古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:パランティア・テクノロジーズ

 古村治彦です。

 私は昨年11月末に著書『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』を出した。著作の中で私は次のように主張した。ピーター・ティール率いるビッグデータ分析やAI開発のパランティア・テクノロジーズ社、イーロン・マスク率いる宇宙開発のスペースX社、パルマー・ラッキー率いるドローン開発のアンドゥリル・インダストリーズ社が「新・軍産複合体(Neo Military-Industrial Complex)」を形成し、アメリカ政府とアメリカ軍に食い込む形で、大型契約を締結し、巨額の利益を生むということになる。その具体例が「ゴールデンドーム」という、ドナルド・トランプ大統領が発表した、アメリカ全土を防衛するシステムである。このシステムの重要な点は、長期契約(サブスクリプション契約)によって、長期にわたり、巨額の利益を上げる点にある。そして、彼らは大規模な戦争を忌避するだろう。新・軍産複合体は長期契約で利益を上げるが、米中衝突などの大規模な演奏は望まないし、そのようなことになったら、技術提供を止めるなどして阻止することになるだろう。


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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

 今回のイラン攻撃は大規模攻撃である。私の主張の一部は外れているという指摘があるだろう。しかし、今回のイラン攻撃について、イスラエルとアメリカの目論見は、最初の一撃でイランを屈服させるというものであった。しかし、それが外れてしまい、大規模化、長期化せざるを得なくなった。アメリカはこのような形になることを望んでいなかったし、想定していなかった。

 以下の論稿は、私の主張の正当性を担保してくれる内容になっている。「サブスクリプション」という言葉も出てくる。最先端の高度技術を提供する民間企業が政府の政策遂行、軍の作戦遂行においてイニシアティヴを取るという時代がそこまで来ている。最後に宣伝になって恐縮だが、是非、拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』をお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

スターリンクは地政学を民営化した(Starlink Has Privatized Geopolitics

-ウクライナからイランまでイーロン・マスクのサーヴィスは外交政策の仲裁者(an arbiter)となった。

ロバート・ムガー、ミシャ・グレニー筆

2026年3月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/20/starlink-spacex-musk-geopolitics-war-ukraine-russia-iran/

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ウクライナのドネツクで戦闘任務中にウクライナ兵がスターリンク衛星モデムを調整している(2025年3月12日)

スターリンクは単なる商用通信サーヴィスではない。それは、戦争をいかに戦われるか、国内の混乱へ国家は以下に対処するか、そして政府の統治が及ばない分野において犯罪組織が如何に活動するかについて、ますます左右する戦略的インフラ(strategic infrastructure)になっている。スターリンクが政治的にこれほど重要な意味を持つのは、その地球規模のネットワーク網だけでなく、その背後にあるガヴァナンスモデルにもある。

今や民間企業が軌道上のゲートキーパーとなり、誰が、どこで、どのような条件で、どのような技術的制約の下で接続できるかを決定する役割を担っている。多くの紛争において、こうした決定は軍事的、政治的な影響を及ぼし、国家はそれを再現したり制御したりすることが困難になっている。多くの戦略的サプライチェインが民間企業に依存している現状において、スターリンクは公共の安全保障機能に対する民間企業の裁量権が極めて集中している事例と言えるだろう。

スターリンクの地政学的な重要性は、その規模に比例する。2025年12月中旬時点で、軌道上には9357基のスターリンク衛星が存在していた。 2026年1月、アメリカ連邦通信委員会(FCC)はスペースXに対し、第2世代衛星7500基の追加配備を承認した。これにより、スペースXの衛星総数は約17000基となる。スペースXは以前から、最大42000基の衛星運用を目指すという野心を表明してきた。

スターリンクのサーヴィス提供範囲も拡大している。現在、160の市場でサーヴィスを展開しており、その決定に対処しなければならない軍、通信規制当局、法執行機関の数も増加している。競合他社と比較すると、スターリンクの圧倒的な優位性はより明確になる。低軌道における最大のライヴァルであるユーテルサット・ワンウェブ(Eutelsat OneWeb)は約650基の衛星を運用している一方、アマゾンのカイパー衛星群(Amazon’s Kuiper constellation)は2月時点でわずか200基強にとどまっている。スターリンクは事実上の独占状態にあり、当面の間、競合相手は存在しないことになる。

スターリンクは現在、世界中で1000万人以上のアクティヴユーザーを抱えていると発表しており、スペースXは2026年末までにその数を倍以上に増やすことを目標としている。その成長は、米国のT-Mobileをはじめとする携帯電話事業者との提携によってさらに加速しており、ドイツテレコムは2028年からヨーロッパでスターリンクを利用した衛星通信サーヴィスを開始する予定だ。

スターリンクの商業的な強みは、地上基地局や光ファイバー網が届かない農村部、遠隔地、災害被災地への接続にある。しかし、こうした重要な通信レイヤーを支配することで、スターリンク社は地政学的に大きな影響力を持つことになる。特に紛争、緊急事態、そして接続性が軍事、政治、人道的な結果を左右するあらゆる状況において、その影響力は顕著になる。

ウクライナ情勢は、スターリンクが戦場の通信にどのような影響を与え、戦略的な依存関係を生み出すかを示す、これまでで最も明確な事例と言えるだろう。2022年のロシアによる本格的な侵攻で地上ネットワークが機能停止した後、ドローン、分散型指揮、迅速な標的設定サイクルが特徴的なこの戦争において、スターリンク端末は運用インフラとなった。2025年初頭までに、ウクライナは少なくとも4万7000台のスターリンク端末を確保したが、その大部分はポーランド、ドイツ、アメリカ、そしてスペースX自身を含むパートナー国政府やその他の支援国から供給されたものだった。安定したモバイル帯域幅がなければ、ウクライナ軍はドローン映像の送信、兵站の調整、そしてこの紛争の特徴である分散型火力支援ネットワークの維持ができなかった。これらの端末は単なる利便性ではなく、効果的な抵抗のための必要条件だったのだ。

この依存関係は即座に攻撃対象領域を生み出した。ロシア軍は第三者ルートを通じてスターリンクへのアクセス権を取得したと報じられており、2024年にはロシア支配地域におけるスターリンクネットワークの利用が繰り返し懸念事項となった。問題は深刻で、スペースXとウクライナ国防省は不正接続を抑制するために認証管理を導入した。ウクライナ当局は、前線におけるロシア軍の利用が阻害されたと述べ、軍事顧問たちは、この影響はロシア軍の作戦にとって重大な後退であると評した。

この一連の出来事は示唆に富む。企業内のエンジニアが商業アクセスに関する方針に基づいて下した決定が、実戦中の戦争における戦術的バランスを崩した。条約による承認も、議会での採決もなかった。その決定を左右したのは、一企業の利用規約(a firm’s terms of service)だった。

戦略的、地政学的な側面はさらに深刻だ。2025年初頭、アメリカの交渉担当者は、ウクライナが重要な鉱物資源に関する合意を受け入れなければ、スターリンクへのアクセスを制限するとア圧迫を与えたとされる。スペースXのオーナーであるイーロン・マスクは関連性を否定したが、圧迫の信憑性と、それがキエフにもたらした不安は、その具体的な内容よりも重要だった。

すでに前例があった。2022年、マスクは、ロシア占領下のクリミア半島近辺でのスターリンクの通信網をウクライナ海軍のドローン作戦支援のために提供することを拒否したと報じられている。その理由として、事態のエスカレーションに関するリスクについて個人的な見解を挙げた。民間供給業者が個人的な直感に基づいて、最前線の国家が実施できる作戦を決定できる場合、その関係はもはや商業的なものではなくなる。それは主権の委譲であり、説明責任を負わない行政機関によって行使される戦略的機能である。

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衛星放送受信アンテナが点在するテヘラン中心部の住宅街の窓(2026年1月20日)

イランは、スターリンクの地政学的影響を示すもう1つの事例である。2026年1月に大規模な抗議デモが発生した後、イランの政権は史上最長かつ最も厳しいインターネット遮断を実施し、国内の接続率を通常の約4%にまで低下させた。近年、密輸され闇市場で取引された数万台のスターリンク端末は、弾圧の様子を外部に伝える重要な経路となったようだ。イラン国内の利用者には利用料が免除されたと報じられており、トランプ政権はスターリンク端末約6000台を密かにイランに持ち込んだ。これらの端末は単なる消費財としてではなく、アメリカの外交政策の手段として利用された。

テヘランの対応は前例のないものだった。政府当局は、地上妨害装置、GPSスプーフィング装置、携帯電話妨害装置を各地域に配備した。報道によると、治安当局は戸別訪問による捜索を行い、ドローンや情報提供者を使って衛星アンテナや端末の位置を特定し、利用者をスパイ容疑で告発した。イラン議会は既に、スターリンク端末の無許可所持・使用を犯罪と定めており、軽微な違反には懲役刑、スパイ行為や協力行為には死刑を含むさらに厳しい刑罰を科すことを規定していた。イランは国際電気通信連合(ITU)に対し、スターリンクが国家主権を侵害しているとして正式に提訴していた。

第2段階は2月28日に始まり、アメリカとイスラエルがイランの軍事施設、核施設、政府機関を標的とした共同攻撃を開始した。最高指導者アリ・ハメネイ師の暗殺は、イランによるイスラエル、中東各地のアメリカ軍基地、湾岸諸国、その他複数の国へのミサイルとドローンによる報復攻撃を引き起こした。イラン国内の通信状況はさらに悪化し、通常の約1%にまで低下した。

この段階において、スターリンクの役割はまさに矛盾をはらんだものとなった。密輸された端末によって、一部のイラン人は政府庁舎への攻撃を記録し、通信規制の努力にもかかわらず映像を拡散することができた。しかし、衛星通信へのアクセスは反体制派に限られていた訳ではないようだ。従来のネットワークが劣化するにつれ、スターリンクは国家と関係のある主体によっても利用された可能性がある。サイバーセキュリティ研究者たちは、インターネット遮断期間中、イラン情報保安省に関連する一部の活動がスターリンクのIPアドレス範囲から発信されていたと指摘している。同時に、イラン政府当局は検閲を回避しようとする市民によるスターリンクへのアクセスを妨害または低下させていたと報じられている。

また、別のサイバーセキュリティグループは、スターリンクを装った罠を利用した監視マルウェアを特定した。これは、同じ通信プラットフォームが抗議活動参加者、監視活動者、そして国家と関係のあるサイバー攻撃者によってどのように利用されうるかを示している。

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カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた28基のスターリンク衛星を搭載したスペースX社のファルコン9ロケットが上昇している(2025年9月28日)

米国防総省は、イランを、低軌道システムが持続的な電子妨害や戦時下の混乱下でどのように機能するかを示す好例として捉えている。持続的な圧力によってスターリンクの耐障害性が著しく低下する可能性があるならば、例えば台湾におけるスターリンクの役割を支える前提は見直される必要がある。これはシステムの有用性を損なうものではない。単に、ネットワークが宇宙空間にあるというだけで耐障害性が保証される訳ではないことを意味する。

スターリンク技術は、犯罪組織や反乱組織のネットワークにも浸透しつつある。犯罪組織は、分散型通信の力を活用して作戦を遂行しようとしている。統治能力が低く、スペースXに対する影響力も乏しい脆弱な国家にとって、課題は喫緊の課題だ。通信網が地上の基地局やケーブルではなく、上空から提供されるようになると、遠隔地や紛争地域でのアクセス規制が困難になり、民間事業者がどのような条件で協力してくれるのかを交渉することもさらに難しくなる。

ブラジルのアマゾン熱帯雨林は、その具体的な例を示している。2025年6月、ブラジル連邦検察庁は、違法採掘や犯罪行為におけるスターリンクサーヴィスの利用を抑制するため、スターリンクと協定を締結した。この協定では、アマゾン地域における新規利用者に対し、身分証明書と居住証明の提出を義務付け、捜査対象となっている端末に関するデータをブラジル当局と共有することを認めている。また、違法行為に関与している疑いのある端末については、サーヴィスが停止される可能性がある。ブラジル環境庁の作戦調整官であるヒューゴ・ロスは、犯罪組織がスターリンクを利用して取締チームのリアルタイム位置情報を送信し、摘発を予測したり、現場の職員の安全を脅かしたりしていたことを指摘している。ブラジルは実行可能な合意を取り付けたものの、それは問題が環境犯罪の現場に深く根付いた後のことだった。

メキシコの組織犯罪の状況は、関連するリスクを示唆している。麻薬カルテルは、アメリカ国境沿いで拡大する技術軍拡競争の中で、密輸、監視、治安部隊への攻撃にドローンを活用している。このエスカレーションは、今や民間空域管理にも波及している。2026年2月、アメリカ連邦航空局(FAA)は、アメリカの対ドローン対策の展開への懸念から、テキサス州エルパソ周辺の空域を突然閉鎖したが、数時間後に制限を解除した。この一件は、犯罪組織によるドローンの脅威が、戦術的な安全保障対応だけでなく、深刻な外交的・航空的混乱を引き起こしかねないことを示した。

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左:メキシコ陸軍の対ドローン特殊部隊がメキシコ・ナウカルパン州で報道陣向けにデモンストレーションを行った(2026年2月17日)右:チャド・アドレの難民キャンプで、仮設小屋の横に設置されたソーラーパネルがスターリンク回線に電力を供給している(2026年2月19日)

アフリカのサヘル地域では、状況はさらに深刻だ。イスラム国家ジャマート・ナスル・アル・イスラム・ワル・ムスリミン(JNIM)やイスラム国西アフリカ州(ISWAP)などの反政府勢力は、リビアとナイジェリアからマリ、ニジェール、その他の紛争地域へとスターリンク機器の違法な供給網を構築している。2024年6月、JNIMはマリのガオ地域での作戦中にスターリンク端末が使用されている様子を映した動画を公開した。昨年(2025年)、ナイジェリア軍はボコ・ハラムに対する襲撃作戦で、サンビサ森林地帯の司令官からスターリンクの機器を押収した。

2025年を通して、ジハード主義グループは衛星通信をますます活用し、分散した部隊の連携、プロパガンダの配信、そして地上ネットワークに対する国家統制によって恩恵を受けていた傍受型監視の回避を図った。ニジェールとチャドは監視体制強化のため、2025年初頭にスターリンクの合法化と規制に着手したが、密輸ネットワークは今後も存続する可能性が高い。

スターリンクは宇宙分野における唯一の存在ではない。商業宇宙セクターは、国​​家防衛と軍事力にとってますます重要な役割を担うプレーヤーで溢れている。その結果、各国が同時に受け入れ、統制しようとする戦略的サーヴィスの市場が拡大している。通信分野では、イリジウムが防衛通信に深く根付いている。2024年、スターリンク社は合えりか宇宙軍と、高度なモバイル衛星サーヴィスとその維持管理に関する5年契約を発表した。これは、見通し外通信における商用プロバイダーへの依存が続いていることを示している。

ユーテルサット・ワンウェブとアマゾンのカイパー衛星群も防衛・政府市場で競合しており、ヨーロッパ連合(EU)のIRIS2構想は、EUの主権能力強化への野心を反映している。マクサール(Maxar)、プラネット(Planet)、ブラックスカイ(BlackSky)の商用画像データは、カペラ(Capella)とICEYEのレーダーデータとともに、軍事目標設定と状況認識に組み込まれている。

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ウクライナのロボティネ近郊の最前線の雪原に立つスターリンクデヴァイス。ドローン偵察・攻撃部隊の一部(2024年1月23日)

近年の紛争は、こうした仕組みをさらに深化させている。商用衛星、端末、データ契約は、今や軍事サプライチェインの一部となっている。そして、弾薬や防空システムと同様に、政治的圧力によってその供給が制限、転用、あるいは兵器化される可能性がある。商用宇宙は、国家が権力を行使し、また抑制する手段の一部になりつつある。

イランが最も鮮明に露呈させたのは、ウクライナやその他のスターリンク利用事例で部分的にしか明らかにならなかった統治上の欠陥である。国際人道法は、国家に対し軍事目標と民間目標を区別することを求めているが、午前中に反体制派に利用されていた端末が、午後には軍事攻撃を支援するために利用される可能性もある。

国連憲章の下で、商用衛星ネットワークの妨害行為を武力行使とみなすべきかどうかを判断するための、確立された国際的な枠組みは存在しない。商用機器の秘密裏の配備が情報戦行為に該当するか否かを規定する規則もない。CEOの意見が戦場の結果を左右する場合、民間事業者の責任を問う仕組みも存在しない。また、リアルタイムで民生用と軍事用を行き来するシステムを運用する商用衛星事業者の義務についても、明確な合意は得られていない。

戦略的な接続性は、もはや地理的な問題ではなく、ガヴァナンスの問題となっている。帯域幅は軌道上から供給され、情報はサブスクリプション方式(subscription)で購入される。主権(sovereignty)は、民間企業との関係、交渉によるアクセス協定、そして争点となる技術的設定を通じて、ますます行使されるようになっている。商用衛星インフラを、それに伴う規律、冗長性、そして法的枠組みといったあらゆる要素を含めた戦略的依存関係として扱わない国家は、危機に際して、その依存関係が他国によって管理されることを覚悟しなければならないだろう。

スターリンクの新たな地政学は既に始まっている。問題は、各国がそれを統治するのか、それとも単に反応するだけなのか、ということである。

※ロバート・ムガー:「セクデヴ」グループ最高責任者、イグナイト研究所共同創設者、ロバート・ボッシュ・アカデミー研究員。著述家であり、イアン・ゴールデンとの共著『未知の地:今後100年を生き抜くための100枚の地図(Terra Incognita: 100 Maps to Survive the Next 100 Years)』がある。Xアカウント:@robmuggah

※ミシャ・グレニー:人間科学研究所所長。多くの著作があり、『マクマフィア:深刻な組織犯罪(McMafia: Seriously Organised Crime)』と『宿敵:ブラジル最重要指名手配犯の追跡(Nemesis: The Hunt for Brazil’s Most Wanted Criminal)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。
 

 拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)の第1章で、私は、ドナルド・トランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領と、シリコンヴァレーの大立者で大富豪のイーロン・マスク、そして、ピーター・ティールとの関係を分析し、イーロン・マスクとピーター・ティールがトランプとヴァンスの影響力を行使して、アメリカ政府との数兆円規模の巨額な契約を自分たちが所有するテック大企業(スペースXとパランティア・テクノロジーズ社)と結び、新たな軍産複合体づくりを行おうとしていると結論づけた。

 リバータリアニズム(Libertarianism)を信奉するのがリバータリアン(Libertarian)と呼ばれる人々である。リバータリアニズムは故人の自由を至上の価値として尊重し、政府についてはそれを邪魔する存在する存在として敵とみなす。反福祉、反中央政府でもある。シリコンヴァレーの大立者であるイーロン・マスクやピーター・ティールは「テクノリバータリアン」である。彼らからすれば、自分たちのヴィジョンに基づいて生み出す最先端の技術に規制をかけて邪魔をしたり、企業や大富豪に高い税金を掛けたりすることは、敵対行為ということになる。ところが、実際には、ピーター・ティールは第1次ドナルド・トランプ政権誕生の立役者になり、イーロン・マスクはトランプの最側近の立場に就いた。テクノリバータリアンたちは政府を忌避するはずだが、正否を利用しようという立場になっている。

 トランプを大統領にまで押し上げたのは、一般のアメリカ国民、有権者である。彼らは、既存の政治が自分たちの利益を反映していない、ワシントン政治は汚れているのでそれを掃除しなければならないということで、自分たちの代表として、ワシントン政治とは無縁のアウトサイダーだったトランプを送り込んだ。これはポピュリズムである。このポピュリズム政権であるトランプ政権に世界で最も富裕なイーロン・マスクが参加している訳であるが、トランプを支持する貧しい白人労働者と世界で最も金持ちのイーロン・マスクの共通点は、「(現在の)中央政府、政治エスタブリッシュメントを敵とみなす」ということだ。そして、「中央政府を自分たちの利益になるように作り替える」ということだ。

 第2次トランプ政権は大きな矛盾を抱えた政権である。中央政府を敵とみなすアメリカ人が作り上げた政権が中央政府を運営することになる。しかし、それはうまくいかないだろう。高関税の被害を受けるのはアメリカ国民である。アメリカはドル安に向かい、輸入が減り、物価は高くなる。アメリカ国内で輸入に代替して物品を製造しなければならなくなるが、アメリカの労働者たちの賃金の上昇は厳しいだろう。誰かが低賃金で安い物品を作らねばならない。イーロン・マスクやピーター・ティールたちは最先端の技術をアメリカの軍事に利用させようとして多額の契約を結ぶ。結果として、彼らは大儲けということになる。アメリカの未来については悲観的にならざるを得ないが、これは大きな流れであり、人為的に止めることや流れを逆転させることはできないだろう。大きな流れに乗ったアメリカの衰退の後始末をトランプが実行するということになる。トランプは歴史の悲劇と喜劇の上に、名を残す大統領となるだろう。

(貼り付けはじめ)

テクノリバータリアンたちはいかにして大きな政府に恋をしたのか(How techno-libertarians fell in love with big government

-国家が主要な顧客になるとすぐに彼らの原則的な反対は消え去る。

クイン・スロボディアン筆

2024年6月19日

プロジェクト・シンディケイト

『ジャパン・タイムズ』紙

https://www.japantimes.co.jp/commentary/2024/06/19/japan/techno-libertarians-big-government/

マサチューセッツ州ケンブリッジ発。億万長者のテック投資家バラジ・スリニヴァサンは、2013年にシリコンヴァレーの、アメリカからの「最終的な撤退(ultimate exit)」について講演し、反政府運動家として名を馳せた。彼はアメリカを「国家のマイクロソフト(Microsoft of nations)」と呼びました。

おそらく最も印象深いのは、スリニヴァサンがアメリカの「ペーパーベルト(Paper Belt)」、つまり、法律と規制のワシントン、高等教育のボストン、エンターテインメントのロサンゼルス、広告と出版のニューヨークを現代のラストベルトと表現したことだ。

彼の考えでは、シリコンヴァレーは、規制に先行し、学術的権威を軽蔑し、ストリーミングサーヴィスを導入し、消費者直販マーケティングを刷新することで、かつて戦後アメリカの権力の中心であった全4都市を奪いつつあると見られていた。その後数年間、スリニヴァサンはテクノリバータリアンのメッセージをさらに強めた。政府への軽蔑を長々と語る演説を行い、敵対者に対しては攻撃的な姿勢を見せ、「ネットワーク国家(network state)」、つまり所有(ownership)、同意(consent)、契約(contract)を通じて全ての決定が行われる新しいタイプの政治体制について熱弁をふるった。

そして、2017年初頭、スリニヴァサンはTwitterの履歴を削除した。彼はどこへ行ってしまったのだろうか? 連邦政府が彼の専門知識を求めて彼を訪れていたことが判明した。新しく大統領に選出されたドナルド・トランプは、スリニヴァサンの友人であり、同じくリバータリアンであるテック投資家のピーター・ティールを閣僚の編成に任命し、スリニヴァサンは食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)の長官候補に挙がっていた。スリニヴァサンが昔ながらの政治権力を握ろうとした瞬間、何年にもわたる激しい反政府声明は消え去った。

これは孤立した事件ではない。実際、このような偽善は新たな規範となっている。近年、テクノリバータリアンたちは、コバンザメのように(remora-like)アメリカ政府に取り入ろうとしている。何が起こっているのか? 単なる軽率な行動なのか、それとも何か深い理由があるのか。

シリコンヴァレーを代表するテクノリバータリアンたちは、自分たちが個人的に豊かにならない場合に限り、国家に反対している。政府が主要な顧客になるという見通しに直面すると、国家権力に対するかつての原則的な反対は消えてしまう。

この変化はティール自身にも見て取れる。2009年、ティールは「リバータリアンにとっての重大な課題は、全ての形態の政治から脱出することだ(the great task for libertarians is to find an escape from politics in all its forms)」と宣言した。しかし、2016年には共和党全国大会で演説し、党派政治(partisan politics)に完全に関与するようになった。それから数年の間に、彼が共同設立したデータ分析企業パランティアは巨大企業へと成長し、巨額の政府契約の恩恵を受けている。現在では、収益のほぼ半分を公的資金から得ている。

もう1つの具体例は、シリコンヴァレーを代表するベンチャーキャピタル企業アンドリーセン・ホロウィッツ(a16zとしても知られる)の創業者マーク・アンドリーセンだ。スリニヴァサンはa16zのパートナーを一時期務めていた。2023年10月、アンドリーセンは「テクノ・オプティミスト宣言(The Techno-Optimist Manifesto)」を執筆した。これは、自由市場と起業家精神を持つ技術者のプロメテウス的な力を称賛する、話題を呼んだ文書である。5000語のテキストには「政府(government)」という言葉は一度も登場せず、「国家(state)」という言葉が言及されたのはわずか2回で、国家を敵(the enemy)と位置づけていた。

しかし、国家はアンドリーセンにとって必要不可欠な生活手段だ。アンドリーセンは、彼が最初のインターネットブラウザの開発に携わった土地付与大学の資金を国家が拠出した。そしてブルームバーグの報道によると、a16zは近頃ワシントンではよく知られた存在となり、「アメリカン・ダイナミズム」構想(“American Dynamism” initiative)を推進するために、他のベンチャーファンドよりもはるかに多くのロビー活動費を投じている。この構想は、政府の防衛、エネルギー、物流契約の獲得を目指す企業を支援するものだ。

このシフトの内部論理は、今ではほとんど見られなくなったティールの公的な執筆活動の1つで説明することができる。2020年、彼はジェームズ・デール・デイヴィッドソンとウィリアム・リーズ=モッグの1999年の著書『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』の序文を新たに執筆した。この本では、サイバー通貨や従来の市民権の放棄など、国家からの脱却の可能性を描いている。ティールは、著者が説明できなかった2つの発展、すなわち中国の台頭(the rise of China)と人工知能の進歩(advances in artificial intelligence)を指摘した。

1990年代のシリコンヴァレーでは、大躍進の裏には政府からの資金援助があったという事実を隠蔽し、代わりに自作の天才(self-made genius)という神話を育てることが可能だった。しかし、2000年代からの中国の急速な台頭は、ハイテク覇権には別の要素が必要であることを示唆した。テスラCEOのイーロン・マスクは、ティールと同様、かつては大量監視(mass surveillance)に反対していたはずだが、最近、まさにその種のデータを確保するために中国を訪れたことから、その立場は逆転した。

テスラの株価は低迷しているが、マスクは現在、アメリカの人工衛星の主要な打ち上げ会社であるスペースXや、現在ウクライナの戦争努力を支えている衛星インターネット・サーヴィスであるスターリンクといった、彼のポートフォリオのより強固な要素に頼ることができる。しかし、これらのヴェンチャーは、『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』で想像されたような、才能ある認知エリートと国家の関係を根本的に見直すというよりは、伝統的な軍産複合体(the traditional military-industrial complex)の反映である。

シリコンヴァレーがアメリカから撤退するという話は、いつも別の名前でフリーライド(ただ乗り)してきたものだ。そして今、それは究極の、ありのままの姿に達し始めている。テクノリバータリアンたちには、華やかさはないにせよ、より正確なレッテルが必要なのかもしれない。結局のところ、彼らは遠い惑星はおろか、大陸の果てや世界の海で政治を超えた神秘的な世界を築いている訳でもなければ、必ずしもテクノ封建主義(techno-feudalism)への転落を加速させているわけでもない。実際、彼らはテクノ・コントラクター(techno-contractors)に過ぎず、次の請求書をペーパーベルトに提出しているに過ぎない。

クイン・スロボディアン:ボストン大学フレデリック・S・パーディー記念国際研究大学院国際史教授。最新刊に『資本主義の崩壊:市場急進派と民主政治体制なき世界の夢(Crack-Up Capitalism: Market Radicals and the Dream of a World Without Democracy)』(メトロポリタン・ブックス刊、2023年)がある。

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(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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