古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ドンロー主義

 古村治彦です。

 アメリカは西半球に立て籠もろうとしている。世界に対する一極支配は既に不可能な状況になっている。そうした中で第二次ドナルド・トランプ政権は202512月に発表した、「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」で、「アメリカ・ファースト外交」を掲げ、「西半球」をアメリカの勢力圏(sphere of influence)とすると発表した。

 トランプ政権は、ヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領の拘束連行を実施し、グリーンランドの領有を主張している。有名なモンロー主義と棍棒外交を混ぜ合わせた、アメリカ・ファースト外交政策、ドンロー主義は、あらゆる手段を用いて、西半球から中国やロシアの影響を排除し、アメリカの支配権を確立するということになる。

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 アメリカが西半球を勢力圏とすると、中国とロシアがそれ以外の地域を勢力圏にするという構造になる。ロシアは自国の周辺を「緩衝地帯」「衛星国」として、自国の防備を固めるという行動を取り、中国は影響を少しずつ拡大していく。一帯一路計画はその一例であるし、BRICSという枠組みもそれにあたる。

 アメリカの西半球のアメリカ勢力圏化は、実質的なアメリカ「帝国化」である。アメリカの利益のために、勢力圏内の全ての国家がアメリカの利益のために「奉仕する」という構造を目指すことになる。簡単に言えば、全ての国家を属国とするということだ。帝国と属国の関係を西半球に築き、搾取するということだ。遅れてきた植民地主義である。ドンロー主義のこのような態度は西半球の全ての国々の反米感情を増大させることになる。また、既に、ブラジルはBRICSの一角として、西側以外の国々の中でリーダー格として存在感を増している。西半球は既にアメリカの勢力圏、植民地帝国として再編することはできない。アメリカが、本当の意味で「共存共栄(co-prosperity)」を学ばねば、ドンロー主義による、西半球の植民地化は、太平洋戦争における日本の「大東亜共栄圏(Great East Asian Co-Prosperity Sphere)」と同じ結果に終わるだろう。
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(貼り付けはじめ)

「ドンロー主義」は意味をなさない(The ‘Donroe Doctrine’ Makes No Sense

-寛大に解釈したとしても矛盾が山積している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年1月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/08/donroe-doctrine-trump-venezuela-empire/

ドナルド・トランプ政権のヴェネズエラ政策(ニコラス・マドゥロ大統領の最近の拉致事件を含む)の戦略的正当性(the strategic justification)について、もしあなたが困惑しているなら、それは仕方がないと思う。なぜなら、これまでに提示された論拠のほとんどは信頼性に欠けているからだ。

第一に、これはアメリカを「麻薬テロ(narcoterrorism)」から守ることではない。ヴェネズエラはアメリカに流入する違法薬物(ましてやフェンタニル[fentanyl])の主要な供給源ではなかっただけでなく、ドナルド・トランプ米大統領が、麻薬密売で有罪判決を受けたホンジュラスの元大統領フアン・オルランド・エルナンデスに完全恩赦(a full pardon)を与えるという最近の決定は、彼がこの問題をどれほど真剣に考えているかを示している。さらに、米司法省は、トランプ政権が昨年繰り返し騒ぎ立てた危険な麻薬カルテル「カルテル・デ・ロス・ソレス」が実際には存在しなかったことを認めた。言い換えれば、それは、繰り返し警告されながら発見されることのなかったイラクの大量破壊兵器(weapons of mass destruction)と同じくらい真実である、完全に虚構の政権プロパガンダだったのだ。

マドゥロ大統領の拘束は、アメリカの安全保障強化を目的としたものではなかった。ヴェネズエラは非常に脆弱な国(a very weak country)であり、マドゥロ大統領が容易に拘束されたことからもそれが明らかだ。また、アメリカの強力なライヴェル国にとって、ヴェネズエラは緊密な戦略的同盟国ではない。中国はヴェネズエラに軍事基地を建設しておらず、イランはアメリカを攻撃するためのミサイルをヴェネズエラに輸送していなかった。ヴェネズエラには、アメリカの貿易ルートを阻害できるほどの強力な海軍力も存在しなかった。カラカスからアメリカが直面する深刻な脅威を夜も眠れずに心配する人は誰もいなかったし、マドゥロ大統領がブルックリンに収監された今、誰もが安眠できている訳ではない。

また、トランプ大統領が野党指導者マリア・コリーナ・マチャドを権力の座に就かせることを既に断念し、代わりに依然として紛れもなく独裁的な政権を率いるマドゥロ大統領の副大統領と交渉する意向を示していることを考えると、これは民主政治体制の促進を目的としたものでもない。

 

 

 

 

 

危険な薬物の撲滅でも、深刻な安全保障上の脅威に立ち向かう必要性でも、民主政体を回復したいという願望でもないのなら、それは石油に違いない、そうではないか? トランプは、これが本当の理由であり、アメリカ企業がすぐにそこに参入して石油を奪い、アメリカを偉大な国にするつもりだと繰り返し述べている。これもまた間違いだ。トランプは自分が信じたいものなら何でも信じることができるが(そして頻繁にそうしている)、近いうちにアメリカを待ち受ける大規模な石油ブームなど起きない。火曜日、トランプはヴェネズエラがアメリカに最大5000万バレルの石油を引き渡すことに同意したと自慢したが、これはせいぜいアメリカの石油生産量の4日分にも満たない量だと気づくまでならば、素晴らしい話に聞こえるだろう。トランプは、売却益を管理し、ヴェネズエラの経済支援に使うと述べたが、もしこれを信じているのなら、トランプの略奪的本能(predatory instincts)に注意を払っていないことになる。そして、たとえその石油からの収入が最終的に得られるようになったとしても、それはヴェネズエラが経済再建に必要とするものの表面をかすめる程度にしか過ぎない。

確かに、ヴェネズエラは世界最大の確認埋蔵量(the world’s largest proven reserves)を誇るが、その重質原油は採掘が難しく、精製コストも高額になる。率直に言って、良識ある生産者なら開発を試みようとしないであろうし、まさに最後の手段と言えるだろう。ヴェネズエラの老朽化したインフラの危機的状況と、昨今の原油価格の低迷を考えると、なおさらだ。そして、もし奇跡的にヴェネズエラの原油が大量に世界市場に流入すれば、価格はさらに下落し、アメリカのシェールオイル掘削業者の多くは廃業に追い込まれるだろう。

そして、トランプ大統領や大手石油会社がどう考えようと、世界は徐々に炭化水素資源から離脱し、他のエネルギー源へと目を向けつつあり、ヴェネズエラの埋蔵量の価値はさらに低下していることを忘れてはならない。実際、気候変動の現実を考えると、最も賢明なのは、できる限り多くの原油を地中に残しておくことだ。つまり、中国が将来のグリーン産業を支配し、その結果影響力を獲得することにレーザーのように集中している一方で、トランプと彼を取り囲む戦略の天才たちは、地球を脅かす前世紀のエネルギー政策にさらに力を入れているということになる。

従って、この作戦の戦略的根拠についてあなたが混乱するのも無理はない。私がここで見出す唯一の「戦略的」目的(“strategic” objective)は、西半球(the Western Hemisphere)におけるアメリカの覇権(U.S. hegemony)を再確立するという大まかな考えだ。トランプはあらゆるものに自分の名前を冠することで自らの領土を示すことを好むため、この考えは現在「ドンロー・ドクトリン(Donroe Doctrine)」として宣伝されており、最近の「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」にも明確に示唆されている。これは外交政策のリアリストたちが支持できる合理的な考えのように聞こえるかもしれないが、綿密な検証にも耐えられない。

モンロー・ドクトリン(the Monroe Doctrine)の本来の目的は、アメリカが西半球におけるライヴァル大国の軍事介入を心配しなくて済むようにすることだった。ジェイムズ・モンロー大統領の構想が実現するまでにはほぼ1世紀を要したが、最終的にアメリカは他の全ての大国を西半球から追い出し、歴史家C・ヴァン・ウッドワードが「自由な(もしくは無料の)安全保障(free security)」と呼んだものの恩恵を享受することに成功した。

しかし、トランプと側近たちが言っているのはそういうことではない。なぜなら、現在、西半球で重要な軍事的役割を果たしている大国はおらず、また、そのような役割を担おうとしている大国も存在しないからだ。「国家安全保障戦略」が明らかにしたように、トランプ政権は、発生する可能性のあるあらゆる問題において、可能な限り多くの近隣諸国に、自らの指示に従わせようとしている。彼らは現在、マドゥロ大統領の後継者たちにこう言い放っている。「私たちの要求に応じなければ、封鎖(blockading)を続け、もしかしたらもっとひどいことをするかもしれない」。そして、彼らは地域の他の国々がこのメッセージを理解し、従順に行動してくれることを期待しているのだ。

特に、トランプ政権は現在、近隣諸国の経済政策を統制し、これらの国々や中国などの国々にとって経済的に有益な政策を拒否する権利を主張している。「国家安全保障戦略」では、「私たちは、敵対的な外国の侵略や主要資産の所有から自由な西半球を望んでいる」と述べ、さらに、部外者が「戦略的に重要な資産を所有または支配」してはならず、アメリカは「西半球以外の競争相手がこの地域で影響力を高めることをより困難にしなければならない」と付け加えている。トランプとその仲間たちは、一部のラテンアメリカ諸国が「低コストと規制上のハードルの少なさ(low costs and fewer regulatory hurdles)」に惹かれて他国と「ビジネスを行うことに魅力を感じている(attracted to doing business)」ことを理解しているため、「そのような援助を拒否するよう各国に促す(induce countries to reject such assistance)」と主張している。しかし、トランプ政権は一般的に外国援助に反対し、あらゆる二国間関係において利益の大半を独占しようとする略奪的な政権であるため、望むものを手に入れるには寛大さ(generosity)ではなく脅迫(threats)に頼らざるを得ない。

しかし問題は、アメリカがこのように近隣諸国の経済に介入し続けるなら、その国の経済状況に責任を負うことになるということだ。ラテンアメリカ諸国に対し、アメリカ製品よりも安価な中国製品(場合によっては電気自動車のように大幅に優れた製品)を購入できないと告げれば、消費者は不満を抱くだろう。もし同じラテンアメリカ諸国に対し、インフラ整備やその他の機会創出につながる中国やその他の外国からの投資を拒否するよう命じれば、アメリカはそれを提供しなくてはいけなくなる。さもなければ、ラテンアメリカ諸国の貧困を助長していると非難されるだろう。これに加えて、アメリカの問題をこの地域からの移民や難民のせいにする傾向、そして可能な限り多くの移民や難民を強制送還するという強硬な姿勢が加われば、安定した覇権どころか、反米感情の高まりと地域の不安定化を招くことになる。

より成功したアメリカの政策との対比は明白だ。例えば第二次世界大戦後、アメリカはヨーロッパとアジア(かつての敵国であったドイツと日本を含む)で非常に成功したパートナーシップを築いた。これは、これらの国々がソ連という共通の脅威を認識していたことに加え、アメリカが新たなパートナー諸国が第二次世界大戦から可能な限り速やかに復興できるよう、慈悲深く行動したことも一因となっている。しかし、トランプは「慈悲深く()benevolent」という言葉の意味を理解していない。彼の人生観は「私のものは私のもの、他人のものは交渉の余地がある(what’s mine is mine and what’s yours is negotiable)」というものだ。

銃を突きつけて西半球を支配しようとする試み(trying to run the Western Hemisphere at the point of a gun)は、過去と同様に、今後もうまくいくことはないだろう。トランプの顧問であるスティーヴン・ミラーは、「歴史の鉄則(iron laws of history)」の1つは、世界は力によって支配されていることだ(the world is governed by power)と考えている。ミラーが言及しなかった「鉄則」は、力こそが全てだと考える指導者は必然的に多くの愚かな行為を犯すということ(leaders who think power is all that matters inevitably do a lot of stupid things)だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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(終わり)

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古村治彦です。

 国際関係論には様々な理論(theory)が存在する。「理論」と言うと、確立された内容であるように思われるが、「理論」は多くの実験(experiment)や観察(observation)を経て、その内容が確かめられているが、これからも様々な試験を受けることで、内容が修正される可能性があるという点で、「仮説(hypothesis)」の一種である。「仮説」はこれから実験や観察の試験を受ける考えや物の見方である。理論は「法則(law)」とは違う。社会科学においては、「法則」はほぼ存在しないと言ってよい。

 国際関係論の理論の1つに「民主平和論(democratic peace theory)」がある。これは簡単に言えば、「民主政治体制国家同士は戦争をしない」というものだ。第二次世界大戦で考えてみると、連合諸国(the Allied Forces)と枢軸諸国(the Axis)では、この理論が適用される。第二次世界大戦後の世界では、小競り合いなどを除くと、この理論が適用されるようだ。

 国際関係論は社会科学の一分野で、統計学も用いられるが、同時に歴史学も用いられる。歴史上の出来事から理論を作り出すということが行われる。こうした中で、「民主平和論」は、その有効性が高い理論として知られている。「民主国家同士は戦争をしない」ということから敷衍すると、「世界の全ての国が民主政治体制になれば、世界から戦争がなくなる」というテーゼが導き出される。これが、アメリカによる外国への介入(intervention)、「民主化(democratization)」を正当化することになった。ネオコンにとっての「金科玉条(a golden rule)」となった。第二次世界大戦の結果として、枢軸国側だったドイツと日本、そしてイタリアは「民主化」された。これが成功例として喧伝された。2003年のイラク戦争とアメリカによる民主化について、日本が成功例として引き合いに出されることもあった。

 世界を眺めてみれば、民主的ではない国家は多く存在する。ネオコンにとっては全てが民主化すべき対象となるはずだが、実際には、サウジアラビアなどの中東地域の王制国家については、民主化を求めていない。アメリカにとって利益になるのであれば、民主化を求めない。これは二重基準、ダブルスタンダード(double standard)である。

 アメリカのドナルド・トランプ政権のドンロー主義によって、民主国家同士の緊張も高まっている。NATOの存在意義にも疑義が出るほどになっている。民主平和論は時代の大転換の中で生き残ることができるかどうか、現在はそのための実験が行われているとも言える。
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民主的平和理論よ、安らかに(Democratic Peace Theory, R.I.P.

-主流の学術理論であったこの理論の台頭と潜在的な衰退。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年10月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/28/democratic-peace-theory-definition-democracy-international-relations-us/

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江陵で開催された2018年平昌冬季オリンピックの選手村にあるファストフード店の外で2人の女性が自撮りしている(2018年2月8日)

社会科学理論の中には、驚くほど長く続くものもあれば、寿命が短いものもある。かつて有望視されていたアイデアが、何の成果も上げられず(タルコット・パーソンズの社会学構造機能主義的アプローチ[structural-functionalist approach to sociology]はその一例だ)、最終的に多くの学者がそれを放棄し、別の分野へと進んでしまうこともある。あるいは、斬新な理論的議論が最初は説得力があるように思えても、その後の研究で論理的または実証的な限界が明らかになることもある。また、大胆な主張に対して現実世界が厳しい判断を下す場合もある(「歴史の終わり(end of history)」テーゼを覚えておられるだろうか?)。しかし、信用を失った理論の中には、強力な利害関係者が存続させることにメリットを見出すため、ゾンビのように生き残るものもある。

なぜこの話を持ち出したのか? それは、最近、民主的平和論(democratic peace theoryDPT)に一体何が起きたのか、疑問に思ったからだ。国際関係論を学ぶ人なら誰もが知っているように、民主平和論は1980年代半ばから21世紀に入ってからも、国際関係論研究者たちにとって大きな知的関心事だった。マイケル・ドイルによるこのテーマに関する独創的な著作(イマヌエル・カントが提唱した議論を洗練させた)に始まり、「民主政治体制国家は互いに争わない(democracies don’t fight each other)」という考えは、膨大な数の学術論文や書籍、そして数々の重要な批判を生み出した。

現代の民主平和論は、確立され機能している民主政治体制国家は互いに戦争をしないという経験的観察(the empirical observation)に基づいており、ある著名な学者はこの発見を「国際関係の研究において経験法則に最も近いもの(the closest thing we have to an empirical law in the study of international relations)」と呼んだ。支持者たちはこの興味深い観察に対して、経済的相互依存(economic interdependence)などの他の要因と組み合わせるなど、いくつかの競合する説明を展開した。多くの社会科学理論とは異なり、民主平和論はすぐに象牙の塔(the ivory tower)を出て、世界中に民主政治体制を広めたり、NATO などの機関を拡大したりするアメリカの取り組みを正当化しようと努める政治家たちに利用された。この理論の魅惑的な魅力は明らかだった。なぜなら、完全に自由主義的な諸国で構成される世界は戦争から自由であると示唆していたからだ。ジョージ W. ブッシュ大統領が就任当初に述べたように、「私たちの目標は、このアメリカの影響力の時代を、何世代にもわたる民主的な平和に変えることである」ということになる。

当然のことながら、民主平和論の大胆な主張には多くの批判が寄せられた。一部の学者は、実証的発見の根底にある因果メカニズムに一貫性がなく説得力に欠けると指摘した。一方、1945年以前には真の民主政体国家はほとんど存在しなかったことを考えると、民主政体国家間の戦争の頻度の低さは統計的な人工物(artifact、アーティファクト)である可能性があると示唆する学者もいた。また、第二次世界大戦後の民主政体国家のほとんどがアメリカの冷戦同盟ネットワークの一部であったことを考えると、民主政体国家間の戦争がないのは権力政治によるものだ、あるいは特定のコーディング決定や「民主政治体制(democracy)」の定義の変化の結果だと示唆する学者もいた。さらに、確立された民主政体国家は過去に互いに戦っていなかったかもしれないが、新たに民主化した国家は特に戦争を起こしやすい傾向にあると指摘する学者もいた。これは、民主政治体制の普及は長期的には報われるかもしれないが、そこに到達するには困難なプロセスになるだろうということを示唆している。

この知的論争は学術誌やモノグラフの紙面上で激しさを増し、最終的には行き詰まりに陥った。競合する大規模N研究(large-N studies)の結果が、採用されている仮定やモデリング手法にますます依存するようになったためだ。私見だが、民主政治体制による平和に関する極端な主張は誇張されているものの、民主政体国家同士が戦争する可能性はやや低いと言えるだろう。なぜなら、民主政体国家は戦争に対する国民の抵抗を克服するのが不可能ではないものの、やや困難だからだ。

さらに重要なのは、民主平和論は完全に民主政治体制国家のみで構成される世界がどのようなものになるかについて、あまり多くを語っていないように思われたことだ。なぜなら、そのような世界はこれまで存在したことがなく、民主政体国家間の戦争がないことは、潜在的に危険な非民主政体国家のライヴァルたちが常に存在することによって裏付けられてきたからだ。しかし、全ての独裁国家が民主政体国家に置き換えられれば、カント主義的な共和国でさえも互いを疑いの目で見て、不公平な区別をつけ始めるかもしれない。民主政治体制の原則を共有しても全ての利益相反がなくなる訳ではなく、議会制共和国や大統領制共和国は互いを異なる、そしておそらく危険な存在と見なし始めるのではないだろうか? もしそうなら、民主政治体制を広く普及させることは、民主平和論の最も熱心な支持者が信じていたような万能薬(the panacea)ではないかもしれない。そして、他の学者と同様に、私は、民主平和論が強力な民主政体国家に平和の名の下に非自由主義国家に対する暴力的な十字軍(crusades)を開始するよう奨励し、そのような取り組みが国内の自由主義の規範と自由を徐々に侵食するのではないかと懸念していたが、まさにそれが起こっている。

しかし、民主平和論は今日の世界においてどのような位置づけにあるだろうか? 理論そのものには含まれていなかったものの、その提唱者やそれを援用した政策立案者の多くは、自由主義的民主政治体制こそが未来の潮流であり、ソヴィエト帝国に対する一見勝利した後も、それがさらに拡大していくと想定していた。しかし、この予測は大きく外れた。世界中で民主政治体制は20年近く後退しており、長らくその主要な擁護者であったアメリカ合衆国においても、急速に衰退している。世界で最も人口の多い民主政体国家であるインドは、ますます非自由主義的な方向へと進んでいる。ブラジルは前回の選挙後、独裁政権の掌握を辛うじて免れた。そして、ヨーロッパの既存の民主政治体制国家のいくつかは、それぞれ独自の正統性の危機に直面している。

したがって、世界の主要国の全て、そして多くの中小国も、まもなく、言葉の意味する意味で自由主義でも民主政治体制でもない状態になる可能性は十分にある。民主平和論はこの点について何を示唆しているのだろうか?

最も明白な点は、たとえ民主平和論が真実だとしても、そのような世界ではほとんど無関係であるということだ。その因果メカニズムは非自由主義国家間、あるいは非自由主義国家と自由主義国家の間では機能しないため、主要な民主政体国家が存在しない世界は理論の範疇外だ。民主平和論の信奉者たちは、そのような世界ではさらに紛争が激化すると予想するかもしれない。なぜなら、民主政治体制の平和のオアシスは少なくなり、結果として非民主政治体制国家間の紛争の機会が増えるからだ。しかし、民主平和論は非民主政体国家間の戦争の頻度についてはほとんど語っておらず、地球上に残された民主政治体制国家が少なくなったという理由だけで、非自由主義国家が過去よりも頻繁に戦争を始めると考える明白な理由は存在しない。

さらに言えば、そのような世界にはわずかな希望の光(silver lining)があるかもしれない。民主政治体制と独裁政治体制の間のイデオロギー的競争、それぞれが相手を自らの正統性に対する脅威と見なすことになるが、それがなくなることで、両者間の安全保障上のディレンマは緩和され、過去に強力な自由主義国家を戦争へと駆り立てた、そして独裁主義国家が自国の体制維持のために予防戦争(preemptive wars)を仕掛ける原因となった、十字軍的な衝動が弱まるだろう。大国間の競争は終わらないが、イデオロギーに駆り立てられることは少なくなり、妥協を許さない性格を帯びることも少なくなるだろう。皮肉なことに、民主平和論が政策立案者たちにとって有用な指針とみなされなくなった世界は、より平和的になるかもしれない。

誤解しないで欲しい。私はそのような世界が望ましいと言っているのではない。むしろ、非自由主義的な大国のみで構成される世界には多くの欠点が存在する。人権は深刻な危機に瀕し、腐敗が蔓延し、野放しの独裁者たちは毛沢東の大躍進政策(Mao Zedong’s Great Leap Forward)のような破滅的な政策、あるいはヨシフ・スターリンの大粛清(Joseph Stalin’s Great Terror)やナチスのホロコースト(the Nazi Holocaust)のような全体主義的な悪夢を自由に実行することになるだろう。私は民主政治体制が「他のあらゆる政治形態を除けば最悪の政治形態(the worst form of government, except for all the others)」であり、独裁政権下で暮らすことを望んでいないため、世界、特にここアメリカ合衆国における独裁主義の動向について深刻な懸念を持っている。

理想的には、アメリカ合衆国が現在の衰退傾向を逆転させ、健全で力強い自由主義共和国であり続けることを願っている。そこでは、あらゆる政治家が民主政治体制の規範と法の支配(the rule of law)を尊重し、これらの原則に違反した際には責任を問われるだろう。また、力強いアメリカが、他の社会がそれぞれのやり方とペースで模倣したくなるような、素晴らしい、公正で、効果的な統治の模範を示すことで、これらの価値観を推進していくことも望んでいる。もし民主平和論を廃止することで、より控えめで現実的なアプローチが促進され、銃を突きつけて民主政体を押し付けようとする試(trying to impose democracy at the point of a gun)みを正当化しにくくなるのであれば、私はそれで良いと考えている。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の外交政策はいつも通り、はったりを利かせながら進んでいる。西半球(Western Hemisphere)を勢力圏(Sphere of Influence)として、支配を確立するために、逆に言えば、世界覇権国であることを辞めるために動いている。ヴェネズエラ攻撃、グリーランド奪取への言及、パナマ運河への野心、カナダやメキシコを「州」として扱うような行動は南北アメリカ大陸を支配するための動きである。ドンロー主義は、モンロー主義(南アメリカからイギリスの影響を排除する)と棍棒外交(アメリカ海軍の戦艦の太平洋と大西洋の行き来を確保しつつ、物流の通行料を取るためにパナマを奪取する)を混合させたものだ。ドンロー主義が排除を目指すのは、中国とアメリカの影響力だ。

 19世紀のイギリス、21世紀の中国とロシア、それぞれターゲットは異なる。また、置かれている状況も異なる。南アメリカには「西側以外の国々」の中核であるBRICSの一角ブラジルが控えている。ブラジルは国力を充実させ、南アメリカの地域大国となり、ドル覇権からの離脱を目指す存在である。BRICSは既に世界の重要な拠点を押さえている。BRICSの位置を確認すれば、北米大陸(とヨーロッパ)が包囲されていることが分かる。
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BRICS加盟諸国の地図

 アメリカの横暴な動きが続けば、ヨーロッパ諸国がそうであるように、アメリカを「脅威」と見なすことで、西側以外の国々が「対米防衛同盟」を成立させることで、「脅威の均衡(balance of threat)」を図るということも起きるだろう。「脅威の均衡」はこのブログでも頻繁にご紹介しているスティーヴン・M・ウォルトが提唱した考えである。簡単に言えば、ある国を「脅威」と認識した国々は、その国に従うか(「バンドワゴニング、勝馬に乗る[bandwagoning]」)、同盟を組んで対抗するか(バランシング、均衡を図る[balancing])ということになる。中国は表立って、対米防衛同盟の動きを行うことはないだろうが、アメリカの暴力的な動きが激しくなれば、西側以外の国々が結束して、アメリカに対抗し、アメリカを包囲し、封じ込める(containment)ということも考えられる。

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勢力均衡理論が再び台頭している(The Balance-of-Power Theory Strikes Again

-ドナルド・トランプの脅しに対する世界の反応に誰も驚くことはない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年1月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/23/trump-threats-europe-greenland-balance-power/

ついに、かつて友好国だった国々が、ならず者国家アメリカ(a rogue America)に対抗し始めているのを目にする日が来たのだろうか?

このような変化は、世界情勢の大きな転換点となるだろう。もし実際にそうなったとしても、それはトランプ政権の戦略的近視眼(the strategic myopia of the Trump administration)と、ますます不安定になる大統領の略奪的衝動(the predatory impulses of an increasingly erratic president)に完全に起因するだろう。

過去100年ほど、アメリカの世界支配の台頭は、その地位が圧倒的ではあっても、多くの国々がワシントンを牽制するために結集するほどではなかったという点で、古いスタイルの勢力均衡理論(old-style balance-of-power theory)の部分的な例外であった。冷戦期には、アメリカはソ連主導の諸国連合という対抗勢力に直面したが、世界の主要諸国や中規模諸国のほとんどは、アメリカの特定の政策に時折反対する場合があっても、アメリカを貴重な同盟国と見なしていた。しかし、カナダのマーク・カーニー首相が火曜日、スイスのダヴォスで開催された世界経済フォーラムの参加者に語ったように、そのような世界はもはや過去のものとなった。今日、彼は次のように語った。「大国間の競争(great-power rivalry)が繰り広げられる世界において、中間に位置する国々には選択肢がある。互いに好意を得るために競争するか、協力して影響力のある第三の道を切り開くかだ。」

以下、私自身の研究に触れて恐縮ですが、約40年以上前に博士論文(そして最初の著書)を執筆して以来、同盟の諸起源(the origins of alliances)と国家間の均衡を保つ理由(the reasons why states balance)というテーマについて考え、書き続けてきた。国家が同盟を結ぶのは、主に脅威への対応(response to threats)であり、力(power)だけによるものではないと私は主張した。もちろん、力は脅威の一要素だ(つまり、他の条件が同じであれば、強い国家は弱い国家よりも危険だ)。しかし、地理や知覚された意図[他者の行動から読み取った目的や動機]geography and perceived intentions)も重要だ。近隣にある国家は遠くにある国家よりも厄介な傾向があり、修正主義的な野心を持つ国家(states with highly revisionist ambitions)は特に危険だ。特に、他国から領土を奪ったり、他の国の統治者を支配しようとしたりする場合には猶更だ。弱小国家や孤立国家は、脅威となる勢力に「勝ち馬に乗る、バンドワゴニング(bandwagoning)」することで融和(accommodate)しようとすることもあるが、より典型的な対応は、理想的には他国と連携して、脅威となる勢力と均衡を保つことだ(the more typical response is to balance against a threatening power, ideally in partnership with others)。

私が「脅威の均衡理論(balance-of-threat theory)」と名付けたこの定式は、とりわけ、アメリカの冷戦同盟システムがワルシャワ条約機構やソ連の様々な非同盟諸国よりもはるかに大規模で強力であった理由を説明するものであった。アメリカは総合的な力では勝っていたが、ソ連はヨーロッパとアジアの多くの中規模国に隣接し、領土獲得に最適化された大規模な軍隊を有し、その指導者たちは共産主義の普及に公然と尽力していた。対照的に、アメリカはヨーロッパとアジアから2つの巨大な海によって隔てられており、そこに領土的野心はなかった。脅威の均衡理論は、1991年にイラクをクウェートから追い出した多国籍軍のような、不均衡な構造(lopsided alignments)も説明できる。あの事件では、イラクをはるかに上回る能力を総合的に備えた、本来はあり得ないような国々のグループが力を合わせた。なぜなら、彼らは皆、イラクの行動が地域の安定に対する深刻な脅威であると見なしたからである。

脅威均衡理論は、アメリカが単独で権力の頂点に立つ一方で、公然とした均衡維持の努力が少数の脆弱なならず者国家(weak rogue states)に限られていた「一極時代(unipolar moment)」という一見異常な状況を理解する上でも役立つだろう。冷戦時代のアメリカの同盟諸国がNATOに残留したのは、(1)制度的惰性(institutional inertia)(「NATOが崩壊していないのなら、なぜ修復する必要があるのか​​?」)、(2)不確実性へのヘッジをしたいという願望(a desire to hedge against uncertainty)、(3)アメリカの保護に頼るのは極めて良い取引だという認識(the recognition that relying on American protection was a pretty good deal)、そして、(4)ワシントンの最悪の衝動が他国に向けられていたという事実(the fact that Washington’s worst impulses were directed elsewhere)、による。ヨーロッパの指導者たちは、2003年のイラク侵攻のような失策が自国に悪影響を及ぼすことを正しく恐れ、アメリカの判断力に何度も疑問を呈したが、「ソフト・バランシング(soft balancing)」にとどまり、再編や自立に向けた努力は行わなかった。この決定が容易にされたのは、アメリカが依然として同盟諸国に対して自制(with restraint)を示し、領土的野心を抱かず、概ね各国政府と建設的な協力関係を築こうと努めていたためである。対照的に、ロシア、中国、北朝鮮、イランは、アメリカからの潜在的な脅威をより強く懸念する理由があったため、アメリカの力のバランスを取るためにより積極的な努力を傾けた。

それは当時のことであり、今は違う。ドナルド・トランプは、大統領として2期目を開始して以来、脅威の均衡理論が警告するほぼ全てのことを実行し、予想通り否定的な結果をもたらしている。トランプは、カナダ、グリーンランド・デンマーク、パナマに対する拡張主義的な目標を公然と繰り返し宣言しており、その野望はそこで止まらないかもしれない。彼と彼の側近たちは、主権の規範(the norm of sovereignty)を含む国際法は無意味であり、強い者は手に入れることができるものは何でも手に入れることができると信じているようだ。彼は、他国に経済的・政治的譲歩を強要するために、関税の脅威を繰り返し振りかざしたり、課したりしてきた。彼は、多くの場合、非常に疑わしい理由をもって、6カ国以上に軍事力を行使し、デンマークなどの忠実な同盟国に対しても軍事力行使をほのめかしてきた。彼は、他の外国の指導者たちを露骨に軽蔑し、適正手続きを経ずに100人以上の外国人民間人を殺害することを容認してきた。これもまた、国際法違反である。さらに、反逆的な政府の凶悪集団(例:移民関税執行局[Immigration and Customs Enforcement])をアメリカ国内の都市に解き放つことで、他国社会がアメリカを安定し規制の行き届いた社会と見なすこと、あるいは彼の外交政策行動を異常な事例と捉えることを不可能にした。要するに、国内外を問わず、アメリカ政府は危険ないじめっ子であり、強迫的な略奪者のように振る舞っているのだ。

ある意味、この行動は奇妙だ。賢い捕食者たち(clever predators)は、真意を可能な限り隠そうとする。トランプも2016年、そして最初の任期の大部分においてそうだったように、それは「部屋の中の大人(adults in the room)」によって抑制されていたことも一因だ。しかし、2021年1月6日の犯罪を免れ、再選を果たし、確固たる信念を持たない取り巻き、忠誠者、追従者、そして日和見主義者たち(cronies, loyalists, sycophants, and opportunists with no fixed principles)で政権を固めたことで、彼は最悪の衝動を解き放った。そして今、世界は注目し始めている。

世界はどのように反応しているのだろうか? 確かに、アメリカの最も近い同盟諸国は、いくつかの明白な理由から、トランプの好戦的な姿勢に抵抗するのが遅れている。アメリカとの関係を縮小し、アメリカに対抗する動きを見せるにはコストがかかり、意味のある対抗勢力となるのに十分な数の国を集めるには、集団行動におけるよくあるディレンマ(the usual dilemmas of collective action)に直面する。したがって、イギリスのキア・スターマー首相、NATO事務総長のマーク・ルッテ、韓国の李在明大統領のような人々が、お世辞、象徴的な服従、贈り物、そして小さな譲歩を組み合わせることで、ワシントンとの緊密なパートナーシップから得られる利益のほとんどを維持できるかどうかを見極めようとしたのは理解できる。

試してみる価値はあったかもしれないが、その賭けは明らかに成功しなかった。トランプ自身の言動が、そのアプローチの愚かさを露呈した。過去の合意は全ていつでも再交渉可能であると信じ、いかなる譲歩もさらなる要求への誘いと解釈する捕食者を受け入れることはできない。

脅威均衡理論が予測するように、かつての友好諸国は距離を置き、信頼できず潜在的に敵対的なアメリカに対する依存を減らし、互いに、そして場合によってはアメリカの敵対諸国とも新たな取り決めを結んでいる。長年、どの国にとっても最良の隣国であったカナダの首相が北京を訪れ、「新たな戦略的パートナーシップの柱(the pillars of [a] new strategic partnership)」を概説するということは、地殻変動が起こっていることを物語っている。ヨーロッパの指導者たちも、数十年にわたるゼリー状の優柔不断の後、再び背骨が生えてきたように見える。なぜなら、彼らには選択肢がほとんど残されていないからだ。『フィナンシャル・タイムズ』紙のエド・ルースは明確に次のように述べている。「トランプに立ち向かうことが成功を保証するわけではない。一方、服従は必ず失敗する(Standing up to Trump offers no guarantee of success. Submission, on the other hand, is certain to fail)」。

かつてアメリカが誇った数々の国際的パートナーシップの更なる崩壊を防ぎ、新興国により適した新たな枠組みを構築するには、もう手遅れではないだろうか? 確かに手遅れだが、それはトランプ政権がこれまでの略奪的な戦略を捨て、アメリカが一方的な利益のためだけでなく、共通の利益のために他国と協力する意思を示すことが条件だ。その可能性はどれほど高いだろうか?

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領はグリーンランド領有に関して、反対したヨーロッパ諸国への関税措置を撤廃し、買収交渉を行うという姿勢の転換を行った。「俺たち(アメリカ)が第二次世界大戦で助けてやらなかったら今頃お前たちはドイツを話していたんだぞ、そして、片言の日本語も話していただろう」ということをスイスで開かれているダヴォス会議で発言し、ヨーロッパ諸国の国民の不興を買っている。トランプにすればそんなことはお構いなしだ。「アメリカ・ファースト」で突き進むだけだ。グリーンランドのレアメタルと、中露両国が開発し、アジア諸国にとって便利な北極海航路に対する嫌がらせ(と通行料の徴収ができれば最高)でアメリカ国民に利益をもたらす、お金を配ることが最重要の目的だ。
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 この伝で行けば、パナマ運河もアメリカに戻せということになる。グリーンランドとパナマ運河を押さえることで、世界の物流を押さえることができる。それがトランプと側近たちの狙いだろう。しかし、それは中露両国も黙ってはいないだろう。

 トランプの交渉術は相手にショックを与えて、思考力を奪っておいて、それで交渉を行うというものだ。とんでもないことを言ったり、行ったりして、相手がひるんでいる隙に、自分の要求を通すということだ。交渉という点では、トランプは世界でも指折りの才能と経験を持っている。日本の政界で太刀打ちできる人はいないだろう。経済界ではいるかもしれないが。

 しかし、このようなトランプの交渉術は既に見切られている。トランプが強く出る場合に、相手も強く出て、トランプをひるませることができれば、トランプは引く。実際に、高関税政策に対して、中国は強く出てトランプを引かせている。今回のグリーンランドに関することでも、ヨーロッパ諸国がアメリカ国債の売却をちらつかせることで、トランプは引いた。世界の先進諸国はアメリカ国債を「安全資産」と保有してきたが、その売却という、一種の自爆的な方法を取るぞと脅すことで、トランプを引かせるという方法を採用している。

 トランプの「アメリカ・ファースト」外交は、アメリカの衰退を促進する。そして、世界は、世界覇権国アメリカの衰退に対応するために、この時期を過ごすことになる。

(貼り付けはじめ)

トランプは外交をどのようにやるかを全く分かっていない(Trump Has No Idea How to Do Diplomacy

-たとえ部分的に正しいとしても、彼は間違っている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年8月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/08/19/trump-diplomacy-putin-ukraine-europe/

アラスカで行われたウラジーミル・プーティン大統領とのあの奇妙な首脳会談と、ワシントンで行われたNATO首脳会議の組み合わせは、ドナルド・トランプ米大統領がひどい交渉者であり、「譲歩の術(art of the giveaway)」の達人であることを改めて思い知らせる出来事だった。トランプは準備を怠り、部下に事前に根回しをする(lay the groundwork beforehand)、会議に臨むたびに自分が何を望んでいるのか、どこまで譲歩(red line)すべきかさえ分からずにいる。戦略もなければ細部にも関心がなく、行き当たりばったりで臨む。

最初の任期中、北朝鮮の金正恩委員長との的外れなリアリティ番組のような会合に時間を浪費したことで分かったように、トランプが本当に求めているのは注目と、自分が主導権を握っていることを示唆するドラマチックなヴィジュアルだけだ。彼が締結するであろう合意の中身は、無関係とまでは言わないまでも、二次的なものに過ぎない。だからこそ、最近発表された貿易協定の中には、彼が主張するほどアメリカにとって有利ではないものもあるのだ。

トランプの突飛な外交失策に人々が注目するのは、彼が世界最強の国の大統領であり、カルト的な共和党の卑怯な議員たちが彼の気まぐれに付き従い続けているからに他ならない。しかし、トランプ、マルコ・ルビオ国務長官、そして外交の素人スティーヴ・ウィトコフのような軽薄な人物が、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相といった人物と対峙すれば、後者がアメリカから巧みに利益を得ることは目に見えている。自問自答してみて欲しい。トランプがアラスカでプーティンと会談した際、アメリカ、同盟国、あるいはウクライナのために何か得たものはあっただろうか? プーティンは何かを譲歩しただろうか? さらに言えば、ウクライナを見捨てないよう説得するために現れたヨーロッパ各国の首脳からトランプはどのような譲歩(concessions)を得たのだろうか?

強力な敵対国との交渉を成功させるには、双方の利益、力、そして決意を冷徹かつ容赦なく現実的に評価する必要がある。プーティンのような指導者を、単に好意を抱いているから、あるいは滑走路にレッドカーペットを敷いたからといって、魅了して譲歩させることは不可能だ。希望的観測にふけったり、誰も真剣に受け止めないような脅しや約束をしたりしても、何の成果も得られない。

この最後の問題は、10年以上にわたり西側のロシア・ウクライナ政策を悩ませてきた。大半の西側諸国の政治家や評論家たちは未だ認めたがらないが、問題の根本原因はロシアと西側諸国の動機付けにおける根本的な非対称性(a fundamental asymmetry)にある。これは双方の脅威認識(perceptions of threat)と致命的な国益の定義(definitions of vital interests)の相違から生じる非対称性だ。(記録のために付記すれば、この認識の隔たりこそが、2014年に私たちのうちの何人かがこの道を進むことに警鐘を鳴らした理由である)。プーティンが自らの行動に数多くの理由を抱えていたとしても、最も重要なのは、ウクライナのNATO加盟がロシアにとって存亡の危機(an existential threat to Russia)をもたらすという恐怖、ロシアの政治スペクトル全体に広く共有されていた恐怖であった。

この問題において西側の立場を最も損なったのは、外交政策エリートたちが「無制限なNATO拡大(open-ended NATO enlargement)」、特に2008年のウクライナとジョージアへの将来加盟申請準備招待が戦略的失策(a strategic blunder)であった事実を、現実逃避的に認めてこなかったことだ。これがプーティンが和平合意で対処すべきと主張する「根本原因(root causes)」の中で最も重要であり、西側諸国の拡大推進の使徒たち(the Western apostles of expansion)が最も激しく否定、無視しようとしてきた点だ。これらはいずれもプーティンの違法な予防戦争(Putin’s illegal preventive war)を正当化するものではないが、そもそも紛争が起きた原因を誰も認めず対処しなければ、深刻な対立を終結させるのは困難である。

非愉快な現実は、モスクワは自国の経済を戦時体制に置き、数十万人の命を犠牲にすることを厭わなかったのに対し、ウクライナを支援する西側諸国はそうしておらず、今後もそうするつもりはないということだ。ウクライナ人は祖国を守るために計り知れないほどの英雄的な犠牲を払ってきたし、西側諸国はキエフに多額の資金、武器、情報、訓練、外交支援を提供してきた。しかし、ヨーロッパや北アメリカの他の国々が、自国の軍隊をキエフに派遣してそこで戦死するなどということについては、最初から明らかだった。(繰り返すが、西側諸国の指導者たちが2008年、あるいは2014年以降にこの点をもっと慎重に検討していればよかったのにと思う。)NATOが自ら参戦すべきだったと考える人々もおり、私は彼らの一貫した姿勢を尊敬しているが、彼らが関係する国民や指導者を説得することは全くできなかった。

その結果、ロシアは戦場で優位に立っており、ウクライナの失策(例えば2023年夏の不運な反撃など)もその一因となっている。ウクライナが失った領土(クリミアを含む)を全て奪還し、NATOとヨーロッパ連合に加盟することが唯一の受け入れ可能な結果だと依然として主張する人たちにはこの目標を具体的にどのように達成するつもりなのか説明を求めるべきだ。この奇跡をどのように実現するのか、首尾一貫した説得力のある戦略を提示するまでは、交渉のテーブルに彼らを招き入れるなど全く馬鹿げている。

したがって、トランプが先日のアラスカ首脳会談でプーティン大統領の側に立ったのは正しかったのだろうか? そして、トランプの姿勢を固めようとワシントンを訪れたヨーロッパ諸国の首脳たちの甘言や嘆願(blandishments and pleas)に抵抗すべきだったのだろうか? 答えはノーだ。

ここではより大きな利害関係が絡んでおり、アメリカとヨーロッパの交渉戦略はこれらに焦点を当てるべきである。プーティン大統領の要求の一部は将来の和平協定で受け入れざるを得ないとしても、NATO加盟国の一部からの軍撤退や、ウクライナの「非ナチ化(de-Nazified)」と部分的な武装解除といった要求は即座に拒否されるべきだ。ロシアが、将来ウクライナに駐留するかもしれないと懸念する外部勢力から自国を守る必要があると主張するならば、ウクライナはロシアによる新たな攻撃から守られ、自国を防衛する手段を与えられるべきである。

後者の懸念は、ウクライナや他の欧州諸国が、NATO第5条のような、正式な加盟国ではないものの何らかの安全保障保証に関心を持つ理由である。しかし、この考えには少なくとも2つの明白な反対意見がある。第一に、第5条は完全な安全保障の誓約ではなく、攻撃を受けた加盟国を支援するために同盟軍の派遣を自動的に引き起こすような仕掛けでは決してない。第5条は、加盟国の1つへの攻撃は加盟国全体への攻撃とみなされ、各加盟国は個別および集団的に「必要と考える行動(such action as it deems necessary)」をとると述べているだけだ。第二に、そして同様に重要な点として、トランプは生涯にわたって約束を破り、予告なしに方針を転換してきた経歴を持つ。それを考えると、分別のある国が彼の約束や誓約をなぜ信じるだろうか? たとえウクライナに対する何らかの安全保障の誓約について最終的に合意に達したとしても、誰がそれを真剣に受け止めるだろうか?

プーティン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談の実現も検討されており、おそらくアメリカが仲介役を務めることになるだろう。これは、これまでそのような要請に抵抗してきたプーティン大統領にとって象徴的な譲歩となるだろう。しかし、戦場の現状やウクライナの長期的な展望に大きな変化がない限り、そのような会談が永続的な平和をもたらすとは到底思えない。繰り返しになるが、個人的な会談というドラマに惑わされないことが重要だ。メディアは騒ぎ立てるが、(トランプとウィトコフが関与している場合)成果はほとんどない。

一体何が期待できるというのだろうか? 戦闘の進展状況、そしてロシアがこの問題をウクライナ以外の国よりも重視しているという事実を考えると、モスクワは望んでいたことの一部を得ることになるだろう。しかし、ロシアがすでに支払ってきた莫大なコストと、ウクライナが今後も外部からの寛大な支援を受け続けることでさらに大きな損失が生じる可能性を考えると、西側諸国の利益にならないものをロシアに提供することを拒否することは可能であるはずだ。

トランプ大統領のオンオフの繰り返しや、その他多くの問題でヨーロッパの同盟諸国と争おうとする姿勢とは対照的に、最良の合意を得るための最善の方法は、アメリカがヨーロッパとの統一戦線(a unified front)を維持し、NATOがウクライナに寛大な軍事支援を継続し、ウクライナとアメリカが双方の交渉状況を現実的に評価した上で、ロシアとの真剣かつ綿密な交渉を進めることだ。しかしながら、真剣かつ綿密な交渉を遂行してくれる人物を探しているのであれば、ペンシルベニア通り1600番地は私としてはお勧めしない。

こうした状況を考えると、もし昨年(2024年)11月にカマラ・ハリス米副大統領が大統領に選出されていたらどうなっていただろうかと疑問に思う。ハリスは優れた外交政策戦略家とは言えず、バイデン政権もロシアとウクライナへの対応で幾度となく失策を犯していた。しかし、ワシントン(そして民主党エリート層)では、ウクライナがその目的の全てを達成することは不可能であり(たとえそれが抽象的にどれほど望ましく正当であったとしても)、アメリカ大統領選が終結した暁には戦争を終結させる必要があるという認識が広く共有されていた。ハリスなら、バイデンのティームを他の有能な顧問に交代させ、その成果を追求するよう指示し、困難な状況下でもウクライナが可能な限り最良の合意を得られるよう支援し続けただろうと私は思う。

もちろん、ハリス政権が成功したかどうかは分からない。しかし、信頼できる有能な外交アクターとしてのアメリカの評判をトランプ氏以上に傷つけることはできなかっただろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 2026年1月は、第二次ドナルド・トランプ政権の外交・軍事面の「暴れっぷり」が際立つ時期となっている。ヴェネズエラへの攻撃の状況が落ち着いている中で、グリーンランド領有に向けて、デンマークをはじめとするヨーロッパ諸国に圧力をかけている。また、イランでの反政府デモをきっかけとして、イラン政府に対しても圧力をかける姿勢を見せている。外交で大きな成果を上げて、政権発足一周年を祝い、2月24日に連邦議会で実施予定の一般教書演説(the State of the Union Address)で国内外にアピールをしたいというところだろう。そこまでに、ロシア・ウクライナ戦争の停戦ができれば、大金星ということになるが、それは難しいだろう。

 ヴェネズエラ攻撃に目を奪われてしまうが、第二次ドナルド・トランプ政権の外交に注力する動きは昨年からのことであった。そして、これは、国内状況が好転しないことから、国民の目を逸らさせるということも大きな原因であろう。国内のインフレ状況が収まらず、住宅費(家賃)をはじめとする生活費の高騰が続き、一般国民には苦しい状態が続いている。移民・関税執行局(ICE)による不法移民捜査に対する反感がトランプ政権、連邦政府に対する反感へと進み、武力衝突・内戦状態になる可能性がある。トランプ外交に関しては、アメリカ国民からの支持を得ていない。不支持率が上昇している。
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政権発足以来のトランプ政権の支持率の推移(赤線が不支持率)

 ヴェネズエラやグリーンランドをコントロール下に置くことで、トランプ政権としては、金銭的な利益を得ようという目論見もある。ヴェネズエラの石油の売却利益、グリーンランドのレアアース開発と北極海航路に対する通行税の性格を持つ通行料を入手し、それらをアメリカ国民に「分配」することで、国民の不満を和らげたいところだ。アメリカの影響圏(sphere of influence)である西半球(Western Hemisphere)をアメリカとアメリカ国民の利益のために使い尽くす、再植民地化(recolonialization)することが、「アメリカ・ファースト」外交の真骨頂ということになる。短期的にはそれが利益となるだろうが、長期的に見れば、それはアメリカにとっては世界での立場を失うということになり、損失ということになる。衰退して世界から退場するならば、静かに退場して欲しいところだ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が2025年末を外交政策で埋める(Trump fills end of 2025 with foreign policy

ブレット・サミュエルズ筆

2025年12月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5665946-trump-foreign-policy-focus/

ドナルド・トランプ大統領は、2期目の1年目が終わりに近づく中、外交政策に没頭している。2026年にはアメリカ経済への懸念が共和党を席巻すると見込まれているにもかかわらず、外交政策に注力している。

トランプ大統領は年末をフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で過ごし、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を招待した。トランプ大統領はクリスマスの日にナイジェリアにおけるイスラム国への軍事攻撃を発表し、南アメリカのヴェネズエラとの緊張が高まる中、12月26日にはヴェネズエラの施設を攻撃したことを明らかにした。

こうした一連の出来事は、トランプ大統領が2期目において外交政策に注力し、国外での実績を確固たるものにしようとしていることを如実に示している。しかし、こうした注目は、国内における最大の課題の1つを犠牲にすることになるかもしれない。

匿名を条件に率直に語った共和党系のストラティジストの1人は、トランプ大統領とホワイトハウスは就任以来、財政見通しの改善にどのような対策を講じてきたかを有権者に直接訴える必要があると語った。

このストラィテジストは、「トランプは外交問題に注力している。彼のエネルギーはどこへ行ってしまったのか? 有権者にとってはちょっと変な時期だ。議論をしようとしている人がいない」と語った。

トランプの国際的な関心については、月曜日に大統領がベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した際に完全に明らかになった。

イスラエル首相ネタニヤフが到着すると、トランプは数分間質問に答えたが、そのほとんどが世界的な紛争に関するものだった。

トランプ大統領は、麻薬密輸船を標的としたヴェネズエラの「実施区域(implementation area)」への最近のアメリカ軍による攻撃について言及した。また、イスラエルとハマス間の停戦維持に向けた継続的な取り組みについても議論した。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との「生産的な(productive)」電話会談についても言及し、イスラエルによるイランへの攻撃の可能性についても質問を受けた。

トランプ大統領とネタニヤフ首相の昼食会に記者団が部屋に入ってくると、トランプ大統領が首相に対し、二国間の紛争を終わらせるためにいかにして貿易を利用したかを説明する声が聞こえた。

トランプ大統領は「私がそのことで功績を認められたか? いいや、そんなことはなかった。私は停戦を8つもやった。インドとパキスタンはどうか? つまり、私は8つやった。そして、残りのことは何も教えてくれないんだ」と述べた。

トランプ大統領が月曜日にネタニヤフ首相と会談した翌日、トランプ大統領はゼレンスキー大統領をマール・ア・ラーゴに招き、ウクライナ紛争終結に向けた和平案について重要な協議を行った。トランプ大統領は今月初め、エジプト大統領が新年を迎える前にフロリダにある自身の邸宅を訪問する可能性を示唆していた。

トランプ大統領の年末の会談は、2期目の1年目を象徴するものだ。この1年間、トランプ大統領はイタリア、ヴァティカン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、イギリス、イスラエル、日本、カナダ、韓国、マレーシアを訪問し、和平協定や貿易協定の締結に尽力した。

トランプ大統領は、イスラエルとハマス間の戦闘終結のため、中東における停戦合意の仲介に数ヶ月間にわたって努力した。ウクライナ紛争の終結を目指し、ゼレンスキー大統領やプーティン大統領とは今年を通して複数回電話会談を行い、アラスカではプーティン大統領と直接首脳会談も行った。

トランプ大統領の側近たちは、ノーベル平和賞の受賞を公然と訴えた。一方、ネタニヤフ首相やFIFA会長を含む他の人々は、トランプ大統領の国際的な貢献を称える賞を授与することで、トランプ大統領の支持を得ようとしてきた。

数カ月にわたりトランプ大統領の外交重視を批判し、関係を断ったことで、来週には連邦議員辞職を予定しているジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)は、トランプ大統領の過ごし方に注目している。

「今日はゼレンスキー。明日はネタニヤフ。アメリカらしくやっていけるだろうか?」とグリーン議員は日曜日、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿した。

ホワイトハウス高官たちは、トランプ大統領が外交政策に偏りすぎているという批判に反論している。彼らは、移民取り締まりを強化する大統領令の発令、夏の間に成立した巨額の増税・歳出法案、そして製薬会社との「最恵国待遇(most favored nation)」協定による処方薬価格引き下げの取り組みがあったことを指摘している。

トランプ大統領の支持者たちはまた、大統領の海外での行動がアメリカ国内に利益をもたらしていると主張している。彼らは、トランプ大統領がEU、日本、イギリスなどと締結した貿易協定に加え、ヴェネズエラとの対峙が麻薬や不法移民の脅威からアメリカを守ることになるという考えも主張している。

しかし、世論調査では、有権者たちが必ずしもトランプ大統領の外交政策への注力について支持していないことが明らかになっている。

今月初めに発表されたキュニピアック大学の世論調査によると、トランプ大統領に対する有権者の全体的な支持率は低迷しており、回答者のわずか40%が彼のパフォーマンスを支持していると回答した。世論調査によると、トランプ大統領の外交政策の対応を支持する人は41%、不支持は54%だった。

しかし、ストラティジストたちは、11月の中間選挙の結果は、有権者がトランプ大統領の外交政策の成果についてどう感じているかよりも、経済についてどう感じているかによって左右される可能性が高いと概ね同意している。

ホワイトハウスは、インフレの鈍化と堅調な国内総生産(GDP)をトランプ大統領の経済政策が成功している証拠として挙げているが、世論調査では、有権者の大半がそう感じていないことが示された。

キュニピアック大学の世論調査によると、回答者の40%がトランプ大統領の経済政策を支持し、57%が不支持と回答した。この結果は、同様に有権者がトランプ大統領の経済政策に失望していることを示す他の世論調査結果と一致している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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