古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ニッキー・ヘイリー

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年の大統領選挙(11月5日)で勝利したトランプが政権構想を発表する前の9日に、第一次政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリーと、国務長官を務めたマイク・ポンぺオについて、第二次政権では政権入りさせないと発表した。ポンぺオは、トランプに近い大物として、アメリカでも、日本でも、第二次政権の国務長官候補として名前が挙がっていた。ニッキー・ヘイリーは今回の大統領選挙の共和党予備選挙に出馬して、トランプと指名を争った経緯があり、また、選挙期間中にはトランプ批判を繰り返したことから、厳しいかなと思っていたが、ポンぺオの政権入りの可能性消滅には驚いた。
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ニッキー・ヘイリー
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マイク・ポンぺオ

 日本製鉄がアメリカのUSスティールの買収に動く中で、マイク・ポンぺオを指南役に迎えたという報道があり、トランプに近いポンぺオに説得してもらって、トランプの反対を取り下げてもらうという心づもりがあったであろうことは容易に推測されるが、トランプがポンぺオを遠ざけたということは望ましくない計算違いということになるだろう。しかし、それまでの状況から、ポンぺオがトランプの側近であるという判断は間違っていない。これがトランプの「予測不可能」なところだということも言える。

 第二次トランプ政権の顔触れを見ると、第一次政権の大物はほぼ入っていない。ヘイリーもポンぺオも第一次政権の閣僚級(国連大使は閣僚級の扱い)、国家安全保障会議に出席できる権限を持つ、アメリカ最高位の職に就いていたということであり、大物は退けたということにはなる。しかし、ポンぺオはトランプ批判をしておらず、何故ポンぺオまで外されるのかという疑問が残る。ポンぺオもまた、大統領選挙共和党予備選挙に出馬して、トランプに対抗するという憶測が流れていたが、結局は出馬しなかった。それでもトランプ周辺から外された格好だ。

 ここからは私の見解を述べる。ヘイリーとポンぺオが外されたのはどうしてか?両者には第一次トランプ政権の閣僚だったという共通点はあるが、トランプとの距離感に差がある。ヘイリーが外されるのは理解できるが、ポンぺオが外されるのは理解できない。ヘイリー、ポンぺオのもう一つの共通点は、「コーク兄弟との近さ」があり、そのために両者が外された理由ではないかというのが私の考えである。コーク兄弟はトランプに反対し続けてきた。コーク兄弟についてはこのブログでも何度も紹介してきたし、私は、コーク兄弟についての評伝『アメリカの真の支配者 コーク一族』を翻訳した。
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チャールズ・コーク

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

20190507日「トランプ大統領に反対する共和党のグループはネオコン派とリバータリアン」
https://suinikki.blog.jp/archives/78919932.html

 ヘイリーは今回の大統領選挙共和党予備選挙でコーク兄弟の全面支援を受けて出馬したが、トランプに敗北した。ポンぺオはカンザス州選出の連邦下院議員として政界に進出したが、そのパトロンとなったのがコーク兄弟だった。コーク兄弟が所有するコーク・インダストリーズの本社はカンザス州ウィッチタにある。コーク兄弟はリバータリアニズムを信奉し、リバータリアンの勢力を拡大するために巨額の資金を投じてきた。彼らから見れば、ポピュリストのトランプは危険な人物である。規制を嫌い、自由な経済活動を何よりも重視するリバータリアンのコーク兄弟にとって、関税引き上げなどは全く受け入れられない。

 トランプ陣営から見れば、ヘイリーとポンぺオは「仇敵のコーク兄弟との距離が近すぎる」ということになる。それならば第一次政権で閣僚に起用したのはどうしてかということになるが、これはやはり、トランプとトランプ陣営がアマチュアだったということになるだろう。第一次政権での混乱はやはり人物の見極めが甘かったことが原因という分析がなされていたのだろう。そのために、今回はそのようなことがないように人選し、反逆する可能性がある人物はあらかじめ排除しておくということになったのではないかと思う。

 第二次トランプ政権には4年間しか時間がない。政権内の内部抗争に時間を取られてしまうのは損である。しかし、ここで前言を翻すようであるが、ポンぺオに関しては、北朝鮮との交渉の経験もあり、対北朝鮮外交において、特使などに起用されることも考えられる。私たちはまず、トランプが「予測不可能」であるということを前提にして考えを組み立てる必要がある。

(貼り付けはじめ)

●「トランプ氏、ヘイリー元国連大使とポンペオ元国務長官を起用せず」

読売新聞 2024/11/10 12:09

https://www.yomiuri.co.jp/world/20241110-OYT1T50039/

 【ワシントン=今井隆】トランプ次期米大統領は9日、新政権ではニッキー・ヘイリー元国連大使とマイク・ポンペオ元国務長官を起用しないと明らかにした。両氏について、「現在検討中のトランプ政権に招くつもりはない」と自身のSNSに投稿した。

 ヘイリー氏は前政権で国連大使を務めた。大統領選では共和党指名候補争いに立候補し、トランプ氏を繰り返し批判した。選挙戦から撤退した後にトランプ氏への支持を表明した。

 ポンペオ氏は前政権で中央情報局(CIA)長官や国務長官を務めた。党指名候補争いへの立候補に意欲的とみられていたが、見送った経緯がある。米メディアは、国防長官候補の一人と報じていた。

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億万長者のコーク兄弟が支援するネットワークがニッキー・ヘイリーへの支出を停止(Billionaire Koch brothers-backed network stops Nikki Haley spending

トム・ゲイガン筆

2024年226

BBCニューズ

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-68401537

億万長者のコーク兄弟によって設立されたリバータリアン系保守団体が、ニッキー・ヘイリーの大統領選挙キャンペーンへの資金提供を停止した。

アメリカン・フォ・プロスペリティ・アクション(Americans for Prosperity ActionAFP)による資金提供中止の決定は、共和党候補指名を目指すヘイリーにとって新たな後退となった。

ヘイリーは土曜日、地元サウスカロライナ州でドナルド・トランプ前大統領に敗れた。トランプは予備選で4連勝を達成した。

しかし、彼女は戦い続けることを誓った。

日曜日にAFPの会長兼CEOはスタッフに宛てた電子メールで、AFPの支援はヘイリーではなく、11月の選挙で重要な連邦上院と連邦下院の選挙に集中すると述べた。

「彼女は闘い続けることを明言しており、私たちは心から彼女を支援する」とエミリー・サイデルは書いている。

サイデルは続けて「しかし、この先の予備選挙での課題を考えると、どのような外部団体も、彼女の勝利への道を広げるような重要な変化をもたらすことはできないだろう」と書いている。

ヘイリー選対は、まだ継続するのに十分な資金が入ってくると主張している。

ヘイリーのスポークスマンであるオリビア・ペレス・クバスは、AFPの支援に感謝し、サウスカロライナ州での敗北以来100万ドルが入ってきていると述べた。クバスは「続けるための燃料は十分にある。私たちには救うべき国がある」と述べている。

AFPは、ヘイリーがトランプへの明確な挑戦者としての地位を確立しようとしていた11月に支持と資金援助を表明していた。

それ以来、彼女は共和党内のトランプの対抗馬の中で最も耐久性があることを証明してきたが、今彼女がどのように勝利への道を見出すことができるかは不明である。

11月には、トランプとジョー・バイデン大統領(民主党)の再戦に向かう可能性が高まっている。

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コーク・ネットワーク、2024年大統領選予備選でドナルド・トランプ以外の共和党支持を計画(Koch network plans to back a Republican – other than Donald Trump – in the 2024 presidential primary

フレデリカ・ショーテン筆
2023年2月5日

https://edition.cnn.com/2023/02/05/politics/koch-network-republican-primary-2024/index.html

億万長者チャールズ・コークに関連する巨大なネットワークが2024年の大統領選挙予備選挙で共和党の候補者一人に資金と支援を提供する準備を進めている。

コーク・ネットワークの主要政治部門であるアメリカン・フォ・プロスペリティ・アクション(Americans for Prosperity ActionAFP)は、「共和党の大統領選挙予備選挙で、我が国を前進させることができ、勝利することができる候補者を支援する用意がある」と、AFPCEOAFP Actionの最高顧問であるエミリー・サイデルは、日曜日に発表された声明メモでこのように述べた。

この声明メモにはドナルド・トランプについての言及はないが、AFPアクションの関係者がCNNに確認したところによると、同ネットワークは前大統領のホワイトハウス候補を支援する予定はないという。

サイデルはAFPのスタッフや活動家に宛てて「私たちの国家に新たな章を書くには、過去のページをめくる必要がある。したがって、この国にとって最善のことは、2025年に新たな章を代表する大統領が誕生することだろう」と書いている。

直近の2回のホワイトハウス候補指名争いを傍観してきたコークが共和党予備選挙に参加するという決断を下したことで、共和党の大統領候補者たちは、カンザス州を拠点とする実業家と、彼の影響力のある自由市場ネットワークに資金を提供する数百人の富裕層献金者を取り込もうと奔走することになりそうだ。

トランプはホワイトハウス在任中、政権の通商政策や強硬な移民政策を厳しく批判するコーク当局者らと頻繁にスパーリングを行った。

AFPアクションは2024年の政治活動の予算を発表していないが、同ネットワークは過去の選挙サイクルで数億ドルを費やしており、共和党全国委員会の資金力に匹敵する。アメリカンズ・フォ・プロスペリティは36州に常駐のスタッフを擁し、全国に数百万人の草の根活動家を抱えている。

また、AFPアクションの政治部門は、より多くの争いに影響を与え、予備選挙に参加する新たな有権者を見つけるため、議会や州レベルの予備選により早く、より積極的に関与する計画だとAFPアクション関係者は述べた。

サイデルは、首都に「有害な状況(toxic situation)」を作り出し、政策の進展を妨げていると語る「壊れた政治(broken politics)」に対処するために、このネットワークは活動を強化していると語った。

サイデルは「共和党は、アメリカの核心原則に反することを主張する悪い候補者を指名している。そしてアメリカ国民は彼らを拒否している」と書いている。

そして、民主党は 「更なる極端な政策(more and more extreme policies)」を推し進めているとしている。

2024年の立候補を検討している共和党議員の中には、マイク・ペンス元副大統領をはじめ、コーク・ワールドと長年のつながりがある者もいる。ペンスの長年の最側近であるマーク・ショートは、かつてコーク・ネットワークで政治活動を監督していた。

もう1人の候補者マイク・ポンペオ前国務長官は、コーク・インダストリーズの本社があるカンザス州ウィチタを代表する連邦下院議員だったとき、コークの政治委員会から資金援助を受けていた。元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリーは、今月末に共和党候補指名への立候補を表明する予定だが、少なくとも1回はコークの献金者の集会に出席している。また、コッホが支援するスーパーPACは、ロン・デサンティスが2018年の共和党予備選挙で競り勝ち知事になる前に支援していた。

リバータリアン寄りのネットワークは近年、公の場で優先順位の再設定に取り組み、トランプ時代には共和党ブランドから距離を置くよう努めてきた。

しかし、同ネットワークは、他の政治・政策問題で当時の大統領や共和党全国委員会と衝突したにもかかわらず、例えば2017年に1兆5000億ドル規模の税制改革を推進するために多額の費用を投じて、トランプ主導の取り組みを支持した。

サイデルは、ネットワークの広がりの1つの兆候として、AFPAFPアクションが昨年の中間選挙で450以上のレースに参加し、700万以上のドアをノックし、1億通以上の郵便物を発送したことを指摘した。

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ランド・ポールが別のイヴェントを欠席する中、ロン・ポールがコーク兄弟のイヴェントに参加‘Ron Paul Headlines One Koch Brothers Event—as Rand Paul Skips Another

-元連邦下院議員のロン・ポールがコーク兄弟主催の#YALcon15で観衆を沸かせる一方、息子のランド・ポールは大きな撤退を行った。若きリバータリアンの戦いの内幕を報じる。

オリヴィア・ナッジ筆

2015年8月3日

『デイリー・ビースト』誌

https://www.thedailybeast.com/ron-paul-headlines-one-koch-brothers-eventas-rand-paul-skips-another/

ヤング・アメリカンズ・フォー・リバティ・カンファレンス(Young Americans for Liberty Conference#YALcon15)に参加する大学生たちは、ある参加者の言葉を借りれば 「迷える子犬(lost puppies)」だ。

自分の興味(アイン・ランドやフリードリヒ・ハイエク)が仲間に共有されていないため、自分のキャンパスになじめない子供たちだ。しかし、#YALcon15のウェブサイトによれば、彼らはたった30ドルで、「原理に基づいて勝つことに参加する若者を動員する(mobilize young people committed to winning on principle)」ことを目的としたリバータリアン会議に参加することができる。そして彼らは96時間、ここワシントンDCにあるライアン・ホールと呼ばれるアメリカ・カトリック大学の寮で、最も装飾的な蝶ネクタイを締め、自分たちと同じような人たち、つまり「原理に基づいて勝つ(Winning on Principle)」ことに参加する人たちのために作られたスピーチやプレゼンテーションに耳を傾けながら、一緒に家を見つけたような気分に浸ることができる。

私が見たのは、順不同だが、キルトを着た若者(彼は二晩続けて同じものを着ていた)、黒いマーカーで「#RAWMILK」と書かれたピンクのボタンダウンシャツを着た若者(彼はウィスコンシン州出身だと言っていた)、YouTube スターにどうすれば自分もスターになれるかを一対一で尋ねている若きリバータリアンたちの列。そして、ロン・ポールを生で見ることを生涯待ち望んでいた若者たち(原理に基づいて勝利することに専念している!)の1マイルの長さの列がそこにはあった。

しかし、ロン・ポールは彼らのダンブルドア(『ハリー・ポッター』の登場人物)かもしれないが、#YALcon15はロン・ポールの元スタッフが中心となって運営され、そのほとんどがコーク兄弟によって支援されている。ロン・ポールはこのコークのイヴェントの主役を務めたが、彼の息子ランドは南カリフォルニアで開催されたコーク兄弟の献金者イヴェントを欠席し、関係者を落胆させた。共和党の大統領選予備選候補者たちが週末に西部に向かう準備をしている中、ケンタッキー州選出の連邦上院議員ランド・ポールはアイオワ州でのちょっとした選挙イヴェントに向かった。

ランド・ポール陣営は私や他の記者に、彼はコーク家の集まりへの招待状を受け取っていたが、先約があり、予定を無断ですっぽかすような人物ではないと断言した。しかし、彼の欠席は、a)資金調達がうまくいっておらず、億万長者の助けが必要なこと、b1月の前回のコーク家サミットでのパフォーマンスで非難されたこと、という事実によって、より不可解なものとなった。コーク家サミットでは、ランド・ポールは、『ポリティコ』誌のケン・ヴォーゲル記者が特徴として挙げた「とりとめのない、時には不人気な回答(rambling and sometimes unpopular answers)」をし、ブルーのブレザーにジーンズ、カウボーイブーツという彼の特徴的な服装を身に着けていた。この服装は一部の超富裕層の寄付者にとっては不快なほどカジュアルな服装だった。

若いポールの選挙キャンペーンは、リバータリアン傾向を持つ有権者から明らかな人気を得ているのと同時に、共和党の他の派閥や民主党にも広くアピールできる人物として自らを位置づけようとしている。そうなると、選挙に勝つことを最優先とするリバータリアンであるコーク家のお気に入りであることは明らかだ。しかし、そうはなっていない。1月にブルームバーグ・ポリティックスに寄稿したデイヴ・ウェイゲルが指摘したように、「ポールのリバータリアニズムはコーク家のリバータリアニズムではない」ということになる。

しかし、若いリバータリアンたちにとって、この運動には顔がある。「彼は“エサ”なんだ(He’s the bait)」と、「Antiwar.com」の創設者であるジャスティン・ライモンドは私に言った。ライモンドはリバータリアン運動の中核と呼ばれるグループの一員であり、彼のような人々にとってコーク家は売国奴(sellouts)なのだ。

デイヴィッド・コークは1980年にリバータリアンとして大統領選に出馬し、落選した。その後、彼はシンクタンクなどを通じて他の方法で政治に影響を与えることに目を向けたが、同時にリバータリアニズムを主流にした。政策に真の影響力を持つには勝たなければならず、勝つためには魅力的でなければならない。そこでリバータリアン運動は、コークが設立したケイトー研究所(Cato Institute)と、マレー・ロスバードが設立したルートヴィヒ・フォン・ミーゼス研究所(Ludwig von Mises Institute)という、より筋金入りのリバータリアンに奉仕する別々の派閥に分裂した。ウェイゲルが書いたように、ロン・ポールはロスバードに近い。彼が大統領選に出馬した2007年、主流派のリバータリアンの間で「懸念された(the worry)」のは、ポールのブランドであるポピュリスト(populist)、連邦準備制度理事会(FRB)叩きのリバータリアニズムは、この哲学を売り込む最良の方法ではないということだった。

チャールズ・コークの元友人であるガス・ディゼレガは、コーク一族は「共和党の保守派と同盟を結ぶことを決めた。その後、彼は魂を失い、言うなれば、かつて持っていた知的誠実さ(intellectual honesty)を全て失った」と述べた。

ロン・ポールへの支持に消極的であった訳ではないが、ロン・ポールが若者たちをリバータリアニズムに引き込み、「原理で勝つ(Win on Principle)」ために、より現実的には右派候補の草の根活動家として集中するための正しい方法であることをコークは理解しているのかもしれない。

そのため、コーク兄弟が南カリフォルニアで最も勝利する可能性が高い候補者を選ぶことに集中している間、国の反対側では別の種類の皮肉を用いていた。

ライモンドは次のように述べている。「コークの人々はYALに寄生しているようなものだ。彼らはYALを伝道ベルトのように使って、人々を自分たちのネットワークに吸い込み、自分たちが持っているどんな計画にも彼らを吸い込もうとしている」。

#YALcon15は、各参加者の名札の裏に「プラチナ」、「ゴールド」、「シルヴァー」と書かれて、分類される23の組織によって後援されており、これら23の組織の大部分はコーク兄弟の募金ネットワークの一部だ。または批評家によって「コクトパス(Kochtopus)」と呼ばれている。

#YALcon15 の「プラチナ」スポンサーは次の通りだ。チャールズ・コークによって設立されたチャールズ・コーク研究所、コーク兄弟が資金提供しているリーダーシップ研究所、 スチューデント・フォ・リバティもコーク兄弟から資金提供を受けている。フリーダム・ワークス(Freedom Works)は、1984年に健全な経済のための市民としてコーク兄弟によって設立されたが、2004年に2つの組織に分離され、もう1つは同じくプラチナ寄付者としてリストされており、アメリカンズ・フォ・プロスペリティ(Americans for Prosperity)と名付けられ、最終的にコーク家の中心的な政治団体となった。

「ゴールド」のスポンサーは、コーク兄弟が寄付者であり、デイヴィッド・コークが理事を務めるリーズン財団、薬物政策同盟、教育における個人の権利財団 (Foundation for Individual Rights in EducationFIRE) は、コークの寄付者ネットワークから100万ドル以上を受け取っている。コークが資金提供したグループであるフリーダム・パートナーズ1100万ドルを注ぎ込んだジェネレーション・オポチュニティ(Generation Opportunity,

コンサヴァティヴス・コンサーンド・アバウト・ザ・デス・ペナルティがある。

「シルヴァー」スポンサーは以下の通りだ。ハリー・リードがコーク兄弟を公に批判したため、かつて連邦上院倫理特別委員会に苦情を提出したティーパーティー・ペイトリオッツ(Tea Party Patriots)、コーク兄弟が資金提供しているフリーダム・パートナーズ(Freedom Partners)、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)はチャールズ・コーク財団から1万1000ドル以上、フリーダム・パートナーズから100万ドル以上を受け取っている。正義研究所(The Institute for Justice)、そのシードマネーはチャールズ・コークによって提供された。チャールズ・コークによって共同設立されたケイトー研究所、アイン・ランド研究所はケイトー研究所の元最高経営責任者であるジョン・アリソンの支援を受けている。コーク兄弟が資金提供を敷いている、コーク兄弟の弟ウィリアムが所属する独立研究所、コーク兄弟が資金提供したアメリカ研究基金がある。コーク兄弟が支援するNRA(全米ライフル協会)もある。コーク兄弟から資金提供を受けている人道研究所が組織する自由基金(Liberty Foundation)。経済教育財団 (FEE)、そしてアメリカズ・フューチャー財団はコーク家のフェローシップ・プログラムからインターンを受け入れている。

YALのウェブサイトによると、ゴールドスポンサーは1万2000ドル、シルヴァースポンサーは6000ドルの寄付が必要だ。プラチナスポンサーがいくら寄付しなければならないかについての情報はない。 YALの広報担当者は私の問い合わせに応じなかった。

キャンパスから歩いてすぐのブルックランド・パイントのバーに座って、原理で勝つことに専念するシンシナティ出身の若者ジミー・マヘイニーは、どうしてここに来ることになったのかについて話していた。トーマス・マッシー連邦下院議員とジャスティン・アマシ連邦下院議員はちょうど彼や他のYALメンバーと話をしたばかりで、マヘイニーは彼らをとても気に入っており、実際、フェイスブック上で「いいね!」したことさえあった。しかし、マヘイニーの政治的覚醒のきっかけは彼らではなかった。それはもちろんロン・ポールだった。マヘイニーはトランペットを吹くのが好きで、ある日、マーチングバンドの仲間たちがロン・ポールについて話しているのを耳にした。「私は彼とリバータリアニズムについてさらに調べ続けた。そして突然、これが実に理にかなっていることに気づいた」と彼は話した。

木曜日の夕方、会議室はロン・ポールのスピーチを前に予想通り満員だった。聴衆は彼が出てくる前から「連邦政府を終わらせろ(END THE FED)」と叫び始め、彼が出てくるとすぐに立ち上がった。

ロン・ポールは「未来はあなたの手の中にあると私が思うことは秘密ではない。国際的にも経済的にも、今のように全世界がひっくり返った事はかつてなかった」と述べた。

学生たちは、まるで目の前で魔法をかけられているかのように、夢中になってロン・ポールを見つめていた。携帯電話で彼の様子を撮影している人もいた。彼が法定通貨(fiat money)と連邦準備制度(Federal Reserve)について冗談を言ったとき、彼らはまさに適切な瞬間に笑った。「ワシントンに戻っても、あまり興奮はしない。実際のところ、私はあそこを訪れることさえない」とロン・ポールは連邦議事堂を示唆しながら述べた。「それはあまりにも憂鬱なことだ」と述べて、誰もが笑った。ロン・ポールは次のように語った。「しかし、私がここにいるのは、皆さんのような若者が将来のことを考え、あそこにいる大勢の人たちが知っているより少しは理解しているのだから、落ち込む必要はないと分かっているからだ。皆さんは自由とは何かを理解しており、そしてそれが重要なのだ!」

スピーチの後、マヘイニーはツイッターにミームを投稿した。「DIE STATIST SCUM(国家主義のくずに死を)」と書かれていた。ジミーは、「ロン・ポール(RP)は#YALcon15のようだ」というキャプションを付けた。彼はフェイスブックにロン・ポールとの写真を投稿した。ジミーはにやりと笑い、2本の指を横に広げてV字にし、右目の上にかざした。

土曜日になっても、人々はスピーチのことを話していた。キャンパスのメインビル「プライズ」の外では、少人数のグループがマルボロを吸っていた。そのうちの一人は、スピーチの後に警備員とともに芝生を歩くポールを見かけ、彼と話すことができた。ニュージャージー州南部から来たある若者は、前夜に飲みすぎて一日中寝ていたと愚痴をこぼした。スピーチの最中、彼は疲れて居眠りをしていた。別の若者は「彼はどんなリバータリアンなのか?」と質問した。ロン・ポールのために起きていられない人なんているのか?

訂正:この記事の前のヴァージョンではジョン・アリソンをケイトー研究所成功経営責任者と誤って描写した。正確には彼は元最高経営責任者だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今年実施されるアメリカ大統領選挙についての分析も行いました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米大統領選挙共和党予備選挙は、ドナルド・トランプ前大統領が4連勝となった。既に有力なライヴァルたちは選挙戦から撤退し、ニッキー・ヘイリー元米国連大使・元サウスカロライナ州知事しか残っていない。先週末、サウスカロライナ州で共和党予備選挙が実施された。結果はトランプの圧勝となった。ヘイリーは地元サウスカロライナ州でも敗北を喫し、選挙戦からの撤退が話題に上がっている。トランプの共和党予備選挙の勝利と大統領選挙本選挙候補者指名が確実視されている。これで、大統領選挙本選挙は、民主党のジョー・バイデン大統領対共和党のドナルド・トランプ前大統領の戦いとなる。
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 共和党の反ポピュリズム勢力・反トランプ勢力の旗頭であるコーク一族は、ヘイリーに資金提供を行ってきたが、サウスカロライナ州共和党予備選挙でのヘイリーの敗北を受けて、資金提供を停止すると発表した。大統領選挙でトランプを止めることは不可能だということを敵であるコーク一族も認めたことになる。
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左がデイヴィッド・コーク(故人)、右がチャールズ・コーク(コーク系の総帥)

 コーク一族の資金ネットワークは、連邦下院共和党の議員たちで構成する、議員連盟であるフリーダム・コーカスの議員たちの当選と新しい議員たちの当選を目指すことになる。フリーダム・コーカスは日本では親トランプ派とされているが、実態は、コーク一族の資金が入っている反トランプ派である。それなのに、日本で親トランプ派とされているのは、共和党エスタブリッシュメントに反対する姿勢のために、親トランプ派の議員たちが入っているからである。フリーダム・コーカスは反トランプ派・反エスタブリッシュメントである。詳しく知りたい方は、私が翻訳した『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)と、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をお読みいただきたい。

(貼り付けはじめ)

大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙の5つのポイント(Five takeaways from the South Carolina GOP primary

ナイオール・スタンジ筆

2024年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4487698-five-takeaways-from-the-south-carolina-gop-primary/

サウスカロライナ州チャールストン発。土曜日に行われた大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が対抗馬のニッキー・ヘイリーを打ち負かし、圧勝した。

アメリカ東部標準時の午後7時に投票が締め切られた瞬間、トランプの選挙戦での勝利が決まった。午後10時前に開票率が83%に達した時点で、トランプは、ヘイリーに21ポイントの差をつけて圧勝した。

大統領選挙ミシガン州共和党予備選挙は来週火曜日に行われる。そして、3月5日は10以上の州で投票が行われるスーパーチューズデーとなる。

サウスカロライナ州での予備選挙についてこれから5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプは地滑り的な勝利によって、候補者指名への最終経路に入った(Trump’s landslide puts him on a glide path to nomination

よほどの重大な出来事が起きない限り、トランプが2024年大統領選挙の共和党の指名候補となるのは間違いのないところだ。

トランプ前大統領はこれまでのところ、予備選挙が4州で行われ、4連勝している。サウスカロライナ州では、ヘイリーが知事として2度当選した実績があったが、トランプはヘイリーを叩きのめした。

コロンビアで行われたトランプの勝利演説では、サウスカロライナ州の共和党エスタブリッシュメントがどの程度トランプの後ろ盾になっているかが明らかになった。ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)とリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ヘンリー・マクマスター州知事(共和党)と一緒に壇上に立ち、トランプに代わって短いスピーチを行った。

チャールストンでは、ヘイリーがたった一人で壇上に立ち、少数の聴衆を前に演説した。

ヘイリーは、トランプは11月の大統領本選挙では当選不可能だと訴え続けている。しかし、彼女の主張が共和党の有権者の支持を得られると信じる根拠はない。

これは必ずしも前サウスカロライナ州知事ヘイリーの失敗ではなく、単に共和党の支持層が依然としてトランプに熱狂していることを反映している。

これまでのところ、どの州でもトランプ前大統領はライヴァルたちに得票率で二桁の差をつけて圧勝している。

候補者指名争いは、掛け声を除けば全て終わっている。

(2)ヘイリーは選挙戦から撤退しない(Haley isn’t quitting

数週間前、ヘイリーがサウスカロライナ州予備選挙を前に選挙戦から撤退するかどうか、疑問を持たれていた。

この当時、トランプの支持者たちは、ヘイリーが惨敗すれば、彼女は選挙戦を止めることになるだろうと予測していた。

しかし、この予測通りにはならなかった。

選挙後のサウスカロライナ州でのヘイリーの演説は、少なくともスーパーチューズデーまでは戦い続けるという断固とした宣言に等しかった。

彼女は、これまでに有権者たちに示してきた約束について言及し、「私は約束を守る女性」と述べた時、その夜最大の歓声を受けた。

彼女の主張の根拠は、多くのアメリカ人がバイデン大統領とトランプ氏の対決に興味を持てない状況にある中で、「この戦いをあきらめない(not going to give up this fight)」というものだ。

ヘイリーは語気と言葉を強め、このような激しい選挙戦は、「アメリカが分裂するだろう」結果をもたらすだろうと示唆した。

前知事ヘイリーは1月に、これまでで最高の献金額を記録したが、選挙戦を継続するための資金を持っている。そして、彼女には熱烈な支持者もいるが、その数はトランプ大統領の指名獲得への影響を与えるほどではない。

サウスカロライナ州での支持者の一人、ネル・パーカーは、ヘイリーは「明かりを灯し続ける資金がある限り選挙戦に留まるべきだ」と本誌の取材に語った。

(3)共和党は現在MAGAMake America Great Again)の政党になっている(The GOP is now the MAGA Party

トランプが共和党内を支配していることを示すのは、トランプのライヴァルたちにつけた票差だけではない。

サウスカロライナ州の共和党有権者のほとんどが、トランプの世界観全体を共有しているということだ。

AP通信の有権者調査「ヴォートキャスト」は、少なくとも初期の結果では、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に6人が、アメリカのウクライナに対する援助継続に反対していることを示した。これはヘイリーにとって悪いニューズであり、軍事的伝統の強い州においては印象的な結果となった。

この調査によると、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に7人が、トランプの行動に関する各種の捜査はトランプを弱体化させようとするものだというトランプの主張を受け入れている。

これらの数字を考慮すると、ここにいる共和党員の約10人中6人が自分たちを「アメリカを再び偉大に(MAGA)」 運動の支持者だと考えるのも不思議ではない。

共和党は良い意味でも悪い意味でも、今やトランプの党となっているのだ。

(4)トランプの暴言は本選挙への危険信号となる(Trump’s rhetoric still raises red flags for the general election

共和党のサウスカロライナ州予備選挙で大差をつけたにもかかわらず、11月の本選挙におけるトランプの当選可能性に関する疑問は消えない。

それは、トランプが直面している91件の刑事告発のせいだけではない。それはまた、彼が炎上させる性質(propensity to inflame)を持っているからでもある。

トランプはサウスカロライナ州での予備選挙前夜、金曜日に開催されたアフリカ系アメリカ人保守連合の年次総会で演説した際に、その傾向を再び示した。

トランプは、アフリカ系アメリカ人が自分の警察に捕まった際に撮影される顔写真(mugshot)を「受け入れてくれた」と述べた。これは、犯罪率の高いアフリカ系アメリカ人の有権者たちが、自分が起訴されたことについて共感を持ってくれるだろうということを、不器用に示唆しようとした発言だった。

トランプ前大統領は次のように述べた。「私は何の理由もなく、何でもないことで起訴された。そして多くの人が、だからこそアフリカ系アメリカ人の皆さんが私のことを好きなのだと言ってくれている。アフリカ系アメリカ人の皆さんはひどく傷つけられ、差別されてきたからこそ、私に共感してくれる。実際、アフリカ系アメリカ人の皆さんは私を差別されているように見ている。とても素晴らしいことだが、そこに何かがあるかもしれない」。

翌朝、ヘイリーはサウスカロライナ州キアワアイランドで予備選挙の投票を行った後、トランプによるこれらの発言を非難した。

ヘイリーは「これはドナルド・トランプがテレプロンプターを外したときに起こること、本当にうんざりしてしまう。これがドナルド・トランプが引き起こす混乱というものだ。これが、本選挙の日まで毎日やってくる不快感の原因だ」と述べた。

もちろん、更に別の論争が起きることになっても、トランプに固執している支持者が離れていくことはないだろう。しかし、彼の暴言(よく言えば無礼)は、説得されやすい有権者たちを獲得するチャンスを妨げている。

民主党がよく指摘するように、トランプは2016年と2020年の2度の本選挙で得票総数で敗れている。

(5)ヘイリーの攻撃は共和党支持層を超えてトランプの妨げになる可能性がある(Haley’s attacks could hinder Trump beyond the GOP base

ヘイリーの攻撃はトランプの共和党候補指名獲得への前進を妨げるものではないが、穏健派の共感を呼び、民主党が11月にトランプ前大統領に対して主張を展開して支持を集めるのに役立つ可能性がある。

土曜日の演説でヘイリーは、トランプが政敵たちを「人間のくず(vermin)」という言葉で表現することに異議を唱えた。

サウスカロライナ州での予備選挙までの数日間、ヘイリーはトランプが本選挙で勝つことはできないと述べ、最近のNATOに関する発言で彼がロシアのプーティン大統領に「味方(sided)」していると非難し、トランプをナルシストと評し、軍服を着たことがないと嘲笑した。

トランプ大統領の盟友たちは、ヘイリーがこの種の発言で、トランプに対して損害を与える可能性があるため、ヘイリーの選挙戦からの撤退を望んでいる。ナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、金曜日、サウスカロライナ州ロックヒルでのトランプの集会で本誌の取材に応じた際、この主張を展開した。

しかし、トランプ前大統領は、ヘイリーが自分よりも得票するという脅威の可能性を打ち砕いた。

しかし、民主党の攻撃広告の絶好の材料となるであろうヘイリーの言葉は、11月の大統領選挙本選挙に向けて、まだまだトランプを苦しめる可能性がある。

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●「米富豪コーク氏団体、ヘイリー氏の支援停止 米報道」

2024年2月26日 日経新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78750410W4A220C2EAF000/

【ワシントン=中村亮】米富豪チャールズ・コーク氏の政治団体は、11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いでニッキー・ヘイリー元国連大使の支援を停止する。米ポリティコが25日に報じた。ヘイリー氏への撤退圧力になる。

保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション」の首脳が25日、スタッフに宛てたメールでヘイリー氏支援のために資金を使うのをやめると伝えた。

「外部グループが彼女の勝利に向けた道を広げるために大きな貢献をできると思わない」と記した。代わりに11月に大統領選と同時実施の上院選や下院選に資金を振り向けるという。コーク氏の政治団体による動きは、ヘイリー氏の選挙資金が細る予兆となる可能性がある。資金集めが行き詰まると、指名争いから撤退を余儀なくされる公算が大きい。ヘイリー氏は24日、地元である南部サウスカロライナ州の予備選でトランプ前大統領に敗れた。前大統領が1月の中西部アイオワ州の党員集会から5連勝を果たし、ヘイリー氏は反転攻勢の糸口をつかめていない。

米メディアによるとヘイリー氏の選挙陣営は25日、最近24時間で100万ドル(約15000万円)以上の資金を集めたと明らかにした。敗北が続いても、資金集めの勢いが衰えていないとアピールする狙いがある。

ヘイリー氏は25日、中西部ミシガン州で支持者集会を開く。同州では27日に予備選を予定する。16州・地域が予備選を一斉に開く35日のスーパーチューズデーが指名争いの大きな山場になる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙に関して詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 1月の最終週に地元鹿児島に戻っておりました。家族の用事でバタバタしておりました。ブログの更新が滞りまして、申し訳ございません。今回からまた精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 アメリカ大統領選挙は今年11月に投開票が実施される。それに向けて、まず民主、共和両党の候補者を決める予備選挙が実施される。民主党は現職大統領であるジョー・バイデンが二期目を目指すと表明した時点で、事実上、候補者に内定している。共和党側では、ドナルド・トランプ前大統領が立候補を表明して以来、最有力候補となっており、複数名の政治家たちが出馬したが既に多くが撤退を余儀なくされている。現在でも選挙戦に踏みとどまっているのは、元サウスカロライナ州知事で米国連大使を務めたニッキー・ヘイリーだ。
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 アイオワ州に続いて、ニューハンプシャー州で予備選挙が実施された。選挙の形式は、アイオワ州の党員集会とは異なり、普通の選挙と同じで、予備選挙と呼ばれる形式だった。

 ヘイリーはニューハンプシャー州にお金と時間を投入し、トランプをかなり追い上げた。事前の世論調査で数ポイント差まで追い上げたが、結果としては敗戦となった。ヘイリーは、地元サウスカロライナ州での支持率は低迷しており、一応、地元のサウスカロライナ州での予備選挙まで選挙戦を続け、地元で撤退宣言を行うだろうと私は見ている。これで、共和党予備選挙は事実上の終戦となり、トランプが大統領選挙の候補者に内定する。
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 これで、共和党のトランプと民主党のバイデンという2020年と同じ構図での大統領選挙本選挙ということになる。現在のところ、各種世論調査では、トランプが1ポイント、2ポイントで、バイデンをリードしている展開だが、これからバイデン陣営がどのような奇手を繰り出してくるか分からない。既に「トランプには大統領選挙に立候補する資格はない」という訴えを起こしての法廷闘争が起きている。この他にもメディアを使ってのネガティヴキャンペーンも行われるだろう。バイデンは、現職大統領の強みで、外交上の大きな成果を挙げてアピールすることも考えられる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争での大きな動きがあれば、バイデンの支持率も上がるだろうから、それを狙ってくるだろう。

 今回の大統領選挙でトランプ、バイデンのどちらが勝者となっても、アメリカ国内の分断が深まり、アメリカの統一が危ぶまれる事態が発生することも十分に考えられる。

(貼り付けはじめ)

トランプがニューハンプシャー州で勝利し、ヘイリーに打撃を与える(Trump wins New Hampshire in blow to Haley

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4424478-donald-trump-wins-new-hampshire-gop-primary-nikki-haley/

ディシジョンデスクHQによると、米大統領ニューハンプシャー州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が勝利を収めることが確実となった。主要なライヴァルであるニッキー・ヘイリーに対する大きな一撃となり、トランプが共和党の大統領選挙候補者指名を確実とすることにまた一歩近づいた。

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はヘイリーに特にダメージを与えることになる。それは、ヘイリーがニューハンプシャー州に彼女の持つ時間と資源のほとんどを投入してきて、更に同州で人気の高い知事クリス・スヌヌ(共和党)の支持を得ていたからだ。ある時点では、支持率において、ヘイリーはトランプに数ポイント差に迫っていた。

元米国連大使のヘイリーは、アイオワ州共和党党員集会において、彼女のライヴァルだったフロリダ州知事ロン・デサンティスの後塵を拝し、3位となった。予備選挙形式で最初に行われるニューハンプシャー州共和党予備選挙をわずか数日後に控えた時点で、デサンティスは選挙戦からの撤退を決めた。撤退を宣言する演説の中で、デサンティスはトランプ支持を表明した。そうした状況下、ヘイリーは結果として、最後まで残った、トランプに対する主要な挑戦者ということになった。

しかし、ここ数日の各種世論調査の結果を見ると、ヘイリーがトランプを追い落とすのはかなりの困難な道のりであることが明らかになっていた。ディシジョンデスクHQと本誌の集計した、ニューハンプシャー州での各種世論調査の平均では、トランプの支持率が51%に対して、ヘイリーは37%となっていた。

トランプはまた、かつてのライヴァルたちが彼の周りに結集したことで、上機嫌となった。アイオワ州党員集会の直前、ノースダコタ州知事ダグ・バーガム(共和党)はトランプを支持した。ティム・スコット連邦上院議員(共和党)とバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミも、ニューハンプシャー州共和党予備選の前にトランプ支持を表明した。

ヘイリーはウィル・ハード元連邦下院議員(テキサス州選出)やアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(共和党)など、予備選挙から撤退した、数名の支持を得たのみだった。

ニューハンプシャー州でのトランプ氏の勝利は、ヘイリー氏が地元サウスカロライナ州に向けて予備選の戦いを続けるかどうかという問題を提起している。アイオワ州とニューハンプシャー州の両州での勝利は、共和党内におけるトランプの優位性を強調するものであり、次の予備選挙は、ヘイリーにとって逃げ道を提供するものだ。

しかし、ヘイリー選対は、ニューハンプシャー州予備選の前に、サウスカロライナ州で戦うことを示唆していた。アドインパクトは月曜日にヘイリー陣営がサウスカロライナ州で木曜日から始まる広告の予約を入れたと報じている。

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ニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイント(5 takeaways from the New Hampshire primary

キャロライン・ヴァキール、ジュリア・ムラー筆

2024年1月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4425725-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary/

ドナルド・トランプ前大統領は、アイオワ州の重要な党員集会で勝利したわずか1週間後の火曜日、全国初の予備選挙形式のニューハンプシャー州予備選でニッキー・ヘイリーを破って勝利を収めた。

ヘイリーは、前回のアイオワ州での成績からニューハンプシャー州でのトランプとの差を縮めたが、それでも、この記事の発表時点で、ディシジョンデスクHQが発表したように、トランプが約10ポイント差で勝利した。

共和党予備選挙は現在、2人の有力候補の直接対決となっており、先行するトランプが共和党の大統領選挙候補者指名を獲得するのはほぼ確実だ。

一方、ジョー・バイデン大統領はニューハンプシャー州の民主党予備選で追加候補者として、自党の挑戦者を破って勝利を収めた。

これからニューハンプシャー州予備選挙の5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプが共和党大統領選挙候補としてほぼ確実な地位を固める(Trump cements status as almost certain GOP nominee

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利は、同州での最後の投票が終了した午後8時(米国東部標準時)に即座に予想されたもので、トランプが共和党大統領選挙候補になることがほぼ確実となった。

共和党員たちのほとんどは、このニューハンプシャー州でトランプが勝利すると予想しており、得票率で二桁の大差を予想する者さえいたが、ヘイリーが無党派層に強いことから、火曜日に向けて、この対決がどの程度の接戦になるのか注目されていた。

ディシジョンデスクHQとザ・ヒルがまとめたニューハンプシャー州の各種世論調査の平均では、トランプが51%、ヘイリーが37%だった。トランプは先週のアイオワ州党員集会で30ポイント差の圧勝を収め、フロリダ州知事ロン・デサンティスとバイオテクノロジー起業家のヴィヴェック・ラマスワミが選挙戦から脱落し、トランプ前大統領を支持することになった。

2023年11月に大統領選挙運動を断念したティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)も、ニューハンプシャー州予備選投開票日までの数日間、トランプを支持し活動した。

しかし、トランプ懐疑派や穏健派の共和党支持者たちがどの候補者を支持するのか疑問があったが、ニューハンプシャー州でトランプが勝利した後、これらの多くがトランプを支持すると明言した。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党院内総務率いる連邦上院共和党の幹部メンバーであるジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)はXに「もう十分だ。バイデンに勝つためには、共和党は1人の候補者を中心に据えて団結する必要があり、トランプ大統領が共和党有権者の選択であることは明らかだ」と書いた。

コーニン議員は更に「バイデンが引き起こした国境危機や記録的な高インフレのような失敗した国内政策や、敵対勢力を増長させ世界をより危険な場所にした失敗した外交政策を、あと4年も続くことがないように阻止しなければならない」と書いた。

(2)バイデンが予備選挑戦者たちを一蹴(Biden brushes off primary challengers

ジョー・バイデン大統領は火曜日にニューハンプシャー州予備選挙に出馬しなかったにもかかわらず(選挙の投票用紙に名前が掲載されない)、名前を書きこまねばならない候補(write-in candidate)となりながら、挑戦者たちを圧倒し、勝利すると草々に予想が出た。

ニューハンプシャー州民主党は、共和党の予備選と同じ火曜日に予備選を実施することで、ニューハンプシャー州を全米最初の予備選開催州の座から追い出そうとした民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の計画に反発し、バイデンの名前は投票用紙から外された。

バイデンは民主党全国委員会の規則に従う義務があり、民主党の予備選挙選挙戦への立候補をしないことを選択した。そして民主党は、火曜日のニューハンプシャー州での選挙戦は今年後半に実施予定の全国大会に出席する代議員には何の影響もないと述べた。

しかし、ニューハンプシャー州のバイデン支持者たちは、とにかく現職大統領であるバイデンを勝利に導こうとして、名前を書き込もうキャンペーンを開始し、予備選挙序盤の重要な州でバイデンを押し上げることの重要性を強調した。

ディシジョンデスクHQによると、共和党の予備選挙では共和党のトップランナーであるトランプが勝利した。バイデン大統領は民主党候補のマリアンヌ・ウィリアムソンとディーン・フィリップス連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)を打ち負かすと予測されていた。

バイデン大統領の書き込み作戦が功を奏しての予備選挙勝利は、バイデンの支持率が低迷する中で、民主党のライヴァルたちに対して、二期目を目指す戦いを続ける中で、党支持層の間でのバイデンの力強さを反映したものだ。

予備選挙での勝利予測が出た後、バイデン陣営は「2024年11月の大統領選挙投開票に向けて取り組んでいるが、今日ますます明らかになっていることが1つある。それはドナルド・トランプが大統領選挙本選挙での共和党候補となるだろうが、彼に真っ向から向かい、投票所でこれまでに自分に勝った唯一の人物である、ジョー・バイデンと対戦することになるということだ」と述べた。

(3)ヘイリーには一撃を加えられた(Haley dealt a blow

火曜日はトランプにとって良い夜になったが、ヘイリーにとっては、選挙戦に踏みとどまっている、最後の主要なトランプのライヴァル候補として、無党派層と共和党員の両方に働きかけようとしていたため、ニューハンプシャー州で打撃を受けた。

ニューハンプシャー州は、登録をしていない有権者が共和党予備選に投票できることから、ヘイリーが序盤の指名争いで好成績を収める絶好のチャンスを提供していた。しかし、ここ数週間の世論調査では、ヘイリーがトランプを数ポイントの差で引き離しているとの見方もあったが、結局、無党派と共和党支持者の両方を十分に納得させ、ヘイリーの選挙戦に結集させることはできなかった。

ヘイリーは、4期目を務めている、人気の高いニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(共和党)の支持を得たにもかかわらず、惨敗してしまった。

それでも、ヘイリー候補は、火曜日夕方の支持者向け演説で、予備選の全結果がまだ集計されていないにもかかわらず、「次は私の愛するサウスカロライナ州だ」と述べた。また、共和党大統領予備選から脱落するつもりはないだろうと予想されている。

しかし、ニューハンプシャー州での敗北は、トランプとヘイリーが来月のサウスカロライナ州での共和党予備選に備える中で、彼女の実行力に新たな疑問を投げかけている。世論調査では、元国連大使ヘイリーは地元でトランプから大きく引き離されている。

ディシジョンデスクHQと本誌がまとめたサウスカロライナ州における世論調査の支持率の平均では、トランプが61%、ヘイリーが27%となっている。

(4)トランプの勝利は共和党内部の分裂を浮き彫りに(Trump win highlights divide in GOP

ニューハンプシャー州でのトランプの勝利はかなり早く予想されたものの、トランプ前大統領は先週のアイオワ州のような地滑り勝利を楽しむことはできなかった。

記事掲載時点で74%の得票が報告されており、ディシジョンデスクHQは、トランプ54.8%に対し、ヘイリー44%と約10ポイントの差をつけている。

出口調査でも、トランプとヘイリーの支持層は大きく異なっていた。CNNの出口調査では、トランプ支持者の80%が、バイデン大統領が2020年の選挙で正当に当選していないと考えているのに対し、当選していると答えたのは17%だった。逆に、ヘイリー支持者の83%が、バイデン大統領は2020年の選挙に正当に勝利すると答えたのに対し、勝利しないと答えたのは15%だった。

また、CNNの出口調査では、前国連大使ヘイリーに投票した人の約40%が、彼女のライヴァルであるトランプに反対して投票したことが分かった。

トランプが共和党の大統領候補になった場合、最終的にはヘイリーの支持者の多くから支持を得る可能性が高いが、共和党予備選で示された分裂は、党がトランプを中心にまとまろうともがく中で、有権者間でグループがあることを示唆している。

(5)予備選の季節は短く、ドラマなど起きないだろう(Primary season looks short and drama-free

ヘイリーは敗北予想が出た後、「ニューハンプシャーにおいて全米で最初の予備選挙が実施された。全米で最後ではない。このレースはまだ終わっていない。まだ何十州も残っている」と発言し、予備選挙での選挙戦の継続を約束した。

しかし、党内では以前から、アイオワ州とニューハンプシャー州でトランプが連勝すれば、トランプ前大統領の共和党候補指名がほぼ確定するとの予測もあった。

トランプは2024年の選挙で事実上の現職として出馬しており、全米の世論調査では2桁のリードを誇っている。混戦模様の候補者たちは、トランプに代わる最有力候補となるべく何カ月も争ったが、トランプが発表した時点でレースは実質的に決まっていたと言う専門家たちもいる。

今月、共和党予備選挙の有力候補4人が立候補し、選挙戦を通じて、トランプとヘイリーの一騎打ちに移行した。

火曜日、ヘイリーは自身のキャンペーンが「半数近い票を獲得した」と宣伝したが、彼女のキャンペーンは今、それが指名候補としての競争力を証明し、サウスカロライナ州での2月の予備選挙とその後に向けたキャンペーンの燃料として十分かどうかという疑問に直面している。

そうでなければ、共和党の予備選シーズンは始まってわずか数週間で終わってしまうかもしれない。

アメリカ南部初のサウスカロライナ州での共和党予備選は2月24日に行われる。

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年アメリカ大統領選挙がスタートした。前半は、民主、共和両党の大統領選挙候補者を決める予備選挙(primary)が始まった。アイオワ州での党員集会(caucus)が実施された。気温がマイナス20度(摂氏)まで下がる厳しい天候の中で、10万人以上が参加し、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。2位にフロリダ州知事ロン・デサンティスが2位、3位に元サウスカロライナ州知事・米国連大使ニッキー・ヘイリーとなった。デサンティスとヘイリーは僅差の結果となった。以下のとおりである。
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 事前の各種世論調査で、トランプが大量リードしていたため、今回の結果に驚きはない。予備選挙においての当面の話題は、ロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーのどちらが生き残るかということだ。デサンティスは各種世論調査においてトランプに次いで2位となっていたが、今回のアイオワ州の結果をどう見るべきなのかは難しい。2位に入ったのは大きいが、3位のヘイリーとの差が小さかったことが問題だ。ヘイリーはこれから実施されるサウスカロライナ州知事を務めていたこともあり、サウスカロライナ州では、トランプに2位となると予想されている。また、次週実施されるニューハンプシャー州予備選挙でもヘイリーが2位に入るという予想もされており、デサンティスには厳しい状況が続く。

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 私は、共和党予備選挙は、ニッキー・ヘイリーが生き残る可能性が高いと見ている。ヘイリーが勢いをつけていくだろうと考えている。しかし、トランプ優位は動かないだろう。トランプとしてはどれだけの差をつけて勝利できるかということがこれからのテーマということになるだろう。
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アイオワ州での大統領選挙共和党予備選挙に関する5つのポイント(5 takeaways from the Iowa GOP caucuses

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410502-iowa-gop-caucuses-donald-trump-vivek-ramaswamy-ron-desantis-nikki-haley-takeaways/

月曜日のアイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、共和党有権者に対する前大統領の優位性を示す最初の大きなテストとなった。

現在、すべての注目は早くもニューハンプシャー州に集まっており、ニューハンプシャー州ではトランプ前大統領がフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)や元国連大使ニッキー・ヘイリーをリードしており、両候補ともにニューハンプシャー州でトランプに大差をつけられている。

各種世論調査によると、ヘイリーはニューハンプシャー州ではアイオワ州よりも良い結果を得ており、ニューハンプシャー州での争いを維持できる可能性があるが、サウスカロライナ州とネバダ州など他の序盤戦については、その実力が疑問視されている。

一方、デサンティスは、多くの資金を投入したアイオワ州で2位に甘んじることになり、厳しい問いに直面している。

トランプの期待が高まる中で、月曜日の夜、ヴィヴェク・ラマスワミは選挙活動を中止し、トランプを支持すると発表した。これによってトランプ前大統領はヴィヴェク・ラマスワミ氏から後押しを受けることになった。

極寒のアイオワ州で行われた共和党党員集会の5つのポイントをこれからご紹介する

(1)予想通りのトランプの圧勝(Trump dominates, as expected

東部標準時午後8時に投票が開始してから1時間も経過しないうちにトランプはアイオワ州党員集会で簡単に大勝した。

ディシジョンデスクHQは、午後8時46分にトランプをアイオワ州の勝者と予想し、その後、デサンティスが大差をつけられての2位と予想すると発表した。

アイオワ州は大統領候補指名争いが行われる最初の州に過ぎないが、トランプの勝利は予想されていたとはいえ、彼が共和党を掌握していることを浮き彫りにした。また、これから予備選挙が実施される数州でのヘイリーとデサンティスの苦戦の可能性を高めることとなった。

トランプの大勝利は、アイオワ州の極寒の気温が投票数にどのような影響を与えるかという疑問の中でもたらされた。アメリカ国立気象局デモイン支局は、かつてツイッターとして知られていたウェブサイト「X」に、月曜日は「1972年までさかのぼると、アイオワ州の投票日としては史上最も寒い日になりそうだ」と投稿した。

しかし、厳しい天候でさえトランプ支持者を集会から遠ざけることはできなかった。火曜日早朝時点のディシジョンデスクHQの開票速報では、トランプは50%をはるかに超える票を獲得していた。

(2)アイオワ州でヘイリーは彼女が必要としているものを獲得した(Haley gets what she needs in Iowa

ヘイリーはアイオワ州で3位となった。最近の世論調査では2位とされていたものの、その予想がだいたい当たる結果となった。

しかし、メディア各社がデサンティスが2位になると予想した後でも、ヘイリーは支持者たちに3位という結果を誇らしげに報告した。

ヘイリーは「この選挙戦では、一時、私を含めて14人が立候補しているという状況になった。世論調査で私の支持率が2%ということもあった。しかし今夜、アイオワはアイオワがいつもやっていることをやってくれた」と述べた。

「有識者たちはあらゆる角度から結果を分析するだろう。それは理解できる。しかし、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、そしてそれ以降の状況を見ると、今夜、アイオワ州は共和党予備選を2人の対決の構図にしてくれたと断言できる!」と彼女は付け加えた。

このコメントは、ヘイリーが既にデサンティスよりもはるかに強力な候補と見られているニューハンプシャー州に軸足を移していることを示している。ニューハンプシャー州での世論調査では、ヘイリー候補はトランプ前大統領に次ぐ2位につけている。

ディシジョンデスクHQと『ザ・ヒル』誌がまとめたニューハンプシャー州の調査の平均では、トランプが42%、ヘイリーが31%、デサンティス氏が7%となった。しかし、初期の州世論調査と全国世論調査の両方で元大統領が依然としてライヴァルをリードしていることを考えると、ヘイリーがトランプに対抗するにはまだ長い道のりに直面している。

(3)デサンティスは選挙戦に留まるかについての厳しい決断に直面(DeSantis faces tough decision on staying in race

デサンティスが選挙戦から離脱する気配はない。日曜日、CNNの取材に対し、デサンティスは、選挙戦がこれから長期戦になるだろうと語った。

デサンティスは月曜日の夜に開票速報視聴パーティーにおいて、支持者たちに対して次のように語った。「彼らは、私たちがここアイオワで敗北し選挙に留まることはできないだろうと予測していたという事実にとても興奮していた。しかし、私が言えるのは、彼らが私たちに投げかけた全てにもかかわらず、皆さんの支持のおかげで、私たちは選挙に留まることができた。みんなが私たちを攻撃していたが、それを振り払うことができた」。

それでも、この先の地図は、アイオワ州に多くのエネルギーを注いできた知事にとって難しいものとなる。ザ・ヒルとディシジョンデスクHQが出した、各種世論調査の数字の平均によると、デサンティスは、ニューハンプシャー州において6.6%で3位に甘んじている。また、サウスカロライナ州でも、デサンティスは9.4%で、大差をつけられての3位となっている。

ヘイリー陣営はニューハンプシャー州とサウスカロライナ州に重点を置いており、デサンティスは、更に不利な立場に置かれている。デサンティスは、主にトランプ支持層と同じ保守層にアピールしようとしていることを考えると、現実的にどうすれば指名を獲得できるのかという厳しい問題に直面している。

(4)早い段階での結果発表は反発を招いた(Early race calls draw backlash

トランプがアイオワ州共和党党員集会の勝者であると夜の早い段階から発表されたが、この事実はデサンティスの支持者たちの怒りを招き、一部のメディア関係者からの批判を招いた。

AP通信は午後8時31分(東部標準時)、NBCニューズは午後8時33分(東部標準時)頃、ザ・ヒルが提携しているディシジョンデスクHQは午後8時46分(東部標準時)にトランプ勝利を報じた。

デサンティス選対広報部長のアンドリュー・ロメオは、メディアの勝利者確定報道に対する声明の中で、「何万人ものアイオワ州人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのは、まったくもって言語道断である。メディアはトランプの味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と述べた。

デサンティス陣営のジェイムズ・ウスマイヤー選対本部長も、NBCニューズとのインタヴューにおいて、早期の勝利者報道を「ぞっとする」と非難した。

一方、デサンティスを支援するスーパーPACは、CNNAP通信、ABCニューズ、NBCニューズの早い段階でのトランプ勝利確定報道を批判し、勝者確定に関するそれぞれの方針の誤りを指摘するメールを送った。

しかし、早期にトランプの勝利者報道をしたことについても、一部のジャーナリストから疑問の声が上がっている。

セマフォーのデイブ・ワイゲル記者はXに「非常に非常に初期の段階でトランプが大勝しているが、初期のネットワーク各局の勝利者確定は少し疑わしい。人々はまだ党員集会会場にいて、電話を持っている。どれだけの数の人が確定報道を見て、考えを買えただろうか?」と投稿している。

『ナショナル・ジャーナル』誌のカーク・バド記者「AP通信は、どのようにして早い段階で党員集会でのトランプの勝利について短い説明をしているが、有権者がまだ多くの選挙区で投票している最中に確定報道をしたことについての論争には触れていない」とはXに投稿した。

早い段階での選挙戦の勝者確定報道が選挙戦の行方を大きく左右した可能性は低いが、メディアが報じているように既に選挙結果を疑う傾向にある一部の国民の間で懐疑的な見方を引き起こす可能性がある。

(5)極寒の中、投票率に打撃を受けた(Turnout takes a hit amid frigid conditions

アイオワ州が極寒状況に見舞われたため、投票率は予想を下回ると予測された。

ディシジョンデスクHQは、月曜日の夜に投票率の予想を下げたと発表し、「投票が完了したと報告している郡の投票数は、投票開始時の予想を一貫して下回っている」と指摘した。

ディシジョンデスクHQは、午後10時(米国東部時間)以降、約11万人の有権者が集会に参加したと推定しているが、「IA GOPからのデータがかなり変動しているため、変更される可能性がある」と注意を発している。

2016年の選挙では18万人以上が投票した。

投票率は、アイオワ州の凍てつくような気温に影響された可能性が高く、天候が候補者にどのような影響を与えるかについて、各候補者に疑問が投げかけられていた。

ジュリア・マンチェスターがアイオワ州からこの論稿の作成に貢献した。
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アイオワ共和党党員集会の結果を説明する5つの数字(Five numbers that explain the Iowa caucus results

ジュリア・ムラー、ジャレッド・ガンズ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410536-five-numbers-that-explain-the-iowa-caucus-results/

ドナルド・トランプ前大統領は月曜日のアイオワ州共和党党員集会で容易に勝利し、来週のニューハンプシャー州予備選挙に向けて、選挙戦が加速するための最初の州で、共和党のライヴァルであるニッキー・ヘイリーやフロリダ州知事ロン・デサンティスを破った。

アイオワ州で共和党党員集会の投票が始まってから1時間も経たないうちに、マスコミ各社はトランプ勝利を報道した。票の集計はまだ続いているが、最新の集計の時点で、トランプが30ポイントの差で勝利する準備ができているようだ。

しかし、トランプの勝利のために他の候補者たちにつけた差は、2024年の選挙の最初の投票で得られた注目すべき数字の1つにすぎない。

アイオワ州共和党党員集会に関する数字で見ると次のようになる。

(1)トランプの得票率:51%(Trump’s percentage: 51 percent

東部標準時午前12時25分現在、ディシジョンデスクHQの集計によるt約10万9000票が投票され、トランプは51%の得票率を誇っている。

ディシジョンデスクHQによると、トランプ前大統領は2位の候補に30ポイント近くリードしている。デサンティスが2位、ヘイリーが3位と予測されている。

トランプは、各種世論調査でライヴァルに二桁の差をつけてアイオワ州党員集会に臨み、アイオワ州での勝利で、来週ニューハンプシャー州で行われる全米初の共和党予備選を前に勢いを増している。

トランプのリードを削ごうと数カ月間努力してきたトランプ以外の候補者たちにとっては、良い兆候ではない。

トランプは2016年、2020年にアイオワ州の共和党予備選挙で勝利したが、2016年のアイオワ州党員集会ではテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に敗れ、その後ニューハンプシャー州で勝利し、大統領選挙候補者指名を受けた。 

トランプ前大統領は月曜日、アイオワでの選挙戦は「とてつもない夜」になるだろうと予想していた。

(2)勝利者確定報道時間:30分(Time the race was called: 30 minutes

アイオワ州での投票開始からわずか30分後、各メディアからトランプの勝利を宣言する最初の報道があった。AP通信が午後8時31分にトランプを勝者と予想し、他のメディアもすぐにこれに続いた。

本誌のパートナーであるディシジョンデスクHQは、約15分後の午後8時46分に勝利者確定報道を行った。

投票開始後、まだ投票をしていない人もいる中で、極めて早く勝利者予測・確定報道が出た。CNNのキャスターであるジェイク・タッパーは、CNNの予測を発表した後、「このような早期の確定報道をしたのは記憶にないほど早い」と、報道の早さを指摘した。

党員集会に至るまでの世論調査や出口調査ではトランプが大幅にリードしており、選挙戦が召集される前の初期の結果はトランプ氏が容易に勝利することを示しているように見えた。タッパーは、CNNは投票前調査と初回投票におけるトランプの「圧倒的な」リードに基づいて予測を立てる可能性があると述べた。

しかし、早期の勝利者確定報道では、多くの投票がまだ行われていない中で予測を行ったことに対して批判が生じた。党員集会にかかる時間はさまざまで、30分で結果が出るものもあれば、数時間かかるものもある。

デサンティス選対の反応は特に激しく、選対広報担当のアンドリュー・ロメオは「選挙妨害(election interference)」だと主張した。

ロメオは「何万人ものアイオワ人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのはまったく言語道断の好意である。メディアはトランプ前大統領の味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と語った。

親デサンティスのスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウン」の戦略コミュニケーション・ディレクターを務めるマット・ウォーキングは、投票が終わる前に確定報道に対する複数の報道機関の方針をツイートした。

(3)2位と3位の差:2ポイント(Margin between second and third place: 2 points

月曜日の夜の党員集会に先立ち、専門家たちは選挙サイクルがスタートする中、候補者の強さを示すシグナルとしてアイオワ州の1位、2位、3位の間の差に注目していると述べた。

発表時点では、デサンティスがアイオワ州で2位を確保し、ヘイリーが3位と予想されている。

発表時点のディシジョンデスクHQによると、デサンティスとヘイリーの差はわずか2.1ポイントで、得票率はそれぞれ21.2%対19.1%だった。

この接戦は、アイオワ州党員集会の8日後に投票が行われるニューハンプシャー州予備選挙において、事前の各種世論丁でデサンティスを大きく引き離しているヘイリーにとっては良い兆候と言えるだろう。

また、フロリダ州知事デサンティスはアイオワ州を選挙戦の最重要課題としていたため、デサンティスの勢いを削ぐハードルとなるだろう。デサンティスは、アイオワ州の全99郡を訪問するという目標を達成し、アイオワ州では他のどの早期投票州よりもはるかに強力な世論調査の結果を得ていた。

アイオワで多くの時間を費やしたデサンティスは、今後の各州で本気で戦えるよう、選挙運動のインフラを構築する作業が待っている。

起業家のヴィヴェク・ラマスワミとアーカンソー州知事アサ・ハッチンソンは上位3位に入れず、これが選挙運動の終了をもたらす可能性があると専門家たちは長年指摘してきた。ラマスワミは月曜日の夜の記者会見で選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明した。

(4)投票数:11万(Turnout: 110,000

アイオワ州民は4年に1度の党員集会に熱心なことで知られ、全国で最初の投票に参加するために定期的に多くの人々が集まる。しかし、1月の寒さに慣れた有権者にとっても、歴史的に悪天候が障壁となった。

アイオワ州共和党のジェフ・カウフマン委員長は、本誌の取材に対し、道路の除雪が進み、雪も止んだことから、投票率については楽観的な見方を示し、参加者数については「いい感じ」だと語った。カウフマン委員長は、18万7000人という記録的な数字に達するとは予想していなかったが、早朝時点では「いい感じ」だったと語った。

ディシジョンデスクHQは、約11万人の有権者が投票に参加したと予測した。この数字は、記録を打ち立てた2016年の党員集会からは大きな減少となったが、2012年と2008年にそれぞれ投票した約12万人からはわずかな減少にとどまった。

月曜日の夜の党員集会終了に関する声明の中で、カウフマンは「アイオワの人々は、数日前に吹雪に見舞われた後、記録的な低温に耐えながら、自分たちのコミュニティーのメンバーと国の将来について話し合い、真の草の根民主政治体制(grassroots democracy)に参加した」とカウフマンは夜の終わりに向けて声明で述べた。

(5)風冷指数:50度(Wind chill: 50 degrees

月曜日、アイオワ州民は凍えるような寒さと厳しい冬の天候に直面した。国立気象台は、デモインの風冷指数をマイナス30度と発表した。

選挙戦までの数日間、一部の選挙計画が複雑な状況となったことを受け、候補者らは支持者らに雪の中でも勇敢に党員集会に行くよう呼び掛けた。党員集会に先立って複数の対面イヴェントを中止し、代わりにヴァーチャルで開催することを余儀なくされた。

デサンティスは党員集会開始前、支持者たちに「寒さに負けずアイオワ州共和党党員集会に参加して、私を応援して欲しい。あなたの一票が、今夜ほど大きな影響を与える機会はない!」と述べた。

ラマスワミは、アイオワ州の支持者たちに「私たちの国を救うために、寒さに耐えていただきたい」と呼びかけた。

アイオワ州共和党党員集会が州内の各選挙区で始まった、デモインの午後8時の気温はマイナス20度(摂氏)にまで下がった。

ウエザー・チャンネルとアキュウエザーによると、月曜日の日中の最高気温はマイナス17度(摂氏)だった。
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アイオワ州共和党党員集会の勝者と敗者(Winners and losers of the Iowa caucuses

ナイオール・スタンジ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410571-winners-and-losers-of-the-iowa-caucuses/

アイオワ州デモイン発。有権者は月曜日、2024年の大統領選挙期間で初めて意思表示をする機会を持ち、その結果、アイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。

トランプは2位に約30ポイントを付けて圧勝した。

党員集会に向けて大きな注目は、2位争いを中心に展開していた。フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が元国連大使ニッキー・ヘイリーを抑えて残念賞(consolation prize)を受賞した。

党員集会では、実業家のヴィヴェック・ラマスワミが4位という最低の成績で選挙戦を中止するなど、これまでと同じく候補者たちが絞られた。ラマスワミは予想通りトランプを支持した。

極循環によってアイオワ州の気温が氷点下にまで下ったため、天候が今年の選挙戦の大きな要因となった。月曜日はこれまでで最も寒い投票日となった。

約11万2000人のアイオワ州民が投票を行ったが、2016年に記録された約18万6000人には遠く及ばなかった。

以下に、月曜日の夜の勝者と敗者について見ていく。

●勝者たち

・ドナルド・トランプ前大統領(Former President Trump

トランプにとって、これ以上ない夜となった。

トランプは世論調査が予想していた通りの大差で勝利したが、支持者の間に態度が弱くなったり、満足したりする兆しは見られなかった。

トランプの得票率は50%の大台をクリアしたと見られる。これにより党員集会参加者の大多数がトランプに反対しているという、ライヴァルたちの主張の正当性がなくなる。

同じく重要なことは、デサンティスとヘイリーの僅差の結果により、今後しばらくは両者が選挙戦に残る可能性が高く、非トランプ票が確実に二分される状態が続くことになる。

トランプは、支持者を前に行った約20分間の勝利演説では、彼の基準からすると珍しく穏やかだった。ライヴァルたちに対しては、「みんな一緒に楽しい時間を過ごしてきた。ヘイリーとデサンティスはふたりともよくやった」とささやかではあるが賛辞を贈った。

トランプはまた、「今こそ全員が団結する時だ」と主張したが、この発言は現代で最も二極化を進めた、とトランプ前大統領を批判する人たちには違和感があるだろう。

しかし、この穏やかな口調は、ライヴァルたちを退かせようとするトランプ・チームの全般的な働きかけの一部だった。

2022年のアリゾナ州知事選に敗れ、現在は同州の上院議員候補であるトランプの忠実な支持者であるカリ・レイクは本誌の取材に対し、他の候補者の立候補はもはや「虚栄のプロジェクト(vanity projects)」に過ぎないと語った。

レイクは次のように語っている。「彼らに勝ち目はない。アイオワ州とニューハンプシャー州に何億ドルもつぎ込んで、強敵の候補者トランプを追い落とそうとしているのは残念なことだ。彼らが少し立ち止まって、考え直し、トランプ大統領がアメリカを救う手助けをする人物であることを認識することを願っている」。

・世論調査会社や組織・団体(Pollsters

世論調査会社は物事を誤ると大きな非難を浴びるが、アイオワ州では堅実な結果を残した。

本質的に世論調査と予想が難しい党員集会ではこれは並大抵のことではなく、今回の場合は荒天が新たな不確実要素となった。

トランプが30ポイントを付けてリードしていることは、開票率98%で、ほとんどの世論調査会社の予測の範囲内だった。

専門家たちたちは、党員集会前の最終世論調査のいくつかで、ヘイリーがデサンティスを抜いて2位になっていたことに注目するだろう。

しかし、公平を期すために、優秀な世論調査会社のいくつかは、ヘイリー支持者の一部から明らかに情熱が感じられないという理由で、これらの結果に注意書きを入れていた。

高く評価されているデモイン・レジスター世論調査の中心人物であるJ.アン・セルザーは、党員集会の2日前に、ヘイリー支持のレヴェルには「根底にある弱さ(underlying weakness)」があり、「ヘイリーの支持者の大きな割合が、集会に参加せずに家にとどまるかもしれない」と述べた。

まさにその通りになったようだ。

・アイオワ州共和党党員集会(The Iowa caucuses

アイオワ州共和党は、困難な状況にもかかわらず党員集会自体がスムーズに行われたことで、安堵のため息をつくことができている。

投票率がかなり低かったこと認めざるを得ないが、それでも天候を考えれば十分評価できるレヴェルだった。

重大な不正の報告もなく、結果に疑問を呈する候補者もいなかった。

これは、4年前の民主党アイオワ州党員集会の大失敗を考えれば、より重要なことだった。

あの時は、結果を報告するシステムが故障した。結局、民主党全国委員会はアイオワ州から予備選における全米最初の地位を剥奪したのである。

●勝敗つかず

・ロン・デサンティス(Ron DeSantis

結論を述べるならば、デサンティスは生き残った。

もし3位に転落していたら、フロリダ州知事デサンティスは選挙戦から退くべきだという声が大合唱になっていただろう。それは、世論調査で3位につけているニューハンプシャー州や、ヘイリーの地元サウスカロライナ州という、あまり歓迎されない地域に向かうからだ。

2位になったことで、デサンティスは期待以上の結果を残したと主張できる。デサンティス候補は、投票日の夜に支持者を前に行った演説で、「私たちに投げつけられた全てのもの、私たちに反対するすべての人たちの存在にもかかわらず、私たちはアイオワ州で認められた」と語った。

とはいえ、一時はアイオワ州がトランプ氏を逆転する理想的な地形だと考えていた候補者にとって、アイオワ州でのダントツの2位は自慢できるものではない。

デサンティス陣営はまた、メディア各社による早期の勝利者確定報道に激怒した。フロリダ州知事デサンティスの支持者たち、これが彼の票を押し下げた可能性があるという正当な主張をしている。

とは言え、一時はアイオワ州がトランプを逆転する理想的な地形だと考えていたデサンティスにとって、アイオワ州での大きく引き離されての2位は自慢できるものではない。

前途は極めて険しいが、デサンティスはまた新たな一日を戦うために生きている。

●敗者たち(Losers

・ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley

ヘイリー選対は、アイオワ州の結果は彼女の道徳的勝利であると熱心に主張している。

それは本当のことではない。

ヘイリー自身も党員集会後の演説で、「今夜、アイオワ州はこの​​共和党予備選を2人の選挙戦にしてくれた」と主張した。

これは良い表現だ。しかし、これを述べた候補者ヘイリーが3位に沈み、勝者から32ポイントの差をつけられており、説得力を持つ表現とはなっていない。

結果をより深く分析すると、根強い問題も示されているように考えられる。ヘイリーの支持者の圧倒的多数は大学教育を受けた有権者であり、党内ではそうした人々の数は大学の学位を持たない有権者よりも少ない。

とにかくヘイリーは選挙戦から撤退しなかった。

ヘイリーはニューハンプシャー州で力強く復活することだろう。デサンティスよりも、ヘイリーの方が共闘大統領候補者指名獲得への道筋を想定しやすい。

しかし、ヘイリーは単純にアイオワでは敗者となった。それは、彼女がどうしても2位になることを望んだのだが、それを成し遂げることができなかったからだ。

・マスコミの予測(Media projections

共和党党員集会が始まってから30分後にトランプ氏を勝者と予想したことを受けて、メディア各社はまたしても独自の騒ぎに陥っている。

勝利者確定報道は多くのアイオワ州住民が投票を行う前になされた。

AP通信と複数の全国ネットワークを持つテレビ局は、それまでに行った有権者調査と最初期の開票状況を合わせて勝利者確定報道を行った。

しかし、それまでは、投票がまだ実施されている間は、結果の予測は行わないというガイドラインが一般的に受け入れられていた。その経験則(rule of thumb)が月曜日に破られた。

デサンティスを支援する主要なスーパーPACの創設者であるケン・カチネリは、本誌の取材に対してテキスト・メッセージで、早期の確定報道は「非常に言語道断な行為だ」と語った。

カチネリは「ネットワークテレビは投票が始まった途端に勝利者確定報道を行った」と抗議の意を表した。

もちろん、デサンティス陣営は、デサンティスの得票率はもっと高かったはずだと主張する権利を持っている。

しかし、合理的な基準からすれば、極めて早期の勝利者確定報道は、またしてもメディアにとって疑わしい瞬間となってしまった。

・ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

彼は選挙戦から撤退した。

党員集会で約8%の投票率で4位につけた後、ラマスワミの前途は存在しなかった。

この結果は、世論調査が以前から示していた通りのものだった。インターネット上の熱狂的なファン層がいたとしても、ラマスワミの魅力は極めて限定的なものだった。実際、彼に好感を持たない有権者の割合は、選挙期間中に上昇した。

ラマスワミは選挙戦からの撤退を発表したが、同時にトランプに「完全な支持」を表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙共和党予備選挙では、支持率でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的にリードしている。エスタブリッシュメント派が推している、フロリダ州知事ロン・デサンティスやニッキー・ヘイリーも米国連大使は知名度の割に苦戦している。そうした中で、ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy)という聞きなれない名前の、ずぶの素人、無名の新人がここ最近支持率を挙げている。
vivekramaswamy001

ヴィヴェック・ラマスワミ
 ラマスワミはトランプ前大統領を支持している。2020年の大統領選挙ではトランプ前大統領に投票している。討論会の席上で「トランプ前大統領は21世紀において最高の大統領だ」と発言し、トランプ前大統領から「ありがとう、ヴィヴェック!」という言葉をもらっている。討論会では、マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元米国連大使、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事といった知名度の高い、ヴェテラン政治家たちを向こうに回して、人々の関心を集めることに成功したようだ。

 ヴィヴェは1985年生まれの39歳。両親はインド系の移民であるが、父親はGE(ゼネラル・エレクトリック)のエンジニア、母親は心理学者という裕福な家庭で育った。ハーヴァード大学では生物学を専攻し、イェール大学法科大学院に進学した。大学院在学中に既にヘッジファンドを設立し、100億円以上の利益を上げていたということだ。その後も実業界で成功を収めた、立志伝中の人物ということになる。
2024uspresidentialelectionrepublicancanidatespolls2023graph001

 ラマスワミは世論調査での支持率の数字を上昇させている。ドナルド・トランプ前大統領には大きく及ばないものの、共和党のヴェテラン政治家たちを追い抜いている。トランプとラマスワミの数字を合わせて考えると、他の有力政治家たちが「希望にあふれている(hopeful)」という状態ではなく、「希望が小さくなっている(long-shot)」という状態になっていることが分かる。ちなみにlong-shotとは、弓矢で長い距離から的を狙うということで、距離が長ければ長いほど的に当たりにくい、希望が少ないという意味になる。トランプ前大統領の人気の高さとラマスワミの台頭によって、共和党エスタブリッシュメントに魂を売ったヴェテラン政治家たちは、どんどん的が遠くなっているという現状である。

 民主党側ではジョー・バイデンが現職大統領として高齢を押して出てくるが、体調や能力を不安視されている。それでも何が何でもバイデンを当選させたい勢力が民主党内だけではなく、共和党内部にもいる。そこの分裂線がウクライナ戦争に対する支援に関する考え方である。ラマスワミはウクライナ支援に反対を唱えている。それだけで共和党予備選挙では大きな台風の目ということになるだろう。私たちも注目していかねばならない。

(貼り付けはじめ)

トランプの後継者は俺だ、インド系大富豪候補者の支持率が急上昇

8/26() 11:02配信

高濱 賛

JBpress

https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdad8320cfc1e5b7817d008e8a3ea340f7bd7e6

https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdad8320cfc1e5b7817d008e8a3ea340f7bd7e6?page=2

■ デサンティスに肉薄、支持率10%に

 米共和党が823日に行った初の大統領候補者テレビ討論会の視聴者は5000万人、同時刻にSNSXで流れたドナルド・トランプ前大統領の単独インタヴューはアクセス数が7300万から7400万だった。 (Trump's debate counter-programming draws millions of views on X)(Fox News is the debate’s biggest loser

 8人の候補者の顔見世も「象(トランプ氏)の出ないショー」ではトランプ氏に勝てなかった。 とにかく共和党支持者にとっては、トランプ氏抜きの大統領選は考えられないことを改めて示した。 共和党の選挙戦略専門家のアレックス・コナント氏によれば、共和党支持者の4分の1はトランプ氏に何があっても投票、4分の1はトランプ氏には投票しない、残りの半分は投票態度を決めかねているという。 (Los Angeles Times

 一方、トランプ氏抜きの今回の討論会で「誰が勝者か」を一般有権者に尋ねたワシントン・ポストの世論調査では以下のような結果が出た。

 (1)ロン・デサンティス・フロリダ州知事:29

 (2)ヴィヴェック・ラマスワミ氏:26

 (3)ニッキー・ヘイリー元国連大使:15

 (4)マイク・ペンス前副大統領:7

 (5)クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事:4

 (6)ティム・スコット上院議員:4

 (Our Republican debate poll finds Ron DeSantis and Vivek Ramaswamy won

 注目すべきは、政治経験ゼロのラマスワミ氏が副大統領や上院議員、知事現職・経験者を差し置いて、デサンティス氏に肉薄していることだ。 直近の世論調査でも、断トツのトランプ氏(55.4%)を追うデサンティス氏(14.3%)に次いで7.20%で3位につけている。世論調査によっては10%の支持率を得ている。 (2024 Democratic Presidential Nomination

■ 「痩せぎすで変な名前の男」と自己紹介

 討論会参加者の並び順は支持率で決まる。中央にはデサンティス氏、その向かって右側に痩せた浅黒い色の男が陣取った。 モデレーターから指されると開口一番、こう述べた。

「皆さん、痩せぎすの、しかも名前も聞きなれない男は、いったい何者でしょう?」 (Who the heck is this skinny gay with a funny last name? )

「一つ言えることは、私は誰からもカネをもらったり(企業団体の)世話にもなっていない唯一の候補者です。これだけは声を大にして申し上げておきます。気候変動は作り話です」 (I’m the only person on the stage who is not bought and paid for, so I can say this. Climate change agenda is a hoax.

 ラマスワミ氏は、討論会を通じて一番喋りまくった。

 気象変動、ウクライナへの軍事支援、中国の脅威、メキシコとの国境問題とテーマごとに他の候補者と一対一で渡り合った。 終始一貫しているのはトランプ氏の4年間の内政外交すべてを支持する姿勢だった。 反トランプのジャーナリスト、チャーリー・スカイズ氏はこう描写した。

「ラマスワミ氏は、持前の弁舌でトランプ氏よりも巧みにトランピズムを展開した。熱狂的なトランプ支持者が聞きたかった歌を奏でた」「それはトランプ氏を支持している他の候補者が真似できないようなパフォーマンスだった」 (The Vivek and Nikki Show

■ 高学歴・裕福・・・インド移民の典型

 同氏はオハイオ州・シンシナティ生まれ。

 両親はインド、ケララ州出身のヒンズー教教徒で、父はカルカッタ国立工科大学を卒業後、米国に移住、ゼネラル・エレクトリック(GE)のエンジニアとして働いてきた。 母は高齢者専門の心理学者だった。高学歴で裕福なインド移民の典型だった。

 ラマスワミ氏は、カトリック系の高校を出た後、ハーバード大学に進学、生物学を専攻し、卒業論文ではキメラ動物創造に関する倫理上の諸問題を取り上げ、最優秀賞を受賞している。 また、在学中にゴールドマンサックスでインターンとしての勤務経験がある。 在学中は「ハーバード・ポリティカル・ユニオン」(HPU=米大学最古の弁論部)やユダヤ系学生団体「シャブタイ」にも参加、米国社会のエリート育成機関に積極的に参加した。 その後、イェール法科大学院に進み、大学院生当時、金融、薬品、バイオテク分野関連のヘッジ・ファンドを知人と設立し、法務博士号取得前に15000万ドルの純益を上げていた。 その後、そのヘッジ・ファンドを「ロイバント・サイエンス」と改称、次々と製薬会社を買収、売却、合併した。 2020年には環境保護、社会・企業のガバナンスのための基金を設立、これが政界進出へのスタート台になっている。 トランプ氏とは、2022年、ニュージャージー州のトランプ氏の別邸で夕食を共にしたのが出会いだった。 億万長者のラマスワミ氏が、トランプ氏の支持層を取り込む国盗り物語は注目に値する。

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共和党の米大統領選挙候補ヴィヴェック・ラマスワミとはどんな人物か?(Who is Vivek Ramaswamy, Republican presidential candidate?

ティム・リード筆

2023年8月24日

『ロイター通信』

https://www.reuters.com/world/us/who-is-vivek-ramaswamy-republican-presidential-hopeful-2023-08-23/

ロイター発(8月23日付)。バイオテック企業の元重役で大富豪のヴィヴェック・ラマスワミが水曜日夜の討論会において2024年米大統領選挙共和党候補者指名レースの注目候補者となる機会を得ている。

ラマスワミの人生とキャリアについてのいくつの事実についてこれから取り上げていく。

●アメリカ中西部で育ったヒンドゥー系(A HINDU RAISED IN THE AMERICAN MIDWEST

38歳になるラマスワミは、オハイオ州においてインド南部からの移民である両親の間に誕生した。彼は両親のヒンドゥー教の信仰の中で育ったが、カトリック系の高校に進学した。ハーヴァード大学で生物学を専攻し学士号を取得し、その後はイェール大学法科大学院に進んだ。

ラマスワミはヘッジファンドの投資部門で働き、イェール大学法科大学院を修了する前には既に数百万ドルを稼ぎ出していたと述べている。2014年、彼は自身でバイオテック企業ロイヴァント・サイエンシズ(Roivant SciencesROIV.O)を創設した。この企業は製薬分野の大企業が完全に開発できなかった、もしくは市場化できなかった特許を買い取っていた。2021年、ラマスワミは最高経営責任者(CEO)を辞任した。2023年、ビジネス誌『フォーブス』はラマスワミの資産を6億3000万ドル(約914億円)と推計した。

●元リバータリアンのラッパーで一貫性のない投票行動の記録(A FORMER LIBERTARIAN RAPPER WITH A PATCHY VOTING RECORD

ラマスワミは、大学時代、リバータリアンだったと語っている。ハーヴァード大学在学中、「ダ・ヴァック(Da Vek)」というアーティスト名でリバータリアンをテーマにしたラップを披露していた。彼は今年、選挙運動でラップのスキルを披露した。今月のアイオワ・ステート・フェアで彼が披露したエミネムの「Lose Yourself」はソーシャルメディアで拡散された。

ラマスワミは、2004年の米大統領選挙ではリバータリアン党に投票したが、2008年、2012年、2016年は投票しなかったと述べた。彼はこれまで共和党と民主党の候補者の両方に献金している。2020年の米大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ前大統領に投票したということだ。

●「反極左リベラル目覚め主義派」の闘士(AN "ANTI-WOKE" CRUSADER

ここ数年、ラマスワミは堅固な保守派として活動している。2021年にベストセラーになった著書『目覚め主義株式会社(Woke, Inc.)』の中で、社会正義や気候変動への懸念をビジネス戦略の前提にしようする一部の大企業の決断を批判し、勤勉さ(hard work)、資本主義(capitalism)、信仰心(religious faith)、愛国心(patriotism)に悪影響を及ぼす「ウォーキズム(目覚め主義、wokeism)」を非難している。この本によって、ラマスワミは保守派の間で知名度を上げ、右派のスターとして急速に頭角を現し始めた。

●共和党の米大統領選挙運動(REPUBLICAN PRESIDENTIAL CAMPAIGN

ラマスワミは今年2月に大統領選挙への出馬を表明したが、その時点では泡沫候補の扱いをされていた。ラマスワミは、ほとんどの世論調査でいまだに一桁台の指示率に低迷しているが、多くのライヴァルを引き離しており、なかでもフロリダ州のロン・デサンティス知事は、現在2位の座を維持するために戦っている。

ラマスワミはトランプを擁護する一方で、共和党予備選挙で重要な位置を占めるキリスト教福音派(Christian evangelicals)へのアピールを狙っている。ヒンドゥー系でありながら、ラマスワミは有権者たちに対し、アメリカは「キリスト教的価値観(Christian values)」や「ユダヤ・キリスト教的価値観(Judeo-Christian values)」に基づいていると語り、自分のことをアメリカ・ナショナリストと表現している。

ラマスワミの政策的立場は、ほとんどが明確に保守的である。アファーマティブ・アクション(affirmative action)に反対し、レイプや近親相姦、母体の生命が危険な場合は例外として、6週間以降の中絶を州レヴェルで禁止することを支持している。大統領職の権限を大幅に拡大し、FBI、教育省、徴税機関である内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)など連邦政府の多くを解体したいと訴えている。

ラマスワミは、ウクライナのNATO加盟に反対し、キエフは戦争を終結させるためにロシアに譲歩すべきであり、ロシアが既に占領しているウクライナの一部を、ロシアが保持することを認めるべきだと述べている。

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第1回の共和党の討論会における勝者と敗者(Winners and losers of the first GOP debate

ナイオール・スタンジ筆

2023年8月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4168420-winners-and-losers-of-the-first-gop-debate/

ミルウォーキー発。2024年米大統領選挙における討論会シーズンの幕開けとなった水曜日の夜、共和党候補者たちは激突した。

ドナルド・トランプ前大統領がフィサーブ・フォーラムで開催されたフォックス・ニューズ主催の討論会に参加しないことを決めたため、このイヴェントへの関心が下がり、視聴率も低下したようだ。

しかし、トランプはスポットライトを完全に譲った訳ではない。タッカー・カールソンとの会話は、討論会が始まる5分前に、かつてツイッターとして知られていたプラットフォーム「X」で生中継された。

トランプ氏は木曜、ジョージア州当局に出頭し、4度目の刑事起訴に直面し表舞台に戻ることになる。

ミルウォーキーでの討論会は、トランプ前大統領が直接介入したり邪魔したりすることなく、ライヴァルたちが多くの聴衆に接触する貴重な機会となった。

これから、重要な夜となった討論会における勝者と敗者について述べていく。

■勝者たち

●マイク・ペンス元副大統領(Former Vice President Pence

ペンスは討論会の参加資格を得るのに苦労した。必要な寄付者数などの基準を超えるのに他の候補者たちよりも長い時間が必要となった。

しかし、水曜日の夜、彼は多くの力強い割り込みや介入を行い、予想外の勝者となった。2021年1月6日の行動についての全候補者への質問が出されたが、これがペンスには予想外の追い風となった。

何人かのライヴァルたちは、程度の差はあったが、2020年の大統領選挙結果を証明し、それを覆そうとするトランプの圧力に耐えたペンスの行動に賛辞を送った。

他の場面では、ペンスの激しさ(特にヴィヴェック・ラマスワミに向けられたとき)が、この夜最も驚かされた要素だった。

討論会の序盤、ペンスは38歳のラマスワミに対して「今はオンザジョブトレーニング(on-the-job training OJT)をしている暇などない。ずぶの新人を入れる必要はない」と述べた。

ペンスはまた、中絶反対派の有権者に対して、聖書の語句を引用しながら、自身の中絶に関する長年の記録を思い出させる場面もあった

ペンスは予備選で大きな難題に直面しており、とりわけ共和党有権者からの不支持率は他のどの候補者よりも高い。

しかし水曜日は、これまでの選挙戦で最高の夜となった。

●クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事(Former New Jersey Gov. Chris Christie

クリスティは、ラマスワミがステージ上で「お金で買われていないそして支払われていない(not bought and paid for)」唯一の候補者であると豪語した直後、水曜日の夜で最もクリーンなショットを決めた。

憤慨したクリスティは、「今夜はもう、ChatGPTみたいな奴にはうんざりなんだ」と言い返した。

このセリフでクリスティは、約8年前に同様の討論会でフロリダ州選出のマルコ・ルビオ連邦上院議員を攻撃した時と同じように、ラマスワミの弱点を見つけたのかもしれない。

クリスティは当然のことながら、トランプとの違いも強調した。

彼は今回の選挙で最も反トランプ姿勢を明確に示している候補者であり、この事実自体が、彼の敗北をほぼ確実なものにしている。

トランプの複数の起訴について、クリスティは、人々がトランプ前大統領の行為を犯罪だと信じるかどうかにかかわらず、「誰かがこの行為を常態化させるのを止めなければならない、分かるか?」と述べた。

共和党支持層の大部分はクリスティの発言を嫌うだろう。しかし、ディベートの技術という点では、今回のステージで最も印象的なパフォーマンスだっただろう。

●フォックス・ニューズの司会者たち(Fox News’s moderators

フォックス・ニューズは様々なプレッシャーを受けながら討論会を行った。

4月にドミニオン・ヴォーティング・システムズと名誉棄損に関して、7億8700万ドルで和解したのは記憶に新しい。タッカー・カールソンの降板は、多くの視聴者を落胆させた。ドナルド・トランプは、フォックス・ニューズに対しても断続的に砲火を浴びせ続けている。

しかしフォックスは、討論会の共同司会者ブレット・ベイヤーとマーサ・マッカラムの働きによって、水曜日は良い夜を過ごすことができた。

ベイヤーとマッカラムのコンビは適当だと判断される場合には、候補者たちの衝突を許容しながら、討論会の進行全体をコントロールし続けた。ある場面では、ベイヤーは過剰な反応をする聴衆たちの方を振り向いて、そうした行動を諫めることもあった。

更に重要なことは、ペンス元副大統領と1月6日の連邦議事堂進入事件との関係、ウクライナ問題、妊娠中絶問題に関して、2人の巧妙な質問によって、明確な答えが導き出されたことだ。

●ニッキー・ヘイリー元米国連大使(Former United Nations Ambassador Nikki Haley

討論会の印象は、人々の記憶に残る瞬間によって決まることが多い。

この基準に当てはめると、ヘイリーは討論会の夜を素晴らしく過ごしたことになる。

彼女は中絶(abortion)に関してライヴァルたちとは異なる立場を主張し、連邦政府による妊娠初期での中絶禁止や「これほど個人的なこと」の決定における最高裁判所判事の役割について懐疑的な姿勢を表明した。

ヘイリーはトランプを「アメリカで最も嫌われている政治家(the most disliked politician in America)」と明確に指摘し、彼を先頭にしては共和党の勝利など望めないと主張した。

しかし、彼女にとっての唯一にして最大の瞬間は、ウクライナへの資金提供に対する起業家ラマスワミの深い懐疑に対して激怒した瞬間であった。

彼女はロシアのウラジーミル・プーティン大統領に言及しながら、「この男は殺人者であり、あなたは親米国であるウクライナよりも殺人者を選んでいるのだ」とラマスワミに言い放った。

ラマスワミが弁明しようとすると、ヘイリーは更に圧力をかけた。「あなたには外交政策の経験がない。それが良く出ている」とヘイリーはラマスワミに述べた。

■勝ち負けがはっきりしない(Mixed

●ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

ラマスワミが、最も意見が分かれるであろう候補者であることは、ほぼ間違いないところだ。

ラマスワミの支持者たちが、彼が輝いていたと主張する理由は簡単だ。彼は明らかに異質であり、激しい言葉の暴力に耐え、新しい若い世代の感性にユニークにマッチした候補者である。

ラマスワミが他の候補者たちに狙われた度合いも、彼が与える脅威の大きさに比例したものである。

しかし、特にウクライナ問題や、大統領に選出されたらトランプの前科をすべて赦免するという馬鹿げた約束など、浅はかさも感じられた。

彼の全体的な態度にも疑問符がつく。彼のファンが自信と明晰さとみなす特徴は、自己満足と口先だけのように感じられる。

ラマスワミは、このような大勢の聴衆の前で自分を知らしめることができたという一点で、世論調査の数字が上昇することにつながるかもしれない。

しかし、彼の弱点もまた大きく暴露されることになった。

■敗者たち

●フロリダ州知事ロン・デサンティス(Florida Gov. Ron DeSantis

デサンティスはミルウォーキーで大きな一夜を過ごす必要があった。しかし、それは叶わなかった。

フロリダ州知事デサンティスは明らかな失言をした訳ではなかった。しかし、素晴らしい瞬間があった訳でもなく、更に重要なのは、どの場面でも討論会で自分を押し出すことができなかったことだ。

長い時間、デサンティスは討論会の背景の中に溶け込んでしまっていた。

これは非常に大きな問題だ。何故なら、デサンティスの選挙キャンペーンは、「自分がトランプに代わる唯一の候補者であること」を前提にしているからだ。

デサンティス候補の選挙戦はスタート時点から下降線をたどっており、水曜夜のリハーサルを重ねすぎたように見えたパフォーマンスによって、その流れが変えられるなどとは考えられない。

●ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出)(Sen. Tim Scott (S.C.)

共和党予備選挙候補者の中には、トランプ、デサンティス、そして台頭著しいラマスワミに次ぐ、明確な第2集団がすでに存在する。そこにはペンス、ヘイリー、スコットが含まれている。

スコットは、この3人の中で最も印象を残せない夜を過ごした。サウスカロライナ州選出の連邦上院議員は多くの共和党員や支持者に好かれているが、彼の控えめな愛想の良さは論争の多い討論会には不向きだ。

スコットは、クリスティとラマスワミの口論に割って入り、次のように主張した。「子供じみたやりとりで行ったり来たりするのは、アメリカ国民のためにはならない」。

しかし、討論会のほとんどの時間で、スコットはインパクトに欠けていた。

また、ヘイリーの存在はスコットにとって危険だ。選挙戦を進めるにあたって、非常に重要な地元州をヘイリーとスコットが共有するなど、2人の共通点を考えれば、両候補が長期的に見て成功する余地はないということになるだろう。

●ノースダコタ州知事ダグ・バーガムとアサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事(North Dakota Gov. Doug Burgum and former Arkansas Gov. Asa Hutchinson

世論調査で下位に沈んだ2人の候補者にとっては、ステージの端っこで立ち往生する厳しい夜になることはあらかじめ目に見えていた。

両者共にブレイクする瞬間はなかった。

バーガムに関する最大の注目は、討論会当日にバスケットボールをしてケガをしてしまい、病院に運ばれた彼がステージに立てるかどうかということだった。

ハッチンソンはいつものようにトランプ批判を展開し、憲法修正第14条が「反乱や反乱を起こした者が大統領になることを禁じている」ことから、この条文は、ドナルド前大統領の再出馬を禁じている可能性があるとまで発言した。

この発言に対して聴衆からのブーイングを受けた。

それでも、バーガムとハッチンソンが直面している最大の疑問は、いかにして自分たちの存在をアピールするかということだ。

両者共に、水曜日の討論会ではこの疑問に対する回答を見えることができなかった。

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第1回の共和党討論会の後、トランプはラマスワミを称賛(Trump praises Ramaswamy after first GOP debate

キャロライン・ヴァキール筆

2023年8月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4168687-trump-praises-ramaswamy-after-first-gop-debate/

ドナルド・トランプ前大統領は、バイオテクノロジー起業家ヴィヴェック・ラマスワミを賞賛した。共和党のミレニアル世代であるラマスワミは、第1回の米大統領選挙共和党予備選挙の候補者討論会でトランプを擁護した。

「この回答は、ヴィヴェック・ラマスワミに大勝利をもたらした。それは、TRUTH(真実)と呼ばれるものであったからだ。ありがとう、ヴィヴェック!」。トランプは木曜日の早朝、自身のプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

トランプは、38歳の共和党候補ラマスワミが第1回討論会で、「トランプ大統領は、21世紀最高の大統領だったと思う」と発言したラマスワミの発言のクリップを掲載した。

マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元米国連大使、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事などの候補者たちが共和党の新進気鋭の候補者であるラマスワミにジャブを浴びせたが、ラマスワミは水曜夜の討論会で注目の的となった。

クリスティは討論会において、トランプを追及した。トランプは、フォックス・ニューズと共和党全国委員会(RNC)が開催した討論会には出席せず、代わりに元フォックス・ニューズの司会者タッカー・カールソンとの録画済みインタヴューを公開した。結果として、トランプは、フォックス・ニューズと共和党全国委員会(RNC)を冷たくあしらうことになった。そうしたトランプ元大統領を討論会で擁護した唯一の候補者は、ラマスワミだった。

「重要な結論はこうだ。誰かがこのような行為が常態化するのを止めなければならない。理解できるだろうか? さて、刑事告発が正しい、もしくは間違っている、どちらを信じるにしても、この行為はアメリカ大統領にふさわしくない」。クリスティは討論会で、司会者たちから、法的な問題があるにせよ、トランプを党の大統領選挙候補者として支持するかどうかいついて発言を躊躇する理由を問われて、このように答えた。

ラマスワミは「私もこの議題について入って、質問に答えたい。本当のことを言いますよ?トランプ大統領は、21世紀最高の大統領だったと確信します」と述べた。

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ウクライナをめぐる共和党の論争が舞台へ(The GOP’s Debate on Ukraine Takes Center Stage

-トランプ大統領がいない状況ではあるが、共和党の外交政策における最大の争点はウクライナである。

ジャック・ディッチ筆

2023年8月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

By Jack Detsch

https://foreignpolicy.com/2023/08/24/republicans-united-states-gop-debate-foreign-policy-ukraine/?tpcc=recirc_latest062921

ドナルド・トランプ前米大統領は、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党の2024年米大統領予備選の第1回討論会に出席しなかった。しかし、トランプが初めて大統領選に出馬した時と同じように、水曜日の夜、ステージに上がった候補者たちの中で、外交政策のサンドバッグ(punching bag)となったのは造反候補者だった。

フォックス・ニューズの司会者たちは、トランプが直面している数ある法的問題のどれかで有罪判決を受けた場合、前大統領を共和党候補として支持するかどうか候補者たちに質問し、トランプの不在が中心的な話題となったが、水曜日の夜の基調は外交政策の違いによって決められた。対ロシア戦争におけるウクライナへのアメリカの支援をめぐる争いは、特に激しいものだった。

企業家のヴィヴェック・ラマスワミは、政治家としては新人だが、世論調査では下位集団から一貫して上昇し続けてきて3位まで上げてきた。この夜の討論会では、アメリカはウクライナに対する支援を止めるように訴えて、最初に大きな拍手を受けた。

ラマスワミは「私たちはロシアを更に中国の手の中に追いやることになる」と発言した。討論会に先立ち、ラマスワミは、モスクワが中国との関係を断つ代わりに、ロシアが軍事的に占領しているウクライナの一部地域の支配権を保持することをアメリカが許可するように求めていた。

ウクライナの反攻(counteroffensive)が停滞している状況で、キエフへの支持は共和党内の主要な争点となっている。先週、影響力のある保守系シンクタンクであるヘリテージ財団(Heritage Foundation)のトップの国防専門家が、ヘリテージ財団のケヴィン・ロバーツ会長が書いた論説に失望し幻滅したとして、財団を去った。論説の中でロバーツは、ハリケーン被害救済よりもウクライナ支援を優先する議員を非難した(この記事は、かつてツイッターとして知られていたソーシャルメディア「X」の公開ファクトチェックで人々からの憤慨を集めた)。

しかし、より主流の保守派の人々は、ラマスワミやロバーツらの主張は完全に間違っていると考えている。「ファウンデーション・フォ・ディフェンス・フォ・デモクラシーズ()」の上級研究員であるマーク・モンゴメリーは次のように述べている。「私の考えでは、ウクライナへの援助を贈り物や慈善事業のように扱うことはできない。これはアメリカの国益に関わることだ。苦境に立たされた民主政体国家に対する、攻撃的な権威主義的行動には、摩擦(衝突)が起きている時点で立ち向かわなければならず、一歩下がって、次のラインで何かをするということはあり得ない」。

ラマスワミの立場は、水曜日のステージで共和党の他の候補者たちとも対立することになった。候補者たちのほとんどは、ウクライナ人にアメリカの銃を提供することで、アメリカは利益を得ており、それによってロシア軍を弱体化させることができると考えている。

「次はわれわれの番だ」とクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事は「次は私たちの番だ」語った。マイク・ペンス前副大統領は、ラマスワミへの攻撃が続く中、ロナルド・レーガンの「強さによる平和(peace through strength)」という言葉に注意を向けさせようとし、ラマスワミが「地球上で最も偉大な国家をかなり小さく見ている(pretty small view of the greatest nation on earth)」と罵った。

ニッキー・ヘイリー前サウスカロライナ州知事から、政治的新人ラマスワミはプーティンという人殺しの味方をしようとしていると非難された。ラマスワミは、ステージの他の人々を、防衛産業に従順なジョージ・W・ブッシュ時代のネオコンたち(George W. Bush-era neoconservatives beholden to the defense industry)だと決めつけた。「ロッキード社かレイセオン社の役員になれるよう、幸運を祈ります」とヘイリーに向かって言った。

しかし、トランプ政権下で国連大使を務めたヘイリーはすぐに反撃した。ヘイリーは「あなたには外交政策の経験がなく、それが表れている」と発言し、この夜最大の拍手を受けた。

フロリダ州のロン・デサンティス知事は、自らを対中強硬派(China Hawk)に見せようと努力したが、一方でウクライナに関するやりとりの間はほぼ沈黙を守っていた。それでもデサンティスは、アメリカがウクライナを支援するためには、ヨーロッパ諸国の更なる支援を条件とすべきだと述べた。デサンティスは以前、ロシアによるウクライナへの全面侵攻(full-scale invasion)を「領土問題(territorial dispute)」と呼んだ。

ティム・スコットが麻薬フェンタニルの致命的な拡散を嘆いた後、デサンティスはメキシコの麻薬カルテルを外国のテロ組織として指定することを強く主張した。テロ組織指定によってアメリカは経済制裁を科すことが可能となる。でサンティスは更に、国境を越えてアメリカに麻薬を流す密売人たちを「冷たい死体(stone cold dead)」とすることを約束した。ペンスは、国防総省がメキシコ軍と提携してカルテルを討伐することを主張した。

国境問題や中国問題で、候補者たちの間での意見の一致が見られた。しかし、このような一地点はあったが、ウクライナについては大きな対立を隠れている。ペンスや他の共和党エスタブリッシュメント派が問題視していたのは、ウクライナへの軍事援助が約500億ドルにまで達しているが、この金額は多すぎるのではなく、小さすぎるということだった。

モンゴメリーは、「この問題に関して議論をしなければならないことは明らかだ。しかし、私が言いたいことは、ウクライナ支援に関する議論については、ウクライナへの支援継続を信じる人々が勝利すべきだということだ」と述べた。

※ジャック・ディッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@JackDetsch

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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