古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ピーター・ティール

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)の第1章で、私は、ドナルド・トランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領と、シリコンヴァレーの大立者で大富豪のイーロン・マスク、そして、ピーター・ティールとの関係を分析し、イーロン・マスクとピーター・ティールがトランプとヴァンスの影響力を行使して、アメリカ政府との数兆円規模の巨額な契約を自分たちが所有するテック大企業(スペースXとパランティア・テクノロジーズ社)と結び、新たな軍産複合体づくりを行おうとしていると結論づけた。

 リバータリアニズム(Libertarianism)を信奉するのがリバータリアン(Libertarian)と呼ばれる人々である。リバータリアニズムは故人の自由を至上の価値として尊重し、政府についてはそれを邪魔する存在する存在として敵とみなす。反福祉、反中央政府でもある。シリコンヴァレーの大立者であるイーロン・マスクやピーター・ティールは「テクノリバータリアン」である。彼らからすれば、自分たちのヴィジョンに基づいて生み出す最先端の技術に規制をかけて邪魔をしたり、企業や大富豪に高い税金を掛けたりすることは、敵対行為ということになる。ところが、実際には、ピーター・ティールは第1次ドナルド・トランプ政権誕生の立役者になり、イーロン・マスクはトランプの最側近の立場に就いた。テクノリバータリアンたちは政府を忌避するはずだが、正否を利用しようという立場になっている。

 トランプを大統領にまで押し上げたのは、一般のアメリカ国民、有権者である。彼らは、既存の政治が自分たちの利益を反映していない、ワシントン政治は汚れているのでそれを掃除しなければならないということで、自分たちの代表として、ワシントン政治とは無縁のアウトサイダーだったトランプを送り込んだ。これはポピュリズムである。このポピュリズム政権であるトランプ政権に世界で最も富裕なイーロン・マスクが参加している訳であるが、トランプを支持する貧しい白人労働者と世界で最も金持ちのイーロン・マスクの共通点は、「(現在の)中央政府、政治エスタブリッシュメントを敵とみなす」ということだ。そして、「中央政府を自分たちの利益になるように作り替える」ということだ。

 第2次トランプ政権は大きな矛盾を抱えた政権である。中央政府を敵とみなすアメリカ人が作り上げた政権が中央政府を運営することになる。しかし、それはうまくいかないだろう。高関税の被害を受けるのはアメリカ国民である。アメリカはドル安に向かい、輸入が減り、物価は高くなる。アメリカ国内で輸入に代替して物品を製造しなければならなくなるが、アメリカの労働者たちの賃金の上昇は厳しいだろう。誰かが低賃金で安い物品を作らねばならない。イーロン・マスクやピーター・ティールたちは最先端の技術をアメリカの軍事に利用させようとして多額の契約を結ぶ。結果として、彼らは大儲けということになる。アメリカの未来については悲観的にならざるを得ないが、これは大きな流れであり、人為的に止めることや流れを逆転させることはできないだろう。大きな流れに乗ったアメリカの衰退の後始末をトランプが実行するということになる。トランプは歴史の悲劇と喜劇の上に、名を残す大統領となるだろう。

(貼り付けはじめ)

テクノリバータリアンたちはいかにして大きな政府に恋をしたのか(How techno-libertarians fell in love with big government

-国家が主要な顧客になるとすぐに彼らの原則的な反対は消え去る。

クイン・スロボディアン筆

2024年6月19日

プロジェクト・シンディケイト

『ジャパン・タイムズ』紙

https://www.japantimes.co.jp/commentary/2024/06/19/japan/techno-libertarians-big-government/

マサチューセッツ州ケンブリッジ発。億万長者のテック投資家バラジ・スリニヴァサンは、2013年にシリコンヴァレーの、アメリカからの「最終的な撤退(ultimate exit)」について講演し、反政府運動家として名を馳せた。彼はアメリカを「国家のマイクロソフト(Microsoft of nations)」と呼びました。

おそらく最も印象深いのは、スリニヴァサンがアメリカの「ペーパーベルト(Paper Belt)」、つまり、法律と規制のワシントン、高等教育のボストン、エンターテインメントのロサンゼルス、広告と出版のニューヨークを現代のラストベルトと表現したことだ。

彼の考えでは、シリコンヴァレーは、規制に先行し、学術的権威を軽蔑し、ストリーミングサーヴィスを導入し、消費者直販マーケティングを刷新することで、かつて戦後アメリカの権力の中心であった全4都市を奪いつつあると見られていた。その後数年間、スリニヴァサンはテクノリバータリアンのメッセージをさらに強めた。政府への軽蔑を長々と語る演説を行い、敵対者に対しては攻撃的な姿勢を見せ、「ネットワーク国家(network state)」、つまり所有(ownership)、同意(consent)、契約(contract)を通じて全ての決定が行われる新しいタイプの政治体制について熱弁をふるった。

そして、2017年初頭、スリニヴァサンはTwitterの履歴を削除した。彼はどこへ行ってしまったのだろうか? 連邦政府が彼の専門知識を求めて彼を訪れていたことが判明した。新しく大統領に選出されたドナルド・トランプは、スリニヴァサンの友人であり、同じくリバータリアンであるテック投資家のピーター・ティールを閣僚の編成に任命し、スリニヴァサンは食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)の長官候補に挙がっていた。スリニヴァサンが昔ながらの政治権力を握ろうとした瞬間、何年にもわたる激しい反政府声明は消え去った。

これは孤立した事件ではない。実際、このような偽善は新たな規範となっている。近年、テクノリバータリアンたちは、コバンザメのように(remora-like)アメリカ政府に取り入ろうとしている。何が起こっているのか? 単なる軽率な行動なのか、それとも何か深い理由があるのか。

シリコンヴァレーを代表するテクノリバータリアンたちは、自分たちが個人的に豊かにならない場合に限り、国家に反対している。政府が主要な顧客になるという見通しに直面すると、国家権力に対するかつての原則的な反対は消えてしまう。

この変化はティール自身にも見て取れる。2009年、ティールは「リバータリアンにとっての重大な課題は、全ての形態の政治から脱出することだ(the great task for libertarians is to find an escape from politics in all its forms)」と宣言した。しかし、2016年には共和党全国大会で演説し、党派政治(partisan politics)に完全に関与するようになった。それから数年の間に、彼が共同設立したデータ分析企業パランティアは巨大企業へと成長し、巨額の政府契約の恩恵を受けている。現在では、収益のほぼ半分を公的資金から得ている。

もう1つの具体例は、シリコンヴァレーを代表するベンチャーキャピタル企業アンドリーセン・ホロウィッツ(a16zとしても知られる)の創業者マーク・アンドリーセンだ。スリニヴァサンはa16zのパートナーを一時期務めていた。2023年10月、アンドリーセンは「テクノ・オプティミスト宣言(The Techno-Optimist Manifesto)」を執筆した。これは、自由市場と起業家精神を持つ技術者のプロメテウス的な力を称賛する、話題を呼んだ文書である。5000語のテキストには「政府(government)」という言葉は一度も登場せず、「国家(state)」という言葉が言及されたのはわずか2回で、国家を敵(the enemy)と位置づけていた。

しかし、国家はアンドリーセンにとって必要不可欠な生活手段だ。アンドリーセンは、彼が最初のインターネットブラウザの開発に携わった土地付与大学の資金を国家が拠出した。そしてブルームバーグの報道によると、a16zは近頃ワシントンではよく知られた存在となり、「アメリカン・ダイナミズム」構想(“American Dynamism” initiative)を推進するために、他のベンチャーファンドよりもはるかに多くのロビー活動費を投じている。この構想は、政府の防衛、エネルギー、物流契約の獲得を目指す企業を支援するものだ。

このシフトの内部論理は、今ではほとんど見られなくなったティールの公的な執筆活動の1つで説明することができる。2020年、彼はジェームズ・デール・デイヴィッドソンとウィリアム・リーズ=モッグの1999年の著書『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』の序文を新たに執筆した。この本では、サイバー通貨や従来の市民権の放棄など、国家からの脱却の可能性を描いている。ティールは、著者が説明できなかった2つの発展、すなわち中国の台頭(the rise of China)と人工知能の進歩(advances in artificial intelligence)を指摘した。

1990年代のシリコンヴァレーでは、大躍進の裏には政府からの資金援助があったという事実を隠蔽し、代わりに自作の天才(self-made genius)という神話を育てることが可能だった。しかし、2000年代からの中国の急速な台頭は、ハイテク覇権には別の要素が必要であることを示唆した。テスラCEOのイーロン・マスクは、ティールと同様、かつては大量監視(mass surveillance)に反対していたはずだが、最近、まさにその種のデータを確保するために中国を訪れたことから、その立場は逆転した。

テスラの株価は低迷しているが、マスクは現在、アメリカの人工衛星の主要な打ち上げ会社であるスペースXや、現在ウクライナの戦争努力を支えている衛星インターネット・サーヴィスであるスターリンクといった、彼のポートフォリオのより強固な要素に頼ることができる。しかし、これらのヴェンチャーは、『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』で想像されたような、才能ある認知エリートと国家の関係を根本的に見直すというよりは、伝統的な軍産複合体(the traditional military-industrial complex)の反映である。

シリコンヴァレーがアメリカから撤退するという話は、いつも別の名前でフリーライド(ただ乗り)してきたものだ。そして今、それは究極の、ありのままの姿に達し始めている。テクノリバータリアンたちには、華やかさはないにせよ、より正確なレッテルが必要なのかもしれない。結局のところ、彼らは遠い惑星はおろか、大陸の果てや世界の海で政治を超えた神秘的な世界を築いている訳でもなければ、必ずしもテクノ封建主義(techno-feudalism)への転落を加速させているわけでもない。実際、彼らはテクノ・コントラクター(techno-contractors)に過ぎず、次の請求書をペーパーベルトに提出しているに過ぎない。

クイン・スロボディアン:ボストン大学フレデリック・S・パーディー記念国際研究大学院国際史教授。最新刊に『資本主義の崩壊:市場急進派と民主政治体制なき世界の夢(Crack-Up Capitalism: Market Radicals and the Dream of a World Without Democracy)』(メトロポリタン・ブックス刊、2023年)がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 第2次ドナルド・トランプ政権の発足後100日の中心人物であり続けたのは、イーロン・マスクだった。政府効率化省(Department of Government EfficiencyDOGE)を率いて、各政府機関を回り、情報を収集し、米国国際開発庁(USAID)の閉鎖を決定するなど、華々しい動きをしてきた。連邦政府職員の削減はOPM()

マスクは自身の世界観を物理学に基づいており、第一原理思考を通じて複雑な問題をシンプルな公理から解決するアプローチを重視している。マスクはペンシルヴァニア大学で経済学と物理学で学士号を取得し、物理学を専攻するためにスタンフォード大学大学院に進学した(後に中退)。マスクは数学と物理で天才的な才能を示した。そして、彼はこの物理の才能を経営や政策に応用しようとしている。以下の論稿では、イーロン・マスクが物理学の第一原理思考(first principles thinking)で物事を捉えようとしていると主張している。以下に重要な部分を引用する。

(引用はじめ)

「第一原理思考(first principles thinking)」はマスクの世界におけるマントラのようなものになっている。それは、どんなに複雑な問題に対しても、厳格さと子供のような無邪気なアプローチの両方を呼び起こす。

この考え方は、自動車であれロケットであれ、あらゆる技術的問題を分解し、ゼロから始めるというものだ。そして、非常に基本的な公理から解決策を導き出す。そしてこのプロセスにおいて、それまでに誰かが行ったこと、受け継がれてきた伝統など、何一つ考慮されない。実際、その根底にある前提は、受け継がれてきた思考や実践は全て、古臭く、埃をかぶった、悪いお荷物であり、それらを手放して先に進んだ方がよい、というものだ。

(引用終わり)

 橘玲著『テクノ・リバタリアン』で、著者である橘玲氏は、ピーター・ティールやイーロン・マスクを「テクノ・リバタリアン(techno libertarians)」と定義し、彼らは数学的に物事を捉えると分析している。そして、引用したように、非常に明晰に、明快に原理に則り、物事を進めていくということになる。私たち一般人ではしり込みしてしまうようなことを、彼らは平気で進めてしまう。今までのしがらみや伝統から抜け出せないということがイーロン・マスクたちには理解できないだろう。天才的な頭脳を持つ彼らにはヴィジョンが見えており、それに向かって進んでいく。トランプ大統領も一種の天才であり、ヴィジョンが見えている。それを理解できない一般人はついていけない。

 しかし、残念なことだが、数学の天才でも間違うことがある。人間や社会の理解に限界がある。天才的な人間が全能の力を持つことはある種の理想であるが、それはまた危険なことでもある。人間や社会は大変革を短期間で起こすことは難しい。また、短期間で起きた大変革は深刻な副作用をもたらす。そのことは歴史が証明している。

(貼り付けはじめ)

イーロン・マスクの第一原理(Elon Musk’s First Principles

-世界一の富豪は、物理法則を政治に応用しようとしている。一体何が問題になるのだろうか?

アダム・トゥーズ筆

2025年3月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/03/25/elon-musk-trump-doge-physics-principles/

イーロン・マスクは世界で最も裕福な人物であり、歴史上最も裕福な人物の1人でもある。しかし、マスクの権力はもはやテスラやX、スペースXから得られる金銭的な富だけに結びついている訳ではない。マスクはドナルド・トランプ大統領との親密な関係によって、新たに設立された政府効率化省(Department of Government EfficiencyDOGE)を通じて、アメリカ政府全体の政策に影響を与えるという大役を与えられている。起業家としての彼の人生は、政治家としての彼の仕事に重要な光を当てている。

マスクはしばしば、物理学が彼の世界観の中心にある(physics is at the center of his worldview)と主張してきた。彼は、ビジネスや生活全般における行動の動機として、自然な第一原理の探求(the search for natural first principles)について語っている。そして、「第一原理思考(first principles thinking)」はマスクの世界におけるマントラのようなものになっている。それは、どんなに複雑な問題に対しても、厳格さと子供のような無邪気なアプローチの両方を呼び起こす。

この考え方は、自動車であれロケットであれ、あらゆる技術的問題を分解し、ゼロから始めるというものだ。そして、非常に基本的な公理から解決策を導き出す。そしてこのプロセスにおいて、それまでに誰かが行ったこと、受け継がれてきた伝統など、何一つ考慮されない。実際、その根底にある前提は、受け継がれてきた思考や実践は全て、古臭く、埃をかぶった、悪いお荷物であり、それらを手放して先に進んだ方がよい、というものだ。

テスラとスペースXの成功が証明しているように、このアプローチには利点がある。しかし、有能な自動車評論家なら誰でも言うように、大きな欠点もある。テスラの車はまるで火星人が設計したかのようだ。まるで、現代の高性能車のシャシー、ステアリング、ブレーキを設計、最適化し、効率的に製造する方法について、業界が何十年もの経験を持っていないかのように。

そして、政治となると、この「ゼロから始める(start from scratch)」アプローチの利点ははるかに曖昧になる。マスクと彼のDOGEティームは、彼の思考習慣を利用して、政府機関、特に米国国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)を破壊し、財務省決済システムという形でアメリカ政府の仕組みそのものに干渉しようとしている。

もちろん、物理学との類似性から政治や倫理へのインスピレーションを得られることは事実だ。アイザック・ニュートンが現代の政治思想に与えた影響を考えてみて欲しい。経済における均衡の概念(the notions of equilibrium in economics)、均衡の安定性(the stability of equilibria)といった概念は、物理学の類似性、多くの場合は力学から派生したものだ。あるいは、初期のコンピュータ時代におけるサイバネティクス(cybernetics)の影響を考えてみて欲しい。そして、物理学の近いいとこである工学(engineering)について考えると、このことはさらに顕著だ。ウラジーミル・レーニンは、共産主義をソヴィエト権力とロシアの電化(Soviet power plus the electrification of Russia)と定義したことで有名だ。1930年代から1940年代にかけての権威主義的なテクノクラシー運動も、工学から同様のインスピレーションを得た。後にカナダから南アフリカに移住することになるマスクの母方の祖父もこの運動に関わっていた。

物理学を政治に類似させるこうした立場の波及効果(knock-on effect)は2つある。第一に、それは誤った物理学である可能性が高いということだ。第二に、たとえ物理学に基づくアナロジーからイデオロギーを導き出せたとしても、最終的に得られるものは本当に政治的なものなのだろうか? 政治とは議論、意見の相違、人間の感情や思想の戯れであるならば、工学や物理学のアナロジーから政治を導き出すことは、決して額面通りに受け止められるべきではない。それは政治的であり、自らそれを自覚している(ただし、その場合、物理学や力学は単なる比喩に過ぎないことを認めざるを得なくなるだろう)。そうでなければ、それは政治ではなく、実際には政治を抑圧しようとする権威主義的なテクノクラート的ヴィジョンである。

マスクの政策に対する白紙姿勢(Musk’s blank-slate approach)は、そもそも彼がアメリカ政治に前例のない形で関与してきたことの裏返しだ。2024年のトランプ勝利に賭けることで巨額の富を得る方法は数多くあった。しかし、マスクはトランプの個別的な取引の最大の受益者というだけではない。寄付、X、そして個人的な支持を通して、彼はその実現に貢献した。彼はトランプの政治的成功に全面的に関わっている。

紛れもない事実は、マスクが政治関与によって個人的に利益を得てきたということだ。現在、マスクの個人資産は3300億ドルから3500億ドルと推定されている。これは株式市場の動向に応じて変動し、100億ドル上昇したり、100億ドル下落したりしている。つい最近の2024年夏には、彼の資産は1700億ドルと評価されていたが、2023年には1300億ドルまで落ち込んでいた。

その間に何が変わったのだろうか? マスクの個人資産の中核であるテスラの事業見通しについては、根本的な変化は見られない。実際、テスラは苦境に立たされている。消費者がトランプとの新たな関連性を理由にテスラを拒否し始めているからだ。マスクの巨額の個人資産が2倍以上に増加した明白な理由は、トランプの大統領選出馬が成功し、マスクが最大の寄付者であり、そして今やトランプに最も近い人物となったことだ。トランプとのパートナーシップは、マスクの個人的な利益と国家の利益を融合させている。

不正行為(malfeasance)は一切必要ない。利益相反(conflict of interest)さえも必要ない。トランプにとって良いことは、マスクにとって良いことであり、アメリカにとって良いことだ。彼らはそう想像し、それに従って行動するだろう。例えば、スペースXは、その絶え間ない革新と投資によって、既にアメリカの宇宙計画の中核を担う地位を確立している。大統領就任時にアメリカ宇宙軍を創設したトランプは、この計画とスペースXの地位を容易に拡大することができる。そして、マスクは常に自らを歴史の正しい側にいると考えるだろう。

マスクから見れば比較的取るに足らない投資で、彼は自身のヴィジョンの力強さを示し、今や現場で事実を生み出している。おそらく疑問なのは、なぜこれまで誰もこれをしなかったのかということだろう。トランプは明らかに、この種の特異な個人的な影響力に、非常に影響を受けやすい。トランプはビジネスの成功を愛している。マスクほどの資金力を持つ者はいないものの、それでも数十億ドルの富を持つ人は数多く存在する。なぜ大富豪たちは政治システムへの寄付、そして政治全般を操ろうとする努力を、口先だけで済ませているのだろうか? 確かに、数百万ドルが費やされていることは目に見えている。しかし、マスクはツイッター社を買収し、2024年の大統領選挙でトランプをはじめとする共和党候補に2億7700万ドルを投じた。そして、その見返りを見れば、それは目覚ましい成功を収めた投資と言えるだろう。

唯一思い浮かぶ明確な類似点は、ナレンドラ・モディ首相とアンバニ家のようなインドの寡頭政治の支配者たち(oligarchs)との関係だろう。彼らは、単に狭い意味でではなく、より広い意味で、自分たちに有利な方向に流れを変えてくれる政治家に、真に長期的かつ大規模な投資を行った。

この「政治への投資(investment in politics)」は、マスクの事業を活気づけるヴィジョンを取り巻く環境を積極的に形作る、つまり、更なるリスクテイクを可能にするものと考えることもできる。あるいは、彼の政治介入をより防御的なものと捉えることもできる。

歴史が自分に降りかかるのを待ちながら、ただ傍観し、自分の道を進み、富を享受する方が良いのか? それとも、真剣に賭けに出て、どうにかしてこの対立を乗り切ろうとする方が良いのか? マスクは明らかに後者の道を選んだ。リスクや矛盾はあるのだろうか? もちろんある。テスラは中国で大きなリスクを負っている。中国はテスラにとって最大の市場の1つであり、世界の生産量に占める割合は更に大きい。

これがトランプ大統領の貿易政策や、よりタカ派的な側近たちの地政学政策と衝突しないという保証はあるだろうか? もちろんない。しかし、政権内部にいる方が、事態の行方に影響を与え、自社にとって効果的な現実的な解決策を見つける可能性が高くなるだろうか? もちろんある。第1次トランプ政権下で関税免除のロビー活動を成功させたアップルは、その可能性を実証した。マスクは更に上を行くだろう。アップルのCEOティム・クックと同様、マスクも中国の上層部から下層部まで強力な人脈を持っている。おそらく彼は何らかの方法で矛盾を解消できるだろう。マスクが選択肢として考えていないのは、架空の中立の立場に後退することだ。

マスクが極右イデオロギーに傾倒しているのは、南アフリカで育ったせいではないかとの議論が盛んだ。土地再分配や黒人の所有権に関する政策をめぐって、トランプ政権が南アフリカの現政権をいじめようとしていることは、今や明らかだ。マスクが糸を引いているかどうかは別として、トランプの周囲には、より広範な南アフリカの白人グループが存在し、その中でマスクは最も権力を握っている。彼らがこの話題に関する彼の見解を形成していないとは考えにくい。

しかし、より深いレヴェルでは、1970年代から1980年代にかけての南アフリカ政治という実に変幻自在な環境で育ったことが、マスクの政治の根底にあるリスクテイクの形、つまり憲法の腐敗可能性や歴史そのものに対する理解を形成した可能性を考えることは有益である。

アパルトヘイト体制が崩壊し、人種戦争(race war)という終末論的なシナリオ(これは今日でも南アフリカに色濃く残っている)が政治生活に影を落としていた。あらゆるものが争奪戦に晒されていた。いかなる政治体制も排除することはできなかった。リベラルな想像力を育むには不向きな環境だった。マスクの父親はリベラルだったと言われているが、南アフリカの文脈では、それは黒人の代表をある程度認めるための多院制議会について議論することを意味していた。マスクによれば、彼自身はアパルトヘイトの柱であった南アフリカ軍への徴兵を避けるために国を離れたという。

マスクやピーター・ティール、そしてシリコンヴァレーの仲間たちに共通しているのは、あらゆる物事について「考えられないことを考える(think the unthinkable)」のが好きだということだ。それは、科学的な公理に基づいて政治を考える習慣につながる。アパルトヘイト後期の南アフリカのような状況では、全てが修正される可能性がある。第一原理に立ち戻るしかない。

しかし、ヨーロッパの右翼政策におけるマスクの冒険は、彼の動機が彼自身も認めているほど明らかではないことを示唆している。ベルリン郊外に建設した工場周辺では、ドイツ政界から度々ビジネスプランへの抵抗を受け、不快な思いをしてきた。報道によると、マスクはベルリンの極端にヒップなパーティーシーンの一部と険悪な関係にあるという。現時点では、報復のためにドイツを混乱させるという考えをマスクはかなり好んでいるのだろう。そして、その感情的な計算に第一原理を当てはめてみると、ドイツの極右は強力な支持に値するという結論がすぐに導き出される。

極右政党「ドイツのための選択肢[Alternative for Germany]AfD)」の共同党首アリス・ヴァイデルとの会話を目にすると、マスクはほとんど世間知らずに思える。政策面では、AfDは一般的に極右とされているものの、アメリカの共和党よりも右翼的という訳ではない。唯一の違いは歴史であり、だからこそマスクは、ドイツ人はナチスの過去をあまり心配する必要はないと結論づけたのだ。

マスクが決してしないのは、マイクロソフトで築いた莫大な財産を、世界の公衆衛生や教育といった従来型の慈善事業に注ぎ込んだビル・ゲイツのような人物の、おとなしく追随することだ。ゲイツはベビーブーマー世代で、伝統的な趣味を育み、定評のあるアメリカ美術コレクションを所有している。一方、マスクは1970年代から1980年代にかけて、社会化が乏しく、やや野性的なコンピュータキッズだったが、型破りなエネルギーによって、自らを世界一の富豪へと押し上げた。型破りな思考(thinking outside)こそが、彼が知っている唯一無二の道なのだ。

政府効率化省におけるマスクの最終目的が何なのか、そして彼の政治哲学が最終的にどこへ向かうのかは、誰にも分からない。マスク自身も含めて誰にも分からない。

政府インフラへの侵入やオフィスビルの占拠といった形で行われる敵対的な監査(hostile audits)は、政治史において決して珍しいことではない。例えば、ユーロ危機の後期には、いわゆるトロイカ(ヨーロッパ委員会、ヨーロッパ中央銀行、国際通貨基金)の検査官がギリシャ政府庁舎を訪れ、コンピュータやファイルにアクセスし、ギリシャの将来の支出形態を決定した。

しかし、これには何年もかかり、一定の手続きが踏まれた。第二次トランプ政権発足後数週間で私たちが目にしたのは、2021年1月6日の暴動に似た攻撃だ。予算400億ドルの米国国際開発庁は、アメリカ政府機関の中では小さな部分を占めるに過ぎないが、世界の政府開発援助(official development assistanceODA)の20%以上を占めている。この機関の破壊は、近年の政府改革において前例のない事態だ。

おそらく戦略があるのだろう。マスクは現状打破を望んでいるようだ。アメリカ政府を混乱させることで、想像を絶するほどの効率化が実現できると考えているのかもしれない。

彼が変革を推進するために活用しているティームは、10代のエンジニア、彼の様々な事業からの出向者、そして一流弁護士といった構成だ。レイオフは、教育省から中小企業庁、消費者金融保護局に至るまで、ほぼ全ての連邦政府機関に及んでいる。もし彼らが何らかの計画を実行しているとすれば、それは場当たり的なものに思える。

しかし、そこには戦略があるのか​​もしれない。マスクは物事を打破したがっているようだ。アメリカ政府を混乱させることで、想像もできなかったほどの莫大な効率化が実現できると考えているのかもしれない。スペースXNASAで事実上実現したように、政府の大部分を民間企業に置き換えることさえ構想しているのかもしれない。しかし最近、彼は自身のヴィジョンを説明するのに、醜悪なガーデニングの比喩に頼っている。

機関の一部を残すのではなく、機関全体を削除する必要があると私は考える。それは雑草を放置するのと似ている。雑草の根を抜かなければ、雑草は簡単にまた生えてくる。しかし、雑草の根を取り除いても、雑草が再び生えてこなくなる訳ではなく、生えにくくなるだけだ。

庭師とは、もちろん、雑草を識別し、手入れが必要な植物と区別するための実践的な知識を培った人のことだ。言い換えれば、原則に従って仕事をする人ではない。

※アダム・トゥーズ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学歴史学教授、ヨーロッパ研究所部長。経済、地政学、歴史のニューズレター「チャーターブック」著者。Xアカウント:@adam_tooze

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 古村治彦です。

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 今回は、興味深い論稿をご紹介する。民主党系のストラティジストが書いた文章で、内容は、イーロン・マスクが行っている政府効率化(連邦政府職員の削減、連邦政府機関の一部の閉鎖、予算の削減)がトランプと支持者たちを離間させるというものだ。 

論稿の著者ブラッド・バノンは「マスクはトランプのスケープゴートにされる可能性がある。民主党は、トランプを弱体化させることが最終目標であり、マスクを攻撃することではないと認識すべきである」と主張している。失業保険や生活保護など、連邦政府の予算が入っている福祉制度や労働対策制度を利用している低所得者層にとって、連邦政府の予算削減は生活に直結する大問題だ。

これまでにブログで何度も書いているが、トランプは、アメリカの貧乏白人、白人労働者たちの支持を受けて、彼らの代表として、既存の政治を壊すためにワシントンにやって来ている。貧しい白人、白人労働者たちが望んでいるのは、雇用であり、働かせてくれさえすれば、そして、生活できるだけの給料を保証してくれれば、福祉に頼ることなく、自分で生活を立て直すという考えを持っている。

 彼らの考えはもっともで素晴らしい。しかし、実態は厳しいだろう。トランプ政権下の4年間でどれだけの雇用が、一度、製造業が去ってしまった地域に戻るだろうか。しかも、彼らが望むだけの賃金となると、どうしても競争力は限定されてしまう。そうなると、彼らもまた我慢を強いられる。自分たちの思い通りにはいかないし、福祉に頼るということも続くことになるだろう。

 以下の論稿で重要なのは、後半の以下の記述だ。「マスクを嫌うバノンは私だけではない。トランプの大統領顧問を務めたスティーヴ・バノン(私とは血縁関係はない)は、長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)との間で、MAGA内戦が勃発すると警告している。バノンはこれを、トランプ連合内の億万長者と労働者階級の勢力間の戦い(a battle between the billionaire and working-class elements within the Trump coalition)だと表現した」。

 既に、日本でも報道されているように、政権内部には不協和音が起きつつある。最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)でも、政権内の不協和音、衝突については触れているが、より鮮明になっているようだ。私は違和感を覚えていたが、それが「長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)」という形で言語化されている。トランプ政権はポピュリズム政権であるが、大富豪であるイーロン・マスク、そして、ピーター・ティールが支えていることの違和感はあった。これが顕在化しつつある。

 トランプという巨大な存在によって、そうした不協和音を抑えることができるだろうが、それがいつまで続くだろうかということは私の最新の興味関心ということになる。

(貼り付けはじめ)

マスクは民主党がトランプを労働者階級の支持層から引き離すために必要な楔となるかもしれない(Musk may be the wedge Democrats need to separate Trump from his working-class base

ブラッド・バノン筆

2025年2月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/5158364-elons-musk-vs-trump-division/

イーロン・マスクはメディアの注目を独占している。この状況が続く限り、彼にはそれを楽しんでいて欲しい。マスクはトランプ大統領の影を薄くし始めており、トランプのようなナルシストが長く我慢するはずがない。

木曜日、クールなサングラスをかけ、チェーンソーを振り回すマスクは、今年のCPAC保守派会議の主役だった。FOXニューズのショーン・ハニティとの共同インタヴューでは、トランプを圧倒した。トランプが脇役に甘んじていた最近の大統領執務室での会合の報道では、マスクと息子が中心人物だった。カルヴィン・クーリッジがネイティヴ・アメリカンの頭飾りを身につけて以来、最悪の大統領写真撮影の機会だった(意識が高ぶっていることを許して欲しい)。

マスクはフレッド・アステアの真似を精一杯やっている。重力に逆らって天井で踊っている。この綱渡りは、彼の失墜が更に悲惨なものになることを意味するだけだ。

2週間前に『エコノミスト』誌が実施した全国世論調査によれば、トランプ大統領は既に不人気であり、人命が失われる数が増えるにつれ、事態はさらに悪化するだろうことは間違いない。

トランプの支持率も、2度目の就任以来低下している。彼に対するネガティヴな評価が警戒すべきレヴェルにまで達すれば(そして必ずそうなるだろう)、脚光を浴びることを好むこの大企業経営者であるマスクは大統領のスケープゴート(scapegoat)にされるだろう。トランプの元側近の多くと同様に、彼も使い捨てられる存在だ(He is disposable like so many of Trump’s former associates)。民主党は、私たちの最終目標は大統領を弱体化させることであり、マスクを弱体化させることではないことを忘れてはならない(Democrats must remember that weakening the president, not Musk, is our ultimate goal)。マスクがトランプの意のままに動いているのであって、その逆ではないことを明確にすべきだ(We should make it clear that Musk is doing Trump’s bidding and not the other way around)。

国民の60%以上は、マスクがトランプに大きな影響力を持っていると考えているものの、マスクにそう望んでいるのはアメリカ人の5人に1人だけだ。共和党員の3人に1人でさえ、この大企業経営者マスクは大統領に過大な影響力を持っていると考えている。

トランプは、マスク、Metaのマーク・ザッカーバーグ、Amazonの『ワシントン・ポスト』紙のジェフ・ベゾスといった超富裕層のテック業界の巨人たちと肩を並べている。ワシントン・ポストで最近起きた騒動は、トランプの企業カルテルがいかに集中的な権力を持っているかを如実に示している。公益団体コモン・コーズは、マスクを批判するラップアラウンド広告を一面、裏面、そして中面1ページに掲載することを提案した。しかし、注文を受けた後、ワシントン・ポストは尻込みして広告掲載を断った。ワシントン・ポストのモットーは、「ワシントン・ポストで民主政治体制は闇の中で死ぬ(Democracy Dies in Darkness at the Washington Post)」に変更されるべきだ。

ワシントン・ポストが広告掲載を拒否したことは、言論の自由に対する明白かつ差し迫った脅威だ。また、トランプ、マスク、ベゾスが、機能不全に陥ったアメリカ民主政治体制の心臓部に血液を送り込む情報動脈(the information arteries)を、いかに強大に締め上げているかを如実に示している。

マスクは世界で最も富裕な人物の1人、いや、最も裕福な人物と言えるだろう。彼は政府効率化省をリードする頭脳(the brain behind the Department of Government Efficiency)だ。彼の冷酷な指揮下で在宅医療や学校給食を失う貧しいアメリカ国民のことを、彼には気遣う理由など存在しない。効率化をあえて追求するあまり、彼は大切なものを駄目にし()throw the baby out with the bathwater、何百万人もの人々に奉仕する連邦政府機関を丸ごと潰そうとしている。彼の執拗な追求には、政府撲滅省(the Department of Government Eradication)というより適切な名称がふさわしいだろう。そして、彼が直属する大統領の真の目的はまさに政府の撲滅なのだ。

最近、政府効率化省(DOGE)は移民・関税執行局(the Immigration and Customs Enforcement Agency)で80億ドルの無駄遣いを発見したと主張した。『ニューヨーク・タイムズ』紙が調査したところ、実際の数字は800万ドルだったことが判明した。マスクが80億ドルと800万ドルの違いも分からないのであれば、他に何を間違っているだろうか? 彼は政府支出の効率化(efficiency in government spending)を担うべき人物ではない。

彼はまた、行動と言動において利益相反(conflict of interest)そのものだ。彼の巨大な企業的利益は、彼が担う重要な政府責任と真っ向から衝突している。彼のロケット会社スペースX社は連邦政府の請負業者である。

マスクを嫌うバノンは私だけではない。トランプの大統領顧問を務めたスティーヴ・バノン(私とは血縁関係はない)は、長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)との間で、MAGA内戦が勃発すると警告している。バノンはこれを、トランプ連合内の億万長者と労働者階級の勢力間の戦い(a battle between the billionaire and working-class elements within the Trump coalition)だと表現した。

民主党と進歩主義派は、この分裂につけ込むことができる。苦境に立たされた労働者世帯を支援するという自らの関与を強調することで、こうした分裂をうまく利用することができる。彼らは、トランプが新政権発足初日に物価を引き下げるという、今や放棄された選挙公約を実行してくれることを期待していた。

分断統治(divide and conquer)は常に敵を倒す効果的な手段だった。私たちはMAGA内の分裂につけ込まなければならない。マスクは、トランプを労働者階級の支持層から引き離すために必要な楔(wedge)となるかもしれない。

※ブラッド・バノン:民主党の全国規模担当ストラティジストであり、民主党、労働組合、そして進歩主義的な問題団体のための世論調査を行うバノン・コミュニケーションズ・リサーチCEO。彼は、権力、政治、政策に関する人気の進歩主義派ポッドキャスト「デッドライン・DC・ウィズ・ブラッド・バノン(Deadline D.C. with Brad Bannon)」の司会者を務めている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)で、私はヴィヴェック・ラマスワミについて書いた。彼は2024年の大統領選挙共和党予備選挙に立候補し、最初は無名候補だったが、弁舌の巧みさと鋭さと、トランプ支持を表明したことで、注目を浴びることになった。トランプもラマスワミを気に入っていたようだ。
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ラマスワミ(青いネクタイ)とヴァンス 
 ラマスワミの名前が再び注目されることになったのは、トランプが2024年の大統領選挙でカマラ・ハリス(とジョー・バイデン)を破り、大統領返り咲きが決まった後に、イーロン・マスクと共に、政府効率化省(Department of Government EfficiencyDOGE)を率いる責任者として名前が挙がった時だ。その後、ラマスワミは来年に実施される故郷オハイオ州知事選挙に出馬するために、責任者就任を辞退した。私は『トランプの電撃作戦』の中で、ラマスワミはヴァンスを助けて再び中央政界を目指すと書いた。

 ラマスワミとJD・ヴァンス米副大統領はイェール大学法科大学院(ロースクール)の同級生であり、それ以来の盟友だ。彼らは共にオハイオ州出身という共通点もある。そして、彼らは学生時代に既にピーター・ティールに見いだされている。詳しくは『トランプの電撃作戦』をお読みいただきたい。

 ラマスワミは保守派のネットワークに入れてもらえた。それは。保守派の重鎮で、第一次トランプ政権で大統領顧問を務めたレナード・レオの知己を得たからだ。ラマスワミは、2014年に設立した製薬業界に特化した企業ロイヴァントが成功して巨額の資産を手にすることになった。ラマスワミについては、「無名の新人」「アウトサイダー」という評価があったが、実際にはシリコンヴァレーの億万長者たちや保守派のネットワークの人々が支援している人物ということになる。この点もまた、ヴァンス副大統領とよく似ている。ラマスワミもまた、自分は主流派ではないと主張し、庶民の代表をアピールしているが、同時に、テック産業や保守派のネットワークの内部にいる人物ということになり、ハイブリッドということになる。ヴァンスとラマスワミという共通点の多い2人が2028年以降のアメリカ政治において、存在感を増していき、重要な役割を果たすことになる。

(貼り付けはじめ)

「彼はインサイダーだ」:ラマスワミ氏と右翼の中心的重要人物との深いつながりが明らかになった(‘He’s an insider’: Ramaswamy’s deep ties to rightwing kingpins revealed

-共和党候補は自らを「アウトサイダー」と位置づけているが、著名人レナード・レオやピーター・ティールと密接なつながりがある。

マーティン・ペングリー筆

2023年8月25日

『ザ・ガーディアン』紙(イギリス)

https://www.theguardian.com/us-news/2023/aug/25/vivek-ramaswamy-rightwing-elite-close-ties-leonard-leo-peter-thiel

ヴィヴェック・ラマスワミは、共和党の大統領候補指名争いのライヴァルたちが寄付者や特別利益団体(special interests)に「買収され、資金を提供されている(bought and paid for)」と非難し、自らを「アウトサイダー(outsider)」と形容している。

しかし、38歳のオハイオ州を拠点とするヴェンチャー・キャピタリストのラマスワミは、押しの強い、怒りを前面に押し出した様子を今秋開催された最初の共和党候補者討論会で見せた。ラマスワミは政治の2つのサイドの影響力を持つ人物たちと深い関係を持っている。

こうしたつながりで有名なのは、テクノロジー大手ペイパルとパランティアの共同創業者で右派の大口寄付者であるピーター・ティールと、連邦裁判所に保守派判事を配置する運動で前例のない額を集めた活動家レナード・レオだ。

ラマスワミは、ベストセラーの回想録『ヒルビリー・エレジー』の著者で、政界入りする前に金融業界で成功を収めたJD・ヴァンスのイェール大学法科大学院時代の友人だ。イェール大学法科大学院在学中、ヴァンスとラマスワミは、ティールが主催した「選ばれた学生のための親密なランチセミナー(intimate lunch seminar for select students)」と『ニューヨーカー』誌が形容したセミナーに出席した。昨年、ヴァンスはティールの支援を受け、極右のトランプ支持の考えを唱え、オハイオ州選出の連邦上院議員の座を獲得した。

ティールはその後、政治献金から手を引いたと述べている。『ニューヨーカー』誌が「高齢者のメディケア利用を支援するベンチャー(a venture helping senior citizens access Medicare)」と呼ぶ企業を支援し、昨年は、企業投資家の環境・社会・ガバナンス(environmental, social and governanceESG)方針を攻撃するためにラマスワミが立ち上げたファンドであるストライヴ・アセット・マネジメントを支援した。ヴァンスも支援者だ。

ラマスワミの主な成功手段は、2014年に設立された製薬業界に特化した投資会社ロイヴァントである。

ロイヴァントの顧問会には、共和党と民主党の両党の人物が名を連ねている。キャスリーン・セベリウス(オバマ政権の保健福祉長官)、トム・ダシュル(サウスダコタ州選出の元連邦上院民主党指導者)、オリンピア・スノー(メイン州選出、共和党所属の元連邦上院議員)などだ。

ラマスワミとレオとのつながりは数多くある。レオは最近、実業家のバレ・セイドから16億ドルの寄付を受けており、これは過去最大の寄付金とされているが、現在ワシントンDC地区の検事総長による捜査の対象になっていると報じられている。

「プロパブリカ」と「ドキュメンティッド」が報じたところによると、ラマスワミは、レオが議長を務めるテネオが主催するリトリートで講演している。この団体は、有力な保守派を結びつけ、アメリカ社会における「リベラルの優位を打ち砕く」ことを目指している。

テネオの他の講演者には、共和党予備選挙でラマスワミに先行しているフロリダ州知事のロン・デサンティスや、ミルウォーキーのステージでラマスワミと衝突したサウスカロライナ州元知事のニッキ・ヘイリーも含まれていると報じられている。

「プロパブリカ」はまた、ティールをテネオ・グループの創設に結び付けた。本紙が調べた文書によると、ラマスワミは2021年にテネオのメンバーになった。

他には、ラマスワミはレオとつながりのある慈善団体「ラウンドテーブル」の理事であり、レオ主導で裁判所に保守派の判事を就任させる運動を行っている団体「フェデラリスト協会」のメンバーでもある。

ラマスワミは、共和党所属の各州財務長官(state treasurers)の団体である「州財務官財団(State Financial Officers FoundationSFOF)」でも講演し、賞も受けている。

6月、サウスカロライナ州において、『ポスト・アンド・クーリエ』紙は、昨年大統領選に出馬する前に、ラマスワミ氏が「[共和党の]コネを利用して[ストライヴに]有利な年金基金管理契約へのアクセスを与えようとした・・・[資産総額は]396億ドルに上る」と報じた。

ポスト・アンド・クーリエはミズーリ州とインディアナ州でも同様の圧力がかけられたと伝えた。サウスカロライナ州の財務長官カーティス・ロフティスはポスト・アンド・クーリエに対し、こうしたアプローチは「何ら不適切ではない(nothing improper)」と語った。

右翼の寄付者、活動家、体制側の人物とのつながりを踏まえてラマスワミがアウトサイダーであると主張していることについて質問された選挙運動のスポークスマンは本紙に「ヴィヴェックはアメリカンドリームを実現し、ビジネスで大成功を収めた」。と述べた

選挙運動関係者たちは「裕福な人々と友人関係やビジネス関係を持つ人と、スーパーPACの寄付者を喜ばせるために政策や立場を変える政治家との間には、大きな違いがある」と付け加えた。

ウィスコンシン州の討論会では、91件の刑事告発に直面しているものの、共和党の世論調査で圧倒的な差をつけてリードしている元米大統領ドナルド・トランプが不在だったため、ラマスワミは活躍した。

ラマスワミがトランプの副大統領候補になるかもしれないとの憶測が広がる中、共和党の活動家から反トランプの「リンカーン・プロジェクト」の共同創設者に転身したリード・ガレンは、ラマスワミを「2020年代の典型的なアメリカのテック産業系のでたらめ芸能人・・・21世紀のトランプ」と呼んだ。

ガレンによると、ラマスワミが自分をアウトサイダーであると主張したのは、ラマスワミの「根本的な理解の一部だ。・・・MAGA派(トランプ支持の共和党内の支持基盤)は、予備選の残りの人たちは政治家だと示してほしいと思っている。ラマスワミはショーマン、つまりアウトサイダー、反主流派になることを厭わない。『もし何かあれば、それがそこにあって嫌だ』。つまり、『私はこれで楽しもう。あなたたちは下手くそで悪党の集まりだから、真剣には受け止めない』という訳だ」。

しかし、別の意味では、ラマスワミとレオやティールのような人物とのつながりについて、ガレンは「彼はインサイダーだと思う」と語った。

「彼はレオナルド・レオと一緒に部屋に入ってきて、『私に何をしてほしいですか?』と言う。すると彼らは、『これが私たちがあなたにしてもらいたいことだ。これが私たちがあなたにしてもらいたいことです』と言う」。これは正しいのか?

[ラマスワミ][中絶の制限などの]問題に関心があると思いますか? いいえ、特にそうではない。彼がそれについて確固とした信念を持っているとは思えない。しかし、それが彼の助けになると考え、それと引き換えにレオナルド・レオが、老人から彼に与えられた16億ドルのうちのほんの少しの金額を与えて彼を助けるとしたらどうだろうか?」何ということだ?

ガレンは「彼はここまでやれるとは思っていなかった。だから現在、彼はできる限りそれを押し進めようとしているのだ」と述べている。

ラマスワミは、レオが 「確かに中心にいる(certainly at the center)」献金者や非営利団体の世界と密接に結びついているとガレンは述べている。ガレンは更に「この動きは1つの方向にしか進まない。それは暗黒(darkness)に向かう。それは権威主義(authoritarianism)の方向だ。それは、ラマスワミのような人物を見つけるためだ。そして、他の候補者たちが彼(ラマスワミ)を攻撃すればするほど、彼らは彼をますますそのような人々の腕の中に追い込んでいくだろう」と述べている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)では、JD・ヴァンス副大統領が次の2028年米大統領選挙でトランプ大統領の後継者として共和党候補者となると書いた。そして、ヴァンスとシリコンヴァレーの大立者で、2016年の大統領選挙でトランプを支持し続けた、ピーター・ティールが、ヴァンスを見出したことを紹介した。ヴァンスはティールの弟子ということになる。今回は、『トランプの電撃作戦』では使わなかったが、ヴァンスとシリコンヴァレーの大物たちとの関係を詳しく分析している論稿を紹介する。内容を要約すると次のようになる。
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盟友同士のヴィヴェック・ラマスワミ(青いネクタイ)とJ・D・ヴァンス

ドナルド・トランプの副大統領候補にJD・ヴァンスが浮上する数週間前、テクノロジー業界の著名な人物たちが彼を推す動きが始まった。特に、テクノロジー起業家や資本家たちからヴァンスを副大統領候補にするように強く求めた。

ティールの投資会社の共同経営者デリアン・アスパロウホフは、ヴァンスがホワイトハウスの職に就くことが自分たちの代表がホワイトハウスに入ることを意味すると述べた。また、ヴァンスはその背景からシリコンヴァレーのエリートと将来の連携を生み出す人材として注目されている。

一方で、ヴァンスの過去の社会問題に対する姿勢や商業界とのつながりから批判も受けており、彼とティールの関係がビジネス上の駆け引きになる可能性が指摘されている。さらに、彼はシリコンヴァレーにおけるエリート主義と、一般市民を置き去りにする姿勢を意識し、影響を持とうとしていることがある。

ティールは過去のトランプの選挙に対して、巨額の寄付をしたものの、政権の混乱に失望しつつも、ヴァンスへの支援を続けている。トランプは最近、電気自動車や人工知能に対する積極的な姿勢を示している。テクノロジー業界の不満を受けて、トランプとヴァンスの最近の集まりには多くのテクノロジー企業の幹部が集まり、大規模な資金集めの場となった。

ヴァンスはより小規模なスタートアップ企業を支援する意義を持つことで支持を広げ、テクノロジー業界の変革を目指している。また、彼は過去の経歴を活かし、地域経済の問題にも取り組んできた。

最後に、ヴァンスがテクノロジー業界の影響力の高まりを象徴する存在となっていることが指摘されている。彼は新たなデジタル社会への対応を模索しながらも、政治的なロビー活動に関しては複雑な立場に立たされている。彼の副大統領候補への道筋は、アメリカの今後に向けての新たな枠組みを指し示すものとなるだろう。

 ヴァンスはトランプのポピュリズムを体現する人物である。詳しくは『トランプの電撃作戦』に書いたが、シングルマザーの貧しい家庭から身を起こし、副大統領にまで上り詰めた。彼はトランプを支持する貧しい白人労働者の代表という面がある。同時に、シリコンヴァレーでの経験や知識から、テック産業の代表という側面を持つ。彼はその点でハイブリッドということになる。アメリカ政治の大きな潮流を示し、体現する人物がヴァンスということになる。

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JD・ヴァンスを指名した強力なピーター・ティールのネットワークの内部(Inside the powerful Peter Thiel network that anointed JD Vance

-右派の技術者による小規模で影響力のあるネットワークが、シリコンヴァレーでのヴァンスの台頭、そして共和党での台頭を画策した。彼がホワイトハウスを勝ち取れば、業界は利益を得る立場にある。

エリザベス・ドゥオスキン、キャット・ザクロウスキー、ニターシャ・ティク、ジョシュ・ダウジー筆

2024年7月28日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/technology/2024/07/28/jd-vance-peter-thiel-donors-big-tech-trump-vp/

ドナルド・トランプ前大統領が副大統領候補を発表する数週間前、テクノロジー業界の大物たちが、自分たちの仲間であるオハイオ州選出の連邦上院議員JD・ヴァンスを推す静かなキャンペーンを開始した。

トランプ元大統領は、テクノロジー起業家のデイヴィッド・サックス、パランティア社顧問のジェイコブ・ヘルバーグ、そして、ヴァンスの元雇用主で師(mentor)でもある億万長者のヴェンチャー・キャピタリストであるピーター・ティールから、かつてのシリコンヴァレーにいる投資家を候補に加えるよう何度も懇願をうけたと、懇願に詳しい3人が匿名を条件にプライベートな会話について語った。

ヴァンスの最も強力なシリコンヴァレーにいる支持者たちは、元ネヴァー・トランプ派の人物であるヴァンスが共和党内で台頭していることに大喜びしている。彼らは、ヴァンスをワシントンにいる自分たちの使者と見なしており、政府やグーグルからロッキード・マーティンに至るまでの定着した大企業が技術革新(innovation、イノヴェーション)を阻害し、機敏で大胆な考えを持つスタートアップ企業、特に自分たちのスタートアップ企業が国益を推進できるという教義を広めている。ハリス副大統領の大統領就任は多くの左派テクノロジーリーダーを活気づけたが、ティールのネットワークの一部は、ヴァンスがホワイトハウスに入ることで恩恵を受ける立場にある。ヴァンスは最近までワシントンを避けていたヴェンチャー・キャピタリストにとって新たな資産だ。

ティールの投資会社ファウンダーズ・ファンド社の共同経営者であるデリアン・アスパロウホフはXに「地球上で最も偉大な国のホワイトハウスに元テックヴェンチャーキャピタルにはいることになるんだぜ(WE HAVE A FORMER TECH VC IN THE WHITE HOUSE GREATEST COUNTRY ON EARTH BABY)」と投稿した。

ティールにとって、ヴァンスが共和党候補に名を連ねるのは、ラストベルト出身のイェール大学法科大学院(ロースクール)卒業生を弟子(protégé)として迎え入れた10年前の先見の明のある賭けの成果であり(the payoff on a prescient bet placed a decade ago)、Meta社のCEOのマーク・ザッカーバーグやOpenAI創設者のサム・アルトマンを含むメンバーに加わった。

特に2016年に自叙伝『ヒルビリー・エレジー』を出版した後、ヴァンスは多岐にわたる知性、温厚な物腰でありながら、実はオハイオ州の労働者階級で育ったアウトサイダーの物語を通じて、シリコンヴァレーのティールの高尚な仲間たちに強い印象を与えた。この物語は2016年の大統領選挙後、テクノロジー界のエリートたちが、未来を築くことへの執着がいかに多くのアメリカ人を置き去りにしているのかを理解しようとしたときに共感を呼んだ。

ティールは彼自身を裕福にし、MAGA層に人気となった企業に投資する環境を整えた。彼は他のシリコンヴァレーの寄付者とともに、ヴァンスの政界進出を後押しし、2022年の米連邦上院選挙で彼の出馬を成功させた。

ティールの考えを知るある人物は「ピーターにとって、ヴァンスは一世一代の賭け(a generational bet)だ」と語った。

しかし、ヴァンスのビジネス界での人脈、そして中絶や同性婚などの社会問題に対するスタンスは、批判にもさらされている。批判者たちはヴァンスを「シリビリー(shillbilly 訳者註:シリコンヴァレーとヒルビリーの合成語)」と呼び、ティールのネットワークとの関係が金銭授受のシナリオ(a pay-to-play scenario)になる可能性があると主張している。

投資家のデル・ジョンソンはXに次のように投稿した。「彼らがエリート主義的な計画と反動的な見解を[導入する]ための最良の方法は、規制の捕捉だ(regulatory capture)」。これは民間セクターによる規制プロセスのコントロール(private sector’s control of the regulatory process)を表す用語を使っての投稿だ。続けて「ヴェンチャー・キャピタル階級に大統領職を任せても何も起きない」と書いた。

この記事は、シリコンヴァレーでのヴァンスの台頭、ティールとの関係、そして彼がアメリカで2番目に高い政治職に就いた場合のテクノロジー業界の野望に詳しい17人の人物へのインタヴューに基づいており、その多くは関係を保護するために匿名を条件に話してくれた。

ティールはコメントを拒否した。ヴァンスはコメントの要請に応じなかった。

ティールは2016年の選挙運動においてトランプに対して巨額の寄付を行ったが、彼の考えを知る複数の人物によると、最終的には政権の混乱と科学と技術革新への焦点の欠如に失望したという。

しかし、ヴァンスの指名は、ティールがトランプに好意的になるのに役立っている。また、トランプの共和党大統領候補指名は、テクノロジー業界にとって極めて重要な問題に新たに焦点を絞ったことと一致する。トランプ元大統領は、電気自動車、仮想通貨(cryptocurrency)、人工知能に関する業界に好意的なメッセージを受け入れてきた。トランプは先月、サックスのポッドキャスト「オールイン(All-In)」に出演し、シリコンヴァレーの寄付者たちを「天才たち(“geniuses)」と呼んだ。また、最近の選挙集会では、電気自動車のパイオニアであるイーロン・マスクを称賛し、「私たちは賢い人々の生活を良くしなければならない(We have to make life good for our smart people)」と発言した。

『ワシントン・ポスト』紙が確認した出席者リストによると、サックスが6月にトランプとヴァンスをサンフランシスコの自宅に招いて開催した、高額な資金集めパーティーの場で、2人は50人以上のテクノロジー企業の幹部や他の裕福な寄付者たちと会った。

共和党全国委員会で、サックスがトランプの専用ボックスでヴァンスと話している姿が見られた。出席者たちは、寄付者やロビイスト、テクノロジー業界の関係者らがこれほど集まったイヴェントは見たことがないと語った。

対照的に、バイデン政権は、暗号通貨業界を妨害し、人工知能を規制しようとし、スタートアップ創業者が金儲けするための重要な道である企業買収に異議を唱えることで、テクノロジー業界のリーダーたちを激怒させている。サックス、マスク、パランティア社共同創業者のジョー・ロンズデール、セコイア・キャピタル社のダグ・レオーネ、著名なヴェンチャー・キャピタル企業アンドリーセン・ホロウィッツ者の創業者たちは、トランプに同調し、トランプ支持のPACに多額の寄付を行っている。

トランプがホワイトハウスを奪還すれば、ヴァンスは、イデオロギー的に一致した技術面のリーダーたちを政府要職に就かせ、テクノロジー業界を政治的サンドバッグから資本主義の原動力へと変える一助となるかもしれない。ヴァンス自身の防衛スタートアップ企業アンドゥリルへの名ばかりの投資を含め、ティールと関係のあるスタートアップ企業のネットワークは、数十億ドル規模の契約をめぐって競争している。

一方、ヴァンスを指名する際のトランプへの売り込みは非介入主義外交政策(noninterventionist foreign policy)だったサックスの友人たちは、ヴァンスは国務長官を狙っているのだとよく冗談を言っていた。

ヴァンスの支持者たちは、ビッグテック企業の独占的慣行(Big Tech’s monopolistic practices)を非難する一方で、より機敏なスタートアップ企業(「リトルテック(Little Tech)」と名付けられている)を支援する姿勢が、ヴァンスを説得力のある特使(persuasive envoy)にしていると語った。

アリゾナ州で連邦下院議員選挙に立候補しているティール・キャピタル社の元上級幹部ブレイク・マスターズは、ヴァンスとシリコンヴァレーとのつながりが、技術革新の新時代を先導するのに役立つだろうと語った。

マスターズは「金儲けが目的ではない」と述べている。マスターズは、ティールがヴァンスに『ヒルビリー・エレジー』の宣伝文をレビューするよう依頼したことで、ヴァンスと友人になった。「マンハッタン計画のような大きな取り組みをかつて行っていた政府が、もはや作ることができないようになっている、新しい技術を作ることが目的だ。これから起こる問題をほとんど直感的に理解している人物のようだ」。

●「私たちのネットワークに欲しい人」(‘Someone we want in our network’

トランプが当選する2カ月前、ヴァンスはサンフランシスコで、テクノロジー業界で最も裕福で影響力のある人々とサロンディナーに出席した。出席者にはティール、アンドリーセン、アルトマン、セールスフォースのCEOマーク・ベニオフ、当時スタンフォード大学ビジネススクールの学部長だったジョン・レヴィンが含まれ、新たに重要なテーマ「アメリカの労働者階級の困難と仕事の未来(The difficulties of working class America and the future of work)」について話し合うために集まっていた。

幅広い会話はすぐに政治の話になった。当時はネヴァー・トランプ派だった若き回想録作家は、トランプの見込みのない選挙運動と民主社会主義者のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選挙運動を牽引したポピュリストの怒りを翻訳し、自分の言葉で主張した。

「そこにいた誰もがその瞬間を理解しようとしていた」と、その夜のことを知る人物は、プライベートな集まりだったため匿名を条件に語った。当時32歳だったヴァンスは「これらの素晴らしい知性に負けず、自分の力を発揮した・・・。彼はその場にいた全員の尊敬を集めていた」ということだ。

ティールがヴァンスのために道を切り開いたのは、約10年前、ヴァンスがこの億万長者にシリコンヴァレーでの機会を模索するようメールを送った後だった。ヴァンスは、2011年にティールがイェール大学法科大学院で行ったスピーチに触発された。そのスピーチは、技術の停滞を嘆き、競争の激しい仕事に対するエリートの執着が技術革新を潰していると主張した内容だった。ヴァンスは、そのスピーチをイェール大学在学中の「最も重要な瞬間(the most significant moment)」と表現した。

ヴァンスはティールに強い印象を残したとティールの投資会社ミスリル社の元マネージングディレクターのコリン・グリーンスポンは語っている。

グリーンスポンは後にヴァンスと共にヴェンチャー企業ナリヤを創設している。グリーンスポンは次のように述べている。「この男は、私たちのネットワークに100%欲しい人物だと分かっていた。ピーター・ティールの世界の利益は、常に興味深い人物が出入りすることであり、JDは私たちが親しくしたいと望む人物だと分かっていた」。

ティールの仲間が、ヴァンスがバイオテクノロジー企業サーキット・セラピューティクスに就職するのを支援した。ヴァンスはサーキット・セラピューティクスの専門分野であるオプトジェネティクスについては全く知らなかったが、勉強熱心な学生だった。彼はすぐに、スタートアップ企業への投資についてミスリルにアプローチした。

ミスリルはアプローチを断った。しかし、ヴァンスのアプローチ、つまり「適切なタイミングで連絡を取る才覚(knack for checking in at the right time)」はグリーンスポンに非常に感銘を与え、グループは「彼を雇う必要がある(we needed to hire him)」と結論付けた。

2016年にミスリルに入社したヴァンスは、投資家たちが企業を評価する方法を吸収し、技術革新が社会進歩の原動力として尊重される環境に身を置いた。オハイオ州ミドルタウン出身のヴァンスは、回想録の中で、白ワインが1種類以上あることを知らなかったと書いていて、そんな彼が億万長者とのディナーに出席するようになった。現在は新興企業と政府との連携を支援しているヴェンチャー・キャピタリストのキャサリン・ボイルは、サンフランシスコの自宅アパートでヴァンスのためにピザを用意して本の出版パーティーを開いた。

専門家たちは既に「ヒルビリー・エレジー」を選挙のための本と呼んでいたが、ワシントンに懐疑的なシリコンヴァレーでヴァンスが政治的野心について語ることはほぼなかった。

2016年にサロンディナーを企画してヴァンスを社交界に紹介したことで友人になったスタートアップ企業セーフグラフのCEO、オーレン・ホフマンは「彼は脚光を浴びよう(trying to get the limelight)としているようには見えなかった。彼の政治についての考えは知らなかった」と語った。

ヴァンスをもっと打算的な(calculating)人物と見る人たちもいた。ティールの仲間と交流していたある人物は、ヴァンスは同じような経歴を持つ人々と知り合う努力をせず、自分のキャリアに役立つ影響力のある人々に引き寄せられるだけだったと述べている。

クライナー・パーキンスの元投資家で非営利団体プロジェクト・インクルードの共同創設者のエレン・パオは「ヴァンスは、シリコンヴァレーで注目を集める、ホレイショ・アルジャー(Horatio Alger)のような、自力で起業する気骨のある白人男性創業者(bootstrap-pulling White male founder)の典型に当てはまるようだ」と語った。パオはヴァンスを直接知らないとしながらも、「彼の成功は、風に合わせて変化する意志、つまり、資金提供した新興企業を軌道に乗せるために政府の支援を求める場合に役立つ柔軟性と結びついているのではないか」と疑問を呈した。

ミスリルに入社してから1年後、ヴァンスはオハイオ州に戻った。2017年の『ニューヨーク・タイムズ』紙の「なぜ故郷に戻るのか(Why I’m moving home)」という見出しの論説で、ヴァンスはシリコンヴァレーでの時間を「高学歴の移住者たちに囲まれて(surrounded by other highly educated transplants)」「不快だった(jarring)」と表現した。別のインタヴューでは、西海岸の人々は「政治的・経済的権力とある種の恩着せがましさを併せ持っている(wield political-financial power in combination with a certain condescension)」と述べ、エリートのテクノロジー集団を冷笑したように見えた。

論説が掲載された数日後、ヴァンスは新しい仕事に就いたことも発表した。それは、前回の選挙でヒラリー・クリントンを支持した無所属のAOL共同創設者スティーヴ・ケースとともに、沿岸部のテクノロジー首都(シリコンヴァレー)以外のスタートアップの人材育成に重点を置いた取り組みである「ライズ・オブ・ザ・レスト(Rise of the Rest)」に取り組むことだった。

2018年、ヴァンスはオハイオ州ヤングスタウンで高級バスに乗り込み、政治家が主催する同様の取り組みであるカムバック・シティーズ・ツアーに参加した。ヴィーガン・ドーナツ、コンブチャ(昆布茶)、そして西海岸のヴェンチャー・キャピタリストに囲まれながら、ヴァンスは地元のスタートアップシーンと、オピオイド危機によるこの地域の課題について語った。ヴァンスは成人してからの人生の大半を、衰退する鉄鋼の町(the declining steel town)から遠く離れた場所で過ごしたが、訪問者たちは彼を、サンフランシスコの洗練されたオフィスとオハイオの間の溝を埋めるのに適した大使(as an ambassador well-positioned to close the gulf between their sleek San Francisco offices and Ohio)とみなした。

バスに乗っていた投資家の1人だったパトリック・マッケナは「この状況で、JDと会って人々が気づいたのは、シリコンヴァレーには賢い人がいっぱいいるが、賢い人が全員シリコンヴァレーにいる訳ではないということだった」と語った。

翌年、グリーンスポンとヴァンスはオハイオ州を拠点とする自分たちのファンドであるナリヤを立ち上げた。ナリヤは『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する火の輪(a ring of ire)にちなんで名付けられた。(ティールの「ミスリル」と「パランティア」もJRR・トールキンの叙事詩に由来する)。ティールは資本金の少なくとも15%を提供し、密接に関与し続けた。

ヴァンスは、シリコンヴァレーは「駐車場のUberUber for parking)」のような、模倣的な、その時々の流行に乗った企業(flavor-of-the-moment companies)で「飽和状態(oversaturated)」だと潜在的な支援者に語った。ヴァンスは、ナリヤは大きなアイデアと、ロボット工学やバイオテクノロジーなどの「ディープ・テクノロジー(deep technology)」の調達に注力すると語った。(AIや暗号は誇張されすぎていると当時彼は言っていた)。

ナリヤ・キャピタルの投資が全て利益を上げた訳ではなかった。ナリヤ・キャピタルは、昨年破産申請した農業新興企業AppHarvestに2800万ドルの投資を行った。

匿名を条件に取材に応じた人物は「ディープテック(deep tech)」の売り文句に飛びついた初期の投資家たちは、ナリヤのイデオロギーに基づいた賭けとみなして驚いたと語った。この人物はこの投資について公に議論する権限がなかったため匿名で語った。

ナリヤはティールとともに、右派の視聴者に人気のYouTubeの競合企業ランブルの大口投資家となった。ナリヤとティールはカトリックの祈祷アプリ「ハロウ」にも資金提供している。

2021年のナリヤの会合に、オハイオ州副知事ジョン・アレン・ハステッド(共和党)と、当時は製薬会社の元幹部で「意識高い(woke)」資本主義を攻撃するベストセラー本の著者だったヴィヴェック・ラマスワミが出席した。ハロウの創設者は「タブーな夕食の話題(taboo dinner topics)」をテーマとしたセッションで政治と宗教について語った。

ナリヤの共同創設者グリーンスポンは、ナリヤの目標は「投資家に可能な限り最高の利益をもたらすこと」だと述べた。

2021年に米連邦上院議員選挙への出馬を発表した頃には、ヴァンスはネヴァー・トランプ派からMAGA共和党員に変貌していた。これはティールやマスターズらとの長年の対話の結果だ。

マスターズによると、2021年、長年連邦上院議員を務めたロブ・ポートマン(オハイオ州選出、共和党)が引退を発表した日に、彼とヴァンスは電話で話したということだ。マスターズはポートマンから聞いた、「私はすぐにJDに電話し、おい、君はオハイオ州で立候補する必要があると思うと言ってやった。・・・私たちは2人とも、このためにビジネスキャリアを捨てる必要があると感じていた」という話を紹介した。

2022年の中間選挙の期間、ティールは彼の弟子である候補者2人に3000万ドル以上を投入した。これはティールにとって過去最大の寄付であり、その選挙期間の唯一の大口寄付だった。

1つの賭けは失敗した。もう1つは彼の予想を上回るものだった。

●彼らの仲間の1人(One of their own

ヴァンスは、主要政党の大統領候補に選ばれた最初の著名なテクノロジー・ヴェンチャーキャピタリストであり、テック業界の影響力が高まっている兆候である。

シリコンヴァレーは1950年代にまで遡る政府の支援の上に築かれたが、その指導者たちはここ数十年、ワシントン、特に防衛契約(defense contracts)を避けてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大以降、財務収益(financial returns)が減少し、中国と世界の不安定さがより大きな脅威となったため、政府は引く手あまたの顧客(a sought-after customer)となった。

ヴァンスは、グーグルの分割を主張する一方で、暗号通貨などの新興技術には介入しない姿勢を主張してきた。彼は、シリコンヴァレーが一枚岩としてロビー活動を行っていないことを理解している数少ない政治家の1人として、テクノロジー業界内で広く見られている。

第1次トランプ政権の連邦通信委員会委員長アジット・パイの下で働いた経験を持つ、アメリカ技術革新財団の上級フェローであるエヴァン・シュワルツトラウバーは、ヴァンスが副大統領に当選すれば、「リトルテックとミディアムテックに誰かが入ることになる」と述べ、この議論は「最大手企業群に支配されすぎている」とも述べた。

いくつかの著名な「小規模」および「中規模」の防衛技術企業(several prominent “little” and “medium” defense tech companies)は、偶然にもティールの緊密な関係にある企業から資金提供を受けている。アメリカの兵器システムに人工知能を組み込むことを目指すアンドゥリル社は、ティールのネットワークであるアンドリーセンの支援を受けており、ヴァンスの寄付者であるパルマー・ラッキーが共同設立者となっている。パランティア社はヘルバーグが代表を務め、ティールとロンズデールが共同設立した。ロンズデールは投資家であり、ヴァンスとマスクの友人で、シリコンヴァレーの企業を結集してトランプ支持のPACに寄付するよう支援した。ヴァンスについて楽観的な投稿をしたティールのファウンダーズ・ファンド社の共同経営者であるアスパロウホフは、政府からの資金提供を求めているヴァルダ・スペース・インダストリーズ社の共同設立者でもある。

ポッドキャスト「オールイン」の最近のエピソードで、共同司会者のジェイソン・カラカニスは、民主党が献金者に虜(とりこ)になっていると批判したサックスをからかい、ヴァンス指名の「事業計画者(architect)」と呼んだ。

サックスはポッドキャストで、自身の関与を過小評価した。サックスは「私はおそらく、(トランプに)意見を述べた1000人、いや少なくとも数百人のうちの1人だった」と語った。

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(終わり)
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