古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:カレン・バス

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 2025年6月7日にロサンゼルスで始まった、米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発(6月6日)に対する抗議活動、抗議デモは一部が過激化し、暴力行為や器物損壊、略奪が行われるようになり、ロサンゼルスのカレン・バス市長はダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令を出した。トランプ大統領は州兵と海兵隊を派遣した。トランプ大統領の決定に対して、かりいふぉるニア州のギャヴィン・ニューサム知事とバス市長は反発し、この措置が辞退を悪化させており、挑発的だと批判している。死者が出ていないのは幸いだが、負傷者や逮捕者が出ている。

 「ノーキングス」という組織団体が、抗議活動を全米に拡大することを計画し、参加を呼び掛けている。ニューヨークやシカゴ、シアトル、サンフランシスコなどのアメリカの大都市での抗議活動が計画されている。テキサスでも予定されているが、テキサスのグレッグ・アボット知事は州兵の派遣を明言している。暴力や器物損壊、略奪にまで至らないことを祈るのみだ。

 下記記事にあるが、ロサンゼルスの抗議活動には、「プロ暴徒(professional rioters)」と呼ばれる人間たちが参加して、事態を悪化させたようだ。CNNの記事には次のようにある。「しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという」。アメリカで常に暴動が起きて、それに乗じて略奪が行われている訳ではないが、そのような機会を狙う、もしくは醸成して、略奪行為を行うことを仕組む人々がいるようだ。今回の抗議活動もそのようなプロ暴徒によって利用されてしまったということのようだ。
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 今回の抗議活動で目立つのは、このブログでも取り上げたが、メキシコや他の中南米の国々の国旗を振り回す姿だ。このことはアメリカのメディアでも取り上げられている。私が書いたように、そのような行為は、一般のアメリカ国民にとって受け入れがたいことになるし、「盗まれた土地」についての議論になれば、大きな矛盾を抱えていることが明らかになる。共和党内部の反トランプ派の連邦下院議員で、カリフォルニア州選出のデイヴィッド・ヴァラダオ議員の主張が穏健なアメリカ国民の考えに近いだろうが、メキシコ国旗を振り回してアメリカ連邦政府の関連施設を取り囲む姿は、このような穏健な考えを持つ人々を強硬な態度にしてしまう可能性はある。

 ヴァラダオ議員はカリフォルニア州でも農業が盛んな地域の選出である。カリフォルニア州の農業にとって不法移民は、低賃金の厳しい労働を支えてくれる貴重な存在だ。不法移民たちがいるので、食品価格が抑えられているということも言われている(これによって海外との競争力も保たれることになる)。穏やかに、犯罪に関わらないで、労働にいそしんでいる不法移民はお目こぼしで、犯罪傾向の強い、もしくは既に犯罪をしてしまった不法移民から逮捕・強制送還せよ(捕まえやすいところで大量に捕まえて実績アピールをしても仕方がない)ということになるだろう。カリフォルニア州では州独自の休日として、3月31日の「シーザー・チャヴェス・デー」がある。これは、労働運動家であり、ヒスパニック・コミュニティのリーダーとして活躍した、シーザー・チャヴェスを記念する日だ。チャヴェスは10代から農場労働者として家族を支え、1962年に全国農場労働者協会(NFWA)を結成し、1966年に米国農場労働者連合(UFW)に拡大した。農業関連労働者の組織化を進めた人物だ。彼自身は不法移民ではないが、このように、アメリカの農業において、ヒスパニック、そして不法移民は重要な存在となっている。

 不法移民対策について議論があり、抗議活動があることは良いことであるが、それがプロ暴徒なる存在に利用されてしまっては本来の意義が見えなくなってしまう。また、下記記事にあるように、「ノーキングス」は、抗議活動の目的を、ICEに対するというよりも、「腐敗は行き過ぎだ」として、トランプ政権自体に向けるようになっている。これにメキシコ国旗が振られるようなことが起きれば、内戦(civil war)に、メキシコが後押ししているという印象を持たれて、「内政干渉(intervention)」や「侵略(invasion)」ということになってしまう。これは非常に危険な状態ということになる。アメリカの分断は深刻な状態を迎えている。

(貼り付けはじめ)
●「ロサンゼルスで抗議しているのはどんな人々なのか」

CNN日本版 2025.06.10 Tue posted at 18:50 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35234069.html

(CNN) エストレラズル・コーラルさんは週末、ロサンゼルス中心部にある勾留センター外での抗議活動に連日参加し、数十人の移民らへの正義を求めた。これらの移民は、武装した移民税関捜査局(ICE)の職員に勾留されている。装甲車両に乗った職員らは、中南米系の多い市内のオフィスを標的にしていた。

コーラルさんによれば、平和的なデモが数時間続いた後、州兵が反撃を始めた。コーラルさんはソーシャルワーカーで、主に住居や適切な書類を持たない住民のために活動している。

「彼らは催涙ガスをこちらへ投げてきた。私たちは言われたとおりにしていただけだった」「それで人々は本当に動揺し、怒った。そこから事態がエスカレートしたと思う」

8日の日暮れ時、CNNの特派員はデモが暴力に変わる様子を記録した。デモ参加者の一部は自動運転車に放火。幹線道路の高架下に逃げ込んだ警官隊に石を投げる参加者もいた。交通はデモ行進で封鎖されていた。別の参加者らはスプレーで法執行機関に反対するスローガンを連邦政府の建物に書いていた。ロサンゼルス市警によると、8日には少なくとも21人が逮捕された。

米政権は不法移民を強硬に取り締まっているが、1992年以降で初めて米国市民に対し州兵を派遣するとしたトランプ米大統領の決定は即座に反発を招き、やがて暴力へと発展した。

実際のところ、抗議デモは異なる集団に別れていたようだった。一方は適切な書類を持たない人々の保護を目的とする進歩派の住民。それに対しもう一方のデモ参加者は、街を暴力的な混乱に引きずり込もうとしているように見えた。

■「ララサ」を守る

米国内の「ララサ(メキシコ人や先住民)」の権利擁護に取り組む団体、ウニオン・デル・バリオは、ICEをはじめとする各機関に対抗する取り組みを称賛。広報担当者はソーシャルメディアへの声明で、ロサンゼルスのコミュニティーには「拉致や家族の引き離しから人々を守る道徳的権限と普遍的権利がある」と主張した。

「この数日で起きているのは破壊行為や犯罪行為ではなく、政府に対する抵抗運動だ。政府は我々の父や母、妻、夫、子どもたちを拉致している」「人々は家族や同胞に対する深い愛と正義感からこうした行動に出た」と、広報担当者は述べた。

しかし、ある郡当局者は8日の様子を、ロサンゼルスでの「最も危険な夜の一つ」だったと振り返った。

ロサンゼルス市警のジム・マクドネル本部長は、警官らへの暴力的な攻撃を非難すると同時に、平和的な抗議を行った昼間の人々と暴力を扇動した夜の人々とを区別する見解を示した。

警察幹部のある情報筋はCNNの取材に答え、8日夜に集まった群衆については情報分析が行われていることを明らかにした。

分析の結果、抗議デモ参加者の多くは最近の移民摘発を動機としており、連邦政府によるロサンゼルスへの州兵派遣にも不満を抱いていることが分かった。

しかし諜報(ちょうほう)分野の情報筋によれば、一部のデモ参加者は法執行機関が俗に「プロ暴徒」と定義する人々に合致する。こうした人々は法執行機関との衝突の機会を常に探しているという。

■暴力の負担は弱い立場のコミュニティーへ

ICEの職員がパサデナ・ホテルの従業員を取り調べていることを知り、全米日雇い労働者ネットワーク(NDLON)の共同執行取締役を務めるパブロ・アルバラード氏は抗議デモの呼び掛けを開始した。パサデナにある弱い立場の移民のコミュニティーを守るためだった。

「パサデナでは大勢の人が集まり、メッセージを声高に叫んだ。我々は装甲車や覆面姿の男たちがコミュニティーへやって来て人々を連れ去り、家族をばらばらにするのを望まないと、明確に伝えた」(アルバラード氏)

ただ同氏が付け加えたところによると、摘発への反応として暴力が市全体に広がり、本来の目的が汚されたとも感じたという。

「暴力が発生するたび、最も弱い立場にあるコミュニティーが代償を支払う。暴動で焼き打ちに遭うのは、決まって所得の低いコミュニティーの店舗だ」(同氏)

デモ参加者の怒りは理解できるが、暴力の言い訳にはならないとアルバラード氏。「誰かを襲撃しなくても、必要なメッセージを発することはできる」と訴えた。

■混乱に巻き込まれた家族

焼け焦げた自動運転車や落書きされた建物から数区画離れた地点では、週末の移民摘発で拘束された人々の家族が9日午前に記者会見を開いた。家族らは愛する人々をICEの拘留センターから釈放するよう求めた。

親族の写真を貼ったプラカードを握りしめ、一人ずつマイクの前に立ち、拘留された人々の権利の保護と法的手続きの尊重を呼び掛けた。

ジュリアンと名乗る若い女性は、父親が足かせで拘束され、ICE職員に連れ去られた光景を見て家族全員が精神的なショックを受けたと訴えた。とりわけ障害を持つ4歳の弟にとっては衝撃が大きく、父親について繰り返し尋ねる弟には「お父さんは仕事をしている」と答え続けているという。

冒頭のコーラルさんは、再三催涙ガスを浴びせられても抗議には足を運ぶと語る。誰かが自分たちのために立ち上がっていることを拘束されている人々に伝えたいからだという。

それでも連日唐辛子スプレーを吸い込んだ後、武装した州兵の列と対峙(たいじ)した8日には、自分の国で一体何が起きているのかという思いに駆られた。

州兵らは抗議デモの現場にそぐわない武器を携帯していたが、「私たちは一歩も引かなかった。『威嚇されてたまるか』という気持ちだった」とコーラルさんは振り返った。
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全米に広がるICE(移民税関捜査局)の襲撃に対する抗議活動Protests of ICE raids spread across US
アシュリー・フィールズ筆

2025年6月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5343883-protests-of-ice-raids-spread-across-us/

ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの抗議活動が全米に広がり、複数の団体が土曜日にデモを開始する予定だ。これは、大統領の79歳の誕生日にワシントンDCで行われる軍事パレードと時期を合わせたものだ。

「ノーキングス(No Kings)」と「50501」は、ニューヨーク、ペンシルヴァニア、ウィスコンシン、テネシー、フロリダ、アラバマ、ジョージア、カリフォルニアなど、幅広い州で抗議活動を主催するために提携している。

テキサス州オースティンでも抗議活動が予定されており、グレッグ・アボット知事(共和党)は州兵の出動を表明している。

これらの抗議活動は、ロサンゼルスでの移民・関税執行局(ICE)の捜査に抗議する最初のデモに続くものだ。デモの一部は器物損壊につながり、トランプ大統領はカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)とロサンゼルスのカレン・バス市長(民主党)の反対を押し切って州兵の出動を要請した。

国防総省は今週、700人の海兵隊員をロサンゼルスに派遣した。ニューサム知事はこれを挑発的(provocative)だと批判した。

この戦いは法廷闘争に発展し、現在では全米各地で新たな抗議活動を引き起こしているようだ。

「彼ら(トランプ政権)は私たちの裁判所を無視し、アメリカ人を国外追放し、街頭から人々を追い払い、私たちの公民権を侵害し、公共サーヴィスを削減した。腐敗は行き過ぎだ。王座も、王冠も、王もいない(No thrones. No crowns. No kings)」と、議活動の主催者はウェブサイト上の声明の中でこのように述べた。

主催者たちは、土曜日までの数日間にZoom会議を開催し、トランプ大統領による不法移民取り締まりに対抗するための計画、準備、そして街頭での動員を進めている。

「ノー・キングス」は、トランプ大統領が陸軍創立250周年を祝う大規模な軍事パレードを行う際、ワシントンで抗議活動を行う代わりに、フィラデルフィアでイヴェントを開催すると発表した。

「この記念パレードを重心の中心に据えるのではなく、私たちは他のあらゆる場所で、その日のアメリカの物語となる行動を起こす。全国のコミュニティで人々が結集し、ストロングマン政治(strongman politics)と腐敗(corruption)に反対する」と「ノーキングス」はウェブサイトに掲載している。

「そうした理由から、『ノー・キングス』はワシントンDCではイヴェントを開催しない。その代わりに、フィラデルフィアで大規模な中心となる行進と集会を開催し、市民主導の私たちの運動と、ワシントンで行われる費用がかさみ、無駄が多く、非アメリカ的な(un-American)記念日パレードとの明確な対比を示す」

トランプ大統領は、ノースカロライナ州フォートブラッグでの演説でデモ参加者を「動物(animals)」と呼んだが、その前に、ソーシャルメディアへの投稿で、ワシントンでの軍事パレードを妨害しようとする抗議者には「非常に大きな力(very big force)」が向けられると述べた。

トランプ大統領は兵士たちを前にして、「彼らは動物だが、他国の国旗を誇らしげに掲げている。アメリカ国旗は掲げていない。ただ燃やしているだけだ。たくさんの国旗が燃やされているのを見たか?」と述べた。

「燃やしていたのは、私たちの国の人間でも、私たちの国を愛する人間でもない。アメリカ国旗を燃やす者は1年間刑務所に入るべきだ」とトランプ大統領は続けた。

彼の発言は、ロサンゼルスで数日にわたって行われたデモと大規模な抗議活動の後になされた。
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カリフォルニア州選出の共和党連邦議員がドナルド・トランプ大統領の移民政策に反対(California Republican pushes back against Trump immigration enforcement

エミリー・ブルックス筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5342298-california-republican-valadao-trump-immigration-enforcement/

共和党穏健派のデイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、ドナルド・トランプ政権によるカリフォルニア州での移民執行措置に反発している。

ヴァラダオ議員はソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で「カリフォルニア州全域で継続中の米移民・関税捜査局(ICE)の活動について、私は依然として懸念を抱いており、トランプ政権との対話を継続し、長年にわたりこの渓谷で平和に暮らしてきた勤勉な人々よりも、既知の犯罪者の国外退去を優先するよう強く求めていく」と述べた。

この発言は、ロサンゼルスの一部地域で発生した移民執行措置に対する抗議活動で発生した暴力行為をヴァラダオ議員が非難した後に出されたものだ。

「私はアメリカ合衆国憲法修正第1条に定められた平和的な抗議活動の権利を支持するが、ロサンゼルスで発生している暴力行為(violence)と破壊行為(vandalism)は容認できない。人々を守り、状況を再びコントロールするために尽力している法執行官たちを支持する」とヴァラダオ議員は述べた。

ヴァラダオ議員は、農業が盛んな、競争の激しい選挙区を代表している。彼は、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件後、トランプ大統領の弾劾に賛成票を投じた残り2人の共和党下院議員のうちの1人だ。トランプ大統領はこれに注目し、昨年夏の2024年大統領選期間中に連邦下院共和党議員たちに演説した際に、ヴァラダオを特に名指しし、「私は彼を一度も愛したことがない」と述べた。

ヴァラダオの発言は、トランプ政権の移民執行措置と、地元民主党指導者の反対を押し切って行われている抗議活動に対応するために州兵を派遣したトランプ大統領の措置を、共和党指導部が概ね擁護している状況とは大きく異なる。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、抗議活動と移民逮捕を、トランプ大統領の減税と歳出優先事項の中で「大きくて素晴らしい法案」を可決する理由として挙げた。この法案には、移民執行措置と強制送還への予算の大幅増額が含まれている。

ジョンソン下院議長は記者会見で次のように発言した。「移民・関税局(ICE)の収容能力拡大に450億ドル、そして毎年少なくとも10億件の強制送還を実施するために、航空輸送と陸上輸送に144億ドルを予算計上する。これはかなり長期間にわたって実施する必要があるだろう。彼らはあまりにも多くの人々を入国させている。私たちは危険な不法移民から対策を始める。そして、カリフォルニアの暴徒と政治家たちがまさに守ろうとしているのは、まさに彼らなのだ」。

しかし、抗議者や民主党からの反対の多くは、トランプ政権が暴力犯罪で有罪判決を受けておらず、犯罪歴もない人々を逮捕し、国外追放しているという事実に集中している。

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メキシコ国旗がロサンゼルスの抗議活動のシンボルに:知っておくべきこと(Mexican flag becomes L.A. protest symbol: What to know

エリザベス・クリスプ筆

2025年6月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/5340119-mexican-flag-protests-la-trump/

緑、白、赤の縞模様のメキシコ国旗は、ドナルド・トランプ政権による移民取り締まりへの継続中の抗議活動が週末にロサンゼルスで勃発し、抵抗の象徴(an emerging symbol of resistance in ongoing protests)としてどんどん存在感を増している

メキシコ国旗を掲げる抗議活動参加者たちが、炎が燃え盛る中で、タクティカルギア(装備品)を身に着けた警察官たちが立ちはだかっている。この様子の写真や動画がオンラインや既存メディアで拡散し、トランプ大統領政権の主要メンバーたちの怒りを買っている。

特に目立った映像の1つは、覆面をしたメキシコ国旗の旗を持った人がダートバイクに乗り、炎上する車の周りをぐるぐると回る様子だ。

ヴァンス副大統領は土曜日、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」に「外国国旗を掲げた反乱分子たち(insurrectionists)が移民執行官たちを攻撃している一方で、アメリカの政治指導者の半数は国境警備を悪(evil)と決めつけている」と書き込んだ。

トランプ大統領の最側近の補佐官で移民問題強硬派のスティーヴン・ミラーは日曜日、ソーシャルメディアにメキシコ国旗を振る抗議者の複数の画像を投稿し、ロサンゼルスでの混乱を「反乱(insurrection)」と表現した。

ミラーはXへの投稿で、「外国人が外国国旗を振り、反乱を起こし、不法な外国侵略者を追放しようとする連邦法執行機関を妨害する様子を、何と表現するのが正しいのか」と述べている。

ミラーは別の投稿で、「たくさんの外国国旗を見てみよう。ロサンゼルスは占領されている地域だ」と付け加えている。

(1)抗議活動はどのように起きたか(How protests got here

移民人口が多く、民主党の牙城であるロサンゼルスでは、数千人が街頭に繰り出し、トランプ政権による大量不法移民国外追放の一環として、金曜日に約40人の逮捕者を出した連邦移民関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)の職場への強制捜査に抗議した。

トランプ大統領は、カリフォルニア州で高まる抗議活動を鎮圧するため、週末に2000人の州兵を派遣した。ホワイトハウスによると、州兵は60日間、あるいはピート・ヘグゼス国防長官が撤退を命じるまでロサンゼルスに派遣される予定で、今後数日中に数百人の海兵隊員が援軍として派遣される可能性がある。

トランプ大統領は日曜日のトゥルース・ソーシャル(Truth Social)への投稿で、政権関係者たちに対し「ロサンゼルスを移民の侵略から解放し、移民暴動に終止符を打つために必要なあらゆる措置を講じる(take all such action necessary to liberate Los Angeles from the Migrant Invasion, and put an end to these Migrant riots)」よう指示したと述べた。

トランプ大統領は「秩序は回復され、不法移民は追放され、ロサンゼルスは解放されるだろう(Order will be restored, the Illegals will be expelled, and Los Angeles will be set free)」と付け加えた。

ロサンゼルス市長カレン・バス(民主党)は、日曜に勃発した警察官と抗議者との間の緊張の「無秩序なエスカレーション(chaotic escalation)」はトランプ大統領の軍隊派遣のせいだと非難し、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は、自身の反対を無視して軍隊を派遣した連邦政府を州が訴えると述べた。

(2)メキシコ国旗が振られる(Mexican flags fly

過去の移民抗議活動では、デモ参加者たちに対し、アメリカの価値観への支持を象徴するため、アメリカ国旗を掲げるよう促してきた。

しかし、メキシコ国旗、他のラテンアメリカ諸国の国旗、そしてアメリカ国旗をあしらったメキシコ国旗の画像がロサンゼルスの抗議活動の中心となり、トランプの支持者たちから頻繁に非難の的となっている。

『アリゾナ・リパブリック』紙のコラムニストであるフィル・ボアスは今年初めの記事で、メキシコ国旗を振る抗議活動は彼らの主張に反する行為になっている可能性があると警告した。

ボアスは2025年1月にトランプがホワイトハウスに戻った直後にICE反対デモが勃発した際に次のように書いている。「若者のエネルギーと熱意は理解できるが、フェニックスとロサンゼルスのラテン系コミュニティの冷静な判断力を持つ人々は、若い抗議活動家たちへの介入を望むかもしれない。MAGAの顔にメキシコ国旗を振るのは気分がいいかもしれないが、MAGAではない多くのアメリカ人にとって、それがどれほど嫌悪感を抱かせるかを理解しきれていない」。

しかし、移民抗議活動で他国の国旗を見ることは、人々を団結させる共通の行為だと反論する人もいる。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙のコラムニストであるグスタボ・アレジャノは2025年2月に次のように書いた。「抗議活動で外国の国旗を振るのは良いトラブルだ。勇敢な人々が団結し、混乱しか理解しない最高司令官(大統領)に毅然と立ち向かうための合図だ」。

(3)メキシコが対応し国外追放を認める(Mexico responds, acknowledges deportations

メキシコの指導者たちは月曜日の記者会見で、金曜日のロサンゼルス移民税関捜査局(ICE)による捜査で42人のメキシコ人(男性37人、女性5人)が拘束されたことを認めた。4人は国外追放されたという。

メキシコのフアン・ラモン・デ・ラ・フエンテ外相は、「ロサンゼルスの収容施設に収容されているメキシコ人の状態を監視するため、引き続き訪問を続ける」と述べた。

メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は、抗議活動における暴力行為を非難したが、デモ参加者に退去は求めなかった。

「メキシコ系コミュニティに対し、挑発(provocations)に載せられることなく、平和的に行動するよう求める」とシャインバウム大統領は述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 民主党の大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデン前副大統領が誰を副大統領候補(vice president candidaterunning mate[選挙を共に戦う相棒])に選ぶか、注目が集まっている。バイデンは既に女性を選ぶと明言しており、これまでに数十名の候補者の名前が挙がっている。

 その中でも、以下の記事にある6名、大統領選挙の民主党予備選挙で争ったカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、タミー・ダックワース連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)、カレン・バス連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)、元国連大使・元国家安全保障問題担当大統領補佐官スーザン・ライスが有力候補と見られている。

 バイデンは「自分と考えが共通している人物を選ぶ」とも述べている。考えが違うと、政権内での争いの理由となってしまう。下に挙げている女性たちとは仲が良いようである。ハリスはアメリカの鉄道公社アムトラックの電車で通勤するという縁で親しくなり、ライスとはオバマ政権の8年間を共にしている。

 大統領選挙のことを考えると、連邦議員たちはそれぞれブルー・ステイト(Blue States)、民主党優勢州を地盤にしているので、今更テコ入れの必要はないので、重要性は低い。ウィットマーは、2016年の大統領選挙で民主党が落としたミシガン州知事であり、ミシガン州を確保したいとなれば、バイデンはウィットマーを副大統領候補に選ぶ可能性がある。

 政府での経験、特に外交の経験で言えば、スーザン・ライスということになる。ライスを副大統領候補に推す意見の中には、「バイデンは高齢であり、にもしものことがある可能性も高い。そうなれば大統領に昇格することになるので、経験豊富な人物の方が良い」というものがある。ライスが副大統領、そして大統領ということになれば、民主党内の人道的介入主義派が外交を牛耳るようになり、対外強硬姿勢ということになり、対中、対北朝鮮で東アジア地域が不安定になる可能性が高い。

 タミー・ダックワースはタイ系アメリカ人であり、イラクでの従軍中の事故で両足を切断する大怪我を負い、名誉戦傷勲章であるパープル・ハート勲章を授与された。ダックワースは閣僚として政権入りする可能性が噂されている。退役軍人長官就任の可能性がある。

 民主党全国大会も近づき、副大統領候補をそろそろ発表しなければならない時期である。誰を選ぶかで、バイデンの政権構想や選挙戦略が見えてくる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが副大統領候補選びの最終段階に:順位を上げている日立と下げている人たち(Biden edges closer to VP pick: Here's who's up and who's down

エイミー・パーネス筆

2020年8月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/511131-biden-edges-closer-to-vp-pick-heres-whos-up-and-whos-down

ジョー・バイデンは今週末にも副大統領候補を選ぶものと見られている。最初に数十人の候補者の名前が挙がり、数カ月にわたり取り沙汰されてきたが、複数の関係者によると、候補者は数名にまで絞られてきているということだ。

候補者全ては選考の中で株価を上げる次点というものを経験した。

ある候補者に近い人物は次のように述べている。「興味深い点はどうなるかは最後まで全く分からないということです。どの候補者も自分が何番手にいるのかを正確には分かっていないんです」。

これから副大統領候補として有力な人々について見ていく。

●カマラ・ハリス(Kamala Harris
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カリフォルニア州選出の民主党所属の連邦上院議員であるハリスは、副大統領候補レースで常に名前がトップに出てきている。多くの専門家たちは、その中にはバイデンに近い人々も含まれているが、ハリスが有力候補であり続けていると考えている。

しかし、ここ最近、ハリスは、バイデンとバイデン陣営との間で緊張関係にあるという報道がなされていることを不快に思っている。

複数の関係者は、複数の関係者に最後のお願いの電話をし、最後の最後での支持をお願いしている。

ハリスと話をしたある人物は「彼女は副大統領候補になりたいのは間違いないですよ」と述べた。

有力候補の位置にある現在でも、「彼女は本当に選ばれるか心配しています」とその人物は述べている。

●スーザン・ライス(Susan Rice
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バイデンの側近たちは、オバマ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたライスは候補者リストの上位につけている。その理由としてバイデンと緊密な関係を持っているということが挙げられている。

バイデン、ライス共に知っているある人物は「バイデンは、スーザンと協力できることは分かっている」と述べている。

ここ数週間、ライスはケーブルテレビの番組に多数出演し、バイデンの応援を行ってきたが、自身の副大統領候補となる見通しについては発言を控えていた。それでも副大統領候補となるために全力を尽くしている。

今週初めの「CBSディス・モーニング」でのインタヴューの中で、ライスは「行政府の最高クラスの地位での20年にわたる豊富な経験」を自分自身が持っていることを強調した。

ライスは数年前にネットフリックスの取締役となったが、株式のオプションを行使した。木曜日、『ハリウッド・レポーター』誌が報じたところでは、これは彼女が利益の相反を避けることを意図して行ったということだ。

●グレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer
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ウィットマーは、サプライズで、副大統領候補レースで順位を上げている。

複数の取材源が今週、本誌の取材に対して、ウィットマーは副大統領候補レースの最終段階で動きを続けているということだ。ある関係者は、ミシガン州知事ウィットマーは先週末デラウェア州を訪問し、バイデンと会い、一対一の最終面接を行った、と述べている。

民主党の幹部たちは秘密の世論調査の結果で、中西部北部地域がバイデンの弱点となることを懸念している。そのためにバイデン陣営はウィットマーを名簿から外すことができないでいると考えられている。

プラスして、ウィットマーとバイデンは気が合う。

バイデンに近いある人物は次のように述べている。「彼女が候補に残っているのは驚くことではないですよ。バイデンはウィットマーに好感を持っていますからね。これまでずっと」。

バイデンに近いある人物は、ウィットマーが早い段階でバイデン支持を表明したこと、民主党の新しい力を象徴していること、バイデンがどうしても勝ちたい州の出身であることを指摘している。

●カレン・バス(Karen Bass
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バスは民主党所属の連邦議員における有力候補である。しかし、彼女の株価は少し下がっている。先週複数のメディアが、バスのキューバとサイエントロジーに関する発言を報道した。

カリフォルニア州選出の民主党所属の連邦下院議員バスは、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟の委員長として多くの議員を従えて行動したが、それでメディアに多く報道されるようになった。彼女は現在も有力候補である。連邦議員としての立法経験と政府との関係の深さでバイデンを補佐することができると見られている。

バイデンに近いある人物は次のように述べている。「もしあなたがジョーのことをよく知っていたら、なぜ彼女が候補者の上位に来るか、その理由も分かると思いますよ。彼女はジョーにとって良いパートナーとなるでしょう」。

しかし、先週末のNBCの「ミート・ザ・プレス」での彼女のインタヴューが放送された後、民主党の内部には彼女を選ぶのはリスクが高いと考える人たちも出てきている。彼女を選ぶことで、重要な激戦州であるフロリダ州でバイデンへの票を減らしてしまう可能性がると考える人たちも出ている。フロリダ州にはキューバ系アメリカ人も多く住んでいる。

●エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren
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最近、ウォーレンは他の有力候補者たちに比べて静かである。

しかし、バイデンに近い人々は、ウォーレンが静かだからといって彼女が候補者から外されたと専門家たちが判断すべきではないと述べている。

副大統領選びの初期段階、ウォーレンとバイデンは頻繁に連絡を取り合っていたと関係者は取材に答えている。そして、バイデンが最近発表した経済に関する公約に関して、ウォーレン以上に影響を及ぼした人物は他にいない。

金曜日に『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載された記事の中で、ウォーレンは前のセカンドレディーのジル・バイデンと協力し、バイデンが発表した経済公約の子供たちの教育とケア分野の内容作成にかかわったと発言している。

ウォーレンはニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して、バイデンが「早い段階でこの問題に関心を持っていた」と述べている。

ウォーレンは更に、「このことから私は、バイデン政権ができたら子供たちの教育とケアが重要政策となるだろうという希望を持つようになっています」とも述べた。

●タミー・ダックワース(Tammy Duckworth
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バイデンに近い複数の民主党関係者は、バイデンがダックワースに好感を持っていると述べている。関係者は、イリノイ州選出の民主党所属の連邦上院議員であるダックワースが、イラク戦争に従軍し、パープル・ハート勲章を授与されているという経歴を持っており、この経歴が有権者の支持を集める上で極めて重要なことになるだろうと述べている。

それでも、関係者たちは、彼女が最終的に副大統領候補になれるかどうかについて懐疑的ではある。

バイデンに近いある人物は「ダックワースの名前は閣僚としてよくあがっているんですよ」と述べている。

ダックワースは水曜日、NPRのインタヴューの中で次のように述べている。「私はジョー・バイデンを当選させたいんです。私は彼のティームに協力してどんな仕事でもやりますよ。私たちが現在陥っている危機から脱出させることに役立つと彼が考えることを実現したいのです。それは世界規模での新型コロナウイルス感染拡大、我が国の経済状況、我が国への敵対国や敵対勢力といった問題なのです」。

ダックワースは次のように述べた。「私はただバイデンを当選させたいだけです。そうすることで私たちは道を逸れた私たちの国を元に戻すことができるのです」。

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