古村治彦です。

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第2次ドナルド・トランプ政権が発足して、まだ半年も経っていないが、既に数多くのことが起きており、また、トランプが起こしており、それに右往左往する毎日と言っても過言ではないだろう。こうした状況に少々疲れているというのが本音だ。「トランプ疲れ(Trump Fatigue)」と言ってもよいだろう。
第2次トランプ政権が発足する前、高関税やウクライナ戦争停戦へ向けた仲介ということは実行するだろうと考えていた。イスラエルとハマス、イランとの戦闘、ガザ地区の状況については、ジョー・バイデン前政権よりも、よりイスラエル側に立った姿勢となるだろうとは考えていたが、ジェットコースターのように、アメリカが攻撃してみたり、停戦の仲介をしてみたりというようなことが起きるとは思っていなかった。
下記論稿にあるように、国際関係論やあメリカ政治の専門家であっても、第2次トランプ政権の動きを予測することは難しかった。そして、これからどのようになるかということを正確に予測することは難しい。
私がこれまでのトランプの動きを見ていて、「過激な発言や過激な行動をした後は必ず引く」「最低限の線は越えない」ということがあると考えている。今回のイランの核開発関連施設に対するアメリカ空軍機での攻撃でも世界に衝撃が走ったが、非常に「管理された」攻撃であると考える。アメリカの攻撃はイスラエルとは違い、イランの都市を狙ったものではなかった。また、一部報道では、イラン側は重要な資源や機材は移動させていたということだ。これは、アメリカがイランに対して、事前に攻撃を通知していたことを示唆している。また、イラン側がカタールにある米軍基地を攻撃する際にも、予め通知していたために、死傷者は出なかった。このように、アメリカとイランは大国らしく今回の状況に対応している。
中東情勢にとって一番の脅威となっているのはイスラエルだ。イスラエルが中東地域を、そして、世界中に戦争の脅威を与えている。イスラエルがイランに対しての攻撃を行わなければ、今回の状況は生まれていない。現在のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、戦争状態が落ち着いて、退陣するとなれば、家族ぐるみで、汚職などのスキャンダルで逮捕され、これから刑務所暮らしをしなければならない。私から見れば、ネタニヤフは戦争に戦争を重ねて、個人の身の安全を確保している。そして、政権内の極右派を利用している。より正確には、お互いが利用し合っている。イスラエルがアメリカの意向を無視して、不羈奔放に行動することは、世界を危機に陥れる許し難い行為だ。私は、イスラエルとネタニヤフ政権を区別すべきと考えている。このような危険な勢力は一掃されるべきだ。同じことは、ウクライナにも言える。
第2次トランプ政権が成立していろいろなことが起きて、私たちはうんざりしながら、不安を感じている。しかし、トランプは、ギリギリのところで行き過ぎないというバランス感覚があると私は考えている。しかし、ウクライナやイスラエルのような、不確定要素があると、不測の事態が起きる可能性がある。両国については、事態をエスカレートさせないために、政権の交代が肝要と考える。
(貼り付けはじめ)
ドナルド・トランプ大統領の二期目について私が間違っていたこと(What I Got Wrong About
Trump’s Second Term)
-私はこれを完全に予想していなかった。その理由は次の通りだ。
スティーヴン・M・ウォルト筆
2025年3月10日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2025/03/10/walt-got-wrong-trump-second-term/
学者や政治評論家たちは、時折自らの予測を振り返り、何が間違っていたのかを考察すべきだ。トム・フリードマン、ジョー・スカーボロー、レイチェル・マドウ、ジャナン・ガネーシュ、ファリード・ザカリア、グレン・グリーンウォルド、アン・アップルバウムといった著名な評論家たちが、前年の予測を誤解したり、見誤っていたりした点を毎年振り返ることができたら、素晴らしいと思わないだろうか?
誰もが絶対的な存在ではない。フィリップ・テトロックの言うように、知識豊富な専門家たちでさえ未来を予測するのは難しいものだ。自らの過ちを振り返ることは常に有益であり、公に行うことで、誰もがその過ちから学ぶことができる。私は過去にも何度かこうした自己批判を行ってきた。そして今、また1つ、自己批判をすべき時が来た。続きを読んで欲しい。
2024年1月、私は「トランプが再び大統領になっても、アメリカの外交政策は大きく変わらないだろう」という記事を『フォーリン・ポリシー』に書いた。2025年3月時点では、それはかなり愚かな予測に聞こえる。問題の一部はクリックベイトの見出し(私が書いたものではない)にあり、実際、当時私が書いたことの一部は正しかったことが証明された。ドナルド・トランプ米大統領はNATOに対して強硬な姿勢を取り(場合によってはNATOから撤退する可能性もある)、ウクライナの和平合意を推進するだろうと私は述べた。しかし同時に、第2次バイデン・ハリス政権も、より慎重かつ責任ある形ではあったものの、和平合意を模索していただろうとも考えていた。カマラ・ハリス前副大統領が当選していたら、まさにそうしていただろうと私は今でも信じている。
トランプの中東政策はバイデンの政策とよく似ているだろうと思っていたが、今のところ、その通りになっている。ジョー・バイデン前大統領と同様に、トランプはイスラエルのやりたい放題を容認している。唯一の違いは、トランプは公平な姿勢を装うことさえせず、民族浄化を単に見て見ぬふりをするのではなく、公然と容認している点だ。また、トランプは中国に対して強硬な姿勢を取っている。これはバイデンが4年間の在任期間中に行ったこと、そしてハリスもほぼ確実にそうしたであろうことだ。トランプは最終的に北京と何らかのグランド・バーゲン(大いなる取引)を試み、台湾を売り渡すことになるかもしれないが、まだその兆候はない。見出しの裏側を読み、記事そのものを読んでみると、それほど馬鹿げた話には思えない。
そうは言いながら、私がいくつか重要な点を間違えたことは間違いない。
私は、主要な民主政体同盟諸国に対するトランプの敵意を過小評価していた。NATO加盟諸国がアメリカの保護に過度に依存していると考えているのは明らかだった(これは近年の米大統領全員が共有している見解だ)。しかし今や、トランプがこれらの国々が体現する民主政治体制の原則に積極的かつ深く敵対し、それらの国々の内部で非自由主義的な勢力を公然と奨励していることは明らかだ。数週間前に書いたように、政権によるヨーロッパ極右の融和は、ヨーロッパ全土で一種の体制転覆(a form of regime change)を推進し、事実上MAGA化を図り、ヨーロッパ連合を有意義な政治機関として破壊しようとする試みだ。トランプがハンガリーのヴィクトル・オルバン首相のような非自由主義的な指導者と親和性があることは知っていたし、スティーヴ・バノンのような人々が極右運動の国境を越えた連合を築こうとしていることも知っていたが、私はそれらの勢力を十分に真剣に受け止めていなかった。
第二に、トランプが和平合意を推進し、最終的にはウクライナへのアメリカの支援を削減するだろうと考える理由は十分にあったものの、彼がロシアのウラジーミル・プーティン大統領の立場をこれほど熱心に受け入れ、ウクライナが戦争を始めたと非難し、あるいはウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領を公然と攻撃するとは予想していなかった。実際、トランプの行動には何らかの戦略的な根拠があるのかもしれない。つまり、戦争を止め、最終的にロシアと中国の間に亀裂を生じさせる唯一の方法は、プーティンの望むものを全て与えることだと、彼は心から信じているのかもしれない。しかし、だからと言って、このアプローチが意図した通りに機能するとは限らない。また、この行動がアメリカの地位とイメージに及ぼす長期的な影響も無視している。ハリス政権であれば、ウクライナに対し、より現実的な目標を掲げ、停戦を求めるよう圧力をかけただろうと私は依然として考えている。しかし、ハリスはウクライナ政府とNATOと協力して、可能な限り最良の合意を導き出し、ウクライナを安易に見捨てることはなかっただろう。
第三に、トランプが極めて型破りな経済政策に賭ける意向を私は過小評価していた。関税の脅威を交渉材料として使うことは予想していたが、貿易戦争を始めればアメリカ経済に打撃を与え、自身の政治プログラム全体を危険に晒すことをトランプ(あるいは彼の顧問たち)は理解していると思っていた。昨年11月の選挙後、トランプの経済ティームの大半が(トランプは理解していないが)、基本的なマクロ経済学を理解している良識ある人々のように見えたので、私は一時的に安心していた。そして、ピーター・ナヴァロのような変人は影響力が薄いだろうと思っていた。しかし今となっては、その考えが間違っていたと思う。より深く理解しているべき当局者たちがトランプのナンセンスを繰り返すばかりで、ナヴァロの主張は大統領の耳に届いているようだ。もしトランプに投票したのであれば、物価上昇、財政赤字の拡大、投資ポートフォリオの縮小、そしてセーフティネットの崩壊を歓迎してくれることを願っている。
最後に、トランプのルールや規範に対する軽蔑は、大統領選挙に出馬するずっと前から既に確立されていたものの、第二次世界大戦後の秩序において最も確立された原則のいくつかを彼が軽視する姿勢には驚かされる。グリーンランドの武力奪取、パナマ運河地帯の再占領、カナダ併合、ガザ地区のパレスティナ人の民族浄化といった脅しは、いずれも数十年にわたり広く受け入れられてきた原則の重大な侵害である。これらの原則は、アメリカが概ね尊重し、頻繁に擁護し、多大な恩恵を受けてきたものでもある。更に言えば、トランプがこれらのルールを破っているのは、アメリカが深刻な国家非常事態に直面しているからではない(そうなれば、他国がワシントンに一時的な猶予を与えやすくなる)。彼は、独裁政治(autocracy)が台頭し、指導者たちがやりたい放題の世界の方がアメリカにとってより良い場所になると考えているため、秩序全体を破壊しようとしている。アメリカを国際秩序の守護者から悪意あるならず者国家に変えるなんて、私の予想外のことだったと率直に認める。
もし過去に戻って以前のコラムを書き直せるなら、別の(そしてもっと力強い)警告を発するだろう。弁明しておくと、トランプがアメリカ国内政治に及ぼす影響は有害だと確かに述べていたし、選挙直前に掲載したコラムでは、トランプをアメリカの憲法秩序と民主政治体制そのものに対する深刻な脅威と評した。しかし、当時でさえ、トランプの国内政策がどれほど過激で自滅的なものになるか、そして連邦議会や多くの企業幹部がどれほど喜んでそれに屈服するかを過小評価していた。また、究極の「選挙で選ばれていない政府高官(unelected government official)」であるイーロン・マスクが、トランプ2.0において、他に類を見ないほど破壊的な役割を果たすとは予想していなかった。
しかし、トランプの再選が大きな問題となることは明らかだった。ああ、もし私がこのことについて間違っていたらどんなに良かったことか。
※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.social、Xアカウント:@stephenwalt
(貼り付け終わり)
(終わり)

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』







