古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ドル

 古村治彦です。

 副島隆彦(そえじまたかひこ)先生の最新刊最新刊『米ドル札の消滅 それでも金の上昇は続く』(徳間書店)が、2026年6月26日に発売です。アマゾンで予約を受け付け中です。
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『米ドル札の消滅 それでも金の上昇は続く』

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にして、是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき 副島隆彦(そえじまたかひこ)

 

●やがてドル札も1万円札も消滅する

 

 この本は、これからの金と銀の動きを追いかけて分析する。金と銀は、これからも、まだまだ上がる。この説明を、ずっとやってゆく。

 

 そしてこの本のもう一つの大きな柱は、もうあと数年で、アメリカのドルのお札(紙幣)が、どんどん無くなっていくことを書く。それに連れて日本の1万円札も消滅に向かう。このドル札の消滅 US Dollar is vanishing(ヴァニシング) は、普通の人にはとても信じられないことだ。だが、現在、急速にアメリカ政府(トランプ政権)は、ドル紙幣を実際に世の中で使われなくする動きに向かっている。それは暗号資産(あんごうしさん)なるものによって、ドル紙幣にとって代わらせようとしている動きである。だから本書の書名は『米ドル札の消滅 それでも金の上昇は続く』 Dollar Di-minishing, Gold Gaining なのだ。

 

私は、このドル札の消滅のことを前の本からも書き始めている。いよいよ、これが加速している。今では、もう×仮想通貨というコトバは使わない。暗号資産という。これを英語でcrypto assetクリプト・アセット という。そして、このクリプト・アセットがやがてお金(かね)になると、クリプト・カレンシー、暗号通貨(つうか)になる。暗号資産が強制通用力(つうようりょく)を持つ法定通貨(ほうていつうか)(legal[リーガル] tender[テンダー])になることで一国で通用するお金になる。どんどん、そのようになりつつある。初めは、ただ単に送金や代金の決済(けっさい)手段として使われるように見せる。だが、やがて、この暗号通貨が、現在の米ドルの100ドル札にとって代わろうとしている。ここで大事なことは、この暗号通貨は中央銀行や政府が発行するのではなく、あくまで民間企業が発行体(たい)となって発行するものだ。それを法律が通貨(つうか)(お金[かね])として保障する。

 

この動きに日本も引きずられている。日本でも、やがて1万円札が使われなくなる。日本人は、1万円札が大好きである。私たちは自分の国のお札に大変な信用を置いている。ところがアメリカでは、100ドル札(1万6000円に相当)などのお札(さつ)が嫌われている。アメリカでは、庶民層も含めて、「現金(キャッシュ)は、持っているだけで損だ。インフレで政府が現金の価値をどんどん無くさせて、奪い取っているのだ」と考えている。だから、アメリカ国民はあまり銀行預金をしない。その代わりに、クレジットカードなどのデジタル通貨(マネー)を使っている。これに金利が5%ぐらい付いても平気でカード決済をする。日本人は少しでも金利が付くのが嫌いだ。だから1万円札の現金を何よりも大切にしている。

 

ところが、それでもやがてアメリカでも日本でもヨーロッパでも、現金のお札が消滅させられようとしている。アメリカでは、暗号資産(×仮想通貨)の王様であるビットコインではなくてどうやらイーサリアム、そしてテザーと呼ばれる暗号資産を「ステイブル・コイン」(安定した安全なお金)として、急激に通用させようとしている。

 100ドル札や1万円札が、もうすぐ無くなる、などは、とても信じられないという人が大半だろう。だが、この事態が急激に進行しているのである。例えば、中国では、もう人民元(じんみんげん)のお札(その代表が100人民元札[さつ]=人民幣[レンミンビ])が7年前から、ほとんど使われなくなっている。中国全土で、お札(さつ)が消えた。中国国民は、朝から晩まで、ほとんどスマホ決済のようなデジタル・マネーで生きている。私は7年前(2019年)に中国に行ってこの現実を知って驚いた。だから世界がこの動きになってゆく、と私が書くのだから、素直に信じなさい。

 

ここには、確かに大きな悪だくみが存在する。アメリカ政府は、自分がこれまでに抱え込んでいる巨額の財政赤字と対(たい)外(がい)借金を暗号資産に取り換えることによって、大きくごまかして借金の重たい負担から、逃げようとしている。例えば、中国や日本がアメリカに対して米国債の形で持っている巨額の対(たい)米(べい)債権を、「実質的にチャラにする」という恐るべき、手段に出ようとしている。このことを本書の第2章以下で、詳しく説明する。

 

アメリカは生き延びるために、半導体(セミコンダクター)企業とA(エイ)I(アイ)技術の進歩でドカーンと資金を集める。ニューヨークの金融市場を潤(うるお)わせることで、お金(かね)はいくらでも有(あ)る、という幻想を振りまく。その代表例が6月12日に新規にNASDAQ(ナスダック)に上場(リスト)する宇宙企業のSpace(スペイス) X(エックス)(イーロン・マスクがオウナー)である。I(アイ)P(ピー)O(オウ)(公開時価格)を1・75兆ドル(280兆円)とした。この他にOpen(オープン) AI(エイアイ)(サム・アルトマン会長)とAnthropic(アンソロピック)(ダリオ・アモデイCEO)の上場も予定される。どちらも1兆ドルは行くだろう。バブルとしか言いようがない異常な事態だ。これらの超(ちょう)巨額の資金が、どこかから降って湧いたようにするために、トランプ政権はドル札(さつ)(通貨発行量)と米国債を手(て)品(じな)で大増刷して市場に蒔(ま)く。これ以外に手はない。こうやってアメリカ金融資本主義は、まだまだ繁栄を続ける、という大きなインチキで生き長らえるつもりである。

 

●イラン戦争はもう停戦した

 

 今年の2月28日から始まったイランに対するアメリカからの軍事攻撃で、ずっと今の世界は動いている。6月になってもまだズルズルと戦争は続いている。この戦争はイラン戦争 Iran War と呼ばれるようになった。両国の合意で停戦(ていせん)(cease[シース] fire[ファイア])したのだが、アメリカのトランプ政権の頑迷な態度で、戦争の終結への和平(わへい)交渉(ピース・トークス peace talks)がなかなかはかどらない。ホルムズ海峡を、原油や天然ガスの輸送タンカーが通りにくくなったままで、世界経済に影響が出たままである。

 

しかし停戦(ていせん)は大きくは成立している。4月7日から双方の合意で停戦している。ところが、まだ、軍事的な緊張関係が断続的に続いている。第4章でイラン戦争について詳しく論じた。私たち日本人は、停戦と和平交渉の区別がつかない。P159に国際紛争の6つの段階の図式を載せた

 

●金と銀は再び上昇を始める

 

 今年の1月29日に、金(ゴールド)と銀(シルバー)の価格が史上最高値をつけた。前の方にドル建て(世界金[きん])と日本国内(1グラム当たり)の2つのグラフを載せた。

 金は、何と国際価格(NYの先物[さきもの]市場で決める)で1オンス=5626ドルをつけた。日本国内の値段では、1グラム=3万248円(小売り)である。最高値の5600ドルと3万円という数字をまず、覚えなさい。このあと金は、少し下落して、1オンス=4500ドル、国内では、1グラム=2万5000円まで落ちた。最高値から4か月経った5月中頃から、金と銀は再び、少しずつ上昇を始めている。このあと第1章で詳しく説明する。

 

それに対して銀[ぎん](シルバー)は、世界値段で最高値で、1オンス(31・1グラム)=120ドルまで行った。国内値段(小売り)で1グラム=640円の最高値をつけた(1月29日)。このあと金の値下がりに連れて、銀も下落した。そして5月になって、ようやく回復の動きを見せている。金は再び5000ドル、銀は100ドル超えを目指して動いている。

 

金の値動きについては、過去6年間で見ると13ページに載せたグラフの通りである

 

私は自分の前著『金を握りしめたものが勝つ 銀は10倍になる』(祥伝社刊)を今年の2月に出版した。その本には間に合わなくて、その前の1月末の最高値(ピーク、頂点)の2万6000円台をつけた古い数字しか載せていない。だからこの本で、金の値段が、その後、どのようになったかをはっきりと説明してゆく。この半年間で辿(たど)った金と銀の値段の動きを、この本で詳しく見ていく。今は、本書の各所に載せた金と銀の値動きのグラフをちらりと見るだけにしておいてください。

 

●日本では金価格の動きを説明する者がいない

 

日本では、この半年間の金(きん)の価格の激しい動きを体系立てて説明する者が誰もいない。本当にいない。だから私がやるしかない。金の値動きについて、全体の流れを説明する人がいないなどということがあるのかと、疑問に思うだろう。ところが本当にいないのだ。専門家が誰もやらない。不思議な話である。人間というのは、目先のことばかり追いかけて、自分の資金が増えることばかり考えている。だからわずか半年前の値動きについてしっかりと見直すことをしない。

 いわゆる「チャート分析(英語ではテクニカル・アナリシスと言う)」の大家たちがいて、過去の株価や金融指標の値動きをずっと分析しているように思われている。だが、この投資のプロウproたちであっても、大きな流れとしての、金(きん)の動きを知らない。彼らのほとんどは、これまで株式の動きばっかりを追いかけてきた人々である。金のことはあまり知らない。それが急に金(きん)の世界に入ってきて、まるで長年の専門家のような顔をしている。

 

私、副島隆彦が、日本では金に関する評論家として第一人者である。このことは業界でも認められているはずである。それは私がこれまでの30年間に書いてきた金融本、約100冊の本で、この事実が証明されている。私がこれまでに〝金買(きんか)え評論家〟と呼ばれて、勝ち取ってきた大きな信用と信頼をバカにする者はいないだろう。

 

私のこれまでの「金を買いなさい。早めに買っておきなさい」という強い勧めに従って、金を1グラム=4000円とか8000円で10年前や5年前に買った人たちが、大きな含み利益を上げて喜んでいる。なぜなら金1グラムが3万円を超えて(1月29日)、買った時の価格から5倍、10倍の大きな値上がりをみせたからである。金を1キロの板(いた)(バー)で1枚持っていただけで、それが3000万円になったのである。小さな家や鉄筋アパートの一室を買える値段だ。日本全国に、私がこれまでに書いた本の影響で金(きん)を買って儲かった人たちが最低でも10万人、大きく言えば100万人ぐらいいるようである。彼らからの感謝の連絡が私に届いていることから、このことが分かる。

 

金が3万円(小売り)を超してその後、2万5000円にまで下落し、その後3月24日の最安値2万4777円を経て、今再び3万円に戻ろうとしている。銀も同じように1グラム=640円の最高値をつけた後、480円ぐらいでズルズルと値動きした。その後、再び500円台を回復して再上昇を始めている。

 

この半年間に一体、何が起きていたかを第1章で詳しく説明する。私はさっき「実に不思議な話だが、金(きん)の値動きについて、この半年間の値動きを説明する者がいない」と書いたが、なぜそうなるのか。それは人間は、その時その時の数字だけしか追いかけない生物だからだ。過去のことはすぐに忘れる。ちょっと目先(めさき)の、次の値動きのことで、そわそわドキドキするだけで、それ以上のことをしない生き物だ。これは、生来の博奕(ばくち)打ちの能力に恵まれている、金融投資で自分の財産を作ってきたようなプロウの投資家たちであっても同じである。

 

プロウの投資家たちはチャート(罫線[けいせん])分析で、その先の値動きを予測して自分の投資の決断を冷酷に行う。このチャート分析を毎日毎日やり続けている人は金融グラフを見慣れているから、75日移動平均線とか、ボリンジャー・バンド(帯)とか酒田(さかた)五法とか、一目均衡表(いちもくきんこうひょう)やエリオット波動で、ごく近い将来の投資予測をやっている。

 

だが私、副島隆彦は、彼ら株式や債券や為替のチャート分析を毎日やっている投資家たちを、自分の客(本の読者)にして来なかった。私は、「金や銀の値動きについて一喜一憂することなく、ゆったりと1か月に1度ぐらい値動きを見る程度でいなさい」と勧めてきた。だから私は博奕打ち(ギャンブラー)が嫌いなのだ。投資家というコトバさえ嫌いだ。投資と博奕の才能に生来(せいらい)恵まれた人たちは自分のそれを大事にしなさい。それは、その人が持って生まれた才能(タレント)であり、人生の糧(かて)になるものだ。他の多くの人々には無いものだ。だから、この天性の才能についてこれ以上あれこれ言うことはしない。

 

私、副島隆彦は、「金と銀を買いなさい」と一貫して、30年間、唱導してきた。だが、このことで「投資」というコトバを使ったことはない。私が「早いうちに金を買いなさい」と強く勧めてきたのは、投資(インヴェストメント)のためではない。普通の人々のためである。かつ、私の本を書店で見つけて、5年前、10年前、20年前から買って読んで来た、生来(せいらい)賢い知恵のある人々向けであった。あくまで自分の老後の生活の資金と、家族の経済的な余裕になるものとして「金を買っておきなさい。必ず大きく上がりますから」と書いたのである。このことを勘違いしないでもらいたい。

 

私がこれまでに書いてきた、「金は1オンス=5000ドルの倍の1万ドルになる」の通りだ。だから、このあと金は2倍になる。そのように改めて予測、予言をしておく。だから日本国内値段では1グラム=3万円を超えてさらに少しずつ上がり続け、倍の6万円にまで上がっていく。それまでに、あと2年ぐらいかかるだろう。ということは金価格は、去年の1年間と今年1月に起きた世界中を驚かせた急激な、激しい上昇は起きない。このことを分かってほしい。このあとは少し時間がかかる。2023年8月に金の小売1グラム=1万円を突破してからの2年半で、3倍の3万円になった。真に驚嘆すべきことだった。

 

ただし銀についての、今の値段である1グラム=500円(1オンス=80ドル台)というのは、依然として安すぎる。だから今の10倍の1グラム=5000円、即ち1オンス800ドルになるだろう。金貨(ゴールド・コイン)と銀貨(シルバー・コイン)に、このことを置き換えると、金は1オンス(31・1グラム)が、現在の金価格である90万円が、倍の180万円ぐらいにはなる。そのとき銀貨は、現在の1枚1万6000円が、10倍の16万円になるということだ。ただしそれにも、この後、数年かかる。このように改めてはっきりと予言しておきます。

 

この後の章で、私は金と銀の値動きをさらに詳しく説明していくが、私は、ただ単に「金融予言が当たるから、副島隆彦の言うことを信じる」という人を好まない。金価格が1月29日に暴騰してつけた最高値までの動きと、その後の半年間の下落と停滞(ていたい)によって、大きく山の形が崩れた。第1章のP33のグラフのとおりである。北アルプスの剣岳(つるぎだけ)や剣(けん)が峰(みね)のような尖(とが)った山頂が現れ、そして崩れていった過程が別のP39のグラフからも、はっきりとみてとれる。人間というのは、自分が大きな出来事、激動のさなか(最中[さいちゅう])にあって、激しい雨嵐の中にいる時には「何が何だか分からない」ものだ。愚かなまでに周囲に付和雷同して、次々に話題を変えていく。

 少し後になって嵐が過(す)ぎてようやくそれらを振り返り、「いったいあの激動のさなかに何が起きていて、それがどのようになり、そしてさらにどのように次の動きへと繋がっているのか」と振り返るべきなのである。少し時間が経って、過去を振り返るという余裕が生まれた時にはじめて、人間は物事(ものごと)の一連の流れ、即ち全体像を理解できる。だから私が前著の『金を握りしめたものが勝つ』(祥伝社、2026年2月)や、その前の『金融恐慌が始まるので 金は3倍になる』(祥伝社、2023年12月)で予言を的中(てきちゅう)させたように、大きな流れで物事を見ることの重要性を、この本の読者にも分かってもらいたい。

 

ズルズルと混乱が続いている(ように見せている)今のイラン戦争も、やがてみんなに飽きられる。人々の関心は、いつの間にか全く別の次の世界事件へと移っていく。あのコロナウイルス、ワクチン騒ぎの4年間(2020年1月から2023年)でも、15年前の2011年の「3・11」の大震災と原発事故でも、その時は大騒ぎしたが、やっぱり次々と過ぎ去っていった。だからこれからもこうして、人類(人間)は大騒ぎの大事件を次々に起こしながら生き延びてゆく。あるいはそのように仕組まれて動かされてゆく。この人間の所業(しょぎょう)を冷酷に見つめることで、私は金融の予測もする。100年単位で人類史(世界史)を見定(みさだ)めてその流れの一部として、すべてを概観(アウトルック)している。

 

こうやって、この本でも金と銀のこれからの動きを中心に書いていくのだが、それはお客(読者)の要望に応える必要からだ。このことは、私に与えられた責務(せきむ)として、自分が背負った運命だと分かっている。私はもっと大きく人間(人類)というものを捉(とら)えることを思考(思想)の柱としてきた。お祭りごとの大騒ぎや、政治や経済の大事件、政治を作る国家や大きな宗教勢力、戦争の恐怖、そして政治をつくる国家そのものでさえ、すべて人間という愚かな生き物が自分たちの脳(のう)(頭、思考、知能[ちのう])の中で作り上げる「共同の幻想」マス・イルージョン mass illusion の産物なのだ。人間は、この大きな共同幻想に捉(とら)われて生きていく変な生物だ。そのように私、副島隆彦は諦観(ていかん)していて、この新(しん)共同幻想論も私は現在、書き進めている。それでは第1章に向かいます。

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まえがき

やがてドル札も1万円札も消滅する─2

イラン戦争はもう停戦した─9

金と銀は再び上昇を始める─10

日本では金価格の動きを説明する者がいない─12

 

第1章 金と銀の激しい値動きはなぜ起きたか

イラン戦争で金価格が大きく動いた─32

アラブ各国が金を大量に売った─42

銀の値動きについて─46

銀は歴史的に金の15分の1と決まっている─49

これからも銀を買いなさい─52

銀の供給不足が露呈したら銀価格は急騰する─59

アメリカは泥沼状態に陥った─62

 

第2章 アメリカはドル紙幣を暗号資産に変えて消滅させる

金貨・銀貨は農民でもつくれるというバイメタリストの思想が大事─65

ポイントで現金が消滅させられる─73

イーサリアムとテザーという暗号資産をステイブル・コインにしてドルと交換できるトークンにする─76

ビットコインは下落するから買うな─88

ドルをデジタル通貨にすることでアメリカは巨額の負債を帳消しにする─94

100ドル札は消滅して、日本の1万円札も無くなる─98

ゆうちょ銀行も貯金をデジタル通貨にする─100

ピーター・ティールが日本に来た理由─102

NY発の金融恐慌で商品先物のCOMEXとCMEは潰れるだろう─104

ビットコインではなく、テザーやイーサリアムが暗号資産の中心になる─112

 

第3章 もうすぐドル覇権の崩壊が始まる

債券自警団(ボンド・ヴィジランテ)が、日本に上陸した─120

ベッセント財務長官は日本の長期金利上昇が米国債を直撃することが死ぬほど怖い─125

米長期金利の上昇に震えあがるトランプ─128

高市売国奴政権が日本の富をアメリカに差し出す─135

ワルの国防次官エルブリッジ・コルビーが不正選挙を仕掛けた─140

米中首脳会談で本当は何を話したのか─146

政治と経済は互いに貸借を取り合ってバランスする理論─150

1兆ドルに迫りつつあるアメリカの国債利払い費─152

新NISAの日本の資金がアメリカに流れている─155

 

第4章 トランプはなぜイラン戦争を始めたか

トランプは狂ったように世界の実物資産獲得に動いている─158

1月のベネズエラ攻撃で石油を確保─164

イランのハメネイ爆殺からシナリオが狂った─165

エプスタイン問題から目をそらす目的も─166

トランプは認知症 dementia である─167

トランプに替わって副大統領のヴァンスが大統領になる─171

イラン戦争はトランプの負け。イランの勝ちである─178

イランは誇り高いペルシア帝国に戻る─183

副大統領ヴァンスの冷静な対応─188

これから10年以内にイランとイスラエルが核戦争をするだろう─198

資本主義は繁栄と戦争の循環理論でできている─201

 

第5章 銀は10倍どころか20倍になる 急いで銀貨を買いなさい

なぜ金(きん)と銀(ぎん)が、これほどに高騰したのか─206

金(きん)と銀(ぎん)の今後の動きはどうなる?─216

急いで銀貨(シルバー・コイン)を買いなさい─217

一旦下げた金(きん)と銀(ぎん)が、再び高騰していく─226

米金融機関大手が銀の先物取引で大損害を出した─233

ニューヨークにもう重要鉱物の価格決定力はない─239

NY発の金融恐慌で商品先物市場=取引所のCOMEXとCMEは潰れるだろう─242

金、銀、プラチナなど重要鉱物が戦略物資に格上げされた─245

 

あとがき

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あとがき(そえじまたかひこ)

 

 私はこの本で、この半年間(2026年1月から)の金(きん)と銀(ぎん)の動きを徹底的に追いかけた。金と銀に一体何が起きていたのかを詳しく説明した。

 

 それと併行して、目下(もっか)起きている暗号資産(クリプト・アセット)(旧仮想通貨)を急いで新しいお金(マネー)(強制通用する通貨[カレンシー])にして、弱体化する今のドルに取って代えようとするアメリカ政府(トランプ政権)の動きを追いかけた。日本政府もこれに突き動かされている。即ち、今のドル紙幣(ビル)と日本の1万円札もやがて消滅(ヴァニッシュ)させられる。このことを冷酷な近(きん)未来予測として書いた。

AIバブルははじける

この半年間、世の中でAI(エイアイ)(人工知能)の急速な進歩のことが騒がれている。巨大(ビッグ)テック企業である〝マグニフィセント7(セブン)〟(アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル=アルファベット、メタ、テスラ、そしてエヌビディア)が、絶頂のAIバブル(好景気)を作り出していると大騒ぎだ。株価がいずれも高騰している。特にNVIDIA(エヌビディア)という新興の最先端のAI(エイアイ)チップ(GPU[ジーピーユー]という)を製造する企業が、時価総額で世界最大企業(5・2兆ドル、800兆円)になってしまった。大変な金額だ。日本の頂点であるトヨタはようやくたったの4000億ドル(60兆円)である。14分の1だ。たった1社で5・2兆ドルという巨額の、これだけのアブク銭(ぜに)が一体、NY(ニューヨーク)の金融市場にどこから湧(わ)いて溢(あふ)れ出て来るのか。

 お金(通貨量)はやろうと思えば、政府がいくらでも底なし沼で作って放出できるものである。このことはアメリカ理論経済学の最後の破(やぶ)れ目(め)であり、絶対口(くち)にしてはいけない禁忌(タブー)である。この悪魔の真実がここで顔を出す。だから必ずいつか天罰が落ちる。今のAI(エイアイ)バブルは遠からずはじけて(bubble[バブル] burst[バースト]と言う)崩れ落ちる。人間の知能(インテレクト)(思考力)に追いついて人間を凌駕(りょうが)する人工知能など作られることはない。今あるAI(エイアイ)というのは、大容量の情報を貯めたデータベース(database)の別名に過ぎない。AIとは「データベースの逆方向への動き」のことだ。

 前述の米の巨大テック企業たちは、今、巨大データセンター作りに血道をあげている。年間利益の5倍ぐらいの費用をかけてデータセンターを全米各地に作っている。そこで使われるGPUを、だからNVIDIAが大量に作って販売している。ところが、これらのデータセンター作りは、世界中で頓挫(とんざ)して半分以上の、工事が止まっている。それらを動かす電力の供給が滞(とどこお)っているからと言われる。

 すでにNVIDIAからのAIチップ(GPU)の供給は、過剰になっていて過剰設備、過剰生産の問題が起きている。株主たちは怒って「これ以上データセンターなんか作るな。どうせ余って破棄することになる」として、アマゾンの株価が大きく下落したりした。

 だから今のAIバブルの大騒ぎはやがて収束する。AIバブルは近いうちにはじける(バースト)。人間の知能を超える何かが生まれて、やがて人間(人類)を支配するようになる、などはまさしくSF(サイエンス・フィクション)である。毎日、チャットGPT(オープンAI社製)と話して癒(いや)されていると吹聴する人間たち、というのは一過性の熱病だ。だからAI(エイアイ)でたかが電気通信屋の巨大企業たちがボロ儲けをする時代もやがて過ぎ去る。

 マイケル・バーリ Michael Burryという、サブプライム・ローン崩れ(2007年)を予言して、逆張(ぎゃくば)りで当てた天才投資家がいる。4月10日に、「私はNVIDIA(エヌビディア)のプット・オプション(先物[さきもの]の空[から]売りショートの一種)を買った」と発表した。バーリは、「巨大テック企業たちは、すでに半導体の過剰供給、過剰設備を粉飾(ふんしょく)決算している。真実の利益はそんなに出ていない」と鋭く分析した。マイケル・バーリは映画〝Big[ビッグ] short[ショート]〟(2015年)『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のモデルになった人物だ。この「世紀の空(から)売り ビッグショート」があった。翌年の2008年がリーマン・ショックである。あれから18年が経(た)つ。

 

あとがきでこんなことまで書く必要はなかったのだが、私は自分が今の時代に乗り遅れる訳(わけ)には行かないので、常に日本の言論で最先頭を走りたいから、こうしてAIのことも書いた。

 本書を書くに当たっていつもの通り徳間書店学芸編集部の力石幸一氏の伴走を得た。記して感謝します。

 

2026年6月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年の重大な出来事に金や銀、プラチナの価格高騰があった。私の周りでも、金や銀の価格高騰について話題に上ることが多かった。以下のグラフにあるように、2020年1月の時点から比べて金は約4倍、銀も約4倍、プラチナはおよそ2倍となっている。特に2025年10月からの上昇率が高く、これは証明されていないが、高市早苗政権発足が理由の1つになると私は考えている。実物資産の価格が上昇するのは、地政学リスク(特に戦争の可能性)が高まった際に起きるものだ。高市早苗首相の台湾有事に関する発言をはじめとして、高市政権は東アジアの平和と安定を脅かす最大の要因となっている。高市政権が地政学リスクとなっている可能性がある。
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金価格の推移
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銀価格の推移
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プラチナ価格の推移

 2025年の年末にニューヨークで金銀プラチナの価格下落が起きている。このことについては、副島隆彦先生の論稿が最新の分析となっている。是非お読みいただきたい。
※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内「重たい掲示板」
【3205】年末に金、銀、プラチナに大変なことが起きていた。アメリカ金融資本主義の終わりが始まった。副島隆彦 投稿日:2026/01/02 09:04 ↓↓↓

https://snsi.jp/bbs/page-1/#23676

 2026年も金銀プラチナの価格の上昇は続くという予測が出ている。それは、金の世界的な需要が高いためだ。中国やロシアを中心に新興国(西側以外の国々、the Rest[ザ・レスト])での需要が高まっているが、世界各国の中央銀行が資産における金の割合を増やしていることも理由として挙げられる。これは地政学リスクもあるが、他に、ドルの価値の下落ということもある。「脱ドル化(de-dollarization)」については、これまでも著作の中で紹介してきたが、ドルの価値が下落している状況で、金が買われている。金の需要が高いというのは、世界が不安定になっている証拠であり、複雑な感情になるが、世界の根本的な構造転換の時代となっているので、このような動きになっている。ドル覇権(dollar hegemony)の衰退と実物資産への移動は大きな流れであり、2026年も続いていくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

●「ドル覇権はいつまで持ちこたえるか、揺らぐ基軸通貨の前提」

ブルームバーグ日本版 2025年12月30日 at 9:58 JST

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-30/T81C0NKIP3JH00?taid=6953393d469db40001f5f878&utm_campaign=trueanthem&utm_content=japan&utm_medium=social&utm_source=twitter

世界経済におけるドルの覇権は、どこまで持ちこたえるのか。仮にその地位が揺らげば、どの程度の影響が生じるのか。少し前まで、こうした問いは机上の空論として一蹴されてきた。世界経済は長年、ドルを軸に回っており、過去にも「脱ドル化」を予測する見方は繰り返し現れたが、構図が近く変わる兆しは乏しかった。

しかし、トランプ米大統領が国際関係の常識を多方面から揺さぶったことで、状況は変わり始めた。時に、あり得ないと思われていたことが現実になる。

ドル支配を巡る議論の焦点は、得られる利益とその代償、そして先行者としての地位にある。ドルが基軸通貨であることで、米国は世界の金融システムに一定の影響力を持つ。

その影響力は権限として機能し、金融制裁という形で行使されてきた。さらに、ドル建てで資金を調達する借り手は、相対的に低いコストで資金を確保できる。世界的にドル資産への需要が極めて高いためだ。一方で、ドル資産への需要の高さはドル高を招き、そのしわ寄せは米国内の製造業に及ぶ。

多くの経済学者は、こうしたコストと利益のバランスは、依然として基軸通貨としてのドル優位に分があるとみている。だがホワイトハウスの見方は異なる。米国は利益を維持したまま代償を取り除けると考えているのだ。

こうした発想を示しているのが、米大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長で、米連邦準備制度理事会(FRB)の理事も務めるスティーブン・マイラン氏だ。通商障壁によって米国の製造業を後押しし、金融介入でドルの競争力を保つ一方、同盟関係の見直しを示唆するなど経済以外の手段も使って、世界の金融インフラにおけるドルの地位を維持しようとしている。

通商障壁が経済を強化するとの考え方には、控えめに言っても疑問が残る。もっとも、ここではその是非はいったん脇に置こう。仮に関税によって世界貿易が分断され、その結果として米製造業の雇用が回復し、経済が押し上げられるとしよう。こうした意図的な貿易分断の政策は、トランプ政権が唱えるように、基軸通貨としてのドルの地位を維持することと両立するのだろうか。

その答えの鍵は、ドルの優位性がどこから生まれているのかにある。行き着く先は「慣性」だ。

しばらくの間であれば、米国が経済力や軍事力といった別の面で相対的に弱まったとしても、ドルの支配的地位は維持され得る。理由は単純で、支配的な通貨は「便利」だからだ。取引が円滑になることで参加者全体の利便性が高まり、いわゆるネットワーク効果が生まれる。米国が資本市場を適切に機能させ、高インフレや金融不安を回避しながら経済運営を首尾良く続ける限り、その恩恵は結果として広く共有される。

こうした利点は、ドル中心の仕組みを支えるだけでなく、自己強化的にも作用する。国際取引でドル建ての売買が行われれば、取引主体はドル建ての金融資産を保有するようになる。ドル資産への需要が高まれば、米国債などの価格が上昇し、結果的にドル金利は低下する。ドルで低コストに資金調達できれば、取引はさらにドル建てで行われやすくなる。

しかし、相応の衝撃が加われば、この仕組みは逆方向に回りかねない。貿易の分断によってドル建て取引が減れば、ドルで低コストに資金を調達できるという優位性は損なわれる。その結果、ドル建て取引はさらに縮小する。

ドルの支配的地位は、ほかの要因によっても支えられている。とりわけ大きいのが、現実的な代替通貨が見当たらない点だ。ユーロは、欧州連合(EU)の低成長や政治の機能不全に加え、銀行・資本市場同盟を十分に構築できていないことが足かせとなっている。中国の人民元も、改革は進んだものの、政府による統制や制度面の未成熟さが制約となる。

それでも、米国の経済運営に対する不満が強まる中で、通貨覇権を巡る競争が再び活発化する可能性はある。

トランプ政権もこの危険を理解しており、手を打ち始めている。例えば、BRICS諸国が脱ドル化構想を進めれば、報復措置を取ると威嚇している。ただ、こうした対応だけで十分とは言えない。むしろ最終的には逆効果になりかねない。米国に依存するコストを浮き彫りにし、代替が必要だという考えをかえって強めてしまう恐れがあるからだ。

高関税措置の乱発や、ドル決済網に依拠した金融制裁の多用、そして先の読めない行動。トランプ政権のこうした姿勢はいずれも同じ方向に作用し、従来の秩序から得られていた利益を相殺し、かつてのパートナーたちに別の選択肢を意識させている。

ドルの地位を脅かすもう一つの大きな要因は、ドル建て資産がもはや安全ではないのではないかとの見方が広がりつつあることだ。米国は過剰な借り入れに依存する体質に陥っているとの指摘がある。政治の世界では、歴史的な規模に膨らんだ財政赤字をどう抑制するかについて、十分な議論が行われていない。債務が返済困難な水準まで膨らめば、インフレによって実質的に債務負担を軽減する選択が取られかねない。その過程で、政治からの独立性が揺らぐFRBが、その実行役を担わされる恐れもある。

こうした動きはいずれも、ドル覇権への信認を高めるものではない。現実的な対抗通貨が現れなくても、金融の分断は加速し得る。基軸通貨がユーロや人民元に移行するという、なお想像しにくい展開ではなく、世界は徐々に標準なき状態や、複数の標準が併存する方向へ向かう可能性がある。体制を一変させるような危機が起きないとしても、世界は重要な何かを失うことになりかねない。そして、その代償を最も大きく払うのは、ほかならぬ米国だ。

今のところ、投資家は動じていない。「こうした状況もいずれ過ぎ去る」と考えているのかもしれない。トランプ氏は例外的な存在であり、政権2期目の最初の1年は、その基準で見ても異例尽くしだった。さすがに、この状態がずっと続くとは考えにくい。やがて政治は次の局面へ移り、平常が戻ると考える向きも多いだろう。

たしかに、そうかもしれない。だが、もしそうならなかったとしたら、ドル覇権の持続性よりも、もっと深刻な問題が表面化しているはずだ。

(クライブ・クルック氏は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Dollar’s Exorbitant Privilege Is on Borrowed Time: Clive Crook(抜粋)

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近づく金最高値、途切れぬ中銀買い ブラジルの購入ペース「中国超え」

グローバルマーケット

日本経済新聞 2025年12月18日 11:00

[会員限定記事]

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB11BC30R11C25A2000000/

nikkeiarticlegold20251218001
中央銀行の金買いの裾野が拡大している=ロイター

金(ゴールド)価格が再び最高値に接近している。市場で意識されているのは米利下げ観測に加え、中央銀行の強い買い意欲だ。ブラジル中央銀行は4年ぶりに購入を再開し、2025年の買い入れ規模は中国を上回っている。10月は中銀全体で今年最大となった。上場投資信託(ETF)などの活用で一部手口が見えにくくなっており、統計値以上に購入規模が膨らんでいる可能性もある。

金価格の国際指標の一つであるロンドン現物価格は17日の取引で前日比45.13ドル(1%)高い1トロイオンス(約31.1グラム)4348.66ドルを付けた。10月に最高値(4381.21ドル)を付けた後に利益確定売りに押され、4000ドルを下回る場面があった。足元では再び騰勢を強めており、最高値まで残り0.7%の水準に戻ってきた。

国内では外国為替市場における円安・ドル高の影響もあり、指標となる地金商最大手の田中貴金属工業が18日午前に公表した小売価格が前日比240円(1%)高の1グラム2万3961円と最高値を記録した。

金価格上昇の一因は米利下げ観測だ。11月の米雇用統計が労働市場の減速を示したとの見方から、市場では米連邦準備理事会(FRB)が2026年にもう一段の政策金利引き下げに動くとみられている。加えて大口の買い手の存在も改めて意識されている。新興国の中央銀行だ。

nikkeiarticlegold20251218002

1日にブラジル・サンパウロで開かれた投資助言会社の会合。ブラジル中銀のガリポロ総裁が金の購入について言及し「安値で買って利益を得ようとしているわけではない」としたうえで「将来の逆風に備えるため、より強固な準備高を維持する」と強調した。市場は今後も購入を継続すると受け止めた。

国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今月公表したリポートによると、中銀による金買いは10月に前月比36%多い53トンで昨年11月以来の高水準だった。1トロイオンス4000ドル超えという歴史的高値圏でも買い控えることなく、むしろ相場を押し上げるような行動をとっていたことが明らかになった。

WGCによるとブラジル中銀は9月に4年ぶりに15トンの金を買うと、10月も16トンの追加購入に踏み切った。1〜10月期の累計でみると定期的に購入を続ける中国を上回る。外貨準備における金の保有比率を30%にまで高めると目標を示すポーランドの中銀も、5月以降は停止していた買い入れを10月に再開した。買い手である中銀の顔ぶれが広がり、金の先高観につながっている。

新興国の中銀は米ドル建て資産を中心に構成する外貨準備を「非ドル」資産に分散させようとしている。米国は基軸通貨ドルを武器にロシアなど敵対国に厳しい制裁を科した。ブラジルも関税を巡ってトランプ米政権と対立した経緯があり、「ドル離れ」を志向しやすいとみられている。

英商品ブローカーのマレックスで市場分析のグローバル責任者を務めるガイ・ウルフ氏は「他の既存通貨も現状だと米ドルと同様に発行する政府の財政悪化などの懸念を抱えており、金が買われている」とみる。外貨準備を金に振り向ける動きは「10〜20年続き、中長期的に金価格を下支えする」とみる。

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中銀の金購入方法も多様になっている。中銀の金保有と言えば映画で見るような地金が一般的だが、現物の金を裏付けとするETFや先物・スワップなどデリバティブ(金融派生商品)を活用する事例が増えている。

米資産運用大手インベスコが世界各国の中銀の資金運用担当者などに対して毎年実施する調査では、回答した中銀の16%がすでにETFを購入しており、5年後までに投資するとの回答は21%に達した。調査を担当したロドニー・リングロー氏は中銀がETFやデリバティブを活用する利点について「効率的かつ匿名性高く金の比率を調整できる」と話す。

WGCが公表する金ETFの資金流出入は機関投資家やヘッジファンドの取引動向を映すものとして広く認識されているが「すでに中銀の売買も反映されている可能性がある」(インベスコのリングロー氏)。実際の中銀による購入額はWGCの統計で報告されている分よりも大きいことも想定される。

ファンド勢が機動的に売買する金ETFは、相場環境によって資金が大きく流入したり、流出したりする。長期保有が前提である中銀による活用が広がれば「ETFも動かないマネーになるかもしれない」(日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事)との見方があった。今後はETFの売買動向にも一段と注目が集まりそうだ。

(神山美輝、サンパウロ=水口二季)

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次世界大戦後の世界の基軸通貨となったのは、米ドルだ。米ドルが価値の基準であり、米ドルで貿易決済のほとんどが行われてきた。世界の多くの発展途上国(貧乏な国)では、自国の通貨の信用がなく、米ドルが流通するというところも多い。「自国の通貨はいつ紙切れになるか分からないほど信用はないが、米ドルは世界の超大国・派遣のアメリカの通貨だから安心だ」ということになる。日本も外貨準備高でドルを貯めこみ、また、米国債を多く買っている。米ドルは安心だ、だからこれらは安心の資産(運用)ということになる。

 アメリカではインフレ懸念から中央銀行である連邦準備制度(Federal Reserve System)が政策金利の利上げを進めている。これで市場に流れているドルを吸収しようということであるが、これは諸刃の剣だ。政策金利の上昇は住宅ローン金利に反映される。住宅ローンの返済額が大きくなれば、家を持ち切れないという人々が出てくる。そうなれば社会不安が発生する。また、住宅バブルが崩壊することで不景気に突入する可能性が高まる。しかし、金利を上げなければ、インフレ状態は続き、住宅バブルは続く。バブルはいつか弾ける。何より、米ドルの価値が下がる。これは米ドルの信用にもかかわってくる重大な問題だ。政策金利を上げても問題が起き、下げても問題が起きる。「前門の虎、後門の狼」という状態だ。アメリカはドルの信用だけは守らねばならない。そうでなければ、アメリカ国民の生活自体を維持することができなくなるからだ。そのために必死である。

 米ドルが基軸通貨の地位から転落した場合、それに代わる存在は何かということになるが、ユーロはドルと道連れであろうし、円は日本の経済力の低下もあってそのような力はない。中国の人民元が有力候補であるが、ここで出てくるのがBRICs共通通貨という候補だ。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が最初にこれらの国々の間だけで通用する通貨を作る。それが役割を拡大していき、最終的には基軸通貨となるというシナリオだ。金(きん)を後ろ盾にする通貨ということになれば、米ドルよりも信用が高まる可能性が高い。

 ドル覇権の崩壊が現実味を帯びてきたことを考えると、アメリカとノルウェー、NATOによるノルドストリーム攻撃・爆破はドル覇権を守るための動きだったという解釈もできる。ヨーロッパに安価なエネルギー源である天然ガスを供給してきたロシアはその取引決済をドルで行っていたが、西側諸国による制裁の後はルーブルで決済をするように求めた。エネルギー源を買えなければ生活は成り立たない。ヨーロッパ諸国はルーブルを手に入れるようになり、ルーブルの価値は安定することになった。英米が画策したルーブルの価値下落によるロシア経済の破綻というシナリオは崩れた。

これが進んで(これを敷衍して考えると)、BRICsの共通通貨で支払うことを求めるようになれば、共通通貨の使い勝手を考えると(ブラジル、インド。中国、南アフリカともこれで決済ができる)、ドルに頼らないということになる。ドイツにとっての最大の貿易相手国は中国だ(日本もそうだ)。ロシアとのノルドストリームを通じての天然ガス取引が実質的に続けば、ドル覇権が脅かされることになる。
 こうした動きに敏感なのがサウジアラビアだ。現在のサウジアラビアはサルマン王太子がバイデン政権との不仲を理由に、これまで強固な同盟関係にあったアメリカの意向に逆らうような動きを見せている。「西側以外の国々(the Rest)」の仲間に入る姿勢を鮮明にしている。サウジアラビアは米ドルで石油を売るということをやってきた。アメリカは極端な話をすれば、「(打ち出の小槌のように)米ドルを刷れば石油が手に入る」(アメリカ以外の国々は米ドルを手に入れるために苦労しなければならない)ということであった。しかし、米ドルの信用が落ち、ドル覇権の崩壊の足音が近づく中で、西側以外の国々(the Rest)のリーダー国である中国に近づいている。中国の仲介受け入れて、イランとの緊張緩和を決定したのは象徴的な出来事だった。サウジアラビアとしては、BRICs共通通貨の出現を待っている状況なのだろう。そのためには米ドルが紙くずになる前に、自国の資産を保全するという動きに出るだろう。その一つが金(きん)の保有量を増やすことである。

金(きん)価格が高騰しているというのは日本でも報道されている。「新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ戦争といった不安定要素があるから金が買われているんだろう」ということが理由として挙げられている。しかし、それだけではない。米ドルの基軸通貨からの転落に備えての資産保全のために金が買われている。

 私たちは世界の大きな転換点に生きているということを改めて認識すべきだ。アメリカと米ドルがいつまでも強いという確固とした信念を持っている人はまずその信念について点検して、考え直した方が良い。

(貼り付けはじめ)

ブリックス通貨はドルの支配を揺るがすことになるだろう(A BRICS Currency Could Shake the Dollar’s Dominance)

-脱ドル化(De-dollarization)はついに来たのかもしれない

ジョセフ・W・サリヴァン筆

2023年4月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/04/24/brics-currency-end-dollar-dominance-united-states-russia-china/?tpcc=recirc_trending062921

脱ドル化の話が取り沙汰されている。先月、ニューデリーで、ロシア国家議会のアレクサンドル・ババコフ副議長は、ロシアが現在、新しい通貨の開発を主導していると述べた。この通貨はBRICS諸国による国境を越えた貿易に使用される予定だということだ。BRICS諸国にはブラジル、ロシア、インド、中国、そして南アフリカが含まれる。その数週間後、北京でブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領がこう言った。「毎晩のように、『なぜ全ての国がドルを基軸に貿易を行わなければならないのか(why all countries have to base their trade on the dollar)』と自問自答している」。

ユーロ、円、人民元といった個々の競争相手が存在する中で、ドルが最強の貨幣であるためにドルの支配が安定しているという説を、こうした動きは弱めている。あるエコノミストは、「ヨーロッパは博物館、日本は老人ホーム、中国は刑務所」と表現した。彼は間違ってはいない。しかし、BRICSが発行する通貨は、それとは異なる。BRICSの通貨は、新進気鋭の不満分子の新しい連合体のようなもので、GDPの規模では、覇者であるアメリカだけでなく、G7の合計を上回るようになっている。

ドル依存から脱却しようとする諸外国の政府の動きは、今に始まったことではない。1960年代から、ドル離れ(dethrone the dollar)を望む声が海外から聞こえてくるようになった。しかし、その話はまだ結果には結びついていない。ある指標によれば、国境を越えた貿易の84.3%でドルが使われているのに対し、中国人民元は4.5%に過ぎない。また、クレムリンの常套手段である嘘は、ロシアの発言に懐疑的な根拠を与えている。ババコフの提案に他のBRICS諸国がどの程度賛同しているかなど、現実的な疑問は山ほどあるが、今のところ答えは不明だ。

しかし、少なくとも経済学的な観点からは、BRICS発行の通貨が成功する見込みは新しいと言える。どんなに計画が時期尚早で、どんなに多くの現実的な疑問が残っていても、このような通貨は本当にBRICS加盟国の基軸通貨として米ドルを追い落とすことができるだろう。過去に提案されたデジタル人民元のような競合とは異なり、この仮想通貨は実際にドルの座を奪う、あるいは少なくとも揺るがす可能性を持っている。

この仮想通貨(hypothetical currency)を「ブリック(bric)」と呼ぶことにしよう。

もしBRICSが国際貿易に通貨ブリックのみを使用すれば、ドルの覇権(dollar hegemony)から逃れようとする彼らの努力を妨げている障害を取り除くことができる。こうした努力は、現在、中国とロシアの間の貿易における主要通貨である人民元のような、ドル以外の通貨で貿易を表記するための二国間協定という形で行われることが多い。障害となっているのは何か? ロシアは、中国からの輸入に消極的である。そのため、二国間取引の後、ロシアはドル建て資産に資金を蓄え、貿易にドルを使用している他の国々から残りの輸入品を購入したいと考える傾向がある。

しかし、中国とロシアそれぞれが貿易に通貨ブリックを使うだけなら、ロシアは二国間貿易の収益をドル建てで保管する必要はなくなるだろう。結局、ロシアは輸入品の残りをドルではなくブリックで購入することになる。つまり、脱ドル(de-dollarization)となるのである。

BRICSが貿易にブリックだけを使うというのは現実的な話なのか? その答えはイエスだ。

まず、BRICSは自分たちの輸入代金を全て自分たちで賄うことができる。2022年、BRICSは全体で3870億ドルの貿易黒字(国際収支の黒字としても知られる)を計上した。

BRICSはまた、世界の他の通貨同盟が達成することができなかった、国際貿易における自給自足のレヴェルを達成する態勢を整えている。BRICSの通貨統合は、これまでの通貨統合とは異なり、国境を接する国同士ではないため、既存のどの通貨統合よりも幅広い品目を生産できる可能性が高い。地理的な多様性がもたらすものであり、ユーロ圏のような地理的な集中によって定義される通貨同盟では、2022年には4760億ドルの貿易赤字が発生するという痛ましい事態が起きているが、自給自足の度合いを高めることができるのだ。

しかし、BRICSはその中だけで貿易を行う必要さえないだろう。それは、BRICSの各メンバーはそれぞれの地域で経済的な強者であるため、世界中の国々が通貨ブリックでの取引を希望する可能性が高いからだ。タイが中国と取引するためにブリックを利用せざるを得なくなったとしても、ブラジルの輸入業者はタイの輸出業者からエビを購入することができ、タイのエビをブラジルの食卓に並べ続けることができる。また、ある国で生産された商品を第三国へ輸出し、第三国から再輸出することで、二国間の貿易制限を回避することもできる。これは、関税のような新しい貿易制限を避けようとした結果である。アメリカが中国との二国間貿易をボイコットした場合、その子供たちは中国製の玩具で遊び続け、それがヴェトナムなどの国に輸出され、さらにアメリカに輸出されることになる可能性がある。

BRICS諸国の各政府が「ブリックを絶対に実現する(bric of bust)」ことを貿易条件として採用した場合、BRICS諸国の消費者に降りかかる絶対的に最悪なシナリオを、今日のロシアから予見することができる。アメリカやヨーロッパの政府は、ロシアの経済的孤立を優先してきた。しかし、一部の西側諸国の製品はロシアに流入し続けている。消費者にとってのコストは現実的だが、破滅的なものではない。BRICS諸国が脱ドル志向を強め、現在のロシアをその上限として、脱ドルのリスクとリターンのトレードオフがますます魅力的に見えるようになるであろう。

BRICS諸国の基軸通貨としてドルから変更するために、ブリックは貿易に使わない時に置いておける安全な資産も必要である。ブリックがそのようになるのは現実的なのだろうか? その答えはイエスだ。

まず、BRICSは貿易と国際収支が黒字であるため、ブリックは必ずしも海外からの資金を集める必要はないだろう。BRICSの各国政府は、自国の家計や企業が貯蓄でブリックの資産を購入するよう、飴と鞭を組み合わせて、事実上強制的に市場を出現させ、補助金を与えることができるようになる。

しかし、ブリック建ての資産は、実は海外投資家にとって非常に魅力的な特徴を持つことになる。世界的な投資家たちの資産としての金(きん)の大きな欠点は、分散投資としてのリスク低減効果があるにもかかわらず、金利が付かないことである。BRICSは金(きん)やレアアースのような本質的な価値を持つ金属を新通貨の裏付けとする予定だと言われているので、ブリック建ての利払い資産は、利払いのある金(きん)に似ていることになる。これは珍しい特徴だ。債券の利子と金の多様性の両方を求める投資家にとって、ブリック債は魅力的な資産となり得る。

確かに、ブリック債が単に金(きん)に利子がつくのと同じ効果があるものとして機能するためには、デフォルトのリスクが比較的低いと認識される必要がある。そして、BRICs諸国の政府債務でさえも、明らかになっていないデフォルトリスクがある。しかし、こうしたリスクは軽減することができる。ブリック建ての債務を発行する各国政府は、債務の満期を短くしてリスク性を下げることができる。投資家たちは、南アフリカ政府が「30年後」に返済してくれることを信用するかもしれないが、時間の単位が一年以内である場合、もしくは数年単位である場合はそうではない。また、価格に関しては、単純にそのリスクに対して投資家を補償することもできる。市場参加者がBRICsの資産を買うのに高い利回りを要求すれば、おそらくそれを得ることができるだろう。なぜなら、BRICS諸国政府はブリックの実行可能性に対価を支払うことをいとわないからだ。

公平を期すために、通貨ブリックは現実的に多くの問題を提起している。ブリックは主に国際貿易に利用され、国内での流通はない可能性が高いため、BRICS諸国の中央銀行の仕事は複雑になる。また、ヨーロッパ中央銀行のような超国家的な中央銀行を設立し、ブリックを管理することも必要である。これらは解決すべき課題だが、必ずしも乗り越えられないものではない。

BRICS加盟国間の地政学も茨の道である。しかし、BRICSの通貨は、利害が一致する明確な分野での協力を意味する。インドや中国のような国々は、安全保障上の利害が対立しているかもしれない。しかし、インドと中国は脱ドルという点で利害を共有している。そして、共有する利益については協力し、その他の利益については競争することができる。

通貨ブリックはドルの頭から王冠を奪うというより、その領土を縮小させることになるだろう。BRICSが脱ドルしても、世界の多くは依然としてドルを使用し、世界の通貨秩序は一極集中(unipolar)から多極化(multipolar)することになるだろう。

多くのアメリカ人は、ドルの世界的役割の低下を嘆く傾向にある。嘆く前に考えるべきだ。ドルの世界的な役割は、アメリカにとって常に両刃の剣(double-edged sword)である。ドルの価値を上げると、結果として、アメリカの商品とサーヴィスのコストが上がり、輸出が減少し、アメリカの雇用が奪われてしまう。しかし、アメリカ国内においては、アメリカに切り込む側の武器は研ぎ澄まされ、海外においてアメリカの敵に切り込む武器は鈍化するのであろう

ドルのグローバルな役割が、国内の雇用や輸出競争力を犠牲にしていることを、少なくとも2014年のコメントから理解しているのは、現在ホワイトハウス経済諮問委員会のトップであるジャレッド・バーンスタインだ。しかし、こうしたコストは、アメリカ経済が世界と比較して縮小するにつれて、時間の経過とともに増大する一方だ。一方、ドルの世界的な役割の伝統的な利点の中には、アメリカが金融制裁を利用して自国の安全保障上の利益を増進しようとする能力があることが指摘される。しかし、ワシントンは、21世紀におけるアメリカの安全保障上の利益は、中国やロシアのような国家主体との競争によってますます定義されると考えている。もしそれが正しいなら、そしてロシアに対する制裁の一定しない実績が示すように、制裁はアメリカの安全保障政策においてますます効果のない手段となっていくだろう。

BRICSの基軸通貨がドルに代わってブリックになった場合、その反応は多様で奇妙なものになるだろう。反帝国主義的な気質を持つBRICS諸国の高官、アメリカ連邦上院の共和党の一部、ジョー・バイデン米大統領のトップエコノミストからは、大きな拍手が送られそうだ。ドナルド・トランプ前米大統領と、彼がしばしば対立する米国の国家安全保障コミュニティからも、ブーイングが起こる可能性がある。いずれにせよ、ドルの支配が一夜にして終わることはないだろうが、ブリックが実現すれば、ドルの支配力が徐々に失われていくことになるのだ。

ジョセフ・W・サリヴァン:リンゼイ・グループの上級顧問。トランプ政権下のホワイトハウス経済諮問会議議長特別顧問・スタッフエコノミストを務めた。ツイッターアカウント:@TheMedianJoe
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 今回は、副島隆彦先生の最新刊『金融暴落は続く。今すぐ金を買いなさい』(祥伝社)をご紹介します。発売日は2022年11月1日です。
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金融暴落は続く。今すぐ金を買いなさい

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にしていただき、手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 この本で書く一番大事なことは、以下の事実である。

 実は金(きん)の価格が、世界値段では、ものすごく値上がりしているという事実である。金は、実はロシアをはじめBRICs(ブリツクス)諸国では、1オ(ウ)ンス( once 31・1グラム)で、2700ドルである。これの日本円での価格は、ちょうど1グラム=1・2万円である。金はもう1グラム=1万円を超えているのだ。

 ところが、私たちが今、日本国内で金(きん)を買おうとすると、1グラム=8600円ぐらい(田中貴金属の小売値段)である。安い。100グラムの金の小さな板だったら86万円である。1グラムあたり、世界値段と3400円の差が出ている。

 いったい何が起きているのか。

 ただし私が「世界値段」と書いたのは、ロシア政府が6月に、「金1グラムを、=5000ロシアルーブルとする」と決めて固定したからである。この固定値段を、フィックスト・プライス fixed price と言う。ロシア中央銀行は、世界に向かって、金の地金(じがね)を持参した人にこの値段で買い取ると発表した。だから前述したように、日本円なら1グラムを1万2000円なのである。現在「1ルーブル=2・4円」である(図表を参照)

 だが日本人は、1キロの金の延(の)べ板(いた)を(自分の)ポケットに入れて、モスクワに飛行機で飛んでいくわけには、そう簡単にはいかない。

 今、日本の金券ショップ(古物商の認可だけ)では、金(きん)1グラム=8460円とかで買い取っている。いわゆるバッタ屋と呼ばれる「おたからや」や「大(だい)黒(こく)屋(や)」のような業者が、どんどん金を買い取っている。それらの金(きん)は、いったいどこに行くのか。興味津々(しんしん)である。

 まさか日本の暴力団とロシアのマフィアが組んで、北海道の漁民たちの漁船で、いつもはタラバガニやシャケやウニを、半分非合法で買い取っている、その船でロシアに金の地金(ゴールド・インゴット)を持ち出しているか分からない(笑)。

 このように金の値段はどんどん上がっている。アメリカは、自分のドル体制とドル紙幣を守りたいから、憎(にく)き金の価格をニューヨークやシカゴでたたき落している。貴金属の先物(さきもの)の市場で、金ETF(イーティーエフ)という仕掛けを使って、たたき落している。政府自(みずか)ら、こんなみっともないことをしている。

 アメリカ政府(NY連邦銀行が係)は、公表している8300トンの金を、もうほとんど持っていない。すっからかんなのだ。だから金が憎らしくて憎らしくて仕方がない。

だから、この本の読者になってくれる皆さんは、金の価格は、これからもっと2倍、3倍になってゆくのだという私の考え(近未来への予言)を信じてください。

 この本の第1章から、このことをガンガン書いていきます。

 ここまで書いたとおり、金(きん)は次第に世界値段のほうに近寄ってゆく。だから、日本国内でも1グラム=1万2000円になる。わざわざ金の延(の)べ板(いた)を、暴力団に頼んでロシアに持ち出さなくても(笑)、手持ちの金を黙ってじっと持っていればいいのである。

 だから、まだ金(きん)を買ったことのない人は、今からでもいいから金を買いなさい。あなたの旧(ふる)くからの友だちで、金を1グラム2000円とか、3000円で買った人たちを妬(ねた)んでばかりいないで。決心して買いなさい。もうすぐ買えなくなる。だから私はこの本の表紙に、表題(タイトル)に「今こそ金を買いなさい」と打ち込んだ。

 すでに金(きん)を買ってたくさん持っている人たちは、新たな金融制度の大変動(新円切り替えのリデノミネーション)が起きたときに、さらに金の値段も上がるのだが、そのときどのように売るかは前の本で書いた。「それは何ですか、教えてください」という人は勉強が足りない。人が儲かったことを妬(ねた)んで羨(うらや)んで嫉妬(しっと)してばかりいないで、自分で動きなさい。

副島隆彦

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目次

まえがき

1章 金は〝世界値段〟に近づいてゆく

● 金の世界値段は1グラム=1万2000円

● 値段の格差を、どう埋めてゆくか

● 米政策金利はどこまで上げられるのか

● 金利の上げ下げは政府の武器

● 危険な相場と国家自身が張る金融バクチ

● アメリカに迫り来るバブル崩壊

● 危険な債券市場に手を出すな

● 債権(ヽ)と債券(ヽ)の違い

● 年金が半分に減らされる!?

● 本当の円とドルの力を「購買力平価」で見る

● 中国人が日本のワンルームマンションを買う理由

● 私たちは、生きてゆく

2章 金融暴落は続く

● 連鎖する大暴落

● 自分で自分に借金をしている

● 2023年末、NY発の大恐慌突入

● ウクライナ開戦と同時期の金融緩和

● 〝日本売りの仕掛人〟は、なぜ負けたのか

● なぜ円安が進んだのか

● ミセス・ワタナベの勝利

● リーマン・ショックの再来

● ドルペグ制の仕組み

● 英ポンドを暴落させたジョージ・ソロス

● 米国債の秘密

● 中国が米国債を売れば、アメリカの金融市場は崩壊する

● 米国債を売らせない法律とは

3章 世界恐慌突入は2024年

● 世界経済体制が変更される

● アメリカを襲う不動産バブル

● ノンバンクがふたたび暴れる

● 14年前、リーマンは人身御供にされた

● 資本主義の原理を政治力でゆがめた

● 2024年、大恐慌突入の序曲

● 日本の不動産を買う中国人や韓国人たち

4章 賢く金を買う

● 金の値段をどう読むか

● 金の売り方と金券ショップ

● 金券ショップが買い集めた金は、どこへ行くのか

● 自分の金は倉庫業者に預けなさい

● なぜパラジウムは値上がりするのか

● プラチナの可能性

● ソフトバンク、5兆円赤字決算の原因

●「アリババへの投資を5分で決めた」は本当か

● QRコードで成長するPayPay

● 新生銀行買収と北尾吉孝

● テレビ朝日買収騒動と孫正義の黒幕

●「評価」と「再評価」は違う

5章 資源〝貧乏〟大国が台頭する

● 仮想通貨を買ってはいけない

● ロシアルーブルは強い

● 金本位制が復活する

●「85対15」の時代

● 人民元がルーブルと結合した

● SWIFTからCIPSへ

附章 安倍晋三暗殺の真実

● 統一教会への組織解散命令

● カルトとは何か

● 副島隆彦も命を狙われた

●〝安倍処分〟を世界最高度で決定した者たちの実名

あとがき

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あとがき

 この本を書き終えて、つくづく思う。

 私は、この「エコノ・グローバリスト・シリーズ」25冊を毎年1冊、1998年から書いて出版し続けてきた。

 四半世紀が経(た)って、まさしくエコノ・グローバリスト econo-globalists たち、すなわち「経済面の地球支配者」たちが滅びつつある。彼らの現在の通称(つうしょう)は、 the Deep State(ザ・ディープステイト) である。

 際限なく(リミツトレス)刷って世界中に垂れ流したドル紙幣が、およそ100兆ドル(1・4京[けい]円)ある。それと貸借(たいしゃく)を取っている米国債の無制限の大増刷が、もはやこれ以上は許されない時代になりつつある。

 なぜならロシアのプーチン大統領が、今年の4月から、ロシア産天然ガスはルーブル通貨でしか売らない、と宣言した。それと同じくして、金(きん)を固定価格(フイツクスド・プライス)にして、「金1グラム=5000ルーブルでロシア中央銀行が買い取る」とした。これで実物資産(タンジブル・アセット)に裏打ちされたお金しか通用しなくなる。

 欧米白人文明のG7(ジーセブン)体制に対決して、中国とロシアを先頭にした非白人の貧乏〝資源〟大国による〝新興国(ニユー)G8〟の連合が出来上がりつつある。「15(欧米):85(その他)」の世界である。

 このことを本書でずっと説明した。

 本書も祥伝社(を定年退職した)岡部康彦氏と、熱海の寓居(ぐうきよ)で寝泊まりして完成させた。記して感謝します。

 私たちは四半世紀、幾山河(いくさんが)を渡ってここまで来た。私は自分の命が尽きるときまで、このシリーズを書き続ける。

2022年11月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争勃発後、アメリカを中心とする西側諸国(the West)は対ロシア制裁を発動した。具体的には国際金融、決済からロシアを締め出すというものだった。ロシアが輸出する石油や天然ガスの支払い手段であるドルが使えなければ、ロシアは経済的に追い詰められ、戦費負担も併せて、ロシアは戦争継続が困難になるというのが西側諸国の見立てだった。ロシアがドルを受け取れなければロシアは経済的に追い詰められギヴアップするという見込みだった。

 しかし、ロシアに対する制裁には西側以外の国々(the Rest)は参加しなかった。中国やインドにはロシアから割安の石油や天然資源を手に入れることができるようになった。それでは取引ではどの通貨を使っているのかということになる。それは人民元とロシアのルーブルである。その枠組みとなっているのは上海協力機構(Shanghai Cooperation Organization、SCO)だ。上海協力機構は、1996年に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの首脳会合が開催されたことが端緒である。これを上海ファイヴと呼ぶ。2001年にウズベキスタンが参加して発足したのが上海協力機構である。2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロもあり、この枠組みは安全保障分野のものであると考えられていた。それから約20年が経ち、上海協力機構はユーラシア大陸を網羅する国際的な枠組みに成長した。上海協力機構の構成は以下の通りだ。

(1)   正式加盟国は、中華人民共和国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギ

ス(以上が上海ファイヴ)、ウズベキスタン(2001年に加盟)、インド(2017年に加盟)、パキスタン(2017年)(2)オブザーヴァーは、イラン(2023年から正式加盟が決定)、モンゴル(2005年にオブザーヴァー参加)、ベラルーシ(2015年にオブザーヴァー参加)、アフガニスタン(2012年におブザーヴァー参加)、(3)対話パートナーは、スリランカ(2009年に対話パートナー参加)、トルコ(2012年に対話パートナー参加)、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール、エジプト、カタール、サウジアラビア、(4)対話パートナー参加予定国は、アラブ首長国連邦、ミャンマー、クウェート、モルディヴ、バーレーン、(5)参加申請国は、バングラデシュ、イスラエル、シリア、イラク、(6)客員参加は、トルクメニスタン、独立国家共同体、東南アジア諸国連合となっている。

 このユーラシアを網羅する国際的枠組みに、BRICSのブラジルと南アフリカという資源大国が加わって、中国の人民元を基軸とする国際決済システムを構成すれば、ドルの国際決済システムにおける基軸通貨という地位は脅かされる。ドルの力を使って世界中の国々を従わせるという構造が崩れることになる。そのような状況がすぐに現実化するとは考えにくいが、10年、20年の単位でこのようなことが起きるということも頭に入れておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

中国は静かにドルを王座から引きずり降ろそうとしている(China Is Quietly Trying to Dethrone the Dollar)

各地域グループと小規模の銀行が整体に対する北京の絶縁を手助けしている。

ゾンユアン・ゾー・ルー著

2022年9月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/09/21/china-yuan-us-dollar-sco-currency/

中国とロシアを中心とする上海協力機構(Shanghai Cooperation Organisation、SCO)は、ウズベキスタンで開催された首脳会議で、地域通貨(local currencies)による貿易を拡大するためのロードマップを作成することに合意した。現地通貨を貿易に活用し、代替決済システム(alternative payment and settlement systems)を開発するためのロードマップ作りは、上海協力機構の経済計画の一部として何年も前から行われてきた。

このロードマップは、西側諸国による制裁を緩和しようとするロシア、アメリカとの関係を悪化させる中国、ロシアとの貿易で非ドル通貨(nondollar currencies)を利用するインド、そして最近イランが提案した上海協力機構単一通貨(single SCO currency)など、同グループの有力メンバー側の個々の政策と一致するものであった。中国の習近平国家主席は、地域統合(regional integration)による開発赤字(development deficits)の解消、特に現地通貨決済のシェア拡大、現地通貨による国境を越えた決済システムの開発強化、上海協力機構開発銀行(SCO Development Bank)設立の推進を提案した。

習近平主席は、今回の上海協力機構サミットでの演説で、米ドル依存の地政学的リスク(geopolitical risk of U.S. dollar dependence)について公式には触れなかった。しかし、習近平の提案は、ドル覇権(U.S. dollar hegemony)に対する中国経済の脆弱性(vulnerability)に対する中国指導者たちの深い懸念と、ドル覇権のリスクを回避する(hedge)ための代替システムの開発への願望を反映したものだ。

北京は今のところ、人民元(yuan)を国際化した通貨にしようとはしていない。米ドルを退け、国際システムにおける米ドルの支配を人民元に置き換えようとは考えていない。むしろ、中国国内の地方機関や上海協力機構などの地域政府間組織を通じて、人民元を地域的に強力な通貨とするための措置を講じているのである。北京は、中国の国境を越えた貿易決済や投資における人民元の利用を拡大し、ドルへの依存度を下げ、為替リスクやドルの流動性不足を最小化し、地政学的危機の際にも世界市場へのアクセスを維持したいとしている。

中国の脱ドル(China’s de-dollarization)への取り組みは、北京の中央政府だけが行っている訳ではない。地方政府、地方金融機関でも実施されている。その一例が「中露金融連合(Sino-Russian Financial Alliance」」である。2015年10月、中国のハルビン銀行(都市型商業銀行)とロシアのスベルバンク(資産規模でロシア最大の貯蓄銀行)は、非営利の国境を越えた金融協力組織として「中露金融同盟」を発足させた。この連合の主な目的は、中露貿易を支援する効率的なメカニズムを確立し、二国間金融協力を包括的に促進し、二国間決済における現地通貨の使用を促進することだ。この金融連合には、中国の金融機関(中小銀行、保険会社、信託投資会社)18社とロシアの金融機関17社を含む35社が当初から加盟していた。黒龍江省の孫堯(Sun Yao、1963年-)副省長(当時)は、この金融連合の発足に際して、「中国・モンゴル・ロシア経済回廊の発展を促進するための重要なプラットフォームである」と述べた。

ドルを基軸とする国際金融システムとの接点が少ない中国の小規模銀行群は、代替的な支払・決済メカニズムを実践するにはうってつけの存在である。これらの銀行は、ロシア側と連携することで、制裁回避のための脱ドル戦略の実施に習熟する可能性がある。2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、アメリカはロシアの金融機関に制裁を加えたが、ハルビン銀行と黒龍江省は二次的制裁の可能性にも動じないように見える。ハルビン銀行は今年5月、黒龍江省の地方指導者たちの対ロシア金融開放推進の野望を実現するため、「百策(Hundred Measures)」と称する施策を発表した。

アメリカ政府がロシアの銀行群に対する制裁措置を発表したことを受け、中国銀行(Bank of China)や中国工商銀行(Commercial Bank of China)など中国のシステム上重要な銀行群は直ちにロシア企業との取引処理を停止した。しかし、中露金融同盟の中小銀行群は、越境銀行間決済システム(Cross-Border Interbank Payment System、CIPS)や現金などの代替決済インフラを利用して、ロシア企業の制裁回避を支援することができる。

ハルビン銀行がその良い例だ。中国の、越境銀行間決済システム(CIPS)に直接参加しているハルビン銀行の決済ネットワークはロシア全土を網羅しており、ロシアの銀行や企業にとって国境を越えた人民元決済のハブとして有力な候補となる。航空機だけでなく、トラックによる陸上輸送でロシアに人民元を現金で供給することも、ロシアの制裁回避につながる仕組みだ。こうした仕組みは、2018年以降、黒龍江省の複数の小規模銀行によって開発・拡大されている。ハルビン銀行の地方支店は2019年、ロシアのポルタフカ税関支署に1500万元(約200万ドル)の現金を届けることに成功した。

習近平が上海協力機構の首脳会議に出席したことは、中国の厳格なゼロ新型コロナウイルス政策にもかかわらず、北京が中国主導の地域ブロックとの関与を強化することによって西側の更なる孤立のリスクを回避する準備を進めていることを示唆している。北京は、上海協力機構(SCO)が北京にとって地政学的なクッションになることを期待している。過去20年間、上海協力機構は、より高いレベルの集団的自給自足(collective self-sufficiency)と、世界的な金融・地政学的混乱に対する自己防衛の強化を目指す非西洋的地域地経済圏として静かに成長してきた。

2002年に中国、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国による地域安全保障協力組織(regional security cooperation organization)として発足した上海協力機構(SCO)は、経済、エネルギー、技術といった側面を含むようにそのアジェンダを拡大した。2002年に制定された上海協力機構(SCO)憲章では、経済、貿易、金融、エネルギー、インフラ整備など、安全保障以外の分野での協力も組織の任務とされた。2003年9月、当時6カ国だった上海協力機構は、現在9カ国(2017年にインドとパキスタン、2022年にイランが加盟)に拡大し、「多極的経済・貿易協力に関する要綱(An Outline for Multilateral Economic and Trade Cooperation)」を発表した。この要綱は、経済協力の法的根拠を示し、銀行・金融サービス協力を優先分野として指定した。2013年に中国の「一帯一路構想(Belt and Road Initiative)」が開始されて以来、中国は上海協力機構加盟国へのインフラ投資計画を推進してきた。2015年の上海協力機構ウファ宣言では、上海協力機構加盟諸国が「一帯一路」を支持することが正式に発表され、2つの構想の結合が示された。

上海協力機構(SCO)の枠組みを利用して二国間決済に現地通貨の使用を促進することへの中国の関心は、一帯一路構想が開始された2013年以前からあった。中国の政策立案者たちは、2008年の世界金融危機の後、非ドル建て貿易決済の選択肢を模索した。例えば、2012年の上海協力機構ビジネスフォーラムで、中国の王岐山(Wang Qishan、1948年-)副首相(当時)は、上海協力機構加盟諸国は貿易決済における現地通貨の使用を促進し、二国間通貨スワップを進め、地域金融協力を強化し、新しい融資モデルを開発すべきであると強調した。

2011年以降、中国は上海協力機構の正加盟国(ウズベキスタン、カザフスタン、ロシア、タジキスタン、パキスタンなど)および上海協力機構の遵守・対話パートナー(モンゴル、トルコ、アルメニアなど)と二国間通貨スワップ協定(bilateral currency swap agreements)を締結してきた。これらの二国間スワップ協定は、人民元と相手国通貨建てで、中国人民銀行(People’s Bank of China、PBOC)の相手国の中央銀行が自国通貨を暗黙の担保として、比較的低い金利で短期間人民元の流動性を利用できるようにするものだ。このようなスワップ協定は、相手国が人民元建て融資を利用して中国製品の購入を増やすことを後押しする。中国はキルギスと二国間通貨スワップを締結していないが、中国銀行とキルギス共和国国立銀行は、通貨スワップに向けた一歩となる協力強化の意向書に署名している。

中国と他の上海協力機構(SCO)加盟諸国との間の国境を越えた決済における自国通貨の使用は、依然として非常に限られている。しかし、中国が域内で人民元の国際化を推進しているため、その比率は高まっている。その進展は、中露貿易決済において最も顕著となった。張漢暉駐ロシア中国大使は最近、人民元を使った中露貿易決済の割合が2014年から2021年の間に、3.1%から17.9%に増え、477%増になったことを明らかにした。2020年、人民元を使った中露二国間決済の割合は44.92%に達した。これは480億ドルに相当する。

中国は、上海協力機構(SCO)加盟諸国が銀行業務と開発金融で協力し、域内の決済協力を促進することを提唱してきた。2005年10月、上海協力機構の加盟諸国は、国家が出資する投資プロジェクトの資金調達と銀行業務を調整するメカニズムとして、上海協力機構銀行間コンソーシアム(SCO Interbank Consortium、SCO IBC)を創設した。上海協力機構銀行間コンソーシアム(SCO IBC)には、加盟諸国の開発銀行や政策金融機関からなる8つの加盟銀行があり、中国開発銀行(China Development Bank)が最大の融資先となっている。また、上海協力機構銀行間コンソーシアムはグループ外の3つの提携銀行を有している。上海協力機構銀行間コンソーシアムの協力の優先分野の一つは、インフラ整備、基礎・ハイテク産業、輸出志向の文や、社会プロジェクトに対する資金提供である。2014年のドゥシャンベ宣言では、上海協力機構開発基金(特別会計)と上海協力機構開発銀行を創設し、加盟諸国でのプロジェクトを銀行化し、加盟諸国間の金融協力を進めるためのさらなる取り組みが盛り込まれました。2018年以降、中国開発銀行は上海協力機構銀行間コンソーシアムに300億元(43億ドル)相当の特別融資を実施した。今年8月までに、中国開発銀行は他上海協力機構銀行間コンソーシアム加盟銀行や提携銀行とともに、63のプロジェクトに融資し、累計で146億ドルの融資を行い、そのうち約4分の1の251億元が中国開発銀行から提供された。

上海協力機構(SCO)開発銀行の可能性は、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカからなるBRICSにならって、為替リスクと米ドルによる高コストな資金調達を軽減するために、貿易決済と開発資金調達における現地通貨の使用を促進する公式機関を建設する道のりを示唆している。しかし、これはまだ先の話である。この10年近く、首脳会議の度に上海協力機構開発銀行と開発基金(Development Fund)の議論を続ける意思を表明してきたが、まだ具体的な計画には至っていない。

最終的にそのような銀行が設立されるとしても、他の上海協力機構加盟諸国の資本不足と地域全体の資本市場の未発達を考慮すれば、少なくとも当面は中国と中国開発銀行が主要な資金提供者となる可能性が高い。上海協力機構とBRICSの間でアジェンダや制度が収斂していることは、二国間通貨スワップの拡大、貿易や開発金融における現地通貨の利用促進、代替決済システムの開発、そして最終的には各国の米ドル依存度の低減といった問題において、この二つの非西洋連合とそのメンバー間の政策協力を促進するものである。

BRICSと上海協力機構(SCO)の間では、脱ドルに向けての緊密な連携がすでに行われている。ウラジミール・ノロフ上海協力機構事務総長(当時)は昨年、上海協力機構加盟諸国が決済に現地通貨を使用するよう段階的に移行していることを確認した。また、上海協力機構の投資ポテンシャルを十分に引き出すために、アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank)、新開発銀行(New Development Bank)、シルクロード基金(Silk Road Fund)とのパートナーシップを構築することを提案した。

中国は、カザフスタン政府が2018年7月に立ち上げた「アスタナ国際金融センター(Astana International Financial Centre 、AIFC)」も支援している。アスタナ国際金融センター(AIFC)は、中央アジア、中国西部、コーカサス、ユーラシア経済連合、中東、モンゴル、ヨーロッパの地域金融ハブとして戦略的に位置づけられている。また、カザフスタンはアスタナ国際金融センター(AIFC)を中国とロシアの企業間の契約に関する仲介・仲裁センター(arbitration center)として発展させることを望んでいる。カザフスタンの金融市場が限られていることを考えると、こうした構想は今のところ現実的とは言えない。

より重要なのは、中国西部の新疆ウイグル自治区が、中国と中央アジアを結ぶ国境を越えた決済の中心地として、すでに地域金融のハブとなっていることだ。新疆ウイグル自治区で行われた国境を越えた人民元決済の累積額は、2013年には早くも1000億元(140億ドル)を突破し、2018年には2600億元を超えた。それでも、中国の金融機関が提供するアスタナ国際金融センター(AIFC)への支援は、カザフスタンや北京の利益に沿った他の上海協力機構加盟諸国にインセンティブを与えている。

上海協力機構の枠組みを超えて、中国はBRICSプラットフォームやアジア太平洋地域の他の地域多国間機関を通じて、貿易決済や金融における現地通貨の利用を進めている。例えば、今年2月のG20会合で、中国人民銀行総裁の易綱(Yi Gang、1958年-)は、アジア諸国と協力して貿易・投資における現地通貨の利用を促進し、地域の金融安全保障と外部ショックに対する弾力性(resilience)を強化すると述べた。6月には、中国人民銀行と国際決済銀行(Bank for International Settlements)が、インドネシア銀行、マレーシア中央銀行、香港金融管理局、シンガポール金融管理局、チリ中央銀行の参加を得て、人民元流動性アレンジメント(Renminbi Liquidity Arrangement)を開始した。この取り決めは流動性支援を目的としており、市場の変動時に参加している中央銀行群が利用することができる。

上海協力機構(SCO)は今後、貿易・投資における現地通貨の追求や代替決済システムの開発など、既存メンバー諸国と共通の利益を持つ新規メンバーを加え、拡大していく可能性がある。上海協力機構は、先日の上海協力機構首脳会議で、西側諸国による厳しい制裁に対処し、脱ドル通貨に積極的なイランを9番目の正式メンバーとして迎えたばかりである。イランのエブラーヒーム・ライースィー大統領は、上海協力機構への加盟がアメリカの単独行動主義(American unilateralism)を阻止し、制裁を回避するための手段であることを明らかにした。

現在またもや通貨危機に陥っているトルコは、2012年以来上海協力機構の対話パートナーであり、オブザーバー資格の取得、あるいは正会員としての加入に関心を示している。トルコ中央銀行は2019年に中国銀行と通貨スワップ協定を締結し、2020年には中国との貿易決済に初めてスワップ枠を利用した。トルコの5つの銀行が既にロシアの決済システムを採用している。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とロシアのウラジミール・プーティンも、先日の上海協力機構首脳会議の傍ら、トルコへのロシアのガス供給の25%をルーブルで支払うという合意に至った。

ベラルーシはオブザーバー資格から正式加盟への格上げ申請書を提出し、これもロシアの支持を得た。バーレーン、モルディヴ、アラブ首長国連邦、クウェート、ミャンマーが新たに上海協力機構(SCO)の対話パートナーとなり、エジプト、カタール、サウジアラビアがすでに対話パートナーとして署名している。このように、上海協力機構はアメリカの制裁に直面している、あるいはアメリカの覇権的な力(hegemonic power)やドルによる支配に不満を抱いている主要な天然資源輸出諸国を受け入れていることが示唆される。エネルギーやその他の主要商品の取引において、上海協力機構圏内で非ドル建て通貨がより広く使用されるようになる。

アメリカは長い間、上海協力機構(SCO)の存在と拡大を軽視してきた。上海協力機構の主要メンバーであるロシアと中国との関係は悪化している。アメリカの同盟システムの復活は、中国が先端技術の購入や商品の輸出で依存してきた西側諸国から中国を孤立させる危険性をより高めている。西側諸国からの孤立リスクが高まる中、中国にとっての上海協力機構(SCO)の真の意味は、ロシアとの関係ではなく、西側諸国の孤立が深刻化した場合に、中国の地政学的安全保障のクッションとなるグループ化をいかに実現するかということだ。

この論理は、イランやインドなど西側諸国による制裁に弱い、あるいはドルへの依存度を減らそうとする他のメンバー諸国にも当てはまる。アメリカ政府は、上海協力機構(SCO)加盟諸国が貿易や投資のために代替通貨を共同で追求しようとすることを止めることはできない。しかし、過剰な制裁措置の誘惑に負けることなく、デカップリング(decoupling)を積極的に脅かすのではなく、アメリカの金融市場と中国市場のつながりを強化し、開発途諸国の社会経済成長に資するプロジェクトに資金を提供する米国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation)と米国際開発庁(Agency for International Development、USAID)の役割を強化することによって、ドルを基軸とするシステムの魅力を向上させることは可能であることは確かだ。

※ゾンユアン・ゾー・ルー:外交問題評議会(Council on Foreign Relations、CFR)国際政治経済担当研究員。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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