古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:バラク・オバマ

 古村治彦です。

ラーム・エマニュエル駐日米大使は、バラク・オバマ政権で初代の大統領首席補佐官を務め、その後、シカゴ市長を長く務めた。
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ラーム・エマニュエルの名前が広く知れ渡ったのは、長崎市が平和祈念式典にイスラエル大使を招待しなかったことを受けて、式典を欠席すると表明し、それにG7やオーストラリアの駐日大使たちが同調して、欠席するということになった出来事である。広島市の平和記念式典では、イスラエル大使は招待され、出席している。両方の式典にロシア大使は招待されておらず、長崎市の対応は、「ロシアとイスラエルを同じように扱うものだ」と批判されている。ここで重要なのは、平和祈念式典の出席問題が世界の分断、ジ・ウエスト(西側)とザ・レスト(西側以外の国々)の対立を示しているという点だ。それを明確にしたのが、ラーム・エマニュエルの行動だった。

 この出来事があった後、ラーム・エマニュエルについて、駐日大使を退任し、ワシントンに戻り、民主党のカマラ・ハリス副大統領が当選した場合には、政権移行過程に参加し、ハリス政権で重要ポジションに就く意向であることが報道された。ハリス陣営に対して、東京からあれこれ指示を出しているのがエマニュエルだという報道もある。駐日大使にそのような権限もないし、ワシントンから遠く離れて状況を肌で感じることも難しいのに、指示を出すというのは、やはりバイデンが選挙戦から撤退して、影響力を失ったことで、重しが失われ、好き勝手な行動ができるようになったということだろう。これは大きく見れば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が戦争を拡大しようとしている動きと同様のことである。

 ラーム・エマニュエルがアメリカの外交政策などで重要なポジションに就くことは非常に危険である。カマラ・ハリスが大統領になったら、外交政策について無知な彼女は周囲の人物たちが好き勝手することを止められない。周囲の言いなりになるばかりだ。そして、彼女はやがて「ヒラリー2.0」となる。中国と激しく対立し、イスラエルの戦争拡大を支援し、ウクライナでの戦争を継続させるということになる。そのような設計図を描き、実行するのが、熱烈なシオニストであるラーム・エマニュエルだ。エマニュエルの父親はイスラエル建国時にテロ行為を行ったイルグン団に参加していた。エマニュエル自身もイスラエル国防軍に民間ヴォランティアに参加した経験を持つ。

 ラーム・エマニュエルのワシントン帰還は危険である。エマニュエルが参加するハリス政権は世界大戦の危険性を高めることになる。私たちはそのことを認識しなければならない。

(貼り付けはじめ)

■「駐日米大使、11月に離任意向 民主勝利なら政権移行関与」

8/10() 21:00配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac81f0d52aab84363a3a270cff9aec05a5cd4254

 【ワシントン共同】米国のエマニュエル駐日大使が11月下旬に離任する意向を周囲に伝えていることが9日、分かった。米国の感謝祭(1128日)前後に日本を離れることを検討している。115日の大統領選で民主党候補のハリス副大統領が勝利した場合は、政権移行に関与したい考えだ。米政府関係者が明らかにした。

 共和党大統領候補のトランプ前大統領が勝利すれば、駐日大使の交代は確実。複数の関係者によると、エマニュエル氏は次期大使が決まるまで務めるのではなく、次の政界ポスト探しを進めたい考えという。

 ニュースサイト、アクシオスは、ハリス氏が当選すれば、国家安全保障問題担当の大統領補佐官に起用されるとの観測があると報じている。

 エマニュエル氏は中国に対する厳しい姿勢で知られ、バイデン大統領との関係の近さも武器に日米関係の発展に力を発揮した。長崎市が今月9日に主催した「原爆の日」の平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったことを理由に欠席し、物議を醸した。

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■「「目立ちたがり屋を入れるな」アメリカのプロフェッショナルがカマラ・ハリスに助言した「たった一つのこと」」

歳川 隆雄ジャーナリスト

現代ビジネス

2024.08.10

https://gendai.media/articles/-/135388?imp=0

●ランニングメイトの本命は

米民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領(59歳)は86日夜(米東部時間)、115日の米大統領選を共に戦う副大統領候補に中西部ミネソタ州のティム・ワルツ知事(60)を指名した。

米メディアや政治専門家がハリス氏のランニングメイトとして有力視していたのは以下の3人。(1)東部ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事(51)、(2)西部アリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員(60)、(3)ワルツ知事の順だった。厳格に言えば、米 CNNは前日午前にハリス氏の伴走者はシャピロ、ワルツ両氏に絞られたと報じている。

シャピロ氏は大統領選の分岐点とされる激戦州のペンシルベニア州知事であり、同州内選挙にも強い上にディベート能力も高く本命視された。パレスチナ自治区のガザ情勢を巡る紛争でイランとイスラエルが戦火を交える可能性も取り沙汰される中、民主党支持の女性・若者にはパレスチナに同情的な有権者が多いことから、ユダヤ系の同氏の起用を見送ったという。

対抗のケリー氏は商船大学校を卒業後、海軍大学院を修了。米海軍(大佐)退役後に米航空宇宙局(NASA)入りして宇宙飛行士(宇宙滞在期間54日)として活躍したことで高齢白人男性にはヒーローに映る。民主党の中で不法移民取り締まり強化派の筆頭でもあり、ハリス氏のリベラル色を薄めることが出来る。加えて、ペンシルベニア州を失ってもサンベルト(ネバダ州とアリゾナ州)で勝てるとの判断があった。だが、負けた場合の上院1議席減リスクを無視できず採らなかった。

●“派手さ”はないが…

では、大穴のワルツ氏が副大統領候補の座を射止めた最大の理由は何だったのか。先ず挙げられるのは、その豊富な政治キャリアと選挙に強いことである。2006年の連邦議会下院議員(ミネソタ州選出)初当選以来612年間歴任。選挙区は共和党が強い農村地域の第1区。18年州知事選で初当選、現在2期目。選挙に強い地元の隣接州は激戦のウィスコンシン州だ。政界入り前は生まれ故郷のネブラスカ州で公立高校社会科教員と同校アメリカンフットボール部コーチ、州兵として24年間従事など派手さがない。

実は、この派手さがないが堅実で実直なワルツ氏こそがハリス氏自身とその参謀たちのお眼鏡に適ったのである。ジョー・バイデン政権が誕生と同時に、駐日米大使として東京に着任したラーム・エマニュエル氏はオバマ政権時代に大統領首席補佐官を務めた大物であり、以前から2028年大統領選の民主党大統領候補指名に意欲を持つとされる。もちろん、ハリス氏が今秋大統領選に勝利すれば当然ながら2期目を目指すのでエマニュエル氏の目は無くなる。実は、そのエマニュエル氏が「ハリス陣営は個性の強い人物を好まない。それがハリス人事である」と語っていたという。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT726日付)の記事「Team Kamala: the people behind Harris’s White House run ― From Hollywood to Wall Street, the vice-president is backed by an array of advisers, strategists and donors(チーム・カマラ:ハリスのホワイトハウス運営を支えた人々――ハリウッドからウォール街まで、副大統領は多数の顧問、戦略家、寄付者によって支援されている)」に実に多くの固有名詞が挙げられている。

米投資会社エバーコアの創業者ロジャー・アルトマン元財務副長官、投資顧問最大手ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長兼COOなど財政支援者ではなく、民主党ストラテジストのドナ・ブラジル氏やバイデン選対委員長だったジェン・オマリー・ディロン氏などプロフェッショナルがハリス氏に助言することは唯一つだった。「インナーサークルに目立ちたがり屋(attention whore)を入れるな」である。

ティム・ワルツ氏はまさにその典型人である。ハリス民主党大統領候補が語ったとされる「人柄や相性のよさに魅かれた」はこの助言に従ったのだ。トランプ氏のランニングメイト、JD・バンス共和党副大統領候補はワルツ氏とは真逆の政治家である。副大統領候補のテレビ討論も楽しみである。

米ニュースサイトAxiosは何と「ハリス政権」のラインアップを紹介している。大統領首席補佐官:先述のディロン氏(女性)かエリック・ホルダー元司法長官(黒人)、国務長官:クリス・クーンズ上院議員(デラウエア州選出)かビル・バーンズCIA長官、財務長官:ジーナ・レモンド商務長官(女性)、国防長官:ミッシェル・フロノイ元国防次官(女性)、大統領補佐官(国家安全保障担当):フィル・ゴードン副大統領補佐官かトム・ドニロン元大統領補佐官――。何とも気の早いことです。

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日本はラーム・エマニュエルをソフト化しているか? まずあり得ない(Has Japan softened Rahm Emanuel? Not likely

ラウラ・ケリー筆

2024年3月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/4509035-rahm-emanuel-japan-ambassador/

東京発。ラーム・エマニュエル駐日米大使にとって、8000マイルの距離と14時間の時差にもかかわらず、ワシントンの混乱は決して遠いことではない。

共和党がウクライナ、イスラエル、インド太平洋地域に対するアメリカの援助を妨害していること、ドナルド・トランプ前大統領が共和党の大統領候補になろうとしていることに対する日本の不安、ロシア、中国、北朝鮮からの脅威に対抗するためのアメリカの努力によって、東京での日々の責任はより複雑になっている。

エマニュエルは先月末、東京のアメリカ大使公邸から本誌とのインタヴューに答えて次のように語った。「私の経歴と経験に基づく質問だが、連邦議会はアメリカが現時点で負っている責任に応えられているか?」。

連邦議会の過半数がウクライナを支持していることにほとんど疑いの余地はないが、日本の当局者たちは、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)が意図しているバイデン大統領の950億ドルの国家安全保障に関する追加法案の採決が遅れていることをどう説明すればよいのかをエマニュエルによく質問されている。政府支出法案が完了するまで延期する。

エマニュエルは強調するために手を叩きながら、「これはバターに熱したナイフを突き刺すように通り過ぎていく」と言った。

「重要なのは、218に到達するかどうかではなく、290 に到達するか、300に到達するかだ。どうやって法案を議場に提出するかが重要だ。証人保護プログラムには入ることなしに」と付け加えた。

しかし、党派間の対立がいかに増大して労働秩序が混乱に陥っているかを考えると、アメリカは同盟諸国やパートナーから頼りにされることができるだろうか?

エマニュエルは「人々はこれに注目しており、対策を講じている。結局のところ、それは完了するだろう。もっともな質問だが、仮説ですので答えることはできない」と語った。

3人の民主党大統領に仕え、イリノイ州議会議員として指導的役割を果たし、元シカゴ市長でもあるエマニュエルは、下品な言葉、少なくともカラフルな言葉を好むエネルギッシュな政治家として知られている。

オバマ前大統領の首席補佐官だったエマニュエルは、机の上に、「勝手にしやがれ次官 (Undersecretary for Go F— Yourself)」と書かれたネームプレートを置いていた。

東京から、エマニュエル大使は9月、X(旧ツイッター)に中国の外相と国防相の失脚に反応する辛辣なコメントを投稿し、小さな外交危機を引き起こした。 中国外務省の報道官は、この投稿は中国を「中傷(smearing)」していると述べた。

エマニュエルの敵対的なスタイルは、日本の典型的な秩序ある礼儀正しい社会とは相容れないと思われるかもしれない。

日本で過ごした時間が彼の性格に影響を与えたかどうかという質問に対し、「私は時々、音痴(tone-deaf)になることがある」と彼は答えた。

エマニュエルは「もしかしたら、私が他のみんなの性格に影響を与えてしまったかもしれない」と笑いながら述べた。

エマニュエルは「私はここに2年いる。日本ではおそらく20年くらいに感じられる。人間がこのテンポで活動できるとは誰も思っていなかっただろう」と述べた。

エマニュエルは、ロシアの核宇宙脅威をめぐるアメリカのインテリジェンス(情報諜報)について、日本のカウンターパートと話し合ったのだろうか? 彼は「イエス」と一言だけ答え、次の話題に移ろうとした。

現在、エマニュエルは、4月10日の岸田文雄首相のワシントン国賓訪問に向けて準備を進めている。これは、バイデン政権のインド太平洋大戦略における大きな節目となると予想されており、アメリカにとって最も重要な二国間関係が深まることになる。そして、中国の力と野心に対抗するものとして、この地域を多角的に結びつけるものだ。

岸田首相の国賓訪問は、8月にキャンプデイヴィッドで韓国のユン・ソクヨル大統領と歴史的な日中韓首脳会談を行うための訪米に続くもので、これは東京とソウルの間の歴史的に緊張した関係を緩和する効果を持つ成果となった。

エマニュエルは「キャンプデイヴィッドでの会談が実現したとき、最も基本的なことに絞れば、それは中国にとって決して起こってほしくない日だった。」と語り、この国での2年半で最も誇りに思う仕事のいくつかを振り返った。

エマニュエルは、私たちのインタヴュューが行われる大使公邸の図書室の外の一室を身振りで示し、アントニー・ブリンケン国務長官および国家安全保障会議インド太平洋調整官(当時)だったカート・キャンベルとの2022年8月の会談について話し、政策を実行するために必要な手順を計画した。この地域におけるバイデン政権の目標は、キャンプデイヴィッドに到達することだ。

「会談には多くの人が参加したが、最も重要なのは米国大統領だった」とエマニュエルは語った。

共和党の大統領候補指名獲得を目指すトランプ前大統領が11月の選挙で勝利した場合、その取り組みは破綻する危険に晒されるのだろうか?

エマニュエルは、「そこから離れるということは、アメリカにとって大きな、大きな戦略的優位性から離れるということだ。韓国、日本、そしてアメリカはヴィジョンを持っている。私は生き残ると思う」と述べた。

トランプ大統領は就任中、ヨーロッパを軽蔑していたよりも日本との関係に好意的であったが、依然として従来の日米関係を無視した取引政策を追求していた。

エマニュエルは続けて「解ける可能性はあるだろうか? どんなことでも解明される可能性はある。しかし、3カ国の作戦能力にとって基本的なことに近づいている」と語った。

日本の政府関係者や専門家たちは、特に中国や北朝鮮からの脅威に対する基本的な対抗策として、緊密な安全保障上の結びつきが必要であるとの認識の下、ワシントン、東京、ソウルの3カ国の政権交代に備えるための「制度化(institutionalize)」に向けた協力が双方で進められていることに同意している。

日本のある国防関係者は本誌に対して、「韓国を私たちの輪の中に留めておくことは、私たちにとって非常に重要だ」と述べた。

エマニュエルは、目の前の仕事に集中していることを示すよう注意しており、大使就任後の野心についての質問には答えようとしない。バイデン政権における彼の最初のポジション候補は運輸長官だったと言われている。

エマニュエルは「それは放っておいてもいいのではないか、その質問には答えるつもりはない。私にはやるべき仕事がある。時が来たら、その質問に対する答えを見つけ出すだろう」と述べた。

時差が14時間あるため、ワシントンと東京は勤務時間中に通信できる時間枠はわずかだ。エマニュエルは朝、バイデン大統領首席補佐官ジェフ・ザイエンツ、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンとの通話、チャック・シューマー連邦上院院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)との通話、ジーナ・ライモンド商務長官とのメールのやり取りしている。

エマニュエルは、このようなアクセスの良さからワシントンはそれほど遠くには感じないが、8000マイルも離れていると、「違う視点があり、私が『ポトマック川のディズニーランド(Disneyland on the Potomac)』と呼んでいるものだ」と振り返った。

エマニュエルはワシントンの日々の忙しさから遠く離れ、オバマ政権時代の医療制度の可決や最低賃金の引き上げを求める党派間の厳しい戦いを振り返り、彼は「勇敢な心のペイントを身にまとい、戦いに赴く」と表現した。

エマニュエルは「8000マイル離れたところから見ると、光景は全く違う」と述べた。

エマニュエルは次のように述べた。「駐日米大使は私に与えられたユニークな贈り物だったと思う。よく知っていながらも知らなかった国で長期間過ごす機会を得た。私はそれを、冗談に合わせて言うつもりはない。私は来て、見て、そして恋に落ちた」

筆者は、日本政府から資金提供を受けている非営利財団であるフォーリン・プレスセンター・ジャパン(FPCJ)の費用で日本を訪れた。ラーム・エマニュエル駐日米大使とのインタヴューはFPCJとは独立して企画された。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 8月19日からの民主党の全国大会でのジャンプアップを目指して、民主党内では「団結」を求めて、カマラ・ハリスに候補者を一本化しようという動きが加速している。民主党の有力者たちや議員たちが次々とハリス支持を表明している。その中で、昨日までハリス支持を表明していない有力者がバラク・オバマ元大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人(ファーストレイディ)だ。先週末の報道では、オバマがジョー・バイデンへの撤退について話しをし、ハリスには自身の大統領選挙の選対スタッフ出身者たちを集めて(デイヴィッド・プルーフ元大統領上級顧問など)、ハリス選対を助けるという報道が出ていた。オバマは、バイデンの撤退決定については称賛したが、ハリス後継には支持をしなかった。
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連邦議会民主党の重鎮クラスも即座のハリス支持を明言しなかったが、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務は、民主党所属の議員団の動きを受けて、ハリス支持を表明している。

 今回のバイデンの撤退決定とハリス後継支持で、民主党周辺は盛り上がっているが、「バイデンが後継に指名したということだけで、ハリスをそのまま候補者にして良いのか」という「そもそも論」が出ている。舞台裏でバイデンに様々な撤退圧力をかけて、「自発的な形を整えて」、バイデンを引きずり下ろして、ハリスを後継に据えるというのは見方によっては、全くもって「民主的」ではない。ハリスをきちんとした形で候補者に指名するプロセスをこれからやっていくことは難しいと誰でも分かるが、できるだけのことをするのが民主党の責務だ。民主党の予備選挙をハリスは戦わないままで候補者になる。これは、ハリス大統領の正統性をかなり弱めることになる。各州の予備選挙や党員集会で誰も名前を書いていない人物がいきなり候補者になるということになる。この点は民主党として、きちんと対処しなければ、流血の事件となった1968年の民主党全国大会を繰り返すことになる。奇しくも、今年の会場も1968年と同じくシカゴだ。

 シカゴは、オバマ家の地盤である。ここで、流血の惨事とまではいかなくても、紛糾するような事態が起きれば、オバマ家の意向に傷がつく。その点で、オバマは非常に慎重に動いているのだろうと思う。また、自身が最後に支持を表明して、「誰が最高実力者なのか」ということを示したいということもあるだろう。

 「ハリスでやるぞ」「新規まき直しだ」という浮かれた雰囲気が民主党内や支持者の間で出てきている。しかし、選挙は厳しいし、ハリスは「張り子の虎(paper tiger)」である。オバマはその点で、そうした雰囲気を払拭しようとしているのだろうと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

後継指名されたハリス米副大統領、女性初・黒人初・アジア系初で脚光…実績乏しく民主党内に不安

7/22() 15:00配信 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=1

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=2

 【ワシントン=田島大志】11月の米大統領選からバイデン大統領(81)が撤退表明したことを受け、民主党は共和党のトランプ前大統領(78)に対抗できる後任選びに入った。バイデン氏が事実上の後継指名をしたハリス副大統領(59)が本命だが、党内が一枚岩でまとまるかどうかは不透明だ。

 「トランプを打ち負かすため、民主党、我が国を団結させるために全力を尽くす」。ハリス氏は21日の声明で、党の正式指名を得ることに強い決意を示した。

 民主党のビル・クリントン元大統領と妻のヒラリー・クリントン元国務長官は21日、連名の声明でハリス氏の支持を表明した。「今こそハリス氏を支援し、全力を尽くして当選のために闘う時だ」と結集を訴えた。

 大統領選まで4か月弱と時間が限られる中、バイデン氏を支えてきた経緯もあり、党所属議員や支持団体の間ではハリス氏での一本化を図る動きが始まっている。バイデン氏が集めた選挙資金もハリス氏への引き継ぎは容易とみられている。

 ハリス氏は、上院議員などを経て21年に女性初、黒人初として副大統領に就任した。母親はインド移民でアジア系としても初めてで、就任当初は脚光を浴びた。ただ、移民問題などを担当したバイデン政権では目立った実績に乏しく、国民的な人気は低迷している。

 米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」がまとめた、トランプ氏との対決を想定した世論調査の平均支持率は、トランプ氏が43・5%に対し、ハリス氏は38・5%にとどまっている。

 バイデン氏の撤退論が浮上する中、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56)やミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(52)らを推す声も出た。

 21日に声明を出したオバマ元大統領も「党が傑出した候補者選びのプロセスを用意できると自信を持っている」としつつ、ハリス氏には触れなかった。党内ではトランプ氏に「勝てる候補」としてハリス氏に対する不安もくすぶる。

 党大会直前での撤退は前例がないだけに、後継候補の選出も手探りとなる。

 党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は21日の声明で「団結した党として前進するための透明で秩序あるプロセスに着手する」と表明しつつ、具体的な選出方法は明らかにしなかった。米メディアによると、8月上旬にオンラインで代議員による指名投票を行う案のほか、8月19~22日の党大会の投票で選出する方法などが検討されている。

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ペロシがハリスを民主党の大統領選挙候補者として支持(Pelosi endorses Harris as Democratic nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786197-pelosi-endorses-harris-democratic-nominee/

ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は、ジョー・バイデン大統領が再選を望まないと発表した翌日に、カマラ・ハリス副大統領を民主党の大統領候補に正式に支持し、支援を表明した。

(依然として党内で重鎮である)ペロシ前議長の支持は、カリフォルニア州民主党がバイデンに水面下で選挙戦残留の決定を再考するよう圧力をかける上で重要な役割を果たしたため、ペロシの支持は重要だ。ペロシはバイデンが撤退発表した直後にハリスへの支持を差し控えたが、ペロシは月曜日に全面的な支持を表明した。

ペロシは声明の中で、「本日、私はこの国の将来に対する計り知れない誇りと限りない楽観をもってカマラ・ハリス副大統領をアメリカ大統領として支持する」と述べた。

昨年トップの座から退くまで、約20年にわたり、連邦下院民主党を率いてきたペロシは、ハリスが11月に党を勝利に導くと「全面的に確信している(full confidence)」と述べた。

ペロシは次のように述べた。「公式には、私はカマラ・ハリスが勤労者家庭(working families)の擁護者として、特に女性の選択権のために闘う強さと勇気を見てきた。個人的には、カマラ・ハリスが強い価値観、信仰、公共奉仕への取り組みに根ざしていることを何十年も前から知っている。政治的には、誤解しないで欲しいのだが、政界の女性としてのカマラ・ハリスは非常に洞察力があり、私は彼女が11月に私たちを勝利に導いてくれると確信している」。

月曜日遅く、民主党全国大会のカリフォルニア州代表団の会議中に、ペロシはシカゴでの全国大会で、同団体がハリス氏を支持することを求める動議を提出した。

ペロシはハリスの初期の大統領選挙活動を支持した最新の連邦下院民主党議員となった。この選挙運動は、日曜日にバイデンが撤退した直後に開始され、選挙戦のトップの座を埋めるためにハリスを支持すると発表した。

しかし、カリフォルニア民主党は、バイデン大統領が選挙戦からの撤退を発表した直後に、ハリスへの支持を保留した数少ない著名な民主党員の一人だった。ペロシ、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれも、撤退のニューズを受けての声明でバイデンを称賛したが、ハリスを支持するまでには至らなかった。

他のヴェテランの民主党議員3人はまだハリスを支持していない。しかし、ハリスは、月曜日、連邦上院民主党ナンバー2のディック・ダービン上院多数党(民主党)幹事長(イリノイ州選出、民主党)、連邦下院民主党のナンバー2とナンバー3である、連邦下院少数党(民主党)幹事長のキャサリン・クラーク、民主党議員団長のピート・アギラール議員(カリフォルニア州選出、民主党)からの支持を獲得した。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日の短いインタヴューで本誌に対し、何人かの民主党幹部は、何者かではなく、ハリスを候補者とする何らかのプロセスを展開することを可能にするために、今のところ支持を保留している可能性があると語った。これは、彼女にとっては戴冠式のようだ。その戦略がハリスを「より強力で正当な(stronger and more legitimate)」候補者にするだろうと彼らは考えているのかもしれない。

ハフマン議員は「私はハリス副大統領が候補者になると完全に確信している。100%の確信を持っているが、これが多少の展開を許しても問題ない」と述べた。

ペロシは、先月の討論会での悲惨な成績を受けてバイデンが選挙戦に残留するという決断を再評価するよう圧力をかける上で、舞台裏で重要な役割を果たしたが、バイデンは撤退決定をするまでその決意を堅持していた。

今月初め、形勢がバイデン有利に傾き始めたとき、ペロシは大統領のお気に入り番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデンが選挙戦継続を明らかにしていたが、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

多くの連邦下院民主党議員は、ペロシのテレビ出演を受けてバイデンの撤退を求めるようになった。

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オバマはハリス支持にまで至っていない(Obama stops short of backing Harris

サラ・フォーティンスキー筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4784831-obama-stops-short-of-backing-harris/

バラク・オバマ元大統領は、バイデン大統領が再選に向けて立候補しないとの報道を受けて、バイデン大統領を「最高クラスの愛国者(patriot of the highest order)」と称賛したが、後任としてカマラ・ハリス副大統領を支持するまでには至らなかった。

オバマは声明の中で、「ジョー・バイデンはアメリカで最も影響力のある大統領の一人であり、私にとって親愛なる友人でありパートナーでもある。今日、私たちはまた、彼が最高クラスの愛国者であることを改めて認識している」と書いた。

オバマ元大統領は、ハリスには言及せず、党が「今後数日で前人未到の海域を航行する(navigating uncharted waters)ことになる」と予想しているが、党の前進する能力に信頼を表明した。

オバマ大統領は声明文の後半で、「私たちの党の指導者たちが優れた候補者を生み出すプロセスを作り上げることができると、私は大いなる信頼を持っている。全ての人に機会を提供する、寛大で豊かで団結したアメリカというジョー・バイデンのヴィジョンは、8月の民主党全国大会で完全に明らかになるだろうと私は確信している。そして、私たち一人ひとりが希望のメッセージを伝え、11月以降も前進する準備ができていることを期待している」と述べた。

オバマは続けて、「今のところ、ミッシェルと私は、この危険な時期に、有能さと勇気をもって私たちを導いてくれた、そして、この国の建国の基礎となった自由と平等の理想への献身をしてくれたジョーとジルに対して、愛と感謝の気持ちを表したい」と述べた。

オバマは、バイデンがホワイトハウスで一緒に働いていた頃、バイデンと緊密な関係にあったことで有名だが、バイデンにとってこれがいかに難しい決断だったかを指摘し、バイデンが国にとって何が正しいかを考えていると確信していると付け加えた。

オバマはさらに次のように書いている。「ジョーが戦いから決して一歩も引かなかったことも知っている。彼にとって、政治情勢を見つめ、新たな候補者にトーチを引き継がなければならないと決断することは、間違いなく彼の人生の中で最も困難なことの一つだろう。しかし、それがアメリカにとって正しいと信じない限り、彼がこの決定を下さないことを私は知っている。これは、ジョー・バイデンの祖国愛の証であり、真の公僕が再び自分の利益よりもアメリカ国民の利益を優先した歴史的な例であり、将来の世代の指導者も見習うべきだろう」。

オバマ元大統領は、新型コロナウイルス感染拡大終結への貢献から雇用創出の記録、処方薬コストの引き下げ、気候変動への投資、労働組合への支援まで、バイデンの在任中の実績を称賛した。オバマは世界舞台でのバイデンのリーダーシップと、ロシアのウクライナ侵略に対してNATO諸国を団結させる役割を宣伝した。

オバマはバイデンの人柄を称賛した。オバマは、「彼の深い共感力と苦労して獲得した回復力、彼の基本的な良識と、誰もが大切だという信念がある。ドナルド・トランプ政権の特徴だった4年間の混乱、虚偽、分断から国を救い出したのはバイデンだ」と述べた。

オバマは次のように書いている。「この優れた実績が、バイデン大統領に再選に立候補し、彼が始めた仕事をやり遂げる権利を与えた。ドナルド・トランプを再びホワイトハウスに迎え入れ、共和党に連邦議会を支配させれば、彼が生涯をかけて闘ってきたこと、そして民主党が掲げることのすべてが危険に晒されることをバイデンは理解している」。

オバマ元大統領は次のように述べた。「ジョーは彼の政策と模範を通じて、私たちが最高の状態にあること、つまり信頼と誠実さ、優しさと勤勉といった昔ながらの価値観を大切にする国であることを思い出させてくれた。民主政治体制、法の支配、責任を信じている国だ。誰であろうと誰もが発言権を持ち、より良い生活を得るチャンスを得る権利があると主張する国だ」。

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ペロシ、ジェフリーズが2024年大統領選挙民主党候補者としてハリスを支持するに至っていない(Pelosi, Jeffries stop short of backing Harris as 2024 nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4784903-pelosi-jeffries-endorsement-harris/

ジョー・バイデン大統領が再選を目指さないと発表したことを受けて、日曜日、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、カマラ・ハリス副大統領を党の新たな候補者として支持するまでには至っていない。民主党が前途未踏の道に進む中、支持を表明しなかった。

ペロシとジェフリーズは、先月の討論会での悲惨な結果を受けて。バイデンの立候補に懸念を表明したと伝えられているが、両議員は大統領を称賛したが、ハリスの名前には言及せず、11月の大統領選挙で、誰を候補者に据えたいのかについても言及しなかった。

ペロシは声明で次のように述べた。「ジョー・バイデン大統領は、常に我が国を第一に考えてきた(put our country first)愛国的なアメリカ人だ。彼が残したヴィジョン、価値観、リーダーシップにより、彼はアメリカ史上最も影響力のある大統領の一人となった。常にアメリカの約束を信じ、人々にその約束を果たす機会を与えてくれたバイデン大統領に愛と感謝を捧げる。神はジョー・バイデンの偉大さと善良さでアメリカを祝福した」。

ジェフリーズもペロシの意見に同調し、バイデンを「アメリカ史上最も功績があり、影響力のある指導者の一人」と称賛し、その後、バイデンの大統領としての数々の功績を列挙した。

「ジョー・バイデン大統領が知性、品格、威厳をもって私たちを導いてくれたので、今日のアメリカはより良い場所になった。私たちは永遠に感謝するだろう」とジェフリーズは付け加えた。

ジェフリーズとハリスは日曜日の夜に話した。

チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)とオバマ前大統領も、党の新しい候補者としてハリスへの支持を明確に表明しない声明を発表し、これに驚いた人々もいた。

民主党幹部の動向に詳しいある関係者は本誌に対し、日曜日は感傷的な日となり、連邦議員たちはこのニューズに対処していると語った。彼らは、その日はバイデンにとっての日であり、議員たちはその日その時に問題に対処していると付け加えた。

しかし、有力者たちからの支持の欠如は注目に値する。それは、ペロシのような民主党の有力者たちが、バイデンに選挙戦を続けるという決断について再考を促すように舞台裏で努力をしたからだ。

ペロシは今月初め、潮目がバイデンの方向から傾き始めたとき、バイデンのお気に入りのニューズ番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデン大統領が大統領選を続けると決断していることが明らかだったにもかかわらず、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

本誌の調査では、ペロシとバイデンは1週間以上会話していないことが分かった。

民主党トップからの支持がないことは、すぐにハリスへの支持を表明した連邦下院民主党議員団の他のメンバーとは対照的である。

民主党指導部の一員を務めた経験を持ち、2020年の大統領選挙でバイデンを支持したことが勝利の鍵となった、ジェームズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は、プラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州選出、民主党)と同様に、ハリスを新しい候補者として支持した。ジャヤパル議員は、連邦下院進歩主義派議員連盟の会長を務めている。また、連邦下院歳出委員会の民主党側幹部メンバーであるローザ・デラウロ連邦下院議員(コネチカット州出身、民主党)もハリス支持を表明した。前述のクライバーン議員は以前、バイデンが選挙戦から撤退した場合には、ハリスを支持すると述べていた。

民主党幹部たちは、バイデンの撤退発表直後、ハリスへの支持を表明するまでには至らなかったが、近い将来、ハリスへの支持を表明する可能性がある。たとえば、ジェフリーズは、通常、大きな決断を下す前に、連邦下院民主党議員団のメンバーと会って話をするのが通例だ。

このグループは火曜日に毎週開かれている定期会合に集まる予定だ。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日夜、本誌の短いインタヴューに対し、民主党の幹部の一部は、ハリスの支持を急いでいないかもしれないと語った。彼らは、何らかのプロセスが展開されることを容認すれば、ハリスがより強力な候補者になると感じているからである。ただし、そのプロセスがどのようなものであるかは不明だ。

ハフマンは次のように述べた。「少しのプロセスがあれば、カマラはより強く、より正当なものになると信じている人もいる。しかし、そのプロセスの終わりに彼女が候補者にならないだろうと示唆する人は私の知る限りでは誰もいない。この急速な団結がリアルタイムで起こっているのを目の当たりにしている」。

ハフマンは、「私はハリス副大統領が私たちの候補者になると完全に自信を持っている、あるいは200%の確信を持っているが、これが多少なりとも展開することを許容しても問題ない」と付け加えた。

ハフマンは、議員たちからよりオープンなプロセスを求める声が出ていることについて、「ハリスに反対しているという意味ではない」と指摘した。

ハフマンは、そのプロセスは民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の規則委員会の判断に委ねられ、「完全にオープンな大会にはならない(less than a wide-open convention)」と予想していると述べた。

民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は、日曜日に発表した声明の中で、「今後数日以内に、党は11月にドナルド・トランプを破ることができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための、透明性があり、かつ秩序あるプロセスに着手する」と述べた。

ハリソン委員長は「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と続けて述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領が現地時間の日曜日夜、声明を発表し、再選を目指さないこと、党の候補者としてカマラ・ハリス副大統領を支持すると述べた。先週後半から、バイデン撤退を求める声が大きくなり、マスコミの論調もトーンが上がっていたことは、このブログでも既にご紹介していたが、それが現実となった。投開票日まで残り110日を切り、民主党全国大会まで1カ月を切った段階での慌ただしい交代劇となった。
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ジョー・バイデンとジル夫人
 バイデンが発表した声明を読み、私は彼の無念さを感じた。相当な圧力を受けて、嫌々ながら撤退を決断したのだろうと思う。彼自身は、自分はまだまだ元気で大丈夫だと思っていただろうが、周囲の認識との差は大きかっただろう。人間は自分自身のこととなると分からないことが多くなるものだ。

声明文の中でバイデンは、「Democratic Party」という言葉を使わなかった。怒りのあまり、使えなかったのだろう。「my party」という言葉を使っている。バイデンの気持ちはこのようなものだろう。「いくら他の候補者が立たなかったとは言え、予備選挙で私は勝利して代議員を獲得している。その私をお前たち民主党の最高幹部たちは、引きずりおろそうとあの手この手で、脅したりすかしたりして説得、脅迫してくる。自分はそれに疲れたのだ。民主党が民主的ではないとは。カマラがいいというのなら、それでいいよ」ということが読み取れる。声明文の中で、「Democracy」とわざわざ強調しているところもあるのに、「Democratic Party」とは使っていない。バイデンの無念は相当なものだろう。

 ハリスは早速、連邦議会の民主党議員たちと話をして、支持を得ている。議員たちは11月に選挙があり、民主党に勢いがないと、選挙が厳しいということになる。民主党全体に勢いがないと見られると、選挙運動は停滞し、資金集めも難しくなる。議員たちにしてみれば、「バイデンじゃなければ何とかなる」ということになるだろう。

 今回の撤退・交代劇は見方を変えれば、「民主党内のエリートたちが自分たちの利益のために、リーダーを無理やり引きずりおろした(表面上は円満に)」ということになる。バイデンはワシントン政治家として老獪な人物であり、喧嘩をしても得策ではないときは引くということができる人物である。民主党は禍根を残すことになる。なぜなら、民主党全国委員長は「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」を経て、候補者を選ぶと述べており、それならば、バイデン撤退についても「透明性があり、かつ秩序あるプロセス」で明らかにしなければ、ハリスの候補者としての「正統性(legitimacy)」が完全に認められないということになるからだ。

 カマラ・ハリスには、バラク・オバマとミシュエル・オバマから多大な支援が行われる。2008年、2012年のオバマ選対のスタッフ出身者が集められて、ハリス陣営が作られるという話が出ている。バイデンに対して、「猫の首に鈴を付ける(説得して撤退させる)」役を最終的に引き受けたのは、オバマだろう。バイデン陣営の政治資金については、ハリスはバイデンが指名した人物であり、ランニングメイトなのでバイデンに集まったお金が使えるということになりそうだが、一部には異論がある。「ハリスに対して出した訳ではないのだから返金すべき」という意見もある。今回のケールは極めて異例であり、まだ予断を許さない。

副大統領候補には何人か名前が挙がっているが、まだ決定打はない。マーク・ケリー上院議員(アリゾナ州)の名前が出るようになっている。ケリーは白人男性で、海軍のパイロットから宇宙飛行士になった人物。党は違うが、海軍パイロット出身で故ジョン・マケイン(共和党)の後釜的存在でもある。ハリスとは好対照な人物であり、注目される。

ハリスにはヒラリー・クリントンも支援をするという話も出ているが、これは逆効果だろう。ミシェルもあまり表に出ない方が良いかもしれない。有能な弁護士出身でセレブの大統領夫人経験者コンビがしゃしゃり出ると、格差が大きくなっているアメリカでは嫌われる。そして、何よりも、民主党内のニューヨーク王朝クリントン家、シカゴ王朝オバマ家の女王様方がご入来と捉えられる危険もある。

民主党は党綱領を発表しているが、ハリスらしさを出すために修正は必要となる。ハリスはカリフォルニア州司法長官(検事総長のような感じ)時代に、厳しい犯罪対策を行って、評価を上げたが、民主党内左派からは「厳し過ぎる」という批判が集まった。党内左派は支持しているが、ハリスに対して、反感を持っている人たちも多い。

カリフォルニア州は民主党にとって金城湯池の州だ。興味深いことに、それなのに、民主党出身の大統領でカリフォルニア州を地盤にした人はこれまで出ていない。共和党の側では、最近では、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンはカリフォルニア州を地盤にしていた。このジンクスが破れるかどうか、注目される。

(貼り付けはじめ)

ハリスはバイデンが辞任後、支持を固めようと躍起になっている(Harris races to lock down support after Biden drops out

マイケル・シュニール筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4785030-harris-support-biden-drops-out/

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ミシガン州カラマズーの選挙イヴェントに到着したカマラ・ハリス副大統領(2024年7月17日)

ジョー・バイデン大統領が再選をもう望まないと発表してからわずか数時間後、カマラ・ハリス副大統領はホワイトハウスへの立候補への支持を固めようと急いでいる。

ハリスは日曜日、連邦議事堂で、3つの主要な議員連盟(派閥)の会長たちと面会した。連邦下院進歩主義派議員連盟のプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)、連邦下院ヒスパニック議員連盟のナネット・バラガン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ニュー・デモクラット連合のアン・マクレーン・カスター連邦下院議員と会談した。3人全員がハリスを大統領選挙の指名候補として支持している。

ハリスは、マーク・ポーカン連邦下院議員(ウィスコンシン州選出、民主党)とも話した。ボーガンは、Xでの投稿で「彼女はウィスコンシン州で勝つ準備ができている!!!」と述べた。そして、ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ハリスのスタッフから話を聞いたと述べた。

ハフマンは日曜、本誌の短いインタヴューに対して。「彼女のティームは完全に活性化されており、電話は鳴り響き、電子メールのやり取りは爆発的に増加しており、この事態は順調に進んでいる。これはロケット・シップのように飛び立った」と述べた。

会話の感想を尋ねられ、ハフマンは「さあ、反撃開始だ(Let’s roll)」と答えた。

バイデンがもはや党の指名を求めないと発表したことを受け、ハリスが初期の大統領選挙活動を加速させようとしている中で、連邦議事堂での活発な全面的活動(full-court press)が行われた。

バイデンは、先月の討論会での悲惨なパフォーマンスをしたことで、懸念が高まる中、民主党から出馬の決断を再考するよう圧力が強まっていた。バイデン大統領は当初、自ら撤退はしないと一貫して反抗的だったが、日曜日に態度を翻し、ハリスの候補者指名を即座に支持した。

バイデン大統領はXへの投稿の中で、「2020年の民主党大統領選挙候補者としての私の最初の決断は、カマラ・ハリスを副大統領候補に選ぶことだった。そして、これは、私にとって最良の決断だった。今日、私はカマラが今年の民主党の候補者となることに全面的な支持を表明したい」と述べた。

ハリスはバイデンからの支持を歓迎し、声明で次のように述べている。「大統領の支持を得られたことは光栄なことであり、私の意図はこの指名を得て、勝ち取ることだ」。

今回の件に詳しい複数の関係者によると、ハリスはここ数カ月と同様、強行軍の遊説スケジュールを維持するとみられる。「AAPI勝利基金」、「コレクティヴPAC」、「ラティーノ勝利基金」などの主要な民主党PACは日曜日にハリス支持を表明しており、バイデン選挙運動のインフラはハリス支持に軸足を移している。

ハリスの支持拡大に向けた全速力の疾走(sprint)は、シカゴで開催される民主党全国大会まで1カ月を切った時点で始まっている。民主党所属の連邦議員の多くがハリスを指名候補として支持しているが、一部の主要人物は判断を保留している。ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれもバイデン氏を称賛したが、ハリス氏を支持するまでには至らなかった。このことに驚いている人たちもいる。

今後の道筋は依然として不透明なままだ。民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は日曜日、「党は今後数日以内に、11月にドナルド・トランプを倒すことができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための透明性があり、かつ秩序あるプロセス(transparent and orderly process)に着手する」と述べた。

ハリソンは続けて、「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と述べた。

ジャヤパルは日曜日、ハリスとの電話で「あなたが大統領になることを1000%確信している!」と伝えたと述べた。

ジャヤパルは続けて、「彼女は、11月に私たちを勝利に導く知性、経験、実績を持っている、そして、解決すべき課題を分かっている。さあ行こう!」と述べた。

バラガンもその意見に繰り返し、Xで次のように投稿した。「副大統領と話し合って、私は全力で取り組むと繰り返し述べた」。

「今日から、私と一緒にカマラ・ハリス副大統領を寄付で支援してください!」とバラガンは付け加えた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領の選挙撤退論が、アメリカで急に強まっている。民主党の最高幹部クラスがこぞって。バイデンでは勝利がおぼつかない、上院議員や下院議員の選挙にまで影響を与えて、連邦議会上下両院でも過半数を取れないと危機感を募らせ、バイデンを説得しようとしている、説得しているという報道がなされている。バラク・オバマ元大統領にも多くの議員たちから連絡が来て、「説得して欲しい」という要望が来ているとのことだ。
 問題は、バイデン陣営の大口献金者たちからの多額の献金が控えられているということだ。大口献金者たちが数十億円、数百億円を政治献金するのは、善意からのものではない。彼らは、自分たちにとって都合の良い政策や名誉を求めて莫大な献金をする。名誉という点では、たとえば、アメリカにとってあまり重要ではない国や難しい外交問題がない国の大使などに任命されるということがある。大使として、難しい仕事は何もせずに、パーティーや儀式に出ていれば、退任した後には「大使閣下(閣僚と同等)」と死ぬまで呼ばれ、勲章のランクも上がる。彼らは政策や地位をお金で買っていると言ってよい。より正確に言えば、これは一緒の賭けであり、掛け金を払って、勝てば払い戻しとして、上記のことになる。負ければそれっきり、だ。だから、勝てると踏んでいる相手であればお金を出しても良いが、苦しいとなると財布のひもは固くなる。

 ここまで来ると、「誰が猫(バイデン)の首に鈴をつけるか」ということになるが、ここは、バラク・オバマということになるだろう。オバマは民主党支持者を中心にして、アメリカ国民の多数からの人気が高い。民主党の顔であり、実力者ということになる。そして、バイデンが撤退した後に、カマラ・ハリスが大統領候補となる場合には、オバマ選対で2008年、2012年の大統領選挙を戦って勝利を収めたスタッフたちを終結させて、船体を立ち上げるということになっていると報道されている。バイデンが撤退した後、民主党はバラク・オバマの党となる。

 更に、驚きのプランとして、現段階でジョー・バイデンが大統領を辞任して、カマラ・ハリスを大統領に昇格させた上で、選挙戦を戦わせるという話まで出てきている。現職大統領の権限は強大であり、それを使って、一か八かのオクトーバーサプライズを仕掛けるということも可能となる。しかし、これはあまりにも「選挙目当て」が露骨に出ており、そんなことをすれば、民主党全体が大きな批判を浴び、11月に行われる全ての選挙で大惨敗を喫するだろう。しかし、民主党内部の危機感はそこまで大きなものとなっているということがこの話から分かる。

 今週末にバイデンが重大な発表を行うという憶測も出ている。今週末が一つの山場ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

将来に関するバイデンの決定は数日中に予想されており、ハリスは確実な後継者と見なされている(Biden decision on future expected in coming days, and Harris is considered heir apparent

アレクサンダー・ボルトン、エイミー・パーネス筆

2024年7月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4780762-biden-future-harris-running-mate/amp/

 

ラスヴェガスの南ネヴァダカレッジでの「トゥ・リヴ・プロパティ・サミット」のステージ上で手を振るジョー・バイデン大統領(2024年7月16日)

事情に詳しい民主党関係者たちは、ジョー・バイデン大統領がミルウォーキーでの共和党全国大会閉幕直後に自身の将来について重大な発表を行うと予想しており、連邦議会指導者たちはバイデンが再選を取り下げた場合、ハリス副大統領が大統領候補になると予想していると述べた。

現在、民主党の上級ストラティジストや献金者の間では、ハリスの伴走者として誰が最適かという話になり、マーク・ケリー上院議員(アリゾナ州選出、民主党)、アンディ・ベシア・ケンタッキー州知事、ロイ・クーパー・ノースカロライナ州知事の3人に絞られている。

ハリスとのトップ争いに加わった候補者に詳しいある関係者によると、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサムとミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマーは、ハリスの副大統領候補を務めることについて関心を持っていないと党幹部たちに伝えたということだ。

バイデンは、ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク)を含む、党の指導者たちからの強い圧力を受けている。彼らはバイデン大統領に対して直接、民主党所属の連邦上院議員の過半数と連邦下院議員の大多数が、バイデンがトランプ前大統領を倒すことができると考えていないと述べている。

政権移行計画に詳しいある関係者によると、2008年と2012年の大統領選挙で勝利を収めたバラク・オバマの選対に参加していた人々は、バイデンが撤退に同意すれば、カマラ・ハリスが自身の大統領選活動を開始できるよう支援する用意があるという。

民主党のストラティジストたちは、バイデンは動揺する民主党所属の連邦議員や献金者たちに、討論会での悲惨なパフォーマンスから立ち直り、精神力やエネルギー、健康状態についての絶え間ない疑問を解消できると安心させることができなかったと述べている。

それどころか、バイデンが大統領を後4年も務めるには年を取りすぎているというシナリオに囚われており、選挙日までにそれを払拭する方法はなさそうだと情報筋は言う。

連邦議会指導者たちは、ハリスを候補者にすることに「冷淡(lukewarm)」だが、ハリスの支持率はバイデンよりも高いことを認識しており、バイデン大統領がハリスのために選挙活動を行うことで支持率を押し上げられると考えていると指導者レヴェルの協議に詳しいある人物は述べた。

連邦議会指導者と民主党の寄付者たちの協議に詳しい人物は、「協議が行われており、数週間前、更には数日前よりも協議は異なり、強化されている。土曜日以降、協議は激化している」と述べた。

「現在、バイデン大統領は候補者リストのトップに立ち、党全体を勝利に導くことに全力を尽くしている」と情報筋は述べたが、民主党の「高レヴェル(high level)」の議員たちは、ハリスが大統領候補になった場合の新しい候補者リストがどのようなものになるかを既に見据えていると付け加えた。

ホワイトハウスのアンドリュー・ベイツ筆頭副報道官は、バイデンが選挙戦からの撤退を検討しているという話を否定した。

ベイつは、バイデンが数日以内に政治的将来について決断を下す見込みだと本誌が報じた後に、一言「誤りだ(false)」と述べた。

ケリーとクーパーの名前は、最近、副大統領候補の最有力候補として浮上している。

情報筋によると、バイデン陣営の計画は「今週、州内を回る(is to go out into the states this week)」というものだが、すぐに変更される可能性があるということだ。

情報筋は、トランプが木曜日の夜にミルウォーキーで開かれた党大会で、トランプが共和党の大統領候補指名を受諾したことに言及して、加えて次のように述べた。「今日はデラウェア州で多くのことが起こっている。今夜、もう1人の候補者がステージに上がった後、何らかの強い声明が出るだろう」。

バイデンの選挙陣営は、大統領が選挙日まで選挙戦を続けるという決意を再確認するだろうと支持者に信じ込ませているが、中には大統領が選挙活動終了の決断を発表するのではないかと疑う者もいる。

あるストラティジストは続けて、「そのメッセージが最終的にどのようなものになるかは分からない。今からその時までにはまだ時間がある」と述べた。

バイデンはラスヴェガスでイヴェントに出席した後、新型コロナウイルスの検査で陽性となり、デラウェア州に戻って「自己隔離(self-isolate)」したため、今後の発表は月曜日まで延期される可能性がある。

しかし、バイデンには、連邦上院議員と連邦下院議員がワシントンに戻る前に、党内の混乱を収拾する動機があるだろう。ワシントンに戻れば、新たな懸念が巻き起こり、選挙活動の終了を求める声が上がるだろう。連邦下院民主党議員は月曜日に飛行機で到着し、連邦上院議員は火曜日に国会議事堂に戻る予定だ。

複数の民主党関係者たちは、共和党支持者を団結させたペンシルヴァニア州バトラーの集会での暗殺未遂事件と、ミルウォーキーでの共和党全国大会により、トランプの支持率は上昇するとし、バイデンがカムバックする可能性はますます低くなっていると述べている。

ある情報筋は、本誌の取材に対して、「バイデンの支持者の1人は、大統領は自身の政治的将来について依然として防御的、更には批判的だが、周囲の人々は事態の重大さに気づいていると語った」と述べた。

バイデンがデラウェア州のビーチハウスで新型コロナに感染したまま閉じこもっている中、民主党幹部たちは大統領選勝利の見通しについて警鐘を鳴らし続けている。そして、陣営内部や陣営に近い人々からは、終わりが近いという明白な感覚があった。

第一に、最新の各種世論調査では、バイデンにとって引き続き問題を示している。バイデン陣営に近いある戦略家は次のように語った。「状況は悪化し続けている(It keeps getting worse)。反証(proof to the contrary)はない。士気(morale)は今まで見たことがないほどだ。最悪だ。誰もがこれから何が起こるか予感しているようだ」。

陣営の代理人の1人は、「この時点では、耐えられない。魔神を瓶に戻すことはできない(There’s no putting the genie back in the bottle)」と語った。

また、小口寄付者は引き続き少しずつ入ってくるが、大口寄付者が引き続き資金を差し控えているため、大規模な資金調達は不利な状態になっていると関係者は語った。

民主党の主要寄付者の1人は、「大きな亀裂があり、修復不可能だ」と語り、更に「バイデン候補の立候補は明らかに崩壊の瀬戸際(on the brink of collapse)にあり、陣営もそれを知っている」ため、資金調達は「厳しい(bleak)」と付け加えた。

「それはもう決まっている」と寄付者は付け加えた。

2人目の民主党の大口寄付者も同意し、「バイデンが候補者になることはないというのが全体的なコンセンサスであり、私たちは誰が候補者になるかを見守っている」と述べた。

ホワイトハウスのある高官は木曜日、バイデンの立候補と来週の選挙活動計画については何も変わっていないとABCニューズに語った。

「バイデンは指名を勝ち取り、その後党は団結する必要がある」とこの高官はABCニューズに語った。

ある民主党のストラティジストは、シューマー、ジェフリーズ、ペロシが別々の会合でバイデンに、11月にバイデンの勝利について、連邦議会民主党の中で広範な悲観論があると語ったとメディアの報道を確認し、シカゴで開催される民主党大会に向けてバイデンが今や大幅に劣勢であることを示す世論調査について話し合った。

「これは3つの視点からの個別の見解だ。全てが同じ結論だ」とある情報筋は語り、議会指導者からバイデンへのメッセージは、彼が2期目に勝つ可能性は低いということだと説明した。

オバマ政権の政治ティームの幹部を含む民主党のストラティジストの一部は、1年以上前にバイデンの側近を訪問し、バイデンが2期目に立候補することに対する深刻な懸念を表明した。

 

2人目の民主党情報筋は、バイデン陣営の全国共同委員長が、「バイデンの辞任を望んでいない連邦上院議員など誰1人もいない。例外は、おそらく、クリス・クーン連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)だけだろう。ダムが決壊した」と述べたと証言した。

民主党のストラティジストで元オバマ政権高官のケネス・ベアは、最近のAP通信・NORC共同世論調査で、民主党有権者の3分の2がバイデン以外の人物を大統領候補に指名することを望んでいるという結果が出たと指摘した。

「バイデン大統領は窮地に立たされています(in a box)。問題は、候補者に関する他の質問とは異なり、この質問は反証が非常に難しいことだ。彼は大統領候補として勝つのに十分な若さや精神力を持っているだろうか? 人々の考えを変え、それを非常に迅速に行うために、彼は何ができるだろうか?」とベアは語った。

ベアは次のように語った。「世論調査の結果は1年以上にわたってかなり一貫している。常に、アメリカ人の大多数、無党派層、さらには民主党員の大多数が、バイデンはその職には年を取りすぎていると感じてきた。彼に何ができるのか私には分からない。討論会が行われ、それがその方法だったが、うまくいかなかった。次に何ができるだろうか?」。

シューマー議員の広報担当者によると、シューマーは土曜日にバイデンと会談し、「シューマー議員の党派の見解を大統領に直接伝えた」ということだ。

ジェフリーズはバトラーでの銃撃事件前の先週木曜日の会合で、バイデンが選挙活動を続けることで民主党が連邦下院で過半数を獲得する可能性が失われる可能性があると警告した。

ジェフリーズの広報担当者は、ジェフリーズが連邦下院民主党議員団を代表して「今後の方向性についてのあらゆる洞察、展望、結論を直接表明した」と述べた。

CNNは木曜、ペロシが「最近の会話(recent conversation)」でバイデンに非公式に、世論調査ではトランプに勝てないことが示されており、連邦下院民主党の過半数獲得の可能性を台無しにする可能性があると警告したと報じた。

民主党関係者によると、テッド・カウフマン元連邦上院議員(デラウェア州出身、民主党)、元大統領首席補佐官を務めたロン・クレインとマイク・ドニロン、アニタ・ダン、ジル・バイデン大統領夫人、バイデンの妹ヴァレリー・バイデン・オーエンスを含むバイデンの最側近が現在、連邦議会指導者たちからのフィードバックを受けて「厳しい状況に向き合っている(facing the music)」。

この関係者は、バイデンが撤退した場合、「カマラが唯一の選択肢であることは誰もが理解している」と付け加えた。

このストラティジストは、バイデンが選挙戦から撤退する決定を発表するまでの時間が長ければ長いほど、新たな選挙戦を軸にして、選挙戦を構築するために「必要な全ての移行を行うことがより困難になる(to build a campaign around a new ticket.)」と述べた。

「オバマ選対スタッフ出身者の全員がハリスの選挙運動を引き継ぎ、運営する用意ができている。それはオバマがこの件に全て関与していることを意味する」とこの情報筋は付け加えた。

ハリスは、スタッフの離職率の高さ(high staff turnover)など独自の問題を抱えており、バイデン支持者らからはあまり好まれていない。

2人の戦略家によると、ハリスの副大統領候補のリストのトップに躍り出たケリー議員は、依然としてバイデンの選挙活動継続を断固支持していると語る。

ケリー議員はMSNBCに対し、「私たちはこの問題についてこの数週間、シューマー連邦上院議員と会談してきたが、現状では、バイデン大統領とカマラ・ハリスが我々の候補者であると考えている。何百万人ものアメリカ人が全国50州と準州で彼らに投票した。110日後には選挙があり、それに集中しなければならない」と述べた。

ニューサムの補佐官は、ニューサムがハリスの副大統領候補から自身の名前を取り下げたことについてのコメント要請に応じず、知事報道室もメッセージを返さなかった。

ミシガン州知事ウィットマーの報道官は、副大統領選への立候補への関心についてコメントを拒絶した。

2人の寄付者たちは、ハリスがトランプに勝てるかどうかについて寄付者コミュニティにはまだ不確実性があると述べた。

彼らは「私たちの多くは、開かれた大会が必要だと考えている。それは多くの興奮を生み出すだろう」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。準備中に、イスラエルとハマスの紛争が始まり、そのことについても分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカは戦後、中東地域で大きな影響力を保持してきた。親米諸国と反米諸国が混在する中で、石油を確保するために、中東地域で超大国としての役割を果たしてきた。1993年にはオスロ合意によって、イスラエルとパレスティナの和平合意、二国間共存(パレスティナ国家樹立)を実現させた。しかし、中東に平和は訪れていない。パレスティナ問題は根本的に解決していない。今回、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスティナ問題を「最終解決」させようとしているかのように、徹底的な攻撃を加えている。アメリカは紛争解決について全くの無力な状態だ。イスラエルを抑えることもできていないし。パレスティナへの有効な援助もできていない。

 アメリカの中東政策について、下の論稿では、「社会工学(social engineering)」という言葉を使っている。この言葉が極めて重要だ。「社会工学」を分かりやすく言い換えるならば、「文明化外科手術」となる。はっきり書けば、非西洋・非民主的な国々を西洋化する(Westernization)、民主化する(democratization)ということだ。日本も太平洋戦争敗戦後、アメリカによって社会工学=文明化外科手術を施された国である。アメリカの中東政策は、アラブ諸国に対して、西洋的な価値観を受け入れさせるという、非常に不自然なことを強いることを柱としていた。結果として、アメリカの註徳政策はうまくいかない。それは当然のことだ。また、アメリカにとって役立つ国々、筆頭はサウジアラビアであるが、これらに対しては西洋化も民主化も求めないという二重基準、ダブルスタンダード、二枚舌を通してきた。

 アメリカの外交政策の大きな潮流については、私は第一作『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で詳しく書いたが、大きくは、リアリズムと介入主義(民主党系だと人道的介入主義、共和党系だとネオコン)の2つに分かれている。第三作『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)で、私は「バイデン政権は、ヒラリー・クリントン政権である」と結論付けたが、ヒラリー・クリントンは人道的介入主義派の親玉であり、バイデンはその流れに位置する。従って、アラブ諸国を何とかしないということになるが、それではうまくいかないことは歴史が証明している。それが「社会工学」の失敗なのである。

 最新作『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で、私は世界が大きく「ザ・ウエスト(西洋諸国)対ザ・レスト(西洋以外の国々)」に分裂していくということを書いたが、西洋による社会工学=文明化外科手術への反発がその基底にある。私たちは、文明化外科手術を中途半端に施された哀れな国である日本という悲しむべき存在について、これから向き合っていかねばならない。

(貼り付けはじめ)

「バイデン・ドクトリン」は物事をより悪化させるだろう(The ‘Biden Doctrine’ Will Make Things Worse

-ホワイトハウスは中東に関して、自らの利益のために野心的過ぎる計画を策定している。

スティーヴン・A・クック筆

2024年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/09/biden-doctrine-israel-palestine-middle-east-peace/

アメリカに「中東についてのバイデン・ドクトリン(Biden Doctrine for the Middle East)」は必要か? 私がこの質問を発するのは、トーマス・フリードマンが先週の『ニューヨーク・タイムズ』紙でバイデン・ドクトリンについて述べていたからだ。どうやらバイデン政権は、「イランに対して強く毅然とした態度(a strong and resolute stand on Iran)」を採用し、パレスティナの国家化(statehood)を進め、サウジアラビアに対して、サウジアラビアとイスラエルとの関係正常化(normalization)を前提とした、防衛協定(defense pact)を提案する用意があると考えられている。

フリードマンのコラムがホワイトハウス内の考え方を正確に反映しているなら、そしてそうでないと信じる理由はないが、私は「ノー」の評価を下すことになる。これまで中東変革を目的とした大規模プロジェクトを避けてきたジョー・バイデン大統領とその側近たちは、特にパレスティナ国家建設に関しては、噛みつく以上に多くのことを実行しようとしている。これが更なる地域の失敗になる可能性が高い。

第二次世界大戦後のアメリカの中東外交を振り返ると、興味深いパターンが浮かび上がってくる。政策立案者たちがアメリカの力を使って悪いことが起こらないようにした時は成功したが、ワシントンの軍事、経済、外交資源を活用して良いことを起こそうとした時は失敗してきた。

中東地域で国際的な社会工学(social engineering 訳者註:文明化外科手術)にアメリカが公然と取り組もうとしたきっかけは、1991年にまでさかのぼる。その年の1月から2月にかけて、アメリカはイラクの指導者サダム・フセインのクウェート占領軍を打ち破った。そしてその10ヵ月後、ソ連の指導者たちはこの連合を終わらせることを決定した。アメリカは、唯一残された超大国として独り立ちしたのである。冷戦に勝利したワシントンは、平和を勝ち取ること、つまり世界を救済することを決意した。中東でこれを実現するために、アメリカ政府高官が求めた主な方法は「和平プロセス(the peace process)」だった。

フセインによるクウェート吸収への努力が行われ、イスラエルとその近隣諸国との紛争との間に関連性がほとんどなかったにもかかわらず、イスラエルとアラブとの間に和平を築こうとするアメリカの努力は、砂漠の嵐作戦後のワシントンの外交の中心となった。もちろん、抽象的なレベルでは、イラクもイスラエルも武力によって領土を獲得していたが、1990年8月のイラクのクウェート侵攻と1967年6月のイスラエルの先制攻撃はあまりにも異なっていたため、比較の対象にはなりにくかった。

中東和平へのアメリカの衝動は、国際法(international law)というよりも、アメリカの力がより平和で豊かな新しい世界秩序の触媒になりうるという信念に基づくものだった。もちろん、これは主流の考え方から外れたものではなかった。結局のところ、アメリカは世界をファシズムから救ったのであり、ジョージ・HW・ブッシュ大統領がマドリードで平和会議を招集した当時、ソヴィエト共産主義は死にかけていた。

あらゆる努力にもかかわらず、ブッシュの中東における目標は依然として主にアラブとイスラエルの和平問題の解決に限定されていた。和平プロセスが決定的に変化する様相を呈したのはクリントン政権になってからである。 1993年の同じ週、イスラエルのイツハク・ラビン首相とパレスティナ解放機構の指導者ヤセル・アラファトが、当時のアメリカのアメリカ大統領ビル・クリントンと国家安全保障問題担当大統領補佐官アンソニー・レイクの支援と許可のもとでオスロ合意の最初の合意に署名した。ビル・クリントンとアンソニー・レイクは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題大学院(SAIS)の学生と教職員の前に現れ、冷戦直後の世界におけるクリントン政権の米国外交政策の目標を述べた。クリントン大統領のアプローチの中心は、レイクが「民主政治体制の拡大(democratic enlargement)」と呼んだものだった。

クリントン率いるティームが中東の変化を促進する方法はパレスティナを通じてであった。クリントンは、イスラエル人とパレスティナ人の間の和平は、より平和で繁栄した統合された地域を生み出し、それによって中東の国家安全保障至上国家群の存在の理論的根拠を損なうことになると推論した。平和の後、アラブ世界では権威主義が民主的な政治制度に取って代わられることになる。主要な側近の一人の言葉を借りれば、「クリントンは変革の目標を自らに設定した。それはアラブ・イスラエル紛争を終わらせることによって中東を21世紀に移行させることだ」ということだ。

和平が政治的変化をもたらすという考えは魅力的だったが、クリントンはこの地域の権威主義的な政治の理由を見誤っていた。いずれにせよ、イスラエル人とパレスティナ人の間で紛争終結に向けた合意を成立させようとしたクリントンの努力は、ほぼ10年かけても実を結ばなかった。クリントンが大統領を退任すると、暴力がイスラエルとパレスティナの両地域を巻き込み、第2次インティファーダ(Intifada)が発生した。

クリントンの次の大統領ジョージ・W・ブッシュは当初、クリントンが中東和平に割いた時間とエネルギーに懐疑的だったが、実はブッシュはパレスティナ国家をアメリカの外交政策の目標と宣言した最初の大統領だった。そこに到達するために、彼は前任者の論理をひっくり返した。ブッシュのホワイトハウスにとって、パレスティナの政治機構を民主的に改革し、ヤセル・アラファトを追放して初めて和平が成立するということになっていた。

クリントン前大統領と同様、ブッシュは失敗した。大統領執務室をバラク・オバマ大統領に譲った時、パレスティナの民主政治体制も和平もパレスティナ国家も存在しなかった。クリントンとブッシュは、中東に対するアプローチがまったく異なる2つの政権にもかかわらず、中東の政治的・社会的変革という共通の野心的目標を共有していた。

イラクの変革であれ、いわゆるフリーダム・アジェンダによる民主政体の推進であれ、パレスティナ国家建設の努力であれ、中東においてアメリカは失敗を繰り返していると認識していながら、オバマもドナルド・トランプ大統領もバイデンもそのことを念頭に置いていなかった。新しい中東を社会工学的に設計したいという願望を持っていた。バイデンの場合、彼はイスラエル人とパレスティナ人を交渉させ、和平協定に署名させるための当時の国務長官ジョン・ケリーの奮闘を監督したが、二国家解決には悲観的な見方をした。バイデンの側近たちは就任直後、過去の政権の地域的野望は繰り返さないと明言した。

そして、2023年10月7日、ハマスによる約1200名のイスラエル人の残忍な殺害と、イスラエルによるガザ地区での徹底的な破壊を伴う軍事的対応が始まった。トーマス・フリードマンによれば、イスラエルとハマスの戦争が続き、ほとんどがパレスティナの民間人である死体が積み重なる中、バイデンは中東で成し遂げたいこと、つまり、石油の自由な流れを確保すること、イスラエルの安全保障に対する脅威を防ぐ手助けをすること、中国を出し抜くこと、は、再び外部から中東の変化を促すような新しく野心的なアメリカのドクトリンなしには実現しそうにないという結論に達したということだ。

公平を期すなら、イランがワシントンとの新たな関係を望んでいないことをホワイトハウスが理解したことは好ましい進展だ。また、サウジアラビアとの防衛協定は、中国との世界的な競争という点では理にかなっている。しかし、パレスティナの国家建設にアメリカが多額の投資をすることは、以前の取り組みのように失敗に終わる可能性が高い。

確かに、今回は違いがある。10月7日以降、専門家たちが何度も繰り返してきたように、戦争は新たな外交の機会を開く。しかし、イスラエルとパレスティナという2つの国家が並んで平和に暮らすことで、現在の危機から脱するチャンスが訪れると信じる理由はほとんど存在しない。

バイデンと彼のティームは、二国家解決を追求するしかないと感じているかもしれないが、自分たちが何をしようとしているのかを自覚すべきである。今回のイスラエル・パレスティナ紛争は、アイデンティティ、歴史的記憶、ナショナリズムといった、とげとげしい、しかししばしばよく理解されていない概念に縛られている。

イスラエル人とパレスティナ人の闘争には宗教的な側面もある。特にハマスとメシアニック・ユダヤ人グループ(messianic Jewish groups)は、ヨルダン川と地中海の間の土地を神聖化している。パレスティナの政治指導者たち(ハマスもパレスティナ自治政府も)は、ユダヤ教とパレスティナの歴史的つながりを日常的に否定している。これらの問題から生まれる対立的な物語は、バイデン政権が現在思い描いているような共存には向いていない。

そして、イスラエルとパレスティナの社会における残忍な政治が、長年にわたる当事者間の膠着状態を助長してきた。ガザを中心としたイスラエルとハマスの闘争は、イスラエル人がパレスティナ人の和平のための最低限の要求(完全な主権を持つ独立国家[a fully sovereign independent state]、エルサレムに首都設置[a capital in Jerusalem]、難民の帰還[a return of refugees])を受け入れることをより困難にする可能性が高い。同様に、パレスティナ人は、自分たちの鏡像であるイスラエルの最低限の和平要求に同意することはできないだろう。 イスラエル人が求めているのは、エルサレムをイスラエルの分割されていない永遠の首都とすること、1967年6月4日に引かれた線を越えて領土が広がる国家とすること、そしてパレスティナ難民を帰還させないことである。

新しいアイデアを失い、ガザ戦争で世界の競争相手である中国に立場を譲ることを懸念し、若い有権者たちからの支持の喪失を懸念しているバイデンとそのティームは、和平プロセスにしがみついているが、失敗に終わった事業であり、過去30年間で、今ほど、これ以上成功する見込みはない時期は存在しなかった。

ある意味、大統領を責めるのは難しい。和平プロセスの努力をしていれば安全なのだ。大統領の党内にはそれを支持する政治的支持がある。彼は努力したと言うことができる。中東を変革しようとするこの最新の動きが、おそらく何年にもわたる交渉の結論の出ない交渉の末にパレスティナ国家を生み出せなかった時、バイデンはとうに大統領職を終えていることだろう。

その代わりにアメリカは何をすべきか? これはとても難しい問題だ。それは、この問題が、解決不可能な紛争を解決するためのアメリカの力の限界を認識するように、特にアメリカの政策立案者、連邦議会議員、そしてワシントン内部(the Beltway、ベルトウェイ)の政策コミュニティに求めているからだ。

それでも、アメリカにできる重要なことは存在する。それは、イランがこれ以上地域の混乱を招くのを防がなければならないということだ。ワシントンは、既に起こっている地域統合の後退を食い止めるために努力しなければならない。そしてアメリカの指導者たちは、イスラエル人に対し、なぜイスラエルを支持する政治が変わりつつあるのかを説明することができる。ある意味では、これはイスラエル人とパレスティナ人の間の和平について、より利益をもたらす環境作りに役立つだろうが、それが実現し、実際に利益をもたらす保証はない。

2001年のある出来事を思い出す。イスラエルのアリエル・シャロン首相との記者会見で、コリン・パウエル米国務長官(当時)は「アメリカは当事者たち以上に和平を望むことはできない(The United States cannot want peace more than the parties themselves)」と発言した。これこそがバイデン大統領が陥っている罠なのである。

※スティーヴン・A・クック:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、米外交評議会中東・アフリカ研究部門エニ・エンリコ・マテイ記念上級研究員。最新作『野心の終焉:中東におけるアメリカの過去、現在、未来(The End of Ambition: America’s Past, Present, and Future in the Middle East)』が2024年6月に発刊予定。ツイッターアカウント:@stevenacook

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(終わり)
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