古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ゾーラン・マムダニ

 古村治彦です。

 2026年11月の中間選挙が近づき、話題になることが多くなっている。ドナルド・トランプ大統領の支持率も「中間選挙が近づく中で下落」というような表現をされることが多い。中間選挙(midterm election)は、政権に対する「中間試験(midterm exam)」の意味合いが強く、これまで、政権を握っている党に不利な結果が出ることが多かった。現在のトランプ大統領の支持率は約39%、不支持率は約59%となっている。支持率が40%を切るのは厳しいが、「何があってもトランプを支持する人たち」がそれくらいはいるということになる。中間選挙では連邦下院の全議席(435議席)と連邦上院(10っ議席)の約3分の1の議席の選挙が実施される。また、一部州の知事選挙も実施される。それ以外にも地方の選挙も実施される。注目はやはり連邦議会の選挙だ。大統領の支持率が低いと結果に反映されるということがあり、今回で言えば共和党が不利な状況となっている。
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 現状では連邦上院では共和党が53議席、民主党系が47議席、連邦下院では共和党が217議席、共和党系無所属が1議席、民主党が212議席、欠員が5議席となっている。現在までの各種世論調査を見てみると、民主党に追い風が吹いているようであるが、上下両院で民主党が過半数を奪取できるかどうかは微妙な情勢だ。連邦下院では民主党が217議席、共和党が218議席となり、僅差で共和党、連邦上院では50対50となり、同数の場合には、連邦上院の議長役となる副大統領が1票を投じることになるので、上院もかなりの僅差で共和党が過半数ということになる。しかし、これだけの僅差となると、議会運営は難しくなる、日本の様に党議拘束ということはないので、全員が一致しての投票行動ということはあまりないからだ。

 民主社会主義勢力は「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」という組織を結成している。これは民主党とは別組織であるが、この組織の会員が民主党員として各種の予備選挙に出て勝利し、民主党の候補者になっている。2016年大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員の躍進以来、民主社会主義の躍進は続いている。しかし、民主党の候補者になることまではできるが、本選挙で勝てるかどうかという問題はある。社会主義という言葉、民主社会主義が掲げる政策に対しての支持は無党派層に広く浸透してはいない。「過激、急進的」ということで忌避されることもある。また、民主党内部にも穏健、中道、エスタブリッシュメントがある以上、民主党内部にも拒否反応がある。DSAは独自の政治勢力、最終的には政党として民主党とは別で行動すべきと考える人たちもいる、一方で、これまでうまくいっているのでそのまま続けるべきという意見もある。

 現状では、民主社会主義勢力は都市部を中心に大学教育を受けた若者たちを中心に支持を拡大している。今回の中間選挙で民主党内部での影響力を大きく拡大することは確実となっている。これもまたアメリカの国力の衰退や帝国としての終わりが近づくという、大きな構造変化によって出てきた現象であると言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

民主社会主義の勢いが高まる中、アメリカ民主社会主義者(DSA)は自らに問いかけている。「次はどうするのか?」(Amid a democratic socialist surge, the DSA asks itself: What’s next?

-アメリカ民主社会主義者(、Democratic Socialists of America DSA)の指導部にとって、2026年の予備選挙は、期待していた以上の勝利をもたらすものとなった。今、彼らはその影響力をさらに拡大しようとしている。

カレン・タマルティ筆

2026年8月3日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2026/08/03/amid-democratic-socialist-surge-dsa-asks-itself-whats-next/

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週末にシカゴで開かれたアメリカ民主社会主義者(DSA)の会合にメンバー約600人が参加した

シカゴ発。アメリカの民主社会主義運動(democratic socialist movement)の指導者たちにとって、2026年は、彼らがかつてはあえて期待することさえしなかったほどの成功を収めた年となっている。

「自分の生きている間にこんなことが可能になるとは思ってもみなかった」とシカゴで週末に開催され、600人のメンバーが集まった3日間の会議の最中、インタヴューに応じた「アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of AmericaDSA)」の共同議長アシック・シディークは述べた。「私たちが収めつつある成果を目の当たりにして、驚きを感じているメンバーも確かにいるが、それは決して何もないところから突然生まれたものではない」。

シディークが述べるところでは、DSAの会費を支払う会員たちは非常に若く、「DSAの基準で言えば、私はもう年長者だ。私は30代ではあるのだが」ということだ。

「サミット」と銘打たれたこのDSAの集会では、参加者同士が「同志(comrades)」と呼び合っていた。彼らをここに集めた思想を物語るものとして、「ICE(移民関税執行局)を廃止せよ(Abolish ICE)」と書かれたTシャツや、「地主(や大家)どもクソ食らえ(Land Lords Suck)」と主張するバッジ、さらには19世紀のスローガンである「労働は、それが生み出したすべてのものに対する権利を有する(Labor is entitled to all it creates)」と記されたポスターなどが販売されていた。展示ホールのテーブルの1つには、「ディア・リーダー(鹿の指導者、Deer Leader)」と名付けられた雄鹿の剥製が置かれており、その角の間にはDSAの赤い野球帽が挟まれていた。

しかし、祝賀ムードが漂う一方で、ある深刻かつ戦略的な問いがそこにはあった。それは、「次はどうするのか?」という問いだ。

昨年、民主社会主義者のゾーラン・マムダニがニューヨーク市長に選出されて以来、DSAの全国運営組織が正式に公認、あるいは地方支部が支援した候補者たちは、市議会議員選挙から連邦議員選挙に至るまで数多くの予備選挙で次々と勝利を収めてきた。その中には、現職のヴェテラン議員を打ち負かしたケースも含まれている。

DSAの会員数は全国で12万人近くにまで増加していて、これはドナルド・トランプが2期目の大統領に当選した2024年当時の2倍以上の規模だ。先週発表されたCNNの世論調査では、民主党員および民主党支持層の成人の3分の1が、自らを「民主社会主義者」であると認識していることが明らかになった。

こうした数字こそが、民主党エスタブリッシュメントが「政治的な自殺願望(political death wish)」とみなす事態を懸念する理由となっている。先月実施された『ワシントン・ポスト』紙とイプソス社による調査では、民主党員の4人に3人が大統領候補として民主社会主義者を支持することに前向きな姿勢を示したが、全米の一般有権者で同様の考えを持つ人は半数に満たないという結果だった。

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DSAの会員数は全国規模で約12万人と急拡大している

DSAのメンバーも、これが難題であることを認めている。それは単に大統領選レヴェルの話にとどまらない。彼らの綱領における長期的な目標の多く例えば刑務所制度の廃止、国境の開放、国防総省の予算削減、そして連邦上院の廃止などは、エスタブリッシュメントの考え方から大きくかけ離れている。

しかし、彼らは、ニューヨーク市のような民主党の圧倒的な地盤以外の地域であっても、民主社会主義者の候補者を擁立することをためらうべきではないと主張している。そうした候補者の1人がフランチェスカ・ホンだ。彼女は、重要な激戦州であるウィスコンシン州で8月11日に行われる知事選挙の民主党予備選挙において、混戦を抜け出しリードしている状況だ。

会員数1万5000人を擁するDSAニューヨーク市支部の元共同議長ジェレミー・コーハンは「左派が予備選挙に勝って本選挙で負ければ災厄となるだろうが、中道派が予備選挙に勝って本選で負けた2016年もまた災厄だった」と述べた。彼はこの発言の中で、党エスタブリッシュメントの王朝の旗手だったヒラリー・クリントンと、民主社会主義というブランドを全国的なレヴェルにまで押し上げたバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で繰り広げられた激しい争いに言及した。

コーハンは「勝利するためにはこれらのリスクを取らねばならない」とコーハン氏は述べた。

DSAのメンバーは、大きな自律性を持つ支部に所属しており、多くのメンバーはさらに、互いに意見の対立も多い十数個の「コーカス(caucus、党内グループ)」のいずれかにも参加している。今後、彼らにとっての重要な問いとなるのは、民主党を左傾化させるために揺さぶりをかけるべきか、それとも彼らが「ダーティ・ブレイク(dirty break、汚れた決別)」と呼ぶような、党との決別を行うべきか、ということだ。

ヒューストン支部から参加した正看護師であるセレナ・エルミタニオは、DSAの理事会に相当する27名で構成される「全国政治委員会(National Political Committee)」のメンバーだ。彼女はまた、DSA内部のマルクス主義的かつ労働運動を重視するグループ「ブレッド・アンド・ローゼズ・コーカス(Bread & Roses caucus)」のメンバーでもある。

エルミタニオは、民主党との完全な決別は「戦術として理にかなっている」と述べた。なぜなら、そうしなければDSAは、労働者の懸念を代弁しない既存の体制内組織内部の「下位のパートナー(a junior partner)」に甘んじることになるからだ。

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会議に参加するDSAメンバーのケイティ・シムズ(右)

これとは反対の立場を取るのが、ニューヨーク州イサカ支部のメンバーであるケイティ・シムズだ。彼女はDSAの選挙活動を統括し、「改革派(reformist)」とされる「ソーシャリスト・マジョリティ・コーカス(Socialist Majority Cacus)」のメンバーでもある。(DSAのメンバーは、自分たちが中道や穏健と評されることを嫌う。)

シムズは、「私たちは民主党の支持層を取り込もうとしている。慕って、うまくいっている活動を止めるのは理にかなっていない」と述べた。

もう一つの課題は、政府運営する医療制度といったDSAの主要な理念には賛同しているものの、「民主社会主義者」という肩書きを掲げない候補者を当選させるために、ヴォランティア主導の選挙活動を今後も投入すべきかどうかという点だ。

例えば、火曜日に行われたミシガン州の重要な連邦上院議員選挙民主党予備選挙において、DSAの活動家や現場の支援者たちは、進歩主義候補のアブドゥル・エルサイードを非公式に支援している。エルサイードは自らを社会主義者ではなく、「資本主義の仕組みを理解している資本家」だと主張しているが、DSAのメンバーたちは支援した。

しかし、他の地域ではDSAの支部はそれほど寛容ではない。オーランド支部は最近、支部の支持を求めていた郡委員会候補者に対し、支持を得るためにウェブサイトに「民主社会主義者」という言葉を掲載する必要があると伝えたと支部メンバーのクリフ・コノリーは述べた。コノリーによれば、その10分後には、この候補者のウェブサイトのトップに「労働者家族のために戦う民主社会主義者」という文言が掲げられたということだ。

DSAの注目度の高い全国的な支持を獲得するには、候補者は一連の基準を満たす必要があるとDSAの幹部たちは述べている。その基準とは、単なる「進歩主義派(progressive)」にとどまらず、自らを「民主社会主義者」であると明確に位置づけていること、DSAの強力な支部があり強固な組織的基盤による支援を受けられる地域で出馬すること、親イスラエル・ロビーからの資金提供を拒否すること、そして、米移民関税執行局(ICE)の廃止やule

ルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立といったDSAの政策的立場を支持すること、などだ。

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連邦議事堂に姿を見せたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は大統領選挙においてDSAの支持獲得の最有力候補と目されている(2026年7月)

また、DSA全国委員会は支持を求める候補者に対して厳格な面接プロセスを課しており、指導部によれば、このプロセスはマムダニの勝利以降、さらに要求の高さが上がっているということだ。

当面の課題の一つは、2028年の大統領選挙に向けた支持決定のプロセスを策定することであり、早ければ来年3月か4月までの決定を目指している。

もし出馬を決断すれば、支持獲得の最有力候補となるのはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)だ。しかし、DSAの大統領選検討委員会委員長であるアレックス・ペリテリは、仮に支持を決定するとしても、それはDSAにとってより長期的な戦略の一環になるだろうと述べている。

DSA指導部は、現在の構成員の多くを占める「若年層、都市部居住者、大卒者」というグループを超えて、組織と運動の裾野を広げる必要性を認識している。彼らは、大統領選挙への全国的な取り組みがその助けになると考えている。

「候補者を擁立することの魅力は、全米の何百万人もの人々にアプローチするためのプラットフォームが得られる点にある」とペリテリは述べた。彼自身、2016年の大統領選挙でサンダースのために戸別訪問を行ったことが政治活動の始まりとなった。

しかし彼らは、2028年の選挙は長い道のりの始まりに過ぎないと明確に述べている。ペリテリは「私たちは選挙を社会主義運動とDSAを成長させるための手段だと捉えている」と付け加えて述べた。「私たちの目標は資本主義から社会主義への移行を実現することであり、それは一度の選挙運動で達成できるものではない」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今年11月の中間選挙に向けて、現在、各地で連邦上下両院議員選挙や知事選挙の、民主党と共和党の予備選挙が実施されている。予備選挙はそれぞれの党の候補者を決める選挙であり、予備選挙を勝ち抜いて党の候補者となり、11月の本選挙に挑むということになる。現職の議員でも予備選挙で敗北して本選挙に出られずに退任ということは頻繁に起きる。連邦下院議員選挙は2年おきに実施され、野心を持つ挑戦者にとっては良いチャンスとなる。現職にとっては選挙対策に忙殺され、4期、5期くらい務めると心身ともに疲弊し、自ら引退して、ロビイストに転身したり、元の職業に戻ったりする人も多い。

 日本でも、民主党の予備選挙で、民主社会主義者、進歩主義者の候補者たちが勝利を収めていることが報じられている。このブログでもすでにご紹介している。それと同時に、左派の有権者の投票だけでは本選挙には勝てないということで、民主党支持の有権者をまとめるために、アメリカ民主社会主義者(DSA)を抜けて、民主党の候補者になるという人も出ていることもご紹介した。

 共和党がトランプの党になり、元は民主党を支持していた、労働組合に加盟していた白人労働者たちの党になりつつあることは知られている。以前は「共和党は経営者や白人の党、民主党は労働者やマイノリティの党」という色分けになっていたが、それが崩れつつある。労働者階級だからと言って民主党を自動的に支持することはないということを2016年の大統領選挙が明らかにした。こうした有権者は「民主党を支持してきたが、民主党は自分たちを見捨てて、新自由主義を受け入れ、自分たちの生活は悪くなった。それを隠すために、同性愛や人種、DEIといった社会や文化に関わる問題に傾注してきた」という感情を持っている。生活の心配がないエリート層は経済問題よりも、社会・文化問題に関心を持ち、よりリベラルな方向に進めようとしている。それについていけない労働者階級は「頭が悪い」と切り捨てるということになる。

 しかし、有権者の数で言えば、エリートよりも非エリートの方が多く、労働者介入の方が多い。民主党内部ではリベラルなエリートたちは大きな集団であっても、社会全体で見れば、その大きさと影響力は小さくなる。本選挙で勝つには、中道派やエスタブリッシュメント、更には共和党支持者も巻き込んでいかねばならない。

 民主社会主義者たちは経済問題を中心にして選挙戦を戦っているが、文化や社会問題について、あまり急進的にならずに、国民の世論に従う形で、底から半歩位離れるくらいの主張をするようにすれば、本選挙でも勝つ可能性が高まる。しかし、熱心な支持者である社的な有権者たちが離れるというディレンマを抱えることになる。ここをどのよう差配するかということが民主党にとって重要になってくる。

(貼り付けはじめ)

民主党は間違った問題の解決をしようとしている(Democrats Are Solving the Wrong Problems

-民主党は文化的な問題において信頼に足る存在であることを中道派の有権者に示す必要がある。

ファリード・ザカリア筆

2026年8月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/08/07/democrats-moderates-liberals-progressive-politics-working-class-primary-elections-republican-party-trump/

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ミシガン州上院議員選挙民主党予備選挙で勝利したアブドゥル・エルサイードがミシガン州デトロイトで行われた記者会見で話をしている(8月6日)

民主党はディレンマに直面しており、ミシガン州の連邦上院議員選挙民主党予備選挙はその状況を如実に示していた。カリスマ性のある進歩主義派のアブドゥル・エルサイードが、民主党エスタブリッシュメントの支持を受けた穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員を破った。エネルギーは間違いなくエルサイードにあった。しかし、『ワシントン・ポスト』紙の分析によると、エルサイードの支持はミシガン州内で最も高学歴な郡や大学町に集中しており、一方のスティーヴンスは多くの地方や低所得地域で善戦していた。ここにディレンマがある。左派には情熱があるものの、本選挙で民主党が勝利するために必要な票は、依然として中道派が握っているのだ。

進歩主義派の答えは、経済面でよりポピュリスト的な姿勢を取ることでこの問題を解決できるというものだ。つまり、富裕層を批判し、給付を拡充し、それによって労働者階級にアピールするのだ。しかし、こうした考えは実際の労働者階級には響いていない。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、民主党支持者のうち、自らを「民主社会主義者(democratic socialists)」と称する政治家を好むと答えたのは、大卒者では41%に上るのに対し、大卒でない層ではわずか26%にとどまっている。また、高所得の民主党支持者の方が低所得の支持者よりも民主社会主義者に好意的であり、その比率は40%対24%となっている。

民主党は長年、労働者階級の支持を取り戻すことを夢見てきた。ジョー・バイデン大統領は、経済政策を前面に打ち出し、ここ数十年で最大規模の労働者階級への働きかけを行った。バイデン政権はインフラ、工場、クリーンエネルギー、半導体分野に数千億ドルを投じたが、その多くは共和党支持の強い郡へと流れていった。それにもかかわらず、2024年の選挙では、ドナルド・トランプが大卒でない有権者や年収5万ドル未満の有権者の支持を獲得し、労働者階級のヒスパニック系や黒人有権者の間でも支持を伸ばした。過去30年間、民主党は経済政策において左傾化してきたが(クリントンよりオバマが左寄り、オバマよりバイデン氏が左寄り)、同じ期間に労働者階級は着実に民主党から離れていった。

ここから得られる教訓は、経済政策が重要ではないということではない。しかし、民主党の問題は、経済政策において中道寄りすぎると見られていることにあるのではない。民主党は、医療や、現在も大きな関心事である生活コスト(the cost of living)といった問題では、常に共和党をリードしている。民主党の弱点は、犯罪、移民、国境管理、そしていわゆる「ウォーク(woke:社会正義や差別に高い関心を持つ姿勢)」なアジェンダといった、文化的・社会的な問題にある。一例を挙げると、「アーギュメント(The Argument)」による世論調査では、トランプを支持しないものの共和党への投票に傾いていた有権者の間において、犯罪対策への信頼度で共和党が47%対1%で、民主党を大きくリードしていた。

民主党は圧力を受けているが、文化的な問題で中道寄りになるよりも、経済政策で左派寄りになる道を選ぶ方がはるかに容易だと感じている。国境管理の徹底、常習的な違反者への処罰、能力主義の擁護、あるいは生物学的な性の重要性といったことを率直に口にすれば、活動家や権利擁護団体、そして高学歴な党スタッフからの反発を招く恐れがあるからだ。そのため、多くの有権者を自分たちから遠ざけている文化的な姿勢には手をつけず、代わりに巨額の補助金や新たな給付策を提示したり、億万長者への攻撃を強めたりする。

しかし、事実はその逆であることを示唆している。ある研究では、29の政策課題における民主党の方針転換が検証されたが、選挙で最も大きな成果が得られたのは、社会・文化的な問題において中道寄りへ舵を切った場合であることが明らかになった。また別の報告書によれば、労働者階級の有権者は、リベラルな大卒層に比べて、国境警備の強化、犯罪の減少、警察官の増員をはるかに重視していた。一方、リベラルな大卒層が重視したのは、権威主義への抵抗、トランスジェンダーの権利や中絶へのアクセスの保護、そして気候変動対策だった。

この溝が深まったのは、労働者階級の有権者が単に右傾化した(lurched to the right)からではなく、むしろ大卒の民主党支持者がより急激に左傾化した(moved left further)からだ。アメリカ政治学者ニコラス・ジェイコブスの分析によると、2000年の時点では、民主党支持者と労働者階級の有権者の双方において、移民の受け入れ拡大を支持する割合は約8%に過ぎなかった。しかし、2020年には、民主党支持者の48%がこれを支持したのに対し、労働者階級の有権者では24%にとどまった。中絶に関する意見の差は、1980年には3ポイントだったが、2024年には30ポイントにまで拡大した。宗教や家族のあり方、そして政府が税金を無駄遣いしないという信頼感についても、大きな隔たりが生じている。

トランプは、こうした乖離が持つ政治的な力を理解している。選挙集会で彼が激しく批判する内容を聞いてみて欲しい。トランスジェンダーの選手、DEI(多様性・公平性・包摂性)を推進する官僚機構、エリート大学、犯罪、そして制御不能な国境といった問題だ。彼は、こうした問題が有権者の直感(gut)に深く訴えかけるものであることを知っている。

民主党がトランプを模倣したり、マイノリティを見捨てたり、反動的になったりすることが解決策ではない。国民皆保険制度や富裕税によってニューディール時代の連合が復活するという幻想を捨てるべきだ。あの時代もあの連合ももはや存在しない。幸いなことに、民主党は既に強力な現代的連合を築いている。大卒者、女性、マイノリティ、若年層、そして大都市圏の多くの労働者階級や中間層の有権者たちの連合だ。これらの有権者が求めているのは社会主義革命(a socialist revolution)ではなく、手頃な価格の住宅、質の高い学校、利用しやすい医療、安全な街路、国境管理、合法的な移民、そして経済成長といった、成果を出す効果的なリベラルな政府だ。そして、おそらくこれは、民主党が他の労働者階級にも再び支持を広げる助けとなるだろう。

民主党は、文化的に中道派の有権者に対し、リベラリズムは思いやりと寛容、開放性と無秩序、平等とイデオロギー的同調を明確に区別できることを示す必要がある。ミシガン州は、民主党の支持基盤、つまり予備選挙で投票するアメリカ人のごく一部にとって、民主党のエネルギーがどこにあるのかを示した。試練は、民主党がそのエネルギーを、国民全体に受け入れられる常識的な政治へと転換できるかどうかだ。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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(終わり)



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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 このブログで先月、民主社会主義勢力の躍進についてご紹介した。ニューヨーク市やコロラド州デンヴァーといった大都市での民主社会首位勢力の躍進は日本でも報道された。ニューヨーク市を地盤とするアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員やニューヨーク市長ゾーラン・マムダニの人気、特に若い人たちの間での人気は高まっている。AOCは大統領選挙の候補者としても名前が挙がっているが、まだ30代であり、まずはニューヨーク州選出の連邦上院議員への鞍替えを考えているのではないかと思う。

 最近で言えば、ミシガン州の連邦上院議員選挙民主党予備選挙で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が支援した急進左派のアブドゥル・エルサイードが、中道穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員を破って、民主党の候補に選ばれた。今年11月の本選挙で、共和党の候補者マイク・ロジャース元連邦下院議員と連邦上院議員の議席を争うことになる。

 エルサイードはイスラエル、特にベンヤミン・ネタニヤフ首相への激しい批判を選挙戦で展開していた。ユダヤ人やユダヤ教徒は切り離し(エルサイードは「ユダヤ人とユダヤ教を愛し尊敬している」と発言している)、イスラエルの実行している政策とその責任者であるネタニヤフ首相への批判を展開した。これに対して、アメリカ政治を牛耳ってきたイスラエル・ロビーの代表格AIPACが対抗馬であるスティーヴンス連邦下院議員に多くの選挙資金と反エルサイードのCMを展開したが、エルサイードが勝利した。本選挙に向けて、共和党のロジャースにイスラエル・ロビーから莫大な資金が流れることになるだろうが、それがかえってロジャースの足を引っ張る可能性もある。

 ウィスコンシン州知事選挙では、フランチェスカ・ホン州下院議員が支持を拡大している。現職で選挙を不出馬を表明したトニー・エヴァースは、サラ・ロドリゲス副知事を担ごうとしたが、選挙資金をめぐるスキャンダルで出馬断念となり、ミルウォーキー郡のデイヴィッド・クロウリー郡長を支援することになった。急進左派の勢力に穏健中道や民主党エスタブリッシュメントたちは戦々恐々としている。それは自分たちの既得権益が荒らされるということもあるが、本選挙で、無党派層から「急進的過ぎる」ということで支持を得られないという可能性もあるからだ。

 実際に、アメリカ民主社会主義者(DSA)に所属し、民主党予備選挙に立候補し勝利した候補者がDSAから抜け、その理由を「選挙区の有権者を団結させる、まとめる」ためとしている。民主社会主義勢力の勢いは伸びているが、民主社会主義を支持する人たちの支持だけで本選挙を勝てるということはない。やはり穏健中道や政治的関心の低い人たちも巻き込んでいかねばならない。民主社会主義勢力としては、これからいかにしてリーチを広げていくかということが重要になってくる。

(貼り付けはじめ)

急進左派が激戦州ミシガンで勝利、米民主予備選 中間選挙の試金石

Nolan D. McCaskill ロイター通信

202685日午後 5:00 GMT+931分前更新

https://jp.reuters.com/world/us/N2O2ZVTILNNM3L3GCA6V2PH4SA-2026-08-05/

[5日 ロイター] - 11月の米連邦上院選に向け、中西部ミシガン州で実施された民主党の上院予備選で、イスラム系の急進左派のアブドゥル・エルサイード氏が勝利した。穏健派候補のヘイリー・スティーブンス下院議員を接戦の末に破った。

エルサイード氏は5日に開いた記者会見で、民主主義について「今後は常に『これは国民のものであり、われわれが主導権を握る』と断言できるようになる」と語った。

AP通信によると、開票率99%時点でエルサイード氏の得票率は48.5%、スティーブンス氏は47.5%だった。

エルサイード氏は「メディケア・フォー・オール(国民皆保険制度)」を提唱するなど、民主社会主義を掲げ、イスラエルへの軍事支援停止を公約に選挙戦を展開した。一方、スティーブンス氏は民主党指導部や親イスラエル団体の支援を受けていた。

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写真はイスラム系の急進左派のアブドゥル・エルサイード氏。85日、米ミシガン州デトロイトで撮影。 REUTERS/Rebecca Cook

今回の予備選は、経済ポピュリズムや反エスタブリッシュメント(既得権益層)を訴える急進左派と、党主流派に近い穏健派の対決という構図となり、民主党の今後の方向性を占う試金石として注目された。また、イスラエル支援を巡る対立も主要な争点となった。

ミシガン州は2024年の米大統領選でトランプ大統領が勝利した激戦州の一つ。エルサイード氏は州全体の予備選で勝利した初の急進左派候補となる。

11月の本選では、共和党候補のマイク・ロジャース元下院議員と対決する。

ロイター/イプソスが4日までにまとめた最新の世論調査によると、民主党支持者で「リベラル」と自認した割合は71%、「保守」と回答した割合は16%だった。イスラエルへの軍事・経済支援については、支持が16%にとどまり、57%が反対だった。

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メモ:左派がエルサイードの勝利の勢いを取り込もうとしている(The Memo: Left looks to seize on momentum from El-Sayed’s win

ナイオール・スタンジ筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6012536-abdul-el-sayed-michigan-democratic-primary-progressive-movement/

火曜日、ミシガン州やその他のいくつかの州で行われた予備選挙の結果は、必ずしも圧倒的な勝利とは言えなかったものの、民主党左派は依然として力強い勢いを維持した。

ミシガン州での注目の選挙戦は、進歩主義派(the progressive)の公衆衛生専門家アブドゥル・エルサイードが僅差で勝利した。これによりエルサイードは、マイク・ロジャース元連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)と戦う、連邦上院選挙の民主党公認候補となる。

ヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(民主党)に対するエルサイードの予備選挙勝利は、事前の世論調査の予測よりもはるかに接戦となった。予備選挙直前の複数の調査ではエルサイードが2桁のリードを保っていたが、最終的にはスティーヴンスを約1ポイント差で下す結果となった。

進歩主義派のストラティジストたちは、この結果を期待外れと見なしたり、勝利の差が小さかったことを11月の本選におけるロジャースとの対決に向けた警告信号と捉えたりする見方を否定している。

むしろ彼らは、エルサイードが成し遂げた偉業の大きさを強調している。公職に就いた経験が一度もない彼が、外部からの巨額の資金援助という圧倒的な強みを持つ4期目の現職女性連邦下院議員を打ち負かしたからだ。

スティーヴンスの立候補を支援し、エルサイードを阻止するために費やされた資金は6000万ドルを超えた。その総額の約半分は、AIPACthe American Israel Public Affairs Committee、アメリカ・イスラエル公共問題委員会)関連の資金源から拠出されたものだ。

ガザ地区におけるイスラエルの行動に対し、民主党支持者の多くが強い反発を抱く中、AIPACによる資金提供は党内で大きな論争の的となっている。イスラエルの行動を「ジェノサイド(genocide)」と呼ぶエルサイードは、このAIPAC問題をスティーヴンスへの攻撃材料として利用しようとした。

全体像としては、エルサイードは外部からの資金投​​入において約8対1という圧倒的な劣勢にありながらも、最終的に勝利を収めたということだ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の元外交政策顧問であり、現在は国際政策センター副代表を務めるマット・ダスは本コラムに対し、エルサイードの選挙戦の結果が期待外れだったとする見方は「馬鹿げている」と語った。

ダスは「要するに、アブドゥル・エルサイードは前例のない規模の外部資金攻勢に直面し、彼を徹底的に排除しようとする民主党主流派とも対峙しなければならなかった。しかし彼は、素晴らしいメッセージ、確かな政治的手腕、そして極めて優れた組織力によって、それらを乗り越えた」と述べた。

エルサイードとスティーヴンスの選挙戦は、動揺が続く民主党内に存在するより大きな対立構造を象徴するものだった。

イスラエル・パレスチナ問題を越えて、エルサイードはよりポピュリスト的なメッセージを前面に押し出した。それは「政治から金を排除し、人々のポケットに金を入れ、全員にメディケア(公的医療保険)を(Money out of politics, money in your pocket, Medicare-for-All)」というスローガンに集約される。一方、より慎重で中道的な人物であるスティーヴンスは、対立候補を「セレブリティ(celebrity)」候補だと批判し、本選挙では勝てない人物だと決めつけた。

エルサイードは、サンダース上院議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、そして同じミシガン州選出のラシダ・トレイブ連邦下院議員(民主党)など、進歩主義派運動の主要な有力者のほぼ全員から支持を受けた。

スティーヴンスは、引退を表明していたゲーリー・ピーターズ連邦上院議員(ミシガン州選出、民主党)に加え、グレッチェン・ウィットマー・ミシガン州知事(民主党)やチャールズ・シューマー連邦上院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)からの支持を取り付けていた。

エルサイードの勝利を受け、民主党は迅速に結束を図った。ピーターズとウィットマーはエルサイードを支持し、スティーヴンス自身も支持を表明した。時に激しい対立もあった予備選挙の後だったが、彼女のメッセージは指名候補となったエルサイードに温かく受け止められた。

シューマーと、連邦上院民主党の選挙活動を統括するキルステン・ギルブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、エルサイードを支持する共同声明を発表した。また、シューマーに近い政治活動委員会(PAC)である「連邦上院多数党PACSenate Majority PAC)」は、エルサイードの立候補を後押しする巧みな広告を公開した。

それでも、エルサイードを勝利に導こうと党内の各派閥が結集している状況であっても、民主党内の亀裂がすぐに完全に修復されることはないだろう。

近年、左派の挑戦者たちは、党主流派寄りの現職議員を相手に大きな成果を上げている。彼らは、より野心的な政策課題と、それを実現するために戦う強い情熱を求める党の草の根支持層(the party’s grassroots supporters)の多くのエネルギーをうまく取り込んできた。

火曜日には、もう1人の進歩派であるミシガン州下院議員ドノヴァン・マッキニー(民主党)が勝利を収めた。マッキニーは、ミシガン州連邦下院第13選挙区の民主党予備選挙で現職のシュリ・サネダー連邦下院議員(民主党)を破った。

ミシガン州の別の地域でも左派が勝利を手にした。「サンライズ・ムーブメント(Sunrise Movement)」共同創設者であるウィル・ローレンスが、ミシガン州第7選挙区の連邦下院民主党予備選挙で勝利を確実にした。

ミシガン州でのこれらの勝利は、左派が収めた一連の成果の最新の事例に過ぎない。

6月のニューヨーク州予備選挙では、アドリアーノ・エスパイヤット連邦下院議員(民主党)が、「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」のメンバーであるダリアリザ・アビラ=シュバリエに敗れた。ダン・ゴールドマン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)も、左派のライヴァルであるブラッド・ランダーに敗れた。

その1週間後には、ダイアナ・デゲット連邦下院議員(コロラド州選出、民主党)が予備選挙でDSAメンバーのメラト・キロスに敗れた。デゲットは連邦議会で16期目を目指していたが、彼女の初当選は1997年であり、それはキロスが生まれた年でもあった。

それ以前にも、ニューヨーク市長選挙でゾーラン・マムダニ(民主党)がアンドリュー・クオモ元知事(当時)を破るという歴史的な勝利を収めた出来事があった。

しかし、左派は途中で敗北も喫している。火曜日にはミズーリ州で敗北があった。進歩主義派の有力候補であったコリ・ブッシュが、かつて保持していたセントルイス地域の議席をウェスリー・ベル連邦下院議員(民主党)から奪還しようと挑みたが、大差で敗れた。

民主党の支持層内部におけるこうした意見の相違は、数多くの著名な対立も引き起こしている。

ジョン・フェッターマン連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)やヴェテランのストラティジストであるジェームズ・カーヴィルなど、より中道的な路線を支持する人々は左派を激しく批判している。彼らは、社会が分断されている状況下であっても、選挙の勝敗は中道層を取り込めるかどうかにかかっていると主張している。

これに対し、進歩主義派も同様の応酬を見せている。サンダースは火曜夜、CNNのアビー・フィリップのインタヴューに応じ、もしカーヴィルが民主党内の左派勢力に対してそれほどの疎外感を抱いているのなら、「自分で新しい党を立ち上げる(start his own party)」べきだと示唆した。

中道派が特に懸念しているのは、ミシガン州におけるエルサイードのような人物の動向だ。ミシガン州は激戦州の1つであり、2024年の選挙ではトランプ大統領が当時のカマラ・ハリス副大統領を僅差で破った場所でもある。

エルサイードはDSAのメンバーではなく、自らを社会主義者と称していないが、それでも共和党側は彼を主流派から外れた人物として印象づけようとするだろう。

ロジャースは水曜朝、ソーシャルメディアへの投稿でエルサイードを「過激派(extremist)」と呼んだ。

これに対し、ダスのような進歩主義派は、左派寄りの人物こそが有権者の現在の心情と共鳴するのに適した立場にあると反論した。

ダスは、「政治を『左から右』という軸で捉え、地理的な中央にいるのが最も安全だとするような見方には、私はどうも説得力を感じない」と述べた。

ダスは続けて、「今は、既成勢力による政治のあり方に愛想を尽かすアメリカ人が増えている時期だ」と続け、有権者が求めているのは「何よりもまず、真実を語ってくれる候補者であり、自分たちが苦境にあることを理解し、それを救うためのヴィジョンを提示してくれる候補者だ」と語った。

ミシガン州をはじめとする各地で、左派はこうした見解を実際に試す機会を迎えることになる。

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民主社会主義者たちはウィスコンシン州で次の大勝利を目指してホンに期待を寄せる(Democratic socialists turn to Hong in Wisconsin with hopes for next big win

キャロライン・ヴァキル筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6008300-hong-wisconsin-democratic-socialist-primary-test/

ウィスコンシン州知事選におけるフランチェスカ・ホン州下院議員(民主党)の着実な支持拡大は、今回の選挙戦において、民主社会主義者や極左勢力にとって最大の試練の場となりつつある。

火曜日の予備選挙を控え、ホンは民主党候補者の中で有力な地位を占めているが、一方で、ウィスコンシン州知事トニー・エヴァースを含む党主流派は、ミルウォーキー郡のデイヴィッド・クロウリー郡長を支持する姿勢を固めている。

エヴァースたちは、ホンが11月の本選挙で共和党の指名候補となる見通しのトム・ティファニー連邦下院議員に勝利する可能性は低いと示唆しているほか、彼女の出馬が接戦となっている他の下院選や地方選の民主党候補に悪影響を及ぼしかねないと懸念している。

しかし、ホンは、有権者は党主流派に対して不満を抱いていると主張し、現代初の民主社会主義者としての知事就任を目指す中で、有権者にとって最も重要な課題に取り組むことに注力している。

ホンは『ザ・ヒル』誌のインタヴューに対し、「労働者階級出身の候補者として、『自分たちと同じ人間だ』と有権者に言われるとき、民主党や他の候補者が誤解しているかもしれないのは、人々が求めているのは『自分たちを気にかけてくれる人物』だという点だ」と述べた。

今年、民主社会主義者や進歩主義派は、予備選挙での指名獲得や現職議員を破るなど、目覚ましい躍進を遂げてきた。しかし、こうした勝利の多くは、ニューヨーク州やコロラド州といった民主党の地盤が強固な連邦下院選挙区でのものだった。そうした中、激戦州であるミシガン州では、火曜日に行われた上院予備選挙において、進歩主義派のアブドゥル・エルサイードが、穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)を僅差で破るという結果が出た。

ホンは、8月11日に行われる知事選挙でティファニーに挑むべく、他の3人の民主党候補と競い合う中、この連勝の勢いと反既成勢力のムードを追い風にしたいと考えている。現職のエヴァースが3選不出馬を決定したため、『クック・ポリティカル・レポート』によると、この選挙戦は「接戦(toss-up、トスアップ)」と予測されている。

ウィスコンシン州を拠点とする民主党のストラティジストであるジョー・ゼペッキは「民主党側のエネルギーがどこにあるのか、もはや誰も見て見ぬふりはできないだろう」と語った。

しかし、激戦州であるウィスコンシン州(2024年の選挙ではトランプ大統領と民主党のタミー・ボールドウィン連邦上院議員の双方を選出した)において、ホンは厳しい視線に晒されている。その理由は、「アメリカ民主社会主義者(DSA)」との関わりや、過去にソーシャルメディアで行った発言にある。それらの発言には、警察予算の削減や警察の廃止、感謝祭の中止、さらにはウィスコンシン州発祥の有名チェーン店「カルヴァース」への批判などが含まれていた。

DSAマディソン支部のメンバーであり、他のいくつかの地元支部からも支持を受けているホンだが、現在は過去の発言やDSA全国組織から距離を取ろうと努めている。

「知事に警察予算を削減する権限はなく、私はスローガンだけで政治を行うつもりもない」と、ホンは先月行われた民主党知事候補討論会(唯一の討論会)で述べた。また、感謝祭やカルヴァースに関する投稿については、「冗談で」行った可能性もあると『ザ・ヒル(The Hill)』誌に語っている。

「それらは、私自身が異なる立場にいた時に抱いていた考えであり、今は知事選挙に出馬するという立場にある」と彼女は述べ、さらに次のように続けた。「何を実現できるかについて、分別を持ち、現実的である必要がある」。

しかし、来週の民主党の指名争いでホンが勝利した場合の11月の本選挙での勝算を民主党主流派が懸念する中、共和党側は彼女の過去の発言を格好の攻撃材料にしている。

ティファニーは火曜日、ソーシャルメディアへの投稿でホンを揶揄し、「私の立場をはっきりさせておきたいが、知事に就任しても感謝祭(サンクスギビング)を中止することはない。念のため、改めて言っておく価値があると思う」と書いた。

トランプ大統領の支持を受けるティファニーは、ホンの進歩主義的な政治姿勢を徹底的に攻撃している。彼女は、シェフであり元レストラン経営者でもあるホンを「急進的(radical)」と呼び、11月の選挙ではウィスコンシン州として「大きな政府による社会主義を拒絶(reject big-government socialism)」するよう訴えている。

一方、エヴァースを含む一部の民主党員は、本選挙でティファニーと対決する候補者としてホンが最適であるかどうかに疑問を呈している。

エヴァース知事は月曜日の『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』紙とのインタヴューで、ホンが11月にティファニーに勝利するのは「おそらく無理だろう(probably not)」と述べた。彼は、民主社会主義者であるホンを「極めて才能のある人物」と評しつつも、「結局のところ、重要なのは政策課題だ」と付け加えた。

エヴァース知事の発言について尋ねられたホンは、『ザ・ヒル』誌に対し、「私たちが掲げている政策課題こそが有権者の共感を最も呼んでいるものであり、最も多くの票を獲得する人物こそが、当選の可能性が最も高い候補者だと考えている」と語った。

エヴァース知事は、一度は選挙から距離を取ったものの、サラ・ロドリゲス副知事(民主党)が選挙資金をめぐる疑惑を受けて出馬を断念した後に再出馬したデイヴィッド・クロウリー郡長に対し、最後の最後で支持を表明した。

クロウリーは、同じく民主党のグウェン・ムーア連邦下院議員(ウィスコンシン州選出)からも支持されている。一方、ウィスコンシン州選出の民主党連邦議会議員のうち、残る2人であるボールドウィン連邦上院議員とマーク・ポーカン連邦下院議員は、この選挙戦について態度を明らかにしていない。ホンは、イルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出)やロウ・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出)といった進歩主義派の民主党議員から支持を受けている。

デーン郡民主党のライアン・センデルバッハ委員長は、ウィスコンシン州知事選の予備選挙、とりわけホンの出馬をめぐって、党内に「不安や緊張感」が広がっていることを認めている。

民主党員の間では、ホンが指名を獲得した場合、連邦下院選や州議会選における党の勝算に悪影響が及ぶのではないかという懸念が生じている。

支持率が1桁にとどまっているもう一人の知事選候補、ケルダ・ロイズ州上院議員(民主党)は、『ザ・ヒル』誌に対し、「選挙名簿のトップ(知事候補)は、当然ながら下位の候補者にも影響を及ぼす」と語った。

ロイズは、共和党が予備選挙でホンを支援するために資金を投じている理由について、「有権者は自問すべきだ」と指摘した。

ロイズはさらに、「彼らは明らかに、トム・ティファニーが知事になるだけでなく、ウィスコンシン州で共和党が知事職と州議会上下両院を独占する(trifecta、トライフェクタ)道筋があると確信しているのだろう。そのことは、私たち全員にとって脅威となるはずだ」と付け加えた。

民主党は、ウィスコンシン州連邦下院第3選挙区での議席奪還を重要な好機と捉えている。この選挙区では、2024年に共和党のデリック・ヴァン・オーデン連邦下院議員が民主党のレベッカ・クックを僅差で退けた。選挙分析サイト「Decision Desk HQ」は、クックとヴァン・オーデンが再対決するこの11月の選挙戦において、民主党が優位に立つと予測している。

また、マディソン(ウィスコンシン州)では、民主党が州議会(下院および上院)の主導権奪還を目指している。ウィスコンシン州議会は2011年以来、共和党が支配し続けてきた。

一方で、ウィスコンシン州の他の民主党関係者からは、ホンの勝算や、もし彼女が火曜日の予備選挙を勝ち抜いた場合に11月の本選挙へ及ぼす影響について、期待を寄せる声も上がっている。

センデルバッハは、「人々の関心事や政治に求めるものは非常に多様だ。従って、一般的に『苦戦するだろう』と見られている地域で、フランチェスカ・ホンが実際に苦戦するとは限らないと私は見ている」と述べ、さらに次のように続けた。「有権者は単に『左右のスペクトラム(spectrum、政治的立ち位置)』上に存在し、その適当な物差しの上で自分に最も近い候補者を選ぶ、といった単純な存在ではない」。

ゼペッキの見解では、現在の国政レヴェルの政治情勢から考えて、ホンは極めて有利な立ち位置にいるということだ。

「既成政治への反発が強く、政治家に苛立ち、何か新しいものを求めている人々にとって、彼女はまさにその通りの候補者というポジションにいる」と彼は語った。

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ミシガン州連邦下院選挙の候補者が選挙区の「団結」を図るためDSAを離脱したと表明(Michigan House candidate says he left DSA to ‘unite’ district

フィンヤ・スワイ筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6012655-lawrence-lapses-dsa-membership/

進歩主義派の候補者であるウィル・ローレンス(民主党)は水曜日、ここ1カ月の間に「アメリカ民主社会主義者(DSA)」の会員資格を失効させたことを明らかにした。ローレンスはその理由について、激戦区であるミシガン州第7選挙区において、浮動票層を結束させることに注力したかったためだと説明している。

ローレンスは水曜日のCNNとのインタヴューで、「DSAや彼らが全米で展開している活動には大いに敬意を抱いているが、私たちがここで掲げている政策綱領は、第7選挙区の各地で有権者と対話を重ねる中で作り上げられたものであるという点を、明確にしておく必要があると感じた」と語った。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の支持を受ける「サンライズ・ムーブメント」の共同創設者であるローレンスは、ランシングを拠点とする選挙区で行われた火曜日の民主党予備選挙(3候補による争い)で勝利し、11月の本選挙ではトム・バレット連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)と対決することになる。

ローレンスは、自身の選挙運動が選挙区と住民から寄せられた懸念事項を主軸に据えていることを有権者に理解してもらうため、アメリカ民主社会主義者(DSA)の会員資格を更新しなかったと述べた。

「私はこの選挙区の住民を代表し、人々の心を一つにするような課題に取り組むためにここにいるのだということをはっきりとさせておきたい」とローレンスは語った。

ローレンスは、生活費、医療費、ガソリン代、食料品価格といった主要な進歩主義派の争点を挙げ、これらが選挙区全体で人々の共感を呼んでいると指摘した。そして、自身の目標は有権者を「団結させる(unite)」ことだと述べた。

ローレンスはCNNに対し、DSAの会員資格を更新しなかったのは本選挙に進出したことによる判断ではないと語った。また、DSAとの間に根本的な意見の相違があるかどうかについては明言を避け、個別の政策課題についてはその都度対応していく意向を示した。

その代わりに、彼は自らを「オーガナイザーと連携を築く者(organizer and coalition builder)」と位置づけ、地域社会の懸念に基づいた政策課題を掲げていると説明した。

ローレンスは火曜日に行われた民主党予備選挙で、元駐ウクライナ米大使のブリジット・ブリンクと、元海軍特殊部隊(SEALs)隊員のマット・マースダムを破った。ブリンクはミシガン州のジェニファー・グランホルム元知事(民主党)とジム・ブランチャード元知事(民主党)の支持を受けていた一方、マースダムはエリッサ・スロットキン連邦上院議員(ミシガン州選出、民主党)の支持を受けていた。

(貼り付け終わり)

(終わり)



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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカで民主社会主義への支持が若い人たちを中心に拡大していることはこのブログでもご紹介している。都市部を中心に、地方選挙や国政選挙で民主社会主義を標榜する候補者たちが躍進、もしくは当選している。連邦議員でも下院ではあるが、民主社会主義者の議員が増えることが確実だ。その多くはニューヨーク市長ゾーラン・マムダニの支援を受けている。マムダニのアメリカ政界における存在感と影響力が増している。アメリカの左派、進歩主義派の躍進の中で、ライジングスターということになる。

 マムダニはニューヨーク市長洞泉寺に目玉政策として、手ごろな住宅と無料の公共交通を挙げている。アメリカの都市部の居住費はインフレも相まって高騰しており、何度も書いているが、きちんとした仕事のあるホームレスになり人々が多く出ている。それでは都市部から離れて暮らせばよいとなるが、日本のように通勤で1時間半とか2時間となると、ワークライフバランスが崩れてしまう。

 マムダニ市長はニューヨーク市に10年間で20万戸の住宅建設を進めようとしている。生活が苦しい、大学を卒業しても生活ができるだけの給料がもらえる仕事に就けない若者たちがアメリカの体制自体に不満と疑問を持っている。彼らが求めているのは他の先進諸国並みのことだ。国民皆保険もその1つだ。公共住宅や国民皆保険などはこれまで、アメリカでは「社会主義的」として忌避されてきた。「社会主義」という言葉自体が忌避されてきた。「日本やヨーロッパはアメリカ的ではないから、社会主義的だから、ダメなんだ」と言って、アメリカが素晴らしい論をこれまでアメリカ人たちは述べてきた。しかし、実際の生活がどんどん苦しくなり、「アメリカ帝国の臣民」としての「分け前(dividend)」としての豊かな生活ができなくなり、「アメリカンドリーム」も幻想ということになれば、資本主義に対しての不満と疑念が大きくなる。それをすくいあげているのが民主社会主義である。

 これは大きく言えば、アメリカの国力低下がもたらしている現象である。国力が低下し、分け前を寄こせ運動が起きている。これからアメリカも大きく変化していくことだろう。世界の大きな構造変化が起きる時代が始まっている。

(貼り付けはじめ)

アメリカのZ世代の7割が社会主義を支持斎藤幸平「日本も他人事ではない"赤いニューヨーク"の選択」

PRESIDENT Online 2026/06/22 6:00

斎藤 幸平

東京大学大学院総合文化研究科准教授

https://president.jp/articles/-/114868

https://president.jp/articles/-/114868?page=2

https://president.jp/articles/-/114868?page=3

https://president.jp/articles/-/114868?page=4

https://president.jp/articles/-/114868?page=5

生活基盤をおびやかす物価高が止まらない。『人新世の「黙示録」』(集英社シリーズ・コモン)を出した経済思想家の斎藤幸平さんは「社会に問うべきなのは、なぜ普通に働いている人が普通に暮らせないのか、だ」という――。

資本主義より社会主義を好むZ世代

「ある『亡霊』が、アメリカを徘徊している。それは、Z世代の社会主義という亡霊だ」

今のアメリカの若者を見ていると、マルクスにならって、こんなふうに言いたくなる。彼らのあいだで社会主義の人気が急上昇しているのだ。最近の世論調査では、アメリカの大学生のうち67%が社会主義を好意的に見ているという結果が出ている(*1)。

英『The Economist(エコノミスト)』誌も、「Z世代の社会主義にどう立ち向かうか」という特集を組んだばかりだ(66日号)。この記事で『エコノミスト』誌は、パニックに陥ったかのように、アメリカにおける社会主義の台頭を恐れ、社会主義が成長やイノベーションの停滞をもたらすというカビの生えたような社会主義批判を繰り返している。

正直、その様は滑稽ですらある。アメリカの若者にとっては「社会主義」という言葉が、ソ連崩壊とともに終わった古臭い言葉ではなくなっているのは、先の世論調査のとおりだ。

Z世代の若者たちは資本主義が引き起こした生活の不安に日々、苛まれている。「家賃が払えない」「医療費が高すぎる」「子育てができない」「食料品が買えない」「通勤だけで生活が削られる」。豊かさをもたらすと教えられてきた資本主義に苦しめられ続けた結果、彼らにとって、社会主義こそが、資本主義とは別の社会を構想するための、もっとも実感に近い言葉になりつつあるのだ。

1 「米ニュースサイトAxios」 Poll College students prefer socialism to capitalism 

●民主的社会主義者のニューヨーク市長誕生

その変化を象徴しているのが、202511月のニューヨーク市長選で勝利したゾーラン・マムダニである。

34歳の民主的社会主義者であるマムダニは、元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモや共和党候補を破り、ニューヨーク初のムスリム、南アジア系市長となった。投票者数は200万人を超え、市長選としては1969年以来の高投票率だった。

これは歴史的勝利であり、「左派ポピュリズム」の単なる一例として片づけることはできない。振り返れば、2011年のウォール街占拠運動から始まって、バーニー・サンダース旋風、ブラック・ライブズ・マター運動、気候正義運動、そしてガザをめぐる抗議運動を経て、若い世代は、自己責任や格差を当然視する政治言語に深い不信を抱くようになった。実際、若者の投票率は過去のニューヨーク市長選と比べて大きく上昇し、とりわけ若い女性や有色人種の若者がマムダニを強く支持したのである。

若い世代にとって「社会主義」とは、国家がすべてを命令する全体主義を意味しない。それは、生活に不可欠なものを市場の気まぐれと富裕層の投資判断に委ねさせず、もちろん一部の企業に独占などさせない、という、素朴で切実な日々の要求である。

家に住めること。子どもを安心して預けられること。健康な食べ物を買えること。自由に移動できること。これらを商品としてではなく、誰もがアクセスできる〈コモン(共有財)〉として再建すること。それがマムダニの言う「社会主義」の核心である。

●市政で注目を集める「家賃凍結」の攻防

マムダニが掲げた政策は、きわめて具体的だ。市営食料品店の設置、保育の無償化、公営バスの高速化と無償化などだ。どれも、抽象的なイデオロギーではなく、インフレでニューヨーカーの暮らしを圧迫している生活コストを下げるための政策である。

202611日に市長に就任したのち、マムダニの政策はすぐに実行段階に入った。本稿執筆時点の6月上旬に、もっとも注目されているのは家賃凍結をめぐる攻防だ。

ニューヨーク市には中低所得者層の賃貸住宅を確保するために「家賃安定化(Rent Stabilization)」制度という法的規制があり、対象となる物件は市のガイドライン委員会の決定にそって賃上げ率が制限されている。この運用を強化しようとしているのだ。

まず5月に市の家賃ガイドライン委員会は、1年契約では02%、2年契約では04%という、極めて低い家賃上昇率の暫定値を採択した。つまり、6月下旬の最終決定で、家賃の完全凍結もありうる数字が示されたのだ(ただし、不動産業界や家主団体は、修繕費や保険料の高騰を理由に強く反発しており、予断は許さない)。

●住宅、保育、食料、交通を〈コモン〉へ

手ごろな公営住宅の供給を増やす「攻め」の政策もマムダニは進めている。5月に発表された「ブロック・バイ・ブロック」計画は、10年で20万戸のこうした住宅(アフォーダブル住宅)を新規に建設するというものだ。さらに既存住宅を修繕して20万戸を確保する。市の資本投資を拡大し、住宅供給を市場任せにしない姿勢が明確に打ち出された。

また、公営住宅の建設にかかわる労働者には時給40ドル以上を支払うという。金融で儲ける人たちではなく、「労働者の街ニューヨーク」を取り戻すべく政策がデザインされているのだ。

保育については、2歳児向けの無料プログラムが4つの地域で募集開始となり、年間で最低でも250万円かかっていた子育て世帯の費用を軽減できることになった。市営食料品店についても、イースト・ハーレムに最初の候補地が発表され、任期中に五つの行政区すべてで開設する計画が示されている。

バスの無料化・高速化に関しては、管轄するニューヨーク州交通局(MTA)との調整が始まった。早期実現は、ニューヨークの中心部に住めない中低所得の労働者にとっては悲願でもある。

もちろん、これらの政策は簡単には実現しない。財源の問題は大きい。また、州政府やMTAとの権限配分の問題がある。不動産資本、金融資本、保守メディアからの攻撃もある。さらに、市営食料品店が既存の小規模商店とどう共存するのか、家賃凍結が老朽化した住宅の修繕を妨げないか、といった現実的な課題もある。

●ニューヨークの源流となる「赤いウィーン」

だが、ここで強調しておきたいのは、マムダニが政治の問いを根本から変えていることだ。

これまでの都市政治では、「市場が決めた家賃を払えない人に、どれだけ補助金を出すか」が問題にされてきた。だが、マムダニはそうではなく、「そもそも住宅や食料や交通を、なぜ投機と利潤の対象にしてよいのか」と問うている。ここにこそ、民主的社会主義の新しさがある。

この点で、マムダニ市政は1世紀前の「赤いウィーン」を想起させる。第一次世界大戦後、オーストリアの首都ウィーンは、食料不足、住宅不足、インフレ、疫病、帰還兵の失業に苦しんでいた。極度の欠乏のなかで、人々は容易に排外主義とファシズムへと引き寄せられうる状況にあった。

そこでウィーンのマルクス主義者たちが率いる社会民主党政権が選んだのは、市場にすべてを委ねる道ではなかった。水道・ガス・電力などのインフラを公的に整備し、奢侈しゃし税や累進的な税制によって財源を確保し、労働者向けの公営住宅を大量に建設した。その際、住宅は単なる寝る場所ではなく、診療所、保育所、浴場、ランドリー、図書館、集会場、公園などを備えた生活の基盤として構想された。

つまり、「赤いウィーン」が試みたのは、欠乏のなかで人々を互いに競争させるのではなく、必要なものを共有し、生活を共同化し、連帯をつくり出す都市計画だった。これは、ソ連型の上からの中央集権的計画とは異なる。むしろ、都市に暮らす人々のニーズを満たしながら、暮らしの安心を〈コモン〉として制度化する民主的計画だった。

●競争社会から互いに支え合う社会への移行

マムダニの「赤いニューヨーク」もまた、極端な欠乏に直面している。もちろん、それは物資が絶対的に不足しているという意味ではない。

ニューヨークには富が溢れている。高級マンション、金融、IT、不動産、観光、広告、大学、病院――世界中の資本と才能を吸い寄せる都市である。だが、まさにその豊かさが、普通に働く人々から住む場所を奪い、食費を押し上げ、子育てを不可能にしている。これは自然な希少性ではなく、資本主義がつくり出す「人工的希少性」である。

だからこそ、マムダニが就任演説で「荒々しい個人主義の冷たさを、集団主義の温かさで置き換える」と語ったことは象徴的だった。

この言葉は、右派から激しい攻撃を受けた。彼らはすぐに「集団主義」を全体主義や共産主義の恐怖に結びつけようとする。だが、マムダニが言おうとしているのは、国家が個人を押しつぶすということではない。むしろ、孤立した個人が市場で必死に競争しなければ生きられない社会から、人々が互いに支え合う社会へと移行するということだ。

●「生活費を下げる政治」は反ファシズム

この転換は、単なる福祉政策ではない。それは、反ファシズムの政治でもある。

『人新世の「黙示録」』(集英社シリーズ・コモン)でも論じたように、インフレや戦争がもたらす恒久的な欠乏のなかでは、人々は不安に駆られ、他者を敵とみなしやすくなる。移民が仕事を奪っている。生活保護受給者が税金を食いつぶしている。環境規制が経済を壊している。こうした物語は、実際には資本とレントの独占が生み出した不安を、弱い立場の人々へと向け変える。これが現代のファシズムによる煽動せんどうの基本的な手口である。

それに対して、家賃を下げ、保育を無償化し、交通を安くし、食料へのアクセスを保障することは、人々の不安を直接減らす。誰かを排除することで自分だけが助かろうとするのではなく、みんなで生き延びる条件をつくる。これは、ファシズムが利用する恐怖の循環を、逆回転させる政治である。

ここで重要なのは、マムダニの勝利が、ひとりのカリスマの登場によるものではないということだ。選挙戦では10万人規模のボランティアが戸別訪問を行い、街角で対話し、集会を開き、動画を拡散した。つまり、マムダニ市政の力は、市長個人のものではなく、「社会主義」という言葉を日常の言葉へと引き戻した草の根の運動によるものなのだ。

●マムダニ市政が日本に示す明らかなこと

この点は、日本から見ても重要である。日本でも、インフレによって、住宅費、食費、教育費、介護費、光熱費は家計を圧迫し続けている。

それにもかかわらず、政治はやるのは「減税」を掲げるくらいだ。多少手取りは増やすから、あとは「自己責任」でやってくれと言わんばかりである。

だが、本当に問うべきなのは、なぜ普通に働いている人が普通に暮らせないのか、である。なぜ生活の基盤がこれほどまでに商品化され、民営化され、投機の対象にされているのか、ということなのである。

マムダニの政策は、まだ途上にある。家賃凍結がどこまで実現するかも、無料バスがどの範囲で制度化されるかも、公営食料品店がどれほど効果を持つかも、現時点では確定していない。むしろ、これからが本当の攻防である。

だが、すでに一つのことは明らかだ。ニューヨークの政治は、「市場の暴力に耐える」政治から、「生活の基盤を共同でつくる」政治へと舵を切り始めているのである。

●なぜ「赤いウィーン」の記憶は消えないか

ただし、20世紀の赤いウィーンは、最終的にはファシズムの暴力に敗れた。国政で保守と極右が力を増し、社会民主主義の都市実験は1934年に武力で押しつぶされたのだ。

その歴史を思えば、都市レベルの社会主義がどれほど脆弱ぜいじゃくであるかを忘れてはならない。都市だけでは、連邦政府、金融市場、資本逃避、司法、警察、軍、メディアの力に対抗しきれない。

それでも、「赤いウィーン」の記憶が消えないのは、欠乏のなかでも別の豊かさをつくれることを示したからである。市場がもたらす消費の豊かさではない。誰もが住める家、子どもを預けられる場所、病気になったときに頼れる制度、孤立しないための公共空間。そうした〈コモン〉の潤沢さこそが、人々をファシズムの誘惑から遠ざける。

●「赤いニューヨーク」はどこまで広がるか

繰り返そう。マムダニの「赤いニューヨーク」がどこまで進むかは、まだわからない。それは今後の闘争にかかっている。だが、彼の登場が示したのは、資本主義の中心地でも、社会主義はもはや過去の言葉ではないということだ。むしろそれは、気候危機、インフレ、孤立、戦争、排外主義が重なり合う時代に、普通の暮らしを守るための新しい言葉になっている。

●ファシズムか、社会主義か。

この選択は、20世紀の古いスローガンではない。恒久的な欠乏と不安の時代に、誰かを切り捨てて自分だけが生き延びるのか、それとも生活の基盤を共同でつくり直すのか。トランプ大統領に対抗するマムダニ市政の実験は、その問いを私たちの前に突きつけている。日本で暮らす私たちも、海の向こうの出来事として眺めているだけではいられないはずだ。

=====

ヨーロッパ規模の課税、ニューヨーク規模の機能不全(European-Scale Taxation, New York-Scale Dysfunction

-マムダニは政府を機能させる代わりに、彼なりの増税と支出で生活費の値ごろ感(affordability)を実現しようとしている。

ファリード・ザカリア筆

2026年2月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/20/zohran-mamdani-new-york-city-affordability-taxes-housing/

ゾーラン・マムダニは、ニューヨーク市の生活費の値ごろ感(affordability)を実現するという公約を掲げて選挙に臨んだ。しかし今週、彼が発表した予算案は、一言で言えば、到底支払える額ではない(unaffordable)。

ニューヨーク市は長年にわたり財政の浪費を続けてきたため、1270億ドル(約20兆円、訳者註:東京都の予算は約9兆6500億円)という予算案の数字自体にあまり驚かない。しかし、比較のために言えば、これはギリシャやタイといった中規模国家(国家運営に必要なあらゆる支出を含む)の予算額と同等だ。一つの都市の統治に費やす年間支出額が国家予算に匹敵するということだ。

ニューヨーク市の予算は近年、急激に膨れ上がっている。マイク・ブルームバーグ前市長が最後に採択した2014年度予算は約700億ドルだった。わずか10年余りで、予算はほぼ倍増し、インフレ率や市の経済成長率を上回るペースで増加している。

そして、こうした状況の多くは、大規模な行政運営の財源確保に不可欠な要素、すなわち「人」が、ニューヨーク市から失われつつある中で起こっている。パンデミックの影響でニューヨーク市の人口は急激に減少し、2020年4月から2022年7月にかけて5.3%減少した。最近の報告では回復傾向が示されているが、2024年時点でも2020年の水準を下回っている。計算は残酷だ。より大きな負担を、より少ない負担者で分担していることを示している。

一人当たりの不均衡は顕著だ。リンカーン研究所の財政標準化データによると、2023年のニューヨーク市の一般支出は、ロサンゼルス市の一人当たり支出を30%以上上回り、ヒューストン市の2倍以上となっている。

それでは、ニューヨーカー(ニューヨーク市民)は一体何を得ているのか? 全米最大の学区であるニューヨーク市の学校について見てみよう。市の教育予算は増加の一途をたどる一方で、生徒数は減少している。2019年の約340億ドルから400億ドル以上に膨れ上がり、生徒一人当たりの支出は2026年度には約3万5000ドルに達すると予測されている。これは全米でも最高水準に達する。しかし、卒業率、テストの点数、読解力といった成果は、よく言っても平凡で、ニューヨーク市の教育費のほんの一部しか支出していない地域と大差がない。

そして、税金の話が出てくる。それは、ニューヨークのあらゆる政治的議論は、最終的に同じ結論にたどり着くからだ。「誰が税金を払うか?」である。

ニューヨーク市はすでに、アメリカの税制の中でも極めて高い水準にある。高所得者の場合、州と市の所得税を合わせた税率は14.776%にも達する。連邦税を加えると、限界合計税率は50%を超え、特定の投資所得では約55%にもなる。ニューヨーク市民は、ヨーロッパ諸国と同等の税率を支払っている。ヨーロッパの人々は、その見返りとして、国民皆保険制度、大学無償教育、そして素晴らしいインフラ整備といった恩恵を受けている。一方で、ニューヨーク市民は、約300マイルにも及ぶ歩道上の仮設構造物や工事用フェンスの恩恵を受けている。

法人税に関しても、ニューヨーク市は桁外れに高い。市民予算委員会の報告によると、ニューヨーク市の企業活動は、州、市、地域税を合計すると、全米で最も高い法人税率(17.44%)に直面している。マムダニ市長は、所得税と法人税率をさらに引き上げるか、さもなければ固定資産税を10%近く引き上げると述べている。2022年時点で、固定資産税は既にニューヨーク市の住宅所有コストの27%以上を占めており、これは全米平均を上回っている。

ニューヨーク市は、民主党が直視したがらない問題の典型例と言えるだろう。民主党が支配する都市は制御不能に陥り、約束ばかりで支出は増え、成果は乏しく、財政問題を先送りにしている。

ロサンゼルス市も例外ではない。こちらも一党支配の都市で、住宅価格の高騰と社会の混乱に苦しんでいる。2025~2026年度のホームレス対策予算は約9億5000万ドル(約1500億円)だ。ロサンゼルスホームレスサービス局の報告によると、2023年には郡全体でホームレスが9%、市内で10%増加した。また、2024年のAP通信の記事では、数十億ドルもの資金が投入されたにもかかわらず、市民の不満が高まる中、2015年以降、郡全体でホームレスが70%(市内では80%)も急増したと報じられている。市のホームレス対策予算24億ドルを監査した結果、当局は資金の使途や成果を正確に把握できていないことが判明した。シカゴ市を例にとってみよう。市長の支持率は極めて低く、年金支出の約束額は膨大で、いずれ市は財政破綻に陥るだろう。

ここでいう「良い統治(good government)」とは一体何だろうか? もし答えが「次々とプログラムを追加する(keep adding programs)」というものなら、シカゴ市は生活費の高騰を招き続けるだろう。なぜなら、生活費の高騰とは、政府が統治する対象の社会よりも速いスピードで肥大化する機械と化したときに起こる現象だからだ。

マムダニの基本的な直感は正しい。住宅、特に住宅価格の値ごろ感に注力すべきだ。しかし、政府補助金によるものではない。補助金は当然のことながら、家賃の高騰を招くだけだからだ。(市の家賃補助支出は、2020年度の2億6300万ドルから、直近の会計年度では13億4000万ドルにまで増加した。わずか数年で5倍に膨れ上がったにもかかわらず、住宅価格は悪化の一途を辿っている。)マット・イグレシアスは、市が市場価格の住宅を豊富に供給することを容易に、そして日常的に行うべきだと説得力をもって主張している。そうすれば、人口流入が増え、税収基盤が拡大し、学校が満員になり、地域GDPが増加する。そして、財政も健全になるだろう。

市役所の民主党員は正しい選択ができるはずだ。新たな社会保障制度の導入を目標とするような政治ではなく、より安全な街路、機能する学校、安定した衛生環境、そして何よりも、中流階級が住む場所を見つけられるだけの住宅供給といった、本来の機能を果たす行政に注力すべきだ。

ニューヨーク市にはこれ以上の空虚な美辞麗句など必要ない。もっと多くの住宅こそが必要だ。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)



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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカで都市部、そして若者を中心にして民主社会主義(Democratic Socialism)が勢力を伸ばしている。この動きは2016年頃から始まった。2016年の大統領選挙は、共和党側で泡沫候補扱いだったドナルド・トランプが一気に大統領候補者に選ばれた。一方、民主党側ではヒラリー・クリントン元国務長官が大統領選挙候補者の大本命、一気に女性初の米大統領へという期待が高まっていた。その中で、若者たちを中心に、出馬表明を行ったバーニー・サンダース連邦上院議員を支持する動きが高まった。アメリカで「社会主義」という言葉はネガティヴな響きを持つ。ヨーロッパや日本の混合的な経済政策や健康保険政策などを「社会主義的」として忌避するほどだ。

サンダースは民主社会主義者を自認し、ヨーロッパや日本のような再分配や富裕層への課税強化などを長年にわたり主張してきた。その一貫した姿勢が、リベラルな振りをしながら実際には新自由主義的だったビル・クリントン政権やバラク・オバマ政権、民主党主流派・エスタブリッシュメントに不満を募らせていた若者たちを惹きつけることになった。そして、ニューヨークの財界と深い関係にあるヒラリーへの攻撃となった。民主党側では大統領選挙予備選挙でヒラリーが圧勝すると見られていたが、サンダースが健闘し、ヒラリーを追い詰めることになった。ヒラリーが最終的に勝利し、党大会で指名を受けるということになっても、若者たちはブーイングをし、デモを行い、サンダースが協力を求めてもそれを聞かず、民主党は分裂状態となり、結果として、ヒラリーは本選挙でトランプに敗れた。民主党を支持してきたラストベルトの白人労働者たちがトランプ支持、共和党支持となったのが象徴的だった。

 2018年の中間選挙では、ニューヨークの連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で全く無名の若い女性で民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)が10期連続当選、下院議長も狙える位置にいた現職議員ジョセフ(ジョー)・クローリーを破って本選挙でも勝利し、史上最年少の女性下院議員となったのが象徴的だった。AOCはサンダースの大統領選挙から政治に参加するようになった。民主社会主義拡大の動きはこれ以降も進んだ。サンダースやAOC以外にも主流派・エスタブリッシュメントを批判する「進歩主義的」な議員たちは増加していった。
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(左から)サンダース、マムダニ、AOC

 2025年のニューヨーク市長選挙でゾーラン・マムダニが民主党予備選挙、本選挙で勝利したことは民主社会主義拡大の勢いを物語るものとなった。そして、今年の中間選挙は地方選挙でも民主社会主義を標榜する候補者たちの勝利が続いている。以下に長くなるが、関連記事をいくつか紹介する。コロラド州デンヴァーの選挙区ではメラット・キロス、ニューヨークの選挙区では、マムダニ市長が支援した、ダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエ、クレア・ヴァルデス、ブラッド・ラウダーが予備選挙で勝利した。
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(左から)ヴァルデス、ラウダー、マムダニ、アヴィラ・シュヴァリエ

 民主社会主義は民主政治体制の中で社会主義を実現することを目指し、暴力革命は否定している。富の再分配や平等の実現を目指している。資本主義から社会主義への変化・移行を漸進的、非暴力的に行うということを目指している。以下の記事の中から、民主社会主義活動団体「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」について、重要な部分を抜粋する。

(引用貼り付けはじめ)

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

(中略)

DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。

シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。

(引用貼り付け終わり)

 抜粋する部分を読むと、民主社会主義が目指している政策について概略が分かる。最低賃金の引き上げや家賃凍結などは日本でも実施を検討して欲しい政策である。私が気になったのは、DSAの綱領の刷新案の中で、「連邦上院の廃止」と「大統領や最高裁判所を連邦議会に従属する形にする」という点だ。これは、アメリカを一院制(unicameralism)にし、三権分立(separation of powers)から、立法権(Legislative power)が行政権(Executive power)と司法権(Judicial power)に優越するという形を目指すということだ。

 これは、ジャン・ジャック・ルソー流の独裁(dictatorship)を生み出す危険性がある。ルソーは直接民主政治(direct democracy)を理想としていた。これは「人民主権(popular sovereignty)」ということである。そして、選挙の結果として表現されたものが「一般意志(general willVolonté générale)となり、その無誤謬性、絶対性によって決定がなされ、それに反対する少数派には結果が強制されるということになった。これは社会主義体制にも援用されている。これは非常に危険である。実際にフランス革命がのちに独裁と暴力を生み出してしまったのはこれらの考えによる。理想社会を実現するために、暴力と強制が正当化されるということにもなりかねない。民主社会主義の漸進的な変革は良いとしても、このような人民独裁を生み出しかねない考えというのは警戒を要すると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

極左勢力がデンヴァーでも勝利を継続:コロラド州予備選挙の主なポイント(Far left extends victory streak into Denver: Key takeaways from Colorado’s primaries

ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル筆

2026年6月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5948845-takeaways-colorado-primaries/

火曜日、コロラド州デンヴァーを選挙区とする連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で、民主社会主義者のメラット・キロスが、進歩派の現職ダイアナ・デゲット議員を破るというもう1つの大きな番狂わせ(major upset)が起きた。この結果は共和党を喜ばせる一方、11月の本選挙を控えた民主党連邦下院指導部には懸念を抱かせるものとなるだろう。

元弁護士であるキロスは、「イスラエル国家の廃止を求めることは反ユダヤ主義にあたる」とする考えを批判する書簡を執筆したことを理由に解雇された経歴を持つ。今回、下院議員を15期務める現職で、連邦議会進歩派議員連盟(the Congressional Progressive CaucusCPC)のメンバーでもあるデゲットを打ち負かした。この勝利は、ニューヨーク市の激戦区における連邦下院予備選で民主社会主義者が勝利を収めてからわずか1週間後のことだった。

先週、ニューヨークでの予備選(現職議員2人が落選する結果となった)を受けて、民主党内は党内の緊張関係を軽視する姿勢を見せていた。しかし、デンヴァーでのキュロスの勝利により、党は最近の極左勢力の躍進や党内で生じている亀裂を、もはや単なる些細なこととして片付けるのが難しくなるだろう。

キロスの勝利は、中間選挙を控え、民主党の極左メンバーと苦戦を強いられている他の民主党候補者とを結びつけようとしている共和党にとっても、政治的な贈り物(a political gift)となる。

反エスタブリッシュメントの機運は、コロラド州知事選の民主党予備選挙でも鮮明になった。この選挙では、州司法長官のフィル・ワイザーが当初は本命視されていたマイケル・ベネット連邦上院議員を破った。一方、ジョン・ヒッケンルーパー連邦上院議員は予備選で進歩派のジュリー・ゴンザレス州上院議員を退け番狂わせを回避した。

コロラド州の予備選挙における主なポイントは以下の通りだ。

(1)DSAがまたも勝利を収める(DSA nabs latest win

先週ニューヨークでの予備選挙で相次いで勝利を収めた後、アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of AmericaDSA)はデンヴァーでも新たな試練を乗り越え勝利した。そこでは、29歳の民主社会主義者であるキロスが68歳の現職デゲットを破った。

連邦議会の「進歩派連邦議員連盟」のメンバーであり、地元選出の連邦議員として最長の在任期間を誇るデゲットは、30年にわたりコロラド州第1選挙区の議席を維持してきた。しかし、連邦下院での長い在任期間ゆえに、彼女は今回、連邦下院における新たな視点を求める声が高まる中で、キロスに対してのある種の脆弱性を露呈することになった。対立候補のキロスは、デゲットがワシントンでの活動を開始した当時にはまだ生まれてさえいなかった人物だ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)やアメリカ民主社会主義者(DSA)の支援を受けたキロスは、近年、大卒の若年層有権者が流入している選挙区で序盤からリードを奪った。Decision Desk HQのデータによると、東部夏時間の午後10時30分に勝敗が確定した時点で、開票率78%、キロスはデゲットを約4ポイントリードしていた。

キロスの勝利は、いわゆる「マムダニ効果(Mamdani effect)」の証拠となる。DSAは先週、支持基盤が集中し、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニがその主張を最も力強く代弁しているニューヨーク州の予備選挙で、注目を集める勝利を収めたばかりだった。なお、DSAは政党ではなく、所属候補者は民主党から出馬するものの、党の主流派や組織運営の方針とは意見が全く異なる。

DSAは今後数週間、ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州などでも予備選挙という試練に直面することになる。専門家たちは、ニューヨークのような「青い(民主党支持の強い)地域」での勝利を過大評価することには慎重な姿勢を示しているが、コロラド州での予備選挙勝利は、左派的な政策アプローチに対する有権者の意欲が高まっていることを示す新たな兆候と言える。

共和党はこの予備選挙の結果に即座に反応し、極左勢力が民主党というブランドを乗っ取ろうとしていることの新たな証拠だと主張した。

「民主党における社会主義勢力の台頭は、もはや『ディープ・ブルー』(民主党の圧倒的強固な地盤)に限った話ではない。急進派が激戦区を次々と掌握し、民主党にとって必勝を期すべき議席を手の届かないものにしているほか、連邦下院の主導権を奪還する可能性をも潰してしまっている」と共和党連邦下院選挙対策委員会の広報担当マイク・マリネラは声明で述べた。

(2)反エスタブリッシュメントの民主党候補たちが重要な勝利を収める(Antiestablishment Democrats notch key wins

火曜日、反エスタブリッシュメントの民主党候補たちがいくつかの重要な勝利を収めた。

デンヴァーを擁する連邦下院第1選挙区で、民主社会主義者を自認するキロスが議会進歩派議員連盟(CPC)の現職デゲットを破ったことは、党内の反エスタブリッシュメント・新興勢力にとって最大の勝利となった。

この勝利は、キロスのイスラエルに関する一部の主張が党内で物議を醸していたにもかかわらず実現したものだ。彼女は以前、イスラエルの消滅を求めたりイスラエル政府を批判したりすることを「反ユダヤ主義的(antisemitic)」と見なす考え方を批判する書簡をアメリカの法律事務所宛てに送付していた。

また、コロラド州知事選の民主党予備選挙では、ワイザーがベネットを破った。これは、選挙戦当初、ベネットが圧倒的優位と見られていた政治情勢からすれば、予想外の結果だった。

ワイザーは厳密には民主党主流派の一員であり(コロラド州選出の有力民主党公職者の1人であり、民主社会主義者とは程遠い人物だ)、州司法長官という立場にあるが、ワシントンDCの現職政治家に対する予備選挙参加の有権者の不満を巧みに取り込んだ。

ワイザーは、自身がトランプ政権を66回も提訴した実績を強調する一方で、ベネットが大統領の閣僚指名の一部を承認したことを激しく批判した。さらに、ワイザーはベネット連邦上院議員が億万長者たちに「借りがある(言いなりになっている)[beholden]」と示唆し、自分自身は一般のコロラド州民のために戦う姿勢を強調した。

ベネットの政策スタンスの一部はワイザーよりも急進的なものだったが、彼の政策綱領や連邦上院議員としての経歴だけでは有権者の支持を勝ち取るには不十分だった。

しかしながら、ベネットが職を失うことにはならない。彼は連邦上院議員にとどまり、2028年の改選に臨むことになる。

一方、元コロラド州知事、元デンヴァー市長のヒッケンルーパーは、進歩派の州上院議員であるゴンザレスの挑戦を退けた。

(3)激戦が予想される連邦下院選挙(Races set for competitive House seats

デゲットの地盤であるデンヴァーの選挙区では、この秋、キロスが「民主党の堅い議席」とも言えるこの議席を容易に獲得する見通しだ。しかし、火曜夜の予備選挙の結果、連邦下院の主導権を巡る重要な戦いにおいて、いくつかの激戦区となる可能性のある選挙戦の構図も固まった。

コロラド州第8選挙区では、現職のゲイブ・エヴァンス連邦下院議員(共和党)が、今年改選を迎える共和党議員の中で最も苦戦が予想される1人と見られている。デンヴァー北部の郊外を選挙区とするこの議席について、クック・ポリティカル・レポートは「接戦(toss-up、トスアップ)」と評価している。

この秋、エヴァンスはマニー・ルティネル州下院議員(民主党)と対決することになる。ルティネルは火曜日の民主党予備選挙で、シャノン・バード元州下院議員を破った。弁護士であり、かつては米陸軍工兵隊でエコノミストとして勤務した経歴を持つルティネルには、11月の本選挙で民主党が議席を奪還できる最大の好機の1つを確実にものにするという重圧がかかっている。

コロラド州第5選挙区も、この秋の選挙で激戦となる可能性がある。クック・ポリティカル・レポートは今年に入り、この選挙区の情勢評価を「共和党確実(solid、ソリッド)」から「共和党優勢(likely、ライクリー)」へと民主党寄りに修正した。

現在、現職のジェフ・クランク連邦下院議員(共和党)が保持しているこの議席は、過去3回の大統領選挙のサイクルを通じて、一貫してリベラル(民主党)寄りへと変化してきた。この秋クランクに挑む候補者としては、予備選挙を勝ち抜いた元陸軍軍人のジェシカ・キリンが選ばれた。

民主党が連邦下院の主導権を握るには3議席を純増させる必要がある。

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ニューヨーク州議会選、民主社会主義者が相次ぎ勝利(Democratic socialists rack up wins in New York state Legislature races

アシュレイ・フィールズ筆

2026年6月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5938202-democratic-socialists-new-york-mamdani-primary-elections/

火曜日に行われたニューヨーク州議会の予備選挙で民主社会主義を掲げる候補者たちが次々と勝利を収めた。ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主党)による政治的支援が、この「青い波(the blue wave、民主党の躍進)」を後押しした。

Decision Desk HQDDHQ)」によると、民主社会主義を掲げる候補者たちは、彼らを標的としたスーパーPAC(政治活動委員会)による巨額の資金投入があったにもかかわらず、州上院で2議席、州下院で4議席を獲得した。

パレスティナ系アメリカ人のエイバー・カワスが州上院第12選挙区の民主党予備選挙で勝利したほか、現職のジャバリ・ブリスポート州上院議員(民主党)は第25選挙区で78%以上の得票率を記録し、再選を確実にした(同選挙区の共和党予備選挙は中止された)。

DDHQによると、民主社会主義を掲げるジェシカ・ゴンザレス=ロハス候補も第13選挙区の予備選挙でリードしているが、最終的な結果はまだ確定していない。

「シティ・アンド・ステイト・ニューヨーク」の報道によると、ゴンザレス=ロハスは声明の中で、「力を合わせれば、働く家族を主軸に据え、地域社会に真の成果をもたらす未来を築くことができる」と述べている。

他にも、民主社会主義と関わりのある候補者が勝利を収めた。クリスチャン・テイトとサマンサ・カッタンは、それぞれニューヨーク州下院の予備選挙で勝利し、11月の本選挙では共和党の対立候補が不在となっている。また、DDHQの予測では、イオン・ハントリーが現職のステファニ・ジナーマン州下院議員を22ポイントの大差で破った。

現職の民主社会主義者であるダイアナ・モレノ(マムダニ氏の後任として州下院議員に就任)も、予備選挙で79%近い得票率を記録し、州議会への復帰を果たす見通しだ(DDHQ予測)。彼女は11月の本選挙で共和党の対立候補と対決することになる。

DDHQの集計によると、イラパ・サイリトゥパックも州議会予備選挙でリードしている。

現職議員の中で予備選挙を勝ち抜く可能性があるのはジョーダン・ライトだけで、DDHQのデータではライトが第70選挙区の予備選挙で首位に立っている。

「富裕層への課税(taxing the rich)。移民関税執行局(ICE)の排除(Kicking out ICE [Immigration and Customs Enforcement])。無償の保育の保証(Guaranteeing free childcare)。ニューヨーク市民が住居を維持すること(Keeping New Yorkers in their homes)」。ニューヨーク市のDSAは投票日の火曜朝、ソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、自らが支持する候補者たちへの後押しを行った。

DSAはさらに「社会主義の旗手たちを当選させこの政策課題を実現しよう」と呼びかけた。

「ニューヨーク・フォーカス」によると、DSAに反対するスーパーPAC(政治活動委員会)が290万ドルを投じて激しい反対運動を展開したものの、DSA系候補の選挙運動費用がいずれも20万ドルのラインを超えることはなかった。

DSA系候補に対抗する穏健派の挑戦者を支援するスーパーPACのストラティジストのジェフ・レブは「ニューヨーク・フォーカス」に対し、次のように語った。「ゾーランこそが起爆剤(the catalyst)となった。彼の勝利が人々を目覚めさせた」。

DSAには勢い(momentum)がある。彼らはニューヨークで過去最多の候補者を擁立しており、勝利の方程式を見出したと考えている。だからこそ、人々の反応が得られている」とレブは付け加えた。

マムダニにとって、連邦議会選挙でも大きな成果を挙げた。彼が支持を表明していた民主社会主義者のクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエがいずれも現職を破って勝利を収めた。
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エスパヤットがニューヨーク州の連邦下院民主党予備選でママダニ氏支持の候補に敗れる(Espaillat ousted in New York House primary by Mamdani-backed candidate

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931226-espaillat-loses-new-york-house-primary/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、民主社会主義者のダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、民主党予備選挙で現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(民主党)を破った。これはニューヨーク市の社会主義運動にとって大きな勝利となる。

連邦下院第13選挙区をめぐるこの選挙戦は、ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主社会主義者)にとって、その影響力を試す重要な機会の1つだった。マムダニは、5期目を務める現職のエスパヤットに対抗するアヴィラ・シュヴァリエを支持していた。

昨年の歴史的な市長選での勝利に続き、マムダニがアヴィラ・シュヴァリエの選挙活動に同行したことは、彼女の陣営に大きな弾みを与えた。ハーレム、ワシントン・ハイツ、ブロンクスの一部を含むこの選挙区において、マムダニの支持は、アヴィラ・シュヴァリエがエスパヤットを追い抜く助けとなったと見られる。

この予備選挙の結果により、エスパヤットの下院議員としての任期は終了することになる。エスパヤットは2016年に選出され、不法移民としての経歴を持つ初の連邦議会議員として知られている。現在は連邦議会ヒスパニック議員連盟の会長を務めるほか、連邦議会進歩主義議員連盟のメンバーでもある。

民主党の地盤が極めて強固なこの選挙区において、アヴィラ・シュヴァリエが今年11月の本選挙で議席を獲得することはほぼ確実な情勢だ。
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ニューヨーク州連邦下院民主党予備選挙でヴェラスケス氏の後任にマムダニが支援した候補者(Mamdani’s pick set to replace Velázquez in House after New York primary win

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931196-valdez-wins-ny-house-primary-mamdani/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、ニューヨーク州議会議員のクレア・ヴァルデスが、ニューヨーク州の激戦となっている連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で勝利する見通しだ。
ニューヨーク州第7選挙区の予備選挙は、市内で最も進歩的な地域の1つにおいて有権者を二分する激しい争いとなった。

ヴァルデスは、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニやアメリカ民主社会主義者(DSA)の支持を受けていた。一方、予備選挙のライヴァルであるブルックリン区長のアントニオ・レイノソは、ブルックリンとクイーンズの一部を代表する連邦下院議席の後任として、現職のニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(民主党)から支持を得ていた。

ヴェラスケスは1992年にプエルトリコ系女性として初めて連邦下院議員に選出され、110期以上にわたる在任期間を経て引退を表明したため、この議席は後任を巡る選挙戦となっていた。

同じく30年以上にわたって務めたニューヨーク州選出の民主党議員ジェリー・ナドラーが引退する第12選挙区と同様、この議席は、ニューヨーク州における民主党の世代交代を巡る議論の中心にあるいくつかの議席の1つだ。

この選挙区は民主党の地盤が極めて強固であるため、ヴァルデスはこの秋の本選挙でも勝利する可能性が極めて高いと予想されている。
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マムダニが支援したラウダーがニューヨーク州連邦下院議員民主党予備選挙でゴールドマンを破る(Mamdani-backed Lander ousts Goldman in New York House primary

by Julia Mueller - 06/23/26 9:06 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/5931205-lander-beats-goldman-new-york-house-primary/
Decision Desk HQ
DDHQ)の予測によると、元ニューヨーク市会計監査官ブラッド・ランダーが、現職のダン・ゴールドマン連邦下院議員(民主党)に予備選挙で挑戦し、勝利する見通しとなった。

DDHQのデータによれば、ランダーは開票率47%の時点で約63%の支持を集め、現職候補に圧勝した。

昨年、ニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙で大きく引き離されて3位に終わったランダーだが、今秋の選挙では民主党の地盤であるこの議席を確実に手にする軌道に乗っている。今回の勝利は、ランダーを支援したニューヨーク市長ゾーラン・マムダニにとっても重要な成果となった。

リーバイ・ストラウス社の後継者であり、連邦議会進歩派議員連盟(CPC)のメンバーでもあるゴールドマンが、親イスラエル・ロビーからの長年の支援をめぐって苦境に立たされる中、進歩派であるランダーは強力な挑戦を仕掛けた。なお、ゴールドマンにはニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)や連邦下院民主党指導部が支持を表明していた。

この選挙戦は、ニューヨークにおける民主党の進むべき方向性をめぐる対立軸を浮き彫りにした。ゴールドマンがより中道かつ既成勢力寄りの政策を掲げたのに対し、ランダーは進歩派の立場を強く打ち出した。

リーバイ・ストラウス社の後継者であるゴールドマンは、2024年の予備選挙では約40ポイントの大差をつけて再選を果たしたが、先月実施されたエマーソン・カレッジの世論調査では、2026年の予備選挙においてランダーが30ポイント以上リードしているという結果が出ていた。

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民主社会主義者について知っておくべきこと(What to know about democratic socialists

ジュリア・ミュラー、タラ・サター筆

2026年6月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5941564-democratic-socialists-primaries-mamdani-sanders/

民主社会主義者たちは、エスタブリッシュメントの枠組みを超えた左派的な理想を掲げ、中間選挙を前に大きな勝利を収めて主流派の民主党員を動揺させるなど、国政の舞台で勢力を拡大している。

ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニは、昨年の歴史的な選挙での勝利により、民主社会主義運動を全国的な注目の的へと押し上げ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)やバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)などと肩を並べる存在となった。

最近の予備選挙を経て、ワシントンDCでは民主社会主義者が市長選での勝利を確実にしており、ロサンゼルスでも別の候補者がこの秋の市長選挙本選挙へと駒を進めた。火曜日に行われたニューヨーク州の連邦下院議員予備選挙では、マムダニが支持した2人の民主社会主義者が勝利を収めた。そのうちの1人は連邦下院の有力な進歩派議員を破っており、民主社会主義運動の勢いが増していることを示している。

民主社会主義の思想を支持する人々は、進歩的な変革を求め、いわゆる資本家階級による主導を拒絶している。また、全米各地で候補者を支援する草の根の活動家組織「アメリカ民主社会主義者(DSA)」は、2026年および2028年の選挙に向けて、その政治的組織力を強化している。

知っておくべきポイントは以下の通りだ。

(1)DSAは社会の「変革」を目指す(DSA aims to ‘transform’ society

DSAは、労働者階級に重点を置いてアメリカ政治を「変革」することを目指している。彼らは、既存の利益追求型構造や資本主義の枠組み(existing profit-driven structures and capitalist frameworks)を否定しつつ、経済的平等と社会正義(economic equality and social justice)を促進している。

DSAの共同議長であるアシク・シディークは木曜日の『ザ・ヒル』とのインタヴューで「私たちは社会を根本から全面的に変革しようとしているが、可能な限り全員で意思決定を行いながらそれを進めたいと考えている」と語った。

DSAはこの運動の主要な組織的基盤だが、有権者が党員登録できる政党ではなく、非営利の活動家団体だ。また、候補者の中には、この組織の正式な構成員でなくとも、民主社会主義の理念に共鳴している人もいるだろう。

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

ワシントンDCでは、DSAの地元支部が犯罪対策として警察以外の代替策への投資を目指しており、移民関税執行局(ICE)と地元警察との「日常的な連携」を現職市長の失策の1つとして批判している。進歩派の民主党市長候補であるジャニース・ルイス・ジョージは、連邦政府による権限の濫用に対して徹底的に抵抗する姿勢を打ち出しており、これに対しトランプ大統領は、もし今秋の選挙で「狂った社会主義者」が選出されれば、連邦政府がワシントンDCを「取り戻す(take back)」可能性があると警告している。

ロサンゼルスでは、DSA所属の市長候補ニティア・ラマンが、ホームレス問題や住宅費高騰に対して進歩的な政策を打ち出している。DSAロサンゼルス支部は市長選においてまだ特定の候補を支持していないが、DSAロサンゼルス支部の目標には警察予算の削減や刑務所の廃止などが含まれている。

オカシオ=コルテスは「グリーン・ニューディール」の推進者として有名だ。これは、高速鉄道の整備、「炭素の社会的費用」ルールの導入、そして大恐慌時代の政策をモデルにした公的な雇用創出プログラムの確立など、環境および経済にわたる広範な改革を提案する法案だ。

DSAは以前からアメリカ合衆国憲法に対して批判的な姿勢をとっており、2024年の声明では、アメリカ政府の運営の基礎となるこの文書について、「エリートによる支配を明示的に固定化する政治秩序を確立するものだ」と述べている。

DSAは2024年の綱領において、究極の目標は「全ての人に市民的・政治的・民主的権利を保障し、単一の連邦議会における比例代表制に基づき、政治における金の影響力を排除する、新たな民主的憲法」を制定することだと述べている。

ウェブサイトに掲載されたDSAの綱領では、非市民や有罪判決を受けた人々への完全な投票権の付与、ワシントンDCの州昇格、比例代表制導入による二大政党制の解消、連邦下院議席数の拡大、大統領の一般投票による選出、そして最高裁判所による司法審査権の制限などが求められている。

保守寄りのシンクタンクであるマンハッタン研究所の出版物『シティ・ジャーナル』は最近、DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。
シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。
「しかし、私たちが明確にしておきたいのは、人々が政府、職場、地域社会に対して完全な民主的統制(democratic control)を持つ『民主社会主義的社会(a democratic socialist society)』のあり方に関する、より広範で長期的なヴィジョンと、統治に関する短期的なヴィジョンとを混同すべきではないということだ。後者については、私たちの候補者が掲げる実際の政策綱領をご覧いただきたい」。

(2)主要な選挙戦で勢いを増す候補者たち(Candidates gain momentum in key races

シディークは、DSAの成長は近年、「指数関数的なカーヴ(an exponential curve)」を描いていると述べている。

1980年代に左派の提唱団体として登場したDSAだが、2016年に無所属のサンダース(当時DSAの会員ではなかったが、自らを民主社会主義者と称していた)が大統領選挙に出馬した際、主流派政治の表舞台へと躍り出た。DSAによれば、その年のトランプの勝利がきっかけとなり、さらに数千人が新たに参加したということだ。

DSAニューヨーク支部は、2018年の選挙でジョー・クロウリー連邦下院議員(当時、ニューヨーク州選出、民主党)に挑んだオカシオ=コルテスを支持した。オカシオ=コルテスは、同様にDSAのメンバーであり、いわゆる進歩派グループ「スクワッド(Squad)」の一員であるラシダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)などと共に連邦議会入りを果たし、その次の選挙サイクルではコリ・ブッシュ連邦下院議員(ミズーリ州選出、民主党)も隊列に加わった。

シディークによると、10年近く前には約5000人だった会員数は現在10万人を超え、全米に200の支部を擁するまでに拡大している。

そして、マムダニの歴史的な勝利に続き、今回の中間選挙サイクルにおいても、DSAの候補者たちが注目すべき勝利を収めている。

今月、ワシントンDCではルイス・ジョージが予備選挙で穏健派の対立候補を上回る成績を収め、トランプの2期目を通じて首都の舵取りを担うことが事実上確実となった。その1週間前には、ラマンがロサンゼルス市長選挙の本投票(11月実施)への進出を決め、現職のカレン・バス市長(民主党)と対決することになった。

今週に入り、マムダニとDSAニューヨーク支部の支援を受けた民主社会主義者の候補者であるクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、ニューヨーク州の連邦議会予備選で大勝した。特にアヴィラ・シュヴァリエは、現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を破るという結果を残した。

DSAニューヨーク支部は木曜日、火曜夜の予備選挙投票終了後、会員が400人以上増加したと発表した。

しかし、今後数週間は、DSAの支持基盤の大部分が集中するニューヨーク州以外での運動の力が試される時期となるかもしれない。デンヴァー、デトロイト、南フロリダでDSA候補者が連邦議会議員選挙の予備選挙に臨むからだ。

(3)躍進は民主党との亀裂を浮き彫りにする(Rise underscores rift with Democratic Party

ニューヨーク市で行われた火曜日の予備選挙では、民主社会主義運動の勢力拡大に伴い、連邦議会選挙は民主党内の分裂を浮き彫りにした。

マムダニは、民主党予備選挙での勝利後、2025年の市長選挙でマムダニに重要な支持を与えた連邦議会ヒスパニック議員連盟会長のエスパイヤット議員ではなく、アヴィラ・シュヴァリエを支持した。また、退任するニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の後任として、ヴェラスケスが支持した候補者ではなく、ヴァルデスを支持した。

今回の選挙は、世代交代から経済政策に至るまで、民主党の将来に関する幅広い議論の中で、民主党内で意見の相違が生じていることを浮き彫りにした。

シディークは、ザ・ヒルのインタヴューで、2024年の選挙において左派的な政策や候補者が不足していると感じたことへの不満を表明した。また、カマラ・ハリス(当時副大統領)の敗因として、イスラエルによるガザ地区での戦争に起因する人道危機や気候変動といった問題に対するハリスの姿勢を挙げた。

「私たちが考えるハリスの敗因の1つは、予備選挙の段階で左派的な主張をしたり、より踏み込んだ要求をしたりする存在がいなかったことだ。その結果、パレスティナ問題(ガザ地区でのジェノサイドなど)が進行中であったにもかかわらず、選挙戦ではほとんど議論されなかった。また、気候変動、その他の主要な課題といった問題が、十分に取り上げられなかった。全体として右傾化(a slide to the right)が進み、それによって民主党の支持基盤の多くが離反し、普段は投票に行かない層も全く意欲をかき立てられなかった」とシディークは語った。

DSA運動の勢いが増す中、DSAは2028年の大統領選挙への挑戦も視野に入れている。

DSA運動から有力候補として名前が挙がっている人物の中で最も著名なのがオカシオ=コルテスです。

シディークによると、組織内では大統領候補の擁立に関する議論が行われており、DSAには「議論を重ね、最終的には誰を擁立するかについて集団的な決定に至るというプロセス」があるということだ。

「アメリカでは物事が非常に急速に変化している。先週私たちが手にしたような勝利は、こうした政治的立場を代表する人物が、大統領選挙で十分に有力な候補になり得るという期待を、私たちに抱かせてくれていると思う」とシディークは述べた。

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●「米民主党左派、中間選挙の候補者3割に 反イスラエル・物価高で支持」

202672 5:47

日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01CZR0R00C26A7000000/

democraticsocialismnikkei20260702001

西部コロラド州の下院選の民主党予備選で勝利宣言したメラット・キロス氏(630日)=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】米民主党内で「民主社会主義者」や「進歩派」と呼ばれる急進左派が全米で勢いを増している。11月の中間選挙に向けて党候補を決める予備選は6割が終わり、このうち3割弱で左派系候補が勝利した。

主流の穏健派が次々と敗れる事態で、2028年の米大統領選にも影響が及びかねない。米ジョンズ・ホプキンズ大のダニエル・シェロズマン教授は民主党の現状について「これほど多くの左派系がメンバーになる状況はこれまでなかった」として「内部では亀裂が生じている」と指摘する。

29歳の若手、ベテラン破る

「私たちが戦えば変化は必ず起きる」。西部コロラド州で630日に投開票された連邦下院議員候補を選ぶ党予備選では、急進左派で29歳のメラット・キロス氏が約30年間も議席を維持してきたベテラン現職を破り、記者会見で気勢を上げた。

選挙戦では企業からの政治献金を拒否し、バリスタとして働く庶民的な姿勢を訴えた。弁護士としてニューヨークの法律事務所に務めていた際、「イスラエルの国家消滅を求めるのは反ユダヤ主義だ」とする見解に異議を唱えて解雇された経験も持つ。

コロラド州では同日実施の知事候補を選ぶ党予備選でも、左派色が強い候補が本命視されていた穏健派を破った。

democraticsocialismnikkei20260702002

民主党が党候補を決める全米での予備選は3月に始まり、9月までに終わる。コロラド州の結果を受けて、11月に改選する米連邦議会上院(改選33議席と補選の2議席)と下院(定数435議席)のうち、300超の選挙区で党候補が固まった。

日本経済新聞社の集計によると、このうち左派系が党候補の座を手中にした選挙区は80超あり、およそ27%を占めた。左派がつくる政治グループ、プログレッシブ・コーカス(進歩派議員連盟)などが支援した候補を集計した。

■全米に広がる「マムダニ旋風」

躍進の背景にあるのが、所得格差の拡大や長引く物価高だ。バイデン前政権を支えた主流の穏健派が「富裕層や大企業の利益に重きを置き、労働者や生活者を置き去りにした」と批判し、党指導部は人々の不満に応えていないと主張する。

経済面では公共サービス料金の無償化や国民皆保険の導入、大企業への規制強化などを政策に挙げる。

公共サービス料金の無償化などは米国では急進的に映る。だが米調査会社ギャラップによると、資本主義に肯定的な見方を示す民主党支持者の割合は2010年の51%から25年には42%に減少した。大企業に肯定的な見方も46%から17%にまで減った。

民主社会主義者を自称する左派は「資本主義の弊害を減らし、より平等な社会を実現しよう」と訴える。

イスラエルに批判的な姿勢や国防費の抑制といった主張なども支持を集めている。米国では若年層を中心にイスラエル支援に不満を持つ人の割合が大きい。

ギャラップによると、民主党支持者でイスラエルよりもパレスチナに共感すると答えた人は26年に65%と、その逆(17%)を大きく上回る。歴史的にイスラエル寄りの傾向が続いていたが、23年から逆転した。

democraticsocialismnikkei20260702003

性的少数者の権利擁護を訴える恒例のパレードに参加したマムダニ市長(628日、ニューヨーク)=AP

急進左派の代表格がニューヨーク市長のマムダニ氏だ。家賃の引き上げを禁じるなどして全米の注目を集める。623日にニューヨーク州で実施された連邦議会下院の予備選では、マムダニ氏が支援した急進左派の3人が勝利し、全米に衝撃を与えた。

主流派は左派候補の台頭は、無党派層や穏健な民主支持層を遠ざけると警戒する。激戦区で共和党に勝つには中道派の支持取り込みが欠かせないからだ。穏健派の民主下院グループは「私たちは資本主義者であり、社会主義者ではない」と訴える。

democraticsocialismnikkei20260702004
中間選挙で左派への支持が鮮明になれば、2028年の大統領選にも波及する。急進左派の若手代表格でZ世代から初めて下院議員になったマックスウェル・フロスト氏は「進歩派から我々の次期大統領候補を選ぶのが希望であり、そうなるだろう」と予告する。

トランプ米大統領は民主党の左傾化を中間選挙の争点にしようと動き始めた。「彼らは『社会民主』という言葉を使うが、実際には共産主義だ。建国以来、米国にとっての最大の脅威だ」などと再三、主張している。

急進左派は国内問題を重視し、対外関与を控えようとする傾向がある。共和党だけでなく、民主党でも内向き姿勢が強まれば、日本や世界に影響する。

(貼り付け終わり)

(終わり)



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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 イスラム教徒でウガンダからの移民(インド系)、民主社会主義者を自認し、アメリカの視点からすれば過激な社会再作を訴えたことで注目を浴びた、ゾーラン・マムダニ次期ニューヨーク市長が、ホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領と会談を持った。トランプはマムダニを「共産主義者の狂信者」と非難し、マムダニはトランプを「独裁者」と呼んでいて、両者が直接対面したらどのような事態になるか、非難合戦、口論になるだろうという予想が多くなされた。

 しかし、実際にはトランプ・マムダニ会談は口論の種になりそうな話題には踏み込まず、友好的な雰囲気で行われた。大統領執務室でトランプが執務机に座りながら、マムダニが隣に立って記者団の取材を受け、両者が握手をしたというのは象徴的であった。もちろん、トランプ大統領がマムダニを再び激しく非難することもあるだろうが、予想外の結果に拍子抜けという感じもあった。

 マムダニと対峙しているニューヨーク共和党ははしごを外された形になった。トランプがマムダニと直接会って激しく批判する様子を映像として使おうとしていたところに、それができなくなったどころか、握手までして「素晴らしい市長」と呼んでいるので、マムダニ攻撃、民主党攻撃がしにくい状況になった。

 私がこれまでの著作でも述べているように、民主党左派、民主社会主義者グループと、トランプ派は、反エスタブリッシュメント、ポピュリズム(既存の政治やエリートたちに対する一般国民の怒り)から出ているという共通点がある。以前にも紹介したように、馬蹄理論(horseshoe theory)という理論で説明ができる。そう考えると、2人の会談が友好的になったことはおかしなことではない。そして、考えが違っても、友好的な雰囲気で会談ができるという当たり前にあるべき状況が予想外とされるのはやはり問題ということになるだろう。これは現在、民主政治体制を採用している先進諸国に共通の問題と言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

不可解なほど前向きな大統領執務室での会合から得られたいくつかの教訓(Takeaways from a perplexingly positive Oval Office meeting

ダグラス・E・ショーエン筆

2025年12月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/white-house/5625759-trump-mamdani-love-fest/

こんな展開を予想できた人はいただろうか?

ドナルド・トランプ大統領がニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニを大統領執務室に招待した際、トランプが以前「共産主義者の狂人(communist lunatic)」と嘲笑したマムダニを激しく非難するだろうと予想された。

同様に、マムダニがトランプを「独裁者(despot)」と呼び、「トランプのファシズム(Trump’s fascism)」を打ち破ると約束する中で、トランプとの会談をどう受け止めるかという疑問もあった。

しかし、政治的な殴り合いを期待していた人はひどく失望することになった。会談は非常に和やかなものだったからだ。『ポリティコ』誌は「トランプとマムダニは愛し合う―戦争ではなく(Trump, Mamdani make love — not war)」と表現し、フォックス・ニューズも同様に「愛の祭典(love fest)」と形容した。

確かに、この会談が闘争的なものになるという考えは、決して飛躍的なものではない。トランプは複数の世界の指導者を同じ部屋の中で厳しく叱責し、アメリカ合衆国大統領と34歳の次期ニューヨーク市長という力関係の不均衡は明らかにトランプに有利だった。

会談が喧嘩ではなく友好的なものだったことに党派性の高い人たちは失望したかもしれないが、この「愛の祭典」は、国全体、特にニューヨーク市にとって間違いなくプラスとなった。

実際、この国における激しい非難、分断、そして政治的暴力のレヴェルは、もはや耐え難いものとなり、私たちの国の価値観とは明らかにかけ離れている。

トランプとマムダニは友好的に会談することで、たとえ一時的であっても、これ以上の発言は控え、緊張を和らげることを選んだ。

さらに、マムダニの言葉を借りれば、両者が「生産的な(productive)」関係を築けば、ニューヨーク市、ひいてはアメリカ全体がより良い方向に進むことは否定できない。

同様に、両陣営にとって、個人的かつ政治的に重要な影響がある。

間もなくレームダックとなり、共和党に対する完全な支配力を今でも維持しているかどうかという疑問に直面しているトランプにとって、今回の会談は、彼が依然としてその権力を行使していることを明確に示すものとなった。

同時に、この会談はトランプの最大の盟友の1人であるニューヨーク州選出のエリス・ステファニック連邦下院議員(共和党)にとって確かに困難なものとなった。

ステファニックの知事選キャンペーンの核心は、現職のキャシー・ホックル知事(民主党)をマムダニの極左政策とその危険性に結びつけることであり、マムダニを「ジハード主義者(jihadist)」と呼ぶことさえあった。

トランプがマムダニの政策を繰り返し称賛しながらも、ステファニックのジハード主義に絡めたマムダニ攻撃には同意しなかったため、彼女の主張は著しく困難になっている。 MAGAの有力者であるローラ・ルーマーも同様のことを指摘し、「民主党はエリスを倒すために今日の記者会見の映像を流すだけでいい」とツイートした。

そのため、ステファニクが最も明白な犠牲者となるかもしれないが、中間選挙を前にマムダニを「ブギーマン(boogeyman、訳者註:子供たちを怖がらせる幽霊などのような存在)」に仕立て上げようとした共和党員は、事実上、その計画が頓挫した。

言い換えると、大統領であり共和党のリーダーであるトランプが、自分とマムダニの間には共通点があると発言したばかりなので、民主党を急進的な社会主義者と決めつけることは難しいだろう。

マムダニにとって、今回の会談は民主党内での影響力を高めるものとなり、市長選で当選したマムダニが政治的影響力を発揮し始めた時期と重なった。

マムダニは、次期連邦下院議員選挙において、ブラッド・ランダーを現職のダン・ゴールドマン下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)よりも優位に立たせるべく尽力する一方で、その影響力を利用して、ハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州選出、民主党)に挑む、同じ民主社会主義者の候補者を阻止しようとしている。

マムダニの功績として、彼のアプローチは、トランプが大統領に復帰して以来、多くの民主党員がいかに的外れであるかを浮き彫りにした。

トランプの後ろに立ち、2人とも笑顔を浮かべている様子は、グレッチェン・ウィットマー州知事(ミシガン州、民主党)がトランプとの面会を目撃されるのを避けるために書類の後ろに隠れようとした失敗例と対照的に映る。

同様に、マムダニがトランプとの良好な関係をスタートさせたことで、ニューヨーク市は移民取り締まり、州兵の派遣、連邦政府予算の削減といったトランプの脅しを回避するための余裕を得られた可能性が高い。

しかしながら、ドナルド・トランプに関するあらゆる事柄と同様に、この良好な関係がどれだけ長く続くのかという疑問は当然出てくる。

例えば、マムダニが実際にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の逮捕を試みたり、ニューヨーク市警にICE(米移民関税執行局)への協力を控えるよう指示したりした場合、トランプはどのように反応するだろうか?

同様に、マムダニが公約したより過激な政策のいくつかを可決できた場合、トランプは「小さな共産主義者(little communist)」という侮辱を再び口にするだろうか?

間もなく前連邦下院議員となるマージョリー・テイラー・グリーン(ジョージア州選出、共和党)がよく知っているように、トランプは自身の政治信条にはるかに忠実で同調する人々をほとんど予告なしに攻撃してきた。

マムダニにとって、トランプに浴び​​せた侮辱を「今も信じている」と主張していることは、非常に短気な大統領の怒りを引き起こすことになるかもしれない。

結局のところ、トランプとマムダニは、様々な違いはあるものの、どちらも熱心なポピュリストであるため、これが政治的な駆け引きだったのか、それとも真の関係の始まりだったのかを判断するのは無意味だ。

しかし重要なのは、大統領執務室での騒動を避けるため、トランプとマムダニ双方が国を第一に考え、党派的な信念を二の次にしているように見えることだ。これは間違いなくプラスだ。

※ダグラス・E・ショーエン:政治コンサルタント、ビル・クリントン大統領の補佐官、2020年の大統領選挙でマイケル・ブルームバーグ陣営の顧問を務めた。著書に『民主政治体制の終焉?:ロシアと中国の台頭とアメリカの後退(The End of Democracy? Russia and China on the Rise and America in Retreat)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 高市早苗首相の台湾をめぐる発言で日中関係は悪化している。日本政府としては、「高市首相の発言と、これまでの姿勢は別で、日本側に変更はない」という何とも苦しい言い訳をすることになる。高市首相が国会の場で早めに発言を撤回・修正していればここまでの深刻な状況にならずに済んだ。「高市首相から失言を引き出した野党が悪い」という、なんとも考えの足りない、思考力と知恵を持つようにお勧めしたい人たちの擁護論がむなしく響く。一般国民が言うならまだしも、政治のプロの世界やマスコミに出ている人たちもそのようなことを述べているというのは滑稽さを通り越して、日本の将来への不安が増大するばかりである。

 世界屈指の大都市ニューヨーク市長にゾーラン・マムダニが当選した。マムダニがアンドリュー・クオモ元ニューヨーク州知事(2011-2021年)・住宅都市開発長官(ビル・クリントン第二期政権)を民主党予備選挙で破った時点で、マムダニについてはこのブログでご紹介した。本選挙で再び、アンドリュー・クオモと戦うことになり、勝利した。

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

2025年7月15日付記事「ニューヨーク市長選挙の民主党候補者予備選挙でゾーラン・マムダニが勝利した」

https://suinikki.blog.jp/archives/89819926.html

 マムダニ当選に驚く人々はアメリカ政治についてあまり知識がない人たちなのだろうと思う。一般の日本人ならそれは当然であるが、論壇で驚いたと言っているような人は、論壇から退いた方が良い。アメリカでは2010年代から、民主党左派に分類される民主社会主義勢力が伸長している。生活の苦しさ、アメリカの衰退は資本主義に対する疑念を人々の間に引き起こしている。特に若者たちの間では資本主義への疑念と社会主義への支持が拡大している。以下の記事をお読みいただきたい。

(貼り付けはじめ)

資本主義と大企業に肯定的なアメリカ人が減っている…最新の意識調査で明らかに

Bryan Metzger[原文](翻訳:Ito Yasuko、編集:井上俊彦)

Business Insider Japan

Sep 19, 2025, 7:30 AM

https://www.businessinsider.jp/article/2509-big-business-capitalism-15-year-low-popularity-americans/

・アメリカで大企業を肯定的に見ている人は37%しかいない。

・アメリカでは、資本主義や大企業を好意的に見る人が、ますます少なくなっている。

資本主義を好意的に見ている人は54%だ。過半数ではあるが、それでも4年前に比べると大幅に減少している。

18歳から34歳に限れば、資本主義を肯定的に見ている人は43%しかいない。

アメリカ人はますます、大企業と資本主義への嫌悪感を増しつつある。だが、社会主義へと傾いているというわけでもない。

ギャラップ(Gallup)による最新の世論調査によると、大企業を肯定的に評価しているアメリカ人はわずか37%で、2021年の46%から大きく減少した。

2019年には、52%の人が大企業を肯定的に見ていた。10年足らずで驚くべき転換と言えるだろう。

この調査では、資本主義を肯定的に評価している人は54%で、2021年から6ポイント減となっていることも分かった。ギャラップが2010年にこの質問を始めて以来、最低だ。

同時に、アメリカ人は資本主義の別の側面を、依然として肯定的に捉えている。81%が自由企業体制を、95%が中小企業を肯定的に見ている。

資本主義に対する否定的な見方は、特に18歳から34歳の若年層で顕著で、肯定的は43%で54%が否定的だ。

実際、若年層の49%が社会主義を肯定的に見ており、否定的なのは46%だ。

この結果は、民主社会主義者の州議会議員、ゾーラン・マムダニ(Zohran Mamdani)が若者の支持を得てニューヨーク市長選挙の民主党予備選で勝利したことの説明になるかもしれない。

また、バーモント州選出の上院議員、バーニー・サンダース(Bernie Sanders)や、ニューヨーク州選出の下院議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)といった資本主義に批判的な政治家が2016年以来、アメリカの政界で頭角を現している。

とはいえ、社会主義の一般大衆の支持率は概ね横ばいの状態が続いている。今年、肯定的に見ていると述べたアメリカ人は39%だったが、2021年は38%だ。一方、今年、社会主義を否定的に見ているをしたのは57%だった。

社会主義と資本主義の見方には、党派間でも大きな違いがある。

共和党では、74%が資本主義を肯定的に評価している一方、社会主義を肯定的に見ているのはわずか14%。民主党では、資本主義を肯定的に評価しているのは42%、66%が社会主義を肯定的に見ている。

この調査は、アメリカの成人1094人を対象に、81日~5日に実施された。誤差の範囲は4ポイントだ。

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 アメリカには社会主義の伝統が存在する。その代表的な人物がユージン・デブスだ。以下の論稿はデブスについて紹介している。そして、社会主義とはアメリカの理想の実現だということを述べている。民主政治体制は識字率の上昇によって発展していくが、高学歴化が進むにつれて、格差を求める声が強くなり、民主政治体制が揺らいでしまう。現在のアメリカはアメリカの理想からほど遠い。資本主義は格差を助長する。更には社会階層、階級を固定し、社会流動性を弱める。アメリカの若者たちはこれに加えて、アメリカの国力の低下にも直面している。社会主義は彼らにとって望ましいものとなりつつある。

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ゾーラン・マムダニはアメリカの社会主義の伝統をどう活用するか(How Mamdani Taps Into an American Socialist Tradition

-この運動の創始者たちはカール・マルクスよりもトマス・ペインとエイブラハム・リンカーンの言葉を多く引用した。

ジュリアン・E・ゼリザー筆

2025年11月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/11/17/mamdani-eugene-debs-american-socialist-tradition/?tpcc=recirc_latest062921

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オハイオ州カントンで反戦演説を行うユージン・デブス(1918年)

11月4日の勝利演説で、ニューヨーク市長に選出されたゾーラン・マムダニは大統領選挙に5回出馬したある人物の言葉を引用した。ブルックリンに集まった熱狂的な支持者たちにマムダニは次のように語りかけた。「今夜、私たちの街の太陽は沈んだかもしれない。しかし、ユージン・デブスがかつて言ったように、『私には人類にとってより良い日の夜明けが見える(I can see the dawn of a better day for humanity)』の心境だ」。

出席者の多くはデブスが誰なのか分からなかったかもしれないが、この言及は完全に理にかなったものだ。結局のところ、デブスはアメリカ社会主義の歴史において変革をもたらした人物だった。多くの評論家たちは社会主義をアメリカという国土に馴染みのない、つまり外国から輸入されたものとして扱うが、アメリカには長きにわたる社会主義の伝統があり、それは政府のヴィジョンと、働くアメリカ人の擁護、そして個人主義、自由、そして市民共和主義(civic republicanism)といった価値観の尊重を融合させてきた。

そして、アメリカ政治における社会主義の歴史を考えると、マムダニの権力掌握は、一部の人が考えるほど驚くべきことではない。

デブスはアメリカ生まれの人物だ。インディアナ州テレホートに移民の息子として生まれ、公立高校を中退して鉄道員の職を得た。しかし、彼の真の情熱は、働くアメリカ人を組織することだった。1875年、彼は「機関車機関士同胞団(the Brotherhood of Locomotive Firemen)」に入団し、2年後の1877年の鉄道ストライキ後に「ストライキは、正義を求める平和的努力が失敗し、絶望に追い込まれた人々が頼る最後の手段である(Strikes are the last means which are resorted to by men driven to desperation after peaceful efforts to obtain justice have failed)」という劇的な演説を行って全国的な注目を集めた。

機関車機関士同胞団での地位向上に伴い、デブスは地方政治にも積極的に参加するようになり、最初は市政、そして、1884年に有権者たちに選出されてインディアナ州議会議員に選出されると、州全体の政治にも積極的に関わるようになった。 

デブスは常に、労働者階級のアメリカ人の経済的・身体的安全、そして市民としての権利を重視していた。既存の労働組合が特定の職種を中心に組織されていた時代にキャリアをスタートさせたデブスは、企業が国家を席巻し始めた時代に、産業別に労働者を組織する必要性を信じていた新しい世代に属していた。1893年、彼は機関車機関士同胞団を離れ、シカゴで「アメリカ鉄道組合(the American Railway Union)」を設立した。この産業モデルのもとで、鉄道で働く人なら誰でも加入できた。組合は1894年の夏、グレイト・ノーザン鉄道に対して18日間のストライキを成功させた。

アメリカ鉄道労働組合がプルマン社に対するストライキを組織し、労働組合の承認を要求した後、デブスはプルマンの車両を牽引する列車に対する全国的なボイコットに参加した。このボイコットは鉄道業界全体に深刻な混乱をもたらしたが、グローヴァー・クリーブランド大統領が差し止め命令を獲得し、連邦軍を派遣してストライキを鎮圧した。デブスが裁判所命令に従うことを拒否したため、デブスは逮捕され、法廷侮辱罪で6カ月間投獄された。収監中、デブスは社会主義に関する書籍を広く読んだ。1897年、民主党のウィリアム・ジェニングス・ブライアン大統領選挙運動に携わった翌年、デブスは支持対象を変更し、1901年に「アメリカ社会党(the Socialist Party of America)」の設立を支援した。また、1905年には「世界産業労働者組合(the Industrial Workers of the WorldIWW)」創設に関わった労働運動指導者の1人でもあった。

アメリカには「労働者党(the Workingmen’s Party)」や「社会主義労働党(the Socialist Labor Party)」といった社会主義組織が以前から存在していたが、デブスのような運動を全国的に注目させる人物はいなかった。デブスは演説台の上で拳を振り上げ、身を乗り出して熱意を込めて語るカリスマ性で知られていた。1904年には「民主社会主義党(the Socialist Democratic Party)」の大統領候補として出馬し、40万票を獲得した。(彼は1900年に初めて立候補し、9万票以下しか獲得できなかった。)その後、彼はさらに3回立候補することになる。1912年、共和党のウィリアム・ハワード・タフト大統領、民主党のウッドロウ・ウィルソン、進歩党のセオドア・ルーズベルトと対峙したデブスは、90万票以上、約6%の得票を獲得した。彼はある演説で次のように語った。「私は理論家であり夢想家かもしれないが、私は壁に書かれた文字を見ることができると思い。世界は不満の波に覆われており、変化が差し迫っている」と語った。

デブスが実践した社会主義は、ヨーロッパで台頭しつつあった社会主義とは異なっていた。彼は、働くアメリカ人を保護することに尽力しつつも、個人の市民権における権利と義務を強調する共和主義的価値観に確固として根差した、強固な政府を構想した。歴史家ニック・サルヴァトーレがデブスの古典的伝記で指摘したように、デブスは社会主義を伝統的なアメリカの理想の否定ではなく、その実現と見なしていた。彼の信念は共和主義(republicanism)、福音主義プロテスタンティズム(evangelical Protestantism)、機会均等の原則(the principle of equality of opportunity)に由来していた。デブスの急進主義(radicalism)は、カール・マルクスよりもトマス・ペインやエイブラハム・リンカーンの思想に共鳴していた。サルヴァトーレは「デブスは共和主義の伝統を真摯に受け止め、市民権の概念に内在する個人の尊厳と力を強調した」と記している。デブスの核心的な課題の多く——労働者の失業保険と老齢保険(unemployment and old age insurance for workers)、公民権と女性参政権(civil rights and women’s suffrage)、無償教育(free education)、公益事業の集団所有または強力な規制(collective ownership or stronger regulation of utilities)——は、20世紀のリベラルの間で広く支持を得るようになる。彼の究極の目標は、労働者の権利を尊重し保護する民主的な形態の企業資本主義(a democratic form of corporate capitalism that respected and protected the rights of workers)であった。

キリスト教は一貫してデブスの公共の利益に対する理解を形成した。「社会主義とは何か?」デブスはニュージャージー州の聴衆に問いかけた。そして、「単なるキリスト教の実践に過ぎない。それは人間の平等を認めるものだ」と述べた。1912年の選挙集会で、デブスは星条旗の前で演説した。その両側には赤い横断幕が掲げられ、一方には「社会主義、世界の希望(Socialism, the Hope of the World)」と、もう一方には「私たちは多数、彼らは少数(We Are Many, They Are Few)」と書かれていた。

社会主義運動内部には緊張関係があり、特に女性参政権と人種的正義(racial justice)にどれだけの注意を払うべきかをめぐって緊張が高まっていました。デブスは人種別に隔離された(segregated)聴衆への演説を拒否することで、自らの立場を明確にしました。

しかし、デブスの思想、特に戦争への反対は、ウィルソン大統領にとって容認できなかった。第一次世界大戦中の第一次赤狩り(the first Red Scare)の際、司法長官A・ミッチェル・パーマーは戦時中の反対意見に対する強硬な弾圧を開始し、市民の自由を踏みにじり、国家権力を用いて言論の自由を抑圧した。パーマーは、オハイオ州カントンでデブスがウォール街の金融家たちが主導するヨーロッパ戦争を非難し、貧しいアメリカ人が戦わされていると非難する演説を行った後、デブスを標的にした。その後まもなく、政府は1917年のスパイ活動法(the Espionage Act of 1917)と1918年の治安維持法(the Sedition Act of 1918)に基づきデブスを起訴した。1918年9月、デブスは有罪判決を受け、懲役10年の刑を宣告された。

彼は有罪判決を受けた際に反抗的に次のように宣言した。「何年も前、私は全ての生き物との繋がりを認識し、自分はこの世で最も卑しい者たちより少しも優れている訳ではないと考えている。その時も今も、私はこう言っている。下層階級が存在する限り、私はその中にいる。犯罪者が存在する限り、私はその中にいる。獄中の魂が存在する限り、私は自由ではない」。

アトランタの連邦刑務所の独房に収監されていたにもかかわらず、デブスは屈服しなかった。1920年、社会党は彼を大統領候補に指名した。これは彼にとって5度目の、そして最後の大統領選挙の選挙戦となった。獄中から出馬し、90万票以上を獲得した。1921年のクリスマス、ウォーレン・G・ハーディング大統領は彼の刑期を減刑し、釈放した。デブスは5年後、イリノイ州で亡くなった。

この時代に選挙で成功を収めた社会主義者はデブスだけではなかった。社会主義者は連邦下院にも議席を獲得した。その中には、デブスに影響を与えたミルウォーキー出身のヴィクター・バーガーもおり、バーガーは1910年に連邦下院議員に当選した。ニューヨーク出身の社会主義者で、国際婦人服労働組合の元弁護士であるマイヤー・ロンドンは、1915年から2期(非連続)、連邦下院議員を務めた。

多くの社会主義者が地方自治体レヴェルで成功を収め、公共料金や公共サーヴィスといった現実的な問題に集団の利益という理念を効果的に結び付けた。

第一次世界大戦中の弾圧とロシア革命後の分裂の結果、1920年代には社会主義は政治勢力として弱体化した。デブスの死は、彼の指導の下で大きく成長した運動をより衰退させることになった。

1930年代の大恐慌期、経済崩壊によって労働者が指導力と救済を切望する中で、社会主義は再び勢いを取り戻した。オハイオ州出身の長老派教会の牧師ノーマン・トーマスは、社会主義の灯を守る存在として台頭した。1932年の大統領選挙では、彼は90万票近くの票を獲得した。社会主義者は共産主義者と同様に、公民権運動の重要な同盟者でもあった。当時、アメリカの大部分はジム・クロウ法の南部の永続性(the permanence of the Jim Crow South)を受け入れていた。

しかし、1950年代の第二次赤狩り(the second Red Scare)の時代、フランクリン・D・ルーズヴェルト政権下で、この運動の思想の多くが主流政治に吸収されたにもかかわらず、アメリカの社会主義は再び周縁(the margins)へと退いてしまった。作家マイケル・ハリントンなどのアメリカの社会主義者たちは、影響力のある作品を組織し出版し続けた(1962年に発表されたハリントンの『もう一つのアメリカ』は、リンドン・B・ジョンソンの貧困との戦いに影響を与えたと言われている)が、彼らはリベラルな民主党員によって大部分無視され、周辺的な勢力(a peripheral force)にとどまった。

1980年代、ロナルド・レーガンが保守運動を権力の座に押し上げたことで、アメリカにおける社会主義はついに終焉を迎えたかに見えた。『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、1984年後半、プリンストン大学で開催された会議に、歴史家たちがノーマン・トーマスの功績を称えるために集まった。出席者の中で、自分たちが記念すべき出来事の将来性に希望を抱いていた人はほとんどいなかったが、これは特にレーガンが民主党のウォルター・モンデールに圧勝した後だったからだ。出席者の多くは「アメリカ民主社会主義党(the Democratic Socialists of America)」の党員たちだった。

この会議で表明された懸念は杞憂に終わったが、社会主義が再び勢いを取り戻すまでには数十年を要した。ニューヨーク市長のデイヴィッド・ディンキンス(1990-1993年)のように、かつて民主社会主義者だった人物が権力を握った者もいたが、その数は依然として少なかった。

時が経つにつれ、経済格差の拡大と、中道へと傾いた民主党への不満(rising economic inequality and frustration with a Democratic Party that shifted to the center)が、新たな世代を運動に引き寄せた。2011年のウォール街占拠運動(Occupy Wall Street in 2011)は、ニューヨークの街頭に抗議者たちが集結し、上位1%の権力に挑むという、重要な転換点となった。民主社会主義者を自認するヴァーモント州選出の無所属上院議員バーニー・サンダースは、民主社会主義党(DSA)のメンバーではなかったが、2016年と2020年の民主党候補指名選挙で、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(民主党)やマムダニを含む新世代の活動家を鼓舞した。サンダースのメッセージは、国民健康保険や労働組合の権利強化といった、この伝統に基づく理念を前面に押し出したものだった。民主社会主義党の会員数は着実に増加し、2025年には8万人を超えた。イスラエル問題などをめぐって民主社会主義党内に亀裂が生じたものの、民主社会主義者は現在、主流派に返り咲いている。

リベラル派と中道派は民主党内、特に指導部において依然として強力な勢力を維持しているが、長年にわたり民主社会主義者との対話を続けてきた。両派閥間の駆け引きは党の政策課題を広げ、1990年代の新自由主義全盛期には議題から外れていた政策について真剣な議論を巻き起こしてきた。

デブスが20世紀初頭に築き上げた伝統は今もなお強く残っている。歴史家マイケル・カジンが主張するように、社会主義は依然として大きな魅力を放っている。「彼らの先人たちの多くと同様に、彼らははるかに平等な社会を夢見ているが、国民皆保険制度(Medicare for All)や再生可能エネルギーで動く経済(an economy that would run on renewable sources of energy)といった現実的な目標のために闘っている」とカジンは指摘した。

ニューヨーク市長に選出されたマムダニは中道左派寄りかもしれないが、国内政治に関する彼の核となる考え方、すなわち政府の支援を通じて勤勉なアメリカ人の生活を手頃で安全なものにする必要(the need to make life affordable and secure for hardworking Americans through government assistance)性は、アップルパイのようにアメリカ的である。マムダニの提案である「ユニバーサルチャイルドケア(universal child care)」などは他の民主党員よりも大胆かもしれないが、彼の主張は明らかに広く共感を呼んでいる。民主社会主義の思想(democratic socialist ideas)は20世紀初頭から主流政治に深く根付いており、彼のメッセージは幅広い支持を得るだろう。

※ジュリアン・E・ゼリザー:『』誌コラムニスト。プリンストン大学歴史学・公共問題教授。ニューズレター『ロング・ビュー』の著者で、このニューズレターはニュースを客観的に捉えるものである。Xアカウント:@julianzelizer

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 2025年11月にニューヨーク市長選挙が実施される。本選挙に向けて、民主党や共和党で予備選挙が実施された。ニューヨーク州やニューヨーク市が民主党の金城湯池であることを考えると、民主党の候補者になれれば、本選挙で当選することがほぼ確実ということになっている。今回、民主党予備選挙で、ニューヨーク州議会下院議員ゾーラン・マムダニ(Zohran Mamdani、1991年-、33歳)が勝利した。マムダニは前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモを破っての勝利だった。
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アンドリュー・クオモはニューヨーク政界のサラブレッドだ。クオモ家はニューヨーク民主党の「王家」とも言える存在だ。アンドリューの父であるマリオ・クオモはニューヨーク州務長官、ニューヨーク州副知事、ニューヨーク知事を務めた。1984年の民主党全国大会で基調演説を行い、ロナルド・レーガン大統領を批判した。この演説が大きな注目を集めた。アンドリュー・クオモはビル・クリントン政権で住宅都市開発長官を務め、ニューヨーク州司法長官、ニューヨーク州知事を務めた。弟のクリス・クオモは報道分野で活躍し、CNNで自身の番組を持つほどであったが、兄アンドリューのセクシャルハラスメント疑惑をめぐり、擁護活動を行ったことでCNNを解雇された。マムダニがクオモを破ったということは、既成政治、エスタブリッシュメントに対する人々の不信が根深いということを示している。

 マムダニはウガンダ生まれで、父はアフリカ研究の学者、母は映画監督だ。両親はインド系で(父マフムードはウガンダ生まれ)、途中で南アフリカに移り、その後、アメリカに移った。父はコロンビア大学教授を務めている。マムダニはウガンダとアメリカの両方の国籍を保有している。マムダニは父と同じくイスラム教徒だ。メイン州の名門ボウディン大学に進学した。大学卒業後にラッパー活動をしながら、住宅カウンセラーを務め、社会活動や政治活動を行い、2020年にニューヨーク州議会下院議員に当選した。

 マムダニは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と同様に民主社会主義者を自認し、家賃の凍結、安価な公営住宅の増設、市営商店を設置し、安価や食品の供給、市営バスの無料化、富裕層への課税強化を訴えた。

 ニューヨーク州やカリフォルニア州といった民主党の金城湯池の地域では、民主党エスタブリッシュメント派への反感から、進歩主義派への支持が高まっている。これは、共和党側で言えば、ポピュリズムのドナルド・トランプ派が伸長していることと同じ動きである。民主、共和両党のエスタブリッシュメント派は自分たちが行ってきた政策の失敗を反省することから始めなければならないが、アメリカの国力減退は既に手遅れの時期に来ている。人々はますますエスタブリッシュメント派、中道から離れていくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

マムダニがニューヨーク市長選挙民主党予備選で正式に勝利(Mamdani formally wins Democratic primary for NYC mayor

ジャレッド・ガンズ筆

2025年7月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5378850-zohran-mamdani-wins-dems-nomination/

「デシジョン・デスク・HQ」は、ニューヨーク州議会議員ゾーラン・マムダニは、順位付け投票による集計(ranked choice tabulation)が終了し、ニューヨーク市長選挙の民主党候補指名を正式に獲得したと予測している。

先週火曜日の予備選挙後、マムダニは、第1ラウンドの集計で約7ポイントの差で大きくリードしていたため、元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)をはじめとする多くの候補者たちを破る番狂わせ(upset)の勝利はほぼ確実と思われていた。第1ラウンドで2位だったクオモが民主党予備選挙での敗北を認め、マムダニを祝福したことを受け、マムダニは勝利宣言を行った。

しかし、順位付け投票による追加集計は火曜日まで公表されなかった。

ニューヨーク市では、予備選挙日までに消印が押された郵送投票が集計対象となっているため、今後数週間のうちに未集計の投票が集計に加算される可能性がある。

ニューヨーク市の優先順位投票制度では、有権者は最大5人の候補者を優先順位順に選ぶことができる。先週のように、第一希望の票の過半数を獲得した候補者がいない場合、最も得票数の少ない候補者が脱落し、その票は支持者の第二希望の票に再配分される。

このプロセスはいずれかの候補者が過半数を獲得するまで継続される。

他の候補者たちは、得票数が少なすぎて他の候補者からの票を得ても結果に影響がなかったため、第3ラウンドに進む前に脱落した。ニューヨーク市会計監査官ブラッド・ランダーは11.2%で3位、ニューヨーク市議会議長エイドリアン・アダムズは4.2%で4位だった。

他の候補者全ての得票率は2%以下となった。

脱落した候補者の票のほぼ半分は第3ラウンドでマムダニに、4分の1強はクオモに集まった。また、4分の1の有権者は、マムダニとクオモを5人の候補者のいずれにも含めなかった。

マムダニは声明で、先週の予備選挙で民主党が「明確な声(clear voice)」を発し、「住みやすい都市、未来の政治、そして台頭する権威主義に抵抗することを恐れないリーダー」という信任を得たと述べた。

マムダニは「私たちのキャンペーンに投票してくれた54万5000人以上のニューヨーク市民の支持に深く感謝するとともに、エリック・アダムズを破り、働く人々を第一に考える市政を勝ち取る中で、この連携をさらに拡大できることを大変嬉しく思う」と述べた。

2021年からアメリカ民主社会主義党の支援を受けて州議会議員を務めるマムダニは、クオモに代わる進歩的な候補者として自らを売り込み、他の候補者を探している有権者の関心を惹きつけようとした。家賃凍結、無料バス、市営食料品店など、幅広い進歩的な政策提案を行い、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の支持を得た。

マムダニは他の候補者たちからも支持を受けており、特に市の監査役ブラッド・ランダーはマムダニと相互推薦を行っており、他の候補者を第2候補にランク付けするよう有権者に促し、クオモを破る可能性を高めた。

予備選開始当初、勝利の見込みがあるのはクオモかマムダニの2人だけと見られていた。

選挙戦は当初、クオモが他を大きく引き離して圧倒的な優位に立っていたが、他の候補者たちがなかなか支持を集められず、徐々にクオモとマムダニの2人による争いへと移行していた。

クオモは3月に選挙戦に参戦する前からほとんどの世論調査でトップを走っていたが、マムダニはここ数週間でその差を縮め、自身が大きく優位に立っていた若い有権者の支持を獲得した。クオモの強みは、特に高齢者層を中心とした年配層の支持だった。

クオモは、州および連邦レヴェルで長年公職を務めてきた経験を強調した。10年以上知事を務める前は、クリントン政権下で住宅都市開発省を率い、州司法長官も務めました。

クオモはまた、11月の大統領選挙でカマラ・ハリス前副大統領が敗北した後、アイデンティティを模索する中で、市と民主党全体が直面している問題は左派政権のせいだと非難した。

しかし、彼の純支持率は他の候補者のほとんどよりも一貫して低く、有権者の40%が彼に好意的ではないと見ていた。

知事在任中、クオモは新型コロナウイルス感染拡大中の介護施設での死亡者数を故意に過少報告したという非難を受け、複数の女性からセクハラの申し立てを受けた。クオモは、介護施設の監督に関する連邦政府のガイドラインに従っており、ハラスメントの申し立てを一貫して否定していると主張して自己弁護している。

しかし、マムダニは全般的に期待を上回る結果を残した。期待されていた分野では好成績を収め、弱点とされていた層でもまずまずの成績を残した。白人有権者や大学卒有権者に強いと予想されていたが、黒人やヒスパニック系有権者など、クオモがより強いと予想されていた層でもまずまずの成績を残した。

マムダニは、黒人とヒスパニック系が混在する地域や、裕福な高齢の白人地域で勝利を収めた。

しかし、クオモが総選挙で引き続き立候補するかどうかについては疑問が残る。

クオモは既に11月の予備選挙で、ファイト・アンド・デリヴァー党の党首として出馬表明している。予備選後、無所属で立候補するかどうかは、順位付け投票の最終結果を見てから判断すると述べた。

クオモ陣営の広報担当者リッチ・アゾパルディは声明で、30歳未満でこれまで投票経験のない有権者の数が「急増」したことで予備選挙の有権者層は変化したが、クオモの目標は変わりなく、住宅価格の高騰、住宅、教育、公共の安全問題への取り組みと人々の結束を通じて、ニューヨーク市民に「真の変化(real change)」をもたらすことだと述べた。

アゾパルディは、「過激主義、分断、空約束(empty promises)は、この街の問題の解決策にはならない。今回の選挙は予備選挙の有権者の一部の動機を探るものであり、大多数の有権者を代表するものではない」と述べ、マムダニに対するクオモの批判を改めて強調した。 アゾパルディは、「私たちの家族の経済的不安定さはここでの最優先事項だ。だからこそ、実行可能な解決策、結果、そして成果が非常に重要なのだ」とも述べた。

アゾパルディは、「私たちは、今後の対応策を決定していく中で、ニューヨーク市内全域の人々と話し合いを続けていく」と語った。

CNNは、クオモは少なくとも11月の選挙では候補者名簿に残るものの、今後数カ月で積極的に選挙活動を行うかどうかは未定だと報じている。

マムダニは既に、無所属で再選を目指す現職のエリック・アダムズ市長、共和党候補のカーティス・スリア、そして無所属のジム・ウォルデンと対決する構えだ。予備選挙とは異なり、ニューヨーク市の総選挙では順位付け投票は行われず、勝者は他のどの候補者よりも多くの票を獲得するだけで済む。

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ゾーラン・マムダニの勝利から得た6つの教訓(6 lessons from Zohran Mamdani’s victory

スティーヴ・イスラエル筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5372085-6-lessons-from-zohran-mamdanis-victory/

ニューヨーク市の政治は常に大げさで、強引で、ドラマチックなものだった。今週、それはブロードウェイの舞台にふさわしいものとなった。

現職の民主党所属のニューヨーク市長エリック・アダムズは、自身の支持基盤からあまりにも不人気になり、予備選への出馬すら断念した。彼のキャラクターは、トランプ大統領の公然たる反対者から、6件の起訴状を前にトランプ支持者へと転落した。そして驚くべき偶然にも、司法省は起訴状を取り下げた。

ニューヨーク州前知事アンドリュー・クオモが選挙戦に参戦し、莫大な資金集めで中道左派の他の候補者を瞬く間に追い落とした。一方、生まれ持った才能とテレビ映りの良さを兼ね備えた若き運動家ゾーラン・マムダニは、主流政治(mainstream politics)に対する人々の不満に刺激され、民主党支持基盤の左派を固めた。

まるで「ラマンチャの男」と「オール・ザ・キングス・メン」が出会ったかのようだ。

衝撃の結末:民主社会主義者がニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙で勝利した。マムダニが主導権を握った。

多くの中道派民主党員にとって、マムダニの勝利は選挙前の楽観的な予測さえも大きく上回り、体制に衝撃を与えた。しかし、政治家や評論家たちは、この選挙戦から全国的な結論を導き出す際は自己責任で判断すべきだ。そこには、単なる短い言葉の断片を超越する複雑な事情がある。

ニューヨーク市長選挙民主党予備選から得られた教訓をいくつか挙げよう。

第一に、マムダニの勝利は、ほとんどのアメリカ人がイデオロギーの中心、あるいはその付近に位置しているにもかかわらず、アメリカ政治の中心は維持されていないことを示唆している。トランプとその側近たちは、共和党の正統派思想と制度を極右に引きずり込み、マムダニの勝利は民主党が再び極左に引きずり込まれたことを示唆している。私たちは反動的な政治環境(a reactionary political environment)にあり、一方の行動が他方のエネルギーを刺激している。

第二に、民主党にとって、マムダニの選挙運動は、街頭だけでなく州議会や連邦議会代表団においても世代交代を確固たるものにするものだ。より若く、より進歩的な活動家たちが政治システムに参入しつつある。これは、国政、州政、地方自治体における民主党にとって良いことだ。建設的な連携を築き、友軍の攻撃を避けることができれば、なおさらだ。

第三に、今回の選挙から一般的な傾向を推測することはできても、全米の民主党の顔ぶれを決めることにはならない。マムダニは、左派の熱狂の波に乗り、デジタルに精通した統制のとれた選挙戦を展開した。しかし、ニューヨーク市の民主党登録者の30%しか投票に行かなかった中で、彼はこの選挙に勝利した。これは、2026年に連邦下院をひっくり返すために民主党が激戦選挙区で説得する必要のある有権者を代表するサンプルではなかった。マムダニは称賛に値するが、ニューヨーク市ブルックリンとアイオワ州ブルックリンの選挙に勝つことは全くの別物だ。

第四に、民主党にはこの最悪の状況(perfect storm、パーフェクト・ストーム)においても明るい兆しがある。もし民主党が、進歩的左派の巨大なエネルギーで穏健派有権者たちにアピールする常識的な政策アジェンダを実現できれば、民主党は勝利の戦略を手にすることができる。有権者の一方の派閥を満足させるために他方の派閥を見捨てなければならないという議論は、ゼロサム戦略であり、選挙戦の戦場を拡大する方法ではない。左派対中道派ではなく、勝つためには両方がいなければならない。マムダニの焦点は、進歩主義派や穏健派が受け入れることのできる多くの問題、つまり、手頃な価格、生活の質、億万長者減税のための医療費削減に反対することのプレビューに役立つ。

第五に、マムダニの圧勝でさえも、彼の勝利の連合に軟弱な部分があることを明らかにしている。マムダニの勝利は印象的だ。クオモの牙城であるスタテン島とクイーンズでさえも、マムダニが勝利した。しかし、民主党がマムダニの戦略を全国的に採用しようとする動きには警告の兆候がある。

マムダニは 「金持ち優遇(soak the rich)」のメッセージを発していたにもかかわらず、高所得者層と中所得者層によって当選したのに対し、クオモは低所得者層を圧倒的に獲得した。再分配政策にもかかわらず、マムダニが市内の富裕層を納得させることができたのは、マムダニの政治運動にとって良い兆候である。しかし、民主党が2026年と2028年に勝利するためには、労働者階級の有権者を獲得する必要がある。

そして、バーニー・サンダースが2度の大統領選予備選挙で見せたパフォーマンスとは異なり、マムダニはクオモも圧勝した黒人有権者に苦戦した。中間選挙に出馬する民主党が黒人有権者の支持を得られなければ、来年11月に民主党が連邦下院をひっくり返すチャンスはない。マムダニの連合は今回の予備選挙で勝利するには十分だったが、民主党が全国的に勝利するには不十分だ。

第六に、民主党はマムダニのデジタル戦略による草の根動員を再現すべきである。あるXの投稿では、「Zohran Mamdani 」とツイートするだけで、すぐに1000の「いいね!」を獲得できると言われている。これは、彼のヴォランティアがニューヨーク市中の150万以上のドアをノックする、強力な地上戦に変換された。彼のダイナミックなキャンペーンは、クオモの無気力なメッセージングとは対照的だった。

ニューヨーク市長予備選挙は、11月の選挙も同様に奇妙な展開となるだろう。クオモとアダムズには、依然として無所属の票が残っている。共和党候補のカーティス・スリアワは、マムダニの立場、特にイスラエルに対する忌まわしい見解に反発している民主党支持者を引きつける新たな機会を得るかもしれない。

つまり、今後さらにドラマが展開される可能性があるということだ。これはまだ幕間の出来事に過ぎない。

※スティーヴ・イスラエル:ニューヨーク州選出の連邦下院議員(8期)を務めた。2011年から2015年まで民主党連邦下院選挙委員会の委員長を務めた。

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マムダニの勝利は民主党に懸念と教訓をもたらす(Mamdani’s victory brings concerns, and lessons, for Democrats

ダグラス・ショーエン、カーリー・クーパーマン筆

2025年6月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5374228-democrats-leftward-polarization-zohran-mamdani/

2024年の大統領選挙の重要な教訓が、民主党が経済・社会問題において中道に近づく必要があるというものだったとすれば、先週のニューヨーク市選挙は、民主党が教訓を学んでいないことを如実に示している。

実際、33歳の州議会議員ゾーラン・マムダニがニューヨーク州元知事アンドリュー・クオモを破って勝利したことは、民主党が自らのルーツを再発見するどころか、さらに左傾化を続けていることを示唆している。

さらに、進歩派や民主社会主義者はマムダニの総選挙での勝利を喜ぶだろうが、穏健派の民主党員は不安を抱いている。これは、穏健派と進歩派の間で分極化し、どちらの方向へ進むべきか確信が持てない民主党の現状を反映している。

はっきりさせておくと、マムダニの精力的な選挙運動が民主党にとってのロードマップとなるべきであることは否定できない。

マムダニは生活費に対する人々の根深い不満を掘り起こし、通常は有権者たちとしてあまり信頼できない若者の心を躍らせた。さらに、前回の選挙で民主党指導部がほとんどできなかった方法で有権者たちとの繋がりを築いた。

しかしながら、民主党は、民主党が向かっている方向性に警鐘を鳴らしつつも、活力に満ちた明るい選挙戦を展開するための教訓を吸収すべきだと言えるだろう。

マムダニは、あまりにも無意味な政策を掲げて選挙戦を展開し、『ニューヨーク・タイムズ』紙と『ニューヨーク・ポスト』紙の編集委員会を結集させ、ニューヨークのような大都市を率いる能力がないと非難した。

このように、マムダニには4つの根本的な懸念事項があり、民主党がさらに1つの教訓を心に刻むべきだ。

第一の懸念は、マムダニが自らを社会主義と称し、極端な思想を掲げていることだ。2024年の選挙後数カ月にわたる世論調査では、民主党支持者でさえ、党がさらに左傾化するのではなく、中道寄りになることを望んでいることが明らかになった。

ギャラップ社の世論調査によると、民主党支持者と民主党寄りの無党派層のかなりの割合(45%)が、党がより穏健になることを望んでいるのに対し、党がよりリベラルになるべきだと答えたのは29%だった。

2021年に実施された同じ世論調査と比較すると、党が中道化になることを望む民主党支持者の割合は11ポイント増加し、よりリベラルになることを望む割合は5ポイント減少した。

共和党は、マムダニの極左政策、すなわち公共交通機関の無料化、警察予算の削減、そして、ソヴィエト連邦でさえ最終的に悪い考えだと認識した市営食料品店の開設といった政策を、民主党全体の代表として描き出そうとするだろう。

実際、トランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領は既にそうし始めている。

トランプは民主党が「100%共産主義の狂人(100 percent Communist Lunatic)」を選んだことを激しく非難し、ヴァンス副大統領はマムダニを「民主党の新党首(new leader of the Democratic Party)」として冗談交じりに祝福し、さらに彼を「反ユダヤ主義の社会主義過激派(antisemitic socialist radical)」と呼んだ。

第二に、『ニューヨーク・タイムズ』紙が指摘したように、マムダニにはニューヨーク市を統治する資格が全くない。

彼の極左的な思想、経験不足、年齢を別にしても、不動産会社の大物スコット・レヒラーが「資本主義の首都(the capital of capitalism)」と呼ぶ場所で資本主義を攻撃し、大幅な増税を計画していることは、ニューヨーク市の経済を衰退させるに違いない。

同様に、3つ目の懸念は、マムダニが特定の問題でトランプ大統領に対抗できるかどうかだ。

経験豊富で資格もはるかにあるカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)はこの点で成功を収めているが、ニューサムでさえホワイトハウスとの関係構築に失敗することがある。

経験不足のマムダニは、より良い結果を出すことができるだろうか? それとも、より可能性が高いのは、トランプ大統領と、ニューヨーク州知事であるキャシー・ホウクル(民主党)と衝突することになるだろうか。ホウクル知事は、マムダニの選挙運動の柱である減税政策に既に反対を表明している。

マムダニが本選挙で勝利すると仮定すると(実際、勝利する可能性が高い)、最後の懸念が浮上する。それは、マムダニがどのようにニューヨーク市を統治するのかということだ。

もし彼の任期が、非常に似た選挙戦を展開した同じく社会主義者のシカゴ市長ブランドン・ジョンソンのそれと似たものになれば、ニューヨーク市にダメージを与えるだけでなく、民主党の評判を落とすことになるかもしれない。

マムダニは2026年の中間選挙の10カ月前、来年1月に就任宣誓を行う予定だ。そして、彼の任期のピークは2028年の大統領選挙となるだろう。

マムダニの支持率がジョンソンと同程度(最近の世論調査ではわずか26%)であれば、共和党は恩恵を受けるだろう。

民主党所属の連邦議員たちは、生ぬるい支持から完全な拒否まで、様々な反応を示した。

連邦議会民主党指導部のチャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員(ニューヨーク州選出)はマムダニを祝福したが、重要なことは、全面的な支持を表明するには至らなかったことだ。

ローラ・ギレン連邦下院議員、トム・スオッツィ連邦下院議員、ジョシュ・ゴットハイマー連邦下院議員といったニューヨーク州の中道派の民主党議員たちも、マムダニから距離を置いており、ギレン議員はマムダニについて「容認できない反ユダヤ主義的な発言を繰り返しており、非常に憂慮すべきだ」と述べている。

ビル・クリントン元大統領の下で財務長官を務めたラリー・サマーズは、「インティファーダをグローバル化せよ(globalize the intifada)」というスローガンを否定しなかったが、「トロツキスト的な経済政策を提唱する候補者を選出した党の将来について、深く憂慮している」と記している。

確かに、こうした懸念にもかかわらず、民主党にとって、特に党が将来の方向性を決定づける中で、非常に現実的な教訓が1つある。マムダニが勝利したのは、彼が熱意あふれる選挙戦を展開し、有権者をその熱意で鼓舞したからだ。政治的右派と左派の両方の有権者が既成勢力の候補者にうんざりしている時代に、マムダニは非常に現実的な問題を取り上げた。

同様に、マムダニが選挙戦で訴えた問題、主に住宅価格の高騰は、たとえ彼の解決策が的外れであったとしても、正当な懸念事項である。有権者は両陣営の候補者に対し、生活費の高騰が最大の懸念事項であると訴えてきたが、対策はほとんど講じられていない。

これを念頭に置くと、民主党は、現実に根ざさないマムダニのような極端な考えではなく、真の解決策を提示する候補者を選び、選挙活動を行うことが重要だ。

2024年11月の大統領選挙でトランプを勝利に導いた3つの課題、すなわち生活費、犯罪と公共の安全、そして移民問題を考えてみよう。最初の2つの課題について、マムダニは、巨額の公共支出プロジェクトを賄うために、企業を圧迫するほどの極めて高い税金を約束し、(少なくとも過去には)ニューヨーク市警の予算を削減した。これは、昨年11月に有権者に拒否されたジョー・バイデン前大統領やカマラ・ハリス副大統領の政策よりも、はるかに左寄りだ。

そして移民問題に関して、マムダニがニューヨーク市のサンクチュアリシティ法を強硬に支持すれば、民主党はアメリカ国民よりも移民、さらには暴力犯罪者を重視するという考えを強めることになるだろう。

言い換えれば、民主党に必要なのは、有権者と繋がり、彼らが真に関心を持つ問題について、陳腐な言葉ではなく具体的​​な解決策を提示し、熱意を喚起する選挙活動を展開する候補者だ。

結局のところ、民主党は、未来に対する考え方が大きく異なる穏健派と進歩主義派に分極化し(polarized)、岐路に立たされている。民主党は、自らの立場をしっかりと見定め、党がどちらの方向に進むべきかを決めることが不可欠だ。

穏健派が優勢となり、民主党がさらに左派に進むのではなく、その原点に戻ることが私たちの望みだ。

ニューヨーク市はアメリカの大部分を代表するものではない。マムダニのような候補者が党の全国的な顔になったとしても、民主党が近い将来、政治の荒野から抜け出せるとは考えにくいだろう。

※ダグラス・E・ショーン、カーリー・クーパーマン:ニューヨーク市に拠点を置く世論調査会社ショーン・クーパーマン・リサーチの世論調査員兼パートナー。2人は共著で、『アメリカ:団結か死か(America: Unite or Die)』を刊行している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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