古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:ドローン

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争とイラン戦争によって私たちはドローン兵器が有効であることを知った。有効であるというのは「殺傷能力が高い(正確に目標である建物や人間を破壊、殺傷できる)」ということを意味するので使いたくない言葉である。ウクライナは西側諸国からの支援もあり、戦争を継続できている。西側諸国はこの4年以上にわたる大規模戦争で貴重なデータ、実戦でしか得られないデータをウクライナ側から得ることができた。

 拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体』(ビジネス社)で、私はシリコンヴァレーのIT企業、スタートアップ企業が米国防総省やアメリカ軍に深く食い込み、巨額の予算を分捕っていることを紹介した。彼らは、これまでの戦闘機や戦車、ミサイルなどの兵器を製造し、国家(軍隊)に買ってもらうことで巨額の利益を得てきた旧・軍産複合体(主要な軍需産業5社を「プライム」と呼ぶ)とは異なり、ソフトウェアやシステム、そしてドローンを主力製品・主力商品としている。

 戦争は、「精密な大量攻撃の時代(precise mass in war)」になりつつある。最新鋭で高価なミサイルや戦闘機、戦車の時代から、大量のドローンでの一斉攻撃(コンピュータで制御されている)の時代になりつつある。そして、これらの武器の方が安価だということになる。国家の経済力や生産力が軍事力の基盤になるという時代が長く続いたが、それも終わりを迎えつつある。

さらに重要な点について、下記論考の著者ファリード・ザカリアは次のように指摘している。

「1991年の湾岸戦争は、先進技術が戦争をより精密なものにできることを世界に示した。2026年、イランは世界にさらに重大なことを教えている。それは、精密さが大量生産される時代(Precision will now be mass-produced)が到来したということだ。勝利を収めるのは、単に最高性能の兵器を保有する国ではない。少数の精巧で高価な兵器と、膨大な数の安価なドローンを組み合わせられる国こそが勝利を収めるだろう。人間の判断は、やがてコンピュータアルゴリズムに取って代わられるだろう(Human judgment will over time give way to computer algorithms)。これが戦争の未来だ。そして、それは私たちの想像をはるかに超える速さで到来している」

 コンピュータアルゴリズムで攻撃対象を識別するということは、どの人間を攻撃し、命を奪うかをコンピューターが決める時代が来るということだ。ウクライナでは電波障害で人間の操縦ができなくなった段階で、ドローンがAIによって自力で(自律的に)攻撃対象を識別し、攻撃を実施するということが実現している。映画『スターウォーズ』に出てくる、ドロイト兵器(キラーロボット)が近い将来実現するということだ。AIによって人間が選別される時代というのはSFとしては興味深いが、現実として恐怖を掻き立てる未来である。

(貼り付けはじめ)

イランと新たな戦争の計算(Iran and the New Arithmetic of War

-安価な自律型兵器(autonomous weapons)は戦闘の経済性(the economics of combat)を根底から覆しアメリカに重要な教訓を与えている。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/20/iran-drone-war-lessons-fareed-zakaria/

中東地域における日々の攻撃と報復攻撃のニュースの裏側で、​​戦争は根本的に変化しつつある。テヘランによる報復攻撃の最初の1週間で、ペルシア湾岸諸国への攻撃のうち約71%がドローンによるものだった。アラブ首長国連邦(UAE)だけでも、わずか8日間で1422機のドローンと246発のミサイルが探知されたと報じられている。こうした傾向の多くは、すでにウクライナで垣間見ることができた。しかし、イランにおいては、戦争の未来像が明確に浮かび上がってきた。

外交問題評議会(the Council on Foreign RelationsCFR)のマイケル・ホロウィッツは、「私たちは現在、精密な大量攻撃の時代(precise mass in war)に突入した」と述べている。まさにその通りだ。数十年間、精密戦争(precision warfare)とは、少数のトマホークミサイル、ステルス爆撃機、あるいは戦闘機を意味していた。しかし今や、市販の部品で組み立てられ、群れをなして発射される一方向ドローンを意味するようになった。かつては巨大な工業国が必要としていたものが、はるかに小さな国々によって組み立て、改良され、規模を拡大できるようになっているのだ。

戦争の経済構造は根底から覆されつつある。シャヘド型ドローンは1機あたり約3万5000ドルだ。パトリオット迎撃ミサイルは約400万ドルで、100機以上のドローンが購入できる。これが新たな紛争の計算(the new arithmetic of conflict)だ。攻撃側は数千ドル、防御側は数百万ドルを費やす。そして、たとえ防御が成功したとしても、それは消耗戦(a form of attrition)となる可能性がある。

しかし、この革命はドローンだけにとどまらない。真の核心は、新たな軍事アーキテクチャ(a new military architecture)にある。安価な自律システム(cheap autonomous systems)、人工知能による標的設定(artificial intelligence-assisted targeting)、商用衛星画像(commercial satellite imagery)、強靭な通信(resilient communications)、統合センサー、そしてサイバーツール(integrated sensors and cyber tools)が全て連携して機能する。目的は単に攻撃することではない。時間を圧縮すること(to compress time)、つまり敵が移動、隠蔽、あるいは態勢を立て直すよりも速く、敵を発見し、判断し、攻撃することにある。昨年行われた実験で、アメリカ空軍は、機械が10秒以内に推奨事項を生成し、人間だけのティームの30倍もの選択肢を提示したと発表した。

古い軍事的優位性のモデル(the old model of military supremacy)は、精巧なシステム(exquisite systems)に依存していた。壮大で高価、生産に時間がかかり、失うと大きな痛手となるシステムだ(magnificent, costly, slow to produce, painful to lose)。しかし、それだけではもはや十分ではない。2023年、キャスリーン・ヒックス米国防副長官は、アメリカが敵対国に対抗するために発表されたばかりの国防総省のレプリケーター構想(the Pentagon’s just-unveiled Replicator)について、「小型で、スマートで、安価で、多数存在する(“small, smart, cheap and many”)」システムの必要性を訴えた。明日の戦争に勝利するのは、単一の最高のプラットフォームを持つ側ではないかもしれない。十分な数の優れたプラットフォームを、安価に、迅速に配備し、それらを十分にインテリジェントにネットワーク化できる側かもしれない(t may be the one that can field enough good platforms, cheaply enough, quickly enough, and network them intelligently enough)。少数の優れたものよりも、多数の優れたものの方が勝るだろう(Lots of good stuff will beat small numbers of great stuff)。

アメリカはイランのシャヘド136をモデルにした低コスト攻撃ドローン「ルーカス」を実戦配備した。世界で最も先進的な軍隊が、事実上、制裁対象のならず者政権(a sanctioned rogue regime)から学んでいるのは、戦争の論理(the logic of warfare)が変化したためだ。量そのものが独自の価値を持つようになった特にソフトウェア、自律性、リアルタイム接続と融合した場合はそうなる。ホロウィッツは、精密な大量生産は「機関銃や戦車のように(just like machine guns or tanks)」戦争の常態となるだろうと主張する。

ウクライナはこの新時代の偉大な実験場であり続けている。必要に迫られ、戦時下における迅速な適応モデルを構築してきた。ウクライナの迎撃ドローン「スティング」は1機約2000ドルで、最高時速280キロで飛行し、製造元によると2025年半ば以降3000機以上のシャヘドを撃墜しており、ロイター通信によると月産1万機以上となっている。ウクライナのテストパイロットの一人は、一人称視点ドローンを既に操縦できる者であれば、このドローンの操縦を習得するのに「3~4日」しかかからないと述べている。

そして、ソフトウェア面も重要だ。ウクライナは、同盟諸国がドローンAIを訓練できるよう、戦場データへのアクセスを開放した。これにより、パターン認識能力と標的探知能力が向上する。ミハイロ・フェドロフ国防相は、ウクライナは現在、「数万回の戦闘飛行で収集された数百万枚の注釈付き画像」を含む、「世界に類を見ない独自の戦場データ群」を保有していると述べている。つまり、この戦争で最も価値のある成果は、ハードウェアだけではないかもしれない。データこそが、その真価を発揮する可能性があるのだ。

だからこそ、その影響はウクライナやペルシア湾岸地域にとどまらない。ウクライナ軍最高司令官は、モスクワが現在、シャヘド型ドローンを1日404機生産しており、最終的には1日1000機を目指していると述べている。対照的に、ロッキード・マーティン社は2025年に約600機のパトリオット迎撃ミサイルを生産し、2027年までに2000機まで増産する計画だ。この対比こそが、現状を物語っている。問題はもはや単なる技術の高度化(technological sophistication)ではない。産業規模(industrial scale)、ソフトウェアの統合(software integration)、そして戦場で得られた教訓を大量生産に迅速に反映させるスピード(the speed with which lessons from the battlefield are turned into mass production)こそが、真の課題なのである。

この軍事革命(revolution in military affairs)は、より深い意味合いを数多く含んでいる。ドローンが配備されたことで、戦場はあらゆる場所に広がり、兵士たちは休息を取る暇もなくなる。人間が戦場から遠く離れることで、戦争は構想しやすくなる一方で、膠着状態に陥りやすくなる可能性もある。そして、こうした致命的な兵器が容易に生産できるようになったことで、テロ組織、麻薬カルテル、ギャングなどが、かつては兵器庫を持つ正規軍(organized armies with arsenals)の領域だったような戦争を仕掛けることが可能になるのだ。

1991年の湾岸戦争は、先進技術が戦争をより精密なものにできることを世界に示した。2026年、イランは世界にさらに重大なことを教えている。それは、精密さが大量生産される時代(Precision will now be mass-produced)が到来したということだ。勝利を収めるのは、単に最高性能の兵器を保有する国ではない。少数の精巧で高価な兵器と、膨大な数の安価なドローンを組み合わせられる国こそが勝利を収めるだろう。人間の判断は、やがてコンピュータアルゴリズムに取って代わられるだろう(Human judgment will over time give way to computer algorithms)。これが戦争の未来だ。そして、それは私たちの想像をはるかに超える速さで到来している。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)



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 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルのイラン攻撃の最大の誤算は短期間で決着がつくという見通し通りに事態が進まなかったことだ。イランに対して大規模な先制攻撃を行って、最高指導者アリ・ハメネイ師をはじめとする政府の指導部を殺害すれば、イラン政府が機能不全に陥り、イラン国民はこの機会を利用して、政府を打倒するだろうという極めて甘い見通しを持っていたようだ。

私が不思議に思っているのは、世界最高峰の水準を誇るイスラエルの情報諜報機関であるモサドがそのような甘い見通しの基盤となる報告をイスラエル政府最高指導部層に出していたとはとても考えられないのに、どうしてこのような攻撃を行い、目的を達成できていないのかということだ。アメリカ軍はイラン攻撃のリスクは非常に高いという報告をトランプに上げていたが、トランプはそれを無視したというのは分かるが、イスラエル政府内の動きがどうだったのかということはこれから明らかにされるだろう。

 ウクライナ戦争においては、アメリカがウクライナにとっての最大の支援国である。ウクライナ戦争勃発から既に4年以上が経過しているが、膠着状態に陥っている。アメリカが武器支援を行っているが、アメリカでも生産体制が整わず、増産が思うように進まない。結果として、アメリカ軍は既定の武器や装備品の貯蔵量を下回る事態となっている。アメリカ軍制服組トップの統合参謀本部議長のダン・ケイン大将がイラン攻撃はリスクが高いという報告書を出して、イラン攻撃に反対したが、これは、武器や装備品の調達面での不安もあったことが考えられる。アメリカでは理工系に進むアメリカ人学生が少なく、理工系の優秀な学生は多くが中国や韓国、日本のアジアからの留学生が大きな割合を占めていることは知られている。

イランは医学や理工系学生の数が多く、また、女性の高等教育進学率も高い。日本では理工系に進む女性の数は少なく、「リケジョ」という言葉と共にアピールが続けられているが、イランでは「リケジョ」がごく当たり前の存在となっているようだ。また、より良い教育と研究環境を求めて、ヨーロッパやアメリカの一流大学に進む優秀な学生も多い。その結果として、国内の研究水準も高く、エンジニアや研究者の数も水準も高い。そうなると、軍事関連の研究も進んでいると考えるのが当然だし、生産力も高いと見なすべきである。
 アメリカもイスラエルも短期間で片を付けることが出来るという、甘い見通しでイラン攻撃を開始し、最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害するということをしでかしてしまって、イランを本気にさせてしまった。戦争は長期化する可能性が極めて高い。アメリカとイスラエルが圧倒的な軍事力を持ちながら、押されてしまい、閉塞状況に追い込まれている。

(貼り付けはじめ)
開戦から36時間でアメリカ・イスラエルの軍需品は3000個以上消費された(The First 36 Hours of War Consumed Over 3,000 U.S.-Israeli Munitions

-備蓄の補充(replenishing stockpiles)は脆弱な重要鉱物資源の供給チェイン(vulnerable critical mineral chains)に依存している。

マクドナルド・アモア、モーガン・D・バジリアン、ジャハラ・マティセク筆

2026年3月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/05/iran-war-munitions-critical-minerals/?tpcc=recirc_trending062921

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2026年2月28日、海上で「壮大な怒り」作戦遂行中、アメリカ海軍海兵たちが空母USSエイブラハム・リンカーンの甲板上で弾着準備を行っている(アメリカ海軍提供)。

アメリカとイスラエルによるイランに対する軍事作戦の最初の36時間で、3000発以上の精密誘導兵器と迎撃ミサイルが消費され、サプライチェインの重大な脆弱性が露呈した。戦争の行方とその広範な影響については未知数が多いが、一つ確かなことは、弾薬備蓄の補充が必要であるということだ。

鉱物や資材を需要シナリオから分離する、ペイン研究所独自のオープンソース台帳およびデータスクレイピング装備を活用し、コロラド鉱山学校の専門知識を活用した私たちのティームは、紛争の最初の36時間における中東全域におけるイランのミサイル発射とドローン攻撃の回数を控えめに特定した。

グラフ1

イランが中東地域全域に1000発以上の弾頭を発射したことを受け、アメリカ、イスラエル、そして同盟諸国は数多くの迎撃を試みた。スーファン・センターが指摘するように、「イランはアメリカ、イスラエル、そして同盟諸国の防衛資源を枯渇させることに重点を置いた非対称消耗戦(an asymmetric war of attrition)を展開しているようだ」。イランの防空システムがほとんど活用されていないのは、アメリカとイスラエルがイランの防空・指揮統制インフラの大部分を電子的に抑制し、物理的に破壊する上で優位に立っているためと考えられる。

迎撃(interceptions)は概ね成功を収めているものの、そのコストは高額となる。消費された弾頭と、その製造に必要な鉱物資源は、西側諸国、特にアメリカにとって防衛産業上の課題となっている。アメリカ、イスラエル、そして同盟諸国の支出を計算した結果、アメリカはお馴染みの組み合わせに依存していたことが判明した。初期段階の攻撃にはスタンドオフ攻撃ミサイル、レーダーに対する制圧兵器、時間的制約のある目標には地上発射ロケット、そして大量の精密誘導爆弾を投入したのだ。イスラエルの兵器は実用性を重視している(Israel’s arsenal shows a preference for the practical)。つまり、大量生産可能な誘導キットと空中発射弾を大量に保有し、容赦ない出撃率を実現できる航空機と組み合わせるということだ。

これに地域パートナーによる防衛射撃を加えると、洗練された戦闘であると同時に、量も重視するハイエンド戦闘の印象的な様相が浮かび上がる。精密さ(precision)は戦争から質量(mass)を奪ったわけではない。質量は、目に見えない兵器の部分にのみ存在する。

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この分析の目的は、紛争の勃発局面を、軍需品の供給確保の必要性を緊急に示唆するシグナルへと転換することだ。ただし、この初期評価を今後の紛争に直ちに適用することはできないことを認識する必要がある。これは、戦略家や防衛計画立案者がしばしば見落としがちな、ある単純な疑問を提起する。西側諸国はどれほど迅速に軍備を補充できるのだろうか?

緊急の追加資金は必要だが、数十年かけて統合された生産ラインや衰退した鉱物処理能力を即座に回復させることはできない。時間、化学、そして産業物理学によって制約される。ミサイルの投入は単なる資金ではない。鉱物、処理、そして命令によって増強されることのない二次処理能力から始まるサプライチェインなのだ。

統合参謀本部議長ダン・ケイン米陸軍大将が、攻撃前にアメリカ軍の軍需品不足を懸念したことが、ペイン研究所の研究ティームをまさにこの問題に焦点を絞るきっかけとなった。こうした懸念は新しいものではない。紅海におけるアメリカ海軍の作戦は、ミサイルの消耗が交換可能なペースを上回っていることを既に浮き彫りにしており、既に逼迫している防衛産業基盤に更なる負担をかけている。

発射される全ての兵器は交換が必要であり、その交換には原材料(raw material)から精製と加工(refining and processing)、特殊部品の製造(specialized components)、そして最終的に認定生産ライン(finally into certified production lines)へと至る一連のプロセスが必要となる。ボトルネックは必ずしも政治家が考えるような場所にあるとは限らない。最も困難な点は、しばしば人目につかない隅にある。例えば、炉を一つしか持たない下請けサプライヤー、限られた材料に依存するコンデンサ供給、何年もかけて工場を建設しなければ拡大できないロケットモーターの協調製造システムなどだ。

一見単純な兵器でさえ、複雑な製造チェインに依存している。例えば、現代の兵器誘導キットは、中国が支配するレアアース元素からしか製造できない高性能部品に依存している。西側諸国の産業基盤は、原材料の発注、契約締結、資金承認など、いくつかの要素を迅速に増強することができる。しかし、熟練した労働力、適切な工具、そして認定された生産能力を一夜にして生み出すことはできない。

しかしながら、防衛計画は依然として在庫を丸め誤差(a rounding error 訳者註:切り上げ、切り捨てなどで生じる本来の数字とのズレ)であるかのように機能している。抑止力(deterrence)は態勢とプラットフォームの観点から議論されるが、敵対国は異なる指標に注目している。彼らは、ミサイル弾薬庫と弾薬備蓄がどれほど速く空(から)になるのか、そしてそれらを適時に兵站的に補充できるかどうかを知りたいのだ。

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同時進行する圧力に晒される世界において、ペルシア湾岸地域での長期にわたる軍事作戦は、単にそこでの情勢を左右するだけでなく、他の地域における軍事的選択肢をも蝕む。迎撃ミサイルの備蓄が底を尽きた部隊は、別の戦域でより大きなリスクを負うか、防衛を節約せざるを得ない。

これは、アメリカ軍がイランとの次なる交戦が小規模であることを願うべきだ、そして中国が台湾防衛用のアメリカ軍精密誘導弾薬の残存量を計算しないことを願うべきだという、婉曲な表現である。これは極めて深刻な問題だ。戦略国際問題研究所(CSIS)の2023年報告書は、一連の戦争ゲームシミュレーションに基づき、アメリカ軍が中国の台湾侵攻から防衛を試みた場合、主要な弾薬が1週間以内に枯渇すると結論付けている。

だからこそ、対イラン作戦の最初の36時間は重要なのだ。それは西側諸国の産業耐久力(Western industrial endurance)を試すストレステスト(a stress test)なのだ。防衛側が補充ペースを上回るペースで迎撃ミサイルを消費することを強いる作戦は、戦術的に過酷なだけでなく、戦略的にも侵食的である。

ペイン研究所独自のツールを用いて、表2の軍需支出を鉱物代替負担(戦略的に最も脆弱な投入物のキログラム数で表す)に変換した。表3は、消費された兵器の補充に必要な重要物資を示している。私たちの最近の研究では、これらが防衛上最も重要性の高い鉱物であり、平時においても調達が困難であり、危機時にはほぼ不可能であることが示された。

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消費されたものを補充するには、抽象的な規模の生産量の増加だけでなく、中国が供給の大部分を支配している特定の鉱物や材料を大量に必要とする。数量の問題以外にも、加工の集中、生産能力拡大の長期化、二次サプライヤーの脆弱性など、数多くの問題が存在する。

軍需品の膨大な量に加え、高価値資産の喪失は、更なる複雑さをもたらす。カタールのAN/FPS-132とバーレーンのAN/TPS-59という2基のアメリカ製最新鋭レーダーの破壊は、「鉱物資源費」の総額よりも、サプライチェインの極めて脆弱な状況と交換に要する長期にわたる期間が大きな問題となっていることを浮き彫りにしている。

私たちの分析では、AN/FPS-132の場合、レイセオン社は11億ドルの費用をかけて新型レーダーを5~8年で製造する。一方、ロッキード・マーティン社は、インフレ調整後のバーレーン向け有償軍事援助契約に基づき、AN/TPS-59の交換に少なくとも12~24カ月、推定5000万ドル~7500万ドルを要すると試算している。防衛産業基盤にとって最大の課題は、両システムに必要な77.3キログラムのガリウムの調達となる。このガリウムは中国が世界供給量の98%を支配している。これに加えて、テクノロジー分野からの需要が急増している商品である銅も30610キログラム必要となる。

より広い視点から見ると、西側諸国の軍備態勢に関する理論は不完全である。ウクライナ戦争の長期化が既に示しているように、戦争の費用は誤った単位で算出されている。重要な指標は、開戦時に発射台が何基あるかではなく、2日目、20日目、そして、200日目にどれだけの精密兵器と迎撃ミサイルを発射できるか、そして産業がそれらをどれだけ迅速に交換できるかである。これは、戦場の問題を産業の問題に、そして産業の問題を​​鉱物資源と加工の問題に変える。表4は、これらの重要な兵器システムの補充にかかる膨大なスケジュールを示している。

個々のボトルネックがこの補充を遅らせている。例えば、BGM-109トマホークは、ウィリアムズ・インターナショナル社が独占的に製造しているF107ターボファンエンジンに依存している。パトリオットPAC-3の生産は、アメリカ、ペルシア湾岸諸国、そしてポーランドで分担されており、ポーランドは2024年にWZL-1施設でPAC- MSE発射管の生産を開始した。ポパイ・ターボ(射程距離延長型はクリスタル・メイズIIとしても知られる)などの一部のシステムは、限られた在庫から削減されている旧来の資産だ。その他のシステムは深刻な逼迫状態にあり、GBU-57MOPは現在までに約25機しか生産されておらず、ボーイングが唯一の組立業者だ。この兵器は現在、B-2スピリット(わずか20機の機体)による配備のみが認定されています。B-21レーダーは追加の配備プラットフォームとなるが、実戦配備は2027年まで行われない。THAADシステムには特注の迎撃ミサイルが必要だが、これに匹敵する民生用ミサイルはない。これらの複雑な生産プロセスは全て、増産できない重要な鉱物資源に依存している。
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鉱物資源費用は抑止力の代償であり、これは初期費用に過ぎない。記者会見やソーシャルメディアの投稿、あるいは連邦議会公聴会でさえ、これを軽視することはできない。西側諸国の最も高度な兵器は、同時に長く複雑なサプライチェインに最も依存しており、将来の紛争における制約要因は再装填能力となるだろう。対イラン作戦の期間がどうなるかは、今や重要な問題にかかっている。西側諸国(the West)は、その戦略が意味を持つほど迅速に兵器を補充できるだろうか?

マクドナルド・アモア:ペイン公共政策研究所コミュニケイション担当研究員。ペイン研究所で重要鉱物から通常の工業関連の諸問題までの幅広いテーマについて研究している。

モーガン・D・バジリアン:ペイン公共政策研究所部長、コロラド鉱山学校教授。世界銀行エネルギー担当首席スペシャリスト。エネルギー安全保障、天然資源、国家安全保障、エネルギー貧困、そして、国際問題の各分野で20年以上の経験を持つ。

※ジャハラ・マティセク:アメリカ海軍大学研究員、ペイン公共政策研究所上級研究員。見解は海軍大学とペイン研究所のものではなく、マティセク自身のものだ。

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争によって、「戦争はどんどんハイテク化しているんだな」ということが私のような軍事面のズブの素人にも強く印象付けられた。昔のように戦車同士が大会戦を行うとか兵士たちがどんどん突撃するということは1990年代の湾岸戦争の頃から既に見なかったが、今や無人偵察機や衛星情報による位置確定などがなされる時代になった。そして、ミサイル兵器などより破壊能力と精密さが上がっている。それらが連動することによって、より効果的にピンポイントで敵側にダメージを与えることができるようになった。それでも戦争は最後はやはり人が行って場所を制圧しなければならないようだ。当たり前のことではあるが。

 ハイテク機器の面に関しては西側がロシアに先んじているということは間違いない。戦争開始当初、ロシア軍は普通に西側諸国の企業の部品が入った携帯電話を使い、連絡を取り合っていてそのために司令官クラスの位置が掴まれてピンポイントで攻撃を受け手戦死することが複数あった。西側諸国の各ハイテク企業は「愛国的な」行動として、そうした位置情報などを提供し、それがウクライナ軍に伝わっているという構図があるようだ。
 また、西側各国の政府や民間企業はウクライナ国内でインターネットが使える状態を維持するために資金と技術を提供している。それによってウクライナ国民もロシア軍に関する情報を提供できる状態になっている。「ハイテク戦」ではロシアは敗北しているということになるだろう。
 ロシア側は現在、そうしたハイテク戦で何とか挽回しようとしているようだ。どこまでできるかは分からないが、ロシアのハッカー技術や偽情報拡散の能力を考えれば、ある程度まで挽回ができるものと思われる。また、西側諸国に対するインターネットを利用した攻撃ということも考えられる。

 戦争のハイテク化を印象付けたウクライナ戦争はいつまで続くことになるか。先の見通しは立っていない。

(貼り付けはじめ)

中国のドローン・メーカーがロシアとウクライナでの事業を一時停止(Chinese drone-maker suspending operations in Russia, Ukraine

モニク・ビールス筆

2022年4月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3467506-chinese-drone-maker-suspending-operations-in-russia-ukraine/

中国のドローン・メーカー「DJI」は火曜日、ロシアとウクライナでの事業を一時的に停止すると発表した。

DIJは声明の中で「DJIは、様々な管轄区域におけるコンプライアンス要件を社内で再確認作業を行っている。この見直し作業が完了するまで、DJIはロシアとウクライナにおける全ての事業活動を一時的に停止する」と述べた。

DJIは直接、この決定は「現在の敵対行為を考慮し、販売に関するコンプライアンスを見直すための努力を行う」と述べた。

『ワシントン・ポスト』紙は、DJIの広報担当者は中国メディアに対し、一時停止は「今回の声明は特定の国をターゲットにしたものではなく、当社の原則に関するものだ」と述べたと報じた。

ウクライナ政府当局は以前、DJIがウクライナの軍事情報をモスクワにリークしたと非難したが、DJIはこうした主張をきっぱりと否定しているとロイター通信は報じている。

しかしDJIは、自社製品のいかなる軍事利用にも反対しているとCNNは報じた。

ロシアによるウクライナ侵攻からわずか3週間後の3月、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は、「ロシア軍がミサイルを誘導するためにDJI製品を使用している」とする書簡を書き公表した。

フェドロフは「あなた方はこの殺人行為の協力者となりたいのか?」とツイートで同社に問いかけた。そして「ロシアがウクライナ人を殺すのを助けているあなたの製品をブロックして欲しい!」と訴えた。

深センに本社を置くDJIは、民生用・産業用ドローンの世界最大のメーカーである。

中国企業DJIがロシアでの事業を停止するという決定は特に珍しいもので、西側諸国がいわれのない攻撃を行ったロシアに強力な制裁を科しても、中国はロシアによるウクライナ侵略の中でモスクワとの関係を強化しようと考えている。

中国の楽友成外務次官は今月初めに声明を発表しその中で、「国際情勢がどのように変化しようとも、中国は引き続きロシアとの戦略的協調を強化し、ウィン・ウィンの協力を目指し、両国の共通の利益を共同で守り、新しいタイプの国際関係と人類が未来を共有する共同体の構築を促進する」と述べた。

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ウクライナ政府へ衛星ネットサービスの端末を大量供与、米国

2022.04.07 Thu posted at 17:15 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35186011.html

(CNN) 米政府の援助機関である国際開発局(USAID)は7日までに、ロシア軍の侵攻を受けたウクライナ政府に対し米宇宙企業スペースXが手がける人工衛星経由のインターネットサービス「スターリンク」の端末5000個を供与したと発表した。

ロシア軍がウクライナの通信基盤を妨害する事態などに備え、米政府がこの端末送付の資金面や輸送で支援してもいる。

スターリンクは、世界の遠隔地や紛争地域でインターネットが利用出来る通信環境を提供するもので、端末やテレビ用の小型アンテナに似た装置などを使う。

USAIDは声明で、「プーチン(大統領)による野蛮な侵攻がウクライナの光ファイバー網や移動体通信の接続網を切断したとしても、スターリンクの端末はウクライナの公職者や重要な民生サービスの提供者によるウクライナ国内あるいは世界各地との通信の維持を可能にする」と強調した。

ロシアが軍事侵攻に踏み切った今年2月、スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏はウクライナ上空で初めてスターリンクのサービスを起動。ツイッター上でより多くの端末も同国へ向かっているとも発表していた。

マスク氏の行動は、ロシアの侵攻が続けばウクライナのネット接続環境が消滅するとの懸念を示した同国副首相の嘆願に応じたものだった。USAIDが今回の大量な端末供与に踏み切る前、スペースXがウクライナ側に便宜を図っていた端末の数は明らかではない。

スペースXは2019年5月以降、スターリンク用の衛星を2000基以上打ち上げてきた。今後数年間でさらに約4万2000基の配備を計画している。
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ロシアがウクライナのGPSに妨害攻撃か 米宇宙軍が言明

4/25() 17:40配信

ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/3ae5fef51a1abb1378df9e20b5536d16bba897b5

──ドローンや救護車両などの運用に欠かせないGPSが、ウクライナで妨害を受けているという。米宇宙軍幹部が明かした

ロシアによるGPS妨害は侵攻以前からたびたび発生していた......

ウクライナ軍および市民は現在、GPS(全地球測位システム)による正確な位置情報を得られていない可能性がある。米宇宙軍で作戦担当副本部長を務めるデイヴィッド・トンプソン将軍が、米NBCの番組に出演し、ロシアによる妨害工作の可能性を明かした。

番組司会者が「ウクライナではGPSが利用不能になっているのですか?」と問いかけると、氏は「その通りです。ロシアはアメリカが提供するGPS信号をウクライナ国内で妨害しています。辺りには妨害工作車が存在し、(GPS信号の)受信と利用を妨げているため、ウクライナの人々はGPSを利用できない可能性があります」と説明した。

GPSが機能不全となれば、戦線への直接的な影響が懸念される。ウクライナでは軍事ドローン「バイラクタルTB2」がロシア戦車を相手に善戦し、市販の小型ドローンも偵察に貢献している。これらの飛行制御はGPSに依存している。

戦禍の国民生活にも悪影響が及びかねない。自動車の車載ナビやスマホの地図などはGPSを前提としており、救助車両の到着の遅れなど市民生活への支障が憂慮される。

GPSは、アメリカ宇宙軍が運用する衛星測位システムだ。ウクライナを含む世界の多くの国で利用されているが、妨害はウクライナ国内に留まるとみられる。衛星測位システムにはGPSのほか、欧州版の「ガリレオ」やロシア版の「GLONASS(グロナス)」などが存在する。

■ 地上の信号を妨害

ロシア側はGPS衛星を直接攻撃することなく、地上の補助的な送信設備をねらった模様だ。

GPSのしくみとして、約30基の衛星が軌道上に配備されている。予備機を除く24基が稼働しており、このうち少なくとも4基の電波を捉えることで現在地を算出するしくみだ。電波には発信時刻と衛星の位置が記録されており、発信から受信までにかかった時間差をもとに各衛星との距離を計算し、現在地を特定する。

ただし、衛星からの電波だけでは、10メートル程度の誤差が生じる。このため、地上のGPS基地局からも並行して電波を受信し、精度向上のヒントとして利用する。今回ロシア側の妨害を受けているのは、この地上局が発する電波だ。

妨害は今回が初というわけではなく、侵攻以前からたびたび発生していた。米シンクタンクの戦略国際問題研究所は、2014年ごろから断続的に行なわれてきたと分析している。宇宙ポータルサイトの『Space.com』によると、ロシア軍は大型トラックのような形状の独自開発の車両を保有しており、ここに妨害装置が搭載されているという。

■ ロシア版GPSは「数年内に崩壊」説も

ウクライへの妨害を活発化するロシアだが、一方で自身の衛星については、かなりお粗末といわざるを得ない状況だ。ロシア版衛星測位システム「GLONASS」を開発したものの、綱渡りの運用が続く。

GLONASSでは本来24基の衛星が必要なところ、稼働中の衛星はこれを下回る23基だ。6基前後の豊富な予備機を擁するGPSとの差異が際立つ。さらに、GLONASSには寿命間近の機体も多く、半数ほどはいつ動作不良に陥ってもおかしくない。設計上の数を満たせなくなるとまず一部地域で精度が低下し、その後18基を割った時点でロシア全域をカバーできなくなる。

匿名の専門家は欧州報道機関の『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』に対し、「打ち上げの動向を根本的に変えない限り、GLONASSシステムは数年以内に崩壊を迎えるでしょう」との予測を示している。

位置情報のみならず偵察衛星網についても、衛星の数が少なすぎるとの指摘がある。個々の機体としても解像度の低い旧式の技術を採用しているうえ、一部衛星には耐用年数の限界が近づく。これが偵察活動の不調を招き、キーウ陥落作戦の主な失敗要因のひとつになったとの観測すら出ているほどだ。

対するウクライナは、アメリカから偵察衛星の画像提供を受けている。その仔細は明かされていないが、仮に高解像度のスパイ衛星である「キーホール12」シリーズの画像を入手しているとするならば、その解像度は1ピクセルあたり5センチほどだ。面積あたりでは商用衛星の9倍の精度となる。ラジオ・フリー・ヨーロッパは、ロシア車両に描かれた「V」の文字も容易に読めるほどだと述べ、両陣営間の偵察精度の差異を指摘している。

■ 衛星への直接攻撃もあり得る

ただし、ロシア側は乱暴な一手で性能差を詰めてくる可能性がある。アメリカ宇宙軍は、米衛星への直接攻撃も起こりうるとみて監視体制を強化している。

ブルームバーグは、アメリカ国防情報局の最新の見解を報じている。それによると同局は、ロシアが「アメリカの宇宙関連サービスを無力化あるいは阻止する対抗システムを推進している」とみて警戒を強めている。

同局がまとめた報告書は、ロシアがすでに「衛星のセンサーの目を眩ますものを含め、複数の地上レーザーを保有している」との見解を示し、「おそらく2020年代中盤から終盤にかけて、さらに効果的に衛星を損傷するためのレーザーを配備するだろう」と分析している。

ロシア自身の衛星網に抜きん出た点はないものの、妨害の手法は今後も発展する可能性がありそうだ。

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民間衛星がロシア軍の動き「丸裸」に…偽情報拡散に対抗、戦争犯罪疑惑の捜査にも

2022/04/29 13:55

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/2/

 【ワシントン=冨山優介、蒔田一彦】ロシアによるウクライナ侵攻では、米民間企業の人工衛星がロシア軍の動きを細かく捉え、注目を集めている。観測データは、戦争犯罪疑惑の追及でも役割を果たしている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、ウクライナ南東部マリウポリ郊外を3月から4月上旬に撮影した4枚の衛星画像を掲載した。画像では日ごとに直線的に並んだ穴が増える様子が分かる。記事は、約300に達した穴が「集団墓地とみられる」と分析し、世界で反響を呼んだ。

 撮影したのは米宇宙企業マクサー・テクノロジーズの衛星だ。マクサー社は自社の衛星で撮影した高解像度の画像を、各国政府や報道機関などに販売し、一部は無償提供している。取材に応じた同社幹部のスティーブ・ウッド氏は「報道機関への画像提供は偽情報拡散への対抗に役立つ。侵攻とそれに伴う人道的危機を記録するために画像の共有を続ける」と話す。

 国連によると、1957年以降、衛星などの人工物は世界で計1万2000基以上が打ち上げられ、近年は年間1000基を超えるペースで増えている。その多くが民間企業の衛星だ。

 電子部品の高性能化や小型化に伴い、衛星も小さく、安価で製造することが可能になった。カメラの性能も向上し、民間衛星でも地表の数十センチ大の物を見分けられる精度だ。

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「客観的見方 提供」

 民間衛星のデータは、国際刑事裁判所(ICC)などによるロシア軍の戦争犯罪疑惑を巡る捜査にも活用されている。米紙ポリティコによると、以前は各国の軍や情報機関しか得られなかったようなデータが民間企業から入手できるようになり、捜査すべき場所の特定や証拠の収集がしやすくなっているという。

 マクサー社と同様、衛星を運用し、画像を販売する米宇宙企業プラネット・ラボの広報担当者は「我々のデータは各国政府や人権団体が重要な情報を記録するのに役立つ。進行中の出来事について客観的な見方を提供できるからだ」と意義を強調する。

「攻撃対象」懸念も

 新たな問題も浮上しつつある。米専門家はワシントン・ポスト紙に「交戦国が民間企業から提供されたデータを攻撃に使用すれば、その企業は紛争当事者とみなされる可能性が高い」として、民間衛星が攻撃対象になり得るとの見方を示した。

■増える監視 隠蔽は不可能…米ジョンズ・ホプキンス大上級講師 ジョン・オコナー氏

 民間衛星の画像が注目される現状について、米中央情報局(CIA)で衛星画像分析に携わった米ジョンズ・ホプキンス大上級講師のジョン・オコナー氏(地理空間情報学)に聞いた。(ワシントン 冨山優介)

 現在、ウクライナの特定の地点の画像を得ようと思えば、1日に100回以上の頻度で得ることが可能だ。民間企業と20以上の国々の衛星がカバーしているからで、その間隔は短ければ数分、長くても1時間半程度だ。地上での何かの行為を 隠蔽いんぺい するということは、実質的に不可能だ。

 2001年のアフガニスタン戦争や03年のイラク戦争の当時は、民間衛星は少なく、地球上のどこでも多数の衛星で監視できるような状況ではなかった。かつては国家が独占していた軍事機密に近いような画像も、今は多くの人が目にするようになっている。今回、ロシアも米欧の側も、情報をコントロールすることはできなくなっていると言える。

 ロシア軍の残虐さは国際的にも異質だが、宇宙からは多数の衛星で、地上では市民らがスマホで撮影した写真のSNSへの投稿によって、白日の下にさらされる。今後の紛争や戦争時には、軍隊の司令官はそうした監視の目を意識しなければならなくなるだろう。

(貼り付け終わり)
(終わり)


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