古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:チャルマーズ・ジョンソン

 古村治彦です。

 アメリカは高いインフレ率に見舞われ、その対処のために利上げを行っている。高校の現代社会、倫理政経の授業で行うような説明をすれば、利上げを行うことで、社会に出回っているお金が金融機関に預けられることになり、出回るお金が少なることで、物価が下がるということになる。しかし、物価が下がるというのは景気後退を伴う。アメリカは来年に景気後退ということになるかもしれない。アメリカで景気後退ということになれば、世界でも旺盛な需要のアメリカで需要が落ちるということになり、それが世界全体に影響を与えることになる。日本を含めてアメリカとの貿易関係が対外貿易に大きな割合を占めている国々にとってアメリカの景気減速はそのマイナスの影響を大きく受けるという懸念が出てくる。

 ジョー・バイデン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリヴァンは補佐官就任以前に複数の論稿で、「産業政策(industrial policy)」について書いている。産業政策とは国家が特定の産業を保護し育成するというものだ。産業政策と言えば、戦後日本がその成功例である。チャルマーズ・ジョンソン著『通産省と日本の奇跡: 産業政策の発展1925-1975』こそは産業政策をアメリカに知らせて、「日本の経済政策はこうなっているのか」ということをアメリカ政府に知らせた歴史的な書籍である。この本が出た時、通産省では「誰が日本にとって最も重要な秘密をアメリカに知らせるような行為に協力したのか」という犯人捜しのようなことが行われたという逸話が残っている。アメリカは自由市場、政府の介入を嫌うということを基本にしてきたが、それが変化しつつある。補助金などを通じて産業政策で中国と対抗すること、特に半導体分野での競争をもくろんでいる。政府補助金は自由貿易体制を侵害するものだという批判は当然出てくる。

 中国も生後日本の奇跡の経済成長を研究し、自国に政策に応用し、成功させている。中国は国内では自由市場体制を採用していないが、対外貿易では、自由貿易体制の恩恵を受けてきた。アメリカの内向きな政策、保護主義的な政策について「自由貿易体制を侵害する」として反対している。対外貿易の面で見れば、中国が自由貿易体制の擁護者という奇妙な状態になっている。そして、日本の産業政策から学んだであろう米中両国が産業政策を使って対決するという構図になっているのも何とも奇妙な形である。

(貼り付けはじめ)

バイデンの「アメリカ・ファースト」経済政策はヨーロッパとの間に溝を生む恐れがある(Biden’s ‘America First’ Economic Policy Threatens Rift With Europe

-ヨーロッパ諸国では、自動車、クリーンエネルギー、半導体に対するアメリカ政府による膨大な補助金供与が自国の経済にとって危険であると考えられている。

エドワード・アルデン筆

2022年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/05/biden-ira-chips-act-america-first-europe-eu-cars-ev-economic-policy/

ジョー・バイデン米国大統領の就任以降、2年近くの蜜月が続いたが、経済政策をめぐってワシントンとヨーロッパの同盟国の間に大きな亀裂が入りつつある。この対立をうまく処理しなければ、アメリカがヨーロッパやアジアの同盟諸国やパートナーと協力して中国やロシアの野心を抑えるというバイデン政権の新しい世界経済秩序の構想は競合する経済ブロックの世界へと堕落してしまうかもしれない。

数カ月の間、静かに続いていた対立は、先週ついに表に姿を現した。ヨーロッパ連合(EU)の域内市場委員であるティエリー・ブルトンは、今週メリーランド州で開かれる大西洋横断経済政策の重要な調整機関であるアメリカ・EU貿易技術評議会(U.S.-EU Trade and Technology Council)の会合から離脱することを発表した。「評議会の議題は、多くの欧州産業界の閣僚や企業が懸念している問題について十分な議論ができるものではなくなった」と述べ、電気自動車やクリーンエネルギーに対するアメリカの新たな補助金がヨーロッパの自動車メーカーやその他の企業に不利になっているというEUの苦情を指摘した。ブルトンは「欧州の産業基盤の競争力を維持することが急務であるという点に焦点を当てる」と述べた。

先週、新型コロナウイルス感染拡大後初めて開催されたホワイトハウスの公式晩餐会に出席するためワシントンを訪れたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、米国の補助金は「アメリカ経済にとって非常に良いものだが、ヨーロッパ経済と適切に調整されていなかった」と述べた。訪問に先立ち、フランスのブルーノ・ル・メール経済・財務相は、アメリカが中国式の産業政策を追求していると非難した。

今回問題となった補助金は、今年初めにアメリカ連邦議会で可決された2つの巨大法案、インフレイション削減法(Inflation Reduction ActIRA)とCHIPS・科学法だ。前者は、アメリカでクリーンエネルギーをより早く導入するために3700億ドルもの補助金を提供するものだ。その中には、米国で電気自動車を購入した場合の税額控除も含まれているが、これはその電気自動車が北米で組み立てられ、その部品がアメリカまたはその他の「自由貿易パートナー諸国(free-trade partners)」で製造された場合に限られる。このような表現をすると、フォルクスワーゲンやBMWといったヨーロッパの自動車会社が打撃を受けることになるだろう。後者は、半導体メーカーがアメリカに高性能製造工場を新設に対して520億ドル支援するものだ。ヨーロッパ各国の指導者たちは、どちらの法律もアメリカ企業に不当な補助金を与え、ヨーロッパ大陸の競争力問題を悪化させ、アメリカや中国と費用のかかる補助金競争へとヨーロッパを追い込む可能性があると考えられている。

オランダ政府は先週、チップ製造装置の主要メーカーであるASMLASMインターナショナルに対して、中国との関係を断つよう求めるアメリカの圧力に公然と反撃した。アメリカは、高性能の半導体とチップ製造装置の中国への販売を阻止するため、徹底的なキャンペーンを展開しているが、日本やオランダのような同盟諸国を説得するには至っていない。オランダの経済大臣ミッキー・アドリアンセンスは『フィナンシャル・タイムズ』紙に対し、オランダは中国との関係について「非常に前向き」であり、中国への輸出規制については欧州とオランダが「独自の戦略を持つべき」であると述べた。

バイデン大統領とヨーロッパの指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許すわけにはいかないことを十分承知している。

分裂が拡大しているのは、ロシアのウクライナ戦争が一因である。アメリカとヨーロッパは対ロシア制裁とウクライナへの軍事支援で一致団結しているが、ヨーロッパはこの紛争ではるかに高い経済的代償を払っている。ヨーロッパ各国の天然ガス価格は米国の10倍程度に高騰し、ヨーロッパの産業界は大きな不利益を被っている。アメリカは、ヨーロッパがロシアのガスの損失を液化天然ガス(liquefied natural gasLNG)の輸出で埋めるのを助けているが、それは現在高騰している市場価格で販売されている。在ワシントン・フランス大使のフィリップ・エチエンヌは、『フォーリン・ポリシー』誌の取材に対して、「アメリカがヨーロッパに液化天然ガスを提供してくれるのはありがたいが、価格については問題がある」と述べた。

より長期的に見れば、バイデン政権の産業政策(industrial policies)の相反する目標が争点の中心になる。一方では、アメリカは、将来の産業にとって重要な技術や投入物を供給する中国の役割を減らし、強固なサプライチェインを構築することを望んでいる。そのためには、無駄な重複を防ぎ、供給の弾力性を高めるために、同盟諸国との密接な協力、つまり、政権が「友人たちとの共有(フレンドシャアリング、friendshoring)」と呼んでいるものが必要である。一方、中国との競争もあって製造業が失われたことは、アメリカの安全保障を弱め、経済に悪影響を与えたと考え、アメリカの製造業の復活を切望している。また、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州などの各州では、製造業の雇用喪失が民主党への支持を低下させた。アメリカの新たな措置はいずれも、企業がヨーロッパや他の緊密なパートナー諸国ではなく、アメリカに投資することを有利にするものだ。

バイデン政権の商務長官であるジーナ・ライモンドは、自分の父親はロードアイランド州にあるブローヴァの時計工場で28年間勤めていたが、同社が生産を中国に移したことで失業したと先週マサチューセッツ工科大学で行ったスピーチで述べた。ライモンドは「これからは、未来の技術をアメリカで発明するだけでなく、その製造もアメリカで行うようにすべきだ」と述べた。このような考え方は、アメリカの同盟諸国やパートナー国にとって都合の悪いものだ。それは、アメリカがこれらの国々に対して新たな規制を受け入れるよう主張し、多国籍企業が安価なエネルギーと寛大な補助金を利用するためにアメリカに移転したり生産を拡大したりすることで、中国市場を失うという可能性に直面することになるからだ。

このような懸念を抱いているのはヨーロッパだけではない。世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は、無差別規範(貿易相手国が平等に扱われるという条件)を保護しようとしている。イウェアラは、バイデン政権が提示する二者択一を受け入れる国はほとんどないと主張する。「多くの国は2つのブロックのどちらかを選ぶことを望んでいない」と彼女はオーストラリアのロウリー研究所でのスピーチで述べた。このような選択を強いることは、アメリカ、中国、その他の国々が協力せざるを得ない問題での進展を損なう恐れがある。彼女は、「弾力性と安全保障の構築を目的とした政策による分断(デカップリング)は、結局は自己目的化してしまい、気候変動、新型コロナウイルス感染拡大、政府債務危機などの集団的課題に対する協力に悪影響を及ぼす可能性がある」と警告した。

バイデンは、マクロンとの公式晩餐会に先立って、ヨーロッパ各国の懸念を認識し、それを改善しようとする意思を示す言葉を発している。バイデンは、米仏両首脳が「私たちのアプローチを調整し、連携させるための実際的な手段を議論することに合意した。大西洋の両側で製造と革新が強化されるようにした」と述べた。マクロンは、「両首脳は、私たちのアプローチを再び同調して進めることに合意した」と繰り返した。バイデンは「私たちは、存在するいくつかの違いを解決することができる。私はそれを確信している」と述べた。

しかし、その詳細は簡単に解決できるものではないだろう。バイデンは、上記の法律には修正すべき「不具合」があることを率直に認めた。しかし、例えば、自由貿易パートナーが生産する商品への補助金の拡大に関するインフレイション削減法の文言を拡張して、EUを含めることができるかどうかは不明だ。また、議会や政権、鉄鋼や太陽光発電などの業界には、アメリカは製造業の復活が遅れていると考え、この法案の「アメリカ第一」原理にこだわる人々が多い。彼らは、この法律の過度に寛大な解釈に反発するだろう。

バイデン大統領とヨーロッパ各国の指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許す訳にはいかないことを十分承知している。冷戦の最盛期以降で、ロシアと中国の二重の脅威が、アメリカとヨーロッパに、エアバス社とボーイング社への補助金をめぐる長い論争のように、ストレスの少ない時代には何年もくすぶっていたかもしれない経済問題を協力し解決することを迫っているのである。

この大きな賭けは、両者が解決策を見出すことを示唆している。マクロン大統領は「この状況下では、私たちは協力する以外に選択肢はないのだ」と述べた。

※エドワード・アルデン:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ウエスタン・ワシントン大学非常勤教授。外交評議会上級研究員。著書に『調整の失敗:アメリカは如何にして世界経済を置き去りにするのか(Failure to Adjust: How Americans Got Left Behind in the Global Economy)』がある。ツイッターアカウント:@edwardalden

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世界各国がインフレイションを下げようと躍起になっている中で世界規模での景気後退に起きると国連が警告(UN warns of a global recession as countries race to lower inflation

トバイアス・バーンズ筆

2022年10月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/3673894-un-warns-of-a-global-recession-as-countries-race-to-lower-inflation/

国連は、アメリカやヨーロッパなどの先進諸国の規制当局が高騰するインフレイションを抑えようとする中、月曜日に世界的な景気後退の発生を警告した。

国連は、アメリカ連邦準備制度(U.S. Federal Reserve)をはじめとする中央銀行に対し、「軌道修正し、これまで以上に高い金利に頼ることで物価を下げようとする誘惑を避けるように」と呼びかけた。

アメリカ連邦準備制度は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済活動停止を受けて、景気が減速し、40年ぶりの高水準にあるインフレイション率を下げようと、金利を引き上げている。3月以降、金利は0%前後から3から3.25%へと上昇している。

しかし、国連の主要な経済関連団体をはじめに、世界各国の金融当局の姿勢を見直すことを求める声が高まっている。彼らは、インフレイション目標を下げることは、継続的な金利引き上げの痛みに見合わないと主張している。アメリカ連邦準備制度の中央値予想によれば、来年の金利は4.6%に達すると見られている。

国連貿易開発会議U.N. Conference on Trade and DevelopmentUNCTAD)は月曜日に発表した報告書の中で、中央銀行に対し、今後の景気後退は「政策によるもの(policy-induced)」であり「政治的意思(political will)」の問題であるとし、軌道修正するよう促した。

国連貿易開発会議のグローバライゼイション部門の部長であるリチャード・コズル・ライトは声明の中で、「政策立案者たちが直面している本当の問題は、あまりにも多くのお金があまりにも少ない商品を追いかけることによるインフレイション危機ではない。あまりにも多くの企業が高すぎる株式配当を支払い、あまりにも多くの人々が給料日から給料日までの間の生活に苦労し、あまりにも多くの政府が債券支払いから債券支払いまで何とか生き残っているという、分配に関する危機的状況である」と述べている。

月曜日の国連貿易開発会議報告書は、世界経済における最後の高インフレイション期との比較を軽んじ、今日の経済状況は1970年代とは本質的に異なり、両者の間に類似点を見出すことは「過ぎ去った時代の経済の内臓を調べ上げること」に等しいと述べている。

具体的には、賃金上昇が物価上昇をもたらし、その逆もまた同じだ(物価上昇が賃金上昇をもたらす)という賃金価格スパイラルは、今日の世界の価格ダイナミクスにとって重要な力ではないとしている。

UNCTADの報告書は、「1970年代を特徴付けた賃金価格スパイラルが存在しないにもかかわらず、政策立案者たちは、ポール・ヴォルカーが率いていたアメリカ連邦準備制度が追求したのと同じ規模ではないにしても、短期間の鋭い金融ショックが、不況を引き起こすことなくインフレ期待を固定するのに十分であると期待しているようだ」と述べている。

同時に報告書は次のように書いている。「しかし、多くの国で起きている深い構造的・行動的変化、特に金融化、市場集中、労働者の交渉力に関する変化を考えると、過ぎ去った時代の経済的内臓をふるいにかけても、ソフトランディングに必要なフォワードガイダンス(forward guidance 訳者註:中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明すること)は得られそうにない」。

アメリカ国内のコメンテーターたちの中にも、40年前にインフレイションを引き起こした賃金と物価のスパイラルを軽視し、今日の経済のグローバライゼイションを強調し、同様の見解を示す人たちがいる。

ウエストウッドキャピタルの経営パートナーであるダン・アルパートはインタヴューで次のように語った。「インフレが賃金価格スパイラルを引き起こすと考えるギリシャの大合唱がある。しかし、それは供給サイドを無視しており、賃金価格スパイラルが発生した1970年代と今日の供給状況の大きな違いを無視している。今日、私たちは膨大な量の外生的な供給と商品、つまり世界中から商品がやってくるのだ」。

米連邦準備制度は7月の会合議事録で、「賃金価格スパイラルの欠如」と指摘し、国内経済では賃金上昇と物価上昇の相互強化が作用していないことを認めている。

しかし、ジェローム・パウエルFRB議長は、講演や公的な発言でこの2つの概念をしばしば結びつけている。9月の記者会見では、FRBの金利設定委員会の委員たちが「労働市場の需要と供給が時間の経過とともに均衡し、賃金と物価に対する上昇圧力が緩和されることを期待する」と述べた。

パウエル議長は、「アメリカ人は利上げによる経済的痛みを感じるための準備をいつまで続けるべきか?」と質問され、「いつまでか? それは、賃金に影響を与え、それ以上に物価に影響を与えるまでだ。インフレが下がるのにどれだけ時間がかかるかによる」と答えた。

より大きく言えば、パウエル議長は、景気後退や経済減速の痛みは2つの悪のうち小さい方で、大きい悪は米国の消費者にとって常に物価が上昇することだと主張している。

パウエルは8月に「金利の上昇、経済成長の鈍化、労働市場の軟化はインフレ率を低下させるが、家計や企業には痛みをもたらす。これらはインフレを抑えるための不幸なコストだ。しかし、物価の安定を回復できなければ、はるかに大きな痛みを意味する」と述べている。

共和党はインフレに対してタカ派的なスタンスをとっており、賃金価格スパイラルは景気後退に直面しているアメリカ経済にとって依然としてリスクであると主張している。

連邦下院歳入委員会の共和党側幹部委員ケヴィン・ブレイディ連邦議員(テキサス州選出、共和党)は月曜日にCNBCのテレビ番組に出演し、「確かに、賃金スパイラルはかなり危険だ。どの国もそうでありたいとは思わないが、私たちは深くその中にいる。私たちは伝統的な定義のスタグフレイションの状態にある」と語った。

ブレイディ議員は「私が懸念しているのは、FRBがインフレを減速させるために必要な失業率を知っているかどうかということだ。つまり、インフレ減速を達成するために経済成長をどの程度減速させるべきか、彼らが知っていると私には思えない。私は、彼らがここで手探り状態になっていることを心配している」と述べた。

インフレがもたらすリスクについては違いがあるものの、共和党所属の政治家たちや国連のエコノミストの中には、過去10年間の超緩和的な金融政策は行き過ぎだったという意見を一致して述べる人たちがいる。

パット・トゥーミー連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、共和党)はインタヴューの中で、「私たちはあまりにも長い間非常に金融緩和政策を採用していたので、資産価格は高騰し、少しやり過ぎということになった。そして今、金利を正常化しているので、風をいくらか弱める傾向にある」と述べた。

国連のエコノミストたちも、月曜日の報告書とともに発表された声明の中で、ほぼ同じことを述べている。

UNCTADは「超低金利の10年間で、中央銀行は一貫してインフレ目標を下回り、より健全な経済成長を生み出すことができなかった」と書いている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 日本政治研究から政治学全体に大きな貢献となったのは、チャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson、1931-2010年、79歳で没)著『通産省と日本の奇跡: 産業政策の発展1925-1975 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス)』(TBSブリタニカ、1982年;勁草書房、2018年)だ。この本では日本の奇跡の経済成長(1960年代から1970年代にかけての高度経済成長)について、通産省(MITIMinistry of International Trade and Industry)主導の「産業政策(Industrial Policy)」が実現したということを分析している。本書の官僚主導(Strong State Model)、産業政策という分析ツールは他の国々の分析にも適用可能なものとなり、大業績となった。

 その後、1980年代の日米経済摩擦から「日本異質論(Revisionism)」の親玉のレッテル貼りがされたが、この動きは複雑なものだった。詳しくは拙著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』を読んで欲しいが、チャルマーズ・ジョンソンほど日本に詳しく、親日家であった人物を「日本を西洋とは違う国だと言って非難している」という方向に捻じ曲げた変な議論だった。これは簡単に言えば、産業政策潰しの言説でもあった。この時代に産業政策潰しの論稿を発表していたのが竹中平蔵だという事実も合わせて考えると、この時期から日本潰し、日本の窮乏化のための動きは始まっていたということになる。

 産業政策を徹底的に研究して実地に応用して成功を収めたのが、中国ということになる。中国社会科学院の日本部では、戦後の日本の動きをバブル崩壊まで徹底的に研究し、分析し、実地に応用しているということを私は複数の専門家から聞いた。

 更に、最近になって、アメリカでも産業政策が必要だ、産業政策は悪くないという疑問出てくるようになった。私はこの動きを追いかけていきたいと思う。今回の論稿はそのためのスタートということにしたい。

(貼り付けはじめ)

アメリカが産業政策を導入する時がやって来た(The Time for America to Embrace Industrial Policy Has Arrived

-アメリカは常に経済のある部分を、他の部分を犠牲にして、助けてきた。こうしたことを正す時だ。

ジャレッド・バーンスタイン筆

2020年7月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/07/22/industrial-policy-jobs-climate-change/

長年にわたり、アメリカ経済をいかにして助けるかについての議論において負けたいと思えば、「産業政策(industrial policy)」という言葉を出すだけで良かった。産業政策には、国家規模でのゴールを追求し、政府が支援の対象とする特定の産業分野を選択することが可能であり、またそうすべきだという考えだ。産業政策には、低利のローン(low-cost loans)、政府保証(grants)、補助金(subsidies)、優遇税制措置(tax breaks)、6000億ドル(約66兆円)の政府の調達予算を利用しての財やサーヴィスの直接購入が含まれる。保守派だけではなく、産業政策に対する批判者たちは、産業政策について、政府の頭でっかちな人々(eggheads)が「勝利者を政府が選択する」などという馬鹿げた内容だと批判し、社会主義国での計画経済(socialist planned economies)が、そうした政府のやり方は失敗に終わることを証明していると指摘している。

コンセンサスは急速に変化している。2019年12月、共和党所属の連邦上院議員マルコ・ルビオは、中国の攻撃的な国家資本主義(state capitalism)に対抗するために、「アメリカの産業政策を再活性化すること」を求めた。民主党大統領選挙候補者ジョー・バイデンによる新しい提案を議論する中で、『ウォールストリート・ジャーナル』紙のジェラルド・サイブは次のように書いている。保守派の人々はかつて、産業政策という考えを「自由市場への有害な干渉」と激しく非難してきたが、現在は、保守派の中にも、「アメリカの製造業を支援するために」産業政策を主張する人々が出て来ている。(情報公開:私は、オバマ大統領第一期において当時のバイデン副大統領のチーフエコノミストを務め、今回の大統領選挙において非公式の形でバイデンに助言を行っている)

実際のところ、コンセンサスの変化は、制作における新たな考えに関係しているというよりも、目を覚まさせるということである。他の先進職と経済発展が著しい国々と同じく、アメリカも産業政策を追求してきた。その際の問題は、国家が産業政策を採用すべきかどうかではなく、その政策について透明性を保とうとするかどうかです。そして、さらに重要なことは、効果的で包括的な国家のゴールを促進する賢い政策を実施する意思があるのか、それとも政府とつながりの深いロビイストたちの命令を聞いた結果の逆効果の政策を採用するのかということ問題だ。

 アメリカ政府が金融業界に与えている特権を考えてみよう。金融業界が顧客に販売する資産や提供する取引は、税法によって多額の補助がされている(キャピタルゲインは、給与よりも低い税率で課税が延期され、有利な税制となっている)。規制緩和によって業界の規模と収益性が大幅に向上し、世界的な金融危機につながった住宅バブルの時のように、規制がない金融業界が組織的に(意図的に)リスクを過小評価した場合に失敗しても、税金を使った救済措置によって即座に失敗の埋め合わせが行われる。

金融業界への優遇は最悪の形態の産業政策であり、それが長年にわたり私たちの目前で展開されてきた。しかし、金融業界だけがアメリカ政府によって優遇された産業分野ではなかった。金融業界以外にも、農業全体、砂糖業界、防衛・宇宙産業、シリコンヴァレーも優遇されてきた。シリコンヴァレーに政府から補助金が与えられ、ラップトップや携帯電話が出現するかなり前から、シリコンヴァレーの製品を政府が購入しなければ、シリコンヴァレーは存在できなかったことだろう。

産業政策支持という考えは、アメリカ史に深い根を持っている。1790年の第一回の一般教書演説(State of the Union)の中で、ジョージ・ワシントン大統領は、次のように述べた。「アメリカ人の安全と利益のためには、必要不可欠な物資の供給、特に軍事関連物資の供給を他国から独立するために、製造業の成長を促進する必要がある」。18世紀には意味のあった政策が、今は必ずしも意味のあるものではないとしても、重要なサプライチェインを陸上に置く必要性は、当時から明らかだった。

しかし、産業政策の理論的根拠は変わらずに強力だ。例えば、人間の諸活動によって引き起こされる気候変動について考えてみよう。再生可能なエネルギー源に投資する政策によって、それを覆さなければならない。電気自動車(と電気チャージステイション)、新しい、効率的なグリッド、公共交通機関のような環境保護努力へと投資が必要だ。これらの中には、民間企業が取り組まないであろう、古典的な公共財が存在する。

このような産業政策の道具には、クリーンエネルギーを製造し、購入するための税制のインセンティヴ、再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(電力会社に再生可能エネルギーによるエネルギー生産を一定割合で義務付けるルール)、製造方法やエネルギー構成によって世界の他の国々に課している環境コストを各国に内在化させるための国境調整税、クリーンエネルギー生産者に対する政府の直接支援などがある。

このような国際的な側面は、産業政策のもう一つの根拠となっている。長年にわたり、中国やドイツを含む他国では、輸出を支援するために消費者による消費が抑制されてきた。中国のケースでは、競争力を促し、貿易黒字を生み出すために通貨価値が管理されてきた。アメリカのように生産量よりも消費量の方が多い国では、必然的に製造業の製品は輸出よりも輸入が多くなり、貿易赤字となった。アメリカのケースでは、貿易赤字を埋めるために、外国からの貸付(ローンが)が洪水のように流れ込み、サブプライムローン問題を含む、アメリカの金融セクターの信用サイクルの破壊を助長した。

こうしたことは賢明で堅実な産業政策を持たないことで引き起こされる結果だ。アメリカの競争相手は自国内で給料の高い雇用を維持するために投資をし、次の大きな世界的需要に自国の産業を合わせようとする。一方、アメリカは戦略的な産業政策を放棄し、アメリカの消費者と製造業者に負担をかけることになる完全の撤廃を敢えて行い、国際規模の貿易を深化させ、誰の役にも立たない状況を生み出している。政府調達のための「バイ・アメリカン(Buy American [アメリカ製品を買おう])」計画を含む、アメリカの製造業の成長を促し、クリーンエネルギーを支援するバイデン大統領の計画を理解するためにはこうしたことを理解しなければならない。

当然のことだが、産業政策は製造業以外でもうまく適用されねばならない。製造業はアメリカ国内では生産高と雇用の10%を占めているに過ぎない。サーヴィス部門において、産業政策が対象とすべき、最も実りが多いのは子育て関連分野である。アメリカは他の先進諸国よりも子育て関連分野の遅れが目立っており、新型コロナウィルス感染拡大によって、この重要な産業分野を成長させるための政策の欠如していることが明らかになった。子育て関連産業へのアプローチとしては、公立こども園の設立による直接保育の実施、保護者や事業者への補助金の支給、3歳から4歳までの子ども全てを対象とした一律の幼稚園入園前教育の導入などがある。これらの政策の明白なゴールは、子育てのかかるコストを引き下げて、親たちに労働市場への参入をしてもらうということだ。(低所得もしくは中程度の所得を得ているアメリカの世帯は平均して所得の35%を子育て関連に支出している。この割合はヨーロッパの2倍以上となっている。)

ジェニファー・ハリスとジェイク・サリヴァンは今年初めに『フォーリン・ポリシー』誌に論稿を発表し、その中で、「産業政策を主張することは、かつて恥ずべきことだと考えられた。しかし、今では当然のこととして考えられるようになっている」と書いている。アメリカが国として存続している限り、他の全ての国と同じように産業政策を実施してきた。これからもそうしていくだろう。アメリカは、給料の高い雇用、生活水準の向上、国際競争力の高い産業を育成し、子育てや気候変動などに影響を与えている市場の失敗を相殺するために、透明性が高く賢明な産業政策を実行することになるだろう。産業政策を実行しなければ、恥ずべきことであり、また世界から遅れていることになるし、何よりもアメリカ人とアメリカ経済にとって良くないことである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 先週のG7会合はイギリス南部のコーンウォール半島で開催された。対中政策、インド太平洋地域における中国の動きを以下にけん制するか、ということが話されたが、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で書いている通り、中国は着々と準備を進めている。この対中強硬路線を推進しているのは、「バイデン政権のアジア政策のツァーリ(Asia Tsar)」と評されるカート・キャンベル国家安全保障会議インド太平洋調整官である。そして、バイデン政権の対中強硬姿勢の中心にいるのは、アントニー・ブリンケン国務長官である。

 しかしながら、バイデン政権は対中強硬一辺倒ではない、というのが私の見立てだ。それは、対中強硬ではない、ジェイク・サリヴァンが国家安全保障問題担当大統領補佐官として政権内に入っているからだ。サリヴァンは中国との競争は破滅に向かわない方向で行うべきという論文も書いている。

 そして、重要なのは、サリヴァンが「産業政策(industrial policy)」に注目している点だ。日本では経済産業省が2021年6月4日「経済産業政策の新機軸」という構想を発表したが、その中にサリヴァンの発言も引用されている。今回のG7会合で、「コーンウォール・コンセンサス」メモという文書が配布されたそうだが、この肝いりはサリヴァンであり、日本の経産省からの人員もメモ作成にかかわったと考えられる。国家とビジネスの関わるの部分はそのまま産業政策のことを示唆している。

 産業政策研究と言えば、古典的業績であるチャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson、1931-2010年、79歳で没)の『通産省と日本の奇跡-産業政策の発展 1925-1975(MITI And the Japanese Miracle: The Growth of Industrial Policy, 1925-1975)』(1982年)だ。新自由主義が隆盛となったここ30年ほど、産業政策について顧みられることはなかった。しかし、時代は産業政策の時代となりつつあるようだ。

 チャルマーズ・ジョンソンについては拙著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造 (四六判上製)』(2012年)で詳しく取り上げたが、チャルマーズ・ジョンソンに再びスポットライトが当たる日が来るのかもしれない。

(貼り付けはじめ)

「コーンウォール・コンセンサス」はこちらです(The ‘Cornwall consensus’ is here

G7で集まっている世界の首脳たちはグローバライゼーションが効率性と同時に脆弱性も生み出しているという主張を受け入れている。

ジリアン・テット筆

『フィナンシャル・タイムズ』紙

2021年6月11日

https://www.ft.com/content/aa45eccb-5e0e-477a-8278-db7df959e594

 

30年前、イギリス人の経済学者ジョン・ウィリアムソンは「ワシントン・コンセンサス(Washington consensus)」という言葉を作り出した。この言葉は、自由市場、グローバライゼーション推進に基づく様々な考えの集合体である。これらの考えをアメリカの指導者たちをはじめ世界各国の指導者たちは世界中で促進していた。

しかし、現在、新しい言葉が出てきている。それは「コーンウォール・コンセンサス(Cornwall consensus)」だ。

笑わないで聞いて欲しい。この言葉は、金曜日のコーンウォールでのG7各国の指導者たちによる会合に先立ち、アドヴァイザリーメモとして配布された文書のタイトルなのである。これは本当だ。7か国の学者と政策担当者たちが集まってつくられた委員会によって書かれた文書で、「新型コロナウイルス感染拡大からより良い未来を構築するための野心的な政策集」とされている。

このメモの内容はいささか曖昧で、大袈裟な考えを含んでいる。「世界規模の衛生上の問題についての対応におけるより広範な平等と団結」といった大仰な言葉が使われている。しかし、より詳細な提案も同時になされている。例えば、「金融安定理事会(Financial Stability Board)」と同様の「データとテクノロジー理事会(Data and Technology Board)」を創設し、世界規模でインターネットを監視すること、気候関連テクノロジーに関連する「ヨーロッパ原子力研究組織(CERNEuropean Organization for Nuclear Research)」の創設などが提案されている。

どちらにしても、このメモが示しているのは、「G7諸国は企業法人税を巡り一致協力して動く」という細心の動向が、新しいイデオロギーに沿って、西洋諸国が協力するという新しい段階に入ったということである。

投資家たちはどのように結論付けるだろうか?投資家の多くは冷ややかな笑いを送るだろう。結局のところ、G7での様々な会合は儀式の枠から出るものではなく、そこで出されるメモも儀式的な省庁の意味しか持たない。そして、「コーンウォール・コンセンサス」提案は、何かしら意味があるように思われるが、これからすぐに採用されるということもない。

しかし、この儀式的な表現を無視するのは、いかなるビジネスや投資家にとっても馬鹿げたこととなるだろう。多くの人類学者が指摘しているように、象徴は重要なのだ。それが「空っぽ(empty)」であったり、現実離れしたりしていても、象徴は、あるグループがどのように機能するかについての前提を反映し、補強しているものなのだ。そのため、今回の「コーンウォール・コンセンサス」メモは、前提がどのように変化しつつあるかを示す、示唆に富むスナップ写真ということになる。

このメモは極めて重要だ。投資家や企業の経営陣の多くが時代精神の絶え間ない大きな変化への対応に苦闘している。こうした人々はワシントン・コンセンサスが隆盛を極めた時代にキャリアをスタートさせた。私たち人類は、常に自分たちを取り巻く文化的環境に影響される生物であり、自分たちの信条を、思考のための「自然な」方法だとして取り扱っている。

ここに5つの取り上げるべき重要な点がある。第一に、今日の指導者たちは、政治上の、予想外の出来事の発生を恐れている。30年前、マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガンといった政治上の最重要人物たちは、自由市場に基づいたグローバライゼーションは全ての人間に利益をもたらすと当たり前のように考えていた。今日の指導者たちは、自由市場の果実は人々の間に均等に行きわたらず、そのために人々からの反撃を誘発している(これがポピュリズムだ)。「包摂(Inclusion)」は新しく人々の間で頻繁に使われる言葉になっている。

第二に、G7各国の指導者たちは、グローバライゼーションと自由市場に基づいた競争は公立を生み出すと同時に脆弱性を生み出すということに気付いている。以前であれば、個別の各企業のインセンティヴによって、最適化された国境を越えた供給チェインを作ることができるだろうと指導者たちも考えた。現在では、世界規模のサプライ・チェインは、集合行為問題によって脅威に晒されているということを指導者たちは認識している。ビジネスにおいては、各企業が個別で利益が最大になるようにするため、ある中心点に集中する行動を取る傾向がある。しかし、そうした中心点とシステムが壊れると、大混乱に陥ってしまう。結果として、「回復力(Resilience)」という言葉もまたよく聞かれるようになっている。

第三に、G7での議論は中国の脅威によって活発化させられている。「コーンウォール・コンセンサス」メモの中に中国の名前は直接出ていない。しかし、先進的なテクノロジーのためだけではなく、医療資源と天然資源のためでもある世界規模でのサプライ・チェインの多角化を求める内容がメモには書かれている。遅ればせながら、西洋諸国の各政府は、世界規模でのチップの生産を台湾を中心としたハブに集中させたことが深刻な間違いであったことを認めるようになっている。西洋諸国の各政府はこの間違いを繰り返したくないと考えている。

第四に、微妙だが、根深いものとして、ビジネスと政府との相互関係がリセットされている真っ最中ということがある。ワシントン・コンセンサス隆盛時代、各企業はお互いに競争し合う独立したアクターと見られていた。そこに政府の関与はないとされた。現在は、政府とビジネスの間の「パートナーシップ」について語られている。

政府からの鑑賞が最小限の自由企業体制(Free enterprise)は現在でも重要視されている。しかし、「パートナーシップ」は、現在の社会的に重大な諸問題に対応するための枠組みとなっている。ワクチンの獲得、気候変動対応、中国とのテクノロジー上の競争といったものが現在の重大な問題となっている。

最後に、経済学は、バイデンのホワイトハウスやその他あらゆる場所で、現在再定義の中にある。経済学は狭い範囲の数理モデルに集中してきたが、現在は、「外部性(externalities)」として片づけられてきた諸問題に関心が集まっている。環境、医療衛生、社会的な諸要素がそれらにあたる。

皮肉屋たち(もしくは熱心な自由市場信奉者たち)は、これら全てはアメリカ政治における一時的な左傾化、もしくは新型コロナウイルス感染拡大に対する短期的な反応を反映しているに過ぎないと述べるだろう。

その可能性は否定しない。しかし、私はそうではないと考えている。結局のところ、このイデオロギー上の移行を引き起こしているのは、新型コロナウイルスだけではなく、中国の台頭、気候変動の脅威、そして、ソヴィエト連邦崩壊以降に西洋で蔓延した自由市場に関連する思い上がりの消滅、といった要因である。そして、この新しいシステム構築を目指す人々は政治上のあらゆる立場の人々の中で見ることができる。「コーンウォール・コンセンサス」メモを生み出した諮問グループを組織したのは、保守党が率いるイギリス政府だったのだ。

新しい時代精神(zeitgeist)を好ましいと思うか、よくないと思うか、それはどちらも起きるだろうが、これを無視することは誰にもできない。歴史が示しているのは、知的な前提が変化する場合、それは緩慢に進む。楕円型の振り子は長期間にわたって揺れ続ける。儀式的な人工産物は時に重要性を持つ。「コーンウォール・コンセンサス」メモはそうしたものの一つとなるだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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