古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:スージー・ワイルズ

 古村治彦です。
 第二次ドナルド・トランプ政権内で影響力を増しているJD・ヴァンス副大統領はこれから慎重に、バランスを取りながら、トランプから嫌われないようにしながら、2028年に自身の大統領選挙での勝利に向けて決断と行動をしなければならないという難しい状況になる。そこで重要になってくるのはヴァンスの後ろ盾となっているピーター・ティールの存在だ。露骨に書けば、ヴァンスはティールの課したいくつかの課題をすべてクリアしたことで、現在の地位にある。それはつまり、ティールが「こいつを大統領にする」という試験に合格しているということである。第一次トランプ政権誕生においても重要役割を果たし、「影の大統領」と呼ばれたティールは、イーロン・マスクとも「ペイパル・マフィア」としてつながりを持ち、トランプとマスクを結び付ける役割を果たした。ティールが「次の大統領にはヴァンスを」ということになれば、マスクも進んで支援するだろう。これは、拙著『』(ビジネス社)で取り上げた、新・軍産複合体がヴァンスを大統領にするという動きでもある。

 ヴァンスを支える政治組織として、ロックブリッジ・ネットワークというものがあることは、先日、このブログでもご紹介した。その記事は以下の通りだ。

※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」:2026年5月7日付記事「JD・ヴァンス副大統領を支える「ロックブリッジ・ネットワーク」について紹介する」↓

https://suinikki.blog.jp/archives/90471185.html

 以下で、ロックブリッジ・ネットワークについての記事をご紹介している。私はロックブリッジ・ネットワークについて調べていく中で、ヴァンスとティールは、大統領の座を目指すために、この組織を作った、そして、ドナルド・トランプの後継者として2028年の大統領選挙での勝利を目指しているという感触を持った。それは、ロックブリッジ・ネットワークには資金源となる財界人も入っているが、トランプ政権にとって極めて重要な人物で、ホワイトハウスを取り仕切るスージー・ワイルズ大統領首席補佐官、そして、トランプの長男であり、トランプ一家にとって重要な存在であるドナルド・トランプ・ジュニアをネットワークに入れていることからも分かる。トランプ・ジュニアは、2028年大統領選挙の候補者としても名前が挙がっているが、ヴァンスが圧倒的な支持率を誇っている。重要なことは、トランプ・ジュニアがヴァンスを支持するとなれば、ライヴァルたちはもう追いつけないということになる。そのために、トランプ・ジュニアに、ネットワークに入れて、ある程度の金儲けをさせているということになる。ワイルズはトランプの信頼が厚い人物であり、ワイルズの口添えがあれば、ヴァンスの先行きは明るいということになる。ヴァンスとティールは少しずつ2028年に向けて根回しをしているだろう。これからさらに注目していかねばならない。
(貼り付けはじめ)
台頭するMAGA支持者たちの秘密会合の舞台裏(Behind the Scenes at a Secretive Gathering of Rising MAGA Donors

―ウィンクルヴォス双子兄弟、レベカ・マーサー、イーロン・マスクの盟友たち、ドナルド・トランプ・ジュニア、そしてトランプ陣営の幹部たちが最近、突如として権力を手にした右派系献金者たちの会合に参加した。

セオドア・シーファー筆

2024年11月20日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2024/11/20/us/politics/rockbridge-trump-vance-wiles.html

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ラスヴェガスで開催された今年のロックブリッジ・ネットワークの会合には、共和党の大口献金者であるレベカ・マーサー、ドナルド・J・トランプ次期大統領の大統領首席補佐官を務めるスージー・ワイルズ、そしてドナルド・トランプ・ジュニア(左から)が出席した

次期ホワイトハウス大統領首席補佐官に指名されてからわずか4日後、スージー・ワイルズはラスヴェガスの五つ星ホテルでエスプレッソを辛抱強く待っていた。

一夜にして、スージー・ワイルズはアメリカで最も影響力のある人物の一人となった。大統領移行期において、彼女の1分1秒の価値はかつてないほど高まっている。共和党の野心家たちは、彼女に魅力的なポストを要求し、一方、マール・ア・ラーゴでは、次期大統領ドナルド・J・トランプが人事を巡って物議を醸し続けている。

しかし、彼女は数千マイル離れた場所で、警備員一人を伴って、フォーシーズンズホテルのコーヒーショップに一人で並んでいた。彼女は、選挙対策本部長クリス・ラシヴィタ、世論調査担当トニー・ファブリツィオ、資金調達責任者メレディス・オロークといったトランプ陣営の幹部たちとの昼食を終えたばかりだった。「みんなただのんびりしているだけなんだ」と、ホテル内を歩いているところを近くにいた『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に目撃されたと知らされたトランプ一行の一人が驚いた様子で冗談めかして言った。

キャリアの中でも最も重要な時期に、トランプ陣営の面々が何日も滞在する必要があったのはなぜだろうか? それは、共和党の献金者層の中で急速に台頭してきた、裕福なテクノロジー企業の幹部とその支持者たちによる秘密結社ロックブリッジ・ネットワーク(the Rockbridge Network)の秋の会合のためだった。

JD・ヴァンスが5年前に共同設立したこの団体は、非公式な夕食会から発展し、共和党の有力献金者による強力な連合体へと成長した。この団体のある関係者によると、2019年以降、ロックブリッジのプロジェクトに1億ドル以上を寄付し、シリコンヴァレーの右傾化を牽引してきたという。ロックブリッジにとって、ヴァンスの副大統領選出はまさに快挙であり、新たな国家的影響力を行使する絶好の機会となった。

しかし、ロックブリッジ・ネットワークは、コーク・ネットワーク(Koch Network)のような富裕層の保守派団体が、リベラル派の批判者や共和党支持者から攻撃を受けていることを念頭に置き、活動を極秘裏に進めてきた。

先週、黒塗りのSUVの車列が億万長者たちをプライヴェートジェットからホテルへと送り届ける中、ロックブリッジ・ネットワークのメンバーがホテル周辺で目撃された。共和党有数の献金者一族の令嬢であるレベカ・マーサーは、ロビーで祝福に駆けつけた人々に挨拶をしていた。ホテルのバーでハッピーアワーを楽しんでいたのは、イーロン・マスクの親友であるケン・ハウリーとルーク・ノセックの2人。彼らはマスクと共にペイパル(PayPal)で働き、巨万の富を築いた。

そして、映画「ソーシャル・ネットワーク」で有名になった、身長196センチの仮想通貨投資家でハーヴァード大学ではボートクルーだったタイラーとキャメロンのウィンクルヴォス双子兄弟の姿も見逃すことはできなかった。

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2021年のタイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボス。彼らは最近、他の裕福なテクノロジー企業の経営者やその仲間たちと共にロックブリッジで開催された会合に参加した

白と赤のギフトバッグとストラップを身につけた出席者たちは、ホテル関係者や、非公開のこの会合に招待されていない『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に話しかけられても、口を閉ざすよう心得ていた。しかし、出席者によると、議事録には、アンドゥリルの共同創業者であるパルマー・ラッキーやヴェンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンなど、複数のテクノロジー界の大富豪による講演が記載されていた。アンドリーセンは、テクノロジー規制緩和への支持や、トランプへの支持表明に対するシリコンヴァレーの賛否両論について語ったという。

テクノロジー業界の新進気鋭の人物もいた。ドナルド・トランプ・ジュニアは、歓迎夕食会でヴェンチャーキャピタル業界への参入を発表した。そして、次期大統領がロバート・F・ケネディ・ジュニアを保健福祉長官に指名する数日前、ケネディは自身の公衆衛生に関する取り組みについて詳しく語り、聴衆からスタンディングオヴェーションを受けた。ワイルズはまた、「2024年選挙分析(2024 Election Analysis)」と題したセッションを主導し、トランプの大統領就任後の最初の数日間を概観した。

「これはアメリカ国内版『砂漠のダヴォス会議(Davos in the desert)』だ」とロックブリッジ・ネットワークの支援者であり、ドナルド・トランプ・ジュニアの新たなビジネスパートナーでもあるオミード・マリクは、リヤドで開催される年次ビジネス会議に言及しながら語った。

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2023年にドナルド・トランプ・ジュニアと共にニューヨーク証券取引所に出席した金融家オミード・マリクはロックブリッジ・ネットワークの中核メンバーとなり、トランプ一家の友人となった

●小規模な夕食会からリッツ・カールトンへ(From small dinners to the Ritz-Carlton

ロックブリッジ・ネットワークは、より謙虚な形で始まった。2019年、当時『ヒルビリー・エレジー』の著者として知られていたヴァンスと、保守系メディア関係者のクリス・バスカークは、ヴァンスの政治キャリアの基盤を築き、最終的にはコーク・ネットワークに対抗するトランプ派の組織を構築することを目指し、非公式に小規模な夕食会を何度か開催し始めた。初期の会合の一つは、ヴァンスがオハイオ州ロックブリッジのリゾートで寄付者や活動家を集めて開催したもので、そこで「ロックブリッジ」という名前が誕生した。

このグループは、マーサーとヴェンチャーキャピタリストのピーター・ティールから最初の資金提供を受け、やがてドナルド・J・トランプの目に留まり、トランプはいくつかの会合で講演を行った。

秋と春にそれぞれ一度ずつ、ロックブリッジはフロリダ州パームビーチのフォーシーズンズやダラスのリッツ・カールトンといった場所で、3日間にわたる政治パネルディスカッションとビジネス交流会を開催するようになった。講演者には、タッカー・カールソン、ティールの弟子であるブレイク・マスターズ、カジノ王のスティーヴ・ウィン、投資家のデイヴィッド・サックス、そしてニューヨーク・ジェッツのオーナーである億万長者のウッディ・ジョンソンなどが名を連ねた。

参加者全員が政治に関心を持っている訳ではない。中には、ロックブリッジをエリート層向けのサンヴァレー会議の保守的なヴァージョンと捉え、ビジネスに強い関心を持つ人もいる。

かつて『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿していた論説委員で、2016年にトランプ支持の出版物「アメリカン・グレートネス(American Greatness)」を創刊したバスカークは、政治に直接携わった経験は限られていた。しかし、彼は「ニューライト(the New Right)」と呼ばれる運動、保守系ビジネス界、そしてトランプの周辺との人脈を活かし、共和党の献金者を組織し、ロックブリッジ・ネットワークを築き上げた。彼はこの記事へのコメントを拒否した。

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クリス・バスカークはJD・ヴァンスと共にロックブリッジ・ネットワークを設立し、政治に直接携わった経験は限られているものの、徐々に組織を拡大し、保守系のプロジェクトに資金を提供してきた

ロックブリッジ・ネットワークは、今年献金者に配布された資料によると、「永続的な政治基盤を構築(builds lasting political infrastructure)」し、「共和党の衰退の一因となっているシンクタンク、メディア組織、活動家グループといった現在の共和党のエコシステムに取って代わることを目指している」としている。その野心は明白だが、長年の参加者の中には、ロックブリッジがこれらの目標達成にどれほど近づいているのか疑問視する声もある。

ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利し、今年大統領選挙で副大統領候補に選出されたことは、ロックブリッジとバスカークにとって強力な正当性の証明となった。バスカークは現在もヴァンスの側近として活動している。バスカークはロックブリッジ社の資金を活用し、今回の選挙サイクルでトランプの草の根運動を強化するため、迅速にスーパーPACを立ち上げた。また、かつては共和党の資金調達において二流と見なされていたロックブリッジは、一部の主流派共和党員でさえラスヴェガスまで足を運ぶほどの影響力を持つようになった。

ロックブリッジが実際にどれだけの資金を運用しているのかについては、依然として懐疑的な見方がある。ロックブリッジ・ネットワークへの寄付者は若年層が多く、起業家出身者で、資産の流動性が低い傾向にある。フォーシーズンズホテルのロビーには、スタートアップ企業のTシャツを着た人々とMAGA帽やカウボーイブーツを履いた人々が混在し、シリコンヴァレー、オースティン、マイアミといったテクノロジーの中心地から人々が集まっていた。

●1億ドルを政治に静かに流し込む(Quietly funneling $100 million into politics

選挙直後にこの秋の会合を開催したことで、サミットがまるで葬儀のような雰囲気になってしまう危険性もあった。しかし、実際は正反対だった。

イヴェントが正式に始まる前から、ワイルズはラスヴェガスに滞在し、ロックブリッジの寄付者や友人約30人を招いて、ステーキハウスで土曜日の屋外ディナーを主催していた。賑やかなオープンバーや音楽が流れる宴会場で、参加者たちはトランプ政権でどのような役職に就けるかについて率直に意見を交わし、マスクが世界で最も影響力のある人物かどうかについて議論を交わしていた。

「ロックブリッジ・ネットワークの参加者は皆、技術者と政治家が再び直接協力し合い、互いに公然と敵対しなくなったことを非常に喜んでいた」と出席したソイレントの共同創業者ジョン・クーガンは語った。彼は続けて次のように述べた。「もはやテクノロジーが未来を牽引するかどうかではなく、その影響をいかに導くかが問われている。だからこそ、テクノロジー界の大富豪と政界のエリートたちが共にパーティーを開くのは当然のことなのだ」。

ヴァンスは出席しなかった。これは異例のことで、一部の支持者にとっては残念なことだった。しかし、ヴァンスの勝利によってロックブリッジ・ネットアークは一躍人気となり、直前になって参加申し込みが殺到した。以前は5000ドルで参加できたこともあったロックブリッジ・ネットワークは、最低参加費を2万5000ドルに引き上げた(ただし、一部の参加者はもっと安く参加できたと内緒話をしていた)。

ニューヨーク・タイムズ紙が入手した目論見書によると、ロックブリッジの会員資格の費用は、「リミテッド・パートナー」の10万ドルから、「プリンシパル・パートナー」の100万ドルまでとなっている。

この資金は、ロックブリッジが運営する8つの組織に充てられる。これには、4つの非公開資金を扱う501(c)()団体、2つのスーパーPAC、非営利活動のための寄付者指定型501(c)()基金、そしてロックブリッジ・ネットワークという傘下組織(有限責任会社)が含まれる。バスカーク氏が主宰するスーパーPAC「ターンアウト・フォー・アメリカ」は、今年少なくとも2500万ドルを調達している。

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次期副大統領のJD・ヴァンスはロックブリッジの共同創設者。ロックブリッジは、ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利した後、影響力を増し、現在、さらに大きな影響力を行使しようとしている

ロックブリッジ傘下の8つのグループは、主に投票促進活動を行っている。そのうちの1つ、「フェイスフル・イン・アクション(Faithful in Action)」は、16万人の会員を擁し、週2回、小規模教会にフィールドチームを組織している。このグループは、公的な活動は一切行っていない。

ロックブリッジ傘下のグループは、トランプに対する訴訟を追及する検察官を調査するドキュメンタリーも制作している。目論見書によると、ロックブリッジは2020年以降、「提携メディアに無料で提供される」世論調査に資金を提供してきた。また、提携メディアが掲載する「地方および全国規模の調査」にも資金援助を行っている。

●新たなタイプの共和党献金者(A new breed of Republican donors
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ヴァンスの新たな職務は、ロックブリッジとその150人の会員をトランプ政権の政策推進において影響力のある存在にする可能性が高い。

その理由の一つは、トランプがリバータリアン系のコーク・ネットワークや、よりタカ派的なアメリカン・オポチュニティ・アライアンス(American Opportunity Alliance)といった伝統的な共和党献金者グループと、時に冷え込んだ関係を築いてきたことにある。対照的に、ロックブリッジはトランプ時代に設立され、ライヴァル団体ほどの財力はないものの、トランプ氏と同様の過激な姿勢を共有している。

「保守系の大口献金者たちは、ここで決断を迫られている」とヴァンスの側近で、こうした大口献金者たちと親しい影響力のある保守派経済学者オレン・キャスは語る。「2024年の選挙までは、トランプが成功しないかもしれないという、少なくともそれなりの根拠があった」。

しかし、キャスによれば、もはやその根拠は存在しない。「古い船の貨物室に閉じ込められて沈没しようとしているのは誰なのか、そして保守主義の未来にとって真に重要な存在でありたいと願っているのは誰なのか?」と彼は問いかけた。

バスカークはラスヴェガスの献金者たちに対し、選挙期間中、ロックブリッジは約3000人を現場でトランプのために活動させていたと語った。そして、共和党の勝利後、ロックブリッジのプロジェクトはさらに規模を拡大する時が来たとバスカークは述べた。

セオドア・シュライファーは、選挙資金とアメリカ政治における億万長者の影響力を取材する『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者である。

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所属政党に不満を抱く裕福な共和党献金者たちが秘密の連合を形成する(Dissatisfied With Their Party, Wealthy Republican Donors Form Secret Coalitions

―いわゆる「闇資金グループ(dark money group)」における民主党の優位性を相殺しようと、ピーター・ティールのようなトランプ支持派の裕福な保守派は、従来の党組織の枠外でより大きな影響力を行使しようと画策している。

シェイン・ゴールドマチャー、ライアン・マック筆

2022年4月6日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2022/04/06/us/politics/republican-donors-rockbridge-network-trump.html

「共和党の政策を混乱させつつも推進する(disrupt but advance the Republican agenda)」ことを目指すと表明する、裕福な保守派支援者による新たな連合が今週、フロリダ州南部で非公開のサミットを開催した。文書や関係者へのインタヴューによると、このサミットではドナルド・J・トランプ前大統領と、トランプと連携する連邦上院議員候補が、トランプの所有するマール・ア・ラーゴ・クラブで非公開の演説を行った。

ロックブリッジ・ネットワークと呼ばれるこの連合には、ピーター・ティールやレベカ・マーサーなど、トランプの最大の献金者も含まれており、保守系メディア、法律、政策、有権者登録などのプロジェクトに3000万ドル以上を投じ、アメリカの右派勢力を再構築するという野心的な目標を掲げている。

これまでその存在が報じられていなかったロックブリッジの出現は、保守派の大口献金者たちが、党の正式な組織機構の外で、そして多くの場合ほとんど情報公開をせずに、2022年の中間選挙と共和党の将来を左右しようと、激しい駆け引きを繰り広げている中で起こった。

2月には、これまで報道されていなかった別の寄付者連合、トランプと親しいロビイスト、マット・シュラップが組織したチェスナット・ストリート・カウンシルが会合を開き、保守運動への新たな資金調達モデルについて説明を受けた。

こうした新興連合が勢いを増せば、トランプに懐疑的あるいは中立的な立場を取ってきた既存の寄付者ネットワークと、保守派の間で影響力を巡って競合することになるだろう。

億万長者の実業家チャールズ・G・コークとデイヴィッド・H・コークが設立したある連合は、2020年に2億5000万ドル以上を支出した。また、ニューヨークのヘッジファンドの億万長者ポール・シンガーが主導する別の連合は、2月に共和党の有力政治家を招いて会合を開いた。

秘密裏に行われる資金調達の急増はそれだけにとどまらない。トランプへの忠誠度の異なる複数の非営利団体も、右派への献金の主要な分配者となるべく競い合っている。

こうした駆け引きは、共和党を取り巻く政治構造、そして場合によっては党の政治家に対する右派の不満、さらにトランプが次期大統領選出馬を示唆する中での党の方向性に関する意見の相違を浮き彫りにしている。

共和党の最も裕福な活動家たちの資金力を活用しようとする動きは、今年の中間選挙、そして場合によっては2024年の大統領選に向けて、共和党にとって有利な選挙環境を活かすのに役立つ可能性がある。逆に、富裕層が競合する候補者、団体、戦術に資金を投入すれば、共和党の見通しは暗くなるだろう。

寄付者が自ら組織化しようとする姿勢は、寄付者の身元開示が義務付けられている各政党の公式機関から、開示義務がほとんどない外部団体へと権力と資金が流出していることを浮き彫りにしている。これはまた、各政党の候補者や政策を支援する非営利団体に関して、政治的右派が不利な立場に置かれているという、一部の有力共和党員の懸念を反映している。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の分析によると、民主党と概ね連携する政治活動が最も活発な非営利団体15団体は、2020年に寄付者の身元が非公開の資金で15億ドル以上を支出した。これに対し、共和党と連携する同規模の15団体が支出した、いわゆる「闇資金(dark money)」は約9億ドルにとどまっている。

この格差を縮め、右派の政治基盤を支える政治コンサルティングやテクノロジー分野で優位に立つための取り組みは、これらの連合体の間で主要な議論の的となっている。

ロックブリッジ・ネットワークのパンフレットには「将来の選挙で勝利する可能性を少しでも高めるためには、私たちの陣営が組織化されており、必要な組織的ノウハウと資金的支援を備えていることを示す必要がある」と記されている。

今年、共和党の資金関係者の間で出回ったパンフレットは、ロックブリッジを「一種の政治的ヴェンチャーキャピタル企業(a kind of political venture capital firm)」と称し、「(投資家の資金を適切な政治的専門知識で活用(leverage our investors’ capital with the right political expertise)」することで、「党の衰退の一因となっている現在の共和党のシンクタンク、メディア組織、活動家グループといったエコシステムを、より行動志向で、より効果的な、勝利に焦点を当てた人材と組織に置き換える(replace the current Republican ecosystem of think tanks, media organizations and activist groups that have contributed to the Party’s decline with better action-oriented, more effective people and institutions that are focused on winning)」としている。

ロックブリッジのパンフレットに記載されている取り組みの中には、広報、メッセージ発信、世論調査、「インフルエンサー・プログラム(influencer programs)」、調査報道など、メディア関連の機能が含まれており、総予算は800万ドルに上る。

375万ドルの費用が見込まれる「法廷闘争と戦略的訴訟(lawfare and strategic litigation)」は、裁判所を利用して「メディアを含む悪質な行為者に責任を負わせる(to hold bad actors, including the media, accountable)」ことを目的としている。300万ドルの費用が見込まれる「政権移行プロジェクト(transition project)」は、政策専門家を集め、「次期共和党政権のスタッフ(government-in-waiting to staff the next Republican administration)」を編成することを目的としている。

「レッドステート・プロジェクト(red state project)」とは、左派が先駆的に開発したモデルを模倣したもので、戦略家たちが様々な運動団体の活動を調整し、互いに補完し合い、重複を避けるという手法である。このプロジェクトは州ごとに600万ドルから800万ドルの費用がかかると見込まれており、当初は激戦州であるアリゾナ州、ネヴァダ州、ミシガン州に重点が置かれている。

ロックブリッジに詳しい関係者によると、これらのプロジェクトとその資金調達目標は野心的なもので、ロックブリッジ・ネットワークはこれまで新たな団体を設立するのではなく、既存の団体に寄付金を配分して目標を達成することに重点を置いてきたという。

関係者によると、この連合は昨年、有権者登録イニシアティヴを含むいくつかの計画をアリゾナ州で試験的に実施したという。アリゾナ州はパンフレットの中で事例研究として紹介されている。

アリゾナ州は、昨年開催されたロックブリッジ初のサミットの開催地だった。サミットでは、億万長者のテクノロジー投資家であるティールが講演を行った。ティールと、ヘッジファンドの大物ロバート・マーサーの娘であるレベカ・マーサーは、2016年のトランプへの最大の献金者の一人であり、トランプの政権移行チームで緊密に協力した。

それ以来、ティールは重要なキングメイカーとして台頭し、連邦上院議員と連邦下院議員の候補者16人を支援してきた。その中には、レベカ・マーサーも支援している候補者もいる。これらの候補者の多くは、トランプが2020年の大統領選に勝利したという虚偽の主張を鵜呑みにしている。

1つ目は、ティールの元従業員でアリゾナ州選出連邦上院議員選に出馬しているブレイク・マスターズだ。マスターズは火曜日夜、トランプに先立ち、マール・ア・ラーゴで開催されたロックブリッジの夕食会で講演を行い、ロックブリッジの活動から恩恵を受ける可能性が考えられる。

ティールは、マスターズとオハイオ州選出連邦上院議員候補のJD・ヴァンスを支援するスーパーPACにそれぞれ1000万ドルを寄付した。

ティールとレベカ・マーサーが今週のロックブリッジの会合に出席したかどうかは不明だ。この会合は、火曜日夜のマール・ア・ラーゴでの夕食会に加え、別のホテルでも会合が開かれた。マール・ア・ラーゴでの夕食会の直前には、トランプ支持者が集まる別のイヴェントが開催された。それは、フェイスブックの親会社であるメタ社のCEOマーク・ザッカーバーグが、パンデミックの中で選挙実施費用を賄うのに苦労している選挙管理委員会に2020年に助成金を提供したことを批判する映画のプレミア上映会だった。ティールはメタの取締役を務めていたが、中間選挙への影響力行使に専念するため、その職を辞任した。ロックブリッジへの関与は、ティールが非営利団体への秘密資金提供に手を広げようとしている可能性を示唆している。

ロックブリッジは、トランプ支持の雑誌「アメリカン・グレートネス」の編集長兼発行人であり、マスターズを支援するスーパーPACの顧問も務めるクリストファー・バスカークによって設立された。

ティールの広報担当者はコメントを拒否した。マーサーへ連絡する努力は成功しなかった。

15年以上前にコーク兄弟の政治活動の拡大を支援したシュラップは、2020年の選挙後、寄付者から「政治活動への資金調達の従来の方法に不満を抱いている」との声が寄せられたことが、チェスナット・ストリート・カウンシル設立のきっかけになったと述べた。

シュラップは、「こうした寄付者と協力して、より良い投資機会を見つけるのが賢明だと判断した」と述べた。

シュラップは、チェスナット・ストリート・カウンシルが投票規則をめぐる訴訟を支援する可能性を示唆した。

2月に開催されたチェスナット・ストリート・カウンシルの会合では、ヴェテラン共和党資金調達者のキャロライン・レンが寄付者に向けてプレゼンテーションを行った。

トランプの多くの政治活動、特に1月6日の連邦議事堂襲撃事件に先立つ集会の資金調達に尽力したレンは、右派は左派の献金者ネットワークや非営利団体の資金調達拠点といったシステムを模倣し、新たな団体を育成し、既存の団体間の連携を強化すべきだと述べたと、プレゼンテーションの内容を知る関係者が明らかにした。

近年、右派にも新たな資金調達拠点が出現しているものの、左派のそれほどの洗練された組織や資金規模には及ばない。

保守パートナーシップ研究所は、「保守運動のハブ(the hub of the conservative movement)」となることを目指している。保守パートナー研究所は2021年の年次報告書で、トランプの元補佐官スティーヴン・ミラーが率いるアメリカ・ファースト・リーガル、同じくトランプ政権出身のラス・ヴォートが率いるセンター・フォ・リニューイング・アメリカ、そして元住宅都市開発長官ベン・カーソンが率いるアメリカン・コーナーストーン研究所など、複数の新たな保守系非営利団体の設立に貢献したと主張している。

この団体には、選挙公正ネットワークも含まれており、そのリーダーは保守派弁護士クレタ・ミッチェルだ。ミッチェルは、当時大統領だったトランプがジョージア州当局者に対し、選挙結果を覆すのに十分な票を「見つける(find)」よう圧力をかけた1時間にわたる電話会議に同席していた。

保守パートナーシップ研究所は昨年夏、トランプの政治活動委員会(PAC)から100万ドルの資金提供を受け、昨年春にはトランプのプライヴェート・クラブであるマール・ア・ラーゴで寄付者向けの会合を開催した。

こうした団体は、選挙運動や政治活動委員会に比べて情報開示義務がはるかに少ないのが現状だ。保守パートナーシップ研究所や、司法活動家のレナード・A・レオが設立した別の非営利ネットワークのような資金提供拠点は、他の団体への助成金については開示義務があるが、資金提供者については開示義務がある。ロックブリッジ・ネットワークやチェスナット・ストリート・カウンシルのような寄付者連合も、おそらく開示義務はないだろう。

トランプをはじめとする政府関係者や大統領候補者たちが、こうした連合体との連携に積極的であることは、アメリカ政治におけるこれらの連合体の重要性が高まっていることの証左である。

シンガーの連合体であるアメリカン・オポチュニティ・アライアンスがコロラド州とフロリダ州パームビーチで最近開催した非公開会合には、マイク・ポンペオ元国務長官、フロリダ州知事ロン・デサンティス、マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元国連大使が出席した。

ミネソタ州選出のトム・エマー連邦下院議員(共和党連邦議員委員長)は、今週パームビーチで開催されるロックブリッジ・ネットワークの会合で講演する予定だった。

※シェイン・ゴールドマッハー:全国政治担当記者で、以前はメトロデスクの主任政治特派員を務めていた。『ニューヨーク・タイムズ』紙に入社する前は、『ポリティコ』誌で共和党の全国政治と2016年の大統領選挙を取材していた。

※ライアン・マック:世界のテクノロジー業界における企業の責任問題に焦点を当てたテクノロジー担当記者である。フェイスブックに関する報道で2020年にジョージ・ポーク賞を受賞した。ロサンゼルスを拠点としている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルがイランに対して大規模攻撃を行うことで始まったイラン戦争は、パキスタンのシャバーズ・シャリフ首相が仲介役となり、2週間の停戦が合意に至ったという発表を行ったことで事態が急速に動いた。アメリカもイランも停戦に合意医したことを認め、イスラエルは停戦に合意するとしているが、イランから支援を受けているヒズボラに対する攻撃を継続するとして、レバノンへの大規模攻撃を継続している。パキスタンのシャリフ首相はレバノン攻撃停止が停戦条件に入っているとしているが、認識の違いはこれからの停戦に方向に影響を与えることになるだろう。
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(左から)トランプ、ヴァンス、ルビオ、スージー・ワイルズ大統領首席補佐官

 そうした中で、ニューヨーク・タイムズ紙は、ドナルド・トランプ大統領によるイラン攻撃決定に進むまでの内幕を報じた。2026年2月11日に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が極秘裏にホワイトハウスを訪問し、外国首脳はほぼ入ったことがないシチュエーションルームで1時間にわたり、イラン戦争開始を勧奨するプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションの内容について以下の記事では、「第一部分は最高指導者の暗殺、つまりハメネイ師の殺害。第二部分はイランの軍事力投射能力と近隣諸国への脅威能力の弱体化、第三部分はイラン国内での民衆蜂起、そして、第四部分は世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)である」としている。アメリカ政府関係者たちは、最初の2つの部分は達成可能であるが、残り2つは達成不可能であるという評価を下していた。このプレゼンテーションの会合には、JD・ヴァンス副大統領は出席していなかった。アゼルバイジャンに外遊中で当日までに帰国できなかった。

 翌日12日にプレゼンテーションの内容を評価する会合が開かれ、ヴァンス副大統領はこちらには出席することが出来た。そして、この会合で、トランプ大統領に対して、イラン攻撃に反対する意見を述べた。以下の記事から引用する。

(引用はじめ)

ヴァンス副大統領は、イランとの政権転覆戦争は破滅的な結果を招くと考えていた。彼の望みは、一切の攻撃を行わないことだった。しかし、トランプが何らかの形で介入する可能性が高いことを承知していたヴァンスは、より限定的な行動へと舵を切ろうとした。その後、大統領が大規模な作戦に踏み切ることが確実になると、ヴァンスは、目的を迅速に達成するためには圧倒的な武力行使が必要だと主張した。

ヴァンスは同僚たちの前で、イランとの戦争は地域的な混乱と計り知れない数の犠牲者をもたらす可能性があるとトランプに警告した。また、トランプの政治連合を崩壊させ、新たな戦争は起こさないという約束を信じていた多くの有権者から裏切りとみなされるだろうとも述べた。

ヴァンス副大統領は他にも懸念を表明した。副大統領として、彼はアメリカの軍需品問題の深刻さを認識していた。生き残りを強く望む政権との戦争は、アメリカを今後数年間、紛争を戦う上で極めて不利な立場に追い込む可能性がある。

副大統領は側近に対し、政権の存続がかかっている状況でイランがどのような報復行動に出るかを、どれほど軍事的見識があっても正確に予測することはできないと語った。戦争は容易に予測不可能な方向へ進む可能性がある。さらに、彼は戦争後に平和なイランを築く可能性は低いと考えていた。

そして、おそらく最大の懸念は、ホルムズ海峡におけるイランの優位性だった。膨大な量の石油と天然ガスを輸送するこの狭い海峡が封鎖されれば、ガソリン価格の高騰をはじめとするアメリカ国内への影響は甚大になるだろう。

(貼り付け終わり)

 現状はヴァンス副大統領の懸念の通りになっている。その他の最高幹部たちでは、ピート・ヘグセス国防長官が攻撃に賛成し、マルコ・ルビオ国務長官は曖昧な態度を取った。ただ全員が、トランプ大統領が攻撃を決定するならば支持し、それぞれの役職で支えるということは変わらなかった。最終的には、2月26日に会合が開かれ、トランプ大統領から攻撃決定の意思が示された。トランプの決断の理由は、記事によると、「イランが核兵器を保有できないようにしなければならないこと、そしてイランがイスラエルや中東地域全体にミサイルを発射できないようにしなければならないことを確実にしなければならない」ということだった。ネタニヤフ首相のプレゼンテーションで示された4つの部分のうちの2つを実行するということだった。これは、「イラン国内での民衆蜂起と世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)」はゴールとはしないということだった。ここから、開戦直前において、アメリカとイスラエルは戦争のゴールが異なっていたということが明らかだ。

 2月11日にネタニヤフ首相がホワイトハウスのシチュエーションルームでプレゼンテーションを行ったが、それよりも前に両国政府の実務者レヴェルですり合わせが行われ、実際に攻撃決定となれば、どの程度の攻撃をどの範囲で実行するかということは決定されていただろう。そうでなければ、攻撃開始までの準備期間が短期間過ぎるということになる。さらに、イスラエル側はヴァンス副大統領がホワイトハウスに来られない日程を狙ってプレゼンテーションを行ったということも考えられる。プレゼンテーションの場所で、ヴァンス副大統領に反対されたら、ネタニヤフ首相の面子はなくなってしまう。ネタニヤフ首相による下準備は2025年から開始されていた。2025年だけで6回もホワイトハウスを訪問している。ここで「説得」、いや「洗脳」「刷り込み」が行われたということは考えられる。

ヴァンス副大統領はその過程を注視している訳で、イスラエルとネタニヤフ首相に対して不信感を募らせていたことは明らかだ。実際に、3月23日、ヴァンス副大統領はネタニヤフ首相と電話会談を行い、そこで、イラン戦争に関して見通しが甘かったこと、イスラエルの入植者たちの暴力をイスラエル政府が統制できていないことを強く口調で非難したという報道が出ている。

 ヴァンスがトランプが錯誤の結果として開始したイラン戦争の尻拭いをするということになるのは当然のことだ。彼にはそれを実行するだけの資格がある。懸念はイスラエルによる妨害である。ヴァンスがイラン戦争停戦を成功させれば、2028年の大統領選挙での勝利に大きく近づく。そうなれば、イスラエルとしては具合が悪い。イスラエルに対して懐疑的な大統領が誕生すれば、イスラエルにとっては利益にならない。イスラエルがヴァンスに対して妨害工作を仕掛けてくるという可能性がある。しかし、ヴァンスは「トランプ主義」、「アメリカ・ファースト」と「アイソレイショニズム」の正統な後継者である。ヴァンスをアメリカ国民が支えることになるだろう。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領はいかにしてアメリカをイランとの戦争へと導いたか(How Trump Took the U.S. to War With Iran

-一連のシチュエーションルームでの会議において、トランプ大統領は自身の直感と、副大統領の強い懸念、そして悲観的な情報機関の評価との間で葛藤した。ここでは、トランプがいかにして運命的な決断を下したのか、その内幕を明らかにする。

ジョナサン・スワン、マギー・ハーバーマン筆

2026年4月7日
『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2026/04/07/us/politics/trump-iran-war.html

ベンヤミン・ネタニヤフ首相を乗せた黒塗りのSUVは、2月11日午前11時前にホワイトハウスに到着した。イランへの大規模攻撃にアメリカが同意するよう数カ月にわたり働きかけてきたイスラエル首相は、記者たちの目から隠れるように、ほとんど式典もなくホワイトハウス内へと案内された。彼の長い政治キャリアの中でも最も重要な局面の一つに向けて進めた準備が実現した瞬間だった。

アメリカとイスラエル両国の高官たちはまず、大統領執務室に隣接する閣議室に集まった。その後、ネタニヤフ首相は階下へ移動し会談本番に臨んだ。ホワイトハウスのシチュエーションルームで、ドナルド・トランプ大統領と側近たちに対し、イランに関する極秘のプレゼンテーションが行われた。このシチュエーションルームは、外国首脳との直接会談にはほとんど使用されていなかった。

トランプ大統領は着席したが、いつものマホガニー製の会議テーブルの最上座ではなく、壁に設置された大型スクリーンが見える反対側の椅子に腰掛けた。ネタニヤフ首相は反対側、大統領の真向かいに座った。首相の背後のスクリーンには、イスラエルの対外情報機関モサドの長官であるダヴィッド・バルネアと、イスラエル軍関係者たちが映し出されていた。ネタニヤフ首相の背後に視覚的に配置された彼らは、戦時指導者が自身の率いるティームに囲まれているような印象を与えた。

ホワイトハウス・大統領首席補佐官スージー・ワイルズはテーブルの端に座り、国家安全保障問題担当大統領補佐官を兼任するマルコ・ルビオ国務長官はいつもの席に着いていた。国防長官ピート・ヘグセスと米統合参​​謀本部議長ダン・ケイン大将は、こうした会談では通常一緒に座るのだが、この日は片側に座った。彼らに加わったのは、CIA長官ジョン・ラトクリフだった。大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーと、イランとの交渉を担当していたトランプ大統領特使スティーヴ・ウィトコフが主要メンバーを構成した。

会合は情報漏洩を防ぐため、意図的に小規模に抑えられていた。他の閣僚たちは会合が開かれていることすら知らなかった。副大統領も欠席していた。JD・ヴァンス副大統領はアゼルバイジャンに滞在しており、会合は急遽決定されたため、開始時間までに戻ることができなかった。

ネタニヤフ首相がこの後1時間で行うプレゼンテーションは、世界で最も不安定な地域の一つである中東地域において、アメリカとイスラエルを大規模な武力衝突へと導く決定的な役割を果たすことになるだろうと考えられた。そして、この決定は、その後の数日間、数週間にわたりホワイトハウス内で一連の議論へと発展した。その詳細はこれまで報じられていないが、トランプはイラン攻撃でイスラエルと共闘することを承認する前に、選択肢とリスクを慎重に検討した。

トランプがアメリカを戦争へと導いた経緯を詳述した今回の記事の内容は、発刊予定の著書『政権転覆(体制転換):ドナルド・トランプ皇帝型大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』のための取材に基づいている。本書は、政権内部での協議がいかに大統領の直感、側近間の亀裂、そしてホワイトハウス運営の実態を浮き彫りにしたかを明らかにしている。匿名を条件に行われた広範なインタヴューに基づき、内部の議論やデリケートな問題について詳述している。

今回の報道は、トランプのタカ派的な考え方が、数カ月にわたりネタニヤフの考え方とどれほど密接に一致していたかを明らかにしている。その一致度は、大統領の主要な補佐官たちの一部でさえ認識していなかったほどだ。両者の緊密な関係は、2つの政権にわたって一貫して見られ、その力関係は、時に緊張をはらむこともありながらも、アメリカ政治の左右両派から激しい批判と疑念を招いてきた。

そして、最終的には、トランプの戦争内閣の中でも懐疑的なメンバーでさえ―全面戦争に最も反対していたホワイトハウス内の人物であるヴァンスを除いて―、戦争が迅速かつ決定的なものになるという大統領の確信を含む、大統領の直感に従ったことを示している。ホワイトハウスはコメントを控えた。

2月11日、ホワイトハウスのシチュエーションルームで、ネタニヤフ首相はイランの政権転覆(体制転換)がまさに実現可能な時期にあると強く訴え、アメリカ・イスラエル合同作戦によってイスラム共和国を終焉させることができるとの確信を表明した。

イスラエル側はトランプ大統領に対し、強硬なイラン政権が崩壊した場合に国家を掌握する可能性のある新たな指導者たちの映像をまとめた短いヴィデオを上映した。その中には、イラン最後のシャー(国王)の亡命中の息子で、現在はワシントンを拠点とする反体制派のレザ・パラヴィーも含まれていた。パラヴィーは、自分自身を、イランを神権政治後の政権へと導くことができる世俗的な指導者として、位置づけようとしてきた。

ネタニヤフ首相とそのティームは、ほぼ確実な勝利を示唆する条件を提示した。イランの弾道ミサイル計画は数週間以内に破壊される可能性がある。イラン政権は弱体化し、ホルムズ海峡を封鎖することは不可能になるだろう。また、イランが近隣諸国のアメリカの権益を攻撃する可能性は極めて低いと評価された。

さらに、モサドの情報によると、イラン国内で再び街頭デモが始まるとみられ、イスラエル諜報機関が暴動や反乱を煽ることで、激しい爆撃作戦はイラン反体制派による政権転覆(体制転換)の条件を整える可能性があるという。イスラエル側はまた、イランのクルド人戦闘員がイラクから国境を越えて北西部に地上戦線を開き、政権軍をさらに分散させ、崩壊を加速させる可能性も指摘した。

ネタニヤフ首相は自信に満ちた単調な口調でプレゼンテーションを行った。その発言は、その場にいた最も重要な人物、つまりアメリカ大統領に好印象を与えたようだった。

トランプ大統領はネタニヤフ首相に「私には良い考えのように思える(Sounds good to me)」と告げた。ネタニヤフ首相にとって、これはアメリカ・イスラエル共同作戦へのゴーサインが出されたことを意味していた。

トランプ大統領が最終的な決断を下したと感じたのはネタニヤフ首相だけではなかった。大統領の補佐官たちは、トランプ大統領がネタニヤフ首相の軍事・情報機関の能力に深く感銘を受けていたことを察知していた。それは、6月のイランとの12日間の戦争前に両者が会談した時と同様だった。

2月11日のホワイトハウス訪問の際、ネタニヤフ首相は閣議室に集まったアメリカ国民に対し、86歳のイラン最高指導者アリ・ハメネイ師がもたらす存亡の危機について改めて認識させようと努めた。

シチュエーションルームにいた他の出席者から作戦に伴う潜在的なリスクについて質問されると、ネタニヤフ首相はリスクを認めつつも、重要な点を1つ強調した。それは、何もしないことのリスクは行動することのリスクよりも大きいという見解だった。攻撃を遅らせれば、イランにミサイル生産を加速させ、核開発計画を防御する「防護壁(a shield of immunity)」を構築する時間を与えてしまうことになり、結果として行動の代償は増大するだけだと首相は主張した。

シチュエーションルームにいた全員が、イランはミサイルとドローンの備蓄を、アメリカが中東地域におけるアメリカの国益と同盟国を守るために、はるかに高価な迎撃ミサイルを製造・供給するよりもはるかに低コストで、はるかに迅速に増強できる能力を持っていることを理解していた。

ネタニヤフ首相のプレゼンテーション、そしてそれに対するトランプ大統領の好意的な反応は、アメリカ諜報・情報機関にとって喫緊の課題となった。アナリストたちは夜通し、イスラエル側がトランプ大統領に伝えた内容の妥当性を評価する作業に追われた。

●「茶番劇」(‘Farcical’

米諜報・情報機関の分析結果は、翌日の2月12日、ホワイトハウスのシチュエーションルームで、アメリカ政府当局者のみが出席する別の会議で共有された。トランプ大統領の到着に先立ち、2人の諜報・情報部門の高官が大統領側近たちにブリーフィングを行った。

諜報・情報機関関係者たちはアメリカ軍の能力に関する深い専門知識を持ち、イランの体制とその構成員を隅々まで知り尽くしていた。彼らはネタニヤフ首相のプレゼンテーションを4つの部分に分解していた。第一部分は最高指導者の暗殺、つまりハメネイ師の殺害。第二部分はイランの軍事力投射能力と近隣諸国への脅威能力の弱体化、第三部分はイラン国内での民衆蜂起、そして、第四部分は世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)である。

アメリカ政府当局は、最初の2つの目標はアメリカの情報収集力と軍事力で達成可能だと判断した。一方、クルド人によるイランへの地上侵攻の可能性を含むネタニヤフ首相の提案の第三と第四の部分は、現実離れしていると判断した。

トランプ大統領が会議に出席すると、ラトクリフCIA長官はトランプ大統領にこの評価を説明した。CIA長官はイスラエル首相の政権交代シナリオを一言で「茶番劇」と表現した。

その時、ルビオ国務長官が口を挟んだ。「それはつまり、それはでたらめということだね」と彼は言った。

ラトクリフ長官は、紛争における事態の予測不可能性を鑑みれば、政権転覆(体制転換)は起こり得るものの、達成可能な目標と考えるべきではないと付け加えた。

アゼルバイジャンから帰国したばかりのヴァンス副大統領をはじめ、数名がこれに加わり、政権交代(体制転換)の見通しについて強い懐疑的な見解を示した。

トランプ大統領は次にケイン大将に目を向けた。「大将、どう考える?」。

ケイン大将は次のように答えた。「大統領閣下、これは私の経験上、イスラエルの常套手段です。彼らは誇張し、計画は必ずしも十分に練られてはおりません。彼らは私たちを必要としていることを知っており、だからこそ強引に売り込んでいると考えております」。

トランプ大統領はすぐにその評価を検討した。政権交代は「彼らの問題だ」と述べた。トランプ大統領が述べた「彼ら」がイスラエル国民を指しているのか、イラン国民を指しているのかは不明だった。しかし、肝心なのは、イランとの戦争に踏み切るかどうかのトランプの決断は、ネタニヤフ首相のプレゼンテーションの第三の部分と第四の部分が実現可能かどうかには左右されないということだった。

トランプは、第一の部分と第二の部分、すなわち最高指導者とイランの最高幹部の殺害、そしてイラン軍の解体という目標の達成に依然として強い関心を示していたようだ。

トランプが「壊し屋ケイン(Razin’ Caine)」と呼んだケイン統合参謀本部議長は、数年前にイスラム国は他の予想よりもはるかに早く壊滅させることができるとトランプに語り、強い印象を与えた。トランプはその信頼に応え、元空軍戦闘機パイロットだったケイン大将を大統領の最高軍事顧問に任命した。ケイン将軍は政治的な忠誠心を持つ人物ではなく、イランとの戦争には深刻な懸念を抱いていた。しかし、彼は大統領に自らの見解を伝える際には非常に慎重だった。

計画に関与していた少数の補佐官たちが数日間協議を重ねる中、ケイン大将はトランプ大統領たちに、イランに対する大規模作戦はミサイル迎撃ミサイルを含むアメリカの兵器備蓄を大幅に減少させるという、憂慮すべき軍事的評価を伝えた。これらの兵器は、ウクライナとイスラエルへの長年の支援によって既に備蓄が逼迫していた。ケイン大将は、これらの備蓄を迅速に補充する明確な道筋は見当たらないと述べた。

また、ホルムズ海峡の安全確保の極めて困難な点と、イランが海峡を封鎖するリスクについても指摘した。トランプ大統領は、イラン政権がそのような事態になる前に降伏するだろうという前提で、この可能性を軽視していた。大統領は、戦争は非常に短期間で終わると考えていたようで、6月のイラン核施設へのアメリカ軍爆撃に対するイランの反応が冷淡だったことが、その印象をさらに強めていた。

開戦に至るまでのケイン大将の役割は、軍事顧問と大統領の意思決定との間の典型的な緊張関係を如実に物語っている。統合参謀本部議長は立場を明確にせず、大統領に指示を与えるのは自分の役割ではなく、選択肢と潜在的なリスク、そして起こりうる二次的・三次的な影響を提示するのが自分の役割だと繰り返し主張したため、聞いている人の中には、まるで問題のあらゆる側面を同時に論じているように見える者もいた。

彼は常に「それで、どうなるのか?(And then what?)」と問いかけたが、トランプはしばしば、自分が聞きたいことしか聞いていないように見えた。

ケイン大将は、前任者のマーク・A・ミリー大将とはほぼあらゆる点で異なっていた。ミリー大将はトランプ政権初期にトランプと激しく対立し、大統領が危険または無謀な行動を

両者のやり取りに詳しいある人物は、トランプがケイン大将からの戦術的な助言と戦略的な助言を混同する癖があったと指摘した。具体的には、ケイン大将は作戦のある側面における困難について警告したかと思えば、その直後に、アメリカには安価な精密誘導爆弾が事実上無尽蔵にあり、制空権を確保すれば数週間にわたってイランを攻撃し続けることができると述べる、といった具合だった。

統合参謀本部議長にとって、これらは別々の見解だった。しかし、トランプは、2番目の見解が1番目の見解をほぼ確実に打ち消すと考えていたようだ。

審議中、統合参謀本部議長はイランとの戦争は恐ろしい考えだと大統領に直接伝えることはなかったが、ケイン大将の同僚の中には、まさにそう考えていたと確信する者もいた。

●タカ派のトランプ(Trump the Hawk

ネタニヤフ首相は、大統領補佐官の多くから不信感を抱かれていたが、首相の見解は、トランプ陣営の反介入主義者や、より広範な「アメリカ・ファースト」運動の支持者たちが認めたがる以上に、トランプ大統領の見解にずっと近かった。これは長年にわたり事実だった。

トランプ大統領が二期にわたって直面した外交上の課題の中で、イラン問題は特に異質なものだった。彼はイランを極めて危険な敵とみなし、イラン政権の戦争遂行能力や核兵器保有能力を阻害するためなら、大きなリスクを冒すことも厭わなかった。さらに、ネタニヤフ首相の主張は、トランプが32歳だった1979年に権力を掌握したイランの神権政治体制を解体したいというトランプの願望と合致していた。イランはそれ以来、アメリカにとって目の上のこぶのような存在だった。

現在、彼は聖職者による政権掌握から47年が経過した現在、イランで政権交代(体制転換)を成し遂げた最初の大統領となる可能性があった。通常は言及されないものの、常に背景には、イランがトランプ暗殺を企てていたというもう一つの動機があった。これは、アメリカではイランの国際テロ活動の推進力と見なされていたカセム・ソレイマニ司令官が2020年1月に暗殺されたことへの報復だった。

大統領に復帰したトランプ大統領は、アメリ軍の能力に対する自信をさらに強めていた。特に、1月3日にヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を邸宅から拉致した、特殊部隊による華々しい襲撃作戦は、大統領の自信を一層高めた。この作戦でアメリカ兵の死者は一人も出なかったが、これは大統領にとって米軍の比類なき能力を改めて証明する出来事となった。

トランプ政権の中で、イランに対する軍事作戦を最も強く主張したのはヘグセス国防長官だった。

一方、ルビオ国務長官は同僚たちに対し、より複雑な心境であることを示唆していた。イランが交渉による合意に応じるとは考えていなかったものの、全面戦争に踏み切るよりも、最大限の圧力をかけ続けることを望んでいた。しかし、ルビオ長官はトランプ大統領に作戦中止を説得しようとはせず、開戦後は政権の正当化について、確信を持って演説した。

ワイルズ大統領首席補佐官は、新たな海外紛争がもたらす影響について懸念を抱いていたものの、大規模な会議で軍事問題について積極的に発言することはあまりなく、むしろ補佐官たちが大統領に意見や懸念を伝えるよう促していた。ワイルズ補佐官は他の多くの問題では影響力を行使していたが、トランプ大統領や将軍らが集まる場では、一歩引いて傍観していた。ワイルズに近い関係者によると、軍事的な決定について大統領に懸念を表明するのは自分の役割ではないと考えていたという。そして、ケイン大将、ラトクリフ長官、ルビオ長官といった補佐官たちの専門知識こそ、大統領が耳を傾けるべき重要なものだと考えていた。

それでも、ワイルズは同僚に対し、アメリカが中東地域で再び戦争に巻き込まれることを懸念していると語っていた。イランへの攻撃は、中間選挙の数カ月前にガソリン価格の高騰を引き起こす可能性があり、その選挙はトランプ大統領の2期目の最後の2年間が、成果を上げる年になるのか、それとも連邦下院民主党からの召喚状を受ける年になるのかを左右する可能性がある。しかし最終的には、ワイルズは作戦に賛成した。

●懐疑論者ヴァンス(Vance the Skeptic

トランプの側近の中で、イランとの戦争の可能性を最も懸念し、それを阻止するために最も尽力したのは、副大統領のヴァンスだった。

ヴァンスは、まさに今真剣に検討されているような軍事的冒険主義(military adventurism)に反対することで政治家としてのキャリアを築いてきた。彼はイランとの戦争を「莫大な資源の浪費(a huge distraction of resources)」であり「莫大な費用がかかる(massively expensive.)」と述べていた。

しかし、彼は全面的にハト派だった訳ではない。2026年1月、トランプがイランに対しデモ参加者の殺害を止めるように公的に警告し、支援を約束した際、ヴァンスは非公式に大統領にレッドラインを厳格に執行するよう促していた。しかし、副大統領が主張したのは、限定的な懲罰的攻撃であり、2017年にトランプがシリアの民間人に対する化学兵器使用を理由にミサイル攻撃を行ったような形態に近いものだった。

ヴァンス副大統領は、イランとの政権転覆戦争は破滅的な結果を招くと考えていた。彼の望みは、一切の攻撃を行わないことだった。しかし、トランプが何らかの形で介入する可能性が高いことを承知していたヴァンスは、より限定的な行動へと舵を切ろうとした。その後、大統領が大規模な作戦に踏み切ることが確実になると、ヴァンスは、目的を迅速に達成するためには圧倒的な武力行使が必要だと主張した。

ヴァンスは同僚たちの前で、イランとの戦争は地域的な混乱と計り知れない数の犠牲者をもたらす可能性があるとトランプに警告した。また、トランプの政治連合を崩壊させ、新たな戦争は起こさないという約束を信じていた多くの有権者から裏切りとみなされるだろうとも述べた。

ヴァンス副大統領は他にも懸念を表明した。副大統領として、彼はアメリカの軍需品問題の深刻さを認識していた。生き残りを強く望む政権との戦争は、アメリカを今後数年間、紛争を戦う上で極めて不利な立場に追い込む可能性がある。

副大統領は側近に対し、政権の存続がかかっている状況でイランがどのような報復行動に出るかを、どれほど軍事的見識があっても正確に予測することはできないと語った。戦争は容易に予測不可能な方向へ進む可能性がある。さらに、彼は戦争後に平和なイランを築く可能性は低いと考えていた。

そして、おそらく最大の懸念は、ホルムズ海峡におけるイランの優位性だった。膨大な量の石油と天然ガスを輸送するこの狭い海峡が封鎖されれば、ガソリン価格の高騰をはじめとするアメリカ国内への影響は甚大になるだろう。

右派の有力な介入懐疑論者として台頭したコメンテーターのタッカー・カールソンは、前年に何度かホワイトハウスを訪れ、イランとの戦争はトランプ大統領の政権を崩壊させると警告していた。トランプ大統領は、開戦の数週間前、長年の友人であるカールソンに対して、電話で安心させようとした。「心配しているのは分かっているが大丈夫だ(I know you’re worried about it, but it’s going to be OK)」と大統領は言った。カールソンがどうしてそう言えるのかと尋ねると、「いつもそうだったからだ(Because it always is)」とトランプ大統領は答えた。

2月末、アメリカとイスラエルは、作戦のスケジュールを大幅に前倒しする新たな情報について協議した。イランの最高指導者が、他の政権幹部らと白昼堂々と地上で会合を開くという情報だった。これは、イラン指導部の中枢を攻撃するまたとない機会であり、二度とないかもしれない標的だった。

トランプ大統領はイランに対し、核兵器開発への道を阻む合意に至るための新たな機会を与えた。この外交努力は、アメリカが中東地域への軍事資産の移転を進めるための時間的猶予も与えた。

大統領は数週間前に事実上決断を下していたと複数の側近は述べている。しかし、具体的な時期はまだ決めていなかった。ネタニヤフ首相はトランプ大統領に迅速な行動を促した。

同じ週、クシュナーとウィトコフは、イラン当局者との最新の協議後、ジュネーブから電話をかけた。オマーンとスイスで行われた3回の交渉で、両者はイランの合意意欲を探っていた。ある時点で、両者はイランに対し、核開発計画期間中、無償で核燃料を提供すると申し出た。これは、テヘランがウラン濃縮に固執する理由が、本当に民生用エネルギーのためなのか、それとも核兵器製造能力の維持のためなのかを見極めるための試みだった。

イラン側はこの申し出を拒否し、自国の尊厳に対する攻撃だと非難した。

クシュナーとウィトコフは大統領に状況を説明した。交渉は可能だろうが、数カ月はかかるだろうと彼らは述べた。トランプ大統領が、彼らが自分の目を見て問題を解決できると言えるかと問うているのなら、そこに至るまでには相当な努力が必要になるだろうとクシュナーは告げた。それはイラン側が駆け引きをしているからだった。

●「やらなければならないと思う」(‘I Think We Need to Do It’

2月26日木曜日の午後5時頃、最終のシチュエーションルーム会議が始まった。この時点で、会議室にいる全員の立場は明確になっていた。これまでの会議で全てが議論され、全員が互いの立場を把握していた。議論は約1時間半続いた。

トランプ大統領はいつものようにテーブルの最上座に座った。右隣には副大統領ヴァンス、その隣にはワイルズ補佐官、その隣にはラトクリフ長官、ホワイトハウス法律顧問のデイヴィッド・ウォリントン、そしてホワイトハウス広報部長スティーヴン・チャンが座っていた。チャンの向かい側にはホワイトハウス報道官のカロライン・リーヴィットが座り、その右隣にはケイン大将、続いてヘグセス長官、そしてルビオ長官が座っていた。

戦争計画グループは極秘裏に進められ、世界石油市場史上最大規模の供給途絶を管理する必要のある主要幹部2名、スコット・ベッセント財務長官とエネルギー長官クリス・ライト、そして国家情報長官ドゥルシー・ギャバードも除外されていた。

大統領は会議の冒頭で、「さて、現状はどうなっているのか?(OK, what have we got?)」と問いかけた。

ヘグセス長官とケイン大将は攻撃の手順を説明した。その後、トランプ大統領は全員の意見を聞きたいと述べた。

この作戦の前提そのものに反対していたヴァンスは、大統領に対し、「これは悪い考えだと思いますが、もしあなたが実行したいのであれば支持します」と述べた。

ワイルズ補佐官はトランプ大統領に対し、アメリカの国家安全保障のために必要だと感じるなら実行すべきだと述べた。

ラトクリフ長官は実行の是非については意見を述べなかったが、イラン指導部がテヘランの最高指導者の邸宅で収集しようとしている驚くべき新たな情報について説明した。CIA長官は大統領に対し、政権交代は言葉の定義次第であるが、可能だと述べ、「最高指導者の殺害だけを意味するなら、おそらく実行できるだろう」と語った。

ホワイトハウス法律顧問ウォリントンは、質問を受けた際、この計画はアメリカ政府当局者によって立案され、大統領に提示された経緯から見て、法的に許容される選択肢であると述べた。個人的な意見は述べなかったが、大統領から意見を求められると、海兵隊の退役軍人として、数年前にイランによって殺害されたアメリカ軍兵士を知っていたと語った。この問題は、彼にとって非常に個人的なものだった。ウォリントンは大統領に対し、イスラエルが計画を強行するのであれば、アメリカも同様に行動すべきだと述べた。

チャン部長は、予想される広報上の影響について説明した。トランプは、さらなる戦争に反対して大統領選に立候補した。国民は海外での紛争を望んで投票したわけではない。この計画は、6月のイラン爆撃作戦後に政権が述べてきたこと全てに反するものだった。イランの核施設は完全に破壊されたと8カ月月間主張し続けてきたことを、どのように説明するのか。チャンは賛成も反対も表明しなかったが、トランプがどのような決定を下そうとも、それは正しいものになるだろうと述べた。

リーヴィットは大統領に対し、これは大統領の決定であり、報道ティームは最善を尽くして対応すると伝えた。

ヘグセス長官は限定的な立場を取った。いずれイランに対処しなければならないのだから、今やってしまえば良い、というものだ。彼は技術的な評価として、与えられた兵力で一定期間内に作戦を遂行できると述べた。

ケイン大将は冷静に、作戦のリスクと、それが弾薬の枯渇にどのような影響を与えるかを説明した。彼は意見を述べず、トランプ大統領が作戦を命じれば軍は実行する、という立場を示した。大統領の最高軍事指導者2人は、作戦の展開と、イランの軍事力を低下させるアメリカの能力について概説した。

ルビオ長官は発言の番になると、より明確な見解を示し、大統領に次のように述べた。「もし私たちの目標が政権転覆(体制転換)や反乱であるならば、作戦は行うべきではないです。しかし、目標がイランのミサイル計画を破壊することであるならば、それは達成可能な目標です」。

誰もが大統領の直感(instincts)に従った。彼らは大統領が大胆な決断を下し、想像を絶するリスクを負い、そして何とか成功を収めてきたのを見てきた。その時、誰も大統領を阻むことはできなかった。

「私たちは作戦を実行する必要があると思う(I think we need to do it)」と大統領は部屋にいる人々に告げた。彼は、イランが核兵器を保有できないようにしなければならないこと、そしてイランがイスラエルや中東地域全体にミサイルを発射できないようにしなければならないことを確実にしなければならないと述べた。

ケイン大将はトランプ大統領に、まだ時間があるので、翌日の午後4時までに承認を与えればよいと伝えた。

翌日の午後、エアフォースワン機内で、ケイン大将に対して、期限の2分前、トランプは次のように命令を送った。「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦を承認する。中止はない。幸運を祈る」

※ジョナサン・スワン:ニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員。ドナルド・J・トランプ政権を担当。シグナル・アカウント:@jonathan.941

マギー・ハーバーマン:ニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員。トランプ大統領を担当。

※ジョナサン・スワンとマギー・ハーバーマンはニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員であり、近刊の『政権転覆(体制転換):ドナルド・トランプ皇帝型大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』の共著者。この記事は、近刊のために取材した内容に基づいている。

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緊迫した電話会談でJD・ヴァンス副大統領はイラン体制転換の可能性を過大評価しているとベンヤミン・ネタニヤフ首相を批判した:報道(In tense call, Vance knocked PM for overselling likelihood of Iran regime change — report

-アメリカ政府当局者たちは、海外での軍事介入に長年懐疑的であり、イランとの停戦交渉で主導的な役割を担う予定のヴァンス副大統領に対し、「イスラエルによる工作」が行われたと疑っていると報じられている。

『タイム・オブ・イスラエル』紙スタッフ

2026年3月27日

『タイム・オブ・イスラエル』紙

https://www.timesofisrael.com/in-tense-call-vance-knocked-pm-for-overselling-iran-regime-change-likelihood-report/

JD・ヴァンス米副大統領は月曜日の電話会談で、イランにおけるアメリカ・イスラエル共同爆撃作戦がイラン政権を転覆させる可能性を過大に強調したとして、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を厳しく批判したと、米情報筋とイスラエル情報筋の話として『アクシオス』誌が金曜日に報じた。

「開戦前、ネタニヤフ首相は政権交代(体制転換)が実際よりもはるかに容易だとトランプ大統領に説得していた。ヴァンス副大統領はそうした発言の一部について冷静に見抜いていた」とネタニヤフ首相の愛称を用いたアメリカ政府の情報筋は語った。

アメリカ政府当局者たちはまた、イスラエル側の一部関係者がヴァンス副大統領のタカ派姿勢が不十分だと考えており、イスラエル側は戦争終結に向けた取り組みで主導的な役割を担う副大統領の立場を弱体化させようとしていると考えている。

アクシオス誌が引用したある高官は、「イランがヴァンス副大統領と合意できなければ、合意は得られない。彼こそがイランにとって最良の相手だ」と述べた。

しかし、アクシオス誌は、ヴァンス副大統領がイランとの合意を急いでいるという見方に反論する政権関係者の発言も引用している。「これはイスラエルによるヴァンス副大統領に対する策略だ」とイランが副大統領との交渉を望んでいるとの報道を受け、この関係者は述べた。

ヴァンス副大統領の顧問らはまた、イスラエルの批判者たちが、ヴァンス副大統領がヨルダン川西岸地区におけるパレスティナ人に対するイスラエル入植者たちによる暴力の激化をイスラエルが抑制できていないとして、ネタニヤフ首相に電話で怒鳴りつけたとするヘブライ語メディアの報道を捏造したのではないかと疑っている。アメリカとイスラエルの政府当局はこの報道を否定している。

イラク戦争の退役軍人であるヴァンス副大統領は、特に中東地域における無期限のアメリカ軍介入に長年懐疑的な姿勢を示してきた。イランとの戦争前、ヴァンスはトランプ米大統領政権の中でも最も懐疑的な人物の1人であり、戦争の期間、目的、そしてアメリカの軍需物資への影響について懸念を表明していたと、アクシオス誌が引用したアメリカ政府情報筋は伝えている。

しかし、ヴァンスは、イランが反体制派デモ隊を弾圧してから約6週間後の2月28日にアメリカとイスラエルがイランに対して開始した爆撃作戦を支持する姿勢を、トランプ政権内の他のメンバーと公に一致させている。

以前の報道によると、イスラエルの情報機関モサドの長官は、作戦が成功すれば、モサドとCIAが政権転覆(体制転換)につながる蜂起を扇動できると戦争前に評価していたという。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ネタニヤフ首相はイランとの戦争に先立ち、ホワイトハウスとモサドの計画について協議したが、計画が実現せず、トランプ大統領が「いつでも」戦争を終結させる可能性があることに不満を抱いているという。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 2025年1月20日に第二次ドナルド・トランプ政権が発足した。あと3週間ほどで1年が経とうとしている。トランプ政権は、ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争の停戦を期待されていたが、ウクライナ戦争については停戦に至らずに2025年を終えようとしている。イスラエル・ハマス紛争は紆余曲折、途中でイランとの紛争もありながら、一応の停戦が実現した。トランプ政権はナイジェリアのイスラム国勢力へのミサイル攻撃や、ヴェネズエラの船舶への攻撃と圧力を強めている。これは、「西半球(Western Hemisphere)」はアメリカの勢力圏だという「モンロー主義」に基づいた行動だ。西半球から反米的矢要素と中国やロシアの影響を駆逐しようという動きだ。これは「ヨーロッパからは撤退する」ということでもある。問題はアジアである。中国がアメリカの強力なライヴァルとなっているが、既にアメリカが単独で中国を楽にいなして勝利するということはできない。中国はアメリカと直接軍事的にぶつからないようにしながら、アメリカの弱体化を待っている。そして、最終的にはアメリカに対して無理せずに勝利を収めるという方向を定めている。トランプ政権も中国には強硬姿勢を取っていない。その代わりに、対中強硬姿勢を強めているのは、日本の高市早苗政権である。その裏には、エルブリッジ・コルビー米国防次官がいる。最新刊でも書いたが、コルビーが圧力をかけて、日本の防衛予算増額を進め、東アジアの不安定化を演出している。日本政府は「東アジアの安全保障環境の悪化」ということを言うが、悪化の一番の要員は日本であり、高市早苗首相の存在である。高市首相の支持率が高いという点で、日本国民に失望している。戦後80年の営為は、このようなアホナ国民しか生まなかったということになる。

 下記論稿は、第二次ドナルド・トランプ政権における外交政策において重要な人物たちを紹介している。私としては、最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)で取り上げた、J・D・ヴァンス副大統領とダン・ドリスコル陸軍長官の関係である。下記論稿には、「またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた」と書かれている。ドリスコル長官については拙著をお読みいただきたいが、ヴァンス副大統領とはイェール大学法科大学院時代からの友人で、軍歴を持ち、ヴァンスが連邦上院議員を務めていた時には補佐官となっている。また、あまり目立たないところで、メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)やスージー・ワイルズ大統領首席補佐官が裏で影響力を持っているということは意外だった。

 来年のアメリカ政治を見ていく上でも参考になる記事なので、是非お読みいただき、できれば繰り返し読むようにしていただきたい。

(貼り付けはじめ)

トランプ2.0の重要な外交政策プレイヤーたち(The Key Foreign-Policy Players of Trump 2.0

-第二次トランプ政権が1年目の節目を迎える中、主要政策に影響を与えているのは誰か。

『フォーリン・ポリシー』誌

2025年12月22日

https://foreignpolicy.com/2025/12/22/trump-administration-key-players-witkoff-miller-hegseth-rubio-bessent-vance/?tpcc=recirc_more_from_fp051524
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ドナルド・トランプ米大統領が第二期目の最初の100日を終えた時、私たちは彼の外交政策の推進役と受動役のリストを公開した。この論稿は、就任初期に最も影響力のある側近として台頭した人物と、脇に追いやられた人物を検証した内容となっている。

大統領就任から約1年の節目が近づくにつれ、そのリストの良い面を改めて検証することにした。その結果、第二期トランプ政権では第一期に比べて人事異動が比較的少なかったことを反映して、その好調さは概ね維持されていることが分かった。また、過去8カ月間で政権内での影響力を拡大した高官も数名存在する。

以下は、トランプの外交政策を形成し、そして発信することに貢献した人物たちのリストだ。

(1)スティーヴ・ウィトコフ(Steve Witkoff)、サム・スコーヴ筆
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ドナルド・トランプ大統領の親友で、億万長者の不動産開発業者スティーヴ・ウィトコフは、中東問題からロシア・ウクライナ紛争に至るまで、幅広い案件を手掛け、大統領の最重要外交交渉担当者として台頭してきている。外交経験は乏しいものの、ウィトコフはロシアで拘束されていたアメリカ人教師の釈放決定(2025年2月)をはじめ、いくつかの成果を上げている。また、ウィトコフはトランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーと共にガザ地区での停戦交渉にも成功し、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を契機に始まったイスラエルとハマス間の紛争を事実上終結させた。

しかし、ロシア・ウクライナ戦争の終結となると、ウィトコフはほとんど成功していない。2025年8月には、トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領との間で行われた和平首脳会談(アラスカ)は、合意なく終了した。ブダペストで予定されていた新たな首脳会談も、ロシア側の譲歩(concessions)の用意がないことが明らかになったため、頓挫した。

ウィトコフは、ロシアとウクライナとの新たな外交ラウンドを主導しており、これはウィトコフとクシュナーが28項目の和平案を共同で作成することから始まった。この取り組みがどれほど成功するかは不透明だ。ウクライナとそのヨーロッパの同盟諸国が当初の案に難色を示したため、既にいくつかの項目が提案から削除されており、ロシアも妥協の用意がないことを改めて示唆している。

ウィトコフの経験不足は、数々の失策や論争を招いている。2025年8月には、ロシアのウクライナ問題における交渉姿勢を誤解し、ロシアが大幅な譲歩を提示しているとウィトコフは主張したとみられるが、実際にはそうではなかった。これがアラスカ首脳会談の失望を招いた結果の一因となったと報じられている。また、2025年11月下旬には、ウィトコフとプーティン大統領の側近との会話の記録が流出し、ウィトコフがロシアに対しトランプへのロビー活動の方法について助言していたとみられることから、辞任を求める声が高まった。

(2)マルコ・ルビオ(Marco Rubio)、ジョン・ホルティウィンガー筆
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トランプ大統領の二期目の最初の100日間、マルコ・ルビオ国務長官はしばしば脇に追いやられているように見えた。特にウィトコフが、通常はアメリカ外交官のトップである国務長官が担う役割を担い、様々な主要課題に関する協議の陣頭指揮を執るよう繰り返し指名されたことがその要因だ。しかし、ルビオは現在、政権内で最も影響力のあるメンバーの1人であり、トランプ大統領が彼を信頼していることは明らかだ。12月初旬、トランプ大統領はルビオがアメリカ史上「最高の国務長官」として記憶される可能性があると述べた。

ルビオは国務長官に加えて国家安全保障問題担当大統領補佐官も務めており、ヘンリー・キッシンジャー以来、両方の役割を兼任する初の人物だ。また、ルビオは米国公文書保管担当官代理でもあり、2月から8月末までは、アメリカ国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSIDA)の解体を監督する間、アメリカ国際開発庁の長官代理を務めた。

トランプからの称賛の言葉や数々の肩書きを越えて、ルビオの政権内での影響力は、ラテンアメリカで進行中のアメリカ軍の作戦にも顕著に表れている。2025年9月初旬に始まり、これまでに80人以上が死亡したラテンアメリカ地域での麻薬密売船とされる船舶への一連の攻撃は、ヴェネズエラの政権交代を促すためのより広範な取り組みの一環と広く見なされており、ルビオはこの取り組みの原動力となっていると考えられる。

ルビオの影響力はロシア・ウクライナ交渉でも顕著に表れており、ロシアの意図をより信頼する傾向にあるウィトコフとトランプ氏に対し、ルビオはロシア懐疑派(Russia-skeptical)としてバランス役として行動している。例えば、2025年10月、トランプ大統領とプーティン大統領の電話会談後、トランプ大統領はルビオに、ハンガリーのブダペストでプーティン大統領と今後開催される首脳会談の詳細を詰める任務を与えた。しかし、ルビオがロシアの同僚と会談した後、計画されていた首脳会談は突然中止された。

そして先月(11月)、ルビオは、ウィトコフとクシュナーによる当初の28項目の和平案がモスクワに過度に有利とみなされたことを受けて、ヨーロッパにおけるアメリカの同盟諸国の不安を和らげるのに貢献したと報じられている。ルビオはトランプ政権において、ヨーロッパとキエフの懸念をより深く考慮するよう働きかけ、和平案はウクライナにとってより受け入れやすい形に修正されたと評価されている。

ウクライナ和平交渉については依然として多くの不透明な点が残っているが、ルビオは依然として議論の中心にいる。

(3)ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)、ジョン・ホルティウィンガー筆
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ピート・ヘグゼス国防長官は、兵士の殺傷能力の向上に重点を置くことで、軍に「戦士の精神」を取り戻すことを誓った。その取り組みの一環として、彼は国防総省、そしてより広範なアメリカ軍における大規模な改革を監督してきた。これらの中には、メディアへのアクセス制限、多様性・公平性・包摂性(diversity, equity, and inclusion)に関する取り組みの廃止、トランスジェンダーの入隊禁止といった物議を醸す措置も含まれている。ヘグゼス長官はまた、自身の肩書きを「戦争長官」に変更し、国防総省を「戦争省」に改称する動きを見せているが、この名称変更には連邦議会の承認が必要となるため、まだ正式には発表されていない。

ヘグゼス長官のトランプ政権における影響力は、彼が巻き込まれた数々の重大スキャンダルからも測ることができる。最初の事件、いわゆる「シグナルゲート」として知られる3月の事件では、ヘグゼスはメッセージアプリ「シグナル」上で、イエメンのフーシ派に対するアメリカ軍の作戦に関する機密計画について、他のアメリカ政府高官とのグループチャットで議論した。このグループチャットには、著名なジャーナリストも不注意にも含まれていた。国防総省監察官による最近の報告書によると、不正行為を否定しているヘグゼスは、自身の行動によって軍人を危険にさらすリスクを負っていたことが明らかになった。

国防長官は、9月2日にカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶に対して行われた作戦についても厳しい視線に晒されている。この事件では、アメリカは最初の攻撃で生き残った2人の男性に対して、追い打ちの2度目の攻撃を行い、2人とも殺害したが、批判者たちはこれを戦争犯罪(a war crime)に相当すると指摘している(ただし、ほとんどの法律専門家は、麻薬密輸船とされる船に対するアメリカの作戦全体が違法であるとしている)。ヘグセス国防長官が直接2度目の攻撃を命じたのか、それとも作戦を監督した特殊部隊司令官が国防長官の指示に従って行動しただけなのかなど、事件の詳細については未解決の問題が残っている。トランプ政権は、これまでに攻撃の対象となった船が麻薬密輸に関与していたという主張を裏付ける証拠を公には一切提示していない。

ヘグセスをめぐる論争は、国防長官としての彼の任期も長くは続かないのではないかという憶測を呼んでいるが、彼は依然として謝罪もせず、反抗的な態度を崩していない。12月初旬の演説で、ヘグセスは船舶攻撃を擁護し、トランプ大統領は「我が国の国益を守るために、適切と判断すれば断固たる軍事行動を取ることができるし、また取るだろう」と述べた。

しかし、一部の共和党員でさえもこの攻撃について国防長官を批判していることから、ヘグセス長官がこの嵐を乗り切ることができるかどうかは、まだ分からない。ヘグセスは陸軍州兵の退役軍人であるが、国防長官に就任するまでは政府での経験がなく、トランプ政権の閣僚の中で最も不適格な人物の1人と見なされていた。一方、トランプは、ヘグセスがこの職務に不向きであると内部から指摘されても、反論することを止めたと報じられている。

(4)JD・ヴァンス(J.D. Vance)、レイチェル・オズワルド筆
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J・D・ヴァンス副大統領は、連邦上院議員時代の実績の通りに、政権内で発言力を持つ存在として台頭し、大西洋横断関係においてアメリカの寛大さや保護主義を緩和し、国内外で強硬な反移民政策を主張している。

今年初め、ヴァンス副大統領は、大統領執務室を訪問した、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアとの戦いにおけるアメリカの支援への感謝が不十分だと公然と非難した。またホワイトハウスは最近、ヴァンス副大統領の親しい友人であるダン・ドリスコル陸軍長官に、ロシアにとって極めて有利と見られる和平案をウクライナに受け入れるよう働きかける任務を与えた。

ヴァンス副大統領は、トランプ政権第二期の初めにミュンヘン安全保障会議で注目を集める演説を行い、長年のヨーロッパの同盟諸国が移民の受け入れを過剰に受け入れ、台頭する極右ポピュリスト政党への包摂性に欠けていると非難し、ヨーロッパに衝撃を与えた。ヴァンスはまた、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の「正当性を失わせようとしている」として、ドイツ政府を繰り返し批判してきた。ドイツ情報機関はAfDを過激派グループに指定しており、一部のドイツ政治家はAfDの活動禁止を求めている。

自分の考えを伝える手段としてXポストをよく利用する副大統領は、最近、カナダの政治指導者たちを痛烈に批判し、「移民の狂気」と称する行為によって多様性を推進することで、カナダの生活水準を損なっていると非難した。

ウクライナ防衛のためにワシントンがどれだけの費用を負担すべきかといった問題に関して、ヴァンスが示す孤立主義的な見解と、西側諸国の民主政治体制国家の内政に積極的に介入しようとする姿勢は、ホワイトハウスが今月初めに発表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」に典型的に見られる、極めて取引的でしばしば一貫性のない「アメリカ・ファースト」の外交政策を象徴している。

(5)エルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby)、レイチェル・オズワルド筆
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(左から)小泉進次郎防衛相、玄葉光一郎衆院副議長、小野寺五典元防衛相、コルビー、小野田紀美経済安保担当相(2025年4月30日、ワシントンDCにて)
米国防総省の政策責任者が、エルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)の就任後8カ月でこれほどの影響力を発揮するのは異例だ。これは、彼の上司であるヘグゼスが国防総省規模の官僚組織運営の経験がほとんどないこと、そしてヘグゼスがコルビーの官僚的影響力を弱めるはずだった多くの上級将官を解雇したことが一因となっている。

国防次官就任前、第一次トランプ政権で国防次官補(戦略担当)を務めたコルビーは、対中強硬派として知られ、ヨーロッパを犠牲にしてインド太平洋地域におけるアメリカ軍資源の優先を主張してきた。それでもなお、ウクライナへの武器輸出の一部の一方的停止や、広く支持されているオーストラリア・イギリス・アメリカの防衛連携の見直し再開といった行動を含め、コルビーが自らの政策を実行に移す際の精力的な姿勢は、多くの人々を驚かせた。

連邦議会の民主党と共和党は共に、コルビーがルーマニアから800人の兵士を撤退させるという国防総省の最近の決定など、監視責任を果たすために必要な基本的な防衛関連情報を隠蔽していると非難している。コルビーと連邦議会防衛監視当局者との間で高まる超党派的な緊張は、その多くがアメリカによるヨーロッパ・中東への軍事的関与維持を支持する立場にあることから、公の場へと波及している。その結果、コルビーの事務所に指名された複数の連邦政府上級職員候補者の任命が、連邦議会からの十分な支持を得られないまま停滞している。

(6)スティーヴン・ミラー(Stephen Miller)、レイチェル・オズワルド筆
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スティーヴン・ミラーは、ホワイトハウスで外交政策の実務に携わる立場ではないものの、トランプ大統領の大統領次席補佐官として、積極的かつ包括的な反移民政策の実行における信頼できる窓口として、アメリカへの移民を送っている多くの国々との二国間関係に直接的な影響を与えてきた。

ミラーは、難民、亡命希望者、一時的保護ステータスまたは人道的仮釈放中の者、H-Bヴィザの専門職労働者、季節労働者、そして特に不法移民労働者に対する政権の厳しい取り締まりを公に訴えてきた。2025年11月にワシントンで、今年初めにアメリカ政府から正式な亡命を認められたアフガニスタン人男性が州兵2人を射殺する事件が起きた後、ミラー氏は、2021年にアフガニスタンがタリバンに陥落した後、多数のアフガニスタン国民のアメリカへの移住を許してきた政策の終結を、痛烈かつ外国人排斥的な言葉で訴えた。

ミラーはまた、ルビオと緊密に協力し、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の追い落としを目指す政権の取り組みを支援してきたほか、カリブ海と東太平洋の麻薬密輸船とされる船舶に対するアメリカのミサイル攻撃を強く擁護してきた。

(7)ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)、リシ・イエンガー筆
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トランプ大統領の義理の息子であるクシュナーは、第二次政権では表舞台に立つことは少なく、第一次政権のような正式な「特別補佐官(special advisor)」の役職も担っていない。しかし、クシュナーはウィトコフと共に、トランプ政権が今年行った2つの主要な外交交渉に取り組んだ。

10月初旬には、20項目からなるガザ和平合意の最終決定を支援するためイスラエルを訪問し、11月には単独でイスラエルのネタニヤフ首相と交渉を続けた。また、12月初旬にはモスクワでプーティン大統領と数時間にわたり対面し、その後にゼレンスキー大統領と2時間にわたる電話会談を行ったと報じられている。この電話会談では、ウクライナにおけるロシアの戦争終結に向けた、現在も継続中の交渉の進展が追求された。

ウィトコフと同じく、クシュナーも自身の事業における利益相反について懸念が持たれている。彼の企業は、中東地域でアラブ湾岸諸国と数十億ドル規模の取引を行っており、ガザ地区の戦後における彼の役割について疑問が持たれている。

しかし、ガザ和平合意が発表された直後、クシュナーは(再びウィトコフと共に出演した)、テレビ番組「60ミニッツ」でのインタヴューで、こうした懸念を一蹴した。「人々が利益相反と呼ぶものを、スティーヴと私は世界中で培ってきた経験と信頼関係と呼んでいる」とクシュナーは述べた。

(8)スコット・ベセント(Scott Bessent)、キース・ジョンソン筆
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スコット・ベセント米財務長官は、歴代の前任者の多くと同様、政権の外交政策における中心的な役割を担う人物の1人となっている。そして、トランプ政権第二期目の2年目には、その役割はさらに大きな影響力を持つものになる可能性がある。

ベセント長官は、トランプ政権の貿易戦争(trade wars)について真っ先に批判してきた。長年、関税や貿易障壁に対して合理的な懐疑論を唱えてきたウォール街のヴェテランにとって、これは意外な役割かもしれない。しかし、ベセント長官は今、他国の行動を強制するために輸入税を引き上げることの賢明さを認めている。トランプ政権の数々の貿易戦争は目的を達成していない。アメリカの貿易赤字は今年最初の8カ月間で昨年よりも大幅に拡大し、ヨーロッパ、中国、イギリスとの「貿易合意(trade deals)」は未だに最終決定ではなく、あくまでも願望段階にとどまっている。しかし、少なくとも彼らには強力な応援団がもう1人いる。

ベセントは、2025年12月初旬に行われた会談を含め、中国との進行中の貿易交渉においても主導的な役割を果たしてきた。ワシントンと北京は、貿易休戦(trade truce)を貿易合意のようなものに変化させようと模索を続けている。これは重要な意味を持つ。なぜなら、トランプ政権にとって、中国は国家安全保障上の課題というよりも、はるかに経済的な課題だからだ。

ベッセントはまた、アメリカの国家統治術(U.S. statecraft)をトランプの政治的目的に利用することにも尽力してきた。特に、イデオロギー的な同盟国であるアルゼンチンへのアメリカの救済は、数十億ドル規模の賭けであり、いずれ報われる可能性もある。

しかし、既に強力な影響力を持つ米財務長官ベセントは、来年さらに影響力を強める可能性がある。トランプは依然として、新議長の任命を含む連邦準備制度理事会(FRB)の改革を計画している。その結果、大統領はケヴィン・ハセットを大統領経済担当補佐官に指名し、ベセントを財務長官と大統領補佐官の兼任をさせる可能性がある。そうなれば、トランプ政権の政治課題を支配するであろう、アメリカの国内および海外の経済政策の立案者となる可能性が出てくるだろう。

■特別賞(HONORABLE MENTIONS

(9)メラニア・トランプ(Melania Trump)、クリスティーナ・リュー筆
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メラニア・トランプ大統領夫人(ファースト・レイディ)は、ロシア・ウクライナ戦争という重要な例外を除けば、外交政策の注目を浴びないように避けてきた。スロヴェニア出身のメラニア夫人は、ロシアに拉致された数千人ものウクライナの子供たちとその家族の再会を促進する外交努力に積極的に関与してきた。ウクライナ政府は、ロシアが2022年2月に本格的な侵攻を開始して以来、少なくとも1万9000人のウクライナの子供たちを拉致して、強制移送したと非難している。ロシア政府は、この行動は子供たちの安全確保が目的だったと主張している。

メラニア夫人は子供たちの解放を公に求め、プーティン大統領に手紙を書いたと彼女は述べ、その手紙は夫である大統領が個人的に届けたとしている。最終的に、彼女はロシアの指導者と直接連絡を取り、数カ月にわたって裏でやり取りしたと2025年10月に述べている。

注目すべきは、トランプ自身の発言が、メラニア夫人がこの戦争について、夫であるトランプ大統領に助言を与え、時にはプーティン大統領に対する彼の見解に異議を唱えたことさえ示唆していることだ。「家に帰ってファーストレディに『実は今日、ウラジーミルと話した。素晴らしい会話ができた』と言ったら、『えっ、本当に? ウクライナの別の都市が攻撃されたばかりなのに』と言われた」とトランプは7月に大統領執務室で振り返った。

(10)スージー・ワイルズ(Susie Wiles)、クリスティーナ・リュー筆
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大統領首席補佐官として、スージー・ワイルズはトランプ大統領の側近の中核的存在であり、権威ある存在でもある。しかし、彼女は主に影で活動し、舞台裏で重要な役割を果たしてきた。ワイルズがアメリカの外交政策を指揮して注目を集めることは滅多にないが、トランプ大統領は彼女の影響力を称賛し、「世界で最も力のある女性」と公に称賛してきた。

トランプ大統領は7月、「彼女はたった一本の電話だけで国を壊滅させることができる」と明言した。

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第2次ドナルド・トランプ政権発足から100日以上が過ぎて、大きな人事異動が発表された。マイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官が職を離れ、米国連大使に転身する予定であることが発表された。国家安全保障問題担当大統領補佐官の職は、マルコ・ルビオ国務長官が暫定的に兼務することになった。これは、ジェラルド・フォード大統領時代のヘンリー・キッシンジャー以来のことだ。
 そもそも、昨年の段階では、エリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)が米国連大使に指名されていたが、今年3月末に、連邦下院で過半数を握っているが、民主党との差が小さい共和党の議席数を守るために、ステファニックの指名をトランプ大統領が取り消し、ステファニックは連邦下院議員を続投することになり、連邦下院共和党の指導部に復帰した。後述する、ウォルツが引き起こしたシグナルゲート事件が3月中旬に起きたことを考えると、マイク・ウォルツの辞任(実質的な更迭)は3月下旬に決定されており、ステファニクの国連大使指名が撤回された可能性がある。

マイク・ウォルツは政権内で存在感を発揮することができず、また、トランプ大統領側近のスージー・ワイルズ大統領首席補佐官との関係が悪化したという話もある。首席補佐官は大統領執務室の隣にオフィスを持ち、大統領が誰と会うかをコントロールすることができる。国家安全保障問題担当大統領補佐官であるウォルツがトランプ大統領と会う必要がある時に、ワイルズ首席補佐官がそれを妨害したということは考えにくいが、このような話が出るほどに政権内部でひずみが出ているようだ。イーロン・マスクは特別公務員であるが、正式な閣僚ではないはずだが、閣議に出てくる。マスコミはマスクばかりを追いかける。他の閣僚や政権高官たちは面白くないということはあるだろう。そこに、シグナルゲート事件が起きた。ピート・ヘグセス国防長官も当事者であるが、今回はマイク・ウォルツだけが更迭されることになった。2人同時では政権に与えるダメージが大きい。ヘグセスもタイミングを見て、辞任(更迭)ということになるだろう。
 ルビオ国務長官が国家安全保障問題担当大統領補佐官を兼務することになり、これは、トランプ大統領のルビオに対する信頼感を示している。私は現在のところ、JD・ヴァンス副大統領がトランプ大統領の後継者になると考えているが、マルコ・ルビオも有力な後継者になり得ると考えられる。ヴァンスとルビオが両方ともカトリック教徒であることは興味深い。キリスト教福音派がトランプ派の強力な支持基盤であるが、これがどのように影響するか注目される。
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ドナルド・トランプ大統領がマイク・ウォルツを国連大使に任命、マルコ・ルビオ国務長官を国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命(Trump taps Mike Waltz as UN ambassador, names Rubio as national security adviser

アレックス・ガンギターノ筆
2025年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5277929-mike-waltz-un-ambassador-rubio-nsc/

ドナルド・トランプ大統領は、グループ・テキストチャットをめぐる論争の最中に解任されたと報じられたマイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官を国連大使に指名した。

トランプ大統領はまた木曜日に、ウォルツの後任として、マルコ・ルビオ国務長官を暫定国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命すると発表した。

トランプ大統領はSNSのトゥルース・ソーシャルで「マイク・ウォルツを次期国連大使に指名することを嬉しく思う。ウォルツは、戦場での軍服時代、連邦議会での活動、そして国家安全保障問題担当大統領補佐官としての活動を通して、国益を最優先に力を尽くしてきた。新しい役割でも、同様に尽力してくれると確信している」と述べた。

トランプ大統領は続けて、「当面の間、マルコ・ルビオ国務長官は国家安全保障問題担当大統領補佐官を務め、国務省における強力なリーダーシップを継続する。私たちは共に、アメリカと世界を再び安全にするために、不断の努力を続けていく。この件にご関心をお寄せいただき、感謝申し上げる!」と述べた。

ウォルツが国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)の職を辞し、国連大使に就任することは、連邦上院の人事承認が必要となるが、トランプ政権における最初の大きな人事異動となる。

トランプ大統領が先月、エリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の指名を取り消したことで、国連大使のポストが空席となった。トランプ大統領はこの決定について、ステファニック議員を「連邦下院指導部への復帰(rejoin the House Leadership Team)」のためだと説明している。

一方、国務省のタミー・ブルース報道官は、ルビオの役割が拡大されることは国務省にとって「興奮する瞬間」であり、全く驚くべきことではないと付け加えた。

ブルース報道官は次のように述べた。「私が存じ上げているルビオ長官、就任初日から様々な役割を担ってきた人物だ。大統領もよく知っている人物だ。大統領は誰が自分の政策を実行するのかを完璧に判断している。今回のケースでは、ルビオ長官とウォルツ補佐官を、自らの政策を推し進めるために選んだ。全く驚くべきことではない」。

ウォルツの立場の変化は、国家安全保障・国防当局者がイエメンでの軍事攻撃に関する重要な詳細を共有していたシグナル・アプリ上のグループチャットをめぐる論争の中心人物だったことを受けて起きた。ウォルツは、『アトランティック』誌編集長のジェフリー・ゴールドバーグを誤ってチャットに招待した人物とされている。

ゴールドバーグは3月24日の報道で、自分がメッセージチェインに追加されたことを明らかにした。国家安全保障会議は、このメッセージチェインが本物であることを確認した。ピート・ヘグセス国防長官はシグナルでフーシ派反政府勢力への攻撃について概説したが、ホワイトハウスとヘグセス長官は、これらの詳細は機密扱いではないと主張している。

当時、この事態を受けてウォルツ、あるいはヘグセスが解任されるのではないかとの憶測が渦巻いていたが、トランプ大統領はフロリダ州選出の元連邦下院議員であるウォルツを擁護し、国家安全保障問題担当大統領補佐官を信頼していると述べた。

加えて、今月初め、極右陰謀論に関与する政治活動家ローラ・ルーマーがトランプ大統領と会談し、信頼できない国家安全保障担当官のリストを持参したと報じられたことを受け、国家安全保障会議の職員6人が解雇された。

解雇された職員には、情報担当上級ディレクターのブライアン・ウォルシュ、連邦下院議員時代にウォルツの補佐官も務めた立法担当上級ディレクターのトーマス・ブードリー、技術・国家安全保障担当上級ディレクターのデイヴィッド・フェイスなどが含まれている。

トランプ大統領は、ルーマーがこれらの解雇に関与しているという見方を否定し、「彼女は物事や人物について勧告を行っており、私はその勧告に耳を傾けることもある」と述べた。

フロリダ州上院議員のランディ・ファイン(共和党)は、今月初めにフロリダ州第6選挙区の特別選挙で勝利し、ウォルツの後任として連邦下院議員に選出された。ファインの勝利は、民主党のジョシュ・ワイルが資金調達や一部の世論調査でファインを上回ったことで、共和党は選挙戦への懸念を強めていたので、共和党にとっては朗報となった。

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ドナルド・トランプ大統領はシグナルゲート事件を受け内閣改造を発表(Trump Announces Cabinet Reshuffle in Signalgate Fallout

-マイク・ウォルツは国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任され、国連大使への就任をめぐる承認争いに直面している。

ジョン・ホルティワンガー筆

2025年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/01/mike-waltz-out-national-security-advisor-trump-resignation-signal/

ドナルド・トランプ大統領は木曜日、マイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官が退任すると発表した。これは第2次トランプ政権における初の大規模な内閣改造となる。ウォルツの次席大統領補佐官であるアレックス・ウォンも退任すると報じられている。

トランプ大統領はドゥルース・ソーシャルへの投稿で、マルコ・ルビオ国務長官が現在の職務に加え、暫定国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めると述べた。また、ウォルツを国連大使に指名すると発表した。国連大使は国家安全保障問題担当大統領補佐官とは異なり、連邦上院の人事承認が必要となる。

トランプ大統領は「ウォルツは、戦場での軍服時代から、連邦議会での活動、そして国家安全保障問題担当大統領補佐官として、国家の利益を最優先に力を尽くしてきました。新たな役割でも、彼が同様に尽力してくれると確信している」と述べた。

当初、国連大使にはニューヨーク州選出の共和党所属の連邦下院議員エリス・ステファニックが指名されていたが、共和党が連邦下院で僅差で多数派を占めていることを考慮し、僅差のための懸念もあり、トランプ大統領は彼女の指名を撤回した。

ウォルツが国家安全保障問題担当大統領補佐官を辞任したというニューズは、シグナルゲート事件でウォルツがその渦中に置かれてから1カ月余り後に報じられた。3月、ウォルツはシグナル・グループチャットで他の政府高官と誤ってジャーナリストを参加させ、イエメンへのアメリカ軍による攻撃に関する機密情報を話し合っていた。

ホワイトハウスは事件の重大性を軽視し、機密情報は共有されていないと主張していたにもかかわらず、シグナルゲート事件の結果、ウォルツの新政権における将来は直ちに疑問視された。国家安全保障分野のヴェテランたちは、この主張に強い懐疑心を抱いている。シグナルゲート事件は依然として政権にとって悩みの種であり、ピート・ヘグゼス国防長官も引き続き厳しい調査を受けている。このスキャンダルは、ウォルツの将来に関わる人事承認公聴会で必ず取り上げられる可能性が高い。

シグナルゲート事件の騒動当初、トランプ大統領はウォルツへの信頼を表明していたものの、その後、ホワイトハウスにおけるウォルツの影響力は急速に低下した。

国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任は、トランプ大統領が極右活動家で陰謀論者のローラ・ルーマーとの会談後、忠誠心欠如の疑いで国家安全保障会議の職員数名を解雇してからわずか数週間後のことだった。

ウォルツの解任が報じられた木曜日、ルーマーはウォルツとウォンの解任を祝福し、その功績を自分のものにしたように見えた。これはトランプ大統領が国連大使への指名を発表する前のことだった。ルーマーはXへの投稿で、「ウォルツが主宰する国家安全保障会議で解雇予定だったが昇進した残りの職員も辞任してくれることを願っている」と述べた。ルーマーはウォンの解任を公然と主張する一方で、ウォンと妻を中国系移民の子孫であることで攻撃している。木曜日、ルーマーはXに「戦利品(SCALP)」と投稿し、ウォンを批判した以前の投稿を再シェアした。

シグナルゲート事件の責任を問われているだけでなく、トランプ大統領の補佐官や側近たちは、大統領がロシア・ウクライナ戦争終結のための和平合意と、イランとの新たな核合意の締結を目指している時期に、ウォルツがロシアとイランに対して強硬すぎると見なしていたと報じられている。しかし、この問題の大きな原因は、ルーマーのトランプ大統領に対する影響力の拡大にあると広く疑われている。

元国務省報道官のネッド・プライスはウォルツの解任について『フォーリン・ポリシー』誌の取材に応じ、「残念なことだが、これはローラ・ルーマーと彼女の過激な陰謀論者たちの仕業だと思う」と述べ、トランプ政権において純粋にイデオロギーに関することは「ほぼない(very little)」と付け加えた。

プライスは続けて、「確かに、ウォルツはウクライナ、ロシア、イランといった重要課題で足並みを揃えていなかった。しかし、彼が今日解任されたのは、ルーマーとその同調者たちが彼の解任を望んだからだろう。ルーマーとその同調者がホワイトハウス、更には国家安全保障機関にまで大きな影響力を持っていることは、全てのアメリカ国民にとって大きな懸念事項だ」と述べた。

ルーマーはコメント要請にすぐに応じなかった。

国家安全保障問題担当大統領補佐官は通常、ホワイトハウスで最も影響力のある高官の1人である。例えば、ジョー・バイデン前大統領の下では、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はアメリカの外交政策に大きな影響力を持ち、政権内で常に最も注目を集める立場の高官の1人であった。

しかし、トランプ大統領の第2期では、国家安全保障問題担当大統領補佐官の役割はこれまでのところ低下している。国家安全保障会議を骨抜きにし、大統領職や、特に外交問題に関して型破りなアプローチを取っているからだ。スティーブ・ウィトコフのような経験の浅い忠実な部外者を、国家安全保障分野のヴェテランやキャリア官僚よりも重用している。

※ジョン・ホルトィワンガー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。Xアカウント:@jchaltiwanger

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(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 第二次ドナルド・トランプ政権のホワイトハウスを率いることになる大統領首席補佐官にスージー・ワイルズ、政策担当大統領次席補佐官にスティーヴン・ミラーが指名された。1980年代のロナルド・レーガン大統領時代から、ワイルズは選挙運動の専門家として、活動し、今回の大統領選挙ではトランプ陣営を率いて勝利を収めた。裏方を好む人物として、トランプからも信頼されている。アメリカ大統領選挙の選対はまさに一つの企業のような規模で、全米各州、各地域にオフィスを構え、選挙運動全体、スケジュール、人事、予算を管理している。ワイルズはクリス・ラシヴィータと共にトランプ陣営を率いた。
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ドナルド・トランプとスージー・ワイルズ
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スティーヴン・ミラーとドナルド・トランプ

 ワイルズについては、複数の人々が異口同音に「タフで、聡明で、戦略的」と賞賛されている。しかも、自分が目立つということをしないので、トランプ大統領にも称賛されている。ホワイトハウスを管理するにあたり適任の人物であるようだ。大統領首席補佐官の事務室は大統領執務室の隣にあり、首席補佐官を通さなければ大統領に接触ができないということになる。日本の首相で言えば官房長官、昔の江戸幕府で言えば側用人ということになるが、その地位を利用して力を振るって、周囲に嫌われる首席補佐官が多く出たのは事実だ。また、大統領に近づこうとする人々や勢力から大統領を守るという仕事もまた厄介である。

 スティーヴン・ミラーは政策担当次席補佐官としてホワイトハウス入りする。ミラーは第一次トランプ政権でも上級顧問として政策立案に関わった。特に不法移民対策が彼の主戦場となった。第二次政権でも不法移民対策を担当することになる。「国境専門官(border czar)」となるトム・ホーマンと一緒に仕事をすることになる。不法移民対策はトランプ政権の政策課題の中心となる。民主党右派や中道派の人々、移民は歓迎だが、不法移民が波のように押し寄せることには不安を覚える、移民たちがアメリカに溶け込まない、なじまないことは問題だと考える人々も、不法移民対策はアピールしている。この問題は地域の治安問題であったり、違法薬物蔓延の問題であったりする。しかし、同時に、不法移民はアメリカ経済にとって重要な存在である。日本で言う「3K(きつい、汚い、危険)」仕事を担っているのが彼らなのだ。こことのバランスをどう取るのかということ、舵取りが必要になってくる。

 人々の注目は「スージー・ワイルズが大統領首席補佐官の仕事にどれだけ留まれるか」ということになっている。第一次政権では4人が大統領首席補佐官を務めた。平均して1年である。ワイルズがどれだけ力を発揮したのかは彼女の退任の報道がいつ出るのかということで分かるかもしれない。

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他の人々がトランプにたじろぐ中でスージー・ワイルズにどうして成功する可能性があるのか(Why Susie Wiles might succeed where others faltered with Trump

ブレット・サミュエルズ筆

2024年11月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4984514-susie-wiles-trump-chief-of-staff/?ipid=promo-link-block5

スージー・ワイルズは、トランプ次期大統領の大統領首席補佐官として、ワシントンで最も重要な、そしておそらく過酷な仕事の1つを引き受けることになっている。

ワイルズを知っていて、フロリダ州で共和党の職員として、またトランプの2024年選挙キャンペーンのリーダーの一人として彼女と一緒に働いたことのある人たちは、彼女が他の人たちが挫折したところで成功するだろうと考える理由があると述べている。

彼女はトランプの側近メンバーからも、その外のメンバーからも尊敬されている。彼女は政治的に成功した実績があり、トランプのことをこれまでの側近にはない方法で知っている。

「彼女がこれまでの大統領首席補佐官と違うのは、トランプと一緒に塹壕(the trenches)の中にいたということだ。ワイルズはトランプが何をしたいのか、どこに行きたいのかを知っている。他の大統領首席補佐官たちは、常にそのように感じていたものだ」とフロリダ在住の共和党系ストラテジストであるフォード・オコネルは語っている。

大統領首席補佐官は大統領に最も近い補佐官として働く。通常、大統領執務室への情報や人々の出入りを管理し、大統領の政策課題に優先順位をつけ、ホワイトハウスの他のスタッフを管理するなどの責任を負う。

トランプ大統領の最初の大統領首席補佐官であったラインス・プリーバスは、共和党全国委員会を率いた後に就任したが、就任6カ月で退任させられた。プリーバスは、ホワイトハウスでスティーヴ・バノンもトランプの上級顧問として働いていた環境で大統領首席補佐官に就任した。

2人目のトランプ大統領首席補佐官ジョン・ケリーは、トランプ大統領が国土安全保障省長官に指名した後に登用された。ケリー首席補佐官はトランプ大統領を牽制し、17カ月間勤務したが、退任後に、トランプ大統領はファシストの定義に当てはまると批判するようになった。

3人目のミック・マルバニーは、およそ13カ月間臨時の職務を務め、より手をかけないアプローチをとった。しかし彼は、ウクライナへの援助保留をめぐって連邦下院民主党に弾劾訴追を実行するための材料を与えたことで、批判にさらされた。マルバニーは現在、本誌『ザ・ヒル』誌の姉妹ネットワークである「ニューズネイション」の寄稿者だ。

トランプ大統領の4代目大統領首席補佐官マーク・メドウズは連邦下院から引き抜かれた。メドウズは、暴かれた詐欺事件を担当する弁護士に当時の大統領への面会を許可した後、2020年の選挙結果を覆す取り組みを巡る訴訟で泥沼にはまった。

歴史を通じて大統領首席補佐官の役割をテーマにした本『ザ・ゲートキーパーズ』の著者クリス・ウィップルは、「その肩書の意味通りでの大統領首席補佐という存在は実際には存在しなかった。なぜなら誰も大統領に厳しい真実を語れなかったからだ。2度目の政権となる今回は、スージー・ワイルズがそれに挑戦するかどうかを確認することになる。それは常に不可能な任務だった」と述べた。

女性初の大統領首席補佐官として歴史に名を刻むことになるワイルズは、過去2年間、クリス・ラシヴィータとともにトランプの選挙キャンペーンを運営する2人のトップのうちの1人として働いた後、大統領首席補佐官に就くことになる。

トランプ大統領は彼女の起用を発表する際、ワイルズを「タフで、賢く、革新的(tough, smart, innovative)」で、「広く賞賛し、尊敬している(universally admired and respected)」と賞賛した。

ワイルズはロナルド・レーガン政権で働き、1990年代後半には、ジャクソンヴィル市長ジョン・ディレイニー(当時)の首席補佐官を務めたが、ここ数十年は主に選挙キャンペーンを担当してきた。

ワイルズは、2010年のリック・スコット連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)の知事選挙キャンペーンを成功させ、2016年のトランプ大統領のフロリダ州での作戦を指揮し、2018年のフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)の知事選挙キャンペーンを成功させ、最終的にはトランプ大統領の2024年のホワイトハウスを目指す選挙を指揮した。

ワイルズは主に舞台裏で活動してきた。それは、自分の影を薄くしてしまう側近に腹を立てていることで有名なトランプにとって、彼女にとって好都合な存在だったのだろう。

ワイルズと仕事をしたことのある人たちは、彼女は政治に精通しており、選挙運動につきものの多くの衝突する人々をうまく操作することができると評している。ワイルズとトランプの両方を知るある関係者は、彼女を「タフ」で「有能」と評した。

ワイルズと30年以上の付き合いがあるスクワイア・パットン・ボッグスのパートナー、エド・ニューベリーは「人々は、彼女が全ての試合を選ぶのではなく、本当に重要な試合を選ぶと理解するようになった。彼女は本当に重要な問題を選ぶことができる。トランプ大統領は彼女に同意する必要はないが、耳を傾けるべきだと学んだそうだ。そして、キャンペーンが展開されるにつれて、彼が耳を傾けたことが非常に明らかになったと思う」と述べた。

ジャレッド・モスコウィッツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は、超党派の議員としては珍しくワイルズの雇用を賞賛し、彼女を「聡明でタフ(brilliant, tough)」、そして 「戦略的(strategic)」と評した。モスコウィッツ議員は以前、フロリダ州緊急事態管理局長を務めていた。

ワイルズを知る者は、彼女がこの仕事に十分な資質を備えていることに同意しているが、ワイルズはホワイトハウスのウエストウイングに到着後、いくつかの大きな難題に直面することになる。

トランプは衝動的なところがあり、最初の任期中、すぐにスタッフを入れ替えた。また、彼の耳には、政権内外から影響力を求め、政策課題を推進しようとする数多くの人物が入り込んでくる可能性が高い。

トランプの周辺に詳しい共和党系のロビイストは次のように述べている。「ドナルド・トランプが軌道を外れないようにするためには、側近や脇道から入ってくる人間、あなたのやろうとしていることに二の足を踏ませるような人間からドナルド・トランプを遠ざけなければならない。そして、規律レベルを維持しなければならない、もし彼女が80%までそれを行うことができれば、トランプ側近グループは成功するだろう」。

ワイルズは選挙戦を運営する豊富な知識を持っているが、専門家たちによれば、トランプとウエストウイングを管理しながら、連邦議会内の様々な派閥とうまくやっていくのは、また違った難しさがあるという。また、トランプが台本から外れたり、スタッフを無視したりした場合、それはもはや彼の選挙キャンペーンに影響を与えるだけでなく、アメリカやその同盟国、そして世界中の他の国々にも影響を与えることになる。

前述のウィップルは次のように語っている。「プラス面では、彼女はトランプと協力し、少なくともたまには厳しい真実を伝えることができることを示した。しかし、選挙戦の運営とホワイトハウスの運営には大きな違いがある」。

=====

トランプ大統領がホワイトハウスの政策担当トップにスティーヴン・ミラーを指名(Trump taps Stephen Miller for top White House policy job

ブレット・サミュエルズ筆

2024年11月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4984020-stephen-miller-trump-white-house/

月曜日、ドナルド・トランプ第一次政権でトップの補佐官を務めたスティーヴン・ミラーが、1月にホワイトハウスに戻り、政策担当の最高責任者(top policy job)に就任することを、複数の政府関係者を認めた。

トランプ次期大統領はミラーを政策担当大統領次席補佐官(deputy chief of staff for policy)に選出した。ミラーは、法的地位を持たない移民の大量国外追放計画を含むトランプ大統領の移民政策を実行する主導的な役割を担うと期待されている。

JD・ヴァンス次期副大統領はソーシャル・プラットフォームXに、「これも大統領による素晴らしい人選だ」と投稿した。

トランプ政権移行ティームはコメントの要請に応じなかった。CNNは、トランプ大統領がミラーを大統領次席補佐官に任命するという計画だと報じた。

ミラーは家族離散(family separation)やイスラム教徒が多数派の数カ国からの米国への渡航禁止命令など、トランプ大統領の第1期移民政策の立案者だった。

ミラーは、先週トランプ大統領が大統領首席補佐官に指名したスージー・ワイルズと一緒に働くことになる。

バイデン政権期間中、ミラーは民主党の政策に対して数十件の訴訟を起こした組織「アメリカ・ファースト・リーガル(America First Legal,)」を率いていた。

ミラー氏は投票日が近づくにつれて、選挙運動に頻繁に参加するようになり、トランプの集会で国内の移民を不法に強制送還し、入国する移民の数を取り締まる必要性について語った。

トランプ大統領の初日の政策課題の多くは、移民の取り締まりに焦点が当てられそうだ。日曜日遅くには、前移民税関捜査局長のトム・ホーマンが新政権で「国境専門官(border czar)」を務めると発表した。

大量の強制送還を実施することに加え、トランプ大統領は「初日に(on Day 1)」大統領令に署名し、連邦政府機関が不法入国した移民の子どもたちに自動的にアメリカ市民権を与えることを停止すると宣言している。このような出生権市民権(birthright citizenship)廃止の取り組みは、一定の法的課題に直面するだろう。

トランプ次期大統領はまた、バイデン政権が中止した南部国境沿いの壁の建設を再開する可能性が高く、トランプは亡命希望者にメキシコに滞在してアメリカ移民裁判所(U.S. immigration court)での裁判の結果を待つよう強制した「メキシコ残留」プログラム(“Remain in Mexico” program)などの政策を再び実施する可能性もある。

ミラーはおそらく、第一次政権でトランプの強硬な移民政策と最も結びついた人物だろう。

ミラーはジェフ・セッションズ前連邦上院議員(アラバマ州選出、共和党)の議会補佐官として移民問題に取り組んでおり、セッションズはトランプ初出馬の際、連邦上院でトランプを早くから支持していた。

セッションズはトランプ政権の司法長官となった。しかし、セッションズがロシアの2016年選挙干渉に関する訴訟から身を引くことを決めた後、2人は不仲になった。

ミラーはトランプの側近グループの一員にとどまり、連邦上院共和党幹部たちとの関係とともに、トランプの家族との関係を構築した。

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