古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ガザ地区

 古村治彦です。

 イスラエルはハマスからの奇襲攻撃を受け、人質を取られたことで、それを奇貨として大規模な反撃を行い、ガザ地区での大規模な破壊を行った。多くの民間人が犠牲となった。アメリカの仲介による停戦は実行されたが、現在も状況は改善していない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、自身のスキャンダル隠しと訴追逃れのために、戦争状態を継続している。アメリカのドナルド・トランプ大統領のエプスタイン文書隠し、日本の高市早苗首相の自民党と統一教会の爛れた関係隠しと同様であるが、日本の場合は人間が殺されないだけまだましと言えるだろう。

 話は逸れたが、イスラエルは中東地域において地域覇権ではなく、生存を最優先にしてきた。そのために戦いながら、同時に交渉を行い、スパイ活動を行いながら情報戦を行いながら、近隣諸国と裏舞台では協力関係を保ってきた。中東諸国もイスラエルを公式には認めないスタンスであったが、裏では取引ができるようにしていた。

 ネタニヤフ首相の武力偏重のスタンスで、ガザ地区への大規模な攻撃は、せっかく進められていたサウジアラビアとの国交樹立交渉にも影響を与えた。サウジアラビアとしても、アラブの盟主として、イスラエルを公式に認めることができない状態になってしまった。中東地域の安定という地域共通の利益をイスラエルが破壊していることが根本の問題である。

 イスラエルのガザ地区とイランへの攻撃は短期的には一定の成果を上げるだろうが、中長期的に見て、それがイスラエルの利益になるとは考えられない。イスラエルが中東地域を支配することはあり得ない。武力で中東地域を従わせることはできないし、そもそもがそのような制度設計になっていない。結局のところ、ネタニヤフ首相の私戦を戦っているに過ぎない。これは、イスラエルにとっては一時的な逸脱という見方もできる。

(貼り付けはじめ)

イスラエルは(地域)覇権国にはなれない(Israel Can’t Be a Hegemon

-イスラエル政府は成功する可能性の低い地域支配を狙っている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年6月16日

https://foreignpolicy.com/2025/06/16/israel-iran-war-middle-east-hegemon/

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イェルサレムの政府報道室(Government Press OfficeGPO)での記者会見で、中東の地図の前で演説するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(2024年9月4日)

イスラエルによるイランへの広範囲にわたる攻撃は、地域のあらゆる敵対勢力を排除または弱体化させるためのキャンペーンの最新のラウンドである。2023年10月のハマス攻撃を受けて、イスラエルはパレスティナ人を意味のある政治勢力として破壊するための残忍なキャンペーンを遂行しており、主要な人権団体や多くの学術専門家たちはこれをジェノサイド(genocide)と呼んでいる。レバノンでは空爆(airstrikes)、爆弾を仕掛けた携帯電話(booby-trapped cellphones)、その他の手段でヒズボラの指導部を壊滅させた。イエメンではフーシ派を攻撃し、アサド政権崩壊後のシリアを爆撃して武器貯蔵庫を破壊し、危険と見なす勢力が政治的影響力を行使するのを阻止した。そして、イランに対する最新の攻撃は、イランの核インフラに損害を与えたり破壊したりする以上のことを目的としている。イスラエルは少なくとも、イランの核計画をめぐる交渉を終わらせたいと考えている。イランの最高指導者、軍関係者、外交官、科学者を殺害することでイランの反撃能力を弱体化させ、可能であればアメリカを戦争にさらに深く引きずり込む。最大限には、イランの体制を崩壊させるまで弱体化させることを望んでいる。

これらの行動はいずれも、少なくとも短期的には、また部分的には成功している。では、今やイスラエルを地域覇権国(a regional hegemon)とみなすべきだろうか? もしそのような国家が「特定の地域における唯一の大国(the sole great power within a particular region)」であり、「全面的な軍事力の試練において、他のいかなる国家(あるいは国家連合)も本格的な防衛力を発揮できない(no other states (or combination of states) could mount a serious defense in an all-out test of military strength)」と定義されるならば、イスラエルは今やその資格を満たしていると言えるだろうか? もしそうであれば、近隣諸国も覇権国に直面した際に他の国々がしてきたように行動することを期待すべきだろうか? つまり、「その優位性を認め、覇権国にとって極めて重要な問題においては従う(recognize its superior power and defer to it on matters of vital interest to the hegemon)」ということだろうか?

一見すると、この可能性は非現実的に思える。人口1000万人にも満たない国(そのうちユダヤ人は約75%に過ぎない)が、数億人(主にイスラム教徒のアラブ人)と9000万人以上のペルシャ人を抱える広大な地域を、どのようにして支配できるのだろうか?

しかしながら、イスラエルが近隣諸国に対して多くの優位性を持っていることを考えると、この考えはより説得力を持つように思える。イスラエル国民はアラブ諸国の国民よりも教育水準が高く、愛国心が強く、より有能な指導者に導かれてきた。イスラエルは裕福で政治的に影響力のあるディアスポラ(diaspora、離散民)から惜しみなく揺るぎない支援を受けており、過去にはイギリスやフランスといった大国からも多大な支援を受けてきた。アラブ諸国のライヴァル諸国の多くは、様々な内部分裂(internal schisms)、動乱(upheavals)、クーデター(coups)に直面し、アラブ諸国間の対立(divided by inter-Arab rivalries)によって分断されてきた。

さらに言えば、現代の軍事力は単なる兵力よりも、技術力、訓練、そして能力の高い指揮統制に大きく依存しているため、イスラエル国防軍(Israel Defense ForcesIDF)は常に、敵対する軍よりもはるかに優れた能力を誇ってきた。この優位性は、戦争が高価で高度な兵器にますます依存するようになるにつれて、さらに高まっている。ヒズボラとハマスは共に時とともに能力を高めていったものの、どちらもイスラエルの存在を脅かしたり、イスラエルがヒズボラとハマスに与えることのできる損害に匹敵したりすることはできなかった。イスラエルの膨大な核兵器と評価の高い情報能力はその立場をさらに強化した。

何よりも重要なのは、イスラエルがアメリカから広範かつほぼ無条件の支援を受けていることだ。アメリカ政府はイスラエルの行動の如何に関わらずイスラエルを支持し、イスラエルの「質的軍事優位性(qualitative military edge)」を維持することを正式に約束している。この支援がなければ、約1000万人のイスラエル人は自国の領土を守ることはできるが(核兵器を保有していることを忘れてはならない)、周辺地域を支配する可能性はほとんどない。

以上の点を考慮すると、イスラエルがより広い中東知己を支配するという考えはそれほど突飛なものではない。しかし、イスラエルを真の地域覇権国と見なすのは誤りだろう。

第一に、地域覇権国は近隣諸国に比べて非常に強力であるため、近隣諸国から重大な安全保障上の脅威を受けることはなく、真のライヴァルがすぐに出現することを心配する必要もない。これは、20世紀初頭までにアメリカが達成した立場だ。他の大国は西半球(the Western Hemisphere)から撤退し、この地域のどの国や組み合わせも、アメリカの経済力と軍事力の組み合わせに近づくことはできなかった。キューバ危機(外部の大国(ソ連)が核兵器搭載ミサイルを西半球に送り込んだ)という短い例外を除けば、アメリカは19世紀後半以降、西半球地域からの重大な軍事的脅威に直面していない。この特権的な立場により、ワシントンは外交・防衛政策をユーラシアに集中させ、戦略的に重要な地域で他の大国が同様の地位を獲得するのを阻止することができた。

今日のイスラエルは、その基準を満たしていない。例えば、フーシ派は依然として反抗的な姿勢を崩しておらず、イスラエル国防軍はガザ地区の住民に甚大な被害を与えたにもかかわらず、依然として泥沼に足を取られている状況だ。イスラエルはヒズボラとハマスを著しく弱体化させたが、これらは非国家アクターであり、イスラエルの存在に実存的な脅威を与えたことはこれまで一度もない。今日、アラブ諸国や連合軍でイスラエルに匹敵するものは存在しない。しかし、トルコとイランはどちらも強力な軍事力とはるかに大きな人口を有しており、総力戦(all-out war)が発生した場合、たとえ最終的に敗北するにしても、それぞれ信頼性の高い防衛体制を構築することができる。つまり、イスラエルはこれらの国々を計算から除外したり、これらの国々が従うと想定したりすることはできない。イランの継続的な抵抗がそれを如実に示している。最近の攻撃に対するイランの報復は、被った被害に比べれば少ないものの、決して軽微なものではなく、紛争はまだ終わっていない。たとえ今回の戦闘で敗北することになったとしても、テヘランが自国の利益をイスラエルに進んで従属させる兆候は見られない。その理由だけでも、イスラエルは地域の覇権国とは言えない。

さらに言えば、これらの最新の攻撃の正当化の根拠は全て、イランがいつの日か核兵器を入手するかもしれないという懸念にあった。リスクは、イランが自殺行為となる核兵器でイスラエルを攻撃することではなく、むしろイランの核兵器が、イスラエルがこの地域で無制限に武力を行使する能力を制限する可能性にあった。イスラエルの指導者たちが、より大きな抑制をもって行動せざるを得なくなる可能性を危険と見なしたことは、彼らが世界唯一の真の地域覇権国であるアメリカが長年享受してきたような「無料の安全保障(free security)」を享受していないことを示している。

イスラエルの最近の戦場での成功も、イスラエルが支配する地域の人口の約半分を占めるパレスティナ人というより根本的な問題を解決してはいない。イスラエルの優れた軍事力と情報能力は、2023年10月にハマスが数百人のイスラエル人を殺害するのを防げなかった。また、それに対する報復としてイスラエルが5万5千人以上のパレスティナ人を殺害したことで、この紛争の政治的解決に近づいた訳でもない。むしろ、イスラエルの世界的なイメージは著しく傷つき、長年の同盟諸国でさえ支援を弱めている。

最も重要なのは、イスラエルが依然としてアメリカ国内の後援者に決定的に依存している点だ。アメリカは、隣国を攻撃するために必要な航空機、爆弾、ミサイルの大半を供給し、絶え間ない外交的保護を提供している。真の地域覇権国は近隣地域を支配するために他国に依存する必要はないが、イスラエルは依存せざるを得ない。強力な国内利益団体の影響力により、アメリカの支援は何十年にもわたって揺るぎないものだったが、近年、この関係には緊張の兆しが見られ、アメリカの力そのものの衰退に伴い、この関係を維持することはさらに困難になるだろう。そして、今回の戦闘が最終的に米国を巻き込むことになれば、ドナルド・トランプ米大統領がアメリカの平和を維持すると信じていた MAGA の支持者たちを含め、より多くのアメリカ国民が、「特別な関係(special relationship)」のためにアメリカが支払っている多大な代償を認識することになるだろう。

最後に、永続的な地域覇権は、近隣諸国が覇権国の優位な地位を受け入れる(場合によっては歓迎する)ことを必要とする。そうでなければ、覇権国は常に新たな反対勢力の出現を懸念し、反対勢力の出現を阻止するために繰り返し行動を取らざるを得なくなる。自らの特権的な地位(privileged position)を他国に受け入れてもらうためには、永続的な覇権国はある程度の寛容さ(forbearance)をもって行動しなければならない。これは、フランクリン・D・ルーズヴェルト元米大統領がラテンアメリカに対して「善隣(Good Neighbor)」政策を採用した際に示したものである。ナポレオン時代のフランス、ナチス・ドイツ、大日本帝国といった地域覇権国を志向した国々が一時的に優位な地位を獲得したものの、当初の成果を固めることができず、最終的にはより強力な反対勢力の連合に屈服したことを想起することに価値がある。

しかし、隣国への寛容を持っての処遇はイスラエルの得意分野ではなく、イスラエルの右翼勢力や宗教過激派の影響力拡大によって、その可能性はさらに低くなっている。これらを総合すると、イスラエルが地域の覇権国となるには程遠い。指導者たちがその地位を望んでいることは疑いない—当然だろう—。しかしそれは永遠に手の届かないものとなる。つまりイスラエル国家の長期的な安全保障は、結局のところパレスティナを含む近隣諸国との永続的な政治的解決の達成にかかっている。これは、永続的な安全保障が最終的に依存するのは力だけではなく政治であるという、また1つの教訓なのである。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialX:アカウント@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 

 2022年10月から続いていたイスラエルとハマスの紛争は途中にイランも巻き込み、中東地域を不安定化させた。ガザ地区では約7万の民間人が犠牲となった。イスラエル側にも多くの犠牲者が出ている。2025年に停戦合意が結ばれたが、先行きは不透明となっている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区への圧力を強め、紛争状態を長引かせようとしている。ハマス殲滅を大義名分に掲げているが、実際は、地震と家族が抱える汚職に関する裁判を避ける意味合いが大きい。先日、ついに大統領に対して、恩赦を求めるという事態になった。自身の個人的な利益、犯罪行為の処罰を避けるために紛争を続けるという国益を損なう行為をしているということになる。

 アメリカは常にイスラエルを支援してきた。それはイスラエルの建国以来ずっと続いている。それは、アメリカ国内におけるイスラエル系有権者の力の大きさということもあるが、中東地域において唯一の西洋型の民主政治体制国家を守るという大義名分もあった。しかし、最近では、アメリカ国民の間でイスラエル支持が縮小している。これをユダヤ人差別と見るのは早計だ。ユダヤ人とイスラエルを区別して考えるようになっている。特に、ネタニヤフ首相のような、個人の利益を国家の利益に重ねてしまうようなことに反対している。ドナルド・トランプ大統領は強力なイスラエル支持者であると見られているが、トランプはそのような単純な人物ではない。イデオロギーとか論理とか、そういうものに縛られる人物ではない。トランプがイスラエルを支持しているからと言ってそれが未来永劫続く訳ではない。ネタニヤフ首相に対しては良い顔をしながらも、裏では「切る」タイミングを考えている。アメリカとトランプ政権はイスラエルを安心させていない。これこそは外交の基本である。日本外交がこの基本ができていると言われると心許ない。

(貼り付けはじめ)

イスラエルはアメリカが依然として自国の味方かどうか疑問に思っている(Israel Is Wondering if America Is Still on Its Side

-アメリカの政策と国民の支持の変化を受けて、イスラエル人は答えを探し求めている。

アンチャル・ヴォーラ筆

2025年12月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/01/israel-trump-america-gaza-abraham-accords/

政治的立場を問わず、アメリカ国民の間でイスラエルへの批判が高まっているのと同様に、イスラエル人も、ワシントンの中東における最近の政策決定の多くがイスラエルにとって不利益となるかどうかを議論している。アメリカ政府はしばしば、イスラエルの政策を統制し、行動の自由を制限しようとしているとされている。イスラエルとアラブ諸国の報道機関は、アメリカがイスラエルを独立した主権国家としてではなく、51番目の州として扱っているのではないかと疑問を呈している。

イスラエル民主政治体制研究所の最近の世論調査によると、イスラエル人のほぼ半数が、アメリカはイスラエル政府よりも「安全保障上の決定に大きな影響力を持っている」と考えている。

アメリカにおいては、イデオロギーの違いを超えてイスラエルへの批判が高まっている。ピュー・リサーチ・センターによると、過去3年間で共和党支持者、特に若年層の間でイスラエルに対する否定的な見方が高まっている。アメリアでは伝統的に最も強力な親イスラエル派である福音派キリスト教徒たち(Evangelical Christians)も、イスラエルの圧力を受けたことで、「永遠の戦争(forever wars)」を終わらせるという約束を裏切ったとみられるドナルド・トランプ米大統領によるイラン爆撃に憤慨している。

反イスラエル・親トランプのMAGA基盤からは、さらに厳しい挑戦が巻き起こっている。フォックス・ニューズの元司会者タッカー・カールソン、トランプの前大統領顧問のスティーヴ・バノン、そして連邦下院議員マージョリー・テイラー・グリーンは、アメリカのイスラエル支援に疑問を呈している。しかし、広大なMAGAの世界に生きる他の人々は、こうした政策への不同意を口実に反ユダヤ主義的な発言を吐き出している。10月、カールソンは極右白人至上主義者のニック・フエンテスにインタヴューを行い、彼に発言の機会を与えた。フエンテスは露骨な反ユダヤ主義的な見解を述べ、アメリカのユダヤ人が同化を拒否し、「組織化されたユダヤ人(organized Jewry)」こそが国家統一の最大の障害だと非難した。

専門家たちは、トランプ政権下でもアメリカのイスラエル支援は継続されるものの、イスラエル政府はMAGA基盤に対し、イスラエルがアメリカの利益に合致しているという姿勢をより明確に示すために方針を変える可能性があると見ている。イスラエルの元国家安全保障担当副首相補佐官で、エルサレム戦略安全保障研究所(JISS)副所長のエラン・レーマンは「経済援助モデルから軍事面での相互協力モデルへの転換(from the model of economic aid to a model of mutual cooperation on the military side)が必要だ」と述べた。レーマンは「トランプ自身が情勢を完全に掌握している限りイスラエルとの関係は安全だ」とも述べている。

しかし、トランプこそが問題の最大の原因だと指摘する声もある。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との関係は、友好的とは程遠い。イスラエル人ジャーナリストであるバラク・ラヴィッドの著書『トランプの平和:アブラハム合意と中東の再構築(Trump’s Peace: The Abraham Accords and The Reshaping of The Middle East)』の取材に応じた際、トランプはネタニヤフについて「クソ野郎だ(Fuck him)」と述べた。より大きな懸念は、トランプのイスラエル支持が、歴史的に差別されてきたコミュニティへの支援や中東における民主政体国家であるイスラエル支持といった原則に基づくものではなく、自らを平和主義者として見せかけ、ノーベル賞受賞を確実なものにするためのものだという点だ。

実際、イスラエルの戦略コミュニティを大いに驚かせたように、トランプはアラブ諸国の指導者たちの主張にも耳を傾け、経済発展のためのアメリカからの支援拡大や武器供給を求める声にも耳を傾け、パレスティナ問題への関心を完全に放棄させないようにしている。第一次政権時代、トランプが占領下のゴラン高原を(シリアではなく)イスラエルの領土と認め、アメリカ大使館をテルアヴィヴからエルサレムに移転したにもかかわらず、アラブ諸国はトランプの耳元で効果的なささやきを続け、惜しみない称賛と豪華な航空機まで贈ってトランプの歓心を繋ぎ止めている。

トランプはラヴィッドに対し、ネタニヤフ首相がパレスティナとの紛争を終結させ、合意を成立させたいと考えているとは考えていないと述べた。一方、野党指導者のベニー・ガンツはそう望んでいると述べた。トランプの批判は主に、2020年のアメリカ大統領選挙でジョー・バイデンが勝利した後、ネタニヤフ首相がバイデンに送った祝辞から生まれたようだ。ラヴィッドはその後の会話で、トランプのネタニヤフ首相に対する口調ははるかに穏やかだったとも指摘しているが、本書の記述は、しばしば強固とされる両者の関係の暗い側面を明らかにしている。

トランプはここ数日、ネタニヤフ首相への支持を表明しており、今月はイスラエル大統領に対し、汚職事件での恩赦を求めた。しかし、専門家たちは、これはより大きな戦略の一環だと見ている。それは、ハマスの武装解除の遅延、あるいは確実性に関わらず、ネタニヤフ首相によるヨルダン川西岸併合を阻止し、停戦を維持するという戦略だ。

停戦合意の直後、トランプ大統領はマルコ・ルビオ国務長官やJD・ヴァンス副大統領を含む複数の政権メンバーを急派し、「ビビ・シット(Bibi-sit)」、つまり「ビビ」の愛称を持つネタニヤフ首相によるハマス攻撃を阻止するよう指示した。ハマスを壊滅させることはイスラエルの戦争目標だったが、ハマスが依然としてガザ地区の47%を支配しているため、イスラエル人の一部は、その目標を達成するのはトランプ大統領の責任だと指摘している。

JISSのヨシ・クーパーワッサー所長は「トランプは和平委員会の長だ。だから、ハマスの武装解除を実現させなければならない」と述べた。しかし、トランプの計画では武装解除のタイムラインやプロセスが明確ではなかったと認めた。

ガザ地区から約32キロ離れた場所に、アメリカは民軍調整センターを設置し、200人のアメリカ兵と西側諸国の代表者が行き交っている。この兵站センター設置の目的は、トランプの和平計画の次の段階を計画することだが、同時にイスラエルの政策と国防軍を外国勢力の監視下に置いて、彼らの手を縛ることにもなる。

他にも多くの政策面で意見の相違が生じている。最新鋭のF-35戦闘機をサウジアラビアに売却するというトランプの決定は、イスラエルの多くの人々を動揺させた。イスラエルはリヤドとの関係正常化に熱心だが、サウジアラビアは、この地域における質的な軍事的優位性を失いたくないと考えている。トランプ大統領によるシリア制裁の解除と、ジハード主義者で後に大統領となったアハメド・アル・シャラーの支持は、イスラエル国内で懸念を引き起こしている。

さらに、トランプ大統領がカタールとトルコを支持していることは、アメリカがハマスに影響を与える主要国と見なしている一方で、イスラエルはハマスに同調していると見なしており、その対応は困難を極めている。ネタニヤフ首相がドーハでハマス指導者たちを爆撃したことについてカタールに強制的に謝罪したとみられる事態を受け、今度はアメリカがガザ地区に展開する国際安定化軍(International Stabilization ForceISF)へのトルコの参加を支持していると報じられている一方、イスラエルはトルコの地上部隊の受け入れを拒否している。

アメリカの対イスラエル支援に亀裂が生じているのは誇張であり、トランプ大統領の政策は依然としてイスラエルに大きく有利に働いているという意見もある。

しかし、ガザ地区で6万9000人以上のパレスティナ人が死亡するなど死者数が増加していること、ヨルダン川西岸地区の併合とパレスティナ人の追放を推進するイスラエルの右派連合、アメリカがイスラエルのためにイランとの新たな戦争に介入するのではないかという懸念、そしてトランプの「MAGA」支持層におけるイスラエルへの支持の分裂といった様々な要因が重なり、初めてアメリカ国民がイスラエルへのアメリカの支援の根拠に疑問を抱き始めていることは否定できない。先月、レスリー・スタールとの「60ミニッツ」インタヴューで、トランプの義理の息子であり、中東問題における二大交渉担当者の1人であるジャレッド・クシュナーは、トランプは「イスラエルの行動は制御不能になりつつあり、今こそ強硬手段を取り、長期的な利益に反する行動を阻止すべき時だ」と感じていると述べた。

チャタムハウスのシニアコンサルティングフェローであるヨシ・メケルバーグは、イスラエル人はトランプ大統領の対イスラエル政策について様々な見解を持っていると述べた。しかし、アメリカ国民のイスラエル支持率の低下は「戦略的に非常に危険」であり、イスラエル政府の政策転換を促す必要があると主張するのは難しいとメケルバーグは述べた。イスラエルは武器の69%を米国からの供給で賄っており、あらゆる種類の外交支援もアメリカから受けているとメケルバーグは付け加えた。

アメリカがイスラエルの意向を全て考慮せずに地域政策を推進しようとすれば、イスラエルには頼る術がない。イスラエルは、大統領執務室にいる人物と協力するしかない。たとえ、人質の帰還という合意を成立させたことで絶大な人気を誇る大統領であっても、他方では国の司法制度に介入しているように見える。トランプは、ネタニヤフ首相の恩赦を求める権利などないと考えるイスラエル人の一部を怒らせたようだ。「トランプが、自分には恩赦を求める法的根拠がないという事実を全く認識せずに、ネタニヤフ首相の恩赦を求めたというのは奇妙な話だ」とメケルバーグは述べた。

一方、ネタニヤフ政権は、平和をもたらす形で戦争を終結させ、アメリカで失った支持の一部を取り戻すという先見の明のある政策転換を行うどころか、広報会社を雇ってオンライン上に親イスラエル的なコンテンツを作成し、アメリカ国内の世論を操作していると非難されている。

※アンチャル・ヴォーラ:ブリュッセルを拠点とする『フォーリン・ポリシー』コラムニスト。ヨーロッパ、中東、南アジアについて執筆している。『タイムズ・オブ・ロンドン』誌で中東担当を務めた。アルジャジーラ・イングリッシュとドイチェ・ヴェレのテレビ特派員も務めた。以前はベイルートとデリーを拠点に、20カ国以上の紛争や政治を報道してきた。Xアカウント:@anchalvohra

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イスラエルとハマスの紛争、ガザ地区への攻撃と民間人殺傷は、停戦合意によって、小康状態になっているが、民間人の苦境は続いている。イスラエルに対する国際刑事裁判所のカリム・カーン検察官が、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防大臣に対して逮捕状を請求したことによる。カーンは同時にハマスの指導者に対しても逮捕状を請求した。これに対して、ネタニヤフ首相はカーンを反ユダヤ主義者と非難し、法律専門家もカーンがイスラエルとハマスを同じレベルに置いたことに動揺した。多くの一般市民も怒りを抱くが、その感情だけではカーンの訴えの根拠を判断するのは難しい。しかし、カーンは証拠を集めるため、国際法の専門家からなる委員会に相談し、その結果、彼が特定した容疑者が戦争犯罪や人道に対する罪を犯したと信じるに足る合理的な根拠があると結論付けた。ネタニヤフ首相とガラント大臣に対する主な容疑は、ガザの民間人に対する共通の計画として、飢えや暴力を用いた行為に関与した点である。つまり、これは人道支援の妨害が失策ではなく、意図的な行為であったという主張を基にしている。カーンはビデオや衛星画像などを資料として提示しているが、具体的な証拠は公にはされていない。
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テオドール・メロン

国際刑事裁判所において重要な役割を果たしたのは、ユダヤ人の著名な法学者テオドール・メロンである。メロンは、入植地の問題についても指摘している。1967年における入植の開始時、彼は法的な観点から問題があることをイスラエル政府に伝えたが、無視された。仮にイスラエル政府が当時のアドバイスに従っていれば、入植地はなかったかもしれず、中東の平和にも違った道があったと考えられる。入植地の存在がイスラエルの外交政策に影響を与え、特にネタニヤフ政権においてその傾向が強化された。そのような人物が国際刑事裁判所で重要な役割を果たした。メロンという人物はイスラエルの愛国者と言える存在だろう。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は私利私欲のために、ナショナリズムを利用し、中東と世界に災厄を与えている。メロンは現在も存命である(95歳)。彼に続き、イスラエルのために、イスラエルの政策を批判する人たちはたくさんいる。私たちはそのことに思いをいたすべきだ。

(貼り付けはじめ)

イスラエルをイスラエル自身から救おうとした男(The Man Who Tried to Save Israel From Itself

-今回、イスラエルはテオドール・メロン(Theodor Meron)の警告に従わなければならない。

ガーショム・ゴレンバーグ筆

2024年6月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/06/04/israel-settlements-occupation-theodor-meron-gaza-netanyahu/?tpcc=recirc062921

「ハーグの偽善(the Hague’s Hypocrisy)」と、イスラエルの大衆向け日刊紙は見出しに大々的に書き立てた。ライヴァル紙は負けじとばかりに「ハーグの恥辱(the Hague’s Disgrace)」と見出しを付けた。

国際刑事裁判所のカリム・カーン検察官が、人道に対する罪(crimes against humanity)でイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント国防大臣に対して逮捕状を請求すると発表したとき、イスラエル国内で最も明らかな国民の反応は激怒だった。カーン検察官が同時にハマスの指導者3人の逮捕を要請しても、この怒りは収まらなかった。

ネタニヤフ首相は予想通り、カーンが「反ユダヤ主義の火(the fires of antisemitism)」を煽っていると非難した。しかし、首相に深く批判的なイスラエルの法律専門家ですら、カーンがイスラエルとハマスの司令官を同じカテゴリーに入れているように見えることに動揺している。ある人は「攻撃者(ハマス)と攻撃される側(イスラエル)の間に法的同等性を設けるのは容認できない」と書いた。

私もごく普通のイスラエル人なので、その反射的な怒りをいくらか共有できる。世界はイスラエルの行動に過剰な注目を払い、2023年10月7日にどちらの側が残虐行為を犯し、この戦争を引き起こしたのかを忘れているようだ。

しかし、怒りは、カーンがネタニヤフとガラントを訴える根拠となるかどうかを判断する上で、あまり有効な手段ではない。私にとって、その疑問に答える鍵は、ある名前にある。テオドール・メロンだ。

カーンは、要請書を提出する前に、戦争法に関する主要な専門家で構成される委員会に証拠を提出した。委員会は全員一致で、「カーンが特定した容疑者が、国際刑事裁判所の管轄権の範囲内で戦争犯罪および人道に対する罪を犯したと信じるに足る合理的な根拠がある」と結論付けた。ホロコースト生存者であり、法学者であり、元イスラエル外交官でもある94歳のテオドール・メロンは、これらの専門家の中でも群を抜いて著名な人物である。

私が「T・メロン」という名前に初めて出会ったのは、20年以上前、占領地におけるイスラエル人入植地の歴史に関する著書『偶然の帝国(The Accidental Empire)』の調査中に、イスラエル国立公文書館でのことだった。故レヴィ・エシュコル・イスラエル首相の事務所から機密解除されたファイルのページ下部に、彼の署名があった。ページ上部には「極秘(Most Secret)」と記されていた。その間に記された情報が、私を彼についてもっと知りたいという気持ちにさせた。

メロンは1930年、ポーランドのカリシュで、彼自身が「中流階級のユダヤ人家庭(middle-class Jewish family)」と表現する家庭に生まれた。「幸せだったが、残念ながら短かった幼少期」は、9歳の時にドイツ侵攻によって終わりを迎えた。ナチスが支配するゲットーや強制労働収容所で暮らしながらも、どうにかホロコーストを生き延びた。しかし、彼の家族のほとんどは生き延びられなかった。終戦直後、15歳の時、彼は当時イギリス領だったパレスティナのハイファ市に移住した。

それからの6年間、彼にとって唯一の学校教育は苦痛に満ちたものとなった。失われた教育の年月は「私に学びへの強い渇望を与えてくれた」と彼は後に語っている。彼は新しい言語で高校を卒業し、ヘブライ大学で法学の学位を取得し、ハーヴァード大学で博士号を取得し、ケンブリッジ大学で国際法の博士研究員として研究を行った。

1957年、学術界のポストに就く見込みのないメロンは、イスラエル外務省からのオファーを受けた。1967年の六日間戦争(第三次中東戦争)直後、37歳にしてイスラエル外務省の法律顧問、つまり事実上イスラエル政府における国際法の最高権威に任命された、天才(wunderkind)なのである。

大使としての10年の任期を経て、彼は学術界に戻った。多くのイスラエル人学者と同様に、これは海外留学を意味した。メロンの場合は、ニューヨーク大学ロースクールへの留学だった。彼の法律に関する論稿は、「国際刑事裁判所(international criminal tribunals)の法的基盤構築に貢献した」と評されている。国際刑事裁判所の始まりは、ユーゴスラビア崩壊後の戦争犯罪を扱うために1993年に国連が設立した裁判所である。

当時アメリカ市民であったメロンは、2001年に国際刑事裁判所の判事に任命された。彼は数年間、同裁判所の所長と控訴裁判所判事を務めた。インタヴューで、彼は自身の立場を「胸が締め付けられる(poignant)」と同時に「気が重くなる(daunting)」と語った。かつてナチスの少年囚人だった彼が、今やジェノサイドを含む犯罪の裁判長を務めているのだ。彼は特に、「レイプと性奴隷制を人道に対する罪と定義した」判決を誇りに思っている。

メロンは、1990年代後半、再びオックスフォード大学の法学教授として、また最近ではイスラエルとハマスの指導者に対する訴訟を担当する国際刑事裁判所所長カーンの顧問も務めている。

カーンの令状請求は有罪判決ではないことを肝に銘じておくことが重要だ。メロンをはじめとする専門家たちが確認したのは、証拠と法律がネタニヤフとガラント、そしてハマス関係者のヤヒヤ・シンワル、モハメド・デイフ、イスマイル・ハニヤを裁く根拠を提供しているということだ。

専門家たちの報告書は、国際刑事裁判所(ICC)に訴訟適格がないとするイスラエルの主張を否定した。「ガザ地区を含むパレスティナは、国際刑事裁判所規程の適用上、国家である」と専門家たちは述べた。イスラエルとは異なり、パレスティナは国際刑事裁判所の管轄権を受け入れている。したがって、国際刑事裁判所はガザ地区における行動、そしてイスラエル領内でのパレスティナ人の行動について判決を下すことができると報告書は述べている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙に寄稿した共同意見記事の中で、メロンと同僚たちは「これらの容疑は紛争の理由とは全く関係がない」と強調した。その点を敷衍すると、イスラエルは正当化可能な防衛戦争(a justifiable war of defense)を行っているかもしれないが、政府首脳を含む一部のイスラエル人は、その戦争遂行の過程で罪を犯した可能性がある。

シンワル、デイフ、ハニヤに対する起訴案には、10月7日のイスラエル攻撃における民間人殺害という人道に対する罪である絶滅(extermination)、人質の確保、強姦といった戦争犯罪が含まれている。

ネタニヤフとガラントに対する主な容疑は、ハマスを根絶やしにし、イスラエル人人質を解放し、ガザ地区の住民を処罰するために、「ガザ地区の民間人に対する飢餓やその他の暴力行為を用いるという共通の計画(a common plan to use starvation and other acts of violence against the Gazan civilian population)」に関与したという点である。言い換えれば、人道支援の妨害は失策ではなく、戦争遂行のための意図的な手段だったとされている。

カーンは、生存者へのインタヴュー、ビデオ資料、衛星画像など、自身が収集した証拠の種類を列挙している。しかし、証拠そのものは公表していない。今のところ、私たちは専門家全員の一致した見解に頼るしかない。そして、カーンの主張が確固たるものかどうかを判断できるのは、おそらくメロン以上に適任な人物はいないだろう。メロンがイスラエルを迫害していると示唆するのは滑稽であり、彼が反ユダヤ主義者だと主張するのは言語道断だ。

これは判決ではない。告発を真剣に受け止めるべき理由だ。

実際、イスラエル政府がテオドール・メロンの訴えをもっと早く、つまり私がアーカイヴで発見した覚書を書いた1967年9月に真剣に受け止めていれば、イスラエルはこのような状況には陥っていなかっただろう。

当時、エシュコル首相は、3カ月前の予期せぬ戦争でイスラエルが征服した領土に入植地を建設すべきかどうかを検討していた。エシュコルは、1948年にアラブ軍に制圧されたキブツ、クファル・エツィオンの再建に傾いていた。その場所は、ヨルダン川西岸地区のヘブロンとベツレヘムの間にあり、その間ヨルダンの支配下に置かれていた。エシュコルはまた、同じくイスラエルに最近征服されたシリア領ゴラン高原への入植にも関心を持っていた。

しかし、閣議において法務大臣は「施政下」地域[administered” territory](政府が占領地を指す用語)への民間人の定住は国際法違反になると警告していた。エシュコルの局長は外務省の法律顧問に意見を求めた。

メロンの回答は断定的だった。「私の結論は、施政下における民間人の定住は、ジュネーブ条約第4条の明示的な規定に違反となる」。メロンによると、1949年の戦時における文民保護に関する条約は、占領国が自国民の一部を占領地に移動させることを禁じている。この規定は、征服国による「植民地化を防止することを目的としている(aimed at preventing colonization” by the conquering state)」と彼は書いている。

9日後、イスラエルの若者の一団が政府の支援を受けてクファル・エツィオンに入植地を設置した。当初、この入植地は公に軍事前哨基地(a military outpost)とされていた。メロン自身も指摘していたように、占領地に臨時の軍事基地を建設することは合法だった。しかしこれは策略であり、新たな入植地の民間性が高まるにつれ、その効果は急速に薄れていった。

そこでイスラエル政府はすぐに、著名なイスラエル人法学者イェフダ・ブルムとメイア・シャムガルの主張に頼るようになった。彼らは、ジュネーブ条約第4条はヨルダン川西岸地区には適用されないと主張した。ヨルダンの主権は国際的にほぼ完全に承認されていないため(というのが彼らの主張だった)、ヨルダン川西岸地区は占領地ではないという主張だ。

メロン自身が最初の覚書から50年後の2017年に書いたように、この理論は根拠がない。ジュネーブ条約は国家や主権主張を守ることを目的としたものではない。占領下の人々を占領国の行為から守るものだ。

ここで疑問が生じる。もしエシュコル政権が1967年に歯を食いしばり、自国の弁護士の意見を受け入れていたらどうなっていただろうか?

まず、占領地に入植地は存在しなかっただろう。イスラエルの広大な郊外、より小規模なゲート付き郊外、そして小さな前哨基地からなるネットワーク全体は存在しなかっただろう。イスラエル軍はこれらのコミュニティを警備する必要もなく、イスラエルは占領地に自らを縛り付けるために莫大な資源を投入することもなかっただろう。

今頃、イスラエルの隣にパレスティナ国家が誕生していたのか、あるいはどこか別の場所で平和が実現していたのか、私たちには分からない。入植地は和平合意の唯一の障害ではなかった。しかし、大きな障害の1つであることは確かだ。さらに、入植地の一部、つまりイデオロギー的な郊外は、土地の放棄に断固反対するイスラエルの過激な宗教右派の温床となってきた。ネタニヤフ政権の二大極右政党は入植者によって率いられており、入植地を中核的な支持基盤としている。入植地がなければ、イスラエルが現在の苦境を回避できた可能性は高かっただろう。

当時、メロンの意見を受け入れていれば、イスラエルの政治家や軍指導者の間に国際法に対する異なる姿勢、すなわち厳格な遵守の姿勢が確立されていたかもしれない。おそらくそのような姿勢が、ネタニヤフとガラントに、現在の戦争を異なる方法で遂行させ、国際刑事裁判所の検察官が現在主張しているような行為を回避させていたかもしれない。

しかし、キーワードは「疑惑(alleged)」だ。カーンが主張する犯罪の重要な要素は、それらが意図的であったこと、つまり飢餓(starvation)やその他の民間人の死因が政策として設定されていたことだ。

イスラエルの指導者たちが、ガザ地区の人々への食糧やその他の基本的なニーズの供給を意図的に阻止した可能性は確かにある。つまり、援助が遮断されたのは、ハマスに人質解放、あるいはガザの支配権を放棄するよう圧力をかけるためだ。ハマスはガザ地区の民間人を人間の盾として利用してきた。おそらくネタニヤフ首相は、彼らの苦しみをハマスに対する武器として利用しようとしたのだろう。

ガザ地区の人々に食糧を届けられなかったのは、戦闘の混乱、エジプトの失策、ハマスの行動、イスラエル兵が援助活動員に誤射したこと(イスラエル兵が時折、他のイスラエル人に対して誤射したことも同様)、そしてイスラエル政府の無能さ(10月7日にイスラエルを無防備な状態に陥れた悲惨な無能さの継続)といった複数の要因が重なった結果である可能性もある。

世界中のあまりにも多くの人々が、主に先入観やメディア報道の洪水に基づいて、これらの可能性のどれが真実なのかを既に確信しているようだ。しかし、もしカーンがネタニヤフとガラントを裁判にかけることに成功したとしても、確固たる証拠によって意図を立証する必要があるだろう。

メロンの1967年のメモを発見したことで、もう1つ教訓を得た。政府の意図を示す最良の証拠は、しばしば何十年も秘密にされた文書の中に隠されているということだ。これは戦争における決定においてはなおさら当てはまり、イスラエル自身がガザ地区で何が起きたのかを調査すべき理由をさらに強めるものだ。

国際刑事裁判所がイスラエルの機密文書にアクセスする可能性は低い。一方、10月7日の悲惨な情報漏洩以降の戦争遂行の全過程を調査するイスラエルの国家調査委員会は、そのようなアクセスを要求し、政府高官や将校を召喚して証言を求めることができるだろう。

カーンの発表で明確に示されたのは、イスラエルが容疑犯罪について独自に「独立かつ公平な(independent and impartial)」調査を実施するのであれば、カーンはイスラエルの判断に従うという点だ。これは「補完性(complementarity)」の原則であり、国際刑事裁判所の管轄権は各国の司法制度が機能しない場合にのみ適用される。

調査委員会は刑事手続きではない。しかし、イスラエルが自国で調査を実施するのであれば、カーンには自らの調査を中断または終了する十分な理由があるだろう。

しかし、イスラエル国内では、ネタニヤフ政権が必要な独立性と広範な権限を有する調査委員会を設置することはないのは明らかだ。それは、国の深刻な政治危機が政権の崩壊と新たな選挙に繋がった場合にのみ可能となる。

ネタニヤフ首相は、カーン首相による逮捕状請求に対する国民の反射的な怒りを利用して、失った支持をいくらか回復させようとしている。しかし、理性的な反応は正反対だ。国際刑事裁判所での訴訟の可能性は、ネタニヤフ政権を終わらせ、戦争のあらゆる側面を調査する新たな理由となる。

言い換えれば次のようになる。1967年、占領開始当初、イスラエル政府は国際法に関する非常に若い顧問からの警告を無視した。今日、イスラエルは戦争法に関する非常に老練な権威、つまり同じ人物からの新たな警告に耳を傾ける必要がある。

※ガーショム・ゴレンバーグ:イスラエルのジャーナリスト・歴史家。最新作に『影の戦争:暗号解読者、スパイ、そしてナチスを中東から追い出すための秘密の闘争(War of Shadows: Codebreakers, Spies, and the Secret Struggle to Drive the Nazis From the Middle East)』がある。ツイッターアカウント:@GershomG

(貼り付け終わり)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2023年10月から始まったイスラエル・ハマス紛争はイランやシリア、レバノンを巻き込んでの地域紛争となっている。イスラエルがシリアやレバノンを攻撃し、紛争を拡大している。イスラエルに対しても、イランからのミサイル攻撃が実施されるなど、厳しい状況が続いている。ガザ地区ではイスラエル側による住民への非人道的な攻撃が続いている。

 イスラエルがなぜこのような残虐な行為を続けているのか。自国の安全保障のため、自国の存在を守るためという理由付けがされるが、実際のところは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が自身と家族のスキャンダルによる裁判、投獄を避けるために、権力に妄執し、極右勢力を内閣に引き入れて、戦争を継続、拡大させているからだ。自身の汚職の責任を取りたくないために、投獄されることを避けるために、首相の座を握る必要がある。そのために戦争を拡大させている。このことは、2024年に出した、佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相』(秀和システム)で、佐藤先生が指摘している。そのことがアメリカでも報道されているようだ。

 そして、ガザ地区の紛争ぼっ発当初からの窮状について、その時に政権を握っていた、ジョー・バイデン前大統領と側近たちは、その実情を知りながら、知らないと嘘をつき、そのようなことは起きていないと嘘を重ねながら、イスラエルを支援し続けたという告発がなされている。バイデン政権のそのような虚偽を押し通す姿勢に抗議して職を辞した人物たちもいて、そうした人々が声を上げている。遅きに失したという批判はあるだろうが、声を上げない(ゼロ)よりも、声を上げる(イチ)ということは、「ゼロからイチへ」という大きな行動である。

 現状、ガザ地区で日々命の危機に去られている人々への責任は当事者全てにある。アメリカは免罪されない。アメリカこそが重大な責任を負っている。ネタニヤフの延命に手を貸しているということでいけば、イスラエル国民に対しても責任を負っている。ドナルド・トランプ大統領が登場して、イスラエルへの支援を続けている。状況は変わっていない。しかし、トランプ大統領はイラン空爆を行って、事態を一応収めている。イスラエルにこれ以上の攻撃は無用、もし攻撃をすればアメリカの意向に反する行為だと釘を刺している。ネタニヤフはガザ地区で非人道的な攻撃を繰り返して、イランやイスラム組織を挑発し、先に手を出させて、イスラエルの攻撃の正当性を担保しようとしている。どこまでいっても、ガザ地区の人々は救われない。大きく見れば、世界的にイスラエルとアメリカが行っている行為は、多くの批判を浴び、怒りを集めている。結局のところ、これらはイスラエルとアメリカの国益に適わない。無理に無理を重ねていけばいつか続かなくなる。イスラエルの国際社会での立場はのけ者にならざるを得ない。イスラエルの良識あるっ勢力が権力を獲得することが何よりも重要だ。

(貼り付けはじめ)

バイデンのティームはガザ地区について嘘をついた。彼らの責任を問う時だ(Biden’s Team Lied About Gaza. It’s Time to Hold Them Accountable.

-戦争犯罪を幇助したことへの免罪符はアメリカの民主主義を弱体化させる。

マシュー・ダス筆

2025年7月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/07/18/biden-war-crimes-israel-gaza-accountability/

7月11日、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』誌は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が政治的な理由でガザ紛争を長期化させている実態を詳細に取材した記事を掲載した。この記事は、首相が自らの連立政権維持に狂信的なまでに執着し、投獄を免れるために、数万人(そして今も増え続けている)のパレスティナ人を殺害し、イスラエル人人質の命を犠牲にし、自国イスラエルを国際的なのけ者(an international pariah)にしようとしていることを示しているだけでなく、バイデン政権の戦争対応を非難する検察側の報告書における新たな証拠となっている。ジョー・バイデン前米大統領は、無責任で気難しい人物として描かれ、ネタニヤフ首相に方針転換を迫り、彼がそうすると言ったら信じ、そしてネタニヤフ首相がどうしてもそうしないと激怒するという描写が繰り返されている。

偉大なアメリカの詩人ジョージ・W・ブッシュの言葉を借りれば、「私を一度騙すなら、それはあなたが悪い。一度騙されたら、二度と騙されることはない(Fool me once, shame on you. Fool me—can’t get fooled again)」ということになる。

たとえバイデンが騙されていたとしても、言い訳はできない。もしバイデンが、何が起きているのか正確に知らなかったとしても、彼の国家安全保障ティームの他の幹部たちは確実に知っていた。数週間前、国務省のマシュー・ミラー前報道官は、イスラエルがガザ地区で「戦争犯罪を起こしていることは疑いなく事実だ」と発言して話題となった。しかし、スマートフォンを持っている人なら既に知っていたことだ。歴史上、被害者と加害者の双方によってこれほど詳細に記録され、リアルタイムで放送された大規模残虐行為(mass atrocity)はない。それでも、ミラーのような人物の発言は注目に値する。彼は以前、その証拠を見たことがないと繰り返し否定するのが仕事だった。

バイデン政権のガザ地区政策の基礎となった嘘は、ガザ地区で市民に加えられた甚大な被害は意図的なものではないというものだった。民間人に危害を加えることは、イスラエルの戦略の一部なのだ。国際司法裁判所での南アフリカの裁判でも明らかになったように、イスラエル政府高官の多くは、この点に関する彼らの意図をかなり公言している。

この戦争に関する膨大なリアルタイムの報告、とりわけパレスティナ人自身による報告に加え、スージー・ハンセンによる最近のニューヨーク・タイムズ・マガジンのカバーストーリーは、バイデン政権高官がいつ何を知っていたのかについて、これまでで最も詳細な説明を提供している。ミラーの告白とともに、政権高官たちは戦争犯罪が行われていることに気づいていなかったという主張は、これで一掃されるはずだ。それにもかかわらず、重大な人権侵害や人道援助の制限で告発されている軍への武器供与を禁止するアメリカの法律に違反して、彼らは武器を供与し続けたのだ。

バイデン政権の高官たちが、この歴史的大惨事(historic catastrophe)における自分たちの役割を正当化するために用い、そして今も用いている主な論拠について、簡単に触れておく価値がある。国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジェイク・サリヴァンが公の場でこの件について質問された際に、サリヴァンがそれらの論拠を一つ一つ説明しているのを見たことがあるだろう。

第一に、イスラエルの敵対勢力はアメリカによる武器供給停止を攻撃の動機と解釈し、バイデン政権が避けたかった地域情勢の激化につながる可能性があるというものだ。これは二つの理由から疑問視される。一つ目は、ハマスにとって大きな失望であったが、その同盟者と目されるヒズボラとイランは、象徴的な武力誇示以外には戦争に参加する意思がなかったことは明らかである。バイデンがアメリカの大きな影響力を行使して戦争を終結させたとしても、この計算が変わらなかったという証拠は見当たらない。二つ目に、戦争が最終的に地域的に激化した際、それをエスカレートさせたのはバイデンの支援を受けたイスラエルであった。

もう一つの主張は、武器供給を維持することで、武器供給が停止されていたならば失われていたであろう、イスラエル政策に対するアメリカの影響力が一定程度発揮できたというものだ。この主張が明らかに機能しなかったという事実に加え、私がこの主張を非常に奇妙に思う理由の一つは、現在主張している同じ人物が以前はそれを否定していたという事実だ。

2018年11月、バラク・オバマ政権の元高官30人が、イエメン戦争への残虐な介入を理由にサウジアラビアへの武器供給停止を支持する公開声明を発表した。署名者たちは、以前は「同盟軍に国際人道法を遵守させ、並行する外交努力を支援するための影響力を得るために」サウジアラビアを支持していたが、今にして思えばこれは間違いだったと説明している。署名者のほぼ全員が後にバイデン政権で働いた。そして今、イスラエルのガザ戦争への支持を、サウジアラビアのイエメン戦争への支持を正当化した際に後悔したのと全く同じ言葉で正当化している人もいる。

この主張をする政府高官たちは、多大な努力によって、イスラエルが本来提供していたであろう以上の援助をガザ地区に時折送り込むことができたと指摘する。その援助が、そうでなければ援助を受けられなかった少数の人々にとって確かに大きな変化をもたらしたことは認めるべきだが、イスラエルの攻撃を支援し続けることの代償を帳消しにするには程遠い。時折ジェノサイドにブレーキをかけたからといって、大して評価されるべきではないと思う。

しかし、問題はここにある。たとえ、その正当性が理にかなっていたとしても、バイデン政権がイスラエルの行為について国内外に誤解を与え続ける必要はなかった。人道支援を妨害するイスラエルの政策には明確な証拠があるが、アメリカの安全保障上の利益は、支援を打ち切るのではなく、武器を供給し続けることが最善であると述べて、支援を継続するために法的な権利放棄の権限を使うこともできたはずだ。そうすれば、少なくとも率直な議論ができたはずだ。

しかし、彼らはそうしなかった。彼らは嘘をついた。何度も嘘をついた。組織的虐待の証拠はないと主張した。彼らは「あまりにも多くのパレスティナ人が殺された」などという奇妙な表現に頼った。イスラエルは人道支援を促進するために「十分なことをしていない」と言い、政策上の問題を物資供給の問題(a logistic problem)であるかのように装った。

バイデン政権は、イスラエルの行為の現実を曖昧にすることに全力を注いでいたため、幻想(the illusion)を持続させる目的でまったく新しいプロセスを作り出した。2024年2月にバイデンが率いるホワイトハウスが発表した国家安全保障覚書第20号は、米国務省に対し、「(アメリカの)防衛品と、必要に応じて防衛サーヴィスを受け取る外国政府から、アメリカと国際法を遵守するという、一定の信頼できる書面による保証を得る」よう指示した。

ここ数カ月、私はホワイトハウス、米国務省、そしてペンタゴンで働いていたバイデン政権の元高官たちと数多く面会してきた。彼らのほとんどは、この事実を否定していない。イスラエルが意図的に民間人に危害を加えており、バイデン政権はあらゆるレヴェルでそれを認識していたことを認めている。彼らは、この政策に対して政権内部で抵抗を続けてきたと主張している。彼ら全員に対する私の返答は一貫して同じだ。それは、「今すぐ声を上げ、それについての真実を語って欲しい(Speak up now and tell the truth about it)」だ。

しかし、今のところ、彼らが声を上げている姿を見ていない。ごくわずかな例外を除いて、イスラエル・パレスティナ問題担当元国務次官補のアンドリュー・ミラーや、元ホワイトハウス特別顧問のイルアン・ゴールデンバーグなどはそうしているが、彼らのほとんどは、バイデン政権が助長した残虐行為の甚大さ、そして国と世界にもたらすであろう極めて悲惨な結果について、公の場で真摯に反省しようとさえしていない。前国務長官のアントニー・ブリンケンは、ドナルド・トランプ大統領のイラン攻撃に関する最近の『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説で、いかなる成功も自分の手柄にするという臆面もなく姿勢を示しながら、「ガザ地区」という言葉に一度だけ言及した。

それでは、アメリカの政治家と有権者たちは、この問題に対してどうすべきだろうか。バイデン政権の高官たちが外交政策エスタブリッシュメントに再び戻っていく中、これは重要な問いだ。マシュー・ミラーが上司である大統領の建前を言い続けること選んだと認めたことは、バイデンを二度と信頼できる人物として扱うべきではないことを明確に示している。しかし、私たちは既にそのことを承知しており、たとえ遅きに失したとしても、ミラーが今声を上げたことは非常に重要なのだ。

彼の同僚たちから、彼らが何を知っていたのか、いつ知ったのか、そして政策変更の試みが高官たちによって繰り返し阻止された経緯について、もっと多くの話を聞く必要がある。たとえ非常に遅ればせながらでも、声を上げる元高官たちを攻撃するのではなく、歓迎すべき。ガザ地区でのジェノサイドとされる事件の再発を防ぐには、そしてそれが最優先事項でなければならないのは、人々が歴史の記録に何が間違っていたのかを語り、遅かれ早かれそれを実行するために、知っていることを私たちに伝える場を作ることだ。

重要な時に声を上げ、公に辞任するという職業上のリスクを負った高官や任命された人々も、私たちは認めるべきだ。ジョシュ・ポール、タリク・ハバシュ、ハリソン・マン、リリー・グリーンバーグ・コール、そしてステイシー・ギルバートは皆、名誉ある公務員とはどういうことかを私たちに示してくれた。彼らは「ノー」と言う勇気を持っていた。彼らはまさに、この国が政府に必要としている人材だ。

バイデンのガザ政策を立案した人々はそうではない。率直な発言によって最終的に政府に復帰できる可能性のある、より若い高官たちとは異なり、この大惨事の最も責任のある人々は、将来の政権においていかなる役割も担うべきではない。

元政権の同僚や他の民主党員から聞いた主張の1つは、トランプとトランプ主義という真の脅威に焦点を当て、民主党連合内で争うべきではないというものだ。これは、2009年にバラク・オバマ元大統領がブッシュ政権下の拷問者たちの法的責任追及を断念した際に述べた言葉と重なる。「過去を振り返るのではなく、未来を見据えよう(Look forward as opposed to looking backward)」というものだ。

しかし、この主張には2つのポイントが欠けている。第一に、これは単に「過去を振り返る」ことではないということだ。ガザ地区でのジェノサイドは今も続いている。今まさに起こっている。むしろ、激化している。説明責任追及(accountability)は、将来の犯罪を防ぐだけでなく、現在発生している犯罪を阻止するためにも必要だ。

第二に、オバマ大統領の決定は、その時点では賢明な政治的判断だったかもしれない。しかし、2008年に経済を崩壊させた企業幹部に何の責任も負わせなかった決定と同様に、エリート層の不処罰というシステム(a system of elite impunity)を強化し、アメリカの民主政治体制を蝕んでしまった。トランプが「システムは不正に操作されている(the system is rigged)」と発言して支持を集めるのは、システムが不正に操作されているからだ。それはトランプのような富裕層のために不正に操作されている。そして、想像し得る最悪の犯罪を幇助しても、法的、職業的、その他の面で何の責任も問われない、元政府高官のようなコネと影響力を持つ人々のために不正に操作されているのだ。

アメリカの民主政治体制の再建を真剣に考えるならば、不正操作を是正し、不処罰を終わらせることが不可欠だ。ガザ地区問題への責任追及を求める闘いは、トランプ主義との闘いと切り離せない。

※マシュー・ダス:国際政策センター筆頭副会長。2017年から2022年までバーニー・サンダース連邦上院議員の外交政策アドヴァイザーを務めた。Xアカウント:@mattduss

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年6月13日にイスラエルはイランの核開発関連施設に対する攻撃を行った。イランの革命防衛隊の司令官と参謀総長が死亡した。イランはイスラエルに向けてミサイルを発射し、報復攻撃を行った。その後、イスラエルはイランに対しての空爆を継続し、イランの国防省を攻撃し、イラン国内の油田・石油採掘施設を攻撃するなど攻撃を拡大している。アメリカのドナルド・トランプ政権はイランとの交渉を行っている最中でのイスラエルによる攻撃に不満を持っている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は極右勢力に支えられ、かつ、自身の汚職からイスラエル国内、国外の注目を逸らさせるために、戦争を拡大しようとしている。極め付きは、アメリカにイラン攻撃への参加を求めている。非常に危険な動きだ。イスラエル、正確にはベンヤミン・ネタニヤフと極右勢力には「自分たちにはアメリカがついている、いや、アメリカ国内政治を動かして自分たちの思い通りに動かせる」という思い上がりがある。

 第1次ドナルド・トランプ政権では、前任のバラク・オバマ政権で成立した、イランとの核開発をめぐる合意から離脱した。そのために、イランは核開発を継続した。それが、第2次ドナルド・トランプ政権では姿勢を転換し、イランとの交渉を開始した。そうした中で、イスラエルによるイラン攻撃が実施された。第2次トランプ政権のイランとの関係修復は賢明な動きである。何よりも、バイデン政権後半で、中国の仲介によって、サウジアラビアとイランの関係改善が成功した。アメリカは中東においてその役割を縮小させ、存在感を減らしている。イスラエルにとってアメリカの中東地域における減退・撤退は死活問題である。イスラエルはアメリカのバイデン政権の仲介で、サウジアラビアとの関係改善、国交正常化を目指していた。しかし、イスラエル・ハマス紛争によってその動きは頓挫した。

 こうして考えてみると、中東地域においても、私の分析の枠組みである「西側諸国(ジ・ウエスト、the West)」対「西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」、「グローバル・ノース(Global North)」対「グローバル・サウス(Global South)」の対立が反映されていると考える。イスラエルは核兵器さえも持つ軍事強国であるが、今回の攻撃は、一種の不安からの暴走であると考えている。

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ドナルド・トランプ大統領が中東で正しく判断したこと(What Trump Got Right in the Middle East

-アメリカ大統領によるイランへの和解(olive branch)は、ワシントンの外交政策におけるパラダイム・シフト(a paradigm shift)となる可能性がある。

ハワード・W・フレンチ筆

2025年5月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/16/trump-middle-east-trip-iran-us-foreign-policy/

あるニューズ・イヴェントの重要性は、主流メディアがそれをどれだけ軽視、あるいは完全に無視するかによって測られることがある。今週、ドナルド・トランプ米大統領が中東歴訪中に、アメリカの外交政策のパラダイム・シフト(a paradigm shift)に繋がりかねない発言をした時、まさにその通りだった。

トランプが二期目初の外遊を開始して以来、メディアの注目は、旧型エアフォースワンの後継機としてカタールから超高級機ボーイング747を受け入れるという決定(批評家たちからは露骨な腐敗の兆候[a breathtaking sign of corruption]だと広く非難されている)と、アメリカがダマスカスに対する長年の経済制裁を解除すると発表した後にシリアの新大統領アハメド・アル・シャラーと電撃会談を行ったことに集中している。

どちらの話題も、真剣に検討する価値がある。しかし、トランプ大統領が裕福なアラブ諸国を次々と訪問する間、アメリカの各報道機関は、いくつかの例外を除き、中東およびその周辺地域に重大な地政学的影響を及ぼす問題、すなわちトランプ大統領がイランに和解(olive branch)の手を差し伸べる決断について、比較的少ない言葉しか割(さ)かなかった。

トランプ大統領は火曜日、アメリカが40年間執拗な敵として扱ってきたイランと直接交渉する決意を表明した。トランプはリヤドでの演説の中で、「繰り返し示してきたように、たとえ両国の間に大きな隔たりがあったとしても、過去の紛争を終わらせ、より良く安定した世界のために新たなパートナーシップを築く用意がある」と表明した。

ワシントンにおいて、イスラエルとの足並みを揃えた同盟関係、ひいては中東地域の大国にイスラエルの宿敵であるイランの封じ込めを支援するよう働きかける必要性ほど、外交政策に関する信念が深く根付いているものは少ない。この戦略を少なくとも部分的にキャリアに重ねてきた多くのアナリストは、今回の訪問後、トランプ大統領がすっかり忘れてテヘランへの働きかけを放棄するか、あるいはイランがホワイトハウスに考えを変えさせるような挑発的な行動に出るかを期待、あるいは信じているかもしれない。

関税を軸とした経済政策が示すように、トランプは一貫性のある人物と見られている訳ではない。そのため、イランとの和解(rapprochement with Iran)に向けた言葉だけの試みが長続きしないと考えるのは愚かなことではない。しかし、アメリカがこの考えを真剣に追求しないのであれば、それは遺憾である。同盟諸国への高関税から、ガザ地区をパレスティナ人を排除した高級不動産開発地とするという提案(トランプは今回の訪問でもこの提案を繰り返したが、ガザ地区におけるイスラエルの壊滅的な懲罰的軍事作戦にはほとんど注意を払っていない)まで、奇妙でしばしば無意味に混乱を招く姿勢に満ちた外交政策の実績の中で、これは今のところトランプが正しかった数少ないアイデアの1つだ。

1979年のイラン・イスラム革命、そして、1979年後半のイラン人質事件に始まる、長年にわたるアメリカのイランに対する敵意が、どのような結果をもたらしたかを考えてみて欲しい。それは醜悪なバランスシートだ。例えば、アメリカはイラクを支援することで、1980年から1988年にかけてのイラン・イラク戦争を助長した。この戦争では、50万人から100万人の死者が出ており、前世紀で最も多くの死者を出した紛争の1つとなっている。

この歴史において、罪のない主体は存在しない。テヘランは、レバノンのヒズボラ、ガザ地区のハマス、イエメンのフーシ派といった過激派組織に武器と資金を提供し、世界最悪の現代独裁政治の1つである、最近打倒されたシリアのアサド王朝を支援してきた。イランはまた、イスラエルの破壊を主張してきた。

テヘランの忌まわしい立場を弁解する訳にはいかないが、そもそもなぜそのような事態に至ったのかを問わなければならない。その答えの1つは、西側諸国がイランの主権を歴史的に軽視してきたことにある。それは、1953年にCIAの支援を受けて民主的に選出されたモハンマド・モサデク首相が打倒され、イラン国王モハンマド・レザー・パーレヴィが親西側の独裁政権を樹立したことに遡る。イランが長らくイスラエルを敵対的なアメリカと西側諸国の代理と見なしてきたのも、当然のことである。

2000年代以降、ワシントンは1979年に初めて導入したイランの核開発計画を理由に、対イラン経済制裁を着実に強化してきた。しかしながら、イランがなぜ核技術の習得を必要としているのかを公に問うアナリストはほとんどいない。イランが核攻撃に対する正当な恐怖感や、究極の抑止力あるいは自衛手段としての核技術を必要としている可能性を考慮しようとしないからだ。イスラエルが、イランが近いうちに核兵器を開発する可能性に脅威を感じるのは当然だが、イスラエル自身も核兵器を保有している。また、シリアへの継続的な爆撃や領土侵攻が示すように、イスラエルは長年にわたり隣国を攻撃してきた。

2000年代を通じて、私は5年間北朝鮮を取材した。北朝鮮の状況は少なくとも部分的にはイランと類似している。北朝鮮による自国民への弾圧はテヘランよりもさらに顕著であり、海外でも挑発的で忌まわしい行動を頻繁に行っている。北朝鮮には、脅威を感じる歴史的な理由もある。専門家を除けば、朝鮮戦争が70年経った今も公式には終結していないことを認識している人はほとんどいない。そして、国際的に交渉された包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of ActionJCPAP)の下で、北朝鮮はイランと同様に、核開発計画の放棄または制限と引き換えに制裁解除を提案されている。

しかし、1980年代に北朝鮮が核兵器開発に真剣に取り組むようになって以来、それ以降のアメリカ大統領の試みは、北朝鮮の核開発を阻止することには繋がっていない。近年の世界史は、北朝鮮のような国が方針転換に抵抗する多くの理由を示している。ウクライナはソ連時代に自国領土に配備されていた核兵器を放棄したが、数十年後にはロシアの侵攻を受けた。リビアの独裁者ムアンマル・アル=カダフィは、違法な化学兵器開発計画を自主的に停止したが、西側諸国の支持を得て打倒され、最終的には暗殺された。今日のリビアは破綻国家であり、暴力と武器密売の氾濫によってサヘル・アフリカの大部分が不安定化している。

トランプ大統領の最初の任期中の北朝鮮へのアプローチは、最近のイランに対する発言の背後にある論理を示唆している。彼は金正恩委員長とハイレヴェルの個人外交を行い、潜在的に破滅的な地政学的状況を打開するため、二国間の緊張緩和に努めた。トランプの外交は、他の多くのことと同様に、不安定で計画性に欠けていた。朝鮮半島情勢を根本的に変えることもできなかった。

だからといって、トランプの行動の根底にある真実が必ずしも否定される訳ではない。際限のない軍備増強と将来の大惨事の可能性を回避する唯一の方法は、時に長年の敵国と交渉し、相互信頼(mutual confidence)と安全保障の保証(guarantees of security)を築く道を見つけることである。それは性急には達成できない。

イランと交渉することさえ、ワシントンの多くの者にとって受け入れ難いことであり、イスラエル政府にとっては考えられないことだろう。イスラエルは、イランの核兵器開発可能性を理由に、イランを存亡の危機とみなしているだけではない。アメリカの永遠の敵国であるイランの存在は、長年にわたり、アメリカによるイスラエルへの揺るぎない政治的支援、そして継続的な重武装の強力な根拠となってきた。トランプは木曜日、アメリカとイランは核合意の条件について「一応」合意したと主張したが、詳細は依然として不明であり、これがどのように展開するかは不透明だ。

しかし、他の地域では状況が変化しつつあるようだ。ドナルド・トランプ大統領の訪問以前から、サウジアラビアをはじめとする地域におけるイランの伝統的なライヴァル諸国は、テヘランとの緊張緩和への意欲を示し始めていた。こうした動きは、イランを好戦的に封じ込める政策は行き詰まりに陥るという確信から生まれたものと考えられる。地域大国は、数十年にわたる戦争によって中東の豊富な資源と人的資源の両方が浪費されてきたことを認識し始めている。この歴史的悪循環に終止符を打つには、人口9000万人、世界第19位の経済大国であるイランを冷遇から救い出し、テヘラン、アラブ諸国、そしてイスラエルの間に新たなポジティヴ・サム(positive-sum)の力学を構築する必要がある。

もちろん、私たちがこれを実現するには程遠く、多くの欠点や特異な点を抱えるトランプ大統領がそれを実現できる可能性は低い。しかし、何かを変えるためには、あるテーマを提起し、議題に載せなければならない。それがトランプ大統領の中東訪問の最も重要な遺産かもしれない。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『黒人として生まれて:アフリカ、アフリカの人々、そして近代世界の形成、1471年から第二次世界大戦まで(Born in Blackness: Africa, Africans and the Making of the Modern World, 1471 to the Second World War.)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 パレスティナの飾築を実効支配しているハマスによって2023年10月7日にイスラエルが攻撃を受け、それに対する報復でガザ地区に大規模な攻撃が実行されている。イスラエルとイランの間でのミサイル攻撃の応酬もあった。その後、一時的な停戦が実現したが、再び状況は悪化している。ガザ地区では生活環境は悪化し、攻撃は続いている。イスラエルはイラン国内を空爆し、核開発関連施設を破壊し、イラン革命防衛隊の司令官と参謀総長などの最高幹部を殺害している。ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエルの極右勢力に支えられているが、国民の支持率は低下している。そうした中で、起死回生の策がイランに対する空爆だった。

 イスラエルは国際社会を信頼せず、自国の防衛のためにはあらゆる犠牲を強いる。こうした点では北朝鮮に類似している。それは、あまりにも排他的な、選民思想的な原理が国家にあるからだろうと私は考えている。

 ガザ地区に関して言えば、私たちは歴史の授業で習ったゲットー(ghetto)を類推することができる。中世以来のヨーロッパの各都市に存在した、ユダヤ人たちが強制的に居住させられた地域である。ナチスドイツの侵略によって、各国のゲットーには厳しい抑圧がなされた。そうした中で、1943年にワルシャワ・ゲットー蜂起(Warsaw Ghetto Uprising)が起きたが、ナチスドイツによって鎮圧されたが、その方法は過酷なものだった。私たちは、ガザ地区の現状からワルシャワのゲットーを思い起こす。ユダヤ人が建国したイスラエルが、ゲットーの惨劇を繰り返す。「歴史は繰り返す(History repeats itself)」という言葉があるが、これはあまりにも皮肉なことである。人権や自由といった価値観を世界に拡大することを標榜するアメリカをはじめとする西側諸国は今回の事態に対してあまりにも無力だ。それどころか、ガザ地区の状況に対する批判を抑圧している。

 現在のガザ地区の状況は西側諸国の偽善と国際政治の野蛮さを改めて明らかにしている。そして、人間の愚かさを暴露している。
(貼り付けはじめ)
ガザ地区がいかにして西洋の神話を打ち砕いたか(How Gaza Shattered the West’s Mythology

-この戦争は、第二次世界大戦後の共通の人間性に対する幻想(post-World War II illusions of a common humanity)を露呈させた。

パンカジ・ミシュラ筆

2025年2月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/02/07/pankaj-mishra-world-after-gaza-book-israel-war-global-order-history/

1943年4月19日、ワルシャワのゲットー(Ghetto)にいた数百人の若いユダヤ人が、入手できる限りの武器を手にナチスの迫害者たちに反撃した。ゲットーにいたほとんどのユダヤ人は、すでに絶滅収容所(extermination camps)に強制送還されていた。彼らの指導者の1人であったマレク・エデルマンが回想しているように、闘士たちはいくらかの尊厳(dignity)を取り戻そうとしていた。彼は次のように書き残している。「最終的には、私たちの番が来たときに、私たちを虐殺させないということだった。死に方を選ぶだけのことだった」。

絶望的な数週間が過ぎ、抵抗者たちは圧倒され、そのほとんどは殺害された。蜂起の最終日に生き残った者の中には、ナチスがガスを注入した司令部地下壕で自殺した者たちもいた。下水管を通って脱出できたのはほんの数人だけだった。その後、ドイツ兵はゲットーをブロックごとに焼き払い、火炎放射器を使って生存者たちを煙で追い出した。

ポーランドの詩人チェスワフ・ミウォシュは後に、「美しい静かな夜、ワルシャワ郊外の田舎の夜にゲットーから悲鳴が聞こえた」と回想している。

「この悲鳴には鳥肌(goose pimples)が立った。何千人もの人々が殺害される時の悲鳴だった。その悲鳴は、焚き火の赤々とした輝きの中から、無関心な星々の下から、都市の静寂な空間を通り抜け、植物が労を惜しまず酸素を放出し、空気が芳香を放ち、人が生きていてよかったと感じる庭園の慈悲深い静寂の中に入っていった。この夜の平和には特に残酷なものがあり、その美しさと人間の罪が同時に心を打った。私たちは互いの目を見なかった」。

占領下のワルシャワでミロシュが書いた詩「カンポ・デイ・フィオーリ」は、ゲットーの壁の横にあるメリーゴーランドを想起させる。メリーゴーランドに乗る人たちは、遺体の煙の中を空に向かって進み、その陽気な曲が苦悩と絶望の叫びをかき消す。カリフォルニア州バークレーに住んでいたミロシュは、アメリカ軍が何十万人ものヴェトナム人を空爆し、殺害している間、その残虐行為(atrocity)をアドルフ・ヒトラーやヨシフ・スターリンの犯罪と比較していた。「もし私たちが同情することができ、同時に無力であるならば、私たちは絶望的な憤りの中で生きているのだ(If we are capable of compassion and at the same time are powerless, then we live in a state of desperate exasperation)」とミロシュは書いている。

イスラエルによるガザ地区殲滅(annihilation of Gaza)は、西側民主政体諸国によって提供され、何百万もの人々にこの精神的試練(psychic ordeal)を何カ月も与えた。政治的悪(political evil,)の行為の自発的目撃者である彼らは、時折、生きていることは良いことだと考えることを自分自身に許しながら、イスラエルによって爆撃された別の学校で娘が焼け死ぬのを見る母親の悲鳴を聞いた。

ホロコースト(shoah)は数世代にわたるユダヤ人に傷跡を残した。1948年、ユダヤ系イスラエル人は生死を分ける問題として国民国家の誕生(birth of their nation state)を経験し、その後、1967年と1973年にも、アラブの敵による絶滅論のレトリックの中で再び経験した。ヨーロッパのユダヤ人がユダヤ人であるという理由だけでほぼ完全に消滅したという知識とともに育った多くのユダヤ人にとって、世界は脆弱(fragile)に見えざるを得ない。その中でも、2023年10月7日にイスラエルでハマスや他のパレスティナグループによって行われた虐殺と人質事件は、ホロコースト再来への恐怖を再燃させた。

しかし、歴史上最も狂信的なイスラエルの指導者たちが、蹂躙、死別、恐怖という遍在する感覚(an omnipresent sense of violation, bereavement, and horror)を利用することに躊躇しないことは、最初から明らかだった。イスラエルの指導者たちは、ハマスに対する自衛の権利を主張したが、ホロコーストの主要な歴史家であるオメル・バルトフが2024年8月に認めたように、彼らは最初から「ガザ地区全体を居住不可能にし、その住民を衰弱させて、死に絶えるか、その領土から逃れるためにあらゆる可能な選択肢を模索するようにする(to make the entire Gaza Strip uninhabitable, and to debilitate its population to such a degree that it would either die out or seek all possible options to flee the territory)」ことを目指したのである。こうして10月7日以降、何十億もの人々がガザ地区に対する異常な猛攻撃を目の当たりにした。その犠牲者たちは、ハーグの国際司法裁判所(the International Court of Justice in The Hague)で南アフリカを代表して弁論したアイルランドの弁護士ブリネ・ニ・グラレイに言わせれば、「世界が何かしてくれるかもしれないという絶望的な、今のところむなしい希望のために、自分たちの破壊をリアルタイムで放送していた」のである。

世界は、より特定すれば西側は何もしなかった。ワルシャワ・ゲットーの壁の向こうで、マレク・エデルマンは「世界の誰も何も気づかない(nobody in the world would notice a thing)」ことを「大変に恐れて(terribly afraid)」いた。ガザ地区ではそのようなことはなく、犠牲者は処刑される数時間前にデジタルメディアで自分の死を予言し、殺人犯はTikTokで自分たちの行為をさかんに流した。アメリカやイギリスの指導者たちが国際刑事裁判所や国際司法裁判所(he International Criminal Court and the International Court of Justice)を攻撃したり、『ニューヨーク・タイムズ』紙の編集者が社内メモで、「難民キャンプ(refugee camps)」、「占領地(occupied territory)」、「民族浄化(ethnic cleansing)」という用語を避けるようスタッフに指示したりと、西側の軍事的・文化的ヘゲモニー(the West’s military and cultural hegemony)の道具によって、ガザ地区のライブストリーミングによる情報発信は日々、見えないように、読めないようにされていった。

毎日が、自分たちが生活している間に、何百人もの普通の人々が殺され、あるいは自分たちの子どもが殺されるのを目撃させられているという意識に毒されるようになった。ガザ地区にいる人々、しばしば有名な作家やジャーナリストからの、自分や自分の愛する人が殺されようとしているという警告や、その後に続く殺害の知らせは、肉体的にも政治的にも無力であるという屈辱をより募らせた。無力な暗示された罪の意識に駆られ、ジョー・バイデン米大統領の顔をスキャンして慈悲の兆し、流血を終わらせる兆しを探そうとした人々は、不気味なほど滑らかな硬さを発見した。あれやこれやの国連決議、人道支援NGOの必死の訴え、ハーグの陪審員たちによる厳罰、そして土壇場でのバイデンの大統領候補交代によって喚起された正義の希望は残酷なまでに打ち砕かれた。

2024年末までには、ガザ地区の虐殺の現場から遠く離れた場所に住む多くの人々が、悲惨と失敗、苦悩と疲労の壮大な風景に引きずり込まれたことを、遠くからではあるが感じていた。これは、ただ傍観する者にとっては大げさな感情的負担に思えるかもしれない。しかし、ピカソが空からの攻撃で殺されながら叫ぶ馬と人間を描いた「ゲルニカ(Guernica)」を発表した際に引き起こされた衝撃と憤りは、ガザ地区で撮影された、父親が首のない我が子の遺体を抱く一枚の写真の影響だった。

戦争はやがて過去のものとなり、積み重なった恐怖の山は時とともに平らになるかもしれない。だが、ガザ地区では、負傷した身体、孤児となった子供たち、瓦礫の町、家を失った人々、そして、あちこちに漂う大量の死別意識と存在の中に、この惨劇の痕跡が何十年も残るだろう。そして、狭い海岸地帯で何万人もの人々が殺害され、重傷を負うのを遠くから無力に見守り、権力者の拍手喝采や無関心を目撃した人々は、心の傷と、何年も消えないトラウマを抱えて生きていくことになるだろう。

イスラエルの暴力を、正当な自衛なのか、厳しい都市環境での正当な戦争なのか、民族浄化や人道に対する罪なのか、という論争は決して決着がつかないだろう。しかし、イスラエルの一連の道徳的、法的違反行為の中に、究極の残虐行為の兆候を見出すことは難しくない。イスラエルの指導者によるガザ地区撲滅に向けた率直で決まりきった決意、ガザ地区でのイスラエル国防軍(Israel Defense ForcesIDF)による報復が不十分であることを国民が嘆くことで暗黙のうちに容認していること、犠牲者を和解不可能な悪と同一視していること、犠牲者のほとんどが全くの無実で、その多くが女性や子供だったという事実、第二次世界大戦での連合軍によるドイツ爆撃よりも比例して大きい破壊の規模、ガザ地区全体の集団墓地を埋め尽くす殺戮のペース、そしてその方法が不吉なほど非人格的(人工知能アルゴリズムに依存)かつ個人的(狙撃手が子供の頭を2発撃ったという報告が多い)であること。食料や医薬品へのアクセスの拒否、裸の囚人の肛門に熱い金属の棒が挿入されること、学校、大学、博物館、教会、モスク、さらには墓地の破壊、死んだり逃げたりするパレスティナ女性の下着を着て踊るイスラエル国防軍兵士に体現された悪の幼稚さ(puerility of evil)、イスラエルにおけるそのようなTikTokインフォテインメント(訳者註:情報[information]と娯楽[entertainment]の合成語)の人気、そして自国民の絶滅を記録していたガザ地区のジャーナリストの慎重な処刑。

もちろん、産業規模になった虐殺に伴う無慈悲さは前例がないわけではない。ここ数十年、ホロコースト(the Shoah)は人類の悪の基準を定めてきた。人々がそれを悪と認識し、反ユダヤ主義(antisemitism)と戦うために全力を尽くすと約束する程度は、西洋では彼らの文明の尺度となっている。しかし、ヨーロッパのユダヤ人が抹殺された年月の間に、多くの良心が歪められたり、麻痺したりした。非ユダヤ人のヨーロッパの多くは、しばしば熱心に、ナチスのユダヤ人攻撃に加わり、彼らの大量殺戮のニューズでさえ、西洋、特にアメリカでは懐疑的かつ無関心に迎えられた。ジョージ・オーウェルは、1944年2月になっても、ユダヤ人に対する残虐行為の報告は「鉄のヘルメットから豆が落ちるように(like peas off a steel helmet)」人々の意識から跳ね返ったと記録している。西側諸国の指導者たちは、ナチスの犯罪が明らかになってから何年もの間、大量のユダヤ人難民の受け入れを拒否した。その後、ユダヤ人の苦しみは無視され、抑圧された。一方、西ドイツは、ナチス化からほど遠いものの、ソ連共産主義に対する冷戦に加わりながら、西側諸国から安易な赦免(cheap absolution)を受けた。

記憶に残る中で起きたこれらの出来事は、宗教的伝統(religious traditions)と世俗的な啓蒙主義(the secular Enlightenment)の両方の基本的前提、つまり人間は根本的に「道徳的(moral)」な性質を持っているという前提を揺るがした。人間には道徳的性質がないという、腐った疑念が今や広まっている。冷酷さ、臆病さ、検閲の体制下での死や切断を間近で目撃した人々はさらに多く、あらゆることが起こり得ること、過去の残虐行為を覚えていても現在それが繰り返されない保証はないこと、そして国際法と道徳の基盤がまったく安全ではないことを衝撃とともに認識している。

近年、世界では多くの出来事が起こっている。それらは、自然の大災害、財政破綻、政治的激変、世界的パンデミック、征服と復讐の戦争などである。しかし、ガザ地区に匹敵する災害はない。これほど耐え難い悲しみ、困惑、良心の呵責(grief, perplexity, and bad conscience)を私たちに残したものはない。これほど、私たちの間での、情熱と憤りの欠如、視野の狭さ、思考の弱さ(lack of passion and indignation, narrowness of outlook, and feebleness of thought)を恥ずべき形で証明したものはない。西洋の若者の世代全体が、政治とジャーナリズムの長老たちの言葉と行動(そして無作為)によって道徳的に大人に成長させられ、世界で最も豊かで最も強力な民主政体国家の支援を受けた残虐行為を、ほぼ独力で認識せざるを得なくなった。

パレスティナ人に対するバイデンの頑固な悪意と残酷さは、西洋の政治家やジャーナリストたちが提示した多くのぞっとするような謎の1つに過ぎない。西側諸国の指導者たちにとって、10月7日の戦争犯罪の犯人を追及し、裁きを受けさせる必要性を認めながらも、イスラエルの過激派政権(an extremist regime in Israel)への無条件の支援を差し控えることは簡単だっただろう。それなのに、なぜバイデンは存在しない残虐行為のヴィデオを見たと繰り返し主張したのか? 元人権弁護士の英首相キール・スターマーは、イスラエルにはパレスティナ人から電力と水を差し控え、停戦(cease-fire)を求める労働党員を処罰する「権利がある(has the right)」と主張したのはなぜか? なぜ、西洋啓蒙主義(the Western Enlightenment)の雄弁な擁護者であるユルゲン・ハーバーマスは、自称民族浄化主義者たち(avowed ethnic cleansers)の擁護に飛びついたのか?

アメリカで最も古い定期刊行物の1つである『ジ・アトランティック』誌が、ガザ地区で約8000人の子供たちが殺害された後、「子供たちを合法的に殺すことは可能だ(it is possible to kill children legally)」と主張する記事を掲載したのはどうしてか? イスラエルの残虐行為を報道する際に西側主要メディアが受動態に頼り、誰が誰に、どのような状況下で何を行っているのかが分かりにくくなっているのはなぜか(「ダウン症のガザ地区在住男性が孤独死(The lonely death of Gaza man with Down’s syndrome)」というのが、障害のあるパレスティナ人男性にイスラエル兵が攻撃犬を放ったというBBCの報道の見出しだった)? なぜアメリカの億万長者たちが大学キャンパスでの抗議活動者への容赦ない弾圧を促進するのに協力したのか? 親イスラエルの合意に反抗しているように見えるという理由で、学者やジャーナリストたちが次々と解雇され、芸術家や思想家がプラットフォームを追われ、若者が就職を妨げられたのはなぜか? なぜ西側諸国は、ウクライナ人を悪意ある攻撃から守り保護しながら、あからさまにパレスティナ人を人間の義務と責任の共同体(the community of human obligation and responsibility)から排除したのか?

これらの疑問にどう対処するかに関わらず、私たちは直面している現象を正面から見つめざるを得ない。それは、西側の民主政治体制国家が共同で引き起こした大惨事(a catastrophe jointly inflicted by Western democracies)であり、1945年のファシズムの敗北後に生まれた、人権の尊重と最低限の法的・政治的規範に支えられた共通の人間性という必要な幻想(the necessary illusion that emerged after the defeat of fascism in 1945 of a common humanity underpinned by respect for human rights and a minimum of legal and political norms)を破壊したのだ。

※パンカジ・ミシュラ:インドのエッセイスト、小説家。『怒りの時代: 現在の歴史(Age of Anger: A History of the Present)』、『帝国の廃墟から:アジアを再構築した知識人たち(From the Ruins of Empire: The Intellectuals Who Remade Asia)』など、その他数冊のノンフィクションおよびフィクションの著書がある。

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下記論稿の著者であるスティーヴン・M・ウォルトは2020年の大統領選挙ではジョー・バイデン、2024年の選挙ではカマラ・ハリスに投票した。トランプ支持ではない。そうした人物(しかも、国際関係論の大物学者である)から見た、ジョー・バイデン政権の外交はどうだったかということは興味をそそる話題である。論稿の中で、ウォルトはバイデン政権の外交は、「成功ではなかった」という評価をしている。

 バイデン政権の外交は、エスタブリッシュメントの意向に沿った外交となり、よく言えば、国際協調主義、悪く言えば、事なかれ主義となった。バイデン政権下における、世界の重要な出来事・事件は、やはり、ロシアによるウクライナ侵攻・ウクライナ戦争だ。ウォルトも指摘している通り、ウクライナ戦争は、アメリカと西側諸国によるロシアへの挑発が原因で、NATOの拡大とウクライナへの軍事に偏った支援(火遊び)をロシアが安全保障上の脅威に感じ、最終的に侵攻を誘発した。

バイデン政権は、戦争を短期間で終結させるための努力をせず、重要な武器、具体的には制空権を確保するための戦闘機をウクライナに供給しなかった。もっとも、アメリカがウクライナに戦闘機を供給していたら、ロシアの対アメリカ、対ヨーロッパへの出方は厳しいものとなっていただろうことは容易に推測できる。戦争がウクライナを超えてヨーロッパに拡大し、アメリカが米軍派遣にまで追い込まれ、戦争は泥沼化するということになった可能性もある。そうなれば、アメリカは大きく傷つき、中国の世界覇権国化を早めることになっただろう。結局、バイデン政権はウクライナ戦争に対処する意図も能力も持たずに、事なかれ主義で時間を経過させるだけで、ウクライナとロシアの国民の被害を拡大し、アメリカ国民の税金を無駄に注ぎ込むだけになってしまった。

 

ウクライナ戦争に次いで、世界的な出来事・事件となったのは、イスラエルとハマス間の戦争だ。イスラエルのガザ地区への攻撃になって、民間人に多数の死者が出て、地区が大きく破壊されることで、国際的な批判を招いた。バイデン政権がそうした批判に応えることなく、イスラエル支持を貫き、攻撃を継続させた。結果として、アメリカは人道を叫びながら、イスラエルには好き勝手させている、という「二枚舌」だという批判がなされ、アメリカに対する信頼を損なうことになった。

バイデン政権のウクライナや中東での政策は、アメリカの国際的地位やルールに対する信頼性に打撃となった。バイデン政権の外交は「成功ではなかった」ということになる。しかし、これは、バイデン政権だけの責任ではない。そもそも、アメリカの国力が落ちたこと、アメリカ国内政治の混乱、アメリカ国民の自分たちの生活に対する不満と不安と言ったことも要因として挙げられる。アメリカが世界の覇権国・超大国として行動することができなくなっている。これをバイデン政権だけで何とかしようとしてできるということではない。大きな構造転換に即した大きな変化が必要であり、アメリカ国民はそのためにトランプを大統領に選んだということになる。

(貼り付けはじめ)

ジョー・バイデンの外交政策最終報告書(Joe Biden’s Final Foreign-Policy Report Card

-退任するアメリカ大統領の国際的な功績を容赦なく検証する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年1月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/01/14/joe-biden-final-foreign-policy-report-card-ukraine-israel-gaza-afghanistan/

私は2020年にジョー・バイデン米大統領に投票した。そして、ここの読者の皆さんもご存知の通り、昨年11月には、バイデン政権の外交政策への対応に懸念を抱きながらも、カマラ・ハリス副大統領を支持した。バイデンが国際舞台での最後の退任を迎えるにあたり、彼と彼のティームはどれほどの成果を上げたのだろうか? 当然のことながら、バイデンの最後の外交政策演説では、素晴らしい成果を挙げたと述べられていた。しかし、私の評価は大きく異なる。

最も大まかに言えば、バイデン政権は、かつてのアメリカの穏健な国際的リーダーシップの時代へと時計の針を戻そうとした。「アメリカ・ファースト」ではなく、アメリカは、台頭する独裁政治(autocracy)の波に対抗するため、他の仲間の民主政体諸国と連携し、いわゆる自由世界のリーダーを自称する、役割を再開しようとした。

大西洋を越えた友好関係(trans-Atlantic amity)は回復され、アジアにおける同盟関係は強化され、アメリカは人権といった自由主義的価値観を外交政策の「中心(center)」に据えるだろう。ワシントンは主要な国際機関を支援し、気候変動を阻止するための取り組みを主導し、イランの核開発計画の撤回に成功した合意に復帰し、中国やロシアといった大国によるライヴァルを封じ込めるために多くの同盟諸国を動員するだろう。軍事費の増額(increased military spending)と技術優位性を維持する(preserve technological supremacy)ための積極的な措置は、アメリカの優位性(U.S. primacy)を将来にわたって長期化させるだろう。

確かに、バイデンは、冷戦終結から2017年に当時のドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスに就任するまでアメリカの外交政策を導いてきた「自由主義的な覇権(liberal hegemony)」の青写真を完全に受け入れた訳ではない。それどころか、バイデンはトランプのグローバライゼーションからの撤退を継続した。トランプの関税をそのまま維持し、輸出規制やその他の経済制裁を更に積極的に行使し、製造業の雇用を復活させる(これは実現しなかった)とともに、半導体、人工知能、その他の先端技術におけるアメリカの支配(U.S. dominance)を確保するために国家産業政策(national industrial policies)を採用した。

しかし、全体として見ると、バイデンのアプローチは、数十年にわたってアメリカの外交政策を導いてきた主流派エリートのコンセンサスにすんなりと収まっていた。それは、同じ世界観を共有する経験豊富なティームによって運営され、進歩主義派や外交政策のリアリストたちは脇に追いやられていた。

彼らはどれほどうまくやったか? 公平を期すために言えば、実績には確かにいくつかの重要な成功が含まれている。

2021年のバイデンの就任を、ヨーロッパにおけるアメリカの同盟諸国の多くは明らかに安堵感を持って迎えた。バイデンとアントニー・ブリンケン国務長官は共に筋金入りの大西洋主義者(die-hard Atlanticists)であり、彼らは迅速に行動して、アメリカがヨーロッパの同盟諸国の安全保障に引き続き確固たる関与を維持することをヨーロッパの同盟国に保証した。

もちろん、ヨーロッパの好意的な反応は驚くべきことではなかった。アメリカを事実上の第一対応国(first responder 訳者註:現場に第一に到着して対応する人)とすることは、ヨーロッパにとって非常に有利な取引だからだ。この立場は2つの点で成果を上げた。1つは、2022年にロシアがウクライナに侵攻した際に、政権が迅速な対応を調整するのに役立ったこと(下記参照)。もう1つは、インフレ抑制法やCHIPS・科学技術法といった保護主義的な側面、そして中国に対する様々な輸出規制を、これらの措置に伴うコストを承知の上で、一部の主要同盟国に受け入れるよう説得できたことだ。

バイデン政権はまた、中国の台頭に対抗するための幅広い取り組みの一環として、アジアにおけるアメリカのパートナーシップを強化したことでも評価に値する。これらの措置には、フィリピンの基地へのアクセス拡大、キャンプ・デイヴィッドでの韓国と日本の首脳の接遇(新たな三国間安全保障協定の締結につながった)、そしてオーストラリア、イギリス、アメリカ間のAUKUSイニシアティヴを通じたオーストラリアとの安全保障関係の強化などが含まれる。

バイデン政権は、いくつかの主要技術分野における中国の進出を阻止するためのアメリカの取り組みも改善したが、この取り組みの長期的な影響は依然として不透明である。また、米中関係は依然として激しい競争状態にあるものの、あからさまな対立に発展することはなく、政権は米中関係の大幅な悪化を招くことなくこれらの目標を達成したとも言える。

確かに、バイデン政権の取り組みは、中国の不利な人口動態と経済の失策(これらは北京に緊張を抑制する十分な理由を与えた)と、中国の修正主義(Chinese revisionism)に対する地域的な懸念に後押しされた。バイデン政権はアジアに向けて有意義な経済戦略を実行できなかったことで非難されるかもしれないが、国内で超党派が保護主義(protectionism)に傾倒していたことを考えると、戦略を策定するのは困難な道のりだっただろう。

最後に、バイデンは、アフガニスタンにおけるアメリカの無益な戦争を終わらせるという、勇気ある、そして私の考えでは正しい決断をしたにもかかわらず、不当に批判された。アフガニスタン政府は、アメリカが撤退を選べばいつ崩壊するか分からない、いわば砂上の楼閣(a house of cards)のような存在だったため、撤退は悲惨な結果に終わる運命にあった。更に言えば、駐留期間が長引いたとしても、結果は大きく変わらなかっただろう。

バイデンは短期的には政治的な代償を払ったが、彼の決断は2024年までにほぼ忘れ去られ、先の選挙ではほとんど影響を与えられなかった。アメリカが撤退して以来、アフガニスタンで起きた出来事を喜ぶべき人は誰もいないが、アメリカは自らの行動を全く理解しておらず、決して勝利するつもりはなかったことはますます明らかになっている。この事実を認識し、それに基づいて行動する勇気を持ったバイデンには、十分な評価を与えるべきだ。

残念ながら、これらの成果は、より深刻ないくつかの失敗と比較検討されなければならない。

最初の失敗はウクライナ戦争である。バイデン政権はウクライナへの支援とロシアに課したコストをことごとく誇示したがるが、この主張を支持する人々は、ウクライナが払った莫大な代償と、この戦争がヨーロッパ諸国に与えた損害を無視しがちである。

ここで重要なのは、この戦争が突如としてどこからともなく現れたのではなく、ワシントン自身の行動が生み出した問題であることを認識することである。もちろん、ロシアは違法な戦争を開始したことに全責任を負っているが、バイデンとそのティームに非難の余地がない訳ではない。特に、彼らは自らの政策がこの戦争を不可避なものにしていることに気づかなかった。具体的には、彼らはNATOの無制限拡大(open-ended NATO enlargement)と、ウクライナを西側諸国との緊密な安全保障パートナーシップに、そして最終的にはNATOに加盟させることに固執し続けた。

ウラジーミル・プーティン大統領だけでないロシアの指導者たちが、この事態の進展を存亡の危機と捉え、武力行使による排除も辞さない姿勢を明確に示していたにもかかわらず、彼らはこの危険な行動方針を固守した。戦争の脅威が迫る中、政権は外交的解決を模索し衝突を回避するための努力を中途半端なものにとどめた。

戦争が勃発すると、バイデン政権は可能な限り速やかに戦争を終結させようとしなかったという過ちを犯した。バイデン政権はロシア軍がどうしようもなく無能であり、「前例のない(unprecedented)」制裁を課せばロシア経済が破綻し、プーティン大統領に方針転換を迫られると確信していたが、これは後に過度に楽観的な想定であったことが判明した。

こうした誤った判断の結果、政権は戦争終結に向けた初期の取り組みをほとんど支援せず、むしろ頓挫させてしまった可能性さえある。また、2022年秋にウクライナ情勢の見通しが一時的に改善した際にも(マーク・ミリー統合参謀本部議長が助言したように)、停戦の見通しを探ることもなかったし、ロシアの防衛網の正面に大規模な攻勢をかけることは失敗する運命にあるとウクライナの指導者に伝えることもなかった。

残念ながら、この戦争はウクライナとその西側諸国にとって重大な敗北に終わる可能性が高い。アメリカとNATOの当局者たちは同盟の結束はかつてないほど強固だと主張しているが、彼らの楽観的なレトリックは、この戦争がヨーロッパの安全保障と政治に及ぼした甚大な損害を無視している。この紛争は、ほとんどのヨーロッパ諸国政府(その多くは今や手に負えない財政的圧力に直面している)に多大な経済的負担を強い、エネルギーコストの上昇はヨーロッパの競争力を更に低下させ、右翼過激派の復活を助長し、ヨーロッパ内部の分裂を深刻化させた。また、中国との均衡を保つために投入できたはずの関心と資源を逸らした。

確かに、ロシアも莫大な犠牲を払ったが、モスクワが北京とより緊密に結びつき、西側諸国を弱体化させる、更なる機会を模索することは、アメリカやヨーロッパにとって決して利益にならない。この戦争が起こらなかった方が、ヨーロッパ、アメリカ、そして特にウクライナにとってはるかに良い状況になっていただろう。そして、戦争の可能性を高めた政策に対して、バイデン政権は大きな責任を負っている。

二つ目の災難は、言うまでもなく中東情勢だ。あらゆる大統領の夢がここで潰えてしまうかのようだ。バイデンの最大の失策は、選挙公約を放棄し、トランプから引き継いだ誤った政策を継続したことだった。彼はイラン核合意に復帰すると公約していたにもかかわらず、復帰しなかった。その結果、テヘランは爆弾級に近いレヴェルの核濃縮(nuclear enrichment)を再開し、強硬派の影響力を強化した。

また、政権はトランプと同様にパレスティナ人の将来に関する問題を無視し、サウジアラビアとイスラエルの関係正常化に向けた努力に注力したが、その試みは失敗に終わった。このアプローチは、パレスティナ人が永久に疎外されるのではないかという恐怖を強め、ハマスの指導者たちが2023年10月7日にイスラエルに対する残虐な攻撃を開始するきっかけとなった。

バイデン政権の状況判断の誤りは、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が、ハマスの攻撃のわずか8日前に、この地域は「ここ20年で最も静かだ(quieter than it had been in two decades)」と宣言したことで、痛ましいほど露呈した。

それ以来、バイデンと彼のティームは、イスラエルが最低限の自制を求める要請を無視し、少なくとも4万6000人、おそらくははるかに多くのパレスティナ人を殺害した容赦ない無差別軍事作戦を遂行したにもかかわらず、あらゆる場面でイスラエルを支持してきた。この猛攻撃はガザ地区の大部分を居住不能にし、全ての大学とほぼ全ての病院を破壊し、数百人のジャーナリストを殺害し、200万人以上の民間人に甚大な苦しみと永続的なトラウマを与えた。

イスラエルが10月7日以降に対応したことが正当であったことを否定する良識ある人はいないが、イスラエルの報復キャンペーンは戦略的、道徳的な理由から弁解の余地のないものであった。とりわけ、この容赦ない暴力の行使は、ハマスを壊滅させ、残りの人質を解放するという公約を達成することができなかった。そして、バイデン政権は、それを可能にした爆弾投下と外交的保護を提供したのだ。

少し立ち止まって、これが何を意味するのか考えてみて欲しい。アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際司法裁判所(ICJ)、国際刑事裁判所(ICC)、複数の独立救援機関、そしてジェノサイドに関する著名な専門家たちは皆、イスラエルが重大な戦争犯罪を行い、「おそらく(plausibly)」アメリカの全面的な支援を受けてジェノサイドを行っていると結論付けている。国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、ガザ地区の状況を「道徳的な暴挙(moral outrage)」と称した。虐殺の様子を捉えた動画はソーシャルメディアで容易に見ることができる。

これらの自称「ルールに基づく秩序(rules-based order)」の擁護者たちは、イスラエルを遮断し、その不均衡な対応を非難するどころか、停戦と残りの人質の解放を求める国連安全保障理事会の決議を複数回拒否し、ICJICCへの攻撃を開始した。また、ヨルダン川西岸の占領下で暮らすパレスティナ人に対する暴力の増大を阻止するための真剣な努力も行っていない。これらの行動は、複数の政府高官が抗議の辞任に追い込まれ、国務省をはじめとする関係機関の士気を著しく低下させたとみられる。

22025年1月13日に国務省で行った退任演説で、バイデンはこれらの政策が功を奏したと示唆したようだ。ハマスとヒズボラは大幅に弱体化し、シリアのバシャール・アル=アサド大統領は失脚し、イランは深刻な打撃を受け、イランの核インフラを破壊するための空爆作戦を実施するリスクは減少した。この観点からすれば、これらの目的は手段を正当化すると言えるだろう。

この弁明は道徳的に空虚(vacuous)であり、戦略的にも近視眼的(shortsighted)だ。イスラエルとサウジアラビアの関係正常化は先送りされ、ジハード主義的なテロリズムの新たな波が目前に迫っているかもしれない。ハマスとヒズボラは弱体化したものの壊滅した訳ではない。イエメンのフーシ派は依然として抵抗を続けている。パレスティナ人が自らの国家、あるいは「大イスラエル(greater Israel)」における政治的権利を求める願望は消えることはないだろう。イランの指導者たちは、ムアンマル・アル=カダフィとアサドに降りかかった運命を回避するには、核兵器開発こそが最善の方法だと結論付ける可能性が高い。もしそうすれば、中東は再び不必要な戦争に見舞われ、原油価格は上昇し、アメリカは莫大な損失を伴う破綻に巻き込まれることになるだろう。たとえ消えることのない道徳的汚点を無視したとしても、これらの展開はどれもアメリカの利益にはならない。

バイデン政権によるイスラエル・ハマス戦争への対応は、差し迫った戦略的必要性によって強いられたのではないことを忘れてはならない。それは意識的な政治的選択だった。政府は存亡の危機に直面した際に、時に道徳的原則を妥協することがあるのは誰もが認めるところだが、ガザ地区の状況はアメリカにとってほとんど、あるいは全く危険をもたらすものではなかった。ワシントンはイスラエルによるジェノサイドへの支持を拒否しても、自国の安全や繁栄を少しでも危険に晒すことなく、行動できたはずだ。

バイデンとブリンケンがそうしなかったのは、選挙の年にイスラエル・ロビー(Israel lobby)の政治的影響力を恐れたか、イスラエルは通常のルールから除外される特別なケースだと考えていたからだろう。こうした露骨な二重基準(double standard)は、既存の秩序の正当性を必然的に損ない、アメリカの衰退しつつある道徳的権威(moral authority)を浪費した。今後、中国の外交官たちが他国に対し、西側諸国の人権観は偽善的な戯言だと説得しようとする時、イスラエルとハマスとの戦争はまさにその好例となるだろう。バイデンは、アメリカは「模範を示す力によって(by the power of our example)」主導するとよく言うが、今回の場合、他国が拒否することを願うべき模範を示したことになる。

バイデンは自称シオニストだが、ネタニヤフ首相の行動を無条件に支持したことはイスラエルにとっても良いことではなかった。イスラエルの首相と元国防大臣は、現在、国際刑事裁判所(the International Criminal Court)から逮捕状が出されている。これはプーティンと共通の問題であり、その汚点は消えることはないだろう。イスラエルのメシアニック過激派(Messianic extremists)は懲らしめられるどころか、むしろ強化され、世俗派と宗教派のイスラエル人の間の溝を深め、ヨルダン川西岸併合への圧力を強めている。

イスラエルがこの目標を推し進めれば、第二次世界大戦後の領土獲得を禁じる規範は更に弱まり、他の指導者たちは自らが切望する土地を奪取するよう促されるだろう。また、このような措置はヨルダン川西岸地区とイスラエル本土との区別を消し去り、イスラエルがアパルトヘイト国家であるか否かをめぐる議論に終止符を打つことになるだろう。これは容易に新たな民族浄化(ethnic cleansing)につながり、ヨルダンなどの近隣諸国に恐ろしい人道的被害と危険な影響を及ぼす可能性がある。私には、これらがイスラエルの利益となるとは到底考えられない。

最後に、ウクライナと中東における戦争(バイデン政権の政策が一因となって引き起こされた戦争)は、膨大な時間と関心を費やし、長期的に見てより重要な問題に十分な重みを与えることを困難にした。将来のパンデミックへの備えは停滞し、気候変動対策の進展は必要な水準を大きく下回った。そして、政権が信頼できる移民政策を打ち出せなかったことは、昨年11月にハリスに大きな痛手を与えた。

アフリカは重要性が増しているにもかかわらず、非常に軽視されてきた。過去4年間で、ブリンケンはイスラエル(人口1000万人弱)を16回、ウクライナ(人口3560万人)を7回訪問したが、人口約15億人のアフリカ大陸を訪問したのはわずか4回だった。

バイデン政権発足時の最重要目標は、「ルールに基づく秩序(rules-based order)」を強化し、独裁政治(autocracy)に対する民主政治体制(democracy)の優位性を示すことだった。しかし、バイデンとブリンケン国務長官は、都合の良い場合には躊躇なくルールを破り、ルールの執行を試みていた複数の機関(世界貿易機関、国際司法裁判所、国際刑事裁判所など)を積極的に弱体化させた。

他国はもはや、このような行動をトランプのような異端者(a rouge outlier)のせいにすることはできない。彼らは、これをアメリカの対外姿勢の本質的な要素として正しく認識するだろう。一方、バイデン政権が大々的に宣伝した「民主政治体制サミット(democracy summits)」にもかかわらず、世界中で民主政治体制は後退し続けており、強固な民主政治体制への関与が紙一重の人物が来週ホワイトハウスに復帰することになる。

ここに悲しい皮肉がある。確かにいくつかの成果はあったものの、バイデンのウクライナと中東情勢への対応の誤りは、彼が強化したいと述べていた「ルールに基づく秩序(rules-based order)」に甚大な、そしておそらくは致命的なダメージを与えた。バイデンとそのティームは、いくつかの重要な国際規範を一貫して遵守しなかったことで、次期政権(第2次トランプ政権)がそれらを完全に放棄することを容易にし、多くの国々が喜んでそれに追随するだろう。

こうなる必要はなかったが、ジョー・バイデンの外交政策の遺産は、ルールに縛られなくなり、繁栄が失われ、そして非常に、より危険な世界となるだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Bluesky@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 アメリカでは11月末の感謝祭(Thanksgiving Day)のあたりから、ホリデーシーズンに入るという感じで、一年を振り返るということも行われる。世界での大きな出来事から個人的な出来事まで、色々なことがあった。私で言えば、昨年末ギリギリに『』を刊行し、それがご縁になって、佐藤優先生との共著『』を出すことができた。来年も著書が出せるように、それが皆様のお役に立つ者であるように精進したい。より個人的なことは差し控えるが、大病もせず(慢性的な病気はあるがその状態が悪化せず)、大きな怪我もせずというのはありがたいことだったと思う。

 2024年は世界各国で国政レヴェルの選挙が実施された。思い出せるだけでも、台湾、インドネシア、インド、フランス、イギリス、日本、アメリカといった国々で選挙が実施され、指導者が交代することになった国もある。なんと言っても、アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選し、『』の内容から「トランプ当選を当てましたね」と言われたのは大きかった。また、共和党がホワイトハウス、連邦上下両院、連邦最高裁、アメリカの行政、立法、司法の三権を握ることになった(クアドルプル・レッド状態)。2025年からの第二次ドナルド・トランプ政権がどのようになるか、注目される。

 世界での戦争は2024年中に終わる可能性はない。ウクライナ戦争と中東での戦争は、小休止という状態であるが、正式な停戦には至っていない。この状態で2025年を迎えることになりそうだ。

 私は以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿で、世界で核兵器が使用されなかったことは最低限のことであるが、良かったということに同意する。それは多くの人もそうだと思う。ロシアにしても、イスラエルにしても、核兵器を使うということは、ハードルがとても高いことであるが、可能である。それでも、状況が深刻化しても、核兵器使用はなかった。核兵器を使用すればよいという主張がなかった訳ではない。地域紛争においては核兵器を使用しないという前例の積み重ねも重要だ。それがモラル面でのハードルになり、抑止力になる。もっとも、非常に脆弱なものではあるが。

 このブログは2025年も続くか、なんとなく日本のホリデーシーズンに入った感もあるので、このような文章を書いた。

(貼り付けはじめ)

2024年で感謝すべき10の理由(10 Reasons to Be Thankful in 2024

-何はともあれ、今年、世の中には感謝すべきことがいくつかある。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年11月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/11/28/thanksgiving-10-reasons-thankful-geopolitics-governance-human-rights/

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ワシントンのホワイトハウスで感謝祭の七面鳥「ピーチ」に恩赦を与えるジョー・バイデン米大統領(11月25日)

今日はアメリカでは感謝祭(Thanksgiving)であり、この時期には感謝の気持ちをリストアップするのが私の習慣となっている。残念なことに、今回はその作業にもう少し努力が必要だ。

中東での紛争は、何千人もの罪のない人々の命を犠牲にし、アメリカの評判を落とし、将来のトラブルの種をまき続けている。ウクライナにおけるロシアの戦争は期待外れの結末に向かいそうだ。多くの国でポピュリストが台頭し、現代社会が直面する困難な課題に対する解決策をほとんど示さないまま、分裂と疑念(division and suspicion)をまき散らしている。地球は熱くなり続け、気候危機への対策は停滞している。

アメリカの有権者は、犯罪者を次期大統領に選んだばかりだ。彼は今、国民から金をむしり取り、自分たちを富ませようとする忠誠者、蓄財家、変わり者で構成される政府をせっせと任命している。いい時代ではないか?

それでも私は、ほろ苦いものもあるが、今年感謝すべき10の理由を見つけた。

(1)アメリカの選挙は異議を唱えられなかった(1. The U.S. Election Was Not Challenged

11月5日に行われた米大統領選挙の結果は、私が望んだものではなかったが、結果をめぐる長期にわたる揉め事や、選挙を盗もうとする別の努力に終始しなかったことに感謝している。もしドナルド・トランプ次期大統領が敗北していたら、彼と共和党は結果を覆そうとあらゆる手を尽くしたに違いない。しかし、民主党は、悲しい心で、しかし見事な潔さで結果を受け入れることで、その気品と合衆国憲法への関与を示した。トランプ2期目は国にとって良いことではないかもしれないが、秩序ある平和的な権力移譲(orderly and peaceful transfer of power)は行われた。

(2)(非常な) 老兵の退場(2. Out With the (Very) Old Guard

民主党について言えば、何十年もの間、民主党を支配してきた老人支配政治(gerontocracy)がついにその舞台を譲ることになり、私は感謝している。ジョー・バイデン大統領、ナンシー・ペロシ連邦下院議員、チャック・シューマー連邦上院議員、ステニー・ホイヤー連邦下院議員、クリントン夫妻、その他何人かが、理想よりも数年遅れて日没へと向かうのを見るのは残念でならない。これらの人々は、政治家としてのキャリアの中で良いこともしたし、それは私たちも感謝すべきことだが、アメリカ国民との関係が希薄になる中で権力にしがみついたことも事実だ。新しい血と新しいアイデアが必要な時だ。

新鮮な思考がアメリカの外交政策にも及ぶことを願っている。アントニー・ブリンケン国務長官やジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官を含むバイデンチームは、リベラルな覇権(libera hegemony)という失敗した戦略を少し手直しして復活させようとした。時代遅れの信念や政策にしがみついた結果、ウクライナやガザ地区で悲惨な結果を招いた。こうした考え方が今後のアメリカの外交政策に与える影響は少ない方がいい。

(3)有権者が見逃したソフトランディング(3. The Soft Landing That U.S. Voters Missed

バイデン政権の外交政策ティームの全員がひどいパフォーマンスだったわけではない。ジャネット・イエレン財務長官、ジャレド・バーンスタイン経済諮問委員会委員長、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が新型コロナウイルス不況後のアメリカ経済を管理していたことに感謝している。彼らは多くの識者があり得ないと想定していた「ソフトランディング(soft landing)」を成し遂げた。もちろん彼らの実績は完璧ではなかったが、もっと悪くなる可能性もあった。

有権者がバイデンの功績を高く評価しなかったのは残念だが、その理由の1つは、バイデンが高齢のため、一般市民に説明することができなかったことだ。不平等と住宅費の上昇に対処するためのより大きな努力は助けになっただろうが、これらの問題を解決するための真剣な対策が連邦議会を通過したり、地方の障壁を乗り越えたりすることはなかった。アメリカの有権者は11月5日に感謝の念を抱かなかったのは明らかだが、私は感謝している。

(4)生殖の自由の反撃(4. Reproductive Freedom Battles Back

トランプ陣営の明らかな女性差別、安全な妊娠中絶を事実上不可能にするプロジェクト2025の計画、女性の身体以外のあらゆるものを規制緩和しようと急ぐ連邦最高裁の判例を無視する姿勢を考えれば、今年の選挙がリプロダクティブ・フリーダム、女性の健康、そして、ジェンダーの権利にとってより広範に何を意味するのか、多くの人々が落胆したのは当然である。

しかし、選挙戦の様相はまったく暗澹たるものではなかった。女性の健康と権利を守るための投票イニシアティヴは、それが検討されていた10州のうち7州で可決され、中絶の権利を支持する候補者が、トランプ大統領を支持した州を含む重要なレースで勝利した。ささやかな慰めかもしれないが、今年はもらえるものは何でももらうつもりだ。

(5)大量破壊兵器のタブーは守られてきた(5. The WMD Taboo Held Up

核兵器を保有する国々が関与する暴力的な紛争が継続・拡大しているにもかかわらず、大量破壊兵器(weapons of mass destructionWMD)が使用されることなく今年も1年が過ぎたことに、私たちは感謝しなければならない。しかし、私たちの感謝は、核兵器、そしておそらく他の大量破壊兵器の敷居が低くなっているという知識によって和らげられるべきである。アメリカを含むいくつかの国の強硬なタカ派は、核兵器の使用について公然と語り始めている。来年の感謝祭のリストにこの項目を入れられればいいのだが、年々その可能性が低くなっているのが心配だ。

(6)国際刑事裁判所の逮捕令状(6. The ICC Arrest Warrants

国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)が政治的圧力に屈することなく、ハマス軍最高責任者のモハメド・デイフ(彼はもう生きていないかもしれない)、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ギャラント元イスラエル国防相に逮捕状を発行したことに感謝したい。この逮捕令状は、戦争犯罪や人道に対する犯罪を命じたり犯したりした人間が、国際社会から特別扱いされ、制裁を受ける可能性があることを示す希望的な兆候である。

私は、リアリストとして、このような措置が一部の指導者の悪行を止めるものではないことを認識している。しかし、執行メカニズムが弱いか存在しない、食うか食われるか(dog-eat-dog)の国際政治においても、国家は政府が罪のない市民に故意に過度の残虐行為を加えることを阻止しようとすることはできる。今回の逮捕状によって、ハマスやイスラエルの指導者たちが選んだと思われる暗い道に向かわないよう、将来の指導者たちが何人かでも説得されるのであれば、私たちはそれにも感謝しなければならない。

(7)公務員(7. Civil Servants

政治家や専門家たちは、お役所仕事で社会を窒息させ、私たちに自分たちの好みを押し付けていると思われる政府関係者を批判するのが大好きだ。彼らは格好の標的だが、多くの場合、不十分なリソースを使いながら、私たち全員の状況をより良くするために毎日働いている、ほとんど献身的でほとんど政治に無関心で組織的に低賃金の何千人もの公務員なしでは社会は機能しない。

アメリカは、このような人々が、イデオローグや日和見主義者から指示を受ける忠誠者やハッカーに取って代わられるとどうなるかを発見しようとしているのかもしれない。この戦略は他の国ではあまりうまくいっておらず、今後数年で公共サーヴィスが劇的に低下すれば、アメリカ人は満足しないだろう。私が間違っていればいいと思う。今のところは、トップに任命された人たちの気まぐれや愚行にもかかわらず、公的機関の運営を維持してきた専門知識と献身に感謝することにしよう。

また、ジョシュ・ポール、アネル・シェリーン、ハリソン・マンといった政府関係者にも特別な感謝の意を表する。彼らは出世主義(careerism)よりも道徳と原則を優先し、バイデン政権によるイスラエルの虐殺に対する非良心的かつおそらく違法な支援に抗議して辞任した。もし彼らの上司の何人かが彼らの例に倣っていれば、アメリカの政策はより建設的な方向に舵を切ったかもしれない。

(8)著述家たち(8. Authors

幸運なことに、私は仕事上、たくさんの本を読む必要があり、私を教育し、挑戦し、インスピレーションを与え、楽しませてくれた多くの著述家に毎年感謝している。全員に言及することはできないが、ステイシー・E・ゴダード、エリン・ジェン、シーピン・タン、スティーヴ・コル、カルダー・ウォルトン、アダム・シャッツ、ジェイムズ・ゴールドガイアー、ダニエル・チャーデル、ヴィクトリア・ティンボア・フイ、ノーム・チョムスキー、ネイサン・ロビンソンに簡単に感謝の意を表したい。私は彼らが書いた全てに同意する訳ではないが、その全てに多くの価値があると感じた。

そして、ナターシャ・ウィートリーに特別な応援を送りたい。著書『国家の生と死(The Life and Death of States)』は、オーストリア=ハンガリー帝国の終焉と近代国家制度の創設のめくるめく歴史であり、法制史、哲学、法学などの多くの学問分野の並外れた組み合わせとなっている。決して軽い読み物ではないが、非常に読み応えがあり、深く考えさせられる内容だった。

軽めの作品としては、故ポール・オースター、ジュリアーノ・ダ・エンポリ、バリー・アイスラー、ボニー・ガーマス、そして特にジョージ・スマイリーを完全に満足のいく形で甦らせるという不可能に近い偉業を成し遂げたニック・ハーカウェイの作品に喜びを見出したことに感謝している。私の読書人生を豊かにしてくれた上記の全ての人々に感謝する。

(9)希望の光か?(9. A Silver Lining?

これは時期尚早かもしれないが、第二次トランプ政権が、敵対者たちが警告していた無能で執念深い、そして過度の傲慢さを示しているという初期の兆候に対して、暫定的に感謝の意を表したいと思う。はっきり言っておくが、私はアメリカに悪いことが起こることを望んでいる訳ではない。私の心配は、いずれにせよそれらが起こるのではないかということだ。

これが引き起こすであろう問題や、多くのアメリカ人が耐えることになる苦しみを私は喜ばないが、トランプ、イーロン・マスク、ロバート・F・ケネディ・ジュニア、そしてその他の人々が最終的に多大な損害を与えるのであれば、むしろそうするほうが良いと思う。それは迅速かつ誰の目にも明白だ。そうなれば、他の非自由主義的な独裁者たちがやったように、トランプとその手下たちが権力を維持するために選挙制度を再配線する前に反発が始まるかもしれない。興味がある方のために付け加えておくが、私は間違いであると証明されることを嬉しく思うし、物事がそのように進むのであれば喜んでそれを認めるつもりだ。

(10)個人的な幸せ(10. Personal Blessings

私は幸運にも今学期をウィーンの人間科学研究所 (IWM) のゲストとして過ごすことができた。考えたり書いたりするのにこれ以上良い環境はない。とても良いホストをしてくれたミーシャ・グレニー、イワン・クラステフ、そしてIWMのスタッフに感謝する。最後に、たとえあなたがコメントで私に課題を与えてくれた読者の一人であっても、このコラムを読むことを選択した全ての人に、私は深く感謝し続ける。

そして、以前はトゥイッターとして知られていた地獄のサイトに代わるサイトがあることに特に感謝している。今後は、@stephenwalt.bsky.social で私をフォローして欲しい。素晴らしい感謝祭になりますように!

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「Bluesky」アカウント:@stephenwalt.bsky、「X」アカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2023年10月以来、イスラエルと中東地域は戦争状態が続いている。共和党の支持者の過半数はイスラエルに対する支援を継続することを望んでいる。また、ドナルド・トランプ次期大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は良い関係と言われている。バラク・オバマ、ジョー・バイデン両民主党政権とは関係がうまくいっていなかったネタニヤフ首相は2023年10月以来、積極的に周辺諸国に攻撃を仕掛けている。これは、再選の道を断たれたジョー・バイデン大統領はレイムダック化(無力化)しているうちに、戦線を拡大しておきたいということ、自分と関係が良いドナルド・トランプが次期大統領になることで、支援は継続されて、攻撃を続けることができるという計算をしているということが考えられる。トランプは2024年10月21日にネタニヤフ首相と電話会談を行い、「(イスラエルの自衛のために)やるべきことをやれ」と述べたとされている。ネタニヤフ首相は「お墨付き」をいただいたような気持であっただろう。
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 イスラエルは、ガザ地区のハマスだけではなく、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、更には、これらの組織を支援するイランに対する空爆も行っている。それだけではなく、シリアのバシャール・アサド政権崩壊を受けて、シリア国内の民兵組織にも攻撃を加え、係争地ゴラン高原の緩衝地帯に侵攻し、ゴラン高原の確保を強化している。ネタニヤフ首相は自衛のための行為としているが、中東地域を不安定にさせる危険な動きである。イスラエルと中東のイスラム教国の対立という「中東戦争」になって困るのはトランプだ。

 いくらトランプがイスラエルを支援していると言っても、イランとの戦争状態は望まないだろう。イスラエルとイランが戦争状態になり、核戦争の危機も高まるとなれば、アメリカがこの戦争に引っ張り出される、巻き込まれるということは考えられる。アメリカ軍が派遣され、アメリカ軍に死傷者が出るとなると、トランプ政権にとって大きな打撃である。そこまで事態が悪化しないように、トランプとしては状況をコントロールしたいところだろう。ネタニヤフ首相は自身と家族のスキャンダルを抱えており、首相の座から離れてしまえば逮捕される可能性がある。戦争状態、緊張状態が続くことは彼自身にとっては利益であるが、これはイスラエルと中東地域、世界にとっては好ましい状況ではない。

 ネタニヤフ首相が辞退を悪化させる場合、トランプは態度を変えて、ネタニヤフ首相を支持せず、政敵のベニー・ガンツ元国防相を応援するということも考えられる。トランプ自身の動きは「予測不可能」であり、いつ「You are fired!(お前はクビだ!)」と言われるかは分からないのだ。

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トランプとネタニヤフは歩調を合わせないだろう(Trump and Netanyahu Won’t Get Along

-誰もがトランプとイスラエル首相の親密さを過大評価している。

スティーヴン・A・クック筆

2024年11月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/11/01/trump-and-netanyahu-wont-get-along/

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ドナルド・トランプ前米大統領とベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相(2020年1月27日、ワシントンDC)。

『タイムズ・オブ・イスラエル』紙は最近、イスラエル人の3分の2がカマラ・ハリス米副大統領よりもドナルド・トランプ前米大統領を好むと報じた。彼らはトランプがバイデン・ハリス政権よりもイランに対してより厳しく、イスラエルの戦争努力を支持すると明白に信じているが、トランプもハリスもイランとの直接対決を望んでいないという事実を考えると奇妙なことである。

また、トランプとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が互いに歩調を合わせているという考えが広まっていることも奇妙だ。

私が書評したジャレッド・クシュナーの回顧録の内容を信じるならば、ネタニヤフ首相とトランプ大統領との間には信頼関係が欠如していた。ネタニヤフ首相が1996年に首相として初めてワシントンDCを訪れた際、ビル・クリントン大統領は会談後にスタッフにこう尋ねたと伝えられている。「ここにいる中で誰が超大国だ?」 バラク・オバマ大統領は明らかに、ネタニヤフと同じ部屋にいることに耐えられなかった。そしてトランプは、在任中に行われた一連のイスラエル選挙でベニー・ガンツを応援した。

トランプは明らかに、ハマスとの戦争を、選挙に勝った場合に最初に対処しなければならない問題にはしたくないようだ。だからこそ、トランプは最近になって、ネタニヤフ首相に対して、就任式の日までにガザ地区については決着をつけたほうがいいと述べた。これは以前から何度も言っていることで、イェルサレムの懸念をかき立てている。トランプのタイムラインは、ハマスに多くのダメージを与えたが、今後も続けるつもりのイスラエルのタイムラインとは必ずしも一致しないからだ。もしネタニヤフ首相が大規模な軍事作戦を終了させ、勝利宣言をすれば、国内の右派の同盟者たちとはうまくいかないだろう。

結論: 選挙結果がどちらに転んでも、アメリカ・イスラエル関係に緊張が走る可能性は高い。

※スティーヴン・A・クック:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。外交評議会エニ・エンリコ・マッテイ記念中東・アフリカ研究上級研究員。最新作に『野望の終焉:中東におけるアメリカの過去、現在、将来』は2024年6月に刊行予定。ツイッターアカウント:@stevenacook

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年も世界各地で戦争が続いた。ウクライナ戦争は2年以上も経過し、3年目に入ろうとしている。2023年に始まったイスラエルとガザ地区を実効支配するハマスとの戦闘は続いており、加えて、レバノンのヒズボラやイランとの紛争も継続中だ。シリアにおいては10年以上継続した内戦が新たな段階を迎え、50年以上続いたアサド家による独裁体制は終焉したが、シリアの状況は予断を許さない。これらが示しているのは、アメリカの国力が低下し、アメリカが世界の警察官であることを止めたことで、アメリカの力による問題解決ができなくなり、各国は「自力救済」を志向する傾向が出てきたということだ。シリアに関して言えば、イスラエルが一番の受益者ということになる。イスラエルは恐らく、反体制派へ武器と情報の支援を実施し、電光石火のアサド政権崩壊を導いたのだろう。

スティーヴン・M・ウォルトによると、世界政治においては、2つの相反する傾向が存在する。これらの傾向が互いに影響し合うことで、多くの国々が判断を失敗する原因となっている。第一の傾向は、現代兵器の射程、精度、致死性の増大である。過去には、敵に損害を与えるために軍隊を破る必要があったが、今日では強力な国家が数百マイル離れた目標を爆破する能力を持っている。核兵器やミサイルがその代表であり、無人機の使用による遠隔攻撃も増えている。アメリカやロシア、イスラエルはこうした高い能力を保有している。

第二の傾向は、地域のアイデンティティや国家意識の強化である。過去500年の歴史の中で、共通の文化や言語に基づく集団が自らの統治を求めてきた。国家意識が高まると、人々はそのために大きな犠牲を払うことを厭わなくなる。第一の傾向の武器の強靭化をもってしても、人々の意志を挫くことは困難だ。

これら2つの傾向は相反するもので、強力な国家が遠方で破壊的な手段を持つ一方で、地域のアイデンティティが強化されることで、敵対する国民の結束が高まる可能性がある。空爆は民間人の士気を打ち砕くどころか、逆に団結感を育むことが歴史的に示されている。高い攻撃能力を持っていても、それが政治的影響力や戦略的勝利をもたらすことは少ないとウォルトは分析している。私たちが既に見ているように、ウクライナやパレスティナの人々は屈服していない。

単に爆弾を投下することは、根本的な政治的問題の解決にはならないことは明らかだ。特に、イスラエルによるガザ地区への攻撃は、その破壊力が何らかの解決に結びつくとは考えられない。問題を解決するためには、根本的な政治的原因への対処と国民の統治意識を認めることが必要であり、単なる破壊的な力だけでは目的を達成できないことを理解する必要がある。

 アメリカは世界最強の軍事力を誇り、それを背景として、価値観外交を展開し、敵対する国々の体制転換(regime change)を行ってきたが、失敗の連続という結果に終わった。軍隊では問題の根本解決はできないということを考え、アメリカは、軍隊の役割を限定するということが必要になってくる。その根本的な原理となるのが「アイソレイショニズム」であり、「アメリカ・ファースト」だ。

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世界の二大潮流は対立している(The Two Biggest Global Trends Are at War

-世界の指導者たちは新たな世界秩序の矛盾を乗り越える術を学ばなければならない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年8月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/08/06/trends-war-drones-identity-gaza-ukraine-houthis/

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ウクライナのキエフ地方でテスト飛行中のポーランドの偵察用ドローン「フライアイWBエレクトロニクスSA」を打ち上げる軍関係者(2022年8月2日)

ドナルド・トランプやカマラ・ハリスなど、世界のリーダーを目指す人たちが外交政策について私に助言を求めてきたら、喜んで話をしたいことはたくさんある。気候変動、中国との付き合い方、保護主義が愚かな理由、ガザ地区をどうするか、規範の役割、脅威の均衡理論(balance of threat theory)が本当に意味するもの、その他多くのトピックがある。しかし、私はまず、世界政治における2つの相反する傾向に注意を喚起することから始めるだろう。この2つの潮流は、重要な点で互いに対立しており、この2つの潮流がどのように影響し合っているかを理解しなかったために、多くの国々が道を踏み外すことになった。

第一の傾向は、現代兵器の射程、精度、致死性の増大だ。1世紀ほど前、空軍力は初期段階にあり、ロケット弾や大砲は精度が低く、射程も限られていた。敵に多大な損害を与えるには、敵の軍隊を破り、包囲軍で都市を包囲する必要があった。しかし今日、強大な国家は、たとえ目標が数千マイルではなく、数百マイル離れたところにあるとしても、物事を爆破することに非常に熟練している。核兵器と大陸間ミサイルはこの傾向のモデルだが、ありがたいことに、これらの兵器は1945年以来抑止目的のみに使用されてきた。しかし、長距離航空機、弾道ミサイル、巡航ミサイル、無人機、および精密誘導技術の着実な進歩により、現在では、戦闘員が数百マイル離れた目標を破壊することが可能になっている。一部の非国家主体(イエメンのフーシ派など)さえもこの行為に参加している。

制空権(command of the air)によって、強力な国家は、敵対する軍隊や無力な市民に甚大な損害を与えることができるようになった。アメリカが第一次湾岸戦争の初期に行ったこと、ロシアがウクライナで行っていること、イスラエルが現在ガザ地区で行っていることは、破壊的パワーを投射する能力(ability to project destructive power)が時代とともに飛躍的に高まっていることを示している。このリストに、いわゆる識別特性爆撃(シグネチャーストライク、signature strikes)でテロリストと疑われる人物を殺害したり、イランの精鋭部隊コッズ部隊(Quds Force)のトップであるカセム・スレイマニのような外国高官を暗殺したりするための無人機の使用を加えることができるだろう。先週レバノンでヒズボラの高官フアド・シュクルを殺害したイスラエルの攻撃は、最新の例にすぎない。世界最強の国家にとって、遠隔地で殺傷力を行使する能力はかつてないほど高まっている。また、洗練されたサイバー兵器によって、たとえ標的が地球の反対側にあったとしても、マウスをクリックするだけで相手の重要インフラを攻撃できるようになるかもしれない。つまり、一部の国家にとっては、破壊する能力がグローバルな範囲に広がっている。

二つ目の傾向はまったく異なる。それは、地域のアイデンティティと忠誠心、特に国家としての意識の政治的顕著性(political salience)と粘り強さ(tenacity)の深化だ。以前にも述べたように、「人間は共通の言語、文化、民族性、自己認識に基づいて異なる部族を形成しており、そのような集団は自らを統治できるべきであるという考えが、過去500年の歴史を形作ってきた。多くの人がまだ十分に理解していない形で何年も経っている」。国家意識の広範な出現と、そのような集団が他者に支配されるべきではないという信念が、多国籍のハプスブルク帝国とオスマン帝国がそれぞれ1918年と1922年以降存続できなかった主な理由の1つだ。イギリス、フランス、ポルトガル、ベルギーの植民地がなぜ独立したのか。そして、なぜソ連とワルシャワ条約機構も最終的に解体してしまったのかなどの理由になる。

国家としてのアイデンティティに対する強力な意識が国民の中に根付くと、国家へのより大きな一体感と忠誠心を築くために政府がしばしば奨励するプロセスであるが、国民はますます「想像上の共同体(imagined community)」のために多大な犠牲を払うことを厭わないようになるだろう。北ベトナム人は独立を獲得し国家を統一するために、日本、フランス、アメリカと50年間戦った。アフガニスタンのムジャヒディーンは最終的にソ連に自国からの軍隊撤退を強制し、タリバンの後継者たちはアメリカに同じことをするよう説得した。今日、数と武器で劣るウクライナ人がロシアの侵略に抵抗し続けている一方、パレスティナ人の抵抗とアイデンティティを破壊しようとするイスラエルの努力は、彼らを更に強くするだけのように思われる。

その結果、ある種の矛盾が生じる。強力で技術的に進んでいる先進諸国は、遠距離から他国に損害を与える効果的な手段をますます手に入れているが、この破壊的な能力は永続的な政治的影響力をもたらしたり、意味のある戦略的勝利をもたらしたりすることはない。アメリカは1992年から2010年までイラク上空を制圧し、望むときはいつでも航空機、ミサイル、無人機をイラクの敵国に向けて投入することができた。しかし、その技術的に優れた能力は、アメリカ軍が反政府勢力を排除したり、親イラン民兵組織の影響力を弱めたり、国家の政治的発展を決定したりすることを可能にするものではなかった。

これら2つの傾向、つまり遠く離れた場所で物事を爆発させる能力がますます増大していることと、地元のアイデンティティの頑固な力が相反する理由の1つは、遠隔地攻撃能力を使用すると地元のアイデンティティが強化される傾向があるからだ。初期の空軍力理論家たちは、空爆は民間人の士気を打ち砕き、敵対者を迅速に降伏させるだろうと予測していたが、経験上、民間人に爆弾を投下する方が強力な団結感(sense of unity)と抵抗の精神(spirit of resistance)を育む可能性が高いことを示している。無防備な人々に死と破壊を与えることは、実際、犠牲者の間に共通のアイデンティティの感覚を築くための理想的なるつぼだ。爆弾やミサイルでウクライナのインフラを破壊することには、ある程度の軍事的価値があるかもしれないが、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領は、ウクライナ国民にロシアとの「歴史的団結(historical unity)」を説得するために、これ以上悪い方法を選択することはできなかったはずだ。戦争が最終的にどのように終結しても、彼はウクライナとロシアの間に数十年続く可能性が高い亀裂を生み出した。

なぜ私は、志ある国家指導者たちにこれら2つの傾向について伝えたいのだろうか? なぜなら、強国の指導者たちは、物事を爆破する「衝撃と畏怖(shock and awe)」の能力があれば、弱い国民を従わせることができると考える傾向があるからだ。弱い敵に爆弾を投下したり、ミサイルやドローンを発射したりすることで、自国民へのリスクを最小限に抑えることができるため、これは魅惑的な考えだ。歴史家のサミュエル・モインが主張しているように、指導者は、精度と正確さによって悪者を排除し、民間人を救うことができると自分自身に納得させることさえでき、それによって致死的な武力の使用が良性で承認されやすくなる可能性さえある。もしあなたが何らかの厄介な外交政策問題を抱えている強国であり、自国民に大きなリスクを与えることなくその問題に空軍力を投じることができるのであれば、「何かをする」ことはより魅力的なものとなる。

残念ながら、物事を爆破したり(場合によっては多くの無実の人々を殺害したりすることも)、そもそも紛争を引き起こした根本的な政治的問題には対処できない。過去10カ月にわたってイスラエルがガザ地区に加えた大規模な虐殺を見て欲しい。イスラエルが示した破壊力に疑問を呈する人は誰もいない。今日のガザ地区のヴィデオ映像を見るだけで分かる。しかし、これによってガザ地区やヨルダン川西岸、その他の場所にいる何百万ものパレスティナ人が自身の統治への欲求を放棄することになると本気で信じている人がいるだろうか? もちろん、同じことは逆にも当てはまる。ヒズボラは20年前よりもイスラエルを攻撃する能力が高まっているが、その破壊能力によって条件を決定したり、イスラエルとの紛争を引き起こしている、より深い政治問題を解決したりすることはできない。そして、イスラエルとより広範な地域戦争の危険に晒されている。

私は、現代の航空戦力に価値がないとか、国家が絨毯爆撃(carpet-bombing)やより粗雑な長距離攻撃(cruder forms of long-range attack)に頼らざるを得なくなった方が世界が良くなるなどと言っているのではない。有能な地上軍と組み合わされれば、航空戦力は十分に選択された政治目的を推進する上で極めて効果的である。例えば、アメリカの航空戦力は、イスラム国を、短期間続いたカリフ国から追い出すのに重要な役割を果たしたが、それはイラクとイランの地上軍がその地域を奪還し、平和にするために存在していたからである。

軍事理論家カール・フォン・クラウゼヴィッツは正しかった。戦争は政治の継続であり、破壊力だけで政治的目的を達成できることはほとんどない。成功するかどうかは、何よりもまず現実的な目的を選択するかどうかにかかっているが、それと同時に、根本的な政治的原因に対処し、各国が自国を統治しようとする意欲を認めるかどうかにもかかっている。勝利への道を空爆で切り開こうと考えるような人間に国家を運営する資格はない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

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