古村治彦です。
ドナルド・トランプ大統領の「アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義、Isolationism)」「アメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内の状況を第一に考える)」という言葉は日本で通じる言葉で言えば「アメリカ国民の生活が第一」ということになる。2016年のトランプの選挙公約は、「世界中に展開しているアメリカ軍を撤退させる」というものだった。これに人々が惹きつけられた。
2008年のバラク・オバマ旋風も「チェンジ」「イエス・ウィ・キャン」というスローガンで隠されているが、ジョージ・W・ブッシュ政権の外交政策や国家安全保障政策、ネオコンが主導した諸政策の失敗に対する反対が根底にあった。しかし、オバマ政権第一期では、選挙で激しく戦ったはずのヒラリー・クリントンを国務長官に起用した。案の定、ヒラリーとその一派は余計なことをして中東を混乱に陥れてしまった。また、リビアではベンガジ事件が起き、ヒラリーの側近クリストファー・スティーヴンス大使が死亡することさえ起きた。ヒラリー派は「人道的介入主義派」と呼ばれ、共和党系のネオコンと親和性が高い。世界中に介入して、「世直し」をしてやろう、そうすることが世界平和への道だと宗教のよう信じ込んでいる人々だ。
2003年のイラク戦争には、当時、民主党所属の連邦上院議員だったヒラリー・クリントンもそしてジョー・バイデンも賛成している。「好戦的な戦争屋(war monger)」の最たるものではないか。
ジョー・バイデン政権(仮)で、国家安全保障政策や外交政策の分野で、どれだけヒラリー派の人々が登用されるのだろうかと私は心配している。「トランプ大統領が負けた、やったやった」と日本で投票権もないのに喜んでいるのは、単細胞の考えの足りない人々だ。これからどれだけの厄災が起きるのか、と常に悲観的に備えておくことが考え深い人たちのやることだ。
クリストファー・ミラー
トランプ政権はアメリカ軍の撤退を進めようとしている。マーク・エスパー国防長官が解任され、クリストファー・ミラーが国防長官代理に任命された。ミラーは「全ての戦争は終わらせられなければならない(All wars must end)」という衝撃的な言葉を発した。好戦的なアメリカの国防長官が戦争を止めようと言ったのだ。「アメリカと一緒になって、中国と韓国をやっつけてやる」と言葉だけはお勇ましい日本国内のアホ右翼に聞かせてやりたい。彼らは「それじゃジョン・レノンと同じじゃないか!」と呆れて驚き、自分たちが上ったはしごが外されたと感じるだろうか。
エスパー国防長官とその側近たちが更迭されているのは、トランプ大統領の意向に沿う動きをしなかったからだ。それがアメリカ軍の撤退であり、こうした人間たちは自分たちは快適なオフィスにいて、下っ端のことなど書類上の数字でしかとらえない。
クリストファー・ミラーはジョージ・ワシントン大学時代にROTC(士官養成プログラム)を利用して、大学を卒業後に米軍に入隊している。特殊作戦部隊(グリーンベレー)に所属していたこともある。また、大学在学中には、ワシントン市内を警護する、3400名の将兵を擁するワシントン・コロンビア特別区陸軍州兵部隊(District of Columbia National Guard)の憲兵を務めていたこともある。ミラーを国防長官代理に登用したということは、トランプ大統領はワシントンを固めようとしているのだろうということが分かる。
バイデンが勝って良かった、良かったと言っている人たちはよく考えた方が良い。あなたたちが考えているよりも事態はより深刻でかつ危険なのだ。
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●「アフガン停戦協議の加速を 米長官、タリバンと会談」
2020/11/22 09:12 (JST)
©一般社団法人共同通信社
https://this.kiji.is/702996862120199265?c=39550187727945729
【ワシントン、イスラマバード共同】ポンペオ米国務長官は21日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの交渉団とカタールの首都ドーハで会談し、恒久停戦に向けアフガン政府との協議を加速させるように促した。アフガン政府交渉団にも同様の考えを伝えた。国務省が発表した。
2月の米タリバン和平合意に基づきカタールで停戦協議が続いているが、タリバンが各地で攻撃を続けているため進展していない。
トランプ米大統領は大統領選での敗北を認めておらず、米政権は17日にアフガン駐留米軍を現在の約4500人から来年1月15日までに約2500人に削減すると発表している。
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新しい国防長官は海外派遣の米軍の数を減らす可能性を示唆している:「全ての戦争は終わらせられねばならない」(New Defense chief signals potential troop drawdown: 'All wars must
end')
セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆
2020年11月14日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/defense/525967-new-defense-chief-signals-potential-troop-drawdown-all-wars-must-end
クリストファー・ミラー国防長官代理は金曜日に国防総省のスタッフに宛てたメモにおいて中東における米軍の数を削減する可能性を示唆した。メモの中でミラーは「全ての戦争は終わらせなければならない」と書いている。
ミラーは、今週になってトランプ大統領が国防長官だったマーク・エスパーをツイッターでの書き込みで解任した後を受けて、国防長官となった。ミラーはメモの中で、現在の様々な衝突が終わっていないことを認めながらも、「私たちは永続戦争を行う国民ではない」と書いている。
ミラーは、アフガニスタンでの戦争に言及しながら、次のように述べている。「私たちが将来に備える中で、2001年に我が国にアルカイーダがもたらした戦争を終わらせるための努力を続けねばならない。この戦争は終わってなどいない」。
ミラーは続けて次のように述べている。「私たちはアルカイーダと協力者たちを敗北の淵にまで追い込んでいる。しかし、私たちは、戦いを終わりにまで導くことができなかった過去の戦略的な誤りを避けねばならない。実際のところ、この戦いは長期化し、私たちの払った犠牲は多大なものとなっている。そして、多くの国民は戦争に疲弊している」。
ミラー国防長官代理は「現在の段階は、私たちが指導的な役割から支援的な役割に移行するための重要なものなのである」とも書いている。
ミラーは「私たちは永続戦争を叩か国民ではない。私たちが支持するもの、私たちの先祖が戦ったもの二大して永続戦争は反対する考えだ」と述べ、「全ての戦争は終わらせられなければならない」と続けた。
ミラーは「戦争を終わらせるためには、妥協とパートナーシップが必要となる。私たちは困難に直面した。私たちは全ての力を注ぎこんだ。そして今、私たちはアメリカに帰る時なのだ」と書いている。
トランプ大統領が今週エスパーを解任してから、アフガニスタンから米軍将兵の撤退を促進するのではないか、国防総省の幹部たちの人事を大きく変更するのではないかという疑念が大きくなっている。
2016年の大統領選挙で、トランプは「終わりのない戦争」を終わらせ、外国の争いから米軍将兵を撤退させることを公約として選挙戦を戦った。しかし、19年間も続くアフガニスタン戦争におけるアメリカ軍の存在を削減しようとする試みは困難であることが証明され続けた。
トランプ政権は今年初めにタリバンとの間に条件付きの講和条約を締結した。その内容は、タリバンがアフガニスタンにおけるアルカイーダの存在を拒否するために努力することで、アメリカは来年5月までに完全撤退をするというものだ。トランプ大統領は米軍撤退のペースに不満を募らせているという報道がなされている。
先月、トランプ大統領はツイッター上に、アフガニスタンに駐留している米軍はクリスマスまでにアメリカ本土に帰還させるべきだ、と投稿した。
今週になって国防長官代理に任命され、その直後に、ミラーはダグラス・マクレガー退役陸軍大佐を自身の上級顧問として採用した。
マクレガーは過去、頻繁にアメリカ政府は米軍を中東の争いから撤退させるように主張してきた。そうしたマクレガーを国防総省に迎えたということは、トランプ大統領が任期の終わりの時期にアメリカ軍を中東から引き上げさせる試みが行われる可能性を示唆している。
人事変更については報復だという見方も出ている。トランプ大統領に対して厳しい批判を展開している元CIA長官ジョン・ブレナンは金曜日、トランプ大統領が国防総省の人事を大幅に変更したのは「復讐」をしているのだと述べた。
ブレナンはCNNとのインタヴューの中で次のように述べた。「大統領は人々に対して個人的に忠誠を誓うように求めます。従って、マーク・エスパーを解任し、国防総省内の幹部クラスの文官たちを更迭したことは、トランプ氏の個人的な恨みを晴らす行動に過ぎないのです」。
エスパーの解任以降、国防総省の幹部たちの中から辞任を示唆する動きが出ている。国防総省の政策担当のトップであるジェイムズ・アンダーソン、国防総省の情報部門のトップであるジョセフ・カーナン、エスパーの首席補佐官ジェン・ステュワート、次席補佐官アレクシス・ロスが辞任の動きを見せている。
国防総省の元幹部職員で、現在の国防総省の幹部クラスの状況について詳しい人物は今週、マクラッチーに対して次のように語った。「今回の選挙では自分が勝利したというトランプ大統領の主張を促進するために、米軍を積極的に使用する準備のため、国防総省の幹部文官たちを解任することはトランプ大統領にとって重要なことなのです」。
ある幹部職員は国防総省の人事の更迭と招聘について次のように述べた。「これはこうした種類の決定を行うにあたり、恐らく最悪の、最も極端な理由となるでしょう」。
先週、ジョー・バイデンが大統領選挙の勝者となったと大手メディアは報じた。しかし、トランプ大統領は敗北を認めることを拒絶し、民主党による選挙を盗む試みとして、激戦諸州で不正選挙が実施されたということを繰り返し主張している。
これらの主張は選挙の専門家、地方の選挙関連職員たち、そして裁判所によって反論され、覆されている。
ミラーは金曜日、指導部の変更があっても、米軍は「極力な体制」を維持し続けると述べた。
リトアニアからの訪問団との会談の前に、国防総省でミラーは次のように発言した。「アメリカ国民と我が国の同盟諸国とパートナー諸国について、国防総省は強力な体制を維持し、アメリカの国土、アメリカ国民、世界規模での我が国の国益を保護し続けるという重要な仕事を継続するということを明確にしておきたいと思います」。
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