古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ピーター・ティール

 古村治彦です。

 昨年出した拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年)で、シリコンヴァレーを拠点とした「新・軍産複合体(Neo Military-Industrial Complex)」が作られているということを明らかにした。私がアメリカで新・軍産複合体の形成が進んでいるということを本として発表したのは、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(終話システム、2021年)からだ。それから数年が経過し、その姿が明らかになりつつある。書籍へのリンクはページの下にあるので、そこで是非お買い上げいただき、お読みください。

新・軍産複合体は戦車やミサイル、戦闘機ではなく、ドローンとソフトウェア、AIが主力製品である。そして、アメリカ国家も大きな防衛システムにテック産業を中心に参画させようとしている。それが、ドナルド・トランプ大統領がぶち上げた「ゴールデンドーム計画」である。これは、アメリカの国全体を1つのドームで覆うようにして(物理的にではなく)、防衛システムを構築するということであり、そのためにはビッグデータ解析などのプログラムが必要になる。そこに、トランプ大統領を支持し、2016年の大統領選挙で当選させたピーター・ティールのパランティア社やトランプと就かず離れずの盟友イーロン・マスクのスペースX社、VR開発の若き天才と称賛され、ティールやマスクの支援を受けてドローン開発企業を立ち上げ成功したパルマー・ラッキーのアンドゥリル社が参画することがすでに決まっている。

 先週、ピート・ヘグセス国防長官が現役将校を前にした演説(「軍の現状」という題名)を行い、」その中で、将官クラスの人員を20%削減するという内容があり、日本でも報道された。重要なことは、「プロジェクト・メリディアン(経線、子午線の意味)」の立ち上げを発表したことだ。これは、自律型(AI)兵器や最先端技術の兵器利用の開発・試験。実践配備のための大枠を答申することを目的としている。

このプロジェクトの共同座長に、イーロン・マスク、パルマー・ラッキー、そして、ニュート・ギングリッジ元連邦下院議長が就任し、120日後に報告書を発表するといとになった。マスクとラッキーについては繰り返さないが、ギングリッジは下院議長を退いて長いが、アメリカ政界に隠然たる影響力を保持している。共同座長にマスクとラッキーが任命されていることの意味は大きい。なぜならば、アメリカ軍と共同で兵器開発やソフトウェア開発を行うのは彼らの創業した企業群であり、そこにはピーター・ティールのパランティア社も絡んでくるのは理の当然だからだ。ここから「自律型戦軍」が立ち上がると、マスクやラッキーの影響力も大きく働く部隊が誕生するということになる。シリコンヴァレーのテック企業が国家プロジェクトに参画し、大きな利益を得る。それが新・軍産複合体の構造ということになる。

 シリコンヴァレーの起業家たちはリバータリアンと呼ばれる、市場と自由を至上とし、国家の介入を嫌う、国家に関わることを嫌うとされてきた。しかし、実際には国家と深く結びつくことで技術開発を進め、巨額の利益を得るという形になっている。新自由主義時代の次は国家の時代が戻ってくる。それをシリコンヴァレーが先取りしていると言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

ピート・ヘグセス国防長官が軍事兵器開発プロジェクトにイーロン・マスクを起用(Pete Hegseth Taps Elon Musk For Military Weapons Development Project)

アントニオ・ペケーノ四世(『フォーブス』誌スタッフ、テック産業などの特報担当ニューズ記者)筆

2026年9月30日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/antoniopequenoiv/2026/09/30/pete-hegseth-taps-elon-musk-for-military-weapons-development-project/

●重要事項(Topline)

ピート・ヘグセス国防長官は、スペースX社の経営者であるイーロン・マスクを「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian[子午線・経線・頂点の意味])」の共同リーダーに指名した。この億万長者である実業家は、アメリカ軍向けの新たな兵器や技術の開発について調査・特定・提案を行うこの新イニシアティヴにおいて、主導的な役割を担うことになる。

●重要な事実(Key Facts)

・ヘグセス長官は、マスクが、アンドゥリル(Anduril)社およびオキュラス(Oculus)社の共同創業者であるパルマー・ラッキー、そして、元連邦下院議長ニュート・ギングリッチ(ジョージア州選出、共和党)と共に、このプロジェクトを共同で主導する。

・「プロジェクト・メリディアン」の立ち上げに関する覚書には、このプロジェクトが「将来の戦場を研究し」、アメリカ軍将兵が「そうした環境で優位に立つ」ための兵器や技術を特定し、さらに「それらの能力の開発、試験、実戦配備を開始する(start developing, testing and fielding these capabilities)」ための解決策を提案すると記されている。

・覚書の中でマスクの名は明示されていないが、「プロジェクト・メリディアン」は「国防総省外の重要な視点を活用し、トップクラスの技術者、イノヴェーター、ビジネスリーダー、政策立案者、国家安全保障の専門家からなるグループの知見を取り入れる」としている。

・このプロジェクトの調査結果と提言は2027年1月28日までにヘグセス長官のオフィスへ提出される予定だ。

●注目すべきポイント(What To Watch For)

アメリカ国防総省のウェブサイトによると、このプロジェクトの提言は、機密指定されていない報告書として一般に公開される予定だ。

●重要な背景(Key Background)

国防総省によるこのプロジェクトは、昨年「政府効率化省(Department of Government Efficiency、DOGE)」を率いたことに続く、マスクとトランプ政権との新たな関わりを示すものとなる。DOGEにおいて、マスクは「特別政府職員」として組織を主導したが、法的に定められた130日間の任期満了をもって退任した。「プロジェクト・メリディアン」におけるマスクの役割は、公式な役職というよりは、むしろ助言を行う立場に近いものと見られる。マスクは2024年の大統領選挙でドナルド・トランプを支持・献金し、トランプの2期目の初期には自ら「親密な相棒(First Buddy、ファースト・バディ)」という呼称を受け入れていた。しかし、連邦財政赤字を拡大させると主張してトランプの「一つの美しい予算案(Big Beautiful Bill)」を激しく批判したことで、両者の関係は決裂した。マスクが新党結成を示唆し、さらにこの予算案への批判を続けたのに対し、トランプはテスラ社やスペースX社への連邦補助金を打ち切ると警告した。両者の対立は2025年6月に決定的となった。当時、マスクは未公開の「エプスタイン文書」にトランプの名前が含まれており、それこそが文書が公開されない理由だと主張した。その後、両者の関係は修復に向かい、今週ホワイトハウスで開催されたハイテク・サミットでは、マスクが重要な役割を果たした。このサミットは、人工知能(AI)とそれが人類にもたらす短期的な存続の危機に対する懸念が高まる中で開催された。

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ニュート・ギングリッチが国防総省の「将来の戦争」に関する120日間のタスクフォースで共同リーダーに指名される(Newt Gingrich Tapped by Pentagon to Co-Lead 120-Day Future of Warfare Task Force)

コリン・ラッグ筆

2026年10月1日

『コリン・ラッグ・ニューズ』

https://www.collinruggnews.com/newt-gingrich-tapped-by-pentagon-to-co-lead-120-day-future-of-warfare-task-force/

ニュート・ギングリッチ元連邦下院議長が、国防総省の「プロジェクト・メリディアン(Project Meridian)」を共同主導する人物として選出された。これは、将来の戦場におけるアメリカの優位性を確保するために必要な兵器、自律型システム、および先端技術を特定することを目的とした、120日間の取り組みだ。ピート・ヘグセス国防長官は、ヴァージニア州クワンティコ海兵隊基地で行った「軍の現状(State of the Force)」に関する演説の中でこの人事を発表し、ギングリッチをイーロン・マスクやパルマー・ラッキーといった著名なテクノロジー業界のリーダーたちと並ぶ役割に据えた。

この戦略パネルは、21世紀型の防衛能力を開発・試験・実戦配備するための、実行可能な提言をまとめることを目指している。ヘグセス長官は、軍事戦略の抜本的な見直しの一環としてこの諮問プロジェクトを立ち上げ、ロボット工学、人工知能(AI)、最先端の作戦用ハードウェアを軍がどのように運用すべきか、そのあり方を再構築する任務を民間出身のリーダーたちに託した。

「プロジェクト・メリディアンは、イーロン・マスク、パルマ―・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチという、我が国屈指の英知を持つ3名によって共同主導される」。

●プロジェクト・メリディアンの内部:現代の戦闘に向けた120日間の青写真(Inside Project Meridian: The 120-Day Blueprint for Modern Combat)

「プロジェクト・メリディアン」の使命は、高強度紛争においてアメリカ軍が直面し得る具体的な作戦上のギャップを特定することにある。単なる理論的な研究にとどまらず、この諮問グループは即座に実行可能な導入プロセスを確立しなければならない。ヘグセス長官は、この委員会が全軍にわたり重要技術を試験・実戦配備するための実行可能な計画案を提示し、最終的に包括的な公開報告書と機密扱いの付録を作成することになると述べた。

このタスクフォースは、軍の指揮系統における大規模な構造改革と並行して活動する。ヘグセス長官は、戦闘軍全体にロボット・自律型システムを迅速に展開・拡大させることを目的に、「Autowarcom(オートウォーコム)」と称される新たな4つ星大将級の統合戦闘軍「自律型戦軍」を創設した。これにより、自律型システムに関するドクトリンが、高レヴェルの戦闘計画策定に直接組み込まれることになる。

●何故ギングリッチなのか? 政策のヴェテランがテック業界の巨人たちに合流(Why Gingrich? Policy Veteran Joins Tech Industry Giants)

イーロン・マスクやパルマー・ラッキーといったテック業界の有力者が、スペースX社やアンドゥリル・インダストリーズ社(両社とも国防総省と最大41億6000万ドル規模の契約を締結)を通じて防衛産業で大きな存在感を示す一方で、ニュート・ギングリッチは、数十年にわたる国家安全保障戦略および連邦議会工作の経験をもたらしている。ギングリッチはテック業界との直接的なビジネス上のつながりこそないが、軍事政策や防衛プロジェクトには長年関与し続けており、空軍大学(Air University)から名誉博士号も授与されている。

ギングリッチは長年にわたり、積極的な外交政策の姿勢を提唱してきた。その一例として、2005年当時からイランの脅威に対して一貫して厳しい態度を取ってきたことが挙げられる。ギングリッジが加わることで、政治・ドクトリン面での経験と民間セクターの迅速な開発能力が融合し、政策面での実績と商業的な製造力がバランスよく組み合わされることになる。

●防衛技術の優先順位をめぐるバランス調整(Balancing Defense Tech Priorities)

国防総省が防衛生産、ソフトウェア統合、無人プラットフォームのあり方を検討する中、このイニシアティヴは極めて重要な戦略的バランスの調整を迫られている。

・実戦配備の迅速化:数年を要する調達サイクルを短縮し、最前線の戦闘員向けに迅速な試作・実証(prototyping)を行う。

・自律型システムの大量展開:陸・海・空にまたがる多正面紛争シナリオに対応するため、自律型ハードウェアを大量に配備する。

・宇宙・サイバー領域での優位性確保:通信やリアルタイムの標的捕捉を支える軌道上での作戦上の優位性を維持する。

●再編をめぐる対立:文民改革派 vs. 軍上層部The Restructuring Divide: Civilian Reformers vs. Senior Brass

国防総省の主要な見直しは常に職業軍人が主導するものだという誤解が広く存在しますが、「プロジェクト・メリディアン」はこの前例を覆すものだ。共同リーダー3名はいずれも現役軍人としての経歴を持たず、ギングリッチはヴェトナム戦争時に学生および父親であることを理由とした徴兵猶予を受けており、マスクとラッキーは民間産業を通じて影響力を築いてきた。

今回の任命は、国防総省全体で大規模な組織・人員削減が進められる中で行われた。ヘグセスは、軍の将官(陸・空・海兵隊の将軍および海軍の提督)のポスト約800のうち20%を1月までに削減する計画を発表した。これは当初示唆されていた10%削減の倍にあたる。ヘグセスは、こうした将官の整理・削減は、肥大化した官僚機構や重複する階層を排除し、作戦上のヴィジョンを民間セクターのイノヴェーターや信頼できる政治家へと転換するために不可欠であると説明している。

■ニュート・ギングリッチ:防衛政策のドクトリン、長期的地政学戦略、そして、立法・行政間の連携調整

■イーロン・マスク:民間ロケット打ち上げシステム、宇宙領域での作戦、および軌道上防衛インフラ

■パルマ―・ラッキー:自律型兵器システム、AI搭載戦闘プラットフォーム、および巡航ミサイルの拡張可能な生産体制

提言策定までの期間はわずか120日間であり、ギングリッチをはじめとする共同リーダーたちは、1月に予定される指揮官ポストの削減が実施される前に、軍の近代化の優先順位を抜本的に見直すという極めて厳しいスケジュールに直面している。

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ピート・ヘグセス国防長官による将校への演説から得られる7つのポイント:戦争の未来、信仰、そして新たな地盤(7 takeaways from Hegseth’s address to officers: Warfare’s future, faith and a new base)

フィリプ・ティモティジャ、エレン・ミッチェル筆

2026年9月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/6121765-pete-hegseth-takeaways-command-warfare-base/

ピート・ヘグセス国防長官は水曜日、現役の将校たちに向けた広範な演説の中で、矢継ぎ早にいくつかの発表を行った。

演説の冒頭、長官は自身の「十八番(bread and butter)」とも言えるテーマに終始した。すなわち、文化戦争(culture-war)をめぐる不満の表明、国防総省(DOD)からの「ウォーク(woke:社会正義や多様性に過度に配慮する姿勢)」の排除、イランとの戦争に関する報道をめぐるメディアへの批判、そして「戦士精神(warrior ethos)」の復活とアメリカ軍の「再建(rebuilt)」の宣言だ。

しかし一方で、長官は注目すべき発表もいくつか行った。それらは、信仰を重視する自身の姿勢を反映したものや、新たな戦闘軍(combatant command)の創設、大学との連携、そして各州知事が誘致を競い合うことになるであろう国内の新規軍事基地の構想などが含まれていた。

ヴァージニア州クワンティコ海兵隊基地で行われたヘグセス長官の52分間にわたる演説の要点は以下の通りだ。

(1)自律型戦闘に特化した新たな統合軍(New combatant command focused on autonomous warfare)

ヘグセス長官は、ドローンや防衛用ロボット技術といった自律型戦闘能力(autonomous warfare)の開発に特化した、新たな4つ星大将が指揮する戦闘軍の創設を発表した。

ヘグセス長官によると、この組織は「現代の軍事史上、平時における最も迅速な転換」として、戦闘軍全体に自律型・ロボット技術の能力を拡大・展開するための「軍種(陸・海・空軍など)に匹敵する権限」を持つことになる。運用開始は来年10月1日を目指している。

「自律型戦闘軍」、通称「AutoWarCom(オートウォーコム)」は、当初、元海兵隊員で現在は国防総省の「国防イノヴェーション・ユニット(Defense Innovation Unit、DIU)」を率いるオーウェン・ウェストと、海軍特殊部隊SEALsの上級曹長であるマックス・ストラサイザーが主導する。その後、4つ星大将の指揮官が発表される予定だ。

「この司令部は、専任の人員、予算、調達権限を有し、将校および下士官・兵のための専門的な軍務キャリアパスを構築することになる」と、ヘグセスは水曜日の覚書で述べた。

ヘグセス長官は覚書の中で、この新しい司令部が演習や過酷な環境下で「現実的な対抗勢力(realistic opposition)」を相手に装備や部隊編成の試験を行い、戦場で何が有効かを見極めることになると説明した。

(2)「プロジェクト・メリディアン」と戦争の未来(Project Meridian and warfare’s future)

ヘグセス長官は、戦争の未来を検討する国防総省の新たな取り組み「プロジェクト・メリディアン」を、スペースX社およびxAI社のCEOであるイーロン・マスク、アンドゥリル社の共同創業者パルマー・ラッキー、そしてニュート・ギングリッチ元連邦下院議長(ジョージア州選出、共和党)が主導することを明らかにした。

ヘグセス長官は、このプロジェクトの目的は、アメリカのイノヴェーター、上級指導者、技術者らの力を結集し、数十年先を見据えて「明日の紛争に向けた独創的な解決策を予測すること」にあると述べた。

「意図的に未来志向のものにしている」とヘグセスはこのプロジェクトについて語り、新たな戦略や政策を策定するためのものではないことを明確にした。

「将来の紛争を最も的確に予測できる人々が、必ずしも国防総省内にいる訳ではないということを認める謙虚さを持つべきだ」とヘグセスは述べた。「自ら問いを立て、自らそれに答えることには、明白なバイアスやリスクが伴うからだ」。

ヘグセス長官によると、マスク、ラッキー、ギングリッチは、エミール・マイケル国防次官(研究・工学担当)の指揮の下、「地下から月の彼方に至るあらゆる将来の戦場において、私たちの子供や孫の世代が必要とする兵器やシステムを、創造的な制約や制限にとらわれることなく発見、開発、実戦配備すること」に注力することになる。

ヘグセス長官が発表を行った際、これら3人の男性は全員ペンタゴン(米国防総省)に同席しており、ヘグセス長官は「プロジェクト・メリディアン」に関する最初の会合を、このイヴェントの直後に同省内の機密情報取扱施設(SCIF)で行うと述べた。

(3)各州に対して「次なる偉大なアメリカ軍基地」の誘致を求める(States invited to bid for ‘next great American’ base)

ヘグセスは各州知事に対し、「次なる偉大なアメリカ軍基地」の受け入れ先となるための誘致提案を行うよう呼びかけた。

「我々は全米の知事および州兵総監に対し、この偉大な共和国のために立ち上がり、最高の提案を提示するよう呼びかける」とヘグセス国防長官は述べた。

「もしもあたなの州が、1万5000人から2万5000人の偉大なアメリカ軍将兵を受け入れる名誉を望むなら、その理由と具体的な実現方法を示して欲しい。煩雑な手続きを排除し、用地を提供し、軍人の家族を最大限に歓迎する体制を整える」と、彼は演説の中で語った。

ワシントン州のエヴェレット海軍基地は1990年代に開設された、アメリカ国内で最後に建設された基地である。この基地には、複数の誘導ミサイル駆逐艦や沿岸警備隊の艦船が配備されている。

ヘグセス長官は、新しい基地は「無機質な政府施設」にはならないと述べ、ペンタゴンは「ダイナミックかつ自立した戦力投射の拠点」を計画・設計していくと主張した。

ペンタゴンによると、この基地は商用電力網から独立し、独自の発電設備、自律型システム、高度な防空機能を備えたものになるということだ。

「自家発電、近代的な防空システム、最先端技術を備えた、数十万エーカー(数千平方キロメートル)規模の施設だ。まさに要塞(fortress)だと考えていただきたい」とヘグセス長官は語った。将兵には「最高級の兵舎や世界水準の訓練施設」が提供され、その家族には「質の高い住宅、学校、保育、医療施設を備えた活気あるコミュニティ」が用意されることになる。

ヘグセス長官は、国防総省のエネルギー・施設・環境担当次官補であるデール・R・マークスに対し、国防総省が進める基地の最適地の特定、評価、選定、および準備に向けた取り組みを主導するよう指示した。

「破壊的技術の急速な進歩、対等な敵対国間での戦略的連携の強化、そして国防や国土の重要インフラに対する執拗かつ巧妙なサイバー攻撃の継続、これらにより、現代的かつ強靭な態勢の構築が不可欠となっている」とヘグセス長官は水曜日の覚書で述べた。

(4)基地を民間送電網から切り離す「フォートレス・アメリカ」構想(‘Fortress America’ takes bases off civilian grid)

水曜日に明らかにされたもう1つの新たな取り組みが「要塞化されたアメリカ(Fortress America、フォートレス・アメリカ)」構想である。ヘグセス長官はこの構想について、「アメリカ本土のための国家的な保険(a national insurance policy for the American homeland)」になると主張した。

「フォートレス(Fortress)」とは、「強靭性、部隊リソース、エネルギー供給、生存性のための連邦業務(Federal Operations for Resilience, Troop Resources, Energy Supply and Survivability)」の頭文字をとったものであり、ヘグセス長官によれば、この構想の下ではアメリカ内の全ての主要軍事施設が、民間の送電網から独立して独自の電力を供給することになるという。

「敵対勢力がサイバー攻撃や破壊工作、あるいはその他の手段で送電網を停止させたとしても、私たちの基地の明かりは消えない。航空機は飛び続け、指揮センターの機能が停止することもない」とヘグセス長官は語った。

この取り組みはまた、レアアース(希土類)、特殊金属、半導体、推進剤といった重要なサプライチェインを国内回帰させることも意図している。これらは全て「アメリカで採掘され、米国で精製され、米国の労働者によって米国で製造される」ものとなる。

加えて、ヘグセス長官は、弾薬、燃料、医薬品、血液といった極めて重要な物資について、国防総省が戦略的備蓄を積み増すと述べた。その備蓄量は、「世界の供給網が寸断されたとしても、実際の戦争では間違いなく寸断されるものだが、アメリカが戦い続けられるほど十分な規模」にするという。

これを実現するため、ヘグセス長官は、アメリカ軍が「アメリカ国内のあらゆる施設をサイバー侵入、破壊工作、ドローン攻撃に対して強靭化し(hardening)、高地や電波領域、衛星、周波数帯といった優位性を確保している」と語り、国防総省こそが「国家全体の保険(the insurance policy for the entire nation)」になるだろうと主張した。

(5)士官候補生のための非アイヴィーリーグ大学と連携(New non-Ivy League partnerships for cadets)

ヘグセス国防長官はまた、士官候補生の層を拡大するために、新たに5つの大学と提携すると発表した。

「アメリカズ・コア・オブ・カデッツ(America’s Corps of Cadets)」と呼ばれるこの軍事訓練プログラムには、ルイジアナ州立大学、リバティ大学、タスキーギ大学、ミシシッピ州立大学、ヒルズデール・カレッジが参加する。

ヘグセス長官は、「私たちには、士官学校や上級軍事大学といった教育機関から輩出される士官がさらに必要であり、今日、それを実現する」と述べた。

ヘグセス長官によれば、各校は「卓越した軍事大学(distinguished military college)」として位置づけられ、「士官候補生の規律、戦術教育、軍事組織のあり方において、極めて高い水準を維持すること」が求められるという。

アメリカ軍の士官の多く​​は、陸軍士官学校(ウェストポイント)、海軍兵学校(アナポリス)、空軍士官学校といった士官学校から任官しており、テキサスA&M大学やシタデル(サウスカロライナ州の軍事大学)などの上級軍事大学がそれに続いている。

水曜日に公表された国防総省の覚書によると、ヘグセス長官のオフィスは30日以内に実施に着手し、4カ月以内には、アンソニー・タタ国防次官(人事・即応担当)がこのプログラムの主導的な担当部署へと移行することになる。

「アイヴィーリーグからリベラルアーツ・カレッジに至るまで、私たちの大学は、反米的かつDEI(多様性・公平性・包摂性)を崇拝する『ウォーク(Woke)』思想の工場(anti-American DEI [diversity, equity and inclusion] worshipping woke factories)と化してしまった。不屈の精神や勇気といった資質は、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)や社会正義に取って代わられた」とヘグセス氏は述べた。「神と国家は、チェ・ゲバラやクリティカル・セオリー(批判理論)と置き換えされたのだ」。

(6)宗教問題担当室の設置(Creates Office of Religious Affairs)

ヘグセス長官は最後の宣言の中で、国防総省内に「トップに直属する」宗教問題担当室を設置すると表明した。

「最先端技術、新たな基地や駐留体制、そしてより優れた教育の仕組み、これらは全て、私たちの共和国にとって最も不可欠な要素である『信仰(faith)』がなければ不完全なものに過ぎない」とヘグセス長官は集まった軍人たちに語りかけた。

ヘグセス長官は、部隊がどこに派遣されようとも「最高水準の宗教的支援(first-class religious support)」を提供することは国防総省の「神聖な責務(a sacred duty)」であると述べ、この問題を二の次として扱ってきた過去の政権を厳しく批判した。

「ポリティカル・コレクトネスや世俗的ヒューマニズムは発言権を得たが、従軍牧師(chaplains)はそうではなかった。予算は削減され、資源や人員の必要性は無視され、基地内の礼拝所は荒廃した」とヘグセス長官は主張した。「信仰や宗教に関する決定は、個室にこもる世俗的なキャリア官僚や、お役所仕事の規則を振りかざす弁護士たちによってなされてきた」。

ヘグセス長官は、水曜日から「宗教問題担当室(Office of Religious Affairs)」が「長官への直通ルート」を持つことになり、この部局は「予算の確保、インフラ整備の要求、そして宗教的支援の強化」を行うことになると述べた。

ヘグセス長官は頻繁に自身の信仰について言及しており、軍人の精神的な健康は、身体的・精神的な健康と「同等に重要である」と明言している。

ヘグセス長官は今年初め、アメリカ軍の従軍聖職者団(Chaplain Corps)の制度を刷新し、聖職者である将校が階級章を着用するのを廃止し、代わりに自身の宗教的所属を示す記章を着用すると発表した。これは従軍聖職者団組織に対する2つの大きな変更点の1つだ。

(7)ヘグセス長官が将官の削減を擁護(Hegseth defends officer cuts)

演説の冒頭で、ヘグセス長官は国防総省における将官(陸軍・空軍の将官および海軍の提督)の20%を削減するという自身の計画を擁護し、国防総省においてこの大規模な刷新は長らく必要とされていたものだと主張した。

「メディアはこれを粛清(a purge)と呼ぶが、私はこれを説明責任(accountability)であり、長らく遅れていた措置、率直に言えば、最低限必要なことだと捉えている。いつものことだが、メディアが非難の言葉として投げかけるものを、私はむしろ成果(an accomplishment)として誇りに思っている」とヘグセス長官は述べた。

ヘグセス長官は「私は申し上げたい、その組織文化を助長してきた当の本人たちを使って、文化を変えることなどできない。どの階層においても、人事はすなわち政策そのものなのだ」と語った。

この動きは陸軍、海軍、空軍の全軍にわたる上級幹部職に影響を及ぼすものであり、ヘグセス長官が将官の数を10%削減する措置を主導してから1年を経て実施されるものとなる。

彼はすでに各軍種にわたり20人以上の高級将校を解任または退任に追い込んでおり、こうした人事異動は、与野党双方の連邦議会議員に動揺を与えている。

ヘグセス長官は演説の中で次のように述べた。「昨年の演説は、あの将軍たちに向けたものではなかった。あれはあなた方、つまり私たちの軍の屋台骨であり、最前線に立つ現在および将来のリーダーたちに向けたものだった」

(貼り付け終わり)

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 『ザ・フナイ』の連載(全10回)の2回目の文章が掲載される『ザ・フナイ』2026年11月号(229号)が発売になります。発売日は2026年10月1日です。

 thefunai229202611001

ザ・フナイ vol.229(2026年11月号)←クリックするとアマゾンのページに移動

 今回の文章は2001年9月11日に発生した911同時多発テロ事件について取り上げました。事件発生当時、私も大学院に入学したばかりでしたが、大きな影響を受けました。個人的な経験から始まり、911事件は「アメリカの外交政策の結果であり、報復であった」という分析を紹介しました。そして、911事件に影響を受け、現在、アメリカ政治に大きな影響力を持つピーター・ティールについて書きました。ご興味がある方は是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

 

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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 古村治彦です。

 『ザ・フナイ』の連載(全10回)の2回目の文章が掲載される『ザ・フナイ』2026年11月号(229号)が発売になります。発売日は2026年10月1日です。

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ザ・フナイ vol.229(2026年11月号)←クリックするとアマゾンのページに移動

 今回の文章は2001年9月11日に発生した911同時多発テロ事件について取り上げました。事件発生当時、私も大学院に入学したばかりでしたが、大きな影響を受けました。個人的な経験から始まり、911事件は「アメリカの外交政策の結果であり、報復であった」という分析を紹介しました。そして、911事件に影響を受け、現在、アメリカ政治に大きな影響力を持つピーター・ティールについて書きました。ご興味がある方は是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(終わり)


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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 先月、スイスのハッカーが、ピーター・ティールが中心となって組織されている「ダイアログ」という組織について情報を入手し、公開した。シリコンヴァレーの中心的な人物であるティールが秘密組織の情報を抜かれるというのは迂闊(うかつ)であり、何をやっているんだということになるが、この組織にはイーロン・マスクやエリック・シュミットなどの大富豪やドナルド・トランプ政権の高官であるスコット・ベセント財務長官やダン・ドリスコル陸軍長官が入っていることが明らかになった。また、集まって討論している内容が「第三次世界大戦への備え」から「セックスライフ」まで多岐にわたっているということが明らかになった。金持ちたちはいろんなことをしているのだなという感想になるが、私が注目したのはダン・ドリスコル陸軍長官が入っていることだ。

 拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年12月)で明らかにしたように、ダン・ドリスコルはJ・D・ヴァンス副大統領の親友であり、イェール大学法科大学院時代の学友で、側近だ。ヴァンスが連邦上院議員を務めた時期には補佐官となった。私はヴァンスが2028年の大統領選挙で勝利した暁には、かなり高い地位で政権入りをすると見ている。

 もちろん、J・D・ヴァンスの最大の後ろ盾はピーター・ティールであり、イーロン・マスクだ。ヴァンスとティールの関係については複数の拙著やこのブログでもさんざん書いてきたので繰り返すことはしない。ヴァンスは共和党の大統領選挙候補としては最有力であり、ドナルド・トランプ大統領の後継者である。マルコ・ルビオ国務長官も後継候補として名前が挙がっているが、ヴァンスを抜き去って候補者となることはかなり難しいだろう。ティールは様々な形でヴァンスの大統領選挙に向けた準備を行っていると見るべきだろう。その一環がこの秘密組織「ダイアログ」ということになる。

(貼り付けはじめ)

億万長者ピーター・ティールの秘密結社「ダイアログ」について分かっていること-参加者たちも含めての紹介(What We Know About Billionaire Peter Thiel’s Secret 'Dialog’ Society—Including Who’s Involved)

メアリー・ウィットフィル・ローロフス、筆

2026年6月18日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/maryroeloffs/2026/06/18/what-we-know-about-billionaire-peter-thiels-secret-dialog-society-including-whos-involved/

●最重要(TOPLINE)

ペイパル創業者の億万長者ピーター・ティールが創設した極秘組織(ultra-secret society)「ダイアログ(Dialog)」に関連するとされる機密情報が流出し、数百人もの世界的リーダー、ビジネスエグゼクティヴ、億万長者が所属するこのエリート集団の内部構造が明らかになった。

●主要な諸事実(KEYFACTS)

・今週、『ワイアード』誌が調査・公開した文書によると、ティールと投資家のオーレン・ホフマンは2006年にダイアログを共同設立した。これは、テクノロジー、政治、学術、金融、政府など、様々な分野の影響力を持つ人々による、招待制の非公開「超党派」ネットワーク(invitation-only and “bipartisan” network of influential people)である。

・ダイアログは、異なる分野やイデオロギー的背景を持つリーダーたちが非公式な交流を行う場であると自称しており、アリゾナ州のリッツ・カールトン・ダヴ・マウンテン、カリフォルニア州サンタバーバラのリッツ・カールトン、ヴェネツィアのサン・クレメンテ・パレスといった豪華な場所で、少なくとも年に一度は対面での会合を開催している。

・この会合では、参加者(発言内容は一切外部に漏らさないと約束されている)向けに、モデレーター付きのセッションが用意されており、「お金で幸せは買えるのか?」「核兵器の復活」「第三次世界大戦への備え」「あなたのセックスライフはどうだ?」といったタイトルが付けられている。

スイスのハクティヴィスト(ハッカー兼アクティヴィスト)であるマイア・アーソン・クリメウによって最初に暴露された情報漏洩により、グループのセキュリティ対策が不十分なウェブサイト(dialog.org)の公開コード内に登録記録が隠蔽されていたことが明らかになった。ダイアログは、参加者一人ひとりの会員ステータス、参加した合宿、経歴、政治的所属、居住地、そしてログイン認証情報として機能するプライヴェート・アクセス・トークン(private access token)を記録している。

ダイアログは、政治家やビジネス界のエリートが非公式に集まるビルダーバーグ会議(Bilderberg)とシリコンヴァレーのサロン(Silicon Valley salon)を合わせたような組織だと評されている。

●誰がピーター・ティールの秘密結社「ダイアログ」のメンバーになっているのか?(WHO ARE THE MEMBERS OF PETER THIEL’S SECRET ‘DIALOG’ SOCIETY?)

登録記録には、ダイアログの現役メンバー、リトリートに参加した人、セッションを主催した人、今年初めて参加予定の人(ワイアード誌によると、イヴェントは8月にアイルランドで開催予定)などが記載されているようだ。流出したリストには、現職のトランプ政権高官、米連邦上院議員2名、いわゆる「ペイパル・マフィア(PayPal Mafia)」(1990年代後半から2000年代初頭にかけてペイパルで働いていた創業者や初期従業員)6名、元中東情報機関トップ、現職の駐米大使、プライヴェートエクイティの億万長者、テレビ俳優、ベストセラー作家などが名を連ねている。スイス人ハッカーが名指しした人物には、以下の人物が含まれる。

・アレクサス・グリンケウィッチ大将・(NATO欧州連合軍最高司令官)(General Alexus Grynkewich, NATO's supreme allied commander Europe)

・スコット・ベセント財務長官(Treasury secretary Scott Bessent)

・ダン・ドリスコル陸軍長官(Army secretary Dan Driscoll)

・ハリー・ホフマン麻薬取締局局長首席補佐官代理(Hallie Hoffman, acting chief of staff of the Drug Enforcement Administration)

・テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)(Sen. Ted Cruz (R-Texas))

・コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)(Sen. Cory Booker (D-N.J.))

・ジム・ハイムズ連邦下院議員(コネティカット州選出、民主党)(Rep. Jim Himes (D-Conn))

・ウェス・ムーア・メリーランド知事(Wes Moore, Maryland governor)

・ジャレッド・ポリス・コロラド州知事(Jared Polis, Colorado governor)

・トム・ルー・グーグル・ディープマインド法務顧問兼ガヴァナンス部門責任者(Tom Lue, general counsel and head of governance at Google DeepMind)

・ランディ・クロスナー元連邦準備制度理事会理事(Randy Kroszner, a former governor of the Federal Reserve)

・ジョナサン・グリーンブラット名誉棄損防止同盟CEO(Jonathan Greenblatt, chief executive of the Anti-Defamation League)

・ピーター・ゴットラー・ケイトー研究所会長(Peter Goettler, president of the Cato Institute)

・ライアン・ストアーズ・チャールズ・コーク財団最高責任者(Ryan Stowers, executive director of the Charles Koch Foundation)

・ロジャー・マイアーソン(ノーベル賞受賞経済学者)(Roger Myerson, Nobel laureate economist)

・ジャレッド・クシュナー(ドナルド・トランプ大統領の義理の息子)(Jared Kushner, President Donald Trump’s son-in-law)

・ニール・モハンYouTube CEO(Neal Mohan, YouTube CEO)

・スクーター・ブラウン(音楽マネジャー)(Scooter Braun, Music manage)r

・エズラ・ケイン(政治コメンテイター)(Ezra Klein, political commentator)

・スアド・メケネット『ワシントン・ポスト』紙記者(Souad Mekhennet, Washington Post reporter)

・ジョセフ・ゴードン=レヴィット(俳優)(Joseph Gordon-Levitt, actor)

・ソフィア・ブッシュ(女優)(Sophia Bush, actress)

・リック・ウォーレン福音派牧師(Rick Warren, evangelical pastor)

●WHICH BILLIONAIRES WERE NAMED IN THE DIALOG LEAK?

・イーロン・マスク(1兆3000億ドル、約210兆円)(Elon Musk ($1.3 trillion)):スペースX、テスラ、「X」、ペイパル・マフィア

・エリック・シュミット(401億ドル、約6兆5000億円)(Eric Schmidt ($40.1 billion)):グーグル元CEO,グーグルの持株会者アルファベット元会長、現技術顧問

・ピーター・ティール(278億ドル、約4兆5000億円)Peter Thiel ($27.8 billion):パランティア、ペイパル・マフィア

・ヘンリー・クラヴィス(122億ドル、約2兆円)(Henry Kravis ($12.2 billion)):投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)共同創業者

・マルコス・ガルペリン(68億ドル、約1兆円)(Marcos Galperin ($6.8 billion)):テクノロジー起業家、メルカド・リブレの共同創業者

・マイク・キャノン=ブルックス(77億ドル、約1兆3000億円)(Mike Cannon-Brookes ($7.7 billion)):ソフトウェア会社アトラシアン共同創業者兼CEO

・スコット・クック(44億ドル、約7100億円)(Scott Cook ($4.4 billion)):大手金融・財務ソフトウェア会社インテュイット共同創業者

・バリー・スターンリヒト(31億ドル、約5000億円)(Barry Sternlicht ($3.1 billion)):投資ファンドスターウッド・キャピタル・グループ共同創設者、会長、CEO

・ニコラス・バーグルエン(29億ドル、約4700億円)(Nicolas Berggruen ($2.9 billion)):非公開投資会社ベルグルーエン・ホールディングス創設者、社長

・ジョン・アーノルド(28億ドル、約4500億円)(John Arnold ($2.8 billion)):ヘッジファンド、ケンタウルス・アドバイザーズ創業者

・ジョー・ロンズデール(28億ドル、約4500億円)(Joe Lonsdale ($2.8 billion)):パランティア共同創業者

・リード・ホフマン(27億ドル、約4350億円)(Reid Hoffman ($2.7 billion)):リンクトイン共同創業者、ペイパル・マフィア

●驚きの事実(SURPRISING FACT)

別のウェブサイトである「dating.dialog.org」は、関心のあるグループメンバー同士の恋愛関係のマッチングを目的としている。ダイアログの参加登録フォームでは、登録者たちに「愛を探していますか?」と尋ね、「特別な人々のための有意義なつながり」を見つけると約束している。

●余談(TANGENT)

ダイアログはデジタル上の痕跡をほとんど残しておらず、メンバーも公には沈黙を守っているが、過去にはグループの様子が少しだけ明らかになったことがある。昨年、『アクシオス』誌は、リーダーたちがワシントンDC郊外にダイアログのキャンパスを購入しようとしていると報じた。統計学者のアンドリュー・ゲルマンは、2022年にダイアログからの招待状を自身のブログに掲載し、それを皮肉たっぷりに紹介した。メールのスクリーンショットには、カリフォルニアで開催されるイヴェントの参加費が1万6846ドルと記載されていたが、ゲルマンが送られてきた割引コードを使用したことで70%割引になったことが示されていた。2014年にユタ州サンダンス・リゾートで開催されたダイアログ会合への招待状は、ハーヴァード大学の物理学者リサ・ランドールがジェフリー・エプスタインに「これは行く価値があるか?」と尋ねた招待状を転送した後、エプスタイン文書を通じて公開された。エプスタインは「サンダンスはいいところだ。行くべき」と返信した。イギリスの金融家イアン・オズボーンも2014年の招待状をエプスタインに転送し、「同じようなものだ。ピーターは出席すらしない。彼には、自分の名前を使うのを止めるように伝えておく」と書き添えた。

=====

リーク情報でピーター・ティールの秘密結社「ダイアログ」のメンバーが明らかになる(Leak Exposes Members of Peter Thiel’s Secretive ‘Dialog’ Society)

-世界のエリート200人以上が、カルト構築やセックスに関するパネルディスカッションから第三次世界大戦への備えまで、多岐にわたる議題を扱う会合に登録していた。関連アプリではマッチング(matchmaking)も提供されている。

デル・キャメロン、ユリア・アルマゾヴァ筆

2026年6月16日

『ワイアード』誌

https://www.wired.com/story/leak-exposes-members-of-peter-thiels-secretive-dialog-society/

アメリカの政治、金融、テクノロジーの各分野の有力者で構成される秘密結社の内部記録が大量にオンライン上に流出したこと(trove)をワイアード誌が確認した。流出した記録には、イヴェント参加者の名前や、秘密保持を約束されていたはずの機密性の高い個人情報が含まれている。

「ダイアログ(Dialog)」と呼ばれるこの団体は、億万長者のテクノロジー投資家ピーター・ティールが2006年に共同設立した、招待制の非公開組織(a private, invitation-only organization)である。アメリカ政府関係者、外国政府関係者、シリコンヴァレーの経営幹部たちが、非公開の年次会合に集まる。ダイアログは20年間、会員名簿の公表を拒否してきた。

ウェブサイトのコード内に存在していた名簿を最初に明らかにしたのは、スイスのハクティビストであるマイア・アーソン・クリムだ。アメリカ政府の飛行禁止リストの暴露や、監視カメラ会社ヴェルカダ(Verkada)へのハッキングで知られるクリムは、匿名の情報提供によって名簿が流出したとワイアードに語っている。ワイアードは独自にその内容を検証した。

●参加者が秘密にされる「言論の自由」再移行会議(The ‘Free Speech’ Remigration Convention Where the Attendees Are Kept Secret)

ワイアード誌は、情報提供者からダイアログの2026年会合の登録者リストを入手した。このリストには222名の名前が記載されており、各登録者の会員ステータスと参加者タイプ(「アクティヴメンバー」と「ゲスト」を含む)が記録されている。会合は8月12日から16日まで、アイルランドのダブリン近郊の会場で開催される予定だ。

同じデータには、非公開セッションのプログラムも記載されている。「お金で幸せは買えるのか?」「核兵器の復活」「第三次世界大戦への備え」「戦場技術」「あなたのセックスライフは?」といったセッションが含まれる。その他にも、キリスト教系ソーシャルネットワーキングサイト「Pray.com」の創設者が司会を務める「カルトの構築」や元ホワイトハウス国家安全保障担当官が運営する「パーティーの構築」といった講演も予定されている。

これらの経営幹部は、それぞれの業界を監督するアメリカの高官たちと肩を並べている。ダイアログの会長であるオーレン・ホフマンは、位置情報データ仲介会社セイフグラフ(SafeGraph)と本人確認サービス会社ライヴランプ(LiveRamp)の創業者であり、これらは消費者データ経済における最も重要なサプライヤー2社である。ホフマンは、金融データに関する規則を策定する財務省のスコット・ベセント財務長官、そして連邦取引委員会(FTC)とそのデータプライバシー権限を監督する連邦上院商務・科学・運輸委員会のテッド・クルーズ委員長と並んで名簿に掲載されている。

アメリカ移民税関執行局(ICE)の事件管理や国防総省および情報機関のデータ融合にソフトウェアを提供するパランティア(Palantir)の共同創業者ジョー・ロンズデールも、陸軍長官ダン・ドリスコル、そして、パランティアが契約する機関を監督する連邦下院情報委員会の筆頭委員であるジム・ハイムズ連邦下院議員と同じ名簿に掲載されている。

この記事で名前が挙がった人物はいずれもコメントの要請に応じなかった。 リンクトイン(LinkedIn)のプロフィールでダイアログのエグゼクティブディレクターを名乗り、自己啓発書『大人になる方法(How to Be a Grown-Up)』の著者でもあるラフィ・グリンバーグは、コメントの要請に応じなかった。

登録記録からは、ダイアログの会員だけでなく、参加者も明らかになっているようだ。流出した記録によると、2026年の会合に登録した222人のうち、87人が初参加とされている。中には10年以上前から参加している人もおり、中には20年前の設立当初からの参加者もいる。グリンケウィッチを含め、登録者の中に政府機関のメールアドレスを使用している者はいなかった。全員が個人または企業のメールアドレスで登録しており、参加記録は公文書公開法の対象となるメールシステムの対象外となっている。

肩書きや役職以上に、この名簿を結びつけているのは、人工知能、長寿、そして近未来への共通の関心である。登録フォームで未来予測を尋ねられたところ、登録者たちは繰り返し同じテーマに言及した。それは、AIが数年以内に仕事、戦争、教育、そして信仰のあり方を根本的に変えるだろうというものだ。大規模な労働力喪失と労働組合や政府プログラムへの回帰を予測する人もいれば、「AIの冬」、データセンターを標的とした国内テロ、被告人が公選弁護人ではなくAI弁護士を選ぶようになること、あるいはAIによる混乱が宗教復興を引き起こすことを予測する人もいた。

「社会の退廃(societal degeneration)は加速し続けるだろう」とある人は予測した。

メンバーは他にも、「遊園地の鏡の組み立て」「アクセントの真似」「バックカントリースキー」「都市探検」「現実の本質を探求する瞑想的かつサイケデリックな探求」といった特技を挙げている。あるメンバーは「思いやりと実存的不安」、別のメンバーは「ディナーパーティー、秘密を守ること、誕生日を覚えること」を挙げている。おすすめの本は、マルクス・アウレリウスやミラン・クンデラといった古典的名著や最適化志向の作品に偏っており、アニー・デュークの『シンキング・イン・ベッツ(Thinking in Bets)』、ピーター・アッティアの『アウトライヴ(Outlive)』、そして少なくとも一人の参加者はティール自身の『ゼロ・トゥ・ワン(Zero to One)』を挙げている。

ダイアログはマッチングサーヴィスも提供している。参加登録フォームでは、「恋人を探しているか」を尋ね、「独身男性」「独身女性」「その他」の回答者を「今後のマッチング」に含めることができる。別のサイト「dating.dialog.org」では、「特別な人々のための有意義なつながり」を謳うアプリを提供している。

このフォームでは、登録者の「政治的傾向(political leaning)」など、機密性の高い情報も収集される。ダイアログは、これらの情報は「アプリ内や他の参加者と決して共有されない」と約束している。しかし、このデータとマッチング結果がリークによって明らかになった。

記録は商用データベースであるAirtableに保存されています。Dialog社は、各参加者について、会員ステータス、参加したすべてのリトリート、経歴、居住地、そしてプライヴェート・アクセス・トークンを記録している。ワイアード誌は、ログイン認証情報として機能するトークン、およびそれらを含む個人アカウントリンクを公開していない。

リークされた登録者リストには、公開されている113名の名簿には記載されていない著名人も含まれている。例えば、元連邦準備制度理事会理事で現在はイングランド銀行金融政策委員会委員を務めるランディ・クロスナー、元麻薬取締局法務顧問兼首席補佐官代理のハリー・ホフマン、反名誉毀損連盟(ADL)最高経営責任者のジョナサン・グリーンブラット、ケイトー研究所会長のピーター・ゴットラーなどだ。チャールズ・コーク財団の事務局長であるライアン・ストワーズと、シカゴ大学のノーベル経済学賞受賞者であるロジャー・マイアーソンも含まれている。

また、グーグルおよびグーグル・ディープマインドの幹部数名も名を連ねており、その中にはグループ・ディープマインドの最先端AI部門のグローバル担当責任者であるトム・ルーや、『ワシントン・ポスト』紙の元国家安全保障担当記者であるジャーナリストのスアド・メケネットも含まれている(彼女は「ユリシーズ・ブッククラブ」というイヴェントを主催していると記載されている)。

その他の会員には、ヘッジファンドやプライヴェートエクイティの億万長者、現職および元外国政府高官、テレビ俳優、ベストセラー作家、宗教指導者などが名を連ねている。

ダイアログが登録記録を保管していたオンラインデータベースに公開していた複数の内部文書の1つは、イヴェントのモデレーター向けガイドで、参加者に対し、全ての発言は「非公式(off the record)」であり、コメントは簡潔かつ「露骨でない(nonobvious)」ように注意するよう促している。また、連邦上院議員、要人、大物実業家が集まる場で「地位を誇示しない(avoid status signaling)」ために、簡潔な自己紹介を心がけるよう指導している。

しかし、このグループが課していた規律は、ウェブサイトには適用されていなかった。このディレクトリは、ほぼ空のページである「dialog.org」のコードに埋め込まれており、ページのソースコードを閲覧した全ての訪問者に表示されていた。別のダイアログのページ(app.dialog.org)には、ダブリン郊外で開催される「Dialog Global 2026」のサインイン画面が表示される。このページでは、メールアドレスまたはグーグルアカウントでのサインインが促されるが、利用規約、アプリケーションが会員限定である旨の通知、招待状が必要である旨の表示は一切ない。

ダイアログは設立以来、ほとんど公に活動していない。年に少なくとも1回は会合を開催しており、座席指定制、モデレーター付きのセッション、そして発言内容の出典を明記しないというルールが設けられている。ワシントンDC近郊にキャンパスを建設する計画を最初に報じたアクシオス誌によると、過去の会合はアリゾナ州のリッツ・カールトン・ダヴ・マウンテンやイタリアのヴェネツィアにあるサン・クレメンテ宮殿で開催された。これは、西側諸国の政財界のエリートが非公式に集まるビルダーバーグ会議のテクノロジー業界版に例えられている。

記録によると、参加者は約100名だった。ワイアード誌が確認した2026年の登録者リストには222名の名前が載っている。公に知られることは稀だ。統計学者のアンドリュー・ゲルマンは2022年にダイアログの招待状を自身のブログに掲載し、その形式と1万6000ドルを超える登録料について説明した。2014年の会合は今年、金融家のジェフリー・エプスタインに転送された招待状が米司法省によるエプスタイン文書の公開で明らかになったことで再び注目を集めた。添付された過去の参加者リストには「ジェフ・エプスタイン」という人物の名前があるが、実際には故人となった性的人身売買犯ではなく、オラクルの元CFOである。

・更新:2026年6月16日午後5時47分(アメリカ東部標準時):ワイアードはこの記事を更新し、ジェフ・エプスタインという名前の2名の人物を混同していた点を訂正した。また、ダイアログの担当者から指摘されたセキュリティ上の懸念に対応するため、若干の修正も行った。

・更新:2026年6月18日午後2時17分(アメリカ東部標準時):この記事の掲載後、『ワシントン・ポスト』紙は、スアド・メケネットが同紙の元従業員であることを明らかにした。

(貼り付け終わり)

(終わり)



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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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 古村治彦です。
 第二次ドナルド・トランプ政権内で影響力を増しているJ・D・ヴァンス副大統領はこれから慎重に、バランスを取りながら、トランプから嫌われないようにしながら、2028年に自身の大統領選挙での勝利に向けて決断と行動をしなければならないという難しい状況になる。そこで重要になってくるのはヴァンスの後ろ盾となっているピーター・ティールの存在だ。露骨に書けば、ヴァンスはティールの課したいくつかの課題をすべてクリアしたことで、現在の地位にある。それはつまり、ティールが「こいつを大統領にする」という試験に合格しているということである。第一次トランプ政権誕生においても重要役割を果たし、「影の大統領」と呼ばれたティールは、イーロン・マスクとも「ペイパル・マフィア」としてつながりを持ち、トランプとマスクを結び付ける役割を果たした。ティールが「次の大統領にはヴァンスを」ということになれば、マスクも進んで支援するだろう。これは、拙著『』(ビジネス社)で取り上げた、新・軍産複合体がヴァンスを大統領にするという動きでもある。

 ヴァンスを支える政治組織として、ロックブリッジ・ネットワークというものがあることは、先日、このブログでもご紹介した。その記事は以下の通りだ。

※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」:2026年5月7日付記事「J・D・ヴァンス副大統領を支える「ロックブリッジ・ネットワーク」について紹介する」↓

https://suinikki.blog.jp/archives/90471185.html

 以下で、ロックブリッジ・ネットワークについての記事をご紹介している。私はロックブリッジ・ネットワークについて調べていく中で、ヴァンスとティールは、大統領の座を目指すために、この組織を作った、そして、ドナルド・トランプの後継者として2028年の大統領選挙での勝利を目指しているという感触を持った。それは、ロックブリッジ・ネットワークには資金源となる財界人も入っているが、トランプ政権にとって極めて重要な人物で、ホワイトハウスを取り仕切るスージー・ワイルズ大統領首席補佐官、そして、トランプの長男であり、トランプ一家にとって重要な存在であるドナルド・トランプ・ジュニアをネットワークに入れていることからも分かる。トランプ・ジュニアは、2028年大統領選挙の候補者としても名前が挙がっているが、ヴァンスが圧倒的な支持率を誇っている。重要なことは、トランプ・ジュニアがヴァンスを支持するとなれば、ライヴァルたちはもう追いつけないということになる。そのために、トランプ・ジュニアに、ネットワークに入れて、ある程度の金儲けをさせているということになる。ワイルズはトランプの信頼が厚い人物であり、ワイルズの口添えがあれば、ヴァンスの先行きは明るいということになる。ヴァンスとティールは少しずつ2028年に向けて根回しをしているだろう。これからさらに注目していかねばならない。
(貼り付けはじめ)
台頭するMAGA支持者たちの秘密会合の舞台裏(Behind the Scenes at a Secretive Gathering of Rising MAGA Donors)

―ウィンクルヴォス双子兄弟、レベカ・マーサー、イーロン・マスクの盟友たち、ドナルド・トランプ・ジュニア、そしてトランプ陣営の幹部たちが最近、突如として権力を手にした右派系献金者たちの会合に参加した。

セオドア・シーファー筆

2024年11月20日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2024/11/20/us/politics/rockbridge-trump-vance-wiles.html

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ラスヴェガスで開催された今年のロックブリッジ・ネットワークの会合には、共和党の大口献金者であるレベカ・マーサー、ドナルド・J・トランプ次期大統領の大統領首席補佐官を務めるスージー・ワイルズ、そしてドナルド・トランプ・ジュニア(左から)が出席した

次期ホワイトハウス大統領首席補佐官に指名されてからわずか4日後、スージー・ワイルズはラスヴェガスの五つ星ホテルでエスプレッソを辛抱強く待っていた。

一夜にして、スージー・ワイルズはアメリカで最も影響力のある人物の一人となった。大統領移行期において、彼女の1分1秒の価値はかつてないほど高まっている。共和党の野心家たちは、彼女に魅力的なポストを要求し、一方、マール・ア・ラーゴでは、次期大統領ドナルド・J・トランプが人事を巡って物議を醸し続けている。

しかし、彼女は数千マイル離れた場所で、警備員一人を伴って、フォーシーズンズホテルのコーヒーショップに一人で並んでいた。彼女は、選挙対策本部長クリス・ラシヴィタ、世論調査担当トニー・ファブリツィオ、資金調達責任者メレディス・オロークといったトランプ陣営の幹部たちとの昼食を終えたばかりだった。「みんなただのんびりしているだけなんだ」と、ホテル内を歩いているところを近くにいた『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に目撃されたと知らされたトランプ一行の一人が驚いた様子で冗談めかして言った。

キャリアの中でも最も重要な時期に、トランプ陣営の面々が何日も滞在する必要があったのはなぜだろうか? それは、共和党の献金者層の中で急速に台頭してきた、裕福なテクノロジー企業の幹部とその支持者たちによる秘密結社ロックブリッジ・ネットワーク(the Rockbridge Network)の秋の会合のためだった。

J・D・ヴァンスが5年前に共同設立したこの団体は、非公式な夕食会から発展し、共和党の有力献金者による強力な連合体へと成長した。この団体のある関係者によると、2019年以降、ロックブリッジのプロジェクトに1億ドル以上を寄付し、シリコンヴァレーの右傾化を牽引してきたという。ロックブリッジにとって、ヴァンスの副大統領選出はまさに快挙であり、新たな国家的影響力を行使する絶好の機会となった。

しかし、ロックブリッジ・ネットワークは、コーク・ネットワーク(Koch Network)のような富裕層の保守派団体が、リベラル派の批判者や共和党支持者から攻撃を受けていることを念頭に置き、活動を極秘裏に進めてきた。

先週、黒塗りのSUVの車列が億万長者たちをプライヴェートジェットからホテルへと送り届ける中、ロックブリッジ・ネットワークのメンバーがホテル周辺で目撃された。共和党有数の献金者一族の令嬢であるレベカ・マーサーは、ロビーで祝福に駆けつけた人々に挨拶をしていた。ホテルのバーでハッピーアワーを楽しんでいたのは、イーロン・マスクの親友であるケン・ハウリーとルーク・ノセックの2人。彼らはマスクと共にペイパル(PayPal)で働き、巨万の富を築いた。

そして、映画「ソーシャル・ネットワーク」で有名になった、身長196センチの仮想通貨投資家でハーヴァード大学ではボートクルーだったタイラーとキャメロンのウィンクルヴォス双子兄弟の姿も見逃すことはできなかった。

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2021年のタイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボス。彼らは最近、他の裕福なテクノロジー企業の経営者やその仲間たちと共にロックブリッジで開催された会合に参加した

白と赤のギフトバッグとストラップを身につけた出席者たちは、ホテル関係者や、非公開のこの会合に招待されていない『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に話しかけられても、口を閉ざすよう心得ていた。しかし、出席者によると、議事録には、アンドゥリルの共同創業者であるパルマー・ラッキーやヴェンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンなど、複数のテクノロジー界の大富豪による講演が記載されていた。アンドリーセンは、テクノロジー規制緩和への支持や、トランプへの支持表明に対するシリコンヴァレーの賛否両論について語ったという。

テクノロジー業界の新進気鋭の人物もいた。ドナルド・トランプ・ジュニアは、歓迎夕食会でヴェンチャーキャピタル業界への参入を発表した。そして、次期大統領がロバート・F・ケネディ・ジュニアを保健福祉長官に指名する数日前、ケネディは自身の公衆衛生に関する取り組みについて詳しく語り、聴衆からスタンディングオヴェーションを受けた。ワイルズはまた、「2024年選挙分析(2024 Election Analysis)」と題したセッションを主導し、トランプの大統領就任後の最初の数日間を概観した。

「これはアメリカ国内版『砂漠のダヴォス会議(Davos in the desert)』だ」とロックブリッジ・ネットワークの支援者であり、ドナルド・トランプ・ジュニアの新たなビジネスパートナーでもあるオミード・マリクは、リヤドで開催される年次ビジネス会議に言及しながら語った。

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2023年にドナルド・トランプ・ジュニアと共にニューヨーク証券取引所に出席した金融家オミード・マリクはロックブリッジ・ネットワークの中核メンバーとなり、トランプ一家の友人となった

●小規模な夕食会からリッツ・カールトンへ(From small dinners to the Ritz-Carlton)

ロックブリッジ・ネットワークは、より謙虚な形で始まった。2019年、当時『ヒルビリー・エレジー』の著者として知られていたヴァンスと、保守系メディア関係者のクリス・バスカークは、ヴァンスの政治キャリアの基盤を築き、最終的にはコーク・ネットワークに対抗するトランプ派の組織を構築することを目指し、非公式に小規模な夕食会を何度か開催し始めた。初期の会合の一つは、ヴァンスがオハイオ州ロックブリッジのリゾートで寄付者や活動家を集めて開催したもので、そこで「ロックブリッジ」という名前が誕生した。

このグループは、マーサーとヴェンチャーキャピタリストのピーター・ティールから最初の資金提供を受け、やがてドナルド・J・トランプの目に留まり、トランプはいくつかの会合で講演を行った。

秋と春にそれぞれ一度ずつ、ロックブリッジはフロリダ州パームビーチのフォーシーズンズやダラスのリッツ・カールトンといった場所で、3日間にわたる政治パネルディスカッションとビジネス交流会を開催するようになった。講演者には、タッカー・カールソン、ティールの弟子であるブレイク・マスターズ、カジノ王のスティーヴ・ウィン、投資家のデイヴィッド・サックス、そしてニューヨーク・ジェッツのオーナーである億万長者のウッディ・ジョンソンなどが名を連ねた。

参加者全員が政治に関心を持っている訳ではない。中には、ロックブリッジをエリート層向けのサンヴァレー会議の保守的なヴァージョンと捉え、ビジネスに強い関心を持つ人もいる。

かつて『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿していた論説委員で、2016年にトランプ支持の出版物「アメリカン・グレートネス(American Greatness)」を創刊したバスカークは、政治に直接携わった経験は限られていた。しかし、彼は「ニューライト(the New Right)」と呼ばれる運動、保守系ビジネス界、そしてトランプの周辺との人脈を活かし、共和党の献金者を組織し、ロックブリッジ・ネットワークを築き上げた。彼はこの記事へのコメントを拒否した。

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クリス・バスカークはJ・D・ヴァンスと共にロックブリッジ・ネットワークを設立し、政治に直接携わった経験は限られているものの、徐々に組織を拡大し、保守系のプロジェクトに資金を提供してきた

ロックブリッジ・ネットワークは、今年献金者に配布された資料によると、「永続的な政治基盤を構築(builds lasting political infrastructure)」し、「共和党の衰退の一因となっているシンクタンク、メディア組織、活動家グループといった現在の共和党のエコシステムに取って代わることを目指している」としている。その野心は明白だが、長年の参加者の中には、ロックブリッジがこれらの目標達成にどれほど近づいているのか疑問視する声もある。

ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利し、今年大統領選挙で副大統領候補に選出されたことは、ロックブリッジとバスカークにとって強力な正当性の証明となった。バスカークは現在もヴァンスの側近として活動している。バスカークはロックブリッジ社の資金を活用し、今回の選挙サイクルでトランプの草の根運動を強化するため、迅速にスーパーPACを立ち上げた。また、かつては共和党の資金調達において二流と見なされていたロックブリッジは、一部の主流派共和党員でさえラスヴェガスまで足を運ぶほどの影響力を持つようになった。

ロックブリッジが実際にどれだけの資金を運用しているのかについては、依然として懐疑的な見方がある。ロックブリッジ・ネットワークへの寄付者は若年層が多く、起業家出身者で、資産の流動性が低い傾向にある。フォーシーズンズホテルのロビーには、スタートアップ企業のTシャツを着た人々とMAGA帽やカウボーイブーツを履いた人々が混在し、シリコンヴァレー、オースティン、マイアミといったテクノロジーの中心地から人々が集まっていた。

●1億ドルを政治に静かに流し込む(Quietly funneling $100 million into politics)

選挙直後にこの秋の会合を開催したことで、サミットがまるで葬儀のような雰囲気になってしまう危険性もあった。しかし、実際は正反対だった。

イヴェントが正式に始まる前から、ワイルズはラスヴェガスに滞在し、ロックブリッジの寄付者や友人約30人を招いて、ステーキハウスで土曜日の屋外ディナーを主催していた。賑やかなオープンバーや音楽が流れる宴会場で、参加者たちはトランプ政権でどのような役職に就けるかについて率直に意見を交わし、マスクが世界で最も影響力のある人物かどうかについて議論を交わしていた。

「ロックブリッジ・ネットワークの参加者は皆、技術者と政治家が再び直接協力し合い、互いに公然と敵対しなくなったことを非常に喜んでいた」と出席したソイレントの共同創業者ジョン・クーガンは語った。彼は続けて次のように述べた。「もはやテクノロジーが未来を牽引するかどうかではなく、その影響をいかに導くかが問われている。だからこそ、テクノロジー界の大富豪と政界のエリートたちが共にパーティーを開くのは当然のことなのだ」。

ヴァンスは出席しなかった。これは異例のことで、一部の支持者にとっては残念なことだった。しかし、ヴァンスの勝利によってロックブリッジ・ネットアークは一躍人気となり、直前になって参加申し込みが殺到した。以前は5000ドルで参加できたこともあったロックブリッジ・ネットワークは、最低参加費を2万5000ドルに引き上げた(ただし、一部の参加者はもっと安く参加できたと内緒話をしていた)。

ニューヨーク・タイムズ紙が入手した目論見書によると、ロックブリッジの会員資格の費用は、「リミテッド・パートナー」の10万ドルから、「プリンシパル・パートナー」の100万ドルまでとなっている。

この資金は、ロックブリッジが運営する8つの組織に充てられる。これには、4つの非公開資金を扱う501(c)(4)団体、2つのスーパーPAC、非営利活動のための寄付者指定型501(c)(3)基金、そしてロックブリッジ・ネットワークという傘下組織(有限責任会社)が含まれる。バスカーク氏が主宰するスーパーPAC「ターンアウト・フォー・アメリカ」は、今年少なくとも2500万ドルを調達している。

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次期副大統領のJ・D・ヴァンスはロックブリッジの共同創設者。ロックブリッジは、ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利した後、影響力を増し、現在、さらに大きな影響力を行使しようとしている

ロックブリッジ傘下の8つのグループは、主に投票促進活動を行っている。そのうちの1つ、「フェイスフル・イン・アクション(Faithful in Action)」は、16万人の会員を擁し、週2回、小規模教会にフィールドチームを組織している。このグループは、公的な活動は一切行っていない。

ロックブリッジ傘下のグループは、トランプに対する訴訟を追及する検察官を調査するドキュメンタリーも制作している。目論見書によると、ロックブリッジは2020年以降、「提携メディアに無料で提供される」世論調査に資金を提供してきた。また、提携メディアが掲載する「地方および全国規模の調査」にも資金援助を行っている。

●新たなタイプの共和党献金者(A new breed of Republican donors)
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ヴァンスの新たな職務は、ロックブリッジとその150人の会員をトランプ政権の政策推進において影響力のある存在にする可能性が高い。

その理由の一つは、トランプがリバータリアン系のコーク・ネットワークや、よりタカ派的なアメリカン・オポチュニティ・アライアンス(American Opportunity Alliance)といった伝統的な共和党献金者グループと、時に冷え込んだ関係を築いてきたことにある。対照的に、ロックブリッジはトランプ時代に設立され、ライヴァル団体ほどの財力はないものの、トランプ氏と同様の過激な姿勢を共有している。

「保守系の大口献金者たちは、ここで決断を迫られている」とヴァンスの側近で、こうした大口献金者たちと親しい影響力のある保守派経済学者オレン・キャスは語る。「2024年の選挙までは、トランプが成功しないかもしれないという、少なくともそれなりの根拠があった」。

しかし、キャスによれば、もはやその根拠は存在しない。「古い船の貨物室に閉じ込められて沈没しようとしているのは誰なのか、そして保守主義の未来にとって真に重要な存在でありたいと願っているのは誰なのか?」と彼は問いかけた。

バスカークはラスヴェガスの献金者たちに対し、選挙期間中、ロックブリッジは約3000人を現場でトランプのために活動させていたと語った。そして、共和党の勝利後、ロックブリッジのプロジェクトはさらに規模を拡大する時が来たとバスカークは述べた。

セオドア・シュライファーは、選挙資金とアメリカ政治における億万長者の影響力を取材する『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者である。

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所属政党に不満を抱く裕福な共和党献金者たちが秘密の連合を形成する(Dissatisfied With Their Party, Wealthy Republican Donors Form Secret Coalitions)

―いわゆる「闇資金グループ(dark money group)」における民主党の優位性を相殺しようと、ピーター・ティールのようなトランプ支持派の裕福な保守派は、従来の党組織の枠外でより大きな影響力を行使しようと画策している。

シェイン・ゴールドマチャー、ライアン・マック筆

2022年4月6日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2022/04/06/us/politics/republican-donors-rockbridge-network-trump.html

「共和党の政策を混乱させつつも推進する(disrupt but advance the Republican agenda)」ことを目指すと表明する、裕福な保守派支援者による新たな連合が今週、フロリダ州南部で非公開のサミットを開催した。文書や関係者へのインタヴューによると、このサミットではドナルド・J・トランプ前大統領と、トランプと連携する連邦上院議員候補が、トランプの所有するマール・ア・ラーゴ・クラブで非公開の演説を行った。

ロックブリッジ・ネットワークと呼ばれるこの連合には、ピーター・ティールやレベカ・マーサーなど、トランプの最大の献金者も含まれており、保守系メディア、法律、政策、有権者登録などのプロジェクトに3000万ドル以上を投じ、アメリカの右派勢力を再構築するという野心的な目標を掲げている。

これまでその存在が報じられていなかったロックブリッジの出現は、保守派の大口献金者たちが、党の正式な組織機構の外で、そして多くの場合ほとんど情報公開をせずに、2022年の中間選挙と共和党の将来を左右しようと、激しい駆け引きを繰り広げている中で起こった。

2月には、これまで報道されていなかった別の寄付者連合、トランプと親しいロビイスト、マット・シュラップが組織したチェスナット・ストリート・カウンシルが会合を開き、保守運動への新たな資金調達モデルについて説明を受けた。

こうした新興連合が勢いを増せば、トランプに懐疑的あるいは中立的な立場を取ってきた既存の寄付者ネットワークと、保守派の間で影響力を巡って競合することになるだろう。

億万長者の実業家チャールズ・G・コークとデイヴィッド・H・コークが設立したある連合は、2020年に2億5000万ドル以上を支出した。また、ニューヨークのヘッジファンドの億万長者ポール・シンガーが主導する別の連合は、2月に共和党の有力政治家を招いて会合を開いた。

秘密裏に行われる資金調達の急増はそれだけにとどまらない。トランプへの忠誠度の異なる複数の非営利団体も、右派への献金の主要な分配者となるべく競い合っている。

こうした駆け引きは、共和党を取り巻く政治構造、そして場合によっては党の政治家に対する右派の不満、さらにトランプが次期大統領選出馬を示唆する中での党の方向性に関する意見の相違を浮き彫りにしている。

共和党の最も裕福な活動家たちの資金力を活用しようとする動きは、今年の中間選挙、そして場合によっては2024年の大統領選に向けて、共和党にとって有利な選挙環境を活かすのに役立つ可能性がある。逆に、富裕層が競合する候補者、団体、戦術に資金を投入すれば、共和党の見通しは暗くなるだろう。

寄付者が自ら組織化しようとする姿勢は、寄付者の身元開示が義務付けられている各政党の公式機関から、開示義務がほとんどない外部団体へと権力と資金が流出していることを浮き彫りにしている。これはまた、各政党の候補者や政策を支援する非営利団体に関して、政治的右派が不利な立場に置かれているという、一部の有力共和党員の懸念を反映している。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の分析によると、民主党と概ね連携する政治活動が最も活発な非営利団体15団体は、2020年に寄付者の身元が非公開の資金で15億ドル以上を支出した。これに対し、共和党と連携する同規模の15団体が支出した、いわゆる「闇資金(dark money)」は約9億ドルにとどまっている。

この格差を縮め、右派の政治基盤を支える政治コンサルティングやテクノロジー分野で優位に立つための取り組みは、これらの連合体の間で主要な議論の的となっている。

ロックブリッジ・ネットワークのパンフレットには「将来の選挙で勝利する可能性を少しでも高めるためには、私たちの陣営が組織化されており、必要な組織的ノウハウと資金的支援を備えていることを示す必要がある」と記されている。

今年、共和党の資金関係者の間で出回ったパンフレットは、ロックブリッジを「一種の政治的ヴェンチャーキャピタル企業(a kind of political venture capital firm)」と称し、「(投資家の資金を適切な政治的専門知識で活用(leverage our investors’ capital with the right political expertise)」することで、「党の衰退の一因となっている現在の共和党のシンクタンク、メディア組織、活動家グループといったエコシステムを、より行動志向で、より効果的な、勝利に焦点を当てた人材と組織に置き換える(replace the current Republican ecosystem of think tanks, media organizations and activist groups that have contributed to the Party’s decline with better action-oriented, more effective people and institutions that are focused on winning)」としている。

ロックブリッジのパンフレットに記載されている取り組みの中には、広報、メッセージ発信、世論調査、「インフルエンサー・プログラム(influencer programs)」、調査報道など、メディア関連の機能が含まれており、総予算は800万ドルに上る。

375万ドルの費用が見込まれる「法廷闘争と戦略的訴訟(lawfare and strategic litigation)」は、裁判所を利用して「メディアを含む悪質な行為者に責任を負わせる(to hold bad actors, including the media, accountable)」ことを目的としている。300万ドルの費用が見込まれる「政権移行プロジェクト(transition project)」は、政策専門家を集め、「次期共和党政権のスタッフ(government-in-waiting to staff the next Republican administration)」を編成することを目的としている。

「レッドステート・プロジェクト(red state project)」とは、左派が先駆的に開発したモデルを模倣したもので、戦略家たちが様々な運動団体の活動を調整し、互いに補完し合い、重複を避けるという手法である。このプロジェクトは州ごとに600万ドルから800万ドルの費用がかかると見込まれており、当初は激戦州であるアリゾナ州、ネヴァダ州、ミシガン州に重点が置かれている。

ロックブリッジに詳しい関係者によると、これらのプロジェクトとその資金調達目標は野心的なもので、ロックブリッジ・ネットワークはこれまで新たな団体を設立するのではなく、既存の団体に寄付金を配分して目標を達成することに重点を置いてきたという。

関係者によると、この連合は昨年、有権者登録イニシアティヴを含むいくつかの計画をアリゾナ州で試験的に実施したという。アリゾナ州はパンフレットの中で事例研究として紹介されている。

アリゾナ州は、昨年開催されたロックブリッジ初のサミットの開催地だった。サミットでは、億万長者のテクノロジー投資家であるティールが講演を行った。ティールと、ヘッジファンドの大物ロバート・マーサーの娘であるレベカ・マーサーは、2016年のトランプへの最大の献金者の一人であり、トランプの政権移行チームで緊密に協力した。

それ以来、ティールは重要なキングメイカーとして台頭し、連邦上院議員と連邦下院議員の候補者16人を支援してきた。その中には、レベカ・マーサーも支援している候補者もいる。これらの候補者の多くは、トランプが2020年の大統領選に勝利したという虚偽の主張を鵜呑みにしている。

1つ目は、ティールの元従業員でアリゾナ州選出連邦上院議員選に出馬しているブレイク・マスターズだ。マスターズは火曜日夜、トランプに先立ち、マール・ア・ラーゴで開催されたロックブリッジの夕食会で講演を行い、ロックブリッジの活動から恩恵を受ける可能性が考えられる。

ティールは、マスターズとオハイオ州選出連邦上院議員候補のJ・D・ヴァンスを支援するスーパーPACにそれぞれ1000万ドルを寄付した。

ティールとレベカ・マーサーが今週のロックブリッジの会合に出席したかどうかは不明だ。この会合は、火曜日夜のマール・ア・ラーゴでの夕食会に加え、別のホテルでも会合が開かれた。マール・ア・ラーゴでの夕食会の直前には、トランプ支持者が集まる別のイヴェントが開催された。それは、フェイスブックの親会社であるメタ社のCEOマーク・ザッカーバーグが、パンデミックの中で選挙実施費用を賄うのに苦労している選挙管理委員会に2020年に助成金を提供したことを批判する映画のプレミア上映会だった。ティールはメタの取締役を務めていたが、中間選挙への影響力行使に専念するため、その職を辞任した。ロックブリッジへの関与は、ティールが非営利団体への秘密資金提供に手を広げようとしている可能性を示唆している。

ロックブリッジは、トランプ支持の雑誌「アメリカン・グレートネス」の編集長兼発行人であり、マスターズを支援するスーパーPACの顧問も務めるクリストファー・バスカークによって設立された。

ティールの広報担当者はコメントを拒否した。マーサーへ連絡する努力は成功しなかった。

15年以上前にコーク兄弟の政治活動の拡大を支援したシュラップは、2020年の選挙後、寄付者から「政治活動への資金調達の従来の方法に不満を抱いている」との声が寄せられたことが、チェスナット・ストリート・カウンシル設立のきっかけになったと述べた。

シュラップは、「こうした寄付者と協力して、より良い投資機会を見つけるのが賢明だと判断した」と述べた。

シュラップは、チェスナット・ストリート・カウンシルが投票規則をめぐる訴訟を支援する可能性を示唆した。

2月に開催されたチェスナット・ストリート・カウンシルの会合では、ヴェテラン共和党資金調達者のキャロライン・レンが寄付者に向けてプレゼンテーションを行った。

トランプの多くの政治活動、特に1月6日の連邦議事堂襲撃事件に先立つ集会の資金調達に尽力したレンは、右派は左派の献金者ネットワークや非営利団体の資金調達拠点といったシステムを模倣し、新たな団体を育成し、既存の団体間の連携を強化すべきだと述べたと、プレゼンテーションの内容を知る関係者が明らかにした。

近年、右派にも新たな資金調達拠点が出現しているものの、左派のそれほどの洗練された組織や資金規模には及ばない。

保守パートナーシップ研究所は、「保守運動のハブ(the hub of the conservative movement)」となることを目指している。保守パートナー研究所は2021年の年次報告書で、トランプの元補佐官スティーヴン・ミラーが率いるアメリカ・ファースト・リーガル、同じくトランプ政権出身のラス・ヴォートが率いるセンター・フォ・リニューイング・アメリカ、そして元住宅都市開発長官ベン・カーソンが率いるアメリカン・コーナーストーン研究所など、複数の新たな保守系非営利団体の設立に貢献したと主張している。

この団体には、選挙公正ネットワークも含まれており、そのリーダーは保守派弁護士クレタ・ミッチェルだ。ミッチェルは、当時大統領だったトランプがジョージア州当局者に対し、選挙結果を覆すのに十分な票を「見つける(find)」よう圧力をかけた1時間にわたる電話会議に同席していた。

保守パートナーシップ研究所は昨年夏、トランプの政治活動委員会(PAC)から100万ドルの資金提供を受け、昨年春にはトランプのプライヴェート・クラブであるマール・ア・ラーゴで寄付者向けの会合を開催した。

こうした団体は、選挙運動や政治活動委員会に比べて情報開示義務がはるかに少ないのが現状だ。保守パートナーシップ研究所や、司法活動家のレナード・A・レオが設立した別の非営利ネットワークのような資金提供拠点は、他の団体への助成金については開示義務があるが、資金提供者については開示義務がある。ロックブリッジ・ネットワークやチェスナット・ストリート・カウンシルのような寄付者連合も、おそらく開示義務はないだろう。

トランプをはじめとする政府関係者や大統領候補者たちが、こうした連合体との連携に積極的であることは、アメリカ政治におけるこれらの連合体の重要性が高まっていることの証左である。

シンガーの連合体であるアメリカン・オポチュニティ・アライアンスがコロラド州とフロリダ州パームビーチで最近開催した非公開会合には、マイク・ポンペオ元国務長官、フロリダ州知事ロン・デサンティス、マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元国連大使が出席した。

ミネソタ州選出のトム・エマー連邦下院議員(共和党連邦議員委員長)は、今週パームビーチで開催されるロックブリッジ・ネットワークの会合で講演する予定だった。

※シェイン・ゴールドマッハー:全国政治担当記者で、以前はメトロデスクの主任政治特派員を務めていた。『ニューヨーク・タイムズ』紙に入社する前は、『ポリティコ』誌で共和党の全国政治と2016年の大統領選挙を取材していた。

※ライアン・マック:世界のテクノロジー業界における企業の責任問題に焦点を当てたテクノロジー担当記者である。フェイスブックに関する報道で2020年にジョージ・ポーク賞を受賞した。ロサンゼルスを拠点としている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 先日、第二次ドナルド・トランプ政権内部のネオコン派の動きや政権を実質的に取り仕切るスティーヴン・ミラーホワイトハウス大統領次席補佐官の動きについての記事を紹介した。ブログの記事は以下の通りだ。ぜひお読みいただきたい。

※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」:2026年4月29日付記事「アメリカに対するイスラエルからの働き掛けの受容体となった第二次ドナルド・トランプ政権内のネオコンたちと政権を動かすスティーヴン・ミラー」

https://suinikki.blog.jp/archives/90465309.html

 この記事の中で、聞き慣れない言葉「ロックブリッジ・ネットワーク(Rockbridge Network)」が出てくる。このロックブリッジ・ネットワークは政治活動組織であり、傘下にいくつもの組織を抱えている。2019年に、J・D・ヴァンスとクリス・バスカークという人物によって創設された。「ロックブリッジ」はヴァンスの地元オハイオ州にあるリゾート地で、ここで会合が開かれたことから、その名前が使われることになった。2021年には、バスカークの地元アリゾナ州で大規模な会合が開かれ、マスコミの注目を浴びることになった。バスカークについては別の記事で詳しくご紹介したい。

 ロックブリッジ・ネットワークに資金的な援助を行っているのが、ヴァンスの師匠であるピーター・ティールとレベカ・マーサーである。ティールについてはここで詳しく説明しない。拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新軍産複合体の正体』(ビジネス社)をお読みいただきたい。レベカ・マーサーは保守系、共和党系の政治組織やシンクタンクへの大口献金者として知られる。父ロバート・マーサーはIBMの技術者出身で、初期の人工知能(AI)開発に携わった人物だ。のちにルネッサンス・テクノロジーズというヘッジファンドを設立し、ウォール街で大成功を収めた。ルネッサンス・テクノロジーズはすでに売却している。数兆円に及ぶ資産を財団に編成し、レベカはその理事となり、潤沢な資産を右派の政治団体に供給し、存在感を増している。2016年の大統領選挙ではドナルド・トランプを支援し、その影響力は大きい。

 共和党系の大口献金者としては、これまで、コーク・インダストリーズのコーク一族がよく知られている。彼らは政治団体やシンクタンク、大学などに多額の献金を行い、また、様々な組織を作り上げ、「コーク・ネットワーク(Koch Network)」と呼ばれる政治活動ネットワークを作り上げている。このことについては拙訳『』(講談社)をお読みいただきたい。「ロックブリッジ・ネットワーク」はこのコーク・ネットワークをしのぐ規模になることを目指している。そして、もちろん、ヴァンスの大統領就任も目標にしている。以下の記事が長いので、紹介はこのあたりにするが、ぜひこれからヴァンス副大統領の動き、ロックブリッジ・ネットワークの動き、アメリカ政治の動きについて注目を続けていただきたい。

(貼り付けはじめ)

J・D・ヴァンスと師匠に当たるピーター・ティール、あまり知られていないロックブリッジ・ネットワーク、そして2016年のキングメイカーであるレベカ・マーサーとの主要なつながりを示す図表と概要(Chart and overview of key links for J.D. Vance with mentor Peter Thiel, the little-known Rockbridge Network and 2016 kingmaker Rebekah Mercer)

ウェンディ・シーグルマン筆

2024年7月29日

『ニューズトラックス』誌

https://newstracs.com/chart-and-overview-of-key-links-for-jd-vance-with-thiel-mercer-rockbridge/2024/07/29/

ドナルド・トランプがJ・D・ヴァンスを副大統領候補に指名して以来、ヴァンスが「子どものいない猫好き女性」を批判する女性蔑視的な発言や、子どものいないアメリカ人はより高い税率を支払うべきだといった物議を醸す見解を述べていることが報じられている。ソーシャルメディアはソファやヴァンスの奇妙さを揶揄するミームで溢れかえっている。さらに、ヴァンスと彼の師であるピーター・ティールが、2008年に「非生産的な人々はバイオディーゼル燃料に変換されるべきだ」と書いたカーティス・ヤーヴィンの思想に倣っているという、より悪質な報道もある。ヤーヴィンは後に冗談だったと釈明したが、その後、非生産的な人々を仮想現実世界に閉じ込めるという、映画「ソイレント・グリーン」や「マトリックス」を彷彿とさせる悪夢のようなシナリオを、大量虐殺の代替手段として提案した。

J・D・ヴァンスがトランプ陣営に加わったことは、過激な極右のIT億万長者グループがどれほどの影響力を持っているか、そしてトランプが11月の選挙で勝利すれば、彼らの影響力がどれほど増大するかを示している。トランプが勝利しない場合、このグループがハリス政権を弱体化させるためにあらゆる手段を講じることは間違いないところだ。

●J・D・ヴァンスのネットワークにおける主要人物の図表Chart of some key people in J.D. Vance’s network
以下の図表と記事は、J・D・ヴァンスとクリス・バスカークが共同設立したロックブリッジ・ネットワークを通じて、主要人物たちがどのように繋がっているかを示している。これはヴァンスと繋がるネットワークのごく一部だ。メディアはピーター・ティール、イーロン・マスク、その他のテクノロジー系億万長者に注目しているが、父親のロバートと共に2016年のトランプの勝利に多額の資金を提供したレベカ・マーサーを忘れてはいけない。レベカ・マーサーはこのネットワークに強い人脈を持ち、ピーター・ティールと共に再び政治的なキングメイカーとしての役割を果たそうとしている。

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●テクノロジー界の巨頭たちとレベカ・マーサー(The tech broligarchs and Rebekah Mercer)

2018年、キャロル・キャドワラダーは、レベカ・マーサーとロバート・マーサーが出資するケンブリッジ・アナリティカが、数千万件ものフェイスブックのプロフィールを収集し、そのデータを利用してアメリカの有権者をターゲットにするツールを構築した経緯について、複数のスクープ記事を発表した。ケンブリッジ・アナリティカに関する報道は、極右の政治家や献金者がテクノロジーと個人データを駆使して選挙に影響を与えるリスクを浮き彫りにした。

私の最初の調査と報道は2017年に始まり、SCLグループとケンブリッジ・アナリティカの企業一覧表を作成した。以来、これらの企業について継続的に報道している。

最近、キャドワラダーは、トランプを支持するJ・D・ヴァンス、ピーター・ティール、イーロン・マスクといったテクノロジー界の「巨頭たち(broligarchs)」について記事を書いている。

2016年に見られた、億万長者の献金者、テクノロジー、データに関するいくつかのパターンは、2024年の選挙でも継続している。

新たな権力者として台頭する一部のテクノロジー界の巨頭たちは、メディアで大きく取り上げられている。レベカ・マーサーのような人物は、過去の経験を利用して右翼的な政策を推進しており、こうした人物もこの陰謀ネットワークに関する報道に含めるべきである。

●ピーター・ティールはいかにしてテクノロジー界の巨頭となったのか(How Peter Thiel became a tech broligarch)

ピーター・ティールは、2024年の大統領選挙に向けて最も有力なキングメイカー志望者(the most prominent ‘would-be’ kingmaker)と言えるだろう。もっとも、最近トランプを支持したイーロン・マスクと、その座を争っているように見えることもある。ティールとマスクは共に、ペイパル(PayPal)の共同創業者として巨万の富を築き、テクノロジー界の巨頭となった。

1990年代後半、世界が2000年問題(Y2K)への対応に追われる中、ピーター・ティールはオンライン決済ソフトウェア会社コンフィニティ(Confinity)を設立した。コンフィニティは後にイーロン・マスクが設立したX.comと合併し、ペイパルへと社名を変更した。マスクはペイパルを短期間経営した後、2002年にeBayに売却し、その資金をスペースX(SpaceX)の設立資金に充てた。

ピーター・ティールはその後、クラリウム・キャピタル(Clarium Capital)(現在は閉鎖)、ファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)、ティール・キャピタル(Thiel Capital)、ミスリル・キャピタル(Mithril Capital)、ヴァラー・ヴェンチャーズ(Valar Ventures)など、複数のヴェンチャーキャピタル会社を設立、あるいは共同設立した。彼はフェイスブックに50万ドルを投資し、約10%の株式を取得した最初の外部投資家だった。

ヴェンチャーキャピタルや投資会社に加え、ティールはソフトウェアおよびデータ分析会社であるパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)を設立した。パランティアは、トランプ政権以前、政権中、そして政権後も、国防総省、保健福祉省などから数億ドル規模の政府契約を獲得しており、膨大な量の政府データへのアクセス権を有している。

ピーター・ティールは巨万の富を築く過程で、多くの弟子たち(proteges)を育成してきた。その多くは、ティールの極右思想に共鳴する人々だ。弟子の一人であるJ・D・ヴァンスとブレイク・マスターズは、偶然にも(それぞれ別々に)ロースクール在学中にティールと出会った。ヴァンスはイェール大学ロースクール在学中にティールの講演を聴講し、もう一人の将来の有望株で弁護士のブレイク・マスターズはスタンフォード大学でティールが担当した「主権、テクノロジー、グローバライゼーション(Sovereignty, Technology, and Globalization)」という授業で出会った。

J・D・ヴァンスとブレイク・マスターズは、ともにピーター・ティールが設立した企業で働いた。そして、2022年の中間選挙を前に、ティールは弟子2人を連邦上院議員に当選させるために数千万ドルを投じた。

ティールは、2022年にオハイオ州で連邦上院議員選挙に出馬し当選したヴァンスを支援する政治活動委員会(PAC)に1500万ドルを寄付した。

ティールは、アリゾナ州で連邦上院議員選挙に出馬したブレイク・マスターズを支援するPACにも1350万ドルを寄付した。マスターズは、現在カマラ・ハリスの副大統領候補として検討されているマーク・ケリーに敗れた。マスターズは現在、連邦議会議員選挙に出馬しており、最近トランプ大統領の支持を得た。

●J・D・ヴァンスのキャリアにおける重要な節目とピーター・ティールの支援(J.D. Vance’s career milestones with support from Peter Thiel)

ヴァンスと彼の師であるティールとの関係は、他のメディアでも広く取り上げられており、最近の『ワシントン・ポスト』紙の記事では、ヴァンスの経歴とティールをはじめとする複数の大手テクノロジー系寄付者からの支援について優れた概説が掲載されている。

(引用はじめ)

ティールはヴァンスを富裕層に引き上げ、MAGA支持者の間で人気を博した企業へ彼が投資できるようにした。また、ティールはヴァンスの政界進出を後押しし、他のシリコンヴァレーの寄付者とともに、2022年の連邦上院議員選挙でのヴァンスの当選を資金面で支援した。

(引用終わり)

以下は、J・D・ヴァンスのキャリアと人生におけるいくつかの重要な節目となる出来事だ。

・2011年、イェール大学ロースクール在学中にピーター・ティールと出会った。

・卒業後、ヴァンスは短期間法律関係の仕事に就いた後、ティールの推薦により、サーキット・セラピューティクスのCEOであるフレデリック・モルによって同社に採用された。

・2016年、ヴァンスはイェール大学ロースクールで出会ったウシャ・チルクリ・ヴァンスと結婚した。

・ヴァンスは長年にわたり、名前を何度も変えている(両親の離婚後、祖母の旧姓であるヴァンスを名乗るなど)。ジェームズ・ドナルド・ボウマン、ジェームズ・デイヴィッド・ハメル、J・D・ハメル、J・D・ヴァンスなど、様々な名前を使用していた。

・2016年、ヴァンスは回顧録『ヒルビリー・エレジー』を出版し、ベストセラーとなり、後に映画化された。

・2016年、ヴァンスはティールが共同設立したヴェンチャーキャピタルであるミスリル・キャピタルで短期間勤務した。

・2017年、ヴァンスはアメリカ・オンライン共同創業者スティーヴ・ケースが設立したヴェンチャーキャピタル企業レヴォリューションのパートナーに就任した。

・2019年、ヴァンスはカトリックに改宗した。以前は無神論者を自称していたにもかかわらず、ティールが「キリスト教への道を歩む上での原点となるインスピレーションを与えてくれた(was an original inspiration for his path to Christianity despite previously calling himself an atheist)」と記した。

・2020年、ヴァンスはコリン・グリーンスポンと共にヴェンチャーキャピタル企業ナリヤ・キャピタルを共同設立した。グリーンスポンは以前ティールのミスリル・キャピタルに勤務しており、ヴァンスをそこで採用した人物でもある。ナリヤはピーター・ティール、元グーグルCEOのエリック・シュミット、そして億万長者のテクノロジー起業家兼投資家マーク・アンドリーセンからの資金提供を受けて設立された。(興味深いことに、ティールの企業であるヴァラー、ミスリル、パランティア、そしてヴァンスのナリヤの社名の多くは、ティールとヴァンスのお気に入りのJ・R・R・トールキンの『指輪物語』に由来している)。

・2022年、ヴァンスはピーター・ティールからの1500万ドルの支援を受けてオハイオ州選出の連邦上院議員に当選した。

・2024年、ヴァンスはトランプによって共和党の副大統領候補に指名された。

ピーター・ティールの弟子であるJ・D・ヴァンスが副大統領候補に浮上した今、彼らを繋ぐネットワーク、特にあまり知られていないロックブリッジ・ネットワークについて理解しておくことは有益である。

●ロックブリッジ・ネットワークは、クリス・バスカークとJ・D・ヴァンスが共同設立し、ピーター・ティール、レベカ・マーサーなどから資金提供を受けている(The Rockbridge Network was co-founded by Chris Buskirk and J.D. Vance with funding from Peter Thiel, Rebekah Mercer and others)

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2022年、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、コーク兄弟(2020年に2億5000万ドル以上を支出)をはじめとする共和党の富裕層献金者によって結成された秘密連合、そして、コーク兄弟のネットワークとは別のピーター・ティールとレベカ・マーサーが出資するロックブリッジ・ネットワークに関する記事を掲載した。

チャールズ・コークとデイヴィッド・コークについては、特にジェイン・メイヤーの2016年の著書『ダークマネー』で、彼らの石油による莫大な富が、右翼イデオロギーや政策、そして彼らの巨額の富を守り、さらに増やすのに役立つ候補者を支援するために、非営利団体、シンクタンク、学術機関、政治機関からなる広範なネットワークに資金提供されていたことが明らかになって以来、大きく報道されてきた。

一方、コーク・ネットワークに対抗する、より若い世代のテクノロジー系組織として設立されたロックブリッジ・ネットワークについては、報道がはるかに少ないのが現状だ。

(引用はじめ)

ロックブリッジ・ネットワークには、ピーター・ティールやレベカ・マーサーなど、トランプの最大の献金者が名を連ねており、保守系メディア、法律、政策、有権者登録プロジェクトなどに3000万ドル以上を投じ、アメリカの右派勢力を再構築するという野心的な目標を掲げている。

(引用終わり)

2023年の『パック』誌の記事によると、ロックブリッジ・ネットワークは2019年にティールの側近2人によって共同設立された。1人は当時ベストセラー回顧録『ヒルビリー・エレジー』の著者であり、新進気鋭のヴェンチャーキャピタリストだったJ・D・ヴァンス、もう1人は保守系雑誌『アメリカン・グレートネス』の編集者兼発行人であるクリス・バスカークだ。

●ロックブリッジ・ネットワークの会合では、ピーター・ティール、ドナルド・トランプ、ドナルド・トランプ・ジュニア、タッカー・カールソン、デイヴィッド・サックスなどが講演を行った(Rockbridge Network meetings included speeches by Peter Thiel, Donald Trump, Donald Trump Jr., Tucker Carlson and David Sacks)

J・D・ヴァンスとクリス・バスカークは、シリコンヴァレーにおける若手たちの政治的な拠点としてロックブリッジ・ネットワークを設立した。年2回開催されるイヴェントでは、タッカー・カールソン、カジノ王スティーヴ・ウィン、ピーター・ティール、デイヴィッド・サックスといった著名人が講演を行った。

昨年、ロックブリッジは、ネットワークが推奨するプログラムに年間10万ドルを支出することを約束した会員が約125名いると発表した。

ロックブリッジは2021年にアリゾナ州で初のサミットを開催し、テクノロジー界の大富豪ピーター・ティールが講演を行った。

2022年、ロックブリッジ・ネットワークは「一種の政治的ヴェンチャーキャピタル」と自称するパンフレットを配布し、マール・ア・ラーゴでドナルド・トランプの講演を招いた非公開会議を開催した。

2024年にマール・ア・ラーゴで開催されたロックブリッジの会合には、口止め料裁判のためニューヨークに滞在していたドナルド・トランプが電話で参加し、息子のドン・ジュニアが講演を行った。その他の出席者には、トランプの共同選挙対策責任者であるスージー・ワイルズとクリス・ラシヴィタ、共和党の献金者であるレベカ・マーサー(以前に取り上げた)、億万長者のウッディ・ジョンソン、トランプの「法廷の口達者」レナード・レオ(以前に取り上げた)、仮想通貨起業家のエリック・ヴォーヒーズ、元ウーバー幹部のエミル・マイケルなどがいた。

●ヴァンスはシリコンヴァレーの資金調達パーティーで副大統領候補に推薦された(Vance was recommended for VP at a Silicon Valley fundraiser)

2024年7月の『ニューヨーク・タイムズ』紙は記事「いかにしてテクノロジー界の億万長者ネットワークがJ・D・ヴァンスの権力掌握を支援したか」を掲載した。6月には、南アフリカ系アメリカ人のテクノロジー起業家兼投資家であるデイヴィッド・サックスの自宅で資金調達パーティーが開催された。

2007年、『フォーチュン』誌は「ペイパル・マフィア(The Paypal Mafia)」と題した記事を掲載し、ピーター・ティールやデイヴィッド・サックスを含むペイパルの創業者たちを紹介した。この記事で「ペイパル・マフィア」という言葉が生まれ、その後、新興テクノロジー界の有力者たちを指す言葉として頻繁に使われるようになった。

7月のイヴェントは、サックスがポッドキャスター仲間のチャマス・パリハピティヤと共同開催した。資金調達パーティー後に開かれた、テクノロジー業界や仮想通貨業界の幹部や投資家約20名が出席した非公開の夕食会で、トランプは副大統領候補について非公式な投票を行った。サックス、パリハピティヤたちは全員、J・D・ヴァンス氏を選んだ。

7月の資金調達イヴェントはロックブリッジ・ネットワークとは関係がなかったが、J・D・ヴァンスはピーター・ティールを通じてデイヴィッド・サックスと知り合い、シリコンヴァレーでの影響力拡大を目指したロックブリッジ・ネットワークの運営におけるヴァンスの活動が、シリコンヴァレーでの資金調達イvヴェントでヴァンスが圧倒的な支持を得た大きな理由の一つだったと考えられる。

●クリス・バスカーク、レベカ・マーサー、オミード・マリクが共同設立した1789キャピタルは2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェント後に設立された(1789 Capital co-founded by Chris Buskirk, Rebekah Mercer and Omeed Malik was formed after a Rockbridge event in 2022)

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NBCニューズの記事では、2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェントで、1789キャピタルという新しいファンドの構想がどのように生まれたかが報じられている。

マリクのような人々にとって、このネットワークはアイデアの交換と創出の場としても機能している。マリクのファンドである1789キャピタルの構想が生まれたのも、2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェントだった。現在、このファンドはタッカー・カールソンの新たなメディア事業を支援しており、元FOXニューズ司会者の最新事業の資金調達を主導している。

1789キャピタルは、共和党の献金者であり、ケンブリッジ・アナリティカの資金提供者でもあるレベカ・マーサー、ロックブリッジの共同創設者であるクリス・バスカーク、そして「反ウォーク(anti woke)」を掲げる実業家オミード・マリクによって共同設立された。

私は以前、オミード・マリクと、彼がレベカ・マーサー、クリス・バスカークと共に1789キャピタルで行っている活動について詳しく記事を書いた。その際、アドヴァイザーとして名を連ねる著名な人物の一人に、ピーター・ティールの弟子であるブレイク・マスターズがいることを指摘した。

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、1789キャピタルがタッカー・カールソンとニール・パテルが率いるニューメディアヴェンチャーへの1500万ドルの創業資金提供を主導したと報じた。次の投資先は、ミサイル用の3Dプリント可能なロケット燃料を製造するスタートアップ企業ファイアホークだ。ファイアホークは、従来の方法よりも安全で安価だと主張している。数カ月前、ファイアホークは1789キャピタルが参加した新たな資金調達ラウンドを発表した。レベカ・マーサーに関する最近の記事では、1789キャピタルがここ数カ月で1200万ドル以上を調達したことを示す複数のSEC提出書類について詳しく解説した。

●レべカ・マーサー、J・D・ヴァンスとヘリテージ財団(Rebekah Mercer, J.D. Vance and the Heritage Foundation)

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ヘリテージ財団は最近、大統領移行計画「プロジェクト2025」の立案者として大きく報道されている。この計画は、トランプ支持者を政府要員に据え、保護規制緩和を大幅に進め、教育省や環境保護庁(EPA)などの機関を縮小または解体することを目的としている。

トランプは、ヘリテージ財団の過激な極右的大統領移行計画「プロジェクト2025」から距離を置こうとしてきた。

しかし、J・D・ヴァンスは、プロジェクト2025の主要スポンサーであるヘリテージ財団理事長ケヴィン・ロバーツの近刊書籍に序文を寄稿しており、ヴァンスがヘリテージ財団の指導部や目標といかに密接に連携しているかが明らかになっている。

私は、ヘリテージ財団の18人の理事の一人であるレベカ・マーサーについてこの記事を書いた。マーサー・ファミリー財団は過去にヘリテージ財団に寄付を行っている。さらに、マーサーは、ヘリテージ財団傘下の非営利団体であるヘリテージ・アクション・フォー・アメリカのわずか5人の理事の一人でもある。これは、彼女がヘリテージ財団に深く関わっていることを示しており、彼女はヘリテージ財団の理事を務めると同時に、関連する2つの非営利団体の役員も務めている。

ヴァンスとマーサーがヘリテージ財団と共同で活動していたという証拠はないが、両者ともヘリテージ財団とそれぞれ強い繋がりを持っている。

●レベカ・マーサー、スティーヴン・バノン、クリス・バスカークは2017年に連合を結成した(Rebekah Mercer, Stephen Bannon and Chris Buskirk formed an alliance in 2017)

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レベカ・マーサーとクリス・バスカークの関係は、バスカークがヴァンスと共にロックブリッジ・ネットワークを共同設立する数年前にまで遡る。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、スティーヴン・バノンとレベカ・マーサーが2017年に、アラバマ州連邦上院議員選挙で落選したロイ・ムーアなどの候補者を支援する政治連合を結成したと報じた。ピーター・ティールはバノンとマーサー夫妻に近い人物とされ、この連合で重要な役割を果たすと予想されていた。オンラインジャーナル「アメリカン・グレートネス」の発行人であるクリス・バスカークは、連合の政策方針を広める役割を担うために招集された。

注目すべきは、バスカークとヴァンスがマーサーとティールと共に連合を立ち上げる数年前に、マーサー、ティール、バスカークがこのロックブリッジ・ネットワークに関わっていたことである。 2017年の連合は、ロックブリッジの初期形態だった可能性が高い。

●マーサー家が資金提供するケンブリッジ・アナリティカと、ティール氏のデータ企業パランティア(Mercer’s Cambridge Analytica and Thiel’s data company Palantir)

2018年、ケンブリッジ・アナリティカの内部告発者であるクリストファー・ワイリーは、イギリス議会で、マーサーが出資するケンブリッジ・アナリティカが、ピーター・ティールのデータ企業パランティアのスタッフと非公式に協力していたと証言した。

「パランティアとケンブリッジ・アナリティカの間には正式な契約はなかったが、パランティアのスタッフがオフィスに出入りし、そのデータを使って作業していた」とワイリーは議員たちを前にして語った。さらに、パランティアのスタッフは「私たちが取り組んでいたモデルの構築を支援してくれた」と付け加えた。

パランティアの広報担当者はこの主張を否定し、パランティアはケンブリッジ・アナリティカとは一切関係がなく、ケンブリッジ・アナリティカのデータを使ったこともないと述べた。

●ティール、ヴァンス、マーサー、そしてソーシャルメディアプラットフォームのパーラーとランブル(Thiel, Vance, Mercer and social media platforms Parler and Rumble)

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J・D・ヴァンスは、自身のヴェンチャーキャピタルであるナリヤ・キャピタルを経営していた当時、ソーシャルネットワーク「パーラー(Parler)」に対する投資に関してレベカ・マーサーに助言を与え、その後、保守系プラットフォーム「ランブル(Rumble)」にも投資した。

この時期、ヴァンスは、パーラーをはじめとする保守派に支持されるテクノロジー・プラットフォームへの投資に関心を持つようになった。関係者2人によると、ヴァンスはパーラーの支配株主であり、共和党の大口献金者でもあるレベカ・マーサーに助言を与え、パーラーへの投資を検討していたとのことだ。ナリヤ・キャピタルは最終的にパーラーへの投資は行わなかったが、2021年に保守派に支持されるユーチューブ(YouTube)の競合サーヴィスであるランブルにティールと共に投資した。また、ケンタッキー州に拠点を置く屋内農業企業アプハーヴェスト(AppHarvest)にも投資しており、アプハーヴェストは2020年末に上場した。アプハーヴェストは昨年破産申請を行った。

私はランブルと、トランプのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)の親会社であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology Group、TMTG)との密接な関係について、この記事を書いた。トランプのTMTGの最高情報責任者(CIO)は、マケドニアにオフィスを構えるランブルの主要パートナー企業であるコスミック・ディヴェロップメント(Cosmic Development)の最高技術責任者(CTO)も兼任している。

ランブルの主要投資家には、J・D・ヴァンス、ピーター・ティール、ダレン・ブラントンなどが名を連ねている。ブラントンはマイク・フリンの仲間と共同で企業に投資し、スティーヴ・バノンのパートナーである郭文貴が経営するGTVメディアの取締役を務めていた。

2023年6月、ペイパルの共同創業者であり、トランプのシリコンヴァレーでの資金調達イヴェントを主催したデイヴィッド・サックスは、ランブルが彼のポッドキャストおよびライヴストリーミングプラットフォームであるカリン(Callin)を買収した後、ランブルの取締役に就任した。

●オミード・マリクは、ティールの弟子であるブレイク・マスターズのビジネス上の同僚(Omeed Malik is a business colleague of Thiel protege Blake Masters)

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私がマリクについて書いたこの記事では、彼がマーサーとバスカークと共に1789キャピタルを共同設立した経緯、そしてマリクが既存の事業との統合を目的とした特別目的買収会社(special purpose acquisition companies、SPAC)を2社設立したことについて述べています。

マリクが設立した最初のSPACであるコロンビエ・アクイジション・コープ(Colombier Acquisition Corp.)は、アマゾンと競合する愛国的な企業や消費者向けの大手マーケットプレイスであるPSQホールディングス(PSQ Holdings)(別名パブリックスクエア[PublicSquare])と合併した。

マリクは、ヴェンチャーキャピタリストでピーター・ティールの弟子であるブレイク・マスターズ(前述の通り1789キャピタルの顧問も務めている)と共にPSQホールディングスの取締役に就任した。

マリクと共にPSQの取締役を務めるのは、マイク・ペンス副大統領の元首席補佐官ニック・エアーズ、ジョージア州選出の元連邦上院議員でトランプの主要献金者であるケリー・ロフラーなどだ。

●ロックブリッジ・ネットワークは有権者登録に注力(The Rockbridge Network is focused on voter registration)

このNBCニューズの記事によると、ロックブリッジの2024年の主要プロジェクトの一つは有権者登録だ。

先週の会合に出席し、ロックブリッジの活動に詳しい情報筋によると、ロックブリッジ・ネットワークは2023年に12万5000人の有権者を登録し、2024年にはその倍増を目指しているとのことだ。ロックブリッジ・ネットワークは、新規登録者を対象とするプログラムに資金を提供しており、彼らが重視する問題に基づいてアプローチするとともに、「アンバサダー(ambassador)」と呼ばれるアウトリーチ体制を構築している。この体制では、10人の新規有権者それぞれに1人のオーガナイザーが割り当てられ、オーガナイザーが彼らと親交を深める。

最近、新たに設立されたスーパーPAC「アメリカPAC」が話題になった。『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、イーロン・マスクがトランプ支援のためにアメリカPACに毎月4500万ドルを寄付すると報じたことが発端だ。マスクは後にこの報道を否定した。

アメリカPACについては、初期寄付者リストの詳細と、PACが出資する主要ヴェンダー2社の概要をこちらで解説した。初期寄付者は主にテクノロジー系起業家や投資家で、ピーター・ティールやイーロン・マスクと密接な関係にある人物が多く含まれている。アメリカPACの活動は、共和党支持層に期日前投票や不在者投票を促すことに重点を置いており、ヴェンダーであるラコンター・メディア(Raconteur Media)とイン・フィールド・ストラティジーズ(In Field Strategies)は、戸別訪問、現場活動、デジタルサーヴィス、テキストメッセージ、電話サービスなどを専門としている。

ロックブリッジ・ネットワークとアメリカPACの間には直接的な繋がりは報告されていないが、両者とも有権者登録やシリコンヴァレーおよびヴェンチャーキャピタルからの資金提供といった点で共通点があることから、何らかの繋がりがある可能性は否定できない。

●共和党全国委員会が公開したシリコンヴァレーの投資家たちの写真(RNC photo of various Silicon Valley investors)

この記事を執筆中、リサーチャーのスリックロックウェブが、先に述べた人物を含む興味深い人脈を示す写真を提供してくれた。以下でさらに詳しく述べる人物たちは、現在トランプとヴァンスを支援しているテクノロジー系億万長者ネットワークに関係する人物の一部について、より詳細な情報を提供してくれる。

テディ・シュライファーがツイッター(X)で共有したこの写真には、左前から時計回りに右奥に向かって、ケン・ハウリー、シャーヴィン・ピシェヴァー、シェイン・コプラン、ドナルド・トランプ・ジュニア、オミード・マリク、デイヴィッド・サックスが写っている。

オミード・マリクとデイヴィッド・サックス、そしてドナルド・トランプ・ジュニアについて、J・D・ヴァンス、ピーター・ティール、レベカ・マーサーとの繋がりについて書いた。

以下では、この写真に写っている他の3人、ケン・ハウリー、シャーヴィン・ピシェヴァー、シェイン・コプランについて、ティール、イーロン・マスク、そして右派テクノロジー界の頭目たちとの繋がりについて、より詳しく解説する。

ケン・ハウリーは、ピーター・ティールと共にペイパルとファウンダーズ・ファンドを共同設立した。ドナルド・トランプ大統領政権下の2019年から2021年まで駐スウェーデン米大使を務めた。私は以前、アメリカPACの初期資金提供者リストについて記事を書いたが、ケン・ハウリーは25万ドルずつ4回、合計100万ドルを寄付した寄付者の1人だ。

シャーヴィン・ピシェヴァーはヴェンチャーキャピタリストで、ウーバー(Uber)とハイパーループ(Hyperloop)の投資家だった。2013年にはイーロン・マスクと共にキューバを訪問している。ピシェヴァーは2014年にハイパーループを共同設立し、イーロン・マスクが開発した技術の商業化に取り組んだ。2016年の『モスクワ・タイムズ』紙の記事によると、ピシェヴァーはロシアを訪問し、複数のロシア政府系ファンドの責任者と会談し、ウラジーミル・プーティン大統領とも直接会談したとのことだ。彼はその後、ハイパーループがロシア直接投資基金(RDIF)から2件の投資を受けていたことが問題視され、2016年にハイパーループを去った。2017年、『ブルームバーグ』誌はピシェヴァーが複数の女性から性的不正行為で告発されたと報じた。

シェイン・コプランは、スポーツ、ポップカルチャー、そして2024年のアメリカ大統領選挙への賭けを提供することで急速に成長しているベッティングプラットフォームであるポリマーケット(Polymarket)(別名ブロックラタイズ[Blockratize])の創設者だ。ポリマーケットは2回の資金調達ラウンドで7000万ドルを調達しており、その中にはピーター・ティール率いるファウンダーズ・ファンドが主導した4500万ドルや、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリンからの出資が含まれている。2022年、ポリマーケットは米商品先物取引委員会(CFTC)から、イヴェントベースのバイナリーオプションオンライン取引契約(いわゆる「イヴェントマーケット」)のための違法な未登録・未指定施設を運営していたとして、140万ドルの和解金を支払うよう命じられた。現在、ポリマーケットはアメリカ人によるプラットフォーム上での取引を禁止している。それにもかかわらず、このサイトは成長を続けており、7月の取引額は2億7500万ドルを超えた。ポリマーケットは最近、世論調査専門家のネイト・シルヴァーをアドヴァイザーとして迎え入れた。ウォールストリート・ジャーナルの記事では、この仮想通貨賭博プラットフォームの成長とリスクについて、「批判者たちは、選挙賭博が有権者の動機を歪め、選挙操作を助長するのではないかと懸念している」と述べている。

11月の大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプとJ・D・ヴァンスを支援するネットワークを暴露し続けることが不可欠だ。11月の選挙で誰が勝つかにかかわらず、このネットワークは組織化、資金調達を続け、過激な極右アジェンダの実現に向けて突き進むだろう。そして、トランプが勝利しない場合、特に民主党が連邦上院の過半数を維持できず、連邦下院でも過半数を獲得できない場合、バラク・オバマ政権時代のティーパーティー運動に似たものがハリス大統領に対して立ち上がる可能性が高いだろう。しかし今回は、右翼のテクノロジー系仮想通貨億万長者による運動、つまりJ・D・ヴァンスをトランプ陣営に送り込んだネットワークが率いるテクノファシスト政党(a techno-fascist party)になるかもしれない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体』(ビジネス社、2025年11月)では、新・軍産複合体(パランティア社、スペースX社、アンドゥリル社)について詳しく書いた。現在の第二次ドナルド・トランプ政権における重要人物である、イーロン・マスクとJ・D・ヴァンス、パランティア社の創業者であるピーター・ティールの関係についても詳しく分析した。

 軍産複合体という言葉は1961年にドワイト・アイゼンハワー大統領が退任する際の演説の中で使った言葉である。政府と軍、企業が緊密な関係を築いて、お互いに巨額な利益を生み出す関係である。そのためには緊密な人脈が重要になってくる。私は、これまでの軍複合体の形成過程について分析を行い、20世紀の財界と政界の重要人物たちが協力してきたことを明らかにした。

 アメリカ空軍は、無名に近かった二つのドローン開発企業、カリフォルニア州コスタメサのアンドゥリル・インダストリーズとサンディエゴのジェネラル・アトミックスを選び、協調型戦闘機(CCA)のプロトタイプ製造を発注した。CCAはパイロット搭乗機と連携して高リスク任務を担う次世代無人機と位置付けられ、空軍は今後十年で少なくとも千機、1機能あたりの単価約三千万ドルを調達する計画だが、この重大なプロジェクトが大手メディアでほとんど取り上げられなかった一方で、両社の受注は従来の巨大防衛企業三社(ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン)を破り、既存の軍産複合体(military-industrial complex、MIC)の支配構造を揺るがす可能性を示した。

新・軍産複合体についても同じ構図・図式となる。ピーター・ティールやイーロン・マスク、パルマー・ラッキーとJ・D・ヴァンス、更にアメリカ軍の文民幹部たちの緊密な協力関係があってこそ、新・軍産複合体は形成され、発展していく。現在は、これまでの巨大な軍事産業を中心とする古い軍産複合体が力を保持しているが、新・軍産複合体が追い上げている状況だ。アメリカ政治の大きな動きについては、これから更に研究・分析を深化させていきたい。
(貼り付けはじめ)
ペンタゴン内部の秘密戦争がトランプ世界を分裂させる可能性(A Secret War Inside the Pentagon Could Divide the Trump Universe)

-新たな軍産複合体が誕生しつつあり、その目標と利益追求者は既存のものとは大きく異なる可能性がある。

マイケル・クレア筆

2025年2月12日

『インクスティック・メディア』誌

https://inkstickmedia.com/a-secret-war-inside-the-pentagon-could-divide-the-trump-universe/
昨年4月、メディアの注目をほぼ浴びない中で、アメリカ空軍は無名のドローンメーカー2社、カリフォルニア州コスタメサのアンドゥリル・・インダストリーズとサンディエゴのジェネラル・アトミックス社を選定し、提案中の協調型戦闘機(Collaborative Combat Aircraft、CCA)のプロトタイプ版を製造させると発表した。CCAは将来の無人機で、パイロット搭乗機と共に高リスク戦闘任務に投入されることが想定されている。アメリカ空軍が今後10年間に、1機あたり約3000万ドル、少なくとも1000機の CCA を調達する予定であり、これは国防総省にとって最も費用のかかる新規プロジェクトの1つであることを考えると、この報道の少なさは驚くべきことだった。しかし、メディアが注目しなかったことはそれだけではない。CCA の契約を獲得したアンドゥリルとジェネラル・アトミックスは、アメリカ最大かつ最も強力な防衛関連企業3社、ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンを打ち負かし、既存の軍産複合体(military-industrial complex、MIC)の継続的な支配に深刻な脅威を与えている。

数十年にわたり、これら3社のような少数の巨大企業が国防総省の武器契約の大半を獲得し、毎年同じ航空機、艦船、ミサイルを生産しながら、株主たちに巨額の利益をもたらしてきた。しかし、シリコンヴァレーで誕生した、あるいはその破壊的技術革新(イノヴェイション)精神を取り入れた様々な新興企業が、収益性の高い国防総省の契約獲得をめぐり、既存企業に挑戦し始めている。この過程で、主流メディアではほとんど報じられていないが、画期的な動きが進行中だ。新たな軍産複合体が誕生しつつあり、既存のものとは全く異なる目標と利益享受者を持つ可能性がある。旧来の軍産複合体と新軍産複合体の間の避けられない戦いがどう展開するかは予測できないが、1つ確かなことがある。今後数年間で、それらが重大な政治的混乱(political turbulence)を引き起こすことは間違いない。

「軍産複合体」という概念、巨大防衛企業と連邦議会・軍部の有力者たちを結びつける存在は、1961年1月17日、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領が連邦議会と国民に向けた退任演説で初めて提唱した。冷戦下のこの時代、強力な外国の脅威に対応するため、アイゼンハワー大統領は「私たちは巨大な恒久的な軍需産業を構築せざるを得なかった」と指摘した。しかし同時に、この言葉を初めて用いて、次のように続けた。「私たちは、軍産複合体が意図的か否かを問わず、不当な影響力を獲得することに対して警戒しなければならない。誤った権力の危険な台頭の可能性は存在し、今後も続くだろう」。

それ以降、軍産複合体の権力拡大をめぐる議論はアメリカ政界を揺るがし続けてきた。数多くの政治家や著名な公人たちは、ヴェトナム、カンボジア、ラオス、イラク、アフガニスタンなどにおける一連の破滅的な海外戦争へのアメリカの介入を、軍産複合体が政策決定に及ぼす不当な影響の結果として描いてきた。しかし、こうした主張や不満が、国防総省の兵器調達に対する軍産複合体の鉄壁の支配を緩めることに成功したことは一度もない。今年度の防衛予算は約8500億ドルと過去最高を記録し、うち1432億ドルが研究開発費、さらに1675億ドルが兵器調達費に充てられる。この3110億ドルの大半は巨大防衛企業に流れ込み、地球上の他の全ての国の防衛費総額を上回っている。

時間の経過とともに、数十億ドルの国防総省契約をめぐる競争は、軍産複合体のエコシステムを淘汰し、その結果、少数の大手産業巨人が支配的な地位を築くこととなった。2024年には、ロッキード・マーティン(防衛関連収益647億米ドル)、RTX(旧レイセオン、406億米ドル)、ノースロップ・グラマン(352億米ドル)、ゼネラル・ダイナミクス(337億米ドル)、ボーイング(327億米ドル)の5社だけが、国防総省の契約の大部分を占めた。(アンドゥリル社とジェネラル・アトミックス社は、契約獲得額トップ100社のリストにさえ登場していない)。

通常、これらの企業は、国防総省が毎年購入を続けている主要な兵器システムの主要、つまり「プライム」契約業者(“prime,” contractors)だ。たとえば、ロッキード・マーティンは、アメリカ空軍の最優先事項であるF-35ステルス戦闘機(運用では明らかに期待外れであることがしばしば証明されている航空機)のプライム契約業者だ。ノースロップ・グラマンはB-21ステルス爆撃機を製造している。ボーイングはF-15EX戦闘機を生産し、ゼネラル・ダイナミクスは海軍のロサンゼルス級攻撃型潜水艦を製造している。このような「高額商品(Big-ticket)」は通常、長年にわたって大量に購入されるため、生産者は安定した利益を確保できる。こうしたシステムの初期購入が完了に近づくと、生産者は通常、同じ兵器の新ヴァージョンやアップグレイド版を開発すると同時に、ワシントンで強力なロビー活動を行い、連邦議会に新設計の資金提供を説得する。

長年にわたり、「ナショナル・プライオリティーズ・プロジェクト」や「フレンズ・コミッティ・オン・ナショナル・レギスレーション」といった非政府組織は、軍産複合体のロビー活動に抵抗し、軍事費を削減するよう連邦議員たちを勇敢に説得しようと試みてきたが、目立った成果は得られていない。しかし今、シリコンヴァレーのスタートアップ文化という新たな勢力が参入し、軍産複合体の構図は突如として劇的に変化しつつある。

昨年4月、軍産複合体の大手3社を凌駕し、協働型戦闘機の試作機製造契約を獲得した、目立たない2社のうちの1社であるアンドゥリル・インダストリーズについて考えてみよう。アンドゥリル(J・R・R・トールキンの『指輪物語』でアラゴルンが所持する剣にちなんで名付けられた)は、仮想現実(virtual-reality)ヘッドセットの設計者であるパルマー・ラッキーによって2017年に設立され、人工知能(AI)を新型兵器システムに組み込むことを目指している。この取り組みは、ファウンダーズ・ファンドのピーター・ティールや、防衛関連のスタートアップ企業パランティア(これも『ロード・オブ・ザ・リング』に由来する名前)の代表者など、シリコンヴァレーの著名な投資家たちの支援を受けた。

ラッキーとその仲間たちは当初から、従来の防衛関連企業を排除し、ハイテク新興企業のためのスペースを確保しようと努めてきた。この2社をはじめとする新興テクノロジー企業は、長年にわたり、多数の弁護士を擁し、政府の書類処理に精通した巨大防衛関連企業に有利になるように作成されていたため、国防総省との主要契約から締め出されることがしばしばあった。2016年には、パランティアは米陸軍が大規模なデータ処理契約の選定を拒否したとして訴訟を起こし、後に勝訴した。これにより、将来的に国防総省から契約を獲得する道が開かれた。

アンドゥリルは、その積極的な法的姿勢に加え、創業者であるパルマー・ラッキーの率直な意見表明によっても名声を得ている。他の企業幹部が国防総省の活動について議論する際には通常、言葉遣いを控えるのに対し、ラッキーは、将来の紛争で中国とロシアを圧倒するために必要だと考える先進技術への投資を犠牲にして、伝統的な防衛関連企業との協力を国防総省が根強く好んでいることを公然と批判した。

ラッキーは、そのような技術は民間技術産業でしか入手できないと主張した。「大手防衛関連請負業者は愛国心旺盛な人材を抱えているが、必要な技術を開発するためのソフトウェアの専門知識やビジネスモデルは持ち合わせていない」と、ラッキーとアンドゥリル社の幹部たちは2022年のミッションドキュメントで次のように主張した。「これらの企業は仕事が遅いが、優秀な[ソフトウェア]エンジニアはスピード重視だ。そして、敵よりも速く開発できるソフトウェアエンジニアの才能は、大手防衛関連企業ではなく、民間部門に存在するのだ」。

ラッキーは、軍の近代化(military modernization )の障害を克服するには、政府が契約規則を緩和し、防衛関連のスタートアップ企業やソフトウェア企業が国防総省と取引しやすくする必要があるとして次のように主張した。「スピードのある防衛企業が必要だ。それは単に願うだけでは実現しない。はるかに寛容な国防総省の政策によって、企業が動くようインセンティヴが与えられる場合にのみ実現する」。

こうした議論やティールのような重要人物の影響によって、アンドゥリル社は軍や国土安全保障省から小規模ながらも戦略的な契約を獲得し始めた。2019年には、日本と米国の基地にAIを活用した境界監視システムを設置する海兵隊の小規模契約を獲得した。1年後には、アメリカ・メキシコ国境に監視塔を建設する5年間2500万ドルの契約を税関・国境警備局(Customs and Border Protection、CBP)から獲得した。2020年9月には、同国境沿いにさらに監視塔を建設する3600万ドルの契約も税関・国境警備局から獲得した。

その後、より大きな契約が次々と舞い込むようになった。2023年2月には、国防総省がウクライナ軍への納入用にアンドゥリル社のアルティウス600監視・特攻ドローンの購入を開始し、昨年9月には陸軍が戦場監視作戦用にGhost-Xドローンを購入すると発表した。アンドゥリル社は現在、小型の偵察・攻撃ドローンの一斉発射を目的とした中型ドローン「エンタープライズ・テスト・ビークル」の試作機を開発するために空軍に選ばれた4社の1社でもある。

アンドゥリル社は国防総省から大型契約を獲得し、その成功は防衛関連スタートアップ企業の成長期待から利益を得る機会を模索する富裕層投資家の関心を集めている。2020年7月には、ティールのファウンダーズ・ファンドとシリコンヴァレーの著名投資家アンドリーセン・ホロウィッツから新たに2億ドルの投資を受け、企業価値は20億ドル近くにまで上昇した。1年後には、これらのヴェンチャーキャピタル企業やその他のヴェンチャーキャピタル企業からさらに4億5000万ドルを調達し、推定企業価値は45億ドル(2020年の2倍)に達した。それ以来、アンドゥリル社への資金流入は拡大しており、民間投資家による防衛関連スタートアップ企業の台頭を後押しし、その成長が現実のものとなった暁には利益を得ようとする動きが勢いを増している。

アンドゥリル社は、大型防衛契約の獲得と資本注入に成功しただけでなく、国防総省の多くの高官に対し、国防スタートアップ企業やテクノロジー企業のための余裕を創出するために、国防総省の契約業務改革の必要性を納得させることにも成功した。2023年8月28日、当時国防総省で2番目に高官だったキャスリーン・ヒックス国防副長官は、軍への先進兵器の配備を迅速化することを目的とした「レプリケーター」構想(the “Replicator” initiative,)の開始を発表した。

「(私たちの)予算編成と官僚的な手続きは遅く、煩雑で、複雑怪奇だ」とヒックスは認めた。こうした障害を克服するため、レプリケーター構想は煩雑な手続きを簡素化し、スタートアップ企業に直接契約を交付することで、最先端兵器の迅速な開発と供給を実現すると彼女は示唆した。「私たちの目標は技術革新の種を蒔き、火をつけ、燃え上がらせることだ」とヒックスは宣言した。

ヒックスが示唆したように、レプリケーター契約は確かに連続したバッチ、つまり「トランシェ」で交付される。昨年5月に発表された最初のトランシェには、エアロバイロンメント社製のスイッチブレード600カミカゼドローン(標的に衝突し、接触すると爆発することからこの名がつけられている)が含まれていた。アンドゥリル社は、11月13日に発表された第2回の資金提供で3つの勝利を収めた。国防総省によると、この資金提供には、陸軍のゴーストX監視ドローン購入、海兵隊のアルティウス600特攻ドローン取得、そして空軍のエンタープライズ・テスト・ビークル開発への資金が含まれており、アンドゥリル社は参加ヴェンダー4社のうちの1社である。

おそらく同様に重要なのは、ヒックスがパーマー・ラッキーの示した国防総省の調達改革の青写真を支持したことだろう。「レプリケーター構想は、技術革新への障壁を明らかに低減し、戦闘員に迅速に能力を提供している」とヒックスは11月に断言した。「私たちは従来型および非従来型の防衛・テクノロジー企業を含む幅広い企業に機会を創出している・・・そして、それを繰り返し実行できる能力を構築している」。

*
キャスリーン・ヒックス国防副長官は、ドナルド・トランプがホワイトハウスに復帰した2025年1月20日、多くの高官たちと同様に国防副長官を辞任した。新政権が軍事調達問題にどう取り組むかはまだ不明だが、イーロン・マスク氏やJ・D・ヴァンス副大統領など、トランプ政権の高官の多くはシリコンヴァレーとの繋がりが強く、レプリケーター構想のような政策を支持する可能性が高い。

先日国防長官に指名されたFOXニューズの元司会者ピート・ヘグゼスは兵器開発の経歴がなく、この件についてほとんど発言していない。しかし、トランプが副長官(そしてヒックス氏の後任)に選んだのは、サーベラス・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者(CIO)として軍事スタートアップ企業ストラトローンチを買収した億万長者の投資家スティーヴン・A・ファインバーグだ。これは、彼がレプリケーター構想のようなプログラムの拡大を支持する可能性を示唆している。

ある意味、トランプ政権の今回の動きは、国防総省に関して言えば、これまでのワシントンのパターンに当てはまると言えるだろう。大統領と連邦議会の共和党支持者たちは、国防予算が既に過去最高水準に達しているにもかかわらず、間違いなく国防費の大幅な増額を推し進めるだろう。こうした動きは、従来の元請け企業であれ、シリコンヴェレーの新興企業であれ、あらゆる兵器メーカーに利益をもたらすだろう。しかし、トランプと共和党が支持する減税やその他の高額な対策を賄うために国防費が現状水準に維持されれば、軍産複合体の2つの形態の間で激しい競争が再び勃発する可能性は容易に考えられる。そうなれば、トランプの側近たちの間で分裂が起こり、旧軍産複合体支持者と新軍産複合体支持者が対立する事態に発展する可能性がある。

一般的に、選挙資金は古くからの軍産複合体企業からの献金に依存している共和党議員の大半は、このような競争では主要な元請け企業を支持せざるを得ない。しかし、トランプの主要な側近である J・D・ヴァンスとイーロン・マスクの2人は、彼に反対の方向へと働きかける可能性がある。ピーター・ティールやその他のテクノロジー業界の大富豪たちによる強力なロビー活動の結果、トランプの副大統領候補となったとされる、シリコンヴァレーの元幹部であるヴァンスは、かつての同盟者たちから、国防総省との契約をアンドゥリル、パランティア、および関連企業にもっと振り向けるよう促される可能性が高い。ヴァンスのプライヴェート・ヴェンチャー・ファンドであるナリヤ・キャピタル(そうだ、これも『指輪物語』に由来する名前だ!)が、アンドゥリルやその他の軍事・宇宙関連ヴェンチャー企業に投資していることから、それはまったく驚くことではないだろう。

トランプによって、まだ設立されていない政府効率化省の責任者に指名されたイーロン・マスクは、アンドゥリルのパーマー・ラッキーと同様に、自身の企業であるスペースXの契約を獲得するために国防総省と争い、国防総省の伝統的なやり方に深い軽蔑を表明してきた。特に、AI制御のドローンの能力が高まっているにもかかわらず、高価で一般的に性能の悪いロッキード社製のF-35ジェット戦闘機を酷評している。その進歩にもかかわらず、彼が現在所有するソーシャルメディアプラットフォーム「X」に「一部の馬鹿たちは、F-35のような有人戦闘機を作り続けている」と投稿している。続く投稿で彼は「いずれにせよ、有人戦闘機はドローンの時代には時代遅れだ」と付け加えた。

F-35に対する彼の批判はアメリカ空軍を怒らせ、ロッキードの株価は3%以上下落した。「私たちは、世界最先端の航空機であるF-35と、その比類なき性能を、政府および業界パートナーと協力して提供することに全力を尽くしています」と、ロッキードはマスクのツイートに対して声明を発表した。一方、国防総省では、フランク・ケンドール空軍長官が次のように述べている。「私は、エンジニアとしてのイーロン・マスクを非常に尊敬している。彼は戦闘員ではなく、このような大々的な発表を行う前に、この事業についてもう少し学ぶ必要があると思う」と述べた。さらに、「F-35が置き換えられることはないと私は考えている。購入を継続し、アップグレイドも続けるべきだと思う」と付け加えた。

トランプ大統領は、F-35や国防総省予算のその他の高額項目について、まだ立場を明らかにしていない。トランプ大統領は、この航空機の購入を遅らせ、他のプロジェクトへの投資拡大を求めるかもしれない(あるいは求めないかもしれない)。それでも、伝統的な防衛請負業者が製造する高価な有人兵器と、アンドゥリル、ジェネラル・アトミックス、エアロバイロンメントなどが製造するより手頃な無人システムとの間にある、マスクが露呈した分断は、新たな軍産複合体が富と権力を増大させるにつれ、今後数年間で確実に拡大していくだろう。旧来の軍産複合体が自らの優位性に対するこの脅威にどう対処するかは未知数だが、数十億ドル規模の兵器メーカーが抵抗なく退くことはまずないだろう。そしてその対立は、トランプ世界を分断することになるだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権の目玉政策にゴールデンドーム・ミサイル防衛システム(Golden Dome missile shield)がある。政権発足直後の2025年1月27日に、トランプ大統領はゴールデンドーム計画を発表した。これは、イスラエルのミサイル防衛システムであるアイアンドームをアメリカに適用する計画だ。国土の大きさを考えると、大規模な計画になり、約1850億ドル(約30兆円)規模の大型プロジェクトである。私は拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(2025年11月、ビジネス社)でゴールデンドーム計画について分析を行った。そして、これは、ピーター・ティールが率いるパランティア・テクノロジーズ社、イーロン・マスクが率いるスペースX社、パルマー・ラッキーが率いるアンドゥリル・インダストリーズ社が重要や役割を果たす、特に、オペレイティングシステムで重要な役割を果たすと書いた。

 以下の記事にあるように、パランティア社とアンドゥリル社がゴールデンドーム計画のソフトウェア開発を行っているということが報道された。この約30兆円に及ぶ巨大プロジェクトの根幹を両社が請け負うということである。さらに私は両社は長期的にゴールデンドーム計画に関与し、長期契約(サブスクリプション)で安定して利益を上げるということを目指しているとも書いた。実際にその通りに動いているようだ。

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

 何度も宣伝になり申し訳ないが、是非、拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』をお読みいただきたい。

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アンドゥリル社とパランティア社がゴールデンドーム・ミサイル防衛システムのソフトウェアを開発中と情報源が述べる(Anduril, Palantir developing Golden Dome missile shield's software, source says)

ロイター通信

2026年3月25日

https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/anduril-palantir-developing-golden-dome-missile-shields-software-source-says-2026-03-24/

2026年3月24日(ロイター通信)。米大統領ドナルド・トランプが推進するミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」構想向けソフトウェアの開発で、アンドゥリル社とパランティア・テクノロジーズ(PLTR.O)社が協力しているとこのテーマに詳しい取材源が火曜日に取材に対して答えた。

1850億ドル規模のゴールデンドーム・ミサイル防衛計画(Golden Dome missile defense project)は、弾道(ballistic)ミサイル、巡航(cruise)ミサイル、極超音速(hypersonic)ミサイルを迎撃できる宇宙配備型防衛システムの構築を目指しており、数百社が防衛システム開発で役割を果たそうとして競っている。

アンドゥリル社とパランティア社は、ゴールデンドーム構想の発足当初から参画に関心を示してきた。ロイターは昨年、アンドゥリル社とパランティア社がイーロン・マスクの率いるスペースX社と共同でプロジェクトの様々な部分で協力していると報じた。

アンドゥリル社は昨年(2025年)11月、ゴールデンドーム関連の小規模契約を6件獲得し、競合するミサイル防衛システムの試作機を開発する企業の1つにも選ばれた。情報源によると、アーリリア・テクノロジーズ社(Aalyria Technologies)、スタートアップ企業のスケールAI(Scale AI)、そしてソフトウェア企業のスウープ・テクノロジーズ社(Swoop Technologies)もこのプロジェクトに取り組んでいるという。

各社はロイターのコメント要請に期日までに応じなかった。この件は『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が火曜日に最初に報じた。

ロッキード・マーティン社(LMT.N)、RTX社(RTX.N)、ノースロップ・グラマン社(NOC.N)は既に主契約企業としてこのプログラムに参加している。

プログラムの責任者は先週、主要な宇宙関連能力の開発を加速させるため、プロジェクト費用が100億ドル増の1850億ドルになったと述べた。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 私は昨年11月末に著書『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』を出した。著作の中で私は次のように主張した。ピーター・ティール率いるビッグデータ分析やAI開発のパランティア・テクノロジーズ社、イーロン・マスク率いる宇宙開発のスペースX社、パルマー・ラッキー率いるドローン開発のアンドゥリル・インダストリーズ社が「新・軍産複合体(Neo Military-Industrial Complex)」を形成し、アメリカ政府とアメリカ軍に食い込む形で、大型契約を締結し、巨額の利益を生むということになる。その具体例が「ゴールデンドーム」という、ドナルド・トランプ大統領が発表した、アメリカ全土を防衛するシステムである。このシステムの重要な点は、長期契約(サブスクリプション契約)によって、長期にわたり、巨額の利益を上げる点にある。そして、彼らは大規模な戦争を忌避するだろう。新・軍産複合体は長期契約で利益を上げるが、米中衝突などの大規模な演奏は望まないし、そのようなことになったら、技術提供を止めるなどして阻止することになるだろう。


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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

 今回のイラン攻撃は大規模攻撃である。私の主張の一部は外れているという指摘があるだろう。しかし、今回のイラン攻撃について、イスラエルとアメリカの目論見は、最初の一撃でイランを屈服させるというものであった。しかし、それが外れてしまい、大規模化、長期化せざるを得なくなった。アメリカはこのような形になることを望んでいなかったし、想定していなかった。

 以下の論稿は、私の主張の正当性を担保してくれる内容になっている。「サブスクリプション」という言葉も出てくる。最先端の高度技術を提供する民間企業が政府の政策遂行、軍の作戦遂行においてイニシアティヴを取るという時代がそこまで来ている。最後に宣伝になって恐縮だが、是非、拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』をお読みください。よろしくお願いいたします。

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スターリンクは地政学を民営化した(Starlink Has Privatized Geopolitics)

-ウクライナからイランまでイーロン・マスクのサーヴィスは外交政策の仲裁者(an arbiter)となった。

ロバート・ムガー、ミシャ・グレニー筆

2026年3月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/20/starlink-spacex-musk-geopolitics-war-ukraine-russia-iran/

starlinkforeignpolicy001

ウクライナのドネツクで戦闘任務中にウクライナ兵がスターリンク衛星モデムを調整している(2025年3月12日)

スターリンクは単なる商用通信サーヴィスではない。それは、戦争をいかに戦われるか、国内の混乱へ国家は以下に対処するか、そして政府の統治が及ばない分野において犯罪組織が如何に活動するかについて、ますます左右する戦略的インフラ(strategic infrastructure)になっている。スターリンクが政治的にこれほど重要な意味を持つのは、その地球規模のネットワーク網だけでなく、その背後にあるガヴァナンスモデルにもある。

今や民間企業が軌道上のゲートキーパーとなり、誰が、どこで、どのような条件で、どのような技術的制約の下で接続できるかを決定する役割を担っている。多くの紛争において、こうした決定は軍事的、政治的な影響を及ぼし、国家はそれを再現したり制御したりすることが困難になっている。多くの戦略的サプライチェインが民間企業に依存している現状において、スターリンクは公共の安全保障機能に対する民間企業の裁量権が極めて集中している事例と言えるだろう。

スターリンクの地政学的な重要性は、その規模に比例する。2025年12月中旬時点で、軌道上には9357基のスターリンク衛星が存在していた。 2026年1月、アメリカ連邦通信委員会(FCC)はスペースXに対し、第2世代衛星7500基の追加配備を承認した。これにより、スペースXの衛星総数は約17000基となる。スペースXは以前から、最大42000基の衛星運用を目指すという野心を表明してきた。

スターリンクのサーヴィス提供範囲も拡大している。現在、160の市場でサーヴィスを展開しており、その決定に対処しなければならない軍、通信規制当局、法執行機関の数も増加している。競合他社と比較すると、スターリンクの圧倒的な優位性はより明確になる。低軌道における最大のライヴァルであるユーテルサット・ワンウェブ(Eutelsat OneWeb)は約650基の衛星を運用している一方、アマゾンのカイパー衛星群(Amazon’s Kuiper constellation)は2月時点でわずか200基強にとどまっている。スターリンクは事実上の独占状態にあり、当面の間、競合相手は存在しないことになる。

スターリンクは現在、世界中で1000万人以上のアクティヴユーザーを抱えていると発表しており、スペースXは2026年末までにその数を倍以上に増やすことを目標としている。その成長は、米国のT-Mobileをはじめとする携帯電話事業者との提携によってさらに加速しており、ドイツテレコムは2028年からヨーロッパでスターリンクを利用した衛星通信サーヴィスを開始する予定だ。

スターリンクの商業的な強みは、地上基地局や光ファイバー網が届かない農村部、遠隔地、災害被災地への接続にある。しかし、こうした重要な通信レイヤーを支配することで、スターリンク社は地政学的に大きな影響力を持つことになる。特に紛争、緊急事態、そして接続性が軍事、政治、人道的な結果を左右するあらゆる状況において、その影響力は顕著になる。

ウクライナ情勢は、スターリンクが戦場の通信にどのような影響を与え、戦略的な依存関係を生み出すかを示す、これまでで最も明確な事例と言えるだろう。2022年のロシアによる本格的な侵攻で地上ネットワークが機能停止した後、ドローン、分散型指揮、迅速な標的設定サイクルが特徴的なこの戦争において、スターリンク端末は運用インフラとなった。2025年初頭までに、ウクライナは少なくとも4万7000台のスターリンク端末を確保したが、その大部分はポーランド、ドイツ、アメリカ、そしてスペースX自身を含むパートナー国政府やその他の支援国から供給されたものだった。安定したモバイル帯域幅がなければ、ウクライナ軍はドローン映像の送信、兵站の調整、そしてこの紛争の特徴である分散型火力支援ネットワークの維持ができなかった。これらの端末は単なる利便性ではなく、効果的な抵抗のための必要条件だったのだ。

この依存関係は即座に攻撃対象領域を生み出した。ロシア軍は第三者ルートを通じてスターリンクへのアクセス権を取得したと報じられており、2024年にはロシア支配地域におけるスターリンクネットワークの利用が繰り返し懸念事項となった。問題は深刻で、スペースXとウクライナ国防省は不正接続を抑制するために認証管理を導入した。ウクライナ当局は、前線におけるロシア軍の利用が阻害されたと述べ、軍事顧問たちは、この影響はロシア軍の作戦にとって重大な後退であると評した。

この一連の出来事は示唆に富む。企業内のエンジニアが商業アクセスに関する方針に基づいて下した決定が、実戦中の戦争における戦術的バランスを崩した。条約による承認も、議会での採決もなかった。その決定を左右したのは、一企業の利用規約(a firm’s terms of service)だった。

戦略的、地政学的な側面はさらに深刻だ。2025年初頭、アメリカの交渉担当者は、ウクライナが重要な鉱物資源に関する合意を受け入れなければ、スターリンクへのアクセスを制限するとア圧迫を与えたとされる。スペースXのオーナーであるイーロン・マスクは関連性を否定したが、圧迫の信憑性と、それがキエフにもたらした不安は、その具体的な内容よりも重要だった。

すでに前例があった。2022年、マスクは、ロシア占領下のクリミア半島近辺でのスターリンクの通信網をウクライナ海軍のドローン作戦支援のために提供することを拒否したと報じられている。その理由として、事態のエスカレーションに関するリスクについて個人的な見解を挙げた。民間供給業者が個人的な直感に基づいて、最前線の国家が実施できる作戦を決定できる場合、その関係はもはや商業的なものではなくなる。それは主権の委譲であり、説明責任を負わない行政機関によって行使される戦略的機能である。

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衛星放送受信アンテナが点在するテヘラン中心部の住宅街の窓(2026年1月20日)

イランは、スターリンクの地政学的影響を示すもう1つの事例である。2026年1月に大規模な抗議デモが発生した後、イランの政権は史上最長かつ最も厳しいインターネット遮断を実施し、国内の接続率を通常の約4%にまで低下させた。近年、密輸され闇市場で取引された数万台のスターリンク端末は、弾圧の様子を外部に伝える重要な経路となったようだ。イラン国内の利用者には利用料が免除されたと報じられており、トランプ政権はスターリンク端末約6000台を密かにイランに持ち込んだ。これらの端末は単なる消費財としてではなく、アメリカの外交政策の手段として利用された。

テヘランの対応は前例のないものだった。政府当局は、地上妨害装置、GPSスプーフィング装置、携帯電話妨害装置を各地域に配備した。報道によると、治安当局は戸別訪問による捜索を行い、ドローンや情報提供者を使って衛星アンテナや端末の位置を特定し、利用者をスパイ容疑で告発した。イラン議会は既に、スターリンク端末の無許可所持・使用を犯罪と定めており、軽微な違反には懲役刑、スパイ行為や協力行為には死刑を含むさらに厳しい刑罰を科すことを規定していた。イランは国際電気通信連合(ITU)に対し、スターリンクが国家主権を侵害しているとして正式に提訴していた。

第2段階は2月28日に始まり、アメリカとイスラエルがイランの軍事施設、核施設、政府機関を標的とした共同攻撃を開始した。最高指導者アリ・ハメネイ師の暗殺は、イランによるイスラエル、中東各地のアメリカ軍基地、湾岸諸国、その他複数の国へのミサイルとドローンによる報復攻撃を引き起こした。イラン国内の通信状況はさらに悪化し、通常の約1%にまで低下した。

この段階において、スターリンクの役割はまさに矛盾をはらんだものとなった。密輸された端末によって、一部のイラン人は政府庁舎への攻撃を記録し、通信規制の努力にもかかわらず映像を拡散することができた。しかし、衛星通信へのアクセスは反体制派に限られていた訳ではないようだ。従来のネットワークが劣化するにつれ、スターリンクは国家と関係のある主体によっても利用された可能性がある。サイバーセキュリティ研究者たちは、インターネット遮断期間中、イラン情報保安省に関連する一部の活動がスターリンクのIPアドレス範囲から発信されていたと指摘している。同時に、イラン政府当局は検閲を回避しようとする市民によるスターリンクへのアクセスを妨害または低下させていたと報じられている。

また、別のサイバーセキュリティグループは、スターリンクを装った罠を利用した監視マルウェアを特定した。これは、同じ通信プラットフォームが抗議活動参加者、監視活動者、そして国家と関係のあるサイバー攻撃者によってどのように利用されうるかを示している。

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カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた28基のスターリンク衛星を搭載したスペースX社のファルコン9ロケットが上昇している(2025年9月28日)

米国防総省は、イランを、低軌道システムが持続的な電子妨害や戦時下の混乱下でどのように機能するかを示す好例として捉えている。持続的な圧力によってスターリンクの耐障害性が著しく低下する可能性があるならば、例えば台湾におけるスターリンクの役割を支える前提は見直される必要がある。これはシステムの有用性を損なうものではない。単に、ネットワークが宇宙空間にあるというだけで耐障害性が保証される訳ではないことを意味する。

スターリンク技術は、犯罪組織や反乱組織のネットワークにも浸透しつつある。犯罪組織は、分散型通信の力を活用して作戦を遂行しようとしている。統治能力が低く、スペースXに対する影響力も乏しい脆弱な国家にとって、課題は喫緊の課題だ。通信網が地上の基地局やケーブルではなく、上空から提供されるようになると、遠隔地や紛争地域でのアクセス規制が困難になり、民間事業者がどのような条件で協力してくれるのかを交渉することもさらに難しくなる。

ブラジルのアマゾン熱帯雨林は、その具体的な例を示している。2025年6月、ブラジル連邦検察庁は、違法採掘や犯罪行為におけるスターリンクサーヴィスの利用を抑制するため、スターリンクと協定を締結した。この協定では、アマゾン地域における新規利用者に対し、身分証明書と居住証明の提出を義務付け、捜査対象となっている端末に関するデータをブラジル当局と共有することを認めている。また、違法行為に関与している疑いのある端末については、サーヴィスが停止される可能性がある。ブラジル環境庁の作戦調整官であるヒューゴ・ロスは、犯罪組織がスターリンクを利用して取締チームのリアルタイム位置情報を送信し、摘発を予測したり、現場の職員の安全を脅かしたりしていたことを指摘している。ブラジルは実行可能な合意を取り付けたものの、それは問題が環境犯罪の現場に深く根付いた後のことだった。

メキシコの組織犯罪の状況は、関連するリスクを示唆している。麻薬カルテルは、アメリカ国境沿いで拡大する技術軍拡競争の中で、密輸、監視、治安部隊への攻撃にドローンを活用している。このエスカレーションは、今や民間空域管理にも波及している。2026年2月、アメリカ連邦航空局(FAA)は、アメリカの対ドローン対策の展開への懸念から、テキサス州エルパソ周辺の空域を突然閉鎖したが、数時間後に制限を解除した。この一件は、犯罪組織によるドローンの脅威が、戦術的な安全保障対応だけでなく、深刻な外交的・航空的混乱を引き起こしかねないことを示した。

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左:メキシコ陸軍の対ドローン特殊部隊がメキシコ・ナウカルパン州で報道陣向けにデモンストレーションを行った(2026年2月17日)右:チャド・アドレの難民キャンプで、仮設小屋の横に設置されたソーラーパネルがスターリンク回線に電力を供給している(2026年2月19日)

アフリカのサヘル地域では、状況はさらに深刻だ。イスラム国家ジャマート・ナスル・アル・イスラム・ワル・ムスリミン(JNIM)やイスラム国西アフリカ州(ISWAP)などの反政府勢力は、リビアとナイジェリアからマリ、ニジェール、その他の紛争地域へとスターリンク機器の違法な供給網を構築している。2024年6月、JNIMはマリのガオ地域での作戦中にスターリンク端末が使用されている様子を映した動画を公開した。昨年(2025年)、ナイジェリア軍はボコ・ハラムに対する襲撃作戦で、サンビサ森林地帯の司令官からスターリンクの機器を押収した。

2025年を通して、ジハード主義グループは衛星通信をますます活用し、分散した部隊の連携、プロパガンダの配信、そして地上ネットワークに対する国家統制によって恩恵を受けていた傍受型監視の回避を図った。ニジェールとチャドは監視体制強化のため、2025年初頭にスターリンクの合法化と規制に着手したが、密輸ネットワークは今後も存続する可能性が高い。

スターリンクは宇宙分野における唯一の存在ではない。商業宇宙セクターは、国​​家防衛と軍事力にとってますます重要な役割を担うプレーヤーで溢れている。その結果、各国が同時に受け入れ、統制しようとする戦略的サーヴィスの市場が拡大している。通信分野では、イリジウムが防衛通信に深く根付いている。2024年、スターリンク社は合えりか宇宙軍と、高度なモバイル衛星サーヴィスとその維持管理に関する5年契約を発表した。これは、見通し外通信における商用プロバイダーへの依存が続いていることを示している。

ユーテルサット・ワンウェブとアマゾンのカイパー衛星群も防衛・政府市場で競合しており、ヨーロッパ連合(EU)のIRIS2構想は、EUの主権能力強化への野心を反映している。マクサール(Maxar)、プラネット(Planet)、ブラックスカイ(BlackSky)の商用画像データは、カペラ(Capella)とICEYEのレーダーデータとともに、軍事目標設定と状況認識に組み込まれている。

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ウクライナのロボティネ近郊の最前線の雪原に立つスターリンクデヴァイス。ドローン偵察・攻撃部隊の一部(2024年1月23日)

近年の紛争は、こうした仕組みをさらに深化させている。商用衛星、端末、データ契約は、今や軍事サプライチェインの一部となっている。そして、弾薬や防空システムと同様に、政治的圧力によってその供給が制限、転用、あるいは兵器化される可能性がある。商用宇宙は、国家が権力を行使し、また抑制する手段の一部になりつつある。

イランが最も鮮明に露呈させたのは、ウクライナやその他のスターリンク利用事例で部分的にしか明らかにならなかった統治上の欠陥である。国際人道法は、国家に対し軍事目標と民間目標を区別することを求めているが、午前中に反体制派に利用されていた端末が、午後には軍事攻撃を支援するために利用される可能性もある。

国連憲章の下で、商用衛星ネットワークの妨害行為を武力行使とみなすべきかどうかを判断するための、確立された国際的な枠組みは存在しない。商用機器の秘密裏の配備が情報戦行為に該当するか否かを規定する規則もない。CEOの意見が戦場の結果を左右する場合、民間事業者の責任を問う仕組みも存在しない。また、リアルタイムで民生用と軍事用を行き来するシステムを運用する商用衛星事業者の義務についても、明確な合意は得られていない。

戦略的な接続性は、もはや地理的な問題ではなく、ガヴァナンスの問題となっている。帯域幅は軌道上から供給され、情報はサブスクリプション方式(subscription)で購入される。主権(sovereignty)は、民間企業との関係、交渉によるアクセス協定、そして争点となる技術的設定を通じて、ますます行使されるようになっている。商用衛星インフラを、それに伴う規律、冗長性、そして法的枠組みといったあらゆる要素を含めた戦略的依存関係として扱わない国家は、危機に際して、その依存関係が他国によって管理されることを覚悟しなければならないだろう。

スターリンクの新たな地政学は既に始まっている。問題は、各国がそれを統治するのか、それとも単に反応するだけなのか、ということである。

※ロバート・ムガー:「セクデヴ」グループ最高責任者、イグナイト研究所共同創設者、ロバート・ボッシュ・アカデミー研究員。著述家であり、イアン・ゴールデンとの共著『未知の地:今後100年を生き抜くための100枚の地図(Terra Incognita: 100 Maps to Survive the Next 100 Years)』がある。Xアカウント:@robmuggah

※ミシャ・グレニー:人間科学研究所所長。多くの著作があり、『マクマフィア:深刻な組織犯罪(McMafia: Seriously Organised Crime)』と『宿敵:ブラジル最重要指名手配犯の追跡(Nemesis: The Hunt for Brazil’s Most Wanted Criminal)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2028年の大統領選挙に向けて水面下で動いている。以下の記事は1年前の記事だが、重要なキーワードは「アンドゥリル社」「パルマー・ラッキー」「ジョン・ハステッド」である。オハイオ州は大統領選挙における激戦州(battleground state)の1つである。そして、重要なのは、J・D・ヴァンス副大統領の出身地であり、副大統領に就任するまでは、オハイオ州選出の連邦上院議員を務めていた。ヴァンスが副大統領就任のため連邦上院議員を辞職して、その後釜となったのが、下の記事に出てくるジョン・ハステッド州副知事(当時)である。
koizumishinjiropalmerluckey101

また、今年2026年にはオハイオ州知事選挙が実施される予定になっているが、共和党側の候補者としてトップランナーになっているのが、ヴィヴェック・ラマスワミである。ラマスワミは2024年大統領選挙共和党予備選挙で無名の泡沫候補であったがトランプ支持を表明しながらの選挙戦で人気を高めた。そして、第二次ドナルド・トランプ政権では、イーロン・マスクと共に政府効率化省(Department of Government Efficiency、DOGE)のトップを務めることが決まっていた。しかし、オハイオ州知事選挙の準備に集中するということで辞退していた。ラマスワミはインド系移民の子供としてオハイオ州で生まれ育ち、ハーヴァード大学卒業後に、イェール大学法科大学院に進学した。イェール大学大学院でJ・D・ヴァンスと同級生となり、親友となった。ヴァンスとラマスワミは法科大学院世時代に、パランティア社創業者にして、「ペイパル・マフィア」の総帥であるピーター・ティールの知己を得ている。さらに、アンドゥリル社と創業者パルマー・ラッキーは、ピーター・ティールとイーロン・マスク、更にヴァンスからの支援を受けて、アンドゥリル社を創業した。これらのことは拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年)で詳しく解説した。是非お読みいただきたい。
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 アンドゥリル社が向上をオハイオ州に建設し雇用を創出する、オハイオ州は補助金や優遇税制で支援するという形で「ウィン・ウィン」の関係を築いている。そして、これは大きくは、ラマスワミの2026年のオハイオ州知事選挙(既に、ドナルド・トランプ、J・D・ヴァンス、イーロン・マスクからの支持表明がなされている)、2028年のJ・D・ヴァンスの大統領選挙のために布石ということになる。パルマー・ラッキーにしてみれば、J・D・ヴァンスが大統領になることで、トランプから継続して、アメリカ政界に食い込み、大きな利益を得るための布石ということが出来る。新・軍産複合体の伸長が長期的に進んでいる。

(貼り付けはじめ)

AI兵器軍がオハイオ州へ向かう(The AI weapon army goes to Ohio)

-コロンバスに計画されている大規模なアンドゥリル社工場はドローンによる雇用創出を約束し、州から約5億ドルの補助金を受ける予定だ

スタヴロウラ・パブスト筆

2025年2月20日

『レスポンシブル・ステイトクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/anduril-ohio/

兵器技術業界の新しいスターであるアンドゥリル・インダストリーズ社がオハイオ州の支援を受けてオハイオ州に進出する。

先週、オハイオ州管理委員会は、オハイオ州開発局のオール・オハイオ・フューチャー・ファンドからの7000万ドルという巨額の資金提供を承認した。これは、アンドゥリル社がオハイオ州コロンバスのリッケンバッカー空港近くに建設を計画している、500万平方フィート(約460万平方メートル)の「ハイパースケール」製造施設「アーセナル1」と呼ばれる兵器工場建設のための資金である。

この資金提供は、管理委員会の会合で異議なく承認されたが、州下院議員トリスタン・レーダー(レイクウッド選挙区選出、民主党)が「多額の公的資金」が「民間の開発に流れている」と認めたこと以外は、ほとんど話題にもならなかった。

●オハイオ州がアンドゥリル社を全面支援(Ohio goes all in for Anduril)

アーセナル1の推進派は、このプロジェクトがオハイオ州民にもたらす経済的利益を大々的に宣伝している。4000人の雇用創出を約束するアーセナル1は、オハイオ州史上最大の雇用創出プロジェクトとして称賛されている。州はアンドゥリル社に対し、約4億55000万ドルの減税措置を承認しており、アンドゥリル社自身もこのプロジェクトに約10億ドルを投資する予定だ。2026年半ばに操業開始予定のこの工場は、近隣のリッケンバッカー空港で製品の試験・開発を行うことも可能になる。

​​「私たちはアンドゥリル社を歓迎し、最先端の防衛製造業における数千人の新規雇用創出を祝福する」と、オハイオ州副知事ジョン・ハステッドは1月、アンドゥリル社がオハイオ州への進出を表明した後にこのように述べた。さらに「この投資は、先端技術と国家安全保障におけるオハイオ州のリーダーとしての地位を強化するものだ」と述べた。

アンドゥリルがアーセナル1で実際に提案しているのは、ほとんど精査されないという点だ。しかし、倫理的に問題のある自律型および半自律型兵器の大量生産計画は精査に値する。

自律型兵器システムに関する懸念は、概して、致命的な意思決定を人間から、おそらく判断力に乏しく、しばしば不正確な機械へとアウトソーシングすることにある。AI研究者たちはまた、AI技術の軍事化によって、戦闘(そして死)の責任が人間から戦闘用の自律型機械へと移行され、各国の紛争回避意欲が低下する可能性を懸念している。

こうした懸念にもかかわらず、ガザ地区のような地域ではAI支援兵器の拡散が止まっていない。イスラエル軍はパレスチナ人への攻撃において、AI軍事照準システムを利用してきたが、これに対して厳しい批判が集まっている。

そして今、自律型兵器の製造をさらに進めているアーセナル1は、軍事請負業者(military contractors)、特に新世代の防衛技術スタートアップ企業による、桁違いに多くの兵器や軍事プラットフォーム、特にAI支援型を大量生産できるアメリカの防衛産業基盤の刷新(アンドゥリル社の言葉を借りれば「ハイパースケーリング(hyperscaling)」)に向けた、より大規模な防衛技術推進の一環である。

アーセナル1や、防衛志向の産業自動化スタートアップ企業ハドリアンの「高度に自動化された精密部品工場」といったアメリカに拠点を置く新たな施設を通じて兵器の大量生産を増強する防衛技術スタートアップ企業は、その過程で重要な経済的機会を軍国主義と結び付けている。こうした流れの中で、ハドリアンは2022年の資金調達発表において、自社の取り組みを「アメリカの先進製造業基盤の変革(transform America's advanced manufacturing industrial base)」に向けた取り組みであると明確に表現した。

支持者たちにとって、この取り組みは、ますます不安定化する地政学的状況の中で、アメリカの国家安全保障にとって極めて重要である。この点で、アンドゥリル社社長のパルマー・ラッキーは、軍産複合体が売り込む中国の脅威に対抗し、アーセナル1をはじめとする兵器製造事業を民間に売りつけることに激しく反発している。

ラッキーは1月下旬にアーセナル1に関するインタヴューで述べ、「従来通りのビジネスをしている余裕はない。・・・中国で紛争が発生した場合、最初の8日以内に兵器が枯渇すると予測されていることから、(アーセナル1のようなプロジェクトによって)製造を超大規模化する必要がある」と、中国との戦争が現実的な可能性として指摘した。

これらの兵器企業の軍国主義的な動きが、経済機会の約束と相まって、世論を同じ方向に導くのではないかと懸念する声もある。「パルマー・ラッキーの冷戦的信念は、中西部でますます広まっている」と、コロンバスを拠点とする『マター・ニューズ』所属のジャーナリストであるテイラー・ドレルは次のように指摘する。「例えば、ニューアルバニー(オハイオ州)のインテル工場建設は、半導体戦争で中国に勝つための新たな冷戦戦略として批判されている」。

●アーセナル1をめぐる議論が激しくなる(Debate over Arsenal-1 brews)

しかし、オハイオ州民全員がアンドゥリル社の工場開設を歓迎している訳ではない。アーセナル1を「国家防衛における大きな賭け(a high stakes gamble in national defense)」と呼び、『サイオト・ヴァレー・ガーディアン』紙のジェイ・サリーは、このプロジェクトに割り当てられた「多額の」公的補助金に対する地元の懐疑的な見方を強調した。

実際、ヴェテランズ・フォー・ピース(VFP)第183支部をはじめとするオハイオ州を拠点とする支援団体は、日曜日にオハイオ州リッケンバッカー空港前でアーセナル1への抗議活動を行う予定だ。これらの団体は、このプロジェクトへの多額の公的資金提供、環境への影響の可能性、そして前述のアンドゥリル社のような企業によるAIの軍事化に伴う倫理的影響を問題視している。

オハイオ州民がアーセナル1の導入をめぐって議論を交わす中、自律型兵器システムの大量拡散と将来、そしてそれらが将来の戦争をより危険なものにする可能性について、批判的な議論が切実に必要とされている。

※スタヴロウラ・パブスト:『レスポンシブル・ステイトクラフト』誌記者。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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