古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ペンシルヴァニア州

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年11月5日に投開票が実施されるアメリカ大統領選挙は、現職のジョー・バイデン大統領(民主党)と前職のドナルド・トランプ前大統領(共和党)の一騎打ちになっている。各種世論調査の結果では、トランプが有利な状況になっている。しかし、ジョー・バイデンが追い上げている状況になり、大接戦になっている。アメリカはインフレが続き、一般国民の生活は苦しい状況が続いているが、経済は好調とされている。ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争は終結が見えていない中で、バイデン政権は支援を継続している。

2024uspresidentialelectionpolls20240614001
2024uspresidentialelectionpolls20240614002

 アメリカ大統領選挙は候補者への直接投票ではなく、各州での選挙人への投票が実施される。そして、各州で多くの票を取った候補者が選挙人を総取りする。各州の選挙人は、その州から選出される、連邦上院議員(人口や規模にかかわらず各州2名)と連邦下院議員(人口によって大きく異なる)の合計数となっている。連邦議員が出ていないワシントン・コロンビア特別区は3名となっている。一番多いカリフォルニア州で54名(上院議員が2名で、下院議員が52名)、一番少ないのはメイン州やワイオミング州の3名(上院議員が2名で、下院議員が1名)となっている。選挙人数は全米で合計538であり、過半数は270だ。

各候補の総得票数と選挙人獲得数の間に乖離があり、総得票数で勝っても、選挙人獲得数で負けた選挙というのは複数回ある。最近では、2016年(敗者はヒラリー・クリントン)と2000年の大統領選挙(敗者はアル・ゴア)がそうだった。

ちなみに、選挙人数が同数となる、あるいは、過半数を獲得する候補者が出なかった場合には、連邦下院で選挙を実施して大統領を決定するが(連邦下院では副大統領を決める)、その際には各州の代表が1票を投じる形になり、26州以上の支持を得た候補者が大統領になる。

 州ごとの各種世論調査の結果を細かく見ていき、それを選挙人獲得数に反映させていく作業を行った。その結果、トランプが268,バイデンが226、決めきれない州の合計が44となった。決めきれなかった州は、ペンシルヴァニア州(19)、ミシガン州(15)、ウィスコンシン州(10)である。2016年にドナルド・トランプを勝利に導いた、五大湖周辺州、以前はアメリカの製造業を支えたラストベルト(Rust Belt)と呼ばれる地域だ。2016年、2020年の大統領選挙で、この3つの州で勝利を得た候補者が最終的な勝利者となっている。

2024uspresidentialelectionpredictions20240614001

2024uspresidentialelectionpredictions20240614002

※ペンシルヴァニア州

■2016年

○ドナルド・トランプ:297万733票(48.18%)、●ヒラリー・クリントン:292万6441票(47.46%)

■2020年

○ジョー・バイデン:345万8229票(49.85%)、●ドナルド・トランプ:337万7674票(48.69%)

※ミシガン州

○ドナルド・トランプ:227万9543票(47.50%)、●ヒラリー・クリントン:226万8839票(47.27%)

■2020年

○ジョー・バイデン:280万4040票(50.62%)、●ドナルド・トランプ:264万9852票(47.84%)

※ウィスコンシン州

■2016年

○ドナルド・トランプ:140万5284票(47.22%)、●ヒラリー・クリントン:138万2536票(46.45%)

■2020年

○ジョー・バイデン:163万866票(49.45%)、●ドナルド・トランプ:161万184票(48.82%)

 今回の選挙でもこれらの州は大接戦であり、ジョー・バイデンがこれら3つの州で勝利を収めることができれば、選挙人270名を獲得し、勝者ということになる。トランプとしては、2016年の選挙結果の再現を目指すことになる。

 バイデンが現職の強みで、ウクライナ戦争か、イスラエル・ハマス紛争で、大きな進展、具体的には停戦を実現することができれば、バイデンには追い風となり、再選ということになるだろう。トランプはバイデン政権の動きの遅さを攻撃しながら、ラストベルトに注力したいところである。

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

>
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカでは2020年11月3日を迎え、アメリカ東部標準字帯に属する各州では既に投票が開始されている。昨年から始まったアメリカ大統領選挙もいよいよ投開票日を迎えた。共和党のドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領と、民主党のジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の激突だ。

 マスコミは今年のセミが鳴いている頃には「バイデン氏が圧倒的に有利」と報道し、私の知り合いの中にも「今回はいくら何でもバイデン氏が勝つだろう」という予測を立てている人が多くいた。私は常に周囲に合わせて、波風を手ないように生活するような性格に生まれついてしまっているが、今回は「トランプが勝つかもしれないよ」というへそ曲がりの答えをしていた。

 そもそも日本のメディアのアメリカ大統領選挙報道は、アメリカで大学や報道機関が実施する世論調査の結果を根拠にしており、はっきりして独自の取材や調査に基づいていない。しかも、だいたいが全国規模の世論調査の結果を根拠にして「バイデン氏大量リード」などとやっていた。しかし、私はこのブログでもさんざん書いたが、アメリカ大統領選挙は各州に配分された選挙人の総取りが基本であって、総得票数と選挙人獲得総数が合わないということがある。2000年と2016年がそうだった。だから、各州の情勢を詳しく見なければならない。日本の報道は大雑把であり、かつ根拠が不確実なものだった。

 さて、いよいよ投開票日である。今までも世論調査の結果の平均を出して、どちらがリードしているかで出した地図が以下のものだ。これはRealClearPoliticsのウェブサイトに行けば見られる。

RealClearPoliticsのウェブサイトのアドレスは以下の通り↓

https://www.realclearpolitics.com/epolls/2020/president/2020_elections_electoral_college_map_no_toss_ups.html

2020presidentialelectionrealclearpoliticsnotossupmap001
 これを見ると、選挙人獲得数はバイデンが318名、トランプが218名となり、バイデンが圧勝ということになる。しかし、RealClearPoliticsの名誉のために申し添えておくと、これは激戦州について、両候補の差がほぼないところでも無理にどちらかで色分けするとこういう結果になるというだけのことであって、これは実態に即した地図ではない。

 ここで、私は自分なりにいくつかの思考実験(と言う名目の遊び)をしたいと考えて、RealClearPoliticsの「Create Your Own Map」機能を利用して、シミュレーションをしてみた。テキサス州とフロリダ州はトランプが追い上げており、この両州でトランプが勝つという前提で地図を作ってみると次のようになる。

2020presidentialelectionfurumuraownmap004

バイデン217対トランプ193となる。更にミシガン州とペンシルヴァニア州を除いて、情勢を考慮して色分けを加えていく。まず、アリゾナ州とノースカロライナ州という共和党が強いが今回は激戦州をバイデンが取ったとすると、以下のような情勢になる。バイデンがあと少しで270が取れない情勢で、ミシガン州とペンシルヴァニア州が残る形になる。

2020presidentialelectionfurumuraownmap003

 アリゾナ州とノースカロライナ州をトランプが取ったとすると、選挙の情勢は以下の通りにトランプ
が有利ということになる。
2020presidentialelectionfurumuraownmap002
 日本のマスコミが述べてきたように、「バイデン氏圧倒的に有利」ということは少なくとも言えないということになる。私は最後の大統領選挙討論会がキーポイントだったと思う。ブログでも書いたが、あの時のトランプはバイデンを大きく上回った。そこから一気に追い上げムードになったと思う。そして、バイデンはリードを縮められている。

そのことが分かっているので、バイデン陣営は最後の1枚前の切り札であるバラク・オバマ前大統領を担ぎ出してきた。本当の切り札はミシェル・オバマ夫人であるが、ミシェルを出すと、余裕がないという逆宣伝になってしまうから出せなかったのだと私は判断する。

 今回の選挙では既に役1億人が期日前投票や郵便投票を利用して投票を済ませたという報道が出た。有権者人口が約2億5000万人で、いつもは1億3000万から4000万人が大統領選挙で投票をするが、この報道が正しいとすると、今回は得票率が上昇することが考えられる。そして、期日前投票に関する「モーニング・コンサルト」社の調査では、期日前に投票を済ませた人の中で、新型コロナウイルス感染でリスクの高い中高年が高い割合を占めたということだ。また、民主党支持の有権者が50%、共和党支持の有権者が21%だったということも注目される。

※モーニング・コンサルト社のウェブサイトのアドレスは以下の通り

https://morningconsult.com/exit-polling-live-updates/

 今回の選挙も2000年の選挙のように、色々と揉めて結果が確定するまで、長引きそうだ。私は最後の追い上げを考慮して、トランプが有利としておく。

(終わり)
副島先生新刊書影

金とドルは光芒を放ち 決戦の場へ (単行本)
amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 五大湖は東側からオンタリオ湖、エリー湖、ヒューロン湖、ミシガン湖、スペリオル湖から成り立っている。この五大湖周辺に接しているのは、東側からニューヨーク州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミネソタ州である。これらの州はアメリカの勃興期に製鉄業や石油採掘業、自動車製造業で大きく発展した。シカゴ、デトロイト、クリーヴランドなどの工業で発達した大都市が存在する。
greatlakesstates109

 これまでの歴史では、五大湖周辺州は工業地帯ということもあり、労働組合の活動が盛んで、民主党が優位であった。2016年の大統領選挙ではそのこともあり、民主党候補のヒラリー・クリントンが勝利すると見られていたが、僅差で共和党候補のドナルド・トランプが勝利した。このことが大番狂わせの原因となった。

 労働組合に参加していた白人労働者たちが、一向に良くならない生活と雇用環境に業を煮やし、民主党支持を止め、「雇用を取り戻すために保護貿易を行う」と訴えたトランプに投票したという分析がなされている。保護貿易といえば、1980年代に日米間の貿易摩擦で、民主党所属のリチャード・ゲッパート連邦下院議員の激しい日本叩きが思い出される。2010年代以降、その亡霊が姿を現したのだ。ちなみに、現在のトランプは共和党所属だが、2010年代半ばまでずっと民主党員であった。

 共和党候補であるトランプが、民主党が主張していた保護貿易を訴えて当選したというところから、共和党内部にはトランプ大統領への嫌悪感がある。また、大統領選挙と合わせて実施される連邦上院議員選挙と連邦下院議員選挙では現在のところ、民主党が有利である。大統領選挙と同時に実施される連邦議員選挙の場合には、大統領選挙の情勢が大きく影響すると言われ(これをdown ballotと言う)、トランプが大統領に再選されても、共和党の連邦議員数が減れば、トランプの責任ということになり、彼の影響力は大きく減退する。

 トランプがフロリダ州とテキサス州で勝利をすればの話だが、五大湖周辺州は今回の大統領選挙の最終決戦場となる。現在のところ、各種世論調査の結果では、五大湖周辺州ではバイデンが有利という結果が出ている。ミシガン州とウィスコンシン州ではバイデンのリード差が広がっているが、オハイオ州とペンシルヴァニア州では両者の差は小さい。オハイオ州とペンシルヴァニア州でトランプが勝利ということになれば結果は大接戦ということになる。オハイオ州とペンシルヴァニア州の選挙人数は38名であり、ここをトランプが取ればトランプ大統領の再選が近づく。

(貼り付けはじめ)

世論調査:トランプがミシガン州。ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で追いかける展開に(Trump trailing in Michigan, Pennsylvania and Wisconsin: poll

ジョセフ・チョイ筆

2020年10月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520534-great-lakes-poll-shows-trump-trailing-in-michigan-pennsylvania-and

最新の世論調査によると、トランプ大統領は3つの激戦州(スイング・ステイト)であるミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンを追う展開になっている。

ボールドウィン大学がオークランド大学とオハイオ・ノーザン大学と共同して行った世論調査の結果を金曜日に発表した。それによると、ミシガン州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が43%で7ポイントのリード、ペンシルヴァニア州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が45%で5ポイントのリード、ウィスコンシン州ではバイデンの支持率が49%、トランプの支持率が43%で約7ポイントのリードとなっている。

トランプ大統領はオハイオ州では僅差でリードしている。支持率はトランプ大統領が47%、バイデンが45%だった。しかしその差は誤差の範囲内であった。

2016年の大統領選挙ではトランプがこれら4州全てで勝利した。

最新の世論調査では、調査に応じた人々の過半数が1回目の大統領選挙候補者討論会を視聴し、バイデンがより良いパフォーマンスを行ったと答えた。51%がバイデン前副大統領の方がより良いパフォーマンスをしたと答え、32%が勝利者だったと答えた。

有権者の多くは、1回目の討論会では頻繁に繰り返される割り込みと個人攻撃によって酷くイラついたと答えた。しかし、トランプ支持の有権者たちのほとんどは討論会を見たことを理由にトランプへ投票する気持ちが「全く変わらない」と答えた。

世論調査担当者たちは、有権者たちは勝利が発表されるまでに全ての投票が集計されるようにすべきだと答えた。全ての投票が集計される前にトランプ大統領が勝利を主張しても、投票集計の正確性について信頼を持てないと有権者の過半数が述べている。トランプ大統領は来月の選挙で負けて平和的な政権移行に協力することを拒絶し続けている。

今回の世論調査の結果は、『ワシントン・ポスト』紙とABCニュースによる全国規模の世論調査の結果が出る数日前に発表された。ワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査の結果では、バイデンがトランプに12ポイントのリードをしている。有権者の53%がバイデンを支持し、41%がトランプを支持した。

今回の五大湖周辺州での各種世論調査は9月30日から10月8日にかけて4166名を対象に実施された。これら4つの州での世論調査の誤差は約3ポイントである。

最新の世論調査のデータを見て、共和党の最高幹部たちは連邦上院で共和党が過半数を維持できるかどうか懸念を持っている。幹部たちはトランプ大統領の支持率を見て、これが各州レベルの選挙にマイナスの影響を与えることになるだろうと恐怖感を持っている。カンザス州やサウスカロライナ州のような伝統的に共和党優位の各州で民主党の候補者たちが大きなリードをつけている。共和党側は現在、連邦上院の23の議席を防衛しようとしている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 ジョー・バイデン前副大統領がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で独走状態と言えるほど、大きなリードをしています。現在の状況では2020年の米大統領選挙本選挙で民主党の候補者となる可能性が高まっています。病気やスキャンダルが明らかになればこの状況も変わってくるでしょうが、これは中々予測できません。

 

 バイデンは自分自身の出身州であるペンシルヴァニア州フィラデルフィアに大統領選挙対策本部を設置しました。そして、5月19日にフィラデルフィアで初めての大規模選挙集会を開催しました。翌日20日にはドナルド・トランプ大統領がペンシルヴァニア州を訪問し、選挙集会を開催しました。

 

 ペンシルヴァニア州が2020年の大統領選挙で重要な激戦州だとバイデン前副大統領とトランプ大統領共に考えていることが分かります。

 

アメリカ大統領選挙の本選挙は各州に配分された選挙人を取り合う仕組みです。例外もありますが一票でも上回った候補者が選挙人を総取りすることになります。選挙人の総数は538人ですから過半数は270人となります。2016年の大統領選挙では、トランプ大統領が304人、ヒラリー・クリントンが227人(残り7人は別の人)を獲得しました。

 

2016年の本選挙ではヒラリー優勢という予想が多く出ましたが、それは民主党優勢州と見られていたペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州でヒラリーが何とか勝つだろうと見られていたからでした。しかし、結果は以下にある通り、得票率1ポイント差以内の激戦で、トランプがことごとく勝利したことで、304の選挙人を獲得し当選しました。この3つの州の選挙人数は合計で46人ですから、選挙人の合計の約8.5%を占めますので重要です。

 

■2016年の大統領選挙の結果の抜粋

 

●ペンシルヴァニア州(0.72%差):20人

・ドナルド・トランプ:2,970,733票(48.18%)

・ヒラリー・クリントン:2,926,441票(47.46%)

 

●ミシガン州(0.23%差):16人

・ドナルド・トランプ:2,279,543票(47.50%)

・ヒラリー・クリントン:2,268,839票(47.27%)

 

●ウィスコンシン州(0.77%差):10人

・ドナルド・トランプ:1,405,284(47.22)

・ヒラリー・クリントン:1,382,536(46.45)

 

 バイデンがフィラデルフィアに選挙本部を置いたのは、アメリカ建国時の首都であり、アメリカでは「古都」として位置づけられる場所で、「アメリカの価値」を前面に押し出して、対立と分裂を招いているトランプと対峙しようという姿勢を見せようという目的があるからです。そして、「打倒トランプ(beat Trumpnever Trump)」を旗印に選挙戦を展開しようとしています。

 

 これについては、「それでは2016年のヒラリー・クリントンの時と一緒だ」という批判が出ています。中西部のラストベルトの白人労働者の人々は、「民主党に投票してきた。彼らは良いことをたくさん言ってきたが、自分たちの生活は悪くなるばかりだ」と考え、トランプ大統領に投票したのです。アメリカの価値も重要かもしれないが、それよりも生活、経済のことが重要だと考えました。ですから、ヒラリー・クリントンに投票せず、トランプに投票しました。

 

 現在、ジョー・バイデンが支持率でトップを独走状態なのは、民主党支持者が、「彼はトランプを倒せる唯一の人物だ」「彼には本選挙で当選可能性(electability)がある(他の候補者には当選可能性はない)」と考えているからです。本選挙は共和党支持者や無党派の有権者にもアピールしなければなりません。ですから、「過激な社会主義者のサンダース、真面目なだけのエリザベス・ウォーレン、若造のブティジエッジでは、共和党支持や無党派の有権者にアピールできないのでトランプに勝てないので、やはり安定感と知名度があって民主党支持者以外にもアピールできるバイデンだ」ということになります。

 

 ですが、バイデンがヒラリーと変わらないことばかりを言い続けても、それでは2016年の時と変わりません。それでは何か経済で新奇なことをということになっても、公共投資や保護貿易といった民主党お得意の経済政策は既にトランプ大統領に取られてしまっています。その規模を云々するくらいしかできないとなると、「アメリカの価値」を訴えるということになります。その点で、民主党側はジレンマに陥っている、と言えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「バイデン候補が大統領選キャンペーンスタート 「結束」訴え」

 

By Osamu Fukuzaki

2019-05-19

Mashup New York

https://www.mashupreporter.com/biden-first-campaign-philadelphia/

 

2020年大統領選で民主党の指名獲得を目指すジョー・バイデン前副大統領は18日、フィラデルフィアで選挙集会をスタートした。

 

バイデン氏は冒頭、フィラデルフィアを最初の地に選んだことについて「我々の民主主義の誕生の地だからだ」と支持者に語りかけた。平等、生命、自由、幸福の追求の権利を「自明のこととする」と謳った独立宣言を引用し、これらがアメリカの平等や公正、公平の基礎となったと語った。

 

「結束」が中心テーマ

 

現在の政治状況を、党派的で、非生産的であると述べ、「判断について議論せずに、動機を問題にし、耳を傾けるかわりに、叫んでいる。解決を探さず、得点ばかりをもとめている。」と語った。

 

続けて「しかし、これでおしまいだ。この政治は我々を分断するからだ。…政治家は分断を売り物にしている。そして、我々の大統領は分断の最高指導者だ」と述べた。

 

また「民主党では”結束”について聞きたくないという声がある。彼らは、怒りが大きい候補者ほど指名を獲得できるといっている」と左傾化が進む党内の声について語り、「私はそれを信じていない。民主党はこの国を一つにしたいと思っている」と、党派を超えてコンセンサスを重視するスタイルを強調した。

 

先週ロイター通信は、バイデン氏が気候変動対策について、トランプ氏支持者と環境保護推進者の両方にアピールする「中道」政策を検討していると報じた。これに対し、バーニー・サンダース上院議員やワシントン州のジェイ・インスレー知事などの候補者や、オカジオ・コルテス下院議員から、気候変動に中道はありえないといった批判の声が上がっていた。

 

「アメリカ市民が大統領に、分断を増やし、拳を握って冷酷に国を導き、相手を悪者扱いしてヘイトを撒き散らすことを求めるならば、私は必要ない。」と語り、「私は、民主党と共和党、無所属を含む、この国に違った道筋を開くために出馬する」と述べた。

 

最重要政策は打倒トランプ

 

演説では、気候変動対策、投票権や女性の権利の保護、医療保障の拡大といった民主党の優先課題を共有している姿勢を示し、「政府をどのように機能させるか知っている。なぜなら成し遂げてきたからだ」と、上院議員と副大統領としての経験を強調した。一方、「私の気候変動対策で、第一に重要な政策を申し上げるならば、トランプを打ち負かすことだ」と語った。

 

17日にFOXニュースが発表した調査結果では、民主党支持者が候補者選びで最も重視する点として、トランプ大統領を倒せるかどうかが第一位となった。さらにすべての有権者を対象にした調査では、バイデン氏とトランプ大統領の戦いとなった場合、49%がバイデン氏(トランプ氏38%)を支持する結果となった。

 

演説では、オバマ前大統領についても度々触れた。トランプ大統領の最大のアピールポイントの一つである好調な経済環境について、前政権の成果を受け継いだと述べた。「トランプ大統領は、彼が人生で受け継いだものと同様に、オバマ-バイデン政権から経済を受け継いだ」と語ると、会場は大きな歓声に包まれた。

 

ニューヨークタイムズは昨年10月、トランプ氏が父親から、長年にわたって少なくとも4億ドル(440億円)を相続していたことを報じた。さらに同紙は今月、1985年から1994年の間、トランプ氏がビジネスで、1,000億ドル(11兆円)以上の損失をしていたと報じている。

 

=====

 

バイデンが2020年大統領選挙の選挙対策本部をフィラデルフィアに設置(Biden to base 2020 campaign in Philadelphia

 

タル・アクセルロッド筆

2019年5月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/443980-biden-to-base-2020-campaign-in-philadelphia

 

ジョー・バイデン前副大統領はフィラデルフィアに自身の選挙対策本部を設置することを決めた。フィラデルフィアはラストベルトの重要な州ペンシルヴァニア州内最大の都市である。ペンシルヴァニア州は本選挙当選に向けて重要である。

 

バイデンの選対責任者グレッグ・シュルツは声明の中で、「アメリカの民主政治体制の誕生の地に私たちの選対の本部を置くことを誇りに思っている」と述べている。

 

シュルツは「フィラデルフィアは繁栄し続けている都市であり、アメリカ精神を具現化している場所である。フィラデルフィアの一般市民の創意工夫と不屈の精神によってフィラデルフィアは建設された。フィラデルフィアの積み重ねられてきた歴史と多様性によって、ティーム・バイデンは鼓舞されることになるだろう。この国の魂のために戦い続けるためのまさに理想的な場所である。」

 

バイデンは土曜日に「同胞愛(brotherly love)」という名前の付いたフィラデルフィアで選挙集会を開催することになっている。

 

ペンシルヴァニア州はミシガン州とウィスコンシン州と同じく、2020年の大統領選挙で最も激しい戦いが展開される州となるだろう。これらの各州は長年にわたる民主党勝利の歴史を止め、2016年の選挙で勝利を収めた。

 

トランプ選対の上級顧問たちはペンシルヴァニア州でのトランプ大統領の再選の可能性について危惧を抱いているという報道が出た。2016年の選挙ではトランプ大統領は得票率で1ポイント以下の差で勝利を収めた。

 

バイデンは「要石の州(Keystone State、訳者註:ペンシルヴァニア州の別名)」の出身である。バイデンは白人の労働者階級の有権者たちの支持を取り戻そうとアピールに躍起になっている。白人の労働者階級の有権者たちは伝統的に民主党に投票してきたが、2016年の大統領選挙では民主党の候補者ヒラリー・クリントンではなくトランプ大統領を支持した。バイデンは今回の大統領選挙で自分がペンシルヴァニア州スクラントン出身であることをアピールし、アメリカのブルーカラーの労働者たちの苦境について理解があることを示そうとしている。

 

バイデン前副大統領は多くの候補者が立候補している予備選挙で先頭を走っている。先月に正式な出馬表明を行って以降、全国規模の世論調査で全て支持率トップを記録している。また、数百万ドル規模で選挙資金の寄付を受けている。

 

=====

 

2020年の大統領選挙での警報が鳴り、トランプ選対幹部がペンシルヴァニアを訪問(Trump camp descends on Pennsylvania as alarms grow over 2020

―トランプ選対はペンシルヴァニア州共和党の

The president’s team is set to meet with a state Republican Party riven by dissension.

 

アレックス・アイゼンスタッド、ホーリー・オッターバイン筆

2019年4月24日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/story/2019/04/24/trump-pennsylvania-2020-1288797

 

2020年の米大統領選挙のトランプ陣営の上級アドヴァイザーたちは水曜日、ペンシルヴァニア州共和党の幹部たちと会談を持つためにハリスバーグに向かう。彼らは大統領選挙の結果を左右する激戦州でのトランプ大統領の勝利の見込みについて懸念を募らせながら当地に向かう。

 

トランプ選対は、2018年の中間選挙で共和党が大敗を喫したペンシルヴァニア州で挽回しようとして動いている。ペンシルヴァニア州共和党内部は対立や内部闘争などで分裂状態になっている。

 

6名の共和党幹部が会談実施は事実だと認めた。この会談はペンシルヴァニア州が大統領にとって重要な州であることを強調するためのものだ。2016年の大統領選挙で、トランプ大統領はペンシルヴァニア州において得票率1ポイント差以下で辛勝した。選対の幹部たちはペンシルヴァニア州に配分されている20名の選挙人が再選にとって極めて重要であると考えている。ペンシルヴァニア州は象徴的な面でも重要性を持っている。2016年、トランプ大統領はペンシルヴァニア州のブルーカラー労働者たちに向けた選挙運動を積極的に展開した。彼らの多くは伝統的に民主党に投票してきた人々だった。

 

ペンシルヴァニア州を訪問するトランプ選対の幹部には、選対の全国各地の人員の配置や資金の投入を決める部門の責任者クリス・カー、共和党予備選挙の代議員と各州の党組織との連絡と協力を担当するビル・ステピエンとジャスティン・クラークが含まれると見られている。共和党全国委員会の幹部たちも同行すると見られている。

 

今回の訪問は、各激戦州訪問の第一弾となる。最初の訪問地がペンシルヴァニア州になったことについて、選対幹部たちは、この州の重要性があることと再選の可能性について懸念が高いことを理由として挙げている。

 

ペンシルヴァニア州共和党委員長を務めたロブ・グリーソンは「党の現状は素晴らしいものではありません。このことは誰の目にも明らかなことです」と述べている。

 

会談では、人員や資金の投入、有権者に関するデータ、ペンシルヴァニア州共和党と全国委員会と選対の協力が中心議題になると見られている。

 

ペンシルヴァニア州共和党側から出席するのは、党委員長のヴァル・ディジオルジョと共和党全国委員会員ボブ・アッシャーと見られている。2016年にペンシルヴァニア州でのトランプ勝利に貢献したテッド・クリスティアンとデイヴィッド・アーバンも出席すると見られている。また、2018年の中間選挙で連邦上院議員選挙に敗北した、トランプ大統領の盟友ルー・バーレッタもと連邦下院議員も出席すると見られている。

 

大統領選挙トランプ選対の報道担当ティム・マーターは会談についてのコメントを拒絶したが、トランプ大統領がペンシルヴァニア州で勝利する見通しに自信を示した。

 

マーターは「2016年の大統領選挙でペンシルヴァニア州の有権者の皆さんはトランプ大統領につきました。2020年でも再び大統領の側に立つでしょう」と述べた。

 

トランプ選対はここ数か月ペンシルヴァニア州に力を注いできた。2019年1月、ディジオルジョはワシントンを訪問し、トランプ選対の幹部たちと再選について非公式に話し合った。ディジオルジョはその場で2020年の本選挙に関する見通しと計画を発表した。ヴォランティアの募集、2018年に共和党から離れた有権者たちへの広報活動、現在低調な資金集めを転換することについて詳細を報告した。

 

ディジオルジョは、ペンシルヴァニア州共和党はトランプ選対と緊密に協力し、それによって来年の選挙で「もう一回勝利」ができるであろうと述べたと言われている。

 

ペンシルヴァニア州共和党にとって悪いニュースが数か月続いた。その後に水曜の会談が開催された。2018年3月、保守的な土地柄で知られるペンシルヴァニア州南西部地区で実施された補欠選挙で共和党の候補者が落選した。2018年11月の中間選挙では、連邦上院議員選挙、州知事選挙において得票率で2桁の差をつけられて惨敗となった。また、連邦下院議員選挙でも3つの選挙区で敗北を喫した。これは選挙区が民主党に有利なように改正されたことが一因であった。

 

それ以降もマイナスな出来事が続いた。2019年4月に実施された州上院議員の補欠選挙で2016年にトランプ大統領が勝利した選挙区で民主党が勝利を収めた。全国レヴェルで、2019年に入って民主党が共和党から議席を奪還したのはこれが初めてのこととなった。共和党員の中からペンシルヴァニア州共和党は有権者にアピールし投票してもらうために十分な資金と人的資源を投入していないという不満の声が上がるようになっている。

 

ペンシルヴァニア州共和党内部の権力闘争によって執行部は大きなダメージを受けた。共和党員の中には委員長のディジオルジョには資金集めの能力がなく、2017年に実施された州共和党委員長選挙で分裂した党をうまくまとめることが出来なかったと批判している人々もいる。

 

その他にも失敗があった。先週、フォックスニュースのタウンホールミーティング形式に番組に民主党の候補者バーニー・サンダースが出席した。この番組はペンシルヴァニア州ノーザンプトンで収録され生中継された。この町は伝統的に民主党優勢の土地柄であったが2016年の選挙ではトランプ大統領が勝利した。ゴールデンタイムに放送されたこの番組は、トランプ王国で人々から喝さいを浴びるサンダース、という構図を視聴者に見せることになった。共和党支持の視聴者たちは、共和党の活動家たちがトランプ大統領の支持者をこのイヴェントに出席させてサンダースにブーイングをさせることを怠ったのではないかと疑念を持つほどであった。

 

しかし、ペンシルヴァニア州共和党の状況が安定し始めていることを示す兆候も出てきている。今年の冬の総会でディジオルジョ委員長に対する不信任決議がなされるという噂が数カ月に渡り流れたが、実際には決議はなかった。

 

ペンシルヴァニア州西部を代表している州共和党委員会委員ブルース・ホットルは総会前には州共和党執行部については「よく検討される」べきという立場を取っていた。しかし、現在までに彼は考えを変えている。

 

ブルースは「州共和党執行部は昨年秋の選挙で何がうまくいかず、何がうまくいったかについて検討を行い、改善すべき点を何とかしようと努力しています。ですから、私たちは同じ罠に再びはまってしまうことはないでしょう」と述べた。

 

州共和党の関係者の中にはペンシルヴァニア州で党が直面している問題は自分たちで何とか出来るレヴェルを越えていると見ている人たちもいる。フランクリン・アンド・マーシャル大学が先月発表したペンシルヴェニア州で実施した世論調査の結果では、登録済有権者の中でトランプ大統領の仕事ぶりを肯定的に評価する人たちは34%に留まった。これは現職大統領としては危険な水準である。

 

2020年の大統領選挙でペンシルヴァニア州において再び勝利するために、共和党幹部たちはトランプ大統領に対して、2016年の大統領選挙の際のパフォーマンスを再現する必要があると助言した。伝統的に民主党が優勢な州で2012年の選挙でもオバマ大統領(当時)が勝利した州で再び勝つためには2016年を再現しなければならない。To win

 

ペンシルヴァニア州共和党の幹部を長年務め、資金集め担当者であるアッシャーはトランプの再選に向けた選挙運動について手放しの賛辞を送っている。彼は水曜日の会談の際に「選対はペンシルヴァニア州の隅々に至る全ての人々、共和党関係者全てに参加してもらえている」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ