古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ジョン・ボルトン

 古村治彦です。
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ジョン・ボルトン回顧録 (仮)

 大変古い記事であるが、重要な記事をご紹介する。これは2018年に『イスラエル・ロビー』の共著者であるハーヴァード大学のスティーヴン・M・ウォルト教授が書いた記事だ。アメリカ外交政策エスタブリッシュメントはネオコンと人道的介入主義派で占められており、ネオコンのジョン・ボルトンはその主流派の一人である。そして、これら主流派の人々は自分たちの主張が実現されてもたらされた悲惨な結果について反省をしない、そして再び政権に入ることで失敗を繰り返す。これがアメリカの構造的な欠陥だとウォルトは書いている。

 そして、ネオコンと人道的介入主義派をまとめて「チェイニー主義」と名付けている。そして、チェイニー主義がアメリカの構造的な欠陥だと喝破している。チェイニー主義をウォルト教授は次のように描写している。

(貼り付けはじめ)

チェイニー主義とは、「脅威を増幅し、真剣な外交を拒絶し、同盟諸国を負担だと考え、国際機関を軽蔑し、アメリカは強力であり、他国に最後通牒を突き付け、他国が従うことを期待しているものと私は定義している。より言えば、外交政策に関わるより多くの問題を何かを吹き飛ばすことで問題を解決することができると信じることを言うのだ。

(貼り付け終わり)

 トランプ大統領は外交政策エスタブリッシュメント、主流派をこき下ろしていた。しかし、それでもそうした人物たちを起用しなければならない時もある。それでも行き過ぎれば、解任してきた。だから、北朝鮮との戦争は起きなかったし、中国とも決定的な決裂には至っていない。その点でドナルド・トランプ大統領は極めて優秀だ。ヒラリー・クリントンが大統領になっていたら世界は悲惨なことになっていただろう。本格的な戦争と新型コロナウイルス感染拡大が同時並行的に起きていたらアメリカはもたなかっただろう。

 問題はジョー・バイデンもヒラリーとあまり変わらないということだ。彼の政権も「チェイニー政権(チェイニー主義政権)」になってしまう可能性は大きい。下の記事にも名前が出てくるスーザン・ライスが副大統領になればそれは極めて危険なことだ。

(貼り付けはじめ)

ディック・チェイニー政権へようこそ(Welcome to the Dick Cheney Administration

―ジョン・ボルトンに関する問題は彼が少数派の過激な人物(extremist)だということではない、問題は彼が主流派(mainstream)であることだ。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2018年3月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/03/23/welcome-to-the-dick-cheney-administration/

もう片方の靴が落ちた。トランプ大統領はレックス・ティラーソン国務長官をツイッター上でのツイート一つで解任するという臆病な手段を取った。この時同時に、ドナルド・トランプは大統領国家安全保障問題担当補佐官のHR・マクマスターを解任し、後任にジョン・ボルトンを選んだ。ボルトンは元米国国連大使で強硬派として知られた人物だ。超タカ派(Uber-hawk)のマイク・ポンぺオはCIA長官であるが、国務長官に就任することになった。そして、CIAに忠誠を誓うジーナ・ハスペルがポンぺオの後任に決まった。ハスペルは、ジョージ・W・ブッシュ政権時に拷問施設を運営し、CIAが行っていたことを記録したヴィデオテープの破棄に同意した。こんな恐ろしいことが他にあるだろうか?

これらの出来事はトランプ政権内の混乱に対する2つの重要な反応だと考えられる。一つ目の解釈としては、今回の人事交代はトランプの政権内から「大人たち」を排除する動きというものだ。大人たちは過去1年間、ツイッター最高司令官(tweeter-in-chief)を何とか制御しようとしてきた。そうした人々を、トランプと同じように世界を見て、「トランプをトランプ」らしく行動させる人々に交代させたのである。こうした見方からすると、新しいティームは、トランプ大統領を制御しようとはせず、2016年の時のトランプに戻そうとするだろう。この時のトランプは、アメリカの外交政策は「完全に隅から隅まで厄災である」と主張し、「アメリカ・ファースト」の実現を訴えた。トランプ大統領自身は、自分で望ましい人物たちを集めてティームを作ると訴えることで、こうした考えを強調してきた。(これは一つの大きな疑問を生起させる。それは、誰が最初のティームの構成員を選んだのか?二番目のティームは?その答えは明白だ)

二つ目の解釈はより人々の警戒心を強め、皆さんの家の裏庭に防空壕を掘らせるようにさせるくらいのものだ。この解釈では、ティラーソンとマクマスターの更迭とボルトン、ポンぺオ、ハスペルの起用はタカ派が力を持つことになることを示す。この人々は、イランの核開発をめぐる合意を破棄し、拷問を復活させ、北朝鮮との戦争を始めるだろう。これはただの「強硬な姿勢」を超えたものだ。ホワイトハウスにボルトンが入ることで戦争を嫌なものだと考えたことがない人物からトランプ大統領は助言を受けることになる。(戦争を嫌なものだと考えないのはもちろん彼が安全な距離まで離れているからだ)

明確にしておきたい。ボルトンはこれまでトランプ大統領が行った選択肢のほとんどと同じもので、厄災となるであろうものだ。ボルトンの外交政策について考え方は原理主義的で、好戦的なものだ。政策の主導者、そして専門家としてのボルトンの経歴はどんなに良く言っても、信頼に足るものではない。ボルトンは自分の過去の誤りから学んでいるようには見えない。そして、マクマスターとティラーソンは、アメリカの国際的な評判と重要な同盟関係に対して、トランプ大統領が与えた損害を何とか限定的にしようと努力したが、ボルトンの外交官としての技能はアメリカの友人たちを攻撃するための新たな方法を見つけることになるだろうと思われる。

しかし、ボルトンの起用は2016年の大統領選挙の段階のトランプの考えに戻るということではないのだ。トランプは選挙期間中に外交政策に関する専門家たちやエスタブリッシュメント全体を攻撃した。トランプはこうした人々は無能で、無責任、アメリカを意味のない戦争に引きずり込むと主張した。しかし、大統領に就任して以来、トランプ大統領は国防予算を増額し、アフガニスタンの米軍を増強し、国防総省とわがままなアメリカの同盟諸国がより多くの場所でより強力な軍隊を使用することを許可し(その結果は失望)、外交政策により軍事偏重の姿勢を取ることでハイリスクな選択をした。これは、ビル・クリントン、ブッシュ(子)、バラク・オバマの各政権で失敗したやり方だ。ボルトンの起用(トランプの外の人事異動と同様)は、「アメリカ・ファースト」に向けた大胆な動きということではない。「アメリカ・ファースト」という言葉は、アメリカの海外での負担を削減し、アメリカの戦略的位置を改善し、アメリカ国民をより安全により豊かにするためのより堅実なそしてより抑制された外交政策を意味するはずだ。

その代り、トランプが知っていたかどうかは分からないが、ボルトン、ポンぺオ、ハスペルを最重要の地位に就けたのは、「チェイニー主義(Cheneyism)」への逆戻りなのである。チェイニー主義とは、「脅威を増幅し、真剣な外交を拒絶し、同盟諸国を負担だと考え、国際機関を軽蔑し、アメリカは強力であり、他国に最後通牒を突き付け、他国が従うことを期待しているものと私は定義している。より言えば、外交政策に関わるより多くの問題を何かを吹き飛ばすことで問題を解決することができると信じることを言うのだ。

いいですか皆さん、チェイニー主義は、アメリカがそれを採用した最後の機会できちんと機能しましたか?トランプ大統領のような洗練された外交政策の専門家は再びチェイニー主義を採用したいと望んでいるのは間違いないところだ。

従って、ボルトン起用の真のレッスンはボルトン自身のことではなく、アメリカの外交政策エスタブリッシュメントについてである。より微妙な地位に野蛮な急進派の人物を就けることの危険性についてこれから数週間、心のこもったそして怒りに満ちた評論を多く読むことになることは間違いない。しかし、単純な事実としては、アメリカの外交政策共同体の中で変わった人物ではないということだ。トランプが左派からメディア・ベンジャミンを、右派からランド・ポールを起用することとは違う。もしくは、チャールズ・W・フリーマン・ジュニアやアンドリュー・バセヴィッチのような経験豊富なそして知識豊富な逆張り主義者を起用することも違う。そうではなくて、ボルトンはタカ派の考えを持っているが、ワシントンにおいて「受け入れ可能な」コンセンサスの中に入っているのである。

ボルトンの考えや経歴を見てみよう。彼はイェール大学とイェール大学法科大学院の卒業生だ。彼はワシントンDCにある著名な法律事務所コンヴィントン・アンド。バーリングで働いた。この事務所ではディーン・アチソンも働いていたことがある。ボルンとは長年、保守系ではあるが主流のアメリカン・エンタープライズ研究所で上級研究員を務めている。彼は曖昧な、粗雑で野蛮な、「急進的な」文章を数多く発表している。その中には『ウォールストリート・ジャーナル』紙、『ニューヨーク・タイムズ』紙、そして『フォーリン・ポリシー』誌も含まれている。ここまで見て、あなたが考える「おかしな」人物にボルトンは当てはまるだろうか?

確かに、ボルトンはイラク戦争を声高に支持していた。しかし、そのことで彼を狂人(weirdo)だと考える人はほとんどいない。確かにボルトンはイラク戦争を声高に支持した。しかし、しかし、だからと言って奇人変人という訳ではない。ボルトンも指摘しているように、そのほか多くの人々も同様であった。ヒラリー・クリントン、ジョー・バイデン、ジェイムズ・スタインバーグ、アン=マリー・スローター、スーザン・ライス、ロバート・ゲイツなどなど数多くの「尊敬すべき」人物たちがイラク戦争に賛成した。これらの人物たち以外にもイラク戦争という厄災を夢見て実現させた天才たちのことも忘れてはいけない。ウイリアム・クリストル、ジェイムズ・ウールジー、ロバート・ケイガン、ブレット・スティーヴンス、マックス・ブート、エリオット・コーエン、デイヴィッド・フラム、ポール・ウォルフォヴィッツなどは今でも外交政策エスタブリッシュメントの中では尊敬を集めている。しかし、こうした人々は、悲惨な戦争を始め、多くの人々を死に至らしめたことについて、自分たちの誤りを認めず、公の場で後悔の念を示したこともない。

トランプ大統領と同様、ボルトンはイランと北朝鮮に対して特に懸念を持っているように見える。しかし、連邦議員の多くとワシントンDCにあるシンクタンクの多くもまた同様である。実際のところ、現在のイランとの核開発をめぐる合意を強く支持している人々は多くいるが、こうした人々はアメリカ政府がイラン政府に対してより強硬な姿勢を取るべきだと考えている。北朝鮮に対して軍事行動を取ることを提案しているワシントンDCにいる人間はボルトンだけではない。結局のところ、ボルトンの前任者である、更迭されたマクマスターが北朝鮮に対する厳しい姿勢を取ることを主張していた。

ボルトンはイスラム教嫌いで知られており、かつ国際機関に対して極めて懐疑的だ。しかし、こうしたことはアメリカの外交政策分野において特殊という訳ではない。彼は軍事力の行使を特に好む傾向があるように見える。しかし、外交政策分野での高名な知識人たちの中で軍事力行使に反対し、それに反対する態度を取りそのように発言する人たちの数はどれほどいるだろうか?私はそのような人物は極めて少ないと言わざるを得ない。それは、ワシントン(アメリカ政府)でトップの仕事に就きたいと狙っているような人物で「ソフトだ」と見られることを望むような人は一人もいない。シリアのバシャール・アル・アサド政権に対して戦略的に見て全く無意味な巡航ミサイル攻撃をトランプ大統領が許可した時、どれだけの数の民主党所属の政治家と共和党所属の政治家が彼に向って拍手を送ったかを読者の皆さんは覚えておられるだろうか?この単純な事実によって次のことを説明することができる。アメリカは10か国以上の国々で様々な種類の戦争を行ってきているが、終わりを想定することなしにまた反対しにくい形で始めている。ボルトンは外交政策共同体のコンセンサスの内部にいる、声が大きいメンバーであるに過ぎない。

誤解しないでもらいたい。私は今回のボルトンの起用を「正常なこと」であると位置づけ、心配するなと述べているのではない。そうではなく、もしボルトンについて懸念を持っているならば、次の疑問を自分自身に問いかけてみるべきだ。それは「政府高官の地位にボルトンのような考えを持つ人物が就くことを許すような政治システムはどのようなものか?」というものだ。このシステムは、この人物を政府高官の地位に就けて、アメリカを悲惨な戦争に駆り立てながら、自身の失敗に対する後悔を示すこともなく、更に次の10年も同じことをより熱を持って主張する。同じ間違いを犯すために2回目のチャンスを得ることができる。

これはただただ最悪なのだ。しかし本当の問題はボルトンではない。本当の問題は、彼のような人物を何度も失敗させて、何度も引き上げてくれるシステムの存在だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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ジョン・ボルトン回顧録 (仮)
 ドナルド・トランプ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンの回顧録“
The Room Where It Happened”の日本語版は9月に発売される。アメリカでは既に中身の一部が報道され、議論を呼んでいる。トランプ政権側は「国家安全保障上の機密をばらすもの」として批判しているし、トランプ政権を批判する側は「これらの内容は本来は大統領弾劾手続きの時に議会で証言すべきものだったのに、金儲けのために証言を拒んだ」と批判している。

 内容はトランプ大統領が「危なっかしいど素人」で「無能」な人間で、汚い言葉である「頭の先までクソが詰まっている」人物であるということが事細かに書かれている。

ボルトンは、自身のカウンターパートである、谷内正太郎(やちしょうたろう、1944年-)国家安全保障局長・内閣特別顧問とよく会っている。それらのことを正確に記述しているので、本書は2016年以降の安倍政権下での日米関係史の資料ということになる。

特に北朝鮮との非核化をめぐる首脳会談の時期ということもあり、谷内は日本側の懸念をボルトンに伝えている。また、在日米軍の駐留コストの負担増額についても話をしている。また、安倍晋三首相のイラン訪問の前後、谷内はボルトンに対して、安倍首相のイランでの会談で話すべきポイントについても伝えている。ボルトンは、日本は同じ非核化という問題について、北朝鮮に対しては強硬姿勢(現実的な脅威として)、イランに対しては柔軟姿勢(石油のことがあるから)を取っているとしている。

 訳書は脚注や索引を入れれば700ページ近くになるのではないかと思う。それでも何があったのかを知るには興味深い一冊となるだろう。

(貼り付けはじめ)

ボルトンの暴露によってトランプは嘲りの対象に(Bolton exposé makes Trump figure of mockery

ナイオール・スタンジ筆

2020年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/503287-the-memo-bolton-expose-makes-trump-figure-of-mockery

ジョン・ボルトンにとって、トランプ大統領に対する最も効果的な武器は単純だが、荒々しいものである。それは嘲りだ。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は水曜日午後、前国家安全保障問題担当大統領補佐官の最新刊の内容に詳しく報じた。その他のメディアもすぐにそれに続いた。最新刊の内容に関する詳細な紹介によってすぐに論争が起きた。

ボルトンの説明によると、ある時、トランプ大統領はフィンランドがロシアの一部なのかどうかを質問したことあったそうだ。トランプ大統領はイギリスが核兵器を保有していることを知らなかった。トランプ大統領は、エルトン・ジョンのCD「ロケットマン」にエルトン・ジョンのサインをつけたものを北朝鮮の指導者金正恩に送りつけたいと熱望していた。

トランプ大統領はあまりにも無謀で向こう見ずなので、国務長官だったレックス・ティラーソンと国防長官を務めたジェイムズ・マティスの後見が必要なほどだった、とボルトンは述べている。ボルトンはティラーソンとマティスについて、「大人の枢軸(the axis of adults)」と呼んだとされている。

ボルトンはトランプ大統領を馬鹿者と評したが、これは政治的に言えば、より鋭利なダーツの矢ということになるだろう。この言葉は、ウクライナをめぐる対応をはじめとする弾劾に値するトランプ大統領のその他の行動に対する深刻な批判よりも、政治的に見れば厳しいものとなるだろう。

多くの人々の注意を引きそうなエピソードとして、レックス・ティラーソンの次の国務長官となったマイク・ポンぺオと会談を持った際、ポンぺオはボルトンにある走り書きをしたメモを渡した。そこにはトランプ大統領について、「彼は頭の先まで糞が詰まった奴だ(He is so full of shit)」と書かれていた。

この発言は、かつてのトランプ政権内部にいた人々によって使われ、もしくは暴露される嘲りの山に新しい要素を一つ加えるだけに過ぎない。

ティラーソンはトランプ大統領を「くそったれの馬鹿野郎」と呼んだと言われている。ボブ・ウッドワードの著書『恐怖』では、法律家のジョン・ダウドはトランプ大統領を「くそったれの嘘つき野郎」と考えていたとし、元大統領首席補佐官ジョン・ケリーはトランプ大統領を「愚か者」だと見なしていた、と書かれている。ダウドとケリーはこのような描写を事実ではないと否定している。

トランプ政権内部や外部の支持者たちは、ボルトンの本の信憑性を貶めようと大変な努力をしている。これは、こうした人々がボルトンの本がもたらす危険性について認識していることを示すサインである。

ボルトンの本の出版前審査は論争を巻き起こしている。国家安全保障会議は内容のいくつかの変更を求めている。それは表向き国家安全保障を理由にしている。

ボルトンの弁護士チャック・クーパーは先週、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説を掲載した。その中でクーパーは、「こうした動きは国家安全保障を口実にしてボルトン市を検閲しようという明白な試み」だと主張した。

火曜日、司法省は著作についてボルトンに対して民事訴訟を提起した。本のタイトルは『それが起きたその部屋』だ。訴訟提起過程で、司法省は本に対して大いなる宣伝をすることになってしまった。6月23日に発売されることになっているが、水曜日午後の時点で、アマゾンでベストセラーランキング第1位にランク付けされている。

勿論のことだが、ボルトンは反トランプ「ルネサンス」にとっての英雄ではない。タカ派の外交政策専門家であるボルトンが最初に全国的な注目を集めたのは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領政権の時代だ。ボルトンはイラク戦争を主導した。

2005年、ブッシュ大統領(当時)がボルトンを米国国連大使に指名した時、連邦上院から人事承認を得られなかった。そこで連邦議会休会中に任命するということになった。

ボルトンがトランプ政権に参加したのは2018年4月からだったが、北朝鮮、イラン。アフガニスタンといった諸問題について、とランプ大統領よりも、より強硬なアプローチを好んだ。

2人の姿勢の違いは、9月になって決定的な争いへとつながった。ボルトンは、自分は辞任したのだと述べたが、トランプ大統領は、ボルトンを更迭したと述べた。

トランプの後援者たちはボルトンが本を書いた同期について疑義を呈することで、ボルトンの重要性を低めようとしている。「アメリカを再び偉大に(MAGA)」陣営とリベラル派が合意している点というのは大変に珍しいケースである。

民主党員の多くとその他のトランプへの批判者たちはボルトンを攻撃している。批判者たちは、ボルトンが今年初めの大統領弾劾の時期に証言を抵抗したが、それは本で金儲けをするためだった。一説にはボルトンは本の出版契約の段階で200万ドル(約2億①000万円)を手にしたと言われている。

ジム・ジョーダン連邦下院議員(オハイオ州選出、共和党)は連邦議員の中でも特にトランプを強力に支持している人物だ。ジョーダン議員は水曜日、ボルトンには「嫌らしい下心」を持っていると嘲った、とCNNの記者はツイートで報じた。

2016年大統領選挙でトランプ陣営に参加したジェイソン・ミラーは、2020年の選挙でも上級顧問として参加している。ミラーはハッシュタグ「#BookDealBolton」を使おうと呼びかけ、ボルトンは「アメリカの国家安全保障よりも本を売ることにしか関心を持っていない」と述べた。

ワシントンの共和党関係者たちも嫌悪感を示している。

過去の共和党の政権に参加したある人物は、ボルトンの本の詳細が表に出始めた先週本紙の取材に対して、元国家安全保障問題担当大統領補佐官ボルトンは「復讐」と「政権内部のゴシップ晴らし」をしたいだけだと述べた。

こうした見方への支持は、連邦下院情報・諜報委員会委員長アダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)からも出ている。シフ議員は大統領弾劾手続きを進めた人物だ。

シフは、ボルトンが議会での証言に抵抗したことと、ボルトンのスタッフたちが証言に応じた「勇気」と対照させた。

シフは「ボルトンは作家ではあるかもしれないが、愛国者では断じてない」と批判した。

いずれにせよ、ボルトンに対する批判のいくつかはトランプ大統領への弾劾の時期に生まれた疑問をまた抱かせる。

大統領に対する弾劾はウクライナ問題に集中した。トランプ大統領は東ヨーロッパに対する米連邦議会が決めた援助についてそれを行うためにはジョーバイデンに対する捜査を行うように求めたのは明らかだ。しかし、ボルトンは同様の試みが中国に対して行われていたと主張している。

ボルトンは2019年6月のG20サミットについて書いている。この会議の席上、トランプは中国国家主席習近平に対して、2020年の大統領選挙で勝利できるように助けて欲しいと依頼した、としている。

『ワシントン・ポスト』紙によると、ボルトンは次のように書いている。「トランプ大統領は、選挙の結果において、農民の重要性と中国が大豆と小麦の購入量を増加することの重要性を強調した。私はトランプ大統領の発した言葉を正確に転載しようとしたが、政府による出版前の審査プロセスはそれを許可しなかった」。

多くのメディアはこの問題を中心に報道することになるだろう。

しかし、こうした描写への関心が高まっている中で、ボルトンの「トランプ大統領はど素人であり、無能力」という描写が人々の記憶に最も刻まれる点となるだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 先日、ドナルド・トランプ大統領によって解任されたジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の後任にロバート・オブライエン(Robert O'Brien、1966年―)が決まった。ロバート・オブライエンは弁護士で、アメリカ政府高官として外交分野での経験も長い人物だ。また、アメリカ軍の法務関係で神奈川県の座間にある在日米陸軍司令部に勤務したこともある。民間で弁護士をしている時代も、共和党系の半官半民の組織である国際共和研究所(IRI)の代表として、2013年には中央アジアの国ジョージアの大統領選挙、2014年にはウクライナの議会選挙の監視団に参加した。

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 2005年には当時のジョージ・W・ブッシュ大統領によって、国連総会の米国代表に任命され、総会に参加した。その頃、国連大使を務めていたのは、オブライエンの前任者となるジョン・ボルトンだった。その後はブッシュ政権からオバマ政権にかけてアフガニスタンの司法制度の構築に参加した。2018年からは人質問題担当の特使を務めていた。

 下の『ワシントン・ポスト』紙の記事では、ロバート・オブライエンの古くからの友人が、彼はネオコンとは違う、古いタイプの保守派で、トランプ大統領の「アイソレーショニスト(アメリカ国内優先主義)」に沿った助言や説得をできると絶賛している。現在、アメリカ外交は、イランとの緊張の高まり、北朝鮮との交渉が先行き不透明、ヴェネズエラ問題に対する対処の失敗などの問題を抱えている。また、アメリカの力と存在感の減退によって世界各地域が不安定となっている。現在の日韓関係の悪化もその流れにある。

 ロバート・オブライエンはロナルド・レーガン元大統領の「強さを通じた平和」という考えを一貫して持っているようだ。これは軍事力増強に多額の予算を投入しつつ、軍事力の行使には消極的ということである。アメリカ軍の強大さと巨大さを誇示することで、反抗する意図を挫くということだ。これだとトランプ大統領の意向に沿う形になる。

 トランプ大統領はアメリカ海軍の増強を主張していて、オブライエンもその同調者(navalist、海軍増強主義者)だそうだ。これはアメリカの貿易ルートを守るためということもあるだろう。現在、太平洋や東シナ海、南シナ海をめぐっては米中の間で綱引きが行われている。中国は西太平洋までを実質的に自分たちのコントロールする海にしたい。アメリカ海軍はハワイまで引け、ということになる。アメリカはそうさせじとなり、日本をますます強く握りしめる。東南アジア諸国や太平洋島しょ諸国はその間をうまく立ち回ろうとしている。 

日本に近いところでは、「第一列島線(First Island Chain)」と「第二列島線(Second Island Chain)」をめぐる綱引きが起きている。この2つの線は中国封じ込めの線となっているが、中国はこの2つの線の内側を自分がコントロールする海にしたいと考え、アメリカはそれを阻止しようとしている。日本はその間で絶妙な位置にいる。

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 ロバート・オブライエンはネオコンであった前任者の失敗を繰り返すことはしないだろう。戦争に結びつくような動きはしないだろう。トランプ大統領とオブライエン新補佐官の認識は、米軍の再建が必要だということだ。これは現在の米軍は弱体化しており、世界の諸問題に対処するにあたり、米軍の弱体化はアメリカの力と存在感の減退を招いているので、まずは米軍の再建だということになる。米軍の増強には公共事業の拡大という側面もある。

 (貼り付けはじめ)

 

トランプが次の国家安全保障問題担当大統領補佐官にロバート・オブライエンを指名(Trump names Robert O'Brien as next national security adviser

 ブレット・サミュエルズ筆

2019年9月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/461910-trump-names-robert-obrien-as-next-national-security-adviser

ロサンゼルス発。トランプ大統領は水曜日、現在トランプ政権の人質問題担当特使を務めているロバート・オブライエン(Robert O'Brien)を国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命する意向だと発表した。

トランプ大統領は「私は長い間、ロバートと共に懸命に仕事をしてきた。彼は素晴らしい仕事をしてくれるだろう」とツイッター上に書き込んだ。

トランプ大統領は先週、ジョン・ボルトンを解任した。ボルトンの後任にオブライエンが就くことになった。ボルトンは北朝鮮問題とヴェネズエラ問題に対する政権の姿勢に同調することが出来なかった、とトランプ大統領は批判した。

 国家安全保障問題担当大統領補佐官に関しては連邦上院の人事承認を必要としない。

オブライエンはトランプ政権発足後の3年弱で4人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官となる。彼の前任者たちは、マイケル・フリン、HR・マクマスター、ボルトンだ。
オブライエンはトランプ大統領が直面している様々な困難に対処するという難しい役割を担うことになった。イランと緊張関係の深刻化、北朝鮮の非核化について交渉が頓挫している状況、ヴェネズエラの状況の悪化など他の様々な国際問題に対処しなければならない。

 オブライエンは自分の考えに固執していきすぎることなく、トランプ大統領に助言を行うことが出来るに違いない。これはオブライエンよりもタカ派のボルトンには全くできなかったことだ。

 トランプ大統領は水曜日の午後にサンディエゴで開催される資金集めイヴェントに出席するために大統領専用機エアフォース・ワンに搭乗した。途中立ち寄ったロサンゼルスで、トランプ大統領はオブライエンを伴って姿を現した。その後、再びエアフォース・ワンに搭乗してサンディエゴに向かった。トランプ大統領は途中で立ち寄ったロサンゼルスで、記者団に対して、おぶらいえんを「素晴らしい人物」と称賛し、トランプ政権下で、本国に戻ることが出来たアメリカ国民の人質の記録を示し、業績を強調した。

トランプ大統領は記者団に対して次のように語った。「オブライエンとはしばらくの間一緒に働いたが、私たちは大きな成果を上げた。私たちは多くのアメリカ人を故郷に連れ帰ったが、身代金は全く支払っていない」。

オブライエンは国家安全保障問題担当大統領補佐官という新たな役割を果たすことを楽しみにしていると述べ、トランプ政権はこれまで多くの外交上の勝利を収めてきたが、これから多くの困難も待ち受けていることは認識しているとも語った。

オブライエンは次のように述べている。「トランプ大統領に仕えることは光栄なことで、強さを通じての平和が、大統領の残りの任期である1年半続くことを望む。トランプ大東慮の指導力の下、アメリカは多くの外交政策上の成功を収めてきた。私はこれがこれ化も続くことを期待している」。

オブライエンは続けて次のように語った。「私たちは多くの困難に直面してきた。しかし、ポンぺオ国務長官、エスパー国防長官、ミュニーシン財務長官といった人々が構成する素晴らしいティームで対処してきた。私はこのティームと一緒に働けることを楽しみにしている。そして、大統領と共にアメリカを安全にするために努力する。また、軍を再建し、強硬な姿勢を通じての平和を私たちに取り戻す(get us back to a peace through strength posture)」。

オブライエンは2018年に国務省の人質担当の首席交渉者となった。彼は海外で拘束されているアメリカ国民の解放のために働いた。オブライエンはラッパーのA$APロッキー がスウェーデンで拘束され、その釈放手続き期間中にスウェーデンまで赴いた。トランプ大統領はスウェーデン政府に対して暴行事件で逮捕されたA$APロッキーの解放を求めた。

オブライエンは長年にわたり外交分野で働いてきた。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は2005年の国連総会の米国代表にオブライエンを指名した。また、ブッシュ(子)政権とオバマ政権で、アフガニスタンの司法システム構築のために、米国人の裁判官、検察官、弁護士を訓練するための国務省プロジェクトの共同委員長を務めた。

火曜日、トランプ大統領はカリフォルニア州での資金集めイヴェントへと向かう大統領専用機エアフォース・ワンの中で記者団に、国家安全保障問題担当大統領補佐官の候補者として考えている人物たちのリストを伝えた。

オブライエンの名前は、前任の国家安全保障問題担当大統領副補佐官(国家安全保障問題担当大統領補佐官はHR・マクマスター)リッキー・ワデル、エネルギー省高官リサ・ゴードン=ハガティ、元CIA分析官フレッド・フライツ、マイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官辞任を受けて代理を務めたキース・ケロッグ陸軍中将が掲載されたリストの中に入っていた。

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トランプ大統領は、彼自身と国家が必要とする国家安全保障問題担当大統領補佐官を正確に選択した(Trump chose exactly the national security adviser he and the country need

 ヒュー・ヒューイット筆

2019年9月19日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/2019/09/19/trump-chose-exactly-national-security-adviser-he-country-need/

トランプ大統領は水曜日に新しい国家安全保障問題担当大統領補佐官について素晴らしい選択を行った。ロバート・C・オブライエンは2018年5月以来、トランプ政権の人質問題担当特使を務めてきた。彼はトランプ大統領就任以降に20名以上のアメリカ国民を祖国に連れ帰ることに貢献してきた。

オブライエンの有能さはトランプ大統領の関心と重点政策に合致してきた。しかし、それだけで彼が国家安全保障問題担当大統領補佐官に選ばれた理由ではない。マイク・ポンぺオ国務長官はオブライエンの重要な役職への昇進を支持した。国家安全保障問題分野で活躍してきたヴェテランたちは「レーガン流の強さを通しての平和」を目指す保守派(“Reagan peace through strength” conservatives)」に属してきた。このグループは、ロナルド・レーガン政権のキャスパー・W・ワインバーガー国防長官とジョージ・P・シュルツ国務長官にまで連なる。こうしたネオコンとは違う保守派は、国家安全保障問題担当大統領補佐官の仕事をよく理解している。彼らはリチャード・M・ニクソン大統領時代のヘンリー・キッシンジャーが国家安全保障問題担当大統領補佐官の仕事の内容を激変させたことを知っている。

私とオブライエンは親密な友人同士であることはここで書いておかねばならない。2つの法律事務所でパートナーを務めた仲だ。また、10年以上前から私が司会を務めるラジオ番組のゲストとして何度も来てくれた。また、私が国家安全保障分野に関するエッセイやコラムを書く際にも協力してくれた。私は昨年の夏に法律の実務から引退したが、チャップマン大学ファウラー記念法科大学院で教えることは続けている。私は2016年にオブライエンが出版した書籍『アメリカが眠っていた間に:危機に直面する世界に対してアメリカの指導力を再構築する』の推薦文を書いた。私以外にも多くの人々が今回の決定を称賛しているが、皆似たような内容の話をしている。これまでに、オブライエンは、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)、前ウィスコンシン州知事スコット・ウォーカー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)に助言をしてきた。連邦下院少数党院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とは長年の友人であり、マッカーシー以外にもカリフォルニア政界や国家安全保障分野に多くの友人を持つ。

今回のオブライエンの抜擢という選択を行うにあたり、トランプ大統領は、オブライエンの大統領自身とポンぺオ国務長官とうまく仕事をやっていく確立された能力だけでなく、海外や国内の法廷で複雑な訴訟で様々な依頼人の代理人を務めてきた技術を注目した。トランプ大統領が選択を行うにあたり、素晴らしい能力と誠実さを持つ人物を選ぶ必要があった。様々な事実と選択肢をまとめて大統領に説明し、大統領執務室にいない同盟諸国とアメリカ政府の高官たちを代弁して大統領を説得できる人物が必要であった。その人物こそがオブライエンだ。彼は複数の法律事務所を運営した経験を持つ。大規模な法律事務所では経営陣はエゴの塊で、野心と仕事が絡み合い、競い合う場所である。

オブライエンは様々な分野の書籍を読み、ウィンストン・チャーチルを尊敬している。オブライエンは「海軍増強主義者(navalist)」として知られている。トランプ大統領が提唱する「355隻」体制の海軍の賛同者たちは、ホワイトハウス中枢ウエストウィングに新たに友人を持つことになる。オブライエンは、トランプ大統領は艦隊の拡大を志向していることを人々に思い出させることが期待されている。私はオブライエンと一緒に船舶のエンジン・ドライブの製造工場を訪問したことがあった。私はオブライエンが工業レヴェルの現実と海軍のトップの意向をよく分かっている。

オブライエンは危機の真っただ中にある国々、アフガニスタン、ウクライナ。ジョージアを選挙監視団や外交官として訪問してきた。ジョージ・W・ブッシュ政権下、国連の米国代表部でジョン・ボルトンと一緒に仕事をした経験も持つ。最近では、外国の政府や組織に誤って拘束されたアメリカ国民の解放のためにトランプ大統領の代理として世界中を飛び回った。トランプ大統領はアメリカ国民を祖国に連れ帰るということに重点を置いており、それがオブライエンの情熱の源になった。拘束されたアメリカ国民の家族は新しい国家安全保障問題担当大統領補佐官はトランプ大統領とポンぺオ国務長官の人質奪還の強力な意向を共有していることを分かっている。最近のアメリカの外交史において、人質奪還がこれほど熱心に行われたことはなかった。オブライエンはアメリカ国民を海外で拘束しても何の得もしないと示しながら人質を解放することに成功した。

トランプ大統領はアメリカ軍の再建と現場の陸軍兵、海軍兵、空軍兵、海兵隊員の装備を最高で最強の兵器にすると主張している。オブライエンがこれまでに発表した著作や記事を概観すると、彼がこれまで長い間同じことを訴えてきたことが分かる。オブライエンはロナルド・レーガン大統領の前に立った。レーガン大統領と同様、トランプ大統領は外国の揉め事にすぐに介入することはない。トランプ大統領は国家安全保障問題について「ネオコンサヴァティヴ」ではなく、古いタイプの保守だ。自分が仕える人物の意向を受けて、オブライエンは、真剣で経験豊富なこれまでの国家安全保障専門家たちのラインに連なり、古典的な補佐官となる。

オブライエンは前任者たちとは違ってこれまで有名ではなく、国家安全保障分野では若手の間では知られている。彼はこれまでの20年間、国家安全保障分野の若手たちを教えてきた。国家安全保障分野、そして軍事分野には次世代にも受け継がれる一つの伝統が存在する。

トランプ大統領は政権の政策を実行するために有能で、公正な、そして知性のある補佐官を選択した。世界各地で緊張が高まる中で、これはアメリカに対する信頼を構築する選択となる。

(貼り付け終わり)

 (終わり)

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決定版 属国 日本論
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 古村治彦です。

 

 2019年9月10日にドナルド・トランプ大統領は国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンの退任(解任)を発表しました。「これ以上ホワイトハウスで働いてもらう必要はない」(トランプ大統領のツイッターから)ということで、相当に関係がこじれていたことが推察されます。これに対して、ボルトンはやはりツイッター上で、「自分から辞任を申し出て、トランプ大統領は明日話そうと言った」と書いています。自分から辞めてやったんだと言っています。自発的な辞任でも解任でも結果は変わらない訳ですが。

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ボルトン
 

 ネオコンの代表格であるジョン・ボルトンがトランプ政権入りというのは、2017年の政権発足前後にもそうした噂話があり、後には実際にその話が進んでいたということが明らかになったことは、このブログでもご紹介しました。「アメリカ・ファースト(アメリカ国内問題解決優先)」「アイソレーショニズム(自国優先主義)」のトランプ大統領が、ボルトンを国家安全保障問題担当大統領補佐官に起用するとなった時には、どうしてそんな人事なんだろうか、トランプ大統領のイスラエル重視姿勢のためだろうかと不思議でした。

 

 ボルトンは対イラン強硬姿勢ではトランプ大統領と合意して順調だったようですが、その後は衝突が多かったそうです。また、マイク・ポンぺオ国務長官とも多くの機会で衝突したそうで、そのことはポンぺオ長官も認めています。普通、記者会見という公の場で、国務長官と国家安全保障問題担当大統領補佐官が衝突したなどということを国務長官が認めるということはないのですが、ポンぺオとしてはトランプの寵愛は俺の方にあった、という勝利宣言だったのでしょう。


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ポンぺオ
 

 ボルトンが属するネオコンは、世界の非民主国家に対して介入して、国家体制を転覆させ、民主政治体制にする、そして世界の全ての国家が民主国家になれば戦争はなくなるという、世界革命論的な主張をしています。この主張と姿勢は世界各国を共産主義国にするとした旧ソ連と同じです。民主政治体制を至高の存在と考えるという点では宗教的と言えるでしょう。しかし、ネオコンはアメリカにとって便利な存在である中東産油国や中央アジア諸国の王国や独裁国家を転覆させようとはしません。この点でダブルスタンダードであり、二枚舌なのです。

 

 ボルトン解任前、2019年9月7日にトランプ大統領はタリバンの代表者をアメリカに招き、キャンプ・デイヴィッドで会談を持つという計画の中止を発表しました。この中止の数日後の11日にはボルトン解任が起きました。そして、14日には、イエメンの反政府勢力ホーシー派(フーシ派)がサウジアラビアの石油製造施設2か所を10機のドローンで攻撃し、石油生産量が半減する事態となりました。ホーシー派はイランが支援しているということです。「イランの方向から飛んできた」という報道もありますが、サウジアラビアの東側から物体が飛んでくればイランのある方角から飛んできたということになりますから、これはイランが関連しているテロ攻撃だということを印象付けたいということなのでしょう。南側から飛んでくればイエメンからということになりますが、攻撃機はどこから飛んできたのかということもはっきりしません。

 

 中東の地図を見ると、イランとサウジアラビアはかなり離れており、イランからドローンが10期も出撃したとは考えられません。イエメンであれば紅海を超えるだけですから、攻撃は可能でしょう。しかし、今のところ、どこからドローンが出撃したかということは分かっていません。また、イランが絡んでいるということはアメリカやサウジの主張であって決定的な証拠がある訳ではありません。

 

 いくつかのシナリオが考えられます。ボルトン解任を軸に考えると、親イスラエル・サウジアラビアのボルトンが政権から去ることで、両国の存在感が低下し、アメリカの中東からの撤退が進むという懸念があり、そのために両国が自作自演をやったということが考えられます。また、トランプ大統領がボルトンを解任したということは、アメリカは世界で警察官をやるつもりはない、軍事行動をとる元気はないと判断して、イランがホーシー派に支援してやらせた、もしくはイランの背後にいる中国がやらせた、ということも考えられます。

 

 イエメンの対岸にあるアフリカの角、紅海とアデン湾をつなぐ位置にジブチがあり、昔から要衝となっています。ここには中国人民解放軍の海外基地があることもあって、いろいろなシナリオが考えられます(ここからホーシー派にドローン攻撃機が供給されたなど)。もちろん確たる証拠が出るまではシナリオを考えるだけにして、決めつけや自分勝手な思い込みは慎まねばなりませんが。

 

 話があちこちに飛んでしまって申し訳ありません。ボルトン解任は状況に対して影響を与えるということはあると考えているうちに、話が飛んでしまいました。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプによるジョン・ボルトン解任についての5つのポイント(Five takeaways on Trump's ouster of John Bolton

 

ブレット・サミュエルズ、オリヴィア・ビーヴァーズ筆

2019年9月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/460815-five-takeaways-on-trumps-ouster-of-john-bolton

 

火曜日、トランプ大統領はジョン・ボルトンが国家安全保障問題担当大統領補佐官から退任すると発表した。外交政策分野における重要な諸問題にどのように対処すべきかについてトランプ大統領とボルトンとの間で不同意があったとトランプ大統領は述べた。

 

トランプ大統領はツイッター上でボルトンの退任を大々的に発表した。その後、衝撃がワシントン全体に広がった。

 

これからボルトンの退任についての5つのポイントについて述べる。

 

(1)トランプ政権内の混乱(カオス)状態は新たな展開を見せる(Trump chaos takes another turn

 

ボルトンが解任されたことにより、トランプは3年間で4人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官を探すことになった。これによって、トランプ大統領が重大な国家安全保障上の諸問題に対処する際に、大統領の上級顧問たちの間で不安定さが出てくるのではないかという懸念が再び大きくなっている。

 

ボルトンの退任は、トランプ大統領がキャンプ・デイヴィッドでタリバンと会談を持つ予定だったが中止にしたという衝撃的なニュースが報じられた後に起きた。タリバンはオサマ・ビン・ラディンを匿ったアフガニスタンのテログループだ。

 

トランプ大統領はアフガニスタンからの米軍撤退を行おうとし、タリバンの代表とアメリカ国内で会談を持つことにボルトンは反対したということは明確だ。ペンス副大統領は明確に大統領を支持しているが、ボルトンはそうではなかった。

 

トランプ政権の幹部たちは、タカ派のボルトンの退任は大きな出来事である、もしくは無秩序を増大させる、という考えを完全に否定した。

 

火曜日の記者会見で、スティーヴン・ミュニーシン財務長官は「そんなことは全くない。そんなバカな質問はこれまで聞いたことがない」と述べた。

 

しかし、ここ数か月の間、トランプ大統領は国土安全保障長官、国家情報長官、ボルトンを解任した。現在の国防長官は就任してからまだ数週間しか経っていない。

 

民主党は、政権内の人事の頻繁な交代と争いはこれからどうなるか分からないとし、トランプ大統領の政敵たちは大統領を攻撃するためにボルトン隊員のニュースを利用するだろうと強調している。

 

(2)ポンぺオの力が大きくなる(Pompeo's strength grows

 

ボルトンの退任はマイク・ポンぺオ国務長官のトランプ大統領に対する影響力を更に強めることになる。

 

ポンぺオとボルトンは数々の問題で衝突した。火曜日、国務長官は記者会見で記者たちに対して衝突があったことを認めた。

 

トランプ政権が発足してすぐからトランプ大統領に仕えた閣僚は数が少なくなっているが、ポンぺオはその中の一人だ(訳者註:CIA長官から国務長官へ横滑り)。ポンぺオはトランプ大統領に忠実な代理人で、イラン、北朝鮮、アフガニスタン、中央アメリカに関連した諸問題についての大統領のメッセージを伝えてきた。

 

ボルトンはイランと北朝鮮との交渉を複雑化させた。イラン外相ムハマンド・ジャヴァド・ザリフはボルトンをトランプ政権の「Bティーム」のメンバーだと揶揄し、北朝鮮政府幹部たちは数度の非核化交渉の中で彼を「好戦的な戦争屋」を非難した。

 

火曜日の午後の記者会見に同席する予定であったボルトンの退任に驚いたかと質問され、ポンぺオはニヤリとした。

 

ポンぺオ国務長官は「大変に驚いた。この問題だけのことではないが」と述べた。

 

(3)奇妙な結婚関係が終焉(Strange marriage ends

 

トランプ大統領は2018年3月にボルトンを国家安全保障問題担当大統領補佐官に起用した。前任のH・R・マクマスターよりもタカ派の人物としての起用となった。

 

ボルトンはテレビ出演時にトランプ大統領の考えを強力に擁護してきた。そして、大統領のイランとの核開発をめぐる合意からの離脱という希望に賛成していたようだ。

 

トランプ大統領とボルトンは重要ないくつかの問題、特にイラン問題について合意していたようだ。ボルトンを起用してから6週間後にトランプ大統領はオバマ政権下で結ばれた核開発をめぐる合意から離脱した。そして、トランプ政権は離脱直後からイランに対する経済制裁を科してイラン政府を攻撃した。

 

しかし、おかしくみえることもあった。トランプ大統領は元々ボルトンを起用することにためらっていた、それは彼が口ひげを生やしていたこと、そしてボルトンはジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ両政権下で働いたことが理由であった。トランプ大統領は自身の幹部となるアドヴァイザーを起用する際にそのような前歴があると怒りをぶちまけていた。

 

ここ数か月でボルトンのトランプ大統領に対する影響力は消えていた。そして、公の場での大統領からの叱責が続いた。

 

この数か月、トランプ大統領はボルトンのイランに対する強硬姿勢から少しずつ離れていった。トランプ大統領はイランの指導者たちと前提条件なしで直接話をしたいと述べ、イランと軍事上で関与することに躊躇している。

 

ボルトン退任の決定打となったのは恐らく、911事件の記念日の前にタリバンをキャンプ・デイヴィッドに招いて交渉を行うというトランプの考えに反対したと報じられたが、このことがきっかけであっただろう。

 

ホワイトハウスのホーガン・ギドリー副報道官はフォックスニュースに出演し、「トランプ大統領は周囲の人々に自分の考えに反対してもらいたい、それで自分の前で議論をして欲しいと望んでいる。しかし、最終的に政策を決定するのは大統領だ」と述べた。

 

(4)共和党は再び説明を放棄した(GOP left explaining once again

 

トランプ大統領が人々を驚かせることをやる度に、連邦議会共和党はそれに対する反応を求められる。火曜日の発表もその例外ではない。

 

複数の共和党の連邦議員たちは、レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ各政権で働いたボルトンがトランプ政権から去ることを残念だと述べた。

 

連邦上院外交委員会の委員ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)は次のように述べた。「ボルトンは天邪鬼であることは事実だが、それは彼にとってプラスであっても、マイナスではない。彼が政権から去るという報に接し、大変残念だ。私は彼の退任は政権と国家にとって大きな損失である」。

 

しかし、他の人々はタカ派のボルトンの退任を歓迎した。こうした人々は、ボルトンがアメリカを更なる戦争に導くだろうという恐怖感を持っていた。

 

連邦下院の中でトランプ大統領の盟友となっているマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)は本誌の取材に対して次のように答えた。「私はボルトンの退任を歓迎したい。それは、ボルトンの世界観が反映されにくくなることで、世界における平和のチャンスが大きくなるだろうと考えるからだ」。

 

共和党の政治家のほとんどは当たらず触らずの態度で、トランプ大統領は自分自身で適切な人物を補佐官に選ぶべきだと述べるにとどまった。

 

(5)ボルトンは口を閉ざしたままではないだろう(Bolton may not go quietly

 

トランプ大統領がボルトン解任を発表してから数分後に、ボルトン自身が衝撃を与えた。彼はトランプ大統領の説明に対して反論を行い、人々を驚かせた。

 

トランプ大統領はツイッター上で、「私は昨晩、ジョン・ボルトンに対してホワイトハウスで働いてもらうことはこれ以上必要ではないと通知した。火曜日の朝にボルトンの辞任を受け入れた」と書いた。

 

ボルトンはトランプ大統領の発表から10分後にツイートをし、「私は昨晩辞任を申し出て、トランプ大統領は“そのことについては明日話そう”と言った」と書いた。

 

ボルトンは複数の記者たちに対して、退任はボルトン自身の決断だったと伝えている。

 

ホワイトハウスの幹部職員たちは記者たちに対して火曜日の朝にボルトンが辞任したことを認めるだろうが、ボルトン退任の詳細について記者たちと話すことはないだろう。

 

ボルトンは自分の主張を明らかにする場所と立場を維持している。彼は以前にはフォックスニュースでコメンテイターをしていた。彼は政界で信頼を得られるだけの経歴を持ち、自身の退任について自己弁護する連絡を記者たちに行ったことで明らかなように、ワシントンのメディアに幅広い人脈を持つ。

 

トランプ大統領がこれからの数日もしくは数週間の間に、ボルトンに対する批判を続けると、ボルトンはトランプ大統領の話と自分の話の食い違いについて批判や説明を行うことで反撃することになるだろう。ボルトンが自身の主張を続けることがホワイトハウスにとっては頭痛の種となるであろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領がジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任しました。ボルトンは自分から辞任したと述べていますが、実質的には更迭、馘首です。

 

 現在、ホワイトハウスの国家安全保障担当ティームで、国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官が空席になっています。国家情報長官はアメリカ政府の各情報機関を統括します。ダン・コーツ国家情報長官は2019年8月15日に辞任しました。国家安全保障問題担当大統領補佐官はトランプ政権発足3年間で3名が辞任しました。

 

 国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官の後任についての予測記事をご紹介します。国家安全保障問題担当大統領補佐官の候補者としてリチャード・グレネル(Richard Grenell、1966年―、52歳)です。現在は駐ドイツ米国大使を務めています。


richardgrenelldonaldtrump001
グレネルとトランプ大統領

 

 グレネルはハーヴァード大学行政学大学院修了後に、複数の共和党の連邦議員のスタッフを務めました。そして、ジョージ・W・ブッシュ政権下の2001年から2008年にかけて、国連の米国代表部の報道官を務めました。この時に2005年から国連大使を務めたジョン・ボルトンの知己を得ました。その後はメディア関係のコンサルタントを務めながら、保守系メディアに出演してきました。2017年にトランプ大統領はグレネルを駐ドイツ米国大使に任命しました。

 

 記事にある通り、グレネルは強硬姿勢でドイツに対してアメリカの要望を次々と押し付けることに成功しており、その剛腕ぶりが評価されて国家安全保障問題担当大統領補佐官起用があるのではないかと言われています。アメリカの利益をイデオロギーよりも優先させることが出来る人物でもあるということも起用の理由となるということです。

 

 マイク・ポンぺオ国務長官はブライアン・フック(Brian Hook、1968年―、51歳)を推すだろうということです。フックは現在イラン担当特使を務めています。フックはコンサルタントを務めた後、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務次官補を務めました。2012年の大統領選挙で共和党候補となったミット・ロムニーの外交顧問を務めました。2017年から1年ほどは国務省政策企画本部長(Director of Policy Planning)を務めました。政策企画本部長は重要ポストであり、これを務めた人物は後により重要な職位に就くことが多いです。フックは介入主義的な考えを持っており、そのために2016年の段階でトランプ大統領を批判したということで、国家安全保障問題担当大統領補佐官起用の可能性は低いのではないかと言われています。


brianhook001
 
フック

 

国家情報長官の候補者としてピート・ホークストラ(Pete Hoekstra、1953年―、65歳)の名前が挙がっています。ホークストラはミシガン州第2選挙区で9期連続当選(1993―2011年)しました。連邦下院議員時代には情報・諜報分野の専門家で、連邦下院情報・諜報委員下院の委員長を務め、民主、共和両党から尊敬を集めていたということです。連邦下院議員引退後は、ヘリテージ財団の研究員を務めました。そして、自身のルーツもオランダということもあり、トランプ大統領からオランダ大使に任命されました。オランダ大使となった後に、反イスラム発言で謝罪に追い込まれました。


petehoekstradonaldtrump001
ホークストラとトランプ大統領

 

 こうした人物たちが国家安全保障ティームに参加することになっても、これまでと何か大きく変わるのだろうかということがはなはだ疑問です。ボルトンと基本的な考えがあまり変わらない人たちのようですから、大きく変わらないだろうと思います。ただ、アジアよりもヨーロッパや中東に強い人たちのようですから、アジア、特に中国に対しての敵対的姿勢は弱まるのではないかと思います。トランプ大統領は中国を宥めるためにボルトンを切ったということになるでしょうが、後任の人たちを見ると、イランには引き続き強硬姿勢ということになるでしょう。

 

 それではイランとアメリカが直接戦うかというとそうでもなくて、イスラエルとサウジラビアが呉越同舟の形でイランと戦うということになるのではないかと思います。サウジアラビアの石油製造施設がドローン攻撃で破壊されたということですが、イランのバックにはドローン技術を急速に発達させている中国がおり、支援するということになります。お互いにドローンを飛ばし合い、ミサイルを飛ばし合うということになるでしょう。

 

 アメリカにはそれを止める力があるとは思えません。こうして世界の秩序の再編成が始まっていくのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ボルトン退任後のトランプ政権の安全保障担当ティームに入るであろう2人の人物の名前(Two names who would give Trump an all-star security team after Bolton

 

ジョン・ソロモン筆

2019年9月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/460829-two-names-who-would-give-trump-an-all-star-security-team-after-bolton

 

トランプ大統領が好きであっても嫌いであってもどちらでもよい。ドナルド・トランプ大統領は外交政策に関して、自分自身が何を望んでいるのかを正確に分かっている。トランプ大統領は世界におけるアメリカの戦略的利益とは何かについての明確な定義と「戦争は常に最終手段なのだ」という主張を欲している。

 

トランプ大統領のこれら2つの目的に対する頑固なまでの信奉は時に、彼を批判する人々からはナショナリスティックでありまた非介入主義的だと嘲りを受けている。

 

しかし、一定年齢以上の人々であれば覚えているだろうが、これらの諸原理は長い間アメリカの外交政策の基盤となっていた。しかし、ビル・クリントンとバラク・オバマがイランに対する融和策の誘惑に負け、ジョージ・W・ブッシュがアメリカを容赦のない好戦的な世界の警察官としてしまったことで、これらの諸原理がアメリカ外交の基盤であった時代は終わった。

 

これまでの20年間のアメリカの外交政策は暗いものであった。そして、それぞれの国際的な問題におけるアメリカの国益の定義づけを行うことから、より人気取りな、好戦的なアプローチを採用することへと変化していった。これによってブッシュ大統領のイラクの大量破壊兵器に関して誤った主張やシリア国内の内戦に対して無責任な対応のような失敗が起きた。

 

火曜日、ジョン・ボルトンが国家安全保障問題担当大統領補佐官から退くことが発表された。トランプ大統領は外交政策におけるアメリカの戦略的な利益を再構築し、これから国際社会をリードしていくための明確な国際的なドクトリンを構成することが出来る、稀有な機会に恵まれることになった。

 

しかし、そのためには彼がこれまであまり成功してこなかったことをやらねばならない。それは適切な人物を選ぶことだ。

 

ネオコンのボルトンのような、メディアが注目する人物が適材ではない。また、ケリー、マクマスター、マティスのような制服組も適当ではない。また、ダン・コーツのようなエスタブリッシュメントとの妥協が政権内で最もうまく働くことになった。

 

大統領の政策ヴィジョンを共有し、少なくとも個人的なエゴを抑えて大統領の計画を実行することが出来る、決意、明快さ、能力を持つ人物を抜擢するべきだ。

 

新しく司法長官に任命されたウィリアム・バーは、ロシアの「通謀」事件の大失敗の後、一貫性のない司法省を掌握するにあたり、これまでとは異なるアプローチで成功した。マイク・ポンぺオ国務長官もまた前任のレックス・ティラーソンの外交上の失敗、ティラーソンの前歴をかけて言えば石油流出にうまく対処することができた。

 

トランプには2人の候補者がいる。両者ともに連邦上院で他の職位に既に承認されている。両者とも空席になった国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官に就任してその重要な役割を果たし、バーとポンぺオが行ったような立て直しを行うことが出来る。

 

1人目の候補者はリチャード・グレネルだ。グレネルは現在駐ドイツ米国大使を務めている。彼はヨーロッパ連合を率いている女傑アンジェラ・メルケルの世界における影響力を削ぐこと、アメリカの戦略上の勝利を次々とドイツから引き出すことに能力を発揮してきた。

 

ベルリンに赴任してすぐに、グレネルは重量級のボクサーのような破壊力のあるパンチを繰り出した。ニューヨークで長年にわたり暮らしていたナチスの強制労働収容所の看守を務めた95歳の男性の引き渡し問題で、ドイツ政府は腰が引けた姿勢を取っていたが、グレネルの強烈な働きかけで最終的にアメリカ側に対して引き渡しを要求させた。

 

これまでのアメリカの各政権は自分たちの仕事を成し遂げてきたと主張してきた。トランプとグレネルは成功を収めてきた。

 

グレネルは更に次のようなことを行った。

 

・無気力なNATOへの支出について条件をつけることでヨーロッパ各国の指導者たちを苛立たせたが、これはトランプ大統領の重要な戦略的な目的であった。

 

・ドイツ政府を説得し、アメリカからの液化天然ガス輸入のための新しい施設を建設させた。

 

・ドイツ政府に容赦なく圧力をかけノードストリーム2として知られるロシアからの新しい天然ガスパイプライン建設に抵抗させた。

 

・ドイツ政府に対して圧力をかけてドイツ国内にイラン航空の就航を差し止めさせることに成功した。

 

そして今週になってグレネルはトランプ大統領の権威を使って、ドイツ国内でヒズボラが活動することを禁止することに抵抗しているドイツに圧力をかけて、抵抗を軟化させた。

 

グレネルの業績リストを見ると、グレネルはトランプ大統領が望むものを達成することが出来ると証明されている。グレネルはそれを相手に条件を付けさせないで、豪腕で勝利を手にする。グレネルはトランプ大統領と同じくらいにツイッターを愛用しているが、これによって人々との自然で密接な関係を作り上げている。

 

ボルトンの弟子であるグレネルは師匠であるボルトンがある時にはまったく見せることがなかったある特性を持っている。それはイデオロギーよりも実践的な戦略的利益を優先する能力である。ボルトンも多くの機会にこの素晴らしい能力を見せたが、全くダメな時もあった。

 

私の取材源によれば、ボルトンは、ヴェネズエラの争乱が起きている時でもアメリカの石油・エネルギー企業は同地に留まるべきだという考えに強く反対した、ということだ。ボルトンにとってこれは譲れない線だった。しかし、トランプ政権内の国家安全保障担当ティームの構成員のほとんどにとっては、マドゥロ政権が崩壊するまでアメリカのビジネス利益を確保し続けることの重要性の方が優先されるべきであった。それはロシアと中国にヴェネズエラにおける戦略的な既得利益を横取りされないようにするためだった。

 

このような機会を見分ける能力が国家安全保障問題担当大統領補佐官にとって重要だ。

 

ポンぺオはトランプ大統領に対して自分と考えの近い仲間を国家安全保障問題担当大統領補佐官に就けて欲しいと強く要望する可能性がある。その代表格がイラン危機に関する特使を務めるブライアン・フックだ。ポンぺオの発言は常に重要視されるが、フックを補佐官に任命することは、トランプ大統領を批判してきた人物を信頼が必要な職位につけることになるが、これでは大統領がこれまで犯してきた複数の失敗をまた繰り返すことになるだろう。

 

フックはジョン・ヘイ・イニシアティヴ創設に貢献した。このグループは2012年の大統領選挙の候補者だったミット・ロムニー陣営の外交政策アドヴァイザーたちで結成された。ジョン・ヘイ・イニシアティヴは2016年、121名の保守陣営の指導者たちが署名をした重要な書簡を発表する際に、組織化に貢献した。書簡の中には、トランプ大統領はアメリカの安全を損なうことになるだろうと書かれていた。フック自身は書簡に署名しなかったが、彼はトランプ大統領に対しての批判を隠さなかった。

 

フックはイラン問題において素晴らしい仕事をしている。しかし、国家安全保障問題担当大統領補佐官よりも現在の職位に留まる方がより良い仕事が出来るだろう。なぜなら、フックは過去にトランプ大統領を批判しており、そのために国家安全保障問題担当大統領補佐官になっても人々を指揮するための権威を持てない可能性が高い。

 

グレネル同様、ヨーロッパの国の大使を務めている人物で空席となっている国家情報長官に就任すると言われている人物がいる。それは元連邦下院議員で現在は駐オランダ米国大使を務めているピーター・ホークストラである。

 

ダン・コーツはトランプ大統領と意思疎通が出来ていなかった。そして重要な透明性を確保する機会をことごとく逸した。そのためにロシア疑惑の捜査の際に問題が噴出した。その中には連邦議会による重要な事情聴取の機密解除という不手際も含まれている。

 

ホークストラは連邦下院議員時代に、連邦下院情報委員会の委員長として民主、共和党双方から尊敬を集めていた。彼は情報関連コミュニティに理解があり、トランプ大統領の信頼も大きい。ホークストラは物事を実行する際に常識を重視する中西部出身者特有の特徴を持っている。中西部出身者は個人的な栄光を求めない特性を持っている。

 

イラン、ヴェネズエラ、北朝鮮、ロシア、シリアやその他の国際問題に関して、トランプ大統領には、一つの方向に向かって進む、まとまった、能力の高い国家安全保障担当ティームが必要である。

 

トランプ大統領が2人の人物を適材適所で抜擢できると、問題となっている国に対するアメリカの利益を定義するためのトランプ・ドクトリンを固め、アメリカの軍事力を問題解決のための最終手段として取っておくことが出来るようになる。そうすることで、トランプ大統領は大統領選挙候補者時代の別の公約を実現することが出来るだろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 少し古い記事ですが、2回目の米朝首脳会談直前の首脳会談に関する分析記事をご紹介します。

hanoisummit007

 

 記事の内容は、トランプ政権内に北朝鮮に対する姿勢で2つの流れがあり、北朝鮮に対して融和姿勢を取る派(トランプ大統領とスティーヴン・ビーガン特別代表)と強硬姿勢を取る派(ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官やマイク・ポンぺオ国務長官)があり、強硬姿勢派が影響力を強めている、というものです。また、北朝鮮は本当に非核化を進める意図はないのだということも主張しています。核兵器を持ちつつ、経済発展の道を進む、ということが北朝鮮にとっては最善の道である、ということを述べています。

stephenbiegunkimyongchol005

 李英哲、マイク・ポンぺオ、スティーヴン・ビーガン

hanoisummit011
手前からジョン・ボルトン、ポンぺオ、トランプ

 「朝鮮半島の非核化(denuclearization of Korean Peninsula)」という言葉は、受け取り方でどうとでも解釈できるものです。このブログでも以前に書きましたが、朝鮮半島の非核化となると、多くの人々は、北朝鮮が核兵器を廃棄すること、と解釈します。しかし、この言葉は朝鮮半島であって、北朝鮮(North Korea)ではなく、朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People’s Republic of KoreaDPRK)の非核化とは書いていません。北朝鮮からすれば、自国が非核化するならば、韓国の非核化、韓国は核兵器を保有していませんから、韓国に対するアメリカの核の傘を取り去ること、これが朝鮮半島の非核化ということになります。こうなると、まず言葉の定義から問題になって、先に進むことが難しくなります。

 

 2回目の首脳会談はワーキングランチが取りやめになり、共同宣言が出ず、金正恩北朝鮮国務委員会委員長は不機嫌な態度で会場を後にしました。北朝鮮としては、アメリカから何かしらの譲歩があるのではないかと期待したところがあったのかもしれません。トランプ大統領は交渉を継続すると明言しましたが、それ以外に何の成果もありませんでした。決裂しなかったということが唯一の救いということになりました。

 

 下に紹介している記事は、首脳会談直前に発表されたものですが、この記事は今回の首脳会談の結果を言い当てています。そうなると、今回の首脳会談に関しては、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官とマイク・ポンぺオ国務長官の影響がかなり強く出ており、何も決めないで先送りするということになったのだろうと思います。ボルトンやポンぺオが北朝鮮に対して強硬姿勢を取ることをトランプ大統領に助言し、トランプ大統領がこのような意見が政権内にあり、かつ、国内問題で大変な時期なので、と金正恩委員長に説明し、金委員長もまぁしぶしぶ受け入れたというところではないかと思います。

 

 気になるのは、この首脳会談に前後して、スペインの首都マドリードにある北朝鮮大使館に賊が侵入し、一時館員を捕まえ、コンピューターなどを盗んだという事件、金正恩委員長の兄で、金委員長が殺害命令を出して殺害したと言われる金正男氏の長男金漢率(キムハンソル)氏を保護しているという団体「千里馬民間防衛(CCD)」が団体名を「自由朝鮮」と変更し、併せて朝鮮臨時政府発足を発表したという出来事です。

 

 こうした動きの裏にアメリカがいるのではないか、諜報戦、情報戦が水面下で激しく戦われているのではないかと思われます。CCD(自由朝鮮)の動きは北朝鮮政府にとって神経を逆なでされる出来事です。この裏にアメリカ、特にアメリカ政府内の高官、具体的にはジョン・ボルトンやマイク・ポンぺオがいるのではないかと私は考えています。

 

 シンガポールでの1回目の首脳会談で出された共同宣言が有効である以上、北朝鮮もアメリカもお互いに安全を保証する(攻撃をしない、ミサイルを飛ばさない)ということになりますが、この共同宣言を無効化するような動きが出てくると危険だと考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

本当の北朝鮮に関する頂上会談はトランプ政権内部で起きている(The Real North Korea Summit Is Inside the Trump Administration

―現在までに、北朝鮮が核交渉の中で提示したいと望んでいることは明らかになっている。アメリカはそれにどう対処するかについて疑問が出ている。

 

ジェフリー・ルイス筆

2019年2月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/02/26/the-real-north-korea-summit-is-inside-the-trump-administration/

 

一方の側にはアメリカ特使のスティーヴン・ビーガンと恐らく大統領自身が立っている。こうした人々は何十年も続いたアメリカの北朝鮮関与政策を退けたいと望んでいる。彼らの望む政策は、サンシャイン・ポリシー(太陽政策)と呼ばれるものの流れに沿っている。このアプローチは金大中から文在寅まで続く韓国の進歩主義派によって採用されてきた。考えは極めてシンプルだ。敵意をもって接すれば金正恩は核兵器に固執する。それは北風によって人々は来ているコートの襟を固く掴み、自分の片田に引き寄せるようなものだ。しかし、暖かい日の光が当たれば、人々はコートを脱ぎたいと思うようになる。太陽政策はこれと同じく、金正恩に核兵器を放棄させる、もしくは少なくとも近隣諸国に対しての敵意を放棄させるというものだ。

 

北風を代表しているのは、アメリカ政府の官僚たちの大部分ということになる。国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは特に北風を吹き付け続けることに熱意を持っているように見える。こうした政府高官たちはアメリカと北朝鮮との間の緊張を緩和するには、北朝鮮がまず武装を解くことが必要だという確信を持ち続けている。ボルトンに対して公平な評価をすると、この姿勢はこれまでの歴代政権が一貫して採用してきた考えであり、交渉における厳格さの度合いはそれぞれの政権で違いが存在した。

 

これまでの数週間、ハノイでの首脳会談に先立ち、北朝鮮の核兵器の放棄に向かってはほぼ進展はないのではないか、北朝鮮がどれほど強硬に要求をしてくるかということについて、アメリカ政府高官の大部分が懸念を持っている様子を伝える報道が多くなされた。『ポリティコ』誌は、アメリカ政府高官たちは「国際舞台で勝利宣言をしたいために、トランプ大統領は非核化の空約束と引き換えに大幅な譲歩を行うのではないか」と懸念している、と報じた。アメリカ側による譲歩が選択肢の中に入っているかどうかは明確ではない。しかし、朝鮮戦争は終了したという宣言、外交関係の構築、経済制裁の解除が行われる可能性は存在する。

 

情報のリークはビーガン特別代表にも向けられている。2019年2月25日、フォックスニュースのジョン・ロバーツはツイッター上で、「ある政権幹部はフォックスニュースに対して、ホワイトハウス、国務省、国防省、財務相、エネルギー省では、トランプ大統領が任命した対北朝鮮特別代表スティーヴン・ビーガンが北朝鮮との交渉で“彼に与えられた権限から大きく逸脱している”という懸念が存在している、と語った」と書いている。

 

ビーガンが彼に与えられた権限から大きく逸脱している。この表現は、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権の一年目に、1994年に結ばれた米朝合意が崩壊した時のことを思い出させるものだ。当時のコリン・パウエル国務長官は、ブッシュ大統領は、ビル・クリントンが放置した北朝鮮と対話を行うと公式の場で発言した。それに対しては反撃が起こり、パウエルはテレビ放送の中で、自身を否定する発言をしなければならなくなった。パウエルは、対話するかどうかは大統領自身が決定することで、その決定はまだなされていないと発表した。パウエルはCNNのアンドレア・コッペルに対して、「私は自分に与えられた権限から逸脱した」と述べた。それから2年もしないうちに、米朝合意の枠組みは無力化され、北朝鮮は核開発の道筋をたどり、2006年に初めての核実験を実施するまでになった。(ボルトンは、パウエルが恥をかいたことについて、回想録の中で大きな喜びを込めてわざわざ書き残している。)

 

こうした動きに私たちは驚いている。ボルトンと側近たちは北朝鮮政策では敗北を喫したので、中東での政策的な勝利に集中するのだろうと私たちの多くは考えていた。(イランが自滅するような動きはないだろうと私は考えている。)しかし、最近になってマスコミが報じているリーク情報から見るとボルトンは、北朝鮮との関与についてもう一つの方向に進めようと活発に動き回っていることが考えられる。そして、驚くべきことに、マイク・ポンペオ国務長官は、ビーガンに対して一切擁護していないように見える。

 

北朝鮮の非武装化がアメリカの関与の主要な目的だとするならば、トランプ大統領は側近たちにうまくあしらわれているということになる。ここで、ある一つのことを明確に理解することが重要だ。それは、北朝鮮は非武装化を提示してはいないということだ。北朝鮮は「朝鮮半島の非核化(denuclearization of the Korean Peninsula)」という特別な言葉を使用している。この言葉が意味するところは、北朝鮮が非核化するならば同程度にアメリカも非核化せよということなのだ。金正恩委員長が非核化について言及する際、彼の父親と祖父と同様に、彼の声明もまた大いなる希望を述べる内容になっている。これと対比すべきなのは、プラハでのバラク・オバマ大統領(当時)の演説だ。この演説でオバマは、核兵器が廃絶された平和と安全保障を目指すと訴えた。これについて、誰も、オバマ大統領に対する的外れな批判をするような人たちでも、アメリカだけが一方的に非核化を進めることなどないと考えるはずだ。

 

北朝鮮が現在提示しているのは、見せかけの非武装化のジェスチャーである。アメリカとの新しい関係を築きたいという見せかけのステップである。例えば、北朝鮮は核実験施設を閉鎖し、ロケットエンジンの実験施設を一部破壊し、寧辺の核施設の閉鎖を提案している。これらのステップでは、朝鮮人民軍に既に配備されている北朝鮮の核兵器の脅威を減少させることにつながらない。また、北朝鮮が核兵器と、アメリカにまで達する長距離ミサイル を製造し続けることを止めることも出来ない。

 

言い換えると、北朝鮮が要求しているのはイスラエルが享受している立場に似たものなのである。イスラエルが核兵器を保有していることは誰もが知っている。しかし、イスラエルは公式には核兵器の所有を認めていない。私の言い換えは完璧なものではない。私の同僚であるヴィパン・ナランはインドとの方がより正確な類似を示す比較となると考えている。しかし、基本的な考えは理解しやすいものだ。2017年の北朝鮮による一連の核実験とミサイル実験は、トランプ政権の神経を逆なでし、トランプ大統領個人に屈辱感を与えるものであった。朝鮮戦争の終結を宣言し、外交関係を樹立し、アメリカと国際社会による経済制裁を解除することの引き換えに、北朝鮮は国際社会とうまく付き合い、核実験やミサイル実験をすべて中止し、実験施設などを閉鎖することで北朝鮮が世界にとって良いニュースの主人公となりたいと北朝鮮は述べている。

 

私は、これは試してみる価値があると考えるが、このアプローチの限界について正直に目を向けねばならないとも思っている。結局のところ、これが意味するところは、金正恩が自身の統治を維持するために暴力的な政治手法を使うことを容認し、共存することに慣れるということなのだ。もし北朝鮮が思い通りに行動できないとなると、北朝鮮は多くの場合、挑発行為を行い、その結果としてアメリカや韓国の軍隊から犠牲者が出るということが続いてきたという酷い事実もまた存在する。40名以上の韓国海軍将兵が死亡した天安の撃沈事件から10年も経っていないのだ。この攻撃の主謀者が金英哲だったことは明白であり、この金英哲がアメリカを訪問し、ドナルド・トランプ大統領に対する親書を手渡したのだ。しかし、ここに明白な事実がある。北朝鮮は核兵器を保有している。これは、核抑止余力がいかに機能するかということを私たちに教えてくれている。サダム・フセインやムアンマール・カダフィがもし核兵器を保有していたら、両者ともにまだ健在だった可能性は極めて高い。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 メラニア・トランプ大統領夫人は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領のローラ夫人、バラク・オバマ前大統領のミシェル夫人に比べて影が薄い存在です。お子さんがまだ小さいので、子育てが忙しいということもあるとは思いますが、ローラ夫人やミシェル夫人に比べて表に出ることは少ないです。モデル出身なのでメディア映えするとは思いますが、英語が母国語ではないということもあって少し引っ込んでしまっているのだろうと思います。

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アフリカ訪問中のメラニア夫人
 

 そのメラニア夫人が公式に、ホワイトハウスの人事に対して口を出したということで、アメリカでは話題になっています。ミラ・リカーデル国家安全保障問題担当大統領次席補佐官への介入要求を大統領夫人オフィスが正式に声明として発表しました。大統領夫人がホワイトハウスの人事に関わることを公式に発表することは極めてまれなケースです。

 
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ミラ・リカーデル

 今回はこのことを報じる記事をご紹介します。記事では今回のメラニア夫人によるリカーデル解任要求の背景が紹介されています。ミラ・リカーデルについては、このブログでもご紹介したことがあります。

※本ブログで紹介した当該記事へはこちらからどうぞ。

 リカーデルはジョージ・W・ブッシュ政権で国防総省に勤務し、また、ボーイング社でも副会長を務めた人物です。行ってみれば、組織の中で偉くなっていった人物であって、そういう人物は手続きや規律にうるさいということは容易に想像できます。これに対して、トランプ政権にはそういうタイプの人物は少ないし、「官僚的な」人物との付き合いもこれまでなかったでしょうから、ワシントンに来て初めて一緒に仕事をすることになって戸惑っているでしょう。

 

 トランプやメラニア夫人、イヴァンカ、クシュナーは自分が言うことに反対する、拒否する人物が周囲にいないのでしょう。企業経営者として自分が一番上なのですから、そういう人物を遠ざけることは可能です。しかし、複雑なワシントンの構造の中では、組織をどう動かすかに長けている人物が必要で、何事もトップダウンという訳にはいきません。

 

 メラニア夫人のアフリカ訪問にあたり、夫人側が国家安全保障会議の持つ資料の提供を要求、これに対して、リカーデルが自分か他のスタッフが同行しないので、資料は渡せないと拒否したことが今回の解任要求声明発表の原因となったようです。

 

 大統領夫人には儀典や旅行などを担当するオフィスがあり、公的な存在ではありますが、もちろん行政に関与することはできません。昔のエレノア・ルーズヴェルトやヒラリー・クリントンのように実質的に行政に関与することになった夫人たちはいますが、それはあくまで夫である大統領のバックがあったからで、法的には何も力はありません。今回、このような声明を公式に出すということは極めて異例で、批判の対象となることはメラニア夫人側も分かっているでしょう。それでも敢えて出したということは、よほどのことがあるのだろうと思います。これ以上は推測の上に推測を重ねることになるので控えます。

 

 今回の出来事は極めてトランプ政権らしい話だと思います。ワシントンの「プロ」なら絶対にしないことが起きるというのは、アマチュアだという批判を招くことになりますが、ワシントンに染まっていないということも示しているからです。

 

(貼り付けはじめ)

 

メラニア・トランプがボルトンの次席リカーデルは更迭されるべきだと発言(Melania Trump Says Bolton Deputy Ricardel Should Be Ousted

 

ジェニファー・ジェイコブス、ジャスティン・シンク筆

2018年11月14日

『ブルームバーグ』誌

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-11-13/melania-trump-says-bolton-deputy-ricardel-should-be-ousted

 

・メディアの報道によると、大統領は政権内の人事交代を考慮中であるようだ。

・ニールセン国土安全保障長官は政権から去ると報じられている。

 

メラニア・トランプ大統領夫人は火曜日、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の次席であるミラ・リカーデルの更迭を要求した。この要求は、ドナルド・トランプ大統領が政権内の人事交代を近々行うという報道がなされる中で行われた。
 

メラニア・トランプ大統領夫人の報道担当官ステファニー・グリシャムは、大統領夫人がリカーデルの更迭を求めているのではないかという疑問に対する答えとして声明を発表し、その中で「大統領夫人オフィスの立場は、彼女(訳者註:ミラ・リカーデル)はホワイトハウスで勤務するという光栄にもはや値しない、というものだ」と述べた。

 

リカーデルはボルトン補佐官の次席を務めている。先月、メラニア夫人はアフリカを訪問した。その際、夫人側のスタッフとリカーデルが衝突した。リカーデルは、自分か他の国家安全保障会議(NSC)のスタッフが同行しない限り、NSCの持つ資料を渡すことはできないと強く主張した、とこの問題に詳しいある人物が匿名で証言した。

 

大統領夫人がウエストウイング(大統領執務室)の決定に関して公に介入することは極めて稀である。しかし、大統領夫人側のスタッフと大統領側のスタッフが衝突した際に、大統領側のスタッフが更迭されることは多く起きている。上級のスタッフでもこうしたことは起きている。1987年、ロナルド・レーガン大統領の首席補佐官ドナルド・リーガンはナンシー・レーガン大統領夫人と衝突した後に更迭された。

 

2000年には、独立委員会が、当時のヒラリー・クリントン大統領夫人が、夫ビル・クリントン大統領のホワイトハウスの旅行担当の複数のスタッフの更迭に関与したことについて、虚偽の証言を行ったと報告している。

 

アフリカ訪問中、メラニア夫人はABCニュースのインタヴューに応じた。その中で、夫人はトランプ大統領に対して、自分が信頼できない複数の人物が大統領の下で働いているとこれまでに進言したと述べた。彼女は「そうですね、中にはホワイトハウスで全く仕事をしていない人たちもいますね」と述べた。

 

NSCの報道担当官ガレット・マーキス、ホワイトハウスの報道担当官サラ・ハッカビー・サンダースは、グリシャムの声明に対するコメントの要求に応じなかった。リカーデルには連絡できなかった。火曜日の朝、リカーデルはホワイトハウスで行われたインドのヒンズー教のお祭りディーワーリーに出席した。ディーワーリーではトランプ大統領の演説も行われた。

 

メラニア・トランプ大統領夫人の声明を受けてすぐにリカーデルが解任されるとした『ぉーるストリート・ジャーナル』紙の報道について、あるホワイトハウスの高官は強く否定した。別の高官は午後4時時点でリカーデルはホワイトハウス内にとどまっていると述べた。

 

ボルトンは今年4月にそれまで商務省に勤務していたリカーデルを次席補佐官に抜擢した。リカーデルはジョージ・W・ブッシュ元大統領時代に国防総省に勤務していた。

 

トランプ政権内の複数の高官によると、ボルトンはリカーデルを評価しているが、ホワイトハウスのスタッフの間では嫌われているということだ。リカーデルは融通が利かず、手続きに拘泥する人物と評価され、リカーデルのせいでNSCと他の省庁との間の強力が難しくなっていると不満を表明する政府高官も少なからず存在する。

 

●ニールセンも更迭の危機

 

グリシャムの声明が発表されたがこれは、ドナルド・トランプ大統領が政権内の人事交代を大幅に行うことを考慮中だと複数のメディアが報じている中での出来事となった。人事交代の対象には、国土安全保障長官キルステン・ニールセンも含まれている。先週水曜日に『ワシントン・ポスト』紙が最初にニールセンの更迭を報じた。トランプ大統領はアメリカ南部国境における移民「危機」と呼ぶ状況に対してのニールセンの対応に不満を持っていると報じられた。

 

ワシントン・ポスト紙の報道に対して、国土安全保障省報道官テイラー・ホウルトンは声明の中で次のように述べた。「長官は国土安全保障省に勤務する人々を率いる光栄を与えられ、全ての脅威からアメリカ国民を守るという大統領の安全保障政策を実施するために尽力している。そしてこれからも尽力を続ける」。

アメリカ南部国境を越える不法越境者の数が急増していることについて、ニールセンは強い非難を受けている。国土安全保障省は、今年10月だけで5万1000人が不法に国境を越えたとして逮捕された、そのうちの2万3000人以上が家族だと発表した。2017年10月に比べて、逮捕された不法越境者の数は2倍となり、同行する家族の数は4倍上に増加した。

 

ニールセンは首席大統領補佐官ジョン・ケリーと近い関係にあり、ニールセンの国土安全保障長官就任を進めたのはケリーであった。ケリーは、トランプが再選を目指す2020年の大統領選挙まで首席補佐官を務めると発言しているが、ニールセンの更迭はケリーの更迭を誘発する可能性を秘めている。

 

トランプが、先週の中間選挙後の夜の集会でマイク・ペンス副大統領の首席補佐官ニック・エイヤーズと話しているところを2人の人物が目撃している。この目撃証言から、エイヤーズがケリーの後任となるという噂がトランプの側近たちの間で広まることになった。

 

ペンスの側近たちはこうした噂を否定している。エイヤーズは今週の副大統領のアジア訪問に同行していない。ペンス副大統領はトランプ大統領のシンガポールとパプアニューギニア訪問には同行する予定となっている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 日本時間の昨日夜、アメリカのドナルド・トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長・朝鮮人民共和国国務委員長に書簡を送り、6月12日にシンガポールで開催予定だった米朝首脳会談を中止すると通告しました。私は最初、「延期なのかな」とのんきに考えていましたが、「postpone(延期)ではなく、cancel(中止)である」と分かり、驚きました。延期ならば、現在までの準備と枠組みで開催される可能性は残りますが、中止となると、これは米朝首脳会談開催の可能性はほぼなくなったということになります。

 

 以下にトランプ大統領が金委員長に宛てた書簡の文面と拙訳、関連記事を貼り付けます。

 

 今年3月に韓国の大統領補佐官が平壌を訪問し、金委員長と会談し、その直後に補佐官がホワイトハウスを訪問し、米朝首脳会談開催提案をトランプ大統領に伝え、トランプ大統領が承諾してから事態は大きく動き始めました。金委員長は指導者となって初めての外遊として中国の北京を訪問し、習近平国家主席と会談しました。また、4月には南北首脳会談が開催され、融和ムードが一気に高まりました。

 

 しかし、5月に入って金委員長が中国の大連を訪問し、習近平国家主席と再び会談を持ってから、状況は変化し始め、5月中旬には北朝鮮が予定されていた南北閣僚級会談の中止を発表し、合わせて韓米合同の空軍演習を軍事的挑発行為だと非難し、米朝首脳会談開催を再考しなければならないと発表しました。

 

 それ以降も、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の発言やマイク・ペンス副大統領の発言に北朝鮮が不快感を表明し、米朝首脳会談の開催を再考するということが続き、ついに米朝首脳会談は、延期ではなく中止ということになりました。

 

 北朝鮮はボルトン補佐官の「リビア型」という言葉に非常に神経を尖らせていました。リビア型とは2003年に当時のリビアの指導者ムアンマール・カダフィ氏とアメリカで合意したもので、全ての核兵器やミサイル兵器を廃棄する代わりに経済援助を行うということでした。実際にリビアは経済援助や海外、特にイタリアからの投資もあり、経済的に順調になりました。しかし、2011年のアラブの春で、民主化運動が発生し、カダフィ氏は権力の座から追われ、最終的に殺害されました。また、リビアは不安定な状況に陥るということになりました。

 

 北朝鮮としては、核兵器を放棄することで経済援助を得られてもそれは一時的なことで、最終的にはアメリカの支援を受けた民主化運動によって体制転覆が行われるという恐れを持っているようです。そうなれば、現在の北朝鮮の支配階級やエリート階級の人々は、人々の恨みによる復讐の対象になって、生命の危機にさえ晒されることになりますから、核兵器を手放すということはなかなか難しいことです。ミャンマーの軍事政権はここのところでうまく退いたと思います。恐らく中国の助言を受け入れてさっと後ろに引いたということだと思います。アウンサン・スー・チー女史は政治運営・国家運営の大変さを実感していることでしょう。

 

 アメリカとしては、北朝鮮が韓国と中国を巻き込んでブロックを形成し、アメリカと対等と交渉しようとしたことに不快感を持っていたことでしょう。今週、韓国の文在寅大統領がホワイトハウスを訪問し、米韓首脳会談が行われました。その直後に会談の場に記者たちが招き入れられ、懇談会形式になったところで、トランプ大統領は文大統領が隣にいるのに、「米朝首脳会談がうまくいかない可能性が大いにある」と述べました。これでは文大統領の面目は丸潰れ、融和ムードを演出してきた韓国側に冷水を浴びせかけることになりました。

 

 また、トランプ大統領は金委員長が中国を訪問してから態度が変わったとわざわざ述べて不快感を表明しました。こうして、中朝韓のブロックに痛撃を与えて、あくまで主導権はアメリカにあるのだということを示しました。

 

 アメリカにとっては北朝鮮や韓国は問題ではなく、中国こそが朝鮮半島の非核化の重要な相手ということになります。日本も韓国も北朝鮮も当事者にはなり得ません。しかし、朝鮮日報の記事にあるように、韓国も日本もアメリカが北朝鮮攻撃をする場合にはお金を出させられるということです。これが従属国の悲しい現実です。日本のネトウヨと呼ばれる人々は、喜んで出せ、何なら少し寄付しようか、くらいに思っているでしょうか、何ともおめでたい人々です。

 

 そして、今回のトランプ大統領から金委員長宛てに出された書簡は慇懃無礼の典型例であり、挑発的でもあります。しかし、そもそもは「米朝首脳会談がうまくいかない可能性」について言及したのは北朝鮮です。「そう、そんなにいろいろと言うなら止めましょう」とアメリカが言う余地を与えてしまいました。

 

 この手紙で言いたいことは、「いつの日かあなたに会えることを楽しみにしています。その時には私は勝者、あなたは敗者として命乞いをしているでしょう」「全面的に降伏して、無条件で降伏する(核兵器とミサイルをアメリカが検証し監視できる状態で完全廃棄すること)気になったら会っても良いですよ」ということです。

 

 これはいわゆる最後通牒であり、日本人にとってなじみ深いもので例えれば、太平洋戦争開戦直前に、アメリカのコーデル・ハル国務長官が日本に発した「ハルノート」です。

 

 北朝鮮はこの書簡を受けて、しばらくアメリカに再考の時間を与えると反応しています。そう述べるしかないでしょう。頼みの中国に相談しているかもしれません。中国がアメリカとの関係を致命的なまでに悪化させてまで北朝鮮を擁護するのかどうかということになりますが、これは難しいでしょう。ロシアも同じです。「あなたたちは少し調子に乗りすぎてしまったんじゃないですか、こちらに頼られても困るんですよ」というのが中露の対応になるでしょう。

 

 「米朝首脳会談による朝鮮半島の非核化」という枠組み、スキームが消え去りました。残ったのは、「アメリカの国家安全保障上の脅威となっている北朝鮮の核兵器とミサイルの除去をどう行うか」ということです。北朝鮮が追い求めていた「核兵器を持つ大国として承認されて、この核兵器を取引材料にして、自国に有利な交渉を行い、合意を達成する」ということは現時点ではうまくいかないことになりました。アメリカは既に軍事行動を示唆するような動きを見せています。アメリカの北朝鮮に対する軍事行動を制止できるとすれば中国だけです。

 

ここで中国が「アメリカの参加する形での北朝鮮の核兵器とミサイルの完全廃棄を私の責任でやります。もし北朝鮮がそれを裏切って核兵器を何とか秘匿しようなどとしたら私たちがアメリカも承認する形と内容で懲罰します」と言えれば、アメリカは軍事行動をはしないでしょうが、これでは北朝鮮の全面降伏と一緒です。そして、中国は嫌な仕事を押し付けられることになります。

 

 融和ムードの中で見えなかった北朝鮮は追い詰められているという現実が顕わになってきました。この融和ムードを作った人々に現状の大きな責任があると私は考えます。楽観主義は私たちを殺す(Optimism kills us all)ということを改めて学ぶ機会となりました。

 

(貼り付けはじめ)

 

朝鮮民主主義人民共和国国務委員長

金正恩閣下

ピョンヤン

 

親愛なる委員長

 

私たちは、私たちとあなた方の両者が長い時間をかけて実現を追い求めた首脳会談に関連する私たちとあなた方の間で最近まで行った交渉や議論に対するあなたのかけた時間、忍耐、努力に大いに感謝いたします。首脳会談は6月12日にシンガポールで開催される予定になっていました。私たちは首脳会談を北朝鮮が求めていると知らされた立場です。しかし、私たちにとって知らされた側であるということは全くもって重要なことではありません。私はあなたと共にその場に立つことをとても楽しみにしていました。悲しいことですが、あなた方のごく最近の声明の中で示された多くの怒りと敵意を基に考えて、私は、この長い時間をかけて計画されてきた首脳会談を現時点で開催するのは不適当だと考えます。従いまして、本書簡をもちまして、両当事者の利益となるでありましょうが、世界にとって害悪となるであろうシンガポールでの首脳会談を開催しないことを表明いたします。あなたは核兵器についてお話になっています。しかしながら、私たちの持つ核兵器は巨大で強力なものであり、それらを使わないで済むことを神に祈ります。

 

私は、私とあなたとの間で素晴らしい対話がなされる準備が出来つつあると感じていました。究極的には私とあなたの対話こそが重要でありました。いつの日か、あなたにお目にかかれることを楽しみにしております。一方、私は人質を解放してくださったことに感謝をしたいと思います。彼らは現在家に戻り、家族と暮らしています。人質解放は美しい行動でありました。私はそのことに深く感謝いたします。

 

もしあなたが今回の重要な首脳会談と関連のあることで考えを変えたら、いつでも私宛てに電話や手紙をいただきたく存じます。世界は、そして特に北朝鮮は、平和の継続と大きな繁栄や富を得るための絶好の機会を失いました。今回の機会が失われたことは歴史上、真に悲しい瞬間となります。

 

敬具(心を込めて)

 

アメリカ合衆国大統領

ドナルド・J・トランプ

 

=====

 

His Excellency

Kim Jong Un

Chairman of the State Affairs Commission

of the Democratic People's Republic of Korea

Pyongyang

 

Dear Mr. Chairman:

 

We greatly appreciate your time, patience, and effort with respect to our recent negotiations and discussions relative to a summit long sought by both parties, which was scheduled to take place on June 12 in Singapore. We were informed that the meeting was requested by North Korea, but that to us is totally irrelevant. I was very much looking forward to being there with you. Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting. Therefore, please let this letter serve to represent that the Singapore summit, for the good of both parties, but to the detriment of the world, will not take place. You talk about nuclear capabilities, but ours are so massive and powerful that I pray to God they will never have to be used.

 

I felt a wonderful dialogue was building up between you and me, and ultimately, it is only that dialogue that matters. Some day, I look very much forward to meeting you. In the meantime, I want to thank you for the release of the hostages who are now home with their families. That was a beautiful gesture and was very much appreciated.

 

If you change your mind having to do with this most important summit, please do not hesitate to call me or write. The world, and North Korea in particular, has lost a great opportunity for lasting peace and great prosperity and wealth. This missed opportunity is a truly sad moment in history.

 

Sincerely yours,

 

Donald J. Trump

President of the United States of America

 

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●「対北軍事行動の費用を韓日が負担、トランプ大統領が可能性を示唆」

 

2018/05/25 08:29 朝鮮日報

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/05/25/2018052500782.html

 

 トランプ米大統領は24日(現地時間)、ホワイトハウスで金融規制緩和関連法案に署名するのに先立ち、612日に予定されていた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を中止したことについて語った。同大統領は「ジェームズ・マティス国防長官と合同参謀本部と話した」「必要ならば、全世界で最も強力で、最近さらに強化された我が軍が準備できている」と言った。

 

 さらに、トランプ大統領は「韓国と日本と話した」「北朝鮮が愚かで無謀な行動をするなら、韓国と日本が準備できているのはもちろん、不幸な状況が必然的に起こった場合は作戦中に米国に発生するコストや財政的コストのかなりの部分を喜んで引き受けるだろう」と、軍事作戦を展開する場合は韓国と日本が費用を分担するだろうと述べた。

 

キム・ナムヒ記者

チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版

 

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●「北朝鮮第1外務次官「予想外で非常に遺憾」米に再考促す」

 

ソウル=武田肇20185250842分 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL5T2QVXL5TUHBI00H.html?iref=com_alist_8_03

 

 北朝鮮の金桂寛(キムゲグァン)・第1外務次官は25日、トランプ米大統領が6月12日の米朝首脳会談中止を明らかにしたことについて、「予想外であり、非常に遺憾だ」とする談話を発表した。「我々はいつでもどんな方法でも向き合って問題を解決する用意がある」と強調し、事実上、再考を促している。朝鮮中央通信が伝えた。

 

 金次官は談話で「我々はトランプ大統領が過去のどの大統領もできなかった英断を下し、首脳の出会いを作るために努力したことを内心、高く評価してきた」と言及。「我々の国務委員長(金正恩〈キムジョンウン〉朝鮮労働党委員長)も準備に向けてあらゆる努力を傾けてきた」と強調した。

 

 金次官は16日、米国側が求めた非核化の方式に不満を示し「一方的に核放棄だけを強要しようとすれば、来たる朝米首脳会談に応じるか再考するほかない」との談話を発表し、トランプ氏が会談に後ろ向きになる転機となった。(ソウル=武田肇)

 

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●「米朝首脳会談中止は「極めて遺憾」、北朝鮮」

 

5/25() 8:07配信 AFP=時事

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000004-jij_afp-int

 

AFP=時事】北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は25日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が6月に予定されていた米朝首脳会談を中止すると発表したことは「極めて遺憾」だとする北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン、Kim Kye Gwan)第1外務次官の声明を報じた。

 

 金第1外務次官は声明で、首脳会談中止が突然発表されたことは北朝鮮にとって予想外であり、極めて遺憾だと言わざるを得ないとした上で、北朝鮮としては問題解決のため、いつ、いかなる形ででも直接会談する意向があることを改めて米側に伝える、と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

 

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●「トランプ氏、米朝会談を中止 北朝鮮の「愚かな」行動に警告」

 

5/25() 3:37配信 AFP=時事

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000000-jij_afp-int

 

AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は24日、6月に予定されていた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長との首脳会談を中止すると表明した。北朝鮮が「すさまじい怒り」と「敵意」を示したことが会談中止の理由としている。

 

 トランプ大統領は金委員長宛ての書簡で、シンガポールで612日に予定されていた史上初の米朝首脳会談の中止を通達。この前日には、北朝鮮がマイク・ペンス(Mike Pence)米副大統領を「無知でばかげている」と非難し、態度を硬化させていた。

 

 トランプ大統領はその後、ホワイトハウス(White House)で会見し、北朝鮮が「愚かな、または無謀な行動」を取った場合、韓国と日本が米国と共に対応する準備ができていると述べた。

 

 トランプ大統領はまた、制裁を通して北朝鮮に「最大の圧力」をかけ続けると表明。一方で、金委員長との会談は依然として実現可能だとの考えを示し、自身は会談を待ち望んでいたと強調した。【翻訳編集】 AFPBB News

 

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●「米副大統領の発言「無知でばかげている」 北高官、会談再考を警告」

 

2018524 10:38 発信地:ソウル/韓国 AFP通信

http://www.afpbb.com/articles/-/3175763?utm_source=yahoo&utm_medium=news&cx_from=yahoo&cx_position=r1&cx_rss=afp&cx_id=3175906

 

524 AFP】(更新)北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ、Choe Son-hui)外務次官は24日、来月に予定される米朝首脳会談で米政府を手玉に取ろうとするのは「大きな過ち」だと北朝鮮側に警告したマイク・ペンス(Mike Pence)米副大統領の発言について、「無知でばかげている」と厳しく非難し、会談を中止する可能性に言及した。

 

 ペンス副大統領は21日、米FOXニュース(Fox News)とのインタビューで金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長に向け、来月シンガポールで開催予定の米朝首脳会談で「ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を手玉に取れると考えるのは大きな過ちになる」と述べた。

 

 さらに、リビアの最高指導者だった故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が核開発計画の放棄に同意した数年後に反体制派の蜂起で殺害されたことに言及し、北朝鮮も同じ命運をたどる可能性があると指摘した。

 

 

 この発言について崔氏は、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)を通じ、「米副大統領の口からそのような無知でばかげた発言が飛び出すとは、驚きを隠せない」との声明を発表。「抑制の利いていない、厚かましい発言だ」と激しく非難した上で、「米国が同じ席に着くことを望まないのなら、わが国は対話を懇願することも、わざわざ説得することもしない」と述べ、米朝首脳会談の再考を金委員長に進言する可能性に言及した。(c)AFP

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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 古村治彦です。

 

 北朝鮮の非核化に関して楽観主義を戒める少し古い記事をご紹介します。

 

 この記事はちょうど南北首脳会談が終わり、北朝鮮が核実験場を閉鎖すると発表した頃に書かれたもので、その当時の融和ムードを考えると、これだけ冷静に分析が出来ていることに敬意を表したいと思います。5月に入って既に3週間以上経過していますが、事態は融和ムードから変化しています。

 

 この記事でも指摘されていますが、検証可能な非核化というのは、きちんと専門家などによって「封印」がなされ、必要ならば封印が守られているのか監視作業が継続されることです。本日、北朝鮮は核実験場のトンネルを爆破したということですが、残念なことですが、それだけで実験場が使用不可能になってこれからも使用しないという保証にはなりません。これまでの北朝鮮の行動を考えると、この爆破で北朝鮮は核実験場を閉鎖したと考えるのは楽観的過ぎるということになります。

 

 また、核兵器の放棄について金正恩委員長は明言していないということも記事の筆者であるジェリー・ルイスは指摘しています。ですから、朝鮮半島の非核化と北朝鮮の核兵器の完全放棄は実はとても困難な作業の連続であり、かつ、そのことを条件にしてアメリカが北朝鮮と交渉することは、アメリカのこれまでの政策の敗北ということになります。

 

 このように考えると、明るい将来を思い描くことは良いにしても、現状を楽観主義で見てしまうのは危険が大きいということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

朝鮮半島を巡る楽観主義は私たちを失望させるだろう(Optimism About Korea Will Kill Us All

―平和に向けた第一歩は多くの人々の期待を下回るだろう

 

ジェリー・ルイス筆

2018年4月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/04/30/optimism-about-korea-will-kill-us-all/

 

先週の南北首脳会談、北朝鮮の指導者金正恩の核実験施設を5月までに「閉鎖」するという宣言は好感を持って広く受け入れられた。熱狂的な大騒ぎはあったが、アメリカ製人北朝鮮政府との間の関係は危険な瞬間を迎えている。私たちが持つ希望が私たちの生き残りを邪魔するかどうかの瀬戸際に私たちは立たされている。

 

北朝鮮の核実験施設が使用不可能の状態だ、もしくは核実験施設が置かれている山が崩壊したという広く受け入れられている見方について考えてみよう。こうした情報はある意図を持ったものだというのは相場が決まっている。この見方の根拠になったとされる2つの学術論文はインターネット上からダウンロードできる。しかし、読んでみると、これらの論文にはそのようなことは書かれていないのだ。論文の内容によると、2017年9月に北朝鮮が実施した大規模核実験の後に、核実験の爆発でできた空洞が自然に崩落したということだ。私たちはそのようなことが起きた可能性があることは既に知っている。もしそのようなことが起きたことを地震学の方法論で証明されるならばそれは素晴らしいことだ。

 

しかし、空洞の崩落と山の崩壊は山につながるトンネルが崩壊したことを意味しておらず、あくまで山が崩壊したことを示しているに過ぎない。この実験場の他に、同じ山の中に全く別の2つの地下実験施設があることは確認されている。金正恩自身がそのことを明らかにしている。「私たちが使用不能になった施設を破壊するに過ぎないのだと言う人々もいる。しかし、元々あったトンネルに加えて別の大きなトンネルが2本あり、これら2本のトンネルは良い状態にあることは訪問して実際に見てもらえれば分かることだ」と金正恩は発言している。しかし、西側の専門家たちは、北朝鮮の核開発プログラムの状態について自分たちが耳にしたい内容しか耳に入らない状態だ。それは政治的、もしくは彼らの理想に基づいた理由が彼らの中に存在するからだ。

 

ここまでの話で私たちは10年前に起きた状況を思い出すはずだ。この時、北朝鮮は寧辺の黒鉛原子炉の冷却塔を破壊することに同意した。冷却塔の破壊は大きな称賛の中で実現されたが、このことは当時のジョージ・W・ブッシュ(子)政権が北朝鮮と合意した内容にもともと入っていたものではなかった。しかし、ブッシュ政権は基本に立ち戻り、北朝鮮に対して冷却塔の破壊を求めた。その理由は、ブッシュ政権が「目に見えて、世界中に報道される形が必要であり、北朝鮮が核兵器保有の野望から退くことを確固とした証拠を示す必要がある」と考えたからだ。より簡潔に言えば、これはPRのためのポーズでしかなかった。そして、人々はこれに幻惑されてしまった。

 

ここに一つの問題が生じた。北朝鮮は冷却塔を再建することはなかったが、寧辺の原子炉を密かに再稼働させたのだ。このことを阻止できなかった。北朝鮮は原子炉を目立たないポンプ小屋につないだのだ。ポンプ小屋は人々の目の前で建設された。北朝鮮はシリアがアル=キバルで秘密裏に原子炉を建設することを支援したが、その時にも目立たないポンプ小屋が建設された。しかし、そこに冷却塔のような目立つ建造物が出現しなかったために、北朝鮮が原子炉を再稼働させていることに誰も気づけなかった。

 

金正恩が核実験施設の閉鎖を約束したが、現実的にはこれはあまり意味がないことだ。冷却塔の破壊の時と同じようなことになると考えられるからだ。核実験場に山の中に数棟の建物があり、山肌に水平に掘られた巨大なトンネルが複数存在する。核実験施設を閉鎖することだけでは、南アフリカが核実験施設を使用不能にしたことと同等の処置を行ったと言わざるを得ない。南アフリカは実験場の垂直換気シャフトにがれきを詰めた。カザフスタンのセミパラチンスクの核実験場におけるデレガン山地の閉鎖のようにすべきだ。この実験場の閉鎖に関して、ソ連がこの実験場を放棄した後にアメリカはその封鎖を支援した。廃品回収業者たちが実験場の封印を解き勝手に侵入するようになったため、アメリカは再び封印し、監視装置を設置しなければならなかった。北朝鮮は自国で核実験場を封印することができるが、封印を解くことも可能でもある。私たちは寧辺のポンプ小屋を監視し続けるべきだった。簡潔に言えば、北朝鮮は新しいトンネルを掘るための山や労働力に不足している訳ではない。

 

私は、北朝鮮が核爆発実験を終わらせ、核実験施設を閉鎖すると発表したことを喜んでいないと言うつもりはない。この発表は非常に素晴らしいものだ。しかし、何が起きているのか、そしてその意味することは何かを明確にすることが必要だ。北朝鮮は実験施設1渇所に関して山が崩壊したということを理由にしてそれを放棄してはいない。北朝鮮は金正恩が望むものを手に入れることを条件にして核実験の停止に合意した。3回目となった南北首脳会談でも金正恩からの核武装放棄提案はなされなかった。金正恩はこれまで一度も核兵器プログラムの放棄の確実な約束をしたことはない。南北共同宣言を注意深く読めば、韓国と北朝鮮が行ったのは核放棄を当然実行するものとして交渉のテーブルから外し、その代わりに核兵器は既に必要なものではないとする曖昧な願望を創出することであった。

 

 

南北首脳会談まで、金正恩はより穏健な段階を踏むことを同意している。それは、中距離、大陸間弾道ミサイル発射の一時停と核実験の停止である。これらもまた素晴らしいことだ。これらが実現すればアメリカの安全保障が純粋に改善したとして評価すべきだ。 しかし、北朝鮮がミサイルと核弾頭を完全に引き渡すまでは、アメリカが勝利するということにはならない。

 

金正恩は、いくつかの制限を受け入れることで尊敬されることの代わりに、北朝鮮が実質的に核保有した大国としての認知を求めて努力している。制限とは、ミサイル実験と核爆発実験の停止、核技術を他国へ提供しないことの合意、核兵器を使用しないという約束である。核武装している大国としての北朝鮮を受容して条件交渉を行うことは、数十年にわたるアメリカの政策からの完全な撤退ということになる。この撤退はやり過ぎであり、そのようなことをしても北朝鮮がICBMと核融合爆弾を開発してしまうことを防げないと私は確信している。私たちは北朝鮮をあるがままに受け入れることを学ぶ必要がある。私たちが学ぶべきあるがままの北朝鮮とは核武装している北朝鮮だ。

 

しかし、あるがままの北朝鮮を受容することは撤退であるため、私たちはそのことを素直に認めることが出来ないでいる。もしトランプがこのことを明確に述べたならば、私はこのお喋りな人種差別主義者であるトランプを支持することが出来る。しかし、トランプとその他の人々は、北朝鮮の核武装を認めることを北朝鮮の非核化に向けたルートのスタートと容認している。金正恩はこれまでの北朝鮮の指導者たちが述べてきた発言から全く逸脱していない。私たちの集合的な自己欺瞞の中で、私たちには驚くべき応援団が出現した。それは、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンだ。

 

ボルトンが多くのインタヴューに応じて、北朝鮮の核兵器が数か月の短期間で完全に廃絶できるという希望を振りまいているがその理由について質問することは価値があることだ。ボルトンは繰り返し「リビア型」合意を求めている。「リビア型」合意とは、アメリカが武器を集め廃棄し、インフラ整備を支援するということだ。そして、韓国政府高官たちは「トランプ大統領は、可及的速やかにかつトランプ大統領の任期が終わる2021年初頭までに“完全な非核化のための特定のタイムライン”を明確にしない限り、金正恩には会わないだろう」と述べている。

 

 

 

 

 

金正恩が期限を決めて核放棄をすると考えるのは狂った考えだと言える。金正恩がそのようなことに同意する意思を持っていると考える理由は存在しない。まず私たちは、金正恩が北朝鮮の「強力な宝刀」と呼ぶ核兵器を廃棄するとは提案していないという事実から始めねばならない。そして、ボルトンがこれまで北朝鮮に対して書き、発言した内容を考えると、ボルトンが、金正恩が核放棄をすると確信していると考えるだけの理由は存在しない。ボルトンが急に物分かりが良くなって妥協することなどない。ボルトンは何かを企んでいる。ボルトンの企みはトランプ大統領の期待を裏切るものだ。ボルトンは外交に反対して外交を失敗させようとはしないだろう。そうではなくて、ボルトンは外交を完璧に成功させようとして、外交を失敗させるだろう。リビア型の降伏の可能性を高めることで、金正恩が提示しているより穏健な解決は可能性が低くなるように思える。

 

ボルトンをはじめとする一握りの人々が行っているゲームは何とも皮肉でかつ危険なものだ。金正恩が核兵器を放棄しないことが明確になったら何が起きるだろうか?トランプはどう対処するのか? トランプの性格を考えると、彼は口汚く罵り、首脳会談の準備をした、自分が任命したマイク・ポンぺオ国務長官を非難し、ボルトンを重用するようになるだろう。トランプは既にその兆候を見せている。先日行われたある集会で、状況が悪化する前に、北朝鮮の核兵器を廃絶するための努力を続けていると声高に主張した。そして、次のように語った。「もし私が北朝鮮の核兵器を廃絶させられないならば、多くの国々や多くの人々にとって厳しい時期を迎えることになるだろう」。

 

このトランプの発言は、核戦争のリスクが高まり、韓国国民、日本国民、アメリカ国民の多くがそれに晒されるという状態を柔らかく表現したものだ。外交が失敗すれば、全ての人々、より正確には、ボルトンを除くすべての人々にとって厳しい時間を過ごすことになるだろう。

 

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(終わり)


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今の巨大中国は日本が作った


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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領がハーバート・R・マクマスターを解任し、ジョン・ボルトンを国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命して、1カ月ほどが経過しました。その間に、米英仏によるシリアへのミサイル攻撃がありました。北朝鮮情勢は対話路線が前面に押し出ている感じです。

 

 そうした中で、ホワイトハウスで国家安全保障問題担当大統領補佐官が主宰する国家安全保障会議(NSC)の構成がだいぶ変わっているようです。ジョン・ボルトン就任後に更迭や自発的な退任が続いていたようです。

 

 ボルトンはミラ・リカーデル(Mira Ricardel)は自分の下の次席補佐官に任命しました。リカーデルは、2017年3月に商務次官(輸出管理担当)となりました。そして、今回、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任することになりました。

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ミラ・リカーデル 

 リカーデルはジョージタウン大学外交学部を卒業後、ボストン郊外にあるタフツ大学フレッチャー記念法・外交研究大学院で博士号を取得しました。ロナルド・レーガン政権で国務省の軍縮担当、ボブ・ドール連邦上院議員のスタッフ、ジョージ・W・ブッシュ政権で国防次官補代理、国防次官補臨時代理などを歴任しました。民間部門では、2006年から2015年にボーイング社の副会長(軍事部門、国際部門)を務めました。

 

 2016年、ドナルド・トランプの政権以降ティームに入り、国防政策部門を担当しました。トランプ政権内では商務次官を務めていました。今回、次席補佐官に就任しました。

 

 リカーデルは中央アジアやユーラシアを専門にしているようです。商務次官で輸出管理担当ということは、現在の貿易戦争の原因となっている関税政策にもかかわっているものと思われます。こうした点から反中国、反ロシア的な考えを持っているのだろうと推測されます。ネオコンのボルトンが選んだのですから、当然と言えるでしょう。

 

 私が気になったのはリカーデルが約10年にわたり、ボーイング社の副会長を務めていた点です。しかも軍事部門が長かったようですので、軍需産業の代表とも言える存在です。国家安全保障会議(NSC)を主宰するのは補佐官ですが、実際に準備を行うのは次席補佐官です。従って、これからアメリカの対外姿勢が強硬になっていくのだろうと思われます。

 

 北朝鮮問題は米朝首脳会談実現に向けて、マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が訪朝したことで、かなり楽観的な雰囲気になっています。私は、トランプ大統領がポンぺオを訪朝させたのは、連邦議会での承認を得やすくするためもあり、また首脳会談の準備をしている、そのために強硬派であったポンぺオを行かせた、というジェスチャーを見せるものだったと思います。

 

 アメリカの対外政策を司る部門である国務省と国家安全保障会議の2つのラインで別々の方策、交渉と武力行使の準備をさせて、最終的にトランプ大統領がどちらかを選択するということになっているのだろうと思います。この2つの路線を競わせて最終的に自分で選ぶというのはトランプ大統領の常套手段です。ですから、交渉一辺倒になったと楽観視するのはまだ早いと思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ボルトンがミラ・リカーデルを次席補佐官に指名(John Bolton announces Mira Ricardel as deputy adviser

 

AP通信

2018年4月20日

http://uk.businessinsider.com/ap-john-bolton-announces-mira-ricardel-as-deputy-adviser-2018-4

 

フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチ発(AP通信)。ジョン・ボルトン国家安全保障門団体等大統領補佐官は現在、国家安全保障会議(NSC)の内部チェックと構成の変更を行っており、金曜日、ミラ・リカーデルが国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任すると発表した。

 

リカーデルは3つの政権でそれぞれ国務省、国防省、商務省に勤務した。また、ボブ・ドール上院議員のスタッフを務めた経験を持つ。

 

ドナルド・トランプ大統領によってあ新たに国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されたボルトンはリカーデルを次席補佐官に選んだことについて、「アメリカと諸国の同盟関係、防衛態勢、技術に関する安全保障、外国に対する安全保障上の支援、国家安全保障問題幅広い基盤を持つ専門性、軍縮のような国家安全保障諸問題などの幅広い専門性」をその理由としている。

 

ボルトンはトランプ政権で3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、前任者はハーバート・R・マクマスターであった。

 

国土安全保障問題担当大統領補佐官であったトム・ボサートを含む国家安全保障問題担当の高官の多くがボルトンによって更迭、もしくはボルトンの補佐官就任を受けて自発的に退任している。

 

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※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されました。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

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