古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:キューバ

 古村治彦です。

 米国務省が「キューバがアメリカ国内の左翼団体を通じてアメリカ転覆の試みを行ってきた」とする報告書を発表した。1960年代から現在まで、キューバはアメリカの左翼団体、古くはブラック・パンサーやウェザー・アンダーグラウンド、現在でいえばアメリカ民主社会主義者への支援や影響力行使を行っていると主張している。アメリカはキューバの政権転覆、体制転換を試みるために、軍事侵攻や暗殺、フィデル・カストロ議長のひげをはやさせないための研究まで行っており、経済制裁を通じてキューバを貧困化させてきた。これも立派な内政干渉であり、転覆の試みである。自分たちの行うこのような試みは素晴らしい試みで問題ではないが、キューバの試みは攻撃をするための口実になるという「二重基準」である。

 近年、アメリカで民主社会主義が支持を集めているということはこのブログでもご紹介した。マルコ・ルビオのような対中強硬ネオコンにとってはキューバも民主社会主義もどちらも目障りな存在であり、それを攻撃するために報告書を出したということもあるだろう。アメリカで民主社会主義が支持を集めているのは、キューバが支援しているからではない。アメリカ国内で「分断」が深刻化し、所得格差や教育格差といった「格差(inequality)」が拡大しているからだ。アメリカ国内で一般国民の生活が苦しくなれば、民主社会主義の支持が拡大していくのは当然のことだ。それをキューバと結びつけるのは「牽強付会」も甚だしいということになる。

 アメリカで民主社会主義が拡大しないためには、ドナルド・トランプ大統領が唱えている「アメリカ・ファースト」を徹底することだ。国内の電気、水道、ガス、道路、橋梁などのインフラ(社会資本)の整備から始めることだ。世界第一の経済大国で豊かな国であるならば、どうしても高速道路がデコボコで、橋が落ちてしまうというようなことが起きてしまうのか。国民が最低限の医療に手ごろな価格でアクセスできるようにすべきではないか。これは税金の使い道を変更すればできることだ。トランプの「アメリカ・ファースト」は、貧しい白人労働者たちのための政策であるはずだ。しかし、実際には物価高で、医療費高騰もあり、厳しい生活が続いている。都市部の住宅費高騰も酷い。きちんとした仕事のあるホームレスという変な言葉がまかり通る状態である。トランプの支持率低下は、イラン戦争の失敗ということもあるが、公約が実現していない、生活が苦しいままだという不満も理由として挙げられるだろう。

 国内の不満を和らげる、逸らすために、外国に目を向けさせるというのは古今東西、どんな政権でも使う、常套手段である。日本の高市早苗政権も中国敵視をして国民の不満を逸らそうとしている。アメリカはなんと経済制裁で青色吐息のキューバがアメリカの政権転覆を目論む悪の親玉というようなことを言い始めた。このような外国の脅威を強調し、外国に侵攻するというマイナスのサイクルにトランプ政権が入りつつある。トランプの神通力も陰りを見せているということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

米国務省がキューバについて左翼団体を通じた重大な脅威と位置づけた(State Department Frames Cuba as Major Threat via Left-Wing Groups)

-この報告書はキューバ政権の転覆に向けたアメリカの動きが強まる中で発表された。

サム・スコーヴ筆

2026年7月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/07/20/state-department-cuba-report-left-wing-terrorism-rubio-trump/

米国務省が月曜日に発表した100ページに及ぶ報告書は、キューバが数十年にわたる破壊工作(subversive operations)を通じてアメリカを転覆させようと画策してきたと主張している。その工作の多くは、アメリカ国内の左派勢力の活動と結びついたものだとされている。

この報告書は、キューバを、アメリカ政府当局者たちがこれまで一般的に認識していたよりも危険な存在として位置づけている。報告書によると、キューバの「工作員や協力者(agents and operatives)」は「数百」もの組織内で活動しており、「現代アメリカ史上、敵対的な外国勢力による影響力行使の手段として、最大級かつ最も巧妙で危険なものの1つ」を構成している。

ごく最近まで、トランプ政権の当局者たちは、ロシア、中国、イランといった国々に焦点を当てることが多く、キューバをアメリカに対する重大な脅威として言及することはあまりなかった。

この報告書は特に、アメリカの有力政治団体である「アメリカ民主社会主義者(DSA)」を、キューバと連携する「偽装団体や同調者(front groups and fellow travelers)」のリストに含めるなど、アメリカ国内の政治問題にも踏み込んでいる。その根拠の1つとして、DSAのメンバーによるキューバへの渡航などが挙げられている。アメリカ民主社会主義者(DSA

)は、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員やニューヨーク市長ゾーラン・マムダニといった著名な政治家を支援してきた。DSAは、コメントの求めに対し、すぐに返答をすることはなかった。

報告書のいくつかの章では、1960年代から1970年代にかけて最も活発に活動した「ブラック・パンサー(Black Panthers)」や「ウェザー・アンダーグラウンド(Weather Underground)」など、アメリカの左派団体とキューバとの歴史的なつながりについても詳述されている。また別の箇所では、1980年代における南米の左派団体へのキューバによる支援についても取り上げられている。

この報告書は、一連の出来事と、現代のアメリカ政治に対するキューバの関与(とされるもの)との間に結びつきを見出している。「ジョージ・フロイド事件に伴う暴動から『アンティファ(Antifa)』の台頭、さらにはアメリカの大学キャンパスにおけるテロ擁護的な活動の急増に至るまで、近年のアメリカ政治史における最も重大な激動の多くは、何らかの形でキューバの影響と結びつけることができる」と報告書は結論づけている。

報告書は、キューバの行動を、アメリカによる一連の工作活動、1961年のピッグス湾事件をはじめとする軍事行動、暗殺、制裁、政治的圧力によるキューバ政権の転覆の試みへの反応としては捉えていない。むしろ、キューバの行動を「西洋文明そのものに対する革命(revolution against Western civilization itself)」の一環として位置づけている。

しかし、専門家の中には、かつて野心的な冷戦時代の工作活動を展開していたキューバと、制裁によって弱体化した現在のキューバとを結びつけるこの報告書の主張は誇張であると指摘する人たちもいる。

南米を専門とするノーステキサス大学ダラス校の政治学教授オーランド・ペレスは次のように書いている。「キューバの情報機関は忍耐強く有能であり、その点に異論の余地はない。しかし、孤立し崩壊しつつある国家を、西半球を操る黒幕として描き直すことは、その『弱さ(weakness)』を『脅威(menace)』へとすり替える行為である」。

アメリカは1月以降、制裁の強化やエネルギー供給の封鎖を通じてキューバへの圧力を強めており、その結果、キューバでは深刻なエネルギー不足が生じている。ドナルド・トランプ米大統領は、イランとの現在の対立が収束した暁には、次はキューバに矛先を向ける意向を繰り返し示唆してきた。

キューバ出身の両親を持つマルコ・ルビオ米国務長官は、長年にわたりキューバの共産主義政権への圧力を求めてきた。ルビオ長官は月曜日、Xへの投稿で報告書を紹介し、「キューバ政権は急進左翼思想(radical leftism)の最大の支援者である」と指摘した。

しかしながら、キューバは共産主義政権の打倒を狙うアメリカの試みに何十年にもわたって抵抗し続けてきた歴史を持ち、軍事行動以外の手段でトランプ政権がキューバ政府にさらなる影響を及ぼそうとする場合、具体的にどのような手法をとるのかは不透明だ。

※サム・スコーヴ:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Xアカウント:@samuelskove

(貼り付け終わり)

(終わり)



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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権になり、アメリカは西半球、南北アメリカ大陸支配に対する欲望を隠さなくなった。ヴェネズエラに対しては奇襲攻撃を行い、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束した(ヴェネズエラ政府内部の最高クラスに協力網ができていたのは想像できる)キューバに対する支配を明言し、経済制裁を実施している。そして、デンマーク領のグリーンランドの僚友の使途を明確にしている。NATOという集団的自衛権(collective self-defense)に基づいた同盟関係の中で、同盟国同士であるアメリカとデンマークが戦争状態になる場合、他の同盟諸国は、侵略側になるアメリカを自国への攻撃とみなし反撃として、攻撃するのか、大いに懸念される。アメリカが同盟国を攻撃するということはこれまで想定されてこなかった(学術研究としてはそういうシミュレーションはあっただろうが)。「アメリカと同盟関係を結んでも安心できない」ということになれば、同盟関係の意味はなくなってしまう。

 さて、下記論稿では「集団安全保障(collective security)」という言葉が使われている。論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは以下のように書いている。

(引用貼り付けはじめ)

伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。
(中略)

戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

(引用貼り付け終わり)

 私たちは良く「集団安全保障」と「集団的自衛権(collective self-defense)」という言葉を目にし、耳にする。スティーヴン・M・ウォルトはこの2つの言葉を区別して使っていない。しかし、これら2つの言葉は厳密に違いがある。「集団安全保障(collective security)」と「集団的自衛権(collective self-defense)」は違う。集団安全保障は、国連などの国際的な枠組みにおいて、侵略を行った国家に対して、加盟国が全体で制裁や軍事行動を行うことを指す。全体で平和維持を目指す。集団的自衛権は、自国と密接な関係ある国、例えば、同盟国が攻撃を受けた場合に、自国が攻撃を受けたと見なし、対処することを指す。同盟国、パートナーの防衛を指す。NATOは集団的安全保障ではなく、集団的自衛権の枠組みということになる。細かい話になってしまうが、これらには違いがあるということを私は知っておくと、報道を見聞きする際に、気を付けるようになる。

 話を元に戻すと、世界の超大国であるアメリカは「やりたい放題(Do whatever you want)」ができ、そこには理屈をつけて「正当化(justification)」することが可能だ。しかし、そうしたことを続けていれば、国力が低下していくと、他国からの離反や反撃を招くことになる。現在でいえば、アメリカとイスラエルはこの「やりたい放題」をやりながら、「世界の平和のため」「自衛のため」という正当化を行っている。しかし、それをいつまでも続けることはできない。世界でアメリカとイスラエルに対する反感の声が高まっており、それを力で抑えられるということはもうできない。

 「アメリカに頼れない」「アメリカを信用できない」という考えが世界に蔓延していけば、現在の国際社会の構造は大きく変化していくことになる。渡したが日々目撃している世界の大きな動きはそのことを示している。

(貼り付けはじめ)

「集団安全保障」は生命維持装置に繋がれている(‘Collective Security’ Is on Life Support)

-国際関係の基本概念の1つがこれまでにないほどの危機に瀕している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年12月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/16/nato-collective-security-alliances-nato-life-support/

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ドイツ南部のホーエンフェルス訓練場で行われたNATO演習中、アメリカとアルメニアの兵士たちが負傷したとみられる兵士を医療装甲車両から陸軍移動外科病院(mobile army surgical hospital、MASH)に搬送している(2023年9月14日)

脆弱な世界秩序を考えると、「集団安全保障(collective security)」という概念はもはや消滅してしまったのではないかという疑問について考えてしまう。その答えは、この言葉が何を意味するかによって異なる。もし集団安全保障が、世界の複数の主要大国が現状変更のために武力を用いることを放棄し、この誓約に違反する国を阻止するために結束することに同意するシステムを意味するのであれば、それは死んではいない。それは単純な理由からだ。それは、そもそも存在しなかったからだ。

第一次世界大戦後に設立された国際連盟(the League of Nations)に最もよく見られるように、伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。

しかし、集団安全保障には別の定義が存在する。それは、戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

しかしながら、過去に存在した比較的現実的な集団安全保障体制は、なぜ現在は生命維持装置に頼っているのかを理解するだけでも、今日、より深く検討する価値がある。

集団安全保障体制の限定的な形態の1つに「安全保障レジーム(security regime)」がある。これは、競争相手が狭く具体的な方法で競争を制限することに合意するものだ。SA​​LT条約やSTART条約といった軍備管理協定(arms control agreements)はその好例であり、これらの措置のいくつかは確かに戦争のリスクをわずかに軽減するのに役立った。しかし、これらの協定は、超大国が数千もの核兵器を製造したり、その威力を高めるために数十億ドルもの資金を費やしたりするのを阻止することはできていない。また、ソ連と西側諸国間の激しい対立に終止符を打つこともなかった。

こうした種類の軍備管理協定の見通しは、参加すべき国の数が増えていることもあって、今日では明るくない。世界は冷戦時代の二極構造(bipolar)ではなく、多極構造(multipolar)となっている。つまり、大国間の軍備管理を機能させるには、中国を巻き込む必要があるということだ。北京、モスクワ、ワシントンを巻き込んだ軍備管理協定を締結するための努力は行われておらず、中国は他の米露2カ国に追いつくまでは軍備制限に関心がない。それどころか、中国をはじめとする一部の国は核兵器を増強しており、ロシアとアメリカはこれに対抗して自国の軍事力を近代化している。さらに、他のいくつかの国も独自の核戦力の取得を検討している。人工知能やサイバー兵器に関するガードレールを設ける取り組みは行き詰まっているが、これは、関係国全てに意味のある制限について合意させることが困難な作業であることを考えると、驚くべきことではない。

集団安全保障の限定的な形態の2つ目は平和維持活動(peacekeeping)だ。2つかそれ以上の交戦国(warring parties)が和平(make peace)を決定した場合、中立の平和維持部隊が派遣され、合意内容を監視し、双方の安心感を与えることになる。しかし、この仕組みは、以前交戦していた集団が真に戦闘を停止し、その決定を堅持する意思がある場合にのみ有効だ。なぜなら、平和維持部隊は通常、再び武装蜂起する国家や軍閥(a warlord)を阻止するには弱すぎるからだ。平和維持活動は有用な手段だが、それだけでは戦争を防ぐことはできない。

集団安全保障の最終形態であり、より正確には「集団防衛(collective defense)」と呼ばれる形態は軍事同盟(a military alliance)だ。共通の脅威に直面している国々は、相互防衛に協力し、脅威となる国家からの攻撃を抑止し、あるいは攻撃を受けた場合には撃退するために軍事準備を調整することで、より安全な体制を築くことができる。同盟は、強力で十分な武装を備えた国家が近隣にあり、現状変更のために武力行使に踏み切る意思があるように見える場合に最も形成されやすいだろう。このような状況では、潜在的な侵略者による脅威は他の国々にとって明確であり、その危険に対抗するために団結する十分な理由となる。この論理は、1949年にNATOが結成された理由、冷戦期にアメリカが日本、韓国、その他のアジア諸国と同盟を結んだ理由、そして第一次湾岸戦争においてイラクをクウェートから追い出すために大規模な連合軍が結成された理由を説明している。

国家が外部からの脅威に対して力を合わせる傾向は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、アメリカとヨーロッパ諸国の多くが結集して支援を行ったことにも表れている。しかし、これはまた、戦争が長引く中で中国と北朝鮮がロシアに多大な支援を提供してきた理由も説明している。ウクライナの事例はまた、集団防衛体制が必ずしも戦争を阻止できる訳ではないことを改めて認識させてくれる。抑止力(deterrence)が機能しないこともあるからだ。

冷戦期には集団防衛協定が非常にうまく機能した。なぜなら、ヨーロッパで武力行使すれば、2つの強力な同盟国間の大規模で破壊的な戦争(a vast and destructive war between two powerful alliances)につながることは、両陣営にとって明らかだったからだ。この悲惨な見通しを踏まえ、両陣営は賢明にも戦闘を回避した。

残念なことに、今日ではどの国が最大の脅威であるか、またそれらにどう対処するのが最善かについて、コンセンサスがはるかに乏しいため、冷戦期と同様の予測可能性と安定性は期待できない。例えばヨーロッパでは、ロシアをかつての帝国を再建し、ヨーロッパ大陸を支配しようとする容赦ない侵略者と見なす国もあれば、そうした警戒的な見方を共有しない国もある。南半球のほとんどの国はロシアを恐れておらず、モスクワとの取引を続けている。また、トランプ政権のロシアに対する立場は毎週のように変化しているようだ。NATOは依然としてウクライナがいつか加盟すると主張してるすが、NATO加盟諸国で自国の兵士をウクライナのために戦い、命を落とすことを望む国は1つもない。

さらに言えば、アメリカの政策立案者たちは、アメリカがアジアにおける中国の力の封じ込め(containing Chinese power in Asia)に集中できるようにするため、ヨーロッパは自らの安全保障に責任を持つべきだとますます確信を深めている。ヨーロッパはインド太平洋地域で戦略的な役割を果たすことについて時折口にするが、そこで変化をもたらすだけの軍事力を持つヨーロッパの国は存在しない。また、ヨーロッパはそうすることに重大な利益を持ってはいない。これは、アメリカとヨーロッパの戦略的利益が乖離していることを意味しており、たとえ同盟が形式上は維持されていたとしても、NATOは必然的に弱体化するだろう。

しかし、中国の台頭と野心は、アジアの近隣諸国、そして言うまでもなくアメリカにも明らかである。しかしながら、バランスをとる連合体を形成する努力は、アメリカの地域政策の不安定さ、多くのアジア経済にとって中国が重要であることから中国との友好関係を維持しようとする姿勢、様々なアジア大国間の対立、そして各国が傍観者となり、他国に対中国対策の重労働を担わせようとする姿勢(each state’s desire to get others to do the heavy lifting against China while they sit on the sidelines)によって阻まれてきた。その結果、危機に際して誰が何をするのかということに関して不確実性が高まり、誤算(miscalculation)の可能性が高まっている。例えば、中国による攻撃があった場合、オーストラリア、日本、アメリカ、その他いくつかの国が台湾を支援する可能性は十分にあるが、一部あるいは全員が傍観者となる可能性もある。つまり、アジアには中国を標的としたバランスをとる連合体が存在するものの、中国による地域覇権(regional hegemony)獲得への試みを抑止するのに十分な一貫性と信頼性を備えていない可能性があるのだ。

最後に、国家が同盟を結ぶのは主に外的脅威(external threats)への対応策だが、こうした取り決めは、国家が同様の価値観、特に自由主義的民主政治体制(liberal democracy)の中核となる価値観を共有している場合により強固なものとなる。残念ながら、かつて西側諸国を一つにまとめていた共通の価値観は消えつつある。冷戦終結時には、自由主義的民主政体こそが未来の潮流だと多くの人が信じていた。しかし、20年近くにわたり自由主義的民主政体は着実に後退を続け、エジプト、ハンガリー、インド、ロシア、トルコ、そしておそらくはアメリカでさえも、独裁者による支配(strongman rule)に基づく政府が台頭している。イギリスはヨーロッパ連合(EU)を離脱し、ハンガリーとスロバキアはEUの多くの原則に反対している。さらに、最近発表されたホワイトハウスの「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」は、トランプ政権がEUの自由主義的原則と多くのヨーロッパ諸国政府に積極的に敵対していることを極めて明確にしている。

さらに、ヨーロッパとアメリカは中東情勢をめぐってますます対立を深めている。アメリカは、ガザ地区で大量虐殺作戦を展開するイスラエルに対し、220億ドル以上の追加軍事援助を行った。国際刑事裁判所(the International Criminal Court、ICC)がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前国防相、そして複数のハマス指導者を戦争犯罪で起訴した際、アメリカは複数の国際刑事裁判所の関係者に制裁を科した。一方、イギリスやノルウェーを含む多くのヨーロッパ諸国は、パレスティナ国家を正式に承認し、イスラエル当局者の戦争犯罪責任を問うことを誓約している。こうした異なる対応のどこに、人権や国際正義への共通の関与があるか​? 長年にわたりアメリカの最も緊密な同盟国であり、情報機関のパートナーであったイギリスが、トランプ政権によるカリブ海における小型船舶への違法かつ残虐な攻撃への関与を懸念し、アメリカとの特定の情報共有を停止したことも、示唆に富んでいる。これは小さな問題かもしれないが、どのような行為が正当か、あるいは西洋の核心的価値観に合致しているかについての合意が減少しつつあることのもう1つの兆候だ。

残念ながら、私が言いたいのは、共通の価値観は、勢力均衡(balance-of-power)を理由とした同盟関係を強化する、もしくは加盟諸国が相反する戦略的利益を克服する助けにはならないということだ。

この確かに悲観的な分析から、どのような結論を導き出すことになるか? 3つ提案したい。第一に、より野心的な集団安全保障に未来への希望を託すべきではない。それは過去に一度も機能したことがなく、将来も機能しないだろう。第二に、私たちは依然として、個々の国家が生き残り繁栄するために自国の資源に頼らざるを得ない世界に生きている。しかし、共通の危険に対処するために信頼できるパートナーを持つことで、安全保障を向上させることができないということはない。外交の任務は、こうした危険が何であるかを明らかにし、どのように対応するかについて幅広い合意を形成することだ。残念ながら、現在、このような外交は不足している。

第三に、自国の能力を強化し、強固な同盟関係を築くことは、既存の紛争の解決、ライヴァルとの緊張緩和、あるいは特定のリスクの最小化に向けた真剣な努力を妨げるものではない。こうした課題は、素人による密室取引(backroom deals conducted by amateurs)ではなく、経験と知識が豊富な当局者たちが規律ある透明性のある方法で敵対国と交渉することによって最も効果的に達成される。

しかし、誤ってはならない。集団安全保障へのより現実的なアプローチでさえ、戦争のリスクや、国家がその可能性に備える必要性を排除することはできない。集団安全保障は死んではいないかもしれないが、良好な健康状態にあるとは言えない。

※スティーヴン・M・ウォルト:ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social、Xアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 アメリカとキューバはキューバ革命以降、敵対関係にある。アメリカによる禁輸政策によってキューバは厳しい生活を強いられてきたが、バラク・オバマ政権で国交が樹立されて以降、関係は修復されてきた。しかし、ドナルド・トランプ政権は雪解けを逆行させ、バイデン政権もトランプ政権の姿勢を踏襲している。アメリカとキューバの関係は厳しい状態に戻っている。

 アメリカのキューバ政策は国内政治に影響を受けている。国内政治が外交政策に影響を与え、その逆もあるということは、ロバート・パットナムの言葉を借りれば「諸刃の外交(double-edged sword)」ということになる。具体的に述べていく。

 アメリカ政治においては、マイノリティグループが有権者として重要な役割を果たす。非白人のマイノリティグループ、例えばアフリカ系アメリカ人有権者、アジア系アメリカ人有権者は民主党の支持基盤となっている。最近では、スペイン語を母国語とするヒスパニック系有権者が存在感を増している。合法,違法での移民の数が多く、カトリック信者が多いことで避妊に消極的で子沢山ということもあり人口自体も増えている。ヒスパニック系は概して民主党の支持基盤となっている。

 その中で例外はキューバ系アメリカ人たちだ。キューバ系アメリカ人の多くは、キューバ革命勃発後にアメリカに逃れてきた人々だ。キューバ系の多くはフロリダ州に住んで。フロリダ州政治において存在感を保持している。キューバ系はキューバ革命から逃れてきた人々で、コミュニティはその時代の社会階層、階級をそのまま持ち込んでいる。そして、ヒスパニック系では珍しく、共和党支持者が多い。民主党が社会主義的だと見ているからだ。

 フロリダ州はアメリカ政治において重要な州である。大統領選挙ではフロリダ州で勝利することが重要になっている。民主、共和両党はフロリダ州で勝ちたいと考えている。そのために民主党は支持を受けられないキューバ系アメリカ人有権者を引き付けようとして、歴代政権はキューバに対して強硬な姿勢を取り続けた。ビル・クリントン、バラク・オバマ両政権が2期目にキューバに譲歩するような姿勢を見せたところ、その報復として、後継候補であるアル・ゴア、ヒラリークリントンがそれぞれフロリダ州で敗れ、大統領選挙で敗北を喫するということになった。そのために民主党としては、キューバ系アメリカ人有権者は気を遣わねばならない存在ということになる。

 アメリカ政治を見ていく場合には、マイノリティやイデオロギーに基づいた有権者のグループを見ていくことが重要である。

(貼り付けはじめ)

民主党がフロリダ州での勝利について忘れるべき理由(Why Democrats Should Forget About Winning Florida)

-そうすればより良い対キューバ政策を採用することができるだろう。

ウィリアム・M・レオグランデ

2022年11月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/21/democrats-florida-republicans-cuban-american-cuba-trump-biden-obama/?tpcc=recirc_latest062921

民主党がアメリカ全土で予想以上に健闘した選挙の夜、フロリダはその例外として際立っていた。フロリダの海岸を汚した赤い波、つまりフロリダ政治に押し寄せた赤い波は、サンシャイン・ステートと呼ばれるフロリダ州がまだ競争力を持つかもしれないという民主党の幻想を一掃したのである。ロン・デサンティス州知事は、フロリダのヴェテラン政治家で、民主党候補の元知事のチャーリー・クリストに対して地滑り的な勝利を収めた。マルコ・ルビオ連邦上院議員も、民主党が擁立しうる最強候補の一人であったヴァル・デミングス連邦下院議員に対して大差で勝利した。民主党はフロリダ州の連邦下院28議席のうち20議席を失い、2020年に失った後、奪還を目指したフロリダ南部の主要議席(第27選挙区)を取り返すことができなかった。2021年、フロリダ州の近代政治史上初めて、有権者登録された共和党員が民主党員を上回った。民主党は、都市部の拠点であるタンパ、オーランド、マイアミではまだ競争力があるが、州全体では競争力を喪失した。2024年のフロリダ州で、ジョー・バイデン大統領や他の民主党の候補者たちが、デサンティスどころかドナルド・トランプ元大統領を倒すというシナリオは説得力を持たない。

民主党にとって、この暗い選挙状況に明るい兆しもある。フロリダが真っ赤に染まれば(共和党優勢になれば)、マイアミデイド郡のキューバ系アメリカ人有権者に関する予言ではなく、アメリカの外交政策上の利益に基づいてキューバ政策を再構築する自由が得られるからである。しかし、国内政治がアメリカの対キューバ政策を左右するという習慣を断ち切るのは難しいだろう。キューバ系アメリカ人が重要な支持基盤となった1980年代以来、民主党は40年にわたってこの問題に取り組んできたのである。

ビル・クリントン元大統領は、米国の対キューバ禁輸(embargo)が「失敗が証明された政策(policy of proven failure)」であることは、「半分でも頭脳を持っている人なら誰でも(anybody with half a brain)」知っていると認めている。しかし、1992年の選挙戦では、共和党のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)を出し抜くために禁輸措置を強化する法案を支持し、1996年には禁輸措置を法律で定める法案に署名した。国家安全保障会議のメンバーを務めたリチャード・ファインバーグは「クリントンはどうしてもフロリダを守りたかったのだ。あれは最重要(numero uno)だった」と述べている。1992年、クリントンはフロリダ州で敗れたが、1996年には勝利している。

特にバイデン大統領の首席補佐官であるロン・クレインは、当時のアル・ゴア副大統領の首席補佐官であり、ゴア陣営の再集計委員会の顧問弁護士であった人物である。クリントンが6歳のエリアン・ゴンサレスをキューバにいる父親に返したことへの報復として、キューバ系アメリカ人は「懲罰投票(voto castigo、punishment vote)」を行い、ゴアが大統領に就任することを阻止した。こうして、民主党の大統領候補がフロリダ州を制するには、少なくとも共和党の候補と同じくらいキューバに厳しくなければならない、という常識が生まれた。

バラク・オバマ前大統領は、2008年と2012年に、キューバ系アメリカ人の穏健派に対して、家族のつながり、送金や旅行に関する制限の緩和を支持する政策で、限定的にその常識に挑戦した。この戦略は成功し、オバマは2012年にキューバ系アメリカ人の約半数の票を獲得し、民主党にとって最高水準に達した。しかし、オバマでさえも、歴史的な国交正常化政策に着手したのは、無事再選を果たした後であった。

トランプがオバマのハヴァナとの和解を覆し、キューバ系アメリカ人の右派を動員することに成功したことで、一部の民主党議員はオバマの政策の人気は普通のことではないと説得された。バイデンは、共和党と同様にキューバに厳しくあろうとする既定の姿勢に戻り、トランプの経済制裁のほとんどをそのままにして、新たな制裁を追加した。バイデンは更に一歩進めて、キューバ政策を作る上で難民として国外に避難した人々に特権的な役割を与え、キューバ系アメリカ人を「重要なパートナー(a vital partner)」、「この問題についての最高の専門家(the best experts on the issue)」と呼んでいる。

このアプローチの無益さは選挙結果にも表れており、南フロリダのキューバ系アメリカ人を対象とした最近の世論調査がその理由を説明している。バイデンのキューバ政策はトランプと大差なく、圧倒的に支持されたにもかかわらず、回答者は72%対28%と圧倒的にバイデンへの不支持を表明したのだ。キューバ系アメリカ人の民主党に対する反感は、キューバ政策にとどまらず、外交・国内問題の広い範囲に及んでいる。キューバ系アメリカ人の共和党員は党員登録で民主党員を大きく上回り、今回の中間選挙の出口調査によると67%がルビオ(連邦上院議員)に、69%がデサンティス(州知事)に投票した。

フロリダ州で当面の間、民主党が選挙に勝てないので、民主党政権が国益に基づくキューバ政策を立案する自由を得たとしたら、その政策はどのようなものになるのだろうか?

体制転換(regime change)を推進する、あるいはキューバ政府をアメリカの要求に従わせるという前提から始まるだろうが、いずれのアプローチも50年以上前から連綿と続いてきた失敗の歴史がある。民主党の象徴であるフランクリン・D・ルーズベルト元大統領は、こう忠告した。「何かやれ。うまくいくなら、もっとやれ。うまくいったら、もっとやれ。うまくいかなかったら、他のことをやれ」。今こそ、他のことをする時だ。

国益に基づくキューバ政策は、アメリカとキューバが、逃れられない地理的条件によって、移民から環境保護、公衆衛生、麻薬の阻止など、協力によってのみ進展することができる重要な利益を共有していることを認識するものである。

国連でのほぼ満場一致の禁輸反対票が30年連続で記録されているように、ワシントンの敵対政策を支持する国は世界に存在しないことを認めることになる。多くのアメリカの同盟諸国、特にラテンアメリカで現在優勢な左派政権は、最近この地域を訪問したアントニー・ブリンケン米国務長官に語ったように、その政策に積極的に反対している。バイデン政権は、敵対的な政策に固執することで、5月の米州首脳会議の部分的なボイコットが示すように、その西半球の諸議題に関する議論を妨害した。これは、この地域における中国の影響力が高まっている瞬間である。

最後に、政治的・経済的に開かれたキューバを目指す現実的な政策は、ポスト・カストロ時代にキューバで進行している劇的な変化にアメリカがプラスの影響を与えようとするならば、キューバの新しい指導者や活気を増す市民社会と積極的に関わる必要があることを認識することであろう。

簡潔に述べるならば、アメリカの国益に基づく政策は、オバマが2014年12月17日に発表した政策、つまりバイデンが2020年の選挙戦で「大部分は戻す」と約束したが、そうしていない政策によく似ている。オバマの政策は、ラテンアメリカとヨーロッパのアメリカの同盟諸国によって歓迎され、潘基文前国連事務総長とローマ法王フランシスコの両者によって賞賛された。ここ数十年の米国の外交政策で、これほど普遍的な称賛を得たものは他にないだろう。もしバイデンが外交政策として意味のあるキューバ政策を作る用意があるならば、ハンドルを再発明する必要はない。ただ、ハンドルを付け戻すだけで良いのだ。

※ウィリアム・M・レオグランデ:ワシントンDCにあるアメリカン大学政治学教授。ピーター・コーンブルーと共著『キューバとのバックチャンネル:ワシントンとハヴァナとの間の交渉の隠された歴史(Back Channel to Cuba: The Hidden History of Negotiations between Washington and Havana)』がある。ツイッターアカウント:@WMLeoGrande

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 パナマで開かれた米州首脳会談において、アメリカのオバマ大統領とキューバのカストロ議長の会談が行われました。その詳しい内容が書かれた記事を皆様にご紹介します。

 

 オバマ大統領は「体制転換(regime change)」のためにキューバに圧力をかけることはないと述べました。ここが会談の肝です。これでヒラリーや共和党を縛ることになりました。北米、中米、南米各国の指導者たちが集まる米州首脳会談でこうした発言を行ったことは大きな意味があります。もしこの発言とは違うことをするとなると、アメリカに対する信頼と敬意は大きく傷つけられてしまうからです。

 

 翻って日本の指導者、政治家、官僚、知識人について考えてみると、何とも暗澹たる気持ちになります。

 

==========

 

オバマとラウル・カストロが会談(Obama meets with Raúl Castro)

 

エリオット・スミロウウィッツ・マーク・ヘンシュ筆

2015年4月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/238537-obama-meets-with-cuban-leader-raul-castro

 

 オバマ大統領は土曜日午後、キューバの指導者ラウル・カストロ(Raul Castro)と会談した。オバマ大統領はこの会談を「歴史的会談」と呼んだ。

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 取材した記者団によると、パナマ・シティで開催された米州首脳会議の場で、キューバの指導者カストロ議長に対して、「私たちは今、共に未来に向かう道筋を進む位置に立っています」と述べた、ということだ。

 

 オバマ大統領は続けて「ゆっくり時間をかけて、私たちはページをめくり、2国の間の新しい関係を構築することが出来ます」と述べた。

 

 オバマ大統領は、アメリカとキューバが最初にやるべき仕事は、それぞれの国の首都に大使館を開設することだと語った。

 

 カストロ議長は通訳を介して、オバマ大統領の発言に全面的に同意すると述べた。カストロ議長は更に自分たちはお互いに対して敬意を払いつつ、一致できない点には不同意を表明することが出来ると述べた。

 

 カストロ議長は次のように述べた。「私たちは全ての議題について議論をしたいと思っているが、それには忍耐も必要です。大変な忍耐が必要となるでしょう。今日同意できないことでも、明日には同意できるということも出てくるでしょう」

 

 2人の指導者たちは、新たに大使館を開設することに向けての大きなハードルは実務面になるだろうと述べた。

 

 オバマ大統領はアメリカの外交官たちにとってキューバで職務を遂行するにあたり、アクセスの緩和を必要とするだろうと述べた。彼は両国の大使がそれぞれ国境を越えて自由に行き来できるようになることを希望すると述べた。

 

オバマ大統領は「私たちは、アメリカの外交官たちがキューバ国内で自由に行動できるための能力を持つことが必要だと考えている」と述べた。

 

 カストロ議長は、アメリカに開設されるキューバ大使館がアメリカの銀行と取引ができるようになることを希望した。

 

 議長はオバマ大統領に対して、アメリカがキューバに科している禁輸措置の撤廃と米国務省のテロ支援国家のリストからキューバを外すように求めた。

 

 オバマ大統領はカストロ議長に対して、「数日中に」テロ支援国家からキューバを外す決定を行うだろうと応じた。

 

 政府関係者たちは、会談が「率直」な雰囲気の中で行われ、緊張はなかったと述べた。2人の指導者は「部屋の中で歴史の重さ」を感じていたようだと語った。

 

 カストロ議長はアメリカとキューバそれぞれの代表団は指導者たちの言うことをよく聞いた方が良いだろうと冗談を言い、オバマ大統領はカストロ議長と共に笑った。

 

 2人の指導者は隣合って腰掛けた。ホワイトハウスの大統領執務室で大統領が政府高官と打ち合わせをする時のように椅子が並べられたのだ。

 

 会談後の記者会見で、オバマ大統領は、キューバ国内での状況は改善しているが、アメリカはこれからも自由と人権に関して関与していくと述べた。同時に、オバマ大統領は、カストロ政権がどれほど続くかに関係なく、体制に対してアメリカが圧力をかけることはないと述べた。

 

 オバマ大統領はキューバ政府との将来におけるかかわりに関して、「私たちは体制転換(retime change)に関与することはありません」と述べた。

 

 オバマ大統領は続けて次のように述べた。「私たちはある種の考えを持っていますし、それを表明することを躊躇することはありません。説得を通じて私たちの支持する価値観を引き上げていくことが出来ると私は自身を持っています」。

 

 オバマ大統領はキューバと再び連絡ができるようになることは、世界政治において大きな転換であると主張した。

 

 オバマ大統領は「私たちが何をやろうとそれとはかかわりなく、キューバでは大きな変化が起きることでしょう」と述べた。

 

長年人々が待ちわびていたのは、それは50年以上行われなかった2国間の指導者たちの最も重要な接触であり、会談であった。

 

 土曜日の朝、オバマ大統領は米州首脳会談の場で、自分とカストロ議長は「歴史的な第一歩を記すために」私たちは喜んで体面を果たすだろうと述べた。

 

 「アメリカの外交政策の変更は米州地域全体のターニングポイントになるでしょう」とオバマ大統領は述べた。

 

 オバマ大統領はキューバとの関係で冷たい部分は存在しないと示唆した。

 

 オバマ大統領は「私が生まれる前に始まった争いを続けていくことに興味も関心もありません。冷戦はとっくの昔に終わっているではありませんか」と述べた。

 

 土曜日の朝のこの時、カストロ議長はオバマ大統領に対して「深甚からの」謝罪を表明した。

 

 「私はオバマ大統領とその他ここにおられる皆さんに謝罪を申し上げます。私はオバマ大統領に謝罪したい。それはオバマ大統領にはアメリカとキューバとの間にある争いに関して何の責任もないからです」とカストロ議長は述べた。

 

 キューバに対するアプローチを刷新するために、オバマ大統領は「何か新しいことを試す時が来たのです」と述べた。

 

 オバマ大統領とカストロ議長は対話を握手から始めた。金曜日の夜、既に2人は実際に対面して握手を交わした。これはキューバとアメリカの指導者の50年ぶりの物理的接触となった。

 

 土曜日、このような外交上のジェスチャーに対して共和党の大統領選挙候補者たちからすぐに批判が浴びせられた。

 

 元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュは「オバマ大統領はカストロと会談しているが、ネタニヤフとの会談は拒否した」とツイッターで発信した。これは先月、オバマ大統領がイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフを冷たく扱ったことを指している。

 

 ジェブ・ブッシュは更に「どうして抑圧的な体制の冷酷な独裁者を合法化できるのだろうか?」と発信した。

 

 マルコ。ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)の両親はキューバ人である。ルビオもまたこの雪解けに対して攻撃を行った。カストロ体制が長年にわたりアメリカの苦役に対して敵対してきたのに交渉開始を申し入れたことは不合理極まりないと発言した。

 

ルビオはオバマ政権の政策変更を激しく非難した。彼は「全く持って馬鹿にしている。何をやっているのか全く理解できない」と述べた。

 

 水曜日の夕方、米国務省はオバマ大統領からテロ支援国家のリストからキューバを外すように要請を受け、木曜日にはその手続きの最終確認を行い、大統領に報告した。

 

 オバマ大統領はキューバをリストから外す手続きを進めることになる。リストからの削除はカリブ海の島国キューバに対するアメリカの善意がその方向を変えて向けられることになることを示す。

 

 オバマ大統領が初めてキューバとの国交正常化を行う決断を下したと発表したのが昨年12月であった。政権が正式に禁輸措置と渡航禁止措置の緩和を発表したのは今年の1月15日であった。

 

 キューバとアメリカは1959年にキューバ革命が成功した後に衝突した。ラウル・カストロの兄フィデル・カストロ率いる共産主義者の反乱軍が政府を打ち倒し、ソヴィエト連邦と同盟関係を樹立した。

 

 冷戦が終わるまで、キューバとアメリカは厳しく対立し続けた。ラウル・カストロは兄であるフィデル・カストロが2008年2月に権力の座から退いた後に国家評議会議長に就任した。

 

(終わり)











 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 オバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉の発表を受けて、共和党内部では論争が起きているようです。2016年の大統領選挙の有力候補者同士であるマルコ・ルビオ連邦上院議員とランド・ポール上院議員の間で批判合戦が起きているとのことです。

 

 2人の批判合戦は、共和党内部にある外交政策に関する2つの大きな考え方を代表していると記事では書かれています。アメリカ政治を理解する上で重要な記事であると思います。

 記事の中に出てくるリバータリアン、アイソレーショニストという言葉については、副島隆彦先生の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社、1993年)をお読みください。
 


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キューバを巡るポール・ルビオ論争は、2016年の米大統領選挙の共和党予備選の外交政策の前哨戦だ

 

フィリップ・ラッカー筆

2014年12月19日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/politics/in-paul-rubio-feud-over-cuba-a-preview-of-gops-2016-foreign-policy-debate/2014/12/19/41218766-87ab-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html?tid=sm_fb

 

共和党の大統領有力候補2人が2014年12月19日の金曜日に激しくぶつかった。彼らは、バラク・オバマ大統領が発表した新しい対キューバ政策について論争を行った。このことは共和党内部の外交政策を巡る意見対立を明確にし、2016年の米大統領選挙の前に行われる共和党内の予備選挙にも影響を与えることになる。

 

 ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は、オバマ大統領の共産党が支配するキューバとの国交正常化に向けた動きを支持している。ポール議員は、同僚のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)を激しく非難した。ポール議員はルビオ議員をキューバとの貿易と外交関係を再開することに対して強硬に反対する「孤立主義者(アイソレーショニスト)」だと批判した。ポール議員はルビオ議員は、「アメリカが国境線の内側まで後退し、濠をめぐらし世界との関係を絶ちたいと考えている」と述べた。

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ランド・ポール

 

 ルビオ議員はキューバ難民の息子として生まれ、オバマ大統領の対キューバ政策に対しては先頭に立って反対を表明している。ルビオ議員はフォックス・ニュースの取材に対して、「オバマ大統領を支持するポール議員は、キューバに関して、自分で何を言っているのか全く分かっていないのだ」と述べた。ポール議員のコメントはルビオ議員の発言を受けて出されたものだ。

 
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マルコ・ルビオ
 

 2人の論争は、2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補同士が表舞台で行っている論争となり、共和党内に、伝統的なタカ派(ルビオ議員はこちらに含まれるし、これまでの共和党出身の大統領や大統領候補たちもこちらのグループだ)と、党内に出現しつつある、若いリバータリアン・グループ(ポール議員はその代表格である)との間で、世界観が大きく異なることを明確に示している。

 

 長年にわたり、ルビオが取る立場が共和党にとって当然のものであった。しかし、ポールはそうしたこれまでの常識に挑戦している。

 

 共和党のストラティジストであるジョン・フィーフェリーは次のように述べている。「私たちはいまだに冷戦の闘士のままでいるべきでしょうか?それとも外交に関して全く新しい立場を取るべきでしょうか?ルビオ議員の世界観はこうです。私たちの目の前には、キューバがあり、北朝鮮がある。私たちに必要なのは、大胆な、国際主義的な、アメリカが主導する世界なのだ。私たちは悪い奴と戦わねばならない。ランド・ポール議員は父のロン・ポール元下院議員の外交政策を継承し、それを新たな段階に進めようとしています。彼はアメリカが世界に関与するように主張していますが、アメリカが世界の警察官であるべきだという立場を取りません」

 

共和党内のタカ派は、長年にわたり、ランド・ポール議員の求める外交政策は「孤立主義的」だと批判してきた。ポール議員はこうしたレッテル貼りを拒絶している。今週になって始まったキューバ政策を巡る論争の中で、ポール議員は、この「孤立主義」という言葉をルビオ議員に当てはめた。

 

 ポール議員のコメントは個人のサイトによる発信から始まっている。これは異例なことだ。ポール議員はルビオを批判する内容のメッセージをツイッターに複数書いた。その後、彼は自身のフェイスブックのページで、2段にわたりコメントを書いた。ポール議員は次のように書いている。「ルビオ議員は孤立主義者のように行動しています。そして、キューバ系アメリカ人の過半数を代弁しているのではないのです」。

 

 ポール議員は金曜日の午後に『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説ページに論稿を発表した。この論稿の中で、ポール議員は自身が共産主義を嫌う環境の中で育ってきたが、「キューバに対する孤立主義政策は間違っており、有効に機能してこなかった」という結論に達したと主張した。彼は、世論は「友好関係の復活(ラプローチメント)」の方向へと変化していて、特に若い人々、その中には若いキューバ系アメリカ人たちも含まれているのだが、彼らは国交正常化を支持しており、アメリカの産業界にとっても製品をキューバで売ることができるので利益になるとも書いている。

 

 ポール議員は次のように書いている。「共産主義は資本主義の魅力の前に生き残ることなどできない。カストロ政権をアイフォン、アイパッド、アメリカの自動車、そしてアメリカの発明によって圧倒しようではないか」

 

 ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今週、アメリカの外交官たちとキューバを訪問し、キューバに拘留されていた建設業者アラン・グロスの釈放を求めていた。フレイク議員はポール議員の考えに賛成している。フレイク議員は、オバマ大統領の国交正常化に向けた動きを支持し、50年に渡る輸出禁止措置の後、今こそ「何か別のことを始める時期」だと述べている。

 

 金曜日の夜、ルビオ議員はポール議員のコメントに反応した。彼は、保守的なラジオDJであるマーク・レヴィンに対して次のように語った。「ランドがバラク・オバマの対キューバ政策に賛成するのは不幸なことだと思う」

 

 ポール、ルビオ両議員にとって、論争は短期的には彼らにとって利益となる。2016年の大統領選挙の共和党の候補者としてこれまでに10名以上の名前が挙がった。その中で2人はマスコミの関心を集め、政策について2人が先行しているという印象を与えた。こうした様子を大口の寄付者たちや支持者たちは見ているのだ。

 

 二人の論争は、ポール議員の常に戦う姿勢を示している。彼は民主党側の大統領選挙候補者となるであろう前国務長官のヒラリー・ロドハム・クリントンに対して最も攻撃的な人物である。そして金曜日に示したように、自分の同僚である共和党の議員に対しても攻撃することを厭わないことを示したのである。

 

アナ・ナヴァロはマイアミを拠点に活動している共和党のストラティジストであり、ルビオやジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とも近い。彼女は、今回の論争について、「マスコミにネタがなかったので大きく取り上げられた」に過ぎないと述べている。

 

 「目の手術やケンタッキーのバーボンについては、ポール議員(彼は眼科医から政治家になった)も大変詳しいことでしょう。しかし、ルビオ議員をキューバ政策で圧倒しようというのはね、しかも1回で140文字しかかけないツイッターでそれをしようというのは生産的ではないし、立派な大人がやることでもないし、連邦上院議員らしくないですよ」

 

 ポール議員は、共和党の外交政策や人種間関係などについて新しい方向に向けようと努力している。彼は民主党側と協力して薬物犯罪の判決に関するガイドラインの法制化に向けて動いている。

 

ジョージ・W・ブッシュ前大統領の報道官を務めたアリ・フライシャーは次のように述べている。「ポール議員は許容すべき範囲を拡大しようとしています。そして、共和党がこれまでやってこなかった方向で党勢を拡大しようとしているのです。私は、ポール議員の唯一の味方は若い人々であると思います。若い人々以外に彼に味方はおらず、実際に何かをやろうとすると大変な苦労があると思います。共和党の歴史が示しているように、共和党の外交政策は介入主義的で、強硬で、ロナルド・レーガン大統領時代のものを基本的に踏襲しているのです」

 

 ポール議員のスタッフたちは、彼がキューバ政策を党派性に基づいて考えておらず、経済と外交の問題として考えていると語っている。

 

 しかし、共和党の支持者たちの多くはそう思わないだろう。保守派の指導者として長年活躍してきたリチャード・ヴィゲリーは次のように語っている。「保守派の人々の間で、キューバ政策について考え直そうという気運があるのは事実です。しかし、交渉がオバマ大統領によって行われるのです。私たちが信頼を持っていない大統領が交渉を行うのですから、疑念が起きるのは当然です。もしキューバとの交渉が信頼に足る保守的な共和党の政治家によって行われるならば、事態は全く違ったことになるでしょう」

 

 ルビオ議員は連邦上院外交関係委員会の委員であるが、国際問題に関して自分が第一人者であるという印象付けを行おうとしている。水曜日にキューバ政策の転換が発表された直後、ルビオ議員は、個人の経験を絡めながら、オバマ大統領を激しく非難した。ルビオ議員は1950年代にキューバから避難してきた難民の子として生まれ、マイアミで育った。彼は同じキューバ難民、キューバ系アメリカ人たちの中で育ち、彼らを代表してワシントンDCに乗り込んで来た。

 

 ルビオ議員は議事堂の中で木者たちに対して次のように語った。「オバマ政権は、我がアメリカがよって立つ基盤である普遍的なそして不可侵の個人の諸権利を守るのではなく、暴政を敷く体制と妥協を行いました。これはイランに続いて2度目のことです」

 

 2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補者たちのほとんど、ジェブ・ブッシュ、テキサス州知事のリック・ペリー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーなどは、キューバ政策についてルビオ議員と似たような内容の声明を発表した。ニュージャージー州知事のクリス・クリスティはキューバについて何か語ってはいないが、ルビオ議員と同じような、いや彼よりもよりタカ派的な世界観を持っていることは既に有名である。

 

 ネオコンの有力者で雑誌『ウィークリー・スタンダード』誌の発行人であるウィリアム・クリストルは、「共和党の有力な大統領選挙候補者たちと議員たちは外交政策に関しては全く同じ考えを持っている」と述べている。

 

 そして、クリストルは次のように語っている。「ランド・ポール議員は共和党内で孤立した、うるさ型なのだ。ポール議員は共和党の支持者たちの気持ちを代弁してはいる。しかし、その割合はどうだろうか、10%?、15%?、20%?、まぁそれくらいのものだ。彼が共和党の外交政策の方向を決めるような人物になるとはとても考えられない」

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は、アメリカとキューバとの国交正常化交渉の過程についての記事をご紹介します。南米出身初のローマ法王フランシスの役割、オバマ大統領の側近による交渉、オバマ大統領の決意について書かれています。

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こんなに近いアメリカとキューバ 

 

 こうしたものが外交なのだということを改めて考えさせられます。翻って日本について考えてみると暗澹たる気持ちになってしまいます。

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ラウル・カストロ大統領(議長)と電話で話すオバマ大統領 

 

==========

 

アメリカとキューバとの間の秘密の外交交渉は拘留者交換の合意に達し、将来の国交正常化に結び付いた

 

キャロル・モレロ、カレン・デヤング筆

2014年12月17日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/world/national-security/secret-diplomacy-with-cuba-ended-in-breakthrough-deal/2014/12/17/c51b3ed8-8614-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html

 

アメリカとキューバとの間で50年以上も続いた敵対関係に終止符を打った。アメリカとキューバとの間で続けられた1年半に及ぶ秘密の外交交渉によってそれは成し遂げられた。

 

 オバマ政権のある高官は取材に対して、両国間の秘密交渉はアメリカからキューバに申し入れがあった時点から始まり、2013年6月にカナダ国内で直接交渉が始められ、それは9回にも及んだ、と述べている。

 

 外交交渉過程においては、異例なことであるが、ローマ法王フランシスの関与もあった。ローマ法王フランシスは、両国の交渉が合意に達するのを助けるために、ヴァチカンの利用を許可し、オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ議長(大統領)にそれぞれ親書を送り、拘留者の交換と外交関係の復活を求めた。

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ローマ法王フランシス 

 

 スパイの定義を巡って交渉が一時ストップすることもあったが、結局は3機の飛行機が両国間に拘留されていた人々を同時に交換することで、喜びに包まれる結果になった。

 

 秘密交渉は外交官たちではなく、オバマ大統領の国家安全保障問題担当補佐官2名が行った。これは、キューバ側に対して、アメリカ側が外交交渉と国交正常化はホワイトハウスが直接行うことだということを明確に示すためであった。

 

 交渉の過程で、ジョン・F・ケリー国務長官をはじめとする政権の幹部たちは機会を捉えて、アメリカとキューバとの関係の未来は、アメリカ人の建設業者アラン・グロスの釈放にかかっていると表明していた。グロスはキューバに5年間も拘留され、肉体的、精神的な衰えが進んでいた。

 

 キューバの外相ブルーノ・ロドリゲス・パリラとケリーとの間でこの夏に4階の階段が持たれた。ケリーは会談の度に、グロスがキューバの刑務所に拘留されている限り、二国関係が改善されることは「決して、決して」ないと語った、とある国務省の高官は証言している。この高官は他の交換と同様に匿名を条件としてきたが、私的な会話の内容について取材に答えてくれた。

 

 水曜日に、キューバとアメリカは国交の正常化に動くと発表された。これは、オバマ政権が長年にわたり実行したいと考えていた政策変更であった。

 

 オバマ大統領はキューバ系アメリカ人の親戚への少額の送金や訪問を容易にするための女権の緩和を行ったが、一期目ではそれ以上の劇的な政策変更はできなかった。しかし、オバマ大統領は、二国間の断絶はいつまでも継続すべきではないと確信していた、とある政府高官は語っている。2012年に開催された南北アメリカ大陸諸国サミットの期間中、オバマ大統領は、南米諸国の指導者たちから、アメリカはキューバについて妄想に取りつかれていると激しく批判された。

 

 2013年初頭、オバマ大統領の大統領としての二期目がスタートした直後、大統領はキューバとの間で国交正常化に向けた交渉を行うことを許可した。

 

 アメリカとキューバは双方ともに伝統的な外交チャンネルを使わずに、双方の大統領に近い人々同士で交渉を行うと決めた。ホワイトハウスは、オバマ大統領の信任が厚い国家安全保障問題担当次席大統領補佐官ベンジャミン・J・ローズ(Benjamin J. Rhodes)と国家安全保障会議南米部長リカルド・ズニガ(Ricardo Zúñiga)を代表として選んだ。ズニガは、ハヴァナでアメリカの利益代表部で働いた経験を持っている。キューバ政府も彼らに相当する役職の人々を出してきた。

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ベンジャミン・ローズとオバマ大統領 

 

 交渉に参加したある政府高官は次のように述べている。「双方がそれぞれの大統領の意向を受けて交渉しているということが分かっていることが何よりも重要なことでした」

 

アメリカ、キューバ双方の交渉チームの人数はかなり制限されたと前述の政府高官は述べている。

 

 「私たちはとても団結していました。キューバ側も恐らくそうであっただろうと思います。私たちは、アラン・グロスの釈放という目標の達成を難しくするようなことをするつもりはありませんでした。」

 

 2013年6月、カナダの首都オタワで初めて2つのチームが直接顔を合わせた。双方は友好的な雰囲気で話し合いを行った。それから18カ月、2つのチームはカナダの首都で複数回にわたり話し合いを行った。

 

 キューバ側はまずスパイの交換を提案してきた。キューバに拘留中のグロスと、マイアミの反カストロ活動を行っていたキューバ人の情報をハヴァナに送っていた5名のキューバ人スパイのうちアメリカに拘留中の3名の交換を提案してきた。アメリカ側はこの提案を拒否した。アメリカ側は、グロスが、米国国際開発庁(U.S. Agency for International Development、USAID)と契約を結んだ建設業者に過ぎず、彼は正当に仕事を遂行していただけだと主張した。しかし、話し合いはすぐに二国間の外交関係の復活に何が必要かというテーマに移っていった。

 

 その前にオバマ大統領はヴァチカンを訪問し、ローマ法王フランシスと会談を持った。彼らの話題がキューバに移った時、史上初の南米出身の法王は、両国間に存在する困難な諸問題を解決する手助けをしたいと申し出を行い、その後、オバマとカストロにそれぞれ親書を送った。

 

 今年に入って、アメリカ側は、キューバ側に拘束されている本物のスパイとアメリカ国内で服役中の3名のキューバ人スパイの交換を提案した。

 

 2014年10月、アメリカとキューバ双方の交渉チームがローマを訪問し、ヴァチカンの幹部たちと会談を持った。そこで、拘留の人たちの交換が最終決定された。そして11月までカナダのオタワで交渉は続けられた。

 

 キューバとアメリカとの間で国交正常化に向けた話し合いを行うという決定を受けてそれに祝意を示すヴァチカンの声明には次のような一節がある。「ヴァチカン(The Holy See)はアメリカとキューバ両国が二国間関係を強化し、それぞれの市民たちの福利を向上させるという試みをこれからも支援し続ける」

 

 この決定に至るまで、オバマ大統領は全くぶれなかった。中間選挙の後、彼は、彼の行政府の長としての力を使って、単独で行動をすることができると感じていると語った。

 

 グロスの退潮が悪化しているという報告も入っていた。グロスは訪問者たちに対して、このままでは新年を迎えることはできないだろうと語っていた。彼の外見は報告ほどに弱っているようには見えなかったが、長期にわたる拘留で肉体的に弱っていくことが懸念されていた。

 

 しかしそのような懸念も今週払拭された。火曜日、オバマ大統領は密かに1時間近くにわたり、カストロと電話で話をした。これは1959年にキューバで革命が起きて以来、初めての大統領級の首脳同士の会話となった。そして、水曜日、オバマ大統領はホワイトハウスからテレビを通じて、アメリカ国民に語りかけた。

 

 オバマ大統領は演説の中で、自分が生まれたのはフィデル・カストロが政権を掌握してから2年後のことであったと述べた。そして、次のように語った。「変化することは難しいことです。私たちの人生においても、そして国家にとっても。特に歴史の重荷を背負っている場合には変化はより困難となります。しかし、今日、私たちは変化を起こそうとしています。それはそうすることが正しいことだからです」

 

 彼は続けて次のように語った。「本日、アメリカは過去からの足枷を断ち切る選択をします。それは、キューバの人々、アメリカの人々、西半球全体、そして世界にとってより良いことを成すことになるのです」

 

 この発表からほんの2、3時間前、3機の飛行機が朝もやの中を飛んでいた。

 

 一機はマイアミを飛び立ってハヴァナに向かった。この飛行機には2011年にスパイ容疑で有罪判決を受けた3名のキューバ人が乗っていた。

 

 もう一機は全く逆のコースを取った。この飛行機には名前が公表されていないアメリカのスパイが乗せられていた。彼はアメリカ国内にいるキューバ側のスパイ情報をアメリカ政府に提供したとして約20年にわたり拘留されていた。

 

 三機目の飛行機はアンドリュース空軍基地を飛び立ち、ハヴァナ近郊の軍事施設に着陸した。そこでアメリカの利益代表部の代表が、夫の帰還を待ちわびた妻ジュディの前へグロスを伴って姿を現した。

 

ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は次のように語っている。「グロス夫妻にとって最高の瞬間でした。とても感動的な光景でしたよ」。フレイク議員は拘留中のグロスの許を何回も訪問し、水曜日の解放にも立ち会った。

 

 アメリカへの途上、パイロットが、飛行機がアメリカの領空内に入ったとアナウンスをした時、グロスは両手を挙げて喜びを表現した。

 

パトリック・J・リーフィー連邦上院議員(民主党、ヴァーモント州選出)はグロスに「あなたは自由の身ですよ」と語りかけたという。

 

「どうやら本当に自由になったようですね」とグロスは答えた。

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 昨日、2014年12月18日深夜にツイッター上で「アメリカ政府がキューバ政策について重要な発表をする」というニュースが流れました。そして、アメリカがキューバとの間に国交正常化に向けた交渉を行うと正式に発表されました。

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オバマ大統領とラウル・カストロ議長(左)
 

 キューバとアメリカは1961年に断行して以降、アメリカが一方的に経済制裁を科してきました。キューバはそれ以降、この経済制裁に苦しみながらも、フィデル・カストロ議長の下、独自の政策を行ってきました。現在、西半球に残る最後の共産主義政権が統治する国となりました。

 

 私がアメリカの大学でアメリカ政治の勉強をしていた時、人種と政治が重要なテーマだったのですが、キューバ系アメリカ人の研究についても触れることができました。キューバ系アメリカ人は他のヒスパニックと同じくスペイン語を母語にしています。しかし、キューバ革命時に難民としてアメリカにやって来たのは、お金持ちが多く、フロリダ州のマイアミに定住した後もキューバ社会における階層を維持していたということです。また、他のヒスパニックと違い(マイノリティは民主党支持が多い)、共和党支持が多いのも特徴です。また、お金持ちは私立のフロリダ・インターナショナル大学へ、庶民で勉強ができる人は、州立のフロリダ大学に進学するということでした。

 

 しかし、世代を超えていくにつれて、キューバ系アメリカ人たちの反カストロ意識も薄れてきたでしょうし、キューバ側も豊かな生活を望んでいるでしょう。キューバは教育水準が高く、質の高い労働力になりますし、治安も良いので、魅力的な投資先となるでしょう。フロリダ州にいるキューバ系アメリカ人たちが、華僑のように「玖僑」(キューバは日本式では玖瑪、中文では古巴と書くと先輩にご教示いただきました)となっていくでしょう。

 

 私は、今回のアメリカとキューバの国交正常化交渉の開始は、現在のアメリカの外交・安全保障分野における「内戦」を象徴しているものと考えます。チャック・ヘーゲルを泣く泣く解任しなければならなかったオバマ派ですが、巻き返しの一手として、キューバとの国交正常化を持ってきたのだ、と私は考えました。それは、このニュースが流れる半日ほど前に以下のニュースが流れたことがきっかけでした。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「USAID Administrator Rajiv Shah to Step Down」

 

BY JOHN HUDSON

フォーリン・ポリシー誌 DECEMBER 16, 2014 - 11:46 PM

http://foreignpolicy.com/2014/12/16/usaid-administrator-rajiv-shah-to-step-down/?utm_content=bufferab042&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

 

After five years of heading the United States Agency for International Development, one of the Obama administration’s most charismatic and well-liked bureaucrats is leaving his job next month, Foreign Policy has learned.

 

Rajiv Shah, a Detroit native and a 42-year-old son of Indian immigrants, will inform his entire staff on Wednesday morning of his decision to step down as USAID administrator on January 30. His next move remains a mystery, though many have speculated at a run for Congress or a jump to private sector development work.

 

“I’m not prepared now to talk about my next steps,” Shah told FP in a phone call on Tuesday. “I will continue to stay focused during the transition in ensuring that USAID remains a results-oriented, evidence-based humanitarian enterprise.”

 

Known for his bouncy demeanor and boundless enthusiasm, Shah’s tenure has been most notable for the dramatic changes made in how USAID delivers foreign aid — particularly in weaning Washington off of its dependence on large development contractors.

 

“Instead of simply doling out assistance, which has been the USAID model from day one, he tried to change it,” said Peter Pham, director of the Atlantic Council’s Africa Center.

 

At the same time, Shah managed the agency’s $20 billion budget when accountability, corruption, and waste continued to plague U.S. efforts in Afghanistan and a number of embarrassing and poorly-designed democracy-building programs in Cuba jeopardized the aid agency’s reputation.

 

Through it all, Shah managed to maintain a glowing reputation on Capitol Hill, even among the most ardently conservative Republicans.

 

“What I like most about Raj is he makes it easy for people of different political backgrounds to support him,” Sen. Lindsey Graham, a hawkish Republican from South Carolina, said last week.

 

Speaking at a dinner organized by the U.S. Global Leadership Coalition (USGLC), a group that advocates for a strong foreign aid budget, Graham marveled at Shah’s ability to defend USAID’s budget at time of heightened partisanship and ever-tightening fiscal constraints. “If you can convince Tom Coburn [that foreign aid] is a good deal, you should open up your own shop,” Graham said, referring to the famously conservative Oklahoma senator.

 

Over the years, the structural changes Shah implemented at the agency have had a dramatic ripple effect on the recipients of foreign aid spending.

 

Rather than dropping billions of taxpayer dollars into sprawling programs designed to reduce poverty, USAID pivoted to directly funding foreign development groups, offering loan guarantees to local banks and launching contests aimed at solving specific global challenges.

 

“I give him a lot of credit for that, especially in launching science contests that provide seed money for innovation,” said Pham.

 

One particular example of this is the Ebola Grand Challenge, an idea Shah cultivated at his old job at the Bill and Melinda Gates Foundation. The contest challenged inventors to develop medical equipment and technology for front-line medical workers in West Africa and recently distributed $1.7 million to three contestants.  One of the winners — a team from John Hopkins University — designed a new protective suit that has a battery-powered cooling system and is easier to take off — both innovations that are said to greatly reduce the risk of transmission to the medical worker.

 

“Shah steered USAID through important reforms, bringing an effective evidence-based approach to the agency,” said USGLC president Liz Shrayer.

 

Still, Shah has struggled to defend the agency’s disastrous projects in Cuba, which include launching a now-defunct social media site to encourage Cuban youths to revolt against the Castro regime, attempting to co-opt Cuba’s vibrant hip-hop scene and an HIV prevention workshop that served as a front to recruit political activists — all activities that many aid experts say compromised the global perception of USAID as a humanitarian arm of the U.S. government.

 

“This is dumb, dumb, dumb,” said Sen. Patrick Leahy, chairman of the Senate Appropriations subcommittee that oversees USAID. “It’s not something that should be done through USAID. They do a lot of great things around the world. … This is not one of them.”

 

Despite those criticisms, Shah maintained that USAID was fulfilling its dual role of fighting extreme poverty and supporting “resilient democratic societies” around the world.

 

“As you know, our focus has been on supporting civil society in Cuba and other closed spaces around the world,” he told FP. “It’s difficult to support civil society in places where societies are closed.”

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)


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ラジブ・シャー(インド系アメリカ人)

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任命式の様子(左がヒラリー)
 

 アメリカ国務省(外務省に相当)の参加にありながら予算規模では肩を並べる機関である、米国国際開発庁(United States Agency for International Development、USAID)のラジブ・シャー(Rajiv Shah)長官が辞任を発表したのが、国交正常化交渉開始の半日ほど前でした。

 

 拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で書いた通り、このUSAIDという組織は、アメリカの「世界民主化政策」の尖兵です。このUSAIDの長官を5年間も務めたのがラジブ・シャーです。シャーを長官に任命したのが当時のヒラリー・クリントン国務長官です。ヒラリーの国務長官在任時に起きたのが「アラブの春」です。このアラブの春に大きく関与したのがUSAIDです。

 

 USAIDはキューバにも関与していました。私は昨日、2つのニュースを聞いて、咄嗟に次の記事のことを思い出しました。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「米政府、SNSで対キューバ工作」

By JOSÉ DE CÓRDOBA AND DAVID LUHNOW

原文(英語)

ウォールストリート・ジャーナル日本版 2014 年 4 月 6 日 09:38 JST 更新

 

 米国がキューバ政府の弱体化を狙ってミニブログサイト「ツイッター」に似たソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をキューバ向けに秘密裏に立ち上げていたことがわかった。AP通信が報じた。

 

 AP通信の3日の報道によると、SNSを立ち上げたのは国際開発庁(USAID)。年間数十億ドルに上る対外支援を実施する米国の政府機関だ。

 

 米政府高官は3日、このSNSの存在を認めたものの、社会的な混乱を扇動する工作であることは否定した。

 

 USAIDはメキシコの司法改革推進やハイチ向けの災害援助に取り組むなどさまざまな援助活動を行っている。しかし、工作活動が発覚したことで、UNAIDの今後の援助活動に支障が出る恐れがあるとの見方が出ている。

 

 バージニア州アレクサンドリアの非営利シンクタンク、キューバ・リサーチ・センターの代表、フィリップ ・ピーターズ氏は「こういうことが起きれば、USAIDが実施している優れた経済援助や開発援助に疑念が生じる。USAIDにとってダメージは大きい」と述べた。

 

 ロシアは2012年、野党グループを支援しているとしてUSAIDを追放。翌年にはボリビアも同様の措置を取った。

 

 キューバはインターネットの利用を制限しているが、米国は「スンスネオ」というSNSを立ち上げて規制をかいくぐった。キューバ国民は国営の電話網を使ってこのSNSにアクセスし、メッセージを書くことができる。立ち上げ当初は利用者数を確保するため、スポーツや天気、雑学などの情報を送信していた。

 

 AP通信はUSAIDの内部文書を引用。それによると、SNSを立ち上げた目的は、「国家と社会の間の力のバランスを見直す」ために、政治関連のコンテンツを徐々に紹介して利用者を結集させることだった。

 

 USAIDは3日、声明を発表し、「スンスネオの目的はキューバ国民同士が自由に話せる場を作ることだった。それ以上は何もなく、われわれはこれを誇りに思っている」と述べた。

 

 USAIDの広報担当者は、スンスネオの存在が公になったことでUSAIDの今後の活動に支障が出るとの見方は否定した。

 

 ホワイトハウスのカーニー報道官は3日、スンスネオについて、秘密工作ではなく慎重に人権促進の活動を行っていたと述べた。連邦政府機関が秘密工作を行う場合、大統領の承認を得なければならない。

 

 キューバ政府の公式新聞グランマ(電子版)は3日、米国がキューバの若者と政府の対立を画策しているというラウル・カストロ大統領の主張が裏付けられたと報じた。

 

 AP通信によると、スンスネオの利用者は2010年時点で約4万人に達していたが、米国が同サービスに関与していたことを全く知らなかったという。また、米国は政治的なメッセージに反応する可能性がある人物を特定するために利用者に関する情報の収集を行っていたが、利用者はこれも承知していなかった。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

 キューバとの国交正常化にはUSAIDの最高責任者シャー長官の首が必要であったということでしょう。そして、これは、ヒラリー系に大きなダメージとなることでしょう。

 

 私がこの状況を「内戦」と書きましたのは、オバマとヒラリーとの関係が相当悪化している、と考えたからです。キューバ系アメリカ人が多く住むフロリダ州は大統領選挙の激戦州です。ここでキューバ系アメリカ人たちのエリート層を怒らせることをすればどうなるでしょうか。フロリダ州は共和党が取ることになります。現在、2016年の米大統領選挙の共和党の有力候補として、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)の2名のフロリダ州にゆかりの深い人物の名前が挙がっています。

 

 私は、オバマ大統領がヒラリーの米大統領選当選阻止のための一手としても今回のアメリカとキューバの国交正常化交渉を利用しているのだろうと考えています。イラン、キューバとオバマ大統領は交渉を始めました。恐らく北朝鮮が次ということになりでしょう。日本はまた頭越しでの外交であたふたしてしまうことでしょう。属国の悲哀ということになるでしょう。


キューバ系アメリカ人の歌姫グロリア・エステファン 

 

(終わり)








 

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