古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ペンシルヴァニア州

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙投開票日まで100日を切った。アメリカや日本の主要メディアでは、「民主党のカマラ・ハリス副大統領が急速に追い上げている」「共和党のドナルド・トランプ前大統領は、副大統領候補のJ・D・ヴァンス連邦上院議員の失言問題もあり苦戦している」という報道がなされている。それは一面では正しいが、一面では正しくない。

 アメリカ大統領選挙は有権者の投票数の合計ではなく、各州の選挙人獲得数で争われる。各州の選挙人は勝者総取り形式で配分される。例えば、カリフォルニア州でA候補が100万1票、B候補が100万票を獲得した場合には、A候補が54人の選挙人全員を獲得する。

 全米50州と首都ワシントン・コロンビア特別区のうち、40以上は既に結果が見えている。分かっている。民主、共和両党のイメージカラーから、民主党優勢州は「ブルーステイト(Blue State、青い州)、共和党優勢州は「レッドステイト(Red State、赤い州)」」と呼ばれている。40以上の州とワシントンDCはきれいに色分けされている。そして、残りの約10州は激戦州(Battleground State)とか、「パープルステイト(紫の州)」などと呼ばれる。大統領選挙の結果を決めるのはこれらの激戦州だ。今回の選挙では、激戦州(Toss-up)は、以下の地図にあるおうど色の州だ。赤と青はそれぞれ、共和党のトランプと民主党のハリスが「固めた」州と言えるだろう。基礎票はトランプ235対ハリス226となる。ここからスタートとなる。

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 おうど色の州で重要なのは、ペンシルヴァニア州とジョージア州だ。この2州をトランプが制すれば、270となって、選挙人538名の過半数を獲得することになり、大統領に当選ということになる。この2州は、2016年の選挙ではトランプが勝利し、2020年の選挙ではバイデンが勝利した。目まぐるしく勝者が変わる州である。この2州が非常に重要ということになる。トランプ銃撃事件が起きたのが、ペンシルヴァニア州バトラーだったことを考えると、トランプ陣営としては、ペンシルヴァニア州を是が非でも取りたい。ウィスコンシン州やアリゾナ州でも勝利できれば、より盤石な勝利ということになる。

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 ハリス陣営としては、この2つの州を明け渡す訳には行かない。何とかどちらか1つの州を取りたいところだ。ネヴァダ州は2016年も、2020年も民主党が取っているので、ここは激戦州だが大丈夫という計算をしているだろう。アリゾナ州選出のマーク・ケリー連邦上院議員を副大統領候補にすれば、アリゾナ州も民主党が取れる可能性が高まる。しかし、そうなると、大統領候補のハリスがカリフォルニア州出身、副大統領候補のケリーがアリゾナ州出身となって、ロッキー山脈より西の西部に偏り、五大湖周辺州や南部にはなじみがない顔ぶれとなってしまう。やはり重要なのは、五大湖周辺州、ペンシルヴァニア州だ。そして、アフリカ系アメリカ人有権者の多いジョージア州だ。ジョー・バイデンはアフリカ系アメリカ人の政治家やコミュニティリーダーと長年にわたり、深い関係を築いていた。ハリスは、父親がジャマイカからのアフリカ系アメリカ人移民ということで何とかアピールしたいところだ。

 激戦州の戦いでは、現在、トランプがやや有利となっている。各州を細かく見ていくと、アメリカや日本の報道とはまた違う姿が見えてくる。

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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 民主党の大統領候補となったカマラ・ハリスに副大統領候補の名前が色々と出てきている。候補者コンビのバランス(対照的なアイデンティティの人が良い)や、選挙戦術(激戦州で勝利をもたらしてくれそうな人が良い)を考えると、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、知事以外では、アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー、バイデン政権の運輸長官を務めているピート・ブティジェッジ(インディアナ州サウスベンド市の市長を務めた)といった名前が挙げられる。彼らは白人、男性、東部や中西部出身、激戦州出身といった条件に当てはまっている。
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ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
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ロイ・クーパーとカマラ・ハリス

 人気の高い、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは、ハリスと同じカリフォルニア州を地盤としているために法律上、副大統領候補となるのは難しい。ミシガン秦のグレッチェン・ウィットマーは女性コンビとなってしまうことがネックとなってしまう。また、アフリカ系などのマイノリティ出身者もこの場合はバランスが悪いということになる。アメリカ大統領選挙は長く、女性やマイノリティが候補者に選ばれにくい状況が続いてきたが、これから少しずつ変化していくだろう。

 共和党の副大統領候補が激戦の五大湖周辺のオハイオ州を地盤とするJD・ヴァンスを選んできたということは、五大湖周辺州を取りたいという意図が明確である。そのために、貧しい白人家庭(母親は離婚下シングルマザーで麻薬中毒になっていた)で育ったヴァンスを持ってきた。ペンシルヴァニア州知事シャピロはその点では好敵手ということになる。シャピロは夫婦そろってユダヤ系であり、ハリスの配偶者ダグラス・エムホフもユダヤ系となると、民主党系にはWASPが一人もいないという状況になる。この点は注目される。ロイ・クーパーはいかにも南部人ということで好感を持たれるタイプだが、ノースカロライナ州以外の人気や知名度は低い。経歴や知名度アピールできるとすれば、ケリー上院議員(元海軍パイロットで宇宙飛行士)やブティジェッジ長官(同性愛者、若さ、頭脳明晰さ、軍務に志願したこと)ということになる。
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マーク・ケリーとカマラ・ハリス
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ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス
 ハリスとのバランスと激戦州への効果ということを考えると、ペンシルヴァニア州知事シャピロ、ケリー上院議員といったところの可能性が高いのではないかと考えられる。

(貼り付けはじめ)

民主党はハリスに対して副大統領候補を激戦州から選ぶように促す(Democrats urge Harris to look to battleground states for VP pick

アル・ウィーヴァー筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786852-harris-vice-president-pick-midwest-governors/

民主党はカマラ・ハリス副大統領に対し、大統領選への立候補で民主党内の支持を固める中、副大統領候補として激戦州や党の知事たちから選ぶよう求めている。

ジョー・バイデン大統領が日曜日に民主党候補者から撤退し、ハリスを後継者として支持して以来、ハリスは速やかに党を味方につけた。

この急速な動きを受けて、民主党は副大統領候補として誰が彼女の後継者となるべきかに注目しており、多くの人は、彼らが言うところの「荷物が乗ったベンチ(loaded bench、候補者が多いという意味)」をどのように利用して、コンビのバランスを最も良くするかに注目している。

ブライアン・シャッツ連邦上院議員(民主党、ハワイ州)は、「これはハリス副大統領にとって初めての大統領としての決定であり、彼女には多くの良い選択肢が揃っている」と連邦議事堂で記者団に対し、多くの民主党知事の名前を挙げながら語った。その中には、ペンシルヴァニア州のジョシュ・シャピロ、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー、ノースカロライナ州のロイ・クーパーが含まれていた。更にピート・ブティジェッジ運輸長官とマーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も候補者として挙げられている。

シャッツは、「リストは続く。おそらく大事な人を挙げるのを忘れていて、誰かを怒らせていると思う。でも、私たちは今、たくさんの候補者を持っている」と述べた。

党のストラティジストや議員たちは、ハリスがカリフォルニア州出身で法曹界の経歴を持ち、黒人およびアジア系アメリカ人女性として初めてその職に就く大統領候補と釣り合える候補者を探す必要があるかもしれないことを認めている。

そうした選択肢の大部分を占めているのは、中西部や激戦州出身の男性で、その多くは知事で、ハリスがペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の「青い壁(Blue Wall)」を維持するのを支援する任務を負うことになる。

ある民主党関係者は、「海岸地域出身でなく、政府機関を運営したり、州を運営したり、市長を務めたりしている、もしくはしてきた人物はバランスが取れているだろう」と語った。

複数の民主党議員は、ノースカロライナ州知事としての2期目の任期を終えようとしているクーパーを、選挙戦を後押しする可能性がある人物として挙げており、トランプ前大統領が2020年にノースカロライナ州をリードしたのはわずか7万5000票未満だったと指摘している。

ある連邦下院民主党議員は「副大統領をイメージできるとしたら、クーパーによく似ているだろう。彼は基本的に中心的なキャスティングの1人だ」と述べた。

クーパー知事は月曜日のテレビインタヴューで、日曜日にハリスと電話で話したと語った。クーパーは、会話では「このレースに勝つこと」に焦点が当てられていたと述べたが、副大統領候補についての具体的な話は避けた。

67歳のクーパーは、「人々が私のことを話してくれることはありがたい。でも今週は今、彼女に焦点を当てる必要があると思う」と述べた。

バイデンの閣僚の中で、唯一検討対象と言われているピート・ブティジェッジには有利な点があり、それは、ブティジェッジが、共和党の副大統領候補のJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)との討論会で、最も良いパフォーマンスを発揮するだろうと主張している民主党関係者がいる。

ブティジェッジは、インディアナ州出身でもあり、大統領選に立候補した後に名前が挙がった人物の中で最も有名になっている。

しかし、彼の潜在的な弱点は、有権者がアフリカ系とアジア系アメリカ人の女性と、同性愛者の男性からなるコンビを支持するかどうかに集中している。

一部の民主党議員は懸念を無視している。

ある民主党関係者は、「そんなことに腹を立てるような人たちは、どうせ私たちに投票しないだろう」と語った。

ケリー議員は、近年選挙で比類のない勝利を収めている、激戦州出身の退役軍人で元宇宙飛行士という輝かしい履歴書を民主党が注目しており、副大統領候補の明らかな有力候補となっている。

しかし、彼には明らかな弱点がある。ハリスが勝てば議席を離れ、激戦州で、後任を決める特別選挙を実施する必要があり、連邦上院で民主党が過半数を維持するために、困難をもたらす可能性がある。

激戦州のある民主党関係者は、「ケリーを引き抜いておいて、アリゾナ州で連邦上院の議席を維持することはできない」と語った。

そして、シャピロ知事はかなりの話題を呼び、2028年の大統領候補として広く考えられているが、彼が適任であることを警戒する、一部の進歩主義者からの厳しい監視にさらされている。

連邦下院民主党によると、シャピロ知事はヴィープステークス(veepstakes、訳者註:副大統領候補選出の手続き)の唯一の候補者だが、就学援助やイスラエルへの熱烈な支持など、数々の政策上の立場を理由に進歩主義派議員から「強い反発(strong pushback)」を受けているということだ。

「進歩主義派が会いたくないということを内密に話し合っている事実がある。進歩主義派が会いたくないと言っているのはシャピロだけだ」とこの議員は語った。

一方、深刻な争いを繰り広げている唯一の女性であるウィットマーは、ミシガン州で記者団に対し、「ミシガン州を離れない」し、「どこへも行く」つもりはないと語った。

予期せぬヴィープステークスの分野は決着からは程遠い現状であるが、団結を目指す政党の最前線に立つ候補者が現れるまで、今後数週間のうちに他の名前が浮上するのは確実で、指名を迅速に行うことになる。

シャッツ議員は「これによって明らかになったものの一つは、民主党にはステップアップする準備ができている次世代の指導者がいることを証明することだ」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年11月5日に投開票が実施されるアメリカ大統領選挙は、現職のジョー・バイデン大統領(民主党)と前職のドナルド・トランプ前大統領(共和党)の一騎打ちになっている。各種世論調査の結果では、トランプが有利な状況になっている。しかし、ジョー・バイデンが追い上げている状況になり、大接戦になっている。アメリカはインフレが続き、一般国民の生活は苦しい状況が続いているが、経済は好調とされている。ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争は終結が見えていない中で、バイデン政権は支援を継続している。

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 アメリカ大統領選挙は候補者への直接投票ではなく、各州での選挙人への投票が実施される。そして、各州で多くの票を取った候補者が選挙人を総取りする。各州の選挙人は、その州から選出される、連邦上院議員(人口や規模にかかわらず各州2名)と連邦下院議員(人口によって大きく異なる)の合計数となっている。連邦議員が出ていないワシントン・コロンビア特別区は3名となっている。一番多いカリフォルニア州で54名(上院議員が2名で、下院議員が52名)、一番少ないのはメイン州やワイオミング州の3名(上院議員が2名で、下院議員が1名)となっている。選挙人数は全米で合計538であり、過半数は270だ。

各候補の総得票数と選挙人獲得数の間に乖離があり、総得票数で勝っても、選挙人獲得数で負けた選挙というのは複数回ある。最近では、2016年(敗者はヒラリー・クリントン)と2000年の大統領選挙(敗者はアル・ゴア)がそうだった。

ちなみに、選挙人数が同数となる、あるいは、過半数を獲得する候補者が出なかった場合には、連邦下院で選挙を実施して大統領を決定するが(連邦下院では副大統領を決める)、その際には各州の代表が1票を投じる形になり、26州以上の支持を得た候補者が大統領になる。

 州ごとの各種世論調査の結果を細かく見ていき、それを選挙人獲得数に反映させていく作業を行った。その結果、トランプが268,バイデンが226、決めきれない州の合計が44となった。決めきれなかった州は、ペンシルヴァニア州(19)、ミシガン州(15)、ウィスコンシン州(10)である。2016年にドナルド・トランプを勝利に導いた、五大湖周辺州、以前はアメリカの製造業を支えたラストベルト(Rust Belt)と呼ばれる地域だ。2016年、2020年の大統領選挙で、この3つの州で勝利を得た候補者が最終的な勝利者となっている。

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※ペンシルヴァニア州

■2016年

○ドナルド・トランプ:297万733票(48.18%)、●ヒラリー・クリントン:292万6441票(47.46%)

■2020年

○ジョー・バイデン:345万8229票(49.85%)、●ドナルド・トランプ:337万7674票(48.69%)

※ミシガン州

○ドナルド・トランプ:227万9543票(47.50%)、●ヒラリー・クリントン:226万8839票(47.27%)

■2020年

○ジョー・バイデン:280万4040票(50.62%)、●ドナルド・トランプ:264万9852票(47.84%)

※ウィスコンシン州

■2016年

○ドナルド・トランプ:140万5284票(47.22%)、●ヒラリー・クリントン:138万2536票(46.45%)

■2020年

○ジョー・バイデン:163万866票(49.45%)、●ドナルド・トランプ:161万184票(48.82%)

 今回の選挙でもこれらの州は大接戦であり、ジョー・バイデンがこれら3つの州で勝利を収めることができれば、選挙人270名を獲得し、勝者ということになる。トランプとしては、2016年の選挙結果の再現を目指すことになる。

 バイデンが現職の強みで、ウクライナ戦争か、イスラエル・ハマス紛争で、大きな進展、具体的には停戦を実現することができれば、バイデンには追い風となり、再選ということになるだろう。トランプはバイデン政権の動きの遅さを攻撃しながら、ラストベルトに注力したいところである。

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカでは2020年11月3日を迎え、アメリカ東部標準字帯に属する各州では既に投票が開始されている。昨年から始まったアメリカ大統領選挙もいよいよ投開票日を迎えた。共和党のドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領と、民主党のジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の激突だ。

 マスコミは今年のセミが鳴いている頃には「バイデン氏が圧倒的に有利」と報道し、私の知り合いの中にも「今回はいくら何でもバイデン氏が勝つだろう」という予測を立てている人が多くいた。私は常に周囲に合わせて、波風を手ないように生活するような性格に生まれついてしまっているが、今回は「トランプが勝つかもしれないよ」というへそ曲がりの答えをしていた。

 そもそも日本のメディアのアメリカ大統領選挙報道は、アメリカで大学や報道機関が実施する世論調査の結果を根拠にしており、はっきりして独自の取材や調査に基づいていない。しかも、だいたいが全国規模の世論調査の結果を根拠にして「バイデン氏大量リード」などとやっていた。しかし、私はこのブログでもさんざん書いたが、アメリカ大統領選挙は各州に配分された選挙人の総取りが基本であって、総得票数と選挙人獲得総数が合わないということがある。2000年と2016年がそうだった。だから、各州の情勢を詳しく見なければならない。日本の報道は大雑把であり、かつ根拠が不確実なものだった。

 さて、いよいよ投開票日である。今までも世論調査の結果の平均を出して、どちらがリードしているかで出した地図が以下のものだ。これはRealClearPoliticsのウェブサイトに行けば見られる。

RealClearPoliticsのウェブサイトのアドレスは以下の通り↓

https://www.realclearpolitics.com/epolls/2020/president/2020_elections_electoral_college_map_no_toss_ups.html

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 これを見ると、選挙人獲得数はバイデンが318名、トランプが218名となり、バイデンが圧勝ということになる。しかし、RealClearPoliticsの名誉のために申し添えておくと、これは激戦州について、両候補の差がほぼないところでも無理にどちらかで色分けするとこういう結果になるというだけのことであって、これは実態に即した地図ではない。

 ここで、私は自分なりにいくつかの思考実験(と言う名目の遊び)をしたいと考えて、RealClearPoliticsの「Create Your Own Map」機能を利用して、シミュレーションをしてみた。テキサス州とフロリダ州はトランプが追い上げており、この両州でトランプが勝つという前提で地図を作ってみると次のようになる。

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バイデン217対トランプ193となる。更にミシガン州とペンシルヴァニア州を除いて、情勢を考慮して色分けを加えていく。まず、アリゾナ州とノースカロライナ州という共和党が強いが今回は激戦州をバイデンが取ったとすると、以下のような情勢になる。バイデンがあと少しで270が取れない情勢で、ミシガン州とペンシルヴァニア州が残る形になる。

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 アリゾナ州とノースカロライナ州をトランプが取ったとすると、選挙の情勢は以下の通りにトランプ
が有利ということになる。
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 日本のマスコミが述べてきたように、「バイデン氏圧倒的に有利」ということは少なくとも言えないということになる。私は最後の大統領選挙討論会がキーポイントだったと思う。ブログでも書いたが、あの時のトランプはバイデンを大きく上回った。そこから一気に追い上げムードになったと思う。そして、バイデンはリードを縮められている。

そのことが分かっているので、バイデン陣営は最後の1枚前の切り札であるバラク・オバマ前大統領を担ぎ出してきた。本当の切り札はミシェル・オバマ夫人であるが、ミシェルを出すと、余裕がないという逆宣伝になってしまうから出せなかったのだと私は判断する。

 今回の選挙では既に役1億人が期日前投票や郵便投票を利用して投票を済ませたという報道が出た。有権者人口が約2億5000万人で、いつもは1億3000万から4000万人が大統領選挙で投票をするが、この報道が正しいとすると、今回は得票率が上昇することが考えられる。そして、期日前投票に関する「モーニング・コンサルト」社の調査では、期日前に投票を済ませた人の中で、新型コロナウイルス感染でリスクの高い中高年が高い割合を占めたということだ。また、民主党支持の有権者が50%、共和党支持の有権者が21%だったということも注目される。

※モーニング・コンサルト社のウェブサイトのアドレスは以下の通り

https://morningconsult.com/exit-polling-live-updates/

 今回の選挙も2000年の選挙のように、色々と揉めて結果が確定するまで、長引きそうだ。私は最後の追い上げを考慮して、トランプが有利としておく。

(終わり)
副島先生新刊書影

金とドルは光芒を放ち 決戦の場へ (単行本)
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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 五大湖は東側からオンタリオ湖、エリー湖、ヒューロン湖、ミシガン湖、スペリオル湖から成り立っている。この五大湖周辺に接しているのは、東側からニューヨーク州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミネソタ州である。これらの州はアメリカの勃興期に製鉄業や石油採掘業、自動車製造業で大きく発展した。シカゴ、デトロイト、クリーヴランドなどの工業で発達した大都市が存在する。
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 これまでの歴史では、五大湖周辺州は工業地帯ということもあり、労働組合の活動が盛んで、民主党が優位であった。2016年の大統領選挙ではそのこともあり、民主党候補のヒラリー・クリントンが勝利すると見られていたが、僅差で共和党候補のドナルド・トランプが勝利した。このことが大番狂わせの原因となった。

 労働組合に参加していた白人労働者たちが、一向に良くならない生活と雇用環境に業を煮やし、民主党支持を止め、「雇用を取り戻すために保護貿易を行う」と訴えたトランプに投票したという分析がなされている。保護貿易といえば、1980年代に日米間の貿易摩擦で、民主党所属のリチャード・ゲッパート連邦下院議員の激しい日本叩きが思い出される。2010年代以降、その亡霊が姿を現したのだ。ちなみに、現在のトランプは共和党所属だが、2010年代半ばまでずっと民主党員であった。

 共和党候補であるトランプが、民主党が主張していた保護貿易を訴えて当選したというところから、共和党内部にはトランプ大統領への嫌悪感がある。また、大統領選挙と合わせて実施される連邦上院議員選挙と連邦下院議員選挙では現在のところ、民主党が有利である。大統領選挙と同時に実施される連邦議員選挙の場合には、大統領選挙の情勢が大きく影響すると言われ(これをdown ballotと言う)、トランプが大統領に再選されても、共和党の連邦議員数が減れば、トランプの責任ということになり、彼の影響力は大きく減退する。

 トランプがフロリダ州とテキサス州で勝利をすればの話だが、五大湖周辺州は今回の大統領選挙の最終決戦場となる。現在のところ、各種世論調査の結果では、五大湖周辺州ではバイデンが有利という結果が出ている。ミシガン州とウィスコンシン州ではバイデンのリード差が広がっているが、オハイオ州とペンシルヴァニア州では両者の差は小さい。オハイオ州とペンシルヴァニア州でトランプが勝利ということになれば結果は大接戦ということになる。オハイオ州とペンシルヴァニア州の選挙人数は38名であり、ここをトランプが取ればトランプ大統領の再選が近づく。

(貼り付けはじめ)

世論調査:トランプがミシガン州。ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で追いかける展開に(Trump trailing in Michigan, Pennsylvania and Wisconsin: poll

ジョセフ・チョイ筆

2020年10月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520534-great-lakes-poll-shows-trump-trailing-in-michigan-pennsylvania-and

最新の世論調査によると、トランプ大統領は3つの激戦州(スイング・ステイト)であるミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンを追う展開になっている。

ボールドウィン大学がオークランド大学とオハイオ・ノーザン大学と共同して行った世論調査の結果を金曜日に発表した。それによると、ミシガン州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が43%で7ポイントのリード、ペンシルヴァニア州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が45%で5ポイントのリード、ウィスコンシン州ではバイデンの支持率が49%、トランプの支持率が43%で約7ポイントのリードとなっている。

トランプ大統領はオハイオ州では僅差でリードしている。支持率はトランプ大統領が47%、バイデンが45%だった。しかしその差は誤差の範囲内であった。

2016年の大統領選挙ではトランプがこれら4州全てで勝利した。

最新の世論調査では、調査に応じた人々の過半数が1回目の大統領選挙候補者討論会を視聴し、バイデンがより良いパフォーマンスを行ったと答えた。51%がバイデン前副大統領の方がより良いパフォーマンスをしたと答え、32%が勝利者だったと答えた。

有権者の多くは、1回目の討論会では頻繁に繰り返される割り込みと個人攻撃によって酷くイラついたと答えた。しかし、トランプ支持の有権者たちのほとんどは討論会を見たことを理由にトランプへ投票する気持ちが「全く変わらない」と答えた。

世論調査担当者たちは、有権者たちは勝利が発表されるまでに全ての投票が集計されるようにすべきだと答えた。全ての投票が集計される前にトランプ大統領が勝利を主張しても、投票集計の正確性について信頼を持てないと有権者の過半数が述べている。トランプ大統領は来月の選挙で負けて平和的な政権移行に協力することを拒絶し続けている。

今回の世論調査の結果は、『ワシントン・ポスト』紙とABCニュースによる全国規模の世論調査の結果が出る数日前に発表された。ワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査の結果では、バイデンがトランプに12ポイントのリードをしている。有権者の53%がバイデンを支持し、41%がトランプを支持した。

今回の五大湖周辺州での各種世論調査は9月30日から10月8日にかけて4166名を対象に実施された。これら4つの州での世論調査の誤差は約3ポイントである。

最新の世論調査のデータを見て、共和党の最高幹部たちは連邦上院で共和党が過半数を維持できるかどうか懸念を持っている。幹部たちはトランプ大統領の支持率を見て、これが各州レベルの選挙にマイナスの影響を与えることになるだろうと恐怖感を持っている。カンザス州やサウスカロライナ州のような伝統的に共和党優位の各州で民主党の候補者たちが大きなリードをつけている。共和党側は現在、連邦上院の23の議席を防衛しようとしている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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