古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:グリーンランド

 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権になり、アメリカは西半球、南北アメリカ大陸支配に対する欲望を隠さなくなった。ヴェネズエラに対しては奇襲攻撃を行い、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束した(ヴェネズエラ政府内部の最高クラスに協力網ができていたのは想像できる)キューバに対する支配を明言し、経済制裁を実施している。そして、デンマーク領のグリーンランドの僚友の使途を明確にしている。NATOという集団的自衛権(collective self-defense)に基づいた同盟関係の中で、同盟国同士であるアメリカとデンマークが戦争状態になる場合、他の同盟諸国は、侵略側になるアメリカを自国への攻撃とみなし反撃として、攻撃するのか、大いに懸念される。アメリカが同盟国を攻撃するということはこれまで想定されてこなかった(学術研究としてはそういうシミュレーションはあっただろうが)。「アメリカと同盟関係を結んでも安心できない」ということになれば、同盟関係の意味はなくなってしまう。

 さて、下記論稿では「集団安全保障(collective security)」という言葉が使われている。論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは以下のように書いている。

(引用貼り付けはじめ)

伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。
(中略)

戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

(引用貼り付け終わり)

 私たちは良く「集団安全保障」と「集団的自衛権(collective self-defense)」という言葉を目にし、耳にする。スティーヴン・M・ウォルトはこの2つの言葉を区別して使っていない。しかし、これら2つの言葉は厳密に違いがある。「集団安全保障(collective security)」と「集団的自衛権(collective self-defense)」は違う。集団安全保障は、国連などの国際的な枠組みにおいて、侵略を行った国家に対して、加盟国が全体で制裁や軍事行動を行うことを指す。全体で平和維持を目指す。集団的自衛権は、自国と密接な関係ある国、例えば、同盟国が攻撃を受けた場合に、自国が攻撃を受けたと見なし、対処することを指す。同盟国、パートナーの防衛を指す。NATOは集団的安全保障ではなく、集団的自衛権の枠組みということになる。細かい話になってしまうが、これらには違いがあるということを私は知っておくと、報道を見聞きする際に、気を付けるようになる。

 話を元に戻すと、世界の超大国であるアメリカは「やりたい放題(Do whatever you want)」ができ、そこには理屈をつけて「正当化(justification)」することが可能だ。しかし、そうしたことを続けていれば、国力が低下していくと、他国からの離反や反撃を招くことになる。現在でいえば、アメリカとイスラエルはこの「やりたい放題」をやりながら、「世界の平和のため」「自衛のため」という正当化を行っている。しかし、それをいつまでも続けることはできない。世界でアメリカとイスラエルに対する反感の声が高まっており、それを力で抑えられるということはもうできない。

 「アメリカに頼れない」「アメリカを信用できない」という考えが世界に蔓延していけば、現在の国際社会の構造は大きく変化していくことになる。渡したが日々目撃している世界の大きな動きはそのことを示している。

(貼り付けはじめ)

「集団安全保障」は生命維持装置に繋がれている(‘Collective Security’ Is on Life Support

-国際関係の基本概念の1つがこれまでにないほどの危機に瀕している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年12月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/16/nato-collective-security-alliances-nato-life-support/

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ドイツ南部のホーエンフェルス訓練場で行われたNATO演習中、アメリカとアルメニアの兵士たちが負傷したとみられる兵士を医療装甲車両から陸軍移動外科病院(mobile army surgical hospitalMASH)に搬送している(2023年9月14日)

脆弱な世界秩序を考えると、「集団安全保障(collective security)」という概念はもはや消滅してしまったのではないかという疑問について考えてしまう。その答えは、この言葉が何を意味するかによって異なる。もし集団安全保障が、世界の複数の主要大国が現状変更のために武力を用いることを放棄し、この誓約に違反する国を阻止するために結束することに同意するシステムを意味するのであれば、それは死んではいない。それは単純な理由からだ。それは、そもそも存在しなかったからだ。

第一次世界大戦後に設立された国際連盟(the League of Nations)に最もよく見られるように、伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。

しかし、集団安全保障には別の定義が存在する。それは、戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

しかしながら、過去に存在した比較的現実的な集団安全保障体制は、なぜ現在は生命維持装置に頼っているのかを理解するだけでも、今日、より深く検討する価値がある。

集団安全保障体制の限定的な形態の1つに「安全保障レジーム(security regime)」がある。これは、競争相手が狭く具体的な方法で競争を制限することに合意するものだ。SA​​LT条約やSTART条約といった軍備管理協定(arms control agreements)はその好例であり、これらの措置のいくつかは確かに戦争のリスクをわずかに軽減するのに役立った。しかし、これらの協定は、超大国が数千もの核兵器を製造したり、その威力を高めるために数十億ドルもの資金を費やしたりするのを阻止することはできていない。また、ソ連と西側諸国間の激しい対立に終止符を打つこともなかった。

こうした種類の軍備管理協定の見通しは、参加すべき国の数が増えていることもあって、今日では明るくない。世界は冷戦時代の二極構造(bipolar)ではなく、多極構造(multipolar)となっている。つまり、大国間の軍備管理を機能させるには、中国を巻き込む必要があるということだ。北京、モスクワ、ワシントンを巻き込んだ軍備管理協定を締結するための努力は行われておらず、中国は他の米露2カ国に追いつくまでは軍備制限に関心がない。それどころか、中国をはじめとする一部の国は核兵器を増強しており、ロシアとアメリカはこれに対抗して自国の軍事力を近代化している。さらに、他のいくつかの国も独自の核戦力の取得を検討している。人工知能やサイバー兵器に関するガードレールを設ける取り組みは行き詰まっているが、これは、関係国全てに意味のある制限について合意させることが困難な作業であることを考えると、驚くべきことではない。

集団安全保障の限定的な形態の2つ目は平和維持活動(peacekeeping)だ。2つかそれ以上の交戦国(warring parties)が和平(make peace)を決定した場合、中立の平和維持部隊が派遣され、合意内容を監視し、双方の安心感を与えることになる。しかし、この仕組みは、以前交戦していた集団が真に戦闘を停止し、その決定を堅持する意思がある場合にのみ有効だ。なぜなら、平和維持部隊は通常、再び武装蜂起する国家や軍閥(a warlord)を阻止するには弱すぎるからだ。平和維持活動は有用な手段だが、それだけでは戦争を防ぐことはできない。

集団安全保障の最終形態であり、より正確には「集団防衛(collective defense)」と呼ばれる形態は軍事同盟(a military alliance)だ。共通の脅威に直面している国々は、相互防衛に協力し、脅威となる国家からの攻撃を抑止し、あるいは攻撃を受けた場合には撃退するために軍事準備を調整することで、より安全な体制を築くことができる。同盟は、強力で十分な武装を備えた国家が近隣にあり、現状変更のために武力行使に踏み切る意思があるように見える場合に最も形成されやすいだろう。このような状況では、潜在的な侵略者による脅威は他の国々にとって明確であり、その危険に対抗するために団結する十分な理由となる。この論理は、1949年にNATOが結成された理由、冷戦期にアメリカが日本、韓国、その他のアジア諸国と同盟を結んだ理由、そして第一次湾岸戦争においてイラクをクウェートから追い出すために大規模な連合軍が結成された理由を説明している。

国家が外部からの脅威に対して力を合わせる傾向は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、アメリカとヨーロッパ諸国の多くが結集して支援を行ったことにも表れている。しかし、これはまた、戦争が長引く中で中国と北朝鮮がロシアに多大な支援を提供してきた理由も説明している。ウクライナの事例はまた、集団防衛体制が必ずしも戦争を阻止できる訳ではないことを改めて認識させてくれる。抑止力(deterrence)が機能しないこともあるからだ。

冷戦期には集団防衛協定が非常にうまく機能した。なぜなら、ヨーロッパで武力行使すれば、2つの強力な同盟国間の大規模で破壊的な戦争(a vast and destructive war between two powerful alliances)につながることは、両陣営にとって明らかだったからだ。この悲惨な見通しを踏まえ、両陣営は賢明にも戦闘を回避した。

残念なことに、今日ではどの国が最大の脅威であるか、またそれらにどう対処するのが最善かについて、コンセンサスがはるかに乏しいため、冷戦期と同様の予測可能性と安定性は期待できない。例えばヨーロッパでは、ロシアをかつての帝国を再建し、ヨーロッパ大陸を支配しようとする容赦ない侵略者と見なす国もあれば、そうした警戒的な見方を共有しない国もある。南半球のほとんどの国はロシアを恐れておらず、モスクワとの取引を続けている。また、トランプ政権のロシアに対する立場は毎週のように変化しているようだ。NATOは依然としてウクライナがいつか加盟すると主張してるすが、NATO加盟諸国で自国の兵士をウクライナのために戦い、命を落とすことを望む国は1つもない。

さらに言えば、アメリカの政策立案者たちは、アメリカがアジアにおける中国の力の封じ込め(containing Chinese power in Asia)に集中できるようにするため、ヨーロッパは自らの安全保障に責任を持つべきだとますます確信を深めている。ヨーロッパはインド太平洋地域で戦略的な役割を果たすことについて時折口にするが、そこで変化をもたらすだけの軍事力を持つヨーロッパの国は存在しない。また、ヨーロッパはそうすることに重大な利益を持ってはいない。これは、アメリカとヨーロッパの戦略的利益が乖離していることを意味しており、たとえ同盟が形式上は維持されていたとしても、NATOは必然的に弱体化するだろう。

しかし、中国の台頭と野心は、アジアの近隣諸国、そして言うまでもなくアメリカにも明らかである。しかしながら、バランスをとる連合体を形成する努力は、アメリカの地域政策の不安定さ、多くのアジア経済にとって中国が重要であることから中国との友好関係を維持しようとする姿勢、様々なアジア大国間の対立、そして各国が傍観者となり、他国に対中国対策の重労働を担わせようとする姿勢(each state’s desire to get others to do the heavy lifting against China while they sit on the sidelines)によって阻まれてきた。その結果、危機に際して誰が何をするのかということに関して不確実性が高まり、誤算(miscalculation)の可能性が高まっている。例えば、中国による攻撃があった場合、オーストラリア、日本、アメリカ、その他いくつかの国が台湾を支援する可能性は十分にあるが、一部あるいは全員が傍観者となる可能性もある。つまり、アジアには中国を標的としたバランスをとる連合体が存在するものの、中国による地域覇権(regional hegemony)獲得への試みを抑止するのに十分な一貫性と信頼性を備えていない可能性があるのだ。

最後に、国家が同盟を結ぶのは主に外的脅威(external threats)への対応策だが、こうした取り決めは、国家が同様の価値観、特に自由主義的民主政治体制(liberal democracy)の中核となる価値観を共有している場合により強固なものとなる。残念ながら、かつて西側諸国を一つにまとめていた共通の価値観は消えつつある。冷戦終結時には、自由主義的民主政体こそが未来の潮流だと多くの人が信じていた。しかし、20年近くにわたり自由主義的民主政体は着実に後退を続け、エジプト、ハンガリー、インド、ロシア、トルコ、そしておそらくはアメリカでさえも、独裁者による支配(strongman rule)に基づく政府が台頭している。イギリスはヨーロッパ連合(EU)を離脱し、ハンガリーとスロバキアはEUの多くの原則に反対している。さらに、最近発表されたホワイトハウスの「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」は、トランプ政権がEUの自由主義的原則と多くのヨーロッパ諸国政府に積極的に敵対していることを極めて明確にしている。

さらに、ヨーロッパとアメリカは中東情勢をめぐってますます対立を深めている。アメリカは、ガザ地区で大量虐殺作戦を展開するイスラエルに対し、220億ドル以上の追加軍事援助を行った。国際刑事裁判所(the International Criminal CourtICC)がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前国防相、そして複数のハマス指導者を戦争犯罪で起訴した際、アメリカは複数の国際刑事裁判所の関係者に制裁を科した。一方、イギリスやノルウェーを含む多くのヨーロッパ諸国は、パレスティナ国家を正式に承認し、イスラエル当局者の戦争犯罪責任を問うことを誓約している。こうした異なる対応のどこに、人権や国際正義への共通の関与があるか? 長年にわたりアメリカの最も緊密な同盟国であり、情報機関のパートナーであったイギリスが、トランプ政権によるカリブ海における小型船舶への違法かつ残虐な攻撃への関与を懸念し、アメリカとの特定の情報共有を停止したことも、示唆に富んでいる。これは小さな問題かもしれないが、どのような行為が正当か、あるいは西洋の核心的価値観に合致しているかについての合意が減少しつつあることのもう1つの兆候だ。

残念ながら、私が言いたいのは、共通の価値観は、勢力均衡(balance-of-power)を理由とした同盟関係を強化する、もしくは加盟諸国が相反する戦略的利益を克服する助けにはならないということだ。

この確かに悲観的な分析から、どのような結論を導き出すことになるか? 3つ提案したい。第一に、より野心的な集団安全保障に未来への希望を託すべきではない。それは過去に一度も機能したことがなく、将来も機能しないだろう。第二に、私たちは依然として、個々の国家が生き残り繁栄するために自国の資源に頼らざるを得ない世界に生きている。しかし、共通の危険に対処するために信頼できるパートナーを持つことで、安全保障を向上させることができないということはない。外交の任務は、こうした危険が何であるかを明らかにし、どのように対応するかについて幅広い合意を形成することだ。残念ながら、現在、このような外交は不足している。

第三に、自国の能力を強化し、強固な同盟関係を築くことは、既存の紛争の解決、ライヴァルとの緊張緩和、あるいは特定のリスクの最小化に向けた真剣な努力を妨げるものではない。こうした課題は、素人による密室取引(backroom deals conducted by amateurs)ではなく、経験と知識が豊富な当局者たちが規律ある透明性のある方法で敵対国と交渉することによって最も効果的に達成される。

しかし、誤ってはならない。集団安全保障へのより現実的なアプローチでさえ、戦争のリスクや、国家がその可能性に備える必要性を排除することはできない。集団安全保障は死んではいないかもしれないが、良好な健康状態にあるとは言えない。

※スティーヴン・M・ウォルト:ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領は第二次政権を発足させて以降、ヴェネズエラ攻撃、グリーンランド領有への野心表明、更にはイラン攻撃と、対外的に積極的・攻撃的な動きを見せている。第一次政権時とは全く異なった動きであり、有権者がトランプに期待した、アイソレイショニズムとアメリカ・ファーストを裏切る動きである。イラン攻撃に関しては、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に乗せられてのことである。

グリーンランドに関しては、トランプの大学時代(ペンシルヴァニア大学ウォートン経営学部)からの友人で、世界的なコスメブランドであるエスティローダーの総帥ロナルド・ローダーの影響と働きかけがあったことが明らかになっている。ローダーは、グリーンランド内でのレアアース利権を持っており、その開発で巨額の利益を得るために、アメリカによるグリーンランドの領有をトランプに進言しているということだ。ローダーはトランプ大統領に多額の献金を行っている。

 ローダーは世界ユダヤ人会議(World Jewish CongressWJC)の議長を務めている。世界ユダヤ人会議はイスラエルを支援しているが、極右的ではなく、穏健な姿勢を取ることで知られている。アメリカのイスラエル・ロビー諸団体のような、極右的な姿勢ではない。しかし、戦前からの組織であり、その議長というのは大きな権威を持つ。ローダーの義理の息子(娘婿)は、トランプ大統領が連邦準備制度理事会議長に指名したケヴィン・ウォーシュである。ローダーはトランプ人脈の中に入っている。
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 ローダーは影響力と人脈を使い、トランプの政策を「買おう」としているのである。個人の利益のために大統領との人脈や影響力を利用して、政策に関与する。トランプを支持したのは、失業した白人労働者たちだ。彼らは自分たちの願いをトランプに託した。それは、アメリカの上流階級や政界の汚れを一掃することだ。一般国民の既存政治への異議申し立てがポピュリズムである。トランプ大統領の誕生はポピュリズム革命であった。しかし、実際にはこのポピュリズム革命は裏切られつつある。悲しいことだが、ポピュリズムは常に敗北の運命を背負っていると言うべきなのかもしれない。

(貼り付けはじめ)

●「情報BOX:次期FRB議長指名のウォーシュ氏、その横顔」

ロイター通信 2026131日午前 7:35 GMT+92026131日更新

https://jp.reuters.com/markets/japan/HFATL7XEKNNPLLC5X7R2ILAJOU-2026-01-30/

[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、次期連邦準備理事会(FRB)議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると発表した。ウォーシュ氏とはどのような人物なのか。

<史上最年少のFRB理事、金融危機に対応>

ウォーシュ氏(55)は、米スタンフォード大学とハーバード法科大学院卒。米金融大手モルガン・スタンレーに勤務した後、ブッシュ(子)前大統領の国家経済会議(NEC)での経験を経て、2006年に史上最年少となる35歳でFRB理事に就任した。08─09年の世界金融危機では、ウォール街の人脈を生かし、当時のバーナンキFRB議長を支え、破綻した金融機関の救済などで重要な役割を果たした。11年まで理事を務めた後、スタンフォード大学フーバー研究所の特別客員フェローを務めたほか、同大学のビジネススクールで講師を務めた。

<タカ派かハト派か?答えは両方か>

ウォーシュ氏は、FRBは金利を大幅に引き下げるべきと主張する。特に人工知能(AI)による生産性向上が物価抑制の一助となるため、FRBはインフレ抑制に向け雇用市場を犠牲にする「選択」をする必要はないとし、トランプ氏と一致している。

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しかし、FRB理事を務めていた5年間にはインフレ「タカ派」として知られた。また、住宅ローンやその他の長期金利引き下げに向け、FRBの大規模な債券保有を恒久的な金融政策手段として利用することに批判的な見方を示していた。

<FRBの独立維持望む、改革は必要>

ウォーシュ氏は長らく、FRBが物価安定と最大雇用という二大責務から外れ、独立性を危うくしていると批判してきた。昨年4月には、政策決定の指針を修正の可能性がある「陳腐な」政府データに頼るのをやめるべきだとしたほか、政策当局者の経済予測や金利の方向性を国民に知らせる「フォワードガイダンス」を批判した。また5月には、バランスシートを拡大しないようにすれば、政策金利を引き下げることができるという認識を示した。

<妻は富豪の娘>

ウォーシュ氏の妻は、米化粧品大手エスティローダーの創業家一族で富豪のロン・ローダー氏の娘ジェーン・ローダー氏。米誌フォーブスによると、ジェーン氏の純資産は27億ドルと推定されている。

<知り合いに多くの富豪>

ウォーシュ氏は、著名投資家スタンリー・ドラッケンミラーの資産を管理するオフィスのパートナーを務めた経歴がある。

また、義父であるロン・ローダー氏はトランプ大統領の元同級生かつ有力な支持者とされる。ウクライナのリチウム鉱床開発権を獲得した投資家グループの一員と伝えられているほか、デンマーク自治領グリーンランドにも権益を持っているという。
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グリーンランド取得、トランプ氏を本気にさせた6人衆 富豪や反中派

ワシントン支局長 河浪武史

日本経済新聞 202619 5:00

[会員限定記事]

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07CMP0X00C26A1000000/

トランプ米大統領のグリーンランド(デンマーク自治領)取得構想は、今に始まった話ではない。発端は第1次政権時の2018年。当初は「最優先事項ではない」(トランプ氏)はずだったが、対中強硬派が構想を膨らませて「絶対に必要」な重要戦略となった。

●「ルイジアナ、アラスカに並ぶ偉業に」

18年に取得案を最初に振り付けたのは、米化粧品大手エスティローダー創業家のロナルド・ローダー氏とされる。同氏は学生時代からの友人で、有力な資金支援者でもあった。同社はニューヨーク創業で、トランプ氏が生まれ育った地でもある。

グリーンランド買収は19世紀のルイジアナ、アラスカ取得に並ぶ大偉業になる――。狙いは領土拡張をトランプ氏のレガシー(遺産)にすることだった。周辺は「不動産の知識を持つ大統領らが言っているだけ」と受け流したが、対中強硬派が野心的な重要戦略へと引き上げた。

「中国が狙っている。その前に米国がグリーンランドを買うべきだ」。トランプ氏にそう迫ったのは対中強硬派の代表格であるトム・コットン上院議員(共和)だった。

北極海と北大西洋の間にあるグリーンランドは中国とロシアの地政学的な要衝。北極海周辺を往来する船舶数は10年間で4割も増えた。グリーンランドは世界8位のレアアース(希土類)埋蔵量があり、中国の市場独占に切り込む力を持つ。

コットン氏は「グリーンランドを取得すれば地理的利益と経済的利益の両方が得られる」と説いた。その気になったトランプ氏は198月に買収計画を明らかにした。
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●まずレアアース鉱床に資金供給

コットン氏は自らデンマーク政府に領地売買を打診。トランプ氏もグリーンランドに金色のトランプタワーが建つ合成画像をSNSに投稿して挑発した。デンマークが売却を拒絶するとトランプ氏は国賓訪問を突如中止。両国の分断は深まった。

「国家安全保障のためにグリーンランドの所有権が絶対に必要だ」。24年末、トランプ氏は政権発足前に再表明した。第2次政権が発足すると領土拡張を目指すチームにバンス副大統領とルビオ国務長官が加わり「デンマークの頭越しにグリーンランド内で切り崩し工作を始めた」(議会外交筋)。

目をつけたのはグリーンランド最大規模の「タンブリーズ鉱床」。米国輸出入銀行は256月、レアアース開発へ12千万ドル(約190億円)の巨額資金供給を決定した。米国がグリーンランドに資金を直接入れる住民懐柔策の始まりだった。

8月になると、同鉱床からルイジアナ州にレアアースを供給する長期事業計画も決定した。立役者である同州知事のジェフ・ランドリー氏は、トランプ氏からグリーンランド担当特使に任命され、資源開発で得た利益を現地住民に分配する経済協力案を提唱する。

●ブレーキ役欠く危うい大国

ルビオ氏やランドリー氏が目指すのは、住民投票でのグリーンランドの独立や米国資金による領地買収とされる。そこに軍事介入も辞さない強硬論を持ち込んだのが、トランプ氏のスピーチライターを長く務めたスティーブン・ミラー大統領次席補佐官だった。

「北大西洋条約機構(NATO)の利益を守るために、グリーンランドは米国の一部であるべきだ」。ミラー氏は6日、米CNNにそう答えた。呼応するようにレビット大統領報道官も日本経済新聞の取材に「米軍活用は選択肢の一つ」と回答した。

ルビオ氏は7日、デンマーク政府高官と「来週会う予定だ」と表明した。デンマークや欧州各国は米国のグリーンランド取得構想に激しく反発しており、現時点で受け入れる機運はない。19世紀のアラスカ、ルイジアナの買収も、そもそもロシアとフランスが財政難で領地を手放したことが発端だ。

2次トランプ政権は、大統領の功名心をあおる火付け役ばかりが並ぶ。ブレーキ役を欠く大国は一段と危うさを増す。
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グリーンランドに権益を持つ億万長者はいかにしてドナルド・トランプ大統領にグリーンランド獲得を促したのか(How a billionaire with interests in Greenland encouraged Trump to acquire the territory

-北極圏拡大を最初に提案した米大統領の友人であるロナルド・ローダーが現在、グリーンランドで取引を行っている

トム・バージス筆

2026年1月15日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/us-news/2026/jan/15/ronald-lauder-billionaire-donor-donald-trump-ukraine-greenland

一期目の任期中のある日、ドナルド・トランプは新たなアイデアについて話し合うため、側近を招集した。「トランプが私を大統領執務室に呼び出した」と、2018年に国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンはガーディアン紙に語った。ボルトンは、「ある著名な実業家がアメリカにグリーンランド買収を提案したと言われた」と述べた。

それは異例の提案だった。しかも、その提案は大統領の長年の友人から持ちかけられたもので、後にデンマーク領グリーンランドで事業権益を取得することになる人物だった。

ボルトンが知ったのは、その実業家とはロナルド・ローダーだった。世界的な化粧品ブランドであるエスティローダーの財閥を継いだ彼は、同じく裕福なニューヨーク出身のトランプとは60年以上の付き合いである。

ボルトンによると、彼とローダーはグリーンランド買収案について話し合ったという。この大富豪の介入後、ホワイトハウスのティームは、デンマークが実効支配する広大な北極圏におけるアメリカの影響力拡大策を模索し始めた。

ボルトンは、トランプ大統領が第二期目にローダーの構想を再び追求するのは、大統領の典型的なやり方だと指摘した。ボルトンは「友人から聞いた断片的な情報を真実として受け止め、その意見を覆すことはできない」と述べた。

この提案はトランプ大統領の帝国主義的野心(imperialist ambitions)を掻き立てたようだ。8年が経った今、トランプはグリーンランドを買収するだけでなく、武力行使で奪取することさえ検討している。

トランプ大統領の周囲の多くの人々と同様、ローダーの政策提言は彼のビジネス上の利益と重なっているようだ。トランプがグリーンランド奪取の脅しを強める中、ローダーはグリーンランドで商業資産を取得してきた。また、ローダーはウクライナの鉱物資源へのアクセスを希望するコンソーシアムの一員でもあり、このコンソーシアムがトランプに戦争で荒廃したウクライナの資源の分配を要求するきっかけとなったようだ。

ローダーは、1960年代に同じ名門ビジネススクール(ペンシルヴァニア大学経営大学院[ウォートン・スクール])に通っていた時にトランプと出会ったと述べている。家業の化粧品会社で働いた後、ローダーはロナルド・レーガン政権下で国防総省に勤務し、その後オーストリア大使を務め、1989年にはニューヨーク市長選に立候補したが落選した。

トランプ大統領が2016年に大統領選に勝利した際、ローダーはトランプ勝利募金委員会に10万ドルを寄付した。2018年にトランプの正気が疑われた際、ローダーはトランプを「驚くべき洞察力と知性を備えた男性(a man of incredible insight and intelligence)」と評した。

2018年、ローダーはトランプを「想像し得る限り最も複雑な外交課題のいくつか()some of the most complex diplomatic challenges imaginable」で支援していると述べた。これには北極圏拡大構想(the idea of Arctic expansion)の具体化も含まれていたようだ。2019年、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙がトランプのグリーンランドへの関心を報じた。デンマークの首脳陣は憤慨した。トランプはこれに対し、村の上にそびえ立つ金色のトランプタワーの画像をツイートし、「グリーンランドにはこんなことはしないと約束する!」とキャプションを添えた。

トランプ大統領のグリーンランドへの執着は、ローダーと同様に、長引いた。2025年2月、トランプ大統領がホワイトハウスに復帰した直後、世界最大の島であるグリーンランドの軍事占領を大統領が公に検討した際、ローダーは大統領を擁護した。

「トランプ大統領のグリーンランド構想は決して突飛なものではなく、戦略的なものだった」とローダーは『ニューヨーク・ポスト』紙での記事の中で書いている。さらに、「グリーンランドの氷と岩の下には、AI、先進兵器、そして現代技術に不可欠な希土類元素の宝庫(a treasure trove of rare-earth elements)が眠っている。氷が減少するにつれて、新たな海路が出現し、世界の貿易と安全保障のあり方を変革している」と続けて書いている。

ローダー氏は、グリーンランドが「大国間の競争の震源地(the epicentre of great-power competition)」となっていることから、アメリカは「戦略的パートナーシップ(strategic partnership)」を模索すべきだと主張した。さらに、「私は長年にわたり、グリーンランドのビジネス界や政府指導者と緊密に協力し、グリーンランドへの戦略的投資を推進してきた」と付け加えた。

2018年にローダーがトランプ大統領の関心をグリーンランドに向けさせたことは、米国人ジャーナリストのピーター・ベイカーとスーザン・グラッサーが共著『ザ・ディヴァイダー』で初めて報じている。化粧品業界の億万長者であるローダーは、北極圏の領土に多額の私財を投じてきたようだ。

デンマークの企業記録によると、ニューヨークに拠点を置き、所有者が匿名の企業がここ数カ月でグリーンランドへの投資を行っている。

この企業の事業の一つは、バッフィン湾の島から「高級な」湧き水を輸出することだ。12月にデンマークの新聞が、ローダーが投資家の一人であると報じた際、この事業に関与するグリーンランドの実業家の言葉を引用した。「ローダーと彼の投資家グループの同僚たちは、高級品市場を非常によく理解し、市場へのアクセスも有している」と彼は述べた。

この投資家グループはまた、グリーンランド最大の湖でアルミニウム製錬所を建設するための水力発電も検討していると報じられている。

アメリカが侵略、買収、あるいは説得によってグリーンランドを掌握した場合、ローダー社のグリーンランドにおける商業的利益にどのような影響が及ぶかは不明だ。

ヴェネズエラ大統領を捕らえるためにアメリカ軍を派遣した後、トランプ大統領が「アメリカはグリーンランドを非常に必要としている」と発言したことを受け、デンマーク首相はNATO加盟国による他国への軍事行動は同盟関係を崩壊させると警告した。

トランプ大統領は動じていないようだ。「グリーンランドに関しては、何らかの対応をするつもりだ、穏便な方法か、より困難な方法かは別として」と大統領は先週述べた。水曜日のホワイトハウスでの会合後、デンマークのラース・ロッケ・ラスムセン外相は、「アメリカの立場を変えることはできなかった。大統領がグリーンランドを征服したいという願望を持っているのは明らかだ」と述べた。

ローダーがアメリカの政策形成に関与しているように見えることは、トランプ大統領の第2期における利益相反(conflicts of interest)、そして大統領側近による私腹を肥やす行為をめぐる疑惑をさらに深めるものとなっている。トランプ大統領の2人の息子、ドン・ジュニアとエリックは、ヴェトナムからジブラルタルに至るまで、世界的な金儲け活動を展開してきた。

彼らは、自分たちの事業活動と、現存する最強の権力者である父親の地位との間には「巨大な壁(huge wall)」があると主張している。トランプ大統領の報道官は、「大統領もその家族も、利益相反に関与したことはなく、今後も関与するつもりはない」と述べている。しかし、外国の支配者たちはファーストファミリーの富の増大を助長し、時には大統領の支持を得ているように見せかけてきた。

しかし、ローダーはかつて旧友と決別したように見えた。

2022年、大統領職を離れている間、トランプ大統領は自身のマール・ア・ラーゴ・クラブに極右扇動者のニック・フェンテスを接待した。世界ユダヤ人会議の議長を務めるローダーも非難に加わった。「ニック・フェンテスは、端的に言って、強烈な反ユダヤ主義者であり、ホロコースト否定論者だ」と彼は述べた。ローダーは「彼と付き合うことなど考えられない」と批判した。

しかし、トランプがホワイトハウスに復帰すると、ローダー氏は資金援助を再開した。2025年3月には、トランプの運動のための資金調達団体であるマガ・インク(Maga Inc.)に500万ドルを寄付した。4月には、ローダーは大統領との特別なキャンドルライト・ディナーに出席したと報じられている。チケットは1枚100万ドルで、マガ・インクに支払われた。

その時までに、ローダーの事業利益は再びトランプ政権の政策と重なり合っているように見えた。

2023年11月に鉱業会社テックメットの社長がウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領に送った書簡が流出し、ローダーが戦争で荒廃したウクライナのリチウム鉱床の開発を目指すコンソーシアムの一員であると記されていた。

ローダーは当時、ウクライナの鉱物資源についてトランプ大統領自身と話し合ったことはないが、「長年にわたり、アメリカとウクライナの利害関係者にこの問題を提起してきた」と述べている。共和党の有力者たちは、アメリカがウクライナの膨大な資源を掌握するためのキャンペーンに加わり、トランプ大統領はそれを最も強く支持するようになった。

ローダーがマガ・インクに寄付を行ってから数週間後、アメリカとウクライナは、ウクライナの鉱物資源を共同で開発する協定に署名した。これは、トランプ大統領が大統領執務室でゼレンスキー大統領をアメリカの支援に対する感謝が不十分だと非難し、テレビで激しい非難を浴びせた後、ウクライナへの支持をある程度維持するのに役立った。

リチウム鉱床は、この鉱物資源取引における最初の入札だった。今月、ローダー・コンソーシアムが落札したと報じられている。コンソーシアムを率いるテックメット社は、ローダーと同様にコメントを控えた。グリーンランドのビジネスパートナーとホワイトハウスにも、ガーディアン紙の取材に対し回答はなかった。
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報告:世界ユダヤ人会議(WJC)のロナルド・ローダー会長がドナルド・トランプ大統領のグリーンランド進出に関与している(World Jewish Congress President Ronald Lauder involved in Trump’s push for Greenland – report

-『ザ・ガーディアン』紙によると、ローダー会長はトランプ大統領の任期1期目以降、グリーンランドの商業用不動産を複数取得してきた。アナリストの中には、ローダー会長がトランプ大統領にこの提案をしたのは、個人的な利益を得るためだと見ている人たちがいる。

レオ・フィアバーグ・ベター筆

2026年1月20日

『イェルサレム・ポスト』紙

https://www.jpost.com/international/article-883900
木曜日のガーディアン紙の報道によると、世界ユダヤ人会議(WJC)会長でドナルド・トランプ米大統領の長年の友人であるロナルド・ローダーが、トランプのグリーンランド買収への関心を掻き立てた可能性があるということだ。

2019年にトランプ政権を去ったジョン・ボルトン前国家安全保障問題担当大統領補佐官は、ガーディアン紙に対し、トランプ大統領から大統領執務室に呼び出され、後にローダーと特定された大富豪がアメリカによるグリーンランド買収を提案したと告げられたと語った。

ボルトンによると、トランプ大統領の行動は親しい友人によって左右されているという。「友人から聞いた断片的な情報を彼は真実として受け止め、彼の意見を揺るがすことはできない」とボルトンはガーディアン紙に語った。

ローダーとトランプ大統領の関係は1960年代にまで遡ることができる。ローダーは保守派の政治キャンペーンに多額の寄付を行っており、その中にはトランプ支持のスーパーPACへの500万ドルの寄付も含まれている。

ガーディアン紙によると、トランプ政権の最初の任期中にこのアイデアを提唱して以来、ローダーはグリーンランドの商業資産を取得しており、アナリストの一部はトランプへの提案は個人的に利益を得るための手段だと見ている。

ローダーは『ニューヨーク・ポスト』紙に寄稿し、デンマーク領(グリーンランド)がアメリカの支援を得て「経済と防衛を確保(secur[ing] its economy and defenses)」することで「独立の夢を実現する(achieve its dream of independence)」よう訴えた。記事の中でローダーはグリーンランドを「アメリカの次のフロンティア(America’s next frontier)」と呼び、トランプ大統領の支援によって北極圏の潜在能力を最大限に発揮すべきだと主張した。

●ローダーがアメリカの外交政策と重なる事業に関与か(Lauder linked to ventures overlapping with US foreign policy

ローダーは以前、アメリカの外交政策と重なる事業に関与しているとの報道があった。今月初め、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ウクライナがローダーを含むコンソーシアムに、少なくとも数億ドル相当の大規模リチウム鉱床の採掘契約を発注したと報じた。

ローダーは著名なユダヤ人指導者であり、長年にわたりイスラエルの擁護者でもある。2007年から世界ユダヤ人会議の会長を務め、世界中のユダヤ人コミュニティの支援に深く関わっている。

ローダーは数多くの親イスラエルの取り組みや文化プログラムに資金を提供し、外交や慈善活動での活動により世界のユダヤ人問題における重要人物となっている。

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(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカのドナルド・トランプ政権がドンロー主義を基盤として、西半球をアメリカの勢力圏として固める意向を示し、ヴェネズエラ攻撃やグリーンランド領有希望の公表など動きを強めている。そうした中で、カナダはアメリカを脅威と見なし、懸念を深めている。アメリカとカナダの関係について、私たちは深く学ぶ機会を持たない。正直なことを言えば、「どっちも似たようなものだろう」「カナダはフランス語を使用する地域があるな」というくらいのことしか思わない。しかし、考えてみれば、あれだけの長い国境線で接している、アメリカとカナダの関係は改めて知っておくことは有益であろう。

 アメリカは建国してしばらくの間、カナダの領土に対して野心を持っていた。1776年にアメリカはイギリスから独立したが、北方には、カナダが存在した。そこには当たり前のことだがイギリスが存在した。イギリスはアメリカにとって脅威である。従って、アメリカの北方にいるイギリス勢力に懸念を持ち、カナダの領土を欲するということもあった。イギリスの勢力に対する懸念は、アメリカの外交政策の原理原則である、モンロー主義(イギリスの影響力を排除する)に通底する。そうした動きは20世紀に入るまで続いた。カナダが自治領となり、独立国家となることで、アメリカの懸念は減少した。

 今回、トランプ大統領がカナダをアメリカの51番目の州と呼ぶなどの行為から、カナダ側の懸念が高まった。そして、アメリカとカナダの間に歴史的にある緊張関係に注目が集まっている。NATO加盟国であり、G7の一角であるカナダをアメリカが攻撃することは考えにくい。たとえカナダ攻撃の命令が出ても、アメリカ軍は「違法な命令である」として、動かない可能性が高い。しかし、このような緊張関係を生み出してしまったことは、国際関係に大きな影響を及ぼす。アメリカは同盟国でも攻撃するかもしれないという懸念を世界各国に持たせてしまうことは、アメリカの国益にとって大きなマイナスである。そして、それを注視しながらほくそ笑んでいるのは中国とロシアである。

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アメリカは再びカナダにとって最大の脅威となっている(The United States Is Once Again Canada’s Biggest Threat

-ドナルド・トランプは北隣国カナダとの伝統的に緊張関係にあった関係を取り戻した。

ケイシー・ミシェル筆

2026年2月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/03/us-canada-threat-trump-carney-history/

ここ数週間、アメリカが国境を強制的に拡大することはない、NATO加盟国が他の加盟国を侵略することはないといった基本的な地政学的事実が、ドナルド・トランプ米大統領によるグリーンランドへの継続的な脅威によって、突如として揺らぎ始めた。カナダのマーク・カーニー首相が最近述べたように、これは「断絶(a rupture)」であり、古い秩序が崩壊し、新しい秩序が生まれようともがく瞬間である。

大西洋横断関係の亀裂に注目が集まっている一方で、その断絶の多くはカーニー首相にとってはるかに身近な問題、すなわち米加関係に集中している。トランプ政権下のワシントンが今や脅威となっていることに、デンマークやグリーンランドだけが突然気づいた訳ではないからだ。カナダもまた、今やアメリカ政府がカナダの主権(sovereignty)だけでなく、カナダという国家そのものを公然と脅かしているのを目の当たりにしている。トランプ大統領自身もカナダを幾度となく脅迫し、アメリカによるカナダ併合を要求し、両国の国境を撤廃すべきだと繰り返し示唆している。これは単なるおしゃべりではない。先週、トランプ政権当局者がアルバータ州の分離独立派と直接会談を開始したことが明らかになった。彼らはアルバータ州をカナダから分離し、アメリカに併合しようと躍起になっている。

カナダをアメリカの51番目の州にするというトランプの脅しを一笑に付した時代はとうに過ぎ去った。新たな現実が突如カナダ全土に波紋を広げている。トランプ政権下のアメリカは、受け入れがたい現実かもしれないが、突如としてカナダにとって最大の国家安全保障上の脅威となった。

カナダ国民はようやくこの現実を受け入れ始めている。しかし同時に、これはカナダが直面するアメリカの危機の、はるかに長く、はるかに根深い部分を浮き彫りにする現実でもある。実際、過去80年ほど続いた米加友好関係、世界最長の国境線は概ね平和裡に保たれ、ワシントンとオタワはおそらく世界で最も緊密な同盟国となったが、もはや時代錯誤(anachronism)、アメリカが北米におけるはるかに広範な拡大の歴史において単に立ち止まっただけの例外的な出来事のように思えるかもしれない。

トランプ政権下のアメリカ合衆国は、むしろ北の隣国を威嚇し、安定した同盟関係よりも野蛮な拡大(brutish expansion)を志向し、カナダを地図から完全に消し去ろうとする、伝統的な立場に戻ろうとしていると言える。この歴史はアメリカ合衆国ではほとんど見過ごされているが、ワシントンが再び信頼できるパートナーになるために、そして再び安定した北アメリカ大陸を見るために、検討する価値がある。

アメリカ合衆国がカナダの領土を欲しがる歴史は、アメリカ合衆国建国初期にまで遡る。1774年、フィラデルフィアで開かれたばかりの大陸会議(Continental Congress)は、カナダ国民に書簡を送り、彼らは「小さな人々(small people)」であると主張し、イギリスの支配を打破するための、芽生えつつある取り組みに加わるよう呼びかけた。この呼びかけには脅迫的な言葉が込められており、カナダ国民は「北アメリカの他の全ての国を揺るぎない友とするのか、それとも根深い敵とするのか」を考えるべきだと述べている。書簡には、もしカナダ人がアメリカ植民地人(American colonists)への参加を拒否した場合、彼らは「征服されて自由になる(conquered into liberty)」だろうと付け加えられていた。

これは決して少数派の立場ではなかった。「大陸の一致した意見は、カナダは私たちの領土でなければならないというものだ」と、後のアメリカ大統領ジョン・アダムズは1776年に書いた。「ケベックは奪取されなければならない」とベンジャミン・フランクリンも同様に、カナダを将来のアメリカ領土と見なしていた。カナダの歴史家マデリーン・ドロハンが明らかにしたように、フランクリンは当時アメリカがイギリス領北アメリカ全域を支配していた状況下で、フランス系カナダ人(当時カナダのヨーロッパ系植民地人口のほぼ全員を占めていた)の強制同化(forced assimilation)、あるいは全面的な追放(outright eviction)を主張した。

もちろん、こうした初期の立場は全て無駄になった。アメリカ軍はケベックへの壊滅的な攻撃を開始したが、戦略のまずさと天然痘の蔓延によって頓挫した。その後のイギリスとの交渉において、フランクリンがカナダを占領しようとした試みも失敗に終わった。アダムズ自身が記したように、「ああ、カナダよ! あの一帯は不幸と恥辱に満ちていたことを私たちは発見した(Alass Canada! We have found Misfortune and disgrace in that Quarter)」ということになる。

しかし、これらの失敗によって、アメリカのカナダに対する計画が終わることはなかった。米英戦争中、アメリカ軍は再びイギリス領カナダを視野に入れ、ある将軍はカナダを「アメリカの一部になる(one of the United States)」だろうと発言した。カナダ併合(Canadian annexation)は、この戦争全体の明確な目標ではなかったかもしれないが、この戦争自体、北アメリカ中部の大部分からイギリスの要塞を追放し、アメリカの拡張主義に対するイギリスの障壁を事実上終わらせたが、アメリカが大陸の覇権へと急速に突き進む、押しつけがましく、奪い取る大国であるというイメージを確固たるものにした。

その現実は、アメリカの大陸帝国主義(United States’ continental imperialism)が頂点に達した19世紀半ばに表面化した。当時、英米共同所有地として管理されていたオレゴン準州をめぐる紛争が続く中、米大統領候補ジェームズ・ポークの支持者たちは、太平洋岸北西部の北緯54度線までの全域に対する主権を放棄するよう英領カナダを説得する手段として、「54か40か、さもなくば戦え!(Fifty-Four Forty or Fight!)」と繰り返し叫んだ。ポークは最終的に全面戦争を諦め、北緯49度線までのアメリカの主権を確保した(その代わりにメキシコの分割に注力した)。それでも、ポークの帝国主義的支持者たちは止まらなかった。「明白な運命(Manifest Destiny)」という言葉の生みの親とされるジョン・オサリバンが書いたように、カナダの領土を含む「神の摂理によって割り当てられた大陸に広がることは、依然として明白な運命である(manifest destiny to overspread the continent allotted by Providence”—including Canadian territory.)」ということになる。

南北戦争(the Civil War)はアメリカを分裂させ、数十万人ものアメリカ人の虐殺を招いたが、それでもアメリカのカナダに対する計画を阻止することはほぼできなかった。戦争終結直後、アメリカはアラスカ購入を確定させ、帝政ロシア(tsarist Russia)から領土を獲得した。しかし、この購入は地政学的な空白の中で行われた訳ではない。購入を主導した国務長官ウィリアム・スワードは、アメリカが支配するアラスカがブリティッシュコロンビア、ひいてはそれ以上の領土を獲得する鍵となると見ていた。「自然は、この大陸全体が遅かれ早かれ、・・・アメリカ合衆国の魔法の輪の中に入るように設計している(Nature designs that this whole continent … shall be, sooner or later, within the magic circle of the American Union)」とスワードは1867年に聴衆に語った。ヴァージニア大学のアラン・テイラーが、この時代に関する傑出した歴史書の中で述べているように、「アメリカ人は(アラスカの)獲得をカナダに対する締め付けとして歓迎した」。彼らがすべきことはただ待つことだけだった。そうすれば、カナダは彼らのものになるはずだったのだ。

しかしながら、カナダ人は異なる方向へと進んだ。アメリカのアラスカ購入は、カナダを分裂させるどころか、主権国家としてのカナダと完全に独立したカナダのアイデンティティの確立に直接つながった。ジョン・マクドナルドをはじめとする指導者たちの指導の下、カナダ人は全国規模の連邦を発足させ、その後数年間で次々と州を新たなカナダ自治領に加えた。アメリカの併合論者(U.S. annexationists)の餌食になるのではなく、カナダは統合を進め、アメリカのさらなる拡大を鈍らせ、150年以上続く独立した国家としての地位を確固たるものにした。

建国の父たち(the Founding Fathers)のカナダに対する領有権主張、北の隣国に対するアメリカの脅威の一貫性、アメリカの脅威に直面したカナダの統合といった要素は全て、ごく最近まで、魅力的な歴史の脚注、より激動の時代を捉えたスナップショットだった。1890年代にアメリカの政治家たちが潜在的な戦争を警告し、1910年代には「カナダのあらゆる場所に星条旗を掲げる」よう求め続け、1930年代にはワシントンがカナダに対する有事の戦争計画を策定したにもかかわらず、カナダの主権に対するアメリカの実際の脅威は大幅に減少した。実際、米加関係は非常に緊密になり、良好な関係は最終的に当然のことと見なされるようになった。ワシントンが維持した最も緊密なパートナーシップは、安定した北アメリカの安全保障体制によってアメリカの世界的な支配力の拡大が可能になり、背景の雑音のようなものへと薄れていった。

そして、全ては崩壊した。トランプのグリーンランドに対する脅しは、カナダに対する脅しと並行して行われてきた。実際、グリーンランド危機のピーク時でさえ、NBCニューズはトランプがカナダへの「密かに関心を強めている(privately ramping up his focus)」と報じ、カナダの地図にアメリカ国旗を掲げた地図を見せたほどだった。さらに、カナダ国民がよく認識しているように、トランプのグリーンランドに関する言説、つまりグリーンランドを守れるのはアメリカだけであり、そもそもデンマークにはグリーンランドに対する権利はないという言説は、カナダの北極圏の島々にも容易に当てはまり得る。その多くはグリーンランドに隣接している。

トランプだけではない。MAGAのイデオローグであるスティーヴ・バノンは、カナダに対するアメリカの宗主権を幾度となく声高に訴えてきた。バノンは最近、「かつてカナダにとって大きな障壁であった北極圏北部が、今や最大の脅威となっている」と述べ、カナダの「弱点(soft underbelly)」だと主張した。さらにバノンは、カナダは「次のウクライナになる可能性がある」と述べた。ウクライナには「アメリカに敵対する人々」が溢れているそうだ。そして、これは北極圏だけではない。今週、『フィナンシャル・タイムズ』紙は、トランプ政権当局者がアルバータ州の極右分離主義者と複数回直接会談したと報じた。彼らはアメリカへの加盟の熱意を隠そうともしていない。

国境を拡大し、近隣の分離主義運動を煽り立てようとする新帝国主義大国(a neoimperialist power)である。これは全て、地域的支配を主張し、近隣諸国を分裂させる手段だ。実際、カナダとウクライナの類似点は、不快なほどに緊密になっている。しかし、カナダ国民は、かつてウクライナ国民であったのと同様に、この事態を黙って受け入れるつもりはない。カナダ国防省は新たな文民・民間人防衛軍(a new civilian defense force)の構想を練り始めており、オタワ政府は1世紀ぶりに、アメリカの侵略への対応をモデル化した軍事演習の計画を開始した。

そしてカナダ当局はついに、そして公に警鐘を鳴らし始めた。元カナダ国連大使のボブ・レイは『グローブ・アンド・メール』紙に対し、カナダに対するアメリカの脅威は「存亡の危機」(U.S. threats against Canada are “existential)に瀕していると語り、元カナダ国防長官はトランプ大統領の行動はカナダを警戒態勢に追い込むことになると述べた。あるカナダの紛争研究者は『ガーディアン』紙に次のように語った。「私たちはアメリカの友好と寛大さ(the friendship and benignness of the United States)に大きく依存してきたのに、突然、その両方が消えてしまった。消滅してしまった。今になってようやくカナダ国民がこの意味を真に理解し始めたのではないかと危惧している」。これはまさに衝撃的な出来事であり、かつて北アメリカに存在していた安定がもはや当然のこととは考えられなくなったことを示している。NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)から砕氷船団、情報収集に至るまで、あらゆるものが突如として未解決の問題となり、カナダの領土保全さえも疑問視されるようになった。

しかし、トランプ大統領は恐らく気づいていないだろうが、カナダはカナダ国外のほとんどの人々が知るよりもはるかに長く、アメリカの計画を撃退してきた歴史を持っている。その歴史は、ここ一世紀よりも今の方がはるかに意味を持つ。それは全て、始まったばかりの断絶(a rupture)のおかげだ。

※ケイシー・ミシェル:ヒューマン・ライツ財団の「クレプトクラシー対策プログラム」の責任者。『アメリカのクレプトクラシー:アメリカはいかにして史上最大のマネーロンダリング計画を作り上げてきたのか(American Kleptocracy: How the U.S. Created the World’s Greatest Money Laundering Scheme in History)』の著者。Xアカウント:@cjcmichel

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領はグリーンランド領有に関して、反対したヨーロッパ諸国への関税措置を撤廃し、買収交渉を行うという姿勢の転換を行った。「俺たち(アメリカ)が第二次世界大戦で助けてやらなかったら今頃お前たちはドイツを話していたんだぞ、そして、片言の日本語も話していただろう」ということをスイスで開かれているダヴォス会議で発言し、ヨーロッパ諸国の国民の不興を買っている。トランプにすればそんなことはお構いなしだ。「アメリカ・ファースト」で突き進むだけだ。グリーンランドのレアメタルと、中露両国が開発し、アジア諸国にとって便利な北極海航路に対する嫌がらせ(と通行料の徴収ができれば最高)でアメリカ国民に利益をもたらす、お金を配ることが最重要の目的だ。
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 この伝で行けば、パナマ運河もアメリカに戻せということになる。グリーンランドとパナマ運河を押さえることで、世界の物流を押さえることができる。それがトランプと側近たちの狙いだろう。しかし、それは中露両国も黙ってはいないだろう。

 トランプの交渉術は相手にショックを与えて、思考力を奪っておいて、それで交渉を行うというものだ。とんでもないことを言ったり、行ったりして、相手がひるんでいる隙に、自分の要求を通すということだ。交渉という点では、トランプは世界でも指折りの才能と経験を持っている。日本の政界で太刀打ちできる人はいないだろう。経済界ではいるかもしれないが。

 しかし、このようなトランプの交渉術は既に見切られている。トランプが強く出る場合に、相手も強く出て、トランプをひるませることができれば、トランプは引く。実際に、高関税政策に対して、中国は強く出てトランプを引かせている。今回のグリーンランドに関することでも、ヨーロッパ諸国がアメリカ国債の売却をちらつかせることで、トランプは引いた。世界の先進諸国はアメリカ国債を「安全資産」と保有してきたが、その売却という、一種の自爆的な方法を取るぞと脅すことで、トランプを引かせるという方法を採用している。

 トランプの「アメリカ・ファースト」外交は、アメリカの衰退を促進する。そして、世界は、世界覇権国アメリカの衰退に対応するために、この時期を過ごすことになる。

(貼り付けはじめ)

トランプは外交をどのようにやるかを全く分かっていない(Trump Has No Idea How to Do Diplomacy

-たとえ部分的に正しいとしても、彼は間違っている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年8月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/08/19/trump-diplomacy-putin-ukraine-europe/

アラスカで行われたウラジーミル・プーティン大統領とのあの奇妙な首脳会談と、ワシントンで行われたNATO首脳会議の組み合わせは、ドナルド・トランプ米大統領がひどい交渉者であり、「譲歩の術(art of the giveaway)」の達人であることを改めて思い知らせる出来事だった。トランプは準備を怠り、部下に事前に根回しをする(lay the groundwork beforehand)、会議に臨むたびに自分が何を望んでいるのか、どこまで譲歩(red line)すべきかさえ分からずにいる。戦略もなければ細部にも関心がなく、行き当たりばったりで臨む。

最初の任期中、北朝鮮の金正恩委員長との的外れなリアリティ番組のような会合に時間を浪費したことで分かったように、トランプが本当に求めているのは注目と、自分が主導権を握っていることを示唆するドラマチックなヴィジュアルだけだ。彼が締結するであろう合意の中身は、無関係とまでは言わないまでも、二次的なものに過ぎない。だからこそ、最近発表された貿易協定の中には、彼が主張するほどアメリカにとって有利ではないものもあるのだ。

トランプの突飛な外交失策に人々が注目するのは、彼が世界最強の国の大統領であり、カルト的な共和党の卑怯な議員たちが彼の気まぐれに付き従い続けているからに他ならない。しかし、トランプ、マルコ・ルビオ国務長官、そして外交の素人スティーヴ・ウィトコフのような軽薄な人物が、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相といった人物と対峙すれば、後者がアメリカから巧みに利益を得ることは目に見えている。自問自答してみて欲しい。トランプがアラスカでプーティンと会談した際、アメリカ、同盟国、あるいはウクライナのために何か得たものはあっただろうか? プーティンは何かを譲歩しただろうか? さらに言えば、ウクライナを見捨てないよう説得するために現れたヨーロッパ各国の首脳からトランプはどのような譲歩(concessions)を得たのだろうか?

強力な敵対国との交渉を成功させるには、双方の利益、力、そして決意を冷徹かつ容赦なく現実的に評価する必要がある。プーティンのような指導者を、単に好意を抱いているから、あるいは滑走路にレッドカーペットを敷いたからといって、魅了して譲歩させることは不可能だ。希望的観測にふけったり、誰も真剣に受け止めないような脅しや約束をしたりしても、何の成果も得られない。

この最後の問題は、10年以上にわたり西側のロシア・ウクライナ政策を悩ませてきた。大半の西側諸国の政治家や評論家たちは未だ認めたがらないが、問題の根本原因はロシアと西側諸国の動機付けにおける根本的な非対称性(a fundamental asymmetry)にある。これは双方の脅威認識(perceptions of threat)と致命的な国益の定義(definitions of vital interests)の相違から生じる非対称性だ。(記録のために付記すれば、この認識の隔たりこそが、2014年に私たちのうちの何人かがこの道を進むことに警鐘を鳴らした理由である)。プーティンが自らの行動に数多くの理由を抱えていたとしても、最も重要なのは、ウクライナのNATO加盟がロシアにとって存亡の危機(an existential threat to Russia)をもたらすという恐怖、ロシアの政治スペクトル全体に広く共有されていた恐怖であった。

この問題において西側の立場を最も損なったのは、外交政策エリートたちが「無制限なNATO拡大(open-ended NATO enlargement)」、特に2008年のウクライナとジョージアへの将来加盟申請準備招待が戦略的失策(a strategic blunder)であった事実を、現実逃避的に認めてこなかったことだ。これがプーティンが和平合意で対処すべきと主張する「根本原因(root causes)」の中で最も重要であり、西側諸国の拡大推進の使徒たち(the Western apostles of expansion)が最も激しく否定、無視しようとしてきた点だ。これらはいずれもプーティンの違法な予防戦争(Putin’s illegal preventive war)を正当化するものではないが、そもそも紛争が起きた原因を誰も認めず対処しなければ、深刻な対立を終結させるのは困難である。

非愉快な現実は、モスクワは自国の経済を戦時体制に置き、数十万人の命を犠牲にすることを厭わなかったのに対し、ウクライナを支援する西側諸国はそうしておらず、今後もそうするつもりはないということだ。ウクライナ人は祖国を守るために計り知れないほどの英雄的な犠牲を払ってきたし、西側諸国はキエフに多額の資金、武器、情報、訓練、外交支援を提供してきた。しかし、ヨーロッパや北アメリカの他の国々が、自国の軍隊をキエフに派遣してそこで戦死するなどということについては、最初から明らかだった。(繰り返すが、西側諸国の指導者たちが2008年、あるいは2014年以降にこの点をもっと慎重に検討していればよかったのにと思う。)NATOが自ら参戦すべきだったと考える人々もおり、私は彼らの一貫した姿勢を尊敬しているが、彼らが関係する国民や指導者を説得することは全くできなかった。

その結果、ロシアは戦場で優位に立っており、ウクライナの失策(例えば2023年夏の不運な反撃など)もその一因となっている。ウクライナが失った領土(クリミアを含む)を全て奪還し、NATOとヨーロッパ連合に加盟することが唯一の受け入れ可能な結果だと依然として主張する人たちにはこの目標を具体的にどのように達成するつもりなのか説明を求めるべきだ。この奇跡をどのように実現するのか、首尾一貫した説得力のある戦略を提示するまでは、交渉のテーブルに彼らを招き入れるなど全く馬鹿げている。

したがって、トランプが先日のアラスカ首脳会談でプーティン大統領の側に立ったのは正しかったのだろうか? そして、トランプの姿勢を固めようとワシントンを訪れたヨーロッパ諸国の首脳たちの甘言や嘆願(blandishments and pleas)に抵抗すべきだったのだろうか? 答えはノーだ。

ここではより大きな利害関係が絡んでおり、アメリカとヨーロッパの交渉戦略はこれらに焦点を当てるべきである。プーティン大統領の要求の一部は将来の和平協定で受け入れざるを得ないとしても、NATO加盟国の一部からの軍撤退や、ウクライナの「非ナチ化(de-Nazified)」と部分的な武装解除といった要求は即座に拒否されるべきだ。ロシアが、将来ウクライナに駐留するかもしれないと懸念する外部勢力から自国を守る必要があると主張するならば、ウクライナはロシアによる新たな攻撃から守られ、自国を防衛する手段を与えられるべきである。

後者の懸念は、ウクライナや他の欧州諸国が、NATO第5条のような、正式な加盟国ではないものの何らかの安全保障保証に関心を持つ理由である。しかし、この考えには少なくとも2つの明白な反対意見がある。第一に、第5条は完全な安全保障の誓約ではなく、攻撃を受けた加盟国を支援するために同盟軍の派遣を自動的に引き起こすような仕掛けでは決してない。第5条は、加盟国の1つへの攻撃は加盟国全体への攻撃とみなされ、各加盟国は個別および集団的に「必要と考える行動(such action as it deems necessary)」をとると述べているだけだ。第二に、そして同様に重要な点として、トランプは生涯にわたって約束を破り、予告なしに方針を転換してきた経歴を持つ。それを考えると、分別のある国が彼の約束や誓約をなぜ信じるだろうか? たとえウクライナに対する何らかの安全保障の誓約について最終的に合意に達したとしても、誰がそれを真剣に受け止めるだろうか?

プーティン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談の実現も検討されており、おそらくアメリカが仲介役を務めることになるだろう。これは、これまでそのような要請に抵抗してきたプーティン大統領にとって象徴的な譲歩となるだろう。しかし、戦場の現状やウクライナの長期的な展望に大きな変化がない限り、そのような会談が永続的な平和をもたらすとは到底思えない。繰り返しになるが、個人的な会談というドラマに惑わされないことが重要だ。メディアは騒ぎ立てるが、(トランプとウィトコフが関与している場合)成果はほとんどない。

一体何が期待できるというのだろうか? 戦闘の進展状況、そしてロシアがこの問題をウクライナ以外の国よりも重視しているという事実を考えると、モスクワは望んでいたことの一部を得ることになるだろう。しかし、ロシアがすでに支払ってきた莫大なコストと、ウクライナが今後も外部からの寛大な支援を受け続けることでさらに大きな損失が生じる可能性を考えると、西側諸国の利益にならないものをロシアに提供することを拒否することは可能であるはずだ。

トランプ大統領のオンオフの繰り返しや、その他多くの問題でヨーロッパの同盟諸国と争おうとする姿勢とは対照的に、最良の合意を得るための最善の方法は、アメリカがヨーロッパとの統一戦線(a unified front)を維持し、NATOがウクライナに寛大な軍事支援を継続し、ウクライナとアメリカが双方の交渉状況を現実的に評価した上で、ロシアとの真剣かつ綿密な交渉を進めることだ。しかしながら、真剣かつ綿密な交渉を遂行してくれる人物を探しているのであれば、ペンシルベニア通り1600番地は私としてはお勧めしない。

こうした状況を考えると、もし昨年(2024年)11月にカマラ・ハリス米副大統領が大統領に選出されていたらどうなっていただろうかと疑問に思う。ハリスは優れた外交政策戦略家とは言えず、バイデン政権もロシアとウクライナへの対応で幾度となく失策を犯していた。しかし、ワシントン(そして民主党エリート層)では、ウクライナがその目的の全てを達成することは不可能であり(たとえそれが抽象的にどれほど望ましく正当であったとしても)、アメリカ大統領選が終結した暁には戦争を終結させる必要があるという認識が広く共有されていた。ハリスなら、バイデンのティームを他の有能な顧問に交代させ、その成果を追求するよう指示し、困難な状況下でもウクライナが可能な限り最良の合意を得られるよう支援し続けただろうと私は思う。

もちろん、ハリス政権が成功したかどうかは分からない。しかし、信頼できる有能な外交アクターとしてのアメリカの評判をトランプ氏以上に傷つけることはできなかっただろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年1月は、第二次ドナルド・トランプ政権の外交・軍事面の「暴れっぷり」が際立つ時期となっている。ヴェネズエラへの攻撃の状況が落ち着いている中で、グリーンランド領有に向けて、デンマークをはじめとするヨーロッパ諸国に圧力をかけている。また、イランでの反政府デモをきっかけとして、イラン政府に対しても圧力をかける姿勢を見せている。外交で大きな成果を上げて、政権発足一周年を祝い、2月24日に連邦議会で実施予定の一般教書演説(the State of the Union Address)で国内外にアピールをしたいというところだろう。そこまでに、ロシア・ウクライナ戦争の停戦ができれば、大金星ということになるが、それは難しいだろう。

 ヴェネズエラ攻撃に目を奪われてしまうが、第二次ドナルド・トランプ政権の外交に注力する動きは昨年からのことであった。そして、これは、国内状況が好転しないことから、国民の目を逸らさせるということも大きな原因であろう。国内のインフレ状況が収まらず、住宅費(家賃)をはじめとする生活費の高騰が続き、一般国民には苦しい状態が続いている。移民・関税執行局(ICE)による不法移民捜査に対する反感がトランプ政権、連邦政府に対する反感へと進み、武力衝突・内戦状態になる可能性がある。トランプ外交に関しては、アメリカ国民からの支持を得ていない。不支持率が上昇している。
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政権発足以来のトランプ政権の支持率の推移(赤線が不支持率)

 ヴェネズエラやグリーンランドをコントロール下に置くことで、トランプ政権としては、金銭的な利益を得ようという目論見もある。ヴェネズエラの石油の売却利益、グリーンランドのレアアース開発と北極海航路に対する通行税の性格を持つ通行料を入手し、それらをアメリカ国民に「分配」することで、国民の不満を和らげたいところだ。アメリカの影響圏(sphere of influence)である西半球(Western Hemisphere)をアメリカとアメリカ国民の利益のために使い尽くす、再植民地化(recolonialization)することが、「アメリカ・ファースト」外交の真骨頂ということになる。短期的にはそれが利益となるだろうが、長期的に見れば、それはアメリカにとっては世界での立場を失うということになり、損失ということになる。衰退して世界から退場するならば、静かに退場して欲しいところだ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が2025年末を外交政策で埋める(Trump fills end of 2025 with foreign policy

ブレット・サミュエルズ筆

2025年12月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5665946-trump-foreign-policy-focus/

ドナルド・トランプ大統領は、2期目の1年目が終わりに近づく中、外交政策に没頭している。2026年にはアメリカ経済への懸念が共和党を席巻すると見込まれているにもかかわらず、外交政策に注力している。

トランプ大統領は年末をフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で過ごし、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を招待した。トランプ大統領はクリスマスの日にナイジェリアにおけるイスラム国への軍事攻撃を発表し、南アメリカのヴェネズエラとの緊張が高まる中、12月26日にはヴェネズエラの施設を攻撃したことを明らかにした。

こうした一連の出来事は、トランプ大統領が2期目において外交政策に注力し、国外での実績を確固たるものにしようとしていることを如実に示している。しかし、こうした注目は、国内における最大の課題の1つを犠牲にすることになるかもしれない。

匿名を条件に率直に語った共和党系のストラティジストの1人は、トランプ大統領とホワイトハウスは就任以来、財政見通しの改善にどのような対策を講じてきたかを有権者に直接訴える必要があると語った。

このストラィテジストは、「トランプは外交問題に注力している。彼のエネルギーはどこへ行ってしまったのか? 有権者にとってはちょっと変な時期だ。議論をしようとしている人がいない」と語った。

トランプの国際的な関心については、月曜日に大統領がベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した際に完全に明らかになった。

イスラエル首相ネタニヤフが到着すると、トランプは数分間質問に答えたが、そのほとんどが世界的な紛争に関するものだった。

トランプ大統領は、麻薬密輸船を標的としたヴェネズエラの「実施区域(implementation area)」への最近のアメリカ軍による攻撃について言及した。また、イスラエルとハマス間の停戦維持に向けた継続的な取り組みについても議論した。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との「生産的な(productive)」電話会談についても言及し、イスラエルによるイランへの攻撃の可能性についても質問を受けた。

トランプ大統領とネタニヤフ首相の昼食会に記者団が部屋に入ってくると、トランプ大統領が首相に対し、二国間の紛争を終わらせるためにいかにして貿易を利用したかを説明する声が聞こえた。

トランプ大統領は「私がそのことで功績を認められたか? いいや、そんなことはなかった。私は停戦を8つもやった。インドとパキスタンはどうか? つまり、私は8つやった。そして、残りのことは何も教えてくれないんだ」と述べた。

トランプ大統領が月曜日にネタニヤフ首相と会談した翌日、トランプ大統領はゼレンスキー大統領をマール・ア・ラーゴに招き、ウクライナ紛争終結に向けた和平案について重要な協議を行った。トランプ大統領は今月初め、エジプト大統領が新年を迎える前にフロリダにある自身の邸宅を訪問する可能性を示唆していた。

トランプ大統領の年末の会談は、2期目の1年目を象徴するものだ。この1年間、トランプ大統領はイタリア、ヴァティカン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、イギリス、イスラエル、日本、カナダ、韓国、マレーシアを訪問し、和平協定や貿易協定の締結に尽力した。

トランプ大統領は、イスラエルとハマス間の戦闘終結のため、中東における停戦合意の仲介に数ヶ月間にわたって努力した。ウクライナ紛争の終結を目指し、ゼレンスキー大統領やプーティン大統領とは今年を通して複数回電話会談を行い、アラスカではプーティン大統領と直接首脳会談も行った。

トランプ大統領の側近たちは、ノーベル平和賞の受賞を公然と訴えた。一方、ネタニヤフ首相やFIFA会長を含む他の人々は、トランプ大統領の国際的な貢献を称える賞を授与することで、トランプ大統領の支持を得ようとしてきた。

数カ月にわたりトランプ大統領の外交重視を批判し、関係を断ったことで、来週には連邦議員辞職を予定しているジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)は、トランプ大統領の過ごし方に注目している。

「今日はゼレンスキー。明日はネタニヤフ。アメリカらしくやっていけるだろうか?」とグリーン議員は日曜日、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿した。

ホワイトハウス高官たちは、トランプ大統領が外交政策に偏りすぎているという批判に反論している。彼らは、移民取り締まりを強化する大統領令の発令、夏の間に成立した巨額の増税・歳出法案、そして製薬会社との「最恵国待遇(most favored nation)」協定による処方薬価格引き下げの取り組みがあったことを指摘している。

トランプ大統領の支持者たちはまた、大統領の海外での行動がアメリカ国内に利益をもたらしていると主張している。彼らは、トランプ大統領がEU、日本、イギリスなどと締結した貿易協定に加え、ヴェネズエラとの対峙が麻薬や不法移民の脅威からアメリカを守ることになるという考えも主張している。

しかし、世論調査では、有権者たちが必ずしもトランプ大統領の外交政策への注力について支持していないことが明らかになっている。

今月初めに発表されたキュニピアック大学の世論調査によると、トランプ大統領に対する有権者の全体的な支持率は低迷しており、回答者のわずか40%が彼のパフォーマンスを支持していると回答した。世論調査によると、トランプ大統領の外交政策の対応を支持する人は41%、不支持は54%だった。

しかし、ストラティジストたちは、11月の中間選挙の結果は、有権者がトランプ大統領の外交政策の成果についてどう感じているかよりも、経済についてどう感じているかによって左右される可能性が高いと概ね同意している。

ホワイトハウスは、インフレの鈍化と堅調な国内総生産(GDP)をトランプ大統領の経済政策が成功している証拠として挙げているが、世論調査では、有権者の大半がそう感じていないことが示された。

キュニピアック大学の世論調査によると、回答者の40%がトランプ大統領の経済政策を支持し、57%が不支持と回答した。この結果は、同様に有権者がトランプ大統領の経済政策に失望していることを示す他の世論調査結果と一致している。

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領は、カナダやメキシコに強く当たり、グリーンランドやパナマ運河の領有を主張している。これをいつものトランプの激しい言葉遣いとして片づけてはいけない。彼の発言の裏には非常に重要な考えが存在するのだ。それは「モンロー主義」である。モンロー主義という言葉は日本人であれば、中学校や高校の歴史の授業で習った言葉である。第5代米大統領ジェイムズ・モンロー(James Monroe、1758-1831年、73歳で没 在任:1817-1825年)が公式に宣言した、アメリカの外交政策上の指針である。一般的には、アメリカが世界から孤立する、ヨーロッパに関わらないという考えだと思われているが、これは正確ではない。モンロー主義は、アメリカが西半球(南北アメリカ大陸)を支配する、ヨーロッパには手を出させない、その代わりにアメリカはヨーロッパに手を出さないという考えだ。この時期、南米諸国がスペインの植民地から独立をしていた時期で、各国にイギリスが支援をしていた。それは、独立後に南米諸国をイギリスの勢力圏に入れて、イギリス製品の市場にしようという魂胆があったからだ。それを阻止したいということでモンロー主義、モンロー宣言が出された。

 第二次世界大戦後のアメリカは、冷戦期、ポスト冷戦期を通じて、世界の極として世界支配を続けてきた。しかし、トランプ大統領はそうした介入主義的な外交政策ではなく、モンロー主義に戻ろうとしている。アメリカは世界支配から退き、西半球に立て籠もるという考えである。そして、21世紀のモンロー主義の対象は中国とロシアということになる。中露両国の南米諸国への影響を排除したいとして動いている。しかし、南米諸国もトランプの意向に唯々諾々と従う訳ではない。中露、アメリカとの両天秤をかけて、自分たちの利益を生み出そうとしている。

 3月25日の最新刊ではトランプの外交政策について詳しく分析している。下記論稿を使ってはいないが、非常に参考になる論稿である。

(貼り付けはじめ)

トランプは自分自身のモンロー主義を持っている(Trump Has His Own Monroe Doctrine

-大統領として、対象地域に対する彼の攻撃的な姿勢は、多くの国々を中国に好意的にさせた。

オリヴァー・ステンケル筆

2024年10月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/17/trump-election-latin-america-monroe-doctrine-china-huawei-venezuela-far-right/

2024年11月のアメリカ大統領選を前に、ラテンアメリカの右派指導者数人が共和党候補であるドナルド・トランプ前大統領への支持を公然と表明している。その中には、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領、エルサルヴァドールのナイブ・ブケレ大統領、ブラジルのジャイル・ボルソナーロ前大統領、そして彼らの同盟者や支持者も含まれている。「トランプの当選で、私たちは大きな転換を見ることができる。そして、神の思し召し(God Willing)によりそうなるだろう」と、ボルソナーロ前大統領の息子でブラジル連邦下院議員のエドゥアルド・ボルソナロは、7月に開催されたブラジルの保守政治行動会議で語った。

ラテンアメリカ中のトランプ支持者は、前大統領のさまざまな文化戦争十字軍(culture war crusades)や経済政策に共感している。また、トランプがホワイトハウスに戻ることで、アメリカの海外介入(U.S. interventions abroad)を終了させ、より平和な世界が実現するとの意見も多い。2022年、ジャイル・ボルソナーロは、「(トランプが)まだ政権に就いていれば、ウクライナでの戦争は起こらなかったと考える人もいる。私はそれに同意する」と述べた。 政治家でボルソナーロの盟友であるビア・キシスは最近、『ニューヨーク・タイムズ』紙に、「トランプが候補者だったころ、第三次戦争の可能性が取り沙汰された。しかし、トランプが大統領を辞めるまでは戦争は起こらなかった。そして、現在は戦争が世界全体に影響を与えている(Back when Trump was a candidate, there was talk of a possible third war. But there was no war—until Trump left office, and now war is affecting the whole world)。」と書いている。アルゼンチンの作家でミレイ支持者のアグスティン・ラジェは、トランプの復帰は 「平和を保証するために(to guarantee peace)」不可欠だと語った。

しかし、少なくともラテンアメリカの場合、トランプがホワイトハウスに戻れば、1期目の時のようにアメリカの外交政策がはるかに介入的になるという強い証拠がある。当時、トランプはキューバやヴェネズエラのような国に対して「最大限の圧力(maximum pressure)」戦術を採用し、ブラジルのような国には中国のハイテク大手ファーウェイを禁止するよう無駄に圧力をかけた。

トランプが第2期の大統領になれば、ラテンアメリカ諸国がアメリカと中国の間で勃発しつつある競争において、どちら側を選ぶかについて、より明確なアメリカの圧力が復活する可能性が高い。そうなれば、多くの国々が中国に懐柔されたトランプ大統領の1期目と同様、この地域に大きな摩擦が生じる可能性がある。トランプ大統領のラテンアメリカに対するアプローチが攻撃的になればなるほど、各国政府は北京との関係を緊密化させることでワシントンとバランスを取ろうとするだろう。

最近のアメリカの歴代政権のほとんどは、1823年にラテンアメリカにおけるヨーロッパ勢力の干渉に対するワシントンの同地域の支配権(authority)を主張したモンロー主義(Monroe Doctrine)から明確に距離を置いてきた。モンロー主義は、西半球(Western Hemisphere)におけるアメリカの軍事的または外交的介入の口実としてしばしば使用され、特に20世紀には主にアメリカ帝国主義(U.S. imperialism)の一形態とみなされていた。 2013年、当時の米国務長官ジョン・ケリーは「モンロー主義の時代は終わった(“The era of the Monroe Doctrine is over)」と発表した。

しかしながら、トランプと支持者たちは、モンロー・ドクトリンを明確に擁護している。2018年の国連総会でトランプは、「この半球と自国の問題に対する外国の干渉を拒否することは、モンロー大統領以来の私たちの国の正式な政策である」と主張した。今回の警告はヨーロッパ諸国ではなく、ロシアと中国に向けられたもので、中露両国は過去10年間にほとんどの南米諸国の主要貿易相手国となった。

おそらくトランプの世界観の最も極端な要素は、トランプの国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンによって明らかにされた。彼は2020年の著書『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日(The Room Where it HappenedA White House Memoir)』の中で、トランプはヴェネズエラに軍事的オプションを求め、そして、『本当にアメリカの一部だから(it’s really part of the United States)』という理由でヴェネズエラを維持すると主張した」と書いている。2019年4月、ボルトンは「今日、私たちは誇りをもって全ての人に宣言する。モンロー・ドクトリンは健在である(Today, we proudly proclaim for all to hear: The Monroe Doctrine is alive and well)」と述べた。

このことは、世界全体におけるトランプのアイソレイショニズム的な外交政策が、西半球を支配したいという強い衝動につながることを示唆している。ジョンズ・ホプキンス大学のハル・ブランズ教授が『フォーリン・アフェアーズ』誌で論じたように、「『アメリカ・ファースト』はモンロー主義の再活性化(reenergized)を特徴とする。旧世界の前哨基地(Old World outposts)からのアメリカの撤退は、新世界におけるアメリカの影響力を守り、ライヴァルがそこに足場を築くのを防ぐための、おそらくより強硬な取り組みの強化を予感させる。

振り返ってみると、トランプ大統領のラテンアメリカ戦略は目標を達成することができなかった。破壊的な制裁(crippling sanctions)と威嚇的なレトリック(menacing rhetoric)にもかかわらず、ボルトンが「暴政のトロイカ(Troika of Tyranny)」と名付けたニカラグア、ヴェネズエラ、キューバの政権は維持されている。トランプがラテンアメリカ諸国政府にファーウェイを禁止したり、中国との関係を格下げしたりするよう説得した努力も、具体的な成果は得られなかった。ボルソナーロ政権時代でさえ、ブラジルの対中貿易は拡大する一方だった。

特にファーウェイに対するトランプ政権の戦略は、ラテンアメリカの政策立案者たちを当惑させた。アメリカは、ファーウェイが中国のスパイ活動のためのトロイの木馬(Trojan horse)として利用される可能性があるとして、ラテンアメリカ諸国に対し、5Gネットワークのコンポーネント・プロヴァイダーとしてファーウェイを排除するよう圧力をかけた。当時、トランプ政権はヨーロッパやラテンアメリカの政府に対し、ファーウェイを利用しないよう脅し、そうすればワシントンがアメリカの情報共有を停止する恐れがあると警告した。

しかし、ワシントンはラテンアメリカの政治的現実を無視し、政治的・経済的エリートの間には北京と対決する意欲がほとんどなかった。更に悪いことに、アメリカは中国の5G技術に代わる真の選択肢を提示しなかった。ファーウェイの競争相手、エリクソン、ノキア、サムスンなどは、より高価であり、ワシントンはその差額を支払うという提案を行わなかった。

ファーウェイがもたらす危険性についてのトランプ大統領の警告も、ほとんど効果を持たなかった。ほとんどのラテンアメリカの国民にとって、中国にスパイされることと、アメリカにスパイされることの間には、ほとんど違いがない。アメリカは、例えば、ブラジルのディルマ・ルセフ前大統領をNSAの監視下に置いたことについて謝罪を拒否しており、その他にも、この地域におけるアメリカの介入主義や秘密活動(covert activities)の多くの事例がある。

トランプ大統領のこの地域に対する強硬なアプローチ(muscular approach)は、北京の利益に大きく貢献した。ラテンアメリカ諸国政府は、トランプ大統領の姿勢とバランスを取るために中国との関係を強化した。北京はラテンアメリカ諸国政府との交流において主権を尊重することを強調しているが、これはグローバルサウス(global south)全域の政府にとっていかに魅力的に聞こえるかを意識してのことである。

トランプ大統領は最終的にヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を打倒するための軍事介入を断念したが、彼の攻撃的なレトリックは地域を緊張させた。アメリカが侵攻するという漠然とした不安でさえ、ヴェネズエラが主権に対する深刻な脅威に直面しているというマドゥロ大統領のシナリオをより強固にする旗を掲げた集会のような効果をもたらした。また、国の経済的苦境をすべてアメリカの制裁のせいにする機会にもなった。その結果、いくつかの地域の指導者たちは、躊躇しながらマドゥロ側についた。

トランプの大統領就任一期目の中南米に対する敵対的なアプローチは失敗したが、ホワイトハウスに戻ったら同じ戦略を繰り返す可能性が高いと、ブエノスアイレスのトルクアト・ディ・テラ大学教授フアン・ガブリエル・トカトリアンは『アメリカズ・クォータリー』誌で、「共和党の上院議員と下院議員は、モンロー主義の有効性を再確認する決議を提出した」と警告を発している。共和党の多くの有力な発言者も、この地域に対して定期的に脅迫的な言葉を使っている。

昨年、トランプはアメリカがパナマ運河の支配権を失ったことを嘆いた。トランプ、副大統領候補のJD・ヴァンス、テキサス州選出の連邦上院議員テッド・クルーズ、フロリダ州知事のロン・デサンティス、元国連大使のニッキー・ヘイリーらは皆、麻薬カルテルと戦うためにメキシコを空爆すると脅している。アメリカの国際法違反(U.S. violations of international law)を助長するこのようなレトリックは、反米の主張にとって好都合であり、中国がこの地域でより魅力的なパートナーとして自国を位置づけることを容易にするだろう。

トランプ大統領は、ドル回避(circumvent the dollar)に向けた取り組みを行っている国の製品に高関税を課す可能性がある。これはおそらく、BRICSグループ内の国々との貿易の一部に現地通貨を使用しているブラジルにも当てはまるだろう。メキシコはトランプ大統領の復帰で最も影響を受ける国の1つとなる可能性が高く、メキシコで生産された製品に高額の関税を課し、移民を減らし、アメリカの貿易赤字を削減すると公約している。

しかしながら、トランプ大統領は、ラテンアメリカに対する最も極端な提案の一部を撤回する可能性がある。もしトランプが1000万人以上の不法移民(その大部分はラテンアメリカ出身者)の大量国外追放(mass deportations)を実施するという公約を実行すれば、送金は減少し、帰国した労働者によって労働市場は不安定化する可能性がある。その結果生じる労働者不足はアメリカ経済に悪影響を及ぼし、インフレを上昇させる可能性があり、トランプ大統領が脅しを完全に実行する可能性は低い。

トランプ大統領の最初の任期中、ブラジリアからブエノスアイレスまでの指導者たちは、ワシントンに同調し、中国から離れさせようとするアメリカの圧力にほぼ耐えることができた。この地域全体では、大国間の多角的な連携は、今後数年間は可能であり、中国との関係縮小を求めるアメリカの圧力にはわずかなコストで抵抗できるというコンセンサスが存在し続けている。

トランプはしばしば取引重視的な外交政策観(transactional foreign-policy view)を持っていると評されるが、これはほとんどのラテンアメリカ政府にも当てはまる。ブラジルはその典型だ。ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は、ウクライナ戦争に対するロシアへの明確な非難を控えるという決定を下したが、それは西側の偽善(hypocrisy)を非難する道徳的な言葉で表現されている。例えば、ブラジルはウクライナ戦争に反対することで、ロシアのディーゼル燃料や肥料を安く購入し、数百万ドルを節約することができた。モスクワとの関係を守ることは、ブラジルの戦略的余裕を維持し、アメリカを牽制ために極めて重要だと考えられている。

同じ理由で、ラテンアメリカ諸国は、ファーウェイ論争に象徴されるような、中国のような独裁国家に技術的に依存することのリスクについてのアメリカのレトリックをほとんど気にしていない。そうすることで測定可能な経済的利益が生まれるのであれば、各国政府は確かにファーウェイを5Gネットワークから排除することを検討するだろう。しかし、アメリカが具体的なインセンティヴや資金を提供しなければ、その可能性は低いと考えられる。

新たなモンロー主義を通じてラテンアメリカにおける中国の役割を縮小しようとするトランプの試みは、おそらく再び反撃を受けることになるだろう。外交問題に対するトランプの不安定なアプローチに、ラテンアメリカの指導者たちは不安定さを感じ、他の大国との結びつきを強めるためにアメリカとの関係をヘッジ(両賭け)しなければならないと考えている。

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