古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ジョン・ラトクリフ

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期大統領は着々と第二次トランプ政権の人事を発表している。第二次トランプ政権の顔ぶれについて批判もあるが、スピード感と明確な意図は評価されるべきだ。選挙が終わって10日ほどで、これだけの人事を、スピード感を持って発表出来ているのは選挙前から構想が練られ、準備が進められ、指名を受けた人々に対する根回しが済んでいたことを示している。このスピード感はトランプ陣営が2016年に比べて、「プロフェッショナルの集団」となったことを示している。2016年は言ってみれば、「期待されていなかったのに予想外の当選をして、慌てているアマチュアの集団」であった。

 トランプ新政権の意図は「復讐」ということになっているが、もちろんそれだけではない。これまでに指名された人々は、自分がトップとなる各政府機関に対して批判的な人々である。彼らはトランプの意向を忠実に遂行する「忠誠心」を持ち、各政府機関の改革に取り組むことになる。特に情報・諜報分野の国家情報長官に指名されたトゥルシー・ギャバードとCIA長官に指名されたジョン・ラトクリフは注目である。情報・諜報分野は戦争にも直結する役割を担う分野で、ここを改革することで、「アメリカ・ファースト」「アイソレイショニズム(国内問題解決優先主義)」を断行し、究極的には「核戦争を阻止する」という目標を達成するということになる。

 今回の第二次トランプ政権の顔ぶれはまだ発表途中であるが、2016年のトランプの大統領当選以来の8年間で、「トランプ政治運動」に参加し、成果を上げた人々が入った「本格政権」ということになる。彼らは既存の政治のしがらみを持たず、本格的にトランプの目指す改革を実行できる人物たちだ。そして、これからも続くであろう「トランプ政治運動」の中核となる人々だ。トランプは今回の大統領任期4年で退任するが、それ以降も、「トランプ政治運動」は続いていく。J・D・ヴァンス次期副大統領やエリス・ステファニック米国連大使といった若手(2人ともまだ40歳だ)を伸ばしていく4年間ということにもなるだろう。

 しかし、同時に心配なのは、既存のワシントン政治の強靭さだ。民主、共和両党のエスタブリッシュメントと各界のエリートたちはトランプたちの動きを阻止するためにあらゆる手段を用いて抵抗するだろう。激しい権力闘争、政治闘争が起きる。アメリカの分断は修復不可能なところまで来ている。そうしたワシントン内部の権力闘争から、アメリカ内戦までつながるということも考えられる。

 アメリカの衰退は既定路線で、トランプが大統領になり、トランプの下で改革が続いてもアメリカが復活することはない。しかし、アメリカが建国の理念に立ち返り、少しでも状況を良くすることをアメリカ国民はトランプに託した。理想通りの結果は得られないだろうが、トランプ流のポピュリズムがどれだけのことができるか注目していきたい。

(貼り付けはじめ)

トランプの形成しつつある政権の5つのポイント(5 takeaways from Trump’s emerging Cabinet)

ブレット・サミュエルズ筆

2024年11月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4993461-trump-cabinet-5-takeaways/

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ドナルド・トランプ次期大統領は、来るべき政権のための閣僚と上級補佐官を素早くまとめ上げ、その過程で物議を醸す人選でワシントンを動揺させている。

トランプは、次期大統領としての最初の1週間で次々と指名や人事を発表し、連邦議員たちは対応に追われた。

以下は、これまでのトランプ政権の内閣についての5つのポイントである。

(1)トランプは忠誠心を最重視(Trump prioritizes loyalty)

トランプ次期大統領は以前から、自分の周辺にいる人間には忠誠心(loyalty)が最重要であると明言しており、これまでの閣僚人事は、トランプ次期大統領の味方であり続けた人々に報いていることの表れとなっている。

トランプがこれまでに指名した候補者や人事のほぼ全員が、何らかの形でトランプ次期大統領を擁護し、選挙戦で支持し、あるいは次期大統領の激動期に味方してきた人物たちだ。

米国連大使にエリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)、環境保護庁長官にリー・ゼルディン、退役軍人長官にダグ・コリンズ、CIA長官にジョン・ラトクリフを指名したが、この4人の閣僚候補は、2020年の弾劾擁護ティームのメンバーだった人物たちだ。

マット・ギーツ前連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)は、2016年以来、トランプ大統領の最も率直で声高な擁護者の1人だった。トランプがフロリダ州選出の共和党所属の前連邦下院議員を司法長官に指名してワシントンを揺るがしたが、ゲーツは突然議員辞職した。

ロバート・F・ケネディ・ジュニアとトゥルシー・ギャバードは、元民主党員としてトランプを支持した後、選挙戦でトランプの有力な代理人となった。そして、トランプ自身の個人的な犯罪弁護士であるトッド・ブランチとエミール・ボーブは、今年初めの口止め料裁判の際に彼の弁護をした後、司法省のトップの仕事に抜擢された。

集められた政権は、トランプ大統領の1期目に政府高官の第一陣を形成した「ライヴァル・ティーム(team of rivals)」とは程遠い。

トランプ大統領の最初の立法事務局長を務めたマーク・ショートは、MSNBCの番組で、「このグループは、より緊密な人間集団であるように見える。名乗りを上げている人たちを皆さんは好きではないかもしれないが、同時に、彼らはかなり迅速に動いていると思う」と述べた。

(2)指揮を任された省庁を批判する候補者たち(Some nominees undercut agencies they’re tasked to lead)

複数の閣僚候補者が過去に、自分たちが率いることを任された政府機関の使命を損なうと思われるレトリックを使用してきた。

国家情報長官に抜擢された元民主党所属の連邦下院議員のギャバードは、ウクライナ戦争に関するロシアのプロパガンダをおうむ返しにしていると非難され、シリアの指導者バシャール・アル=アサドが市民への化学兵器使用を示唆された後、戦犯のレッテルを貼ることを拒否した。

ゲーツは過去にFBIの予算停止を要求し、アルコール・タバコ・銃器・爆発物取締局を廃止する法案を提出したことがある。両機関は司法省内に置かれており、司法長官としてのゲーツの権限下にあることになる。

トランプ大統領が国防総省のトップに指名したピート・ヘグセスは、今年初めに出版した著書の中で、女性は男性よりも戦闘任務に適していないと書いたことで批判を浴びている。彼はまた、国防総省の多様性と公平性を受け入れる取り組みにも批判的だ。人事承認されれば、ヘグセスは国防総省で働く数百万人の男女を監督することになる。

また、米保健福祉省のトップに選ばれたケネディは、長年にわたって反ワクチン陰謀論を広め、生乳の消費を促進し、イベルメクチンのような新型コロナウイルスの実証されていない治療法を推し進めてきた。もし人事承認されれば、ケネディはワクチンを承認し、メディケアとメディケイドを管理し、各種の病気の治療法の研究を行なう国の保健・規制機関に対する広範な権限を持つことになる。

(3)2016年に比べてより素早いペースでより明確なヴィジョン(A quicker pace and clearer vision than 2016)

2016年にトランプがホワイトハウスを勝ち取った時、彼と彼のティームは足元をすくわれたように見え、新政権の人員配置の取り組みを強化するのに時間がかかった。

クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事(共和党)は、選挙直後に政権移行責任者を更迭され(当時)、トランプは候補者たちをトランプタワーに出入りさせて報道陣にお披露目した。彼が最初の閣僚候補を指名したのは、選挙から10日後の2016年11月18日だった。

これとは対照的に、トランプはカマラ・ハリス副大統領に勝利してからおよそ1週間以内に、主要閣僚だけでなく、司法省の第二レヴェルの高官たちやホワイトハウスの上級スタッフたちを指名するという急速な動きを見せた。

トランプの盟友たちはこれを、トランプが今回自分が何を求めているのか分かっていることの明確な表れだと受け止めた。

トランプ大統領の1期目で、ホワイトハウス報道官を務めたショーン・スパイサーは、「4年間の荒野は無駄ではなかったので、政権移行は2016年よりも明らかに良い状態にあると思う」と語った。

スパイサーは続けて「計画、人事、プロセスは全てが考え抜かれたものであり、今、トランプの周囲にいる人々は全員、政策課題解決の推進に尽力している。政策課題に対する彼らの関与と努力について、トランプ大統領はもう疑う必要を持たない」と述べた。

(4)連邦上院での人事承認に試練が控えている(Tests lie ahead for Senate confirmations)

トランプ次期大統領の候補者、特にゲイツ、ギャバード、ケネディは連邦上院共和党にとって試練となり、共和党の連邦上院議員たちがトランプ次期大統領からどれだけ独立するつもりであるかを示すバロメーターとなるだろう。
共和党は1月から連邦上院で53議席を獲得する勢いであり、トランプが指名した候補たちが民主党の支持を得られないと仮定すれば、共和党の3人の離反を免れることができる。次期副大統領のJ・D・ヴァンス(オハイオ州選出、共和党)は、50対50の状況を打破するだろう(訳者註 50対50となれば副大統領が上院議長を務める)。

連邦上院議員は、連邦下院や行政府をチェックする、まじめな機関としての役割の重要性をよく口にする。しかし、選挙でトランプが圧勝したことで、上院議員たちは次期大統領の意向に従わなければならないという圧力が強まるかもしれない。

トランプ大統領は、共和党所属の連邦上院議員に、候補者の名前を出す前から圧力をかける作戦を開始した。連邦上院多数党(共和党)院内総務に誰がなろうとも、休会任命(recess appointments)の承認を迫るとした。休会任命とは、物議を醸すような指名があった場合、大統領が実質的に人事承認手続きを回避できるようにする手続きである。

今週、連邦上院多数党(共和党)院内総務に選出されたジョン・スーン連邦上院議員(サウスダコタ州選出、共和党)は、休会任命の可能性を否定していないが、共和党の反対が多ければ、手続き上難しい可能性があることも認めている。

スーン議員はフォックス・ニューズに出演し、「全てはプロセスだ。しかし、そのどれもが必ずしも不可能だとは思わない。全ての選択肢をテーブルに載せておく必要があると思う」と語った。

スーン議員は続けて「そして、これらの候補者たちは連邦議会で一日を過ごすに値する。彼らには公聴会、人事承認公聴会、精査の機会が与えられるに値する。そして、連邦上院は助言と同意の下で憲法上の役割を遂行するだろう」と述べた。

(5)重要はポジションについてはこれからも続けて発表(Key positions still to come)

注目度の高い候補者の多くは既に発表されているが、トランプ次期大統領が今後数日のうちに充てるとみられる閣僚級の役職やホワイトハウスのトップ職はまだいくつもある。

最も注目されるのは彼の経済ティームだ。トランプは依然として財務長官、商務長官、米通商代表の人選の発表を控えている。

財務長官としては、スコット・ベッセントとハワード・ルトニックが最終候補と見られており、トランプ第1期で米通商代表を務め、関税の使用を強く主張するロバート・ライトハイザーが新政権で仕事を得る可能性が高い。

農務長官、運輸長官、住宅都市開発長官もまだ発表されていない。トランプは選挙活動中に教育省を閉鎖すると公約したが、それには連邦議会の承認が必要となる。トランプ大統領が当面、教育長官を指名するつもりかどうかは不明だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、トゥルシー・ギャバード元連邦下院議員(ハワイ州っ選出、民主党)を国家情報長官に指名し、第一次トランプ政権で国家情報長官を務めた(2020-2021年)ジョン・ラトクリフをCIA(中央情報局)長官に指名した。
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ドナルド・トランプとトゥルシー・ギャバード
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ドナルド・トランプとジョン・ラトクリフ

 ギャバードとラトクリフは共に連邦下院議員を務め(ギャバードは2013から2021年まで4期、ラトクリフは2015年から2020年まで3期)、所属政党は違ったが、同じ時期に同僚だった。国家情報長官はCIAを始めとする政府機関の情報・諜報分野の18の部局(司法省所属のFBI[連邦捜査局]や国防総省のDIA[国防情報局]など)を統括する役職である。CIAはアメリカ国内、そして国外の情報収集や分析、そして諜報活動を行う部局である。情報・諜報分野の統括とスパイマスターに、トランプ次期大統領は自身への忠誠心が高く、情報・諜報機関について全面的な支持を与えない人物たちを持ってきた。

 興味深いのは、ギャバードの指名とラトクリフの指名に関する別々の声明の中で、「強さによる平和(Peace through Strength)」という言葉をトランプが使ったことだ。「強さ」が「平和」をもたらすという考えを示しているが、情報・諜報分野に似つかわしくない言葉であるとも考えられる(国防分野ならば適当だ)。私はここで、トランプがギャバードとラトクリフに求めているのは、両者があらゆる方面からの様々な批判に負けずに、外国への介入、体制転換、戦争誘発などを行ってきたこうした、アメリカ政府の情報。諜報諸機関に大きな変革をもたらすことだと考えている。外国との関係で危機感を煽り、外国で戦争を誘発してきた諸機関は、「アメリカ・ファースト」に反する存在である。4年間という時間しかないが、情報・諜報機関を改革することで、「アメリカに平和をもたらす」というトランプ次期大統領の決意が見て取れる。

 ギャバードにしても、ラトクリフにしても、民主党側、特に民主党エスタブリッシュメントにとっては都合の悪い人物であり、早くも2人の起用に関しては批判が起きている。それはそれだけ、アメリカの情報・諜報機関を壟断してきた勢力にとって2人が都合の悪い人物であることを示している。ギャバードとラトクリフはウクライナ戦争停戦、イスラエルの戦争拡大阻止、そして、現状の核戦争までの深刻化阻止(核戦争阻止)を行うために良い人材ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

トゥルシー・ギャバ―ドについて知られていること:バーニー・サンダース支持者からトランプの国家情報長官指名へ(What to know about Tulsi Gabbard: From Bernie backer to Trump intel nominee)

コリン・メイン、レベッカ・ベイッチ筆

2024年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/4990621-tulsi-gabbard-trump-nomination/

トゥルシー・ギャバードのドナルド・トランプ次期大統領からの国家情報長官への指名は、進歩主義的なバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)とともに歩んできた旋風的な国政キャリアの新たな章を開くものだ。

軍での輝かしいキャリアとハワイ州選出の連邦下院議員4期を経て、ギャバードは2020年に民主党の大統領候補指名を目指し、進歩主義的な綱領を掲げて、アメリカの対外戦争への関与に反対した。その2年後、ギャバードは民主党からの離党を表明し、今年8月にはトランプを大統領候補として支持した。

ギャバードは当時、トランプを「戦争は最後の手段と考え、平和の追求のために敵対国、独裁者、同盟国、パートナーとも会談する勇気を持つ(having the courage to meet with adversaries, dictators, allies and partners alike in the pursuit of peace, seeing war as a last resort)」と称賛し、バイデン政権がアメリカを「世界中の地域で複数の前線で複数の戦争に直面し、かつてないほど核戦争の瀬戸際に近づいている(facing multiple wars on multiple fronts in regions around the world and closer to the brink of nuclear war than we ever have been before)」と非難した。

トランプ次期大統領は水曜日の声明で、「トゥルシーは、その輝かしいキャリアを特徴づけてきた恐れを知らない精神(fearless spirit)を私たちの情報機関にもたらし、私たちの憲法上の権利を擁護し、“強さによる平和(Peace through Strength)”を確保してくれるだろう」と述べた。

国家情報長官オフィスを率いるギャバードは、18の情報・諜報機関全てからの情報にアクセスし、国家安全保障問題について大統領に助言することで貢献することになる。

リンクトインの個人ページによると、ギャバードはまだ陸軍予備役に在籍し、階級は中佐だという。ハワイ州兵に所属していた彼女は、2004年から2005年までイラクの医療部隊に勤務しており、その経験が干渉反対の姿勢(anti-intervention stance.)の指針となったと彼女はよく指摘している。

ギャバ―ドはジョー・バイデン政権のウクライナ支援を激しく批判しており、戦争に関するロシアのプロパガンダのオウム返しをしているだけだと非難されてきた。しかし、民主党所属の連邦下院議員時代にはトランプ大統領にも批判的で、CNNでアメリカがイランのカセム・ソレイマニ将軍を暗殺したことを「違法で違憲な戦争行為(illegal and unconstitutional act of war)」と呼んだ。

連邦上院で人事承認されれば、ギャバードは間もなくトランプ大統領の命令と政策課題の遂行を支援する任務に就くことになる。彼女の異例の政治キャリアについて知っておくべきことは以下の通りだ。

(1)政治的な大変化(Political transformation)

ギャバードは2012年に連邦下院議員に初当選し、その4年後には、ヒラリー・クリントンに対抗して大統領選に出馬したバーニー・サンダースを支持する連邦下院議員として最も注目を集め、選挙における党の公的中立という方針を打ち破った。

彼女は当時、民主党全国委員会(Democratic National Committee、DNC)の副委員長でもあったが、サンダースを支持するためにそのポストを辞任した。

ギャバードは、サンダース支持と民主党全国委員会からの離脱について、「私たちに多大な犠牲を強いてきた介入主義的な体制転換政策(the interventionist, regime change policies)を終わらせなければならないという私の強い信念に関して、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース両候補の間には明確なコントラストがある。これは単なる “問題(issue)”ではない」と、書いている。

ギャバードは最終的に、2016年の大統領選挙ではトランプではなくクリントンに投票すると述べた。

2019年、ヒラリー・クリントンがポッドキャストで、ロシアがギャバードを有力な第三党候補として 「グルーミング(grooming)」していると示唆した後、サンダースはギャバードを擁護した。

当時、サンダースは「トゥルシー・ギャバードはこの国を守るために命を懸けてきた。諸問題については人々の意見が異なる可能性があるが、トゥルシーが外国にとって利用価値のある資産であると示唆するのは言語道断の行為だ」と述べた。

ギャバードは2年前の民主党離党について、対外戦争を挙げながらも、民主党が「反白人人種差別(anti-white racism)」と「卑劣な覚醒(cowardly wokeness)」を煽っていると非難した。

ギャバードは2022年10月のヴィデオ声明の中で、「あらゆる問題を人種差別の問題とすることで私たちを分断し、反白人人種主義を煽り、私たちの神から与えられた自由を弱体化させることに積極的に取り組む、臆病な覚醒(cowardly wokeness)に突き動かされた、好戦主義者のエリート集団(elitist cabal of warmongers)の完全な支配下にある今日の民主党に、私はもはやとどまることはできない」と述べた。 

ギャバードとロバート・F・ケネディ・ジュニアは、2024年選挙戦の最後の数ヶ月間、トランプとともにキャンペーンを展開した、最も目立つ元民主党員となった。

ギャバードは8月にウィスコンシン州ラクロスでトランプを招いてタウンホールミーティングを開き、選挙戦の最終盤にはマディソン・スクエア・ガーデンでの集会に登壇した。

(2)対ロシア姿勢(Russia stance)

ギャバードには、民主、共和両党に警戒心を抱かせるような虚偽の主張やロシアの言説を持ち上げてきた経歴があり、彼女の人事承認手続き中にそのことがクローズアップされる可能性が高い。

2022年、ギャバードはウクライナにある「アメリカが資金を提供する複数のバイオラボ(U.S.-funded biolabs)」について「致命的な病原体(deadly pathogens)」を拡散させる恐れがあると警戒感を示した以前のヴィデオの内容を撤回し、その後、ウクライナで生物兵器が開発されているとは「確信を持っていない(not convinced)」と述べた。

当時の国務省は、クレムリンが「アメリカとウクライナが、ウクライナで化学兵器や生物兵器の活動を行なっているという全くの嘘(outright lies that the United States and Ukraine are conducting chemical and biological weapons activities in Ukraine)」を流していると指摘した。

そのため、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)とギャバードは対立し、ロムニー議員はギャバードを「ロシアのプロパガンダのオウム返し(parroting Russian propaganda)」だと非難し、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう(treasonous lies may well cost lives)」と述べた。

2022年、ギャバードはまた、ジョー・バイデン政権が、ロシアがウクライナに侵攻する際、ロシアの懸念に対処しなかったことを非難した。

「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。

2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。

(3)シリア訪問(Syria visit)

ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問したが、これが報じられた際にも反発を引き起こした。

ギャバードは、ロシアの同盟国であるシリアのアサドとの会談を、この地域に平和をもたらすための努力であるとした。

ギャバードは当時、「シリアの人々を苦しめているこの戦争に終止符を打つことができる可能性があるのなら、私たちは誰とでも会談する用意があると考える」と語った。

この会談は、彼女の同僚議員たちの怒りを引き起こした。

「アメリカの代表である選挙で選ばれた公務員が、50万人近くの自国民を殺害した残忍な独裁者に会うために秘密の旅行に出た。これは非難すべきことであり、正当化することはできない」とアダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)(当時)は述べた。

2020年の大統領選に出馬する際、ギャバードはアサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。

「シリアはアメリカにとって直接的な脅威ではないので、アサドはアメリカの敵ではない」とギャバードは選挙戦で語った。

(4)スノーデンの擁護者(Snowden advocacy)

ギャバードは2020年、トランプ次期大統領が司法長官に指名したマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)と組み、2013年に国家情報機関の機密資料を大量にリークし、過去10年間をロシアで過ごしたエドワード・スノーデンに対する告訴の取り下げを求める連邦下院決議案を提出した。

その1年前の大統領選出馬の際、ギャバードは、ジョー・ローガンのポッドキャストでのインタヴューでこの問題について語った。

ギャバードはローガンに対して、「スノーデンがいなければ、アメリカ国民はNSAが電話記録を収集し、アメリカ人をスパイしていることを知ることはなかっただろう。私は大統領として、私たちの自由と解放への脅威を暴露する内部告発者たちを保護する」と述べた。

トランプ大統領の1期目の終わりに、ギャバードは大統領に対してスノーデンの恩赦(pardon)を求めた。

「あなたが人々に恩赦を与えるのであれば、多大な個人的犠牲を払ってディープ・ステートのために働く人間たちの欺瞞と犯罪性を暴いた人々を恩赦することを考えていただきたい」と彼女はXの投稿で述べ、特にスノーデンに言及した別の投稿にコメントした。

トランプ大統領はこれまで、大統領就任前にスノーデンを「裏切り者(traitor)」「処刑されるべきスパイ(spy who should be executed)」と呼んでいたが、2020年10月には恩赦に前向きであることを示唆した。

トランプは当時の記者会見で、「多くの人々がいる。そして、それは判断が分かれるようだ。多くの人々が、彼はどうにかして別の扱いを受けるべきだと考えているし、他の人々は、彼は非常に悪いことをしたと考えている。私はスノーデンの恩赦についてよく検討するつもりだ」と述べた。

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ワッサーマン=シュルツがギャバードについて「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い」と発言Wasserman Schultz says Gabbard ‘likely a Russian asset’

by Juliann Ventura - 11/15/24 3:17 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/4993196-wasserman-schultz-says-gabbard-likely-a-russian-asset/

デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は、ドナルド・トランプ次期大統領が国家情報長官に指名したトゥルシー・ギャバード元連邦下院議員について「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い(likely a Russian asset)」と述べた。

ワッサーマン=シュルツは金曜日、MSNBCで、「彼女がロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い人物だと私が考えることに疑問の余地はない」と述べた。

本誌はギャバードの広報担当ティームに連絡を取り、コメントを求めた。

ワッサーマン=シュルツのコメントは、トランプ大統領が、ギャバードを国家情報長官に任命したことを含め、閣僚の人選をめぐって反発(pushback)に直面している中で飛び出した。

これまでロシアの話を広めたとして非難されてきた元民主党員にとって、国家情報長官という役割は大きな転換となる。ギャバードは、特にロシアとウクライナに関して、米諜報機関の結論に反対する信念を表明している。

ギャバードは、アメリカがウクライナの生物兵器開発に関与していたことを示唆する内容を共有している。ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)は当時、彼女は「ロシアのプロパガンダのオウム返し」であり、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう」と述べた。

2022年、ギャバードはまた、バイデン政権がウクライナ侵攻の際に、ロシアの懸念に対処してこなかったことを非難した。

「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。

2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。

ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問した。ギャバ―ドとアサドの会談は連邦議会の同僚議員たちの間で怒りを引き起こした。

2020年の大統領選民主党予備選挙に出馬する際、ギャバードは、アサドがアメリカの敵ではないと主張し、アサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。

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トランプのCIA長官指名を受けたジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe chosen as Trump’s pick to lead CIA)

レベッカ・ベイッチ筆

2024年11月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4987119-john-ratcliffe-trump-cia/

ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、元国家情報長官であるジョン・ラトクリフをCIA長官に指名すると発表した。

ラトクリフはテキサス州選出の元連邦下院議員で、下院議員時代にはトランプへの捜査に批判的で、その後、民主党がトランプを大統領から追い出そうと最初に取り組んだ際には、トランプの弾劾ティームのメンバーを務めた。

トランプの声明は、ラトクリフが「偽物のロシアとの共謀がクリントン陣営の作戦であることを暴いた」こと、外国からの監視を容認する国家安全保障プログラムを批判したこと、ハンター・バイデンのノートPCの正当性に最初に疑問を呈した人々を批判したことを称賛している。

「ジョン・ラトクリフは常に、アメリカ国民に対する真実と誠実さ(Truth and Honesty)の戦士だった」とトランプは声明で述べた。

トランプは続けて「ジョンが我が国の最高情報・諜報機関(国家情報長官とCIA長官)の両方の地位に就く初めての人物となることを楽しみにしている。彼は最高レヴェルの国家安全保障と“強さによる平和(PEACE THROUGH STRENGTH)”を確保しながら、全てのアメリカ人の憲法上の権利を守る、恐れを知らない戦士となるだろう」と述べた。

ラトクリフは最終的にトランプ大統領の国家情報長官の1人を務めたが、就任までの道のりは厳しかった。

トランプは2019年、ラトクリフがアメリカの全情報機関を調整する国家情報長官オフィスを率いるに十分な安全保障上の経歴や関連する経験を持っていないとの懸念から反発を受け、指名を取り下げた。彼はまた、元検察官としてテロ事件を担当した経験を誇張していたのではないかという疑問にも直面した。

「我が国の偉大な共和党所属の連邦議員であるジョン・ラトクリフは、時代遅れで役立たずの主流派メディア(LameStream Media、レームストリーム・メディア)によって非常に不当に扱われている」とトランプは当時書いている。

トランプ大統領はそれからわずか数カ月後にラトクリフを再指名したが、民主党からの反発を招いた。

連邦上院多数党(民主党)院内総務のチャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はラトクリフを「極めて党派的な活動家(highly partisan operative)」と呼び、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は「陰謀論を容認できないほど受け入れている(has shown an unacceptable embrace of conspiracy theories)」と批判した。

ラトクリフの国家情報長官人事承認は最終的には49対44で承認された。

ラトクリフは情報・諜報分野に入る前は、FBIや司法省を常に批判してきた。

外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act)に規定される外国監視に関するラトクリフの立場にトランプが同意したのは、当時のラトクリフがカーター・ペイジの盗聴令状取得に向けたFBIのプロセスに欠陥があったことを含め、トランプに対するFBIのクロスファイア・ハリケーン捜査(Crossfire Hurricane investigation 訳者註:トランプに対する捜査作戦名)を声高に批判していたことを受けてのことだ。

火曜日、トランプはラトクリフを 「外国情報監視法(FISA)裁判所でFBIによる市民的自由の乱用を捕まえた」と評価した。

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トランプがCIA長官にジョン・ラトクリフを指名。彼について分かっていること(Trump picks John Ratcliffe for CIA director. Here’s what to know)

2024年11月13日
PBS

https://www.pbs.org/newshour/politics/trump-picks-john-ratcliffe-for-cia-director-heres-what-to-know

ワシントン発(AP通信)。ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、新政権のCIA長官にジョン・ラトクリフを指名すると発表した。

これから、アメリカ政府の最重要のスパイ機関を率いることになる共和党員について分かっているポイントを挙げていく。

(1)トランプ政権での第二の任務(Stint No. 2 in the Trump administration)

ラトクリフは、トランプ大統領の1期目の最後の数カ月間、国家情報長官を務め、新型コロナウイルスの大流行期間、また、2020年の大統領選挙を妨害しようとする外国の動きとアメリカ政府が戦う中、アメリカのスパイ機関を指揮した。

ラトクリフの情報・諜報部門での過去の経験は、連邦上院での人事承認が必要なCIA長官という役職にとって、トランプの支持者たちが推す忠実な人物と噂される何人かの人物よりも、より伝統に沿った人選となった。

ラトクリフは国家情報長官として、2020年大統領選挙を数週間後に控えた時期に、異例の夜間記者会見を開き、イランがアメリカ国内の有権者たちを脅迫するための電子メール送付の嵐に関与していると他の政府高官たちとともに非難した。

ラトクリフはまた、2016年の選挙以降の、民主党に打撃を与える情報とされる、ロシア諜報機関に関する機密(その機密内容について検証されていなかった)を解除したことでも、批判に直面した。民主党はこの動きを、諜報活動を政治化する党派的な行為だと非難した。

ラトクリフは数週間後、ハンター・バイデンがデラウェア州のコンピューター修理工場に預けたノートパソコンから電子メールがリークされたのはロシアの偽情報キャンペーンのせいだとする元情報当局者数十人の主張を否定し、再び注目を集めた。

ラトクリフは当時、「諜報分野の人々はそれを信じていない。それを裏付ける情報がないからだ」と述べた。

(2)議会において熱心にトランプへの忠誠心を見せる(A fierce loyalist in Congress)

ラトクリフは2014年に下院議員に初当選したが、2019年、連邦下院のトランプに対する最初の弾劾訴追手続きの間、トランプの熱烈な擁護者として彼の知名度は上昇した。

彼はトランプ大統領の弾劾諮問ティームのメンバーであり、弾劾公聴会では証人に熱心に尋問した。

ラトクリフは、民主党が過半数を握る連邦下院が、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との電話をめぐってトランプ弾劾を採決した後、「これは、我が国がこれまで経験した中で最も薄く、最も早く、最も弱い弾劾だ」と述べた。

ロバート・ムラ―元特別検察官が連邦下院司法委員会に出席し、2016年の選挙へのロシア干渉に関する捜査について証言した際、ラトクリフは共和党の熱心な尋問者の1人となり、検察官に強硬に質問し、彼が作成した報告書を非難した。

(3)履歴書をめぐる過去の疑問(Past questions over his resume)

ラトクリフは最終的にDNIの職を得たものの、それまでの過程は順風満帆ではなかった。

実際、ラトクリフは自身の経験と資質に対する疑問の高まりに直面したため、わずか5日後の2019年8月に人事承認過程から撤退した。

トランプ大統領は、退任したダン・コーツの後任としてラトクリフの名前を出した。しかし、民主党は公然とこの共和党員を不適格な党派性の強すぎる人物と見なし、共和党は適当に、暫定的な支持表明をしただけだった。複数のニューズがラトクリフの資質を疑問視し、彼が連邦下院議員になる前に務めていたテキサス州の連邦検察官としての経験を偽っていることを示唆した。

ラトクリフは当時の声明で、「情報機関が必要とし、またそれに値する客観性、公正さ、誠実さをもって(with the objectivity, fairness and integrity that our intelligence agencies need and deserve)」任務を遂行できると確信していると述べた。

ラトクリフは続けて、「しかし、私の人事承認をめぐる国家安全保障と情報・諜報に関する議論が、たとえ事実と異なっていたとしても、純粋に政治的で党派的な問題になることは望まない 」とも述べた。

翌年2月、彼は再び大統領に指名され、2020年5月、厳しく分断された連邦上院において人事承認された。

(4)対中タカ派(A China hawk)

ラトクリフはこれまで繰り返し中国について警鐘を鳴らし、中国をアメリカの利益と自由世界にとっての脅威であると呼んできた。

この見解は、トランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイケル・ウォルツを含む、他のトランプ次期政権高官の多くと共有されている。ウォルツは、中国が新型コロナウイルスの起源に関与していることや、少数派のイスラム教徒であるウイグル人への虐待が続いていることを理由に、2022年に北京で開催された冬季オリンピックをアメリカがボイコットするよう求めた。

ラトクリフは『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2020年12月の論説で次のように書いている。「情報は明らかだ。中国は経済的、軍事的、技術的にアメリカと地球の残りの部分を支配するつもりだ。中国の主要な公共的取り組みや著名な企業の多くは、中国共産党の活動をカモフラージュするためだけにある」と書いた。

中国はトランプ政権との新たな緊張関係(そして関税戦争[tariff war])に備えている。一方、中国を追跡している国家安全保障や情報機関の関係者たちは、経済スパイ、サイバー攻撃、技術進歩、台湾をめぐる紛争など、関係をさらに揺るがしかねない要因に依然として懸念を抱いている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ前大統領が今年の大統領選挙に当選し、二期目の政権を発足させると、前政権に参加していた人物たちが政権入りすると見られている。外交・安全保障関係で言えば、下記論稿にあるように、国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン、国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、前政権で情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルといった人々の名前が挙がっている。彼らはトランプに対して忠誠心を持っている人物たちだ。
robertobrien101
ロバート・オブイエン
johnratcliffe001
ジョン・ラトクリフ
richardgrenell001
リチャード・グレネル
kashpatel001
カッシュ・パテル

 トランプ政権が発足すれば、ウクライナ戦争に関しては、少々強引にでも停戦に持っていくだろう。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の両方と話ができるのはトランプだけだ。ウクライナにしてみれば、自国に不利な条件での停戦を求められる可能性が高い。ゼレンスキー大統領が常々述べている、1991年の独立時点での国土の奪還はもともと無理な話だったが、それを公約にしてしまっている以上、それができずに停戦となれば、ゼレンスキーは退陣するしかない。その後にはゼレンスキーと周辺人物たちの汚職や腐敗が捜査され、逮捕拘留ということにもなるだろう。ゼレンスキーに停戦を飲ませるには、免罪を確約しておく必要もあるだろう。
 イスラエルも似たような状況である。ベンヤミン・ネタニヤフはガザ地区での攻撃を強めながら、同時にレバンンのヒズボラ、更にはイランとの全面戦争という危険な賭けをしている。ネタニヤフも戦争の状況が落ち着いて停戦となれば、自身の汚職スキャンダルのために、逮捕は免れない。ここのところはゼレンスキーと同様だ。
 このように、脛に傷を持つゼレンスキーとネタニヤフという2人の指導者がアメリカの権力の空白、現職大統領の無力化の隙を突いて、戦争の規模を拡大させようとしている。トランプが大統領になれば、この2人に対して圧力をかけつつ、落としどころを見つけるために交渉をすることになるだろう。

 アメリカが世界の警察官であることはもう無理な話になっている。単独で行動することはできない。従って、同盟諸国には過重な負担を強いてくることになる。日本も例外ではない。ここで、日本をはじめとする同盟諸国は負担と自国の国力と周辺環境が見合っているのかということを真剣に考えねばならない。これまではある意味ではアメリカにおんぶにだっこで良いとなって、真剣に考えてこなかった。だから、コスト意識も薄く、簡単に戦争だ、なんだと考えもなく言うことができた。

しかし、今の西側諸国で戦争に耐えられるだけの経済力を持っている国がどれだけあるか。防衛力強化のための増税にどれだけ耐えられるか。それならば、戦争に至らないように、周辺諸国との交渉チャンネルをキープし、対応人材を教育し、「外交(交渉)が主」という意識に変化していくことが重要だ。そのための、アメリカのトランプ政権誕生ということになれば、世界の構造も大きく変わっていく。

トランプという人は、自覚はないだろうが、アメリカ衰退に対応し、何とか幕引きをするための人物である。そして、アメリカ一極から米中二極、更には多極へと向かう中で、アメリカを世界の超大国から普通の大国にしていく過程の中で生み出された人物である。私たちにこれまでの外交の常識に疑問を持たせて、新しい形を考えるきっかけを与える人物なのである。

(貼り付けはじめ)

トランプは中国、NATO、ウクライナに対するアメリカの外交政策を再構築するために忠誠心を持つ人間たちを配置するだろう(Trump would install loyalists to reshape US foreign policy on China, NATO and Ukraine)

グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート筆

2023年12月19日

ロイター通信

https://www.reuters.com/world/us/trump-install-loyalists-reshape-us-foreign-policy-diplomats-gird-doomsday-2023-12-18/#:~:text=Those%20advisers%20include%20John%20Ratcliffe,the%20intelligence%20and%20defense%20communities

12月18日、ワシントン発(ロイター通信)。ドナルド・トランプは二期目で、国防総省、国務省、CIAの要職に忠誠心を持つ人物を据える可能性が高く、彼らの主な忠誠はトランプに対してであり、一期目の大統領時代よりも、より自由にアイソレイショニスト的政策や気まぐれな政策を制定できるようになるだろう。20名近くの以前の、そして現役の側近や外交官たちに取材して明らかになった。

その結果、トランプが大統領になれば、ウクライナ戦争から対中貿易に至るまで、アメリカの姿勢を大幅に変更することが可能になり、外交政策を実施する(時には制約する)連邦機関にも変更を加えることができると側近や外交官たちは語った。

トランプは、一期目の大統領時代に、自分の計画の一部を遅らせたり、棚上げしたり、説得して止めさせたりする政府高官に対してしばしば不満を表明した。マーク・エスパー元国防長官は回想録の中で、アメリカの最大の貿易相手国であるメキシコの麻薬カルテルに対するミサイル攻撃というトランプ大統領の提案に二度異議を唱えたと述べた。トランプはこのことに関してコメントしていない。

今年の選挙戦での提案の中で、トランプはメキシコのカルテルに対してアメリカ軍特殊部隊を配備すると述べているが、これはメキシコ政府の賛同を得られそうにない。

もしトランプが再び政権に返り咲けば、トランプはヨーロッパへの国防援助を削減し、中国との経済関係をさらに縮小させるだろうと側近たちは語った。

ロバート・オブライエンは、トランプのトップ外交顧問の一人であり、トランプと定期的に話をしているが、NATO諸国が国内総生産の少なくとも2%を国防費に充てるという約束を守らなかった場合、貿易関税を課すことが、トランプの大統領2期目の任期中に検討される政策の1つになるだろうと述べた。

トランプ陣営はこの記事についてコメントを控えた。

トランプと会話した4人の関係者の話によると、2016年の大統領選に向けての準備段階とは異なり、トランプは定期的に話し合う安定した人々、外交政策の経験が豊富で個人的な信頼を寄せる人々を育ててきたという。

これらの顧問には、トランプ政権最後の国家情報長官ジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、元トランプ政権のスタッフで情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルが含まれる。

これらの人々は誰もインタヴュューの依頼に応じなかった。

これらの非公式な顧問たちの具体的な政策はある程度異なるものの、大半は退任以来トランプを声高に擁護しており、アメリカがNATOとウクライナの両方を支援するために多額の費用を支払っているとして懸念を表明している。

●「終末オプション」("DOOMSDAY OPTION")

トランプは共和党大統領候補指名争いで圧倒的なリードを保っている。トランプが共和党の大統領選挙候補者となり、来年11月に民主党のジョー・バイデン大統領を破れば、国内外で権力の行使方法についてより精通した、より大胆になったトランプを世界が目にする可能性が高いと現・元側近たちは述べた。

この見通しを受けて、外国資本はトランプの2期目がどのようになるかについて情報を求めて争っている。トランプ自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせるといった大まかな主張以外に、次回どのような外交政策を追求するかについてほとんど手がかりを提供していない。

ロイター通信がインタヴューしたヨーロッパ諸国の外交官8人は、トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)同盟諸国を守るという、アメリカの公約を尊重するかどうか疑問があり、ロシアとの戦争が継続中であるが、ウクライナへの援助を打ち切るのではないかとの深刻な懸念があると述べた。

デリケートな問題のため匿名を条件に語ったワシントン駐在の北ヨーロッパの外交官の1人は、トランプ元大統領が2021年にホワイトハウスを去った後も、同僚たちとともにトランプの側近らと会話を続けていたと語った。

この外交官は次のように述べた。「そうした内輪の話の内容は、『私たちには統治する準備ができていなかった。次回は違うやり方をしなければならない』というものだった。2017年に彼らが大統領執務室に入ったとき、一体何をすればいいのか全く分かなかった。しかし、このようなことは二度と起こらないだろう」。

NATO加盟諸国であるこの外交官とワシントンのもう1人の外交官は、彼らの任務が本国の首都に宛てた外交公電で「終末オプション(doomsday option)」の可能性を概説したと述べた。

これらの外交官たちが外交公電で述べた複数の選挙後の仮説のうちの1つである、仮想シナリオでは、トランプは官僚機構の諸要素を解体し、アメリカの抑制と均衡(checks and balances)のシステムが弱体化するほどに、政敵を追及するという公約を実行している。

取材に応じた外交官は、アメリカ政治に対する外交官グループの見解について次のように述べた。「外交官として、自国の首都に説明しなければならない。『バイデンが再選されれば、アメリカは再建を続けているので、事態はむしろうまくいくかもしれない』と私たちは報告する。そして、トランプについては、穏やかなヴァージョンとなる。一期目の政権を繰り返し、攻撃的なニュアンスを加えたものだ。そして、終末の選択肢があるということを報告する」。

●グローバリズムからの撤退(RETREAT FROM GLOBALISM)

トランプ政権で中東担当米国防次官補を務めたマイケル・マルロイは、トランプ前大統領はアイソレイショニストな外交政策に賛同し、トランプと対立する可能性が低い人物を任命する可能性が高いと述べた。

米大統領は、国務省、国防総省、CIAを含む連邦官僚の最上級職に政治任命者(political appointees)を指名する権限を持っている。

マルロイは、「それは主にトランプ大統領への忠誠心に基づくものになると思う。彼が信じる外交政策に対する確固たる信念、それはある種のグローバリスト政策ではなく、アメリカにもっと重点を置いている」と述べた。

トランプ大統領は、自身が支持していたトランスジェンダー軍人の入隊禁止から2018年のシリアからのアメリカ軍撤退の決定に至るまで、1期目に国防総省で任命した自らの任命者たちと多くの問題で衝突した。

トランプ政権で1人目の国防長官を務めたジム・マティスが2018年に辞任した時、元四つ星将軍はトランプとは政策的に大きな違いがあると述べた。マティスはそれらについて明確には述べなかったが、辞表の中で、ロシアのような敵に対して武器を持った距離に保ちながら、NATOや他の同盟諸国との鉄壁の絆を維持する必要性を強調した。

トランプ政権下の元駐スイス大使で、現在は選挙資金集め担当者でトランプと連絡を取り合っているエド・マクマレンは、知人のほとんどの外交官はトランプ大統領に忠実に仕えていたと強調した。

しかし、トランプは2期目の外交政策のトップポストには、不誠実、あるいは反抗的な官僚を選ぶことを避ける必要があることを認識しているとマクマレンは述べた。

マクマレンは「トランプ前大統領は、次期政権の成功には能力と忠誠心が重要であることを強く意識している」と述べた。

マクマレンはトランプ陣営の公式政策サイト「アジェンダ47」によると、トランプ大統領の最高顧問団以外では、潜在的なトランプ政権は「ならず者(rouge)」とみなされる国家安全保障コミュニティの下位レヴェルの関係者を排除する計画だという。

どの政権が誕生しても、中立の官僚組織が存在するアメリカでは、このような措置はほとんど前例がないということになる。

トランプ大統領は、1期目の最後の数カ月間に発令したが、完全に施行されることはなかったが、公務員の解雇をより容易にする大統領令を復活させる計画だと述べた。

今年初めにアジェンダ47で公開されたあまり報道されていない文書の中で、トランプは「真実と和解委員会、新しいタブを開く(Truth and Reconciliation Commission, opens new tab)」を設立し、他の機能の中でもとりわけ「ディープステート(Deep State)」の権力乱用に関連する文書を公開すると述べた。トランプはまた、情報収集をリアルタイムで監視することを目的とした別の「監査(auditing)」機関を創設する予定だ。

トランプは今年初めに新しいタブを開いて、政策ビデオの中で、「国務省、国防総省、そして国家安全保障関連政府機関は、私の政権が終わるころには、まったく違った場所になっているだろう」と述べた。

●NATO撤退? 新たな貿易戦争(NATO PULLOUT? NEW TRADE WAR)

トランプは大統領2期目の任期中に、中国の最も優遇された貿易立国としての地位(一般的に言えば国家間の貿易障壁を下げる立場)を終わらせ、ヨーロッパ諸国に防衛費の増加を促すと約束した。

ウクライナのロシアとの戦争において、トランプがアメリカによる重要な支援を継続するかどうかは、NATOへの継続的な関与と同様に、準備をしようとするワシントンに駐在するヨーロッパ諸国の外交官たちにとって特に重要である。

バルト諸国のある外交官は「トランプがNATOからアメリカを引き離すか、ヨーロッパから撤退したいという噂がある。もちろん心配な内容に聞こえるが、私たちはパニックには陥っていない」と語った。

NATOの将来に対する懸念にもかかわらず、この記事のためにインタヴューした複数の外交官は、トランプ大統領の1期目の圧力が確かに国防費の増加につながったと述べた。

トランプ政権下で、3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、その後トランプを声高に批判するようになったジョン・ボルトンはロイター通信に対し、トランプ大統領がNATOから離脱すると信じていると語った。

このような決定は、75年近く同盟の集団安全保障に依存してきたヨーロッパ諸国にとっては天地を揺るがすものとなるだろう。

他のトランプ政権関係者の3人(うち2人は現在もトランプ氏と連絡を取り合っている)はその可能性を否定し、そのうちの1人は国内政治的な反発に値するものではないだろうと述べた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、このやりとりを知る関係者2人によると、少なくともワシントン駐在の外交官の1人、フィンランドのミッコ・ハウタラ大使が何度もトランプ大統領と直接会話しているということだ。

これらの議論は、フィンランドのNATO加盟プロセスに集中した。ある関係者によると、ハウタラ大使は、フィンランドが同盟に何をもたらし、フィンランドの参加がアメリカにどのような利益をもたらすかについてトランプに正確な情報を確実に伝えたかったということだ。

報道:グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート。追加報道:ジョナサン・ランディ、アーシャド・モハメド、スティーヴ・ホランド。編集:ロス・コルヴィン、ドン・ダーフィー、ダニエル・フリン。

(貼り付け終わり)

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