古村治彦です。
2024年アメリカ大統領選挙は一晩にして急展開を見せている。6月27日夜(アメリカ時間)に、ジョージア州アトランタで開催されたCNN主催の大統領選挙候補者討論会で、民主党のジョー・バイデン大統領が高齢問題の懸念を払しょくできず、それどころか懸念を大きく強めてしまうパフォーマンスをしてしまった。一方の、共和党のドナルド・トランプ前大統領は、いつも通りの意気軒昂で、3歳しか違わないが、元気さ、健康さをアピールした。討論会終了後、民主党側は「お通夜状態」になり、SNS上で、あらゆるネガティヴな単語が飛び交った。「悲劇(tragedy)」「災厄(disaster)」「パニック(panic)」「痛み(pain)」「悪夢(nightmare)」などなど、民主党員と支持者の間には驚き(バイデン大統領の状態はあそこまで酷かったのか)と怒り(それでよく再選などと言ってここまで引っ張ってくれたな)が渦巻いている。
民主党側からは既に候補者交代(replacement)を求める声が上がっている。「バイデンでは戦えない」という悲鳴が上がっている。現職大統領が二期目を目指して敗れるということは過去にもあったが、今回の討論会の様子を見て、バイデンを支持できないとする有権者は増えていき、このままの状態で選挙戦を進めれば、民主党優勢のブルーステイトは獲得できても、激戦州では軒並み敗れ、惨敗という結果になる。同時に行われる連邦上院議員選挙(約3分の1の議席)と連邦下院議員選挙(全議席)にも大きな影響が出て、民主党がホワイトハウスを失い、上下両院で過半数を失いという、民主党にとっては非常事態が起きる可能性が高まった。一晩のたった90分間の出来事で、いや最初の1分間アメリカ政治の潮目が大きく変わった。
各種世論調査では、バイデン大統領が劣勢を伝えられていたが、最近になって、徐々に盛り返す展開になっていた。それが、今回の討論会で全てご破算、それどころか、バイデンに引退、撤退を求める声が民主党側から出るまでになった。今のところ、バイデン陣営は撤退を表明しておらず、「王様は裸だ(the emperor with no clothes、The Emperor's
New Clothes)」状態になっている。
問題は8月後半に民主党全国大会が開催される日程になっており、今から予備選挙をやり直す時間はない。もしバイデンが撤退を表明するならば、8月の全国大会で新しい候補者を決めることになる。「ブローカード・コンヴェンション(brokered convention)」「全ての候補者に開かれた全国大会(open
convention)」と呼ばれる手続きがあるが、戦後になってこのような、非常事態の全国大会は開かれていない。バイデンが撤退した場合の新しい候補者の候補には、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー、副大統領のカマラ・ハリスなどの名前が挙がっているが、どう見ても負け戦確実な選挙に進んで手を挙げる人はいないだろう。このままバイデンで突っ込んで大惨敗するか、他の候補者を今から立てて惨敗に押しとどめるか、くらいの選択肢しかない。
まだ救いとしては、これが7月直前に分かったことだ。まだ、候補者交代は可能だ。全国大会の後に正式に候補者指名を受けてしまえば、万事休すで、その後に討論会があって、どんなに醜態をさらしても、どうしようもない。7月の一カ月間でできることがある。バイデンの側近たちは、バイデンの状態を見て、自発的な引退を促したのではないかと私は考える。しかし、バイデンとジル夫人がそれを強硬に拒絶したので、異例のこの時期の討論会を受け入れて、大統領と夫人に引導を渡そうとしたのだろうと私は考える。バイデン陣営と民主党執行部は、民主党に対して大きな傷を残した。ヒラリー・クリントンよりもその罪は重いと言えるだろう。
(貼り付けはじめ)
民主党は考えられないことを考える:バイデンが退陣する時が来た(Democrats
consider the unthinkable: It’s time for Biden to go)
-民主党大統領選挙候補者になり得る人物3人に近い、3人のストラティジストたちは、テキストメッセージの攻撃を受けたと述べている。
エレーナ・シュナイダー、アダム・ウレン・ローレン・イーガン筆
『ポリティコ』誌
2024年6月27日
https://www.politico.com/news/2024/06/27/biden-democrats-replacement-00165672
民主党はジョー・バイデン大統領の討論会の低調なパフォーマンスに非常にパニックに陥っており、かつては口にできなかった事柄、つまりバイデンの後任を指名することについて積極的に議論し始めている。
民主党大統領選挙候補者になり得る人物3人に近い、ストラティジスト3人は匿名を条件にして取材に応じ、討論会中ずっとテキストメッセージが送り続けられたと述べた。あるストラティジストは、自分たちの候補者がバイデンの代替候補として名乗りを上げるよう嘆願(pleas)を受けたと述べた。
別のストラティジストは、「6人以上の主要な献金者たちから“災害(disaster)”というメッセージが送られてきたので、党は何かをする必要がある」と述べたが、バイデンが撤退しない限り「多くのことは不可能だ(not much is possible)」と認めた。
ある民主党の大口献金者でバイデン支持者は匿名を条件に取材に応じ、バイデン大統領は選挙運動を終える時が来たと語った。この人物はバイデンの夜を「史上最悪のパフォーマンス(the worst performance in history)」と形容し、バイデンは「トランプの嘘には誰も注意を払わないほど悪かった(bad that no one will pay attention to Trump’s lies)」と述べた。
この人物は「バイデンは撤退する必要がある。それについては疑問の余地はない」とテキストメッセージで述べ、メリーランド州とミシガン州の知事が代替で候補者になることを提案した。
2028年大統領選挙の有力な有力候補者である2人、イリノイ州のJ・B・プリツカー知事とカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、バイデンのパフォーマンス後もバイデンを支持すると述べた。
ニューサム知事はMSNBCでバイデンが撤退すべきかと問われ、その話は「役に立たない」「不必要」だと述べた。
ニューサム知事は「一度のパフォーマンスのせいで背を向けることなどない。そんなことをするのはどんな政党なのか?」と述べた。
バイデンは討論会の大部分を通じて苦戦した。今回の討論会は、2024年大統領選挙でバイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領が初めて対決する機会となった。
81歳のバイデン大統領は長年、大統領としての適性について疑問に直面しており、現代政治史上、この種の総選挙での最も早い対決であるこの討論会は、選挙戦をめぐる物語をリセットするためのバイデン陣営の策略(gambit)だった。
民主党は数週間にわたり、討論会でバイデンが良好なパフォーマンスができれば、バイデンの年齢に対する懸念が和らぐのではないかと期待していた。しかし、その代わりに、それは逆のことが起きた。
バイデン政権下でホワイトハウス高官を務めたある人物は、「ノー・ラベルズとディーン・フィリップスがこの討論会で勝利した」と述べ、トランプやバイデンではない別の候補を大統領選挙に立候補させようという外部の取り組みについて言及した。
党内からの嘆願は、実際に候補者変更につながる可能性は低いものの、選挙運動の大きな転換を反映している。現職の大統領は伝統的に、最初の討論会では大統領としての仕事に追われ、準備に多くの時間を割けないことが多く、良い評価を得ることができない。しかし、木曜日の討論会は、バイデンの売り込み討論会を経て、多くの有権者の間で、バイデンが売り時を過ぎた候補であるという既存の先入観が肯定される結果になったという点でこれまでにないものとなった。
民主党の大口献金者の顧問の1人は、木曜夜にアトランタで開かれた献金者の会合において、テキストメッセージを送っている人たちが多くいて、中には「なんてことだ(wtf)」と書いている人もいたと語った。
この人物は「我々の唯一の希望は、バイデンが撤退するか、話し合いで候補者を決める全国大会を開くか、バイデン死ぬかだ。そうでないと、私たちは死んでしまう」と述べた。
それにもかかわらず、候補者が決まらないまま全国大会に突入して全国大会での話し合いで候補者決まることやバイデンが撤退する可能性は低く、バイデンのパフォーマンスについて個人的に不満を抱いていた人々さえもそれを認めているのが現実である。
匿名を条件に自由に発言できるある民主党系ストラティジストは匿名を条件に取材に応じ、「決定できるのはただ1人、それは彼だ」と語った。
バイデン陣営のジェン・オマリー・ディロン選対委員長は声明で、バイデン大統領が「アメリカの将来について前向きで勝利に満ちたヴィジョンを提示した」一方、トランプは「もしバイデンがホワイトハウスから去ったら、アメリカがどうなるかについて、暗くて後ろ向きな窓を提供した」と述べた。
ある州で選挙に出た経験を持つある民主党員は、「全体的に良くなかった。私たちの大統領は言語障害を持ち、風邪を患っていて、81歳だ」と述べた。
民主党最高幹部の上級顧問を務めるある人物は匿名を条件に取材に応じ、次のように語った。「ジョー・バイデンからディベートのマスタークラスを伝授されるとは誰も期待していなかったが、今回の急降下も誰も予想していなかった。彼はメッセージもダメ、内容もダメ、カウンターパンチもダメ、プレゼンテーションもダメ、非言語表現(non-verbals)もダメだった。今回の討論会において、バイデンにとって明るい材料はなかった。唯一の明るい材料は、討論会が10月ではなく6月に行われたことだ」。
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バイデンの討論会でのパフォーマンスは民主党側にとって「悪夢」となった(Biden debate
performance is ‘nightmare’ for Democrats)
エイミー・パーネス筆
2024年6月27日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/4745090-biden-debate-disaster-democrats-concerned/
木曜夜の討論会で民主党の人々がバイデン大統領から見せてもらいたかったものがあるとすれば、それは強さだった。
彼らは、バイデン大統領がトランプ前大統領に対して、1月6日の反乱や、ロウ対ウエイド裁判の判決の覆しについて叩くのを見たかったのだ。「有罪判決を受けた重罪人(convicted felon)」という呼び名(moniker)でトランプを打ちのめすことを望んでいたのだ。
民主党員のほとんどは木曜日、バイデンがノックダウンされたことを認めた。
しかも激しく倒されたことを。
バイデンの声はかすれていた。唇は震えていた。討論会開始後、ホワイトハウスはバイデンが風邪をひいたと発表した。
バイデンは言葉につまずいた。時には話題を逸らし、間違った方向に進んだ。ある瞬間、バイデンは「私たちはついにメディケアを打ち負かした(We finally beat Medicare)」と宣言し、給付金について脱線した。
バイデンの支持者の1人は「これは正直言って悪夢だ。自分が見ているものが信じられない。私は今回の選挙で私たちが負けるのをスローモーションで見ている」と語った。
「自分が見ているものが信じられない。私は今回の選挙で私たちが負けるのをスローモーションで目撃している」。
別の民主党系のストラティジストは「政治的自殺」と表現した。
ある民主党議員は、暗い瞬間においてブラックユーモアを言うのが精いっぱいだった。「ジャマール・ボウマン(予備選挙で敗北した現職下院議員)が近くにいて火災警報器を鳴らしてくれたらよかったのに」と、ニューヨーク州選出の連邦下院議員に言及しながら述べた。
民主党はバイデンがトランプの責任を追及しなかっただけでなく、トランプが中絶や新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関して虚偽を吐くのを傍観して見ていたことを認めた。そして、トランプがバイデンを「我が国史上最悪の大統領(the worst president in the history of our country)」と非難し続けたとき、ある民主党員が述べたように、バイデンは「ほとほと当惑していた(almost bewildered)」と振り返った。
バイデンの広報担当を長年務めたケイト・ベディングフィールドは討論会の後にCNNに出演し、「これに関しては2つの方法は存在しない。今回の討論会はジョー・バイデンにとって良いものではなかった」と語った。
バイデンの上級補佐官を務めたデイヴィッド・アクセルロッドは、同じくCNNのパネルディスカッションで、「人々の恐怖を裏付けた一夜だった(It’s the one night that confirmed people’s fears)」と述べた。
討論会が進むにつれ、民主党側はますます不安を募らせ、バイデンが撤退するには遅すぎるのではないかと考える人もいた。彼らは他の候補者についても考え始めた。
ある民主党系のストラティジストは、カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサムについて「私たちの周囲ではニューサムについて多くの話がなされている」と語った。
激戦州出身の民主党連邦下院議員は次のように述べた。バイデンのティームは、バイデンに撤退し、候補者を決めるための、公開された全国大会を開催するよう説得する必要がある」。
民主党の献金者の一人も討論会を見て激怒した。
この民主党の献金者は「この状況がどうなっていくのか、真剣に議論する必要がある。年齢に関する議論を無視することはもはやできない。真剣にならねばならない。ここでは非常に多くのことが危機に瀕しているが、私たちは一体何をしているのか?」と述べた
討論会の間、バイデンは時折トランプに反撃しようとした。ある時には「あなたは子供だ」と述べた。そして別の機会では、彼はトランプの体重について非難した。
バイデンはまた、2020年にトランプ前大統領が敗北したことを指摘し、トランプを「負け惜しみが強い敗北者(sore loser)」と呼んだ。
バイデンは「あなたは敗北には耐えられない。前回負けたとき、何かがはじけたのだ」と述べた。
バイデンの長年の盟友の一人は、夜が更けるにつれてバイデン大統領は「少し良くなった(a
little better)。トランプと真実の関係は、本当に素晴らしいものだ(皮肉を込めて)」と語った。
リアルタイムでトランプ大統領の事実確認をほとんど行わなかったCNNの司会者ジェイク・タッパーとダナ・バッシュにも多くの不満が集まった。
しかし、民主党の人々の多くは激怒し、今後の数週間について懸念していた。討論会後、バイデン大統領はジル・バイデン大統領夫人とともにウォッチパーティーに登場した。そして一部の民主党員はバイデンが前進することを期待していた。
金曜日の午後、バイデン大統領はノースカロライナ州で選挙イヴェントを開催した後、今週末はニューヨークとニュージャージーで3回に分けて資金集めを行う予定だ。
今現在、民主党側の人々は今晩起こったことについてきれいに忘れてしまいと望んでいる。
ある民主党関係者は今回の討論会ではなく、選挙戦について「私たちは今夜で敗北した」と述べた。
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「バイデンの討論会パフォーマンスに激怒する民主党:「バイデンは破滅だ」」(Dems
freak out over Biden’s debate performance: ‘Biden is toast’)
-ある著名な民主党活動家はテキストメッセージで「開かれた全国大会(open
convention)の時だ」と送った。
リサ・カシンスキー、アダム・カンクリン、ユージン・ダニエルズ筆
2024年6月27日
『ポリティコ』誌
https://www.politico.com/news/2024/06/27/biden-debate-opening-concerns-00165595
ジョー・バイデンに必要だったのは、一般教書演説でのパフォーマンスの再現だけだった。
その代わりに、バイデンは言葉に詰まった。つまずいた。そして、11月まで5カ月を切った今、彼は民主党が最も恐れていること、つまり、不器用な失敗をして、ドナルド・トランプにこの選挙での勝利を譲ってしまうことをそのまま行ってしまった。
バイデンがつかえながら、かすれた声で話し始めた瞬間から、民主党に対する警鐘は鳴り始めた。討論が始まって数分後、バイデンは自身の監督下にある経済について効果的な弁明をするのに苦労し、再選を目指す上で中心となっている主要な医療政策について「私たちは最終的にメディケアを打ち負かした(we finally beat Medicare)」と言ったり、自身の政権がインシュリンの価格をどれだけ引き下げたかを間違えて説明したりした。アフガニスタン問題では、自分の政権の撤退の失敗を何の脈絡もなく持ち出し、自分自身を窮地に追い込んだ。「10億」と「100万」を何度も間違え、90分の討論の長い間、弁明に追われた。
また、発言していない時間は、演壇の後ろに固くなって立ちすくみ、口をとがらせ、目を大きく見開き、まばたきもしない状態が長く続いた。
ニューハンプシャー州出身の弁護士で民主党活動家のジェイ・サードゥコウスキーは「バイデンは破滅だ。今がその時だ」と述べた。サードゥコウスキーは、2016年の大統領選挙で、マーティン・オマリー前メリーランド州知事の大統領選挙の選対の共同委員長を務めた。
本誌とのテキストメッセージのやり取りの中で、民主党員たちは、討論会の最初の数分間を見て、混乱と懸念を表明した。バイデン政権下でホワイトハウスに勤務し、選対にも参加したある人物は、「全くもって酷い(terrible)」と言い、何度も、「彼はいま何を言ったのか? おかしくなっている」と自分に問いかけたほどだったと述べている。
ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は「良いところがない」と書いた。
本誌は6名ほどの民主党員に取材した。彼らの中には匿名を条件に、バイデンのパフォーマンスについて議論することを了承した人たちがいた。
バイデンのティームはすぐに大統領のパフォーマンスを擁護した。まず彼らは、バイデンが風邪をひいていたと言った(そして、新型コロナウイルスは陰性だったと述べた)。そして、バイデンの大統領としての記録を侮辱することで、トランプは自らを傷つけていると主張した。
バイデンは、トランプが戦死した兵士たちを「アホと負け犬(suckers and
losers)」と呼んだことを利用して、前大統領を本当の「アホ」であり、「負け犬」だとして、激しく非難する場面もあった。また、トランプがニューヨークで有罪判決を受けたことを非難する場面もあった。
バイデンは「私が今見ている男、このステージにおいて、重罪で有罪判決を受けた唯一の人物だ」と語った。
しかし、第一印象は重要であり、特に選挙を意識し始めたばかりの有権者にとっては、9月に予定されている第2回討論会よりも第1回討論会を見る可能性が高い。そして、バイデンの不安定なパフォーマンスは、大統領選挙戦の次の段階の基盤を作るどころか、有権者がバイデンをホワイトハウスに再び送ることについて、精神力を体力の面を最も懸念している中で、バイデンは11月まで党を引っ張ることさえできないかもしれないという懸念を民主党員の間に再燃させた。
ある著名な民主党活動家はテキストメッセージで「開かれた全国大会(open
convention)の時だ」と送った。
バイデンのティームは、この討論会を自分に有利になるように仕組もうとした。そして大統領は、11月に勝てるかどうかという民主党の神経を落ち着かせるために、今回の討論会の開催に同意した。
その後、民主党はバイデンのパフォーマンスの酷さをごまかそうとはせず、トランプが依然として国内外におけるアメリカの利益にとって脅威であることを強調しようとした。
カマラ・ハリス副大統領は、討論会が終わった1時間後、CNNのアンダーソン・クーパーに対して次のように語った。「スロースタートだったのは誰の目にも明らかだ。その点について議論するつもりはない。私は11月の選択について話している。私たちの生涯で最も重要な選挙の1つについて話している。11月がもたらすものを見て、民主政治体制を破壊へと進むアメリカの道を歩みたいのか?」
民主党員の一部はバイデンの失策をすぐに隠そうとした。ヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は、バイデンは「テレビのショーマンではなく、仕事人間だ」と述べた。しかし、選挙戦の方向性は劇的に変化したように見える。
クレア・マッカスキル元上院議員(ミズーリ州選出、民主党)はMSNBC次のように語った「今の私の仕事は、本当に正直であることだ。ジョー・バイデンには、今夜やらなければならないことが1つあった。そして、彼はそれをしなかった。彼には成し遂げなければならないことが1つあった。それは、この年齢でこの仕事をこなせるのだとアメリカを安心させることだった。そして今夜、彼はそれに失敗した」。
民主党員の一部は、バイデンは選挙戦を終えるべきだと公言していた。ある民主党の大口献金者でバイデン支持者は、「バイデンは撤退すべきだ。それは疑問の余地がない」と述べた。
バイデンは、選挙戦の最大のセールスポイントのいくつかについて、強い主張を明確にするのに苦戦し、医療保険制度に関する記録でつまずいたり、妊娠中絶の権利の支持について返答につまずいたりした。
バイデンは「私はロウ対ウエイド判決を支持する。妊娠には3つの時期がある。1回目は女性と医師の間で。2回目は医師と極端な状況との間、3回目は医者と、つまり女性と国家との間だ」と述べた。
トランプもつまずいた。ナンシー・ペロシ前下院議長の娘でドキュメンタリー映画制作者のことを "映画製作者 "と呼んだ。彼は、民主党は「生まれた後(after birth)」の「子どもの命を奪う(take the life)」ことを望んでいると非難した。トランプは自身の大統領就任期間の経済の強さを誇張した。
トランプは、1月6日の暴徒を再び擁護し、2020年の選挙結果を覆すために連邦議事堂を襲撃した数百人のトランプ支持者の有罪判決に対する長い世迷言に入った。また、勝者が誰であれ選挙結果を受け入れるのかと何度も質問されたが、トランプはまともに答えようとせず、最終的には、「選挙が公正で自由であれば(if the election is fair and free)」受け入れると明言した。
しかし、トランプは共和党が望んでいたことをほぼ実行した。バイデンの弱点をさらけ出しながら、適度な自制(modicum of restraint)を示したのだ。ことあるごとにバイデンを「眠い」「不正をしている」と罵倒して喜ぶトランプ前大統領は、民主党の最初の不安定なパフォーマンスに注目させるため、20分も待った。
トランプは、バイデンが移民に関する質問に対してたどたどしく答えた後、「彼があの発言の最後で何を言ったのか、本当に文からない。彼も自分が何を言ったのか文かっていないと思う」と発言した。
そして、比較的静かで地味な討論会で、最も低い期待にさえ届かなかったのがバイデンだった。
あるヴェテランの民主党活動家は「バイデンにはウォームアップに数分必要だったようだ。哀れな男にはお茶が必要だ。たぶんウィスキーも」と述べた。もう1人の活動家は、バイデンにのど飴(throat lozenge)を勧めた。
バイデンも、バイデンよりわずか3歳若いトランプも、討論会の終盤には、あと4年の大統領任期への適性についての質問に直面した。
バイデンは咳き込みながら、有権者に対し、自分の力量を記録に基づいて判断するよう促し、トランプを「3歳若いが、能力はかなり劣っている(three years younger and a
lot less competent)」と攻撃した。
バイデンは「記録を見て欲しい。私がしてきたことを見て欲しい」と、選挙戦でよく使うセリフを繰り返した。
そしてトランプは、2つの認知テストに「好成績で合格(aced)」していると主張し、スタミナがある証拠として自身のゴルフコースで優勝したゴルフトーナメントを挙げ、自分の適性を主張した。
このやりとりはすぐに優勢を競うゲームに発展し、バイデンはある時点で「自分のゴルフバッグを自分で持ってプレーするのであれば、喜んでゴルフをする」と言い返した。しかしその時点で、多くの視聴者の意見は既に固まっていただろう。
元ニューハンプシャー共和党委員長でバイデン氏への投票を検討している「反トランプ派(Never
Trumper)」のファーガス・カレンは、木曜日のバイデン大統領のパフォーマンスが悪ければ民主党は候補者について再検討する必要があると警告した。
討論会の後、カレンは次のように語った。「親が年をとり、弱くなり、霧がかかったような認知になっているのを見てきた人なら誰でも、自分が見ているものを認識し、ここからは状況が加速度的に悪化するだけであることが分かる」。
(貼り付け終わり)
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