古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:チャールズ・コーク

 古村治彦です。

 チャールズとデイヴィッドのコーク兄弟と言えば、一時期はアメリカ政治を陰で操る大実業家というイメージだった。バラク・オバマ政権成立後に始まった保守派の草の根運動ティーパーティー運動に全面的な資金提供を行ったのがコーク兄弟だった。ドナルド・トランプ政権のマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンぺオ国務長官などは連邦議員時代にコーク兄弟から政治資金提供を受けていたこともあり、このブログでも紹介したが、「コーク兄弟のための国務長官だ」とまで言われるほどだった。
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デイヴィッド(左)とチャールズ
 コーク兄弟も弟デイヴィッドが2019年に79歳で死去してしまい、85歳になる兄チャールズが残された。コーク家には4名の男性兄弟がおり、長男はフレデリック(2020年に86歳で死去)、次男がチャールズ(85歳)、その次が双子でデイヴィッド(2019年に79歳で死去)、ビル(80歳)という構成になっていた。兄弟たちの父フレッドが創設したコーク・インダストリーズを従業員13万人の大企業に育てたのは、チャールズとデイヴィッドの力が大きい。長男は芸術家肌で事業には全くの不向き、末っ子のビルはコーク・インダストリーズに入っていたが、兄たちと喧嘩別れし、自身でオックスバウという会社を立ち上げ成功させた。また、ヨットの世界的な大会アメリカズ・カップでも優勝している。

 コーク兄弟はリバータリアニズムを信奉していることでも知られていた。リバータにリアニズムについて簡単に言うと、反税金、反福祉、反規制、反大規模政府ということで、徹底的に規制や制限を嫌い、無政府主義にまでつながる思想である。コーク・インダストリーズの主要ビジネスが石油採掘や精製で、政府の既成と常に戦ってきたということもある。そのため、現実政治では、民主党ではなく、共和党と共和党所属の政治家たちを応援してきた。

 コーク兄弟は自分たちが政治献金をするだけではなく、政治献金をする大金持ちたちのネットワーク作りも行い、成功した。コーク兄弟に誘われて政治献金をするようになった大金持ちたちも多い。

 こうしたことは拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン、講談社、2016年)に詳しく述べられている。

 チャールズが今になって後悔している、というのが下の記事だ。コーク兄弟はさんざん当時のオバマ政権と民主党を攻撃した形になっている。それが今になって「分断を招いた」として「間違っていた」と後悔しているというのだ。そして、貧困問題やホームレス、麻薬中毒といった社会的な問題について取り組みたいなどと殊勝なことを述べている。

 コーク兄弟はトランプ大統領が嫌いで、2016年の段階では対抗馬を支援していたし、トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名されても全く動かなかった。質実剛健を旨とする中西部に生まれ育ち、実業(コーク・インダストリーズの主要なビジネスは石油採掘と精製、更に父親以来の牧場経営もある)の世界で生きていたチャールズ(兄や弟たちはフロリダ州や東海岸で贅沢な暮らしをしてきた)と、トランプでは肌合いが全く異なるということはあるだろうし、チャールズからすれば、「お前はずっと民主党員だったし、保護貿易主義者ではないか」という反感が強いと思われる。

 チャールズは前回紹介した「トランプ現象、トランプ主義」に恐れおののいたのだろう。チャールズもまた名門中の名門大学マサチューセッツ工科大学を卒業して会社経営を行っているエリート側の人間だ。そして、リバータリアニズムを信奉し、関連著書を読み漁ってきた研究者タイプの人間でもある(書斎は本で埋め尽くされている)。しかし、現実は厳しい。チャールズは、トランプ現象、トランプ主義をアメリカの衰退の始まりともとらえて、高尚な思想運動や政治運動ではなく、足元の共同体や社会が抱える諸問題に取り組むという決心をしたのだろう。しかし、それはもう手遅れだ。アメリカの分断は分裂に向かう

 バイデン・ハリスという新政権誕生に何の高揚感もないのは、トランプ現象で本の表紙が開かれた、アメリカの衰退のページが新たにめくられたと人々が感じているからだろう。世界中の人々が、「デモクラシーの本家本元だと威張り腐って、俺たちに散々説教してきたが、お前らの選挙制度一つ、うまくやっていないじゃないか。もっと効率的で公正で、疑義を挟まれない形でできる選挙のやり方を教えてやろうか」と思うようになっている。

 チャールズの言葉は何かとても物悲しく、アメリカの終わりを印象付けるものだ

(貼り付けはじめ)

チャールズ・コークは自身の党派性について後悔:「やれやれ、私たちは間違ったのか!」(Charles Koch regrets his partisanship: 'Boy, did we screw up!'

カエラン・デシー筆

2020年11月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/news/525878-charles-koch-regrets-his-partisanship-boy-did-we-screw-up

共和党への大口献金者チャールズ・コークは、党派性を持ち続けた数十年を後悔し、政治的な分裂の間をつなぐことに注力したいと望んでいると発言した。『ウォールストリート・ジャーナル』紙が金曜日に報じた。

大統領選挙直前に行ったインタヴューの中で、85歳になるリバータリアニズムを信奉しているビジネス界の大立者は、ウォールストリート・ジャーナル紙に対して、これまで保守的な大義のために多額の資金を投じてきたが、今の関心は貧困、麻薬中毒、ギャングによる暴力、ホームレス、累犯といった諸問題に関心が移りつつあると述べた。

長年にわたり、チャールズとデイヴィッドのコーク兄弟は保守的な大義と候補者たちに資金を投入するための影響力を持つネットワークを構築した。チャールズ・コークはコーク・インダストリーズの最高責任者の地位にとどまり続けている。コーク・インダストリーズは13万人の従業員を抱える数十億ドルを稼ぎ出すコングロマリットである。

コークが共著として木曜日に発売開始した最新刊『人々を信じる:トップダウンの世界のためのボトムアップの解決法』の中で、自身の党派性の強い政治がもたらす分断と呼ぶものについて考察している。

チャールズは本の中で「やわやれ、私たちは間違ったのか!」と書いた。そして、「なんてことだ」とも書いた。

コークは統合を呼びかけているが、2020年の選挙において共和党所属の候補者たちへ多額の資金のほとんどを投じた。280万ドルを共和党に寄付し、民主党の候補者には22万1000ドルを寄付した、とウォールストリート・ジャーナル紙は報じている。

コークは、大統領選挙候補者ジョー・バイデンと副大統領候補者カマラ・ハリスの選挙の勝利に対して祝意を表した。そして、「私たちは選挙後の時間を使ってより良い前進の方法を見つけたい」と述べた。

トランプ大統領と共和党所属の連邦議員たちのほとんどはバイデンを大統領選挙勝利者と言及することを拒絶している。連邦議員たちは選挙結果についてトランプ陣営が行っている法律的な争いを支持している。

コークは、「私たちは党派争いのために、政治について過剰に期待し、私たち自身とお互いについて過小に期待するようになってしまっている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)の主人公コーク兄弟の弟デイヴィッド・コーク(David Koch、1940-2019年)が亡くなりました。79歳でした。兄チャールズ(Charles Koch、1935年―)は83歳で、弟の死去を発表するという不幸に見舞われました。

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アメリカの真の支配者 コーク一族

 

 コーク兄弟は2018年において保有資産608億ドルずつで、世界で第8位の大富豪です。彼らはコーク・インダストリーズという石油精製を中心とした多角経営の大企業を経営しています。コーク・インダストリーズは非上場企業で、非上場企業としては全米第2位の規模を誇ります。2人の資産の多くはコーク・インダストリーズの株式ということになります。コーク・インダストリーズの株式はほぼ親族だけで独占されています。

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デイヴィッド(左)とチャールズ 

 昨年、デイヴィッドが公的な活動からの引退を発表し、アメリカ政治に大きな影響を与えた「コーク兄弟」は解体ということになりました。この時から既に健康を害していたのでしょう。この一年がデイヴィッドにとって家族との穏やかな日々であったのだろうかと考えると感慨深いものがあります。

 

 コーク兄弟は正式には4名いるのですが、長男のフレッデリック(1933年―、86歳)はコーク・インダストリーズの経営に全く関与しておらず、莫大な財産を受け継いで慈善事業家として活動しています。フレデリックだけハーヴァード大学で人文学を専攻し、芸術家肌の人物です。フレデリックは早い段階でコーク・インダストリーズの後継者レースから脱落しました。

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フレデリック

次男チャールズと双子の弟たちデイヴィッドとビル(Bill Koch、1940年―、79歳)は、父フレッドと同じくマサチューセッツ工科大学の工学系を卒業し、コーク・インダストリーズの経営を引き継ぎましたが、ビルは仲違いをし、離れていきました。結局、コーク・インダストリーズの経営はチャールズとデイヴィッドが行うことになりました。


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ビル
 

チャールズとデイヴィッドは「コーク兄弟」とひとくくりに呼ばれました。彼らは、アメリカ政界、特に共和党系、保守系の候補者や運動に多額の資金を提供し、影響力を行使することで知られてきました。2008年のバラク・オバマ大統領誕生後から始まったティーパーティー運動の資金源としても知られています。

 

 コーク兄弟は様々な組織や団体に資金提供を行い、ネットワーク化していきました。このネットワークは、コーク・ネットワークと呼ばれています。また、コーク兄弟は、他の大富豪たちを組織化し、共和党を支持する大富豪グループも形成しました。


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 コーク兄弟が形成した組織や団体のネットワーク、大富豪のネットワーク、政治家たちからドナルド・トランプ政権に入った人たちが多く出ました。下の図にあるように10名上がトランプ政権入りをしています。また、トランプ選対の責任者だったコーリー・ルワドンスキーなど選対にはコーク・ネットワークで活動家だった人々が入っていました。マイク・ペンス副大統領やマイク・ポンぺオ国務長官は政治資金の面でコーク兄弟に大いにお世話になった人々です。

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 コーク兄弟はトランプ大統領を支持していませんが、自分たちが支援してきた人々からトランプ大統領を支える人材が多数出ているというのは何とも皮肉なことです。コーク兄弟はリバータリアニズムという反大きな政府、反税金、反福祉、反規制の考えを拡大させようとして活動してきました。兄弟からしてみれば、トランプ大統領の国境封鎖や関税引き上げのような政策は受け入れられるものではありません。

 

 特に現在の米中貿易戦争のような状態を、自由貿易体制を標榜するコーク兄弟は容認できません。また、伝統的な共和党の政治家たちも自由貿易体制を壊すものとして容認できないものです。自由紡績体制を標榜するはずの共和党から出ている大統領が保護貿易を行うというのはこれまでの考え方らすると大きな矛盾です。このような大きな矛盾が起きているのは、アメリカの力が衰退し、世界帝国の地位を維持できなくなりつつあるからです。

 

 コーク兄弟は2008年からの草の根の保守運動ティーパーティーの資金源であったことをも知られています。現在、ティーパーティー運動は下火になっています。それに代わって、大きな矛盾を抱え込んだトランプ大統領流のポピュリズムがアメリカを席巻しています。

 

 デイヴィッドの死去は、コーク兄弟の力の衰えと共にアメリカ保守運動の衰退、リバータリアニズムへの支持の減退といったことを象徴していると私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

大富豪にして保守系の慈善事業家デイヴィッド・コークが79歳で死去(Billionaire conservative philanthropist David Koch dies at 79

 

ジョン・ボウデン筆

2019年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/458521-billionaire-david-koch-dies-at-79

 

大富豪のデイヴィッド・コークが金曜日午前に79歳で死去した。デイヴィッド・コークは兄と共に長年にわたり、保守系の活動家、献金者として活動したことで知られている。

 

金曜日、チャールズ・コークは声明を発表し、その中で「私の弟であるデイヴィッドの逝去について発表することについて私の気持ちは沈んでいる。デイヴィッドと活動を共にした人は誰でも彼の人格の大きさと人生に対する熱意を感じ取ったはずだ」と述べた。

 

チャールズ・コークは続けて「今日は私たち全員にとって大変悲しい日であるが、私が皆さんに知っていただきたいのは、デイヴィッドがコーク・インダストリーズを現在のような成功に導いて下さった皆さん方を大変誇りに思っていたということだ。彼の逝去をこれからも悲しむことになるだろうが、彼が生きたということを決して忘れはしない」と述べた。

 

デイヴィッド・コークは健康上の理由でちょうど1年前にコーク・インダストリーズの経営陣から退いていた。

 

彼は20年以上前に前立腺がんと診断され、それ以来、数多くのがん研究に関する慈善活動や医療グループに多額の献金を続けた。

 

デイヴィッドがコーク・インダストリーズの経営陣から退いた時、チャールズ・コークは記者団に対して、「様々な問題が解決されておらず、彼の健康状態は悪化し続けている」と述べた。

 

昨年、チャールズ・コークは「その結果としてデイヴィッドは実業の世界や様々な組織的な活動に関与することが出来なくなっている」と述べた。

 

コーク一族は共和党の候補者たちやリバータリアニズムの大義に対する膨大な政治献金を行ってきたことで知られている。

 

チャールズとデイヴィッドは共にティーパーティー運動を資金面から援助したことでも知られている。ティーパーティー運動のおかげで共和党は2010年の中間選挙で連邦下院の過半数を制することが出来た。

 

デイヴィッド・コークは多くの共和党の候補者を支援し、当選させている。しかし、彼は2016年の大統領選挙でトランプ大統領を支持しなかった。彼は共和党の減税計画を声高に支持した。1980年にはリバータリアン党の副大統領候補として選挙に出馬した。

 

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デイヴィッド・コークについて知っておくべき5つのこと(Five things to know about David Koch

 

マリナ・ピトフスキー筆

2019年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458570-5-things-to-know-about-david-koch

 

大富豪の実業家にして保守系政界の大口献金者デイヴィッド・コークが金曜日に79歳で亡くなった。

 

1960年代、デイヴィッドは兄チャールズと共に、父フレッド・コークからコーク・インダストリーズの経営を引き継いだ。コーク・インダストリーズは原油、石油パイプライン、その他数多くの化学や一般消費者向けの製品を取り扱っている。会社は現在、非上場企業の多角経営企業としては全米で2番目の規模を誇るまでになっている。『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、年間売り上げは1000億ドル以上を記録している。

 

しかし、コーク兄弟はアメリカ政治に分裂をもたらすほどの影響力を行使してきたことで知られている。数十年にわたり、コーク兄弟は州レヴェルと全国レヴェルにおいて共和党とリバータリアン党の政治運動に資金を提供してきた。兄弟は様々な組織と政治活動委員会をネットワーク化し、アメリカ全土で小さな政府、反規制を促進してきた。

 

2005年にリバータリアン系の雑誌『リーズン』誌の編集長ブライアン・ドアティの取材に応じた。その中でデイヴィッドは次のように語っている。「私が成長する中で繰り返し言い聞かされてきたのは、大きな政府は悪い、私たちの生活や経済活動に政府のコントロールを課すことは良くない、という考えでした」。

 

ここでデイヴィッド・コークについて知っておくべき5つのことを書いていく。

 

●政治に対して数十億ドルを使った

 

デイヴィッドと兄チャールズは数十億ドルもの資金を提供し、アメリカの保守政界に大きな影響を与えてきた。10以上のグループを組織し、それらのグループを使って影響力を行使してきた。コーク兄弟はこれらのグループを創設したり、数百万ドル規模の資金援助をしたりしてきた。これらのグループはコーク・ネットワークとして知られるようになった。

 

2016年の大統領選挙、連邦議員選挙、州知事選挙だけで、コーク・ネットワークは約9億ドルを支出した。『ワシントン・ポスト』紙によると、この額は共和党全体でその年に候補者たちに使った総額とほぼ同じであった。

 

コーク・ネットワークは2018年の中間選挙期間中に最大4億ドルを支出する計画だと発表した。コーク・ネットワークは2020年の選挙に向けて新たに4つの政治活動委員会を発足させた。しかし、コーク・ネットワークのチュ心的存在であるアメリカンズ・フォ・プロスペリティは2020年の大統領選挙に直接関与することはないと発表している。

 

コーク兄弟は政治運動以外にも数百万ドルを支出し、特に民主党や進歩主義派の政策を攻撃させた。例えば、コーク・ネットワークは、2010年から2012年にかけて2億ドルを投じてオバマケア廃止に向けた運動を展開した、とワシントン・ポスト紙は報じた。

 

コーク・ネットワークはワシントン政界で影響力を持つ人々の多くを支援してきた。ジョニ・エルンスト連邦上院議員(アイオワ州選出、共和党)への支援をはじめ、マイク・ペンス副大統領のインディアナ州知事選挙の支援、マイク・ポンぺオ国務長官の連邦下院議員選挙の支援などを行った。ワシントン・ポスト紙は、連邦下院議員時代のポンぺオについて「コークに送り込まれた連邦下院議員」として知られていたと報じている。

 

●トランプとの危険をはらむ関係

 

デイヴィッドとチャールズは、トランプが2016年の大統領選挙期間中に、コーク兄弟からの資金を求めていた他の共和党候補者たちを「操り人形」と攻撃した後、トランプ大統領の選挙に反対し、彼を支持しなかった。

 

ニューヨーク・タイムズ紙によると、2016年の大統領選挙後に開催されたトランプの祝勝会にデイヴィッド・コークは出席し、更にトランプ所有のマーラゴ・リゾートで当選者であったトランプと会談を持った、ということだ。しかし、コーク兄弟率いる組織はトランプ政権の各政策に反対した。特に公共支出政策や移民に対する発言に反対した。

 

しかしながら、コーク兄弟は特に貿易問題についてトランプ大統領と異なる考えを持っていた。兄弟は自由貿易を強固に主張していた。そして、チャールズ・コークはトランプの関税支持やその他の保護主義的な政策をアメリカにとって「有害だ」と批判した。

 

コーク・ネットワークに属する各グループ、「フリーダム・パートナーズ」「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ」「LIBRE・イニシアティヴ」などが昨年、トランプの関税政策に対して、複数年の数百万ドル規模のプログラムを発足させた。このプログラムでは、連邦議員たちに対するロビー活動、活動家たちの訓練、政策に反対する政治広告が含まれていた。

 

トランプ大統領は昨年ツイッターでコーク兄弟を攻撃した。トランプ大統領は兄弟を「グローバリスト」「真の共和党関係者たちからしてみれば冗談のような存在」とこき下ろした。

 

●デイヴィッドはリバータリアンだったが、主に共和党の主張を支持してきた

 

1980年、デイヴィッド・コークはリバータリアン党の副大統領候補となった。大統領候補は企業弁護士エド・クラークだった。

 

二人の公約は、企業法人税と個人の所得税の全廃、メディケアの廃止、児童労働禁止法の廃止だった。二人はレーガン大統領の当選に対して、1%の得票率しか得られなかった。しかし、選挙戦を戦った経験によってデイヴィッド・コークは、アメリカにとってリバータリアン的政策が重要なのだという信念を固めることが出来た。

 

デイヴィッドは貿易、税制、規制緩和、選挙資金制度改革などの諸問題について共和党を支持していた。しかし、デイヴィッドはABCニュースの取材に対して、自分自身を「社会問題に関してはリベラル」と規定した。

 

デイヴィッドはLGBTQの婚姻、女性たちの中絶を含む生殖に関する諸権利をはじめ、中東からの米軍の撤退や予算を均衡させるための手段としての軍事費の削減のような民主党が主張している諸政策を支持した。

 

しかし、コーク兄弟は、数多くのシンクタンク、ロビー団体、その他のグループに数百万ドルの資金を提供し、気候変動に関する政策や環境に関する研究や法制化を止めようとした。また公共交通プログラムも阻止しようとした。

 

「グリーンピース」はコーク・インダストリーズを「科学的な気候変動研究を否定する中心的存在」と非難した。

 

●ティーパーティー運動の台頭に資金援助

 

デイヴィッドは2008年に始まったティーパーティー運動の台頭に資金援助を行ったことで知られている。ティーパーティー運動はオバマ政権に反対するために始まった。コーク兄弟が率いる「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ」は選挙運動への政治献金、論点整理、動員の援助を通じてティーパーティー運動の指導者たちに資金援助を行い、運動の規模拡大を支援した。

 

2010年、『ニューヨーカー』誌はジェイン・メイヤーによるアメリカンズ・フォ・プロスペリティの影響力に関する分析記事「隠された作戦」を掲載した。その中で、アメリカンズ・フォ・プロスペリティは、「ロビイストや利益団体によってかき消されている平均的なアメリカ人の声」を集めるとして、諸団体の幹部を集めた会議を開催したり、多くの人々を集めるイヴェントを組織したりした。

 

ニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカンズ・フォ・プロスペリティは少なくとも1億ドルをティーパーティー運動に投じ、アメリカを右傾化させようとしたということだ。

 

それにもかかわらず、デイヴィッドは2010年の『ニューヨーク・マガジン』誌とのインタヴューの中で、ティーパーティー運動から出てきた候補者に資金を提供したことなどないと述べた。

 

デイヴィッドは「私はティーパーティー運動のイヴェントに行ったことなどありません。ティーパーティー運動を代表する人が私に連絡をして来たことすらないんです」と述べた。

 

●民主党にとっての怪物となる

 

「コーク兄弟」という言葉は、多くの民主党員や支持者にとって、極右の政策を主張する存在として捉えられるようになっている。特に選挙資金制度改革とアメリカ政治における大富豪の影響力といった諸問題に関しては、コーク兄弟という言葉が深く結びついている。

 

2012年の大統領選挙期間中、当時のオバマ大統領はコーク兄弟を狙い撃ちにしたテレビコマーシャルを流した。テレビコマーシャルは、ミシガン州、ノースカロライナ州、オハイオ州、ヴァージニア州といった激戦州の有権者たちに対して、流された。コマーシャル内ではコーク兄弟の名前は直接言及されなかったが、「秘密主義の石油産業で財を成した大富豪たちがファクトチェックをするというテレビコマーシャルを使ってオバマ大統領を攻撃しているが、そのテレビコマーシャル自体が事実に基づかないものだ」と主張するものであった。2012年当時、こうした事実をニューヨーク・タイムズ紙は紙面を通じて報じた。

 

デイヴィッド・コークの死去が発表された後、ツイッター上ではデイヴィッドの長年にわたる様々な方法でのアメリカ政治への影響力行使について非難する書き込みが続いた。

 

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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 古村治彦です。 

 2020年米大統領選挙に関しては、民主党のことばかりお伝えしています。今回は現職のドナルド・トランプ大統領が再選を目指しているので、共和党予備選挙はあまり意味がありません。下の記事にあるように、共和党全国委員会はトランプ大統領に一本化しようという動きに出ています。

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 そうした中で、トランプ大統領に挑戦する候補者が出てきました。元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルドが大統領選挙共和党予備選挙に立候補を表明しました。ウェルドの勇気は素晴らしいですが、トランプ大統領に勝てるチャンスはありません。

 共和党内でトランプ大統領に反対する動きは「ネヴァー・トランプ(Never Trump)」がけん引しています。ネヴァー・トランプを引っ張っているのは、ネオコン派の重鎮ビル・クリストルだそうです。2016年の段階で、トランプ大統領誕生を阻止しようとしていたそうですが、失敗してしまったそうです。

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ビル・クリストル

 一方、トランプ大統領が是認している、インフラ整備のガソリン税増税に対して、リバータリアンのチャールズ・コークが支援している運動団体が反対運動を展開しています。チャールズ・コークに関しては、拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(デイヴィッド・シュルマン著、講談社、2015年)をお読みください。弟のデイヴィッドと共に政治活動を行ってきましたが、デイヴィッドが健康問題もあり、政治活動から引退したので、チャールズだけが頑張っています。

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チャールズ・コーク

 トランプ大統領の融通無碍な動きに共和党内部は振り回され、結果として、思想的に堅固なネオコン派とリバータリアンが反対を堅持しているという構図になっているようです。

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共和党員ウィリアム・ウェルドがトランプ大統領に挑戦するために予備選挙に出馬(Republican William Weld launches primary challenge against Trump)
ジョナサン・イーズリー筆
2019年4月15日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/438997-republican-william-weld-launches-primary-challenge-against-trump

 元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルド(共和党)は月曜日、トランプ大統領に対抗する長期にわたる共和党予備選挙に正式に出馬表明を行った。

 ウェルドは、2016年にはリバータリアン党の副大統領候補として立候補した。ウェルドは立候補声明の中でトランプ大統領の名前に言及しなかった。

 ウェルドは次のように語った。「政治的対立が激化している現在、民主、共和両党は“あらゆる犠牲を払っても勝利”という戦いにからめとられている。アメリカ国民の声は無視され、私たちの国は苦しみの中にいる」。

 ウェルドは続けて次のように語った。「アメリカを偉大な国となした大義以上のものは地上には存在しない。今こそ我らが偉大な国に住む愛国的な男性、女性は立ち上がり、旗を立てる時だ。今こそリンカーンの諸原理、全ての人々への平等、尊厳、機会に立ち戻る時だ」。  ウェルドが共和党の予備選挙でトランプ大統領を倒すことはほぼ不可能である。

 トランプ大統領の選対は2019年第一四半期で3000万ドル以上の資金を集め、現在4000万ドル以上を保有している。最新のギャロップ社によると、共和党支持者の89%がトランプ大統領に好意的な見方をしている。 共和党全国委員会は予備選挙で挑戦者が出現することを阻止し、大統領に対して「一丸となった支持」を表明しようと動いている。トランプ選対は共和党の職員や関係者をスタッフに迎え入れ、2020年の全国大会でサプライズが起きないように代議員に対する働きかけを準備している。

 共和党員による「ネヴァー・トランプ」グループを率いるのは『ウィークリー・スタンダード』誌の創始者ビル・クリストルだ。このグループはこれまで会合を複数回開き、トランプ大統領に挑戦する予備選挙立候補者をリクルートしてきた。彼らは誰を挑戦者にするか決めておらず、またウェルドを挑戦者の第一候補としては考えていなかった。

 共和党員の中にはメリーランド州知事ラリー・ホーガン(共和党)、もしくは元オハイオ州知事ジョン・ケーシック(共和党)がトランプ大統領に挑戦するために予備選挙に出馬するという期待を持っている人たちもいる。

 「ネヴァー・トランプ」の共和党員たちが自分たちの考える有力候補を擁立できたとしても、トランプ大統領の共和党の候補者指名を覆す努力は途方もないものとなるだろう。

 2016年の時もクリストルはトランプが共和党の候補指名を確実にしてから保守派から挑戦者をリクルートするという成功の見込みがない努力を行った。ある時点では、クリストルはアメリカ海兵隊中将だったジョン・ケリーを擁立できるという希望を持っていたが失敗に終わった。ケリーは後にトランプ大統領の首席補佐官を務めた(後に辞任)。

 この当時の「ネヴァー・トランプ」の共和党員たちは最終的に有力な候補者を擁立することに失敗し、弁護士で『ザ・ナショナル・レヴュー』誌の寄稿者デイヴィッド・フレンチに白羽の矢を立てた。フレンチは保守系メディア界隈以外での知名度がほとんどない人物であった。フレンチは最終的に出馬を辞退した。

 2016年の共和党全国大会では、少数のしかし発言力のある共和党員たちが候補者指名の手続きを妨害し、トランプの候補者指名を阻止しようとした。彼らの最後の努力も水泡に帰した。

 元CIA職員で現在は共和党系のコンサルタントのエヴァン・マクミランはトランプに抵抗を示すために予備選挙に立候補し地元のユタ州で得票の21%を獲得した。しかし、トランプ支持の牙城を崩すには至らなかった。トランプは共和党が圧倒的に強いユタ州での人気は低かったがそれでも楽勝できた。

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コーク・ネットワークはトランプ大統領が提案しているガソリン税に反対する広告攻勢を開始(Koch network launches ad campaign opposing Trump's proposed gas tax)

ジョナサン・イーズリー筆
2019年4月11日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/438367-koch-network-launches-ad-campaign-opposing-trumps-proposed-gas-tax 

 大富豪にして保守運動の活動家チャールズ・コークが支援する保守グループは、インフラ整備の財源のためにガソリン税を増税するという提案に反対するTVCMキャンペーンに10万ドル単位の資金を提供している。

 チャールズ・コークが支援するグループ「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ(AFP)」は木曜日から20州の30選挙区向けにインターネット広告を開始した。これは、ガソリン税増税に反対するために、連邦上院財政委員会、連邦上院環境・公共事業委員会、連邦下院歳入委員会、連邦下院運輸・社会資本委員会の委員たちに圧力をかけることを目的としている。

 AFPの会長トム・フィリップスはCMの中で次のように語りかけている。「ガソリンスタンドに立っているアメリカ国民により多くの支払いを求める前に、連邦議員たちは行き過ぎていることを解決すべきです。それは、ガソリン税で集めたお金が道路や橋とは関係のない計画に使われていることを止めることです」。

 ティム・フィリップスは続けて次のように述べた。「アメリカ国民は安全で近代的な連邦政府の所管する高速道路システムを使って、旅行をしたり、仕事・学校と家を往復したり、家族を訪問したりしています。そして、連邦議会に対しては、これらの大切な日常生活の一部にかかるコストを相応の値段に抑えておいて欲しいと願っています」。

 フィリップスは加えて次のように語った。「連邦議員たちは、ガソリン税を増税することが税制改革の成果を台無しにするという事実について考えるべきです。ガソリン税の増税で税制改革で手元にお金が残ることで一息ついている低所得、中所得のアメリカ国民から数十億ドルのお金を奪うことになるのです」。

 トランプ大統領は連邦議員たちとの非公式の会談で、インフラ整備予算案に関して民主党と認識を共有するために連邦ガソリン税の増税について否定はしないと述べた。

 1ガロン当たり25セントの増税は民主党の連邦議員たちとアメリカ最大のビジネス界のロビー団体全米商工会議所の支持を受けている。

 AFPはインフラ整備計画の財源を別に探すように求めている。パブリックプライベートパートナーシップ(PPP)、規制緩和、労働規制の一部の廃止を検討するように主張している。

 ホワイトハウスと分裂している連邦議会の議員たちは、全米の道路や橋の修理のための計画に関して超党派のコンセンサスに到達できると楽観的である。 今年初め、トランプ大統領は非公式、非公開の会談の場での発言で連邦議員たちを驚かせた。ロイター通信の報道によると、大統領は員すら整備計画の財源としてガソリン税の1ガロン当たり25セント増税を支持するだろうと述べた、ということだ。

 トム・カーパー連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)は取材に対して次のように語った。「驚くべきことに、トランプ大統領は今日の会合で、1ガロン当たり25セントのガソリン税とディーゼル税の増税し、その資金で我が国の道路、高速道路、橋梁の改善を行うという計画を支持しました。大統領はこの計画のために必要ならば自身の指導力を提供し、過去には困難であったことを実現すると述べた」。

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 古村治彦です。

 

 アメリカの中間選挙(Midterm Elections)まで残り約1カ月となりました。現在のところ、連邦上院では、共和党の改選議員が少ないこともあり、共和党が過半数(共和党:51議席、民主党:49議席)、連邦下院では、民主党が過半数(218)を超える勢いです。

 

 アメリカ政界に大きな影響力を持つコーク・インダストリーズ会長チャールズ・コークが率いる政治運動ネットワークが今年の中間選挙に向けて動きを活発化させています。チャールズは弟デイヴィッドと共にコーク兄弟として、共和党の大口献金者として活動していましたが、今年6月にデイヴィッドが健康上の理由で会社経営や政治活動からの引退を発表しましたので、「コーク兄弟」という枠組みは解消となりました。

 

 今回、コーク・ネットワークは無条件で共和党の候補者を応援しないと決めています。トランプ大統領の推進した財政支出や関税政策について賛成した現職議員は応援しない場合があるとしているようです。また、刑法改革や移民政策で、子供の頃に親に連れられてアメリカにやってきて不法移民となった人々に対する市民権付与を主張する民主党議員でも応援を検討しているということです。

 

 チャールズ・コークが信奉しているリバータリアニズムは政府による規制、経済や社会への介入を嫌うので、外国からの輸入品へ関税をかけることには反対です。この点で、政府が財政出動することにも反対となります。また、人々の自由権利を最大限擁護するので、親に連れられて不法移民状態になった人々への市民権付与にも賛成です。

 

 こうして見ると、チャールズ・コークは共和党というよりは、ドナルド・トランプ大統領と相容れず、かえって民主党の一部の政策と近いということになります。

 

 2016年の米大統領選挙では、オバマ政権の副大統領であったジョー・バイデンに対する待望論がありました。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、積極的に外国への介入を行って、アメリカが泥沼にはまってしまうという危機感がありました。そうした中で、リベラル派とリバータリアン派が協力して、リベラル・リバータリアン連合を形成して、バイデンを推して、ヒラリーを追い落とすべきだという主張もありました。

 

 今回の中間選挙では、チャールズ・コーク率いるコーク・ネットワークは反トランプの姿勢を打ち出しています。コークにしてみれば自分たちは長年共和党員であったが、トランプなんてついこの間まで長く民主党員をやってヒラリーと親密だったではないかという気持ちもあるのでしょう。そして、共和党の議員でトランプ寄りの姿勢を取る議員を応援せずに、民主党の議員を応援する場合もある、検討するとまで打ち出しています。トランプの高関税政策などは民主党が本来主張してきた政策ですから、民主党にしてみても、トランプ政権に対しては是々非々ということになるでしょう。

 

 トランプ大統領がこれまでにない動きを見せているために、アメリカ政治もしばらく奇妙な連合と分裂が起こることになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

コーク・ネットワークが中間選挙に向けてスーパーPACを発足させる(Koch network launches super PAC ahead of midterm elections

 

ジョナサン・イースリー筆

2018年9月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/405820-koch-network-launches-super-pac-ahead-of-midterm-elections

 

大富豪の活動家チャールズ・コークの支援を受けている政治運動ネットワークは月曜日、新たなスーパーPAC(政治活動委員会)を発足させた。設立の目的は、ネットワークの保守的なそしてリバータリアニズムの価値観を共有する候補者を当選させることだ。

 

コーク・ネットワークの政治部門である運動組織「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ(Americans for ProsperityAFP)」は、「AFPアクション」という組織を新たに創設した。AFPアクションは、ヒスパニック系の創設したスーパーPACである「リブレ・アクション」、「コンサーンド・ヴェテランズ・フォ・アメリカ(アメリカの現状を憂うる退役軍人たち)」と協力して、「人々の秘めている可能性の実現を妨げる国内、対外関係の両方における障壁を壊すという私たちの目標を共有する候補者たちを支援する」ことを目的としている。

 

新たなスーパーPACであるAFPアクションは、保守的、もしくはリバータリアン的考えを持つ大富豪たちから巨額の資金を集めることが出来るだろう。しかし、スーパーPACの役員たちは、2018年の中間選挙でどれくらいの資金を投入するのかという質問に対して、回答を拒否した。

 

今回の中間選挙で、コーク・ネットワークは総額で4億ドル(約440億円)以上を投入すると見られている。

 

AFPアクションの広報担当ビル・リッグスは次のように語った。「AFPはこれまで、接戦となる選挙において、私たちの支持する政策の実現に協力する候補者を応援することで、政治に新たな力を送り込んできた。AFPアクションは、こうした私たちの努力の幅を広げるための新しい道具となり、より大きな影響力を与えることになる」。

 

コーク・ネットワークは、トランプ大統領と共和党が過半数を占める連邦議会に対する不満を高め、戦略を練り直している。そうした中でスーパーPACであるAFPアクションが創設された。

 

コーク・ネットワークはトランプの関税政策に反対を表明し、コーク・ネットワークの幹部たちはトランプ大統領の言動を批判し続けている。彼らは、今年の3月に連邦議会が1兆3000億ドル(約140兆円)の公的支出計画を承認し、トランプ大統領が署名して法制化したことにも怒りを募らせている。

 

今年初めに開催された大口献金者たちの集まりにおいて、コーク・ネットワークは支援する候補者をより厳しく選択していくと発表した。共和党が連邦上院で何とか51議席(全100議席)を確保し、連邦下院では民主党が過半数を獲得するという厳しい見通しではあるが、共和党所属でも支援しない候補者も出てくると発表したことになる。

 

AFPはノースダコタ州の連邦上院議員選挙で、現職のハイディ・ハイトカンプ連邦上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)に挑戦する共和党のケヴィン・クラマー連邦下院議員(ノースダコタ州選出、共和党)を支援しないと決定した。ノースダコタ州は2016年の大統領選挙でトランプが圧勝した州である。AFPは、財政支出法案、農業関連法案、輸出入銀行創設に賛成したクラマーを支援しないと発表した。

 

コーク・ネットワークは今回の中間選挙で財政支出に賛成した共和党議員を懲らしめ、刑法改革と実験的な麻薬解禁法など重要な分野で自分たちの考えに沿った投票を行った民主党議員を支援するために、広告や手紙などに多額の資金を投入している。

 

コーク・ネットワークはまた、「ドリーマーズ(訳者註:子供時代に親に連れられてアメリカにやってきて成長した不法移民)」への市民権付与を進めるために民主党の候補者への支援も検討している。

 

現在でも、コーク・ネットワークの資金のほとんどは、共和党の候補者や保守的な主張に提供されている。ネットワークは、トランプ大統領によって指名されたアメリカ連邦最高裁判所判事候補ブレット・カヴァナウの承認を訴えるテレビ広告に数百万ドルを投じている。

 

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領の保護主義的貿易政策に対して、チャールズ・コーク、デイヴィッド・コークのコーク兄弟は反対を表明しています。政府が経済活動に介入することに反対し、全てを市場に委ねるリバータリアニズムの信奉者であるコーク兄弟としては当然の反応です。これに対して、トランプ大統領はツイッター上でコーク兄弟を非難しています。その言葉が「グローバリスト(globalist)」です。

 

 グローバリストという言葉は副島隆彦先生によって日本に紹介されましたが、世界を一つの価値観でまとめ上げる、具体的にはアメリカの価値観でまとめ上げることを目的に動く勢力のことを指します。そのために外国に積極的に介入します。介入主義者(インターヴェンショニスト、interventionist)とも言います。

 

 リバータリアニズムを信奉するコーク兄弟は、アメリカが外国に介入することに反対します。ですから、チャールズ・コークは古くからヴェトナム戦争に反対し、ジョージ・W・ブッシュ政権下でネオコンが主導したイラク戦争にも強く反対しました。

 

 コーク兄弟は、共和党を支持していますが、これは「民主党は全くもって問題外だが、共和党はまだまし」ということです。共和党内でリバータリアニズムに基づいた政策を支持する政治家を増やそう、それでリバータリアニズムに基づいた政策を実施させようということになります。ネオコンや妥協的な政治家たちを支援しないということで、コーク兄弟は反主流派ともなっています。

 

 現在のトランプ大統領もまた共和党主流派、体制派ではなく、人々の怒りを集めて大統領になったこともあって反主流派ということになります。トランプ政権で閣僚になった人たちの多くがコーク兄弟と関係が深いということは以前本ブログでもご紹介しました。トランプの減税政策はコーク兄弟の利益にも合致するものです。しかし、コーク兄弟は、「大企業優遇の減税は経済システムを歪めるものだ」「一般の人々のためのものではない」と批判しています。

 

 コーク兄弟に関して、トランプ大統領の「グローバリスト」という批判は当てはまりません。コーク兄弟が信奉するリバータリアニズムとトランプ大統領が代表するポピュリズムはともに海外へのアメリカの介入には批判的です。ここでの問題は経済活動に対して政府が介入すべきかどうかということであり、トランプ大統領の関税政策は経済の邪魔になる、市場によってコントロールされている経済を人為的に歪めるというのがコーク兄弟の主張です。この点で両者は対立しています。トランプ大統領としては雇用を生み出すということを公約にして当選している以上、貿易戦争にまで突っ走ってしまうのは当然ということになります。

 

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●「トランプ、反保護主義掲げるコーク兄弟と対立 共和党支持組織を罵倒」

2018年7月31日 ロイター

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/post-10707.php

 

米共和党の強力な支持組織として知られるコーク・ネットワークが、トランプ米大統領の貿易政策に批判的な姿勢を示し、大統領が組織を公然と批判する騒ぎに発展している。

 

トランプ氏は31日のツイッター投稿で、大富豪のチャールズとデービッドのコーク兄弟が創設したこの組織について「本物の共和党サークルではまったくの冗談と化したグローバリストのコーク兄弟が、強固な国境、強力な貿易に反対している。私は彼らのカネやひどいアイデアを必要としていないので、一度も彼らの支援を求めたことがない」と罵倒し、ネットワークは「過大評価されている」と続けた。

 

これはコーク・ネットワークの一部幹部が、大統領の貿易政策が景気後退を招くとの懸念を示し、共和党候補への支持を取り下げたい意向だと報じられたのを受けた投稿。

 

コーク側は概ね批判を受け流しており、広報担当者は「われわれはすべての人の生活を向上させる政策を支持する」との声明を出した。

 

コーク財閥は未公開の企業としては全米2位の大きさで、企業寄りの政策やリバタリアン(自由至上主義)思想で知られている。減税、規制緩和、自由貿易を強く主張し、主義主張の近い共和党候補にこれまで数百万ドルを献金してきた。

 

コーク財団とその他自由貿易を支持する団体は、トランプ大統領の進める保護主義的な政策を敬遠しており、11月の議会中間選挙を控え、トランプ氏に同調する共和党候補への支持を見送る可能性が出ている。

 

2016年の大統領選では、コーク兄弟はトランプ氏のイスラム教徒に関する発言などを理由に同氏と距離を置いていたが、トランプ氏の大統領就任後は税制改革法案の成立を支持するなど、和解したように見えていた。

 

しかしその後、コーク・ネットワークはトランプ氏の関税政策に反対する数百万ドル規模のキャンペーンを開始した。

 

=====

 

サンダースは、コーク兄弟が「全ての人々のためのメディケア」に賛成する主張をしてしまったことに感謝(Sanders thanks Koch brothers for accidentally making argument for 'Medicare for all'

 

ブルック・シーペル筆

2018年7月31日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/healthcare/399625-sanders-thanks-koch-brothers-for-accidentally-making-argument-for-medicare

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が火曜日、保守派の大口献金者であるチャールズ・コークとデイヴィッド・コークに対して、「全ての人々のためのメディケアに間違って賛成してしまった」ことに感謝を示した。コーク兄弟が資金を出した研究では単一支払者制度(single-payer health-care plan、訳者註:政府が保険料を徴収し、医療費の全てを支出する制度)のコストについて分析を行っている。

 

サンダースはツイッター上に掲載したヴィデオの中でコメントを発表した。サンダースは、ジョージメイソン大学メルカトスセンターのチャールズ・ブロハウスが発表した研究成果についてコメントをした。ジョージメイソン大学メルカトスセンターにはコーク兄弟が資金提供を行っている。

 

サンダースは次のように語った。「私はコーク兄弟、また、今回の研究に資金を出してくれた全ての方々に感謝したい。今回の研究では、全ての人々のためのメディケアは10年で2兆ドルものお金を浮かせることが出来るということであった」

 

ブロハウスは研究の中で、サンダースの主張する単一支払者制度では、2022年から2031年の期間、32兆6000億ドルもかかってしまうという結果を発表した。しかし、研究の中で、他の経済学者たちは同じ期間に2兆ドルのお金を浮かせることが出来るだろうという研究結果を発表している。

 

ヴィデオの中で、サンダースは、コーク兄弟が彼の主張している単一支払者制度でお金を浮かせることが出来ることを証明したことに謝意を示した。

 

全ての人々のためのメディケアはサンダースが2016年の大統領選挙で主要政策として主張したことで知られるようになった。全ての人々のためのメディケアは、自己負担や控除なしに全てのアメリカ国民の医療費を支払うことが出来るというものだ。

 

サンダースの提案は左派の人々から支持されている。しかし、その他の人々からは批判の対象になっている。批判者の中にはトランプ大統領も含まれている。トランプ大統領はかつて、単一支払者制度を「アメリカにとって呪い」となると批判した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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 古村治彦です。

 

 今回は、マイク・ポンぺオ国務長官についての記事をご紹介します。


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ポンぺオと金正恩 

 今年の3月に前任のレックス・ティラーソンが本人に事前通告なしに(トランプ大統領がツイッター上で発表)更迭され、マイク・ポンぺオCIA長官(当時)が後任となるにあたり、いくつかのメディアで出た記事には、ポンぺオとコーク兄弟の関係が取り上げられています。

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チャールズ(左)とデイヴィッド 

 コーク兄弟とは、チャールズ・コーク、デイヴィッド・コークの兄弟で、アメリカの大富豪で、大企業コーク・インダストリーズの経営者です。コーク・インダストリーズは非上場で株式の8割をこの2人の兄弟が所有しています。コーク・インダストリーズは石油関連事業を中心に様々な事業を展開している巨大企業です。

 

 コーク兄弟は豊富な資金を政治家に提供して、政治に影響を与えています。彼らは様々な草の根組織を作り、更には自分たちと同じような大富豪を組織して、資金提供ネットワークを構成しています。コーク兄弟については、拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)をお読みください。

 

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 アメリカの真の支配者 コーク一族


 マイク・ポンぺオは、2010年の中間選挙の連邦下院議員選挙でカンザス州第4選挙区から出馬し、当選しました。この時期、アメリカ政界に旋風を巻き起こした「ティーパーティー運動」の一員でした。ポンぺオはトランプ政権に入るまで連邦下院議員を務めました。過激な発言で人々の注目を集めました。

 

この選挙区にはカンザス州の最大都市ウィチタが含まれています。ウィチタにはコーク・インダストリーズの本社があり、総帥チャールズ・コークも居住しています。コーク兄弟はティーパーティー運動の資金源でした。ポンぺオはコーク兄弟のお膝元から政治家としてのキャリアをスタートさせています。そして、実際にポンぺオはコーク兄弟から多額の資金援助を受けています。

 

 しかし、コーク兄弟とポンぺオとのつながりはもっと昔に遡ることが出来ます。ポンぺオ(1963年生まれ)は陸軍士官学校をトップの成績で卒業し(1986年)、その後、1991年までアメリカ陸軍の機甲師団に勤務しました。1992年にハーヴァード大学法科大学院に入学しました。学内誌『ハーヴァード・ロー・レヴュー』誌の編集員を務めました。この経歴はバラク・オバマ前大統領と同じです。エリートということになります。

 

 1994年に法科大学院修了後、ポンぺオはワシントンDCにあるウィリアム・アンド・コノリー法律事務所に勤務しました。この法律事務所は200名以上の弁護士を抱える大規模な事務所です。そして、1998年にカンザス州ウィチタに移りました。ここで陸軍士官学校時代の友人たちと航空機の部品製造の会社を立ち上げました。この時にコーク・インダストリーズのヴェンチャービジネス投資専門の子会社から資金提供を受けました。この時に既にコーク兄弟との関係が出来たということになります。

 

 2017年1月から正式に発足したドナルド・トランプ政権にはコーク兄弟と関係の深い人々が多数入閣しています。その代表がポンぺオということになります。コーク兄弟は、リバータリアニズムという思想を信奉しています。リバータリアニズムは、アメリカが外国で戦争をすることに反対します(アメリカの領土に攻めてこられたら徹底的に戦うとしています)。

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 今回の米朝首脳会談から共同宣言へと進み、対話路線となったのにはトランプ大統領の意向が大きかったと思いますが、ポンぺオとコーク兄弟の関係、コーク兄弟の意向も働いたのではないかと考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

コーク兄弟は自分たちのための国務長官を手に入れた(The Koch Brothers Get Their Very Own Secretary of State

-レックス・ティラーソンの後任として、トランプは大富豪の使い走りを据える

 

ジョン・ニコラス筆

2018年3月13日

『ザ・ネイション』誌

https://www.thenation.com/article/the-koch-brothers-get-their-very-own-secretary-of-state/

 

2010年の中間選挙において共和党が勝利を収めた。この時、チャールズ・コークとデイヴィッド・コークがアメリカ政治における重要人物として登場した。この選挙で、コーク・インダストリーズから最大の寄付を受けたのがマイク・ポンぺオという名前の新人であった。8年前の連邦下院議員選挙の後、ポンぺオは「コーク兄弟の連邦議員」や「コークが送り込んだ連邦議員」と呼ばれた。

 

現在、ポンぺオはコーク兄弟の影響を受けた国務長官になるという立場に立っている。

 

ポンぺオはCIA長官としてトランプ大統領のイエスマンを1年ちょっと務めた。そして、トランプは無気力なレックス・ティラーソンの後任にポンぺオを据えた。

 

トランプ大統領とティラーソン国務長官はお互いが疎遠になっていった。ティラーソンは自身の解任を火曜日の朝にツイッターを通じて知ったことが明らかとなった。ティラーソンは側近からツイッターの画面を見せられ、トランプ大統領による更迭を教えられた。国務省が発表した声明は、ティラーソンが解任の理由について「知らない」ということを示唆している。

 

ティラーソンは、ロシアによるサイバー攻撃やサウジアラビアやカタールなどの国々に対する姿勢といった点でトランプとは別の方法を採用していた。

 

ポンぺオの政治的な寄付者に対する服従のパターンは、自己中心的なトランプ大統領には合うものである。ポンぺオはティラーソンに欠けていた外交上の立場を持ち込むことになるだろう。ポンぺオは外交政策に関してはタカ派で、イランとの核合意に強く反対し、アメリカ国内や海外に在住するイスラム教徒たちへの恐怖感を煽り、グアンタナモ基地の収容所の閉鎖に反対した。また、国家安全保障庁による憲法違反の調査プログラムを「素晴らしく重要な仕事」だと擁護した。ポンぺオはまた、NSAの内部告発者エドワード・スノーデンについて、「ロシアから連れて帰り、法的な処置を取るべきだ。そうすれば、適切な司法過程の結果として彼に死刑が宣告されるはずだと思う」という過激な発言を行った。

 

ポンぺオはプライヴァシー権や公民権を重視しない立場を公の場で見せている。また過激な言動や過激な政策を好む傾向にある。これは外交官に適しているとは言えない。過激な言動を好むポンぺオでは、レックス・ティラーソン国務長官よりもトラブルを引き起こす可能性が高い。ティラーソンは自分の世界観を持っているが、喧嘩をするような人物ではない。自分の影響力が低下している国務省のために喧嘩をするようなことはしない。

 

ポンぺオは短気であり、同時に闘争的な街であるワシントンにおいて最も闘争的な人物である。非上場で秘密主義の世界規模のビジネス帝国の支援のおかげで、ポンぺオは政治上のキャリアを上昇することが出来た。ポンぺオはカンザス州ウィチタ出身だ。ウィチタには石油と天然ガスを取り扱うコーク家のビジネス帝国が本部を置いている。ポンぺオはコーク・ヴェンチャー・キャピタルから設立資金の融資を受けて自身の会社を立ち上げた過去を持つ。

 

政治的により重要なことは、ポンぺオがビジネスの世界から政界に進出するにあたり、コーク兄弟とコーク・インダストリーズの従業員たちから大きな支援を受けた。カンザス大学政治学教授のバーデット・ルーミスは次のように語っている。「この点についてポンぺオは激しく反論するでしょうが、彼を“コークから送り込まれた連邦下院議員”と規定することは難しくありませんよ」。

 

実際のところ、「コークから送り込まれた」という特徴付けは、ドナルド・トランプが国務長官に据えようとしている人物にとっては適切なものである。コーク兄弟について考えてみると、彼らは漫画で描かれている姿よりもより繊細で抑制的である。『ジ・アメリカン・コンサヴァティヴ』誌のようなコーク兄弟を長年監視してきた人々や雑誌によれば、コーク兄弟から資金援助を受けてきた様々なプロジェクトは、激しい言葉遣いや戦闘的な保守主義とは一線を画するものばかりだ。しかしながら、コーク兄弟との資金と協力を得ている共和党の政治家の場合と同じく、それらのプロジェクトは、大富豪であるコーク兄弟と彼らの協力者たちの意向に沿った主張を行うものとなっている。多国籍企業に有利な国内向け、海外向けの政策を求める主張を行い、その点でポンぺオとそっくりなのだ。

 

非営利組織「センター・フォ・フード・セイフティ」は、食品表示問題でポンぺオと争った。食品表示問題は世界規模の農業ビジネスと食品小売りにとって大きな利益となる。「センター・フォ・フード・セイフティ」は2014年の文書の中で次のように書いている。

 

「マイク・ポンぺオ連邦下院議員は2010年の選挙においてコーク兄弟から最大の選挙資金の援助を受けた。コーク兄弟からの資金で選挙に当選した後、ポンぺオ議員はコーク・インダストリーズに勤務していた弁護士を議員事務所運営のために雇い入れた。『ワシントン・ポスト』紙によると、ポンぺオ議員はコーク・インダストリーズに有利になる法案を次々と提案し、コーク兄弟はロビイストたちを雇ってそれらの法案を支援した」。

 

2010年の中間選挙について、センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックスはつぎのように分析している。

 

「コーク・インダストリーズは、2010年のポンぺオ議員の選挙の時に投入した金額以上の資金を1人の候補者に提供したことはない。コーク・インダストリーズは総額で8万ドルをポンぺオに提供した。2012年の選挙ではポンぺオの選挙に11万ドルを提供した」。

 

2014年にポンぺオは再選を目指した。この時、ポンぺオはこちらもコーク家とつながりを持つライヴァルの共和党員と厳しい予備選挙を戦った。この時の選挙戦で流れを決定づけたのは、コーク家がポンぺオを支援するという姿勢を見せた時だ。 コーク・インダストリーズの政府・公共問題担当副会長のマーク・ニコラスは、『ポリティコ』誌の当時の取材に対して次のように答えた。「コーク政治活動委員会はマイク・ポンぺオを連邦議会に送ることを支援することに誇りを持っている。ポンぺオは市場を基礎とした政策と経済的自由を支持している。これらは社会全体に利益をもたらすものだ」。

 

コーク家はポンぺオを忠実に支援しているし、ポンぺオはコーク家に対して忠実だ。ポンぺオはコーク家が開催する非公開の集まりに定期的に出席している。また、コーク兄弟を擁護する発言をしている。ポンぺオは、「オバマ大統領と“ニクソン的な”民主党員たちは、チャールズ・コークとデイヴィッド・コークに対して不当な中傷を行っている」と発言した。

 

しかし、もちろん、巷間言われている悪口には、大富豪であるコーク兄弟が持つ影響力やコーク兄弟のアメリカの政治と統治に対する適切な疑問も含まれている。これは根拠のない疑念ではない。ポンぺオはアメリカ国内で最もコーク兄弟の支援を受けている政治家だと考えられている。ポンぺオは連邦下院議員になってわずか数週間後に、「コーク兄弟のビジネスの利益になるため」の法案を提出したと批判された。

 

『ワシントン・ポスト』紙は2011年に「その手段として、連邦下院で審議される連邦政府予算案におけるオバマ政権で始められた主要な2つのプログラムへの予算を大幅な削減が挙げられる。その2つのプログラムとは、安全ではない製品に対する消費者からの訴えを記録するデータベースと環境保護局による温室効果ガスを排出する企業や団体などの登録である」と報じている。この2つはコーク・インダストリーズにとって法律上重要なことである。公開された情報によると、コーク・インダストリーズはこれらに関して2008年から総計で3700万ドルの資金をロビー活動に投じている」。

 

「コモン・コウズ」のメリー・ボイルは「昔から変わらない。連邦議員が自身にとっての最大の資金提供者のために働くということは全く変わっていない」と非難している。

 

しかしながら、今回は全く別の内容の話になっている。ドナルド・トランプは「コークから送り込まれた連邦下院議員」を国務省の最高責任者に据えたいと考えている。更に考えると、アメリカ政府の世界との関わり方はコーク兄弟の利益となるようになるであろう。

 

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コーク兄弟のコントロールは像だし、16の連邦政府機関に拡大(Koch Brothers Growing Control Extends to 16 Federal Departments

―私たちの目に触れない裏側で、コークの力は増大している

 

2017年7月5日

『チェック・アンド・バランス』誌

https://checksandbalancesproject.org/koch-strength-increases/

 

アメリカはトランプ・サーカスによって立ち往生している。しかし、あまり知られていないが、コーク兄弟はより力を強めている。コーク兄弟は長年にわたり共和党内の経済哲学を軌道修正しようと努力してきた。そして、極端な、反政府的なリバータリアニズム哲学を信奉する組織を集めてきた。リバータリアニズム哲学はコーク兄弟に役立っている。

 

現在、コーク兄弟は16の政府機関の長官職を通じて政権をコントロールしている。長官職に就いている人々はコーク兄弟と長年にわたり緊密な関係を保ち、資金的な支援を受けてきた。

 

●コーク・インダストリーズのビジネスを守ることと成長

 

これまでの1年半、「チェックス・アンド・バランシズ・プロジェクト」はコーク・インダストリーズと私たちがコーク・アドヴォカシー・ネットワークと呼ぶネットワークについて詳しく調査を行ってきた。それで分かったことは、コーク・インダストリーズは、自分たちのビジネスを守り、成長させるために行動しているということだ。コーク兄弟の草の根団体ネットワークはコーク・インダストリーズを擁護し、成長させるために存在している。

 

コーク一族、その中でもチャールズとデイヴィッドはコーク・インダストリーズの株式の8割以上を保有し、1983年に反対派の株主たちから株式を買い取り、議決権株式の88%を取得した。コーク兄弟は複数の巨大な石油精製施設とパイプラインを所有しているが、コーク・インダストリーズは化石燃料を民生用の商品に加工して利益を得ている。

 

コーク・インダストリーズはアメリカの非上場企業では第2位の規模を誇る。60か国でビジネスを展開し、従業員数は12万以上である。2015年の年間の総売上は1150億ドル(約11兆5000億円)に達した。「ブルームバーグ・ビリオネア・インデックス」によると、チャールズ・コークとデイヴィッド・コークの兄弟は2人合わせると世界で最も富裕な人たちということになる。彼らの資産は960億ドル(約10兆5000億円)である。

 

コーク兄弟は長年にわたり、アメリカ政界を支配するために努力してきた。しかし、マイク・ペンスがドナルド・トランプの副大統領候補に選ばれてから、コーク兄弟にとっての新たな機会が開かれるようになった。

 

●副大統領による保証

 

ペンスは、政権以降ティームの責任者となってトランプ政権の主要なポジションに人々を推薦した。そして、現在は副大統領となっている。そのためにコーク兄弟の力は強まっている。

 

本誌はトランプ政権の16の省と連邦機関の長官についての情報を集めた。この人々はコーク兄弟と関係を持っている。その中の数名をご紹介しよう。

 

中央情報局(CIA)長官マイク・ポンぺオ。2010年の中間選挙の連邦議会選挙で躍進を見せた時、コーク・インダストリーズから最も支援を受けた人物が新人連邦下院議員として当選したマイク・ポンぺオだ。選挙後、ポンぺオは「コーク兄弟の連邦下院議員」「こーうから送り込まれた連邦下院議員」と呼ばれた。ポンぺオは連邦下院議員時代に連邦下院情報委員会の委員を務めた。そして、連邦下院情報委員会と連邦上院情報委員会の20名以上の委員を差し置いて、CIA長官に抜擢された。

 

保健福祉長官トム・プライス。連邦下院議員(ジョージア州第六選挙区、6期)時代、コーク兄弟の主要な政治団体「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ」の立場を反映した法案への支持率は、2007年から2008年にかけては95%、2009年から2010年にかけては100%、2011年から2012年にかけては91%、2013年から2014年にかけては77%、2015年は100%であった。2016年のアメリカンズ・フォ・プロスペリティジョージア州支部の評価では、この数字は100%であった。

 

ネオミ・レオ情報規制局長官。レオはトランプ政権の規制に関しての最高責任者だ。約50名の部下を指揮して、コーク兄弟のお気に入りミック・マルヴァニーアメリカ合衆国行政管理予算局長官に報告をしている。ラオは連邦機関一つ一つが持つ規制に関する緩和計画を準備することになるだろう。レオは2015年9月にジョージメイソン大学行政学研究センターが創設され責任者になるまで、11年間ジョージメイソン大学ロースクール教授を務めた。ジョージメイソン大学ロースクールはアントニン・スカリア記念ロースクールと名付けられた。ジョージメイソン大学ロースクールは、コーク兄弟の慈善事業の最大の受益者となっている。2005年以降総額で4600万ドルがロースクールに提供された。

 

私たちの民主政治体制は世界で最も富裕な2人の兄弟に乗っ取られている。彼ら2人が持つ総資産の価値はビル・ゲイツを上回る。これまで彼ら2人のように私たちの政治システムと政府をコントロールした人物たちはほとんどいなかった。コーク兄弟の強さが増している中で、彼らの求める政策が既に実行されているのである。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



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金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ (祥伝社新書)

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今の巨大中国は日本が作った


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真実の西郷隆盛
 

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済
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 古村治彦です。

 

 今回は今年2018年にアメリカで行われる中間選挙に関する記事をご紹介します。私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社)の主人公チャールズ・コークとデイヴィッド・コークのコーク兄弟が主宰する献金ネットワークが400億円を中間選挙に投入するということです。

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デイヴィッド(弟)とチャールズ 

 中間選挙とは大統領選挙と大統領選挙の間に行われるもので、連邦下院の全議席と連邦上院の3分の1の議席が選挙となります。連邦下院の任期は2年で、連邦下院議員や候補者たちは常に選挙をやっているようなものです。大統領を握っている党にとっては中間テストのような意味合いを持ちます。

 

 現在のところ、民主党がリードしているという状況です。ただリードが少し縮まっているという印象があります。詳しくは以下のアドレスをご覧ください。

 

https://www.realclearpolitics.com/epolls/other/2018_generic_congressional_vote-6185.html

 

 コーク兄弟が率いるいくつかのグループが既に共和党とトランプ大統領が進めた税制改革について積極的に宣伝活動を行っているようです。

 

 民主党としてはここで共和党に大差で勝って次の大統領選挙につなげたいというところだと思いますし、それができるチャンスだと思われますが、勝利をしても大差での勝利でない限りは、共和党とトランプ政権が主流派マスコミで言われるほどに不人気ではないということが明らかになります。

 

 今年の秋の中間選挙までに政治や経済において様々なことが起きるでしょうそれを注視していくことが重要です。


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アメリカの真の支配者 コーク一族


 

(貼り付けはじめ)

 

コーク率いるネットワークは2018年の中間選挙で4億ドルを投入(Koch network to spend $400 million during 2018 midterm election cycle

 

ジョナサン・イースリー筆

2018年1月27日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/371069-koch-network-to-spend-400-million-during-2018-midterm-election-cycle

 

カリフォルニア州インディアン・ウェルズ発。大富豪のチャールズ・コークとデイヴィッド・コークと関係の深い諸団体のネットワークは2018年の中間選挙において保守派の主張する政策と候補者たちのために4億ドル(約430億円)を使う見込みだ。

 

「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ」会長ティム・フィリップスは土曜日、投入する金額はこれまでの選挙の時に比べて最大のものとなる、と述べた。2016年の選挙の時よりも60%増となる見込みだ。2016年の連邦議会選挙では逆風が吹く中で、共和党は連邦上下両院で過半数を守った。

 

ネットワークは、トランプ大統領と民主党候補者ヒラリー・クリントンとの間で戦われた2016年の大統領選挙には関与しなかった。しかし、連邦議会選挙の共和党の候補者たちと保守派の主張する政策のために資金の多くを投入した。

 

2018年の中間選挙のために使われる4億ドルの一部は共和党の候補者の勝利のために使われることになる。また、ネットワークは、共和党がコントロールしている政府によって達成された税制改革やその他の業績、復員兵事業に関する改革とトランプによる保守的な人物の最高裁判事登用を重点的に宣伝し、人々の支持を集めようという考えだ。

 

フィリップスは次のように述べた。「私たちは全てを投入する。2018年の政治状況は厳しい。はっきり言って今年は厳しい年となるだろう。

 

歴史的に見て、共和党は大統領を出している時の中間選挙では敗北している。

 

世論調査の結果では、下院議員選挙に関しては民主党が2桁以上リードしている。また、トランプ大統領は、1期目の大統領としては歴史的に見ても低い支持率を記録している。こうした状況では共和党にとってマイナスの結果となるだろう。

 

共和党が下院で過半数を維持できるか不透明な状況だ、現職議員たちの引退が相次ぎ、リベラル派が積極的に活動して共和党が議席を減らすのではないかという懸念が存在する。

 

それでも、共和党にとって資金集めは明るい材料となる。ポール・ライアン連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)と共和党の候補者たちの当選を支援する外部団体は2017年に連邦下院での共和党の過半数確保するために巨額の資金を集めた。

 

コーク・ネットワークに参加している保守派の大口献金者たちは今週末、カリフォルニア州の砂漠地帯にある会員制のインディアン・ウェルズ・リゾートに集合し、2018年の中間選挙に向けた戦略作りを行った。

 

ウィンター・セミナーの共同議長ブライアン・フックスは次のように述べている。「私たちは、人々の生活を向上させることに貢献できる候補者と政策立案者を探している」。

 

フックスは、「コーク率いるネットワークは共和党の税制改革法支援のために2000万ドルを使った。そして、更に2000万ドルを改革法による利益を宣伝のために使う」と述べた。

 

前出のフィリップスは次のように述べた。「私たちは希望を持っている。税制改革についての人々の受け止め方が報道されているが、給料が上がっていくだろうから、それにつれて人々の支持を高まるだろう」。

 

コーク率いるネットワークは、今回のウィンター・ミーティングにこれまでにない数の人々を集めた。全米各地から550名の保守運動活動家たちが終結した。そのうちの150名は初参加の人々だった。彼らもまた2018年の中間選挙に向けた戦略作りを行った。

 

ウィンター・セミナーの共同議長を務めたフックスは次のように述べた。「チャールズ・コークは私たちや他の参加者たちに対して、更に10倍の熱意を込めて活動するように求めた。そして、更に勢いをつけるようにと述べた。それこそ私たちがこれから取り組んでいくことだ」。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 日本でも出版(紙媒体)の売り上げが年々減少、特に雑誌は厳しいということは報じられています。インターネットに記事や情報があふれ、しかもそれらが無料で手に入り、紙媒体自体の売り上げが減少、こうなると、雑誌などに広告を出している企業も広告を中止するということになり、雑誌が続けていけなくなり、廃刊ということになります。テレビ局もまた雑誌と同じで、広告や宣伝で食べているようなものですから、こちらも厳しい状況になっています。

 

 アメリカでも新聞が紙での発行を止めて電子版のみにするとか、記者が大量に解雇されるとか、そういうことが起きています。

 

こうした中で、老舗雑誌社であるタイム社がメレディス・コーポレイションに買収されることになりました。タイム社は世界的な雑誌ブランドである『タイム』(「今年の100人」といった企画で有名)や、日本のスポーツ雑誌『ナンバー』がそのままパクった『スポーツ・イラストレイティッド』といった雑誌を発行しています。しかし、これらの雑誌も当然のことながら売り上げが減少し、厳しい状況にあったようです。

 

 メレディス・コーポレイションは主婦向けの雑誌を発行している会社ですが、同時にアメリカ各州の地方テレビ局15社を所有している会社です。私が驚いたのは、今回のメレディス・コーポレイションのCEOの声明文の中にある、「地方テレビ局は記録的な売り上げを記録している」「広告宣伝の媒体としてこれまでにない機会を与えている」という言葉です。

 

 アメリカではケーブルテレビが発達し、いわゆる地上波のローカルテレビ局は厳しいのかと単純に思っていましたが、どうもそうではないようです。視聴者が多く、それが広告や宣伝収入につながっているようです。今回の買収で、コンテンツ創造力を手に入れたとメレディス・コーポレイションのCEOは述べていますから、雑誌のコンテンツ想像力とテレビの発信力を結び付けようとしているということになります。

 

 メレディス・コーポレイションにコーク兄弟が資金提供をしたという点も重要です。コーク兄弟については拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン、講談社、2015年)や『世界権力者図鑑2018』(副島隆彦、中田安彦著、ビジネス社、2018年)をお読みいただきたいと思います。

 

 これは雑誌業界の再編というだけではなく、ディジタルとアナログの融合によって新たな何かが生まれる動きなのではないかと考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

タイム社はコーク兄弟が支援する企業によって買収される(Time Inc. to be acquired by company backed by Koch brothers

 

ブレット・サミュエルズ筆

2017年11月26日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/media/361880-time-inc-near-sale-to-company-backed-by-koch-brothers-report

 

メレディス・コーポレイションは日曜日、タイム社を18億ドルで買収すると発表した、と複数のメディアが報じている。メレディス・コーポレイションは共和党の大口献金者であるチャールズ・コーク、デイヴィッド・コーク兄弟が支援している出版社である。

 

ロイター通信によると、メレディス・コーポレイションはタイム社の株式の大部分を一株当たり18ドル50セントで購入すると発表した。

 

両社のそれぞれの取締役会で買収は全会一致で同意され、来年早々にも調印されるとAP通信が報じた。

 

ロイター通信は次のように報じている。メレディス・コーポレイションのスティーヴン・レイシーCEOは声明の中で、「私たちは、メディア産業界内で最強のブランドの持つ豊かなコンテンツ創造力を、力強い地方テレビ局ネットワークビジネスに加えることになりました。地方テレビ局ネットワークは現在、記録的な売り上げを記録しています。地方テレビ局はアメリカの成人視聴者に対しての浸透力と波及力で群を抜いた存在になっており、広告業界やマーケティング業界にこれまでにない機会を与えています」と語った。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は日曜日の早朝、買収の合意は月曜日までに発表されるだろうと報じた。同紙によると、コーク兄弟は、コーク・エクイティ・ディヴェロップメント社を通じて6億ドルをメレディス・コーポレイションに投入することになるということだ。

 

タイム社は、『タイム』『スポーツ・イラストレイティッド』『ピープル』の各誌を発行している。一方、メレディス・コーポレイションは『ファミリーサークル』『マーサ・スチュワート・リヴィング』『ベター・ホーム・アンド・ガーデンズ』の各誌を発行している。

 

メレディス・コーポレイションとタイム社は今年の初めから買収に関する交渉を行っていると報じられたが、4月の段階で合意はできない見込みだと言われていた。

 

コーク兄弟は大統領選挙期間中、トランプ大統領を支持することを拒絶したが、2017年になってコーク兄弟とトランプ政権の関係は改善しつつある。コーク兄弟はペンス副大統領をはじめとする政権の最高幹部たちと相次いで会談を行っている。

 

コーク・インダストリーズ社は非上場企業で、アメリカ国内の非上場企業では第2位の規模を誇る。年間売り上げは1150億ドルで、主力部門はエネルギーと化学である。

 

=====

 

米出版社タイムが身売り合意-メレディスに3100億円で

 

11/27() 9:29配信 Bloomberg

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171127-42594747-bloom_st-bus_all

 

米メディア企業のメレディスは、米出版社タイムを28億ドル(約3100億円)で買収することで合意した。金額には債務の継承分が含まれる。「フォーチュン」「スポーツイラストレイテッド」などの雑誌で知られるタイムは、インターネット時代到来による打撃を回避できなかった。

 

メレディスの26日付の発表資料によると、1株当たりの買収額は18.50ドルで、全額現金となる。同社は「ベターホームズ・アンド・ガーデンズ」などを出版する。タイム買収が実現すれば、広告の獲得でフェイスブックやグーグルなどと競争する上で必要な規模の拡大が可能になる。

 

チャールズ・コーク氏とデービッド・コーク氏の投資会社コーク・エクイティ・デベロップメント(KED)が6億5000万ドル相当の株式取得を通じて、メレディスによる買収を支援することに同意。KEDはメレディスに取締役を送らず、同社の編集や経営に対し影響力は行使しないという。

 

原題:Meredith Agrees to Buy Time Inc. With Koch Brothers Backing(抜粋)

 

Gerry Smith

 

(貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12







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 古村治彦です。

 

 拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、古村治彦訳、講談社、2015年)の主人公であるコーク兄弟について、日本でも少しは知られてきていますが、知名度はまだまだです。コーク兄弟は、今でも共和党にとって重要な資金源であり、トランプ政権になっても存在感は大きいのです。チャールズ・コーク(資産3兆円以上)は、2016年のアメリカ大統領選挙で、ドナルド・トランプを批判し、応援しないと明言しました。一方で、ヒラリー・クリントンについても応援しないということで、静観の構えということになりました。

americanoshinnoshihaishakochichizoku001
アメリカの真の支配者 コーク一族

 

 コーク兄弟の最近の動きについては、本ブログの以下の記事でもご紹介しています。オバマケアと呼ばれるアメリカの現行の健康保険制度について、トランプ大統領と共和党は撤回と代替法案を連邦議会で可決させようとしています。まず下院で議論され、採決が行われることになったのですが、3月の時点で、下院で賛成票が足りないということで採決が見送られることになりました。後に、ぎりぎりで可決することができました。


 

これは、連邦下院共和党所属議員の中に「フリーダム・コーカス」という議員グループがあり、このグループが下院に提出されていた法案に反対したからです。「同じ共和党が提出した法案にどうして共和党の議員が反対するのか?日本だったら大変なことになる」と不思議に思われるところですが、フリーダム・コーカスは、法案が「改革内容が不十分」ということで反対しました。アメリカでは日本と違い、党議拘束はなく、議員は個人の考えで採決に参加します。

 

 このフリーダム・コーカスの議員たちに支援を約束していたのがコーク兄弟です。コーク兄弟が「改革が不徹底だ」として議員たちに反対させたということになります。最後は妥協して可決しましたが、コーク兄弟の力を思い知らされることになりました。

 

2017年4月2日付「トランプ大統領vsコーク兄弟」

http://suinikki.blog.jp/tag/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9

 

 今週末、コーク兄弟は、自分たちが率いる大口献金者ネットワークの会合のために、コロラド州を訪れていました。そして、同じくコロラド州訪問中であった、マイク・ペンス副大統領と会談を持ちました。ホワイトハウスは公式にはこの会談予定を発表していませんでした。ペンスはコーク兄弟とも親しい関係にあり、トランプ政権とコーク兄弟を繋ぐ存在になっています。また、トランプ政権にはコーク兄弟と関係を持つ人々が多く入っていたり、影響を与えたりしています。

 

 ペンス副大統領との会談後、コーク兄弟が資金援助をしているアメリカンズ・フォ・プロスペリティという団体の責任者が来年の中間選挙には4億ドルの資金を投入するという発表を行いました。これは、共和党、特に急進的な改革派に資金を提供する、そして、民主党の議席増を抑えるということです。

 

 コーク兄弟はトランプ大統領の発言などを批判していますが、彼が行おうとしている税制改革、健康保険改革、気候変動枠組からの離脱といったことは、コーク兄弟も主張していることで、方向性は同じです。ですから、共和党政権と連邦上下両院で共和党が過半数を握っている状態が存続すること、それから共和党を自分たちの思う方向に進めるということがコーク兄弟にとって大事になってきます。

 

 共和党としては、資金を提供してくれる大口献金者のネットワークを構築し、率いているコーク兄弟を無視することはできません。中間選挙に向けて存在感は大きくなっていくでしょう。

 

(貼りつけはじめ)

 

ペンスがコーク兄弟とコロラド州で会談(Pence meets with Koch brother in Colorado

 

リード・ウィルソン筆

2017年6月23日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/news/339283-pence-stops-by-koch-brothers-conference-in-colorado

 

金曜日、ペンス副大統領は保守派の政治活動家チャールズ・コークと会談を持った。この会談については公式に発表されなかった。会談は、コロラドスプリングスで開催されるコーク兄弟率いるネットワークの大口寄付者会議の前に行われた。

 

ペンスは、コーク・インダストリーズの会長であり、最高経営責任者であるチャールズ・コークと、コーク・ネットワークの主要なメンバーと会談を持った。ペンスはコロラドスプリングスでのキリスト教保守派グループ「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」の40周年記念式典に出席することになっていた。

 

ホワイトハウスが木曜日夜に発表した副大統領の行動予定表に、コークとの会談は掲載されていなかった。

 

金曜日朝、副大統領の報道官は、本誌からの「ペンス副大統領はコーク兄弟が利いるネットワークの人々と会談を持つのか?」という質問に対して回答を拒否した。金曜日夜に報道官にコメントを求めたが返事はなかった。

 

コーク兄弟が率いるネットワークの報道担当ジェイムズ・デイヴィスは、ペンスとチャールズ・コークは税制改革や退役軍人省の改革などについて議論したと述べた。退役軍人省の改革については金曜日にトランプ大統領が署名した。デイヴィスは、会談は50分間にわたって行われたと述べた。

 

会談にはマーク・ショートとマーティー・オブストが同席した。ショートはホワイトハウス法律問題担当部長を務めており、ペンスが下院議員時代に首席スタッフを務めていた。オブストは長年にわたりペンスのアドヴァイザーを務め、大統領選挙においてペンスの政治行動員会の責任者を務めた。

 

コーク兄弟側の出席者は以下の通りだ。コーク・インダストリーズの上級顧問マーク・ホールデン、コーク兄弟が支援している団体「アメリカン・プロスペリティ」会長ティム・フィリップス、チャールズ・コーク財団とチャールズ・コーク研究所の会長ブライアン・フックス、そして、前述のデイヴィスだ。

 

トランプ大統領は、リバータリアニズム信奉者の大富豪コーク兄弟とほぼ関係を持っていないが、ペンスはチャールズ・コーク、デイヴィッド・コークとの間で長年にわたり関係を持っている。

 

アメリカンズ・フォ・プロスペリティはインディアナ州知事時代のペンスを支援した。ペンスの世論調査担当者だったケリアン・コンウェイはコーク兄弟率いるネットワークで働いた経験を持っている。コンウェイは現在、ホワイトハウスでトランプ大統領の上級顧問を務めている。ショートは現在のホワイトハウスの法律問題担当であり、ペンスの首席スタッフを務めた経験を持つ。ショートはコーク兄弟率いるネットワークの主要な構成団体であるフリーダム・パートナーズ商工会議所の運営責任者を務めていた。

 

ホワイトハウスが発表したスケジュールによると、コロラドスプリングス滞在中、ペンスはシュライヴァー空軍基地勤務の軍人たちと昼食を共にし、アメリカ宇宙防衛センターとシェイン・マウンテン空軍基地を訪問することになっている。

 

ペンスは、コロラドスプリングスのブロードモアホテルで開催される連邦上院議員コーリー・ガードナーの政治資金パーティーに出席する予定になっている。ガードナーは全国共和党所属連邦上院議員委員会の委員長を務めている。コーク兄弟率いるネットワークもまたブロードモアホテルで会議を開く予定になっている。ブロードモアホテルは豪華ホテルで、保守派の大富豪フィリップ・アンシュッツが所有している。

 

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2018年中間選挙でコーク兄弟は4億ドルを投じる(Koch brothers to spend $400 million in 2018 elections

 

オリヴィア・ビーヴァーズ筆

2017年6月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/339399-koch-brothers-to-spend-400-million-on-republican-candidates-in

 

今週土曜日、「チャールズ・コーク、デイヴィッド・コーク率いる富豪たちの寄付ネットワークは2018年の中間選挙において、保守的な政策の実現のために4億ドル(約440億円)の資金を投じることになるだろう」、とネットワークの責任者がフォックスニュースに対して語った。

 

保守派の大富豪コーク兄弟から資金を受けている団体「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ」の責任者ティム・フィリップスは、「中間選挙では、私たちの政治信条や政策について、3億から4億ドルを投じることになる。金額の大きい方に近い額を出すことになるだろうと思う」と述べた。

 

「連邦上下両院の共和党所属議員たちに言いたいことは、大胆に、強く主張して行動して欲しいということだ」とフィリップは述べ、健康保険改革と税制改革を強調した。

 

フィリップは「そうすることで、2018年になった時に、共和党所属の議員たちが実績を誇る機会を与えることになる」と述べた。

 

政治と政策について資金を投入するという発表は、連邦上院の共和党が木曜日に、彼ら自身のオバマケア撤廃と新しい法案を木曜日に発表した。

 

保守派の多くはメディケイドの縮小や削減を望んでいる。メディケイドは、低所得の人々の多く、高齢者の一部と身体障碍者のための健康保険プログラムである。

 

チャールズ・コークと側近たちはコロラドスプリングスで大口寄付者たちと会合を持った。

 

彼らはメディアに対して、ホワイトハウスは、連邦上院の健康保険法案に対する彼らの情報や資金の投入を歓迎していると語った。今年の春に法案が可決される前に連邦下院で健康保険法案について議論がなされていた時期とは全く異なる対応だ。

 

コーク怯懦からの資源の投入という話では、コーク兄弟は、2018年に選挙を迎える下院議員で、連邦下院に提出された健康保険法案に反対する人々を支援していると報道された。

 

フィリップは続けて次のように述べている。「私たちが議員たちに覚えておいてもらいたいのは、これから行われる4回の選挙(2年おき)の間にオバマケアを撤廃するという約束をしたのだということだ。示威的な行動以上のことを行うことが重要だ」。

 

コーク兄弟と側近たちはオバマケアの撤廃と新しい法律可決よりも、見直しを望んでいる。同時に、彼らは健康保険法案についてトランプ政権と協力していると述べている。

 

連邦上院では共和党が過半数を占めている。そして、早ければ来週にも新しい健康保険法案について採決を行うことになる。

 

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 古村治彦です。

 

 以下の日経新聞は現在のドナルド・トランプ政権が置かれている状況が良くまとめられています。トランプ政権の政策実行を邪魔する存在が同じ共和党内にいるという話です。それが、連邦議会の自由議連(フリーダム・コーカス、Freedom Caucus)です。そして、彼らを資金面でサポートしよう(言うことを聞かせよう)としているのが、コーク兄弟です。コーク兄弟については、拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)で詳しく書かれていますので、是非お読みください。

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

  

 コーク兄弟はリバータリアン(Libertarians)として、共和党主流派とは距離を置きながら、共和党を支援してきました。トランプも共和党主流派から嫌われながらも大統領になりました。お互いに共和党主流派を嫌っているトランプとコーク兄弟ですが、コーク兄弟はトランプの言動やポピュリスト的な政策には反対しています。コーク兄弟は個人の自由を徹底的に擁護するリバータリアンであり、リバータリアンは政治的には保守派に分類されますが、社会的にはリベラルとなります。コーク兄弟は、麻薬の使用、同性愛や妊娠中絶に対しては個人の自由だとして容認しています。

 

 現在、民主党はトランプ・ショックのために、党内を見直し、エスタブリッシュメントの党になっていたことを反省し、かつ強大な敵であるトランプと対決するために、まとまっています。複雑なのは、元々、民主党はコーク兄弟の政治的な影響力について批判的で(「共和党はコーク中毒(コークは清涼飲料水のコーラと麻薬の両方の意味とコーク兄弟をかけている)に陥っている」と民主党の大物議員だったハリー・リードが批判した)、バーニー・サンダース連邦上院議員は、コーク兄弟を厳しく批判する一方で、トランプ大統領には是々非々で臨むという態度を採っています。

 

 味方である共和党内に敵がいるということになると、トランプ政権の政策遂行は厳しくなります。一部政策に関しては、民主党と連携した方がうまくいくのではないかとも思いますが、減税などでは共和党の一部まで反対してしまうと、これもうまくいかないでしょう。トランプ政権の先行きは厳しいですが、どれだけ交渉と妥協ができるかにかかっています。

 

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●「トランプ政権阻む保守強硬派 看板公約滞る」

 

日本経済新聞

2017/3/31 23:26

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H1Y_Q7A330C1EA5000/

 

 発足から2カ月余りのトランプ米政権に、与党・共和党の保守強硬派が立ちはだかってきた。看板公約の医療保険制度改革法(オバマケア)代替案を撤回に追い込んだほか、政府債務増につながるような大型税制改革やインフラ投資にも否定的。大きな政府に反対する草の根の「茶会(ティーパーティー)運動」に連なる保守強硬派が、米議会の主導権を握る。トランプ大統領には政権運営の足かせとなりそうだ。

 

 「2018年には彼らと民主党とも戦う」。トランプ氏は3月30日、18年の中間選挙で身内の与党内勢力に敵対することも辞さないと語った。

 

 トランプ氏が「彼ら」と名指ししたのは下院の「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」。3040人に上る党内の保守強硬派だ。国家の干渉に対して個人の権利を擁護する古典的な自由主義者らでつくる。

 

 下院共和党(237人)の中で2割にも満たない集団だが、投票は一致結束して動く。下院の法案通過は216票が必要で自由議連が法案通過を実質的に阻止できる。オバマケア代替法案はトランプ氏が真っ先に取り組んだ本格的な法案だが、自由議連が反対の姿勢を崩さず、下院で採決すらできなかった。

 

 「今回はコーク兄弟にしてやられた。税制改革も簡単ではない」。トランプ氏に近い党関係者は弱音を吐く。コーク兄弟とは米エネルギー複合企業、コーク・インダストリーズを経営するチャールズ・コーク氏、デビッド・コーク氏を指す。共和党の大口献金者として知られ、資産総額はともに約4兆6千億円とされる。米国の長者番付はそろって7位。大統領選でトランプ氏を支持せずに、様子見に徹した。

 

 自由議連を強力に支援し続けたのがコーク兄弟ら富裕層の献金ネットワークだ。その一つ、政治団体「繁栄のための米国人(AFP)」は、ライアン下院議長ら党主流派がオバマケアの代替法案を発表すると「改革が不十分」と反対。自由議連も足並みをそろえた。

 

 AFPは緊縮財政を唱える茶会運動を先導し、自由議連はその流れを継ぐ。15年秋には政府債務上限の引き上げに反対。政府機関の閉鎖すら辞さない姿勢で党内のベイナー下院議長(当時)を辞任に追い込んだ。

 

 オバマケア代替法案が頓挫した直後の3月28日、トランプ氏はオバマ前政権の地球温暖化対策を見直す大統領令をぶちあげた。「保守強硬派の懐柔が狙いだ」と関係者。保守系政治団体は規制色の強い温暖化対策を毛嫌いする。そもそもコーク兄弟の事業は石油精製が中核だ。

 

 それでもトランプ氏による30年ぶりの税制改革は前途が険しい。主導するライアン氏は、連邦法人税率を35%から20%へと大幅に下げ、輸出は免税して輸入は課税強化する「税の国境調整」を導入する意向だ。

 

 保守強硬派は党主流派と同じく減税に大賛成。ただ、AFPは「法人税の国境調整は輸入品の値上がりを招き、米国人に破壊的な影響を与える」と反対の構え。ライアン氏らは輸入品の課税強化を減税の財源に見込む。税制改革が頓挫すれば、保守派の悲願である減税も遠のく。それでもオバマケア改廃や税制改革に反対姿勢を貫くのは「トランプ政権の転覆が狙いではないか」との見方すらある。

 

 4月末には暫定予算が切れ、新予算を組まなければ政府機関は閉鎖に追い込まれる。自由議連は緊縮財政をトランプ政権に迫る。看板政策であるメキシコ国境の壁建設は、今年度予算への計上をひとまず断念した。

 

 トランプ政権は、側近で過激な排外主義や孤立主義を唱えるバノン首席戦略官・上級顧問が主導権を握る。上院議長で政権の議会対策を担うペンス副大統領は日米経済対話など負担が重い。党主流派は政府閉鎖の回避や公約実現で野党・民主党との連携も模索し始めたが、反トランプへ攻勢を強める民主党との協議は難しい。政権は議会対策で袋小路に入りかけているようだ。

 

 (ワシントン=河浪武史)

 

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