古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ピート・ブティジェッジ

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙の民主党の副大統領候補は難航しているようだ。カマラ・ハリス副大統領を民主党の大統領選挙候補者に決めるのは、オンラインで、まるでシャンシャン株主総会のような感じで、候補者はハリスさんしかいませんでした、という形だけの投票のようなもので決められた。民主党はエリートである連邦議員たちや政治家たち、更には、ボストン王朝ケネディ家、ニューヨーク王朝クリントン家(名門クオモ家を叩き潰した)、シカゴ王朝オバマ家が支配する政党になった。これに対しては、民主党内部でも不満がある。その不満の出ていく先が、副大統領候補者選びだ。カマラ・ハリスと側近たちが好ましい人物を選べばよいのだが、ここしか自分たちの意見を言える場所がないとばかりに、民主党内の様々な人たちやグループが意見を表明している。もしその意見に沿わない形での人選が行われた場合に、民主党内が団結できるかどうか、先行きは不透明だ。

 副大統領候補者選びが難航しているのは、どの人物にも捨てがたい長所がある一方で、無視しがたい短所があるためだ。それらを天秤にかけて、はかりが最も水平になる人を選ぶということになるだろう。選挙戦術的に言えば、何と言っても、激戦州の中でも最も重要な州であるペンシルヴァニア州で知事を務めるジョシュ・シャピロが良いだろう。シャピロの人気があれば、ペンシルヴァニア州で勝利を収めることができる。しかし、問題は、シャピロの親イスラエル姿勢が強いということだ。親パレスティナ・デモへの対応などが強硬であるという点は民主党内部からの批判が出ている。また、シャピロ夫妻は共にユダヤ人であるが、ハリスの配偶者ダグ・エムホフもユダヤ人である。非WASPのみになるというのは、バランスが悪いということになるだろう。また、ハリスとシャピロは共に州司法長官(検事総長のようなもの)出身ということで、ここもいささか州レヴェルの司法経験に偏り過ぎるというきらいもある。

 ミネソタ州知事ティム・ウォルツは進歩主義派からの支持を集めている。連邦下院議員を6期(12年間)務めた経験を持ち、国政に関する知識と経験もある。農業などに従事した後に、高校教員を務めた経験を持ち、中国に派遣されて先生をしていたこともある。エリート主義に陥った民主党においては、常識的で、バランスの取れた人物ということで評価されている。ペンシルヴァニア州を含む中西部へのアピールということで、私はウォルツ知事の副大統領候補指名の可能性が高いと考えている。

 マーク・ケリー連邦上院議員は元海軍パイロット、元宇宙飛行士という経歴もあり、また、アメリカ南部国境を形成するアリゾナ州を地盤とするという点で有力候補だ。ただ、カマラ・ハリスがカリフォルニア州を地盤とし、その隣のアリゾナ州出身となると、地域的な偏りが出てしまうということが弱点である。中西部の激戦州へのアピールが弱くなってしまう。ケンタッキー州知事アンディ・ベシアも有力候補だが、46歳という若さで経験不足が指摘される。国政経験の少なさも不安材料だ。ピート・ブティジェッジ運輸長官は、同性愛者であることを公開している政治家だ。頭脳明晰で弁舌爽やかで、リベラル派からの任意が高いが、女性初の大統領の副大統領が同性愛者ということにアメリカ全体の準備ができているかと言われると不安がある。

 今回の選挙は、五大湖周辺の激戦州で勝負が決まる。そうなると、どうしても、中西部出身者が選ばれることになるだろう。シャピロが選挙戦術上、良い選択となるだろうが、弱点も多い。その点で、ミネソタ州知事ティム・ウォルツが有力ではないかと私は考える。

(貼り付けはじめ)

ハリスの副大統領候補の争いが荒れている(Harris vice presidential battle gets nasty

ジュリア・マンチェスター、エイミー・パーネス筆

2024年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4812431-vice-presidential-race-shapiro-harris/

カマラ・ハリス副大統領の副大統領候補をめぐる争いは、決定が近づく中で、民主党が自らの好みの候補者を中心に選抜するにつれ、ますます醜いものになってきている。

ガザ地区でのイスラエルの戦争に激怒した進歩主義派は、イスラエルに対する姿勢や親パレスティナ抗議活動への対応を巡り、ユダヤ人であるペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)をますます標的にしている。『ポリティコ』誌によると、これとは別にジョン・フェッターマン連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)もシャピロに関する懸念をハリスのチームに報告した。

民主党左派はミネソタ州知事ティム・ウォルツを指名するようにハリスに求める動きを強めている。現状に詳しい関係者によると、民主党所属の連邦下院議員の多くがウォルツの支持拡大を図っているという。

もう1人の最有力候補であるマーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)は、シャピロをめぐる議論のような険悪さまでには至っていないものの、労働組合の指導者たちから、ケリー議員が指名を受けるべきかどうか公然と疑問視する声が上がっている。

民主党系のストラティジストの中には、副大統領候補をめぐる戦いは、民主党の大統領選挙予備選の戦いの様相を呈していると述べる人たちもいる。

最近の複数の大統領選挙に携わってきたある民主党系ストラティジストは、「これはおそらく民主党がこのサイクルで得られる中で最も予備選に近いものであり、それがなぜこれほど大きな重要なことになったのかを説明している。民主党員の多くは、これが候補者指名に影響を与える最後の機会であり、2028年か0232年まで、ホワイトハウスに影響を与える最後の機会になる可能性があると考えており、そのため多くの選挙活動が行われている」と語った。

ジョー・バイデン大統領が選挙戦から撤退し、ハリスを支持した時、民主党も共和党も同様に、民主党がハリスを中心にして急速に団結したことに驚いた。多くの人がバイデン撤退後は、混戦模様の争いになると予想していたが、その予想とは反対に挑戦者は現れず、党内はおおむね安堵した。

大統領選挙候補者指名の戦いは避けられたものの、副大統領候補者選びはより熾烈な雰囲気を帯びてきた。

2人目のストラティジストは、「副大統領候補者選び(Veepstakes、ヴィープステークス)は通常数カ月かかるプロセスで、その切符を得るために、ベンチの中から新進気鋭の人材を選ぶという驚きが民主党を興奮させた一方で、2週間にわたって、圧力鍋の中のような環境を作り出した。本来なら息つく暇もない反対派の研究や批判が全て外に押し出されている」と述べている。

この人物は続けて次のように述べた。「最終局面になって、争いはより激しくなったが、その耐久性は不明であり、ハリス陣営の指針は変わっていない。それは、危害を加えず、候補者選びで適切な判断を示し、おそらく重要な州で針を動かす、ということだ」。

ハリスのある支援者は、民主党内での分裂直後の凝縮された時間枠が、「激しい瞬間(intensity of the moment)」を引き起こしていることに同意した。

この人物は「この段階で、誰も間違いを犯したくはない。チャンスは小さく、賭け金は高い」と述べた。

シャピロは副大統領候補者選びにかかわる批判、特に進歩主義派からの批判の矢面に立たされている。党内左派のシャピロ知事批判派は、シャピロが知事、そして、州司法長官時代に親パレスティナの抗議活動や取り組みに対して強圧的な手法を採用してきたと指摘している。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ある特定の議論が非常に激しくなっており、シャピロを評する際の「ジェノサイド・ジョシュ(Genocide Josh)」というフレーズが反ユダヤ主義的(antisemitic)であるかどうか活動家らが議論したという。

民主党の一部は、シャピロが受けた批判の多くは「行き過ぎたオンライン左翼(overly online left)」からのものだと述べ、ハリスがシャピロを指名すれば、進歩主義派もそれを認めるだろうと予想している。

デジタルを専門とする民主党系ストラティジストのキース・エドワーズは、「これらの内部抗争(internal squabbles)は、大きな感情の動きを引き起こす可能性があるので、オンラインでは大規模に見えるかもしれない。しかし、それは現実世界で起こっていることを反映していない。一般の有権者はこれに注意を払っていない」と語っている。

しかし、進歩主義派のあるストラティジストは本誌の取材に対し、批判はオンライン空間に限定されたものではなく、アラブ系アメリカ人やイスラム教徒の有権者の投票率に影響を与える可能性があると語った。

このストラティジストは、「シャピロが副大統領候補になれば、アラブ票、進歩主義派票の獲得で問題が起きるだろう。これは私が考えている以上に、ハリスのキャンペーンにとって決定的な瞬間になると思う」と述べた。

進歩主義派や親パレスティナの活動家たちは、シャピロがロチェスター大学の学部生時代に、シャピロが、中東に「平和は決して訪れない(peace will never come)」と予言し、パレスティナ人を「闘争心がある(battle minded)」と評したが、最近になって取り上げられている、これらのことが問題だと主張している。

「平和研究所」と「中東理解研究所」は金曜日、声明を発表し、その中で、シャピロのコメントを「猛烈な人種差別主義者(virulently racist)」とする独自の見解を発表した。

シャピロ知事の報道担当は、シャピロが20歳の時に書いた論説の再浮上について反応し、この問題に関する知事の見解はその後「今日、彼が取っている立場に発展した(evolved into the position he holds today)」と声明の中で述べた。

加えて、シャピロの支持者たちは、10月7日以降、シャピロがコミュニティに手を差し伸べたことを称賛する、フィラデルフィア・アラブ系アメリカ人開発組織のメンバーによる最近の論説など、アラブ人コミュニティからの支援が表明されていることを指摘している。

シャピロの支持者や進歩主義派を批判する人たちは、イスラエル関連問題に対するシャピロ知事の現在のスタンスは、他の候補者のスタンスとそれほど変わらないと指摘し、批判の多くは反ユダヤ主義に根ざしていると主張している。シャピロは二国家解決(two-state solutions)の支持者であり、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の戦争対応を声高に批判してきた。

ユダヤ人であるジェイク・オーチンクロス連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は月曜、CNNの取材に対して次のように述べた。「非ユダヤ人の有力候補者の立場を攻撃するのとは別の方法で、ジョシュ・シャピロの親イスラエルの立場を攻撃している、行き過ぎたオンライン左派の人々は、自分たちに言い聞かせているだけだ。反ユダヤ主義には強い底流(undercurrent)がある」。

ある民主党系ストラティジストは、「国民皆保険(Medicare for all)」や水圧破砕(fracking)などの問題に対する、ハリスの穏健な姿勢を指摘し、特に進歩主義派からの反発は、ハリスの決定に大きな影響を与えないだろうと予測した。

このストラティジストは、「ハリスにはこれまで、進歩主義派の要求に応じる機会がたくさんあったが、その餌には乗らなかった」と述べた。

エドワーズはまた、過去1カ月間の政治の混沌とし​​た性質を考慮すると、有権者はいつまで副大統領候補者選びのニュースサイクルに注目し続けるだろうかと疑問を呈した。

エドワーズは、「新しいサイクルの長さはほんの数分だ。3週間前に暗殺未遂事件があったが、それについては誰も話さない。私たちがここで話していることは、とても小さなことだ」と述べた。

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ハリスの副大統領候補の最終オッズ(The final odds in the Harris veepstakes

ナイオール・スタンジ筆

2024年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4812723-vice-presidential-nominee-rumors/

カマラ・ハリス副大統領が副大統領候補の選択を発表するとみられる数時間前の段階で、興奮と誰が選ばれるかについての噂話は最高潮に達している。

ハリスと副大統領候補は間もなく、選挙の行方を左右するとみられる7州のうち6州への急遽の視察を開始する。その旅程の最初のイヴェントは火曜日にフィラデルフィアで行われるが、ハリス陣営は、この場所でペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロが副大統領候補に選ばれたことを発表される、と予想されているという考えを反対している。

ハリス陣営の広報担当ケヴィン・ムニョスもまた、ハリスが月曜午後遅くの時点で、選択を決めたとの報道に反論した。

ムニョスはSNS上で「ここでの興奮と関心は理解しているが、ハリス副大統領はまだ副大統領候補を決めていない」と書いた。

もちろん、ハリスが予想外の人選を行い、政治の世界の住人達の目をくらませる可能性はある。

しかし、最有力候補として挙げられたシャピロ知事、マーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出)、ミネソタ州知事ティム・ウォルツの3人が日曜日にワシントンの邸宅でハリスと面会した。

他に争っていると噂されているのは、ケンタッキー州知事のアンディ・ベシアや運輸長官のピート・ブティジェッジだ。

以下は、上位候補者に対するオッズを含む、現時点での副大統領候補選びの状況に関するガイドだ。

(1)ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(Pennsylvania Gov. Josh Shapiro
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進歩主義的な民主党員からの批判は、シャピロに有利な唯一の大きな要因を否定するものではない。それは、11月の選挙で最大の激戦地となっている地元州での人気だ。

シャピロは2年前の知事選で、ドナルド・トランプ前大統領の支持を受けた、共和党のダグ・マストリアーノを、15ポイント差をつけて破った。

本誌が依頼したエマーソン大学の先月末の世論調査では、シャピロのペンシルヴァニア州民からの支持率は49%で、不支持はわずか31%だった。

もし、ハリスとシャピロのチケットがペンシルヴァニア州とその19の選挙人を獲得することになれば、それはホワイトハウスでの勝利に向けた大きな一歩となるだろう。

シャピロの大きな弱点は、ガザ紛争に関する彼の発言だ。彼は親パレスティナ抗議活動参加者とクー・クラックス・クランとの間の類似点を挙げている。

もし、ハリスがシャピロを選べば、進歩主義派からの批判の中で、彼女の政治的蜜月は終わることになる。しかし、ペンシルヴァニア州が得られる可能性のあるものについては、無視するには大きすぎるかもしれない。

・本誌のオッズ:1倍

(2)ミネソタ州知事ティム・ウォルツ(Minnesota Gov. Tim Walz
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ウォルツは、何年も活動し続けても、時を見つけて一夜にしてセンセーションを巻き起こす政治家となることがある、今年の副大統領候補レースの代表的な例だ。

これまで連邦下院議員を6期務めて、ミネソタ州知事となったウォルツは、バイデン大統領が撤退の決定を発表して以来、共和党に対する強力な攻撃で民主党を興奮させてきた。

特に、トランプ時代の共和党は「とにかく奇妙だ(just weird)」という彼の非難は、リベラルな有権者たちの共感を呼んだ。

ウォルツの基本的な魅力は、選挙活動において手ごわい存在となり得る、断固とした決意を持つ中西部出身の田舎者が持つ実直さだ。

ウォルツは明らかに党の進歩主義派が好む選択肢であり、シャピロよりも親パレスティナ・デモ参加者たちに共感的であるように見える。彼の実績には、投票権と生殖に関する権利の精力的な擁護も含まれている。

しかし、ハリスが主に中道派の有権者にアピールする人物を支持する場合、ハリスに対する左派の熱意はある意味裏目に出る可能性がある。

・本誌のオッズ:2倍

(3)マーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出)(Sen. Mark Kelly (Ariz.)
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月曜日までに、ワシントンと民主党内部では、ケリーの勢いが衰えるのではないかという話題が広がった。

しかし、ワシントン政界(Beltway)の常識は間違っていることがよくある。

ケリーを支持する理由には3つの大きな柱がある。

第一に、ケリーは選挙人獲得数がペンシルヴァニア州の19に対して、11しかないが、激戦州となっているアリゾナ州を地盤にしている。

第二に、ケリーは党内の他の多くの人よりも国境に関するより厳しい政策を支持してきたが、これがハリスの重大な弱点を少し改善できる可能性がある。

第三に、ケリーは、元海軍パイロットおよび宇宙飛行士として、また2011年の銃撃で重傷を負った元連邦下院議員ギャビー・ギフォーズ氏(アリゾナ州選出、民主党)の配偶者として、説得力のある経歴を持っている。

しかし、ケリーは組織化権利保護法の共同提案者になることに消極的であることもあり、組織労働者からの反対に直面している。

また、ケリーには他の候補者に比べてダイナミズムが欠けているのではないかという懸念もある。

・本誌のオッズ:2.5倍

(4)ケンタッキー州知事アンディ・ベシア(Kentucky Gov. Andy Beshear
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ベシア知事は民主党内の勢力協力の面で、進歩主義派や中道派(centrists)のどちらとも過度に敵対しない選択肢として、中立的な立場を担う可能性がある。

ベシアの主な強みは、共和党が圧倒的な優勢を保つ州で勝つ能力だ。昨年はバイデン大統領が約26ポイント差で敗れた州で、53%の得票率で再選を果たした。

ベシアはまだ46歳であり、81歳のバイデンが持っていた民主党の切符に世代交代をもたらすという考えに更に強力な基盤を与えることになるだろう。民主、共和両党の大統領選挙候補者であるトランプは78歳で、ハリスは59歳である。

しかし、ベシアがほとんど試練を経ていないのではないかという懸念がある場合、ベシアの若さは彼にとっての逆風となるかもしれない。

・本誌のオッズ:3倍

(5)ピート・ブティジェッジ運輸長官(Transportation Secretary Pete Buttigieg
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ブティジェッジの支持者のネットワークは、ブティジェッジの副大統領候補就任を熱心に後押ししている。

支持者たちは特に、ブティジェッジの疑いようのないメディア対応スキルを指摘している。彼は特に民主党のメッセージをFOXニューズに伝えることに効果的であり、その過程でリベラルなファンを獲得した。

ブティジェッジは、2020年の民主党大統領選挙候補指名に立候補し、予想を上回る健闘を見せたが、実際には勝つ見込みはなかった。

しかし、ブティジェッジは、2020年の大統領選挙予備選挙の過程で、アフリカ系アメリカ人からの支持を受けることに大苦戦している。また、批判者たちは、彼が州全体の公職に選出されたことがなく、州議会議員にすら選出されていないと指摘している。彼はインディアナ州サウスベンドの市長を務めた経験しかない。

考慮すべき別の要素もある。リアルポリティーク(realpolitik)から見ると、初の黒人女性大統領の座を争うハリスが、同性愛者を副大統領候補に選ぶことを妨げる可能性がある。

・本誌のオッズ:5倍

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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 民主党の大統領候補となったカマラ・ハリスに副大統領候補の名前が色々と出てきている。候補者コンビのバランス(対照的なアイデンティティの人が良い)や、選挙戦術(激戦州で勝利をもたらしてくれそうな人が良い)を考えると、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、知事以外では、アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー、バイデン政権の運輸長官を務めているピート・ブティジェッジ(インディアナ州サウスベンド市の市長を務めた)といった名前が挙げられる。彼らは白人、男性、東部や中西部出身、激戦州出身といった条件に当てはまっている。
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ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
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ロイ・クーパーとカマラ・ハリス

 人気の高い、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは、ハリスと同じカリフォルニア州を地盤としているために法律上、副大統領候補となるのは難しい。ミシガン秦のグレッチェン・ウィットマーは女性コンビとなってしまうことがネックとなってしまう。また、アフリカ系などのマイノリティ出身者もこの場合はバランスが悪いということになる。アメリカ大統領選挙は長く、女性やマイノリティが候補者に選ばれにくい状況が続いてきたが、これから少しずつ変化していくだろう。

 共和党の副大統領候補が激戦の五大湖周辺のオハイオ州を地盤とするJD・ヴァンスを選んできたということは、五大湖周辺州を取りたいという意図が明確である。そのために、貧しい白人家庭(母親は離婚下シングルマザーで麻薬中毒になっていた)で育ったヴァンスを持ってきた。ペンシルヴァニア州知事シャピロはその点では好敵手ということになる。シャピロは夫婦そろってユダヤ系であり、ハリスの配偶者ダグラス・エムホフもユダヤ系となると、民主党系にはWASPが一人もいないという状況になる。この点は注目される。ロイ・クーパーはいかにも南部人ということで好感を持たれるタイプだが、ノースカロライナ州以外の人気や知名度は低い。経歴や知名度アピールできるとすれば、ケリー上院議員(元海軍パイロットで宇宙飛行士)やブティジェッジ長官(同性愛者、若さ、頭脳明晰さ、軍務に志願したこと)ということになる。
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マーク・ケリーとカマラ・ハリス
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ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス
 ハリスとのバランスと激戦州への効果ということを考えると、ペンシルヴァニア州知事シャピロ、ケリー上院議員といったところの可能性が高いのではないかと考えられる。

(貼り付けはじめ)

民主党はハリスに対して副大統領候補を激戦州から選ぶように促す(Democrats urge Harris to look to battleground states for VP pick

アル・ウィーヴァー筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786852-harris-vice-president-pick-midwest-governors/

民主党はカマラ・ハリス副大統領に対し、大統領選への立候補で民主党内の支持を固める中、副大統領候補として激戦州や党の知事たちから選ぶよう求めている。

ジョー・バイデン大統領が日曜日に民主党候補者から撤退し、ハリスを後継者として支持して以来、ハリスは速やかに党を味方につけた。

この急速な動きを受けて、民主党は副大統領候補として誰が彼女の後継者となるべきかに注目しており、多くの人は、彼らが言うところの「荷物が乗ったベンチ(loaded bench、候補者が多いという意味)」をどのように利用して、コンビのバランスを最も良くするかに注目している。

ブライアン・シャッツ連邦上院議員(民主党、ハワイ州)は、「これはハリス副大統領にとって初めての大統領としての決定であり、彼女には多くの良い選択肢が揃っている」と連邦議事堂で記者団に対し、多くの民主党知事の名前を挙げながら語った。その中には、ペンシルヴァニア州のジョシュ・シャピロ、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー、ノースカロライナ州のロイ・クーパーが含まれていた。更にピート・ブティジェッジ運輸長官とマーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も候補者として挙げられている。

シャッツは、「リストは続く。おそらく大事な人を挙げるのを忘れていて、誰かを怒らせていると思う。でも、私たちは今、たくさんの候補者を持っている」と述べた。

党のストラティジストや議員たちは、ハリスがカリフォルニア州出身で法曹界の経歴を持ち、黒人およびアジア系アメリカ人女性として初めてその職に就く大統領候補と釣り合える候補者を探す必要があるかもしれないことを認めている。

そうした選択肢の大部分を占めているのは、中西部や激戦州出身の男性で、その多くは知事で、ハリスがペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の「青い壁(Blue Wall)」を維持するのを支援する任務を負うことになる。

ある民主党関係者は、「海岸地域出身でなく、政府機関を運営したり、州を運営したり、市長を務めたりしている、もしくはしてきた人物はバランスが取れているだろう」と語った。

複数の民主党議員は、ノースカロライナ州知事としての2期目の任期を終えようとしているクーパーを、選挙戦を後押しする可能性がある人物として挙げており、トランプ前大統領が2020年にノースカロライナ州をリードしたのはわずか7万5000票未満だったと指摘している。

ある連邦下院民主党議員は「副大統領をイメージできるとしたら、クーパーによく似ているだろう。彼は基本的に中心的なキャスティングの1人だ」と述べた。

クーパー知事は月曜日のテレビインタヴューで、日曜日にハリスと電話で話したと語った。クーパーは、会話では「このレースに勝つこと」に焦点が当てられていたと述べたが、副大統領候補についての具体的な話は避けた。

67歳のクーパーは、「人々が私のことを話してくれることはありがたい。でも今週は今、彼女に焦点を当てる必要があると思う」と述べた。

バイデンの閣僚の中で、唯一検討対象と言われているピート・ブティジェッジには有利な点があり、それは、ブティジェッジが、共和党の副大統領候補のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)との討論会で、最も良いパフォーマンスを発揮するだろうと主張している民主党関係者がいる。

ブティジェッジは、インディアナ州出身でもあり、大統領選に立候補した後に名前が挙がった人物の中で最も有名になっている。

しかし、彼の潜在的な弱点は、有権者がアフリカ系とアジア系アメリカ人の女性と、同性愛者の男性からなるコンビを支持するかどうかに集中している。

一部の民主党議員は懸念を無視している。

ある民主党関係者は、「そんなことに腹を立てるような人たちは、どうせ私たちに投票しないだろう」と語った。

ケリー議員は、近年選挙で比類のない勝利を収めている、激戦州出身の退役軍人で元宇宙飛行士という輝かしい履歴書を民主党が注目しており、副大統領候補の明らかな有力候補となっている。

しかし、彼には明らかな弱点がある。ハリスが勝てば議席を離れ、激戦州で、後任を決める特別選挙を実施する必要があり、連邦上院で民主党が過半数を維持するために、困難をもたらす可能性がある。

激戦州のある民主党関係者は、「ケリーを引き抜いておいて、アリゾナ州で連邦上院の議席を維持することはできない」と語った。

そして、シャピロ知事はかなりの話題を呼び、2028年の大統領候補として広く考えられているが、彼が適任であることを警戒する、一部の進歩主義者からの厳しい監視にさらされている。

連邦下院民主党によると、シャピロ知事はヴィープステークス(veepstakes、訳者註:副大統領候補選出の手続き)の唯一の候補者だが、就学援助やイスラエルへの熱烈な支持など、数々の政策上の立場を理由に進歩主義派議員から「強い反発(strong pushback)」を受けているということだ。

「進歩主義派が会いたくないということを内密に話し合っている事実がある。進歩主義派が会いたくないと言っているのはシャピロだけだ」とこの議員は語った。

一方、深刻な争いを繰り広げている唯一の女性であるウィットマーは、ミシガン州で記者団に対し、「ミシガン州を離れない」し、「どこへも行く」つもりはないと語った。

予期せぬヴィープステークスの分野は決着からは程遠い現状であるが、団結を目指す政党の最前線に立つ候補者が現れるまで、今後数週間のうちに他の名前が浮上するのは確実で、指名を迅速に行うことになる。

シャッツ議員は「これによって明らかになったものの一つは、民主党にはステップアップする準備ができている次世代の指導者がいることを証明することだ」と述べた。

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(終わり)

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領が大統領選挙からの撤退と、カマラ・ハリス副大統領を大統領選挙候補者として支持すると表明したことを受けて、アメリカ大統領選挙は急速な動きを見せている。今回の大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領、民主党のジョー・バイデンが早々に事実上の候補者に内定して、静かに推移していた。それを大きく揺るがしたのが、先月末のCNNが主催した大統領選挙候補者討論会だった。バイデンが体調不良や言い間違い、言いよどみなどで、「酷いパフォーマンス」を見せてしまい、バイデンに対する人々の不安が一気に加速することになった。その後も状況は好転せず、民主党エリート層を中心に撤退論が大きくなっていった。通常であれば、大統領選挙候補者討論会は、民主、共和両党が全国大会を開催し、指名候補を決定した後、9月から開催される。逆の見方をすれば、その時期まで、討論会がなくて、うまくごまかしていれば、9月の討論会で酷い状況になっても、もうどうしようもなかったということも言える。6月末の討論会は、バイデン外しのための「出来レース」「宮廷内クーデター」という可能性も考えられる。
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 民主党は、カマラ・ハリスを候補者とするということで、「心機一転」「気分を変えて」、これからやるぞという雰囲気づくりに躍起になっている。ハリスは、政治的な実績はあまりないが、バイデンからの交代で「フレッシュさ」をアピールし、党内をまとめようとしている。バイデン選対をそのまま使いつつ、自分の側近たちを重要なポジションに就けるだろう。バラク・オバマ元大統領がハリスを支援する動きがあるということだが、現在のところ、ハリス支持を明言していない。

 ハリスの副大統領候補という話が出ているが、既に多くの名前が挙がっている。ハリスとは対照的なアイデンティティの人物、例えば、男性、白人、東部から中西部出身、更に言えば、選挙戦術で言えば、激戦州となる、五大湖周辺のラストベルト出身、できれば、労働課の家庭出身という条件が考えられる。以下に9名の名前が挙がっているが、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、大統領候補と同じ州出身というのは法律上不可能ということで、候補から外れるようだ。女性同士というのもバランスが悪い(これまで男性同士ばかりだったからこの表現が良くないと思うが現実的に)ということもあり、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事も厳しいだろう。

イリノイ州のJB・プリッツカー知事は、世界的なホテルグループのハイアットの一族であり、大富豪で、選挙資金は全て自己資金で賄えると言われているが、中西部の州知事と言っても、これでは、貧しい白人労働者たちから嫌われてしまうだろう。そう考えると、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロが有力候補ということになるだろう。アリゾナ州のマーク・ケリー連邦上院議員も、男性、白人、アメリカ海軍パイロット、宇宙飛行士という経歴からユニークで、こちらも有力候補だと思う。2020年の大統領選挙で、善戦した、ピート・ブティジェッジ運輸長官は、中西部インディアナ州出身で、軍務に就いていたことや同性愛者であることを公表していることなどもアピールポイントであるが、副大統領候補には難しいかもしれない。
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ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
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マーク・ケリーとカマラ・ハリス(右)
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ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス

 トランプ陣営としては、敵をカマラ・ハリスに設定し直すという作業を強いられることになる。ハリスが副大統領としては不法移民対策で成果を挙げなかったことくらいしか攻撃材料がない。後は、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員(1期目の途中で副大統領に)としての仕事ぶりも攻撃材料になるだろう。民主党側は、「ハリスを“鬼検察官”として、“重罪人”トランプを討論会で徹底的に追い詰める」という目論見もあるようだ。しかし、これは逆効果になることもある。そもそも討論会は法廷ではなく、政策を討論する場所だ。もちろん、トランプの裁判の状況などについて話が及びことはあるだろうが、それは一部であるべきだ。また、検察官が法廷で被告を攻撃するならば、被告には代理人としての弁護士を立てる権利がある。それは認められていない討論会で、裁判ごっこをやるというのは、民主党の選挙に勝ちたい余りの過剰な行動と捉えられてしまう可能性がある。

 そもそも、副大統領は、名前は知られているが、その人柄などは全く知られていない。副大統領の仕事は、大統領に何かあった時のために健康で生きていることだ。まずは、ハリスの人物像を明らかにすることが何よりも最初にやるべきことだ。
 民主党では「ハリスで決まり」「ハリスで一本化」という流れになっており、他に候補者は出ない状況を演出している。しかし、考えてみれば、バイデンが自発的に降りたことになっているが、かなりの圧力をかけられ、甘い言葉や脅しの言葉をさんざんにかけられたことは容易に想像がつく。まずは、「バイデン降ろし」が民主的だったのか、ということ、ハリスの選ばれ方が民主的かどうか、ということを疑問に思う民主党員や支持者も一定数存在すると思う。そこをどのように折り合いをつけていくかが重要である。

 静かに動いていたアメリカ大統領選挙がバイデン撤退で動き始めた。これからも何が起きるか分からない。目が離せない状況になっている。

(貼り付けはじめ)

バイデンが大統領選挙から撤退:知っておくべき5つのこと(Biden withdraws from presidential race: 5 things to know

サラクシ・ライ、ブランドン・コンラディス筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4784618-joe-biden-drops-out-what-to-know-kamala-harris-trump/

ジョー・バイデン大統領は再選に向けて立候補しないと述べたが、これは民主党内多数からの圧力の高まりを受けての歴史的な決定となった。

バイデンは2025年に終了する残りの任期を全うすると述べた。

バイデンは「大統領を務めることができたことは私の人生最大の光栄だ。再選を目指したのは私の意向だが、私が辞退し、残りの任期は大統領としての責務を果たすことだけに専念することが党と国にとって最善の利益になると信じている」と述べた。

ドナルド・トランプ前大統領と支援者たちが共和党全国大会のためにミルウォーキーに集まった数日後に、この発表は大統領選挙を一変させることになった。

バイデンの退任の決定について知っておくべきことは次のとおりだ。

(1)バイデンは圧力増大を受けて選択を下した(Biden made the choice after growing pressure

過去数日間でバイデンの辞任を求める議員や献金者の数が増えたため、結局バイデンは党内からの圧力に屈した。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州出身、無所属)は日曜早朝、CNNのジェイク・タッパーに対し、バイデン大統領は「新しい世代にトーチを引き継ぐべき」と発言し、バイデンに撤退を要求した最新の注目議員となった。

マンチンは、ピーター・ウェルチ連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)、ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)、シェロッド・ブラウン連邦上院議員(オハイオ州選出、民主党)、マーティン・ハインリッヒ連邦上院議員(ニューメキシコ州選出、民主党)を含む民主党議員のリストに加わった。

本誌は木曜日、バイデンの決定が差し迫っており、ハリス副大統領がバイデンの後任となった場合、副大統領候補が誰になるかに既に注目が集まっていると報じた。

しかし金曜日になっても、バイデン陣営は大統領が再選に向けて出馬する決意を持っていると主張していた。

(2)ハリスが後継者となる可能性が高い(Harris becomes likely successor

バイデンは日曜日、ほぼ即座にハリス副大統領を次期民主党候補者として支持した。

バイデンは「今日、私はカマラが今年の我が党の候補者となることに全面的な支持を表明したい。民主党の皆さん、団結してトランプを倒す時が来た。やってやろう」と述べた。

バイデンの発表は、バイデンが新型コロナウイルス感染から回復中のデラウェア州の自宅で自己隔離している間、今週土曜日にハリスがケープコッドで200万ドルの募金活動を行った後に行われた。

ハリスは後に自身の声明を発表し、「支援を受けてこの指名を勝ち取る」と述べた。

バイデンがハリスを支持する決定を下すことは予想されていた。どれだけ多くの人が彼女を彼の有力な後継者とみなしているかを示すように、共和党全国大会のためにミルウォーキーに集まった共和党員たちは、既に彼女への攻撃を開始している。

ハリスは日曜の声明で、大統領の支持を得ることができて「光栄だ」とし、「私の意図は、大統領の支援を得て、指名を勝ち取ることだ」と述べた。

(3)彼女の副大統領候補の人選が行われている(The hunt is on for her possible running mate

バイデンがハリスへの支持を全面的に表明した今、誰が彼女の副大統領候補となり得るかが注目されている。

今のところ、彼女と一緒に選挙戦を戦う、副大統領候補への関心を公的に表明している人は誰もいないが、この状況は変わるだろう。既に名前が挙がっているのは、ケンタッキー州知事のアンディ・ベシア(民主党)、イリノイ州知事のJB・プリッツカー(民主党)、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロ(民主党)、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー(民主党)、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、そして、アリゾナ州連邦上院議員マーク・ケリー (民主党)である。

もう一人の著名人としてカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)も含まれているが、カリフォルニア州から二人の候補者を選出することができないことを考えると、彼が副大統領候補に選ばれる可能性は低い。

(4)バイデンの決断は大統領選挙を未知の領域に進めた(Decision throws election into uncharted territory

バイデンの決定により、選挙は激動の新たな段階に突入するが、このような事態は過去半世紀以上のアメリカ大統領選挙では見られなかった。

明確なことは、これは、大統領に辞任を求める多数の民主党関係者や寄付者にとっても安心材料となるだろう。

しかし、それは潜在的な混乱への扉を開くことにもなる。バイデンはハリスを後継者として支持したが、情報筋はこの時点からプロセスがどのように展開するのか完全には確信していない。

バイデンに支持を誓約した代議員たちは、ハリスに投票する必要はない。つまり、別の候補者を支持し、競争全国大会(contested convention)となる高まる可能性がある。

十分な数の代議員が本質的にバイデンに反抗することを選択する可能性は依然として低いが、民主党が誰を新しい候補者にするべきかをめぐって対立していることに気付いた場合、更なる混乱が生じる可能性はある。

ジム・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)を含む一部の民主党議員は、たとえハリスが後任候補になっても、彼女が正式に選ばれる前に党は「ミニ予備選(mini primary)」を開催すると強調している。

しかし、民主党議員が実際に彼女に挑戦し、黒人およびアジア系アメリカ人女性初の副大統領を飛び越えて将来の政治的キャリアを損なう危険を冒すかどうかはまだ分からない。

(5)トランプの支援者たちは既に攻撃対象をハリスに変更し始めた(Trump allies have already started pivoting toward Harris

バイデンの撤退発表前から、共和党はハリスがバイデンの後任候補となる場合に備えて、既にナイフを研ぎ始めていた。

トランプの支援者たちは、ミルウォーキーで過去1週間、ハリス副大統領を頻繁に追及し、特にバイデンの「国境の皇帝(border czar)」として彼女を叩き、バイデン政権の移民政策に結び付けた。

トランプ大統領は既にハリスと対決する可能性を考慮しており、バイデン大統領の撤退決定直後にCNNに対し、ハリスを打ち負かすのは容易だと語った。そして、トランプ元大統領の副大統領候補であるJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)は、土曜日にミシガン州で行われた初の共同集会中でハリスを攻撃した。

それにもかかわらず、共和党もまた、主要な敵対者が突然姿を消し、新たな敵対者がまだ確認されていないため、自分たちが未知の領域(uncharted territory)にいることに気づいている。トランプ大統領と支援者たちは、民主党が最終的に誰を指名するか見極めるまで、常に警戒を怠らず、新たな攻撃陣を形成する必要があるだろう。

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ハリスの副大統領候補に選ばれ得るのは誰か?(Who could be Harris’s running mate?

ジュリア・マンチェスター、ジュリア・ミュラー筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4784748-kamala-harris-pete-buttigieg-gretchen-whitmer-josh-shapiro-running-mate/

ジョー・バイデン大統領は日曜、2024年大統領選挙戦から撤退し、ハリス副大統領を後任候補として支持した。これは歴史的な動きであり、ハリスが承認された場合、副大統領候補は誰になるのかという疑問が浮上している。

それが起こるという保証はない。ハリスが正式な候補者になるためには、来月の民主党全国大会に向けて十分な数の代議員の支持を獲得する必要がある。しかし、現副大統領であり、バイデンに明確に選ばれた後継者として、彼女は明らかに本命(clear favorite)である。

彼女の副大統領に誰が選ばれるかというと、潜在的な候補者は数多くいる。

考えられる選択肢のいくつかをこれから述べていく。

(1)アンディ・ベシア(Andy Beshear

ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)が共和党優勢の州の民主党知事として成功を収めたことで、都市部と農村部の二極化が進む中で、民主党が将来に向けて取り組む中、民主党の知名度は更に高まった。

ベシアは2016年と2020年にケンタッキー州がトランプ前大統領に圧倒的な票を投じたにもかかわらず、2019年に当選し、2023年の再選競争でトランプが支援する共和党の挑戦者を破った。 

ケンタッキー知事は今月初め、現職知事ベシアは、バイデンが民主党候補であり続ける限り再選を支持すると述べ、後任を考えたかどうかという質問を避けた。 

ベシアは日曜、声明でバイデンの画期的な決断は国と党の「最善の利益(in the best interest)」であると述べ、「結果をもたらす大統領(a consequential president)」と称賛した。 

ベシアは「今日の彼の決断は簡単ではなかったかもしれないが、それは我が国と我が党にとって最大の利益となる。彼の指導力と優しさ、そして大きく重要なことを成し遂げた大統領職の成功に感謝したい。今こそ私たちの国が団結する時だ。私たちは怒り、恨み、騒音を抑える必要がある」と述べた。

(2)ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg

インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジは、2020年の大統領選挙でバイデン氏と対戦して知名度を上げ、「ピート市長(Mayor Pete)」というあだ名で絶大な支持者を獲得した。 

バイデンがブティジェッジを運輸長官として政権に迎え入れたとき、ブティジェッジは同性愛者であることを公にした初の閣僚として歴史に名を残した。彼の成功は、将来の大統領選への疑問や、2024年の大統領選挙でハリスの副大統領候補となることができるかどうかについての疑問を引き起こした。

ブティジェッジはバイデンの発表後、ソーシャルプラットフォームXでの声明で次のように述べた。「ジョー・バイデンはアメリカ史上最も優れ、最も影響力のある大統領の一人としての地位を獲得した。彼のリーダーシップの下で奉仕できることをとても誇りに思うし、我が国にとって何が最善かという彼の揺るぎない焦点に感謝している」。 

42歳のブティジェッジの若さは、特に年齢に基づく批判がバイデンの歴史的な選挙戦からの撤退につながったため、特にトランプ大統領の新たな副大統領候補に39歳のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州)が指名されたことを受けて、ハリスの選挙戦で、若狭対決ということで目立つことになるだろう。

(3)ロイ・クーパー(Roy Cooper

2016年と2020年の2回の大統領選で、トランプが勝利したにもかかわらず、ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)が当選した。 

クーパーの指導の下、ノースカロライナ州は民主党の激戦区として浮上しており、逆転の可能性があると注目されている。このため、クーパーに2024年に副大統領候補となれば、州の役割がさらに高まるのではないかと示唆する人もいる。 

今月初め、クーパーはバイデン撤退の話を「現時点では必要のない類の憶測(the kind of speculation we do not need right now)」として一蹴したと伝えられている。木曜日、クーパーはフェイエットヴィルでの集会でハリスと合流し、両者は党のドラマについて直接語らなかったが、地元放送局WNCNが報じたところによると、ノースカロライナ州知事は副大統領を「仕事をやり遂げる(gets the job done)」人物として称賛した。

クーパーは日曜の発表後、バイデンへの感謝の声明を発表し、バイデンを「我が国で最も優れた大統領の一人」と称賛した。

(4)マーク・ケリー(Mark Kelly

アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー(民主党)は、2020年から連邦上院議員を務め、全国民主党の影響力のある代弁者となっている。民主党のストラティジストや献金者たちは、ハリスの副大統領候補として最適な有力候補の一人としてケリーの名前を挙げている。 

民主党が資金提供する世論調査団体「ブルーラブス」のメモによると、ケリーはそれぞれの州でバイデンよりも良い成績を収めている激戦区の民主党議員数名のうちの一人である。

しかし、連邦上院民主党にとってケリーの副大統領候補指名にはある程度のリスクが伴う可能性がある。アリゾナ州の民主党知事ケイティ・ホブズは、ケリーの後任に民主党員を任命するのがほぼ確実だが、その場合、その民主党員は2026年に出馬し、2028年に再び任期を全うする必要がある。

このシナリオは、ケリーが2018年に任命されたマーサ・マクサリー元連邦上院議員(共和党)に対する特別選挙に立候補した際に経験したことを反映している。ケリーは2020年にマクサリーを破り、2022年に任期満了で再選を果たした。

(5)ウェス・ムーア(Wes Moore

民主党のもう一人の有力な新星であるメリーランド州のウェス・ムーア知事(民主党)は、激戦州のノースカロライナ州とウィスコンシン州でバイデンの選挙活動を展開してきた。ムーア知事は今月初め、討論会の成績について民主党の各州知事とバイデンが会談した後、ホワイトハウスの外でも先頭に立った。

1期目の知事は、ボルティモア橋崩落事故への対応でもニューズに取り上げられ、全国の舞台に登場した。 

しかしながら、他の多くの新しいスターである民主党知事と同様に、ムーアも全国的な知名度を高める必要があるだろう。更に、ムーアには連邦レヴェルの選挙活動の経験があまりない。

(6)ギャヴィン・ニューサム(Gavin Newsom

カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は今回の大統領選挙で、バイデンの有力な代理候補として浮上し、現職の最有力候補としてハリスと並んで名前が浮上している。

ニューサムのバイデン用語と、昨年FOXニューズで討論したフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)など共和党員らとの公開スパーリングは、ニューサムを党のスターダムに押し上げ、2028年の野心についての噂をかき立てた。 

しかし、ニューサムは、バイデンの後任の話は「役に立たず不必要(unhelpful and unnecessary)」だとし、ニューサムとミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)の両者が、ハリスの副大統領候補を務めることに興味がないと伝えたと伝えられている。

ニューサムとハリスはともにリベラルな民主党優勢州のカリフォルニア州出身で、こうした切符はカリフォルニア州に批判的な共和党議員からの批判に晒される可能性がある。また、同じ州からの大統領候補と副大統領候補に対する憲法の制限による障害にも直面するだろう。

ニューサムはバイデンの選挙戦撤退後の声明で、バイデンは「最も影響力があり、無私無欲な大統領(impactful and selfless presidents)の一人として歴史に残るだろう」と述べた。

(7)JB・プリッツカー(JB Pritzker

イリノイ州のJB・プリッツカー知事は日曜日、バイデン大統領を称賛し、11月にトランプが勝利しないように「毎日取り組む(work every day)」と誓った。

プリッツカーは「バイデン大統領に感謝の意を表し、彼の多くの功績を振り返る中で、ドナルド・トランプのホワイトハウス復帰の可能性がもたらす脅威を無視してはならない」と語った。

バイデンの有力な代理人であり、民主党優勢州(blue state)の二期目の知事を務めるプリッツカーは、バイデンの後任候補として話題になった人物の一人だ。 

プリッツカーは推定35億ドルの純資産を誇り、選挙資金を簡単に自己資金で賄うことができる。そして、中絶の権利に焦点を当てたプリッツカーの政策擁護団体は、この秋、一部の州で中絶の権利を法制化する取り組みに数十万ドルを投資していることは注目に値する。 

プリッツカーは来月シカゴで民主党全国大会が開催される州の知事も務める。AP通信によると、民主党全国委員会委員長は日曜日、新たな候補者を選出するための「透明性があり、かつ秩序あるプロセス(transparent and orderly process)」を約束した。

(8)ジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro

バイデンが選挙戦から撤退するのではないかとの憶測が高まる中、ハリスの候補としては、一期目のペンシルベニア州知事を務めるジョシュ・シャピロ(民主党)への注目が高まっている。ハリスと同様、シャピロも以前はペンシルヴァニア州の司法長官を務めていた。シャピロはまた、2022年に共和党のダグ・マストリアーノを破り、激戦州の人気知事としての地位を確立した。

シャピロ知事は先週、ペンシルヴァニア州バトラーで起きたドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件を受けての統一的な論調で称賛を受けた。シャピロ知事はまた、昨年ペンシルヴァニア州に影響を与えたオハイオ州イーストパレスチナ列車脱線事故への対応でも話題になった。 

シャピロはペンシルヴァニア州ではよく知られているが、11月までに全国的な知名度を高めるには多くの努力が必要だろう。ウィットマー知事やニューサム知事とは異なり、シャピロは全国的なスーパーPACを持たず、連邦レヴェルでの選挙運動の経験も無い。

(9)グレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer

バイデン・ハリス陣営の共同議長を務めるミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)は、ハリスの副大統領候補者として繰り返し言及されてきた。

ウィットマーは、2016年にトランプが州をひっくり返してから2年後の2018年にミシガン州知事に初当選した。それ以来、ウィットマーはミシガン州および全米各地で民主党の有力者であることを証明してきた。ウィットマーは、州内の他の各選挙の民主党候補者とともに、2022年の選挙で、トップで再選を果たした。それ以来、ウィットマーは連邦選挙で民主党を選出することに専念する「ファイトライクヘルPAC」を設立した。 

ニューサム知事と同様、ウィットマーもバイデンの後任候補として考えられている民主党政治家のトップの一人だが、日曜日にバイデンが撤退した後の声明で、ウィットマーは自身の役割は「変わらない(will remain the same)」と示唆した。

ウィットマーは「今回の選挙における私の仕事はこれまでと同じだ。それは、民主党の候補者たちを当選させ、ドナルド・トランプを止めるためにできることは何でもするということだ。トランプは、有罪判決を受けた重罪犯だ。彼の公約は、家族の生活費の高騰、中絶の全米での禁止、そして自らが抱える問題解決のためにホワイトハウスの権限を乱用することで、ミシガン州にとって、彼がやろうとしていることは間違いだ」と述べた。

ウィットマーはまた、バイデンに対して、「偉大な公僕」と賞賛した。公僕として、消費者薬価、サプライチェイン、気候変動、そして世界における指導力に関して、「素晴らしい仕事」をしたと述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 中間選挙で民主党が予想よりも負けなかったことを受けて、現職のジョー・バイデン大統領は2期目を目指し、2024年の大統領選挙に立候補することを表明した。このまま無事に進めば、民主党の大統領選挙候補者はジョー・バイデンということになる。予備選挙は実施され、立候補者が出るかもしれないが、バイデンの候補者指名は確実だ。

しかし、バイデンは1942年生まれの80歳で、現職大統領としては史上最高齢となっている。2年の2024年には82歳となり、2期目の4年の任期を務めれば86歳で退任ということになる。任期途中に何かが起こり、バイデンが退任すれば、副大統領であるカマラ・ハリスが昇格し、残りの任期を務めることになる。直近で何かが起きてバイデンが退任すればハリスが大統領になり、2024年の大統領選挙はハリスが現職大統領として大統領選挙に臨むことになる。しかし、退任の時期によっては、民主党予備選挙に対抗馬が出てくる可能性もある。

そこで古い記事になって恐縮だが、バイデンが大統領選挙に出なければ民主党の予備選挙に立候補する可能性がある人物たちをまとめた記事をご紹介する。この記事の「バイデンが2024年の選挙に出ない」という前提が崩れてしまったが、民主党内でどのような人物たちが人気であり、有力であるかを知ることはアメリカ政治を理解する上で重要だ。

 民主党の有力候補者たちは40、50代の若い世代が出ている。このブログでも何度もご紹介したピート・ブティジェッジ運輸長官は40歳になったばかりで、州知事2人は50代でこれから複数回大統領選挙出馬を狙える立場にある。若さで言えばアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員であるが、彼女はまだ30代前半で2年後にようやく大統領選挙立候補可能年齢となる。知名度は高く、連邦議会でも積極的に働いているが、経験がまだ浅いということになる。前回、前々回の大統領選挙に出馬したバーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン両連邦上院議員は高齢であり、これからの出馬の可能性は低いだろう。若い人材が出てくるということは民主党にとっては良いことである。

 イデオロギーで見れば、急進派、進歩主義派ではやはり党内をまとめるのが難しいとみられるだろう。そうなればアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員やバーニー・サンダース上院議員は一部から熱狂的な支持を受けるだろうが、党の候補者指名を受けることは難しいだろう。

 2024年の大統領選挙は現職のジョー・バイデン大統領(民主党)とドナルド・トランプ前大統領(共和党)の戦いということになるだろう。しかし、アメリカ政治はこれからも続いていく。若い人物たちを見ていくことも重要だ。

(貼り付けはじめ)

バイデンが出馬しないとなると、大統領選挙に出馬する可能性が高い7名の民主党員たち(The seven Democrats most likely to run for president — if Biden bows out

エイミー・パーネス筆

2022年9月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3658507-the-seven-democrats-most-likely-to-run-for-president-if-biden-bows-out/

ジョー・バイデン大統領が今週、大統領選挙に再び出馬するかどうかは「まだ分からない」と発言したことで、2024年のホワイトハウスの主を決める大統領選挙に別の候補を立てるかどうかについて、民主党に関する話題がより広範に拡大している。

バイデンが再出馬しない場合、多くの民主党員が大統領選の海に足を踏み入れることが予想される。しかし、カマラ・ハリス副大統領でさえ、そのような状況では決定的な有力候補とは見なされていないと多くの民主党員は非公式に認めている。

ある民主党の有力献金者は「明確な候補者がいる訳でもなく、新星が出ている訳でもない」と語っている。

ここで、最も話題を集め、最も信頼されているのは誰なのかを考えてみよう。

(1)   カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領

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7月に暗殺された日本の元首相安倍晋三の葬儀出席のために東京に向かうアメリカ代表団を率いる前に副大統領官邸の外で待つカマラ・ハリス副大統領。

57歳になるハリスは副大統領としての毀誉褒貶が多い任期中に支持率の低下を経験しているが、2024年の大統領選挙でバイデン以外の候補者となるとトップに名前が出てくる存在だ。

ストラティジストたちは、バイデンをホワイトハウスに押し上げた黒人女性たちに対して、党の候補者としてハリス以外の他の誰かに投票するように説得するのは難しいだろうと言う。

あるストラティジストが指摘しているように、「アメリカ南部で勝利を収めることなしに党の候補者指名を勝ち取ることはできない」ということになる。

政権発足後の1年間は、失言やスタッフの相次ぐ離職などでハリスは大きな話題となったが、現在は副大統領としての役割に慣れてきた。

彼女はまた、女性の権利を彼女の課題の1つに挙げている。これは、妊娠中絶の権利に関する「ロウ対ウェイド」判決を覆した連邦最高裁判所の判決が影響し続けているため、民主党支持者の彼女の政治的展望を助けている。

(2)ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg)運輸長官

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デトロイトでの北米国際自動車ジョーで演説をするピート・ブティジェッジ運輸長官。

2020年大統領選挙立候補以来、ブティジェッジ運輸長官は民主党内で人気の人物となっている。彼は無名な立場から評価を上昇させて、人々を驚かせた。

ブティジェッジの現在の役割は、人気のあるインフラプロジェクトについてアピールするために全国を回ることだ。それは、この先の彼を助けることができる唯一の方策だ。

先月、40歳になったばかりのブティジェッジはフロリダ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、オハイオ州の各州を訪れたばかりだ。今月初めの鉄道ストライキで有権者から打撃を受ける可能性もあったが、バイデンの深夜介入により、そのような事態にはならず、民主党有権者に対するブティジェッジの地位は固まった。

(3)グレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer)ミシガン州知事

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デトロイトでの北米国際自動車ショーで演説するグレッチェン・ウィットマー州知事。

上記2人はバイデン政権において、バイデンに対抗する有力者として名前が挙がるトップ2だ。

この2人に次いで有力なのが2人の知事である。

1人目はミシガン州知事グレッチェン・ウィットマーだ。ウィットマーはバイデンの副大統領の有力候補として多くの人々に知られている。

現在51歳のウィットマーは州知事選挙での再選を目指している中で、民主党関係者の注目を集めている。

今週、『デトロイト・フリー・プレス』紙の世論調査で、彼女は共和党の対立候補チューダー・ディクソンに対して16ポイントのリードをつけた。

ウィットマーは、特に中絶の権利を守ることを強調している。最近のイヴェントで、彼女はこの闘いにおける自分の役割を強調した。

CNNによると、「ミシガン州が中絶可能な州であり続ける唯一の理由は、私の拒否権と訴訟のおかげだ」と彼女は語ったということだ。この発言は、ウィットマーがミシガン州の中絶禁止を阻止するために起こした訴訟のことを指している。

彼女は、6月に「ロウ対ウェイド」判決が連邦最高裁で覆される前から訴訟を起こしていたことをよく指摘するが、これは今後、確実に支持層にアピールする動きとなるであろう。

(4)ゲヴィン・ニューサム(Gavin Newsom)カリフォルニア州知事

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ニューヨーク市で開催されたクリントン・グローバル・イニシアチブで講演するカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム。

民主党が共和党と対決できる指導者を渇望していた時期、カリフォルニア州知事ゲヴィン・ニューサムは戦いを挑むように見えた。

54歳のニューサム知事は7月、フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)に直接戦いを挑み、フロリダ州知事とその保守文化を非難する広告をフロリダ州内に拡散し、大きな話題となった。

ニューサムは、州内で放映されたフォックス・ニューズ内の番組のスポットCMの中で「自由、それはあなたの州で攻撃を受けている。共和党の指導者たちは、書籍を禁止し、投票を難しくし、教室での発言を制限し、女性や医師まで犯罪者にしようとしている」と述べた。

今月初め、ミシシッピ州、テキサス州、インディアナ州、オクラホマ州など保守的な州で、ニューサムは広告塔を立て、積極的な姿勢を続けている。彼のメッセージはどんなものか? カリフォルニア州では中絶はまだ合法であるということだ。

あるストラティジストは「彼はまだ証明することがたくさんあるが、彼は確かに民主党内の注目を集めている」と述べている。

(5)エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)

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連邦上院銀行委員会の年次ウォール街監視公聴会で、ゼール(Zelle)について証人に質問するエリザベス・ウォーレン議員(マサチューセッツ州選出、民主党)。

かつて大統領選挙のホープだったウォーレンは、2024年の選挙の1つである、自分自身の連邦上院議員再選を念頭に置いていると明言している。

しかし、バイデンが再出馬しないことを決めた場合、彼女の居場所はあるだろうと言う民主党関係者は多くいる。

73歳のウォーレンは、気候変動、中絶の権利、銃の安全性など、民主党にとって重要な問題のために、連邦議会においてトップの支持者であり続けている。

しかし、次の大統領選挙について聞かれると、彼女は一貫して言及を拒否している。

ウォーレンはこの夏、『アクシオス』誌に次のように語った。「2024年という数字に固執するのは止めなければならない。もし2024年のことばかりに気を取られて、2022年のビジネスに注意を払わなかったら、2022年の私たちを苦しめるだけではなく、2024年には背後から噛み付かれることになる」。

(6)バーニー・サンダース(Bernie Sanders)連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)

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バーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出)は、ジョー・バイデン大統領との会談後、ワシントンのホワイトハウスのウエストウィングの外で記者団と話した後に更に振り向いて話している。

民主党の連邦議員の中には、ヴァーモント州選出の連邦上院議員が再び大統領選挙に打って出るのは難しいと考えている人もいる。

結局のところ、サンダースは現在81歳で、もし当選すれば任期終了時には90歳近くとなる。

しかし、サンダースは2016年に初めてホワイトハウスに立候補して以来、民主党の主役になったので、出馬の可能性を否定することはできない。そして、もし彼が出馬すれば、間違いなく支持を得られるだろう。

学生ローンや気候変動など、支持層にとって重要な議論がある時はいつでも、サンダースはその中心にいるとあるストラティジストは指摘している。

(7)アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)連邦下院議員(ニューヨーク州選出)

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民主党の大統領候補バーニー・サンダース上院議員の選挙演説会に参加するアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(ニューヨーク州選出、民主党)。

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は

民主党の中で「AOC」と知られるアレクサンドリア・オカシオ=コルテスほど、台頭している人物は存在しない。

そして、ほとんどのストラティジストは、ニューヨーク出身のこの連邦下院議員がまだ大統領選に出馬するとは思っていないが、民主党が人材不足だと訴える時、彼女の名前は常に挙がってくる。

彼女についてストラティジストたちが話す際に出てくる最も多い質問は、アメリカ大統領選挙に立候補できる年齢になるのかというものだ。この質問の答えは、2024年大統領選挙の1か月前に彼女は35歳になる、というものだ。

彼女の年齢は別にして、もう1つ当然のように出てくる疑問は、オカシオ=コルテスの政治がリベラル過ぎるために民主党の予備選挙もしくは本選挙で勝利をすることができるだろうかというものだ。

2020年、ウォーレンとサンダースは結局、バイデンに敗れた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 いよいよ民主党予備選挙の山場であるスーパーチューズデーが始まる。3月3日に14の州と1つの自治領(アメリカ領サモア)で予備選挙が実施される。ここで宣誓済み代議員の約3分の1にあたる1344名の代議員が決まる。これまでの4つの州の合計代議員が155であることを考えると、スーパーチューズデーの重要性が分かる。中でもカリフォルニア州には415名、テキサス州には228名、ノースカロライナ州には110名と1つの州で100名を超える配分がなされている巨大州での動向が重要である。
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 先ほど、エイミー・クロウブシャーが選挙戦からの撤退とジョー・バイデン支持を表明した。その前にはピート・ブティジェッジがバイデン支持を表明した。バイデンは「ピートは私の亡くなった息子ボウを思い出させてくれる」と称賛した。また、選挙戦からかなり前に撤退していたビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)も地元テキサス州でバイデン支持を表明した。一気にサンダース包囲網が形成されつつある。サンダースはこの包囲網を食い破ることができるかということが焦点になる。
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 最新の世論調査の結果では、サンダースがリードを保っている。カリフォルニア州でもテキサス州でもバイデンにある程度の差をつけてリードしているが、楽勝ムードではない。サンダースとしてはウォーレンが邪魔になりつつあるが、ウォーレンはスーパーチューズデーで地元マサチューセッツ州での予備選挙の結果を見て撤退するということになるだろう。バイデンとしてもマイケル・ブルームバーグが邪魔であるが、ブルームバーグの討論会での酷いパフォーマンスや金持ちが資金力で選挙を買っているという批判も高まっており、支持率は下がっている。バーニー・サンダースの狂信的な支持者である若者たちは、ウォーレンには選挙戦から降りるように攻撃を仕掛けつつ、ブルームバーグには頑張って欲しいと応援するというような動きをすることも考えられる。

 サンダースがカリフォルニア州でバイデンに大きな差をつけられず、サンダースがカリフォルニア州でバイデンに大きな差をつけられず、テキサス州でバイデンが1位ということになるとサンダースの先頭走者の位置も危うくなる。
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 更に、ウォーレンが選挙戦から撤退して、サンダースを応援するのかどうかということも不透明である。ウォーレンが誰も支持しない、もしくはバイデンを支持するということになれば、サンダース包囲網は完成ということになる。そうなれば、完全な分断状態ということになるだろう。サンダース支持者たちは「予備選挙において宣誓済み代議員獲得数で1位であれば、たとえ全国大会の1回目の投票で過半数が取れなくても1位の候補者が党の指名候補となるべきだ」と主張しているが、こういう状況になってくると、バイデンが過半数を取れないで1位で全国大会に臨むという可能性も出てきた。その時にサンダース支持者がどうするかということが注目だ。暴れて1968年の全国大会以来の流血の惨事ということも考えられる。スーパーチューズデーは要注目であるが、結果が出るまで時間がかかることは覚悟しておかねばならない。国内で3時間の時差があるのに、東海岸のマサチューセッツ州から西海岸のカリフォルニア州で選挙、アメリカ領サモアでは党員集会が開かれる。

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(貼り付けはじめ)

サウスカロライナ州での勝利の後バイデンの支持率が全国規模の調査で7ポイント上昇(Support for Biden rises 7 points nationally after South Carolina win

ザック・バドリク筆

2020年3月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/485507-support-for-biden-rises-7-points-nationally-after-south-carolina-win

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は全国規模の世論調査で民主党予備選挙候補者の中でトップに立っているが、「モーニング・コンサルト」社の最新の世論調査の結果によると、ジョー・バイデン前副大統領が土曜日のサウスカロライナ州での予備選挙で圧勝してから7ポイントも支持率を上げていることが分かった。

全国規模の世論調査の結果では、サンダースの支持率は29%で、対するバイデンは26%である。続くニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグの支持率は17%で、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の支持率は11%だ。

同社がサウスカロライナ州での予備選挙の前に行った世論調査では、サンダースの支持率は32%で、バイデンの支持率は19%だった。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は共に既に選挙戦からの撤退を表明したが、最新の世論調査が実施された時点ではまた発表がなされていなかったために、それぞれの支持率は10%と3%だった。

前回の世論調査ではアフリカ系アメリカ人の間での支持率でサンダースは単独トップだったのだが、今回の世論調査では31%でバイデンと同率首位となった。バイデンはヒスパニック系有権者の間での支持率を9ポイント伸ばして21%したが、それでもサンダースは誌パニック系有権者の間での支持率で圧倒的な差をつけてリードしている。ヒスパニック系有権者はスーパーチューズデーで投開票が実施されるテキサス州とカリフォルニア州で重要な役割を果たすことになる。

スーパーチューズデーで投開票が実施される14州の世論調査の結果の平均では、サンダースが大差でリードしている。サンダースの支持率が33%に対してバイデンは24%だった。しかし、ここでもバイデンは支持率を7ポイント伸ばしている。ブルームバーグはこれまでの4つの予備選挙では候補者登録をしておらず、火曜日が公式に初めての選挙ということになるが、支持率は4ポイント下落して16%となった。

今回の世論調査は2020年2月23日から27日にかけてと3月1日に2656名の民主党予備選挙戦か予定者を対象に実施された。誤差は2ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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