製品に頼らずに、自分たちで物品を製造しなければならない。それが可能かどうかは甚だ疑問であるが、トランプを選んだのだから、このようになる。

 違法移民について、かわいそうというだけでは済まない。アメリカもそして先進諸国各国も、国力が衰え、支援をすることは難しい。国境の守り(国境警備の強化と高関税)はトランプ政権の柱である。そして、この問題はアメリカの地域間の分断をますます深刻化させるだろう。

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ニューサム知事がカリフォルニア州は州兵派遣の件でドナルド・トランプを訴えると述べ、ホーマンに対して自分を逮捕しろと挑発(Newsom says California will sue Trump over National Guard, dares Homan to arrest him

サラ・フォーティンスキー筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/regulation/court-battles/5339718-california-lawsuit-trump-national-guard/

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)は、米連邦政府による移民強制捜査に抗議するロサンゼルスの抗議活動を鎮圧するため、州兵を派遣したトランプ政権を月曜日に提訴すると発表した。

日曜日夜に出演したMSNBCのインタヴューで、ニューサム知事は、この訴訟は、トランプ大統領が州の同意なしにカリフォルニア州兵を連邦軍化して派遣したこと、つまりアメリカ史上ほとんど前例のない措置に異議を唱えるものだと説明した。

ニューサム知事は「ドナルド・トランプは、今夜あなた方がテレビで見ているような状況を作り出し、さらに悪化させた。いわば、火に油を注いだ。州兵を掌握すると発表したときから、彼は火に油を注いでいる。これは違法行為であり、不道徳であり、違憲行為だ」とMSNBCで述べた。

ニューサム知事はさらに「そして、私たちは明日、訴訟を起こしてこの主張を検証するつもりだ」と付け加えた。

この訴訟について詳しく質問されたニューサム知事は、トランプ大統領の大統領令には「特に(国防総省が)行ったこととして、州知事と調整しなければならないと記されている。彼らは州知事と調整したことはない」と述べた。

ニューサムは、これまでも様々な緊急事態に対応するために、州兵を派遣してきたと指摘した。

ニューサムは、「地方の法執行機関と相互援助システムで協力することに何の問題もない。しかし、そこには手順があり、プロセスがある。彼はそれを気に留めなかった。そして最悪なのは、彼が完全に嘘をついたことだ」と述べた。

ニューサム知事は、トランプ大統領が日曜日にトゥルース・ソーシャル(Truth Social)に投稿した、州兵が「素晴らしい仕事をした」という投稿を指摘した。ニューサム知事は、当時州軍は配備すらされていなかったと述べた。

ニューサムは「まるでジョージ・オーウェルが描いた世界のようだ。国民に嘘をついて、違憲で違法な行為をしているだけだ。今回のことはトランプの仕業だ。我々はそれを片付けようとしている」と付け加えた。

インタヴューの後半で、ニューサム知事は、国境問題対策責任者のトム・ホーマンが、もしニューサム知事やロサンゼルス市長のカレン・バス氏が知事の活動を妨害した場合、逮捕の可能性も否定しないと示唆したことについて質問された。

ニューサムは「私を追いかけて、逮捕しろ。さっさと終わらせよう、タフガイ。そんなことはどうでもいい。でも、自分のコミュニティは大事だ。このコミュニティが大事だ」と述べた。

ニューサム知事は次のように述べた。「奴らは一体何をしているのか? 彼らは大人になるべきだ。彼らはもう終わりにすべきだ。そして私たちは反撃する必要がある。はっきり言って申し訳ないが、ああいう大言壮語には飽き飽きだ。だからトム、私を逮捕してみろ。さあ行こう」。

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ホーマンが、カリフォルニア州政府高官たちがICEの捜査を妨害した場合、逮捕される可能性があると警告を発した(Homan warns California officials can be arrested if they disrupt ICE raids

エルヴィア・リモン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339287-trump-national-guard-california-immigration-protests/

国境問題責任者トム・ホーマンは日曜日、トランプ大統領がロサンゼルスで進行中の移民抗議デモを鎮圧するため州兵を派遣したことを受け、カリフォルニア州政府高官たちが「一線を越える(cross the line)」場合、逮捕や起訴に直面する可能性があると警告した。

トランプ大統領は、デモ参加者との2日間にわたる衝突を受け、州および市の指導者たちが支援を求めていないと述べているにもかかわらず、少なくとも2000人の州兵に対し、移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)職員への支援を命じた。

ホーマンは、トランプ大統領の命令は法執行官を守るためだけでなく、「このコミュニティを守るため(protect this community)」でもあると述べた。

ホーマンは日曜日夜に放送予定のNBCニューズのジェイコブ・ソボロフのインタヴューを受け、その中で、「この街ではICE職員に対する非難が高まっており、誰かが重傷を負うのは時間の問題だ。私たちは支援を要請しており、職務を遂行し、今後もその職務を継続していく」と述べた。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロサンゼルス市のカレン・バス市長(両者には民主党)は、トランプ大統領の州兵動員決定を批判し、緊張が高まるリスクがあると警告した。両者はまた、トランプ大統領が州兵の「素晴らしい仕事(a great job)」について、ロサンゼルスに部隊が到着する前に投稿していたことを日曜日に指摘した。

ソボロフが、ホーマンが過去にトランプ大統領の執行活動の邪魔をする者を逮捕すると脅迫していたのは、ニューサム知事とバス市長に向けられたものなのかと尋ねると、ホーマン氏は「誰に対してもそう言う(say that about anybody)」と明言した。

ホーマンは、「違法外国人を故意に隠匿し、かくまうことは重罪だ(It’s a felony to knowingly conceal and harbor an illegal alien)。法執行機関の職務を妨害することも重罪だ(It’s a felony to impede law enforcement from doing their job)」と述べた。

ホーマンは、バス市長が「まだ一線を越えた(crossed the line yet)」とは考えていないと述べたが、必要であれば「司法省に訴追を要請する(we will ask DOJ to prosecute)」と付け加え、司法省に言及した。

ホーマンは「私たちが言いたいのは、我々の警官を攻撃する者を容認しないということだ」と付け加えた。

日曜日の朝、ニューサム知事はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、連邦政府が「カリフォルニア州兵を乗っ取ろうとしている(taking over the California National Guard)」のは「見せ物が欲しいからだ(they want a spectacle)」と主張した。

ニューサム知事は「見せ物を与えてはならない。決して暴力を用いてはならない。平和的に声を上げよう」と付け加えた。

NBCニューズのインタヴューで、ホーマンはニューサム知事の発言を激しく非難し、「週にとっての恥(an embarrassment for the state)」と呼んだ。

ホーマンは次のように述べた。「私はこの知事を全く尊敬していない。彼の政策のせいで、罪を犯した外国人が毎日この州を闊歩している。知事が私のことをどう思っているかなど気にしない。私は人気投票をしているわけではない」。

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ロサンゼルスで警察が「違法な」集会を宣言し緊張が高まる(Tensions rise in Los Angeles as police declare ‘unlawful’ assembly

コリン・メイエン筆

2025年6月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5339627-protesters-arrested-in-la-tensions-rise/

日曜日の午後、ロサンゼルスでは警察が高速道路で抗議者たちと衝突し、メトロポリタン拘置所前での別の抗議活動を「違法(unlawful)」と宣言したことで緊張が高まった。

一日だけで数十人のデモ参加者が逮捕された。ドナルド・トランプ大統領が 「暴徒化した暴徒(insurrectionist mobs)」に対抗するために軍を派遣するという異例の決定を下したため、約300人の州兵が市内に配備された。

抗議者たちは、トランプ政権によるロサンゼルス市内への移民強制捜査に反発し、午後3時半頃から101号線高速道路を封鎖した。警察官は群衆に向けて催涙ガス弾などの弾丸を発射し、午後5時までに高速道路の封鎖を排除した。その後も数百人が周辺の道路に残留し続けた。

午後3時過ぎ、ロサンゼルス市警察(LAPD)は、アラメダにある市内刑務所前で活動していた別の抗議者集団を違法とし、逮捕活動を行っていると発表した。

ロサンゼルス市警察は「アラメダ地区2番街とアリソ通りの間の地域で“違法集会(An UNLAWFUL ASSEMBLY)”が宣言された。“解散命令(A DISPERSAL ORDER)”が発令された。逮捕者も出ている」とソーシャルプラットフォームXに投稿した。

CNNは、警察官たちが抗議者を殴ったり押したり、閃光弾や催涙ガスを群衆に向けて発射する様子が見られたと報じた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、トランプ大統領による州兵派遣の決定を強く非難し、平和的な対応を取らない抗議者たちに対し警告を発した。

バス市長は「ロサンゼルス市民が平和的に抗議活動を行う憲法上の権利は、常にわしたちの手で守られる。しかしながら、暴力、破壊、そして器物損壊は、私たちの街では容認されない。責任がある人たちは、完全な責任を問われることになる」とXに投稿した。

バス市長は後に、日曜日の混乱は「政権によって引き起こされた(provoked by the administration)」と述べた。

ダン・ボンジーノFBI副長官も、午後になって緊張が高まる中、警告を発した。

ボンジーノ副長官は「もし今夜、暴力を選択するなら、このメッセージはあなたに向けたものとなる。私たちは、既に多くの逮捕者を出しているだけでなく、連邦職員への暴行に関するあらゆる手がかりを捜査・追及していく」とXに投稿した。

23人の民主党所属の州知事全員が日曜日の午後、数十年も適用されていなかった法律を用いてカリフォルニア州の州兵を連邦軍化するというトランプ大統領の決定を非難する声明を発表し、この対応は不必要であり、事態をエスカレートさせるものだと主張した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の知事室は日曜日、ピート・ヘグセス国防長官に書簡を送り、市内への軍部隊派遣命令の撤回を求めた。

トランプ大統領は日曜日午後、キャンプ・デイヴィッドに向かうエアフォースワンに搭乗する前に記者団に短時間語った。大統領は大統領別荘で軍幹部と面会する予定だが、会談内容については明らかにしなかった。

国家安全保障上の危機に際して大統領の権限を拡大する反乱法(the Insurrection Act)を発動するかどうか記者団に問われると、トランプ大統領は、今回の抗議活動(the protests)はまだ「反乱(insurrection)」には当たらないと述べた。

しかし、その直後、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、抗議者たち(the protesters)を「反乱暴者の集団(insurrectionist mob)」と表現した。

「クリスティ・ノーム国土安全保障長官、ピート・ヘグゼス国防長官、パム・ボンディ司法長官に対し、関係省庁および機関と連携し、ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じるよう指示する」とトランプは投稿した。

トランプは更に「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう」と書いた。

(貼り付け終わり)

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