古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:トム・ステイヤー

 古村治彦です。

 民主党全国委員会は毎月1回のペースで米大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会を実施してきた。参加条件がどんどん厳しくなって登壇者数は絞られてきている。この討論会に参加できない(条件をクリアできない)候補者たちは全国生中継でアピールする場を失い、「負け犬」(表現はきついが)ということになり、選挙戦から撤退せざるを得ない状況に追い込まれる。24名以上(2ダース以上)もいた候補者たちも大分絞られてきた。
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 討論会での出来不出来、悪目立ちではなく、良いパフォーマンスや人々の心をつかむ発言ができるかどうかで支持率は変化する。特に今回の討論会は2月3日に全米最初に予備選挙(党員集会)が実施されるアイオワ州で実施された討論会だっただけに、支持率にどのように影響を与えたか注目される。その点で行くと、上位3名となる、ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の中で、バイデンとサンダースが討論会の出来が良く、支持率が上がっている。ウォーレンはまあまあという感じだったようだ。ブティジェッジは目立つことができなかったようで、それで支持率が下がっているようだ。アイオワ州での世論調査の結果を見ればバイデンとサンダースが激しく1位を争っているという状況だ。

 上位3名の候補者たちがこれからも激しく戦っていくだろうが、サンダースとウォーレンがどのように協力していくか、2、3位連合を作るかで、バイデンにとっては厳しい状況ということになる。大統領選挙を大きく見れば、ドナルド・トランプ大統領の再選の可能性が高いということには変わりがない。

(貼り付けはじめ)

1月の民主党予備選挙候補者討論会の5つの特徴(Five takeaways from the Democratic debate

ナイオール・スタンジ筆

2020年1月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/478328-five-takeaways-from-the-democratic-debate

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は火曜日夜の討論会で激しくやり合った。今回の討論会はアイオワ州での討論会実施前の最後の民主党討論会となった。

討論会に参加した6名の候補者たちはアイオワ州での支持を得ようと必死に戦った。予備選挙に参加している進歩主義派の大物政治家であるウォーレンとサンダースとの間の緊張関係が際立った。

アイオワ州デモイン市での討論会では、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジのような穏健派の候補者たちはあまり目立つパフォーマンスができなかった。

これから今回の討論会の5つの特徴について述べていく。

(1)ウォーレンは協業な主張を展開した(A strong night for Warren

ウォーレンはサンダースとの激しいやり取りから討論会に入っていった。2人のやり取りは彼女が優勢であった。

中心的なテーマは、2019年12月にウォーレンとの私的な会話の中でサンダースが「女性は大統領選挙に勝利できない」と語ったかどうかであった。ウォーレンはサンダースがそのように語ったと述べた。一方、サンダースはそのようなことは言っていないときっぱりと断言した。

火曜日夜の討論会の壇上、ウォーレンはこのテーマに戻ることはなかったが、女性候補者の当選可能性(electability)について擁護するのにこのテーマを使った。ウォーレンは自身の記録と壇上にいるもう一人の女性候補者であるエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の記録を引用した。

ウォーレンは次のように語った。「この壇上にいる男性たちをご覧ください。彼らはこれまでに合わせて10の選挙で負けてきたんですよ。この討論会の壇上にいる人々の中で全ての選挙に勝利を収めてきたのはここにいる二人の女性だけです」。

これは力強さを見せた瞬間だった。サンダースとの争い、彼女の当選可能性について疑念を持つ人々へのアピール、それらを全て包み込んでおり、それを数行の言葉で簡潔に述べた。

討論会後のメディアの報道の多くは、討論会の最後でウォーレンとサンダースがやり合い、語った内容について詳しく述べたものだった。両者は緊張した関係を最後まで見せていた。候補者として登壇した実業家のトム・ステイヤーを前にして両者は握手をすることもなかった。

火曜日夜の討論会で、マサチューセッツ州選出の連邦上院議員ウォーレンは、今回の予備選挙の初期の討論会で彼女を際立たせていたパフォーマンスを取り戻した。

ウォーレンは医療制度と児童保育について熱く語ったが、それ以外にも外交政策についても詳しく語った。外交政策は今回の討論会で最初に取り上げられたテーマだったが、ウォーレンは特に外交政策に強いとは思われていない。

サンダースとの戦いが選挙に与える影響についてはまだ適切に評価できないが、ウォーレンは火曜日の討論会において傑出した候補者となった。

(2)サンダースにとって悪いことは起きなかった(No disaster for Sanders

ウォーレンは討論会の壇上での激しいやり取りでサンダースを負かしたと言えるかもしれないが、討論会自体はヴァーモント州選出連邦上院議員サンダースにとって悪いものとはならなかった。

討論会の最初、サンダースはウォーレンがサンダースのせいにしている件について否定し続けた。

サンダースは。2016年にウォーレンが大統領選挙に出馬するかどうかについて「態度を保留」していた、そして、女性が大統領選挙に勝利できないなどと彼が考えるなどということは「全く理解できない」と主張した。

サンダースの反撃の激しさは彼自身の支持者たちを満足させるのに十分であろうが、支持者の多くはウォーレンがこそこそとした方法でサンダースを貶めようとしているとしてウォーレンに対して怒り狂っている。

サンダースの討論会参加者としての技術は過小評価されやすいものだ。

サンダースは2002年に連邦上院議員時代のバイデンが当時のジョージ・W・ブッシュ大統領にイラクでの武力行使の権限を与えることに賛成票を投じたことを激しく批判した。これに当時連邦下院議員として反対票を投じたサンダースはブッシュ政権の主張について聞いていたことを思い出していた。

サンダースは「私はあの人たちは嘘をついていたと思います。ジョー(・バイデン)は私とは違うように考えるでしょうが」と述べた。

サンダースは「メディケア・フォ・オール」医療制度に関する提案を強く主張し、またトランプ大統領が再交渉を行った北米貿易協定、米墨加協定に対して、予備選挙の候補者の中で明確に反対の姿勢を打ち出している。

サンダースは、信頼性が高い『デモイン・レジスター』紙の世論調査でトップに立った。また、アイオワ州での討論会で何か大きな失点をしてしまったということもないようである。

(3)バイデンは当選可能性を強調(Biden presses electability case

予備選挙におけるバイデンの切り札は常にシンプルなものだ。それは、バイデンがトランプ大統領を倒すための最善の候補者だ、というものだ。

もちろん、バイデンのライヴァルたちはこの主張に反論している。しかし、火曜日夜の討論会の檀上で、バイデンはこれまでの討論会の時よりも、明白にかつ繰り返し当選可能性について強調した。

少なくとも2つの場面で、バイデンは予備選挙に出馬している他の候補者たちよりも幅広い支持を得ている、特にアフリカ系アメリカ人の民主党員や民主党支持の有権者たちの間での支持が高いことを強調した。

ウォーレンとサンダースがお互いにやり合ったことがバイデンには追い風となった。二人のやりとりに集中することで、バイデンに対する攻撃はなかった。そうした中で、自分が民主党を団結させるために最良の候補者だと主張した。

確かに、バイデン前副大統領にはいくつかの弱点がある。バイデンが連邦上院議員時代にイラク戦争へ賛成票を投じたことがまず挙げられる。しかしより大きいものは、バイデンが提示しているものよりも、より大きな変化を有権者が望んでいる可能性があるというものだ。

バイデンはこれまでの討論会において目立たない参加者であった。火曜日の討論会においてもそこまで目立つことはなかったが、失言を避けることはできた。

(4)ブティジェッジは背景になじみ消えてしまった(Buttigieg fades into the background

今回の討論会でのブティジェッジのパフォーマンスはより弱いパフォーマンスの一つとなってしまった。彼はうまくできなかった。

中西部にある町の市長だったブティジェッジは2019年後半の数か月の各種世論調査で支持率の数字を上げてきている。ある段階ではアイオワ州でトップに立った。それ以降、支持率の数字は少し下がったが、2020年2月3日のアイオワ州での党員集会では成功を収める可能性は高い。

ブティジェッジにとっての問題は、彼が火曜日の討論会の大部分で影が薄かったことだ。スポットライトが当たったのは上位3名の有力候補者たちであった。ブティジェッジは、曖昧なもしくは平凡な返答を嫌う傾向にあるが、それでもうまくできなかった。

ブティジェッジは自分自身を中道派に属する若手だと強調し続けている。彼は進歩主義派に対して、「ある計画の大胆さは、どれだけのアメリカ国民を遠ざけることができるかにかかっているだけに過ぎません」という攻撃を行った。

しかし、ブティジェッジにとっては忘れられない討論会となった中で最も記憶に残る発言となった。

(5)クロウブシャーは流れを変えることに失敗した(Klobuchar fails to find a game-changer

クロウブシャーは独自の立場に立たされている。トップ集団にいる訳でもなく、圏外にいる訳でもない。

クロウブシャーはリアルクリアポリティックスの支持率平均で、アイオワ州では7%と言う数字を記録している。バイデン、サンダース、ブティジェッジ、ウォーレンの後塵を拝している。

ミネソタ州選出連邦上院議員クロウブシャーは自身の中西部出身者としてのルーツと、左派に属する候補者たちが提示しているより包括的な公約について疑念を持つ有権者の声を代弁する候補者であることを主張した。

クロウブシャーは、メディケア・フォ・オールの実現ではなく、患者保護並びに医療費負担適正化法(アフォーダブル・ケア・アクト、オバマケア)の拡大を繰り返した。そして、他の候補者たちに向かって、「皆さんが計画を持っていてそれを非現実的な夢で終わらせないためには、それに対する予算をどのように手当てするかを示さなければなりません」と語った。

しかし、クロウブシャーは安定していたが、パッとはしなかった。これからの党員集会での票集めに討論会でのパフォーマンスがどのように影響するかを予測するのは難しい。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は、ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の3人に絞られつつある。各種世論調査の結果を見ても、この上位3人以外の候補者の支持率の数字は1桁ばかりで、資金力や組織力、知名度を考えるとこの3名に絞られる。
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 4位につけるカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は支持率を落としている。上位3名はバイデンが中道右派、サンダースが左派、ウォーレンが中道左派(左派がより強い)という立場を明確にしている。ハリスは左派のようなことを言ってみたり、中道派のようなことを言ってみたりで立場が明確ではない。せっかく1回目の討論会でバイデンを厳しく攻撃して支持率を上げ、政治資金集めもうまくいったのに、その流れを保つことが出来なかった。
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 他の候補者たちも支持率を上げられない中で、実業家トム・ステイヤーは出馬宣言こそ遅かったが、現在、早期に予備選挙が実施される各州で選挙運動を集中して行い、支持率を挙げている。ステイヤーは9月の討論会の参加資格「支持率2%以上を4回以上記録」で3回は記録したが、1回足りずに討論会に参加できなかった。しかし、10月に関しては9月と参加条件が同じで残り1回を満たしたので参加できる。しかし、ステイヤーの全国規模での数字は上がっていない。私が注目しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は9月の討論会参加資格で、支持率2%以上が後2回足りなかったために討論会に参加できなかった。10月の討論会に関しては、あと1回というところまで来ているが、こちらもなかなか支持を伸ばすのに苦労している。
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アンドリュー・ヤンは、「18歳以上の全国民に毎月1000ドルを支給する」というベイシック・インカム政策を出馬宣言から一貫して主張して、このところ支持率を挙げている。このブログでも既にお知らせしているように、民主党全国委員会は9月、10月の大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会の参加基準を大幅に引き上げた。そのために20名ほどいる候補者のうち、9月の討論会に参加できたのは10名だった。その10名の中にアンドリュー・ヤンは入った。現役の連邦議員でも基準をクリアできず、参加できなかったり、予備選挙からの撤退を発表したりする中で、政治経験のないヤンが10名の中に入ったというのは快挙だ。討論会に続けて参加できない候補者は「非有力」「負け犬」候補というイメージを持たれてしまうので、出続けることが重要だ。 

 民主党予備選挙では、民主党支持の有権者たちは「現職のトランプ大統領に勝てるのか」という「当選可能性(electability)」があるのかどうかを注目している。その点で、アメリカ国民の多くが過激だと考えるサンダースは支持を集めることは難しい。「今回の選挙は勝てなくてもいいや」と有権者が考えれば、過激でもはっきりとした政治的主張を持っている候補者が党の指名候補になるが、今回はそうではない。トランプ大統領は不人気だから、次は落選させられると民主党支持の有権者は考えている。

 しかし、残念ながらバイデンを含めて、民主党の候補者は弱い。バイデンは高齢ということもあり言い間違いなどが多く、また、他の候補者たちから狙い撃ちをされてしまう。バイデンの最大の売りが「オバマ大統領の時の副大統領」ということで、「昔は良かったね」という有権者の郷愁が支持の原動力だ。だから、何かを大きく変えるというようなことは言わない。バイデンは連邦上院議員を長く勤めていたので、そもそも何かを大きく変えることはできないし、現実的ではないと考えている。

 現実的という言葉も重要で、サンダースやウォーレンの公約に対して、「現実的ではない」「実現不可能だ」という批判がある。連邦上院は共和党が過半数を占めている現状では、増税を伴う政策の実現は不可能だ。連邦上院は州の面積や人口に関係なく、各州2人ずつが選出され、任期は6年、2年おきの選挙で約3分の1ずつが選挙される。連邦下院議員は2年の任期で2年おきの選挙で全員が選挙される。選挙区は人口の大きさで区分され、人口が多い州ほど選出される議員数は多い。 

農業州や田舎の州が共和党の支持基盤であり、連邦下院議員の選出数は少ないが、連邦上院議員数は人口が多い州とも同じなので、共和党に有利な制度になっており、共和党が連邦上院で過半数を握りやすくなっている。連邦議会は捻じれが起きやすくなる。

 バイデンは長年のワシントン生活で共和党ともパイプを持っており、オバマ政権時代も、連邦議会で法案の通過が膠着状態に陥った際に、民主、共和両党の議員たちと話し合いを行い、根回しを行っていた。こうした根回しは副大統領の仕事だが、バイデンはこの根回しが上手だった。オバマ政権には、大統領であるオバマをはじめ、連邦上院議員経験者が多かった。

サンダースやウォーレンも連邦上院議員だが、サンダースは民主党会派には属しているが民主党所属ではない。ウォーレンは、「ケネディ王国」マサチューセッツ州選出であり、ケネディ家の支援も期待できる、民主党の王道の存在だ。ウォーレンが支持を伸ばしているのは、こうした背景もある。 

 民主党予備選挙は上位3名に絞られつつある。2位サンダース、3位ウォーレンが連携するかどうかで、状況は変わっていく。

(貼り付けはじめ)

バイデンは最新世論調査で支持率トップ、ウォーレンは僅差で2位につける(Biden leads in new national poll, Warren close behind in second place

ジョナサン・イーズリー筆

2019年9月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461827-biden-leads-in-new-national-poll-warren-close-behind-in-second-place

NBCニュースと『ウォールストリート・ジャーナル』紙の最新の共同世論調査の結果では、ジョー・バイデン前副大統領は大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中でトップにつけている。しかし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が僅差で2位につけている。

世論調査の結果は、バイデンの支持率が31%、ウォーレンの支持率は25%となっている。バイデンとウォーレンは支持率の数字を最も大きく上げた2人だ。バイデンは7月の調査から数字を5ポイント上げ、ウォーレンは6ポイント上げた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は支持率14%で3位につけているが、7月に比べて支持率の数字を1ポイント下げた。 

世論調査では、民主党支持の有権者たちはウォーレンの選挙運動を高く評価しているという結果が出た。35%の有権者が指名候補となったら彼女に進んで投票すると答えた。それに続くのがサンダースで25%、バイデンが23%となった。

ウォーレンは、ウォーレン以外の候補者を支持する有権者の第2選択肢の候補者となっており、21%がウォーレンを第2選択肢として名前を挙げた。ウォーレンに続くのがサンダースで16%、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが12%、バイデンが11%という結果だった。

第1位の選択肢と第2位の選択肢のパーセンテージを合計すると、ウォーレンは45%でトップ、バイデンが41%で2位、サンダースが29%で3位となる。

上位3名以外に支持率10%を超える候補者はいない。

ブティジェッジは支持率7%で4位、続くカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が5%IT関係の実業家アンドリュー・ヤンは4%だった。

ハリスの支持率は7月以来大きく下落している。8ポイントの下落は候補者の中で最大の下落幅である。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)はそれぞれ支持率2%を記録した。それ以外の候補者は1%を超える支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は、民主党の候補者討論会の参加資格対象の世論調査である。

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はあと1度、大正となる世論調査で2%以上の支持率を記録すると討論会への参加資格を得られるのだが、今回の世論調査では2%以上の支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は民主党予備選挙に参加予定の有権者506名を対象に2019年9月13日から16日にかけて実施された。誤差は4.4ポイントだ。

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 世論調査:バイデンはサンダースに12ポイントを付ける、ウォーレンは3位につける(Poll: Biden holds 12-point lead over Sanders, Warren third

 レベッカ・クラー筆

2019年9月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461615-poll-biden-holds-12-point-lead-over-sanders

月曜日に発表された最新の世論調査の結果、ジョー・バイデン前副大統領は2位のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に12ポイントの差をつけてトップに立っていることが分かった。

モーニング・コンサルト社が実施した世論調査の結果によると、バイデンは、候補者が絞られつつある民主党予備選挙において、予備選挙に参加予定の有権者の32%の支持を受けている。

サンダースは支持率20%で2位につけた。

ウォーレンは支持率18%で、サンダースに対して僅差の3位につけた。今回の世論調査の結果は、ここまでの数週間に発表された世論調査の結果とほぼ同様のもので、バイデン、サンダース、ウォーレンが明確に上位候補者として絞られ、トランプ大統領と戦う民主党指名候補に近い存在となっている。
上位3名だけが支持率2桁を記録している。
また、今回の世論調査の結果では、上位3名だけが早期に予備選挙が実施される各州での支持率が2桁を記録している。

アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州といった早期に予備選挙が実施される各州での支持率を見ると、バイデンのサンダースに対するリードは13ポイントに広がっている。

モーニング・コンサルト社の今回の世論調査の結果では、サンダースのウォーレンに対するリードは8ポイントだ。ウォーレンの支持率は13%となっている。

モーニング・コンサルト社の世論調査は、自分の住む民主党予備選挙もしくは党員集会に参加予定の登録済有権者7487名を対象に2019年9月13日から15日かけて実施された。誤差は1ポイントだ。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査は341名の有権者に対して実施された。誤差は5ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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決定版 属国 日本論

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 古村治彦です。

 

 何度かご紹介しましたが、2019年9月12日と13日に予定されているアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちの3回目の討論会ですが、参加者が10名に絞られたということで、12日だけで実施されることになりました。時間は3時間となり、これまでよりも長くなります。まとめてやるが、時間は長くなるということになりました。

 

 9月と10月の討論会の参加条件は、(1)2019年6月28日から8月28日(9月の討論会の場合)、10月2日(10月の討論会の場合)までの間に、民主党全国委員会が承認した新聞社や研究機関などが実施した全国規模の世論調査で支持率2%以上を4度以上記録すること、(2)13万人以上の献金者、もしくは1つの州で400名上の献金者を20州以上で記録すること、の(1)(2)両方の条件を満たすことです。

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 下の記事にある通り、9月の討論会には10名の候補者が参加できることになりました。この候補者たちは自発的に撤退しない限り、10月の討論会にも参加できることになります。今回の討論会に参加できるかできないかで、民主党予備選挙の「上位」候補、「下位」候補という色分けがなされることになります。下位候補という色付けを嫌って、カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は参加条件締め切り数時間前に撤退を表明しました。ギリブランド議員は出馬表明直後、有力候補になるのではないかと見られていましたが、ウォール街との緊密な関係などもあり、人気は上がりませんでした。

 

 下位候補者の中でも、あともう少しで参加条件をクリアできたという人たちもいて、この人たちは参加条件について批判しています。アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州は民主党予備選挙が早い段階で実施される州(early states)で、全国規模の世論調査とは別に、これらの州での世論調査も実施されています。

 

大富豪のトム・スティヤーは、献金者数では条件をクリアしながら、全国規模の世論調査の支持率2%超4度という条件で、3度までは記録しながらあと1度が記録できずに、討論会に参加できないことになりました。スティヤーは予備選挙が早期に実施される州での支持率が高く、民主党全国委員会にこれらの州の結果も参加条件に入れて欲しいと要望しています。


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スティヤー

 残念なのは、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が9月の討論会の参加条件をクリアできず、参加できないことです。ギャバード議員は献金者数の条件はクリアしているのですが、支持率の方で2%超を2度しか記録できていません。あと1月余りの間に2度の2%超を記録しなければ10月の討論会にも参加できないことになります。

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ギャバード 

ギャバード議員については私も注目し、このブログでもご紹介いたしました。ギャバード議員は、2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を応援しましたが、今回は候補者同士として戦っています。

 

 ギャバードは2016年当時、民主党全国委員会副委員長を務めていました。しかし、民主党全国委員会が当時の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)をはじめとして全体がヒラリー・クリントン元国務長官を贔屓にし、クリントンが有利になるように討論会を設定するなどしていたことに対して抗議の辞任をし、サンダース議員を応援しました。今回も民主党全国委員会の決定には透明性と公平性が欠けているという批判を展開しています。

 

 ギャバードは実際に軍務に就き、二度にわたりイラクに駐屯しました。その経験から、「アメリカは世界各地の紛争に関わるべきではない、アメリカが関与することでお互いに不幸になる」という主張を行っています。2019年6月の討論会では、イラクとアフガニスタンへの駐兵の必要性を訴えたティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)を一刀両断に斬り捨て、聴衆の喝さいを浴び、ライアンは顔面蒼白で口をパクパクさせるだけでした。ライアンの大統領選挙での挽回の目は全くないでしょう。

 

 私としてはギャバード議員には討論会に出席し、自説を展開して欲しいと願っています。しかし、あと少しのところで9月の討論会には出席できないことになりました。10月の討論会は同じ条件ですから、世論調査の支持率の数字が伸ばさねばなりませんが、9月の討論会に出られないとなると、負け犬候補者の扱いになって難しいことになるでしょう。

 

 これから民主党予備選挙は激化していき、候補者たちは生きるか死ぬかの戦いに入っていきます。下位にランクされた候補者たちは撤退を余儀なくされるでしょう。2020年になるまでに選挙を続けられるのは上位10名でしょうし、2020年に入って、予備選挙が実施されるようになれば、候補者たちはどんどん脱落していきます。民主政治体制の残酷な見世物のような面ではありますが、このような厳しいプロセスを経て指導者が選ばれるというのは、日本から見ていて何とも羨ましい限りです。もっともそれだからといって、再適格の人物が指導者に選ばれる訳ではないというのは、また、民主政治体制が未完の永遠に続く反省と改善のプロセス、ということを示していると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

10名の候補者が討論会に参加できるが残りの10名は条件をクリアできず(10 Democrats set to debate after other half falls short

 

タル・アクセルロッド筆

2019年8月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/459138-ten-candidates-make-september-debate-stage-while-several-others-fall-short

 

来月の討論会に10名のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちが参加資格をクリアした。水曜日の夜に民主党全国委員会の設定した期限までに条件をクリアした候補者が10名となった。

 

これまで2度の討論会の参加者は20名で、民主党全国委員会は討論会を2日に分けて実施したが、来月の討論会の参加者は半分となる。結果として、次の討論会は9月12日の一晩だけ行われることになると考えられる。

 

6月と7月に実施された2度の討論会は合計で4晩にわたって実施されたが、民主党全国委員会は1晩の討論会に参加できる人数を最大で10名までと制限していた。

 

9月の討論会の参加条件として、民主党全国委員会は、候補者は献金者数が13万名に達すること、そして民主党全国委員会が承認した各種世論調査で2%以上の支持率を4度記録することという条件を設定した。

 

次の10名の候補者たちが2つの条件をクリアした。ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、IT企業家アンドリュー・ヤン、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官が条件をクリアした。

 

残り10名の候補者たちは討論会のステージに立つことが出来なくなった。ヘッジファンドの重役で大富豪のトム・スティヤー、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)、マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)、モンタナ州知事スティーヴ・ブロック、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)、ジョン・ディレニー元連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)ニューヨーク市長ビル・デブラシオ、ベストセラー作家マリアンヌ・ウィリアムソン、ジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)、フロリダ州ミラマー市長ウェイン・メッサムは条件をクリアできなかった。

 

民主党全国委員会は、参加条件についての審査を終えた後、どの候補者が討論会に参加できるかについて最終決定を行う。

 

9月の討論会の参加条件をクリアできなかった候補者たちでも、10月の討論会は同じ参加条件であるので、条件をクリアできる可能性はある。

 

9月と10月の討論会への参加条件は共に2019年6月28日から始まっている。民主党全国委員会が今月初めに各候補者の選対に送ったメモによると、10月の討論会の参加条件の締め切りは討論会開催日の2週間前ということだ。

 

結果として残り10名の候補者たちには10月の討論会参加条件をクリアするために時間が与えられることになる。9月の討論会に参加できる候補者たちは自動的に10月の討論会にも参加できる。

 

9月の討論会に出席できない10名の候補者たちの中で、ステイヤーは条件のクリアに最も近い候補者である。ステイヤーは献金者の条件は満たしているが、世論調査の支持率に関しては条件クリアまであと1つというところである。ステイヤーは2019年7月の討論会の直前に出馬表明をしたために7月の討論会に参加できず、現在までのところ討論会に参加したことはない。

 

ギャバードも献金者の関する条件は満たしているが、後2つの支持率2%超えが必要である。ハワイ州選出の連邦下院議員であるギャバードはこれまで2度の討論会にはいずれも参加している。

 

しかし、9月の討論会に出席できないということになると、世論調査での支持率を上げることや新たな献金者を獲得することが困難になる。候補者たちが自分たちのことを有権者に売り込むための重要なステージ、そして多くの立候補者が出馬している予備選挙において、他の候補者から自分を区別して売り込む機会を奪うことになる。

 

ハリスの場合、6月の討論会でバイデンが過去に人種差別解消のためのバス通学に反対したことを取り上げて批判したが、その後に支持率を上昇させた。ブッカーは7月の討論会の後、1日の政治献金額では自己最高を記録することが出来た。

 

カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は9月の討論会の参加条件締め切りの数時間前に予備選挙からの撤退を表明した。ギリブランドは多くがひしめき合う予備選挙で抜け出すことが出来なかった。

 

条件をあと少しでクリアできなかった候補者たちの中で、民主党全国委員会の設定した条件は厳しすぎる、もしくは決定の過程の裏が透明性に欠けている、と不平を述べた。

 

水曜日、締切期限の数時間前にステイヤー選対は声明を発表し、その中で、民主党全国委員会に対して、「早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果をより多く含むよう」に求めた。

 

一方、ギャバード選対は先週、討論会参加条件となる世論調査の選定のプロセスに関して民主党全国委員会を非難した。

 

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ギャバ―ドが討論会の参加条件として世論調査の支持率が入っていることで民主党全国委員会を批判(Gabbard hits DNC over poll criteria for debates

 

レベッカ・クラー筆

2019年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458551-gabbard-hits-dnc-over-mysteriously-incoherent-poll-criteria-for-debates

 

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は、これから実施される討論会の参加条件に世論調査での支持率の数字が入っていることで民主党全国委員会を批判した。そして、参加条件となる世論調査について選定する際に、「透明性と公平性を確実なものとする」ように民主党全国委員会に求めた。

 

ギャバード選対は、26の全国規模と早期に予備選挙が実施される各州での世論調査で、ギャバードの支持率が2%を超えたが、民主党全国委員会の「認めた」世論調査のリストに限ると、2つしか2%を超えていないということになるという声明を発表した。そして、「『エコノミスト』誌や『ボストン・グローブ』紙のような信頼性が高い機関が実施した世論調査の多くが民主党全国委員会に“認められて”いない。しかし、これらの世論調査は“リアル・クリア・ポリティックス”や“ファイヴ・サーティー・エイト”では、民主党全国委員会が認めた世論調査よりも信頼性が高い世論調査として上位にランク付けされている」と述べた。

 

ギャバード選対は金曜日に発表した声明の中で、「ギャバード選対は民主党全国委員会に対して約束を果たすこと、そして、透明性と公平性を確保するためにプロセスを変更することを求める」と書いている。

 

声明は「討論会への参加条件の決定はアメリカ国民の権利に影響を与えるという点で重要である。民主党の予備選挙のプロセスにアメリカ国民が完全に参加する機会を持つことにおいて、プロセスに関し党の有力者たちが秘密裏に決定を下すということはあってはならない」と述べている。

 

民主党全国委員会は9月と10月の討論会の参加資格の条件を引き上げた。その条件とは、民主党全国委員会が認めた各種世論調査の中で、4つの世論調査で支持率2%以上を記録することと最低13万人以上の政治献金者を確保することだ。

 

ギャバ―ドは政治献金の条件はクリアしているが、民主党全国委員会が認めた世論調査の支持率の4つのうち2つしかクリアしていない。

 

本誌は民主党全国委員会報道担当にコメントを求めたが返事はなかった。

 

来月、テキサスでの討論会のステージに立つための条件をクリアしたのは10名の候補者たちだ。ジョー・バイデン前副大統領、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官、IT企業家アンドリュー・ヤンが討論会に出席できる。

 

候補者たちが条件を満たすまでの期限は水曜日までだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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