古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ノルドストリーム

 古村治彦です。

 最初に最新刊の宣伝をします。2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』が発売になります。年末年始の読書計画の1冊にお加えください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2022年2月24日に始まったウクライナ戦争は、2023年中も継続し、2024年になろうとしている。ウクライナ戦争は世界中の人々の生活を直撃した。石油価格の高騰のために、物価高が引き起こされた。日本でも電気料金の値上げや生活必需品価格の高騰が起きている。戦争当事国のロシアは石油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸出国として知られ、ヨーロッパ諸国はロシアに依存していた。それがウクライナ戦争によって安いロシアからの石油が入らなくなり、代替としてアメリカからの高い石油や天然ガスを輸入せざるを得なくなり、生活は苦しくなっている。

 昨年、「ウクライナ戦争はエネルギー構造を変革するための良いきっかけだ」という内容の論稿が発表されていた。著者のメーガン・オサリヴァンは、2003年から2023年まで、アメリカの外交評議会会長リチャード・ハースの片腕的存在である。オサリヴァンはアメリカの外交政策に影響を与えることができる存在だ。
meghanosullivan002

メーガン・オサリヴァン
 オサリヴァンは、環境保護のために、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料に依存する構造を変革する必要があり、ウクライナ戦争はそのための絶好の機会となると主張している。外国からのエネルギー資源輸入に頼っているのは国家安全保障上好ましくないので、そこを変革するということを述べている。こうした主張は、2001年の同時多発テロ事件発生後にもなされていた。そして、保守派と環境保護派が呉越同舟で、「石油に頼らないようにする」と盛んに喧伝していた。保守派の政治家とハリウッドのリベラルに見せたい有名俳優たちがこぞって、トヨタのプリウスを購入し、それに乗っている姿をメディアに撮影させていたことを思い出す。しかし、その後はそうした主張は下火になっていたが、オサリヴァンはそうした主張を再び俎上に載せようとしている。

 こうした議論は一見すると、環境保護につながるし良いことだと思われるかもしれないが、物事には表もあれば、裏もある。裏の理由は、アメリカで産出されるシェールオイルと天然ガスをヨーロッパ諸国や日本に輸出しようというものだ。これらの国々をアメリカに依存させようというものだ。そのために、アメリカは、ロシアからドイツに天然ガスを送っていたパイプラインであるノルドストリームを爆破して使えなくした。結果として、ドイツは物理的にロシアからの安い天然ガスを輸入できなくなり、アメリカからの高いエネルギー資源を買わざるを得なくなった。こうしたことは最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で詳述している。

 アメリカがきれいごとを言う時には、必ず裏があるということを世界各国は良く知っている。それをよく分からないでほいほいと受け入れてしまうのは日本の悪いところだ。まず、「アメリカを疑う」という姿勢を身に着けるところから、私たちは始めなければならない。

(貼り付けはじめ)

ウクライナ危機はエネルギーと気候の協力のための貴重な機会を提供する(The Ukraine Crisis Offers a Rare Chance for Energy and Climate Cooperation

-ロシアのウクライナ戦争は、世界のエネルギー需要に関するいくつかの困難な真実を露呈した。

ジェイソン・ボードフ、メーガン・L・オサリヴァン筆

2022年4月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/04/18/ukraine-russia-war-oil-energy-climate-gas-prices/

夏のドライヴシーズンを前に、アメリカのガソリン価格は過去最高値に近い水準にある。しかし、そろそろ回復の兆しが見えてきた。原油価格の下落により、今後数週間のうちにガソリン価格は1ガロンあたり4ドルを下回る見込みだ。

原油価格下落の主な原因は、ジョー・バイデン政権が最近発表したアメリカ史上最大規模の戦略備蓄原油(strategic stockpiles)の放出と、それに続くヨーロッパ諸国の小規模ながら効果的な放出にある。バイデン米大統領は、この動きを説明する中で、世界の現在のエネルギー需要を満たすためには、現時点ではより多くの化石燃料が必要であるという難しい事実を認めた。しかし、バイデンはもう一つの困難な真実も認めている。それは、世界はクリーンエネルギーの未来に向かってより迅速に動く必要があるということだ。

このエネルギーの2つのステップこそが、世界が現在のロシアとの危機をうまく切り抜け、よりクリーンなエネルギーの未来を確保する唯一の方法なのである。この2つの目標を達成するためには、エネルギー論議における現在の隔たりを埋めるとともに、気候専門科学者、環境保護論者、国家安全保障分野のタカ派、石油・ガス産業が、今日のエネルギー需要を満たし、明日の化石燃料の需要を大幅に削減することを支持する連合体を形成することが必要だ。

超党派の連合というと政治的な印象を受けるかもしれないが、そのような連合には前例がある。2001年9月11日の同時多発テロとアメリカのイラク侵攻をきっかけに、保守的な国家安全保障論者たちが環境活動家と手を組み、石油の輸入は、国家安全保障と環境の両面にリスクがあるとして、2025年までに石油使用量を半分にするように連邦議会に対して要求したのが2004年のことだった。それから20年近くが経過したが、アメリカのフラッキングブームで一息ついた、保守派と環境保護派の連合については忘れられてしまい、アメリカの石油需要は変化していない。

 

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の後、国家安全保障を理由に、この連合を復活させる機会が再び到来している。ウクライナ侵攻は、当面のエネルギー需要に対応する必要性から、ウラジーミル・プーティン大統領に十分な圧力をかける手段が限られていることを露呈している。ドイツのショルツ首相は、ロシアの石油を禁輸すれば、「わが国とヨーロッパ全体を不況に陥れることになる」と述べている。ドイツの駐米大使もツイッターで同じことを主張したばかりだ。一方、今回の危機は、化石燃料への依存を減らすための集団的な失敗が、世界を地政学的な脅迫(geopolitical blackmail)に対して脆弱な状態にしていることも明らかにした。

ウクライナ侵攻から6週間が経過したばかりの段階で、2つの点が明白になったようだ。それらは、「アメリカは、当面のエネルギー安全保障の必要性に対する課題をよりよく克服しなければならないこと」、そして、「同時に未来をグリーンなものに作り変えなければならないこと」である。

これら2つの課題には反対論が存在する。環境保護主義者や民主党所属の連邦議員の多くは、化石燃料の生産やインフラへの投資を増やすことに反対している。同時に、化石燃料業界の多くは、連邦議会の共和党所属議員の多くとともに、エネルギー転換を促進するために必要な支出やその他の措置を承認することに抵抗している。この膠着状態(stalemate)は、表面的には妥協の余地がほとんどないことを示している。

今こそ、エネルギーと気候の両分野の指導者たちが、凝り固まった立場から一歩引いて、この国が本当に必要としているもの、すなわち、今日のエネルギー・ニーズを満たしながら、将来的にはより野心的な気候変動対策を確保するグランド・バーゲン(極めて重要な取引)を模索する時だ。このコンセンサスを得るためには、各方面が忌み嫌う行動を受け入れる必要があるが、合意ができれば、最終的には、はるかに悪い代替案の数々よりも望ましい結果をもたらすことになる。

具体的には、気候変動コミ​​ュニティは、ロシアの侵略に直面して、手頃な価格で安全で信頼できるエネルギー供給を確保するために、今日のエネルギーシステムへの短期的な投資の必要性を認識すべきである。今そのような投資を行わなければ、それ自体がエネルギー転換に対する脅威となる。気候変動を巡る政策はこれまで困難であったが、最も弱い立場にある消費者がエネルギーコストに過剰な負担を感じている世界では、気候変動はさらに厄介なものとなるだろう。

フランスの悪名高い「黄色いベスト」抗議運動から、燃料価格の高騰をめぐるアイルランドのトラック運転手による最近の抗議運動まで、人々が暖房や自動車を運転するための料金の支払いに苦労しているとすると、エネルギーコストを直ちに引き下げることが政治的急務であることはますます明白になっている。結果として、より野心的でコストのかかりそうな気候変動政策への支持は縮小することになる。

実際、今日ヨーロッパ全土で目を見張るようなエネルギー料金に対応して、各国政府は燃料税を削減し、エネルギー費用に補助金を出しているが、これはまさにエネルギー節約と代替エネルギー源への移行を促進するために行うべきこととは正反対である。市場ベースのエネルギー価格の高騰自体が原因であるかもしれないが、エネルギー価格の高騰は、燃料税のような政府の政策よりもはるかに大きな苦痛を生み出している。また、燃料税は特に低所得世帯への影響を緩和するために使用できる政府歳入も生み出す。

短期的、もしくは中期的には、石油・ガス・インフラの許認可や開発が、既存の鉱区などでの供給を強化するために必要になるだろう。また、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)が最近記したように、一朝一夕にはいかない移行期において、金融機関が炭化水素プロジェクト(hydrocarbon projects)の一部に投資する必要もある。

最新の気候変動に関する政府間パネル報告書が明らかにしているように、既存および新規の化石燃料インフラを通常の経済的耐用年数の最後まで稼働させることは、温暖化を摂氏1.5度に抑えることと両立できない。したがって、現在建設されているインフラの一部は、「移行資産(transition assets)」と考えられ、世界が気候変動目標を達成した場合に投資家が期待リターンを得られる通常の期間よりも早く引退させる必要があるかもしれない。そうすることで、中国が既に液化天然ガス(liquified natural gasLNG)のヨーロッパへの供給分を補うために石炭を増産しているように、ロシア産ガスの不足分を補うことになる。

シェールオイルと天然ガスは、継続的な投資がなければ生産量が急減するため、移行に適している。その結果、クリーンエネルギーによって石油と天然ガスの使用量が減少するにつれて、シェールオイルと天然ガスの生産はより迅速に段階的に縮小させることができる。必要な投資には、アメリカ国内の供給を支えるものだけでなく、欧州大陸が石炭に回帰することなくエネルギー需要を確実に満たすためには、欧州へのLNG輸送を拡大することも含まれる。

グランドバーゲンの裏側で、石油・転園ガス産業はエネルギー転換にもっと全面的に参加し、化石燃料への中長期的な依存がアメリカの環境、経済、社会、そして国家安全保障に危険をもたらすことを認識する必要がある。特に気候変動とクリーンエネルギーの劇的なコスト低下に対処する緊急性の高まりと、石油とガスの使用量を削減するという国家安全保障上の責務が明らかになっていることから、ウクライナ危機によって、産業界がクリーンエネルギーの未来に向けた避けられない方向性を認識する機会を提供することになる。

短期的な石油・天然ガス増産策には、メタンガス漏れやフレアリングの排除など、高い環境基準を求める厳しい要件だけでなく、長期的に石油・ガスの使用を削減するためのより強力な対策を即座に支援するという、企業による拘束力のある関与が必要だ。

産業界を含む広範なコンセンサスに裏打ちされた強力な政策シグナルと、政府による賢明な許認可は、炭化水素インフラへの追加投資が、エネルギー需要を満たすために必要な額を超えないようにすると同時に、エネルギー転換を加速させるのに役立つだろう。

そのためには、成立の見込みがほとんどない法案にリップサービスをすること以上の作業が必要だ。今日のエネルギー供給が容易になる代わりに、石油・天然ガス会社には、バイデンの「ビルド・バック・ベター(Build Back Better)」法案のクリーンエネルギー関連法案のような、将来的に炭化水素の使用を削減するための幅広い対策を支持することが求められるだろう。

このような対策がもたらす気候変動への長期的な恩恵は、今日の照明や暖房を維持するために必要な追加的なインフラや生産に伴う排出量をはるかに上回るだろう。さらに、企業は気候変動に関するロビー活動を開示し、連邦議会に対する民間による働きかけと公的な声明が一致していることを示すべきである。

エネルギー転換は、それが必要ではあるが、かつ、複雑で地政学的に不安定なものになるだろう。そのくねくねとした道筋をスムーズに進むためには、より多くの社会的コンセンサスが必要だ。ロシアのウクライナ侵攻は、その悲劇は残念なことであるが、そのようなコンセンサスを形成する機会を与えてくれる。左派にも右派にもにも寄り過ぎることなく、多種多様な勢力を連合に結集して、現在を捨てることなく集合的に未来を掴むことによってエネルギー転換は可能となる。

※ジェイソン・ボードフ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、コロンビア気候スクールの共同創設者、コロンビア大学国際公共政策大学院のグローバルエネルギー政策センターの創設部長。国際公共政策の専門実践の教授を務めている。アメリカ国家安全保障会議の元スタッフでバラク・オバマ前米国大統領の特別補佐官を務めた。ツイッターアカウント:@JasonBordoff

※メーガン・L・オサリヴァン:ハーヴァード大学ジーン・カークパトリック記念国際問題実践担当教授。著書に『僥倖:新しいエネルギーの豊かさは、いかにして世界政治を変え、アメリカの力を強化するか(Windfall: How the New Energy Abundance Upends Global Politics and Strengthens America’s Power)』がある。ジョージ・W・ブッシュ政権下で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(イラク・アフガニスタン担当)、大統領特別顧問を務めた。ツイッターアカウント:@OSullivanMeghan

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。
seymourhersh001

シーモア・ハーシュ
 ハーシュの論稿の最後の3分の1をご紹介する。アメリカとノルウェーは共犯関係になった。ノルウェーにしても北海で産出する石油で大儲けしたいところだった。北海油田で言えばイギリスの方が産出額じゃ多い。ウクライナ戦争によってエネルギー価格の高騰が続くことで利益を得ることができる。イギリスがウクライナに強い後押しをしているのはこういうところにも理由があるのだろう。

northseaoilproductionnorwayandukgraph001

 作戦はバルト海でのアメリカ主導のNATOの演習(毎年開催)に紛れて実行されることになった。各国からの多くの艦艇が参加することで「森の中に木を隠す」ことができ、デンマークやスウェーデンに察知されないということも期待できる。しかし、作戦決行が近づいてまた難題が持ち上がってきた。バイデン大統領が現場に対して、演習の直後ではあまりにも露骨すぎるので、爆薬を遠隔操作で爆発させる方法を見つけ出すように要求してきたのだ。現場は混乱したが、それでも方法は見つかった。それは特定の周波数の合図で爆発させることであった。しかし、海上や海面、海中には様々な音源があり、それらに反応して偶発的に爆発する危険はあった。しかし、作戦は無事に成功した。

 アメリカの主要メディアはノルドストリームの爆破について「不思議だ」「ミステリーだ」などと空っとぼけて報道した。何のことはない、多くの人が「アメリカがやったに決まっている」ということが、ハーシュの論稿で明らかになった。それでもアメリカ政府は「フェイクだ」「嘘だ」「作り話だ」としらを切り通すしかない。アメリカ大統領が秘密命令を出して、他国の施設を攻撃させたというのは犯罪行為であり、何よりも戦争行為である。今回のノルドストリーム爆破を理由にして、ロシア、ドイツ、デンマークがアメリカに宣戦布告してもおかしくはない。ウクライナ戦争の当事国であるロシアに対して、アメリカはウクライナ支援に一定の制限を設けることで直接戦争にならないように気を遣っている。そうした努力が全く無駄になってしまう。

 バイデン個人について言えば、このような犯罪行為が明らかになって、大統領選挙への悪影響は大きいだろう。簡単に言えば、再選の可能性は潰えてしまう。連邦下院で過半数を握っている共和党が議会の調査権を使用してこの問題を追及し、何かしらの証拠や証言が出れば、バイデンはアウトということになるし、たとえ確固とした証拠や証言が出なくても、バイデンへのマイナスの影響は大きい。ノルドストリーム爆破事件はウクライナ戦争を変えるほどの大きな爆弾になる可能性がある。

(貼り付けはじめ)

この時、パナマシティにある海軍の秘密のベールに包まれた深海潜水集団が再び活躍することになる。パナマシティの深海学校の出身者たちがアイビー・ベルズ作戦に参加した。アナポリスの海軍兵学校を卒業し、海軍特殊部隊(ネイヴィーシールズ)、戦闘機パイロット、潜水艦乗りになることを目指すエリートたちにとって、この学校は避けたい場所に映るものである。もし、「ブラック・ショア(Black Shore)」、つまり、あまり好ましくない水上艦の司令部に所属しなければならないのなら、少なくとも駆逐艦、巡洋艦、水陸両用艦の任務が希望される。最も華やかさに欠けるのが機雷戦(mine warfare)である。そして、機雷戦に参加する潜水士たちがハリウッド映画に登場したり、人気雑誌の表紙を飾ったりすることはない。

前述の情報源は「深海潜水の資格を持つ最高の潜水士たちの世界は狭いコミュニティで、最高の中でも最高の潜水士たちが作戦のために採用され、ワシントンのCIAに呼び出されるので心の準備をするようにと言われる」と語った。

ノルウェー政府とアメリカ政府は作戦の実行地域と作戦内容を決めていたが、別の懸念も存在した。それはボーンホルム島周辺海域で異常な水中活動があれば、スウェーデンやデンマークの海軍の注意を引き、通報される可能性があるというものだ。

デンマークはNATOの最初期加盟国の1つであり、イギリスと特別な関係にあることは情報機関でも知られている。スウェーデンは NATO 加盟を申請しており、水中音波と磁気センサーシステムの管理で 優れた技術を有しており、スウェーデン群島の遠隔海域に時々現れては浮上するロシア海軍潜水艦の追跡に成功した実績を持っている。

ノルウェー側はアメリカ側と協力して、デンマークとスウェーデンの高官数名に、この海域での潜水活動の可能性について一般論として説明するよう主張した。そうすれば、上層部の誰かが介入して、指揮系統から報告書を排除することができ、パイプライン破壊作戦の実行を保護することができる。(ノルウェー大使館に対して、この記事についてコメントを求めたが、返答はなかった。)

ノルウェー政府は、他のハードルを解決するための重要な存在だった。ロシア海軍は、水中機雷を発見し、作動させることができる監視技術を持っていることが知られている。アメリカの爆発物は、ロシアのシステムから自然な背景の一部として見えるようにカモフラージュする必要があり、そのためには海水の塩分濃度に適応させる必要があった。ノルウェー側にはその解決策があった。

ノルウェー政府は、この作戦をいつ行うかという重要な問題についての解決策も持っていた。ローマの南に位置するイタリアのガエータに旗艦を置くアメリカ第6艦隊は、過去21年間、毎年6月にバルト海でNATOの大規模演習を主導し、この地域の多数の同盟諸国の艦船が参加してきた。6月に行われる今回の演習は、「バルト海作戦22(BALTOPS 22)と呼ばれるものである。ノルウェー側は、この演習が機雷を設置するための理想的な隠れ蓑になると提案した。

アメリカ政府は1つの重要な要素を提供した。それは、第6艦隊の計画担当者たちを説得して、プログラムに研究開発演習を追加させたことだ。米海軍が公表したこの演習は、第 6艦隊が海軍の「研究・戦争センター」と共同で行うものであった。ボーンホルム島沖で行われるこの海上演習では、NATOの潜水士ティームが機雷を設置し、最新の水中技術で機雷を発見・破壊するのを競い合うという内容だった。

これは有益な訓練であると同時に、巧妙な偽装でもあった。パナマシティの若者たちは、「バルト海作戦」の終了までにC4爆薬を設置し、48時間のタイマーを取り付ける。アメリカとノルウェーの関係者たちは、最初の爆発が起こる頃には、全員いなくなっているという手筈になっていた。

作戦実行日に向けてカウントダウンが始まった。「時計は時を刻み、私たちは任務達成に近づいていた」と前述の情報源は述べた。

そしてこの時、ホワイトハウスは考え直していた。爆弾は「バルト海作戦」の期間中も仕掛けられるが、ホワイトハウスは爆発までの期間が2日間では演習の終了に近すぎるし、アメリカが関与したことが明らかになることを懸念した。

その代わりに、ホワイトハウスは新たな要求を出した。それは、「現場の要員たちで、遠隔地からの命令でパイプラインを爆破できる方法を考えだすことは可能だろうか?」というものだった。

この大統領の優柔不断な態度に、計画ティームの中には怒りや苛立ちを覚える人たちもいた。パナマシティの潜水士たちは、「バルト海作戦」の期間中にパイプラインにC4爆弾を仕掛ける練習を繰り返していた。しかし、ノルウェーのティームは、バイデンが望むような方法、自分の好きな時間に実行命令を出すことができる、について新しい方法を考え出さなければならなくなった。

恣意的な土壇場での変更を任されることは、CIAにとってはこれまでも行ってきたことでもあり慣れていた。しかし、それはまた、作戦全体の必要性と合法性について一部が共有した懸念が新たに出てきた。

バイデン大統領の秘密命令はヴェトナム戦争当時にCIAが抱えていたディレンマを思い起こさせるものとなった。当時のリンドン・ジョンソン大統領は、ヴェトナム反戦運動の高まりに直面し、CIAがアメリカ国内で活動することを禁じた憲章に違反し、反戦運動の指導者がソ連にコントロールされていないかどうかを監視するよう命じた。

CIAは最終的に黙認し、1970年代を通じて、CIAが自ら進んで犯罪王位に手を染めていたことが明らかにされた。ウォーターゲート事件の後、新聞の暴露報道によって、アメリカ市民に対するスパイ活動、書外国の指導者暗殺への関与、サルヴァドーレ・アジェンデの社会主義政府の弱体化にCIAが関与しことが明らかになった。

これらの暴露は、1970年代半ばにアイダホ州選出のフランク・チャーチ連邦上院議員を中心とする連邦上院での一連の派手な公聴会につながり、当時のCIA長官リチャード・ヘルムズが、たとえ法律に違反することになっても大統領の望むことを行う義務があることを認めていたことが明らかになった。

ヘルムズは、書類化されていない、非公開の証言において、大統領からの秘密命令を受けて「何かをするときは、ほとんど無原罪(Immaculate Conception)のようなものだ」と残念そうに説明した。ヘルムズは続けて「それが正しいことであれ、間違っていることであれ、CIAは政府の他の部分とは異なる規則と基本的なルールの下で働いている」。彼は本質的に、CIAのトップとして、憲法ではなく王室のために働いてきたと理解していることを連邦上院議員たちに伝えていた。

ノルウェーで作戦に従事したアメリカ人たちも、同じような行動様式のもとで、バイデンの命令でC4爆薬を遠隔で爆発させるという新しい問題に、ひたすら取り組み始めた。しかし、これはワシントンにいる計画者たちが想像していたよりもはるかに困難な課題となった。ノルウェーのティームには、大統領がいつボタンを押すか分からない。数週間後なのか、数カ月後なのか、半年後なのか、それ以上なのか?

パイプラインに取り付けられたC4は、飛行機で投下されたソナーブイによって短時間に作動するが、その手順には最先端の信号処理技術が使われていた。そのためには最先端の信号処理技術が必要である。いったん設置された遅延装置は、船舶の往来が激しいバルト海では、近海・遠洋の船舶、海底掘削、地震、波、さらには海の生物など、さまざまなバックグラウンドノイズが複雑に絡み合って、誤って作動する可能性がある。これを避けるために、ソナーブイを設置した後、フルートやピアノが発するような独特の低周波音を連続して発し、それをタイミング装置が認識して、あらかじめ設定された時間の遅延後に爆発物を起動させるのだ。「他の信号が誤って爆薬を爆発させるパルスを送らないような強固な信号が必要となる」と私はMITの科学技術・国家安全保障政策の名誉教授であるセオドア・ポストール博士から教えられた。米国防総省の海軍作戦部長の科学アドヴァイザーを務めたこともあるポスドル博士は、バイデン大統領の後からの命令(時間を置いて爆発させたい)のためにノルウェーのグループが直面した問題は偶然の事故であったと述べた。ボストル博士は「爆薬が水中にある時間が長ければ長いほど、ランダムな信号によって爆弾が発射される危険性が高くなる」と述べた。

2022年9月26日、ノルウェー海軍のP8偵察機が一見、日常的な飛行を行い、ソナーブイを投下した。その信号は水中に広がり、最初はノルドストリーム2、そしてノルドストリーム1へと到達した。数時間後、高出力C4爆薬が作動し、4本のパイプラインのうち3本が使用不能に陥った。数分後には、停止したパイプラインに残っていたメタンガスが水面に広がり、取り返しのつかないことが起こったことを世界中が知ることになった。

●副次的な影響(FALLOUT

パイプライン爆破直後、アメリカのメディアはこの事件を未解決のミステリー(unsolved mystery)のように扱った。ホワイトハウスのリークに促され、何度も犯人としてロシアの名前が挙げられたが、単なる報復以上の自虐的行為にしかならない爆破についての明確な動機が明確にされることはなかった。数ヵ月後、ロシア当局がパイプラインの修理費用の見積もりをひそかに取っていたことが明らかになると、ニューヨーク・タイムズ紙はこのニューズを「攻撃の背後にいる人物についての説を複雑にしている」と評した。バイデンやヌーランド国務次官によるパイプラインへの脅しについて、アメリカの主要紙は掘り下げることはなかった。

ロシアがなぜ自国の儲かるパイプラインを破壊しようとしたのか、その理由は決して明らかではなかったが、ブリンケン国務長官が大統領の行動の拠り所となる根拠を示した。

昨年9月の記者会見で、西ヨーロッパで深刻化するエネルギー危機の影響について問われたブリンケン国務長官は、この瞬間は潜在的には良いものであると述べた。彼は次のように述べた。

「ロシアのエネルギーへの依存をなくし、プーティン大統領から帝国主義を推進するための手段としてエネルギーを武器化する手段を取り上げる絶好の機会である。このことは非常に重要であり、今後何年にもわたって戦略的な機会を提供することになる。しかし一方で、私たちは、この全ての結果が、アメリカの、あるいは世界中の市民にとっての大きな負担とならないようにするために、できる限りのことをする決意を固めている」。

更に最近になって、ヴィクトリア・ヌーランドは、最も新しいパイプラインの破壊に満足感を示した。2023年1月下旬の連邦上院外交委員会の公聴会で、彼女はテッド・クルーズ連邦上院議員に対して、「議員と同様に私も、ノルドストリーム2が、あなたが言われるように、海の底の金属の塊になったことを知って喜んでいる。バイデン政権全体もまた非常に喜んでいると思う」と語った。
vitorianulandonnordstream001

前述の情報源は、冬が近づくにつれ、ガスプロムの1500マイル(約2400キロ)以上のパイプラインを破壊するというバイデンの決定について、より一般的な見方を示した。この人物はバイデン大統領について「まあね、あの男には度胸があると認めざるを得ない。彼は実行すると言っていた。そして実際にやったのだ」と述べた。

ロシアが対応に失敗した理由をどう考えるかと質問したところ、この人物は皮肉を交えながら、「おそらくロシア側もアメリカが実行したのと同じことができる能力を手に入れたいと望んでいるからだろう」と答えた。

彼は話を続けて次のように語った。「美しい巻頭の特殊記事のようなものになった。しかし、その裏には、専門家たちを配置した秘密作戦と、秘密の信号で作動する装置があった」。

「唯一の失敗は実行する決定をしたことだ」。

(貼り付け終わり)
(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今回はシーモア・ハーシュの論稿の真ん中の3分の1をご紹介する。ノルドストリーム破壊の計画のためのタスクフォース・ティームは2021年12月に国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンによって組織された。ウクライナ戦争は2022年2月24日に勃発した。その前から既に計画されていたのだ。問題はこの計画が漏れる、もしくは計画が成功後にアメリカの仕業であるということが分かれば極めて重大な結果を招くということであった。アメリカはウクライナに支援を行っているが、ロシアとの直接の対決を避けてきた。それなのに、ロシアのガスプロムと西ヨーロッパ各国の企業が出資して建造した施設を爆破破壊するということはロシアや同盟国である西ヨーロッパ諸国に対する犯罪行為であり、戦争行為である。だからどうしてもばれてはいけなかった(動機を考えればアメリカ以外には考えられないのであるが)

 CIAがこれまでの実績からノルドストリーム爆破を提案したが、もちろん批判も多かった。失敗する可能性もあり、露見すればアメリカとバイデン政権は無傷では済まない。バイデンの再選は絶望的となったことだろう。それでも、CIAにはこれまでにも犯罪行為を秘密裏に成功させてきたという実績があった。私の個人的な見解を言えば、CIAとアメリカ軍の中の悪さを考えると、アメリカ海軍が潜水士達を派遣してCIAの作戦に協力させたというのは驚きである。ノルドストリーム破壊がアメリカにとって重要な「国策」だったことは明らかだ。

 計画中にバイデン大統領とヌーランド国務次官はちらちらと破壊計画をにおわせるような発言を行っていた。これらの発言に計画に関与した人々がじりじりしていたというのは自然な対応であろう。

 ノルドストリーム爆破作戦にとって重要なパートナーとなったのがノルウェー海軍だった。ノルウェー海軍はバルト海での経験が豊富であり、能力も高い。NATOの最高司令官はイェンス・ストルテンベルグであるが、ストルテンベルグはノルウェーの首相を務めた人物であり、アメリカの忠実な手先だ。ノルウェーは日本同様にアメリカの忠実な属国である。しかし、問題は爆破に最適の地点がデンマーク領内のボーンホルム島周辺海域であったことだ。スウェーデンやデンマークの海軍が怪しい動きを感知すれば計画漏洩の危険があるのだ。
(貼り付けはじめ)

●計画立案(PLANNING

2021年12月、ロシアの戦車が初めてウクライナに進入する2カ月前、ジェイク・サリヴァンは、米統合参謀本部、CIA、国務省、財務省の関係者で新たに結成したタスクフォースの会議を招集し、プーティンの侵攻が迫る中でどう対応するか、提言を求めた。

ホワイトハウスに隣接し、大統領対外情報諮問委員会(President’s Foreign Intelligence Advisory BoardPFIAB)が置かれている旧行政府ビル(Old Executive Office Building)の最上階にある盗聴などの危険が排除された部屋で、極秘会議の第1回目が開かれた。そこでは、いつものように雑談が交わされ、やがて重要な事前質問へとつながっていった。その質問とは以下のようなものだ。つまり、このグループが大統領に提出する勧告は、制裁措置や通貨規制の強化といった「可逆的(訳者註:いつでも元の状態に戻せること)」なものなのか、それとも「不可逆的」なものなのか、つまり、元に戻すことができない「武力行動(kinetic action)」なのか、ということだ。

このプロセスを直接知るある情報源によれば、サリヴァンは、グループがノルドストリーム・パイプラインの破壊計画を打ち出すことを意図し、大統領の要望を実現しようとしていたことが、参加者の間では明らかであったということだ。

その後の数回の会合では、攻撃方法の選択肢を議論した。海軍は、新しく就役した潜水艦でパイプラインを直接攻撃することを提案した。空軍は、遠隔操作で爆発させることができる遅延信管付きの爆弾を投下することを提案した。CIAは、「何をするにしても、秘密裏に行わなければならない」と主張した。関係者の誰もが、その利害関係を理解していた。「これは子供の遊び(kiddie stuff)ではない」とその関係者は言った。もし、その攻撃がアメリカにつながるものとなれば、「それは戦争行為なのだ(It’s an act of war)」。

当時、温厚な元駐ロシア大使で、バラク・オバマ政権で国務副長官を務めたウィリアム・バーンズがCIAの指揮を執っていた。バーンズ長官はすぐに、パナマシティにいる海軍の深海潜水士に詳しい人物を特別メンバーに含む(これは偶然のことだったのだが)、CIAのワーキンググループを承認した。それから数週間、CIAのワーキンググループのメンバーたちは、深海潜水士を使ってパイプラインを爆発させるという秘密作戦の計画を練り始めた。

このような事例は以前にもあった。1971年、アメリカの情報機関は、ロシア(ソ連)海軍の2つの重要な部隊が、ロシア極東オホーツク海に埋設された海底ケーブルを介して通信していることを、未公表の情報ソースから知った。このケーブルは、海軍のある地方司令部とウラジオストクにある本土の司令部を結んでいた。

中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)と国家安全保障局(National Security AgencyNSA)から選抜された諜報員ティームが、ワシントン地域のある場所に極秘裏に集められ、海軍の潜水士達、改造潜水艦、深海救助艇を使って、試行錯誤の末にロシアのケーブルの位置を特定する計画を実行し成功させた。潜水士達はケーブルに高性能の盗聴器を仕掛け、ロシアの通信を傍受し、録音システムに記録することに成功した。

NSAは、ロシア海軍の幹部たちが通信回線の安全性を確信し、暗号化せずに同僚と普通のおしゃべりしていることを知った。しかし、ロシア語が堪能なロナルド・ペルトンという44歳のNSAの技術者によって、このプロジェクトは台無しにされてしまった。ペルトンは、1985年にロシアの亡命者に裏切られ、刑務所に送られた。ペルトンがロシアから受け取った報酬は、作戦を暴露した際の5000ドルと、公開されなかった他のロシアの作戦データに対する3万5000ドルだけだった。

コードネーム「アイビー・ベルズ(Ivy Bells)」と呼ばれたその海中での成功は、革新的で危険なものであり、ロシア海軍の意図と計画について貴重な情報をもたらした。

しかし、CIAの深海諜報活動に対する熱意には、当初、省庁間グループも懐疑的であった。未解決の問題が多すぎたのだ。バルト海の海域はロシア海軍の警備が厳しく、潜水作戦に使える石油掘削施設はない。ロシアの天然ガス積み出し基地と国境を接するエストニアまで行って、潜水訓練をしなければならないのか? CIAに対しては、「混乱状況で失敗するだろう(It would be a goat fuck)」と批判された。

この「計画中」に、「CIAと国務省の何人かは、こんなことはするなと言った。バカバカしいし、公になれば政治的な悪夢になる」と上述の情報源は述べた。

それでも、2022年初頭、CIAのワーキンググループはサリヴァンの省庁間グループに報告した。その内容は「パイプラインを爆破する方法がある」というものだった。

その後に起こったことは、驚くべきことだった。ロシアのウクライナ侵攻が避けられないと考えられていた、戦争勃発の3週間前の2月7日、バイデンはホワイトハウスのオフィスでドイツのオラフ・ショルツ首相と会談した。ショルツは一時はぐらついたが、その時にはしっかりとアメリカ側についていた。その後の記者会見でバイデンは、「もしロシアが侵攻してきたら、ノルドストリーム2はもう存在しない。私たちはパイプラインを終わらせる」と述べた。
joebidenolafscholz001

ジョー・バイデンとオラフ・ショルツ
その20日前、ヌーランド国務次官は国務省のブリーフィングで、ほとんど報道されることなく、基本的に同じメッセージを発していた。ヌーランドは記者団からの質問に対して、「今日、はっきりさせておきたいことがある。もしロシアがウクライナに侵攻すれば、いずれにせよノルドストリーム2は前進しないだろう」と述べた。

パイプライン・ミッションの計画に携わった何人かは、攻撃への間接的な言及と見られるバイデンとヌーランドの発言に狼狽した。

上述の情報源は「東京の街中に原爆を置いて、それを爆発させると日本人に言っているようなものだった。計画では、オプションは侵攻後に実行されることになっており、公には宣伝されないことになっていた。バイデンは単にそれを理解しなかったか、無視したのだ」と述べた。

バイデンとヌーランドの軽率な行動は、それが何であったとしても、計画立案の参加者うちの何人かを苛立たせたかもしれない。しかし、それはチャンスでもあった。この情報源によると、CIAの高官の何人かは、パイプラインの爆破は「大統領がその方法を知っていると発表したため、もはや秘密のオプションとは見なされない」と判断したという。

ノルドストリーム1と2を爆破する計画は、突然、連邦議会に報告する必要のある極秘作戦から、アメリカ軍の支援を受ける極秘の情報作戦とみなされるものに格下げされた。この徐法源は次のように説明した。「法律上では、連邦議会に報告する法的義務がなくなった。しかし、それでも秘密でなければならない。ロシアはバルト海の監視に長けている」。

CIAのワーキンググループのメンバーたちは、ホワイトハウスと直接のコンタクトがなかったので、大統領が言ったことが本心かどうか、つまり、この作戦が実行に移されるのかどうかを確かめようと躍起になっていた。上述の情報源は、「ビル・バーンズがCIA長官として戻ってきて、実行せよと言った」と回想している。

この人物は「ノルウェー海軍は、デンマークのボーンホルム島から数マイル沖の浅瀬にある適切な場所をすぐに見つけた」と述べた。

●作戦遂行(THE OPERATION

ノルウェーはノルドストリーム爆破任務の拠点として最適な場所だった。

東西危機の過去数年間、アメリカ軍はノルウェー国内でその存在を大幅に拡大してきた。西側の国境は北大西洋に沿って1400マイル(約2240キロ)も走り、北極圏の上でロシアと合流している。国防総省は、地元では賛否両論あるものの、数億ドルを投じてノルウェーの米海軍と空軍の施設を改修・拡張し、高級の雇用と高額の契約を創出したのである。この新しい施設には、最も重要なこととして、ロシアを深く探知することができる高度な合成開口レーダー(advanced synthetic aperture radar)が含まれており、ちょうどアメリカの情報機関が中国国内の一連の長距離監視サイトへのアクセスを失った時に稼働したのである。

何年も前から建設が進められていたアメリカの潜水艦基地が新たに改修され、運用が開始された。更に多くのアメリカの潜水艦が、ノルウェーの僚艦と緊密に協力して、250マイル(約400キロ)東のコラ半島にあるロシアの主要核要塞の監視と諜報に当たることができるようになった。アメリカはまた、北部にあるノルウェーの空軍基地を大幅に拡張し、ボーイング社製のP8ポセイドン型哨戒機の編隊をノルウェー空軍に提供し、ロシア全般の長距離監視を強化した。

その見返りとして、ノルウェー政府は昨年11月、補足的防衛協力協定(Supplementary Defense Cooperation AgreementSDCA)を可決し、議会のリベラル派と一部の穏健派を怒らせた。この新協定では、北部の特定の「合意地域」において、基地外で犯罪行為を行ったとして訴えられたアメリカ軍兵士と、基地での作業を妨害したことで訴えられたり疑われたりしたノルウェー国民については、アメリカの法制度が司法権を持つことになる。

ノルウェーは、冷戦初期の1949年にNATO条約に最初に署名した国の1つだ。現在、NATOの事務総長(最高責任者)はイェンス・ストルテンベルグだが、彼は熱心な反共主義者で、ノルウェーの首相を8年間務めた後、2014年にアメリカの後ろ盾でNATOの高官に就任した。彼はヴェトナム戦争以来、アメリカの情報機関と協力関係にあり、プーティンやロシアに関するあらゆることに強硬な態度を取ってきた。ヴェトナム戦争以来、彼はアメリカから完全に信頼されている人物なのである。前述の情報源は「彼(ストルテンベルグ)はアメリカの手にぴったりとフィットする手袋だ」と評した。
jensstoltenberg001
ストルテンベルグ

ワシントンに話を戻すと、作戦の計画立案者たちは、ノルウェーに行くしかないと考えた。「彼らはロシアを嫌っていたし、ノルウェーの海軍は優秀な水兵や潜水士揃いであり、収益性の高い深海石油・ガス探査に何世代にもわたって携わってきた実績もある。また、この作戦を秘密にしておくことも可能であった。(ノルウェー側には他の利益もあったかもしれない。もしアメリカ側がノルドストリームを破壊することができれば、ノルウェーは自国の天然ガスをヨーロッパに大量に販売することができるようになる。)

3月のある時期、複数の計画立案者たちがノルウェーに向かい、ノルウェーのシークレットサーヴィスや海軍の関係者たちと面会した。バルト海のどこに爆薬を仕掛けるのが最適か、というのが重要な問題だった。ノルトストリーム1と2は、それぞれ2本のパイプラインで構成され、ドイツ北東部のグライフスワルト港に向かう途中、1マイル(約1.6キロ)余りの距離で隔てられていたのである。

ノルウェー海軍は、デンマークのボーンホルム島から数マイル離れたバルト海の浅瀬にある適切な場所をいち早く探し出した。パイプラインは、水深260フィート(約78メートル)の海底を1マイル以上離れて走っている。潜水士たちはノルウェーのアルタ級機雷掃討艇(mine hunter)から、酸素、窒素、ヘリウムの混合ガスをタンクに注入して、パイプラインの上にC4爆薬を設置し、コンクリートの保護カバーで覆った。ボーンホルム沖は、潜水作業を困難にする大きな潮流がないことも利点であった。
compositionc4
C4爆薬
norwegianaltaclassminehunter001
ノルウェーの掃海艇

数回の調査を経て、アメリカ側はすっかり乗り気になっていった。
(貼り付け終わり)

(つづく)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

昨年9月にロシアからドイツへ天然ガスを送る海底パイプライン施設「ノルドストリーム1、2(Nord Stream Pipeline1,2)」でガス漏れ爆発「事故」が起き、操業停止となった。ロシアからの安価な天然ガスに頼っていたドイツと西ヨーロッパ諸国はエネルギー源をアメリカに頼らざるを得なくなり、価格の高騰もあり、厳しい冬に耐えながら人々は暮らしている。
nordstreampipelineblownup001
 ノルドストリームの「事故」についてはタイミングや内容から、「どうしてああいう事故が起きたのか」「タイミングが良すぎるのではないか」といった多くの疑問が出ていた。タイミングというのは、ウクライナ戦争が勃発して半年以上が経過し、アメリカやヨーロッパ諸国がウクライナ支援を行いながらも、同時にロシアからの天然ガス輸入を行っていたということである。ウクライナ戦争勃発後、西側諸国は対ロシア経済制裁を行い、ロシアを経済的に締め上げて一気にギヴアップさせようと狙っていた。しかし、その試みは失敗した。加えて、「急にエネルギー源を止められない」としてロシアからの天然ガス輸入を続けていた。ノルドストリームが壊れて操業停止になってしまえば物理的に輸入が不可能ということになった。

nordstreampipelinesmap001

ロシアを間接的に支援することになる天然ガス輸入を止め、アメリカからの天然資源を輸入させるということで、誰が利益を得るのかということは、誰が考えてもアメリカということになる。しかし、アメリカ政府やアメリカメディアはロシア犯人説を流布した。このロシア犯人説ほど馬鹿げたことはない。ロシアは天然ガス輸出で資金を獲得することができるし、あまりにも敵対的な態度を西ヨーロッパが取るならば、供給を削減、もしくはストップすることで懲罰を与えることができる。そうした手段を自分から破壊するのは自滅的な行為でしかない。そうしたことから、ノルドストリーム事故直後から、アメリカの仕業ではないかという説は根強くあった。私もこのブログでアメリカ犯人説を取り上げた。

今回、アメリカの有名は調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュが重要な論稿を発表した。ハーシュについてまず述べると、ヴェトナム戦争時代から活躍を続けるジャーナリストであり、ソンミ村虐殺事件の調査衝動でピューリッツア賞を受賞した。その後も、イスラエルの核武装やアブグレイブ収容所での拷問事件などをスクープした。

ハーシュが今回発表した論稿の内容はずばり「ノルドストリーム爆破はアメリカが行った」という衝撃の内容だ。アメリカがNATO加盟のノルウェーと協力して、ノルドストリームの爆破地点を特定し、優秀な潜水士たちを使って爆薬を仕掛け、時間差で爆発させたということである。アメリカはかねがね、ノルドストリームを通じてのロシアからの安価な天然ガスにヨーロッパが依存することを憎悪しており、ノルドストリームを「始末」することで、ロシア側に打撃を与え、ヨーロッパをアメリカ依存に引き戻すという一挙両得の秘密作戦を実行した。その内容は、「アメリカはこんなことまでするのか」と日本の親米派の人々にもショックを与えるものだ。これくらいのことは日本にもされているのである。アメリカはこれくらいのことを世界中でやっているのだ。これで嫌われないと考えるのは全く理解不能だ。

下にハーシュの渾身の論稿の内容の前3分の1を掲載した。ここでは、作戦立案から実行までの経緯がまとめられている。計画立案には、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンが、ジョー・バイデン大統領の命を受けて、官庁間の垣根を超えたグループが作戦の内容の立案にあたり、CIA(ウィリアム・バーンズ長官)が具体的な内容を提案して実行されることになったことが書かれている。バイデン大統領のノルドストリーム破壊の意向を受けて、作戦を計画し進めていった責任者たちとして、ハーシュはジェイク・サリヴァン、アンソニー・ブリンケン国務長官、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官の名前を挙げている。私はここに、アヴリル・ヘインズ国家情報長官(アメリカの情報・諜報機関の統括であり、バーンズの上司にあたる)も入っていたと思う。拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』をお読みいただいた皆さんにとってはどのような関係になっているのかなど分かりやすいと思う。
nordstream2blastplayers001

アメリカ海軍には潜水・サルヴェーション学校があり、そこを卒業した優秀な潜水士たちが作戦実行部隊となった。彼らがパイプラインに爆薬を設置した。私の講釈はここらあたりにして下の論稿を是非読んでいただきたい。

(貼り付けはじめ)

アメリカはどのようにしてノルドストリーム・パイプラインを破壊したか?(How America Took Out The Nord Stream Pipeline

-『ニューヨーク・タイムズ』紙は「ミステリー」と呼んだ。しかし、アメリカは海上作戦を実行した。その秘密は守られてきた。それもこれまでだ。

セイモア・ハーシュ(Seymour Hersh)筆

2023年2月8日

シーモア・ハーシュのウェブサイト

https://seymourhersh.substack.com/p/how-america-took-out-the-nord-stream

フロリダ州南西部の回廊地帯(panhandle)、アラバマ州との州境から南へ約70マイル(約112キロ)、かつては片田舎だったが今やリゾート町として成長しているパナマシティに、アメリカ海軍のダイヴィング・アンド・サルヴェージ・センターがある(センターの面している道路は昔単線だった)。第二次世界大戦後に建てられたコンクリート造りの無骨な建物は、シカゴ西部にある職業高校のような外観をしている。何の特徴もない建物群だ。コインランドリーやダンススクールが、現在4車線の道路を挟んで向かい側にある。

このセンターは何十年もの間、高度な技術を持つ深海潜水士(deep-water divers)を養成してきた。潜水士たちは、世界中のアメリカ軍部隊に配属され、C4爆薬を使用して港や海岸の瓦礫や不発弾を除去するという素晴らしい仕事も、そして、外国の石油掘削施設を爆破する、海底発電所の吸気バルブを汚染する、重要な輸送管の鍵を破壊するなどの破壊工作を行う技術潜水も成功させてきた。パナマシティにあるこのセンターは、アメリカで2番目に大きい屋内プールを誇る。昨年の夏、バルト海の水面下260フィート(約78メートル)で任務を遂行した潜水学校の優秀で最も寡黙な卒業生たちを輩出するには最適の場所だ。

作戦計画を直接知るある情報源によれば、昨年6月、海軍の潜水士たちは、「バルト海作戦22(BALTOPS 22)」として広く知られた真夏のNATO演習に隠れて、遠隔操作による爆発物を仕掛け、3カ月後に4本のノルドストリーム・パイプラインのうち3本を破壊した。

そのうちのパイプライン2本は、ノルドストリーム1と総称され、10年以上にわたってドイツと西ヨーロッパ諸国の多くに安価なロシアの天然ガスを供給していた。もう1本のパイプラインはノルドストリーム2(Nord Stream 2)と呼ばれ、建設はされていたが、まだ稼働していなかった。ロシア軍がウクライナ国境に集結し、1945年以降のヨーロッパで最も血生臭い戦争が行われている現在、ジョー・バイデン大統領は、パイプラインはウラジミール・プーティンが自らの政治的・領土的野心のために天然ガスを武器化する(weaponize)ための手段だと見ているのだ。

私はホワイトハウスのエイドリアン・ワトソン報道官に対してコメントを求めた。ワトソン報道官は電子メールで、「これは虚偽であり、完全なフィクションだ」と述べた。中央情報局(CIA)のタミー・ソープ報道官も同様に「この主張は完全にそして完璧に虚偽である」という返事を寄こした。

バイデンがパイプラインの破壊を決定したのは、その目標を達成する最善の方法について、ワシントンの国家安全保障コミュニティの内部で9ヶ月以上にわたって極秘に行われた議論の後であった。その期間の大半で、任務を遂行するかどうかを議論されたことはなかった。誰に責任がるのかについてあからさまな手掛かりを残すことなしに、いかにして任務を遂行するかが議題とされた。

パナマシティにある米海軍潜水学校の卒業生たちに任務遂行を頼ったのは、官僚的な理由からだった。潜水士たちは海軍所属者だけで構成されている。彼らは、秘密作戦について連邦議会にあらかじめ報告し、連邦上下両院の指導部、いわゆるギャング・オブ・エイト(訳者註、連邦上下両院情報・諜報委員会委員長2名、反対党側幹部委員2名、連邦上院多数党院内総務、少数党院内総務、連邦下院議長、連邦下院少数党院内総務の計8名)に事前に説明しなければならないアメリカの特殊作戦司令部の所属ではない。2021年の終わりから2022年の最初の数カ月にかけて計画が立案されたが、バイデン政権は計画がリークされないようにあらゆる手段を講じていた。

バイデン大統領とその外交ティーム(国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァン、国務長官トニー・ブリンケン、国務次官ヴィクトリア・ヌーランド)は、ロシア北東部のエストニア国境に近い2つの港からバルト海下750マイル(約1200キロ)を並走し、デンマーク領のボーンホルム島近くを経てドイツ北部に至る2基のパイプラインに対して、一貫して敵意を抱いていた。そしてそれを明らかに示していた。

ウクライナを経由しないこの直通ルートは、ドイツ経済にとって好材料となった。工場や家庭の暖房に十分な量の安いロシア産の天然ガスが豊富にあり、ドイツの流通業者は余ったガスを西ヨーロッパ中に売って利益を得ていた。パイプラインの破壊は、ロシアとの直接対決を最小限に抑えるというアメリカの公約を破るような行動であり、その公約を定めたバイデン政権がそうした行動を進めた。そのため、秘密裏の作戦遂行が必要不可欠となった。

のルドストリーム1は、その初期段階から、ワシントンと反ロシアのNATOパートナーによって、西側の支配に対する脅威と見なされていた。ガスプロムは、プーティン大統領に従うことで知られるオリガルヒが支配し、株主に莫大な利益をもたらすロシアの株式公開企業だ。ガスプロムが51%、フランスのエネルギー企業4社、オランダのエネルギー企業1社、ドイツのエネルギー企業2社が残りの49%の株式を共有し、安価な天然ガスをドイツや西ヨーロッパの地元流通業者たちに販売する下流工程をコントロールする権利を持っていた。ガスプロムの利益はロシア政府と共有され、国家のガス・石油収入はロシアの年間予算の45%にも上ると推定された年もある。

アメリカの政治的な恐怖感は現実のものとなった。プーティンは必要な収入源を手に入れ、ドイツをはじめとする西ヨーロッパはロシアから供給される安価な天然ガスに依存するようになり、ヨーロッパのアメリカへの依存度は低下することになるのではという恐怖感をアメリカは持っていた。実際、その通りになった。戦後のドイツは、第二次世界大戦で破壊された自国と他のヨーロッパ諸国を、ロシアの安価なガスを利用して豊かな西ヨーロッパ市場と貿易経済の燃料として復興させるという、ウィリー・ブラント元首相の有名な東方外交理論(オストポリティーク理論、Ostpolitik theory)が一部現実化されたものだと多くのドイツ人がノルトストリーム1について捉えていたのである。

NATOとワシントンの考えでは、ノルトストリーム1はそれだけで十分に危険なものだったが、2021年9月に建設が完了したノルトストリーム2は、ドイツの規制当局が承認すれば、ドイツと西ヨーロッパが利用できる安価なガスの量が2倍に増やすことになるはずだった。また、このパイプラインはドイツの年間消費量の50%以上を賄うことができる。バイデン政権の積極的な外交政策を背景に、ロシアとNATOの緊張は常に高まっていた。

2021年1月のバイデンの大統領就任式前夜、ブリンケンの国務長官就任承認公聴会で、テキサス州選出のテッド・クルーズ連邦上院議員率いる連邦上院共和党が、安価なロシアの天然ガスという政治的脅威を繰り返し提起し、ノルドストリーム2への反対運動を燃え上がらせた。同時期、連邦上院は一致して、クルーズがブリンケンに語ったように、「パイプラインの進路を停止させる」法律を成立させることに成功していた。当時、アンゲラ・メルケル首相が率いていたドイツ政府からは、2本目のパイプラインを稼働させるために、政治的、経済的に大きな圧力がかかっていたと考えられる。

バイデンはドイツに立ち向かうことができるだろうか? ブリンケンは「イエス」と答えたが、「次期大統領の見解の詳細について議論していない」と付け加えた。ブリンケンは更に次のように述べた。「私は、ノルトストリーム2が悪い考えであるというバイデン大統領の強い信念を知っている。次期大統領は、ドイツを含む私たちの友人やパートナーに対して、あらゆる説得手段を用いて、これを進めないよう説得してくれるはずだ」。

数ヵ月後、2本目のパイプラインの建設が完了に近づくと、バイデンは見て見ぬふりをした。その年の5月には、国務省の高官が、制裁と外交でパイプラインを止めようとするのは「常に長丁場となる」と認め、驚くべき方向転換で、政権はノルドストリームAGに対する制裁を免除した。その裏では、当時ロシアの侵略の脅威にさらされていたウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に、この動きを批判しないようにと複数のバイデン政権幹部が働きかけていたとも言われている。

すぐに結果が出た。クルーズ率いる連邦上院共和党は、バイデンの外交政策候補者全員の即時承認秘訣を発表し、年間国防予算の成立を数ヶ月間遅らせた。そして、秋も深まった頃にようやく成立した。『ポリティコ』誌は後に、ロシアの2本目のパイプラインに関するバイデンの転向を、「バイデンの政権公約を危うくした1つの決断だった。間違いなくアフガニスタンからの無秩序な軍事撤退以上に議論を呼ぶものとなった」と評している。

11月中旬にドイツのエネルギー規制当局が2本目のノルドストリーム・パイプラインの認可を停止したことで、危機の猶予を得たものの、バイデン政権は混乱した態度を取った。このパイプラインの停止と、ロシアとウクライナの戦争の可能性が高まっていることから、ドイツやヨーロッパでは、望まぬ寒い冬がやってくるのではないかという懸念が高まり、天然ガスの価格は数日のうちに8%も急上昇した。ドイツの新首相に就任したオラフ・ショルツの立場は、ワシントンでは明確ではなかった。その数カ月前、アフガニスタン崩壊後、ショルツはプラハでの演説で、エマニュエル・マクロン仏大統領の「より自主自律的なヨーロッパ外交政策」を公式に支持し、明らかにワシントンやその気まぐれな行動への依存度を下げることを示唆していた。

この期間中、ロシア軍はウクライナ国境で着々としかも不気味に増強され、2021年12月末には10万人以上の兵士がベラルーシとクリミアからウクライナを攻撃できる態勢にあった。ワシントンでは、この兵力数について「短期間に倍増する」というブリンケン国務長官の分析もあり、警戒感が高まっていた。

このような状況下で、再び注目されたのがノルドストリームだった。ヨーロッパが安価な天然ガスパイプラインに依存する限り、ドイツなどの国々は、ウクライナにロシアに対抗するための資金や武器を供給するのを躊躇するだろうと考えられた。

バイデンがジェイク・サリヴァンに対して省庁間の垣根を超えたグループを結成し、計画を練ることを許可したのはこうした不安定な時期のことだった。

全ての選択肢がテーブルの上に置かれることになった。しかし、実際に出てくるのは1つだけだった。
(貼り付け終わり)
(つづく)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ