古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:サウジアラビア

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 中東におけるキープレイヤーとしては、サウジアラビア、イラン、イスラエル、アメリカが挙げられる。これらの国々の関係が中東情勢に大きな影響を与える。アメリカは、イスラエルと中東諸国との間の国交正常化を仲介してきた。バーレーンやアラブ首長国連邦(UAE)といった国々が既にイスラエルとの国交正常化を行っている。アメリカにとって重要なのは、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化であった。昨年、2023年前半の段階では、国交正常化交渉は進んでいた。こうした状況が、パレスティナのハマスを追い詰めたということが考えられる。

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中東諸国がイスラエルと国交正常化を行うと、自分たちへの支援が減らされる、もしくは見捨てられるという懸念を持ったことが考えられる。ハマスをコントロールしているのはイランであり、イランの影響力はより大きくなっていると考えられる。イランは、レバノンの民兵組織ヒズボラも支援している。イランは、ハマスとヒズボラを使って、イスラエルを攻撃できる立場にいる。イランの大後方には中国がいる。

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 イスラエルとしては、サウジアラビアと国交正常化を行い、中東地域において、より多くの国々をその流れに乗せて、自国の安全を図りたいところだった。イランを孤立させるという考えもあっただろう。しかし、ここで効いてくるのが、2023年3月に発表された、中国の仲介によるサウジアラビアとイランの国交正常化合意だ。これで、イランが中東地域で孤立することはなくなった。イスラエルとすれば、これは大きな痛手となった。そして、アメリカにしてみても、自国の同盟国であるサウジアラビアが「悪の枢軸」であるイランと国交正常化するということは、痛手である。これは、中国が中東地域に打ち込んだくさびだ。

 アメリカはサウジアラビアと防衛協定を結ぼうとしているが、それには、イスラエルとの関係が関わってくる。アメリカはサウジアラビアとイスラエルという2つの同盟国を防衛するということになるが、サウジアラビアとイスラエルとの関係が正常化されないと、アメリカとサウジアラビアとの間の防衛協定交渉も進まない。サウジアラビアのアメリカ離れということもある。ここで効いてくるのはサウジアラビアとイランの国交正常化合意だ。アメリカとイスラエルの外交が難しくなり、中国の存在感が大きくなる。

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サウジアラビアは次のエジプトへの道を進んでいる(Saudi Arabia Is on the Way to Becoming the Next Egypt

-アメリカ政府はリヤドとの関係を大きく歪める可能性のある外交協定を仲介している。

スティーヴン・クック筆

2024年5月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/08/saudi-arabia-us-deal-israel-egypt/?tpcc=recirc062921

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サウジアラビアの紅海沿岸都市ジェッダのホテルで開催されたジェッダ安全保障・開発サミット(GCC+3)期間中に、家族写真のために到着したジョー・バイデン米大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子(2022年7月16日)

彼らはそうするだろうか、それとも、しないだろうか? それがここ数週間、中東を観察している専門家たちが問い続けてきた疑問だ。アメリカとサウジアラビアは、両国当局者たちが少なくとも2023年半ばから取り組んでいる大型防衛協定プラス協定(big defense pact-plus deal)を発表するだろうか?

2024年4月末のアントニー・ブリンケン米国務長官のリヤド訪問と、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官の保留中のリヤド訪問計画により、合意の可能性の話に緊迫感と期待感が注入された。報道によると、サウジアラビアとジョー・バイデン政権は準備ができているが、「いくつかの障害は残っている(obstacles remain)」という。これはイスラエルを指す良い表現だ。

ワシントンとリヤドの当局者間の協議が始まったとき、バイデン政権はサウジアラビアとの単独合意では、米連邦議会から適切な支持は決して得られないという確信を持っていた。連邦上院で過半数を占める民主党の議員と少数派の共和党の議員(防衛協定に署名する必要がある)は、アメリカをサウジアラビアの防衛に関与させることに二の足を踏む可能性が高い。しかしホワイトハウスは、そのような協定がイスラエルとサウジアラビアの国交正常化を巡るものであれば、連邦議会の支持が得られる可能性が高いと推測していた。

2023年9月時点では、それは素晴らしいアイデアだったが、今ではやや理想的過ぎる考えになっている。ガザでの7カ月にわたる残忍な戦争の後に、サウジアラビアがイスラエルとの国交正常化実現に求めている代償は、イスラエル人にとって大き過ぎ、イスラエル人の約3分の2がこの考えに反対している。それだけに基づいて、国防協定のための正常化協定を追求し続ける正当性はない。

しかし、ワシントンの当局者、そして、特にリヤドは、いずれにせよイスラエルをこの協定案から外したがっているはずだ。そうでなければ、アメリカとサウジアラビアの二国間関係に三国間関係の論理を持ち込むことになる。アメリカとエジプトの関係が何かを示すものであるとすれば、それはワシントンとリヤドの関係を深く不利な方向に歪めかねない。

ジョー・バイデン米大統領がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子を本質的にペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物、persona non grata)であると宣言し、米連邦議会の議員たちがサルマン王太子の人権侵害疑惑の責任を追及するよう要求したのは、ずいぶん昔のことのように思える。

リヤド当局者たちが当時予測していたように、バイデン大統領がサウジアラビアの指導者たちを必要とする時が来るだろう。彼らはそれほど長く待つ必要がなかった。新型コロナウイルス感染拡大後の旅行客の急増とロシアのウクライナ侵攻によるガソリン価格の上昇圧力は、ホワイトハウスに特別な難題を突きつけた。その結果、世界規模のエネルギー価格の高騰はアメリカ経済の健全性を脅かし、ひいてはバイデンの選挙での見通しを脅かした。このためバイデンはリヤドに外交官を派遣し、最終的には2022年7月に自らリヤドを訪問するに至った。サウジアラビア政府高官たちにもっと石油を汲み上げるよう説得し、アメリカ人のガソリン代負担を軽減させ、大統領は低迷する世論調査の数字を少しでも改善することを望んでいた。

そして、エネルギー価格の高騰が部分的に後押ししたインフレと、ヨーロッパにおけるロシアのウクライナ侵攻は、ホワイトハウスの中国に対する厳しいアプローチを背景にしていた。バイデンは政権発足当初から、世界中で北京を出し抜くことを優先課題としていた。最も影響力のあるアラブ国家として、サウジアラビアはその戦略の重要な要素になると期待されていた。

そしてイランの脅威が存在した。ドナルド・トランプ米大統領(当時)が2018年にワシントンを脱退させた核合意である「包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)」にテヘランが再加盟するよう、米政府高官たちが政権発足後2年の大半の期間を費やして追い回した結果、バイデンは、イランが実際にはアメリカやペルシャ湾西側の近隣諸国との新たな関係を望んでいないという結論に達したようだ。

結果として、アメリカ政府はイランの封じ込め(containing)と抑止(deterring)を目的とした、地域の安全保障を強化する取り組みに乗り出したが、その取り組みにおいてサウジアラビアが重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、核合意と、2019年の自国領土へのイラン攻撃に対するトランプ大統領の反応に消極的だったことを受けて、リヤド当局者らは賢明に振舞った。その結果、彼らは現在、サウジアラビアの安全保障に対するアメリカの取り組みを大枠で規定する、正式な合意を望んでいる。

2017年と2018年に自らが負った傷のせいで、米連邦議事堂内におけるサウジアラビアの不人気が続いており、その結果、かつてはサウド家の忠実な召使であったが、ムハンマド王太子を激しく批判するようになった、ジャーナリストのジャマル・カショギの殺害にまで至ったことを考えると、連邦議会では支持大きいイスラエルが協定を締結するはずだった。しかし、このアイデアはうまく設計されているかもしれないが、サウジアラビアとアメリカとの防衛協定のための、サウジアラビアとイスラエルとの国交正常化は、アメリカとサウジアラビア当局者が最も重要であると信じている関係に、重大な下振れリスクをもたらすことを示している。

アメリカのサウジアラビアへの関与が、サウジのイスラエルとの国交正常化を条件とするならば、その関係、すなわちイスラエルとサウジアラビアの関係の質は、明白な意味でも、そうでない意味でも、ワシントンとリヤドの二国間関係に影響を及ぼす可能性が高い。

エジプトは、このダイナミズムがどのように展開するかを示す典型的な例である。ホスニ・ムバラク前大統領の時代を通じて、とりわけ長期政権末期には、アメリカ・エジプト・イスラエルの三者関係の論理がエジプト政権に対する、破壊的な政治批判をもたらした。ムバラクの敵対勢力、特にムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)は、イスラエルのせいで、ワシントンがエジプトをこの地域の二流大国(second-rate power)にしたのだと主張した。

換言すれば、ムバラクと側近たちは、イスラエルが2度にわたってレバノンに侵攻し、ヨルダン川西岸とガザ地区を入植し、イェルサレムを併合するのを傍観していた。そうしなければイスラエルとの関係が危険に晒され、ひいてはイスラエルとの関係が損なわれるからである。そうなれば、エジプトとアメリカとの関係を損なうことになる。その結果、エジプトはイスラエルに直接挑戦するのではなく、国連やその他の国際フォーラムの場でイスラエルに抗議をする、つまり弱者の武器(weapons of the weak)を使うことになった。

2007年頃、エジプトからガザ地区への密輸トンネルの存在が初めて発見されたとき、イスラエルとその支持者たちはワシントンでそれを喧伝した。もちろん、彼らが憤慨するのは当然のことだが、エジプト政府関係者たちは、イスラエルがこの事態を二国間問題として処理せず、ワシントンを巻き込むことを選択したため、エジプトはカイロの軍事支援が危険にさらされることを恐れたと、私的な会話で苦言を呈した。米連邦議会の議員たちも、エジプトの軍事援助を削減し、他の支援にシフトするかどうか公然と議論していた時期だった。エジプトから見れば、特に敏感な時期に密輸トンネルをめぐって批判を浴びせられたことで、エジプトとイスラエルの二国間の問題が、ワシントンとカイロの問題になり、アメリカとエジプト関係に不当に緊張が走ることになった。

サウジアラビアとの安全保障協定を確保する努力にイスラエルを含めることは、既に複雑な二国間関係を更に複雑にすることを求めるだけだ。そのようなことをする価値はほとんどない。もちろん、エジプトとサウジアラビアには多くの違いがある。国境を接していないことから、イスラエルの安全保障上の懸念が、アメリカとエジプトとの関係で見られるような形でアメリカとサウジアラビアとの関係に影響を与えることはないだろう。

それでも、イランを管理するサウジアラビアの微妙なアプローチがイスラエルを怒らせた場合はどうなるのか? エジプトと同様、サウジアラビアは、アメリカの安全保障援助に依存している。イスラエルがサウジアラビア王室の外交政策の進め方を好まなければ、アメリカとサウジアラビアの関係に問題が生じる可能性は現実のものとなる。

バイデン政権がサウジアラビアとの防衛協定を望むなら、締結しよう。協定を結ぶにあたり、十分な根拠があるはずだし、バイデン大統領は懐疑論者を説得できるほど熟練した政治家だ。

※スティーヴン・A・クック:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。外交評議会エニ・エンリコ・マッテイ記念中東・アフリカ研究上級研究員。最新作に『野望の終焉:中東におけるアメリカの過去、現在、将来』は2024年6月に刊行予定。ツイッターアカウント:@stevenacook

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。イスラエルとハマスの紛争についても分析してします。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカはイスラエルの建国以来、イスラエルを支援し続けている。イスラエルに対する手厚い支援は、アメリカ国内にいるユダヤ系の人々の政治力の高さによるものだ。そのことについては、ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト著『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策Ⅰ・Ⅱ』(副島隆彦訳、講談社、2007年)に詳しい。

 アメリカが世界帝国、世界覇権国であるうちは、イスラエルもアメリカの後ろ盾、支援もあって強気に出られる。今回、ハマスからの先制攻撃を利用して、ハマスからの攻撃を誘発させて、ガザ地区への過剰な攻撃を行っているのは、二国間共存路線の実質的な消滅、破棄ができるのは今しかない、アメリカが力を失えば、パレスティナとの二国間共存を、西側以外の国々に強硬に迫られ、受け入れねばならなくなる。その前に、実態として、ガザ地区を消滅させておくことが重要だということになる。

 アメリカは自国が仲介して、ビル・クリントン大統領が、パレスティナ解放機構のヤセル・アラファト議長とイスラエルのイツハク・ラビン首相との間でオスロ合意を結ばせた。二国共存解決(two-state solution)がこれで進むはずだった。しかし、イスラエル側にも、パレスティナ側にも二国共存路線を認めない勢力がいた。それが、イスラエル側のベンヤミン・ネタニヤフをはじめとする極右勢力であり、パレスティナ側ではハマスである。両者は「共通の目的(二国共存路線の破棄)」を持っている。そして、残念なことに、イスラエルの多くの人々、パレスティナの多くの人々の考えや願いを両者は代表していない。しかし、武力を持つ者同士が戦いを始めた。ハマスを育立てたのはイスラエルの極右勢力だ、アメリカだという主張には一定の説得力がある。

 アメリカとしてはイスラエルに対しての強力な支援を続けながら、ペトロダラー体制(石油取引を行う際には必ずドルを使う)を維持するためにも、アラブの産油諸国とも良好な関係を維持したい。しかし、中東地域の産油国の盟主であり、ペトロダラー体制を維持してきた、サウジアラビアがアメリカから離れて中国に近づく動きを見せている。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)がブリックスに正式加盟したことは記憶に新しい。

 こうしたこれまでにない新しい状況へのアメリカの対応は鈍い。これまでのような対イスラエル偏重政策は維持できない。しかし、アメリカは惰性でこれからも続けていくしかない。こうして、ますます中東における存在感を減退させ、役割が小さくなっていく。

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バイデンの新しい中東に関する計画は同じことの繰り返しである(Biden’s New Plan for the Middle East Is More of the Same

-改訂されたドクトリンでは、変化はほとんど期待できない。

マシュー・ダス筆

2024年2月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/14/biden-middle-east-plan-gaza-hamas-israel-netanyahu/

2023年10月7日の同時多発テロを受け、ジョー・バイデン米大統領とバイデン政権は、10月7日以前の状況に戻ることはあり得ないと強調している。バイデン大統領は10月25日の記者会見で、「この危機が終わった時、次に来るもののヴィジョンがなければならないということだ。私たちの見解では、それは二国家解決(two-state solution)でなければならない」と述べた。

先月(2024年1月)、バイデン大統領は、長年にわたるお気に入りの、『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムニストであるトム・フリードマンを通じて、新しい中東に関する計画の予告を発表した。フリードマンは、「ガザ、イラン、イスラエル、そして地域を巻き込む多面的な戦争に対処するため、バイデン政権の新たな戦略が展開されようとしている」と書いた。

フリードマンは、「もし政権がこのドクトリンをまとめ上げることができれば、バイデン・ドクトリンは1979年のキャンプ・デービッド条約以来、この地域で最大の戦略的再編成(strategic realignment)となるだろう」と書いている。

私はフリードマンの熱意には感心しているが、中東に対する「大きく大胆な」ドクトリンに関しては、彼の判断に大きな信頼を置くことはできないということだけは言っておきたい。フリードマンがこれほど興奮しているように見えたのは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子の革命的ヴィジョンに熱中していたときが最後だった。フリードマンが提示するバイデンの中東に関する計画には、目新しいことや有望なものはほとんどなく、アメリカの政策が何十年も続いてきた同じ失敗の轍にとどめる危険性がある。

フリードマンが伝えるところによると、この計画には3つの部分がある。パレスティナ国家樹立のための再活性化、アメリカが支援するイスラエルとサウジアラビアの国交正常化協定(サウジアラビアとの安全保障同盟を含むが、最初の部分についてはイスラエルの支援が条件となる)、そしてイランとその地域ネットワークに対するより積極的な対応である。

第一に、ポジティヴなことに焦点を当てよう。アメリカが管理する和平プロセスの主な問題の1つは、それが概して弱い側であるパレスティナ人に結果を押し付けていることだ。イスラエルにはニンジン(carrot)のみを与え、パレスティナ人には主に棒(stick)を与える。現在、バイデン政権がこのパターンを変える準備ができているという兆候がいくつかある。ヨルダン川西岸の過激派イスラエル人入植者と彼らを支援する組織に制裁を課すことを可能にする最近の大統領令は、アメリカが最終的に双方に結果を課す用意があることを示す小さいながらも重要な兆候である。この命令が単なる粉飾決算(window dressing)であると主張する人は、米財務省金融犯罪捜査網(Financial Crimes Enforcement NetworkFinCEN)からの通知を見て、その内容について説明できる人を見つけるべきだ。

最近のホワイトハウスの覚書でも同様であり、軍事援助には国際法の遵守が条件となっており、バイデン大統領は以前この考えを「奇妙だ(bizarre)」と述べていた。覚書の必要性には疑問があるが、政府は援助条件を整えるために必要なツールと権限を既に持っている実際、そうすることが法的に義務付けられているため、それは正しい方向への一歩である。もちろん、バイデン政権がその方向に進み続けており、新たなプロセスをイスラエルによる人権侵害に関する信頼できる申し立てを書類の山の仲に隠すための単なる手段として扱っている訳ではない。

しかし、パレスティナ人への配慮を除けば、バイデンの2023年10月7日以降の計画は、バイデンの10月7日以前の計画とよく似ている。それは、根本的な優先順位が同じだからだ。バイデンの新たな計画は、中国との戦略的競争(strategic competition)、つまり、バイデン政権が外交政策全体を見るレンズである。アメリカとサウジアラビアの安全保障協定は、中国を中東地域から締め出すために必要なステップであり、バイデン政権にこのような協定を売り込む唯一の方法は、サウジアラビアとイスラエルの正常化協定(もちろん、両国が独自に追求する自由はある)というお菓子で包むことである。このような合意には多くの疑問があるが、重要な疑問がある。何十年にもわたるイスラエルとアメリカの緊密な関係と比類なき軍事支援によって、アメリカがガザでの戦争の行方に影響を与えたり、イスラエルの武器の誤用を抑制したりすることができなかったとしたら、ムハンマド・ビン・サルマン王太子との合意によって、サウジアラビアによる責任ある武器の使用が保証されるのだろうか?

ここ数カ月の出来事が、アブラハム合意の大前提である「パレスティナ人は全くもって重要な存在ではない」ということを、いかに完全に打ち壊したかを認識するために、時間を使うだけの価値はある。これは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と、ワシントンにいる彼の同盟者たちにとって、彼らが長年主張してきたことの証明として提示されたものだった。それは政治的動機に基づく願望であることが判明した。これは驚くべきことではなかった。何しろネタニヤフ首相は、イラク侵略もイラン核合意からの離脱も素晴らしいアイデアだと断言した人物なのだ。彼は、この地域についてほとんど完璧なまでに間違っている。

バイデン政権は現在、アブラハム合意の論理を受け入れて、地域住民の間でのパレスティナ解放の永続的な重要性を大幅に過小評価していたことを理解している。これは歓迎すべき修正であるが、まだ不完全なままだ。 2023年10月以前の中東に関する計画は、パレスチティ人への永続的な弾圧を前提としていたという理由だけで欠陥があったのではない。この政策には欠陥があり、安定をもたらすと約束した虐待的で代表性のない政府による、アメリカ主導の地域秩序を再強化しようとして、地域の全ての国民に対する永続的な弾圧を前提としていたからだ。 10月7日に私たちは再び酷いことを学ばなければならなかったので、このような取り決めはしばらくの間は安定しているように見えるかもしれないが、そうでなくなる時期を迎えるだろう。

緊急の優先課題は、ガザでの殺害を終わらせ、ハマスが拘束している人質の解放を確実にすることだ。2023年10月7日の直後から、バイデン政権は「未来(day after)」についての対話には積極的だが、イスラエルが日々、無条件かつ絶え間ないアメリカの支援を受けながら、現場で作り出している恐ろしい現実がある。この現実こそが、アメリカが語る空想上の未来において、実際に何が可能かを決定することになることを、アメリカ側は十分に理解していないようだ。イスラエルの戦争努力は、殺戮の終了同時に自分の政治的キャリアが終わることを知っており、それゆえに戦闘を長引かせる動機を持っているネタニヤフ首相によって率いられているのだから、深刻に継続していくのである。

人命と家屋、地域と世界の安全保障、そしてアメリカの信用に与えたダメージの多くは、既に取り返しのつかない程度にまでなっている。デイヴィッド・ペトレイアスがアブグレイブの拷問スキャンダルについて語ったように、私たちの国の評判への影響は「生分解不可能[微生物が分解できない]non-biodegradable)」となっている。バイデン大統領が任期を越えてもこの状態は続くだろう。しかし、イスラエルとパレスティナの紛争に関するアメリカの政策を国際法に沿ったものに戻すことから始め、ダメージを軽減するために政権が選択することのできる措置はある。1967年に占領された地域が実際に占領地であると明確に表明することだ。これらの領土におけるイスラエルの入植は違法であるという国務省の立場に戻すことだ。ドナルド・トランプ大統領が閉鎖し、バイデンが再開を約束した在エルサレム総領事館を、パレスティナ人のための米大使館として再開することだ。ロシアのウクライナでの戦争と同様に、国際刑事裁判所があらゆる側面の戦争犯罪の可能性を調査することを支持することだ。国連加盟国の72%にあたる139カ国がパレスティナ国家を承認している。

結局のところ、パレスティナの解放を推進する真剣な取り組みには、バイデンがイスラエルに圧力をかける必要がある。それは避けられない。しかし同時に、バイデン政権が現在の危機を単に地域政策への挑戦としてだけでなく、政権が守ると主張する「ルールに基づく国際秩序(rules-based international order)」全体への挑戦として捉えることも必要だ。パレスティナ人への対処を前面に出しても、権威主義的支配の耐久性を前提とした安全保障戦略の論理に根本的な欠陥があることには対処できない。ジョージ・W・ブッシュの「フリーダム・アジェンダ(Freedom Agenda)」のバイデン版を私は求めていない。しかし、たとえブッシュの処方箋が間違っていたとしても、彼の基本的な診断、つまり抑圧的な体制に安全と安定を依存することは悪い賭けだということは、認識する価値がある。私たちの政策は、このことに取り組む必要がある。

※マシュー・デス:センター・フォ・インターナショナル・ポリシー上級副会長。2017年から2022年にかけて、バーニー・サンダース連邦上院議員の外交政策補佐菅を務めた。ツイッターアカウント:@mattduss

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界の構造は大きく変化しつつあります。「衰退し続ける西側諸国(ザ・ウエスト、the West)対発展し始めた西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」の二極構造が出現しつつあります。英米対中露の争いとも言えます。こうしたことを分析しました。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 世界の物流の重要地域である紅海で、イエメンの反政府組織フーシ派が民間船舶に対する攻撃を断続的に行い、それに対して、イギリスとアメリカが攻撃を行っている。地中海とスエズ運河を通じてつながっている紅海は、そのままインド洋、太平洋ともつながっており、世界の海運の最重要ゾーンと言える。ここを通れない船舶は、アフリカ大陸を迂回するルートを選択することになり、日数と輸送料、保険料が増えていくことになる。結果として、それが物価に影響を与え、食料やエネルギーの価格が高騰することになる。
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 イエメンの反政府組織フーシ派は、イエメン内戦に政府側として介入してきたサウジアラビアと戦っている。しかし、同時にサウジアラビアはフーシ派と交渉を続け、停戦に持っていこうとしていた。しかし、英米による攻撃によって、この交渉が頓挫してしまった。フーシ派と長年にわたり戦ってきたサウジアラビアが英米の攻撃に冷淡なのは、サウジアラビアからすれば、「余計なことをして状況を悪化させやがって」という不快感を持っていることを示している。
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 中国の一帯一路構想は、こうした状況にうまく対処できる方策を示している。それは、ヨーロッパと中国を陸路で結ぶ「シルクロード構想」でる。鉄道や高速、一般道路、パイプラインなどを通じて、海運の代替輸送が可能になっている。ヨーロッパ諸国にとって中国は最大の貿易相手国である。スエズ運河を使えず、紅海を使えないとなればそれは死活問題となるが、陸路という代替手段があることは重要である。中国は現在のような状況を予見していたかのように、2013年から一帯一路構想を推進してきた。
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 私は更に、この一帯一路構想は、インドを締め上げるという意図と、更には、アメリカを国際物流から切断することもできる方策を持つ意図があるのだろうと考えている。BRICSにおいて、西側に一番気を遣っているのがインドである。それはそれで戦略として正しいが、インドが裏切らないようにするために、中露は北と南から包囲する形を取っている。また、ユーラシアとアフリカ、南米をつなぐ、BRICS圏と一帯一路を完成させることで、北アメリカを孤立させることもできる。

 紅海危機(Red Sea Crisis)は、フーシ派はパレスティナ支援の一環として、西側の船舶を対象にして攻撃を行うようになっている。イスラエルの過剰なガザ地区への攻撃は、国際的な非難を浴びている。イスラエルだけではなく、イスラエルを支援するアメリカに対しても非難の声が上がっている。今回の紅海危機は、フーシ派が攻撃を行っていることで起きているが、紅海湾岸の諸国や中東諸国は静観している。英米とは一線を画している。フーシ派にはイランが支援を行っており、イランの大後方には中国が控えている。イギリスとアメリカが中東地域の安全保障分野における大きな役割を果たしてきた。しかし、中東諸国は、今回、そうした動きを謝絶している、そのように私には見える。

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紅海危機は中国が先手を打っていたことを証明した(The Red Sea Crisis Proves China Was Ahead of the Curve

-一帯一路構想は邪悪な陰謀ではなかった。それは、不確実性(uncertainty)と混乱(disruption)の時代に全ての国が必要とするものの青写真だった。

パラグ・カンナ筆

2024年1月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/20/url-red-sea-houthis-china-belt-road-suez-trade-corridors/

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2021年3月27日、エジプト。紅海の港湾都市スエズ近郊のスエズ運河南口で、スエズ運河通貨を待つために停船している船舶の航空写真。

過去2カ月にわたり、紅海とアラビア海を結ぶ戦略上重要なバブ・エル・マンデブ海峡でフーシ派反政府勢力の攻撃が激化し、世界最大規模の海運各社はスエズ運河の航行を数週間停止し、更にはルート変更をしなくてはならなくなった。アメリカとイギリスがイエメンへの攻撃を開始し、状況がエスカレートしたため、民間の船舶はこの地域を避けるようになった。

地中海やアラビア海峡を行き来する船舶が選択肢を検討している一方で、バブ・エル・マンデブ海峡を完全に迂回する船舶もある。2023年12月中旬、サウジアラビアは、アラブ首長国連邦のジェベル・アリやバーレーンのミナ・サルマンといったペルシア湾の港に滞留している物資について、トラックでイスラエルのハイファ港まで自国領内を通過できるようにするための、アラビア湾から地中海への「陸橋(land bridge)」の構築を承認した。

これで分かるだろう。2023年10月7日のハマスからのイスラエルへの激しい攻撃によってアブラハム合意(UAEとイスラエルの国交正常化合意)が破棄されることはなかった。また、サウジアラビアとUAEは二国家共存によるパレスティナ紛争解決を強く支持しているが、紅海上の混乱に対処するために両国ともイスラエルとのインフラ協力を加速させている。サウジアラビアとUAEはイスラエルとの協力姿勢を崩していない。そして、紅海上の混乱を収めようとするのは、もちろん、通常であればエジプトの金庫に流れ込むであろう通過料金がきちんと徴収されるようにするためでもある。しかし、陸路輸送を促進することで、ペルシア湾岸・イスラエル間の航路が紅海の海上ルートから10日間短縮されるのは大きな利益となる。

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地図が示している通り、アラビア海から紅海に入り、スエズ運河を通って地中海に出る紅海周辺の国々サウジアラビア、イエメン、エジプト、イスラエルは、世界的な貿易の重要地点である。

出典:アメリカエネルギー情報局

紅海での海上テロやロシア・ウクライナ戦争による地政学的ショックは、世界経済、とりわけ発展途上各国が新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)による財政的痛手からの回復に苦闘している中で、物流コストと食料品価格を押し上げている。最近もアイスランドで火山が噴火し、航空運賃が上昇した。

今日の永続的な変動に対する解決策は、北京とワシントンの首脳会談やG7のグループ・セラピー・セッション、あるいは世界経済フォーラムや国連気候変動会議のようなトーク・フェスティバルからは生まれないだろう。その代わりに、深刻な相互不信と予測不可能な危機に悩まされる世界が、世界的な公益のために意味のある集団行動を起こすための道筋は、まさに1つしかない。供給ショックの解決策は、サプライチェィンを増やすことである。経済ベルト(belts)を増やし、通行路(roads)を増やすことだ。

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2023年10月18日、北京の人民大会堂で開催された第3回「一帯一路」国際協力フォーラムの開幕式で演説する中国の習近平国家主席。

中国はこのことを何年も前から認識し、それに基づいて行動してきた唯一の国だ。中国が昨年10月、こうした構想を象徴する、一帯一路構想(Belt and Road Initiative BRI)発足10周年を記念して130カ国以上の指導者や代表を北京に招集した際、10年前と同様、多くの西側諸国の指導者たちは不快感を示した。西側の指導者たちは、中国を世界貿易ネットワークの中心に置くことで西側主導の国際秩序を弱体化させるステルス計画として、一帯一路構想を捉えてきた。

しかし、機能的な観点から見れば、一帯一路構想は全ての国が自国の国益のために行うべきことを象徴している。すなわち、国家の利益は、不測の事態に対するヘッジ(hedge、備え)として、また自国の資源や製品とのアクセス性と影響力を高めるために、需要に見合った供給経路をできるだけ多く構築することである。

このようなヘッジの必要性は、2021年、巨大コンテナ船エバー・ギブン号がスエズ運河で座礁し、新型コロナウイルス感染拡大不況の中で世界が貿易の復活を模索していた矢先、ヨーロッパとアジア間の貿易が全面的に凍結されたことで明らかになった。滞貨の大部分は2週間以内に解消されたものの、世界のジャスト・イン・タイムのサプライチェィンにとっては、摩擦のない貿易を前提に、メーカーや小売業者が部品や商品の在庫を低く抑えている中で、不安な経験となった。また、出荷が遅れた場合の保険料も毎週高額となった。

海上のチョークポイントの脆弱性が、紅海でのフーシ派のテロ、黒海でのロシアの穀物封鎖、パナマ運河の干ばつ、あるいはマラッカ海峡近くの潜在的な南シナ海紛争によって露呈したとしても、世界経済の最大ゾーンである北アメリカ、ヨーロッパ、アジアは、このような散発的で制御不能な出来事の人質とされるべき理由は存在しない。

確かに、船舶はアフリカの喜望峰を巡るスエズ運河以前のルートを選択し、通常の20から 30日の輸送時間に、更に10から14日追加される可能性がある。しかしその代わりに、中国とヨーロッパ諸国(互いの最大の貿易相手国)はより賢明な方法を選択した。ユーラシア大陸横断鉄道の貨物輸送は、2021年初頭に月間1000本の貨物列車となり、列車数が倍増して、信頼性と定時性が向上した。

ユーラシアを網羅する高速道路や鉄道、インド海や北極海沿いの港湾の更なる建設・整備は、世界経済の適切な機能に依存する世界の貨物・商品貿易に柔軟性と代替ルートを生み出すために不可欠である。このような投資は、保護主義、地政学、気候変動から生じるインフレショックに対する効果的な予防措置となる。

一帯一路構想が変革をもたらしていないと主張するのは難しい。 2013年以来、約1兆ドルの資金が建設プロジェクトや非金融投資として一帯一路加盟諸国に流入した。

特に人口過密の発展途上諸国にとって、国内需要に対応し、経済乗数効果(economic multiplier effects)を生み出し、世界経済との接続を構築するには、強固なインフラが不可欠だ。ハンガリーやセルビアなどのヨーロッパの周縁諸国も一帯一路構想の受益者であるが、ザンビアやスリランカなどの他の国々と同様、過剰債務(excessive debt)と中国による一部の政治的支配という代償を払ってこれらを実現した。

西ヨーロッパに関しては、イタリアが2019年に一帯一路構想に加盟し、2023年末に離脱したが、これは大規模な二国間貿易において中国市場への十分な相互アクセスが得られなかったことに対するヨーロッパの不満の表れである。

一方、昨年9月にニューデリーで開催されたG20サミットでは、提案されている200億ドル規模の多様なインド・中東・欧州経済回廊(India-Middle East-Europe Economic Corridor IMEC)は、一帯一路のライバルとして、アメリカによってすぐに歓迎されたが、それははるかに地元密着型である。

一例を挙げると、インドのナレンドラ・モディ首相も、イラン経由でロシアへの貿易回廊(trade corridor)を宣伝しているが、これはワシントンの耳にはまったく愉快な音楽ではない。同様に、サウジアラビアとUAEがアメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、インド、日本に同時に求愛していることからも明らかなように、自信に満ちた湾岸アラブ諸国は、いわゆる新冷戦でどちらの味方もしている訳ではない。その代わりに、彼らはヨーロッパ、アフリカ、アジアの間の地理的な交差点としての役割を高めるために、巧みな複数の同盟(multialignment)を実践している。

これらの地理を組み合わせた造語は「アフロ・ユーラシア(Afro-Eurasia)」だ。この用語は学者たちが植民地時代以前の文明と商業の軸を指すために使用しており、事実上、いわゆる新世界(the New World)の発見に先立って既知の世界を構成するということになる。

今日、アフリカ・ユーラシアは再び世界の人口動態、経済学、地政学の中心地となっている。このインド太平洋システムに属する全ての国は、グローバライゼーションを低下させるのではなく、更なるグローバライゼーションを望んでいる。最もつながりのある大国は、貿易国家に他国の地理ではなく自国の地理を使用させることで勝利する。

彼らは、分断されるのではなく、ますます混ざり合い、階層化する世界から恩恵を受けている。実際、負けじとばかりに、同じG20サミットで、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領も、イラク南部のバスラ港を経由してトルコを経由してヨーロッパに至る別の貿易通過回廊を提案した。

EU加盟諸国は、インド太平洋における中国の戦略的影響力に対抗し、中国による太陽光パネルや電気自動車のダンピングから自国市場を守るという点でアメリカと歩調を合わせている。しかし、ヨーロッパはまた、各国首脳がインド、ヴェトナム、インドネシア、シンガポールを頻繁に訪問していることから分かるように、アラブ諸国やアジア経済への輸出拡大にも熱心な姿勢を保っている。 2016年に中国企業COSCOがギリシャのピレウス港の株式の過半数を取得したことをめぐる騒動にもかかわらず、それはIMEC複合一貫航路で想定されている終着点と全く同じである。

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2018年11月10日、スリランカのコロンボで建設中の新しい高層ビルが見られる中、ゴール・フェイス・グリーン沿いにたむろするスリランカの若者たち。

西側諸国の外交官やアナリストたちはもはや中国の一帯一路構想を否定はしていないが、根底にある背景をまだ完全には把握していない。一帯一路構想は攻撃的というよりも防御的な試みとして始まった。中国は世界の工場となり、拡大する産業基盤を強化するために大量のエネルギーと原材料の輸入を必要としていたが、今日世界のサプライチェインを悩ませているのと同じ難所に対して脆弱なままだった。同時に、鉄鋼やその他の商品の膨大な余剰生産を吸収できる市場を模索した。

中国の国防費、武器輸出、ならず者国家やアメリカの同盟諸国との戦略的関係が同様に拡大するにつれ、一帯一路構想は中国の大戦略の中核要素であり、世界を切り開く邪悪な陰謀と見なされるようになった。しかし、地政学は非線形(nonlinear)だ。中国は、インドとのヒマラヤ国境を越えて南シナ海への積極的な侵攻と、一部の批評家が「債務罠外交(debt-trap diplomacy)」と呼ぶ厄介な財政条件で、すぐに自ら疑惑を引き起こした。

その後、西側諸国と同盟大国は対抗策を講じ始めた。軍事分野では、オーストラリア、インド、日本、米国のクアッド連合(Quad coalition)はインド太平洋で海洋協力を強化し、ヴェトナムなど南シナ海の沿岸諸国への武器販売を強化し、フィリピンを支援している。中国が埋め立てを行ったのと同じように、島々を要塞化している。

インフラおよび商業分野においては、アメリカの戦略的競争法(the Strategic Competition Act)とCHIPSおよび科学法(the CHIPS and Science Act)、米国際開発金融公社(the U.S. International Development Finance Corp)、EUのグローバル・ゲートウェイ・イニシアティヴ(Global Gateway initiative)、日本とインドの「接続回廊(connectivity corridors)」、多国籍サプライチェィン・レジリエンス・イニシアティヴ(multinational Supply Chain Resilience Initiative)やG7の「より良い世界を取り戻す(Build Back Better World)」は、各国を誘導して、中国の金融機関ではなく多国籍金融機関から優遇金利で借り入れたり、中国の企業(フアウェイ)よりも西側の企業(スウェーデンのエリクソンなど)と契約させたりするために考え出された無数の計画の一部に過ぎない。5G ネットワーク、またはインターネット・ケーブルの分野でこのようなことが起きている。

西側諸国は、口先だけではなく実際に行動することを学びつつある。インフラ整備競争(infrastructure arms race)は現在進行中だ。西側諸国が何十年も無視してきた後、中国は世界の問題として、インフラを強化したことで評価されるべきだが、世界が共同して重要なインフラに投資すればするほど、全ての道が中国に通じている(all roads lead to China)可能性は低くなる。西側諸国はこのグレイトゲームの最新ラウンドには出遅れているかもしれないが、既に競争条件を平等にすることに成功している。

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2020年5月26日に中国東部の海安の物流拠点を出発するヴェトナム行きの輸送コンテナを運ぶ中国・ヨーロッパの貨物列車が写っている。

中国主導対西側主導の取り組みはゼロサムの試みとして描かれているが、ほとんどの場合、港湾や送電網などのインフラは利用を排除できないものであり、競合するものではなく、あらゆる商用ユーザーに開かれており、それらのユーザーに平等なサーヴィスを提供する。パイプラインであれ、送電網であれ、インターネット・ケーブルであれ、それぞれのしっぺ返しプロジェクト(tit-for-tat project)は、意図せずして、世界を相互接続されたサプライチェィンシステムに変えるというはるかに壮大なプロジェクトを前進させる。

今日の激動の世界において、これ以上に伝えるべき重要な真実はない。需要を満たすための供給経路が増えると、インフレショックを回避できる。私たちは、より多くの国でより多くの食料を清算し、より多くの半導体を生産し、より多くのレアアース鉱物を加工し、世界中での移動に単一障害点(single point of failure)を確実になくす必要がある。

輸送手段をスエズ運河からユーラシア鉄道、あるいはよる高速な北極海航路に自発的に移行できることは、まさに世界経済がショックに対してより回復力を持ち、ナシム・ニコラス・タレブの言葉を借りれば「反脆弱性(antifragile)」にさえなれる方法だ。この点だけでも、インフラ的に関連性の高い(hyperconnected)世界は望ましいものであり、現在のシステムよりも優れている。気候変動が加速する中で、それは文明の生存にとっても不可欠だ。

気候ストレスは今世紀中に10億人以上の移動を促す可能性があり、人口は沿岸部から内陸部へ、標高の低い地域からより高い地域へ、そしてより暑い気候からより涼しい気候へ再定住することになる。私たちは既に、南アジアや東南アジアからヨーロッパや中央アジアへといった、これまで経験したことのない大規模な移住の新たなベクトルを目の当たりにしている。人類の大多数がユーラシア大陸に居住していることを考えると、東ヨーロッパや中央アジア全域のより気候変動に強い地域への人々の必然的な循環が予測され、住宅、交通、医療、その他の施設といった必要な都市インフラが構築されていることが重要だ。

石油パイプラインなどの古いインフラが依然として多すぎて、海水淡水化プラント(water desalination plants)、太陽光発電所、エネルギー効率の高い手頃な価格の住宅、水耕栽培食品センター(hydroponic food centers)などの新しいインフラが少なすぎる。これらの投資は、世界経済を促進する大規模な地球規模のリサイクルの一部である。インフラは雇用を創出し、生産性を向上させ、消費と貿易の成長を促進し、人材と資本の流れを引き寄せる。

現代文明を定義する都市部集住(urban settlements)の構築と接続は、過去1万年にわたる人類の物語である。ローマの道路からイギリスの鉄道、アメリカの基地に至るまで、私たちが蓄積したインフラの層は、インフラの管理の権限は変わるものの、長期的にはゼロサムゲームではないという事実の永続的な証拠だ。インフラの運命に関する質問に対する答えは、インフラが支えるグローバライゼーションに対する回答と同じだ。それは、「より多く」である。

※パラグ・カンナ:クライメット・アルファ創設者兼最高経営責任者。最新刊に『ムーヴ:人々はより良​​い未来を求めてどこへ向かうのか(MOVE: Where People are Going for a Better Future』がある。ツイッターアカウント:@paragkhanna

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。近いうちにある週刊誌にて紹介していただけることになりました。詳しくは決まりましたらお知らせいたします。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 イエメン内戦は長期化している。政府側と反政府組織フーシ派の間の戦いとなっているが、政府側をサウジアラビアが支援し、フーシ派側をイランが支援している。あ氏アラビアとイランとの間で国交正常化が合意されたことにより、この構図も変化を見せつつある。サウジアラビアがフーシ派と停戦交渉を行っている。そうした中で、アメリカとイギリスが共同でフーシ派を攻撃した。アメリカとイギリスは、紅海上において、フーシ派が民間船舶(中国やイランの船舶を除く)に対して攻撃を行い、世界の物流に影響を与えていることを理由に挙げている。フーシ派は、イスラエルによるガザ地区への過剰な攻撃に対する攻撃として、紅海上で民間船舶を攻撃している。これを受けて、世界の海運各社は航路変更を余儀なくなされている。これに対して、サウジアラビアは、アメリカやイギリスに同調せず、静観の構えを見せている。
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紅海の地図
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フーシ派の関連地図

 アメリカとイギリスの攻撃は沈静化しかけていた紅海の状況を再び不安定化させている。サウジアラビアとしては、アメリカとイギリスには介入して欲しくなかったところだが、アメリカとイギリスとしては、物流の停滞による物価高もあり、何もしないという訳にはいかなかった。そして、西側諸国においては、「中国はイランとの関係も深いのだから、紅海の状況を何とかせよ、フーシ派をおとなしくさせるために何かやれ」という批判の声が上がっている。中東地域は中国にとっても、エネルギー面において重要な存在であり、中国も中東地域において重要な役割を果たしつつある。サウジアラビアとイランの国交正常化合意を仲介したのは中国である。
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紅海航路と迂回航路の違い
 パレスティナ紛争や紅海の危機的な状況において、中国は何もしていないという批判の声が上がっている。しかし、これはなかなか難しい。中国が中東地域において活発に動き始めてまだ20年くらいだ。それに対して欧米諸国は戦前から植民地にするなど長期間にわたって深くかかわってきた。中東地域においての役割については欧米諸国の方が先輩であり、一日(いちじつ)の長がある。そして、欧米諸国の政策の失敗が現在の状況である。それを修正して、正常化するのは欧米諸国の責任だ。どうしても駄目だ、万策尽きたということならば、他の国々の出番もあるだろう。「中国が何とかせよ」というのが、「自分たちの力ではどうしようもありません、私たちが馬鹿でした、どうもすいません」ということならばまだしも、ただの自分勝手な言い草であるならば、中国が何かをするという義理はない。欧米諸国は一度徹底的に追い込まれて、自分たちの無力を自覚することだ。それが世界の構造の大変化の第一歩である。

 

(貼り付けはじめ)

紅海危機が中国の中東戦略について明らかにする(What the Red Sea Crisis Reveals About China’s Middle East Strategy

-中国は確かに中東地域のプレイヤーになったが、今でもまだ極めて利己的なゲームをしている。

ジョン・B・アルターマン筆

2024年2月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/14/red-sea-crisis-china-middle-east-strategy-egypt-yemen/

昨年(2023年)3月、中国の王毅外相の顔に満足感があったのを見逃すことはできなかった。サウジアラビアとイランの間の和平合意を仲介したばかりの、王毅中国外相(当時)は、二国の代表を優しく近づけた。王毅は彼らの間に立ち、しっかりとコントロールしていた。

王毅外相が満足する理由は複数存在した。多くの人が不可能だと考えていたことを中国がやってのけただけでなく、それが可能な唯一の国でもあった。サウジアラビアとイランの両国は敵対していたが、それぞれが中国を信頼していた。アメリカは中東の安全保障を重視していたが、中国は実際にそれを提供していた。王毅のあり得ない成功は、中東における中国の役割の重要性の高まりを示す新たな兆候となった。

しかし、この4ヵ月の間、2023年3月のような自信に満ちた中国外交は影を潜めている。半世紀以上にわたるパレスティナ人への支援、10年以上にわたるイスラエルとの緊密な関係、イラン、サウジアラビア、エジプトなどへの数百億ドル規模の投資にもかかわらず、最近の中国は静けさを保っている。

さらに明らかなのは、紅海の海運に対するフーシ派による3ヶ月に及ぶ攻撃によって、中国の貿易が大打撃を受け、中国の一部の地域パートナー諸国が首を絞められ始めたとき、北京はしばしば、外交的、軍事的、経済的に、パートナー諸国はおろか、自国の広範な利益を追求するために行動することができないか、あるいはしたくないように見えたことである。

中国は自らを台頭する世界大国(rising global power)として宣伝しようとし、平和と繁栄を確保するという世界的な野望を達成できていないアメリカを非難することを好む。アラブのコメンテイターらは、2022年12月にサウジアラビア・リヤドで行われた中国の習近平国家主席を招いての首脳会談をめぐる温かさを、その5カ月前にジェッダで行われたジョー・バイデン米大統領とサウジアラビア指導部とのより緊迫した会談を対比させた。『アルリヤド』紙は「西側の独立筋」の主張を引用し、「中東地域は中期的には独裁と覇権(hegemony)から離れ、開発、投資、人民の幸福、紛争からの距離に基づく中国の影響力を通じての、戦略地政学的なバランスと政治的正義の段階に移行するだろう」と主張した。

それこそが、中国がこれらの国に望んでいる未来の姿である。間違ってはいけないのは、中国はアメリカを主要な戦略的挑戦と見なしており、それ以外のものは重要ではないということだ。

驚くべきことは、これがどれほど真実であるかということである。過去4カ月間の中国の行動と不作為は、数十年にわたる中東への投資にもかかわらず、北京がこの地域で重視しているのは、依然としてアメリカを弱体化させるためであることを浮き彫りにしている中国は確かに中東地域のプレイヤーになったが、今でもまだ極めて利己的なゲームをしている。

中国の中東への関心の大元はエネルギーだ。中国は30年前に初めて石油の純輸入国となり、過去20年間のほとんどにおいて、世界の石油需要の増加のほぼ半分を中国が占めてきた。この期間を通じて、中国の輸入石油の約半分は中東地域から来ている。

中国にとって、中東への依存は一貫して脆弱性ともなる。アメリカは半世紀にわたり、この地域の安全保障を支配してきた。中国人の多くは、米中両国が敵対した場合、アメリカが中国にとって不可欠なエネルギー供給を遮断することを恐れている。同様に、中東にはホルムズ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、スエズ運河という、世界貿易に不可欠な3つの海運の重要地点(chokepoints)がある。アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカ東海岸に向かう多くの中国製コンテナは、この3つの地点すべてを通過する。アメリカ海軍は現在、これら全ての重要地点を守る態勢を整えているが、同時に通行を阻害することも可能だ。

中国の戦略は、アメリカと対立するのではなく、アメリカと共存することであり、アメリカとの関係とともに中国との関係も発展させるよう地域諸国を説得することだ。10年ほど前、中国はアルジェリア、エジプトとの「包括的戦略パートナーシップ(comprehensive strategic partnerships)」を宣言し、後にサウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦をリストに加えた。偶然にも、北京は昨年8月、後者4カ国がBRICSブロック(当時はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成)に加盟するよう働きかけ、新規加盟国全体の5分の4を占めた。中国は、中東全域で経済関係を深め、その過程で貿易と開発を促進することを主張している。

中東諸国は中国の地域的役割の拡大を歓迎している。その理由として、中国が西側諸国の自由化圧力から解放してくれることが挙げられる。また、中国が厳格な規制よりもスピードを重視する経済パートナーとなってくれるからでもある。中東諸国は中国を台頭する世界大国と見ている。10年以上にわたって歴代米大統領が「ワシントンの主要な利益はアジアにある」と宣言してきたのだから、中東諸国が中国と強固な関係を築かないということはあり得ないのである。

中国が提示している主張は、各国は西側諸国との関係とともに中国との関係も発展させることができるというものだ。原則としては正しいが、現実問題としてはより複雑である。西側諸国の政府は、中国がこの地域に技術投資を行うのは、中国のスパイ活動の道具を組み込むためだと非難している。その結果、西側諸国の政府は、中東地域の各国政府がその技術を獲得することを、安全保障上の多種多様な協力体制の確立にとっての障害と見なしている。

中国の学者たちは、アメリカの地域安全保障の取り組みを厳しく批判してきた。ある著名な中国人学者は、「中国は、アメリカの無謀な軍事行動とプレゼンスの結果としての地域の不安定化の犠牲になっている」と書いている。王毅が2022年1月に中東6カ国の外相と会談したことを伝える中国メディアの記事では、王毅が「中東の主人は中東の人々だと私たちは確信している。『力の空白(power vacuum)』など存在せず、『外からの家父長制(patriarchy from outside)』など必要ない」と述べたことを伝えた。

中国の専門家たちが頻繁に主張しているには、アメリカのアプローチは中東諸国への敬意が不十分だということだ。ある学者は「あまりにも長い間、覇権国であったため、アメリカは自国の利益のために他国に圧力をかけることに慣れているが、他国の懸念には耳を貸さない」と指摘している。

2023年3月にサウジアラビアとイランの合意が成立したとき、中国側はこれを「中東の平和と安定の実現のための道をならすものであり、対話と協議を通じて国家間の問題と意見の相違を解決する素晴らしいモデルとなる」とし、「中国は建設的な役割を継続する」と公約した。

しかし、中東で暴力が勃発してから数カ月、中国は世界的な懸念声明に便乗することはあっても、独自の声明を発表することはほとんどなかった。最も明確に非難したのは、2023年10月にイスラエルがガザ市のアル・アハリ病院を攻撃したと当初は考えられていたが、後にパレスティナ側のロケット弾の誤射によるものと判明した事件に対してである。

中国は、2023年10月7日に発生したハマスによるイスラエル民間人に対する攻撃も非難しておらず、紅海の船舶に対するフーシ派の攻撃も非難していない。和平会議の開催が一般的には望ましいと表明すること以外に、この地域で展開し相互に関連する危機のいかなる要素にも対処するための中国の外交提案はない。中国にとって、高官の訪問、奨励と懲罰、調停などの外交手段は全てが保留されている。

2024年1月のジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官と王毅外相とのタイでの会談での議題は紅海の安全保障についてであった。この会談の前に、中国とイランの政府関係者は口をそろえて、中国はイラン政府に対し、フーシ派への支援について苦言を呈したが無駄だったと主張した。このような発言は、単にアメリカの圧力から王毅を守るためなのか、それとも中国がイランの思惑に影響を与えることができないという現実を反映したものなのかは明らかではない。

一方で、西側諸国と中東諸国の外交官たちは、人命を守り、緊張を緩和し、世界貿易の自由をより促進するための、何らかの方法を見つけようと、互いに深く関わっている。

この地域での出来事が中国の利益を直接的に傷つけるものではないと主張するのは難しい。まずフーシ派から話を始めることができる。彼らはイランから年間約1億ドルを受け取っている。イランは中国との貿易が全体の3分の1を占めているが、その貿易額は中国貿易の1パーセントにも満たない。

中国はイランよりも世界の他の国々に対してより注意を払っている。一部の報告によると、通常は紅海南部を通過するコンテナ船の90%が同海域を避けるために航路を変更したということだ。平常時、紅海航路は世界のコンテナ輸送量の約 3分の1、アジアとヨーロッパ間の全貿易量の40% を占めている。輸送のボトルネック(bottleneck)となっているのは、コンテナ価格が3倍から4倍に高騰しており、ヨーロッパに向かうエネルギー輸送がアフリカを迂回し、配送の遅れによりサプライチェインが麻痺していることだ。

中国は貿易立国(trading nation)であると同時に海洋立国(maritime nation)でもある。世界貿易における争いは中国に直接影響を与えるだけでなく、将来の混乱を避けるために、投資家たちを「ニアショアリング(nearshoring)」(サプライチェインの依存をより近くて友好的な国々にシフトすること)に向かわせる。

混乱はまた、中国の中東への投資にも打撃を与える。中国は紅海の各種施設に数百億ドルを注ぎ込んできた。ジブチの軍事基地だけでなく、東アフリカ、サウジアラビア、スーダンの港湾施設、鉄道、工場、その他無数のプロジェクトに注ぎ込んできた。これらの投資は一帯一路計画の一部だ。これらのプロジェクトは全て、紅海航路の断絶によって危機に瀕している。

中東全域で、イランの代理諸勢力がこの地域を戦争に導くと脅しており、その一部はイスラエルへの攻撃を通じてその脅迫に説得力を持たせている。イスラエル自身もほぼ20年にわたって中国との関係を着実に強化してきた。アメリカン・エンタープライズ研究所の中国グローバル投資トラッカーによると、中国は過去10年間でイスラエルに90億ドル近く投資し、30億ドル相当のプロジェクトを構築した。

中国がイランの代理になるどころか、イランをコントロールできると期待する人はほとんどいないが、中国がそのつもりすらないようであることは注目に値する。しかし、今回の紅海危機において中国はチャンスも見出している。

中国はこの危機を利用するために2つのことを行った。 1つ目は、中東におけるアメリカの役割に対するグローバル・サウスの敵対心を刺激しようとして、アメリカを批判することだ。2023年10月に『チャイナ・デイリー』紙に掲載されたあるコラムは、「アメリカはガザ地区において、『歴史の間違った側(wrong side of history)』に属しており、ガザ地区におけるより大きな人道危機の回避を支援することで、世界唯一の超大国としての世界的責任を果たすべきだ」と主張した。中国メディアは、グローバル・サウスの反米感情と反イスラエル感情両方を煽る形で、アメリカの外交努力を非難し続けている。中国メディアは、今回の紛争を根本的に解決するためには二国家解決策の追求が必要であるが、それを阻害しているのは、根本的に、アメリカのイスラエルの肩入れが存在している(これが今回の紛争の基底にある)、と時に間接的に、時に直接的に、主張している。

 中国が行っている2番目のことは、当面の経済的利益に配慮することだ。中国船舶の需要が高まっており、荷主はフーシ派が中国籍の船舶を攻撃しないと信じている。紅海を航行する一部の船舶は、攻撃を避けるために「全員が中国人の乗組員」を船舶追跡装置に表示されるようにしていると発表している。

中国は中東において、急速に変化する状況に適応するために外交が緊張していることを示している。加えて、共通の利益につながる困難なことを行うことへの嫌悪感を示している。中国当局者たちは協力する代わりに、パートナー諸国や同盟諸国を犠牲にして自国の利益を推進するためのギリギリの方法を模索している。

それは、中国がしばしば名刺代わりとして宣伝するような「ウィン・ウィン(win-win)」の論理ではない。現在、中国を含む全員が負けている中で、中国は状況を傍観している。

※ジョン・B・アルターマン:戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)上級副所長、ブレジンスキー記念国際安全保障・戦略地政学(geostrategy)部門長、中東プログラム部長。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。準備中に、イスラエルとハマスの紛争が始まり、そのことについても分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカは戦後、中東地域で大きな影響力を保持してきた。親米諸国と反米諸国が混在する中で、石油を確保するために、中東地域で超大国としての役割を果たしてきた。1993年にはオスロ合意によって、イスラエルとパレスティナの和平合意、二国間共存(パレスティナ国家樹立)を実現させた。しかし、中東に平和は訪れていない。パレスティナ問題は根本的に解決していない。今回、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスティナ問題を「最終解決」させようとしているかのように、徹底的な攻撃を加えている。アメリカは紛争解決について全くの無力な状態だ。イスラエルを抑えることもできていないし。パレスティナへの有効な援助もできていない。

 アメリカの中東政策について、下の論稿では、「社会工学(social engineering)」という言葉を使っている。この言葉が極めて重要だ。「社会工学」を分かりやすく言い換えるならば、「文明化外科手術」となる。はっきり書けば、非西洋・非民主的な国々を西洋化する(Westernization)、民主化する(democratization)ということだ。日本も太平洋戦争敗戦後、アメリカによって社会工学=文明化外科手術を施された国である。アメリカの中東政策は、アラブ諸国に対して、西洋的な価値観を受け入れさせるという、非常に不自然なことを強いることを柱としていた。結果として、アメリカの註徳政策はうまくいかない。それは当然のことだ。また、アメリカにとって役立つ国々、筆頭はサウジアラビアであるが、これらに対しては西洋化も民主化も求めないという二重基準、ダブルスタンダード、二枚舌を通してきた。

 アメリカの外交政策の大きな潮流については、私は第一作『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で詳しく書いたが、大きくは、リアリズムと介入主義(民主党系だと人道的介入主義、共和党系だとネオコン)の2つに分かれている。第三作『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)で、私は「バイデン政権は、ヒラリー・クリントン政権である」と結論付けたが、ヒラリー・クリントンは人道的介入主義派の親玉であり、バイデンはその流れに位置する。従って、アラブ諸国を何とかしないということになるが、それではうまくいかないことは歴史が証明している。それが「社会工学」の失敗なのである。

 最新作『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で、私は世界が大きく「ザ・ウエスト(西洋諸国)対ザ・レスト(西洋以外の国々)」に分裂していくということを書いたが、西洋による社会工学=文明化外科手術への反発がその基底にある。私たちは、文明化外科手術を中途半端に施された哀れな国である日本という悲しむべき存在について、これから向き合っていかねばならない。

(貼り付けはじめ)

「バイデン・ドクトリン」は物事をより悪化させるだろう(The ‘Biden Doctrine’ Will Make Things Worse

-ホワイトハウスは中東に関して、自らの利益のために野心的過ぎる計画を策定している。

スティーヴン・A・クック筆

2024年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/09/biden-doctrine-israel-palestine-middle-east-peace/

アメリカに「中東についてのバイデン・ドクトリン(Biden Doctrine for the Middle East)」は必要か? 私がこの質問を発するのは、トーマス・フリードマンが先週の『ニューヨーク・タイムズ』紙でバイデン・ドクトリンについて述べていたからだ。どうやらバイデン政権は、「イランに対して強く毅然とした態度(a strong and resolute stand on Iran)」を採用し、パレスティナの国家化(statehood)を進め、サウジアラビアに対して、サウジアラビアとイスラエルとの関係正常化(normalization)を前提とした、防衛協定(defense pact)を提案する用意があると考えられている。

フリードマンのコラムがホワイトハウス内の考え方を正確に反映しているなら、そしてそうでないと信じる理由はないが、私は「ノー」の評価を下すことになる。これまで中東変革を目的とした大規模プロジェクトを避けてきたジョー・バイデン大統領とその側近たちは、特にパレスティナ国家建設に関しては、噛みつく以上に多くのことを実行しようとしている。これが更なる地域の失敗になる可能性が高い。

第二次世界大戦後のアメリカの中東外交を振り返ると、興味深いパターンが浮かび上がってくる。政策立案者たちがアメリカの力を使って悪いことが起こらないようにした時は成功したが、ワシントンの軍事、経済、外交資源を活用して良いことを起こそうとした時は失敗してきた。

中東地域で国際的な社会工学(social engineering 訳者註:文明化外科手術)にアメリカが公然と取り組もうとしたきっかけは、1991年にまでさかのぼる。その年の1月から2月にかけて、アメリカはイラクの指導者サダム・フセインのクウェート占領軍を打ち破った。そしてその10ヵ月後、ソ連の指導者たちはこの連合を終わらせることを決定した。アメリカは、唯一残された超大国として独り立ちしたのである。冷戦に勝利したワシントンは、平和を勝ち取ること、つまり世界を救済することを決意した。中東でこれを実現するために、アメリカ政府高官が求めた主な方法は「和平プロセス(the peace process)」だった。

フセインによるクウェート吸収への努力が行われ、イスラエルとその近隣諸国との紛争との間に関連性がほとんどなかったにもかかわらず、イスラエルとアラブとの間に和平を築こうとするアメリカの努力は、砂漠の嵐作戦後のワシントンの外交の中心となった。もちろん、抽象的なレベルでは、イラクもイスラエルも武力によって領土を獲得していたが、1990年8月のイラクのクウェート侵攻と1967年6月のイスラエルの先制攻撃はあまりにも異なっていたため、比較の対象にはなりにくかった。

中東和平へのアメリカの衝動は、国際法(international law)というよりも、アメリカの力がより平和で豊かな新しい世界秩序の触媒になりうるという信念に基づくものだった。もちろん、これは主流の考え方から外れたものではなかった。結局のところ、アメリカは世界をファシズムから救ったのであり、ジョージ・HW・ブッシュ大統領がマドリードで平和会議を招集した当時、ソヴィエト共産主義は死にかけていた。

あらゆる努力にもかかわらず、ブッシュの中東における目標は依然として主にアラブとイスラエルの和平問題の解決に限定されていた。和平プロセスが決定的に変化する様相を呈したのはクリントン政権になってからである。 1993年の同じ週、イスラエルのイツハク・ラビン首相とパレスティナ解放機構の指導者ヤセル・アラファトが、当時のアメリカのアメリカ大統領ビル・クリントンと国家安全保障問題担当大統領補佐官アンソニー・レイクの支援と許可のもとでオスロ合意の最初の合意に署名した。ビル・クリントンとアンソニー・レイクは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題大学院(SAIS)の学生と教職員の前に現れ、冷戦直後の世界におけるクリントン政権の米国外交政策の目標を述べた。クリントン大統領のアプローチの中心は、レイクが「民主政治体制の拡大(democratic enlargement)」と呼んだものだった。

クリントン率いるティームが中東の変化を促進する方法はパレスティナを通じてであった。クリントンは、イスラエル人とパレスティナ人の間の和平は、より平和で繁栄した統合された地域を生み出し、それによって中東の国家安全保障至上国家群の存在の理論的根拠を損なうことになると推論した。平和の後、アラブ世界では権威主義が民主的な政治制度に取って代わられることになる。主要な側近の一人の言葉を借りれば、「クリントンは変革の目標を自らに設定した。それはアラブ・イスラエル紛争を終わらせることによって中東を21世紀に移行させることだ」ということだ。

和平が政治的変化をもたらすという考えは魅力的だったが、クリントンはこの地域の権威主義的な政治の理由を見誤っていた。いずれにせよ、イスラエル人とパレスティナ人の間で紛争終結に向けた合意を成立させようとしたクリントンの努力は、ほぼ10年かけても実を結ばなかった。クリントンが大統領を退任すると、暴力がイスラエルとパレスティナの両地域を巻き込み、第2次インティファーダ(Intifada)が発生した。

クリントンの次の大統領ジョージ・W・ブッシュは当初、クリントンが中東和平に割いた時間とエネルギーに懐疑的だったが、実はブッシュはパレスティナ国家をアメリカの外交政策の目標と宣言した最初の大統領だった。そこに到達するために、彼は前任者の論理をひっくり返した。ブッシュのホワイトハウスにとって、パレスティナの政治機構を民主的に改革し、ヤセル・アラファトを追放して初めて和平が成立するということになっていた。

クリントン前大統領と同様、ブッシュは失敗した。大統領執務室をバラク・オバマ大統領に譲った時、パレスティナの民主政治体制も和平もパレスティナ国家も存在しなかった。クリントンとブッシュは、中東に対するアプローチがまったく異なる2つの政権にもかかわらず、中東の政治的・社会的変革という共通の野心的目標を共有していた。

イラクの変革であれ、いわゆるフリーダム・アジェンダによる民主政体の推進であれ、パレスティナ国家建設の努力であれ、中東においてアメリカは失敗を繰り返していると認識していながら、オバマもドナルド・トランプ大統領もバイデンもそのことを念頭に置いていなかった。新しい中東を社会工学的に設計したいという願望を持っていた。バイデンの場合、彼はイスラエル人とパレスティナ人を交渉させ、和平協定に署名させるための当時の国務長官ジョン・ケリーの奮闘を監督したが、二国家解決には悲観的な見方をした。バイデンの側近たちは就任直後、過去の政権の地域的野望は繰り返さないと明言した。

そして、2023年10月7日、ハマスによる約1200名のイスラエル人の残忍な殺害と、イスラエルによるガザ地区での徹底的な破壊を伴う軍事的対応が始まった。トーマス・フリードマンによれば、イスラエルとハマスの戦争が続き、ほとんどがパレスティナの民間人である死体が積み重なる中、バイデンは中東で成し遂げたいこと、つまり、石油の自由な流れを確保すること、イスラエルの安全保障に対する脅威を防ぐ手助けをすること、中国を出し抜くこと、は、再び外部から中東の変化を促すような新しく野心的なアメリカのドクトリンなしには実現しそうにないという結論に達したということだ。

公平を期すなら、イランがワシントンとの新たな関係を望んでいないことをホワイトハウスが理解したことは好ましい進展だ。また、サウジアラビアとの防衛協定は、中国との世界的な競争という点では理にかなっている。しかし、パレスティナの国家建設にアメリカが多額の投資をすることは、以前の取り組みのように失敗に終わる可能性が高い。

確かに、今回は違いがある。10月7日以降、専門家たちが何度も繰り返してきたように、戦争は新たな外交の機会を開く。しかし、イスラエルとパレスティナという2つの国家が並んで平和に暮らすことで、現在の危機から脱するチャンスが訪れると信じる理由はほとんど存在しない。

バイデンと彼のティームは、二国家解決を追求するしかないと感じているかもしれないが、自分たちが何をしようとしているのかを自覚すべきである。今回のイスラエル・パレスティナ紛争は、アイデンティティ、歴史的記憶、ナショナリズムといった、とげとげしい、しかししばしばよく理解されていない概念に縛られている。

イスラエル人とパレスティナ人の闘争には宗教的な側面もある。特にハマスとメシアニック・ユダヤ人グループ(messianic Jewish groups)は、ヨルダン川と地中海の間の土地を神聖化している。パレスティナの政治指導者たち(ハマスもパレスティナ自治政府も)は、ユダヤ教とパレスティナの歴史的つながりを日常的に否定している。これらの問題から生まれる対立的な物語は、バイデン政権が現在思い描いているような共存には向いていない。

そして、イスラエルとパレスティナの社会における残忍な政治が、長年にわたる当事者間の膠着状態を助長してきた。ガザを中心としたイスラエルとハマスの闘争は、イスラエル人がパレスティナ人の和平のための最低限の要求(完全な主権を持つ独立国家[a fully sovereign independent state]、エルサレムに首都設置[a capital in Jerusalem]、難民の帰還[a return of refugees])を受け入れることをより困難にする可能性が高い。同様に、パレスティナ人は、自分たちの鏡像であるイスラエルの最低限の和平要求に同意することはできないだろう。 イスラエル人が求めているのは、エルサレムをイスラエルの分割されていない永遠の首都とすること、1967年6月4日に引かれた線を越えて領土が広がる国家とすること、そしてパレスティナ難民を帰還させないことである。

新しいアイデアを失い、ガザ戦争で世界の競争相手である中国に立場を譲ることを懸念し、若い有権者たちからの支持の喪失を懸念しているバイデンとそのティームは、和平プロセスにしがみついているが、失敗に終わった事業であり、過去30年間で、今ほど、これ以上成功する見込みはない時期は存在しなかった。

ある意味、大統領を責めるのは難しい。和平プロセスの努力をしていれば安全なのだ。大統領の党内にはそれを支持する政治的支持がある。彼は努力したと言うことができる。中東を変革しようとするこの最新の動きが、おそらく何年にもわたる交渉の結論の出ない交渉の末にパレスティナ国家を生み出せなかった時、バイデンはとうに大統領職を終えていることだろう。

その代わりにアメリカは何をすべきか? これはとても難しい問題だ。それは、この問題が、解決不可能な紛争を解決するためのアメリカの力の限界を認識するように、特にアメリカの政策立案者、連邦議会議員、そしてワシントン内部(the Beltway、ベルトウェイ)の政策コミュニティに求めているからだ。

それでも、アメリカにできる重要なことは存在する。それは、イランがこれ以上地域の混乱を招くのを防がなければならないということだ。ワシントンは、既に起こっている地域統合の後退を食い止めるために努力しなければならない。そしてアメリカの指導者たちは、イスラエル人に対し、なぜイスラエルを支持する政治が変わりつつあるのかを説明することができる。ある意味では、これはイスラエル人とパレスティナ人の間の和平について、より利益をもたらす環境作りに役立つだろうが、それが実現し、実際に利益をもたらす保証はない。

2001年のある出来事を思い出す。イスラエルのアリエル・シャロン首相との記者会見で、コリン・パウエル米国務長官(当時)は「アメリカは当事者たち以上に和平を望むことはできない(The United States cannot want peace more than the parties themselves)」と発言した。これこそがバイデン大統領が陥っている罠なのである。

※スティーヴン・A・クック:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、米外交評議会中東・アフリカ研究部門エニ・エンリコ・マテイ記念上級研究員。最新作『野心の終焉:中東におけるアメリカの過去、現在、未来(The End of Ambition: America’s Past, Present, and Future in the Middle East)』が2024年6月に発刊予定。ツイッターアカウント:@stevenacook

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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